[go: up one dir, main page]

JP2005154514A - 機能性生分解性材料およびその製造方法 - Google Patents

機能性生分解性材料およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005154514A
JP2005154514A JP2003392761A JP2003392761A JP2005154514A JP 2005154514 A JP2005154514 A JP 2005154514A JP 2003392761 A JP2003392761 A JP 2003392761A JP 2003392761 A JP2003392761 A JP 2003392761A JP 2005154514 A JP2005154514 A JP 2005154514A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biodegradable material
functional
minutes
fine particles
igg
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003392761A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Takeoka
真司 武岡
Yuji Teramura
裕治 寺村
Masanori Otsuka
正宣 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Waseda University
Original Assignee
Waseda University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Waseda University filed Critical Waseda University
Priority to JP2003392761A priority Critical patent/JP2005154514A/ja
Publication of JP2005154514A publication Critical patent/JP2005154514A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

【課題】ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸共重合体等の生分解性材料表面に、種々の親水性の機能性部位または水溶性高分子を担持させた機能性の生分解性材料を提供する。
【解決手段】機能性生分解性材料は、生分解性材料と、該生分解性材料の表面を修飾する表面修飾分子を含む。機能性表面修飾分子は、一般式:
[生分解性材料と親和性のある部分]−[親水性のスペーサ部分]n−[リンカー部分]−[親水性の機能性部分]
(但し、nは1または0)で表される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面を機能性分子で修飾した生分解性材料およびその製造方法に関する。
ポリ乳酸や乳酸・グリコール酸共重合体のような生分解性材料は、生体内で加水分解により低分子化され、分解産物は無毒であるため、医用材料として広く利用されている。例えば、生分解性高分子は、縫合糸、薬剤運搬系(ドラッグデリバリーシステム)用の担体、再生医療用細胞培養用のマトリックスもしくは支持材料等に利用されている。薬剤運搬用の担体として利用される場合は、機械的強度を必要としないために比較的低分子量(およそ103から104Da)のポリ乳酸や乳酸・グリコール酸の共重合体が用いられ、主として脂溶性薬剤や生理活性物質の担体として利用されており、生体内での徐放により薬剤の副作用を低減できる。
調製方法は、薬剤とポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体をジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解させ、ポリビニルアルコール(PVA)やレシチン等の界面活性剤を溶解した水溶液中にてエマルジョンを形成させて、昇温あるいは減圧により有機溶剤を蒸発させることにより、微小球状粒子を調製している(オイル・イン・ウォーター(O/W)法)。水溶性薬剤の場合には、予め薬剤をゼラチン等の水溶液に溶解させ、ウォーター・イン・オイル・イン・ウォーター(W/O/W)法により調製する手法が用いられている(非特許文献1〜3)。
また、ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体からなる微粒子を血中に投与した場合、リポソーム製剤と同様、細網内皮系に速やかに捕捉されるために血中滞留時間がきわめて短い。また、血中滞留時間は粒径に大きく依存し、およそ100〜300nmが望ましいとされている。従って、水溶性高分子であるポリオシキエチレン鎖等によって表面修飾を行い、細網内皮系に認識されにくくする手法が用いられる。具体的には、表面修飾剤として乳酸とポリオキシエチレンのジブロック共重合体を利用して、W/O法によりポリオキシエチレン鎖で表面修飾したポリ乳酸微粒子を調製し、マウスにおける血中滞留時間の延長に成功している(非特許文献4〜5)。
ポリ乳酸あるいは乳酸・グリコール酸共重合体からなる微粒子に関する従来研究のほとんどは、ポリオキシエチレン鎖等による表面修飾による血中滞留時間の延長、あるいは薬剤の徐放剤として利用する場合は徐放時間の制御を目的としたものである。生体内での加水分解に伴う担持薬剤の徐放により、薬効時間の延長が実現でき薬剤による副作用は軽減できるが、より高度な機能としては特定の臓器あるいは組織等の病態部位へ薬剤を集積させることで、他の臓器あるいは組織等に対する副作用の大幅な軽減が可能となる。ただし、微粒子に特定部位を認識し集積させるためには、表面に認識部位を結合させる必要がある。認識部位としては、抗体、蛋白質、オリゴペプチド、多糖、オリゴ糖、低分子リガンド等低分子量から高分子量の化合物が候補にあげられる。しかし、ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体は、その主鎖末端基(カルボキシル基とヒドロキシル基)を除くと分子内には官能基を有しておらず、認識部位を結合できない。
実際に、ポリ乳酸からなる微粒子表面にチオール基を導入するために、ポリ乳酸末端基カルボン酸を修飾する手法が開示されている(非特許文献6)。例えば、O/W法により調製したポリ乳酸微粒子を調製した後に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)法により末端カルボキシル基を活性化させ、システインあるいはシステアミンを反応させることでチオール基を導入している。ポリ乳酸微粒子1粒子あたり、およそ1000個のチオール基の導入が報告されているが、このチオール基を利用して抗体や認識部位を結合する方法は開示されていない。上記末端カルボキシル基は、O/W法による微粒子形成時に全てが微粒子表面に存在しているものではなく、その表面密度は極めて低い。さらにEDCにより活性化されてシステインあるいはシステアミンと反応するカルボキシル基はその一部であり、結果としてポリ乳酸微粒子1粒子あたり、およそ1000個のチオール基しか導入できないと考えられる。これに更に認識部位を結合させる場合、粒子表面への担持数はさらに減少し、認識部位が高分子量の蛋白質では、ほとんど担持不可能であると考えられ、流動中において微粒子に十分な認識能を付与できない。更に、ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体の分子量もしくは組成比、またはO/W法等の調製手法によってもカルボキシル基の表面密度は大きく変化すると考えられ、定量的に官能基を導入することは困難と考えられる。
また、抗体等の蛋白質や表面修飾剤のポリ乳酸微粒子表面への吸着を利用することも行われているが、血中においては希釈による脱着がみられ、また血漿蛋白質と競合的に脱着・吸着反応が進行するために、物理吸着による認識部位の担持は現実的ではない。
Quellec, P. et al., J. Biomed. Mater. Res. 42, 45-54, 1998 Murakami, H., et al., Int. J. Pharm. 187, 143-152, 1999 Allemann, E. et al., Int. J. Pharm. 87, 247-253, 1992 Mosqueira V. C. F. et al., Pharm. Res. 18, 1411-1419, 2001 Mosqueira V. C. F. et al., J. Drug Targeting, 7, 65-78, 1999 Nobs, L., et al., Int. J. Pharm., 250, 327-337, 2003
以上述べたように、生分解性材料、例えばポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体を利用した微粒子表面に充分量の認識部位を安定に導入する方法は確立されていない。ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体からなる微粒子を利用した薬剤運搬体において、特定な臓器や組織を認識して集積し、薬剤を徐放するメカニズムを備えた系を具体的に実現するための有効な機能性生分解性材料は知られていない。また、再生医療用の細胞培養用マトリックスとしても細胞接着因子を担持したものはまだ知られていない。
従って、本発明は、ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸共重合体等の生分解性材料表面へ、抗体、蛋白質、多糖あるいはオリゴ糖、ペプチド等の親水性の機能性部位あるいはポリオキシエチレン鎖等の水溶性高分子を担持させた機能性の生分解性材料およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体に代表される生分解性材料に対して親和性の大きい部分と親水性の部分からなる両親媒性分子を共集合させた表面修飾生分解性材料を形成し、リンカーを介して親水性の機能性部分を結合させることにより機能性生分解性材料を製造することができることを見いだした。より具体的には、機能性部分として抗体、レセプター蛋白質、オリゴ糖、多糖あるいはオリゴペプチド等の認識部位あるいは親水性の部分としてポリオキシエチレン鎖等の水溶性高分子を結合させることに成功し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明によれば、生分解性材料と、該生分解性材料の表面を修飾する表面修飾分子を含み、該機能性表面修飾分子が、一般式:
[生分解性材料と親和性のある部分]−[親水性のスペーサ部分]n−[リンカー部分]−[親水性の機能性部分]
(但し、nは1または0)で表されることを特徴とする機能性生分解性材料が提供される。
また、本発明によれば、生分解性材料と機能性表面修飾分子をそれらの共通の溶媒に溶解させ、これをポリビニルアルコール水溶液中に分散させてO/Wエマルジョンを形成させ、該溶媒を除去することを特徴とする球状粒子の形態にある機能性生分解性材料の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、一般式:
[生分解性材料と親和性のある部分]−[親水性のスペーサ部分]n
(但し、nは1または0)で表される両親媒性化合物と生分解性材料をそれらの共通の溶媒に溶解させ、これをポリビニルアルコール水溶液中に分散させてO/Wエマルジョンを形成させ、該溶媒を除去して前記両親媒性化合物で表面修飾された前記生分解性材料からなる球状粒子を得、該球状粒子表面上の両親媒性化合物に、親水性の機能性部分を直接またはリンカーを介して結合させることを特徴とする球状の機能性性分解性材料の製造方法が提供される。
本発明によれば、ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸共重合体等の生分解性材料表面へ、抗体、蛋白質、多糖あるいはオリゴ糖、ペプチド等の親水性の機能性部位あるいはポリオキシエチレン鎖等の水溶性高分子を担持させた機能性の生分解性材料およびその製造方法が提供される。
以下に本発明をより詳しく説明する。
本発明の機能性生分解性材料は、生分解性材料と、この生分解性材料の表面を修飾する機能性表面修飾分子を含む。機能性表面修飾分子は、一般式:
[生分解性材料と親和性のある部分]−[親水性のスペーサ部分]n−[リンカ部分]−[親水性の機能性部分]
で表される。上記式において、nは1または0である。
生分解性材料は、生体内で加水分解等により分解され得る材料であり、脂肪族ポリエステル類、多糖類あるいはポリオール類やそのエステル等から構成される材料を含む。そのような生分解性材料は、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸・グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、乳酸・カプロラクトン共重合体、グリコール酸・カプロラクトン共重合体等のポリエステル化合物、アセチルセルロース、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等種々のポリマーから構成することができる。生分解性材料は、これを構成するポリマーの化学的性質、分子量、共重合体組成等により機械的強度、加水分解速度、成形性、結晶性、粘弾性等が異なるが、本発明では、生分解性材料であればいずれのものでも使用することができる。生分解性材料を構成するポリ乳酸、乳酸・グリコール酸共重合体等のポリマーの分子量は、望ましくは103Daから105Daであるが、特にこれに限定されるものではない。また、乳酸・グリコール酸共重合体の共重体組成は、モル比で50/50〜90/10、例えば、70/30、85/15、90/10等であり得るが、これに限定されるものではない。
生分解性材料の形態は用途により異なり、例えば薬剤運搬用担体として利用される場合は球形の微粒子であり、体内への埋込み型除放性材料ではチューブ状や板状である。また、再生医療用の組織培養マトリックスとして利用される場合は、多孔質の円柱状もしくはペレット状、キャスト膜状、または各組織や器官に適合した形状である。また縫合糸として利用される場合は繊維状である。骨折部や骨切り部の接合に用いる接合材として用いられる場合は、ねじ状あるいはピン状等である。このように、その用途により生分解性材料の形状は異なるが、本発明に使用される生分解性材料は、その用途に適した形状であればよい。以下の説明は、薬剤運搬用として適した球形の生分解性材料であるが、この形状あるいはこの生分解性材料に特に限定されるものではない。球形の微粒子である場合、生分解性材料は、50nmから10μm程度の直径を有することが好ましい。
ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体は、主鎖または側鎖に水溶性官能基を持たないために疎水性構造を有している。例えば、ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体からO/W法、オイル・イン・オイル(O/O)法またはW/O/W法により調製された微粒子表面には、ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体の末端に存在するカルボキシル基がわずかに存在していると考えられる。ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体の微粒子を得るためには、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル等の有機溶媒に溶解させたポリ乳酸あるいは乳酸・グリコール酸共重合体をポリビニルアルコールの水溶液に分散させてエマルジョンを形成させた後、減圧下による溶媒除去が行われる。得られた微粒子の表面には、ポリビニルアルコールが吸着し、これが分散安定性を高めている。ポリビニルアルコールが存在しない場合は、微粒子の分散安定度は著しく低下し、速やかに凝集する傾向を示す。ポリ乳酸あるいは乳酸・グリコール酸共重合体の末端カルボキシル基を反応に利用しようとする場合には、エマルション形成時の条件により微粒子表面に存在しているカルボキシル基の密度が変化し、さらに微粒子表面はポリビニルアルコールにより被覆されているために、チオール基等の低分子は導入できても、高分子量の認識部位の導入は困難と考えられる。
そこで、本発明の1つの側面では、生分解性材料と親和性のある部分と親水性の部分を併せ持つ分子、すなわち、式[生分解性材料と親和性のある部分]−[親水性のスペーサ部分]で示される分子を生分解性材料からなる微粒子表面に配向させて、この分子の親水性スペーサ部分の末端にリンカーを導入した後、親水性の機能性部分を結合させるものである。このような分子の例を挙げると、生分解性材料と親和性のある部分を疎水性部として有する両親媒性分子としては、1,2−ジパルミトイル3−sn−グリセロホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、1,2−ジステアリル3−sn−グリセロホスファチジルエタノールアミン(DSPE)や1,4−ジパルミトイルグルタメト(DPE)、1,4−ジステアリルグルタメト(DSE)、L−グルタミン酸、リシン、あるいは特許第3181276号明細書に記載された樹枝状分岐構造を有する化合物、または、ポリオキシエチレン鎖の一方の末端にマレイミドを有し、他方の末端が上記分子のアミノ基とアミド結合あるいはウレタン結合したポリオキシエチレン結合脂質、ポリアミドと末端にマレイミドを有するポリオキシエチレン鎖とのジブロック共重合体、ポリエステルと末端にマレイミドを有するポリエチレンオキシド鎖とのジブロック共重合体等の分子内に親水部と疎水部を有する化合物、あるいは以上に示した化合物の疎水部として、炭素数12以上のアルキル鎖、または1〜4個の不飽和結合を有し、12個以上の炭素原子を有するアルケニル鎖を含む化合物である。また、グリセリンの1,3位あるいは1,2位にこれらのアルキル鎖もしくはアルケニル基が2個結合したグリセロールの3番目のヒドロキシル基にポリオキシエチレン等の水溶性分子が結合している場合も含まれている。これらの疎水性基を例示すれば、そのアルキル炭素数が12から22個の第一アルコールおよび第二アルコール残基がある。即ち、直鎖第一飽和アルコールとして、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等があげられ、その他、1,1−ドデセノール、1−オレイルアルコール、リノレイニルアルコール等の直鎖第一不飽和アルコール、分岐第一飽和アルコール、分岐第一不飽和アルコール、第二飽和アルコールあるいは第二不飽和アルコールのアルコール残基があげられる。また、グリセリンの1,3位あるいは1,2位に前記する第一飽和アルコールおよび第一不飽和アルコールで結合されたジアルキルグリセロール残基があげられる。さらにステロール類、例えばコレステロール、コレスタノール、シトステロールおよびエルゴステロール等のアルコール残基も疎水性基の範囲に含まれる。
親水性のスペーサ部分は、水溶性高分子で生体適合性があるものならば特に限定されない。その例を挙げると、ポリオキシエチレン、ポリサッカライド、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、キトサンあるいはポリオール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリL−リシン、ポリL−グルタミン酸、キトサン、アルギン酸、ポリビニルアルコールあるいはこれらの誘導体等である。これら親水性スペーサ部分の分子量は、機能分子の認識能を阻害することなく充分なスペーサ効果を保持できれば、いかなる分子量でも良いが、400Daから10000Da、望ましくは1000Daから5000Daであることが好ましい。なお、特許第3181276号明細書に記載された樹枝状分岐構造を有する化合物には、下記構造式1、構造式2で示される化合物が含まれる。
Figure 2005154514
Figure 2005154514
構造式1および構造式2において、qは1〜4であり、R0は、水素原子であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル基、特に1〜30個の炭素原子を有するアルキル基である。
具体的には、表面修飾分子をポリ乳酸あるいは乳酸・グリコール酸共重合体をクロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解させた後に、O/W法により微粒子を形成させる。微粒子の粒径は、エマルション形成時の撹拌速度により制御可能であり、例えば、3000rpmで攪拌したときには粒径150±50nm、1000rpmで攪拌したときには粒径350±150nm、800rpmで攪拌したときには粒径1500±750nmである。また、この際にペレット状や板状、チューブ状、繊維状等に成形することにより、様々な形態の機能性材料を調製できる。
上記微粒子の調製法には、O/W法以外にも、O/O法あるいはO/W/O法等広くエマルジョン法が適用される。また、表面修飾分子については、分子構造が類似していれば上述の化合物に限定されない。このようにして調製される微粒子の粒子径は、10nm以上10μm以下であり、好ましくはおよそ100nmから300nmである。
表面修飾分子は微粒子界面にて配向して、疎水部は微粒子表面内側に親水部は微粒子表面の水相側に面しているために界面修飾が可能となっている。従って、上述したように粒子に限定されず生分解性材料の形態は問わない。生分解性材料の形状や大きさあるいは微粒子の粒径や生分解性高分子の共重合組成が変化しても、任意の表面修飾は可能である。
上述の方法により例えば、表面修飾分子とポリ乳酸あるいは乳酸・グリコール酸からなる微粒子に、リンカーを介して様々な親水性の機能性部を結合させることができる。親水性の機能性分子としては、抗体類(IgG、IgM、IgE、IgA、IgD等のサブクラスやその分解部分]、受容体蛋白質類やそのリガンドとしてのオリゴペプチド類、酵素類、多糖類等の機能性分子が挙げられる。例えば、ガラクトースやN−アセチルガラクトサミン、マンノース、N−アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸等の肝細胞認識部位、コラーゲン認識部位であるRGDを含むオリゴペプチドや血小板膜蛋白質GPIa/IIa複合体あるいはフォンビルブランド因子の受容体であるGPIbα、フィブリノーゲンの受容体であるGPIIb/IIIa。また、GPIIb/IIIaの受容体であるフィブリノーゲンあるいはその認識部位であるドデカペプチドを含むオリゴペプチド、または、糖類を認識するレクチンファミリーやセレクチンファミリー、細胞外マトリックスの受容体であるインテグリンファミリーやカドヘリンファミリー等の接着分子が挙げられる。
リンカーは微粒子と機能性部位に導入されたSH基と架橋できるもので公知の生体許容性があるものならば特に限定されないが、好ましくは片末端がSH基と反応し、もう片末端がOH基、COOH基、NH2基のいずれかと反応する化合物である。このようなリンカーとしては、例えば、ジカルボン酸、アミノカルボン酸、ビスマレイミド化合物、ビスハロカルボニル化合物、ハロカルボニルマレイミド化合物、ジチオマレイミド、ジチオカルボン酸およびマレイミドカルボン酸等が例示される。これらはC2〜C10の炭素鎖を有することが好ましい。
また、予めオリゴ糖やオリゴペプチド等の機能性分子を結合させた表面修飾分子を、同様にポリ乳酸あるいは乳酸・グリコール酸共重合体とクロロホルム等の有機溶剤に溶解させた後に、O/W法により微粒子を形成させることによっても、本発明の微粒子状機能性生分解性材料を調製することができる。ただし、その場合、機能分子を含む両親媒性分子が有機溶剤に溶解するものであることが必要である。
さらに、キャスト膜状あるいはスポンジ状、ペレット状の場合では、同様にして予めポリ乳酸あるいは乳酸・グリコール酸共重合体と両親媒性分子をクロロホルム等の有機溶剤に溶解させた後に成形して、有機溶剤を除去し、水溶性機能分子を結合させる。
O/W法により脂溶性薬剤、W/O/W法により水溶性薬剤を生分解性材料に内包させることができ、機能性分子が認識する特定部位での徐放性が実現できるため、副作用を大幅に低減できる。生分解性材料に内包する薬剤としては、抗癌剤、抗生物質、酵素剤、酵素阻害剤、抗酸化剤、脂質取り込み阻害剤、ホルモン剤、抗炎症剤、ステロイド剤、血管拡張剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗剤、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤、抗凝固剤、ケミカルメディエーターの遊離抑制剤、血管内皮細胞の増殖または抑制剤、アルドース還元酵素阻害剤、メサンギウム細胞増殖阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、抗ウイルス剤、メイラード反応抑制剤、アミロイドーシス阻害剤、NOS阻害剤、AGEs阻害剤あるいはラジカルスカベンチャー、蛋白質、ペプチド類、核酸、ポリヌクレオチド、遺伝子およびその類縁体等があげられるが、これに限定されるものではない。
例えば、抗癌剤の例としては、シクロホスファミド、イホスファミド、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、チオテパ、ブルスファン、カルボコン、塩酸ニムスチン、ラニムスチン、メルファラン、トシル酸インプロスルファン、ダカルバジン、塩酸プロカルバジン、シタラビン、シタラビンオクスファート、エノシタビン、メルカプトプリン、チオイノシン、フルオロウラシル、ドキシフルリジン、テガフール、メトトレキサート、カルモフール、ヒドロキシカルバミド、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンデシン、エトポシド、クロモマイシンA3、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アラクルビシン、ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ダクチノマイシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、マイトマイシンC、ネオカルノスタチン、Lアスパラギナーゼ、アセグラトンミトプロニトール、デキストラン硫酸ナトリウム、酢酸オクトレオチド、シスプラチン、カルボプラチン、クエン酸タモキシフェン、酢酸メドロキシプロゲステロン、リン酸エストラムスチンナトリウム、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロレリン、塩酸イリノテカン等が挙げられる。
抗生物質の例としては、ベンジルペニシリンカリウム、ベンジルペニシリンベンザチン、フェノキシメチルペニシリンカリウム、フェネチシリンカリウム、クロキサシリンナトリウム、フルクロキサシリンナトリウム、アンピシリン、トシル酸スルタミシリン、塩酸バカンピシリン、塩酸タランピシリン、レナンピシリン、ヘタシリンカリウム、シクラシリン、アモキシシリン、塩酸ピブメシリナム、アスポキシシリン、カルベニシリンナトリウム、カリンダシリンナトリウム、スルベニシリンナトリウム、チカルシリンナトリウム、ピペラシリンナトリウム、セファロリジン、セファロチンナトリウム、セファゾリンナトリウム、セファピリンナトリウム、セフラジン、セファレキシン、セファトリジンプロピレングリコール、セフロキサジン、セファクロル、セファドロキシル、塩酸セフォチアム、塩酸セフォチアムヘキセチル、セフロキシムナトリウム、セフロキシムアキセチル、セファマンドールナトリウム、セフジニル、塩酸セフェタメトピポキシル、セフチプテン、セフメタゾールナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフォテタンナトリウム、セフミノクスナトリウム、セフプペラゾンナトリウム、セフピラミドナトリウム、セフスロジンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、塩酸セフメノキシム、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、セフピミゾールナトリウム、セフィキシム、セフテラムピポキシル、セフゾナムナトリウム、セフポドキシプロキセチル、セフォジジム、硫酸セフピロム、ラタモキセフナトリウム、フロモキセフナトリウム、イミペネム、シラスタチンナトリウム、アズトレオナム、カルモナムナトリウム、硫酸ステレプトマイシン、硫酸カナマイシン、硫酸フラジオマイシン、硫酸アミカシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸パロモマイシン、硫酸ペカナマイシン、硫酸リポスタマイシン、硫酸ジベカシン、トブラマイシン、硫酸シソマイシン、硫酸ミスロノマイシン、硫酸アストロマイシン、硫酸ネチルマイシン、硫酸イセパマイシン、硫酸アルベカシン、エリスロマイシン、キタサマイシン、アセチルキタサマイシン、リン酸オレアンドマイシン、ジョサマイシン、アセチルスピラマイシン、ミデカマイシン、酢酸ミデカマイシン、ロキタマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、塩酸テトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、メタリン酸テトラサイクリン、塩酸デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、塩酸ドキシサイクリン、塩酸ミノサイクリン、クロラムフェニコール、コハク酸クロラムフェニコールナトリウム、パルミチン酸クロラムフェニコール、チアンフェニコール、塩酸アミノ酢酸チアンフェニコール、硫酸コリスチン、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、硫酸ポリミキシンB、バシトラシン、塩酸バンコマイシン、塩酸リンコマイシン、クリンダマイシン、塩酸スペクチノマイシン、ホスホマイシンナトリウム、ホスホマイシンカルシウム等が挙げられる。
酵素剤の例としては、キモトリプシン、結晶トリプシン、ストレプトキナーゼ・ストレプトドルナーゼ、ヒアルロニダーゼ、ウロキナーゼ、ナサルプラーゼ、アルテプラーゼ、塩化リゾチーム、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、チソキナーゼ、デュテプラーゼ、バトロキソビン、プロナーゼ、プロメライン等が挙げられる。
抗酸化剤の例としては、トコフェロール、アスコルビン酸、尿酸等が挙げられる。
抗炎症剤の例としては、サリチル酸コリン、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、ジフルニサル、フルフェナム酸、メフェナム酸、フロクタフェニン、トルフェナム酸、ジクロフェナクナトリム、トルメチンナトリウム、スリンダク、フェンブフェン、フェルビナクエチル、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、ナブメトン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、ナプロキセン、プロチジン酸、プラノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン酸、オキサプロジン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、フェニルブタゾン、クロフェゾン、ケトフェニルブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、塩酸ベンジダミン、エピリゾール、エルモファゾン等が挙げられる。
ステロイド剤の例としては、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン(リン酸エステル、酢酸塩)、酪酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、プレドニゾロン(アセテート、サクシネート、第三級ブチル酢酸エステル、リン酸エステル)、メチルプレドニゾロン(アセテート)、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド(酢酸トリアムシノロン)、デキサメタゾン(リン酸エステル、酢酸塩、リン酸ナトリウム塩、硫酸エステル)、パルミチン酸デキサメタゾン、ベタメタゾン(リン酸塩、2ナトリウム塩)、酢酸パラメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸ハロプレドン、プロピオン酸クロベタゾール、ハルシノニド、プロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン、酢酸コルチゾン等が挙げられる。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤の例としては、アラセプリル、塩酸イミダプリル、塩酸テモカプリル、塩酸デラプリル、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル等が挙げられる。血管拡張剤の例としては、テオフィリン、ジプロフィリン、プロキシフィリン、アミノフィリン、コリンテオフィリン、プロスタグランジン、プロスタグランジン誘導体、アルプロスタジルアルファデクス、アルプロスタジル、リマプロストアルファデクス、パパベリン、シクランデラート、シンナリジン、フマル酸ベンシクラン、マレイン酸シネパジド、塩酸ジラゼプ、トラピジル、塩酸ジフェニドール、ニコチン酸、イノシトールヘキサニコチネート、クエン酸ニカメタート、酒石酸ニコチニックアルコール、ニコチン酸トコフェロール、ヘプロニカート、塩酸イソクスプリン、硫酸バメタン、塩酸トラリゾン、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、酒石酸イフェンプロジル、塩酸モキシシリト、ニセルゴリン、塩酸ニカルジピン、ニルバジピン、ニフェジピン、塩酸ベニジピン、塩酸ジルチアゼム、ニソルジピン、ニトレンジピン、塩酸マニジピン、塩酸バルニジピン、塩酸エホニジピン、塩酸ベラパミル、塩酸トリメタジジン、カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、アラセプリル、塩酸デラプリル、シラザプリル、リシノプリル、塩酸ベナゼプリル、塩酸ヒドララジン、塩酸トドララジン、ブドララジン、カドララジン、インダパミド、塩酸カルボクロメン、エフロキサート、塩酸エタフェノン塩酸オキシフェドリン、ニコランジル、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等が挙げられる。
平滑筋細胞遊走・増殖抑制剤の例としては、ヘパリンナトリウム、ダルテパリンナトリウム(低分子ヘパリン)、ヘパリンカルシウム、デキストラン硫酸等が挙げられる。
血小板凝集阻害剤の例としては、塩酸チクロピジン、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、塩酸サルプグレラート、バトロキソビン、ジピリダモール等が挙げられる。
抗凝固剤の例としては、ヘパリンナトリウム、ダルテパリンナトリウム(低分子ヘパリン)、ヘパリンカルシウム、デキストラン硫酸、ワルファリンカリウム、アルガトロバン等が挙げられる。
ケミカルメディエーター遊離抑制剤の例としては、トラニラスト、フマル酸ケトフェチン、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、アンレキサノクス、レピリナスト等が挙げられる。
免疫抑制剤の例としては、シクロスポリン等が挙げられる。
抗ウイルス剤の例としては、アシクロビル、ガンシクロビル、ジダノシン、ジドブジン、ソリブジン、ビダラビン等が挙げられる。
また、封入する診断するための薬剤の種類としては、薬剤担体の形成を損ねない限り特に限定されるものではない。具体的には、X線造影剤、放射性同位元素標識核医学診断薬、核磁気共鳴診断用診断薬等が挙げられる。例えば、X線造影剤の例としては、アミドトリゾ酸メグルミン、イオタラム酸ナトリウム、イオタラム酸メグルミン、ガストログラフィン、ヨーダミドメグルミン、リピオドールウルトラフルイド、アジピオドンメグルミン、イオキサグル酸、イオトロクス酸メグルミン、イオトロラン、イオパノ酸、イオパミドール、イオヘキソール、イオベルソール、イオポダートナトリウム、イオメプロール、イソペーク、ヨードキサム酸等が挙げられる。
応用例としては、例えば血小板膜蛋白質の遺伝子組換え体GPIbαあるいはGPIa/IIaを上記の方法で粒径50nmから10μm程度の生分解性材料からなる微粒子に担持させると、静注用止血剤として利用できる。また、RGD等の細胞接着因子を同方法にて導入した生分解性材料を利用すると、再生医療用材料として様々な組織形成のマトリックスとして効果的に細胞の固定化が可能となる。また、筋肉注射等により体内の特定部位に留置させた生分解性材料からの除放剤として利用することも可能である。
以下にIgG(分子量160kDa)を結合させる方法を例示するが、本発明は、これに全く限定されるものではない。クロロホルム溶液中にて予め構造式1で示される化合物(但しq=4、R1およびR2=炭素数18のアルキル基)と架橋剤であるN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)を反応させて、ピリジルジチオ(PD)基を導入し、ポリ乳酸と混合し、O/W法によりPD基を導入したポリ乳酸微粒子を調製した。またIgGに対してSPDPにてPD基を導入し、ジチオスレイトールによりチオール基へ還元した後に、PD基導入ポリ乳酸微粒子と混合することで、両者を結合させることができる。IgGに対する分子修飾を必要最小限にできるため機能低下を抑制できる。
また、末端にマレイミド基を有するポリオキシエチレン鎖結合グルタミン酸型脂質をポリ乳酸と混合し、O/W法によりマレイミド基を導入したポリ乳酸微粒子を調製した。またIgGに対してSPDPにてPD基を導入し、ジチオスレイトールによりチオール基へ還元した後に、マレイミド基導入ポリ乳酸微粒子と混合することで、両者を結合させることができる。ポリオキシエチレン鎖を介して末端にIgGが結合しているためにいわゆるスペーサ効果によりIgGの認識能の低下を抑制できる。また、ポリオキシエチレン鎖によるポリ乳酸の表面修飾も可能となる。
さらに、疎水部がポリアミドあるいはポリエステルで親水部に末端マレイミド基を有するポリオキシエチレン鎖からなるジブロック共重合体を表面修飾分子をポリ乳酸と混合し、O/W法によりマレイミド基を導入したポリ乳酸微粒子を調製した。またIgGに対してSPDPにてPD基を導入し、ジチオスレイトールによりチオール基へ還元した後に、マレイミド基導入ポリ乳酸微粒子と混合することで、両者を結合させることができる。前項と同様に、ポリオキシエチレン鎖を介して末端にIgGが結合しているためにいわゆるスペーサ効果によりIgGの認識能の低下を抑制でき、ポリオキシエチレン鎖によるポリ乳酸の表面修飾も可能となる。また、疎水部であるポリアミドあるいはポリエステルは、ポリ乳酸との相容性がよく、特にポリアミドの場合では、水素結合も関与するために、よりIgGよりも高分子量の化合物を安定に担持することが可能となる。
[実施例]
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施例1
乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸モル比=85/15。以下、PLGA)(20mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、1重量%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(100mL)中に徐々に滴下し、30分間攪拌しエバポレータにて溶媒を除去することでPLGA微粒子を得た。遠心分離(10000rpm、30分)にて未結合のPVAを除去した。得られたPLGA微粒子の粒径は、攪拌速度と相関性があった。具体的には、3000rpmで攪拌したときには粒径150±50nm、1000rpmで攪拌したときには粒径350±150nm、800rpmで攪拌したときには粒径1500±750nmであった。
実施例2
PLGA(20mg)およびDSPE(2.0mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、リン酸緩衝液(PBS)に溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度850rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合のリン脂質およびPVAを除去することで脂質DSPEが表面に配向した粒径950±420nmのPLGA微粒子を得た。
N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(6.2mg)を99.5%エタノール溶液(1mL)に溶かして20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液を得た。0.55重量%の濃度に調整した上記PLGA微粒子の分散液(4mL)にこの20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液(600μL)を加え、23℃で2時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)によりPLGA微粒子と未反応のSPDPを分離し、SPDP結合PLGA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、7.5重量%IgG(60μL)に20mMのSPDP溶液(2.3μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(6μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−IgGをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のIgGを分離して、IgG−PLGA微粒子を得た。PLGA微粒子とIgGとの結合比は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)による蛍光測定法により測定し、PLGA微粒子/IgG=70/1(重量比)であった。
実施例3
PLGA(20mg)および1,4−ジパルミトイル−グルタメート(DPE)(1.8mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度750rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することで脂質が表面に配向した粒径2600±1200nmのPLGA微粒子を得た。
0.55重量%の濃度に調整した上記PLGA微粒子の分散液(4mL)に20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液(600μL)を加え、23℃で2時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)によりPLGA微粒子と未反応のSPDPを分離し、SPDP結合PLGA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、7.5重量%IgG(60μL)に20mMのSPDP溶液(2.3μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(6μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−IgGをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のIgGを分離して、IgG−PLGA微粒子を得た。PLGA微粒子とIgGとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLGA微粒子/IgG=66/1(重量比)であった。
実施例4
ポリ乳酸(PLA)(20mg)およびDPPE(1.9mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、得られた溶液を、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度850rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することでDPPEが表面に配向した粒径950±400nmのPLA微粒子を得た。
0.55重量%の濃度に調整した上記PLA微粒子の分散液4mLに20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液(600μL)を加え、23℃で2時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)によりPLGA微粒子と未反応のSPDPを分離し、SPDP結合PLA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、7.5重量%IgG(60μL)に20mMのSPDP溶液(2.3μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(6μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−IgGをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のIgGを分離して、IgG−PLA微粒子を得た。PLA微粒子とIgGとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLA微粒子/IgG=68/1(重量比)であった。
実施例5
PLA(20mg)および1,4−ジステアロイル−グルタメート(DSE)(1.8mg)をクロロホルム10mLに溶解し、得られた溶液を、PBSに溶解した1重量%PVA水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することでDSEが表面に配向した粒径2500±1200nmのPLA微粒子を得た。
0.55重量%の濃度に調整した上記PLA微粒子の分散液4mLに20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液(600μL)を加え、23℃で2時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)によりPLA微粒子と未反応のSPDPを分離し、SPDP結合PLA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、7.5重量%IgG(60μL)に20mMのSPDP溶液(2.3μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMDTT6μL添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−IgGをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のIgGを分離して、IgG−PLA微粒子を得た。PLA微粒子とIgGとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLA微粒子/IgG=62/1(重量比)であった。
実施例6
PLA(20mg)および構造式1で示される化合物(但しq=4、R1およびR2=炭素数18のアルキル基)(4.0mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度800rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することで脂質が表面に配向した粒径1400±800nmのPLA微粒子を得た。
0.55重量%の濃度に調整した上記PLA微粒子の分散液4mLに20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液(600μL)を加え、23℃で2時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)によりPLA微粒子と未反応のSPDPを分離し、SPDP結合PLA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、7.5重量%IgG(60μL)に20mMのSPDP溶液(2.3μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(6μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−IgGをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のIgGを分離して、IgG−PLA微粒子を得た。PLA微粒子とIgGとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLA微粒子/IgG=78/1(重量比)であった。
実施例7
PLGA(20mg)と末端にマレイミドを有するポリエチレンオキシド鎖が結合したDPPE(Mal−PEG−DPPE)(8.2mg)をクロロホルム10mLに溶解し、得られた溶液を、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度850rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未反応のPEG脂質およびPVAを除去することでMal−PEG−DPPEが表面に配向した粒径1000±50nmのPLGA微粒子を得た。
PLGA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、7.5重量%IgG(60μL)に20mMのSPDP溶液(2.3μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(6μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−IgGをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のIgGを分離して、IgG−PLGA微粒子を得た。PLGA微粒子とIgGとの結合比は、マイクロBCA法により測定し、PLGA微粒子/IgG=52/1(重量比)であった。
実施例8
PLGA(20mg)と末端にマレイミドを有するポリエチレンオキシド鎖が結合したDPE(Mal−PEG−DPE)(7.2mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度750rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にてフリーなPEG脂質およびPVAを除去することでMal−PEG−DPEが表面に配向した粒径2400±1100nmのPLGA微粒子を得た。
PLGA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、7.5重量%IgG(60μL)に20mMのSPDP溶液(2.3μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(6μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−IgGをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のIgGを分離して、IgG−PLGA微粒子を得た。PLGA微粒子とIgGとの結合比は、マイクロBCA法により測定し、PLGA微粒子/IgG=45/1(重量比)であった。
実施例9
PLA(20mg)およびMal−PEG−DSPE(8.5mg)をクロロホルム10mLに溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度850rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合のMal−PEG−DSPEおよびPVAを除去することでMal−PEG−DSPEが表面に配向した粒径1100±550nmのPLA微粒子を得た。
PLA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、7.5重量%IgG(60μL)に20mMのSPDP溶液(2.3μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(6μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−IgGをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のIgGを分離して、IgG−PLGA微粒子を得た。PLA微粒子とIgGとの結合比は、マイクロBCA法により測定し、PLGA微粒子/IgG=52/1(重量比)であった。
実施例10
PLA(20mg)およびMal−PEG−DSE(7.8mg)をクロロホルム10mLに溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度750rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合のMal−PEG−DSEおよびPVAを除去することでMal−PEG−DSEが表面に配向した粒径2400±1000nmのPLA微粒子を得た。
PLA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、7.5重量%IgG(60μL)に20mMのSPDP溶液(2.3μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(6μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−IgGをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のIgGを分離して、IgG−PLA微粒子を得た。PLA微粒子とIgGとの結合比はマイクロBCA法により測定し、PLA微粒子/IgG=55/1(重量比)であった。
実施例11
PLA(20mg)およびDPPE(1.9mg)をクロロホルム10mLに溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度750rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することでDPPEが表面に配向した粒径2500±1100nmのPLA微粒子を得た。
0.55重量%の濃度に調整した上記PLA微粒子の分散液(4mL)に20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液(600μL)を加え、23℃で2時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)によりPLA微粒子と未反応のSPDPを分離し、SPDP結合PLA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、このPLA分散液にトリデカンペプチド(CHHLGGAKQAGGDV、7.5重量%)60μLを加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応物を分離して、トリデカンペプチド−PLA微粒子を得た。PLA微粒子とトリデカンペプチドとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLA微粒子トリデカンペプチド=44/1(重量比)であった。
実施例12
PLA(20mg)およびMal−PEG−DSE(7.8mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度750rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することでMal−PEG−DSEが表面に配向した粒径2500±1200nmのPLA微粒子を得た。
0.55重量%の濃度に調整した上記PLA微粒子の分散液(4mL)に20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液(600μL)を加え、23℃で2時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)によりPLA微粒子と未反応のSPDPを分離し、SPDP結合PLA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、このPLA分散液にトリデカンペプチド(CHHLGGAKQAGGDV、7.5重量%)70μLを加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応物を分離して、トリデカンペプチド−PLA微粒子を得た。PLA微粒子とトリデカンペプチドとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLA微粒子/トリデカンペプチド=42/1(重量比)であった。
実施例13
DSPE(10mg)とSPDP(30mg)をクロロホロム溶液にて反応させた後、シリカゲルカラム(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=8/1)にてPD−DSPE(8mg)を得た。窒素雰囲気下にて、PD−DSPE(8mg)とトリデカンペプチド(10mg)をメタノール中にて反応させ、純水にて洗浄後、トリデカンペプチド−DSPE(8mg)を得た。
PLGA(20mg)およびトリデカンペプチド−DSPE(1.5mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することでトリデカンペプチド−DSPEあるいはトリデカンペプチド−DSPEが表面に配向した粒径2549±1000nmのPLGA微粒子を得た。PLGA微粒子とトリデカンペプチドとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLGA微粒子/トリデカンペプチド=52/1(重量比)であった。
実施例14
Mal−PEG−DSE(10mg)とトリデカンペプチド(8mg)をメタノール中にて反応させ、純水にて洗浄後、トリデカンペプチド−PEG−DSE(7mg)を得た。
PLA(20mg)およびトリデカンペプチド−PEG−DSE(2.5mg)をクロロホルム10mLに溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することでトリデカンペプチド−PEG−DPEあるいはトリデカンペプチド−PEG−DSEが表面に配向した粒径2549±1000nmのPLA微粒子を得た。PLA微粒子とトリデカンペプチドとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLA微粒子/トリデカンペプチド=53/1(重量比)であった。
実施例15
PLA(20mg)および実施例13と同法にて調製したトリデカンペプチド−PEG−DPE(2.5mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌後、ペレット成型器に注入して、減圧下にて溶媒を除去した。ペレット状のPLAとトリデカンペプチドとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLA/トリデカンペプチド=80/1(重量比)であった。
実施例16
DPPE(10mg)にRGDSK(100mg)をジメチルホルムアミド溶液に溶解させ、グルタルアルデヒド(3mg)を混合して反応させ(室温、10時間)、純水に滴下して、未反応物を除去し、RGDSK−DPPE(8mg)を得た。PLA(20mg)およびRGDSK−DPPE(1.5mg)をクロロホルム10mLに溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することでRGDSK−DPPEが表面に配向した粒径454±100nmのPLA微粒子を得た。PLGA微粒子とRGDSKとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLA微粒子/RGDSK=100/1(重量比)であった。
実施例17
PLGA(20mg)およびMal−PEG−DSE(10.0mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度750rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合のMal−PEG−DSEおよびPVAを除去することでMal−PEG−DSEが表面に配向した粒径2600±800nmのPLGA微粒子を得た。
PLGA微粒子分散液を4mLに定容し、次に、5.0重量%rGPIbα(90μL)に20mMSPDP溶液(8μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(10μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−rGPIbαをPLGA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のrGPIbαを分離して、rGPIbα−PLGA微粒子を得た。PLGA微粒子とrGPIbαとの結合比は、マイクロBCA法により測定し、PLGA微粒子/IgG=45/1(重量比)であった。
実施例18
PLA(20mg)およびDPE(1.8mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度850rpm)後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にて未結合の脂質およびPVAを除去することでDPEが表面に配向した粒径950±300nmのPLA微粒子を得た。
0.55重量%の濃度に調整した上記PLA微粒子の分散液(4mL)に20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液(600μL)を加え、23℃で2時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)によりPLA微粒子と未反応のSPDPを分離し、SPDP結合PLA微粒子分散液を4mLに定容した。次に、10重量%フィブリノーゲン(45μL)に20mMのSPDP溶液(2.5μL)を反応させた後(室温、30分)、200mMのDTT(6μL)を添加した(室温、30分)。Sephadex G25にて分離して得られたSH−フィブリノーゲンをPLA分散液に加え、4℃で30時間攪拌した。遠心分離(2500rpm、30分)により未反応のフィブリノーゲンを分離して、フィブリノーゲン−PLA微粒子を得た。PLA微粒子とフィブリノーゲンとの結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、PLA微粒子/フィブリノーゲン=77/1(重量比)であった。
実施例19
ポリカプロラクトン(20mg)およびポリリシン−DSE(2.5mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌(撹拌速度1000rpm)後、直方体の成形箱に注入し、アスピレータにて溶媒を除去した。さらに、真空乾燥機にて12時間乾燥させ、スポンジ状の直法型ポリカプロラクトンを得た。
0.55重量%の濃度に調整した上記ポリカプロラクトン浸積液(4mL)に20.0×10-3モル/L濃度のSPDP溶液(600μL)を加え、23℃で2時間攪拌した。ろ過によりポリカプロラクトンと未反応のSPDPを分離し、PD基結合体を得た。次に、予めシステインを導入したアミノ糖(7.5重量%;70μL)を加え、4℃で30時間侵積した。ろ過により未反応物を分離して、アミノ糖−ポリカプロラクトンを得た。結合比は、FITCによる蛍光測定法により測定し、ポリカプロラクトン/アミノ糖=115/1(重量比)であった。
実施例20
PLGA(20mg)とポリエチレンオキシド鎖が結合したDPPE(PEG−DPPE)(4.2mg)、ブスルファン(10mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にてフリーのPEG脂質およびPVAを除去することでブスルファンを内包したPEG−DPPEが表面に配向した粒径250±100nmのPLGA微粒子を得た。
実施例21
PLA(20mg)とポリエチレンオキシド鎖が結合したDPE(PEG−DPE)(4.8mg)、ブスルファン(10mg)をクロロホルム(10mL)に溶解し、PBSに溶解したPVAの1重量%水溶液(pH7.4;100mL)中に滴下し、30分間攪拌後、エバポレータにて溶媒を除去した。遠心分離(2500rpm、30分)にてフリーなPEG脂質およびPVAを除去することでブスルファンを内包したPEG−DPEが表面に配向した粒径210±60nmのPLA微粒子を得た。
本発明により生分解性材料の表面に表面修飾分子を配向させることにより血漿蛋白質や血小板や白血球等の血球成分の吸着を抑制でき、抗血栓性材料を得ることができる。また、機能性分子として細胞接着因子を利用すれば、各種細胞や組織培養用のマトリックスとして機能する。さらに、生分解性材料の形状が球形である場合は静注用製剤の薬剤の担体として利用でき、表面修飾剤の末端の機能性部分により特定部位への認識・集積が可能となり、また、薬剤の担体として利用すれば薬剤運搬体や埋込型薬剤徐放材料として利用できる。その他、本発明の機能性生分解性材料は、種々の分野で利用できる。

Claims (12)

  1. 生分解性材料と、該生分解性材料の表面を修飾する表面修飾分子を含み、該機能性表面修飾分子が、一般式:
    [生分解性材料と親和性のある部分]−[親水性のスペーサ部分]n−[リンカー部分]−[親水性の機能性部分]
    (但し、nは1または0)で表されることを特徴とする機能性生分解性材料。
  2. 薬効成分を含む請求項1に記載の機能性生分解性材料。
  3. 前記生分解性材料が、ポリ乳酸または乳酸・グリコール酸共重合体を包含する請求項1または2に記載の機能性生分解性材料。
  4. 直径が10nm以上10μm以下の球状粒子の形態にある請求項1から3のいずれか1項に記載の機能性生分解性材料。
  5. 前記[生分解性材料と親和性のある部分]が、炭化水素鎖、脂肪族ポリエステル、または脂肪族ポリアミドから形成される請求項1から4のいずれか1項に記載の機能性生分解性材料。
  6. 前記[親水性の機能性部分]がチオール基を含み、前記[生分解性材料と親和性のある部分]または[親水性のスペーサ部分]が末端にOH基、COOH基およびNH2基からなる少なくとも1種の官能基を含み、前記リンカー部分が、一方の末端において前記チオール基と結合し、他方の末端において前記少なくとも1種の官能基と結合する請求項1から5のいずれか1項に記載の機能性生分解性材料。
  7. 前記[親水性のスペーサ部分]が、ポリオキシエチレン、ポリペプチド、ポリオール、または多糖類を含む請求項1から6のいずれか1項に記載の機能性生分解性材料。
  8. 前記表面修飾分子が、リン脂質またはポリオキシエチレン結合リン脂質構造を含む請求項1、2、3、4または6に記載の機能性生分解性材料。
  9. 前記表面修飾分子が、L−グルタミン酸、リシン、または樹枝状分岐構造を含む請求項1から7のいずれか1項に記載の機能性生分解性材料。
  10. 前記[親水性の機能性部分]が、1種またはそれ以上の蛋白質、ペプチド、または糖類である請求項1から9のいずれか1項に記載の機能性生分解性材料
  11. 生分解性材料と機能性表面修飾分子をそれらの共通の溶媒に溶解させ、これをポリビニルアルコール水溶液中に分散させてO/Wエマルジョンを形成させ、該溶媒を除去することを特徴とする球状粒子の形態にある機能性生分解性材料の製造方法。
  12. 一般式:
    [生分解性材料と親和性のある部分]−[親水性のスペーサ部分]n
    (但し、nは1または0)で表される両親媒性化合物と生分解性材料をそれらの共通の溶媒に溶解させ、これをポリビニルアルコール水溶液中に分散させてO/Wエマルジョンを形成させ、該溶媒を除去して前記両親媒性化合物で表面修飾された前記生分解性材料からなる球状粒子を得、該球状粒子表面上の両親媒性化合物に、親水性の機能性部分を直接まリンカー介して結合させることを特徴とする球状の機能性性分解性材料の製造方法。
JP2003392761A 2003-11-21 2003-11-21 機能性生分解性材料およびその製造方法 Pending JP2005154514A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003392761A JP2005154514A (ja) 2003-11-21 2003-11-21 機能性生分解性材料およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003392761A JP2005154514A (ja) 2003-11-21 2003-11-21 機能性生分解性材料およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005154514A true JP2005154514A (ja) 2005-06-16

Family

ID=34719356

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003392761A Pending JP2005154514A (ja) 2003-11-21 2003-11-21 機能性生分解性材料およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005154514A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007145826A (ja) * 2005-10-27 2007-06-14 Toray Ind Inc 生分解性粒子およびその製造方法
WO2008143339A1 (ja) * 2007-05-17 2008-11-27 Waseda University 両親媒性分子、それを含む分子集合体及びその用途
JP2011528031A (ja) * 2008-07-14 2011-11-10 ポリーペイド リミテッド 徐放性薬剤キャリア組成物
JP2017535645A (ja) * 2014-12-16 2017-11-30 ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドBoston Scientific Scimed,Inc. 生分解性ポリマー組成物
CN107580508A (zh) * 2015-05-11 2018-01-12 哈莫斯塔蒂斯有限公司 止血装置
JP2019191120A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 キヤノン株式会社 粒子、及びその製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09504308A (ja) * 1993-07-23 1997-04-28 マサチューセッツ インスティチュート オブ テクノロジー 非直鎖状の親水性−疎水性マルチブロックコポリマーのナノ粒子およびマイクロ粒子
JP2001064383A (ja) * 1999-08-31 2001-03-13 Japan Science & Technology Corp 樹枝状分岐構造を持つ両親媒性化合物
JP2001514316A (ja) * 1997-08-29 2001-09-11 バイオテック・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド 架橋粒子
JP2002017848A (ja) * 2000-07-12 2002-01-22 Terumo Corp 生体内注入可能な微粒子およびその製造法
JP2002138139A (ja) * 1996-12-20 2002-05-14 Connaught Lab Ltd 生分解性及び生体適合性を有するポリマーの製法及び粒子担体の製法
JP2002345455A (ja) * 2001-05-24 2002-12-03 Seikagaku Kogyo Co Ltd 軟骨培養用基材及び軟骨修復材
JP2003064037A (ja) * 2001-08-24 2003-03-05 Univ Waseda 両イオン性脂質およびその用途

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09504308A (ja) * 1993-07-23 1997-04-28 マサチューセッツ インスティチュート オブ テクノロジー 非直鎖状の親水性−疎水性マルチブロックコポリマーのナノ粒子およびマイクロ粒子
JP2002138139A (ja) * 1996-12-20 2002-05-14 Connaught Lab Ltd 生分解性及び生体適合性を有するポリマーの製法及び粒子担体の製法
JP2001514316A (ja) * 1997-08-29 2001-09-11 バイオテック・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド 架橋粒子
JP2001064383A (ja) * 1999-08-31 2001-03-13 Japan Science & Technology Corp 樹枝状分岐構造を持つ両親媒性化合物
JP2002017848A (ja) * 2000-07-12 2002-01-22 Terumo Corp 生体内注入可能な微粒子およびその製造法
JP2002345455A (ja) * 2001-05-24 2002-12-03 Seikagaku Kogyo Co Ltd 軟骨培養用基材及び軟骨修復材
JP2003064037A (ja) * 2001-08-24 2003-03-05 Univ Waseda 両イオン性脂質およびその用途

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007145826A (ja) * 2005-10-27 2007-06-14 Toray Ind Inc 生分解性粒子およびその製造方法
WO2008143339A1 (ja) * 2007-05-17 2008-11-27 Waseda University 両親媒性分子、それを含む分子集合体及びその用途
US8241647B2 (en) 2007-05-17 2012-08-14 Waseda University Amphiphilic molecule, molecular assembly comprising the amphiphilic molecule, and use of the molecular assembly
JP2011528031A (ja) * 2008-07-14 2011-11-10 ポリーペイド リミテッド 徐放性薬剤キャリア組成物
JP2015129128A (ja) * 2008-07-14 2015-07-16 ポリーペイド リミテッドPolypid Ltd. 徐放性薬剤キャリア組成物
JP2016145217A (ja) * 2008-07-14 2016-08-12 ポリーペイド リミテッドPolypid Ltd. 徐放性薬剤キャリア組成物
JP2017535645A (ja) * 2014-12-16 2017-11-30 ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドBoston Scientific Scimed,Inc. 生分解性ポリマー組成物
CN107580508A (zh) * 2015-05-11 2018-01-12 哈莫斯塔蒂斯有限公司 止血装置
JP2019191120A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 キヤノン株式会社 粒子、及びその製造方法
WO2019208670A1 (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 キヤノン株式会社 粒子、及びその製造方法
JP7091129B2 (ja) 2018-04-27 2022-06-27 キヤノン株式会社 粒子、及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6407218B2 (ja) 標的化され、そして高密度で薬物が負荷されるポリマー性物質
Andorko et al. Designing biomaterials with immunomodulatory properties for tissue engineering and regenerative medicine
Nigmatullin et al. Polyhydroxyalkanoates, a family of natural polymers, and their applications in drug delivery
KR101585588B1 (ko) 이식가능한 생체흡수성 중합체
CA2858696C (en) Biopolymer system for tissue sealing
JP6537498B2 (ja) 撮像造影用組成物及びキット
AU775590B2 (en) Delivery systems for treatment of restenosis and anastomotic intimal hyperplasia
KR20100083836A (ko) 키토산 조성물
CN102740862A (zh) 具有内源性带电配体的水解淀粉微球
US20170333338A1 (en) Sustained and reversible oral drug delivery systems
JP3955107B2 (ja) 架橋多糖の製造法
US20210008223A1 (en) Synthetic platelets
CN101489574A (zh) 内包生理活性多肽或蛋白质的高分子聚合物胶束及其制造方法
JP5142313B2 (ja) ポリサルコシン誘導体及びこれを膜構成成分とする薬物担体
JP2005154514A (ja) 機能性生分解性材料およびその製造方法
Singh et al. Alginate-based hydrogels: synthesis, characterization, and biomedical applications
JP4723380B2 (ja) ポリエチレングリコール誘導体及びこれを膜構成成分とする薬物担体
EP1190706B1 (en) Liposomes
Jagur-Grodzinski Biomedical applications of polymers 2001-2002
JP4360854B2 (ja) グアニジン誘導体およびそれを構成成分とする薬物担体
Singh et al. Hydrogels for drug delivery
Mohammad et al. Chitosan‐Mediated Layer‐by‐Layer Assembling Approach for the Fabrication of Biomedical Probes and Advancement of Nanomedicine
JP2001064158A (ja) リポソーム
JP2004284991A (ja) N−アシルアミン化合物及びそれを用いた医療用組成物
JP2007091657A (ja) アミジン誘導体およびそれを構成成分とする薬物担体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100420

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100817