[go: up one dir, main page]

JP2014058094A - 液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014058094A
JP2014058094A JP2012203941A JP2012203941A JP2014058094A JP 2014058094 A JP2014058094 A JP 2014058094A JP 2012203941 A JP2012203941 A JP 2012203941A JP 2012203941 A JP2012203941 A JP 2012203941A JP 2014058094 A JP2014058094 A JP 2014058094A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
individual
liquid
sectional area
cross
liquid chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012203941A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Takemoto
武 竹本
Dong-Sik Zang
東植 張
Takafumi Sasaki
隆文 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2012203941A priority Critical patent/JP2014058094A/ja
Publication of JP2014058094A publication Critical patent/JP2014058094A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】個別液室と供給路との間を連通する連通路にテーパー部を設けるだけでは不十分であった、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上との両立を実現する。
【解決手段】連通路6には、供給路71側から個別液室5側に向かって先細るテーパー部が設けられており、インク移動方向に直交する断面積の大小関係が、供給路の連通路側端部の断面積をA1とし、連通路の個別供給路側端部の断面積をA2とし、連通路の個別液室側端部の断面積A3とし、個別液室の連通路側端部の断面積A4としたとき、A3<A4、A2≦A1、A3<A2のいずれも満たす関係を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ノズルから液滴を吐出する液体吐出ヘッド、及び、これを用いて記録材に対して液滴を吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置に関するものである。
この種の液体吐出ヘッドは、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置の記録ヘッドとして用いられる。ここでいう画像形成装置は、記録材上に画像を形成するものであるが、その記録材の材質は紙に限定されるものではなく、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等のあらゆる記録材に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。そして、画像形成とは、文字や図形等の意味を持つ画像を記録材に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を記録材に付与する(単に液滴を吐出する)ことをも意味する。また、液滴として吐出される液体は、所謂インクに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えばDNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。したがって、いわゆる画像プリントだけでなく、インクジェット技術を利用した三次元造型技術や血液の点滴などにも利用されるものである。
液体吐出ヘッドは、一般に、液滴を吐出する複数のノズル(吐出口)と、これらのノズルがそれぞれ連通する個別液室(圧力発生室、圧力室、加圧液室、インク室、インク流路等とも称される。)と、これらの個別液室内の液体を昇圧させる圧力発生手段とを備える。このような液体吐出ヘッドは、圧力発生手段を駆動することで個別液室内の液体を昇圧し、その圧力によりノズルを塞ぐメニスカス状態の液体をノズルから押し出して液滴を吐出する。また、個別液室には連通路を介して供給路に連通しており、ノズルから液体を吐出して個別液室内の液体が減ると、その分の液体が連通路を介して供給路から供給される。
液滴を吐出させるための圧力発生手段には、いくつかの種類が存在する。例えば、個別液室の壁の一部を薄い振動板で構成し、これに圧電素子を配置し、その圧電素子に所定の駆動電圧を印加して圧電素子を変形させることで振動板を変形させ、これにより個別液室内の圧力を変化させて液滴を吐出させるピエゾ方式が挙げられる。また、例えば、個別液室の内部に発熱体を配置し、この発熱体に通電して発熱体を加熱するによって個別液室内の液体中に気泡を発生させ、これにより個別液室内の液体を昇圧して液滴を吐出させるサーマル方式が挙げられる。また、例えば、個別液室の壁を構成する振動板と、この振動板に対向して個別液室外部に配置された電極との間に電界を印加することで発生する静電力により振動板を変形させて、これにより個別液室内の圧力を変化させて液滴を吐出させる静電方式も提案されている。
そして、個別液室と供給路とをつなぐ連通路の形状として、特許文献1や2に記載のものが知られている。
上記特許文献1では、共通のインク室(供給路)と圧力発生室(個別液室)とを連通させるインク供給口(連通路)が、圧力発生室側が拡開したテーパー部と、ストレート部とから構成された記録ヘッドが提案されている。上記特許文献1によれば、インク供給口のテーパー部が圧力発生室側から共通のインク室側に向けて先細っていることにより、圧力発生室側から共通のインク室への流れに対しては大きな圧力損失が生じるとしている。これにより、吐出工程時に圧力発生室に圧力が印加されたとき、圧力発生室内のインクの一部がインク供給口から共通のインク室に流れ出しにくくなり、圧力発生室の圧力がインク滴吐出のために有効利用されるとしている。また、インク吐出後の圧力発生室へ共通のインク室からインクを充填する充填工程時には、インク供給口のテーパー部が共通のインク室側から圧力発生室側に向けて拡大していることにより、圧力損失が小さいので、圧力発生室に速やかにインクを充填できるとしている。すなわち、特許文献1の記載によれば、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上が両立できるとされている。
また、上記特許文献2には、枝流路(供給路)と圧力室(個別液室)とを連通させるインク供給口(連通路)を、圧力室側が先細りしたテーパー形状とした記録ヘッドが開示されている。これによれば、圧力室内におけるインク圧力の変動が枝流路内のインクに大きく影響を及ぼさないとされている。
ノズルから液体を吐出する吐出工程では、圧力発生手段により個別液室内の液体に発生させた圧力によって個別液室内の液体をノズル側へ移動させることにより、ノズルを塞ぐメニスカス状態の液体をノズルから押し出す。このとき、圧力発生手段により発生した圧力によって、個別液室内の液体は、ノズル側だけでなく、個別液室へ液体を供給するための連通路側にも移動する。この連通路側への液体の移動が多いほど、ノズル側への液体の移動が少なくなる。したがって、圧力発生手段で発生させた圧力を効率良く吐出に利用するには、その圧力によって個別液室内の液体が連通路側へ移動しにくい構成を採用することが望まれる。
個別液室内の液体に発生する圧力を効率良く吐出に利用しようとする場合、まず、単純に連通路の断面積を狭めて連通路を通る液体の圧力損失を大きくする方法が考えられる。しかしながら、この方法では、供給路から連通路を介して個別液室へ液体を供給する充填工程のときの圧力損失も大きくなってしまう。この場合、液体を吐出した後の個別液室内への液体の充填(供給路からの液体供給)に時間がかかってしまい、ノズルにおけるメニスカスの戻りが遅れる結果、圧力発生手段の駆動周波数を高めることができなくなる。その結果、画像形成速度が遅くなってしまうという不具合が生じる。逆に、圧力発生手段の駆動周波数を高めるために、単純に連通路の断面積を広げて連通路を通る液体の圧力損失を小さくすると、吐出工程時に発生した圧力により個別液室内の液体が連通路側へ移動しやすくなる。その結果、圧力発生手段で発生させた圧力を効率良く吐出に利用することができなくなるので、圧力発生手段で発生させる圧力を大きくする必要が生じ、エネルギー効率の悪化を招くという不具合を引き起こす。
上記特許文献1の記載によれば、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上が両立できるとされているが、本発明者らの検討の結果、テーパー部の先細り形状によっては、その先細り方向に向かって液体が流れる時に高い圧力損失を与えることができないことが判明した。上記特許文献1では、テーパー角を5°〜60°の範囲で設定することが記載されているが、最も圧力損失が高まる60°のテーパー角であっても、十分に高い圧力損失を得ることはできない上、液体を充填する時の圧力損失が大きくなることによりエネルギー効率としては悪化する方向である。したがって、上記特許文献1に開示の記録ヘッドでは、吐出工程時に圧力発生室内の液体がインク供給口側へ流れるときの圧力損失が不十分で、十分なエネルギー効率の向上を図ることはできない。
一方、上記特許文献2に開示の記録ヘッドは、枝流路(供給路)と圧力室(個別液室)とを連通させるインク供給口(連通路)に形成されたテーパー部が、上記特許文献1に開示の記録ヘッドとは逆に、圧力室側に向けて先細りしたテーパー形状を有している。本発明者らの検討によれば、テーパー部の拡大形状によって、その拡大方向に向かって液体が流れる時に高い圧力損失を得ることがわかった。したがって、上記特許文献2に開示の記録ヘッドのように、個別液室側から供給路側に向かって拡大するテーパー形状をもつ連通路であれば、そのテーパー形状が逆向きである場合よりも、吐出工程時に個別液室内の液体が連通路側へ流れるときの圧力損失を高めることができる。しかも、充填工程時に供給路内の液体が連通路を介して個別液室へ流れ込むとき、液体はテーパー形状の先細り方向に向かって流れることになり、上述したとおり、このときの圧力損失は比較的低いものである。したがって、液体吐出後に個別液室に液体を速やかに充填でき、駆動周波数の向上を図ることが可能である。
しかしながら、本発明者らの鋭意検討の結果、連通路のテーパー形状だけで、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上の両立を図ることは困難であることが判明した。すなわち、個別液室側から供給路側に向かって拡大するテーパー部をもつ連通路を採用し、そのテーパー部のテーパー角、そのテーパー部の拡大側端部の断面積、そのテーパー部の先細り側端部の断面積などを調整するだけでは、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上の両立を図ることは困難であることが判明した。特に、テーパー部の拡大側端部の断面積や先細り側端部の断面積を拡大すると、連通路を流れる液体の双方向の圧力損失を同時に下げることになり、逆に、これらの断面積を縮小すると、連通路を流れる液体の双方向の圧力損失を同時に挙げることになる。したがって、テーパー部の拡大側端部の断面積や先細り側端部の断面積の調整は、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上との間でトレードオフの関係にあり、これらの断面積の調整ではエネルギー効率の向上と駆動周波数の向上を両立させることは難しい。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、個別液室と供給路との間を連通する連通路にテーパー部を設けるだけでは不十分であった、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上との両立を実現できる液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、圧力発生手段を備えた複数の個別液室と、各個別液室に対応して設けられ、対応する個別液室内へ液体を供給するための個別供給路と、各個別供給路と当該個別供給路に対応する個別液室とを連通し、個別供給路側から個別液室側に向かって先細るテーパー部を備えた連通路と、上記個別液室に連通したノズルとを備え、上記圧力発生手段により上記個別液室内の液体に圧力を付与することで該個別液室に連通したノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、液体移動方向に直交する断面積の大小関係が、上記個別供給路の連通路側端部の断面積をA1とし、上記連通路の個別供給路側端部の断面積をA2とし、上記連通路の個別液室側端部の断面積A3とし、上記個別液室の連通路側端部の断面積A4としたとき、A3<A4、A2≦A1、A3<A2のいずれも満たす関係を有しており、上記連通路の個別液室側端部の断面積A3と上記個別液室の連通路側端部の断面積A4との面積差による段差面、及び、上記連通路の個別供給路側端部の断面積A2と上記個別供給路の連通路側端部の断面積A1との面積差による段差面は、液体移動方向に対して略直交するように形成されていることを特徴とする。
本発明において、連通路は、その個別供給路側端部の断面積A2よりも個別液室側端部の断面積A3の方が小さく形成されていて、かつ、個別供給路側から個別液室側に向かって先細るテーパー部が備わっている。これにより、連通路の両端の断面積の大小関係が逆で、かつ、そのテーパー形状も逆向きである場合と比較して、吐出工程時に個別液室内の液体が連通路側へ流出する際の圧力損失を高め、かつ、充填工程時に個別液室内へ液体が流入する際の圧力損失を低くすることができる。
更に、本発明においては、連通路の個別液室側端部の断面積A3が、個別液室の連通路側端部の断面積A4よりも小さく形成されていて、これらの面積差による段差面が液体移動方向に対して略直交する面となっている。このような段差部分においては、大断面積側から小断面積側へ移動する際の圧力損失は、小断面積側から大断面積側へ移動する際の圧力損失と比較して大きく得ることができる。したがって、連通路と個別液室との接続部分においてA3<A4の関係が成り立つ段差を形成することにより、吐出工程時には個別液室側から連通路側への液体の移動に対して大きな圧力損失を発揮して個別液室から連通路側への液体の流出を阻害するとともに、充填工程時には連通路側から個別液室側への液体の移動に対する圧力損失が小さいので、連通路から個別液室への液体の供給を速やかに行うことができる。その結果、連通路のテーパー形状だけでは困難であった、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上との両立を図ることが可能となる。
なお、本発明において、連通路の個別供給路側端部の断面積A2が、個別供給路の連通路側端部の断面積A1よりも小さく形成される場合、これらの面積差による段差面は液体移動方向に対して略直交する面で構成される。これにより、吐出工程時には、連通路側から個別供給路側への液体の移動に対して小さな圧力損失が発揮され、個別液室から連通路側への液体の流出を阻害する。一方、充填工程時には、個別供給路側から連通路側への液体の移動に対する圧力損失は比較的大きいものとなるが、上述した連通路のテーパー形状や連通路と個別液室との接続部分における圧力損失は小さいので、トータルでは、個別供給路から連通路を介して個別液室へ液体を供給することを速やかに行うことができる。このとき、連通路の個別供給路側端部の断面積A2と、個別供給路の連通路側端部の断面積A1とを同じにすれば、連通路と個別供給路との接続部分に段差が存在しない構成とすることができる。この場合、この接続部分を移動する液体の移動方向の違いによって圧力損失の違いが出ないので、後述の図7より明らかなように、この接続部分によって、エネルギー効率と駆動周波数の両方が一段と向上する。
以上、本発明によれば、個別液室と供給路との間を連通する連通路にテーパー部を設けるだけでは不十分であった、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上との両立を実現することができるという優れた効果が得られる。
実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視図である。 同液体吐出ヘッドの斜視図である。 同液体吐出ヘッド50の幅方向断面図である。 図3の液体吐出ヘッドのA−A断面の一部を示す断面図である。 拡がり管圧力損失の拡がり角(テーパー角)と損失係数との関係を示すグラフである。 拡大管圧力損失と縮小管圧力損失とを比較したグラフである。 吐出工程時と充填工程時における各地点の圧力損失又は損失係数についてまとめた表である。 変形例1に係る液体吐出ヘッドの一例についてのA−A断面の一部を示す断面図である。 変形例1に係る液体吐出ヘッドの他の例についてのA−A断面の一部を示す断面図である。 変形例1に係る液体吐出ヘッドの更に他の例についてのA−A断面の一部を示す断面図である。 変形例2に係る液体吐出ヘッドの一例についてのA−A断面の一部を示す断面図である。 変形例3に係る液体吐出ヘッドの一例についてのA−A断面の一部を示す断面図である。 実施形態に係る液体吐出ヘッドを搭載したライン型インクジェットプリンタの概略図である。
以下、本発明に係る液体吐出ヘッドの一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視図である。
図2は、本実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視図である。
本実施形態の液体吐出ヘッド50は、主に、ノズルカバー35、ノズル板3、アクチュエータ基板36、バッキングプレート37、ダンパプレート38、及び、ハウジング39を含んで構成されている。ノズル板3は複数のノズル4を有している。アクチュエータ基板36は、ノズル4にインクを供給する複数の個別液室を形成する液室基板11と、補助基板8とから構成される。このアクチュエータ基板36とバッキングプレート37とを接合することにより、共通液室、個別液室及び供給路を形成する。ノズルカバー35は、ノズル板3に配置されたノズル4を露出開口して、液体吐出ヘッド50の周縁部を囲うように配置される。ハウジング39には、複数個のインクタンクを保持するタンクホルダ(不図示)に固定されている。
また、液体吐出ヘッド50には、後述するインクジェット記録装置に配置されるコネクタと電気的に接続されて記録画像に応じた電気信号を伝達する電気パッドを具備するコネクタ基板(不図示)が設けられている。更に、アクチュエータ基板36上に設けられた圧電素子を駆動するための駆動回路(不図示)と、駆動回路に電気的に接続するパッド部とコネクタ基板とを電気的に接続するFPC40とが設けられる。記録画像に応じてインクジェット記録装置から伝達される電気信号が、コネクタ基板(不図示)とFPC40を介して圧電素子に供給される。そして、圧電素子によって変換された機械振動が振動板を介して個別液室内のインクを加圧し、ノズルから記録用紙(記録材)に高精度にインクが吐出される。図1中に、この液体吐出ヘッドの並び方向と幅方向をしめす。
図3は、本実施形態に係る液体吐出ヘッド50の幅方向断面図である。
図4は、図3の液体吐出ヘッドのA−A断面の一部を示す断面図である。
本実施形態の液体吐出ヘッド50におけるノズル板3は、複数個のノズル4が形成されたノズル列を2列有している。ノズル板3は、例えば、樹脂又は金属で構成される。この液体吐出ヘッド50は、ノズル板3と、ノズル板3の各ノズル4に連通する個別液室5の側壁面を形成する液室基板11と、複数の個別液室5の一面を形成する振動板12とが、積層されて構成されている。振動板12の液室基板11に対面する側とは反対側の面には、個別液室5内の圧力を変化させるための圧力発生手段としての圧電素子2が形成される。また、液室基板11には補助基板8が接合されている。さらに、補助基板8上には、バッキングプレート37、ダンパプレート38、ハウジング39が接合されている。このような積層構造によりインク流路が形成される。
本実施形態において、インクタンクから供給されるインクは、不図示の液体供給口を介して共通液室43に流入し、共通液室43内のインクは、液体通路9を通過して、液体導入路72を通り、個別供給路である供給路71へ流れる。この供給路71内のインクは、連通路6を介して、対応する個別液室5内へ供給される。
液室基板11は、ガラスまたは薄い金属板の積層体、好ましくはシリコン基板で作られており、個別液室5を形成する。液室基板11は、各ノズル列内の個別液室5間を区画する隔壁部19を備えている。この隔壁部19は、個別液室5だけでなく、連通路6及び供給路71も区画している。この液室基板11に接合されている振動板12は、SiO、SiN、PS(ポリシリコン)、SiONなど、比較的ヤング率が高い材料が使われ、液室基板11をエッチングして個別液室5の空間を形成するときのエッチングストップ層として使われる。また、液室基板11には、個別液室5に連通する連通路6及び供給路71の空間が、個別液室5と同じく、エッチングにより形成されている。振動板12には、供給路71に連通する液体導入路72が形成されている。
振動板12の液室基板11と対面する側とは反対側の面には、各個別液室5内の圧力を変化させるために、下電極13、圧電体膜14、上電極15を順次積層した圧電素子2が形成される。圧電素子2の周辺部位には、絶縁層16が積層されている。下電極13の材料としては、例えばTi、Pt、SRO(ストロンチウムルテニウムオキサイド)、または、その組み合わせが挙げられる。圧電体膜14の材料としては、例えば、チタン(Ti)、ジルコニア(Zr)等の金属を含むチタン酸ジルコン酸鉛(以下「PZT」という。)等の複合有機金属酸化物が挙げられる。上電極15はAuなどで形成される。絶縁層16はSiOまたはSiNなどで形成される。これらは、スパッタ等の工法で形成される。圧電素子2の各層は所望の形状にパターニングされ、駆動回路45を挟んで両側に配設される。
このような下電極13、圧電体膜14、上電極15を積層形成して圧電素子2を構成し、振動板12とあわせてユニモルフ構造となる。そして、圧電素子2に電圧を印加することにより振動板12が変位して、各個別液室5に対応する圧力発生手段として機能する。なお、圧電素子2を高密度に配列する液体吐出ヘッドでは、各圧電素子2を駆動するための一方の電極である下電極13が、1列に配列された複数の個別液室5を駆動する複数の圧電素子2の共通電極として設けてもよい。
上電極15の周囲部上にある絶縁層16の駆動回路45側の端部には、コンタクトホール47を形成し、配線部材により形成される引出し配線を駆動回路45に接続する。配線部材はAlまたはAl合金をスパッタして形成している。駆動回路45は、配線部材の端部に設けられたスタッドバンプと駆動回路45に設けられたアルミパッドや金メッキにフリップチップ接合される。これにより、各圧電素子2に電圧を印加できる。
補助基板8は、ガラス、シリコン基板、金属板などで構成され、液室基板11の液体導入路72に連通する液体通路9と、駆動回路45に接触しないように形成された貫通穴46を備えている。
この補助基板8には、共通液室43を形成するバッキングプレート37が積層接着される。バッキングプレート37は、2層構造となっており、上バッキングプレート37bに形成される共通液室43の断面積(インクの移動方向に対して直交する断面の面積。以下同様。)が、下バッキングプレート37aに形成される共通液室43の断面積よりも大きい構造となっている。ただし、これは同じでもよい。
このバッキングプレート37の上バッキングプレート37bには、ダンパプレート38が接合される。ダンパプレート38も2層構造となっており、ダンパフィルム部38aがバッキングプレート37の上バッキングプレート37bに接合される。また、ダンパプレート38のプレート部38bには、共通液室43に対応する位置に空気室を形成する穴を備えている。
このダンパプレート38のプレート部38bには、共通液室43に連通する液体供給口が形成されたハウジング39が接合される。ノズル4から吐出されるインクは、図示しないインクタンクからハウジング39の液体供給口を介して共通液室43に流入し、共通液室43から液体通路9を通過して液体導入路72に流入し、その液体導入路72から供給路71及び連通路6を経由してそれぞれの個別液室5内に供給される。
次に、本発明の特徴部分である、連通路6を通って供給路71と個別液室5とを移動するインクの圧力損失について説明する。
本実施形態の液体吐出ヘッド50は、図4に示すように、供給路71、連通路6、個別液室5との間における断面積の大小関係が、A3<A4、A2<A1、A3<A2といういずれの関係も満たしている。なお、A1は供給路71の連通路側端部の断面積であり、A2は連通路6の供給路側端部の断面積であり、A3は連通路6の個別液室側端部の断面積であり、A4は個別液室5の連通路側端部の断面積である。
本実施形態において、個別液室5、連通路6、供給路71の高さ(図4中紙面垂直方向)は、一様に同じ高さとなっている。本実施形態の連通路6は、液体移動方向(図4中左右方向)の全域にわたって、供給路71側から個別液室5側に向けて先細りのテーパー形状となっている。また、連通路6の個別液室側端部の断面積A3と個別液室5の連通路側端部の断面積A4との面積差による段差面5aは、インク移動方向(図4中左右方向)に対して略直交する面で構成されている。同様に、連通路6の個別供給路側端部の断面積A2と供給路71の連通路側端部の断面積A1との面積差による段差面71aも、インク移動方向(図4中左右方向)に対して略直交する面で構成されている。このような断面形状を有するインク流路を流れるインクには、次のような圧力損失が作用する。
一般に、大きい断面積から段差で狭められた小さい断面積へ移動する際には、大きな圧力損失が作用する。以下、この圧力損失を「縮小管圧力損失」という。また、大きい断面積からテーパーで徐々に狭められて小さい断面積へ移動する際には、小さな圧力損失が作用する。以下、この圧力損失を「狭まり管圧力損失」という。また、小さい断面積から段差で拡げられた大きい断面積へ移動する際には、中程度の圧力損失が作用する。以下、この圧力損失を「拡大管圧力損失」という。また、小さい断面積からテーパーで徐々に拡げられて大きい断面積へ移動する際には、中程度の圧力損失が作用する。以下、この圧力損失を「拡がり管圧力損失」という。
本実施形態において、供給路71から連通路6を介して個別液室5にインクが移動する場合(充填工程時)には、まず、供給路71から連通路6へインクが移動する際、大断面積A1から段差で狭められた小断面積A2へ移動する際に生じる大きな縮小管圧力損失が作用する。また、インクが連通路6内を移動する際には、大断面積A2からテーパーで徐々に狭められて小断面積A3へ移動する際に生じる小さな狭まり圧力損失が作用する。また、連通路6から個別液室5へインクが移動する際には、小断面積A3から段差で拡げられた大断面積A4へ移動する際に生じる中程度の拡大管圧力損失が作用する。
逆に、個別液室5から連通路6を介して供給路71にインクが移動する場合(吐出工程時)には、まず、個別液室5から連通路6へインクが移動する際、大断面積A4から段差で狭められた小断面積A3へ移動する際に生じる大きな縮小管圧力損失が作用する。また、インクが連通路6内を移動する際には、小断面積A3からテーパーで徐々に拡げられて大断面積A2へ移動する際に生じる中程度の拡がり圧力損失が作用する。また、連通路6から供給路71へインクが移動する際には、小断面積A2から段差で広げられた大断面積A1へ移動する際に生じる中程度の拡大管圧力損失が作用する。
図5は、拡がり管圧力損失の拡がり角(テーパー角)と損失係数との関係を示すグラフである。
狭まり管圧力損失は、その狭まり角(テーパー角)が60°でも、その損失係数が0.1以下であったので、その圧力損失はほぼ無視できるものであったため、図示していない。一方、拡がり管圧力損失については、図5に示すように、その拡がり角(テーパー角)θが30°において、その損失係数は0.6以上となり、比較的大きな圧力損失を生じる。
図6は、拡大管圧力損失と縮小管圧力損失とを比較したグラフである。
このグラフは、横軸に断面積比をとり、縦軸に圧力損失をとったものである。圧力損失の単位はPaであるが、流速によりその数値が変化するので、このグラフは傾向を表す一例である。入り口側流速を基準とし、圧力損失を比較すると、拡大管圧力損失よりも縮小管圧力損失の方が圧倒的に大きい。
本実施形態においては、狭まり管圧力損失、拡がり管圧力損失、縮小管圧力損失、拡大管圧力損失の4種類の圧力損失を組み合わせて利用することにより、供給路71と個別液室5との間のインク移動時におけるトータルの圧力損失を調整している。具体的には、個別液室5から供給路71へのインク移動の際(吐出工程時)には、大きな縮小管圧力損失と、中程度の拡がり管圧力損失と、中程度の拡大管圧力損失とを組み合わせて、相対的に大きな圧力損失を実現する。一方、供給路71から個別液室5へのインク移動の際(充填工程時)には、大きな縮小管圧力損失と、小さな狭まり管圧力損失と、中程度の拡大管圧力損失とを組み合わせて、相対的に小さな圧力損失を実現する。
その結果、供給路71から個別液室5への流れに対する圧力損失よりも、個別液室5から供給路71への流れに対する圧力損失の方が大きくなる方向性を有する圧力損失を形成することができる。したがって、ノズル4からインク滴を吐出する吐出工程時には、個別液室5内のインクが連通路6を介して供給路71側へ移動しにくくなる。その結果、個別液室5内のインクに生じた圧力がノズル4内のインクに効率よく伝達され、エネルギー効率のよい吐出工程を実現できる。また、インク滴の吐出後に供給路71内のインクを個別液室5へ充填する充填工程時には、供給路71内のインクが連通路6を介して個別液室5側へ移動しやすくなる。その結果、個別液室5内へのインクの充填が速やかに行われる結果、駆動周波数の向上を実現できる。
具体例として、供給路71の連通路側端部の断面積A1の幅(図4中上下方向)を60μmとし、連通路6の供給路側端部の断面積A2の幅を40μmとし、連通路6の個別液室側端部の断面積A3の幅を30μmとし、個別液室5の連通路側端部の断面積A4の幅を60μmとし、いずれも高さ(図4中紙面垂直方向)が80μmであるものを考える。
この具体例において、個別液室5と連通路6との接続部分における圧力損失について見ると、個別液室5から連通路6へのインクの移動時(吐出工程時)には、その断面積比(A4/A3)が2.0である縮小管圧力損失が生じる。逆に、連通路6から個別液室5へのインクの移動時(充填工程時)において、断面積比(A3/A4)が0.5である拡大管圧力損失が生じる。図6に示すグラフの結果から、個別液室5と連通路6との接続部分には、吐出工程時には相対的に大きな縮小管圧力損失が生じ、充填工程時には相対的に小さな圧力損失が生じることがわかる。しかも、両者の圧力損失の差は、非常に大きなものである。
また、連通路6内の圧力損失について見ると、連通路6内を個別液室5側から供給路71側へインクが移動する吐出工程時には、拡がり管圧力損失が生じるため、図5に示すような損失係数に基づく圧力損失が発生する。本具体例では、拡がり管のテーパー角が30°であるので、損失係数は0.6以上であり、かなり大きな損失を生じる。逆に、連通路6内を供給路71側から個別液室5側へインクが移動する充填工程時には、狭まり管圧力損失が生じるが、その狭まり管のテーパー角は同じく30°であり、その損失係数は0.02以下であり、ほぼ無視できるレベルである。したがって、連通路6内における圧力損失は、吐出工程時には相対的に大きな縮小管圧力損失が生じ、充填工程時には相対的に小さな圧力損失が生じ、両者の圧力損失の差は、比較的大きなものである。
また、供給路71と連通路6との接続部分における圧力損失について見ると、連通路6から供給路71へのインクの移動時(吐出工程時)には、その断面積比(A2/A1)が0.67である拡大管圧力損失が生じる。逆に、供給路71から連通路6へのインクの移動時(充填工程時)においては、断面積比(A1/A2)が1.5である縮小管圧力損失が生じる。図6に示すグラフの結果から、供給路71と連通路6との接続部分には、吐出工程時には相対的に小さな拡大管圧力損失が生じ、充填工程時には相対的に大きな圧力損失が生じることがわかる。しかしながら、両者の圧力損失の差は比較的小さなものである。
以上のような各地点においける圧力損失をトータルでみると、吐出工程時には、個別液室5から供給路71へのインク移動の圧力損失を大きくし、かつ、充填工程時には、供給路71から個別液室5へのインク移動の圧力損失を小さくすることができる。
特に、本実施形態では、供給路71が隔壁部19によって区切られて個別液室5ごとに設けられているので、供給路71の連通路側端部の断面積A1を小さくできる。よって、供給路71と連通路6との接続部分における圧力損失について、充填工程時における縮小管圧力損失を小さく抑えることができる。このとき、吐出工程時における拡大管圧力損失も小さくなるため、エネルギー効率の観点からすると不利である。しかしながら、上述したとおり、吐出工程時には、個別液室5と連通路6との接続部分で大きな縮小管圧力損失を得ることができるので、全体的にみれば、充填工程時の圧力損失低減を図るために、供給路71の連通路側端部の断面積A1を小さくして、供給路71と連通路6との接続部分における圧力損失を小さくすることが有益である。
図7は、吐出工程時と充填工程時における各地点の圧力損失又は損失係数についてまとめた表である。
本実施形態では、吐出工程時において、個別液室5と連通路6との接続部分における縮小管圧力損失と、連通路6内での拡がり管圧力損失(損失係数)が相対的に大きいことから、吐出工程時に個別液室5内の液体が連通路6から流出する際の圧力損失あるいは損失係数が大きい。そのため、個別液室5内のインクに生じた圧力をノズル4内のインクに効率よく伝達でき、エネルギー効率のよい吐出工程を実現できる。
また、充填工程時においては、個別液室5と連通路6との接続部分における拡大管圧力損失と、連通路6内での狭まり管圧力損失(損失係数)が相対的に小さいことから、供給路71内のインクを連通路6を介して個別液室5側へスムーズに移動させることができる。その結果、個別液室5内へのインクの充填が速やかに行われ、駆動周波数の向上を実現できる。
連通路6のテーパー角θは、連通路6内を移動するインクの拡がり管圧力損失(損失係数)を変化させるパラメータである。テーパー角θは、図5に示したように、12°を下回ると、ストレート管(テーパー角θ=0°)の場合よりも、損失係数が低い値を示す。したがって、拡がり管の効果によって圧力損失を高めたい場合には、テーパー角を12°以上にすることが望まれる。なお、テーパー角の上限は、理論上は90°未満であるが、現実的には、連通路6の供給路側端部の断面積A2と、個別液室側端部の断面積A3と、連通路6の長さとの関係から、おのずと制限される。
〔変形例1〕
次に、上記実施形態における液体吐出ヘッド50の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
本変形例1においては、連通路6が、テーパー部とストレート部を備えている例である。ストレート部は、充填工程時と吐出工程時とで圧力損失の違いを出す効果は無いが、ストレート部を設けることで圧力損失の値を適切に調整できるという効果がある。すなわち、圧力損失の大きさをノズル径やインク粘度に応じて設定したい場合、図4の場合では吐出効率向上を優先するため、テーパー角、断面積比などで圧力損失の大きさを同時に設定するのは難しい場合がある。このような場合には、本変形例1のようにストレート部を設けることにより、かなり自由な圧力損失の大きさを設定できるという利点がある。
本変形例1としては、例えば、図8に示すように、連通路6の略中央部にテーパー部61を設け、その両側にストレート部62A,62Bを設けた構成が挙げられる。また、図9に示すように、連通路6の略中央部にストレート部62を設け、その両側にテーパー部61A,61Bを設けた構成も挙げられる。また、図10に示すように、テーパー部61のいずれか一方の端部にストレート部62を設けた構成も挙げられる。
連通路6のテーパー部61とこれに接続される個別液室5(あるいは供給路71)との接続部分における角は、鋭角又は鈍角になるため、製作時の寸法精度を高めにくい。これに対し、図8や図10に示した例のように、連通路6の少なくとも一端部がストレート部である場合、これと接続される個別液室5(あるいは供給路71)の接続部分における角は直角となり、製作時の寸法精度が高まり、特性が向上する効果がある。
〔変形例2〕
次に、上記実施形態における液体吐出ヘッド50の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
本変形例2においては、供給路71と連通路6との接続部分に存在していた段差の少なくとも一部をなくし、その箇所において、連通路6の供給路側端部の周縁部と供給路71の連通路側端部の周縁部とを共通にした構成である。このような構成によれば、供給路71から連通路6へのインクの移動時に、無くした段差によって生じていた比較的大きな縮小管圧力損失を無くすことができる。よって、充填工程時に個別液室5へより速やかにインクを充填できるようになり、駆動周波数の向上に寄与できる。
特に、図11に示した例は、供給路の連通路側端部の断面積A1と連通路6の個別供給路側端部の断面積A2とを一致させ、連通路6の供給路側端部の周縁部と供給路71の連通路側端部の周縁部の全体を共通にしている。これにより、充填工程時には、供給路71と連通路6との接続部分において縮小管圧力損失が生じないので、個別液室5への充填をより速やかに行うことができるようになり、駆動周波数の向上を図ることができる。
〔変形例3〕
次に、上記実施形態における液体吐出ヘッド50の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
上記実施形態では、供給路71が個別液室5ごとに隔壁部19によって区画され、個別液室5ごとに独立して設けられていたが、本変形例3では、図12に示すように、供給路71を区画していた隔壁部19の部分を取り去り、2以上の個別液室5ごとに共通の供給路を設けたものである。
本変形例3の構成であっても、吐出工程時において、個別液室5と連通路6との接続部分における縮小管圧力損失と、連通路6内での拡がり管圧力損失(損失係数)とで大きな圧力損失を得ることができる。したがって、個別液室5内のインクに生じた圧力をノズル4内のインクに効率よく伝達でき、エネルギー効率のよい吐出工程を実現できる。
また、本変形例3の構成であっても、充填工程時において、個別液室5と連通路6との接続部分における拡大管圧力損失と、連通路6内での狭まり管圧力損失(損失係数)とが小さな圧力損失を実現している。したがって、供給路71内のインクを連通路6を介して個別液室5側へスムーズに移動させることができ、個別液室5内へのインクの充填が速やかに行われ、駆動周波数の向上を実現できる。
ただし、本変形例3の構成においては、連通路6に設けられるテーパー部61のテーパー角θは12度以上であることが必要である。この場合、図12に示すように、連通路6にストレート部62が形成されていてもよい。
次に、上記液体吐出ヘッド50を搭載する画像形成装置としてのインクジェット記録装置について説明する。
図13は、上記液体吐出ヘッド50を搭載したインクジェット記録装置であるライン型インクジェットプリンタの概略図である。
ベルト駆動ローラ64とベルト従動ローラ63に巻回された搬送ベルト65が図示しないモータにより駆動される。搬送ベルト65の内側には搬送ベルトのガイドとしてプラテン66が設置されている。給紙カセット67に堆積されている記録紙Sは給紙ローラ60により分離されガイド板68に沿って給送される。
プラテン66に対向する位置に、搬送ベルト65に向かって噴射ができるようにインクジェットラインヘッドの各色(Bk、C、M、Y)それぞれ50Bk,50C,50M,50Yが配設されている。これらのインクジェットラインヘッドは通常いくつかの短いインクジェットヘッド、例えば、本実施形態の図2に示すインクジェットヘッドを精度良く並べて紙幅以上の長さに構成されている。
さらに、記録紙に前処理を施す前処理ユニット51を設けても良い。前処理ユニット51は、例えば、記録紙S上にインクを定着できる前処理液を塗布するユニットである。また、55は記録紙Sに付着したインクを乾燥させる後処理ユニットである。剥し爪56は搬送ベルト65から記録紙Sを剥すように設置され、一対の排紙ローラ57,58に記録紙Sは送り込まれ、排紙カセット59に堆積される。このように、小型、高集積、低コストのヘッドをアレイ化して構成するため、低コスト、高画質の画像形成装置を提供することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様ごとに特有の効果を奏する。
(態様A)
圧電素子2等の圧力発生手段を備えた複数の個別液室5と、各個別液室5に対応して設けられ、対応する個別液室内へインク等の液体を供給するための供給路71等の個別供給路と、各個別供給路と当該個別供給路に対応する個別液室とを連通し、個別供給路側から個別液室側に向かって先細るテーパー部61を備えた連通路6と、上記個別液室に連通したノズル4とを備え、上記圧力発生手段により上記個別液室内の液体に圧力を付与することで該個別液室に連通したノズル4から液体を吐出させる液体吐出ヘッド50において、液体移動方向に直交する断面積の大小関係が、上記個別供給路の連通路側端部の断面積をA1とし、上記連通路の個別供給路側端部の断面積をA2とし、上記連通路の個別液室側端部の断面積A3とし、上記個別液室の連通路側端部の断面積A4としたとき、A3<A4、A2≦A1、A3<A2のいずれも満たす関係を有しており、上記連通路6の個別液室側端部の断面積A3と上記個別液室の連通路側端部の断面積A4との面積差による段差面、及び、上記連通路の個別供給路側端部の断面積A2と上記個別供給路の連通路側端部の断面積A1との面積差による段差面は、液体移動方向に対して略直交するように形成されていることを特徴とする。
これによれば、狭まり管圧力損失、拡がり管圧力損失、縮小管圧力損失、拡大管圧力損失の4種類の圧力損失を組み合わせて利用して、個別供給路と個別液室との間のインクの移動時におけるトータルの圧力損失を調整することができる。その結果、個別液室から個別供給路へのインク移動の際(吐出工程時)には、トータルで大きな圧力損失を実現する一方、個別供給路から個別液室へのインク移動の際(充填工程時)には、トータルで圧力損失を小さく抑えることができる。これにより、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上の両立を図ることができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、上記個別供給路の連通路側端部の断面積A1と、上記連通路の個別供給路側端部の断面積A2との関係が、下記の不等式(1)を満たしていることを特徴とする。
A1/A2 ≦ 2 ・・・(1)
上記個別供給路の連通路側端部の断面積A1と上記連通路の個別供給路側端部の断面積A2との断面積比A1/A2が2以下であれば、図5により、充填工程での縮小管圧力損失が大きくなるが、図7により、各工程の圧力損失の合計で見ると、吐出工程の損失が勝る範囲であり、この範囲の断面積比とすることにより、吐出効率及び吐出特性(応答周波数)が向上する。
(態様C)
上記態様A又はBにおいて、上記連通路の個別液室側端部の断面積A3と、上記個別液室の連通路側端部の断面積A4との関係が、下記の不等式(2)を満たしていることを特徴とする。
A4/A3 ≧ 1.2 ・・・(2)
上記連通路の個別液室側端部の断面積A3と上記個別液室の連通路側端部の断面積A4との断面積比A4/A3が1.2以下であれば、図5により吐出工程での縮小管圧力損失が充填工程の拡大管圧力損失より明らかに大きく、この範囲の断面積比とすることにより吐出工程の圧力損失が勝る範囲であり、吐出効率及び吐出特性(応答周波数)が向上する。
(態様D)
上記態様A〜Cのいずれかの態様において、上記テーパー部61のテーパー角は12°以上であることを特徴とする。
これによれば、テーパー部61において拡がり管圧力損失を有効に発揮させることができ、拡がり管圧力損失を利用した圧力損失の調整を効果的に行うことができる。
(態様E)
上記態様A〜Dのいずれかの態様において、上記連通路6の個別供給路側端部の周縁部の少なくとも一部と、上記個別供給路の連通路側端部の周縁部の少なくとも一部とが、共通していることを特徴とする。
これによれば、連通路と個別供給路との接続部分における縮小管圧力損失を軽減して、充填工程時に液体をスムーズに個別液室へ移動することができ、駆動周波数の向上を図ることができる。
(態様F)
圧力発生手段を備えた複数の個別液室と、2以上の個別液室に対応して設けられ、対応する各個別液室内へ液体を供給するための供給路と、上記供給路と対応する各個別液室とを連通し、供給路側から個別液室側に向かって先細るテーパー部を備えた連通路と、上記個別液室に連通したノズルとを備え、上記圧力発生手段により上記個別液室内の液体に圧力を付与することで該個別液室に連通したノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、液体移動方向に直交する断面積の大小関係が、上記連通路の供給路側端部の断面積をA2とし、上記連通路の個別液室側端部の断面積A3とし、上記個別液室の連通路側端部の断面積A4としたとき、A3<A4、A3<A2のいずれも満たす関係を有しており、上記連通路の個別液室側端部の断面積A3と上記個別液室の連通路側端部の断面積A4との面積差による段差面は、液体移動方向に対して略直交するように形成されており、上記テーパー部のテーパー角は12°以上であることを特徴とする。
この態様Fも、狭まり管圧力損失、拡がり管圧力損失、縮小管圧力損失、拡大管圧力損失の4種類の圧力損失を組み合わせて利用して、個別供給路と個別液室との間のインクの移動時におけるトータルの圧力損失を調整することができる。その結果、個別液室から個別供給路へのインク移動の際(吐出工程時)には、トータルで大きな圧力損失を実現する一方、個別供給路から個別液室へのインク移動の際(充填工程時)には、トータルで圧力損失を小さく抑えることができる。これにより、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上の両立を図ることができる。
(態様G)
上記態様A〜Fのいずれかの態様において、上記連通路6は、同じ断面積が連続するストレート部62を備えていることを特徴とする。
これによれば、ストレート部を設けることで、圧力損失の値を適切に調整することが容易になる。特に、このストレート部が連通路6の少なくとも一端部を構成する場合、当該少なくとも一端部に接続される個別液室や供給路の接続部分における角が直角となり、製作時の寸法精度が高まり、特性が向上する。
(態様H)
液体吐出ヘッドから記録紙S等の記録材に対して液滴を吐出して該記録材上に画像を形成するライン型インクジェットプリンタ等の画像形成装置において、上記液体吐出ヘッドとして、上記態様A〜Gのいずれかの態様に係る液体吐出ヘッド50を用いたことを特徴とする。
これによれば、エネルギー効率の向上と駆動周波数の向上とを両立した状態で、画像を形成することができる。
2 圧電素子
3 ノズル板
4 ノズル
5 個別液室
5a,71a 段差面
6 連通路
8 補助基板
9 液体通路
11 液室基板
12 振動板
19 隔壁部
35 ノズルカバー
36 アクチュエータ基板
37 バッキングプレート
38 ダンパプレート
39 ハウジング
43 共通液室
45 駆動回路
50 液体吐出ヘッド
61 テーパー部
62 ストレート部
71 供給路
72 液体導入路
特開平8−174824号公報 特開2001−270103号公報

Claims (8)

  1. 圧力発生手段を備えた複数の個別液室と、
    各個別液室に対応して設けられ、対応する個別液室内へ液体を供給するための個別供給路と、
    各個別供給路と当該個別供給路に対応する個別液室とを連通し、個別供給路側から個別液室側に向かって先細るテーパー部を備えた連通路と、
    上記個別液室に連通したノズルとを備え、
    上記圧力発生手段により上記個別液室内の液体に圧力を付与することで該個別液室に連通したノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、
    液体移動方向に直交する断面積の大小関係が、上記個別供給路の連通路側端部の断面積をA1とし、上記連通路の個別供給路側端部の断面積をA2とし、上記連通路の個別液室側端部の断面積A3とし、上記個別液室の連通路側端部の断面積A4としたとき、A3<A4、A2≦A1、A3<A2のいずれも満たす関係を有しており、
    上記連通路の個別液室側端部の断面積A3と上記個別液室の連通路側端部の断面積A4との面積差による段差面、及び、上記連通路の個別供給路側端部の断面積A2と上記個別供給路の連通路側端部の断面積A1との面積差による段差面は、液体移動方向に対して略直交するように形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 請求項1の液体吐出ヘッドにおいて、
    上記個別供給路の連通路側端部の断面積A1と、上記連通路の個別供給路側端部の断面積A2との関係が、下記の不等式(1)を満たしていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
    A1/A2 ≦ 2 ・・・(1)
  3. 請求項1又は2の液体吐出ヘッドにおいて、
    上記連通路の個別液室側端部の断面積A3と、上記個別液室の連通路側端部の断面積A4との関係が、下記の不等式(2)を満たしていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
    A4/A3 ≧ 1.2 ・・・(2)
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    上記テーパー部のテーパー角は12°以上であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 請求項1又は乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    上記連通路の個別供給路側端部の周縁部の少なくとも一部と、上記個別供給路の連通路側端部の周縁部の少なくとも一部とが、共通していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  6. 圧力発生手段を備えた複数の個別液室と、
    2以上の個別液室に対応して設けられ、対応する各個別液室内へ液体を供給するための供給路と、
    上記供給路と対応する各個別液室とを連通し、供給路側から個別液室側に向かって先細るテーパー部を備えた連通路と、
    上記個別液室に連通したノズルとを備え、
    上記圧力発生手段により上記個別液室内の液体に圧力を付与することで該個別液室に連通したノズルから液体を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、
    液体移動方向に直交する断面積の大小関係が、上記連通路の供給路側端部の断面積をA2とし、上記連通路の個別液室側端部の断面積A3とし、上記個別液室の連通路側端部の断面積A4としたとき、A3<A4、A3<A2のいずれも満たす関係を有しており、
    上記連通路の個別液室側端部の断面積A3と上記個別液室の連通路側端部の断面積A4との面積差による段差面は、液体移動方向に対して略直交するように形成されており、
    上記テーパー部のテーパー角は12°以上であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    上記連通路は、同じ断面積が連続するストレート部を備えていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  8. 液体吐出ヘッドから記録材に対して液滴を吐出して該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
    上記液体吐出ヘッドとして、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを用いたことを特徴とする画像形成装置。
JP2012203941A 2012-09-18 2012-09-18 液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置 Pending JP2014058094A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012203941A JP2014058094A (ja) 2012-09-18 2012-09-18 液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012203941A JP2014058094A (ja) 2012-09-18 2012-09-18 液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014058094A true JP2014058094A (ja) 2014-04-03

Family

ID=50615035

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012203941A Pending JP2014058094A (ja) 2012-09-18 2012-09-18 液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014058094A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05185592A (ja) * 1992-01-16 1993-07-27 Canon Inc 液体噴射ヘッド
JPH07178908A (ja) * 1993-12-24 1995-07-18 Seiko Epson Corp インクジェット式記録ヘッド
JPH08174824A (ja) * 1994-12-21 1996-07-09 Seiko Epson Corp インクジェット式記録ヘッド
JP2001270103A (ja) * 2000-03-24 2001-10-02 Seiko Epson Corp インクジェット式記録ヘッド

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05185592A (ja) * 1992-01-16 1993-07-27 Canon Inc 液体噴射ヘッド
JPH07178908A (ja) * 1993-12-24 1995-07-18 Seiko Epson Corp インクジェット式記録ヘッド
JPH08174824A (ja) * 1994-12-21 1996-07-09 Seiko Epson Corp インクジェット式記録ヘッド
JP2001270103A (ja) * 2000-03-24 2001-10-02 Seiko Epson Corp インクジェット式記録ヘッド

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1815991B1 (en) Piezoelectric inkjet printhead
US8919932B2 (en) Liquid ejection head and image forming apparatus including the liquid ejection head
JP7028178B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法と、インクジェットプリンタ
JPWO2017130695A1 (ja) インクジェット駆動装置およびインクジェット駆動方法
JP2014014967A (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ及び画像形成装置
JP2014172295A (ja) 液滴吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2012061704A (ja) 液滴吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ、画像形成装置、及びマイクロポンプ
JP2016016522A (ja) 液滴吐出ヘッド、画像形成装置
JP4661354B2 (ja) 液体移送装置
JP2017213713A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
JP2012121199A (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ及び画像形成装置
US9302472B1 (en) Printhead configured to refill nozzle areas with high viscosity materials
JP2012139981A (ja) 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、及び印刷装置
JP2013163341A (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジおよび画像形成装置
JP2019051610A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置および圧電デバイス
JP2014058079A (ja) 液滴吐出ヘッドおよび画像形成装置
JP2014058094A (ja) 液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置
JP2014024275A (ja) 液体吐出ヘッド及び画像形成装置
JP6164516B2 (ja) 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び画像形成装置
JP4159016B2 (ja) インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置
JP5896275B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及び画像形成装置
JP5668479B2 (ja) 液体噴射ヘッド、及び、液体噴射装置
JP6241713B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及び画像形成装置
JP2005288697A (ja) 液体吐出装置
US9199455B2 (en) Printhead

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150818

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160610

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170127