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JP2004043443A - アミロイドーシスの予防及び治療のための医薬 - Google Patents

アミロイドーシスの予防及び治療のための医薬 Download PDF

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JP2004043443A JP2003133886A JP2003133886A JP2004043443A JP 2004043443 A JP2004043443 A JP 2004043443A JP 2003133886 A JP2003133886 A JP 2003133886A JP 2003133886 A JP2003133886 A JP 2003133886A JP 2004043443 A JP2004043443 A JP 2004043443A
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transthyretin
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amyloid
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Hirofumi Kai
甲斐 広文
Yukio Ando
安東 由喜雄
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Kumamoto Technology and Industry Foundation
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Abstract

【課題】家族性アミロイドーシスポリニューロパシーなどのアミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬を提供する。
【解決手段】アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬であって、脂肪酸クロム塩などの3価のクロムイオンを含有する化合物を有効成分として含み、アミロイドーシスにおける変異トランスサイレチンの分解を抑制することができる医薬。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
アミロイドーシスとは、β−シート構造を有する蛋白質が重合して不溶性のアミロイド(amyloid)と呼ばれる細線維を形成し、生体内に沈着して組織傷害をもたらす疾患群のことを指す。ドイツの病理学者であるVirchowは、アミロイドーシスの組織標本がヨードで紫色に染まることを発見した。この結果から、Virchowは組織に沈着した物質は多糖体であると考え、これを「デンプン様物質」すなわち「アミロイド」と命名し、アミロイドの沈着により惹起される病態をアミロイドーシスと呼ぶことを提唱した。その後の研究により、アミロイドの主成分はその線維を形成する蛋白質であり、アミロイドには血清アミロイドP成分やグリコサアミノグリカンなどが含まれていることが分かっている。現在では、アミロイドは「コンゴーレッド染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡下で観察すると緑色に強く輝く複屈折を起こす幅8−15nmの枝分かれのない細線維の集積からなる」と定義されている。
【0003】
アミロイドによって引き起こされる病気すなわちアミロイドーシスにはアルツハイマー病、クロイツフェルト・ヤコブ病(狂牛病)、ハンチントン病、あるいは遺伝性のものなど様々な疾患が含まれる。その中で注目されている家族性アミロイドポリニューロパシー(FAP)は、末梢神経、自律神経、腎、皮膚、粘膜などの全身臓器にアミロイド沈着をきたし、常染色体優性遺伝形式で遺伝浸透するアミロイドーシスである。1952年にポルトガル人のFAP症例が初めて報告されて以来、世界各国から同様の症例報告がなされている。FAPの原因となるアミロイド線維は、血清蛋白質であるトランスサイレチン(TTR)が変異したもので構成されている。正常TTRは通常四量体として存在しているが、変異TTRは構造安定性が低く、四量体から単量体への構造変化を起こしやすいことが明らかになっている。
【0004】
我国で多いFAPは、Val30Met型の変異TTRを原因蛋白質とするI型FAPである。変異TTR蛋白質は正常TTR蛋白質に比べ構造安定性が低く、分子中のβ−シート構造が互いに会合し不溶性のアミロイド線維を形成し組織に沈着するといわれている。I型FAPの主要性状は、左右対称性に下肢末端から上行する知覚障害を伴う多発性神経炎と自律神経障害(交代性の下痢と便秘、起立性低血圧、排尿傷害等)であり、これらはいずれもアミロイドによる神経傷害が原因である。その後、心臓、腎臓、消化管へのアミロイド沈着が著しくなり、これらの臓器の機能不全を引き起こす。一度沈着したアミロイド線維を除去する根本的治療法はなく、20代後半から30代で発症し10年で歩行不能となり、10〜20年の経過で感染症、心不全、腎不全などで死亡する予後不良の疾患であり、厚生省特定疾患にも指定されている難病の一つである。
【0005】
現段階ではFAPの治療は主として対症療法により行われているが、原因療法に最も近いと考えられる治療法として肝移植も採用されている。これはTTRの主要産生臓器が肝臓であることから患者の肝臓を正常TTRを産生するドナーの肝臓に置き換えれば病状の進行を止められるという治療方法である。しかしながら、この治療法はドナー側に負担がかかることから一般的に採用可能な治療方法ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
本発明の課題は、アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬を提供することにある。特に、本発明の課題は、家族性アミロイドーシスポリニューロパシー(FAP)の予防及び/又は治療のための医薬を提供することを課題としており、アミロイドーシスに起因する知覚障害と自律神経障害の発症を予防するための医薬、及び上記知覚障害と自律神経障害の進行防止などを可能にする治療のための医薬を提供することにある。本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、脂肪酸クロム塩などの3価のクロムイオンを含有する化合物がアミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬として優れた効果を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬であって、3価のクロムイオンを含有する化合物を有効成分として含む医薬を提供するものである。この発明の好ましい態様によれば、アミロイドーシスが家族性アミロイドーシスポリニューロパシー(FAP)である上記の医薬、3価のクロムイオンを含有する化合物が脂肪酸クロム塩である上記の医薬、脂肪酸がピコリン酸である上記の医薬が提供される。
【0008】
別の観点からは、アミロイドーシスにおける変異トランスサイレチンの分解を抑制するための医薬であって、3価のクロムイオンを含有する化合物を有効成分として含む医薬、及びアミロイドーシスにおける変異トランスサイレチンを安定化するための医薬であって、3価のクロムイオンを含有する化合物を有効成分として含む医薬を提供するものである。この発明の好ましい態様によれば、アルミニウムイオンのトランスサイレチン前駆体分解反応促進に対する阻害剤である上記の医薬、アミロイドーシスが家族性アミロイドーシスポリニューロパシー(FAP)である上記の医薬、3価のクロムイオンを含有する化合物が脂肪酸クロム塩である上記の医薬、脂肪酸がピコリン酸である上記の医薬が提供される。
【0009】
また、3価のクロムイオンを含有する化合物を有効成分として含む変異トランスサイレチンの分解抑制剤、及び3価のクロムイオンを含有する化合物を有効成分として含む変異トランスサイレチンの安定化剤が本発明により提供される。
【0010】
さらに別の観点からは、上記の医薬の製造のための3価のクロムイオンを含有する化合物の使用、アミロイドーシスの予防及び/又は治療方法であって、3価のクロムイオンを含有する化合物の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法、及びアミロイドーシスにおける変異トランスサイレチンの分解を抑制する方法であって、3価のクロムイオンを含有する化合物の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が本発明により提供される。
【0011】
【発明を実施するための形態】
本発明の医薬の有効成分としては3価のクロムイオンを含む化合物の1種又は2種以上を用いることができる。3価のクロムイオンを含む化合物の種類は特に限定されないが、例えば、胃腸管から吸収されやすいように脂肪酸塩であることが好ましい。塩を形成する脂肪酸としては、例えば、生体代謝経路で代謝されやすい酪酸、ピコリン酸、ピルビン酸などが好ましいが、これらに限定されることはない。これらのうち、毒性がなく胃腸で吸収される速度の速いピコリン酸が最も好ましい。また、本発明の医薬としては、3価のクロムイオンを含有する化合物を含む任意の混合物を用いてもよい。このような混合物としては、例えば、天然物からの抽出物やビール発酵カスのような混合物であってもよい。
【0012】
本発明の医薬は、アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬として用いることができる。本発明の医薬の適用対象となるアミロイドーシスとしては、例えば、家族性アミロイドーシスポリニューロパシー(FAP)のほか、神経変性(neurodegenerative)疾患、例えば、アルツハイマー症、ウシ海綿状脳症(bovine spongiformencephalopathy)(BSE)、クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt‐Jakob disease)(CJD)、笑死症候群(laughing death syndrome)、スクレピー(scrapie)、ヒトにおける変形クロイツフェルト・ヤコブ病などを挙げることができる。これらのうち家族性アミロイドーシスポリニューロパシーは本発明の医薬の特に好適な対象である。
【0013】
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の医薬の作用メカニズムは以下のように説明できる。血清蛋白質であるトランスサイレチン(TTR)は四量体の蛋白質として血清中に存在するが、この四量体が未確認の触媒または酵素等の作用によって単量体に分解される。この単量体の大部分は分解され、一部は生体代謝経路を経て尿として体外に排出されるが、単量体の一部は組替えられてβ−シート構造となり、このβ−シート構造が線状に重合して不溶化線維状のアミロイド線維が生成される。変異トランスサイレチンでは四量体の蛋白質が単量体へと分解されやすい性質を有しており、その結果、アミロイド線維の生成が増加する。
【0014】
本発明者らは、トランスサイレチンからアミロイド線維が生成される機構について研究を行なううち、変異トランスサイレチンを持ちながらFAPを発症しない個体の存在を確認した。そして、上記アミロイド線維の生成に環境因子が関与しているとの考えの基に、環境因子のうち金属イオンがアミロイド線維の生成に深く関与していることを付きとめた。例えば、実施例に示すようにアルミニウムイオンはトランスサイレチンの四量体を単量体に分解する反応を促進する作用を有している。一方、3価のクロムイオンはトランスサイレチンの四量体が分解して単量体を生成する反応を阻害する作用を有しており、この結果、変異トランスサイレチンからのアミロイド線維の生成反応を抑制してアミロイドーシスを予防及び/又は治療することができる。
【0015】
例えば、FAPを発病した患者のうち症状が軽度な患者は本発明の医薬を投与することにより症状の進行や悪化を防ぐことが可能になる。症状が重篤な患者に対しても治療効果を期待できる場合がある。また、変異トランスサイレチンを有する個体は加齢とともにFAPを発症する可能性の高い潜在患者であるが、本発明の医薬を投与することによりFAPの発症を予防することができる。
【0016】
本発明の医薬としては、有効成分である3価のクロムイオンを含有する化合物をそのまま用いてもよいが、通常は有効成分である3価のクロムイオンを含有する化合物又はそれを含む混合物と1又は2種以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態を調製して用いることが望ましい。
【0017】
FAPの予防及び治療の際には、3価のクロムイオンだけでなく、トランスサイレチン四量体を安定化する非ステロイド性抗炎症薬、たとえばジフルニサールと併用することも望ましい。
【0018】
経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、座剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、軟膏剤、クリーム剤、貼付剤、経皮吸収剤、又は経粘膜吸収剤等を挙げることができる。上記の医薬組成物の製造に用いられる製剤用添加物としては、例えば、乳糖やオリゴ糖などの賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができるが、これらは医薬組成物の形態に応じて当業者が適宜選択することができ、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本発明の医薬の好ましい形態として錠剤を挙げることができる。錠剤の直径としては2〜10mm程度、厚さは1〜5mm程度であり、錠剤100重量%に対して有効成分を0.01重量%以上、好ましくは0.1〜10重量%含有することができる。なお、ピコリン酸クロムを含む医薬として、例えば、Vitamin World (NY, USA)社から錠剤の形態の栄養補給剤として「Yeast Free Chromium Picolinate」が市販されているので、この錠剤を本発明の医薬としてそのまま用いることも可能である。
【0020】
本発明の医薬の投与量及び投与回数などは特に限定されず、患者の年齢、体重、及び性別などの条件、並びに疾患の種類や重篤度、予防又は治療の目的などに応じて適宜選択可能である。通常は、経口投与による場合には有効成分量として成人一日あたり0.01g〜1g程度であり、上記の投与量を一日数回に分けて投与してもよい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1(1)アミロイド繊維の生成試験
トランスサイレチン含有溶液としてヒト血清から精製したトランスサイレチンを用い、精製度を電気泳動で確認した。トランスサイレチン含有溶液(10mg/mL)をバッファー溶液に0.2mg/mLの濃度になるように溶解し、塩化クロム(80μg/mL)を添加した。バッファー溶液のpHは、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いて各実験に必要なpHに調整した。上記溶液を37℃でインキュベートし、アミロイド線維を生成させた。
【0022】
(2)アミロイド線維生成量の測定
重合したβ−シートに選択的に結合する蛍光プローブであるチオフラビンT(和光純薬株式会社)を用い、アミロイド線維の生成量の測定を行った。測定試料としては、インキュベーション後のトランスサイレチン含有溶液をトランスサイレチン濃度が2.5μg/mLになるよう希釈し、10μMのチオフラビンT及び50mMのグリシンを添加してpH9.0に調整したものを用いた。測定試料調製後1分以内に、サンプル1mLを用いて25℃で蛍光分光光度計F−4500により450nmの励起光で励起される482nmの蛍光を測定した。なお、励起側及び蛍光側ともスリット幅は5nmで測定した。
【0023】
(3)トランスサイレチン四量体とトランスサイレチン単量体の量比の測定
トランスサイレチン四量体とトランスサイレチン単量体とをゲル分離クロマトグラフィーで分離し、クマーシーブリリアントブルー染色液に浸けて発色強度を観察した。同様にして、インキュベーションする溶液に添加する金属化合物を塩化クロムから塩化アルミニウムに変えた比較例、及び塩化クロムを配合しないコントロールについて測定を行った。また、インキュベーションする溶液に添加する金属化合物を塩化クロム80μg/mL及び塩化アルミニウム80μg/mL(塩化クロム及び塩化アルミニウム共存)に変える以外は同様に試験を行った。蛍光強度、及びトランスサイレチン四量体とトランスサイレチン単量体との量比の測定結果を図1に示す。
【0024】
例2
(1)3価クロムイオンの存在によるトランスサイレチンの熱安定性の変化の測定示差走査熱量計を用い、3価クロムイオンの存在によるトランスサイレチン四量体からトランスサイレチン単量体への構造変換時の熱安定性の変化を測定した。測定試料としては、トランスサイレチン含有溶液を、塩化クロム500μMを含む150 mM 塩化ナトリウム、20 mM リン酸緩衝液を用い、25 μM となるよう調製したものを用いた。バッファー溶液のpHは,水酸化ナトリウムまたは 塩酸を用いて、各実験に必要なpHに調整した。測定は、サンプル溶液1.5 mlを用い、室温で5分間の脱気の後、測定用セルに注入することで行った。測定条件は、MicroCal社製MC−2型示差走査熱量計を用いて走査速度1℃/min、温度範囲15℃〜115℃で行い、測定中は熱による気泡の発生を防ぐため、窒素2 atmで加圧した。なお,測定用セルはサンプル毎に濃硝酸で洗浄を行った。熱量、及び転移温度の測定結果を図2及び図3に示す。
【0025】
例3
(1)トランスサイレチントランスジェニックマウスへの3価クロムイオンの投与試験
トランスサイレチンの30番目のバリン残基がメチオニン残基に変異したヒト変異トランスサイレチンの遺伝子が組み込まれたトランスジェニックマウスへの3価クロムイオンの投与は、LD50値の1/6の用量であるマウスの体重1 g当たり3.5 μgの塩化クロム溶液を、腹腔内に一日毎に注入することで行った。投与開始から一週間後に、マウスの血液を尾静脈から回収し、4℃に一晩静置させ、血清成分を単離してサンプルとした。
【0026】
(2)トランスサイレチントランスジェニックマウスのトランスサイレチン四量体の安定性の測定
トランスジェニックマウスの血液から回収したサンプル60 μg中のトランスサイレチン四量体の安定性を、ウエスタンブロッティングを用いて測定した。ウエスタンブロッティングに用いた一次抗体は、抗ヒト変異トランスサイレチン抗体(1:2000)であり、一次抗体反応後、ぺルオキシだーゼラベルされた抗ウサギ二次抗体(1:10000)を用いて二次抗体反応を行った.抗体反応の検出には、ECL試薬を用いた。トランスジェニックマウスのトランスサイレチン四量体の検出結果を図4に示す。
【0027】
例4
(1)アミロイド繊維の生成試験
トランスサイレチン含有溶液をバッファー溶液に0.2mg/mLの濃度になるように溶解し、0、10、50 μM塩化クロムを添加し、それぞれの溶液に甲状腺ホルモン0、360 nMを添加した。バッファー溶液のpHは、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いて各実験に必要なpHに調整した。上記溶液を37℃でインキュベートし、アミロイド線維を生成させた。
【0028】
(2)アミロイド線維生成量の測定
チオフラビンT(和光純薬株式会社)を用い、アミロイド線維の生成量の測定を行った。測定試料としては、インキュベーション後のトランスサイレチン含有溶液をトランスサイレチン濃度が2.5μg/mLになるよう希釈し、10μMのチオフラビンT及び50mMのグリシンを添加してpH9.0に調整したものを用いた。測定試料調製後1分以内に、サンプル1mLを用いて25℃で蛍光分光光度計F−4500により450nmの励起光で励起される482nmの蛍光を測定した。なお、励起側及び蛍光側ともスリット幅は5nmで測定した。蛍光強度の測定結果を図5に示す。
【0029】
例5
(1)アミロイド繊維の生成試験
リコンビナントトランスサイレチン含有溶液(10 mg/ml)をバッファー溶液に0.2mg/mLの濃度になるように溶解し、0、10、100、500 μM塩化クロムを添加し、それぞれの溶液に甲状腺ホルモン0、360 nMを添加した。バッファー溶液のpHは、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いて各実験に必要なpHに調整した。上記溶液を37℃でインキュベートし、アミロイド線維を生成させた。
【0030】
(2)アミロイド線維生成量の測定
チオフラビンT(和光純薬株式会社)を用い、アミロイド線維の生成量の測定を行った。測定試料としては、インキュベーション後のトランスサイレチン含有溶液をトランスサイレチン濃度が2.5μg/mLになるよう希釈し、10μMのチオフラビンT及び50mMのグリシンを添加してpH9.0に調整したものを用いた。測定試料調製後1分以内に、サンプル1mLを用いて25℃で蛍光分光光度計F−4500により450nmの励起光で励起される482nmの蛍光を測定した。なお、励起側及び蛍光側ともスリット幅は5nmで測定した。蛍光強度の測定結果を図6に示す。
【0031】
例6
(1)アミロイド線維の生成試験
トランスサイレチン含有溶液をバッファー溶液に0.2mg/mLの濃度になるように溶解し、0、0.36、1、10 μMジフルニサールを添加し、それぞれの溶液に塩化クロム0、10 μMを添加した。バッファー溶液のpHは、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いて各実験に必要なpHに調整した。上記溶液を37℃でインキュベートし、アミロイド線維を生成させた。
【0032】
(2)アミロイド線維生成量の測定
チオフラビンT(和光純薬株式会社)を用い、アミロイド線維の生成量の測定を行った。測定試料としては、インキュベーション後のトランスサイレチン含有溶液をトランスサイレチン濃度が2.5μg/mLになるよう希釈し、10μMのチオフラビンT及び50mMのグリシンを添加してpH9.0に調整したものを用いた。測定試料調製後1分以内に、サンプル1mLを用いて25℃で蛍光分光光度計F−4500により450nmの励起光で励起される482nmの蛍光を測定した。なお、励起側及び蛍光側ともスリット幅は5nmで測定した。蛍光強度の測定結果を図7に示す。
【0033】
【発明の効果】
本発明の医薬は、アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬として有用であり、特に対症療法や肝臓移植しか治療方法のない家族性アミロイドーシスポリニューロパシー(FAP)に対して有効性の高い医薬として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医薬がトランスサイレチン四量体からトランスサイレチン単量体への分解を抑制する作用を有しており、一方、アルミニウムが分解を促進する作用を有することを示した図である。
【図2】本発明の医薬が正常トランスサイレチン四量体からトランスサイレチン単量体への分解を抑制し,アミロイド線維生成を抑制する作用を有することを示した図である。
【図3】本発明の医薬が変異トランスサイレチン四量体からトランスサイレチン単量体への分解を抑制し,アミロイド線維生成を抑制する作用を有することを示した図である。
【図4】本発明の医薬がトランスサイレチン四量体からトランスサイレチン単量体への構造変換時の熱安定性を増加させる作用を有することを示した図である。
【図5】本発明の医薬がトランスサイレチン四量体構造を不安定化する酸性条件下においても、トランスサイレチン四量体からトランスサイレチン単量体への構造変換時の熱安定性を増加させ、トランスサイレチン四量体構造を安定化する作用をすることを示した図である。
【図6】本発明の医薬がin vivoにおいて変異トランスサイレチン四量体構造の安定性を増加させる作用を有することを示した図である。
【図7】本発明の医薬が、トランスサイレチン四量体を安定化させる甲状腺ホルモンと協同してトランスサイレチンによるアミロイド線維生成を抑制する作用を有することを示した図である。
【図8】本発明の医薬が、リコンビナントトランスサイレチン四量体を安定化させる甲状腺ホルモンと協同してトランスサイレチンによるアミロイド線維生成を抑制する作用を有することを示した図である。
【図9】本発明の医薬が、トランスサイレチン四量体を安定化させる抗炎症薬ジフルニサールと協同してトランスサイレチンによるアミロイド線維生成を抑制する作用を有することを示した図である。

Claims (5)

  1. アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬であって、3価のクロムイオンを含有する化合物を有効成分として含む医薬。
  2. アミロイドーシスが家族性アミロイドーシスポリニューロパシーである請求項1に記載の医薬。
  3. 3価のクロムイオンを含有する化合物が脂肪酸クロム塩である請求項1又は2に記載の医薬。
  4. 脂肪酸がピコリン酸である請求項3に記載の医薬。
  5. アミロイドーシスにおける変異トランスサイレチンの分解を抑制するための医薬であって、3価のクロムイオンを含有する化合物を有効成分として含む医薬。
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