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JP2000515137A - 軸索の成長を制御する方法 - Google Patents

軸索の成長を制御する方法

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JP2000515137A JP10506086A JP50608698A JP2000515137A JP 2000515137 A JP2000515137 A JP 2000515137A JP 10506086 A JP10506086 A JP 10506086A JP 50608698 A JP50608698 A JP 50608698A JP 2000515137 A JP2000515137 A JP 2000515137A
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Abstract

(57)【要約】 軸索の成長及び再生を制御するための、bclファミリ一員を変調する物質を説明する。これらのbcl変調物質は、被験者の神経細胞内の軸索成長及び再生を促進するものである。被験者の軸索細胞の成長を促進する組成物も説かれている。本発明の組成物には、薬学的に容認可能な担体中に、bclファミリ一員を変調する物質が有効量含まれている。その他に説明された態様には、軸索成長能力の減退を特徴とする状態を治療するための梱包された薬品がある。この梱包された薬品及び物質にはさらに、被験者の軸索の成長を促進する上で当該物質を利用する際の指示書が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】 軸索の成長を制御する方法 発明の背景 大脳及び脊髄の機能はニューロンと呼ばれる細胞に依存しているが、このニュ ーロンは軸索と呼ばれる神経繊維を介して相互に接触し、かつ伝達を行っている 。大脳又は脊髄の損傷の結果、数多くの軸索が失われ、その脳内及び脊髄内での ニューロン間の接続が破壊されることがある。この破壊の結果、このような損傷 を被った患者の機能は甚だしく損なわれ、様々な程度の麻痺や、感覚又は認識機 能の損失が残る。これらの損失には永久的なものがあるが、それはなぜなら、ほ 乳類においてはこれら軸索の再生がほとんどないためである。 ほ乳類の中枢神経系(CNS)のニューロンの大部分は、発生のある一時点を 過ぎると切断された軸索を再生させる能力を失う(Aubert,I.,et al.Curr.Opin. かしながら、大きく損傷したCNSニューロンは不全ながら再生を試みる。CN Sにおいて軸索切断されたニューロンは、末梢神経系の場合と同じように新しい 軸索を生むことができるが、この再生が失敗に終わるのは、成長円錐が新たに形 成されるという、その非許容的な環境の性質が原因であることが示されている( Breckness and Fawcett,Biol.Rev.71:227(1996))。初期の研究では、この非許 容的なCNS環境は、PNS中に存在する化学因子の欠如が原因であることが指 摘されている(Cajal.Degeneration and Regeneration of the Nervous System, Oxford University Press,Oxford(1928))。軸索の再生に重要だと考えられてい る分子にニューロトロフィン(原語:neurotrophin)があるが、このニューロト ロフィンには神経成長因子(NGF)、大脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニ ューロトロフィン−3(NT−3)、NT−4/5、及びNT−6がある(Silo s-Santiago et al.Curr.Opin.Neurobiol.5;42(1995):Davies.TINS18:355(1995) )。Trkファミリのレセプタはニューロトロフィンの作用の仕組みに主要な役 割を果たしていると考えられている(Greene and Kaplan.Curr.Opinion in Neur obiol.5:579(1995)。その他の非ニューロトロフィン性成長因子はニューロン集 団に影響を与えていると考えられており、その中にはシリア神経栄養因子(CN TF)、 白血病阻害因子(LIF)、インシュリン様成長因子(IGF)−I及びIGF −II、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、成長促進活動(GPA)、 塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、及び形質転換成長因子b(TGFβ) スーパーファミリ一員がある(Silos.Santiago et al.,Davies上述)。アポリ ポたんぱく質E及びラミニンもまた軸索の再生に役割を果たしていると考えられ ている(Breckness and Fawcett,上述)。しかしながら、成熟CNSはこれら の因子のすべてを欠いている訳ではない。CNSで軸索再生ができないことを説 明するもう一つの説として、CNSが、例えば乏突起神経膠細胞及びCNSミエ リンの膜に見つかったたんぱく質など、軸索の成長を阻害する物質を含んでいる ということが言われてきた(Schnell,L & Schwab,m.E.Nature 343,269.272(1990 ))。 しかしながら、より最近の証拠は、胚のニューロンが軸索を生じる能力はニュ ーロン自体の性質かも知れないことを示している。例えば、胚ニューロンの軸索 は、これらの胚ニューロンが成体のCNS環境に置かれた場合でも、成体ニュー ロンがそれらを再生させるよりも良好に成長する。成体CNS内に移植された胚 ニューロンは、有鞘路に沿ってすら、長い軸索を形成させることができる(wict orin et al.,Nature 347:556(1990):Davies et al.Journal of Neurosciences 1 4:1596(1994))。 軸索の成長に関連づけられてきたたんぱく質の一つはGAP−43である。G AP−43(B50、pp46、ニューロモジュリン(原語:neuromodulin)、 及びF1としても知られる)の発現と、神経細胞が軸索を再生できる能力との間 に相関関係が見つかっている。GAPは、カルモジュリンに結合する(Spencer and Willard.Exp.Neurol.115;167(1991)ことで、Gたんぱく質G。へのヌクレオ シドトリホスフェートの結合を刺激することが判明した(Stittmatter et al.N ature 344:836(1990))、ニューロン成長円錐で見つかったリンたんぱく質であ る。GAP−43の合成と、軸索延長の期間との間の関係は、軸索成長へのその 役割を示唆したが(Fidel et al.Soc.Neurosci,Abstr.16:339(1990);Schotman e t al.Soc.Neurosci.Abstr.16:339(1990))、いくつかの軸索切断RGCは、再生 を行わないままGAP−43を上方調整することが示されている(Doster et al .Neuron 6:635(1991;Schaden et al.,Journal of Neurobiology 25:1570(1994) )。さらに、 PC12細胞がGAP−43の不存在下でも神経突起を延長させることが判明し ている(Baetge and Hammang.Neuron 6:21(1991))。 bcl−2遺伝子はt(14;18)染色体転座の中断点領域に発見されたも のである。bcl−2は、外側ミトコンドリア膜、核周囲膜及び滑面小胞体に見 つかった26kDの一体型膜たんぱく質であり、アポトーシスの調節に重要であ ることが判明している(Nunez et al.Immunology Today 15:583(1994))。アポ トーシスは「プログラムされた細胞死」としても公知であり、細胞死を引き起こ す遺伝子プログラムの細胞内での活性化を伴う。アポトーシスは正常な細胞の発 達と何らかの疾病状態との両方で起きる。例えば、bcl−2の下方調節は、プ ログラムされた細胞死及び選択を行おうとしている正常なリンパ球集団に共通す る特徴であるが、bcl−2の上方調節は、正の選択の仕組みの一部であると思 われる(Nunez et al.上述)。がん及ウィルス感染で起きるのと同じように、 アルツハイマー痴呆及びパーキンソン病でも起きるニューロンの死は、アポトー シスの特徴を示す。このように、アポトーシスを特徴とするCNSの神経変性疾 患を治療するためにbcl−2を利用することが提案されている(WO94/2 7426号)。発明の概要 本発明は、少なくとも部分的に、bcl−2が神経細胞における軸索の成長及 び/又は再生においてある一つの役割を担っているという発見に基づくものであ る。本発明は神経細胞における軸索の成長を促進する方法に関する。本方法は、 軸索の成長が起きるように、神経細胞中のbclファミリ一員の発現又は生活性 を変調することを含む。 本発明はさらに、軸索の成長能力の減退を特徴とする状態について被験者を治 療する方法に関するものである。本方法には、軸索の成長が起きるように、被験 者のbclファミリ一員の生活性又は発現を変調する物質を治療上効果的な量、 投与することを含む。ある実施例では、前記物質は、bclファミリ一員を発現 させる遺伝子構築物である。この遺伝子構築物は、軸索の成長が起きるように被 験者の神経細胞内に送達されるよう、調製される。 本発明の別の態様は、上述の方法で用いられる薬学的製剤及び梱包された薬品 を含む。上述の方法で用いられる物質又はbclファミリ一員を選抜する方法も また、本発明の一部である。 図面の簡単な説明 図1. bcl−2の発現は、培養株において大部分の網膜の軸索の成長に必 須である。網膜軸索の成長を、野生型(C57BL/6J)、bcl−2なしマ ウス、及びbcl−2トランスジェニックマウスから得た培養株で定量化した。 (A)bcl−2を遺伝子的に概ね欠いた胎齢15日の幼体から得た培養株と、 異型接合(+/−)又は同型接合(−/−)変異マウスから得た網膜外植片とで 行った定量の結果、両方ともこの胎齢の野生型動物(+/+)のものと比較する と、視蓋組織に侵入した軸索数が減少していることが分かった。(B)成体の網 膜から得た網膜軸索の成長を定量した。成体のトランスジェニックマウスから得 た網膜外植片は、野生型のマウスから採った同じ組織よりもE16視蓋内への軸 索の成長が10倍大きいことを示している。(C)胎齢14日から生後5日まで の野生型又はトランスジェニック動物から得た組織を用いて、網膜視蓋コカルチ ャから得た網膜軸索の成長曲線。マウスの遺伝子型は、そのマウスの尾から単離 したゲノムDNAのゲノムサザン分析又はPCR分析により判定した。野生型の マウスから得たデータを実線で示し、トランスジェニックマウスから得たデータ を点線で示す。胎齢18日以後では、野生型の動物から得た網膜軸索数が著しく 減少していることに注目されたい。この減少はbcl−2トランスジェニックマ ウスでは観察されなかった。 図2. ZVAD(Z−Val−Ala−Asp−CH2F、エンザイム・シス テムズ・プロダクツ社製)はRGCの死を防ぐには充分であるが、軸索の成長を 促進するためには充分ではない。この図は、ICE様プロテアーゼ阻害物質であ るZVADが培養株におけるRGCの生存及び突起の生成に及ぼす影響を示した ものである。(A)は異なる用量のZVADで処理した切断網膜細胞培養株中の 生存RGC数を示す。(B)はZVADで処理した網膜視蓋コカルチャから得た 網 膜外植片中の細胞死を定量したものを示す。三つの用量ZVAD(50、100 及び200M)を調べ、培養株を生後2日の野生型動物から作成した。(C)( B)と並行して行われたコカルチャ実験における網膜の軸索成長を定量したもの である。ZVADの濃度を増加させると、網膜外植片中で死亡する細胞数が減少 したが、成長する軸索数の数は大きく変わらなかったことに注目されたい。 発明の詳細な説明 本発明は、神経細胞内の軸索の成長を促進する方法を提供するものである。本 方法は、bclファミリ一員の発現又は生活性を変調することを含む。 ここで用いられるときの「軸索の成長」という術語は、軸索の延長(例えば再 生)及び/又は神経細胞接続性の再定着を向上させる上での、bcl変調物質の 能力を言う。ここで用いられる軸索成長は、その範囲内に、あらゆる突起の発芽 や、軸索成長の促進以外の手段を通じて神経細胞の生存を促進することを含むも のとしては意図されていない。例えば、軸索成長は、軸索損傷後に起きる突起の 発芽や、軸索の延長に連係して起きる突起の発芽を含むものとして意図されてい る。ここで用いられる軸索の成長には、軸索が切断された部位又はその部位近傍 で起きる切断されたニューロン中の軸索の再生が含まれる。 ここで用いられるときの「神経細胞」とは、中枢神経系(CNS)及び末梢神 経系(PNS)の細胞の両方を含むものとして意図されている。CNSの神経細 胞の一例は、脊髄又は大脳の灰白質で見られるものであり、PNSの神経細胞の 一例は後根神経節で見られるものである。 本出願で用いられる「bclファミリ一員」又は「bclポリペプチド」とい う術語は、bcl−2や、bcl−ファミリのその他の一員などのポリペプチド を含むものとして意図されている。bclファミリ一員とは、その範囲内に、b clの生活性をもつbclファミリ一員のフラグメントを含むものとして意図さ れている。このような一員は、ここで説明する当該スクリーニング検定を用いて 容易に同定することができる。別の実施例では、「bclファミリ一員」には、 例えばBH1、BH2、又はBH4など、bclの生活性をもたらすbclドメ インを含むポリペプチドが含まれる。たんぱく質、ポリペプチド、及びペプチド という術語はここでは互換的に用いられている。bclファミリ一員の例には、 bcl−2、Bcl−xL、Bcl−xS、Bad、Bax、及びその他が含まれ Immunol.Today 15,582-588(1994))。好適な実施例では、bclファミリ一員は bcl−xL分子又はそのフラグメントである。特に好適な実施例では、bcl ファミリ一員はbcl−2分子又はそのフラグメントである。 「変調する」という術語は、ある神経細胞におけるbclファミリ一員の発現 又は生活性を上方又は下方調節する物質を含むものとして意図されている。好適 な実施例では、変調物質はbclファミリ一員の発現又は生活性を上方調節する 。発現を上方調節する物質は、ある細胞中のbclファミリ一員の量に量的変化 をもたらすが、一方、bclファミリ一員の生活性を上方調節する物質は、bc lの生活性を行う上でのbclファミリ一員の能力に量的変化をもたらす。この ような物質は、細胞中の軸索の成長を促進するのに治療上有用であると考えられ る。従って、当該方法は、例えば核酸、ペプチド、及びペプチド擬晶など、ここ で説明されたBCLファミリ一員を変調する物質を用いて、又は、例えばBCL ファミリ一員のたんぱく質の作用を作動させる又は拮抗する、BCLファミリ一 員の生活性を有する薬品スクリーニングで同定された変調物質を用いて実施する ことができる。 本発明のある一つの態様では、bcl変調物質は、bclファミリ一員である ポリペプチドをコードした、細胞内へ導入される核酸である。代表的な物質は、 例えばプラスミドベクタ又はウィルスベクタ内にあるbclファミリ一員である 核酸である。ここで用いられる「核酸」という術語は、デオキシリボ核酸(DN A)や、該当する場合はリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドを言う。こ の術語は、等価物として、ヌクレオチド類似体から作成されたRNA又はDNA の類似体や、以下で説明される実施例において該当する場合、一本鎖(センス又 はアンチセンスの)及び二本鎖のポリヌクレオチドも含むものとして理解されね ばならない。 遺伝子コードの縮退が原因でbclファミリ一員ヌクレオチド配列とは異なる 配列を有する核酸を利用することも、本発明の範囲内である。このような核酸は 機能的には等価ではあるが、遺伝子コードの縮退のために配列表に示された配列 とは配列の異なるペプチド(すなわちbclポリペプチドの生活性を有するペプ チド)をコードしている。たんぱく質に対し、bclファミリ一員としての生物 学的機能を破壊することなくある程度の修飾を行うことができ、活性を行わせる のに必要なのは、その主要な構造全体のうちごく一部分のみであると考えてよい と理解されている。例えば、数多くのアミノ酸は二個以上のトリプレットで表さ れている。同じアミノ酸を表すコドン、即ち同義語(例えばCAU及びCACは どちらもヒスチジンをコードしている)があることで、bclポリペプチドのア ミノ酸配列に影響を与えない「沈黙の」突然変異が起きることがある。これらの 修飾は、例えば部位指定の突然変異誘発など、故意のものであったり、又は例え ば突然変異による偶発的なものかも知れない。さらに、例えば炭水化物又は脂質 の付加など、その他様々な修飾をbclファミリ一員に行うことができる。さら に、その他の種を由来とする、bcl生活性を有する相同のbclファミリ一員 の利用も可能である。 ここで用いられるように、bcl変調物質はさらにbclポリペプチドのフラ グメントをコードした核酸であってもよい。フラグメントとは、完全な成熟した 形のbclたんぱく質をコードしているヌクレオチド配列よりも数の上で少ない ヌクレオチドを有しながらも、全長たんぱく質の何らかの生活性を維持したポリ ペプチドをコードしている核酸を言う。このように、bclの生活性を維持した bclファミリ一員のフラグメントは、bclファミリ一員という定義に含まれ る。いくつかの実施例では、フラグメントは、少なくとも約50、少なくとも約 75、又は少なくとも約100のアミノ酸から成る、bclファミリ一員のポリ ペプチドをコードしたものである。好適な実施例では、フラグメントは、少なく とも約150のアミノ酸から成るbclファミリをコードしたものである。より 好適な実施例では、フラグメントは、少なくとも約200のアミノ酸から成るb clファミリをコードしたものである。特に好適な実施例では、フラグメントは 、少なくとも約239のアミノ酸から成るbclファミリをコードしたものであ る。 bclたんぱく質をコードしている核酸を、数多くの真核細胞に存在するmR NAのいずれから得てもよい。本発明のbclポリペプチドをコードした核酸も また、成体及び胚の両方から得たゲノムDNAから得ることができる。例えば、 bclたんぱく質をコードしている遺伝子は、ここで説明されたプロトコルだけ でなく、当業において公知のプロトコルに基づいて、cDNA又はゲノム・ライ ブラリからクローン形成することができる。bclたんぱく質をコードしている cDNAは、胚細胞を含め、細胞、例えばほ乳類の細胞、例えばヒトの細胞から mRNA全体を単離することで得ることができる。次に、このmRNA全体から 二本鎖のcDNAを調製した後、当業において公知の技術の一つを用いて適した プラスミドベクタ又はバクテリオファージベクタに挿入することができる。bc lたんぱく質をコードしている遺伝子はさらに、本発明により提供されたヌクレ オチド配列の情報に基づき、確立されたポリメラーゼ連鎖反応技術を利用してク ローン形成することができる。あるいはその代わりに、bclファミリ一員の遺 伝子配列の化学合成を自動DNA合成器を用いて行ってもよい。本発明のbcl 核酸はDNA又はRNAのいずれでもよい。 別の実施例では、変調物質は、神経細胞に直接投与できる、例えば担体分子に 結合させられるbclファミリ一員のポリペプチドでもよい。例えば、HIV TATたんぱく質から得た9アミノ酸領域など、特定の小型のペプチドを用いれ ば、細胞外ミリューから細胞内へとペプチドを効率的に輸送することができる。 重要なことは、これらのペプチドに、たんぱく質を含む大変大型の分子をほ乳類 細胞へ導入する際の担体として機能させることができることである。例えばHI V TATペプチドが利用可能である。 本発明のポリペプチドは全長たんぱく質でも、又はそのフラグメントでもよい 。このフラグメントは、意図された機能を果たすことができるような大きさのも のである。例えば、このファミリ一員のポリペプチドは少なくとも約20のアミ ノ酸、少なくとも約50のアミノ酸、少なくとも約75のアミノ酸、少なくとも 約100のアミノ酸、又は少なくとも約150のアミノ酸の長さであってよい。 別の実施例では、bcl変調物質は、翻訳後修飾を行ったbclファミリ一員 でもよい。例えば、bcl−2であって、このたんぱく質において主要なセリン /スレオニンリン酸化部位を含んだ推定上の否定的調節ループが削除されたよう なbcl−2は活性が高いことが示されている(Gajewski and Thompson.1996. Cell 87:589)。たんぱく質分解に耐えるよう修飾されたBCLファミリ一員も また、活性が向上しているかも知れない(strack et al.1996 Proc.Natl.Acad.S ci.USA 93:9571)。 いくつかの実施例では、BCLファミリ一員の作動物質(擬晶)又はBCLフ ァミリ一員の拮抗物質のいずれか一方として限られた能力で機能する当該BCL ファミリ一員であるポリペプチドの一つの同族体を提供すると、自然発生型のこ のたんぱく質の生物学的活性のうちの一部分のみを促進する又は阻害する際には 有利であろう。このように、特定の生物学的作用は、限られた機能の同族体で処 理することで、自然発生型のBCLファミリ一員たんぱく質の生物学的活性のす べてに向けられた作動物質又は拮抗物質で処理するよりも小さな副作用で、引き 出すことができる。 当該BCLファミリ一員たんぱく質のそれぞれの同族体は、離散点変異や切断 など、突然変異誘発により発生させることができる。例えば、突然変異により、 それが由来するBCLファミリ一員のポリペプチドの生物学的活性と概ね同じ生 物学的活性又はその一部分を維持した同族体が得られる。あるいはその代わりに 、自然発生型のそのたんぱく質の機能を、例えばBCLファミリ一員結合たんぱ く質に競合的に結合するなどして阻害することのできる、そのたんぱく質の拮抗 型を作成することもできる。加えて、構成上活性な、このたんぱく質の作動型を 作成してもよい。このように、本発明により提供されるほ乳類BCLファミリ一 員たんぱく質及びその同族体は、軸索成長の肯定的又は否定的調節物質のいずれ でもよい。 本発明による組換えBCLファミリ一員ポリペプチドにはさらに、例えばその たんぱく質に関連したユビキチネーション(原語:ubiquitination)又はその他 の酵素標的決めを変更する変異のために、たんぱく質分解に対して耐性となった ようなたんぱく質など、野生型のBCLファミリ一員たんぱく質の同族体が含ま れる。 さらに、BCLファミリ一員ポリペプチドを化学的に修飾して、グリコシル基 、脂質、ホスフエート、アセチル基、等々などのその他の化学成分と共有又は凝 集結合体を形成させることで、BCLファミリ一員誘導体を作成してもよい。B C Lファミリ一員たんぱく質の共有結合形の誘導体は、たんぱく質のアミノ酸側鎖 上、又はポリペプチドのN端又はC端にある官能基に化学成分を連結することで 、調製が可能である。 当該ほ乳類BCLファミリ一員ポリペプチドの構造の修飾の目的は、治療的又 は予防的効験、安定性(例えば生体外貯蔵寿命や、生体内におけるたんぱく質分 解変性に対する耐性)を向上させるためや、翻訳後修飾(例えばたんぱく質のリ ン酸化パターンの変更など)のためなどでもよい。このような修飾ペプチドは、 自然発生型のたんぱく質の少なくとも一つの活性を維持するよう設計された場合 や、又はその特異的拮抗物質を生じるよう設計された場合は、ここでより詳細に 説明された本BCLファミリ一員ポリペプチドの機能的等価物として見なされる 。このような修飾ペプチドは、例えばアミノ酸置換、削除、又は添加により作成 することができる。 例えば、ロイシンをイソロイシン又はバリンに、アスパラギン酸をグルタミン 酸に、スレオニンをセリンに、あるいはある一つのアミノ酸を構造上関係のある アミノ酸に換える(即ち等量及び/又は等電的変異)ような同様の置換を単独で 行うだけでは、その結果得られる分子の生物学的活性に大きな影響は及ぼさない であろうと予測することは妥当である。保存的置換とは、側鎖で関係のあるアミ ノ酸のファミリ内で起きる置換である。遺伝子的にコードされたアミノ酸は四つ のファミリに分けることができる。即ち(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミ ン酸、(2)塩基性=リシン、アルギニン、ヒスチジン、(3)無極性=アラニ ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニールアラニン、メチオ ニン、トリプトファン、及び(4)非荷電極性=グリシン、アスパラギン、グル タミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、である。同様な方法で、 アミノ酸のレパートリは、(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸、(2) 塩基性=リシン、アルギニン、ヒスチジン、(3)脂肪族=グリシン、アラニン 、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、このときセリン及び スレオニンは選択に応じ、別に脂肪族−ヒドロキシルに分類することができるが 、そして(4)芳香族=フェニールアラニン、チロシン、トリプトファン、(5 )アミド=アスパラギン、グルタミン、及び(6)硫黄含有=システイン及びメ チ オニン、に分類することができる(例えばBiochemistry,2nd ed.,Ed.By L.Strye r,WH Freeman and Co.;1981を参照されたい)。ペプチド中のアミノ酸配列の変 化により、機能的なBCLファミリ一貝同族体(例えば、その結果得られるポリ ペプチドが野生型の擬態となる又は拮抗するという意味で機能的など、)が生ま れるかどうかは、その変異株ペプチドが、野生型のたんぱく質と同じような態様 で細胞中で反応を生じることができる、又はこのような反応を競合的に阻害する ことができるかを評価することで、容易に判断が可能である。二つ以上の置換が 起きたポリペプチドも同様な方法で調べることができる。 全長たんぱく質、又は、一つ以上の特定のモチーフ及び/又はドメインに相当 するフラグメント、あるいは任意の大きさ、例えば少なくとも約5、10、25 、50、75、100、125、150のアミノ酸長に相当するフラグメントは 、本発明の範囲内にある。例えば、単離したBCLファミリ一員ポリペプチドに は、ある一つのBCLファミリ一員ポリペプチドに相当するアミノ酸配列の全て 又は一部分が含まれていてもよい。BCLファミリ一員たんぱく質の単離された ペプチジル部分は、このようなペプチドをコードしている核酸の対応フラグメン トから組換えにより生じたペプチドをスクリーニングすれば得ることができる。 加えて、フラグメントは、例えば従来のメリフィールド固相f−Moc又はt-Boc化 学法など、当業において公知の技術を利用して化学合成することができる。例え ば、本発明のBCLファミリ一員ポリペプチドを、フラグメントの重複を生じさ せずに所望の長さのフラグメントに任意に分割したり、又は好ましくは所望の長 さの重複フラグメントに分割してもよい。このフラグメントを(組換え又は化学 合成により)生成し、これを調べて、野生型(例えば「本物の」)BCLファミ リ一員たんぱく質の作動物質又は拮抗物質のいずれかとして働くことのできるペ プチジルフラグメントを同定することができる。 本発明は、さらに、当該BCLファミリ一員たんぱく質の数組の組合せ変異株 及び切断変異株を作成する方法を提供するものであり、BCLファミリ一員の生 活性を変調する変異配列(例えば同族体)を同定するのに特に有用なものである 。このような組合せライブラリをスクリーニングする目的は、例えば作動物質又 は拮抗物質として働くことのできる、又はその代わりに総体的に新規な活性を持 つ 新規なBCLファミリ一員同族体を作成することである。実例を挙げると、その たんぱく質の自然発生型に比較してその効力を高めるために、組合せにより得ら れる同族体を作成することができる。 同様に、本物のBCLファミリ一員を選択的に阻害(拮抗)するために、本組 合せ法を用いることでBCLファミリ一員同族体を生成させることができる。例 えば、突然変異誘発により、その他のシグナル経路たんぱく質(又はDNA)に 結合しながらも、そのシグナルの伝達を妨げることのできるBCLファミリ一員 同族体を生じさせることができる。例えば、その同族体は優性否定的変異株であ ってもよい。さらに、本発明の方法でBCLファミリ一員の特定のドメインを操 作すれば、融合たんぱく質に利用するのにより適したドメインを提供することが できる。 ある実施例では、BCLファミリ一員変異株のマダラ状ライブラリを核酸レベ ルでの組合せ突然変異誘発で作成し、マダラ状遺伝子ライブラリによりコードさ せる。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素を用いて遺伝子配列に結 紮することで、BCLファミリ一員配列と考えられる変性組が個々のポリペプチ ドとして発現可能であるか、その組のBCIファミリ一員配列をその中に含んだ 、一組のより大型の融合たんぱく質(例えばファージ表示用に)として発現可能 であるようにすることができる。 潜在的BCLファミリ一員同族体のこのようなライブラリを変性オリゴヌクレ オチド配列から作成するには数多くの方法がある。変性遺伝子配列の化学合成を 自動DNA合成器で行い、こうしてこの合成遺伝子を適した発現ベクタ内に結紮 することができる。一組の変性遺伝子を作る目的は、所望の組の潜在的BCLフ ァミリ一員配列をコードしている配列のすべてをある一つの混合液中に提供する ことである。変性オリゴヌクレオチドの合成は当業において公知である(例えば 、Narang,SA(1983)Tetrahedron 39;3;Itakura et al.(1981)Recombinant DNA ,Proc 3rd Clevelend Sympos.Macromolecules,ed.AG Walton,Amsterdam:El sevier pp273-289;Itakura et al.(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323,Itakura et al.(1984)Science 198:1056;Ike et al.(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照 されたい。このような技術はその他のたんぱく質の定向進化に利用されてきた( 例 えば、Scott et al.(1990)Science 249:386-390;Roberts et al.(1992)PNAS 89: 2429-2433;Devlin et al.(1990)Science 249;404-406;Cwirla et al.(1990)PNAS 87:6378-6382:及び米国特許第5,223,409号、第5,198,346号 及び第5,096,815号を参照されたい)。 同様に、生活性のあるフラグメントのスクリーニング及び続く選抜するために BCLファミリ一員フラグメントのマダラ状集団を作成するには、BCLファミ リ一員クローンのついて、コーディング配列フラグメントのライブラリを提供す ることができる。このようなライブラリを作成するには様々な技術が公知である が、その中に化学合成がある。ある実施例では、コーディング配列フラグメント のライブラリは、(i)BCLファミリ一員コーディング配列の二本鎖のPCR フラグメントを、一分子当りニッキングが約一回のみ起きるような条件下でヌク レアーゼで処理し、(ii)この二本鎖DNAを変性させ、(iii)このDN Aを再生させて、異なるニッキング生成物からのセンス/アンチセンス対を含ん でいてもよい二本鎖DNAを形成させ、(iv)S1ヌクレアーゼで処理して、 改質された二重鎖から一本鎖部分を取り除き、(v)その結果得られたフラグメ ントライブラリを発現ベクタ内に結紮する、ことで作成が可能である。この一例 としての方法により、N端、C端及び様々な大きさの内側フラグメントについて コードする発現ライブラリを得ることができる。 点変異及び切断により作成された組合せライブラリの遺伝子産物をスクリーニ ングするためや、ある特定の性質を持つ遺伝子産物についてcDNAライブラリ をスクリーニングするためには、幅広い技術が当業において公知である。このよ うな技術は、一般的には、BCLファミリ一員同族体の組合せ突然変異誘発によ り生じた遺伝子ライブラリの高速スクリーニング用に適合させることが可能なも のであろう。大型の遺伝子ライブラリをスクリーニングするのに最も幅広く用い られている方法は、典型的に、遺伝子ライブラリを複製可能な発現ベクタ内にク ローン形成するステップと、その結果得られたベクタのライブラリで、適した細 胞を形質転換させるステップと、その組合せ遺伝子を、所望の活性を検出すれば 、その産物が検出された遺伝子をコードしているベクタを比較的容易に単離でき るような条件下で発現させるステップとを含む。以下に実例を示した検定はそれ ぞ れ、組合せ突然変異誘発技術により作成された多数の変性BCLファミリ一員配 列をスクリーニングするのに必要となるような高スループットの分析になじむも のである。 ある実施例では、細胞を基にした検定法を利用してマダラ状のBCLファミリ 一員ライブラリを分析してもよい。例えば、発現ベクタのライブラリを、神経細 胞株、好ましくは、機能的BCLファミリ一員を発現しない神経細胞株内にトラ ンスフェクトさせてもよい。このBCLファミリ一員変異株の作用は、例えば軸 索成長により検出することができる。次にプラスミドDNAを、BCLファミリ 一員の生活性の相乗作用を呈する細胞から回収し、さらにその個々のクローンを 特徴づけることができる。 組合せ突然変異誘発では、例えば1026の桁の分子など、変異株たんぱく質の 大変大型のライブラリが生じてしまう可能性がある。この大きさの組合せライブ ラリは、高スループットのスクリーニング検定にとっても技術的に難題となるで あろう。この問題を克服するために、最近、新しい技術、即ちリクルーシブ・ア ンサンブル(原語:recrusive ensemble)突然変異誘発法(REM)が開発され たが、この方法では、ある無作為ライブラリ中に非機能性たんぱく質が著しく大 きな割合を占めてしまうことを防ぎ、機能的たんぱく質が表れる頻度を高くする ことで、配列空間を活かしたサンプリングをするのに必要な複雑性が低減されて いる。REMは、適した選抜又はスクリーニング法を利用する場合にライブラリ 中に機能的変異株が表れる頻度を高めるアルゴリズムである(Arkin and Yourva n,1992,PNAS USA 89:7811-7815;Yourvan et al.,1992,Parallel Problem Solvin g from Nature,2.,In Maenner and Manderick,eds.,Elsevir Publishing Co .,Amsterdam,pp.401-410;Delgrave et al.,1993,Protein Engineering 6(3): 327-331)。 本発明はさらに、ほ乳類BCLファミリ一員たんぱく質が、例えばペプチド又 は非ペプチド物質などの擬態を生じることを減少させるものである。いくつかの 実施例では、このような擬態は、本発明によるほ乳類BCLファミリ一員ポリペ プチドの、BCLファミリ一員結合たんぱく質又は相互作用物質に対する結合を 破壊できるものである。従って、このような上述の突然変異誘発技術は、たんぱ く質対たんぱく質の相互作用に参加するそのBCLファミリ一員たんぱく質の決 定基をマッピングするためにも有用であり、このたんぱく質対たんぱく質相互作 用とは、例えば、当該のほ乳類BCLファミリ一員ポリペプチドが、その当該B CLファミリ一員ポリペプチドの上流で機能しているかも知れないたんぱく質( その作用の活性化因子及び抑制因子の両方を含め)か、又はその下流で機能して いるかも知れないたんぱく質又は核酸に結合するときに、それによりそれらが肯 定的又は否定的調節のいずれを受けるかに関係なく、この結合に関与するもので ある。実例を挙げると、あるBCLファミリ一員の上流又は下流にある相互作用 子たんぱく質の分子認識に関与する、当該BCLファミリ一員ポリペプチドのう ちの重要な残基(例えばBH1ドメイン、BH2ドメイン)を調べて、その成分 に本物のBCLファミリ一員たんぱく質が結合することを競合的に阻害するBC Lファミリ一員由来ペプチド擬態を作成するのにこれを用いることができる。例 えば、スキャンニング突然変異誘発を利用することで、当該BCLファミリ一員 たんぱく質のそれぞれについて、その他の細胞外たんぱく質への結合に関与して いるアミノ酸残基をマッピングすれば、そのBCLファミリ一員たんぱく質でそ の相互作用を促進する残基の擬態となるペプチド擬態変調物質を作成することが できる。こうしてこのような擬態を用いて、BCLファミリ一員たんぱく質の正 常な機能に干渉してもよい。例えば、このような残基の加水分解不能なペプチド 類似体は、ベンゾジアゼピン(例えば、Freidinger et al.in Peptides:Chemist ry and Biology,G.R.Marshalled.,ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988を 参照されたい)、アゼピン(例えば、Huffman et al.in Peptides:Chemistry an d Biology,G.R.Marshall ed.,ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988を参 照されたい)、置換gラクタム環(Garvey et al.in Peptides:Chemistry and Bio logy,G.R.Marshall ed.,ESCOM Publisher:Leiden,Netherlands,1988を参照され たい)、ケトメチレン擬ペプチド(Ewenson et al.(1986)J Med Chem 29:295;and Ewenson et al.in Peptides:Structure and Function(Proceedings of the 9th American Peptide Symposium)Pierce Chemical Co.Rockford,IL,1985)、b− ターン・ジペプチドコア(Nagai et al.(1985)Tetrahedron Lett26:647;and Sato et al.(1986)J Chem Soc Perkin Trans 1:1231)、及びb−アミノアルコール(Go rdon et al.(1985)Biochem Biophys Res Commun 134:71)を用いて作成が可能である。 その他のbcl変調物質の例には、ある細胞と接触させたときに、あるbcl ファミリ一員たんぱく質の「生活性」を変化させるあらゆる化合物が含まれる。 例えば、bclファミリ一員の生活性は、bclファミリ一員遺伝子のスイッチ を入れ、その転写を増加させ、bclファミリ一員mRNAを安定させ、bcl ファミリ一員たんぱく質合成の速度を上昇させ、bclファミリ一員たんぱく質 の分解速度を減少させ、bclファミリ一員機能を昂進させ、bclファミリ一 員たんぱく質の正しい折り畳みを助け、bclファミリ一員たんぱく質がその細 胞レベル下の区画に達するのを支援し、bclファミリ一員の、例えばRaf− 1などの関係のある標的との相互作用を促進し(Wang et al.1996 Cell 87:629 )、及び/又はbclファミリ一員の下流にある標的を直接又は間接的に活性化 することで増加させることができる。 bclファミリ一員の「生活性」という術語は、ある分子の、軸索の成長を促 進する上での能力を含むものとして意図されている。bclファミリ一員の生活 性の増加は、bclファミリ一員の転写における変化がないまま起きるものでも よい。例えば、生活性は、bclファミリ一員に結合する又は相互作用するアロ ステリック分子により変更されてもよい。bclファミリ一員の生活性は、さら に、軸索の成長を促進する能力という点でbcl−2分子と競合できるその能力 により評価されてもよい。bcl−2分子との競合は、例えば、bcl−2及び bclファミリ一員を発現する細胞中で調べることができ、軸索成長の阻害を定 量することができる。 さらにその他のbcl変調物質は、bclファミリ一員に結合する分子を変調 することでbclファミリ一員たんぱく質の生活性に間接的に影響を与えて、b clファミリ一員の生活性変化を起こさせる分子である。bclファミリ一員に 結合してその生活性を変える物質の例には、Bax、Bak、Mcl−1、Ba g、Nip1、Nip2、及びNip3がある(Farrow and Brown Curr Opin i n Genetics and Devo.6:45(1996))。例えば、Raf−1もまた、bcl−2と 相互作用することが判明している(Gajewski and Thompson.1996.Cell 87:589) 。従って、本発明はさらに、例えばあるbclファミリ一員とたんぱく質とが相 互 作用する際のこれらの間の比を変化させるなどして、bclファミリ一員に相互 作用してその生活性に影響を与えるたんぱく質を変調することで、bclファミ リ一員を変調する。 さらに別の実施例では、本発明はまた、CNSに達し、bclファミリ一員遺 伝子のスイッチを入れ、bclファミリ一員mRNAを安定させ、bclファミ リ一員たんぱく質合成の速度を上昇させ、bclファミリ一員たんぱく質の分解 を減少させ、bclファミリ一員機能を昂進させ、bclファミリ一員たんぱく 質の正しい折り畳みを助け、bclファミリ一員たんぱく質がその細胞レベル下 の区画に達するのを支援し、bclファミリ一員の、例えばミトコンドリアにお けるRaf−1などの関係のある標的との相互作用を促進し(Wang et al.1996 Cell 87:629)、及び/又はbclファミリ一員の下流にある標的を直接又は間 接的に活性化することで上昇させることができる薬理学的に容認可能な物質をス クリーニングする方法を教示するものである。 テラサキ・プレート、96−ウェルプレート及び最近開発された864ウェル プレートで培養されたニューロンを、上述した生物学的活性のいずれか又はすべ てについて多数の物質をスクリーニングするために用いてもよい。このようなス クリーニングに適した物質には、ケミカル・アブストラクト・データベースに掲 載された2100万の構造や、動物、植物、微生物、海洋生物、昆虫を由来とす る大型又は小型の天然生成物や、発酵又は生体内変化、あるいは通常の有機合成 、合理的薬品デザイン又は組合せ化学により作成される何らかの未来の分子が含 まれる。ロボティック高スループット及び超高スループットのスクリーニング法 を用いて、bclファミリ一員経路を介してCNSの再生を促進する所望の活性 を持つこのような薬理学的物質を同定してもよい。 ロボティック・スクリーニングの検定目的には、bclファミリ一員の発現増 加(bclファミリ一員たんぱく質に特異的な抗体を用いた免疫蛍光又は免疫過 酸化法による)、ミトコンドリア膜電位の上昇(蛍光性の非局在化親油性カチオ ンにより検出の可能な、bclファミリ一員の発現増加の結果起きる)、ジニト ロフェニールやFCCPなどの酸化的リン酸化反応の解除剤に対する耐性(蛍光 染料による観察の可能な、bclファミリ一員の発現増加の結果生じる)、(M TT又はMTS染料により計測の可能な、bclファミリ一員の発現増加の結果 生じる)アポトーシス誘導物質に対する耐性、及び/又は神経再生及び突起生成 の増加が含まれるが、これらに限定されるものではない。 上に掲げた検定法により明らかになる有効化合物を、さらに未処置のマウス、 bclファミリ一員(−/−)ノックアウトマウス、又はbclファミリ一員ト ランスジェニックマウスを由来とするニューロンに対するそれらの作用を比較す ることで特徴づけてもよい。bclファミリ一員又はそのmRNAあるいはその たんぱく質を介して神経の再生を促進する薬理学的物質は、bcl−2ファミリ 一員(−/−)ノックアウトマウスでは不活性のはずである。bclファミリ一 員遺伝子のスイッチを入れる物質は、未処置のマウスを由来とするニューロンで は活性のはずである。bclファミリ一員mRNa又はたんぱく質を安定化する 物質は、bclファミリ一員トランスジェニックマウスを由来とするニューロン では活性のはずである。しかしbclファミリ一員の機能を昂進する又はbcl ファミリ一員の下流にある標的を活性化する薬理学的物質は、bclファミリ一 員(−/−)ノックアウトマウスでは活性であるかも知れない。 このように、本発明は、bclファミリ一員遺伝子又はそのmRNA又はその たんぱく質や、bclファミリ一員たんぱく質の下流にある標的のいずれにある かに関係なく、ニューロンのbclファミリ一員経路に作用すると共に、それら の再生を誘導できる、自然発生型又は(通常の有機合成又は組合せ化学による) 人造の、大型又は小型のあらゆる分子の同定を可能とするスクリーニング法を具 現するものである。 本発明の別の実施例では、軸索の成長を促進するよう機能できるbclファミ リの一員を、軸索成長スクリーニング検定法(AGSA)により同定することが できる。当該AGSAでは、まず、軸索のソースを含む組織試料を、この軸索が その中に延びることのできる第二組織試料に接触させる。bclファミリ一員の 発現を第一組織試料中で変調し、軸索成長に対する、この選択可能な作用を判定 することができる。このように、bcl生活性を有する、例えば軸索成長を促進 するbclファミリ一員を選択することができる。軸索成長は、例えば添付の実 施例で述べたように軸索の延長を調べる又は定量することで計測が可能である。 さらに当該AGSAを用い、軸索を含む第一組織試料を提供し、前記の軸索が 延びることのできる第二組織試料にそれを当接させれば、軸索成長を変調するこ とのできる物質を選抜することができる。このように、様々な物質について、そ の物質を培養株に加えることで軸索成長に対する効果を調べ、軸索成長を促進で きる物質を選抜することができる。このような物質は、例えば合理的デザイン又 は無作為薬品スクリーニングにより得てもよい。 bclファミリ一員の生活性の変調は、試験官内で起こしても生体内で起こし てもよい。 ある実施例では、bclファミリ一員を試験管内の神経細胞中で変調してもよ い。bclの変調は、この細胞中のbcl生活性(例えば軸索成長の促進)を測 定するか、又は免疫ブロット分析法、免疫沈降法、又はELISA検定法を行っ て調べることができる。この神経細胞を、外傷性傷害を被った被験者や、軸索成 長の減退を特徴とする状態の被験者に移植してもよい。 ここで用いられるように、「軸索成長能力の減退を特徴とする状態」という術 語は、bclファミリ一員の発現を増加させることで軸索成長を誘発すると改善 が期待されるような状態又は疾患を包含するものとして意図されている。bcl ファミリ一員の発現の減少は、CNSの成熟ニューロンで起きるように正常でも 起こることがあるが、bclファミリ一員の誤発現により引き起こされる病理的 状態で起こることもある。ここで用いられる「減退した」とは、軸索成長がない 状態や軸索成長が減少した状態を含むものとして意図されている。 本発明は、具体的には、軸索成長能力の減退を特徴とする状態の治療に、本発 明の方法を適用することを述べたものである。「軸索成長能力の減退を特徴とす る」状態の例には、脊髄への損傷又は脊髄への圧迫、あるいは、脊髄の完全又は 部分的切断を原因とする神経学的状態が含まれる。例えば、損傷は、(i)自動 車事故、転落、又はナイフ又は銃弾による外傷など、外傷性の損傷を含む、急性 、亜急性、又は慢性の神経系に対する損傷(例えばニューロンの切断又は挫傷) 、(ii)化学的損傷、(iii)血管損傷又は閉塞、(iii)横断性脊髄炎 として知られる状態によるものなど、感染性又は炎症性の損傷、又は(iii) 原発又は転移性の腫瘍誘発性の損傷、により引き起こされることがある。このよ う に、軸索成長能力の減退に伴う状態に至る損傷は、例えば震盪、裂傷、又は脊髄 内出血などの直接的なものや、例えば血液供給の損失又は梗塞の脊髄外圧力など の間接的なものの場合がある。 本発明は、脊髄の下行路(例えば皮質脊髄路)及び上行路(例えば脊髄後柱内 側毛帯系、外側脊髄視床路、及び脊髄小脳路)の両方のニューロンの治療や、適 した脊髄接続の再建に有用である。 脊髄損傷の通常のメカニズムには脊椎の破断があり、この破断の結果、骨片の ずれ、又は血管の損傷、あるいは神経根の挫傷を原因とする損傷の震盪作用によ り、脊髄に損傷が起こることがある。脊椎の転位もまた脊髄損傷を起こすことが あり、転位は、椎間板の断裂の結果としてよく起きるが、脊髄の完全又は部分的 な切断につながることもある。貫通創もまた脊髄の切断、又は部分的切断を起こ すことがある。硬膜外出血及び脊髄硬膜下血腫は、脊髄に圧力がかかるために進 行性の不全対麻痺につながることがある。脊髄に対する間接的損傷の例には、頭 部への殴打又は転倒により引き起こされる損傷がある。脊髄内損傷は、脊髄に直 接圧力が加わったり、脊髄を圧力波が通過したり、骨によって脊髄が断裂したり 、脊髄内への出血を伴って脊髄内を圧力波が通過する際に血管が破れたりしたと きに起きることがある。脊髄内出血及び血腫の形成はまた、弱くなった血管の破 裂により起きることもある。虚血性の損傷は、前方脊髄動脈への圧迫、吻合動脈 への圧力、又は主要な血管の損傷後に起きることがある(Gilroy,in Basic Neur ology McGraw-Hill,Inc.New York,New York(1990)。本発明はさらに、椎間板ヘ ルニア、頸椎及び頚髄への過伸展−屈曲損傷、及び頸部脊椎症の被験者の回復を 促進するにも有用であろう。 運動障害の治療に加えて、本発明は、例えば脳幹など、大脳の疾患の治療や、 軸索成長能力の減退を特徴とする状態の被験者の大脳又は脳幹機能を向上させる 上で有用であろう。例えば、本発明を、大脳の損傷の治療に用いることができる 。例えば、大脳の損傷は、卒中、出血性損傷によるものでもよく、又は腫瘍に関 連した大脳の損傷でもよい。 さらに本発明は、末梢神経疾患を治療する上でも有用であろう。末梢神経への 損傷は一時的なものでも永久的なものでもよく、従って本発明は、回復を早めた り、症状を改善させたりすることができる。末梢神経疾患には、とりわけ、外傷 、糖尿病、末梢神経の梗塞、椎間板ヘルニア、硬膜外腫瘤、及び感染後(又はワ クチン後)のポリニューライト(原語:polyneurite)により引き起こされるも のが含まれる。本発明が資するであろう末梢神経疾患の症状には、筋肉のるいそ う及び虚弱、萎縮、線維束性収縮の出現、腱反射の欠陥、感覚障害、知覚不全又 は感覚異常、発汗の喪失、膀胱機能の変化、便秘、カウザルギ、及び男性のイン ポテンツがある。 軸索の成長を高めることで改善されるであろう神経変性疾患を治療するために 本発明を利用することも提案される。好適な実施例では、例えばピック病、痴呆 を伴わない進行性失語症、核上麻痺、シャイ−ドレーガー症候群、フリードライ ヒ失調症、オリーブ橋小脳変性症、ビタミンE欠乏症及び脊髄小脳変性症、ルシ ーレビー症候群、及び遺伝性痙性失調症又は不全対麻痺などの神経変性疾患を治 療するために本発明が用いられる。加えて、例えば筋萎縮性側索硬化症、脊髄筋 萎縮、及び多発性硬化症など、その他の脊髄疾患の治療も、本発明の一部として 意図されている。別の実施例では、本発明は、ビタミン12欠乏症で誘発される 、又はHIV感染(AIDS)、又はHTLV−1感染に伴うものなどの神経変 性症の症状を改善させる上で有用であろう。本発明の特に好適な実施例では、ア ルツハイマー病、パーキンソン病、がん、又はウィルス感染を除くあらゆる神経 変性疾患を治療するために、本発明が用いられる。アルツハイマー病、パーキン ソン病、がん、又はウィルス感染の抗アポトーシス治療は、本発明の一部として 意図されている。 軸索成長能力の減退を特徴とするその他の状態で、本発明が資するであろうと 考えられる状態は、当業者には明白であろう。 「治療」という術語は、治療しようとする状態に伴う少なくとも一つの症状を 防ぐ及び/又はその重篤度を軽減させることを含むものとして意図されている。 この術語はさらに、その状態からの被験者の回復を向上させることを含むものと して意図されている。 ここで用いられる「被験者」という術語は、ほ乳類を包含するものとして意図 されている。従って本発明は、ペット、家畜、動物園の動物、等々の治療に有用 である。被験者の例には、ヒト、ウシ、ネコ、イヌ、ヤギ及びマウスが含まれる 。好適な実施例では、ヒトの被験者を治療するために本発明が用いられる。 本発明は、軸索の成長にとって好ましい「環境」を作る物質を付加的に投与す ることを提案するものである。この物質には、例として、栄養因子、レセプタ、 細胞外基質たんぱく質、内性因子、又は接着分子が含まれる。栄養因子の例には 、NGF、BDNF、NT−3、4、5、又は6、CNTF、LIF、IGFI 、IGFII、GDNF、GPA、bFGF、TGFβ、及びアポリポたんぱく 質Eがある。レセプタの例には、Trkファミリのレセプタがある。細胞外基質 たんぱく質の一例はラミニンである。内性因子の例には、GAP−43(B−5 0、pp46、ニューロモデュリン(原語:neuromodulin)、及びF1としても 知られる)及びアメロイド(原語:ameloid)前駆体たんぱく質(APP)(Moya et al.Dev.Biol.161:597(1994))がある。接着分子の例には、NCAM及びL 1がある。これらのポリペプチドをコードしている核酸、又はポリペプチドを用 いてもよい。上述の軸索成長エンハンサのいずれかのペプチドフラグメントも利 用可能かも知れない。 別の実施例では、本発明は、神経細胞の損傷が起きた外傷性損傷を被った被験 者を治療する方法を提供するものであり、当該方法においては、被験者は、例え ば軸索の成長が起きるようにbcl変調物質を用いて治療される。外傷性損傷の 例には、例えば自動車事故、転落、又はナイフ又は銃弾による外傷や、ここで説 明するその他のものにより引き起こされるものなど、ニューロンの切断又は圧挫 がある。 さらに本発明は、軸索成長能力の減退を特徴とする状態について、被験者のb clファミリ一員の生活性又は発現を変調する物質を治療上効果的な量投与する ことで治療する方法を提供するものである。 本発明はさらに、神経細胞にbcl変調物質を送達する手段を提供するもので ある。いくつかの実施例では、bclファミリ一員をコードしている核酸を含有 する遺伝子構築物が提供される。ここで用いられる「遺伝子構築物」という術語 は、神経細胞中で異型的に発現させることの可能なbclファミリ一員をコード している核酸を意味するものとして意図されている。いくつかの実施例では、軸 索成長能力の減退を特徴とする状態を治療するために、bclファミリ一員を操 作可能に少なくとも一つの転写調節配列に連結してもよい。操作可能に連結する とは、ヌクレオチド配列を、そのヌクレオチド配列の発現が可能となるような態 様で調節配列に連結することを意味するものとして意図されている。調節配列は 当業において認識されており、当該bclたんぱく質の発現を指示するよう、選 択される。従って、転写調節配列という術語には、プロモータ、エンハンサ、及 びその他の発現制御要素が含まれる。このような調節配列はGoeddel;Gene Expre ssion Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1 990)に説かれている。例えば、幅広い発現制御配列、即ち、あるDNA配列に操 作により連結させたときにこのDNA配列の発現を制御する配列をこれらのベク タに用いて、本発明のbclポリペプチドをコードしているDNA配列を発現さ せてもよい。このように有用な発現制御配列には、例えば、モロニーネズミ白血 病ウィルスのLTRなどのウィルスLTR、SV40の初期及び後期プロモータ 、アデノウィルス又はサイトメガロウィルス直前プロモータ、lac系、trp 系、TAC又はTRC系、その発現がT7RNAポリメラーゼにより指示される T7プロモータ、ファージ1の主要なオペレータ領域及びプロモータ領域、fd 膜たんぱく質の制御領域、3−ホスホグリセレートキナーゼ又はその他の糖分解 酵素のプロモータ、酸性ホスファターゼのプロモータ、例えばPho5、酵母a と対になる因子のプロモータ、バキュロウィルス系の多面体プロモータ及び原核 又は真核細胞あるいはそれらのウィルスの遺伝子の発現を制御することが知られ ているその他の配列並びにそれらの様々な組合せがある。好適な実施例では、プ ロモータは、特に神経細胞での発現に向けてデザインされる。特に好適な実施例 ではプロモータは神経特異的エノラーゼプロモータである。発現ベクタのデザイ ンは、形質転換しようとしている宿主の選択、及び/又は、発現させたいたんぱ く質の種類などのファクタに応じて変えてもよいことは理解されるに違いない。 さらに、ベクタのコピー数や、そのコピー数と、例えばマーカなど、そのベクタ がコードしているその他のたんぱく質の発現とを制御する能力も考慮されねばな らない。 いくつかの実施例では、bclファミリ一員をコードしている核酸を含む発現 ベクタ内に、軸索成長にとって好ましい環境を作り出す物質をさらに投与するこ とが好ましいであろう。このような物質のクラスの例には、栄養因子、レセプタ 、細胞外基質たんぱく質、又は内性因子が含まれる。栄養因子の例には、NGF 、BDNF、NT−3、4、5、又は6、CNTF、LIF、IGFI、IGF II、GDNF、GPA、bFGF、TGFb、及びアポリポたんぱく質Eがあ る。レセプタの例には、Trkファミリのレセプタがある。細胞外基質たんぱく 質の一例はラミニンである。内性因子の例には、GAP−43及びアメロイド( 原語:ameloid)前駆体たんぱく質(APP)(Moya et al.Dev.Biol.161:597(1 994))がある。接着分子の例には、NCAM及びL1がある。 軸索成長にとって好ましい環境を提供する物質は、様々な手段により投与が可 能である。いくつかの実施例では、それらは遺伝子構築物中に組み込まれていて もよい。別の実施例では、それらを局所又は全身注射してもよい。別の実施例で は、このような物質を米国特許第5,092871号及び第4,955,892 号に述べられたような神経案内チャンネルに連係させて供給してもよい。従って 、切断された軸索の突起を、非bcl物質を例えば半固形の調剤として含むプロ テーゼ神経ガイドや、神経案内チャンネルの内側壁面に沿って誘導されるプロテ ーゼ神経ガイドにより、神経が切断された神経末端に向けることができる。これ らの物質は、bcl変調物質と同時に投与しても、又は同時に投与しなくてもよ い。 本発明のいくつかの実施例では、例えば長期にわたる損傷の治療(例えば神経 細胞の甚だしい副行発芽があった場合)においては、当該bcl変調物質を用い る治療と、吻側発芽を除去する「枝打手法」とを組み合わせることが好ましいこ とがあるかも知れない(Schneider,G.E.Brain Bahav.Evol.8:73(1973))。 当該bcl変調物質の発現構築物は生物学的に効果的な担体、例えば生体内の 細胞にbcl遺伝子を効果的に送達することのできる調剤又は組成物、の形で投 与されてもよい。その方法には、損傷した軸索が取り込むことのできる組換えレ トロウィルス、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス、及び単純ヘルペスウィル ス−1、又はその他の弱毒化ウィルスを含むウィルスベクタ、あるいは組換えバ クテリア又は真核プラスミドに当該遺伝子を挿入する方法がある。ウィルスベク タは細胞を直接トランスフェクトするものであり、プラスミドDNAの送達は、 例えば陽イオンリポソーム(リポフェクチン)又は誘導化(例えば結合抗体)、 ポリリシン結合体、グラマシジン(原語:gramacidin)S、人工ウィルスエンベ ロープ又はその他のこのような細胞内担体の助けを借りて行ったり、遺伝子構築 物を直接注射したり、生体内で行われるCaPO4沈降により行うことができる 。特定の遺伝子送達系の選択は、目的の標的や投与の経路、例えば局所又は全身 、といったファクタに依存するであろうことは理解されよう。特に好適な実施例 では、利用される構築物は、血液脳関門を通過できるように特に調製される。さ らに、bcl発現の変調を生体内で行うよう提供された遺伝子構築物は、ここで 説明された生体外検定系における利用など、細胞内のbcl発現の試験管内変調 にも有用であることは認識されよう。 細胞内への核酸の生体内導入の好適な方法は、所望の特定の形態のbclポリ ペプチドをコードしている、例えばDNAなどの核酸を含有するウィルスベクタ の利用である。ウィルスベクタによる細胞の感染には、標的細胞の大部分がその 核酸を受け取ることができるという利点がある。加えて、例えばウィルスベクタ 内に含まれたaDNAなど、ウィルスベクタ内にコードされた分子は、ウィルス ベクタの核酸を取り込んだ細胞内で効率的に発現される。 外来の遺伝子を生体内、特にヒトに導入するには、レトロウィルスベクタ及び アデノ関連ウィルスベクタを本発明による遺伝子送達系として用いることができ る。これらのベクタにより、細胞内への遺伝子の送達が効率的に行われ、導入さ れた核酸は宿主の染色体DNAに安定的に組み込まれる。複製欠陥レトロウィル スのみを生じる専用の細胞株(「パッケージング細胞」と呼ばれる)が開発され たことで、遺伝子治療におけるレトロウィルスの実用性が高まり、欠陥レトロウ ィルスは遺伝子治療を目的とした遺伝子導入における使用について、よく特徴づ けられている(参考にはMiller,A.D.Blood 76:271(1990)を参照されたい)。こ のように、レトロウィルスのコーディング配列(gag.pol.env)の一部が当該レ セプタの一つをコードする核酸に置き換えられて、そのレトロウィルスが複製欠 陥型となった組換えレトロウィルスを構築することができる。次にこの複製欠陥 レトロウィルスをビリオンに梱包し、このビリオンを用いて標的の細胞を、標準 的な技術によりヘルパウィルスの利用を介して感染させることができる。組換え レトロウィルス作成のためのプロトコル、及びこのようなウィルスに試験管内又 は生体内の細胞を感染させるためのプロトコルは、Current Protocols in Molec ularBiology ,Ausubel,F.M.et al.(eds.)Greene Publishing Associates,(1989), Sections 9.10-9.14及びその他の標準的研究室用手引きに見ることができる。レ トロウィルスの例には、当業者に公知のpLJ、pZIP、pWE及びpEMが ある。環境栄養性及び両栄養性レトロウィルス系を作成するための梱包用のウィ ルス株の例には、ΨCrip、ΨCre、Ψ2及びΨAmがある。レトロウィル スは、多種の遺伝子を数多くの様々な細胞種に試験管内及び/又は生体内で導入 するために用いられてきた(例えばEglitis,et al.Science 230:1395-1398(198 5);Danos and Mulligan Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:6460-6464(1988);Wilson e t al.Proc.Natl Acad.Scl.USA85:3014-3018(1988):Armentano et al.Proc.Natl. Acad.SciUSA 87;6141-6145(1990);Huber et al.Proc.Natl.Acad.Sci USA 88:803 9-8043(1991);Ferry et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8377-8381(1991);Chowd hury et al.Science 254:1802-1805(1991):van Beusechem et al.Proc.Natl.Aca d.Sci.USA 89:7640-7644(1992);Kay et al.Human Gene Therapy 3:641-647(1992 );Dai et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10892-10895(1992);Hwu et al.J.Immu nol.150:4104-4115(1993);米国特許第4,868,116号、米国特許第4,9 80,286号、PCT出願WO89/07136号、PCT出願WO89/0 2468号、PCT出願WO89/05345号、及びPCT出願WO92/0 7573号を参照されたい)。 さらに、ウィルス粒子の表面上にあるウィルスパッケージングたんぱく質を改 質することで、レトロウィルスの感染スペクトル、ひいてはレトロウィルスを基 にしたベクタの感染スペクトルを制限できることが示されている(例えばPCT 公報WO93/25234号及びWO94/06920号を参照されたい)。例 えば、レトロウィルスベクタの感染スペクトルを変更するための戦略には、細胞 表面抗原に特異的な抗体をウィルスのenvたんぱく質にカップリングさせる法(R oux et al.PNAS 86:9079-9083(1989);Julan et al.J.Gen Virol 73:3251-3255(1 992);and Goud et al.Virology 163:251-254(1983)、又は細胞表面レセプタリガ ンドをウィルスenvたんぱく質にカップリングさせる法(Neda et al.J.biol Che m 266:14143-14146(1991))がある。カップリングは、たんぱく質又はその他の様 々な物質(例えばenvたんぱく質をアシアログリコプロテインに変換させるには ラクトース)を用いた化学的架橋結合の形で行っても、融合たんぱく質(例えば 単鎖の抗体/env融合たんぱく質)を発生させる形で行ってもよい。この技術は 、特定の組織種に感染を限定させる又は向けるのに有用であるが、環境栄養性ベ クタを両栄養性ベクタに変換するのにも用いることができる。 さらに、レトロウィルス遺伝子送達の利用は、そのレトロウィルスベクタのb cl遺伝子の発現を制御する、組織特異的又は細胞特異的転写調節配列を利用す ることでさらに向上させることができる。 本発明において有用なもう一つのウィルス遺伝子送達系はアデノウィルス由来 のベクタを用いるものである。アデノウィルスのゲノムを操作して、目的の遺伝 子産物をコードかつ発現するものの、正常な溶菌ウィルスライフサイクルにおい て複製する能力という点で不活化されているようにすることができる。例えば、 Berkner et al.Biotechniques 6:616(1988):Rosenfeld et al.Science 252:431 -434(1991);and Rosenfeld et al.Cell 68:143-155(1992)を参照されたい。アデ ノウイルス株Ad型5dl324又はその他のアデノウィルスの株(例えばAd 2、Ad3、Ad7、等々)を由来とする適したアデノウィルスベクタは当業者 には公知である。組換えアデノウィルスは特定の条件下で有利であるが、それは 、これらが非分割性の細胞に感染できないことと、これらを用いれば幅広い細胞 種を感染させられるという点があるからである(Rosenfeld et al.上述)。さら に、このウィルス粒子は比較的安定していると共に、精製及び濃縮になじみ、そ して上述したように、感染のスペクトルに作用を及ぼすべく改良が可能である。 加えて、導入されたアデノウィルスDNA(及びそこに含まれた外来のDNA) は宿主細胞のゲノムに組み込まれず、エピソームのままでいるため、導入された DNAが宿主のゲノム(例えばレトロウィルスDNA)に組み込まれた場合の挿 入突然変異誘発の結果起きる可能性のある問題を避けることができる。さらに、 アデノウィルスゲノムが外来のDNAを運搬できる能力はその他の遺伝子送達ベ クタに比較して大きい(最大8キロベース)(上述のBerkner et al.;Haj-Ahman d and Graham J.Virol.57:267(1986))。現在用いられている、従って本発明に とって も好適な複製欠陥アデノウィルスベクタの大半は、ウィルスE1及びE3遺伝子 の全て又は一部を削除されているが、アデノウィルスの遺伝物質の80%もが維 持されている(例えば、Jones et al.Cell 16:683(1979);Berkner et al.上述 、and Graham et al.in Methods in Molecular Biology,E.J.Murray,Ed.(Humana ,Clifton,NJ,1991)vol.7.pp.109-127を参照されたい)。挿入されたbcl遺伝子 の発現は、例えば、E1Aプロモータ、主要な後期プロモータ(MLP)及び関 連するリーダー配列、E3プロモータ、又は外的に加えられたプロモータ配列の 制御を受けてもよい。 当該bcl遺伝子の送達にとって便利なもう一つのウィルスベクタ系はアデノ 関連ウィルス(AAV)である。アデノ関連ウィルスは効率的な複製及び生産的 なライフサイクルのためには、例えばアデノウィルス又は庖疹ウィルスなど、も う一つのウィルスをヘルパウィルスとして必要とする自然発生型の欠陥ウィルス である(参考には、Muzyezka et al.Curr.Topics in Micro.and Immunol.15 8:97-129(1992)を参照されたい)。これはまた、自身のDNAを非分割性の細胞 に組み込ませることができ、また安定的な組み込みの頻度も高いという、数少な いウィルスのうちの一つである(例えば、Flotte et al.Am.J.Respir.Cell.Mol. Biol.7:349-356(1992);Samulski et al.J,virol.63:3822-3828(1989);and Mclau ghlin et al.J.Virol.62:1963-1973(1989)を参照されたい)。300塩基対のA AVを含有するベクタをパッケージングして組み込ませることができる。外来D NAのための空間は約4.5kbに限られている。Tratschin et al.Mol.Cell.B iol.5:3251-3260(1985)に述べられたもののようなAAVベクタを用いてDNA を細胞内に導入してもよい。様々な核酸が様々な細胞種にAAVベクタを用いて 導入されてきた(例えばHermonat et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:64666-647 0(1984);Tratschin et al.Mol.Cell.Biol.4:2072-2081(1985);Wondisford et al .Mol.Endocrinol.2:32-39(1988);Tratschin et al.J.Virol.51:611-619(1984);a nd Flotte et al.J.Biol.Chem.268:3781.3790(1993)を参照されたい)。 複製欠陥単純疱疹ウィルス−1(HSV−1)ベクタは神経系における異型遺 伝子の形質導入及び発現を効率的に行うものであることが示されている(Dobson et al.Neuron.5:353(1990);Federoff et al.Proc.Natl Acad.Sci.USA 89:163 6(1992);Anderson et al.Hum Gene Ther 3:487(1992);Huang et al.Exp Neurol. 115:303(1992);Fink et al.Hum Gene Ther.3:11(1992);Breakfield et al.in G ene Transfer and Therapy in the Nervous System.Heidelberg,FRG:S pringer-Verlagpp45-48(1992);and Ho et al.Proc.Natl Acad.Sci.USA 90:3655( 1993))。bclを発現するHSV−2ベクタも説かれている(Linnik.et al.Stro ke.26:1670(1995);Lawrence et al.J.Neuroscience.16:486(1996))。 上述したものなどのウィルス導入法に加えて、非ウィルス法を用いてもbcl ポリペプチドの発現を動物組織中で起こさせることができる。遺伝子導入の非ウ ィルス方法の大半は、ほ乳類細胞が高分子を取り込んで細胞内へ輸送する通常の メカニズムに依拠するものである。好適な実施例では、本発明の非ウィルス遣伝 子送達系は、標的細胞に当該bclポリペプチド遺伝子を取り込ませる際に、細 胞の飲食作用経路に依拠する。この種の遺伝子送達系の例には、リポソーム由来 系、ポリ−リシン結合体、及び人工ウィルスエンベロープがある。 代表的な実施例では、当該bclポリペプチドをコードしている遺伝子を、表 面にプラスの電荷を持つ(例えばリポフェクチン)及び(選択に応じて)標的組 織の細胞表面抗原に対する抗体で標識付けしたリポソームに捕獲させることがで きる(水野他、(1992)脳神経外科20:547−551:PCT公報WO 91/06309号、日本特許出願第1047381号;及びヨーロッパ特許公 報EP−A−第43075号)。例えば、細胞のリポフェクションは、標的細胞 上に存在する何らかの細胞表面抗原に対する単クローン抗体で標識付けしたリポ ソームを用いて行うことができる。 一態様では、本発明は組換えトランスフェクション系を含む薬学的製剤を特徴 とするものである。「組換えトランスフェクション系」という術語は、bcl変 調物質をコードしている核酸と、遺伝子送達組成物と、選択に応じて、軸索の成 長に好ましい環境を作り出す、ここで説明したもののような一つ以上の非bcl 物質とを含むものとして意図されている。このような「遺伝子送達組成物」は、 bclファミリ一員をコードした核酸を意図された標的、例えば神経細胞に送達 することができるものであり、ウィルスベクタ又は組換えバクテリア又は真核プ ラスミドなどのここで説明された組成物をこれに含めてもよい。プラスミドDN Aは、例えば陽イオンリポソーム(リポフェクチン)又は誘導化させた(例えば 抗体を結合させたもの)、ポリリシン結合体、グラマシジンS、人工ウィルスエ ンベロープ又はその他の細胞内担体の助けを借りて送達されても、あるいは遺伝 子構築物を直接注射したり、CaPO4の沈降により送達されてもよい。 臨床の場では、治療用のbcl遺伝子のための遺伝子送達系を数多くの方法で 被験者に導入することができるが、その方法の各々は当業において広く認識され ている。例えば遺伝子送達系の薬学的製剤を、例えば静脈注により全身に導入し てもよく、標的細胞内への核酸の特異的形質導入を、その遺伝子送達組成物が提 供するトランスフェクションの特異性、投与部位、レセプタ遺伝子の発現を制御 する転写調節配列を原因とする細胞種又は組織種発現、又はこれらの組合せを要 因として、行わせてもよい。別の実施例では、組換え遺伝子の最初の送達は、動 物への導入を大変局所的に行うことでより制限されたものでもよく、例えばその 注射を脳室内注射とするなど、送達の目標を脳の特定の部分に狙いを定めてもよ い。局所的な送達を容易に行うには、遺伝子送達伝播体を定位注射により導入す ることができる(例えば、Chen et al.PNAS 91:3054-3057(1994))。 遺伝子送達組成物の薬学的製剤には、容認可能な希釈剤中に含まれた形の遺伝 子送達系が含まれていてもよく、又は遺伝子送達伝播体が埋め込まれた遅効性マ トリックスが含まれていてもよい。あるいはその代わりに、例えばレトロウィル スなど、組換え細胞を介せずに完全な遺伝子送達系が作成できる場合には、この 薬学的製剤には、遣伝子送達系を生成する一つ以上の細胞が含まれていてもよい 。 bclファミリ一員ポリペプチドと、軸索の成長を促進するよう調製された薬 学的に容認可能な担体とを含有する薬学的組成物は、本発明の一部であるとして 意図されている。当該組成物には、上述の全長たんぱく質又はフラグメントが含 まれていてもよい。ポリペプチドを含有する薬学的組成物は、神経細胞を標的と するように調製されていても、あるいはここで説明したような抗アポトーシス用 に特に調製されたものでもよい。例えば、ペプチドを担体に結合させても送達系 内に被包してもよい。 本発明に基づいて利用される薬学的組成物は、一つ以上の生理学的に容認可能 な担体又は賦形剤を用いて従来の方法で調製されてもよい。このように、当該化 合物及びそれらの生理学的容認可能な塩及び溶媒化合物は、例えば注射による投 与用に調製されてもよい。 例えば本発明の組成物は、全身を含む様々な投与負荷用に調製されてもよい。 技術及び調製法の概要はRemmington's Pharmaceutical Sciences,Meade Publis hing Co.,Easton,PAに見ることができる。全身投与には、筋肉内、静脈内、腹腔 内、及び皮下を含む注射が好ましい。注射には、本発明の組成物を液体溶液、好 ましくは生理学的に適合性のあるハンクス溶液又はリンガー溶液などの緩衝液に 調製することができる。加えて、そのオリゴマを固形の形態で調製しておき、使 用直前に再溶解又は懸濁させてもよい。凍結乾燥型もまた含まれる。 組成物を、例えば大量注射又は持続輸注など、注射による非経口投与用に調製 してもよい。注射用の調剤は、例えばアンプル又は複数用量の容器に入れるなど して、保存剤を加えた単位用量型で提供されてもよい。組成物は、例えば油性又 は水性の伝播体中の懸濁液、溶液、又は乳濁液の形状であってもよく、また懸濁 剤、安定剤及び/又は分散剤などの調製剤が含まれていてもよい。あるいは、有 効成分は、例えば無菌の無発熱物質の水、又は食塩水などの適した伝播体を用い て使用前に構成されるような粉末形状であってもよい。 上に述べた調剤に加え、本化合物をさらにデポ製剤として調製してもよい。こ のように長時間作用する調剤は、移植(例えば皮下又は筋肉内に)により投与さ れても、又は筋肉内注射により投与されてもよい。このように、例えば、本化合 物は、適したポリマ又は疎水性材料(例えば容認可能な油中乳濁液など)又はイ オン交換樹脂を用いて調製しても、生体に必要な物質の消費を防ぐ程度に可溶性 の誘導体として、例えば生体に必要な物質の消費を防ぐ程度に可溶性の塩として 調製してもよい。 必要に応じ、本組成物を、パック又はディスペンサ器具内に入れて提供しても よく、このようなパック又はディスペンサ器具には、有効成分を含む一つ以上の 単位用量が含まれていてもよい。パックには、例えばブリスタパックなど、金属 製又はプラスチック製の箔が含まれていてもよい。パック又はディスペンサ器具 には、投与の際の指示書が付いていてもよい。 このような組成物の毒性及び治療的効験は、例えばLD50(集団の50%にと って致命的な用量)及びED50(集団の50%において治療的効果のある用量) を判定するなど、細胞培養又は実験動物での標準的薬学的手法により判定が可能 である。毒性と治療的効果との間の用量比が治療指数であり、LD50/ED50の 比で表すことができる。治療指数の大きな化合物が好ましい。毒性の副作用を呈 する化合物を用いてもよいが、未感染の細胞へに損傷が加えられる可能性を最小 限にする、従って副作用を抑えるには、罹患組織の部位にこのような化合物の狙 いを定める送達系を設計するよう、注意しなければならない。 細胞培養検定及び動物研究から得られたデータを、ヒトへの利用に向けた用量 範囲を策定するために用いることができる。例えば、このような組成物の用量は 、毒性がほとんどない又は全くないながらED50のある範囲にあると好ましい。 用量は、利用する用量形態及び利用する投与経路に応じて、この範囲内で様々に 変えてもよい。本発明の方法において用いられるあらゆる化合物において、治療 効果のある用量はまず細胞培養検定から推定が可能である。動物モデルで用量を 策定することで、細胞培養で決定された通りのIC50(即ち、例えば症状の阻害 など、最大治療効果の半分を達成するテスト化合物濃度)を含む循環血漿又は局 部的組織濃度範囲を得てもよい。このような情報を用いれば、ヒトに有用な用量 をより精確に決定することができる。血漿中及び局部的組織中の量は、例えば高 性能液体クロマトグラフィにより計測してもよい。 投与計画はまた、何が効果的な量を成すかを左右することもある。本発明の組 成物を複数の分割された用量で投与したり、一定でない用量で投与したりしても よく、また毎日又は順番に投与することもでき、あるいは用量を連続的に輸注し ても又は大量注射してもよい。さらに、治療上又は予防上の状況の緊急度から判 断された場合には、本物質の用量を比例的に増加又は減少させてもよい。 本発明のもう一つの実施例は、軸索成長能力の減退を伴う状態の治療のための 梱包された薬品を提供するものであり、この薬品には、被験者を治療する際の指 示書と共に梱包されたbcl変調物質が含まれる。本発明による「梱包された薬 品」には、ここで説明されたいかなる組成物が含まれていてもよい。ここで用い られる「指示書」には、軸索成長能力の減退を伴う状態を治療するには当該の梱 包された薬品が有用である旨の記載が含まれることとして意図されているが、選 択に応じ、このような状態の被験者を治療するために当業者が行うであろうステ ップが含まれていてもよい。 実施例 以上、概略的に説明されたところで、本発明はさらに、以下の実施例を参照す ればより容易に理解されるであろうが、以下の実施例は、単に本発明の特定の態 様及び実施例の実例を挙げることを目的として含まれたものであり、本発明を限 定するものとしては意図されていない。実施例を通じて使用された動物モデルは 認可された動物モデルであり、これらの動物モデルで実証された効験は、ヒトに おける効験を予測するものである。 実施例で用いられた実験方法 網膜視蓋のコカルチャ グルコースで濃縮した氷温のゲイ緩衝塩類溶液中で大脳を解剖した。上丘を通 る冠状切片を、300mの厚さにMcllwain組織チョッパを用いて切断した。網膜 外植片を視蓋切片に当接させた。組織をミリセル・ウェル(ミリポア社製)の微 小孔膜に載せ、B27(ニューヨーク州GIBCO社製)を補ったNeuralBasal 培地に37℃で5日間維持した。変異マウスから採った視蓋組織がRGCの軸索 成長に影響を与える可能性を除外するために、各マウスから採った一つの網膜外 植片を同じマウスから採った視蓋に接触させ、第二の網膜外植片を別のマウスか ら採った視蓋に当接させた一連の並行実験を行った。この構成により、各動物か ら採った網膜外植片が、野生型、異型接合、又は同型接合動物から採った視蓋と コカルチャされる可能性を提供した。固定させた網膜外植片に親油性カルボシア ニン蛍光標識DiIを結晶形で加えて、再生する軸索の数のサンプルを採った。 このコカルチャを固定液中に2から4週間保管して染料を拡散させ、標識の付い た網膜軸索を蛍光顕微鏡(ニコン社製)で観察した。 bcl−2移植遺伝子について異型接合型のオスをC57BL/6Jのメスと 交配してマウスの幼体を得た。生後4日で(P4)、幼体は中視蓋の高さで視索 の一側離断を受けた。神経離断から10日後に、CT−B(コレラ毒素B)によ る順行性描記を用いて視索の再生を評価した。軸索を視覚化するため、ジアミノ M.J.Neurosci.Meth.65,101-112(1996))のプロトコルに僅かな改良を加えたもの を用いて行った。簡単に説明すると、大脳を50mの矢状断面に切断し、この大 脳の一つおきの切片を採集してクレシルバイオレット染色を施し、もう一方の切 片はCT−Bに対する一次抗体と共に4℃で96時間インキュベートし、その後 さらにABCエリートキット(ベクタ社製)を用いて処理した。この脳切片をニ コン社の顕微鏡で視覚化し、損傷部位をMIT・ニューロトレース・コンピュー タ・ソフトウェアを用いて三次元で再現した。 分離した網膜細胞の一次培養株をP2野生型又はトランスジェニック動物から 調製した。P0の幼体の視蓋領域には二側方向にDiI溶液(ジメチルホルムア ミド中25%)を注射してRGCに予め標識を付けた。細胞を、poly−L−リシ ン(10g/ml、4℃で一晩)で処理してヒト・メロシン(0.2g/ml, r.t.、2時間)(Meyer-Franke,A.and Barres,B.A.Neuron 15,805-819(1995 ))で被膜した24セル・ウェルに置いた。培養株を2から3日間、B27を補 ったNeuralBasal培地に維持した。トリパンブルー染色を用いて網膜ガングリオ ン細胞(RGC)の生存率を調べた。野生型P2マウスから調製した網膜視蓋コ カルチャは前に説明した通りであり、ZVAD(Z−Val−Ala−Asp− CH2F、エンザイム・システムズ・プロダクツ社製)を、塗抹時にこの培養培 地に加えた。細胞の死を、蛍光染料SYTOX緑色蛍光死亡細胞染色法(モラキ ュラー・プローブズ社製)による着色で検出した。培養株を、ノマルスキ及び落 射蛍光照明を備えた倒立ニコン顕微鏡下で視覚化した。 免疫蛍光染色 bcl−2の免疫蛍光染色のために、胎齢16又は18日(E16又はE18 )の胚を、定時間交配させた野生型の母親の帝王切開により得た。脳を取り出し 、4%のパラホルムアルデヒド内に一晩固定し、クリオスタットを用いて10μ mの厚さの横断切片に切断した。切片を、2.5%の正常ヤギ血清、2.5%ウ シ胎児アルブミン、及び0.3%のトリトンX−100を含有するPBSで30 分間、室温で遮断した後、親和性精製一次抗体(ハムスター抗マウスbcl−2 、1: 50、ファーミンゲン社製)と共に4℃で一晩インキュベートした。次に二次抗 体(ハムスター免疫グロブリンに対するFITC−結合ヤギ抗体、1:200) をこのスライドに2時間、室温で加えた。このスライドを数回、PBSですすぎ 、フルオレマウント(原語:Fluoremount)Gに載せ、蛍光顕微鏡で観察した。 実施例1. 網膜軸索の成長 マウスのCNS軸索の成長を調べるために、網膜軸索の成長パターンが生体内 で見られるものにそっくり同じな、網膜視蓋系の器官型コカルチャモデルを確立 した(Chen,D.f.,Jhaveri,S.& Schneider,G.E.proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,7287 .7291(1995))。C57BL/6Jマウスの網膜及び中脳視蓋から採った組織を 培養ウェル内で当接させる。網膜からの軸索成長の定量分析は、Dilを網膜外 植片に配置する標準的な方法で達成される。胎齢14日(E14、交配日=E0 )乃至E16の動物から調製したコカルチャを調べた。視蓋切片内への網膜軸索 の成長は広範であり(n=20)、E16の網膜軸索が視蓋外植片全体の内部に 伸長していることを観察でき、視蓋組織に侵入した標識付軸索の数は平均で12 6±10.0であった。対照的に、胎齢E18及びそれ以降の動物から調製した 網膜外植片(n=60)の呈した軸索成長は著しく減少していた。E18の組織 については、中間の結果は、一個の視蓋切片当り15.5+3.3繊維が平均で あったが、これらの培養株では細胞死の増加は明白には観察されなかった。この ことは、マウスではE18以降、培養株では大半のRGC軸索が再生が失敗する ことを示唆するものである。このように、RGCにおけるbcl−2の発現レベ ルは網膜軸索の成長能力と相関関係にある。この発見は、シリアハムスターに関 する以前の報告とも合致していた(Chen et al.上述)。 これまでの研究では、胚のRGCは軸索をいかなる齢の視蓋組織内へも成長さ せることができるが、齢の高い網膜は、胚の視蓋を含むあらゆる齢のCNS組織 内へ多くの軸索を成長させられないことが示されている。網膜軸索の成長を調節 する際のこのような役割をどの遺伝子が担っているかを調べるために、bcl− 2を含むいくつかの分子の発現レベルを、免疫蛍光染色を利用して比較した。E 16では網膜のRGC層においてbcl−2の発現が高いことが見つかった。E 18では、培養株での再生の失敗の始まりに並行して、bcl−2の発現は検出 不可能なレベルまで減少していた。 実施例2. bclファミリ一員が軸索の成長には必要である。 bcl−2が網膜軸索の成長に必要であるかどうかを調べるために、機能消失 動物モデル、つまりbcl−2について遺伝子的に欠陥のあるマウスが研究され た(Veis,D.J.,Sorenson,C.M.,Shutter,J.R.& Korsmeyer,S.J.Cell 75,229-240( 1993))。これらのマウスは、異型接合型の子を交配させて得たものである。結 果得られた同腹子には野生型、異型接合型、及びbcl−2欠陥マウスが含まれ ていた。コカルチャをE15の胚から調製した。この段階では、野生型の動物の 網膜外植片は力強い突起の成長を呈していた。変異マウスから採った視蓋組織が RGCの軸索成長に影響を与える可能性を除外するために、一連の並行実験を行 って、各動物から採った網膜外植片が、野生型、異型接合型、又は同型接合動物 から採った視蓋とコカルチャされる可能性を提供した。視蓋組織の出所に関係な く、異型及び同型接合型のbcl−2変異の胚を由来とする網膜外植片の突起の 成長は野生型の同腹子のものより著しく少なかった(P<0.001)。標識付 された網膜軸索の数は、異型接合動物から調製された網膜では50%減少してお り(62±8、n=0)、同型接合型の動物では80%減少していた(22±4 、n=7)(図1A)。野生型から採った視蓋と、変異マウスから採った視蓋と では、これらのコカルチャされた網膜群の間に大きな差はなかった。同型接合型 のbcl−2変異を含むマウスの培養株から採った網膜軸索の数は、大半のRG Cが視蓋内に軸索を成長させられなかった時点であるE18の野生型マウスのも のと等しかったことに注目されたい。 実施例3.bcl−2ファミリ一員の発現により、成体神経組織における軸索の 再生が可能となった。 bcl−2機能の消失が軸索成長を抑制するため、成体網膜におけるbcl− 2の過発現が網膜軸索再生の維持に充分であるかどうかを調べた。従って、ニュ ーロン特異的エノラーゼプロモータにより駆動されるbcl−2遺伝子について トランスジェニックなマウス(Martinou,J-C.et al.Neuron 13,1017-1030(1994) ;Dubols-Dauphin,M.,Frankowski,H.,Tsujimoto,Y.,Huarte,J.& Martinou.J-C.P roc.Natl Acad.Sci.USA91.3309-3313(1994))を分析した。研究はこれらトラン スジェニックマウスの株73について行った。一連の定時間交配を、この移植遺 伝子について異型接合型のオスと、野生型(C57BL/6J)のメスとの間で 行った。これらの交配の結果得られた幼体の半分はトランスジェニックであった 。通常再生の失敗が起きる時点から前及び後の期間を含む、胎齢14日乃至生後 5日(P5、生まれた日=P0)の動物から得られた網膜及び視蓋のコカルチャ を調べた。上述したように、この実験は、各マウスから得た網膜外植片が、野生 型又はトランスジェニックマウスから採った視蓋とコカルチャされる可能性があ るように行われた。E18に始まり、野生型のマウスから採った網膜外植片は、 野生型又はトランスジェニックのいずれの視蓋組織に向かい合っているかに関係 なく、RGC軸索の延長(n=15)の失敗を示していた(図1C)。標識付け された網膜軸索の数はE16の網膜外植片に比較して10分の1に減少していた 。対照的に、網膜をbcl−2トランスジェニック動物から採った場合には、E 14乃至P5の動物から採取した網膜外植片すべてが、著しい繊維の成長を見せ ていた(n=35)(図1C)。野生型マウスとbcl−2トランスジェニック マウスとから得られた視蓋切片に侵入した網膜軸索の数に違いは観察されなかっ た。従って、軸索の置かれたCNS環境ではなく、RGC中のbcl−2の構成 性発現が、周産期にある網膜軸索の再生の失敗を克服するのである。 bcl−2トランスジェニックマウスを由来とするRGCはそれらの寿命を通 じて軸索を成長させる能力を維持していた。著しい突起の成長が、E16の視蓋 切片とコカルチャさせたときのトランスジェニックマウスの成体網膜外植片で観 察された(n=10)。その標識付けされた網膜軸索の数は平均で96.3±1 5.3であり、E16の網膜視蓋コカルチャから得られた数にほぼ等しかった。 しかしながら、この成体網膜を成体視蓋組織に向かい合わせた場合には、軸索の 成長はほとんど起きなかった(n=13)(図1B)。このことは、bcl−2 過発現マウスの網膜軸索が伸長できるのは、おそらくは胚の視蓋により提供され る大変許容的な基質を発現している組織内へのみであることを示している。従っ て、 bcl−2だけが、成体のCNS軸索の再生を担っているたんぱく質ではない。 成体のCNSは、トランスジェニックマウスから網膜軸索が再成長することを抑 制している阻害シグナルを含んでいると考えられる(Schnell,L.& Schwab,M.E.N ature 343,269-272(1990))。このように、bcl−2は網膜の軸索成長にとっ て本来の遺伝的プログラムを調節する上で中心的役割を果たしているのである。 bcl−2は、この実施例で調べた条件下(この特定の神経細胞種及びこの特定 のbclファミリ一員について)では、成熟CNSの網膜軸索の再生に必須では あるが、充分ではない。 実施例4. bclファミリ一員は生体内で軸索成長を促進した 続いて、生体内での網膜軸索の再生を研究した。bcl−2移植遺伝子につい て異型接合型のオスと、C57BL/6Jのメスとを交配して得た若い幼体(P 4)が、中視蓋の高さで視索の一側性離断を受けた。軸索の再成長を、コレラ毒 素B−サブユニット(CT−B)で網膜の突出繊維を描記することで評価した 損傷部位を視覚化するために、大脳の一つおきの矢状切片を採集してクレシルバ イオレット染色を施し、ニュートロトレース・プログラムを用いて三次元に再現 した。野生型マウスでは、網膜視蓋の突出を見ることができたが、損傷部位の近 接組織に限られていた(n=5)。対照的に、トランスジェニックマウスにおい て軸索切断された網膜軸索は多数が損傷部位を横切って、損傷部から後方の視蓋 を神経支配していた(n=6)。このように、トランスジェニックマウスではb cl−2が発現したことで、生体内において視索の離断後の網膜軸索の再生が行 われていた。野生型動物では標識付けされた軸索は損傷部位を横切っていなかっ たが、bcl−2トランスジェニックマウスから得たものは損傷部位を越えて再 生しており、後方視蓋に侵入していた。三匹のトランスジェニックマウスで、損 傷の結果、大きく、克服不可能な溝が上丘表面に生じていたが、架橋物質や神経 栄養因子を添加していないにも関わらず、軸索は途中でこの損傷部位を迂回して 標的組織に至っていることが観察された。数多くの軸索が、上丘(SC)の後縁 に達していた。下丘に侵入した軸索は観察されなかった。これらの結果は、bc l−2が生体内で網膜軸索の再生を促進したことを実証するものである。 上述の実施例では、野生型動物のRGCの大多数が損傷後も生存したが、それ らの軸索を再生できないように思われたことを強調しておくべきである。同様な 観察はその他の研究者によっても報告されており(Misantone,L.J.,Gershenbaum ,M.& Murray,M.J.Neurocytol.13,449.465(1984);Wikler,K.C.,Kirn,J.,winderm ,M.S.& Finlay,B.L.Dev.BralnRes.28,11-21(1986);Harvey,A.R.&Robertson,D.J .Comp.Neurol.325,83-94(1992))、これらの研究者は軸索切断後の神経と、軸索 の再成長とが垂離していることを示唆している。 実施例5. bclファミリ一員のニューロン生存及び軸索成長への作用を試験 管内で判別することができる。 生存及び軸索成長という、ニューロンのこれら二つの活動を試験管内で分離で きるかどうかを次に調べた。bcl−2の抗アポトーシス機能はよく確立されて いる(Davies,A.M.TINS 18,355-358(1995);Korsmeyer,S.J.Immunol.Today 13,2 85-288(1992);Farlie,P.G.,Dringen,R.,Rees,S.M.,Kannourakis,G.& Bernard,() Proc.Natl Acad.Sci.USA92,4397-4401(1995);Bonfanti,L.et al,J.Neurosci.16, 4186.4194(1996))。従って、その成長促進活動が単に細胞の生存を支援してい ることの間接的結果なのかどうかを調べることが特に重要である。bcl−2は 、インターロイキン1−変換酵素(ICE)の活性を損なうことでアポトーシス を抑えることが示されている(Gagliardini,V.et al.Science 263,826.828(1994 );Miura,M.,Zhu,H.,Rotello,R.,Hartwieg,E.A.& Yuan,J.Cell 75,653.660(199 3),システインプロテアーゼは、脊椎動物の細胞死のプロセスに必須であると関 連づけられているGagliardini,V.et al.Science 263,826-828(1994):Miura,M.,Z hu,H.,Rotello,R.,Hartwieg,E.A.& Yuan,J.Cell 75,653-660(1993);Henkart,P.A .Immunity 4,195-201(1996);Nicholson,D.W.et al.Nature 376,37-43(1995)。お そらくはbcl−2がアポトーシスを抑制するのに用いるのと同じ経路でICE の活性を遮断する化学物質を利用することで、軸索成長という機能と、細胞生存 という機能との間の関係をテストすることが可能となった。不可逆性のICE様 プロテアーゼ阻害物質、ZVAD(Z−Val− Ala−Asp−CH2F、エンザイム・システムズ・プロダクツ社製)が、網 膜軸索の成長へ影響を与える能力を調べた(Henkart,P.A.Immunity 4,195-201(19 96);Nicholson,D.W.et al.Nature 376,37-43(1995):Fletcher,D.S.et al.J.Inte rferon Cytokin Res.15,243-248(1995)。単一の細胞形態を視覚化できる分離細 胞培養系を用いて、P2の幼体の網膜から培養株を調製した。RGCには、P0 の幼体の視蓋にDiIを注射することで予め標識を付けた。10mM以上の濃度 のZVADで処理したことで、培養株における2日後のRGCの死が効果的に減 少した。しかしながら、野生型の動物から採った標識付RGCは丸く、培養株中 に突起はなかった(n=36)が、bcl−2トランスジェニックマウス(n= 24)由来のRGCでは著しい軸索発芽が見られた。これは培養培地に何ら神経 栄養因子が存在しない状態で起きたことであることに留意されたい。 ICE阻害物質の作用もまた、野生型P2マウスから調製した組織との外植片 コカルチャ系で調べた。ZVADで処置したことで網膜外植片中の細胞死の程度 が減少した(n=22)(図2A)。200mMの濃度のZVADは、トランス ジェニックマウスでのbcl−2(n=6)とほとんど同じ程度、細胞を死から 守ったが、視蓋切片に侵入した軸索の数は、野生型から採った培養株が、bcl −2トランスジェニックマウスから採ったものの10分の1であった(n=22 )(図2B)。ZVADによる処理はRGCの死を防ぐには充分であったが、軸 索成長を促進するには充分ではなかった。ZVADの濃度を上昇させると、網膜 外植片内で死亡する細胞の数は減少したが、成長する軸索の数は大きく変わらな かった。従って、これらの実施例は細胞生存と軸索成長とは、ICE阻害物質で はなくRGC;bcl−2の行う二つの別々の活動であることを示唆しており、 これらの活動の両方を裏付けるものである。 その他の研究者による証拠もまた(ここで提供したものと関連づけて見ると) 、細胞生存と軸索成長がニューロンの行う二つの個別の活動であるという説を裏 付けている(Sagot,Y.,Tan,S.A.Hammang,J.P.,Aebischer,P.& Kato,A.C.J Neuro sci,16,2335-2341(1996);Dusart,I.& Sotelo,c.J Comp Neurol.347,211-232(199 4))。RGCにおける網膜軸索の再生失敗と、bcl−2量の減少とは、プログ ラムされた細胞死が開始する(P1−P5)前に起きる(E18)(Young, R.W.J.Comp.Neurol.229,362-373(1984))。この垂離は、bcl−2の発現パタ ーンは、CNSで認識された細胞死パターンを反映するものではないというその 他の研究者の観察(Merry,D.E.,Veis,D.J.,Hickey,W.F.& Korsmeyer,S.J.Develo pment 120,301-311(1994))を裏付けており、その代わりに細胞分化とニューロ ンの軸索生成能力とに相関関係があるように思われる。第二に、プログラムされ た細胞死が開始する前では、脊髄及び顔面運動ニューロンからとられる細胞計数 は、bcl−2ノックアウトマウスと野生型の動物とで大きな違いはない(Mich aelidis,T.M.et al.Neuron 17,75-89(1996))が、bcl−2ノックアウトマウ スから得た培養株では成長する軸索の数が大きく減少していることが分かってい る。第三に、ZVAD実験の結果、さらに、ICE阻害物質は細胞死を遮断する には充分であるが軸索成長を支援する上では充分ではないことが実証された。こ れらはすべて、bcl−2は、その抗アポトーシス活動とは別個のメカニズムを 通じて軸索成長を促進するという主張を裏付けるものである。 等価物 当業者であれば、ごく通常の実験を行うのみで、ここに説明された特定のポリ ペプチド、核酸、方法、検定及び試薬の同等物を数多く認識され、また確認でき ることであろう。このような等価物は本発明の範囲内にあると見なされ、以下の 請求の範囲の網羅するところである。 上に引用された文献、発行済特許及び特許公報をすべてここに参考文献として 編入する。1996年7月12日に出願された米国暫定出願一連番号60/02 1,713号の内容もまた、この参考文献に特に加えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 A61K 37/02 15/09 C12N 15/00 A C12Q 1/00 5/00 B (31)優先権主張番号 08/816,371 (32)優先日 平成9年3月13日(1997.3.13) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),CA,JP (72)発明者 チェン ドン フェン アメリカ合衆国 02167 マサチューセッ ツ州 チェスナットヒル、ゲリーロード 143 (72)発明者 トネガワ ススム アメリカ合衆国 02159 マサチューセッ ツ州 チェスナットヒル、チェスナットヒ ルロード 101 (72)発明者 ジャベリ ソナル アメリカ合衆国 02167 マサチューセッ ツ州 ブルックライン、ウオルコットロー ド 193

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 神経細胞内の軸索成長を促進する方法であって、軸索成長が起きるように 神経細胞をbcl−2変調物質に接触させることでbcl−2の発現又は生活性 を変調するステップを含む方法。 2. 前記細胞を、bcl−2の発現を増加させる物質に接触させる、請求項1 に記載の方法。 3. 前記細胞を、bcl−2の生活性を増加させる物質に接触させる、請求項 1に記載の方法。 4. 前記変調するステップが生体内で行われる、請求項1に記載の方法。 5. 軸索成長を促進するbcl−2変調物質の能力に影響を与える物質を調べ るステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。 6. 前記神経細胞が中枢神経系にある、請求項1に記載の方法。 7. 前記神経細胞が脊髄の上行路にある、請求項6に記載の方法。 8. 前記神経細胞が大脳内にある、請求項6に記載の方法。 9. 前記神経細胞が末梢神経系にある、請求項6に記載の方法。 10. 前記bcl−2変調物質がbcl−2ポリペプチド又はそのフラグメン トである、請求項1に記載の方法。 11. 前記bcl−2変調物質がbcl−2ポリペプチドのBH1及びBH2 ドメインを含むポリペプチドである、請求項1に記載の方法。 12. 軸索細胞成長に好ましい環境を作り出す物質をさらに投与するステップ をさらに含む、請求項1に記載の方法。 13. 前記変調物質が、栄養因子、レセプタ、細胞外基質たんぱく質、内性因 子、又は接着分子のいずれかから選択される一つ以上の物質を含む、請求項12 に記載の方法。 14. 神経細胞が損傷した外傷性損傷を被った被験者を治療する方法であって 、前記被験者に対し、前記外傷性損傷が治療されるようにbcl−2変調物質を 投与するステップを含む、方法。 15. 軸索成長能力の減退を特徴とする状態について被験者を治療する方法で あって、軸索の成長が起きるように、被験者のbcl−2の生活性又は発現を変 調する物質を治療上有効量、投与するステップを含む、方法。 16. 前記物質がbcl−2の発現を増加させる、請求項15に記載の方法。 17. 前記物質がbcl−2の生活性を増加させる、請求項15に記載の方法 。 18. 軸索成長能力の減退を特徴とする前記状態が中枢神経系疾患である、請 求項15に記載の方法。 19. 軸索成長能力の減退を特徴とする前記状態が中枢神経系への外傷性損傷 である、請求項18に記載の方法。 20. 軸索成長能力の減退を特徴とする前記状態が末梢神経系疾患である、請 求項15に記載の方法。 21. 前記bcl変調物質がbcl−2ポリペプチド又はそのフラグメントで ある、請求項15に記載の方法。 22. 前記bcl−2変調物質がbcl−2ポリペプチドのBH1及びBH2 ドメインを含むポリペプチドである、請求項15に記載の方法。 23. 軸索細胞成長に好ましい環境を作り出す物質をさらに投与するステップ をさらに含む、請求項15に記載の方法。 24. 前記物質が、栄養因子、レセプタ、細胞外基質たんぱく質、又は内性因 子のいずれかから選択される一つ以上の物質を含む、請求項23に記載の方法。 25. 軸索成長能力の減退を特徴とする状態を治療する方法であって、前記状 態を持つ被験者に、bcl−2を発現させるための遺伝子構築物を治療上有効量 投与するステップを含み、前記遺伝子構築物が、軸索の成長が起きるように前記 被験者の神経細胞内へ送達されるように調製される、方法。 26. 前記被験者がほ乳類である、請求項25に記載の方法。 27. 前記被験者がヒトである、請求項25に記載の方法。 28. 前記遺伝子構築物がウィルスベクタ内にある、請求項25に記載の方法 。 29. 前記ウィルスベクタがアデノウィルスである、請求項28に記載の方法 。 30. 前記ウィルスベクタが疱疹ウィルスである、請求項28に記載の方法。 31. 前記遺伝子構築物がリポソームに調製される、請求項25に記載の方法 。 32. 前記遺伝子構築物が、血液脳関門を通過するよう特に調製された遺伝子 送達組成物内にある、請求項25に記載の方法。 33. 前記被験者の神経細胞が中枢神経系にある、請求項25に記載の方法。 34. 前記神経細胞が脊髄にある、請求項33に記載の方法。 35. 前記神経細胞が大脳にある、請求項33に記載の方法。 36. 前記神経細胞が末梢神経系にある、請求項25に記載の方法。 37. 前記bcl−2変調物質がbcl−2ポリペプチド又はそのフラグメン トである、請求項25に記載の方法。 38. 前記遺伝子構築物が、bcl−2BH1及びBH2ドメインを含むポリ ペプチドをコードしている、請求項25に記載の方法。 39. 軸索細胞成長に好ましい環境を作り出す物質をさらに投与するステップ をさらに含む、請求項25に記載の方法。 40. 前記物質が、栄養因子、レセプタ、細胞外基質たんぱく質、又は内性因 子のいずれかから選択される一つ以上の物質を含む、請求項39に記載の方法。 41. 被験者の軸索成長能力の減退を伴う状態を治療するための、治療上有効 量の組換えトランスフェクション系を含む薬学的製剤であって、 (i)bcl−2をコードした核酸を含む遺伝子構築物と、 (ii)前記遺伝子構築物を前記被験者の神経細胞に送達して前記細胞を前記 遺伝子構築物でトランスフェクトしてその発現を起こさせるための遺伝子送達組 成物と、 (iii)軸索の成長を促進するために好ましい一つ以上の物質とを含む薬学 的製剤。 42. 前記物質が、栄養因子、レセプタ、細胞外基質たんぱく質、内性因子又 は接着分子のいずれかから選択される、請求項41に記載の薬学的製剤。 43. 前記遺伝子送達組成物が組換えウィルス粒子、及びプラスミドのいずれ かから選択される、請求項41に記載の製剤。 44. 前記遺伝子送達組成物が血液脳関門を通過するように特に調製されてい る、請求項41に記載の製剤。 45. 軸索成長能力の減退を伴う状態を治療するための梱包された薬品であっ て、前記状態を有する被験者を治療するための指示書と共に梱包されたbcl− 2変調物質を含む、梱包された薬品。 46. 前記bcl変調物質がbcl−2の発現を増加させる、請求項45に記 載の梱包された薬品。 47. 前記薬品が、中枢神経系の神経細胞中のbcl−2の発現を増加させる ために用いられる、請求項46に記載の梱包された薬品。 48. 前記薬品が、脊髄の神経細胞中のbcl−2の発現を増加させるために 用いられる、請求項47に記載の梱包された薬品。 49. 前記薬品が、大脳の神経細胞中のbcl−2の発現を増加させるために 用いられる、請求項47に記載の梱包された薬品。 50. 前記薬品が、末梢神経系中のbcl−2の発現を増加させるために用い られる、請求項46に記載の梱包された薬品。 51. 前記bcl−2変調物質がbcl−2ポリペプチド又はそのフラグメン トを含む、請求項46に記載の梱包された薬品。 52. 前記bcl−2変調物質が、bcl−2ポリペプチドのBH1及びBH 2ドメインを有するポリペプチドを含む、請求項46に記載の梱包された薬品。 53. 軸索細胞成長に好ましい環境を作り出す物質をさらに含む、請求項46 に記載の梱包された薬品。 54. 前記物質が、栄養因子、レセプタ、細胞外基質たんぱく質、内性因子、 又は接着分子のいずれかから選択される一つ以上の物質を含む、請求項53に記 載の梱包された薬品。 55. 前記bcl−2変調物質が、プラスミド中にbcl−2遺伝子を含む薬 学的製剤である、請求項46に記載の梱包された薬品。 56. 前記bcl−2変調物質が、ウィルスベクタ中にbcl−2遺伝子を含 む薬学的製剤である、請求項46に記載の梱包された薬品。 57. 前記bcl−2変調物質が、非ウィルス送達系中にbcl−2遺伝子を 含む薬学的製剤である、請求項46に記載の梱包された薬品。 58. 培養株中で軸索の成長を促進できる能力に関して物質を選抜するための 方法であって、 (i)軸索を含む第一組織試料を、前記軸索が成長することのできる第二組織 試料に接触させるステップと、 (ii)前記第一組織試料内のbcl−2の発現を変調するステップと、 (iii)軸索の成長が起きるかどうかを判定するステップと を含む、方法。 59. 培養株中で軸索の成長を促進できる能力に関して物質を選抜するための 方法であって、 (i)軸索を含む第一組織試料を、前記軸索が成長することのできる第二組織 試料に接触させることで培養株を形成するステップと、 (ii)前記培養株をテスト物質に接触させるステップと、 (iii)軸索の成長が起きるかどうかを判定するステップと を含む、方法。
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