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JP2012104188A - スポット位置制御装置、スポット位置制御方法 - Google Patents

スポット位置制御装置、スポット位置制御方法 Download PDF

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JP2012104188A
JP2012104188A JP2010251574A JP2010251574A JP2012104188A JP 2012104188 A JP2012104188 A JP 2012104188A JP 2010251574 A JP2010251574 A JP 2010251574A JP 2010251574 A JP2010251574 A JP 2010251574A JP 2012104188 A JP2012104188 A JP 2012104188A
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pit
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light
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Junichi Horigome
順一 堀米
Yoshihiko Ideoka
良彦 出岡
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Sony Corp
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Abstract

【課題】サーボ対象とするトラックからのトラッキング誤差量を折り返しを生じさせずリニアに表すトラッキング誤差信号を生成する。
【解決手段】1周回におけるピットの形成可能位置の間隔が第1の間隔に制限されたピット列がスパイラル状又は同心円状に形成され、半径方向に配列されるピット列において、上記ピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔が所定の第2の間隔ずつずれた位置に設定されて、複数のピット列位相を有するようにされた光記録媒体を用いることで、これら複数の位相のピット列の個々に対する複数のトラッキング誤差信号が同時並行的に得られるようにする。その上で、光記録媒体上のスポットが半径方向に移動している際に得られる上記複数のトラッキング誤差信号のゼロクロス点近傍の区間の信号を順次繋ぎ合わせて、トラッキング誤差量を線形に表す線形トラッキング誤差信号を生成する。
【選択図】図18

Description

本発明は、光記録媒体に対して対物レンズを介して照射した光のスポット位置を制御するスポット位置制御装置とその方法に関する。
特開2004−158187号公報
光の照射により信号の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスクが普及している。
これらCD、DVD、BDなどの光ディスクでは、例えば図28(a)に示されるように、半径方向において複数のトラック(ピット列やグルーブ)が配列されるように形成されている。そして、これら半径方向に配列されるトラック間をジャンプする、いわゆるトラックジャンプ動作を行うようにされる。
ここで、トラックジャンプ動作として、或るトラックを対象としてトラッキングサーボがかけられている状態から所定のトラックへの移動を行うとした場合には、先ず、トラッキングサーボをオフとして対物レンズを所定のジャンプパルスに基づいて駆動することで、スポットSpを目標トラックの方向に移動させる。そして、その後の所定タイミングでブレーキパルスを与えてスポットSpの移動速度を減速させた上で、トラッキングサーボをオンとすることで、上記目標トラックに対するサーボ引き込みが行われるようにする。
上記のように従来の光ディスクシステムでは、トラックジャンプ動作として、スポット位置を半径方向に1トラック分以上移動させるとしたとき、トラッキングサーボを一旦オフとしなければならない。これは、図28(b)にその波形を示したように、スポットSpがサーボ対象とするトラックから半トラック分移動したところで、トラッキングエラー信号の波形に折り返しが生じてしまうことに依る。
上記のようにトラッキングサーボを一旦オフとしなければならないことから、従来の光ディスクシステムでは、トラックジャンプを実現するにあたって上述のようにトラッキングサーボの再引き込みが必要となったり、また引き込みをスムーズに行うための複雑な制御を要する場合があるなどの問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑み為されたもので、サーボ対象とするトラックからのトラッキング誤差量を上述のような折り返しを生じさせずリニアに表すトラッキング誤差信号を生成できるようにすることをその課題とする。
上記課題の解決のため、本発明ではスポット位置制御装置として以下のように構成することとした。
すなわち、1周回におけるピットの形成可能位置の間隔が第1の間隔に制限されたピット列がスパイラル状又は同心円状に形成され、半径方向に配列されるピット列において、上記ピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔が所定の第2の間隔ずつずれた位置に設定されて、複数のピット列位相を有するようにされている光記録媒体に対して、対物レンズを介して第1の光を照射し且つ、上記第1の光の上記光記録媒体からの反射光を受光する光照射・受光部を備える。
また、上記対物レンズを上記半径方向に変位させるトラッキング機構部を備える。
また、上記光照射・受光部が上記第1の光の反射光を受光して得た受光信号に基づき、上記ピットの形成可能位置の間隔に応じたクロックを生成するクロック生成部を備える。
また、上記クロック生成部により生成されたクロックに基づき、上記光記録媒体に形成された各位相のピット列についての上記ピットの形成可能位置のタイミングをそれぞれ表す複数のタイミング選択信号を生成するタイミング選択信号生成部を備える。
また、上記第1の光の反射光についての上記受光信号と、上記タイミング選択信号生成部が生成した上記タイミング選択信号とに基づき、上記光記録媒体に形成された各位相のピット列ごとのトラッキング誤差をそれぞれ表す複数のトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成部を備える。
また、上記第1の光の照射スポットが半径方向に移動している際に得られる上記複数のトラッキング誤差信号のゼロクロス点近傍の区間の信号を順次繋ぎ合わせて、トラッキング誤差量を線形に表す線形トラッキング誤差信号を生成する線形トラッキング誤差信号生成部を備える。
また、上記線形トラッキング誤差信号に基づき上記トラッキング機構を駆動することで上記対物レンズについてのトラッキングサーボ制御を行うトラッキングサーボ制御部を備える。
さらに、上記トラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御により形成されるトラッキングサーボループに対して上記照射スポットを半径方向に移動させるためのオフセットを付与するオフセット付与部を備えるようにした。
上記のようなピット列を有する本発明の光記録媒体の構造によれば、半径方向において光学限界を超えて各ピット列を配列することができる。そして、このように半径方向に光学限界を超えてピット列が配列されることで、上記トラッキング誤差信号生成部により、各位相のピット列のトラッキング誤差信号を同時並行的に得ることができる。
このとき、上記第1の光の照射スポットが半径方向に移動している状態では、各トラッキング誤差信号としては、例えば図18に示されるように、それらのピット列の位相差に応じた位相差を有する信号がそれぞれ得られることになる。
ここで、或るピット列を対象としてトラッキングサーボをかけている状態で、例えばトラックジャンプ等のためにスポット位置を半径方向に強制的に移動させたとすると、そのサーボ対象としたピット列についてのトラッキング誤差信号のレベルは、ゼロレベルからスポットの移動方向に応じた極性側に徐々に変化していくことになる。そして、スポットの移動量が或る一定以上となると、先に説明したような誤差信号の折り返しが生じてしまうことになる。
そこで本発明では、上記のように各位相のピット列についての誤差信号を同時並行的に得られるようにした上で、それら各位相のピット列についてのトラッキング誤差信号について、それらのゼロクロス点近傍の信号を繋ぎ合わせることで、従来では折り返しが生じてしまうような大きなトラッキング誤差量であってもこれを線形に表すことのできる線形トラッキング誤差信号を生成するものとしている。
このような線形トラッキング誤差信号に基づくトラッキングサーボ制御とすることで、この場合は、トラックジャンプ等のためにサーボループへのオフセット付与によりスポット位置を半径方向に強制的に移動させたときに、その移動量が従来のトラッキング誤差信号の折り返しを生じさせるほどに大であるとしても、トラッキングサーボが外れないようにできる。換言すれば、トラッキングサーボをかけ続けた状態が維持されるようにできる。
つまりこの結果、例えばトラックジャンプなどの、1トラック幅以上の移動量によりスポット位置を移動させるという制御を、クローズドループ制御により実現することができる。
上記のように本発明によれば、スポットの移動量が従来のトラッキング誤差信号の折り返しが生じるほどに大である場合にも、トラッキング誤差量を線形に表すことのできる線形トラッキング誤差信号を生成できる。
そして本発明では、このような線形トラッキング誤差信号に基づきトラッキングサーボ制御を行うようにしていることで、例えばトラックジャンプなどの、従来では折り返しが生じてしまうような移動量によりスポット位置を移動させることを要するスポット位置制御を、クローズドループ制御により実現することができる。
バルク記録方式について説明するための図である。 先行例、及び実施の形態で記録/再生対象とするバルク型記録媒体の断面構造図である。 バルク型記録媒体に対するマークの記録/再生手法について説明するための図である。 先行例、及び実施の形態のスポット位置制御装置が備える光学系の構成を主に示した図である。 先行例、及び実施の形態で用いるバルク型記録媒体の基準面の表面を一部拡大して示した平面図である。 基準面全体におけるピットの形成態様について説明するための図である。 アドレス情報のフォーマットについて説明するための図である。 バルク型記録媒体の回転駆動に伴い基準面上をサーボ用レーザ光のスポットが移動する様子と、その際に得られるsum信号、sum微分信号、及びPP(プッシュプル)信号の波形との関係を模式的に示した図である。 ピークポジション検出の具体的手法について説明するための図である。 ピークタイミングを表すタイミング信号から生成されたクロックと、該クロックに基づき生成された各selector信号の波形と、基準面に形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示した図である。 チルトやレンズシフトに伴う反射光の受光スポット位置ずれについて説明するための図である。 先行例のトラッキングエラー信号の生成手法について説明するための図である。 先行例としてのスポット位置制御装置全体の内部構成を示したブロック図である。 クロック生成回路の内部構成を示した図である。 先行例のスポット位置制御装置が備えるselector信号生成・選択部の内部構成を示した図である。 クローズドループ制御によるスポット移動を実現するための先行例としての具体的なスポット位置制御手法について説明するための図である。 先行例としてのスポット位置制御手法を各ピット列のトラッキングエラー信号と関連付けて示した図である。 実施の形態としてのスポット位置制御手法について説明するための図である。 線形トラッキング誤差信号の生成手法について説明するための図である。 実施の形態のスポット位置制御装置の内部構成について説明するための図である。 実施の形態のスポット位置制御装置が備えるトラッキング誤差信号生成部の内部構成を示した図である。 スポット位置が半径方向に移動している際に得られる各トラッキングエラー信号の波形図である。 レーザ光の照射スポットが所定のピット列上をトレースしている状態を示した図である。 変形例としての線形トラッキング誤差信号の生成手法において生成する各トラッキング誤差信号の波形図である。 変形例としての線形トラッキング誤差信号の生成手法について説明するための図である。 変形例としての光記録媒体の断面構造を示した図である。 変形例としての基準面の構造を示した図である。 従来の光ディスクシステムにおけるトラッキングジャンプ動作とその問題点について説明するための図である。
ここで、本明細書においては、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)についての説明に先立ち、先ずは、本出願人が本発明を想起する上でその基とした先行例についての説明を行う。
なお、全体的な説明の流れは以下の通りである。

<1.先行例>
[1-1.記録/再生対象とする光記録媒体]
[1-2.光学系の構成]
[1-3.基準面の構造]
[1-4.アドレス情報について]
[1-5.サーボ対象ピット列の選択手法]
[1-6.プッシュプル信号をサンプリングする手法の問題点]
[1-7.スポット位置制御装置の全体的な内部構成]
[1-8.クローズドループ制御によるスポット移動実現のための具体的手法]
<2.実施の形態>
[2-1.先行例の課題]
[2-2.実施の形態の位置制御手法]
[2-3.実施の形態のスポット位置制御装置の構成]
<3.変形例>
<1.先行例>
[1-1.記録/再生対象とする光記録媒体]

ここで、この先行例を含め、後述する実施の形態において記録/再生対象とする光記録媒体としては、いわゆるバルク記録型の光記録媒体(以下、バルク型記録媒体と称する)を例に挙げる。
バルク記録とは、例えば図1に示すようにして、少なくともカバー層とバルク層(記録層)とを有する光記録媒体に対し、逐次焦点位置を変えてレーザ光照射を行ってバルク層内に多層記録を行うことで、大記録容量化を図る技術である。
なおバルク記録に関しては、例えば下記の参考文献にも記載されている。

参考文献1・・・特開2008−135144号公報
参考文献2・・・特開2008−176902号公報
具体的に、上記参考文献1には、バルク記録のうち、いわゆるマイクロホログラム方式と呼ばれる記録技術が開示されている。マイクロホログラム方式では、バルク層の記録材料として、いわゆるホログラム記録材料が用いられる。ホログラム記録材料としては、例えば光重合型フォトポリマ等が広く知られている。
マイクロホログラム方式は、ポジ型マイクロホログラム方式と、ネガ型マイクロホログラム方式とに大別される。
ポジ型マイクロホログラム方式は、対向する2つの光束(光束A、光束B)を同位置に集光して微細な干渉縞(ホログラム)を形成し、これを記録マークとする手法である。
また、ネガ型マイクロホログラム方式は、ポジ型マイクロホログラム方式とは逆の発想で、予め形成しておいた干渉縞をレーザ光照射により消去して、当該消去部分を記録マークとする手法である。このネガ型マイクロホログラム方式では、初期化処理として、予めバルク層に干渉縞を形成しておく処理が必要となる。
また、本出願人は、マイクロホログラム方式とは異なるバルク記録の手法として、例えば参考文献2に開示されるようなボイド(空包、空孔)を記録マークとして形成する記録手法も提案している。
ボイド記録方式は、例えば光重合型フォトポリマなどの記録材料で構成されたバルク層に対して、比較的高パワーでレーザ光照射を行い、上記バルク層内に空包を記録する手法である。参考文献2に記載されるように、このように形成された空包部分は、バルク層内における他の部分と屈折率が異なる部分となり、それらの境界部分で光の反射率が高められることになる。従って上記空包部分は記録マークとして機能し、これによって空包マークの形成による情報記録が実現される。
このようなボイド記録方式は、ホログラムを形成するものではないので、記録にあたっては片側からの光照射を行えば済むものとできる。すなわち、上述のポジ型マイクロホログラム方式の場合のように2つの光束を同位置に集光して記録マークを形成する必要は無いものとできる。
また、ネガ型マイクロホログラム方式との比較では、初期化処理を不要にできるというメリットがある。
なお、参考文献2には、ボイド記録を行うにあたり記録前のプリキュア光の照射を行う例が示されているが、このようなプリキュア光の照射は省略してもボイドの記録は可能である。
上記のような各種の記録手法が提案されているバルク型記録媒体であるが、このようなバルク型記録媒体の記録層(バルク層)は、位置案内子やそれが形成された記録膜(反射膜)が複数形成されるという意味での明示的な多層構造を有するものではない。つまりこの点において、通常の多層ディスクの場合に必要となる複数の記録膜(及び位置案内子)の生成工程を省略でき、その分、製造コストの削減が図られる。
しかしながら、先の図1に示したバルク型記録媒体の構造のままでは、マークが未形成である記録時において、フォーカスサーボやトラッキングサーボを行うことができない。
このため実際において、バルク型記録媒体としては、次の図2に示すような位置案内子を有する基準となる反射面(基準面Ref)を設けるようにされる。ここで、図2に示しているように、このような基準面を有するバルク型記録媒体をバルク型記録媒体1と称する。
なお、以下の説明では「上層側」「下層側」なる表現を用いるが、本明細書において「上層側」とは、後述するスポット位置制御装置(記録再生装置10)側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。
また、以下では「深さ方向」という語を用いるが、この「深さ方向」とは上記「上層側」の定義に従った上下方向と一致する方向(すなわち装置側からのレーザ光の入射方向に平行な方向:フォーカス方向)を指すものである。
図2において、バルク型記録媒体1には、カバー層2の下層側の面に後述するピット列の形成に伴う案内溝(位置案内子)がスパイラル状又は同心円状に形成され、そこに選択反射膜3が成膜される。そして、このように選択反射膜3が成膜されたカバー層2の下層側に対し、図中の中間層4としての、例えばUV硬化樹脂などの接着材料を介してバルク層5が形成(接着)される。
ここで、後述もするが、上記のピット列の形成により、例えば半径位置情報や回転角度情報などの絶対位置情報(アドレス情報)の記録が行われている。以下の説明では、このようなピット列が形成され絶対位置情報の記録が行われた面(この場合は上記選択反射膜103の反射面)のことを、「基準面Ref」と称する。
また、このような媒体構造とした上で、バルク型記録媒体1に対しては、図3に示されるようにマークの記録(又は再生)のためのレーザ光(以下、録再用レーザ光、或いは単に録再光とも称する)と共に、位置制御用のレーザ光としてのサーボ用レーザ光(単にサーボ光とも称する)を照射するようにされる。
図示するようにこれら録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とは、共通の対物レンズを介してバルク型記録媒体1に照射される。
このとき、仮に、上記サーボ用レーザ光がバルク層5に到達してしまうと、当該バルク層5内におけるマーク記録に悪影響を与える虞がある。このため、従来よりバルク記録方式では、上記サーボ用レーザ光として、録再用レーザ光とは波長帯の異なるレーザ光を用いるものとした上で、基準面Refに形成される反射膜としては、サーボ用レーザ光は反射し、録再用レーザ光は透過するという波長選択性を有する選択反射膜3を設けるものとしている。
以上の前提を踏まえた上で、図3を参照してバルク型記録媒体1に対するマーク記録時の動作について説明する。
先ず、案内溝やそれが形成された反射膜を有しないバルク層5に対して多層記録を行うとしたときには、バルク層5内の深さ方向においてマークを記録する層位置を何れの位置とするかを予め定めておくことになる。図中では、バルク層5内においてマークを形成する層位置(マーク形成層位置:情報記録層位置とも呼ぶ)として、第1情報記録層位置L1〜第5情報記録層位置L5の計5つの情報記録層位置Lが設定された場合を例示している。図示するように第1情報記録層位置L1は、案内溝が形成された選択反射膜3(基準面Ref)からフォーカス方向(深さ方向)に第1オフセットof-L1分だけ離間した位置として設定される。また、第2情報記録層位置L2、第3情報記録層位置L3、第4情報記録層位置L4、第5情報記録層位置L5は、それぞれ基準面Refから第2オフセットof-L2分、第3オフセットof-L3分、第4オフセットof-L4分、第5オフセットof-L5分だけ離間した位置として設定される。
なお、層位置Lの数は5に限定されるべきものではない。
ここで、これらオフセットof-Lの情報は、後述する先行例としてのスポット位置制御装置(記録再生装置10)が備えるコントローラ41(実施の形態の場合のコントローラ54も同様)に対して予め設定される。
マークが未だ形成されていない記録時においては、録再用レーザ光の反射光に基づいてバルク層5内の各層位置Lを対象としたフォーカスサーボ、トラッキングサーボを行うことはできない。従って、記録時における対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御は、サーボ用レーザ光の反射光に基づき、当該サーボ用レーザ光のスポット位置が基準面Refにおいて案内溝(後述するピット列)に追従するようにして行うことになる。
但し、録再用レーザ光は、マーク記録のために基準面Refよりも下層側に形成されたバルク層5に到達させる必要がある。このため、この場合の光学系には、対物レンズのフォーカス機構とは別途に、録再用レーザ光の合焦位置を独立して調整するためのフォーカス機構(録再光用フォーカス機構)が別途設けられることになる。
具体的に、この録再光用フォーカス機構としては、対物レンズに入射する録再用レーザ光のコリメーション状態(発散/平行/収束)を変化させるエキスパンダを設けるようにする。すなわち、このように対物レンズに入射する録再用レーザ光のコリメーション状態を変化させることで、録再用レーザ光の合焦位置を、サーボ用レーザ光とは独立して調整できるようにするものである。
このような録再用レーザ光についてのフォーカス機構を設けることで、前述のように対物レンズのフォーカス及びトラッキングサーボ制御が基準面Refからのサーボ用レーザ光の反射光に基づき行われることによって、録再用レーザ光の焦点位置が、バルク層5内の所要の情報記録層位置Lに一致し且つ、トラッキング方向においては基準面Refに形成された案内溝に対応する位置となるように制御されることになる。
なお、マーク記録が既に行われたバルク型記録媒体1について再生を行う際は、記録時のように対物レンズの位置をサーボ用レーザ光の反射光に基づいて制御する必要性はない。すなわち、再生時においては、再生対象とする情報記録層位置Lに形成されたマーク列を対象として、録再用レーザ光の反射光に基づいて対物レンズのフォーカス及びトラッキングサーボ制御を行えばよい。
[1-2.光学系の構成]

図4は、上記により説明したバルク型記録媒体1に対する記録/再生を行う先行例としての記録再生装置10が備える主に光学系の構成について説明するための図である。具体的には、記録再生装置10が備える光学ピックアップOPの内部構成を主に示している。
図4において、記録再生装置10に装填されたバルク型記録媒体1は、当該記録再生装置10における所定位置においてそのセンターホールがクランプされるようにしてセットされ、ここでは図示を省略したスピンドルモータ44(図13)による回転駆動が可能な状態に保持される。
光学ピックアップOPは、上記スピンドルモータ44により回転駆動されるバルク型記録媒体1に対して録再用レーザ光、サーボ用レーザ光を照射するために設けられる。
光学ピックアップOP内には、マークによる情報記録、及びマークにより記録された情報の再生を行うための録再用レーザ光の光源である録再用レーザ11と、基準面Refに形成された位置案内子(後述するピット列)を利用した位置制御を行うための光であるサーボ用レーザ光の光源であるサーボ用レーザ24とが設けられる。
ここで、前述のように録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なるレーザ光を用いる。本例の場合、録再用レーザ光の波長はおよそ405nm程度(いわゆる青紫色レーザ光)、サーボ用レーザ光の波長はおよそ650nm程度(赤色レーザ光)とされる。
また、光学ピックアップOP内には、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光のバルク型記録媒体1への出力端となる対物レンズ20が設けられる。
さらには、上記録再用レーザ光のバルク型記録媒体1からの反射光を受光するための録再光用受光部23と、サーボ用レーザ光のバルク型記録媒体1からの反射光を受光するためのサーボ光用受光部29とが設けられる。
その上で、光学ピックアップOP内においては、上記録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光を上記対物レンズ20に導くと共に、上記対物レンズ20に入射した上記バルク型記録媒体1からの録再用レーザ光の反射光を上記録再光用受光部23に導くための光学系が形成される。
具体的に、上記録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光は、コリメーションレンズ12を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。偏光ビームスプリッタ13は、このように録再用レーザ11側から入射した録再用レーザ光については透過するように構成されている。
上記偏光ビームスプリッタ13を透過した録再用レーザ光は、固定レンズ14、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16から成るエキスパンダに入射する。このエキスパンダは、前述した録再光用フォーカス機構に相当するものであり、光源である録再用レーザ11に近い側が固定レンズ14とされ、録再用レーザ11に遠い側に可動レンズ15が配置され、レンズ駆動部16によって上記可動レンズ15が録再用レーザ光の光軸に平行な方向に駆動されることで、録再用レーザ光について独立したフォーカス制御を行う。
後述もするように、当該録再光用フォーカス機構におけるレンズ駆動部16は、図13に示すコントローラ41によって、対象とする情報記録層位置Lに対応して設定されたオフセットof-Lの値に応じて駆動される。
上記録再光用フォーカス機構が有する固定レンズ14及び可動レンズ15を介した録再用レーザ光は、図のようにミラー17にて反射された後、1/4波長板18を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
ダイクロイックプリズム19は、その選択反射面が、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のようにして入射した録再用レーザ光は、ダイクロイックプリズム19にて反射される。
上記ダイクロイックプリズム19で反射された録再用レーザ光は、図示するようにして対物レンズ20を介してバルク型記録媒体1に対して照射される。
対物レンズ20に対しては、当該対物レンズ20をフォーカス方向(バルク型記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:バルク型記録媒体1の半径方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ21が設けられる。
2軸アクチュエータ21には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述する駆動信号FD、TD)が与えられることで、対物レンズ20をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
ここで、再生時においては、上記のようにしてバルク型記録媒体1に対して録再用レーザ光が照射されることに応じて、バルク型記録媒体1(バルク層5内の再生対象の情報記録層Lに記録されたマーク列)より上記録再用レーザ光の反射光が得られる。このように得られた録再用レーザ光の反射光は、対物レンズ20を介してダイクロイックプリズム19に導かれ、当該ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された録再用レーザ光の反射光は、1/4波長板18→ミラー17→録再光用フォーカス機構(可動レンズ15→固定レンズ14)を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
ここで、このように偏光ビームスプリッタ13に入射する録再用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板18による作用とバルク型記録媒体1での反射時の作用とにより、録再用レーザ光11側から偏光ビームスプリッタ13に入射した録再用レーザ光(往路光)とはその偏光方向が90度異なるようにされる。この結果、上記のようにして入射した録再用レーザ光の反射光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
このように偏光ビームスプリッタ13にて反射された録再用レーザ光の反射光は、集光レンズ22を介して録再光用受光部23の受光面上に集光する。
また、光学ピックアップOP内には、上記により説明した録再用レーザ光についての光学系の構成に加えて、サーボ用レーザ24より出射されたサーボ用レーザ光を対物レンズ20に導き且つ、上記対物レンズ20に入射したバルク型記録媒体1からのサーボ用レーザ光の反射光をサーボ光用受光部29に導くための光学系が形成される。
図示するように上記サーボ用レーザ24より出射されたサーボ用レーザ光は、コリメーションレンズ25を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ26に入射する。偏光ビームスプリッタ26は、このようにサーボ用レーザ24側から入射したサーボ用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
上記偏光ビームスプリッタ26を透過したサーボ用レーザ光は、1/4波長板27を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム19は、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されているため、上記サーボ用レーザ光はダイクロイックプリズム19を透過し、対物レンズ20を介してバルク型記録媒体1に照射される。
また、このようにバルク型記録媒体1にサーボ用レーザ光が照射されたことに応じて得られる当該サーボ用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ20を介した後ダイクロイックプリズム19を透過し、1/4波長板27を介して偏光ビームスプリッタ26に入射する。
先の録再用レーザ光の場合と同様にして、このようにバルク型記録媒体1側から入射したサーボ用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板27の作用とバルク型記録媒体1での反射時の作用とにより、往路光とはその偏光方向が90度異なるものとされ、従って復路光としてのサーボ用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ26にて反射される。
偏光ビームスプリッタ26にて反射されたサーボ用レーザ光の反射光は、集光レンズ28を介してサーボ光用受光部29の受光面上に集光する。
ここで、図示による説明は省略するが、実際において記録再生装置10には、上記により説明した光学ピックアップOP全体をトラッキング方向にスライド駆動するスライド駆動部が設けられ、当該スライド駆動部による光学ピックアップOPの駆動により、レーザ光の照射位置を広範囲に変位させることができるようにされている。
[1-3.基準面の構造]

図5及び図6を参照して、本例のバルク型記録媒体1の基準面Ref上におけるピット列の形成態様について説明する。
図5は、バルク型記録媒体1における基準面Ref(選択反射膜3)の表面を一部拡大した平面図である。
この図5においては、紙面の左側から右側に向かう方向をピット列の形成方向、つまりはトラックの形成方向(線方向)としている。この場合、サーボ用レーザ光の照射スポットは、バルク型記録媒体1の回転駆動に伴い、紙面の左側から右側に移動するものとする。
また、上記ピット列の形成方向と直交する方向(紙面の縦方向)は、バルク型記録媒体1の半径方向である。
また図5において、図中の白丸で示すA〜Fは、ピットの形成可能位置を表す。すなわち、基準面Refにおいて、ピットは、当該ピットの形成可能位置においてのみ形成されるものであって、ピットの形成可能位置以外にはピットの形成が行われない。
また、図中のA〜Fの符号の別はピット列の別(半径方向において配列されるピット列の別)を表し、これらA〜Fの符号に付される数字はピット列上におけるピットの形成可能位置の別を表す。
ここで、図中の黒太線で表す間隔は、従来のバルク型記録媒体1において実現可能な最小トラックピッチ(従来限界トラックピッチ)を表している。このことからも理解されるように、本実施の形態のバルク型記録媒体1では、A〜Fの計6本のピット列が、従来限界の1トラック幅内に形成されている、すなわち半径方向における光学限界を超えるピッチで配列されていることになる。
但し、従来限界の1トラック幅内にこれら複数のピット列を単純に配列したのみでは、ピット列形成方向においてピットの形成位置が重なってしまう虞があり、つまりはピット列形成方向におけるピットの間隔が光学限界を超えてしまう虞がある。
そこで、本例においては、従来限界の1トラック幅内に配列される上記A〜Fの複数のピット列間で、ピット列形成方向におけるピット同士の間隔が光学限界を超えないようにするべく、以下のような条件を定めている。
すなわち、

1)A〜Fの各ピット列において、ピットの形成可能位置の間隔を所定の第1の間隔に制限する。
2)このようにピットの形成可能位置の間隔が制限されたA〜Fの各ピット列を、それぞれのピットの形成可能位置がピット列形成方向において所定の第2の間隔ずつずれたものとなるようにして配列する(つまり上記第2の間隔で各ピット列の位相をずらす)。

というものである。
ここで、半径方向に配列されるA〜Fのピット列におけるそれぞれのピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔(上記第2の間隔)をnとおく。このとき、上記2)の条件が満たされるようにA〜Fの各ピット列が配列されることで、ピット列A−B、ピット列B−C、ピット列C−D、ピット列D−E、ピット列E−F、及びピット列F−Aの各ピット形成可能位置間の間隔は、図示するように全てnとなる。
また、A〜Fの各ピット列におけるピット形成可能位置の間隔(上記第1の間隔)は、この場合はA〜Fまでの計6つのピット列位相を実現するものとしているので、6nとなる。
本例において、基準面Refにおけるサーボ用レーザ光による情報再生及びサーボ制御は、DVD(Digital Versatile Disc)の場合と同様の波長λ=650nm程度、開口数NA=0.65程度の条件で行うものとしている。このことに対応して本例では、各ピット形成可能位置の区間長はDVDにおける最短マークと同じ3T分(Tはチャネルビット)の区間長とし、またピット列形成方向におけるA〜Fの各ピット形成可能位置のエッジ間の間隔も、同様の3T分の長さに設定している。つまりこのことによると、n=6Tとなる。
この結果、上記1)2)の条件が満たされるものとなっている。
ここで、基準面Ref全体におけるピットの形成態様について理解するために、図6を参照してより具体的なピット列の形成手法について説明する。
なお図6では、図示の都合上、ピット列の種類(位相)がA〜Cの3種のみとされた場合を例示している。
また図中において、黒丸はピット形成可能位置を表す。
この図6を参照して分かるように、バルク型記録媒体1の基準面Refにおいては、それぞれ位相の異なる複数種のピット列(図6ではA〜Cの3種としているが実際にはA〜Fの6種となる)を1セットとし、該複数種のピット列の1セットがスパイラル状に形成されている。
このことで、上記複数種のピット列のうちの所要の1種のピット列を対象としたトラッキングサーボをかけ続けることで、スポット位置はスパイラル状の軌跡を描くことになる。
また、基準面Refにおいて、ピットは、CAV(Constant Angular Velocity)方式により形成されたものとなる。このことから、図示するように複数種のピット列の個々は、半径方向において、そのピットの形成位置(ピットの形成可能位置)が同じ角度位置に揃えられるものとなる。
ここで、このように基準面RefにてピットをCAV方式で記録するのは、ディスク上のどの領域においても図5に示したようなA〜Fの各ピット列の位相関係が保たれるようにするためである。
[1-4.アドレス情報について]

続いて、図7により、基準面Refに記録されるアドレス情報のフォーマットの一例について説明する。
なお、以下、図10までの説明においては、便宜上、トラッキングエラー信号としてはプッシュプル信号に基づく信号を生成することを前提とする。後の説明により明らかとなるように、先行例としての実際の構成、及び実施の形態では、トラッキングエラー信号としてsum信号(和信号)に基づく信号を生成することになる。
図7において、先ず図7(a)は、それぞれ異なるピット列位相を有するようにされた各ピット列(A〜F)のピット形成可能位置の関係を模式化して示している。なお図7(a)においては「*」マークによりピット形成可能位置を表している。
ここで、後述もするように、記録再生装置10は、これらA〜Fのピット列のうちから1つのピット列を選択し、該選択した1つのピット列を対象としてトラッキングサーボをかけるようにされている。
但し、このとき問題となるのは、A〜Fの各ピット列は半径方向において光学限界を超えたピッチで配列されているという点である。すなわち、この場合においてサーボ用レーザ光の照射スポットがトラック上を移動(走査)して得られるトラッキングエラー信号(プッシュプル信号)としては、A〜Fの全てのピットを反映したものとなってしまうので、該トラッキングエラー信号に基づきトラッキングサーボをかけたとしても、選択した1つのピット列を追従することはできない。
このため、本例においては、選択したピット列におけるピット形成可能位置のタイミングにおけるトラッキングエラー信号をサンプルし、該サンプルしたトラッキングエラー信号の値に基づいて(いわば間欠的に)トラッキングサーボをかけるということをその基本概念とする。
そして、これと同様に、アドレス情報を読む場合にも、選択したピット列に記録される情報のみが選択的に読み出されるように、該選択したピット列のピット形成可能位置のタイミングにおける和信号(sum信号)をサンプルし、その値に基づいてアドレス情報を検出するという手法を採る。
このような情報検出の手法に対応するため、本例では、ピット形成可能位置におけるピットの形成有無により、チャネルビット(記録符号)の「0」「1」を表現するフォーマットを採用するものとしている。すなわち、1つのピット形成可能位置が、1チャネルビット分の情報を担うものである。
その上で、このようなチャネルビットの複数個による「0」「1」のデータパターンにより、データビットの1ビットを表現するものとしている。
具体的に本例では、図7(b)に示されるように、チャネルビット4つ分でデータビットの「0」「1」を表現するものとし、例えば4チャネルビットのパターン「1011」がデータビット「0」、4チャネルビットのパターン「1101」がデータビット「1」を表すものとしている。
このとき重要であるのは、チャネルビット「0」が連続しないという点である。つまり、チャネルビット「0」が連続してしまうということは、上述のようにトラッキングエラー信号を間欠的に用いてサーボを行うということを基本としたときに、エラー信号が得られない期間が連続してしまうということ意味するので、これに伴い、トラッキングサーボの精度を確保することが非常に困難となってしまうためである。
このため本例では、例えば上記のようなデータビットの定義により、チャネルビット「0」が連続しないという条件が満たされるようにしている。すなわち上記のようなデータビットの定義により、トラッキングサーボの精度低下が最小限に抑えられるようにしているものである。
図7(c)は、シンクパターンの一例を示している。
例えばシンクパターンについては、図示するように12チャネルビットで表現するものとし、前半の8ビットを上記データビットの定義に当てはまらないチャネルビットパターン「11111111」とし、その後の4チャネルビットのパターンでシンクの別(種類)を表すものとしている。具体的に、上記8ビットに続く4チャネルビットのパターンが「1011」であればSync1、「1101」であればSync2としている。
バルク型記録媒体1においては、アドレス情報が、上記のようなシンクの後に続けて記録されているものとする。
ここで前述もしたように、アドレス情報としては、ディスク上の絶対位置情報(半径位置の情報、及び回転角度情報)を記録する。
なお確認のために述べておくと、本例では従来限界の1トラック幅内にA〜Fの複数本のピット列を配列するものとしているが、アドレス情報の記録は、各ピット列の半径位置が個別に表されるように(各ピット列の識別が可能となるように)、ピット列ごとに個別の情報が割り振られるようにして行う。すなわち、従来限界の1トラック幅内に配列されるA〜Fの各ピット列に対し同じアドレス情報を記録するものではない。
なお、図7の説明からも理解されるように、バルク型記録媒体1における基準面Refに対しては、ピットがポジション記録されていることになる。ポジション記録とは、ピット(或いはマーク)の形成部分をチャネルデータ「1」、それ以外の部分をチャネルデータ「0」とする記録手法を指すものである。
[1-5.サーボ対象ピット列の選択手法]

上記のように従来の1トラック幅内に複数配列されるようにして形成されたピット列のうちから、任意のピット例を対象としてトラッキングサーボをかけるための手法は、具体的には以下で説明する手法をその基本とする。
図8は、バルク型記録媒体1の回転駆動に伴い基準面Ref上をサーボ用レーザ光のスポットが移動する様子と、その際に得られるsum信号、sum微分信号、及びプッシュプル信号PP(PP信号とも表記する)の波形との関係を模式的に示している。
上記sum信号は、図4に示したサーボ光用受光部29としての複数の受光素子からの受光信号DT-svの和信号であり、上記sum微分信号はsum信号を微分して得られる信号である。
ここで、この図では説明の便宜上、図中の各ピット形成可能位置の全てにピットが形成されているものとする。
図示するようにして、バルク型記録媒体1の回転に伴いサーボ用レーザ光のビームスポットが移動することに伴っては、sum信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における配置間隔に応じた周期でその信号レベルがピークを迎えることになる。つまりこのsum信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における間隔(形成周期)を表していることになる。
ここで、この図の例ではサーボ用レーザ光のスポットがピット列A上に沿って移動するものとしているので、上記sum信号は、ピット列形成方向におけるピットAの形成位置の通過時にピーク値が最大(絶対値)となり、またピットB〜ピットDの各形成位置にかけて徐々にピーク値が減少していく傾向となる。そしてその後、ピットEの形成位置→ピットFの形成位置の順でピーク値は上昇傾向に転じ、再びピットAの形成位置に至ることでピーク値が最大となる。すなわち、ピット列形成方向における上記ピットE、Fの形成位置においては、外周側に隣接するピット列E、Fにおけるピットの影響を受けるので、sum信号のピーク値はピットE、Fの形成位置ごとで順に上昇することになる。
また、上記sum信号を微分して生成されるsum微分信号、及びトラッキング誤差信号としてのPP信号としては、それぞれ図示するような波形が得られる。
上記sum微分信号は、各ピット列A〜Fのピット形成位置(厳密にはピット形成可能位置である)のピット列形成方向における間隔に応じたクロックCLKを生成するために用いられることになる。
具体的に、クロックCLKとしては、sum微分信号を用いることで、各ピットのセンター位置(ピークポジション)に相当する位置(タイミング)を立ち上がり位置(タイミング)とする信号を生成する。
クロックCLKの生成手法としては、次の図9に示されるように、先ずは所定の閾値Th1でsum信号をスライスした信号と、同様に所定の閾値Th2でsum微分信号をスライスした信号とを生成する。そして、これらのANDをとることで、上記ピークポジションに相当する立ち上がりタイミングを有するタイミング信号を生成する。
クロックCLKは、このように生成したタイミング信号を入力信号(参照信号)としたPLL(Phase Locked Loop)処理を行うことで生成する。
図10は、上記の手順により生成されたクロックCLKと、該クロックCLKに基づき生成された各selector信号の波形と、基準面Refに形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示している。
この図からも明らかなように、クロックCLKとしては、ピットA〜Fの形成間隔に応じた周期を有する信号となる。具体的には、ピットA〜Fのピークポジションにその立ち上がりタイミングを有する信号となる。
このようなクロックCLKから、A〜Fの個々のピット形成可能位置のタイミングを表す6種のselector信号を生成する。
具体的にこれらselector信号としては、それぞれ上記クロックCLKを1/6に分周して生成されたものとなっており、且つそれぞれの位相が1/6周期ずつずれたものとなっている。換言すれば、これら各selector信号は、それぞれの立ち上がりタイミングが1/6周期ずつずれたものとなるように、クロックCLKをそれぞれのタイミングで1/6に分周して生成されるものである。
これらselector信号は、それぞれ、A〜Fの対応するピット列のピット形成可能位置のタイミングを表す信号となる。従って、これらselector信号を生成した上で、任意のselector信号を選択し、該選択したselector信号が表すタイミングでトラッキングエラー信号(プッシュプル信号)をサンプルホールドすることで、A〜Fのうちの1つのピット列に追従するためのトラッキングエラー信号を得ることができる。すなわち、このように生成したトラッキングエラー信号に基づき対物レンズ20についてのトラッキングサーボ制御を行うことで、A〜Fのピット列のうちの任意のピット列上にサーボ用レーザ光のスポットをトレースさせることが可能となる。
[1-6.プッシュプル信号をサンプリングする手法の問題点]

ここで、上記の説明では、サーボ対象として任意のピット列を選択するにあたり、そのためのトラッキングエラー信号としてプッシュプル信号をサンプルホールドした信号を用いるものとしたが、このようにプッシュプル信号を用いる場合には、いわゆるチルト(skew)や対物レンズ20のレンズシフトに起因して、正確なトラッキング誤差情報を得ることができない虞がある。
図11は、チルトやレンズシフトに伴う反射光の受光スポット位置ずれについて説明するための図であり、図11(a)はチルト・レンズシフトが生じていない理想状態におけるサーボ光用受光部29上の反射光スポット(受光スポット)を示し、図11(b)はチルト・レンズシフトが生じた場合におけるサーボ光用受光部29上の反射光スポットを示している。
なおこれら図11(a)(b)において、反射光スポット内に示した斜線部は、ディスク上に形成されたピットからの一次回折光成分の重畳領域(プッシュプル信号成分重畳領域)を表している。
先ず前提として、プッシュプル信号(PP)は、図中の受光素子A,Bの組及び受光素子C,Dの組がそれぞれディスクの半径方向に対応する方向に隣接する組であるとした場合、

PP=(Ai+Bi)−(Ci+Di) ・・・[式1]

により計算されるものである。但し[式1]において、Ai,Bi,Ci,Diはそれぞれ受光素子A,B,C,Dの受光信号である。
ここで、サーボ用レーザ光の照射スポットは、対象とするピット列上を正確にトレースしていると仮定する。その場合において、チルト・レンズシフトが生じていない図11(a)の理想状態であれば、上記[式1]に従って計算されるプッシュプル信号PPの値は「0」となる。
これに対し、図11(b)に示すようなチルト・レンズシフトに伴う反射光スポット位置ずれが生じている場合、[式1]により計算されるプッシュプル信号PPの値は、本来得られるべき「0」とは異なる値となってしまい、誤差が生じるものとなる。
このことからも理解されるように、プッシュプル信号PPには、チルトやレンズシフトに伴うオフセットが生じる。
このようなチルトやレンズシフトに伴うオフセット成分が無視できる程度であれば、上記で説明したままのトラッキングエラー信号の生成手法は有効であるが、トラッキングサーボ制御の安定性の向上を図るにあたっては、トラッキングエラー信号には上記のようなオフセット成分が重畳しないことが望ましい。
従来、チルトやレンズシフトに伴うオフセットの影響を回避するためのトラッキングエラー検出手法としては、いわゆる3スポット法が知られているが、該3スポット法は、グレーティング等の光学部品の追加が必要であり、その分、部品コストや調整コストの増加を招く。
また、上記オフセットの影響を回避するためのトラッキングエラー検出手法としてはDPP(Differential Push Pull)法も知られているが、該DPP法としても同様にグレーティング等の追加が必要であり、部品コスト、調整コストの増加を招く。
これら従来のトラッキングエラー検出手法が有する問題点の解決を図りつつ、チルト・レンズシフトに伴うオフセット成分の影響を回避するために、先行例(実施の形態も同様)では、以下で説明するようなsum信号を用いる手法によりトラッキングエラー信号を生成するものとしている。
図12は、先行例のトラッキングエラー信号の生成手法について説明するための図である。
なおこの図12では、基準面Refに形成された各ピット列A〜Fと、そのうちのピット列D上をトレースするようにトラッキングサーボがかけられている状態でのサーボ用レーザ光のスポット位置の移動軌跡(斜線部)と、該サーボ用レーザ光の移動に伴い得られるsum信号の波形とを示している。
例えばこの図12に示されるように、サーボ用レーザ光のスポットがピット列D上を正確にトレースしている場合、sum信号の値としては、ピット列D上のピット形成位置と一致するタイミング(図中n)において最小値をとり、該ピット列Dに対する位相差が大となるピット列ほど、そのピット形成位置での値が徐々に大となる傾向となる。
このとき、sum信号の値は、ピット列Dに対しそれぞれ隣接する(つまり同じ位相差を有する)ピット列C、ピット列Eのそれぞれのピット形成位置と一致するタイミング(図中n−1、n+1)にて同じ値をとり、また、ピット列Dに対しそれぞれ同じ距離(半径方向における距離)だけ離間した(つまり同じ位相差を有する)ピット列B、ピット列Fのそれぞれのピット形成位置と一致するタイミング(図中n−2、n+2)においても同じ値をとることになる。
ここで、図中に示す状態とは異なり、サーボ用レーザ光のスポットがピット列D上から半径方向にずれた位置をトレースしたとすると、上記ピット列Dに対する位相差が等しいそれぞれのピット列の組における各ピット形成位置でのsum信号の値には、ずれが生じることが分かる。
つまりこのことからも理解されるように、トラッキングサーボの対象とするピット列に対する位相差が等しい各ピット列の組における各ピット形成位置でのsum信号の値は、上記トラッキングサーボの対象とするピット列に対するトラッキング方向の誤差を反映していることになる。具体的に、トラッキング誤差情報は、上記位相差が等しい各ピット列の組における各ピット形成位置でのsum信号の値の差分を計算することで得ることができる。
この点を踏まえ先行例では、具体的に以下のようにしてsum信号に基づくトラッキングエラー信号の生成を行う。
すなわち、先ずは、トラッキングサーボの対象とするピット列に対し位相差が等しい2つのピット列を選出する。具体的に本例の場合は、トラッキングサーボの対象とするピット列にそれぞれ隣接するピット列を選出するものとする。
その上で、これら選出した各ピット列のピット形成可能位置に対応するタイミング(図12におけるn−1とn+1が該当)で、sum信号の値をサンプリングし、それらサンプリングしたsum信号の値の差分を計算する。該計算結果が、上記サーボ対象のピット列についてのトラッキングエラー信号となる。
[1-7.スポット位置制御装置の全体的な内部構成]

以上の説明を踏まえた上で、先行例としてのスポット位置制御装置(記録再生装置10)の全体的な内部構成について図13を参照して説明する。
なお図13において、光学ピックアップOPの内部構成については、先の図4に示した構成のうち録再用レーザ11、レンズ駆動部16、2軸アクチュエータ21のみを抽出して示している。
図13において、記録再生装置10には、スピンドルモータ44が設けられる。
スピンドルモータ44は、FG(Frequency Generator)モータを備え、バルク型記録媒体1を一定速度(一定回転速度)で回転駆動する。
スピンドルモータ44は、コントローラ41からの指示に応じてその回転の開始/停止を行う。
また、記録再生装置10には、バルク層5を対象とした記録/再生や、記録マークの再生時における対物レンズ20のフォーカス/トラッキングサーボ制御(つまり録再用レーザ光の反射光に基づく位置制御)を行うための信号処理系として、図中の記録処理部31、録再光用マトリクス回路32、再生処理部33が設けられている。
記録処理部31には、バルク型記録媒体1に対して記録すべきデータ(記録データ)が入力される。記録処理部31は、入力された記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化を施すなどして、バルク型記録媒体1に実際に記録される例えば「0」「1」の2値データ列である記録変調データ列を得る。そして、このように生成した記録変調データ列に応じた記録パルス信号RCPにより、光学ピックアップOP内の録再用レーザ11の発光駆動を行う。
録再光用マトリクス回路32は、図4に示した録再光用受光部23としての複数の受光素子からの受光信号DT-rp(出力電流)に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
具体的には、上述した記録変調データ列についての再生信号に相当する高周波信号(以降、再生信号RFと称する)、フォーカスサーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングサーボ制御のためのトラッキングエラー信号TE-rpを生成する。
録再光用マトリクス回路32にて生成された上記再生信号RFは、再生処理部33に供給される。
また、フォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングエラー信号TE-rpは、録再光用サーボ回路34に対して供給される。
再生処理部33は、上記再生信号RFについて2値化処理や記録変調符号の復号化・エラー訂正処理など、上述した記録データを復元するための再生処理を行い、上記記録データを復元した再生データを得る。
また、録再光用サーボ回路34は、マトリクス回路32から供給されるフォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングエラー信号TE-rpに基づきフォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpをそれぞれ生成し、これらフォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpに基づくフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpに基づき、2軸アクチュエータ21のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することで、録再用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行う。
確認のため述べておくと、このような録再用レーザ光の反射光に基づく2軸アクチュエータ21(対物レンズ20)のサーボ制御は、再生時において行われるものである。
また、録再光用サーボ回路34は、再生時に対応してコントローラ41から為される指示に応じて、トラッキングサーボループをオフとして上記トラッキングコイルにジャンプパルスを与えることでトラックジャンプ動作を実現したり、トラッキングサーボの引き込み制御等も行う。また、フォーカスサーボの引き込み制御等も行う。
また、記録再生装置10においては、サーボ用レーザ光の反射光についての信号処理系として、サーボ光用マトリクス回路35、アドレス検出回路36、サンプルホールド回路SH1、サンプルホールド回路SH2、減算部37、サーボ光用サーボ回路38、クロック生成回路39、selector信号生成・選択部40、オフセット生成部42、及び加算部43が設けられる。
なお、これらの構成のうち、オフセット生成部42と加算部43とについては後に改めて説明する。
サーボ光用マトリクス回路35は、図4に示したサーボ光用受光部29における複数の受光素子からの受光信号DT-svに基づき、必要な信号を生成する。
具体的にこの場合のサーボ光用マトリクス回路35は、上記複数の受光素子の和信号としてのsum信号、及びフォーカスサーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE-svを生成する。
図示するようにsum信号は、サンプルホールド回路SH1、サンプルホールド回路SH2、クロック生成回路39、及びアドレス検出回路36に対して供給される。
またフォーカスエラー信号FE-svはサーボ光用サーボ回路38に対して供給される。
アドレス検出回路36は、selector信号生成・選択部40により後述するようにして生成・選択されるselector信号S_Adを入力し、該selector信号S_Adが表すピット形成可能位置のタイミング(この場合はselector信号S_AdがHレベルの区間)で上記サーボ光用マトリクス回路35からのsum信号の値をサンプリングした結果に基づき、基準面Refに記録されたアドレス情報(少なくとも半径位置情報や回転角度情報を含む絶対位置情報)を検出する。
ここで、先の図7を参照して説明したように、本例の場合、各ピット列のアドレス情報は、そのピット列におけるピット形成可能位置でのピット形成有無を1チャネルビットの情報として記録されるものである。これに応じアドレス検出回路36は、上記selector信号S_Adの立ち上がりタイミングでsum信号の値を識別することで、1チャネルビットの「0」「1」のデータ識別を行い、その結果に基づき、先の図7で説明したフォーマットに従ったアドレスデコード処理を行うことで、記録されたアドレス情報の検出(再生)を行う。
アドレス検出回路36で検出されたアドレス情報は、コントローラ41に対して供給される。
クロック生成回路39は、先に説明した手順に従ってクロックCLKを生成する。
図14は、クロック生成回路39の内部構成を示している。
図14において、クロック生成回路39内にはスライス回路39A、sum微分回路39B、スライス回路39C、ANDゲート回路39D、及びPLL回路39Eが設けられる。
sum信号は、図示するようにスライス回路39Aとsum微分回路39Aとに入力される。スライス回路39Aは、設定された閾値Th1に基づき上記sum信号をスライスし、その結果を上記ANDゲート回路39Dに出力する。
上記sum微分回路39Bは、sum信号を微分して先に説明したsum微分信号を生成する。上記スライス回路39Cは、設定された閾値Th2に基づき、上記sum微分回路39Bにより生成されたsum微分信号をスライスし、その結果を上記ANDゲート回路39Dに出力する。
ANDゲート回路39Dは、上記スライス回路39Aからの出力と上記スライス回路39Cからの出力とのANDをとり、これによって先に説明したタイミング信号を生成する。
PLL回路39Eは、このようにANDゲート回路39Dで得られたタイミング信号を入力信号としてPLL処理を行って、クロックCLKを生成する。
図13に戻り、クロック生成回路39により生成されたクロックCLKは、selector信号生成・選択部40に対して供給される。
selector信号生成・選択部40は、クロックCLKに基づく各selector信号の生成、及び生成したselector信号のうちの指示されたselector信号の選択出力(図中のselector信号S_1、S_2、S_Ad)を行う。
図15は、selector信号生成・選択部40の内部構成を示している。
図示するようにselector信号生成・選択部40には、selector信号生成回路45、及びselector信号選択回路46が設けられる。
selector信号生成回路45は、クロックCLKに基づき、A〜Fの各ピット列のそれぞれのピット形成可能位置のタイミングを表す6種のselector信号を生成する。具体的にselector信号生成回路45は、クロックCLKを1/6に分周した信号として、それぞれ位相が1/6周期ずつずれた信号を生成することで、上記6種のselector信号を得る。
これら6種のselector信号はselector信号選択回路46に対して供給される。
selector信号選択回路46は、selector信号生成回路45から供給されるselector信号のうちから、コントローラ41からの選択信号SLCTによってアドレス検出回路36に対して供給すべきとして指示された位相のselector信号をselector信号S_Adとして選択出力すると共に、同じく上記選択信号SLCTによって指示される、前述したトラッキングエラー信号の生成手法において必要となる、サーボ対象とするピット列に対しそれぞれ位相差が等しい関係となる各ピット列に対応する位相のselector信号を、selector信号S_1、selector信号S_2として選択出力する。
なお先の説明からも理解されるように、本例の場合、selector信号S_1、selector信号S_2については、サーボ対象とするピット列に対してそれぞれ隣接するピット列に対応したselector信号を出力するようにコントローラ41から指示が為されるものとなる。
selector信号選択回路46より出力されたselector信号S_1はサンプルホールド回路SH1に供給され、selector信号S_2はサンプルホールド回路SH2に供給される。
サンプルホールド回路SH1は、selector信号S_1により示されるタイミングで、マトリクス回路35から供給されるsum信号の値をサンプルホールドし、その結果を減算部37に出力する。
また、サンプルホールド回路SH2は、selector信号S_2により示されるタイミングで、マトリクス回路35から供給されるsum信号の値をサンプルホールドし、その結果を減算部37に出力する。
減算部37は、サンプルホールド回路SH1によるサンプルホールド出力値から、サンプルホールド回路SH2によるサンプルホールド出力値を減算することで、トラッキングエラー信号TE-svを得る。先の説明からも理解されるように当該トラッキングエラー信号TE-svは、サーボ対象として選択したピット列に対するトラッキング誤差を表す信号となる。
図示するようにトラッキングエラー信号TE-svは、後述する加算部43を介してサーボ光用サーボ回路38に対して供給される。
サーボ光用サーボ回路38は、フォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-sv(加算器43経由後)に基づき、それぞれフォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svを生成する。
そして、記録時には、コントローラ41からの指示に応じて、上記フォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svに基づき生成したフォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svに基づいて、2軸アクチュエータ21のフォーカスコイル、トラッキングコイルをそれぞれ駆動することで、サーボ用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、及び所要のピット列を対象としたトラッキングサーボ制御を実現する。
サーボ光用サーボ回路38は、記録時に対応してコントローラ41から為される指示に応じて、トラッキングサーボ、フォーカスサーボをオンとしてトラッキング、フォーカスのそれぞれのサーボ引き込みを行う。
コントローラ41は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、記録再生装置10の全体制御を行う。
例えばコントローラ41は、前述したように予め各層位置Lに対応して設定されたオフセットof-Lの値に基づいて、録再用レーザ光の合焦位置の制御(設定)を行う。具体的には、記録対象とする情報記録層位置Lに対応して設定されたオフセットof-Lの値に基づき、光学ピックアップOP内のレンズ駆動部16を駆動することで、バルク層5内の深さ方向における記録位置の選択を行う。
また、コントローラ41は、先に説明したような記録/再生時の対物レンズ20のサーボ制御切り替えを実現するための制御も行う。具体的にコントローラ41は、記録時には、サーボ光用サーボ回路38に対してフォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svの出力を指示し、また録再光用サーボ回路34にはフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpの出力を停止するように指示を行う。
一方、再生時には、録再光用サーボ回路34に対してフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpの出力を指示し、サーボ光用サーボ回路38に対しては、フォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svの出力を停止するように指示を行う。
またコントローラ41は、サーボ用レーザ光のスポット位置についてのシーク動作制御も行う。すなわち、サーボ用レーザ光のスポット位置を基準面Ref上における所定の目標アドレスに移動させるようにサーボ回路38に対する指示、及びselector信号生成・選択部40(selector信号選択回路46)に対する選択信号SLCTによるselector信号の選択指示を行う。
ここで、この場合におけるシーク動作制御は、大まかには例えば以下のような手順で行われることになる。

1)前述のスライド駆動部を利用した光学ピックアップOP全体の移動による目標アドレス付近への移動
2)サーボ用レーザ光のフォーカスサーボON
3)sum信号に基づくクロックCLKの生成&各selector信号の生成
4)任意に選択したselector信号に基づき、任意のピット列を対象としたトラッキングサーボ制御を実行
5)上記4)にてトラッキングサーボがかかることで、アドレス情報(ピット列を識別するための情報)が読めるので、そのアドレスから目標アドレスまでのジャンプ動作を行う

コントローラ41は、上記1)2)の動作が実行されるように、サーボ回路38に対する指示を行う。またコントローラ41は、上記4)における任意のselector信号の選択のために、選択信号SLCTにより、selector信号生成・選択部40に対して、予め定められた位相のピット列に対しそれぞれ隣接するピット列の位相に対応するselector信号S_1、selector信号S_2の選択指示を行う。
またコントローラ41は、上記5)の動作の実現のために、selector信号S_Adについて、上記の「予め定められた位相のピット列」(つまりサーボ対象として選択すべきピット列)に対応するselector信号の選択指示をselector信号生成・選択部40に対して行う。
そして、このように指示されたselector信号S_Adに対応してアドレス検出回路36が検出したアドレス情報を入力し、該アドレス情報に基づき、目標アドレスまでに要する移動量を計算し、該移動量分だけジャンプ動作を実行させるための制御を行う。
なお、このようなシーク時等に実行されるべきものとなる基準面Refにおけるトラックジャンプ動作等、スポット位置を移動させるための先行例としての具体的な位置制御手法は以下の項で説明するものとなる。
[1-8.クローズドループ制御によるスポット移動実現のための具体的手法]

上記により説明した記録再生装置10の構成によれば、基準面Refに形成された各位相のピット列のうち任意の1つのピット列を対象としたトラッキングサーボを行うことができる。
先行例においては、このような基準面Ref上の1つのピット列に追従するトラッキングサーボを可能とする構成を前提とした上で、以下のような手法により、トラックジャンプ動作などの1トラック分以上のスポット移動が、クローズドループ制御により実現されるようにする。
図16は、スポット移動をクローズドループ制御により実現するための先行例としての具体的な位置制御手法について説明するための図である。
この図16では、スポット移動を実現するためにトラッキングサーボループに対して与えるべきオフセットの波形と、当該オフセットの付与に応じて順次出力されるべきselector信号S_1、selector信号S_2の遷移と、これらselector信号S_1,S_2の遷移に伴うサーボ対象ピット列の順次の切り替え及び上記オフセットの付与によって生じるものとなるスポット位置の移動軌跡との関係を示している。
またこの図16では、スポット位置の移動に伴って順次切り替えられるべきselector信号S_Adの遷移も併せて示している。
ここで、サーボ用レーザ光のスポット位置をディスク半径方向において従来トラック幅換算で1トラック分以上移動させるためには、上記スポット位置を、半径方向において順次ピット列を跨いでいく(渡っていく)ようにすることになる。そして、このようなスポット位置の移動は、トラッキングサーボループに対して、時間経過と共にその値が徐々に上昇するオフセットを付与することで行う。
このとき、上記オフセットの付与によっては、スポット位置が、サーボ対象とするピット列から徐々に離れていくことになるが、このようにサーボ対象のピット列から徐々に離れていく状態を継続させると、トラッキングエラー信号TE-svには先の図28(b)で説明したような折り返しが生じてしまうか、或いは折り返しが生じるに至る前であっても、そのリニアリティが著しく悪化してしまうことになる。
そこで先行例においては、スポット位置がサーボ対象のピット列から或る程度離間したところで、サーボ対象とするピット列を、隣接ピット列に順次切り換えていくということを行う。すなわち、トラッキングサーボループに対するオフセットの付与でスポット位置を徐々に移動させつつ、順次、サーボ対象とするピット列を隣接ピット列に切り換えていくというものである。
ここで、このような位置制御手法とする場合においては、サーボ対象のピット列を隣接ピット列に切り替えるべきタイミング(位置)を、予めどの位置とするか定めておく必要がある。本例においては、このようなサーボ対象ピット列の切り換えタイミングを、隣接ピット列との間のちょうど中間点となる位置に設定するものとしている。
このとき、上記オフセットの傾きは、予め定められた所定の値で固定とされており、従ってスポット位置が或るピット列からこれに隣接するピット列に到達するまでの時間長は既知の値となる。つまりこのことから、上記隣接するピット列の中間点に至るまでの時間長も、上記オフセットの傾きの値から既知の値とされる。
先行例においては、このように既知の値とされる上記中間点に至る時間長の情報を用いて、サーボ対象とするピット列を、それまで対象としていたピット列に隣接するピット列に切り換えるようにされる。
また、このように隣接ピット列間の中間点に至るタイミングでサーボ対象ピット列の切り換えを行うことに対応するため、スポット位置を半径方向に変位させるための上記オフセットとしては、図16に示されるように上記中間点ごとに極性が変化する波形のものを用いる。
ここで、上記中間点となる位置にスポットが位置しているときのオフセット値は、例えばピット列Aを対象としたサーボ時には「+of_s」、隣接するピット列Bを対象としたサーボ時には「−of_s」となるので、上記中間点に至るタイミングとしてのサーボ対象ピット列の切り換えタイミングにおいては、上記オフセットの極性を反転させる必要がある。この点から、この場合において与えるべきオフセットの波形は、図のように鋸歯状波となる。
確認のために述べておくと、このようなオフセットの波形としても、上記の既知の時間長の情報に基づいて設定できるものである。
先行例としての位置制御手法では、このような予め定められた鋸歯状波によるオフセットをトラッキングサーボループに対して与えつつ、スポット位置が上記中間点としての予め定められた隣接ピット列間の所定位置に至るタイミングごとに、トラッキングサーボの対象とするピット列をそれまで対象としていたピット列の外周側(又は内周側)に隣接するピット列に切り換えるということを繰り返す。
このこき、トラッキングサーボとしては、その対象とするピット列は切り替えられるものの、サーボ状態は維持されており、従ってスポット位置の移動はクローズドループ制御により行われることになる。
なお確認のため述べておくと、このようなサーボ対象ピット列の順次の切替とオフセットの付与とによるスポット位置の変位を実現できるのは、基準面Refの構造を図5にて説明した構造として半径方向にピット列を光学限界を超えたピッチで配列できるようにしたことによる。つまり、ピット列を半径方向に光学限界を超えたピッチで配列できなければ、オフセットの付与に伴ってトラッキングサーボが外れてしまうためである。
上記のような先行例としてのスポット位置制御を実現するために行われるべき、各selector信号の具体的な選択の手法は、図16に示す通りである。
なお図16では、スポット位置がピット列A→ピット列F→ピット列E→ピット列D→ピット列C→ピット列Bを通過していく様子を示すと共に、この際に順次選択されるべきselector信号S_1、selector信号S_2、及びselector信号S_Adを示している。
図示するように、ここでは、ピット列A−F間の中間点に相当するタイミングを時点t1とおく。以降、ピット列F−E間、ピット列E−D間、ピット列D−C間、ピット列C−B間、ピット列B−A間のそれぞれの中間点に相当するタイミングは時点t2、t3,t4,t5,t6となる。
時点t1以前の段階では、ピット列Aをサーボ対象としているので、図のようにselector信号S_1としてはピット列Fに対応する位相のselector信号を、またselector信号S_2としてはピット列Bに対応する位相のselector信号を選択させる。すなわち、サーボ対象のピット列Aに対してそれぞれ隣接関係となる(位相差が一致する)ピット列F、ピット列Bのselector信号をそれぞれ選択させるものである。
また、selector信号S_Adについては、サーボ対象であるピット列Aに対応する位相のselector信号を選択させる。
なお、先の図13や図15の説明からも理解されるように、これらselector信号S_1、S_2、S_Adの選択指示はコントローラ41が選択信号SLCTによりselector信号生成・選択部40(selector信号選択回路45)に対して行うものである。
時点t1に至ると、サーボ対象ピット列がピット列Fに切り替えられるべく、selector信号S_1としてはピット列Eに対応する位相のselector信号、selector信号S_2としてはピット列Aに対応する位相のselector信号をそれぞれ選択させる。
またselector信号S_Adについてはピット列Fに対応する位相のselector信号を選択させる。
以降も同様に、切替タイミングとしての時点tnごとに、selector信号S_1、S_2についてはサーボ対象とするピット列に隣接するそれぞれのピット列についてのselector信号を選択させ、selector信号S_Adについてはサーボ対象のピット列のselector信号を選択させる。具体的に、図のように時点t2では「S_1:D、S_2:F、S_Ad:E」、時点t3では「S_1:C、S_2:E、S_Ad:D」時点t4では「S_1:B、S_2:D、S_Ad:C」、時点t5では「S_1:A、S_2:C、S_Ad:B」をそれぞれ選択させる。
ここで、図16中に示すような鋸歯状波によるオフセットの付与は、先の図13に示した記録再生装置10において、コントローラ41の指示に基づきオフセット生成部42と加算部43とが行う。
オフセット生成部42は、コントローラ41からの指示に基づき、予め設定された所定の傾きを有する鋸歯状波信号を生成・出力する。
加算部43は、このようにオフセット生成部42が生成・出力した鋸歯状波信号を、減算部37から入力されるトラッキングエラー信号TE-svに対して加算する。
このような構成により、コントローラ41は、オフセット生成部42に対する上記鋸歯状波信号の出力/停止指示、及び前述した中間点としての所定のタイミングごとのselector信号S_1、S_2の選択指示を行うことで、任意の移動量分のトラックジャンプ動作を実行させることができる。
ここで、確認のために、図17により、上記で説明した先行例としての位置制御手法を各ピット列のトラッキングエラー信号TE-svとの対応で表しておく。
図17において、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fは、それぞれピット列A〜Fについてのトラッキングエラー信号TE-svであることを表す。なお、これらトラッキングエラーTE_A〜TE_Fの波形は、スポット位置を半径方向に徐々に移動させていったときの波形を表すものである。
この場合、ピット列の位相としてはA〜Fの6種あるので、図のように各トラッキングエラー信号TE(TE-sv)の位相は60°ずつずれた関係となる。
上記により説明した先行例としての位置制御手法は、図中の太線で示すように、トラッキングエラー信号TE_A→TE_F→TE_E→TE_D→TE_C→TE_B→TE_A・・・の順で、それらのゼロ点近傍の区間を順次なぞっていくものであるとして表現することができる。
<2.実施の形態>
[2-1.先行例の課題]

上記により説明した先行例によれば、トラックジャンプ動作などの、トラッキングエラー信号に折り返しが生じるような移動量によりスポット位置を移動させる位置制御を、クローズドループ制御により実現することができる。
しかしながら、上記による先行例の手法では、オフセットの傾きからピット列間の中間点に至るタイミングを推定し、そのタイミングによりサーボ対象ピット列の切り替えを行うので、当該切り替えタイミングが実際の中間点と一致しない虞がある。
このように実際の中間点とサーボ対象ピット列の切り替えタイミングとが一致しない場合、切り替えタイミングにおいて極性反転されたオフセットの値が、新たにサーボ対象とされたピット列に対する実際のスポット位置のトラッキング誤差量に応じた値とならず、これに伴ってサーボ制御が安定しない虞がある。
また、何より先行例の手法では、トラッキングエラー信号TE-sv自体については、従来の光ディスクシステムと同様にトラッキング誤差量が或る一定以上となると折り返しが生じるものを使用しているので、スポット位置の移動をさせるにあたっては、トラッキングサーボループに対し、図16に示したような鋸歯状波によるオフセットを付与しなければならないものとなっている。
このため先行例の手法では、単純にスポット移動量の目標値に応じたオフセットを与えることでスポット位置を目標位置に移動させるという制御を実現することができないものとなっている。
[2-2.実施の形態の位置制御手法]

そこで、本実施の形態では、次の図18に示されるように、スポット位置が半径方向に移動している際のA〜Fの各位相のピットのトラッキングエラー信号TE(TE_A〜TE_F)のゼロクロス点近傍の波形を繋ぎ合わせることで、サーボ対象ピット列からのトラッキング誤差量を線形に表すことのできる線形トラッキング誤差信号を生成し、当該線形トラッキング誤差信号に基づきトラッキングサーボをかけるようにする。
つまりこのような線形トラッキング誤差信号に基づくトラッキングサーボ制御系を構成することで、スポット位置を目標位置に移動させるためにサーボループに与えるべきオフセットの値として、単純にサーボ対象とするピット列からの目標移動量に応じた値を与えれば済むものとできる。
図19は、図18に示されるような線形トラッキング誤差信号(以下、リニアエラー信号とも称する)の具体的な生成手法について説明するための図である。
なお、この図19においては、サーボ用レーザ光のスポット位置が半径方向に移動している際に得られるトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの波形を示している。
先ず、図19を参照して分かるように、スポット位置が半径方向に移動することに応じては、時間経過と共に、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅の大小関係に変化が生じることになる。
本例において、リニアエラー信号の生成にあたっては、これらトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅の大小関係の別ごとにcase分けをしておく。具体的にこの場合は、ピット列位相が6種とされることに応じ、caseとしてはcase1〜case12に分けられることになる。
これらcase1〜case12の定義は、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅をA〜Fとすると、以下に表すものとなる。

case1:E<F<D<A<C<B
case2:E<D<F<C<A<B
case3:D<E<C<F<B<A
case4:D<C<E<B<F<A
case5:C<D<B<E<A<F
case6:C<B<D<A<E<F
case7:B<C<A<D<F<E
case8:B<A<C<F<D<E
case9:A<B<F<C<E<D
case10:A<F<B<E<C<D
case11:F<A<E<B<D<C
case12:F<E<A<D<B<C
本例では、各トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅を逐次モニタし、上記のように定義される各caseの別を判定する。そして、このように判定したcaseごとに、以下で示す計算を行うことにより、リニアエラー信号を生成する。
なお、以下で示す計算例は、図19に示されるように最初にサーボONとしたピット列がピット列Dとされた場合を前提としている。すなわち、当該ピット列D上にスポットが位置している状態がリニアエラー信号のゼロ点であることを前提としているものである。
ここで、下記計算例において、P(n)は各時刻におけるリニアエラー信号の出力値を表し、A〜Fはそれぞれトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅値を表す。
また、Pprevは、直前のcaseからの切り替わりタイミングにおける、当該直前のcaseで選択されていたトラッキングエラー信号TE(TE_A〜TE_Fの何れか)の振幅値を表すものである。
さらに、HPKは、caseの切り替わりタイミングにおける、当該caseの切り替わりに応じて新たに選択されたトラッキングエラー信号TE(TE_A〜TE_Fの何れか)の振幅値を表すものである。

case1・・・P(n)=Pprev+D
case2・・・P(n)=Pprev−HPK+C
case3・・・P(n)=Pprev+C
case4・・・P(n)=Pprev−HPK+B
case5・・・P(n)=Pprev+B
case6・・・P(n)=Pprev−HPK+A
case7・・・P(n)=Pprev+A
case8・・・P(n)=Pprev−HPK+F
case9・・・P(n)=Pprev+F
case10・・・P(n)=Pprev−HPK+E
case11・・・P(n)=Pprev+E
case12・・・P(n)=Pprev−HPK+D
この計算例を参照して分かるように、本実施の形態では、スポット位置が半径方向に移動する際の各位相のトラッキング誤差信号TE_A〜TE_Fの振幅の大小関係が変化する所定のタイミングごとに、スポット位置の移動方向側に隣接するピット列についてのトラッキング誤差信号TEを順次繋ぎ合わせていくことで、リニアエラー信号を生成するようにされている。
具体的に、本例では、上記所定のタイミングが、case1/case2の切り替わりタイミング、case3/case4の切り替わりタイミング、case5/case6の切り替わりタイミング、case7/case8の切り替わりタイミング、case9/case10の切り替わりタイミング、case11/case12の切り替わりタイミングとされた上で、これら所定のタイミングごとに、スポット位置の移動方向側に隣接するピット列についてのトラッキングエラー信号TEを順次選択するようにされる。そしてこれと共に、上記所定のタイミングごとに、その時点でリニアエラー信号として出力していた値(Pprev)から新たに選択したトラッキングエラー信号TEの上記所定のタイミングでの値(HPK)を減算して得た値を基準値(Pprev−HPK)とし、当該基準値に対して、上記新たに選択したトラッキングエラー信号の値を加算して得た値(P(n))を、リニアエラー信号の値として順次出力するようにされている。
このような手法によって、スポット位置が半径方向(外周方向、内周方向の双方)に移動している状態において、先の図18に示したような各位相のトラッキングエラー信号TEのゼロクロス点近傍の波形を繋ぎ合わせたものとしてのリニアエラー信号を生成することができる。換言すれば、サーボONとしたピット列からのトラッキング誤差量が、トラッキングエラー信号TEの折り返しが生じるような誤差量であっても、そのトラッキング誤差量をほぼ線形な形で表すトラッキング誤差信号を生成できるものである。
このようなリニアエラー信号を生成できることで、例えばトラックジャンプ動作などの、トラッキングエラー信号TEの折り返しが生じてしまう以上の移動量を目標移動量として行うスポット移動制御に関し、その実現のためにトラッキングサーボループに与えるべきオフセットの値として、単純にその目標移動量に応じた値を与えれば済むものとできる。
また、上記の計算例を参照して分かるように、本例においても、スポット位置の移動に応じて逐次トラッキングエラー信号TEを隣接ピット列のトラッキングエラー信号TEに切り替えて選択するようにされているが、本例では、このようなトラッキングエラー信号TEの選択切り替えは、上記caseの判定としての、各トラッキングエラー信号TEの振幅大小関係の変化点を検出した結果に基づき行うものとしている。換言すれば、ピット列間の中間点となるタイミングを、実際にトラッキングエラー信号TEの振幅を検出した結果に基づき検出するものとしている。
このようにトラッキングエラー信号TEを切り替えるべきタイミングとしてのピット列間の中間点タイミングを、実際のトラッキングエラー信号TEの振幅に基づき検出していることで、オフセットの傾きから推定される時間長でトラッキングエラー信号TEの選択切り替えを行う先行例と比較して、切り替えタイミングにおけるトラッキングエラー信号TEの値と実際のトラッキング誤差量との乖離量を抑制でき、その分、トラッキングサーボ制御の安定性をより高めることができる。
また、上述のように本例の位置制御手法が、先行例と同様にスポット位置の移動に応じて逐次トラッキングエラー信号TEを隣接ピット列のトラッキングエラー信号TEに切り替えて選択する手法であることを考慮して分かるように、本例の位置制御手法によっても、スポットの移動中はトラッキングサーボ制御が継続して行われることになる。つまりこのことからも理解されるように、本例の位置制御手法によっても、従来ではエラー信号の折り返しが生じてしまうようなスポット位置の移動を、クローズドループ制御により実現することができる。
[2-3.実施の形態のスポット位置制御装置の構成]

図20は、実施の形態のスポット位置制御装置の内部構成について説明するための図である。
実施の形態のスポット位置制御装置は、先行例としての記録再生装置10におけるサーボ用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御系の構成を変更したものとなる。このため図20では、実施の形態のスポット位置制御装置が備えるサーボ用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御系の構成のみを抽出して示し、光学ピックアップOPや録再用レーザ光側の記録/再生系やサーボ系の構成については記録再生装置10の場合と同様となることから図示は省略している。
なお図20において、既に先行例において説明済みとなった部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図20と先の図13(及び図15)とを比較して分かるように、実施の形態のスポット位置制御装置においては、sum信号をサンプルホールドするサンプルホールド回路SH1,SH2、及び減算部37が省略された上で、エラー信号生成回路50が設けられる。また、case判定回路51とリニアエラー信号生成回路52が新たに設けられる。
またこの場合のスポット位置制御装置には、先行例の記録再生装置10が備えていたselector信号選択回路46に代えてselector信号選択回路53が設けられ、さらにコントローラ41に代えてコントローラ54が設けられる。
図示するように、この場合のselector信号生成回路45が出力するピット列A〜Fのそれぞれについてのselector信号(以下、selector信号S_A〜S_Fと表記する)は、エラー信号生成回路50とselector信号選択回路53とにそれぞれ供給される。
エラー信号生成回路50は、上記selector信号S_A〜S_Fとsum信号とに基づき、ピット列A〜Fのそれぞれについてのトラッキングエラー信号TE(TE_A〜TE_F)を生成する。
図21は、エラー信号生成回路50の内部構成を示している。
この図21を参照して分かるように、エラー信号生成回路50内には、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fとしての6種のエラー信号TEを生成するために、2つのサンプルホールド回路と減算部とによるエラー信号生成部がsum信号に対して6つ並列に設けられている。
具体的には、サンプルホールド回路SH-A1とサンプルホールド回路SH-A2と減算部50Aとによりトラッキングエラー信号TE_Aを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-B1とサンプルホールド回路SH-B2と減算部50Bとによりトラッキングエラー信号TE_Bを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-C1とサンプルホールド回路SH-C2と減算部50Cとによりトラッキングエラー信号TE_Cを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-D1とサンプルホールド回路SH-D2と減算部50Dとによりトラッキングエラー信号TE_Dを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-E1とサンプルホールド回路SH-E2と減算部50Eとによりトラッキングエラー信号TE_Eを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-F1とサンプルホールド回路SH-F2と減算部50Fとによりトラッキングエラー信号TE_Fを生成するエラー信号生成部とが設けられている。
サンプルホールド回路SH-A1はselector信号S_Fが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-A2はselector信号S_Bが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部50Aはサンプルホールド回路SH-A1の出力からサンプルホールド回路SH-A2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Aを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-B1はselector信号S_Aが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-B2はselector信号S_Cが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部50Bはサンプルホールド回路SH-B1の出力からサンプルホールド回路SH-B2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Bを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-C1はselector信号S_Bが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-C2はselector信号S_Dが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部50Cはサンプルホールド回路SH-C1の出力からサンプルホールド回路SH-C2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Cを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-D1はselector信号S_Cが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-C2はselector信号S_Eが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部50Dはサンプルホールド回路SH-D1の出力からサンプルホールド回路SH-D2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Dを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-E1はselector信号S_Dが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-E2はselector信号S_Fが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部50Eはサンプルホールド回路SH-E1の出力からサンプルホールド回路SH-E2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Eを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-F1はselector信号S_Eが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-F2はselector信号S_Aが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部50Fはサンプルホールド回路SH-F1の出力からサンプルホールド回路SH-F2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Fを生成する。
説明を図20に戻す。
エラー信号生成回路50により生成されたトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fは、case判定回路51に供給されると共に、リニアエラー信号生成回路52にも供給される。
case判定回路51は、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fに基づき、先に説明したcase1〜case12の別を判定し、その判定結果を表す判定信号Dcsをリニアエラー信号生成回路52、及びselector信号選択回路53に供給する。
具体的にこの場合は、各caseの切り替わりタイミングを検出し、上記判定信号Dcsとしてはcaseの切り替わりタイミングとcaseの別とを表す信号を生成・出力する。
リニアエラー信号生成回路52は、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fと判定信号Dcsとに基づき、前述したリニアエラー信号を生成する。具体的には、先に計算例として示した各caseごとの計算式のうち、上記判定信号Dcsが表すcaseに対応する計算式に従った計算を行うことで、リニアエラー信号としてのトラッキングエラー信号TE-svを生成する。
なお、リニアエラー信号生成回路52に対しては、コントローラ53より、サーボ光用サーボ回路38によるトラッキングサーボがONされるタイミングに応じてリセット信号が与えられ、リニアエラー信号生成回路52は当該リセット信号に応じて、上記リニアエラー信号としてのトラッキングエラー信号TE-svの値を0リセットする。
図示するようにリニアエラー信号生成回路52により生成されたトラッキングエラー信号TE-svは、加算部43に対して供給される
selector信号選択回路53は、selector信号生成回路45から供給されるselector信号S_A〜S_Fのうちから、判定信号Dcsに基づく1つのselector信号をselector信号S_Adとして選択し、当該selector信号S_Adをアドレス検出回路36に出力する。
具体的に、selector信号選択回路53は、判定信号Dcsにより表されるcase1〜case12についての各切り替わりタイミングのうちの所定のタイミングで、selector信号S_Adとして出力するselector信号Sを、それまで出力していたselector信号Sに隣接するselector信号S(つまりそれまで出力していたselector信号Sがそのピット形成可能位置のタイミングを表すピット列に対して、スポットの移動方向側に隣接するピット列に対応するselector信号S)に切り替える。つまり本例の場合は、case1/case2の切り替わりタイミング、case3/case4の切り替わりタイミング、case5/case6の切り替わりタイミング、case7/case8の切り替わりタイミング、case9/case10の切り替わりタイミング、及びcase11/case12の切り替わりタイミングにおいて、selector信号S_Adとして出力するselector信号Sを、それまで出力していたselector信号Sに隣接するselector信号Sに切り替える。
このようなselector信号選択回路53により選択されたselector信号S_Adがアドレス検出回路36に供給されることで、当該アドレス検出回路36において、スポット位置に最寄りのピット列に記録されたアドレス情報が適正に検出されるようにできる。
コントローラ54は、先のコントローラ41と同様に例えばマイクロコンピュータで構成され、装置全体制御を行う。
コントローラ54は、選択信号SLCTによるselector信号の指示は行わずに、以下のような処理を実行する点がコントローラ41と異なる。
具体的に、この場合のコントローラ54は、基準面Refにおけるシーク動作制御として、先行例の場合とは異なる制御を行う。
先ず、前述の「スライド駆動部を利用した光学ピックアップOP全体の移動による目標アドレス付近への移動」、及び「サーボ用レーザ光のフォーカスサーボON指示」については、先行例の場合と同様となるが、本例の場合、この後に、リニアエラー信号生成回路52に対し、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fのうちから予め定められた任意のトラッキングエラー信号TEを選択させる指示を行う。つまりこれにより、A〜Fのピット列のうち任意のピット列を対象としたトラッキングサーボ制御が実行されるようにする。
なお、このように任意のピット列を対象としたトラッキングサーボを実行させるにあたって、コントローラ54は、サーボ光用サーボ回路38に対してサーボON指示を行うことになるが、コントローラ54はこのようなサーボON指示を行うことに併せて、リニアエラー信号生成回路52に対し上述したリセット信号を与えてエラー信号TE-svの値をゼロリセットさせる。
上記のように任意のピット列を対象としたトラッキングサーボ制御が行われることで、case判定回路51による判定信号Dcsに基づき、selector信号選択回路53がサーボ対象とされたピット列についてのselector信号S(S_Ad)を選択することとなり、このことに応じてアドレス検出回路36にて上記サーボ対象とされたピット列に記録にされるアドレス情報が検出される。
このようにアドレス検出回路36にて検出されたアドレス情報に基づき、コントローラ54は、目標アドレスまでに要するスポット移動量(目標移動量)を計算し、該目標移動量だけスポット位置を移動させるジャンプ動作の実現のための制御を行う。
具体的に、コントローラ54は、例えばこのようなシーク動作時などに行われるトラックジャンプ動作など、或るピット列を対象としてトラッキングサーボがかけられている状態から、スポット位置を半径方向に目標移動量だけ移動させるべき状態となったときは、加算部43に対するオフセット付与を行う。すなわち、加算部43に対し、時間経過と共に徐々にその値が上記目標移動量に応じた値まで上昇するオフセット信号を出力するものである。この場合のオフセット信号は、先行例の場合のような鋸歯状波信号ではなく、線形なオフセット信号となる。
このような線形なオフセット信号の付与に応じて、スポット位置が目標位置まで移動される。この間に、先に説明したcase判定回路51による判定信号Dcsの生成・出力や当該判定信号Dcsに応じたリニアエラー信号生成回路52によるエラー信号計算(トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの順次の選択切り替えを伴う計算)が行われることで、トラッキングエラー信号TEの折り返しが生じる以上のトラッキング誤差量をほぼ線形に表すリニアエラー信号の生成が行われると共に、当該リニアエラー信号に基づくトラッキングサーボ制御が行われることで、エラー信号TEの折り返しが生じる以上の移動量によるスポット移動のための位置制御が、クローズドループ制御により実現されるものとなる。
<3.変形例>

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、skewや対物レンズ20のレンズシフトへの対策として、sum信号のサンプルホールド値の差分によるトラッキングエラー信号TEを生成する場合を例示したが、skewやレンズシフトに伴うスポット位置ずれの補正手段を設けるなど、skewやレンズシフトに伴う影響が無視できるような場合には、トラッキングエラー信号TEとしてプッシュプル信号をサンプルホールドした信号を用いるようにもできる。
また、これまでの説明では、リニアエラー信号の生成にあたり、先の図18に示したようにトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fをそのまま用いる場合を例示したが、リニアエラー信号の生成手法としては、以下のような変形例としての手法も可能である。
図22〜図25は、変形例としてのリニアエラー信号の生成手法について説明するための図である。
先ず、図22では、スポット位置が半径方向に移動している際に得られるトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの波形を示すと共に、該波形図上でピット列Aの真上にスポットが位置するタイミングとしての時点tA、及びピット列Dの真上にスポットが位置するタイミングとしての時点tDをそれぞれ示している。
また、図23では、基準面Ref上においてスポットがピット列A上をトレースしている様子(図23(a))とピット列D上をトレースしている様子(図23(b))とを示している。
ここで、図23に示すように、線方向(ピット列形成方向)においてスポットがピット列A上のピット形成可能位置に一致するタイミングをts1とおく。同様に、線方向においてスポットがピット列B上、ピット列C上、ピット列D上、ピット列E上、ピット列F上のピット形成可能位置にそれぞれ一致するタイミングをts2、ts2、ts3、ts4、ts5、ts6とおく。
先ず、図22を参照すると、ピット列Aについてのトラッキングエラー信号TE_Aとピット列Dについてのトラッキングエラー信号TE_Dとは、その位相が反転した関係、換言すればその極性が逆転した関係となっていることが分かる。すなわち、常にA=−Dの関係が得られている。
本変形例は、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fのうちに、このように互いの極性が逆の関係となるトラッキングエラー信号TEの組が存在することを利用した手法となる。
ここで、図23(a)に示すスポットがピット列A上をトレースする状態は、図22に当て嵌めれば、時点tAでのスポット位置が該当することになる。同様に図23(b)に示すスポットがピット列D上をトレースする状態は、図22における時点tDでのスポット位置が該当する。
つまりこのことからも理解されるように、スポット位置が半径方向に移動することに伴っては、図23(a)に示すスポット位置の状態から図23(b)に示すスポット位置の状態への遷移(或いは逆の遷移)が生じることになる。
この点を踏まえた上で、図22における時点tA、すなわち図23(a)の状態に相当する状態では、トラッキングエラー信号TE_Aは、対象とするピットAの真上を通過するスポットの反射光に基づき生成されるものとなる。しかしながら、スポット位置が半径方向に移動して時点tD、つまり図23(b)に相当する状態となったときは、トラッキングエラー信号TE_Aは、対象とするピットAから最も離れたところにスポットが位置する状態で生成されることになる。
トラッキングエラー信号TE_Dについても同様のことが言え、図22における時点tD(図23(b)に相当する状態)では対象とするピットDの真上を通過するスポットの反射光に基づき生成できるが、時点tA(図23(a)に相当する状態)では対象とするピットDから最も離れたところにスポットが位置する状態で生成されることになる。
このようにトラッキングエラー信号TEは、スポットが半径方向に変位される状況下では、スポット位置がその対象ピット列から遠ざかると当該対象ピット列から離れたスポットの反射光に基づき生成されるものである。そしてこのとき、対象ピット列から離れた区間では、その値の信頼性が低くなる虞がある。
ここで、トラッキングエラー信号TE_A,TE_Dの関係性について見ると、トラッキングエラー信号TE_Aは、スポット位置が対象ピット列から最も遠ざかる時点tDにおいて、トラッキングエラー信号TE_Dが対象とするピット列Dの真上にスポット位置があることになる。
この点と、上述のようにトラッキングエラー信号TE_A、TE_Dが逆位相の関係(A=−D)である点とを考慮すると、トラッキングエラー信号TE_Aについては、対象とするピット列Aの近傍にスポット位置がある状態ではトラッキングエラー信号TE_Aをそのまま使用し、ピット列Aからスポット位置が遠ざかった状態ではトラッキングエラー信号TE_Dの反転値を使用することとすれば、結果として、トラッキングエラー信号TE_Aと同等の波形による信号を、常に、対象ピット列の近傍にスポットがある状態で生成した信号により得ることができる。
同様のことが、トラッキングエラー信号TE_C,TE_Eについても言える。すなわち、トラッキングエラー信号TE_Cについては、これと逆位相の関係となるトラッキングエラー信号TE_Fをペアとして、対象とするピット列Cの近傍にスポット位置がある状態ではトラッキングエラー信号TE_Cをそのまま出力し、ピット列Cからスポット位置が或る程度遠ざかった状態ではトラッキングエラー信号TE_Fの反転値を出力する。
また、トラッキングエラー信号TE_Eについてはこれと逆位相の関係となるトラッキングエラー信号TE_Bをペアとして、対象とするピット列Eの近傍にスポット位置がある状態ではトラッキングエラー信号TE_Eをそのまま出力し、ピット列Eからスポット位置が或る程度遠ざかった状態ではトラッキングエラー信号TE_Bの反転値を出力する。
ここで、上記のようにトラッキングエラー信号TE_A,TE_Dの組、トラッキングエラー信号TE_E,TE_Bの組、トラッキングエラー信号TE_C,TE_Fの組をそれぞれ用いて生成するトラッキングエラー信号TEを、それぞれトラッキングエラー信号TE_p、TE_q、TE_rとおく。これらの波形は、図24に示すものとなる。
これらトラッキングエラー信号TE_p、TE_q、TE_rの具体的な生成手法を以下に示す。
なお下記の計算式において、s1〜s6は、図23に示したタイミングts1〜ts6でのsum信号の振幅値を表す。
また、Aはトラッキングエラー信号TE_Aの振幅値、Dはトラッキングエラー信号TE_Dの振幅値である。同様にE、B、C、Fはトラッキングエラー信号TE_E、TE_B、TE_C、TE_Fの振幅値をそれぞれ表す。

s1<s4 → TE_p=A
s1≧s4 → TE_p=−D

s5<s2 → TE_q=E
s5≧s2 → TE_q=−B

s3<s6 → TE_r=C
s3≧s6 → TE_r=−F
なお、トラッキングエラー信号TE_p、TE_q、TE_rの生成手法は上記に限定されるものでなく、例えば、

s6+s2<s3+s5 → TE_p=A
s6+s2≧s3+s5 → TE_p=−D

などのようにすることもできる。
図25は、トラッキングエラー信号TE_p、TE_q、TE_rを用いた変形例としてのリニアエラー信号の具体的生成手法について説明するための図である。
先ず、この場合も各エラー信号TEの振幅大小関係の別ごとにcase分けを行う。具体的にこの場合は、使用するエラー信号TEの位相の種類が3つとされることに応じ、caseとしてはcase21〜case26の6つに分けられることになる。
これらcase21〜case26の定義は、トラッキングエラー信号TE_p、TE_q、TE_rの振幅をそれぞれp、q、rとすると以下のようになる。

case21:p<q<r
case22:q<p<r
case23:q<r<p
case24:r<q<p
case25:r<p<q
case26:p<r<q
本変形例では、トラッキングエラー信号TE_p、TE_q、TE_rの振幅を逐次モニタして上記定義による各caseの判定を行う。そして、このように判定したcaseごとに以下で示す計算を行うことで、リニアエラー信号を生成する。
なお、以下の計算例においては、最初にサーボONとしたピット列がピット列Eとされ、当該ピット列E上にスポットが位置している状態がリニアエラー信号のゼロ点に設定される場合を前提としている。
また下記計算例において、P(n)、Pprev、及びHPKの定義については実施の形態の場合と同様である。

case21・・・P(n)=Pprev+q
case22・・・P(n)=Pprev−HPK−p
case23・・・P(n)=Pprev−HPK+r
case24・・・P(n)=Pprev−HPK−q
case25・・・P(n)=Pprev−HPK+p
case26・・・P(n)=Pprev−HPK−r
このようにして変形例のリニアエラー信号生成手法としても、スポット位置が半径方向に移動する際の各位相のトラッキング誤差信号TEの振幅の大小関係が変化する所定のタイミングごとに、スポット位置の移動方向側に隣接するピット列についてのトラッキング誤差信号TEを順次繋ぎ合わせていくことでリニアエラー信号を生成する手法であることが分かる。
具体的に、変形例の場合は、スポット位置が半径方向に移動する際の各位相のトラッキング誤差信号TEの振幅の大小関係の変化が生じるごとに、スポット位置の移動方向側に隣接するピット列についてのトラッキングエラー信号TE(TE_qはピット列E、TE_rはピット列C、TE_pはピット列Aをそれぞれ対象とするものである)を順次選択するものとしている。そしてこれと共に、上記振幅の大小関係の変化が生じるタイミング(上記所定のタイミング)ごとに、その時点でリニアエラー信号として出力していた値(Pprev)から新たに選択したトラッキングエラー信号TEの上記所定のタイミングでの値(HPK)を減算して得た値を基準値(Pprev−HPK)とし、当該基準値に対して、上記新たに選択したトラッキングエラー信号TEの値を加算して得た値(P(n))を、リニアエラー信号の値として順次出力するようにされている。
なおこのような変形例としてのリニアエラー信号の生成手法について、図25と先の図18とを対比すると、case21で選択されるトラッキングエラー信号TE_qはトラッキングエラー信号TE_Eに相当し、case24で選択されるトラッキングエラー信号TE_qはトラッキングエラー信号TE_Bに相当するものであることが分かる。また、case22で選択されるトラッキングエラー信号TE_pはトラッキングエラー信号TE_Dに相当しcase25で選択されるトラッキングエラー信号TE_pはトラッキングエラー信号TE_Aに相当するものであり、さらに、case23で選択されるトラッキングエラー信号TE_rはトラッキングエラー信号TE_Cに相当しcase26で選択されるトラッキングエラー信号TE_rはトラッキングエラー信号TE_Fに相当するものであることが分かる。
このことからも理解されるように、変形例のリニアエラー信号生成手法としても、基準面Refに形成された各位相のピット列A〜Fのそれぞれ対応するトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの、それぞれのゼロクロス点近傍の波形を繋ぎ合わせる手法に該当するものである。
上記により説明した変形例としてのエラー信号生成手法によれば、トラッキングエラー信号TEとしてプッシュプル信号をサンプルホールドした信号を用いる場合に、各トラッキングエラー信号TEとしてより対象ピット列に近い位置にスポットがある状態でサンプルホールドした信号を用いることができるので、アドレス変調によってピットの無い部分が生じる場合にもより信頼性の高いトラッキングエラー信号TEを得ることができる。
また、これまでの説明では、スポット位置を半径方向に移動させる動作の例としてトラックジャンプ動作を挙げたが、本発明は、オフセットの付与によって、サーボ用レーザ光のスポット位置を任意のピッチによるスパイラル状に移動させるための位置制御にも好適に適用できる。
このようなスパイラル制御を行う場合には、サーボループに対して与えるオフセットとして、実現したいピッチに応じた傾きを有するオフセットを与えるものとすればよい。
また、これまでの説明では、本発明において記録対象とする光記録媒体がバルク型の光記録媒体とされる場合を例示したが、本発明としては、バルク層5ではなく、例えば次の図26に示されるような複数の記録膜が形成された多層構造を有する記録層が設けられた光記録媒体(多層記録媒体60とする)に対しても好適に適用できる。
図26において、多層記録媒体60は、上層側から順にカバー層2、選択反射膜3、及び中間層4が形成される点は図2に示したバルク型記録媒体1と同様となるが、この場合はバルク層5に代えて、図のように半透明記録膜61と中間層4とが所定回数繰り返し積層された層構造を有する記録層が積層される。図のように最下層に形成された半透明記録膜61は、基板62上に積層されている。なお、最下層に形成される記録膜については全反射記録膜を用いることができる。
ここで、注意すべきは、上記半透明記録膜61には、ピット列の形成に伴う位置案内子が形成されていないという点である。つまりこの多層記録媒体60としても、スパイラル状又は同心円状の位置案内子は、基準面Refとしての1つの層位置に対してのみ形成されているものである。
このような多層記録媒体60の記録層においては、反射膜として機能する半透明記録膜61が形成されているため、記録時においても録再用レーザ光の反射光を用いたフォーカス制御を行うことができる。
すなわち、この場合の記録時において、録再用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御は、当該録再光用レーザ光の反射光に基づいて可動レンズ15(レンズ駆動部16)を駆動することで、記録対象とする半透明記録膜61に合焦させるようにして行うことになる。
なお、再生時におけるフォーカスサーボ、トラッキングサーボの具体的手法はバルク型記録媒体1を対象とする場合と同様で良い。
また、これまでの説明では、ピット列が形成される基準面は、記録層の上層側に対して設けるものとしたが、基準面は記録層の下層側に設けることもできる。
また、これまでの説明では、記録層に対する記録を行うためのレーザ光の光源と、当該記録層に記録されたマーク列からの反射光を利用して情報再生やトラッキング・フォーカスサーボを行うためのレーザ光の光源とを共通とする構成を例示したが、これら記録のためのレーザ光の光源と情報再生・サーボ制御のための光源とを別々に設けた構成とすることもできる。
また、これまでの説明では言及しなかったが、本例では基準面RefにCAV方式でピット列が記録され、これに対応してバルク型記録媒体1を一定回転速度で回転駆動するようにしているため、この場合における記録層では、外周側となるほど記録密度が疎となってしまう。これを対策するため、例えば半径位置に応じて連続的に記録クロック周波数を変化させるなど、記録密度を一定(或いは一定と見なすことのできる状態)とするための構成を付加することもできる。
また、これまでの説明では、基準面Refにおけるピット列をスパイラル状に形成する場合を例示したが、同心円状に形成することもできる。ピット列を同心円状に形成した場合も、リニアエラー信号の生成やこれを用いた位置制御手法についてはこれまでで説明したものと同様でよい。
また、これまでの説明では、ピット列がスパイラル状に形成される場合の例として、先の図6のようにA〜Fの各位相のピット列がそれぞれ独立したスパイラルで形成される場合(多重スパイラル構造)を例示したが、ピット列は、次の図27に示すように1本のスパイラルで形成されるようにすることもできる(シングルスパイラル構造)。なお、この図27においても図示の都合上、ピット列の位相はA〜Cの3種のみを示している。
図のように、この場合はディスク上の或る回転角度位置を基準位置として定めておき、当該基準位置を基準として定まる各周回ごとに、ピット列の位相を順次変化させていく。例えば先の図5のように外周側から内周側に向けてピット列A→B→C→・・・が配列される(つまり外周側となるにつれて徐々にピット列位相を進ませる)フォーマットとする場合には、図のようにn周回目はピット列Aの位相、n+1周回目はピット列Cの位相、n+2周回目はピット列Bの位相・・・という具合に、周回ごとに徐々にピット列の位相を進ませるようにしてピットを形成していく。
先の図6と対比して分かるように、このようなシングルスパイラル構造とすることによっても、半径方向において配列される各ピット列の位相関係としては図6の場合と同様とすることができる。
ここで、図6に示されるような多重スパイラル構造によるディスクを作成するにあたっては、A〜Fの各ピット列のカッティングを同一原盤に対してそれぞれ個別に行うという手法を採ることが考えられるが、この場合には、個々のピット列のカッティングをその開始位置を半径方向に僅かにずらしながら順次行うこととなり、精度の面で困難性を伴う虞がある。
これに対し図27のようなシングルスパイラル構造とすれば、カッティングの回数は1度で済み、また精度の面においてもピットの形成タイミングを正確にコントロールしさえすれば良く、技術的困難性は格段に低くできる。
なお、図27に示すようなシングルスパイラル構造とした場合、或る位相のピット列を対象としたトラッキングサーボを1周以上かけ続けるということはできない。そこでこの場合には、所定の傾きによるオフセット信号をトラッキングサーボループに対して与えることで、記録層に対する記録が所定ピッチのスパイラル状に行われるようにする。
また、これまでの説明では、それぞれが異なるピット列位相を有する複数のピット列として、A〜Fの計6つを設定するものとし、半径方向においてはこれら6つのパターン(ピット列位相)によるピット列が繰り返し形成されるものとしたが、上記複数のピット列の数は6つに限定されるべきものではなく、より多くの本数、或いはより少ない本数とすることもできる。
また、ピット列における各ピット形成可能位置の区間長は3T分の区間長とし、またピット列形成方向における各ピット形成可能位置のエッジ間の間隔も同様の3T分の長さに設定する(つまりn=6Tに設定する)場合を例示したが、これらはあくまで一例を示したものに過ぎない。これら各ピット形成可能位置の区間長、及びピット列形成方向における各ピット形成可能位置のエッジ間の間隔については、先に挙げた1)2)の条件が満たされるようにして設定されればよいものである。
またこれまでの説明では、それぞれが異なるピット列位相を有する複数のピット列に関して、外周側ほどピット列位相が進み内周側ほどピット列位相が遅れるようにピット列を配列したが、例えば逆に内周側ほどピット列位相が進み外周側ほどピット列位相が遅れるようにピット列を配列するなど、上記複数のピット列の配列パターンは、ピット列形成方向において光学限界を超えないという条件の下で様々なパターンの設定が可能である。
またこれまでの説明では、本発明が光記録媒体(記録層)に対する記録及び再生の双方を行う記録再生装置に適用される場合を例示したが、本発明は光記録媒体(記録層)に対する記録のみが可能とされた記録専用装置(記録装置)にも好適に適用できる。
1 バルク型記録媒体、2 カバー層、3 選択反射膜、Ref 基準面、4 中間層、5 バルク層、L マーク形成層位置(情報記録層位置)、10 記録再生装置、11 録再用レーザ、12,25 コリメーションレンズ、13,26 偏光ビームスプリッタ、14 固定レンズ、15 可動レンズ、16 レンズ駆動部、17 ミラー、18,27 1/4波長板、19 ダイクロイックプリズム、20 対物レンズ、21 2軸アクチュエータ、22,28 集光レンズ、23 録再光用受光部、24 サーボ用レーザ、29 サーボ光用受光部、31 記録処理部、32 録再光用マトリクス回路、33 再生処理部、34 録再光用サーボ回路、35 サーボ光用マトリクス回路、36 アドレス検出回路、37,51 減算部、38 サーボ光用サーボ回路、39 クロック生成回路、39A,39C スライス回路、39B sum微分回路、39D ANDゲート回路、39E PLL回路、40,50 selector信号生成・選択部、41,54 コントローラ、42 オフセット生成部、43 加算部、44 スピンドルモータ、SH1,SH2,SH-A1〜SH-F2 サンプルホールド回路、45 selector信号生成回路、46,53 selector信号選択回路、50 エラー信号生成回路、51 case判定回路、52 リニアエラー信号生成回路、60 多層記録媒体、61 半透明記録膜、62 基板

Claims (9)

  1. 1周回におけるピットの形成可能位置の間隔が第1の間隔に制限されたピット列がスパイラル状又は同心円状に形成され、半径方向に配列されるピット列において、上記ピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔が所定の第2の間隔ずつずれた位置に設定されて、複数のピット列位相を有するようにされている光記録媒体に対して、対物レンズを介して第1の光を照射し且つ、上記第1の光の上記光記録媒体からの反射光を受光する光照射・受光部と、
    上記対物レンズを上記半径方向に変位させるトラッキング機構部と、
    上記光照射・受光部が上記第1の光の反射光を受光して得た受光信号に基づき、上記ピットの形成可能位置の間隔に応じたクロックを生成するクロック生成部と、
    上記クロック生成部により生成されたクロックに基づき、上記光記録媒体に形成された各位相のピット列についての上記ピットの形成可能位置のタイミングをそれぞれ表す複数のタイミング選択信号を生成するタイミング選択信号生成部と、
    上記第1の光の反射光についての上記受光信号と、上記タイミング選択信号生成部が生成した上記タイミング選択信号とに基づき、上記光記録媒体に形成された各位相のピット列ごとのトラッキング誤差をそれぞれ表す複数のトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成部と、
    上記第1の光の照射スポットが半径方向に移動している際に得られる上記複数のトラッキング誤差信号のゼロクロス点近傍の区間の信号を順次繋ぎ合わせて、トラッキング誤差量を線形に表す線形トラッキング誤差信号を生成する線形トラッキング誤差信号生成部と、
    上記線形トラッキング誤差信号に基づき上記トラッキング機構を駆動することで上記対物レンズについてのトラッキングサーボ制御を行うトラッキングサーボ制御部と、
    上記トラッキングサーボ制御部によるトラッキングサーボ制御により形成されるトラッキングサーボループに対して上記照射スポットを半径方向に移動させるためのオフセットを付与するオフセット付与部と
    を備えるスポット位置制御装置。
  2. 上記線形トラッキング誤差信号生成部は、
    上記複数のトラッキング誤差信号の振幅の大小関係が変化する所定のタイミングごとに、上記照射スポットの移動方向側に隣接するピット列についてのトラッキング誤差信号を順次繋ぎ合わせることで、上記線形トラッキング誤差信号を生成する
    請求項1に記載のスポット位置制御装置。
  3. 上記線形トラッキング誤差信号生成部は、
    上記所定のタイミングごとに、上記照射スポットの移動方向側に隣接するピット列についてのトラッキング誤差信号を順次選択していくと共に、
    上記所定のタイミングにおいて、その時点で上記線形トラッキング誤差信号として出力していた値から新たに選択したトラッキング誤差信号の上記所定のタイミングでの値を減算して得た値を基準値とし、当該基準値に対して、上記新たに選択したトラッキング誤差信号の値を加算して得た値を、上記線形トラッキング誤差信号の値として順次出力する
    請求項2に記載のスポット位置制御装置。
  4. 上記光記録媒体には、
    個々の上記ピット列上の上記ピットの形成可能位置におけるピットの形成有無のパターンにより、上記個々のピット列ごとに上記光記録媒体上の位置情報が記録されており、
    上記複数のトラッキング誤差信号の振幅の大小関係が変化する所定のタイミングごとに、上記複数のタイミング選択信号のうちから、上記照射スポットの移動方向側に隣接するピット列に対応するタイミング選択信号を選択するタイミング選択信号選択部と、
    上記タイミング選択信号選択部が選択したタイミング選択信号が表すタイミングで、上記受光信号の値をサンプルして上記ピットの形成可能位置における上記ピットの形成有無としてのチャネルビット値の判定を行った結果に基づき、上記位置情報を検出する位置情報検出部とを備える
    請求項2に記載のスポット位置制御装置。
  5. 上記トラッキング誤差信号生成部は、
    上記各位相のピット列ごとに、そのピット列に対して位相差が等しい関係となるそれぞれのピット列に対応する上記タイミング選択信号が表すタイミングで上記受光信号の値をサンプルホールドしそれらの差分を計算することで、上記各位相のピット列ごとの上記トラッキング誤差信号を生成する
    請求項1に記載のスポット位置制御装置。
  6. 上記光記録媒体は、
    上記ピット列が形成された基準面と、当該基準面とは異なる深さ位置に形成された記録層とを有して構成され、
    上記光照射・受光部は、
    上記記録層に対する記録光としての第2の光を、上記対物レンズを介して上記第1の光と共に上記光記録媒体に照射するように構成されている
    請求項1に記載のスポット位置制御装置。
  7. 上記光照射・受光部は、
    上記記録層としてバルク状態の記録層を有する上記光記録媒体に対して上記第1の光と上記第2の光とを照射する
    請求項6に記載のスポット位置制御装置。
  8. 上記光照射・受光部は、
    上記記録層として深さ方向の複数位置に記録膜が形成された多層構造を有する記録層を有する上記光記録媒体に対して上記第1の光と上記第2の光とを照射する
    請求項6に記載のスポット位置制御装置。
  9. 1周回におけるピットの形成可能位置の間隔が第1の間隔に制限されたピット列がスパイラル状又は同心円状に形成され、半径方向に配列されるピット列において、上記ピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔が所定の第2の間隔ずつずれた位置に設定されて、複数のピット列位相を有するようにされている光記録媒体に対して、対物レンズを介して第1の光を照射し且つ、上記第1の光の上記光記録媒体からの反射光を受光する光照射・受光部と、上記対物レンズを上記半径方向に変位させるトラッキング機構部とを有するスポット位置制御装置におけるスポット位置制御方法であって、
    上記光照射・受光部が上記第1の光の反射光を受光して得た受光信号に基づき、上記ピットの形成可能位置の間隔に応じたクロックを生成するクロック生成手順と、
    上記クロック生成手順により生成したクロックに基づき、上記光記録媒体に形成された各位相のピット列についての上記ピットの形成可能位置のタイミングをそれぞれ表す複数のタイミング選択信号を生成するタイミング選択信号生成手順と、
    上記第1の光の反射光についての上記受光信号と、上記タイミング選択信号生成手順で生成した上記タイミング選択信号とに基づき、上記光記録媒体に形成された各位相のピット列ごとのトラッキング誤差をそれぞれ表す複数のトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手順と、
    上記第1の光の照射スポットが半径方向に移動している際に得られる上記複数のトラッキング誤差信号のゼロクロス点近傍の区間の信号を順次繋ぎ合わせて、トラッキング誤差量を線形に表す線形トラッキング誤差信号を生成する線形トラッキング誤差信号生成手順と、
    上記線形トラッキング誤差信号に基づき上記トラッキング機構を駆動することで上記対物レンズについてのトラッキングサーボ制御を行いつつ、当該トラッキングサーボ制御が行われることで形成されるトラッキングサーボループに対して上記照射スポットを半径方向に移動させるためのオフセットを付与するサーボ・オフセット付与手順と
    を有するスポット位置制御方法。
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