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JP2011150323A - 偏光部材の製造方法 - Google Patents

偏光部材の製造方法 Download PDF

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JP2011150323A
JP2011150323A JP2010284304A JP2010284304A JP2011150323A JP 2011150323 A JP2011150323 A JP 2011150323A JP 2010284304 A JP2010284304 A JP 2010284304A JP 2010284304 A JP2010284304 A JP 2010284304A JP 2011150323 A JP2011150323 A JP 2011150323A
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Noriaki Taguchi
紀明 田口
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Abstract

【課題】ヘイズが抑制された高品質な偏光部材を提供すること。
【解決手段】配列層上に二色性色素含有溶液を塗布することにより偏光膜を形成すること、エポキシ基含有シランカップリング剤を水性溶媒に添加することによりエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を調製すること、および、調製したエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を上記偏光膜上に塗布した後、加熱処理を施すこと、を含む偏光部材の製造方法。エポキシ基含有シランカップリング剤溶液の調製から塗布までの期間を、エポキシ基含有シランカップリング剤溶液中でのシランカップリング剤の平均分子量変化に基づき決定する。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光部材の製造方法に関するものであり、詳しくは、曇り(ヘイズ)が抑制された偏光部材の製造方法に関するものである。
偏光レンズは、溶接作業、医療治療等の特殊作業やスキーなどの各種スポーツ中に防眩メガネとして利用されるものであり、一般に二色性色素の偏光性を利用することにより防眩性が発揮される。二色性色素の偏光性は、ディスプレイ機器、光伝送機器、自動車や窓ガラス等の光学用途にも広く利用されている。
二色性色素の偏光性は、主に二色性色素が一軸配向することにより発現される。二色性色素を一軸配向させるためには、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムに二色性色素を含浸させた後、該フィルムを一軸延伸する方法、二色性色素を含む塗布液を配列層上に塗布する方法が一般的に採用されている。上記配列層としては、シリカ(SiO2)蒸着膜等の無機中間層(特許文献1参照)、ケイ素を含有するゾル−ゲル膜(特許文献2参照)等が提案されている。
特表2008−527401号公報 特開2009−237361号公報
上記特許文献1には、配列層上に偏光膜を設けた後にシランカップリング剤を用いて保護層を形成すること、具体的には、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アミノ基含有カップリング剤)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシ基含有カップリング剤)を偏光膜上に順次塗布、加熱硬化させることにより保護層を形成することが実施例に開示されている。この保護層に含まれるシランカップリング剤は、偏光膜中に浸透し二色性色素の配向状態を固定化する役割を果たしていると考えられる。しかし、本発明者の検討の結果、上記保護層を形成した偏光部材においては、クモリ(ヘイズ)が発生する場合があることが明らかとなった。
そこで本発明の目的は、ヘイズが抑制された高品質な偏光部材を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得るに至った。
特許文献2には、無機物質からなる配列層を有する偏光部材では、配列層と基材との熱膨張差に起因して配列層にクラックが発生し、これがヘイズの原因となる場合があることが示されているが、本発明者がヘイズが発生した偏光部材を観察したところ、偏光膜にクラックが発生していることがヘイズの原因となっている場合があることが明らかとなった。更に、この偏光膜のクラックは、特許文献1の実施例で示されているようにエポキシ基含有シランカップリング剤を用いて保護層を形成した場合に顕著に発生することも判明した。そこでクラック低減手段として、エポキシ基含有シランカップリング剤を用いずに保護層を形成することが考えられる。しかしエポキシ基含有シランカップリング剤は二色性色素の固定化のために有用な成分であるため、本発明者は保護層形成成分としてエポキシ基含有シランカップリング剤を使用しつつ偏光膜のクラックを低減する手段を見出すために更に検討を重ねた。その結果、
(i)保護層形成溶液を調製するためにエポキシ基含有シランカップリング剤を水性溶媒に添加すると、該シランカップリング剤の平均分子量が経時的に変化すること、
(ii)理由は明らかではないが、この平均分子量の経時変化に基づき保護層形成溶液の使用時期を決定することにより偏光膜のクラック発生を抑制できること、が判明した。偏光膜のクラックが二色性色素の固定化のために使用される保護層形成成分に起因して発生することは従来知られていなかった事実であり、偏光膜のクラック発生とエポキシ基含有シランカップリング剤の平均分子量の変化との間に相関関係が見られることは本発明者によって見出された新たな知見である。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]配列層上に二色性色素含有溶液を塗布することにより偏光膜を形成すること、
エポキシ基含有シランカップリング剤を水性溶媒に添加することによりエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を調製すること、および、
調製したエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を上記偏光膜上に塗布した後、加熱処理を施すこと、
を含む偏光部材の製造方法であって、
エポキシ基含有シランカップリング剤溶液の調製から塗布までの期間を、エポキシ基含有シランカップリング剤溶液中でのシランカップリング剤の平均分子量変化に基づき決定することを特徴とする、偏光部材の製造方法。
[2]前記エポキシ基含有シランカップリング剤溶液は、調製後一旦平均分子量が低下し、その後平均分子量が増加する性質を示し、かつ、
前記調製から塗布までの期間を、溶液の調製から平均分子量の増加開始後所定期間経過するまでの期間内に設定する、[1]に記載の偏光部材の製造方法。
[3]前記加熱処理後の偏光膜上に機能性膜を形成することを更に含む、[1]または[2]に記載の偏光部材の製造方法。
[4]エポキシ基含有シランカップリング剤溶液の塗布前に、前記偏光膜上にアミノ基含有シランカップリング剤溶液を塗布し次いで加熱処理を施すことを含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の偏光部材の製造方法。
[5]前記二色性色素は水溶性であり、かつ、
形成した偏光膜に対して二色性色素の非水溶化処理を施すことを更に含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の偏光部材の製造方法。
[6]前記配列層はケイ素酸化物を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の偏光部材の製造方法。
[7]前記偏光部材は偏光レンズである、[1]〜[6]のいずれかに記載の偏光部材の製造方法。
本発明によれば、偏光膜のクラックに起因するヘイズが抑制された高品質な偏光部材を提供することができる。
エポキシ基含有シランカップリング剤の平均分子量の経時変化を模式的に示すグラフである。 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液の平均分子量の経時変化を示すグラフである。 調製後2週間後のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液を使用して作製した偏光レンズの走査型電子顕微鏡(SEM)による断面写真である。 偏光レンズのヘイズ値とγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液の調製から使用までの経過日数との関係を示すグラフである。
本発明は、
配列層上に二色性色素含有溶液を塗布することにより偏光膜を形成すること(以下、「工程1」という)、
エポキシ基含有シランカップリング剤を水性溶媒に添加することによりエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を調製すること(以下、「工程2」という)、および、
調製したエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を上記偏光膜上に塗布した後、加熱処理を施すこと(以下、「工程3」という)、
を含む偏光部材の製造方法に関するものである。本発明の製造方法は、上記エポキシ基含有シランカップリング剤溶液の調製から塗布までの期間を、エポキシ基含有シランカップリング剤溶液中でのシランカップリング剤の平均分子量変化に基づき決定することを特徴とする。これにより、先に説明したように、偏光膜のクラックを低減ないしは抑制することができ、したがってヘイズが抑制された高品質な偏光部材を提供することができる。
以下、本発明の製造方法について、更に詳細に説明する。
工程1
工程1は、配列層上に二色性色素含有溶液を塗布することにより偏光膜を形成する工程である。本工程により二色性色素を一軸配向させることにより、その偏光性を良好に発現させることができる。
上記配列層は、通常、基材上に直接または他の層を介して間接的に設けられる。基材としては、特に限定されず、プラスチック、無機ガラス等が挙げられる。プラスチックとしては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピチオ基を有する化合物を材料とする重合体、スルフィド結合を有するモノマーの単独重合体、スルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリジスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体等などが挙げられる。配列層が形成される基材の表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等の任意の形状であることができる。基材の厚さは偏光部材の種類によって決定されるものであり特に限定されるものではないが、例えば偏光部材として偏光レンズを製造する場合、基材の厚さは通常0.5〜30mm程度である。
基材と配列層との間に形成され得る層の一例としては、ハードコート層を挙げることができる。ハードコート層としては、特に限定されるものではないが有機ケイ素化合物に微粒子状金属酸化物を添加した被膜が好適である。なお、有機ケイ素化合物に代えてアクリル化合物を使用することもできる。また、アクリレートモノマーやオリゴマー等の公知の紫外線硬化樹脂やEB硬化樹脂を、ハードコート形成用のコーティング組成物として用いることもできる。ハードコート層の詳細については、例えば、特開2007−77327号公報段落[0071]〜[0074]および特開2009−237361号公報段落[0027]を参照できる。ハードコート層の厚さは、例えば0.5〜10μm程度である。なお、レンズ基材としてはハードコート付きで市販されているものもあり、本発明ではそのようなレンズ基材上に配列層を形成することもできる。
上記配列層の厚さは、通常0.02〜5μm程度であり、好ましくは0.05〜0.5μm程度である。配列層は、蒸着、スパッタ等の公知の成膜法によって成膜材料を堆積させることにより形成してもよく、ディップ法、スピンコート法等の公知の塗布法によって形成してもよい。上記成膜材料として好適なものとしては、シリコン酸化物、金属酸化物、またはこれらの複合体もしくは化合物を挙げることができる。より好ましくは、Si、Al、Zr、Ti、Ge、Sn、In、Zn、Sb、Ta、Nb、V、Yから選ばれる材料の酸化物、またはこれら材料の複合体もしくは化合物を用いることができる。これらの中でも配列層としての機能付与の容易性の観点からはSiO、SiO2等のケイ素酸化物が好ましく、中でも後述するシランカップリング剤との反応性の点からはSiO2が好ましい。
一方、上記塗布法によって形成される配列層としては、無機酸化物ゾルを含むゾル−ゲル膜を挙げることができる。上記ゾル−ゲル膜の形成に好適な塗布液としては、アルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキサンの少なくとも一方を無機酸化物ゾルとともに含む塗布液を挙げることができる。配列膜としての機能付与の容易性の観点から、上記アルコキシシランは、好ましくは特開2009−237361号公報に記載の一般式(1)で表されるアルコキシシランであり、上記ヘキサアルコキシジシロキサンは、好ましくは特開2009−237361号公報に記載の一般式(2)で表されるヘキサアルコキシジシロキサンである。上記塗布液は、アルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキサンのいずれか一方を含んでもよく、両方を含んでもよく、更に必要に応じて特開2009−237361号公報に記載の一般式(3)で表される官能基含有アルコキシシランを含むこともできる。上記塗布液および成膜方法(塗布方法)の詳細については、特開2009−237361号公報段落[0011]〜[0023]、[0029]〜[0031]および同公報記載の実施例を参照できる。
次いで、上記配列層上に塗布される塗布液中の二色性色素を一軸配向させるために、通常、形成した配列層上に溝を形成する。溝が形成された配列層表面に二色性色素を含む塗布液を塗布すると、二色性色素が溝に沿って、または溝と直交する方向に配向する。これにより、二色性色素を一軸配向させ、その偏光性を良好に発現させることができる。上記溝の形成は、例えば、液晶分子の配向処理のために行われるラビング工程によって行うことができる。ラビング工程は、被研磨面を布などで一定方向に擦る工程であり、その詳細は、例えば米国特許2400877号明細書や米国特許4865668号明細書等を参照できる。または、特開2009−237361号公報段落[0033]〜[0034]に記載の研磨処理により、配列層上に溝を形成することも可能である。形成される溝の深さやピッチは、二色性色素を一軸配向させることができるように設定すればよい。
次に、上記配列層上に偏光膜(二色性色素膜)を形成する方法について説明する。
「二色性」とは、媒質が光に対して選択吸収の異方性を有するために、透過光の色が伝播方向によって異なる性質を意味し、二色性色素は、偏光光に対して色素分子のある特定の方向で光吸収が強くなり、これと直行する方向では光吸収が小さくなる性質を有する。また、二色性色素の中には、水を溶媒とした時、ある濃度・温度範囲で液晶状態を発現するものが知られている。このような液晶状態のことをリオトロピック液晶という。この二色性色素の液晶状態を利用して特定の一方向に色素分子を配列させることができれば、より強い二色性を発現することが可能となる。上記溝を形成した配列層上に二色性色素を含有する塗布液を塗布することにより二色性色素を一軸配向させることができ、これにより良好な偏光性を有する偏光膜を形成することができる。
本発明において使用される二色性色素としては、特に限定されるものではなく、偏光部材に通常使用される各種二色性色素を挙げることができる。具体例としては、アゾ系、アントラキノン系、メロシアニン系、スチリル系、アゾメチン系、キノン系、キノフタロン系、ペリレン系、インジゴ系、テトラジン系、スチルベン系、ベンジジン系色素等が挙げられる。また、米国特許2400877号明細書、特表2002−527786号公報に記載されているもの等でもよい。
二色性色素含有塗布液は、溶液または懸濁液であることができる。二色性色素の多くは水溶性であるため、上記塗布液は通常、水を溶媒とする水溶液または水性懸濁液である。塗布液中の二色性色素の含有量は、例えば1〜50質量%程度であるが、所望の偏光性が得られればよく上記範囲に限定されるものではない。
塗布液は、二色性色素に加えて、他の成分を含むこともできる。他の成分としては、二色性色素以外の色素を挙げることができ、このような色素を配合することで所望の色相を有する偏光部材を製造することができる。さらに塗布性等を向上させる観点から、必要に応じてレオロジー改質剤、接着性促進剤、可塑剤、レベリング剤等の添加剤を配合してもよい。
塗布液の塗布方法としては、特に限定はなく、前述のディップ法、スピンコート法等の公知の方法が挙げられる。偏光膜の厚さは、特に限定されるものではないが、通常0.05〜5μm程度である。なお、後述するシランカップリング剤は通常、偏光膜に浸透し実質的に偏光膜に含まれることになる。
上記二色性色素として水溶性色素を用いる場合には、膜安定性を高めるために塗布液を塗布乾燥した後に非水溶化処理を施すことが好ましい。非水溶化処理は、例えば色素分子の末端水酸基をイオン交換することや色素と金属塩との間でキレート状態を作り出すことにより行うことができる。そのためには、形成した偏光膜を金属塩水溶液に浸漬する方法を用いることが好ましい。使用できる金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えばAlCl3、BaCl2、CdCl2、ZnCl2、FeCl2およびSnCl3等を挙げることができる。非水溶化処理後、偏光膜の表面をさらに乾燥させてもよい。
本発明の製造方法では、上記工程1により形成した偏光膜に対して、エポキシ基含有シランカップリング剤溶液を塗布し、次いで加熱処理を施す(工程3)。これにより、偏光膜中で二色性色素の配向状態を固定化することができ、膜強度および安定性を高めることができる。ただし先に説明したように、本発明者の検討の結果、上記エポキシ基含有シランカップリング剤を用いて作製した偏光部材においては、偏光膜にクラックが発生することにより曇り(ヘイズ)が生じる場合があることが明らかとなった。そこで本発明では、工程3において使用するカップリング剤溶液の使用時期を、溶液中でのカップリング剤溶液の平均分子量の経時変化に基づき決定する。以下に、工程2について説明したうえで、この使用時期の決定について説明する。
工程2
本工程は、エポキシ基含有シランカップリング剤を水性溶媒に添加することによりエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を調製する工程である。シランカップリング剤とは、一般にR−Si(OR’)3で表される構造を有し(複数存在するR’は同一であっても異なっていてもよい)、エポキシ基含有シランカップリング剤とは、上記Rで表される官能基にエポキシ基を含むものである。エポキシ基は、通常、2価の連結基を介してSiに結合している。2価の連結基としては、後述の具体例化合物に含まれる連結基を挙げることができる。
一方、上記R’で表される官能基は、通常アルキル基であり水性溶媒中で加水分解を受けシラノール(Si−OH)を生成する。上記R’で表されるアルキル基の炭素数は、例えば1〜10であり、好ましくは1〜3である。
上記エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(γ−GPS)、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシドキシ基含有トリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン等のエポキシアルキルアルコキシシランを挙げることができる。
本発明者の検討により、上記エポキシ基含有シランカップリング剤を水性溶媒に添加しシランカップリング剤溶液を調製すると、調製後比較的短期間で(例えば2週間以内に)、平均分子量の経時的な変化が観察されることが明らかとなった。この現象は、後述するアミノ基含有シランカップリング剤では見られない現象であった。これは、エポキシ基含有シランカップリング剤がシランカップリング剤の中でも反応性が高いものであるため、溶液保存中に比較的短期間で加水分解によるシラノール基の生成およびシラノール基の縮合によるシロキサン結合(Si−O−Si)の形成(シランオリゴマーの生成)により平均分子量の変化が起こりやすいからであると推察される。そして、シランオリゴマーが多数生成された溶液は、偏光膜上に塗布したとしても膜内に十分浸透できない結果、エポキシ基含有シランカップリング剤の大部分が偏光膜上に被膜状に存在することになると考えられ、その後の加熱処理により上記被膜が熱収縮することが偏光膜におけるクラック発生の原因であると、本発明者は推察している。
エポキシ基含有シランカップリング剤溶液は、エポキシ基含有シランカップリング剤を水性溶媒、好ましくは水または水とアルコール(メタノール、エタノール等)との混合溶媒に添加、混合することにより調製される。該溶液中のエポキシ基含有シランカップリング剤の濃度は、溶解性を考慮すると1〜15質量%程度とすることが好ましく、1〜10質量%程度とすることがより好ましい。上記溶液には、その他の成分として、公知の添加剤が含まれていてもよい。溶液調製時には、加熱を行わないことが平均分子量の急激な変化を抑制するうえで好ましい。また、同様の理由から調製された溶液は室温以下の条件で保存することが好ましい。
エポキシ基含有シランカップリング剤溶液の使用時期の決定
本発明では、上記工程2で調製したエポキシ基含有シランカップリング剤溶液の使用時期、即ち、溶液の調製から塗布までの期間を、エポキシ基含有シランカップリング剤溶液中でのシランカップリング剤の平均分子量変化に基づき決定する。ここで平均分子量とは、重量平均分子量(以下、「Mw」とも記載する)であっても数平均分子量(以下、「Mn」とも記載する)であってもよい。本発明では、重量平均分子量、数平均分子量のいずれかまたは両者の変化に基づき、上記使用時期を決定することができる。なお、本発明における平均分子量とは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算分子量として測定されたものである。
使用時期決定のためには、実生産で使用する溶液と同一のエポキシ基含有シランカップリング剤を含む溶液(サンプル溶液)を試験的に調製し、この溶液調製後の平均分子量変化を経時的にモニタリングすることが好ましい。例えば、一定時間毎にサンプル溶液から平均分子量測定用の試料を適量採取し、この試料の平均分子量変化を測定することにより、実生産で使用する溶液の調製後からの平均分子量の経時変化の情報を得ることができる。図1に示すように、エポキシ基含有シランカップリング剤の平均分子量は、通常、溶液調製後一旦低下して極小値を取り、その後増加に転じて以降上昇する傾向を示す。即ち、溶液調製後、平均分子量低下期間、次いで平均分子量増加期間が現れる。この平均分子量低下期間では主に加水分解によるシラノール基の生成が進行し、平均分子量増加期間では主にシラノール基の縮合によるシロキサン結合の形成(シランオリゴマーの生成)が進行していると考えられる。前述のように、偏光膜のクラックはシランオリゴマーが多数生成されることに起因して生じると推察されるため、シランオリゴマーが多数生成されないうちに溶液を偏光膜に塗布することが好ましい。したがって、溶液の使用時期(溶液調製から塗布までの期間)は、溶液の調製から平均分子量の増加開始後所定期間経過するまでの期間内に設定することが好ましく、上記平均分子量低下期間内に設定することがより好ましい。また、上記平均分子量増加期間内に設定する場合には、測定される平均分子量が調製直後の平均分子量を超えない期間内に設定することが好ましい。なお、平均分子量の経時変化の傾向をつかむためには、上記サンプル溶液の組成は実生産で使用する溶液と必ずしも同一である必要はないが、他成分の影響を排除するためには、添加剤が含まれる場合には同一添加剤を含む組成とすることが望ましく、使用する水性溶媒は同一のものとすることが望ましい。また、平均分子量の経時変化を測定する際に溶液が置かれる環境は、実生産時に溶液が保管される雰囲気と同等ないし近似する環境とすることが好ましい。例えば、実生産時に溶液が室温保管されるのであれば、測定対象溶液も室温下に置くことが好ましく、温度制御した環境にて保管されるのであれば同様に温度制御した環境に置くことが好ましい。実生産時におけるエポキシ基含有シランカップリング剤の平均分子量の経時変化の傾向を、より正確に把握できるからである。
工程3
工程3は、工程2における調製後、上記方法により決定された期間内にあるエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を、偏光膜上に塗布し、次いで加熱処理を施す工程である。溶液の塗布は、ディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法等の公知の手段によって行うことができる。加熱処理は、溶液塗布後の偏光部材を所定期間加熱炉内に配置することにより行うことができる。加熱時の炉内雰囲気温度および加熱時間は、使用するエポキシ基含有シランカップリング剤の種類に応じて決定することができるが、通常、40〜200℃、30分〜3時間程度である。
エポキシ基含有シランカップリング剤溶液は、偏光膜上に直接塗布することもできるが、偏光膜上にアミノ基含有シランカップリング剤溶液を塗布し次いで加熱処理を施した後に塗布することが好ましい。これは、エポキシ基含有シランカップリング剤(以下、「エポキシシラン」とも呼ぶ)と比べてアミノ基含有シランカップリング剤(以下、「アミノシラン」とも呼ぶ)は、その分子構造に起因して、配列層により一軸配向した二色性色素の分子間に入り込みやすいと推察されるからである。この点について更に説明すると、シランカップリング剤により二色性色素の配列状態を固定化するメカニズムは、次の通りであると推察される。配列層により一軸配向した二色性色素の間にシランカップリング剤が入り込むとシランカップリング剤は加水分解により生成したシラノール基によって配列層と結合する。この結果、二色性色素の間にシランカップリング剤が固定化された状態となり二色性色素同士が会合しにくくなるため、二色性色素の配向状態を維持することができる。ここで配列層と結合させるためのカップリング剤としてアミノシランを用いると、加熱処理後、アミノシランはアミノ基を上に向けた状態で配列層上に固定化された状態になると推察される。この上にエポキシシランを塗布し加熱処理を施すと、エポキシシランが架橋剤の役割を果たし、塗膜強度を高めることができると考えられる。これは、エポキシ基はアミノ基と高い反応性を有するため、アミノ基とエポキシ基が結合を形成するとともに、エポキシシランにおいて加水分解により生成したシラノール基が縮合しシロキサン結合を形成するからであると、本発明者は推察している。
上記アミノシランとは、前述のR−Si(OR’)3で表される構造中のRで表される官能基にアミノ基を含むものである。アミノシランに関する上記構造式の詳細は、Rにアミノ基を含む点以外は先にエポキシ基含有シランカップリング剤について述べた通りである。アミノシランの具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシランを挙げることができる。また、アミノシランを含む溶液の調製方法、塗布方法、加熱処理の詳細は、先にエポキシシランについて述べた通りである。なお、前記シランカップリング剤の塗布後、塗布面を純水、脱イオン水等ですすぎ洗いすることにより最表面に過剰に付着したシランカップリング剤を除去することも可能である。
以上説明した工程1〜3を施した偏光部材には、シランカップリング剤によって処理した偏光膜上に、必要に応じて各種機能性膜を公知の成膜方法によって積層することもできる。機能性膜としては、ハードコート膜、反射防止膜を挙げることができる。先に説明したヘイズ発生の原因となる偏光膜のクラックは、シランオリゴマーの生成により偏光膜内に浸漬できず表層部分で被膜状に留まったシランカップリング剤が、加熱処理により熱収縮することが原因で発生すると推察される。したがって、偏光膜上に機能性膜を形成する際に加熱処理(熱硬化処理)を施すと、この加熱処理によって熱収縮が更に進行することで、クラックが重度に発生することが懸念される。これに対し本発明によれば、エポキシシラン溶液の使用時期を上記のように決定することで、シランオリゴマーが多数生成されないうちにエポキシシラン溶液を偏光膜に塗布することが可能となるため、機能性膜形成のために加熱処理を施したとしても、クラックの発生のない高い透明性を有する偏光部材を得ることができる。
ハードコート膜については先に説明した通りである。反射防止膜としては、公知の無機酸化物よりなる単層、多層膜を使用することができる。この無機酸化物としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ニオブ(Nb25)酸化イットリウム(Y23)等が挙げられる。その形成方法は特に限定されるものではない。偏光膜上に形成されるハードコートの厚さは、例えば0.5〜10μm、反射防止膜の厚さは、例えば0.1〜5μmとすることができる。
また、機能性膜として、撥水膜、紫外線吸収膜、赤外線吸収膜、フォトクロミック膜、静電防止膜等も積層可能である。更に各膜間の密着性を高めるためのプライマーを挙げることもできる。プライマーとしては、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル、エチレンビニル共重合体であるオレフィン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系の樹脂溶液を塗布することにより形成した塗布膜を挙げることができる。
以上の工程により、偏光膜のクラックに起因するヘイズが抑制ないしは低減された、高品質な偏光部材を得ることができる。本発明により得られる偏光部材は、ヘイズが抑制ないしは低減されたものであるため、優れた光学特性が求められる偏光レンズ、特に眼鏡レンズとして好適である。ただし本発明により得られる偏光部材は、偏光膜を含むものであればレンズ形状のものに限定されるものではない。例えば、液晶ディスプレイ、光伝送機器、自動車や建物の窓ガラス等の偏光部材の製造のために本発明を適用することも、もちろん可能である。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
1.エポキシシランの平均分子量の経時変化測定
γ−グリシドキシトリメトキシシランの10質量%水溶液を調製し、調製当日、調製後2日後、1週間後、2週間後の溶液から平均分子量測定用試料を数mlずつ採取し、MwおよびMnを測定した。結果を図2に示す。2週間、溶液は空気中室温(約19℃)にて保管した。
図2に示す結果から、γ−グリシドキシトリメトキシシランは水溶液中で、調製後2日後までが平均分子量低下期間となり、調製後2日後に平均分子量極小値を取り、以後平均分子量増加期間に転ずることが確認できる。この結果から、使用時期としては、調製後2日以内が好ましいと判断した。
2.偏光レンズの作製−1
(1)配列層の形成
レンズ基材として、フェニックスレンズ(HOYA株式会社製、屈折率1.53、ハードコート付き、直径70mm、ベースカーブ4)を用いて、レンズ凹面に真空蒸着法により、厚さ0.2μmのSiO2膜を形成した。
形成されたSiO2膜に、研磨剤含有ウレタンフォーム(研磨剤:フジミインコーポレーテッド社製商品名POLIPLA203A、平均粒径0.8μmのAl23粒子、ウレタンフォーム:球面レンズの凹面の曲率とほぼ同形状)を用いて、一軸研磨加工処理を回転数350rpm、研磨圧50g/cm2の条件で30秒間施した。研磨処理を施したレンズは純水により洗浄、乾燥させた。
(2)偏光膜の形成
レンズを乾燥後、研磨処理面上に、二色性色素(スターリング オプティクス インク(Sterling Optics Inc)社製商品名Varilight solution 2S)の約5質量%水溶液2〜3gを用いてスピンコートを施し、偏光膜を形成した。スピンコートは、色素水溶液を回転数300rpmで供給し、8秒間保持、次に回転数400rpmで45秒間保持、さらに1000rpmで12秒間保持することで行った。
次いで、塩化鉄濃度が0.15M、水酸化カルシウム濃度が0.2MであるpH3.5の水溶液を調製し、この水溶液に上記で得られたレンズをおよそ30秒間浸漬し、その後引き上げ、純水にて充分に洗浄を施した。この工程により、水溶性であった色素は難溶性に変換される(非水溶化処理)。
(3)アミノシランによる処理
上記(2)の後、レンズをγ−アミノプロピルトリエトキシシラン20質量%水溶液に15分間浸漬し、その後純水で3回洗浄し、加熱炉内(炉内温度80℃)で60分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。γ−アミノプロピルトリエトキシシラン溶液は、処理の都度、新しい溶液を調製して用いた。なお、ここで使用したγ−アミノプロピルトリエトキシシラン溶液について、調製後2週間までの平均分子量の経時変化を、上記1.と同様に測定したが、上記1.で測定したエポキシシランで見られるような急激な分子量変化は観察されなかった。
(4)エポキシシランによる処理
上記冷却後、レンズを空気中にてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10質量%水溶液に10分浸漬した後、加熱炉内(炉内温度80℃)で60分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。上記γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10質量%水溶液として、溶液調製当日、2日後、一週間後、または2週間後の溶液を使用した。2週間、溶液は空気中室温(約19℃)にて保管した。
(5)機能性膜の形成
上記(4)の処理を施したレンズに研磨剤(株式会社フジミインコーポレーテッド製商品名POLIPLA103H、粒径0.8μm)で研磨処理を施し充分洗浄した。次に紫外線硬化性樹脂(株式会社スリーボンド製商品名3075)をスピンコート(500rpmで供給、45秒保持)により塗布した。塗布後、紫外線照射装置によりUV照射光量600mJ/cm2で硬化し、ハードコートをレンズに施し、偏光レンズを得た。
3.偏光レンズの断面観察
溶液調製当日、2日後、一週間後、2週間後のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2質量%水溶液を使用して作製した各偏光レンズの断面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ(印加電圧10kV、倍率5000倍)、調製一週間後および2週間後の溶液を使用して作製したレンズにおいて、ハードコート側の偏光膜表層部にクラックが発生していることが確認された。図3に、調製後2週間の溶液を使用して作製した偏光レンズのSEMによる断面写真を示す。これに対し、調製当日および2日後の溶液を使用して作製したレンズでは、上記クラックは観察されなかった。なお、SEMによる断面写真から偏光膜の厚さを測定したところ、いずれの偏光レンズにおいても約1.0μmであった。
4.透明性(ヘイズ値)の測定
株式会社村上色彩技術研究所製ヘイズメーターMH−150にて、作製した偏光レンズのヘイズ値を測定し、曇り(ヘイズ)の有無を以下の基準にしたがい評価した。結果を、下記表1に示す。
(評価基準)
○:曇りなし(ヘイズ値≦0.4%)
×:曇りあり(ヘイズ値>0.4%)
表1に示す結果から、調製2日後までにエポキシシラン溶液を使用することにより、曇りのない高品質な偏光レンズが得られることが確認できる。また、上記3.で示したSEMによる断面観察により偏光膜にクラックが観察された偏光レンズにおいて曇りが見られることから、偏光膜のクラックが曇りの原因であることも確認できる。
上記結果は、1.で判断した使用時期(調製後2日以内)が適切であることを示すものである。したがって、以上の結果から、エポキシシラン溶液の使用時期を、平均分子量の経時変化に基づき決定することにより、曇りのない高品質な偏光レンズが得られることが示された。
5.偏光レンズの作製−2
(1)配列層の形成〜アミノシランによる処理
配列層の形成〜アミノシランによる処理までの工程を、上記2.(1)〜(3)と同様に行った。
(2)エポキシシランによる処理
アミノシランのよる処理後のレンズを空気中にてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10質量%水溶液に10分間浸漬した後、加熱炉内(炉内温度80℃)で60分間加熱処理した。その後、炉内から取り出し室温まで冷却した。上記γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10質量%水溶液としては、溶液調製1日後、2日後、3日後、4日後、8日後に同じ溶液から必要量を採取して使用した。8日間、溶液は空気中室温(約19℃)にて保管した。
(3)機能性膜の形成
(3−1)ハードコート組成物の調製
マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン17質量部、メタノール30質量部、および、水分散コロイダルシリカ(固形分40質量%、平均粒子径15nm)28質量部を加え充分に混合し、5℃で24時間攪拌を行った。次に、プロピレングリコールモノメチルエーテル15質量部、シリコ−ン系界面活性剤0.05質量部、および、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ−トを1.5質量部加え、充分に撹拌した後、濾過を行ってハードコ−ティング液(ハードコート組成物)を調製した。
(3−2)ハードコート膜の形成
上記(2)の処理を施したレンズに研磨剤(株式会社フジミインコーポレーテッド製商品名POLIPLA103H、粒径0.8μm)で研磨処理を施し充分洗浄した。次に、上記(3−1)で調製したハードコーティング組成物を用いて、スピンコート法でコーティングを行い、100℃、60分加熱硬化することで、厚さ約3μmのハードコート層を形成した。
6.透明性(ヘイズ値)の測定
上記5.において作製した各偏光レンズのヘイズ値を、株式会社村上色彩技術研究所製ヘイズメーターMH−150にて測定した。結果を図4に示す。
図4に示すように、上記1.で判断した使用時期(調製後2日以内)を過ぎたエポキシシラン溶液を使用するとヘイズ値の急激な上昇(曇りの発生)が見られた。この結果からも、エポキシシラン溶液の使用時期を、平均分子量の経時変化に基づき決定することにより、曇りのない高品質な偏光レンズが得られることが示された。
本発明は、眼鏡レンズ等の偏光レンズの製造分野に有用である。

Claims (5)

  1. 配列層上に二色性色素含有溶液を塗布することにより偏光膜を形成すること、
    エポキシ基含有シランカップリング剤を水性溶媒に添加することによりエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を調製すること、および、
    調製したエポキシ基含有シランカップリング剤溶液を上記偏光膜上に塗布した後、加熱処理を施すこと、
    を含む偏光部材の製造方法であって、
    エポキシ基含有シランカップリング剤溶液の調製から塗布までの期間を、エポキシ基含有シランカップリング剤溶液中でのシランカップリング剤の平均分子量変化に基づき決定することを特徴とする、偏光部材の製造方法。
  2. 前記エポキシ基含有シランカップリング剤溶液は、調製後一旦平均分子量が低下し、その後平均分子量が増加する性質を示し、かつ、
    前記調製から塗布までの期間を、溶液の調製から平均分子量の増加開始後所定期間経過するまでの期間内に設定する、請求項1に記載の偏光部材の製造方法。
  3. 前記加熱処理後の偏光膜上に機能性膜を形成することを更に含む、請求項1または2に記載の偏光部材の製造方法。
  4. エポキシ基含有シランカップリング剤溶液の塗布前に、前記偏光膜上にアミノ基含有シランカップリング剤溶液を塗布し次いで加熱処理を施すことを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光部材の製造方法。
  5. 前記偏光部材は偏光レンズである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光部材の製造方法。
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