JP2013023676A - インクジェット用白インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色材として、実質的に白色金属酸化物のみからなる中空粒子を配合した。前記白色金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化アンチモンからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。また中空粒子を構成する白色金属酸化物層の厚みは40nm以上、160nm以下であるのが好ましい。
【選択図】なし
Description
白は、被記録体としての紙等の白で表現することを前提としており、そのため白のインクはこれまで用いられてこなかった。
インクジェット用白インクは、既存のインクジェットプリンタを使用して記録をすることや、あるいは既存の生産設備、材料を使用して製造すること等を考慮すると、他の色のインクジェット用インクと同様に、水等の分散媒中に、白色の着色材を分散させて構成するのが望ましい。
しかし酸化チタン粒子は比重が大きいため、前記酸化チタン粒子を着色材として、特に水等の水性分散媒中に分散させたインクジェット用白インクは分散安定性が不十分であり、前記酸化チタン粒子が短期間で沈降してしまうという問題がある。
しかし、前記インク組成物はあくまでも「非着色」であって白色ではない。これは、前記樹脂の中空微小球が、酸化チタンのような白色ではなく、無色半透明であって十分な着色力や隠ぺい力を有しないためである。
特許文献2、3には、酸化チタンよりも比重の小さい材料からなるコア粒子、例えば樹脂粒子や中空樹脂粒子の表面を酸化チタンで被覆した水性インク用の白色顔料が記載されている。
しかも前記白色顔料の内部は、酸化チタンよりも比重の小さい材料からなるため、当該白色顔料の比重を、全体が酸化チタンからなる従来の酸化チタン粒子に比べて小さくすることができる。
本発明の目的は、十分な白色度を有する記録をすることができる上、従来に比べてさらに分散安定性に優れたインクジェット用白インクを提供することにある。
前記中空粒子は、その表面が、例えば酸化チタン等の白色金属酸化物からなるため、着色力や隠ぺい力に優れている。そのため、前記中空粒子を含む本発明のインクジェット用白インクを用いれば、明度の低い被記録体の表面などの種々の表面に、十分な白色度を有する記録をすることができる。
前記中空粒子は、記録の白色度をさらに高めることを考慮すると、特に着色力や隠ぺい力に優れた、酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化アンチモンからなる群より選ばれた少なくとも1種の白色金属酸化物によって形成するのが好ましい。
前記中空粒子は、分散媒中に分散させた樹脂粒子の表面を白色金属酸化物で被覆してコア−シェル粒子を形成する工程、および前記コア−シェル粒子を、前記樹脂の熱分解温度以上の温度で焼成して樹脂粒子を除去する工程を経る液相析出法によって製造することができる。
〈着色材〉
着色材としては、前記のように実質的に白色金属酸化物のみからなる中空粒子を用いる。
しかし、例えば明度の低い被記録体の表面などの、種々の表面に形成する記録の白色度をさらに高めることを考慮すると、前記中空粒子は、着色力や隠ぺい力に優れた、酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化アンチモンからなる群より選ばれた少なくとも1種の白色金属酸化物によって形成するのが好ましい。中でも、前記着色力や隠ぺい力に特に優れた酸化チタンによって中空粒子を形成するのがより一層好ましい。
前記白色金属酸化物層の厚みが前記範囲未満では中空粒子の着色力、隠ぺい力が低下する。すなわち白色金属酸化物層が光を透過し易くなるため、当該中空粒子を含む本発明のインクジェット用白インクを用いて形成する記録の白色度が不十分になるおそれがある。
また、前記中空粒子を構成する白色金属酸化物の厚みは160nm以下であるのが好ましい。
なお、前記中空粒子が後述する製造工程を経て製造される場合、当該中空粒子を構成する白色金属酸化物層の厚みを、本発明では、下記の方法で測定した値でもって表すこととする。
そして前記両メジアン径から、下記式(a)により、白色金属酸化物層の厚みT[nm]を求める。
次に説明する製造工程を経て製造される中空粒子内には、焼成によって除去した樹脂粒子の残渣が含まれる場合があるが、当該残渣はコア粒子としては機能しない上、白色金属酸化物層を構成するものでもないので、かかる残渣が含まれる場合も、本発明で言うところの「実質的に白色金属酸化物のみからなる」中空粒子に含むこととする。
前記中空粒子は、種々の製造方法によって製造することができる。
製造方法の一例としては、分散媒中に分散させた樹脂粒子の表面を白色金属酸化物で被覆してコア−シェル粒子を形成する工程(被覆工程)、および前記コア−シェル粒子を、前記樹脂の熱分解温度以上の温度で焼成して樹脂粒子を除去する工程(焼成工程)を経て中空粒子を製造する液相析出法が挙げられる。
中空粒子のもとになる樹脂粒子としては、例えば前記のように形状、粒径および粒度分布を調整することが容易で、しかも水等の分散媒中に分散させることができる種々の樹脂粒子が、いずれも使用可能である。
ただし分散媒中での分散性を向上することを考慮すると、前記樹脂粒子としては、比重が1.6以下の樹脂からなる粒子を用いるのが好ましい。
そのため、製造される中空粒子の形状、および粒径が不均一になりやすく、かかる中空粒子を含むインクジェット用白インクの分散安定性が低下するおそれがある。
樹脂粒子を形成する比重1.6以下の樹脂としては、例えばポリエチレン(比重:0.91〜0.97)、ポリ酢酸ビニル(比重:1.16〜1.25)、エチレン−酢酸ビニルコポリマ(比重:1.21〜1.41)、ポリイソブチレン(比重:1.05〜1.13)、ポリアミド(比重:1.02〜1.14)、スチレン−ブタジエンコポリマ(比重:1.01〜1.10)、ポリスチレン(比重:1.18〜1.25)、ポリアクリレート(比重:1.10〜1.28)、ポリウレタン(比重:1.10〜1.30)、およびポリメチルメタクリレート(比重:1.20〜1.55)等の1種または2種以上が挙げられる。
(被覆工程)
被覆工程では、まず析出させる白色金属酸化物のもとになる金属Mのフルオロ錯体MFx (x−2n)−を所定の濃度で含む水溶液を調製する。前記水溶液中では、下記式(1)で示す加水分解平行反応系が成立する。
次いで前記水溶液に、フッ化物イオンと容易に反応してより安定な化合物を生成するホウ酸(H3BO3:フッ化イオン捕捉材)を添加すると、下記式(2)で示す析出駆動反応が進行する。
その結果、前記樹脂粒子の表面が、析出した白色金属酸化物によって被覆されて、前記樹脂粒子をコアとし、白色金属酸化物層をシェルとするコア−シェル粒子が形成される。
一例として反応温度は20℃以上であるのが好ましく、40℃以下であるのが好ましい。また反応時間は1時間以上であるのが好ましく、30時間以下であるのが好ましい。
前記反応終了後、形成されたコア−シェル粒子を液から分離し、樹脂の熱分解温度以上の温度で焼成して樹脂粒子を除去することにより、先に説明したように実質的に白色金属酸化物のみからなる中空粒子が製造される。
焼成の温度は、前記のように樹脂の熱分解温度以上であればよいが、製造される複数の中空粒子が焼きついたりするのを防止しながら、できるだけ短時間で、かつ少ない消費エネルギーで効率よく焼成することを考慮すると300℃以上であるのが好ましく、500℃以下であるのが好ましい。また同様の理由で、焼成の時間は1時間以上であるのが好ましく、3時間以下であるのが好ましい。
製造した中空粒子は、水等の分散媒中に分散させた分散液の状態で、インクジェット用白インクの調製に用いるのが、当該中空粒子の分散性を向上する上で好ましい。
分散媒として水を用いる分散液は、前記水に、中空粒子、分散剤、および湿潤剤等を配合し、予備的に混合したのち、例えばビーズミル等を用いて混合して中空粒子を分散させ、さらに必要に応じて遠心分離等によって粗大粒子を除去することで調製される。
(分散剤)
分散剤としては、水溶性の高分子分散剤が好ましい。前記高分子分散剤としては、例えばにかわ、ゼラチン、ガゼイン、アルブミン、アラビアゴム、トラガントゴム、サボニン、アルギン酸、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、および酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。
(湿潤剤)
湿潤剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、および1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の1種または2種以上が挙げられる。
(その他)
分散液には、当該分散液をアルカリ性にして中空粒子の良好な分散を維持するために塩基性物質を配合してもよい。かかる塩基性物質は、後述するようにインクジェット用白インクをアルカリ性にして、アルカリ可溶のバインダ樹脂を溶解させるとともに、インクジェットプリンタのヘッドの金属部分等の腐食を防止するためにも機能する。
また有機アミンとしては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノ−1−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、およびこれらの誘導体等の1種または2種以上が挙げられる。
水の配合割合は、前記各成分の残量である。
〈インクジェット用白インク〉
水性のインクジェット用白インクは、前記分散液に、さらに水等の水性分散媒、湿潤剤、バインダ樹脂、塩基性物質等を配合して調製することができる。
(湿潤剤)
湿潤剤としては、先に例示したものの1種または2種以上が挙げられる。
湿潤剤の配合割合は、インクジェット用白インクの総量の5質量%以上であるのが好ましく、15質量%以下であるのが好ましい。
水性のインクジェット用白インクにバインダ樹脂を含有させると、印刷の耐水性や耐擦過性を向上できる。
特にバインダ樹脂として、本質的に水には不溶で、かつ塩基性物質を溶解させたアルカリ水溶液に選択的に可溶であるバインダ樹脂を使用すると、印刷の耐水性をさらに向上できる。
前記アルカリ可溶のバインダ樹脂としては、例えばその分子中にカルボキシル基を有しており、そのままでは水に不溶であるが、塩基性物質を溶解させたアルカリ性の水溶液に加えるとカルボキシル基の部分が塩基性物質と反応して水溶性の塩を生成して溶解する樹脂が好ましい。
ただし分子量が大きすぎるとバインダ樹脂が沈殿や析出などを生じやすくなって、インクジェット用白インクの分散安定性が低下したり、インクジェットプリンタのヘッドのノズルからの吐出の安定性が低下したりするおそれがある。そのためバインダ樹脂の重量平均分子量Mwは、前記範囲内でも50000以下、特に30000以下であるのが好ましい。
(塩基性物質)
塩基性物質としては、先に例示したものの1種または2種以上が挙げられる。
湿潤剤の配合割合は、インクジェット用白インクの、塩基性物質を配合しない状態でのpH、および目標とするpHなどに応じて適宜の範囲とすることができる。
水性分散媒としては水、または水と水溶性有機溶媒との混合物が挙げられる。
また水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、およびn−ペンタノール等の1種または2種以上が挙げられる。
前記各成分を含む本発明のインクジェット用白インクによれば、着色材としての、実質的に白色金属酸化物のみからなる中空粒子の作用によって、従来に比べてさらに分散安定性に優れる上、十分な白色度を有する記録をすることが可能となる。
(中空粒子の製造)
樹脂粒子としては、先に説明した方法で求めたメジアン径d50Rが150nmであるポリスチレン(比重:1.18〜1.25)の球状粒子を用いた。
前記樹脂粒子を(NH4)2TiF6水溶液(濃度0.1mol/dm3)に加え、かく拌して分散させた状態でH3BO3水溶液(濃度0.2mol/dm3)を滴下し、次いで液温を30℃に維持しながらさらに8時間かく拌を続けて析出反応させたのち遠心分離してコア−シェル粒子を得た。そして、前記コア−シェル粒子を400℃で2時間焼成して樹脂粒子を除去することで中空粒子を製造した。
(分散液の調製)
前記中空粒子20質量部、分散剤としてのスチレン−アクリル酸共重合体2質量部、塩基性物質としての2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール1質量部、湿潤剤としてのジエチレングリコール5質量部、およびイオン交換水72質量部を配合し、予備的に混合したのち、ビーズミルを用いて混合して中空粒子を分散させ、さらに遠心分離により粗大粒子を除去して分散液を調製した。ビーズミルの分散メディアとしては直径0.5mmのジルコニアビーズを用いた。
前記分散液50質量部に、湿潤剤としてのグリセリン10質量部、アルカリ可溶のバインダ樹脂としてのアクリル酸−アクリル酸エチル共重合体(重量平均分子量Mw:20000、酸価:59)1質量部、塩基性物質としての2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール1質量部、および純水38質量部を配合して混合したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェット用白インクを調製した。
樹脂粒子として、先に説明した方法で求めたメジアン径d50Rが150nmであるポリ塩化ビニリデン(比重:1.65〜1.72)の球状粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして中空粒子を製造し、分散液、およびインクジェット用白インクを調製した。
前記中空粒子を観察したところ、複数個の樹脂粒子が凝集した状態でその表面に酸化チタンが被覆されるなどした中空粒子が多数見られ、形状、および粒径が不均一であった。
なお分散液の調製には、前記粗大粒子を除去しない中空粒子の全量を用いた。
被覆工程における、H3BO3水溶液を滴下した後の析出反応の時間を4時間としたこと以外は実施例1と同様にして中空粒子を製造し、分散液、およびインクジェット用白インクを調製した。
前記中空粒子を観察したところ、その形状、および粒径はほぼ均一であり、そのメジアン径d50Sを先に説明した方法で求めたところ200nmであった。また、前記樹脂粒子のメジアン径d50R、および中空粒子のメジアン径d50Sから、先の式(a)によって酸化チタン層の厚みT[nm]を求めたところ25nmであった。
被覆工程における、H3BO3水溶液を滴下した後の析出反応の時間を6時間としたこと以外は実施例1と同様にして中空粒子を製造し、分散液、およびインクジェット用白インクを調製した。
前記中空粒子を観察したところ、その形状、および粒径はほぼ均一であり、そのメジアン径d50Sを先に説明した方法で求めたところ230nmであった。また、前記樹脂粒子のメジアン径d50R、および中空粒子のメジアン径d50Sから、先の式(a)によって酸化チタン層の厚みT[nm]を求めたところ40nmであった。
被覆工程における、H3BO3水溶液を滴下した後の析出反応の時間を25時間としたこと以外は実施例1と同様にして中空粒子を製造し、分散液、およびインクジェット用白インクを調製した。
前記中空粒子を観察したところ、その形状、および粒径はほぼ均一であり、そのメジアン径d50Sを先に説明した方法で求めたところ470nmであった。また、前記樹脂粒子のメジアン径d50R、および中空粒子のメジアン径d50Sから、先の式(a)によって酸化チタン層の厚みT[nm]を求めたところ160nmであった。
被覆工程における、H3BO3水溶液を滴下した後の析出反応の時間を30時間としたこと以外は実施例1と同様にして中空粒子を製造し、分散液、およびインクジェット用白インクを調製した。
前記中空粒子を観察したところ、その形状、および粒径はほぼ均一であり、そのメジアン径d50Sを先に説明した方法で求めたところ500nmであった。また、前記樹脂粒子のメジアン径d50R、および中空粒子のメジアン径d50Sから、先の式(a)によって酸化チタン層の厚みT[nm]を求めたところ175nmであった。
前記実施例1において焼成工程を実施する前のコア−シェル粒子を、焼成工程を経ることなく、そのままで着色材として使用したこと以外は実施例1と同様にして分散液、およびインクジェット用白インクを調製した。
前記コア−シェル粒子のメジアン径d50Sを先に説明した方法で求めたところ300nmであった。また、前記樹脂粒子のメジアン径d50R、およびコア−シェル粒子のメジアン径d50Sから、先の式(a)によって酸化チタン層の厚みT[nm]を求めたところ75nmであった。
〈比較例2〉
樹脂粒子として、先に説明した方法で求めたメジアン径d50Rが150nmであるスチレン−アクリル酸共重合体の中空樹脂粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコア−シェル粒子を作製し、前記コア−シェル粒子を、焼成工程を経ることなく、そのままで着色材として使用したこと以外は実施例1と同様にして分散液、およびインクジェット用白インクを調製した。
このものは、特許文献2、3に記載された、中空樹脂粒子の表面を酸化チタンで被覆した白色顔料を着色材として含むインクジェット用白インクを再現したものである。
着色材として、先に説明した方法で求めたメジアン径d50が300nmである酸化チタン粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして分散液、およびインクジェット用白インクを調製した。
〈比較例4〉
比較例2で使用したのと同じスチレン−アクリル酸共重合体の中空樹脂粒子を、酸化チタンで被覆せずにそのままで着色材として使用したこと以外は実施例1と同様にして分散液、およびインクジェット用白インクを調製した。
〈分散安定性評価〉
前記各実施例、比較例で調製したインクジェット用白インクを60℃で7日間静置したのち、着色材の沈降を観察して、下記の基準で分散安定性を評価した。
○:僅かに沈降が見られたが実用レベルであった。分散安定性通常。
×:沈降が見られた。分散安定性不良。
〈白色度評価〉
前記各実施例、比較例で調製したインクジェット用白インクをサーマル方式のインクジェットプリンタ〔日本ヒューレット・パッカード(株)製のDeskJet(登録商標)6127〕に使用して、インクジェットプリンタ用OHPフィルム〔コクヨ(株)製のVF−1102N〕の印字面にベタ印字を3回重ねた。
◎:L値は85以上であり、白色度は十分であった。
○:L値は83以上、85未満であり、白色度は実用レベルであった。
×:L値は83未満であり、白色度は不十分であった。
I:酸化チタン層のみからなる中空粒子。
II:樹脂粒子+酸化チタン層。
III:中空樹脂粒子+酸化チタン層。
V:中空樹脂粒子。
また比較例4の結果より、無色半透明の中空樹脂粒子を着色材として用いた場合には、インクジェットインクの分散安定性を向上できるものの、記録の白色度が不十分であることが判った。
これに対し表1の実施例1〜6の結果より、実質的に酸化チタン層のみからなる中空粒子を着色材として用いた場合には、十分な白色度を有する記録をすることができる上、分散安定性に優れたインクジェットインクが得られることが判った。
さらに実施例1、2の結果より、液相析出法によって中空粒子を製造するもとになる樹脂粒子としては、分散媒中での分散性を高めてその凝集等を防止することで、製造される中空粒子の形状、および粒径を均一化し、それによって前記中空粒子を含むインクジェット用白インクの分散安定性をより一層向上することを考慮すると、比重が1.6以下の樹脂からなるものを用いるのが好ましいことが判った。
Claims (5)
- 実質的に白色金属酸化物のみからなる中空粒子を、着色材として含むことを特徴とするインクジェット用白インク。
- 前記中空粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化アンチモンからなる群より選ばれた少なくとも1種の白色金属酸化物からなる請求項1に記載のインクジェット用白インク。
- 前記中空粒子を構成する白色金属酸化物層の厚みは40nm以上、160nm以下である請求項1または2に記載のインクジェット用白インク。
- 前記中空粒子は、分散媒中に分散させた樹脂粒子の表面を白色金属酸化物で被覆してコア−シェル粒子を形成する工程、および前記コア−シェル粒子を、前記樹脂の熱分解温度以上の温度で焼成して樹脂粒子を除去する工程を経て製造される請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット用白インク。
- 前記樹脂粒子は、比重が1.6以下の樹脂からなる粒子である請求項4に記載のインクジェット用白インク。
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