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JP2002509104A - 遅発性ジスキネジア及び他の運動障害の治療方法 - Google Patents

遅発性ジスキネジア及び他の運動障害の治療方法

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JP2002509104A
JP2002509104A JP2000539837A JP2000539837A JP2002509104A JP 2002509104 A JP2002509104 A JP 2002509104A JP 2000539837 A JP2000539837 A JP 2000539837A JP 2000539837 A JP2000539837 A JP 2000539837A JP 2002509104 A JP2002509104 A JP 2002509104A
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シンクロニューロン エルエルシー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、遅発性ジスキネジア及び遅発性ジストニー、チック疾患、トゥーレット症候群及び眼瞼痙攣並びに他の焦点ジストニーを含む運動障害のための新規な治療剤を記載する。本発明の治療剤は、NMDA型グルタメートレセプターアンタゴニストとして同時に作用する薬剤を利用する。更に、本発明の治療剤は、NMDA型グルタメートレセプターアンタゴニスト及びGABA−Aレセプターアゴニストとして同時に作用する薬剤を利用する。好ましくは、これらの2種の活性は、単一の薬剤例えばアカンプロセートの特性である。或は、これらの活性を有する別々の薬剤を組合せて一緒に投与することができる。この発明は又、主たる治療剤の効果を増大させる非競争的NMDAレセプター遮断剤又はイオンチャンネル遮断剤として作用する運動障害のための治療剤と組み合わせて用いることのできる第3の薬剤をも提供する。特に好適なイオンチャンネル遮断剤は、マグネシウムである。或は、マグネシウムは、運動障害の予防及び治療のために、単独で投与することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 この発明は、3つの主要な運動障害1)遅発性ジスキネジア(TD)、遅発性ジ
ストニー及び関連する運動障害(神経弛緩(抗精神病)薬にさらされることにより 誘発される);2)投薬に関係しない焦点ジストニー(眼瞼痙攣、メージュ症候群
、斜頚、痙攣性発声困難及び書痙を含む);及び3)チック(多発性チック及びジ
ルドラトゥーレット症候群(TS)を含む)の治療に関するものである。
【0002】 運動障害は、住民のかなりの部分に影響を及ぼし、疾病並びに困難を引き起こ
している。遅発性ジスキネジア(TD)は、神経系の慢性疾患であり、口、舌及び
顔面筋の不随意の、不規則なリズム運動を特徴とする。上肢も又、含まれ得る。
これらの運動は、様々な程度で、他の不随意運動及び運動障害に伴い得る。これ
らは、胴体の揺れ、身もだえ又はねじり運動(遅発性ジストニー)、力を込めて眼
を閉じること(遅発性眼瞼痙攣)、継続的運動への抵抗不能衝動(遅発性静座不能 症)、頸の攣縮運動(遅発性痙性斜頸)、及び中断された呼吸運動(呼吸ジスキネジ
ア)を含む。大多数のTDの症例は、抗精神病薬(神経弛緩薬)の長期使用により 引き起こされる。比較的少数は、他の薬物(例えば、神経弛緩薬と同様にドーパ ミンレセプターをブロックするメトクロプラミド)の使用により引き起こされる 。TDは、しばしば、神経弛緩薬治療を中止した後に明らかとなり又は悪化する
。神経弛緩薬療法の再開は、一時的に、不随運動を抑制するが、長期的にはそれ
らを一層重くし得る。
【0003】 TDは又、様々な程度の認識障害とも関係している。TDと関係する認識機能
不全には、注意、集中、記憶又は管理機能(例えば、判断又は抽象的推論)が含ま
れ得る(例えば、Sachdev等、Acta Psychiatr Scand 93:451,1996;Waddington及
びYoussef,Psychol.Med.26:681,1996;Swartz,Neuropsychobiology 32:115,1995
を参照)。TDと関係する認識障害は、通常、患者をTDにかかりやすくする脳 機能において背後にある差異のマーカーとして見られる。しかしながら、それは
、TDそれ自体のためでもあり得て、不可逆であり得、或は、TDが上首尾に治
療されれば部分的に可逆であり得る。
【0004】 遅発性ジスキネジア(TD)は、神経弛緩薬の治療を受けた患者の約15〜20
%に影響を及ぼしている(Khot等,Neuroleptics and Classic Tardive Dyskinesi
a,in Lang AE,Weiner WJ(編): Drug Induced Movement Disorders,Futura Publi
shing Co.,1992,p.121-166)。神経弛緩薬は、精神分裂病及び関連する精神病(推
定罹患率1%)、精神病的特徴を伴う感情障害(推定最少罹患率0.5%)及び精 神病又は心的動揺を伴うアルツハイマー病(推定最低罹患率0.5%)を含む幾つ
かの一般的な精神病を治療するために用いられている。神経弛緩剤治療の必要な
者の半数がそれを受けていると仮定すると、TDは、米国だけで数10万人の人
々に影響を及ぼしているということになる。TDの累積的発病率は、実質的に、
女性、高齢者及び精神分裂病以外の病気例えば双極性障害(躁鬱病)について神経
弛緩剤での治療を受けている者において一層高い(例えば、Hayashi等,Clin.Neur
opharmacol.19:390,1996;Jeste等,Arch.Gen.Psychiatry,52:756,1995参照)。神
経弛緩剤の急性の運動副作用と異なり、TDは、一般に、抗パーキンソン病薬に
応答しない(Decker等,New Eng.J.Med.,10月,p.861,1971)。
【0005】 焦点ジストニーは、特定の筋群の断続的に続く収縮を含む一群の運動障害であ
り、身体のある部分の再発性の異常な状況を生じる。最も一般的なものは、痙性
斜頸であり、これは、頸のねじれを含む。他の例は、眼瞼痙攣(これは、不随意 に眼を閉じること又は過度に力のこもったまたたきを含む)及び書痙(これは、手
の筋肉の収縮を含む)である。他のもっと一般的でない焦点ジストニーには、喉 頭部の筋肉が含まれる(痙攣性発声困難)。他の比較的希なジストニーには、特定
の職業(例えば、バイオリンの演奏)に特異的な筋群が含まれる。米国の一つの郡
における焦点ジストニーの罹患率は、100万人当たり287人と見積もられて
おり(モンロー郡スタディー);これは、米国だけで少なくとも70,000人の
人々が影響を受けることを示唆している。眼瞼痙攣だけで、25,000人を超
える人々に影響を及ぼす(出典:米国FDA Web Site; Orphan Drug Actのペー ジ)。
【0006】 チックは、男子の1〜13%及び女子の1〜11%に影響を及ぼすと推定され
ており、男女比は、2〜1未満である。7〜11歳の子供の約5%が、チック行
動の影響を受けている(Leckman等,Neuropsychiatry of the Bas.Gang,12月,20(4
):839-861,1997)。発声を伴う多発性チック(即ち、トゥーレット症候群)は、種 々の報告の間で異なり、10,000人当たり5人から1,000人当たり5人
にまで及んでいる。トゥーレット症候群は、少年において少女の3〜4倍ありが
ちであり、子供及び青年において、成人の10倍以上ありがちである(Leckman等
、前書;Esper等,Tenn.Med.,1月,90:18-20,1997)。
【0007】 チックは、突然の反復運動、身振り又は発声であり、しばしば、正常の行動の
型を真似る。運動性チックは、眼のまたたき、頭の攣縮又は肩をすくめる等の運
動を含むが、一層複雑で目的のあるらしい行動例えば感情の顔への表現又は腕及
び頭の意味のある身振りに変わり得る。極端な場合には、この運動は、卑猥(卑 猥動作)又は自己損傷的であり得る。有声又は発声チックは、うがい音から複雑 な発声及び演説に及び、時に汚言症(卑猥な演説)を伴う(Leckman等、前書)。チ ックは、時間的に不規則であるが、関与する筋肉に関しては一貫している。特徴
としては、それらは、随意的努力によって、短時間は抑制され得る。
【0008】 ジルドラトゥーレット症候群(TS)は、最も重症のチック疾患である。TSの
患者は、少なくとも一つの発声(有声)チックを含む多くのチックを有する。TS
は、単純な運動性チック例えば眼のまたたき又は頭の攣縮の出現により幼児期に
明らかになる。初期には、チックは、見え隠れしているが、時に、持続性で重症
となり、子供とその家族に有害な影響を有し始める。有声チックは、運動性チッ
クの開始から平均で1〜2年後に現れる。10歳までに、殆どの子供は、チック
の前に頻繁に起きる前兆の衝動に気付いている。かかる前兆は、その個人に、随
意的にチックを抑制することを可能にするが、それでも、前兆は、残念ながら、
不調を有することに関連する不快を加える。後期青年期/初期成人期のチック疾
患は、ある個人においては、有意に改善することができる。しかしながら、チッ
クを患い続けている成人は、しばしば、特に重症で衰弱した徴候を有する(Leckm
an等、前書)。
【0009】 運動性疾患(特に、TD)の病態生理学は、決定的には確立されていない。ドー
パミンレセプターの遮断は、増大した数のドーパミンレセプターへと導き、従っ
て、線条体ニューロンのドーパミンに対する増大された感受性へと導くというこ
とは周知である。(例えば、Andrews,Can J Psych 39:576,1994;Casey,[Psychop
harmacology中]:The Fourth Generation of Progress,Raven Press,1995参照)。
TDの病態生理学に関する最初の主要な仮説は、TDは、この線条体ニューロン
のドーパミンに対する過敏の結果であるというものであった。この「ドーパミン
過敏」仮説の支持において、ドーパミンアゴニストがこの疾患を一層重くし得る
ということが注意されている(Bezchibnyk-Butler及びRemington,Can J.Psych.,3
9:74,1994)。しかしながら、ドーパミン過敏仮説は、TDとパーキンソン症候群
(ドーパミン不足状態)がしばしば同じ患者に一緒に存在するという観察と相容れ
ない。
【0010】 他の研究は、TDの不可逆的症例は、脳底神経節に対する興奮毒性のダメージ
に関係し得るということを示唆している(Andreassen及びJorgensen,Pharmacol.B
iochem.Behav.,49(2):309-312,1994;Tsai等,:Am J Psych,9月155:9,1207-13,1
998)。阻害性神経伝達物質GABAの後天的な不足も又、TDの発生に関連付け
られてきた(Delfs等、Experimental Neurol.,133:175-188,1995)。
【0011】 広く研究されている空の咀嚼運動(VCM)のTDのモデル動物も又、この疾患
の発生におけるグルタメートベースの興奮毒性機構についての証拠を与えた(Mes
hul等;Psychopharmacology(Berl),125:238-47,1996 6月;Andreassen等;Br J
Pharmacol,199:751-7,1996 10月)。VCMを有するラットに投与した場合、エタ
ノールは、その動物の口顔運動を急性に減じる。この効果は、ラットをベンゾジ
アゼピンインバースアゴニストで予備処理した場合には阻害され、これは、それ
がエタノールによるGABA−Aレセプターの刺激に媒介されるということを示
唆している(Stoessl,Pharmacol.Biochem.Behav.7月,54:541-6,1996 7月)。Sto
esslは、「GABA作動性刺激」は、TDの治療において更なる研究の価値があ
ることを示唆している。しかしながら、彼は、NMDAアンタゴニストを用いる
TDの治療のアイデアを発展させておらず、TDの治療剤としてメマンチンを用
いることを示唆してもいない。
【0012】 TDの身体的症状発現は、ハンチントン病及びパーキンソン病等の変性疾患と
関係した運動障害と類似し得る。TDの患者は、ハンチントン病の場合に見られ
るものと区別できない舞踏病(四肢のすばやい、不規則な動作)を示す。TDの頸
、胴体及び手足の運動は、レボドーパを用いるパーキンソン病の長期の治療と関
係するピーク用量ジスキネジアのものと区別不能であり得る。遅発性ジスキネジ
アの身体的症状発現は、特発性ジストニーの症状発現とほぼ同じである(即ち、 それらは、ドーパミンアンタゴニストにさらされることに関係しない)。(下記の
更なる議論を参照されたい)
【0013】 同様の機構が、遅発性運動障害及び特発性焦点ジストニーの病態生理学に関係
しているということは明白である。陽電子放射断層撮影法は、一つの特定のジス
トニー、斜頸が、脳底神経節におけるニューロンの代謝亢進と関係することを示
している。大脳皮質、脳底神経節及び視床を含む運動制御ループの活動亢進が、
ジストニーに特徴的な異常な姿勢及び動作(即ち、異常な姿勢への動作及び該姿 勢からの動作)の原因であるというのが仮説となっている(Galardi等、Acta.Neur
ol Scand,9月,94:172-6,1996)。他の研究は、ジストニーの患者における異常な ドーパミン作動性伝達又はレセプター機能を示している(例えば、Perlmutter等 、J Neurosci,1月,15,17:843-50,1997参照)。パーキンソン病及びジストニーの 患者はレボドーパのピーク及び他のレベルの両方の問題を有し得るので、多すぎ
るか又は少なすぎるドーパミンは、ジストニーと関係し得る(Hallett,Arch.Neur
ol.5月,55:601-3,1998)。メマンチンはドーパミンアゴニスト活性を有するが、 焦点ジストニーの治療剤として示唆されたことはない。
【0014】 チック疾患の病態生理学は、幾つかのもっともらしい仮説が示されているが、
TDと同様、未だ決定的には確立されていない。チック疾患の病態生理学は、T
D及び焦点ジストニーの病態生理学に含まれ得る機構に似ている。皮質−線条体
−淡蒼球−視床−皮質の感覚運動ループの過剰の活性が、チック疾患に伴う運動
インパルス制御の欠如と関連付けられてきた(Zambian等、Am.J.Psychiatry,Vol.
154,9月,1997; Leckman等、前書)。この活動亢進は、線条体における過剰なドー
パミン作動性活性又は抑制性伝達の相対的不足を反映し得る。脳底神経節又はそ
れらの接続の機能不全が存在することはありそうなことであるが、脳底神経節、
視床及び運動領は、殆どの症例において、解剖学的には正常である。
【0015】 TDの治療 最近の研究は、ビタミンEがTDの症状を適度に減少し得ることを示唆してい
る(Lohr及びCaliguiri,J Clin Psychiatry 57;167,1996;Dabiri等,Am.J.Psychi
atry,6月,151(6):925-926,1994)。GABAアゴニスト例えばバクロフェン及び 種々のベンゾジアゼピンも又、幾つかの肯定的報告の主題であったし、おそらく
、それらの低い毒性が限られた効果にもかかわらずそれらの使用を正当化するた
めに、TDの症状を改善するために実際に広く用いられている。(Gardos及びCol
e,Psychopharmacology: The Fourth Generation of Progress,Bloom及びKupfer 編、p.1503-1510,1995)。この総説は、プロプラノロール、クロニジン、コリン 作動性アゴニスト、ブスピロン及びカルシウムチャンネルアンタゴニストを含む
他の薬剤に伴う様々な利益の報告を引用した。しかしながら、これらの何れも、
TDに関連する運動又は認識障害の一般に受け入れられる治療剤とはならなかっ
た。(この著者は、ニモジピン、特に優れたCNSの透過性を有するカルシウム −チャンネルアンタゴニストを用いるTDの治療に幾らか成功していた。)
【0016】 Lidsky等の米国特許第5,602,150号には、神経弛緩剤を受けている患
者におけるTDの発生が、タウリン又はタウリン誘導体の同時投与により阻止さ
れ得ることが提示された。Lidskyは、彼の発明を、TDは興奮毒性のダメージの
ためでありタウリン及びタウリン誘導体は患者をこのダメージから防護するとい
う理論を基礎とした。このタウリンの推奨は、単一のモデル動物に基づくもので
ある。これらの報告された実験は、継続的な神経弛緩剤の存在下で又は別の条件
下での確立された運動に対するタウリンの如何なる治療効果も扱っていない。こ
の特許もそこで引用された実験も、タウリン又は誘導体が確立された運動障害に
対して利益となるであろうことを予想も暗示もしていない。その上、Lidsky等( 前出)により提示された機構は、長期間の神経防護に基づくものである。彼は、 タウリン又はタウリン誘導体が運動障害に対する如何なる即効性の短期の効果を
有し得るかということを推測も、主張も又は示唆もしていない。
【0017】 メマンチンは、欧州でパーキンソン病の治療のために認可された薬物である。
メマンチン、アマンタジンの同族体は、N−メチル−D−アスパルテート型グル
タメートレセプター遮断剤(「NMDAレセプターアンタゴニスト」又は「NM DAレセプター遮断剤」)並びにドーパミンアゴニストである。メマンチンは、 治療されたパーキンソン病において見られるジスキネジア運動の幾つかを軽減す
ると報告されているが、遅発性ジスキネジアを治療するためのヒトにおけるその
使用の報告はなく、少なくとも一人のTDの分野で広く信頼されている専門家が
、任意の抗パーキンソン病薬はTDに対する有効な薬剤であると驚きを表明した
(Dilip Jeste,M.D.,私信,1997)。
【0018】 米国特許第4,122,193号においては、1,3,5−三置換アダマンタ
ン(1−アミノ−3,5−ジメチル−アダマンタンを含む)がラットの運動亢進症
の治療に有用であるということが報告されている。この薬剤は又、一般に、パー
キンソン病、先天性眼振、視床緊張状態及び痙攣状態のコンテキストにおいて、
運動亢進症の治療剤として、及び「運動不能症の大脳状態の患者の活性化」にも
推奨されている。TDと異なり、治療すべき運動亢進症のコンテキストとして、
この特許に記載された下にある状態の何れも、ドーパミンアゴニストにより一層
重くされたとは考えられないということは著名である。その上、この参考文献中
には、1−アミノ−3,5−ジメチル−アダマンタンがNMDAレセプター遮断
剤として作用するという認識はない。それどころか、その開示は、1,3,5−
三置換アダマンタン化合物がカテコールアミン代謝に、例えばドーパミンを遊離
させることにより又はレセプターを刺激することによって影響することを示して
いる。この後者の見方は、著者が、ドーパミンアゴニストの投与が一般に専門家
の見解に反するので、メマンチンがTDの有効な治療剤たり得ることを認識しな
かったことを示唆している。
【0019】 同時係属中の本願出願人による出願第08/861,801号及び09/00
6,641号(参考として本明細書中に援用する)においては、メマンチン(アマ ンタジンの同族体で、N−メチル−D−アスパルテート型(NMDA)レセプター
遮断剤並びにドーパミンアゴニスト)及びアカンプロセート(アミノ酸タウリンの
誘導体のカルシウム塩であり、間接的なNMDAアンタゴニストであり且つGA
BA−Aアゴニスト)での治療は、TDと関連した運動障害及び認識障害の両者 に対する有効な治療として進められ、幾人かの重く冒された個人において劇的に
有効であると報告された。これらの特許出願に記載された症例は、メマンチンの
TDの治療への利用の最初の報告を含んでいる。
【0020】 焦点ジストニーの治療 上記のように、焦点ジストニーは、身体のある部分の頻発する異常な姿勢を含
む運動障害である。焦点ジストニーの痙攣は、一回に何秒間も続き得て、冒され
た領域の機能の主要な混乱を引き起こす。焦点ジストニーの幾つかは、反復動作
により促進され;書痙が最も知られた例である。焦点ジストニーは、顔面(例え ば、眼瞼痙攣、下顎ジストニー)、頸(斜頸)、四肢(書痙)又は胴体を含み得る。 ジストニーは、自然に起き得るし、又は神経弛緩剤その他のドーパミンレセプタ
ー遮断剤にさらすことにより促進され得る(遅発性ジストニー)。全身薬物療法は
、一般に、有効でないが、幾つかの薬物は、幾人かの患者を部分的に軽快させる
。最も頻繁に処方されるものは、抗コリン作動薬、バクロフェン、ベンゾジアゼ
ピン並びにドーパミンアゴニスト及びアンタゴニストである。最も一貫して有効
な治療は、冒された筋肉へのボツリヌス毒素の注射である。
【0021】 様々な焦点ジストニーが、同じ薬物に応答する傾向がある(即ち、一の焦点ジ ストニーに有用な治療剤は、一般に、他のジストニーにも有用であった。)(Chen
,Clin.Orthop,6月,102-6,1998;Esper等;Tenn.Med,1月,90:18-20,1997;De Matt
os等,Arq.Neuropsychiatry,3月,54:30-6,1996)。今日までに公開された臨床経験
は、一の焦点ジストニーの不随意運動を減じる新規な治療剤は、他の不随意運動
についても同様であることがありそうであることを示唆している。更に、自然の
(特発性)ジストニー及び神経弛緩剤誘発性ジストニーの一般的症状、徴候及び投
薬に対する応答は、薬物誘導された焦点ジストニーの有効な治療剤は、同じ自然
に起きるジストニーにも有効であろうことを示唆している。
【0022】 眼瞼痙攣(焦点ジストニーの一つ)は、連続的に繰り返して不随意に眼を閉じる
こと又は過度に力のこもったまたたきを含む状態である。眼瞼痙攣は、眼球運動
機能の最も一般的な疾患の一つである。それは、可変的に、顔面ジスキネジア又
は顔面ジストニーと考えられている。もしそれが、口及び下顎領域のジストニー
と共に生じたならば、頸部が含まれていてもいなくても、メージュ症候群と呼ば
れる。眼瞼痙攣は、有意に、視覚機能を損ない得る。患者は、読むこと、自動車
を運転すること又は視覚的制御を必要とする熟練仕事をすることができなくなり
得る。眼瞼痙攣は、自然に起こり得るし(特発性眼瞼痙攣)、年齢が増すと共に増
加する罹患率で起こり得る;殆どの症例は、生涯の50歳代及び60歳代に起き
ている(Holds等、Am.Fam.Physician.6月,43:2113-20,1991)。それは又、神経弛 緩剤治療の結果としても起こり得る(Ananth等、Am.J.Psychiatry,4月、145:513-
5,1988;Kurata等、Jpn.J.Psychiatry.Neurol.,12月,43:627-31,1989;Sachdev 等、Med.J.Aust.,3月、20,150:341-3,1989)し、おそらくは、他のクラスの向精 神薬での治療の結果としても起こり得る(Mauriello等、J Neuropathol,6月,18:1
53-7,1998)(これは、単独でも起きるし、又は遅発性ジスキネジア若しくは他の 型の遅発性ジストニーと共に起きることもある)。別の重い遅発性ジスキネジア の19人の患者の報告は、頻繁な眼のまたたきは、この疾患の最も高頻度の前兆
であると述べた(Gardos等、前出、1988)。特発性眼瞼痙攣及びメージュ症候群の
眼球運動現象は、神経弛緩剤治療により誘発された症例において見られるものと
同じである。特発性眼瞼痙攣と遅発性眼瞼痙攣との差異は、眼球運動自体を含ま
ない。(観察された差異は、家族病歴及び眼以外の不随意運動が存在する見込み を含んだ。)
【0023】 多くの物質が眼瞼痙攣を緩和する能力について試験されたが、ボツリヌス毒素
の眼輪筋への注射が、治療の頼みの綱である(Mauriello等、Br.J.Ophthalmol,12
月,80:1073-6,1996)。これらの注射は、眼を閉じるための筋肉を弱め、それによ
り、それらの筋肉の不随意運動を軽減する。それらは又、求心性運動神経からの
入力を変えることによって、間接的にも、中枢神経系による眼球運動の制御に影
響し得る。ボツリヌス毒素の注射は、患者の約80%の症状を改善する(これは 、今日まで試された多くの全身薬物治療からの利益よりずっと高い割合である) ので選択される治療となった。
【0024】 眼瞼痙攣に関係する運動は、今日まで用いられてきた全身薬物治療によく応答
しない。一連の多くの症例の内で、全身投薬で治療された眼瞼痙攣の患者の22
%しか、目立った永続的軽快を示さなかった(Jankovic等、Mov.Disord.,5月,9:3
47-349,1983)。他の報告においては、ボツリヌス毒素の注射によく応答しなかっ
た眼瞼痙攣の患者13人の内、全身薬物療法を行った際に、2人しか何らかの改
善を示さなかった(Mauriello等、Clin.Neurol.Neurosurg.,8月,98:213-6,1996) 。ボツリヌス毒素注射でさえ、常に効き目がある訳ではない。ボツリヌス毒素注
射により軽快されない患者には、ときには、手術が奨められる(Elston等、J.Neu
rol,1月,239:5-8,1992)。
【0025】 眼瞼痙攣の治療のために試みられた多くの全身治療(例えば、Arthurs等、Can.J
.Ophthalmol;2月,22:24-8,1987;Casey等、Neurology,7月,30:690-5,1980;Jaco
by等、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.,3月,31:569-76,1990;Michaeli等、Clin.Ne
uropharmacol.,6月,11:241-9,1988;Ransmayr等、Clin.Neuropharmacol.,2月,11
:68-76,1988を参照されたい)の内で、クロナゼパム、GABAアゴニストは、一
貫して有用であることが見出された唯一の薬物であった(Jankovic等、Ann.Neuro
l.,4月,13:402-11,1983)。2つのGABAアゴニスト剤、バルプロエート及びバ
クロフェンの組合せは、一症例において効き目があった(Sandyk等、S Afr Med J
,12月,64:955-6,1983)。テトラベナジン、ドーパミン涸渇剤は、メージュ症候群
の6人の患者の内の4人において不随意運動を軽減したが、これらの患者は、多
くの望ましくない副作用(嗜眠、流涎及びパーキンソン症候群を含む)を有した(J
ankovic等、Ann Neurol,1月,11:41-7,1982)。かかる不快な副作用の故に、テト ラベナジンは、眼瞼痙攣、チック用、又は遅発性ジスキネジア用にさえ、これら
の症状に対する他の一般的に有効な治療剤がないにもかかわらず、広く用いられ
る治療剤とはならなかった。神経弛緩剤は、時には、眼瞼痙攣の症状を軽減する
が、それらはテトラベナジンよりよくはなく、それらで治療された患者は、TD
又は他の遅発性運動障害を発症する危険がある。要するに、ドーパミン作動性伝
達を減じる薬物及びGABAアゴニストが、特発性眼瞼痙攣の治療において幾ら
かの利益を伴って用いられてきたが、これらの型の薬物は、一般に満足すべき治
療剤であることが判明した。
【0026】 チック及びトゥーレット症候群の治療 中位から重症の運動及び発声性チックの患者が薬物療法を必要とすることは、
ありそうなことである。多くのクラスの神経病学的及び精神医学的薬物療法が試
みられてきたが、神経弛緩剤、アルファ−2アドレナリン作動性アゴニスト及び
クロナゼパムだけが、標準的治療剤の地位を得た(最近の総説としては、Chappel
l等、Neur.Clin.of North Am.,15(2),5月1997;Kurlan,Neurol.Clin.,5月,15:40
3-409,1997;Lichter等、J.Child Neur.,11(2),3月,1996;Leckman等、前出;Es
per等、Tenn.Med.,1月,90:18-20,1997;Scahill等、J.Child Adolesc Phychopha
rmacol,7(2),1997を参照されたい;これらを参考として本明細書中に援用する) 。不幸にも、これらのTS用に一般に用いられている治療剤の3つすべては、有
意の欠点を有している。
【0027】 最も一般的なチック疾患の治療のために用いられる療法は、神経弛緩剤(即ち 、ドーパミンアンタゴニスト抗精神病薬)である。この範疇内においては、ハロ ペリドール及びピモジドが、米国ではもっとも頻繁に用いられている。神経弛緩
剤治療は、通常、チック疾患の不随意運動を、患者の85%までの体験的軽減を
伴って、抑制する(Esper等、前出)。神経弛緩剤の副作用には、鎮静、抑鬱、パ ーキンソン症候群、認識障害及び遅発性ジスキネジアが含まれる。他の遅発性運
動障害も、長期使用により起こり得る。副作用に耐えられないことが、しばしば
、患者をTSの神経弛緩剤治療の中断へと導くが、TDの危険が殆どの医者に軽
い症例でのそれらの使用を気のすすまないものとしている。一層重いTSを有す
る者は、しばしば、苦しい症状と苦しい副作用の間の不愉快な選択をしなければ
ならない。単純なチックを有する人々は、感情的苦痛、困惑、減少した自尊心又
は身体的傷害(チックが十分に激しい場合)を経験し得る。それでも、彼らは、普
通、比較的軽い症例の治療では、副作用及び長期間の毒性に耐えられないので、
神経弛緩剤での治療を受けないであろう。
【0028】 TSに対する他の薬物治療は、TDの危険を有しない。しかしそれらは、神経
弛緩剤より効き目が低い。最も一般的な非神経弛緩剤代用物は、アルファ−2ア
ドレナリン作動性アゴニスト例えばクロニジンである。残念ながら、クロニジン
で治療された患者の50%未満(おそらく、僅か25%)が臨床的に有意のチック
関連症状の改善を示すだけである(Esper等、前出;Chappell等、前出)。更に、 クロニジンに応答する多くのチックの患者は、その使用を制限する副作用(最も 多いのは、低血圧又は鎮静作用)を有するであろう。
【0029】 他の非神経弛緩性治療剤、クロナゼパム、GABA−A及びセロトニン作動性
作用を有するベンゾジアゼピンは、トゥーレット症候群の治療に幾らかの効力を
有している(Steingard等、J.Am Acad Child Adolesc Psychiatry,3-4月,33:394-
9,1994)。鎮静作用及び運動失調症は、クロナゼパムの投薬量を制限し;許容投 与量は、しばしば、患者のチックを抑制するのに必要な量を下回る。
【0030】 脳のセロトニン作動性5−HT2レセプターのアンタゴニストとして作用する 化合物の新規なクラスは、最初に、有望な結果を示したが、子供及び青年は、副
作用に対する感受性の増大を経験する(Chappell等、前出)。最近の注意を受け入
れた更なる代用物は、抗酸化剤治療(Rotrosen等、Prost.Leuk.and Ess.Fatty Ac
ids,55(1&2),1996)、経頭蓋磁気刺激(Ziemann等、前出)、ニコチン治療(Sanberg
等、Pharmacol.Ther.,74(1).,1997;Silver等、J.Am.Acad.Adolesc.Psychiatry,
Vol35,12月,1996)及びボツリヌス毒素療法(Esper等、前出)を含む。これらの治 療の各々は、臨床的に有意の軽減を個々の患者に提供したが、何れも、治療の選
択として、神経弛緩剤に取って代わるものではなかった。明らかに、神経弛緩剤
の副作用及び長期の危険を有しないチック及びTSのための更なる治療剤の要求
がある。
【0031】 理論的根拠に基づいて、トゥーレット症候群の更なる治療法は、グルタメート
アンタゴニストを含むということが示唆されているが、それらの使用を提案して
いる最近の論文は、この役割を果たし得る何れの特定の薬物にも言及していない
(Chappell等、Neurol.Clin.5月,15(2):429-450,1997)。
【0032】 マグネシウム及び運動障害 重い精神病の患者におけるマグネシウム状態の異常の考慮すべき証拠がある( 例えば、Athanassenas等、J.Clin.Psychopharmacol.8月,3:212-6,1983;Alexand
er等、Br.J.Psychiatry,8月,133:143-9,1978;Kirov等、Neuropsychobiology,30
(2-3):73-78,1994;Wang等、1997; Yassa等、Int.Pharmacopsychiatry,14(1):57
-64,1979参照)。Alexander等(前出、1978)は、神経弛緩剤の錐体外路の副作用を
発症した精神分裂病患者が、平均して、かかる副作用を有しない者より低いマグ
ネシウムレベルを有することを見出した。神経筋の興奮及び不安は、マグネシウ
ム涸渇の一般的な急性症状発現である。そして、マグネシウム欠乏が広範囲の神
経変性疾患の一因となり得ると推測する理論的理由がある(Durlach等、1997,前 出)。
【0033】 マグネシウム欠乏は、神経筋の興奮を引き起こし得るので(Durlach等、Magnes
Res,6月,10:169-95,1997)、それは、潜在的に運動障害を引き起こし得るか又は
一層重くし得る。Ploceniak(Communications Libres,91,補遺II,1990)は、詳し くないが、テタニー(低カルシウム血症に典型的な筋肉痙攣に対する感受性)に関
係する歯ぎしり及び顔面チックの患者に有用なマグネシウム補足物を見出したと
報告した。しかしながら、彼は、マグネシウム補足物がトゥーレット症候群の患
者及びマグネシウム欠乏によらないチックを有する者に有用であろうということ
は示唆しなかった。マグネシウム欠乏が遅発性ジスキネジア、他の遅発性運動障
害、眼瞼痙攣、又は他の焦点ジストニーの原因であるという示唆、又はマグネシ
ウム補足物が、テタニーによる明白なマグネシウム欠乏のない場合における運動
障害を上首尾に治療し又は予防するのに使えるという示唆は、されたことがない
【0034】 今日の薬局方は、上記の運動障害を治療するための様々な薬剤を提供している
が、これらの薬剤の何れも、これらの病気を予防又は治癒することができない。
その上、殆どの有効な全身薬物療法は、しばしば、耐え難い副作用を伴う。ボツ
リヌス毒素の注射は、不快であり得、頻繁に繰り返さなければならず、しばしば
、時間経過と共に効力が失われる。更には、上肢のジストニーの治療に用いる場
合は、それらは、手の最適な機能に必要な筋肉を弱め得る。TDその他の遅発性
運動障害、眼瞼痙攣その他の焦点ジストニーのための、現行品より一層効力があ
って且つ副作用が一層少ない新規な全身治療剤のはっきりした要求がある。
【0035】 発明の要約 本発明は、ヒトにおけるTDその他の遅発性運動障害、チック疾患、眼瞼痙攣
その他の焦点ジストニーを含む運動障害の治療方法を提供する。本発明は又、運
動障害の患者に特徴的な不随意運動を、NMDA型グルタメート神経伝達を減少
させる薬剤を投与することにより減少させる方法をも提供する。一面において、
医薬は、線条体細胞においてグルタメート誘導される興奮性スナブス後電位を減
少させる能力を有する薬剤の群から選択される。特定の例は、メマンチン、デキ
ストロメトルファン及びNMDA型グルタメート神経伝達に対する同様の薬力学
的効果を有するこれらの同族体又は誘導体、並びに肝臓、血液又は脳内で代謝さ
れて活性な代謝産物及び同様の薬力学的効果を有する誘導体を生じるプロドラッ
グを包含する。他の面において、この発明は、運動亢進症又はジスキネジア運動
障害の患者に特徴的な不随意運動を、(i)GABA−Aレセプターにアゴニスト
として直接又は間接に作用する及び(ii)NMDA型グルタメート神経伝達を間
接的又は調節機構により減少させる薬剤を投与することにより減らす方法を提供
する。特定の例は、カルシウムN−アセチルホモタウリネート(アカンプロセー ト)、マグネシウムN−アセチルホモタウリネート、N−アセチルホモタウリネ ートの他の塩、N−アセチルホモタウリネートの誘導体(GABA及びNMDA 型グルタメート神経伝達に対する同様の薬力学的効果を有するもの)、並びに肝 臓、血液又は脳内で代謝されてN−アセチルホモタウリネート又は同様の薬力学
的効果を有する誘導体を生じるプロドラッグを包含する。他の面において、本発
明は、運動亢進症又はジスキネジア運動障害の患者に特徴的な不随意運動を、G
ABA−Aレセプター活性を増大させ及びNMDA型グルタメート神経伝達を減
じるように作用する2種以上の薬剤を組み合わせて投与することにより減らす方
法を提供する。
【0036】 本発明は又、マグネシウム又は非競争的NMDAレセプターアンタゴニストを
NMDA型レセプターにおけるグルタメートに対するシナプス後応答を減じるメ
マンチン若しくは他の化合物又はこれらの混合物(特に、前の段落に列挙したも のを含む)と組み合わせることによる運動障害の治療方法をも提供する。例えば 、デキストロメトルファンは、運動障害の治療のためにメマンチン及びマグネシ
ウムと組み合わせることができる。他の面において、本発明は、NMDA型レセ
プターにおけるグルタメートに対するシナプス後応答を同時に減じ、直接又は間
接にGABA−A伝達を増大させもするマグネシウム又は非競争的NMDAレセ
プターアンタゴニストのメマンチン若しくは他の化合物又はこれらの混合物との
組合せを提供する。好適具体例において、マグネシウムを非競争的NMDAレセ
プターアンタゴニストとして用いる(メマンチンは、NMDAレセプターアンタ ゴニストとしてカルシウムイオンチャンネルを遮断することにより機能する)。
【0037】 本発明は、マグネシウムが、チック及びTDを含む運動障害並びに拡張により
TS及び眼瞼痙攣その他の焦点ジストニーの治療に用いられる薬剤の効果を増大
させることができる(神経弛緩剤にさらされたことにより引き起こされたか否か によらない)ことを示す。相乗作用が、マグネシウムとNMDAレセプターアン タゴニストとして作用する他の薬剤との間に、及びNMDAレセプターアンタゴ
ニストとして作用し同時にGABA−A伝達の促進剤としても作用する薬剤との
間でも示される。一具体例において、NMDAレセプターアンタゴニストとして
作用する薬剤の如何なる組合せも、マグネシウムを伴って又は伴わないで、運動
障害の治療に用いられる。或は、マグネシウムを単独で用いて運動障害に伴う症
状を減少させる。
【0038】 他の好適具体例において、マグネシウムの補足を用いて、既に運動障害の危険
にある人々において、その危険を減らすことにより又は彼らが危険にある運動障
害の開始を遅らせるにより運動障害を予防する。特に、マグネシウム欠乏が神経
弛緩剤を受けている患者におけるTDの発症の危険因子であるということ、及び
マグネシウム補足物が、マグネシウム欠乏になりやすい患者(年輩の女性、アル コール中毒者、糖尿病患者、利尿剤使用者及び栄養失調の個人を含む)において 、TDの発症を予防し得ることは、断言される。
【0039】 他の具体例において、NMDAレセプターアンタゴニストとして作用する薬剤
のGABA−A神経伝達を促進する(GABA−Aレセプターアゴニストとして 作用することにより、GABA−A放出を増大させることにより、又はGABA
−Aレセプター刺激に対するシナプス後応答を増大させることによる)少なくと も一の薬剤との任意の組合せを、マグネシウムを伴って又は伴わないで、運動障
害の治療に用いる。
【0040】 NMDA型グルタメートレセプターアンタゴニストとして作用する少なくとも
一の薬剤及びマグネシウムを、GABAアゴニストとして作用する薬剤を伴って
又は伴わないで含む丸薬が、この組合せ療法の送達のための特別のビヒクルとし
て提出される。更に、他の経口製剤も示唆される(この混合物は、シロップ、エ リキシル又は時間経過に伴って放出するカプセルにて送達され得る)。最後のも のは、この混合物の投与量の作用の持続を長引かせる方法として示唆される。
【0041】 定義 「遅発性ジスキネジア」:ここで用いる場合、「遅発性ジスキネジア」は、遅
発性ジストニーその他の長期間の神経弛緩剤の使用に関係する運動障害を包含す
ることを意味している。略号TDは、用語「遅発性ジスキネジア」の代わりに用
いられる。TDに含まれる症状のセットも又、この出願では、「遅発性ジスキネ
ジア及び関連する遅発性運動障害」として言及され得る。
【0042】 「眼瞼痙攣」:ここで用いる場合、「眼瞼痙攣」は、眼瞼痙攣と顔面及び/又
は頸のジストニーの組合せであるメージュ症候群を含む。
【0043】 「焦点ジストニー」:ここで用いる場合、「焦点ジストニー」は、眼瞼痙攣及
びメージュ症候群、痙性斜頸、痙攣性発声困難、書痙、音楽家痙攣及び他の職業
ジストニーを包含する。
【0044】 「トゥーレット症候群」:「トゥーレット症候群」は、ここで用いる場合、「
ジルドラトゥーレット症候群」、「トゥーレット症候群」、「トゥーレット病」
及び類似の表現と同意語である。略号TSは、これらの用語の何れかの代わりに
用いられ得る。
【0045】 「NMDAレセプターアンタゴニスト」:ここで用いる場合、「NMDAレセ
プターアンタゴニスト」は、NMDA型グルタメートレセプターのグルタメート
に対するシナプス後応答を阻害し又は減じる任意の分子である。
【0046】 「NMDA型グルタメート神経伝達」:「NMDA型グルタメート神経伝達」
は、ここで用いる場合、広く、NMDAグルタメート伝達を減じるであろう任意
のものをいう(それが、シナプス前で作用するか、グルタメートレセプター結合 部位で、調節部位例えばグリシン調節部位で、イオンチャンネル内で、細胞膜内
で、又はニューロン内で作用するかによらない)。これは又、NMDAレセプタ ーを有するシナプスでのグルタメートの放出を減じ、グルタメートのNMDAレ
セプターへの結合を変え又はNMDAレセプターの数若しくは種類を変える任意
の物質をも包含する。
【0047】 「アカンプロセート」:ここで用いる場合、「アカンプロセート」は、カルシ
ウムN−アセチルホモタウリネートをいう。これらの2つの用語は、交換可能に
用いられ得る。「N−アセチルホモタウリネート」及び「アセチルホモタウリネ
ート」も又、交換可能に用いられる。
【0048】 「アカンプロセート及び関連化合物」:「アカンプロセート及び関連化合物」
は、カルシウムアセチルホモタウリネート、マグネシウムアセチルホモタウリネ
ート、N−アセチルホモタウリネートの他の塩、アセチルホモタウリネート塩基
、ホモタウリン塩基及びホモタウリン塩、ホモタウリン又はアセチルホモタウリ
ンの誘導体(GABA−A及びNMDA型グルタメート伝達に関して同様の薬力 学的効果を有するもの)、並びに血液、肝臓又は脳内で代謝されてGABA−A 及びNMDA型グルタメート伝達に関して同様の薬力学的活性を有するアセチル
ホモタウリネート又は誘導体を生じるプロドラッグをいう。アカンプロセートは
、NMDAレセプターにおいてグルタメートにより刺激されたニューロンの細胞
内応答を減じ、GABA−A伝達を少なくとも部分的にシナプス前GABA−B
阻害性自己レセプターに対するアンタゴニスト効果により増大させる。表現の容
易さの故に、私は、アカンプロセート及び類似の化合物を、「GABAアゴニス
ト及びNMDAアンタゴニスト」、「GABA−Aアゴニスト及びNMDAアン
タゴニスト」、「GABA伝達を増大させ及びNMDA型グルタメート伝達を減
少させる薬剤」、「GABAアゴニスト及びグルタメートアンタゴニスト」及び
「GABA伝達のアップレギュレーター及びNMDA型グルタメート伝達のダウ
ンレギュレーター」と呼ぶ。
【0049】 「GABA−A伝達」:「GABA−A伝達は、GABA−AレセプターのG
ABAによる活性化と関連した薬力学的現象をいう。GABA−A伝達の促進は
、GABAの放出の増大、その代謝の減少、レセプター結合の増大、又はレセプ
ター結合の細胞効果の増大を含み得る。
【0050】 「GABA−Aレセプターアゴニスト」:「GABA−Aレセプターアゴニス
ト」は、ここで用いる場合、GABA−Aレセプターの活性部位又は調節部位に
結合してGABA−A伝達(上で規定)を促進することのできる分子をいう。
【0051】 「有効な」:「有効な」は、ここで薬物の投薬量に関して用いる場合、特定の
運動障害の症状(例えば、TDその他の遅発性運動障害、チック疾患、眼瞼痙攣 その他の焦点ジストニー)が明らかな各患者個人用にあつらえた薬力学的に活性 な薬剤の特定の量(その患者の不随意運動又は運動障害に関連した任意の他の症 状の減少又は改善を引き起こすのに十分で且つ副作用が許容し得る量)の投与を いう。運動障害の症状は、ここでいう場合は、不随意運動だけでなく、不随意運
動又はその背後の脳機能不全に帰せられ得る身体的、器具的、社会的及び職業的
機能(視覚的機能、認識機能、及び手の使用を含む)における任意のすべての障害
をもいう。
【0052】 実験的に、10〜30mgの範囲のメマンチンの投薬量は、有効であることが
示されている(デキストロメトルファンでは、30mgを1日に4回〜60mg を1日に4回の投薬量を要する)。毎日3〜4回投与される333〜666mg の範囲のアカンプロセートの投薬量は、有効である。当業者は、投与すべき医薬
の最適投与量が個人個人で変わるであろうことを認識するであろう。個々の患者
における投薬量は、それらの患者の身長、体重、当の薬物の吸収速度及び代謝速
度、治療すべき疾患のステージ、及び他の如何なる薬剤が同時に投与されるかを
考慮すべきである。
【0053】 「運動障害」:「運動障害」は、ここで用いる場合、すべての形態の異常運動
及び不随意運動をいうために用いられる。運動障害は、例えば、遅発性ジスキネ
ジア(TD)、チック、ジルドラトゥーレット症候群(TS)、パーキンソン病、ハ
ンチントン病、及び焦点ジストニー例えば眼瞼痙攣を包含する。この出願の主題
である特定の運動障害は、制限はしないが、TDその他の遅発性運動障害、眼瞼
痙攣その他の焦点ジストニーである(後者は、神経弛緩剤又は他のドーパミンア ンタゴニストにさらされることと関係しているか否かによらない)。
【0054】 「チック疾患」:「チック疾患」は、ここで用いる場合、突然の反復する動作
、身振り、又は発声(しばしば、目的のある行動の断片を真似る)をいう。チック
は、型にはまった、反復するが、不規則なリズムの不随意運動により特徴付けら
れる。それらには、運動性チックと発声(有声)チックの両方が含まれる。チック
疾患は、例えば、単純チック、多発性チック及び発声を伴う多発性チックと規定
されるジルドラトゥーレット症候群を包含する。
【0055】 発明の詳細な説明 本発明は、運動障害(TDその他の遅発性運動障害、チック、トゥーレット症 候群、眼瞼痙攣その他の焦点ジストニーを含むが、これらに限られず、後者は、
神経弛緩剤又は他のドーパミンアンタゴニストにさらされることに関係するか否
かによらない)の治療方法に関するものである。これらの運動障害が同じ生理的 機構の幾つかを含むことはありそうなことであり、従って、同じ治療法に対して
応答性であることはありそうなことである。本発明の一面において、私は、パー
キンソン病の治療に用いられる薬物であるが、遅発性ジスキネジア、遅発性ジス
トニー又は焦点ジストニー(神経弛緩剤その他の薬物に関係しているか否かは問 わない)の治療における使用が企図されたことのないメマンチンが、遅発性ジス キネジアに関係する不随意運動、認識症状及び機能不全を減少させるのに有効で
あるということを発見した。私は又、メマンチンが、チック及び関連チック疾患
の有効な治療剤であるということも発見した。本発明の他の面において、私は、
絶対禁酒のアルコール中毒者の治療に用いられるが、遅発性ジスキネジアその他
の運動障害(トゥーレット症候群及びチックを含む)の治療での使用は企図された
ことのない薬剤が、運動障害の患者の運動亢進及びジスキネジアを減少させるの
に有効であるということを発見した。
【0056】 数年前に、私は、TDは、脳底神経節を含む神経回路における非線形振動の形
態を表し、その振動は、興奮性神経伝達をブロックする薬剤により減少され得る
という仮説を提唱した。PETスキャンの研究は、TDを有する精神分裂病患者
の淡蒼球及び第一運動野における増大した代謝を示したが、TDでない者では示
さなかった(Pahl等、J.Neuropsych Clin Neurosci 7:457,1995)。これは、TD が推定の非線形振動の部分であり得る運動制御回路における活動亢進と関係する
ということを示唆している。
【0057】 上記のように、私は、線条体を通る運動制御回路の利得を減じるように作用す
る薬剤は、TD及び関連運動障害(遅発性運動障害、焦点ジストニー、チック及 びトゥーレット症候群を含む)に対する有益な作用を有し得るという仮説を進展 させた。例えば、GABAは、線条体における阻害的神経伝達物質である。従っ
て、私の仮説に対する支持は、GABAレセプターを直接又は間接に刺激する薬
剤が神経弛緩剤で誘発されたジスキネジアを低減させ得るということを示す動物
の証拠から得られる(Gao等,J Neural Transmission 95:63,1993;Stoessl,Pharm
acol.Biochem.Behav.,54:541,1996)。神経弛緩剤で誘発されたジスキネジアを有
するラットは、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GABAの生成における速度 制限酵素)の増大した線条体レベルを示す(Delfs等、Exp.Neurol.,133:175,1995)
【0058】 ここに記載のこの発明の生化学的機構を制限するものではないが、仮説の振動
する回路における利得を減じるように作用する薬物は、遅発性ジスキネジアの不
随意運動を減じるようである。GABA、グルタメート及びドーパミンは、この
回路における主たる神経伝達物質である。他の神経伝達物質(ノルエピネフリン 、セロトニン、アセチルコリン及び内因性麻酔剤を含む)は、この振動する回路 に対する間接的作用を有するという仮説が立てられる。私の同時係属中の特許出
願第08/861,801号(その教示を、参考として本明細書中に援用する)に
おいては、私は、興奮性神経伝達物質のある種のアンタゴニスト(及びアゴニス ト)は、TD、遅発性ジストニー、チック及び類似の生化学的機構を共有する運 動障害と関係する運動及び認識障害の両方の治療に有効であると論じた。
【0059】 アカンプロセート 本発明において、私は、NMDA型レセプターのグルタメートに対するシナプ
ス後応答をも減じるGABAレセプターアゴニストのアカンプロセートが、TD
並びに関連する不随意運動及び認識症状を改善し得るということを開示する。例
えば、本発明の理論により、グルタメート伝達に対する共同効果を有するGAB
Aアゴニストは、TDに伴う不随意運動の強度を減少させる。かかるGABAア
ゴニストは、焦点ジストニー例えばTDと関係する眼瞼痙攣及び拡張により特発
性眼瞼痙攣(これが共通の機構を共有していることは、両者のドーパミンアンタ ゴニスト、GABAアゴニスト及びボツリヌス毒素注射に対する応答から考えて
、ありそうなことである)を緩和する。更に、この点に対して、眼瞼痙攣の専門 家であるハーバード・メディカル・スクールのGary Borodic博士は、神経弛緩剤
で誘発された(遅発性)眼瞼痙攣は、一般に、自然のものより投薬に対して応答性
が低いと述べている(Borodic,私信、1998)。もしそうならば、遅発性眼瞼痙攣に
有効な治療剤が自然の眼瞼痙攣に有効であることは、大いにありそうなことであ
る。
【0060】 同様に、アカンプロセートでの治療が、頸及び顔面下部のジストニー運動を伴
う眼瞼痙攣であるメージュ症候群と関連する症状を緩和することはありそうなこ
とである。アカンプロセートが、チック疾患(単純チック及び多発性チックの両 方を含む)と関連するジスキネジア運動を劇的に減少させるということも又、本 願において開示される。更に、私は、アカンプロセート及び他の(i)NMDA型
グルタメート神経伝達を減少させ、(ii)GABA−Aレセプター神経伝達を増
大させる薬剤が、一般的な及び重傷のチック疾患、トゥーレット症候群(多発性 の運動性チック及び発声チックにより特徴付けられる)の治療において有用であ ることを提示する。
【0061】 アカンプロセート(カルシウムN−アセチルホモタウリネート)は、ホモタウリ
ン、アミノ酸タウリンの誘導体のカルシウム塩である。それは、絶対禁酒のアル
コール中毒者の治療において、彼らのアルコール願望を減じ又は阻止するために
臨床的に用いられている。アカンプロセート(阻害的神経伝達物質GABAに化 学的に類似している)は、GABAアゴニスト(特に、GABA−Aレセプターに
おけるアゴニスト)である。その上、それは、NMDA型グルタメートレセプタ ーのシナプス後応答を減じ、電位型チャンネルを通してのカルシウムの流入を減
じる(Wilde及びWagstaff,Drugs,53:1039-53,1997)。
【0062】 アカンプロセートは、その非常に低い毒性の故に、慢性的運動障害の治療のた
めに特に魅力的な薬物である。3,338人の患者を含むアルコール中毒症の治
療の管理された試みにおいて、アカンプロセートは、内科的又は神経病学的に重
い副作用を有しなかった。事実、患者の脱落の割合は、アカンプロセート治療を
受けたグループと偽薬を受けたグループとで等しかった(Wilde及びWagstaff,Dru
gs,6月,53(6):1038-53,1996)。これは、現存するTD及びTS用の全身治療剤と
全く対照的である。これらについては、上で記したように、耐え難い副作用が普
通であり、それらの臨床的有用性に対する主要な限界を課している。
【0063】 GABA(GABA−Aレセプターを介する)及びグルタメート(NMDAレセ プターを介する)を含む運動制御回路に関する上記の仮説は、GABAアゴニス トである及びNMDA型グルタメートアンタゴニストである任意の薬物がジスキ
ネジア運動を改善し得るということを暗示している。アカンプロセート(カルシ ウムN−アセチルホモタウリネート)は、私がヒトのジスキネジア治療における 効力の直接的証拠を提供するかかる薬物の特定の例である。かかる薬物の他の例
には、N−アセチルホモタウリンの他の塩、タウリン及びホモタウリンの誘導体
(GABA及びNMDA型グルタメート伝達に対する同様の効果を有するもの)並
びに肝臓、血液又は脳内で代謝されて同様の薬力学的特性を有するN−アセチル
ホモタウリン又は関連化合物を生じるプロドラッグが含まれる。
【0064】 従って、本発明の好適具体例は、患者に、運動障害の治療に有効な量のホモタ
ウリン及びN−アセチルホモタウリンの誘導体を提供する。特に好ましいのは、
胃腸管から容易に吸収されるアカンプロセートの誘導体である。アカンプロセー
トは、部分的にアセチルホモタウリネートイオンの極性、親水性のために、GI
管から不規則に吸収される。薬物のある種の誘導体は、一層親油性であるので、
一層よく且つ一層確実に吸収され得るということは当業者には周知である。例え
ば、アセチルホモタウリネートイオンから調製されたエステルは一層親油性であ
り、それ故、腸の粘膜を通しての一層多くのそして一層予想し得る吸収を有し得
る。かかるエステルが非毒性で、身体中で自然に代謝される(例えば、血液、肝 臓又は脳内で酵素により開裂される)ならば、それは、アセチルホモタウリネー トイオンを脳に確実に送達するためのビヒクルとして特に好適である。その上、
上記のような誘導体は、適当な投薬量で、アカンプロセートに応答する任意の運
動障害の治療に同等以上の効力を有するであろう。一般に、改善された送達性を
有するアカンプロセートの任意のプロドラッグは、本発明による好適な送達手段
である。更に、特に好適な形態のアカンプロセートは、長い半減期を有するアカ
ンプロセートの誘導体である。かかるアカンプロセートの誘導体は、アカンプロ
セートを用いた場合には1日当たり3〜4回の投与が必要であるところを毎日一
回でよいであろうから、臨床的にアカンプロセートより優れているであろう。ア
カンプロセート又は関連薬物の半減期を延ばすための更なるアプローチは、それ
を経時的に放出するカプセルにて送達することである。
【0065】 他の好適具体例においては、これらの誘導体を用いて、神経弛緩剤に長期間さ
らされることと関係したジスキネジア運動障害を治療する。更に、上記の組成物
を用いて、併発した精神異常(例えば、双極性障害又は精神分裂症)を神経弛緩剤
で治療されている絶対禁酒のアルコール濫用者における遅発性ジスキネジアを治
療することができる。一層特に、本発明の治療剤は、種々の関連運動障害の程度
及び持続期間を減じる。
【0066】 本発明の他の好適具体例は、GABAアゴニスト及びNMDAアンタゴニスト
として作用し、焦点ジストニーの治療剤として作用する薬剤を提供する。焦点ジ
ストニーの一例である眼瞼痙攣は、本発明の治療剤の一つの標的である。上述の
ように、眼瞼痙攣は、不随意の力を込めて眼を閉じることを含む状態である。上
述のように、眼瞼痙攣は、自然に生じ得る(特発性眼瞼痙攣)し、又は遅発性運動
障害の形態であってもよい。特発性眼瞼痙攣の眼の運動障害は、臨床的には、神
経弛緩剤にさらされた後に生じるものと同じであり、それ故、遅発性運動障害に
効き目のある同じ治療剤に応答することが予想され得る。事実、両障害は、少な
くとも短期間、神経弛緩剤及び他のドーパミンアンタゴニストにより改善され、
両者は、ボツリヌス毒素の眼輪筋注射に応答性である(Casey,Neurology,7月,30:
690-5,1980)。
【0067】 本発明は、アカンプロセートを用いる治療による遅発性ジスキネジアと関係す
る眼瞼痙攣の軽減を示すが、これは、アカンプロセート並びにGABA及びNM
DA型グルタメートレセプターに対する総合作用を有する関連化合物及び誘導体
が、特発性眼瞼痙攣及び他のすべての焦点ジストニー(自然のものでも神経弛緩 剤投薬にさらされることにより誘発されたものでも)を有する人々に利益となる ことを示唆している。
【0068】 この発明のこの面の一つの好適具体例においては、医薬をGABAレセプター
アゴニストとして作用し及び間接的又は調節的機構によりNMDAレセプター機
能を減じるようにも作用する薬剤、例えば、制限はしないが、アカンプロセート
カルシウム(カルシウムN−アセチルホモタウリネート)、N−アセチルホモタウ
リネートの他の塩(例えば、マグネシウムN−アセチルホモタウリネート又はリ チウムN−アセチルホモタウリネート)、アセチルホモタウリン塩基、他のホモ タウリン誘導体(GABA及びグルタメート伝達に対する同様の薬力学的作用を 有するもの)、並びに肝臓、血液又は脳内で代謝されてN−アセチルホモタウリ ネート又は関連化合物(GABA及びグルタメート伝達に対する同様の薬力学的 作用を有するもの)を生じるプロドラッグの群から選択する。他の好適具体例に おいては、医薬を、線条体細胞においてグルタメートにより生じる興奮性シナプ
ス後ポテンシャルを低下させる能力を有する薬剤(アカンプロセート及び類似の 化合物範囲並びに上記のプロドラッグを含む)の群から選択する。他の好適具体 例においては、2種以上の医薬の組合せを、その組合せが共同して作用して、G
ABA伝達を増大させ(特に、GABA−Aレセプターを介して)、NMDA型グ
ルタメート伝達を減衰させる(例えば、NMDAレセプターに対する非競争阻害 又は間接的若しくは調節的効果により減衰させる)ように選択する。第4の具体 例は、かかる化合物又はそれらの混合物を、メマンチン又は以下に詳述する類似
の非競争NMDAレセプターブロック剤と組み合わせることを含む。この組合せ
は、総合作用を有する混合物、共有結合された部分、又は血液、肝臓若しくは脳
内で代謝されてこの組合せの各メンバーを放出するプロドラッグであってよい。
【0069】 TDの危険因子には、高齢、糖尿病、アルコール中毒症及び気分障害(分裂症 ではなく)の第一次の精神医学的診断が含まれる。これらの危険の各々は又、マ グネシウム欠乏症の高い罹患率とも関係している(Durlach等、Magnes Res,3月,1
998;G'amez等、Sci.Total.Environ.,9月,15,203(3):245-51 1997;Gullestad等
、J Am Coll Nutr,2月,13:45-50,1994;De Leeuw等、Magnes.Res.,6月,10:135-4
1,1997;Lipski等、Age Ageing,7月,22:244-55,1993;Martin等、J.Trace.Elem.
Electrolytes Health Dis,9月,5:203-11,1991;Shane等、Magnes.Trace.Elem.,1
0:263-8,1991-1992;Zorbas等、Biol.Trace.Elem.Res.,7-8月,58:103-16,1997) 。TD発症の危険にあるプロフィルに合う人々はマグネシウム欠乏の増大した危
険を有するので、私は、マグネシウム欠乏(それ自体)も遅発性ジスキネジア及び
他の運動障害の危険因子であるという仮説を提唱する。それ故、私は、更に、マ
グネシウムの補足が、運動障害を緩和し又は予防することができ、他の治療剤の
作用を強化する(治療される個人がテタニー又はマグネシウム欠乏の他の徴候を 示すか否かによらない)ということを主張する。(遅発性ジスキネジアの患者の治
療がマグネシウム補足物の添加により促進された症例報告4を参照されたい。)
【0070】 運動障害を発症する危険は、本発明により、患者に、十分且つ非毒性の投与量
のマグネシウムイオン(即ち、「マグネシウム負荷」)を投与し、続いて、その患
者の尿中に排出されたマグネシウムイオンの量を測定することによって評価する
ことができる。一層特に、神経弛緩剤又はドーパミンレセプター遮断剤に誘発さ
れた運動障害を発症する危険は、総マグネシウム状態の標準試験を行うことによ
り評価することができる。もしマグネシウム欠乏があるならば、正常のマグネシ
ウム負荷の保持を超えるマグネシウム負荷の保持があり、尿中のマグネシウム排
出が減少する。もし異常に低いマグネシウムの割合が患者の尿の24時間試料に
て回収されるならば、その患者は、マグネシウム欠乏であり、運動障害を発症す
る危険にある。
【0071】 本発明は、マグネシウムの補足が単純チックに関連した症状を減少させ、単純
チックの治療におけるアカンプロセートの作用を増大させることができることを
示す(症例報告5参照)。その上、アカンプロセートと共に投与されたマグネシウ
ムは、単純チックと関連した症状をマグネシウム又はアカンプロセート単独より
も一層よく軽減させる。合わせると、症例4及び5は、マグネシウムイオンの補
足が、他の型の運動障害を上首尾に治療するために利用することができるという
ことを示唆している。
【0072】 本発明の好適具体例においては、マグネシウムを、運動障害(例えば、TD、 トゥーレット症候群及び焦点ジストニー、特に眼瞼痙攣)の治療に用いる。更に は、マグネシウム補足物を用いて、運動障害を発症する危険を減少させる。一の
好適具体例においては、運動障害は、マグネシウムの補足により予防することが
できる。他の具体例においては、マグネシウムの補足は、運動障害を発症する危
険にあると同定された個人において、運動障害の開始を遅らせることができる。
更に別の具体例においては、マグネシウムの補足は、様々な運動障害と関連した
症状を減少させる。
【0073】 本発明により、マグネシウムの補足は、他のNMDA型レセプターアンタゴニ
スト及びダウンレギュレーターの治療効果を増大させる(症例報告5参照)。一の
好適具体例においては、マグネシウムをアカンプロセート(カルシウムN−アセ チルホモタウリン)と共に投与して、TD及び他の神経弛緩剤使用から生じる運 動障害、チック、トゥーレット症候群、眼瞼痙攣その他の焦点ジストニー並びに
パーキンソン病のピーク投与量ジスキネジアを治療する。特に好適な具体例にお
いては、N−アセチルホモタウリンのマグネシウム塩及びN−アセチルホモタウ
リンの誘導体のマグネシウム塩(これらは、同様に、GABA伝達を促進して、 NMDA−グルタメート神経伝達を減少させる)が、運動障害の有効な治療剤で ある。
【0074】 N−アセチルホモタウリンが有効な治療剤であるすべての状態、N−アセチル
ホモタウリンのマグネシウム塩及びN−アセチルホモタウリンの誘導体のマグネ
シウム塩(GABA神経伝達及びNMDA−グルタメート神経伝達に対する同様 の効果を有する)も又、有効な治療剤であろうということは、当業者には認めら れよう。或は、任意のマグネシウム塩を、N−アセチルホモタウリンの誘導体の
任意の塩と共に投与して、運動亢進及びジスキネジア運動障害を治療することが
できる。一の非制限的例において、適当な投与量のアカンプロセートを適当な投
与量のマグネシウムと共に含む丸薬を配合して、運動障害を有する患者に投与す
ることができる。他の好適具体例においては、NMDAアンタゴニスト活性及び
GABAアゴニスト活性を有する薬剤を、一つの丸薬中で、適当な投与量のマグ
ネシウムと組み合わせる。更に別の好適具体例においては、NMDAアンタゴニ
ストを、一つの丸薬形態において、GABAアゴニスト及び適当な投与量のマグ
ネシウムと組み合わせる。当業者は、投与の組成物は、丸薬に限られず、シロッ
プ、液体、錠剤、時限式カプセル、エアゾール又は経皮的パッチであってもよい
ということを認識するであろう。
【0075】 アカンプロセートのマグネシウムに対する比は、これらの2成分の治療上の相
乗作用を最適化するように変化させることができる。約1:20のマグネシウム
:アセチルホモタウリネート比(重量比)を有するマグネシウムN−アセチルホモ
タウリネート(Durlach、前出;1980)は、これらの2成分の治療効果を最適化し ない。アセチルホモタウリネートの典型的な治療用投薬量においては、マグネシ
ウムの量は、グルタメート伝達に対する治療上適切な効果を有するには低すぎる
。私の経験では、私は、毎日2グラムの投薬量のアカンプロセートを1グラムの
マグネシウム元素(塩又はキレート化合物として与えられる)と組み合わせること
により優れた治療結果を有した。この組合せは、2グラムのアカンプロセート単
独よりも、TD及びチックの両方の一層優れた軽快を与える。私は又、300m
gのマグネシウムの単独投与量が666mgのアカンプロセートの単独投与量の
治療効果を増大させるということをも示した(下記の症例報告5を参照されたい)
。個人の応答における変動、及びアカンプロセートとマグネシウムの両者の腸で
の吸収の変動を考慮して、私は、個々の患者のためのmg:アセチルホモタウリ
ネートの最適比は、大体1:6〜1:1であろうということを主張する。マグネ
シウムのアカンプロセートに対する一層低い比がアカンプロセートの治療効果を
有意に後押しすることはありそうになく、1:1より高い比率は、おそらく、典
型的な毎日2グラムのアカンプロセートの投与量で、マグネシウム毒性を(少な くともGI不耐性を)生じるであろう。マグネシウムN−アセチルホモタウリネ ートが、カルシウムN−アセチルホモタウリネートよりもチック疾患の治療につ
いて僅かに効き目が勝っているにもかかわらず、本願においては、我々は、アカ
ンプロセート及び関連化合物のマグネシウム含量を、マグネシウムイオンを(塩 又はキレート化合物として)N−アセチルホモタウリネートの塩と共に投与する ことにより有効に増している(何故なら、マグネシウムをアカンプロセートに対 して、アカンプロセートのマグネシウム塩中に存在するよりも一層高い比率で投
与することに対する有意の利益があるので)。
【0076】 アカンプロセートの効果は、その投与後数時間以内に得られる。この観察は、
仮説の運動障害の治療におけるアカンプロセートの作用の機構にとって決定的に
重要である。1997年に、Lidsky等(米国特許第5,602,150号)は、神
経弛緩剤を使用している人々における遅発性ジスキネジアの予防のためのタウリ
ン及びタウリン誘導体(アカンプロセートを含む)の利用を記載した。ゲッ歯動物
モデルにおいて、動物に、神経弛緩剤が、タウリンを伴って又は伴わないで与え
られた。数ヶ月にわたって、これらの内のタウリンを受けた動物は、ヒトのTD
に類似する運動障害である空の咀嚼運動(VCM)を発症することは、一層ありそ
うでなかった。この効果を説明するために進められた機構は、タウリンの長期間
の神経保護作用であった(該期間中、タウリンは、線条体ニューロンのグルタメ ート作動性の刺激過剰の長期の効果をブロックする)。当業者は、グルタメート 誘導される興奮毒性に対する神経保護活性を有する薬剤が、運動障害の重い確立
された症例の治療に必ず効き目があり、投与の数時間以内に利益を生じるとは予
想しないであろう。事実、有効な予防薬は、予防すべき症状の確立された症例を
現実に一層重くし得るという神経病学における周知の状況がある。例えば、ドー
パミンアゴニスト抗パーキンソン病薬は、パーキンソン病についてレボドーパで
治療されている患者におけるジスキネジアの開始を遅らせ得る。更に、ドーパミ
ンアゴニストは、ジスキネジア運動が一度確立されたならば、それらを一層重く
し得る。
【0077】 マグネシウムイオンは又、神経保護剤としても作用し、特に、NMDA型グル
タメートレセプターにより媒介されるニューロン傷害モデルにおいて該剤として
作用する(Ema等、Alcohol,2月,15:95-103,1998;Greensmith等、Neuroscience,
10月,68:807-12,1995;Heath等、J.Neurotrauma,3月,15:183-9,1998;Hoane等、
Brain.Res.Bull.,45:45-51,1998;Muir等、Magnes.Res.,3月,11:43-56,1998;Va
nick'y等、Brain.Res.,4月,789:347-50,1998)。しかしながら、確立された運動 障害の治療におけるマグネシウムの事実上即時的な利益は、神経保護に基づくも
のではあり得ない。むしろ、神経伝達(グルタメート作動性伝達を含む)に対する
マグネシウムの即時的且つ直接的効果が関係しているにちがいない。この点につ
いて、ヒトにおける神経保護のために用いられるマグネシウムの投薬量は、運動
障害の治療においてここで用いられる最高投与量の1日1グラムよりかなり多い
ということに注意されたい。事実、マグネシウムは、それが単独薬剤である場合
に用いられる投与量よりかなり低い投与量で投与された場合に、ここに記載のよ
うに、他の治療剤の有益な効果を増大させることができる。この発明の他の面は
、NMDAアンタゴニスト及びアゴニストとして作用してTDを有するヒトにお
ける記憶及び認識を改善する薬剤を利用する方法を特徴とする。本発明の特に好
適な具体例は、TDを示す患者における認識機能を改善する方法を開発すること
であり、特に記憶、集中の期間、及び特に認識に依存する活動における毎日の機
能的動作を増大させることである。これらの機能の改善は、主観的及び客観的に
測定される。記憶の改善は、標準的な神経心理学的試験により示すことができる
。認識の改善は、神経心理学的試験(Rey Auditory-Verbal Learning Test及び選
択反応時間の測定を含む)における動作により及び認識過程に大いに依存する課 業における動作の主観的指標により示される。アカンプロセート又は他の上記の
薬剤の何れかを含む治療養生法を受けている患者において認識が改善されたこと
を示すために、多くの異なる神経心理学的試験を用いることができるということ
は、当業者には明らかである(当該治療養生法は、制限はしないが、下記を包含 する:ホモタウリン及びアセチルホモタウリンのアセチルホモタウリン誘導体の
他の塩(NMDA−グルタメート及びGABA神経伝達に対する同様の薬力学的 効果を有するもの)、血液、肝臓又は脳内で代謝されてアセチルホモタウリネー ト又は誘導体(NMDA−グルタメート及びGABA神経伝達に対する同様の薬 力学的効果を有するもの)を生じるプロドラッグ、並びに合わさってNMDA− グルタメートアンタゴニスト及びGABAアゴニスト効果を有する2種以上の化
合物の混合物)。これらの実在物のすべては又、グルタメート誘導された興奮毒 性ダメージに対する神経保護作用をも有し得るが、それらの運動障害及び認識に
対する事実上即時的で有益な効果(これは、投薬が中断されれば、可逆的である)
が、かかる神経保護作用のためということはあり得ない。
【0078】 本発明の他の好適具体例は、チックを改善し、結果として、徴候を減じてチッ
ク又はチック疾患(例えば、TS)を有する患者の生活の質を改善する方法の開発
である。この面及び本発明の更に別の具体例は、眼瞼痙攣及び関連する視覚機能
障害(頻繁に力を込めて不随意に眼を閉じることにより暗示される)を緩和する方
法の開発である。この発明のこの面の最後の具体例は、すべての焦点ジストニー
(自然に発症したものか神経弛緩剤及び他のドーパミンレセプター遮断剤にさら されたことにより促進されたものであるかを問わない)を治療する方法を提供す る。
【0079】 当業者は、本発明が、TD及び他のチック疾患を、GABA及びNMDAレセ
プターに対する直接的効果によって、NMDA型グルタメート神経伝達を減じ、
GABA神経伝達を増大させる薬剤を用いて治療する方法に限られるものではな
いことを認識するであろう。レセプター部位に対する直接的効果に加えて、これ
らの薬剤は、NMDA−グルタメート及びGABA伝達を、レセプターに対する
間接的効果(即ち、神経伝達物質の放出に対するシナプス前効果、レセプター部 位のアロステリック改変、又は伝達物質のレセプターへの結合に対する細胞内応
答に対する効果)、伝達物質放出に対するシナプス前効果、又は様々な機構のい ずれかによって改変することができる。誘導体及びプロドラッグの範囲すべてが
治療上有効であるべきであるということは、当業者には明らかとなろう。アカン
プロセートの治療効果の基礎であるという仮説が立てられているグルタメート及
びGABA伝達に対する効果を共有する如何なるものでも、現在請求の範囲に記
載されている発明の範囲内にある。薬物、プロドラッグ又はこれらの混合物が如
何にしてNMDA−グルタメート神経伝達を減じ、GABA神経伝達を増大させ
るかは、それがTD及びチックと関連する症状を、許容的に非毒性(即ち、受け 入れられない毒性副作用を有しない)投与量で改善しさえすれば問題でない。
【0080】 前記のように、本発明の治療剤は、任意の形態の異常な又は不随意の運動によ
り特徴付けられる任意の運動障害を治療するために用いることができる。その上
、この発明の治療剤は、運動障害の結果である運動に無関係の症状(例えば、認 識機能不全又は動作、気分若しくは衝撃制御の異常)を改善し又は除去するため に用いることができる。後者は、不安、抑鬱、感情鈍麻、攻撃性及び強迫行動を
包含する。線条体を含む脳底神経節は、運動、認識及び感情回路の交差点である
。脳底神経節の病気は、頻繁に、認識、感情、行動及び欲求の変化並びに運動機
能不全を含む。私は、TD、チック及び他の運動障害に有効な薬物治療が非運動
症状の幾つか又はすべてを緩和することもできるということを予想する。一般に
、脳底神経節の病気の治療剤は、非運動効果を有する。例えば、ドーパミンアゴ
ニスト抗パーキンソン病薬は、パーキンソン病の患者の運動の割合を減じるだけ
でなく、それらは又、精神過程の速度をも改善する。マグネシウムの添加が運動
障害の運動症状発現に対する薬物治療の効果を増大させる場合には、それは又、
その治療の非運動症状発現に対する効果をも増大させ得る。
【0081】 メマンチン 本発明の他の面において、私は、NMDA型グルタメートレセプターアンタゴ
ニストであるメマンチン(ドーパミンアゴニストとしても作用する)が、TD並び
に関連する不随意運動及び認識症状を改善することができるということを開示す
る。特に、私は、2人の患者において、メマンチンが、一層拡張性の遅発性運動
障害と関係する眼瞼痙攣を改善することができるということを示した。上記のよ
うに、本発明の理論によって、NMDAレセプターアンタゴニストは、TDと関
係する不随意運動の程度を低下させる。かかるNMDA型レセプターアンタゴニ
ストが焦点ジストニー及び特発性焦点ジストニー(TDの他の症状を伴うか否か 、神経弛緩剤又は他のドーパミンレセプターアンタゴニストにさらされることに
関係するか否かは問わない)を改善することは、幾つかの療法に対する共通の応 答が共通の生理を意味するという仮説に基づいて、ありそうなことである。例え
ば、NMDAレセプターアンタゴニストは、TDと関係する眼瞼痙攣、及び拡張
により、TDではなく薬物誘発された眼瞼痙攣、及び特発性眼瞼痙攣(これらが 、共通の機構を共有することは、それらのドーパミンアンタゴニスト、GABA
アゴニスト及びボツリヌス毒素注射に対する応答に照らして、ありそうなことで
ある)の症状を軽快させるであろう。
【0082】 同様にして、メマンチンを用いる治療が、頸と下顎のジストニー運動を伴う眼
瞼痙攣であるメージュ症候群と関連する症状を改善することは、ありそうなこと
である。TDを有する下記の2人の患者(症例報告1)の1人は、眼瞼痙攣を有し
ただけでなく、メージュ症候群との診断を可能にする顔面と頸のジストニー運動
をも有した。眼瞼痙攣のみを有するならば、神経弛緩剤と関係しないメージュ症
候群は、少なくとも遅発性メージュ症候群と同程度にメマンチンに応答すること
が予想され得る。
【0083】 上記のグルタメートを(NMDAレセプターを介して)含む運動制御回路に関す
る仮説は、NMDA型グルタメートアンタゴニストである任意の薬物が、有効投
与量において比較的毒性を欠き、眼瞼痙攣、メージュ症候群及び遅発性運動障害
を改善し得るということを示唆する。メマンチンは、私が、ヒトにおける効力の
直接的証拠を提供するかかる薬物の特定の例である(症例報告1及び6参照)。
【0084】 上記のように、GABA−Aアゴニストは、単独では、特に強力なチック治療
ではない。それ故、NMDAアンタゴニストが、おそらく、アカンプロセートの
治療効果の必須部分であろう。その上、NMDAアンタゴニストは、本来、遅発
性ジスキネジア及び遅発性ジストニーの治療において十分なものであり、これは
、遅発性運動障害が関係する場合には、メマンチンのNMDAアンタゴニスト活
性がそのドーパミンアゴニズムより一層重要であることを示唆している。ここに
開示した証拠は、運動障害例えばチック及びトゥーレット症候群が遅発性運動障
害と類似の様式でNMDAアンタゴニスト活性を有する薬物療法に応答するであ
ろうことを示唆している。
【0085】 チック及びトゥーレット症候群に関して幾つかの療法に対する共通の応答は、
共通の生理的機構を暗示するという仮説は、1)アカンプロセートが遅発性ジス
キネジア、遅発性ジストニー及びチックを緩和し;そして2)メマンチンが遅発
性ジスキネジア及び遅発性ジストニーを緩和し;そして3)アカンプロセートと
メマンチンの両者がNMDA型レセプターアンタゴニストであるという事実によ
り支持される。従って、メマンチンも又トゥーレット症候群を含むチックの治療
に有用であろうと予想することは、論理的である。事実、私は、本願において、
メマンチンが、チック疾患(単純チックと多発性チックの両方を含む)に関係する
ジスキネジア運動を劇的に減少させるということを開示する。その上、私は、メ
マンチン及び同様の薬力学作用を有する他の薬剤(並びにこれらの同族体及び誘 導体)(両者は、(i)NMDA型グルタメート神経伝達を減じて、(ii)ドーパミ
ンレセプター神経伝達を増大させる)が、普通の及び重症のチック疾患、トゥー レット症候群(多発性の運動性及び発声チック)の治療において有用であるという
ことを提唱する。症例報告5は、単純チックの患者がメマンチンの投与に際して
チックの頻度の有意の低下を経験することを示す。
【0086】 NMDA型グルタメート伝達に対する類似の効果を有する薬物の他の例には、
デキストロメトルファン、メマンチン及びデキストロメトルファンの誘導体、並
びに肝臓、血液又は脳内で代謝されて類似の薬力学的特性を有する生物学的に活
性な化合物を生じるプロドラッグが含まれる。デキストロメトルファンは、メマ
ンチン及びアマンタジンと同様に、NMDAレセプターアンタゴニストである。
本発明の一の好適具体例においては、デキストロメトルファン(並びにその同族 体及び誘導体)を、運動障害の治療のために、患者に投与する。遅発性ジスキネ ジア、ジストニー又は他の運動障害の治療におけるデキストロメトルファンの利
用の報告はない。
【0087】 本発明の好適具体例は、メマンチン及びデキストロメトルファンの誘導体を、
有効な投与量で、運動障害の治療のために、患者に与える。更に、メマンチン及
びデキストロメトルファンの特に好適な形態は、一層長い作用の持続期間を有す
る誘導体(例えば、一層長い排除の半減期により得られるもの)であろう。かかる
メマンチン又はデキストロメトルファンの誘導体は、臨床的にメマンチン又はデ
キストロメトルファンより優れているであろう(何故なら、それらは、メマンチ ン又はデキストロメトルファンを用いる場合には1日当たり2〜4回の投与を必
要とするところ、毎日一回の投与でよいから)。メマンチン、デキストロメトル ファン又は関連する薬物の作用の持続期間を長くする更なるアプローチは、それ
らを時限放出カプセルにて送達することである。
【0088】 他の好適具体例においては、これらのメマンチン及びデキストロメトルファン
の誘導体を用いて、神経弛緩剤に長期間さらされることと関係するジスキネジア
及びジストニー疾患を治療する。更に、上記の組成物を用いて、遅発性ジスキネ
ジアを、持続性の慢性の精神異常(例えば、双極性障害又は精神分裂症)のための
神経弛緩剤を用いる治療を続けている患者において治療することができる。一層
特に、メマンチン及び関連化合物は、様々な関連運動障害の程度及び持続期間を
低減させる。本発明の他の好適具体例は、メマンチン、デキストロメトルファン
並びにこれらの誘導体及び同族体を、焦点ジストニーの治療剤として提供する。
焦点ジストニーの一例である眼瞼痙攣は、本発明における治療の一つの標的であ
る。
【0089】 本発明は、遅発性ジスキネジアと関連する眼瞼痙攣のメマンチンでの治療によ
る軽減を示すが、これは、メマンチン並びにNMDA型グルタメートに対する類
似の作用を有する関連化合物及び誘導体が、特発性眼瞼痙攣及び他のすべての焦
点ジストニー(自然発症のものか神経弛緩剤にさらされることにより誘発された ものであるかを問わない)を有する人々に有益であろうことを示唆している。
【0090】 この発明のこの面の一の好適具体例においては、医薬を、NMDAレセプター
機能を低下させるように、非競争的アンタゴニスト、イオンチャンネル遮断剤、
又はNMDAレセプター機能調節剤として作用する薬剤の群から選択する。これ
らには、制限はしないが、メマンチン、デキストロメトルファン及びデキストロ
ルファン(公知のNMDAアンタゴニズムを有しヒトへの投与に際して許容し得 る毒性を有するデキストロメトルファンの誘導体)が含まれる。当業者は、上記 の具体例が、メマンチン、デキストロメトルファン及びデキストロルファンの同
族体及び誘導体(グルタメート伝達に対する類似の薬力学的作用を有するもの)並
びに肝臓、血液又は脳内で代謝されてグルタメート伝達に対する類似の薬力学的
作用を有する関連化合物を生じるプロドラッグを含むということを認識するであ
ろう。更に別の好適具体例においては、医薬を、線条体細胞においてグルタメー
ト生成される興奮性シナプス後ポテンシャルを減じる能力を有する薬剤の群から
選択する(メマンチン、デキストロメトルファン並びに前述の類似の化合物及び プロドラッグの範囲を含む)。他の好適具体例においては、2以上の医薬の組合 せを、その組合せが、協力して、NMDA型グルタメート伝達を弱める(例えば 、非競争的阻害により、NMDAレセプターに対する間接的若しくは調節的効果
により、又はこれらの作用の組合せ若しくは連続による)ように選択する。第5 の具体例は、かかる化合物又はそれらの混合物を類似の非競争的NMDAレセプ
ター遮断剤(以下に詳述)と組み合わせることを含む。これらの組合せは、混合物
、組み合わされた作用を有する共有結合部分、又はプロドラッグ(血液、肝臓又 は脳内で代謝されて組合せの各メンバーを放出する)の何れかであってよい。
【0091】 上述のように、TDを発症する危険因子には、マグネシウム欠乏が含まれる。
従って、私は、マグネシウム欠乏が他の運動障害の危険因子でもあり、マグネシ
ウムの補足が単独でも他の治療と組み合わせても運動障害を緩和し又は予防する
ことができるという仮説を立てた。
【0092】 症例報告2は、アカンプロセート及びメマンチンと組み合わせてのマグネシウ
ム投与が、TDの治療におけるメマンチン及びアカンプロセートの治療作用を増
大させることを示す。症例報告5は、メマンチンのみと組み合わせてのマグネシ
ウムの投与は、単純チックの治療に対するメマンチン単独の治療作用を増大させ
るということを示す。従って、私は、マグネシウムが、チック及びトゥーレット
症候群の治療のためにメマンチン又はデキストロメトルファンのみと組み合わせ
た場合に、アカンプロセートと組み合わせて用いたときのように治療を増大させ
るであろう(これらの化合物の通常の生理学的作用を仮定する)ということを提唱
する。この仮説に対する更なる支持は、チック及びトゥーレット症候群が、遅発
性運動障害と同様に、神経弛緩剤により一時的に抑制されるという事実である。
【0093】 マグネシウムの補足は、治療される個人がマグネシウム欠乏の臨床的徴候を示
しているか否かにかかわらず有益であり得る(詳細は、症例報告2及び4並びに 同時係属中の「Methods of Treating Tardive Dyskinesia and Other Movement
Disorders」と題する特許出願第09/193,892号(1998年11月18
日出願)を参照されたい。これらの症例は、遅発性ジスキネジアがNMDAレセ プターアンタゴニストの投与により改善された患者がマグネシウムの添加によっ
て、更に果然されるということを示している)。
【0094】 本発明の好適具体例においては、運動障害(例えば、遅発性ジスキネジア、遅 発性ジストニー、及び特発性ジストニー特に眼瞼痙攣)の治療において、マグネ シウムを用いて、メマンチン、デキストロメトルファン、又は他のNMDA−グ
ルタメート神経伝達に対して類似の効力を有する薬剤の効力を増大させる。
【0095】 本発明により、マグネシウム補足物は、他のNMDA型レセプターアンタゴニ
スト及びダウンレギュレーターの治療効果を増大させるであろう。一の好適具体
例においては、マグネシウムを、メマンチンと共に投与して、TD及び他の運動
障害(神経弛緩剤の使用から生じたもの)並びに種々の焦点ジストニーを治療する
。やはり本発明の好適具体例により、マグネシウムを、メマンチンと共に投与し
て、チック、トゥーレット症候群及び他のチック関連疾患を治療する。他の具体
例においては、マグネシウムを、デキストロメトルファン及びメマンチンと共に
投与して、TD、チック、トゥーレット症候群及び他の運動障害(神経弛緩剤の 使用から生じたもの)並びに種々の焦点ジストニーを治療する。一の最終的具体 例においては、マグネシウムを、運動障害の治療のために、メマンチン及びデキ
ストロメトルファンの両者と共に投与する。
【0096】 メマンチン及びデキストロメトルファンが有効な治療剤であるすべての病状に
は、メマンチン及びデキストロメトルファンの誘導体及び同族体(NMDA−グ ルタメート神経伝達に対する類似の効果を有するもの)も又、有効な治療剤であ ろうということは、当業者には認められよう。一の非制限的例においては、適当
な投与量のメマンチンを適当な投与量のマグネシウムと共に含む丸薬を処方して
、運動障害を有する患者に投与することができる。或は、適当な投与量のデキス
トロメトルファンを適当な投与量のマグネシウムと共に含む丸薬を処方して、運
動障害を有する患者に投与することができる。適当な投与量のメマンチン、デキ
ストロメトルファン及びマグネシウムを、運動障害の治療のために患者に投与す
るための単一の丸薬中で組み合わせることもできる。他の好適具体例においては
、NMDAアンタゴニスト活性を有する薬剤を、一の丸薬中で適当な投与量のマ
グネシウムと組み合わせる。他の好適な具体例においては、NMDAアンタゴニ
ストを、ドーパミンアゴニスト及び適当な投与量のマグネシウムと丸薬形態に組
み合わせる。当業者は、投与の組成物は丸薬に限られず、シロップ、エリキシル
、液体、錠剤、時限式放出用カプセル、エアゾール又は経皮パッチでもよいとい
うことを認識するであろう。
【0097】 メマンチン及び/又はデキストロメトルファンのマグネシウムに対する比は、
これらの2成分の治療上の相乗作用を最適にするように変えることができる。典
型的には、5〜10mgのメマンチンと250〜300mgのマグネシウムの組
合せを、運動障害を有する患者に、1日3回投与する。このマグネシウムの投薬
量は、神経保護又は痙攣の治療に用いられる薬理学的投与量より低い。デキスト
ロメトルファンについて推奨される投与養生法は、運動障害の治療のためには、
250〜300mgのマグネシウムを伴って、30〜60mgの投与量で1日4
回である。当業者は、個人の応答及び腸での吸収における種々の変動を実験して
メマンチン又はデキストロメトルファンのマグネシウムに対する最適比を見出す
ことができる。当業者は又、最適投与量が、マグネシウムをデキストロメトルフ
ァン及びメマンチンと同時に投与するならば変化し得ることをも認識するであろ
う(マグネシウムは腎臓で排出されるので、マグネシウムの投与量は、運動障害 に加えて腎機能不全を有する患者では、ずっと低い)。
【0098】 メマンチン、デキストロメトルファン及びマグネシウムは、すべて、神経保護
剤として、特にNMDA型グルタメートレセプターに媒介される神経傷害のモデ
ルにおいて発展してきた(メマンチンについての代表的引用文献:(Wenk GL等、B
ehav Brain Res,83:129-33,1997 2月;Kornhuber J等、J Neural Trans Suppl,4
3:91-104,1994;Weller M等、Eur J Pharmacol,248:303-12,1993 12月 1;Krieg
lstein J等、Neuropharmacology,35:1737-42,1996)。デキストロメトルファンに
ついての代表的引用文献:(Duhaime AC等、J Neurotrauma,13:79-84,1996 2月 ;Steinberg GK等、Neurol Res,15:174-80,1993 6月;Britton P等、Life Sci,6
0:1729-40,1997)。マグネシウムについての代表的引用文献:Ema等、Alcohol,2
月,15:95-103,1998;Greensmith等、Neuroscience,10月,68:807-12,1995;Heath
等、J.Neurotrauma,3月,15:183-9,1998;Hoane等、Brain.Res.Bull.,45:45-51,1
998;Muir等、Magnes.Res.3月,11:43-56,1998;Vanicky等、Brain.Res.,4月,789
:347-50,1998)。しかしながら、アカンプロセートについて前述したように、遅 発性運動障害に対するメマンチン、デキストロメトルファン及びマグネシウムの
即時的な短期間の利益が、それらの神経保護作用のためということは、神経弛緩
剤のための興奮毒性のニューロンのダメージが数ヶ月から数年かけて徐々に起き
るのであり得ない(ここで発展される治療剤の治療作用は、事実上、即時的であ る)。
【0099】 当業者は、本発明が、NMDA型グルタメートレセプターを直接ブロックする
薬物を用いる治療に限定されないということを認識するであろう。誘導体及びプ
ロドラッグの範囲すべてが治療上有効であろうということは、当業者には明らか
となろう。もし薬物が、レセプターに対する直接的効果以外の機構によってNM
DA−グルタメート伝達を減じるならば、又は活性物質が、投与されたプロドラ
ッグの代謝産物であるならば、それは、TD、遅発性ジストニー及び他のジスト
ニー(眼瞼痙攣を含む)と関係する症状を許容し得る非毒性投与量(即ち、重い副 作用のない投薬量)で改善する限り、現在請求の範囲に記載の発明の範囲内にあ る。
【0100】 本発明を、今や、下記の非制限的実施例により説明する。
【0101】症例報告1 45歳の女性が、長年にわたるTDを有したが、それは、元々、神経弛緩剤効
果を有する抗欝剤のアモクサピンに7年間さらされることにより誘発されたもの
である。その患者の不規則なリズム運動は、力を込めた眼のまたたき(眼瞼痙攣)
、舌を前方及び左右に押し出すこと、舌を曲げること、しかめつらをすること、
肩をすくめること及び頸の広頸筋を緊張させることよりなるものであった(もし この患者が神経弛緩剤にさらされることと関係していなかったならば、彼女の動
作のサブセットは、眼瞼痙攣を伴う下顎ジストニーのメージュ症候群の特徴であ
り得たであろう)。この患者は、セミプロの音楽家であり;ジスキネジア運動は 、有意の職業上の不都合(楽譜又はテキストを読むことの困難及び木管楽器の演 奏の困難を含む)であった。彼女の読むことの障害の多くは、頻発する不随意の またたき及び眼を閉じることのためであった。彼女は、TDの始まる前の彼女の
動作と比べて、注意、集中及び記憶が低下していた。彼女は、有意に疲労してお
り、大抵毎日ある時点で休息を必要とした。この患者は、神経弛緩剤に誘発され
る副作用の評価において広範囲の経験を有する免許された委員の神経病学者によ
りTDと診断された。
【0102】 この患者のジスキネジア及びジストニーは、アモクサピンを中断した後に悪化
した。アルプラゾラム(調節による不安緩解剤及びGABAアゴニスト;投薬量 0.25mg、1日4回)及びトリヘキシフェニジル(シナプスでのドーパミンの
再取り込みを阻害する抗コリン作動性抗パーキンソン病薬;投与量2mg、1日
2回)を用いる待期療法が、別の内科医により処方された。この組合せは、最少 の改善を生じた。この患者は、1992年の冬に、私による治療を開始して、更
に、18ヶ月間、トリヘキシフェニジルでの治療を続けた。その後、トリヘキシ
フェニジルを中断したが、彼女の不随意運動に変化はなかった。1993年中、
アルプラゾラムを、軽い不安の症状を治療するために、0.5mg、1日4回に
増したが;この投薬量の変化は、この患者の不随意運動に検出し得る影響を有し
なかった。
【0103】 ブスピロン、セルトラリン、ベラパミル及びビタミンEを用いる1992年の
治療の試みは、彼女の不随意運動を僅かだけ減じた投与量において殆ど利益を生
じないか又は耐えられないものであった。これらの薬物の何れも、この患者の日
々の機能(即ち、テキスト若しくは楽譜を読むこと、根気又は集中する能力)を有
意に改善しなかった。有意で且つ持続する利益を与えた最初の薬物は、ドーパミ
ン作動性を間接的に減じるL型カルシウムチャンネルの遮断剤であるニモジピン
であった(Bonci等;J.Neurosci.,9月 1,18(17):6693-703 1998)。
【0104】 1993年に開始して、ニモジピンを、30mgの投薬量で、1日4回投与し
た。初期には、彼女の他の投薬は、変えずに続けた。この治療養生法は、この患
者の不随意運動を約50%減じた。残念ながら、この患者は、めまい、もうろう
とすること及び動悸を含む副作用を経験した。彼女は又、認識機能においても、
徴候的改善を有しなかった。彼女の楽譜を読んで演奏する能力には、有意の改善
があった。しかしながら、たとえこの改善があっても、彼女は、疲労又は眼瞼痙
攣に妨げられて、一度に30分より長時間テキスト又は楽譜を読むことはできな
かった。
【0105】 1995年に、メマンチンが、比較的非毒性のNMDAレセプターアンタゴニ
ストとして私の目に留まった。遅発性ジスキネジアの病態生理学に関する私の仮
説の故に、私は、メマンチンは治療に有益であり得ると考えた。ニモジピンを中
断して、この患者は、10mgの投薬量で1日2回のメマンチン使用を始めた。
この患者のTDの不随意運動は、メマンチンの投与の24時間以内に、ニモジピ
ンを用いて認められたときより実質的に大きい程度で減少した。副作用は、軽い
酩酊感を含んだ。この治療養生法を調節して、この薬物を5mg、1日3回に減
らしたところ、治療効果は維持されて、知覚される副作用はなかった。更に、こ
の患者は、改善された気力、注意、及び集中を報告した。メマンチンは、私が、
GABAアゴニズムの加えられた利益を有する間接的NMDAアンタゴニストと
してアカンプロセートを知るまで、1年半にわたって、この患者のTDの主たる
治療剤であった。
【0106】 アカンプロセートでの治療の前は、この患者の不随意運動は、眼のまたたき、
ほおにしわをよせること、舌を曲げること及び広頸筋を緊張させることよりなっ
た(最適投与量のメマンチンの使用において)。これらの不随意運動は、普通は軽
く、時には中位の強さであった。これらの運動は、過去においては、実質的に、
一層重かったが、2年間の治療過程で有意に減少した。その上、この患者の不随
意運動は、軽いが明確な認識障害を伴った。この患者の最も顕著な認識症状は、
テキストの数頁以上を読むのに十分な長さの時間集中し続けることの困難であっ
た。
【0107】 この患者は、メマンチンをやめて、333mgの投与量のアカンプロセート( 1日4回)で治療した。アカンプロセートでは、この患者の不随意運動(力を込め
た眼のまたたき(眼瞼痙攣)、舌を前方及び左右に押し出すこと、舌を曲げること
、しかめつら、肩をすくめること及び頸の広頸筋を緊張させること)は、気付か れないほどになった。
【0108】 更に、この患者の認識機能は、主観的及び客観的に測定して、有意に改善され
た。アカンプロセートにより、この患者は、長時間集中し続けることができた。
例えば、彼女は、現在、一度に1時間以上にわたって本を読むことができ、読ん
だことをよく思い出すことができる。この患者の認識の改善は又、正式の神経心
理学的測定を用いて評価することもできる。この患者をこの薬物の使用中に試験
し、それから、この薬物の使用をやめて2日後に試験した。この薬物の使用中に
は、この患者は、15項目の内の13を短い遅れの後に思い出すことができ、そ
して15項目の内の13を長い遅れの後に思い出すことができた(Rey Auditory
Learning Testにより測定)。これを、この薬物をやめたときに行った試験におい
て、15項目の内の7しか短い遅れの後に思い出せず、8しか長い遅れの後に思
い出せないこの患者の能力と比較した。更に、この患者は、アカンプロセートの
使用中には、これらの項目の15すべてを認識することができたが、この薬物を
やめた(そして、メマンチンを2ヶ月にわたって使用してない)ときには、これら
の項目の10しか認識できなかった。試験の状態は、薬物不使用状態に対する慣
れの利点を与えるであろう。それにもかかわらず、薬物使用状態に有利な差異は
沢山あった。
【0109】 他の神経心理学的試験との比較は、患者のアカンプロセート使用中に示された
改善された認識所見が、薬物不使用状態での努力又は集中の非特異的不足によっ
ては説明されないことを示した。これらの更なる試験は、基本的注意及び精神運
動速度を反映するものであるが、この患者が、現実に、僅かによい結果をアカン
プロセートなしで有したことを示した。かかる結果を示した試験は、Simple Rea
ction Time、Trail Making Test(両者共部分)及びPaced Auditory Serial Addit
ion Test(PASAT)を含んだ。覚えていなければならない特定の仕事に対する基本 的注意と集中の両方を必要とする試験である選択反応時間は、アカンプロセート
使用時において僅かによく、これは、全体的認識機能は、単純な注意と反対に、
アカンプロセート治療で改善するという仮説と一致した。
【0110】 下記の表は、これらの神経心理学的試験の結果に基づく報告である(薬物Iは 、メマンチンであり、薬物IIは、アカンプロセートである):
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】 増大された認識能力に加えて、この患者は又、アカンプロセートの使用中、体
力の増大も経験した。アカンプロセート養生法を始める前は、この患者は、午後
の終わりには、疲労しており、晩に機敏でいるために休息を必要とした。この疲
労は、アカンプロセート養生法において有意に減じたが、疲労に関係する認識機
能における対応する改善もあった。アカンプロセート使用時には、この患者は、
その日は、もはや、晩に機敏で活動的でいるために休む必要がなかった。
【0115】 アカンプロセートがこの患者における運動障害、認識機能及び体力の改善に関
係することを確認するために、この患者を、アカンプロセート養生法(並びにメ マンチン養生法)から4週間はずした。アカンプロセートなしの最初の2週間の 間、この患者の不随意運動は、徐々に、彼女のアカンプロセート前の、メマンチ
ンなしのベースラインに戻った。(この患者の薬物なしでのベースラインは、彼 女が2年前にメマンチン治療を開始したときよりは重くなかったが、彼女の運動
は、やはり、毎日の機能を有意に妨げるだけ十分に重いものであった。)この時 点からアカンプロセートを再開するまで、彼女は、継続的に軽度〜中程度のしか
めつら、広頸筋の緊張及び力を込めて眼をとじることを示した。これらの不随意
運動は、ストレス又は疲労期間中には、尚一層悪化した。その上、この患者は、
ずっと容易に、彼女の毎日の機能を顕著に減じる程にまで疲労した。主観的には
、この患者は、集中及び記憶の両者とも低下したと報告した。
【0116】 アカンプロセートでの治療を再開して2日以内に、この患者は、気力、体力、
集中及び記憶が前にアカンプロセートで治療したときに体験したレベルにまで改
善されたと報告した。アカンプロセートの再開の2ヶ月後に、不随意運動は、ス
トレス時の非常に軽度の運動を除いては存在しなかった。
【0117】 1998年7月に、この患者は、アカンプロセートでの治療の補助としてのマ
グネシウム補足物の試みに参加した。1日4回の333gのCampral Cacamprosa
teと0.25mgのアルプラゾラムでの7日間のベースライン期間中、彼女は、
6回の顔と頸を含む不随意運動の症状発現に気付いた(中程度2回、軽度4回)。
その後の10日間にわたって、彼女は、250mgのキレート化マグネシウムを
1日3回与えられた。このマグネシウム補足の期間中、彼女は、不水位運動に気
付かなかった。
【0118】 別の機会に、この患者を、メマンチンで再び治療した。主観的には、この患者
は、メマンチンでの治療中に、毎日の機能が、ニモジピンでの治療中に体験した
改善より勝った程度に改善されたと報告した。彼女は、その日、一層少ない休息
で一層長い時間にわたって読むことができ又は彼女の楽器を演奏することができ
た。客観的には、注意範囲、集中範囲及び記憶を含む彼女の認識機能は、神経心
理学的試験により示されるように改善された。
【0119】 メマンチンの中止は、明らかに増大したジスキネジアを(その運動が、読むこ と及び音楽活動を妨げる状態にまで)24時間以内に生じ、患者の主観的苦痛を 引き起こした。メマンチンの再開後、不随意運動は、24時間以内に、前の薬物
使用時のレベルにまで減少した。
【0120】 この患者のメマンチンに対する優れた応答は、NMDAレセプター遮断剤が遅
発性ジスキネジアにおいて有用であるという私の仮説を支持した。その仮説を更
に進めて、その患者を、NMDAレセプター上のメマンチンで認められたのとは
異なる部位で作用すると考えられるNMDAレセプター遮断剤のデキストロメト
ルファンで治療した。その上、デキストロメトルファンは、メマンチンやアマン
タジンのようにドーパミンアゴニストではない。メマンチンを中止して、この患
者に、30mgのデキストロメトルファンでの治療(1日4回)を開始した。24
時間以内に、この患者のジスキネジアの不随意運動は、その患者がメマンチンで
治療されていたときに見られたレベルにまで減少した。しかしながら、この患者
は、鎮静されて感じ、彼女の注意範囲は、メマンチンで治療されたときより短く
且つ彼女の集中はメマンチンで治療されたときより悪かった。
【0121】 デキストロメトルファンの投与を1週間続けたが、この期間中、不随意運動の
減少が続いた。増大したジスキネジアが、デキストロメトルファン投与の停止後
に、短期間見られた。再びメマンチンを投与したところ、ジスキネジア運動が、
前にメマンチンを投与したときと同じ程度にまで減少した。
【0122】要約 この実施例は、TDに対する効き目のある治療剤には、メマンチン及びアカン
プロセートが含まれるということを示している。両治療剤は、認識及び機能並び
に不随意運動を改善する。その上、メマンチンとアカンプロセートの両者は、眼
瞼痙攣及び一層拡張性の遅発性運動障害に関係するメージュ症候群を軽快させる
。最後に、マグネシウムの経口投与(1:1.8の重量比でアカンプロセートと 共に与える)は、TDの不随意運動に対するアカンプロセートの治療効果を増大 させる。
【0123】症例報告2 79歳の女性が、神経弛緩剤パーフェナジンでの数十年の治療の後に、長年に
わたるTDを有した。彼女の不随意運動は、両上肢の舞踏病に加えて舌のねじり
及び舌を噛むことを含んだ。後者の両運動は、非常に傷ついた舌を生じた。更に
、この患者は、主として脳血管疾患に帰せられる短期記憶障害を経験した。
【0124】 メマンチンでの治療の後に、この患者の随意運動は改善されたが、軽度乃至中
程度のレベルで続いた。彼女は又、傷ついた舌を有し続けた。彼女の認識症状は
改善されなかった。メマンチンに加えて、この患者は、定期的に、抗癲癇薬(ガ バペンチン及びラモトリジン)、抗血小板剤(アスピリン及びチクロピジン)並び に高血圧症、緑内障及び胃腸症状に対する薬物(イソソルビドモノニトレート、 メトプロロール、チモロール点眼薬及びオルサラジン)を摂った。これらの種々 の薬物は、この患者の不随意運動又は認識症状に影響を与えず;上記の薬物の何
れを開始した時点においても目立った変化はなかった。
【0125】 この患者に、毎日3回の666mgのアカンプロセートの投与を含む治療養生
法を施した。この症例においては、アカンプロセートを患者の養生法(メマンチ ンを含めて継続)に加えた。一度この患者がアカンプロセートを摂り始めると、 彼女の舞踏病及び舌を噛むことは完全に停止し、舌のねじり運動は、実質的に減
少した。主観的には、この患者の記憶は、彼女の長期のブリッジのパートナーが
デュープリケートブリッジのプレー中のカードの記憶が目立ってよくなったと述
べる程度にまで改善された。この患者が短期記憶の障害を有したという正式な試
験からの過去の証拠にもかかわらず、彼女は、13の別々の事柄を含む2つの文
を用いる患者の回想能力の試験を含む2つの文の記憶試験を正常に行った。この
2つの文の記憶試験において、3回の試みで、この患者は、9つの事柄を思い出
すことができ、複数選択フォーマットを用いて、全部で11の事柄を思い出すこ
とができた。3回目の試みにおける9つの事柄の回想は、中年の成人について正
常であるから、ましてや、彼女の試験時の80歳の年齢では正常である。
【0126】 メマンチンとアカンプロセートで丸一年治療した後に、メマンチンを中止した
が、患者の症状に殆ど変化はなかった。アカンプロセート666mgを1日3回
与えた場合、持続する症状は、手の軽度の舞踏病的運動、舌及び顎の軽度の不随
意運動及び目に見える不随意運動に不相応な舌の傷を含んだ。
【0127】 酸化マグネシウム(250mg、1日3回)を、アカンプロセートと共に与えた
。これらの運動及び舌の傷は、一層改善された。この効果は、明確であり、酸化
マグネシウムを止めると運動が悪化し、再開すると改善された。マグネシウムを
1ヶ月間続けた後に、アカンプロセートの投薬量を、666mg、1日4回に増
し、一緒に、250mgの酸化マグネシウムを与えた。この養生法において、舌
の運動及び舌の傷は、完全に消去された。唯一残ったTDの徴候は、軽度の手の
不随意運動であった。
【0128】要約 メマンチン及びアカンプロセートは、共に、単独投与したときに遅発性ジスキ
ネジアの効き目のある治療剤である。一層特に、症例2は、メマンチンが不随意
運動は改善するが認識は改善しない患者において、アカンプロセートがTDと関
係した不随意運動並びに関連認識障害の両方を改善することができるということ
を示している。その上、マグネシウムは、アカンプロセートと共に投与した場合
には、TDの治療におけるアカンプロセートの効果を増大させることができる。
この症例においては、アカンプロセートとマグネシウムの組合せは、マグネシウ
ム:アカンプロセートの比1:2.66において効き目があった。メマンチンと
マグネシウムを用いる治療は、メマンチン治療剤だけよりもよいであろうと推論
するのは、論理的である。
【0129】症例報告3 56歳の看護学の女性の教授が、30代後半からパーキンソン病を有した。こ
の患者のパーキンソン病は、レボドーパ/カルビドーパ及びブロモクリプチンを
用いて治療された。この患者の専門職業は、高レベルの可動性及び身体的努力を
必要としたが、仕事における適当な身体的機能を可能にするために十分な投薬量
のレボドーパ/カルビドーパを摂ることは、その患者に、重いピーク投与量ジス
キネジアを示す結果となった。この患者のピーク投与量ジスキネジアの症状発現
は、上体のねじり運動、頸の左右への及び回転運動、並びに両上肢の舞踏病より
なった。この患者は、一層低い投薬量のレボドーパ−カルビドーパは、彼女をあ
まりに硬直化させて運動低下させて職務遂行できなくするので、これらの不随意
運動を受け入れた。
【0130】 アカンプロセートでの治療開始前には、この患者は、1mgのペルゴリド(1 日5回)、5mgのセレジリン(1日2回)及びレボドーパ/カルビドーパの組合 せ(別々の投与量で投与される550〜600mgのレボドーパ及び125〜1 50mgのカルビドーパよりなる)よりなる抗パーキンソン病治療養生法を受け ていた。彼女のパーキンソン症候群又はジスキネジアに影響を及ぼすように見え
なかった同時投薬は、ベタンコール、セルトラリン、カルバマゼピン、抱合エス
トロゲン及びメドロキシプロゲステロンよりなった。(症例2で挙げた追加の薬
物を用いたときのように、列記した薬物の各々の導入後に、この患者のパーキン
ソン症候群及びジスキネジアに目立った変化はなかった。)この患者は又、前に
彼女のジスキネジア運動を重症から軽度乃至中程度まで軽快させた10mgのメ
マンチンをも1日3回受けた。
【0131】 この患者は、アカンプロセートを、上記の抗パーキンソン病養生法に追加して
開始した。最初は、この患者は、666mgのアカンプロセート(1日3回投与)
を受けた。2週間後に、この養生法を、患者が、昼間に100mgのレボドーパ
と25mgのカルビドーパと一緒に摂ることにより、333mgのアカンプロセ
ートを1日4回受ける(333mgの丸薬を摂る)ように調節した。この患者は、
夜間は、制御された放出のレボドーパ−カルビドーパの投与量(200mgのレ ボドーパ及び50mgのカルビドーパ)を続けたが、これは、アカンプロセート は伴わなかった。アカンプロセートを彼女の養生法に加えるとすぐに、この患者
の重いピーク投与量ジスキネジアは、中程度乃至軽度にまで低下し、投与後ジス
キネジアが全くなくなるまでの期間は2時間以下であった。彼女の運動低下及び
硬直のレボドーパ/カルビドーパ治療の効力には、何の低下もなかった。アカン
プロセートを用いて、この患者は、十分な運動機能の一層長い期間を経験したが
、今や、彼女は、彼女の運動機能が仕事又は社会活動に不十分である期間を全く
有しなかった。このジスキネジアの最少レベルへの低下は、上肢の目的のある運
動機能における実質的な改善へと導いた。この患者の改善がアカンプロセートの
投与のためであることを確認するために、この患者のアカンプロセートを停止し
た。アカンプロセートを止めた日の内に、この患者のジスキネジア運動は、アカ
ンプロセートを最初に与える前と同じ位に重くなった。アカンプロセートを再開
すると、この患者は、ジスキネジア運動の即時的減少を経験した。アカンプロセ
ートなしの期間中、アカンプロセートをバクロフェン(GABAレセプターアゴ ニスト)で置き換える試みを行った(1日の総投与量30mgで、及びその後、1
日当たり60mgの総投与量のバクロフェンを使用)。これらの投与量のバクロ フェンは、鎮静及び悪心を生じるだけ十分高いものであったが、患者のジスキネ
ジアには何らの有益な効果も有しなかった。更なるジスキネジアの改善が、その
後、ペルゴリドを1mgのプラミペクソール(1日3〜4回投与)で置き換えるこ
とにより得られた。
【0132】 数ヶ月後に、この養生法に、マグネシウム(混合キレート化合物としての30 0mgのマグネシウム元素)を加えた。それを、1日3回、この患者のレボドー パ/カルビドーパの一の規定の投与量と共に摂った。ジスキネジアの程度が即時
的に低下した。この改善がマグネシウムによるものか否かを確立するために、こ
のマグネシウムを数週間停止した。2日以内に、ジスキネジアは、明確に悪化し
た。
【0133】要約 症例3は、メマンチン及びアカンプロセートが治療中のパーキンソン病のピー
ク投与量ジスキネジアを改善することができるということを示している。このパ
ーキンソン病のピーク投与量ジスキネジアの治療におけるメマンチンとアカンプ
ロセートの効力は、マグネシウムを1:1.48の重量比でアカンプロセートと
同時投与することにより更に増大させることができる。
【0134】症例報告4 37歳の男性は、双極性障害のリチウム及び一組の神経弛緩剤を用いる15年
にわたる治療の結果として、極めて重い遅発性ジスキネジア及びジストニーを有
した。彼の不随意運動は、胴体の力を込めた伸張、下肢のねじり、左足底の屈曲
、両腕の舞踏病、舌のねじり及びしかめつらよりなった。更に、彼は、不随意運
動に関係してむやみに汗をかいた。椅子にじっと座っているために、彼は、両手
を力を込めて握りしめなければならなかった。椅子の中で、胴体の力を込めた伸
張は、事実上、彼を椅子から立ち上がらせた。彼の胴体及び脚は、損なわれたバ
ランスを生じ、よろめく足取りとなり、殆どころびそうであった。これらの連続
する重い運動は、彼の仕事を非効率的にする集中における障害を伴っていた。し
かしながら、才能と知性により、彼は、ソフトウェアエンジニアとして競争的に
仕事をすることができた。彼の双極性障害は、活動性の問題のままであったので
、彼の精神的健康を維持するために継続的な神経弛緩剤治療は必要であった。彼
は、1日300mgの炭酸リチウム及び1日4mgのリスペリドンを続けた。
【0135】 彼の運動障害は、ベンゾジアゼピン、抗コリン作動薬及びドーパミンアゴニス
トで治療されてきたが、すべて有意の利益はなかった。その後、彼は、アカンプ
ロセート(最初は、333mgの投薬量で1日3回、その後、666mgの投薬 量で1日3回)で治療された。次いで、アカンプロセート療法は、硫酸マグネシ ウム(300mg、1日3回)で増大された。数週間後、メマンチン(10mg、 1日3回)を加えたが、メマンチンは、彼の運動障害を一層重くしたので数日後 に中止した。
【0136】 彼の治療中のある時点で、この患者は、アカンプロセートを止め、アカンプロ
セートなしで3日間過ごした。アカンプロセートを止めて24時間後に、彼の運
動障害は、その(重い)ベースラインに戻った。アカンプロセートの再開の72時
間後に、彼は、前のレベルの利益を再び得た。
【0137】 この患者は、症状の週の対数を維持したが、ここに、それを表4として再現す
る。表4は、下記を示す: 1)アカンプロセート療法は、彼の症状のすべてにおける改善と関係していた。 彼の症状の幾つか(胴体の運動、バランス及び発汗)について、666mgのア カンプロセート(1日3回)は、333mg3回より一層効き目があった 2)マグネシウムの添加は、幾つかの症状、即ち、顔と舌、頸及び四肢の運動;
における更なる改善と関係した、 3)アカンプロセートの利益は、継続的治療により増大された; 4)主観的記憶により示される心理的機能は、不随意運動と共に改善された; 5)メマンチンの添加は、不随意運動を一層重くした。
【0138】 この患者の自己評価は、アカンプロセートとマグネシウムでの治療の前後にこ
の患者を調べた3人の医師(2人は神経科医であり1人は精神科医である)により
認められた改善の程度を控えめに述べている。治療の前に、彼は、手を握りしめ
、身もだえし、大きく揺れずには、椅子に座ることができなかった。治療後には
、彼は、コップに入ったコーヒーをこぼさずに部屋を横切って歩いて運ぶことが
できた。
【0139】
【表4】
【0140】要約 アカンプロセートは、重い遅発性ジスキネジア及びジストニーの治療において
効き目がある。マグネシウムをアカンプロセートと共に投与することは、重いT
D及び遅発性ジストニーの治療におけるアカンプロセートの治療作用を促進させ
る。報告した症例においては、1:2.22のマグネシウム:アカンプロセート
の比で、よい結果が得られた。メマンチンは、遅発性ジスキネジアの治療でしば
しば有効であるが、症例4に記載したようにある個人では、現に、それを一層重
くし得る。アカンプロセートでの治療は、マグネシウムを伴っても伴わなくても
、メマンチンにより一層重くされた運動障害の軽減に有用であり得る。更に、こ
の症例報告は、マグネシウムを伴って又は伴わないで投与されたアカンプロセー
トが、精神病のための神経弛緩剤を受け続けている遅発性運動障害の患者におけ
る不随意運動及び他の症状を軽快させることができるということを示している。
【0141】 最後に、症例4は、TDのモデル動物における不随意運動の発症を予防する薬
剤(即ち、メマンチン、Andreassen等、前出参照)が、確立されたTDを有する人
の治療においては全く利益がないことがあり得るということを示している。
【0142】症例報告5 46歳の男性が、力を込めた伸長及び右回転を含む頸の単純チックを有した。
このチックは、鬱病のデキストロアンフェタミン及びプラミペキソール、ドーパ
ミンアゴニスト剤を用いる治療のコンテキストにおいて始まったものである。こ
のチックは、1時間に20〜50回起きたが、彼が疲れているかストレス下にあ
るときは、もっと高頻度であった。
【0143】 彼は、最初、666mgのアカンプロセート(1日3回)で治療された。アカン
プロセート療法の開始後24時間以内に、チックの頻度及び程度が、劇的に、1
時間に5未満の割合に減少した。この患者は、しばしば、各アカンプロセートの
投与量後2〜3時間にわたって全くチックが出なかったが、その後、非常に徐々
に戻った。この投与量を、その後、666mg、1日4回に増した。この投与量
においては、1時間に5より多い割合は、異常にストレスのある環境下でのみ起
き、4時間以上のチックのない期間が頻繁にあった。アカンプロセートを丸一日
省くと、チックの頻度は、1時間当たり10を超えて急速に増した。アカンプロ
セートなしでの2日目には、チックの割合は、再び、1時間に20を超えた。
【0144】 その後、彼に、キレート化マグネシウムを、マグネシウム元素300mgの投
薬量で1日3回与えた。マグネシウム補足を用いた場合、平均のチック頻度は、
毎時6回以下に低下した。666mgのアカンプロセートを1日3回与え、一緒
に300mgのマグネシウムを1日3回与えた場合には、各アカンプロセート投
与量後の通常のチックのない期間が約3時間から5時間増大した。
【0145】 アカンプロセート治療を、その後、メマンチン(10mg、1日2回)に変えた
(2投与量につき、補足のマグネシウム、300mgを伴う)。マグネシウムを伴
うメマンチンは、6〜7時間のチックのない間隔を生じた。次に、メマンチン、
10mgを、1日2回投与した(2投与量については、補足のマグネシウムを伴 わない)。マグネシウムを伴わないメマンチンの投与は、投与量の約30分後に 始まる4〜5時間だけのチックのない期間を生じた。
【0146】要約 : アカンプロセートは、単純チックの治療において効き目がある。アカンプロセ
ートの効力は、マグネシウムの同時投与により増進される。この場合、優れた効
果は、1:2.22のマグネシウム:アカンプロセート比で得られた。拡張によ
り、アカンプロセートは、多発性チック及びジルドラトゥーレット症候群の治療
において効き目があるであろう。その上、この研究は、メマンチンが、チックの
効き目のある治療剤であるということ及びメマンチンの効力がマグネシウムの同
時投与により増進される(アカンプロセートと類似の様式)ということを示してい
る。
【0147】症例報告6 文通している英国の医師が、最近、私に、慢性的精神分裂病及び重い遅発性ジ
スキネジアを有する47歳の女性の治療について報告した。症例1におけるよう
に、この患者の不随意運動は、重い眼瞼痙攣を含んだ。更に、彼女は、症例2の
患者のように、不随意の律動的な口の周囲の運動及び両手の舞踏病様の運動を有
した。彼女は、認識愁訴も有さず、日常的な精神医学的試験において気付かれる
認識異常もなかった。
【0148】 この患者は、1991年に、40歳で、偏執的精神分裂病の症状を発症した。
その精神病の症状は、幻聴、奇怪な妄想及び迫害的恐怖を含んだ。彼女は、19
92年7月に、外来患者として、経口ハロペリドールでの治療を開始したが、こ
の薬物に対する急性のジストニー反応を有した。彼女は、その後、入院してフル
フェンチキソールデカノエート(筋肉注射により与えられる蓄積性神経弛緩剤)で
安定化された。TDの症状は、神経弛緩剤治療の28ヶ月後、1994年11月
に発症した。この患者を典型的でない神経弛緩剤オランザピン又はリスペリドン
に切り替えたが、彼女のTDは、消去されなかった。1997年10月に開始し
て、この患者は、精神分裂病について、2mgのリスペリドンだけで治療された
。この典型的でない神経弛緩剤の控え目の投与量において、彼女は、TDの重い
症状を有し、それに対する治療を熱心に求めた。
【0149】 1997年11月28日に、メマンチンを、1日5mgの投与量で開始し、7
日後に、5mgを1日2回に増し、更に7日後に、5mgを1日3回に増やした
。メマンチン治療の最初の2週間(5mg、1日2回)後に、眼瞼痙攣に顕著な改
善があったが、これらの運動は、その日の第2の投与量の直前に再発し始めた。
2週間後、5mg、1日3回で、改善を一層維持し、事実上、メマンチンの所定
の投与量のピークで注意される不随意運動はなく、ただ投与量が与えられるべき
ときに注意される軽度の運動があっただけである。これらの不随意運動を完全に
停止させるために更なる投薬量の増加を試みた。副作用なしで達成し得る最大投
与量は、10mg、1日2回であった;そのレベルを超えると、この患者は、め
まいを訴えた。メマンチンのその投与量を、1997年5月中維持した。その時
点(メマンチンでの治療の6ヶ月後)で、この患者は、眼瞼痙攣又は四肢の舞踏病
を有さず、軽い口の周囲の運動を有しただけである。
【0150】 1998年5月に、この患者は、不随意運動の完全な除去を得ようとして、ア
カンプロセートでの治療を開始した。最初は、アカンプロセート333mg(1 日3回)を、メマンチン10mg(1日2回)に加えた。アカンプロセートを追加 したところ、口の周囲の運動は消え、この患者は、本質的に、不随意運動がなく
なった。メマンチンを1998年8月に中止し;この患者は、アカンプロセート
だけで不随意運動のないままであった。
【0151】要約 : メマンチン及びアカンプロセートの両者は、神経弛緩剤治療を必要とし続ける
慢性的精神分裂病の患者におけるTDの不随意運動を緩和することができる。両
薬剤は、重い神経弛緩剤により誘発された眼瞼痙攣を軽減することができる。ア
カンプロセートは、この患者に許容される投与量のメマンチンに応答しないTD
の不随意運動を軽減することができる。薬物に誘発された眼瞼痙攣のこれらの2
種類の薬剤に対する応答は、メマンチン及びアカンプロセートが特発性(自然の)
眼瞼痙攣の治療において有用であろうということを示唆する。拡張により、それ
らは、他の焦点ジストニーの治療において有用であることが予想され得る。
【0152】検討 これらの提示した症例で検討した患者は、全員、ジスキネジア運動の頻度と程
度において、アカンプロセート又はメマンチン治療に応答して、顕著な減少を示
した。症状の軽減は、治療剤の投与から48時間以内に始まったが、もし、患者
が、治療を中止すれば、症状が直ちに再発した。この証拠は、アカンプロセート
、メマンチン及びデキストロメトルファン(同様の薬力学的作用を有するもの)等
の医薬が、遅発性運動障害(TD、遅発性ジストニー、チック疾患(トゥーレット
症候群を含む)、及び焦点ジストニーを含む)の治療において有用であろうという
私の新規な仮説を支持している。特に、症例報告1及び6は、メマンチンが眼瞼
痙攣及び一層広範囲の遅発性運動障害と関係するメージュ症候群を軽減すること
ができることを示している。拡張により、私は、メマンチン(マグネシウムを伴 うか又は伴わない)及び関連薬剤が、特発性眼瞼痙攣及びメージュ症候群並びに 他の焦点ジストニー例えば痙性斜頸、書痙その他の職業ジストニーに対する上首
尾の治療剤でもあろうということを予言する。
【0153】 その上、私は、他所において、マグネシウム、イオンチャンネル遮断によるN
MDAグルタメート神経伝達のアンタゴニストが、他のNMDAレセプターアン
タゴニストの運動障害(チック、遅発性ジスキネジア及び遅発性ジストニーを含 む)に対する治療作用を増大させることができるという証拠を提出している(「Me
thods of Treating Tardive Dyskinesia and Other Movement Disorders」と題 する、同時係属中の出願第09/193,892号(1998年11月18日出 願)を参照されたい)。マグネシウムが、チック及び遅発性運動障害並びに遅発性
運動障害に非常に似ている自然の運動障害(眼瞼痙攣及びメージュ症候群並びに 他の焦点ジストニー例えば痙性斜頸、書痙その他の職業ジストニーを含むが、こ
れらに限らない)に対するアカンプロセート、メマンチン及びデキストロメトル ファンの治療効果を増大させるであろうということは、この仕事から推論するこ
とができ且つそれは、ここで示される。
【0154】 私は、マグネシウム元素の投与が、単純チックの治療におけるアカンプロセー
トの効力を増進するか否かを試験した。症例5においては、メマンチン又はアカ
ンプロセートにマグネシウム塩を補足することが、チックを、メマンチン又はア
カンプロセートだけよりも一層よく緩和するということが示されている。従って
、マグネシウムは、GABA伝達を増大させ及び/又はNMDAグルタメート伝
達を減少させる任意の他の薬剤と組み合わせて単純チックを更に抑制することが
できる。
【0155】 カルシウムアセチルホモタウリネート及びマグネシウムの塩若しくはキレート
化合物の両者は、適当な投薬量で与えるならば、安全な薬物である。マグネシウ
ムアセチルホモタウリネートは、GI管中で解離したときに、アカンプロセート
とマグネシウム塩の混合物と同じマグネシウムイオンとホモタウリネートを生じ
る。私は、マグネシウムアセチルホモタウリネートも安全な薬物であろうと推論
する。それ故、マグネシウムN−アセチルホモタウリネートは、マグネシウムイ
オンのNMDAレセプター阻害作用の故に、潜在的に運動障害に対するアカンプ
ロセート(カルシウム)より高い効力を有する安全且つ有効な薬物である。しかし
ながら、初期から注意されていたように、それは、最大の治療効果のためにマグ
ネシウムのN−アセチルホモタウリネートに対する理想的なモル比を有するもの
ではない。それ故、N−アセチルホモタウリンの塩又は誘導体と組み合わされた
マグネシウムの塩又はキレート化合物が、運動障害の治療剤として一層効き目が
あるということは、ありそうなことである。アカンプロセート及び関連化合物と
組み合わせたマグネシウムイオンが、様々な運動亢進、ジスキネジア及びジスト
ニー運動障害例えば多発性チック、トゥーレット症候群、遅発性ジスキネジア及
び眼瞼痙攣並びに他の焦点ジストニーの症状を緩和することは、ありそうなこと
である。
【0156】 アカンプロセートでの治療開始後に、前に認識障害を示した患者が、認識機能
における有意の改善を示した(症例1、2及び4参照)。この証拠は、アカンプロ
セート及び同様の薬力学的作用を有する誘導体が運動亢進性運動障害(ジスキネ ジア及びジストニー並びにそれらに関係する認識障害)の治療において有用であ ろうという私の新規な仮説を支持している。アカンプロセート及び類似の薬物は
、GABA神経伝達とNMDA型グルタメート神経伝達に同時に作用する(それ は、運動亢進性、ジスキネジアの及びジストニーの運動障害の治療に関して共同
的であり得る)。他の関連化合物及び化合物の混合物が、GABA及びグルタメ ート神経伝達に対する類似の同時の効果を有すると拡張するならば、これらの関
連化合物は、運動障害及び関連する認識障害に対する同じ又は類似の作用を有し
得る。関連化合物には、N−アセチルホモタウリネートの他の塩(例えば、マグ ネシウムN−アセチルホモタウリネート)、アセチルホモタウリネート塩基、ホ モタウリン、これらの化合物の誘導体並びに肝臓、血液又は脳内で代謝されてア
セチルホモタウリネート又はGABA及びNMDA型グルタメート神経伝達に対
する同様の薬力学的効果を有する同族体が含まれる(これらに限らない)。更に、
経口投与後に容易に吸収され又は長い半減期を有する任意の誘導体又はプロドラ
ッグは、特に望ましい。
【0157】 アカンプロセートは又、TD以外の運動亢進性又はジスキネジアの運動障害の
治療に対する利益をも有する。症例3は、それが、レボドーパで治療されている
パーキンソン病のピーク投与量ジスキネジアの緩和において有用であることを示
している。症例1は、アカンプロセートを用いて、眼瞼痙攣(焦点ジストニー)及
びメージュ症候群をこれらがTDに関係している場合に上首尾に治療することが
できることを示し、それを用いて、特発性眼瞼痙攣及びメージュ症候群を上首尾
に治療することができることを示唆している。症例4は、アカンプロセートが、
単純チックの並びに拡張により多発性チック及びジルドラトゥーレット症候群の
治療において効き目があるということを示唆している。拡張により、アカンプロ
セートは、多分、神経弛緩剤に誘発されたのではない運動障害(これらは、神経 弛緩剤に誘発された(遅発性)運動障害と同じ総合的臨床症状を示す)を有する患 者に利益となるであろう。特に、上記のように、それは、任意の焦点ジストニー
の治療に、及びハンチントン病の不随意運動の治療に効き目があり得る。ハンチ
ントン病の患者は、線条体におけるGADの欠乏をも有し、NMDAレセプター
媒介の興奮毒性のためのニューロン死を被っていると考えられる(DE Riley及びA
E Lang:Movement Disorders[WG Bradley等編、Neurology in Clinical Practice
,Boston:Butterworth-Heinemann,1991,p.1568中])。この疾患のこれらの特徴は 、アカンプロセート(GABA及びNMDAレセプターに対する接合作用を有す る薬物)に対する陽性応答に味方する。それ故、患者は、アカンプロセート、メ マンチン及びデキストロメトルファン(単独で又はマグネシウムと組み合わせて)
により少なくとも部分的に軽快されるであろうと予想することができる。
【0158】 上記のように、この発明の方法の一つの面は、TDと関係する認識障害の改善
を特徴とする。TDの治療中に見られる認識及び毎日の機能的動作における改善
は、アカンプロセートを、TDに頻繁に伴う認識障害を有する患者にとって特に
魅力的なものとする。
【0159】 遅発性ジスキネジアと認識障害との間の関係は、完全には理解されていない。
先在性の認識障害が、患者が神経弛緩剤を長期間にわたって受けるという事象に
おいてTDを発症する危険を増大させるということは公知である。TDを有する
治療中の精神分裂病患者は、TDを有しない場合よりも進行性の認識低下を示す
ことが一層ありそうであるということも公知である。しかしながら、TDの治療
がTDと関係する認識欠損を改善するか否かは知られていない。上記の症例1、
2及び4は、少なくとも幾つかのTDの治療がかかる認識欠損を改善することが
できるということを示唆している。従来技術は、アカンプロセートの投与が、ア
ルコール中毒症の治療剤として用いられる場合には、その患者の認識を改善した
ということを報告していないが、私は、症例1、2及び4において見られた認識
の改善は、彼らの運動障害の改善と関係したと推論する。これは、十分確立され
た認識過程における脳底神経節の関与と一致する(Sano等、Basal Ganglia Disea
ses[Fogel等(編)、Neuropsychiatry, Williams及びWilkins,1996中])。
【0160】 その上、アカンプロセートがアルコール中毒症の治療において用いられる薬剤
としても知られているという事実は、アカンプロセートを、運動亢進性運動障害
に加えてアルコール中毒症の病歴を有する患者の治療に特に適したものとする。
一度かかる群が、精神分裂病とアルコール中毒症を有する患者(いわゆる「二重 診断」患者)であって、TDを有するならば、アルコールは、それに対する危険 因子である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 09/224,829 (32)優先日 平成11年1月4日(1999.1.4) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,C H,CN,JP,MX,NZ Fターム(参考) 4C084 AA17 MA13 MA16 MA23 MA35 MA37 MA52 MA63 NA14 ZA022 ZA222 ZA332 ZC422 4C206 AA01 AA02 FA29 FA53 MA01 MA04 MA33 MA36 MA43 MA55 MA57 MA72 MA83 NA14 ZA02 ZA22 ZA33 ZC42

Claims (159)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記を含む運動亢進症の治療方法: GABAレセプターアゴニストであり、NMDA型グルタメートレセプターの
    応答を減じる薬剤の有効な投与量を投与する。
  2. 【請求項2】 前記の薬剤を、アカンプロセート、カルシウムN−アセチル
    ホモタウリネート、N−アセチルホモタウリネートの塩、アセチルホモタウリネ
    ート塩基、ホモタウリン及びこれらの誘導体よりなる群から選択する、請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記の運動亢進症の治療方法が、前記の応答を標準的神経心
    理学的試験を用いて測定する場合に、遅発性ジスキネジアの徴候を示す人におけ
    る認識又は記憶をも改善する、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記の標準的神経心理学的試験を、確立された臨床試験、確
    立された認識又は記憶の臨床試験、及び認識過程に大きく依存する毎日の活動の
    動作の履歴の観察よりなる群から選択する、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記の投与のステップが、経口投与を含む、請求項1に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 下記のステップを含む運動亢進症の運動障害の治療方法: 第1の少なくとも一の薬理学的に活性なGABAレセプターアゴニストとして
    作用する薬剤及び第2の少なくとも一の薬理学的に活性なNMDA型グルタメー
    トレセプターアンタゴニストとして作用する薬剤を選択し;そして 該第1及び第2の薬剤を投与する。
  7. 【請求項7】 下記のステップを更に含む、請求項6に記載の方法: 第1の薬剤の第1の投薬量を選択し; 第2の薬剤の第2の投薬量を選択し、それで、該第1及び第2の投薬量の投与
    が、前記の運動障害を非毒性の投薬量にて改善する。
  8. 【請求項8】 前記の第1の薬剤と第2の薬剤が同じ薬剤である、請求項6
    及び7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記の運動障害が、遅発性ジスキネジアであり、又は該遅発
    性ジスキネジアにおいて見られるものと類似の不随意運動を含む、請求項6に記
    載の方法。
  10. 【請求項10】 前記の運動障害が、パーキンソン病と関係するピーク投与
    量ジスキネジアであり、又は該ピーク投与量ジスキネジアにおいて見られるもの
    に類似の不随意運動を含む、請求項6に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記の運動障害が、ハンチントン病と関係する、請求項6
    に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記の方法が、認識応答を標準的神経心理学的試験を用い
    て測定する場合に、前記の運動障害を示すヒトにおける該認識応答を更に改善す
    る、請求項6に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記の標準的神経心理学的試験が、確立された臨床試験、
    確立された認識及び記憶の臨床試験、並びに認識過程に大いに依存する毎日の活
    動の動作におけるはっきりした変化の履歴の観察を含む、請求項12に記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 前記の運動障害が、脳底神経節におけるGABAの不足に
    関係している、請求項6に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記の運動障害が、NMDAベースの興奮毒性に関係して
    いる、請求項6に記載の方法。
  16. 【請求項16】 下記のステップを更に含む、請求項6に記載の方法: 第3の薬理学的に活性なNMDAレセプターにおける非競争的アンタゴニスト
    である薬剤を選択し;そして 該第3の薬剤を前記の第1及び第2の薬剤と共に投与する。
  17. 【請求項17】 前記の第3の薬剤がメマンチン又はその誘導体である、請
    求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 下記を含む遅発性運動障害の治療方法: GABA−A神経伝達を増し、NMDAグルタメート神経伝達を減じる薬剤の
    有効な投与量を運動障害を有する患者に投与する。
  19. 【請求項19】 前記の運動障害を、単純チック、多発性チック、トゥーレ
    ット症候群、焦点ジストニー、眼瞼痙攣及びメージュ症候群よりなる群から選択
    する、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記の薬剤を、アカンプロセート(カルシウムN−アセチ ルホモタウリネート)、マグネシウムN−アセチルホモタウリネート、リチウム N−アセチルホモタウリネート、N−アセチルホモタウリネートの塩、アセチル
    ホモタウリネート塩基及びこれらの誘導体よりなる群から選択し、これらが、G
    ABA−A伝達を促進しNMDA型グルタメート伝達を減じることによりアカン
    プロセートのGABA及びグルタメート伝達に対する薬力学的効果を共有する、
    請求項18に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記の薬剤が、血液中で利用可能である、請求項18に記
    載の方法。
  22. 【請求項22】 前記の薬剤が、脳内で利用可能である、請求項18に記載
    の方法。
  23. 【請求項23】 前記の薬剤が、体内で代謝されてアセチルホモタウリネー
    トイオンを体内に放出するプロドラッグである、請求項18に記載の方法。
  24. 【請求項24】 体内に放出される薬剤を、アセチルホモタウリネートと同
    様のGABA及びグルタメート神経伝達に対する薬力学的効果を有するホモタウ
    リネート又はアセチルホモタウリネートの任意の誘導体よりなる群から選択する
    、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記のプロドラッグが、肝臓、血液又は脳内で代謝される
    、請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記のプロドラッグが、GABA又はグルタメート伝達に
    対する同様の薬力学的効果を有するアセチルホモタウリネートのエステル又はホ
    モタウリン若しくはアセチルホモタウリンの誘導体を含む、請求項23に記載の
    方法。
  27. 【請求項27】 前記の薬剤が、GABA又はグルタメート伝達に対する同
    様の薬力学的効果を有するカルシウムアセチルホモタウリネート、ホモタウリン
    又はアセチルホモタウリンの誘導体を含む、請求項18に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記の誘導体が、アカンプロセートより長い半減期を有す
    る、請求項27に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記の誘導体が、胃腸管から一層よく吸収される、請求項
    27に記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記の誘導体が、胃腸管から一層確実に吸収される、請求
    項27に記載の方法。
  31. 【請求項31】 運動障害の治療が、運動障害の認識症状を主観的動作、精
    神状態試験又は神経心理学的試験の利用により測定する場合に、該症状を減じる
    、請求項18に記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記の投与のステップが、経口投与を含む、請求項18に
    記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記の運動障害が、脳底神経節におけるGABAの欠乏に
    関係する、請求項18に記載の方法。
  34. 【請求項34】 前記の運動障害が、グルタメートベースの興奮毒性に関係
    する、請求項18に記載の方法。
  35. 【請求項35】 下記のステップを含む、運動障害の治療方法: 第1の薬理学的に活性なGABA−Aレセプターアゴニストとして作用する薬
    剤を選択し且つ第2の薬理学的に活性なNMDA型グルタメートレセプターアン
    タゴニストとして作用する薬剤を選択し;そして 該第1及び第2の薬剤を運動障害を有する患者に投与する。
  36. 【請求項36】 運動障害を、単純チック、多発性チック、トゥーレット症
    候群、焦点ジストニー、眼瞼痙攣及びメージュ症候群よりなる群から選択する、
    請求項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 眼瞼痙攣が、特発性眼瞼痙攣である、請求項36に記載の
    方法。
  38. 【請求項38】 眼瞼痙攣が、神経弛緩剤により誘発された運動障害と関係
    する、請求項36に記載の方法。
  39. 【請求項39】 投与のステップが、第1及び第2の薬剤の投薬量を、該第
    1及び第2の投薬量の投与が前記の運動障害の症状を非毒性で減じるように選択
    することを含む、請求項35に記載の方法。
  40. 【請求項40】 選択のステップで、前記の第1の薬剤と第2の薬剤が同じ
    薬剤である、請求項35に記載の方法。
  41. 【請求項41】 前記の運動障害が、トゥーレット症候群、焦点ジストニー
    、眼瞼痙攣及びチックで見られるものと類似の不随意運動を含む、請求項35に
    記載の方法。
  42. 【請求項42】 前記の運動障害が、ハンチントン病と関係している、請求
    項35に記載の方法。
  43. 【請求項43】 トゥーレット症候群、焦点ジストニー、眼瞼痙攣又はチッ
    クの治療が、運動障害と関連した認識症状を、主観的報告により、精神状態試験
    により、又は標準的神経心理学的試験の利用により測定した場合に減少させる、
    請求項35に記載の方法。
  44. 【請求項44】 前記の運動障害が、脳底神経節におけるGABAの欠乏に
    関係する、請求項35に記載の方法。
  45. 【請求項45】 前記の運動障害が、グルタメートベースの興奮毒性と関係
    する、請求項35に記載の方法。
  46. 【請求項46】 選択のステップが、更に、第3の薬理学的に活性な、非競
    争的なNMDAレセプターアンタゴニストであるか又はNMDAレセプターとリ
    ンクしたチャンネルのイオンチャンネル遮断剤である薬剤を選択することを含む
    、請求項35に記載の方法。
  47. 【請求項47】 投与のステップが、更に、前記の第3の薬剤を前記の第1
    及び第2の薬剤と共に投与することを含む、請求項35に記載の方法。
  48. 【請求項48】 前記の第3の薬剤が、メマンチンである、請求項47に記
    載の方法。
  49. 【請求項49】 前記の第3の薬剤が、NMDAレセプターに対する類似の
    薬力学的効果を有するメマンチンの誘導体である、請求項48に記載の方法。
  50. 【請求項50】 前記の第3の薬剤が、マグネシウムである、請求項47に
    記載の方法。
  51. 【請求項51】 下記を含む、神経弛緩剤又はドーパミンレセプター遮断剤
    により誘発される運動障害を発症する危険を評価する方法: 全身のマグネシウム状態の標準的試験を行う。
  52. 【請求項52】 経口又は非経口のマグネシウム負荷後に、マグネシウム保
    持を測定することを含む、請求項51に記載の方法。
  53. 【請求項53】 投与のステップが、マグネシウム保持を評価するのに十分
    で且つ非毒性であるマグネシウムの投与量を選択することを含む、請求項51に
    記載の方法。
  54. 【請求項54】 下記を含む、神経弛緩剤又はドーパミンレセプター遮断剤
    により誘発される運動障害を予防する方法: 運動障害を発症する危険にある患者に有効投与量のマグネシウムを投与するこ
    とにより運動障害の危険を減少させる。
  55. 【請求項55】 下記を更に含む、請求項54に記載の方法: 神経弛緩剤又はドーパミンレセプター遮断剤により誘発される運動障害の開始
    を、運動障害を発症する危険にある患者に有効投与量のマグネシウムイオンを投
    与することにより遅くさせる。
  56. 【請求項56】 下記を含む、運動障害を治療する方法: 運動障害の症状を、運動障害を発症する危険にある患者に有効投与量のマグネ
    シウムイオンを投与することにより減少させる。
  57. 【請求項57】 下記を更に含む、請求項56に記載の方法: 運動障害を有する患者におけるNMDAレセプターアンタゴニスト及びダウン
    レギュレーターの治療効果を、該患者に有効投与量のマグネシウムイオンを投与
    することにより増大させる。
  58. 【請求項58】 前記の運動障害を、チック、多発性チック、トゥーレット
    症候群、焦点ジストニー、眼瞼痙攣及びメージュ症候群よりなる群から選択する
    、請求項54又は56に記載の方法。
  59. 【請求項59】 下記を更に含む、請求項56に記載の方法: 運動障害を有する患者に、運動障害の症状を減少させるのに十分な有効投与量
    のマグネシウムN−アセチルホモタウリンを投与する。
  60. 【請求項60】 投与されるマグネシウムN−アセチルホモタウリンが、N
    −アセチルホモタウリンの任意の誘導体のマグネシウム塩であり、GABA−A
    神経伝達を増進してNMDAグルタメート神経伝達を減衰させるその特性を共有
    する、請求項59に記載の方法。
  61. 【請求項61】 投与のステップが、有効な治療剤であるN−アセチルホモ
    タウリンの任意の誘導体のマグネシウム塩を投与することを含む、請求項59に
    記載の方法。
  62. 【請求項62】 下記を含む、運動障害を治療する方法: 患者に、下記を、組み合わせて、単一の丸薬で、有効投与量で投与する、 (i)NMDAレセプターアンタゴニスト (ii)GABA−Aアゴニスト (iii)マグネシウムイオン。
  63. 【請求項63】 NMDAレセプターアンタゴニスト及びGABA−Aアゴ
    ニストが同じ薬剤である、請求項62に記載の方法。
  64. 【請求項64】 マグネシウムイオンが、マグネシウム塩の形態である、請
    求項62に記載の方法。
  65. 【請求項65】 NMDAアンタゴニスト及びGABA−Aアゴニストを、
    アカンプロセート(カルシウムN−アセチルホモタウリネート)、マグネシウムN
    −アセチルホモタウリネート、N−アセチルホモタウリネートの塩、アセチルホ
    モタウリネート塩基、ホモタウリン及びこれらの誘導体(GABA及びグルタメ ート神経伝達に対する類似の薬力学的効果を有するもの)よりなる群から選択す る、請求項62に記載の方法。
  66. 【請求項66】 前記の誘導体が、血液中で利用可能である、請求項65に
    記載の方法。
  67. 【請求項67】 前記の誘導体が、脳内で利用可能である、請求項65に記
    載の方法。
  68. 【請求項68】 前記の誘導体が、肝臓、血液又は脳内で代謝されてアセチ
    ルホモタウリネートイオンを遊離するプロドラッグである、請求項65に記載の
    方法。
  69. 【請求項69】 前記の誘導体が、肝臓、血液又は脳内で代謝されて、GA
    BA及びグルタメート神経伝達に対する類似の薬力学的効果を有するアセチルホ
    モタウリネートイオンの任意の誘導体を放出する、請求項65に記載の方法。
  70. 【請求項70】 前記のプロドラッグが、GABA及びグルタメート神経伝
    達に対する類似の薬力学的効果を有するアセチルホモタウリネートのエステル、
    又はアセチルホモタウリン若しくはホモタウリンの任意の誘導体を含む、請求項
    65に記載の方法。
  71. 【請求項71】 前記の誘導体が、アカンプロセートより長い半減期を有す
    る、請求項62に記載の方法。
  72. 【請求項72】 前記の誘導体が、胃腸管から、アカンプロセートよりよく
    吸収される、請求項62に記載の方法。
  73. 【請求項73】 前記の誘導体が、胃腸管から、一層よく吸収される、請求
    項62に記載の方法。
  74. 【請求項74】 丸薬を用いて、トゥーレット症候群を治療する、請求項6
    2に記載の方法。
  75. 【請求項75】 丸薬を用いて、多発性チックを治療する、請求項62に記
    載の方法。
  76. 【請求項76】 丸薬を用いて、単純チックを治療する、請求項62に記載
    の方法。
  77. 【請求項77】 丸薬を用いて、眼瞼痙攣を治療する、請求項62に記載の
    方法。
  78. 【請求項78】 丸薬を用いて、焦点ジストニーを治療する、請求項62に
    記載の方法。
  79. 【請求項79】 有効投与量の (i)NMDAレセプターアンタゴニスト (ii)GABA−Aアゴニスト (iii)マグネシウムイオン を、シロップ、エリキシル、液体、錠剤、時限式放出カプセル、エアゾール又は
    経皮的パッチを含む送達剤の形態で送達する、請求項62に記載の方法。
  80. 【請求項80】 下記を含む、運動障害を治療するための丸薬: 一種以上のGABA−A神経伝達を増大させる薬剤; 一種以上のNMDAグルタメート神経伝達を減少させる薬剤;及びマグネシウ
    ムイオン。
  81. 【請求項81】 NMDAレセプターアンタゴニストとGABA−Aアゴニ
    ストが同じ薬剤である、請求項80に記載の丸薬。
  82. 【請求項82】 マグネシウムイオンがマグネシウム塩の形態である、請求
    項80に記載の丸薬。
  83. 【請求項83】 NMDAアンタゴニスト及びGABA−Aアゴニストを、
    アカンプロセート(カルシウムN−アセチルホモタウリネート)、マグネシウムN
    −アセチルホモタウリネート、N−アセチルホモタウリネートの塩、アセチルホ
    モタウリネート塩基、ホモタウリン及びこれらの誘導体(GABA及びグルタメ ート神経伝達に対する類似の薬力学的効果を有するもの)よりなる群から選択す る、請求項80に記載の丸薬。
  84. 【請求項84】 前記の誘導体が、血液中で利用可能である、請求項83に
    記載の方法。
  85. 【請求項85】 前記の誘導体が、脳内で利用可能である、請求項83に記
    載の方法。
  86. 【請求項86】 前記の誘導体が、肝臓、血液又は脳内で代謝されてアセチ
    ルホモタウリネートイオンを放出するプロドラッグである、請求項83に記載の
    方法。
  87. 【請求項87】 前記の誘導体が、肝臓、血液又は脳内で代謝されて、GA
    BA及びグルタメート神経伝達に対する類似の薬力学的効果を有するアセチルホ
    モタウリネートイオンの任意の誘導体を放出するプロドラッグである、請求項8
    3に記載の方法。
  88. 【請求項88】 前記のプロドラッグが、GABA及びグルタメート神経伝
    達に対する類似の薬力学的効果を有するアセチルホモタウリネートのエステル又
    は関連化合物を含む、請求項83に記載の方法。
  89. 【請求項89】 前記の誘導体が、アカンプロセートよりも長い半減期を有
    する、請求項80に記載の方法。
  90. 【請求項90】 前記の誘導体が、胃腸管から、アカンプロセートよりよく
    吸収される、請求項80に記載の方法。
  91. 【請求項91】 前記の誘導体が、胃腸管から、一層確実に吸収される、請
    求項80に記載の方法。
  92. 【請求項92】 丸薬が、トゥーレット症候群を治療するために用いられる
    、請求項80に記載の丸薬。
  93. 【請求項93】 丸薬が、単純チックを治療するために用いられる、請求項
    80に記載の丸薬。
  94. 【請求項94】 丸薬が、多発性チックを治療するために用いられる、請求
    項80に記載の丸薬。
  95. 【請求項95】 丸薬が、眼瞼痙攣を治療するために用いられる、請求項8
    0に記載の方法。
  96. 【請求項96】 丸薬が、焦点ジストニーを治療するために用いられる、請
    求項80に記載の方法。
  97. 【請求項97】 有効投与量の (i)NMDAレセプターアンタゴニスト (ii)GABA−Aアゴニスト (iii)マグネシウムイオン を、シロップ、エリキシル、液体、錠剤、時限式放出カプセル、エアゾール又は
    経皮的パッチを含む送達剤の形態で送達する、請求項80に記載の方法。
  98. 【請求項98】 少なくとも2種の薬剤を含む組成物であって、下記の活性
    を有する当該組成物: (i)GABA−A神経伝達を増進する (ii)NMDA型グルタメート神経伝達を減少させる。
  99. 【請求項99】 前記の組成物が、化合物である、請求項98に記載の組成
    物。
  100. 【請求項100】 前記の組成物が、混合物である、請求項98に記載の組
    成物。
  101. 【請求項101】 何れの薬剤も両活性を有する、請求項98に記載の組成
    物。
  102. 【請求項102】 下記を含む組成物: (i)アカンプロセート (ii)マグネシウムの無機塩又はキレート化合物。
  103. 【請求項103】 アカンプロセートの無機マグネシウム塩又はキレート化
    合物に対する重量比が、1:1〜6:1である、請求項102に記載の組成物。
  104. 【請求項104】 マグネシウムの無機塩又はキレート化合物が、マグネシ
    ウムの任意の塩又はキレート化合物である、請求項102に記載の組成物。
  105. 【請求項105】 マグネシウムの無機塩又はキレート化合物が、塩化マグ
    ネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び種々のアミノ酸の何れかと
    キレート化したマグネシウムを含む、請求項102に記載の組成物。
  106. 【請求項106】 下記を含む、患者における運動障害の症状を治療する方
    法: 該患者に、デキストロメトルファン、メマンチン並びに、NMDA型グルタメ
    ート神経伝達に関して類似の薬力学的効果を有するこれらの誘導体及び同族体よ
    りなる群から選択したNMDAレセプターアンタゴニストを投与する。
  107. 【請求項107】 前記の運動障害を、トゥーレット症候群、眼瞼痙攣、メ
    ージュ症候群、頸部ジストニー、痙性斜頸、痙攣性発声困難、書痙、音楽家痙攣
    及び他の職業ジストニーよりなる群から選択する、請求項106に記載の方法。
  108. 【請求項108】 前記のNMDAレセプターアンタゴニストが、血液中で
    利用可能である、請求項106に記載の方法。
  109. 【請求項109】 前記のNMDAレセプターアンタゴニストが、脳内で利
    用可能である、請求項106に記載の方法。
  110. 【請求項110】 前記のNMDAレセプターアンタゴニストが、体内で代
    謝されて体内に活性な化合物を放出するプロドラッグである、請求項106に記
    載の方法。
  111. 【請求項111】 体内に放出される化合物を、メマンチン又はデキストロ
    メトルファンと同様のNMDA型グルタメート神経伝達に対する薬力学的効果を
    有するメマンチン又はデキストロメトルファンの任意の誘導体又は同族体よりな
    る群から選択する、請求項110に記載の方法。
  112. 【請求項112】 前記の誘導体又は同族体が、肝臓、血液又は脳内で代謝
    されて、グルタメート神経伝達に対する類似の薬力学的効果を有する任意の誘導
    体を放出するプロドラッグである、請求項111に記載の方法。
  113. 【請求項113】 前記の誘導体又は同族体が、メマンチン又はデキストロ
    メトルファンより長い活性な期間を有する、請求項111に記載の方法。
  114. 【請求項114】 前記の投与のステップが、経口投与を含む、請求項10
    6に記載の方法。
  115. 【請求項115】 下記のステップを含む、運動障害を治療する方法: 第1の薬理学的に活性なNMDA型グルタメートレセプターアンタゴニストと
    して作用する薬剤を選択し;そして 該第1の薬剤を運動障害を有する患者に投与する。
  116. 【請求項116】 運動障害を、チック、トゥーレット症候群、焦点ジスト
    ニー例えば(制限はしない)眼瞼痙攣、メージュ症候群、頸部ジストニー、痙性斜
    頸、痙攣性発声困難、書痙、音楽家痙攣及び他の職業ジストニーよりなる群から
    選択する、請求項115に記載の方法。
  117. 【請求項117】 眼瞼痙攣が、特発性眼瞼痙攣である、請求項116に記
    載の方法。
  118. 【請求項118】 眼瞼痙攣が、神経弛緩剤若しくは他のドーパミンレセプ
    ターアンタゴニストにさらされることにより誘発され、又は一層広範囲の神経弛
    緩剤誘発された運動障害と関係する、請求項116に記載の方法。
  119. 【請求項119】 投与のステップが、第1の薬剤の投薬量を、該第1の投
    薬量の投与が前記の運動障害の症状を非毒性投薬量で減少させるように選択する
    ことを含む、請求項115に記載の方法。
  120. 【請求項120】 前記の運動障害が、遅発性ジスキネジア、遅発性ジスト
    ニー又は焦点ジストニー(神経弛緩剤使用と無関係のもの)において見られるもの
    と類似の不随意運動を含む、請求項115に記載の方法。
  121. 【請求項121】 前記の運動障害が、ハンチントン病と関係する、請求項
    115に記載の方法。
  122. 【請求項122】 選択のステップが、更に、第2の薬理学的に活性な、非
    競争的NMDAレセプターアンタゴニストであるか又はNMDAレセプターにリ
    ンクしたチャンネルのイオンチャンネル遮断剤である薬剤を選択することを含む
    、請求項115に記載の方法。
  123. 【請求項123】 投与のステップが、更に、前記の第2の薬剤を前記の第
    1の薬剤と共に投与することを含む、請求項115に記載の方法。
  124. 【請求項124】 前記の第2の薬剤が、メマンチン又は、NMDAレセプ
    ターにおけるメマンチンと類似の薬力学的効果を有するメマンチンの誘導体若し
    くは同族体である、請求項122に記載の方法。
  125. 【請求項125】 前記の第2の薬剤が、マグネシウムである、請求項12
    2に記載の方法。
  126. 【請求項126】 運動障害を有する患者におけるメマンチンの治療効果を
    、該患者に有効投与量のマグネシウムイオンを投与することにより増大させるこ
    とを含む、運動障害を治療する方法。
  127. 【請求項127】 運動障害を有する患者におけるデキストロメトルファン
    の治療効果を、該患者に有効投与量のマグネシウムイオンを投与することにより
    増大させることを含む、運動障害を治療する方法。
  128. 【請求項128】 前記の運動障害を、焦点ジストニー例えば(制限はしな い)チック、トゥーレット症候群、眼瞼痙攣、メージュ症候群、痙性斜頸、痙攣 性発声困難、書痙、音楽家痙攣及び他の職業ジストニーよりなる群から選択する
    、請求項126又は127に記載の方法。
  129. 【請求項129】 下記を含む、運動障害を治療する方法: 下記を、患者に、組み合わせて、単一組成物で、有効投与量で投与する、 (i)NMDAレセプターアンタゴニスト;及び (ii)マグネシウムイオン。
  130. 【請求項130】 NMDAアンタゴニストを、メマンチン、デキストロメ
    トルファン、並びにグルタメート神経伝達に対するメマンチン又はデキストロメ
    トルファンと類似の薬力学的効果を有するこれらの誘導体及び同族体よりなる群
    から選択する、請求項129に記載の方法。
  131. 【請求項131】 前記のNMDAアンタゴニストが、血液中で利用可能で
    ある、請求項129に記載の方法。
  132. 【請求項132】 前記のNMDAアンタゴニストが、脳内で利用可能であ
    る、請求項129に記載の方法。
  133. 【請求項133】 前記の誘導体又は同族体が、肝臓、血液又は脳内で代謝
    されてグルタメート神経伝達に対する類似の薬力学的効果を有する任意の誘導体
    を放出するプロドラッグである、請求項130に記載の方法。
  134. 【請求項134】 前記の誘導体又は同族体が、メマンチン又はデキストロ
    メトルファンより長い作用の有効持続期間、排除半減期を有し、又はより長い期
    間にわたって吸収される、請求項130に記載の方法。
  135. 【請求項135】 丸薬を用いて、眼瞼痙攣又はメージュ症候群を治療する
    、請求項129に記載の方法。
  136. 【請求項136】 丸薬を用いて、他の焦点ジストニー(痙性斜頸、痙攣性 発声困難、書痙、音楽家痙攣その他の職業性ジストニーを含むが、これらに限ら
    ない)を治療する、請求項129に記載の方法。
  137. 【請求項137】 患者に投与する組成物を、丸薬、シロップ、エリキシル
    、液体、錠剤、時限式放出カプセル、エアゾール又は経皮的パッチの形態で投与
    する、請求項129に記載の方法。
  138. 【請求項138】 下記を含む、運動障害を治療するための組成物: 一種以上のNMDAグルタメート神経伝達を減じる薬剤;及び マグネシウムイオン。
  139. 【請求項139】 前記の組成物が、化合物である、請求項138に記載の
    組成物。
  140. 【請求項140】 前記の組成物が、混合物である、請求項138に記載の
    組成物。
  141. 【請求項141】 マグネシウムイオンが、マグネシウム塩の形態である、
    請求項138に記載の組成物。
  142. 【請求項142】 マグネシウムイオンが、キレート化合物の形態である、
    請求項138に記載の組成物。
  143. 【請求項143】 前記の組成物が、血液中で利用可能である、請求項13
    8に記載の組成物。
  144. 【請求項144】 前記の組成物が、脳内で利用可能である、請求項138
    に記載の組成物。
  145. 【請求項145】 NMDAグルタメート神経伝達を減少させる組成物を、
    メマンチン、デキストロメトルファン並びにメマンチン又はデキストロメトルフ
    ァンと類似のグルタメート神経伝達に対する薬力学的効果を有するこれらの誘導
    体及び同族体よりなる群から選択する、請求項138に記載の組成物。
  146. 【請求項146】 前記の誘導体又は同族体が、肝臓、血液又は脳内で代謝
    されて、メマンチン又はデキストロメトルファンと類似のグルタメート神経伝達
    に対する薬力学的効果を有する任意の誘導体を放出するプロドラッグである、請
    求項143に記載の方法。
  147. 【請求項147】 前記の誘導体又は同族体が、メマンチン又はデキストロ
    メトルファンより長い作用の有効持続期間を有する、請求項143に記載の組成
    物。
  148. 【請求項148】 前記の誘導体又は同族体が、メマンチン又はデキストロ
    メトルファンより長い期間にわたって吸収される、請求項143に記載の組成物
  149. 【請求項149】 誘導体又は同族体が、メマンチン又はデキストロメトル
    ファンより長い排除半減期を有する、請求項143に記載の組成物。
  150. 【請求項150】 組成物が、眼瞼痙攣又はメージュ症候群を治療するため
    に用いられる、請求項138に記載の組成物。
  151. 【請求項151】 組成物が、焦点ジストニーを治療するために用いられる
    、請求項138に記載の組成物。
  152. 【請求項152】 前記の組成物を、丸薬、シロップ、エリキシル、液体、
    錠剤、時限式放出カプセル、エアゾール又は経皮的パッチを含む送達剤の形態で
    送達する、請求項138に記載の組成物。
  153. 【請求項153】 下記を含む、運動障害の治療のための組成物: (i)メマンチン (ii)マグネシウムの無機塩又はキレート化合物。
  154. 【請求項154】 下記を含む、運動障害の治療のための組成物: (i)デキストロメトルファン (ii)マグネシウムの無機塩又はキレート化合物。
  155. 【請求項155】 下記を含む、運動障害の治療のための組成物: (i)メマンチン (ii)デキストロメトルファン (iii)マグネシウムの無機塩又はキレート化合物。
  156. 【請求項156】 マグネシウムの無機塩又はキレート化合物が、塩化マグ
    ネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム及び種々のアミノ酸の何れかと
    キレート化されたマグネシウムを含む、請求項48、49又は50に記載の組成
    物。
  157. 【請求項157】 前記の運動障害を、チック、トゥーレット症候群、遅発
    性ジスキネジア、遅発性ジストニー及び神経弛緩剤にさらされることによるもの
    でない一群の焦点ジストニー(眼瞼痙攣及びメージュ症候群、痙性斜頸、痙攣性 発声困難、書痙、音楽家痙攣及び他の職業性ジストニーを含むが、これらに限ら
    ない)よりなる群から選択する、請求項48、49又は50に記載の方法。
  158. 【請求項158】 メマンチンをメマンチンの誘導体又は同族体で置き換え
    た、請求項48、49又は50に記載の組成物。
  159. 【請求項159】 デキストロメトルファンをデキストロメトルファンの誘
    導体又は同族体で置き換えた、請求項48、49又は50に記載の組成物。
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