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JP2013203731A - ヒアルロン酸産生促進剤 - Google Patents

ヒアルロン酸産生促進剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、皮膚中の線維芽細胞によるヒアルロン酸産生を促進することができ、且つ皮膚状態の改善に有用なヒアルロン酸産生促進物質を提供することにある。
【解決手段】本発明は、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有してなるヒアルロン酸産生促進剤を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、真皮層線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生を活性化する作用を有するヒアルロン酸産生促進剤、並びに当該ヒアルロン酸産生促進剤を配合した皮膚のターンオーバーを改善する食品、化粧品及び医薬品等に関するものである。
皮膚は表皮及び真皮から構成されており、表皮細胞及び線維芽細胞並びにこれらを構造的に支持する細胞外マトリックスから形成される。細胞外マトリックスは、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン等で構成されている。
ヒアルロン酸は、グリコサミノグリカンの一種である。そして、皮膚、腱、軟骨等の広範囲に分布しており、多くの場合タンパク質と複合体を形成したプロテオグリカンの形態で存在している。また、非常に多くの量の水と結合する性質を有しており、細胞間隙への水分の保持及び組織の潤滑性に寄与している(非特許文献1)。
皮膚組織は、生体の外と内とを結ぶ重要な器官であり、外部からの異物や細菌などの侵入を防ぐバリアー機能を有する。このため、組織は常に新しく生まれ変わり、約28日間で古い組織から新しい組織へターンオーバーしている。これにより、皮膚は水分保持並びに柔軟性及び弾力性の維持のみならず、バリアー機能をも維持している。しかし、加齢、紫外線及び生理的な代謝などの外的及び内的な要因によって細胞外マトリックスの主要成分であるヒアルロン酸等の産生量低下並びに分解及び変性の促進が起こり、このことは皮膚の弾性低下や保湿力の低下を招き、最終的にシワの形成や肌荒れにつながっている。
このように、皮膚中のヒアルロン酸の量が減少すると皮膚(肌)の張りがなくなり、皮膚の表面が乾燥する。皮膚の弾性力である「はり」の低下は、自らの老化に気づくきっかけになる変化の1つである。特に顔の皮膚老化は容貌の変化を伴うため、クオリティー・オブ・ライフ(QOL)を低下させる原因になっている。
高分子であるヒアルロン酸は皮膚を透過しないことから、皮膚に塗布することでは根本的な改善は期待できない。そのため、細胞自体に元来備わっているヒアルロン酸合成能を高めて皮膚状態を根本的に改善する物質の開発が期待されており、これまでに様々な試みがなされている。例えば、ヒアルロン酸の補給(特許文献1、2)及びヒアルロン酸の代謝活性促進(特許文献3、4)などが試みられている。
ヒアルロン酸自体を経口摂取した場合、皮膚細胞の生成及び移行過程に応じた本質的な意味での細胞の構成成分の補給を行うことが可能となるが、実際に皮膚細胞に到達して皮膚の活性化に直接つながっているかどうかは不明確な部分がある。このため、ヒアルロン酸自体を摂取するのではなく、皮膚細胞でのヒアルロン酸産生を促進させる物質を利用する方が長期間の効果を確実に得ることができるようになる。
インターロイキン類やプロスタノイド類などは細胞のヒアルロン酸産生能を増強する物質として報告されているが、炎症系のメディエーターでもあることから安全性などの面で実際に使用することは困難である。
皮膚の暦的加齢を軽減させる物質として、リゾリン脂質が報告されている(特許文献5〜7)。しかしながら、皮膚においてヒアルロン酸産生能を増強する可能性および機序については依然として未解明な部分もある。したがって、安全で、且つ効果的にヒアルロン酸産生を亢進する新規な化合物が望まれている。
特開2001−226286号公報 特開2005−304366号公報 特開2001−335454号公報 特開2012−031123号公報 特開平8−67619号公報 特開平8−67620号公報 特開平8−67621号公報
三好照三他,Bio Industry,11,632,1994.
本発明の目的は、皮膚中の線維芽細胞によるヒアルロン酸産生を促進することができ、且つ皮膚状態の改善に有用なヒアルロン酸産生促進物質を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ヒト線維芽細胞を用いた試験によって、sn−グリセロ(3)ホスホコリンがヒアルロン酸の産生を促進する作用を有することを見出した。本発明者は、さらに研究を重ねることによって本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有してなる、ヒアルロン酸産生促進剤。
〔2〕皮膚状態の改善用である、〔1〕に記載のヒアルロン酸産生促進剤。
〔3〕グルクロン酸及び/又はN−アセチルグルコサミンを更に含有する、〔1〕又は〔2〕に記載のヒアルロン酸産生促進剤。
本発明によれば、水溶性で安全なヒアルロン酸産生促進剤、並びにそれを配合した食品、化粧品及び医薬品を提供することができる。
本発明は、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有してなるヒアルロン酸産生促進剤を提供する。
本発明において用いられるsn−グリセロ(3)ホスホコリンは、リン脂質であるホスファチジルコリンから2個の脂肪酸(オレイン酸及びパルミチン酸)を脱アシル化した水溶性化合物であり、「α−GPC」とも称される。sn−グリセロ(3)ホスホコリンは、具体的には以下の化学式で表される。
本発明においてsn−グリセロ(3)ホスホコリンには、ヒアルロン酸産生促進活性を有する限り、上記化学式に基づく光学異性体及び当該光学異性体との混合物も含まれる。
本発明におけるsn−グリセロ(3)ホスホコリンは、特に限定されるものではないが、動植物のホスファチジルコリンを脱アシル化することにより得ることができる。ホスファチジルコリンの脱アシル化は、特に限定されないが、例えば、酵素法(例、ホスホリパーゼとの酵素反応)や化学法(例、アルカリけん化分解)等を用いて行うことができる。
sn−グリセロ(3)ホスホコリンは、脂溶性物質のホスファチジルコリンよりもアシル基が存在していない分だけ分子量が小さいため、コリンを等mol摂取しようとした場合には、ホスファチジルコリンと比較してその使用量(摂取量)を軽減することができる。また、水溶性のコリン物質として分子量のより小さい塩化コリンが存在するが、塩化コリンは摂取すると体臭が魚油臭になるため、臨床現場や化粧料目的での使用は困難である。さらに、呈味に関して、ホスファチジルコリンは苦味を呈するのに対して、sn−グリセロ(3)ホスホコリンはグリセリン様のほのかな甘味を呈するため摂取しやすい。
sn−グリセロ(3)ホスホコリンは、哺乳動物(例、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対し、優れたヒアルロン酸産生作用、特に、線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生を促進させる作用を有する。従って、sn−グリセロ(3)ホスホコリンの有効量を哺乳動物(特に、ヒト)に経口投与したり、或いは皮膚に直接塗布することにより、当該哺乳動物の真皮細胞でのヒアルロン酸産生を促進することができる。よって、sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有する本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、哺乳動物のヒアルロン酸産生を促進するための、食品、化粧品、又は医薬品として提供され得る。
本発明において「ヒアルロン酸産生促進」とは、哺乳動物の皮膚の線維芽細胞におけるヒアルロン酸合成酵素の発現を亢進し、ヒアルロン酸産生を増強させて、皮膚におけるヒアルロン酸の量を増加させることを意味する。本発明において産生促進されるヒアルロン酸は、皮膚中に存在するものであれば特に限定されず、例えば真皮中のヒアルロン酸、表皮中のヒアルロン酸、表皮の中でも特に角質層(角層ともいう)中のヒアルロン酸等が挙げられる。後述の実施例にて発現上昇が確認されたヒアルロン酸合成酵素遺伝子(HAS2)は真皮中のヒアルロン酸産生に寄与することが知られていることから、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、真皮中の線維芽細胞におけるHAS2の発現を亢進し、真皮中のヒアルロン酸産生を増強する効果に優れている。
皮膚中のヒアルロン酸量が増加することにより、皮膚(肌)状態の改善効果が得られる。皮膚状態の改善効果としては、具体的には、シワの改善又は予防、張り(弾力性)の向上、ツヤの向上、たるみの改善又は予防、角質化の改善、肌荒れ(シミ、ソバカス等を含む)の改善又は予防、潤いの向上等が挙げられるが、これらに限定されない。シワとしては、皮膚を動かしたときに生じる動的なシワ、及び皮膚を動かさなくても生じている静的なシワのいずれをも含む概念である。また、かかる概念には、所謂小ジワと称されるものも含まれる。状態が改善される皮膚の部位は特に限定されず、顔、腕、手、指、首、脚等のいずれの部位でもよく、顔であれば、額、眉間、目じり、頬等が例示される。
従って、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、皮膚状態の改善用(例えば、シワの改善又は予防用、張り(弾力性)の向上用、ツヤの向上用、たるみの改善又は予防用、角質化の改善用、肌荒れ(シミ、ソバカス等を含む)の改善又は予防用、潤いの向上用等)の食品、化粧品、又は医薬品として有用である。
さらに、上記のような皮膚状態の変化は老化によっても生じ得ることから、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、抗老化剤としても有用である。従って、本発明は、皮膚老化の予防用のヒアルロン酸産生促進剤も提供する。
尚、本明細書において「改善」及び「向上」は、皮膚状態の変化の修復、抑制(進行の遅延)、緩和、調節等を包含する意味で使用され、「予防」は、皮膚状態の変化の発生防止と再発防止との両方を包含する意味で使用される。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、常法にしたがって製剤化することができる。製剤としては固体製剤であってもよく、或いは液体製剤であってもよい。かかる製剤としては、例えば錠剤、丸剤、顆粒剤、糖衣剤、カプセル、乳剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物等が挙げられる。また、製剤化においては、製剤上の必要に応じて、賦形剤等の添加剤を加えることができる。賦形剤としては、目的によって、充填剤、結合剤、凝固剤、滑たく剤、崩壊剤、色素、甘味料、香料、コーティング剤等を単独で、もしくはこれらを組み合わせて使用することができる。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤におけるsn−グリセロ(3)ホスホコリンの含有量は、製剤の形態によって相違するが、製剤全体に対して、通常0.01〜100重量%、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは5〜50重量%である。尚、sn−グリセロ(3)ホスホコリンが塩、水和物又は溶媒和物である場合、その含有量については、遊離体に換算した上で計算を行うものとする。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、これを含ませて食品とすることができる。本発明の食品は、その態様に特に制限はなく、一般の加工食品のほかに、健康食品、機能性食品、濃厚流動食、栄養補助食品、飲料及び食品を含む飲食物、または、これらの添加物とすることができる。具体的には、サプリメント、清涼飲料に配合することができるが、特に限定されるものではない。
また、本発明の食品においては、本発明のヒアルロン酸産生促進剤をそのまま食品に添加してもよく、或いは食品の原材料として加工して添加してもよい。
本発明の食品の形態としては、液状、ゲル状、粉末状あるいは固形状等の食品が挙げられる。本発明の食品の具体例としては、飲料(茶、スープ等)、ヨーグルト、フローズンヨーグルト、調味料(ドレッシング、マヨネーズ、ふりかけ、味噌、醤油、焼肉のたれ等)、麺類、畜肉魚肉加工食品(ハム、ソーセージ等)、ジャム、乳製品(牛乳、クリーム、バター、チーズ、マーガリン等)、パン、菓子類(ゼリー、アイスクリーム、シャーベット、プリン等)等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の食品は極めて多種類の形態にわたり、前記の例示に限定されるものではない。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤を含む食品は、食品の形態に応じて他の添加物を含むものであってもよい。このような添加物として、賦形剤、増量剤、結合剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。食品添加物としてはビタミン類、ミネラル、キチン、キトサン、レシチン、ローヤルゼリーなどが挙げられる。調味料としては、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビットなどの甘味料;アルコール;クエン酸、リンゴ酸、洒石酸などの酸味料;香料;色素などが挙げられ、本発明の食品を好みの味や色に調整するために用いることができる。また、本発明の目的と関連する公知の素材を併用してもよい。
本発明の食品は、当業者が通常行う方法により製造することができる。例えば、粉末状の食品を得るには、本発明のヒアルロン酸産生促進剤に、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースなどの賦形剤を必要に応じて添加して、凍結乾燥、噴霧乾燥などの乾燥方法により粉末とすることにより得ることができる。また、賦形剤の他にも、必要に応じて、ビタミン、ミネラル、動植物や魚介類の油脂、タンパク質、糖質、色素、香料、その他の食用添加剤等をさらに添加することができる。
本発明の食品は、他の生理活性物質または健康食品素材と組み合わせても構わない。このような物質としては、例えば、青汁、健康酢、健康茶、ローヤルゼリー、アロエ、ブルーベリー、プロポリス、イソフラボン、ノニ、核酸、にんにく、ウコン、酵素、高麗ニンジン、雑穀、納豆、イチョウ葉、発芽玄米、マカ、メシマコブ、ブドウ種子、スピルリナ、明日葉、フコイダン、牡蠣、馬油、桑葉、サラシア、ハナビラタケ、田七ニンジン、カシス、シジミ、キクイモ、コラーゲン、クロレラ、グルコサミン、キトサン、カルニチン、CoQ10、セラミド、オクタコサノールなどが挙げられる。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤の有効成分はsn−グリセロ(3)ホスホコリンであり、食経験も充分ある極めて安全な物質である。この点から、本発明のヒアルロン酸産生促進剤の摂取量は厳しく制限されるものではないと考えられるが、概ね、下限は目的に応じた効果を発揮しうる最低量を、上限は摂取のしやすさ、経済性等の観点から実際的な量を基準とし、通常、成人1日あたり約10mg〜約5g、好ましくは約500mg〜約3gを摂取すればよい。もちろん、摂取する者の年齢、体重、症状、服用期間、治療経過等に応じて変化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて摂取することもできる。また、他のヒアルロン酸産生促進剤と組み合わせて摂取することもできる。
本発明はまた、本発明のヒアルロン酸産生促進剤を含有する化粧品を提供する。本発明の化粧品の態様は特に限定されず、例えば、経口投与する化粧品、外用塗布する化粧品等が挙げられる。
本発明の化粧品が経口投与する化粧品である場合は、特に限定されないが、上記の本発明の食品で説明した態様が用いられ得る。
本発明の化粧品が外用塗布する化粧品である場合、その形態は、特に限定されないが、例えば、液状、乳液状、クリーム状、粉末状、及び顆粒状等に適宜設定することができる。そのような化粧品の具体例としては、化粧水、ローション、乳液、クリーム、軟膏、パック、口紅等が挙げられる。
本発明の化粧品は、その形態に応じて、当業者に周知の方法を用いて製造され得る。本発明の化粧品には、本発明のヒアルロン酸産生促進剤以外にも、美白剤、保湿剤、殺菌剤、抗菌剤、収斂剤、紫外線吸収剤等の有効成分を含有させることもできる。
本発明はまた、本発明のヒアルロン酸産生促進剤を含有する医薬品を提供する。
一つの実施態様において、本発明の医薬品は経口投与に好適な製剤として提供される。経口投与に好適な製剤は、水、生理食塩水のような希釈液に有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを溶解させた液剤、有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを固体や顆粒として含んでいるカプセル剤、顆粒剤、散剤又は錠剤、適当な分散媒中に有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを懸濁させた懸濁液剤、有効量のsn−グリセロ(3)ホスホコリンを溶解させた溶液を適当な分散媒中に分散させ乳化させた乳剤等である。
別の実施態様において、本発明の医薬品は非経口的な投与に好適な製剤として提供される。非経口的な投与(例、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、局所注入など)に好適な製剤としては、水性および非水性の等張無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分および薬学的に許容され得る担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌のビヒクルに溶解又は懸濁すればよい状態で保存することもできる。
患者への負担を軽減する観点から、本発明の医薬品は、対象に対して経口投与することが好ましい。
本発明の医薬品において、有効成分であるsn−グリセロ(3)ホスホコリンの投与量は、投与形態、投与対象の種類、投与ルート、投与期間、体重、年齢等によって異なるが、上述した本発明の食品の摂取量と同様な範囲とすることができる。もちろん、上述したように投与量は種々の条件で変動するため、上記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
本発明の医薬品には、必須の有効成分であるsn−グリセロ(3)ホスホコリンに加え、他のヒアルロン酸産生促進剤の1種類以上を含めてもよい。或いは、本発明の治療剤は、1種類以上の他のヒアルロン酸産生促進剤と併用してもよい。
皮膚中のヒアルロン酸量は加齢に伴って減少し、乳幼児を100%とした場合、30歳で65%、50歳で45%、60歳で25%となることが報告されている(特許文献1)。従って、一態様において、本発明のヒアルロン酸産生促進剤、並びにこれを含む、食品、化粧品及び医薬品は、30歳以上(好ましくは40歳以上、より好ましくは50歳以上、さらにより好ましくは60歳以上)のヒトに適用される。30歳以上のヒトにsn−グリセロ(3)ホスホコリンを投与することにより、当該ヒトの皮膚におけるヒアルロン酸産生を促進し、もってヒトの皮膚状態を改善(例えば、シワの改善又は予防、張り(弾力性)の向上、ツヤの向上、たるみの改善又は予防、角質化の改善、肌荒れ(シミ、ソバカス等を含む)の改善又は予防、潤いの向上等)することができる。
ヒアルロン酸はグルクロン酸及びN−アセチルグルコサミンにより構成され、これらの化合物が交互に結合した高分子多糖である。従って、一態様において、本発明のヒアルロン酸産生促進剤、並びにこれを含む、食品、化粧品及び医薬品は、sn−グリセロ(3)ホスホコリンに加えて、ヒアルロン酸産生における主要な原料であるグルクロン酸(好ましくは、D−グルクロン酸)及び/又はN−アセチルグルコサミンを含有することができる。グルクロン酸及びN−アセチルグルコサミンはいずれか一方が含有されてもよいが、好ましくは両方ともが含有される。sn−グリセロ(3)ホスホコリンに加えて、ヒアルロン酸産生における主要な原料であるグルクロン酸及び/又はN−アセチルグルコサミン(好ましくは両化合物)を含有することにより、ヒアルロン酸産生促進効果の増強、及び皮膚状態改善効果の増強が期待できる。尚、グルクロン酸及びN−アセチルグルコサミンは、それぞれウリジン二リン酸(UDP)−グルクロン酸及びUDP−N−アセチルグルコサミンであってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ヒアルロン酸産生能の評価>
上記のsn−グリセロ(3)ホスホコリン(α−GPC)のヒアルロン酸産生能向上作用を調べるために、以下の実験を行った。
(1)試料の作製
ヒト線維芽細胞NB−1細胞を、シャーレ(直径2cm)に捲きDMEM(+)10%FBS(+)培地で培養した。細胞がコンフルエントになった状態を確認してから、DMEM(+)FBS(−)に培地交換してさらに24時間培養した。コントロール群はα−GPC無添加として、α−GPC添加群では培地中の濃度を10μMと100μMとに調整した。培地交換後、3時間及び24時間培養後の試料を評価した。尚、mRNAはIsogenを用いて抽出した。
<サンプル群>
1)α−GPC 10μM添加群
2)α−GPC 100μM添加群
3)コントロール群(α−GPC無添加)
<ヒアルロン酸産生遺伝子HAS2の発現量測定>
抽出したmRNAから、Prime Script RT reagentキット(タカラバイオ社製)を用いてcDNAを調整した。
PCRに使用したプライマーは下記の通りである。
β−Actin
Forwad(5’→3’)GGCCACGGCTGCTTC(配列番号1)
Backward(3’→5’)GTTGGCGTACAGGTCTTGC(配列番号2)
HAS2
Forwad(5’→3’)CTATGCTTGACCCAGCCTCATC(配列番号3)
Backward(3’→5’)ACACTGCTGAGGAATGAGATCCA(配列番号4)
アニーリングの温度は63℃、サイクル回数は45サイクルで増幅を実施した。設定された閾値におけるサイクルタイム(CT値)から、同時に試験を行った標準DNAの標準曲線を作成し、これ用いて各サンプル群のHAS2発現量を算出した。
n=3で解析した。Controlの0時間を1.00とした時の相対値で表している。
α−GPC添加でt−testを行った結果、培養3時間後において10μM群がp<0.1でHAS2発現量の増加傾向を示し、培養24時間後において100μM群がp<0.05で有意差をもってHAS2発現量が上昇した。一般的にmRNAの発現において2倍になるということは、顕著な遺伝子発現の増加と考える。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生を促進させて、皮膚状態を効果的に改善することができる。従って、本発明は、皮膚の改善を対象とした食品、化粧品、及び医薬品の分野で有用である。

Claims (3)

  1. sn−グリセロ(3)ホスホコリンを有効成分として含有してなる、ヒアルロン酸産生促進剤。
  2. 皮膚状態の改善用である、請求項1に記載のヒアルロン酸産生促進剤。
  3. グルクロン酸及び/又はN−アセチルグルコサミンを更に含有する、請求項1又は2に記載のヒアルロン酸産生促進剤。
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