JP2006081163A - 無線装置およびそれを備えた無線ネットワークシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 自律的に構築され、かつ、より高いスループットが得られる無線ネットワークシステムを提供する。
【解決手段】 アドホックネットワークを構成する複数の無線装置の各々は、ルーティングテーブル20を保持する。ルーティングテーブル20は、送信先アドレス、NextHopアドレス、メトリック、総合メトリック数およびシーケンス番号SeqNumからなる。メトリックは、送信先までのホップ数である。総合メトリック数は、受信信号強度に応じて決定され、受信信号強度が相対的に強くなれば、相対的に小さくなり、受信信号強度が相対的に弱くなれば相対的に大きくなる。各無線装置は、FSRプロトコルに従ってルーティングテーブル20を作成し、送信元から送信先までの無線通信において、総合メトリック数が小さくなるように経路を決定してデータを送信または中継する。
【選択図】 図5
【解決手段】 アドホックネットワークを構成する複数の無線装置の各々は、ルーティングテーブル20を保持する。ルーティングテーブル20は、送信先アドレス、NextHopアドレス、メトリック、総合メトリック数およびシーケンス番号SeqNumからなる。メトリックは、送信先までのホップ数である。総合メトリック数は、受信信号強度に応じて決定され、受信信号強度が相対的に強くなれば、相対的に小さくなり、受信信号強度が相対的に弱くなれば相対的に大きくなる。各無線装置は、FSRプロトコルに従ってルーティングテーブル20を作成し、送信元から送信先までの無線通信において、総合メトリック数が小さくなるように経路を決定してデータを送信または中継する。
【選択図】 図5
Description
この発明は、無線装置およびそれを備えた無線ネットワークシステムに関し、特に、自律的、かつ、即時的に構築されるアドホックネットワークシステムを構成する無線装置およびそれを備えた無線ネットワークシステムに関するものである。
アドホックネットワークは、複数の無線装置が相互に通信を行なうことによって自律的、かつ、即時的に構築されるネットワークである。アドホックネットワークでは、通信する2つの無線装置が互いの通信エリアに存在しない場合、2つの無線装置の中間に位置する無線装置がルータとして機能し、データパケットを中継するので、広範囲のマルチホップネットワークを形成することができる。
このようなアドホックネットワークは、被災地での無線通信網やITS(Intelligent Transport Systems)車車間通信でのストリーミングなど、様々な方面に応用されようとしている(非特許文献1)。
マルチホップ通信をサポートする動的なルーティングプロトコルとしては、テーブル駆動型プロトコルとオンデマンド型プロトコルとがある。テーブル駆動型プロトコルは、定期的に経路に関する制御情報の交換を行ない、予め経路表を構築しておくものであり、GSR(Global State Routing)、FSR(Fish−eye State Routing)、OLSR(Optimized Link State Routing)およびDSDV(Destination Sequenced Distance Vector)等が知られている。
また、オンデマンド型プロトコルは、データ送信の要求が発生した時点で、初めて宛先までの経路を構築するものであり、DSR(Dynamic Source Routing)およびAODV(Ad Hoc On−Demand Distance Vector Routing)等が知られている。
そして、従来のアドホックネットワークにおいては、送信元から送信先へデータ通信を行なう場合、送信元から送信先までのホップ数ができる限り少なくなるように経路が決定される(非特許文献2)。
渡辺正浩"無線アドホックネットワーク",自動車技術会春季大会ヒューマトロニクスフォーラム,pp18−23,横浜,5月2003年. Guangyu Pei, at al, "Fisheye state routing: a routing scheme for ad hoc wireless networks", ICC2000. Commun., Volume 1, pp70-74, L.A., June 2000.
渡辺正浩"無線アドホックネットワーク",自動車技術会春季大会ヒューマトロニクスフォーラム,pp18−23,横浜,5月2003年. Guangyu Pei, at al, "Fisheye state routing: a routing scheme for ad hoc wireless networks", ICC2000. Commun., Volume 1, pp70-74, L.A., June 2000.
しかし、アドホックネットワークにおいてマルチホップ通信を行なう場合、ホップ数が増えるとスループットが低下し、遅延時間が増加するという問題がある。
図32は、アドホックネットワークの概念図である。アドホックネットワーク200は、例えば、自動車201〜206からなる。この場合、アドホックネットワーク200は、自動車間で無線通信を行なうネットワークである。
自動車201を送信元とし、自動車206を送信先としてキャリア周波数f1で無線通信を行なう場合、自動車間の無線通信が時系列的に行なわれる。すなわち、最初、自動車201が送信機(Tx)として機能し、自動車202が受信機(Rx)として機能して自動車201,202間で無線通信が行なわれる。その後、自動車202が送信機(Tx)として機能し、自動車203が受信機(Rx)として機能して自動車202,203間で無線通信が行なわれる。以下同様にして自動車203,204間、自動車204,205間および自動車205,206間で無線通信が順次行なわれる。これによって、自動車201は、データ等を無線通信によって自動車206へ送信する。
このように、マルチホップ通信においては、自動車間(端末間)の無線通信が時系列的に行なわれて、自動車201から自動車206へデータ等が送信されるのは、次の理由による。図33は、隣接する端末間における無線通信の概念図である。また、図34は、隣接する端末間における無線通信の他の概念図である。なお、図33および図34における円は、各端末装置の通信範囲を表す。
図33を参照して、端末装置S1は、端末装置D1へ送信要求RTS(Request To Send)を送信する。そして、端末装置D1は、端末装置S1からの送信要求RTSに応じて、送信許可CTS(Clear To Send)を端末装置S1へ送信する。端末装置S1は、端末装置D1からの送信許可CTSに応じて、データDATAを端末装置D1へ送信し、端末装置D1は、データDATAを受信すると確認応答ACKを端末装置S1へ送信する。
このような端末装置S1と端末装置D1との無線通信において、端末装置S1が端末装置D1へ送信要求RTSを送信すると、端末装置S3は、この送信要求RTSを受信する。端末装置S3は、端末装置S1の通信範囲内に存在するからである。また、端末装置D1が送信要求RTSに応じて送信許可CTSを端末装置S1へ送信すると、端末装置S2は、この送信許可CTSを受信する。端末装置S2は、端末装置D1の通信範囲内に存在するからである。
この場合、端末装置S1と端末装置D1との間で無線通信が行なわれているので、端末装置S2は、端末装置D1へ送信できず、端末装置S3は、端間装置S1へ送信できない。そして、端末装置S2の通信範囲は、端末装置S3の通信範囲と異なっているので、端末装置S2およびS3は、それぞれ、端末装置S3およびS2の存在を知らない。したがって、端末装置S2およびS3は、相互に無線通信を直接行なうことができない。
図34を参照して、端末装置S1は、図33で説明したように端末装置D1と無線通信を行なっている。この場合、端末装置S1が端末装置D1へ送信要求RTSを送信すると、端末装置S2は、端末装置S1の送信要求RTSを受信する。端末装置S2は、端末装置S1の通信範囲内に存在するからである。そうすると、端末装置S2は、端末装置D2と無線通信を行なおうとしても、端末装置D2と無線通信を行なえない。端末装置S2が端末装置D2へ送信要求RTSを送信すると、端末装置S1が端末装置S2からの送信要求RTSを受信するからである。
このように、アドホックネットワークにおいては、無線通信を行なえる端末装置が限定されるので、無線通信が時系列的に行なわれることになる。
図35は、スループットとホップ数との関係図である。図35において、曲線k1は、TCP通信を表し、曲線k2は、UDP通信を表す。上述したように、アドホックネットワークにおいては、端末装置間の無線通信が時系列的に行なわれて送信元と送信先との間で無線通信が行なわれるので、ホップ数が増加するとTCP通信およびUDP通信のスループットが低下するとともに、遅延時間が増加する。
したがって、従来のアドホックネットワークにおいては、ホップ数ができる限り少なくなるように送信元から送信先までの経路が決定される。その結果、その決定された経路において端末装置間の受信信号強度が弱い場合でも、その経路を介して無線通信が行なわれ、スループットを低下させている。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、自律的に構築され、かつ、より高いスループットが得られる無線ネットワークシステムを提供することである。
また、この発明の別の目的は、自律的に構築され、かつ、より高いスループットが得られる無線ネットワークシステムを構成する無線装置を提供することである。
この発明によれば、無線装置は、自律的に確立され、かつ、送信元と送信先との間で無線通信を行なう無線ネットワークを構成する無線装置であって、経路決定手段と、通信手段とを備える。経路決定手段は、安定度合が相対的に大きい経路を前記無線通信を行なうための経路として決定する。通信手段は、経路決定手段によって決定された経路に沿って無線通信を行なう。
好ましくは、安定度合は、各々が無線通信の品質を表す複数のファクターから任意に選択された少なくとも1個のファクターに基づいて決定される。
好ましくは、安定度合は、複数のファクターをそれぞれ変換した複数の経路安定指標から任意に選択された少なくとも1個の経路安定指標を用いて決定される。
好ましくは、安定度合は、複数の経路安定指標から任意に選択された2個の経路安定指標に基づいて決定される。
好ましくは、ファクターが直線的に変化するに従って経路安定指標が指数関数的に変化するように複数のファクターが複数の経路安定指標に変換される。
好ましくは、複数のファクターは、受信信号強度、フレームエラー率、パケットエラー率、信号対ノイズ比、およびビット誤り率からなる。
好ましくは、経路決定手段は、更に、送信先までの中継回数がより少なくなるように無線通信を行なうための経路を決定する。
また、この発明によれば、無線ネットワークシステムは、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無線装置を備える無線ネットワークシステムである。
この発明による無線ネットワークシステムを構成する各無線装置は、安定度合が相対的に大きい経路を無線通信を行なうための経路として決定し、その決定した経路に沿って無線通信を行なう。
より好ましくは、各無線装置は、電波の受信強度が相対的に強い経路を無線通信を行なうための経路として決定し、その決定した経路に沿って無線通信を行なう。
また、より好ましくは、各無線装置は、無線通信の通信誤り率が相対的に低い経路を無線通信を行なうための経路として決定し、その決定した経路に沿って無線通信を行なう。
さらに、より好ましくは、各無線装置は、電波の受信強度が相対的に強い経路を優先して無線通信を行なうための経路として決定し、その決定した経路に沿って無線通信を行なうとともに、電波の受信強度によって無線通信を行なうための経路を決定できないとき、無線通信の通信誤り率が相対的に低い経路を無線通信を行なうための経路として決定し、その決定した経路に沿って無線通信を行なう。
したがって、この発明によれば、無線通信を中継する無線装置が増加しても、無線通信が安定して行なわれるので、スループットを向上できる。また、エラーレートを低くできる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による無線ネットワークシステムの概略図である。無線ネットワークシステム10は、無線装置1〜8を備える。無線装置1〜8は、無線通信空間に配置され、自律的にネットワークを構成している。そして、無線装置1から無線装置3へデータを送信する場合、無線装置2,5〜8は、無線装置1からのデータを中継して無線装置3へ届ける。
この場合、無線装置1は、異なる3個の経路を介して無線装置3との間で無線通信を行なうことができる。即ち、無線装置1は、無線装置2,7を介して無線装置3との間で無線通信を行なうことができ、無線装置2,5,6を介して無線装置3との間で無線通信を行なうこともでき、無線装置8を介して無線通信3との間で無線通信を行なうこともできる。
無線装置8を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が”2”と最も少なく、無線装置2,7を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が”3”であり、無線装置2,5,6を介して無線通信を行なう場合、ホップ数が”4”と最も多い。
従って、無線装置8を介して無線通信を行なう経路を選択すると、ホップ数が”2”と最も少なくなるので、一般的には、無線装置1から無線装置3への無線通信のスループットが高くなる。
しかし、無線装置1と無線装置8との間の受信信号強度が弱いとき、無線装置1と無線装置8との間の無線通信のスループットが低下するので、ホップ数が少ない経路を選択すれば、スループットが高くなるというものではない。
そこで、以下においては、無線通信のスループットが高くなるように送信元と送信先との間で経路を確立する方法について説明する。
なお、送信元と送信先との間で経路を確立するプロトコルとしてFSRプロトコルを基本として用いた。このFSRプロトコルは、テーブル駆動型のルーティングプロトコルであり、比較的、近くに存在する無線装置との間で経路情報の交換を密に行ない、遠くに存在する無線装置との間の経路情報の交換を減らすことによりトラフィックの負荷を減らすプロトコルである。
[実施の形態1]
図2は、図1に示す無線装置1の構成を示す実施の形態1における概略ブロック図である。無線装置1は、アンテナ11と、入力部12と、表示部13と、電子メールアプリケーション14と、通信制御部15とを含む。
図2は、図1に示す無線装置1の構成を示す実施の形態1における概略ブロック図である。無線装置1は、アンテナ11と、入力部12と、表示部13と、電子メールアプリケーション14と、通信制御部15とを含む。
アンテナ11は、無線通信空間を介して他の無線装置からデータを受信し、その受信したデータを通信制御部15へ出力するとともに、通信制御部15からのデータを無線通信空間を介して他の無線装置へ送信する。
入力部12は、無線装置1の操作者が入力したメッセージおよびデータの宛先を受付け、その受付けたメッセージおよび宛先を電子メールアプリケーション14へ出力する。表示部13は、電子メールアプリケーション14からの制御に従ってメッセージを表示する。
電子メールアプリケーション14は、入力部12からのメッセージおよび宛先に基づいてデータを生成して通信制御部15へ出力する。
通信制御部15は、ARPA(Advanced Research Projects Agency)インターネット階層構造に従って、通信制御を行なう複数のモジュールからなる。即ち、通信制御部15は、無線インターフェースモジュール16と、MACモジュール17と、LLC(Logical Link Control)モジュール18と、IP(Internet Protocol)モジュール19と、ルーティングテーブル20と、TCPモジュール21と、UDPモジュール22と、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)モジュール23と、ルーティングデーモン24とからなる。
無線インターフェースモジュール16は、物理層に属し、所定の規定に従って送信信号または受信信号の変復調および周波数変換等を行なうとともに、受信信号強度を検出してルーティングデーモン24へ出力する。
MACモジュール17は、MAC層に属し、MACプロトコルを実行してデータ(パケット)の再送制御等を行なう。そして、MACモジュール17は、データ(パケット)の再送回数が所定値を超えるとリンクが切断されたことを検知し、リンクが切断されたことをルーティングデーモン24に通知する。
LLCモジュール18は、データリンク層に属し、LLCプロトコルを実行して隣接する無線装置との間でリンクの接続および解放を行なう。
IPモジュール19は、インターネット層に属し、IPパケットを生成する。IPパケットは、IPヘッダと、上位のプロトコルのパケットを格納するためのIPデータ部とからなる。そして、IPモジュール19は、TCPモジュール21からデータを受けると、その受けたデータをIPデータ部に格納してIPパケットを生成する。そうすると、IPモジュール19は、テーブル駆動型のルーティングプロトコルであるFSRプロトコルに従ってルーティングテーブル20を検索し、生成したIPパケットを送信するための経路が正常であるか否かを判定する。IPモジュール19は、データを送信するための経路が正常であるとき、生成したIPパケットをLLCモジュール18へ送信する。
ルーティングテーブル20は、インターネット層に属し、後述するように、各送信先アドレスに対応付けて経路情報を格納する。
TCPモジュール21は、トランスポート層に属し、TCPパケットを生成する。TCPパケットは、TCPヘッダと、上位のプロトコルのデータを格納するためのTCPデータ部とからなる。そして、TCPモジュール21は、生成したTCPパケットをIPモジュール19へ送信する。
UDPモジュール22は、トランスポート層に属し、ルーティングデーモン24によって作成されたUpdateパケットをブロードキャストし、他の無線装置からブロードキャストされたUpdateパケットを受信してルーティングデーモン24へ出力する。
SMTPモジュール23は、プロセス/アプリケーション層に属し、電子メールアプリケーション14から受け取ったデータに基づいて、全二重通信チャネルの確保およびメッセージの交換等を行なう。
ルーティングデーモン24は、プロセス/アプリケーション層に属し、他の通信制御モジュールの実行状態を監視するとともに、他の通信制御モジュールからのリクエストを処理する。また、ルーティングデーモン24は、FSRプロトコルに従って比較的近くに存在する他の無線装置と経路情報を定期的に交換し合い、取得した経路情報および無線インターフェースモジュール16から受けた受信信号強度に基づいて、後述する方法によって最適な経路を算出してインターネット層にルーティングテーブル20を動的に作成する。
なお、図1に示す無線装置2〜9の各々も、図2に示す無線装置1の構成と同じ構成からなる。
図3は、IPヘッダの構成図である。IPヘッダは、バージョン、ヘッダ長、サービスタイプ、パケット長、識別番号、フラグ、フラグメントオフセット、生存時間、プロトコル、ヘッダチェックサム、送信元IPアドレス、送信先IPアドレス、およびオプションからなる。
図4は、TCPヘッダの構成図である。TCPヘッダは、送信元ポート番号、送信先ポート番号、シーケンス番号、確認応答(ACK)番号、データオフセット、予約、フラグ、ウィンドサイズ、ヘッダチェックサムおよびアージェントポインタからなる。
送信元ポート番号は、送信元の無線装置で複数のアプリケーションが動作しているときに、TCPパケットを出力したアプリケーションを特定する番号である。また、送信先ポート番号は、送信先の無線装置で複数のアプリケーションが動作しているときに、TCPパケットを届けるアプリケーションを特定する番号である。
TCP通信は、エンド・ツー・エンドのコネクション型通信プロトコルである。TCP通信のコネクション接続を要求する無線装置(以下、「TCP通信接続要求装置」という。)のTCPモジュール21は、コネクションの確立時に、TCPヘッダ内のCode BitにSYN(Synchronize Flag)を設定したコネクションの接続要求を示す第1パケットをTCP通信のコネクション接続を受理する端末(以下、「TCP通信接続受理装置」という。)のTCPモジュール21へ送信する。これを受けて、TCP通信接続受理装置のTCPモジュール21は、TCPヘッダ内のCode BitにSYNおよびACK(確認応答)を設定したコネクションの接続要求受理および接続完了を示す第2パケットをTCP通信接続要求装置のTCPモジュール21へ送信する。更に、これを受けて、TCP通信接続要求装置のTCPモジュール21は、TCPヘッダ内のCode BitをACK(確認応答)に設定したコネクションの接続完了を示す第3パケットをTCP通信接続受理装置のTCPモジュール21へ送信する。
コネクションの切断要求は、TCP通信要求装置およびTCP通信受理装置のいずれの側からでも行なうことができる。TCP通信のコネクション切断を要求する無線装置(以下、「TCP通信切断要求装置」という。)のTCPモジュール21は、コネクションの切断時に、TCPヘッダ内のCode BitをFIN(Finish Flag)に設定したコネクションの切断要求を示す第1パケットをTCP通信のコネクション切断を受理する無線装置(以下、「TCP通信切断受理装置」という。)へ送信する。これを受けて、TCP通信切断受理装置のTCPモジュール21は、TCPヘッダ内のCode BitをACK(確認応答)に設定したコネクションの切断要求受理を示す第2パケットと、TCPヘッダ内のCode BitをFINに設定したコネクションの切断完了を示す第3パケットをTCP通信切断要求装置のTCPモジュール21へ送信する。更に、これを受けて、TCP通信切断要求装置のTCPモジュール21は、TCPヘッダ内のCode BitをACK(確認応答)に設定したコネクションの切断完了を示す第4パケットをTCP通信切断受理装置のTCPモジュール21へ送信する。
図5は、図2に示すルーティングテーブル20の例を示す図である。ルーティングテーブル20は、送信先アドレスと、隣接する無線装置のアドレス(NextHopアドレス)と、メトリックと、総合メトリック数1と、とからなる。そして、送信先アドレス、NextHopアドレス、メトリック、および総合メトリック数1は、相互に対応付けられている。
送信先アドレスは、送信先の無線装置のIPアドレスを表す。NextHopアドレスは、次にホップする無線装置のIPアドレスを表す。メトリックは、送信元の無線装置と送信先の無線装置との間の経路状態を示す経路指標を表す。そして、メトリックは、送信元の無線装置と送信先の無線装置との間の経路が正常であるとき、送信元の無線装置から送信先の無線装置までのホップ数が格納され、送信元の無線装置と送信先の無線装置との間の経路が異常であるとき、無限大(∞)が格納される。総合メトリック数1は、受信信号強度に応じて決定される数値が格納される。そして、総合メトリック数1は、受信信号強度が相対的に弱いとき、相対的に大きい数値が格納され、受信信号強度が相対的に強いとき、相対的に小さい数値が格納される。受信信号強度を総合メトリック数1へ変換する方法については、後述する。
図5に示すルーティングテーブル20の例では、第1の経路は、送信元の無線装置を無線装置1とし、送信先の無線装置を無線装置3とする経路であり、無線装置1が送信したパケットを最初に中継する端末が無線装置2であり、無線装置1が送信したパケットは、メトリックが“4”であるので、3つの無線装置によって中継されて無線装置3に届くことを示している。そして、総合メトリック数1は、“5”である。
また、第2の経路は、送信元の無線装置を無線装置1とし、送信先の無線装置を無線装置3とする経路であり、無線装置1が送信したパケットを最初に中継する無線装置が無線装置8であり、無線装置1が送信したパケットは、メトリックが“2”であるので、1つの無線装置によって中継されて無線装置3に届くことを示している。そして、総合メトリック数1は“16”である。
他の無線装置から受信した受信信号強度を総合メトリック数1に変換する方法について説明する。表1は、信号強度とメトリック値との関係を示す。
なお、表1に示す「メトリック値」は、ルーティングテーブル20のメトリックに格納された値とは異なるものであり、以下に説明するように、受信信号強度RSSIに応じて決定される値である(以下、同じ。)。
信号強度が−60dBよりも強いとき、メトリック値は、“1”となり、信号強度が−60dB〜−65dBまでの範囲であるとき、メトリック値は、“2”となり、信号強度が−65dB〜−70dBまでの範囲であるとき、メトリック値は、“4”となり、信号強度が−70dB〜−75dBまでの範囲であるとき、メトリック値は、“8”となり、信号強度が−75dBよりも弱いとき、メトリック値は、“16”となる。
したがって、ルーティングデーモン24は、無線インターフェースモジュール16から受信信号強度を受けると、その受けた受信信号強度に対応するメトリック値を表1を参照して検出し、その検出したメトリック値を経路情報を送信した無線装置を介する経路の総合メトリック数1に加算してルーティングテーブル20を作成する。
具体的に説明する。図6は、トポロジーメッセージの概念図であり、図7は、トポロジーテーブルの概念図であり、図8は、トポロジーメッセージに基づいて作成されるトポロジーの概念図である。
FSRプロトコルを用いたルーティングテーブル20の作成においては、各無線装置1〜8は、トポロジーメッセージを定期的にブロードキャストする。そして、各無線装置1〜8は、例えば、自己から2ホップ以内のトポロジーを示すトポロジーメッセージを5秒ごとにブロードキャストし、自己から3ホップ以上のトポロジーを示すトポロジーメッセージを15秒ごとにブロードキャストする。
各無線装置1〜8は、このようなトポロジーメッセージを送受信することにより、無線ネットワークシステム10内において無線装置1〜8がどのように配置されているかを認識し、各送信先に対する経路を示すルーティングテーブル20を作成する。
無線装置1は、トポロジーメッセージTPMS1(図6の(a)参照)を無線装置8から5秒ごとに受信し、トポロジーメッセージTPMS2(図6の(b)参照)を無線装置2から5秒ごとに受信し、トポロジーメッセージTPMS3(図6の(c)参照)を無線装置2から15秒ごとに受信する。
即ち、無線装置1は、自己に近いローカルな領域におけるトポロジーメッセージTPMS1,TPMS2を、比較的、頻繁に受信し、自己から遠い領域におけるトポロジーメッセージTPMS3を、比較的、長い周期で受信する。
トポロジーメッセージTPMS1は、“Originator”と、N[i](i=0,1,・・・)と、M[i]とからなる。
“Originator”は、基準となる無線装置を表し、N[i]は、“Originator”に隣接する無線装置を表し、M[i]は、“Originator”とN[i]との間の総合メトリック数1を表す。
従って、トポロジーメッセージTPMS1の第1段目は、“Originator”を無線装置8とし、“メトリック”が零(=0)であり、無線装置8に隣接する無線装置が無線装置1(=N[0]=1)および無線装置3(=N[1]=3)であり、無線装置8と無線装置1との間の総合メトリック数1(=M[0])が“8”であり、無線装置8と無線装置3との間の総合メトリック数1(=M[1])が“8”であるトポロジーメッセージを示す。
トポロジーメッセージTPMS1の第2段目および第3段目は、無線装置8から1ホップ(=メトリック=1)の位置に存在する無線装置1,3を“Originator”とするトポロジーメッセージであり、第1段目のトポロジーメッセージと同じ要素からなる。
また、トポロジーメッセージTPMS2は、無線装置2に隣接する無線装置1,4,5,7に関するトポロジーメッセージ、無線装置2から1ホップの位置に存在する無線装置1,4,5,7に隣接する無線装置に関するトポロジーメッセージ、および無線装置2から2ホップの位置に存在する無線装置3,6に隣接する無線装置に関するトポロジーメッセージからなる。
更に、トポロジーメッセージTPMS3は、無線装置2から3ホップの位置に存在する無線装置3に隣接する無線装置に関するトポロジーメッセージからなる。
そして、トポロジーメッセージTPMS2,TPMS3の各々は、トポロジーメッセージTPMS1と同じ要素からなる。
なお、トポロジーメッセージTPMS1〜TPMS3に含まれるメトリック値M[i]は、各無線装置1〜8が他の無線装置(=隣接する無線装置)から受信したトポロジーメッセージの受信信号強度RSSIを検出し、その検出した受信信号強度RSSIを表1を参照してメトリック値に変換することにより求められる。そして、トポロジーメッセージには、送信元のアドレスが含まれているため、各無線装置1〜8は、各トポロジーメッセージをどの無線装置から受信したかを認識できる。従って、各無線装置1〜8は、その認識した無線装置との間の経路に、求めたメトリック値M[i]を割り当てることによってトポロジーテーブルを作成し、その作成したトポロジーテーブルをトポロジーメッセージとしてブロードキャストする。
無線装置1のルーティングデーモン24は、受信したトポロジーメッセージTPMS1〜TPMS3に基づいて、トポロジーテーブルTPTBL(図7参照)を作成する。このトポロジーテーブルTPTBLは、無線装置1に隣接する無線装置に関するトポロジーメッセージ、無線装置1から1ホップ(=メトリック=1)の位置に存在する無線装置2,8に隣接する無線装置に関するトポロジーメッセージ、無線装置1から2ホップ(=メトリック=2)の位置に存在する無線装置4,5,7に隣接する無線装置に関するトポロジーメッセージ、および無線装置1から3ホップ(=メトリック=3)の位置に存在する無線装置3,6に隣接する無線装置に関するトポロジーメッセージからなる。
無線装置1のルーティングデーモン24は、トポロジーテーブルTPTBLを参照して、まず、無線装置1から1ホップの位置に存在する無線装置2,8と、無線装置1と無線装置2,8の各々との間の総合メトリック数1とを認識し、次に、無線装置1から1ホップの位置に存在する無線装置2,8に隣接する無線装置3,4,5,7と、無線装置2,8と無線装置3,4,5,7との間の総合メトリック数1とを認識する。そして、無線装置1のルーティングデーモン24は、これを繰り返すことによって、図1に示す無線装置1〜8のトポロジーと、隣接する無線装置間の総合メトリック数1とを認識し、隣接する無線装置間に総合メトリック数1を割り当てたトポロジーを作成する(図8参照)。
そうすると、無線装置1のルーティングデーモン24は、その作成したトポロジーに基づいて、無線装置3を送信先とする経路からなるルーティングテーブル20(図5参照)を作成する。この場合、無線装置2を経由する経路が2個存在するが、無線装置1−無線装置2−無線装置7−無線装置3の経路は、総合メトリック数1が2+2+4=8であり、無線装置1−無線装置2−無線装置5−無線装置6−無線装置3からなる経路の総合メトリック数1(=2+1+1+1=5)よりも大きいので、総合メトリック数1がより小さい無線装置1−無線装置2−無線装置5−無線装置6−無線装置3の経路が選択される。
このように、無線装置1のルーティングデーモン24は、他の無線装置から定期的にブロードキャストされたトポロジーメッセージTPMS1〜TPMS3に基づいて、ルーティングテーブル20を作成する。
なお、無線装置1のルーティングデーモン24は、無線装置3を送信先とする経路のみならず、他の無線装置を送信先とする各経路からなるルーティングテーブルを作成する。
上述したように、この発明においては、無線装置間の無線通信における受信信号強度RSSIをメトリック値に変換し、その変換したメトリック値を経路の安定度合を示す経路安定指標として経路情報に含めてルーティングテーブル20を作成する。そして、表1に示すように、受信信号強度RSSIが相対的に強くなれば、メトリック値は、相対的に小さくなり、受信信号強度RSSIが相対的に弱くなれば、メトリック値は、相対的に大きくなる。したがって、メトリック値が相対的に小さいことは、経路がより安定していることを意味し、メトリック値が相対的に大きいことは、経路がより不安定であることを意味する。
受信信号強度RSSIをメトリック値に変換する場合、受信信号強度RSSIを複数の領域(−60dBよりも強い領域RGE1、−60dB〜−65dBの領域RGE2、−65dB〜−70dBの領域RGE3、−70dB〜−75dBの領域RGE4、−75dBよりも弱い領域RGE5)に分割し、受信信号強度RSSIが領域RGE1から領域RGE5の方向へ弱くなるに従って、メトリック値は、2の累乗によって大きくなる。即ち、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従って、メトリック値は、指数関数的に大きくなる。
このように、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従って経路安定指標としてのメトリック値を指数関数的に大きくすることによって(即ち、受信信号強度RSSIが直線的に強くなるに従って経路安定指標としてのメトリック値を指数関数的に小さくすることによって)、安定度合がより大きい経路を容易に選択できる。
即ち、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従ってメトリック値を直線的に大きくした場合、受信信号強度RSSIの違いによるメトリック値の差は小さくなる。そして、ルーティングテーブル20においては、無線装置1から無線装置3までの全体の経路における総合メトリック数1(=各経路のメトリック値の加算値)が格納されるので、受信信号強度RSSIが変動しても値が大きく変化しないメトリック値を用いた場合には、送信元から送信先までの複数の経路に付与された複数の総合メトリック数1に大きな差が生じないことになる。
これに対し、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従ってメトリック値を指数関数的に大きくした場合、受信信号強度RSSIの変化に対してメトリック値が大きく変化するので、総合メトリック数1も大きく変化することになり、送信元から送信先までの複数の経路に付与された複数の総合メトリック数1に大きな差が生じることになる。
したがって、この発明においては、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従ってメトリック値が指数関数的に大きくなるようにしたものである。
図1に示す他の無線装置2〜8も、上述した無線装置1と同じようにしてルーティングテーブル20を作成する。
送信元(無線装置1)と送信先(無線装置3)との間で無線通信を行なう動作について説明する。図9は、送信元と送信先との間で無線通信を行なう動作を説明するための実施の形態1におけるフローチャートである。一連の動作が開始されると、送信元である無線装置1のルーティングデーモン24は、より安定な経路を選択してデータをユニキャストする(ステップS1)。そして、無線装置2等の中継器は、より安定な経路を選択してデータをユニキャストする(ステップS2)。その後、送信先である無線装置3は、無線装置1からのデータを受信する(ステップS3)。
これにより、無線装置1から無線装置3へのデータの送信が終了する。
図10は、図9に示すステップS1,S2における詳細な動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24は、ルーティングテーブル20を参照し、送信先(無線装置3)に対して総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS11)。
そして、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在しないとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24は、総合メトリック数1が最小である経路を複数の経路から選択し、TCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS12)。
一方、ステップS11において、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在すると判定されたとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24は、送信先(無線装置3)に対してホップ数が同じ複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS13)。
そして、ホップ数が同じである複数の経路が存在するとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24は、いずれかの経路を複数の経路から選択し、TCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS14)。
一方、ステップS13において、ホップ数が同じ複数の経路が存在しないと判定されたとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24は、ホップ数が最小である経路を複数の経路から選択し、TCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS15)。なお、ホップ数が少ない経路は、「中継回数が少ない経路」を意味する(以下、同じ)。
これにより、図9に示すステップS1,S2の詳細な動作が終了する。
無線装置1のルーティングデーモン24が図10に示すフローチャートに従ってデータを送信するとき、ルーティングデーモン24は、図5に示すルーティングテーブル20を参照し、送信先(無線装置3)に対して総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS11参照)。
この場合、ルーティングテーブル20には、送信先である無線装置3に対して、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在しないので、無線装置1のルーティングデーモン24は、総合メトリック数1が最小である経路を選択し、TCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを送信する(ステップS12参照)。
ルーティングテーブル20には、2つの総合メトリック数1=“5”,“16”が存在し、無線装置2を経由する経路と、無線装置8を経由する経路とが存在することになる。
そうすると、無線装置1のルーティングデーモン24は、無線装置8を経由する経路の総合メトリック数1が“16”であり、無線装置2を経由する経路の総合メトリック数1が“5”であるので、総合メトリック数1がより小さい無線装置2を経由する経路を選択し、無線装置1のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを無線装置2へ送信する。
次に、無線装置2が図10に示すフローチャートに従って無線装置1からのデータを中継する場合について説明する。図11は、ルーティングテーブルの他の例である。無線装置2のルーティングデーモン24は、図11に示すルーティングテーブル20Aを作成している。
無線装置2のルーティングデーモン24は、無線装置1からデータを受信すると、その受信したデータが無線装置3へ送信するデータであることを検知する。そして、ルーティングデーモン24は、ルーティングテーブル20Aを参照して、送信先である無線装置3に対して総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS11参照)。ルーティングテーブル20Aには、無線装置3に対して総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在しないので、無線装置2のルーティングデーモン24は、総合メトリック数1が最小である経路を選択し、TCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを中継する(ステップS12参照)。
ルーティングテーブル20Aにおいては、無線装置3に対して総合メトリック数1が“4”である無線装置5を経由する経路と、総合メトリック数1が“10”である無線装置7を経由する経路とが存在するので、無線装置2のルーティングデーモン24は、総合メトリック数1がより小さい無線装置5を経由する経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを無線装置5へ送信する。
無線装置6も、無線装置2と同様にして、無線装置2から受信したデータを無線装置3へ中継する。
上述した無線装置1によるデータの送信においては、総合メトリック数1が“5”である無線装置2を経由する経路の方が、総合メトリック数1が“16”である無線装置8を経由する経路よりもホップ数が多いにも拘わらず、無線装置2を経由する経路が選択される。また、無線装置2によるデータの中継においては、総合メトリック数1が“4”である無線装置5を経由する経路の方が、総合メトリック数1が“10”である無線装置7を経由する経路よりもホップ数が多いにも拘わらず、無線装置5を経由する経路が選択される。
このように、この発明においては、総合メトリック数1が異なる複数の経路が存在すれば、送信先までのホップ数に関係なく総合メトリック数1がより小さい経路が選択される。
図12は、ルーティングテーブルの更に他の例である。無線装置2が図12の(a)に示すルーティングテーブル20Bを保持する場合について説明する。この場合、送信先である無線装置3に対して総合メトリック数1が同じである2つの経路が存在するので、無線装置2のルーティングデーモン24は、図10に示すステップS11において、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在すると判定し、更に、送信先である無線装置3に対してホップ数が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS13参照)。
ルーティングテーブル20Bには、ホップ数が“2”である無線装置7を経由する経路と、ホップ数が“3”である無線装置5を経由する経路とが存在するので、無線装置2のルーティングデーモン24は、ホップ数がより少ない無線装置7を経由する経路を選択し、TCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを中継する(ステップS15参照)。
総合メトリック数1が同じであり、かつ、ホップ数が異なる複数の経路がルーティングテーブル20に存在する場合、無線装置2のルーティングデーモン24は、ホップ数がより少ない経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを中継する。
無線装置2が図12の(b)に示すルーティングテーブル20Cを保持する場合について説明する。この場合、送信先である無線装置3に対して、総合メトリック数1およびホップ数が同じである2つの経路が存在するので、無線装置2のルーティングテーブル24は、ステップS11において、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在すると判定し、更に、ステップS13において、ホップ数が同じである複数の経路が存在すると判定する。
そして、無線装置2のルーティングデーモン24は、無線装置5を経由する経路と、無線装置7を経由する経路とのうち、いずれかの経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを中継する(ステップS14参照)。
総合メトリック数1およびホップ数が同じである複数の経路がルーティングテーブル20に存在する場合、無線装置2のルーティングデーモン24は、いずれかの経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24によって選択された経路に沿ってデータを中継する。
上述したように、この発明は、総合メトリック数1に基づいて、データを送信または中継する経路を決定し、総合メトリック数1によって経路を決定できないとき、送信先までのホップ数に基づいて、データを送信または中継する経路を決定する。即ち、この発明は、経路の安定度合に基づいて、より安定な経路をデータを送信または中継する経路として決定し、経路の安定度合によって経路を決定できないとき、送信先までのホップ数に基づいて、データを送信または中継する経路を決定する。
これによって、安定な経路を介してデータを送信先へ送信することができ、その結果、データを送信するときのスループットを向上できる。従来のアドホックネットワークにおいては、送信先までのホップ数が増加すると、そのホップ数の増加に伴ってスループットは低下するが、この発明は、送信先までのホップ数が多くても、総合メトリック数1がより小さい、即ち、より安定度合が大きい経路を介してデータを送信先まで送信するので、ホップ数が多くなってもスループットを向上できる。つまり、より安定度合が大きい経路を選択してデータを送信または中継するので、各無線装置間においてデータの再送が発生することが極めて低くなり、スループットを向上できる。
以下においては、この発明によるプロトコルに従ってルーティングした場合の実験結果について説明する。図13は、実験のレイアウトを示す模式図である。実験は、金属製密閉型パーティションからなる内部壁によって囲まれた略ロの字状の空間50に送信元の無線装置S、送信先の無線装置Dおよび中継器用の無線装置W,X,Y,Zを設置して行なわれた。
無線端末S,D,W,X,Y,Zの各々には、802.11bの無線LANカードが装着された。また、無線端末S,D,W,X,Y,Zの具体的な配置位置は、図13に示すとおりである。即ち、無線端末S,D,W,X,Y,Zは、2つのルートが形成されるように空間50に配置された。そして、2つのルートは、ホップ数および受信信号強度が異なるように設定された。
図14は、図13に示すレイアウトにおいて従来のFSRプロトコルを用いた場合の総合メトリック数1のタイミングチャートである。図14の(a)は、TCPモードの通信を示し、図14の(b)は、UDPモードの通信を示す。なお、従来のFSRプロトコルを用いた場合、総合メトリック数1は、従来のホップ数に相当する。
TCPモードの通信の場合、総合メトリック数1は、“1”または“2”である。そして、98.2%が2ホップである。その内訳は、無線装置Xの中継が60.8%であり、無線装置Zの中継が37.4%であり、1ホップの直接通信は、1.8%である(図14の(a)参照)。
また、UDPモードの通信の場合、総合メトリック数1は、“2”または“3”である。そして、95.4%が2ホップであり、4.6%が3ホップである(図14の(b)参照)。
このように、従来のFSRプロトコルを用いた場合、TCPモードの通信およびUDPモードの通信の両方において、無線端末Xを介した2ホップの無線通信が支配的である。従来のFSRプロトコルは、ホップ数が最小になるように経路を決定するからである。
図15は、図13に示すレイアウトにおいて、この発明によるプロトコルを用いた場合の総合メトリック数1のタイミングチャートである。図15の(a)は、TCPモードの通信を示し、図15の(b)は、UDPモードの通信を示す。なお、図15の(a)および(b)においては、この発明によるプロトコルを“FSR−MS”と表記している。
TCPモードの通信の場合、総合メトリック数1は、5〜19の範囲に存在する(図15の(a)参照)。そして、96.0%が4ホップであり、4.0%が3ホップまたは2ホップであり、1ホップの直接通信は観測されなかった。
UDPモードの通信の場合、総合メトリック数1は、5〜24の範囲に存在する(図15の(b)参照)。そして、84.7%が4ホップであり、15.3%が3ホップまたは2ホップであり、1ホップの直接通信は観測されなかった。
そして、総合メトリック数1は、TCPモードの方が変動幅が小さかった。
このように、受信信号強度を反映した総合メトリック数1を用いてルーティングすることによって、ホップ数が多い方の経路(無線装置S→無線装置Y→無線装置Z→無線装置W→無線装置D)の経路が選択される確率が高いことが確認された。
図16は、図13に示すレイアウトにおいて、ホップ数の多い側のルートの無線装置の電源を落とした場合の総合メトリック数1のタイミングチャートである。図16の(a)は、TCPモードの通信を示し、図16の(b)は、UDPモードの通信を示す。
TCPモードの通信およびUDPモードの通信の両方において、総合メトリック数1は、ほぼ9〜24の範囲に存在しており、総合メトリック数1が“20”よりも高くなる確率が高い。そして、この数値は、図15の(a)および(b)に示す数値よりも大きい。
この発明によるプロトコルを用いた場合(FSR−MS)、総合メトリック数1がより小さい経路が選択されるので、図16に示す実験結果は、ホップ数が“4”と大きいが、総合メトリック数1がより小さい経路(無線装置S→無線装置Y→無線装置Z→無線装置W→無線装置D)が選択されることを支持するものである。
図17は、スループットおよびエラーレートと受信信号強度との関係を示す図である。図17に示すスループットおよびエラーレートは、無線装置間の距離を変えて受信信号強度を設定し、その時のTCPモードおよびUDPモードにおけるスループットおよびエラーレートを計測した結果である。
図17においては、図13に示すレイアウトにおいて2ホップの経路(無線装置S→無線装置X→無線装置D)と4ホップの経路(無線装置S→無線装置Y→無線装置Z→無線装置W→無線装置D)との各無線装置間の受信信号強度の平均値を点線で示す。2ホップの経路は、4ホップの経路に比べ、無線装置間での受信信号強度が低い領域に有り、伝送速度の低下とエラーレートの増加が観測される。このように、受信信号強度の平均値が低い領域では、ホップ数が少なくてもスループットが低下し、エラーレートが増加することが解った。一方、4ホップの経路では、受信信号強度の平均値が強い領域に有り、ホップ数が増加しても、スループットが向上し、エラーレートが低下することがわかった。
したがって、この発明によるプロトコルによって、受信信号強度に基づいて経路を選択することによってホップ数が増加しても無線通信のスループットを向上でき、エラーレートを小さくできる。
図18は、TCPモードにおけるスループットと頻度との関係図である。また、図19は、UDPモードにおけるスループットと頻度との関係図である。図18および図19の結果から解るように、TCPモードおよびUDPモードの両方において、この発明によるプロトコル(FSR−MS)を用いた方が従来のFSRプロトコルを用いた場合よりもスループットが高くなることが解った。
図20は、遅延時間と頻度との関係図である。図20の(a)は、1回目の計測結果を示し、図20の(b)は、2回目の計測結果を示す。1回目の計測においては、FSRプロトコルを用いた方が遅延時間は短い。しかし、2回目の計測においては、FSRプロトコルを用いた場合、1回目の計測において観測された短い遅延時間は殆ど観測されなかった。これに対し、この発明によるプロトコル(FSR−MS)を用いた場合、1回目の計測時と同じように遅延時間が観測された。
したがって、この発明によるプロトコル(FSR−MS)を用いることによって安定した無線通信を行なえることが解った。
上述した結果から、受信信号強度がより強くなる経路を無線通信を行なう経路として決定する方が、ホップ数がより少なくなる経路を無線通信を行なう経路として決定するよりもスループットを向上でき、エラーレートを低くでき、更に、安定した無線通信が可能であることが実証された。
上記においては、受信信号強度がより強くなるように無線通信を行なう経路を決定することについて説明したが、この発明は、これに限らず、送信要求RTSを送信し、送信許可CTSが返信される確率が高くなるように無線通信を行なう経路を決定してもよく、データを送信し、確認応答ACKが返信される確率が高くなるように無線通信を行なう経路を決定してもよい。つまり、この発明は、より安定な経路を無線通信を行なう経路として決定し、その決定した経路に沿って無線通信を行なうものであればよい。
また、上記においては、受信信号強度RRSIが直線的に弱くなったとき、総合メトリック数1が指数関数的に大きくなるように受信信号強度RSSIを総合メトリック数1に変換したが、この発明においては、これに限らず、受信信号強度RRSIが直線的に強くなったとき、総合メトリック数1が指数関数的に大きくなるように受信信号強度RSSIを総合メトリック数1に変換してもよい。この場合、総合メトリック数1が大きい経路がより安定した経路であることを意味する。
更に、この発明においては、受信信号強度RSSIが直線的に弱くなるに従って総合メトリック数1が指数関数的に大きくなるように受信信号強度RSSIを総合メトリック数1に変換し、その変化した総合メトリック数1がより小さい経路を無線通信を行なうための経路として決定することにより、この発明によるプロトコルを従来のFSRプロトコルの手順に従って実行することが可能となる。即ち、従来のFSRプロトコルにおいては、送信先までのホップ数が少なくなるように無線通信を行なうための経路を決定するが、この発明によるプロトコルは、総合メトリック数1が小さくなるように無線通信を行なうための経路を決定するようにすればよい。そして、総合メトリック数1が同じである場合、送信先までのホップ数が少なくなるように無線通信を行なうための経路を決定すればよい。
更に、上記においては、テーブル駆動型のプロトコルについて説明したが、この発明は、これに限らず、オンデマンド型のプロトコルおよびテーブル駆動型とオンデマンド型とを混合したプロトコルにも適用可能である。
なお、この発明においては、総合メトリック数1は、「経路安定指標」を構成する。
また、表1は、「マップ」を構成する。
更に、受信信号強度RSSIは、無線通信の品質を表す「ファクター」を構成する。
更に、ルーティングテーブル20に基づいて、より安定な経路を決定するルーティングデーモン24は、「経路決定手段」を構成する。
更に、ルーティングデーモン24によって決定された経路に沿ってデータを送信または中継するTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17および無線インターフェースモジュール16は、「通信手段」を構成する。
[実施の形態2]
図21は、図1に示す無線装置1の構成を示す実施の形態2における概略ブロック図である。実施の形態2による無線装置1Aは、図2に示す無線装置1の通信制御部15を通信制御部15Aに代えたものであり、その他は、無線装置1と同じである。
図21は、図1に示す無線装置1の構成を示す実施の形態2における概略ブロック図である。実施の形態2による無線装置1Aは、図2に示す無線装置1の通信制御部15を通信制御部15Aに代えたものであり、その他は、無線装置1と同じである。
通信制御部15Aは、図2に示す通信制御部15の無線インターフェースモジュール16、MACモジュール17、ルーティングテーブル20およびルーティングデーモン24をそれぞれ無線インターフェースモジュール16A、MACモジュール17A、ルーティングテーブル30およびルーティングデーモン24Aに代え、タイマー25を追加したものであり、その他は、通信制御部15と同じである。
無線インターフェースモジュール16Aは、図2に示す無線インターフェースモジュール16の機能のうち、受信信号強度RSSIを検出してルーティングデーモン24へ出力する機能以外の機能を果たす。
MACモジュール17Aは、後述する方法によって、フレームエラー率(FER:Frame Error Ratio)を演算し、その演算したフレームエラー率FERをルーティングデーモン24Aへ出力する。そして、MACモジュール17Aは、その他、MACモジュール17と同じ機能を果たす。
ルーティングデーモン24Aは、他の無線装置から取得した経路情報およびMACモジュール17Aから受けたフレームエラー率FERに基づいて、後述する方法によって最適な経路を算出してルーティングテーブル30を動的に作成する。そして、ルーティングデーモン24Aは、その他、ルーティングデーモン24と同じ機能を果たす。
タイマー25は、MAC層に属し、MACモジュール17Aからの指示に応じて、時間を計測するとともに、MACモジュール17Aからの要求に応じて、計測した時間をMACモジュール17Aへ出力する。
ルーティングテーブル30は、ルーティングテーブル20と同じように、各送信先に対応付けて経路情報を格納する。
なお、実施の形態2においては、無線装置2〜8の各々も、図21に示す無線装置1Aと同じ構成からなる。
図22は、フレームエラー率FERを演算する方法を説明するための概念図である。無線装置Aは、タイミングt1で通信要求パケットRTSを無線装置Bへ送信するとともに、通信要求パケットRTSの送信と同時に一定時間CTS_timerを設定し、かつ、通信回数TransmitCntを“1”だけインクリメントする。そして、無線装置Bは、無線装置Aからの通信要求パケットRTSをタイミングt2で受信するとともに、通信要求パケットRTSに対する通信許可パケットCTSをタイミングt3で無線装置Aへ送信する。そうすると、無線装置Aは、無線装置Bからの通信許可パケットCTSをタイミングt4で受信する。
無線装置Aは、通信許可パケットCTSを無線装置Bから一定時間CTS_timer内に受信したとき、通信誤り数FailCntをカウントせず、無線装置Bからの通信許可パケットCTSを一定時間CTS_timer内に受信しなかったとき、通信誤り数FailCntを“1”だけインクリメントする。
無線装置Aは、通信許可パケットCTSを無線装置Bから一定時間CTS_timer内に受信したとき、タイミングt5でデータDATAを無線装置Bへ送信するとともに、データDATAの送信と同時に一定時間ACK_timerを設定し、かつ、通信回数TransmitCntを“1”だけインクリメントする。そして、無線装置Bは、無線装置AからのデータDATAをタイミングt6で受信するとともに、データDATAに対する確認応答パケットACKをタイミングt7で無線装置Aへ送信する。そうすると、無線装置Aは、無線装置Bからの確認応答パケットACKをタイミングt8で受信する。
無線装置Aは、確認応答パケットACKを無線装置Bから一定時間ACK_timer内に受信したとき、通信誤り数FailCntをカウントせず、無線装置Bからの確認応答パケットACKを一定時間ACK_timer内に受信しなかったとき、通信誤り数FailCntを“1”だけインクリメントする。
無線装置Aは、通信許可パケットCTSを無線装置Bから一定時間CTS_timer内に受信しないとき、再度、通信要求パケットRTSの送信から開始し、通信回数TransmitCntおよび通信誤り数FailCntをカウントする。
無線装置Aは、通信要求パケットRTSに対するCTSパケットの受信、およびデータDATAに対する確認応答パケットACKの受信を所定回数だけ繰り返し行ない、通信回数TransmitCntが所定回数に達すると、次式によりフレームエラー率FERを演算する。
FER=FailCnt/TransmitCnt・・・(1)
無線装置1〜8の各々は、無線装置Aと同じ動作によって通信回数TransmitCntおよび通信誤り数FailCntをカウントし、そのカウントした通信回数TransmitCntおよび通信誤り数FailCntを用いて式(1)によってフレームエラー率FERを演算する。
無線装置1〜8の各々は、無線装置Aと同じ動作によって通信回数TransmitCntおよび通信誤り数FailCntをカウントし、そのカウントした通信回数TransmitCntおよび通信誤り数FailCntを用いて式(1)によってフレームエラー率FERを演算する。
この場合、各無線装置1〜8のMACモジュール17Aは、通信要求パケットRTSまたはデータDATAの送信と同時に時間を計測するようにタイマー25を制御するとともに、一定時間CTS_timerまたはACK_timerが経過したことを示す信号TimeExpireを出力するようにタイマー25を制御する。そして、MACモジュール17Aは、信号TimeExpireをタイマー25から受けると、一定時間CTS_timerまたはACK_timerが経過したことを検知する。
図23は、図21に示すルーティングテーブル30の例を示す図である。ルーティングテーブル30は、図5に示すルーティングテーブル20の“総合メトリック数1”を“総合メトリック数2”に代えたものであり、その他は、ルーティングテーブル20と同じである。
送信先アドレス、NextHopアドレス、メトリック、および総合メトリック数2は、相互に対応付けられている。
総合メトリック数2は、フレームエラー率FERに応じて決定される数値が格納される。そして、総合メトリック数2は、フレームエラー率FERが相対的に低いとき、相対的に小さい数値が格納され、フレームエラー率FERが相対的に高いとき、相対的に大きい数値が格納される。
図23に示すルーティングテーブル30の例では、第1の経路は、送信元の無線装置を無線装置1とし、送信先の無線装置を無線装置3とする経路であり、無線装置1が送信したパケットを最初に中継する端末が無線装置2であり、無線装置1が送信したパケットは、メトリックが“4”であるので、3つの無線装置によって中継されて無線装置3に届くことを示している。そして、総合メトリック数2は、“6”である。
また、第2の経路は、送信元の無線装置を無線装置1とし、送信先の無線装置を無線装置3とする経路であり、無線装置1が送信したパケットを最初に中継する無線装置が無線装置8であり、無線装置1が送信したパケットは、メトリックが“2”であるので、1つの無線装置によって中継されて無線装置3に届くことを示している。そして、総合メトリック数2は“12”である。
フレームエラー率FERを総合メトリック数2に変換する方法について説明する。表2は、フレームエラー率FERとメトリック値との関係を示す。
なお、表2に示す「メトリック値」も、ルーティングテーブル30のメトリックに格納された値とは異なるものであり、以下に説明するように、フレームエラー率FERに応じて決定される値である(以下、同じ。)。
フレームエラー率FERが0.1よりも低いとき、メトリック値は、“1”となり、フレームエラー率FERが0.1≦FER<0.2の範囲であるとき、メトリック値は、“2”となり、フレームエラー率FERが0.2≦FER<0.3の範囲であるとき、メトリック値は、“3”となり、フレームエラー率FERが0.3≦FER<0.4の範囲であるとき、メトリック値は、“4”となり、フレームエラー率FERが0.4≦FER<0.5の範囲であるとき、メトリック値は、“5”となり、フレームエラー率FERが0.5以上であるとき、メトリック値は、“6”となる。
したがって、ルーティングデーモン24Aは、MACモジュール17Aからフレームエラー率FERを受けると、その受けたフレームエラー率FERに対応するメトリック値を表2を参照して検出し、その検出したメトリック値を経路情報を送信した無線装置を介する経路の総合メトリック数2に加算してルーティングテーブル30を作成する。
ルーティングテーブル30を作成する方法は、実施の形態1におけるルーティングテーブル20(図5参照)を作成する方法と同じであり、トポロジーメッセージに含まれるM[i]がフレームエラー率FERに基づいて決定される点が異なるだけである。
このように、この発明の実施の形態2においては、無線装置間の無線通信におけるフレームエラー率FERをメトリック値に変換し、その変換したメトリック値を経路の安定度合を示す経路安定指標として経路情報に含めてルーティングテーブル30を作成する。そして、表2に示すように、フレームエラー率FERが相対的に低くなれば、メトリック値は、相対的に小さくなり、フレームエラー率FERが相対的に高くなれば、メトリック値は、相対的に大きくなる。したがって、フレームエラー率FERに基づいてメトリック値を決定する場合においても、メトリック値が相対的に小さいことは、経路がより安定していることを意味し、メトリック値が相対的に大きいことは、経路がより不安定であることを意味する。
他の無線装置2〜8も、フレームエラー率FERに基づいて、上述した無線装置1と同じようにしてルーティングテーブル30を作成する。
実施の形態2において、送信元(無線装置1)と送信先(無線装置3)との間で無線通信を行なう動作は、実施の形態1における図9および図10に示すフローチャートに従って行なわれる。この場合、図10に示すフローチャートのステップS11,S12における“総合メトリック数1”を“総合メトリック数2”に読み替えればよい。
このように、フレームエラー率FERに基づいて決定された総合メトリック数2を用いる場合においても、総合メトリック数2に基づいて、データを送信または中継する経路を決定し、総合メトリック数2によって経路を決定できなとき、送信先までのホップ数に基づいて、データを送信または中継する経路を決定する。即ち、この発明は、総合メトリック数2によって表される経路の安定度合に基づいて、より安定な経路をデータを送信または中継する経路として決定し、経路の安定度合によって経路を決定できないとき、送信先までのホップ数に基づいて、データを送信または中継する経路を決定する。
これによって、フレームエラー率FERを用いる場合にも、安定な経路を介してデータを送信先へ送信することができ、その結果、データを送信するときのスループットを向上できる。
なお、上記においては、フレームエラー率FERは、表2に従ってメトリック値に変換されると説明したが、この発明においては、これに限らず、フレームエラー率FERは、表3に従ってメトリック値に変換されてもよい。
なお、表3に示す「メトリック値」も、ルーティングテーブル30のメトリックに格納された値とは異なるものであり、以下に説明するように、フレームエラー率FERに応じて決定される値である(以下、同じ。)。
フレームエラー率FERが0.1よりも低いとき、メトリック値は、“1”となり、フレームエラー率FERが0.1≦FER<0.2の範囲であるとき、メトリック値は、“2”となり、フレームエラー率FERが0.2≦FER<0.3の範囲であるとき、メトリック値は、“4”となり、フレームエラー率FERが0.3≦FER<0.4の範囲であるとき、メトリック値は、“8”となり、フレームエラー率FERが0.4≦FER<0.5の範囲であるとき、メトリック値は、“16”となり、フレームエラー率FERが0.5以上であるとき、メトリック値は、“32”となる。
従って、表3に従えば、フレームエラー率FERが直線的に高くなるに従って、メトリック値は、2の累乗によって大きくなる。即ち、フレームエラー率FERが直線的に高くなるに従って、メトリック値は、指数関数的に大きくなる。
このように、フレームエラー率FERが直線的に高くなるに従って経路安定指標としてのメトリック値を指数関数的に大きくすることによって(即ち、フレームエラー率FERが直線的に低くなるに従って経路安定指標としてのメトリック値を指数関数的に小さくすることによって)、安定度合がより大きい経路を容易に選択できる。
即ち、フレームエラー率FERが直線的に高くなるに従ってメトリック値を直線的に大きくした場合、フレームエラー率FERの違いによるメトリック値の差は小さくなる。そして、ルーティングテーブル30においては、無線装置1から無線装置3までの全体の経路における総合メトリック数2(=各経路のメトリック値の加算値)が格納されるので、フレームエラー率FERが変動しても値が大きく変化しないメトリック値を用いた場合には、送信元から送信先までの複数の経路に付与された複数の総合メトリック数2に大きな差が生じないことになる。
これに対し、フレームエラー率FERが直線的に高くなるに従ってメトリック値を指数関数的に大きくした場合、フレームエラー率FERの変化に対してメトリック値が大きく変化するので、総合メトリック数2も大きく変化することになり、送信元から送信先までの複数の経路に付与された複数の総合メトリック数2に大きな差が生じることになる。
したがって、この発明においては、フレームエラー率FERが直線的に高くなるに従ってメトリック値が指数関数的に大きくなるようにしたものである。
また、上記においては、フレームエラー率FERを演算し、その演算したフレームエラー率FERを表2または表3に従ってメトリック値に変換すると説明したが、この発明においては、これに限らず、フレームエラー率FERに代えてパケットエラー率PER(Packet Error Ratio)、信号対ノイズ比SNR(Signal to Noise Ratio)、信号電力、ビット誤り率、搬送波信号対雑音比、および信号に対する干渉雑音を含む雑音比のいずれかを用いてもよい。
パケットエラー率PERは、送受信されるパケットの総数に対するCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが生じたパケットの個数の比によって表される。従って、パケットエラー率PERは、MACモジュール17Aによって演算され、MACモジュール17Aによってルーティングデーモン24Aへ送信される。
また、信号対ノイズ比SNRは、信号強度に対するノイズ強度の比によって表される。従って、信号対ノイズ比SNRは、無線インターフェースモジュール16Aによって演算され、無線インターフェースモジュール16Aによってルーティングデーモン24Aへ送信される。
更に、信号電力は、受信した信号の電力を表す。従って、信号電力は、無線インターフェースモジュール16Aによって検出され、無線インターフェースモジュール16Aによってルーティングデーモン24Aへ送信される。
更に、ビット誤り率は、復調したビットの誤り率を表す。従って、ビット誤り率は、無線インターフェースモジュール16Aによって検出され、無線インターフェースモジュール16Aによってルーティングデーモン24Aへ送信される。
更に、搬送波信号対雑音比は、搬送波信号に対する雑音の比を表す。従って、搬送波信号対雑音比は、無線インターフェースモジュール16Aによって検出され、無線インターフェースモジュール16Aによってルーティングデーモン24Aへ送信される。
更に、信号に対する干渉雑音を含む雑音比は、[干渉雑音を含む雑音]/信号強度を表す。従って、信号に対する干渉雑音を含む雑音比は、無線インターフェースモジュール16Aによって検出され、無線インターフェースモジュール16Aによってルーティングデーモン24へ送信される。
そして、パケットエラー率PER、信号対ノイズ比SNR、信号電力、ビット誤り率、搬送波信号対雑音比、および信号に対する干渉雑音を含む雑音比の各々は、表2または表3に従ってメトリック値に変換される。
その他は、実施の形態1と同じである。
なお、総合メトリック数2は、「経路安定指標」を構成する。また、表2または表3は、「マップ」を構成する。
また、フレームエラー率FER、パケットエラー率PER、信号対ノイズ比SNR、ビット誤り率、搬送波信号対雑音比、および信号に対する干渉雑音を含む雑音比の各々は、「通信誤り率」を構成し、この発明においては、一般的に、総合メトリック数2は、通信誤り率を表2または表3に従って変換したメトリック値に基づいて決定される。
更に、フレームエラー率FER、パケットエラー率PER、信号対ノイズ比SNR、ビット誤り率、搬送波信号対雑音比、および信号に対する干渉雑音を含む雑音比の各々は、無線通信の品質を表す「ファクター」を構成する。
更に、ルーティングテーブル30に基づいて、より安定な経路を決定するルーティングデーモン24Aは、「経路決定手段」を構成する。
更に、ルーティングデーモン24Aによって決定された経路に沿ってデータを送信または中継するTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16Aは、「通信手段」を構成する。
[実施の形態3]
図24は、図1に示す無線装置1の構成を示す実施の形態3における概略ブロック図である。実施の形態3による無線装置1Bは、図2に示す無線装置1の通信制御部15を通信制御部15Bに代えたものであり、その他は、無線装置1と同じである。
図24は、図1に示す無線装置1の構成を示す実施の形態3における概略ブロック図である。実施の形態3による無線装置1Bは、図2に示す無線装置1の通信制御部15を通信制御部15Bに代えたものであり、その他は、無線装置1と同じである。
通信制御部15Bは、図2に示す通信制御部15のMACモジュール17、ルーティングテーブル20およびルーティングデーモン24をそれぞれMACモジュール17A、ルーティングテーブル40およびルーティングデーモン24Bに代え、タイマー25を追加したものであり、その他は、通信制御部15と同じである。
MACモジュール17Aおよびタイマー25については、実施の形態2において説明したとおりである。
ルーティングデーモン24Bは、他の無線装置から取得した経路情報、無線インターフェースモジュール16から受けた受信信号強度RSSIおよびMACモジュール17Aから受けたフレームエラー率FERに基づいて、後述する方法によって最適な経路を算出してルーティングテーブル40を動的に作成する。そして、ルーティングデーモン24Bは、その他、ルーティングデーモン24と同じ機能を果たす。
ルーティングテーブル40は、ルーティングテーブル20と同じように、各送信先に対応付けて経路情報を格納する。
なお、実施の形態3においては、無線装置2〜8の各々も、図24に示す無線装置1Bと同じ構成からなる。
図25は、図24に示すルーティングテーブル40の例を示す図である。ルーティングテーブル40は、図5に示すルーティングテーブル20に“総合メトリック数2”を追加したものであり、その他は、ルーティングテーブル20と同じである。
送信先アドレス、NextHopアドレス、メトリック、総合メトリック数1、および総合メトリック数2は、相互に対応付けられている。
総合メトリック数1は、上述したように、受信信号強度RSSIによって決定される数値が格納され、総合メトリック数2は、上述したように、フレームエラー率FERに応じて決定される数値が格納される。
図25に示すルーティングテーブル40の例では、第1の経路は、送信元の無線装置を無線装置1とし、送信先の無線装置を無線装置3とする経路であり、無線装置1が送信したパケットを最初に中継する端末が無線装置2であり、無線装置1が送信したパケットは、メトリックが“4”であるので、3つの無線装置によって中継されて無線装置3に届くことを示している。そして、総合メトリック数1は、“4”であり、総合メトリック数2は、“6”である。
また、第2の経路は、送信元の無線装置を無線装置1とし、送信先の無線装置を無線装置3とする経路であり、無線装置1が送信したパケットを最初に中継する無線装置が無線装置8であり、無線装置1が送信したパケットは、メトリックが“2”であるので、1つの無線装置によって中継されて無線装置3に届くことを示している。そして、総合メトリック数1は、“16”であり、総合メトリック数2は“12”である。
ルーティングテーブル40を作成する方法は、実施の形態1におけるルーティングテーブル20(図5参照)を作成する方法と同じであり、受信信号強度RSSIに基づいて決定されるメトリック値M1[i]と、フレームエラー率FERに基づいて決定されるメトリック値M2[i]とを含むトポロジーメッセージに基づいて作成される点が異なるだけである。
従って、各無線装置1〜8は、“Originator”に隣接する無線装置N[i]と、受信信号強度RSSIに基づいて決定されたメトリック値M1[i]と、フレームエラー率FERに基づいて決定されるメトリック値M2[i]とをセットとしたトポロジーメッセージを作成してブロードキャストする。そして、このトポロジーメッセージを受信した各無線装置1〜8は、実施の形態1において説明した方法に従って無線装置1〜8のトポロジー(図8参照)を認識するとともに、隣接する無線装置間における2つのメトリック値M1[i],M2[i]を認識する。そして、各無線装置1〜8は、各送信先までの各経路における総合メトリック数1をメトリック値M1[i]の和として演算し、各送信先までの各経路における総合メトリック数2をメトリック値M2[i]の和として演算してルーティングテーブル40を作成する。
このように、この発明の実施の形態3においては、無線装置間の無線通信における受信信号強度RSSIおよびフレームエラー率FERをメトリック値に変換し、その変換したメトリック値を経路の安定度合を示す経路安定指標として経路情報に含めてルーティングテーブル40を作成する。そして、表1に示すように、受信信号強度RSSIが相対的に強くなれば、メトリック値は、相対的に小さくなり、受信信号強度RSSIが相対的に弱くなれば、メトリック値は、相対的に大きくなる。また、表2に示すように、フレームエラー率FERが相対的に低くなれば、メトリック値は、相対的に小さくなり、フレームエラー率FERが相対的に高くなれば、メトリック値は、相対的に大きくなる。したがって、受信信号強度RSSIおよびフレームエラー率FERに基づいてメトリック値を決定する場合においても、メトリック値が相対的に小さいことは、経路がより安定していることを意味し、メトリック値が相対的に大きいことは、経路がより不安定であることを意味する。
図26は、送信元と送信先との間で無線通信を行なう動作を説明するための実施の形態3におけるフローチャートである。一連の動作が開始されると、送信元である無線装置1のルーティングデーモン24Bは、受信信号強度RSSIに基づいて決定された総合メトリック数1を優先して、より安定な経路を選択してデータをユニキャストする(ステップS21)。そして、無線装置2等の中継器は、受信信号強度RSSIに基づいて決定された総合メトリック数1を優先して、より安定な経路を選択してデータをユニキャストする(ステップS22)。その後、送信先である無線装置3は、無線装置1からのデータを受信する(ステップS23)。
これにより、無線装置1から無線装置3へのデータの送信が終了する。
図27は、図26に示すステップS21,S22における詳細な動作を説明するためのフローチャートである。一連の動作が開始されると、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24Bは、ルーティングテーブル40を参照し、送信先(無線装置3)に対して総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS211)。
そして、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在しないとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24Bは、総合メトリック数1が最小である経路を複数の経路から選択し、TCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS212)。
一方、ステップS211において、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在すると判定されたとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24Bは、送信先(無線装置3)に対して総合メトリック数2が同じである複数の経路が存在するか否かを更に判定する。(ステップS213)。
そして、総合メトリック数2が同じである複数の経路が存在しないとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24Bは、総合メトリック数2が最小である経路を複数の経路から選択し、無線装置1または中継器(無線装置2等)のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS214)。
一方、ステップS213において、総合メトリック数2が同じである複数の経路が存在すると判定されたとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24Bは、送信先(無線装置3)に対してホップ数が同じ複数の経路が存在するか否かを更に判定する(ステップS215)。
そして、ホップ数が同じである複数の経路が存在するとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24Bは、いずれかの経路を複数の経路から選択し、無線装置1または中継器(無線装置2等)のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS216)。
一方、ステップS215において、ホップ数が同じ複数の経路が存在しないと判定されたとき、無線装置1または中継器(無線装置2等)のルーティングデーモン24Bは、ホップ数が最小である経路を複数の経路から選択し、無線装置1または中継器(無線装置2等)のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを送信または中継する(ステップS217)。
これにより、図26に示すステップS21,S22の詳細な動作が終了する。
無線装置1のルーティングデーモン24Bが図27に示すフローチャートに従ってデータを送信するとき、ルーティングデーモン24Bは、図25に示すルーティングテーブル40を参照し、まず、送信先(無線装置3)に対して総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS211参照)。
この場合、ルーティングテーブル40には、送信先である無線装置3に対して、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在しないので、無線装置1のルーティングデーモン24Bは、総合メトリック数1が最小である経路を選択し、無線装置1のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを送信する(ステップS212参照)。
ルーティングテーブル40には、2つの総合メトリック数1=“4”, “16”が存在し、無線装置2を経由する経路と、無線装置8を経由する経路とが存在することになる。
そうすると、無線装置1のルーティングデーモン24Bは、無線装置8を経由する経路の総合メトリック数1が“16”であり、無線装置2を経由する経路の総合メトリック数1が“4”であるので、総合メトリック数1がより小さい無線装置2を経由する経路を選択し、無線装置1のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを無線装置2へ送信する。
次に、無線装置2が図27に示すフローチャートに従って無線装置1からのデータを中継する場合について説明する。図28は、図25に示すルーティングテーブル40の他の例である。無線装置2のルーティングデーモン24Bは、図28に示すルーティングテーブル40Aを作成している。
無線装置2のルーティングデーモン24Bは、無線装置1からデータを受信すると、その受信したデータが無線装置3へ送信するデータであることを検知する。そして、ルーティングデーモン24Bは、ルーティングテーブル40Aを参照して、送信先である無線装置3に対して総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS211参照)。ルーティングテーブル40Aには、無線装置3に対して総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在しないので、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、総合メトリック数1が最小である経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを中継する(ステップS212参照)。
ルーティングテーブル40Aにおいては、無線装置3に対して総合メトリック数1が“3”である無線装置5を経由する経路と、総合メトリック数1が“10”である無線装置7を経由する経路とが存在するので、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、総合メトリック数1がより小さい無線装置5を経由する経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを無線装置5へ送信する。
無線装置6も、無線装置2と同様にして、無線装置2から受信したデータを無線装置3へ中継する。
上述した無線装置1によるデータの送信においては、総合メトリック数1が“4”である無線装置2を経由する経路の方が、総合メトリック数1が“16”である無線装置8を経由する経路よりもホップ数が多いにも拘わらず、無線装置2を経由する経路が選択される。また、無線装置2によるデータの中継においては、総合メトリック数1が“3”である無線装置5を経由する経路の方が、総合メトリック数1が“10”である無線装置7を経由する経路よりもホップ数が多いにも拘わらず、無線装置5を経由する経路が選択される。
このように、この発明においては、総合メトリック数1が異なる複数の経路が存在すれば、送信先までのホップ数に関係なく総合メトリック数1がより小さい経路が優先して選択される。
図29は、図25に示すルーティングテーブル40の更に他の例である。無線装置2が図29の(a)に示すルーティングテーブル40Bを保持する場合について説明する。この場合、送信先である無線装置3に対して総合メトリック数1が同じである2つの経路が存在するので、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、図27に示すステップS211において、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在すると判定し、更に、送信先である無線装置3に対して総合メトリック数2が同じでる複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS213参照)。
ルーティングテーブル40Bには、総合メトリック数2が“8”である無線装置7を経由する経路と、総合メトリック数2が“6”である無線装置5を経由する経路とが存在するので、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、総合メトリック数2がより小さい無線装置5を経由する経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを中継する(ステップS214参照)。
総合メトリック数1が同じであり、かつ、総合メトリック数2が異なる複数の経路がルーティングテーブル40に存在する場合、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、総合メトリック数2がより少ない経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを中継する。
無線装置2が図29の(b)に示すルーティングテーブル40Cを保持する場合について説明する。この場合、送信先である無線装置3に対して総合メトリック数1および総合メトリック数2が同じである2つの経路が存在するので、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、図27に示すステップS213において、総合メトリック数2が同じである複数の経路が存在すると判定し、更に、送信先である無線装置3に対してホップ数が同じである複数の経路が存在するか否かを判定する(ステップS15参照)。
ルーティングテーブル40Cには、ホップ数が“2”である無線装置7を経由する経路と、ホップ数が“3”である無線装置5を経由する経路とが存在するので、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、ホップ数がより少ない無線装置7を経由する経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを中継する(ステップS217参照)。
このように、総合メトリック数1および総合メトリック数2が同じであり、かつ、ホップ数が異なる複数の経路がルーティングテーブル40に存在する場合、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、ホップ数がより少ない経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを中継する。
無線装置2が図29の(c)に示すルーティングテーブル20Dを保持する場合について説明する。この場合、送信先である無線装置3に対して、総合メトリック数1、総合メトリック数2およびホップ数が同じである2つの経路が存在するので、無線装置2のルーティングテーブル24Bは、ステップS211において、総合メトリック数1が同じである複数の経路が存在すると判定し、ステップS213において、総合メトリック数2が同じである複数の経路が存在すると判定し、更に、ステップS215において、ホップ数が同じである複数の経路が存在すると判定する。
そして、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、無線装置5を経由する経路と、無線装置7を経由する経路とのうち、いずれかの経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを中継する(ステップS216参照)。
このように、総合メトリック数1、総合メトリック数2およびホップ数が同じである複数の経路がルーティングテーブル40に存在する場合、無線装置2のルーティングデーモン24Bは、いずれかの経路を選択し、無線装置2のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Bによって選択された経路に沿ってデータを中継する。
上述したように、実施の形態3による発明は、総合メトリック数1に基づいて、データを送信または中継する経路を決定し、総合メトリック数1によって経路を決定できないとき、総合メトリック数2に基づいて、データを送信または中継する経路を決定し、更に、総合メトリック数1および総合メトリック数2によって経路を決定できないとき、送信先までのホップ数に基づいて、データを送信または中継する経路を決定する。
即ち、実施の形態3による発明は、受信信号強度RSSIに基づいて決定された総合メトリック数1を優先してより安定な経路を選択し、その選択したより安定な経路をデータを送信または中継する経路として決定し、経路の安定度合によって経路を決定できないとき、送信先までのホップ数に基づいて、データを送信または中継する経路を決定する。
これによって、安定な経路を介してデータを送信先へ送信することができ、その結果、データを送信するときのスループットを向上できる。特に、総合メトリック数1および総合メトリック数2に基づいて、より安定な経路を決定することによって、受信信号強度RSSIが同じである複数の経路が存在しても、実際の無線通信の状況を反映した総合メトリック数2に基づいて、より安定な経路を決定するので、より正確に安定な経路を決定できる。
上述したように、受信信号強度RSSIに基づいて決定された総合メトリック数1を優先して、より安定な経路を決定するのは、次の理由による。総合メトリック数2は、通信許可パケットCTSまたは確認応答パケットACKを送信相手の無線装置から受信しない確率であるフレームエラー率によって決定され、通信許可パケットCTSまたは確認応答パケットACKは、無線装置間の電波状況が良好であっても送信相手の無線装置においてパケットの衝突が生じたことに起因して送信相手の無線装置から送信されないこともあり、受信信号強度RSSIの方がフレームエラー率FERよりも経路の安定度合をより正確に反映していると考えられるからである。
なお、実施の形態3においては、フレームエラー率FERに代えて、パケットエラー率PER、信号対ノイズ比SNR、信号電力、ビット誤り率、搬送波信号対雑音比、および信号に対する干渉雑音を含む雑音比のいずれかを用いて総合メトリック数2を決定してもよい。
また、上記においては、受信信号強度RSSIに基づいて決定された総合メトリック数1と、フレームエラー率に基づいて決定された総合メトリック数2とを用いて安定な経路を決定すると説明したが、この発明においては、これに限らず、受信信号強度RSSI、フレームエラー率FER、パケットエラー率、信号対ノイズ比SNR、信号電力、ビット誤り率、搬送波信号対雑音比、および信号に対する干渉雑音を含む雑音比から任意に選択した2個のファクターを表1〜表3のいずれかに従って2個の総合メトリック数1,2に変換し、その変換した2個の総合メトリック数1,2に基づいて、より安定な経路を決定するようにしてもよい。
更に、この発明においては、受信信号強度RSSI、フレームエラー率FER、パケットエラー率、信号対ノイズ比SNR、信号電力、ビット誤り率、搬送波信号対雑音比、および信号に対する干渉雑音を含む雑音比から任意に選択した2個以上のファクターを表1〜表3のいずれかに従って2個以上の総合メトリック数に変換し、その変換した2個以上の総合メトリック数に基づいて、より安定な経路を決定するようにしてもよい。
この発明においては、ルーティングテーブル40に基づいて、より安定な経路を決定するルーティングデーモン24Bは、「経路決定手段」を構成する。
また、ルーティングデーモン24Bによって決定された経路に沿ってデータを送信または中継するTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、「通信手段」を構成する。
更に、受信信号強度RSSI、フレームエラー率FER、パケットエラー率、信号対ノイズ比SNR、信号電力、ビット誤り率、搬送波信号対雑音比、および信号に対する干渉雑音を含む雑音比は、各々が無線通信の品質を表す「複数のファクター」を構成する。
その他は、実施の形態1,2と同じである。
[実施の形態4]
図30は、図1に示す無線装置1の構成を示す実施の形態4における概略ブロック図である。実施の形態4による無線装置1Cは、図23に示す無線装置1Bの通信制御部15Bを通信制御部15Cに代えたものであり、その他は、無線装置1Bと同じである。
図30は、図1に示す無線装置1の構成を示す実施の形態4における概略ブロック図である。実施の形態4による無線装置1Cは、図23に示す無線装置1Bの通信制御部15Bを通信制御部15Cに代えたものであり、その他は、無線装置1Bと同じである。
通信制御部15Cは、図23に示す通信制御部15Bのルーティングデーモン24Bをルーティングデーモン24Cに代え、GPS(Global Positioning System)受信機26を追加したものであり、その他は、通信制御部15Bと同じである。
GPS受信機26は、物理層に属し、無線装置1Cの現在位置を検出してルーティングデーモン24Cへ出力する。より具体的には、GPS受信機26は、衛星(図示せず)から位置情報を受信し、その受信した位置情報を地図データに重ねることにより無線装置1Cの現在位置を検出する。なお、GPS受信機26は、地図データを内蔵するメモリに格納している。
ルーティングデーモン24Cは、GPS受信機26から現在位置を受け、その受けた現在位置に基づいて無線装置1Cが移動可能であるか否かを判定する。より具体的には、ルーティングデーモン24Cは、GPS受信機26から受けた現在位置が経時的に変化しているとき、無線装置1Cは移動可能であると判定し、GPS受信機26から受けた現在位置が経時的に変化していないとき、無線装置1Cは移動可能でない(即ち、無線装置1Cは静止している)と判定する。
そして、ルーティングデーモン24Cは、無線装置1Cが移動可能であると判定したとき、受信信号強度RSSIに基づいて決定された総合メトリック数1を優先して、より安定な経路を決定し、その決定した経路に沿ってデータを送信または中継するようにTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16を制御する。
また、ルーティングデーモン24Cは、無線装置1Cが静止していると判定したとき、通信誤り率に基づいて決定された総合メトリック数2を優先して、より安定な経路を決定し、その決定した経路に沿ってデータを送信または中継するようにTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16を制御する。
ルーティングデーモン24Cは、その他、ルーティングデーモン24Bと同じ機能を果たす。
なお、無線装置2〜8の各々も、図30に示す無線装置1Cと同じ構成からなる。
図31は、送信元と送信先との間で無線通信を行なう動作を説明するための実施の形態4におけるフローチャートである。図31に示すフローチャートは、図26に示すフローチャートにステップS17〜ステップS20を追加したものであり、その他は、図26に示すフローチャートと同じである。
一連の動作が開始されると、送信元である無線装置1のルーティングデーモン24Cは、GPS受信機26からの現在位置に基づいて、上述した方法によって無線装置1が移動可能であるか否かを判定する(ステップS17)。そして、無線装置1が移動可能であると判定されたとき、一連の動作は、上述したステップS21へ移行する。
一方、ステップS17において、無線装置1が移動可能でないと判定されたとき、無線装置1のルーティングデーモン24Cは、通信誤り率に基づいて決定された総合メトリック数2を優先して、より安定な経路を選択し、無線装置1のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Cによって選択された経路に沿ってデータをユニキャストする(ステップS18)。
そして、ステップS18またはステップS21の後、中継器である無線装置2等のルーティングデーモン24Cは、GPS受信機26からの現在位置に基づいて、上述した方法によって無線装置2等が移動可能であるか否かを判定する(ステップS19)。そして、無線装置2等が移動可能であると判定されたとき、一連の動作は、上述したステップS22へ移行する。
一方、ステップS19において、無線装置2等が移動可能でないと判定されたとき、無線装置2等のルーティングデーモン24Cは、通信誤り率に基づいて決定された総合メトリック数2を優先して、より安定な経路を選択し、無線装置2等のTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、ルーティングデーモン24Cによって選択された経路に沿ってデータをユニキャストする(ステップS20)。
そして、ステップS20またはステップS22の後、一連の動作は、上述したステップS23へ移行し、ステップS23が実行された後、終了する。
なお、ステップS18,S20における詳細な動作は、図26に示すフローチャートにおいて、“総合メトリック数1”を“総合メトリック数2”に読み替えたフローチャートに従って実行される。
このように、実施の形態4においては、各無線装置1〜8は、移動可能であるとき、受信信号強度RSSIに基づいて決定された総合メトリック数1を優先して、より安定な経路を決定してデータを送信または中継し、移動可能でないとき、通信誤り率に基づいて決定された総合メトリック数2を優先して、より安定な経路を決定してデータを送信または中継する。
各無線装置1〜8が移動可能である場合、経路の安定度合を示すメトリック値を迅速に求める必要があるため、受信信号強度RSSIに基づいて決定された総合メトリック数1を優先して、より安定な経路を決定することにしたものである。
また、各無線装置1〜8が移動可能でない場合(即ち、静止している場合)、各無線装置1〜8は、実際に行なわれた無線通信の状況をより正確に把握しており、実際の無線通信の状況に基づいて、より安定な経路を決定する方がスループットの改善に直結するので、通信誤り率に基づいて決定された総合メトリック数2を優先して、より安定な経路を決定することにしたものである。
図31に示すフローチャートは、無線アドホックネットワークを構成する複数の無線装置のうち、一部の無線装置が移動しており、その他の無線装置が静止していることを前提としたフローチャートである。
このように、移動している無線装置と、静止している無線装置とにより無線アドホックネットワークが構成された場合においても、受信信号強度RSSIに基づいて決定された総合メトリック数1と、通信誤り率に基づいて決定された総合メトリック数2とを用いることによって、それぞれの無線装置に適した方式によって、より安定な経路を決定してデータを送信または中継できる。
なお、ルーティングテーブル40に基づいて、より安定な経路を決定するルーティングデーモン24Cは、「経路決定手段」を構成する。
また、ルーティングデーモン24Cによって決定された経路に沿ってデータを送信または中継するTCPモジュール21、IPモジュール19、LLCモジュール18、MACモジュール17Aおよび無線インターフェースモジュール16は、「通信手段」を構成する。
その他は、実施の形態1〜3と同じである。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、自律的に構築され、かつ、より高いスループットが得られる無線ネットワークシステムに適用される。また、この発明は、自律的に構築され、かつ、より高いスループットが得られる無線ネットワークシステムを構成する無線装置に適用される。
1〜8,1A,1B,1C 無線装置、10 無線ネットワークシステム、11 アンテナ、12 入力部、13 表示部、14 電子メールアプリケーション、15,15A,15B,15C 通信制御部、16,16A 無線インターフェースモジュール、17,17A MACモジュール、18 LLCモジュール、19 IPモジュール、20,20A,20B,20C,30,40,40A,40B,40C,40D ルーティングテーブル、21 TCPモジュール、22 UDPモジュール、23 SMTPモジュール、24,24A,24B,24C ルーティングデーモン、25 タイマー、26 GPS受信機、50 空間、200 アドホックネットワーク、201〜206 自動車。
Claims (8)
- 自律的に確立され、かつ、送信元と送信先との間で無線通信を行なう無線ネットワークを構成する無線装置であって、
安定度合が相対的に大きい経路を前記無線通信を行なうための経路として決定する経路決定手段と、
前記経路決定手段によって決定された経路に沿って前記無線通信を行なう通信手段とを備える無線装置。 - 前記安定度合は、各々が前記無線通信の品質を表す複数のファクターから任意に選択された少なくとも1個のファクターに基づいて決定される、請求項1に記載の無線装置。
- 前記安定度合は、前記複数のファクターをそれぞれ変換した複数の経路安定指標から任意に選択された少なくとも1個の経路安定指標を用いて決定される、請求項2に記載の無線装置。
- 前記安定度合は、前記複数の経路安定指標から任意に選択された2個の経路安定指標に基づいて決定される、請求項3に記載の無線装置。
- 前記ファクターが直線的に変化するに従って前記経路安定指標が指数関数的に変化するように前記複数のファクターが前記複数の経路安定指標に変換される、請求項3または請求項4に記載の無線装置。
- 前記複数のファクターは、受信信号強度、フレームエラー率、パケットエラー率、信号対ノイズ比、およびビット誤り率からなる、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の無線装置。
- 前記経路決定手段は、更に、前記送信先までの中継回数がより少なくなるように前記無線通信を行なうための経路を決定する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の無線装置。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無線装置を備える無線ネットワークシステム。
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