JP2004080413A - 通信システム、通信装置及び通信方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】送信側装置から有線回線及び無線回線を介して受信側装置にパケット信号を伝送する通信システムにおいて、受信側装置は、受信したパケット信号においてMAC処理部でのビットエラーによるパケットロスが発生しているときに、ELNビットをセットし、受信したパケット信号を無効にすると同時に、ELNビットを含むパケット信号をMAC処理部からTCP処理部に送り、ELNビットを含む応答確認信号をTCP処理部から送信側装置に送信する。これに応答して送信側装置は対応するパケット信号を受信側装置に再送し、輻輳ウィンドウは変化させない。受信側装置のTCP処理部は再送されたパケット信号を受信するまでそのMAC処理部から新たなELNビットを含むパケット信号が到着しない限り、ELNビットを含む応答確認信号を送り続ける。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、送信側装置から有線回線及び無線回線を介して受信側装置に情報を含むパケット信号を伝送するための通信システム、通信装置及び通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットプロトコルを中心としたネットワークアーキテクチャでは、下位層に対する依存性が少なく、また下位層の通信技術への要求も低い。その結果、単純なネットワーク構築が実現でき、急速なインターネットの発展を成し遂げている(例えば、従来技術文献1「村井純,“次世代インターネット技術”,電子情報通信学会誌,Vol.84,No.1,pp.2−9,2001年1月」参照。)。一方、近年携帯端末の普及や無線通信技術の発達に伴い、モバイル無線ネットワークの利用は爆発的な増加を見せている。無線通信は有線通信に比べて転送誤り率が高く、しかも誤り率が電波環境の変動により変化する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような無線リンクに対応するため、従来のインターネットプロトコルにおいてレイヤ間の協力関係をより密に、特に、MAC(Media Access Control)レイヤとTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)レイヤ間の情報交換を今以上に行う必要があると考えられる。
【0004】
従来のTCPは無線リンクを想定していないため、パケットロスが発生した場合、すべてネットワーク輻輳とみなしてIPパケットの送信速度を減少させている。しかし、無線リンクを利用するインターネットにおいては、輻輳状態でなくてもビット誤りのためIPパケットが破棄されてしまう。TCPは無線の高い誤り率によるパケットロスを輻輳によるロスと区別できないため、輻輳状態にないにも係らず不必要にデータの送信速度を抑制するという問題があった。この問題を解決するため、無線リンクロスを明示的に通知するELN(Explicit Loss Notification)が提案されている(例えば、従来技術文献2「H. Balakrishnan etal., ”Explicit Loss Notification and Wireless Web Performance”, Proceeding of IEEE Globecom Internet Mini−Conference, November 1998」参照。)。しかしながら、本方式では基地局に負荷を掛けるとともに無線リンクロスと輻輳ロスの判別が不完全であった。
【0005】
これまで無線環境に対応したTCPの対策方法がいくつか提案されてきたが、例えば、従来技術文献3「A. Bakre et al., ”I−TCP: Indirect TCP for MobileHosts”, Proceeding of 15th ICDCS, May 1995」において開示された非直接TCP(Indirect TCP)はネットワークを有線部と無線部に分離して、有線部と無線部ではそれぞれ従来のTCP制御と独自の無線フロー制御を行う。また、従来技術文献4「H. Balakrishnan et al., ”Improving Reliable Transport and Handoff Performance in Cellular Wireless Networks”, ACM Wireless Networks Vol.1, No.4, December 1995」において開示されたスヌープ・モジュール(Snoop Module)は基地局にエージェントを配してコネクションを監視することにより、無線端末からの再送要求を有線側からのものと区別してそれぞれ処理を行う。ELNの従来の実装方式では、無線リンクの基地局が送信側からのセグメントと受信側からのACKセグメントを監視することにより、ELNビット(=1)をセットし、送信側に無線リンクロスを知らせる。上記の手法は有線側から無線の高い誤り率を隠蔽することにより従来のTCPを有効に使うことが試みられているが、基地局に負荷をかけるうえ、エンド・ツー・エンドの制御が遮断され、無線リンクロスと輻輳ロスの判別も不完全であるという欠点があった。
【0006】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、不必要な送信速度の抑制を解消するとともに、無線リンクエラーによるパケットロスを直ちに再送することを実現できる通信システム、通信装置及び通信方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る通信システムは、送信側装置から有線回線及び無線回線を介して受信側装置に情報を含むパケット信号を伝送する通信システムにおいて、
送信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置の信号処理部は、受信したパケット信号においてビットエラーによるパケットロスが発生しているときに、無線回線のパケットロスを明示的に通知するELN(Explicit Loss Notification)ビットをセットし、受信したパケット信号を無効にすると同時に、ELNビットを含むパケット信号を発生し、これに応答して、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送信し、
送信側装置の信号処理部は、ELNビットを含む応答確認信号に応答して、これに対応するパケット信号を受信側装置の信号処理部に再送し、ここで、輻輳ウィンドウは変化させず、
次いで、受信側装置の信号処理部は、上記再送されたパケット信号を受信するまで、新たなELNビットを含むパケット信号が到着しない限り、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送り続けることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る通信装置は、送信側装置から有線回線及び無線回線を介して受信側装置に情報を含むパケット信号を伝送する通信システムにおける受信側装置のための通信装置において、
通信装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
通信装置の信号処理部は、受信したパケット信号においてビットエラーによるパケットロスが発生しているときに、無線回線のパケットロスを明示的に通知するELN(Explicit Loss Notification)ビットをセットし、受信したパケット信号を無効にすると同時に、ELNビットを含むパケット信号を発生し、これに応答して、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置に送信し、
次いで、通信装置の信号処理部は、上記再送されたパケット信号を受信するまで、新たなELNビットを含むパケット信号が到着しない限り、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置に送り続けることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係る通信方法は、送信側装置から有線回線及び無線回線を介して受信側装置に情報を含むパケット信号を伝送する通信システムのための通信方法において、
送信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置の信号処理部において、受信したパケット信号においてビットエラーによるパケットロスが発生しているときに、無線回線のパケットロスを明示的に通知するELN(Explicit Loss Notification)ビットをセットし、受信したパケット信号を無効にすると同時に、ELNビットを含むパケット信号を発生し、これに応答して、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送信するステップと、
送信側装置の信号処理部において、ELNビットを含む応答確認信号に応答して、これに対応するパケット信号を受信側装置の信号処理部に再送し、ここで、輻輳ウィンドウは変化させないステップと、
次いで、受信側装置の信号処理部において、上記再送されたパケット信号を受信するまで、新たなELNビットを含むパケット信号が到着しない限り、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送り続けるステップとを含むことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。なお、図面において、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0011】
図1は本発明に係る一実施形態である通信システム100の構成を示すブロック図である。図1において、本実施形態に係る通信システム100は、通信端末装置10と、基地局通信装置20と、携帯無線通信装置30とを備え、通信端末装置10と基地局通信装置20との間は、例えば、イーサケーブルや光ファイバケーブルなどの有線回線40を介して接続され、基地局通信装置20と携帯無線通信装置30との間は例えば携帯無線回線などの無線回線50を介して接続され、通信端末装置10と携帯無線通信装置30との間で基地局通信装置50を介してパケット信号を用いて情報通信が行われる。
【0012】
上述の従来技術の項で説明したような背景から、本発明に係る実施形態では、MACレイヤでビット誤りのため破棄されたIPパケットの情報をMAC層から吸い上げて、TCP層に通知する新たなELN方式を提案する。具体的には、MACレイヤでビットエラーによるパケットロスが発生している際、ELNビットをセットすることにより、そのパケットを無効にすると同時に、その情報をTCPレイヤに通知する新たな無線リンクロス通知方式を提案する。ここでは、ビット誤りが発生している際、パケットのシーケンス番号(4バイト)が有効であると仮定する。例えば携帯無線通信装置30である受信側装置のMACレイヤ受信処理においてELNビットをセットする図5の概略フローに示すように、受信側TCP処理部では、ELNビット=1のパケット信号を受け取ると、ACKパケット信号に同様にELNビットをセットして送信側に送り、そして、送信側TCP処理部では、ELNビットが1のACKを受け取ったときは、ただちに再送するが、輻輳ウインドウは変化させない。このあと、受信側TCP処理部では、再送したパケットを受信するまで、同じ受信側MAC処理部から新たなELNパケットが到着しない限り、ACKパケット信号にELN(=1)をセットし、例えば通信端末装置10である送信側装置のTCP処理部に送り続ける。送受信のパケットとELNビットをセットされている確認応答の流れの例を図12に示す。これについては詳細後述する。
【0013】
図1において、通信端末装置10は例えばパーソナルコンピュータから成り、送信すべき情報を複数のパケット信号に分割して、有線回線40、基地局通信装置20及び無線回線50を介して携帯無線端末装置30へ送信するとともに、携帯無線端末装置30からの情報を逆の経路で受信する。また、通信端末装置10は、有線回線40において送信ロスが生じた場合、送信ロスが生じたパケット信号の輻輳制御を行なう。ここで、「輻輳制御」とは、通信に輻輳が生じたとき、即ち、通信がオーバーフローしたとき、輻輳状態を回避するために送信パケット数を少なくして通信を行なうように制御することを言う。また、基地局通信装置20は、有線回線40と無線回線50との間で通信を中継する中継装置を構成し、通信端末装置10から有線回線40を介して受信したパケット信号を無線回線50を介して携帯無線端末装置30へ送信する一方、携帯無線通信装置30から無線回線50を介して受信したパケット信号を有線回線40を介して通信端末装置10に送信する。さらに、携帯無線端末装置30は、例えば、移動可能な携帯電話機からなり、有線回線40、基地局通信装置20及び無線回線50を介して通信端末装置10からのパケット信号を受信するとともに、送信すべきパケット信号を逆の経路で通信端末装置10へ送信する。
【0014】
図2は図1の通信端末装置10の構成を示すブロック図である。図2において、通信端末装置10は、接続端子101と、インターフェース102と、送受信部103と、コントローラ104と、キー操作部105と、情報処理部106と、演算処理部107と、記憶部108と、表示部109とを備えて構成され、各部103乃至109はバスBS1を介して接続されている。
【0015】
接続端子101は、通信端末装置10を有線回線40に接続するための接続端子である。インターフェース102は、接続端子101と送受信部103との間でデータ信号における信号変換やプロトコル変換などのインターフェース処理を実行する。送受信部103は、バスBSIを介して入力されたデータをインターフェース102及び接続端子101を介して有線回線40へ送信する一方、有線回線40から接続端子101及びインターフェース102を介して受信したデータをバスBSIへ出力する。コントローラ104は、通信端末装置10の各部の動作を制御する。キー操作部105は、通信端末装置10のユーザの指示を受信してその指示信号をコントローラ104及び情報処理部106に出力する。情報処理部106は、キー操作部105を介して入力されたユーザからの指示の指示信号に応じて、文書作成、及び情報の加工等の各種の情報処理を行ない、その処理の結果を複数のパケット信号に分割して記憶部108に記憶する。ここで、情報処理部106は、TCPレイヤの信号処理を行うTCP処理部と、IPレイヤの信号処理を行うIP処理部と、MACレイヤの信号処理を行うMAC処理部とを含む。記憶部108は各種のデータを記憶する。表示部109は、通信端末装置10のユーザに各種の情報を視覚情報として与える。
【0016】
以上のように構成された通信端末装置10において、有線回線40を介して受信されたパケット信号は、インターフェース102、送受信部103及びバスBS1を介して記憶部108に一時的に格納された後、情報処理部106に入力されて、そのパケット信号のデータについて所定の受信処理が実行される。一方、情報処理部106により生成された複数のパケット信号は、記憶部108に一時的に格納された後、バスBS1、送受信部103、インターフェース102及び接続端子101を介して有線回線40に送信される。
【0017】
図3は図1の携帯無線端末装置30の構成を示すブロック図である。図3の携帯無線通信装置30は、アンテナ301と、送受信部302と、コントローラ305と、キー操作部306と、表示部307と、情報処理部308と、記憶部309とを備えて構成され、これらの各部302乃至309はバスBS2を介して接続されている。
【0018】
送受信部302は、アンテナ301を介して受信した無線信号をベースバンド信号に変換し、その変換したベースバンド信号のデータをバスBS2、記憶部309を介して情報処理部308に出力する一方、送信すべきパケット信号のデータを、情報処理部308から記憶部309を介して受信し、無線搬送波を当該データに従って変調し、変調された無線信号をアンテナ301を介して送信する。コントローラ305は、携帯無線端末装置30の各部の動作を制御する。キー操作部306は、携帯無線端末装置30のユーザの指示を受付け、その指示信号をコントローラ305及び情報処理部308に出力する。表示部307は、各種の情報をユーザに視覚情報として与える。情報処理部308は、キー操作部306を介して入力されたユーザの指示に基づいて、文書作成、及び情報の加工等を行ない、その結果のデータを記憶部309に記憶する。記憶部309は、各種のデータ及び情報を格納する。ここで、情報処理部308は、TCPレイヤの信号処理を行うTCP処理部と、IPレイヤの信号処理を行うIP処理部と、MACレイヤの信号処理を行うMAC処理部とを含む。
【0019】
以上のように構成された通信端末装置30において、無線回線50を介してアンテナ301を用いて受信された無線信号は、送受信部302及びバスBS2を介して記憶部309に一時的に格納された後、情報処理部308に入力されて、そのパケット信号のデータについて所定の受信処理が実行される。一方、情報処理部308により生成された複数のパケット信号は、記憶部309に一時的に格納された後、バスBS2及び送受信部302を介してアンテナ301を用いて無線回線40に送信される。
【0020】
図4は従来技術のOSI参照モデル60に対応して、図1の通信システム100に用いる通信プロトコルを示す図である。図4において、公知の通り、OSI参照モデル60は、下位層から上位層へ向けて、物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、及びアプリケーション層から成る。ここで、アプリケーション層の処理部は、ファイル転送やメッセージ通信などのユーザが実行する多くのサービス間のプロトコルを制御する。また、プレゼンテーション層の処理部は、文字コードや画像データの表現形式を制御し、プロセス間におけるデータ形式などを確認する。さらに、セッション層の処理部は、アプリケーションプロセス間の情報の流れなど、通信モードの管理や情報転送に関する通信制御を行なう。また、トランスポート層の処理部は、通信情報の質を高めるための通信制御を行ない、データに欠落があった場合、相手先に通知する。さらに、ネットワーク層の処理部は、複数のネットワークにまたがったコンピュータ間のデータ転送やデータの中継機能などを実行する。さらに、データリンク層は、ノード間で信頼性の高いデータ伝送を保証するための層であり、データリンク層の処理部はハードウェアインターフェースから成り、中継局間のデータ伝送を確実に行なう処理を実行する。またさらに、物理層は、データリンク層から渡されたビット情報を実際に伝送するための電気信号に変換したり、届いた電気信号をビット情報に変換したり、ケーブルやコネクタなどの規格を取決める層である。従って、物理層は、相手方と物理的に回線を接続するための層であり、物理ハードウェア接続層として機能する。
【0021】
OSIモデル参照60がインターネットによる通信に用いられる場合、アプリケーション層、プレゼンテーション層及びセッション層は、1つの層としてのアプリケーション層として捉えられる。従って、通信プロトコル70は、図4に示すように、アプリケーション、TCP又はUDP(User Datagram Protocol)、IP(Internet Protocol)、MAC(Media Address Control)から成る。UDPは、コネクションレス型の通信プロトコルであり、TCPは、コネクション型のプロトコルである。そして、通信システム100においては、トランスポート層のプロトコルとしてコネクション型のプロトコルであるTCPが用いられる。
【0022】
以下、例えば、携帯無線通信装置30である受信側装置と、例えば、通信端末装置10である送信側装置における通信処理について図5乃至図10のフローチャートを参照して説明する。
【0023】
図5は図1の通信システム100における受信側装置のMAC処理部によって実行されるMACレイヤ受信処理(概略フロー)を示すフローチャートである。図5において、まず、ステップS1においてパケット信号からエラー情報を取得しエラーフラグerrorに代入し、ここで、無線通信のビットエラーによりエラーが発生しているとき(すなわち、パケットエラー)はエラーフラグerror=1となる一方、エラーが発生していないときはエラーフラグerror=0となる。次いで、ステップS2においてパケット信号のシーケンス番号をTCPヘッダより取得し、シーケンス番号seqNoに代入する。さらに、ステップS3においてエラーフラグerror=1であるか否かが判断され、すなわち、パケットエラーが発生したか否かが判断され、YESのときはステップS4に進む一方、NOのときは当該通信処理を終了する。次いで、ステップS4においてMACレイヤでの再送が完了したかであるか否かが判断され、YESのときはステップS5に進む一方、NOのときは当該受信処理を終了する。ステップS5ではELNビッドに1をセットし、ステップS6においてシーケンス番号SeqNo及びELNビットを含むパケット信号をTCP処理部に送信して当該受信処理を終了する。
【0024】
有線回線40のリンクにおいてはMACレイヤでの再送がなく、再送処理はTCPレイヤのみで行っている。しかしながら、無線回線50のリンクにおいては、高いビットエラーに対応するため、例えばIEEE802.11bによって、無線MACレイヤにおいても局所的な再送処理を行っています。MACレイヤでの再送を終えてなおパケットがエラー状態である場合に、従来であれば、破棄してしまいますが、本実施形態では、そのパケットを破棄するかわりに、ELNビットを立てて、TCP処理部に送るように構成している。
【0025】
図6は図1の通信システム100における受信側装置のMAC処理部によって実行されるMACレイヤ受信処理(詳細フロー)を示すフローチャートである。
【0026】
図6において、まず、ステップS11において受信したパケット信号からのエラー情報を取得してエラーフラグerrorに代入し、ステップS12においてパケット信号のシーケンス番号をTCP処理部から取得しシーケンス番号seqNoに代入する。ステップS13においてエラーフラグerror=1であるか否かが判断され、YESのときはステップS14に進む一方、NOのときはステップS16に進む。ステップS14では、図7のサブルーチンであるパケット信号の比較処理を実行した後、ステップS15においてパケット信号を記憶部309のバッファメモリに格納して当該受信処理を終了する。一方、ステップS16において図7のサブルーチンであるパケット信号の比較処理を実行し、ステップS17においてパケット信号にELNビット(=0)を追加し、ステップS18において、シーケンス番号seqNo及びELNビットを含むパケット信号をTCP処理部に送信し、これにより、送信側装置のTCP処理部に送信し、当該受信処理を終了する。
【0027】
図7は図6のサブルーチンであるパケット信号の比較処理(ステップS14,S16)を示すフローチャートである。
【0028】
図7において、まず、ステップS21において記憶部309のバッファメモリにNULLでないか否か、すなわち、バッファメモリに何らかのデータが格納されていないか否かについて検出し、YESのときはステップS22に進む一方、NOのときは元のメインルーチンに戻る。ステップS22においてバッファメモリに格納されたパケット信号のシーケンス番号をシーケンス番号seqNo_buffに代入し、ステップS23においてseqNo=seqNo_buffであるか否かが判断され、YESのときはステップS27に進む一方、NOのときはステップS24に進む。ステップS24では、バッファメモリに格納されたパケット信号にELNビット(=1)を追加し、ステップS25においてバッファメモリに格納されたパケット信号のエラー情報errorを0にセットし、ステップS26においてバッファメモリに格納されたパケット信号をTCP処理部に送信する。次いで、ステップS27において記憶部309のバッファメモリを空のデータで占有させ、元のメインルーチンに戻る。
【0029】
図8は図1の通信システム100における受信側装置のTCP処理部によって実行されるTCPレイヤの確認応答処理を示すフローチャートである。
【0030】
図8において、ステップS31において受信したパケットのシーケンス番号を取得してシーケンス番号seqnoに代入し、次いで、ステップS32においてパケットエラーを示すフラグELN=1であるか否かが判断され、YESのときはステップS33に進む一方、NOのときはステップS38に進む。ステップS33において、ELNビットをACKパケット信号に付与することを表すフラグack_eln_bitに1をセットし、ステップS34において、パケットエラーによる再送が発生していることを表すフラグack_eln_bufferに1をセットし、ステップS35において、再送要求するパケットのシーケンス番号seqNoを表すack_eln_noにシーケンス番号seqnoを代入し、ステップS36に進む。ステップS36では、図9のサブルーチンであるack(pkt)処理(ここで、pktは受信したパケット信号のパケットオブジェクトである。)を実行し、ステップS37においてACK信号を相手先装置に送信して当該確認応答処理を終了する。
【0031】
一方、ステップS38では、seqno=nextであるか否かが判断され、YESのときはステップS39に進む一方、NOのときはステップS42に進む。ここで、nextは受信側装置のTCP処理部が要求するシーケンス番号であって、後述するACK作成前処理において受信ウィンドウの更新処理において当該変数nextが更新される。
【0032】
ステップS39においてフラグack_eln_bufferに0がセットされ、ステップS40においてフラグack_eln_bitに0がセットされ、ステップS41においてACK作成前処理を実行してステップS36に進む。ACK作成前処理では、受信したパケット信号からデータサイズを取得し、受信したパケット信号に基づいて、タイムスタンプtsと、受信ウィンドウの更新処理を実行する。
【0033】
また、ステップS42においてフラグack_eln_buffer=1であるか否かが判断され、YESのときはステップS43に進む一方、NOのときはそのままステップS41に進む。ステップS43においてフラグack_eln_bitを1にセットし、ステップS41に進む。
【0034】
図9は図8のサブルーチンであるack(pkt)処理を示すフローチャートである。
【0035】
図9において、まず、ステップS51においてACK用パケット信号の作成処理を実行して、パケットの領域を確保し、ステップS52においてフラグack_eln_bit=1であるか否かが判断され、YESのときはステップS53に進む一方、NOのときはステップS54に進む。ステップS53においてACK信号ヘッダにELNビット(=1)をセットした後、ステップS54に進む。さらに、ステップS54においてフラグack_eln_buff=1であるか否かが判断され、YESのときはステップS55に進む一方、NOのときはステップS56に進む。ステップS55では、ACK信号のシーケンス番号にフラグack_eln_noをセットし、ステップS57に進む。一方、ステップS56においては、ACK信号のシーケンス番号に(next−1)をセットし、ステップS57に進む。ステップS57においてACK信号にタイムスタンプtsを設定し、ステップS58においてパケット信号のIPヘッダからフローIDを取得し、ステップS59においてフローIDをACK信号のIPヘッダにコピーし、元のメインルーチンに戻る。
【0036】
図10は図1の通信システム100における送信側装置のTCP処理部によって実行されるTCPレイヤの輻輳処理を示すフローチャートである。
【0037】
図10において、まず、ステップS61においてACK信号を受信し、ステップS62においてACKのシーケンス番号をacknoに代入し、ステップS63においてフラグERROR_noucountを1だけインクリメントする。ここで、フラグERROR_noucountはプロトコル規約においてコメントが無く、プログラムでも使用されていないために本実施形態では実質的に考慮しないフラグである。次いで、ステップS64においてACK信号のタイムスタンプをts_peer_に代入し、ステップS65に進む。ここで、タイムスタンプts_peer_は、受信側装置のTCP処理部でパケット信号を受信したときのタイムスタンプである。
【0038】
次いで、ステップS65においてELN=1であるか否かが判断され、YESのときはステップS66に進む一方、NOのときはステップS70に進む。ステップS66においてprev_ackno=acknoであるか否かが判断され、YESのときは当該輻輳処理を終了する一方、NOのときはステップS67に進む。ここで、prev_acknoは再送の重複を回避するために設けられた再送するシーケンス番号である。そして、ステップS67において再送タイマの設定処理を実行し、ステップS68においてパケット信号の出力処理を実行し、ステップS69において再送したシーケンス番号prev_acknoにacknoを代入し、当該輻輳処理を終了する。
【0039】
ステップS70では、ELNビットがセットされた最初のACK信号以外を計算の対象とし、受信したACK信号の総数を表すトレース用変数nackpackを1だけインクリメントし、ステップS71においてackno>lastack_(最後に受信したACK信号のシーケンス番号)であるか否かが判断され、YESのときはステップS72に進む一方、NOのときはステップS76に進む。ステップS72において、最後に受信したACK信号のシーケンス番号lastack_にacknoを代入し、ステップS73において再送するシーケンス番号prev_acknoにacknoを代入し、ステップS74に進む。ステップS74において、重複したACK信号(3回目以降のACK信号)を示すDupACK信号を受信したか否かが判断され、YESのときは当該輻輳処理を終了する一方、NOのときはステップS75に進み、新しいパケット信号を送信した後、当該輻輳処理を終了する。
【0040】
また、ステップS76においてackno=lastack_であるか否かが判断され、YESのときはステップS77に進む一方、NOのときはそのままステップS74に進む。ステップS77では、輻輳ウィンドウサイズのパラメータcwndにcwnd/2を代入し、ウィンドウ縮小通知パラメータCWRに1を代入し、スロースタートを実行するしきい値のパラメータssthreshにssthresh/2を代入する。次いで、ステップS78において再送タイマの設定処理を実行し、ステップS79においてパケット信号の出力処理を実行し、ステップS74に進む。
【0041】
以上のように構成された通信システム100の動作例について、図11乃至図14のタイミングチャートを参照して以下に説明する。
【0042】
図11は、図1の通信システム100における正常処理であって、送信側TCP処理部と受信側TCP処理部との間で送受信されるパケット信号とACK信号を示すタイミングチャートである。
【0043】
図11において、送信側TCP処理部は、n個のパケットを番号1、2、…、nの順で受信側TCP処理部へ送信する。受信側TCP処理部は、番号1のパケット信号を受信すると、番号1のパケット信号を受信したことを示す確認応答信号ACK1を送信側TCP処理部へ送信する。番号2、3、…、nのパケット信号についても、同様に、確認応答ACK2、ACK3、…、ACKnを送信側TCP処理部へ送信する。一方、送信側TCP処理部は、確認応答信号ACK1、ACK2、…、ACKnを受信することにより、番号1、2、…、nのパケット信号が受信側TCP処理部へ送信されたことを認識する。そして、送信側TCP処理部が番号1のパケット信号を受信側TCP処理部へ送信してから番号1のパケット信号を受信したことを示す確認応答信号ACK1を受信側TCP処理部から受信するまでの間に、送信側TCP処理部が受信側TCP処理部へ送信するパケット信号の個数nを送信ウィンドウという。従って、送信側TCP処理部から送信されたパケット信号が確実に受信側TCP処理部に到達するのであれば、送信ウィンドウが大きいほど、通信効率は高い。このように、コネクション型の通信システムにおいては、送信側は、受信側との間でパケット信号の送信と確認応答信号の受信とを行ないながら複数のパケット信号を受信側へ送信する。
【0044】
従って、情報を複数のパケット信号に分割し、その分割した複数のパケット信号を通信端末装置10から携帯無線端末装置30へ送信するとき、通信端末装置10は、n個のパケット信号を番号1、2、…、nの順で有線回線40、基地局通信装置20、及び無線回線50を介して携帯無線端末装置30へ送信する。そして、携帯無線端末装置30は、番号1、2、…、nのパケット信号を受信すると、確認応答ACK1、ACK2、…、ACKnを無線回線50、基地局通信装置20及び有線回線40を介して通信端末装置10へ送信する。
【0045】
図12は、図1の通信システム100における動作例の第1のケースであって、1つの送信ウィンドウに無線リンクロスが1個発生する場合における送信側TCP処理部と受信側TCP処理部との間で送受信されるパケット信号とACK信号を示すタイミングチャートである。
【0046】
図12において、受信側TCP処理部がAck2(ELN)信号を用いてこのELNビットにより無線リンクロスの発生を送信側TCP処理部に知らせると同時に、パケット2信号の再送を要求する。一方、送信側TCP処理部では、Ack2(ELN)信号を受信すると、DupAck信号を待たず、直ちにパケット2信号の再送のみを行う。この再送にあたり、輻輳ウインドウ制御を行わない。
【0047】
図13は、図1の通信システム100における動作例の第2のケースであって、1つの送信ウィンドウに送信リンクロスが2個発生する場合における送信側TCP処理部と受信側TCP処理部との間で送受信されるパケット信号とACK信号を示すタイミングチャートである。
【0048】
図13において、受信側TCP処理部においては、パケット2信号の再送が届かない限り、Ack2(ELN)信号を送信側TCP処理部に送りつづけるが、MACレイヤのMAC処理部から新たな無線エラーのパケット4信号が送られると、Ack4(ELN)信号に変化させて送信側TCP処理部に送信する。一方、送信側TCP処理部では、Ack2(ELN)信号を受け取ると、直ちにパケット2信号の再送を行うが、輻輳ウィンドウ制御を行わない。また、同様に、送信側TCP処理部は、Ack4(ELN)信号を受け取ると、直ちにパケット4信号の再送のみを行う。
【0049】
図14は図1の通信システム100における動作例の第3のケースであって、1つの送信ウィンドウに無線リンクロスと輻輳によるパケットロスがそれぞれ1個ずつ発生する場合における送信側TCP処理部と受信側TCP処理部との間で送受信されるパケット信号とACK信号を示すタイミングチャートである。
【0050】
図14において、無線リンクロスに対してのみ、図12の第1のケースと同じ処理を行うが、ELNビット=0のパケットロスに対して、従来と同様にDupAck信号によって再送を行い、輻輳制御も同時に行う。
【0051】
【実施例】
本発明者らは、本実施形態で提案した新たなELN方式の有効性を検証するため、ネットワークシミュレータNS−2(例えば、従来技術文献5「UCB/LBNL/VINT Network Simulator ns (version2), http://www.isi.edu/nsnam/ns/, July 2002」を用いて、計算機シミュレーション実験を行った。実験で用いたネットワークモデルは図15に示す。図15に示すように、有線回線40では、データ伝送速度10Mbpsであって、遅延時間を2msecに設定し、無線回線40では、データ伝送速度2Mbpsであって、遅延時間を2msecに設定した。
【0052】
図16は図15のネットワークモデルにおけるシミュレーション結果であって、従来法と実施形態による方法とに係る、信号対干渉雑音電力比(SINR)に対するTCPの平均シーケンス数を示すグラフである。比較例の従来法として以下の2つを用いる。
(1)従来技術文献6「W. R. Stevens, ”TCP slow start congestion avoidance, fast retransmission and fast recovery algorithms”, RFC2001, January 1997」において開示されたTCP−Reno法:早期再送と早期回復を導入することによりオリジナルのTahoe TCP法より性能を大幅に改善された方法であるが、1つの送信ウインドウにおいて複数のパケットロスを生じる場合において、早期再送状態に入ることができなく、タイムアウトが待たなければいけないという欠点があった。
(2)従来技術文献7「M. Mathis et al., ”TCP selective acknowledgement options”, RFC2018, October 1996」において開示されたTCP−Sack法:Sack−optionにACK信号を付与することにより、いち早く複数のパケットロスを送信側装置に知らせて、早期再送と早期回復することにより性能改善を行ったものである。
【0053】
当該シミュレーションにおいて、ビットエラーモデルはDPSK信号の平均エラーレートを用いた。図16から明らかなように、SNRが8.5dB〜10.5dBの範囲において実施形態に係る方法の平均シーケンス数(Kbytes、80秒間、100回)は、従来技術のTCP−Reno法及びTCP−Sack法に比べて、最大11倍(以下の表1を参照。)ほど向上したことが分かった。
【0054】
【表1】
(注)第1の向上率はTCP−Reno法に対する本実施形態法に係るスループットの向上率(%)であり、第2の向上率はTCP−Sack法に対する本実施形態法に係るスループットの向上率(%)である。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、送信側装置である通信端末装置10から有線回線40及び無線回線50を介して受信側装置である携帯無線通信装置50に情報を含むパケット信号を伝送する通信システムにおいて、通信端末装置10は、TCPレイヤでの信号処理を実行するTCP処理部を備え、携帯無線通信装置50は、MACレイヤでの信号処理を実行するMAC処理部と、TCPレイヤでの信号処理を実行するTCP処理部とを備える。ここで、携帯無線通信装置50は、受信したパケット信号においてMAC処理部でのビットエラーによるパケットロスが発生しているときに、無線回線のパケットロスを明示的に通知するELN(Explicit Loss Notification)ビットをセットし、受信したパケット信号を無効にすると同時に、ELNビットを含むパケット信号をMAC処理部からTCP処理部に送り、これに応答して、ELNビットを含む応答確認信号をTCP処理部から通信端末装置10のTCP処理部に送信する。次いで、通信端末装置10のTCP処理部は、ELNビットを含む応答確認信号に応答して、これに対応するパケット信号を受信側装置のTCP処理部に再送し、ここで、輻輳ウィンドウは変化させない。さらに、携帯無線通信装置50のTCP処理部は、上記再送されたパケット信号を受信するまで、携帯無線通信装置50のMAC処理部から新たなELNビットを含むパケット信号が到着しない限り、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置のTCP処理部に送り続けることを特徴としている。
【0056】
従って、本実施形態によれば、中継装置である基地局通信装置20に余計な負荷を掛けないうえ、無線リンクロスを完全にTCPレイヤに通知することにより、不必要な送信速度の抑制を解消するとともに、無線リンクエラーによるパケットロスを直ちに再送することを実現できる。それにより、無線環境におけるTCPのスループット性能を大幅に向上することができ、基地局通信装置のない無線アドホックネットワークにおいても本実施形態に係る方法を容易に適用することができる。
【0057】
以上の実施形態においては、送信側装置と受信側装置はそれぞれ少なくともMAC処理部とTCP処理部とを備えているが、本発明はこれに限らず、これら2つの処理部は、所定の信号処理を実行する信号処理部であってもよい。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、送信側装置から有線回線及び無線回線を介して受信側装置に情報を含むパケット信号を伝送する通信システムにおいて、
送信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置の信号処理部は、受信したパケット信号においてビットエラーによるパケットロスが発生しているときに、無線回線のパケットロスを明示的に通知するELN(Explicit Loss Notification)ビットをセットし、受信したパケット信号を無効にすると同時に、ELNビットを含むパケット信号を発生し、これに応答して、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送信し、
送信側装置の信号処理部は、ELNビットを含む応答確認信号に応答して、これに対応するパケット信号を受信側装置の信号処理部に再送し、ここで、輻輳ウィンドウは変化させず、
次いで、受信側装置の信号処理部は、上記再送されたパケット信号を受信するまで、新たなELNビットを含むパケット信号が到着しない限り、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送り続ける。
【0060】
従って、本発明によれば、基地局通信装置に余計な負荷を掛けないうえ、無線リンクロスを完全にTCPレイヤに通知することにより、不必要な送信速度の抑制を解消するとともに、無線リンクエラーによるパケットロスを直ちに再送することを実現できる。それにより、無線環境におけるTCPのスループット性能を大幅に向上することができ、基地局通信装置のない無線アドホックネットワークにおいても本発明に係る方法を容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態である通信システム100の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の通信端末装置10の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の携帯無線端末装置30の構成を示すブロック図である。
【図4】従来技術のOSI参照モデル60に対応して、図1の通信システム100に用いる通信プロトコルを示す図である。
【図5】図1の通信システム100における受信側装置のMAC処理部によって実行されるMACレイヤ受信処理(概略フロー)を示すフローチャートである。
【図6】図1の通信システム100における受信側装置のMAC処理部によって実行されるMACレイヤ受信処理(詳細フロー)を示すフローチャートである。
【図7】図6のサブルーチンであるパケット信号の比較処理を示すフローチャートである。
【図8】図1の通信システム100における受信側装置のTCP処理部によって実行されるTCPレイヤの確認応答処理を示すフローチャートである。
【図9】図8のサブルーチンであるack(pkt)処理を示すフローチャートである。
【図10】図1の通信システム100における送信側装置のTCP処理部によって実行されるTCPレイヤの輻輳処理を示すフローチャートである。
【図11】図1の通信システム100における正常処理であって、送信側TCP処理部と受信側TCP処理部との間で送受信されるパケット信号とACK信号を示すタイミングチャートである。
【図12】図1の通信システム100における動作例の第1のケースであって、1つの送信ウィンドウに送信リンクロスが1個発生する場合における送信側TCP処理部と受信側TCP処理部との間で送受信されるパケット信号とACK信号を示すタイミングチャートである。
【図13】図1の通信システム100における動作例の第2のケースであって、1つの送信ウィンドウに送信リンクロスが2個発生する場合における送信側TCP処理部と受信側TCP処理部との間で送受信されるパケット信号とACK信号を示すタイミングチャートである。
【図14】図1の通信システム100における動作例の第3のケースであって、1つの送信ウィンドウに無線リンクロスと輻輳によるパケットロスがそれぞれ1個ずつ発生する場合における送信側TCP処理部と受信側TCP処理部との間で送受信されるパケット信号とACK信号を示すタイミングチャートである。
【図15】図1の通信システム100のシミュレーションのためのネットワークモデルを示すブロック図である。
【図16】図15のネットワークモデルにおけるシミュレーション結果であって、従来法と実施形態による方法とに係る、信号対雑音電力比(SNR)に対するTCPの平均シーケンス数を示すグラフである。
【符号の説明】
10…通信端末装置、
20…基地局通信装置、
30…携帯無線端末装置、
40…有線回線、
50…無線回線、
60…OSI参照モデル、
70…通信プロトコル、
100…通信システム、
101…接続端子、
102…インターフェース、
103,302…送受信部、
104,305…コントローラ、
105,306…キー操作部、
106,308…情報処理部、
108,309…記憶部、
109,307…表示部、
301…アンテナ。
Claims (3)
- 送信側装置から有線回線及び無線回線を介して受信側装置に情報を含むパケット信号を伝送する通信システムにおいて、
送信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置の信号処理部は、受信したパケット信号においてビットエラーによるパケットロスが発生しているときに、無線回線のパケットロスを明示的に通知するELN(Explicit Loss Notification)ビットをセットし、受信したパケット信号を無効にすると同時に、ELNビットを含むパケット信号を発生し、これに応答して、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送信し、
送信側装置の信号処理部は、ELNビットを含む応答確認信号に応答して、これに対応するパケット信号を受信側装置の信号処理部に再送し、ここで、輻輳ウィンドウは変化させず、
次いで、受信側装置の信号処理部は、上記再送されたパケット信号を受信するまで、新たなELNビットを含むパケット信号が到着しない限り、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送り続けることを特徴とする通信システム。 - 送信側装置から有線回線及び無線回線を介して受信側装置に情報を含むパケット信号を伝送する通信システムにおける受信側装置のための通信装置において、
通信装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
通信装置の信号処理部は、受信したパケット信号においてビットエラーによるパケットロスが発生しているときに、無線回線のパケットロスを明示的に通知するELN(Explicit Loss Notification)ビットをセットし、受信したパケット信号を無効にすると同時に、ELNビットを含むパケット信号を発生し、これに応答して、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置に送信し、
次いで、通信装置の信号処理部は、上記再送されたパケット信号を受信するまで、新たなELNビットを含むパケット信号が到着しない限り、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置に送り続けることを特徴とする通信装置。 - 送信側装置から有線回線及び無線回線を介して受信側装置に情報を含むパケット信号を伝送する通信システムのための通信方法において、
送信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置は、所定の信号処理を実行する信号処理部を備え、
受信側装置の信号処理部において、受信したパケット信号においてビットエラーによるパケットロスが発生しているときに、無線回線のパケットロスを明示的に通知するELN(Explicit Loss Notification)ビットをセットし、受信したパケット信号を無効にすると同時に、ELNビットを含むパケット信号を発生し、これに応答して、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送信するステップと、
送信側装置の信号処理部において、ELNビットを含む応答確認信号に応答して、これに対応するパケット信号を受信側装置の信号処理部に再送し、ここで、輻輳ウィンドウは変化させないステップと、
次いで、受信側装置の信号処理部において、上記再送されたパケット信号を受信するまで、新たなELNビットを含むパケット信号が到着しない限り、ELNビットを含む応答確認信号を送信側装置の信号処理部に送り続けるステップとを含むことを特徴とする通信方法。
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