JP2004000215A - 新規トポイソメラーゼiii - Google Patents
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Abstract
【課題】新規なトポイソメラーゼIIIおよび該タンパク質をコードするDNAが望まれている。
【解決手段】(a)特定の配列を有してなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド;および(c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続した塩基を有してなるポリヌクレオチド;からなる群より選択されるポリヌクレオチドを有してなる単離ポリヌクレオチドを提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】(a)特定の配列を有してなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド;および(c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続した塩基を有してなるポリヌクレオチド;からなる群より選択されるポリヌクレオチドを有してなる単離ポリヌクレオチドを提供する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願は、1996年10月15日に提出された米国仮特許出願番号60/028603号の権利を主張するものである。
本発明は、一つに、新規に同定されたポリヌクレオチドおよびポリペプチド;該ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの変種および誘導体;該ポリヌクレオチドおよび該ポリペプチド、およびその変種および誘導体の製造方法;該ポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニスト;ならびに該ポリヌクレオチド、ポリペプチド、変種、誘導体、アゴニストおよびアンタゴニストの使用に関するものである。特に、これらの点および他の点に関して、本発明は、細菌性「トポイソメラーゼIII」のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】
より効果的な抗生物質には、細菌性遺伝子の発現、制御または活性に共通するモードを妨害するものがある。近年、DNAのスーパーコイル化が毒性遺伝子制御の一つの方法であり得ると示唆されている。スーパーコイル化に因るDNA密度の局所的な増減は、温度、嫌気生活、および重量オスモル濃度などの種々環境条件に対する応答に関係している。空間的に構成された遺伝子のスーパーコイル化の増減により、遺伝子群の転写装置の構成要素へのアクセサビリティーを適宜制御することで、感染性病原体がかかる環境条件に対して有効な応答を示すかもしれない。1型トポイソメラーゼおよびDNAジャイレース(DNA gyrase)を含む、DNAスーパーコイル化のレベルに影響するように作用する、DNAトポイソメラーゼなどの酵素が同定されている。かかる酵素はそれに対する潜在的抗生物質としての化合物をスクリーニングするための有用な標的に相当する。
【0003】
DNAトポイソメラーゼによるDNA形質転換は、一本鎖または二本鎖のどちらかの開裂によりなされる。かかる形質転換により得られるリンキング数(Lk)のユニット変化が2種のトポイソメラーゼの間の最も機能的な違いである(P.O.Brown & N.R.Cozzarelli、Science 206:1081−1083(1979))。リンキング数(Lk)は一本の鎖がもう一本の鎖に広がる表面と交差する回数の代数的数である。一過性の一本鎖切断を介して反応が進行し、Lkを一工程で変化させるDNAトポイソメラーゼは1型と分類され、二本鎖切断を介して反応が進行し、Lkを二工程にて変化させる酵素は2型と分類される。
【0004】
2型トポイソメラーゼファミリーのメンバーは、DNAジャイレース、細菌性トポイソメラーゼIV、T−線状DNAトポイソメラーゼ、真核生物DNAトポイソメラーゼIIおよびサルフォロバス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)由来の好熱性トポイソメラーゼIIを包含する(A.Kikuchiら、Syst.Appl.Microbiol.7:72−78(1986);J.Katoら、J.Biol.Chem.267:25676−25684(1992);W.M.Huang、DNAトポロジーおよびその生物学的効果(N.R.CozzarelliおよびJ.C.Wang編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク)264−284(1990);T.−S.Hisch、DNAトポロジーおよびその生物学的効果(N.R.CozzarelliおよびJ.C.Wang編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク)243−263(1990)を参照のこと)。12種ほどの2型酵素のコーディング配列が決定されており、そのデータはこれらの全ての酵素が進化的および構造的に関連していることを示唆する。2型トポイソメラーゼにより触媒されるトポロジー反応は、DNA(DNAジャイレース)への負のスーパーコイルの導入、スーパーコイル化DNAの弛緩、らせん環の連環形成(またはその解離)、DNAの結節および未結節を包含する。
【0005】
1型トポイソメラーゼのファミリーは、細菌性トポイソメラーゼI、イー・コリ(E.coli)トポイソメラーゼIII、エス・セレヴィシア(S.cerevisiae)トポイソメラーゼIII(R.A.Kim & J.C.Wang、J.Biol.Chem.267:17178−17185(1992))、ヒトトポイソメラーゼIII(Hanaiら、Proc.Natl.Acad.Sci.93:3653−3657(1996))、細菌性酵素に密接に類似した葉緑体由来の1型トポイソメラーゼ(J.Siedleckiら、Nucleic Acids Res.11:1523−1536(1983)、好熱性逆ジャイレース(A.Kikuchi、DNA;「トポロジーおよびその生物学的効果」(N.R.CozzarelliおよびJ.C.Wang編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク)285−298(1990):C.Bouthier de la Tourら、J.Bact.173:3921−3923(1991))、好熱性ディー・アミロリティカス(D.amylolyticus)トポイソメラーゼIII(A.I.Slesarevら、J.Biol.Chem.266:12321−12328(1991))、核トポイソメラーゼIおよびミトコンドリアおよびポックスウイルス由来の密接に関連する酵素(N.Osheroff、Pharmac.Ther.41:223−241(1989))からなる。触媒機構に関して、これらのトポイソメラーゼは二つの群に分けられる。A群は作用するのに2価のカチオンを必要とし、5′ホスホリル末端で一過性の共有結合性複合体を形成する酵素からなる(原核生物性1型トポイソメラーゼ、エス・セレヴィシア(S.cerevisiae)トポイソメラーゼIII、およびヒトトポイソメラーゼIII)。B群は、作用するのに2価のカチオンを必要とせず、3′ホスホリル末端で一過性の共有結合する1型トポイソメラーゼを含む(核トポイソメラーゼI、一般に真核生物性トポイソメラーゼIと称せられるミトコンドリアおよびポックスウイルスに由来する酵素)。1型トポイソメラーゼは以下のトポロジー反応を行う:これらはスーパーコイル化DNA(逆ジャイレースを除く)を弛緩し、一本鎖環状DNAまたは二本鎖DNA(ただし、少なくとも1つの分子がニックまたはギャップを有する)を連環形成(またはその解離)するか、または一本鎖環と相互反応し、トポロジカルな結節を導入する(1型−A群トポイソメラーゼ)。1型−A群トポイソメラーゼに属する逆ジャイレースはcDNAに正のスーパーコイルを導入できることがわかった唯一のトポイソメラーゼである。
【0006】
DNAトポイソメラーゼに関する研究は、DNA酵素学から開発療法へと進歩している。細菌性DNAトポイソメラーゼIIはキノロン抗生物質の治療上重要な標的である;哺乳動物性DNAトポイソメラーゼIIは多くの強力な抗腫瘍薬の細胞性標的である(K.Drlica、Microbiol.Rev.48:273−289(1984)およびBiochemistry 27:2253−2259(1988);B.S.Glisson & W.E.Ross、Pharmacol.Ther.32:89−106(1987);A.L.Bodley & L.F.Liu、Biotechnology 6:1315−1319(1988);L.F.Liu、Annu.Rev.Biochem.58:351−375(1989))。トポイソメラーゼII毒と称されるこれらの薬物は、開裂可能な複合体と称される主要な共有結合性反応中間体を捕捉することにより、II型トポイソメラーゼの切断−再結合反応を妨害する。哺乳動物性トポイソメラーゼIは、これもまた共有結合性反応中間体を捕捉する抗腫瘍薬トポテカン(米国特許第5004758号)の細胞性標的である。
【0007】
前記したように、細菌性I型トポイソメラーゼ(トポイソメラーゼI&III)はDNAトポロジーを変化させる酵素であり、複製、転写および組換えを含め、多くの極めて重要な細胞性工程に関与する(Luttinger,A.、Molecular Microbiol.15(4):601−608(1995))。これらの酵素はDNA一本鎖を一時的に切断し、裂け目にDNA一本鎖または二本鎖を通し、最終的に裂け目を再閉する。DNA基質の開裂により、酵素のチロシン残基およびDNA鎖の開裂部位における5′末端間に共有結合が形成される(Roca,J.A.、TTBS 20:156−160(1995))。
【0008】
共有結合−酵素−DNA複合体(開裂可能な複合体)を安定化させる酵素阻害は染色体損傷および細菌性細胞死を引き起こす。さらに、この機構は1回の阻害事象により細胞死に至る可能性がある。開裂可能な複合体を安定化することにより作用する低分子量の阻害剤は、特に活性部位の領域におけるトポイソメラーゼIおよびIIIの広範囲に及ぶアミノ酸配列類似性のため、その両方のトポイソメラーゼで作用できる。したがって、点突然変異より生じるそのような薬物に対する将来の高レベルの耐性の可能性を低くすることができる。
【0009】
I型トポイソメラーゼの阻害剤は、例えば、DNAとの共有結合複合体においてタンパク質を安定化できる阻害剤であり、細菌に対して致死的または抑制的であり、そのため抗菌治療において有用である。ストレプトコッカス属遺伝子および遺伝子生成物を抗生物質の開発のための標的として用いることは特に好ましいことである。ストレプトコッカス属は微生物の医学的に重要な属を形成している。これらは浸潤性および毒素性の二つの型の疾患を生み出すことが知られている。浸潤性感染は一般に皮膚表面および組織深部に影響する膿瘍を形成する特徴がある。ストレプトコッカス・ニューモニエ(S.pneumoniae)は癌患者における菌血症の2次誘発原因である。骨髄炎、敗血症性関節炎、敗血症性血栓静脈炎および急性細菌性心内膜炎もまた比較的一般的である。ストレプトコッカス属の毒素特性よりもたらされる、少なくとも3種の臨床症状がある。これらの疾病の出現は、組織浸潤および菌血症に対抗するように、外毒素の作用をもたらす。これらの症状は:ストレプトコッカス食中毒、熱傷様皮膚症候群およびトキシックショック症候群を包含する。
【0010】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の一つの目的は、ポリペプチド、配列表(配列番号:2)に示すアミノ酸配列およびバシラス・サチリス(Bacillus subtilis)トポイソメラーゼI(これは配列表の配列に対して同一性25.2%、類似性42.2%である)などの他のタンパク質の既知アミノ酸配列間の相同性により、新規トポイソメラーゼIIIとして同定されたポリペプチドを提供することである。
本発明のさらなる目的は、さらに、トポイソメラーゼIIIをコードするポリヌクレオチド、特に本明細書において細菌性トポイソメラーゼIIIと称するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のこの態様のとりわけ好ましい具体例では、該ポリヌクレオチドは、配列表(配列番号:1)に示す配列における、トポイソメラーゼIIIをコードする領域を有する。
本発明の別の特に好ましい具体例には、(配列番号:2)のアミノ酸配列を含んでなるストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)由来の新規トポイソメラーゼIIIタンパク質、またはそのフラグメント、アナログまたは誘導体がある。
本発明のこの態様によれば、寄託株NCIMB受託番号40794に含まれるストレプトコッカス・ニューモニエ・ポリヌクレオチドにより発現可能な成熟ポリペプチドをコードする単離核酸分子が提供される。
【0012】
本発明のこの態様によれば、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、および本発明のこの態様のさらなる具体例では、生物学的、診断学的、臨床的もしくは治療的に有用なその変種、アナログもしくは誘導体、または変種、アナログおよび誘導体のフラグメントを含め、そのフラグメントを包含する、トポイソメラーゼIII、特にストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIをコードする単離された核酸分子が提供される。
本発明のこの態様の特に好ましい具体例には、トポイソメラーゼIIIの天然の対立遺伝子変種がある。
【0013】
本発明のこの態様によれば、本明細書においてトポイソメラーゼIIIと称されるストレプトコッカス属起源の新規ポリペプチド、ならびに生物学的、診断学的、もしくは治療的に有用なそのフラグメント、および前記した変種、誘導体およびアナログ、およびそのフラグメントが提供される。
治療を目的として、例えば、ストレプトコッカス感染などの細菌感染に対して宿主に免疫を付与することによる治療を含め、疾患を治療するのに用いることができるトポイソメラーゼIIIポリペプチド、特に細菌性トポイソメラーゼIIIポリペプチドを提供することも本発明の目的である。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、治療または予防を目的として、例えば抗菌剤またはワクチンとしての、本発明のポリペプチド、とりわけそのフラグメントの使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、治療または予防を目的として、特に遺伝的免疫における、本発明のポリヌクレオチドの使用が提供される。
本発明のこの態様の特に好ましい具体例には、トポイソメラーゼIII遺伝子の天然の対立遺伝子によりコードされるトポイソメラーゼIIIポリペプチドの変種がある。
【0015】
本発明の別の目的は、前記のポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、変種および誘導体、その変種および誘導体のフラグメント、並びに前記したもののアナログの製造方法を提供することである。
本発明のこの態様の好ましい具体例では、外因的に誘導されたトポイソメラーゼIIIのコード化ポリヌクレオチドを発現可能なように挿入した宿主細胞を、宿主においてトポイソメラーゼIIIを発現するような条件下で培養し、次いで発現したポリペプチドを回収することからなる、前記したトポイソメラーゼIIIポリペプチドの製造方法を提供する。
【0016】
本発明の別の目的によれば、とりわけ研究、生物学的、臨床的および治療的目的で、前記のポリペプチドおよびポリヌクレオチドを利用する製品、組成物、工程および方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、抗菌剤として有用なかかるポリペプチドの阻害物質が提供される。特にかかるポリペプチドに対する抗体が提供される。
本発明のこの態様および他の態様のある種の好ましい具体例によれば、細菌感染を検出するのに有用な、細菌性トポイソメラーゼIII配列にハイブリダイゼーションするプローブが提供される。
【0017】
本発明のこの態様のある種のさらなる好ましい具体例では、トポイソメラーゼIIIポリペプチドに対する抗体が提供される。この点における特に好ましい具体例では、その抗体はストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIに対して選択的である。
本発明の別の態様によれば、トポイソメラーゼIIIアゴニストが提供される。好ましいアゴニストには、トポイソメラーゼIII結合分子に結合し、トポイソメラーゼIII誘起反応を惹起または増強する、トポイソメラーゼIIIを模倣する分子がある。また、好ましいアゴニストには、トポイソメラーゼIIIをコードする遺伝子もしくはトポイソメラーゼIIIポリペプチド、または他のトポイソメラーゼIII活性のモジュレーターと相互作用し、それにより、1またはそれ以上のトポイソメラーゼIIIの効果を強化または増強する分子があり、好ましくは静菌性または殺菌性でもある。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、トポイソメラーゼIIIアンタゴニストが提供される。好ましいアンタゴニストには、トポイソメラーゼIIIに結合し、トポイソメラーゼIII結合分子の結合を阻害するか、またはトポイソメラーゼIIIおよびトポイソメラーゼIII結合分子の間で形成される複合体を安定化し、トポイソメラーゼIIIから生じるさらなる生物学的活性を防御するアンタゴニストがある。また好ましいアンタゴニストには、トポイソメラーゼIIIに結合するかまたは相互作用し、1またはそれ以上のトポイソメラーゼIIIの効果を阻害するか、またはトポイソメラーゼIIIの発現を妨げ、また好ましくは静菌性または殺菌性でもある分子がある。
【0019】
本発明のさらなる態様では、インビトロで細胞に、エクソビボで細胞におよびインビボで細胞に、または多細胞生物に投与するための、トポイソメラーゼIIIポリヌクレオチドまたはトポイソメラーゼIIIポリペプチドを含んでなる組成物を提供する。本発明のこの態様のある種の好ましい具体例において、該組成物は、宿主生物においてトポイソメラーゼIIIポリペプチドを発現し、免疫学的応答、好ましくはストレプトコッカスまたは関連生物に対するかかる宿主の免疫性を亢進させるためのトポイソメラーゼIIIポリヌクレオチドを含んでなる。
【0020】
本発明のその他の目的、特徴、利点および態様は、以下の記載より当業者に明らかとなろう。しかしながら、以下の記載および明確な実施例は、本発明の好ましい具体例を示すものであり、単に説明として示されるものであると認識すべきである。開示した本発明の精神および観点内での種々の変更および修飾は、以下の記載を読むこと、および本明細書のその他の部分を読むことにより、当業者に容易に明らかとなろう。
【0021】
【発明の実施の形態】
定義
以下の説明は、本明細書、とりわけ実施例において汎用される特定の用語の理解を容易にするために示すものである。説明は便宜上示すものであり、本発明を限定するものではない。
本明細書で用いるトポイソメラーゼIII結合分子は、例えばスーパーコイル化DNAなどの酵素基質、細胞膜成分および古典的なレセプターを含め、本発明のトポイソメラーゼIIIポリペプチドまたはポリヌクレオチドと特異的に結合または相互作用する分子またはイオンをいう。本発明のポリペプチドと、結合または相互作用分子を含め、そのような分子間の結合は、本発明のポリペプチドに対して独占的であることが好ましく、またはその結合は本発明のポリペプチドに高度に特異的であることもまた好ましく、またはその結合は本発明のポリペプチドを包含するタンパク質群に高度に特異的であることも好ましく、または本発明のポリペプチドを含む、少なくともその一つが数種のタンパク質に特異的であってもよい。結合分子はまた、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体および抗体由来の物質をも包含する。
【0022】
「遺伝的エレメント」は、一般に、ポリペプチドをコードする領域、もしくは複製、転写もしくは翻訳、もしくは宿主細胞においてポリペプチドを発現するのに重要なその他の過程を制御するポリヌクレオチド領域を有してなるポリヌクレオチド、またはポリペプチドをコードする領域およびそれらに機能的に連結した発現を制御する領域の両方を有してなるポリヌクレオチドを意味する。遺伝的エレメントは、エピソームエレメント、すなわち、宿主細胞ゲノムと物理的に独立した分子として、複製するベクター内に含まれていてもよい。該エレメントはプラスミド内に含まれていてもよい。遺伝的エレメントはまた、自然の状態ではなく、むしろ単離、クローニングおよび宿主細胞への導入のような操作の後に、精製DNAの形態で宿主細胞ゲノム内またはとりわけベクター内にも含まれていてもよい。
【0023】
「宿主細胞」は外来性ポリヌクレオチド配列により形質転換もしくはトランスフェクションされた、または形質転換またはトランスフェクションすることのできる細胞である。
当該分野にて周知であるように「同一性」または「類似性」は、配列を比較して測定されるような、二つまたはそれ以上のポリペプチド配列間または二つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該分野において、「同一性」とはまた、時には、かかる配列の鎖の間の合致により決定されるようなポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の関連性の程度をも意味する。「同一性」および「類似性」は共に容易に算出できる(Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.編、オックスフォード・ユニバーシティー・プレス、ニューヨーク、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.編、アカデミック・プレス、ニューヨーク、1993年;Computer Analysis of Sequence Data,パートI,Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編、ヒューマナ・プレス、ニュージャージー、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.、アカデミック・プレス、1987年;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.およびDevereux,J.編、Mストックトン・プレス、ニューヨーク、1991年)。2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド間の同一性および類似性を測定するための多くの方法がある一方で、その両方の用語は当業者に周知である(SequenceAnalysis in MolecularBiology,von Heinje,G.,AcademicPress,1987;Squence AnalysisPrimer,Gribskov,M.およびDevereux,J.,編、M StocktonPress,New York,1991;およびCarillo,H.,およびLipman,D.,SIAM J.,AppliedMath.,48:1073(1988))。2つの配列間で同一性または類似性を測定するのに通常用いられる方法は、Carillo,H.およびLipman,D.,SIAM J.Applied Math.,48:1073(1988)に開示されている方法を包含するが、これに限定されるものではない。同一性を決定するための好ましい方法は、試験する配列間で最も良く適合するように設計される。同一性および類似性を測定する方法は、コンピュータープログラムに組み込まれている。二つの配列間の同一性および類似性を測定する好ましいコンピュータープログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984)、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.215:403(1990)))を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0024】
「単離」とは、「人工的に」天然の状態から変化させられた、すなわち、天然物の場合、その本来の環境から変化または除去あるいはその両方が行われたことを意味する。例えば、生体に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離」されていないが、その天然状態で共存する物質から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書に用いる用語としての「単離」がなされている。例えば、ポリヌクレオチドに関して、「単離」なる用語は、天然の染色体および細胞から分離されていることを意味する。単離の一部として、または単離の後に、かかるポリヌクレオチドは、例えば、突然変異誘発のために、DNAなどの他のポリヌクレオチドに結合し、宿主における伸長および発現のために、融合タンパク質を形成したりすることができる。単離ポリヌクレオチドは単独で、またはベクターなどの他のポリヌクレオチドと結合して、培養物中または全生物中の宿主細胞に導入できる。培養物中または全生物中の宿主細胞に導入されたかかるDNAも本明細書に用いる用語である、「単離」されたといえる。というのはこれらは天然の形態または環境にはないからである。同様に、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、組成物、例えば、培地処方、例えば細胞にポリヌクレオチドまたはポリペプチドを導入するための溶液、化学的または酵素的反応のための組成物または溶液中に生じさせてもよく、これらは自然には存在しない組成物であり、本明細書に用いる用語の「単離」されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドの範囲内である。
【0025】
「ポリヌクレオチド(複数でも可)」は、一般に、修飾されていないRNAもしくはDNA、または修飾されたRNAもしくはDNAであってよい、いずれのポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをも意味する。従って、例えば、本明細書で用いるポリヌクレオチドは、とりわけ一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物または一本鎖、二本鎖および三本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくはより典型的には二本鎖もしくは三本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であってもよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を意味する。加えて、本明細書で用いるポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAの両方を有してなる三本鎖領域を意味する。かかる領域における鎖は同一の分子または異なる分子由来のものでよい。この領域はこれらの分子の一つまたはそれ以上の全てを含んでいてもよいが、より典型的にはいくつかの分子の一領域のみを含む。三重らせん領域の分子の一つは、オリゴヌクレオチドであることがしばしばである。本明細書で用いる場合、「ポリヌクレオチド」なる用語は、一つまたはそれ以上の修飾した塩基を含有する、前記したDNAまたはRNAを包含する。このように、安定性または他の理由で修飾された骨格を有するDNAまたはRNAも、該用語を本明細書が意図するろところの「ポリヌクレオチド」である。さらに、イノシン等の普通でない塩基、またはトリチル化塩基等の修飾塩基を有してなるDNAまたはRNA(二つの例だけを示す)も、かかる用語を本明細書で用いる場合の「ポリヌクレオチド」である。当業者に既知の多くの有用な目的を提供するDNAおよびRNAに、非常に多くの修飾がなされていることは、明らかであろう。「ポリヌクレオチド」なる用語は、本明細書で用いる場合、ポリヌクレオチドのこのような化学的、酵素的または代謝的に修飾した形態、ならびにウイルス、とりわけ単純型細胞および複雑型細胞を含む、細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。ポリペプチド(複数でも可)なる語は、しばしば、オリゴヌクレオチドと称される短鎖ポリヌクレオチドを包含する。
【0026】
本明細書で用いる「ポリペプチド」は、以下に記載する全てのポリペプチドを包含する。ポリペプチドの基本的な構造は周知であり、非常に多くのテキストおよび当該分野の他の発行物に記載されている。これに関連して、この用語は、本明細書において、ペプチド結合により直鎖で互いに結合している2個またはそれ以上のアミノ酸を有してなるいずれかのペプチドまたはタンパク質をいうのに用いる。本明細書で用いる場合、この用語は、当該分野で通常例えばペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも称される短鎖、および多くの型があり、当該分野で一般的にタンパク質と称する長鎖の両方を意味する。ポリペプチドは、しばしば、一般に20種の天然アミノ酸と称される20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含有し、末端アミノ酸を含め、多くのアミノ酸は、プロセッシングおよび他の翻訳後修飾のような自然の工程により所定のポリペプチドで修飾されたものが含まれるが、当業者に周知の化学的修飾技術によっても修飾できることは理解されよう。ポリペプチドに自然に起こる一般的な修飾でさえ余り多すぎて、余すところなく掲示することはできないが、基礎的なテキストおよびさらに詳細な論文ならびに多数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業者に周知である。本発明のポリペプチドに施すことができる既知の修飾には、2ないし3例示として示すと、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、交差結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有交差結合形成、シスチン形成、ピログルタミン酸塩形成、ホルミル化、ガンマー−カルボキシル化、糖鎖形成、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質加水分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などの転移RNA媒介のタンパク質へのアミノ酸付加、およびユビキチン化がある。かかる修飾は当業者に周知であり、科学文献に非常に詳細に記載されている。いくつかの特に一般的な修飾、例えば糖鎖形成、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマーカルボキシル化、ヒドロキシル化およびADPリボシル化は最も基礎的なテキスト、例えばProteins−Structure and Molecular Properties、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993)に記載されている。例えば、Posttranslational Covalent Modification of Proteins、B.C.Johnson編、アカデミック・プレス、ニューヨーク(1983)のWold,F.,Posttranslational Protein Modifications :Perspective and Prospects、1〜12頁;Seifterら、Meth.Enzymol.182:626−646(1990)およびRattanら、Protein Synthesis:Posttranslational Modifications and Aging,Ann.N.Y.Acad.Sci.663:48−62(1992)で提供される論文などの多くの詳細な論文が、本主題に利用できる。ポリペプチドはいつも完全に直鎖であるとは限らないということは周知であり、前記した通りであると理解されよう。例えばポリペプチドはユビキチン化の結果分岐していてもよく、一般には、天然のプロセッシング事象を含む翻訳後の事象、および天然では起こらない人為的操作によりもたらされる事象の結果、分岐のある、または分岐のない環状にできる。環状、分岐および分岐した環状ポリペプチドは、非翻訳天然のプロセッシングにより、および同様に全く合成的な方法で合成できる。修飾はペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含め、ポリペプチドのどこででも起こり得る。実際、共有結合の修飾による、ポリペプチドのアミノまたはカルボキシル基またはその両方の遮断は、天然および合成ポリペプチドに共通し、かかる修飾は同様に本発明のポリペプチドにも存在し得る。例えば、イー・コリ(E.coli.)または他の細胞で作られるポリペプチドのアミノ末端残基は、タンパク質溶解のプロセッシングの前にほとんど必ずN−ホルミルメチオニンになるであろう。ペプチドの翻訳後の修飾の間に、NH2末端でメチオニン残基を除去できる。従って、本発明は、本発明のタンパク質のメチオニン含有およびメチオニン不含の両方のアミノ末端変種の使用を意図する。ポリペプチドに起こる修飾はしばしばそれの作り方に影響される。例えば、宿主にクローン化遺伝子を発現することにより作られるポリペプチドでは、修飾の特性および程度は、大部分、宿主細胞の翻訳後修飾能力およびポリペプチドアミノ酸配列に存在する修飾シグナルにより決定される。例えば、周知のように、糖鎖形成はイー・コリのような細菌宿主では起こらないことがはしばしばである。従って、糖鎖形成が望ましい場合、ポリペプチドを、糖鎖形成宿主、一般に、真核細胞にて発現させるべきである。昆虫細胞は、しばしば、哺乳動物細胞と同じ翻訳後糖鎖形成を行う;この理由で昆虫細胞発現系が、糖鎖形成の本来のパターンを有する哺乳動物タンパク質を効率よく発現するように開発されている。同様の考察が他の修飾にも適用される。修飾の同一の型が、所定のポリペプチドのいくつかの部位で、同じまたは異なる程度で存在し得ることは理解されよう。また、所定のポリペプチドは多くの型の修飾を有していてもよい。一般に、本明細書で用いる場合、「ポリペプチド」なる用語は、全てのこのような修飾、特に宿主細胞においてポリヌクレオチドを発現することにより合成したポリペプチドに存在する修飾を包含する。
【0027】
本明細書で用いる場合、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの「変種(複数でも可)」なる用語は、対照標準のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは各々異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。この意味の変種は、本明細書の以下およびその他の部分でより詳細に記載する。ポリヌクレオチドに関して、違いは、一般に、対照標準と変種のヌクレオチド配列が、全体的に非常に類似しており、多くの領域で同一であるものに限られる。以下に記すように、変種におけるヌクレオチドの配列の変化はサイレントであってもよい。すなわち、その変化がポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸を変えなくてもよい。変化がこの型のサイレント変化に限定される場合、変種は、対照標準と同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。また以下に記すように、変種のヌクレオチド配列における変化が、対照標準のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させてもよい。このようなヌクレオチドの変化は、以下に論じるように、対照標準配列によりコードされるポリペプチドにおけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合および切断をもたらす。ポリペプチドに関して、違いは、一般に、対照標準と変種の配列が全体的に非常に類似しており、多くの領域で同一であるものに限られる。変種および対照標準のポリペプチドは、1またはそれ以上の置換、付加、欠失、融合および切断(いずれかの組み合わせで生じていてもよい)により、アミノ酸配列にて異なっていてもよい。
【0028】
本発明は、とりわけ、以下により詳細に記載する、新規トポイソメラーゼIIIポリペプチドおよびそれをコードするポリヌクレオチドに関する。特に、本発明は、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)のトポイソメラーゼIポリペプチドに対するアミノ酸配列相同性により関連付けられる、ストレプトコッカス・ニューモニエの新規トポイソメラーゼIII遺伝子のポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関する。本発明は特に配列表(配列番号:1)および配列表(配列番号:2)に示すヌクレオチドおよびアミノ酸配列を有するストレプトコッカス・トポイソメラーゼIII、ならびに本明細書において「寄託生物」または「寄託生物のDNA」と称するNCIMB受託番号40794より単離可能なDNAのトポイソメラーゼIIIヌクレオチドおよびアミノ酸配列に関する。配列表(配列番号:1)および配列表(配列番号:2)に示すヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、寄託生物のDNAを配列決定することにより得られたことは理解されよう。従って、寄託クローンの配列が、その配列(およびそれをコードする配列)と配列表(配列番号:1)および配列表(配列番号:2)の配列の間のいずれの不一致に関しても調節するものである。
【0029】
ポリヌクレオチド
本発明の一つの態様によれば、配列表(配列番号:2)の推定アミノ酸配列を有するストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。
配列表(配列番号:1)に示すポリヌクレオチド配列などの本明細書にて提供される情報を用いて、トポイソメラーゼIIIポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドは、標準的なクローニングおよびスクリーニングの手法を用いて得ることができる。配列番号:1に示すDNA配列を用いてタンパク質をコードするポリヌクレオチドを得るためには、典型的には、イー・コリまたはいくつかの他の適当な宿主中のストレプトコッカス・ニューモニエ0100993の染色体DNAのクローンのライブラリーを、配列表の配列に由来する、好ましくは17量体またはそれ以上の長さの、放射標識したオリゴヌクレオチドでプローブする。ついで、該プローブと同一のDNAを有するクローンは、非常にストリンジェントな洗浄操作に付すことにより区別できる。元の配列から設計された配列決定プライマーで同定された個々のクローンを配列決定することにより、該配列を両方向に伸長し、完全遺伝子配列を決定することが可能である。都合よくは、かかる配列決定をプラスミドクローンから調製された変性二本鎖DNAを用いて実施する。適当な技術については、Maniatis,T.、Fritsch,E.F.およびSambrook、J.、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(1989);ハイブリダイゼーションによるスクリーニング1.90および変性二本鎖DNA鋳型の配列決定13.70を参照のこと)に記載されている。本発明の一例として、配列表に示すポリヌクレオチドは、実施例1に記載されているように、ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993に由来するDNAライブラリー中で見出したものである。
【0030】
寄託クローンのトポイソメラーゼIIIをコードする配列を文献に報告されている配列と比較することによりわかるように、本発明のトポイソメラーゼIIIは、構造的に、細菌性トポイソメラーゼIIIファミリーの他のタンパク質に関連付けられる。好ましいDNA配列を配列表(配列番号:1)に示す。これは、約147個のアミノ酸残基のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有する。このタンパク質は、既知タンパク質の中でも、バシラス・サチリス・トポイソメラーゼIタンパク質に対して最大の相同性を示す。配列表(配列番号:2)のトポイソメラーゼIIIは、バシラス・サチリス・トポイソメラーゼIのアミノ酸配列と、約25.2%の同一性、および約42.2%の類似性を有する。
【0031】
本発明のポリヌクレオチドは、クローニングにより得るか、もしくは化学合成技術により生成するか、またはそれらを組み合わせて得た、mRNA等のRNAの形態、または例えばcDNAおよびゲノムDNAを含むDNAの形態であってもよい。DNAは二本鎖または一本鎖のいずれであってもよい。一本鎖DNAはセンス鎖としても知られているコーディング鎖であってもよく、またはアンチセンス鎖とも称される非コーディング鎖であってもよい。
ポリペプチドをコードするコーディング配列は、配列表(配列番号:1)に示すポリヌクレオチドのコーディング配列と同一であってもよい。さらに、それは、遺伝暗号の重複性(同義性)の結果、、配列表(配列番号:2)のポリペプチドをコードする異なる配列を有するポリヌクレオチドであってもよい。
【0032】
配列表(配列番号:2)のポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドのコーディング配列自体;成熟ポリペプチドのコーディング配列および付加コーディング配列、例えばプレ、プロ、プレプロタンパク質配列等のリーダーまたは分泌配列をコードするコーディング配列;付加非コーディング配列と一緒に、前記した付加コーディング配列と共にまたはなしで、例えば、限定するものではないが、転写にて役割を果たす転写された非翻訳配列(例えば、終止シグナルを含む)などの非コーディング配列5′および3′配列、リボソーム結合部位、mRNA安定性エレメント、付加機能を供給する配列などの付加アミノ酸をコードする付加コーディング配列を有する成熟ポリペプチドのコーディング配列を包含するが、これらに限定されるものではない。DNAはまた、本発明のトポイソメラーゼIIIをコードするmRNAの転写を指令するように機能するプロモーター領域を有していてもよい。そのようなプロモーターは、独立して、組換え発現系における異種遺伝子の転写を指令するのに有用であるかもしれない。さらには、該ポリペプチドは、融合ポリペプチドの精製を促す、ペプチドなどのマーカー配列に融合していてもよい。本発明のこの態様のある具体例において、マーカー配列はヘキサ−ヒスチジンペプチド、例えば、とりわけpQEベクター(キアゲン・インコーポレーティッド(Qiagen,Inc.)より得られるタグであり、多くが市販により入手可能である。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,86:821−824(1989)に記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは融合タンパク質の通常の精製法を提供する。インフルエンザ・ヘマググルチニン・タンパク質由来のエピトープに対応する、HAタグもまた融合タンパク質の生成に使用でき、これについては例えばWilsonら、Cell,37:767(1984)に記載されている。
【0033】
前記によれば、本明細書で用いる「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」なる用語は、本発明のポリペプチド、特に細菌性、さらに詳細には、配列表(配列番号:2)に示すアミノ酸配列を有する、ストレプトコッカス・ニューモニエ・トポイソメラーゼIIIのポリペプチドをコードする配列を有するポリヌクレオチド包含する。この用語は、さらにコーディングおよび/または非コーディング配列を含有していてもよい、付加領域と共に該ポリペプチドをコードする単一の連続領域または不連続領域(例えば、組み込まれたファージもしくは挿入配列またはエディティング(editing)により分断される)を含む、ポリヌクレオチドを包含する。
【0034】
本発明はさらに、配列表(配列番号:2)の推定アミノ酸配列を有するポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体をコードする、本明細書で前記したポリヌクレオチドの変種に関する。ポリヌクレオチドの変種は、天然の対立遺伝子変種などの天然の変種であってもよく、または自然に発生することが知られていない変種であってもよい。このようなポリヌクレオチドの非天然変種は、ポリヌクレオチド、細胞または生物に適用される方法を含め、突然変異誘発技術により作ることができる。
【0035】
この点における変種には、ヌクレオチド置換、欠失または付加により前記のポリヌクレオチドとは異なる変種がある。置換は1またはそれ以上のヌクレオチドに起こる。変種はコーディングもしくは非コーディング領域またはその両方において変化していてもよい。コーディング領域における変化が保存的または非保存的アミノ酸置換、欠損または付加を生成するかもしれない。
この点に関する本発明の特に好ましい具体例には、配列表(配列番号:2)に示すストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;それらの変種、アナログ、誘導体およびフラグメントがある。
【0036】
この点において、さらに特に好ましくは、配列表(配列番号:2)のストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIポリペプチドで、そのうち、数個、わずかな、5〜10、1〜5、1〜3、2、1または0個のアミノ酸残基がいずれかの組み合わせで置換、欠失または付加されているアミノ酸配列を有する、トポイソメラーゼIII変種、アナログ、誘導体およびフラグメント、ならびにそのフラグメントの変種、アナログおよび誘導体をコードするポリヌクレオチドである。中でもとりわけ好ましいものは、サイレント置換、付加および欠失であり、トポイソメラーゼIIIの特性および活性を変えないものである。また、この点に関してとりわけ好ましいものは、保存的置換である。最も好ましいものは、置換されていない、配列表(配列番号:2)のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
本発明のさらに好ましい態様は、配列表(配列番号:2)に示すアミノ酸配列を有するトポイソメラーゼIIIポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%同一のポリヌクレオチド、およびかかるポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドである。また、寄託クローンのストレプトコッカス・ニューモニエDNAのトポイソメラーゼIIIポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも80%同一である領域を有するポリヌクレオチド、およびそれらに相補的なポリヌクレオチドが最も好ましい。この点において、その同じものに対して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドがとりわけ好ましく、中でも少なくとも95%の同一性を有するものが特に好ましい。さらには、少なくとも95%の同一性を有するものの中でも少なくとも97%であるのがより好ましく、その中でも少なくとも98%および少なくとも99%であるのが特に好ましく、さらに少なくとも99%であるのがより好ましい。
【0037】
この点に関してとりわけ好ましい具体例は、さらには、配列表(配列番号:1)のDNAによりコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同一の生物学的機能または活性を保持するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
本発明はさらに本明細書で前記した配列にハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドに関する。この点において、本発明は、特に、ストリンジェントな条件下で本明細書で前記したポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドに関する。本明細書で用いる「ストリンジェントな条件」なる用語は、ハイブリダイゼーションが配列間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の同一性がある場合にのみ起こることを意味する。
【0038】
本発明のポリヌクレオチドアッセイについて本明細書でさらに説明するように、例えば、前記したように本発明のポリヌクレオチドは、RNA、cDNAおよびゲノムDNAのハイブリダイゼーションプローブとして用い、トポイソメラーゼIIIをコードする完全長cDNAおよびゲノムクローンを単離し、ならびにトポイソメラーゼIII遺伝子に対して高度な配列類似性を有する他の遺伝子のcDNAおよびゲノムクローンを単離することができる。かかるプローブは、一般に、少なくとも15塩基を有してなる。好ましくは、かかるプローブは少なくとも30塩基からなり、少なくとも50塩基を有してもよい。特に好ましいプローブは少なくとも30塩基を有し、50以下の塩基を有する。
例えば、トポイソメラーゼIII遺伝子のコーディング領域は、既知DNA配列を用いてスクリーニングし、オリゴヌクレオチドプローブを合成することにより単離できる。ついで、本発明の遺伝子の配列に相補的な配列を有する標識オリゴヌクレオチドを用いて、cDNA、ゲノムDNAまたはmRNAのライブラリーをスクリーニングし、ライブラリーのどのメンバーがプローブとハイブリダイズするかを決定する。
【0039】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、さらにはポリヌクレオチドアッセイに関連して本明細書でさらに説明するように、疾患、特にヒト疾患の治療法および診断法の発見のための研究試薬および材料として使用できる。
配列(配列番号:1)より誘導される、オリゴヌクレオチドである本発明のポリヌクレオチドは、本明細書において同定されたストレプトコッカス・ニューモニエ遺伝子が、全体としてまたは部分的に、感染組織にて転写されるかどうかを決定するために、本明細書に前記した方法でのPCRプライマーとして使用できる。かかる配列はまた、病因が達した感染の段階および型の診断にも有用であると思われる。
ポリヌクレオチドは、成熟タンパク質に、さらなるアミノもしくはカルボキシル末端アミノ酸が加わるか、またはその内部にアミノ酸が加わった(例えば成熟形態が一つ以上のポリペプチド鎖を有する場合)ポリペプチドをコードできる。かかる配列は前駆体から成熟形態へのタンパク質のプロセッシングにおいて役割を有し、タンパク質を運び、タンパク質の半減期を長くしたり短くしたり、またはとりわけアッセイもしくは生成のためのタンパク質の操作を容易にすることができる。インビボで一般的なように、付加アミノ酸は、細胞酵素により成熟タンパク質からプロセッシングで取り除かれる。
【0040】
1またはそれ以上のプロ配列と融合したポリペプチドの成熟形態を有する前駆体タンパク質は、ポリペプチドの不活性形態であってもよい。プロ配列が除去されると、このような不活性前駆体は一般に活性化される。プロ配列のいくつかまたは全てを、活性化の前に除去してもよい。一般に、このような前駆体はプロタンパク質と称される。
総じて、本発明のポリヌクレオチドは成熟タンパク質、リーダー配列を加えた成熟タンパク質(プレタンパク質と称することもできる)、プレタンパク質のリーダー配列ではない1またはそれ以上のプロ配列を有する成熟タンパク質の前駆体、またはリーダー配列および1またはそれ以上のポリペプチドの活性および成熟形態を生じるプロセッシング工程で除去されるプロ配列を有するプロタンパク質の前駆体であるプレプロタンパク質をコードできる。
【0041】
寄託材料
ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993は、ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッド(NCIMB)、アバディーン、スコットランドに1996年4月11日に寄託され、NCIMB番号40794を付された。
寄託は、特許手続き上の微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条件下で行われている。特許が発行されると何らの制限または条件もなく、最終的には株は分譲される。寄託は当業者の便宜のためにのみ提供され、35U.S.C.112条のもとに要求されるような、寄託が実施可能要件であることを承認するものではない。
寄託材料に含まれるポリヌクレオチドの配列、ならびにそれによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細書の配列の記載と矛盾する事象を調節するものである。
寄託材料を製造、使用または販売するためにはライセンスが必要であるが、そのようなライセンスはここで付与されるものではない。
【0042】
ポリペプチド
本発明はさらには配列表(配列番号:2)の推定アミノ酸配列を有する細菌性トポイソメラーゼIIIポリペプチドに関する。
本発明はまたこれらのポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体にも関する。「フラグメント」、「誘導体」および「アナログ」なる用語は、配列表(配列番号:2)のポリペプチドをいう場合、かかるポリペプチドと本質的に同一の生物学的機能または活性を保持するポリペプチドを意味する。元のトポイソメラーゼIIIの少なくとも90%の活性を保持するフラグメント、誘導体およびアナログが好ましい。元のトポイソメラーゼIIIの少なくとも95%の活性を保持するフラグメント、誘導体およびアナログが好ましい。従って、アナログは、プロタンパク質部分を切断して活性成熟ポリペプチドを生成して活性化できるプロタンパク質を包含する。
本発明のポリペプチドは組換えポリペプチド、天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであってもよい。ある種の好ましい具体例では、該ポリペプチドは組換えポリペプチドである。
【0043】
配列表(配列番号:2)のポリペプチドのフラグメント、誘導体もしくはアナログは、(i)1またはそれ以上のアミノ酸残基が同類または非同類アミノ酸残基(好ましくは同類アミノ酸残基)により置換されたもので、かかる置換アミノ酸残基は遺伝暗号によりコードされたものであってもなくてもよい、または(ii)1またはそれ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、または(iii)成熟ポリペプチドが別の化合物、例えばポリペプチドの半減期を長くする化合物(例えばポリエチレングリコール)と融合したもの、または(iv)付加アミノ酸がリーダーもしくは分泌配列、または成熟ポリペプチドもしくはプロタンパク質配列の精製に用いられる配列などの成熟ポリペプチドと融合したものであってもよい。かかるフラグメント、誘導体およびアナログは本明細書の教示より当業者であれば得られると考えられる。
【0044】
この点において、本発明の特に好ましい具体例には、配列表(配列番号:2)のストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIのアミノ酸配列を有するポリペプチド、その変種、アナログ、誘導体およびフラグメント、およびそのフラグメントの変種、アナログおよび誘導体がある。
好ましい変種には、保存的アミノ酸置換により対照標準と異なる変種がある。かかる置換は、ポリペプチドの所定のアミノ酸を特性の類似した別のアミノ酸で置換したものである。典型的には、保存的置換として認められるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIle間での相互の置き換え;ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの取り替え、アミド残基AsnおよびGln間での置換、塩基性残基LysおよびArgの取り替えおよび芳香族残基Phe、Tyr間での置き換えである。
【0045】
この点においてさらに好ましいのは、数個、わずかな、5〜10、1〜5、1〜3、2、1または0個のアミノ酸残基をいずれか組み合わせて置換、欠失または付加した、配列表(配列番号:2)のトポイソメラーゼIIIポリペプチドのアミノ酸配列を有する、変種、アナログ、誘導体およびフラグメント、ならびにそのフラグメントの変種、アナログおよび誘導体である。これらの中でもとりわけ好ましいのは、トポイソメラーゼIIIの特性および活性を変化させないサイレント置換、付加および欠失である。またこの点において特に好ましいのは、保存的置換である。最も好ましいのは、置換していない配列表(配列番号:2)のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは単離形態で提供されるのが好ましく、均質になるまで精製するのが好ましい。
【0046】
本発明のポリペプチドは、配列表(配列番号:2)のポリペプチド、特に成熟ポリペプチド、ならびに配列表(配列番号:2)のポリペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド、好ましくは配列表(配列番号:2)のポリペプチドに対して少なくとも90%の類似性(さらに好ましくは少なくとも90%の同一性)、さらに好ましくは少なくとも95%の類似性を有するポリペプチド、なおさらに好ましくは配列表(配列番号:2)のポリペプチドに対して少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドを包含し、また一般に少なくとも30個のアミノ酸、さらに好ましくは少なくとも50個の連続アミノ酸を含むポリペプチドのそのような部分を有する、かかるポリペプチドの部分も包含する。
本発明のポリペプチドのフラグメントまたは部分は、ペプチド合成により対応する完全長のポリペプチドを製造するのに用いることができる;従って、該フラグメントは完全長のポリペプチドを製造するための中間体として用いることができる。本発明のポリヌクレオチドのフラグメントまたは部分を用いて本発明の完全長のポリヌクレオチドを合成することができる。
【0047】
フラグメント
また本発明のこの態様の好ましい具体例には、トポイソメラーゼIIIのフラグメント、特に配列表(配列番号:2)に示すアミノ酸を有するトポイソメラーゼIIIのフラグメント、および配列表(配列番号:2)のトポイソメラーゼIIIの変種および誘導体のフラグメントを有してなるポリペプチドがある。
この点において、フラグメントは前記のトポイソメラーゼIIIポリペプチドおよびその変種または誘導体のアミノ酸配列が、全てではなく一部に対して全く同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0048】
かかるフラグメントは、「自立している」、すなわち他のアミノ酸またはポリペプチドの一部ではないか、もしくはそれに融合しておらず、または一部もしくは領域を形成するより大きなポリペプチド内に含まれていてもよい。より大きなポリペプチド内に含まれる場合、本明細書で説明するフラグメントは単一の連続した領域を形成するのが最も好ましい。しかしながら、数個のフラグメントが単一の、より大きなポリペプチド内に含まれてもよい。例えば、ある好ましい具体例は、トポイソメラーゼIIIフラグメントのアミノ末端に融合した異型のプレおよびプロポリペプチド領域、および該フラグメントのカルボキシル末端に融合した付加領域を有し、宿主中に発現するように設計された前駆体ポリペプチド内に含まれる本発明のトポイソメラーゼIIIポリペプチドのフラグメントに関する。従って、本明細書の意図するところの一の態様におけるフラグメントは、トポイソメラーゼIII由来の融合ポリペプチドまたは融合タンパク質の一つのまたは複数の部分を意味する。
【0049】
本発明のポリペプチドフラグメントの代表例として、例えば、約5〜15、10〜20、15〜40、30〜55、41〜75、41〜80、41〜90、50〜100、75〜100、90〜115、100〜125および110〜140のアミノ酸の長さを有するポリヌクレオチドフラグメントが挙げられる。
これに関して、「約」は、特に、言及した範囲、およびどちらかの末端または両方の末端で数個、わずかな、5、4、3、2または1個のアミノ酸が多いまたは少ない範囲を包含する。
【0050】
本発明の特に好ましいフラグメントには、トポイソメラーゼIIIの切断突然変異体がある。切断突然変異体は、アミノ末端を含む残基の一連の残基(すなわち、連続領域、一部または部分)もしくはカルボキシル末端を含む一連の残基の欠失、または二重切断突然変異体のように一つはアミノ末端を含み、一つはカルボキシル末端を含む二つの連続した一連の残基の欠失を除けば、配列表(配列番号:2)のアミノ酸配列を有するトポイソメラーゼIIIポリペプチド、またはその変種もしくは誘導体を包含する。前記した大きさの範囲のフラグメントもまた切断フラグメントの好ましい具体例であり、一般に、フラグメントの中でも特に好ましい。宿主細胞における本発明のポリヌクレオチドの減成形態もまた好ましい。
【0051】
また本発明のこの態様にて、トポイソメラーゼIIIの構造的または機能的属性により特徴づけられるフラグメントも好ましい。この点において本発明の好ましい具体例は、トポイソメラーゼIIIのアルファーヘリックスおよびアルファーヘリックス形成領域(「アルファー領域」)、ベータシートおよびベータシート形成領域(「ベータ領域」)、ターンおよびターン形成領域(「ターン領域」)、コイルおよびコイル形成領域(「コイル領域」)、親水領域、疎水領域、アルファー両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、可変領域、界面形成領域および高抗原指数領域からなるフラグメントを包含する。
【0052】
さらに好ましい領域は、トポイソメラーゼIIIの活性を媒介する領域である。この点において、類似活性もしくは改善された活性を有するもの、または望ましくない活性を減じたフラグメントを含め、トポイソメラーゼIIIの化学的、生物学的またはその他の活性を有するフラグメントが最も好ましい。慣用的には、周知方法にてフラグメントを生成し、ついで後記するような都合のよいアッセイにて、そのフラグメントの活性を天然のトポイソメラーゼIIIと比較する。この点において、配列もしくは位置または両方において、バシラス・サチリス・トポイソメラーゼIを包含する、配列表(配列番号:2)に示す関連ポリペプチドなどの関連ポリペプチドの活性な領域に対して相同である領域を有するフラグメントが非常に好ましい。この点において、特に好ましいフラグメントには、前記した切断突然変異体がある。さらに好ましいポリヌクレオチドフラグメントは、動物特にヒトにおいて抗原的または免疫原的であるフラグメントである。
本発明はまた、とりわけ、前記のフラグメントをコードするポリヌクレオチド、そのフラグメントをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド、特にストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド、およびそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを増幅するためのPCRプライマーなどのポリヌクレオチドに関する。この点において、好ましいポリヌクレオチドは、前記するような、好ましいフラグメントに対応するポリヌクレオチドである。
【0053】
ベクター、宿主細胞、発現
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドまたは複数のポリヌクレオチドを有してなるベクター、本発明のベクターで遺伝子操作される宿主細胞および組換え技術による本発明のポリペプチドの製造にも関する。
宿主細胞は、遺伝子操作して、ポリヌクレオチドを組み込み、本発明のポリペプチドを発現することができる。ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、陽イオン脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、スクレープ・ローディング、弾道導入、感染または他の方法により行うことができる。かかる方法は多くの標準的実験室マニュアル、例えば、Davisら、Basic Methodsin Molecular Biology,(1986)およびSambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている。
【0054】
宿主細胞内のポリヌクレオチド構築物を従来の方法に用いて、組換え配列によりコードされる遺伝子産物を製造することができる。また、本発明のポリペプチドは従来のペプチド合成により合成的に製造できる。
成熟タンパク質は、哺乳動物細胞、酵母、細菌または他の細胞中、適当なプロモーターの制御下で発現させることができる。無細胞翻訳系を用いて、本発明のDNA構築物に由来するRNAを用いてかかるタンパク質を製造することもできる。原核および真核生物宿主で用いる適当なクローニングおよび発現ベクターは、Sambrookら、Molecular Cloning :A Laboratory Manual,第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている。
【0055】
本発明のこの態様によれば、ベクターは、例えば、プラスミドベクター、一本鎖または二本鎖ファージベクター、一本鎖または二本鎖RNAまたはDNAウイルスベクターであってもよい。プラスミドは、一般に、当業者に馴染みの標準的命名法に従って、小文字pを前に、および/または大文字および/または数字が続くようにデザインされている。本明細書に記載の出発プラスミドは、市販されているか、汎用されているか、または周知の公知操作を汎用することにより利用可能なプラスミドより構築することができる。本発明に従って用いることのできる、多くのプラスミドおよび他のクローニングおよび発現ベクターが周知であり、当業者であれば容易に利用することもできる。
【0056】
ある点において中でも好ましいベクターは、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチの発現のためのベクターである。一般に、かかるべクターは、発現させるべきポリヌクレオチドに機能的に連結した、宿主における発現に有効なシス作用調節領域を有してなる。適当なトランス作用因子は宿主により供給されるか、補足ベクターにより供給されるか、または宿主への導入時にベクター自身により供給されるかのいずれかである。
この点におけるある好ましい具体例では、ベクターは特異的発現を提供する。かかる特異的発現は、誘導可能な発現であるか、もしくはある型の細胞でのみ発現するか、または誘導可能かつ細胞特異性の両方での発現であってもよい。誘導可能なベクターのうち、特に好ましいベクターは、温度および栄養添加物などの操作が容易である環境因子により発現を誘導できるベクターである。本発明のこの態様に適当な種々ベクターは、原核および真核宿主で用いられる構成および誘導可能な発現ベクターを含め、当業者に周知であり、かつ慣用されている。
【0057】
非常に多くの種類の発現ベクターを用いて、本発明のポリペプチドを発現できる。かかるベクターには、とりわけ染色体、エピソームおよびウイルス由来のベクター、例えば細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入エレメント由来、酵母染色体エレメント由来、例えばバキュロウイルス、SV40などのパポーウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ニワトリポックスウイルス、偽狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス等のウイルス由来のベクター、ならびにコスミドおよびファージミド(phagemids)のプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝的エレメント由来のベクターのごとき、その組み合わせに由来するベクターがあり、全て本発明のこの態様に準じた発現に用いることができる。一般に、宿主にてポリペプチドを発現するためにポリヌクレオチドを保持、伸長または発現するのに適したいずれのベクターも、この点における発現に使用できる。
【0058】
適当なDNA配列は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている方法などの種々の周知かつ慣用的技法によりベクターに挿入できる。
発現ベクターにおけるDNA配列は、例えば、プロモーターを含め、適当な発現調節配列(複数でも可)に機能的に連結し、mRNA転写を指令する。かかるプロモーターの代表例としては、ファージラムダPLプロモーター、イー・コリ・lac、trpおよびtacプロモーター、SV40初期および後期プロモーターならびにレトロウイルスLTRのプロモーターが挙げられるが、これに限定されない。
一般に、発現構築物は転写開始および終止部位を含み、転写された領域では翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。構築物により発現される成熟転写物のコーディング部分は、開始部分に翻訳開始AUG、そして翻訳されるべきポリペプチドの終末部分に適当に位置する終止コドンを含む。
【0059】
加えて、構築物は、発現を制御および誘起する調節領域を含有してもよい。一般に、多くの常套手段によれば、かかる領域は、転写、例えばとりわけ転写因子、レプレッサー結合部位および終止部位を調節することにより機能するであろう。
伸長および発現のためのベクターは、一般に、選択可能なマーカーおよび増幅領域、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている領域を有するであろう。
適当な宿主の代表例は、細菌細胞、例えばストレプトコッカス(レンサ球菌)、スタフィロコッカス(ブドウ球菌)、イー・コリ(大腸菌)、ストレプトマイセスおよびバシラス・サチリス(枯草菌)細胞;真菌細胞、例えば酵母細胞およびアスペルギルス細胞;昆虫細胞、例えばドロソフィラS2およびスポドプテラSf9細胞;動物細胞、例えばCHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、293およびボーウェス(Bows)黒色腫細胞;ならびに植物細胞を包含する。
【0060】
市販されている以下のベクターを例示として示す。細菌中で使用するのに好ましいベクターには、キアゲン(Qiagen)より入手可能なpQE70、pQE60およびpQE−9;ストラタジン(Stratagene)より入手可能なpBSベクター、ファージェスクリプト(Phagescript)ベクター、ブルースクリプト(Bluescript)ベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18AおよびpNH46A;ならびにファルマシア(Pharmacia)より入手可能なptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5;およびpBR322(ATCC37017)がある。好ましい真核生物ベクターには、ストラタジンより入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG;ならびにファルマシアより入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLがある。これらのベクターは単に多くの市販されている周知のベクターを例示するために列挙してあるにすぎず、本発明のこの態様に従って使用するのに、当業者に入手可能なベクターである。宿主にて本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを、例えば、導入、保持、伸長または発現するのに適した他のプラスミドまたはベクターが、本発明のこの態様において使用できることは理解されよう。
【0061】
制限部位または候補プロモーター(candidate promoter)フラグメント、すなわちプロモーターを有するかもしれないフラグメントを導入するための部位の下流に、プロモーター領域を欠いたリポーター転写ユニット、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(「CAT」)転写ユニットを含有するベクターを用いて、いずれか望ましい遺伝子からプロモーター領域を選択することができる。周知のように、プロモター含有フラグメントをcat遺伝子の上流の制限部位でベクターに導入すると、CAT活性の産生を引き起こし、その活性は標準的なCATアッセイにより検出できる。pKK232−8およびpCM7などのこの目的に適するベクターが周知であり、容易に入手可能である。本発明のポリヌクレオチドを発現するためのプロモーターには、周知の容易に入手できるプロモーターのみならず、リポーター遺伝子を用いて前記の技術により容易に得ることができるプロモーターもある。
【0062】
本発明に係るポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現に適した公知の原核生物プロモーターには、イー・コリlacIおよびlacZならびにプロモーター、T3およびT7プロモーター、gptプロモーター、ラムダPR、PLプロモーターおよびtrpプロモーターがある。
この点において適当な公知の真核生物プロモーターには、CMV即時型プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーター、レトロウイルスLTRのプロモーター、例えばラウス肉腫ウイルス(「RSV」)のプロモーターならびにメタロチオネインプロモーター例えばマウスメタロチオネイン−Iプロモーターがある。
組換え発現ベクターは、例えば、複製起点、好ましくは、高発現遺伝子に由来し、下流の構造配列の転写を指令するプロモーターおよびベクターに暴露した後の細胞を含有するベクターの単離を可能とする選択可能なマーカーを含む。
【0063】
本発明のポリペプチドの異種構造配列をコードする本発明のポリヌクレオチドを、一般に、標準法を用いてベクターに挿入し、発現用プロモーターに機能的に連結させる。ポリヌクレオチドを、転写開始部位がリボソーム結合部位に対して適宜5′にあるように位置させる。リボソーム結合部位は、発現させるべきポリペプチドの翻訳を開始するAUGの5′にある。一般に、開始コドン、通常AUGで始まり、リボソーム結合部位および開始AUGの間にある、オープンリーディングフレームは他にない。また、一般に、ポリペプチドの末端に翻訳停止コドンがあり、真核生物宿主で用いられる構築物中に、ポリアデニル化シグナルがあるであろう。転写領域の3′末端に適宜配置される転写終止シグナルはまた、ポリヌクレオチド構築物に含まれていてもよい。
【0064】
翻訳タンパク質を、小胞体内腔、周辺腔または細胞外環境へ分泌するために、適当な分泌シグナルが発現するポリペプチドに組み込まれていてもよい。これらのシグナルはポリペプチドに内在性であってもよく、または異種シグナルであってもよい。
ポリペプチドは、修飾された形態、例えば融合タンパク質の形態で発現してもよく、分泌シグナルのみならず付加的な異種機能性領域を有していてもよい。このように、例えば付加アミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域を、ポリペプチドのN−またはC−末端に付加し、精製中またはその後の操作および貯蔵中の、宿主細胞内での安定性および持続性を改善する。また、精製を容易にするために、ポリペプチドに領域を付加することもできる。かかる領域はポリペプチドの最終的な調製の前に除去できる。ペプチド部分をポリペプチドに付加し、とりわけ、分泌または放出を誘起し、安定性を改善するかまたは精製を容易にするのは、当該分野でよくあることであり、慣用される技術である。好ましい融合タンパク質は、ポリペプチドを可溶化または精製するのに有用な免疫グロブリンに由来する異種領域を有してなる。例えばEP−A−0464 533(カナダ国の対応特許2045869)は、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分と、別のタンパク質またはその一部とからなる融合タンパク質を開示する。薬物の開発において、例えば、タンパク質を、高処理能力スクリーニングアッセイの目的で抗体のFc部分と融合させ、アンタゴニストを同定することができる。D.Bennettら、Journal of Molecular Recognition,8:52−58(1995)およびK.Johansonら、The Journal of Biological Chemistry,270(16):9459−9471(1995)を参照のこと。
【0065】
ついで、典型的には、細胞を遠心分離により収穫し、物理的または化学的手段により破壊し、得られた粗抽出物をさらに精製するために保持する。
タンパク質の発現に用いた微生物細胞は、凍結−融解サイクル、ソニケーション、機械的破壊または細胞溶解剤の使用を含め、常法により破壊でき、かかる方法は当業者に周知である。
【0066】
哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適当なプロモーターおよびエンハンサーを有していてもよく、さらにいずれかの必須リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与部位および受容部位、転写終止配列および発現に必要な5’隣接非転写配列を有していてもよい。この点におけるある好ましい具体例では、SV40スプライス部位およびSV40ポリアデニル化部位由来のDNA配列は、これらの型の必要とされる非転写遺伝的エレメントに用いられる。
トポイソメラーゼIIIポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含む、周知方法により、組換え細胞培養物から回収かつ精製できる。最も好ましくは、高性能液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を精製に用いる。ポリペプチドが単離および/または精製中に変性する場合、再び活性なコンホメーションを得るために、タンパク質を再生するための周知の技術を用いることができる。
【0067】
本発明のポリペプチドは、天然に精製された産物、化学合成法の産物および組換え技法により原核または真核生物宿主、例えば細菌、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞から製造した産物を包含する。組換え産生法において用いる宿主に応じて、本発明のポリペプチドは糖鎖形成されてもいてもまたはされていなくてもよい。加えて、本発明のポリペプチドはまた、ある場合は宿主媒介工程の結果として、開始修飾メチオニン残基をも含んでいてもよい。
トポイソメラーゼIIIポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、本発明に従って種々の用途、特にトポイソメラーゼIIIの化学的および生物学的特性を利用する用途に使用することができる。さらなる用途は、細胞、組織および生物の障害の診断および治療に関する。本発明のこれらの態様を、以下においてさらに説明する。
【0068】
ポリヌクレオチドアッセイ
本発明はまた、例えば診断用試薬として相補的ポリヌクレオチドを検出するためのトポイソメラーゼIIIポリヌクレオチドの使用にも関する。真核生物、特に哺乳動物、特にヒトにおいて細菌性トポイソメラーゼIIIを検出することにより、疾患の診断に加え、診断を限定し、または診断を可能とする診断方法が得られるであろう。トポイソメラーゼIII産生細菌に感染した真核生物(本明細書において「個体」とも称する)、特に哺乳動物、特にヒトを、種々の技術により、DNAまたはRNAレベルで検出できる。診断用の核酸は個体の細胞および組織、例えば骨、血液、筋肉、軟骨および皮膚から入手できる。組織生検および剖検材もまた、診断アッセイに用いるための個体由来のサンプルとして好ましい。細菌性DNAは検出に直接使用してもよく、または分析前にPCRを用いて酵素的に増幅させてもよい。PCR(Saikiら、Nature 324:163−166(1986))。RNAまたはcDNAもまた同様に用いることができる。一例として、トポイソメラーゼIIIをコードする核酸に相補的なPCRプライマーを用いて、トポイソメラーゼIIIの存在および発現を同定および分析できる。PCRを用いて、真核生物、特に哺乳動物、特にヒトに存在する原核生物の株を、原核生物遺伝子の遺伝子型の分析により特徴づけできる。例えば、対照標準の配列の遺伝子型と比較し、増幅産物の大きさの変化により欠失および挿入を検出できる。点突然変異は増幅したDNAを放射標識したトポイソメラーゼIIIRNAに、また別法として放射標識したトポイソメラーゼIIIアンチセンス DNAにハイブリダイゼーションすることにより同定できる。完全に対合する配列は、RNaseA消化により、または融解温度の差異により、誤対合二重らせんと区別できる。
【0069】
対照標準の遺伝子および突然変異を有する遺伝子間の配列の違いはまた、直接的DNA配列決定により明らかにすることもできる。加えて、クローン化DNAセグメントを特異的DNAセグメントを検出するためのプローブとして用いることができる。かかる方法の感度は、PCRまたは別の増幅法を適宜使用することにより、非常に増強させることができる。例えば、配列決定プライマーを二本鎖PCR生成物または修飾PCRにより生じた一本鎖鋳型分子と共に用いる。配列決定は、放射標識したヌクレオチドを用いる従来の方法により、または蛍光タグを用いる自動配列決定法により行うことができる。
DNA配列の差異に基づく細菌の種々の株の遺伝的タイピングは、変性剤を含むまたは含まないゲル中のDNAフラグメントの電気泳動度の変化を検出することにより達成できる。小さな配列の欠失および挿入は高分解ゲル電気泳動により可視化できる。種々の配列のDNAフラグメントは、その個々の融解または部分的融解温度によって、種々のDNAフラグメントの移動度がゲル中の異なる位置で遅れる、変性ホルムアミド勾配ゲル上にて区別できる(例えば、Meyersら、Science,230:1242(1985)参照)。
【0070】
特異的な位置での配列の変化はまた、RNaseおよびS1保護などのヌクレアーゼ保護アッセイまたは化学的切断法によって明らかにすることができる(例えば、Cottonら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,85:4397−4401(1985))。
このように、ハイブリダイゼーション、RNase保護、化学的切断、直接的DNA配列決定または制限酵素の使用(例えば、制限フラグメント長多形性(restriction fragment length polymorphism「RFLP」))およびゲノムDNAのサザンブロッティングなどの方法により、特異的DNA配列を検出できる。
従来のゲル電気泳動法およびDNA配列決定法に加えて、突然変異をまたインサイトウ分析(in situ analysis)により検出することもできる。
【0071】
本発明の遺伝子の突然変異または多形型を有する細胞をまた、例えば、抗原型決定を可能とする種々の技法により、DNAレベルで検出することもできる。診断用の核酸は、限定されるものではないが、血液、尿、唾液、組織生検および剖検材を含む、感染した個体の細胞から、または上記した供給源より単離または培養した細菌から得ることもできる。細菌性DNAを直接的に検出するのに用いてもよく、または分析前にPCR(Saikiら、Nature 324:163−166(1986))を用いて酵素的に増幅させてもよい。RT−PCRもまた突然変異を検出するのに使用できる。RT−PCRを、例えば、GeneScanなどの自動検出系と組み合わせて用いるのが特に好ましい。RNAまたはcDNAもまた同じ目的でPCRまたはRT−PCRに用いることができる。一例として、トポイソメラーゼIIIをコードする核酸に相補的なPCRプライマーを公知方法を用いて製造し、突然変異を同定および分析するのに用いる。例えば、欠失および挿入を、正常の遺伝子型との比較において、増幅産物の大きさの変化により検出できる。点突然変異は放射標識したRNA、また別法として放射標識したアンチセンスDNA配列に増幅したDNAをハイブリダイゼーションすることにより同定できる。完全に対合した配列は、RNaseA消化により、または融解温度の差により、誤対合二重らせんと区別できる。これらのプライマーは個体由来のサンプルから単離したトポイソメラーゼIIIcDNAを増幅させるのに用いることができる。本発明はまた、その5′および/または3′末端から除去した1、2、3または4個のヌクレオチドを有するプライマーも提供する。該プライマーを用いて個体から単離した遺伝子を増幅させ、ついでその遺伝子をDNA配列を明らかにするための種々の技法に供してもよい。このようにして、DNA配列における突然変異を検出してもよい。
【0072】
ポリペプチドアッセイ
本発明はまた、正常および異常なレベルの測定を含め、細胞および組織中のトポイソメラーゼIIIのレベルを検出するための定量および診断アッセイなどの診断アッセイに関する。このように、例えば、正常な対照標準の組織サンプルと比較し、トポイソメラーゼIIIタンパク質の発現を検出することについて本発明に係る診断アッセイを用いて、感染の存在を検出することができる。宿主由来のサンプル中の本発明のトポイソメラーゼIIIタンパク質などのタンパク質のレベルを測定するために用いることができるアッセイ技法は当業者に周知である。かかるアッセイ方法は、ラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロット分析およびELISAアッセイを包含する。このうちELISAが好ましい。ELISAアッセイではまず、トポイソメラーゼIIIに特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を調製する。加えて、一般に、モノクローナル抗体に結合するリポーター抗体が調製される。リポーター抗体は放射活性、蛍光または酵素試薬、この例においては西洋ワサビペルオキシダーゼなどの検出可能な試薬に結合する。
【0073】
抗体
ポリペプチド、そのフラグメントもしくは他の誘導体、またはそのアナログ、またはそれらを発現する細胞は、それらに対する抗体を生成する免疫原として用いることができる。本発明は、例えば、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、キメラ、一本鎖およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメントまたはFab発現ライブラリーの産物を包含する。
発明の配列に対応するポリペプチドに拮抗して得られる抗体は、ポリペプチドを、動物に直接注射するかまたは該ポリペプチドを動物、好ましくはヒト以外の動物に投与することにより得ることができる。このようにして得られた抗体はポリペプチドその物と結合する。この方法ではポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列であっても元のポリペプチド全体に結合する抗体の生成に用いることができる。かかる抗体を用いて、ポリペプチドを発現する組織から該ポリペプチドを単離することができる。
【0074】
モノクローナル抗体を調製するには、連続的細胞系培養により産生される抗体を提供する当該分野において公知のいずれかの技術を用いることができる。例えば、Kohler,G.およびMilstein,C.,Nature,256:495−497(1975);Kozborら、Immunology Today,4:72(1983));Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R Liss,Inc.、77−96頁(1985)に記載の方法などの種々の方法が挙げられる。
一本鎖抗体の生成のために記載された技術(米国特許第4946778号)を適用して、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対する一本鎖抗体を産生することができる。また、トランスジェニックマウスまたは他の哺乳動物などの他の生物を用いて、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対するヒト化抗体を発現することができる。
【0075】
別法として、ファージディスプレイ技術を利用して、抗Fbpの保持に関してスクリーニングしたヒト由来のリンパ球のPCR増幅したv−遺伝子のレパートリー由来の、または未処理のライブラリー由来のポリペプチドに対する結合活性を有する抗体遺伝子を選択することができる(McCafferty,J.ら、Nature 348:552−554(1990);Marks,J.ら、Biotechnology 10:779−783(1992))。これらの抗体の親和性は、チェーンシャフリング(chain shuffling)(Clackson,T.ら、Nature 352:624−628(1991))により改善することもできる。
2つの抗原結合ドメインがあるならば、各ドメインを、「二特異的」抗体と称される、異なるエピトープに向けることができる。
【0076】
前記の抗体を用いて、本発明のポリペプチドを発現するクローンを単離もしくは同定し、アフィニティクロマトグラフィーにより該抗体を単離および/または精製するための固体支持体に結合させることで、該ポリペプチドを精製することができる。
従って、とりわけトポイソメラーゼIIIに対する抗体を用いて、感染、特に細菌感染、特にストレプトコッカス感染を阻害および/または治療し、ならびに抗生物質治療の効能をモニターすることができる。
【0077】
ポリペプチド誘導体は、本発明の特定の態様を形成する、抗原的に、エピトープ的にまたは免疫学的に等価な誘導体を包含する。本明細書で用いる「抗原的に等価な誘導体」なる用語は、本発明に従って、タンパク質またはポリペプチドに対して誘起された場合、病原体および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨げるある種の抗体により特異的に認識されるであろうポリペプチドまたはそれの同等物を包含する。本明細書で用いる「免疫学的に等価な誘導体」なる用語は、脊椎動物において抗体を誘起させるのに適した処方にて用いた場合、抗体が病原体および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨げるように作用するペプチドまたはそれの同等物を包含する。
【0078】
ポリペプチド、例えば抗原的または免疫学的に等価な誘導体またはその融合タンパク質は、マウスまたはその他の動物、例えばラットもしくはニワトリを免疫するための抗原として使用できる。融合タンパク質はポリペプチドに安定性を付与できる。抗原は、例えば、接合することにより、免疫原性キャリヤタンパク質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホール・リムペット・ヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin:KLH)に結合させることができる。別法として、タンパク質もしくはポリペプチド、またはその抗原的もしくは免疫学的に等価なポリペプチドの多重コピーを含む多重抗原性ペプチドは、免疫原生を改良するために十分な抗原性を有しており、キャリヤーを使用しなくてすむ。
【0079】
抗体またはその誘導体を修飾して、個体における免疫原性を低下させるのが好ましい。例えば、個体がヒトである場合、抗体は「ヒト化」されているのが最も好ましく;その場合、ハイブリドーマ由来の抗体の相補性決定領域(複数でも可)がヒトモノクローナル抗体に移されており、例えば、Jones,P.ら、Nature 321:522−525(1986)またはTempestら、Biotechnology 9:266−273(1991)に記載されている。
【0080】
本発明のポリヌクレオチドを遺伝的免疫に使用する場合、好ましくは、例えばプラスミドDNAの筋肉への直接注射(Wolffら、Hum.Mol.Genet.1:363(1992);Manthorpeら、Hum.Gene Ther.4:419(1963))、特異的タンパク質キャリヤを複合させたDNAの送達(Wuら、J.Biol.Chem.264:16985(1989))、リン酸カルシウムを用いるDNA共沈(Benvenisty & Reshef、Proc.Nat’l.Acad.Sci. (USA)83:9551(1986))、種々の形態のリポソーム中のDNA封入化(Kanedaら、Science 243:375(1989))、微粒子爆撃(Tangら、Nature 356:152(1992);Eisenbraunら、DNA Cell Biol.12:791(1993))およびクローン化レトロウイルスを用いたインビボ感染(Seegerら、Proc.Nat’l.Acad.Sci. (USA)81:5849(1984))などの適当な送達方法を用いる。
【0081】
トポイソメラーゼIII結合分子およびアッセイ
本発明はまた、トポイソメラーゼIIIに結合する結合分子などの分子の同定方法をも提供する。トポイソメラーゼIIIに結合するタンパク質、例えば結合タンパク質をコードする遺伝子は、当業者に公知の多くの方法、例えばリガンドパンニングおよびFACSソーティングより同定できる。かかる方法は多くの実験室マニュアル、例えば、Coliganら、Current Protocols in Immunology、1(2):第5章(1991)に記載されている。
例えば発現クローニングをこの目的に用いることができる。この目的のために、ポリアデニル化RNAをトポイソメラーゼIIIを発現する細胞から調製し、このRNAからcDNAライブラリーを作り、ライブラリーをプールに分割し、そのプールをトポイソメラーゼIIIを発現しない細胞に個々にトランスフェクトする。ついで、トランスフェクトした細胞を標識したトポイソメラーゼIIIに曝露する。トポイソメラーゼIIIは、放射性ヨウ素化または部位特異的タンパク質キナーゼ用の認識部位の封入の標準法を包含する種々の周知の技術により標識できる。曝露した後、細胞を固定し、トポイソメラーゼIIIの結合を測定する。これらの方法は、都合よくは、ガラススライド上で実施する。
【0082】
トポイソメラーゼIII結合細胞を生成するcDNAのプールを同定する。これらの陽性体からサブプールを調製し、宿主細胞にトランスフェクトし、前記のとおりスクリーニングする。サブプール化および再スクリーニング法を繰り返し、結合分子などの推定される結合分子をコードする1またはそれ以上の単クローンを単離できる。
別法として、標識リガンドを、結合分子のごときそれが結合する分子を発現する細胞から調製した膜または膜抽出物のごとき細胞抽出物に光親和的に連結させることができる。架橋した物質をポリアクリルアミドゲル電気泳動(「PAGE」)により分離し、X線フィルムに曝露する。リガンド結合を含有する標識複合体を切除し、ペプチドフラグメントに分解し、タンパク質マイクロシーケンシングに供することができる。マイクロシーケンシングにより得られたアミノ酸配列を用いて、cDNAライブラリーをスクリーニングするための独特なまたは同義性オリゴヌクレオチドプローブを設計し、推定される結合分子をコードする遺伝子を同定することができる。
また、本発明のポリペプチドを用いて、細胞中、または無細胞調製物中の、トポイソメラーゼIII結合分子、例えば結合分子のトポイソメラーゼIII結合能力を評価することができる。
本発明のポリペプチドを用いて、例えば、細胞、無細胞調製物、化学的ライブラリー、および天然の生成物混合物中の小型分子基質とリガンドとの結合を評価することもできる。
【0083】
アンタゴニストおよびアゴニスト−アッセイおよび分子
前記したように、DNA密度の増加および減少は、環境攻撃に対する細菌応答に関連している。従って、調節すること、すなわち、作動または拮抗することで、適当な応答が潜在的抗生物質効果をもたらしうる。
本発明はまた、細胞上のトポイソメラーゼIIIの作用、例えば、スーパーコイル化DNAなどの基質分子との相互作用を亢進または遮断する化合物を同定するためのスクリーニング方法をも提供する。細胞でのトポイソメラーゼIIIの作用を遮断する化合物は、毒として作用し、DNAとの共有結合性複合体にてトポイソメラーゼIIIを安定化し、細胞成長において阻害効果をもたらす、化合物を包含する。アンタゴニストはトポイソメラーゼIIIの天然の生物学的機能を低下させる化合物である。アゴニストはトポイソメラーゼIIIの天然の生物学的機能を増強する化合物である。
【0084】
Barrettら、Antimicrob.Agents.Chemother. 34:1(1990)は、トポイソメラーゼの阻害を測定するのに用いることのできるインビトロアッセイを報告する。これらのアッセイは触媒アッセイと非触媒アッセイに分類できる。細菌性トポイソメラーゼIII用の触媒アッセイは、例えば、スーパーコイル化DNAの弛緩を測定するためのアッセイを包含する。「切断複合体」アッセイとしても知られている非触媒アッセイは、重要な共有結合性反応中間体の形成を測定するものである。Froelich−AmmonおよびOsheroff J.Biol.Chem. 270:21429(1995)はトポイソメラーゼ毒の非触媒アッセイの機構的原理を開示している。
【0085】
スーパーコイル化DNA弛緩アッセイ
弛緩反応の阻害剤についてスクリーニングするために、候補の阻害剤およびトポイソメラーゼIIIの調製物を、Mg2+または別の二価金属イオン含有の適当な緩衝液中、スーパーコイル化DNA基質、例えば、プラスミドまたはファージDNAと一緒にインキュベートする。反応生成物をアガロースゲル電気泳動により分離し、臭化エチジウム染色により可視化し、密度計により定量する。
【0086】
DNAオリゴマー切断アッセイ
適当な切断部位、例えば22量体、GAATGAGCCGCAACTTCGGGAT(配列番号:3)を含有する一本鎖DNAオリゴマーまたは適宜標識した誘導体を基質として用いる。適当な標識は、使用する個々のアッセイに従って、オリゴの5′または3’末端で結合した放射標識または蛍光発色団である。基質を適当な緩衝液中、候補阻害剤およびトポイソメラーゼIIIの調製物と共にインキュベートする。緩衝液はMg2+または別の二価金属イオンを含有してもよい。Mg2+は切断反応に必須ではないが、それを含んでいることがある種の阻害剤の相互反応を促進するのに望ましい。反応を適当な変性剤、例えば1%SDSまたは100mM NaOHを添加することで停止させる。切断可能な複合体の形成(重要な共有結合性反応の中間体の安定化)は、多くの方法により測定することができる。例えば、変性ポリアクリルアミドゲルを用いる電気泳動を使用して、5′標識化切断DNA産物を分離し、それを密度計により定量することのできるする。また、3’標識化DNA産物をトポイソメラーゼIIIとの共有結合により検定してもよい。これは、沈殿タンパク質に伴う放射標識したDNAを測定する、SDS/K沈殿アッセイにより、またはトポイソメラーゼIIIを抗体を用いて固定する、捕獲アッセイフォーマットにより行い、結合した標識DNAの量を測定することができる。
【0087】
全細胞アッセイ
潜在的なアゴニストおよびアンタゴニストならびに毒のトポイソメラーゼIII様効果は、例えば、候補分子と細胞または適当な細胞調製物との相互作用の後の遺伝子発現における変化に感受的なリポーターステムの活性を決定することにより測定できる。この点において有用なリポーターシステムは、生成物に転換される比色標識基質、トポイソメラーゼIII活性の変化に応答するリポーター遺伝子、および当該分野で公知の結合アッセイを包含するが、これらに限定するものではない。
【0088】
潜在的なアンタゴニストは、本発明のポリペプチドに結合し、それによりその活性を阻害または消滅させるか、またはDNAとの重要な共有結合性反応中間体を安定化する、小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体を包含する。潜在的アンタゴニストはまた、トポイソメラーゼIII誘導活性を誘発することなく、結合分子などの結合分子の同一の部位に結合する、密接に関連したタンパク質または抗体などの小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドであってもよく、それによりトポイソメラーゼIIIを結合から排除してトポイソメラーゼIIIの作用を妨げる。
潜在的アンタゴニストは、ポリペプチドの結合部位に結合し、その結合部位を占領し、それにより結合分子などの細胞性結合分子への結合を妨げ、正常な生物学的活性を妨げる、小型分子を包含する。小型分子としては、例えば、小型有機分子、ペプチドまたはペプチド様分子を包含するが、これらに限定するものではない。
【0089】
その他の潜在的なアンタゴニストはアンチセンス分子を包含する。アンチセンス技術を用いて、アンチセンスDNAもしくはRNAにより、または二重もしくは三重らせん形成により遺伝子発現を調節することができる。アンチセンス技術については、例えばOkano, J.、Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRCプレス、BocaRaton、フロリダ(1988)に記載されている。三重らせん形成については、例えば、Leeら、Nucleic Acids Research 6:3073(1979);Cooneyら、Science 241:456(1988);およびDervanら、Science 251:1360(1991)に記載されている。この方法は、ポリヌクレオチドの相補的DNAまたはRNAへの結合に基づいている。例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5′コーディング部分を用いて、約10〜40塩基対の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計することができる。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相補的であるように設計され、それによりトポイソメラーゼIIIの転写および生成が妨げられる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはインビボでmRNAにハイブリダイゼーションし、mRNA分子のトポイソメラーゼIIIポリペプチドへの翻訳を遮断する。前記のオリゴヌクレオチドはまた、細胞に送達され、アンチセンスRNAまたはDNAをインビボで発現し、トポイソメラーゼIIIの生成を阻害することもできる。
【0090】
好ましい潜在的アンタゴニストは、本明細書で提供する各々のDNA配列が、抗細菌化合物の発見および開発に用いられる化合物およびその誘導体を包含する。発現でコードされたタンパク質は、抗菌剤のスクリーニングのための標的として用いることができる。加えて、コードされたタンパク質またはShine−Delgarnoのアミノ末端領域をコードするDNA配列または他の個々のmRNAの翻訳容易化配列を用いて、目的とするコーディング配列の発現を調節するアンチセンス配列を構築することがきる。
本発明のアンタゴニストおよびアゴニストは、例えば以下に記載するような、医薬上許容できる担体と共に組成物として用いることができる。
このアンタゴニストおよびアゴニストを用いて、ストレプトコッカス感染を阻害することができる。
【0091】
ワクチン
本発明の別の態様は、個体、特に哺乳動物における免疫学的応答を誘起する方法であって、抗体を生成するのに適当なトポイソメラーゼIII、またはその抗原性フラグメントもしくは変種を個体に接種し、該個体を感染、特に細菌感染、とりわけストレプトコッカス感染から保護することからなる方法に関する。本発明のまた別の態様は、個体にて免疫学的応答を誘起する方法であって、遺伝子治療により免疫学的応答を誘発させるためにトポイソメラーゼIIIまたはそのフラグメントもしくは変種をインビボで発現させるのにトポイソメラーゼIIIまたはその抗原性フラグメントもしくは変種をコードする遺伝子を送達し、抗体を生成し、該個体を疾患から保護する方法に関する。
【0092】
本発明のさらなる態様は、免疫学的応答を宿主内に誘起できる、または誘起した宿主に導入した場合、そのような宿主中でトポイソメラーゼIIIまたはそれによりコードされるタンパク質に対する免疫学的応答を誘起する免疫学的組成物であって、該トポイソメラーゼIIIの抗原をコードし、発現するDNAまたはそれによりコードされるタンパク質を含んでなる、組換えトポイソメラーゼIIIまたはそれによりコードされるタンパク質を有してなる組成物に関する。
トポイソメラーゼIIIまたはそのフラグメントは、それ自身は抗体を産生しないが、第1のタンパク質を安定化し、免疫原性があり防御特性を有する融合タンパク質を形成することができる補タンパク質(co−protein)と融合できる。このように融合した組換えタンパク質は、好ましくはさらに抗原性補タンパク質、例えばグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはベーターガラクトシダーゼ、タンパク質を可溶化し、その生成および精製を容易にする比較的大きな補タンパク質を有してなる。さらには、補タンパク質は、免疫系の汎用刺激を提供するという意味で、アジュバントとして作用し得る。補タンパク質は第1のタンパク質のアミノまたはカルボキシル末端のいずれに結合してもよい。
【0093】
本発明はまた、免疫原性組換えタンパク質と、適当な担体とからなるワクチン処方を包含する。タンパク質は胃で分解するので、例えば、皮下、筋肉内、静脈内または皮内投与を含め、非経口的に投与するのが好ましい。非経口投与に適した処方は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤およびその処方を個体の体液、好ましくは血液と等張にする溶質を含有してもよい水性または非水性滅菌注射液;および懸濁化剤または増粘剤を含有していてもよい水性または非水性滅菌懸濁液を包含する。処方は単位投与または複数回投与用容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルに入れてよく、使用直前に滅菌液体担体を添加するだけでよい凍結乾燥状態で貯蔵することができる。ワクチン処方はまた、処方の免疫原性を高めるアジュバント系、例えば水中油系または当該分野で公知の他の系を含んでいてもよい。投与量はワクチンの比活性に依存し、慣用的実験操作により容易に決定できる。
本発明はある種のトポイソメラーゼIIIに関して記載されているが、これは天然のタンパク質および、実質的に組換えタンパク質の免疫原特性に影響しない付加、欠失または置換を施した類似のタンパク質のフラグメント(例えば、50%またはそれ以上の配列相同性を有する)を包含することが理解されよう。
【0094】
組成物
本発明はまた前記のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを含んでなる組成物にも関する。従って、本発明のポリペプチドは、対象に投与するのに適した医薬担体などの、細胞、組織または生物で使用するための非滅菌もしくは滅菌した担体と組み合わせて用いることができる。このような組成物は、例えば溶媒添加物または治療上有効量の本発明のポリペプチド、および医薬上許容できる担体または賦形剤からなる。このような担体は、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびそれらの組み合わせを包含するが、これらに限定するものではない。処方は投与法に適合させなければならない。
【0095】
キット
本発明はさらに、前記した本発明の組成物の成分を1またはそれ以上を充填した1またはそれ以上の容器からなる診断用および医薬用パックおよびキットに関する。このような容器(複数でも可)に、医薬または生物学的生成物の製造、使用または販売を規制する政府機関による命令形態の、ヒトへの投与用の産物の製品、使用または販売に関する該政府機関の承認を示す注意書きを添付することができる。
【0096】
投与
本発明のポリペプチドおよび他の化合物は、単独でまたは治療用化合物などの他の化合物と組み合わせて用いることができる。
医薬組成物は、例えば、とりわけ局所、経口、経肛門、経膣、静脈内、腹膜腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内または皮内の経路を含め、効果的な、都合のよい方法で投与できる。
医薬組成物は、一般に、個々の適応症または複数の適応症の治療または予防に有効な量にて投与される。一般に、この組成物は少なくとも約10μg/kg体重の量で投与される。大抵の場合、投与量は1日あたり約8mg/kg体重を越えない量で投与される。好ましくは、大抵の場合、投与量は1日あたり約10μg/kgから1mg/kg体重である。至適投与量は、適応症、その重篤度、投与経路、合併症等を考慮に入れて、各々の治療様式および適応症についての標準法により決定されることは理解されよう。
【0097】
治療において、または予防用に、活性物質を注射用組成物として、例えば、好ましくは等張の滅菌水性分散物として個体に投与できる。
また、組成物は、局所塗布用に、例えば軟膏、クリーム、ローション、眼軟膏、点眼液、点耳液、洗口剤、含浸包帯および縫合糸ならびにエアゾルの形態に処方してもよく、例えば保存剤、薬物の浸透を補助する溶媒、ならびに軟膏およびクリームにおける軟化剤を含め、適当な慣用的添加剤を含有してもよい。このような局所用処方はまた、適合する慣用的な担体、例えばクリームまたは軟膏基剤、およびローションの場合、エタノールまたはオレイルアルコールも含めることができる。このような担体は処方の約1%から約98重量%であってもよく;より一般的には、処方の約80重量%までとする。
【0098】
哺乳動物、特にヒトに投与する場合、有効成分の1日あたりの投与量は、0.01mg/kgから10mg/kgであり、典型的には約1mg/kgである。医者はいずれの場合も、個体に最も適した実際の投与量を決定し、個々の個体の年齢、体重および応答に応じて変える。前記の投与量は、平均的なケースの一例である。もちろん、高いおよび低い用量の範囲が適当な個体もあり、それらも本発明の範囲内である。
内在装置には外科移植、補綴およびカテーテル、即ち個体の体内に導入され、長時間その位置に止まる装置が包含される。このような装置には、例えば人工関節、心臓弁、ペースメーカー、血管移植片、血管カテーテル、脊髄液シャント、尿カテーテル、連続歩行腹膜透析(CAPD)カテーテル等を包含する。
【0099】
本発明の組成物を注射により投与し、内在装置の挿入の直前に、関連する細菌に対する全身的効果を得ることができる。手術後、装置が体内に在る時間、治療を続けてよい。加えて、手術用の手術周辺カバーを広げて、ストレプトコッカス創傷感染を防御するために用いることができる。
多くの整形外科医は、補綴関節を有するヒトは、菌血症が生じ得る歯の治療前に、抗生物質による予防を考慮すべきであると考えている。後の重い感染は、重篤な合併症であり、時には補綴関節を喪失し、著しい羅病率および死亡率を伴う。従って、該活性物質をこの状況の予防的抗生物質の代替品として使用することにまで拡張することが可能である。
【0100】
前記の治療に加え、本発明の組成物は、一般に、創傷組織に露出したマトリックスタンパク質に細菌が付着するのを防ぐための創傷治療薬として使用でき、歯科治療において抗生物質の予防法に代わって、またはそれと組み合わせて、予防的に使用できる。
また、本発明の組成物は、挿入直前に内在装置を浸すのに使用できる。有効成分は、創傷または内在装置を浸す場合、1μg/mlから10mg/mlの濃度であるのが好ましい。
ワクチン組成物は、注射可能な形態であるのが都合がよい。慣用的なアジュバントは免疫応答を高めるために用いることができる。
ワクチン化に適した単位投与量は、抗原0.5〜5μg/kgであり、このような投与量は1〜3週間隔で1〜3回投与するのが好ましい。
提示した投与量範囲では、本発明の化合物で、適当な個体への投与を妨げるような、不利な毒性効果は観察されない。
前記の抗体もまた、トポイソメラーゼを含有する細菌の存在を検出するための診断試薬として使用できる。
本明細書に開示されている文献を、出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。本願が先に請求するいずれの親出願も出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
以下の実施例を容易に理解するために、特定の汎用する方法および/または用語を記載する。
【0101】
【実施例】
本発明を以下の実施例を用いてさらに詳しく説明する。実施例は単に具体的な態様に対する参考として本発明を説明するために提供するものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するものであり、本発明に開示する範囲を限定または規定するものではない。
本明細書で用いる特定の用語は前記した定義で説明されている。
全ての実施例は、別に詳細に記載するもの以外は、当業者に周知で慣用される標準法を用いて実施した。以下の実施例の慣用的な分子生物学的技術は、例えばSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州(1989)ような標準的な実験室マニュアルに記載されるように実施できる。
以下の実施例で示す全ての部分または量は、特記しない限り、重量で示す。
【0102】
以下の実施例におけるフラグメントのサイズ分離は特記しない限り、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州(1989)および多くの他の文献例えばGoeddelら、Nucleic Acids Res.8:4057(1980)に記載される、寒天およびポリアクリルアミドゲル電気泳動(「PAGE」)の標準法を用いて実施した。
特記しない限り、ライゲーションは、標準的な緩衝液、インキュベーション温度および時間、略等モル濃度の量の連結するDNAフラグメントの、ならびにDNA0.5μgあたりほぼ10単位のT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を用いて達成した。
(配列番号:1)に示すDNA配列を有するポリヌクレオチドは、イー・コリ中ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993の染色体DNAのクローンのライブラリーを配列決定することにより入手した。
【0103】
(配列番号:1)に示すDNA配列を用いて、トポイソメラーゼIIIタンパク質をコードするポリヌクレオチドを得るために、通常、イー・コリ中のストレプトコッカス・ニューモニエ0100993の染色体DNAのクローンのライブラリー、またはその他の適当な宿主を、部分配列に由来する、好ましくは17量体またはそれより長い放射性標識オリゴヌクレオチドでプローブする。プローブのDNAに同一のDNAを担持するクローンを、次いで、非常にストリンジェントに洗浄して区別した。原配列から設計した配列決定プライマーを用いてこのように同定した個々のクローンを配列決定することにより、次に配列を両方向に伸長し、遺伝子を全長にわたって決定することが可能になる。都合よくは、プラスミドクローンから製造した変性二本鎖DNAを用いて、このような配列決定を実施する。適当な技術については、Maniatis,T.、Fritsch,E.F.およびSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州(1989)に記載されている。(Screening By Hybridization 1.90 and Sequencing Denatured Double−Stranded DNA Templates 13.70参照)
【0104】
実施例1:ストレプトコッカス・ニューモニエからの新規トポイソメラーゼIIIをコードするDNAの単離
(配列番号:1)に示すDNA配列を有するポリヌクレオチドをイー・コリにおけるストレプトコッカス・ニューモニエの染色体DNAのクローンのライブラリーより入手した。重複するストレプトコッカス・ニューモニエDNAを含有する2個またはそれ以上のクローンの配列決定データを、(配列番号:1)に示す連続したDNA配列を構築するために使用する場合もある。ライブラリーは慣用的方法、例えば以下の方法1および2により製造できる。
全細胞DNAは、ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993株より、標準法に準じて単離し、二つの方法のどちらかによりサイズ分画する。
【0105】
方法1
標準法によりサイズ分画するために、全細胞DNAをニードルに通して機械的に剪断する。11kbpまでの大きさのDNAフラグメントを、エクソヌクレアーゼおよびDNAポリメラーゼで処理することにより、平滑末端化し、EcoRIリンカーを加える。フラグメントを、EcoRIで切断したベクターラムダZapIIに連結し、標準法によりライブラリーをパッケージングし、およびパッケージングしたライブラリーでイー・コリを感染させる。ライブラリーは標準法により増幅する。
【0106】
方法2
全細胞DNAは、四種の制限酵素(RsaI、PalI、AluIおよびBshl235I)を組み合わせたもので部分加水分解し、標準法によりサイズ分画する。EcoRIリンカーをDNAおよびフラグメントに連結し、次いでEcoRIで切断したベクターラムダZapIIにライゲートし、標準法によりライブラリーをパッケージングし、そのパッケージングしたライブラリーでイー・コリを感染させる。ライブラリーは標準法により増幅する。
【0107】
【配列表】
【発明の属する技術分野】
本願は、1996年10月15日に提出された米国仮特許出願番号60/028603号の権利を主張するものである。
本発明は、一つに、新規に同定されたポリヌクレオチドおよびポリペプチド;該ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの変種および誘導体;該ポリヌクレオチドおよび該ポリペプチド、およびその変種および誘導体の製造方法;該ポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニスト;ならびに該ポリヌクレオチド、ポリペプチド、変種、誘導体、アゴニストおよびアンタゴニストの使用に関するものである。特に、これらの点および他の点に関して、本発明は、細菌性「トポイソメラーゼIII」のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】
より効果的な抗生物質には、細菌性遺伝子の発現、制御または活性に共通するモードを妨害するものがある。近年、DNAのスーパーコイル化が毒性遺伝子制御の一つの方法であり得ると示唆されている。スーパーコイル化に因るDNA密度の局所的な増減は、温度、嫌気生活、および重量オスモル濃度などの種々環境条件に対する応答に関係している。空間的に構成された遺伝子のスーパーコイル化の増減により、遺伝子群の転写装置の構成要素へのアクセサビリティーを適宜制御することで、感染性病原体がかかる環境条件に対して有効な応答を示すかもしれない。1型トポイソメラーゼおよびDNAジャイレース(DNA gyrase)を含む、DNAスーパーコイル化のレベルに影響するように作用する、DNAトポイソメラーゼなどの酵素が同定されている。かかる酵素はそれに対する潜在的抗生物質としての化合物をスクリーニングするための有用な標的に相当する。
【0003】
DNAトポイソメラーゼによるDNA形質転換は、一本鎖または二本鎖のどちらかの開裂によりなされる。かかる形質転換により得られるリンキング数(Lk)のユニット変化が2種のトポイソメラーゼの間の最も機能的な違いである(P.O.Brown & N.R.Cozzarelli、Science 206:1081−1083(1979))。リンキング数(Lk)は一本の鎖がもう一本の鎖に広がる表面と交差する回数の代数的数である。一過性の一本鎖切断を介して反応が進行し、Lkを一工程で変化させるDNAトポイソメラーゼは1型と分類され、二本鎖切断を介して反応が進行し、Lkを二工程にて変化させる酵素は2型と分類される。
【0004】
2型トポイソメラーゼファミリーのメンバーは、DNAジャイレース、細菌性トポイソメラーゼIV、T−線状DNAトポイソメラーゼ、真核生物DNAトポイソメラーゼIIおよびサルフォロバス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)由来の好熱性トポイソメラーゼIIを包含する(A.Kikuchiら、Syst.Appl.Microbiol.7:72−78(1986);J.Katoら、J.Biol.Chem.267:25676−25684(1992);W.M.Huang、DNAトポロジーおよびその生物学的効果(N.R.CozzarelliおよびJ.C.Wang編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク)264−284(1990);T.−S.Hisch、DNAトポロジーおよびその生物学的効果(N.R.CozzarelliおよびJ.C.Wang編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク)243−263(1990)を参照のこと)。12種ほどの2型酵素のコーディング配列が決定されており、そのデータはこれらの全ての酵素が進化的および構造的に関連していることを示唆する。2型トポイソメラーゼにより触媒されるトポロジー反応は、DNA(DNAジャイレース)への負のスーパーコイルの導入、スーパーコイル化DNAの弛緩、らせん環の連環形成(またはその解離)、DNAの結節および未結節を包含する。
【0005】
1型トポイソメラーゼのファミリーは、細菌性トポイソメラーゼI、イー・コリ(E.coli)トポイソメラーゼIII、エス・セレヴィシア(S.cerevisiae)トポイソメラーゼIII(R.A.Kim & J.C.Wang、J.Biol.Chem.267:17178−17185(1992))、ヒトトポイソメラーゼIII(Hanaiら、Proc.Natl.Acad.Sci.93:3653−3657(1996))、細菌性酵素に密接に類似した葉緑体由来の1型トポイソメラーゼ(J.Siedleckiら、Nucleic Acids Res.11:1523−1536(1983)、好熱性逆ジャイレース(A.Kikuchi、DNA;「トポロジーおよびその生物学的効果」(N.R.CozzarelliおよびJ.C.Wang編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、ニューヨーク)285−298(1990):C.Bouthier de la Tourら、J.Bact.173:3921−3923(1991))、好熱性ディー・アミロリティカス(D.amylolyticus)トポイソメラーゼIII(A.I.Slesarevら、J.Biol.Chem.266:12321−12328(1991))、核トポイソメラーゼIおよびミトコンドリアおよびポックスウイルス由来の密接に関連する酵素(N.Osheroff、Pharmac.Ther.41:223−241(1989))からなる。触媒機構に関して、これらのトポイソメラーゼは二つの群に分けられる。A群は作用するのに2価のカチオンを必要とし、5′ホスホリル末端で一過性の共有結合性複合体を形成する酵素からなる(原核生物性1型トポイソメラーゼ、エス・セレヴィシア(S.cerevisiae)トポイソメラーゼIII、およびヒトトポイソメラーゼIII)。B群は、作用するのに2価のカチオンを必要とせず、3′ホスホリル末端で一過性の共有結合する1型トポイソメラーゼを含む(核トポイソメラーゼI、一般に真核生物性トポイソメラーゼIと称せられるミトコンドリアおよびポックスウイルスに由来する酵素)。1型トポイソメラーゼは以下のトポロジー反応を行う:これらはスーパーコイル化DNA(逆ジャイレースを除く)を弛緩し、一本鎖環状DNAまたは二本鎖DNA(ただし、少なくとも1つの分子がニックまたはギャップを有する)を連環形成(またはその解離)するか、または一本鎖環と相互反応し、トポロジカルな結節を導入する(1型−A群トポイソメラーゼ)。1型−A群トポイソメラーゼに属する逆ジャイレースはcDNAに正のスーパーコイルを導入できることがわかった唯一のトポイソメラーゼである。
【0006】
DNAトポイソメラーゼに関する研究は、DNA酵素学から開発療法へと進歩している。細菌性DNAトポイソメラーゼIIはキノロン抗生物質の治療上重要な標的である;哺乳動物性DNAトポイソメラーゼIIは多くの強力な抗腫瘍薬の細胞性標的である(K.Drlica、Microbiol.Rev.48:273−289(1984)およびBiochemistry 27:2253−2259(1988);B.S.Glisson & W.E.Ross、Pharmacol.Ther.32:89−106(1987);A.L.Bodley & L.F.Liu、Biotechnology 6:1315−1319(1988);L.F.Liu、Annu.Rev.Biochem.58:351−375(1989))。トポイソメラーゼII毒と称されるこれらの薬物は、開裂可能な複合体と称される主要な共有結合性反応中間体を捕捉することにより、II型トポイソメラーゼの切断−再結合反応を妨害する。哺乳動物性トポイソメラーゼIは、これもまた共有結合性反応中間体を捕捉する抗腫瘍薬トポテカン(米国特許第5004758号)の細胞性標的である。
【0007】
前記したように、細菌性I型トポイソメラーゼ(トポイソメラーゼI&III)はDNAトポロジーを変化させる酵素であり、複製、転写および組換えを含め、多くの極めて重要な細胞性工程に関与する(Luttinger,A.、Molecular Microbiol.15(4):601−608(1995))。これらの酵素はDNA一本鎖を一時的に切断し、裂け目にDNA一本鎖または二本鎖を通し、最終的に裂け目を再閉する。DNA基質の開裂により、酵素のチロシン残基およびDNA鎖の開裂部位における5′末端間に共有結合が形成される(Roca,J.A.、TTBS 20:156−160(1995))。
【0008】
共有結合−酵素−DNA複合体(開裂可能な複合体)を安定化させる酵素阻害は染色体損傷および細菌性細胞死を引き起こす。さらに、この機構は1回の阻害事象により細胞死に至る可能性がある。開裂可能な複合体を安定化することにより作用する低分子量の阻害剤は、特に活性部位の領域におけるトポイソメラーゼIおよびIIIの広範囲に及ぶアミノ酸配列類似性のため、その両方のトポイソメラーゼで作用できる。したがって、点突然変異より生じるそのような薬物に対する将来の高レベルの耐性の可能性を低くすることができる。
【0009】
I型トポイソメラーゼの阻害剤は、例えば、DNAとの共有結合複合体においてタンパク質を安定化できる阻害剤であり、細菌に対して致死的または抑制的であり、そのため抗菌治療において有用である。ストレプトコッカス属遺伝子および遺伝子生成物を抗生物質の開発のための標的として用いることは特に好ましいことである。ストレプトコッカス属は微生物の医学的に重要な属を形成している。これらは浸潤性および毒素性の二つの型の疾患を生み出すことが知られている。浸潤性感染は一般に皮膚表面および組織深部に影響する膿瘍を形成する特徴がある。ストレプトコッカス・ニューモニエ(S.pneumoniae)は癌患者における菌血症の2次誘発原因である。骨髄炎、敗血症性関節炎、敗血症性血栓静脈炎および急性細菌性心内膜炎もまた比較的一般的である。ストレプトコッカス属の毒素特性よりもたらされる、少なくとも3種の臨床症状がある。これらの疾病の出現は、組織浸潤および菌血症に対抗するように、外毒素の作用をもたらす。これらの症状は:ストレプトコッカス食中毒、熱傷様皮膚症候群およびトキシックショック症候群を包含する。
【0010】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の一つの目的は、ポリペプチド、配列表(配列番号:2)に示すアミノ酸配列およびバシラス・サチリス(Bacillus subtilis)トポイソメラーゼI(これは配列表の配列に対して同一性25.2%、類似性42.2%である)などの他のタンパク質の既知アミノ酸配列間の相同性により、新規トポイソメラーゼIIIとして同定されたポリペプチドを提供することである。
本発明のさらなる目的は、さらに、トポイソメラーゼIIIをコードするポリヌクレオチド、特に本明細書において細菌性トポイソメラーゼIIIと称するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のこの態様のとりわけ好ましい具体例では、該ポリヌクレオチドは、配列表(配列番号:1)に示す配列における、トポイソメラーゼIIIをコードする領域を有する。
本発明の別の特に好ましい具体例には、(配列番号:2)のアミノ酸配列を含んでなるストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)由来の新規トポイソメラーゼIIIタンパク質、またはそのフラグメント、アナログまたは誘導体がある。
本発明のこの態様によれば、寄託株NCIMB受託番号40794に含まれるストレプトコッカス・ニューモニエ・ポリヌクレオチドにより発現可能な成熟ポリペプチドをコードする単離核酸分子が提供される。
【0012】
本発明のこの態様によれば、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、および本発明のこの態様のさらなる具体例では、生物学的、診断学的、臨床的もしくは治療的に有用なその変種、アナログもしくは誘導体、または変種、アナログおよび誘導体のフラグメントを含め、そのフラグメントを包含する、トポイソメラーゼIII、特にストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIをコードする単離された核酸分子が提供される。
本発明のこの態様の特に好ましい具体例には、トポイソメラーゼIIIの天然の対立遺伝子変種がある。
【0013】
本発明のこの態様によれば、本明細書においてトポイソメラーゼIIIと称されるストレプトコッカス属起源の新規ポリペプチド、ならびに生物学的、診断学的、もしくは治療的に有用なそのフラグメント、および前記した変種、誘導体およびアナログ、およびそのフラグメントが提供される。
治療を目的として、例えば、ストレプトコッカス感染などの細菌感染に対して宿主に免疫を付与することによる治療を含め、疾患を治療するのに用いることができるトポイソメラーゼIIIポリペプチド、特に細菌性トポイソメラーゼIIIポリペプチドを提供することも本発明の目的である。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、治療または予防を目的として、例えば抗菌剤またはワクチンとしての、本発明のポリペプチド、とりわけそのフラグメントの使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、治療または予防を目的として、特に遺伝的免疫における、本発明のポリヌクレオチドの使用が提供される。
本発明のこの態様の特に好ましい具体例には、トポイソメラーゼIII遺伝子の天然の対立遺伝子によりコードされるトポイソメラーゼIIIポリペプチドの変種がある。
【0015】
本発明の別の目的は、前記のポリペプチド、ポリペプチドのフラグメント、変種および誘導体、その変種および誘導体のフラグメント、並びに前記したもののアナログの製造方法を提供することである。
本発明のこの態様の好ましい具体例では、外因的に誘導されたトポイソメラーゼIIIのコード化ポリヌクレオチドを発現可能なように挿入した宿主細胞を、宿主においてトポイソメラーゼIIIを発現するような条件下で培養し、次いで発現したポリペプチドを回収することからなる、前記したトポイソメラーゼIIIポリペプチドの製造方法を提供する。
【0016】
本発明の別の目的によれば、とりわけ研究、生物学的、臨床的および治療的目的で、前記のポリペプチドおよびポリヌクレオチドを利用する製品、組成物、工程および方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、抗菌剤として有用なかかるポリペプチドの阻害物質が提供される。特にかかるポリペプチドに対する抗体が提供される。
本発明のこの態様および他の態様のある種の好ましい具体例によれば、細菌感染を検出するのに有用な、細菌性トポイソメラーゼIII配列にハイブリダイゼーションするプローブが提供される。
【0017】
本発明のこの態様のある種のさらなる好ましい具体例では、トポイソメラーゼIIIポリペプチドに対する抗体が提供される。この点における特に好ましい具体例では、その抗体はストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIに対して選択的である。
本発明の別の態様によれば、トポイソメラーゼIIIアゴニストが提供される。好ましいアゴニストには、トポイソメラーゼIII結合分子に結合し、トポイソメラーゼIII誘起反応を惹起または増強する、トポイソメラーゼIIIを模倣する分子がある。また、好ましいアゴニストには、トポイソメラーゼIIIをコードする遺伝子もしくはトポイソメラーゼIIIポリペプチド、または他のトポイソメラーゼIII活性のモジュレーターと相互作用し、それにより、1またはそれ以上のトポイソメラーゼIIIの効果を強化または増強する分子があり、好ましくは静菌性または殺菌性でもある。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、トポイソメラーゼIIIアンタゴニストが提供される。好ましいアンタゴニストには、トポイソメラーゼIIIに結合し、トポイソメラーゼIII結合分子の結合を阻害するか、またはトポイソメラーゼIIIおよびトポイソメラーゼIII結合分子の間で形成される複合体を安定化し、トポイソメラーゼIIIから生じるさらなる生物学的活性を防御するアンタゴニストがある。また好ましいアンタゴニストには、トポイソメラーゼIIIに結合するかまたは相互作用し、1またはそれ以上のトポイソメラーゼIIIの効果を阻害するか、またはトポイソメラーゼIIIの発現を妨げ、また好ましくは静菌性または殺菌性でもある分子がある。
【0019】
本発明のさらなる態様では、インビトロで細胞に、エクソビボで細胞におよびインビボで細胞に、または多細胞生物に投与するための、トポイソメラーゼIIIポリヌクレオチドまたはトポイソメラーゼIIIポリペプチドを含んでなる組成物を提供する。本発明のこの態様のある種の好ましい具体例において、該組成物は、宿主生物においてトポイソメラーゼIIIポリペプチドを発現し、免疫学的応答、好ましくはストレプトコッカスまたは関連生物に対するかかる宿主の免疫性を亢進させるためのトポイソメラーゼIIIポリヌクレオチドを含んでなる。
【0020】
本発明のその他の目的、特徴、利点および態様は、以下の記載より当業者に明らかとなろう。しかしながら、以下の記載および明確な実施例は、本発明の好ましい具体例を示すものであり、単に説明として示されるものであると認識すべきである。開示した本発明の精神および観点内での種々の変更および修飾は、以下の記載を読むこと、および本明細書のその他の部分を読むことにより、当業者に容易に明らかとなろう。
【0021】
【発明の実施の形態】
定義
以下の説明は、本明細書、とりわけ実施例において汎用される特定の用語の理解を容易にするために示すものである。説明は便宜上示すものであり、本発明を限定するものではない。
本明細書で用いるトポイソメラーゼIII結合分子は、例えばスーパーコイル化DNAなどの酵素基質、細胞膜成分および古典的なレセプターを含め、本発明のトポイソメラーゼIIIポリペプチドまたはポリヌクレオチドと特異的に結合または相互作用する分子またはイオンをいう。本発明のポリペプチドと、結合または相互作用分子を含め、そのような分子間の結合は、本発明のポリペプチドに対して独占的であることが好ましく、またはその結合は本発明のポリペプチドに高度に特異的であることもまた好ましく、またはその結合は本発明のポリペプチドを包含するタンパク質群に高度に特異的であることも好ましく、または本発明のポリペプチドを含む、少なくともその一つが数種のタンパク質に特異的であってもよい。結合分子はまた、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体および抗体由来の物質をも包含する。
【0022】
「遺伝的エレメント」は、一般に、ポリペプチドをコードする領域、もしくは複製、転写もしくは翻訳、もしくは宿主細胞においてポリペプチドを発現するのに重要なその他の過程を制御するポリヌクレオチド領域を有してなるポリヌクレオチド、またはポリペプチドをコードする領域およびそれらに機能的に連結した発現を制御する領域の両方を有してなるポリヌクレオチドを意味する。遺伝的エレメントは、エピソームエレメント、すなわち、宿主細胞ゲノムと物理的に独立した分子として、複製するベクター内に含まれていてもよい。該エレメントはプラスミド内に含まれていてもよい。遺伝的エレメントはまた、自然の状態ではなく、むしろ単離、クローニングおよび宿主細胞への導入のような操作の後に、精製DNAの形態で宿主細胞ゲノム内またはとりわけベクター内にも含まれていてもよい。
【0023】
「宿主細胞」は外来性ポリヌクレオチド配列により形質転換もしくはトランスフェクションされた、または形質転換またはトランスフェクションすることのできる細胞である。
当該分野にて周知であるように「同一性」または「類似性」は、配列を比較して測定されるような、二つまたはそれ以上のポリペプチド配列間または二つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該分野において、「同一性」とはまた、時には、かかる配列の鎖の間の合致により決定されるようなポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の関連性の程度をも意味する。「同一性」および「類似性」は共に容易に算出できる(Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.編、オックスフォード・ユニバーシティー・プレス、ニューヨーク、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.編、アカデミック・プレス、ニューヨーク、1993年;Computer Analysis of Sequence Data,パートI,Griffin,A.M.およびGriffin,H.G.編、ヒューマナ・プレス、ニュージャージー、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.、アカデミック・プレス、1987年;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.およびDevereux,J.編、Mストックトン・プレス、ニューヨーク、1991年)。2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド間の同一性および類似性を測定するための多くの方法がある一方で、その両方の用語は当業者に周知である(SequenceAnalysis in MolecularBiology,von Heinje,G.,AcademicPress,1987;Squence AnalysisPrimer,Gribskov,M.およびDevereux,J.,編、M StocktonPress,New York,1991;およびCarillo,H.,およびLipman,D.,SIAM J.,AppliedMath.,48:1073(1988))。2つの配列間で同一性または類似性を測定するのに通常用いられる方法は、Carillo,H.およびLipman,D.,SIAM J.Applied Math.,48:1073(1988)に開示されている方法を包含するが、これに限定されるものではない。同一性を決定するための好ましい方法は、試験する配列間で最も良く適合するように設計される。同一性および類似性を測定する方法は、コンピュータープログラムに組み込まれている。二つの配列間の同一性および類似性を測定する好ましいコンピュータープログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984)、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.215:403(1990)))を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0024】
「単離」とは、「人工的に」天然の状態から変化させられた、すなわち、天然物の場合、その本来の環境から変化または除去あるいはその両方が行われたことを意味する。例えば、生体に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離」されていないが、その天然状態で共存する物質から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書に用いる用語としての「単離」がなされている。例えば、ポリヌクレオチドに関して、「単離」なる用語は、天然の染色体および細胞から分離されていることを意味する。単離の一部として、または単離の後に、かかるポリヌクレオチドは、例えば、突然変異誘発のために、DNAなどの他のポリヌクレオチドに結合し、宿主における伸長および発現のために、融合タンパク質を形成したりすることができる。単離ポリヌクレオチドは単独で、またはベクターなどの他のポリヌクレオチドと結合して、培養物中または全生物中の宿主細胞に導入できる。培養物中または全生物中の宿主細胞に導入されたかかるDNAも本明細書に用いる用語である、「単離」されたといえる。というのはこれらは天然の形態または環境にはないからである。同様に、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、組成物、例えば、培地処方、例えば細胞にポリヌクレオチドまたはポリペプチドを導入するための溶液、化学的または酵素的反応のための組成物または溶液中に生じさせてもよく、これらは自然には存在しない組成物であり、本明細書に用いる用語の「単離」されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドの範囲内である。
【0025】
「ポリヌクレオチド(複数でも可)」は、一般に、修飾されていないRNAもしくはDNA、または修飾されたRNAもしくはDNAであってよい、いずれのポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをも意味する。従って、例えば、本明細書で用いるポリヌクレオチドは、とりわけ一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物または一本鎖、二本鎖および三本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくはより典型的には二本鎖もしくは三本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であってもよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子を意味する。加えて、本明細書で用いるポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNAまたはRNAとDNAの両方を有してなる三本鎖領域を意味する。かかる領域における鎖は同一の分子または異なる分子由来のものでよい。この領域はこれらの分子の一つまたはそれ以上の全てを含んでいてもよいが、より典型的にはいくつかの分子の一領域のみを含む。三重らせん領域の分子の一つは、オリゴヌクレオチドであることがしばしばである。本明細書で用いる場合、「ポリヌクレオチド」なる用語は、一つまたはそれ以上の修飾した塩基を含有する、前記したDNAまたはRNAを包含する。このように、安定性または他の理由で修飾された骨格を有するDNAまたはRNAも、該用語を本明細書が意図するろところの「ポリヌクレオチド」である。さらに、イノシン等の普通でない塩基、またはトリチル化塩基等の修飾塩基を有してなるDNAまたはRNA(二つの例だけを示す)も、かかる用語を本明細書で用いる場合の「ポリヌクレオチド」である。当業者に既知の多くの有用な目的を提供するDNAおよびRNAに、非常に多くの修飾がなされていることは、明らかであろう。「ポリヌクレオチド」なる用語は、本明細書で用いる場合、ポリヌクレオチドのこのような化学的、酵素的または代謝的に修飾した形態、ならびにウイルス、とりわけ単純型細胞および複雑型細胞を含む、細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。ポリペプチド(複数でも可)なる語は、しばしば、オリゴヌクレオチドと称される短鎖ポリヌクレオチドを包含する。
【0026】
本明細書で用いる「ポリペプチド」は、以下に記載する全てのポリペプチドを包含する。ポリペプチドの基本的な構造は周知であり、非常に多くのテキストおよび当該分野の他の発行物に記載されている。これに関連して、この用語は、本明細書において、ペプチド結合により直鎖で互いに結合している2個またはそれ以上のアミノ酸を有してなるいずれかのペプチドまたはタンパク質をいうのに用いる。本明細書で用いる場合、この用語は、当該分野で通常例えばペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも称される短鎖、および多くの型があり、当該分野で一般的にタンパク質と称する長鎖の両方を意味する。ポリペプチドは、しばしば、一般に20種の天然アミノ酸と称される20種のアミノ酸以外のアミノ酸を含有し、末端アミノ酸を含め、多くのアミノ酸は、プロセッシングおよび他の翻訳後修飾のような自然の工程により所定のポリペプチドで修飾されたものが含まれるが、当業者に周知の化学的修飾技術によっても修飾できることは理解されよう。ポリペプチドに自然に起こる一般的な修飾でさえ余り多すぎて、余すところなく掲示することはできないが、基礎的なテキストおよびさらに詳細な論文ならびに多数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業者に周知である。本発明のポリペプチドに施すことができる既知の修飾には、2ないし3例示として示すと、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、交差結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有交差結合形成、シスチン形成、ピログルタミン酸塩形成、ホルミル化、ガンマー−カルボキシル化、糖鎖形成、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質加水分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などの転移RNA媒介のタンパク質へのアミノ酸付加、およびユビキチン化がある。かかる修飾は当業者に周知であり、科学文献に非常に詳細に記載されている。いくつかの特に一般的な修飾、例えば糖鎖形成、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマーカルボキシル化、ヒドロキシル化およびADPリボシル化は最も基礎的なテキスト、例えばProteins−Structure and Molecular Properties、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993)に記載されている。例えば、Posttranslational Covalent Modification of Proteins、B.C.Johnson編、アカデミック・プレス、ニューヨーク(1983)のWold,F.,Posttranslational Protein Modifications :Perspective and Prospects、1〜12頁;Seifterら、Meth.Enzymol.182:626−646(1990)およびRattanら、Protein Synthesis:Posttranslational Modifications and Aging,Ann.N.Y.Acad.Sci.663:48−62(1992)で提供される論文などの多くの詳細な論文が、本主題に利用できる。ポリペプチドはいつも完全に直鎖であるとは限らないということは周知であり、前記した通りであると理解されよう。例えばポリペプチドはユビキチン化の結果分岐していてもよく、一般には、天然のプロセッシング事象を含む翻訳後の事象、および天然では起こらない人為的操作によりもたらされる事象の結果、分岐のある、または分岐のない環状にできる。環状、分岐および分岐した環状ポリペプチドは、非翻訳天然のプロセッシングにより、および同様に全く合成的な方法で合成できる。修飾はペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含め、ポリペプチドのどこででも起こり得る。実際、共有結合の修飾による、ポリペプチドのアミノまたはカルボキシル基またはその両方の遮断は、天然および合成ポリペプチドに共通し、かかる修飾は同様に本発明のポリペプチドにも存在し得る。例えば、イー・コリ(E.coli.)または他の細胞で作られるポリペプチドのアミノ末端残基は、タンパク質溶解のプロセッシングの前にほとんど必ずN−ホルミルメチオニンになるであろう。ペプチドの翻訳後の修飾の間に、NH2末端でメチオニン残基を除去できる。従って、本発明は、本発明のタンパク質のメチオニン含有およびメチオニン不含の両方のアミノ末端変種の使用を意図する。ポリペプチドに起こる修飾はしばしばそれの作り方に影響される。例えば、宿主にクローン化遺伝子を発現することにより作られるポリペプチドでは、修飾の特性および程度は、大部分、宿主細胞の翻訳後修飾能力およびポリペプチドアミノ酸配列に存在する修飾シグナルにより決定される。例えば、周知のように、糖鎖形成はイー・コリのような細菌宿主では起こらないことがはしばしばである。従って、糖鎖形成が望ましい場合、ポリペプチドを、糖鎖形成宿主、一般に、真核細胞にて発現させるべきである。昆虫細胞は、しばしば、哺乳動物細胞と同じ翻訳後糖鎖形成を行う;この理由で昆虫細胞発現系が、糖鎖形成の本来のパターンを有する哺乳動物タンパク質を効率よく発現するように開発されている。同様の考察が他の修飾にも適用される。修飾の同一の型が、所定のポリペプチドのいくつかの部位で、同じまたは異なる程度で存在し得ることは理解されよう。また、所定のポリペプチドは多くの型の修飾を有していてもよい。一般に、本明細書で用いる場合、「ポリペプチド」なる用語は、全てのこのような修飾、特に宿主細胞においてポリヌクレオチドを発現することにより合成したポリペプチドに存在する修飾を包含する。
【0027】
本明細書で用いる場合、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの「変種(複数でも可)」なる用語は、対照標準のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは各々異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。この意味の変種は、本明細書の以下およびその他の部分でより詳細に記載する。ポリヌクレオチドに関して、違いは、一般に、対照標準と変種のヌクレオチド配列が、全体的に非常に類似しており、多くの領域で同一であるものに限られる。以下に記すように、変種におけるヌクレオチドの配列の変化はサイレントであってもよい。すなわち、その変化がポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸を変えなくてもよい。変化がこの型のサイレント変化に限定される場合、変種は、対照標準と同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。また以下に記すように、変種のヌクレオチド配列における変化が、対照標準のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させてもよい。このようなヌクレオチドの変化は、以下に論じるように、対照標準配列によりコードされるポリペプチドにおけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合および切断をもたらす。ポリペプチドに関して、違いは、一般に、対照標準と変種の配列が全体的に非常に類似しており、多くの領域で同一であるものに限られる。変種および対照標準のポリペプチドは、1またはそれ以上の置換、付加、欠失、融合および切断(いずれかの組み合わせで生じていてもよい)により、アミノ酸配列にて異なっていてもよい。
【0028】
本発明は、とりわけ、以下により詳細に記載する、新規トポイソメラーゼIIIポリペプチドおよびそれをコードするポリヌクレオチドに関する。特に、本発明は、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)のトポイソメラーゼIポリペプチドに対するアミノ酸配列相同性により関連付けられる、ストレプトコッカス・ニューモニエの新規トポイソメラーゼIII遺伝子のポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関する。本発明は特に配列表(配列番号:1)および配列表(配列番号:2)に示すヌクレオチドおよびアミノ酸配列を有するストレプトコッカス・トポイソメラーゼIII、ならびに本明細書において「寄託生物」または「寄託生物のDNA」と称するNCIMB受託番号40794より単離可能なDNAのトポイソメラーゼIIIヌクレオチドおよびアミノ酸配列に関する。配列表(配列番号:1)および配列表(配列番号:2)に示すヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、寄託生物のDNAを配列決定することにより得られたことは理解されよう。従って、寄託クローンの配列が、その配列(およびそれをコードする配列)と配列表(配列番号:1)および配列表(配列番号:2)の配列の間のいずれの不一致に関しても調節するものである。
【0029】
ポリヌクレオチド
本発明の一つの態様によれば、配列表(配列番号:2)の推定アミノ酸配列を有するストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。
配列表(配列番号:1)に示すポリヌクレオチド配列などの本明細書にて提供される情報を用いて、トポイソメラーゼIIIポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドは、標準的なクローニングおよびスクリーニングの手法を用いて得ることができる。配列番号:1に示すDNA配列を用いてタンパク質をコードするポリヌクレオチドを得るためには、典型的には、イー・コリまたはいくつかの他の適当な宿主中のストレプトコッカス・ニューモニエ0100993の染色体DNAのクローンのライブラリーを、配列表の配列に由来する、好ましくは17量体またはそれ以上の長さの、放射標識したオリゴヌクレオチドでプローブする。ついで、該プローブと同一のDNAを有するクローンは、非常にストリンジェントな洗浄操作に付すことにより区別できる。元の配列から設計された配列決定プライマーで同定された個々のクローンを配列決定することにより、該配列を両方向に伸長し、完全遺伝子配列を決定することが可能である。都合よくは、かかる配列決定をプラスミドクローンから調製された変性二本鎖DNAを用いて実施する。適当な技術については、Maniatis,T.、Fritsch,E.F.およびSambrook、J.、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(1989);ハイブリダイゼーションによるスクリーニング1.90および変性二本鎖DNA鋳型の配列決定13.70を参照のこと)に記載されている。本発明の一例として、配列表に示すポリヌクレオチドは、実施例1に記載されているように、ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993に由来するDNAライブラリー中で見出したものである。
【0030】
寄託クローンのトポイソメラーゼIIIをコードする配列を文献に報告されている配列と比較することによりわかるように、本発明のトポイソメラーゼIIIは、構造的に、細菌性トポイソメラーゼIIIファミリーの他のタンパク質に関連付けられる。好ましいDNA配列を配列表(配列番号:1)に示す。これは、約147個のアミノ酸残基のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを有する。このタンパク質は、既知タンパク質の中でも、バシラス・サチリス・トポイソメラーゼIタンパク質に対して最大の相同性を示す。配列表(配列番号:2)のトポイソメラーゼIIIは、バシラス・サチリス・トポイソメラーゼIのアミノ酸配列と、約25.2%の同一性、および約42.2%の類似性を有する。
【0031】
本発明のポリヌクレオチドは、クローニングにより得るか、もしくは化学合成技術により生成するか、またはそれらを組み合わせて得た、mRNA等のRNAの形態、または例えばcDNAおよびゲノムDNAを含むDNAの形態であってもよい。DNAは二本鎖または一本鎖のいずれであってもよい。一本鎖DNAはセンス鎖としても知られているコーディング鎖であってもよく、またはアンチセンス鎖とも称される非コーディング鎖であってもよい。
ポリペプチドをコードするコーディング配列は、配列表(配列番号:1)に示すポリヌクレオチドのコーディング配列と同一であってもよい。さらに、それは、遺伝暗号の重複性(同義性)の結果、、配列表(配列番号:2)のポリペプチドをコードする異なる配列を有するポリヌクレオチドであってもよい。
【0032】
配列表(配列番号:2)のポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドのコーディング配列自体;成熟ポリペプチドのコーディング配列および付加コーディング配列、例えばプレ、プロ、プレプロタンパク質配列等のリーダーまたは分泌配列をコードするコーディング配列;付加非コーディング配列と一緒に、前記した付加コーディング配列と共にまたはなしで、例えば、限定するものではないが、転写にて役割を果たす転写された非翻訳配列(例えば、終止シグナルを含む)などの非コーディング配列5′および3′配列、リボソーム結合部位、mRNA安定性エレメント、付加機能を供給する配列などの付加アミノ酸をコードする付加コーディング配列を有する成熟ポリペプチドのコーディング配列を包含するが、これらに限定されるものではない。DNAはまた、本発明のトポイソメラーゼIIIをコードするmRNAの転写を指令するように機能するプロモーター領域を有していてもよい。そのようなプロモーターは、独立して、組換え発現系における異種遺伝子の転写を指令するのに有用であるかもしれない。さらには、該ポリペプチドは、融合ポリペプチドの精製を促す、ペプチドなどのマーカー配列に融合していてもよい。本発明のこの態様のある具体例において、マーカー配列はヘキサ−ヒスチジンペプチド、例えば、とりわけpQEベクター(キアゲン・インコーポレーティッド(Qiagen,Inc.)より得られるタグであり、多くが市販により入手可能である。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,86:821−824(1989)に記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは融合タンパク質の通常の精製法を提供する。インフルエンザ・ヘマググルチニン・タンパク質由来のエピトープに対応する、HAタグもまた融合タンパク質の生成に使用でき、これについては例えばWilsonら、Cell,37:767(1984)に記載されている。
【0033】
前記によれば、本明細書で用いる「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」なる用語は、本発明のポリペプチド、特に細菌性、さらに詳細には、配列表(配列番号:2)に示すアミノ酸配列を有する、ストレプトコッカス・ニューモニエ・トポイソメラーゼIIIのポリペプチドをコードする配列を有するポリヌクレオチド包含する。この用語は、さらにコーディングおよび/または非コーディング配列を含有していてもよい、付加領域と共に該ポリペプチドをコードする単一の連続領域または不連続領域(例えば、組み込まれたファージもしくは挿入配列またはエディティング(editing)により分断される)を含む、ポリヌクレオチドを包含する。
【0034】
本発明はさらに、配列表(配列番号:2)の推定アミノ酸配列を有するポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体をコードする、本明細書で前記したポリヌクレオチドの変種に関する。ポリヌクレオチドの変種は、天然の対立遺伝子変種などの天然の変種であってもよく、または自然に発生することが知られていない変種であってもよい。このようなポリヌクレオチドの非天然変種は、ポリヌクレオチド、細胞または生物に適用される方法を含め、突然変異誘発技術により作ることができる。
【0035】
この点における変種には、ヌクレオチド置換、欠失または付加により前記のポリヌクレオチドとは異なる変種がある。置換は1またはそれ以上のヌクレオチドに起こる。変種はコーディングもしくは非コーディング領域またはその両方において変化していてもよい。コーディング領域における変化が保存的または非保存的アミノ酸置換、欠損または付加を生成するかもしれない。
この点に関する本発明の特に好ましい具体例には、配列表(配列番号:2)に示すストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;それらの変種、アナログ、誘導体およびフラグメントがある。
【0036】
この点において、さらに特に好ましくは、配列表(配列番号:2)のストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIポリペプチドで、そのうち、数個、わずかな、5〜10、1〜5、1〜3、2、1または0個のアミノ酸残基がいずれかの組み合わせで置換、欠失または付加されているアミノ酸配列を有する、トポイソメラーゼIII変種、アナログ、誘導体およびフラグメント、ならびにそのフラグメントの変種、アナログおよび誘導体をコードするポリヌクレオチドである。中でもとりわけ好ましいものは、サイレント置換、付加および欠失であり、トポイソメラーゼIIIの特性および活性を変えないものである。また、この点に関してとりわけ好ましいものは、保存的置換である。最も好ましいものは、置換されていない、配列表(配列番号:2)のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
本発明のさらに好ましい態様は、配列表(配列番号:2)に示すアミノ酸配列を有するトポイソメラーゼIIIポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%同一のポリヌクレオチド、およびかかるポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドである。また、寄託クローンのストレプトコッカス・ニューモニエDNAのトポイソメラーゼIIIポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも80%同一である領域を有するポリヌクレオチド、およびそれらに相補的なポリヌクレオチドが最も好ましい。この点において、その同じものに対して少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドがとりわけ好ましく、中でも少なくとも95%の同一性を有するものが特に好ましい。さらには、少なくとも95%の同一性を有するものの中でも少なくとも97%であるのがより好ましく、その中でも少なくとも98%および少なくとも99%であるのが特に好ましく、さらに少なくとも99%であるのがより好ましい。
【0037】
この点に関してとりわけ好ましい具体例は、さらには、配列表(配列番号:1)のDNAによりコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同一の生物学的機能または活性を保持するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
本発明はさらに本明細書で前記した配列にハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドに関する。この点において、本発明は、特に、ストリンジェントな条件下で本明細書で前記したポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドに関する。本明細書で用いる「ストリンジェントな条件」なる用語は、ハイブリダイゼーションが配列間で少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の同一性がある場合にのみ起こることを意味する。
【0038】
本発明のポリヌクレオチドアッセイについて本明細書でさらに説明するように、例えば、前記したように本発明のポリヌクレオチドは、RNA、cDNAおよびゲノムDNAのハイブリダイゼーションプローブとして用い、トポイソメラーゼIIIをコードする完全長cDNAおよびゲノムクローンを単離し、ならびにトポイソメラーゼIII遺伝子に対して高度な配列類似性を有する他の遺伝子のcDNAおよびゲノムクローンを単離することができる。かかるプローブは、一般に、少なくとも15塩基を有してなる。好ましくは、かかるプローブは少なくとも30塩基からなり、少なくとも50塩基を有してもよい。特に好ましいプローブは少なくとも30塩基を有し、50以下の塩基を有する。
例えば、トポイソメラーゼIII遺伝子のコーディング領域は、既知DNA配列を用いてスクリーニングし、オリゴヌクレオチドプローブを合成することにより単離できる。ついで、本発明の遺伝子の配列に相補的な配列を有する標識オリゴヌクレオチドを用いて、cDNA、ゲノムDNAまたはmRNAのライブラリーをスクリーニングし、ライブラリーのどのメンバーがプローブとハイブリダイズするかを決定する。
【0039】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、さらにはポリヌクレオチドアッセイに関連して本明細書でさらに説明するように、疾患、特にヒト疾患の治療法および診断法の発見のための研究試薬および材料として使用できる。
配列(配列番号:1)より誘導される、オリゴヌクレオチドである本発明のポリヌクレオチドは、本明細書において同定されたストレプトコッカス・ニューモニエ遺伝子が、全体としてまたは部分的に、感染組織にて転写されるかどうかを決定するために、本明細書に前記した方法でのPCRプライマーとして使用できる。かかる配列はまた、病因が達した感染の段階および型の診断にも有用であると思われる。
ポリヌクレオチドは、成熟タンパク質に、さらなるアミノもしくはカルボキシル末端アミノ酸が加わるか、またはその内部にアミノ酸が加わった(例えば成熟形態が一つ以上のポリペプチド鎖を有する場合)ポリペプチドをコードできる。かかる配列は前駆体から成熟形態へのタンパク質のプロセッシングにおいて役割を有し、タンパク質を運び、タンパク質の半減期を長くしたり短くしたり、またはとりわけアッセイもしくは生成のためのタンパク質の操作を容易にすることができる。インビボで一般的なように、付加アミノ酸は、細胞酵素により成熟タンパク質からプロセッシングで取り除かれる。
【0040】
1またはそれ以上のプロ配列と融合したポリペプチドの成熟形態を有する前駆体タンパク質は、ポリペプチドの不活性形態であってもよい。プロ配列が除去されると、このような不活性前駆体は一般に活性化される。プロ配列のいくつかまたは全てを、活性化の前に除去してもよい。一般に、このような前駆体はプロタンパク質と称される。
総じて、本発明のポリヌクレオチドは成熟タンパク質、リーダー配列を加えた成熟タンパク質(プレタンパク質と称することもできる)、プレタンパク質のリーダー配列ではない1またはそれ以上のプロ配列を有する成熟タンパク質の前駆体、またはリーダー配列および1またはそれ以上のポリペプチドの活性および成熟形態を生じるプロセッシング工程で除去されるプロ配列を有するプロタンパク質の前駆体であるプレプロタンパク質をコードできる。
【0041】
寄託材料
ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993は、ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・リミテッド(NCIMB)、アバディーン、スコットランドに1996年4月11日に寄託され、NCIMB番号40794を付された。
寄託は、特許手続き上の微生物寄託の国際承認に関するブダペスト条約の条件下で行われている。特許が発行されると何らの制限または条件もなく、最終的には株は分譲される。寄託は当業者の便宜のためにのみ提供され、35U.S.C.112条のもとに要求されるような、寄託が実施可能要件であることを承認するものではない。
寄託材料に含まれるポリヌクレオチドの配列、ならびにそれによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細書の配列の記載と矛盾する事象を調節するものである。
寄託材料を製造、使用または販売するためにはライセンスが必要であるが、そのようなライセンスはここで付与されるものではない。
【0042】
ポリペプチド
本発明はさらには配列表(配列番号:2)の推定アミノ酸配列を有する細菌性トポイソメラーゼIIIポリペプチドに関する。
本発明はまたこれらのポリペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体にも関する。「フラグメント」、「誘導体」および「アナログ」なる用語は、配列表(配列番号:2)のポリペプチドをいう場合、かかるポリペプチドと本質的に同一の生物学的機能または活性を保持するポリペプチドを意味する。元のトポイソメラーゼIIIの少なくとも90%の活性を保持するフラグメント、誘導体およびアナログが好ましい。元のトポイソメラーゼIIIの少なくとも95%の活性を保持するフラグメント、誘導体およびアナログが好ましい。従って、アナログは、プロタンパク質部分を切断して活性成熟ポリペプチドを生成して活性化できるプロタンパク質を包含する。
本発明のポリペプチドは組換えポリペプチド、天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであってもよい。ある種の好ましい具体例では、該ポリペプチドは組換えポリペプチドである。
【0043】
配列表(配列番号:2)のポリペプチドのフラグメント、誘導体もしくはアナログは、(i)1またはそれ以上のアミノ酸残基が同類または非同類アミノ酸残基(好ましくは同類アミノ酸残基)により置換されたもので、かかる置換アミノ酸残基は遺伝暗号によりコードされたものであってもなくてもよい、または(ii)1またはそれ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、または(iii)成熟ポリペプチドが別の化合物、例えばポリペプチドの半減期を長くする化合物(例えばポリエチレングリコール)と融合したもの、または(iv)付加アミノ酸がリーダーもしくは分泌配列、または成熟ポリペプチドもしくはプロタンパク質配列の精製に用いられる配列などの成熟ポリペプチドと融合したものであってもよい。かかるフラグメント、誘導体およびアナログは本明細書の教示より当業者であれば得られると考えられる。
【0044】
この点において、本発明の特に好ましい具体例には、配列表(配列番号:2)のストレプトコッカス・トポイソメラーゼIIIのアミノ酸配列を有するポリペプチド、その変種、アナログ、誘導体およびフラグメント、およびそのフラグメントの変種、アナログおよび誘導体がある。
好ましい変種には、保存的アミノ酸置換により対照標準と異なる変種がある。かかる置換は、ポリペプチドの所定のアミノ酸を特性の類似した別のアミノ酸で置換したものである。典型的には、保存的置換として認められるのは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIle間での相互の置き換え;ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの取り替え、アミド残基AsnおよびGln間での置換、塩基性残基LysおよびArgの取り替えおよび芳香族残基Phe、Tyr間での置き換えである。
【0045】
この点においてさらに好ましいのは、数個、わずかな、5〜10、1〜5、1〜3、2、1または0個のアミノ酸残基をいずれか組み合わせて置換、欠失または付加した、配列表(配列番号:2)のトポイソメラーゼIIIポリペプチドのアミノ酸配列を有する、変種、アナログ、誘導体およびフラグメント、ならびにそのフラグメントの変種、アナログおよび誘導体である。これらの中でもとりわけ好ましいのは、トポイソメラーゼIIIの特性および活性を変化させないサイレント置換、付加および欠失である。またこの点において特に好ましいのは、保存的置換である。最も好ましいのは、置換していない配列表(配列番号:2)のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは単離形態で提供されるのが好ましく、均質になるまで精製するのが好ましい。
【0046】
本発明のポリペプチドは、配列表(配列番号:2)のポリペプチド、特に成熟ポリペプチド、ならびに配列表(配列番号:2)のポリペプチドに対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド、好ましくは配列表(配列番号:2)のポリペプチドに対して少なくとも90%の類似性(さらに好ましくは少なくとも90%の同一性)、さらに好ましくは少なくとも95%の類似性を有するポリペプチド、なおさらに好ましくは配列表(配列番号:2)のポリペプチドに対して少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドを包含し、また一般に少なくとも30個のアミノ酸、さらに好ましくは少なくとも50個の連続アミノ酸を含むポリペプチドのそのような部分を有する、かかるポリペプチドの部分も包含する。
本発明のポリペプチドのフラグメントまたは部分は、ペプチド合成により対応する完全長のポリペプチドを製造するのに用いることができる;従って、該フラグメントは完全長のポリペプチドを製造するための中間体として用いることができる。本発明のポリヌクレオチドのフラグメントまたは部分を用いて本発明の完全長のポリヌクレオチドを合成することができる。
【0047】
フラグメント
また本発明のこの態様の好ましい具体例には、トポイソメラーゼIIIのフラグメント、特に配列表(配列番号:2)に示すアミノ酸を有するトポイソメラーゼIIIのフラグメント、および配列表(配列番号:2)のトポイソメラーゼIIIの変種および誘導体のフラグメントを有してなるポリペプチドがある。
この点において、フラグメントは前記のトポイソメラーゼIIIポリペプチドおよびその変種または誘導体のアミノ酸配列が、全てではなく一部に対して全く同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0048】
かかるフラグメントは、「自立している」、すなわち他のアミノ酸またはポリペプチドの一部ではないか、もしくはそれに融合しておらず、または一部もしくは領域を形成するより大きなポリペプチド内に含まれていてもよい。より大きなポリペプチド内に含まれる場合、本明細書で説明するフラグメントは単一の連続した領域を形成するのが最も好ましい。しかしながら、数個のフラグメントが単一の、より大きなポリペプチド内に含まれてもよい。例えば、ある好ましい具体例は、トポイソメラーゼIIIフラグメントのアミノ末端に融合した異型のプレおよびプロポリペプチド領域、および該フラグメントのカルボキシル末端に融合した付加領域を有し、宿主中に発現するように設計された前駆体ポリペプチド内に含まれる本発明のトポイソメラーゼIIIポリペプチドのフラグメントに関する。従って、本明細書の意図するところの一の態様におけるフラグメントは、トポイソメラーゼIII由来の融合ポリペプチドまたは融合タンパク質の一つのまたは複数の部分を意味する。
【0049】
本発明のポリペプチドフラグメントの代表例として、例えば、約5〜15、10〜20、15〜40、30〜55、41〜75、41〜80、41〜90、50〜100、75〜100、90〜115、100〜125および110〜140のアミノ酸の長さを有するポリヌクレオチドフラグメントが挙げられる。
これに関して、「約」は、特に、言及した範囲、およびどちらかの末端または両方の末端で数個、わずかな、5、4、3、2または1個のアミノ酸が多いまたは少ない範囲を包含する。
【0050】
本発明の特に好ましいフラグメントには、トポイソメラーゼIIIの切断突然変異体がある。切断突然変異体は、アミノ末端を含む残基の一連の残基(すなわち、連続領域、一部または部分)もしくはカルボキシル末端を含む一連の残基の欠失、または二重切断突然変異体のように一つはアミノ末端を含み、一つはカルボキシル末端を含む二つの連続した一連の残基の欠失を除けば、配列表(配列番号:2)のアミノ酸配列を有するトポイソメラーゼIIIポリペプチド、またはその変種もしくは誘導体を包含する。前記した大きさの範囲のフラグメントもまた切断フラグメントの好ましい具体例であり、一般に、フラグメントの中でも特に好ましい。宿主細胞における本発明のポリヌクレオチドの減成形態もまた好ましい。
【0051】
また本発明のこの態様にて、トポイソメラーゼIIIの構造的または機能的属性により特徴づけられるフラグメントも好ましい。この点において本発明の好ましい具体例は、トポイソメラーゼIIIのアルファーヘリックスおよびアルファーヘリックス形成領域(「アルファー領域」)、ベータシートおよびベータシート形成領域(「ベータ領域」)、ターンおよびターン形成領域(「ターン領域」)、コイルおよびコイル形成領域(「コイル領域」)、親水領域、疎水領域、アルファー両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、可変領域、界面形成領域および高抗原指数領域からなるフラグメントを包含する。
【0052】
さらに好ましい領域は、トポイソメラーゼIIIの活性を媒介する領域である。この点において、類似活性もしくは改善された活性を有するもの、または望ましくない活性を減じたフラグメントを含め、トポイソメラーゼIIIの化学的、生物学的またはその他の活性を有するフラグメントが最も好ましい。慣用的には、周知方法にてフラグメントを生成し、ついで後記するような都合のよいアッセイにて、そのフラグメントの活性を天然のトポイソメラーゼIIIと比較する。この点において、配列もしくは位置または両方において、バシラス・サチリス・トポイソメラーゼIを包含する、配列表(配列番号:2)に示す関連ポリペプチドなどの関連ポリペプチドの活性な領域に対して相同である領域を有するフラグメントが非常に好ましい。この点において、特に好ましいフラグメントには、前記した切断突然変異体がある。さらに好ましいポリヌクレオチドフラグメントは、動物特にヒトにおいて抗原的または免疫原的であるフラグメントである。
本発明はまた、とりわけ、前記のフラグメントをコードするポリヌクレオチド、そのフラグメントをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド、特にストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド、およびそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを増幅するためのPCRプライマーなどのポリヌクレオチドに関する。この点において、好ましいポリヌクレオチドは、前記するような、好ましいフラグメントに対応するポリヌクレオチドである。
【0053】
ベクター、宿主細胞、発現
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドまたは複数のポリヌクレオチドを有してなるベクター、本発明のベクターで遺伝子操作される宿主細胞および組換え技術による本発明のポリペプチドの製造にも関する。
宿主細胞は、遺伝子操作して、ポリヌクレオチドを組み込み、本発明のポリペプチドを発現することができる。ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェクション、陽イオン脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、スクレープ・ローディング、弾道導入、感染または他の方法により行うことができる。かかる方法は多くの標準的実験室マニュアル、例えば、Davisら、Basic Methodsin Molecular Biology,(1986)およびSambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている。
【0054】
宿主細胞内のポリヌクレオチド構築物を従来の方法に用いて、組換え配列によりコードされる遺伝子産物を製造することができる。また、本発明のポリペプチドは従来のペプチド合成により合成的に製造できる。
成熟タンパク質は、哺乳動物細胞、酵母、細菌または他の細胞中、適当なプロモーターの制御下で発現させることができる。無細胞翻訳系を用いて、本発明のDNA構築物に由来するRNAを用いてかかるタンパク質を製造することもできる。原核および真核生物宿主で用いる適当なクローニングおよび発現ベクターは、Sambrookら、Molecular Cloning :A Laboratory Manual,第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている。
【0055】
本発明のこの態様によれば、ベクターは、例えば、プラスミドベクター、一本鎖または二本鎖ファージベクター、一本鎖または二本鎖RNAまたはDNAウイルスベクターであってもよい。プラスミドは、一般に、当業者に馴染みの標準的命名法に従って、小文字pを前に、および/または大文字および/または数字が続くようにデザインされている。本明細書に記載の出発プラスミドは、市販されているか、汎用されているか、または周知の公知操作を汎用することにより利用可能なプラスミドより構築することができる。本発明に従って用いることのできる、多くのプラスミドおよび他のクローニングおよび発現ベクターが周知であり、当業者であれば容易に利用することもできる。
【0056】
ある点において中でも好ましいベクターは、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチの発現のためのベクターである。一般に、かかるべクターは、発現させるべきポリヌクレオチドに機能的に連結した、宿主における発現に有効なシス作用調節領域を有してなる。適当なトランス作用因子は宿主により供給されるか、補足ベクターにより供給されるか、または宿主への導入時にベクター自身により供給されるかのいずれかである。
この点におけるある好ましい具体例では、ベクターは特異的発現を提供する。かかる特異的発現は、誘導可能な発現であるか、もしくはある型の細胞でのみ発現するか、または誘導可能かつ細胞特異性の両方での発現であってもよい。誘導可能なベクターのうち、特に好ましいベクターは、温度および栄養添加物などの操作が容易である環境因子により発現を誘導できるベクターである。本発明のこの態様に適当な種々ベクターは、原核および真核宿主で用いられる構成および誘導可能な発現ベクターを含め、当業者に周知であり、かつ慣用されている。
【0057】
非常に多くの種類の発現ベクターを用いて、本発明のポリペプチドを発現できる。かかるベクターには、とりわけ染色体、エピソームおよびウイルス由来のベクター、例えば細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入エレメント由来、酵母染色体エレメント由来、例えばバキュロウイルス、SV40などのパポーウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ニワトリポックスウイルス、偽狂犬病ウイルスおよびレトロウイルス等のウイルス由来のベクター、ならびにコスミドおよびファージミド(phagemids)のプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝的エレメント由来のベクターのごとき、その組み合わせに由来するベクターがあり、全て本発明のこの態様に準じた発現に用いることができる。一般に、宿主にてポリペプチドを発現するためにポリヌクレオチドを保持、伸長または発現するのに適したいずれのベクターも、この点における発現に使用できる。
【0058】
適当なDNA配列は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている方法などの種々の周知かつ慣用的技法によりベクターに挿入できる。
発現ベクターにおけるDNA配列は、例えば、プロモーターを含め、適当な発現調節配列(複数でも可)に機能的に連結し、mRNA転写を指令する。かかるプロモーターの代表例としては、ファージラムダPLプロモーター、イー・コリ・lac、trpおよびtacプロモーター、SV40初期および後期プロモーターならびにレトロウイルスLTRのプロモーターが挙げられるが、これに限定されない。
一般に、発現構築物は転写開始および終止部位を含み、転写された領域では翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。構築物により発現される成熟転写物のコーディング部分は、開始部分に翻訳開始AUG、そして翻訳されるべきポリペプチドの終末部分に適当に位置する終止コドンを含む。
【0059】
加えて、構築物は、発現を制御および誘起する調節領域を含有してもよい。一般に、多くの常套手段によれば、かかる領域は、転写、例えばとりわけ転写因子、レプレッサー結合部位および終止部位を調節することにより機能するであろう。
伸長および発現のためのベクターは、一般に、選択可能なマーカーおよび増幅領域、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている領域を有するであろう。
適当な宿主の代表例は、細菌細胞、例えばストレプトコッカス(レンサ球菌)、スタフィロコッカス(ブドウ球菌)、イー・コリ(大腸菌)、ストレプトマイセスおよびバシラス・サチリス(枯草菌)細胞;真菌細胞、例えば酵母細胞およびアスペルギルス細胞;昆虫細胞、例えばドロソフィラS2およびスポドプテラSf9細胞;動物細胞、例えばCHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、293およびボーウェス(Bows)黒色腫細胞;ならびに植物細胞を包含する。
【0060】
市販されている以下のベクターを例示として示す。細菌中で使用するのに好ましいベクターには、キアゲン(Qiagen)より入手可能なpQE70、pQE60およびpQE−9;ストラタジン(Stratagene)より入手可能なpBSベクター、ファージェスクリプト(Phagescript)ベクター、ブルースクリプト(Bluescript)ベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18AおよびpNH46A;ならびにファルマシア(Pharmacia)より入手可能なptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5;およびpBR322(ATCC37017)がある。好ましい真核生物ベクターには、ストラタジンより入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG;ならびにファルマシアより入手可能なpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLがある。これらのベクターは単に多くの市販されている周知のベクターを例示するために列挙してあるにすぎず、本発明のこの態様に従って使用するのに、当業者に入手可能なベクターである。宿主にて本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを、例えば、導入、保持、伸長または発現するのに適した他のプラスミドまたはベクターが、本発明のこの態様において使用できることは理解されよう。
【0061】
制限部位または候補プロモーター(candidate promoter)フラグメント、すなわちプロモーターを有するかもしれないフラグメントを導入するための部位の下流に、プロモーター領域を欠いたリポーター転写ユニット、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(「CAT」)転写ユニットを含有するベクターを用いて、いずれか望ましい遺伝子からプロモーター領域を選択することができる。周知のように、プロモター含有フラグメントをcat遺伝子の上流の制限部位でベクターに導入すると、CAT活性の産生を引き起こし、その活性は標準的なCATアッセイにより検出できる。pKK232−8およびpCM7などのこの目的に適するベクターが周知であり、容易に入手可能である。本発明のポリヌクレオチドを発現するためのプロモーターには、周知の容易に入手できるプロモーターのみならず、リポーター遺伝子を用いて前記の技術により容易に得ることができるプロモーターもある。
【0062】
本発明に係るポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現に適した公知の原核生物プロモーターには、イー・コリlacIおよびlacZならびにプロモーター、T3およびT7プロモーター、gptプロモーター、ラムダPR、PLプロモーターおよびtrpプロモーターがある。
この点において適当な公知の真核生物プロモーターには、CMV即時型プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーター、レトロウイルスLTRのプロモーター、例えばラウス肉腫ウイルス(「RSV」)のプロモーターならびにメタロチオネインプロモーター例えばマウスメタロチオネイン−Iプロモーターがある。
組換え発現ベクターは、例えば、複製起点、好ましくは、高発現遺伝子に由来し、下流の構造配列の転写を指令するプロモーターおよびベクターに暴露した後の細胞を含有するベクターの単離を可能とする選択可能なマーカーを含む。
【0063】
本発明のポリペプチドの異種構造配列をコードする本発明のポリヌクレオチドを、一般に、標準法を用いてベクターに挿入し、発現用プロモーターに機能的に連結させる。ポリヌクレオチドを、転写開始部位がリボソーム結合部位に対して適宜5′にあるように位置させる。リボソーム結合部位は、発現させるべきポリペプチドの翻訳を開始するAUGの5′にある。一般に、開始コドン、通常AUGで始まり、リボソーム結合部位および開始AUGの間にある、オープンリーディングフレームは他にない。また、一般に、ポリペプチドの末端に翻訳停止コドンがあり、真核生物宿主で用いられる構築物中に、ポリアデニル化シグナルがあるであろう。転写領域の3′末端に適宜配置される転写終止シグナルはまた、ポリヌクレオチド構築物に含まれていてもよい。
【0064】
翻訳タンパク質を、小胞体内腔、周辺腔または細胞外環境へ分泌するために、適当な分泌シグナルが発現するポリペプチドに組み込まれていてもよい。これらのシグナルはポリペプチドに内在性であってもよく、または異種シグナルであってもよい。
ポリペプチドは、修飾された形態、例えば融合タンパク質の形態で発現してもよく、分泌シグナルのみならず付加的な異種機能性領域を有していてもよい。このように、例えば付加アミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域を、ポリペプチドのN−またはC−末端に付加し、精製中またはその後の操作および貯蔵中の、宿主細胞内での安定性および持続性を改善する。また、精製を容易にするために、ポリペプチドに領域を付加することもできる。かかる領域はポリペプチドの最終的な調製の前に除去できる。ペプチド部分をポリペプチドに付加し、とりわけ、分泌または放出を誘起し、安定性を改善するかまたは精製を容易にするのは、当該分野でよくあることであり、慣用される技術である。好ましい融合タンパク質は、ポリペプチドを可溶化または精製するのに有用な免疫グロブリンに由来する異種領域を有してなる。例えばEP−A−0464 533(カナダ国の対応特許2045869)は、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分と、別のタンパク質またはその一部とからなる融合タンパク質を開示する。薬物の開発において、例えば、タンパク質を、高処理能力スクリーニングアッセイの目的で抗体のFc部分と融合させ、アンタゴニストを同定することができる。D.Bennettら、Journal of Molecular Recognition,8:52−58(1995)およびK.Johansonら、The Journal of Biological Chemistry,270(16):9459−9471(1995)を参照のこと。
【0065】
ついで、典型的には、細胞を遠心分離により収穫し、物理的または化学的手段により破壊し、得られた粗抽出物をさらに精製するために保持する。
タンパク質の発現に用いた微生物細胞は、凍結−融解サイクル、ソニケーション、機械的破壊または細胞溶解剤の使用を含め、常法により破壊でき、かかる方法は当業者に周知である。
【0066】
哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適当なプロモーターおよびエンハンサーを有していてもよく、さらにいずれかの必須リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与部位および受容部位、転写終止配列および発現に必要な5’隣接非転写配列を有していてもよい。この点におけるある好ましい具体例では、SV40スプライス部位およびSV40ポリアデニル化部位由来のDNA配列は、これらの型の必要とされる非転写遺伝的エレメントに用いられる。
トポイソメラーゼIIIポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含む、周知方法により、組換え細胞培養物から回収かつ精製できる。最も好ましくは、高性能液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を精製に用いる。ポリペプチドが単離および/または精製中に変性する場合、再び活性なコンホメーションを得るために、タンパク質を再生するための周知の技術を用いることができる。
【0067】
本発明のポリペプチドは、天然に精製された産物、化学合成法の産物および組換え技法により原核または真核生物宿主、例えば細菌、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞から製造した産物を包含する。組換え産生法において用いる宿主に応じて、本発明のポリペプチドは糖鎖形成されてもいてもまたはされていなくてもよい。加えて、本発明のポリペプチドはまた、ある場合は宿主媒介工程の結果として、開始修飾メチオニン残基をも含んでいてもよい。
トポイソメラーゼIIIポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、本発明に従って種々の用途、特にトポイソメラーゼIIIの化学的および生物学的特性を利用する用途に使用することができる。さらなる用途は、細胞、組織および生物の障害の診断および治療に関する。本発明のこれらの態様を、以下においてさらに説明する。
【0068】
ポリヌクレオチドアッセイ
本発明はまた、例えば診断用試薬として相補的ポリヌクレオチドを検出するためのトポイソメラーゼIIIポリヌクレオチドの使用にも関する。真核生物、特に哺乳動物、特にヒトにおいて細菌性トポイソメラーゼIIIを検出することにより、疾患の診断に加え、診断を限定し、または診断を可能とする診断方法が得られるであろう。トポイソメラーゼIII産生細菌に感染した真核生物(本明細書において「個体」とも称する)、特に哺乳動物、特にヒトを、種々の技術により、DNAまたはRNAレベルで検出できる。診断用の核酸は個体の細胞および組織、例えば骨、血液、筋肉、軟骨および皮膚から入手できる。組織生検および剖検材もまた、診断アッセイに用いるための個体由来のサンプルとして好ましい。細菌性DNAは検出に直接使用してもよく、または分析前にPCRを用いて酵素的に増幅させてもよい。PCR(Saikiら、Nature 324:163−166(1986))。RNAまたはcDNAもまた同様に用いることができる。一例として、トポイソメラーゼIIIをコードする核酸に相補的なPCRプライマーを用いて、トポイソメラーゼIIIの存在および発現を同定および分析できる。PCRを用いて、真核生物、特に哺乳動物、特にヒトに存在する原核生物の株を、原核生物遺伝子の遺伝子型の分析により特徴づけできる。例えば、対照標準の配列の遺伝子型と比較し、増幅産物の大きさの変化により欠失および挿入を検出できる。点突然変異は増幅したDNAを放射標識したトポイソメラーゼIIIRNAに、また別法として放射標識したトポイソメラーゼIIIアンチセンス DNAにハイブリダイゼーションすることにより同定できる。完全に対合する配列は、RNaseA消化により、または融解温度の差異により、誤対合二重らせんと区別できる。
【0069】
対照標準の遺伝子および突然変異を有する遺伝子間の配列の違いはまた、直接的DNA配列決定により明らかにすることもできる。加えて、クローン化DNAセグメントを特異的DNAセグメントを検出するためのプローブとして用いることができる。かかる方法の感度は、PCRまたは別の増幅法を適宜使用することにより、非常に増強させることができる。例えば、配列決定プライマーを二本鎖PCR生成物または修飾PCRにより生じた一本鎖鋳型分子と共に用いる。配列決定は、放射標識したヌクレオチドを用いる従来の方法により、または蛍光タグを用いる自動配列決定法により行うことができる。
DNA配列の差異に基づく細菌の種々の株の遺伝的タイピングは、変性剤を含むまたは含まないゲル中のDNAフラグメントの電気泳動度の変化を検出することにより達成できる。小さな配列の欠失および挿入は高分解ゲル電気泳動により可視化できる。種々の配列のDNAフラグメントは、その個々の融解または部分的融解温度によって、種々のDNAフラグメントの移動度がゲル中の異なる位置で遅れる、変性ホルムアミド勾配ゲル上にて区別できる(例えば、Meyersら、Science,230:1242(1985)参照)。
【0070】
特異的な位置での配列の変化はまた、RNaseおよびS1保護などのヌクレアーゼ保護アッセイまたは化学的切断法によって明らかにすることができる(例えば、Cottonら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,85:4397−4401(1985))。
このように、ハイブリダイゼーション、RNase保護、化学的切断、直接的DNA配列決定または制限酵素の使用(例えば、制限フラグメント長多形性(restriction fragment length polymorphism「RFLP」))およびゲノムDNAのサザンブロッティングなどの方法により、特異的DNA配列を検出できる。
従来のゲル電気泳動法およびDNA配列決定法に加えて、突然変異をまたインサイトウ分析(in situ analysis)により検出することもできる。
【0071】
本発明の遺伝子の突然変異または多形型を有する細胞をまた、例えば、抗原型決定を可能とする種々の技法により、DNAレベルで検出することもできる。診断用の核酸は、限定されるものではないが、血液、尿、唾液、組織生検および剖検材を含む、感染した個体の細胞から、または上記した供給源より単離または培養した細菌から得ることもできる。細菌性DNAを直接的に検出するのに用いてもよく、または分析前にPCR(Saikiら、Nature 324:163−166(1986))を用いて酵素的に増幅させてもよい。RT−PCRもまた突然変異を検出するのに使用できる。RT−PCRを、例えば、GeneScanなどの自動検出系と組み合わせて用いるのが特に好ましい。RNAまたはcDNAもまた同じ目的でPCRまたはRT−PCRに用いることができる。一例として、トポイソメラーゼIIIをコードする核酸に相補的なPCRプライマーを公知方法を用いて製造し、突然変異を同定および分析するのに用いる。例えば、欠失および挿入を、正常の遺伝子型との比較において、増幅産物の大きさの変化により検出できる。点突然変異は放射標識したRNA、また別法として放射標識したアンチセンスDNA配列に増幅したDNAをハイブリダイゼーションすることにより同定できる。完全に対合した配列は、RNaseA消化により、または融解温度の差により、誤対合二重らせんと区別できる。これらのプライマーは個体由来のサンプルから単離したトポイソメラーゼIIIcDNAを増幅させるのに用いることができる。本発明はまた、その5′および/または3′末端から除去した1、2、3または4個のヌクレオチドを有するプライマーも提供する。該プライマーを用いて個体から単離した遺伝子を増幅させ、ついでその遺伝子をDNA配列を明らかにするための種々の技法に供してもよい。このようにして、DNA配列における突然変異を検出してもよい。
【0072】
ポリペプチドアッセイ
本発明はまた、正常および異常なレベルの測定を含め、細胞および組織中のトポイソメラーゼIIIのレベルを検出するための定量および診断アッセイなどの診断アッセイに関する。このように、例えば、正常な対照標準の組織サンプルと比較し、トポイソメラーゼIIIタンパク質の発現を検出することについて本発明に係る診断アッセイを用いて、感染の存在を検出することができる。宿主由来のサンプル中の本発明のトポイソメラーゼIIIタンパク質などのタンパク質のレベルを測定するために用いることができるアッセイ技法は当業者に周知である。かかるアッセイ方法は、ラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロット分析およびELISAアッセイを包含する。このうちELISAが好ましい。ELISAアッセイではまず、トポイソメラーゼIIIに特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体を調製する。加えて、一般に、モノクローナル抗体に結合するリポーター抗体が調製される。リポーター抗体は放射活性、蛍光または酵素試薬、この例においては西洋ワサビペルオキシダーゼなどの検出可能な試薬に結合する。
【0073】
抗体
ポリペプチド、そのフラグメントもしくは他の誘導体、またはそのアナログ、またはそれらを発現する細胞は、それらに対する抗体を生成する免疫原として用いることができる。本発明は、例えば、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、キメラ、一本鎖およびヒト化抗体、ならびにFabフラグメントまたはFab発現ライブラリーの産物を包含する。
発明の配列に対応するポリペプチドに拮抗して得られる抗体は、ポリペプチドを、動物に直接注射するかまたは該ポリペプチドを動物、好ましくはヒト以外の動物に投与することにより得ることができる。このようにして得られた抗体はポリペプチドその物と結合する。この方法ではポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列であっても元のポリペプチド全体に結合する抗体の生成に用いることができる。かかる抗体を用いて、ポリペプチドを発現する組織から該ポリペプチドを単離することができる。
【0074】
モノクローナル抗体を調製するには、連続的細胞系培養により産生される抗体を提供する当該分野において公知のいずれかの技術を用いることができる。例えば、Kohler,G.およびMilstein,C.,Nature,256:495−497(1975);Kozborら、Immunology Today,4:72(1983));Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R Liss,Inc.、77−96頁(1985)に記載の方法などの種々の方法が挙げられる。
一本鎖抗体の生成のために記載された技術(米国特許第4946778号)を適用して、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対する一本鎖抗体を産生することができる。また、トランスジェニックマウスまたは他の哺乳動物などの他の生物を用いて、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対するヒト化抗体を発現することができる。
【0075】
別法として、ファージディスプレイ技術を利用して、抗Fbpの保持に関してスクリーニングしたヒト由来のリンパ球のPCR増幅したv−遺伝子のレパートリー由来の、または未処理のライブラリー由来のポリペプチドに対する結合活性を有する抗体遺伝子を選択することができる(McCafferty,J.ら、Nature 348:552−554(1990);Marks,J.ら、Biotechnology 10:779−783(1992))。これらの抗体の親和性は、チェーンシャフリング(chain shuffling)(Clackson,T.ら、Nature 352:624−628(1991))により改善することもできる。
2つの抗原結合ドメインがあるならば、各ドメインを、「二特異的」抗体と称される、異なるエピトープに向けることができる。
【0076】
前記の抗体を用いて、本発明のポリペプチドを発現するクローンを単離もしくは同定し、アフィニティクロマトグラフィーにより該抗体を単離および/または精製するための固体支持体に結合させることで、該ポリペプチドを精製することができる。
従って、とりわけトポイソメラーゼIIIに対する抗体を用いて、感染、特に細菌感染、特にストレプトコッカス感染を阻害および/または治療し、ならびに抗生物質治療の効能をモニターすることができる。
【0077】
ポリペプチド誘導体は、本発明の特定の態様を形成する、抗原的に、エピトープ的にまたは免疫学的に等価な誘導体を包含する。本明細書で用いる「抗原的に等価な誘導体」なる用語は、本発明に従って、タンパク質またはポリペプチドに対して誘起された場合、病原体および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨げるある種の抗体により特異的に認識されるであろうポリペプチドまたはそれの同等物を包含する。本明細書で用いる「免疫学的に等価な誘導体」なる用語は、脊椎動物において抗体を誘起させるのに適した処方にて用いた場合、抗体が病原体および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を妨げるように作用するペプチドまたはそれの同等物を包含する。
【0078】
ポリペプチド、例えば抗原的または免疫学的に等価な誘導体またはその融合タンパク質は、マウスまたはその他の動物、例えばラットもしくはニワトリを免疫するための抗原として使用できる。融合タンパク質はポリペプチドに安定性を付与できる。抗原は、例えば、接合することにより、免疫原性キャリヤタンパク質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホール・リムペット・ヘモシアニン(keyhole limpet haemocyanin:KLH)に結合させることができる。別法として、タンパク質もしくはポリペプチド、またはその抗原的もしくは免疫学的に等価なポリペプチドの多重コピーを含む多重抗原性ペプチドは、免疫原生を改良するために十分な抗原性を有しており、キャリヤーを使用しなくてすむ。
【0079】
抗体またはその誘導体を修飾して、個体における免疫原性を低下させるのが好ましい。例えば、個体がヒトである場合、抗体は「ヒト化」されているのが最も好ましく;その場合、ハイブリドーマ由来の抗体の相補性決定領域(複数でも可)がヒトモノクローナル抗体に移されており、例えば、Jones,P.ら、Nature 321:522−525(1986)またはTempestら、Biotechnology 9:266−273(1991)に記載されている。
【0080】
本発明のポリヌクレオチドを遺伝的免疫に使用する場合、好ましくは、例えばプラスミドDNAの筋肉への直接注射(Wolffら、Hum.Mol.Genet.1:363(1992);Manthorpeら、Hum.Gene Ther.4:419(1963))、特異的タンパク質キャリヤを複合させたDNAの送達(Wuら、J.Biol.Chem.264:16985(1989))、リン酸カルシウムを用いるDNA共沈(Benvenisty & Reshef、Proc.Nat’l.Acad.Sci. (USA)83:9551(1986))、種々の形態のリポソーム中のDNA封入化(Kanedaら、Science 243:375(1989))、微粒子爆撃(Tangら、Nature 356:152(1992);Eisenbraunら、DNA Cell Biol.12:791(1993))およびクローン化レトロウイルスを用いたインビボ感染(Seegerら、Proc.Nat’l.Acad.Sci. (USA)81:5849(1984))などの適当な送達方法を用いる。
【0081】
トポイソメラーゼIII結合分子およびアッセイ
本発明はまた、トポイソメラーゼIIIに結合する結合分子などの分子の同定方法をも提供する。トポイソメラーゼIIIに結合するタンパク質、例えば結合タンパク質をコードする遺伝子は、当業者に公知の多くの方法、例えばリガンドパンニングおよびFACSソーティングより同定できる。かかる方法は多くの実験室マニュアル、例えば、Coliganら、Current Protocols in Immunology、1(2):第5章(1991)に記載されている。
例えば発現クローニングをこの目的に用いることができる。この目的のために、ポリアデニル化RNAをトポイソメラーゼIIIを発現する細胞から調製し、このRNAからcDNAライブラリーを作り、ライブラリーをプールに分割し、そのプールをトポイソメラーゼIIIを発現しない細胞に個々にトランスフェクトする。ついで、トランスフェクトした細胞を標識したトポイソメラーゼIIIに曝露する。トポイソメラーゼIIIは、放射性ヨウ素化または部位特異的タンパク質キナーゼ用の認識部位の封入の標準法を包含する種々の周知の技術により標識できる。曝露した後、細胞を固定し、トポイソメラーゼIIIの結合を測定する。これらの方法は、都合よくは、ガラススライド上で実施する。
【0082】
トポイソメラーゼIII結合細胞を生成するcDNAのプールを同定する。これらの陽性体からサブプールを調製し、宿主細胞にトランスフェクトし、前記のとおりスクリーニングする。サブプール化および再スクリーニング法を繰り返し、結合分子などの推定される結合分子をコードする1またはそれ以上の単クローンを単離できる。
別法として、標識リガンドを、結合分子のごときそれが結合する分子を発現する細胞から調製した膜または膜抽出物のごとき細胞抽出物に光親和的に連結させることができる。架橋した物質をポリアクリルアミドゲル電気泳動(「PAGE」)により分離し、X線フィルムに曝露する。リガンド結合を含有する標識複合体を切除し、ペプチドフラグメントに分解し、タンパク質マイクロシーケンシングに供することができる。マイクロシーケンシングにより得られたアミノ酸配列を用いて、cDNAライブラリーをスクリーニングするための独特なまたは同義性オリゴヌクレオチドプローブを設計し、推定される結合分子をコードする遺伝子を同定することができる。
また、本発明のポリペプチドを用いて、細胞中、または無細胞調製物中の、トポイソメラーゼIII結合分子、例えば結合分子のトポイソメラーゼIII結合能力を評価することができる。
本発明のポリペプチドを用いて、例えば、細胞、無細胞調製物、化学的ライブラリー、および天然の生成物混合物中の小型分子基質とリガンドとの結合を評価することもできる。
【0083】
アンタゴニストおよびアゴニスト−アッセイおよび分子
前記したように、DNA密度の増加および減少は、環境攻撃に対する細菌応答に関連している。従って、調節すること、すなわち、作動または拮抗することで、適当な応答が潜在的抗生物質効果をもたらしうる。
本発明はまた、細胞上のトポイソメラーゼIIIの作用、例えば、スーパーコイル化DNAなどの基質分子との相互作用を亢進または遮断する化合物を同定するためのスクリーニング方法をも提供する。細胞でのトポイソメラーゼIIIの作用を遮断する化合物は、毒として作用し、DNAとの共有結合性複合体にてトポイソメラーゼIIIを安定化し、細胞成長において阻害効果をもたらす、化合物を包含する。アンタゴニストはトポイソメラーゼIIIの天然の生物学的機能を低下させる化合物である。アゴニストはトポイソメラーゼIIIの天然の生物学的機能を増強する化合物である。
【0084】
Barrettら、Antimicrob.Agents.Chemother. 34:1(1990)は、トポイソメラーゼの阻害を測定するのに用いることのできるインビトロアッセイを報告する。これらのアッセイは触媒アッセイと非触媒アッセイに分類できる。細菌性トポイソメラーゼIII用の触媒アッセイは、例えば、スーパーコイル化DNAの弛緩を測定するためのアッセイを包含する。「切断複合体」アッセイとしても知られている非触媒アッセイは、重要な共有結合性反応中間体の形成を測定するものである。Froelich−AmmonおよびOsheroff J.Biol.Chem. 270:21429(1995)はトポイソメラーゼ毒の非触媒アッセイの機構的原理を開示している。
【0085】
スーパーコイル化DNA弛緩アッセイ
弛緩反応の阻害剤についてスクリーニングするために、候補の阻害剤およびトポイソメラーゼIIIの調製物を、Mg2+または別の二価金属イオン含有の適当な緩衝液中、スーパーコイル化DNA基質、例えば、プラスミドまたはファージDNAと一緒にインキュベートする。反応生成物をアガロースゲル電気泳動により分離し、臭化エチジウム染色により可視化し、密度計により定量する。
【0086】
DNAオリゴマー切断アッセイ
適当な切断部位、例えば22量体、GAATGAGCCGCAACTTCGGGAT(配列番号:3)を含有する一本鎖DNAオリゴマーまたは適宜標識した誘導体を基質として用いる。適当な標識は、使用する個々のアッセイに従って、オリゴの5′または3’末端で結合した放射標識または蛍光発色団である。基質を適当な緩衝液中、候補阻害剤およびトポイソメラーゼIIIの調製物と共にインキュベートする。緩衝液はMg2+または別の二価金属イオンを含有してもよい。Mg2+は切断反応に必須ではないが、それを含んでいることがある種の阻害剤の相互反応を促進するのに望ましい。反応を適当な変性剤、例えば1%SDSまたは100mM NaOHを添加することで停止させる。切断可能な複合体の形成(重要な共有結合性反応の中間体の安定化)は、多くの方法により測定することができる。例えば、変性ポリアクリルアミドゲルを用いる電気泳動を使用して、5′標識化切断DNA産物を分離し、それを密度計により定量することのできるする。また、3’標識化DNA産物をトポイソメラーゼIIIとの共有結合により検定してもよい。これは、沈殿タンパク質に伴う放射標識したDNAを測定する、SDS/K沈殿アッセイにより、またはトポイソメラーゼIIIを抗体を用いて固定する、捕獲アッセイフォーマットにより行い、結合した標識DNAの量を測定することができる。
【0087】
全細胞アッセイ
潜在的なアゴニストおよびアンタゴニストならびに毒のトポイソメラーゼIII様効果は、例えば、候補分子と細胞または適当な細胞調製物との相互作用の後の遺伝子発現における変化に感受的なリポーターステムの活性を決定することにより測定できる。この点において有用なリポーターシステムは、生成物に転換される比色標識基質、トポイソメラーゼIII活性の変化に応答するリポーター遺伝子、および当該分野で公知の結合アッセイを包含するが、これらに限定するものではない。
【0088】
潜在的なアンタゴニストは、本発明のポリペプチドに結合し、それによりその活性を阻害または消滅させるか、またはDNAとの重要な共有結合性反応中間体を安定化する、小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体を包含する。潜在的アンタゴニストはまた、トポイソメラーゼIII誘導活性を誘発することなく、結合分子などの結合分子の同一の部位に結合する、密接に関連したタンパク質または抗体などの小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドであってもよく、それによりトポイソメラーゼIIIを結合から排除してトポイソメラーゼIIIの作用を妨げる。
潜在的アンタゴニストは、ポリペプチドの結合部位に結合し、その結合部位を占領し、それにより結合分子などの細胞性結合分子への結合を妨げ、正常な生物学的活性を妨げる、小型分子を包含する。小型分子としては、例えば、小型有機分子、ペプチドまたはペプチド様分子を包含するが、これらに限定するものではない。
【0089】
その他の潜在的なアンタゴニストはアンチセンス分子を包含する。アンチセンス技術を用いて、アンチセンスDNAもしくはRNAにより、または二重もしくは三重らせん形成により遺伝子発現を調節することができる。アンチセンス技術については、例えばOkano, J.、Neurochem.56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRCプレス、BocaRaton、フロリダ(1988)に記載されている。三重らせん形成については、例えば、Leeら、Nucleic Acids Research 6:3073(1979);Cooneyら、Science 241:456(1988);およびDervanら、Science 251:1360(1991)に記載されている。この方法は、ポリヌクレオチドの相補的DNAまたはRNAへの結合に基づいている。例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5′コーディング部分を用いて、約10〜40塩基対の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計することができる。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相補的であるように設計され、それによりトポイソメラーゼIIIの転写および生成が妨げられる。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはインビボでmRNAにハイブリダイゼーションし、mRNA分子のトポイソメラーゼIIIポリペプチドへの翻訳を遮断する。前記のオリゴヌクレオチドはまた、細胞に送達され、アンチセンスRNAまたはDNAをインビボで発現し、トポイソメラーゼIIIの生成を阻害することもできる。
【0090】
好ましい潜在的アンタゴニストは、本明細書で提供する各々のDNA配列が、抗細菌化合物の発見および開発に用いられる化合物およびその誘導体を包含する。発現でコードされたタンパク質は、抗菌剤のスクリーニングのための標的として用いることができる。加えて、コードされたタンパク質またはShine−Delgarnoのアミノ末端領域をコードするDNA配列または他の個々のmRNAの翻訳容易化配列を用いて、目的とするコーディング配列の発現を調節するアンチセンス配列を構築することがきる。
本発明のアンタゴニストおよびアゴニストは、例えば以下に記載するような、医薬上許容できる担体と共に組成物として用いることができる。
このアンタゴニストおよびアゴニストを用いて、ストレプトコッカス感染を阻害することができる。
【0091】
ワクチン
本発明の別の態様は、個体、特に哺乳動物における免疫学的応答を誘起する方法であって、抗体を生成するのに適当なトポイソメラーゼIII、またはその抗原性フラグメントもしくは変種を個体に接種し、該個体を感染、特に細菌感染、とりわけストレプトコッカス感染から保護することからなる方法に関する。本発明のまた別の態様は、個体にて免疫学的応答を誘起する方法であって、遺伝子治療により免疫学的応答を誘発させるためにトポイソメラーゼIIIまたはそのフラグメントもしくは変種をインビボで発現させるのにトポイソメラーゼIIIまたはその抗原性フラグメントもしくは変種をコードする遺伝子を送達し、抗体を生成し、該個体を疾患から保護する方法に関する。
【0092】
本発明のさらなる態様は、免疫学的応答を宿主内に誘起できる、または誘起した宿主に導入した場合、そのような宿主中でトポイソメラーゼIIIまたはそれによりコードされるタンパク質に対する免疫学的応答を誘起する免疫学的組成物であって、該トポイソメラーゼIIIの抗原をコードし、発現するDNAまたはそれによりコードされるタンパク質を含んでなる、組換えトポイソメラーゼIIIまたはそれによりコードされるタンパク質を有してなる組成物に関する。
トポイソメラーゼIIIまたはそのフラグメントは、それ自身は抗体を産生しないが、第1のタンパク質を安定化し、免疫原性があり防御特性を有する融合タンパク質を形成することができる補タンパク質(co−protein)と融合できる。このように融合した組換えタンパク質は、好ましくはさらに抗原性補タンパク質、例えばグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはベーターガラクトシダーゼ、タンパク質を可溶化し、その生成および精製を容易にする比較的大きな補タンパク質を有してなる。さらには、補タンパク質は、免疫系の汎用刺激を提供するという意味で、アジュバントとして作用し得る。補タンパク質は第1のタンパク質のアミノまたはカルボキシル末端のいずれに結合してもよい。
【0093】
本発明はまた、免疫原性組換えタンパク質と、適当な担体とからなるワクチン処方を包含する。タンパク質は胃で分解するので、例えば、皮下、筋肉内、静脈内または皮内投与を含め、非経口的に投与するのが好ましい。非経口投与に適した処方は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤およびその処方を個体の体液、好ましくは血液と等張にする溶質を含有してもよい水性または非水性滅菌注射液;および懸濁化剤または増粘剤を含有していてもよい水性または非水性滅菌懸濁液を包含する。処方は単位投与または複数回投与用容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルに入れてよく、使用直前に滅菌液体担体を添加するだけでよい凍結乾燥状態で貯蔵することができる。ワクチン処方はまた、処方の免疫原性を高めるアジュバント系、例えば水中油系または当該分野で公知の他の系を含んでいてもよい。投与量はワクチンの比活性に依存し、慣用的実験操作により容易に決定できる。
本発明はある種のトポイソメラーゼIIIに関して記載されているが、これは天然のタンパク質および、実質的に組換えタンパク質の免疫原特性に影響しない付加、欠失または置換を施した類似のタンパク質のフラグメント(例えば、50%またはそれ以上の配列相同性を有する)を包含することが理解されよう。
【0094】
組成物
本発明はまた前記のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを含んでなる組成物にも関する。従って、本発明のポリペプチドは、対象に投与するのに適した医薬担体などの、細胞、組織または生物で使用するための非滅菌もしくは滅菌した担体と組み合わせて用いることができる。このような組成物は、例えば溶媒添加物または治療上有効量の本発明のポリペプチド、および医薬上許容できる担体または賦形剤からなる。このような担体は、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびそれらの組み合わせを包含するが、これらに限定するものではない。処方は投与法に適合させなければならない。
【0095】
キット
本発明はさらに、前記した本発明の組成物の成分を1またはそれ以上を充填した1またはそれ以上の容器からなる診断用および医薬用パックおよびキットに関する。このような容器(複数でも可)に、医薬または生物学的生成物の製造、使用または販売を規制する政府機関による命令形態の、ヒトへの投与用の産物の製品、使用または販売に関する該政府機関の承認を示す注意書きを添付することができる。
【0096】
投与
本発明のポリペプチドおよび他の化合物は、単独でまたは治療用化合物などの他の化合物と組み合わせて用いることができる。
医薬組成物は、例えば、とりわけ局所、経口、経肛門、経膣、静脈内、腹膜腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内または皮内の経路を含め、効果的な、都合のよい方法で投与できる。
医薬組成物は、一般に、個々の適応症または複数の適応症の治療または予防に有効な量にて投与される。一般に、この組成物は少なくとも約10μg/kg体重の量で投与される。大抵の場合、投与量は1日あたり約8mg/kg体重を越えない量で投与される。好ましくは、大抵の場合、投与量は1日あたり約10μg/kgから1mg/kg体重である。至適投与量は、適応症、その重篤度、投与経路、合併症等を考慮に入れて、各々の治療様式および適応症についての標準法により決定されることは理解されよう。
【0097】
治療において、または予防用に、活性物質を注射用組成物として、例えば、好ましくは等張の滅菌水性分散物として個体に投与できる。
また、組成物は、局所塗布用に、例えば軟膏、クリーム、ローション、眼軟膏、点眼液、点耳液、洗口剤、含浸包帯および縫合糸ならびにエアゾルの形態に処方してもよく、例えば保存剤、薬物の浸透を補助する溶媒、ならびに軟膏およびクリームにおける軟化剤を含め、適当な慣用的添加剤を含有してもよい。このような局所用処方はまた、適合する慣用的な担体、例えばクリームまたは軟膏基剤、およびローションの場合、エタノールまたはオレイルアルコールも含めることができる。このような担体は処方の約1%から約98重量%であってもよく;より一般的には、処方の約80重量%までとする。
【0098】
哺乳動物、特にヒトに投与する場合、有効成分の1日あたりの投与量は、0.01mg/kgから10mg/kgであり、典型的には約1mg/kgである。医者はいずれの場合も、個体に最も適した実際の投与量を決定し、個々の個体の年齢、体重および応答に応じて変える。前記の投与量は、平均的なケースの一例である。もちろん、高いおよび低い用量の範囲が適当な個体もあり、それらも本発明の範囲内である。
内在装置には外科移植、補綴およびカテーテル、即ち個体の体内に導入され、長時間その位置に止まる装置が包含される。このような装置には、例えば人工関節、心臓弁、ペースメーカー、血管移植片、血管カテーテル、脊髄液シャント、尿カテーテル、連続歩行腹膜透析(CAPD)カテーテル等を包含する。
【0099】
本発明の組成物を注射により投与し、内在装置の挿入の直前に、関連する細菌に対する全身的効果を得ることができる。手術後、装置が体内に在る時間、治療を続けてよい。加えて、手術用の手術周辺カバーを広げて、ストレプトコッカス創傷感染を防御するために用いることができる。
多くの整形外科医は、補綴関節を有するヒトは、菌血症が生じ得る歯の治療前に、抗生物質による予防を考慮すべきであると考えている。後の重い感染は、重篤な合併症であり、時には補綴関節を喪失し、著しい羅病率および死亡率を伴う。従って、該活性物質をこの状況の予防的抗生物質の代替品として使用することにまで拡張することが可能である。
【0100】
前記の治療に加え、本発明の組成物は、一般に、創傷組織に露出したマトリックスタンパク質に細菌が付着するのを防ぐための創傷治療薬として使用でき、歯科治療において抗生物質の予防法に代わって、またはそれと組み合わせて、予防的に使用できる。
また、本発明の組成物は、挿入直前に内在装置を浸すのに使用できる。有効成分は、創傷または内在装置を浸す場合、1μg/mlから10mg/mlの濃度であるのが好ましい。
ワクチン組成物は、注射可能な形態であるのが都合がよい。慣用的なアジュバントは免疫応答を高めるために用いることができる。
ワクチン化に適した単位投与量は、抗原0.5〜5μg/kgであり、このような投与量は1〜3週間隔で1〜3回投与するのが好ましい。
提示した投与量範囲では、本発明の化合物で、適当な個体への投与を妨げるような、不利な毒性効果は観察されない。
前記の抗体もまた、トポイソメラーゼを含有する細菌の存在を検出するための診断試薬として使用できる。
本明細書に開示されている文献を、出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。本願が先に請求するいずれの親出願も出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする。
以下の実施例を容易に理解するために、特定の汎用する方法および/または用語を記載する。
【0101】
【実施例】
本発明を以下の実施例を用いてさらに詳しく説明する。実施例は単に具体的な態様に対する参考として本発明を説明するために提供するものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するものであり、本発明に開示する範囲を限定または規定するものではない。
本明細書で用いる特定の用語は前記した定義で説明されている。
全ての実施例は、別に詳細に記載するもの以外は、当業者に周知で慣用される標準法を用いて実施した。以下の実施例の慣用的な分子生物学的技術は、例えばSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州(1989)ような標準的な実験室マニュアルに記載されるように実施できる。
以下の実施例で示す全ての部分または量は、特記しない限り、重量で示す。
【0102】
以下の実施例におけるフラグメントのサイズ分離は特記しない限り、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州(1989)および多くの他の文献例えばGoeddelら、Nucleic Acids Res.8:4057(1980)に記載される、寒天およびポリアクリルアミドゲル電気泳動(「PAGE」)の標準法を用いて実施した。
特記しない限り、ライゲーションは、標準的な緩衝液、インキュベーション温度および時間、略等モル濃度の量の連結するDNAフラグメントの、ならびにDNA0.5μgあたりほぼ10単位のT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を用いて達成した。
(配列番号:1)に示すDNA配列を有するポリヌクレオチドは、イー・コリ中ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993の染色体DNAのクローンのライブラリーを配列決定することにより入手した。
【0103】
(配列番号:1)に示すDNA配列を用いて、トポイソメラーゼIIIタンパク質をコードするポリヌクレオチドを得るために、通常、イー・コリ中のストレプトコッカス・ニューモニエ0100993の染色体DNAのクローンのライブラリー、またはその他の適当な宿主を、部分配列に由来する、好ましくは17量体またはそれより長い放射性標識オリゴヌクレオチドでプローブする。プローブのDNAに同一のDNAを担持するクローンを、次いで、非常にストリンジェントに洗浄して区別した。原配列から設計した配列決定プライマーを用いてこのように同定した個々のクローンを配列決定することにより、次に配列を両方向に伸長し、遺伝子を全長にわたって決定することが可能になる。都合よくは、プラスミドクローンから製造した変性二本鎖DNAを用いて、このような配列決定を実施する。適当な技術については、Maniatis,T.、Fritsch,E.F.およびSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州(1989)に記載されている。(Screening By Hybridization 1.90 and Sequencing Denatured Double−Stranded DNA Templates 13.70参照)
【0104】
実施例1:ストレプトコッカス・ニューモニエからの新規トポイソメラーゼIIIをコードするDNAの単離
(配列番号:1)に示すDNA配列を有するポリヌクレオチドをイー・コリにおけるストレプトコッカス・ニューモニエの染色体DNAのクローンのライブラリーより入手した。重複するストレプトコッカス・ニューモニエDNAを含有する2個またはそれ以上のクローンの配列決定データを、(配列番号:1)に示す連続したDNA配列を構築するために使用する場合もある。ライブラリーは慣用的方法、例えば以下の方法1および2により製造できる。
全細胞DNAは、ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993株より、標準法に準じて単離し、二つの方法のどちらかによりサイズ分画する。
【0105】
方法1
標準法によりサイズ分画するために、全細胞DNAをニードルに通して機械的に剪断する。11kbpまでの大きさのDNAフラグメントを、エクソヌクレアーゼおよびDNAポリメラーゼで処理することにより、平滑末端化し、EcoRIリンカーを加える。フラグメントを、EcoRIで切断したベクターラムダZapIIに連結し、標準法によりライブラリーをパッケージングし、およびパッケージングしたライブラリーでイー・コリを感染させる。ライブラリーは標準法により増幅する。
【0106】
方法2
全細胞DNAは、四種の制限酵素(RsaI、PalI、AluIおよびBshl235I)を組み合わせたもので部分加水分解し、標準法によりサイズ分画する。EcoRIリンカーをDNAおよびフラグメントに連結し、次いでEcoRIで切断したベクターラムダZapIIにライゲートし、標準法によりライブラリーをパッケージングし、そのパッケージングしたライブラリーでイー・コリを感染させる。ライブラリーは標準法により増幅する。
【0107】
【配列表】
Claims (26)
- (a)配列番号:2のアミノ酸1から147を有してなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド;および
(c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続した塩基を有してなるポリヌクレオチド;
からなる群より選択されるポリヌクレオチドを有してなる単離ポリヌクレオチド。 - ポリヌクレオチドがDNAである請求項1記載のポリヌクレオチド。
- ポリヌクレオチドがRNAである請求項1記載のポリヌクレオチド。
- 配列番号:1に示すヌクレオチド1から442を有してなる請求項2記載のポリヌクレオチド。
- 配列番号:2に示すポリペプチド配列をコードする配列番号:1に示すヌクレオチドを有してなる請求項2記載のポリヌクレオチド。
- 配列番号:2のアミノ酸1から147を有してなるポリペプチドをコードする請求項2記載のポリヌクレオチド。
- (a)NCIMB受託番号40794から単離可能なストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumpniae)のトポイソメラーゼIIIをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチド;
(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド;および
(c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なくとも15個の連続した塩基を有してなるポリヌクレオチド;
からなる群より選択されるポリヌクレオチドを有してなる単離ポリヌクレオチド。 - 請求項2記載のDNAを有してなるベクター。
- 請求項8記載のベクターを有してなる宿主細胞。
- トポイソメラーゼIIIポリペプチドの製造方法であって、請求項9に記載の宿主を、該ポリペプチドを発現するのに十分な培地中、および条件下で培養し、その発現したポリペプチドを回収することを特徴とする方法。
- ポリペプチドを発現する細胞の製造方法であって、宿主細胞が、適当な培養条件下、請求項8に記載のベクターに含まれるcDNAによりコードされるトポイソメラーゼIIIポリペプチドを発現するように、該宿主細胞を該ベクターで形質転換またはトランスフェクションすることを特徴とする方法。
- 配列番号:2のアミノ酸1から147に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有してなるポリペプチド。
- 配列番号:2に示すアミノ酸を有してなるポリペプチド。
- 請求項12に記載のポリペプチドに対する抗体。
- 治療上有効量の配列番号:2のアミノ酸1から147に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有してなるポリペプチドの活性を阻害するアンタゴニストを個体に投与することからなる、トポイソメラーゼIIIポリペプチドの阻害を必要とする個体の治療方法。
- 分析用核酸プローブによりサンプル中のトポイソメラーゼIIIポリペプチドをコードする核酸を検出することを特徴とするトポイソメラーゼIIIポリペプチドの発現に付随する疾患の診断方法において、請求項1に記載の核酸の少なくとも15個の連続したヌクレオチド塩基の配列を有する核酸プローブを分析用プローブとして用いることからなる診断方法。
- 核酸プローブ配列が配列番号:3である請求項16記載の方法。
- サンプル中のトポイソメラーゼIIIポリペプチドの生物学的特性を検出することを特徴とするトポイソメラーゼIIIポリペプチドの発現に付随する疾患の診断方法において、請求項12に記載のポリペプチドをトポイソメラーゼIIIとして用いることからなる診断方法。
- 検出される生物学的特性が免疫学的特性または酵素的特性である請求項18記載の方法。
- モジュレーターであると思われる化合物を、請求項12に記載のトポイソメラーゼおよびその基質からなる反応混合物と混合し、該化合物を含まない対照となる反応混合物の活性と比較した場合の該トポイソメラーゼIII活性における調節作用を検出することからなる、トポイソメラーゼIII活性のモジュレーターの同定方法。
- 化合物がアンタゴニストであり、その調節作用がスーパーコイル化DNA弛緩アッセイにて測定した場合にトポイソメラーゼIII触媒活性を減少させることにある請求項20記載の方法。
- 化合物がアンタゴニストであり、その調節作用がDNAオリゴマー開裂可能な複合体アッセイにて測定した場合にトポイソメラーゼIII非触媒活性を減少させることにある請求項20記載の方法。
- オリゴマー開裂可能な複合体アッセイにて配列番号:3の核酸を用いる請求項22記載の方法。
- 抗体を産生するのに十分な請求項12に記載のトポイソメラーゼIIIまたはそのフラグメントもしくは変種を哺乳動物に接種し、該動物をストレプトコッカス感染から保護することからなる、哺乳動物にて免疫学的応答を誘起する方法。
- 遺伝子治療により、インビボでトポイソメラーゼIII、またはそのフラグメントもしくは変種を発現させるために請求項1に記載のトポイソメラーゼIIIまたはそのフラグメントもしくは変種をコードする遺伝子を送達し、免疫学的応答を誘発させて抗体を産生し、該動物をストレプトコッカス疾患から保護することからなる、哺乳動物にて免疫学的応答を誘起する方法。
- 哺乳動物に導入した場合、哺乳動物においてトポイソメラーゼIIIに対する免疫学的応答を誘起する免疫学的組成物であって、請求項12に記載のポリヌクレオチドまたはその免疫学的フラグメントと、担体とからなる免疫学的組成物。
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