JP2007085304A - エンジンシステムおよびそれを備える車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】 広い負荷領域において、窒素酸化物の発生が抑制されつつ安定した自己着火燃焼が行われ、かつ熱効率が向上されたエンジンシステムを提供することである。
【解決手段】 エンジンシステム200においては、負荷に応じてHCCI燃焼による運転と火花点火燃焼による運転とが切り替えられる。HCCI燃焼においては、ECU50が運転情報に基づいて目標燃焼時期を算出し、実燃焼時期と比較する。目標燃焼時期と実燃焼時期との誤差がしきい値以上の場合は、その誤差が小さくなるように、ECU50が吸気弁駆動装置6a、排気弁駆動装置7a、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14を制御する。それにより、空気量、既燃ガス量および再循環排気量の割合が調整され、シリンダ1内の温度が調整される。また、HCCI燃焼による運転において、シリンダ1内の空燃比が理論空燃比となるように設定される。
【選択図】 図1
【解決手段】 エンジンシステム200においては、負荷に応じてHCCI燃焼による運転と火花点火燃焼による運転とが切り替えられる。HCCI燃焼においては、ECU50が運転情報に基づいて目標燃焼時期を算出し、実燃焼時期と比較する。目標燃焼時期と実燃焼時期との誤差がしきい値以上の場合は、その誤差が小さくなるように、ECU50が吸気弁駆動装置6a、排気弁駆動装置7a、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14を制御する。それにより、空気量、既燃ガス量および再循環排気量の割合が調整され、シリンダ1内の温度が調整される。また、HCCI燃焼による運転において、シリンダ1内の空燃比が理論空燃比となるように設定される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自己着火燃焼を行うエンジンシステムおよびそれを備える車両に関する。
エンジンの熱効率を改善するために、空気および燃料からなる混合気の空燃比を高くすること(燃料の濃度を薄くすること)、または排気をシリンダ内へ再導入することにより、エンジンの熱損失またはポンプ損失を低減する手法が知られている。
ガソリンを燃料とする一般乗用車においては、点火プラグを用いて混合気に点火させる火花点火方式のエンジンが用いられている。このような火花点火方式のエンジンでは、混合気の燃料の希薄化または多量の排気の再導入により、エンジンの燃焼安定度が悪化する。したがって、このような手法による熱効率の改善には限界がある。
上記のような混合気の燃料の希薄化または多量の排気の再導入を行う場合において、燃焼安定度の悪化を防止しつつ熱効率を改善する技術として、HCCI(Homogeneous-Charge Compression-Ignition combustion;予混合圧縮自己着火)方式が知られている。HCCI方式は、混合気を圧縮することにより筒内温度を上昇させ、火花点火を行うことなく混合気に自己着火させるものである。
HCCI方式によれば、混合気の複数の箇所から燃焼反応が起こるため、燃料の希薄化または多量の排気の再導入を行う場合においても、火花点火方式に比べて燃焼速度が遅くならずに安定した燃焼が可能となる。
しかしながら、HCCI方式では、着火のタイミングを制御することが困難である。特に、高負荷運転時においては急速燃焼となるため、騒音が発生する。そこで、高負荷運転時には、火花点火方式による燃焼に切替えることが提案されている。
一方、HCCI方式による燃焼を行うためには、筒内温度を自己着火が可能な温度まで上昇させなければならない。そこで、圧縮比を高くすることにより、筒内温度を上昇させる方法がある。それにより、混合気の自己着火が可能となる。しかしながら、上記のように、高負荷運転時に火花点火方式による燃焼に切替えられた場合に、圧縮比が高いことによりノッキングが発生しやすくなる。
そこで、特許文献1には、高負荷運転時にノッキングの発生を防止する圧縮自己着火式内燃機関が提案されている。その圧縮自己着火式内燃機関においては、排気行程後半に排気弁を閉じてシリンダ内に排気を閉じ込め、再度圧縮を行い、高温高圧の状態を形成する。この高温ガス中に燃料噴射することによってガソリンの組成が反応性の高い組成に改質される。さらに、吸気後の圧縮行程では、2回目の燃料噴射を行うことにより局所的に燃料が濃い混合気が形成される。このような濃い混合気の形成は、成層化と呼ばれている。この結果、燃料改質と燃料成層化との相乗作用により、低い圧縮比でも圧縮自己着火が可能になる。
特開2001−207887号公報
特許文献1の圧縮自己着火式内燃機関では、燃料噴射量を制御することにより、圧縮着火時期が調整される。
しかしながら、この圧縮自己着火式内燃機関においては、排気中の有害物質を低減するために空燃比を調整しようとした場合、筒内温度を制御することができない。その結果、圧縮着火時期の調整が困難となる。
また、HCCI方式による燃焼においては、燃焼温度が負荷に依存し、負荷の増大により燃焼温度が上昇する。それにより、NOX(窒素酸化物)が発生する。
火花点火方式では、発生したNOXは三元触媒を用いることにより低減することができるが、HCCI方式では、一般的に排気中に酸素が多く含まれるため、三元触媒を用いることができない。そのため、HCCI方式による燃焼が可能となる負荷領域はさらに限定される。
本発明の目的は、広い負荷領域において、窒素酸化物の発生が抑制されつつ安定した自己着火燃焼が行われ、かつ熱効率が向上されたエンジンシステムを提供することである。
(1)第1の発明に係るエンジンシステムは、機械装置を駆動するエンジンシステムであって、空気および燃料の混合気を生成する混合気生成手段と、シリンダを有し、シリンダ内の混合気が自己着火燃焼を行うエンジンと、空気を吸気としてシリンダに導く吸気通路と、シリンダから排出される排気の少なくとも一部を吸気としてシリンダ内へ導く再循環通路と、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量および再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量の少なくとも一方を調整する吸気量調整手段と、シリンダから排出される排気の量を調整する排気量調整手段と、機械装置の予め定められた運転情報を検出する検出手段と、検出手段により検出された運転情報に基づいて、吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも一方を制御することにより、自己着火燃焼前に、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御するとともに、混合気の空燃比を理論空燃比に設定する制御手段とを備えたものである。
第1の発明に係るエンジンシステムにおいては、混合気生成手段により空気および燃料の混合気が生成される。混合気の自己着火燃焼後にシリンダ内の既燃ガスの少なくとも一部が排気としてシリンダから排出される。このとき、シリンダから排出される排気の量が排気量調整手段により調整される。次いで、空気が吸気通路を通してシリンダ内に導かれ、シリンダから排出される排気の少なくとも一部が再循環通路を通してシリンダ内に導かれる。このとき、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量および再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量の少なくとも一方が吸気量調整手段により調整される。
その後、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれた空気、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれた排気およびシリンダ内に残存する既燃ガスがシリンダ内において圧縮される。それにより、シリンダ内が高温高圧の状態となり、空気および燃料からなる混合気が自己着火燃焼する。
この場合、検出手段により機械装置の予め定められた運転情報が検出され、検出された運転情報に基づいて制御手段により吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも一方が制御される。それにより、自己着火燃焼前に、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量が制御される。
シリンダ内に残存する既燃ガスは、燃焼直後の高温の状態にある。一方、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気は、シリンダ内に残存する既燃ガスよりも低温である。
したがって、シリンダ内に残存する既燃ガスの量および再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量が制御されることにより、シリンダ内の温度が制御される。それにより、混合気の自己着火燃焼の時期を最適にすることができる。その結果、熱効率が向上されるとともに、安定した自己着火燃焼を行うことができる。
また、シリンダ内の混合気の空燃比が理論空燃比に設定される。この場合、混合気の自己着火燃焼により生じる既燃ガス中の酸素濃度がほぼ0となる。すなわち、シリンダから排出される排気中の酸素濃度がほぼ0となる。そのため、触媒を用いることにより、排気中の窒素酸化物を十分に還元することが可能となり、排気中の窒素酸化物の量を低減することができる。その結果、排気中の窒素酸化物の量の増加を抑制しつつ自己着火燃焼による運転領域を拡大することが可能となる。
(2)吸気量調整手段は、吸気通路内の流量を調整する第1の吸気量調整手段と、再循環通路内の流量を調整する第2の吸気量調整手段とを含み、制御手段は、検出手段により検出された運転情報に基づいて、第1の吸気量調整手段、第2の吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも1つを制御することにより、自己着火燃焼前に、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御してもよい。
この場合、第1の吸気量調整手段により吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量が調整され、第2の吸気量調整手段により再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量が調整される。第1の吸気量調整手段、第2の吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも1つが制御されることにより、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量が制御される。それにより、シリンダ内の温度が制御される。その結果、混合気の自己着火燃焼の時期を最適にすることができる。
(3)吸気量調整手段は、吸気通路内の流量を調整する第1の吸気量調整手段、再循環通路内の流量を調整する第2の吸気量調整手段、および吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気と再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気とを含む吸気の量を調整する第3の吸気量調整手段を含み、制御手段は、検出手段により検出された運転情報に基づいて、第3の吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも一方を制御することにより、自己着火燃焼前に、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量および前記シリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御してもよい。
この場合、第3の吸気量調整手段によりシリンダ内に導入される吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気と再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気とを含む吸気の量が調整される。第3の吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも一方が制御されることにより、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量が制御される。それにより、シリンダ内の温度が制御される。その結果、混合気の自己着火燃焼の時期を最適にすることができる。
(4)吸気量調整手段は、第1の吸気量調整手段、第2の吸気量調整手段および第3の吸気量調整手段を含み、制御手段は、検出手段により検出された運転情報に基づいて、第1の吸気量調整手段、第2の吸気量調整手段、第3の吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも1つを制御することにより、自己着火燃焼前に、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御してもよい。
この場合、第1の吸気量調整手段、第2の吸気量調整手段、第3の吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも1つが制御されることにより、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量が制御される。それにより、シリンダ内の温度がより正確に制御される。その結果、混合気の自己着火燃焼の時期をより最適にすることができる。
(5)シリンダ内の混合気の燃焼時期を計測する燃焼時期計測手段をさらに備え、制御手段は、検出手段により検出された運転情報および燃焼時期計測手段により計測された燃焼時期に基づいて吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも一方を制御することにより、自己着火燃焼前に、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御してもよい。
この場合、燃焼時期計測手段によりシリンダ内の混合気の燃焼時期が計測され、その燃焼時期に基づいて、吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも一方がフィードバック制御される。それにより、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量がより正確に制御される。
(6)制御手段は、検出手段により検出された運転情報に基づいて目標燃焼時期を算出するとともに、算出された目標燃焼時期と燃焼時期計測手段により計測された燃焼時期との誤差が小さくなるように、自己着火燃焼前に、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御してもよい。
この場合、検出手段により検出された運転情報に基づいて最適な自己着火燃焼の時期が目標燃焼時期として算出される。算出された目標燃焼時期と実際の燃焼時期との誤差が小さくなるように、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量が制御される。それにより、実際の燃焼時期を目標燃焼時期に近づけることができる。その結果、混合気の自己着火燃焼の時期をより最適にすることができる。
(7)制御手段は、検出手段により検出された運転情報に基づいて、シリンダ内の気体の状態が所定の条件を満たすように、吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも一方を制御することにより、自己着火燃焼前に、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御してもよい。
この場合、検出手段により検出された運転情報に基づいて混合気の状態が最適になるように、吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも一方がフィードフォワード制御される。それにより、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量と、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量が容易に制御される。
(8)制御手段は、自己着火燃焼後に、既燃ガスの一部が排出され、残りの部分が残存する状態で前記シリンダ内が密閉され、密閉されたシリンダ内において既燃ガスが圧縮され、シリンダ内の既燃ガス中に混合気生成手段により燃料が噴射されるように、吸気量調整手段、排気量調整手段および混合気生成手段を制御してもよい。
この場合、密閉されたシリンダ内に残存する既燃ガスは、圧縮されることにより高温高圧の状態となる。それにより、シリンダ内に残存する既燃ガス中に噴射された燃料は、高温高圧のもとで反応が進み、反応性の高い状態に改質される。したがって、シリンダ内に空気が導入された後、混合気の自己着火燃焼が容易に起こる。その結果、安定した自己着火燃焼を行うことができる。
(9)シリンダ内の混合気を火花点火燃焼させる点火手段をさらに備え、制御手段は、エンジンの負荷に応じて、自己着火燃焼および火花点火燃焼のいずれかが選択的に行われるように、吸気量調整手段、排気量調整手段、混合気生成手段および点火手段を制御してもよい。
この場合、エンジンの負荷に応じて、優れた熱効率を有する自己着火燃焼および高出力を安定して得ることができる火花点火燃焼が選択的に行われる。それにより、エンジンの負荷に応じて、最適な燃焼を行うことができる。
(10)第2の発明に係る車両は、駆動輪と、第1の発明に係るエンジンシステムと、エンジンシステムにより発生される動力を駆動輪に伝達する伝達機構と、エンジンシステムから導出される排気を浄化する触媒とを備えるものである。
第2の発明に係る車両においては、第1の発明に係るエンジンシステムにより発生される動力が、伝達機構により駆動輪に伝達され、駆動輪が駆動される。また、エンジンシステムから導出される排気は触媒を通して車両の外部に導かれる。
このエンジンシステムにおいては、混合気生成手段により空気および燃料の混合気が生成される。混合気の自己着火燃焼後にシリンダ内の既燃ガスの少なくとも一部が排気として排出される。このとき、シリンダから排出される排気の量が排気量調整手段により調整される。次いで、空気が吸気通路を通してシリンダ内に導かれ、シリンダから排出される排気の少なくとも一部が再循環通路を通してシリンダ内に導かれる。このとき、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気の量および再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量の少なくとも一方が吸気量調整手段により調整される。
その後、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれた空気、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれた排気およびシリンダ内に残存する既燃ガスがシリンダ内において圧縮される。それにより、シリンダ内が高温高圧の状態となり、空気および燃料からなる混合気が自己着火燃焼する。
この場合、検出手段により車両の予め定められた運転情報が検出され、検出された運転情報に基づいて制御手段により吸気量調整手段および排気量調整手段の少なくとも一方が制御される。それにより、自己着火燃焼前に、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量が制御される。
シリンダ内に残存する既燃ガスは、燃焼直後の高温の状態にある。一方、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気は、シリンダ内に残存する既燃ガスよりも低温である。
したがって、シリンダ内に残存する既燃ガスの量および再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量が制御されることにより、シリンダ内の温度が制御される。それにより、混合気の自己着火燃焼の時期を最適にすることができる。その結果、熱効率が向上されるとともに、安定した自己着火燃焼を行うことができる。
また、シリンダ内の混合気の空燃比が理論空燃比に設定される。この場合、混合気の自己着火燃焼により生じる既燃ガス中の酸素濃度がほぼ0となる。すなわち、シリンダから排出される排気中の酸素濃度がほぼ0となる。そのため、触媒を用いることにより、排気中の窒素酸化物を十分に還元することが可能となり、排気中の窒素酸化物の量を低減することができる。その結果、排気中の窒素酸化物の量の増加を抑制しつつ自己着火燃焼による運転領域を拡大することが可能となる。
本発明によれば、吸気通路を通してシリンダ内へ導かれる空気、再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気の量およびシリンダ内に残存する既燃ガスの量が制御されることにより、シリンダ内の温度が制御される。それにより、混合気の自己着火燃焼の時期を最適にすることができる。また、シリンダ内の混合気の空燃比が理論空燃比に設定されるので、触媒を用いることにより、排気中の窒素酸化物を十分に還元することが可能となる。これらの結果、広い負荷領域において、窒素酸化物の発生を抑制しつつ安定した自己着火燃焼を行うことができ、かつエンジンの熱効率を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態に係るエンジンシステムについて図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態のエンジンシステムは、HCCI(Homogeneous-Charge Compression-Ignition combustion;予混合圧縮自己着火)方式および火花点火方式による燃焼を行う。
(第1の実施の形態)
(1)エンジンシステムの構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るエンジンシステムを示す模式図である。
(1)エンジンシステムの構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るエンジンシステムを示す模式図である。
図1に示すように、エンジンシステム200は、エンジン100を備える。エンジン100はシリンダ1を有し、シリンダ1内には、ピストン2が上下動可能に設けられる。また、シリンダ1内の上部には燃焼室3が設けられる。燃焼室3は吸気ポート4および排気ポート5を介してエンジン100の外部に連通する。燃焼室3の吸気口に開閉自在に吸気弁6が配置され、燃焼室3の排気口に開閉自在に排気弁7が配置される。吸気弁6の上端には、吸気弁6を駆動するための吸気弁駆動装置6aが設けられる。排気弁7の上端には、排気弁7を駆動するための排気弁駆動装置7aが設けられる。燃焼室3の上部には、燃焼室3内で火花点火を行うための点火プラグ8が設けられる。
シリンダ1には、シリンダ1内に燃料を噴射するためのインジェクタ9、およびシリンダ1内の混合気の燃焼時期を計測するための燃焼時期計測器10が設けられる。
エンジン100には、吸気ポート4と連通するように吸気管11が取り付けられ、排気ポート5と連通するように排気管12が取り付けられる。吸気管11および排気管12には、排気再循環装置13が設けられる。排気再循環装置13は、吸気管11と排気管12とを連通させる配管13a、および配管13a内に設けられた排気再循環バルブ13bを有する。
エンジン100が作動する際には、空気が吸気管11を通して吸気ポート4からシリンダ1内に吸入される。シリンダ1内において混合気の燃焼により生じた既燃ガスは、排気ポート5から排気管12を通して排出される。このとき、排気管12を通る排気の少なくとも一部は、排気再循環装置13により吸気管11へと導かれる。排気管12から吸気管11へと導かれる排気の流量は、排気再循環バルブ13bにより調整される。
また、吸気管11内で配管13aの上流側にスロットルバルブ14が設けられる。図示しないアクセルグリップを操作することにより直接的または間接的にスロットルバルブ14の開度が調整される。それにより、空気の流量が調整される。また、本実施の形態においては、ECU(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)50によってもスロットルバルブ14の開度が調整される。
ECU50には、エンジン回転数センサ31からエンジン回転数ERが与えられ、アクセル開度センサ32からアクセル開度AOが与えられ、油温センサ33から油温OTが与えられ、水温センサ34から水温WTが与えられ、燃焼時期計測器10から燃焼時期BPが与えられる。ここで、アクセル開度とは、アクセルグリップの操作量(回転量)をいう。
また、ECU50は、吸気弁駆動装置6aに吸気弁制御信号IVを与え、排気弁駆動装置7aに排気弁制御信号EVを与え、排気再循環バルブ13bに排気再循環バルブ制御信号EGRを与え、点火プラグ8に点火信号SIを与え、インジェクタ9に噴射制御信号FIを与え、スロットルバルブ14にスロットルバルブ制御信号TVを与える。これにより、ECU50は、吸気弁駆動装置6a、排気弁駆動装置7a、点火プラグ8、インジェクタ9、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14を制御する。
(2)ECUの構成
図2は図1に示されるECU50の機能的な構成を示すブロック図である。
図2は図1に示されるECU50の機能的な構成を示すブロック図である。
ECU50は、運転領域判定部51、火花点火燃焼制御部52およびHCCI燃焼制御部53を備える。運転領域判定部51、火花点火燃焼制御部52およびHCCI燃焼制御部53はECU50のプログラムにより実現される。
HCCI燃焼制御部53は、空燃比演算処理部531、密閉期間中噴射制御部532、目標燃焼時期決定部533、燃焼時期比較演算部534、吸気量制御部535、排気弁閉じタイミング制御部536および排気再循環バルブ制御部537を含む。
運転領域判定部51には、エンジン回転数ER、アクセル開度AO、油温OTおよび水温WTが与えられる。以下、エンジン回転数ER、アクセル開度AO、油温OTおよび水温WTを運転情報と呼ぶ。それにより、運転領域判定部51が運転領域の判定を行う。その判定結果に基づいて、火花点火燃焼制御部52およびHCCI燃焼制御部53のどちらか一方がエンジン100における燃焼を制御する。エンジン100は、中低負荷運転時には、HCCI方式による燃焼(以下、HCCI燃焼と呼ぶ)を行い、高負荷運転時には、火花点火方式による燃焼(以下、火花点火燃焼と呼ぶ)を行う。運転領域の判定、HCCI燃焼および火花点火燃焼の詳細については後述する。
火花点火燃焼制御部52は、点火プラグ8に点火制御信号SIを与え、火花点火燃焼における点火タイミングを制御する。
HCCI燃焼制御部53の空燃比演算処理部531には、運転情報が与えられる。空燃比演算処理部531は、運転情報に基づいて、空気量および燃料噴射量を算出し、空気量の算出結果を燃焼時期比較演算部534および吸気量制御部535に与え、燃料噴射量の算出結果を密閉期間中噴射制御部532に与える。密閉期間中噴射制御部532は、空燃比演算処理部531の算出結果に基づいてインジェクタ9に噴射制御信号FIを与える。
目標燃焼時期決定部533には、運転情報が与えられる。目標燃焼時期決定部533は、運転情報に基づいて目標燃焼時期を決定し、その目標燃焼時期を燃焼時期比較演算部534に与える。
燃焼時期比較演算部534には、空燃比演算処理部531における空気量の算出結果、目標燃焼時期決定部533で決定された目標燃焼時期、および燃焼時期BPが与えられる。燃焼時期比較演算部534は、空気量、目標燃焼時期および燃焼時期BPに基づいて吸気弁6の開閉タイミング、排気弁7の開閉タイミング、排気再循環バルブ13bの開度、およびスロットルバルブ14の開度を決定し、決定結果を吸気量制御部535、排気弁閉じタイミング制御部536および排気再循環バルブ制御部537に与える。
吸気量制御部535は、空燃比演算処理部531および燃焼時期比較演算部534の結果に基づいて、吸気弁駆動装置6aに吸気弁制御信号IVを与え、スロットルバルブ14にスロットルバルブ制御信号TVを与える。排気弁閉じタイミング制御部536は、燃焼時期比較演算部534の算出結果に基づいて、排気弁駆動装置7aに排気弁制御信号EVを与える。排気循環バルブ制御部537は、燃焼時期比較演算部534の算出結果に基づいて、排気再循環バルブ13bに排気循環バルブ制御信号EGRを与える。ECU50による各部の制御についての詳細は後述する。
(3)エンジンの動作
次に、エンジン100の動作について説明する。
次に、エンジン100の動作について説明する。
(3−1)火花点火燃焼
まず、高負荷運転時におけるエンジン100の動作について説明する。高負荷運転時には、エンジン100は火花点火燃焼を行う。
まず、高負荷運転時におけるエンジン100の動作について説明する。高負荷運転時には、エンジン100は火花点火燃焼を行う。
図3は、エンジン100の火花点火燃焼の動作を説明するための図である。
図3(a)に示すように、吸気弁6が吸気口を閉塞するとともに、排気弁7が下方向にリフトし、ピストン2が略BDC(Bottom Dead Center;下死点)から略TDC(Top Dead Center;上死点)まで上昇する。それにより、シリンダ1内の既燃ガスが排気ポート5から排出される。以下、図3(a)に示す上記の行程を、排気行程と呼ぶ。
次に、図3(b)に示すように、排気弁7が排気口を閉塞するとともに、吸気弁6が下方向にリフトし、ピストン2が略TDCから略BDCまで下降する。それにより、空気が吸気ポート4からシリンダ1内に吸入される。
このとき、インジェクタ9によりシリンダ1内に燃料が噴射され、空気および燃料からなる混合気が形成される。以下、図3(b)に示す上記の行程を、吸気行程と呼ぶ。
ここで、火花点火燃焼においては、図3(a)の排気行程から図3(b)の吸気行程に移行する際に、吸気弁6および排気弁7が共にリフトした状態となる期間が設けられる。このような期間を、一般的にオーバーラップ期間と呼ぶ。
次に、図3(c)に示すように、吸気口および排気口が閉塞された状態で、ピストン2が上昇し、シリンダ1内の混合気が圧縮される。以下、図3(c)に示す上記の行程を、圧縮行程と呼ぶ。
次に、図3(d)に示すように、ピストン2がTDC近傍まで上昇し、シリンダ1内の混合気が十分に圧縮された状態で、点火プラグ8によりシリンダ1内の混合気に火花が点火される。それにより、シリンダ1内の混合気が燃焼する。その燃焼のエネルギーによりピストン2が下方向へ駆動される。以下、図3(d)に示す上記の行程を、燃焼行程と呼ぶ。
ピストン2が略BDCまで下降した後、図3(a)の排気行程に移行し、図3(a)の排気行程から図3(d)の燃焼行程を繰り返す。
(3−2)HCCI燃焼
次に、中低負荷運転時におけるエンジン100の動作について説明する。中低負荷運転時には、エンジン100はHCCI燃焼を行う。
次に、中低負荷運転時におけるエンジン100の動作について説明する。中低負荷運転時には、エンジン100はHCCI燃焼を行う。
図4は、エンジン100のHCCI燃焼の動作を説明するための図である。
図4(a)に示すように、吸気弁6が吸気口を閉塞するとともに、排気弁7が下方向にリフトし、ピストン2が略BDCから上昇する。それにより、シリンダ1内の既燃ガスが排気ポート5から排出される。図4(a)に示す行程は、図3(a)に示す行程と同様に、排気行程と呼ぶ。
ここで、HCCI燃焼においては、図4(b)に示すように、ピストン2がシリンダ1のTDCまで上昇する前、すなわち、シリンダ1内に既燃ガスが残留した状態で、排気弁7が排気口を閉塞する。このため、ピストン2が略TDCまで上昇することにより、シリンダ1内の既燃ガスが圧縮される。
このとき、インジェクタ9によりシリンダ1内の既燃ガス中に燃料が噴射される。シリンダ1内の既燃ガスはピストン2により圧縮されているので、高温高圧の状態である。それにより、既燃ガス中に噴射された燃料は、高温高圧のもとで反応が進み、反応性が高い状態に改質される。以下、図4(b)に示すように、排気行程後に吸気口および排気口が共に閉塞される上記の期間を、密閉期間と呼ぶ。また、密閉期間における燃料の反応を、燃料の予反応と呼ぶ。
次に、図4(c)に示すように、ピストン2が略TDCから下降するとともに、吸気弁6が下方向にリフトする。このため、吸気が吸気ポート4からシリンダ1内に吸入される。ここで、吸気は、吸気管11を通して吸気ポート4に導かれた空気、および排気管12から配管13aを介して吸気管11内へ導かれた排気(以下、再循環排気と呼ぶ)を含む。それにより、シリンダ1内において空気および燃料からなる混合気が形成される。図4(c)に示す行程は、図3(b)に示す行程と同様に、吸気行程と呼ぶ。その後、ピストン2が略BDCまで下降し、吸気弁6は吸気口を閉塞する。
次に、図4(d)に示すように、吸気口および排気口が閉塞された状態で、ピストン2が上昇し、シリンダ1内の混合気が圧縮される。図4(d)に示す行程は、図3(c)に示す行程と同様に、圧縮行程と呼ぶ。
次に、図4(e)に示すように、ピストン2がTDC近傍まで上昇し、シリンダ1内の混合気が十分に圧縮されたときに、混合気に自己着火が起こる。このとき、自己着火は燃焼室3内の複数の箇所においてほぼ同時に起こる。それにより、燃焼室3内の混合気は瞬時に燃焼する。その燃焼のエネルギーによりピストン2が下方向へ駆動される。図4(e)に示す行程は、図3(d)に示す行程と同様に、燃焼行程と呼ぶ。
特に、本例では、図4(b)の密閉期間が設けられるので、燃焼後の高温の状態である既燃ガスがシリンダ1内に残留する。それにより、シリンダ1内の混合気の温度が火花点火燃焼の場合と比べて高温になる。さらに、密閉期間において、シリンダ1内の燃料は反応性の高い状態に改質されている。これらの結果、図4(e)の燃焼行程において容易に自己着火が起こる。
ピストン2が略BDCまで下降した後、図4(a)の排気行程に移行し、図4(a)の排気行程から図4(e)の燃焼行程を繰り返す。
このように、HCCI燃焼では、上記の火花点火燃焼とは異なり、図4(a)の排気行程と図4(c)の吸気行程との間に、吸気口および排気口が共に閉塞される図4(b)の密閉期間が設けられる。
火花点火燃焼においては、図3(b)の吸気行程において、吸気ポート4からシリンダ1内に空気が吸入されるとともに、インジェクタ9によりシリンダ1内に燃料が噴射され、空気および燃料からなる混合気が形成される。それに対し、HCCI燃焼においては、図4(b)の密閉期間でインジェクタ9によりシリンダ1内に燃料が噴射された後、図4(c)の吸気行程で空気および再循環排気を含む吸気がシリンダ1内に吸入される。それにより、シリンダ1内においては、空気および燃料からなる混合気と、再循環排気と、既燃ガスとが混在する状態となる。
(4)火花点火燃焼およびHCCI燃焼時の弁リフト
図5は、図3の火花点火燃焼および図4のHCCI燃焼の各行程における吸気弁6および排気弁7の弁リフト量を示した図である。図5(a)は、HCCI燃焼における弁リフト量の最大値と火花点火燃焼における弁リフト量の最大値とが等しくなる場合を示し、図5(b)は、HCCI燃焼における弁リフト量の最大値と火花点火燃焼における弁リフト量の最大値とが異なる場合を示す。
図5は、図3の火花点火燃焼および図4のHCCI燃焼の各行程における吸気弁6および排気弁7の弁リフト量を示した図である。図5(a)は、HCCI燃焼における弁リフト量の最大値と火花点火燃焼における弁リフト量の最大値とが等しくなる場合を示し、図5(b)は、HCCI燃焼における弁リフト量の最大値と火花点火燃焼における弁リフト量の最大値とが異なる場合を示す。
図5において、縦軸は弁リフト量を示し、横軸はクランク角度を示す。曲線a1は、火花点火燃焼における排気弁7の弁リフト量を示し、曲線a2は、火花点火燃焼における吸気弁6の弁リフト量を示す。曲線b1は、HCCI燃焼における排気弁7の弁リフト量を示し、曲線b2は、HCCI燃焼における吸気弁6の弁リフト量を示す。
また、図5において、火花点火燃焼における各行程の期間を実線の矢印で示し、HCCI燃焼における各行程の期間を点線の矢印で示す。
図5(a)に示すように、火花点火燃焼においては、排気行程と吸気行程との間に、吸気弁6および排気弁7のリフト量が共に0となる密閉期間がなく、排気弁7のリフト量が0になる前に、吸気弁6のリフト量が正の値になる。すなわち、TDC近傍において吸気弁6および排気弁7のリフト量が共に正の値となる。
HCCI燃焼においては、排気行程において排気弁7のリフト量が正の値となり、吸気行程において吸気弁6のリフト量が正の値となる。排気行程と吸気行程との間の密閉期間においては、吸気弁6および排気弁7のリフト量が0となる。
吸気行程後の圧縮行程においては、吸気弁6および排気弁7のリフト量が共に0となり、TDC近傍において、燃焼行程に移行する。
図5(b)に示す例では、HCCI燃焼における弁リフト量が火花点火燃焼における弁リフト量と比べて小さくなるように吸気弁6および排気弁7が駆動される。
この場合、エンジン100がHCCI燃焼を行う中低負荷運転時には、エンジン100が火花点火燃焼を行う高負荷運転時と比べて、シリンダ1内に吸入される吸気の量、およびシリンダ1から排出される排気の量が減少する。
エンジン100の負荷に応じて弁リフト量を切り替える装置としては、例えば、カムノーズの長さが異なる高負荷用および低負荷用の2種類のカムを負荷に応じて切り替えるカム切り替え機構、または電磁力により吸気弁6および排気弁7の開閉を制御する電磁駆動弁等が用いられる。
(5)ECUによる制御動作
次に、図1および図2に示されるECU50の制御動作について説明する。
次に、図1および図2に示されるECU50の制御動作について説明する。
図6は、ECU50の制御動作を示すフローチャートである。
まず、図6に示すように、ECU50が運転情報を取得する(ステップS1)。ここで、運転情報とは、アクセル開度AO、エンジン回転数ER、油温OTおよび水温WTを含む(図1および図2参照)。次に、ECU50の運転領域判定部51は、ステップS1で取得された運転情報に基づいてしきい値を設定し、ステップS1で取得されたアクセル開度AOがしきい値以上か否かを判定する(ステップS2)。
アクセル開度AOがしきい値より小さい場合には、ECU50のHCCI燃焼制御部53が、HCCI燃焼処理を行う(ステップS3)。その後、ステップS1に戻る。
アクセル開度AOがしきい値以上の場合には、ECU50の火花点火燃焼制御部52が、火花点火燃焼処理を行う(ステップS4)。この場合、通常の理論空燃比による火花点火燃焼の制御が行われる。その後、ステップS1に戻る。
本例では、アクセル開度AOはエンジン100の負荷を決定するためのパラメータとして用いられる。このようにして、エンジン100の負荷に応じて火花点火燃焼処理またはHCCI燃焼処理が行われる。
(5−1)HCCI燃焼処理の詳細
図7は、図6のステップS3に示されるHCCI燃焼処理の詳細を示すフローチャートである。
図7は、図6のステップS3に示されるHCCI燃焼処理の詳細を示すフローチャートである。
図7に示すように、HCCI燃焼制御部53の目標燃焼時期決定部533(図2参照)は、図6のステップS1で取得した運転情報に基づいて目標燃焼時期を決定する。(ステップS11)。ここで、目標燃焼時期とは、取得した運転情報に基づいて自己着火燃焼を行う場合に、熱効率および燃焼の安定性が最も向上する着火時期のことである。目標燃焼時期は、TDC近傍である。
次に、HCCI燃焼制御部53の空燃比演算処理部531は、図6のステップS1で取得した運転情報に基づいて燃料噴射量および空気量を決定する(ステップS12)。なお、空気量は、混合気の空燃比が理論空燃比(約14.5:1)となるように決定される。
次に、HCCI燃焼制御部53の燃焼時期比較演算部534は、ステップS11で決定した目標燃焼時期およびステップS12で決定した空気量に基づいて既燃ガス量および再循環排気量を決定する(ステップS13)。なお、この処理においては、既燃ガス量および再循環排気量を調整することにより、シリンダ1内の温度を調整することができる。詳細は後述する。
次に、HCCI燃焼制御部53の燃焼時期比較演算部534は、1サイクル前の処理において補正係数が算出されたか否かを判別する(ステップS14)。なお、補正係数は、後述するステップS20の処理において算出される。
補正係数が算出されている場合、HCCI燃焼制御部53は、ステップS13で決定された既燃ガス量および再循環排気量に補正係数を乗算する(ステップS15)。
次に、HCCI燃焼制御部53の燃焼時期比較演算部534は、ステップS12で決定された燃料噴射量および空気量ならびにステップS15で算出された既燃ガス量および再循環排気量に基づいて、吸気弁6の開閉タイミング、排気弁7の開閉タイミング、排気再循環バルブ13bの開度、およびスロットルバルブ14の開度を決定する(ステップS16)。なお、ステップS14において補正係数が算出されていない場合は、ステップS12で決定された燃料噴射量および空気量ならびにステップS13で決定された既燃ガス量および再循環排気量に基づいて、吸気弁6の開閉タイミング、排気弁7の開閉タイミング、排気再循環バルブ13bの開度、およびスロットルバルブ14の開度を決定する。
HCCI燃焼制御部53の密閉期間中噴射制御部532はステップS12で決定された燃料噴射量に基づいて、インジェクター9を制御する。HCCI燃焼制御部53の吸気量制御部535、排気弁閉じタイミング制御部536および排気循環バルブ制御部537は、ステップS16で決定した吸気弁6の開閉タイミング、排気弁7の開閉タイミング、排気再循環バルブ13bの開度、およびスロットルバルブ14の開度に基づいて、吸気弁駆動装置6a、排気弁駆動装置7a、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14を制御する。
このようにして、燃料噴射量、空気量、再循環排気量および既燃ガス量が調整され、その中で、自己着火燃焼が行われる。このとき、HCCI燃焼制御部53の燃焼時期比較演算部534は燃焼時期計測器10から実際の燃焼時期BPを取得する(ステップS17)。
次に、HCCI燃焼制御部53の燃焼時期比較演算部534は、ステップS11で決定した目標燃焼時期とステップS16で取得した燃焼時期BPとの誤差を算出する(ステップS18)。次に、HCCI燃焼制御部53は、ステップS18で算出された誤差が予め設定されたしきい値以上か否かを判別する(ステップS19)。
誤差がしきい値以上の場合、HCCI燃焼制御部53の燃焼時期比較演算部534は、再循環排気量および既燃ガス量に対する補正係数を算出する(ステップS20)。その後、図6のステップS1に戻る。
なお、再循環排気量および既燃ガス量に対する補正係数は、目標燃焼時期と実際の燃焼時期との誤差が小さくなるように算出される。具体的には、実際の燃焼時期が目標燃焼時期よりも遅い場合には、再循環排気に対する既燃ガスの割合を大きくし、実際の燃焼時期が目標燃焼時期よりも早い場合には、既燃ガスに対する再循環排気の割合を大きくするように補正係数を算出する。
ステップS18において誤差がしきい値より小さい場合、HCCI燃焼制御部53の燃焼時期比較演算部534が補正係数を算出することなく図6のステップS1に戻る。
ここで、燃焼時期は、シリンダ1内の温度に依存し、シリンダ1内の温度が高くなると燃焼時期が早くなる。
シリンダ1内に残留する既燃ガスは、燃焼直後の高温の状態にある。一方、吸気ポート4からシリンダ1内に吸入される吸気は、吸気管11を通して吸気ポート4からシリンダ1内に吸入される空気、および排気再循環装置13を通してシリンダ1内に吸入される再循環排気を含む。再循環排気は、燃焼行程から所定の時間が経過したものであるので、既燃ガスよりも低温となる。
本実施の形態においては、空気量、既燃ガス量および再循環排気量との割合を調整することにより、シリンダ1内の温度を調整することが可能となる。空気量は、混合気が理論空燃比になるように決定され、決定された空気量に対して既燃ガス量および再循環排気量がそれぞれ最適となるように吸気弁6、排気弁7、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14を制御することにより、シリンダ1内の温度を調整することができる。その結果、シリンダ1内における燃焼時期を調整することができる。
なお、シリンダ1内に残留する既燃ガスの温度を検出するための温度センサ、およびシリンダ1内に導入される吸気の温度を検出するための温度センサを所定の位置に設けてもよい。この場合、ECU50は、温度センサにより検出された温度に基づいて既燃ガス量と吸気量との割合を決定することができる。それにより、シリンダ1内の温度をより正確に調整することができる。
また、吸気管11からシリンダ1内に吸入される空気の温度を検出するための温度センサと、排気再循環装置13によりシリンダ1内に吸入される排気の温度を検出するための温度センサとを別々に設けてもよい。この場合、シリンダ1内の温度をさらに正確に調整することができる。
(6)理論空燃比の設定
上記のように、本実施の形態では、HCCI燃焼においてシリンダ1内の空燃比が理論空燃比となるようにステップS12でシリンダ1内の空気量を決定している。この理由について以下に説明する。
上記のように、本実施の形態では、HCCI燃焼においてシリンダ1内の空燃比が理論空燃比となるようにステップS12でシリンダ1内の空気量を決定している。この理由について以下に説明する。
まず、HCCI燃焼を行う場合の熱効率と密閉期間におけるシリンダ1内の酸素濃度との関係について説明する。
図8は、密閉期間における酸素濃度と熱発生量との関係を示す図である。図8において、横軸はシリンダ1内の既燃ガス中の酸素濃度を示し、縦軸は密閉期間中の熱発生量を示す。
密閉期間においては、図4(b)に示したように、密閉されたシリンダ1内において燃料の予反応が起こる。これにより、シリンダ1内には反応熱が発生する。また、シリンダ1内の酸素濃度が上昇することにより、燃料の予反応が進みやすくなる。したがって、図8に示すように、酸素濃度の上昇に伴い、燃料の予反応による熱発生量は増加する。
図9は、クランク角度とシリンダ1内の圧力との関係を示す図である。
密閉期間、圧縮行程および燃焼行程においては、図4(b)、(d)、(e)および図5に示したように、吸気弁6および排気弁7のリフト量が0となり、シリンダ1の吸気ポート4および排気ポート5が閉塞される。シリンダ1内の気体はピストン2により圧縮されるので、図9に示すように、密閉期間、圧縮行程および燃焼行程において、シリンダ1内の圧力は高くなる。
また、図4に示すように、図4(a)の排気行程から図4(b)の密閉期間へ移行する際のピストン2の位置は、図4(c)の吸気行程から図4(d)の圧縮行程へ移行する際のピストン2の位置よりもTDCに近い状態にある。これにより、密閉期間におけるシリンダ1内の圧力は、圧縮行程および燃焼行程(以下、圧縮燃焼行程と呼ぶ)におけるシリンダ1内の圧力よりも小さくなる。すなわち、密閉期間におけるシリンダ1内の実圧縮比は、圧縮燃焼行程におけるシリンダ1内の実圧縮比よりも小さくなる。ここで、実圧縮比とは、密閉期間または圧縮行程へ移行するときにシリンダ1内でピストン2の上方に形成される空間の容積と、ピストン2がTDCに位置するときにシリンダ1内でピストン2の上方に形成される空間の容積(燃焼室3の容積)との比である。
実圧縮比が小さくなることにより熱効率は低下するので、密閉行程の熱効率は、圧縮燃焼行程の熱効率より低くなる。
図10は、密閉期間中の熱発生量とHCCI燃焼における熱効率との関係を示す図である。
シリンダ1内では、密閉期間における燃料の予反応、および燃焼行程における混合気の燃焼により、熱が発生する。この熱により、ピストン2が駆動される。すなわち、シリンダ1内に噴射される燃料が、予反応および燃焼反応により熱エネルギーに変換され、この熱エネルギーが、ピストン2に対して仕事を行う。このとき、シリンダ1内の熱効率が高いほど、ピストン2に対してより大きな仕事を行うことができる。すなわち、エンジン100の熱効率が高いほど、ピストン2は、より大きい駆動力を得ることができる。
上記のように、圧縮燃焼行程の熱効率は密閉行程の熱効率より高いため、ピストン2は、圧縮燃焼行程において、熱エネルギーからより効率良く駆動力を得ることができる。
また、燃料から得られる熱エネルギーは一定であるため、予反応による熱発生量と燃焼による熱発生量との和は一定となる。
したがって、図10に示すように、密閉期間中の熱発生量が増加することにより、密閉期間および圧縮燃焼行程を含むHCCI燃焼全体における熱効率は低下する。
図8に示したように、密閉期間中の熱発生量は、酸素濃度の上昇に伴い増加する。したがって、HCCI燃焼における熱効率は、密閉期間中の酸素濃度の上昇に伴い低下する。
本実施の形態においては、圧縮燃焼行程におけるシリンダ1内の空燃比は理論空燃比となるように設定される。この場合、空気中の酸素は燃焼によりほぼ全て消費される。それにより、密閉期間においてシリンダ1内に残留する既燃ガス中の酸素濃度はほぼ0となる。したがって、HCCI燃焼における熱効率の低下を防止することができる。
(7)HCCI燃焼による運転領域の拡大
次に、本実施の形態におけるHCCI燃焼による運転領域の拡大について説明する。
次に、本実施の形態におけるHCCI燃焼による運転領域の拡大について説明する。
図11はエンジン100のHCCI燃焼による運転領域および火花点火燃焼による運転領域を示す図である。図11において、横軸はエンジン回転数を示し、縦軸はエンジン100の負荷を示す。
実線H1で囲まれた領域は、希薄化された混合気を用いる従来のHCCI燃焼による運転領域を示し、点線H2に囲まれた領域は本実施の形態におけるHCCI燃焼による運転領域を示す。また、実線Sは、火花点火燃焼による運転領域を示す。
図11に実線H1で示すように、従来のHCCI燃焼による運転は、中低負荷領域およびエンジン回転数が所定値より低い領域において行われる。実線Sで示すように、火花点火燃焼による運転は高負荷領域およびエンジン回転数が所定値以上の領域において行われる。これに対して、本実施の形態では、点線H2で示すように、HCCI燃焼による運転領域を拡大することができる。この理由について以下に説明する。
図12はエンジン100の負荷とシリンダ1内の最高温度との関係を示す図である。図13は、エンジン100の負荷と生成されるNOXとの関係を示す図である。
図12に示すように、エンジン100の負荷が増加すると、シリンダ1内の最高温度が上昇する。この理由の1つとしては、次のことが考えられる。エンジン100の負荷は、エンジン回転数の上昇に伴い増加する。それにより、混合気の燃焼回数が増加し、燃焼反応による熱がシリンダ1内に蓄積される。
混合気の燃焼により生成されるNOXの量は、シリンダ1内の燃焼温度に依存する。これにより、図13に示すように、エンジン100の負荷が増加すると、生成されるNOXの濃度が上昇する。
そこで、混合気の燃焼により生成されるNOXを低減させるために、例えば、三元触媒が用いられる。三元触媒は、例えば、白金およびロジウムを含み、排気中の還元作用が促進されるように作用する。それにより、排気中に含まれる、CO(一酸化炭素)またはHC(炭化水素)がNOXを還元することにより、NOXは無害なN2(窒素ガス)に変化し、COまたはHCは無害なCO2(二酸化炭素)またはH2O(水)に変化する。
三元触媒は、排気管12の所定の位置に取り付けられ、シリンダ1から排出された排気が、排気管12を通して三元触媒に導かれる。これにより、排気に含まれるNOXの還元が三元触媒により促進される。
ここで、NOXの還元は、NOX中の酸素原子の移動により進行するため、排気中に酸素が含まれる場合には、NOX中の酸素原子の移動が阻害される。それにより、三元触媒の効果が低減される。
従来のHCCI燃焼は酸素濃度が高い希薄化された混合気で行われるので、三元触媒の効果を得ることができない。したがって、従来のHCCI燃焼はNOXの濃度が低い中低負荷領域およびエンジン回転数が低い領域において行われる。
これに対して、本実施の形態では、図7に示したように、圧縮燃焼行程におけるシリンダ1内の空燃比が理論空燃比に設定される。この場合、混合気中の酸素は燃焼反応によりほぼ全て消費される。したがって、排気中の酸素濃度がほぼ0となるので、三元触媒を用いることにより、排気中のNOXを低減することが可能となる。その結果、図11に示すHCCI燃焼による運転領域を点線で示すように拡大することが可能となる。
なお、通常の火花点火燃焼においては、混合気の空燃比は理論空燃比に設定されるので、発生したNOXは三元触媒を用いることにより低減される。
(8)第1の実施の形態の効果
第1の実施の形態に係るエンジンシステム200においては、負荷に応じてHCCI燃焼による運転と火花点火燃焼による運転とが切り替えられる。HCCI燃焼においては、ECU50が運転情報に基づいて目標燃焼時期を算出し、実際の燃焼時期と比較する。目標燃焼時期と実際の燃焼時期との誤差がしきい値以上の場合は、その誤差が小さくなるように、ECU50が吸気弁駆動装置6a、排気弁駆動装置7a、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14を制御する。それにより、空気量、既燃ガス量および再循環排気量の割合が調整され、シリンダ1内の温度が調整される。したがって、HCCI燃焼における最適な燃焼時期を得ることができる。その結果、熱効率が向上されるとともに、安定したHCCI燃焼を行うことができる。
第1の実施の形態に係るエンジンシステム200においては、負荷に応じてHCCI燃焼による運転と火花点火燃焼による運転とが切り替えられる。HCCI燃焼においては、ECU50が運転情報に基づいて目標燃焼時期を算出し、実際の燃焼時期と比較する。目標燃焼時期と実際の燃焼時期との誤差がしきい値以上の場合は、その誤差が小さくなるように、ECU50が吸気弁駆動装置6a、排気弁駆動装置7a、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14を制御する。それにより、空気量、既燃ガス量および再循環排気量の割合が調整され、シリンダ1内の温度が調整される。したがって、HCCI燃焼における最適な燃焼時期を得ることができる。その結果、熱効率が向上されるとともに、安定したHCCI燃焼を行うことができる。
また、HCCI燃焼による運転において、圧縮燃焼行程におけるシリンダ1内の空燃比が理論空燃比となるように設定される。この場合、混合気中の酸素は燃焼によりほぼ全て消費される。それにより、密閉期間においてシリンダ1内に残留する既燃ガス中の酸素濃度がほぼ0となる。したがって、HCCI燃焼における熱効率の低下を防止することができる。
また、理論空燃比でHCCI燃焼を行うことにより、シリンダ1から排出される排気中の酸素濃度がほぼ0となる。したがって、三元触媒を用いることにより、排気中のNOXを低減することができる。その結果、HCCI燃焼による運転領域を拡大することが可能となる。
また、本実施の形態においては、空気と再循環排気とがシリンダ1内に同時に吸入される。通常、空気量は吸気弁駆動装置6aおよびスロットルバルブ14により調整されるが、本実施の形態の場合、さらに、排気再循環バルブ13bにより再循環排気の流量を調整することによって、再循環排気量に対する空気量の割合をより正確に調整することができる。
(第2の実施の形態)
(1)ECUの構成
次に、本発明の第2の実施の形態に係るエンジンシステム200について説明する。
(1)ECUの構成
次に、本発明の第2の実施の形態に係るエンジンシステム200について説明する。
第2の実施の形態に係るエンジンシステム200が第1の実施の形態に係るエンジンシステム200と異なるのは以下の点である。
図14は、第2の実施の形態に係るエンジンシステム200のECU50aの構成を示すブロック図である。
ECU50aの圧縮自己着火制御部53は、図2の目標燃焼時期決定部533および燃焼時期比較演算部534の代わりに目標圧縮条件決定部543を含む。
目標圧縮条件決定部543には、空燃比演算処理部531における空気量の算出結果、および運転情報(エンジン回転数ER、アクセル開度AO、油温OTおよび水温WT等)が与えられる。
目標圧縮条件決定部543は、運転情報に基づいて目標圧縮条件を決定し、その目標圧縮条件、および空燃比演算処理部531から与えられた空気量の算出結果に基づいて吸気弁6の開閉タイミング、排気弁7の開閉タイミング、排気再循環バルブ13bの開度、およびスロットルバルブ14の開度を決定する。そして、その決定結果を吸気量制御部535、排気弁閉じタイミング制御部536および排気循環バルブ制御部537に与える。
第2の実施の形態におけるECU50aのその他の構成は、第1の実施の形態におけるECU50と同様である。
次に、ECU50aの制御動作について説明する。
まず、第1の実施の形態のECU50と同様に、運転領域判定部51において運転領域の判定が行われ、エンジン100の負荷に応じて火花点火燃焼処理またはHCCI燃焼処理が行われる(図6参照)。
(2)HCCI燃焼処理の詳細
図15は、ECU50aによるHCCI燃焼処理の詳細を示すフローチャートである。
図15は、ECU50aによるHCCI燃焼処理の詳細を示すフローチャートである。
図15に示すように、HCCI燃焼制御部53の目標圧縮条件決定部543(図14参照)は、図6のステップS1で取得した運転情報に基づいて目標圧縮条件を決定する。(ステップS21)。ここで、目標圧縮条件とは、取得した運転情報の下で、熱効率および燃焼の安定性が最適となるようなシリンダ1内の圧縮条件である。圧縮条件とは、例えば、シリンダ1内の温度である。
次に、HCCI燃焼制御部53の空燃比演算処理部531は、図6のステップS1で取得した運転情報に基づいて燃料噴射量および空気量を決定する(ステップS22)。なお、空気量は、混合気の空燃比が理論空燃比(約14.5:1)となるように決定される。
次に、HCCI燃焼制御部53の目標圧縮条件決定部543は、ステップS21で決定した目標圧縮条件およびステップS22で決定した空気量に基づいて既燃ガス量および再循環排気量を決定する(ステップS23)。
次に、HCCI燃焼制御部53の目標圧縮条件決定部543は、ステップS22で決定された燃料噴射量および空気量ならびにステップS23で決定された既燃ガス量および再循環排気量に基づいて、吸気弁6の開閉タイミング、排気弁7の開閉タイミング、排気再循環バルブ13bの開度、およびスロットルバルブ14の開度を決定する(ステップS24)。
HCCI燃焼制御部53の密閉期間中噴射制御部532はステップS22で決定された燃料噴射量に基づいて、インジェクター9を制御する。HCCI燃焼制御部53の吸気量制御部535、排気弁閉じタイミング制御部536および排気循環バルブ制御部537は、ステップS23で決定した吸気弁6の開閉タイミング、排気弁7の開閉タイミング、排気再循環バルブ13bの開度、およびスロットルバルブ14の開度に基づいて、吸気弁駆動装置6a、排気弁駆動装置7a、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14を制御する。
このようにして、燃料噴射量、空気量、再循環排気量および既燃ガス量が調整され、その中で、自己着火燃焼が行われる。その後、図6のステップS1に戻る。
(3)第2の実施の形態の効果
第2の実施の形態においては、空気量既燃ガス量および再循環排気量の割合を調整することにより、シリンダ1内の温度を調整する。これにより、第1の実施の形態と同様に、シリンダ1内における燃焼時期を調整することができる。
第2の実施の形態においては、空気量既燃ガス量および再循環排気量の割合を調整することにより、シリンダ1内の温度を調整する。これにより、第1の実施の形態と同様に、シリンダ1内における燃焼時期を調整することができる。
また、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態における燃焼時期計測器10のように、シリンダ1内の状態を計測するための計測器を設けることなく、図15のステップS23において決定された目標圧縮条件に基づいて、吸気弁駆動装置6a、排気弁駆動装置7a、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14が制御される。これにより、ECU50aによる制御動作が簡略化される。また、シリンダ1内の状態を計測するための計測器を設ける必要がないので、シリンダ1周辺の構造が複雑化しない。
(車両全体の構成)
図16は、上記第1または第2の実施の形態に係るエンジンシステム200を備えた自動二輪車の模式図である。
図16は、上記第1または第2の実施の形態に係るエンジンシステム200を備えた自動二輪車の模式図である。
この自動二輪車600においては、本体フレーム601の前端にヘッドパイプ602が設けられる。ヘッドパイプ602にフロントフォーク603が左右方向に揺動可能に設けられる。フロントフォーク603の下端に前輪604が回転可能に支持される。ヘッドパイプ602の上端にはハンドル605が取り付けられる。
本体フレーム601の中央部には、図1のエンジンシステム200が設けられる。図16には、エンジンシステム200に含まれるエンジン100、吸気管11、排気管12および排気再循環装置13が示される。エンジンシステム200の上部には燃料タンク606が設けられ、燃料タンク606の後方にはシート607が設けられる。
エンジンシステム200の後方に延びるように、本体フレーム601にリアアーム608が接続される。リアアーム608は、後輪609および後輪ドリブンスプロケット610を回転可能に保持する。また、エンジンシステム200の排気管12には三元触媒616が介挿され、排気管12の後端にはマフラー612が取り付けられる。
エンジンシステム200のエンジン100にドライブシャフト613が取り付けられ、ドライブシャフト613には後輪ドライブスプロケット614が取り付けられる。後輪ドライブスプロケット614は、チェーン615を介して後輪609の後輪ドリブンスプロケット610に連結される。
この自動二輪車600は、上記第1および第2の実施の形態のエンジンシステム200を備えるので、HCCI燃焼においてシリンダ1内の温度が調整され、最適な燃焼時期を得ることができる。その結果、熱効率が向上されるとともに、安定したHCCI燃焼を行うことができる。
また、理論空燃比でHCCI燃焼を行うことにより、HCCI燃焼における熱効率の低下を防止することができるとともに、HCCI燃焼による運転領域を拡大することが可能となる。
その結果、広い負荷領域において、NOXの発生を抑制しつつ安定したHCCI燃焼を行うことができ、さらにエンジン100の熱効率を向上させることができる。
(請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応)
上記実施の形態においては、自動二輪車600が機械装置に相当し、インジェクタ9が混合気生成手段に相当し、吸気管11が吸気通路に相当し、配管13aが再循環通路に相当し、吸気弁6、吸気弁駆動装置6a、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14が吸気量調整手段に相当し、排気弁7および排気弁駆動装置7aが排気量調整手段に相当し、エンジン回転数センサ31、アクセル開度センサ32、油温センサ33および水温センサ34が検出手段に相当し、ECU50が制御手段に相当する。
上記実施の形態においては、自動二輪車600が機械装置に相当し、インジェクタ9が混合気生成手段に相当し、吸気管11が吸気通路に相当し、配管13aが再循環通路に相当し、吸気弁6、吸気弁駆動装置6a、排気再循環バルブ13bおよびスロットルバルブ14が吸気量調整手段に相当し、排気弁7および排気弁駆動装置7aが排気量調整手段に相当し、エンジン回転数センサ31、アクセル開度センサ32、油温センサ33および水温センサ34が検出手段に相当し、ECU50が制御手段に相当する。
また、スロットルバルブ14が第1の吸気量調整手段に相当し、排気再循環バルブ13bが第2の吸気量調整手段に相当し、吸気弁6および吸気弁駆動装置6aが第3の吸気量調整手段に相当し、燃焼時期計測器10が燃焼時期計測手段に相当し、点火プラグ8が点火手段に相当する。
また、後輪609が駆動輪に相当し、後輪ドリブンスプロケット610、ドライブシャフト613、後輪ドライブスプロケット614およびチェーン615が伝達機構に相当し、三元触媒16が触媒に相当する。
(変形例)
なお、上記第1および第2の実施の形態において、ECU50,50aは、エンジン回転数ER、アクセル開度AO、油温OTおよび水温WTを運転情報として取得するが、ECU50が取得する運転情報はこれに限定されず、運転情報としてエンジン回転数ER、アクセル開度AO、油温OTおよび水温WTのいずれか1つまたは複数を取得してもよく、あるいは、エンジン温度または燃料の種類等の他の情報を運転情報として取得してもよい。
なお、上記第1および第2の実施の形態において、ECU50,50aは、エンジン回転数ER、アクセル開度AO、油温OTおよび水温WTを運転情報として取得するが、ECU50が取得する運転情報はこれに限定されず、運転情報としてエンジン回転数ER、アクセル開度AO、油温OTおよび水温WTのいずれか1つまたは複数を取得してもよく、あるいは、エンジン温度または燃料の種類等の他の情報を運転情報として取得してもよい。
また、上記第1および第2の実施の形態では、ECU50,50aは、エンジン100の負荷を決定するためのパラメータとしてアクセル開度AOを用いるが、これに限定されず、エンジン回転数ERまたはエンジン温度等の他の条件を用いてもよい。また、これらの条件の複数を用いてエンジン100の負荷を決定してもよい。
また、排気再循環装置13には、配管13a内の排気の温度を調整するための冷却装置が設けられてもよい。この場合、吸気に含まれる排気の温度を調整することができる。それにより、シリンダ1内の温度をより正確に調整することができる。
また、上記第1および第2の実施の形態では、HCCI燃焼の燃焼行程において、点火プラグ8による火花点火は行われないが、点火プラグ8による火花点火を行ってもよい。これにより、燃焼行程において燃料の着火がより確実に行われる。
また、上記第1および第2の実施の形態では、シリンダ1内に吸入される空気の量は、吸気弁駆動装置6aおよびスロットルバルブ14により調整されるが、これに限定されず、過給機等の他の装置を用いて空気の量を調整してもよい。
また、上記第1および第2の実施の形態では、図2に示されるECU50,50aの各機能部がプログラムにより実現されるが、各機能部の一部または全てを電子回路等のハードウェアにより実現してもよい。
また、上記第1および第2の実施の形態では、シリンダ1内に直接燃料が噴射される構造のシリンダ内燃料直噴型エンジンが用いられるが、これに限定されず、吸気ポート4内に燃料が噴射される構造を有するエンジンを用いてもよい。この場合、排気行程と吸気行程との間の密閉期間に燃料を噴射しないので、燃料の予反応は行われない。
また、図4(d)に示されるHCCI燃焼の圧縮行程において、インジェクタ9により2回目の燃料の噴射が行われてもよい。
また、図16の例では、上記第1および第2の実施の形態のエンジンシステム200を自動二輪車に適用した場合について説明したが、エンジンシステム200を四輪自動車等の他の車両、船舶または発電機等に適用してもよい。
本発明は、二輪自動車、四輪自動車等のエンジンを備える種々の車両、船舶および発電機等に利用することができる。
1 シリンダ
2 吸気ポート
5 排気ポート
6 吸気弁
6a 吸気弁駆動装置
7 排気弁
7a 排気弁駆動装置
8 点火プラグ
9 インジェクター
10 燃焼時期計測器
11 吸気管
12 排気管
13 排気再循環装置
13b 排気再循環バルブ
14 スロットルバルブ
31 エンジン回転数センサ
32 アクセル開度センサ
33 油温センサ
34 水温センサ
50 ECU
100 エンジン
200 エンジンシステム
609 後輪
610 後輪ドリブンスプロケット
613 ドライブシャフト
614 後輪ドライブスプロケット
615 チェーン
616 三元触媒
2 吸気ポート
5 排気ポート
6 吸気弁
6a 吸気弁駆動装置
7 排気弁
7a 排気弁駆動装置
8 点火プラグ
9 インジェクター
10 燃焼時期計測器
11 吸気管
12 排気管
13 排気再循環装置
13b 排気再循環バルブ
14 スロットルバルブ
31 エンジン回転数センサ
32 アクセル開度センサ
33 油温センサ
34 水温センサ
50 ECU
100 エンジン
200 エンジンシステム
609 後輪
610 後輪ドリブンスプロケット
613 ドライブシャフト
614 後輪ドライブスプロケット
615 チェーン
616 三元触媒
Claims (10)
- 機械装置を駆動するエンジンシステムであって、
空気および燃料の混合気を生成する混合気生成手段と、
シリンダを有し、前記シリンダ内の混合気が自己着火燃焼を行うエンジンと、
空気を吸気として前記シリンダに導く吸気通路と、
前記シリンダから排出される排気の少なくとも一部を吸気として前記シリンダ内へ導く再循環通路と、
前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気の量および前記再循環通路を通して前記シリンダ内へ導かれる排気の量の少なくとも一方を調整する吸気量調整手段と、
前記シリンダから排出される排気の量を調整する排気量調整手段と、
前記機械装置の予め定められた運転情報を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記運転情報に基づいて、前記吸気量調整手段および前記排気量調整手段の少なくとも一方を制御することにより、自己着火燃焼前に、前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気の量、前記再循環通路を通して前記シリンダ内へ導かれる排気の量および前記シリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御するとともに、混合気の空燃比を理論空燃比に設定する制御手段とを備えたことを特徴とするエンジンシステム。 - 前記吸気量調整手段は、前記吸気通路内の流量を調整する第1の吸気量調整手段と、前記再循環通路内の流量を調整する第2の吸気量調整手段とを含み、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記運転情報に基づいて、前記第1の吸気量調整手段、前記第2の吸気量調整手段および前記排気量調整手段の少なくとも1つを制御することにより、自己着火燃焼前に、前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気の量、前記再循環通路を通して前記シリンダ内へ導かれる排気の量および前記シリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御することを特徴とする請求項1記載のエンジンシステム。 - 前記吸気量調整手段は、前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気と前記再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気とを含む吸気の量を調整する第3の吸気量調整手段を含み、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記運転情報に基づいて、前記第3の吸気量調整手段および前記排気量調整手段の少なくとも一方を制御することにより、自己着火燃焼前に、前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気の量、前記再循環通路を通して前記シリンダ内へ導かれる排気の量および前記シリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御することを特徴とする請求項1記載のエンジンシステム。 - 前記吸気量調整手段は、前記吸気通路内の流量を調整する第1の吸気量調整手段、前記再循環通路内の流量を調整する第2の吸気量調整手段、および前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気と前記再循環通路を通してシリンダ内へ導かれる排気とを含む吸気の量を調整する第3の吸気量調整手段を含み、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記運転情報に基づいて、前記第1の吸気量調整手段、前記第2の吸気量調整手段、前記第3の吸気量調整手段および前記排気量調整手段の少なくとも1つを制御することにより、自己着火燃焼前に、前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気の量、前記再循環通路を通して前記シリンダ内へ導かれる排気の量および前記シリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御することを特徴とする請求項1記載のエンジンシステム。 - 前記シリンダ内の混合気の燃焼時期を計測する燃焼時期計測手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記運転情報および前記燃焼時期計測手段により計測された燃焼時期に基づいて前記吸気量調整手段および前記排気量調整手段の少なくとも一方を制御することにより、自己着火燃焼前に、前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気の量、前記再循環通路を通して前記シリンダ内へ導かれる排気の量および前記シリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンシステム。 - 前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記運転情報に基づいて目標燃焼時期を算出するとともに、算出された前記目標燃焼時期と前記燃焼時期計測手段により計測された燃焼時期との誤差が小さくなるように、自己着火燃焼前に、前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気の量、前記再循環通路を通して前記シリンダ内へ導かれる排気の量および前記シリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御することを特徴とする請求項5記載のエンジンシステム。
- 前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記運転情報に基づいて、前記シリンダ内の気体の状態が所定の条件を満たすように、前記吸気量調整手段および前記排気量調整手段の少なくとも一方を制御することにより、自己着火燃焼前に、前記吸気通路を通して前記シリンダ内へ導かれる空気の量、前記再循環通路を通して前記シリンダ内へ導かれる排気の量および前記シリンダ内に残存する既燃ガスの量を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンシステム。
- 前記制御手段は、自己着火燃焼後に、既燃ガスの一部が排出され、残りの部分が残存する状態で前記シリンダ内が密閉され、密閉された前記シリンダ内において既燃ガスが圧縮され、前記シリンダ内の既燃ガス中に前記混合気生成手段により燃料が噴射されるように、前記吸気量調整手段、前記排気量調整手段および前記混合気生成手段を制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエンジンシステム。
- 前記シリンダ内の混合気を火花点火燃焼させる点火手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記エンジンの負荷に応じて、自己着火燃焼および火花点火燃焼のいずれかが選択的に行われるように、前記吸気量調整手段、前記排気量調整手段、前記混合気生成手段および前記点火手段を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のエンジンシステム。 - 駆動輪と、
請求項1〜9のいずれかに記載のエンジンシステムと、
前記エンジンシステムにより発生される動力を前記駆動輪に伝達する伝達機構と、
前記エンジンシステムから導出される排気を浄化する触媒とを備えることを特徴とする車両。
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