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JP2000248218A - 静電式インクジェット用インク - Google Patents

静電式インクジェット用インク

Info

Publication number
JP2000248218A
JP2000248218A JP5651499A JP5651499A JP2000248218A JP 2000248218 A JP2000248218 A JP 2000248218A JP 5651499 A JP5651499 A JP 5651499A JP 5651499 A JP5651499 A JP 5651499A JP 2000248218 A JP2000248218 A JP 2000248218A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
material particles
color material
viscosity
potential
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5651499A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Shibata
寛 柴田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP5651499A priority Critical patent/JP2000248218A/ja
Priority to US09/515,867 priority patent/US6290764B1/en
Publication of JP2000248218A publication Critical patent/JP2000248218A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い記録周波数でも高濃度印字による高画質
画像が安定して得られる静電式インクジェット用インク
を得る。 【解決手段】 10^10Ωcm以上の体積抵抗率を有
する絶縁性溶媒と、帯電可能な色材粒子と、前記色材粒
子に対して所定の極性に帯電する機能を付与する帯電制
御剤とを有し、次のA〜Eの物性値を備えた静電式イン
クジェット用インクである。A:前記静電式インクジェ
ット用インクの体積抵抗率が10^9〜10^12Ωc
m。B:前記色材粒子の平均粒径が0.1〜2μm。
C:前記色材粒子のζ電位と粘度の比(ζ電位/粘度)
の絶対値が10〜100(mV/cp)。D:前記静電
式インクジェット用インクの粘度が2〜20cp。E:
前記色材粒子のζ電位の絶対値が30mV〜200m
V。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置に用いられるインクに関し、特に、静電力により
インク中の色材粒子を凝集して吐出させて記録媒体に印
字を行う静電式インクジェット記録装置に使用される静
電式インクジェット用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】ノンインパクト記録技術は、記録時にお
ける騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという
点において、最近関心を集めている。
【0003】特に、比較的簡単な機構で普通紙に高速記
録を行うことができるインクジェット方式は極めて有力
な記録技術であって、これまでにも様々な技術が提案さ
れており、現在もなお、高速記録化、高解像度化、フル
カラー化に適した技術が鋭意研究されている。中でも、
発熱体の熱により発生する蒸気の圧力でインク滴を吐出
させるバブルジェット方式や、圧電素子によって発生さ
れる機械的な圧力パルスによりインク滴を吐出させるピ
エゾ方式のように、複数のドットを並列に記録するマル
チノズルタイプが代表的なものである。
【0004】しかし、従来のインクジェットプリンタ
は、解像度の向上には適していないという問題点があ
る。つまり、蒸気の圧力を使うバブルジェット方式で
は、直径20μm未満の粒径のインク滴を生成するのが
難しく、また圧電素子が発生する圧力を使うピエゾ方式
では、記録ヘッドが複雑な構造となるために、加工技術
上の問題から解像度の高いヘッドが作りにくいからであ
る。
【0005】また、従来のインクジェット方式に使用さ
れているインクにも技術上の問題点も多い。
【0006】ここで、インクジェット用インクに要求さ
れる特性としては、第1に紙上で滲み、かぶりのない高
濃度で均一な画像が得られること、第2に画像の耐候性
が良いこと、第3に紙上においてインクの乾燥性が良い
こと、第4に目詰まりが発生せず、吐出安定性や吐出応
答性に優れること、などがある。
【0007】これらの特性を得るために、薄膜の電極ア
レイに電圧を印加し、静電気力を用いてインクを吐出さ
せる静電式インクジェット方式が多数考案されている。
【0008】ここでは、従来の静電式インクジェット方
式として、特開平7−502218号公報に開示された
技術について説明する。
【0009】当該公報による従来の静電式インクジェッ
ト技術は、帯電した色材粒子と同極性の電圧をスリット
先端の電極に電圧に印加して色材粒子の凝集体をつく
り、記録電極の先端からこの色材粒子の凝集体を吐出さ
せるものである。
【0010】そして、この技術によれば、色材粒子が凝
集した状態で吐出されるので溶媒の少ないインクが紙上
でドットとして形成され、滲みの少ない高濃度の印字が
実現できる。また、溶媒が少ないために、記録媒体上で
インクの乾燥も速くなる。しかも、染料インクを使用し
ている他のインクジェット方式とは異なり、インクの色
材粒子に顔料を使用しているので、耐候性の良い画像を
得ることができる。
【0011】また、従来の静電式インクジェット技術で
は、記録ヘッドの構成が個別のドット毎のノズルを必要
としないスリット状であるために、インクジェットヘッ
ドを実用化する上で大きな障害であった目詰まりの防止
と復旧に対して有効であり、常に吐出安定性が良好で信
頼性が維持される。
【0012】さらに、従来の静電式インクジェット技術
は、記録信号パルス長により直径10〜20μm程度の
記録ドットを容易に形成でき、しかも直径100μm以
上の大きな記録ドットも形成できる。したがって、高解
像度化と同時に多値面積階調も可能であるために、高解
像度化フルカラー化に最も適したインクジェット方式と
いえる。
【0013】以下、静電式インクジェットヘッドの構成
とインク吐出過程、および静電式インクジェット用イン
クの特徴について説明する。なお、以後は、静電式イン
クジェット用インクを単にインクと言う。
【0014】図1は静電式インクジェットヘッドの構成
を示す概略図、図2は図1の静電式インクジェットヘッ
ドの内部の構成を示す概略図、図3は図1の静電式イン
クジェットヘッドの側断面図、図4〜図7は図1の静電
式インクジェットヘッドによるインクの吐出動作を連続
して示す説明図である。
【0015】図示するように、記録ヘッドは、相互に接
合されて一体化された下部筐体7および上部筐体8を有
している。このような記録ヘッドの先端にはスリット孔
2が形成されており、スリット孔2から内側に延びるよ
うにして、記録電極ドライバにより駆動されてインク滴
を吐出させる複数の記録電極1が設けられている。
【0016】この記録電極1は、記録電極1の先端近傍
に存在するインクに電界を集中させとともにメニスカス
を安定的に形成して安定吐出が行われるように、記録電
極1の先端が凸形状に形成され、吐出孔であるスリット
孔2より50〜200μm程度突出して設置されてい
る。
【0017】また、記録電極1は、信号電圧を印加する
ためのリード線3、および記録電極ドライバに対して電
気的接合を行うためのパッド(図示せず)と一体的に形
成されたタブ配線基板4よりなる。
【0018】記録ヘッド内には、下部筐体7と上部筐体
8との対向空間により、インクが充填されるインクタン
ク6がスリット孔2に連通して形成されている。このイ
ンクタンク6の内面には、インクタンク6内の色材粒子
をスリット孔2の方向に電気泳動させるとともにスリッ
ト孔2の近傍において色材濃度を高くするため泳動電極
5が設けられている。
【0019】ここで、前述したタブ配線基板4と泳動電
極5とは下部筐体7に接着されている。また、パッドは
図示しないFPC配線基板にボンディングされている。
なお、一般的に、FPC配線基板にはマトリックス回路
およびドライバIC等が搭載されている。
【0020】図4に示すように、このような静電式イン
クジェットヘッドでは、インクタンク6内とスリット状
のインク流路内にインクが充填された状態において、イ
ンクは表面張力によりスリット孔2の周囲内にメニスカ
ス9を形成する。そして、インクタンク6内のインクに
は±100Pa程度の背圧が付与されているために、メ
ニスカス9はインク吐出孔から緩やかに飛び出した状態
で形成される。
【0021】ここで、インク吐出方向には、インクの記
録媒体となる記録紙10が、この記録紙10の背面に
は、インクを静電力で記録紙10へ向けて吐出させる対
向電極11が配置されている。なお、色材粒子12が正
帯電の場合には、対向電極11には記録時において−1
kV程度の負電圧が印加され、記録電極1との電位差が
制御されることになる。また、記録電極1に印加される
電圧としては、200〜1000Vの範囲の正電圧が使
用される。但し、記録電圧に上限はなく、一般的には使
用可能なドライバICのスペックにより決定される。ド
ライバICは駆動電圧が高くなるほど高価になる傾向が
あるので、オフィスやパーソナル向けの汎用プリンタと
して静電式インクジェットプリンタを使用する場合に
は、信号電圧を低くした方が低コストのプリンタを提供
することができる。
【0022】以上の構成を有する静電式インクジェット
ヘッドによるインク吐出動作を、図4〜図7を用いて説
明する。
【0023】図4は非記録時を示しており、対向電極1
1には電圧が印加され、記録電極1には電圧は印加され
ていない。この状態では、メニスカス9はスリット孔2
において記録電極1の先端形状に沿って緩やかに飛び出
したように形成される。そして、記録時には、泳動電極
5(図2、図3)に記録電圧以上の電圧を印加すると、
帯電したインクタンク6内の色材粒子12が記録電極1
の先端であるスリット孔2の方向に電気泳動される。こ
のとき、記録電極ドライバにより記録電極1に信号パル
ス電圧が印加されると、記録電極1の先端に電界が集中
して色材粒子12が凝集し、高濃度の色材粒子12と少
量の溶媒で構成されたメニスカス9の変形が始まる。
【0024】すると、図5に示すように、静電力により
メニスカス9がインク滴状に形成され、対向電極11に
向かって成長していく。
【0025】そしてついには、図6に示すように、メニ
スカス9からインク滴13が分離されて液滴の状態で吐
出する。
【0026】信号パルス電圧が切られると、図7に示す
ように、吐出したインク滴は記録電極1と対向電極11
との間に配置された記録紙10に付着する。最後に、ヒ
ータ(図示せず)によりインクが記録紙10に加熱定着
され、記録紙10への記録が行われることになる。
【0027】所望のインク滴13の吐出が終わると、イ
ンクタンク6内の色材粒子12がスリット孔2方向に移
動することにより記録電極1の近傍に付近に色材粒子1
1が補給され、図7に示すように、記録電極1のメニス
カス9はインク吐出前の初期状態と同じくスリット孔2
において記録電極1の先端形状に沿って緩やかに飛び出
したように形成される。
【0028】そして、以後は、このようなインク吐出の
動作が繰り返され、継続して記録が行われる。
【0029】上述した静電式インクジェットヘッドにお
けるインク吐出の特徴は、吐出位置近傍でインクの色材
粒子12の濃度を増加させ、色材粒子濃度の高いインク
を引き出すことである。そして、引き出されたインクは
高濃度の同極性の色材粒子12を含んでいるので、色材
粒子12同士の静電的な反発力から分裂して細かなイン
ク滴となり、対向電極11に向かって吐出する。このよ
うな静電式インクジェットヘッドでは、インク中の色材
粒子12を本来のインクより高濃度化して飛翔させるの
が特徴であり、色材粒子濃度の濃淡を利用することによ
り各記録電極1からのインク滴発生の選択性を向上させ
ている。
【0030】次に、このような静電式インクジェットヘ
ッドに用いられる従来のインクの特徴について説明す
る。
【0031】例えば特表平8−512069号公報に
は、10^9Ωcm以上の電気抵抗値を有する溶媒、不
溶性で帯電可能なマーキング粒子および粒子帯電剤を含
むインクジェット用インク組成物が開示されており、従
来の静電式インクジェットヘッドに使用されるインクと
して必要不可欠な構成になっている。
【0032】すなわち、従来のインクは、体積抵抗率の
高い溶媒中に帯電された色材粒子が分散されたインクを
用いることに特徴がある。当該公報にはその詳細は開示
されていないが、一般的には、例えば、溶媒としてイソ
パラフィン系炭化水素、シリコンオイル等を用い、樹脂
やワックスからなるバインダもしくは表面にカーボンブ
ラックなどの色材粒子を含有した色材、分散剤、帯電制
御剤等の構成材料から成るインクが用いられている。
【0033】ここで、溶媒は高い電気抵抗率を有する誘
電性のものが要求される。これは、誘電性の溶媒を使用
することにより、インクに印加された電界が溶媒を介し
て色材粒子に到達することが可能となるからである。そ
して、色材粒子を電気泳動させるために、色材粒子自体
を帯電させる必要も生じてくる。色材粒子は静電的反発
力を利用してインク中から一定の液滴量が吐出されるた
め、帯電量が安定していることが要求される。
【0034】さらに、インクは添加剤を含んでいる。す
なわち、例えば、分散助剤を記録液中に添加することに
より、色材粒子は凝集することなく溶媒中で安定に分散
することができるからである。
【0035】また、帯電制御剤をインク中に添加するこ
とにより、色材粒子の帯電特性を改善することができ
る。
【0036】このように、インクは、樹脂、着色剤およ
び粒子帯電剤を混練し、所望の粒径に粉砕して得られた
色材粒子を、少量の分散助剤と共に溶媒中に分散させる
ことによって得られる。
【0037】また、特開平9−193389号公報に
は、所定の極性の現像粒子を分散させることにより10
^8Ωcm以上の電気抵抗率を有するように調整された
インク、電気抵抗率が10^10Ωcm以上の誘電性溶
媒と、ζ電位が60mV以上で平均粒径が0.01〜5
μmの現象粒子からなり、10^8Ωcm以上の電気抵
抗率を有するように調整されたインク、等の使用が開示
されている。このようなインクの場合、種々の記録媒体
に対して滲みが発生することがないので、高画質な記録
に適している。
【0038】さらに、特開平8−291267号公報に
は、荷電粒子の比電荷量(Q/M)が10〜1000μ
C/gであり、且つインク組成物の電気抵抗が10^1
0Ωcm以上であるインクが開示されている。このよう
なインクの場合、低印加電圧でインクが吐出するので、
高画像濃度、高コントラスト、高解像度の印字に適して
いる。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のインクにおいては、色材粒子を凝集させて
吐出させる際に以下のような問題がある。
【0040】すなわち、静電式インクジェットヘッドは
電気泳動により記録電極の先端に高濃度の色材粒子を集
めて印字を行うものであるから、色材粒子を電気泳動さ
せて記録電極の近傍に到達させるためには比較的長い時
間がかかる。したがって、高い記録周波数で印字する場
合には、記録電極への色材粒子の供給が不足し色材濃度
が低くなって吐出したり、不吐出となる場合がある。そ
して、その結果、印字濃度が薄くなったり印字ドット径
のバラツキが大きくなり印字品質を悪化させる原因とな
る。
【0041】ところが、上記の従来のインクは、高画質
の観点からインクの物性値を規定してるものである。す
なわち、記録周波数の要因となるインク物性値に関する
記述がないために、記録周波数の向上を考慮したインク
とは言えない。
【0042】そして、記録周波数の高い印字でも高画質
が得られるインクを実現するには、色材粒子の泳動速度
を大きくして記録電極の近傍に高速且つ安定に色材粒子
を供給すること等、記録周波数の観点からもインク物性
値を規定することが課題となる。
【0043】そこで、本発明は、高い記録周波数でも高
濃度印字による高画質画像が安定して得られる静電式イ
ンクジェット用インクを提供することを目的とする。
【0044】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明の静電式インクジェット用インクは、色材粒
子を絶縁性溶媒に分散してなるインクを保持するインク
タンクと、前記インクタンクと連通して形成されて前記
インクが吐出されるスリット孔またはノズル孔と、前記
インク中の前記色材粒子を電気泳動により搬送する泳動
電極と、前記泳動電極により泳動された前記色材粒子お
よび前記絶縁性溶媒を前記スリット孔または前記ノズル
孔から吐出させる記録電極とを備えた静電式インクジェ
ットヘッドに使用される静電式インクジェット用インク
であって、10^10Ωcm以上の体積抵抗率を有する
絶縁性溶媒と、帯電可能な色材粒子と、前記色材粒子に
対して所定の極性に帯電する機能を付与する帯電制御剤
とを有し、下記のA〜Eの物性値を備えたものである。 A:前記静電式インクジェット用インクの体積抵抗率が
10^9〜10^12Ωcm。 B:前記色材粒子の平均粒径が0.1〜2μm。 C:前記色材粒子のζ電位と粘度の比(ζ電位/粘度)
の絶対値が10〜100(mV/cp)。 D:前記静電式インクジェット用インクの粘度が2〜2
0cp。 E:前記色材粒子のζ電位の絶対値が30mV〜200
mV。
【0045】これにより、高い記録周波数でも高濃度印
字による高画質画像が安定して得ることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】高い記録周波数でも高濃度印字が
行えるようにするために、本発明者は、インクの物性に
着目した。そして、特に、高濃度印字と高記録周波数に
影響を及ぼすインク物性値の適切な範囲を規定すること
により、記録周波数が高く、しかも高濃度印字が可能な
インクを実現するようにした。
【0047】例えば、記録周波数に作用するインク物性
値は以下のようになる。
【0048】すなわち、静電式インクジェットヘッドの
吐出動作は従来の技術で説明したような3段階の動作で
説明できる。
【0049】第1段階は、色材粒子を電気泳動により記
録電極の先端に供給する段階である。この段階での記録
周波数を高めるためには、電気泳動速度を高速にして色
材粒子を高速で記録電極の近傍に供給することが必要で
ある。したがって、この段階において重要なインク物性
値は、色材粒子の電気泳動速度が支配する物性値とな
る。
【0050】第2段階は、色材粒子が記録電極の先端に
インク滴状のメニスカスを形成する段階である。この段
階ではメニスカス近傍のインクの濃度はほぼ一定になっ
ているので、メニスカス形成速度はインクの粘度が支配
要因となる。したがって、粘度が最重要のパラメータと
なる。
【0051】第3段階は、メニスカス形成後、インクを
インク滴として吐出する段階である。この段階ではイン
ク滴の表面電位が大きいほど対向電極に向かう力が大き
くなるために、吐出速度も速くなる。したがって、色材
粒子のζ電位の大きさが最重要のパラメータとなる。
【0052】このように、インク物性値は、具体的に
は、記録周波数に作用するζ電位と粘度の比、ζ電位、
粘度を適切な範囲で規定される。また、高濃度印字に作
用する体積抵抗率、色材粒子の平均粒径、ζ電位と粘度
の比を適切な範囲で規定される。なお、高濃度印字に作
用するインク物性値の説明はここでは省略し、後述す
る。
【0053】すなわち、本発明の請求項1に記載の発明
は、静電式インクジェットヘッドに使用されるインク
で、少なくとも10^10Ωcmの体積抵抗率を有する
絶縁性溶媒と、帯電可能な色材粒子と、この色材粒子に
所定の極性に帯電する機能を有する帯電制御剤を主成分
としており、次のような物性値を有するように調整され
たものである。
【0054】それは、インクの体積抵抗率が10^9〜
10^12Ωcmの範囲であるというものである(以
下、これを「物性値A」という。)。また、色材粒子の
平均粒径が0.1〜2μmの範囲であるというものであ
る(以下、これを「物性値B」という。)。さらに、色
材粒子のζ電位と粘度の比(ζ電位/粘度)が10〜1
00(mV/cp)の範囲であるというものである(以
下、これを「物性値C」という。)。さらに、インクの
粘度が2〜20cpの範囲であるというものである(以
下、これを「物性値D」という。)。そして、色材粒子
のζ電位の絶対値が30mV〜200mVの範囲である
というものである(以下、これを「物性値E」とい
う。)。
【0055】これにより、高い記録周波数でも高濃度印
字による高画質画像を安定して得ることができるという
作用を有する。
【0056】以下、このようなインクの各物性値につい
て説明する。
【0057】最初に、物性値Aについて説明する。
【0058】そもそも、高濃度印字を行うには、インク
の体積抵抗率は高いことが好ましい。
【0059】すなわち、10^9Ωcm未満の体積抵抗
率のインクを使用した場合、記録電極に印加された高電
圧により、記録電極に接するインクに電荷が注入されて
記録電極近傍のインクが電荷を帯びる。その結果、電気
泳動で色材粒子が記録電極の近傍に凝集すると同時にイ
ンク中の溶媒も電荷を帯び、色材粒子とともに溶媒も吐
出してしまうので、記録媒体上で滲みが生じて高濃度印
字が実現できない。
【0060】しかし、10^9〜10^12Ωcmの体
積抵抗率のインクを使用した場合、記録電極に印加され
た高電圧により記録電極に接するインクに電荷が注入さ
れても、記録電極近傍のインクが電荷を帯びる時間を遅
くすることができる。その結果、電気泳動で色材粒子が
記録電極の近傍に凝集して色材粒子が多く吐出するの
で、高濃度の印字が確保できる。
【0061】さらに、10^12Ωcmを越える体積抵
抗率のインクの場合では、溶媒への電荷注入時間が極め
て遅くなる。その結果、溶媒は極端に吐出しにくくなり
色材粒子のみが吐出するために、印字ドット径が極めて
小さくなり、実用上好ましくない。
【0062】したがって、インクの体積抵抗率を10^
9〜10^12Ωcmの範囲で選択することにより、高
濃度印字が可能になる。
【0063】次に、物性値Bについて説明する。
【0064】色材粒子が電気泳動する場合、色材粒子近
傍の溶媒も色材粒子とともに流れる。そして、色材粒子
の平均粒径が小さい場合には、平均粒径が大きい場合と
比較し比表面積が増えるために色材粒子に伴って流れる
溶媒の量が増える。具体的には、平均粒径0.1μm未
満の色材粒子では凝集効率の極端な低下が見られる。す
なわち、平均粒径0.1μm未満の色材粒子のインクで
はインク滴を吐出させる際に溶媒と色材粒子とが十分に
分離できず、記録媒体に到達した色材粒子は多くの溶媒
を含んでしまう。このため、高濃度の印字が実現でき
ず、滲みを伴う低画質になってしまう。
【0065】また、平均粒径2μm以上の色材粒子の場
合、分散性が低下して極めて短時間に沈降するために、
記録装置に適用するのは困難である。さらに、記録媒体
への定着性も悪くなる。
【0066】したがって、色材粒子の平均粒径を0.1
〜2μmの範囲で選択することにより、高濃度印字が可
能になる。
【0067】次に、物性値Cについて説明する。
【0068】色材粒子の泳動速度vは、v∝εζE/η
のように表すことができる。ここで、εはインクに使用
される絶縁性溶媒の誘電率である。また、ζは色材粒子
の絶縁性溶媒に対する電位である。Eはインクタンク内
の電界の大きさである。ηはインクに使用される絶縁性
溶媒の粘度である。
【0069】この式より明らかなように、色材粒子の泳
動速度の大きさは、インクの物性値であるζ電位と粘度
の比の絶対値、すなわち|ζ/η|の値に依存する。そ
して、ζ電位と粘度の比の絶対値が10(mV/cp)
未満になると、記録周波数の低下が顕著になってくな
る。したがって、ζ電位と粘度の比の絶対値が大きいほ
ど記録電極先端への色材粒子の凝集効率および供給速度
は大きくなり、その結果、安定した高濃度印字が可能
で、記録周波数も高くできる。
【0070】しかし、ζ電位と粘度の比の絶対値が極端
に大きくなると、色材粒子が正に帯電しているときに
は、インクの溶媒は負に帯電しているために、インクタ
ンクの壁面に沿っての溶媒の電気泳動、すなわち電気浸
透流が無視できなくなる。ζ電位と粘度の比の絶対値が
100(mV/cp)を超えると、インクタンク内は電
気浸透流による溶媒の循環対流が発生し、色材の電気泳
動の外乱となる。このような場合、色材粒子も循環対流
と同じように流れてしまい、記録電極先端への色材粒子
の凝集性が悪くなってくる。その結果、高濃度印字と高
記録周波数を実現できない。
【0071】したがって、色材粒子のζ電位と粘度の比
の絶対値を10〜100(mV/cp)の範囲で選択す
ることにより、色材の電気泳動速度を高め、且つ凝集効
率および凝集速度を高めることができるために、高濃度
印字が可能で、記録周波数も高くすることが可能にな
る。
【0072】次に、物性値Dについて説明する。
【0073】インクの溶媒は極性の低い誘電性溶媒を使
用するために、分子量が小さい場合には粘度も小さくな
り、溶媒分子間の結合力も小さい。そのために、インク
の粘度が2cp未満の場合、溶媒の揮発性が高くなると
いう現象が生じる。揮発性が高い溶媒はインクの乾燥速
度を速くする。すると、実用上では、記録電極において
乾燥による色材粒子の固着が発生し、その結果、インク
滴の吐出が行われなくなったり、メニスカス形成が不安
定となり印字品質が低下することがある。
【0074】また、粘度が大きい場合、インク滴の吐出
時、記録電極の先端におけるメニスカス形成に時間がか
かる。その結果、記録電圧の印加時間を長くする必要が
あるために、記録周波数を高くすることができない。
【0075】したがって、インクの粘度を2〜20cp
の範囲で適切に選択することにより、乾燥についての問
題が発生することなく、記録周波数の高い印字が可能に
なる。
【0076】最後に、物性値Eについて説明する。
【0077】ζ電位の絶対値が30mV未満の場合、記
録電極先端に凝集したインクメニスカスの表面電位が低
いために、インク滴吐出時は飛翔ドット径が大きくな
る。その結果、印字ドット径が大きくなって、解像度を
上げることが困難になる。また、このようにζ電位が小
さい場合は、色材粒子間のζ電位のバラツキも大きく、
負帯電の色材粒子も存在することもあるために、記録電
極に色材粒子が電着することもある。すると、記録電極
先端のメニスカス形状が不安定となり、吐出安定性を損
なう。
【0078】また、ζ電位の絶対値が200mVを越え
て高くなると、小さなメニスカスでインク滴が吐出す
る。その結果、印字ドット径が極端に小さくなり、実用
上好ましくない。また、ζ電位が200mVを超える
と、帯電安定性に乏しく経時変化が大きい。したがっ
て、長期に渡ってζ電位を一定して維持することはでき
ず、技術的に実用化が困難である。
【0079】したがって、色材粒子のζ電位の絶対値を
30mVから200mVの範囲で適切に選択することに
より、記録周波数を高くすることができる。
【0080】以下、本実施の形態におけるインク構成材
料、作製方法、構成材料の配合比について説明する。
【0081】本実施の形態における絶縁性溶媒は、低誘
電率で高絶縁性を有している必要があり、要求される特
性として、まず第1に、色材、樹脂、帯電制御剤等を混
合した後にインクの体積抵抗率が10^9Ωcmより低
くならないようにするため、少なくとも10^10Ωc
m以上の体積抵抗率を有していることが挙げられる。ま
た、誘電率としては3.0未満のものが好ましい。その
他の要求特性としては、インク吐出口における絶縁性溶
媒の蒸発をできるだけ小さくでき、かつ印字後のインク
の速やかな乾燥、定着を行うために、室温において適当
な範囲の蒸発速度を有していること、また、引火を防止
するために、少なくとも室温以上の引火点を有している
こと、さらに、環境および人体に対する安全性が高いこ
とが挙げられる。
【0082】本実施の形態の絶縁性溶媒に用いられる炭
化水素溶媒およびシリコンオイル等は、以上のような要
求を満たすものであれば良く、特に限定されるものでは
ないが、特に好ましいものとして以下に具体例を挙げ
る。
【0083】炭化水素系溶媒としては、沸点が150〜
350℃の範囲にある高純度のイソパラフィン系炭化水
素が挙げられ、市販品としてはエクソン化学製のアイソ
パーG,L,M,V(商品名)、ノルパー12,13,
15(商品名)、出光石油化学製のIPソルベント16
20,2028(商品名)、日本石油化学製のアイソゾ
ール300,400(商品名)等がある。これらの製品
は、極めて純度の高い脂肪族飽和炭化水素であり、引火
点は40℃以上、25℃における粘度は3cp未満、2
5℃における表面張力は22.5〜28.0mN/m、
25℃における体積抵抗率は10^15Ωcm以上であ
る。また、反応性が低く安定であり、低毒性で安全性が
高く、臭気も少ないという特徴がある。
【0084】シリコンオイルとしては、低粘度の合成ジ
メチルポリシロキサンが挙げられ、市販品としては、信
越シリコーン製のKF96L(商品名)、東レ・ダウコ
ーニング・シリコーン製のSH200(商品名)等があ
る。これらのジメチルポリシロキサンは、イソパラフィ
ン系炭化水素と比較し表面張力が低いことに特徴があ
り、18〜21mN/mの表面張力を有している。
【0085】本実施の形態における色材粒子としては、
色材を単体で、もしくは溶媒に不溶性の樹脂に色材を分
散させたものを用いることができる。色材としては、種
々の無機および有機色材を用いることができ、例えば、
カーボンブラック、β−ナフトール系アゾ色材、ピラゾ
ロン系アゾ色材、アセト酢酸アリリド系アゾ色材、宿合
アゾ色材、ジスアゾ色材、アントラピリジン色材、イン
ダンスレン色材、フタロシアニン系色材、キナクリドン
色材、インジゴ色材、イソインドリノン色材、ジオキサ
ジン色材、ペリレン色材、フタロペリノン色材、キノフ
タロン色材、二酸化チタン等がある。また、溶媒に不溶
性の樹脂としては、種々の公知の天然もしくは合成樹脂
を用いることができるが、例えばアクリル樹脂、エポキ
シ樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸
ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等がある。これ
らの樹脂に色材を分散させる手法としては、電子写真に
おける乾式もしくは湿式色材の製造プロセスに見られる
ような種々の公知の方法を用いれば良い。また、ロジン
エステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂等に色材微
粒子を分散させた加工色材が市販されているので、これ
らを用いても良い。
【0086】本実施の形態における樹脂は、色材の分散
性を向上させること、すなわち分散剤としての機能、並
びに記録媒体への色材の定着性を向上させること、すな
わちバインダとしての機能を主たる目的として加えられ
る。
【0087】したがって、樹脂は一定量以上溶媒に可溶
である必要があり、好ましくは、溶媒としての効果を考
慮すれば色材との親和性が高いものが良く、また、バイ
ンダとしての効果を考慮すれば樹脂単体では室温で固体
であるか、もしくは非常に高粘度の溶媒であるものが好
ましい。
【0088】このような要求を満たすものであれば、樹
脂の種類は特に限定されるものではないが、前述したよ
うな絶縁性溶媒に対して十分な溶解性を示し、上記のよ
うな特性を満足させるものは極めて少ない。この点に関
して検討を行った結果、炭化水素樹脂が優れた特性を有
していることを見い出した。市販品の具体例としては、
荒川化学工業製の脂環族飽和炭化水素樹脂であるアルコ
ン(商品名)がある。また、このような樹脂に関し、後
述の帯電制御剤と共に色材のζ電位に対する添加効果を
検討した結果、色材の帯電にも関与していることが推察
された。
【0089】本実施の形態における帯電制御剤として
は、ナフテン酸、オクチル酸、ステアリン酸等の金属石
鹸、アルキル硫酸の金属塩、アルキルリン酸の金属塩、
脂肪酸、レシチン等を用いることができるが、特に色材
を正極性に帯電させる場合には、溶媒への溶解性が良好
であることと帯電性能に優れていることより、ナフテン
酸およびオクチル酸の金属石鹸が特に好ましい。これら
金属石鹸の金属原子としては、マンガン、鉛、亜鉛、カ
ルシウム、アルミニウム、ジルコニウム、銅、鉄等が使
用可能である。しかし、色材粒子の帯電メカニズムは未
だ明らかにされておらず、しかも、上述した帯電制御剤
を使う事無く色材粒子を帯電化することも可能であるた
めに、帯電制御剤とは色材粒子を帯電する機能を有する
ものであればよく、必ずしも材料の種類が限定されるも
のではない。
【0090】また、このような帯電制御剤は、色材を帯
電させることで色材の分散安定性を向上させる機能も果
たしている。
【0091】本実施の形態における基本的な構成材料は
以上のようなものであるが、このほかに分散剤や界面活
性剤、ワックス、染料等の添加剤を適宜加えても良い。
【0092】次に、インクの作製方法と構成材料の配合
比について説明する。
【0093】インクの作製には、各種顔料インクや電子
写真における溶媒現像剤の作製方法として公知である一
般的な手法を用いることができる。例えば、所定の配合
比になるように秤量した色材、樹脂、帯電制御剤および
その他の補助添加剤を、適当な粘度範囲になるように溶
媒と混合したものを、ビーズミル、アトライター、サン
ドミル、ボールミル等の分散機を用いて数時間から数十
時間程度混合粉砕することにより、数百nm〜数μm程
度の色材が分散されたインクの凝集液を作製した後、使
用する際の所定濃度まで分散媒で希釈することによりイ
ンクを作製する方法がある。また、色材と樹脂および補
助添加剤のみを同様に混合粉砕、希釈した後に、帯電制
御剤を加える方法もある。
【0094】本実施の形態のインクにおける色材の濃度
は、インクの総量に対して0.5〜10重量%の範囲で
あることが好ましい。すなわち、色材の濃度が0.5重
量%より少なくなると、十分な印字濃度が得られず好ま
しくない。また、10重量%より多くなると、インクの
粘度が著しく増大して安定なインク吐出が行えなくなる
傾向が生じ、好ましくない。
【0095】本実施の形態のインクにおける樹脂の濃度
は、インクの総量に対して、0.1〜20重量%の範囲
であることが好ましい。すなわち、樹脂の濃度が0.1
重量%より少なくなると、色材の分散性を向上させると
ともに色材に十分なζ電位を付与する効果がほとんどな
く、また、20重量%より多いと、インクの粘度が著し
く増大して安定なインク吐出が行えなくなる傾向が生
じ、何れも好ましくない。
【0096】本実施の形態における帯電制御剤の濃度
は、インクの総量に対して0.05〜2.0重量%の範
囲であることが好ましい。すなわち、帯電制御剤の濃度
が0.05重量%より少ないと、色材の分散性を向上さ
せるとともに色材に高いζ電位を付与する効果がほとん
どなく、2.0重量%より多いと、インクの体積抵抗率
が著しく低下して印字濃度が低下する傾向が生じるた
め、何れも好ましくない。
【0097】具体的には、色材および樹脂を含めた材料
の選定と配合比の最適化により、色材のζ電位を30m
V以上とすると、色材の電気泳動性が向上することによ
りインク滴中の色材比率が十分に高くなり、高濃度の印
字が可能となると共に、記録電極上への色材の電着を防
止することができる。
【0098】
【実施例】上述したインクの構成材料、作製方法、構成
材料の配合比に基づいてインクを作製した。また、比較
のために、前述のような本実施の形態のインク物性値範
囲外のインクも同時に作製した。そして、作製したイン
クについては、従来の静電式インクジェットヘッドを使
用して評価を行った。
【0099】ここで、図8は、本実施例におけるインク
の評価に用いられた静電式インクジェットヘッドの構成
を示す斜視図である。図8において、図1〜図7におい
て説明した静電式インクジェットヘッドと同一符号の部
材は、同一機能で同一構成のものを表している。なお、
図1〜図7の静電式インクジェットヘッドと同一符号の
ものは説明が省略されている。なお、図8ではインクと
泳動電極は図示されていない。
【0100】本実施例の静電式インクジェットヘッド
は、スリット孔2の幅は300μm、記録電極1の幅は
80μm、記録電極1の配列間隔は150dpi相当の
約170μm、記録電極1の先端と記録紙10との間隔
は0.7mmとした。このような構成の静電式インクジ
ェットヘッドにおいて、色材粒子が正もしくは0のζ電
位を持つインクを用いて評価を行った。また、対向電極
11には常に一定のマイナス電圧(−1.2kV)を印
加し、記録電極11との間に一定のバイアス電界を形成
した。
【0101】そして、記録紙10を静電式インクジェッ
トヘッドの長手方向に垂直に移動させながら、記録電極
1に記録信号となるプラス電圧パルス(+600V)を
一定の周波数で印加することで、記録電極1の先端より
対向電極11に向かって静電力によりインク滴を吐出さ
せ、記録紙10上に一定の周期で印字ドットを形成し
た。なお、泳動電極には信号電圧値よりも大きい値であ
る1000Vを印加した。
【0102】上述の静電式インクジェットヘッドを用い
て本実施の形態のインクの印字評価を行った。なお、印
字評価は、印字濃度と記録周波数を測定することにより
行った。
【0103】印字濃度は市販のインクジェットプリンタ
の印字物の印字濃度と比較して評価を行った。
【0104】印字条件は記録周波数を500Hz、記録
信号印加時間を500μ秒とした。記録媒体は普通紙を
使用し、普通紙上の1cm角内にベタ印字をおこない、
官能評価で印字濃度の評価を行った。そして、本実施例
の印字物の印字濃度が市販品と比較して明らかに高い場
合は○とした。また、官能評価で印字濃度があまり変わ
らない場合は×とした。なお、○の印字物の光学濃度は
1.4以上であった。
【0105】以下、印字濃度の評価を500Hzで行っ
た理由を説明する。
【0106】インク中の色材粒子が記録電極近傍で十分
に凝集吐出し印字されれば、印字濃度が高い事は吐出原
理上明らかである。そして、印字濃度に着目した評価を
行うためには、電気泳動で色材粒子が記録電極近傍に凝
集する時間が比較的長くかかる場合もあることを考慮す
る必要がある。従って、印字条件は比較的低い周波数で
長い記録信号加時間であることが好ましい。以上によ
り、本実施例では記録周波数を500Hz、記録信号印
加時間を500μ秒とした。
【0107】記録周波数の評価は2kHzで行い、記録
信号印加時間は200μ秒とした。このとき、ドット抜
けが市販のインクジェットプリンタと同様に0.05%
未満の場合、この記録周波数での印字がされていると判
断した。
【0108】そして、本実施例のインクの吐出が2kH
zで行われた場合は○とした。また、2kHzで行われ
なかった場合は×とした。
【0109】以下、記録周波数の評価を2kHzで行っ
た理由を説明する。
【0110】体積抵抗率が10^8Ωcm未満のインク
を使用した場合、インクの吐出状態は曳糸状である。曳
糸状吐出はインク溶媒も含めたインク全体が電荷注入に
より帯電するために生じる吐出状態である。電荷注入に
よる帯電速度は色材粒子の泳動速度よりも明らかに速
い。したがって、インクの吐出開始速度が滴状吐出と比
較して曳糸状吐出の方が速いために、記録周波数も高い
ことが分かっている。また、記録周波数はインクだけで
決定されるものでなく、ヘッドの形態にも依存する。し
たがって、本実施例の静電式インクジェットヘッドで体
積抵抗率が10^8Ωcm未満のインクを用いて吐出さ
せたときの記録周波数を比較することで、本実施例のイ
ンクの記録周波数の評価を行った。
【0111】なお、体積抵抗率が10^8Ωcm未満の
市販のインクを使用し、記録信号印加時間を200μ秒
としたとき、本実施例の静電式インクジェットヘッドで
の最高記録周波数は2kHzであった。したがって、本
実施例においても2kHzの記録周波数で評価を行っ
た。
【0112】また、本発明にとって重要なインクの諸物
性値は、以下に示す測定器および方法で行った。
【0113】色材粒子のζ電位は、大塚電子社製ELS
−6000型を使用して測定した。また、測定に使用し
たインクは溶媒により1000倍に希釈して行った。イ
ンクの粘度は、東機産業製RB−80L型の粘度計を使
用して測定した。インクの体積抵抗率は、キースレー
(東陽テクニカ)製6517型高抵抗計および東洋真空
工業製1型の溶媒電気抵抗測定用電極を使用して測定し
た。なお、インクの粘度、体積抵抗率測定時の温度は2
5℃である。色材粒子の平均粒径は、堀場製作所製の粒
度分布計LA−700型にて測定した。
【0114】次に、本実施例の具体的内容について説明
する。
【0115】(実施例1)エクソン化学製のイソパラフ
ィン系炭化水素であるアイソパー(商品名)に、炭化水
素樹脂とを加え、炭化水素樹脂が完全に溶解するまで室
温で混合撹拌し、透明な混合溶液を得た。この混合溶液
と、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製のカーボンブ
ラック色材であるMICROLITH Black C
−T(商品名)をジルコニア製ビーズと共にメノウ製の
粉砕容器に入れ、遊星型ボールミル装置で混練し、色材
濃度3重量%の色材分散インクを作製した。
【0116】ζ電位および体積抵抗率の制御には帯電制
御剤であるオクチル酸ジルコニウムの添加量を調整する
ことと、炭化水素溶媒の種類を選択することにより行っ
た。なお、粘度の制御には炭化水素溶媒の種類と樹脂の
添加量を調整することにより行った。また、色材の粒径
の制御にはボールミル装置での混練時間を調整すること
により行った。
【0117】そして、 体積抵抗率 10^8〜10^13Ωcm 色材の平均粒径 0.05〜5μm ζ電位と粘度の比 0〜250(mV/cp) 粘度 1〜30cp ζ電位 0〜400mV の範囲の物性で30種類のインクを作製した。
【0118】一例として、上記構成材料のインクとその
物性値を示す。
【0119】 インクの構成材料 炭化水素系溶媒(アイソパーG) 93重量% MICROLITH Black C−T 3重量% 炭化水素樹脂 3重量% オクチル酸ジルコニウム 1重量% 混練時間 6時間 インクの物性値 体積抵抗率 2×10^10Ωcm 色材の平均粒径 0.9μm ζ電位と粘度の比 32(mV/cp) 粘度 2.5cp ζ電位 70mV そして、実施例1の印字濃度の評価結果とインク物性値
との関係は以下のようになった。
【0120】インクの体積抵抗率と印字濃度の結果を
(表1)に示す。
【0121】
【表1】
【0122】(表1)において、インクの体積抵抗率と
印字濃度との関係は3つに分類された。1つはインクの
体積抵抗率が10^9Ωcm未満の場合である。また、
他の2つはインク体積抵抗率が10^9〜10^12Ω
cm、10^12Ωcmを越えるときである。
【0123】インクの体積抵抗率が10^9Ωcm未満
の場合、インクの吐出状態が曳糸状吐出と滴状吐出の混
合状態または曳糸状吐出状態であった。そして、滴状吐
出状態の印字は印字濃度が低かった。また、曳糸状吐出
状態では、さらに印字濃度が低くなった。その結果、印
字に濃度ムラが発生した。したがって、体積抵抗率が1
0^9Ωcm未満のインクでは、印字濃度が低く安定し
なかった。
【0124】インクの体積抵抗率が10^12Ωcmを
越える場合、インクの吐出状態は滴状吐出であったが、
印字濃度は低かった。つまり、印字ドット自体は高濃度
であったが、ドット径が極めて小さくベタ印字ができ
ず、その結果、印字濃度が低くなった。なお、インクの
体積抵抗率が10^9〜10^12Ωcmの場合、イン
クの種類により印字濃度に差が出る結果となった。
【0125】次に体積抵抗率が10^9〜10^12Ω
cmのインクの中で色材粒子の平均粒径と印字濃度との
関係について調べた。
【0126】インクの色材粒子の平均粒径と印字濃度の
結果を(表2)に示す。
【0127】
【表2】
【0128】(表2)において、色材粒子の平均粒径と
印字濃度の関係は3つに分類された。1つは平均粒径が
0.1μm未満の場合、もう1つはインクの色材粒子の
平均粒径が2μmを越える場合、残りはインクの色材粒
子の平均粒径が0.1〜2μmの場合である。
【0129】インクの色材粒子の平均粒径が小さくなる
と、色材粒子の比表面積が増大していくために、色材粒
子が電気泳動すると同時に色材粒子近傍の溶媒も多く追
従して流れてくる。そして、インクの色材粒子の平均粒
径が0.1μm未満の場合は、実質的に色材粒子の凝集
が行われなくなってしまった。その結果、色材粒子の凝
集性が不足し、印字濃度が低く、滲みのある画質になっ
てしまった。
【0130】また、インクの色材粒子の平均粒径が2μ
m以上の場合は、印字している時間内にも色材粒子が急
速に沈降したために、電極先端へ色材粒子供給が不足
し、印字途中で極端な印字濃度の低下が見られた。
【0131】以上により、インクの体積抵抗率が10^
9〜10^12Ωcmでも、色材粒子の平均粒径が0.
1μm未満の場合や2μmを越える場合では高濃度印字
が実現できなかった。なお、体積抵抗率が10^9〜1
0^12Ωcmで色材粒子の平均粒径が0.1〜2μm
のインクの場合では、インクの種類により印字濃度に差
が出る結果となった。
【0132】次に、体積抵抗率が10^9〜10^12
Ωcmで色材粒子の平均粒径が0.1〜2μmのインク
の場合について、色材粒子のζ電位と粘度の比と印字濃
度との関係について調べた。
【0133】色材粒子のζ電位と粘度の比と印字濃度の
結果を(表3)に示す。
【0134】
【表3】
【0135】(表3)において、印字濃度の結果は3つ
に分類された。すなわち、色材粒子のζ電位と粘度の比
が5(mV/cp)未満の場合と200(mV/cp)
を越えるとき、そして、色材粒子のζ電位と粘度の比が
5〜200(mV/cp)の場合である。
【0136】ζ電位と粘度の比が5(mV/cp)未満
のときは、色材粒子の電気泳動速度が小さく、記録電極
近傍に色材粒子の供給が十分なされずにインクの吐出が
行われた。その結果、高濃度印字が実現できなかった。
【0137】また、ζ電位と粘度の比が200(mV/
cp)を越えるときは、色材粒子の電気泳動速度が大き
く、電気泳動開始直後は十分に記録電極近傍に供給され
るが、その後はインクタンク内で循環対流が生じ色材粒
子の供給が十分なされずにインクの吐出が行われた。そ
の結果、色材粒子のζ電位と粘度の比が200(mV/
cp)を越える場合でも高濃度印字が実現できなかっ
た。
【0138】なお、ζ電位と粘度の比が5〜200(m
V/cp)のときは、電気泳動速度が徐々に大きくな
り、また循環対流の速度も小さいために印字濃度に影響
するようなこともなく、全てのインクとも高濃度印字が
実現された。
【0139】したがって、高濃度印字の実現に必要なイ
ンクの物性値は、インクの体積抵抗率が10^9〜10
^12Ωcmであり、色材粒子の平均粒径が0.1〜2
μm、ζ電位と粘度の比が5〜200(mV/cp)の
ときの場合であること分かった。
【0140】さらに、高濃度印字に必要な物性値を持つ
インクの、記録周波数について調べた。
【0141】ここでは、最初に、色材粒子のζ電位と粘
度の比と記録周波数との関係について調べた。
【0142】色材粒子のζ電位と粘度の比と記録周波数
の結果を(表4)に示す。
【0143】
【表4】
【0144】(表4)において、色材粒子のζ電位と粘
度の比と記録周波数の結果は大きく3つに分類された。
すなわち、色材粒子のζ電位と粘度の比が10(mV/
cp)未満の場合と100(mV/cp)を越えると
き、および色材粒子のζ電位と粘度の比が10〜100
(mV/cp)の場合である。
【0145】色材粒子のζ電位と粘度の比が10(mV
/cp)未満の場合、記録周波数が2kHzになると電
気泳動による色材粒子の供給が間に合わなくなるため
に、溶媒を多く含んだまま液滴として吐出がなされる場
合と、ドット抜けが発生する場合とが混在していた。
【0146】また、ζ電位と粘度の比が100(mV/
cp)以上のときは、電気泳動速度が大きく、電気泳動
開始直後は十分に記録電極先端に供給されるが、その後
はインクタンク内の対流による色材粒子の攪拌により、
色材粒子の供給が十分なされないままインクの吐出が行
われた。その結果、ζ電位と粘度の比が10(mV/c
p)未満の場合と同様の現象が発生した。
【0147】そして、ζ電位と粘度の比が10〜100
(mV/cp)の場合では、ドット抜けなく良好な印字
が可能なインクと、ドット抜けが発生するインクとが混
在していた。
【0148】次に、ζ電位と粘度の比が10〜100
(mV/cp)であるインクの粘度と記録周波数につい
て調べた。
【0149】インクの粘度と記録周波数の結果を(表
5)に示す。
【0150】
【表5】
【0151】(表5)において、記録周波数の結果は大
きく3つに分類された。すなわち、1つはインクの粘度
が2未満の場合と20を超えるとき、そして、インクの
粘度が2〜20の場合である。
【0152】インクの粘度が2cp未満のときは、イン
クの溶媒の乾燥速度が極めて速く、記録電極先端が印字
中に乾燥しインクの供給が行なわれなくなるために、印
字自体がなされないことがあった。インクの粘度が20
cpを超えるときは、記録電極先端のメニスカスの変位
速度が遅くなるために200μ秒の信号電圧印加時間で
はメニスカスの成長が遅く、その結果、静電力でメニス
カスからインク滴を分離し吐出させることができなかっ
た。
【0153】また、インクの粘度が2〜20cpのとき
は、印字中には乾燥せず、メニスカスの形成速度も速
く、200μ秒内で吐出できるために、記録周波数の高
い印字が可能であった。
【0154】次に、ζ電位と粘度の比が10〜100
(mV/cp)で粘度が2〜20cpであるインクのζ
電位と記録周波数について調べた。
【0155】色材粒子のζ電位と記録周波数の結果を
(表6)に示す。
【0156】
【表6】
【0157】(表6)において、色材粒子のζ電位と記
録周波数の関係は3つに分類された。すなわち、1つは
ζ電位が30mV未満の場合、1つはζ電位が200m
Vを越える場合、残りは30〜200mVの場合であ
る。
【0158】ζ電位が30mV未満のときは、色材粒子
の帯電にバラツキが大きく極性が反転している色材粒子
も混在する。その結果、極性が反転している色材粒子は
反対方向に電気泳動するためにインクタンク内に緩やか
な対流が生じる。したがって、記録電極先端に色材粒子
の供給が困難となり、且つ記録周波数が2kHz以上に
なると色材粒子の供給が間に合わなくなるために、イン
クが吐出しなくなる場合がある。ζ電位が200mVを
越えて高くなると小さいなメニスカスでインク滴が吐出
する。その結果、印字ドット径が極端に小さくなり、実
用上好ましくない。また、記録信号に応答することなく
吐出することもあり、記録信号電圧による吐出制御が困
難であった。さらに、帯電安定性に乏しく経時変化が大
きく、印字再現性に劣るものであった。
【0159】したがって、記録周波数の高くできるイン
クの物性値として、ζ電位と粘度の比が10〜100
(mV/cp)であり、インクの粘度が2〜20cpで
あり、ζ電位が30〜200mVの場合が好適であるこ
とが分かった。
【0160】以上により、インクの物性値として、イン
クの体積抵抗率が10^9〜10^12Ωcmであるこ
と、色材粒子の平均粒径が0.1〜2μmの範囲である
こと、色材粒子のζ電位と粘度の比が10〜100(m
V/cp)の範囲であること、インクの粘度が2〜20
cpの範囲であること、色材粒子のζ電位が30mV〜
200mVの範囲であること、を満たしていれば、高濃
度印字と高記録周波数とを同時に実現できることが確認
された。
【0161】(実施例2)実施例1と同様なインクの構
成材料と作製方法で、インクを10種類作製した。な
お、10種類のうち5種類のインクの物性は実施例1の
好適な物性の範囲で作製し、残りの5種類は実施例1の
好適でない物性の範囲で作製した。
【0162】印字評価の結果は実施例1と同様であり、
高濃度印字が可能で記録周波数の高くできるインクの物
性値は実施例1の結果と同様であることが再現し確認さ
れた。
【0163】(実施例3)実施例1と同様なインクの作
製方法で、インクを30種類作製した。
【0164】ここで、実施例3では、実施例1および2
とは構成材料を変更してインクを作製した。すなわち、
エクソン化学製のイソパラフィン系炭化水素であるノル
パー(商品名)にアマニ油変性アルキド樹脂を加え、ア
マニ油変性アルキド樹脂が完全に溶解するまで室温で混
合撹拌し、透明な混合溶液を得た。そして、この混合溶
液と、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製のシアン色
材であるMICROLITH Blue C−T(商品
名)をジルコニア製ビーズと共にメノウ製の粉砕容器に
入れ、遊星型ボールミル装置で混練し、色材濃度3重量
%の色材分散インクを作製した。なお、体積抵抗率およ
び色材の平均粒径等の物性制御は実施例1と同様な方法
で行った。
【0165】そして、 体積抵抗率 10^8〜10^13Ωcm 色材の平均粒径 0.02〜4μm ζ電位と粘度の比 0〜150(mV/cp) 粘度 0.9〜25cp ζ電位 0〜300mV の範囲でインクを作製した。
【0166】一例として上記構成材料のインクとその物
性値を示す。
【0167】 インクの構成材料 炭化水素系溶媒(ノルパー12) 93重量% MICROLITH Black C−T 3重量% アマニ油変性アルキド樹脂 3重量% ナフテン酸マンガン 1重量% 混練時間 3時間 インクの物性値 体積抵抗率 5×10^10Ωcm 色材の平均粒径 1.5μm ζ電位と粘度の比 30(mV/cp) 粘度 3cp ζ電位 90mV なお、30種類のうち20種類のインクの物性は実施例
1の好適な物性の範囲で作製し、残りの10種類は実施
例1の好適でない物性の範囲で作製した。
【0168】印字評価の結果は実施例1と同様であり、
高濃度印字が可能で記録周波数の高くできるインクの物
性値は実施例1の結果と同様であることが確認された。
【0169】(実施例4)実施例1と同様なインクの作
製方法で、インクを30種類作製した。
【0170】ここで、実施例4では、実施例1〜実施例
3と構成材料を変更してインクを作製した。
【0171】すなわち、エクソン化学製のイソパラフィ
ン系炭化水素であるアイソパー(商品名)に、アクリレ
ート系樹脂であるビニルアクリレートターポリマーを加
え、このビニルアクリレートターポリマーが完全に溶解
するまで室温で混合撹拌し、透明な混合溶液を得た。そ
して、この混合溶液と、クラリアント社製のシアン色材
粒子であるReflux Blue(商品名)とを、ジ
ルコニア製ビーズと共にメノウ製の粉砕容器に入れ、遊
星型ボールミル装置で混練し、色材濃度3重量%の色材
分散インクを作製した。なお、体積抵抗率および色材の
平均粒径等の物性制御は実施例1と同様な方法で行っ
た。
【0172】そして、 体積抵抗率 10^8〜5×10^13Ωcm 色材の平均粒径 0.05〜5μm ζ電位と粘度の比 0〜250(mV/cp) 粘度 1〜30cp ζ電位 0〜400mV の範囲でインクを作製した。
【0173】一例として上記構成材料のインクとその物
性値を示す。
【0174】 インクの構成材料 炭化水素系溶媒(アイソパーG) 93重量% Reflux Blue 3重量% アクリレート系樹脂 3重量% ナフテン酸マンガン 1重量% 混練時間 10時間 インクの物性値 体積抵抗率 2×10^11Ωcm 色材の平均粒径 0.5μm ζ電位と粘度の比 20(mV/cp) 粘度 10cp ζ電位 200mV なお、30種類のうち20種類のインクの物性は実施例
1の好適な物性の範囲で作製し、残りの10種類は実施
例1の好適でない物性の範囲で作製した。
【0175】印字評価の結果は実施例1と同様であり、
高濃度印字が可能で記録周波数の高くできるインクの物
性値は実施例1の結果と同様であることが確認された。
【0176】(実施例5)実施例1と同様なインクの作
製方法で、インクを20種類作製した。
【0177】この実施例5では、実施例1〜実施例4と
構成材料を変更してインクを作製した。
【0178】すなわち、出光石油化学製のIPソルベン
ト(商品名)にアクリレート系樹脂であるビニルアクリ
レートターポリマーを加え、このビニルアクリレートタ
ーポリマーが完全に溶解するまで室温で混合撹拌し、透
明な混合溶液を得た。そして、この混合溶液と、キャボ
ット社製のシアン色材であるBlack Pearls
L(商品名)とを、ジルコニア製ビーズと共にメノウ
製の粉砕容器に入れ、遊星型ボールミル装置で混練し、
色材濃度3重量%の色材分散インクを作製した。なお、
体積抵抗率および色材の平均粒径等の物性制御は実施例
1と同様な方法で行った。
【0179】そして、 体積抵抗率 10^8〜5×10^12Ωcm 色材の平均粒径 0.05〜10μm ζ電位と粘度の比 0〜250(mV/cp) 粘度 1.2〜30cp ζ電位 0〜230mV の範囲でインクを作製した。
【0180】一例として上記構成材料のインクとその物
性値を示す。
【0181】 インクの構成材料 炭化水素系溶媒(IPソルベント) 93重量% Black Pearls L 3重量% アクリレート系樹脂 3重量% オクチル酸ジルコニウム 1重量% 混練時間 10時間 インクの物性値 体積抵抗率 5×10^9Ωcm 色材の平均粒径 0.5μm ζ電位と粘度の比 21.4(mV/cp) 粘度 7cp ζ電位 150mV なお、20種類のうち15種類のインクの物性は実施例
1の好適な物性の範囲で作製し、残りの5種類は実施例
1の好適でない物性の範囲で作製した。
【0182】印字評価の結果は実施例1と同様であり、
高濃度印字が可能で記録周波数の高くできるインクの物
性値は実施例1の結果と同様であることが確認された。
【0183】上記の実施例1〜実施例5に示したよう
に、本発明によれば、インクの構成材料と関係なく、そ
のインクの物性値を規定することにより高い記録周波数
でも高濃度印字が可能なインクが得られる。
【0184】したがって、インクの構成材料や各構成材
料の含有量すなわち濃度は特に限定されるものではない
が、好ましくは実施の形態で説明した範囲内であればよ
い。
【0185】また、本実施の形態においてはインクのみ
の物性値が規定されたものであることから、本実施の形
態で使用したヘッドでなくても、他の種々の静電式イン
クジェットヘッドについて本発明のインクの有効性が確
認できることは言うまでもない。
【0186】なお、本実施例のインクでは正に帯電して
いる色材粒子の場合について説明したが、負に帯電して
いる色材粒子のインクでもよい。この場合は、吐出条件
の設定電圧の極性を逆にすれば良い。すなわち、ζ電位
と粘度の比とζ電位の絶対値の大きさが同じ範囲にあれ
ば、負帯電のインクでも、本実施例と同様に高濃度印字
が可能で記録周波数の高いインクが実現できる。
【0187】したがって、インクの物性値として、イン
クの体積抵抗率が10^9〜10^12Ωcmであるこ
と、色材粒子の平均粒径が0.1〜2μmの範囲である
こと、色材粒子のζ電位と粘度の比の絶対値が10〜1
00(mV/cp)の範囲であること、インクの粘度が
2〜20cpの範囲であること、色材粒子のζ電位の絶
対値が30mV〜200mVの範囲であること、を満た
していれば、高濃度印字と高記録周波数とを同時に実現
することができる。
【0188】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、インク
の体積抵抗率を10^9〜10^12Ωcm、色材粒子
の平均粒径を0.1〜2μm、色材粒子のζ電位と粘度
の比の絶対値を10〜100(mV/cp)、インクの
粘度を2〜20cp、色材粒子のζ電位の絶対値を30
mV〜200mVとしているので、高い記録周波数でも
高濃度印字による高画質画像を安定して得ることができ
るという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】静電式インクジェットヘッドの構成を示す概略
【図2】図1の静電式インクジェットヘッドの内部の構
成を示す概略図
【図3】図1の静電式インクジェットヘッドの側断面図
【図4】図1の静電式インクジェットヘッドによるイン
ク吐出動作の一部を示す説明図
【図5】図1の静電式インクジェットヘッドによるイン
ク吐出動作の図4に続く説明図
【図6】図1の静電式インクジェットヘッドによるイン
ク吐出動作の図5に続く説明図
【図7】図1の静電式インクジェットヘッドによるイン
ク吐出動作の図6に続く説明図
【図8】本実施例におけるインクの評価に用いられた静
電式インクジェットヘッドの構成を示す概略図
【符号の説明】
1 記録電極 2 スリット孔 5 泳動電極 6 インクタンク 12 色材粒子
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC01 2H086 BA52 BA59 BA60 BA61 4J039 AB08 AD01 AD03 AD05 AD08 AD10 AD15 AE05 AE11 BA04 BC02 BC06 BC19 BC34 BC40 BC41 BC54 BC56 BE01 BE02 BE12 BE33 CA05 EA44 GA24

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】色材粒子を絶縁性溶媒に分散してなるイン
    クを保持するインクタンクと、前記インクタンクと連通
    して形成されて前記インクが吐出されるスリット孔また
    はノズル孔と、前記インク中の前記色材粒子を電気泳動
    により搬送する泳動電極と、前記泳動電極により泳動さ
    れた前記色材粒子および前記絶縁性溶媒を前記スリット
    孔または前記ノズル孔から吐出させる記録電極とを備え
    た静電式インクジェットヘッドに使用される静電式イン
    クジェット用インクであって、 10^10Ωcm以上の体積抵抗率を有する絶縁性溶媒
    と、帯電可能な色材粒子と、前記色材粒子に対して所定
    の極性に帯電する機能を付与する帯電制御剤とを有し、
    下記のA〜Eの物性値を備えたことを特徴とする静電式
    インクジェット用インク。 A:前記静電式インクジェット用インクの体積抵抗率が
    10^9〜10^12Ωcm。 B:前記色材粒子の平均粒径が0.1〜2μm。 C:前記色材粒子のζ電位と粘度の比(ζ電位/粘度)
    の絶対値が10〜100(mV/cp)。 D:前記静電式インクジェット用インクの粘度が2〜2
    0cp。 E:前記色材粒子のζ電位の絶対値が30mV〜200
    mV。
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