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JP2002240057A - 複合光学素子の製造方法 - Google Patents

複合光学素子の製造方法

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Publication number
JP2002240057A
JP2002240057A JP2001044436A JP2001044436A JP2002240057A JP 2002240057 A JP2002240057 A JP 2002240057A JP 2001044436 A JP2001044436 A JP 2001044436A JP 2001044436 A JP2001044436 A JP 2001044436A JP 2002240057 A JP2002240057 A JP 2002240057A
Authority
JP
Japan
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film
mold
optical element
substrate
shape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001044436A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Hori
雅宏 堀
Hiroaki Yamamoto
博章 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sheet Glass Co Ltd filed Critical Nippon Sheet Glass Co Ltd
Priority to JP2001044436A priority Critical patent/JP2002240057A/ja
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  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性および寸法精度が優れた所定表面形状
を有する複合光学素子を低コストで製造する。 【解決手段】 成形型と基材との間に第1のゾルゲル膜
形成用液を密着させて膜状に配置する工程、ついで加熱
しその後に前記成形型を離型して前記成形型の表面形状
を反転させた形状の第1の表面を有する膜を基材表面に
被覆させる工程、ついで第2の成形型と前記基材上に被
覆された第1の表面を有する膜との間に前記第1の表面
を有する膜の屈折率とは少なくとも0.05異なる屈折
率を硬化後に有する第2のゾルゲル膜形成用液を密着さ
せて膜状に配置する工程、およびついで加熱しその後に
前記第2の成形型を離型して前記第2の成形型の表面形
状を反転させた形状の第2の表面を有する膜を前記第1
表面を有する膜の上に積層して被覆させる工程を含む複
合光学素子の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気もしくは光を
情報記録媒体、液晶表示装置または光通信などの光学部
品として利用される複合光学素子およびその製造方法に
関するものである。さらに詳しくは、CD-ROM等の情報記
録媒体、または平板マイクロレンズもしくはグレーティ
ング素子や拡散素子などの光学、液晶素子として利用さ
れる複合光学素子およびその製造方法である。
【0002】
【従来の技術】CD−ROM、その他の情報記録媒体、
拡散素子、平板マイクロレンズ(多数の微小レンズを基
板上に平行あるいは千鳥配列したレンズ列)、フレネル
レンズ、回折格子素子、光導波路素子などの光学部品
は、その表面に所定の微小な凹凸を具える必要がある。
この表面の微小な凹凸部は、情報記録媒体においては、
ピットまたはトラッキングガイドとして機能し、光学部
品においては、光の集束もしくは拡散を行いマイクロレ
ンズもしくは回折格子として機能する。
【0003】(1)これら表面の凹凸部を形成させるた
めに、紫外線硬化樹脂を基板上に均一に展開させ、凹凸
部を具えた成形型で押圧しながら樹脂に紫外線を照射し
て、成形型の表面形状を反転させた表面形状を有する樹
脂膜を基板に被覆させる方法(特開昭63−49702
号公報)が知られている。
【0004】(2)また金属アルコレートを原料とする
加水分解溶液を転写型に押しつけて熱・光により硬化さ
せる方法〔特開昭62−102445号公報、特開昭6
2-225273号公報、特開平10−142410号
公報、特開平10−142410号公報、〕により製造
する方法が知られている。例えば前記特開昭62−10
2445号公報には、ガラス基板上にシリコンアルコキ
シドを含む溶液を塗布し、凹凸部を具えた成形型を押し
当てながら加熱して前記成形型の表面形状を反転させた
形状の表面を有するゲル化膜を基材表面に被覆させるい
わゆるゾルゲル法による製造方法が記載されている。
【0005】(3)基板上に積層される各層を、個別に
ゲル状にまで予め仮成型し、このゲルを基板上に積層し
本成型する方法[特開平11−123791号報]が知
られている。
【0006】(4)また特開平5−145191号公報
には、n-InP基板の上にInGaAsPの第1層、GaAsの高屈折
率の第2層およびInGaAsPの第3層がその順に積層され
ており、第1層と第2層との間の境界面に鋸歯形状の回
折格子が、そして第2層と第3層との間の境界面に曲線
形状の回折格子がそれぞれ形成された複合光学素子が記
載されており、これらは干渉露光法および結晶成長によ
り製造されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
技術には、次のような問題点があった。先ず、上記方法
(1)では、紫外線硬化樹脂は、耐熱性が低く、250
℃以上になると分解や黄変が発生する。従って、紫外線
硬化樹脂の凹凸部を有する基板は、はんだ付けなどの加
熱加工ができず、装置などへの取り付けが難しかった。
【0008】方法(2)では、ゲル化膜(オルガノポリ
シロキサン層)は耐熱性が高く、はんだ付けなどが可能
である。そしてオルガノポリシロキサン層を順次成形し
て多層化する方法で数十μmの膜厚の凹凸形状を持った
オルガノポリシロキサン層を形成できる。しかし製造工
程が長くなるので、コスト上昇の要因となり、また、下
層が完全に硬化してから、次の層を注入するので、成形
型と溶液もしくはゾルとの間に不要な空気が入りやす
く、凹凸の寸法精度が高くなかった。
【0009】方法(3)は、不要な空気等の問題は解決
できるが、各層の膜厚が薄いため10μm以上のV溝や
レンズ等の光学素子を複合的に積層させる事ができなか
った。また、仮成型後に本成型するために本成型時の収
縮が大きく、光学素子に用いるためにはそれぞれの構造
の寸法精度も十分ではなかった。
【0010】方法(4)では、干渉露光法および結晶成
長により製造するので特別の製造設備が必要であり製造
コストも高くなる。
【0011】この発明はこのような従来技術に存在する
問題に着目してなされたものである。その目的とすると
ころは、低コストで製造でき、耐熱性および寸法精度が
優れた、従来より深い1μm〜500μmの表面凹凸を
有する光学素子を複合的に積層させた物品を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)加水分
解性金属化合物を含み硬化後に所定の屈折率n1を有す
る第1の膜形成用液を、第1の光学素子の表面を形成す
るための所定の表面凹凸形状を有する第1の成形型と基
材との間に密着させて膜状に配置する工程、(2)つい
で加熱しその後に前記第1の成形型を離型して前記第1
の成形型の表面形状を反転させた形状の第1の表面を有
する膜を基材表面に被覆させる工程、(3)ついで、加
水分解性金属化合物を含み硬化後に前記屈折率n1とは
少なくとも0.05異なる所定の屈折率n2を有する第
2の膜形成用液を、第2の光学素子の表面を形成するた
めの所定の表面凹凸形状を有する第2の成形型と前記基
材上に被覆された第1の表面を有する膜との間に密着さ
せて膜状に配置する工程、および(4)ついで加熱しそ
の後に前記第2の成形型を離型して前記第2の成形型の
表面形状を反転させた形状の第2の表面を有する膜を前
記第1表面を有する膜の上に積層して被覆させる工程、
を含む複合光学素子の製造方法である。
【0013】この複合光学素子はゾルゲル法により形成
される。まず、第1の光学素子の表面を形成するための
所定の表面凹凸形状を有する第1の成形型と基材との間
にオルガノポリシロキサンのような加水分解性金属化合
物を含むゾルゲル材料である第1の膜形成用液を密着さ
せて膜状に配置する。この第1の成形型は転写により光
学素子の表面が形成されるような所定の表面形状を有し
ている。第1の膜形成用液は硬化後に所定の屈折率n1
を有するものを選ぶ。表面が上向きで水平になるように
保った第1の成形型にこの膜形成用液(粘度:103
イズ以下)を注いで成形型上に膜を形成し、ついでその
粘度が104〜108ポイズになるまで、140〜180
℃で20〜120分間保持して仮硬化した後に、プレス
装置により基材をこの膜に押圧する。次に押圧しながら
140〜180℃で10〜120分間保持して、ゾルゲ
ル材料の脱水・重縮合反応をほぼ完了させてゲル化させ
て基材と前記膜を接合づる。ついで成形型を引き剥がし
て離型することにより前記第1の成形型の表面形状を反
転させた形状の第1の表面を有し屈折率がn1の最下層
(第1層、第1の光学素子)が形成される。離型後18
0〜350℃で10〜150分間加熱することにより、
ポリシロキサン膜を緻密な膜にすることが好ましい。
【0014】引き続き、第1層の屈折率とは少なくとも
0.05、好ましくは0.08〜0.23異なる所定の
屈折率n2を有する第2の膜形成用液を所定の成形型に
注ぎ同様に加熱仮硬化後、最下層が成形された基板を押
印、離型して第1の表面を有する第1層および第2の表
面を有し屈折率n2の第2層(第2の光学素子)をその
順に積層された2層からなる複合光学素子が出来る。必
要に応じてこの工程を更に順次継続していくことで、多
層の複合光学素子を形成される。
【0015】このように、基材上に複数の層が積層さ
れ、基板と複数の層は一体化され、それぞれの層は多数
の凹凸部を有する表面(界面)形状を独立に有している
ものである。この多数の凹凸部は、良好な成形型の転写
性により高さのばらつきが小さく、均一性が極めて高
い。この凹凸部の高い均一性は、高さのみならず外形全
般について同様である。すなわち、凹凸部の幅や奥行き
も均一性が高い。さらには、この凹凸部および複数の層
に発生する内部応力もしくは成分濃度や分布に関しても
均一性が高い。したがって、複数の層と一体化したこの
複合光学素子は、それぞれの用途において、極めて高い
機能性を有する。また、これまでのゾルゲル膜に比べ、
膜厚が厚く成膜、成型できるため、分解能力の高い回折
格子や大型のマイクロレンズアレイの複合化が可能であ
る。
【0016】本発明で使用する成形型のそれぞれは、そ
の断面でみて、多数の、例えば50〜20000個の円
弧、楕円弧または山形の凹凸形状が配列された表面を有
するものであることが好ましい。
【0017】各成形型表面の凹凸部の形状を変えること
により、様々な光学機能を複合的に付与することができ
る。半円弧状の凹部を設けた成形型を用いることにより
平面上に多数の微小凸レンズが配列された、いわゆる平
板マイクロレンズアレイの機能を付与する。この成形型
と山形の凸部(平行な多数のV溝)を設けた成形型と組
み合わすことにより、平板マイクロレンズアレイと透過
型回折格子とを重ね合わしたいわゆるグレーティングレ
ンズとして使用することができる。また2個のグレーテ
ィングを十字にに交差させて組み合わせることにより、
拡散光学素子としての機能も付与できる。そして、この
発明によればこのの複合光学素子を低コストで製造する
ことができる。
【0018】本発明に用いる基材としては、平板状のも
のが好ましく用いられる。基材として200℃と20℃
における基材表面の反り量(基材の表面方向の単位長さ
あたりのその表面に垂直な方向の熱変形長さ)が1cm
あたり±5μm以内であることが望ましい。反り量がこ
の範囲を越えると膜の成形過程において基板と膜が界面
で剥離もしくは膜に亀裂を生じるおそれがあるので、基
材の材料、寸法、形状を選ぶことが好ましい。
【0019】また、この基材は1.5x10-5/℃以下
の線膨張率を有することが好ましい。基材の線膨張率が
1.5x10-5/℃を超えると、例えばポリプロピレン
(9〜15x10-5/℃)のような高い熱膨張係数を有す
るプラスチックス基材の場合、オルガノポリシロキサン
膜の成形過程において基材と膜が界面で剥離したり、膜
に亀裂を生じるからである。通常の無機ガラスは1.5
x10-5/℃以下の線膨張率を有する。また基材の少な
くとも表面は酸化物であることが好ましい。もしオルガ
ノポリシロキサン膜と接する基材表面が酸化物でない場
合、膜の成形過程において付着強度が下がり、場合によ
っては基材と膜が界面で剥離を生じるからである。好ま
しい基材の材質の例として、珪酸塩系ガラス、ホウ酸系
ガラス、リン酸系ガラス等の酸化物ガラス、石英、セラ
ミックス、シリコン、金属、エポキシ樹脂、ガラス繊維
強化ポリスチレンなどを挙げることができる。金属はそ
のままではオルガノポリシロキサン膜が接合しないが、
予め金属の表面を酸化剤で処理しておけば基材として使
用することができる。
【0020】また本発明における基材として、所望の波
長の光、例えば可視域、紫外域、または赤外域の光に対
して透明な物体例えばガラス基板が用いられる場合、本
発明では、レンズ、回折格子、プリズムなどの透過型光
学素子を複合させた機能を発揮することができる。ま
た、基材として透明体または不透明体を使用する場合
は、オルガノポリシロキサン膜の上に金属(アルミニウ
ム、銀、等)や誘電体膜(フッ化マグネシウム、酸化チ
タン等)を形成するなどして反射型回折格子、フレネル
フレクタ等の反射型光学素子その他の情報記録媒体とし
ての利用が適当である。
【0021】複合光学素子に使用する光は、その波長が
380〜2000nmであることが好ましい。この範囲の
波長には、可視光と赤外光とが含まれるので、この複合
光学素子の汎用性が極めて高くなる。したがって、可視
光であれば、液晶プロジェクターの液晶窓への集光レン
ズや拡散板、赤外光であれば、通信用のレーザーもしく
はLEDと光ファイバーとの結合レンズとして、この複合
光学素子を使用することができる。
【0022】ゾルゲル材料としては、オルガノポリシロ
キサンのような加水分解性金属化合物を含むものであれ
ばその材料を特に限定されないが、下記式(1)および
(2)に示す有機無機複合体のうちの少なくともいずれか
一方を含むものでもよい。そしてゾルゲル材料として硬
化後に1.37〜1.60の屈折率を有するものが選ば
れる。
【化1】RnSiX'4-n ・・・(1) ここで、Rは炭素数1ないし4の炭化水素基あるいは、
置換もしくは未置換のアリール基であり、X'はアルコ
キシル基またはハロゲン原子、nは1または2の整数で
ある。
【化2】MX''P ・・・(2) ここで、MはSi,Ti,Zr,Alのうちのいずれか
の金属原子、X'’はアルコキシル基またはハロゲン原
子、pは3または4の整数である。
【0023】そして、このようなゾルゲル材料として
は、シラン系は特に好ましく、例えばフェニルトリアル
コキシシラン、置換フェニルトリアルコキシシラン、ジ
メチルジアルコキシシランおよびフルオロアルキルトリ
アルコキシシラン等の加水分解性ケイ素化合物を挙げる
ことができる。その理由は、シラン系のゾルゲル材料を
採用すれば、原料の加水分解、縮重合反応が比較的穏や
かに進行するため、プレス成形する際に必要な低粘度の
状態を長く維持できる利点を有するからであり、また、
低粘度を維持するために有効な有機鎖を置換した式(4)
で表される原料は、一般的で入手しやすく、安価である
点等の利点が得られる。
【0024】好ましいシラン系のゾルゲル材料として
は、(A) 下記式(3)で表されるシラン化合物、
【化3】R1 2SiX2 ・・(3) ここでR1はアルキル基であり、そしてXはアルコキシ
ル基またはハロゲン原子である、および(B) 下記式
(4)で表されるシラン化合物、
【化4】R2SiY3 ・・(4) ここでR2はアリール基または置換アリール基であり、
Yはアルコキシル基またはハロゲン原子である、の少な
くとも一方、ならびに(C) 下記式(5)で表される
シラン化合物、
【化5】R3SiZ3 ・・(5) ここでR3はフッ素含有アルキル基であり、そしてZは
アルコキシル基またはハロゲン原子である、を、0〜9
5モル%の前記(A)成分、0〜95モル%の前記
(B)成分、および5〜70モル%の前記(C)成分、
ただし(A)成分と(B)成分の合計は30〜95モル
%である、含有するものを挙げることができる。これら
(A)成分、(B)成分および(C)成分のうち、
(B)成分、特にフェニルトリアルコキシシランの含有
量を増減させることにより得られる硬化膜の屈折率が大
きく増減する。従って本発明における各膜形成用液とし
てこの(A)成分、(B)成分および(C)成分からな
り、(B)成分の含有量を変化させたゾルゲル材料を好
ましく使用することができる。
【0025】またこのゾルゲル材料は、成形固化後に他
のゾルゲル材料に対して良好な離型性を示す官能基を有
していることが好ましい。具体的な官能基としては、比
較的反応性に乏しいメチル基、エチル基、イソプロピル
基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、フェニル基
等を例示できる。
【0026】本発明におけるゾルゲル材料の原料として
用いる加水分解性金属化合物、溶媒、加水分解触媒およ
び水について説明する。加水分解性金属化合物として上
述の(A)成分および(B)成分の少なくとも一方なら
びに(C)成分の混合液を用いる場合について以下に述
べる。この混合液に溶媒としてアルコールを加える。加
えるアルコールとしては、炭素数1〜4の低級アルコー
ル、特に沸点が小さなメタノール、エタノールが好適に
用いられる。その理由は加水分解後に、比較的に低い温
度の熱処理で速やかに溶液中からアルコールを除去でき
るからである。加えるアルコールの量は、モル比で表し
て、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計に
対して0.3〜3倍が好ましく、より好ましくは0.5
〜1.5倍である。
【0027】上記(A)成分、(B)成分および(C)
成分を加水分解するための触媒が添加される。触媒とし
ては酸触媒が好ましく用いられ、酸触媒には、蟻酸、酢
酸、テトラフロロ酢酸、プロピオン酸、しゅう酸、塩
酸、硝酸、硫酸のうち少なくとも一つの酸触媒を水溶液
の形で用いることが好ましい。添加する酸触媒の量は、
酸の種類およびプロトン酸としての強さ(弱酸、強酸)
によって異なるが、少なすぎると加水分解・撒水縮合反
応の進行が遅くなり、多すぎると縮合反応が進みすぎて
分子量が大きくなりすぎ、沈殿物や塗布液のゲル化を生
じやすくなるので好ましくない。前記膜形成用液が、そ
の中に未加水分解物の形の前記シラン化合物(A)、
(B)および(C)を、前記原料溶液中の前記シラン化
合物(A)、(B)および(C)の含有量に対して、
0.5〜40%および0.5〜60%の量それぞれ含有
させることを容易にするためには、これらの酸触媒の中
で、弱酸である有機酸が好ましく用いられる。有機酸の
中で、特に蟻酸が、分子量が小さく蒸発しやすいので好
ましく用いられる。添加する酸触媒の量は、例えば、酸
触媒として蟻酸を用いる場合については、モル比で表し
て、(A)、(B)および(C)成分の合計を1モルと
した場合、0.5ミリモル〜5ミリモルが好ましく、よ
り好ましくは0.7ミリモル〜2ミリモルである。
【0028】また、水は加水分解に必要な化学量論比以
上加えることが好ましい。水の添加量が化学量論比より
少ないとゲル化のための熱処理時に未反応のシラン化合
物(A)、(B)および(C)が揮発しやすくなるから
である。通常、水の添加量は、触媒水溶液の水も含め
て、必要な化学量論比の1.1〜30倍であり、モル比
で表して、(A)、(B)および(C)成分の合計に対
して2〜20倍が好ましく、より好ましくは3〜10倍
である。なお、本発明により製造される複合光学素子が
各種メモリーその他の電子回路に近接して用いられる場
合には、光学素子中に塩素が含有しているとこれら電子
回路の寿命を低下させるおそれがあるので、上記酸触媒
として塩素を含まないものを使用することが好ましい。
【0029】本発明において、ゾルゲル材料の原料であ
る、加水分解性金属化合物(例えば(A)成分および
(B)成分の少なくとも一方、および(C)成分)、ア
ルコール溶媒、水および触媒からなる溶液を、例えば室
温で、90〜120分間、攪拌しながら保持して各アル
コキシシランを加水分解させてゾルゲル材料が調製され
る。その後、さらに室温〜140℃、より好ましくは70〜1
00℃で、6〜30時間保持して脱水・重縮合反応を進行
させるとともに、溶液中の溶媒、水、および脱水・重縮
合反応生成物であるアルコールおよび水を気化・蒸発さ
せることが好ましい。その結果、溶液の質量および体積
は当初の調合時の25〜35重量%および容積%に減少
する。これにより、成膜後の収縮をできるだけ抑制して
膜のクラック発生を防止するとともに、最終加熱時に膜
中に気泡を生じさせることなく硬化膜を形成できる。こ
の脱水・重縮合反応を進めすぎると、溶液の粘度が高く
なり過ぎて成形型または基材表面への被覆が困難とな
る。また逆に脱水・重縮合反応を進め方が不足すると、
最終加熱時の膜中の気泡発生を防止できなくなる。溶液
の粘度が103ポイズ以下になるように温度、保持時間
を選択することにより脱水・重縮合反応の進め方を調節
することが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】[実施例1] [オルガノポリシロキサン溶液(溶液A)の調製]フェ
ニルトリエトキシシラン0.075モルとジメチルジエ
トキシシラン0.1モルおよび、(3,3,3トリフルオロ
プロピル)トリメトキシシラン0.063モルをビーカ
ーに入れ撹拌した。この液にエタノール0.25モルを
加え撹拌し、水1.75モル(31.5g)にギ酸を
0.1重量%になるように溶解した水溶液を、さらにこ
れに加え、2時間撹拌した。撹拌初期には液は2層に分
離したが、2時間撹拌すると透明均質な溶液となった。
この溶液をオーブン内にて80℃で6時間、加熱したと
ころ、エタノール、ギ酸水溶液、および重縮合反応で生
じた水などが揮発した。その結果、当初約83.9gの
重量および約100cm 3の体積を有していた溶液はそ
の重量および体積は約30%に減少して重量約27g、
体積約30cm3になっていた。こうして得られた液を
溶液Aとする。溶液Aの中にはエタノールおよび水は殆
ど含んでおらず、フェニルトリエトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシランおよび、トリフルオロプロピルシラ
ン中に当初含まれていたエトキシ基はその約50%がO
H基として残っていた。
【0031】[オルガノポリシロキサン溶液(溶液B)
の調製]フェニルトリエトキシシラン0.19モルとジ
メチルジエトキシシラン0.04モルおよび、(3,3,3
トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン0.04モ
ルをビーカーに入れ撹拌した。この液にエタノール0.
25モルを加え撹拌し、水1.75モル(31.5g)
にギ酸を0.1重量%になるように溶解した水溶液を、
さらにこれに加え、2時間撹拌した。撹拌初期には液は
2層に分離したが、2時間撹拌すると透明均質な溶液と
なった。この溶液をオーブン内にて80℃で12時間、
加熱したところ、エタノール、ギ酸水溶液、および重縮
合反応で生じた水などが揮発した。その結果、当初約1
03.3gの重量および約100cm3の体積を有して
いた溶液はその重量および体積は約30%に減少して重
量約27g、体積約30cm3になっていた。こうして
得られた液を溶液Bとする。溶液Bの中にはエタノール
および水は殆ど含んでおらず、フェニルトリエトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシランおよび、トリフルオロ
プロピルシラン中に当初含まれていたエトキシ基はその
約50%がOH基として残っていた。
【0032】型芯材 フォトレジスト法により、シリコンウェーハーの表面に
互いに平行な約1000個の直線状のV溝(溝幅25μ
m、溝深さ15μm、溝断面:三角形、隣接する溝の間
隔(溝の中央で測定)約25μm)を形成した、平均厚
み2.0mmで2.5cm×2.5cmのシリコン製回
折格子を型芯材として準備した。
【0033】図1(a)に示すように表面1に多数の直
線状のV溝を有する上記成形型2の表面に溶液Aを塗布
して、図1(b)に示すように約60μmの厚みの第1
の層3を上記成形型2の上に形成し、ついで140℃で
7分間加熱した。この熱処理によって成形型2の上に塑
性変形可能なゲル膜(厚み40μm、粘度:104〜1
8ポイズ)が形成できた。その後、図1(c)に示す
ように成形型2の上のゲル膜4の上に、厚み3.0mm
で2.5cm×2.5cmの石英ガラス基材5を乗せて
圧力2kg/cm2で押圧しながら200℃で30分間加熱し
て塗布ゲル膜2を石英ガラス基材5と接合させた。そし
て塗布膜が完全にゲル化した後、自然空冷させ、成形型
2を石英ガラス基材5から引き離して離型し、ゲル化膜
付き石英ガラス基材をさらに350℃、15分加熱し
た。その結果、図1(d)に示すように成形型の形状を
転写した表面(第1の表面)11を有する第1層の膜6
(平均膜厚30μm)が石英ガラス基材5の表面に付着
した回折格子7が得られた。
【0034】引き続いて図2に示すように表面1に多数
の直線状のV溝を有する上記成形型2’の表面1に溶液
Bを塗布して、約60μmの厚みの第2の層8を形成
し、140℃で7分間加熱した。この熱処理によって成
形型2’の上に塑性変形可能なゲル膜(厚み20μm、
粘度:104〜108ポイズ)が形成できた。
【0035】図3および図4に示すように、このゲル膜
付き成形型2’のゲル膜8の上に、第1層の膜が付いた
石英ガラス基板5(回折格子7)を、第1層の膜6が上
記ゲル膜8に面し、そして第1層膜の回折格子の約10
00個の山形直線が上記成形型の約1000個のV溝形
直線と直角に交差するように、乗せて圧力2kg/cm2で押
圧しながら200℃で30分間加熱して、成形型のゲル
膜8を石英ガラス基材5の第1層の膜6と接合させた。
そして膜6が完全にゲル化した後、自然空冷させ、成形
型2’を離型し、さらに350℃、15分加熱した。そ
の結果、図5に示すように成形型2の形状を転写した表
面(第1の表面)11を有する第1層の膜6(平均膜厚
30μm)および成形型2’の形状を転写した表面(第
2の表面)12を有する第2層の膜9(平均膜厚30μ
m)がその順に石英ガラス基材5表面に付着してなる十
字に交差した透過型回折格子10が得られた。
【0036】上記第1層6の屈折率が1.39、第2層
9の屈折率が1.60であった。また、各層の凸部のば
らつきは0.7μmであった。また、この2層の回折格
子にHe-Neレーザーを用いて入射角90°で基板表面へ
レーザーを照射すると透過光は、2次元的な分散が見ら
れた。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、従
来の複合光学素子の製法に比べ、工程を大幅に短縮する
事が可能になり、また小型化されしかも耐熱性および寸
法精度が優れた複合光学素子を製造することが容易にな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例の第1層の形成方法を説明
する断面図
【図2】 本発明の1実施例の第2層を形成するために
成形型上に形成した塗布膜を示す断面図
【図3】 本発明の1実施例の第1層および第2層の接
合を示す断面図
【図4】 本発明の1実施例の第1層および第2層の接
合を示す断面図
【図5】 本発明により製造された十字交差回折格子を
示す一部切り欠き斜視図
【符号の説明】
2 第1の成形型、2’第2の成形型、5 基材、6
第1の表面を有する膜、9 第1の表面を有する膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 105:16 B29K 105:16 B29L 11:00 B29L 11:00 Fターム(参考) 2H049 AA03 AA07 AA13 AA39 AA56 AA57 AA63 4F204 AA33 AB11 AB16 AD05 AF01 AG03 AH73 EA03 EA04 EB01 EB12 EB22 EB29 EE02 EF02 EF27

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)加水分解性金属化合物を含み硬化後
    に所定の屈折率n1を有する第1の膜形成用液を、第1
    の光学素子の表面を形成するための所定の表面凹凸形状
    を有する第1の成形型と基材との間に密着させて膜状に
    配置する工程、(2)ついで加熱しその後に前記第1の
    成形型を離型して前記第1の成形型の表面形状を反転さ
    せた形状の第1の表面を有する膜を基材表面に被覆させ
    る工程、(3)ついで、加水分解性金属化合物を含み硬
    化後に前記屈折率n1とは少なくとも0.05異なる所
    定の屈折率n2を有する第2の膜形成用液を、第2の光
    学素子の表面を形成するための所定の表面凹凸形状を有
    する第2の成形型と前記基材上に被覆された第1の表面
    を有する膜との間に密着させて膜状に配置する工程、お
    よび(4)ついで加熱しその後に前記第2の成形型を離
    型して前記第2の成形型の表面形状を反転させた形状の
    第2の表面を有する膜を前記第1表面を有する膜の上に
    積層して被覆させる工程、を含む複合光学素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記工程(4)の後に、(5)光学素子
    の表面を形成するための所定の表面凹凸形状を有する成
    形型と前記基材の最表面に被覆された膜との間に、加水
    分解性金属化合物を含み硬化後に前記基材の最表面被覆
    膜の屈折率とは少なくとも0.05異なる所定の屈折率
    を有する膜形成用液を密着させて膜状に配置する工程、
    および(6)ついで加熱しその後に前記成形型を離型し
    て前記成形型の表面形状を反転させた形状の表面を有す
    る膜を前記基材の最表面被覆膜の上に積層して被覆させ
    る工程、を含み必要に応じて前記工程(5)および工程
    (6)を繰り返す請求項1記載の複合光学素子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記各成形型は、その断面でみて、多数
    の円弧、楕円弧または山形の形状が配列された表面を有
    する請求項1記載の複合光学素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記基材が透明体である請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の複合光学素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記加水分解性金属化合物はフェニルト
    リアルコキシシラン、置換フェニルトリアルコキシシラ
    ン、ジメチルジアルコキシシランおよびフルオロアルキ
    ルトリアルコキシシランからなる群から選ばれたすくな
    くとも一つのシラン化合物である請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の複合光学素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1476002A3 (en) * 2003-05-08 2007-04-25 Samsung SDI Co., Ltd. Method of manufacturing a substrate for organic electroluminescent device
WO2008010330A1 (fr) * 2006-07-21 2008-01-24 Nippon Sheet Glass Company, Limited moule de transfert, procédé de fabrication d'UN moule de transfert, et procédé de fabrication de produit transféré à l'aide du moule de transfert

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