JP2004024342A - 視覚再生補助装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】患者眼の網膜上又は網膜下に設置されるLSIを有する視覚再生補助装置であって、LSIは、患者眼に入射する光束を受光する受光手段と、受光手段に接続されるとともに受光手段から得られる光電流を用いてLSIを駆動させるための電力を蓄積する電力蓄積手段と、光電流を所定の刺激パルス信号に変換する信号変換手段と、信号変換手段により得られた刺激パルス信号を網膜を構成する細胞に電気刺激として出力する複数の電極と、を備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工的に視覚信号を与えるための視覚再生補助装置に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、失明治療技術の一つとして、電極等を有する眼内埋埴装置(体内装置)を眼内に設置し、網膜を構成する細胞を電気刺激して視覚の再生を試みる視覚再生補助装置の研究がされている。このような視覚再生補助装置には体外にて撮像された映像を光信号や磁気信号に変換した後、眼内に設置された体内装置に送信して細胞を刺激する方法(以下、体外撮像型と記す)や、網膜にフォトダイオードアレイ等からなる体内装置を設置し、画像をフォトダイオードアレイに受像(受光)させて細胞を電気刺激する方法(以下、体内撮像型と記す)等が考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の体外撮像型は、眼内に設置する体内装置の部品点数が少なくて済むとともに、眼内設置後における体内装置の各種調整も行い易いという利点があるが、体外装置が複雑、大型化してしまう。このため、携帯性に問題が残ることとなる。また、後者の体内撮像型においては、体外装置を小型化することはできるが、その分種々の機能を持たせることが難しくなる。例えば、体内装置型の視覚再生補助装置では、電力供給の問題や眼内設置後の調整が行い難いといった問題が挙げられる。
【0004】
以上のような上記従来技術の問題点に鑑み、体内撮像型でありながら種々の機能を持たせることのできる視覚再生補助装置を提供することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 患者眼の網膜上又は網膜下に設置されるLSIを有する視覚再生補助装置であって、前記LSIは、患者眼に入射する光束を受光する受光手段と、該受光手段に接続されるとともに前記受光手段から得られる光電流を用いて前記LSIを駆動させるための電力を蓄積する電力蓄積手段と、前記光電流を所定の刺激パルス信号に変換する信号変換手段と、該信号変換手段により得られた刺激パルス信号を網膜を構成する細胞に電気刺激として出力する複数の電極と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の視覚再生補助装置において、前記受光手段は前記LSIに複数設置されており、前記電力蓄積手段は設置されている前記受光手段全体に対して共通とすることを特徴とする。
(3) (1)の視覚再生補助装置は、体外から前記患者眼内に光束を所定の信号として時分割にて照射する光束照射手段を有し、前記所定の信号には前記電力蓄積手段によって蓄積される電力と前記信号変換手段によって変換される刺激パルス信号を補正するための制御データ情報とを有していることを特徴とする。
(4) (3)の視覚再生装置において、前記制御データ情報には視覚として認識する画像の明るさ又はコントラストを補正するための制御データ情報を含むことを特徴とする。
(5) (3)の視覚再生装置において、前記LSIは、前記受光手段に受光されることによって得られる光電流の通電方向を前記時分割照射に同期して切換える通電方向切り換え手段と、前記受光手段によって変換された光電流から前記制御データ信号のみを抽出することにより前記刺激パルス信号を補正するデータを取得する制御データ取得手段と、該制御データ取得手段によって得られる前記刺激パルス信号を補正するデータを記憶する記憶手段と、を有し、前記光束照射手段からの光束から得られる光電流を前記通電方向切り換え手段によって時分割的に前記制御データ取得手段に送ることを特徴とする。
(6) (5)の視覚再生補助装置において、前記信号変換手段は前記記憶手段に記憶された前記制御データをもとに補正された刺激パルス信号を体外に送信するための送信データ用信号として前記複数の電極から出力することを特徴とする。
(7) (6)の視覚再生補助装置において、患者眼角膜上に設置され前記送信データ用信号を所定の電気信号として体外から受信するための信号受信手段を有することを特徴とする。
(8) (5)の視覚再生補助装置において、前記記憶手段は不揮発性メモリと揮発性メモリとから構成されていることを特徴とする。
(9) (5)の視覚再生補助装置において、体外に設けられており,前記光束照射手段から照射される光束にて形成される前記所定の信号内容を設定する信号内容設定手段を備えることを特徴とする。
(10) (9)の視覚再生装置において、前記光束照射手段と照射条件設定手段とは患者の眼前に装着して使用するバイザー型の体外装置に設けられていることを特徴とする。
(11) (1)〜(10)の視覚再生補助装置において、前記電力蓄積手段は前記LSIの裏面に取り付けられており,前記LSIと電力蓄積手段とを電気的に接続するために前記LSIと電力蓄積手段とを貫通して前記LSIの表裏面側に表れる通電手段を有していることを特徴とする。
(12) (11)の視覚再生補助装置において、前記通電手段は前記LSIを通して体液の循環を行うために内部が貫通孔となっている管状の形状を有していること特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は本実施形態における視覚再生補助装置の概略構成を示す図である。視覚再生装置は大別して体外装置1と体内装置10とから構成される。体外装置1は体内装置に電力と制御データを送信する役目を果たす。また、体内装置10は体外装置1から送られる電力及び制御データによって網膜を構成する細胞を効率よく電気刺激する役目を果たす。以下に体外装置1と体内装置10とを各々に分け、その構成を詳細に説明する。
【0007】
<体外装置>
図1(a)に示すように体外装置1は、患者が掛けるバイザー2と、バイザー2に接続され電力を供給するための電源装置3とからなる。バイザー2は眼鏡形状を有しており、患者の眼前に装着して使用することができるようになっている。
バイザー2には調整ダイアル4が設けられており、後述する体内装置10に設けられた電極から発する刺激パルスのパラメータ(周波数、振幅(電流量)や点灯の時間幅等)を調整ダイアル4にて種々変更することができる。また、調整ダイアル4は、視覚として認識する画像の明るさやコントラスト等を調整するためのダイアル4aと電気刺激用のパラメータを調整するためのダイアル4bとを有している。
【0008】
5はバイザー2に設けられ、調整ダイアル4にて調整されたパラメータの値を光信号として体内装置10側に送信するためのデータ送信装置である。図2にデータ送信装置の概略構成を示す。
データ送信装置5は、変調回路6、ドライバ7、光源8から構成されている。光源8はLED等が使用できる。変調回路6は調整ダイアル4にて設定された刺激パルスのパラメータ値、及び視覚として認識する画像の明るさやコントラストを補正するイメージパラメータを制御データとし、符号化・変調を行いドライバ7へ送信する。光源8はドライバ7によって発光制御される。また、光源8は変調回路6からの信号(制御データ用信号)に重畳して電力用の信号を光信号として体内装置10に時分割にて送信する。
【0009】
本実施の形態では制御用データ信号に電力用の信号を重畳させるものとしたが、これに限るものではなく、これらの信号を分けて時分割的に送るようにすることもできる。
9はバイザー2の前方に設置され、データ送信装置5に設けられている光源8からの光束を折り曲げて体内装置10へ導光(送信)するための光学素子である。光学素子10は画像(外界の映像)を透光するとともに、光源8から発する光束を反射することができる光学的な機能を有したものであれば良い。例えばハーフミラーやダイクロイックミラー等を用いることができる。
【0010】
<体内装置>
次に体内装置の構成を図1、図3に示し説明する。
図1(b)に示すように、体内装置10は、視覚再生部11及び参照電極12から構成されており、参照電極12は視覚再生部11と電線13を介して電気的に接続されている。また、視覚再生部11及び電線13は、ポリイミド等の生体適合性が良く絶縁性を有する材料にて被覆されている。
【0011】
また、体内装置10を眼内に設置する場合には、図1(a)に示すように、視覚再生部11を患者眼Eの網膜下(網膜と脈絡膜との間)に置き、網膜を構成する細胞(例えば網膜神経節細胞、網膜双極細胞等)を電気刺激するものとしている。また、参照電極12は水晶体嚢に被せる様にして眼内に設置されている。また、網膜下の所定場所に視覚再生部11を固定保持するためには、鋲止め、生体適合性のある接着剤や既存技術の光凝固等を用いて行えば良い。
【0012】
図3は視覚再生部11の概略構成を示した図である。20は基台であり、基台20上(視覚再生部11を網膜下に設置したとき網膜に接触する面)には受光素子30、刺激電極31等を有する画素部21、充電,データの送受信,刺激電極からの電気刺激の制御等を請け負うコントロール部40等が設置され、LSI(Large Scale Integration)の構成を有している。また、画素部21は基台20上に2次元アレイ状に多数設置されている。このように、体内装置10は参照電極以外の部品を視覚再生部11に設置しているため、眼内に設置する部品点数を減らすとともにコンパクトにまとめられているため、眼内への設置も行い易くなる。
【0013】
次に図4を用いて画素部21の詳細な構成を説明する。
画素部21は光電流を所定の刺激パルスに変換するパルス生成回路22、アンプ23、刺激パルスの制御データを記憶しておくメモリ部24、フォトダイオード等からなる受光素子30(1乃至複数の素子からなる)、電極31等から構成されている。また、電極31部分は被覆されておらず、網膜に直接接触できるようになっている。
【0014】
各画素部21は受光素子30の光電流または電位から、パルス生成回路22により刺激パルスを生成する。パルス生成回路22によって生成された刺激パルスは、アンプ23を介して電極31から出力される。また、受光素子30からの光電流は、スイッチS1がON,スイッチS2がOFFのときに画像受信用の信号に用いられ、検出した光強度に応じて視覚を再生するための刺激パルス用電流が出力され、スイッチS1がOFF,スイッチS2がONのときに体内装置10を駆動させるための電力及び刺激パルスの制御データ用信号として用いられる。スイッチS1,S2の切り換えは、コントロール部40に設けられた制御部によって図5に示すように時分割にて行われる。
【0015】
また、本実施形態の視覚再生装置は体内装置10から体外装置1へ所定のデータを送信することができるようになっている。このデータ送信については詳しくは後述する。
24は不揮発性及び揮発性のメモリを備えたメモリ部である。メモリ部24は不揮発性メモリと揮発性メモリとを有している。不揮発性メモリには長期的に使用する制御データが記憶され、揮発性メモリには一時的な調整に使用される制御データが記憶されるようになっている。
【0016】
次に図6を用いてコントロール部40の詳細な構成を説明する。
コントロール部40は充電回路41、コンデンサ43、コンパレータ44、アンプ45、バンドパスフィルタ46、複号器47、制御部48等から構成されている。
図6に示すように、各画素部21からの光電流は加算され、充電回路41、ローパスフィルタを経てコンデンサ43に蓄電される。コンデンサ43は基台20の裏面全体に設けられており、すべての画素部21に対して共通の電力蓄積部として機能する(図9参照)。体内装置10を駆動させるための各回路への電力の供給は、コンデンサ43を電源とするコンパレータ44により、参照電位に達したところで行われる。コンパレータ44自身は、参照電位より低い電位から動作し、それ以下の電位では電力供給スイッチS3を常時OFFにする。なお、参照電位は、常に一定の電圧を出力する定電圧源回路(図示せず)によって生成される。
【0017】
光電流によって得られる刺激パルス調整用の制御データは、光電流の電位をアンプ45により増幅し、バンドパスフィルタ46により特定の周波数の変調信号のみを抽出することによって得られる。抽出された特定の周波数の変調信号は、復合器47により復調・復合された後、制御部48へ送られるようになっている。
【0018】
また、図9に示すように、電極60はLSIとLSIの裏面に設けられるコンデンサ43とを電気的に接続するための通電手段となっており、LSIとコンデンサ43とを貫通するように設けられている。この電極60及び電極31は内部を貫通する貫通孔60a及び31aが設けられており、管状の電極(スルーホール電極)となっている。このような電極31及び電極60を有する視覚再生部11を網膜下に置いた際には、貫通孔31a及び60aを通して体液の循環ができるようになっている。また、電極31と電極60とは絶縁されているとともに、各電極31同士及び電極60同士はすべて電気的に繋がっている。さらに電極60の表面や貫通孔31a,60aは前述したように生態適合性の良い材料(絶縁性も有している)ですべて被覆されている。また、体液の循環を促すための貫通孔は電極に設けるだけでなく、他の場所に設けるようにすることもできる。
【0019】
以上のような構成を備える視覚再生補助装置においてその動作を詳細に説明する。ここでは体外装置からの画像及び電力・データの受信動作と、体内装置10から体外装置1へのデータ送信動作に分けて説明する。
【0020】
<画像及び電力・データ受信>
バイザー2に設けられた調整ダイアル4a,4bを操作し、各画素部21に設けられた電極31から生じる刺激パルスのパラメータ及びイメージパラメータを設定する。調整ダイアル4a,4bにより設定された刺激パルス等のパラメータ値は、制御データとして変調回路6に送られる。変調回路6に送られた制御データは、符号化・変調を施された後、ドライバ7に送られる。ドライバ7は光源8を用いて符号化・変調を施された制御データ(制御用信号)と電力とが重畳された光束(赤外光)を体内装置10へ送信する。このとき光束の全強度が電力用信号に該当する。また、光源8からの光束の照射は、図5に示すように所定時間毎に行われる。
【0021】
また、変調回路6では、制御データをある時間幅を持つ周波数の光信号として表現するように変調する。本実施の形態ではディジタル値0として所定の周波数f0を、ディジタル値1として所定の周波数f1を割り当て、光源8の発光強度を時間的に変調してデータをドライバ7に送る。具体的には例えばディジタル値0は100kHz、ディジタル値1は150kHzで各々1msecかけて、各ビットを伝送する。また、自然界の風景等(画像)も光学部材9を透過した後、光源8からの光束に重畳した状態にて眼内(体内装置10)に送られている。
【0022】
一方、画像及び電力・データ信号を受信する体内装置10側では、制御部48によってスイッチS1,S2が時分割にてそれぞれONまたOFFされている。スイッチS1,S2のON、OFFの制御は、制御部48によって行われるが、このタイミングは光源8から所定時間毎に照射される光束と同期して行われる。
【0023】
ここでスイッチS1がOFF、スイッチS2がONの場合には、受光素子30にて受光された光束は光電流に変換され、充電回路41に送られる。充電回路41に送られた光電流は2分割され、充電回路41に設けられた図示なきローパスフィルタとハイパスフィルタに各々送られることとなる。ローパスフィルタを経た光電流は、コンデンサ43にて蓄電される。コンデンサ43に蓄電された電力は、コンデンサ43を電源とするコンパレータ44により、参照電位に達したところで体内装置10の各回路(パルス生成回路22、アンプ23等)を駆動させるために使用される。
【0024】
一方、ハイパスフィルタを経た光電流は、アンプ45にて増幅された後、バンドパスフィルタ46にて特定の周波数(ここでは周波数f0及び周波数f1)の変調信号のみを抽出する。抽出された特定の周波数の変調信号は、復合器47によりディジタル値0及びディジタル値1に復調・復合された後、制御部48に送られる。制御部48は得られたディジタル値0及びディジタル値1の組み合わせにより、各電極31から発する刺激パルスの制御データを得る。
【0025】
制御部48は得られた制御データをメモリ部24に送る。このとき制御部48は得られた制御データのうち長期的に変更を要しない制御データ、例えば電極と網膜細胞の密着性等に起因する画素部毎の刺激強度のバラツキを補正するためのデータ(以下、刺激パラメータと記す)をメモリ部24に設けられている不揮発性のメモリに記憶させる。また、一時的に変更する制御データ、例えばコントラスト調整等の撮影シーンに合わせた補正を行うためのデータ(イメージパラメータ)をメモリ部24に設けられている揮発性のメモリに記憶させる。
【0026】
制御データを記憶させるメモリは揮発性、不揮発性メモリのどちらでも良いが、刺激パラメータの制御データは患者の視覚再生に大きな影響を及ぼす為、長期間に記憶させておくことが好ましい。また、イメージパラメータの制御データは視覚再生に大きな影響を及ぼすことはないが、短期間に変更する可能性が大きい。このため、刺激パラメータの制御データは、メモリへの書き込み(記憶)に高い電圧が必要であるが、一旦書き込んでしまえば安定して長期の保存が可能な不揮発性メモリに記憶させておくことが好ましい。また、イメージパラメータの制御データは、書き込みに高い電圧を必要とせず、随時書き込みがし易い揮発性メモリに記憶させておくことが好ましい。
【0027】
また、スイッチS1がON、スイッチS2がOFFの場合には、受光素子30にて受光された光束は光電流に変換された後、パルス生成回路22に送られる。パルス生成回路22では、メモリ部24に記憶されている刺激パラメータ及びイメージパラメータの制御データを基に、刺激パルス信号の生成を行う。この刺激パルス信号の生成は、制御部48からパルス生成回路22に送られてくるパルス生成タイミング信号を基に行われる。
【0028】
パルス生成回路22にて生成された刺激パルス信号は、アンプ23により増幅された後、電極31から所定のパルス波形を持った電気刺激信号として出力され、網膜を構成する細胞を刺激し、視覚の再生を行う。また、各電極31から出力されるこの電気刺激信号は、後述する体外へのデータ送信用の信号としても用いられることとなる。
【0029】
<データ送信>
本実施形態の視覚再生補助装置では、電極31から出力される電気刺激信号を視覚再生用の刺激信号として用いるとともに、体外へ送信するデータ用信号として用いることができる。この体内装置10から体外へのデータ送信は、例えば先に述べた刺激パラメータの制御データによる刺激パルスの調整が、各画素部21にて的確に行われているかを確認するための手段として使用することができる。図7(a)は各画素部21のパルス生成回路22にて生成される電気刺激信号を表した例を示している。この図に示すように、全電極31から出力される電気刺激信号の総和A(ただし総和Aはパルス単位で規格化し、パルスの高さをそろえた状態で示している)は、2パターンの波形の組み合わせから成り立っている。
【0030】
この2パターンの波形は、図7(b)に示すように、単位時間t(ここで単位時間tは視覚再生を行うために必要な1回分の刺激信号時間としている)にて各々異なる波形であり、一方の波形はディジタル値0を表し、もう一方の波形はデジタル値1を表している。体内装置10から網膜を構成する細胞に対して視覚を再生するための電気刺激信号を出力する際には、電気刺激信号の総和として2パターンの波形の刺激信号を組み合わせた電気刺激信号を用いることにより、視覚を再生しつつ、送信データとしてのディジタル値0及び1の組み合わせを表現するものとしている。
【0031】
本実施の形態では、同周波数による2パターンの波形の組み合わせによって送信データを構成するものとしているが、これに限るものではなく、電気刺激信号を送信データとして用いることができる手法であればよい。例えば、電気刺激信号として2種類の周波数を使用し、その2種類の周波数の組み合わせを用いて送信データを表すようにすることもできる。
【0032】
また、本実施の形態では、単位時間tを複数のパルス波形からなるものとしているが、これに限るものではない。例えば1パルスの波形を単位時間tとして扱うこともできる。この場合には、1パルスの波形をディジタル値0及び1として表らすようにすればよい。
【0033】
一方、各画素部21のパルス生成回路22で生成される単位時間t毎(t1,t2,t3…)の電気刺激信号(信号a1,a2,a3…)は、受光素子30にて受光される光強度やメモリ部24に記憶されている制御データを基に、2パターンの波形を各々間引いた波形にて形成された状態で、各電極31から出力される(図7(a)参照)。したがって、各電極31から各々異なる電気刺激信号が出力されても、その電気刺激信号の総和Aは、2パターンの波形の組み合わせを形成することとなる。
【0034】
このような電気刺激信号を体外から取得するには、ERG(網膜電図 Electroretinogram)測定と同様な手法を用いれば良い。具体的には図8に示すように、患者眼の角膜上にコンタクト電極50を設置し、網膜に設置された各電極31から出力される電気刺激信号の総和を取得する。この取得した電気刺激信号の総和を、解析部51にて所定範囲外の電圧をパルス毎に規格化した状態(図7(a)に示す総和Aの状態)にした後、スペクトル判定を行い、2パターンの波形の組み合わせを求めることにより、送信データを取得することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態では網膜を構成する細胞を電気刺激するために、網膜下にLSI等からなる視覚再生部を設置するものとしているが、これに限るものではなく、視覚再生部を網膜上に設置させることもできる。このような場合には、電極31は裏面(視覚再生部を網膜上に設置したとき網膜と接触する面)に形成すればよい。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、体内撮像型を用いながら電力供給や眼内設置後の調整等、種々の機能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態で使用する視覚再生補助装置の体外装置の構成を示す図である。
【図2】体外装置におけるデータ送信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】体内装置の概略構成を示す図である。
【図4】画素部周辺の詳細な構成を示す図である。
【図5】電力及びデータの受信並びに画像取得の流れを示す図である。
【図6】コントロール部の詳細な構成を示す図である。
【図7】パルス生成回路22にて生成される電気刺激信号を表した例を示す図である。
【図8】データ送信の構成を示す図である。
【図9】体液循環のための孔の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 体外装置
2 バイザー
3 電源装置
4 調整ダイアル
5 データ送信装置
6 変調回路
7 ドライバ
8 光源
10 体内装置
11 視覚再生部
12 参照電極
13 電線
30 受光素子
31 刺激電極
40 コントロール部
Claims (12)
- 患者眼の網膜上又は網膜下に設置されるLSIを有する視覚再生補助装置であって、前記LSIは、患者眼に入射する光束を受光する受光手段と、該受光手段に接続されるとともに前記受光手段から得られる光電流を用いて前記LSIを駆動させるための電力を蓄積する電力蓄積手段と、前記光電流を所定の刺激パルス信号に変換する信号変換手段と、該信号変換手段により得られた刺激パルス信号を網膜を構成する細胞に電気刺激として出力する複数の電極と、を備えることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項1の視覚再生補助装置において、前記受光手段は前記LSIに複数設置されており、前記電力蓄積手段は設置されている前記受光手段全体に対して共通とすることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項1の視覚再生補助装置は、体外から前記患者眼内に光束を所定の信号として時分割にて照射する光束照射手段を有し、前記所定の信号には前記電力蓄積手段によって蓄積される電力と前記信号変換手段によって変換される刺激パルス信号を補正するための制御データ情報とを有していることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項3の視覚再生装置において、前記制御データ情報には視覚として認識する画像の明るさ又はコントラストを補正するための制御データ情報を含むことを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項3の視覚再生装置において、前記LSIは、前記受光手段に受光されることによって得られる光電流の通電方向を前記時分割照射に同期して切換える通電方向切り換え手段と、前記受光手段によって変換された光電流から前記制御データ信号のみを抽出することにより前記刺激パルス信号を補正するデータを取得する制御データ取得手段と、該制御データ取得手段によって得られる前記刺激パルス信号を補正するデータを記憶する記憶手段と、を有し、前記光束照射手段からの光束から得られる光電流を前記通電方向切り換え手段によって時分割的に前記制御データ取得手段に送ることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項5の視覚再生補助装置において、前記信号変換手段は前記記憶手段に記憶された前記制御データをもとに補正された刺激パルス信号を体外に送信するための送信データ用信号として前記複数の電極から出力することを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項6の視覚再生補助装置において、患者眼角膜上に設置され前記送信データ用信号を所定の電気信号として体外から受信するための信号受信手段を有することを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項5の視覚再生補助装置において、前記記憶手段は不揮発性メモリと揮発性メモリとから構成されていることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項5の視覚再生補助装置において、体外に設けられており,前記光束照射手段から照射される光束にて形成される前記所定の信号内容を設定する信号内容設定手段を備えることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項9の視覚再生装置において、前記光束照射手段と照射条件設定手段とは患者の眼前に装着して使用するバイザー型の体外装置に設けられていることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項1〜10の視覚再生補助装置において、前記電力蓄積手段は前記LSIの裏面に取り付けられており,前記LSIと電力蓄積手段とを電気的に接続するために前記LSIと電力蓄積手段とを貫通して前記LSIの表裏面側に表れる通電手段を有していることを特徴とする視覚再生補助装置。
- 請求項11の視覚再生補助装置において、前記通電手段は前記LSIを通して体液の循環を行うために内部が貫通孔となっている管状の形状を有していること特徴とする視覚再生補助装置。
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