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JP2004177469A - 画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

画像形成方法および画像形成装置 Download PDF

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JP2004177469A
JP2004177469A JP2002340793A JP2002340793A JP2004177469A JP 2004177469 A JP2004177469 A JP 2004177469A JP 2002340793 A JP2002340793 A JP 2002340793A JP 2002340793 A JP2002340793 A JP 2002340793A JP 2004177469 A JP2004177469 A JP 2004177469A
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JP2002340793A
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Tatsuji Okamura
竜次 岡村
Junichiro Hashizume
淳一郎 橋爪
Kazuto Hosoi
一人 細井
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Abstract

【課題】電子写真感光体の表面に傷がつきにくく、トナーの融着、ムラ削れの発生が少なく、高品質の画像を形成できる画像形成方法および画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成方法は、円筒状基体上に、光導電層と、少なくとも炭素および水素を含む非単結晶材料から成る表面層とを有する電子写真感光体を用い、接触帯電方式の電子写真プロセスにより画像を形成する方法であって、画像形成時の電子写真感光体表面層の摩耗量が該表面層のダイナミック硬度に対して実質的に相関を持たない領域、つまり、凝着摩耗領域で画像形成する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真プロセスによる画像形成方法および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真装置では、導電性基体上に、例えば、a−Siから成る光導電層を成膜した感光体を用い、この感光体の表面をコロナ帯電、ローラ帯電、ファーブラシ帯電、磁気ブラシ帯電等により一様に帯電させ、反射光や変調信号に応じてレーザーやLEDにより被複写像を露光することで感光体の表面上に静電潜像を形成し、潜像と逆極性に帯電されたトナーを付着させることで現像し、これを複写用紙などに転写することで複写が行なわれる。このとき、感光体の表面は接触帯電部材等により摺擦され、磨耗する。
【0003】
また、このような電子写真装置では、通常、感光体の表面にトナーが一部残留するため、残留トナーを除去する必要がある。残留トナーは、一般的に、クリーニングブレード、ファーブラシ、マグネットブラシ等を用いたクリーニング工程により除去される。
【0004】
近年の電子写真装置では、印刷画像の高画質化や省エネルギー化のために、従来よりも平均粒径が小さく、融点が低いトナーが用いられるようになってきている。また、電気回路素子の発達に伴って、複写速度が向上し、感光体の回転数も上昇の一途をたどっている。
【0005】
しかし、電子写真装置の複写速度が速くなると、摺擦部分の相対速度が速くなるために、トナーの融着やムラ削れがより発生しやすくなる傾向がある。また、このトナーの融着は、低融点トナーの場合にはさらに発生しやすくなる傾向がある。低融点トナーは、近年の省エネルギー化の要請で消費電力を低減するために定着器の温度設定を下げた際にも定着不良を起こしにくいので、よく用いられている。
【0006】
その結果、近年の電子写真装置では、印刷画像の高画質化、省エネルギー化および複写速度の向上に伴って、感光体表面に発生するトナーの融着やムラ削れが問題になる場合が生じている。特に、電子写真装置のデジタル化の進展に伴い、画質に対する要求がレベルアップし、従来許容されていた画像欠陥も問題視されるようになってきている。
【0007】
これまでトナーの融着を防止するためには、クリーニングブレードの押し当て圧を高くしたり、トナーの外添材として含まれるシリカ成分を多くしたりする等の、いわゆる研磨力をアップすることが行われてきた。しかし、この研磨力アップは、逆に電子写真感光体自身をも研磨してしまって筋状のムラ削れを引き起こすことがあり、ハーフトーン画像やベタ黒画像を荒らし、画像品質を極端に低下させてしまうという弊害を併発する場合もある。
【0008】
このため、トナーの融着を起こしにくい表面特性を持った電子写真感光体の最表面を構成する材料、あるいは、ブレード圧をアップしたり、トナーに外添材を添加したりして研磨力をアップした場合に、たとえ感光体表面に削れが発生しても滑らかに削れて筋状のムラ削れを起こさない電子写真感光体の最表面を構成する材料を検討、開発する必要があった。
【0009】
上記問題を解決するための対策として、例えば、特許文献1および特許文献2には、水素を含有した非単結晶炭素(a−C:H)膜で最表面が構成されている電子写真感光体が開示されている。
【0010】
a−C:Hは、別名ダイヤモンドライクカーボン(DLC)と呼ばれるように硬度が非常に高いために傷や摩耗に強く、特異な固体潤滑性を備えているのでトナーの融着やムラ削れの防止に最適な材料の一つと考えられている。実際、感光体表面にa−C:H膜を形成した場合、様々な環境において融着やムラ削れを効果的に防止できることが確認されている。しかし、前述のように、印刷画像の高画質化、省エネルギー化および複写速度の向上に伴い、感光体表面に発生するトナーの融着やムラ削れをさらに効果的に防止することが求められている。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−133640号公報
【特許文献2】
特開平11−133641号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電子写真感光体の表面に傷がつきにくく、トナーの融着、ムラ削れの発生が少なく、高品質の画像を形成できる画像形成方法および画像形成装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、電子写真プロセスと感光体の表面層の磨耗量との関係に着目し、表面層の磨耗が表面層の硬さ、すなわちダイナミック硬度と相関を持たない領域、いわゆる凝着磨耗領域となる範囲で画像を形成することによって、感光体表面に傷がつきにくく、トナーの融着、ムラ削れの発生が少なくなることを見出した。
【0014】
すなわち、上記課題は以下の本発明により解決される。
【0015】
(1) 円筒状基体上に、光導電層と、少なくとも炭素および水素を含む非単結晶材料から成る表面層とを有する電子写真感光体を帯電させる接触帯電工程と、
像露光を行うことにより前記電子写真感光体上に静電潜像を形成させる潜像形成工程と、
前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像を現像して、トナー像を形成させる現像工程と、
前記トナー像を、中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写させる転写工程とを有する画像形成方法であって、
画像形成時の前記電子写真感光体表面層の摩耗量が該表面層のダイナミック硬度に対して実質的に相関を持たない領域で画像形成を行うことを特徴とする画像形成方法。
【0016】
(2) 前記帯電工程は、磁性粒子を磁気拘束することによって形成される磁気ブラシを、前記電子写真感光体の表面に当接させ電圧を印加することにより前記電子写真感光体を帯電させる磁気ブラシ帯電器を用いた帯電工程であることを特徴とする(1)に記載の画像形成方法。
【0017】
(3) 前記表面層が、炭素原子を母材とし、シリコン原子と炭素原子の和に対するシリコン原子の比が0<Si/Si+C<0.1であるシリコン微量添加炭素膜であることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成方法。
【0018】
(4) 前記表面層が、ハロゲンを含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0019】
(5) 前記磁性粒子は、体積平均径が10〜50μmであるフェライト粒子であって、該フェライトの組成は、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、鉄、リチウム、ストロンチウム、バリウムの少なくとも一つの金属元素を含むことを特徴とする(2)〜(4)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0020】
(6) 前記感光体の表面の移動速度に基づくプロセススピードが50〜1000mm/secであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0021】
(7) 前記磁気ブラシと感光体との相対速度が0%〜400%となるように前記磁気ブラシを回転させながら前記電子写真感光体を帯電させることを特徴とする(2)〜(6)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0022】
(8) 前記帯電工程は、導電性微粉体と、この導電性微粉体を表面に担持する帯電部材とを有する装置において、該導電性微粉体が該電子写真感光体と当接部を形成し、該帯電部材に電圧を印加することによって該電子写真感光体を帯電させる帯電工程であることを特徴とする(1)に記載の画像形成方法。
【0023】
(9) 前記表面層が、炭素原子を母材とし、シリコン原子と炭素原子の和に対するシリコン原子の比が0<Si/Si+C<0.1であるシリコン微量添加炭素膜であることを特徴とする(8)に記載の画像形成方法。
【0024】
(10) 前記表面層が、ハロゲンを含むことを特徴とする(8) または(9)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0025】
(11) 前記導電性微粉体は、体積平均粒子径が0.5〜10μmであるカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉末または銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、またはこれらの複合酸化物であることを特徴とする(8)〜(10)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0026】
(12) 前記帯電部材は多孔体表面を有する弾性体であることを特徴とする(8)〜(11)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0027】
(13) 前記帯電部材はアスカーC硬度が50度以下のローラー部材であることを特徴とする(8)〜(12)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0028】
(14) 前記感光体の表面の移動速度に基づくプロセススピードが50〜1000mm/secであることを特徴とする(8)〜(11)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0029】
(15) 前記帯電部材と感光体との相対速度が0%〜400%となるように前記帯電部材を回転させながら前記電子写真感光体を帯電させることを特徴とする(8)〜(14)のいずれかに記載の画像形成方法。
【0030】
(16)円筒状基体上に、光導電層と、少なくとも炭素および水素を含む非単結晶材料から成る表面層とを有する電子写真感光体を帯電させる接触帯電工程と、
像露光を行うことにより前記電子写真感光体上に静電潜像を形成させる潜像形成工程と、
前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像を現像して、トナー像を形成させる現像工程と、
前記トナー像を、中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写させる転写工程とを有する画像形成装置であって、
画像形成時の前記電子写真感光体表面層の摩耗量が該表面層のダイナミック硬度に対して実質的に相関を持たない領域で画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の画像形成方法は、円筒状基体上に、光導電層と、少なくとも炭素および水素を含む非単結晶材料から成る表面層とを有する電子写真感光体を接触帯電させる帯電工程と、
像露光を行うことにより前記電子写真感光体上に静電潜像を形成させる潜像形成工程と、
前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像を現像して、トナー像を形成させる現像工程と、
前記トナー像を、中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写させる転写工程とを有する画像形成方法であって、
画像形成時の電子写真感光体表面層の摩耗量が、該表面層のダイナミック硬度に対して実質的に相関を持たない領域、つまり、表面層の摩耗が凝着摩耗領域となる範囲で画像形成されるものである。本発明は、特に、接触帯電方法により電子写真感光体を帯電させる場合、中でも、磁性粒子を磁気拘束して形成される磁気ブラシ帯電器により電子写真感光体を帯電させる場合、または、導電性の多孔体表面を有する弾性体ローラーにより、導電性微粉体を介して、電子写真感光体を帯電させる場合に有効である。
【0032】
例えば、接触帯電装置では、掃きムラと呼ばれる、磁気ブラシや磁性粒子などが接触した跡が画像上に現れることがある。そのため、接触帯電部材とアモルファスシリコン(a−Si)感光体との相対速度をかなり上げて摺擦を行う必要があり、たとえ硬度の高いa−Si感光体といえども、長期にわたる使用においては感光体の表面が削れてしまう場合がある。また、感光体表面に付着した現像材を取り除く工程においても、例えばクリーニングブレード等で感光体表面が削れる場合もある。本発明では、こうした電子写真装置における感光体の削れを磨耗と呼び、その削れ量を磨耗量と呼ぶ。
【0033】
感光体の表面を構成する材料として、少なくとも水素を含有し、炭素を主体とする非単結晶材料、いわゆるa−C:H膜を用いることで、この磨耗量を大幅に低減することができる。a−C:H膜は、硬度が従来の材料よりもはるかに高いため、接触帯電器によって摺擦されても十分長寿命を達成することができる。
【0034】
本発明者らは、このようなa−C:H材料を表面層に用いた感光体において、表面層と磨耗の関係を詳細に検討したところ、図1に示すように、表面層のダイナミック硬度を向上(高硬度化)させると、電子写真プロセスにおける表面層の磨耗量(磨耗速度)が減少する領域(▲1▼の領域)と、ある変局点を境にしてダイナミック硬度と磨耗量とが強い相関を持たなくなる領域(▲2▼の領域)とに分かれることを見出した。
【0035】
本発明において、感光体表面層材料のダイナミック硬度と磨耗量との関係が強い相関を持たなくなる▲2▼の領域を凝着磨耗領域と呼ぶ。凝着磨耗とは、摩擦面の真実接触面で、原子間の近接力が作用して強く凝着した部分が破断することにより発生する。したがって、凝着磨耗領域では、磨耗量は材料によって決まり、その硬度には依存しない。
【0036】
これに対し、表面層材料の硬度によって磨耗量が変化する▲1▼の領域をアブレッシブ磨耗と呼ぶ。
【0037】
本発明では、単に感光体表面の硬度を向上させるだけではなく、感光体表面の磨耗が凝着磨耗領域になるように感光体表面と電子写真プロセスとを選択して画像形成を行うことにより、筋削れ、ムラ削れの発生、トナーの融着を効果的に防止している。本発明では、感光体表面の硬度だけに着目するのではなく、画像形成プロセスにより凝着磨耗領域の開始する硬度が表面層材料と画像形成プロセスの組み合わせによって異なる点を踏まえて設計することが重要である。
【0038】
凝着磨耗領域という特定の条件の領域において画像形成を行うことにより上記のような効果が得られるメカニズムは現在のところ明らかではないが、電子写真装置内で発生する感光体表面とクリーニングブレードやトナーとの摩擦メカニズムに起因していると考えられる。
【0039】
さらには、凝着磨耗領域において画像形成を行うことにより、画像形成時に感光体表面に紙紛やごみ等のトナー以外の異物がかみ込んだ場合でも、感光体表面に傷がつきにくくなるという効果もある。
【0040】
なお、磨耗量は、感光体を磨耗試験機に設置して表面層の磨耗量を求めればよく、具体的には、磨耗試験前後の表面層の膜厚を反射分光式干渉計により測定し、その値から表面層の磨耗量を算出すればよい。そして、各条件での表面層の磨耗量とダイナミック硬度との関係を図1のようにグラフ上にプロットし、その関係から凝着磨耗領域を求めることができる。
【0041】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0042】
(電子写真感光体の構造)
まず、本発明で用いる電子写真感光体の構造について説明する。
【0043】
本発明で用いる電子写真感光体の一例の側断面図を図2に示す。なお、本発明で用いる電子写真感光体は光導電層と表面層とを有していればよく、図2に示すものに限定されない。
【0044】
図2に示す電子写真感光体は、Alやステンレス等の導電性材料からなる円筒状基体201上に、光導電層206を含む光受容層202と表面層203とが順次積層された構造をしている。
【0045】
本発明では、後述するように、光導電層206の材料として好ましくはアモルファスシリコン(a−Si)が用いられ、表面層203の材料として好ましくはa−C:H、さらには、a−C:Hに微量の珪素を添加させた材料、a−C:Hにフッ素等のハロゲンを含有させた材料等が用いられる。
【0046】
また、図2に示すように、光受容層202には、光導電層206以外に、必要に応じて下部阻止層204や中間層205などの種々の機能をもつ層を設けてもよい。円筒状基体201と光導電層206との間に下部阻止層204を設け、光導電層206と表面層203との間に中間層205を設けることも有効である。
【0047】
(円筒状基体)
円筒状基体201としては、上記のAlやステンレスのような導電性材料が一般的に用いられるが、使用目的に応じて材質や形状などを適宜決めればよい。材質については、銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレスなどの導電性材料、および、これらの材料のいずれか2種以上の複合材料、さらには、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ガラス、セラミックス、紙などの絶縁材料に導電性材料を蒸着等で被覆したもの等が使用できる。
【0048】
(光導電層)
光導電層206は公知のものをいずれも用いることができるが、少なくとも珪素と、水素および/またはハロゲンとを含む非単結晶珪素膜であることが好ましい。
【0049】
珪素の未結合手を補償し、層品質、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるためには、光導電層中に水素および/またはハロゲンが含有されることが必要である。よって、水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量は、シリコン原子と水素原子および/またはハロゲン原子の和に対して10〜40原子%とされるのが望ましい。
【0050】
また、本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状の、または、ガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状の、または、ガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F)、BrF、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、たとえばSiF、Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0051】
光導電層の組成は均一であることが好ましいが、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0052】
光導電層の厚さは、所望の電子写真特性、経済的効果等の点から適宜決めればよいが、好ましくは20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には25〜40μmとされるのが望ましい。層厚が20μmより薄くなると、帯電能や感度等の電子写真特性が実用上不充分となり、50μmより厚くなると、光導電層の作製時間が長くなって製造コストが高くなる。
【0053】
(光受容層)
前述のように、光受容層202には、光導電層206以外に、必要に応じて下部阻止層204や中間層205などの種々の機能をもつ層を設けてもよい。
【0054】
下部阻止層は、水素および/またはハロゲンを含み、珪素を母体としたアモルファスシリコン(a−Si(H、X))をベースとし、13族元素あるいは15族元素をさらに含有する材料から構成される。13族元素あるいは15族元素としては、ホウ素(B)、窒素(N)、リン(P)等が挙げられる。通常は、シリコン原子に対して10原子ppm〜10000原子ppmの範囲内にすることが好ましく、50〜5000原子ppmがより好ましく、100〜3000ppmが最も好ましい。
【0055】
この場合、基体から光導電層に向かって下部阻止層の組成を連続的に変化させてもよい。
【0056】
下部阻止層の厚さは特に限定されないが、所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、支持体からの電荷の注入阻止能が不充分になって充分な帯電能が得られなくなり、5μmより厚くしても電子写真特性の向上は期待できず、作製時間の延長による製造コストの増加を招くだけである。
【0057】
本発明においては、表面層との密着性を向上させるために中間層を設けてもよい。中間層は、表面層の材料と光導電層の材料との中間の組成となるように設計することが有効である。したがって本発明の中間層は、a−SiとC原子とから構成されるa−SiCであることが好ましい。
【0058】
この場合、光導電層から表面層に向かって中間層の組成を連続的に変化させてもよい。
【0059】
中間層の厚さは特に限定されないが、所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。層厚が0.1μmより薄くなると、密着性向上の効果が得られにくく、5μmより厚くしても電子写真特性の向上は期待できず、作製時間の延長による製造コストの増加を招くだけである。
【0060】
(表面層)
次に、本発明で用いる感光体の表面層203について説明する。
【0061】
表面層は、少なくとも炭素および水素を含む非単結晶材料から成る。具体的には、水素化アモルファスカーボン(a−C:H)、a−C:Hに微量の珪素を添加させた材料、a−C:Hにフッ素等のハロゲンを含有させた材料等が用いられる。
【0062】
例えば、表面層203にa−C:Hを用いる場合、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガス、必要に応じて水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガス、ハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを用いたプラズマCVD法や、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって作成可能である。中でも、後述するプラズマCVD法を用いて作成した膜は、透明度、硬度ともに高く、感光体の表面層として好ましい。
【0063】
表面層を作成する際のプラズマCVD法に用いる放電周波数としてはいかなる周波数も用いることができ、工業的にはRF周波数帯と呼ばれる1MHz以上、50MHz未満、代表的には13.56MHzの高周波や、VHF周波数帯と呼ばれる50MHz以上、450MHz以下、代表的には105MHzの高周波を好適に用いることができる。
【0064】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、例えば、CH、C、C、C10等のガス状態の、または、ガス化し得る炭化水素が有効に使用でき、中でも、層作成時の取り扱いやすさ、炭素供給効率のよさ等の点で、CH、Cが好ましい。
【0065】
また、表面層に、微量の珪素を含有させる場合、上記のガスに加え、シリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスを導入する。珪素供給用ガスとなり得る物質としては、例えば、SiH、Si、Si、Si10等のガス状態の、または、ガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用でき、中でも、層作製時の取り扱いやすさ、Si供給効率のよさ等の点でSiH、Siが好ましい。
【0066】
また、これらの炭素および珪素供給用の原料ガスを、必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0067】
また、表面層には、必要に応じてハロゲン、好ましくはフッ素が含まれていてもよい。通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.6〜4原子%である。
【0068】
ハロゲン原子供給用ガスとなり得る物質としては、例えば、F、BrF、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、IF等のハロゲン含有化合物を挙げることができる。中でも、CF、CHF、C、ClF、CHClF、F、C、C10等のフッ素含有ガスが好ましい。
【0069】
また、表面層には、N、O、P、B等の不純物が含有されていてもかまわない。その含有量は全元素に対して10原子%以下程度であることが好ましい。
【0070】
本発明で用いる感光体の表面層203中には、水素が含有される。水素を含有させることで効果的に膜中の構造欠陥が補償され、局在準位密度が低減するために、膜の透明性が改善され、表面層中では好ましくない不要の光吸収が抑えられることにより光感度が改善する。さらには、膜中の水素の存在が固体潤滑性に重要な役割を果たしているといわれている。
【0071】
a−C:Hからなる表面層203中の水素の含有量は、光学的バンドギャップが広く、十分な感度が得られるので、H/(C+H)で41原子%以上、特に45原子%以上であることが好ましく、また、十分に硬度が高く、削れが発生しにくいので、H/(C+H)で60原子%以下、特に50原子%以下であることが好ましい。
【0072】
本発明において、感光体の表面層中の水素の含有量を測定する方法としては、以下のような方法が挙げられる。
【0073】
表面層成膜時に、鏡面研磨したSiウェハー上に成膜時と同じ製造条件で1μm堆積し、サンプルを作成する。このサンプルを赤外分光光度計により赤外吸収スペクトルを測定し、水素量を測定する。この場合、2920cm−1付近に現れるC−Hの吸収ピークの面積と膜厚とから膜中の水素量を求めることができる。
【0074】
表面層に含有される水素の量を制御するには、例えば、感光体を製造する際の導電性基体の温度、水素を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0075】
表面層の組成は均一であることが好ましいが、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0076】
表面層の光学的バンドギャップは、一般には、1.2eV以上、または、2.2eV以下であることが好ましく、感度の点から1.6eV以上とすることがさらに好ましい。
【0077】
また、表面層の屈折率は、1.6以上、または、2.8以下であることが好ましい。
【0078】
表面層の膜厚は、好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.05〜2μm、特に好ましくは0.1〜1μmである。層厚が0.01μmよりも薄いと、光受容部材を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われてしまうという問題が生じやすく、3μmを超えると、残留電位の増加等の電子写真特性の低下がみられる場合がある。
【0079】
(電子写真感光体の作成方法)
次に、本発明で用いる電子写真感光体の作成方法について説明する。 図3は、本発明で用いる電子写真感光体を作成するための製造装置の一例を模式的に示したものであり、電子写真用感光体のような円筒状の基体の堆積膜の作成に好適なものである。
【0080】
図3に示すプラズマCVD法による堆積膜の製造装置の構成は以下の通りである。
【0081】
この装置は、大別すると、堆積装置(2100)と、原料ガスの供給装置(2200)とからなる。
【0082】
堆積装置(2100)は、カソード電極を兼ねた反応容器(2111)、ゲートなどからなる上板(2120)、底板(2121)から構成され、反応容器(2111)内を減圧にするための排気装置(2117)が接続されている。反応容器(2111)、上板(2120)および底板(2121)は、それぞれ、碍子(2122)で絶縁されている。堆積装置(2100)中の反応容器(2111)内には、同心円中央に上端を回転軸(2126)により支持されたダミーホルダー(2130)を取り付けられた導電性円筒状基体(2112)、その内部に基体加熱ヒーター(2113)、導電性円筒状基体の軸方向に平行になるようにセラミック製の原料ガス導入管(2114)が設置され、さらに高周波マッチングボックス(2115)を介して高周波電源(不図示)が接続されている。排気は反応容器下部か排気管(2119)を介してなされるようになっている。
【0083】
原料ガス供給装置(2200)は、SiH、H、CH、NO、B、GeH等の原料ガスのボンベ(2221〜2226)、バルブ(2231〜2236,2241〜2246,2251〜2256)およびマスフローコントローラー(2211〜2216)から構成され、各原料ガスのボンベは補助バルブ(2260)を介して反応容器(2111)内のセラミック製ガス導入管(2114)に接続されている。
【0084】
この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば以下のように行うことができる。なお、成膜条件は以下のものに限らず、適宜決めればよい。
【0085】
まず、反応容器(2111)内にダミーホルダー(2130)を取り付けた円筒状基体(2112)を設置し、排気装置(2117)により反応容器(2111)内を排気する。反応容器(2111)内を真空排気した後、ガス供給装置(2200)から不活性ガス、例えばArやHeなどを所定の流量流し、所定の内圧に設定した後に基体加熱ヒーター(2113)をONし、円筒状基体(2112)を50℃〜500℃に加熱保持する。
【0086】
堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(2111)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(2231〜2236)、反応容器のリークバルブ(2123)が閉じられていることを確認し、また、流出バルブ(2251〜2256)、流入バルブ(2241〜2246)、補助バルブ(2260)が開かれていることを確認して、まずメインバルブ(2118)を開いて反応容器(2111)およびガス配管(2116)内を排気する。そして、真空計(2124)の読みが約6.7×10−4Paになった時点で補助バルブ(2260)、流出バルブ(2251〜2256)を閉じる。その後、ガスボンベ(2221〜2226)より各ガスをバルブ(2231〜2236)を開いて導入し、圧力調整器(2261〜2266)により各ガス圧を(例えば0.2MPa/cm)調整する。次に、流入バルブ(2241〜2246)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラー(2211〜2216)内に導入する。
【0087】
円筒状基体(2112)が所定の温度分布になったところで流出バルブ(2251〜2256)のうちの必要なもの、および、補助バルブ(2260)を徐々に開き、ガスボンベ(2221〜2226)から所定のガスをガス導入管(2114)を介して反応容器(2111)内に導入する。次に、マスフローコントローラー(2211〜2216)によって各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器(2111)内の圧力が133Pa以下の所定の圧力になるように真空計(2124)を見ながらメインバルブ(2118)の開口を調整する。内圧が安定したところで、RF電源(図示せず)を所望の電力に設定して高周波マッチングボックス(2115)を通じて反応容器(2111)内にRF電力を導入し、RFグロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解され、円筒状基体(2112)上に所定の組成の堆積膜が形成される。
【0088】
そして、所望の膜厚が形成された後、RF電力の供給を止め、流出バルブ(2251〜2256)を閉じて反応容器(2111)へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0089】
同様の操作を複数回繰り返すことによって、多層構造の電子写真感光体が形成される。
【0090】
それぞれの層を形成する際には必要なガス以外の流出バルブはすべて閉じられていることはいうまでもなく、それぞれのガスが反応容器(2111)内、流出バルブ(2251〜2256)から反応容器(2111)に至る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ(2251〜2256)を閉じ、補助バルブ(2260)を開き、さらにメインバルブ(2118)を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0091】
また、膜形成の均一化を図るため、膜形成を行っている間は、円筒状基体(2112)を駆動装置(図示せず)に接続された回転軸(2126)によって所定の速度で回転させる。
【0092】
上述のガス種およびバルブ操作は、各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられる。
【0093】
使用される高周波電源は、発振周波数が1MHzから450MHzであればいずれも好適に使用することができる。また、出力は10W以上5000W以下の範囲で、装置に適した電力を発生することができればいかなる出力のものでも好適に使用できる。さらに、高周波電源の出力変動率はいかなる値であってもよい。
【0094】
使用される整合回路は、高周波電源と負荷の整合を取ることができるものであればいかなる構成のものでも好適に使用できる。また、整合を取る方法としては、自動的に調整されるものが製造時の煩雑さを避けるために好適であるが、手動で調整されるものであってもよい。また、整合回路が配置される位置に関しては、整合が取れる範囲においてどこに設置してもなんら問題はないが、整合回路からカソード電極間の配線のインダクタンスをできるだけ小さくするような配置にした方が、広い負荷条件で整合を取ることが可能になるため、好ましい。
【0095】
カソード電極、アノード電極の材質としては、銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレス、および、これらの材料のいずれか2種以上の複合材料などが好適に用いられる。また、形状は円筒形状が好ましいが、必要に応じて楕円形、多角形形状を用いてもよい。
【0096】
カソード電極は、必要に応じて冷却手段を設けてもよい。具体的な冷却手段としては、水、空気、液体チッ素、ペルチェ素子などによる冷却を用いることができる。
【0097】
本発明で用いる電子写真感光体は、上述のプラズマCVD法によって製造することができる。一般にプラズマCVD法は装置依存性が大きいため、一律に本発明によるところの堆積膜が得られる成膜条件を規定することはできないが、一般的には、原料ガス種、キャリアガス種、ガス混合方法、ガス導入方法、排気形態の調整、圧力調整、電力調整、周波数調整、電力波形調整、直流バイアス調整、基板温度調整、成膜時間の調整などを行うことによって、作成される堆積膜の特性は大きく変わる。
【0098】
(画像形成プロセス)
次に、本発明の電子写真装置の画像形成プロセス(電子写真プロセス)について説明する。
【0099】
図4は、電子写真装置の一例を示す概略図である。図4に示す電子写真装置において、感光体401は内側に設けられた面状ヒーター423によって温度コントロール可能とされ、必要に応じて矢印X方向に回転する。感光体401の周辺には、主帯電器402、静電潜像形成部位403、現像器404、転写材供給系405、転写帯電器406(a)、分離帯電器406(b)、クリーナー425、搬送系408、除電光源409等が必要に応じて配設されている。
【0100】
以下、さらに具体的に画像形成プロセスの一例を説明する。感光体401は、+6〜8kVの高電圧を印加した主帯電器402により一様に帯電される。これに、ランプ410から発した光が原稿台ガラス411上に置かれた原稿412に反射し、ミラー413、414、415を経由してレンズユニット417のレンズ418によって結像され、ミラー416を経由して導かれ、情報を担った光として投影されて感光体401上に静電潜像が形成される。この潜像に現像器404からネガ極性の現像剤が供給されて現像剤像が形成される。なお、この露光は、原稿412からの反射によらず、LEDアレーやレーザービーム、液晶シャッター等を用いて情報を担った光を走査露光するようにしてもよい。
【0101】
一方、紙等の転写材Pは、転写材供給系405を通って、レジストローラー422によって先端供給タイミングを調整され、感光体401方向に供給される。転写材Pは、+7〜8kVの高電圧を印加した転写帯電器406(a)と感光体401の間隙において背面から現像剤とは逆極性の正電界を与えられ、これによって光受容部材表面のネガ極性の現像剤像は転写材Pに転写される。次いで、転写材Pは、12〜14kVp−p、300〜600Hzの高圧AC電圧を印加した分離帯電器406(b)により、感光体401から分離される。続いて、転写材Pは転写搬送系408を通って定着装置424に至り、現像剤像が定着されて装置外に搬出される。
【0102】
感光体401上に残留する現像剤はクリーナー425のクリーニングローラー407およびシリコーンゴンムやウレタンゴム等の弾性材料からなるクリーニングブレード421によって回収され、残留する静電潜像は除電光源409によって消去される。
【0103】
なお、420はブランク露光LEDであり、感光体401の転写材Pの幅を越える部分および余白部分等の非画像部領域に不要な現像剤が付着しないように必要に応じて感光体401を露光するために設けられる。
【0104】
(接触帯電器)
次に、本発明における帯電手段、接触帯電器について説明する。本発明では、磁性粒子を磁気拘束して形成される磁気ブラシ帯電器により、電子写真感光体を帯電させること、または、導電性の多孔体表面を有する弾性体ローラーにより、導電性微粉体を介して、電子写真感光体を帯電させることが好ましい。
【0105】
図5は、接触帯電器として磁気ブラシを用いた場合の画像形成装置の模式図である。
【0106】
磁気ブラシ帯電器は、磁性体からなる芯金501と、その周りに磁性粒子で構成された磁気ブラシ層502とからなる。
【0107】
芯金501は、通常、フェライト磁石等の金属や、プラスチックマグネット等の多極構成が可能な磁性体を用いる。
【0108】
磁気ブラシ層502を形成する磁性粒子は、一般に、フェライト、マグネタイト等の磁性粒子、トナーのキャリア、あるいは、磁性体と樹脂とからなるトナーを使用する。
【0109】
磁性粒子の粒径は、通常、1μm以上、特に10μm以上であることが好ましく、また、100μm以下、特に50μm以下であることが好ましいが、画質に支障がなければさらに大粒径の粒子を使用してもよい。また、粒径は均一なものを用いてもよいし、流動性向上のために上記の範囲内で異なる粒径の磁性粒子を混合して用いてもよい。
【0110】
磁気ブラシ層502の抵抗は、帯電効率を良好に保持し、一方で、リークポチや感光体表面の微小欠陥から帯電部材長軸方向で電位が低下してしまうことを防止できる等のために、1×10Ω・cm以上、特に1×10Ω・cm以上であることが好ましく、また、1×1012Ω・cm以下、特に1×10Ω・cm以下であることが好ましい。
【0111】
芯金501には電圧印加手段504が接続されており、直流電圧Vdc、あるいは、交流を重乗した電圧Vdc+Vacが芯金501を経由して磁性粒子502に印加され、感光体503の表面との接触部位から電荷を直接注入し、感光体503を均一に帯電させる。
【0112】
磁気ブラシ帯電器は感光体503の回転方向Xに対して前記帯電部材と感光体との相対速度が0%〜400%となるように前記帯電部材を回転させながら電子写真感光体を帯電させる。また、磁気ブラシ帯電器は振動していてもよい。
【0113】
図6は、接触帯電器としてブラシ帯電器を用いた場合の画像形成装置の模式図である。
【0114】
ブラシ帯電器は、金属等の導電部材からなる芯金601と、導電性の繊維を使用したブラシ602とからなる。ブラシ602の導電性繊維としては、ビニル、PET、ポリスチレンなどの繊維にカーボンを分散させたもの等が一般的に使用される。
【0115】
図6はブラシ帯電器が回転する回転ブラシタイプであるが、ブラシが固定された固定ブラシタイプであってもよい。
【0116】
図7は、接触帯電器として弾性ローラーを用いた場合の画像形成装置の模式図である。
【0117】
弾性ローラー帯電器は、導電部材からなる芯金701と、弾性体層702とからなる。
【0118】
芯金701としては、通常、金属材料が使用され、SUS材や鉄、ニッケル、および、これらの合金等を用いる。
【0119】
弾性体層702としては、多孔体表面を有するゴム材、いわゆるスポンジ系材料等が用いられる。
【0120】
弾性体層702を用いると、感光体703表面への接触性はブラシと比較して比較的密であり、帯電において掃きムラが抑制されやすい。
【0121】
弾性体層702の抵抗は、帯電効率を良好に保持し、一方で、リークポチや感光体表面の微小欠陥から帯電部材長軸方向で電位が低下してしまうことを防止できる等のために、1×10Ω・cm以上、特に1×10Ω・cm以上であることが好ましく、また、1×1012Ω・cm以下、特に1×10Ω・cm以下であることが好ましい。
【0122】
図8は、導電部材からなる芯金801の上にスポンジローラーなどの可撓性の帯電部材(導電性弾性体層)802を設け、さらにその表面に導電性微粉体805を付着させた画像形成装置の模式図である。
【0123】
可撓性の帯電部材802と感光体803との間に導電性微粉体805を介在させることにより、さらに接触状態を向上させ、帯電電荷の注入性を改善することができる。
【0124】
導電性微粉体805は導電性が制御された物質が好ましく、具体的にはZnO、TiOなどが挙げられる。また、周知の1成分トナーや2成分トナーのキャリアなどでもよく、その他にクリーニング工程で捕獲された残トナーを使用してもよい。
【0125】
【実施例】
次に、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0126】
〔実施例1〕
(ダイナミック硬度の測定)
図3に示した堆積膜形成装置を用い、ダミーホルダー(2130)を取り付けられた導電性円筒状基体(2112)に鏡面研磨した直径1インチのSiウエハーを取り付け、表1の条件で膜厚約1.0μmの表面層を形成してダイナミック硬度測定サンプルを作成した。本実施例では、表3に示すように、基板温度を50〜300℃の間で変化させてサンプル1A−1〜1G−1を作成した。
【0127】
【表1】
Figure 2004177469
【0128】
そして、作成した表面層サンプル1A−1〜1G−1のダイナミック硬度をそれぞれ測定した。ダイナミック硬度の測定は、島津製作所製ダイナミック硬度計(DUH−201S)を用い、Siウエハー上に堆積した表面層サンプルの表面に、先端の半径0.1μm以下、稜線の角度115゜の三角錐ダイヤモンドスタイラスを垂直に押し当て、スタイラスに掛けた荷重と押し込み深さの関係を
DH=α×p/d
の式に当てはめてダイナミック硬度DHを計算した。ここで、α=37.8、p:荷重(gf)、d:押し込み深さ(μm)である。押し込み深さは、下地の影響を防ぐために、堆積膜の膜厚の約1/5とした。その結果を表3に示す。
【0129】
(感光体の作成)
図3に示した堆積膜形成装置を用い、円筒状アルミ基体上に表2の条件で下部阻止層、光導電層を順次積層し、さらに表1の条件で表3に示すように基板温度を変化させて膜厚約1.0μmの、サンプル1A−1〜1G−1と同等の表面層を積層し、電子写真感光体(サンプル1A−2〜1G−2)を作成した。
【0130】
【表2】
Figure 2004177469
【0131】
(トナーの作成)
次に、次の手順で重合トナー(1)を作成した。
【0132】
イオン交換水709gに0.1M−NaPO水溶液451gを投入し、60℃に加温した後、1.0M−CaCl水溶液67.7gを徐々に添加してCa(POを含む水系媒体を得た。
【0133】
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・不飽和ポリエステル樹脂 2部
・飽和ポリエステル樹脂 3部
・負荷電性制御剤 1部
(モノアゾ染料系のFe化合物)
・表面処理疎水化磁性体 90部
【0134】
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにベヘニン酸ベヘニルを主体とするエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃)6部を添加混合、溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[t1/2=140分、60℃条件下]5gを溶解した。
【0135】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし、さらに4時間撹拌を続けた。反応終了後、80℃でさらに2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa(POを溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径6.5μmのトナー粒子を得た。
【0136】
このトナー粒子100部と、一次粒径8nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで表面を処理し、処理後のBET値が250m/gの疎水性シリカ微粉体1.2部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、重合トナー(1)を調製した。得られたトナーの平均円形度は0.983、磁場79.6kA/Mにおける磁化の強さは、28Am/kgであった。
【0137】
(画像形成装置)
以上の手順で作成したa−Si感光体、重合トナー(1)を、図5に示した磁気ブラシ帯電器を取り付けた画像形成装置にセットした。この際のプロセススピードは400mm/s、感光体と磁気ブラシの相対速度は逆方向120%とした。
【0138】
なお、本実施例の磁気ブラシ帯電器で使用する磁性粒子は以下の手順で作成した。
【0139】
Fe 50モル%、CuO 25モル%、ZnO 25モル%にリンを0.05質量%添加し、分散剤および結着剤と水とを加え、ボールミルにて分散混合し、スプレードライヤーにより造粒成形を行った。次いで、1150℃の条件下6時間の焼成を行った。焼成物を解砕後、分級(ディスパージョンセパレータ)を行い、体積平均径 35μmの球状のフェライト粒子を得た。
【0140】
上記磁性粒子100質量部に対してチタンカップリング剤(イソプロポキシトリイソステアロイルチタネート)0.10質量部をトルエン溶媒を用いて混合させた後、湿式コートし、電気オーブンで170℃でキュアした。本磁性粒子の体積抵抗値は3.5×10Ω・cmであった。
【0141】
評価は以下の手順に従って、融着、ムラ削れ、磨耗量、キズ試験について行った。
【0142】
(融着の評価)
上記電子写真装置に設置した電子写真感光体の表面温度を50℃にし、25℃、相対湿度10%の環境条件で、白地に1mm幅の黒ラインがたすき状に1本プリントされた1ラインチャートを用いることで融着が発生しやすい環境を作りだした。このように改造した加速試験機に作成した電子写真感光体(サンプル1A−2〜1G−2)を設置し、10万枚相当の耐久試験を行った。
【0143】
そして、耐久試験後のハーフトーン画像および電子写真感光体表面を顕微鏡観察し、融着の有無を観察した。その結果を表4に示す。
【0144】
融着の評価は、
◎:感光体全面にわたって融着は全く観察されず、非常に良好、
○:わずかに融着が観察されるが、画像には出ないレベルで支障なし、
△:画像に現れる融着がわずかに発生する、
×:画像に現れる融着が多く発生し、実用上問題あり、
のように表した。
【0145】
(ムラ削れの評価)
上記の耐久試験後のハーフトーン画像および電子写真感光体表面を目視観察し、ムラ削れ、筋削れが発生していないかを観察した。その結果を表4に示す。
【0146】
ムラ削れの評価は、
◎:感光体表面、画像ともにムラ削れや筋削れは観察されず、非常に良好、
○:感光体表面にわずかにムラ削れが観察されるが、画像には出ない、
△:画像に現れる傷が入り、実用上問題あり、
のように表した。
【0147】
(磨耗量)
上記の耐久試験前後の表面層の膜厚を反射分光式干渉計(大塚電子(株)社製MCDP2000)により測定し、その値から表面層の磨耗量を算出した。その結果を表4に示す。また、表面層のダイナミック硬度と磨耗量との関係を図9グラフに示す。
【0148】
(キズ試験)
トナーに平均直径5.0μmのセラミックビーズを0.1%(体積比)混入して1万枚の画像形成を行った後、べた黒画像および感光体表面を観察した。その結果を表4に示す。
【0149】
キズの評価は、
◎:感光体表面、画像ともにキズは観察されず、非常に良好、
○:感光体表面にわずかにキズが観察されるが、画像には出ない、
△:画像に現れる傷が入り、実用上問題あり、
のように表した。
【0150】
【表3】
Figure 2004177469
【0151】
【表4】
Figure 2004177469
【0152】
なお、図9から凝着磨耗領域で画像を形成する場合(サンプル1D−1〜1G−1)を実施例1、それ以外の場合(サンプル1A−1〜1C−1)を比較例1とした。
【0153】
表4に示すように、a−SiC:H表面層を有する感光体を凝着磨耗領域で使用した場合(サンプル1D−2〜1G−2)では、比較例の場合(サンプル1A−2〜1C−2)と比べて、各評価項目において良好な結果が得られた。
【0154】
〔実施例2〕
(ダイナミック硬度の測定)
図3に示した堆積膜形成装置を用い、ダミーホルダー(2130)を取り付けられた導電性円筒状基体(2112)に鏡面研磨した直径1インチのSiウエハーを取り付け、表5の条件で膜厚約1.0μmの表面層を形成してダイナミック硬度測定サンプルを作成した。本実施例では、表6に示すように、高周波電力を50〜2000Wの間で変化させてサンプル2A−1〜2G−1を作成した。
【0155】
【表5】
Figure 2004177469
【0156】
そして、実施例1と同様にして、作成した表面層サンプル2A−1〜2G−1のダイナミック硬度をそれぞれ測定した。
【0157】
(感光体の作成)
図3に示した堆積膜形成装置を用い、円筒状アルミ基体上に表2の条件で下部阻止層、光導電層を順次積層し、さらに表5の条件で表6に示すように高周波電力を変化させて膜厚約1.0μmの、サンプル2A−1〜2G−1と同等の表面層を積層し、電子写真感光体(サンプル2A−2〜2G−2)を作成した。
【0158】
(感光体の評価)
作成した感光体ついて、実施例1と同様にして、評価を行った。その結果を表6、7および図10グラフに示す。
【0159】
【表6】
Figure 2004177469
【0160】
【表7】
Figure 2004177469
【0161】
なお、図10から凝着磨耗領域で画像を形成する場合(サンプル2D−1〜2G−1)を実施例2、それ以外の場合(サンプル2A−1〜2C−1)を比較例2とした。
【0162】
表7に示すように、a−C:H表面層を有する感光体を凝着磨耗領域で使用した場合(サンプル2D−2〜2G−2)では、比較例の場合(サンプル2A−2〜2C−2)と比べて、各評価項目において良好な結果が得られた。
【0163】
また、本実施例では、表面層にa−C:Hを用いることによって、実施例1で用いたa−SiC:H表面層を有する感光体に比べ一層優れた評価結果が得られている。また、磨耗量も少なく、耐久性にも優れた結果となった。
【0164】
〔実施例3〕
(ダイナミック硬度の測定)
図3に示した堆積膜形成装置を用い、ダミーホルダー(2130)を取り付けられた導電性円筒状基体(2112)に鏡面研磨した直径1インチのSiウエハーを取り付け、表6の条件で膜厚約1.0μmの表面層を形成してダイナミック硬度測定サンプルを作成した。本実施例では、表9に示すように、高周波電力を50〜2000Wの間で変化させてサンプル3A−1〜3G−1を作成した。
【0165】
【表8】
Figure 2004177469
【0166】
そして、実施例1と同様にして、作成した表面層サンプル3A−1〜3G−1のダイナミック硬度をそれぞれ測定した。
【0167】
(感光体の作成)
図3に示した堆積膜形成装置を用い、円筒状アルミ基体上に表2の条件で下部阻止層、光導電層を順次積層し、さらに表8の条件で表9に示すように高周波電力を変化させて膜厚約1.0μmのサンプル3A−1〜3G−1と同等の表面層を積層し、電子写真感光体サンプル3A−2〜3G−2を作成した。
【0168】
(感光体の評価)
作成した感光体ついて、実施例1と同様にして、評価を行った。その結果を表9、10および図11グラフに示す。
【0169】
【表9】
Figure 2004177469
【0170】
【表10】
Figure 2004177469
【0171】
なお、図11から凝着磨耗領域で画像を形成する場合(サンプル3D−1〜3G−1)を実施例3、それ以外の場合(サンプル3A−1〜3C−1)を比較例3とした。
【0172】
表10に示すように、Fを含有させたa−C:H表面層を有する感光体を凝着磨耗領域で使用した場合(サンプル3D−2〜3G−2)では、比較例の(サンプル3A−2〜3C−2)と比べて、各評価項目において良好な結果が得られた。
【0173】
〔実施例4〕
実施例2と同様にして表面層のサンプル4A−1〜4G−1および電子写真感光体のサンプル4A−2〜4G−2を作成した。
【0174】
(トナーの製造)
次に、次の手順で重合トナー(2)を作成した。
【0175】
まず、重合トナー(1)と同様の手法により重量平均粒径6.4μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100部と、一次粒径8nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで表面を処理した後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が150m/gの疎水性シリカ微粉体1.2部と、酸化亜鉛からなる導電性微粉体2部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、重合トナー(2)を調製した。得られたトナーの平均円形度は0.983、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さは、28Am/kgであった。
【0176】
ここで使用した酸化亜鉛からなる導電性微粉体は、一次粒子径 0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子を圧力により造粒して得られた粒子を風力分級して得られた、体積平均粒径1.5μm、粒度分布における0.5μm以下が35体積%、5μm以上が0個数%の微粒子(抵抗1500Ω・cm、透過率35%)である。この酸化亜鉛微粉体は、走査型電子顕微鏡にて3000倍および3万倍で観察したところ、0.1〜0.3μmの酸化亜鉛一次粒子と1〜4μmの凝集体とからなっていた。
【0177】
(画像形成装置)
以上の手順で作成したa−Si感光体、重合トナー(2)を図8に示した導電性の多孔体表面を有する弾性体ローラーにより導電性微粉体を介して電子写真感光体を帯電させる帯電器を用いた電子写真装置にセットした。この際のプロセススピードは400mm/s、感光体と弾性ローラの相対速度は逆方向200%とし、耐久試験、キズ試験を行った以外は、実施例1と同様にして、評価を行った。その結果を表11、12および図12に示す。
【0178】
【表11】
Figure 2004177469
【0179】
【表12】
Figure 2004177469
【0180】
なお、図12から凝着磨耗領域で画像を形成する場合(サンプル4D−1〜4G−1)を実施例4、それ以外の画像形成装置(サンプル4A−1〜4C−1)を比較例4とした。
【0181】
表12に示すように、a−C:H表面層を有する感光体を凝着磨耗領域で使用した場合(サンプル4D−2〜4G−2)では、比較例の場合(サンプル4A−2〜4C−2)と比べて、各評価項目において良好な結果が得られた。
【0182】
〔実施例5〕
表13に示す表面層作成条件にて実施例1と同様の手順で電子写真感光体を作成した。同様に、各表面層作成条件にて作成したサンプルもダイナミック硬度の測定を行った。本実施例では、表13に示すように、高周波電力を50〜2000Wの間で変化させてサンプル5A−1〜5G−1を作成した。
【0183】
(感光体の作成)
図3に示した堆積膜形成装置を用い、円筒状アルミ基体上に表2の条件で下部阻止層、光導電層を順次積層し、さらに表13の条件で表14に示すようにSiH流量を変化させて膜厚約1.0μmのサンプル5A−1〜5G−1と同等の表面層を積層し、電子写真感光体サンプル5A−2〜5G−2を作成した。
【0184】
(膜中のSi量分析)
作製した各サンプルをESCA分析により膜中のSi量を求めた。
【0185】
結果を表14に合わせて示す。
【0186】
【表13】
Figure 2004177469
【0187】
(評価)
作成した表面層サンプルおよび感光体サンプルついて、実施例1と同様にして、評価を行った。その結果を表14、15および図13に示す。
【0188】
【表14】
Figure 2004177469
【0189】
【表15】
Figure 2004177469
【0190】
なお、図13から凝着磨耗領域で画像を形成する場合(サンプル5D−1〜5G−1)を実施例5、それ以外の場合(サンプル5A−1〜5C−1)を比較例5とした。
【0191】
表15に示すように、シリコンを微量添加したa−C:H表面層を有する感光体を凝着磨耗領域で使用した場合(サンプル5D−2〜5G−2)では、比較例の画像形成装置(サンプル5A−2〜5C−2)と比べて、各評価項目において良好な結果が得られた。
【0192】
また、本実施例では、表面層にシリコンを微量添加したa−C:H表面層を用いることによって、実施例1で用いたa−SiC:H表面層を有する感光体に比べ一層優れた評価結果が得られている。また、磨耗量も少なく、耐久性にも優れた結果となった。
【0193】
【発明の効果】
以上詳述したように、電子写真感光体表面に紙紛やごみ等のトナー以外の異物が付着した場合においても感光体の表面に傷がつきにくく、トナーの融着、ムラ削れの発生が少なく、高品質の画像を形成できる画像形成方法および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】少なくとも炭素および水素を含む非単結晶材料を表面層に用いた電子写真感光体の表面層のダイナミック硬度と磨耗量との関係を示すグラフである。
【図2】本発明で用いる電子写真感光体の一例の側断面図である。
【図3】本発明で用いる電子写真感光体を作成するための製造装置の一例を示す模式図である。
【図4】画像形成プロセスの一例を説明するための電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の画像形成方法に用いられる接触帯電装置の一例の模式図である。
【図6】本発明の画像形成方法に用いられる接触帯電装置の一例の模式図である。
【図7】本発明の画像形成方法に用いられる接触帯電装置の一例の模式図である。
【図8】本発明の画像形成方法に用いられる接触帯電装置の一例の模式図である。
【図9】実施例1の感光体の表面層のダイナミック硬度と磨耗量との関係を示すグラフである。
【図10】実施例2の感光体の表面層のダイナミック硬度と磨耗量との関係を示すグラフである。
【図11】実施例3の感光体の表面層のダイナミック硬度と磨耗量との関係を示すグラフである。
【図12】実施例4の感光体の表面層のダイナミック硬度と磨耗量との関係を示すグラフである。
【図13】実施例5の感光体の表面層のダイナミック硬度と磨耗量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
201 円筒状基体
202 光受容層
203 表面層
204 下部阻止層
205 中間層
206 光導電層
2100 堆積装置
2111 反応容器
2112 導電性円筒状基体
2113 基体加熱ヒーター
2114 原料ガス導入管
2115 高周波マッチングボックス
2116 ガス配管
2117 排気装置
2118 メインバルブ
2119 排気管
2120 上板
2121 底板
2122 碍子
2123 リークバルブ
2124 真空計
2126 回転軸
2130 ダミーホルダー
2200 原料ガス供給装置
2211〜2216 マスフローコントローラー
2221〜2226 原料ガスのボンベ
2231〜2236,2241〜2246,2251〜2256 バルブ
2260 補助バルブ
2261〜2266 圧力調整器
401 感光体
402 主帯電器
403 静電潜像形成部位
404 現像器
405 転写材供給系
406(a) 転写帯電器
406(b) 分離帯電器
407 クリーニングローラー
408 搬送系
409 除電光源
410 ランプ
411 原稿台ガラス
412 原稿
413、414、415、416 ミラー
417 レンズユニット
418 レンズ
419 転写材供給部材
420 ブランク露光LED
421 クリーニングブレード
422 レジストローラー
423 面状ヒーター
424 定着装置
425 クリーナー
P 転写材
501 芯金
502 磁性粒子
503 感光体
504 電圧印加手段
601 芯金
602 ブラシ
603 感光体
604 電圧印加手段
701 芯金
702 弾性体層
703 感光体
704 電圧印加手段
801 芯金
802 可撓性の帯電部材
803 感光体
804 電圧印加手段
805 導電性微粉体

Claims (16)

  1. 円筒状基体上に、光導電層と、少なくとも炭素および水素を含む非単結晶材料から成る表面層とを有する電子写真感光体を帯電させる接触帯電工程と、
    像露光を行うことにより前記電子写真感光体上に静電潜像を形成させる潜像形成工程と、
    前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像を現像して、トナー像を形成させる現像工程と、
    前記トナー像を、中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写させる転写工程とを有する画像形成方法であって、
    画像形成時の前記電子写真感光体表面層の摩耗量が該表面層のダイナミック硬度に対して実質的に相関を持たない領域で画像形成を行うことを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記帯電工程は、磁性粒子を磁気拘束することによって形成される磁気ブラシを、前記電子写真感光体の表面に当接させ電圧を印加することにより前記電子写真感光体を帯電させる磁気ブラシ帯電器を用いた帯電工程であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記表面層が、炭素原子を母材とし、シリコン原子と炭素原子の和に対するシリコン原子の比が0<Si/Si+C<0.1であるシリコン微量添加炭素膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記表面層が、ハロゲンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 前記磁性粒子は、体積平均径が10〜50μmであるフェライト粒子であって、該フェライトの組成は、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、鉄、リチウム、ストロンチウム、バリウムの少なくとも一つの金属元素を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 前記感光体の表面の移動速度に基づくプロセススピードが50〜1000mm/secであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 前記磁気ブラシと感光体との相対速度が0%〜400%となるように前記磁気ブラシを回転させながら前記電子写真感光体を帯電させることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. 前記帯電工程は、導電性微粉体と、この導電性微粉体を表面に担持する帯電部材とを有する装置において、該導電性微粉体が該電子写真感光体と当接部を形成し、該帯電部材に電圧を印加することによって該電子写真感光体を帯電させる帯電工程であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  9. 前記表面層が、炭素原子を母材とし、シリコン原子と炭素原子の和に対するシリコン原子の比が0<Si/Si+C<0.1であるシリコン微量添加炭素膜であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
  10. 前記表面層が、ハロゲンを含むことを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成方法。
  11. 前記導電性微粉体は、体積平均粒子径が0.5〜10μmであるカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉末または銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化すず、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、またはこれらの複合酸化物であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 前記帯電部材は多孔体表面を有する弾性体であることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 前記帯電部材はアスカーC硬度が50度以下のローラー部材であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. 前記感光体の表面の移動速度に基づくプロセススピードが50〜1000mm/secであることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の画像形成方法。
  15. 前記帯電部材と感光体との相対速度が0%〜400%となるように前記帯電部材を回転させながら前記電子写真感光体を帯電させることを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の画像形成方法。
  16. 円筒状基体上に、光導電層と、少なくとも炭素および水素を含む非単結晶材料から成る表面層とを有する電子写真感光体を帯電させる接触帯電工程と、
    像露光を行うことにより前記電子写真感光体上に静電潜像を形成させる潜像形成工程と、
    前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像を現像して、トナー像を形成させる現像工程と、
    前記トナー像を、中間転写体を介して、または、介さずに転写材に転写させる転写工程とを有する画像形成装置であって、
    画像形成時の前記電子写真感光体表面層の摩耗量が該表面層のダイナミック硬度に対して実質的に相関を持たない領域で画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
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