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JP2001302888A - 層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体及びその製造方法 - Google Patents

層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体及びその製造方法

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Publication number
JP2001302888A
JP2001302888A JP2001037254A JP2001037254A JP2001302888A JP 2001302888 A JP2001302888 A JP 2001302888A JP 2001037254 A JP2001037254 A JP 2001037254A JP 2001037254 A JP2001037254 A JP 2001037254A JP 2001302888 A JP2001302888 A JP 2001302888A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layered silicate
olefin metathesis
group
carbon atoms
reinforced
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001037254A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeharu Morita
健晴 森田
Koichi Shibayama
晃一 柴山
Koichi Karikaya
孝一 刈茅
Nobuhiro Goto
信弘 後藤
Masafumi Nakatani
政史 中谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2001037254A priority Critical patent/JP2001302888A/ja
Publication of JP2001302888A publication Critical patent/JP2001302888A/ja
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた機械的物性、寸法安定性、耐熱性、難
燃性及びガスバリア性等の諸性能を兼備する層状珪酸塩
強化オレフィンメタセシス重合体及びその効率的且つ容
易な製造方法を提供する。 【解決手段】 オレフィンメタセシス反応性モノマーを
メタセシス重合触媒によって重合して得られるオレフィ
ンメタセシス重合体及び層状珪酸塩が含有されてなるこ
とを特徴とする層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重
合体、及び、層状珪酸塩をオレフィンメタセシス反応性
モノマー中に分散混合し、得られた混合液をメタセシス
重合触媒の存在下で重合させることを特徴とする上記層
状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、層状珪酸塩強化オ
レフィンメタセシス重合体及びその製造方法に関する。
さらに詳しくは、機械的物性、寸法安定性、耐熱性、難
燃性及びガスバリア性等に優れる層状珪酸塩強化オレフ
ィンメタセシス重合体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、オレフィンメタセシス反応性
モノマーがメタセシス重合反応によってオレフィンメタ
セシス重合体を形成することは知られている。例えば、
ジシクロペンタジエン(DCPD)のような安価に得ら
れるメタセシス重合性環状オレフィンをメタセシス重合
触媒の存在下、鋳型内で重合及び成型を一段階で行って
重合成型体を得る方法が提案されている(例えば、特開
昭58−129013号公報)。このような方法によれ
ば、安価な低圧鋳型を用いて大型成型体を得ることがで
きると共に、得られる成型体は剛性のような機械的物性
と耐衝撃性とのバランスに優れているので、有用な成型
体として活用することができる。
【0003】しかし用途によっては、より高い機械的物
性、寸法安定性、耐熱性、難燃性及びガスバリア性等が
要請され、このような要請を満たすために種々の取り組
みがなされている。例えば、特開平2−6525号公報
には、ガラス繊維をオレフィンメタセシス重合体中に分
散させることにより、成型体の強度、弾性率及び耐熱性
等を向上させる補強方法が開示されている。
【0004】しかし上記方法の場合、ガラス短繊維だけ
では十分な補強効果を得ることが困難であるので、必然
的にガラス長繊維やガラスクロス等と組み合わせること
が必要となり、精密な成型や注型のような型内に流し込
む成型方法では、得られる成型体にボイドが残ったり、
寸法にバラツキが生じるという問題点や、成型体の耐熱
性も必ずしも十分ではないという問題点がある。
【0005】又、オレフィンメタセシス重合体は、非晶
性の三次元架橋重合体であるので、ポリエチレン樹脂や
ポリプロピレン樹脂のような結晶性重合体に比較してガ
スバリア性が劣るという問題点がある。
【0006】さらに、オレフィンメタセシス重合体は、
一般的に燃焼性の高い樹脂であるので、難燃性を発現さ
せるためには、例えば、難燃剤の配合が必要となる。上
記難燃剤としては、成型性の低下や成型体の機械的強度
の低下も比較的少ないことから、含ハロゲン難燃剤が一
般的に使用される。しかし、含ハロゲン難燃剤を配合さ
れたオレフィンメタセシス重合体は、成型加工時や燃焼
時に多量のハロゲン系ガスを発生する恐れがあり、発生
したハロゲン系ガスにより、機器が腐食したり、人体へ
の好ましくない影響があるため、安全性の面から含ハロ
ゲン難燃剤を使用しない、いわゆるノンハロゲン難燃化
処理技術が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点に鑑み、優れた機械的物性、寸法安定性、
耐熱性、難燃性及びガスバリア性等の諸性能を兼備する
層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体及びその効
率的且つ容易な製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、層状珪酸塩によってオ
レフィンメタセシス重合体を強化することにより、上記
目的を達成することができることを知見し、本発明を完
成するに至った。即ち、本発明は、以下に詳述する層状
珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体及びその製造方
法を提供するものである。
【0009】請求項1に記載の発明による層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体は、層状珪酸塩と、オレ
フィンメタセシス反応性モノマーをメタセシス重合触媒
によって重合して得られるオレフィンメタセシス重合体
とを含有してなることを特徴とする。
【0010】請求項2に記載の発明による層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項1に記載
の層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体におい
て、オレフィンメタセシス重合体100重量部に対する
層状珪酸塩の配合量が0.1〜100重量部であること
を特徴とする。
【0011】請求項3に記載の発明による層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項1又は請
求項2に記載の層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重
合体において、オレフィンメタセシス反応性モノマー
が、ノルボルネン系モノマー及び/又は単環状シクロオ
レフィンであることを特徴とする。
【0012】請求項4に記載の発明による層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項3に記載
の層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体におい
て、ノルボルネン系モノマーが、ジシクロペンタジエ
ン、ジシクロペンタジエン誘導体、ノルボルネン、エチ
リデンノルボルネン及びノルボルナジエンからなる群よ
り選択される少なくとも1種のノルボルネン系モノマー
であることを特徴とする。
【0013】請求項5に記載の発明による層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項3に記載
の層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体におい
て、単環状シクロオレフィンが、シクロオクタジエンで
あることを特徴とする。
【0014】請求項6に記載の発明による層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項1〜請求
項5のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレフィンメタ
セシス重合体において、オレフィンメタセシス反応性モ
ノマー100重量部に対して、リン系化合物、金属水酸
化物及びメラミン誘導体からなる群より選択される少な
くとも1種の難燃剤0.5〜100重量部が配合されて
なることを特徴とする。
【0015】請求項7に記載の発明による層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項1〜請求
項6のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレフィンメタ
セシス重合体において、メタセシス重合触媒が、ルテニ
ウム系錯体であることを特徴とする。
【0016】請求項8に記載の発明による層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項7に記載
の層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体におい
て、ルテニウム系錯体が、前記一般式(1)〜一般式
(4)で表される少なくとも1種のルテニウム系錯体で
あることを特徴とする。
【0017】請求項9に記載の発明による層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項1〜請求
項8のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレフィンメタ
セシス重合体において、層状珪酸塩が、モンモリロナイ
ト及び/又は膨潤性マイカであることを特徴とする。
【0018】請求項10に記載の発明による層状珪酸塩
強化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項1〜請
求項9のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレフィンメ
タセシス重合体において、層状珪酸塩が、その結晶構造
中に含まれる交換性金属カチオンをカチオン系界面活性
剤によりイオン交換して有機化した層状珪酸塩であるこ
とを特徴とする。
【0019】請求項11に記載の発明による層状珪酸塩
強化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項1〜請
求項10のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレフィン
メタセシス重合体において、層状珪酸塩が、炭素数6以
上のアルキルアンモニウムイオンを含有する層状珪酸塩
であることを特徴とする。
【0020】請求項12に記載の発明による層状珪酸塩
強化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項1〜請
求項11のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレフィン
メタセシス重合体において、層状珪酸塩が、広角X線回
折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が
3nm以上であり、且つ、一部もしくは全部が5層以下
に分散している層状珪酸塩であることを特徴とする。
【0021】請求項13に記載の発明による層状珪酸塩
強化オレフィンメタセシス重合体は、上記請求項1〜請
求項12のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレフィン
メタセシス重合体において、50kW/m2 の輻射加熱
条件下で30分間加熱すること(ASTM E1354
に準拠)により燃焼させた燃焼残渣を速度0.1cm/
sで圧縮した際の降伏点応力が4.9kPa以上である
ことを特徴とする。
【0022】又、請求項14に記載の発明による層状珪
酸塩強化オレフィンメタセシス重合体の製造方法は、上
記請求項1〜請求項13のいずれかに記載の層状珪酸塩
強化オレフィンメタセシス重合体の製造方法であって、
層状珪酸塩をオレフィンメタセシス反応性モノマー中に
分散混合し、得られた混合液をメタセシス重合触媒の存
在下で重合させることを特徴とする。
【0023】さらに、請求項15に記載の発明による層
状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体の製造方法
は、上記請求項1〜請求項13のいずれかに記載の層状
珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体の製造方法であ
って、層状珪酸塩にメタセシス重合触媒を挿入(インタ
ーカレート)し、得られたメタセシス重合触媒挿入層状
珪酸塩をオレフィンメタセシス反応性モノマー中に分散
混合して重合させることを特徴とする。
【0024】本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメタセ
シス重合体は、オレフィンメタセシス反応性モノマーを
メタセシス重合触媒によって重合して得られるオレフィ
ンメタセシス重合体及び層状珪酸塩が含有されてなる。
【0025】本発明で言うオレフィンメタセシス反応と
は、特に限定されるものではないが、代表的には下記反
応式で表されるようなオレフィンのアルキリデン基が交
換する反応を意味する。 R1 CH=CHR1 +R2 CH=CHR2 ⇔2R1 CH
=CHR2 (式中、R1 CH=CHR1 及びR2 CH=CHR
2 は、それぞれオレフィンメタセシス反応性モノマーを
示す)
【0026】本発明で用いられるオレフィンメタセシス
反応性モノマーとしては、特に限定されるものではない
が、例えば、プロピレンやブタジエン等のような少なく
とも1個の不飽和二重結合を有する不飽和鎖状オレフィ
ン;シクロオクテン、シクロオクタジエン、ノルボルネ
ン等のような少なくとも1個の不飽和二重結合を有する
不飽和環状オレフィン等が挙げられ、好適に用いられ
る。これらのオレフィンメタセシス反応性モノマーは、
単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても
良い。
【0027】上記オレフィンメタセシス反応性モノマー
のなかでも、メタセシス反応性に富み、得られるオレフ
ィンメタセシス重合体の剛性などの機械的物性が優れる
ことから、ノルボルネン系モノマーがより好適に用いら
れる。又、得られるオレフィンメタセシス重合体の柔軟
性等の物性が優れることから、単環状シクロオレフィン
がより好適に用いられる。上記ノルボルネン系モノマー
及び単環状シクロオレフィンは、それぞれ単独で用いら
れても良いし、両者が併用されても良い。
【0028】上記ノルボルネン系モノマーとしては、特
に限定されるものではないが、例えば、ノルボルネン、
エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環
体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジ
エン等の三環体;テトラシクロドデセン、エチリデンテ
トラシクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセン等
の四環体;トリシクロペンタジエン等の五環体;テトラ
シクロペンタジエン等の七環体、及び、これらのアルキ
ル置換体(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル
置換体等)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン
置換体等)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリ
ル置換体等)、並びに、エポキシ基、メタクリル基、水
酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン
基、エーテル基、エステル結合含有基等の極性基を有す
るこれらの誘導体等が挙げられ、好適に用いられる。
【0029】上記ノルボルネン系モノマーのなかでも、
ジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン誘導体、
ノルボルネン、エチリデンノルボルネン及びノルボルナ
ジエンがより好適に用いられ、なかでもジシクロペンタ
ジエンが特に好適に用いられる。これらのノルボルネン
系モノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上
が併用されても良い。
【0030】又、単環状シクロオレフィンとしては、特
に限定されるものではないが、例えば、シクロブテン、
シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、シ
クロペンタジエン、シクロオクタジエン等が挙げられ、
好適に用いられるが、なかでもシクロオクタジエンがよ
り好適に用いられる。これらの単環状シクロオレフィン
は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用され
ても良い。
【0031】本発明で用いられるメタセシス重合触媒と
しては、酸素、水分、官能基等が存在しても失活せず、
上述したオレフィンメタセシス反応性モノマーを酸素や
水分が存在する通常雰囲気下でメタセシス重合させ得る
ものであれば良く、特に限定されるものではないが、例
えば、米国特許第5831108号公報に開示されてい
るようなルテニウム系錯体やオスミウム系錯体、或い
は、タングステン系錯体等が挙げられ、好適に用いられ
る。なかでも、高活性であり耐熱性、耐酸素性及び反応
制御性等に優れることから、ルテニウム系錯体がより好
適に用いられる。これらのメタセシス重合触媒は、単独
で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良
い。
【0032】ルテニウム系錯体の具体例としては、特に
限定されるものではないが、例えば、ルテニウムのアリ
ル錯体、アルキリデン錯体、アルキン錯体、アルケン錯
体、イソシアニド錯体、オキソ錯体、カルビン錯体、カ
ルベン錯体、カルボニル錯体、クロロ錯体、シアノ錯
体、チオカルボニル錯体、ニトロシル錯体、二窒素錯
体、ビニリデン錯体等が挙げられ、好適に用いられる。
なかでも、下記一般式(1)で表されるルテニウム−カ
ルベン錯体、下記一般式(2)で表されるルテニウム−
ビニリデン錯体、下記一般式(3)及び下記一般式
(4)で表されるルテニウム系錯体が特に好適に用いら
れる。これらのルテニウム系錯体は、単独で用いられて
も良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0033】
【化5】
【0034】一般式(1)において、R1 及びR2 は同
一又は異なる、水素原子、炭素数2〜20のアルケニル
基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のア
リール基、炭素数2〜20のカルボキシル基、炭素数2
〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオ
キシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2
〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のア
ルキルチオ基又はフェロセン誘導体を示し、これらは必
要に応じて、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基
又は炭素数1〜5のアルコキシ基によって置換されたフ
ェニル基によって置換されていても良い。又、X1 及び
2 は同一又は異なるアニオン性配位子を示し、L1
びL2 は同一又は異なる中性電子供与体を示し、X1
2 、L 1 及びL2 の内の2個又は3個は一緒に多座キ
レート化配位子を形成していても良い。
【0035】
【化6】
【0036】一般式(2)において、R3 及びR4 は同
一又は異なる、水素原子、炭素数2〜20のアルケニル
基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のア
リール基、炭素数2〜20のカルボキシル基、炭素数2
〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオ
キシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2
〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20のア
ルキルチオ基、炭素数2〜20のアルキルシリル基、炭
素数2〜20のアリールシリル基又はフェロセン誘導体
を示し、これらは必要に応じて、ハロゲン原子、炭素数
1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基に
よって置換されたフェニル基によって置換されていても
良い。又、X3 及びX4 は同一又は異なるアニオン性配
位子を示し、L3 及びL4 は同一又は異なる中性電子供
与体を示し、X3 、X4 、L3 及びL4 の内の2個又は
3個は一緒に多座キレート化配位子を形成していても良
い。
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】一般式(3)及び一般式(4)において、
5 、R6 、R7 及びR8 は同一又は異なる、水素原
子、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20の
アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜
20のカルボキシル基、炭素数2〜20のアルコキシ
基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数6〜
20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ
カルボニル基、炭素数2〜20のアルキルチオ基又はフ
ェロセン誘導体を示し、これらは必要に応じて、ハロゲ
ン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5の
アルコキシ基によって置換されたフェニル基によって置
換されていても良い。又、Y1 、Y2 及びY 3 は同一又
は異なる硫黄、酸素、セレン元素を示し、X5 、X6
7 及びX8は同一又は異なるアニオン性配位子を示
し、L5 、L6 、L7 及びL8 は同一又は異なる中性電
子供与体を示し、X5 、X6 、X7 、X8 、L5
6 、L7 及びL8 の内の2個又は3個は一緒に多座キ
レート化配位子を形成していても良い。
【0040】尚、一般式(1)〜一般式(4)で表され
るルテニウム系錯体は、種々の方法で製造することがで
きるが、例えば、一方でL1 〜L8 等を有する配位子前
駆体の原料を公知の方法によって合成し、他方でルテニ
ウム系錯体前駆体の原料を公知の方法によって合成し、
最後に両者の原料を混合して配位子交換反応を行うこと
により、所望のルテニウム系錯体を製造することができ
る。
【0041】一般式(1)〜一般式(4)で表されるメ
タセシス重合性を示すルテニウム系錯体は、酸素や水分
の存在する通常雰囲気下で安定なルテニウム系メタセシ
ス重合触媒であるが、同様の性質を有するものであれ
ば、他のルテニウム系メタセシス重合触媒であっても良
い。
【0042】ノルボルネン系モノマーに代表されるオレ
フィンメタセシス反応性モノマーのルテニウム系メタセ
シス重合触媒によるメタセシス重合は、ルテニウム系メ
タセシス重合触媒の水分に対する安定性が優れるため、
重合自体が水分によって阻害されることがなく、良好な
硬化性を示す。これに対し、例えば不飽和ポリエステル
を始めとする過酸化物系重合触媒によるラジカル重合
は、水分の影響を受け易く、硬化不良を生ずることがあ
る。
【0043】一般式(1)〜一般式(4)で表されるル
テニウム系錯体は、ルテニウム系メタセシス重合触媒の
なかでもメタセシス重合活性に優れているので、速硬化
性に優れる層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体
を得ることができる。
【0044】これらのルテニウム系錯体は、オレフィン
メタセシス反応性モノマーに対する分散性を向上させる
ために溶媒に希釈して用いることが好ましい。このよう
な溶媒としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、トルエン、ベンゼン、m−キシレン、p−キシレ
ン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等が挙げら
れ、好適に用いられる。これらの溶媒は、単独で用いら
れても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0045】ルテニウム系錯体に代表されるメタセシス
重合触媒の配合量は、特に限定されるものではないが、
オレフィンメタセシス反応性モノマー1モルに対して、
メタセシス重合触媒1/5〜1/1000000モルで
あることが好ましく、より好ましくはメタセシス重合触
媒1/1000〜1/100000モルである。上記範
囲で、必要なポットライフ(可使時間)及び硬化時間に
基づいて、メタセシス重合触媒の配合量を設定すれば良
い。
【0046】本発明で用いられる層状珪酸塩とは、結晶
構造中(層間)に交換性金属カチオンを有する珪酸塩鉱
物を意味する。
【0047】上記層状珪酸塩としては、特に限定される
ものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイ
ト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、
ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、バー
ミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げら
れ、好適に用いられる。なかでもモンモリロナイト及び
/又は膨潤性マイカがより好適に用いられる。上記層状
珪酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても
良い。又、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0048】上記層状珪酸塩としては、下記関係式で定
義される形状異方性効果の大きいスメクタイト類や膨潤
性マイカを用いることが好ましい。スメクタイト類や膨
潤性マイカのような形状異方性効果の大きい層状珪酸塩
を用いることにより、得られる層状珪酸塩強化オレフィ
ンメタセシス重合体の機械的物性はより優れたものとな
る。 形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶表面
(B)の面積 尚、上記関係式中、結晶表面(A)は層表面を意味し、
結晶表面(B)は層側面を意味する。
【0049】上記層状珪酸塩の形状は、特に限定される
ものではないが、平均長さが0.01〜3μm、厚みが
0.001〜1μm、アスペクト比が20〜500であ
るものが好ましく、より好ましくは、平均長さが0.0
5〜2μm、厚みが0.01〜0.5μm、アスペクト
比が50〜200のものである。
【0050】上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性金
属カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナ
トリウムやカルシウムなどの金属のイオンのことであ
り、これらのイオンは、カチオン性物質とのイオン交換
性を有するため、カチオン性を有する種々の物質を上記
層状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)する
ことができる。
【0051】上記層状珪酸塩のカチオン交換容量は、特
に限定されるものではないが、50〜200ミリ等量/
100gであることが好ましい。層状珪酸塩のカチオン
交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、イオ
ン交換により層状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカ
レート)されるカチオン性物質の量が少なくなるため
に、結晶層間が十分に非極性化されないことがあり、逆
に層状珪酸塩のカチオン交換容量が200ミリ等量/1
00gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強
固となりすぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがあ
る。
【0052】本発明においては、予め層状珪酸塩の層間
に存在する交換性金属カチオンをカチオン性界面活性剤
でイオン交換して有機化し、疎水化しておくことが好ま
しい。予め層状珪酸塩の層間を疎水化しておくことによ
り、層状珪酸塩とオレフィンメタセシス重合体との親和
性が高まり、層状珪酸塩をオレフィンメタセシス重合体
中により均一に微分散させることができる。
【0053】上記カチオン性界面活性剤としては、特に
限定されるものではなく、例えば、4級アンモニウム
塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、好適に用いられ
る。なかでも、層状珪酸塩の結晶層間を十分に非極性化
し得ることから、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4
級アンモニウム塩(炭素数6以上のアルキルアンモニウ
ム塩)がより好適に用いられる。
【0054】上記4級アンモニウム塩としては、特に限
定されるものではないが、例えば、ラウリルトリメチル
アンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム
塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチ
ルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム
塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリ
オキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアン
モニウム塩等が挙げられ、好適に用いられる。これらの
4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2
種類以上が併用されても良い。
【0055】本発明で用いられる層状珪酸塩は、上述の
ように化学処理によってオレフィンメタセシス重合体中
への分散性を向上させることができる。
【0056】上記化学処理は、カチオン性界面活性剤に
よるカチオン交換法(以下、「化学修飾(1)法」と記
す)に限定されるものではなく、例えば、以下に示す各
種化学処理法によっても実施することができる。尚、化
学修飾(1)法を含め、以下に示す各種化学処理法によ
ってオレフィンメタセシス重合体中への分散性を向上さ
せた層状珪酸塩を、以下、「有機化層状珪酸塩」と記
す。
【0057】(2)化学修飾(1)法で化学処理された
有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これ
と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも
化学的親和性の大きい官能基を分子末端に1個以上有す
る化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(2)
法」と記す)。
【0058】(3)化学修飾(1)法で化学処理された
有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これ
と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも
化学的親和性の大きい官能基及び反応性官能基を分子末
端に1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、
「化学修飾(3)法」と記す)。
【0059】(4)化学修飾(1)法で化学処理された
有機化層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性を
有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾
(4)法」と記す)。
【0060】(5)化学修飾(4)法において、アニオ
ン性界面活性を有する化合物の分子鎖中のアニオン部位
以外に反応性官能基を1個以上有する化合物で化学処理
する方法(以下、「化学修飾(5)法」と記す)。
【0061】(6)上記化学修飾(1)法〜化学修飾
(5)法のいずれかの方法で化学処理された有機化層状
珪酸塩に、さらに、例えば、無水マレイン酸変性オリゴ
マー等のような層状珪酸塩と反応可能な官能基を有する
重合体を添加した組成物を用いる方法(以下、「化学修
飾(6)法」と記す)等が挙げられる。これらの化学修
飾法は、単独で用いられても良いし、2種類以上の方法
が併用されても良い。
【0062】上記化学修飾(2)法において、水酸基と
化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化
学的親和性の大きい官能基としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、アルコキシ基、エポキシ基、カ
ルボキシル基(二塩基性酸無水物も包含する)、水酸
基、イソシアネート基、アルデヒド基等の官能基や、水
酸基との化学的親和性が高いその他の官能基等が挙げら
れる。
【0063】水酸基と化学結合し得る官能基、又は、化
学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を有す
る化合物としては、特に限定されるものではないが、例
えば、上記に例示した官能基を有するシラン化合物、チ
タネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、ア
ルコール類等が挙げられ、好適に用いられる。これらの
化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併
用されても良い。
【0064】上記シラン化合物としては、特に限定され
るものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチ
ルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキ
シルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オク
タデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
等が挙げられ、好適に用いられる。これらのシラン化合
物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用さ
れても良い。
【0065】又、化学修飾(4)法及び化学修飾(5)
法において、アニオン性界面活性を有する化合物、及び
/又は、アニオン性界面活性を有し、分子鎖中のアニオ
ン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物とし
ては、イオン相互作用により層状珪酸塩を化学処理でき
るものであれば如何なる化合物であっても良く、特に限
定されるものではないが、例えば、ラウリル酸ナトリウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、
高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール
硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が
挙げられ、好適に用いられる。これらの化合物は、単独
で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良
い。
【0066】本発明で用いられる層状珪酸塩は、広角X
線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距
離が3nm以上であり、且つ、一部もしくは全部が5層
以下に分散している層状珪酸塩であることが好ましく、
より好ましくは、上記平均層間距離が6nm以上であ
り、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散している
層状珪酸塩である。尚、本発明で言う層状珪酸塩の平均
層間距離とは、層状珪酸塩の微細薄片状結晶を層とした
場合の平均の層間距離を意味し、X線回折ピーク及び透
過型電子顕微鏡撮影、即ち、広角X線回折測定法によ
り、算出することができる。
【0067】層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上で
あり、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散してい
ると、層状珪酸塩をオレフィンメタセシス重合体中に分
散させて得られる本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメ
タセシス重合体は、優れた難燃性、機械的物性、耐熱性
等の諸性能を発現するものとなる。
【0068】層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上で
あるということは、層状珪酸塩の層間が3nm以上に開
裂していることを意味しており、又、層状珪酸塩の一部
もしくは全部が5層以下に分散しているということは、
層状珪酸塩の積層体の一部もしくは全部が広く分散して
いることを意味しており、いずれも層状珪酸塩の層間の
相互作用が弱まっていることになり、そのことにより、
上記効果を得ることができる。
【0069】特に、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm
以上であると、層状珪酸塩をオレフィンメタセシス重合
体中に分散させて得られる本発明の層状珪酸塩強化オレ
フィンメタセシス重合体は、著しく優れた難燃性、機械
的物性、耐熱性等の諸性能を発現するものとなる。又、
層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上、好ましくは6
nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分
離し、層状珪酸塩の相互作用が殆ど無視できるほどに弱
まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片のオレフィン
メタセシス重合体中での分散状態が離砕安定化の方向に
進行する利点がある。
【0070】又、層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層
以下に分散しているということは、具体的には、層状珪
酸塩の10%以上が5層以下に分散している状態にある
ことが好ましいことを意味し、より好ましくは層状珪酸
塩の20%以上が5層以下に分散している状態である。
【0071】層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層し
ていることが好ましく、そのことにより、上記効果を得
ることができるが、より好ましくは3層以下に分層して
いることであり、特に好ましくは単層状に薄片化してい
ることである。
【0072】本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメタセ
シス重合体において、層状珪酸塩の平均層間距離が3n
m以上であり、且つ、層状珪酸塩の一部もしくは全部が
5層以下に分散している状態、即ち、オレフィンメタセ
シス重合体中に層状珪酸塩が高分散している状態であれ
ば、オレフィンメタセシス重合体と層状珪酸塩との界面
面積が増大したり、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均距離
が小さくなる。
【0073】オレフィンメタセシス重合体と層状珪酸塩
との界面面積が増大すると、層状珪酸塩の表面における
オレフィンメタセシス重合体の拘束の度合いが高まり、
弾性などの機械的物性が向上する。又、層状珪酸塩の表
面におけるオレフィンメタセシス重合体の拘束の度合い
が高まると、溶融粘度が高まり、成型性も向上する。さ
らに、層状珪酸塩の邪魔板効果により、ガスバリア性の
発現も可能となる。
【0074】一方、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均距離
が小さくなると、燃焼時において、層状珪酸塩の結晶薄
片の移動による焼結体を形成し易くなる。即ち、層状珪
酸塩の結晶薄片が上記平均層間距離が3nm以上となる
ように分散した層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重
合体は、難燃被膜となり得る焼結体を形成し易くなる。
この焼結体は、燃焼時の早い段階で形成されるので、外
界からの酸素の供給を遮断するのみならず、燃焼により
発生する可燃性ガスも遮断することができ、層状珪酸塩
強化オレフィンメタセシス重合体は優れた難燃性を発現
する。
【0075】本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメタセ
シス重合体は、特に限定されるものではないが、オレフ
ィンメタセシス重合体100重量部及び層状珪酸塩0.
1〜100重量部が含有されてなることが好ましく、よ
り好ましくは層状珪酸塩1〜20重量部である。
【0076】オレフィンメタセシス重合体100重量部
に対する層状珪酸塩の含有量が0.1重量部未満である
と、機械的物性や諸機能の発現効果を十分に得られない
ことがあり、逆にオレフィンメタセシス重合体100重
量部に対する層状珪酸塩の含有量が100重量部を超え
ると、層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体の密
度(比重)が高くなりすぎて、実用性が乏しくなること
がある。
【0077】本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメタセ
シス重合体には、必須成分であるオレフィンメタセシス
重合体及び層状珪酸塩以外に、本発明の課題達成を阻害
しない範囲で必要に応じて、難燃性をさらに向上させる
ために難燃剤が配合されていることが好ましい。
【0078】上記難燃剤としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、リン系化合物、金属水酸化物、金
属酸化物、メラミン誘導体等が挙げられ、なかでもリン
系化合物、金属水酸化物及びメラミン誘導体が好適に用
いられる。これらの難燃剤は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。
【0079】難燃剤として用いられ得るリン系化合物と
しては、特に限定されるものではないが、例えば、赤リ
ン、ポリリン酸アンモニウム、下記一般式(5)で表さ
れるリン化合物等が挙げられ、好適に用いられる。これ
らのリン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種
類以上が併用されても良い。 R3 (R2 )(OR1 )P=O 式(5) (式中、R1 及びR3 は、水素原子、炭素数1〜16の
アルキル基又はアリール基を示し、R2 は、水素原子、
水酸基、炭素数1〜16のアルキル基、アルコキシ基、
アリール基又はアリーロキシ基を示し、R1 、R2 及び
3 は、それぞれ同じであっても良いし、異なっていて
も良い)尚、上記炭素数が16を超えると、リンの相対
比率が低くなって難燃化効果が不十分となることがあ
る。
【0080】上記赤リンは、耐湿性向上及びオレフィン
メタセシス反応性モノマーに添加して混練する際の自然
発火防止の観点から、表面が樹脂で被覆されたものが好
ましい。又、ポリリン酸アンモニウムは、メラミン変性
等の表面処理が施されたものであっても良い。
【0081】又、一般式(5)で表されるリン化合物と
しては、特に限定されるものではないが、例えば、メチ
ルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホス
ホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン
酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン
酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチルブチルホ
スホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、
ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン
酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフ
ィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン
酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィ
ン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフ
ェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
【0082】上記リン系化合物の配合量は、特に限定さ
れるものではないが、前記オレフィンメタセシス反応性
モノマー100重量部に対して、リン系化合物0.5〜
100重量部であることが好ましく、より好ましくは2
〜50重量部である。
【0083】オレフィンメタセシス反応性モノマー10
0重量部に対するリン系化合物の配合量が0.5重量部
未満であると、十分な難燃性を得られないことがあり、
逆にオレフィンメタセシス反応性モノマー100重量部
に対するリン系化合物の配合量が100重量部を超える
と、層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体の機械
的物性が低下することがある。
【0084】難燃剤として用いられ得る金属水酸化物と
しては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸
化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ドーソナイト、
アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、水酸化カルシウ
ム等が挙げられ、好適に用いられる。なかでも水酸化マ
グネシウム及び水酸化アルミニウムがより好適に用いら
れる。これらの金属水酸化物は、単独で用いられても良
いし、2種類以上が併用されても良い。2種類以上の金
属水酸化物を併用すると、各々が異なる温度で分解脱水
反応を開始するので、より高い難燃化効果を得ることが
できる。又、これらの金属水酸化物は、シランカップリ
ング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリ
ング剤、ポリビニルアルコール系表面処理剤、エポキシ
系表面処理剤等の表面処理剤で表面処理が施されていて
も良い。
【0085】上記金属水酸化物は、燃焼時の高熱下で吸
熱脱水反応を起こして吸熱し水分子を放出することによ
り、燃焼場の温度を低下させ、消火する効果を発揮す
る。本発明においては、オレフィンメタセシス重合体に
層状珪酸塩が配合されているので、上記金属水酸化物に
よる難燃化効果が増大される。これは層状珪酸塩の燃焼
時の被膜形成による難燃化効果と、金属水酸化物の吸熱
脱水反応による難燃化効果とが競争的に起こり、それぞ
れの効果を助長していることによる。
【0086】上記金属水酸化物の配合量は、特に限定さ
れるものではないが、前記オレフィンメタセシス反応性
モノマー100重量部に対して、金属水酸化物0.5〜
100重量部であることが好ましく、より好ましくは2
0〜60重量部である。
【0087】オレフィンメタセシス反応性モノマー10
0重量部に対する金属水酸化物の配合量が0.5重量部
未満であると、十分な難燃性を得られないことがあり、
逆にオレフィンメタセシス反応性モノマー100重量部
に対する金属水酸化物の配合量が100重量部を超える
と、層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体の密度
(比重)が増大したり、柔軟性が損なわれたり等のデメ
リットが生じることがある。
【0088】難燃剤として用いられ得るメラミン誘導体
としては、特に限定されるものではないが、例えば、メ
ラミン、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレ
ート、リン酸メラミン等や、これらに表面処理が施され
たもの等が挙げられ、好適に用いられる。これらのメラ
ミン誘導体は、単独で用いられても良いし、2種類以上
が併用されても良い。
【0089】上記メラミン誘導体の配合量は、特に限定
されるものではないが、前記オレフィンメタセシス反応
性モノマー100重量部に対して、メラミン誘導体0.
5〜100重量部であることが好ましく、より好ましく
は1〜30重量部である。
【0090】オレフィンメタセシス反応性モノマー10
0重量部に対するメラミン誘導体の配合量が0.5重量
部未満であると、十分な難燃性を得られないことがあ
り、逆にオレフィンメタセシス反応性モノマー100重
量部に対するメラミン誘導体の配合量が100重量部を
超えると、層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体
の機械的物性が低下したり、燃焼時における層状珪酸塩
の燃焼被膜の形成が阻害されることがある。
【0091】又、本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメ
タセシス重合体には、必須成分であるオレフィンメタセ
シス重合体及び層状珪酸塩並びに必要に応じて配合され
る上記難燃剤以外に、本発明の課題達成を阻害しない範
囲で必要に応じて、粘度調整剤が配合されても良い。
【0092】上記粘度調整剤としては、オレフィンメタ
セシス反応性モノマーのメタセシス重合時にオレフィン
メタセシス重合体中に組み込まれ得る反応性粘度調整剤
が好ましく、特に限定されるものではないが、例えば、
オレフィン性不飽和基を有するポリブタジエンやポリイ
ソプレン等が挙げられ、好適に用いられる。これらの粘
度調整剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が
併用されても良い。又、粘度調整剤の配合量は、特に限
定されるものではないが、オレフィンメタセシス反応性
モノマー全量中0.1〜50重量%であることが好まし
く、より好ましくは0.1〜20重量%である。
【0093】さらに、本発明の層状珪酸塩強化オレフィ
ンメタセシス重合体には、必須成分であるオレフィンメ
タセシス重合体及び層状珪酸塩並びに必要に応じて配合
される難燃剤や粘度調整剤以外に、本発明の課題達成を
阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、増量又は粘度
調整のための炭酸カルシウム、タルク、クレー、炭酸マ
グネシウム、炭酸水素ナトリウム、フライアッシュ、硅
砂等の充填剤や、分子量調整剤、高分子改質剤、揺変性
付与剤、軟化剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、
着色剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定
剤、紫外線吸収剤、消泡剤等の各種添加剤の1種もしく
は2種以上が配合されても良い。
【0094】本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメタセ
シス重合体は、ASTM E 1354に準拠した燃焼
試験において、50kW/m2 の輻射加熱条件下で30
分間加熱することにより燃焼させた燃焼残渣を速度0.
1cm/sで圧縮した際の降伏点応力が4.9kPa以
上であることが好ましく、より好ましくは15.0kP
a以上である。
【0095】層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合
体の燃焼残渣の降伏点応力が4.9kPa未満である
と、微少な力で燃焼残渣の崩壊が起こり易くなって、層
状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体の難燃性が不
十分となることがある。即ち、本発明の層状珪酸塩強化
オレフィンメタセシス重合体の焼結体が難燃被膜として
の機能を十分に発現するためには、4.9kPa以上の
降伏点応力を有することにより燃焼終了時まで焼結体が
その形状を保持していることが好ましい。
【0096】次に、本発明の層状珪酸塩強化オレフィン
メタセシス重合体の製造方法について述べる。
【0097】本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメタセ
シス重合体の製造方法は、層状珪酸塩をオレフィンメタ
セシス反応性モノマー中に分散混合し、得られた混合液
をメタセシス重合触媒の存在下で重合させることを特徴
とする(以下、「第1の製造方法」と記す)。
【0098】又、本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメ
タセシス重合体の製造方法は、層状珪酸塩にメタセシス
重合触媒を挿入(インターカレート)し、得られたメタ
セシス重合触媒挿入層状珪酸塩をオレフィンメタセシス
反応性モノマー中に分散混合して重合させることを特徴
とする(以下、「第2の製造方法」と記す)。
【0099】(1)第1の製造方法 第1の製造方法においては、先ず層状珪酸塩をオレフィ
ンメタセシス反応性モノマー中に分散混合する。その方
法としては、特に限定されるものではないが、例えば、
層状珪酸塩とモノマーとを予め混合する方法が挙げられ
る。このように、層状珪酸塩とモノマーとを予め混合す
ることにより、モノマー中に層状珪酸塩を十分に膨潤、
分散させることができる。このため、次工程である重合
の際に、オレフィンメタセシス重合体中に層状珪酸塩が
微分散した層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体
を効率的且つ容易に得ることができる。この方法の場
合、モノマー及び層状珪酸塩の全量を一度に混合しても
良いし、又、モノマーの一部と層状珪酸塩の全量とを混
合した後、さらにモノマーの残量を加えて混合しても良
い。
【0100】モノマーと層状珪酸塩とを混合する装置と
しては、特に限定されるものではないが、例えば、遊星
式攪拌装置、湿式メカノケミカル装置、ヘンシェルミキ
サー、ホモジナイザー、超音波照射機、スタティックミ
キサー等が挙げられる。
【0101】次いで、モノマーと層状珪酸塩との分散混
合液にメタセシス重合触媒を添加し、モノマーを重合さ
せることにより、所望の層状珪酸塩強化オレフィンメタ
セシス重合体を製造することができる。この場合、必要
に応じて、重合容器もしくは重合型(成型型)や上記分
散混合液を30〜150℃に加温して、重合速度をコン
トロールすることが好ましい。
【0102】(2)第2の製造方法 第2の製造方法においては、先ず層状珪酸塩にメタセシ
ス重合触媒を挿入(インターカレート)する。このよう
にしてメタセシス重合触媒を担持した層状珪酸塩を得た
後、これをオレフィンメタセシス反応性モノマー中に分
散混合させることにより、層状珪酸塩の層間にモノマー
を十分に浸透させることができる。このため、次工程で
ある重合の際に、層状珪酸塩の層間から重合が始まるこ
とになり、オレフィンメタセシス重合体中に層状珪酸塩
が微分散した層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合
体を効率的且つ容易に得ることができる。
【0103】層状珪酸塩にメタセシス重合触媒を挿入
(インターカレート)する方法としては、特に限定され
るものではないが、例えば、層状珪酸塩とメタセシス重
合触媒とをメノー製乳鉢で擦り込む方法や、水や有機溶
剤等の溶媒中にメタセシス重合触媒を分散させた状態で
層状珪酸塩に挿入(インターカレート)する方法等が挙
げられる。
【0104】次いで、メタセシス重合触媒が挿入(イン
ターカレート)された層状珪酸塩をモノマー中に分散混
合させ、第1の製造方法の場合と同様にしてモノマーを
重合させることにより、所望の層状珪酸塩強化オレフィ
ンメタセシス重合体を製造することができる。
【0105】本発明の製造方法(第1の製造方法及び第
2の製造方法)において、オレフィンメタセシス反応性
モノマーの重合は、モノマーと相溶性のある溶媒中で行
われても良いし、又、モノマーと相溶性のない溶媒中で
行われても良い。
【0106】モノマーと相溶性のある溶媒としては、特
に限定されるものではないが、例えば、ペンタン、ヘキ
サン等の飽和炭化水素系有機溶剤、ベンゼン、トルエン
等の芳香族系有機溶剤、塩化メチレン、クロロホルム等
のハロゲン化有機溶剤、ジエチルエーテル、1,2−ジ
メトキシエタン等のエーテル系有機溶剤、酢酸メチル、
酢酸エチル等のエステル系有機溶剤等が挙げられる。
又、モノマーと相溶性のない溶媒としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、水やアルコール等が挙げ
られる。これらの溶媒は、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。
【0107】又、モノマーの重合は、特に限定されるも
のではないが、例えば窒素ガスのような不活性ガス雰囲
気下で行われることが好ましいが、メタセシス重合触媒
として前記ルテニウム系錯体を用いる場合には、空気中
で重合することができる。
【0108】又、一般に、メタセシス重合反応により得
られるオリゴマーは、不飽和二重結合を有し、空気中の
酸素などにより劣化することがあるので、この劣化を防
止するために、重合反応系中に酸化防止剤を添加しても
良い。
【0109】メタセシス重合反応系中に添加できる酸化
防止剤としては、重合反応に関与しないものであれば如
何なる酸化防止剤であっても良く、特に限定されるもの
ではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス
[3−(3−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メ
チルフェノール、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5
−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−
ジメチルジベンジル)イソシアヌレート等が挙げられ、
好適に用いられる。これらの酸化防止剤は、単独で用い
られても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0110】尚、メタセシス重合触媒として前記一般式
(1)〜一般式(4)で表されるルテニウム系錯体を用
いてメタセシス重合反応を行う場合には、これらのルテ
ニウム系錯体は、メタセシス重合反応触媒としてのみな
らず、水素添加触媒としても好適に用いられるので、オ
リゴマー合成工程と水素添加工程とを連続的に行うこと
もできる。上記水素添加は、メタセシス重合触媒の種類
により、均一系又は不均一系で、通常1〜200気圧の
水素圧下、0〜250℃の温度下で行われる。
【0111】本発明の製造方法で得られる層状珪酸塩強
化オレフィンメタセシス重合体の物性(機械的物性、耐
熱性、ガスバリア性及び透明性)に関しては、一般に、
層状珪酸塩がオレフィンメタセシス重合体中に微細に分
散すればするほど、層状珪酸塩強化オレフィンメタセシ
ス重合体(オレフィンメタセシス重合体−層状珪酸塩複
合材料)の上記物性が向上すると言うことができる。こ
のことは、層状珪酸塩のアスペクト比の増大並びに層状
珪酸塩とオレフィンメタセシス重合体との間の界面面積
の増大と、層状珪酸塩の分散性の向上との関係により説
明することができる。即ち、オレフィンメタセシス重合
体と層状珪酸塩との界面においてオレフィンメタセシス
重合体の分子運動が拘束されることにより、オレフィン
メタセシス重合体の弾性率等の機械的物性や耐熱性が向
上するため、層状珪酸塩の分散度合いが向上すればする
ほど、効率的にオレフィンメタセシス重合体の物性を向
上させることができる。又、無機物に比較して、オレフ
ィンメタセシス重合体層はガス分子が透過しやすいた
め、層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体中をガ
ス分子が拡散する際には、無機物を迂回しながら拡散す
る。従って、層状珪酸塩の分散度合いが向上すればする
ほど、効率的にガスバリア性を向上させることができ
る。さらに、透明性の高いオレフィンメタセシス重合体
に層状珪酸塩を配合した場合、分散している層状珪酸塩
の大きさが大きいと光が散乱されて不透明になってしま
うが、層状珪酸塩が微細に分散されればされるほど光の
散乱が小さくなって透明性が向上する。又、熱的な寸法
安定性も機械的物性と同様に、層状珪酸塩の分散度合い
が向上すればするほど、顕著に向上する。
【0112】
【作用】本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス
重合体は、オレフィンメタセシス重合体と層状珪酸塩と
が含有されてなるので、燃焼時に層状珪酸塩による焼結
体が形成され、燃焼残渣の形状が保持される。これによ
り燃焼後も形状崩壊が起こらず、延焼を防止することが
できる。
【0113】従って、本発明の層状珪酸塩強化オレフィ
ンメタセシス重合体やその重合体からなる成形体は、優
れた難燃性を発現する。又、層状珪酸塩は通常の難燃剤
のように大量に添加しなくともオレフィンメタセシス重
合体に対して優れた難燃性を付与できるので、上記重合
体や成形体は、優れた機械的物性や透明性を保持でき
る。又、本発明の層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス
重合体は、弾性率やガスバリア性等の物性が向上してい
ると共に、分子鎖の拘束による耐熱変形温度の上昇に基
づく耐熱性の向上や、層状珪酸塩の結晶による核剤効果
に基づく寸法安定性の向上等も図られている。
【0114】又、本発明の製造方法によれば、モノマー
が層状珪酸塩の層間に進入した状態で重合を行うので、
層状珪酸塩を微細に分散させることが可能であり、従っ
て比較的少量の層状珪酸塩の配合で上記優れた諸性能を
兼備する層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体を
効率的且つ容易に得ることができる。
【0115】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は
「重量部」を意味する。
【0116】本実施例においては以下に示す原材料を用
いた。 1.オレフィンメタセシス反応性モノマー (1)ジシクロペンタジエン (2)エチリデンノルボルネン 2.メタセシス重合触媒 (1)ルテニウム系錯体(a):米国特許第58311
08号公報に準拠して合成した、下記式(6)で表され
るルテニウム系錯体。
【化9】 (式中、Cyはシクロヘキシル基を示す) (2)ルテニウム系錯体(b):5.57g(9.1m
mol)のRu(p−cymene)Cl2 に対して、
18.2mmolのPCy3 及び9.1mmolの1−
トリメチルシリルヘキシンを150mlのトルエン(溶
媒)と共に300mlのフラスコ中で、窒素気流下、7
時間反応させた後、トルエンを減圧除去し、テトラヒド
ロフラン/エタノール系溶媒中にて再結晶を行うことに
より合成した、下記式(7)で表されるルテニウム系錯
体。
【化10】 (式中、Cyはシクロヘキシル基を示し、Meはメチル
基を示し、nBuはn−ブチル基を示す) 3.層状珪酸塩 (1)モンモリロナイト:商品名「ベンゲルA」(豊順
鉱業社製)。 (2)膨潤性マイカ:商品名「ME−100」(コープ
ケミカル社製)。 (3)DSDM変性モンモリロナイト:ジステアリルジ
メチルアンモニウムクロライド(DSDM)によってモ
ンモリロナイト層間のナトリウムイオンの全量をイオン
交換した有機化モンモリロナイト(商品名「ニューエス
ベンD」、豊順鉱業社製)。 (4)DSDM変性膨潤性マイカ:DSDMによって膨
潤性マイカ層間のナトリウムイオンの全量をイオン交換
した有機化膨潤性マイカ(商品名「MAE−100」、
コープケミカル社製)。
【0117】(実施例1)オレフィンメタセシス反応性
モノマーとしてジシクロペンタジエンとエチリデンノル
ボルネンとを90:10のモル比で混合した混合モノマ
ー液を用いた。層状珪酸塩としてモンモリロナイト「ベ
ンゲルA」を用い、上記混合モノマー液に対して5重量
%の充填率となるように秤量して、混合モノマー液中に
混合し、分散させた。その後、得られた混合分散液中
に、トルエン(溶媒)200重量部にルテニウム系錯体
(a)10重量部を溶解させたメタセシス重合触媒溶液
を、上記混合モノマー液に対するルテニウム錯体(a)
のモル比が1/10000となるように配合し、攪拌混
合を行って、オレフィンメタセシス反応性モノマー組成
物を作製した。次いで直ちに、得られたオレフィンメタ
セシス反応性モノマー組成物を評価用試験片として好適
な厚み(2mm、3mm、25μm)となるように成型
型に流し込み(厚み2mm及び3mm)、又は、塗布
(厚み25μm)して、オーブン中にて、60℃で10
分間重合を行って、各評価用試験片を作製した。
【0118】(実施例2)層状珪酸塩として、モンモリ
ロナイト「ベンゲルA」の代わりに、DSDM変性モン
モリロナイト「ニューエスベンD」を用いたこと以外は
実施例1の場合と同様にして、オレフィンメタセシス反
応性モノマー組成物及び各評価用試験片を作製した。
【0119】(実施例3)層状珪酸塩として、モンモリ
ロナイト「ベンゲルA」の代わりに、膨潤性マイカ「M
E−100」を用いたこと以外は実施例1の場合と同様
にして、オレフィンメタセシス反応性モノマー組成物及
び各評価用試験片を作製した。
【0120】(実施例4)層状珪酸塩として、モンモリ
ロナイト「ベンゲルA」の代わりに、DSDM変性膨潤
性マイカ「MAE−100」を用いたこと以外は実施例
1の場合と同様にして、オレフィンメタセシス反応性モ
ノマー組成物及び各評価用試験片を作製した。
【0121】(実施例5)層状珪酸塩としてのモンモリ
ロナイト「ベンゲルA」に対してメタセシス重合触媒と
してのルテニウム系錯体(a)が2重量%となるように
秤量し、両者をメノー製乳鉢中で混合しながら擦り込む
ことにより、モンモリロナイト「ベンゲルA」の層間に
ルテニウム系錯体(a)を挿入(インターカレート)し
た。上記ルテニウム系錯体(a)が挿入されたモンモリ
ロナイト「ベンゲルA」を用いたこと以外は実施例1の
場合と同様にして、オレフィンメタセシス反応性モノマ
ー組成物及び各評価用試験片を作製した。
【0122】(実施例6)層状珪酸塩として、モンモリ
ロナイト「ベンゲルA」の代わりに、DSDM変性モン
モリロナイト「ニューエスベンD」を用いたこと以外は
実施例5の場合と同様にして、オレフィンメタセシス反
応性モノマー組成物及び各評価用試験片を作製した。
【0123】(実施例7)層状珪酸塩として、モンモリ
ロナイト「ベンゲルA」の代わりに、膨潤性マイカ「M
E−100」を用いたこと以外は実施例5の場合と同様
にして、オレフィンメタセシス反応性モノマー組成物及
び各評価用試験片を作製した。
【0124】(実施例8)層状珪酸塩として、モンモリ
ロナイト「ベンゲルA」の代わりに、DSDM変性膨潤
性マイカ「MAE−100」を用いたこと以外は実施例
5の場合と同様にして、オレフィンメタセシス反応性モ
ノマー組成物及び各評価用試験片を作製した。
【0125】(実施例9)メタセシス重合触媒として、
ルテニウム系錯体(a)の代わりに、ルテニウム系錯体
(b)を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にし
て、オレフィンメタセシス反応性モノマー組成物及び各
評価用試験片を作製した。
【0126】(実施例10)オレフィンメタセシス反応
性モノマーとして、ジシクロペンタジエンとエチリデン
ノルボルネンとを90:10のモル比で混合した混合モ
ノマー液の代わりに、ジシクロペンタジエンと1,5−
シクロオクタジエンとを95:5のモル比で混合した混
合モノマー液を用いたこと以外は実施例1の場合と同様
にして、オレフィンメタセシス反応性モノマー組成物及
び各評価用試験片を作製した。
【0127】(実施例11)オレフィンメタセシス反応
性モノマー100重量部に対して、さらに水酸化マグネ
シウム(商品名「キスマ5J」、協和化学社製)40重
量部を配合したこと以外は実施例1の場合と同様にし
て、オレフィンメタセシス反応性モノマー組成物及び各
評価用試験片を作製した。
【0128】(比較例1)層状珪酸塩としてのモンモリ
ロナイト「ベンゲルA」を配合しなかったこと以外は実
施例1の場合と同様にして、オレフィンメタセシス反応
性モノマー組成物及び各評価用試験片を作製した。
【0129】実施例1〜実施例11、及び、比較例1で
得られた各評価用試験片を用いて、以下の方法で性能
(層状珪酸塩の平均層間距離、燃焼残渣の被膜強
度、曲げ弾性率、曲げ強度、線膨張係数、透湿
度、熱変形温度)を評価した。その結果は表1に示す
とおりであった。
【0130】層状珪酸塩の平均層間距離:X線回折測
定装置(商品名「RINT1100」、リガク社製)を
用いて、厚み3mmの評価用試験片中の層状珪酸塩の積
層面の回折より得られる回折ピークの2θを測定し、下
記のブラックの回折式により、層状珪酸塩の(001)
面間隔(d)を算出し、得られたdを平均層間距離(n
m)とした。 λ=2dsinθ (式中、λ:1.54、d:層状珪酸塩の面間隔、θ:
回折角)
【0131】燃焼残渣の被膜強度:ASTM E 1
354「建築材料の燃焼性試験方法」に準拠して、10
0mm×100mmに裁断した厚み3mmの評価用試験
片にコーンカロリーメーターによって50kW/m2
熱線を照射して燃焼させた。燃焼完了後、強度測定装置
を用いて、燃焼残渣を速度0.1cm/sで圧縮し、燃
焼残渣の被膜強度(kPa)を測定した。
【0132】曲げ弾性率、及び、曲げ強度:JIS
K−7203「硬質プラスチックの曲げ試験方法」に
準拠して、厚み2mmの評価用試験片から測定用試験片
を切り出し、テンシロン試験機を用いて、曲げ弾性率
(GPa)及び曲げ強度(MPa)を測定した。
【0133】線膨張係数:厚み2mmの評価用試験片
から測定用試験片を切り出し、TMA試験機(SEIK
O科学社製)を用いて、20〜80℃の温度範囲におけ
る平均の線膨張係数(1×10-5/℃)を測定した。
【0134】透湿度:JIS Z−0208「防湿包
装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠して、厚
み25μmの評価用試験片の透湿度(g/m2 ・24時
間)を測定した。
【0135】熱変形温度:JIS K−7207「硬
質プラスチックの荷重たわみ温度試験方法」に準拠し
て、曲げ応力181.3N/cm2 で、厚み3mmの評
価用試験片の熱変形温度(℃)を測定した。
【0136】
【表1】
【0137】表1から明らかなように、本発明による実
施例1〜実施例11の層状珪酸塩強化オレフィンメタセ
シス重合体からなる評価用試験片中においては層状珪酸
塩の平均層間距離が3nm以上(3.5nm以上)であ
ったので、難燃被膜となり得る焼結体を形成し易かっ
た。又、上記層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合
体からなる評価用試験片は、いずれも燃焼残渣の被膜強
度が4.9kPa以上であり、高かった。
【0138】又、上記層状珪酸塩強化オレフィンメタセ
シス重合体からなる評価用試験片は、いずれも曲げ弾性
率及び曲げ強度が高く、優れた機械的物性を発現した。
又、上記評価用試験片は、いずれも線膨張係数が低く、
優れた寸法安定性を発現した。又、上記評価用試験片
は、いずれも熱変形温度が高く、優れた耐熱性を発現し
た。さらに、上記評価用試験片は、いずれも透湿度が低
く、優れたガスバリア性を発現した。
【0139】これに対し、層状珪酸塩を配合しなかった
比較例1のオレフィンメタセシス重合体からなる評価用
試験片は、燃焼残渣が被膜を形成しなかった。又、上記
オレフィンメタセシス重合体からなる評価用試験片は、
曲げ弾性率及び曲げ強度が低く、機械的物性が劣ってい
た。又、上記評価用試験片は、線膨張係数が高く、寸法
安定性が劣っていた。又、上記評価用試験片は、熱変形
温度が低く、耐熱性が劣っていた。さらに、上記評価用
試験片は、透湿度が高く、ガスバリア性も劣っていた。
【0140】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の層状珪酸塩
強化オレフィンメタセシス重合体は、優れた機械的物
性、寸法安定性、耐熱性、難燃性及びガスバリア性等の
諸性能を兼備するので、例えば、バンパー、インパネ等
の自動車部材;浴槽、防水パン等の住宅設備部材;上水
管(配水管)、下水管(排水管)、電気機器等のハウジ
ング部材;スポーツ用具やレジャー用具;マスマンホー
ル、浄化槽部材等の成型材料として好適に用いられる。
【0141】又、本発明の製造方法によれば、上記優れ
た諸性能を兼備する層状珪酸塩強化オレフィンメタセシ
ス重合体を効率的且つ容易に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/53 C08K 5/53 (72)発明者 後藤 信弘 京都市南区上鳥羽上調子町2−2 積水化 学工業株式会社内 (72)発明者 中谷 政史 京都市南区上鳥羽上調子町2−2 積水化 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CE001 DA057 DE077 DE087 DE147 DE187 DG057 DH057 DJ006 EU187 EW127 EW137 FD010 FD137

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィンメタセシス反応性モノマーを
    メタセシス重合触媒によって重合して得られるオレフィ
    ンメタセシス重合体及び層状珪酸塩が含有されてなるこ
    とを特徴とする層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重
    合体。
  2. 【請求項2】 オレフィンメタセシス重合体100重量
    部及び層状珪酸塩0.1〜100重量部が含有されてな
    ることを特徴とする請求項1に記載の層状珪酸塩強化オ
    レフィンメタセシス重合体。
  3. 【請求項3】 オレフィンメタセシス反応性モノマー
    が、ノルボルネン系モノマー及び/又は単環状シクロオ
    レフィンであることを特徴とする請求項1又は請求項2
    に記載の層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体。
  4. 【請求項4】 ノルボルネン系モノマーが、ジシクロペ
    ンタジエン、ジシクロペンタジエン誘導体、ノルボルネ
    ン、エチリデンノルボルネン及びノルボルナジエンから
    なる群より選択される少なくとも1種のノルボルネン系
    モノマーであることを特徴とする請求項3に記載の層状
    珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体。
  5. 【請求項5】 単環状シクロオレフィンが、シクロオク
    タジエンであることを特徴とする請求項3に記載の層状
    珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体。
  6. 【請求項6】 オレフィンメタセシス反応性モノマー1
    00重量部に対して、リン系化合物、金属水酸化物及び
    メラミン誘導体からなる群より選択される少なくとも1
    種の難燃剤0.5〜100重量部が配合されてなること
    を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の層
    状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体。
  7. 【請求項7】 メタセシス重合触媒が、ルテニウム系錯
    体であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれ
    かに記載の層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合
    体。
  8. 【請求項8】 ルテニウム系錯体が、下記一般式(1)
    〜一般式(4)で表される少なくとも1種のルテニウム
    系錯体であることを特徴とする請求項7に記載の層状珪
    酸塩強化オレフィンメタセシス重合体。 【化1】 {一般式(1)中、R1 及びR2 は同一又は異なる、水
    素原子、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜2
    0のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数
    2〜20のカルボキシル基、炭素数2〜20のアルコキ
    シ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数6
    〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアルコキ
    シカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルチオ基又は
    フェロセン誘導体を示し、これらは必要に応じて、ハロ
    ゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5
    のアルコキシ基によって置換されたフェニル基によって
    置換されていても良い。又、X1 及びX2 は同一又は異
    なるアニオン性配位子を示し、L1 及びL2 は同一又は
    異なる中性電子供与体を示し、X1 、X2 、L1 及びL
    2 の内の2個又は3個は一緒に多座キレート化配位子を
    形成していても良い} 【化2】 {一般式(2)中、R3 及びR4 は同一又は異なる、水
    素原子、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜2
    0のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数
    2〜20のカルボキシル基、炭素数2〜20のアルコキ
    シ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数6
    〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアルコキ
    シカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルチオ基、炭
    素数2〜20のアルキルシリル基、炭素数2〜20のア
    リールシリル基又はフェロセン誘導体を示し、これらは
    必要に応じて、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル
    基又は炭素数1〜5のアルコキシ基によって置換された
    フェニル基によって置換されていても良い。又、X3
    びX4 は同一又は異なるアニオン性配位子を示し、L 3
    及びL4 は同一又は異なる中性電子供与体を示し、
    3 、X4 、L3 及びL4の内の2個又は3個は一緒に
    多座キレート化配位子を形成していても良い} 【化3】 【化4】 {一般式(3)及び一般式(4)中、R5 、R6 、R7
    及びR8 は同一又は異なる、水素原子、炭素数2〜20
    のアルケニル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数
    6〜20のアリール基、炭素数2〜20のカルボキシル
    基、炭素数2〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20の
    アルケニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ
    基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数
    2〜20のアルキルチオ基又はフェロセン誘導体を示
    し、これらは必要に応じて、ハロゲン原子、炭素数1〜
    5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基によっ
    て置換されたフェニル基によって置換されていても良
    い。又、Y1 、Y2 及びY3 は同一又は異なる硫黄、酸
    素、セレン元素を示し、X5 、X6 、X7 及びX8 は同
    一又は異なるアニオン性配位子を示し、L5 、L6 、L
    7 及びL8 は同一又は異なる中性電子供与体を示し、X
    5 、X6 、X7 、X8 、L5 、L6 、L7 及びL8の内
    の2個又は3個は一緒に多座キレート化配位子を形成し
    ていても良い}
  9. 【請求項9】 層状珪酸塩が、モンモリロナイト及び/
    又は膨潤性マイカであることを特徴とする請求項1〜請
    求項8のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレフィンメ
    タセシス重合体。
  10. 【請求項10】 層状珪酸塩が、その結晶構造中に含ま
    れる交換性金属カチオンをカチオン系界面活性剤により
    イオン交換して有機化した層状珪酸塩であることを特徴
    とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の層状珪酸
    塩強化オレフィンメタセシス重合体。
  11. 【請求項11】 層状珪酸塩が、炭素数6以上のアルキ
    ルアンモニウムイオンを含有する層状珪酸塩であること
    を特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の
    層状珪酸塩強化オレフィンメタセシス重合体。
  12. 【請求項12】 層状珪酸塩が、広角X線回折測定法に
    より測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上
    であり、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散して
    いる層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1〜請求
    項11のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレフィンメ
    タセシス重合体。
  13. 【請求項13】 50kW/m2 の輻射加熱条件下で3
    0分間加熱すること(ASTM E1354に準拠)に
    より燃焼させた燃焼残渣を速度0.1cm/sで圧縮し
    た際の降伏点応力が4.9kPa以上であることを特徴
    とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の層状珪
    酸塩強化オレフィンメタセシス重合体。
  14. 【請求項14】 層状珪酸塩をオレフィンメタセシス反
    応性モノマー中に分散混合し、得られた混合液をメタセ
    シス重合触媒の存在下で重合させることを特徴とする請
    求項1〜請求項13のいずれかに記載の層状珪酸塩強化
    オレフィンメタセシス重合体の製造方法。
  15. 【請求項15】 層状珪酸塩にメタセシス重合触媒を挿
    入(インターカレート)し、得られたメタセシス重合触
    媒挿入層状珪酸塩をオレフィンメタセシス反応性モノマ
    ー中に分散混合して重合させることを特徴とする請求項
    1〜請求項13のいずれかに記載の層状珪酸塩強化オレ
    フィンメタセシス重合体の製造方法。
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