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JP2009530243A - アシル化単鎖インスリン - Google Patents

アシル化単鎖インスリン Download PDF

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JP2009530243A
JP2009530243A JP2008558800A JP2008558800A JP2009530243A JP 2009530243 A JP2009530243 A JP 2009530243A JP 2008558800 A JP2008558800 A JP 2008558800A JP 2008558800 A JP2008558800 A JP 2008558800A JP 2009530243 A JP2009530243 A JP 2009530243A
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ペーター マドセン,
トマス, ボーラム ケルセン,
ティナ, モラー タグモセ,
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ノボ・ノルデイスク・エー/エス
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Abstract

本発明は、連結ペプチドによって連結されたヒトインスリン又はそのアナログのB鎖及びA鎖を含み、ヒトインスリンA鎖のA12−A23位の少なくとも一つの天然アミノ酸残基に置換されているリジン残基がアシル化によって化学的に修飾されているアシル化単鎖インスリンに関する。

Description

(発明の分野)
本発明は、アシル化された単鎖インスリン並びにこのようなアシル化単鎖インスリンを含有する医薬組成物に関する。
(発明の背景)
現在、1型糖尿病及び2型糖尿病の双方の糖尿病の治療は、いわゆる強化インスリン療法に益々依存してきている。この治療法によれば、患者は、基礎インスリン必要量を補うための持続型インスリンの1日1回又は2回の注射を含む複数回の毎日のインスリン注射に、食事に関連したインスリン必要量を補うための速効型インスリンのボーラス注射が補填された治療を受ける。
持続型インスリン組成物は当該分野でよく知られている。しかして、持続型インスリン組成物の主要な一タイプは、インスリン結晶又は非晶質インスリンの注入可能な水性懸濁液を含む。これらの組成物において、典型的に利用されるインスリン化合物は、プロタミンインスリン、亜鉛インスリン又はプロタミン亜鉛インスリンである。
インスリン懸濁液の使用には、ある欠点がある。よって、精確な投薬を担保するためには、定まった容量の懸濁液がバイアルから抜き出されるか又はカートリッジから放出される前に、穏やかに振盪することによって、インスリン粒子を均質に懸濁させなければならない。また、インスリン懸濁液を保存する場合は、凝集体形成又は凝固を避けるために、温度を、インスリン溶液の場合よりもより狭い範囲内に保持しなければならない。
持続型インスリン組成物の他のタイプは、溶液の注射の際に、pH値の上昇のためにインスリンが沈殿してしまう生理学的pHより低いpH値の溶液である。これらの溶液の欠点は、注射時に組織内に形成される沈殿物の粒径分布、よって医薬の放出プロファイルが、注射部位の血流と他のパラメータに些か予測不能な形で依存することである。更なる欠点は、インスリンの固形粒子が局所的刺激物として作用して、注射部位に組織の炎症を引き起こすおそれがあることである。
持続型又は遅延性インスリン誘導体の更なるグループはアシル化インスリン誘導体である。ヒトインスリンは3つの第1級アミノ基を有している:A鎖及びB鎖のN末端基、及びB鎖のB29位にあるリジン残基のε-アミノ基である。B26からB30位の何れかのリジン残基のεアミノ基に結合した親油性置換基を含む可溶型インスリン誘導体は例えばWO95/07931、WO96/00107、WO97/31022、WO2005/012347及びEP894095に記載されている。これらの二本鎖インスリン誘導体は長時間にわたる作用プロファイルを有しており、生理学的pH値で可溶性である。
インスリンは、膵臓のβ細胞から分泌されるポリペプチドホルモンであり、二つの鎖間ジスルフィド架橋によって結合されたAとBの二つのポリペプチド鎖からなる。更に、A鎖は一つの鎖間ジスルフィド架橋を特徴とする。
ホルモンは、プレペプチドB-Arg Arg-C-Lys Arg-A(ここで、Cは31個のアミノ酸の連結ペプチドである)の構造の、24のアミノ酸のプレペプチドに86のアミノ酸を含むプロインスリンが続いてなる単鎖前駆体プロインスリン(プレプロインスリン)として合成される。Arg-Arg及びLys-Argは、A及びB鎖から連結ペプチドを切断して二本鎖のインスリン分子を形成するための切断部位である。インスリンは正常な代謝調節の維持に必須である。
インスリンの二本鎖構造によりインスリンが複数の立体構造を採ることが可能になっており、幾つかの発見は、インスリンがかなりの立体構造変化の性質を有していることと、そのような変化のためのポテンシャルの制限がインスリンレセプターに対する親和性をかなり減少させることを示している。プロインスリンは、インスリンレセプターに対する親和性が天然インスリンよりも100倍低い。
他方、未切断単鎖インスリン分子のより堅い構造はインスリン分子に増大した物理的及び化学的安定性を付与しうる。物理的及び化学的安定性は、インスリン製剤、利用可能なインスリン投与方法、並びに薬学的製剤の有効期間及び貯蔵条件に対して基本的なものである。インスリン投与の際の溶液の使用は、例えば高温、気液固相間変化並びに剪断力などの、例えばフィブリル化のような不可逆的立体構造変化を生じうる要因の組合せに分子をさらす。よって、インスリン分子の物理的及び化学的安定性は糖尿病のインスリン療法のための基本的な条件である。
改善された安定性と同時にヒトインスリンに匹敵するインスリン活性を有する単鎖インスリンがWO2005/054291に最近開示されている。他のタイプの単鎖インスリンがEP1193272、EP741188、WO95/16708及びWO2005/054291に開示されている。これらの単鎖インスリンは、該Cペプチド中の5-18、10-14又は5-11アミノ酸残基が修飾されたCペプチドを有していることを特徴とする。WO2005/054291は、親単鎖インスリン分子をアシル化することによって持続型になされた単鎖インスリンを製造することを更に示唆している。
インスリン活性、物理的安定性及び溶解性並びに遅延性作用プロファイルの双方に関して既知の化合物よりも改善された特性を有するアシル化単鎖インスリンの選択群を提供することが本発明の目的である。
(発明の概要)
一態様において、本発明は、連結ペプチドによって連結されたヒトインスリン又はそのアナログのB鎖及びA鎖を含み、A12−A23位の一つの天然アミノ酸残基に置換されているリジン残基がアシル化によって化学的に修飾されているアシル化単鎖インスリンに関する。
他の実施態様において、本発明は、ヒトインスリンA鎖のA12、A14、A15、A17、A18、A21、A22又はA23位にあるリジンアミノ酸残基がアシル化された、アシル化単鎖インスリンに関する。
他の実施態様において、本発明は、ヒトインスリンA鎖のA18、A21、A22又はA23位にあるリジンアミノ酸残基がアシル化された、アシル化単鎖インスリンに関する。
さらなる態様において、本発明は、ヒトインスリンA鎖のA18位にあるリジンアミノ酸残基がアシル化された、アシル化単鎖インスリンに関する。
さらなる態様において、本発明は、ヒトインスリンA鎖のA22位にあるリジンアミノ酸残基がアシル化された、アシル化単鎖インスリンに関する。
また、本発明のアシル化単鎖インスリンは、B鎖のB29位にある天然リジンアミノ酸残基がアシル化されていてもよい。
しかしながら、ヒトインスリンB鎖のB29位にある天然リジン基をアシル化することが望ましくない場合は、このアミノ酸残基は、他のアミノ酸残基で置き換えられていてもよい。適切に置換されるアミノ酸残基はAla、Arg、Gln及びHisである。また、B29位にあるリジンアミノ酸残基は、インスリンA鎖の所望する位置A8、A9又はA10にあるリジン残基をアシル化する前に、よく知られている技術によりブロックし、続いて所望の位置をアシル化した後に脱ブロックしてもよい。
さらなる実施態様において、B30位にあるアミノ酸残基は欠失している。
一実施態様において、アシル基は、約6〜約32の炭素原子を有する脂肪酸部分から誘導される親油性基である。
他の実施態様において、脂肪酸部分は、6〜24、8〜20、12〜20、12-16、10−16、10−20、14−18、又は14−16の炭素原子を有する。
アシル基はアミド結合を介して当該リジン基のεアミノ基に直接結合されてもよい。アシル基はまた、アミド結合を介してアシル基と親インスリン分子に共に結合するリンカー基を介してリジン基に結合されてもよい。
一実施態様では、アシル基は、アミノ酸リンカー、例えばγ-又はα-グルタミルリンカーを介して、又はβ-又はα-アスパルチルリンカーを介して、又はα-アミド-γグルタミルリンカーを介して、又はα-アミド-β-アスパルチルリンカーを介してリジン残基に結合されている。
連結ペプチドの長さは、3アミノ酸残基からヒトインスリンの天然Cペプチドの長さに相当する長さまで変化し得る。しかしながら、本発明のアシル化単鎖インスリンにおける連結ペプチドは、通常、ヒトCペプチドよりも短く、典型的には、ペプチド鎖中に、3〜約35、3〜約30、4〜約35、4〜約30、5〜約35、5〜約30、6〜約35又は6〜約30、3〜約25、3〜約20、4〜約25、4〜約20、5〜約25、5〜約20、6〜約25又は6〜約20、3〜約15、3〜約10、4〜約15、4〜約10、5〜約15、5〜約10、6〜約15又は6〜約10、又は6−9、6−8、6−7、7−8、7−9、又は7−10のアミノ酸残基を有するであろう。
有用な連結ペプチドの非限定的な例は、配列:VGLSSGQ(配列番号1)及びTGLGSGR(配列番号2)である。
また更なる側面では、本発明は、本発明のアシル化単鎖インスリンと適切なアジュバント及び添加剤、例えば安定化、保存又は等張のために適した一又は複数の薬剤、例えば亜鉛イオン、フェノール、クレゾール、パラベン、塩化ナトリウム、グリセロール又はマンニトールを含有する薬学的製剤に関する。製剤の亜鉛含量は、インスリン六量体当たり0〜約6個の亜鉛原子でありうる。薬学的製剤のpHは約4〜約8.5、約4〜約5、又は約6.5〜約7.5でありうる。
さらなる実施態様において、本発明は、哺乳動物の血糖値を低減させるための、特に糖尿病を治療するための医薬としての、アシル化単鎖インスリンの使用に関する。
更なる側面では、本発明は、哺乳動物の血糖値を低減するため、特に糖尿病の治療のための医薬製剤の調製のためのアシル化単鎖インスリンの使用に関する。
更なる実施態様では、本発明は、治療を必要とする患者に本発明に係るアシル化単鎖インスリンの治療的活性用量を投与することにより哺乳動物の血糖値を低減する方法に関する。
本発明の更なる側面では、アシル化単鎖インスリンは、任意の適切な比で一又は複数種の更なる活性物質と併用されて投与される。かかる更なる活性剤は、ヒトインスリン、速効型インスリンアナログ、抗糖尿病薬、抗脂質異常症薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、糖尿病から生じるか糖尿病に関連する合併症の治療剤から選択されうる。
一実施態様において、2つの活性成分は、混合医薬製剤として投与される。他の実施態様において、2つの成分は同時又は連続して、別個に投与される。
一実施態様では、本発明のアシル化単鎖インスリンは、速効型ヒトインスリン又はインスリンアナログと共に投与されうる。かかる速効型インスリンアナログは、B28位のアミノ酸残基がAsp、Lys、Leu、Val、又はAlaであり、B29位のアミノ酸残基がLys又はProであるようなもの、des(B28-B30)、des(B27)又はdes(B30)ヒトインスリン、及びB3位がLysでB29位がGlu又はAspであるアナログでありうる。
本発明に係るアシル化単鎖インスリンと速効型ヒトインスリン又はインスリンアナログは約90/10%、約70/30%又は約50/50%の比で混合されうる。
抗糖尿病薬には、インスリン、WO98/08871、WO99/43706、US5424286及びWO00/09666に記載されたGLP-1(1-37)(グルカゴン様ペプチド-1)、GLP-2、エキセンディン-4(1-39)、そのインスリン分泌促進断片、そのインスリン分泌促進アナログ及びそのインスリン分泌促進誘導体が含まれる。GLP-1(1-37)のインスリン分泌促進断片は、全配列がGLP-1(1-37)の配列に見出すことができ、少なくとも一つの末端アミノ酸が欠失されているインスリン分泌促進ペプチドである。
(発明の記載)
本発明のアシル化単鎖インスリンアナログは、インスリン分子の表面に位置し、単鎖インスリン分子の六量体形成に干渉しないA鎖の所定の領域がアシル化されている。
単鎖インスリンは、よく知られた技術によってアシル化され、アシル基は典型的には直鎖状又は分枝状であり得、少なくとも2個の炭素原子を有するモノ又はジカルボン脂肪酸から誘導される。
アシル基は親油性基であってよく、少なくとも一の遊離の脂肪酸基、又は中性のpHで負に荷電している基を有していてもよい約6〜約32の炭素原子を有するモノカルボキシル又はジカルボキシル脂肪酸部分でありうる。
脂肪酸は更に飽和又は不飽和であり得、OやSのような一又は複数のヘテロ原子と一又は複数の複素環系を含みうる。
モノカルボン酸脂肪酸の非限定的例は、カプリン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、及びテトラデカン酸である。
ジカルボン酸脂肪酸の非限定的例は、コハク酸、ヘキサン二酸、オクタン二酸、デカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、及びオクタデカン二酸である。
脂肪酸部分は、典型的には6〜24、8〜20、12〜20、12−16、10−16、10−20、14−18、又は14−16の炭素原子を有するであろう。
アシル基は、nが4〜24であるCH(CH)CO-、例えばCH(CH)CO-、CH(CH)CO-、CH(CH)10CO-、CH(CH)12CO-、CH(CH)14CO-、CH(CH)16CO-、CH(CH)18CO-、CH(CH)20CO-、及びCH(CH)22CO-からなる群から選択される親油性置換基でありうる。
一実施態様において、アシル基は直鎖状又は分枝状のα,ω-ジカルボン酸である。他の実施態様において、アシル基は、mが2〜24である式HOOC(CH)CO-、例えばHOOC(CH)14CO-、HOOC(CH)16CO-、HOOC(CH)18CO-、HOOC(CH)20CO-及びHOOC(CH)22CO-を有していてもよい。
最後に、アシル基はリトコール酸によるものであってもよい。
アシル基はリンカー分子、例えば適当なアミノ酸残基によって単鎖インスリンに結合されうる。一側面では、リンカーは、一つが遊離カルボン酸基又は中性pHで負に荷電している基を含みうるアミド結合を介して共に結合した1−4のアミノ酸残基を含む。
他の側面において、リンカーはアミノ酸残基、2−4のアミノ酸残基のペプチド鎖であり、又はα-Asp;β-Asp;α-Glu;γ-Glu;α-hGlu;δ-hGlu;-N(CHCOOH)CHCO-;-N(CHCHCOOH)CHCHCO-;-N(CHCOOH)CHCHCO-又は-N(CHCHCOOH)CHCO-である。
更なる側面では、リンカーは、一方が4〜10の炭素原子と側鎖にカルボン酸基を有する一方、他方が2〜11の炭素原子を有するが遊離のカルボン酸基を含まない2個のアミノ酸残基からなる鎖でありうる。遊離のカルボン酸基を含まないアミノ酸残基は中性のα-アミノ酸残基でありうる。かかるリンカーの例は、α-Asp-Gly;Gly-α-Asp;β-Asp-Gly;Gly-β-Asp;α-Glu-Gly;Gly-α-Glu;γ-Glu-Gly;Gly-γ-Glu;α-hGlu-Gly;Gly-α-hGlu;δ-hGlu-Gly;及びGly-δ-hGluである。
更なる側面では、リンカーは、独立して4〜10の炭素原子を有し、共に側鎖中にカルボン酸基を有する2個のアミノ酸残基からなる鎖である。これらのアミノ酸残基の一方又はそれらの双方がα-アミノ酸残基でありうる。かかるリンカーの例は:α-Asp-α-Asp;α-Asp-α-Glu;α-Asp-α-hGlu;α-Asp-β-Asp;α-Asp-γ-Glu;α-Asp-δ-hGlu;β-Asp-α-Asp;β-Asp-α-Glu;β-Asp-α-hGlu;β-Asp-β-Asp;β-Asp-γ-Glu;β-Asp-δ-hGlu;α-Glu-α-Asp;α-Glu-α-Glu;α-Glu-α-hGlu;α-Glu-β-Asp;α-Glu-γ-Glu;α-Glu-δ-hGlu;γ-Glu-α-Asp;γ-Glu-α-Glu;γ-Glu-α-hGlu;γ-Glu-β-Asp;γ-Glu-γ-Glu;γ-Glu-δ-hGlu;α-hGlu-α-Asp;α-hGlu-α-Glu;α-hGlu-α-hGlu;α-hGlu-β-Asp;α-hGlu-γ-Glu;α-hGlu-δ-hGlu;δ-hGlu-α-Asp;δ-hGlu-α-Glu;δ-hGlu-α-hGlu;δ-hGlu-β-Asp;δ-hGlu-γ-Glu;及びδ-hGlu-δ-hGluである。
更なる側面では、リンカーは、独立して4〜10の炭素原子を有する3個のアミノ酸残基からなる鎖であり、該鎖のアミノ酸残基は、中性側鎖を有する残基及び側鎖にカルボン酸基を有する残基から選択され、鎖は側鎖にカルボン酸基を有する少なくとも一つの残基を有している。一側面では、アミノ酸残基はα-アミノ酸残基である。
更なる側面では、リンカーは、独立して4〜10の炭素原子を有する4個のアミノ酸残基からなる鎖であり、該鎖のアミノ酸残基は、中性側鎖を有する残基及び側鎖にカルボン酸基を有する残基から選択され、鎖は側鎖にカルボン酸基を有する少なくとも一つの残基を有している。一側面では、アミノ酸残基はα-アミノ酸残基である。
リンカーは、カルボン酸又はカルボキシアミド基で置換されていてもよい一又は複数の芳香環系を含みうる。
よって、リンカー及びアシル基は、式CH(CH)CONH-CH(COOH)-(CH)CO-を有するものであってよく、ここでnは4−24、10−24又は8−24の整数であり、pは1−3の整数である。他の実施態様において、リンカー及びアシル基は、式HOOC(CH)CONH-CH(COOH)-(CH)CO-を有するものであり、ここでnは4−24の整数であり、pは1−3の整数である。他の実施態様において、リンカー及びアシル基の組合せは、nは4−24の整数であり、pは1−3の整数である、式CH(CH)CONH-CH(CH)(COOH)CO-を有するもの、又はnが4−24の整数であり、pが1−3の整数である、式HOOC(CH)CONH-CH((CH)COOH)CO-を有する。
本発明での使用に適したアシル基及びリンカーは、WO95/07931、WO96/00107、WO97/31022、WO2005/012347及びEP894095に開示されている。
本発明に係る単鎖インスリンのアシル化は米国特許第5750497号及び同第5905140号に開示された方法と同様の方法によって製造することができる。アシル化の方法は更に実験欄に記載している。
上述したように、連結ペプチドはアミノ酸配列の長さと組成が変動しうる。本発明に適した連結ペプチドの非限定的な例はWO2005/054291に開示されている。
本発明のアシル化単鎖インスリンの非限定的例は:
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A21K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A21K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A21K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A22K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A22K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A22K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A22G-A23K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A22G-A23K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A22G-A23K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A18K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A18K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A18K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A21K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A21K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A21K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A22K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A22K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A22K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A22G-A23K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A22G-A23K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29A-TGLGSGR-A(1-21)-A22G-A23K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A21K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A21K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A21K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A22K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A22K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A22K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A22G-A23K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A22G-A23K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-VGLSSGQ-A(1-21)-A22G-A23K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-)-A18K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-)-A18K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-)-A18K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-A21K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-A21K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-A21K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-A22K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-A22K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-A22K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)ミリストイル)-ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)オクタデカンジオイル)-ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)-ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-VGLSSGQ-A(1-21)-A21K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-VGLSSGQ-A(1-21)-A21K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-VGLSSGQ-A(1-21)-A21K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-VGLSSGQ-A(1-21)-A22K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-VGLSSGQ-A(1-21)-A22K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-VGLSSGQ-A(1-21)-A22K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-TGLGSGR-A(1-21)-A18K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-TGLGSGR-A(1-21)-A18K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-TGLGSGR-A(1-21)-A18K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-TGLGSGR-A(1-21)-A21K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-TGLGSGR-A(1-21)-A21K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-TGLGSGR-A(1-21)-A21K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-TGLGSGR-A(1-21)-A22K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン;
B(1-29)-B29Q-TGLGSGR-A(1-21)-A22K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン;及び
B(1-29)-B29Q-TGLGSGR-A(1-21)-A22K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-γ-L-Glu)ヒトインスリン;
である。
親単鎖インスリンは、例えば欧州特許第1692168号又は米国特許第6500645号に記載されているようなよく知られている技術により、適切な宿主細胞に、当該問題の単鎖インスリンをコードするDNA配列を発現させることにより生成される。単鎖インスリンは、直接、又はB鎖においてN末端伸展を有する前駆分子として発現される。このN末端伸展は、直接発現する生成物の収率を増加させる機能を有している場合があり、15アミノ酸残基長までのものであってもよい。N末端伸展は培養ブロスからの単離後、インビトロで切断されることになり、よってB1の隣に切断部位を有する。本発明に適したタイプのN末端伸展は、米国特許第5395922号及び欧州特許第765395A号に開示されている。
単離されたインスリン前駆体は、当該分野でよく知られているように所望の位置でアシル化でき、そのようなインスリンアナログの例は、例えば公開番号EP214826、EP375437及びEP383472を有する欧州特許出願に記載されている。
それぞれのインスリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、確立された標準的な方法、例えばBeaucageら, (1981) Tetrahedron Letters 22:1859-1869により記載されているホスホアミダイト法、又はMatthesら, (1984) EMBO Journal 3:801-805により記載されている方法により、合成的に調製されてよい。DNAコンストラクトを調製する現在の好ましい方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による。
また、ポリヌクレオチド配列は、ゲノム、cDNA、及び合成の混合由来のものであってよい。例えば、リーダーペプチドをコードするゲノム又はcDNA配列を、A鎖及びB鎖をコードするゲノム又はcDNA配列に結合させた後、よく知られた手順に従って相同組換えのために所望のアミノ酸配列をコードする合成オリゴヌクレオチドを挿入し、又は好ましくは適当なオリゴヌクレオチドを使用するPCRによって所望の配列を生産することによって、DNA配列を改変させることができる。
選択された微生物又は宿主細胞中で複製可能であり、当該インスリンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を担持する組換えベクターは、自己複製ベクター、例えばプラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、又は人工染色体でありうる。ベクターは自己複製を確実にする任意の手段を含みうる。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されたときに、ゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体と共に複製されるものでありうる。ベクターは直鎖又は閉環状プラスミドでありうる。
一実施態様では、組換え発現ベクターは酵母中で複製可能である。ベクターを酵母中で複製させることができる配列の例は酵母プラスミド2μm複製遺伝子REP1−3及び複製起点である。
ベクターは、形質転換細胞の選択を容易にする一又は複数の選択可能マーカーを含みうる。細菌性選択マーカーの例は、枯草菌又はバチルス・リケニホルミス由来のdal遺伝子、又はアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性等、抗生物質耐性を付与するマーカーである。酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3である。酵母によく適した選択マーカーは、シゾサッカロミセス・ポンベTPI遺伝子(Russel (1985) Gene 40:125-130)である。
ベクター中において、ポリヌクレオチド配列は適切なプロモーター配列に作用可能に結合している。プロモーターは、変異、切断、及びハイブリッドプロモーターを含む選択宿主細胞中で転写活性を示す任意の核酸配列であり得、宿主細胞に相同か又は異種性である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。酵母宿主では、有用なプロモーターは、サッカロミセス・セレビシエMa1、TPI、ADH又はPGKプロモーターである。
ポリヌクレオチドコンストラクトはまた典型的には適切なターミネーターに作用可能に連結される。酵母において、適切なターミネーターはTPIターミネーター(Alber等 (1982) J. Mol. Appl. Genet. 1:419-434)である。
かかるポリヌクレオチド配列を含むベクターを、ベクターが染色体組み込み体として又は先に記載されたように自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入する。「宿主細胞」なる用語は、複製中に生じる変異のために親細胞と同一ではない親細胞の任意の子孫を包含する。宿主細胞は典型的には酵母細胞である。本発明の方法において使用される酵母生物は、培養で多量の本発明の単鎖インスリンを生産する任意の適切な酵母生物でありうる。適切な酵母生物の例は、酵母種サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・クルイベリ(kluyveri)、シゾサッカロミセス・ポンベ、サッカロミセス・ウバルム(uvarum)、クリベロミセス・ラクチス、ハンゼヌラ・ポリモルファ(polymorpha)、ピキア・パストリス、ピキア・メタノリカ(methanolica)、ピキア・クルイベリ、ヤロウイア・リポリティカ(lipolytica)、カンジダ属、トルラ酵母、カンジダ・カカオイ(cacaoi)、ゲオトリクム属、及びゲオトリクム・フェルメンタンス(fermentans)から選択される菌株である。
酵母細胞の形質転換は、例えば原形質形成と続く形質転換によりそれ自体知られている形でなされうる。細胞を培養するのに使用される培地は酵母生物を増殖させるのに適した任意の一般的培地であり得る。分泌されるインスリンポリペプチドは、その有意な割合が正しくプロセシングされた形態で培地中に存在するが、遠心分離、濾過による培地からの酵母細胞の分離、又はイオン交換マトリックス又は逆相吸収マトリックスによるインスリン前駆体の捕捉、例えば硫酸アンモニウムのような塩による上清又は濾液のタンパク質性成分の沈殿と、続く例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等のような様々なクロマトグラフィー法による精製を含む、一般的な手順により培地から回収されうる。
医薬組成物
この発明のアシル化単鎖インスリンを含む医薬組成物は、インスリンに感受性である状態の治療に使用することができる。よって、該組成物は、1型糖尿病、2型糖尿病及び例えば重篤に傷害を被った人及び大手術を受けた人にしばしば見られる高血糖症の治療に使用することができる。任意の患者に対する最適な用量レベルは、用いられる特定のインスリン誘導体の効能、年齢、体重、身体活動性、及び患者の食事を含む様々な要因、他の薬剤との併用の可能性、治療される状態の重篤度に依存する。この発明のアシル化単鎖インスリンの毎日の投薬量が、既知のインスリン組成物に対するものと同様の方法で当業者によって各個々の患者に対して決定されることが推奨される。
本発明に係るアシル化単鎖インスリンを含む医薬組成物は、かかる治療を必要とする患者に非経口的に投与されうる。非経口投与は、シリンジによる皮下、筋肉内又は静脈内注射によって実施することができる。通常は、医薬組成物は皮下的に投与される。しかしながら、本発明のアシル化単鎖インスリンはまた肺投与用に製剤化することもできる。
他の実施態様では、医薬製剤は、予め充填された又は使い捨てのものであってもよいペン状注射器で使用することができ、あるいはインスリン調製物は、取り除くことができる容器から供給されうる。ペン状注射器の非限定的な例は、FlexPen(登録商標)、InnoLet(登録商標)、InDuoTM、Innovo(登録商標)である。
この発明のアシル化単鎖インスリンは、乾燥パウダー吸入器又はスプレーにより送達されてもよい。水性インスリン誘導体の肺投与に適した装置は、AerX(登録商標)装置である。
投与に適した商業的に入手可能な吸入装置の他の例は、TurbohalerTM(Astra)、Rotahaler(登録商標)(Glaxo)、Diskus(登録商標)(Glaxo)、 SpirosTM吸入器(Dura)、Inhale Therapeuticsから市販されている装置、Ultravent(登録商標)ネブライザー(Mallinckrodt)、Acorn II(登録商標)ネブライザー(Marquest Medical Products)、Ventolin(登録商標)定量吸入器(Glaxo)、Spinhaler(登録商標)パウダー吸入器(Fisons)等である。
本発明のアシル化単鎖インスリンの注射用組成物は、所望する最終生成物が得られるように成分を溶解し混合することを含む製薬工業の常套的な技術を使用して調製することができる。よって、一手順によれば、本発明に係るアシル化単鎖インスリンは、調製される組成物の最終容量よりも幾分少ない量の水に溶解される。必要に応じて、等張剤、保存料及びバッファーが添加され、必要ならば、塩酸等の酸、又は水酸化ナトリウム水等の塩基を使用して、溶液のpH値が調節される。最後に、溶液の容量は、所望の濃度の成分が得られるように水で調節される。
本発明のアシル化単鎖インスリンの医薬組成物は通常のアジュバント及び添加剤を含み、好ましくは水溶液として製剤化される。水性媒体は、例えば塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム又はグリセロールを用いて等張にされる。更に、水性媒体は亜鉛イオン、バッファー及び保存料を含みうる。組成物のpH値は所望値に調節され、当該単鎖インスリンの等電点pIに応じて約4〜約8.5、好ましくは7〜7.5でありうる。
従って、この発明はまた本発明のアシル化単鎖インスリン及び場合によっては安定化、保存又は等張に適した一又は複数種の薬剤、例えば亜鉛イオン、フェノール、クレゾール、パラベン、塩化ナトリウム、グリセロール又はマンニトールを含む医薬組成物にも関する。本発明の製剤の亜鉛含量はインスリン六量体当たり0〜約6個の亜鉛原子でありうる。アシル化単鎖インスリンはまたWO2003027081に開示されたIFDリガンドを用いて製剤化することもできる。
本発明に係る医薬調製物に使用されるバッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン(bicine)、トリシン、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、又はそれらの混合物からなる群から選択されうる。
薬学的に許容可能な保存料は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、及びチオメロサール(thiomerosal)、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(3p-クロロフェノキシプロパン-1,2-ジオール)又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。本発明の更なる実施態様では、保存料は、0.1mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる態様では、保存料は、0.1mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる態様では、保存料は5mg/ml〜10mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる態様では、保存料は10mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在している。これらの特定の保存料の各一が本発明の別の態様を構成する。医薬組成物に保存料を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
等張剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖又は糖アルコール、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)ポリエチレングリコール(例えばPEG400)、又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。任意の糖、例えば単糖類、二糖類又は多糖類、又は水溶性グルカン類、例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、及びカルボキシメチルセルロース-Naを使用することもできる。一実施態様では、糖添加剤はスクロースである。糖アルコールは、少なくとも一の-OH基を有するC4-C8炭化水素と定義され、例えばマンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール(galactitol)、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールを含む。一実施態様では、糖アルコール添加剤はマンニトールである。上述の糖又は糖アルコールは、個々に又は組合せて使用することができる。糖又は糖アルコールが液状調製物に可溶性であり、本発明の方法を使用して達成される安定化効果に悪影響を与えない限りは、使用量に決まった限界はない。一実施態様では、糖又は糖アルコールの濃度は、約1mg/ml〜約150mg/mlである。本発明の更なる実施態様では、等張化剤は1mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる実施態様では、等張剤は1mg/ml〜7mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる実施態様では、等張剤は8mg/ml〜24mg/mlの濃度で存在している。本発明の更なる実施態様では、等張剤は25mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在している。これらの特定の等張化剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。医薬組成物に等張化剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, 1995が参照される。
医薬組成物は、約120nmol/ml〜約2400nmol/ml、約400nmol/ml〜約2400nmol/ml、約400nmol/ml〜約1200nmol/ml、約600nmol/ml〜約2400nmol/ml、又は約600nmol/ml〜約1200nmol/mlの本発明に係るアシル化単鎖インスリン、又は速効型インスリンアナログと本発明に係るアシル化単鎖インスリンの混合物を含む溶液であり得る。
この発明のアシル化単鎖インスリンが他の治療形態と組み合わされるときはいつでも、この投与は、治療される患者内にその組合せた作用を生じるのに効果的な形で、同時又は連続であり得る。
一実施態様では、アシル化単鎖インスリンは、ヒトインスリン又は上述のヒトインスリンの速効型アナログと併用されて、予め混合された調製物として、又は二つの別個の調製物の実質的に同時の投与によって、又は連続的投与(つまり投与が時間的に分離)によって、投与されうる。薬剤は、その組み合わせた存在とその組み合わせた作用を生じるのに効果的な量と効果的な時間に提供されるであろう。
本発明に係るアシル化単鎖インスリンはまたチアゾリジンジオン、メトホルミンのような経口抗糖尿病薬及び経口治療のための他の2型糖尿病医薬製剤との併用治療に使用することもできる。
更に、本発明に係るアシル化単鎖インスリンは、一又は複数の抗肥満薬又は食欲調節剤と併用されて投与されうる。
そのような薬剤は、CART(コカインアンフェタミン調節転写)アゴニスト、NPY(神経ペプチドY)アンタゴニスト、MC3(メラノコルチン3)アゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP(コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、β3アドレナリン作動性アゴニスト、例えばCL-316243、AJ-9677、GW-0604、LY362884、LY377267又はAZ-40140、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)アゴニスト、MCH(メラノサイト集中ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再摂取インヒビター(フルオキセチン、セロザット又はシタロプラム)、セロトニン及びノルエピネフェリン再摂取インヒビター、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長因子、例えばプロラクチン又は胎盤ラクトゲン、成長ホルモン放出化合物、TRH(チロトロピン放出ホルモン)アゴニスト、UCP2又は3(脱共役タンパク質2又は3)モジュレーター、レプチンアゴニスト、DA(ドーパミン)アゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼインヒビター、PPARモジュレーター、RXRモジュレーター、TRβアゴニスト、アドレナリン作動性CNS刺激薬、AGRP(アグーチ関連タンパク質)インヒビター、H3ヒスタミンアンタゴニスト、例えばWO00/42023、WO00/63208及びWO00/64884(出典明示によりここに援用する)に開示されているもの、エキセンジン(exendin)-4、GLP-1アゴニスト、毛様神経栄養因子、及びオキシントモジュリンからなる群から選択することができる。更なる抗肥満薬は、ブプロピオン(抗うつ薬)、トピラメート(抗けいれん薬)、エコピパム(ecopipam)(ドーパミンD1/D5アンタゴニスト)及びナルトレキソン(オピオイドアンタゴニスト)である。
一実施態様では、抗肥満薬はレプチン、セロトニン及びノルエピネフリン再摂取インヒビター、例えばシブトラミン、リパーゼインヒビター、例えばオルリスタット、アドレナリン作動性CNS刺激薬、例えばデキサアンフェタミン、アンフェタミン、フェンテルミン、マジンドール、フェンジメトラジン、ジエチルプロピオン、フェンフルラミン又はデキシフェンフルラミンである。
食事制限及び/又は運動、上述の化合物の一又は複数及び場合によっては一又は複数の他の活性物質とアシル化単鎖インスリンの任意の適切な組合せが本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
ここで使用される「インスリン」とは、CysA7とCysB7の間と、CysA20とCysB19の間にジスルフィド架橋を、またCysA6とCysA11の間に内部ジスルフィド架橋を有するヒトインスリン、ブタインスリン、及びウシインスリンを意味する。
ここで使用される「インスリンアナログ」とは、天然インスリン中に生じる少なくとも一つのアミノ酸残基を欠失させ、及び/又は置換することにより、及び/又は少なくとも一つのアミノ酸残基を付加することによって、天然に生じるインスリン、例えばヒトインスリンの構造から形式的には誘導することができる分子構造を有するポリペプチドを意味する。付加された及び/又は置換されたアミノ酸残基は、コード可能なアミノ酸残基又は他の天然に生じるアミノ酸残基又は純粋に合成のアミノ酸残基の何れかでありうる。
単鎖インスリンとは、BがヒトBインスリン鎖又はそのアナログ又は誘導体であり、AがヒトインスリンA鎖又はアナログ又は誘導体であり、CがB鎖中のC末端アミノ酸残基(通常はB30)をA1に連結するペプチド鎖である一般構造B-C-Aのポリペプチド配列を意味する。B鎖がdesB30鎖である場合、連結ペプチドはB29をA1に連結する。単鎖インスリンは、CysA7とCysB7の間及びCysA20とCysB19の間にあるヒトインスリンにおけるように正しく位置決めされたジスルフィド架橋(3つ)及びCysA6とCysA11の間の内部ジスルフィド架橋を含む。
B鎖のアナログは、B1中のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基、例えばAsp又はGlyで置換され又は欠失されているようなものでありうる。またB3位のAsnはThr、Gln、Glu又はAspで変異されうる。B鎖はまたN末端伸展を含み、またB30アミノ酸残基は欠失されうる。
A鎖のアナログは、A18位のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基、例えばGlnで置換されているようなものでありうる。また、A21位のAsnがAla、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Met、Ser、Thr、Trp、Tyr又はVal、特にGly、Ala、Ser、又はThrで、好ましくはGlyで変異されうる。A鎖は、それぞれA23及びA23と示される一又は二のアミノ酸残基で、そのC末端が伸長され得る。A22又はA23のいずれかは、本発明に従いアシル化されうる。A23がアシル化されている場合、A22位のアミノ酸は、Cys及びLysを除く任意のアミノ酸残基によりうる。
desB30又はB(1−29)とは、B30アミノ酸残基を欠く天然インスリンB鎖又はそのアナログを意味し、A(1−21)は天然インスリンA鎖又はそのアナログ又はその誘導体を意味する。アミノ酸残基は3文字アミノ酸記号又は1文字アミノ記号で示される。
B1、A1等とは、それぞれインスリンのB鎖の1位(N末端から数える)のアミノ酸残基及びインスリンのA鎖の1位(N末端から数える)のアミノ酸残基を意味する。
単鎖インスリンは次の規則に従って命名される:配列はB鎖で始まり、C-ペプチドで続き、A鎖で終了する。アミノ酸残基はヒトインスリン中のその各対応物に因んで命名され、変異及びアシル化が明示的に記載される一方、A鎖及びB鎖中の未変化アミノ酸残基は言及されない。例えば、ヒトインスリンと比較して次の変異:A21G、A8Lys、A18Q、desB30、及びC末端B鎖とN末端A鎖を連結する連結TGLGSGR(配列番号2)を有するインスリンは、B(1-29)-TGLGSGR−A(1−21)-A8Lys,A18Q,A21Gヒトインスリンと命名される。
アシル化は、アミノ基又はヒドロキシル基の水素がアシル基と交換される化学反応と理解される。
脂肪酸とは、少なくとも2個の炭素原子を有し飽和又は不飽和である直鎖状又は分枝状カルボン酸を意味する。
脂肪二酸とは、少なくとも2個の炭素原子を有し飽和又は不飽和である直鎖状又は分枝状ジカルボン酸を意味する。
速効型インスリンとは、通常の又は定型的なヒトインスリンよりも作用発生が速いインスリンを意味する。
持続性インスリンとは、通常の又は定型的なヒトインスリンよりも作用の期間が長いインスリンを意味する。
連結ペプチドとは、B鎖のC末端アミノ酸残基をA鎖のN末端アミノ酸残基に連結するペプチド鎖を意味する。
ここで使用される基礎インスリンなる用語は、8時間を超え、特に少なくとも9時間の作用時間を有するインスリンペプチドを意味する。好ましくは、基礎インスリンは少なくとも10時間の作用時間を有する。基礎インスリンはよって9から15時間の範囲の作用時間を有しうる。
親インスリンとは、本発明に係るアミノ酸残基組成中に改変を有する単鎖インスリンペプチド骨格を意味する。
インスリン活性を有する単鎖インスリンとは、例えば静脈内又は皮下投与による適切な投与後に、ラット、ウサギ又はブタモデルでありうる適切な動物モデルで測定して、哺乳動物中の血糖値を低下させる能力を有する単鎖インスリンを意味する。
中性pHで可溶性とは、0.6mMの単鎖インスリンが中性pHで可溶性であることを意味する。
高い物理的安定性とは、フィブリル化の傾向がヒトインスリンのものの50%未満であることを意味する。フィブリル化は与えられた条件でフィブリル形成が開始される前の遅延時間によって記述することができる。
親油性という用語は、当該生成物が脂質に溶解可能であることを意味する。
フィブリル化とは、部分的に折り畳まれていないインスリン分子が互いに相互作用して直鎖状の凝集体を形成する物理プロセスを意味する。
インスリンレセプター及びIGF-1レセプター親和性を有するポリペプチドは、適当な結合アッセイにおいてインスリンレセプター及びIGF-1レセプターと相互作用し得るポリペプチドである。このようなレセプターアッセイは当該分野でよく知られている。
ペプチドと称されるここで使用されるアナログなる用語は、ペプチドの一又は複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基で置換され、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基がペプチドから欠失させられ、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基がペプチドに付加された修飾ペプチドを意味する。アミノ酸残基のそのような付加又は欠失はペプチドのN末端及び/又はペプチドのC末端で生じうる。一実施態様では、アナログは、天然ペプチドに対して5未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の実施態様では、アナログは、天然ペプチドに対して4未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の実施態様では、アナログは、天然ペプチドに対して3未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の実施態様では、アナログは、天然ペプチドに対して2未満の修飾(置換、欠失、付加)を含む。他の実施態様では、アナログは、天然ペプチドに対して一つのみの修飾(置換、欠失、付加)を含む。
本文脈において、単位「U」は6nmolに対応する。
ここで使用される有効量なる用語は、治療を受けない場合と比較して効果的に患者を治療するのに十分な量を意味する。
「POT」はシゾサッカロミセス・ポンベトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子であり、「TP11」はサッカロミセス・セレビシエトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子である。
「シグナルペプチド」なる用語は、タンパク質の前駆体においてN末端配列として存在するプレ-ペプチドを意味するものと理解される。シグナルペプチドの機能は、異種タンパク質の小胞体への転位置を容易にすることである。シグナルペプチドはこのプロセスの過程で通常は切断される。シグナルペプチドはタンパク質を生産する酵母生物に対して異種性又は相同的でありうる。本発明のDNAコンストラクトで使用されうる多くのシグナルペプチドには、酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド、又は任意の機能的アナログ(Egel-Mitani等、(1990) YEAST 6:127-137及びUS5726038)、MFα1遺伝子のα-因子シグナル(Thorner(1981)、The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces cerevisiae, Strathern等編, pp 143-180, Cold Spring Harbor Laboratory, NY、及びUS487000)が含まれる。
「プロ-ペプチド」なる用語は、その機能が、発現されたポリペプチドを小胞体からゴルジ体へ、更には培地中への分泌のために分泌小胞へ向けることを可能にすることであるポリペプチド配列を意味する(すなわち、ポリペプチドは、酵母細胞のペリプラズム空間中に細胞壁又は少なくとも細胞膜を通って出て行く)。プロ-ペプチドは酵母α因子プロ-ペプチドであってもよい。US4546082及び4870008を参照。あるいは、プロ-ペプチドは、合成プロ-ペプチド、つまり天然には見出されないプロ-ペプチドでありうる。適切な合成プロ-ペプチドはUS5395922;5795746;5162498及びWO98/32867に開示されているものである。プロ-ペプチドは、Lys-Arg配列又はその任意の機能的アナログのような、C末端にエンドペプチダーゼプロセシング部位を含む。
本文脈において、アミノ酸の3文字又は1文字標記を、次に示すようにその一般的な意味で使用した。明示的に示さない限り、ここに述べるアミノ酸はLアミノ酸である。更に、ペプチドのアミノ酸配列の左及び右端は、別に示さない限り、それぞれN末端及びC末端である。
アミノ酸の略語
Figure 2009530243
次の略語が明細書及び実施例で使用される:
Bzl=Bz:ベンジル
DIEA: N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF: N,N-ジメチルホルムアミド
tBu: tert-ブチル
Glu: グルタミン酸
TSTU: テトラフルオロホウ酸O-(N-スクシンイミジル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム
THF: テトラヒドロフラン
EtOAc: 酢酸エチル
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン
HOAt: 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
NMP: N-メチルピロリジン-2-オン
TEA: トリエチルアミン
Su: スクシンイミジル=2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル
TFA: トリフルオロ酢酸
DCM: ジクロロメタン
DMSO: ジメチルスルホキシド
RT: 室温
cyano: α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸
本発明を、請求項記載の発明の範囲を決して限定することを意図するものではない次の実施例において更に詳細に記載する。ここに引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が、出典明示により個々にかつ特に援用され、その全内容がここに記載されているかの如く、その全体が出典明示によりその全内容がここに援用される(法律により許容される最大範囲)。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的に使用され、決して本発明を限定するものと解すべきではない。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解すべきではない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
一般的方法
アシル化
以下の実施例及び一般的手順は、明細書及び合成スキームにおいて同定された中間化合物及び最終生成物に言及する。あるいは、ここに開示されているか又は他に一般的な他の反応が、本発明の対応する化合物の調製に適用されるであろう。全ての調製方法において、全ての出発物質は既知であるか、又は既知の出発物質から容易に調製することができる。全ての温度は摂氏で記載されており、特に示さない限りは、全ての部及びパーセントは、収率に関しては重量であり、全ての部は、溶媒及び溶離液に関しては容量である。
本発明の化合物は、当該分野で典型的な次の手順の一又は複数を使用することにより精製することができる。これらの手順は、必要ならば、勾配、pH、塩、濃度、流量、カラム等に関して修正することができる。当該問題の種々のインスリンの不純物プロファイル、溶解度等の要因に応じて、これらの変更は容易に認識可能であり、また当業者によってなされるであろう。
酸性HPLC又は脱塩後に、化合物は純粋フラクションの凍結乾燥によって分離される。
中性HPLC又はアニオン交換クロマトグラフィー後に、化合物を脱塩し、等電pHで沈殿させ、又は酸性HPLCで精製する。
典型的な精製手順:
HPLCシステムは次のものからなるGilsonシステムである:モデル215液体ハンドラー、モデル322-H2ポンプ及びモデル155 UV検出器。検出は典型的には210nm及び280nmである。
Akta精製FPLCシステム(Amersham Biosciences)は次のものからなる:モデルP-900ポンプ、モデル UV-900 UV検出器、モデルpH/C-900 pH及び伝導度検出器、モデルFrac-950フラクション収集器。UV検出は典型的には214nm、254nm及び276nmである。
酸性HPLC:
カラム: Macherey-Nagel SP 250/21 Nucleusil 300-7 C4
流量: 8ml/分、
バッファーA: アセトニトリル中0.1% TFA
バッファーB: 水中0.1% TFA
勾配: 0.0 - 5.0分: 10% A
5.00 - 30.0分: 10% Aから90% A
30.0 - 35.0分: 90% A
35.0 - 40.0分: 100% A
中性HPLC:
カラム: Phenomenex, Jupiter, C4 5μm 250 x 10,00 mm, 300A
流量: 6 ml/分
バッファーA: 5mM TRIS、7.5mM (NH4)2SO4, pH = 7.3, 20% CH3CN
バッファーB: 60% CH3CN, 40%水
勾配: 0 - 5分: 10% B,
5 - 35分: 10-60% B
35 - 39分: 60% B,
39 - 40分: 70% B
40 - 43.5分: 70% B
アニオン交換クロマトグラフィー:
カラム: Ressource Q, 6ml
流量: 6ml/分
バッファーA: 0.09% NH4HCO3, 0.25% NH4OAc, 42.5% エタノール pH8.4
バッファーB: 0.09% NH4HCO3, 2.5% NH4OAc, 42.5% エタノール pH8.4
勾配: 100% Aから100% B、30カラム体積
脱塩:
カラム: HiPrep 26/10
流量: 10ml/分, 6カラム体積
バッファー 10mM NH4HCO3
分析手順:
方法1:
2台のWaters 510 HPLCポンプ
Waters 2487 Dual λ吸光度検出器
バッファーA: アセトニトリル中0.1% TFA。
バッファーB: 水中0.1% TFA。
流量: 1.5 ml/分。
勾配: 1-17分: 25% Bから85% B, 17-22分: 85% B, 22-23分: 85% Bから25% B, 23-30分:25% B, 30-31分:25% B 流量:0.15ml/分。
カラム: C4 5μ 150x4_60mm 「phenomenex, Jupiter」。
検出: UV 214nm。
方法2:
2台のWaters 510 HPLCポンプ
Waters 2487 Dual λ吸光度検出器
バッファーA: 0.1% TFA, 10% CH3CN, 89.9%水。
バッファーB: 0.1% TFA, 80% CH3CN, 19.9%水。
流量: 1.5 ml/分。
勾配: 0-17分: 20% -90% B, 17-21分 90% B。
カラム: C4 5μ 150x4_60mm 「phenomenex, Jupiter」,40℃に維持。
検出: UV 214nm。
方法3:
2台のWaters 510 HPLCポンプ
Waters 486 Tunable吸光度検出器
Waters 717自動サンプラー
カラム: C4 5μ 150x4_60mm 「phenomenex, Jupiter」。
注入: 20μl。
バッファーA: 80% 0.0125M Tris, 0,0187M (NH4)2SO4 pH = 7, 20% CH3CN。
バッファーB: 80% CH3CN, 20%水。
流量: 1.5ml/分。
勾配: 0分 5% B -> 20分 55% B -> 22分 80% B -> 24分 80% B -> 25分 5% B 32分 5% B。
検出: UV 214nm。
方法4:
2台のWaters 510 HPLCポンプ
Waters 2487 Dual λ吸光度検出器
カラム: C4 5μ 150x4_60mm 「phenomenex, Jupiter」。
注入: 20μl。
バッファーA: 80% 0.30125Mトリス, 0.0187M (NH4)2SO4 pH = 7, 20% CH3CN
バッファーB: 80% CH3CN, 20%水
流量: 1.5ml/分
勾配: 0分10% B ->20分 50% B -> 22分 60% B -> 23分 10% B -> 30分 10% B -> 31分 10% B 流量0.15分
検出: 214nm
方法5:
Waters 2695分離モジュール
Waters 996フォトダイオードアレイ検出器
カラム: C4 5μ 150x4_60mm 「phenomenex, Jupiter」。
注入: 25μl
バッファーA: 80% 0.01M Tris, 0.015M (NH4)2SO4 pH = 7.3; 20% CH3CN
バッファーB: 20% 水; 80% CH3CN
流量: 1.5ml/分
勾配: 1-20分: 5-50% B, 20-22分: 50-60% B, 22-23分: 60-5% B, 23-30分 5-0%B 30-31分 0-5% B, 流量:0.15ml/分。
検出: 214nm
方法6:
Waters 2795分離モジュール
Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器
Waters Micromass ZQ 4000 エレクトロスプレー質量スペクトル計
LC-法:
カラム: Phenomenex, Jupiter 5μ C4 300A 50 x 4.60 mm
バッファーA: 水中0.1% TFA
バッファーB: CH3CN
流量: 1ml/分
勾配: 0-7.5 分: 10-90% B
7.5 - 8.5分: 90-10%B
8.5 - 9.5分 10% B
9.5 - 10.00分 10% B, 流量:0.1ml/分
MS法: 質量:500 - 2000 ES+
コーン電圧 60V
スキャン時間 1
インタースキャンディレイ: 0.1
方法7:
Agilent 1100シリーズ
カラム: GraceVydac Protein C4, 5um 4,6x250mm (Cat# 214TP54)
バッファーA: 水中10mM Tris, 15mM (NH4)2SO4, 20% CH3CN pH 7.3
バッファーB: CH3CN中20%水
流量: 1.5ml/分
勾配: 1-20分: 10% Bから50% B, 20-22分: 50% Bから60% B, 22-23分: 60% B から10% B, 23-30分10% B 30-31分10%B, 流量0.15ml/分。
検出: 214nm
HPLC法8:
Anal. HPLC Waters:
実行時間: 30分
バッファーA: CH3CN中0.1% TFA
バッファーB: MQ-水中0.1% TFA
流量: 1.5ml/分
勾配 0-1分: 10% B, 1-20分: 10% Bから90% B, 20-22分: 90% B, 22-23分: 90% Bから10% B, 23-30分: 10% B, 30-31分 10% B
検出 UV 214nm
カラム: C4 5μ 150x4_60mm 「phenomenex, Jupiter」
HPLC法9
Alliance 2696:
実行時間: 30分
バッファーA: 80% 10mM Tris, 15mM (NH4)2SO4 pH = 7,3 20% CH3CN。
バッファーB: 80% CH3CN, 20% MQ-水。
流量: 1.5ml/分
勾配: 0-2分 0% B, 2-20分: 0-70% B, 20-21分: 70-0% B, 21-30分: 0% B, 30分-31分 0% B
カラム: C4 5μ 150x4_60mm 「phenomenex, Jupiter」。
検出: UV 214nm
HPLC法10
Alliance neut:
実行時間: 30分
溶離液A: 10mM Tris, 15mM (NH4)2SO4, 20% CH3CN i Mili Q 水, pH 7.3
B: CH3CN中20.0% MQ-水
流量: 1.5ml/分
勾配: 1-2分: 0% B 2-20分 0% Bから50% B, 20-21分: 50-0% B, 22-30分: 0% B, 30-31分 0% B
検出: UV 214nm
MALDI-TOF-MSスペクトルを、窒素レーザー及び陽イオン検出を使用して線形モードで操作するBruker Autoflex II TOF/TOFに記録した。加速電圧:20kV。
中間体の調製
ミリスチン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルは、B. Faroux-Corlay等, J. Med. Chem. 2001, 44, 2188-2203に従って調製することができる。
ヘキサデカンジオイル-L-Glu(OSu)-OHの調製:
Figure 2009530243
ヘキサデカン二酸(200g、0.7mol)及びDowex50 WX2-100イオン交換樹脂(700g)にn-オクタン(3.6L)を加え、混合物をギ酸ベンジル(95g、0.7mol)に加えた。混合物を91℃まで加熱し、更にギ酸ベンジル (340g、2.5mol)を9時間の間、滴下して加えた。91℃での加熱を2日間継続し、室温まで冷却させた。混合物を濾過し、固形物をn-オクタン(2.3 L)で洗浄し、吸引して乾燥させた。固形物をアセトン(3L)に懸濁させ、40℃まで30分間加熱した。混合物を濾過し、イオン交換樹脂をアセトン(1.5L)で洗浄した。組み合わせた濾液及び洗浄物(およそ5L)をロータリエバポレータでの蒸発によって約1.5Lまで濃縮した。形成された懸濁液を濾過し、固形物を冷(−18℃)アセトン(0.8L)で洗浄し、乾燥させて、未変化のヘキサデカン二酸で汚染された160gの粗物質を得た。これにジクロロメタン(2L)及びHyflo Super Cel Celite 545 (120g)を加え、混合物を30分間撹拌した。混合物を濾過し、固形物をジクロロメタン(1L)で洗浄した。組み合わせた濾液及び洗浄物を真空蒸発させ、残留物を2-プロパノール(900ml)から再結晶させた。これにより73g(27.8%)のヘキサデカン二酸モノベンジルエステルを得た。1H-NMR(DMSO-d6): δ = 1.23 (18H, s), 1.50 (4H, m), 2.18 (2H, t), 2.34 (2H, t), 5.08 (2H, s), 7.36 (5H, m), 12.0 (1H, bs)。
ヘキサデカン二酸モノベンジルエステル(71g、0.188mol)を酢酸エチル(1L)中に懸濁させ、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(34g、0.26mol), N-ヒドロキシスクシンイミド(28.1g、0.24mol)、及び1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(46.8g、0.24mol)を連続して加え、混合物を室温で5日間撹拌した。混合物を酢酸エチル(600mL)に加え、水性硫酸水素カリウム(0.5M, 1L)で洗浄した。飽和塩化ナトリウム水溶液(700mL)を加え、相を分離させた。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1L)と飽和塩化ナトリウム水溶液(800mL)で連続して洗浄した。有機相を乾燥(MgSO4)させ、真空蒸発させて、89.9gの粗物質を得た。これをヘプタン(3.5L)から再結晶させて、77.4(87%)のヘキサデカン二酸ベンジルエステルN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを得た。1H-NMR (DMSO-d6): 1.23 (18H, m), 1.34 (2H, m), 1.53 (2H, m), 1.61 (2H, m), 2.34 (2H, t), 2.64 (2H, t), 2.80 (4H, s), 5.08 (2H, s), 7.35 (5H, m)。
L-グルタミン酸α-ベンジルエステル(H-Glu-OBzl, 40.1g、0.17mol)をN-メチル2-ピロリジノン(1L)に懸濁させた。トリエチルアミン(28mL、0.2mol)とヘキサデカン二酸ベンジルエステルN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(76.3g、0.16mol)を加え、混合物を50℃で2.5時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(800mL)に加え、冷却しながら(22℃以下の内部温度)硫酸水素カリウム水溶液 (0.5M、800mL)を少しずつ加えた。水性相を酢酸エチル(400mL)で抽出した。組み合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(3 x 600mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空濃縮して108.7g(113%)のベンジルヘキサデカンジオイル-L-Glu-OBzlを、NMRで見て幾らかのN-メチル2-ピロリジノン及び酢酸エチルを含んでいる油として得た。1H-NMR (DMSO-d6), 選択ピーク: δ = 1.22 (20 H, s), 5.08 (2H, s), 5.11 (2H, s), 7.35 (1oH, m), 8.20 (1H, d), 12.2 (1H, bs)。
ベンジルヘキサデカンジオイル-L-Glu-OBzl(107g、0.16mmol)を酢酸エチル (1.1L)に溶解させ、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(35mL、0.21mol)、N-ヒドロキシスクシンイミド(21.8g、0.19mol)、及び1-エチル-3-(3'-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(39.3g、0.21mol)を連続して加え、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(500mL)に加え、硫酸水素カリウム水溶液(0.5M、0.75 L)で洗浄した。飽和塩化ナトリウム水溶液(450mL)を加え、相を分離させた。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(450mL)と飽和塩化ナトリウム水溶液(2 x 450mL)で連続して洗浄した。有機相を乾燥(MgSO4)させ、約500mLまで真空濃縮した。残留物にヘプタン(400mL)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。更にヘプタンを加え(800mL)、混合物を濾過し、固形物を、酢酸エチルとヘプタンの混合物(1:3、50mL)で洗浄し、乾燥させて、97.6g(2つの工程で89%超)のベンジルヘキサデカンジオイル-L-Glu(OSu)-OBzlを得た。1H-NMR (DMSO-d6): δ = 1.22 (20 H, s), 1.47-1.54 (4H, m), 2.09 (1H, m), 2.11 (3H, m), 2.33 (2H, t), 2.7-2.8 (2H, m), 2.81 (4H, s), 4.37 (1H, m), 5.08 (2H, s), 5.12 (2H, s), 7.35 (10H, m), 8.27 (1H, d)。
ベンジルヘキサデカンジオイル-L-Glu(Osu)-OBzl(99g、0.14mol)を、トリフルオロ酢酸(0.1%)を含むアセトン(1.9L)に溶解させた。装置に窒素ガスとカーボンブラック上のパラジウム(10%、乾燥、19.8g)を流した。混合物を室温及び大気圧下で水素化した(水素消費: 6.9L)。窒素下で、混合物を濾過し、濾液をヘプタン(3L)に加え、0-5℃まで冷却した。混合物を濾過し固形物をヘプタン(3 x 200ml)で洗浄し、乾燥させて、69.5g(98%)のヘキサデカンジオイル-L-Glu(Osu)-OHを得た。1H-NMR(アセトン-d6, トリフルオロ酢酸含有), 選択ピーク: δ = 1.29 (20H, s), 1.4-1.6 (4H, m), 2.88 (4H, s), 4.61 (1H, m), 7.52 (2H, m)。
本発明の単鎖インスリンのアシル化のための一般的手順
一般的手順(A)
単鎖インスリン(0.013mmol)を炭酸ナトリウム水溶液(100mM、3.5mL)に溶解させ、N-メチル2-ピロリジノン(1mL)及びテトラヒドロフラン(0.5mL)の混合物に溶解させたヘキサデカンジオイル-L-Glu(Osu)-OH(16mg, 0.032mmol)に加えた。水酸化ナトリウム水溶液(1N)を加えてpH11にし、得られた混合物を室温に45分間維持した。N-メチル2-ピロリジノン(1mL)及びテトラヒドロフラン(0.5mL)の混合物に溶解させたヘキサデカンジオイル-L-Glu(Osu)-OH(16mg、0.032mmol)を更に加え、得られた混合物を室温に1時間維持した。pHを塩酸(1N)で5.6に調節し、混合物を4000rpmで10分間遠心分離し、デカントさせた。上に示されたようにアニオン交換クロマトグラフィー及び/又は分取HPLCによる精製と続く凍結乾燥によって本発明のアシル化化合物を得た。
一般的手順(B)
あるいは、アシル化は、二本鎖インスリンに対してWO2005012347に記載されたものと同様にして、関連したtert-ブチル保護試薬を使用し、ついで中間に保護されたアシル化単鎖インスリンのTFA媒介脱保護で実施することができる。
一般的手順(C)
単鎖インスリン(0.016mmol)を炭酸ナトリウム水溶液(100mM、2.2ml)に溶解させ、アセトニトリル(1mL)及びテトラヒドロフラン(0.6mL)の混合物中のミリスチン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(7.6mg、23μmol)の溶液に添加した。得られた混合物を室温で40分維持した。必要ならば、更にミリスチン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル (アセトニトリル(1ml)及びテトラヒドロフラン(0.6mL)の混合物中に3.8 mg)を加える。得られた混合物を室温で60分間維持する。混合物を水で希釈し凍結乾燥させる。上に示されたようにアニオン交換クロマトグラフィー及び/又は分取HPLCよる精製とその後の凍結乾燥により本発明のアシル化化合物が得られる。
組換え法
全ての発現プラスミドは、EP171142に記載されたものと同様のC-POTタイプであり、これは、プラスミド選択とサッカロミセス・セレビシエ中の安定化のためにシゾサッカロミセス・ポンベトリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子(POT)を含むことを特徴としている。該プラスミドはまたサッカロミセス・セレビシエトリオースリン酸イソメラーゼプロモーター及びターミネーターを含む。これらの配列は、リーダーとインスリン産物の融合タンパク質をコードするEcoRI-XbaI断片の配列を除く全ての配列が、プラスミドpKFN1003中の対応する配列(WO 90/100075に記載)に同様である。異なった融合タンパク質を発現させるために、pKFN1003のEcoRI-XbaI断片を、関心のあるリーダー-インスリン融合体をコードするEcoRI-XbaI断片によって単に置き換える。かかるEcoRI-XbaI断片は、標準的な技術による合成オリゴヌクレオチド及びPCRを使用して合成することができる。
酵母形質転換体は宿主株サッカロミセス・セレビシエ株MT663(MATa/MATα pep4-3/pep4-3 HIS4/his4 tpi::LEU2/tpi::LEU2 Cir+)の形質転換によって調製した。酵母株 MT663はWO92/11378の出願に関連してDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturenに寄託し、寄託番号DSM6278が与えられている。
MT663は、600nmで0.6のO.D.までYPGaL(1% Bacto酵母抽出物、2% Bactoペプトン、2%ガラクトース, 1%ラクテート)で増殖させた。100mlの培養物を遠心分離により収集し、10mlの水で洗浄し、再遠心分離し、1.2Mソルビトール、25mM Na2EDTA pH = 8.0及び6.7mg/mlのジチオトレイトールを含む10mlの溶液中に再懸濁させた。懸濁液を30℃で15分間インキュベートし、遠心分離し、細胞を、1.2Mのソルビトール、10mM Na2EDTA、0.1Mクエン酸ナトリウム, pH 0 5.8、及び2mg Novozym(登録商標)234を含む10mlの溶液に再懸濁させた。懸濁液を30℃で30分間インキュベートし、細胞を遠心分離によって収集し、10mlの1.2Mソルビトール及び10mlのCAS(1.2M ソルビトール、10mM CaCl2、10mM トリスHCl (トリス = トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン) pH = 7.5)で洗浄し、2mlのCASに再懸濁させた。形質転換のために、1mlのCAS懸濁細胞を約0.1mgのプラスミドDNAと混合し、室温に15分間置いた。1mlの(20%ポリエチレングリコール4000、10mM CaCl2、10mM トリスHCl、pH = 7.5)を加え、混合物を更に30分間室温に置いた。混合物を遠心分離し、ペレットを0.1mlのSOS(1.2M ソルビトール, 33% v/v YPD、6.7mM CaCl2)に再懸濁し、30℃で2時間インキュベートした。ついで、懸濁液を遠心分離し、ペレットを 0.5mlの1.2Mソルビトールに再懸濁させた。ついで、1.2Mソルビトールと2.5%の寒天を含む52℃の6mlのトップアガー(Sherman等 (1982) Methods in Yeastgenetics, Cold Spring Harbor LaboratoryのSC培地)を加え、懸濁液を、同じ寒天固化ソルビトール含有培地を含むプレートの上に注いだ。
発現プラスミドで形質転換されたサッカロミセス・セレビシエ株MT663を30℃でYPD中で72時間増殖させた。
実施例1、一般的手順(A)
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu)ヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号3
MALDI-TOF MS:(マトリックス:SA):m/z:6672。計算値:6272。
HPLC(方法 1): Rt = 11.02分、100%、純度
HPLC(方法 3): Rt = 9.47分、95.6%、純度
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの25%であった。
実施例2、一般的手順(C)
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-22)-A18Q,A22K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号4
MALDI-TOF-MS:(マトリックス:「シアノ」):m/z:6611。計算値:6613。
HPLC(方法 1): Rt = 11.95分、99% 純度
HPLC(方法 4): Rt = 5.70分、99.4% 純度
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの62%であった。
実施例3、一般的手順(C)
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A18K(N(eps)ミリストイル)ヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号3
HPLC(方法 1): Rt = 11.98分、95% 純度
HPLC(方法 4): Rt = 13.53分、95.7% 純度
HPLC(方法 6): Rt = 4.86分、m/z:1621(M+4)/4。計算値:1622。
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの27%であった。
実施例4、一般的手順(A)
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-22)-A18Q,A22K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu)ヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号4
MALDI-TOF-MS:(マトリックス:SA):m/z:6799。計算値:6800。
HPLC(方法 1): Rt = 10.63分、99% 純度
HPLC(方法 5): Rt = 7.66分、98% 純度
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの44%であった。
実施例5、一般的手順(B)
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-22)-A18Q,A22K(N(eps)オクタデカンジオイル)ヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号4
MALDI-TOF-MS:(マトリックス:SA):m/z:6697。計算値:6699。
HPLC(方法 1): Rt = 11.19分、97.3% 純度
HPLC(方法 5): Rt = 10.31分、99.5% 純度
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの24%であった。
実施例6、一般的手順(A)
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A8K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu)-A18Qヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号6
MALDI-TOF-MS:(マトリックス:SA):m/z:6699。計算値:6699。
HPLC(方法 5): Rt = 7.73分、90.0% 純度
HPLC(方法 1): Rt = 11.21分、86.4% 純度
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの73%であった。
実施例7、一般的手順(A)
B(1-29)-B29H-TGLGSGR-A(1-21)-A18K(N-eps-ヘキサデカンジオイル-g-L-Glu)-A21G,ヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号7
MALDI-TOF-MS:(マトリックス:SA):m/z:6677.3。計算値:6680.8。
HPLC(方法 1): Rt = 10.17分、94.9% 純度
HPLC(方法 5): Rt = 6.97分、88.9% 純度
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの45.7%であった。
実施例8、一般的手順(A)
B(1-29)-B29Q-TGLGSCR-A(1-22)-A18Q,A21G-A22K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-g-L-Glu)ヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号7
MALDI-TOF-MS:(マトリックス:SA):m/z:6780.1。計算値:6799.9。
HPLC(方法 8): Rt = 13.98分、96.5% 純度
HPLC(方法 9): Rt = 8.17分、99.1% 純度
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの112.8%であった。
実施例9、一般的手順(A)
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-21)-A15K(N(eps)-ヘキサデカンジオイル-g-L-Glu)-A18Qヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号8
MALDI-TOF-MS:(マトリックス:SA):m/z:6669.8。計算値:6671.7。
HPLC(方法 2): Rt = 10.27分、85% 純度
HPLC(方法 10): Rt = 9.42分、91% 純度
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの17.4%であった。
実施例10、一般的手順(A)
B(1-29)-B29A-VGLSSGQ-A(1-22)-A18Q-A22K((eps)ヘプタデカンジオイル-g-Glu)ヒトインスリン
Figure 2009530243
配列番号7
MALDI-TOF-MS:(マトリックス:SA):m/z:6817.4。計算値:6813.9。
HPLC(方法 8): Rt = 15.72分、99.8% 純度
HPLC(方法 9): Rt = 8.28分、95.2% 純度
アッセイ(I)に従って測定したインスリンレセプター結合性はヒトインスリンのものの43%であった。
薬理学的方法
アッセイ(I)
アシル化単鎖インスリンのインスリンレセプター結合性
ヒトインスリンレセプターに対するアシル化単鎖インスリン体の親和性は、SPAアッセイ(シンチレーション近接アッセイ)マイクロタイタープレート抗体捕捉アッセイにより測定され得る。SPA-PVT抗体-結合ビーズ、抗マウス試薬(Amersham Biosciences、カタログ番号 PRNQ0017)を、25mlの結合バッファー(100mMのHEPES、pH7.8;100mMの塩化ナトリウム、10mMのMgSO、0.025%のトゥイーン(Tween)-20)と混合する。単一のPackard Optiplate(Packard No.6005190)用の試薬混合物は、2.4μlの1:15000に希釈された精製組換えヒトインスリンレセプター−エクソン11、100μlの試薬混合物当たり500cpmに相当するA14Tyr[125I]-ヒトインスリンの所定量の保存溶液、12μlの1:1000に希釈されたF12抗体、3mlのSPA-ビーズ、及び全体を12mlにする結合バッファーからなる。ついで、全体で100μlを添加し、希釈群を適切なサンプルから作製する。ついで、希釈群に100μlの試薬混合物を加え、ゆっくりと振盪させつつ、サンプルを16時間インキュベートする。ついで、1分間遠心分離することにより相分離させ、プレートをトップカウンターで計測する。GraphPad Prism 2.01(GraphPad Software, San Diego、CA)における非線状回帰アルゴリズムを使用し、結合データを適合させる。
アッセイ(II)
ヒトインスリンに対するアシル化単鎖インスリンの有効性
静脈内ボーラス投与でSCIの血糖値低下効果を試験するためにウィスターラットを使用する。SCIかヒトインスリンの投与後に、血糖濃度をモニターする。
アッセイ(III)
アシル化単鎖インスリンのT50%のブタにおける定量
T50%は、試験されるインスリンのA14Tyr[125I]標識された誘導体の注射量の50%が、外部γ計測器を用いて測定して、注射部位から消失した時間である。
実験用動物ケアの原則に従い、薬物動態及び薬力学的研究のために、特定の病原菌を持たないLYYD、糖尿病ではない雌のブタ、デンマーク在来種、ヨークシャー及びデュロックの交雑種を使用した(Holmenlund, Haarloev, Denmark)。ブタは意識があり、4−5ヶ月の年齢、70−95kgの体重であった。実験前に動物を8時間絶食させた。
125Iを有するTyrA14で標識されたインスリン誘導体の処方された調製物を、先に記載したブタに皮下注射した(Ribel, U., Jorgensen, K, Brange, J, 及びHenriksen, U. The pig as a model for subcutaneous insulin absorption in man. Serrano-Rios, M and Lefebvre, P. J. 891-896. 1985. Amsterdam; New York; Oxford, Elsevier Science Publishers. 1985 (Conference Proceeding))。
実験の開始時に、本発明のインスリン誘導体(被験化合物)60nmol用量とインスリン60nmol用量(双方ともTyr A14において125I標識された)を、各ブタの頸部の2つの別々の部位に注射した。
皮下注射部位から放射性標識が消失するのを、伝統的な外部ガンマ-計測法の修正法を使用し、モニターした(Ribel, U. Subcutaneous absorption of insulin analogues. Berger, M. 及びGries, F. A. 70-77 (1993). Stuttgart; New York, Georg Thime Verlag (Conference Proceeding))。この修正法を用いると、コードレスポータブル装置を使用して、数日間、皮下沈着物から放射活性が消失するのを、連続して測定することができる(Scancys Laboratorieteknik, Varlose, DK-3500, Denmark)。測定を1分間隔で実施し、計測された値をバックグラウンド活性に対して修正した。
アッセイ(IV)
ラットへのインスリン誘導体の肺送達
被験物質は、滴下法により肺経路で投与されるであろう。簡単に述べると、雄ウィスターラット(約250g)を、6.6ml/kgの皮下プライミング用量として、続いて30分の間隔を開けて3.3ml/kgの保持用量を3回付与する約60mlのフェンタニル/デヒドロデンズペリドール/-ドルミカムで麻酔した。麻酔誘導の10分後、基本サンプルを尾静脈(t=-20分)から得、続いて被験物質の投与直前(t=0)、基本サンプルを得た。t=0において、被験物質を一方の肺に気管内的に投与した。丸くなった端部を有する特定のカニューレを、200μlの空気と被験物質(1mg/kg)を含有するシリンジに搭載する。オリフィスを介してカニューレを気管に導入し、二分枝部を丁度通過するように主気管支の一方に送る。挿入中、頸部を外側から触診し、気管内部の位置を確認する。シリンジの内容物を注射し、2秒中断する。その後、カニューレをゆっくりと引き抜く。試験中(4時間までの血液サンプル)、ラットは麻酔がかかったままであり、実験後、安楽死させる。

Claims (10)

  1. 連結ペプチドによって連結されたヒトインスリン又はそのアナログのB鎖及びA鎖を含み、ヒトインスリンA鎖のA12−A23位の一つの天然アミノ酸残基に置換されているリジン残基がアシル化によって化学的に修飾されているアシル化単鎖インスリン。
  2. ヒトインスリンA鎖のA12、A14、A15、A17、A18、A21、A22又はA23位のリジンアミノ酸残基がアシル化されている請求項1に記載のアシル化単鎖インスリン。
  3. ヒトインスリンA鎖のA18、A21、A22又はA23位のリジンアミノ酸残基がアシル化されている請求項1に記載のアシル化単鎖インスリン。
  4. B鎖のB29位のリジン残基がさらにアシル化されている請求項1から5のいずれか一項に記載のアシル化単鎖インスリン。
  5. ヒトインスリンB鎖のB29位の天然リジン残基が他のアミノ酸残基で置換されているか又は欠失している請求項1に記載のアシル化単鎖インスリン。
  6. アシル基が、少なくとも一つの遊離カルボン酸基又は中性pHで負に荷電している基を含んでいてもよい約6〜約32個の炭素原子を有しているモノカルボン酸又はジカルボン酸の飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状の脂肪酸部分から誘導された親油性基である請求項1から5のいずれか一項に記載のアシル化単鎖インスリン。
  7. 脂肪酸部分が、6〜24、8〜20、12〜20、12〜16、10〜16、10〜20、14〜18又は14〜16個の炭素原子を有している請求項6に記載のアシル化単鎖インスリン。
  8. アシル基がリンカー分子を介して単鎖インスリンに結合している請求項1から7のいずれか一項に記載のアシル化単鎖インスリン。
  9. 連結ペプチドが、ペプチド鎖中に3〜約25、3〜約20、4〜約25、4〜約20、5〜約25、5〜約20、6〜約25、6〜約20のアミノ、3〜約15、3〜約10、4〜約15、4〜約10、5〜約15、5〜約10、6〜約15又は6〜約10のアミノ酸残基を有している請求項1から8のいずれか一項に記載のアシル化単鎖インスリン。
  10. 通常の医薬用アジュバント及び添加剤と共に先の請求項の何れか一項に記載のアシル化単鎖インスリンを含有する医薬組成物。
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