JP2010272745A - 超電導コイル及び超電導マグネット装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は励磁・減磁時に発生する渦電流による影響を低減する手段を有した超電導コイル及び超電導マグネット装置に関し、フープ力による歪みの発生と渦電流の発生を共に防止することを課題とする。
【解決手段】超電導線材が巻回されたコイル体19と、冷凍機18に接続されて冷却されると共にコイル体19の外周を囲繞するよう設けられた熱伝導部材20と、熱伝導部材20に形成されて渦電流が流れるのを抑制するスリット20Aと、熱伝導部材20,コイル体19及び絶縁部材21の全外周を囲繞するよう設けられコイル体19の変形を防止する補強部材22とを有する超電導コイルであって、熱伝導部材20と補強部材22との間に電気絶縁性を有する材料からなる絶縁部材21を設ける。
【選択図】 図3
【解決手段】超電導線材が巻回されたコイル体19と、冷凍機18に接続されて冷却されると共にコイル体19の外周を囲繞するよう設けられた熱伝導部材20と、熱伝導部材20に形成されて渦電流が流れるのを抑制するスリット20Aと、熱伝導部材20,コイル体19及び絶縁部材21の全外周を囲繞するよう設けられコイル体19の変形を防止する補強部材22とを有する超電導コイルであって、熱伝導部材20と補強部材22との間に電気絶縁性を有する材料からなる絶縁部材21を設ける。
【選択図】 図3
Description
本発明は超電導コイル及び超電導マグネット装置に係り、特に渦電流による影響を低減する手段を有した超電導コイル及び超電導マグネット装置に関する。
周知のように、超電導コイルは超電導状態とするために転移温度以下まで冷却する必要がある。この冷却方法としては、寒剤(液体ヘリウム等)を使用して冷却する方法と、寒剤(液体ヘリウム等)を使わず冷凍機による伝導冷却にて行う方法が知られている。
超電導コイルは一部でも温度が上がり、常伝導転移をすれば超電導運転に致命的なクエンチ現象を引き起こす。このため冷凍機を用いた伝導冷却方法では、冷却を効率良く行うため、超電導線材が巻回されたコイル体の全周に渡り熱伝導の良い熱伝導部材をコイル体に沿うよう密着させて配設し、冷凍機の冷却がコイル体の全体に対して行われるよう構成されている。
このように熱伝導部材をコイル体の全周に渡り完全に沿わせると、熱伝導部材はループを形成することとなる。この熱伝導部材が電気伝導体の場合、超電導コイルを励磁・減磁させた際、熱伝導部材にループを周回するように渦電流が発生する。このように熱伝導部材に渦電流が発生すると、ジュール熱により熱伝導部材は発熱し、超電導コイルの温度が上がりクエンチの原因となる可能性がある。
上記渦電流による発熱の総量は、ループを形成する材質(熱伝導部材の材質)の電気抵抗が低いほど多くなる。そこで、熱伝導部材にコイルの軸方向に延在するスリットを少なくとも一箇所形成するか、或いは熱伝導部材を分割することによりループを切断し、渦電流の発生を抑制することが提案されている(特許文献1,2参照)。
ところで、コイル通電時、超電導コイルは自己電流と自己磁界による電磁力(フープ力)によりコイル径方向外側に広がろうとする特性を有している。このフープ力により、超電導コイルが歪んだ場合、コイルの破損や超電導能力が劣化してクエンチを起こし易くなる。特に、比較的大きなコイルの場合、フープ力も大きくなるため、超電導コイルの歪みを抑える対策が必要となる。
この超電導コイルの歪みを抑える方法としては、コイル体の外周位置にヤング率の高い高強度材質よりなる補強部材を配設し、これにより超電導コイルに歪みが発生するのを抑えることが考えられる。図4は、補強部材112を有した従来の一例である超電導コイル100の横断面図である。
超電導コイル100は、超電導線材が巻回されたコイル体110を有しており、このコイル体110の外周には熱伝導部材111が配設されている。この熱伝導部材111は、図示しない冷凍機の冷却ステージ114に接続されている。よって、コイル体110は、熱伝導部材111を介して冷凍機により冷却される。また、この熱伝導部材111には、前記した渦電流の流れを遮蔽するスリット113が形成されている。
更に、熱伝導部材111の外周には、補強部材112が配設されている。このように、熱伝導部材111の外周に補強部材112を設けることにより、フープ力によりコイル体110に発生する歪みを抑制することができ、クエンチの発生を防止することができる。
上記の補強部材112の材質としては、極低温に耐えることができ、かつ極低温においても高ヤング率を実現できる金属材料を用いることが望ましい。また、上記条件を満たす金属材料は、熱伝導部材111の電気伝導率に比べて低い電気伝導率ではあるものの、電流を流す性質を有している。また従来では、図示されるように導電性を有した補強部材112は、熱伝導部材111の外周位置に密着して設けられ、よって熱伝導部材111と補強部材112は電気的に接続された構造となっていた。
このため、熱伝導部材111に渦電流115を遮蔽するためのスリット113が形成されていても、熱伝導部材111を流れきた渦電流115は、図示されるようにスリット113の形成位置において補強部材112を流れる迂回路を形成し、結局渦電流115のループができてしまう。よって、補強部材112を設けることによりフープ力に起因した超電導コイル100の歪みは抑制されるものの、渦電流115の影響が再び問題となり、クエンチの発生を確実に防止することができないという問題点があった。
尚、補強部材112にスリットを形成することにより渦電流を遮蔽することも考えられるが、この構成では補強部材112の強度が弱くなり、フープ力に対抗することができなくなる。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、フープ力による歪みの発生と渦電流の発生を共に防止しうる伝導冷却方式の超電導コイル及び超電導マグネット装置を提供することを目的とする。
上記の課題は、第1の観点からは、
超電導線材が巻回されたコイル体と、
前記冷凍機に接続されて冷却されると共に、前記コイル体の外周を囲繞するよう設けられた伝熱部材と、
前記伝熱部材に形成されており、該伝熱部材に渦電流が流れるのを抑制するスリットと、
前記伝熱部材及びコイル体の全外周を囲繞するよう設けられ、前記コイル体の変形を防止する高強度部材とを有し、
前記冷凍機により伝熱部材を介して前記コイル体が冷却されることにより超電導状態となる超電導コイルであって、
前記伝熱部材と前記高強度部材との間に、電気絶縁性を有する材料からなる絶縁部材を設けたことを特徴とする超電導コイルにより解決することができる。
超電導線材が巻回されたコイル体と、
前記冷凍機に接続されて冷却されると共に、前記コイル体の外周を囲繞するよう設けられた伝熱部材と、
前記伝熱部材に形成されており、該伝熱部材に渦電流が流れるのを抑制するスリットと、
前記伝熱部材及びコイル体の全外周を囲繞するよう設けられ、前記コイル体の変形を防止する高強度部材とを有し、
前記冷凍機により伝熱部材を介して前記コイル体が冷却されることにより超電導状態となる超電導コイルであって、
前記伝熱部材と前記高強度部材との間に、電気絶縁性を有する材料からなる絶縁部材を設けたことを特徴とする超電導コイルにより解決することができる。
開示の超電導コイルによれば、伝熱部材と高強度部材との間に電気絶縁性を有する絶縁部材が設けられているため、スリットの形成位置において渦電流が伝熱部材から高強度部材に迂回することを抑制でき、伝熱部材の渦電流のループを確実に切ることができる。また、高強度部材に渦電流を遮蔽するためのスリットを設ける必要はなく、高強度部材の強度を維持することができる。
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
図1は、本発明の一実施形態である超電導マグネット装置10を示している。同図に示す超電導マグネット装置10は、例えば陽子線治療装置ガントリー用偏向電磁石に適用されるものである。
超電導マグネット装置10は伝導冷却式の超電導マグネット装置であり、大略すると鉄心12、超電導コイル13、荷重支持体15、熱シールド板17、冷凍機18等を有している。
鉄心12は気密容器であり、図示しない真空ポンプに接続されている。この真空ポンプが稼働することにより、鉄心12の内部は真空状態とされる構成となっている。この鉄心12は超電導コイル13で発生する磁束を案内するヨークとして機能し、よって鉄心12を設けることにより超電導コイル13で生成する磁束の集束及び磁束密度の均一化を図ることができる。
超電導コイル13は、この鉄心12の内部に配設される。超電導コイル13は超電導線材を巻回したコイル体19を有しており、本実施形態では超電導線材として高温超電導線材を用いている。この超電導コイル13は、超電導線材の転移温度以下まで冷却されることにより超電導状態となる。尚、説明の便宜上、超電導コイル13の詳細については後述するものとする。
超電導コイル13には、電流ライン(図示を省略)を用いて給電が行われる。この電流ラインは、鉄心12から熱シールド板17までの間は電気伝導率の大きい材料(例えば、銅,アルミニウム等)が用いられ、熱シールド板17から超電導コイル13の間は超電導電流リードが用いられる。
荷重支持体15は、超電導コイル13を支持するものである。この荷重支持体15は一端が鉄心12に固定されると共に、他端には超電導コイル13が連結されている。よって、超電導コイル13は荷重支持体15により鉄心12内に形成された空間31内に保持される。
また、荷重支持体15は常温とされた鉄心12に固定されているため、この外部熱が超電導コイル13に侵入するおそれがある。そこで、荷重支持体15は、冷凍機18により冷却される熱シールド板17に熱的に接続されている。これにより、荷重支持体15は冷却され、荷重支持体15を介して外部熱が超電導コイル13に熱伝達されることを防止できる。尚、荷重支持体15は、高強度の絶縁材料(GFRP,CFRP等)で構成されている。
冷凍機18は、鉄心12に固定されている。本実施形態では、冷凍機18としてギフォードマクマホン式(GM式)の冷凍機を用いている。このGM式の冷凍機18は内設されたモータを駆動させることにより、ディスプレーサがシリンダ内で往復移動する構成とされている。そして、このディスプレーサの往復移動により、図示しない冷凍機コンプレッサから供給される高圧冷媒を断熱膨張させ、これにより寒冷を発生させる構成とされている。
GM冷凍機18は2段式の冷凍機であり、1段部18aは熱シールド板17に接続され、2段部18bは熱伝導部材20を介して超電導コイル13に接続されている。従って、熱シールド板17は冷凍機18の1段部18aにより、40K〜110K程度に冷却される。また、コイル体19と熱的に接続した熱伝導部材20は、2段部18bにより10K〜40K程度に冷却される。このように冷凍機18により熱伝導部材20が冷却されることにより、コイル体19は冷却されて超電導状態を実現する。
熱シールド板17は、超電導コイル13を取り囲むよう設けられている。この熱シールド板17は、前記のように冷凍機18の1段部18aと熱的に接続されている。よって、熱シールド板17を設けることにより、超電導コイル13に侵入する輻射熱を低減することができる。この熱シールド板17は、例えば銅やアルミニウムなどの伝熱特性の優れた材料により形成されている。また、前記のように熱シールド板17には荷重支持体15も接続されており、これによっても外部から超電導コイル13に熱が侵入するのを防止している。
次に、本発明の一実施形態である超電導コイル13について、図1に加えて図2,3を用いて説明する。尚、図2は超電導コイル13の断面斜視図であり、図3は超電導コイル13の横断面図である。
超電導コイル13は、コイル体19、熱伝導部材20、スリット20A、絶縁部材21、及び補強部材22等により構成されている。
コイル体19は、超電導線材を巻回した構造とされている。本実施形態では、超電導線材として高温超電導線材を用いている。この高温超電導線材としては、例えばBi2223,Bi2212,Y123,MgB2,FeAs,酸化物超伝導体等を用いることができる。また超電導線材は、補強部材22の内壁部22bを巻枠として巻回されている。尚、本実施形態では超電導線材として高温超電導線材を用いているが、低温超電導線材を用いる構成とすることも可能である。
熱伝導部材20は、熱伝導性の高い材料(例えば、銅,アルミニウム、或いはそれらの合金等)により形成されている。この熱伝導部材20は、コイル体19と熱的に接続されている。また、熱伝導部材20は前記のように冷凍機18に接続されている。
具体的には、後述する絶縁部材21及び補強部材22には穴が形成されており、図3に示されるように冷凍機18の2段部18bは、この穴を介して熱伝導部材20に接続されている。よって、コイル体19は、熱伝導部材20を介して冷凍機18により冷却され、超電導状態を実現する。
前記したように、超電導コイル13は一部でも温度が上がり、常伝導転移をすれば超電導運転に致命的な効果をもたらすクエンチ現象を引き起こす。このため冷凍機18を用いた伝導冷却方法では、コイル体19の全体に渡り冷却を効率良く行うため、熱伝導部材20はコイル体19の外周に密着させ、その外周に沿って囲繞するよう設けられている。
スリット20Aは、熱伝導部材20に少なくとも一箇所形成されている。このスリット20Aは、コイル体19の励磁・減磁過程の際に熱伝導部材20に発生する渦電流の流れを遮蔽することにより渦電流のループが形成されることを防止し、これにより熱伝導部材20に渦電流による発熱が発生するのを抑制する機能を奏する。このスリット20Aは、通常熱効率の面から冷凍機18の1段部18aの接続位置に対する反対位置近傍に配置される。
スリット20Aの幅は、極力狭い方が良い。これは、超電導線材を一様に冷却しクエンチの発生を抑制するためには、できる限り広い範囲に渡り熱伝導部材20をコイル体19に密着させることが望ましいことによる。しかしながら、スリット20Aの幅は、低温に冷却した際の熱収縮によりそれぞれの切り端が接触しない程度に、またクエンチ時に生じる電圧により絶縁破壊を起こさない程度の余裕を残した寸法とする必要がある。
更に、上記スリット20Aが形成されることにより、超電導コイル13内には間隙が形成される。この間隙部分には、電気的絶縁物であり比較的良熱伝導体であるセラミック等を敷き詰めておくことが望ましい。
補強部材22は、コイル体19、熱伝導部材20、絶縁部材21からなる超電導コイル13の全外周を囲繞するよう設けられている。この補強部材22は、電磁力(フープ力)によりコイル体19に発生する変形(歪み)を防止するための補強金属枠として機能するものである。この補強部材22の材質としては、電気伝導率が熱伝導部材20と比較して低く、高強度な合金等(例えば、非磁性のオーステナイト等の低温でも強度を保ち、なおかつヤング率の比較的高い材質)を用いることが望ましい。本実施形態では、補強部材22の材質としてステンレスを採用している。尚、熱伝導部材20の20Kにおける電気伝導率は約6.25×109/Ωmであり、補強部材22の20Kにおける電気伝導率は約2.5×106/Ωmであり、補強部材22の電気伝導率は熱伝導部材20に対して桁違いに小さい値となる。
上記のように効率の良い冷却及び強固な補強を考えた場合、熱伝導部材20には銅等の金属を、補強部材22にはステンレス等の合金を用いることが望ましいが、一般に熱伝導の良い金属(本実施形態では銅)は電気伝導率も良い。また、補強部材22は熱伝導部材20に対して電気伝導率は低いものの、電気を流す性質は有している。よって、従来のように補強部材22を熱伝導部材20に直接密着させた構成とすると、スリット20Aの形成位置で渦電流は補強部材22に迂回して流れてしまい、クエンチをもたらす発熱が局所的に発生するおそれがあることは前述した通りである。
そこで本実施形態に係る超電導コイル13では、熱伝導部材20と補強部材22との間に、電気絶縁性を有する材料からなる絶縁部材21を設けた構成としている。この絶縁部材21の材質としては、繊維強化プラスチック(FRP),カプトン(登録商標),その他超耐熱及び超耐寒性を有した樹脂等を適用することができる。この絶縁部材21は、熱伝導部材20の外周全周を覆うように配設される。よって、絶縁部材21は、補強部材22と熱伝導部材20との間に挟まれた構成となっている。
絶縁部材21を熱伝導部材20と補強部材22との間全体に設けることにより、熱伝導部材20と補強部材22とは電気的に分離された(絶縁された)構成となる。よって、コイル体19が励磁・減磁を行う過程に熱伝導部材20に渦電流が発生しても、スリット20Aの形成位置を含め熱伝導部材20と補強部材22との間全体に絶縁部材21が設けられているため、熱伝導部材20を流れる渦電流が補強部材22に流れ込むことはない。
これにより、熱伝導部材20を含んだ渦電流のループが形成されることはなく、超電導コイル13内に渦電流に起因した発熱の発生は抑制され、よって超電導マグネット装置10にクエンチが発生することを防止することができる。
また、補強部材22に渦電流防止のためのスリットを形成する必要もなく、補強部材22の強度維持を図ることができる。よって、電磁力(フープ力)によりコイル体19に変形(歪み)が発生することを防止でき、これによってもクエンチの発生を抑制することができる。
ここで、励磁時に超電導コイルに発生する渦電流による総発熱量を求めたシミュレーション結果を以下に示す。以下のシミュレーションでは、熱伝導部材にスリットを設けた場合と設けない場合、絶縁部材を設けた場合と設けない場合に場合分けし、それぞれの場合についてシミュレーションを行った。また、シミュレーションに際し、超電導コイルの形状・寸法としては陽子線治療装置ガントリー用偏向電磁石として一般に用いられる形状・寸法に近い値を用い、熱伝導部材としては銅を設定し、補強部材の材料としてはステンレスを設定した。尚、以下の結果は、補強部材に渦電流が流れた場合の発熱も含めた結果である。
(1)[スリット20Aなし]・・・・・・・・・・・・・44W
(2)[スリット20Aあり]+[絶縁部材21なし]・・8.3W
(3)[スリット20Aあり]+[絶縁部材21あり]・・0.2W
上記の(1)及び(2)のシミュレーション結果は、従来の超電導コイルにおける渦電流による発熱量を示している。これに対し、(3)のシミュレーション結果は、上記した本実施形態に係る超電導コイル13における渦電流による発熱量を示している。
(1)[スリット20Aなし]・・・・・・・・・・・・・44W
(2)[スリット20Aあり]+[絶縁部材21なし]・・8.3W
(3)[スリット20Aあり]+[絶縁部材21あり]・・0.2W
上記の(1)及び(2)のシミュレーション結果は、従来の超電導コイルにおける渦電流による発熱量を示している。これに対し、(3)のシミュレーション結果は、上記した本実施形態に係る超電導コイル13における渦電流による発熱量を示している。
まず、(1)のシミュレーション結果を見ると、スリット及び絶縁部材を設けていない従来の超電導コイルでは、発熱量が44Wと最も多いことが判る。これは、渦電流が熱伝導部材内をループ状に流れることにより、熱伝導部材が渦電流によりジュール熱で加熱されることに起因している。
また、(2)のシミュレーション結果を見ると、熱伝導部材にスリットが形成されるが、絶縁部材が設けられていない従来の超電導コイルでは、発熱量が8.3Wと(1)のシミュレーション結果に比べては小さくなっている(約1/5程度)ことが判る。また、発熱箇所を調べたところ、補強部材の一箇所において発熱量が多く、その位置は熱伝導部材のスリット形成位置と対向する位置であった。
これに対し、(3)の本実施形態に係る超電導コイル13のシミュレーション結果を見ると、発熱量が0.2Wと(1)のシミュレーション結果に比べて大きく低減されている(約1/200程度)ことが判る。これは、熱伝導部材20で発生する渦電流がスリット20Aでそのループが遮蔽されると共に、絶縁部材21の存在により渦電流の補強部材22への迂回した流れも遮蔽されていることによる。よって、この(1)〜(3)のシミュレーション結果により、熱伝導部材20と補強部材22との間に絶縁部材21を設けることにより、磁場励磁・減磁時に超電導コイル13に局所的な発熱や、全体での総発熱量の低減を図ることができ、クエンチの発生を防止することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
具体的には、本実施形態では本発明を陽子線治療装置ガントリー用偏向電磁石に適用した例について説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、超電導コイルが比較的大型であり、冷凍機により伝導冷却を行う構成の超電導マグネット装置に対して広く適用が可能なものである。
10 超電導マグネット装置
12 鉄心
13 超電導コイル
15 荷重支持体
17 熱シールド板
18 冷凍機
18a 1段部
18b 2段部
19 コイル体
20 熱伝導部材
20A スリット
21 絶縁部材
22 補強部材
12 鉄心
13 超電導コイル
15 荷重支持体
17 熱シールド板
18 冷凍機
18a 1段部
18b 2段部
19 コイル体
20 熱伝導部材
20A スリット
21 絶縁部材
22 補強部材
Claims (4)
- 超電導線材が巻回されたコイル体と、
前記冷凍機に接続されて冷却されると共に、前記コイル体の外周を囲繞するよう設けられた伝熱部材と、
前記伝熱部材に形成されており、該伝熱部材に渦電流が流れるのを抑制するスリットと、
前記伝熱部材及び前記コイル体の全外周を囲繞するよう設けられ、前記コイル体の変形を防止する高強度部材とを有し、
前記冷凍機により伝熱部材を介して前記コイル体が伝導冷却されることにより超電導状態となる超電導コイルであって、
前記伝熱部材と前記高強度部材との間に、電気絶縁性を有する材料からなる絶縁部材を設けたことを特徴とする超電導コイル。 - 前記絶縁部材は、繊維強化プラスチックよりなることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイル。
- 前記高強度部材は、ステンレスよりなることを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導コイル。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超電導コイルと、
前記超電導コイルを内設する真空容器と、
前記超電導コイルが超電導状態となるよう冷却を行う冷凍機と、
前記超電導コイルを支持する荷重支持体と
を有することを特徴とする超電導マグネット装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2009124356A JP2010272745A (ja) | 2009-05-22 | 2009-05-22 | 超電導コイル及び超電導マグネット装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP2009124356A JP2010272745A (ja) | 2009-05-22 | 2009-05-22 | 超電導コイル及び超電導マグネット装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2010272745A true JP2010272745A (ja) | 2010-12-02 |
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ID=43420528
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| JP2009124356A Pending JP2010272745A (ja) | 2009-05-22 | 2009-05-22 | 超電導コイル及び超電導マグネット装置 |
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|---|---|
| JP (1) | JP2010272745A (ja) |
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- 2009-05-22 JP JP2009124356A patent/JP2010272745A/ja active Pending
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