JP2006104286A - 含フッ素重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明が解決しようとする課題は、従来存在しなかった、脂肪族環構造含有含フッ素重合体を光重合により製造する方法を提供することにある。
【解決手段】下記式(1)で表される含フッ素ジエン(1)と光重合開始剤とを含有し、実質的に溶媒を含有しない重合性組成物を、光照射により環化重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
CF2=CR1−Q−CR2=CH2 ・・・(1)
(ただし、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、Qは酸素原子、NR3(R3は水素原子、炭素数6以下のアルキル基、アルキルカルボニル基またはトシル基を表す)または官能基を有していてもよい2価の有機基、を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】下記式(1)で表される含フッ素ジエン(1)と光重合開始剤とを含有し、実質的に溶媒を含有しない重合性組成物を、光照射により環化重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
CF2=CR1−Q−CR2=CH2 ・・・(1)
(ただし、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、Qは酸素原子、NR3(R3は水素原子、炭素数6以下のアルキル基、アルキルカルボニル基またはトシル基を表す)または官能基を有していてもよい2価の有機基、を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、含フッ素重合体の製造方法に関する。
従来、含フッ素の光硬化樹脂としては含フッ素アクリレートが知られているが(例えば特許文献1、2参照)、環化重合してポリマーの主鎖に環構造を有するポリマーでの光硬化の例はなかった。また、一般的な光重合開始剤は含フッ素モノマーに溶解しにくく無溶媒で光硬化を行うことが困難であった。
本発明が解決しようとする課題は、従来存在しなかった、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体を光重合により製造する方法を提供することにある。
本発明は、下記式(1)で表される含フッ素ジエン(1)と光重合開始剤とを含有し、実質的に溶媒を含有しない重合性組成物を、光照射により環化重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法である。
CF2=CR1−Q−CR2=CH2 ・・・(1)
ただし、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、Qは酸素原子、NR3(R3は水素原子、炭素数6以下のアルキル基、アルキルカルボニル基またはトシル基を表す)または2価の有機基、を表す。
ただし、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、Qは酸素原子、NR3(R3は水素原子、炭素数6以下のアルキル基、アルキルカルボニル基またはトシル基を表す)または2価の有機基、を表す。
本発明の含フッ素重合体の製造方法は、特定構造の含フッ素ジエンを使用するため、通常の含フッ素モノマーには溶解できなかった、容易に入手できる炭化水素系の光開始剤を使用することができる。そのため、実質上溶媒を使用しないで含フッ素重合体を与えることができ、溶媒留去する工程を必要としない。このことから、重合後そのままの形で各種の用途に利用することが可能である。また生成する重合体が主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体であることから、高い化学安定性や耐熱性を備える重合体を得ることができる。
本発明によって主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体を光硬化により製造することが可能になった。つまり本発明は下記一般式(1)で表される官能基含有含フッ素ジエンが環化重合した繰り返し単位を有する重合体を光照射により提供するものである。
CF2=CR1−Q−CR2=CH2 ・・・(1)
(ただし、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、Qは酸素原子、NR3(R3は水素原子、炭素数6以下のアルキル基またはトシル基を表す)もしくは官能基を有していてもよい2価の有機基、を表す。)
式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であることが好ましい。特にR1としてはフッ素原子またはトリフルオロメチル基が好ましく、R2としては水素原子またはメチル基が好ましい。
(ただし、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、Qは酸素原子、NR3(R3は水素原子、炭素数6以下のアルキル基またはトシル基を表す)もしくは官能基を有していてもよい2価の有機基、を表す。)
式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基であることが好ましい。特にR1としてはフッ素原子またはトリフルオロメチル基が好ましく、R2としては水素原子またはメチル基が好ましい。
Qが2価の有機基である場合は、直鎖状に限らず、側鎖構造あるいは環構造を有していてもよく、さらにその構成原子は炭素原子に限らず、酸素原子、硫黄原子、窒素原子の如きヘテロ原子を含んでいてもよい。
Qにおける両端の結合手間の最短距離は原子数で表して2〜6原子であることが好ましく、特に2〜4原子であることが好ましい(以下、この最短距離を構成する原子列を主幹部という。)。主幹部を構成する原子は炭素原子のみからなっていてもよく、炭素原子と炭素原子以外の2価以上の原子とからなっていてもよい。Q中の主幹部には少なくとも1個の炭素原子が存在する。炭素原子以外の2価以上の原子としては酸素原子、イオウ原子、1価の基で置換された窒素原子などがあり、特に酸素原子が好ましい。酸素原子等はQの両末端のいずれかまたは両方に存在していてもよく、Q中の炭素原子間に存在していてもよい。
また、Qが官能基を有する2価の有機基である場合、Q中の主幹部を構成する炭素原子に官能基または官能基を有する側鎖有機基が結合している。官能基含有側鎖有機基は1価の基であることが好ましい。これら特定の基以外に主幹部を構成する炭素原子等には水素原子やハロゲン原子(特にフッ素原子が好ましい。)が結合し、またアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、その他の有機基が結合していてもよく、その有機基の炭素数は6以下が好ましい。
本発明における官能基とは目的とする機能を付与する基を表し、イオン交換基、接着性基、架橋基、現像性基などが例示される。官能基としては、OR4(ただし、R4は水素原子、炭素数5以下のアルキル基、炭素数8以下のフルオロアルキル基、炭素数8以下のアルコキシアルキル基)、COOR5(ただし、R5は水素原子、炭素数8以下のフルオロアルキル基または炭素数5以下のアルキル基)またはSO2R6(ただし、R6はハロゲン原子、水酸基、炭素数8以下のフルオロアルキル基または炭素数5以下のアルコキシ基)、チオール基、アミノ基、エポキシ基、トリアルコキシシリル基、シアノ基などが例示される。なかでも、本発明における官能基としては、前記OR4、COOR5またはSO2R6であることが好ましい。
官能基含有側鎖有機基としては、官能基含有アルキル基、官能基含有フルオロアルキル基、官能基含有アルコキシ基、官能基含有フルオロアルコキシ基、官能基含有アリール基などの1価有機基が例示される。官能基含有側鎖有機基の官能基を除いた部分の炭素数は8以下、特に6以下が好ましい。
Qとしては下記式(2)で表される2価の有機基であることが好ましく、したがって含フッ素ジエン(1)としては下記式(3)で表される化合物が好ましい(R1、R2は前記に同じ)。
−R7−C(R9)(R10)−R8− ・・・(2)
CF2=CR1−R7−C(R9)(R10)−R8−CR2=CH2
・・・(3)
ただし、R7、R8は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以下のアルキレン基またはエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以下のフルオロアルキレン基、R9は水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、R10は水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のフルオロアルキル基、または官能基もしくは官能基を有する1価の側鎖有機基、を表す。
CF2=CR1−R7−C(R9)(R10)−R8−CR2=CH2
・・・(3)
ただし、R7、R8は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以下のアルキレン基またはエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以下のフルオロアルキレン基、R9は水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、R10は水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のフルオロアルキル基、または官能基もしくは官能基を有する1価の側鎖有機基、を表す。
R7、R8におけるアルキレン基としては(CH2)mが好ましく、フルオロアルキレン基としては(CF2)nが好ましい(m、nはそれぞれ1〜3の整数)。R7とR8の組合せにおいては、両者ともこれらの基である(その場合、m+nは2または3が好ましい。)か一方がこれらの基で他方が単結合または酸素原子であることが好ましい。R9におけるアルキル基としてはメチル基が、フルオロアルキル基としてはトリフルオロメチル基が好ましい。
1価の側鎖有機基である場合のR10としては、炭素数8以下の有機基が好ましく、官能基を除く部分は炭化水素基またはフルオロ炭化水素基であることが好ましい。特に官能基を有する炭素数2〜6のアルキル基、炭素数2〜6のフルオロアルキル基、フェニル基、炭素数7〜9のフェニルアルキル基(ただし、官能基はフェニル基に結合)が好ましい。官能基は前述した通りである。
本発明における式(1)で表される含フッ素ジエン(以下、含フッ素ジエン(1)という。)の具体例として下記が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
CF2=CFCH2CH(C(CF3)2OH)CH2CH=CH2,
CF2=CFCH2CH(C(CF3)2OH)CH=CH2,
CF2=CFCH2CH(C(CF3)2OH)CH2CH2CH=CH2,
CF2=CFCH2CH(CH2C(CF3)2OH)CH2CH2CH=CH2,
CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2,
CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH2CH=CH2,
CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH2CF3)CH2CH=CH2。
CF2=CFCH2CH(C(CF3)2OH)CH=CH2,
CF2=CFCH2CH(C(CF3)2OH)CH2CH2CH=CH2,
CF2=CFCH2CH(CH2C(CF3)2OH)CH2CH2CH=CH2,
CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2,
CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH2CH=CH2,
CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH2CF3)CH2CH=CH2。
特にCF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2が好適な例として挙げられる。かかる特定のモノマーは重合後有機溶剤に不溶となるため未反応のモノマー及び光重合開始剤を容易に除去が可能である。
本発明における含フッ素重合体は、含フッ素ジエン(1)が環化重合した繰り返し単位を必須成分として含む。かかる環化重合により、主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体が得られる。本発明における含フッ素重合体の具体的な構造について、含フッ素ジエン(1)の好ましい態様の一つである、Qが官能基を有していてもよい2価の有機基であり、結合手間の最短距離が原子数で表して2〜4である場合を例にとって説明する。このような含フッ素ジエン(1)の環化重合により、以下の(a)〜(c)の繰り返し単位が生成すると考えられ、分光学的分析の結果等より、繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)またはその両者を主たる繰り返し単位として含む構造を有する重合体と考えられる。なお、この環化重合体の主鎖とは重合性不飽和結合を構成する炭素原子(含フッ素ジエン(1)の場合は重合性不飽和二重結合を構成する4個の炭素原子)から構成される炭素連鎖をいう。
本発明における含フッ素重合体は、2種類以上の含フッ素ジエン(1)を含んでもよい。また、その特性を損なわない範囲でそれら以外の他のラジカル重合性モノマー(以下、他のモノマーという。)に由来するモノマー単位を含んでもよい。他のモノマー単位の割合は60モル%以下が好ましく、特に50モル%以下が好ましい。
他のモノマーとしては、含フッ素ジエン(1)と共重合するモノマーであればよい。具体的には、下記のモノマーがあげられる。(ペルフルオロアルキル)エチレン類、パーフルオロビニルエーテル類、ハイドロフルオロビニルエーテル類、パーフルオロビニルエステル類、ハイドロフルオロビニルエステル類、フッ素を含有しないビニルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエーテル類、アリルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類などの炭化水素系単量体が挙げられる。これらのモノマーにノルボルネン骨格などの脂肪族環構造、ケテンアセタール骨格や芳香環が含まれていてもよい。また、ジアクリレートやトリアクリレートのように、モノマー中に重合しうる官能基が2つ以上入っていてもよい。
他のモノマーに由来するモノマー単位を導入するのは、含フッ素ジエン(1)と他のモノマーとを共存させて光を照射してもよいし、他のモノマーを一部重合させて、ラジカル重合性の官能基を残したオリゴマーとした後、該オリゴマーと含フッ素ジエン(1)とを共存させて光を照射してもよい。
本発明における光重合開始剤としては、光特に紫外線によりラジカル反応もしくはイオン反応を引き起こす重合開始剤であれば特に限定されるものではない。ラジカル反応を引き起こす光重合開始剤が好ましい。このようなラジカル反応を引き起こす光重合開始剤としてはビアセチル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサンソン、パーロイルIPP、パーフルオロ−tert−ブチルパーオキシドやパーフルオロベンゾイルパーオキシドなどのフッ素系開始剤、2−メチルチオキサンソン、メチルベンゾイルフォーメート、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、4−ジアルキルアミノアセトフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエーテル、1,1−ジメトキシ−1−フェニルアセトフェノン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製の「イルガキュア シリーズ」などがあげられる。またイオン反応を引き起こす光重合開始剤としてはアリルジアゾニウムフロロホウ酸塩などのアゾ化合物があげられる。
光重合開始剤は全モノマーに対して0.05質量%以上加えることが好ましい。特に好ましくは0.1質量%から10質量%である。0.05質量%以上で、十分な硬化を進めることができる。また、10質量%以下とすることで、光重合開始剤が含フッ素ジエン(1)に均一に溶解し、重合反応がスムーズに進行する。
本発明における重合性組成物に、さらに光増感剤を加えてもよい。光増感剤を加えることで、光硬化反応をスムーズに進行させることが出来る場合もある。光増感剤としては以下の化合物が挙げられる。n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジスイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4′−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が挙げられる。光増感剤は光重合開始剤に対して4当量以下が好ましい。4当量以下とすることで、含フッ素重合体の機械的特性が損なわれることがない。特に0.4当量以下が好ましい。
また、本発明における重合性組成物に、光増感剤以外の特定の機能を有する有機物や無機物を添加し、得られる重合体に該有機物や無機物に由来する特定の機能を持たせることも可能である。
本発明において、実質的に溶媒を含有しないとは、含フッ素ジエン(1)、光重合開始剤(他のモノマー、光増感剤または前記有機物もしくは無機物を含む場合はそれらも)を溶解するために意図的に溶媒が添加されていないことを意味する。含フッ素ジエン(1)、光重合開始剤などの製造時に使用し、少量残存している溶媒が存在しても、液状の光増感剤または光増感剤以外の特定の機能を有する有機物もしくは無機物が存在しても、それらは実質的に溶媒が存在しないと解釈される。
本発明は、光照射により環化重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法である。用いる光は光重合開始剤が機能する波長であれば特に限定されない。紫外線領域であることが好ましく、さらに200nm〜300nmの紫外線であることが好ましい。照射エネルギー量は50mJ/cm2以上であることが好ましい。照射エネルギー量が50mJ/cm2以上であれば、光重合開始剤から十分な量のラジカルが発生し、重合反応がスムーズに進行する。
光を照射する温度や圧力も特に限定されるものではない。含フッ素モノマー(1)または含フッ素モノマー(1)と他のモノマーの沸点、所用加熱源、重合熱の除去などの諸因子を考慮して適宜設定することが望ましい。例えば、0℃〜60℃の間で好適な温度の設定を行うことができ、特に10℃〜40℃程度が望ましい。また重合圧力としては減圧下でも加圧下でもよく、実用的には常圧〜10MPa程度、さらには常圧〜2MPa程度であることが好ましい。
重合方法としては本発明における重合性組成物を型に入れたり、キャスト膜にしてから光照射してそのまま重合する方法、重合性組成物を基板に塗布し、型押しした後、光照射して重合する方法、インクジェット方式などの方法で重合性組成物を基板に塗布し、光照射して重合する方法、基板に塗布した後別の基板で挟んで、光照射して重合する方法などがある。また、光照射量を段階的または連続的に変えたり、中心部または周辺部から順次光照射したりすることで、生成する重合体の中で密度や屈折率などの分布を持たせることも可能である。また、本発明における重合性組成物の一部に光照射して硬化し、未照射部分を溶剤で除去することで一部分に重合体を生成することも可能である。
本発明における重合性組成物は実質的に溶媒を含まないが、重合性組成物を溶媒に溶解して溶液とし、この溶液を基材上に製膜して湿潤膜を形成し、溶媒を留去した後に光照射して重合させる方法も採用できる。こうすることにより、薄膜の含フッ素重合体を得ることができる。また、重合性組成物の粘度を低下させることができるため、また溶媒の選択によっては表面張力を低下させることができるため、基材が複雑な形状を有していても、基材全てを被覆することができるなどの利点もある。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例にのみに限定されるものではない。
(実施例1)
紫外光をカットしたクリーンルーム内にて6mlのバイヤル容器に1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2](以下、HDHMと記す。)の0.95gを加え、更にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製の「イルガキュア 907」の0.05gを加えてよく混合する。均一に溶解したらガラス基板の上に滴下して、200〜350nmの紫外線を140mJ照射した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
紫外光をカットしたクリーンルーム内にて6mlのバイヤル容器に1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2](以下、HDHMと記す。)の0.95gを加え、更にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製の「イルガキュア 907」の0.05gを加えてよく混合する。均一に溶解したらガラス基板の上に滴下して、200〜350nmの紫外線を140mJ照射した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
(実施例2)
実施例1において、HDHMの量を0.99g、「イルガキュア 907」の量を0.01gに変えた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
実施例1において、HDHMの量を0.99g、「イルガキュア 907」の量を0.01gに変えた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
(実施例3)
実施例1において、HDHMの代わりに1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の0.95gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
実施例1において、HDHMの代わりに1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の0.95gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
(実施例4)
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,5−ヘキサジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH=CH2]の0.95gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,5−ヘキサジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH=CH2]の0.95gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
(実施例5)
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH2CH=CH2]の0.95gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH2CH=CH2]の0.95gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
(実施例6)
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2−トリフルオロ−4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の1.11gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2−トリフルオロ−4−(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の1.11gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
(実施例7)
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,5−ヘキサジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH=CH2]の0.90gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,5−ヘキサジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH=CH2]の0.90gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
(実施例8)
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH2CH=CH2]の0.99gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
実施例1において、HDHMの代わりに1、1、2、3、3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,7−オクタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH2CH=CH2]の0.99gを用いた以外は実施例1と同様に操作した。その結果、膜状のポリマーが得られた。
本発明の用途としては光学素子(マイクロレンズアレイ、光導波路、光スイッチング、フレネルゾーンプレート、バイナリー光学素子、ブレーズ光学素子、フォトニクス結晶、光ファイバーと導波路のコネクタなど)用の材料、バイオチップやμ−TASやマイクロリアクターチップなどのバイオ用途の材料、記録メディア材料、ディスプレイ材料、半導体の微細加工材料、触媒の担持体材料、フィルターやセンサー部材の材料、アクチュエータやポンプなどのマイクロ・ナノマシーン用の機械材料の原料、指紋除去コートやARコートや反射防止膜などのコート材料、燃料電池などの電池部材、ストレージ部材、接着剤、印刷インキ(インクジェットのナノパターニングの用途も含む)、塗料、歯科治療などの医療用途材料、ナノインプリント用材料などが挙げられる。
Claims (3)
- 下記式(1)で表される含フッ素ジエン(1)と光重合開始剤とを含有し、実質的に溶媒を含有しない重合性組成物を、光照射により環化重合させることを特徴とする含フッ素重合体の製造方法。
CF2=CR1−Q−CR2=CH2 ・・・(1)
(ただし、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、Qは酸素原子、NR3(R3は水素原子、炭素数6以下のアルキル基、アルキルカルボニル基またはトシル基を表す)または官能基を有していてもよい2価の有機基、を表す。) - Qが、下記式(2)で表される2価の有機基である請求項1に記載の含フッ素重合体の製造方法。
−R7−C(R9)(R10)−R8− ・・・(2)
(ただし、R7、R8は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以下のアルキレン基またはエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数3以下のフルオロアルキレン基を表し、R9は水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基または炭素数3以下のフルオロアルキル基、R10は水素原子、フッ素原子、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のフルオロアルキル基、または官能基もしくは官能基を有する1価の有機基を表す。) - 前記官能基がOR4(ただし、R4は水素原子、炭素数5以下のアルキル基、炭素数8以下のフルオロアルキル基、炭素数8以下のアルコキシアルキル基または炭素数6以下のアルコキシカルボニル基)、COOR5(ただし、R5は水素原子、炭素数8以下のフルオロアルキル基または炭素数5以下のアルキル基)またはSO2R6(ただし、R6はハロゲン原子、水酸基、炭素数8以下のフルオロアルキル基または炭素数5以下のアルコキシ基)である請求項1または2に記載の含フッ素重合体の製造方法。
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| WO2007145181A1 (ja) * | 2006-06-12 | 2007-12-21 | Asahi Glass Company, Limited | 硬化性組成物および含フッ素硬化物 |
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-
2004
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