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JP2014174468A - 円偏光層、円偏光層の積層体、メガネおよび3d画像鑑賞システム - Google Patents

円偏光層、円偏光層の積層体、メガネおよび3d画像鑑賞システム Download PDF

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JP2014174468A JP2013049369A JP2013049369A JP2014174468A JP 2014174468 A JP2014174468 A JP 2014174468A JP 2013049369 A JP2013049369 A JP 2013049369A JP 2013049369 A JP2013049369 A JP 2013049369A JP 2014174468 A JP2014174468 A JP 2014174468A
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Abstract

【課題】コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有し、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときに十分にクロストークを低減できる円偏光層を提供する。
【解決手段】コレステリック液晶相を固定化してなるコレステリック液晶層1と、コレステリック液晶層1と直接または等方性層を介して配置された位相差層11とを有し、下記式を満たす円偏光層21(Reは波長λmaxにおける前記位相差層の面内方向のレターデーション(単位:nm)を表し、λmaxは前記コレステリック液晶層の選択反射波長(単位:nm)を表し、nは0以上の整数を表す)である。(2.5/64)+n≦Re/λmax≦(6/64)+n
【選択図】図1

Description

本発明は、円偏光層、円偏光層の積層体、メガネおよび3D画像鑑賞システムに関する。より詳しくは、円偏光層、該円偏光層が2層以上積層された円偏光層の積層体、該円偏光層または該円偏光層の積層体を有するメガネおよび該メガネを有する3D画像鑑賞システムに関する。
3DTVや3D映画システムは、鑑賞者の左右の目にそれぞれ左目用、右目用の異なる画像を見せることによって、3D感を感じさせるシステムである。その表示方式としては、シャッターメガネ方式やレンチキュラーレンズ方式、パララックスバリア方式などさまざま知られているが、その一つに、円偏光方式がある。円偏光方式では、表示機が、左右それぞれの目用の画像を、左右異なる円偏光で出射する。そして鑑賞者は、左右それぞれの目用に左右異なる円偏光板が装着されているメガネをかけて、画像を鑑賞することで、左目は左目用の画像のみが入射し、右目には右目用の画像のみが入射される。
こうした3Dメガネの円偏光板として、直線偏光板にλ/4板を貼合した積層体を用いた円偏光板や、コレステリック液晶を用いた円偏光板が知られている。3Dメガネの円偏光板は、コレステリック液晶がその選択反射波長近傍のみにおいて一方の円偏光のみを反射し、かつ反対方向の円偏光を透過できる性質を利用したものであり、3Dメガネの円偏光板としてはコレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層のみを単層もしくは積層で用いた円偏光板が用いられていた(例えば特許文献1や2参照)。
KR20100133063号公報 特開平2−48634号公報 特開2010−221685号公報 特開2005−049586号公報 特開2003−279740号公報 特開2001−249225号公報 特開2009−223189号公報
このような状況のもと、3Dメガネの円偏光板としての性能を本発明者が試験した結果、直線偏光板にλ/4板を貼合した積層体を用いた円偏光板は、3D画像の鑑賞に良好な性能を示すものの、視野が暗いという欠点があることがわかった。本発明者が検討したところ、視野が暗いという欠点の原因は、従来の直線偏光板にλ/4板を貼合した積層体を用いた円偏光板は直線偏光板の吸収軸側だけでなく、透過軸側にも若干の光吸収性があるためであることが分かった。また、直線偏光板にλ/4板を貼合した積層体を用いた円偏光板は首傾斜時の色ずれの問題があることも知られている。
これに対し、本発明者がコレステリック液晶層のみを単層もしくは積層で用いた特許文献1や2に記載の円偏光板を試験したところ、コレステリック液晶を用いるためにメカニズム上、上記のような直線偏光板にλ/4板を貼合した積層体を用いた円偏光板に特有の視野が暗くなる原因がなく、直線偏光板にλ/4板を貼合した積層体を用いた円偏光板よりも視野が明るいという利点があることが分かった。また、直線偏光板にλ/4板を貼合した積層体を用いた円偏光板は首傾斜時の色ずれの問題も大幅に抑制することができる。しかし、本発明者がコレステリック液晶層のみを単層で用いた円偏光板を試験したところ、従来の直線偏光板にλ/4板を貼合した積層体を用いた円偏光板と比べるとクロストーク特性が劣るという従来知られていなかった新規な課題があることが明らかになった。ここで、クロストーク特性とは、システムの不完全性により、観察者の目に反対の目用の画像が混入してしまう性質のことである。なお、3D画像鑑賞システムでは、左目には左目用の画像のみが入射し、右目には右目用の画像のみが入射することがより立体感を得るために理想的である。
ここで、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を円偏光板として用いる場合、3D画像鑑賞システム以外の分野では、λ/4板などの位相差層とコレステリック液晶層を積層して用いた例が知られている(特許文献3〜7参照)。特許文献3には、コレステリック液晶層の選択反射波長の{(2n+1)/2}倍程度の位相差層をコレステリック液晶層に積層して用いることで、大面積でも均一に所望の波長のみを効率的に反射できる電磁波反射部材を提供できることが記載されている。特許文献4には、正面位相差がほぼゼロで、法線方向に対して30°以上傾けて入射した入射光に対して、コレステリック液晶層の選択反射波長の1/8倍以上の位相差層をコレステリック液晶層に積層して用いることで、法線方向に対し大きな角度で入射した光の透過を抑えることができ、正面輝度の向上と色付きを低減させることができる光学素子を提供できることが記載されている。特許文献5には、90〜200nmの面内方向のレターデーションRe、すなわちコレステリック液晶層の選択反射波長に対してある程度大きい割合の位相差を有する位相差層をコレステリック液晶層に積層して用いることで、正面方向だけでなく斜めから見た場合も良好な視認性を有する光学フィルムを提供できることが記載されている。特許文献6には、1/4波長位相差層をコレステリック液晶層に積層して用いることで、光学特性および耐熱特性に優れた偏光分離素子を提供できることが記載されている。特許文献7には、400〜700nmの透過光の略1/4波長の正面方向のレターデーションReを有する位相差層をコレステリック液晶層に積層して用いることで、高温環境下に長期間曝されても透過スペクトルのシフトを起こしにくい輝度向上フィルムを提供できることが記載されている。
しかしながら、特許文献3〜7には位相差層をコレステリック液晶層に積層して用いた円偏光板を3D画像鑑賞システムのメガネの円偏光板として用いることについて、開示も示唆もなかった。
本発明が解決しようとする課題は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有し、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときに十分にクロストークを低減できる円偏光層を提供することである。
本発明者らは、前記目的を解決すべく、鋭意検討した結果、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層が完全な円偏光ではなく、わずかに楕円偏光した光を反射することに着目し、λ/4板などと比較して非常に微かな位相差を特定の範囲で有する位相差層を積層することによって、コレステリック液晶層の選択反射波長における円偏光透過率を小さくでき、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときに十分にクロストークを低減できる円偏光層を提供することができることを見出し、本発明の完成に至った。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明は、以下のとおりである。
[1] コレステリック液晶相を固定化してなるコレステリック液晶層と、前記コレステリック液晶層と直接または等方性層を介して配置された位相差層とを有し、下記式(1)を満たすことを特徴とする円偏光層。
式(1)
(2.5/64) +n ≦ Re/λmax ≦ (6/64)+n
(式(1)中、Reは波長λmaxにおける前記位相差層の面内方向のレターデーション(単位:nm)を表し、λmaxは前記コレステリック液晶層の選択反射波長(単位:nm)を表し、nは0以上の整数を表す。)
[2] [1]に記載の円偏光層は、前記式(1)中のnが0であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の円偏光層は、前記コレステリック液晶層の選択反射波長λmaxが300nm〜2500nmであることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の円偏光層は、前記コレステリック液晶層のコレステリック配向構造のらせん巻き数が8以上であることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の円偏光層は、前記位相差層のチルト角が0°〜50°であることが好ましい(ただし、位相差層のチルト角とは、位相差層の屈折率の最大方向と、位相差層の表面とのなす角のことを言う)。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の円偏光層は、前記位相差層のツイスト角が−100°〜100°であることが好ましい(ただし、位相差層のツイスト角とは、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分とは反対側の部分の表面における面内角から、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分の表面における面内角を差引いた値のことをいう。位相差層の表面の面内角とは、コレステリック液晶層の位相差層側の表面における液晶ダイレクター方向と、位相差層の屈折率の最大方向を位相差層の表面へ正射影した方向とのなす角度のことを言う。コレステリック液晶層の、位相差層側から見た、らせん回転方向と同じ回転方向を、位相差層の面内角の正の回転方向とする。)。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の円偏光層は、前記位相差層が前記コレステリック液晶層よりも入射光側に配置されたことが好ましい。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の円偏光層は、前記コレステリック液晶層が2層以上積層されたことが好ましい。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の円偏光層は、前記位相差層が液晶分子の配向を固定されてなる液晶膜であることが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の円偏光層が2層以上積層されたことを特徴とする円偏光層の積層体。
[11] 左眼用偏光層と右眼用偏光層とを有し、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち少なくとも一方が右円偏光を反射し、かつ左円偏光を透過し、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち他の一方が左円偏光を反射し、かつ右円偏光を透過し、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち少なくとも一方が[1]〜[9]のいずれか一項に記載の円偏光層または[10]に記載の円偏光層の積層体を有することを特徴とするメガネ。
[12] [11]に記載のメガネは、前記コレステリック液晶層が左方向のねじれまたは右方向のねじれのコレステリック配向構造を有することが好ましい。
[13] [11]または[12]に記載のメガネは、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層がともに[1]〜[9]のいずれか一項に記載の円偏光層または[10]に記載の円偏光層の積層体を有することが好ましい。
[14] [11]〜[13]のいずれか一項に記載のメガネは、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち少なくとも一方が[1]〜[9]のいずれか一項に記載の円偏光層または[10]に記載の円偏光層の積層体を有し;
他の一方が[1]〜[9]のいずれか一項に記載の円偏光層または[10]に記載の円偏光層の積層体と、前記円偏光層または前記円偏光層の積層体の入射光側に配置されたλ/2層とを有することが好ましい。
[15] [11]〜[14]のいずれか一項に記載のメガネと、左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号を出力する映像駆動部とを有し、前記メガネの前記左眼用偏光層が前記映像駆動部から出力される前記左眼用円偏光信号を透過させ、前記右眼用円偏光信号は反射させ、前記メガネの前記右眼用偏光層が前記映像駆動部から出力される前記右眼用円偏光信号を透過させ、前記左眼用円偏光信号は反射させることを特徴とする3D画像鑑賞システム。
本発明によれば、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有し、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときに十分にクロストークを低減できる円偏光層を提供することができる。
本発明の円偏光層の一例を示す模式図である。 本発明の円偏光層の他の一例を示す模式図である。 本発明の円偏光層の他の一例を示す模式図である。 コレステリック液晶の1巻きの定義の説明用の模式図である。 位相差層の面内角とチルト角の定義の説明用の模式図である。 ねじれのある位相差層の面内角とツイスト角の定義の説明用の模式図である。 本発明の円偏光層の積層体の一例を示す模式図である。
以下、本発明の円偏光層、円偏光層の積層体、メガネおよび3D画像鑑賞システムの好ましい態様について説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[円偏光層]
本発明の円偏光層は、コレステリック液晶相を固定化してなるコレステリック液晶層と、前記コレステリック液晶層と直接または等方性層を介して配置された位相差層とを有し、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
式(1)
(2.5/64) +n ≦ Re/λmax ≦ (6/64)+n
(式(1)中、Reは波長λmaxにおける前記位相差層の面内方向のレターデーション(単位:nm)を表し、λmaxは前記コレステリック液晶層の選択反射波長(単位:nm)を表し、nは0以上の整数を表す。)
このような構成により、本発明の円偏光層は、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を有し、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときに十分にクロストークを低減できる。いかなる理論に拘泥するものでもないが、コレステリック液晶層のみを単層で用いた円偏光板を用いた3Dメガネのクロストーク特性の悪化の原因を本発明者が検討した結果、以下のような原因であることが分かった。コレステリック液晶は一般にコレステリックのらせんと回転方向、ピッチが一致した円偏光を反射するとされているが、実際は、完全な円偏光を反射するのではなく、わずかに楕円化した円偏光を反射する(Handbook of liquid crystals, Hans Kelker, Rolf Hatz, Verlag Chemie (1980)のp295の5〜7行目、p296の28、29行目など参照)。そのため、3D表示機側から完全な円偏光が入射しても、コレステリック液晶層によって円偏光が完全に反射され、遮蔽されるわけでなく、わずかに逆回転の円偏光もコレステリック液晶層を透過してしまい、観察者の目に本来遮蔽すべき回転方向の円偏光が入射してしまう結果、クロストーク特性が悪化する。
この対策として、コレステリック液晶層の前に、円偏光を楕円偏光に補正することができる位相差層を設置した本発明の円偏光層を用いると、コレステリック液晶層でより完全に反射しやすい楕円偏光を反射できる。すなわち、円偏光層全体としては、楕円化した円偏光ではなく、楕円化していない円偏光を反射するようになる。そのため、本発明の円偏光層を、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネ(3D画像用メガネ)の円偏光板に利用すると、クロストーク特性が改良される。
以下、本発明の円偏光層のより好ましい態様について、具体的に説明する。
<円偏光層の特性>
本発明の円偏光層は、該円偏光層に含まれる前記コレステリック液晶層の選択反射波長における、本来遮蔽すべき回転方向の円偏光の透過率(以下、選択反射波長透過率と言うこともある)は、前記コレステリック液晶層の選択反射波長によらず2.5%以下であることが、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネの円偏光板に利用したときにクロストークを十分に低減できる観点から好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.5%以下であることが特に好ましい。本発明の円偏光層は前記選択反射波長透過率が、少なくとも波長550nmである場合において、上述の範囲であることが好ましい。さらに本発明の円偏光層は前記選択反射波長透過率が、波長450nmである場合および/または波長630nmである場合においても、上述の範囲であることがより好ましい。
なお、従来の映画用3Dメガネ(マスターイメージ社製)の選択反射波長透過率(クロストーク)は、波長が450nmである場合3.0%であり、波長が550nmである場合2.5%であり、波長が630nmである場合2.0%であった。
<円偏光層の構成>
本発明の円偏光層の構成の一例を図面により説明する。ただし、本発明は図面により限定されるものではない。
以下の各図においては基材を有さない構成を記載しているが、本発明の円偏光層は、さらに基材を有していてもよく、基材を有さない構成に限定されるものではない。
図1は、本発明の円偏光層の一例を示した概略図であり、位相差層11の上に、コレステリック液晶相を固定化してなるコレステリック液晶層1が積層された円偏光層21の態様を示す。位相差層は、コレステリック液晶層と直接または等方性層を介して配置される。例えば、図1のようにコレステリック液晶層1と位相差層11は直接(互いに接して、隣接して、と同義)配置されてもよい。図2のように、コレステリック液晶層1と位相差層11は等方性層41を介して配置されていてもよい。
図1に示す本発明の円偏光層は、3D画像鑑賞システムのメガネの少なくとも一方の眼用の偏光膜として用いることができる。なお、本発明の円偏光層および本発明の円偏光層の積層体について説明するとき、特に断りがない限り、一方の眼用の偏光層についてのみについての説明を意味する。例えば、後述する本発明のメガネでは、一方の眼用の偏光層として本発明の円偏光層に複数のコレステリック液晶層を積層したものを用いる場合は各コレステリック液晶層が同種のキラル剤を含むことが好ましいと説明することがあるが、このような説明は一方の眼用の円偏光層のみについての説明を意味するものである(もう一方の眼用の別の本発明の円偏光層については同種のキラル剤を含むことが好ましいとは限らない)。なお、この場合は後述のとおり、もう一方の眼用の偏光膜に用いられる別の本発明の円偏光層では当然ながら旋回性(キラリティ)が異なる別のキラル剤を用いることが好ましい。
図1に示す本発明の円偏光層を3D画像鑑賞システムのメガネとして用いる場合、前記位相差層が前記コレステリック液晶層よりも入射光側に配置されることが好ましい。このような配置とすることで、左眼用円偏光信号または右眼用円偏光信号である入射光の方向(位相差層およびコレステリック液晶層の表面に対して垂直方向)31側に位相差層11を配置し、左眼用円偏光信号または右眼用円偏光信号が位相差層を透過した後にコレステリック液晶層1に入り、コレステリック液晶層で反射されなかった透過光32が観察者の右眼または左眼に入射することとなる。
本発明の円偏光層は、前記コレステリック液晶層を1層のみ有していても、2層以上有していてもよい。図3に、本発明の円偏光層が前記コレステリック液晶層を2層有する態様を示す。図3は、位相差層11の上に、コレステリック液晶層1aおよびコレステリック液晶層1bが積層された円偏光層21の態様を示す。図3のように、位相差層11およびコレステリック液晶層1aが互いに接して配置され、コレステリック液晶層1aおよびコレステリック液晶層1bは互いに接して配置されたことが好ましい。この際、位相差層11の位相差は式(1)中のλmaxをコレステリック液晶層1aのλmax値にとったものとなる。前記コレステリック液晶相を固定してなる光反射層の積層数は特に制限はなく、例えば1〜10層とすることができ、1〜5層が好ましく、1〜3層がより好ましい。
本発明の円偏光層は、さらに基材(不図示)を有していてもよい。前記基材としては特に制限はないが、前記コレステリック液晶層を製造するときに好ましく用いられる基材や、前記位相差層を製造するときに好ましく用いられる基材などを挙げることができる。前記基材の配置位置としては本発明の趣旨に反しない限りは特に制限はなく、コレステリック液晶層の位相差層側とは反対側の表面上(入射光に対して後ろ側)とすることができる。また、前記基材が等方性層である場合は、前記基材を前記コレステリック液晶層の位相差層側に配置してもよい。
基材は位相差層を兼ねてもよい。例えばコレステリック液晶層の基材が位相差層を兼ねてもよい。この際、基材は入射側になる。また、位相差層である別の基材をコレステリック液晶層の入射光側に配置させてもよい。
本発明の円偏光層は、前記コレステリック液晶層を製造するときに用いた基材や、前記位相差層を製造するときに好ましく用いられる基材を剥離して用いてもよく、一方の前記基材のみを剥離して用いてもよい。例えば、前記コレステリック液晶層を製造するときに用いた基材を本発明の円偏光層が有し、前記位相差層を製造するときに好ましく用いられる基材を剥離して用いる態様が好ましい。
本発明の円偏光層は、前記位相差層のコレステリック液晶層と反対側に、λ/2位相差層を有してもよい。λ/2位相差層は、円偏光の回転方向を逆転させるため、このような構成にすると、円偏光層を単独で使用する場合と逆回転の円偏光層として使用することが可能となる。
<コレステリック液晶層>
本発明の円偏光層は、コレステリック液晶相を固定化してなるコレステリック液晶層を有する。
前記コレステリック液晶層としては特に制限はないが、例えば、コレステリック配向構造のらせんピッチが一定のコレステリック液晶層を利用することができ、また、ピッチグラジエント技術により、コレステリック液晶のらせんピッチを膜厚方向に応じて変化させたコレステリック液晶層を利用することもできる。この際、位相差層(11)は式(1)中のλmaxを、ピッチグラジエントにより広がった選択反射帯のどこにでも取れるが、選択反射帯の中心波長とすることが好ましい。ピッチグラジエント技術による反射帯域が広がったコレステリック液晶層の例としては、特開2003−139953号公報や特開2004−233987号公報、特開2008−250187号公報、特開2011−133591号公報などがあげられる。
本発明に好ましく用いられる態様であるコレステリック配向構造のらせんピッチが一定のコレステリック液晶層について、以下説明する。
(らせん巻き数)
前記コレステリック液晶層のコレステリック配向構造のらせん巻き数は、クロストーク低減の観点から8以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましく、10以上であることが特に好ましく、12以上であることがより特に好ましい。前記コレステリック液晶層のコレステリック配向構造のらせん巻き数の上限値としては特に制限はないが、製膜の容易さの観点から例えば30以下とすることができ、20以下がより好ましい。図4にコレステリック液晶の1巻き2の範囲を示す。コレステリック液晶の1巻きは、図4に示すように、任意の基準方向に対して、コレステリック液晶の配向構造の屈折率の面内最大方向が360°回転するまでのことを言う。
なお、図4および後述の図5および図6中、円盤は前記コレステリック液晶層または前記位相差層の表面と平行な任意の断面を表し、各円盤中に数多く記載されている楕円形の部材は、屈折率の最大方向(例えば、棒状液晶分子のダイレクター方向)を表す。
コレステリック液晶層の形成に用いる材料(主には液晶材料及びキラル剤)の種類及びその濃度等を調整することで、所望のらせん巻き数とらせんピッチのコレステリック液晶層を形成することができる。
(光学特性)
前記コレステリック液晶層の選択反射波長λmaxは、可視光領域をカバーしかつ不要の紫外線と赤外線をカットして目の疲労を軽減するという観点で300nm〜2500nmであることが好ましく、340nm〜2000nmであることがより好ましく、360nm〜900nmであることが特に好ましく、380nm〜780nmであることがより特に好ましい。
前記コレステリック液晶層の選択反射波長とは、該コレステリック液晶層における透過率の極小値をTmin(%)とした場合、以下式で表される半値透過率:T1/2(%)を示す2つの波長の平均値のことを言う。
半値透過率を求める式: T1/2= 100−(100−Tmin)÷2
より詳細には、コレステリック液晶層1層あたりには前述の半値透過率を示す波長が長波側(λ1)と短波側(λ2)に2つ存在し、選択反射波長の値は、λ1とλ2の平均値で表される、
(コレステリック液晶の積層)
本発明の円偏光層は、前記コレステリック液晶層を2層以上有することができる。この際、円偏光層中の位相差層の位相差は式(1)の範囲をとるが、式(1)中のコレステリック液晶層の選択反射波長λmaxとして、直接(互いに接して、隣接して、と同義)配置されたコレステリック液晶層の選択反射波長λmaxを用いる。
本発明の円偏光層は、前記コレステリック液晶層を2層以上有する場合、すべての前記コレステリック液晶層のキラル剤が同一であることが部材の共通化によるコスト効果の観点から好ましい。なお、本発明のメガネでは、一方の眼用の偏光膜として本発明の円偏光層を用いるときは該円偏光層に含まれるすべての前記コレステリック液晶層のキラル剤が同一であることが好ましいが、もう一方の眼用の偏光膜には前記コレステリック液晶層の旋回性が異なる別のキラル剤を用いた他の本発明の円偏光層を用いることが好ましい。
本発明の円偏光層に含まれる前記コレステリック液晶層が複数存在する場合は、各コレステリック液晶層の選択反射波長は互いに異なることが、同じ選択反射波長の前記コレステリック液晶層を複数設けたときの反射効率と製造コストなどの経済的要素の兼ね合いの観点から好ましい。ここで、2つのコレステリック液晶層の選択反射波長が互いに異なるとは、各コレステリック液晶層の選択反射波長の差が20nmを超えることを言う。前記コレステリック液晶層が複数存在する場合は、各コレステリック液晶層どうしの選択反射波長の差は20nmを超えることが好ましく、30nm以上とすることがより好ましく、40nm以上とすることが特に好ましい。
各コレステリック液晶層の回転方向は、同一方向であることが好ましい。
前記コレステリック液晶層は選択反射波長における無偏光の光の反射率が40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましい。
前記コレステリック液晶層は選択反射波長における無偏光の光の透過率が60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましい。また、選択反射領域外の無偏光の光の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
本発明の円偏光層に含まれる前記コレステリック液晶層が複数存在する場合、各コレステリック液晶層の選択反射波長は、例えば、R、G、Bの各色彩に対応または同調する波長(それぞれ630nm、550nm、450nm)から選択される2種以上とすることが、3D画像鑑賞システムの映像駆動部から出力された左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号のR、G、Bに対応する波長をそれぞれ選択的に反射させ、クロストークをより低減する観点や色ずれを抑制する観点から好ましい。なお、3D画像鑑賞システムの映像駆動部から出力された左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号のピーク波長がR、G、Bからずれる場合には、各コレステリック液晶層の選択反射波長を適宜同調させることができることは言うまでもない。
なお、本発明の円偏光層に含まれる前記コレステリック液晶層が単層である場合は、該コレステリック液晶層の選択反射波長はGに対応する波長(550nm)とすることが好ましい。
なお、本明細書中、コレステリック液晶層の選択反射波長は、光学的に誤差として許容される範囲で3D画像鑑賞システムの映像駆動部から出力された左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号の波長(例えば上述のR、G、Bに対応する波長)からずれがあってもよく、ずれは±20nm以下であることが好ましく、±15nm以下であることがより好ましく、±10nm以下であることが特に好ましい。
コレステリック液晶層の形成に用いる材料(主には液晶材料及びキラル剤)の種類及びその濃度等を調整することで、所望の光学特性の各コレステリック液晶層を形成することができる。
(厚み)
各コレステリック液晶層の厚みは、1μm〜15μm程度(好ましくは2〜10μm程度)であることが好ましい。但し、これらの範囲に限定されるものではない。
コレステリック液晶層の厚みは、コレステリック液晶層形成用材料の塗布量などを調整することで所望の範囲とすることができる。
(コレステリック液晶層形成用材料)
本発明の円偏光層は、前記コレステリック液晶層のコレステリック液晶層形成用材料としては特に制限はないが、後述のコレステリック液晶層の製造方法に記載のように重合性液晶を含むコレステリック液晶含有の重合性液晶組成物を塗布し、配向させたのちに光重合によって固定化されてなることが好ましい。
本発明の円偏光層では、前記コレステリック液晶層の形成に、重合性液晶組成物を用いるのが好ましい。前記重合性液晶組成物の一例として、棒状液晶化合物、キラル剤(HTPが30μm-1以上であるものが好ましい)、及び重合開始剤を少なくとも含有する態様が好ましい。各成分を2種以上含んでいてもよい。例えば、重合性の棒状液晶化合物と非重合性の棒状液晶化合物との併用が可能である。また、低分子液晶化合物と高分子液晶化合物との併用も可能である。更に、配向の均一性や塗布適性、膜強度を向上させるために、配向制御剤(水平配向剤)、ムラ防止剤、ハジキ防止剤、及び重合性モノマー等の種々の添加剤から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。また、前記液晶組成物中には、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能を低下させない範囲で添加することができる。
1.棒状液晶化合物
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特願2001−64627号などに記載の化合物を用いることができる。また、重合性棒状液晶化合物として好ましくは、下記一般式(X)にて表される重合性棒状液晶化合物である。
一般式(X) Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3−Cy3−L4−Q2
(一般式(X)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基であり、L1およびL4はそれぞれ独立に二価の連結基であり、L2およびL3はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基であり、Cy1、Cy2およびCy3は二価の環状基であり、nは0、1、2または3である。)
以下にさらに一般式(X)で表される重合性棒状液晶化合物について説明する。
一般式(X)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2014174468
一般式(X)中、L1およびL4はそれぞれ独立に二価の連結基である。L1およびL4はそれぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−C=N−、二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子である。Rは、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy3)に結合する。
L−1:−CO−O−二価の鎖状基−O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−8:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−14:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−
L−20:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−CO−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基−O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基−O−CO−
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、2−メチル−テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2−ブテニレン、2−ブチニレンなどが上げられる。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1、Cy2およびCy3の定義および例と同様である。
一般式(X)中、L2またはL3はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基である。L2およびL3はそれぞれ独立に、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−C=N−、二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基または単結合であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。二価の鎖状基、および二価の環状基についてはL1およびL4の定義と同義である。
2またはL3として好ましい二価の連結基としては、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OCONR−、−COS−、−SCO−、−CONR−、−NRCO−、−CH2CH2−、−C=C−COO−、−C=N−、−C=N−N=C−、等が挙げられる。
一般式(X)において、nは0、1、2または3である。nが2または3の場合、二つのL3は同じであっても異なっていても良く、二つのCy2も同じであっても異なっていてもよい。nは1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
一般式(X)において、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1、4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1、5−ジイルおよびナフタレン−2、6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1、4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2、5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2、5−ジイルが好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至6のアシルアミノ基が含まれる。
以下に、一般式(X)で表される重合性棒状液晶化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2014174468
Figure 2014174468
Figure 2014174468
Figure 2014174468
また、前記棒状液晶化合物としては、前記一般式(X)で表される重合性棒状液晶化合物に加え、少なくとも一種の下記一般式(V)で表される化合物を併用することが好ましい。
一般式(V)
1−(L1)p−Cy1−L2−(Cy2−L3−Cy3−(L4)q−M2
(一般式(V)中、M1およびM2はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ハロゲン、−SCN、−CF、ニトロ基、または、Q1を表すが、M1およびM2の少なくとも一つは、Q1以外の基を表す。
ただし、Q1、L1、L2、L3、L4、Cy1、Cy2、Cy3およびnは前記一般式(X)で表される基と同義である。また、pおよびqは0、または1である。)
1およびM2がQ1を表さない場合、M1およびM2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、シアノ基であることが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは、フェニル基であり、pおよびqは0であることが好ましい。
また、前記一般式(X)で表される重合性液晶化合物と、一般式(V)で表される化合物の混合物中における、一般式(V)で表される化合物の好ましい混合比率としては、0.1%〜40%であり、より好ましくは、1%〜30%であり、更に好ましくは、5%〜20%である。
以下に、一般式(V)で表される化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2014174468
Figure 2014174468
2.キラル剤:
本発明の円偏光層は、前記コレステリック液晶層に用いられるキラル剤としては特に制限はない。
前記キラル剤は、公知の種々のキラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第一42委員会編、1989に記載)から選択することができる。キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤が重合性基を有するとともに、併用する棒状液晶化合物も重合性基を有する場合は、重合性基を有するキラル剤と重合性棒状液晶合物との重合反応により、棒状液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性基を有するキラル剤が有する重合性基は、重合性棒状液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基又はアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、前記キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
前記キラル剤は、併用される棒状液晶化合物に対して、1〜30モル%であることが好ましい。前記キラル剤の使用量は、より少なくした方が液晶性に影響を及ぼさないことが多いため好まれる。従って、キラル剤として用いられる光学活性化合物は、少量でも所望のらせんピッチの捩れ配向を達成可能なように、強い捩り力のある化合物が好ましい。
本発明の円偏光層は、前記コレステリック液晶層がHTPが30μm-1以上である右旋回性のキラル剤または、HTPが30μm-1以上である左旋回性のキラル剤を含有することが、前記コレステリック液晶層の選択反射波長を380〜780nm(可視光領域)としやすい観点から好ましい。HTPの高いキラル剤を用いることによって、面状が良好であり、透明性が高く、可視光領域に選択反射特性を有し、反射性能の高いコレステリック液晶層を得やすい。なお、キラル剤の性能を表す指標として、HTPは一般的に用いられている。HTPは、Helical Twisting Powerの略であり、下記式で表されるらせん配向能力を示すファクターである。詳しくは、非特許文献1『液晶ディスプレー用カラーフィルターのためのコレステリック液晶用光反応性キラル剤の開発』(湯本眞敏、市橋光芳)に説明がある。
式:
HTP=1/(液晶組成物の固形分中のキラル剤の質量%濃度×らせんピッチ長)
ただし、らせんピッチ長=選択反射波長/液晶組成物の固形分の平均屈折率
この様な、強い捩れ力を示すキラル剤としては、例えば、特開2010−181852号公報、特開2003−287623号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−80478号公報、特開2002−302487号公報、に記載のキラル剤が挙げられ、本発明に好ましく用いることができる。さらに、これらの公開公報に記載されているイソソルビド化合物類については対応する構造のイソマンニド化合物類を用いることもでき、これらの公報に記載されているイソマンニド化合物類については対応する構造のイソソルビド化合物類を用いることもできる。
ここで、右旋回性のキラル剤として、捩れ力が強いものが、左旋回性のキラル剤よりも多く市場に提供されている。例えば、HTPが30μm-1以上である右旋回性のキラル剤としては、LC756(BASF社製)を本発明では好ましく用いることができる。
一方、HTPが30μm-1以上である左旋回性のキラル剤としては、特に制限はなく、公知のものを用いても、後述の一般式(1)、(2)で表されるキラル剤を用いてもよい。
なお、以下にキラル剤のR体のみまたはS体のみを例示することがあるが、対応するS体およびR体も本発明に用いることができる。以下例示されるキラル剤は、左旋回性であることが好ましいが、R体であってもS体であっても高いHTPを示すため、右旋回性のキラル剤として用いてもよい。
Figure 2014174468
(一般式(1)中、Mはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R1は以下に示す連結基のいずれかを表す。
Figure 2014174468
ただし*はそれぞれ一般式(1)中の酸素原子との結合部位を表す。R3はそれぞれ独立に炭素数1から3のアルキル基または炭素数6から10のアリール基を表す。)
Figure 2014174468
(一般式(2)中、R2は以下に示す置換基のいずれかを表し、2つのR2は互いに同じでも異なっていてもよい。
Figure 2014174468
ただし*はそれぞれ一般式(2)中の酸素原子との結合部位を表す。Y1はそれぞれ独立に単結合、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−のいずれかを表し、Sp1はそれぞれ独立に単結合または炭素数1から8のアルキレン基を表し、Z1はそれぞれ独立に水素原子または(メタ)アクリル基を表し、nは1以上の整数を表す。)
前記一般式(1)で表されるキラル剤について説明する。
前記一般式(1)中、Mはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜12のアルキル基、アルキニル基、アルケニル基もしくはアルキルオキシ基を表すことが好ましく、各基の中のCH2基はそれぞれ独立にO、S、OCO、COO、OCOO、COまたはフェニレン基で置換されてもよい。
前記一般式(1)で表されるキラル剤は、公知の文献中に記載されている方法により、またはこれと同様にして合成することができる。例えば、Heteroatom Chemistry, 2011 vol. 22, p.562に記載の方法により合成することが好ましい。
また、前記一般式(1)で表されるキラル剤のR体とS体は、それぞれ原料としてR体のみまたはS体のみの原料を用いて合成することで、合成することができる。その他、公知の方法によりラセミ体を光学分割してもよい。
以下に前記一般式(2)で表されるキラル剤の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によって限定されるものではない。
Figure 2014174468
Figure 2014174468
Figure 2014174468
3.配向制御剤
本発明の円偏光層は、前記コレステリック液晶層に配向制御剤を含むことが好ましい。
本発明に使用可能な配向制御剤の好ましい例には、フッ素系配向制御剤を挙げることができる。2種以上の配向制御剤を含有していてもよい。フッ素系配向制御剤は、層の空気界面において、液晶化合物の分子のチルト角を低減若しくは実質的に水平配向させることができる。
尚、本明細書で「水平配向」とは、液晶分子長軸と膜面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が20度未満の配向を意味するものとする。液晶化合物が空気界面付近で水平配向する場合、配向欠陥が生じ難いため、可視光領域での透明性が高くなり、また赤外領域での反射率が増大する。一方、液晶化合物の分子が大きなチルト角で配向すると、コレステリック液晶相のらせん軸が膜面法線からずれるため、反射率が低下したり、フィンガープリントパターンが発生したりし、ヘイズの増大や回折性を示すため好ましくない。
前記配向制御剤の例には、特開2005−99248号公報の[0092]〜[0096]中に例示されている化合物、特開2002−129162号公報の[0076]〜[0078]及び[0082]〜[0085]中に例示されている化合物、特開2012−211306号公報の[0022]〜[0029]中に例示されている化合物が含まれる。
本発明の円偏光層に用いられるコレステリック液晶層は、前記フッ素系水平配向剤の添加量が、前記重合性液晶化合物に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.01〜1質量%であることが特に好ましく、0.01〜0.09質量%であることがより特に好ましく、0.01〜0.06質量%であることがよりさらに特に好ましい。
また、本発明の円偏光層に用いられるコレステリック液晶層は、前記フッ素系水平配向剤の添加量を上記範囲に抑える観点から、前記フッ素系水平配向剤がパーフルオロアルキル基を含むことがより好ましく、炭素数3〜10のパーフルオロアルキル基を含むことが特に好ましい。
4.重合開始剤
本発明の円偏光層に用いられるコレステリック液晶層は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。例えば、紫外線照射により硬化反応を進行させて硬化膜を形成する態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)等が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、組成物(塗布液の場合は固形分)の0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがさらに好ましい。
5.その他の成分
本発明の円偏光層に用いられるコレステリック液晶層は、前記棒状液晶化合物、キラル剤、水平配向制御剤および重合開始剤に加えて、必要に応じて溶媒や他の添加剤(例えば、セルロースエステル)を含むことができる。
本発明の円偏光層に用いられるコレステリック液晶層を形成するための組成物の溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N、N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1、2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
(コレステリック液晶層の製造方法)
前記コレステリック液晶層を製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材などの下層の表面上に、前記コレステリック液晶層形成用の塗布液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター、スピンコーター、インクジェット等により塗布する方法、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。さらにその中でもバーコーターもしくはスピンコーターにより塗布する方法が好ましい。
本発明の円偏光層の前記コレステリック液晶層を塗布により形成する場合、前記塗布液を塗布後、公知の方法で乾燥して、固化し、前記コレステリック液晶層を形成することが好ましい。乾燥方法としては、加熱による乾燥が好ましい。
前記コレステリック液晶層の製造方法の一例は、
(1) 基材等の表面に、重合性液晶組成物を塗布して、コレステリック液晶相の状態にすること、
(2) 前記重合性液晶組成物に紫外線を照射して硬化反応を進行させ、コレステリック液晶相を固定してコレステリック液晶層を形成すること、
を少なくとも含む製造方法である。
(1)及び(2)の工程を、基材の一方の表面上で2回繰り返すことで2層以上のコレステリック液晶層を積層することができる。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、用いる液晶の種類又は添加されるキラル剤の種類によって調整でき、らせんピッチ(すなわち、選択反射波長)は、これらの材料の濃度によって任意に調整できる。また、コレステリック液晶層の反射する特定の領域の波長は、製造方法のさまざまな要因によってシフトさせることができることが知られており、キラル剤などの添加濃度のほか、コレステリック液晶相を固定するときの温度や照度と照射時間などの条件などでシフトさせることができる。
前記(1)工程では、まず、基材等や下層のコレステリック液晶層の表面に、前記重合性液晶組成物を塗布する。前記重合性液晶組成物は、溶媒に材料を溶解及び/又は分散した、塗布液として調製されるのが好ましい。
基材等や下層のコレステリック液晶層の表面に配向層を設けることもできる。
次に、表面に塗布され、塗膜となった重合性液晶組成物を、コレステリック液晶相の状態にする。前記重合性液晶組成物が、溶媒を含む塗布液として調製されている態様では、塗膜を乾燥し、溶媒を除去することで、コレステリック液晶相の状態にすることができる場合がある。また、コレステリック液晶相への転移温度とするために、所望により、前記塗膜を加熱してもよい。例えば、一旦等方性相の温度まで加熱し、その後、コレステリック液晶相転移温度まで冷却する等によって、安定的にコレステリック液晶相の状態にすることができる。前記重合性液晶組成物の液晶相転移温度は、製造適性等の面から10〜250℃の範囲内であることが好ましく、10〜150℃の範囲内であることがより好ましい。10℃未満であると液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるために冷却工程等が必要となることがある。また150℃を超えると、一旦液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状態にするために高温を要し、熱エネルギーの浪費、基板の変形、変質等からも不利になる。
次に、(2)の工程では、コレステリック液晶相の状態となった塗膜に、紫外線を照射して、硬化反応を進行させる。紫外線照射には、紫外線ランプ等の光源が利用される。この工程では、紫外線を照射することによって、前記重合性液晶組成物の硬化反応が進行し、コレステリック液晶相が固定されて、コレステリック液晶層が形成される。
紫外線の照射エネルギー量については特に制限はないが、一般的には、100mJ/cm2〜800mJ/cm2程度が好ましい。また、前記塗膜に紫外線を照射する時間については特に制限はないが、硬化膜の充分な強度及び生産性の双方の観点から決定されるであろう。
硬化反応を促進するため、加熱条件下で紫外線照射を実施してもよい。また、紫外線照射時の温度は、コレステリック液晶相が乱れないように、コレステリック液晶相を呈する温度範囲もしくはそれ以下の温度範囲に維持するのが好ましい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達せず、膜強度が不十分の場合には、窒素置換等の方法により、雰囲気中の酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。紫外線照射によって進行される硬化反応(例えば重合反応)の反応率は、層の機械的強度の保持等や未反応物が層から流出するのを抑える等の観点から、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがよりさらに好ましい。反応率を向上させるためには照射する紫外線の照射量を増大する方法や窒素雰囲気下あるいは加熱条件下での重合が効果的である。また、一旦重合させた後に、重合温度よりも高温状態で保持して熱重合反応によって反応をさらに推し進める方法や、再度紫外線を照射する(ただし、本発明の条件を満足する条件で照射する)方法を用いることもできる。反応率の測定は反応性基(例えば重合性基)の赤外振動スペクトルの吸収強度を、反応進行の前後で比較することによって行うことができる。
上記工程では、コレステリック液晶相が固定されて、前記コレステリック液晶層が形成される。ここで、液晶相を「固定化した」状態は、コレステリック液晶相となっている棒状液晶化合物の配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様である。それだけには限定されず、具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件下では−30℃〜70℃の温度範囲において、該層に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を意味するものとする。本発明では、紫外線照射によって進行する硬化反応により、コレステリック液晶相の配向状態を固定することが好ましい。
なお、本発明においては、コレステリック液晶相の光学的性質が前記コレステリック液晶層中において保持されていれば十分であり、最終的に前記コレステリック液晶層中の液晶組成物がもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶組成物が、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
<位相差層>
(位相差層の位相差)
本発明の円偏光層は、前記コレステリック液晶層と直接または等方性層を介して配置された位相差層を有し、下記式(1)を満たす。
式(1)
(2.5/64) +n ≦ Re/λmax ≦ (6/64)+n
(式(1)中、Reは波長λmaxにおける前記位相差層の面内方向のレターデーション(単位:nm)を表し、λmaxは前記コレステリック液晶層の選択反射波長(単位:nm)を表し、nは0以上の整数を表す。)
前記式(1)におけるReは波長λmaxにおける前記位相差層の面内方向のレターデーションを表す。ここで、Reは下記式(I)で表される。
式(I) Re=(nx−ny)×d
上記式(I)中、nxは前記位相差層のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記位相差層のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、dは前記位相差層の厚さ(nm)である。
なお、位相差層の「遅相軸方向」とは位相差層のフィルム面内で屈折率が最大となる方向を意味するものとする。また、「進相軸方向」とは位相差層のフィルム面内で遅相軸と直交する方向を意味するものとする。
また、本明細書において、「らせん」はコレステリック液晶構造が一巻きに達する場合に用いられることがあり、「ねじれ」はコレステリック液晶構造が一巻きに達しない可能性がある場合に用いることがあるが、「らせん」と「ねじれ」の用語の違いによって本発明が制限されることはない。例えば、「らせんの回転方向」と「ねじれ方向」は同義と考えてよい。
波長λnmでのReは次のようにして測定できる。
ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
上記のReは、位相差層に用いる液晶分子または樹脂材料、各種添加剤の添加、位相差層の膜厚、位相差層の延伸方向と延伸率等により調整することができる。
前記式(1)におけるλmaxは、2以上のコレステリック液晶層を本発明の円偏光層が有する場合は、本発明の円偏光層を円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネとして用いるときに光源から遠い側に直接または等方性層を介して配置されたコレステリック液晶層のλmaxを指す。
前記式(1)中、nは0以上の整数を表し、0または1であることが好ましく、0であることが製造時に厳密にRe/λmaxを上記範囲に制御しやすい観点からより好ましい。
なお、特定光波長の偏光の偏光状態に対して、位相差層の位相差が与える影響は、位相差を特定光波長の整数倍変化させた場合、同等であることが知られている。そのため、前記式(1)中でnを整数倍変化させても、クロストークの低減効果は同等である。
本発明の円偏光層はRe/λmaxが、(2.5/64)+n〜(5/64)+nであることが円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときにクロストークをより低減できる観点から好ましく、(3/64)+n〜(5/64)+nであることがより好ましい。
(位相差層のチルト角)
前記位相差層のチルト角は0°〜50°であることが好ましく、0°以上45°未満であることが円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときにクロストークをより低減できる観点からより好ましく、0°〜40°であることが特に好ましく、0°〜35°であることがより特に好ましい。
本明細書中、位相差層のチルト角とは、位相差層の屈折率の最大方向と、位相差層の表面とのなす角のことを言う。図5を用いて、位相差層のチルト角を説明する。図5では、位相差層のチルト角17は、位相差層の屈折率の最大方向と、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分(部材12)とは反対側の部分13の表面とのなす角17として示される。
ここで、位相差層のチルト角17は、位相差層の屈折率の最大方向と、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分12の表面とのなす角であってもよい。位相差層のコレステリック液晶層と接している部分12と、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分(部材12)とは反対側の部分13の各表面において、位相差層の屈折率の最大方向が異なる場合、位相差層のチルト角は、両者の最大値のことを意味する。
前記位相差層のチルト角は、例えば前記位相差層が液晶分子の配向を固定されてなる液晶膜である場合、位相差層に添加する配向制御剤の種類や添加量などによって調整することができる。
(位相差層の面内角)
前記位相差層の面内角としては特に制限はなく、コレステリック液晶層の選択反射波長における遮蔽すべき円偏光透過率ができるだけ小さくなり、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときにできるだけクロストークが低減できるように適宜調整することができる。
本明細書中、位相差層の面内角とは、コレステリック液晶層の位相差層側の表面における液晶ダイレクター方向(基準方向)と、位相差層の屈折率の最大方向を位相差層の表面へ正射影した方向とのなす角度のことを言う。図5を用いて、位相差層の面内角を説明する。図5では、位相差層の面内角は、コレステリック液晶層の位相差層側の表面における液晶ダイレクター方向(基準方向)14と、位相差層の屈折率の最大方向を位相差層のコレステリック液晶層と接している部分12の表面へ正射影した方向とのなす角度15とのなす角16として示される。この際、コレステリック液晶の、位相差層側から見た、らせん回転方向と同じ回転方向を、位相差層の面内角の正の回転方向とする。
ここで、位相差層の面内角16は、コレステリック液晶層の位相差層側の表面における液晶ダイレクター方向(基準方向)14と、位相差層の屈折率の最大方向を位相差層のコレステリック液晶層と接している部分(部材12)とは反対側の部分13の表面へ正射影した方向とのなす角度15とのなす角であってもよい。位相差層のコレステリック液晶層と接している部分12と、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分(部材12)とは反対側の部分13の各表面において、位相差層の面内角が異なる場合、本明細書では特に断りなく位相差層の面内角という場合は、位相差層の厚み方向中央部20における面内角16のことを意味する。
前記位相差層の面内角は、例えば前記位相差層と前記コレステリック液晶層を貼り合わせる際の貼り合わせ方によって調整することができる。
(位相差層のツイスト角)
本明細書中、位相差層のツイスト角とは、位相差層の面内角が両表面で異なる(位相差層にねじれのある)場合において、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分とは反対側の部分の表面における面内角から、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分の表面における面内角を差引いた値のことをいう。図6を用いて、位相差層のツイスト角を説明する。図6では、位相差層のツイスト角は、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分(部材12)とは反対側の部分13の表面における面内角19と位相差層のコレステリック液晶層と接している部分12の表面における面内角18、との差として示される。すなわち、下式のように定義される。
(位相差層のツイスト角) = {位相差層のコレステリック液晶層と接している部分(部材12)とは反対側の部分13の表面における面内角19} − (位相差層のコレステリック液晶層と接している部分12の表面における面内角18)
前記位相差層のツイスト角は−100°〜100°であることが円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときにクロストークをより低減できる観点から好ましく、−70°〜70°であることがより好ましく、−70°〜20°または45°〜70°であることが特に好ましい。
前記位相差層のツイスト角は、例えば前記位相差層が液晶分子の配向を固定されてなる液晶膜である場合、キラル剤の添加の有無、キラル剤の種類、添加量などにより調整することができる。
(位相差層の構成および組成)
本発明の円偏光層は、前記式(1)を満たす位相差層を1層のみ有することが好ましい。
前記位相差層の組成としては特に制限はない。前記位相差層は、液晶分子の配向を固定されてなる液晶膜や、所望の位相差を発現できるように延伸された樹脂フィルムなどを用いることができ、液晶分子の配向を固定されてなる液晶膜であることが好ましい。
液晶分子の配向を固定されてなる液晶膜としては、前記コレステリック液晶層においてキラル剤を添加しないで製造した液晶膜を挙げることができる。
延伸された樹脂フィルムとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリスチレンやスチレンと他のモノマーとを共重合させたスチレン共重合体等のポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等からなる延伸フィルムを用いることができる。
(位相差層の製造方法)
前記位相差層の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。
前記位相差層が、液晶分子の配向を固定されてなる液晶膜である場合、前記コレステリック液晶層の製造方法と同様の方法で製造することが好ましい。
前記位相差層が、延伸された樹脂フィルムである場合、光学的一軸性フィルムでも光学的二軸性フィルムでもよい。光学的一軸性フィルムを製造する場合は、通常の一軸延伸処理または二軸延伸処理を実施すればよい。光学的二軸性フィルムを製造する場合は、アンバランス二軸延伸処理を実施することが好ましい。アンバランス二軸延伸では、ポリマーフィルムをある方向に一定倍率(例えば3〜100%、好ましくは5〜30%)延伸し、それと垂直な方向にそれ以上の倍率(例えば6〜200%、好ましくは10〜90%)延伸する。二方向の延伸処理は、同時に実施してもよい。延伸方向(アンバランス二軸延伸では延伸倍率の高い方向)と延伸後のフィルムの面内の遅相軸とは、実質的に同じ方向になることが好ましい。
<等方性層>
本発明の円偏光層は、等方性層を有することが好ましい。
前記等方性層の組成としては特に制限はない。本発明の円偏光層は、前記等方性層が後述の基材、粘着剤層(以下、粘着層ともいう)または接着層であることが好ましく、前記粘着層または接着層であることがより好ましく、粘着層であることが特に好ましい。粘着層として、粘着シートを用いてもよい。接着層としては、二液混合型、一液加熱硬化型もしくは光硬化型の接着剤を用いてもよく、無色透明な接着剤を用いることが好ましい。なお、粘着層や接着層はそれぞれ1層ずつ用いても、2層以上としてもよい。また、粘着層と接着層を組み合わせて用いてもよい。
前記等方性層の形成に利用可能な材料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ゼラチン、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの材料からなる粘着層は、塗布により形成することができる。
さらに、前記等方性層には紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
前記等方性層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
<基材>
本発明の円偏光層は、基材を有することが好ましい。
前記基材としては特に制限は無く公知の基材を用いることができ、透明基材であることが好ましい。
前記透明基材としては、光学的に透明な透明基材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光線透過率が70%以上のもの、好ましくは80%以上のものなどが挙げられる。
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、材料などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネの大きさなどに応じて適宜選択することができる。
前記基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明基材の材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエチレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂などからなるフィルム又はこれらの積層フィルムが挙げられる。これらの中で、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
また、ガラス、エピスルフィド系樹脂、チオウレタン系樹脂、ポリエステルメタクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレート、ジアリルカーボネート、ジアリフタレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリメチルメタクリレートなど、メガネレンズに用いられる材料を使用することも可能である。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、円偏光層の使用目的に応じて適宜選択することができ、通常は10μm〜500μm程度であるが薄膜化の要請の観点からはより薄い方が好ましい。前記基材の厚みは10μm〜100μmであることが好ましく、20〜75μmであることがより好ましく、35〜75μmであることが特に好ましい。前記基材の厚みが十分に厚いと、接着故障が起き難くなる傾向にある。また、前記基材の厚みが十分に薄いと、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いる際、材料としての腰が強過ぎず、メガネレンズの曲面に追随して貼り付け易くなる傾向にある。更に、基材が十分に薄いことにより、原材料費を抑制できる傾向にある。
<その他の層>
本発明の円偏光層は、下塗り層、配向層、易接着層、ハードコート層、紫外線吸収層、λ/2層および表面保護層のうち少なくとも1つをさらに有していてもよい。
−下塗り層−
本発明の円偏光層は、コレステリック液晶層と基材との間に下塗り層を有していてもよい。コレステリック液晶層と基材との密着力が強いと、コレステリック液晶層を積層して製造する際の工程で剥離故障が起き難い。よって、下塗り層として、コレステリック液晶層と基材との接着性を向上させることができる層を利用することができる。一方で、円偏光層として、前記基材を剥離して用いる場合は、基材と下塗り層、又は下塗り層とコレステリック液晶層との界面には、剥離可能な程度の接着性の弱さが必要である。剥離する界面は、どの界面でも構わない。
位相差層と基材との間についても同様である。
下塗り層の形成に利用可能な材料の例には、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性ポリエステル等が含まれる。また、下塗り層は、上記したように密着力を適度に調節する場合、グルタルアルデヒド、2、3−ジヒドロキシ−1、4−ジオキサン等のジアルデヒド類またはホウ酸等の硬膜剤を適宜用いて硬膜させることが好ましい。硬膜剤の添加量は、下塗り層の乾燥質量の0.2〜3.0質量%が好ましい。
下塗り層の厚みは、0.05〜0.5μmが好ましい。
−配向層−
本発明の円偏光層は、コレステリック液晶層と基材との間に配向層を有していてもよい。配向層は、コレステリック液晶層中の液晶化合物の配向方向をより精密に規定する機能を有する。配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成等の手段で設けることができる。さらには、電場の付与、磁場の付与、或いは光照射により配向機能が生じる配向層も知られている。配向層は、ポリマーの膜の表面に、ラビング処理により形成するのが好ましい。また、配向の均一性の観点からは、光照射により形成する光配向膜が好ましい。
配向層は、コレステリック液晶層と隣接することが好ましいので、コレステリック液晶層と基材又は下塗り層との間に設けるのが好ましい。但し、下塗り層が配向層の機能を有していてもよい。また、コレステリック液晶層の間に配向層を有していてもよい。
位相差層と基材の間、もしくは、位相差層とコレステリック液晶層との間についても、同様に配向膜を有していてもよい。
配向層は、隣接する、コレステリック液晶層、及び下塗り層又は基材のいずれに対しても、ある程度の密着力を有することが好ましい。ただし、コレステリック液晶層から基材を剥離する場合には、コレステリック液晶層/配向層/下塗り層/基材のいずれかの界面にて、剥離ができる程度の弱さが必要である。剥離する界面は、どの界面でも構わない。
配向層として用いられる材料としては、有機化合物のポリマーが好ましく、それ自体が架橋可能なポリマーか、或いは架橋剤により架橋されるポリマーがよく用いられる。当然、双方の機能を有するポリマーも用いられる。ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレ−ト、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコ−ル及び変性ポリビニルアルコ−ル、ポリ(N−メチロ−ルアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロ−ス、ゼラチン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロ−ルアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロ−ス、ゼラチン、ポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであり、さらにゼラチン、ポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが好ましく、特にポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
前記配向層の厚みは、0.1〜2.0μmが好ましい。
ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている方法により行うことが好ましい。
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
ラビング密度と配向膜のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係がある。
配向層として用いられる材料としては、光配向可能な材料もあげられる。
光照射により形成される配向膜に用いられる光配向材料としては、多数の文献等に記載がある。本発明の配向膜では、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルが好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルである。
上記材料から形成した光配向膜に、直線偏光照射又は非偏光照射を施し、光配向膜を製造する。
本明細書において、「直線偏光照射」とは、前記光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200nm〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)やブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、又は偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルタや波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
照射する光は、直線偏光の場合、配向膜に対して上面、又は裏面から配向膜表面に対して垂直、又は斜めから光を照射する方法が採用される。前記光の入射角度は、前記光配向材料によって異なるが、例えば、0〜90°(垂直)、好ましくは40〜90である。
非偏光を利用する場合には、斜めから非偏光を照射する。その入射角度は、10〜80°、好ましくは20〜60、特に好ましくは30〜50°である。
照射時間は好ましくは1分〜60分、さらに好ましくは1分〜10分である。
前記配向層の厚みは、0.1〜2.0μmが好ましい。
−λ/2層−
本発明の円偏光層は、位相差層の光源側、もしくは、コレステリック液晶層と位相差層との間にλ/2層を有していてもよい。λ/2層は、円偏光を逆回転の円偏光に変換する機能があるため、コレステリック液晶層の円偏光反射する特性を、逆回転の円偏光の反射する特性に変換する働きがある。
λ/2層は、位相差層と同様に、液晶もしくは延伸ポリマーを使用するのが好ましい。製造法についても、位相差層と同様である。
<円偏光層の製造方法>
本発明の円偏光層を製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、前記基材などの表面上に、前記コレステリック液晶層形成用の塗布液や前記位相差層形成用の塗布液を塗布して基材上に前記コレステリック液晶層が形成された部材および基材上に前記位相差層が形成された部材を形成する工程と、前記コレステリック液晶層が形成された部材および基材上に前記位相差層が形成された部材を貼り合わせる工程を含む方法が挙げられる。
前記コレステリック液晶層形成用の塗布液や前記位相差層形成用の塗布液を塗布して基材上に前記コレステリック液晶層が形成された部材および基材上に前記位相差層が形成された部材を形成する工程の好ましい態様は、前記コレステリック液晶層の製造方法や前記位相差層の製造方法の好ましい態様と同様である。
前記コレステリック液晶層が形成された部材および基材上に前記位相差層が形成された部材を貼り合わせる工程では、前記コレステリック液晶層が形成された部材および基材上に前記位相差層が形成された部材を等方性層である粘着材を用いて貼り合わせることが好ましい。
さらに、前記コレステリック液晶層が形成された部材および基材上に前記位相差層が形成された部材を貼り合わせる工程の後に、基材上に前記位相差層が形成された部材に含まれていた基材を前記位相差層から剥離する工程を含むことが好ましい。
本発明の円偏光層を製造する方法の他の例として、前記基材などの表面上にラビングを行う工程と、前記ラビングを行った基材上に前記コレステリック液晶層形成用の塗布液を塗布して前記コレステリック液晶層を形成する工程と、前記コレステリック液晶層上にラビングを行う工程と、前記ラビングを行ったコレステリック液晶層上に前記位相差層形成用の塗布液を塗布して前記位相差層を形成する工程を含む方法があげられる。
本発明の円偏光層を製造する方法の他の例として、前記基材などの表面上にラビングを行う工程と、前記ラビングを行った基材上に前記コレステリック液晶層形成用の塗布液を塗布して前記コレステリック液晶層を形成する工程と、前記コレステリック液晶層上に光配向層を塗布・偏光UV照射を行い形成する工程と、前記光配向層上に前記位相差層形成用の塗布液を塗布して前記位相差層を形成する工程を含む方法があげられる。
本発明の円偏光層を製造する方法の他の例として、前記基材などの表面上に、前記コレステリック液晶層形成用の塗布液を塗布して基材上に前記コレステリック液晶層が形成された部材が形成された部材を形成する工程と、前記コレステリック液晶層が形成された部材および基材上に前記位相差層が形成された延伸フィルムを貼り合わせる工程を含む方法が挙げられる。
<円偏光層の用途>
本発明の円偏光層は、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネの円偏光板に利用することができる。
その他の本発明の円偏光層の用途の例としては、輝度向上フィルム、熱線遮蔽フィルム、セキュリティ材料、カラーフィルタ、光ディスクの光ピックアップ装置、エリプソメーターなど偏光測定装置、プライバシーフィルム、円偏光型3Dプロジェクター、位相差フィルム、位相差板、反射シート、加飾シート、光ポンピングを利用した磁気センサー、レーザー車両検出システムなどが挙げられる。
[円偏光層の積層体]
本発明の円偏光層の積層体は、本発明の円偏光層が2層以上積層されたことを特徴とする。
本発明の円偏光層の積層体は、本発明の円偏光層を有するため、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネに用いたときに十分にクロストークを低減できる。
<円偏光層の積層体の構成>
本発明の円偏光層の積層体の構成の一例を図面により説明する。ただし、本発明は図面により限定されるものではない。
図7は、本発明の円偏光層の積層体の一例を示した概略図であり、円偏光層21を3層有する円偏光層の積層体22を示す。図7では、円偏光層の積層体22は、位相差層11aの上にコレステリック液晶相を固定化してなるコレステリック液晶層1aが積層された円偏光層21と、位相差層11bの上にコレステリック液晶相を固定化してなるコレステリック液晶層1bが積層された円偏光層21と、位相差層11cの上にコレステリック液晶相を固定化してなるコレステリック液晶層1cが積層された円偏光層21とを有する。図7の構成では、各円偏光層21の選択反射波長が互いに異なることが好ましく、すなわち、コレステリック液晶層1a、コレステリック液晶層1bおよびコレステリック液晶層1cの各選択反射波長が互いに異なることが好ましい。
図7のように、各円偏光層21は直接(互いに接して、隣接して、と同義)配置されてもよく、各円偏光層21は等方性層(不図示)を介して配置されていてもよい。本発明の円偏光層の積層体は、前記円偏光層どうしの間に、粘着層および接着層のうち少なくとも一方を有することが好ましい。各円偏光層21の間に配置されてもよい等方性層の好ましい態様としては、前記位相差層と前記コレステリック液晶層の間に配置されてもよい前記等方性層の好ましい態様と同様である。
本発明の円偏光層の積層体に含まれる、本発明の円偏光層は前記基材を含んでいても含んでいなくてもよいが、本発明の円偏光層の積層体に含まれる前記基材は少ない層数であることが薄膜化の観点から好ましく、1層であることがより好ましい。
本発明の円偏光層の積層体は、円偏光層の入射側に、λ/2位相差層を有してもよい。λ/2位相差層は、円偏光の回転方向を逆転させるため、このような構成にすると、円偏光層の積層体を単独で使用する場合の、逆回転の円偏光層の積層体として使用することが可能となる。
<円偏光層の積層体の光学特性>
本発明の円偏光層の積層体の光学特性の好ましい態様は、本発明の円偏光層の光学特性の好ましい態様と同様である。
また、本発明の円偏光層の積層体中に含まれる、複数の本発明の円偏光層は、互いに選択反射波長が互いに異なることが好ましい。前記円偏光層どうしの選択反射波長が互いに異なるとは、前記円偏光層どうしの選択反射波長の差が20nmを超えることを言う。但し、前記円偏光層の選択反射波長が複数存在する場合は、一方の円偏光層のすべての選択反射波長が、他方の円偏光層のいずれの選択反射波長とも差が20nmを超えることを言う。
本発明の円偏光層の積層体中に含まれる、選択反射波長が互いに異なる複数の本発明の円偏光層の数は特に制限はなく、適宜決定することができる。例えば、本発明の円偏光層の積層体の選択反射波長は、例えば、R、G、Bに対応する波長(それぞれ630nm、550nm、450nm)から選択される2種以上となるような本発明の円偏光層を複数積層することが、3D画像鑑賞システムの映像駆動部から出力された左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号のR、G、Bに対応する波長をそれぞれ選択的に反射させる観点から好ましい。
本発明の円偏光層どうしの選択反射波長(ピーク波長)の差は特に制限はなく、選択反射波長の帯域に応じて適宜変更できるが、例えば30nm以上とすることがより好ましく、40nm以上とすることが特に好ましい。
<円偏光層の積層体の製造方法>
本発明の円偏光層の積層体の製造方法としては特に制限はないが、例えば本発明の円偏光層を2層有する円偏光層の積層体を製造する場合、第1のコレステリック液晶層および第1の位相差層を有する第1の本発明の円偏光層を上述の方法で製造した後、第2の本発明の円偏光層を形成するための第2のコレステリック液晶層と、第2の本発明の円偏光層を形成するための第2の位相差層をそれぞれ上述の方法で準備し、第1の本発明の円偏光層中の位相差層の表面に粘着材を付与し、該粘着材の上に第2の本発明の円偏光層を形成するための第2のコレステリック液晶層を貼り合わせ、第2のコレステリック液晶層の表面に粘着材を付与し、該粘着材の上に第2の本発明の円偏光層を形成するための第2の位相差層を貼り合わせて製造することができる。
また、基材が1層である円偏光層の積層体を製造する場合、上記の手順で第2のコレステリック液晶層や第2の位相差層を貼り合わせた後、第2のコレステリック液晶層や第2の位相差層を製造するときに用いた基材を剥がしてから粘着材を付与することで、製造することができる。
また、本発明の円偏光層の積層体の製造方法の別の方法として、基材上にラビングを行い、その上に第1のコレステリック液晶層を形成し、その上にラビングを行い、その上に第1の位相差層を形成し、その上にラビングを行い、その上に第2のコレステリック液晶層を形成し、その上にラビングを行い、その上に第2の位相差層を形成するといった工程を繰り返し行うことにより、円偏光層の積層体を製造する方法もあげられる。
また、本発明の円偏光層の積層体の製造方法の別の方法として、基材上にラビングを行い、その上に第1のコレステリック液晶層を形成し、その上に光配向層を塗布・偏光UV照射により形成し、その上に第1の位相差層を形成し、その上に第2のコレステリック液晶層を形成し、その上に光配向層を塗布・偏光UV照射により形成し、その上に第2の位相差層を形成するといった工程を繰り返し行うことにより、円偏光層の積層体を製造する方法もあげられる。
[メガネ]
本発明のメガネは、左眼用偏光層と右眼用偏光層とを有し、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち少なくとも一方が右円偏光を反射し、かつ左円偏光を透過し、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち他の一方が左円偏光を反射し、かつ右円偏光を透過し、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち少なくとも一方が本発明の円偏光層または本発明の円偏光層の積層体を有することを特徴とする。
このような構成により、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネとして用いたときに、十分にクロストークを低減することができる。なお、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネは、左眼用及び右眼用の偏光画像(左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号)のそれぞれを、観察者の左眼及び右眼にそれぞれ入射させるために用いられる。例えば、3D画像鑑賞システムの映像駆動部から出力された左眼用円偏光信号が左円偏光であって右眼用円偏光信号が右円偏光である場合、本発明のメガネの前記左眼用偏光層が右円偏光を反射し、かつ左円偏光を透過するようにし、前記右眼用偏光層が左円偏光を反射し、かつ右円偏光を透過するようにすることで、観察者は3D画像が得られる。
本発明のメガネは、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層がともに本発明の円偏光層または本発明の円偏光層の積層体を有することが好ましい。
また、本発明のメガネの一方の眼用の偏光層は、本発明の円偏光層または本発明の円偏光層の積層体の前記コレステリック液晶層が左方向のねじれまたは右方向のねじれのコレステリック配向構造を有することがより好ましい。
本発明のメガネがλ/2層を用いない構成とする場合、本発明のメガネは、もう一方の眼用の偏光層にはコレステリック配向構造のねじれ方向が異なる別の本発明の円偏光層または本発明の円偏光層の積層体を用いることが特に好ましい。
一方、本発明のメガネがλ/2層を用いる構成とする場合、本発明のメガネは、もう一方の眼用の偏光層にはコレステリック配向構造のねじれ方向が同じである別の本発明の円偏光層または本発明の円偏光層の積層体を用いることが好ましい。ここで、本発明のメガネがλ/2層を用いる構成とする場合は、前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち少なくとも一方が本発明の円偏光層または本発明の円偏光層の積層体を有し;他の一方が本発明の円偏光層または本発明の円偏光層の積層体と、前記円偏光層または前記円偏光層の積層体の入射光側に配置されたλ/2層とを有する構成とすることが好ましい。
本発明のメガネは、左眼用偏光層と右眼用偏光層とを任意の枠(フレーム)に固定された構成とすることができる。また、本発明のメガネは、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネ以外のメガネの左眼用および右眼用のレンズの上に、左眼用偏光層と右眼用偏光層を積層したり、取り付けたりした構成としてもよい。前記円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネ以外のメガネの具体的としては、近視用、遠視用、乱視用、老眼用などの通常の度つきメガネを挙げることができる。また、度がついていないレンズ(透明レンズ、あるいは、サングラス用途などのように無偏光の光または偏光の光を遮蔽できるレンズでもよい)を有するか、あるいは、レンズを有さずにフレームのみを有する、いわゆる伊達メガネも挙げることができる。
その他、例えば、特開2012−32527号公報や特開平2−48634号公報に記載の眼鏡などの構成を本発明の趣旨に反しない限りにおいて本発明のメガネに適用することができる。
(用途)
本発明のメガネは、円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネとして用いることが好ましく、例えば後述の本発明の3D画像鑑賞システムに用いることができる。
[3D画像鑑賞システム]
本発明の3D画像鑑賞システムは、本発明のメガネと、左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号を出力する映像駆動部とを有し、前記メガネの前記左眼用偏光層が前記映像駆動部から出力される前記左眼用円偏光信号を透過させ、前記右眼用円偏光信号は反射させ、前記メガネの前記右眼用偏光層が前記映像駆動部から出力される前記右眼用円偏光信号を透過させ、前記左眼用円偏光信号は反射させることを特徴とする。
このような構成により、十分にクロストークを低減することができる。
円偏光方式の3D画像鑑賞システムのメガネを用いる3D画像鑑賞システムでは、あらかじめ互いに視差が設けられている左眼用の画像と右眼用の画像(左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号)をディスプレイに表示、もしくはプロジェクタで交互に投射し、本発明のメガネの各偏光層を通じてディスプレイを見ることで左右の眼でそれぞれ左眼用の画像および右眼用の画像のみを見ることができ、立体感を得ることができる。
前記左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号を出力する映像駆動部としては特に制限はなく、公知の装置を用いることができる。例えば、特許4508280号公報や特開2012−256028号公報や特開平2−48634号公報に記載のディスプレイ装置や特表2010−509629や特表2010−528323のプロジェクタなどの構成を本発明の趣旨に反しない限りにおいて本発明の3D画像鑑賞システムの前記映像駆動部に適用することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[評価法]
(1)コレステリック液晶層の選択反射波長の測定法
光学定盤上に、朝日分光(株)社製Xeランプ光源LAX−102と、ピンホールと、凸レンズと、サンプルホルダーと、浜松ホトニクス(株)社製マルチチャンネル分光器PMA−12を順番に配置して、平行光光源による透過率測定光学系を組み立てた。サンプルホルダーにサンプルをセットして透過スペクトルを測定した。
以下式で表される、コレステリック液晶層の選択反射による半値透過率:T1/2(%)の、長波側と短波側の2つの波長の平均値を、コレステリック液晶層の選択反射波長とした。
半値透過率を求める式: T1/2= 100−(100−Tmin)÷2
Tmin(%):透過率の極小値
(2)位相差層の位相差の測定法
自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)に位相差層サンプルを、基材を外してセットし、所望の波長での位相差を測定した。
(3)クロストーク値の測定法
光学定盤上に、朝日分光(株)社製Xeランプ光源LAX−102と、ピンホールと、凸レンズと、(株)美舘イメージング社製の円偏光変換用の円偏光板(右円偏光板TCPRまたは左円偏光板TCPL)と、サンプルホルダーと、浜松ホトニクス(株)社製マルチチャンネル分光器PMA−12を順番に配置して、円偏光による透過率測定光学系を組み立てた。サンプルホルダーに各実施例および比較例の円偏光層サンプルをセットして分光測定を行い、円偏光照射時の透過スペクトルを測定した。円偏光変換用の円偏光板として、得られる円偏光が各実施例および比較例の円偏光層中のコレステリック液晶層と組み合わせて遮光する円偏光板(右円偏光板TCPRまたは左円偏光板TCPLのいずれか)を用いた。このように遮光する組み合わせにした際の、各実施例および比較例の円偏光層中のコレステリック液晶層の選択反射波長での円偏光透過率をクロストーク値とした。
なお、円偏光層サンプルが位相差層を有する場合は、位相差層がコレステリック液晶層よりも入射光側(光源側)に位置し、光源から遠い側に基材フィルムが位置するように配置した。一方、円偏光層サンプルが位相差層を有さない場合は、コレステリック液晶層が入射光側(光源側)に位置し、光源から遠い側に基材フィルムが位置するように配置した。
[実施例1]
<基材フィルムの製造>
PETフィルム(下塗り層無し、富士フイルム(株)製、厚み:75μm)を用意し、ラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf、回転数:1000rpm、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を行った。
<右巻きコレステリック液晶性混合物の調製>
下記化合物A、化合物B、フッ素系水平配向剤、キラル剤、重合開始剤および溶媒としてメチルエチルケトンを混合し、下記組成の塗布液を調製した。得られた塗布液を、右巻きコレステリック液晶性混合物(R1)とした。
・下記化合物A 80質量部
・下記化合物B 20質量部
・下記フッ素系水平配向剤 0.04質量部
・キラル剤LC756(BASF社製)
混合量は下記表1に記載の所望の選択反射波長に合わせ適宜調整
・重合開始剤IRGACURE819(チバジャパン社製) 3質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が25質量%となる量
Figure 2014174468
Figure 2014174468
・フッ素系水平配向剤:特開2005−99248号公報記載の化合物
Figure 2014174468
<右巻きコレステリック液晶層の作製>
右巻きコレスリック液晶性混合物(R1)を用い、下記の手順にてコレステリック液晶相を固定し、基材フィルム上にコレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層を製造した。
(1)右巻きコレスリック液晶性混合物(R1)を、ワイヤーバーを用いて、所定の乾燥後の膜の厚み(下記表1に記載の巻き数を得られる厚み)になるように、前記基材フィルム上に、室温にて塗布した。
(2)室温にて30秒間乾燥させて溶剤を除去した後、90℃で2分間加熱して液晶を配向させた。次いで、フージョンUVシステムズ(株)製無電極ランプ「Dバルブ」(90mW/cm)にて、窒素パージ下で出力60%で6〜12秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、基材フィルム上に、下記表1に記載の選択反射波長λmaxであり、膜厚3.40μmであるコレステリック液晶相を固定してなる右巻きのコレステリック液晶層を作製した。
得られたコレステリック液晶層のらせん巻き数を以下の式に基づき、平均屈折率=1.575とおいてコレステリック液晶層の膜厚およびコレステリック液晶層の選択反射波長から換算した。
コレステリック液晶層のらせん巻き数 = 膜厚×平均屈折率/選択反射波長
<位相差層液晶性混合物の調製>
右巻きコレステリック液晶性混合物(R1)のキラル剤LC756を取り除き、膜厚に応じて溶媒量を増やして溶質濃度を下げた以外は、右巻きコレステリック液晶性混合物の調製と同様にして、位相差層液晶性混合物(P1)を調製した。
<位相差層の作製>
右巻きコレステリック液晶層の作製においてコレスリック液晶性混合物(R1)を位相差層液晶性混合物(P1)に変更した他は、右巻きコレスリック液晶性混合物(R1)同様にして、下記表1に記載の所定の位相差になるように膜厚を0.22μmに調整して、基材フィルム上に位相差層を作製した。なお、得られた位相差層は、ツイスト角0°であった。
<コレステリック液晶層が単層である円偏光層の作製>
基材フィルム上に設けられたコレステリック液晶層の上面に粘着シートを貼りつけた。
粘着シートの上にさらに、下記表1に記載の所定の面内角で、上記にて製造した基材フィルム上に設けられた位相差層を、その位相差層を粘着シート側に向けて貼りつけた。位相差層の基材フィルムを取り除き、基材フィルム、右巻きコレステリック液晶層および位相差層がこの順で積層された、コレステリック液晶層が単層である円偏光層を作製した。得られた円偏光層を、実施例1の円偏光層とした。
<単層構成の円偏光層のクロストーク測定>
実施例1の円偏光層をサンプルとして用い、上述の測定法にしたがって光源から遠い側に基材フィルム面が位置するように配置してクロストークの測定を行った。得られた結果を下記表1に記載した。
[実施例2、3]
実施例1において、下記表1に記載の所望の選択反射波長に合わせてキラル剤の添加量を変更してコレステリック液晶層を作製し、下記表1に記載のレターデーションを満たすように膜厚を変更して位相差層を作製した以外は実施例1と同様にして、実施例2および3の円偏光層を作製した。実施例2および3の円偏光層をサンプルとして用い、上述の測定法にしたがってクロストークの測定を行った。得られた結果を下記表1に記載した。
[実施例4]
<左巻きコレステリック液晶性混合物の調製>
右巻きコレステリック液晶性混合物(R1)のキラル剤LC756を下記構造の左旋回性のキラル剤(A)に変更して、その混合量は所望の選択反射波長に合わせ適宜調整した以外は、実施例1における右巻きコレステリック液晶性混合物の調製と同様にして、左巻きコレステリック液晶性混合物(L1)を調製した。
Figure 2014174468
<円偏光層の作製>
右巻きコレステリック液晶性混合物(R1)の代わりに左巻きコレステリック液晶性混合物(L1)を用い、さらに実施例1において、下記表1に記載の所望の選択反射波長に合わせてキラル剤の添加量を変更してコレステリック液晶層を作製し、下記表1に記載のレターデーションを満たすように膜厚を変更して位相差層を作製した以外は実施例1と同様にして、実施例4の円偏光層を作製した。実施例4の円偏光層をサンプルとして用い、上述の測定法にしたがってクロストークの測定を行った。得られた結果を下記表1に記載した。
[比較例1〜4]
実施例1〜4において、位相差層を設けない以外は実施例1〜4とそれぞれ同様にして、比較例1〜4の円偏光層を作製した。比較例1〜4の円偏光層をサンプルとして用い、上述の測定法にしたがってクロストークの測定を行った。得られた結果を下記表1に記載した。
[実施例5〜8、実施例9−1〜9−3および比較例5〜8]
<シミュレーションによるクロストークの計算>
実施例1〜4および比較例1〜4で作製したコレステリック液晶層に近似させて、下記表1に記載の選択反射波長、巻き方向、巻き数のコレステリック液晶層と、下記表1に記載の位相差および面内角を有する実施例5〜8、実施例9−1〜9−3および比較例5〜8の円偏光層について、シンテック社製光学シミュレータLCDMasterを使用してBERREMANN 4×4法を用いたシミュレーションを行った。具体的には、R光、G光、B光の各種波長の光を実施例5〜8、実施例9−1〜9−3および比較例5〜8の円偏光層に入射させた際の透過率を計算し、その値をクロストークとした(位相差層の面内角は、選択反射波長の円偏光透過率が最低になるように、調整した結果を下記表1に記載した。)。なお、実施例5と実施例9−1〜9−3は、それぞれ順番に、式(1)のn=0、1、2、3の場合にあたる。
実施例5〜8、実施例9−1〜9−3および比較例5〜8の結果を下記表1の「計算」欄に記載した。
Figure 2014174468
[参考例1]
<従来の3Dメガネ用円偏光板のクロストーク測定値>
直線偏光板とλ/4層からなる公知従来の3Dメガネ用円偏光板のクロストークを、上述の測定法と同様の方法で測定した。その結果を下記表2に記載した。
Figure 2014174468
表1より、本発明の円偏光層は、十分にクロストークが改善されることがわかった。
一方、比較例1〜8より、位相差層を有さない場合は、クロストークの改善が不十分であることがわかった。
なお、実施例1〜8、実施例9−1〜9−3の円偏光層は、位相差層のツイスト角およびチルト角がいずれも0°であった。
また、基材フィルムや粘着シートのReはほぼ0に近く、光学特性への影響はほとんどなかった。
[実施例11]
<コレステリック液晶層積層円偏光層(位相差層+複数のコレステリック液晶層積層の円偏光層)の作製水準とクロストーク測定値>
(積層コレステリック液晶層の作製)
コレスリック液晶性混合物(R1)を用い、下記の手順にてコレステリック液晶相を積層して固定し、基材フィルム上にコレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層が2層積層された積層コレステリック液晶層を作製した。
(1)下表3の入射光側から2層目のコレステリック液晶層の選択反射波長を示すようにキラル剤量を調整した、右巻きコレスリック液晶性混合物(R1)を、ワイヤーバーを用いて、所定の乾燥後の膜の厚み(下記表3に記載の巻き数)になるように、前記基材フィルム上に、室温にて塗布した。
(2)室温にて30秒間乾燥させて溶剤を除去した後、90℃で2分間加熱して液晶を配向させた。次いで、フージョンUVシステムズ(株)製無電極ランプ「Dバルブ」(90mW/cm)にて、窒素パージ下で出力60%で6〜12秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、基材フィルム上に、下記表3に記載の選択反射波長λmaxであり、膜厚4.07μmであるコレステリック液晶相を固定してなる液晶層(入射光側から数えて2層目のコレステリック液晶層)を作製した。
(3)上記手順(1)、(2)と同様の手順で、基材フィルムの代わりに位相差層側から数えて2層目のコレステリック液晶層上に、下表3の入射光側から1層目のコレステリック液晶層の選択反射波長を示すようにキラル剤量を調整した、右巻きコレステリック液晶性混合物(R1)を、下記表3に記載の入射光側から1層目のコレステリック液晶層の巻き数の厚みとなるように塗布し、得られたコレステリック液晶層を固定化して、入射光側から数えて1層目のコレステリック液晶層を設け、積層コレステリック液晶層を作製した。
(位相差層の作製)
実施例1において下記表3に記載のレターデーションを満たすように膜厚の添加量を変更して位相差層を作製した以外は実施例1と同様にして、位相差層を作製した。
(単層構成のコレステリック液晶層積層円偏光層(位相差層+複数のコレステリック液晶層積層の円偏光層)の作製)
積層コレステリック液晶層のコレステリック液晶層(入射光側から数えて1層目のコレステリック液晶層)の上面に粘着シートを貼りつけた。
粘着シートの上にさらに、下記表3に記載の所定の面内角で、上記にて製造した基材フィルム上に設けられた位相差層を、その位相差層を粘着シート側に向けて貼りつた。位相差層の基材フィルムを取り除き、基材フィルム、右巻きコレステリック液晶層(入射光側から数えて2層目のコレステリック液晶層)、右巻きコレステリック液晶層(入射光側から数えて1層目のコレステリック液晶層)および位相差層がこの順で積層された、単層構成のコレステリック液晶層積層円偏光層を作製した。得られた円偏光層を、実施例11の円偏光層とした。
(クロストークの測定)
実施例11の円偏光層をサンプルとして用い、上述の測定法にしたがって光源から遠い側に基材フィルムが位置するように配置してクロストークの測定を行った。得られた結果を下記表3に記載した。
下記表3中、クロストークの「1層目」のデータは実施例11の円偏光層に対して1層目位相差層側から1層目のコレステリック液晶層の選択反射波長λmax(447nm)で測定したときの透過率を表し、クロストークの「2層目」のデータは実施例11の円偏光層に対して1層目位相差層側から2層目のコレステリック液晶層の選択反射波長λmax(634nm)で測定したときの透過率を表す。
[比較例11]
実施例11において、位相差層を設けない以外は実施例11とそれぞれ同様にして、比較例11の円偏光層を作製した。比較例11の円偏光層をサンプルとして用い、上述の測定法にしたがって実施例11と同様にしてクロストークの測定を行った。得られた結果を下記表3に記載した。
Figure 2014174468
上記表3中、1層目位相差層の位相差のレターデーションのRe/λmaxの計算に用いたλmaxは、入射光側から数えて1層目のコレステリック液晶層の選択反射波長λmaxを指す。
上記表3より、コレステリック液晶層を積層したサンプルに対して、光源側に補正用位相差層をおいた実施例11の円偏光層は、クロストーク低減が十分であることがわかった。
なお、実施例11の円偏光層は、1層目位相差層のツイスト角およびチルト角がいずれも0°であった。
また、基材フィルムや粘着シートのReはほぼ0に近く、光学特性への影響はほとんどなかった。
[実施例21]
<円偏光層の積層体の作製>
下記表4に記載の特性の各位相差層およびコレステリック液晶層の単層膜を上記各実施例と同様の手法に準じて作製し、下記表4に記載の所定の積層順に、粘着シートを介して各各位相差層およびコレステリック液晶層を下記表4に記載の所定の面内角で貼り付けて、その後、基材フィルムを除去することを繰り返して、円偏光層の積層膜体を作製した。得られた円偏光層の積層体を、実施例21の円偏光層の積層体とした。
[比較例21]
<円偏光層の積層体の作製>
実施例21において、位相差層を設けない以外は実施例21とそれぞれ同様にして、比較例21の円偏光層の積層体を作製した。比較例21の円偏光層の積層体をサンプルとして用い、上述の測定法にしたがって実施例21と同様にしてクロストークの測定を行った。得られた結果を下記表4に記載した。
<クロストークの測定値>
実施例21の円偏光層をサンプルとして用い、上述の測定法にしたがって光源から遠い側に基材フィルムが位置するように配置してクロストークの測定を行った。得られた結果を下記表4に記載した。
下記表4中、クロストークの「1層目」のデータは実施例21の円偏光層に対して1層目位相差層側から1層目のコレステリック液晶層の選択反射波長λmax(550nm)で測定したときの透過率を表し、クロストークの「2層目」のデータは実施例21の円偏光層に対して1層目位相差層側から2層目のコレステリック液晶層の選択反射波長λmax(634nm)で測定したときの透過率を表し、クロストークの「3層目」のデータは実施例21の円偏光層に対して1層目位相差層側から3層目のコレステリック液晶層の選択反射波長λmax(447nm)で測定したときの透過率を表す。
Figure 2014174468
上記表4中、各位相差層の位相差のレターデーションのRe/λmaxの計算に用いたλmaxは、光源から遠い側に隣接するコレステリック液晶層のλmaxを指す。
上記表4より、コレステリック液晶層を積層したサンプルに対して、各コレステリック液晶層ごとに光源側に補正用位相差層をおいた実施例21の円偏光層は、クロストーク低減が十分であることがわかった。
なお、実施例21の円偏光層は、1層目、2層目および3層目の位相差層のツイスト角およびチルト角がいずれも0°であった。
また、基材フィルムや粘着シートのReはほぼ0に近く、光学特性への影響はほとんどなかった。
[実施例101〜111、比較例101および102]
下記表5に記載の選択反射波長、巻き方向、巻き数のコレステリック液晶層と、下記表5に記載の位相差、中央部の面内角およびツイスト角を有する実施例101〜111、比較例101および102の円偏光層について、シンテック社製光学シミュレータLCDMasterを使用してBERREMANN 4×4法を用いたシミュレーションにより、上述の測定法にしたがってクロストークを求めて位相差層の位相差依存性を検討した。得られた結果を下記表5に記載した。
位相差層の面内角は、選択反射波長円偏光透過率が最低になるように、調整した。
Figure 2014174468
上記表5より、実施例101〜111の円偏光層は、参考例1における550nmにおけるクロストーク(円偏光透過率)2.5%以下であり、十分にクロストークを低減できることがわかった。
一方、Re/λmaxが本発明の範囲を下回るレターデーション値を有する位相差層を設けた比較例101の円偏光層は、クロストークが大きかった。Re/λmaxが本発明の範囲を上回るレターデーション値を有する位相差層を設けた比較例102の円偏光層は、クロストークが大きかった。
なお、実施例101〜111、比較例101および102の円偏光層は、位相差層のチルト角をいずれも0°とした。
[実施例201〜207]
<位相差層のツイスト角依存性>
下記表6に記載の選択反射波長、巻き方向、巻き数のコレステリック液晶層と、下記表6に記載の位相差、中央部の面内角およびツイスト角を有する実施例201〜207の円偏光層について、シンテック社製光学シミュレータLCDMasterを使用してBERREMANN 4×4法を用いたシミュレーションにより、上述の測定法にしたがってクロストークを求めて位相差層のツイスト角依存性を検討した。得られた結果を下記表6に記載した。なお、製造上の都合で、位相差層の屈折率にねじれてツイスト角が生じてしまうことがある。
位相差層の面内角は、選択反射波長円偏光透過率が最低になるように、調整した。
Figure 2014174468
上記表6より、位相差層のツイスト角±90°以内の実施例201〜207の円偏光層は参考例1における550nmにおけるクロストーク(円偏光透過率)2.5%以下であり、十分にクロストークを低減できることがわかった。
なお、実施例201〜207の円偏光層は、位相差層のチルト角をいずれも0°とした。
[実施例301〜306]
<チルト角依存性>
下記表7に記載の選択反射波長、巻き方向、巻き数のコレステリック液晶層と、下記表7に記載の位相差、中央部の面内角およびチルト角を有する実施例301〜306の円偏光層について、シンテック社製光学シミュレータLCDMasterを使用してBERREMANN 4×4法を用いたシミュレーションにより、上述の測定法にしたがってクロストークを求めて位相差層のチルト角依存性を検討した。得られた結果を下記表7に記載した。なお、製造上の都合で、位相差層の屈折率の最大方向にチルト角が生じてしまうことがある。
位相差層の面内角は、選択反射波長円偏光透過率が最低になるように、調整した。
Figure 2014174468
上記表7より、位相差層のチルト角40°以下の実施例301〜306の円偏光層は参考例1における550nmにおけるクロストーク(円偏光透過率)2.5%以下であり、十分にクロストークを低減できることがわかった。
なお、実施例301〜306の円偏光層は、位相差層のツイスト角をいずれも0°とした。
[実施例401〜425]
<巻き数依存性>
下記表8に記載の選択反射波長、巻き方向、巻き数のコレステリック液晶層と、下記表8に記載の位相差、中央部の面内角およびツイスト角を有する実施例401〜425の円偏光層について、シンテック社製光学シミュレータLCDMasterを使用してBERREMANN 4×4法を用いたシミュレーションにより、上述の測定法にしたがってクロストークを求めて位相差層のツイスト角依存性を検討した。得られた結果を下記表8に記載した。
位相差層の面内角は、選択反射波長円偏光透過率が最低になるように、調整した。
Figure 2014174468
上記表8より、位相差層のらせん巻き数が9巻き以上の実施例401〜425の円偏光層は参考例1における550nmにおけるクロストーク(円偏光透過率)2.5%以下であり、十分にクロストークを低減できることがわかった。
さらに、上記表8より、位相差層のらせん巻き数とツイスト角依存性を見積もると、ツイスト角を30度にすると若干、位相差層のらせん巻き数が同じ場合におけるクロストークが悪くなることがわかった。
なお、実施例401〜425の円偏光層は、位相差層のチルト角をいずれも0°とした。
1、1a、1b、1c コレステリック液晶層
2 コレステリック液晶の1巻き
3 位相差層と接している部分
4 位相差層と接している部分における液晶ダイレクター方向
11、11a、11b、11c 位相差層
12 位相差層のコレステリック液晶層と接している部分
13 位相差層のコレステリック液晶層と接している部分12とは反対側の部分
14 位相差層の基準方向
15 位相差層のコレステリック液晶層と接している部分における屈折率の面内最大方向
16 位相差層の面内角
17 位相差層のチルト角
18 位相差層のコレステリック液晶層と接している部分12における面内角
19 位相差層のコレステリック液晶層と接している部分とは反対側の部分13における面内角
20 位相差層の厚み方向中央部
21 円偏光層
22 円偏光層の積層体
31 入射光の方向(位相差層およびコレステリック液晶層の表面に対して垂直方向)
32 透過光
41 等方性層

Claims (15)

  1. コレステリック液晶相を固定化してなるコレステリック液晶層と、
    前記コレステリック液晶層と直接または等方性層を介して配置された位相差層とを有し、
    下記式(1)を満たすことを特徴とする円偏光層。
    式(1)
    (2.5/64) +n ≦ Re/λmax ≦ (6/64)+n
    (式(1)中、Reは波長λmaxにおける前記位相差層の面内方向のレターデーション(単位:nm)を表し、λmaxは前記コレステリック液晶層の選択反射波長(単位:nm)を表し、nは0以上の整数を表す。)
  2. 前記式(1)中のnが0であることを特徴とする請求項1に記載の円偏光層。
  3. 前記コレステリック液晶層の選択反射波長λmaxが300nm〜2500nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の円偏光層。
  4. 前記コレステリック液晶層のコレステリック配向構造のらせん巻き数が8以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の円偏光層。
  5. 前記位相差層のチルト角が0°〜50°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の円偏光層(ただし、位相差層のチルト角とは、位相差層の屈折率の最大方向と、位相差層の表面とのなす角のことを言う)。
  6. 前記位相差層のツイスト角が−100°〜100°であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の円偏光層(ただし、位相差層のツイスト角とは、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分とは反対側の部分の表面における面内角から、位相差層のコレステリック液晶層と接している部分の表面における面内角を差引いた値のことをいう。位相差層の表面の面内角とは、コレステリック液晶層の位相差層側の表面における液晶ダイレクター方向と、位相差層の屈折率の最大方向を位相差層の表面へ正射影した方向とのなす角度のことを言う。コレステリック液晶層の、位相差層側から見た、らせん回転方向と同じ回転方向を、位相差層の面内角の正の回転方向とする。)。
  7. 前記位相差層が前記コレステリック液晶層よりも入射光側に配置されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の円偏光層。
  8. 前記コレステリック液晶層が2層以上積層されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の円偏光層。
  9. 前記位相差層が液晶分子の配向を固定されてなる液晶膜であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の円偏光層。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の円偏光層が2層以上積層されたことを特徴とする円偏光層の積層体。
  11. 左眼用偏光層と右眼用偏光層とを有し、
    前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち少なくとも一方が右円偏光を反射し、かつ左円偏光を透過し、
    前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち他の一方が左円偏光を反射し、かつ右円偏光を透過し、
    前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち少なくとも一方が請求項1〜9のいずれか一項に記載の円偏光層または請求項10に記載の円偏光層の積層体を有することを特徴とするメガネ。
  12. 前記コレステリック液晶層が左方向のねじれまたは右方向のねじれのコレステリック配向構造を有することを特徴とする請求項11に記載のメガネ。
  13. 前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層がともに請求項1〜9のいずれか一項に記載の円偏光層または請求項10に記載の円偏光層の積層体を有することを特徴とする請求項11または12に記載のメガネ。
  14. 前記左眼用偏光層および前記右眼用偏光層のうち少なくとも一方が請求項1〜9のいずれか一項に記載の円偏光層または請求項10に記載の円偏光層の積層体を有し;
    他の一方が請求項1〜9のいずれか一項に記載の円偏光層または請求項10に記載の円偏光層の積層体と、前記円偏光層または前記円偏光層の積層体の入射光側に配置されたλ/2層とを有することを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載のメガネ。
  15. 請求項11〜14のいずれか一項に記載のメガネと、
    左眼用円偏光信号および右眼用円偏光信号を出力する映像駆動部とを有し、
    前記メガネの前記左眼用偏光層が前記映像駆動部から出力される前記左眼用円偏光信号を透過させ、前記右眼用円偏光信号は反射させ、
    前記メガネの前記右眼用偏光層が前記映像駆動部から出力される前記右眼用円偏光信号を透過させ、前記左眼用円偏光信号は反射させることを特徴とする3D画像鑑賞システム。
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