JP2004157072A - 免疫反応測定に用いられる高感度磁性マーカー - Google Patents
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Abstract
【課題】SQUID磁気センサーによる免疫反応の測定に用いられるのに好適な高感度の磁性マーカーとその作製に関する新しい技術を提供する。
【解決手段】磁性微粒子とその周りを被覆するポリマーとから構成され、SQUID磁気センサーにより免疫反応を測定するのに用いられる磁性マーカーにおいて、磁性微粒子(好ましくはフェライトFe3O4)の粒子径が20〜40nmであり、磁性マーカーの外径が40〜100nmであり、さらに、ポリマーの表面にカルボキシル基を有するようにする。このSQUID磁気センサー用磁性マーカーは、磁性微粒子の表面に、末端に重合性ビニル基を有し親水性で分子量が500〜1000のマクロモノマー(好ましくは、ポリビニルピロリドン)を吸着させた後、カルボキシル基を有し親水性のビニル化合物から成るモノマーと架橋剤とを加えて共重合させることによって作製することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】磁性微粒子とその周りを被覆するポリマーとから構成され、SQUID磁気センサーにより免疫反応を測定するのに用いられる磁性マーカーにおいて、磁性微粒子(好ましくはフェライトFe3O4)の粒子径が20〜40nmであり、磁性マーカーの外径が40〜100nmであり、さらに、ポリマーの表面にカルボキシル基を有するようにする。このSQUID磁気センサー用磁性マーカーは、磁性微粒子の表面に、末端に重合性ビニル基を有し親水性で分子量が500〜1000のマクロモノマー(好ましくは、ポリビニルピロリドン)を吸着させた後、カルボキシル基を有し親水性のビニル化合物から成るモノマーと架橋剤とを加えて共重合させることによって作製することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、免疫反応を測定するための技術分野に属し、特に、SQUID磁気センサーにより免疫反応を測定するのに用いられるきわめて高感度の磁性マーカーに関する。
【0002】
【従来の技術】
免疫反応、すなわち、抗原−抗体反応の測定は、病原菌等の検出、疾病の診断、遺伝子解析、環境関連物質の計測など広範な分野で利用されている。この免疫反応の測定は、被測定物質(抗原)とこれに特異的に結合する検査試薬(抗体)との結合を測定し、被測定物質の定性および/または定量を行なうものである。
【0003】
免疫反応の測定には、これまで主として光学的な手法が用いられている。すなわち、発光酵素などの光学的マーカーを検査試薬(抗体)に付加し、そのマーカーからの光を測定することにより免疫反応(抗原−抗体反応)の検出を行なっている。しかし、近年、微量な反応を高感度で高速に検出する要求が非常に高まっているが、既存のシステムではこの要求を満たせなくなっている場合も多い。このため、高感度の新しいタイプの免疫反応測定システムの開発が望まれている。
【0004】
最近、超伝導状態で出現する量子効果(磁束の量子化)を利用するSQUID(superconducting quantum interference device)は、極めて微弱な磁界の計測を可能にするため、高感度の磁気センサーとして注目されている。SQUIDの最も大きな応用分野は、脳から発生する磁界を計測し脳機能の解明や診断を行なう脳磁界計測の分野であるが、その他の医学、材料評価、物質分析、精密計測、資源探査などの種々の分野への応用も始まっており、免疫反応の測定にSQUIDを用いることも提示されている(例えば、円福敬二「SQUIDを用いた抗原−抗体反応計測」応用物理、第70巻、第1号、48〜49頁(2001)参照)(非特許文献1)。
【0005】
SQUIDを利用する免疫反応測定システムにおいては、磁性微粒子を内包するポリマーの表面に抗体が付加されて構成される磁性マーカーを用いて、その抗体が被測定物質の抗原との間で抗原−抗体結合反応を生じたときの磁界マーカーからの微弱な磁界信号をSQUIDにより測定する(図1参照)。実際の測定においては、一般に、SQUIDを固定し、サンプルを移動させて磁気信号を検出する方式が採られる。
【0006】
SQUIDを用いる免疫反応測定システムは、高感度センサーとして、例えば、蛍光抗体測定法に比べて約10倍の感度が得られることも確認されている(前記非特許文献1)が、システム性能を改善することにより更に高感度で免疫反応を検出することができるものと期待される。SQUIDによる免疫反応検出システムを改善するためのアプローチは、低雑音化(ノイズ低減)のように測定装置の性能向上を図るとともに、磁性マーカーとして最適なものを開発することである。
【0007】
しかしながら、SQUID磁気センサー用磁性マーカーの感度を高めるための条件を体系的に検討された従来技術は見当らない。例えば、特表平11−508031号公報(特許文献1)には、磁気センサーとしてSQUIDを用いることを含むイムノアッセイのための磁性粒子について言及されているが、SQUID磁気センサー用磁性マーカーの感度を高める技術に関する具体的な開示はなされていない。例えば、磁性粒子の粒子サイズは1〜1000nmの広い範囲にあるとしており単に考えられる範囲を思いつきのままに定めたにすぎず、磁性粒子の粒径に関する技術的検討は何ら行なわれていない。また、高感度の磁性マーカーを得るためのポリマーの種類やその合成法に関する具体的開示も全く見出されない。
【0008】
ポリマー内部に磁気微粒子を内包し、その表面に抗体を結合した、如上の磁気標識抗体は、これまで主として抗体の精製・分離に用いられてきた。このような用途では磁性微粒子にいわゆる超常磁性を持たせるため、磁性微粒子としては粒子径が10〜15nm程度であり、ポリマー粒子径(全体の外径)としては直径が50〜1000nmのものが市販されている。しかしながら、従来のこのような磁気標識抗体を抗体抗原反応の検出に応用した場合には、磁気微粒子の特性が不充分であるため、高感度検出が阻害されている。
【特許文献1】特表平11−508031号公報
【非特許文献1】円福敬二「SQUIDを用いた抗原−抗体反応計測」応用物理、第70巻、第1号、48〜49頁(2001)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、SQUID磁気センサーによる免疫反応の測定に用いられるのに好適な高感度の磁性マーカーとその作製に関する新しい技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、磁性マーカーの芯(コア)を形成する磁性微粒子の粒子径、およびその周りを被覆するポリマーの粒子径(厳密には磁性マーカー全体の外径)が、SQUID磁気センサー用磁性マーカーの感度に影響することに着意するとともに、それらの因子の最適な磁性マーカーの作製が確保できるポリマー系を設計、合成することにより本発明を導き出したものである。
【0011】
かくして、本発明に従えば、磁性微粒子とその周りを被覆するポリマーとから構成され、SQUID磁気センサーにより免疫反応を測定するのに用いられる磁性マーカーであって、前記磁性微粒子の粒子径が20〜40nmであり、前記磁性マーカーの外径が40〜100nmであり、さらに、前記ポリマーの表面にカルボキシル基を有することを特徴とするSQUID磁気センサー用磁性マーカーが提供される。本発明の磁性マーカーの好ましい態様に従えば、磁性微粒子は一般にフェライトFe3O4から成る。
【0012】
本発明は、さらに、以上のようなSQUID磁気センサー用磁性マーカーを作製する方法であって、(i)磁性微粒子の表面に、末端に重合性ビニル基を有し親水性で分子量が500〜1000のマクロモノマーを吸着させる工程、および(ii)その後、カルボキシル基を有し親水性のビニル化合物から成るモノマーと架橋剤とを加えて共重合させる工程を含むことを特徴とする方法を提供する。本発明に従うSQUID磁気センサー用磁性マーカーの作製方法の好ましい態様においては、ポリマーの合成に用いられるマクロモノマーは、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンまたはポリアクリルアミドである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、SQUID磁気センサー用磁性マーカーの感度を支配する問題点をひとつひとつ検討しながらそれらの技術の総まとめとして目的の超高感度磁性マーカーが得られたことに基づくものである。以下、それらの問題点に沿って本発明の実施の形態を詳述する。
【0014】
(1)磁性微粒子とその粒子径:
本発明者が見出したところによれば、SQUID磁気センサーに用いられる磁性マーカーにおいては、ポリマー粒子に内包された磁性微粒子の粒子径(直径)として既述したような市販の磁気微粒子より大きく、20〜40nmのものが必要となる。これは、磁性微粒子からの磁気信号は微粒子の体積に比例するため、大きな微粒子により大きな信号が得られるためである。さらに、磁性微粒子の体積が大きくなると磁気特性は大きく変化し、微粒子はいわゆる超常磁性の特性から残留磁気をもつ特性へと変化する。これによって磁性微粒子からの磁気信号は極めて大きくなる。
なお、このような磁気が発生するための最小粒子径は、次のような理論的計算によっても裏づけられる:磁性微粒子の体積をV、その磁気異方性エネルギーをKとすると、超常磁性から残留磁気特性への変化は、KV/kBT〜20(kBはボルツマン定数、T=300K)で生じることになる。磁気微粒子としてFe3O4を用いた場合にはK=10〜20(kJ/m3)と見積もられるので、このときの微粒子の直径はd=20〜25nmとなる。従って微粒子の大きさとしてはd>20nmが望ましいことが理解される。
一方、本発明が対象とする水溶液中で抗原(被測定物質)と結合するように用いられる磁気標識抗体としては、充分な分散性を持つことが重要である。分散性が悪いと抗原−抗体の結合反応が阻害されてしまう。磁性微粒子の大きさがあまり大きくなりすぎると分散性が悪くなるとともに、沈降が顕著になる。この問題を避けるためには磁性微粒子を内包した高分子全体(厳密に言えば、磁性マーカー全体)の比重を1〜3程度に保つ必要がある。従って、磁性微粒子の大きさとしてはd<40nm程度にする必要がある。
用いる磁性微粒子としては、基本的には、鉄鉱、Fe2O3、Fe3O4など何れも使用できるが、最大の磁力を示すFe3O4であるフェライトが特に好ましい。
【0015】
(2)磁性マーカーの外径:
さらに、本発明のSQUID磁気センサー用磁性マーカーにおいては、ポリマー粒子の直径(厳密には、磁性マーカー全体の外径)は40nm以上であって100nm以下のものが必要となる。これは、免疫反応(抗原−抗体の結合反応)検出においてポリマーの大きさが大きすぎると磁気標識抗体と抗原との結合が効率的に行なわれないためである。さらに、磁性微粒子に関連して上述したように、磁性マーカーの粒子径(外径)が全体として大きすぎると分散性が悪くなり沈殿が生じ易くなることからも好ましくない。
【0016】
(3)採用するポリマー系:
以上のような特性を有するSQUID磁気センサー用磁性マーカーは、本発明者によって設計されたポリマー系を用いることによって最適に作製することができる。すなわち、本発明に従えば、磁性微粒子の表面に、末端に重合性ビニル基を有し親水性で分子量が500〜1000のマイクロモノマーを吸着させた後、カルボキシル基を有し親水性のビニル化合物から成るモノマーと架橋剤とを加えて共重合させることによって、磁性微粒子に対して効果的にポリマーコーティング(被覆)が行なわれ、磁性微粒子の粒子径が20〜40nmで磁性マーカーの外径が40〜100nmであり、ポリマーの表面にカルボキシル基を有するSQUID磁気センサー用磁性マーカーを得ることができる。
用いるマイクロモノマーとして特に好適な例は、ポリビニルピロリドンであるが、その他に、ポリオキシエチレンまたはポリアクリルアミドなどを用いることもできる。このようなマクロモノマーの磁性微粒子への吸着は、一般に、フェライトFe3O4に代表される磁性微粒子をメタノール中に分散させ、その分散溶液にマクロモノマーを添加し、室温下に数時間攪拌することによって行われる。
【0017】
次に、マクロモノマーが吸着された磁性微粒子を、低極性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中に分散させて、架橋剤とモノマーの共重合(ラジカル重合)によって磁性微粒子の表面にポリマーコーティングを行なう。架橋剤としては、一般に、トリビニル化合物を用いる。また、モノマーとしては、カルボキシル基を有するとともに、分子全体として親水性のビニル化合物が好ましい。カルボキシル基の他には親水性基を有さず長いアルキル鎖を含むなどの構造から成る疎水性のモノマーを用いると、得られる磁性マーカーの分散安定性が悪くなる。
【0018】
このように、本発明で採用するポリマー系は、磁性微粒子のポリマーコーティングとして従来存しない新しい技術思想に基づくものである。ポリビニルピロリドンを用いる磁性体としては、ビニルピロリドン−酢酸ビニルの共重合樹脂に磁性体粉末を練り込む方法は報告されている(特開2000−28616)が、本発明の方法は、如上の説明から明らかなように、これとは全く異なるものである。
【0019】
本発明に従えば、フェライトFe3O4のような磁性微粒子を均一に一定厚みの合成ポリマーで抱合し、しかもこの磁性微粒子−合成ポリマー複合体表面に所定量のカルボキシル基を付けることができる。すなわち、磁性マーカー粒子1個あたりポリマー表面にカルボキシル基を500〜5000残基、望ましくは、2000〜3000残基を有するようにすることができる。
【0020】
また、本発明の方法に従えば、先ずフェライト超微粒子の表面にマクロモノマーを吸着させ、その後、カルボキシル基をもつモノマーを加え、架橋剤によってラジカル共重合させるという各工程の条件を適宜変えることにより、磁性マーカーの粒子サイズを40〜100nmの範囲で自由にコントロールすることができる。さらに、本発明の方法は粒子間凝集を誘起することなく、個々の磁性微粒子表面にカルボキシル基をもつポリマーで被覆させることができる。
【0021】
(4)磁性マーカーの特性
以上のようにして得られる本発明のSQUID磁気センサー用磁気マーカーは、分散安定性に優れ、一般に、水溶液中において1ヶ月以上安定に分散させることができる。
本発明のSQUID磁気センサー用磁気マーカーは、その表面に多数のカルボキシル基を有しているので、そのカルボキシル基を介して抗体を結合させることができる。そして、本発明の磁性マーカーは、抗体を高効率で結合させることができ、1例として、ウサギの抗体であるIgGを80%以上の収率で結合させることができた。
抗体が結合された本発明の磁性マーカーは、既述したように免疫反応(抗原−抗体反応)の測定に供されるが、その感度はきわめて高く、1例として、1pg(ピコグラム)以下の抗原(タンパク質)の測定もできる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の特徴をさらに具体的に示すため実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
実施例1:ポリマーコーティングフェライト微粒子の調製
図2に概示する反応スキームに従って、表面にカルボキシル基を有するポリマーコーティングフェライト微粒子(SQUID磁気センサー用磁性マーカー)を調製した。
<フェライト微粒子へのポリビニルピロリドンの吸着>
メタノール10mlにマクロモノマーとしてポリビニルピロリドン(分子量520)の0.004〜0.04g範囲内の一定量を溶解させた後、フェライトFe3O4(戸田工業製、粒子径25nm)微粒子0.05gを加えて、超音波を照射した。静かに4時間かきまぜたのち、ポリピロリドンを吸着した粒子を遠心分離器を用いて分離し、減圧乾燥させた。吸着量は、100〜800℃までの昇温時における重量減少から算出した。図3に吸着等温線を示す。ポリビニルピロリドンがフェライト微粒子1gあたり1.0×10− 3molに達して、一定になるとことがわかった。
【0023】
<ラジカル共重合によるフェライト微粒子のポリマーコーティング>
親水性マクロモノマーが吸着されたフェライト微粒子を以下に詳述するようにテトラヒドロフランに分散させてAIBN(重合開始剤)の存在下、架橋剤(トリビニル化合物)とモノマーの共重合によって微粒子表面のポリマーコーティングを行なった。
【0024】
<コーティング1:トリ((アクロイルオキシ)エチレン)アミン塩酸塩(a)とN−アクロイルアミノペンタン酸(b)の共重合によるフェライト微粒子のポリマーコーティング>
テトラヒドロフラン5mlにN−アクロイルペンタン酸0.12g(フェライト微粒子に吸着したポリビニルピロリドンのビニル基量の100倍量)および0〜100倍量の架橋剤トリ(アクロイルオキシ)アミン塩酸塩を溶解させた。この溶液にフェライト微粒子1gあたり0.2gのポリビニルピロリドンを吸着した粒子0.018g、さらに2,2’−アゾビス(イソブチルニトリル)0.01gを加えた後、65℃に10時間かきまぜた。複合粒子は遠心分離によって溶液から分離した。この操作を5回繰り返して、未反応モノマーおよび架橋剤を分離した。表1に、この方法で得られたフェライト微粒子表面のポリマー量を示した。この表1から、架橋剤の増加とともにポリマー結合量が増大するが、動的光散乱法(DLS)により測定した粒子径は29〜30nm程度であり、粒子間凝集は起こっていないことがわかる。(なお、DLS法による粒子径は、一般に、後述するような顕微鏡観察による実際の値よりは低くなる。)しかしながら、この方法で調製した複合粒子は、水中での分散継続時間が比較的短く、最大2日間であった。これは、モノマー(b)のメチレン鎖が長いため疎水性が高くなり水溶液中で低極性相互作用により粒子間凝集が起こり易くなるためと考えられる。
【0025】
【表1】
【0026】
<コーティング2:トリ((アクロイルオキシ)エチレン)アミン塩酸塩(a)とN−アクロイルグリシン(c)の共重合によるフェライト微粒子のポリマーコーティング>
このコーティングは、上記コーティング1と同様の操作で行なった。その結果を表2に示す。このコーティングにおいても、架橋剤の増大とともに結合ポリマー量が増大し、最大870mg/gに達した。得られた複合粒子のうち、特に、650〜700mg/gの結合ポリマー量をもつ粒子が4週間以上水溶液中で安定に分散し続けた。また、表面カルボキシル基量も架橋剤とともに増大し、最大60μmol/gとなった。なお、粒子径はDLS法によるものである。
【0027】
【表2】
【0028】
<コーティング3:トリ((アクロイルオキシ)エチレン)アミン塩酸塩(a)とN−アクロイルグルタミン酸(d)の共重合によるフェライト微粒子のポリマーコーティング>
このコーティングは、コーティング1と同様の操作で行なった。その結果を表3に示す。表中の粒子径はDLS法によるものである。このコーティングにおいても粒子間凝集は生じず、また架橋剤とともに結合ポリマー量は増大し、最大947mg/gとなった。図4に表3中エントリー4で得られた複合粒子の粒子径分布(DLS法)を示した。凝集による大径の粒子は存在しないことが理解される。また、表面カルボキシル基量も架橋剤濃度とともに増大し、最大97mmol/gに達した。この量は、粒子表面にカルボキシル基が単位平方ナノメーターあたり0.7個存在することに相当する。さらに、このコーティングで得られた複合粒子はすべて水溶液中で4週間以上も安定に分散し続けた。
【0029】
【表3】
【0030】
図5および図6に、未修飾フェライト微粒子とコーティング3で得られたポリマーコーティングフェライト微粒子の電子顕微鏡(SEM)写真を示す。未修飾粒子のSEM写真では、試料作成時の乾燥操作中に粒子間の凝集が観測されたが、ポリマーコーティングフェライト微粒子は良好に分散しており、その外径(直径)は約80nmであることが確認された。
【0031】
なお、表2および表3に示すポリマー表面のカルボキシル基の定量は次のように実施した:脱水、蒸留したクロロホルム5mlに複合粒子(ポリマーコーティングフェライト微粒子)10mgおよびN、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド15mgを加えた後、氷冷下で2時間かき混ぜた。その分散溶液へp−ニトロフェノールイミド15mgを加えて、室温で12時間かき混ぜた。未反応p−ニトロフェノールを遠心分離による洗浄によって複合粒子から分離した後、その粒子を減圧下に乾燥した。次に、そのp−ニトロフェノレート基を結合した粒子を精秤した後、4%アンモニア水4ml中に分散させて、12時間静かにかき混ぜた。p−ニトロフェノールを遊離した溶液を複合粒子から遠心分離操作によって分離したのち、洗浄液とあわせて溶液の全容量を10.0mlに調整した。この水溶液中に含まれるp−ニトロフェノール量は波長400nm(モル吸光係数ε=18000)の吸光度から決定した。
【0032】
実施例2:抗体の結合
実施例1のコーティング3の方法で調製したポリマーコーティングフェライト微粒子(磁性マーカー)0.017gをpH7.0リン酸緩衝溶液5ml中へ分散させて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.01gを加えた。この溶液を4℃で1時間かき混ぜたあと、ウサギ抗体IgG 0.16mg(微粒子1gあたり9.3mg/g)を加え、続いて室温で6時間かき混ぜた。抗体を結合した粒子は、リン酸緩衝溶液から遠心分離によって分離した。結合した抗体量は、7.0m/gであった。抗体の結合量は、この反応において仕込んだ抗体量から非結合抗体量を差し引いた量とした。これらの量は、波長280nmにおける吸光度から決定した。
図7にウサギIgGのポリマー被覆フェライト微粒子への結合結果を示す。粒子1グラムあたり10mg程度の添加では、添加量の80%程度が結合し、本発明の方法で得られる複合粒子(磁性マーカー)が抗体に対して高い固定化効率を示すことが明らかとなった。
【0033】
実施例3:磁性体重量と SQUID 出力関係
実施例1のコーティング3の方法で調製され、直径が25nmのFe3O4微粒子をポリマーコーティングしその表面にカルボキシル基を結合させた外径80nmの磁性マーカーからの磁気信号をSQUID磁気センサーで計測した。磁気マーカーの重さを変化させた時のSQUID出力の測定結果を図8に示す。図の横軸は磁性マーカー中のフェライト微粒子の重さ(pg)であり、縦軸はSQUID出力(mΦ0)を示す。同図に示すようにマーカーの重さとSQUID出力の間には非常によい相関が得られた。SQUIDセンサーは0.1mΦ0以下のレベルまで測定できるので、図から本磁性マーカーでは1pg以下のフェライト微粒子が測定できることがわかる。
【0034】
実施例4:抗体を結合した磁性マーカーと SQUID 出力関係
実施例2のように抗体を結合させた磁性マーカーとSQUID磁気センサーを用いて抗原(タンパク質)の検出を行なった。前記ウサギIgGに特異的なタンパク質と該抗体の結合量を磁性マーカーからの磁気信号を用いて測定した。図9にタンパク質の量とSQUID出力の測定結果を示す。図の横軸はタンパク質の重さ(pg)であり、縦軸はSQUID出力(mΦ0)を示す。同図に示すようにタンパク質の重さとSQUID出力の間には非常によい相関が得られた。SQUIDセンサーは0.1mΦ0以下のレベルまで測定できるので、図から本磁性マーカーでは0.2pg程度のタンパク質が測定できることがわかる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の磁性マーカーは、高温超伝導SQUIDとの組み合わせにより、超高感度に免疫反応(抗原抗体反応)を測定できるために、長足に進歩している最近の医療関連でも有用であり、従来は不可能であった生体内物質の測定も可能とすることによって新事実の発見に繋がる等、多くの分野で寄与するものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性マーカーを用いてSQUID磁気センサーにより免疫反応を測定する原理を模式的に示す。
【図2】本発明に従い磁性微粒子をポリマーコーティングする反応スキームと用いる反応物の構造式を例示する。
【図3】本発明に従い磁性微粒子にマクロモノマーを吸着させる場合の吸着等温線(25℃)を例示する。
【図4】本発明に従い磁性微粒子をポリマーコーティングして得られる複合粒子(磁性マーカー)の粒子径分布を例示する。
【図5】本発明に従いポリマーコーティングする前の未修飾フェライト微粒子を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】本発明に従いポリマーコーティングによって得られた複合粒子(磁性マーカー)の電子顕微鏡(SEM)写真の1例である。
【図7】本発明の磁性粒子に抗体を結合させた場合の結果の1例を示すグラフである。
【図8】本発明に従う磁性マーカー中の磁性微粒子の重量とSQUID出力の関係を示す1例である。
【図9】本発明に従う抗体結合磁性マーカーを用いてタンパク質の検出を行なった場合のタンパク質の量とSQUID出力の関係を示す1例である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、免疫反応を測定するための技術分野に属し、特に、SQUID磁気センサーにより免疫反応を測定するのに用いられるきわめて高感度の磁性マーカーに関する。
【0002】
【従来の技術】
免疫反応、すなわち、抗原−抗体反応の測定は、病原菌等の検出、疾病の診断、遺伝子解析、環境関連物質の計測など広範な分野で利用されている。この免疫反応の測定は、被測定物質(抗原)とこれに特異的に結合する検査試薬(抗体)との結合を測定し、被測定物質の定性および/または定量を行なうものである。
【0003】
免疫反応の測定には、これまで主として光学的な手法が用いられている。すなわち、発光酵素などの光学的マーカーを検査試薬(抗体)に付加し、そのマーカーからの光を測定することにより免疫反応(抗原−抗体反応)の検出を行なっている。しかし、近年、微量な反応を高感度で高速に検出する要求が非常に高まっているが、既存のシステムではこの要求を満たせなくなっている場合も多い。このため、高感度の新しいタイプの免疫反応測定システムの開発が望まれている。
【0004】
最近、超伝導状態で出現する量子効果(磁束の量子化)を利用するSQUID(superconducting quantum interference device)は、極めて微弱な磁界の計測を可能にするため、高感度の磁気センサーとして注目されている。SQUIDの最も大きな応用分野は、脳から発生する磁界を計測し脳機能の解明や診断を行なう脳磁界計測の分野であるが、その他の医学、材料評価、物質分析、精密計測、資源探査などの種々の分野への応用も始まっており、免疫反応の測定にSQUIDを用いることも提示されている(例えば、円福敬二「SQUIDを用いた抗原−抗体反応計測」応用物理、第70巻、第1号、48〜49頁(2001)参照)(非特許文献1)。
【0005】
SQUIDを利用する免疫反応測定システムにおいては、磁性微粒子を内包するポリマーの表面に抗体が付加されて構成される磁性マーカーを用いて、その抗体が被測定物質の抗原との間で抗原−抗体結合反応を生じたときの磁界マーカーからの微弱な磁界信号をSQUIDにより測定する(図1参照)。実際の測定においては、一般に、SQUIDを固定し、サンプルを移動させて磁気信号を検出する方式が採られる。
【0006】
SQUIDを用いる免疫反応測定システムは、高感度センサーとして、例えば、蛍光抗体測定法に比べて約10倍の感度が得られることも確認されている(前記非特許文献1)が、システム性能を改善することにより更に高感度で免疫反応を検出することができるものと期待される。SQUIDによる免疫反応検出システムを改善するためのアプローチは、低雑音化(ノイズ低減)のように測定装置の性能向上を図るとともに、磁性マーカーとして最適なものを開発することである。
【0007】
しかしながら、SQUID磁気センサー用磁性マーカーの感度を高めるための条件を体系的に検討された従来技術は見当らない。例えば、特表平11−508031号公報(特許文献1)には、磁気センサーとしてSQUIDを用いることを含むイムノアッセイのための磁性粒子について言及されているが、SQUID磁気センサー用磁性マーカーの感度を高める技術に関する具体的な開示はなされていない。例えば、磁性粒子の粒子サイズは1〜1000nmの広い範囲にあるとしており単に考えられる範囲を思いつきのままに定めたにすぎず、磁性粒子の粒径に関する技術的検討は何ら行なわれていない。また、高感度の磁性マーカーを得るためのポリマーの種類やその合成法に関する具体的開示も全く見出されない。
【0008】
ポリマー内部に磁気微粒子を内包し、その表面に抗体を結合した、如上の磁気標識抗体は、これまで主として抗体の精製・分離に用いられてきた。このような用途では磁性微粒子にいわゆる超常磁性を持たせるため、磁性微粒子としては粒子径が10〜15nm程度であり、ポリマー粒子径(全体の外径)としては直径が50〜1000nmのものが市販されている。しかしながら、従来のこのような磁気標識抗体を抗体抗原反応の検出に応用した場合には、磁気微粒子の特性が不充分であるため、高感度検出が阻害されている。
【特許文献1】特表平11−508031号公報
【非特許文献1】円福敬二「SQUIDを用いた抗原−抗体反応計測」応用物理、第70巻、第1号、48〜49頁(2001)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、SQUID磁気センサーによる免疫反応の測定に用いられるのに好適な高感度の磁性マーカーとその作製に関する新しい技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、磁性マーカーの芯(コア)を形成する磁性微粒子の粒子径、およびその周りを被覆するポリマーの粒子径(厳密には磁性マーカー全体の外径)が、SQUID磁気センサー用磁性マーカーの感度に影響することに着意するとともに、それらの因子の最適な磁性マーカーの作製が確保できるポリマー系を設計、合成することにより本発明を導き出したものである。
【0011】
かくして、本発明に従えば、磁性微粒子とその周りを被覆するポリマーとから構成され、SQUID磁気センサーにより免疫反応を測定するのに用いられる磁性マーカーであって、前記磁性微粒子の粒子径が20〜40nmであり、前記磁性マーカーの外径が40〜100nmであり、さらに、前記ポリマーの表面にカルボキシル基を有することを特徴とするSQUID磁気センサー用磁性マーカーが提供される。本発明の磁性マーカーの好ましい態様に従えば、磁性微粒子は一般にフェライトFe3O4から成る。
【0012】
本発明は、さらに、以上のようなSQUID磁気センサー用磁性マーカーを作製する方法であって、(i)磁性微粒子の表面に、末端に重合性ビニル基を有し親水性で分子量が500〜1000のマクロモノマーを吸着させる工程、および(ii)その後、カルボキシル基を有し親水性のビニル化合物から成るモノマーと架橋剤とを加えて共重合させる工程を含むことを特徴とする方法を提供する。本発明に従うSQUID磁気センサー用磁性マーカーの作製方法の好ましい態様においては、ポリマーの合成に用いられるマクロモノマーは、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンまたはポリアクリルアミドである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、SQUID磁気センサー用磁性マーカーの感度を支配する問題点をひとつひとつ検討しながらそれらの技術の総まとめとして目的の超高感度磁性マーカーが得られたことに基づくものである。以下、それらの問題点に沿って本発明の実施の形態を詳述する。
【0014】
(1)磁性微粒子とその粒子径:
本発明者が見出したところによれば、SQUID磁気センサーに用いられる磁性マーカーにおいては、ポリマー粒子に内包された磁性微粒子の粒子径(直径)として既述したような市販の磁気微粒子より大きく、20〜40nmのものが必要となる。これは、磁性微粒子からの磁気信号は微粒子の体積に比例するため、大きな微粒子により大きな信号が得られるためである。さらに、磁性微粒子の体積が大きくなると磁気特性は大きく変化し、微粒子はいわゆる超常磁性の特性から残留磁気をもつ特性へと変化する。これによって磁性微粒子からの磁気信号は極めて大きくなる。
なお、このような磁気が発生するための最小粒子径は、次のような理論的計算によっても裏づけられる:磁性微粒子の体積をV、その磁気異方性エネルギーをKとすると、超常磁性から残留磁気特性への変化は、KV/kBT〜20(kBはボルツマン定数、T=300K)で生じることになる。磁気微粒子としてFe3O4を用いた場合にはK=10〜20(kJ/m3)と見積もられるので、このときの微粒子の直径はd=20〜25nmとなる。従って微粒子の大きさとしてはd>20nmが望ましいことが理解される。
一方、本発明が対象とする水溶液中で抗原(被測定物質)と結合するように用いられる磁気標識抗体としては、充分な分散性を持つことが重要である。分散性が悪いと抗原−抗体の結合反応が阻害されてしまう。磁性微粒子の大きさがあまり大きくなりすぎると分散性が悪くなるとともに、沈降が顕著になる。この問題を避けるためには磁性微粒子を内包した高分子全体(厳密に言えば、磁性マーカー全体)の比重を1〜3程度に保つ必要がある。従って、磁性微粒子の大きさとしてはd<40nm程度にする必要がある。
用いる磁性微粒子としては、基本的には、鉄鉱、Fe2O3、Fe3O4など何れも使用できるが、最大の磁力を示すFe3O4であるフェライトが特に好ましい。
【0015】
(2)磁性マーカーの外径:
さらに、本発明のSQUID磁気センサー用磁性マーカーにおいては、ポリマー粒子の直径(厳密には、磁性マーカー全体の外径)は40nm以上であって100nm以下のものが必要となる。これは、免疫反応(抗原−抗体の結合反応)検出においてポリマーの大きさが大きすぎると磁気標識抗体と抗原との結合が効率的に行なわれないためである。さらに、磁性微粒子に関連して上述したように、磁性マーカーの粒子径(外径)が全体として大きすぎると分散性が悪くなり沈殿が生じ易くなることからも好ましくない。
【0016】
(3)採用するポリマー系:
以上のような特性を有するSQUID磁気センサー用磁性マーカーは、本発明者によって設計されたポリマー系を用いることによって最適に作製することができる。すなわち、本発明に従えば、磁性微粒子の表面に、末端に重合性ビニル基を有し親水性で分子量が500〜1000のマイクロモノマーを吸着させた後、カルボキシル基を有し親水性のビニル化合物から成るモノマーと架橋剤とを加えて共重合させることによって、磁性微粒子に対して効果的にポリマーコーティング(被覆)が行なわれ、磁性微粒子の粒子径が20〜40nmで磁性マーカーの外径が40〜100nmであり、ポリマーの表面にカルボキシル基を有するSQUID磁気センサー用磁性マーカーを得ることができる。
用いるマイクロモノマーとして特に好適な例は、ポリビニルピロリドンであるが、その他に、ポリオキシエチレンまたはポリアクリルアミドなどを用いることもできる。このようなマクロモノマーの磁性微粒子への吸着は、一般に、フェライトFe3O4に代表される磁性微粒子をメタノール中に分散させ、その分散溶液にマクロモノマーを添加し、室温下に数時間攪拌することによって行われる。
【0017】
次に、マクロモノマーが吸着された磁性微粒子を、低極性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中に分散させて、架橋剤とモノマーの共重合(ラジカル重合)によって磁性微粒子の表面にポリマーコーティングを行なう。架橋剤としては、一般に、トリビニル化合物を用いる。また、モノマーとしては、カルボキシル基を有するとともに、分子全体として親水性のビニル化合物が好ましい。カルボキシル基の他には親水性基を有さず長いアルキル鎖を含むなどの構造から成る疎水性のモノマーを用いると、得られる磁性マーカーの分散安定性が悪くなる。
【0018】
このように、本発明で採用するポリマー系は、磁性微粒子のポリマーコーティングとして従来存しない新しい技術思想に基づくものである。ポリビニルピロリドンを用いる磁性体としては、ビニルピロリドン−酢酸ビニルの共重合樹脂に磁性体粉末を練り込む方法は報告されている(特開2000−28616)が、本発明の方法は、如上の説明から明らかなように、これとは全く異なるものである。
【0019】
本発明に従えば、フェライトFe3O4のような磁性微粒子を均一に一定厚みの合成ポリマーで抱合し、しかもこの磁性微粒子−合成ポリマー複合体表面に所定量のカルボキシル基を付けることができる。すなわち、磁性マーカー粒子1個あたりポリマー表面にカルボキシル基を500〜5000残基、望ましくは、2000〜3000残基を有するようにすることができる。
【0020】
また、本発明の方法に従えば、先ずフェライト超微粒子の表面にマクロモノマーを吸着させ、その後、カルボキシル基をもつモノマーを加え、架橋剤によってラジカル共重合させるという各工程の条件を適宜変えることにより、磁性マーカーの粒子サイズを40〜100nmの範囲で自由にコントロールすることができる。さらに、本発明の方法は粒子間凝集を誘起することなく、個々の磁性微粒子表面にカルボキシル基をもつポリマーで被覆させることができる。
【0021】
(4)磁性マーカーの特性
以上のようにして得られる本発明のSQUID磁気センサー用磁気マーカーは、分散安定性に優れ、一般に、水溶液中において1ヶ月以上安定に分散させることができる。
本発明のSQUID磁気センサー用磁気マーカーは、その表面に多数のカルボキシル基を有しているので、そのカルボキシル基を介して抗体を結合させることができる。そして、本発明の磁性マーカーは、抗体を高効率で結合させることができ、1例として、ウサギの抗体であるIgGを80%以上の収率で結合させることができた。
抗体が結合された本発明の磁性マーカーは、既述したように免疫反応(抗原−抗体反応)の測定に供されるが、その感度はきわめて高く、1例として、1pg(ピコグラム)以下の抗原(タンパク質)の測定もできる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の特徴をさらに具体的に示すため実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
実施例1:ポリマーコーティングフェライト微粒子の調製
図2に概示する反応スキームに従って、表面にカルボキシル基を有するポリマーコーティングフェライト微粒子(SQUID磁気センサー用磁性マーカー)を調製した。
<フェライト微粒子へのポリビニルピロリドンの吸着>
メタノール10mlにマクロモノマーとしてポリビニルピロリドン(分子量520)の0.004〜0.04g範囲内の一定量を溶解させた後、フェライトFe3O4(戸田工業製、粒子径25nm)微粒子0.05gを加えて、超音波を照射した。静かに4時間かきまぜたのち、ポリピロリドンを吸着した粒子を遠心分離器を用いて分離し、減圧乾燥させた。吸着量は、100〜800℃までの昇温時における重量減少から算出した。図3に吸着等温線を示す。ポリビニルピロリドンがフェライト微粒子1gあたり1.0×10− 3molに達して、一定になるとことがわかった。
【0023】
<ラジカル共重合によるフェライト微粒子のポリマーコーティング>
親水性マクロモノマーが吸着されたフェライト微粒子を以下に詳述するようにテトラヒドロフランに分散させてAIBN(重合開始剤)の存在下、架橋剤(トリビニル化合物)とモノマーの共重合によって微粒子表面のポリマーコーティングを行なった。
【0024】
<コーティング1:トリ((アクロイルオキシ)エチレン)アミン塩酸塩(a)とN−アクロイルアミノペンタン酸(b)の共重合によるフェライト微粒子のポリマーコーティング>
テトラヒドロフラン5mlにN−アクロイルペンタン酸0.12g(フェライト微粒子に吸着したポリビニルピロリドンのビニル基量の100倍量)および0〜100倍量の架橋剤トリ(アクロイルオキシ)アミン塩酸塩を溶解させた。この溶液にフェライト微粒子1gあたり0.2gのポリビニルピロリドンを吸着した粒子0.018g、さらに2,2’−アゾビス(イソブチルニトリル)0.01gを加えた後、65℃に10時間かきまぜた。複合粒子は遠心分離によって溶液から分離した。この操作を5回繰り返して、未反応モノマーおよび架橋剤を分離した。表1に、この方法で得られたフェライト微粒子表面のポリマー量を示した。この表1から、架橋剤の増加とともにポリマー結合量が増大するが、動的光散乱法(DLS)により測定した粒子径は29〜30nm程度であり、粒子間凝集は起こっていないことがわかる。(なお、DLS法による粒子径は、一般に、後述するような顕微鏡観察による実際の値よりは低くなる。)しかしながら、この方法で調製した複合粒子は、水中での分散継続時間が比較的短く、最大2日間であった。これは、モノマー(b)のメチレン鎖が長いため疎水性が高くなり水溶液中で低極性相互作用により粒子間凝集が起こり易くなるためと考えられる。
【0025】
【表1】
【0026】
<コーティング2:トリ((アクロイルオキシ)エチレン)アミン塩酸塩(a)とN−アクロイルグリシン(c)の共重合によるフェライト微粒子のポリマーコーティング>
このコーティングは、上記コーティング1と同様の操作で行なった。その結果を表2に示す。このコーティングにおいても、架橋剤の増大とともに結合ポリマー量が増大し、最大870mg/gに達した。得られた複合粒子のうち、特に、650〜700mg/gの結合ポリマー量をもつ粒子が4週間以上水溶液中で安定に分散し続けた。また、表面カルボキシル基量も架橋剤とともに増大し、最大60μmol/gとなった。なお、粒子径はDLS法によるものである。
【0027】
【表2】
【0028】
<コーティング3:トリ((アクロイルオキシ)エチレン)アミン塩酸塩(a)とN−アクロイルグルタミン酸(d)の共重合によるフェライト微粒子のポリマーコーティング>
このコーティングは、コーティング1と同様の操作で行なった。その結果を表3に示す。表中の粒子径はDLS法によるものである。このコーティングにおいても粒子間凝集は生じず、また架橋剤とともに結合ポリマー量は増大し、最大947mg/gとなった。図4に表3中エントリー4で得られた複合粒子の粒子径分布(DLS法)を示した。凝集による大径の粒子は存在しないことが理解される。また、表面カルボキシル基量も架橋剤濃度とともに増大し、最大97mmol/gに達した。この量は、粒子表面にカルボキシル基が単位平方ナノメーターあたり0.7個存在することに相当する。さらに、このコーティングで得られた複合粒子はすべて水溶液中で4週間以上も安定に分散し続けた。
【0029】
【表3】
【0030】
図5および図6に、未修飾フェライト微粒子とコーティング3で得られたポリマーコーティングフェライト微粒子の電子顕微鏡(SEM)写真を示す。未修飾粒子のSEM写真では、試料作成時の乾燥操作中に粒子間の凝集が観測されたが、ポリマーコーティングフェライト微粒子は良好に分散しており、その外径(直径)は約80nmであることが確認された。
【0031】
なお、表2および表3に示すポリマー表面のカルボキシル基の定量は次のように実施した:脱水、蒸留したクロロホルム5mlに複合粒子(ポリマーコーティングフェライト微粒子)10mgおよびN、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド15mgを加えた後、氷冷下で2時間かき混ぜた。その分散溶液へp−ニトロフェノールイミド15mgを加えて、室温で12時間かき混ぜた。未反応p−ニトロフェノールを遠心分離による洗浄によって複合粒子から分離した後、その粒子を減圧下に乾燥した。次に、そのp−ニトロフェノレート基を結合した粒子を精秤した後、4%アンモニア水4ml中に分散させて、12時間静かにかき混ぜた。p−ニトロフェノールを遊離した溶液を複合粒子から遠心分離操作によって分離したのち、洗浄液とあわせて溶液の全容量を10.0mlに調整した。この水溶液中に含まれるp−ニトロフェノール量は波長400nm(モル吸光係数ε=18000)の吸光度から決定した。
【0032】
実施例2:抗体の結合
実施例1のコーティング3の方法で調製したポリマーコーティングフェライト微粒子(磁性マーカー)0.017gをpH7.0リン酸緩衝溶液5ml中へ分散させて、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.01gを加えた。この溶液を4℃で1時間かき混ぜたあと、ウサギ抗体IgG 0.16mg(微粒子1gあたり9.3mg/g)を加え、続いて室温で6時間かき混ぜた。抗体を結合した粒子は、リン酸緩衝溶液から遠心分離によって分離した。結合した抗体量は、7.0m/gであった。抗体の結合量は、この反応において仕込んだ抗体量から非結合抗体量を差し引いた量とした。これらの量は、波長280nmにおける吸光度から決定した。
図7にウサギIgGのポリマー被覆フェライト微粒子への結合結果を示す。粒子1グラムあたり10mg程度の添加では、添加量の80%程度が結合し、本発明の方法で得られる複合粒子(磁性マーカー)が抗体に対して高い固定化効率を示すことが明らかとなった。
【0033】
実施例3:磁性体重量と SQUID 出力関係
実施例1のコーティング3の方法で調製され、直径が25nmのFe3O4微粒子をポリマーコーティングしその表面にカルボキシル基を結合させた外径80nmの磁性マーカーからの磁気信号をSQUID磁気センサーで計測した。磁気マーカーの重さを変化させた時のSQUID出力の測定結果を図8に示す。図の横軸は磁性マーカー中のフェライト微粒子の重さ(pg)であり、縦軸はSQUID出力(mΦ0)を示す。同図に示すようにマーカーの重さとSQUID出力の間には非常によい相関が得られた。SQUIDセンサーは0.1mΦ0以下のレベルまで測定できるので、図から本磁性マーカーでは1pg以下のフェライト微粒子が測定できることがわかる。
【0034】
実施例4:抗体を結合した磁性マーカーと SQUID 出力関係
実施例2のように抗体を結合させた磁性マーカーとSQUID磁気センサーを用いて抗原(タンパク質)の検出を行なった。前記ウサギIgGに特異的なタンパク質と該抗体の結合量を磁性マーカーからの磁気信号を用いて測定した。図9にタンパク質の量とSQUID出力の測定結果を示す。図の横軸はタンパク質の重さ(pg)であり、縦軸はSQUID出力(mΦ0)を示す。同図に示すようにタンパク質の重さとSQUID出力の間には非常によい相関が得られた。SQUIDセンサーは0.1mΦ0以下のレベルまで測定できるので、図から本磁性マーカーでは0.2pg程度のタンパク質が測定できることがわかる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の磁性マーカーは、高温超伝導SQUIDとの組み合わせにより、超高感度に免疫反応(抗原抗体反応)を測定できるために、長足に進歩している最近の医療関連でも有用であり、従来は不可能であった生体内物質の測定も可能とすることによって新事実の発見に繋がる等、多くの分野で寄与するものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性マーカーを用いてSQUID磁気センサーにより免疫反応を測定する原理を模式的に示す。
【図2】本発明に従い磁性微粒子をポリマーコーティングする反応スキームと用いる反応物の構造式を例示する。
【図3】本発明に従い磁性微粒子にマクロモノマーを吸着させる場合の吸着等温線(25℃)を例示する。
【図4】本発明に従い磁性微粒子をポリマーコーティングして得られる複合粒子(磁性マーカー)の粒子径分布を例示する。
【図5】本発明に従いポリマーコーティングする前の未修飾フェライト微粒子を示す電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図6】本発明に従いポリマーコーティングによって得られた複合粒子(磁性マーカー)の電子顕微鏡(SEM)写真の1例である。
【図7】本発明の磁性粒子に抗体を結合させた場合の結果の1例を示すグラフである。
【図8】本発明に従う磁性マーカー中の磁性微粒子の重量とSQUID出力の関係を示す1例である。
【図9】本発明に従う抗体結合磁性マーカーを用いてタンパク質の検出を行なった場合のタンパク質の量とSQUID出力の関係を示す1例である。
Claims (6)
- 磁性微粒子とその周りを被覆するポリマーとから構成され、SQUID磁気センサーにより免疫反応を測定するのに用いられる磁性マーカーであって、前記磁性微粒子の粒子径が20〜40nmであり、前記磁性マーカーの外径が40〜100nmであり、さらに、前記ポリマーの表面にカルボキシル基を有することを特徴とするSQUID磁気センサー用磁性マーカー。
- 前記磁性微粒子がフェライトFe3O4から成ることを特徴とする請求項1に記載の磁性マーカー。
- 前記磁性マーカーの粒子1個あたりポリマー表面に500〜5,000残基のカルボキシル基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁性マーカー。
- 前記磁性マーカーの粒子1個あたりポリマー表面に2000〜3000残基のカルボキシル基を有することを特徴とする請求項3に記載の磁性マーカー。
- 請求項1〜4のいずれかのSQUID磁気センサー用磁性マーカーを作製する方法であって、(i)磁性微粒子の表面に、末端に重合性ビニル基を有し親水性で分子量が500〜1000のマクロモノマーを吸着させる工程、および(ii)その後、カルボキシル基を有し親水性のビニル化合物から成るモノマーと架橋剤とを加えて共重合させる工程を含むことを特徴とする方法。
- 前記マクロモノマーが、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンまたはポリアクリルアミドであることを特徴とする請求項5に記載の磁性マーカー作製方法。
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