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JP2001058554A - 吊り紐付きエアバッグ - Google Patents

吊り紐付きエアバッグ

Info

Publication number
JP2001058554A
JP2001058554A JP11236121A JP23612199A JP2001058554A JP 2001058554 A JP2001058554 A JP 2001058554A JP 11236121 A JP11236121 A JP 11236121A JP 23612199 A JP23612199 A JP 23612199A JP 2001058554 A JP2001058554 A JP 2001058554A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
airbag
seam
string
base cloth
cloth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11236121A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadao Shikanuma
忠雄 鹿沼
Takeshi Watanabe
毅 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon Plast Co Ltd
Original Assignee
Nihon Plast Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon Plast Co Ltd filed Critical Nihon Plast Co Ltd
Priority to JP11236121A priority Critical patent/JP2001058554A/ja
Publication of JP2001058554A publication Critical patent/JP2001058554A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Air Bags (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりも更に軽くてコンパクトに収納で
き、かつ吊り紐の基布への縫着部も堅牢にできるエアバ
ッグを提供する。 【解決手段】 吊り紐9の固定部11には、長手方向に
交差する方向へ延びる横断線部αを少なくとも含む第1
の縫目Aと、該第1の縫目Aに対してガスを遮蔽し且つ
吊り紐9からの引張力が直接伝わらない部位に縫着され
た第2の縫目Bとが、設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の衝突時、
乗員を保護するためのエアバッグに係り、軽量でコンパ
クトに収納できるエアバッグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、乗員保護用安全装置としてエアバ
ッグシステムが普及してきており、運転席から助手席、
側突保護用(サイドバック)、後部座席用と装着部位も
増えてきている。
【0003】しかるに、搭載されるエアバッグの部位
や、数量が増えるにつれ、エアバッグシステムの軽量
化、コンパクト化が要求されはじめ、システムの各部品
は、小型化、軽量化を目指して設計されてきている。袋
状のエアバッグも、ノンコート化、バッグ容量の低減な
どにより、軽量化が図られてきている。
【0004】その中で、エアバッグや、そのための付属
部材に用いる織物を構成する糸の太さを細くして織物目
付けを少なくすることも検討されている。従来使用され
ていた840デニールより細い420デニールの糸を用
いた織物から構成されたエアバッグが実用化されてお
り、更に、特開平3−137245号公報には、300
〜400デシテックス(270〜360デニール)の原
糸を使ったエアバッグ用ノンコート織物も提案されてい
る。しかし、これらの細デニールを使った織物をノンコ
ートバッグとして使用する場合は、通気度を低下させる
ために高密度織物とする必要があり、極めて粗硬となる
一方で、織物自体の機械特性も低下し、バッグの軽量化
という点からは、顕著な効果が認められない。そこで、
もっと細デニールの原糸を使って、極端に軽い織物を作
成し、エアバッグの軽量化を更に進めるという提案がな
されている。米国特許第5482317号には、45デ
ニールから140デニールまでのナイロン66を使用し
た織物を用いたエアバッグが記載されている。これらの
織物の目付けは、従来のエアバッグ用織物の半分、又は
それ以下で軽量化の観点からは従来のレベルを超えてい
る。
【0005】一方、従来のエアバッグの内部には、ケー
スまたはリッドを押し破って展開する際、乗員方向への
突出量を抑制するための吊り紐が設けられている。該吊
り紐のエアバッグにおける乗員側基布への固定は、やは
り軽量化のために、固定用の布片を用いることなく直接
縫着されていることが多い。吊り紐のエアバッグへの縫
着部には、エアバッグの初期突出の際に大きな衝撃力が
発生し、目付けの少ない織物の場合には、縫糸の急激な
緊張により縫目が拡大することもあり、場合によって
は、熱ガスが拡大した縫目から噴出し、縫目部分におい
て基布の溶融を起こすおそれもある。
【0006】上記問題を避けるために、例えば実開平5
−46615号公報には、吊り紐の端部を乗員側基布に
直接縫着固定するにあたり、紐体の幅方向両側にそれぞ
れ所定幅の非縫着部を設定する方法が提案されている
が、縫着部が紐体の幅より狭くなり、縫着部への応力集
中は避け難い。
【0007】また、特開平3−164349号公報に
は、ベルトの長手方向と直交する方向に形成された縫着
部の長さをベルトの幅より長く形成して、縫着部への応
力集中を軽減する方法が提案されているが、ベルトは本
体基布でない別のベルトキャッチと呼ぶ布片に縫着する
ものであり、エアバッグの損傷抑止と、軽量でコンパク
トな収納が実現できない。
【0008】更に、実開昭63−112952号公報に
は、中央を打ち抜きにした当て片を一枚使用し、これを
介した帯状体のエアバッグ本体に対する縫合を当て片の
外縁部より内側の必要最小限部分に限定することで、こ
の縫合部の構造が簡単で、柔らかくて軽量になるエアバ
ッグが開示されている。しかし、エアバッグ本体と帯状
体の連結部の中央部は、基布一枚のみとなり、その縫目
にインフレータからの熱ガスが当たることになる。従っ
て、基布の縫目における熱ダメージの抑止には不利な構
造になっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のような先行技術
は、織物を構成する糸の太さを細くして目付けを少なく
した薄い織物特有の課題を解決することはできない。
【0010】本発明は、従来よりも更に軽くてコンパク
トに収納でき、かつ吊り紐の基布への縫着部も堅牢にで
きるエアバッグを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、軽量で薄い
織物をエアバッグとして実用するための仕様に関して鋭
意工夫を行った結果、吊り紐の縫製形状ならびに縫製条
件を特定することにより、エアバッグ展開時の吊り紐縫
着部が極めて堅牢になるエアバッグを得ることができ
た。
【0012】請求項1記載の発明によれば、乗員保護の
ためにガスによって膨張する袋状のエアバッグであっ
て、200デニール以下の原糸を用い且つ目付けが15
0g/m2 以下の織布による基布から構成され、基布の
一側と、それに離間して対向する基布の他側とを、織布
による吊り紐で連結し、該吊り紐は、基布の一側に縫着
される固定部と、該固定部よりも狭幅で基布の他側に縫
着される紐部とを一体的に有し、固定部には、紐部の長
手方向に交差する方向へ延びる横断線部を少なくとも含
む第1の縫目と、該第1の縫目に対してガスを遮蔽し且
つ吊り紐からの引張力が直接伝わらない部位に縫着され
た第2の縫目とが、設けられている。
【0013】本発明は、200デニール以下の原糸を用
いた、目付けが150g/m2 以下の極めて薄く柔軟な
織物でもバッグ展開時の衝撃に耐え得るよう、特定の縫
着仕様により縫製されている。
【0014】本発明は、すでに述べたように、デニール
が200デニール以下、好ましくは100〜200デニ
ールの原糸が用いられ、目付けが150g/m2 以下、
好ましくは100〜150g/m2 である織物で袋体を
構成したエアバッグにおいて、吊り紐を基布へ縫着固定
するに当たり、エアバッグを構成する基布の一側に、吊
り紐における幅の広い固定部を縫着し、基布の他側に吊
り紐の細い紐体の端部を縫着した。固定部を縫着する一
側の基布としては、展開時に衝撃が加わりやすい乗員側
基布を選定した方が好ましい。
【0015】本発明における吊り紐は、別々に複数、た
とえば2本設けてもよいが、好ましくは、その固定部を
吊り紐の略中央部に設け、その固定部を乗員側基布の中
央部に縫着し、対をなす吊り紐の両端部は対向する他方
の基布に縫着される。この場合、吊り紐の他端は、イン
フレータ挿入用開口部の補強布と共に基布へ縫着するの
が好ましい。
【0016】そして、本発明においては、固定部の基布
に対する縫着部の縫仕様を以下のように構成するのが肝
要である。すなわち、紐部の長手方向と交差する方向に
略平行な横断線部を含むステッチラインから成り、固定
部とエアバッグ本体を一体縫着する第1の縫目と、第1
の縫目の基布側の縫目部分に対してインフレータからの
熱ガスを遮蔽する一で、吊り紐からの引張力が直接伝わ
ることのない部位に縫着される第2の縫目を設けること
である。
【0017】第1の縫目は、基布の一側(乗員側基布)
がインフレータからの発生ガスにより突出するのを防止
する際の衝撃に耐え、吊り紐の突出規制力を基布に伝播
するだけの物理特性が必要であり、第2の縫目は、エア
バッグ突出時に衝撃的な引張により拡大する傾向にある
第1の縫目の基布側の縫目部分の孔から熱ガスが抜け出
ることのないように、第1の縫目の基布側の縫目周辺を
被覆、遮蔽することが要求される。
【0018】第2の縫目の位置は、第1の縫目に対し、
インフレータからの熱ガスが噴出してくる方向で縫目の
前、通常は第1の縫目の外側に設けることが好ましい。
また、第2の縫目は吊り紐からの引張力を直接伝わるこ
とのない部位に設けることが肝要である。
【0019】本発明で用いる吊り紐は、エアバッグの種
類、仕様などに応じて、本数、幅、材質などを選定すれ
ばよく、例えば基布と同一の織物、本体とは別の太いデ
ニールの糸、例えば210〜840デニールの糸を使っ
て作成した織物、細幅織物用の特殊織機で作成されたベ
ルト状織物、あるいは経織などによる織物などを用いれ
ば良い。広幅の織編物から吊り紐を裁断する場合、その
裁断方向を織物の経糸または緯糸と平行方向としてもよ
いし、経糸又は緯糸と交差する方向、例えば45°のバ
イアス方向としてもよく、要求される吊り紐特性に適宜
合わせれば良い。織編物をそのまま使用しても良いし、
場合によっては耐熱性樹脂または耐熱性ゴムを付与して
もよい。
【0020】請求項2記載の発明によれば、エアバッグ
における一方の基布と固定部との間に中間布を設けても
良い。つまり、基布と固定部との間に中間布を介在さ
せ、固定部と中間布及び基布とを第1の縫目により一体
に縫着すると共に、第1の縫目外側で、中間布と基布の
みを第2の縫目で縫着することは、本発明の目付けの小
さな織物に対して極めて有効である。
【0021】また、本発明で中間布を用いる場合は、吊
り紐と同様にエアバッグの種類、仕様などに応じて材
質、形状を選定すれば良く、例えば、基布と同一の織
物、基布とは別の太いデニールの糸を使って作成した織
物又は編物などを吊り紐への固定部と同じ形状、または
相似形状、若しくは全く異なった形状に裁断した物な
ど、いずれでもよい。また、中間布の糸軸方向をエアバ
ッグ本体と同じ方向、或いは経糸又は緯糸が交差する方
向、例えば45°のバイアス方向、などいづれの方向で
中間布を介在させてもよい。
【0022】請求項3記載の発明によれば、固定部にお
ける吊り紐の長手方向両端部に相当する部分がループ状
に折り重ねられ、この折り重なった部分を第1の縫目で
固定部に縫着し、該第1の縫目の前記長手方向外方に第
2の縫目を設けるようにしても良い。つまり、中間布を
用いずに、固定部と基布とを第2の縫目により一体に縫
着すると共に、固定部を第2の縫目を覆うように内側に
折り返し、二つ折りの折り重なった固定部と基布とを第
1の縫目により一体に縫着しても好ましい効果が得られ
る。
【0023】請求項4記載の発明によれば、横断線部は
略直線をなすことが好ましい。つまり、第1の縫目の横
断線部を、略直線状、すなわち、偏平、好ましくは半径
100mm以上の円弧、より好ましくは直線とすること
は、エアバッグ突出時に縫目が負担する衝撃力を平均化
することができるため、目付けの小さな織物の目ずれを
抑制する上で好ましい。
【0024】第1の縫目のうち、略平行な横断線部間を
連結している紐部の長手方向に設ける縫目形状は、エア
バッグ突出時に吊り紐が急激に引張られることにより発
生する衝撃力が集中しやすい突起部などがないように、
横断線部とのゆるやかな接続部を含む、曲線、円弧、あ
るいは直線など、いずれの形状としても良く、場合によ
っては、長手方向の縫目は省略しても良い。
【0025】また、基布の一側(乗員側基布)を構成す
る織物の糸軸が、吊紐の長さ方向に対してバイアス方向
とすることも好ましく、縫着部の縫目が織物を構成する
糸に対し常に異なった織目の部位に生成されることにな
り、縫目に加わる応力を多数の糸で負担することになる
ため、縫目ずれを軽減する上で有効である。
【0026】請求項5記載の発明によれば、第1の縫目
は下記(a)式と(b)式とを共に満足する条件で縫着
される吊り紐付きエアバッグで、Tは縫糸番手、Sは運
針数(針/cm)である。 (a)20≦T≦60 (b) 3≦S≦6
【0027】従来、エアバックに使用されている基布
は、315デニール以上の太い糸を用い、170〜18
0g/m2 以上の目付けをもった比較的しっかりした織
組織の織物であり、この基布を裁断して得られる各種パ
ーツを縫合せ袋体を構成する際には、10番手以下、す
なわち、750デニール以上の縫糸番手である太い縫糸
を用いて縫製していた。また、縫製時に使用するミシン
針も縫糸に対応した太いミシン針を使用していた。
【0028】しかし、本発明に使用される200デニー
ル以下の原糸を用いた目付けが150g/m2 以下であ
る極めて柔軟な織物を縫製する場合、従来と同様の縫製
法では、基布を損傷するおそれがあった。特に、従来の
315デニール以上の原糸を構成する単糸は、単糸デニ
ールが3デニール以上であり、1本、1本の糸が比較的
太いものであるのに対し、200デニール以下の原糸の
単糸は、2デニール以下の細い場合であることが多く、
太い縫糸番手とそれに対応した太いミシン針を用いて縫
製すると、単糸がミシン針の先端により傷付いたり、太
い縫糸番手が貫通することにより、織物に無理やり大き
な縫目孔を形成する傾向にある。
【0029】本発明になる細い原糸を用いた、軽くて柔
軟な織物を従来通りの縫製法により吊り紐を本体基布へ
縫着した場合、ミシン針により破損を受けた糸や大きな
縫目孔発端となって吊り紐縫着周辺部が展開時の衝撃力
により目開きしたり、場合によっては破損するおそれが
あった。
【0030】本発明では、吊り紐とエアバッグ本体、特
に乗員側基布との縫着固定部に使用する縫目Aの縫糸番
手Tを、20≦T≦60、好ましくは20≦T≦50の
範囲にすることが好ましい。20番手より小さい番手、
即ち、太い縫糸では、織物に大きな縫い目孔を形成する
ことになり、60番手より大きい番手、即ち、細い縫糸
では、縫合わせ部の補強効果が小さい。ここでいう縫糸
番手とは、JIS L−2510、L一2511、及び
L−2512に規定される化合繊縫糸と呼ぶ縫糸の番手
を示し、フィラメント糸縫糸の場合は、番手とデニール
の関係は、概略以下のとおりであり、20番手が600
〜720デニール、30番手が400〜480デニー
ル、40番手が270〜330デニール、50番手が2
00〜240デニール、60番手が140〜170デニ
ールである。紡績糸縫糸の場合は、前記各JISに記載
の数値表のデシテックスから換算すれぱよい。
【0031】又、本発明では、縫糸番手Tに対する適正
な運針数S(針/cm)を用いることにより、最適な縫
目強力を得ることができる。即ち、3≦S≦6、好まし
くは3≦S≦5となるように運針数S(針/cm)を特
定することが好ましい。
【0032】運針数Sが3より小さいと縫目強力を確保
しにくい。また、運針数Sが6より大きいと縫目間の距
離が狭くなり、急激な衝撃を受けた場合、縫目の拡大に
より熱ガスが噴出して隣接する縫目間の基布が溶融し、
縫目が連続して大きな破損部を生じる要因になり易い。
【0033】本発明において、第1の縫目の形状は第2
の縫目と、ほぼ相似形状としてもよく、全く異なる形状
でも良い。また、第2の縫目に使用する縫糸番手Tと運
針数Sは、第1の縫目と同じ、すなわち縫糸番手Tを前
記(a)式、運針数Sを前記(b)式に準じて特定して
もよく、前記(a)式および(b)式の範囲外としても
よい。
【0034】本発明の縫製に用いるミシン針は、従来の
エアバックに用いられている針番手20番手以上の太い
針より、20番手以下の細いミシン針、例えば18番
手、16番手などを用いるとよい。又、針の先端部の丸
い、ボールポイント型と呼ぶミシン針を用いると更に効
果的である。又、本発明になる縫目仕様は、使用する織
物、バッグ仕様、要求される縫着部強力などに応じて選
定すればよく、例えば、本縫い、二重環縫い、千鳥縫
い、偏平縫いなどがあり、これらの組合せでも良い。縫
目は要求される特性に応じて、一列でもよいし、複数列
でもよい。
【0035】本発明において、使用する縫糸が、上糸、
下糸などで糸番手の異なる場合は、いずれの縫糸も本発
明の関係式(a)式の関係を満足することが望ましい
が、上糸又は下糸などいずれか一方のみが(a)式の関
係を満足すればよい。本発明に使用する縫糸は、一般に
化合繊縫糸と呼ばれるものや工業用縫糸として使用され
ているものの中から適宜選定すればよく、例えばナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリエステル、ビ
ニロン、アラミド、フッ素系、カーボン、ガラスなどが
あり、紡績糸、フィラメント撚糸、フィラメント樹脂加
工糸のいずれでもよい。
【0036】本発明になるエアバックの適用部位は、運
転席、助手席、サイド(インフレータブルカーテンを含
む)、後部席など、通常使用されているエアバックの適
用部位の中から適宜選定すればよく、エアバックの袋体
の裁断形状も、円形、長円形、楕円形、矩形、多角形、
あるいはこれらの組合せなど、いずれでもよく、要望さ
れる展開形状を満足するものであればよい。
【0037】本発明の織物の製造は、通常の工業用織物
を製織するのに用いられる各種織機から適宜選定すれば
よく、例えば、シャトル織機、ウォータージェット織機
(WJL)、エアージェット織機(AJL)、レピア織
機、プロジェクタイル織機などから選べばよい。織物の
組織も、平織、斜子織(バスケット織)、綾織、格子織
(リップ・ストップ織)、あるいはこれらの複合組織な
ど、いずれでも良く、場合によっては、ドビー装置やジ
ャカード装置などを織機に併用して各種変則組織として
もよい。
【0038】本発明のエアバッグを構成する織物は、イ
ンフレータの性能、エアバッグの容量、使用部位などに
よっては、耐熱性エラストマーを付与して不通気性加工
を行ってもよいし、全く不通気性加工を施さないノンコ
ート織物でもよい。ノンコート織物の場合、精練、乾
燥、熱セツトなどを行えばよく、熱セット温度などの条
件は、通気性、機械特性などを考慮して選定すればよ
い。
【0039】また、この織物を構成する繊維糸条は特に
限定するものではなく、例えばナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612な
どの単独、またはこれらの共重合、混合により得られる
ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリト
リメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレートなどの単独、またはこれ
らの共重合、混合により得られるポリエステル繊維、パ
ラフェニレンテレフタルアミド、およびこれと芳香族エ
ーテルとの共重合体などに代表されるアラミド繊維、全
芳香族ポリエステル繊維、ビニロン繊維、超高分子量ポ
リエチレンなどのポリオレフィン繊維、塩化ビニル系お
よび塩化ビニリデン系繊維、ポリテトラフルオロエチレ
ン系を含むフッ素系繊維、ポリサルフォン(PSf)繊
維、ポリフェニレンサルファイド系(PPS)繊維、ポ
リエーテルエーテルケトン系(PEEK)繊維、ポリイ
ミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、高強力レーヨンを
含むセルロース系繊維、アクリル系繊維、炭素繊維、ガ
ラス繊維、シリコンカーバイド(SiC)繊維、アルミ
ナ繊維、などから適宜選定すれば良いが、場合によって
は、スチールに代表される金属繊維などの無機繊維を含
んでもよい。
【0040】これらの繊維糸条には、紡糸性や加工性、
材質の耐久性を改良するために通常使用されている各種
の添加剤、例えば耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定
剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、溌水剤、溌油
剤、酸化チタンなどの隠ぺい剤、光沢付与剤、難燃剤、
可塑剤、などの一種又は二種以上を使用してもよい。ま
た、場合によっては、可燃、嵩高加工、捲縮加工、捲回
加工などの加工を施してもよい。更に、糸条は、長繊維
のフィラメント、短繊維の紡績糸、これらの複合糸な
ど、特に限定しない。
【0041】耐熱性エラストマーの付与方法は、1)コ
ーティング法(ナイフ、キス、リバースなど)、2)浸
漬法、3)印捺法(スクリーン、ロール、ロータリーな
ど)などの加工法によればよく、耐熱性エラストマー
も、溶剤系、エマルジョン系、水溶液系、微粉末系など
いずれでもよい。付着量は、従来のコーティング布より
少なく、例えぱ10g/m2 以下としてもよい。
【0042】本発明に用いられる耐熱性エラストマー
は、前記加工法が適用できる材料であれば良く、例え
ば、シリコーン系、フッ素系、塩素系、ポリウレタン
系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリ
イミド系、クロルスルフォン系、フェノール系、アクリ
ル系などの一種または二種以上の混合物、あるいは共重
合物などの中から適宜選択すれぱ良いが、織物の機械特
性改良、耐熱性などの点からシリコーン系、フッ素系、
ポリウレタン系が特に好ましい。
【0043】耐熱性エラストマーは、織物の少なくとも
一方の表面、織物の間隙部あるいは繊維糸条の間隙の一
部または全部など、いずれに介在させても良い。
【0044】また、耐熱性エラストマーには基布との密
着性を向上するための各種前処理剤、接着向上剤などを
添加しても良いし、予め織物表面にプライマー処理など
の前処理を施してもよい。更に、該エラストマーに耐熱
性、老化防止性、耐酸化性などを付与するための加工剤
を添加してもよい。該エラストマーの物理特性を向上さ
せるため、エラストマーを織物に付与した後、乾燥、架
橋、加硫などを熱風処理、接触熱処理、高エネルギー処
理(高周波、電子線、紫外線)などにより行っても良
い。
【0045】耐熱性エラストマーの付与は、インフレー
ターの性能、エアバッグの容量、使用部位などに応じて
行えばよく、ノンコート織物から成るエアバックの一部
にエラストマーを付与した織物を併用しても良い。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。実施例の中で、エアバッグの性能評価は以下の
方法によった。
【0047】(展開試験)運転席用インフレーター(非
アザイド型、60リットルの最高タンク圧は185kp
a)、固定金具、樹脂製カバーを使用し、バッグを折り
畳みモジュールに組み込み、100℃で4時間予熱後、
展開試験を行い、展開後の吊り紐の乗員側基布への縫目
部の損傷状熊を観察した。
【0048】実施例1(図1〜図7):ナイロン66織
維140d/84f(原糸強度8.0g/d)を用い
て、織物密度が経・緯いずれも99本/吋の平織物を製
織した。この織物を精錬、熱セットし、織密度が経・緯
いずれも99.5本/吋のノンコート織物を得た。織物
の目付けは138g/m2 であった。
【0049】次に、ノンコート織物から、図1と図2に
示す外径φ720mmの円形布1、2を裁断した。そし
て、円形布1が本発明の「基布の一側」で、乗員側に位
置する。他の円形布2が「基布の他側」で、インフレー
タ(車体)側に位置する。円形布2の中央部に、インフ
レーター取付口3としてφ70mmの開口を設け、更に
排気孔4としてのφ35mmの円形孔を2ケ所設けた。
インフレーター取付口3の補強用に、ナイロン66繊維
420d/70fを用いて、2種類の平織物X、Yを製
織し、精錬、熱セットした。得られた平織物Xは、織物
密度が経・緯いずれも53本/吋でノンコート織物とし
て使用し、平織物Yは、織物密度が経・緯いずれも46
本/吋で、シリコーンゴムを40g/m2 塗布して、コ
ート織物として使用した。平織物X、Yから、図3に示
すような、インフレーター取付口3の補強布片5(平織
物X)、補強布片6(平織物Y)を2種類裁断した。一
方の補強布片5は、外径φ220mm、内径φ70mm
のドーナツ状で、他方の補強布片6は、それに一対の耳
部6aをつけた形状になっている。
【0050】円形布2の中央部のインフレータ取付口3
に平織物Xから裁断したノンコート補強布片5を図3の
右側に示すように、円形布2と補強布片5のそれぞれの
糸軸方向を45°ずらせて重ね、縫目径φ195mm
(外層)、φ135mm(中層)の部位で縫目N1、N
2を設けて縫着した。縫糸は、上糸、下糸ともナイロン
66糸の30番糸を用い、運針数6針/cmの本縫いで
16番手のミシン針により縫い合わせた。更に、その上
に、平織物Yから裁断した耳部6aを有する補強布片6
(図3左側)を補強布片5と同様に糸軸方向を合わせて
重ね、縫目径φ76mm(内層)の縫目N3で縫い合わ
せた。縫糸は、上糸、下糸ともナイロン66糸の5番糸
を用い、運針数4.5針/cmの本縫いで23番手のミ
シン針により縫い合わせた。更に、排気孔4の補強布片
7として、平織物Xから外径φ65m、内径φ35mm
のドーナツ状布を2枚裁断し、円形布2の排気孔4に、
それぞれ1枚ずつ重ね合わせて、径φ50mmの縫目で
縫い合わせた(縫目は図示省略)。縫糸は上糸、下糸と
もナイロン66糸の30番糸を用い、運針数4針/cm
の本縫いで16番手のミシン針により縫い合わせた。
【0051】そして、補強布片5、6が縫い合わされた
円形布2の中央部に、インフレータの取付けに用いられ
る孔径φ5.5mmのボルト孔8を開孔した。開孔した
位置は、図4に示すように補強布5、6の糸軸方向とし
た。また、吊り紐9として(吊り紐9については図6参
照)、平織物Xのバイアス方向から幅70mm、長さ6
00mmの短冊状で、紐部10の中央に固定部11とし
て幅190mmの略四辺形の丸みをもたせた形状のもの
を裁断した。また、中間布12として基布に用いたもの
と同じ140dのノンコート織物から190mm×16
0mmの略矩形のものを裁断した(尚、図5では中間布
12の図示は省略されている)。中間布12を円形布1
の中央に重ね合わせて、第2の縫目Bとして、ナイロン
66系の30番手を用い、運針数4針/cmの本縫い
で、図6に示す矩形状に一列で縫着する。更に、その上
に紐部10の固定部11を重ね合わせ、第1の縫目Aと
して、ナイロン66系の20番糸、4針/cmの本縫い
で、前記第2の縫目Bの内側において、円形布1、中間
布12、固定部11の三枚を、図6に示す矩形状の二列
で縫着した。この第1の縫目Aのうち、吊紐9の長手方
向に直交する方向で対向している辺が横断線部αであ
る。
【0052】次いで、吊り紐9における紐部10の両端
は、補強布片6の耳部6aに重ね合わせ、ナイロン66
糸の8番手を用いて、本縫いして運針数3.5針/cm
で縫付け固定した。
【0053】更に円形布1、2同士を、それぞれの糸軸
を45°ずらした位置で合わせ、外周径から20mm内
側を縫い合わせた。縫糸は、上糸がナイロン66糸の8
番糸、下糸がナイロン66の30番糸を用い、運針数5
針/cmの二重環縫い(二列)で18番手のミシン針に
より縫い合わせた。得られたエアバッグを取付口から反
転し、展開試験に供した。
【0054】展開後のエアバッグは、吊り紐9の乗員側
の円形布1の第1の縫目A及び第2の縫目Bは、目開き
や損傷など何ら変化がなく、その他の部分もいずれも破
損などは認められなかった。
【0055】実施例2(図8):実施例2では、中間布
を使用せず、吊り紐13の固定部14の長さを160m
m延長して、第2の縫目Bの外側に15mmのループ状
の折り重ね部15を設け、折り重ね部15の上布だけ
を、円形布1に対して、第2の縫目Bで縫着し、第2の
縫目Bの内側における第1の縫目Aで、二つ折りにした
部分両方を、円形布1に対して縫い付け固定した。展開
後のエアバッグは、吊り紐13の乗員側の円形布1の第
1の縫目A及び第2の縫目Bは、目開きや損傷など何ら
変化がなく、その他の部分もいずれも破損などは認めら
れなかった。
【0056】実施例3(図9):実施例3では、第1の
縫目Aの横断線部α(図6参照)に対応する部分だけ
に、細い2枚の中間布16を設け、この中間布16だけ
を第2の縫目Bで円形布1に縫着し、その内側における
第1の縫目Aで、円形布1、中間布16、固定部11の
三枚を縫い付け固定した。展開試験を行ったところ、実
施例1と同様の結果が得られた。
【0057】比較例1(図11):前記実施例1におい
て、中間布を使用せず、第1の縫目Aのみで、吊り紐9
の固定部11を、乗員側の円形布1の中央に重ね合わせ
て縫い付け固定した。それ以外は、実施例1と同じであ
る。このようなエアバッグについて展開試験を行った結
果、展開後のエアバッグは、第1の縫目Aの横断線部の
両側部分の目開きが大きかった。
【0058】比較例2(図12):前記実施例1におい
て、中間布12と円形布1を一列の縫目N4で縫着し、
その外側で中間布12と固定部11を二列の縫目N5で
縫着した。この比較例2によれば、内側の縫目N4に対
して、外側の縫目N5により熱ガスを遮蔽することがで
きず、且つ吊り紐9からの引張力が内側の縫目N4に対
して直接伝わるため、内側の縫目N4における円形布1
の目開きが大きかった。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、吊り紐の基布に対
する縫製仕様を選択することにより、軽量でありなが
ら、展開時の衝撃力に十分に耐え、安全性、信頼性の高
いエアバッグを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1に係るエアバッグの乗員側
の基布を示す平面図。
【図2】エアバッグのインフレータ側の基布を示す平面
図。
【図3】2種類の補強布片を示す平面図。
【図4】2種類の補強布片を基布に補強布片した状態を
示す平面図。
【図5】エアバッグの構造を示す一部破断の斜視図。
【図6】吊り紐の固定部を内部側から見た平面図。
【図7】吊り紐の固定部と吊り紐との縫着部を示す断面
図。
【図8】実施例2に係る吊り紐の固定部と吊り紐との縫
着部を示す断面図。
【図9】実施例3に係る吊り紐の固定部と吊り紐との縫
着部を示す断面図。
【図10】比較例1に係る吊り紐の固定部と吊り紐との
縫着部を示す断面図。
【図11】比較例2に係る吊り紐の固定部と吊り紐との
縫着部を示す断面図。
【符号の説明】
1 円形布(基布の一側) 2 円形布(基布の他側) 9、13 吊り紐 10 紐部 11、14 固定部 12、16 中間布 A 第1の縫目 B 第2の縫目

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乗員保護のためにガスによって膨張する
    袋状のエアバッグであって、 200デニール以下の原糸を用い且つ目付けが150g
    /m2 以下の織布による基布から構成され、 前記基布の一側と、それに離間して対向する基布の他側
    とを、織布による吊り紐で連結し、 該吊り紐は、基布の一側に縫着される固定部と、該固定
    部よりも狭幅で基布の他側に縫着される紐部とを一体的
    に有し、 前記固定部には、前記紐部の長手方向に交差する方向へ
    延びる横断線部を少なくとも含む第1の縫目と、該第1
    の縫目に対してガスを遮蔽し且つ吊り紐からの引張力が
    直接伝わらない部位に縫着された第2の縫目とが、設け
    られていることを特徴とする吊り紐付きエアバッグ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の吊り紐付きエアバッグで
    あって、 前記基布の一側と固定部との間には、中間布が設けられ
    ていることを特徴とする吊り紐付きエアバッグ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の吊り紐付き
    エアバッグであって、 前記吊紐は、固定部における吊り紐の長手方向両端部に
    相当する部分がループ状に折り重ねられ、この折り重な
    った部分を第1の縫目で固定部に縫着し、該第1の縫目
    の前記長手方向外方に第2の縫目を設けたことを特徴と
    する吊り紐付きエアバッグ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の吊
    り紐付きエアバッグであって、 横断線部は、略直線をなすことを特徴とする吊り紐付き
    エアバッグ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の吊
    り紐付きエアバッグであって、 第1の縫目は、下記(a)式と(b)式とを共に満足す
    る条件で縫着されることを特徴とする吊り紐付きエアバ
    ッグ。但し、Tは縫糸番手、Sは運針数(針/cm)。 (a)20≦T≦60 (b) 3≦S≦6
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019034618A (ja) * 2017-08-14 2019-03-07 トヨタ自動車株式会社 歩行者保護エアバッグ

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