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JP2004256444A - 悪性腫瘍の治療方法 - Google Patents

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JP2004256444A JP2003049198A JP2003049198A JP2004256444A JP 2004256444 A JP2004256444 A JP 2004256444A JP 2003049198 A JP2003049198 A JP 2003049198A JP 2003049198 A JP2003049198 A JP 2003049198A JP 2004256444 A JP2004256444 A JP 2004256444A
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進 池原
Yasushi Adachi
靖 足立
Yasuhiro Suzuki
康弘 鈴木
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Kansai Technology Licensing Organization Co Ltd
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Abstract

【課題】移植片対宿主病の副作用を惹起させることなく悪性腫瘍を治療できるドナーリンパ球輸注を応用した技術を提供する。
【解決手段】悪性腫瘍の治療方法であって、処置を要求される患者に、移植片対腫瘍反応による腫瘍治療のためのドナーリンパ球輸注を行い、次いで、上記ドナーリンパ球輸注によって生じる移植片対宿主病の予防および治療のための放射線照射、ホストリンパ球輸注およびホスト全骨髄細胞の骨髄内投与を行うことを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形癌および肉腫を含む各種悪性腫瘍の治療方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、白血病などの造血器腫瘍を対象とした分野で、同種骨髄移植後の再発例に対して、同一ドナーのリンパ球を輸注して再発を防止する治療法が確立されている(ドナーリンパ球輸注療法、donor lymphocyte infusion, DLI乃至donor leukocyte transfusion, DLT、以下、この療法を「DLI」という。例えば非特許文献1参照)。
【0003】
DLIの原理は、再発して増殖を始めた白血病細胞を、輸注したドナーのリンパ球(免疫担当細胞、主にT細胞)が攻撃する作用(移植片対白血病反応、graft versus leukemia reaction, 以下「GVLR」という)を利用するものである。
【0004】
しかるに、ドナーリンパ球は、上記白血病細胞のみを攻撃するわけではなく、患者(レシピエント)自体を異物として認識し、該患者の正常な組織、例えば肝臓、消化管、皮膚などをも攻撃、殺傷して、移植片対宿主反応(graft versus host reaction, GVHR)乃至移植片対宿主病(graft versus host disease, GVHD)を惹起させる。以下「GVHD」という。
【0005】
DLIは、白血病に限らず、固形癌などの治療法としても提案されている。この場合、移植片対腫瘍反応(graft versus tumor reaction, 以下「GVTR」という)による治療効果が期待できるが、この治療の際にも、GVHDの発症は重大な弊害である。その予防法乃至治療法が確立されない限り、DLIの臨床利用は患者にとって危険を伴うものであり、実用性は乏しい。
【0006】
以上のように、GVLR乃至GVTRを利用するDLIは、これを頻回繰り返すことによって白血病、悪性腫瘍などを根治できるものではあるが、そのようなDLIの繰り返しは、副作用としてのGVHDの頻度、重症度をも高めるものであり、従ってその臨床的実施による悪性腫瘍の根治は尚困難な状態にある。
【0007】
当業界ではGVHDの発生を予防することができるか或いは発生したGVHDを治療することができる新しい技術の開発が要望されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−172188
【0009】
【非特許文献1】
塩原信太郎、「DLIの適応と方法」、血液・腫瘍科、42(2): 151−157, 2001
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、悪性腫瘍の根治療法を確立することにある。より詳しくは、本発明は、従来提案されているDLIを利用した悪性腫瘍の治療技術において、副作用として発症するGVHDを抑制乃至回避(予防および治療)することができる技術を開発することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、以前より、骨髄移植、臓器移植などの分野で有効な免疫寛容を達成する技術について研究を重ねてきた。その過程において、前処置としての放射線照射の後に、ドナー由来骨髄細胞をレシピエント骨髄内に直接投与(intra bone marrow−bone marrow transprantation, IBM−BMT、以下「IBM−BMT」という)するときには、移植細胞の生着不全、拒絶反応を回避して、しかもGVHDを伴うことなく、レシピエントの造血系をドナーのそれに置き換えることができ、かくして移植骨髄もしくは移植臓器の長期に亘る生着、維持を図り得ることを見出し、この知見を基礎とする発明を完成した(特許文献1参照)。
【0012】
本発明者らは、このIBM−BMTではGVHDが発症しない点に着目し、この技術を、DLIを利用した悪性腫瘍の治療法において発症する副作用としてのGVHDの抑制乃至回避のために利用することができれば、悪性腫瘍の根治的治療が確立できると考えた。本発明者らは、この着想に基づいて更に鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。本発明の要旨は次の各項に示すところにある。
【0013】
項1. 悪性腫瘍の治療方法であって、処置を要求される患者にDLIを行い、次いで、放射線照射、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するリンパ球の輸注(HLI; host lymphocyte infusion, 以下「HLI」という)およびホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する骨髄細胞の骨髄内投与(IBM−BMT)を行うことを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
【0014】
項2. DLIが、GVTRによる腫瘍治療のためのものであり、放射線照射、HLIおよびホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する骨髄細胞の骨髄内投与(IBM−BMT)が、DLIによって生じるGVHDの予防および治療のためのものである悪性腫瘍の治療方法。
【0015】
項3. DLIに先だって、更に放射線照射を行う項1に記載の方法。
【0016】
項4. DLIが、ドナー由来の末梢血有核細胞(peripheral blood mononuclear cell,以下「PBMNC」という)の有効量を静脈内投与することにより行われる項1に記載の方法。
【0017】
項5. DLI後に行われる放射線照射が、3−4Gyの放射線の全身照射(total body irradiation,以下「TBI」という)によって行われる項1に記載の方法。
【0018】
項6. HLIが、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するPBMNCの有効量を静脈内投与することにより行われる項1に記載の方法。
【0019】
項7. 骨髄細胞が、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する全骨髄細胞(whole bone marrow cell,以下「WBMC」という)である項1に記載の方法。
【0020】
項8. 骨髄細胞が、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者の長管骨の一端に骨髄穿刺針を挿入し、該針を通じて灌流液を骨髄腔内に流し、骨髄細胞を含む灌流液を長管骨の他端に設けた穿孔から回収することによって得られるWBMCである項1に記載の方法。
【0021】
項9. 骨髄細胞の骨髄内投与(IBM−BMT)が、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するWBMCの有効量をホストの長管骨内に投与することにより行われる項1に記載の方法。
【0022】
項10. 悪性腫瘍の治療方法であって、処置を要求される患者に、GVTRによる腫瘍治療のためのDLIを行い、次いで、該DLIによって生じるGVHDの予防および治療のための放射線照射およびホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する末梢血幹細胞(peripheral blood stem cell,以下「PBSC」という)の静脈内投与(以下、「PBSCT」という)を行うことを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
【0023】
項11. 悪性腫瘍が、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、肉腫、メラノーマ、脳腫瘍、胃癌、舌癌、食道癌、大腸癌、肝癌、胆のう癌、膵癌、腎癌、膀胱癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、皮膚癌、乳癌、精巣癌、卵巣癌、子宮癌および肺癌から選ばれるものである項1に記載の方法。
【0024】
項12. 項1に記載の悪性腫瘍の治療方法に用いられる薬理組成物であって、(1)ドナー由来のPBMNCを含む組成物、(2)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するPBMNCを含む組成物および(3)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するWBMCを含む組成物を含む薬理組成物。
【0025】
項13. DLIによって生じるGVHDの予防および治療方法であって、GVHDの予防および治療処置を要求される患者に、放射線照射、HLIおよびホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する骨髄細胞の骨髄内投与(IBM−BMT)を行うことを特徴とする方法。
【0026】
項14. 項13に記載のDLIによって生じるGVHDの予防および治療方法に用いられる薬理組成物であって、(1)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するPBMNCを含む組成物および(2)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するWBMCを含む組成物からなる薬理組成物。
【0027】
本発明の悪性腫瘍の治療方法は、従来提案されているDLIの最も重大な欠点である、副作用としてのGVHDの発症を完全に抑制乃至回避して、悪性腫瘍を根治できることをその最大の特徴としている。
【0028】
本発明方法によって、根治できる悪性腫瘍は、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器悪性腫瘍;メラノーマ、肉腫、脳腫瘍などの造血器以外の悪性腫瘍;および例えば胃癌、舌癌、食道癌、大腸癌、肝癌、胆のう癌、膵癌、腎癌、膀胱癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、皮膚癌、乳癌、精巣癌、卵巣癌、子宮癌、肺癌などのあらゆる臓器の癌(固形癌)を含む。
【0029】
本発明方法によって、このように各種の悪性腫瘍が根治できる理由は、以下のものと推察される。即ち、本発明方法においては、まず、悪性腫瘍患者にDLIを行って、該患者の造血系をドナーのそれに置き換える。かくして構築されたドナー由来の造血系(主としてTリンパ球)は、GVTRによって患者の腫瘍細胞を攻撃、殺傷して腫瘍治癒効果をもたらす。一方、ドナー由来の造血系は、患者の正常組織をも異物とみなし、これを排除しようとしてGVHDを発症させる。しかるに、本発明方法では、次いで放射線照射、HLIおよびホスト由来の骨髄細胞のIBM−BMTを行うことによって、このGVHDの発症を防止するかまたは治療することができる。より詳しくは、3−4Gyの低線量の放射線照射によって、GVHDを起こしているリンパ球を死滅させる。また、HLIによって、該ドナーの造血系を再度患者の造血系に置換(再構築)して、宿主対移植片反応(host versus graft reaction, 以下「HVGR」という)を行わせる。更に、IBM−BMTによって、患者の造血系の上記再構築のための環境を整えて、再構築を容易且つ充分なものとし、これと同時に残存するドナー由来の造血系(主としてT細胞)の機能を完全に抑制するのである。換言すれば、該IBM−BMTによって、ホストのストローマ細胞(stromal cell)がホスト骨髄内に効率よく補充されて、増殖、分化し、該細胞から分泌されるT細胞の機能を抑制するサイトカインがGVHDの発症を抑制し、HVGRを促進するのである。このような作用機構を利用することから、本発明方法は、リベンジセラピー(revenge therapy)と呼ぶことができる。
【0030】
尚、本発明者らは、上記HLIおよびホスト細胞由来の骨髄細胞のIBM−BMTに代えてホスト由来のPBSCの静脈内投与によっても、該PBSCがホスト由来のPBMNCおよびWBMCと同様の機能を奏し得、かくして同様にGVHDの発症抑制およびHVGRの促進が行われることを見出している。
【0031】
いずれにしても、本発明方法では、DLIに伴われて発症するおそれのある副作用としてのGVHDを完全に抑制乃至回避することができ、このGVHDの発症を全く心配することなく、悪性腫瘍を根治できる頻回のDLIを実施して、各種悪性腫瘍を根治できるのである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明方法について、採用される各操作(工程)毎に、之等を詳述する。
【0033】
(1) DLI
本発明において採用されるDLIは、基本的には、白血病細胞の再発治療のために従来行われてきたDLIと同様にして実施することができる(非特許文献1参照)。
【0034】
ドナーは、健常者であるのが好ましい。また該ドナーは本発明方法を適用する患者(ホスト)と同種(allogeneic)であるが、組織適合抗原(HLA)が不一致であるのが好ましい。即ち、該ドナーとしては、予めそのリンパ球が、ホストのリンパ球との混合反応(mixed lymphocyte reaction, MLR)によって強い相互反応性を示すものを選択するのが、より優れた治療効果を奏し得る上で好ましい。
【0035】
DLIに用いられるドナーリンパ球は、上記同種(allogeneic)に由来するPBMNCから選ばれる。PBMNCの採取、調製は常法に従うことができる。
【0036】
本発明に従うDLIは、PBMNCを経静脈的に輸注することにより実施される。特に、通常の方法に従って調製されるPBMNC中には、約50%以上のT細胞が含まれており、GVTRを起こしやすく、HVGRも有効に行い得る面で好ましい。
【0037】
PBMNCの輸注量および輸注回数は、患者(ホスト)の性状(年齢、性別、体重)、疾患の重篤度などに応じて適宜決定され特に限定されるものではない。一般には一回当たり約1×10〜1×10個/Kgの範囲から選ばれるが普通である。輸注回数およびその間隔は、所望のGVTRによる悪性腫瘍の治療効果が生じるものとすればよく、一般には通常4−7日間隔で少なくとも2回、通常3−5回程度とされる。
【0038】
尚、本発明方法においては、このDLIに先だって、該DLIによる悪性腫瘍治療効果をより確実なものとするために、前処理としてホストへの放射線照射処理を行うこともできる。この放射線照射処理は、ホストのリンパ・造血系細胞をできるだけ破壊することを目的としている。一般には、約5Gy以下の全身照射(TBI)を行えばよい。このTBIは、前記DLI(初回)と同日(24時間以内)に行われるのが適当である。
【0039】
(2) 放射線照射
本発明方法においては、前記DLI後に、放射線照射、HLIおよびホスト由来骨髄細胞のIBM−BMTを行う。これらの各操作は、DLIによって生じるGVHD(ホスト体重減少などを指標として判断する)の予防および治療を目的とするものである。
【0040】
このDLI後の放射線照射は、DLIの実施によって起こる悪性腫瘍の縮小および副作用としてのホスト体重減少、下痢症状などを指標として、DLI(終回)の1週間以内に実施されるのが適当である。また、この放射線照射は、DLIの実施によって構築(置換)されたドナー由来の造血系を再度ホスト由来の造血系に戻すための前処理、即ちドナー由来の造血系を破壊するための操作として実施されるものである。一般には、約4Gy以下、通常3−4Gy程度、より好ましくは3Gy前後のTBIによって行われる。
【0041】
(3) HLI
HLIは、ホストまたはこれとHLAが一致した第三者(以下これらを「ホスト系」ということがある)に由来するPBMNCを利用して実施される。ここで、PBMNCの採取、調製は、前記(1)の項で説明したドナー由来のPBMNCの採取、調製と同様にして実施することができる。
【0042】
尚、ホストに由来するPBMNCは、本発明に従う治療の開始前に、予めホストから採取、調製すればよい。但し、ホストが例えば白血病患者などの場合、該ホストの末梢血には白血病細胞が混入している危険性が高く、そのような場合には、ホスト由来のPBMNCの代わりに、ホストとHLAが一致した第三者(健常者)に由来するPBMNCを利用する。上記白血病細胞の混入の有無は、常法に従ってポリメラーゼ・チェイン・リアクション(polymerase chain reaction, 以下「PCR」という)、フローサイトメトリー(flow cytometry)などにより確認することができる。
【0043】
本発明に従うHLIは、PBMNCを経静脈的に投与(輸注)することにより実施される。ホスト系細胞の輸注量および輸注回数は、患者(ホスト)の性状(年齢、性別、体重)、疾患の重篤度などに応じて適宜決定され特に限定されるものではない。輸注量は、一般には一回当たり約1×10〜1×10個/Kgの範囲から選ばれるが普通である。輸注回数は、所望のHVGRによるGVHRの抑制効果が生じるものとすればよく、単一回のHLIでも充分にその効果が奏される場合もあるが、好ましくは4−7日間隔で2−3回程度行えばよい。上記HLIの実施は、通常先の放射線照射処理と同日、即ち該放射線照射処理の24時間以内に行うことができる。
【0044】
(4) IBM−BMT
本発明方法に従うIBM−BMTは、前記(3)項に記載のHLIと同時に行う。ここで骨髄細胞は、ホスト系、即ちホストまたはこれとHLAが一致する第三者(健常者)に由来するものを利用する。それらの採取、調製は、公知の方法に従うことができる(例えばBlood, Vol 88, pp 445−454 (1996); 「細胞免疫実験操作法」(Mishell B. B., Shgi S. M. 編、今井勝行、川口進、原田孝之供訳、理工学社、3−12頁、1982年)など参照)。
【0045】
具体的には、例えば腸骨から、吸引法などの公知の方法により得られる全骨髄細胞を挙げることができる。このような方法による場合、T細胞の混入は特に問題はないが、末梢血液に由来する赤血球は予め除去しておくのが好ましい。
【0046】
特に好ましい骨髄細胞は、本発明者らが先に確立した灌流法により得られる骨髄細胞を挙げることができる(通常6%程度以下のT細胞が混入し、ストローマ細胞を含有している、特許文献1参照)。該灌流法は、具体的には、ホストまたは該ホストとHLAが一致する健常者の長管骨の一端に骨髄穿刺針を挿入し、該針を通じて灌流液を骨髄腔内に流し、骨髄細胞を含む灌流液を長管骨の他端に設けた穿孔から回収することによって実施される。より詳しくは、例えば、麻酔下に、骨髄穿孔針を大腿骨外顆近位部(上腕骨の場合は上腕骨大結節遠位部)に軸に対して直角に挿入し、延長チューブの一端を該針につなぎ、他端を培養フラスコ中に入れる。該フラスコ内にはヘパリンを含むリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)を入れておく。もう一つの骨髄穿孔針を同大腿骨大転子遠位部(上腕骨の場合は上腕骨外顆近位部)に軸に対して直角に挿入し、PBSを入れたシリンジに繋ぐ。該シリンジよりPBSをゆっくりと骨髄腔に押し出して骨髄を洗出し、骨髄液を含む媒体を上記フラスコ中に回収する。かくして、末梢血液(赤血球やT細胞)の混入の非常に少ない骨髄細胞(全骨髄細胞)を得ることができる。
【0047】
尚、本発明においてホストが例えば白血病患者などの場合、該ホストの骨髄細胞には、前述したPBMNCと同様に、白血病細胞が混入している危険性がある。そのような場合には、ホスト由来の骨髄細胞に代えて、ホストとHLAの一致した健常者に由来する骨髄細胞の利用を行う。白血病細胞の混入の有無は前記(3)に記載したPBMNCの場合と同様にして判定できる。
【0048】
上記のようにして調製されるホストまたはこれとHLAが一致する第三者に由来する骨髄細胞の骨髄内投与(IBM−BMT)は、例えば長管骨(脛骨、大腿骨など)骨髄内に刺入した針を利用して注射により実施することができる。その詳細は、後記実施例に示すとおりである。特にこの方法はレシピエントへの侵襲の少ないものとして特徴付けられる。
【0049】
骨髄細胞の骨髄内投与量は、GVHRが抑制できる有効量であればよい。具体的には、通常1×10−5×10個/kg程度、好ましくは1×10個/kg程度とすることができる。
【0050】
(5) PBSCT
本発明においては、前記(3)項および(4)項に記載のHLIおよびIBM−BMTに代えて、ホスト系のPBSCの静脈内投与(輸注)を行うことも可能である。ここで、利用されるPBSCの採取および調製は、文献記載の一般的方法、例えば、1996年4月20日株式会社日本医学館第1版第2刷発行の「造血幹細胞移植マニュアル」第351−360頁に記載の方法に従って行うことができる。PBSCの採取にあたっては、予め常法に従って、動員効果のある造血因子、例えば顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor, 以下「G−CSF」という)、サイトシン−アラビノシド(cytosine−arabinoside, Ara C)などの投与による末梢血の動員を行うことができる。また、PBSCの採取には、一般に成分献血などで用いられている連続血液成分採取装置(例えば血球分離装置)などを使用することができる。調製されるPBSCは、−80℃の冷凍庫或いは液体窒素内で保存され、用時に37℃の微温で融解される。
【0051】
PBSCの輸注操作は、前述した(3)項に記載のHLIと同様にして実施することができる。輸注量および輸注回数も、前記(3)に記載のPBMNCの輸注の場合と同様とすることができる。
【0052】
(6) 付加的処理操作
本発明方法は、前述した(1)〜(4)項に記載の各操作または(1)、(2)および(5)項に記載の各操作を実施することによって、悪性腫瘍の根治を行い得るものではあるが、当然のことながら、対象とする悪性腫瘍は可能な限り外科的に切除することが好ましい。従って、本発明方法はこのような外科的切除術と併用されるのが好ましい。また、悪性腫瘍の治療乃至縮小化手段として、従来より抗癌剤などを用いた化学療法や、放射線療法などが開発されており、それぞれある程度の効果を認められている。本発明方法は、之等の悪性腫瘍の縮小化手段としての化学療法、放射線療法と組み合わせて実施することも勿論可能である。更に、本発明方法は、悪性腫瘍の治療技術として既に提案されている各種の抗体療法、サイトカイン療法、ワクチン・遺伝子療法、バイオロジカル・リスポンス・モディファイア(biological response modifier)療法などと組み合わせることもできる。
【0053】
本発明によれば、このような組合せによって、個々の悪性腫瘍患者に対して最適なオーダーメイドの悪性腫瘍治療方法を提供することができる。
【0054】
以上の通り、本発明方法は、副作用を伴うことなく悪性腫瘍の根治を行い得るものであり、その臨床分野における利用およびこれによる社会への貢献は極めて高い。
【0055】
殊に、本発明方法において利用するIBM−BMT技術によれば、造血幹細胞のみならず、間葉系幹細胞をもホストに良好に移植、維持できるものであり、これによれば、例えば抗癌剤や放射線療法を併用する場合に認められる副作用としての臓器(腎、肝、肺など)傷害の再生や修復なども可能である利点がある。
【0056】
(7) 医薬組成物
本発明は、上述した本発明悪性腫瘍の治療法の実施のための薬理組成物をも提供する。該組成物は、(a)ドナー由来のPBMNCを含む組成物、(b)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するPBMNCを含む組成物および(c)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するWBMCを含む組成物を含んでいる。
【0057】
上記(a)−(c)に示す各組成物は、有効成分とする各細胞を含む限り特に限定されないが、一般にはそれらの投与経路に適した形態、例えば注射剤、輸液剤などの液剤形態に調製されるのが好ましい。この注射剤を含む液剤形態の調製は、通常のこの種の細胞成分からなる各種医薬製剤におけるそれらと同様のものとすることができる。その際用いられる担体も、この分野で従来より、よく知られている、薬学的に許容される各種の担体(希釈剤)でよい。その具体例としては、代表的にはPBS、RPMI 1640などを例示することができる。また、上記液剤形態の調製には、現在汎用されている各種の輸液用製剤に利用される各種の技術を利用可能である。尚、各組成物は、用時調製することもできる。各組成物は、本発明方法に従いそれぞれの所定量を所定の投与経路で投与される。かくして、悪性腫瘍の予防および治療効果を奏し得る。
【0058】
また、本発明は、DLIによって生じるGVHDの予防および治療法の実施のための薬理組成物をも提供する。該薬理組成物は、前記(b)および(c)として記載の各組成物を含んでいる。各組成物(b)および(c)は、本発明方法に従い、それぞれの所定量を所定の投与経路で投与され、かくして、所望のGVHDの予防および治療効果を奏し得る。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例を挙げる。
【0060】
尚、各例で利用する細胞は以下のようにして調製した。
〔末梢血有核細胞(PBMNC)〕
ドナーPBMNCは、マウス(C57BL/6J(B6)(H−2))から、またホストと同系のPBMNCは、BALB/cマウスから、それぞれヘパリン採血後、常法により調製した。
〔骨髄細胞(BMC)〕
(1) ホストと同系の骨髄細胞は、次の通り調製した。即ち、ホストと同系のBALB/cマウスより、大腿骨及び脛骨を取り外し、それぞれ、膝関節側よりシリンジ(2.5ml, Code No. SS−02S, Terumo Co., Ltd.)につけた22ゲージ針(Code No. NN−2225RSS−02S, Terumo Co., Ltd.)を刺入し、シリンジ中のRPMI 1640溶液にて骨髄細胞を滅菌シャーレ(90×15mm, Iwaki Clinical Test Wares)に押し流した後、RPMI 1640溶液中に懸濁させ、得られる骨髄細胞をRPMI 1640溶液にて1回洗浄後、同溶液中に浮遊させて所望の骨髄細胞浮遊液(1×10/ml濃度)を調製した。
(2) ヒトへの応用のための灌流法による骨髄細胞浮遊液の調製
正常カニクイザル(cynomolgus monkey,体重:2.5−3.5kg、腸内寄生虫なし、細菌性赤痢、結核、Bウイルス、A型肝炎及びB型肝炎ウイルス陰性)を供試動物として用いた。全ての外科的手術及び術後処置はガイドライン(guidlines of the National Institutes of Health for care and use of primates)に従った。
【0061】
「ケタラール」(Sankyo Co., Ltd.)5mg筋注麻酔下に、上記供試動物の大腿骨外顆近位部(上腕骨の場合は上腕骨大結節遠位部)に、骨髄穿孔針(Katsunuma’s bone marrow puncture needle (φ1.8mm) Kyoto, Japan)を、軸に対して直角に挿入し、延長チューブ(extention tube, 50cm, 3.8ml, Code No. SF−ET3825, Terumo Co., Ltd.)の一端を該針につなぎ、他端を培養フラスコ(250ml, Becton Dickinson)中に入れた。該フラスコ内にはヘパリン(10U/ml, Novo Heparin 1000, Hoechst Marion Roussel Co., Ltd.)を含むリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)20mlを入れておいた。
【0062】
もう一つの骨髄穿孔針を、同供試動物の大腿骨大転子遠位部(上腕骨の場合は上腕骨外顆近位部)に軸に対して直角に挿入し、PBS30mlを入れたシリンジ(30ml, Code No. SS−30ES, Terumo Co., Ltd.)に繋いだ。該シリンジよりPBSをゆっくりと骨髄腔に押し出して骨髄細胞を洗出し、骨髄液を含む媒体を上記培養フラスコ中に回収した。上記操作を2度繰り返した。当該方法により得られた骨髄細胞浮遊液をMono−Poly Resolving Medium (Dainippon Pharmaceutical Co., Ltd.)の上に重層し、15℃、30分間、2000回転にて遠心操作を行ない、沈殿した赤血球を除去した。かくして、T細胞の混入を低減された所望の骨髄細胞液(2.3±1.5×10細胞/ml、2.6±1.6×10細胞/大腿骨)を得た。
【0063】
得られた骨髄細胞の細胞表面抗原を、ヒトCD4,CD8,CD20,CD11bまたはCD56(Exalpha)およびIgM(Biosouce)に対する抗体(mAbs、予めカニクイザル細胞上に発現される分子との交差反応性の程度を調べたもの)を結合させたFITCまたはPEを用いて、フローサイトメトリー分析(EPICS−XL, Coulter Co.)により測定した。
【0064】
その結果、通常のアスピレーション法により得られる骨髄細胞では、20%以上のT細胞(CD4及びCD8)の混入が見られるのが普通であるのに対して、上記方法(灌流法)により得られた骨髄細胞では、T細胞の混入は5%を下回るものであった(CD4;2.0±2.2%,CD8;3.9±3.3%)。
【0065】
このことから、本灌流法によれば、CD4及びCD8T細胞の頻度で表わされる末梢血の混入が顕著に低いことが明らかである。
【0066】
上記と同様にして、ヒト大腿骨より所望の骨髄細胞浮遊液を調製することができる。このものは、通常1×10細胞/kg程度もしくはそれ以上の投与量で骨髄内投与されるのが好ましく、少なくとも当該投与量を含有する骨髄内投与用形態としての注射剤形態に調製される。
〔末梢血幹細胞(PBSC)〕
ホストと同系の(HLAが一致する)マウスのPBSCは、BALB/cマウスから前記文献記載の方法(Blood, 15 May 2002, Vol.99, No.10, pp.3838−3843; 1996年4月20日株式会社日本医学館第1版第2刷発行「造血幹細胞移植マニュアル」、第350−367頁)に従い次のように動員(mobilization)後、採取、調製した。即ち、day0にサイトシン アラビノシド(Ara C)の200mg/kgを腹腔内投与し、G−CSFの250μg/kg/dayをday1からday4まで皮下注射し、day5にPBMNCを採取し、これをPBSに浮遊させPBMNC(細胞浮遊液)として用いた。
【0067】
【実施例1】
(1) 担癌マウスの前処理
BALB/c(H−2)マウスに3−メチルコラントレン(3−methylcholanthrene, MCA)で誘導したBALB/c由来のMeth A(fibrosarcoma: 線維肉腫)細胞を5×10個を移植し、約2週間後、成人小指頭大以上(成人拇指頭大以下、約1−2cm)の腫瘤が形成された時点で、5Gyまたはそれ以下の放射線を全身照射(total body irradiation, TBI)して、ホストのリンパ球・造血系細胞を殺傷、破壊させた。尚、上記TBIは、137Csを線源としたガンマセル40エグザクター(Nordion International Inc.社製)を用いた1回の全身照射により行った。以下の工程における放射線照射も放射線量を変更させる以外は同様にして実施した。
(2) DLI
前記(1)に従うTBIと同日に、アロのC57BL/6J(B6)(H−2)マウス由来のPBMNC(T細胞を50%以上含む)の1×10個を尾静脈内に輸注した(初回DLI)。このDLI操作を1週間毎に3回繰り返した。
(3) TBI
ホストマウスにおける腫瘍サイズおよび体重変動を指標として、腫瘍サイズがほぼプラトーに達し、体重が約2g以上減少した時点をGVHDの発症と判断し、この時点で(試験開始3週間後)3GyのTBIを実施した。
(4) HLI
上記(3)に従うTBIと同日に、ホストと同系のBALB/cマウス由来のPBMNCの1×10個をマウス尾静脈内に輸注した。このHLI操作を1週間後に再度繰り返して実施した(合計2回)。
(5) IBM−BMT
上記(4)に従うHLIと同日( 24時間以内)に、ホストと同系のBALB/cマウスの骨髄細胞(3×10個)を以下の通り骨髄内投与した。即ちペントバルビタール麻酔後、マウスを仰臥位にし、鼠径部から膝関節まで剃毛し消毒した。膝蓋部の上縁より5 mm上方の大腿部前面に5 mmの横切開を加え、膝関節を90−120度屈曲し、脛骨近位を前方に引き出し、26ゲージ針(Terumo Co., Ltd.)を膝蓋腱のやや内側から挿入し、脛骨関節面に骨孔を作成した。更に脛骨骨髄内へと5 mm程度針を進め、ホスト系骨髄細胞(3×10個、浮遊液0.3 ml)を入れたマイクロシリンジ(Hamilton Co., Ltd.)を用いて上記骨孔から骨髄内に骨髄細胞を注入した。尚、皮膚は5−0ナイロン(Johnson and Johnson Company)で縫合し、創部を消毒した。
(6) PBSCT
前記(4)および(5)に代えて、PBSCTを行うことも可能である。このPBSCTは前記(4)として記載のHLIにおいて、PBMNCに代えてPBSCを利用して同様にして実施することができる。
(7) 試験結果
前記投与スケジュールに従い各週毎に測定した試験動物の体重(g)および腫瘍サイズ(mm)の結果を図1(縦軸:体重(g)、横軸:経過時間(週))および図2(縦軸:腫瘍サイズ(mm)、横軸:経過時間(週))に示す。
【0068】
図1および図2に示される結果から、本発明によれば、GVHDの発症を抑制乃至回避して、悪性腫瘍を根治できることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に従う悪性腫瘍の治療効果(供試動物の体重変化)を示すグラフである。
【図2】本発明方法に従う悪性腫瘍の治療効果(供試動物の腫瘍サイズ変化)を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 悪性腫瘍の治療方法であって、処置を要求される患者にドナーリンパ球輸注を行い、次いで、放射線照射、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するリンパ球の輸注およびホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する骨髄細胞の骨髄内投与を行うことを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
  2. ドナーリンパ球輸注が、移植片対腫瘍反応による腫瘍治療のためのものであり、放射線照射、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するリンパ球の輸注およびホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する骨髄細胞の骨髄内投与が、上記ドナーリンパ球輸注によって生じる移植片対宿主病の予防および治療のためのものである請求項1に記載の悪性腫瘍の治療方法。
  3. ドナーリンパ球輸注に先だって、更に放射線照射を行う請求項1に記載の方法。
  4. ドナーリンパ球輸注が、ドナー由来の末梢血有核細胞の有効量を静脈内投与することにより行われる請求項1に記載の方法。
  5. ドナーリンパ球輸注後に行われる放射線照射が、3−4Gyの放射線の全身照射によって行われる請求項1に記載の方法。
  6. ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するリンパ球の輸注が、末梢血有核細胞の有効量を静脈内投与することにより行われる請求項1に記載の方法。
  7. 骨髄細胞が、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する全骨髄細胞である請求項1に記載の方法。
  8. 骨髄細胞が、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者の長管骨の一端に骨髄穿刺針を挿入し、該針を通じて灌流液を骨髄腔内に流し、骨髄細胞を含む灌流液を長管骨の他端に設けた穿孔から回収することによって得られる全骨髄細胞である請求項1に記載の方法。
  9. 骨髄細胞の骨髄内投与が、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する全骨髄細胞の有効量をホストの長管骨内に投与することにより行われる請求項1に記載の方法。
  10. 悪性腫瘍の治療方法であって、処置を要求される患者に、移植片対腫瘍反応による腫瘍治療のためのドナーリンパ球輸注を行い、次いで、上記ドナーリンパ球輸注によって生じる移植片対宿主病の予防および治療のための放射線照射およびホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する末梢血幹細胞の静脈内投与を行うことを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
  11. 悪性腫瘍が、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、肉腫、メラノーマ、脳腫瘍、胃癌、舌癌、食道癌、大腸癌、肝癌、胆のう癌、膵癌、腎癌、膀胱癌、鼻咽頭癌、喉頭癌、皮膚癌、乳癌、精巣癌、卵巣癌、子宮癌および肺癌から選ばれるものである請求項1に記載の方法。
  12. 請求項1に記載の悪性腫瘍の治療方法に用いられる薬理組成物であって、(1)ドナー由来の末梢血有核細胞を含む組成物、(2)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する末梢血有核細胞を含む組成物および(3)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する全骨髄細胞を含む組成物を含む薬理組成物。
  13. ドナーリンパ球輸注によって生じる移植片対宿主病の予防および治療方法であって、移植片対宿主病の予防および治療処置を要求される患者に、放射線照射、ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来するリンパ球の輸注およびホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する骨髄細胞の骨髄内投与を行うことを特徴とする方法。
  14. 請求項13に記載のドナーリンパ球輸注によって生じる移植片対宿主病の予防および治療方法に用いられる薬理組成物であって、(1)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する末梢血有核細胞を含む組成物および(2)ホストまたは該ホストとHLAが一致する第三者に由来する全骨髄細胞を含む組成物を含む薬理組成物。
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