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JP2009502132A - 膜移行ペプチド - Google Patents

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Abstract

ペプチドディスプレイライブラリーから脂質膜を横断又は貫通可能な膜移行ペプチド(MTP)を選択する方法が提供される。ディスプレイペプチドをコードする複数の核酸構造物が発現されて、複数の核酸−ペプチド複合体が形成され、前記各核酸−ペプチド複合体は、そのディスプレイペプチドをコードする対応の核酸構造物と会合された少なくとも一つのディスプレイペプチドを含み、前記複合体は膜被包性コンパートメントの集団に対して露出され、移行反応を引き起こし、前記膜との非会合状態に留まっている複合体が除去され、任意に前記膜と会合された複合体が除去され、そして取り込まれた(internalized)核酸−ペプチド複合体が回収される。前記膜被包性コンパートメントは、リポソームなどの人工の小胞、又は単数又は複数の細胞型の集団とすることができる。

Description

本発明は、膜移行ペプチド(MTP:membrane-translocating peptides)と称される新規な化合物の単離方法に関する。それらMTPは、それら自身、及びMPTと会合する非移行成分(non-translocating moieties)を、膜を介して移行する能力によって特徴づけられる。
核酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、小分子、ウイルス、など(以下、「非移行成分」と総称する)を細胞又は特定の細胞型に送達する能力は、腫瘍学、発生生物学、遺伝子療法、及び、モデルシステムにおける特定のタンパク質、核酸、小分子の作動機序の一般的理解、における種々の用途のために有用である。もっとも治療的に重要なタンパク質及びペプチドは、生体膜を通して容易に移行しない。しかしながら、Tat由来ペプチド(ファウェル(Fawell)他著、1994年、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、第91巻、第664〜668頁)、アンテナペディアホメオドメインタンパク質の3へリックス(デロッシ(Derossi)他著、1994年、J. Biol. Chem.、第269巻、第10444〜10450頁、米国特許第5,888,762号公報、及び第6,015,787号公報)、及びVP22(シュワルツェ(Schwarze)ほか, 2000年、Trends Pharmacol. Sci.、第21巻、第45〜48頁)を含む、いくつかのトランス活性化因子(transactivating factor)とホメオタンパク質は膜移行を容易にすることができることが示されている。そのような天然由来ペプチドは、多くの場合、細胞の細胞質内の膜小胞において単離されるが、このことによって、会合する非移行成分がその所望の標的に接近することが妨げられる(ポトッキー(Potocky)他著、2003年、J Biol Chem.、第278巻、第50188〜94頁)。
これまで、二つの異なるアプローチを使用することによって新規なペプチドが開発されてきた。第1のアプローチは、6〜10アミノ酸のペプチドのランダム化ライブラリーを化学合成することによって候補ペプチドを作り出すものである(ジェイ・アイクラー(J. Eichler)他著、1995年、Med. Res. Rev.、第15巻、第481〜495頁; ケイ・ラム(K. Lam)著、1996年、Anticancer Drug Des.、第12巻、第145〜167頁; エム・レブル(M. Lebl)他著、1997年、Methods Enzymol.、第289巻、第336〜392頁)。第2のアプローチでは、ランダム化オリゴヌクレオチドライブラリーをFf繊維状ファージ遺伝子にクローニングし、これによって遥かに大きなサイズのペプチドがバクテリオファージの表面上に発現されることを可能にすることによって候補ペプチドを合成する(エイチ・ロウマン(H.Lowman)著、1997年、Ann, Rev. Biophys. Biomol. Struct.、第26巻、第401〜424頁; ジー・スミス(G. Smith)他著、1993年、Meth. Enz.、第217巻、第228〜257頁)。最大38アミノ酸長のランダム化ペプチドライブラリーも作成されており、このシステムを使用することによってより長いペプチドも利用可能となる可能性が高い。これらのストラテジーのいずれかを使用して作成されたペプチドライブラリーは、次に、予め選択されたマトリックス結合タンパク質標的と混合される。結合するペプチドが溶出され、それらの配列が決定される。この情報から、新規なペプチドが合成され、そして、それらの生物学的特性が決定される。ファージディスプレイは、これまで、移行ペプチドを同定するために使用されてきたが、この方法によっては比較的少数のペプチドしか同定されておらず、かつ、同定されたものは、一般に細胞型特異的であって、細胞への導入のためにはエンドサイトーシスを必要とする(ガオ(Gao)他著、2002年、Bioorg Med Chem.、第10巻、第4057〜65頁)。細胞膜を横断するためにエンドサイトーシスに依存する従来技術のペプチドに関する一つの欠点は、通常、そのようなメカニズムによって移行ペプチドと会合する非移行成分とがエンドソームに送達され、そこでそれらの両方が所望の細胞作用を奏することなく破壊されてしまうことにある。
従来技術のもう一つの欠点は、ファージディスプレイと化学合成とによって作り出すことが可能なライブラリーのサイズがともに10〜10の範囲に限定されていることにある。この制限によって、その後に時間のかかる成熟処理を使用しない限り、単離されるペプチドが比較的親和性の低いものとなっていた。このライブラリーサイズの制限から、とりわけmRNAディスプレイ(ロバーツ(Roberts)及びスゾスタク(Szostak)著、1997年、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、第94巻、第12297〜12302頁)、リポソームディスプレイ(マテアキス(Mattheakis)他著、1994年、Proc. Natl. Acad. Sci.、 USA、第91巻、第9022〜9026頁)とCISディスプレイ(オデグリップ(Odegrip)他著、2004年、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、第101巻、第2806〜2810頁)を含むペプチドライブラリーのイン・ヴィトロ生成のための技術が開発されている。これらのライブラリーは、そのような方法によって生成されるライブラリーのサイズがファージディスプレイで可能なものの2〜3倍の大きさである点においてファージディスプレイライブラリーよりも優れている。これは、ファージライブラリーなどのような技術と異なり、中間のイン・ヴィヴォ工程が無いことによる。
しかしながら、現在において、膜移行ペプチド(MTP)の特異的、かつ選択的同定を可能にする公知のイン・ヴィトロディスプレイシステムを使用した方法は記載されていない。更に、そのような方法によれば、内皮などの細胞の層を横断することが可能なMTPを同定することが可能となるであろう。
したがって、MTPの発見とペプチド薬剤開発とに分野において非常に必要とされている進歩を提供することが可能な方法がいまだに求められている。
本発明は、それら自身と非移行成分を、細胞のような脂質膜を横切って移行可能な、膜移行ペプチド、又はMTPと称されている新規な化合物を選択するための方法を提供する。本発明のMTPは、会合する成分を、イン・ヴィヴォとイン・ヴィトロとの両方で種々の細胞型を含む膜被包性コンパートメント(membrane-encapsulated compartment)中に、効率的に内部移行する能力に関して選択される。本発明の同定されたMTPは、更に、診断又は治療目的のために有用な分子も含むことができる。
したがって、本発明の第1の態様において、膜移行活性を示す化合物をペプチドディスプレイライブラリーから単離する方法が提供され、前記ライブラリーは、ディスプレイ対象ペプチドをコードする複数の核酸配列を含み、前記方法は以下の工程を含む、
a)複数の核酸構造物を発現する工程、
ここで、各核酸構造物は、前記核酸配列に作動連結したプロモーター配列を含み、それによって、前記複数の核酸構造物の発現によって複数の核酸−ペプチド複合体が形成され、各複合体はそのディスプレイ対象ペプチドをコードする対応の核酸構造物と会合した少なくとも一つのディスプレイ対象ペプチドを含む、
b)前記複数の核酸−ペプチド複合体を膜被包性コンパートメントの集団に対して露出させ、移行反応を生じさせる工程、
c)前記膜被包性コンパートメントと会合せずに留まっている核酸−ペプチド複合体を除去する工程、
d)前記膜被包性コンパートメント内から、内部移行した核酸−ペプチド複合体を回収し、前記核酸配列によってコードされる前記ペプチドを、膜移行ペプチド(MTP)を含むものとして特徴付ける工程。
本発明の一好適実施例において、前記膜被包性コンパートメントは細胞である。したがって、本発明は、膜移行活性を示す化合物をペプチドディスプレイライブラリーから単離する方法を提供し、前記ライブラリーは、ディスプレイ対象ペプチドをコードする複数の核酸配列を含み、前記方法は以下の工程を含む、
a)前記複数の核酸構造物を発現する工程、
ここで、各核酸構造物は、前記核酸配列に作動連結されたプロモーター配列を含み、それによって、前記複数の核酸構造物の発現によって複数の核酸−ペプチド複合体が形成され、各複合体はそのディスプレイ対象ペプチドをコードする対応の核酸構造物と会合した少なくとも一つのペプチドを含む、
b)前記複数の核酸−ペプチド複合体を単数又は複数の細胞型の集団に対して露出させ、移行を生じさせる工程、
c)前記単数又は複数の細胞型と会合せずに留まっている核酸−ペプチド複合体を除去する工程、そして
d)前記細胞内から、内部移行した核酸−ペプチド複合体を回収し、前記核酸配列によってコードされるペプチドを、膜移行ペプチド(MTP)を含むものとして特徴付ける工程。
別実施例において、前記膜被包性コンパートメントは脂質小胞である。例えば、人工的に構築された脂質封入コンパートメント、例えば、ミセルやリポソームである。好ましくは、前記脂質小胞はリポソームである。好ましくは、前記膜は、脂質二重層を含む。
上記発明の別実施例において、前記方法は、更に、前記工程(c)の後に、前記膜被包性コンパートメント(例えば、リポソーム又は単数又は複数の細胞型)の表面に結合しているが、まだ内部移行していない核酸−ペプチド複合体を除去する工程を含む。従って、本発明の方法は、好ましくは、更に、(c’)細胞表面に会合した核酸−ペプチド複合体を除去する工程を含む。この実施例は、それによって表面結合したMTPと内部移行したMTPとの区別を可能にする点においてファージディスプレイ技術における大幅な改善を意味するものである。驚くべきことに、これによって1、2回又はそれ以上の回数の選択後に同定可能なMTPの数が大幅に増大する。事実、CISディスプレイライブラリーでの5回の選択後に9/23のペプチドがMTPとして同定された(例1)。これに対して、通常、MTPを同定するためのファージディスプレイ選択では、非常に僅かなMTPしか同定されない(ガオ(Gao)他著、2002年、Bioorg. Med. Chem. 第10巻、第4057〜4065頁)。
別の実施例において、前記選択されたMTPの膜移行活性は、エンドサイトーシスを含まず、又はそれを必要としない。好ましくは、前記MTPは、エンドサイトーシス機構の不在下にて標的の単数又は複数の膜を横断する能力を有する。したがって、一つの好適な方法において、前記単数又は複数の細胞型は、エンドサイトーシス機能不全のもの、例えば、赤血球である。
本発明の別の態様において、本発明の前記方法によって同定されたMTPが提供される。好ましくは、前記MTPは、単離ペプチドである。本発明は、更に、本発明のMTPの誘導体を含む。別実施例において、本発明の前記MTP又は誘導体は、非移行成分に連結、会合、又は、付着/共役されている。前記非移行成分は、後に詳述するように、ペプチド、核酸、又は別の化合物である。好適には、前記連結、会合、付着又は共役の手段は、酵素反応又はその他の化学処理/分解によって容易に開裂可能である。
前記膜移行事象が、少なくとも、前記膜を横断して移行される化合物の一部に関して、一方向性であることが好ましい。これが有利である理由は、MPTが、膜被包性コンパートメントの内へと外へとの両方向へ移行する能力を有する可能性があるからである。したがって、一旦、前記MTPが膜被包性コンパートメント内に移行されると、前記ペプチドの少なくとも一部が前記コンパートメント内に留まっている。前記コンパートメント内に留まるペプチドの一部分は、MTP成分自身、会合した非移行成分、又は、MTPと非移行成分の両方、である可能性がある。好ましくは、少なくとも前記非移行成分が、標的細胞などの、膜被包性コンパートメント内に留まる。したがって、より好ましくは、前記MTPは、非移行成分に、連結、会合、付着又は共役され(例えば、開裂可能結合によって)、そして、前記膜被包性コンパートメント内への移行後、前記非−移行ペプチドは、MTPから前記コンパートメント又は細胞内に放出される。好適には、この非移行成分の放出は、後に詳述するように、酵素的開裂又は化学処理、例えば、化学分解、によって行われる。
本発明は、更に、治療用ペプチドや核酸などの、治療用分子に、共役又は機能的に連結されたMTPを含む治療用分子を提供する。好ましくは、前記治療用分子は、治療又は診断剤として有用な任意の化合物を含む、上述したような、非移行成分である。
非移行成分と潜在的治療用分子の非限定的具体例としては、そのうちの少数を挙げると、核酸(例えば、siRNA分子)、酵素、ホルモン、サイトカイン、抗体又は抗体フラグメント、ペプチドフラグメント(例えば、抗体によって認識されるペプチド)、鎮痛剤、解熱剤、抗炎症剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗菌剤、心血管治療剤、腎機能及び電解質代謝に作用する薬剤、中枢神経系に作用する薬剤、化学治療剤、がある。
本発明の別の態様において、本発明のMTPをコードし、任意に、更に、非−移行ペプチド又は成分をコードする核酸配列、及び、更に、任意に、調節核酸配列を含む核酸分子が提供される。本発明の核酸分子を含む発現ベクターも提供される。
本発明の更に別の態様において、リポソームなどの膜被包性コンパートメントと、本発明のMPTとを含む組成物(例えば、治療用組成物)が提供される。好ましくは、前記組成物は、更に、前記MTPに共役した非移行成分を含む。もっとも好ましくは、前記非移行成分は治療用分子である。更に好ましくは、前記治療用組成物は、単数又は複数の治療用分子又は本発明のMTP、又は双方を、
単数又は複数のリポソームの調製物に添加し、移行事象を起こさせることによって作成される。
本発明の前記MTPライブラリーは、例えば、ペプチド又はペプチド誘導体、例えば、天然又は非天然のアミノ酸からなる模倣体、及び類似体等、から構成される。本発明によれば、本発明によって単離された前記膜移行ペプチド(MTP)は、好ましくは、脂質膜、そして、好ましくは脂質二重層、を横断又はまたがる(span)能力を有する非天然アミノ酸配列である。
通常、本発明のMTPは、標的膜を横断可能であり、それによって、ペプチドは膜内容積部(intra-membrane volume)、すなわち、細胞のサイトゾル、又はリポソームの内容積部(inner volume)内に放出される。とただし、場合によっては、前記MTPは、単に標的膜に挿入されて、それによってこの膜をまたがることも可能である。この場合、MTPの少なくとも一部が前記膜内にあり、好ましくは、MTP及び/又は会合した非移行成分の一部が前記内膜容積部内にある。好ましくは、本発明のMTPは、標的膜を横断して、細胞、例えば、赤血球細胞、の細胞質に入ることができる。好ましくは、前記MTPは、約2〜25アミノ酸又は約8〜20アミノ酸残基の非天然アミノ酸配列である。
そのような化合物は、好ましくは、コード化核酸分子に連結されたままで留まり、前記膜被包性コンパートメント、例えば、対象の細胞に進入し、核酸もその細胞に輸送されるように、本発明の方法によって選択される。
そのような化合物の具体例は、好ましくは、任意にN末端又はC末端又はそれらの両方が修飾された、その長さが2〜25アミノ酸又は約8〜20アミノ酸残基の、直鎖又は環状ペプチド、及びそれらの組み合わせ、更に、それらの塩、及び誘導体、機能的類似体、及びそれらの配列の末端にアミノ酸又はポリペプチドを有する延長ペプチド鎖、を含む。
本発明によれば、イン・ヴィトロペプチドディスプレイライブラリーが、当業者に知られている適当な手段によって生成される。例えば、イン・ヴィトロ生成核酸−ペプチド複合体のライブラリーを、ロバーツ(Roberts)及びスゾスタク(Szostak)著 (1997年、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、第94巻、第12297〜12302頁)、マテアキス(Mattheakis)他著 (1994年、Proc. Natl. Acad, Sci.、USA、第91巻、第9022〜9026頁)、オデグリップ(Odegrip)他著 (2004年、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、第101巻、第2806〜2810頁)、及び、国際公開第2004/022746号に記載されているもののような適当な方法によって好適に生成することができる。いくつかの場合において、例えば、最大ライブラリーサイズがファージディスプレイ法又は化学合成の限界内である場合、これらの方法の代替的に使用することができる。次に、イン・ヴィトロ生成核酸−ペプチド複合体のライブラリーを、それらの、標的膜、例えば、対象の細胞型を介して移行する(又は少なくともまたがる)能力に応じて、選択する。
本発明の前記方法の別の工程において、MTPをコードするライブラリーメンバーが、非−膜移行ペプチドをコードする核酸−ペプチド複合体を、標的膜又は細胞の表面から、適当なヌクレアーゼ又はプロテアーゼ、あるいはこれら両方の組み合わせ、によって除去することによって更に選択される。その後、膜を横断し、それによって細胞又は小胞(例えば、リポソーム)に進入し、会合した核酸成分を細胞内に輸送することが可能なMTPを回収し特徴付けることができる。
本発明は、更に、二つ以上のMTPに連結されたMTPをコードする核酸−ペプチド複合体、又は当業者によって予想可能なその他任意の組み合わせの選択も提供する。例えば、前記核酸配列のライブラリーのメンバーのうち一つ又はそれ以上(好ましくはそれらのそれぞれ)は、2, 3, 4又はそれ以上のMTP又は潜在的MTP配列をコードするかもしれない。本発明は、更に、二つ以上の非移行成分にリンクされたMTPをコードする核酸−ペプチド複合体の選択も提供する。
ここに挙げた全ての文献のその全体をここに参考文献として合体させる。特に別の定義がなされない限り、ここに使用されるすべの技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有するものである。
以下、添付の図面を参照して本発明について更に説明するが、これら図面において、
図1は、非固定ジャーカット細胞のFACS分析と蛍光顕微鏡写真を示している。ペプチド7,13及び19は、前記方法によって単離された膜移行ペプチドの例である。ペプチド24は、ネガティブ対照FLAGエピトープペプチドである。
図2は、本発明の方法によって選択された膜移行ペプチドと、HIV−TATの公知の膜移行成分とのペプチド配列比較を示している。
詳細な説明
本発明の理解を補助するために、ここに複数の用語を定義する。
「ペプチド」、「膜移行ペプチド、又は「MTP」という用語は、ここでは、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、及びポリペプチドを含む、直鎖状に互いに連結された複数のアミノ酸を称する。ジペプチドは2アミノ酸を含み、トリペプチドは3アミノ酸を含み、そしてオリゴペプチドという用語は、通常は、2〜約50以上のアミノ酸を有するペプチドを記載するのに使用される。約50長以上のペプチドは、しばしば、ポリペプチド又はタンパク質と呼ばれる。本発明の目的において、「ペプチド」、「膜移行ペプチド」又は「MTP」という用語は、いかなる特定の数のアミノ酸にも限定されない。しかしながら、好ましくは、それらは約2〜約50アミノ酸、又は約2〜約40アミノ酸、より好ましくは、約2〜約30アミノ酸、又は約2〜約25アミノ酸を含む。もっとも好ましくは、前記ペプチド又はMTPは、約2〜約20アミノ酸、又は8〜約20アミノ酸を含む。例えば、本発明の方法によって同定されるMTPの長さは、18,19,20,21,22,23,24又は25アミノ酸長とすることができる。通常、タンパク質の膜貫通ドメインは、22〜25アミノ酸長であり、したがって、特にMTPが標的膜を横断するのでなく、スパンする場合は、MTPは22,23,24又は25アミノ酸長とすることができる。
ここでの使用において「膜移行ペプチド(MTP)」は、アミノ酸配列(上述したように)であり、それらは天然及び非天然のアミノ酸残基を含むことができる。したがって、特定のアミノ酸又はペプチドの構造を模倣する非アミノ酸化学構造を含むことが可能な、いわゆる「ペプチド模倣体」や「ペプチド類似体」も、本発明の文脈においては「膜移行ペプチド」でありうる。とそのような模倣体又は類似体は、一般に、サイズ、電荷、又は疎水性、適切な空間配置等の、それらの天然のペプチド対応物に見られるものに類似の物理特性を示すことによって特徴付けられる。ペプチド模倣化合物の一具体例は、当該技術において周知のように、単数又は複数のアミノ酸間のアミド結合が、例えば、炭素−炭素結合、あるいはその他の非アミド結合によって置き換えられている化合物である(例えば、ソーヤー(Sawyer)著、in Peptide Based Drug Design、第378〜422頁、ACS、Washington D.C. 1995年を参照)。
本発明は、ペプチドの集団(又はライブラリー)からのMTP、すなわち、核酸配列のライブラリーから発現する可能性のある潜在的又は推定MTP、の同定と特徴付け、に関する。尚、ここで「ペプチド」と用語が使用されるが、本発明は、おそらくは従来の命名法下ではポリペプチド又はタンパク質と称されるであろうMTPまたはより大きなペプチドドメイン及びモチーフの同一視も除外するものではないと理解される。
更に、「膜移行ペプチド(MTP)」という用語は、MTPと会合した非移行成分とが膜の片側から他方の側へと通過するように膜を横断するペプチドと、単に標的膜を「またがる」ペプチドとを含みうる。ここで「またがる」とは、MTPの少なくとも一部が膜内に留まるように、MTPが標的膜に挿入(又は貫通)することができる、ということを意味するものである。したがって、例えば、本発明の方法によって選択されるMTPは、標的膜をまたがって、それによってMTPの一部が前記膜(又は脂質二重層)内に留まり、そして、MTP又は会合した非移行成分の一部が内部移行(すなわち、各小胞又は細胞内に見られる)ようになることができる。しかしながら、好ましくは、本発明によるMTPは、標的膜をこの膜の片側から他方の側へと通過することによってそれを横断する。一形態において、本発明のMTPは、複数の膜、例えば、複数のCaco−2細胞又は上皮を横断することができ、それにより、MTPは、組織の片側か他方の側へ、又はその組織層内、において移動することができる。
ここでMTPの「誘導体」という用語は、それ自身と、任意の会合/共役した非移行成分、とを標的膜を横断して移行可能であるが、本発明の方法によって同定されるMTPの一次ペプチド配列に対する単数又は複数の変異又は修飾を含む、ペプチド配列を意味する。したがって、MTPの誘導体は、本発明のMTP内に導入された、単数又は複数、例えば、1,2,3,4,5又はそれ以上の化学的に修飾されたアミノ酸側鎖を含むことができる。これに加えて、あるいは、これに代えて、MTPの誘導体は、本発明のMTPの一次配列に対する単数又は複数、例えば、1,2,3,4,5個又はそれ以上の、アミノ酸変異、置換又は欠損を含むことができる。このように、本発明は、MTPの単数又は複数の特性を改善するためにMTPに対して行われる成熟実験の結果を含むものである。例えば、MTP配列の1,2,3,4,5個又はそれ以上のアミノ酸残基を、当該技術において知られている手順(例えば、コード化DNA又はRNA配列を修飾することによって)を使用して、ランダムに、又は、特異的に変異させ、その結果得られる誘導体化された(derivatised)ペプチドのライブラリー/集団を、任意の公知の方法によって、所定の要件(例えば、特定の細胞型への移行の改善や、特定の細胞型の選択性の改善)に応じて選択することができる。膜移行能力を示す選択されたペプチドが、MTPの誘導体であり、本発明の範囲内に属するものである。
「膜移行」という言い回しの文脈での「膜」という用語は、脂肪酸や脂質分子などの脂肪分子の単層又は二層を含む、任意の人工又は天然の膜を含む。したがって、前記用語は、ミセル、リポソーム、又はその他当業者に知られている小胞、及び、細菌、菌、植物、動物又はヒト、を含む任意の型の天然細胞、例えば、血液細胞(例えば赤血球細胞)、又は皮膚細胞及び腸壁細胞を含む上皮細胞、の膜を含む。好ましくは、前記膜は、脂質二重層であり、それは人工リポソーム又はエンドサイトーシス能のない細胞、を含む。
ここで使用される「非移行成分」とは、それ自身では、脂質単層、二重層、又は細胞膜、などの膜を横断することができない構成要素(entity)、又は、それ自身では、そのような膜を横断して所望の細胞内作用を引き起こすのに十分有効ではない成分、を指す。そのような非移行成分には、核酸及びその他のポリマー、ペプチド、タンパク質、ペプチド核酸(PNA)、抗体、抗体フラグメント、膜不透過性小分子が特に挙げられる。好ましくは、非移行成分は、治療用分子であり、これについは本明細書中ほかの箇所で詳述する。
本発明の範囲内における「アミノ酸」という用語は、そのもっとも広い意味において使用されるものであり、天然Lα−アミノ酸又は残基を含むことを意味する。天然アミノ酸に一般的に使用される一文字及び三文字の略称がここでも使用される(レーニンガー,エイ・エル(Lehninger, A. L.)著、 (1975年) Biochemistry, 2d ed., 第71〜92頁、Worth Publishers, New York)。標準式一文字コードと標準式三文字コードとの間の対応関係は当業者に周知でありここで再現すると、A=Ala;C=Cys;D=Asp;E=Glu;F=Phe;G=Gly;H=His;I=Ile;K=Lys;L=leu;M=Met;N=Asn;P=Pro;Q=Gln;R=Arg;S=Ser;T=Thr,V=Val;W=Trp;Y=Tyrである。 一般用語「アミノ酸」は、更に、D−アミノ酸、及び、アミノ酸類似体などの化学修飾されたアミノ酸、ノルロイシンなどの、通常はタンパク質に導入されない天然アミノ酸、及び当該技術においてアミノ酸の特徴であることが知られている特性を有する化学的に合成された化合物、をも含む。例えば、天然のPhe又はProと同様にペプチド化合物の同じ配座制限を可能にする、フェニルアラニン又はプロリンの類似体又は模倣物、はアミノ酸の前記定義に含まれる。ここで、そのような類似体と模倣物を、各アミノ酸の「機能均等物」と称する。アミノ酸のその他の例は、ここに参考文献として合体させるロバーツ(Roberts)及びヴェッラキオ(Vellaccio)著、The Peptides; Analysis, Synthesis, Biology, Gross and Meiehofer, etds., 第5巻、第341頁、Academic Press, Inc., N.Y. 1983年に列挙されている。
本発明は、ペプチドの集団(又はライブラリー)からのMTP、すなわち、潜在的又は推定MTP、の同定と特徴付けに関する。特に、本発明のMTPは、ペプチドのイン・ヴィトロ生成ライブラリーのイン・ヴィトロディスプレイを使用して選択される。
ここで使用される「イン・ヴィトロディスプレイ」、「イン・ヴィトロペプチドディスプレイ」、「イン・ヴィトロ生成ライブラリー」という用語は、ペプチドライブラリーが、発現されるペプチドがそれらをコードする核酸と会合するように、そして、そのような会合が前記核酸との細胞又は細菌の形質転換に従わないように、発現されるシステムを指す。そのようなシステムは、ペプチドと、それらのコードされた核酸との会合が、核酸と細胞又は細菌の形質転換に従ったものとなるファージディスプレイやその他の「イン・ヴィヴォディスプレイ」システムと対照をなすものである。
膜移行ペプチドは、本発明の文脈内において使用される場合、非移行成分に「共役(conjugated)」することができる。この用語「共役(conjugated)」は、そのもっとも広い意味において使用され、当該技術において知られている付着又は連合(joining)の全ての方法を含む。例えば、前記非移行成分は、前記MTPのC又はN末端のアミノ酸延長部とすることができる。更に、MTPと非移行成分との間に短いアミノ酸の連結配列を設けてもよい。本発明は、更に、前記MTPが、例えば、化学的共役によって、任意に連結配列を介して、前記非移行成分にリンクされる分子を提供する。通常、前記MTPは、非移行成分の活性の障害とならない前記非移行成分中の部位を介して非移行成分に連結されることになるであろう。ここでも、MTPは、非移行成分に「共役(conjugated)」されているとみなされる。任意には、この連結は、内部移行の後の細胞質に見られる還元条件下で切断することが可能である。
ここでの使用において、「共役(conjugated)」という用語は、用語「連結」、「会合」又は「付着」と相互交換可能に使用される。様々な共有及び非共有結合が当業者に知られており、それら本発明の範囲内の属する。例えば、ジスルフィド結合、化学連結、及びペプチド鎖はすべて共有結合の形態である。共役の非共有手段が望まれる場合は、前記付着手段は、例えば、ビオチン(ストレプト)アビジン連結等とすることができる。本発明のMTPを非移行成分に共役するために、抗体(又は抗体フラグメント)−抗原相互作用を使用することも可能である。一つの適当な抗体−抗原の対合はフルオレセイン−抗フルオレセイン相互作用である。
このようにして、一方向性及び標的化された送達システムを作ることができ、それによってMTPと非移行成分との間の前記共役手段は、好ましくは、MTPとその会合非移行成分(又は少なくとも非移行成分自体の一部)が標的膜を横断すると、切断/開裂される。共役手段と開裂システム、例えば酵素的開裂、リガンド競合、放射線等、との適当な組み合わせを使用することができる。好ましくは、標的膜が細胞膜である場合(非移行成分が細胞内に送達されるように)、前記共役手段は、酵素、好ましくは、内因性酵素、によって細胞内(例えば細胞質中)において開裂可能なペプチド連結である。あるいは、前記共役は、好ましくは、細胞の還元細胞内環境によって容易に開裂可能なジスルフィド架橋である。前記膜被包性コンパートメントが細胞でない場合、例えば、それが脂質小胞、リポソーム等である場合、共役手段と開裂手段の別の組み合わせを使用することが好ましいかもしれない。ここでも、(所望の場合)前記非移行成分を前記コンパートメントの内部に一方向的に送達する、適当な手段を使用することができる。
前記非移行成分は、前記共役形態において活性的であってもなくてもよいが、いずれの場合でも、それがMPTから会合離脱した後(すなわち、共役が破断された後)は活性的であることが好ましい。
本発明は、イン・ヴィトロ生成ライブラリーを、膜移行性に関してスクリーニングすることを可能にすることによってペプチド薬剤開発における大きな進歩を提供するものである。複数のペプチドをコードするイン・ヴィトロ生成核酸ライブラリーが合成され、まず、標的細胞又はリポソーム集団に対する結合、その貫通 (例えば、膜に橋をかけるような状態(spanning))或いは内部移行に関して選択される。上述した単数又は複数の状態で標的細胞又はリポソームと会合することができないライブラリーメンバーが、洗浄又は当業者に知られているその他の適当な方法によって除去される。例えば、十分な密度を有する細胞、リポソーム(又はその他の標的膜被包性コンパートメント)を、オイルの非−水層を通して遠心分離(spun)して膜会合ライブラリーメンバーを非会合ライブラリーメンバーから分離することができる。好ましくは、前記オイルはミネラルオイルである。適当でありうるその他のオイルは、水よりも比重の小さなオイルである。この点に関して、ミネラルオイルは、25℃において0.84g/mlの比重を有する。好ましくは、赤血球細胞などの細胞は、ミネラルオイルを介した遠心分離によって前記非移行ライブラリーメンバーから分離される。すでに上述したように、MTPは、標的膜に貫通又はそれを横断することができる。MTP又は表面結合ペプチドをコードするライブラリーメンバーは、この工程中、前記標的に結合したまま、あるいは、前記細胞内に内部移行したままに留まる。
次に、表面結合したライブラリーメンバーが、トリプシンなどの非特異的プロテアーゼ、又はDNaseIなどのヌクレアーゼ、又はこれら両方の組み合わせ、あるいは、当業者に知られているその他の方法によって、細胞の表面から取り除かれる。MTPをコードするライブラリーメンバーのみが細胞集団内に残る。
次に、内部移行したMTPを回収し、会合した核酸を配列決定し、例えば、コードされたMTPを発現又は合成して所望の膜移行特性を確認することによって、個々に特徴つける。MTPの最終的な細胞内局在(subcellularlocalization)も測定することができる。前述したように、そのような工程(すなわち、膜結合ライブラリーメンバーのMTPからの除去)は、ファージディスプレイライブラリーでは、これらは本来的にトリプシンなどのプロテアーゼに対して耐性を有し(例えば、国際公開第A−99058655号を参照)、ファージ核酸がウイルス被膜によって保護されているためにヌクレアーゼを使用することができないため、不可能である。ファージディスプレイライブラリーのもう一つの制限は、細胞膜に対するファージ粒子による結合が本来的に非特異的であることにあり、そのような非特異的結合は当業者には周知である。
好ましくは、本発明の前記MTPは、単離され個々に特徴付けられる。しかしながら、例えば、本発明の方法の間に、一つ以上の核酸−ペプチド複合体が膜を横断し、例えば、リポソーム又は細胞内に内部移行する場合などでは、本発明に方法によってMTPの混合された集団が得られるかもしれない。この場合、本発明は、そのようなMPTの混合された集団も含む。
好ましくは、本発明は、驚くべきことに、エンドサイトーシス無しで細胞を横断可能なMPTを提供する。そのようなMTPは、公知のエンドサイトーシス輸送機構なしでの選択で、赤血球細胞などの細胞を使用して、あるいは、リポソームなどの膜被包性コンパートメントを使用して、更に選択することができる。
任意に、本発明は、細胞型特異的MTPの単離に適用することができる。複数のペプチドをコードするイン・ヴィトロ生成核酸ライブラリーを、合成し、あらかじめ別の非標的細胞集団とのインキュベーション後に、対象の標的細胞集団、例えば、ガン細胞の集団、に対する結合、又は、それへの内部移行に関して選択して、交差反応的MTP(すなわち、非標的細胞型と会合したMTP)を除去することができる。そのような方法を実行する方法は当業者に知られている。通常、対象の標的細胞集団に結合することができないライブラリーメンバーは、洗浄又は当業者に知られているその他の方法によって、除去される。その後、表面結合したライブラリーメンバーを、トリプシンなどの非特異的プロテアーゼ、又はDNaseIなどのヌクレアーゼ、又はこれら両方の組み合わせ、あるいは、当業者に知られているその他の方法によって、細胞の表面から取り除かれる。本発明の上述した方法においてと同様、MTPをコードするライブラリーメンバーのみが細胞集団内に残る。次に、内部移行したMTPを回収し、会合した核酸を配列決定し、例えば、コードされたMTPを発現又は合成して所望の膜移行特性を確認することによって、個々に特徴つけ、更に、MTPの細胞内局在も測定することができる。
本発明は、更に、Caco−2細胞やヒト上皮などの細胞の層を横断可能なMTPの単離にも適用することができる。複数の標的ペプチドをコードするイン・ヴィトロ生成核酸ライブラリーを、合成し、例えば、層状に成長させたCaco−2細胞などの対象の標的細胞集団に対する結合、それへの貫通、それへの内部移行について選択する。対象の標的細胞集団に結合することができないライブラリーメンバーは、洗浄又は当業者に知られているその他の方法によって、除去される。その後、好ましくは、表面結合したライブラリーメンバーを、トリプシンなどの非特異的プロテアーゼ、又はDNaseIなどのヌクレアーゼ、又はこれら両方の組み合わせ、あるいは、当業者に知られているその他の方法によって、細胞の表面から取り除かれる。ここでも再び、MTPをコードするライブラリーメンバーのみが細胞集団内に残り、前記プロテアーゼ又はヌクレアーゼから保護される。次に、内部移行したMTPを回収し、会合した核酸を配列決定し、例えば、コードされたMTPを任意に発現又は合成して所望の上皮細胞膜移行特性を確認することによって、個々に特徴付けられる。あるいは、前記細胞を、ポリカーボーネートフィルター上で単層として配置して、スティーヴンソン(Stevenson)他著、(1999年, Int. J. Pharm.、第177巻、第103〜115頁)に記載されているようにして選択を行うこともできる。前記細胞の頂端側(apical side)位置するイン・ヴィトロペプチドライブラリーは、それらが細胞を通して移行可能であるならば、側底側(basolateralside)上において回収することができる。そのような方法を使用して、腸壁や皮膚などの生体膜を横断可能なMPTを選択することが可能である。
このような方法で単離されたMTPは、非移行成分のための経口送達剤としての有用性を有する。例えば、本発明のMTPは、インスリンなどのタンパク質薬剤に共役して、小腸に入ったときに、MTPがインスリンの血液循環系への移行を引き起こすように適当な薬用組成物として調製することができる。別の例として、例えば、本発明のMTPは小分子に共役して、小腸に入ったときに、MTPが小分子薬剤の血液循環系への移行を引き起こすように適当な薬用組成物として調製することができる。更に別の例において、前記MTPを、小腸に入ったときに、MTPがナノ粒子の血液循環系への移行を引き起こすように適当な薬用組成物として、タンパク質、ペプチド、又は小分子薬剤を含有するナノ粒子の表面上にコーティングすることも可能である。
本発明の別の組成物において、MPTとその会合した非標的成分(すなわち、治療用分子)を、リポソーム(すなわち、脂質小胞又は他の人工膜被包性コンパートメント)の集団と混合し、前記MTPと前記治療用分子とを含有するリポソームの治療用集団を作り出す。次に、このリポソームの治療用集団を、例えば、静脈内注射、によって患者に投与することができる。前記治療用リポソーム組成物が、特定の細胞型を特異的に標的化することが必要な場合は、前記リポソーム組成物を、更に、その標的細胞型を認識する、抗体ドメイン等と製剤化することができる。そのような方法は当業者に知られている。
本発明による前記MTPと非移行ペプチドに共役したMTPとは、組み換えDNA技術や標準式タンパク質発現及び精製手順によって作ることができる。したがって、本発明は、更に、本発明による前記MTP、その誘導体、又は治療用分子をコードする核酸分子も提供する。例えば、関連するペプチドをコードするDNAを、適当な発現ベクタ(例えば、pGEM(登録商標)、プロメガ社、USA)に挿入し、従来技術によって(サムブルック・ジェイ(Sambrook J.)他著、 Molecular Cloning: a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY)タンパク質発現用の適当な宿主細胞に形質転換することができる。適当な宿主細胞は、細菌、菌細胞、より高度な真核起源の細胞、好ましくは、哺乳動物細胞、を含む、培地中で成長可能で、外来DNAとの形質転換に対して従順可能なものである。あるいは、MTPは、適当なイン・ヴィトロ(転写及び)翻訳システム(例えば、E. coli S30 extract system、プロメガ社、USA)を使用してイン・ヴィトロで合成することができる。
「作動連結された」という用語は、DNA配列、例えば、発現ベクタや構造体、に適用される場合、その配列が、それらの意図される目的を達成するためにそれらが協働的に機能するように、構成されている、すなわち、プロモーター配列が、連結されたコード化配列を通して終止配列まで進行する転写の開始を可能にする、ということを示している。
MTPを選択し単離した後、治療用分子などの官能基を、このMTPに適当な手段によって取り付けることができる。前述したように、MTPは、抗体、酵素、又は小化学化合物などの、任意の適当な形態の治療用分子に共役することができる。好適な形態の治療用分子は、標的細胞中においてRNAiを誘導することが可能なsiRNA分子である。通常、siRNA分子を、MTPなどのペプチドに連結するために化学リンカーが使用される。例えば、前記核酸又はPNAを、前記ペプチドに、マレイミド基がペプチド側にあり、そして、チオールが核酸側にある、マレイミド−チオール連結、あるいは、フリーのシステイン基がペプチド側にありチオール基が核酸側にあるジスルフィド連結、を介してペプチドに連結することが可能である。
本発明の薬用製剤及び組成物は、規制基準に準拠するように調製され、経口、静脈内、局所的、又はその標準経路を介して投与することができる。前記薬用組成物は、錠剤、丸剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、散剤、座剤、懸濁剤、リポソーム剤、微粒子剤、当該技術において知られているその他の適当な製剤とすることができる。
したがって、本発明は、本発明の方法によって単離されたMTPの治療又は診断処置における利用も含む。具体的には、本発明は非移行成分(上述したように)を膜被包性コンパートメントの単数又は複数のコンパートメントに送達するためのMTPの利用法を提供する。好ましくは、前記膜被包性コンパートメントは、リポソーム又は細胞型の単数又は複数の集団である非移行成分、特に、siRNA分子などの治療分子を、標的細胞型又は集団に送達するための本発明によるMTPの使用が特に好適である。前記標的細胞又は細胞集団は、イン・ヴィヴォのもの、すなわち、動物又はヒトの対象、あるいは、エクス・ヴィヴォのもの、すなわち、それに再導入されるべく動物又はヒトの対象体から取り出されるものとすることができ、或いは、前記細胞、細胞集団又はリポソームはイン・ヴィトロのものである。当業者に知られている任意の投与経路も使用可能であろう。特に、標的細胞型又は集団のために好適な投与経路が好適に使用される。例えば、対象又は患者に対する好適な投与経路は、皮下注射、経口摂取又は座薬である。
例えば、対象のウイルス感染を治療するために、本発明のMTPを、適当な抗ウイルス剤に共役し、次に、MTPと抗ウイルス分子を、裸のままで、又は例えば人工リポソームに含ませて、対象体に投与することができる。同様に、対象がガンなどの細胞疾患を患っている場合には、本発明のMTPをsiRNA分子やその他の治療用物質などの適当な抗ガン分子/薬剤に共役して、適当な投与経路を介してその対象体に投与することができる。前記MTPは、又、それら自身、又は非移行成分を、細菌細胞に送達するために使用することもできる。このように、本発明のMTPを抗細菌剤に共役することによって対象体の細菌感染を治療することができる。
更にこの点に関して、時として、治療用分子に共役されたMTPなどの治療組成物、を対象体の特定の細胞型又は集団に送達することが必要である。これは、エクス・ヴィヴォで、例えば、前記治療組成物を、予め対象又は患者から取り出された細胞の集団に添加することによって、達成可能である。或いは、前述したように、MTPを、必要に応じて、特定の細胞型(単数又は複数)への移行のために選択することも可能である。更に別の構成において、MTPを、抗体分子、抗体フラグメント(例えば、Fab,F(ab),scFvなど)又はその他の適当な標的化剤に直接共役して、MTPと追加の共役された成分とが治療又は診断のために必要とされる特定の細胞集団に対して標的化されるように構成することも可能である。更に別の実施例では、MTPとその会合した非移行成分とを、リポソーム集団として構成することができ、ここで、リポソーム(例えば、リポソーム膜)は、追加的に、抗体又は抗体フラグメントなどの適当な標的化成分を含むものとされる。続いて、その結果得られるリポソームを、対象又は患者に対して適当に投与することができる。
好ましくは、上述した使用法において、MTPは、標的細胞型の内部で、例えば、酵素的開裂や還元細胞内環境によって開裂可能な相互作用を介して、前記非移行成分又は治療法分子に共役される。
次に、以下の非限定的例を参照にして本発明について更に詳述する。
特に明記されない限り、市販の試薬と分子生物学及び生化学における標準的技法が使用された。
材料と方法
本出願人によって使用された下記の手順は、前出のサムブルック・ジェイ(Sambrook, J.)他著、1989年:アガロースゲル上の制限酵素消化産物の分析とリン酸緩衝生理食塩水の調製、に記載されている。
汎用試薬は、シグマアルドリッチ社(Poole, Dorset, U.K.)から購入した。オリゴヌクレオチドは、ユーロジェンテック社 (Southampton, U.K.)から入手した。
アミノ酸とS30抽出物はプロメガ社 (Southampton, Hampshire, U.K.)から入手した。VentとTaq DNAポリメラーゼは、ニュー・イングランド・バイオラボ社(Cambridgeshire, U.K.)から購入した。FITC標識ペプチドは、PepscanSystems (Lelystad, Netherlands)から入手した。
例1
(i)MTP選択のためのCisディスプレイライブラリーの構築
ライブラリー構築とイン・ヴィトロ転写及び翻訳をオデグリップ(Odegrip)他著、(2004年、Proc. Natl. Acad, Sci USA, 第101巻、第2806〜2810頁)に、記載されているように行った。
tac−NNB−RepA−CIS−ori PCR構造体を、PCRによって、18−mer NNBライブラリー(ここでNは任意のヌクレオチドでありBはC,T又はGである)をtacプロモーターに付着させ、次に、PCR増幅後に、それをRepA−CIS−ori領域にライゲーションさせることによって調製した。
(ii)細胞膜移行能ペプチドの選択
イン・ヴィトロ転写と翻訳を、2μgのライブラリーDNAをE. coli S-30 lysate system中で30℃にて30分間まで実行し、次に、ブロッキング緩衝液(PBS中1%BSA)で希釈した。通常、2μgの直鎖状DNAを、50μlのS−30溶解液毎に添加した。発現されたライブラリーを、5μlのPBS洗浄ヒト赤血球細胞(RBC)に添加し、氷上で30分間インキュベートした。RBCを2000rpmで5分間遠心分離にかけ上清を取り除いた。
RBCペレットを、2mM のCaCl、2mMのMgCl及び1μgのD NaseIとを添加した200μlのPBS中で再懸濁させ、室温で15分間インキュベートした。前記細胞を、遠心分離によってPBSで一度洗浄して軟ペレットを形成し、そして、200μlのPBS中で再懸濁した。このRBC懸濁液を200μlのフタル酸ジブチル上に層状に置き、11000rpmで4分間遠心分離にかけた。水相を取り除き、RBCペレットをオイルからゆっくりとピペットで取り、100μlのPBS中に再懸濁させた。
細胞を500μlのPB緩衝液(キアゲン社)中で溶解し、DNAを、Qiagenカラムを使用して精製し、50μlの滅菌水中で再懸濁した。
平行選択において、前記RBCペレットを、DNaseIに代えて、1μg/mlのトリプシンで37℃にて30分間処理し、この時点で細胞を遠心分離(spun)し、上清を取り除き、ペレットを200μlのPBS中に再懸濁した。次に、細胞を、フタル酸ジブチルを介して遠心分離(spun)し、DNase処理細胞に関して上述したようにDNAを回収した。
N末端ライブラリー領域を両方のセレクションから別々に増幅し、オデグリップ(Odegrip)他著、(2004年、Proc. Natl. Acad, Sci.、USA、第101巻、第2806〜2810頁)に記載されているようにRepA−CIS−oriと再会合し、次のラウンドの選択のためのインプットDNAを作った。5ラウンドの選択後、回収されたDNAを、PCRを使用して増幅し、精製し、NotIとNcoIとで消化した。次に、前記DNAを同様に消化されたM13 gpVIIIファージミドベクターにライゲーションし、E. coli XL−1ブルー細胞へと形質転換し、2%グルコース、2×TY,100μg/mlのアンピシリンプレート上に蒔いた(plating)。個々のコロニーを、一晩成長させ、ファージミドDNAを単離し、シークエンシングによりペプチド配列を決定した。
(iii)膜移行能力の分析
選択されたペプチドを、N末端においてFIFCで合成標識化し、ジャーカット細胞を使用して細胞会合につきFACSによって分析した。ジャーカット細胞(100000)をPBS中で二回洗浄し、1%の胎仔ウシ血清を添加した100μlのPBS中で1μgの標識化ペプチドと15分間室温でインキュベートし、PBS中で二回洗浄し、ベクトン・ディッキンソン社 FACS分析器で分析した。次に、細胞に会合したペプチドを、細胞への内部移行をモニターするべく、固定化無しで蛍光顕微鏡分析によって観察した。
23のうちの9個のペプチドが細胞会合していた。これらの例を図1に示す。
図1は、非固定化ジャーカット細胞の蛍光顕微鏡分析とFACS分析を示している。ペプチド7,13及び19は、記載した方法によって単離された膜移行ペプチドの例である。標識化は、顕微鏡分析によって観察される細胞内の蛍光によって(左側及び中央の写真)、そして、FACSによる細胞の蛍光強度によって(右側のプロット図)によって見ることができる。FACS分析プロット図は、細胞のカウント数(y軸)に対するFITC−蛍光(x軸)を示している。ペプチド24はネガティブ対照FLAGエピトープペプチドであって、これは、顕微鏡による分析でもFACSによる分析によっても細胞を蛍光発光させない。
上述したように、DNaseI又はトリプシンのいずれかで平行選択を行って、細胞の溶解後におけるMTPの回収を汚染しないように、膜結合又は非移行ペプチド−repA−DNA複合体を除去した。内部移行したペプチドrepA−DNA複合体は、これらの酵素のいずれかによる処理に対して耐性を有するであろう。別の方法においては、DNaseIを使用してrepA DNAを消化してこれが増幅されることのないようにするか、もしくは、トリプシンを使用してペプチド−repAタンパク質と潜在的なタンパク質−タンパク質相互作用とを消化した。これは両方の方法が所望のMTPの選択を可能にするうえで有効であることが判った。
(iv)MTPの配列分析
膜移行能ペプチド(MTP)を配列分析のために選択して膜移行能ペプチド配列が公知の膜移行モチーフに類似の配列を有するものであるか否かを調べた。結果を図2に示す。
図示されているように、選択されたペプチド(D4,上列、配列識別番号1)は、HIV−TATタンパク質(下列)の公知の膜移行モチーフに対するいくらかの配列相同性(中列に示すように)を示した。
これらの結果は、更に、細胞膜移行活性を示す化合物を単離することについて記載した選択方法の有効性も示している。
ただし、記載した方法によって単離された他のMTPは公知の移行ドメインに対する配列相同性を示さなかったことが注目される。このことは、新規なクラスのMTPの同定を可能にするものである。
例2
(i)MTP選択のためのCisディスプレイライブラリーの構築
下記の例は、合成脂質膜を横断または貫通する能力を有するMTPの選択を記載するものである。ライブラリー構築とイン・ヴィトロ転写及び翻訳は、上述した例1と同様に行われる。
(ii)合成膜移行能ペプチドの選択
イン・ヴィトロ転写及び翻訳は、上述した例1と同様に行われる。
合成オイルコンパートメントのエマルジョンを、50μlのPBS(10μlの一定分量中)を、氷上で、低密度ミネラルオイル中、0.5%のTriton X−100と4.5%のSpan 80(トリオレイン酸ソルビタン)0.5ml、氷冷にゆっくりと添加し、1600r.p.m.で5分間撹拌することによって調製する。次に、そのエマルジョン混合物を3000gで5分間遠心分離(spun)し、管の底部にエマルジョンを残して油相を取り除く。前記イン・ヴィトロ転写翻訳混合物を、1mlのPBS中で前記エマルジョン混合物に添加し、ゆっくりと5回反転させることによって混合し、氷上で30分間インキュベートする。
次に、2.5μgのDNaseIに2mM のCaClと2mMのMgCl(最終濃度)とを添加し、室温で15分間インキュベートする。或いは、DNaseIの添加に対して、1μg/mlのトリプシンを添加し、37℃で30分間インキュベートする。
前記エマルジョンを1mlのPBSを添加し3000gで5分間遠心分離し、各回において洗浄溶液を除去することによって5回洗浄する。エマルジョンを、1mlのヘキサンを添加し、ボルテックスで撹拌し(vortexing)、短時間遠心分離にかけ、その後ヘキサン層を除去することによって破壊、洗浄する。この洗浄工程は、1〜2回以上繰り返すことができ、残余のヘキサンをSpeedvac(Farmingdale, NY)中での室温で5分間の乾燥によって除去する。
前記DNAは、100μlのPB緩衝液(キアゲン)の添加によって回収することができ、DNAを、例1記載したように次の回の選択のために準備することができる。
前記DNAを上記例1に記載したようにファージにクローニングする前に、前記選択処理を、例えば、5回繰り返す。
例1に記載したように、ペプチドの配列をシークエンシングすることによって同定し、ペプチドをテストすることができる。
非固定ジャーカット細胞のFACS分析と蛍光顕微鏡写真を示す図であり、ペプチド7,13及び19は、前記方法によって単離された膜移行ペプチドの例であり、ペプチド24は、ネガティブ対照FLAGエピトープペプチドである 本発明の方法によって選択された膜移行ペプチドと、HIV−TATの公知の膜移行成分とのペプチド配列比較を示す図

Claims (27)

  1. ペプチドディスプレイライブラリーから、膜移行活性を示す化合物を単離する方法であって、前記ライブラリーがディスプレイ対象ペプチドをコードする複数の核酸配列を含むものにおいて、前記方法は以下の工程を含む、
    a)複数の核酸構造物を発現する工程、
    ここで、各核酸構造物は前記核酸配列に作動連結されたプロモーター配列を含み、それにより前記複数の核酸構造物の発現によって複数の核酸−ペプチド複合体が形成され、各複合体はそのディスプレイ対象ペプチドをコードする対応の核酸構造物と会合した少なくとも一つのディスプレイ対象ペプチドを含む、
    b)前記複数の核酸−ペプチド複合体を膜被包性コンパートメントの集団に対して露出させ、移行反応を生じさせる工程、
    c)前記膜被包性コンパートメントと会合せずに留まっている核酸−ペプチド複合体を除去する工程、そして
    d)前記膜被包性コンパートメント内から、内部移行した核酸−ペプチド複合体を回収し、前記核酸配列によってコードされる前記ペプチドを、膜移行ペプチド(MTP)を含むものとして特徴付ける工程。
  2. 前記膜被包性コンパートメントの集団が、単数又は複数の細胞型の集団である請求項1に記載の方法。
  3. 前記単数又は複数の細胞型が、細胞層を含む請求項2に記載の方法。
  4. 前記工程(d)が、前記細胞層を通って移行する核酸−ペプチド複合体を回収するように改変される請求項3に記載の方法。
  5. 前記細胞が、Caco−2細胞である請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記膜被包性コンパートメントの集団が、リポソームの集団である請求項1に記載の方法。
  7. 前記工程(c)の後に、前記膜被包性コンパートメントの表面に結合しているが、まだ内部移行していない核酸−ペプチド複合体を除去する工程を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記除去が、前記膜被包性コンパートメントを、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、又はプロテアーゼとヌクレアーゼの組み合わせに対しての露出を含む請求項7に記載の方法。
  9. 前記コンパートメントの非水層を介した遠心分離によって、前記膜被包性コンパートメントから非−膜会合ペプチド−核酸複合体が分離される請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記非水層が、ミネラルオイルである請求項9に記載の方法。
  11. 前記ペプチドディスプレイライブラリーが、イン・ヴィトロペプチドディスプレイライブラリーである請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記イン・ヴィトロペプチドディスプレイライブラリーが、CIS イン・ヴィトロペプチドディスプレイライブラリーである請求項11に記載の方法。
  13. 前記工程(d)の単数又は複数の発現された膜移行ペプチドを、対応の核酸構造物と関連付け、それによって、前記膜移行ペプチド化合物に対する核酸配列を同定する工程を含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記MTPが、2〜50残基長のアミノ酸配列を含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記MTPが、2〜25残基長のアミノ酸配列を含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記MTPが、2〜20残基長のアミノ酸配列を含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能な膜移行ペプチド(MTP)又はその誘導体。
  18. 非移行成分に共役された請求項17に記載のMTP又はその誘導体。
  19. 前記共役された非移行成分が、治療用分子である請求項18に記載のMTP。
  20. 前記共役が、前記非移行成分又は治療用分子が細胞内に送達されるように、細胞の内部で開裂可能である請求項18又は19に記載のMTP。
  21. 前記共役が、ジスルフィド結合又は酵素的に開裂可能なペプチド結合である請求項20に記載のMTP。
  22. 前記治療用分子が、siRNA分子、ペプチド核酸、又は抗体或いは抗体フラグメントである請求項19〜21のいずれか一項に記載のMTP。
  23. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法によって入手可能なMTPをコードする核酸。
  24. 請求項23に記載の核酸を含む発現ベクター又は構造体。
  25. 単数又は複数のリポソーム及び請求項14〜19のいずれか一項に記載の単数又は複数のペプチドを含むリポソーム組成物。
  26. 抗体又は抗体フラグメントなどの標的成分を含む請求項25に記載のリポソーム組成物。
  27. 非移行成分を標的細胞に送達するための請求項17に記載のMTPの利用方法。
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