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JP2014156428A - 抗体結合タンパク質 - Google Patents

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JP2014156428A
JP2014156428A JP2013028284A JP2013028284A JP2014156428A JP 2014156428 A JP2014156428 A JP 2014156428A JP 2013028284 A JP2013028284 A JP 2013028284A JP 2013028284 A JP2013028284 A JP 2013028284A JP 2014156428 A JP2014156428 A JP 2014156428A
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上田  宏
Hiroyuki Ohashi
広行 大橋
Ryoji Abe
亮二 阿部
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University of Tokyo NUC
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Abstract

【課題】本発明は、ヒト抗体Fab断片又は多くの抗体IgG Fc断片に強く結合する融合タンパク質リガンド、及び該融合タンパク質リガンドを含む蛍光免疫センサーの提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、Protein A又はその抗体結合ドメインがペプチドリンカーを介してProtein G又はその抗体結合ドメインと融合している融合タンパク質、又は該融合タンパク質を蛍光色素で標識した蛍光免疫センサー。
【選択図】なし

Description

本発明は、産業上有用性の高い抗体(免疫グロブリン)の検出、精製、さらには蛍光クエンチ原理による抗原検出に応用可能な抗体結合タンパク質に関するものである。
近年、次世代医薬品であるヒト型抗体をはじめとする抗体タンパク質精製担体のニーズが高まっている。従来、IgG抗体のアフィニティ精製カラムのリガンドとして、天然の抗体結合タンパク質であるStaphylococcus Protein A (PA)、Streptococcus Protein G (PG)が用いられてきたが、抗体IgGのサブクラスによっては結合能が低い、生産コストが高いなどの問題をかかえていた。
一方、本発明者らは、先に、非天然アミノ酸導入技術を利用して一本鎖抗体(scFv))のN末端近傍を部位特異的に蛍光標識することで、抗原結合依存的に蛍光強度が増大する抗体断片である蛍光標識抗体(Quenchbody:Q-body)を開発した(特許文献1及び非特許文献1を参照)。この現象は、抗原非依存時に標識色素がscFvを構成する可変領域VH/VL界面近傍の、保存性の高いトリプトファン残基と相互作用して消光(クエンチ)し、それが抗原結合により解除されるために起こる。
該蛍光標識抗体は簡便迅速な蛍光免疫測定素子(蛍光免疫センサー)として高い有用性を持つ。しかし、この蛍光標識抗体を作製するためには抗体遺伝子の取得と無細胞タンパク質合成系を用いた部位特異的蛍光修飾が必要で、コストと時間がかかるという問題点があった。
WO2011/061944号公報
Abe et al., J.Am.Chem.Soc.2011,133,17386-17394
本発明は、ヒト抗体Fab断片又は多くの抗体IgG Fc断片に強く結合する融合タンパク質リガンド、及び該融合タンパク質リガンドを含む蛍光免疫センサーの提供を目的とする。
本発明者は、抗体結合タンパク質であるProtein A及びProtein Gのタンパク質のIgG結合ドメインを最適な距離で融合することで、ある種のヒトFab断片及び/又は多くのIgG Fc断片に強く結合する融合タンパク質リガンドを作製できることを見出した。これにより、天然タンパク質より低分子量で安価に製造可能でありながら、IgGに特異的かつ強く結合するリガンドを生産できると期待した。さらに、これを蛍光色素で標識し、Fab断片に結合させて抗原結合依存的にその蛍光強度が変化する蛍光免疫センサーを構築しようと考えた。
抗体IgGのFc部分は、H鎖の二量体で構成されており、Protein A及びProtein Gの結合部位はそのCH2-CH3ドメイン間の各1ヶ所、すなわち分子あたり2ヶ所に存在する。しかし従来の天然由来のものを含む抗体結合タンパク質中の、互いに隣接する結合ドメインは、その分子構造(短い結合ドメイン間距離)から考えてどちらか1ヶ所の結合部位にしか結合できないと考えられた。
そこで本発明者らは、Protein AとProtein GのIgG結合ドメイン各1個を15〜20アミノ酸程度の長いリンカーを介して結合させた新規リガンドPAxPGを作製し、その抗体結合能を測定した。その結果、PAxPGは各種IgGに対しProtein A、Protein Gの各1個の結合ドメインのみならず、複数の結合ドメインを持つ天然Protein A、Protein Gよりも顕著に高い結合活性を示すことを見出した。すなわち、ドメイン間のリンカーの長さや配列を最適化することで1つのIgGの2ヶ所の結合部位に同時に結合可能な新規リガンド分子を構築できることを見出し、新規の抗体結合タンパク質である本発明を完成させるに至った。さらに、PAxPGは、Protein Aに結合能のあるヒトVH3に属する可変領域を持つFab断片に対し、CH1ドメインと同時に結合することで数nM以下の解離定数で結合することを見出した。PAxPGのこのような性質を利用し、蛍光ラベルしたPAxPGを抗原特異的ヒトFab断片と結合させ、その際抗原結合部位のアミノ酸と相互作用してクエンチした蛍光が抗原結合により再び蛍光を回復する現象を利用して抗原の有無を蛍光で検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] Protein A又はその抗体結合ドメインがペプチドリンカーを介してProtein G又はその抗体結合ドメインと融合している融合タンパク質。
[2] Protein Aの抗体結合ドメインがDドメインであり、Protein Gの抗体結合ドメインがB1ドメインである、[1]の融合タンパク質。
[3] ペプチドリンカーが10〜20個のアミノ酸からなる、[1]又は[2]の融合タンパク質。
[4] ペプチドリンカーが、グリシン(G)、セリン(S)、アラニン(A)、トレオニン(T)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)及びプロリン(P)からなる群から選択されるアミノ酸からなる、[1]〜[3]のいずれかの融合タンパク質。
[5] ペプチドリンカーが、(GS)3または(DDAKK)4で表されるアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれかの融合タンパク質。
[6] Protein A又はその抗体結合ドメインが抗体の重鎖VH領域に結合し、Protein G又はその抗体結合ドメインが抗体の重鎖CH1領域に結合する、[1]〜[5]のいずれかの融合タンパク質。
[7] Fcに結合する、[1]〜[6]のいずれかの融合タンパク質。
[8] [1]〜[7]のいずれかの融合タンパク質を抗体と接触させることを含む、抗体を精製する方法。
[9] 蛍光色素、消光色素、蛍光タンパク質又は酵素で標識されている、[1]〜[7]の融合タンパク質。
[10] 蛍光色素で標識されている[1]〜[7]のいずれかの融合タンパク質からなる、抗体と結合し、該抗体が抗原と結合したときに蛍光が変化する、蛍光免疫センサー。
[11] 融合タンパク質のProtein A又はその抗体結合ドメインのN末端部が蛍光色素で標識されている、[10]の蛍光免疫センサー。
[12] Protein A又はその抗体結合ドメインのN末端部にProX-tagが付加され、ProX-tag中のアミノ酸が蛍光色素で標識されている、[10]又は[11]の蛍光免疫センサー。
[13] 蛍光色素で標識されたProX-tag、Protein A又はその抗体結合ドメイン、ペプチドリンカー、Protein G又はその抗体結合ドメインが、この順序で融合された、[12]の蛍光免疫センサー。
[14] 蛍光色素又は蛍光色素で標識されたアミノ酸を含むProX-tagとProtein Aの間にペプチドリンカーが介在している、[10]〜[13]の蛍光免疫センサー。
[15] 蛍光色素で標識されたProX-tag、第2のペプチドリンカー、Protein A又はその抗体結合ドメイン、第1のペプチドリンカー、Protein G又はその抗体結合ドメインが、この順序で融合された、[14]の蛍光免疫センサー。
[16] [10]〜[15]のいずれかの蛍光免疫センサーと、非標識抗体、クエンチャーで標識されている抗体又は蛍光免疫センサー中の蛍光色素との間で蛍光共鳴エネルギー移動が生じる蛍光色素で標識されている抗体とを含む、前記抗体が特異的に結合する抗原の検出キット。
[17] 抗原をその抗原に特異的な抗体を用いて検出する方法であって、
(a) [10]〜[15]のいずれかの蛍光免疫センサーを抗体と接触させ、蛍光免疫センサーと抗体の複合体を形成する工程、
(b) (a)で形成された複合体を被験試料中の抗原と接触させ、抗体と抗原を結合させる工程、
(c) 抗体と抗原の結合による蛍光の変化を測定する工程であって、抗体と抗原の結合により蛍光の消光が解除される工程、
とを含む方法。
[18] 抗原をその抗原に特異的な抗体を用いて検出する方法であって、
(a) [10]〜[15]のいずれかの蛍光免疫センサーをクエンチャーで標識した抗体と液中で接触させ、蛍光免疫センサーと標識抗体の複合体を形成する工程、
(b) (a)で形成された複合体を被験試料中の抗原と接触させ、抗体と抗原を結合させる工程、
(c) 抗体と抗原の結合による蛍光の変化を測定する工程であって、抗体と抗原の結合により蛍光の消光が解除される工程、
とを含む方法。
[19] 抗原をその抗原に特異的な抗体を用いて検出する方法であって、
(a) [10]〜[15]のいずれかの蛍光免疫センサーを蛍光色素で標識した抗体と液中で接触させ、蛍光免疫センサーと標識抗体の複合体を形成する工程であって、蛍光免疫センサーの蛍光色素と標識抗体の蛍光色素の組合せがFRETを生じうるエネルギー供与体色素及びエネルギー受容体色素の組合せである工程、
(b) (a)で形成された複合体を被験試料中の抗原と接触させ、抗体と抗原を結合させる工程、
(c) 抗体と抗原の結合による蛍光の変化を測定する工程であって、抗体と抗原の結合によりエネルギー受容体色素からの蛍光が減少する工程、
とを含む方法。
[20] 抗体がFab抗体断片である、[17]〜[19]のいずれかの方法。
本発明によれば、これまで手間のかかる変異導入と選択によらなければ困難であった各種IgGに対する高親和性リガンドを、比較的簡便な原理で得ることができる。さらに本発明は他の天然より優れた性質を持つ抗体結合リガンドに容易に適用することができ、更なる高親和性を得ることも可能である。また、Quenchbody(WO2011/061944号公報)の原理に基づく蛍光免疫素子を、精製抗体と混合するだけで作製できる可能性も示された。
本発明の蛍光免疫センサーの模式図である。 本発明の蛍光免疫センサーを用いた抗原の検出方法の原理を示す図である。 構築した蛍光プローブA、B及びCの配列構造を示す図である。 合成したプローブA(8.6kDa)、プローブB(16.0kDa)及びプローブC(17.3kDa)のSDS-PAGE(UV照射)の結果を示す図である。 合成したプローブA、プローブB及びプローブCのGENios Proを用いて作成したTAMRAの濃度の検量線及び蛍光強度測定によるプローブの定量の結果を示す図である。 合成したプローブA、B及びCとマウスIgG1の結合ELISA(n=3)の結果を示す図である。 構築した蛍光プローブD〜Iの配列構造を示す図である。 合成したプローブC、F及びIのSDS-PAGE(緑色光照射)の結果を示す図である。 合成したプローブD〜IのGENios Proを用いて作成したTAMRAの濃度の検量線及び蛍光強度測定によるプローブの定量の結果を示す図である。 調製した抗BGP Fab抗体断片のSDS-PAGEの結果を示す図である。FTはTalonカラム精製の通過画分(flow through)の結果を示し、EはTalonカラムの溶出画分(elution)の結果を示す。 調製した抗BGP Fab抗体断片の抗原結合能確認ELISA (n=3)の結果を示す図である。 合成したプローブC、F及びIとマウスIgG1(図12A)及び抗BGP Fab断片(図12B)の結合評価(n=3)の結果を示す図である。 プローブと固定化BGPペプチドを介して固相化した抗BGP Fab断片との結合評価(n=3)の結果を示す図である。 リガンドとして非標識プローブC(PAxPG)を、アナライトとしてファージライブラリ由来ヒト抗ビメンチンFab断片を用いたセンサーグラムを示す図である。 リガンドとして非標識プローブC(PAxPG)を、アナライトとしてファージライブラリ由来ヒト抗ビメンチンFab断片を用いた場合の、Langmuirモデルを用いて計算された結合定数KaをPA, PG’と比較した結果を示す図である。 リガンドとしてPAxPGを、アナライトとしてマウスIgG1を用いたセンサーグラムを示す図である。 リガンドとしてPAxPGを、アナライトとしてマウスIgG1を用いた場合の、Langmuirモデルを用いて計算したKaをPA, PG’と比較した結果を示す PAxPGとマウス抗体との推定結合モデルを示す図である。 マイクロプレートに固定化したpolyclonalなマウスIgG (mIgG)及びIgG1、IgG2aをHRP標識プローブを用いて検出した結果(n=3)を示す図である。 プローブFにヒト抗ビメンチンFab断片あるいは緩衝液を加えた際の蛍光強度変化を示す図である。 プローブIにヒト抗ビメンチンFab断片あるいは緩衝液を加えた際の蛍光強度変化を示す図である。 図21の結果を、Fab断片添加時点からの相対蛍光量の平均と標準偏差(n=3)として表した図である。 プローブIにFab断片を加えたサンプルに,抗原ビメンチンあるいは緩衝液を加えた際の蛍光強度変化を示す図である。 図23の結果を、抗原添加の有無での蛍光強度比で示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、Protein AとProtein Gの2種類の抗体結合タンパク質の融合タンパク質及び該融合タンパク質を含む蛍光免疫測定素子として用い得る蛍光免疫センサーである。
1.抗体結合タンパク質の融合タンパク質
本発明の抗体結合タンパク質の融合タンパク質は、Protein A及びProtein Gの融合タンパク質であり、Protein A及びProtein Gの両者の抗体結合部位を含む。
Protein Aは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の細胞壁に存在する46.7kDaのタンパク質であり、免疫グロブリンのFc領域(重鎖定常領域)に特異的に結合する。従来より、Protein AはヒトIgGの4つのサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)のうちIgG3を除く3つのサブクラスのFc領域と,一部の重鎖可変領域(VH3)と結合することが報告されていた。またProtein Aは、マウスIgGと比較的弱く、ウサギIgGとかなり強くFc領域で結合することが報告されていた。Protein AのIgGとの結合部位はEドメイン、Dドメイン、Aドメイン、Bドメイン、Cドメインのアミノ酸配列が相同な5つのドメインがあり、そのどれもが抗体のFc領域と特異的に結合する。
Protein Gは、G群溶血性レンサ球菌(group G streptococci)の細胞壁に存在するタンパク質であり、多くの種のIgGのFc領域及びCH1領域に特異的に結合する。Protein GのIgGとの結合部位はB1ドメインとB2ドメインの2箇所(GX7809 strain, S R Fahnestock, et al. J. Bacteriol., 167, 870, 1986)、あるいはC1、C2、C3ドメインの3箇所(G148 strain, A Olsson, et al., Eur. J. Biochem. 168, 319-324, 1987)存在する。
本発明の融合タンパク質を構成するProtein Aは、全長Protein Aであっても、抗体結合ドメインであってもよい。また、複数の抗体結合ドメインから構成されていてもよい。好ましくはDドメインを用いる。全長Protein A (M. Uhlen et al., J. Biol. Chem. 259, 1695, 1984))のアミノ酸配列を配列番号1(Genbank J01786.1)に、Dドメインのアミノ酸配列を配列番号2に示す。
本発明の融合タンパク質を構成するProtein Gは、全長Protein Gであっても、抗体結合ドメインであってもよい。また、複数の抗体結合ドメインから構成されていてもよい。好ましくはGX7809 strain由来のB1ドメインを用いる。全長Protein Gのアミノ酸配列を配列番号3(Genbank M13825.1)に、B1ドメインのアミノ酸配列を配列番号4に示す。
本発明の融合タンパク質はProtein AとProtein Gという2つの抗体結合タンパク質を含んでおり、両者が抗体に結合するため、融合タンパク質として抗体への強い結合能を有する。本発明の融合タンパク質は、2つの重鎖及び2つの軽鎖からなる完全抗体のみならず、重鎖CH1領域と重鎖可変領域を有する、Fab断片やFab'断片とも結合し、特にFab断片と大きい親和性で結合する。すなわち、融合タンパク質を構成するProtein A部分が抗体の重鎖VH領域と結合し、かつProtein G部分が重鎖CH1部分に結合するので、Fab断片に2ヶ所で同時に結合し得る。また、融合タンパク質を構成するProtein A部分とProtein G部分が抗体Fc領域の二つの重鎖と2カ所で同時に結合するので、完全長抗体においては計3ヶ所に結合し得る。また、特にProtein Aはある種のヒト抗体の重鎖VH領域と強く結合するので、本発明の融合タンパク質は、ヒトIgG及びヒトFab断片と強く結合し得る。
融合タンパク質において、2つの抗体結合タンパク質は、リンカーを介してタンデムに融合させる。リンカーは、特定の長さのアミノ酸配列からなるペプチドリンカーであり、アミノ酸数は限定されないが、5〜30個、好ましくは10〜25個、さらに好ましくは15〜20個である。リンカーの長さにより、融合タンパク質を構成する2種類の抗体結合タンパク質の位置的関係、すなわち距離が変化する。リンカーの長さにより融合タンパク質を構成する抗体結合タンパク質の2つの結合部位の距離を調節することができる。その結果、融合タンパク質を構成するProtein Aの結合ドメインとProtein Gの結合ドメインが抗体に結合するのに最適な距離となるよう融合させることができる。最適なリンカーの長さは、3〜10 nm、好ましくは4〜8 nm、さらに好ましくは6 nm程度である。例えば、Protein AがFc領域の重鎖の一方に結合し、Protein Gが重鎖のもう一方に結合する際、リンカーのアミノ酸の数を10〜20個とすることにより、融合タンパク質のProtein Aが重鎖のFc領域と適切な位置関係で結合すると共に、融合タンパク質のProtein GがFc領域を構成するもう一つの重鎖と適切な位置関係で同時に協同的に結合するので、融合タンパク質の抗体への結合能が相乗的に高まる。
リンカーは2〜10個のアミノ酸配列の3〜10回の繰り返し配列であってもよい。アミノ酸の種類は限定されないが、側鎖が少なく反応性が強くないアミノ酸や連結したときに直線的なαへリックス構造をとるアミノ酸を用いるのが好ましい。側鎖が少なく、大きさが小さいアミノ酸として、グリシン(G)、セリン(S)、アラニン(A)、トレオニン(T)等がある。αへリックス構造の形成に寄与するアミノ酸として、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)、メチオニン(M)等が挙げられる。またポリプロリンヘリックス構造を形成しうるプロリン(P)が挙げられる。
側鎖が少ないアミノ酸を主体としたリンカーとして、GとSからなるアミノ酸配列からなるリンカーが挙げられ、例えば、GGGGS(配列番号5)で表わされるアミノ酸配列を2〜6回繰り返した配列(GS)2-6が挙げられ、3回繰り返した配列(GS)3が好ましい。さらに、5〜30個、好ましくは10〜20個のグリシン(G)が連結したポリグリシンからなる配列も挙げられる。また、αへリックスを形成するアミノ酸を主体としたアミノ酸配列として、DDAKK(配列番号6)で表わされるアミノ酸配列を2〜6回繰り返した配列(DDAKK)2-6が挙げられ、4回繰り返した配列(DDAKK)4が好ましい。また、EAAAK(配列番号7)で表されるアミノ酸配列を2〜6回繰り返した配列(EAAAK)2-6が挙げられ、4回繰り返した配列(EAAAK)4が好ましい。さらに、5〜30個、好ましくは10〜20個のプロリン(P)が連結したポリプロリンからなる配列も挙げられる。
本発明のProtein Aの結合部位とProtein Gの結合部位を含む融合タンパク質をPAxPGとも呼ぶ。また、本発明の融合タンパク質を融合タンパク質リガンドということもある。
抗体結合タンパク質又はその抗体結合部位の融合タンパク質は、公知の融合タンパク質を作製する方法、例えば化学合成法、遺伝子組み換え技術による方法で作製することができるが、遺伝子組換え技術による方法での作製が好ましい。遺伝子組換え技術により本発明の融合タンパク質を作製する場合には、2つの抗体結合タンパク質及びリンカーをコードするDNAをインフレームで連結し、リンカーを含んだ融合タンパク質をコードするDNAを発現ベクターに導入して組換えベクターを作製し、細菌、酵母、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞等を宿主として用いた発現系により発現させればよい。
ベクターとして、プラスミド、ファージ、ウイルス等の宿主細胞において複製可能である限りいかなるベクターも用いることができる。ベクターは、複製開始点、選択マーカー、プロモーターを含み、必要に応じてエンハンサー、転写終結配列(ターミネーター)、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル等を含んでいてもよい。
る。
この際、融合タンパク質はProXタグ、FLAGタグ、Hisタグ等のタグやGST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)等が付加されていてもよい。これらのタグは蛍光色素の付加や融合タンパク質の精製等に用いることができる。
作製した融合タンパク質は、各種の分離精製方法により、分離・精製することができる。例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組合せて用いることができる。この際、発現産物がGST等との融合タンパク質として発現される場合は、目的タンパク質と融合しているタンパク質又はペプチドの性質を利用して精製することもできる。例えばGSTとの融合タンパク質として発現させた場合、GSTはグルタチオンに対して親和性を有するので、グルタチオンを担体に結合させたカラムを用いるアフィニティークロマトグラフィーにより効率的に精製することができる。また、ヒスチジンタグとの融合タンパク質として発現させた場合、ヒスチジンタグを有するタンパク質はキレートカラムに結合するので、キレートカラムを用いて精製することができる。
また、本発明の融合タンパク質は無細胞翻訳系(セルフリーシステム)で発現させることもできる。無細胞翻訳系において目的のポリペプチドの発現を行う場合は、例えば、大腸菌、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球等の無細胞抽出液に、ヌクレオチド3リン酸や各種アミノ酸を加えた反応液中で、目的の融合タンパク質を発現させることができる。
本発明の融合タンパク質は抗体の精製に用いることができる。該融合タンパク質は2つの結合部位を有するので、抗体のVH領域とCH1領域に同時に結合し、あるいは抗体のFC領域に2ヶ所で同時に結合するので、高い親和性で抗体と結合し、抗体を効率的に捕捉し、捕捉抗体を溶出することにより抗体を精製することができる。本発明の融合タンパク質を抗体を含む試料と接触させ、抗体を融合タンパク質に結合させ、その後溶出することにより精製することができる。
例えば、本発明の融合タンパク質をクロマトグラフィー用担体に固定化し、アフィニティークロマトグラフィーの固相化担体として、抗体の精製に用いることができる。クロマトグラフィー担体は、限定されないが種々のクロマトグラフィーにおいて担体として用い得るセルロース、アガロースやデキストランなどのポリサッカライド、シリカ、ビニルポリマー、アクリルアミドポリマー等が含まれる。クロマトグラフィー担体は、市販のものを用いればよく、例えば、Sephadex、Sephacel、Sepharose(以上、Pharmacia社)、Bio-Gel、Macro-Prep、Affi-Gel(以上、Bio Rad社)等がある。
本発明の融合タンパク質は、標識物質で標識されていてもよい。標識物質としては、蛍光色素、消光色素、蛍光タンパク質、アルカリホスファターゼ(ALP)や西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などの酵素等が挙げられる。標識物質による標識は、公知のタンパク質の標識方法で行うことができる。これらの標識物質で標識した融合タンパク質は抗原抗体反応を利用した免疫アッセイにおいて、プローブとして用いることができる。蛍光色素を用いた場合、後記の蛍光免疫センサーとして利用することができる。蛍光色素による標識法については後述する。標識した本発明の融合タンパク質を標識プローブといい、特に蛍光色素で標識した融合タンパク質を蛍光プローブということがある。
2.抗体結合タンパク質の融合タンパク質を含む蛍光免疫センサー
上記融合タンパク質を蛍光色素で標識することにより抗原とその特異的抗体との結合を検出し得る蛍光免疫センサーとして利用することができる。
蛍光免疫センサーは、上記の抗体結合タンパク質を蛍光色素で標識した物質であり、抗体に結合させて用いる。本発明の蛍光免疫センサーの模式図を図1に示す。本発明の蛍光免疫センサーと抗体を用いることにより、該抗体が特異的に結合する抗原を被検出物質として、検出することができる。また、本発明の蛍光免疫センサーを蛍光プローブとも呼ぶ。
本発明の蛍光免疫センサーを結合させる抗体は、検出しようとする標的抗原に対する特異的抗体であり、完全抗体であってもよいし、Fab抗体、F(ab')2抗体、1個のFabと完全なFcを有するFab/c抗体であってもよい。また、Protein Aが結合する領域とProtein Gが結合する領域を有し、抗原と結合し得る構造をもった抗体の断片や人工抗体であってもよい。例えば、Protein Aが結合するVH領域とProtein Gが結合するCH1領域を有する抗体の断片や人工抗体が挙げられる。本発明において、抗体という場合、このような抗体の機能的断片や人工抗体も包含する。また、抗体は抗体産生ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体又はその断片を用いてもよいし、ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のDNA情報に基づいて、遺伝子組換え技術により作製した抗体を用いてもよい。これらの抗体の中でも1つの重鎖可変領域と1つの重鎖CH1領域並びに1つの軽鎖可変領域と1つの軽鎖CL領域を有するFab断片が好ましい。また、抗体の由来動物も限定されず、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ、マスクラット、ヒツジ等のものを用いることができる。本発明の蛍光免疫センサーの融合タンパク質のProtein Aはヒト抗体のVH領域と強く結合し得るので、該免疫蛍光センサーはヒト抗体やヒト抗体Fab断片と強く結合し得る。
本発明の蛍光免疫センサーは、蛍光免疫センサーが抗体に結合している場合と、蛍光免疫センサーが結合している抗体が抗原に結合した場合との間で、蛍光の発生の有無や、蛍光強度が変化するように設計される。すなわち、蛍光免疫センサーが抗体に結合しているときには、標識に用いた蛍光物質が消光(クエンチ)されて蛍光を発しないか、特定の波長の蛍光を発生する状態にあるようにする。抗体に抗原が結合した場合に、蛍光色素の蛍光の発生状態が変化し得る。例えば、抗体と抗原が結合していない状態で消光状態にあった蛍光色素が抗体と抗原が結合することにより蛍光を発するようになるか、あるいは抗体と抗原が結合していない状態で蛍光を発していた蛍光色素が抗体と抗原が結合することにより発生する蛍光の波長がシフトするようにする。
このように、本発明の抗体結合融合タンパク質が結合した抗体に抗原が結合することにより蛍光の状態が変わる系として、消光色素(クエンチャー)により蛍光強度の変化が生じる系、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により蛍光色素の発光状態が変化する系が挙げられる。具体的には以下の(1)〜(3)の系が挙げられる。
(1)抗体のVH領域に存在するトリプトファン残基を消光色素(クエンチャー)として利用する系
抗体のVH領域の第36番目、第47番目、第103番目(Kabatの番号付け系による)にはトリプトファン(W)残基が存在し、これらのトリプトファン残基はクエンチャーとして作用している(WO2011/061944号公報)。蛍光色素で標識した抗体結合タンパク質を含む融合タンパク質である蛍光免疫センサーが抗体に結合したときに、蛍光色素がトリプトファン残基の近傍に位置しトリプトファン残基と相互作用して蛍光色素がクエンチするように設計する。すなわち、蛍光免疫センサーは抗体に結合した状態では、クエンチされており、蛍光を発しない。抗体に抗原が結合すると、抗体の立体構造が変化し、トリプトファンの近傍に位置していた蛍光色素はトリプトファンから離れ、トリプトファンと相互作用しなくなり、クエンチが解除され、蛍光を発するようになる。この原理の模式図を図2に示す。
この系で抗原抗体反応により抗原を測定する場合、測定しようとする抗原に対する抗体に本発明の蛍光免疫センサーを結合させ、抗体と蛍光免疫センサーの複合体を形成させておく。このときには、蛍光色素はVH領域に存在するトリプトファンによりクエンチされている。前記抗原が含まれる可能性があるサンプルを抗体と蛍光免疫センサーの複合体を混合した場合に、抗原が存在する場合、抗体と抗原が結合し、抗体の立体構造が変化し、蛍光色素のクエンチが解除され、蛍光を発するようになる。この蛍光を測定することにより、抗原の存在を検出することができ、また蛍光強度により抗原を定量することもできる。
(2)消光色素(クエンチャー)及び蛍光色素を利用した系
この系においては、本発明の蛍光免疫センサーを結合させる抗体をクエンチャーで標識しておく。クエンチャーによる抗体の標識は、抗体と蛍光免疫センサーが結合したときに、蛍光色素とクエンチャーが近傍に位置し、相互作用し、クエンチャーにより蛍光色素がクエンチされる位置になるように行う。すなわち、蛍光免疫センサーは抗体に結合した状態では、抗体のクエンチャーによりクエンチされている。抗体に抗原が結合すると、抗体の立体構造が変化し、抗体のクエンチャーと蛍光免疫センサーの蛍光色素は離れ、相互作用しなくなり、クエンチが解除され、蛍光を発するようになる。
この系で抗原抗体反応により抗原を測定する場合、測定しようとする抗原に対する抗体であってクエンチャーで標識された抗体に本発明の蛍光免疫センサーを結合させておく。このときには、蛍光免疫センサーの蛍光色素は抗体のクエンチャーによりクエンチされている。前記抗原が含まれる可能性があるサンプル及び抗体と蛍光免疫センサーの複合体とを混合した場合に、抗原が存在する場合、抗体と抗原が結合し、蛍光色素のクエンチが解除され、蛍光を発するようになる。この蛍光を測定することにより、抗原の存在を検出することができ、また蛍光強度により抗原を定量することもできる。
この系においては、本発明の蛍光免疫センサーをクエンチャーで標識し、抗体を蛍光色素で標識して用いてもよい。
(3) 蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した系
この系においては、本発明の蛍光免疫センサーを結合させる抗体を蛍光免疫センサーの蛍光色素とは異なる蛍光色素で標識しておく。この際、蛍光免疫センサーの蛍光色素と抗体の蛍光色素の組み合わせは、蛍光共鳴エネルギー移動のエネルギー供与体(ドナー)となる供与体色素とエネルギー受容体(アクセプター)となる受容体色素の組み合わせとなるように選択する。免疫蛍光センサー又は抗体のいずれか一方をエネルギー供与体色素で標識し、他方をエネルギー受容体色素で標識する。抗体の蛍光色素による標識は、抗体と蛍光免疫センサーが結合したときに、蛍光免疫センサーの蛍光色素と抗体の蛍光色素、すなわちエネルギー供与体とエネルギー受容体が近傍に位置し、相互作用し、エネルギー供与体が発するエネルギーがエネルギー受容体に移動する位置で行う。例えば、エネルギー供与体色素で標識した蛍光免疫センサーが単独で存在する場合、エネルギー供与体色素の励起波長によりエネルギー供与体色素から固有の波長の蛍光が発生する。エネルギー供与体色素で標識した蛍光免疫センサーをエネルギー受容体色素で標識した抗体と結合させ複合体を形成させたとき、エネルギー供与体色素とエネルギー受容体色素が近傍に位置し、エネルギー供与体色素からエネルギー受容体色素へエネルギー移動が生じ得る。従って、エネルギー供与体色素の励起波長によりエネルギー供与体色素からエネルギー受容体色素へ励起エネルギーの移動が生じ、エネルギー供与体色素から固有の波長の蛍光が発生する。抗体に抗原が結合すると、抗体の立体構造が変化し、蛍光免疫センサーのエネルギー供与体色素と抗体のエネルギー受容体色素は離れ、相互作用しなくなり、蛍光共鳴エネルギー移動が起こらなくなる。その結果、エネルギー受容体から発する蛍光は観察されなくなる。蛍光免疫センサーをエネルギー受容体色素で標識し、抗体をエネルギー供与体色素で標識した場合も同様の現象が起こる。
この系で抗原抗体反応により抗原を測定する場合、測定しようとする抗原に対する抗体であってエネルギー供与体色素又はエネルギー受容体色素で標識した抗体に、エネルギー受容体色素又はエネルギー供与体色素で標識した本発明の蛍光免疫センサーを結合させておく。このときには、蛍光免疫センサーの蛍光色素と抗体の蛍光色素、すなわち、エネルギー供与体色素とエネルギー受容体色素の間で蛍光共鳴エネルギー移動が起こり、エネルギー受容体色素から蛍光が発せられる。前記抗原が含まれる可能性があるサンプル及び抗体と蛍光免疫センサーの複合体とを混合した場合に、抗原が存在する場合、抗体と抗原が結合し、エネルギー供与体色素とエネルギー受容体色素が離れ、相互作用しなくなり、エネルギー供与体の発する蛍光が観察されなくなる。この蛍光の変化を測定することにより、抗原の存在を検出することができ、また蛍光強度により抗原を定量することもできる。
本発明において、蛍光免疫センサーを作製するために抗体結合タンパク質を含む融合タンパク質を蛍光色素で標識する方法は限定されず、種々の公知の方法で行うことができる。例えば、融合タンパク質の両端若しくは側鎖の官能基を利用して直接又は架橋剤等を介して間接的に化学修飾により標識する方法、無細胞翻訳系を利用して融合タンパク質やリコンビナント抗体を合成しながら部位特異的に標識する手法等を用いてもよい。無細胞翻訳系を利用して標識する方法としては、アンバーサプレッション法(Ellman J et al.(1991)Methods Enzymol.202:301-36)、4塩基コドン法(Hohsaka T., et al., J. Am. Chem. Soc., 118, 9778-9779, 1996)、人工塩基コドン法(Hirao, I., et al. Narute Biotech., 20, 177-182, 2002)、C末端標識法(特開2000-139468号公報)、N末端標識法(米国特許第5,643,722号公報、Olejnik et al.(2005)Methods 36:252-260)等が挙げられる。アンバーサプレッション法は、標識のターゲット部位のアミノ酸をコードするコドンを終止コドンの一つであるアンバーコドンに置き換えたDNA又はmRNAを作製し、無細胞翻訳系を用いて該DNA又はmRNAからタンパク質を合成する方法であり、合成の際に、タンパク質合成反応液に標識された非天然アミノ酸を結合させたサプレッサーtRNAを添加することで、アンバーコドンに置換した部位に標識アミノ酸が導入されたタンパク質を合成する。4塩基コドン法においては、コドンをCGGG等の4塩基コドンに拡張し、アミノ酸をコードするコドンをCGGGに置き換えたDNA又はmRNAを作製し、無細胞翻訳系を用いて該DNA又はmRNAからタンパク質を合成する。その際、タンパク質合成反応液に標識された非天然アミノ酸を結合させたtRNA CGGGを添加することにより、4塩基コドンに置換した部位に標識アミノ酸が導入されたタンパク質を合成することができる。また、C末端標識法では、標識したピューロマイシンを最適濃度で添加した無細胞翻訳系において、DNA又はmRNAからタンパク質への翻訳を行うことにより、C末端特異的に標識が導入されたタンパク質を合成することができる。
また、大腸菌や動物細胞を宿主とする遺伝子組み換え技術により部位特異的に蛍光色素を導入することもできる。アジドチロシンを認識するアミノアシルtRNA合成酵素と、サプレッサーアジドチロシル-tRNAを導入した大腸菌を宿主として、部位特異的にポリペプチドにアジドチロシンを導入し、導入したアジド基に蛍光色素を結合することができる。さらに、古細菌由来ピロリジルtRNA合成酵素と、サプレッサーピロリジル−tRNAを導入した動物細胞を宿主として、部位特異的にポリペプチドにアジドZリジンを導入し、導入したアジド基に蛍光色素を結合することができる。
これらの方法の中でも、自然界ではアミノ酸が割り当てられていないコドンに蛍光色素で修飾したアミノ酸を割り当て、タンパク質の合成時にタンパク質を蛍光色素で標識することができる、アンバーサプレッション法、4塩基コドン法、人工コドン法が好ましい。
これらの方法には、ProX(商標)-tagを利用してもよい。ProX-tagは、大腸菌の無細胞翻訳系での発現量が高いタンパク質のN末端領域の遺伝子配列を一部改変したもので、非天然アミノ酸が取り込まれる位置、およびその前後配列が最適化されている。ProX-tagは標識しようとする融合タンパク質や抗体のN末端に付加して用いることができる。すなわち、融合タンパク質や抗体を合成する際に、ProX-tagをコードするDNAをN末端側に導入して合成すればよい。ProX-tagのアミノ酸配列は、MSKQIEVNXSNET(Xは蛍光標識アミノ酸、配列番号8)で表される。ProX-tagを利用した方法は、例えば、CloverDirect(商標)試薬(プロテイン・エクスプレス社)を用いて行うことができる。
また、一度に大量に標識体を作製できる化学修飾法も好ましい。
抗体結合タンパク質を含む融合タンパク質は、該融合タンパク質が抗体と結合したときに、蛍光色素が結合する抗体のHV領域のトリプトファン残基の近傍に位置するか、あるいは抗体が蛍光色素又はクエンチャーで標識されている場合は、この蛍光色素又はクエンチャーの近傍に位置するように標識する。好ましくは、Protein A又はその抗体結合ドメインとProtein G又はその抗体結合ドメインからなる融合タンパク質のProtein A又はその抗体結合ドメインを標識し、さらに好ましくはProtein A又はその抗体結合ドメインのN末端あるいはN末端近傍を標識する。あるいは、Protein A又はその抗体結合ドメインのN末端部にProX-tag等のペプチドタグを付加し、該タグを標識してもよい。
また、本発明の蛍光免疫センサーと結合させて用いる抗体も同様の方法で、蛍光色素やクエンチャーで標識することができる。また、後述のように抗体を直接蛍光色素やクエンチャーで標識せず、蛍光色素又はクエンチャーで標識したProtein L等の抗体結合タンパク質を抗体に結合させることにより、抗体を間接的に標識することも可能である。
抗体結合タンパク質を含む融合体を標識して蛍光免疫センサーを作製する際に、標識に用いた蛍光色素が、蛍光免疫センサーと抗体が結合したときに適切な空間的配置をとり、抗体のVH領域のトリプトファン残基や抗体の標識に用いた蛍光色素若しくはクエンチャーと適切な空間配置をとるように、蛍光色素と抗体結合タンパク質の結合ドメインの間に一定の距離が存在するように設計してもよい。このためには、例えば、蛍光免疫センサー中の蛍光色素で標識されるアミノ酸と融合タンパク質の結合ドメインとの間に適切なリンカーを設ければよい。リンカーとしては、適切な数のアミノ酸配列からなるペプチドリンカーを用いることができる。
例えば、抗体結合タンパク質を含む融合タンパク質にProX-tag等のペプチドタグを付加し、該タグ中のアミノ酸を標識する場合、タグと融合タンパク質の間にリンカーを設ければよい。例えば、図7はProX-tagを抗体結合タンパク質を含む融合タンパク質に付加してProX-tag中のアミノ酸を蛍光色素で標識する場合を示し、タグと融合タンパク質の間にアミノ酸配列からなるペプチドリンカーを含んでいる。このときに用いるリンカーとしては、上記の融合タンパク質においてProtein AとProtein Gとの間に存在するリンカーと同じ物を用いることができる。特にGとSからなるアミノ酸配列からなるリンカーが挙げられる。また、特徴的なへリックス構造を形成するプロリンからなるアミノ酸配列をリンカーとして用いることもできる。例えば、5〜20個のプロリンからなるポリプロリン、好ましくは5〜10個のプロリンからなるポリプロリンが挙げられる。
本発明においては、融合タンパク質中においてProtein A又はその抗体結合ドメインとProtein G又はその抗体結合ドメインの間を介在するペプチドリンカーを第1のペプチドリンカーといい、抗体結合タンパク質を含む融合タンパク質と蛍光色素の間を介在するペプチドリンカーを第2のペプチドリンカーと呼ぶ場合がある。
本発明において、蛍光免疫センサー又は抗体の標識に用いる蛍光色素又はクエンチャーとしては、上記の(1)の原理により消光、消光の解除が起こる蛍光色素、あるいは上記(2)の原理により消光、消光の解除が起こる蛍光色素とクエンチャーの組合せ、上記(3)の原理により蛍光共鳴エネルギー移動が起こる蛍光色素の組み合わせが挙げられる。
蛍光標識に用いる蛍光色素としては、ローダミン、クマリン、Cy、EvoBlue、オキサジン、Carbopyronin、naphthalene、biphenyl、anthracene、phenenthrene、pyrene、carbazole 等を基本骨格として有する蛍光色素やその蛍光色素の誘導体が挙げられる。具体的には、CR110:carboxyrhodamine 110 : Rhodamine Green(商標)、TAMRA:carbocytetremethlrhodamine:TMR、Carboxyrhodamine 6G:CR6G、ATTO655(商標)、BODIP YFL(商標):4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indancene-3-propionicacid、BODIPY 493/503(商標):4,4-difluoro-1,3,5,7-tetramethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indancene-8-propionicacid、BODIPY R6G(商標) :4,4-difluoro-5-(4-phenyl-1,3-butadienyl)-4-bora-3a,4a-diaza-s-indancene-3-propionic acid、BODIPY 558/568(商標):4,4-difluoro-5-(2-thienyl)-4-bora-3a,4a-diaza-s-indancene-3-propionicacid、BODIPY 564/570(商標):4,4-difluoro-5-styryl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indancene-3-propionic acid、BODIPY 576/589(商標) :4,4-difluoro-5-(2-pyrrolyl)-4-bora-3a,4a-diaza-s-indancene-3-propionicacid、BODIPY 581/591(商標):4,4-difluoro-5-(4-phenyl-1,3-butadienyl)-4-bora-3a,4a-diaza-s-indancene-3-propionic acid、Cy3(商標)、Cy3B(商標)、Cy3.5(商標)、Cy5(商標)、Cy5.5(商標)、EvoBlue10(商標)、EvoBlue30(商標)、MR121、ATTO 390(商標)、ATTO 425(商標)、ATTO 465(商標)、ATTO 488(商標)、ATTO 495(商標)、ATTO 520(商標)、ATTO 532(商標)、ATTO Rho6G(商標)、ATTO 550(商標)、ATTO 565(商標)、ATTORho3B(商標)、ATTO Rho11(商標)、ATTO Rho12(商標)、ATTO Thio12(商標)、ATTO 610(商標)、ATTO 611X(商標)、ATTO 620(商標)、ATTO Rho14(商標)、ATTO 633(商標)、ATTO 647(商標)、ATTO647N(商標)、ATTO 655(商標)、ATTO Oxa12(商標)、ATTO 700(商標)、ATTO 725(商標)、ATTO 740(商標)、Alexa Fluor 350(商標)、Alexa Fluor 405(商標)、Alexa Fluor 430(商標)、Alexa Fluor 488(商標)、Alexa Fluor 532(商標)、Alexa Fluor 546(商標)、Alexa Fluor 555(商標)、Alexa Fluor 568(商標)、Alexa Fluor 594(商標)、Alexa Fluor 633(商標)、Alexa Fluor 647(商標)、Alexa Fluor 680(商標)、Alexa Fluor 700(商標)、Alexa Fluor 750(商標)、AlexaFluor 790(商標)、Rhodamine Red-X(商標)、Texas Red-X(商標)、5(6)-TAMRA-X(商標)、5TAMRA(商標)、SFX(商標)等を用いることができる。これらの中でも、ローダミン系蛍光色素であるTAMRAやCR110や、及びオキサジン系蛍光色素であるATTO 655が好ましい。
消光色素(クエンチャー)としては、NBD:7-nitrobenzofurazan、DABCYL、BHQ、ATTO、QXL、QSY、Cy、Lowa Black、IRDYE等を基本骨格とする消光色素やその消光色素の誘導体が挙げられる。具体的には、NBD、DABCYL、BHQ-1(商標)、BHQ-2(商標)、BHQ-3(商標)、ATTO540Q(商標)、ATTO580Q(商標)、ATTO612Q(商標)、QXL490(商標)、QXL520(商標)、QXL570(商標)、QXL610(商標)、QXL670(商標)、QXL680(商標)、QSY-35(商標)、QSY-7(商標)、QSY-9(商標)、QSY-21(商標)、Cy5Q(商標)、Cy7Q(商標)、Lowa Black FQ(商標)、LowaBlack RQ(商標)、IRDYE QC-1(商標)等を用いることできる。これらの中でも、NBDが好ましい。
本発明の抗体免疫センサーと抗体を標識する蛍光色素とクエンチャーの組み合わせとして、例えば、TAMRAとNBDの組み合わせを挙げることができる。また、本発明の抗体免疫センサーと抗体を標識し、蛍光共鳴エネルギー移動が生じるエネルギー供与体とエネルギー受容体の組み合わせについては、例えば、エネルギー供与体としてBODIPY(登録商標) FL、エネルギー受容体としてBODIPY(登録商標) 558/568を選択すればよい。あるいは、エネルギー供与体とエネルギー受容体の組み合わせとして、BODIPY FLとBODIPY 576/586、BODIPY FLとTAMRA、BODIPY FLとCy3、FluoresceinとBODIPY 558/568、Alexa488とBODIPY 558/568、BODIPY 558/568とCy5などの組合せも利用できる。
上記のように、標識したProtein L等の抗体結合タンパク質を用いて抗体を間接的に標識することもできる。上記の(2)及び(3)の原理に基づく系においては、用いる抗体を蛍光色素又はクエンチャーで標識する必要があるが、標識した抗体結合タンパク質を用いることにより、用いる抗体を蛍光色素で標識せずに、本発明の蛍光免疫センサーを用いて抗原を検出することができる。
この場合、抗体結合タンパク質とは異なる抗体結合タンパク質を用いればよい。そのような抗体結合タンパク質としてProtein Lが挙げられる。Protein LはPeptostreptococcus magnusが産生する抗体結合タンパク質であり、抗体のκ軽鎖に結合する。Protein Lは、全長を用いても、抗体結合部位であってもよい。
抗体を蛍光色素又はクエンチャーで結合する代わりに、Protein Lを抗体を標識しようとする蛍光色素又はクエンチャーで標識すればよい。標識したProtein Lと抗体と上記の蛍光免疫センサーを混合した場合、標識したProtein Lと蛍光免疫センサーが同じ抗体に異なる部位で結合し、抗体免疫センサーの蛍光物質とProtein Lの蛍光物質又はクエンチャーが相互作用し、蛍光物質がクエンチされるかあるいは蛍光物質の間で蛍光エネルギー移動が生じ、上の(2)又は(3)の原理で抗原を検出することができる。なお、本発明において、Protein L等の抗体結合タンパク質を利用して標識した抗体も標識抗体という。
本発明は、上記の蛍光色素で標識された、抗体結合タンパク質を含む融合タンパク質である蛍光免疫センサーと非標識抗体、クエンチャーで標識されている抗体又は蛍光免疫センサー中の蛍光色素との間で蛍光共鳴エネルギー移動が生じる蛍光色素で標識されている抗体を組合せたキット、あるいは免疫センサーと標識抗体と標識したProtein Lを組み合わせたキットも包含する。
これらのキットは、抗体が特異的に結合する抗原を被検出物質とする検出キットとして用いることができる。
3.本発明の免疫蛍光センサーを用いた抗原の検出方法
本発明の蛍光免疫センサーを用いた抗原の検出の原理は以下のとおりである。
(i) 本発明の蛍光免疫センサーと標識した抗体を接触させ、結合させ、蛍光免疫センサーと標識又は非標識抗体の複合体を形成させる。この際、抗体として標識した抗体を用いずに、非標識抗体と標識したProtein Lを用い、蛍光免疫センサーと抗体と標識Protein Lの複合体を形成させてもよい。
(ii) 次いで、(i)で形成させた複合体と被験試料とを混合接触させる。この際、あらかじめ蛍光免疫センサーと抗体の複合体を形成させ、その後に被験試料と接触させてもよいし、被験試料と蛍光免疫センサーと標識抗体を同時に混合接触させてもよい。
被験試料中に被検出物質である抗原が存在する場合、蛍光免疫センサーと抗体を含む複合体と被験試料中の抗原が結合する。抗原抗体反応が起こることにより、抗体の立体構造が変化し、免疫蛍光センサーの蛍光物質と抗体のトリプトファン残基、免疫蛍光センサーの蛍光色素と標識抗体のクエンチャー、あるいは免疫蛍光色素の蛍光色素と標識抗体の蛍光色素が相互作用しなくなる。
(iii) 蛍光色素の発する蛍光を測定し、蛍光の消失、又はエネルギー受容体色素から発生する蛍光等の蛍光の変化を検出することにより、抗原の存在を検出することができる。
この際、予め蛍光免疫センサーと抗体の複合体と既知の量の被検出抗原が含まれる被験試料を混合接触させ、その際の蛍光の変化を測定し、検量線を作成しておくことが好ましい。あるいは、検出を行う際に、複数の既知の量の被検出抗原を含むコントロール被験試料を準備しておき、コントロール被験試料についても同時に測定を行い検量線を作成してもよい。測定された蛍光と検量線から被験試料中の被検出抗原の量を算出することができる。測定された蛍光強度と被験試料中の被検出抗原の量が相関関係にあり、蛍光強度を指標に、被検出抗原の量を測定することができる。
本発明の蛍光免疫センサーを用いた被検出抗原の検出は、以下の工程で行うことができる。
(a) 蛍光免疫センサーを抗体と液中で接触させ、蛍光免疫センサーと抗体の複合体を形成する工程、
(b) (a)で形成された複合体を被験試料中の抗原と接触させ、抗体と抗原を結合させる工程、
(c) 抗体と抗原の結合による蛍光の変化を測定する工程であって、抗体と抗原の結合により蛍光の消光が解除される工程。
本方法によれば、蛍光の消失の解除又は蛍光強度の増加により、抗原の存在を検出することができ、蛍光強度を測定することより抗原を定量することができる。
また、本発明の蛍光免疫センサーを用いた被検出抗原の検出は、以下の工程で行うことができる。
(a) 蛍光免疫センサーをクエンチャーで標識した抗体と液中で接触させ、蛍光免疫センサーと標識抗体の複合体を形成する工程、
(b) (a)で形成された複合体を被験試料中の抗原と接触させ、抗体と抗原を結合させる工程、
(c) 抗体と抗原の結合による蛍光の変化を測定する工程であって、抗体と抗原の結合により蛍光の消光が解除される工程。
本方法によれば、蛍光の消失の解除又は蛍光強度の増加により、抗原の存在を検出することができ、蛍光強度を測定することより抗原を定量することができる。
さらに、本発明の蛍光免疫センサーを用いた被検出抗原の検出は、以下の工程で行うことができる。
(a) 蛍光免疫センサーを蛍光色素で標識した抗体と液中で接触させ、蛍光免疫センサーと標識抗体の複合体を形成する工程であって、蛍光免疫センサーの蛍光色素と標識抗体の蛍光色素の組合せがFRETを生じうるエネルギー供与体色素及びエネルギー受容体色素の組合せである工程、
(b) (a)で形成された複合体を被験試料中の抗原と接触させ、抗体と抗原を結合させる工程、
(c) 抗体と抗原の結合による蛍光の変化を測定する工程であって、抗体と抗原の結合によりエネルギー受容体色素からの蛍光が減少する工程。
本方法によれば、エネルギー受容体色素からの蛍光の消失又は蛍光強度の減少により、抗原の存在を検出することができ、蛍光強度を測定することより抗原を定量することができる。
本発明の蛍光免疫センサーを用いた抗原の検出方法における蛍光の測定には、通常、蛍光検出に用いる光源や測定装置を用いることができる。光源としては励起光波長を照射できるものであればよく、具体的には水銀ランプ、キセノンランプ、LED(発光ダイオード)、レーザー光等が挙げられる。この際、適当な蛍光フィルターを用いて特定の波長の励起光を得ることができる。蛍光測定装置としては、例えば、励起光の光源及びその照射システム、蛍光画像取得システム等を備えた蛍光顕微鏡等を利用することができ、例えば、MF20/FluoroPoint-Light(オリンパス社製)やFMBIO-III(日立ソフトウェアエンジニアリング社製)等が挙げられる。また、光源、照射システム、測定システムを備えた小型で持ち運び可能な蛍光検出装置を用いてもよい。このような小型の装置を用いることにより、被験試料を採取して実験室に運んで測定することなく、採取現場で抗原を検出することが可能になる。なお蛍光の検出は、蛍光スペクトルの検出であっても、特定の波長の蛍光強度の検出であってもよい。
また、本発明の蛍光免疫センサーを用いた抗原の検出方法において、照射する励起光及び、測定及び/又は検出する蛍光の波長は、使用する蛍光色素の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば蛍光色素にCR110を用いた場合は励起光波長480nmと蛍光波長530nmを用い、TAMRAを用いた場合は励起光波長530nmと蛍光波長580nmを用い、ATTO655を用いた場合は励起光波長630nmと蛍光波長680nmを用いればよい。また、2種類の異なる蛍光色素を用いる場合も、抗原濃度を測定及び/又は抗原を検出することができる、励起光波長及び蛍光波長の組み合わせを適宜選択して使用すればよい。
本発明の方法において、測定対象となる被検出物質はイムノアッセイ、すなわち抗原抗体反応を利用したアッセイで測定し得る抗原又は抗体である。抗原としては抗体を作製し得るものなら如何なる抗原でもよく、例えば、タンパク質、多糖類、脂質、糖脂質等が挙げられる。これらの物質を含む原生動物、真菌、細菌、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、ウイルス、動物組織等も検出し得る。また、麻薬、爆薬、農薬、香料、公害物質等の低分子化合物を含む化学物質も測定対象となり得る。このような物質として、例えば、アンフェタミン、メタンフェタミン、モルヒネ、ヘロイン、コデインなどの覚せい剤や麻薬類、アフラトキシン、ステリグマトシスチン、ネオソラニオール、ニバレノール、フモニシン、オクラトキシン、エンドファイト産生毒素などのカビ毒、テストステロンやエストラジオールなどの性ホルモン、クレンブテロールやラクトパミンなどの飼料に不正に用いられる添加物、PCB、ゴシポール、ヒスタミン、ベンツピレン、メラミン、アクリルアミド、ダイオキシンなどの有害物質、アセタミプリド、イミダクロプリド、クロルフェナピル、マラチオン、カルバリル、クロチアニジン、トリフルミゾール、クロロタロニル、スピノサド、ランネート、メタミドホス、クロルピリホスなどの残留農薬、ビスフェノールAなどの環境モルモンなどが挙げることができる。
サンプルも限定されず、血液、血清、血漿、尿、唾液、髄液等の生体由来体液試料、培養上清、細胞抽出液、菌体抽出液、廃水や、アレルゲン等の動物組織由来物質、麻薬等が付着している可能性がある物質を紙等で拭った試料等が挙げられる。
本発明の検出は液系で行うので、上記試料は適宜生理食塩水や緩衝液に懸濁、溶解又は液浸させて検出すればよい。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 無細胞系を用いた抗体結合蛍光プローブの構築及び合成、並びに抗体との結合能の検証
従来の抗原依存的に蛍光強度が増加する蛍光標識抗体Quenchbody(WO2011/061944号公報)には構築に時間がかかるという問題点があり、本実施例では抗体結合タンパク質に基づく蛍光プローブを用いることによりこの問題の解決を試みた。このために、無細胞タンパク質合成系を用いた抗体結合蛍光プローブの作製を試みた。具体的には、そのN末近傍に蛍光色素(TAMRA)を導入した、Protein G (B1 domain, PG-B1)、及びProtein A (D domain, PA-D)とPG-B1を2種類のリンカーを介して結合させた計3種の蛍光プローブを作製した。PA-DとPG-B1を持つプローブでは、これらの間に(G4S)3及び(DDAKK)4という2種のリンカー配列を挿入した。(G4S)3リンカーは4つのグリシンと1つのセリンのアミノ酸配列により構成される1ユニットの3回繰り返しからなる、側鎖が少なく柔軟性の高いリンカーであり、(DDAKK)4リンカーはより直線的なα-helix構造をとると期待されるリンカーである。PA-Dはある種(VH3)のヒト抗体のVH部位と(J L Hillson, N S Karr, I R Oppliger, M Mannik, and E H Sasso, J. Exp. Med. 178(1), 331-336, 1993;M. Graille et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 97(10) 5399-5404, 2000.)、PG-B1は多くのIgG抗体のCH1部位と結合する(J P Derrick, and D B Wigley, J. Mol. Biol. 243(5), 906-918, 1994.)ため、適当な距離をとってタンデムに配置することにより結合能が相乗的に高まると期待される。そこで、計3種の蛍光プローブの無細胞発現系を構築し、既述の非天然アミノ酸導入法によりTAMRA色素を導入したプローブを合成し、これらと抗体との結合能を検証した。
I. 抗体結合蛍光プローブの構築及び合成
1. 蛍光プローブA、B及びCのコンストラクトの構築
Protein AのDドメイン、及びProtein GのB1ドメインの遺伝子に適宜リンカー配列を介した以下の三種類の蛍光プローブのコンストラクトを構築した。図3に蛍光プローブA、B及びCの配列構造を示す。なお、以下配列中ではPA-DをPA、PG-B1をPGと表記する。
A ProX-PG-His6
B ProX-PA-(G4S)3-PG-His6
C ProX-PA-(DDAKK)4-PG-His6
コンストラクトの構築には、以下のプライマーを用いた。
ProX-PGB1back : 5’- TAGTCTAATGAGACCGCCCGCGACTTACAAATTAATC-3’(配列番号9)
His-PGB1for : 5’-TGATGATGAGAACCCCCCCCTTCCAGTAACTGTAAAGGTC-3’(配列番号10)
ProX-PA: 5’-TAGTCTAATGAGACCGCGCAACAAAATAACTTC-3’ (配列番号11)
PA-GS3 : 5’-GCTGCCACCTCCGCCTGAACCGCCTCCACCTGCTTGAGATTCGTTTAAT-3’(配列番号12)
PA-DDAKK4 : 5’-CGCGTCGTCCTTCTTGGCATCATCTTTTTTTTAGCATCATCTGCTTGAGATTCGTTTAATTT-3’(配列番号13)
GS3-PG :5’-GGCGGAGGTGGCAGCGGCGGTGGCGGGTCGGCCGCGACTTACAAATTAATCCT-3’(配列番号14)
DDAKK4-PG : 5’-GCCAAGAAGGACGACGCGAAAAAAGATGATGCTAAAAAAGCCGCGACTTACAAATTAATCCT-3’(配列番号15)
PGNcoBack : 5’-TCGCGCCATGGCGACTTACAAATTAATCCTTAAT-3’(配列番号16)
ProxNcofor : 5’-GACGTCCATGGTCTCATTAGACTAGTTTAC-3’(配列番号17)
実験に使用した大腸菌は以下の通りである。
XL10-Gold (Kanr): Tetr, Δ(mcrA)183, TYKLILNGKTLKGETTTEAVDAATAEKVFKQYANDNGVDGEWTYDDATKTFTVTE (mcrCB-hsdSMR-mrr)173, endA1, supE44, thi-1, recA1, gyrA96, relA1, lac, Hte, [F’ proAB, lacIqZΔM15, Tn10 (Tetr), Tn5 (Kanr), Amy]
JM109 : recA1, endA1, gyrA96, thi-1, hsdR17(rK- mK+), e14-(mcrA-), supE44, relA1, Δ (lac-proAB)/F'〔traD36, proAB+, lac Iq, lacZΔM15〕
大腸菌の培養には適切な抗生物質を含むLB培地またはSOC培地を用いた。形質転換は、塩化カルシウム法、またはエレクトロポレーション法で行った。プラスミド精製は、PureYieldTM Plasmid Miniprep System (Promega)を用いて行った。
1−1. 蛍光プローブB及びCのコンストラクトの構築
それぞれProtein G、Protein Aの一部を含む鋳型DNAであるPG-VL (C Suzuki, H Ueda, W Mahoney and T Nagamune, Anal. Biochem. 286(2), 238-246, 2000.)及びPA LcLuc(Y Maeda et al., Anal. Biochem. 249, 147-152, 1997.)を上記のプライマーを適宜用い、KOD FX polymerase (Takara-Bio)によりPCR反応を行った。この産物を1.2%アガロースゲルにより電気泳動し、目的のバンドを切り出し、Wizard SV gel extraction kit (Promega)により精製を行った。これにより、以下のDNA断片を合成した。
1 ProX-PA-(G4S)3
2 ProX-PA-(DDAKK)4
3 (G4S)3-PG-His6
4 (DDAKK)4-PG-His6
5 ProX-PG- His6
次に、外側の2種類のプライマーと2種類のtemplateを用いたOverlap Extension PCRを行うことにより、合成された上記のDNA断片の1と3より蛍光プローブBのDNA断片を合成し、上記のDNA断片の2と4より蛍光プローブCのDNA断片を合成した。そして、これらを制限酵素NcoIとSmaIで切断したpROX-FL92.1amber (プロテインエクスプレス)と混合しIn-fusion反応させた後、JM109又はXL-10 Goldを形質転換し、LBAプレート培地にて37℃で一晩培養した。翌日、生えたコロニーから数クローンを選んで4 ml LBA培地にて培養後、プラスミドの少量抽出を行い、その塩基配列を調べた。また、同時に濃度測定も行い、蛍光プローブ合成の際のDNA量の指標とした。合成した蛍光プローブの濃度を測定する際は、既知濃度のTAMRA色素を検量線として用いて蛍光プレートリーダー(TECAN社 GEnNios Pro)を用いて535 nmで励起し、590 nmで測定を行った。
なお、In-Fusion 反応とは、ベクターとインサートの末端に設定する相同な配列(15塩基)間を融合させる、一般的な相同組換えとは異なる特徴的な反応である。プライマーの設計によりベクターの末端とインサートの末端15塩基を相同配列にすれば、制限酵素処理をすることなくインサートをベクターに組み込むことができる。In-Fusion Advantage PCR Cloning KitおよびIn-Fusion HD Cloning Kit (Clontech)をそれぞれ以下のプロトコルで使用した。
In-Fusion Advantage PCR Cloning Kit
PCR product (insert)・・・100 ng
Linear Vector ・・・100 ng
5× In-Fusion Reaction Buffer ・・・2μl
In-Fusion Enzyme・・・1μl
Nuclease Free Water:up to 10 μl
この混合液を37℃で15分放置した後、直ちに温度を50℃に変え15分放置した。
In-Fusion HD PCR Cloning Kit
PCR product (insert)・・・10-100 ng
Linear vector ・・・50-100 ng
5× In-Fusion HD Enzyme Premix ・・・2μl
Nuclease-free Water:up to 10 μl
この混合液を50℃で15分放置した。反応はThermal Cyclerで行った。
1〜5のDNA断片を合成するPCRの電気泳動、これらを用いたOverlap PCR、pROX-FL92amberとのin-fusion反応、そして大腸菌への形質転換後のプラスミドの塩基配列の確認により、目的の蛍光プローブB及びCのプラスミドDNAの作製が行われたことが確認された。
1−2. 蛍光プローブAの構築
蛍光プローブB及びCがpROX vectorに組み込まれたプラスミドからProtein A、及びリンカー配列を取り除くことにより蛍光プローブAのプラスミドを作製した。まず、蛍光プローブB及びCのプラスミドをPGNcoBack、ProxNcoforのプライマーを用いてKOD FX polymerase によりPCRを行い、不要な配列を取り除きかつNcoI切断部位を両末端に導入した。この産物を1.2%アガロースゲルにより電気泳動し、精製を行った。増幅したバンドを制限酵素NcoIにより37℃、2時間処理した。これを精製後、Ligation Mix (Nippon Gene)を用いてセルフライゲーションを行った。XL-10 Goldセルへの形質転換後、LBAプレート培地にて37℃で一晩培養した。翌日、生えたコロニーから数クローンを選んで4ml LBA培地にて培養後、プラスミドの少量抽出を行い、その塩基配列を調べた。また、同時に濃度測定も行い、蛍光プローブ合成の際のDNA量の指標とした。
1−1で合成されたプラスミドを用いたPCR、制限酵素処理、ライゲーション、大腸菌への形質転換後のプラスミドの塩基配列の確認により、目的の蛍光プローブAのプラスミドの作製が行われたことが確認された。
1−3. A、B及びCの蛍光プローブタンパク質の合成
蛍光プローブA、B及びCのプラスミドを用い、無細胞合成系のRYTS kit(プロテインエクスプレス)を用い、下記の溶液を混合して合成し、蛍光色素としてTAMRAを導入したプローブを得た。
(1) E. coli Lysate:16.5μl
(2) 2×Reaction Mix:25μl
(3) Methionine:0.5μl
(4) Enzyme Mix:2.5μl
(5) TAMRA−tRNA:5μl
(6) Template plasmid:160 ng
(7) Nuclease-free Water:up to 50μl
なお、(5)のTAMRA−tRNAはTAMRA-tRNAを、1チューブにつき30μlのbufferで溶解したものである。この混合液をピペッティングにて混ぜた後、2時間25℃〜30℃で反応させた。
その後、His SpinTrapTMカラムを用いた固定化金属アフィニティ精製により精製を行い、Amicon Ultra- 0.5 deviceで0.05% Tween20を含むPBS (10 mM リン酸ナトリウム,147 mM NaCl, 2.7 mM KCl, pH 7.2、以下PBSTと呼ぶ)にbuffer交換した後、SDS-PAGEにてタンパク質の発現を確認し、GENios Proを用いてTAMRAの濃度の検量線を作成、合成された蛍光プローブの濃度を計算した。
SDS-PAGEのUV照射観察結果を図4に示した。これより、それぞれのプローブタンパク質が合成されていることが確認できた。また、TAMRAを用いて検量線を引いた結果を図5に示す。
II. 抗体結合蛍光プローブの結合能の検証
蛍光プローブA、B及びCとIgG抗体の結合をELISAで測定した。
以下のように合成した各プローブと、IgGの結合能を調べた。
ELISAプレートに希釈されたマウス抗ドウモイ酸モノクローナル抗体(subclass IgG1)を固定化、20% Immunoblockを含むPBS (20% IPBS)でブロッキングした後、 PBSTで20倍希釈した各蛍光プローブを加え一晩4℃で静置、次の日に5% Immunoblockを含むPBS(以下5% IPBSと呼ぶ)で2000倍希釈したAnti-His HRPを加え、3時間静置後、酵素反応溶液を加え5分反応させた後反応を停止させ、吸光度を測定した。
ELISA実験の結果のグラフを図6に示した。これより、合成した各々の蛍光プローブにおいて、マウスIgG1抗体との結合能が認められた。
実施例2 改良蛍光プローブの構築及び合成、並びに抗体との結合能の検証
実施例1で、合成した蛍光プローブとIgG抗体の結合能が示された。本実施例では、実施例1で作製した蛍光プローブB及びCのコンストラクトを応用し、さらに蛍光色素が導入されるProX tagとProtein Aの配列の間にリンカーを介した、色素が抗体と立体構造的により相互作用しうるプローブを作製した。また、このリンカー配列は複数のものを検討し、異なる長さを用いたGSリンカー及び、タンパク質中で左巻きヘリックスを形成するプロリンが連続したプロリンリンカーを用いた。
また、実施例1においてはIgG抗体のみと結合能を調べたが、本実施例ではQuenchbody (WO2011/061944号公報)としての応答性が高いとされる抗BGP Fab抗体断片を合成し、新たに作製し合成したプローブとの結合能を調べた。
I. 改良蛍光プローブの構築及び合成
実施例1で作製した蛍光プローブB及びCのプローブのプラスミドDNAを鋳型とし、ProXtagとPA-DまたはPG-B1の間にリンカー配列を挿入した以下のようなコンストラクトを構築した(図7)。
D ProX-(G4S)2-PA-(G4S)3-PG-His6
E ProX-P8- PA-(G4S)3-PG-His6
F ProX-(G4S)2-PA-(DDAKK)4-PG-His6
G ProX-P8- PA-(DDAKK)4-PG-His6
H ProX-(G4S)5-PA-(G4S)3-PG-His6
I ProX-(G4S)5- PA-(DDAKK)4-PG-His6
コンストラクトの構築には、以下のプライマーを用いた。
GSx2PAback : 5’-GGGCGGCGGCAGCGGTGGAGGTTCAACCGCGCAACAAAATAACTTC-3’(配列番号18)
GS3x1PXfor : 5’-CGCTGCCGCCGCCCTCATTAGACTAGTTTACTTC-3’(配列番号19)
Px8PAback : 5’-GCCGCCGCCGCCGCCTCCACCTCCAACCGCGCAACAAAATAACTTC-3’(配列番号20)
Px4ProXfor: 5’-GCGGCGGCGGCGGCTCATTAGACTAGTTTACTTC-3’(配列番号21)
G3Sx3PAback : 5’-GGGCGGCGGCAGCGGTGGAGGTTCAGGAGGTGGATCAACCGCGCAACAAAATAACTTC-3’(配列番号22)
G3Sx3PXfor: 5’-CGCTGCCGCCGCCCGAACCGCCTCCGCTACCACCACCCTCATTAGACTAGTTTACTTC-3’(配列番号23)
まず、蛍光プローブB及びCプラスミドDNAを鋳型とし、適宜上記のプライマーを用いKOD FX polymeraseによりPCR反応を行った。この産物を1.2%アガロースゲルにより電気泳動し、目的のバンドを切り出し精製を行った。これを制限酵素DpnIにより37℃、1時間処理することにより、溶液中に残ったメチル化鋳型DNAを切断した。制限酵素処理されたDNAでXL-10Goldを形質転換し、LBAプレート培地にて37℃で一晩培養した。PCRで用いたプライマーセットは、あらかじめ末端配列同士が相補的になるよう設計されているので、線状DNAは末端がアニールし環状になった状態で形質転換され、菌体内で完全な二本鎖プラスミドに修復される。翌日、生えたコロニーから数クローンを選んで4ml LBA培地にて培養後、プラスミド少量抽出を行い、その塩基配列を調べた。また、同時に濃度測定も行い、蛍光プローブ合成の際のDNA量の指標とした。
実施例1と同様の方法でプローブタンパク質C、F及びIの合成を行った。
蛍光プローブB及びCのプラスミドDNAを鋳型としたPCR反応によりpROX vectorに挿入し大腸菌に形質転換したプラスミドの塩基配列の確認の結果、目的のD〜IのプラスミドDNAの構築が確認された。
合成した蛍光プローブD〜IのSDS-PAGEの結果を図8に示した。これより、それぞれのプローブタンパク質が合成されていることが確認できた。また、TAMRAを用いて検量線を引いた結果を図9に示す。
II. 抗オステオカルシン(BGP)Fab断片の調製、及び抗原結合能の確認
(1) 抗BGP Fab断片の調製
抗オステオカルシン(Bone Gla protein, BGP)抗体であるKTM219のFab抗体断片調製は、J H Dong, M Ihara, and H Ueda, Anal. Biochem. 386, 36-44, 2009.に従い行った。
pDong1(KTM219)を用いてタンパク質を発現させ、Talonカラムによる精製後SDS-PAGEを行った結果を図10に示す。これより、目的のFab断片に相当する分子量(30 kd)のタンパク質が大腸菌内のペリプラズムにおいて発現し、これを得られたことを確認した。
(2) 抗BGP Fab抗体の抗原結合能確認
実施例1のELISA測定方法により、合成されたFab抗体とこれに対するBGP抗原の結合能を調べた。
ELISAプレートにStreptavidin (10μg/ml)を固定化、ブロッキング後、5% IPBSで4000倍希釈されたビオチン化BGP抗原を加え1時間静置した。その後5% IPBSで希釈された、(1)で合成したFab抗体(2μg/ml)を加え、1時間静置後、5% IPBSで8000倍希釈されたα-His HRP及び5% IPBSで3000倍希釈されたα-FLAG HRPを加え、一時間静置した。その後酵素反応溶液を加え5分間反応させた後反応を停止させ、吸光度を測定した。
結果を図9に示す。合成したFab断片中に存在するFLAGタグ(図11A)及びHisタグ(図11B)に対する二次抗体で検出されているので、これより合成されたFabは抗原BGPペプチドを認識し結合能を有することが分かった。
III. 蛍光プローブC、F及びIとIgG及びFab断片との結合能の確認
実施例1のELISA測定方法に従い、以下のように合成したプローブC、F及びIと、ヒトIgG及び合成した抗BGP Fab抗体との結合能を調べた。
(1)蛍光プローブとヒトIgG及びFabとの結合ELISA (抗体固定化)
ELISAプレートにPBSで希釈したhuman IgG (2μg/ml)及び抗BGP Fab (3.3μg/ml)を4℃で一晩おいて固定化し、20% IPBSでブロッキングした後、蛍光プローブをwellあたり1.5μl,PBSTで希釈して加え一晩4℃で静置した。次に5% IPBSで希釈されたウサギ抗TAMRA抗体 (2.5μg/ml)を加え、1時間静置後、5% IPBSで6000倍希釈したHRP標識抗ウサギIgGを加え、2時間静置後、酵素反応溶液を加え反応させた後反応を停止させ、吸光度を測定した。
ELISAの結果のグラフを図12に示す。いずれのプローブもヒトIgG及び抗BGP Fab(マウスヒトキメラ抗体)との結合能を持つことがわかった。なお、酵素反応時間は7分である。
(2)蛍光プローブとFabの結合ELISA (抗原固定化)
ELISAプレートにStreptavidin (10μg/ml)をPBS中4℃で一晩置いて固定化し、20% IPBSでブロッキング後、5% IPBSで4000倍希釈したビオチン化BGP-C12ペプチド抗原を加え1時間静置した。その後PBST中抗BGP Fab (3.3μg/ml)を加え、1時間静置し、蛍光プローブを各wellにつき1.5μl入るようPBSTで希釈し加え一晩4℃で静置した。次に5%IPBSで希釈したウサギ抗TAMRA抗体(2.5μg/ml)を加え、1時間静置後、5% IPBSで6000倍希釈したHRP標識抗ウサギIgGを加え、2時間静置後、酵素反応溶液を加えた後反応を停止させ、吸光度を測定した。
結果のグラフを図13に示した。これより、いずれのプローブも抗BGP Fabと抗原結合状態で結合できること、うち蛍光プローブIが一番高い結合能を持つことが示唆された。
実施例3 大腸菌を用いた蛍光プローブの合成、各種抗体との結合、及び蛍光測定
実施例1及び2においては蛍光プローブの合成はRYTS kitを用いて無細胞系で行っていた。この方法には、簡便な操作で翻訳時に蛍光ラベルが出来るというメリットがある一方、得られるタンパク質量が少なく、可能な解析とその回数が限られるという問題があった。そこで、発現ベクターを大腸菌内大量発現系に適したもの(pET)に変更し、大腸菌の菌体内で非標識プローブを発現させ、これに化学修飾により蛍光色素ラベルする方法を試みた。なおこの際、あらかじめpROXにおいて非天然アミノ酸導入部位であったアンバーコドンをシステイン(Cys)をコードするコドンTGCに変えておいた。その後、発現・精製した非標識プローブと各種IgGとその断片との相互作用の速度論的解析を、SPRバイオセンサーを用いて行った。
また、蛍光色素導入部位のシステインに西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)を標識することにより、ELISAによる各種抗体との結合能評価を行った。
さらに、Cys部位に蛍光色素を化学修飾し、この蛍光プローブ溶液へのFab抗体の添加、それに続く抗原の添加による蛍光強度の変化を測定した。
本実施例では、以下の大腸菌を用いた。
BL21(DE3)pLysS: E. coli B F- dcm ompT hsdS(rB- mB-) gal λ (DE3) [pLysS Camr]a
また、プライマーは以下のものを用いた。
ProCXback: 5’- cgaaGTAAACTGCTCTAATGAG -3’(配列番号24)
pROX2FabQ-Bamfor: 5’- CGTCGTCCTTGTAGTCGGATCCACTAGTAACGGC -3’(配列番号25)
1.蛍光プローブA〜IのpROXからpETベクターへの入れ替え
以下の方法で蛍光プローブA〜IのプラスミドのOpen Reading FrameをpROXからpETベクターに入れ替え、ならびにProXタグ中のアンバーコドンのCysコドンへの入れ替えを行った。
それぞれのプラスミドベクターを、ProCXback及びpROX2FabQ-BamforをプライマーとしてPCR反応を行った。この産物を1.2%アガロースゲルにより電気泳動し、目的のバンドを切り出し、精製を行った。また、pET32由来のProX(Cys)タグ付きFab断片発現ベクターpET FabQ Hd++をAgeI及びBamHIで制限酵素処理してFabをコードする断片を切除し、長い方のバンドを回収・精製を行った。各PCR断片とベクターとをIn-fusion反応させた後、BL21(DE3)pLysSを形質転換し、LBAC (34μg/ml クロラムフェニコールを含むLBA agar)プレートにて37℃で一晩培養した。得られたコロニーから数クローンを選んで4 ml LBAC培地にて培養後、プラスミドの少量抽出を行い、塩基配列が目的のものであることを確認した。なお、この操作により得られるタンパク質のORFは、ProXタグ中のコドン以外はこれまでと同一である。
2.非標識プローブタンパク質の調製
組み換えが成功した蛍光プローブC、F及びIのコロニーから各1クローンを選んで4 ml LBACにて一晩培養した後、この培地を1 ml取り、本培養用の0.1%グルコースを含む100 ml LBACに入れ、incubatorで200rpm、37℃で振とう培養をOD600が約0.5に達するまで行い、これに終濃度が1mMになるようイソプロピルチオガラクトピラノシドIPTGを加え、37℃で4時間振とう培養を行った。その後培養液を遠心管に移し、6000 rpm、10 min、4℃で遠心した後、沈殿を20 mlのTalon extraction bufferで懸濁し、超音波破砕機を用い可溶性タンパク質を調製した。その後これを11000 rpm、20 min、4℃で遠心し、抽出液を得た。実施例1と同様の方法によりTalonカラムによりタンパク質の精製を行い、SDS-PAGEにより目的タンパク質の量と純度を確認した。
3.SPRバイオセンサーを用いたプローブと各種抗体の結合解析
Biacore 2000 (GE Healthcare)を用いた速度論解析を以下のように行った。リガンドとしてPA (Merck Millipore 539202)、PG’(Fluka 08062)(C R Goward, J P Murphy, T Atkinson, and D A Barstow, Biochem. J. 267, 171-177, 1990)及び非標識プローブCを10〜50μg/mlの濃度で、10 mM NaOAc溶液(pH 4.5、ただしPGはpH 3.0)に希釈した。これらをセンサーチップCM5にアミンカップリング法(ただし蛍光プローブCはProXタグ中のCysを用いたチオールカップリング法)により1000-5000 RU固定化した。アナライトとしては、各種IgG及びFabをHBS-EP溶液に12.5 nM〜200 nMの濃度に希釈し、これをセンサーチップに20μl/minの速度で順次流して各リガンドとの相互作用を測定した。その後、速度論的解析をBIAevaluation software 4.1を用いてLangmuirモデル又は物質移動律速を考慮したLangmuirモデルに基づくGlobal fitting法により行った。
図14に、リガンドとして非標識プローブC(PAxPG)を、アナライトとしてファージライブラリ由来ヒト抗ビメンチンFab(Morphosys AG, Martinsried, Germany)を用いたセンサーグラムを示す。また図15にここからLangmuirモデルを用いて計算された結合定数KaをPA, PG’と比較した結果を示す。これより、PAxPGは二個以上の結合ドメインを持つPA, PG’と比較しても有意に高い結合定数でこのFab断片と結合することがわかった。すなわち、PAxPGの各ドメインがFab断片のVHとCH1に結合することで,より強く結合したことが示唆された(Avidity効果)。なお,図のエラーバーは結合速度と解離速度それぞれの標準誤差SEから導かれたSEを示す。
次に、図16に、リガンドとしてPAxPGを、アナライトとしてマウスIgG1 (9E10, OEM Concepts, Toms River, NJ)を用いたセンサーグラムを示す。また図17に、これを含む各センサーグラムから物質移動律速を考慮したLangmuirモデルを用いて計算したKaをPA, PG’と比較した結果を示す。これより、PAxPGは特によく各種検出実験に用いられるマウスIgG1及びIgG2aに対してPA, PG’より有意に強く結合することが示された。また、IgG3に対してもIgG1, IgG2aに対してとほぼ同等の強い結合能を持つことが示された。
各種マウスIgGに対しPAxPGがPA, PG’より強い結合能を示す理由としては,マウスFabにはPAは結合しないことが知られているため、図18のようにFc部分の二つの重鎖にPAxPGの二つの結合ドメインが協同的に結合し、avidity効果が得られているためと考えられる。
4.HRP標識プローブを用いたELISA
プローブCのHRP標識をPeroxidase Labeling Kit (Dojindo)の指示に従い行った。得られたHRP標識プローブを用いて各種抗体との結合を次のようにELISAで測定した。
ELISAプレートにPBSで希釈した各種マウスIgG (1μg/ml)を4℃で一晩吸着固定化し、ブロッキング後、5% IPBSで1000倍希釈したHRP標識プローブを加え1時間静置した。その後酵素反応溶液を加え5から30分間反応させた後反応を停止し、吸光度を測定した。
この結果、図19に示すように作製したHRP標識プローブはpolyclonalなマウスIgG (mIgG)及びIgG1, IgG2aを検出できることが分かった。特にIgG1に対しては市販HRP標識のプロテインA(PA-HRP)より有意に強く検出することができた。なお図のエラーバーは3回の測定の標準偏差SDを示す。
5.TAMRA蛍光標識プローブを用いた蛍光測定
非標識プローブF及びI各50μlとTAMRA-C5-maleimide (Biotium)を、モル比がおおよそ3:1になるように混合し、2時間室温、遮光した状態で静置した。その後、スピンカラム(cut-off分子量 3 K)で限外濾過を複数回行い、未反応のTAMRA-maleimideを取り除いた。得られた溶液をSDS-PAGEした後、緑色LED光を照射することでプローブがTAMRAで修飾されたことを確認した。
このようにして得られた標識プローブF(終濃度100 nM,SDS-PAGEにより標準蛋白質として各濃度のウシ血清アルブミン(BSA)とバンド密度を比較して定量)を250μlの1mg/mL BSAを含むPBS+0.1% Tween20 (PBST0.1)で希釈し、日立F-2500蛍光分光光度計で530 nmで励起し580 nmの蛍光強度を測定した結果が図20である。測定開始30分後に、終濃度100 nMの抗ビメンチンFab断片(12.5μl)を加えたところ、その後約1時間にわたり蛍光強度の減少が観察された。これに対し、Fabの代わりにPBST0.1を加えた場合には明らかな減少は見られなかった。なお全ての蛍光強度は,その溶液量変化に伴う減少については補正して示している。
同様の実験をより長い色素-PA間リンカーを持つ標識プローブIについて行った結果が図21である。これをもとに、Fab断片投入後の蛍光強度変化をFab断片投入時の蛍光強度を1として規格化して表したところ、Fab断片を投入したサンプルにおいて、投入しなかったサンプルと比べて有意な蛍光強度減少(最大約9%)が観察された(図22)。なお図のエラーバーは3回の測定の標準偏差SDを示す。
次に、図21−22で用いたサンプル2種類に対し、更に抗原ビメンチン(終濃度を示す)又はPBST0.1各13.6μlを段階的に加え、蛍光強度変化を測定した結果が図23である。さらにこれを抗原投入時の蛍光強度で規格化し、抗原投入の有無での比として表した(図24)ところ、標識プローブIとFabの混合物(複合体)への抗原添加により、蛍光強度が増加したことがわかる。すなわち、本標識プローブIが、特に結合能の高いヒト型Fabと結合してQ−bodyとしての性質を示しうる事が明らかとなった。
本発明の抗体結合タンパク質の融合タンパク質であるPAxPGは天然PAやPGより低分子量でありながらより高い抗原結合能と幅広いサブクラスのIgGに適用可能であることから、低コストで高性能な抗体精製カラムへの応用が期待される。またPAxPGを蛍光色素や酵素で標識することで蛍光免疫センサーとして簡便な検出試薬としての応用も可能である。さらに各種のヒト型Fabを蛍光標識PAxPGと混ぜるだけでQuenchbody WO2011/061944号公報と同様に抗原の検出に用いることができる。
配列番号5〜8 合成
配列番号9〜25 プライマー

Claims (20)

  1. Protein A又はその抗体結合ドメインがペプチドリンカーを介してProtein G又はその抗体結合ドメインと融合している融合タンパク質。
  2. Protein Aの抗体結合ドメインがDドメインであり、Protein Gの抗体結合ドメインがB1ドメインである、請求項1記載の融合タンパク質。
  3. ペプチドリンカーが10〜20個のアミノ酸からなる、請求項1又は2に記載の融合タンパク質。
  4. ペプチドリンカーが、グリシン(G)、セリン(S)、アラニン(A)、トレオニン(T)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、グルタミン酸(E)、ロイシン(L)及びプロリン(P)からなる群から選択されるアミノ酸からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  5. ペプチドリンカーが、(GS)3または(DDAKK)4で表されるアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  6. Protein A又はその抗体結合ドメインが抗体の重鎖VH領域に結合し、Protein G又はその抗体結合ドメインが抗体の重鎖CH1領域に結合する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  7. Fcに結合する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の融合タンパク質を抗体と接触させることを含む、抗体を精製する方法。
  9. 蛍光色素、消光色素、蛍光タンパク質又は酵素で標識されている、請求項1〜7に記載の融合タンパク質。
  10. 蛍光色素で標識されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の融合タンパク質からなる、抗体と結合し、該抗体が抗原と結合したときに蛍光が変化する、蛍光免疫センサー。
  11. 融合タンパク質のProtein A又はその抗体結合ドメインのN末端部が蛍光色素で標識されている、請求項10記載の蛍光免疫センサー。
  12. Protein A又はその抗体結合ドメインのN末端部にProX-tagが付加され、ProX-tag中のアミノ酸が蛍光色素で標識されている、請求項10又は11に記載の蛍光免疫センサー。
  13. 蛍光色素で標識されたProX-tag、Protein A又はその抗体結合ドメイン、ペプチドリンカー、Protein G又はその抗体結合ドメインが、この順序で融合された、請求項12記載の蛍光免疫センサー。
  14. 蛍光色素又は蛍光色素で標識されたアミノ酸を含むProX-tagとProtein Aの間にペプチドリンカーが介在している、請求項10〜13に記載の蛍光免疫センサー。
  15. 蛍光色素で標識されたProX-tag、第2のペプチドリンカー、Protein A又はその抗体結合ドメイン、第1のペプチドリンカー、Protein G又はその抗体結合ドメインが、この順序で融合された、請求項14記載の蛍光免疫センサー。
  16. 請求項10〜15のいずれか1項に記載の蛍光免疫センサーと、非標識抗体、クエンチャーで標識されている抗体又は蛍光免疫センサー中の蛍光色素との間で蛍光共鳴エネルギー移動が生じる蛍光色素で標識されている抗体とを含む、前記抗体が特異的に結合する抗原の検出キット。
  17. 抗原をその抗原に特異的な抗体を用いて検出する方法であって、
    (a) 請求項10〜15のいずれか1項に記載の蛍光免疫センサーを抗体と接触させ、蛍光免疫センサーと抗体の複合体を形成する工程、
    (b) (a)で形成された複合体を被験試料中の抗原と接触させ、抗体と抗原を結合させる工程、
    (c) 抗体と抗原の結合による蛍光の変化を測定する工程であって、抗体と抗原の結合により蛍光の消光が解除される工程、
    とを含む方法。
  18. 抗原をその抗原に特異的な抗体を用いて検出する方法であって、
    (a) 請求項10〜15のいずれか1項に記載の蛍光免疫センサーをクエンチャーで標識した抗体と液中で接触させ、蛍光免疫センサーと標識抗体の複合体を形成する工程、
    (b) (a)で形成された複合体を被験試料中の抗原と接触させ、抗体と抗原を結合させる工程、
    (c) 抗体と抗原の結合による蛍光の変化を測定する工程であって、抗体と抗原の結合により蛍光の消光が解除される工程、
    とを含む方法。
  19. 抗原をその抗原に特異的な抗体を用いて検出する方法であって、
    (a) 請求項10〜15のいずれか1項に記載の蛍光免疫センサーを蛍光色素で標識した抗体と液中で接触させ、蛍光免疫センサーと標識抗体の複合体を形成する工程であって、蛍光免疫センサーの蛍光色素と標識抗体の蛍光色素の組合せがFRETを生じうるエネルギー供与体色素及びエネルギー受容体色素の組合せである工程、
    (b) (a)で形成された複合体を被験試料中の抗原と接触させ、抗体と抗原を結合させる工程、
    (c) 抗体と抗原の結合による蛍光の変化を測定する工程であって、抗体と抗原の結合によりエネルギー受容体色素からの蛍光が減少する工程、
    とを含む方法。
  20. 抗体がFab抗体断片である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
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