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JP2015187296A - 焼結部材 - Google Patents

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JP2015187296A JP2014065017A JP2014065017A JP2015187296A JP 2015187296 A JP2015187296 A JP 2015187296A JP 2014065017 A JP2014065017 A JP 2014065017A JP 2014065017 A JP2014065017 A JP 2014065017A JP 2015187296 A JP2015187296 A JP 2015187296A
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和也 武者
石井 義成
Yoshinari Ishii
義成 石井
宮原 正久
Masahisa Miyahara
正久 宮原
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Abstract

【課題】高温環境下での耐摩耗性、耐酸化性、耐焼き付き性に優れた摺動用の焼結部材を提供することを目的とする。【解決手段】鉄アルミナイド合金中にマイクロビッカース硬さ500以上、1800以下の硬質粒子が分散されている焼結部材。前記硬質粒子の含有量が、5体積%以上、45体積%以下であっても良い。前記硬質粒子の粒径が、20μm以上、150μm以下であっても良い。前記鉄アルミナイド合金中のAl含有量が12質量%以上、35質量%以下であっても良い。【選択図】図1

Description

本発明は、焼結部材に関する。
内燃機関のターボチャージャーの軸受のように、高温環境下で用いられる摺動用の部材には油を用いた潤滑ができない。このため、このような摺動用の部材には、高温環境下における耐摩耗性、耐焼き付き性が求められる。そして、従来、このような摺動用の焼結部材の材料として、ステンレス鋼が多く用いられてきた。
近年、環境問題、省エネルギー問題等により、従来以上の内燃機関の高効率化が求められている。これに対応するため、内燃機関の超希薄燃焼化が進んでおり、それに伴って、排気ガスがより高温になってきている。このため、ターボチャージャーの構成部品や内燃機関のバルブシートについても、より一層の高温環境下における耐摩耗性、耐酸化性、耐焼き付き性の向上が要求されている。
また、環境対策として自動車への搭載率が高くなっているEGR(Exhaust Gas Recirculate combustion)には、クールドEGRとホットEGRがある。このうち、ホットEGRに使用されるEGRバルブは高温の排気ガスにさらされる。したがって、ホットEGR用のEGRバルブに使用される摺動用の焼結部材として、高温環境下における耐摩耗性、耐酸化性、耐焼き付き性の向上が要求されている。
これらの要求に応えるために、様々な構成を有する焼結部材が検討されている。特許文献1には、FeにAlとCを含有させた焼結部材が開示されている。特許文献2には、Fe合金中に、硬質粒子を分散させた焼結部材が開示されている。
特許第4223185号公報 特開平6−25800号公報
しかしながら、これらの特許文献に記載の焼結部材は、高温環境下における耐摩耗性、耐酸化性、耐焼き付き性が十分ではなかった。また、これらの焼結部材は、相手材を攻撃して相手材の摩耗を促進することがあり改善が求められていた。
そこで、本発明は、高温環境下での耐摩耗性、耐酸化性、耐焼き付き性に優れ、また相手材への攻撃性が低い摺動用の焼結部材を提供することを目的とする。
本発明の焼結部材は、鉄アルミナイド合金中にマイクロビッカース硬さ500以上、1800以下の硬質粒子が分散されている。
上記の焼結部材は、前記硬質粒子の含有量が、5体積%以上、45体積%以下であっても良い。
上記の焼結部材は、前記硬質粒子の粒径が、20μm以上、150μm以下であっても良い。
上記の焼結部材は、前記硬質粒子が、金属窒化物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物、及びこれらの複合化合物、Fe基合金、Ni基合金、Mo基合金、Co基合金の金属系硬質粒子うち何れか1つ又は2つ以上の組み合わせであっても良い。
上記の焼結部材は、前記鉄アルミナイド合金中のAl含有量が12質量%以上、35質量%以下であっても良い。
上記の焼結部材は、空孔率が0.04以上0.35以下であっても良い。
上記の焼結部材は、ステンレス鋼を相手材として摺動する摺動部品として用いられても良い。
上記の焼結部材は、エンジンのEGRの摺動部品、又はエンジンのターボチャージャーの摺動部品として用いられても良い。
本発明の焼結部材は、マイクロビッカース硬さ500以上、1800以下の硬質粒子が分散して配合されているため、耐摩耗性を向上させることができる。
また、本発明の焼結部材は、鉄アルミナイド合金を基材としている。同種同士の金属の摺動においては、トモガネ現象により焼き付きが起こりやすい。摺動部材としては、耐熱部材であるステンレス鋼が多く用いられているため、ステンレス鋼を相手材とした場合であっても鉄アルミナイド合金を基材とする焼結部材を用いることで焼き付きを抑制できる。
また、鉄アルミナイド合金は、その表面にアルミニウムリッチな酸化被膜(Alを多く含む酸化被膜)を形成する。この酸化皮膜は化学的に不活性で凝着抑制効果があるため、摩耗や焼き付きを抑制できる。
また、アルミニウムリッチな酸化被膜は、摺動により剥離しやすい。剥離した酸化皮膜は摺動により更に微細になり、基材中に分散し基材の表面から露出する硬質粒子の表面や、表面から脱落した硬質粒子の表面に付着する。硬質粒子は、焼き付きを促進する場合があるが、剥離した酸化被膜が硬質粒子の表面に付着することで焼き付きを抑制させることができる。さらに、摺動により焼結部材の表面から脱落した硬質粒子は、相手材を攻撃して相手材を摩耗させることがある。硬質粒子の表面に、剥離したアルミニウムリッチな酸化被膜が付着し覆うことで、相手材への攻撃性を抑制し、相手材の摩耗を減少させることができる。
本発明に係る実施形態の焼結部材を適用可能なエンジンのEGRバルブの断面図を示す。
以下に本発明の一実施形態について説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
本実施形態の焼結部材は、ステンレス鋼を相手材として摺動するエンジンのEGRの摺動部品として用いられる焼結部材摺動部品として用いられる。また、そのほかに、ターボチャージャーの摺動部品として使用しても良い。
図1は、本実施形態の焼結部材である軸受3を備えた、エンジン用EGRバルブ1の断面図である。
EGRバルブ1は、鋳鉄製のハウジング2と、このハウジング2に嵌着される弁座部10及び軸受3と、軸受3を挿通するシャフト9と、このシャフト9の先端に設けられシャフト9の動作に合わせて弁座部10と離接する弁体7と、シャフト9の後端側でシャフトを押し上げるスプリング8及びスプリングホルダ6とを有している。
ハウジング2の嵌合面2Aに軸受3が嵌着して取り付けられている。軸受3の案内面3Aは、先端に弁体7が設けられたシャフト9を摺動自在に案内する。
ハウジング2の内部には流路12と、当該流路12から外部から流入可能な開口4とが設けられている。また、開口4の内周部には、弁座部10が嵌着して取り付けられている。弁座部10は、シャフト9の先端に設けられた弁体7と離接して開口4を開閉可能に構成されている。
シャフト9の上端には、図示略のアクチュエータが設けられている。このアクチュエータによって、シャフト9を下方に駆動し弁体7を弁座部10から離間させて開口4を開放することができる。
また、シャフト9は、段差9aが形成されており、当該段差9aがスプリングホルダ6に係止している。このスプリングホルダ6には、鍔部6aが設けられ当該鍔部6aと、ハウジング2のスプリング受け部2aの間には、予圧が加えられたスプリング8が設けられている。即ち、スプリング8は、上端においてスプリングホルダ6の鍔部6aと当接し、下端においてハウジング2のスプリング受け部2aに当接している。スプリング8によりシャフト9は、スプリングホルダ6を介し上方に押圧され、これにより、シャフト9の先端に設けられた弁体7は、弁座部10を上方に押し当て、開口4を気密に防ぐことができる。
このEGRバルブ1は、排気ガスが開口4を通り流路12へと流れる。このために、軸受3は、排気ガスに曝される。排気ガスは、500℃〜800℃の高温であり、しかも高い酸化力をもつ。したがって、軸受3は、この高温環境下において、十分な耐摩耗性、耐酸化性を有することが望まれる。
軸受3は、ハウジング2の嵌合面2Aに嵌め合いによって保持されている。また、軸受3は、案内面3Aにおいて摺動するシャフト9を保持する。したがって、軸受3の熱膨張係数は、ハウジング2の熱膨張係数、並びにシャフト9の熱膨張係数に対して、適切に設定する必要がある。
さらに、軸受3は、シャフト9との焼き付きが起こらないことが望まれる。シャフト9は、例えばステンレス鋼からなる。ステンレス鋼は、Crを多く含み、焼き付きが起こりやすい材料であることが知られている。したがって、軸受3は、ステンレス鋼を相手材として摺動した場合であっても、焼き付きが起こりにくいものであることが望まれる。
上段において、図1を基に、本実施形態の焼結部材が用いられるEGRバルブ1の軸受3について説明した。この軸受3は、500℃〜800℃の高温環境下において、十分な耐摩耗性、耐酸化性、耐焼き付き性を発揮する。
また、本発明の焼結部材の使用方法は、これに限るものではない。一例として、エンジンのターボチャージャーにおいて、高温環境下で開閉するウェイストゲートバルブの弁体として使用することもできる。ターボチャージャーにおいては、排ガスは最高で1050℃に達することがある。本発明の焼結部材は、このような高温環境下においても十分な耐摩耗性、耐酸化性、耐焼き付き性を発揮できる。
次に、本実施形態の焼結部材の特性について詳しく説明する。
<空孔率>
本実施形態の焼結部材(例えば、図1における軸受3)は、「1−密度比」(密度比=実際の密度/理論密度)で定義される空孔率を0.04以上0.35以下とすることが好ましい。
焼結部材の空孔率は、密度比から算出することができる。密度比は、アルキメデス法により測定した焼結部材の実際の密度と、基材及び硬質粒子の密度及び配合量から導き出される理論密度との比として求めることができる(密度比=実際の密度/理論密度)。空孔率は、この密度比から1との差をとって求めることができる(空孔率=1−密度比)。
空孔率が0.35を超えていると(即ち、密度比が0.65以下であると)、焼結部材の耐酸化性が低下する。空孔率が高いとこれに起因し焼結部材の表面積が大きくなり、基材である鉄アルミナイド合金中の酸化被膜を形成する成分(例えばAl)が大量に消費され、係る成分の欠乏が起こる。アルミニウムリッチな酸化被膜(Alを多く含む酸化被膜)は化学的に不活性で凝着抑制効果があり摩耗や焼き付きを抑制できる。酸化によるアルミニウム欠乏により、酸化皮膜中のアルミニウム濃度が減少するため耐摩耗性が低下する。
空孔率を0.35以下とすることで、耐酸化性の低下を防ぎ、酸化皮膜中のアルミニウムイオンが欠乏することがなく、耐磨耗性を向上することができる。
また、空孔率が0.04未満であると(即ち、密度比が0.96以上であると)、高温下(500℃以上)における摺動において、焼き付きが起こりやすくなる。特に、HIP製法で製作した焼結体は、密度比が例えば0.98以上となる。したがって、HIP製法による高密度の焼結体は、表面に空孔がほとんどなく焼き付きが発生しやすくなる。
本実施形態の焼結部材は、空孔率を0.04以上としたことで、その表面には、空孔が形成されている。摺動の過程において発生した摩耗粉が、この空孔に入り込む(落下する)ことで、焼き付きが起こりにくくなる。
摺動によって発生した摩耗粉は、焼結部材の基材表面から剥離した酸化被膜に由来する基材摩耗粉と、焼結部材から脱落した脱落硬質粒子と、相手材から発生した相手材摩耗粉と、からなる。これらのうち、基材摩耗粉は酸化被膜に由来し焼き付きを防ぐ効果があるが、脱落硬質粒子と、相手材摩耗粉は、焼き付きを促進してしまう。空孔を形成して、摩耗粉をこの空孔に落下させることで、焼き付きを抑制できる。
<ステンレス合金>
本実施形態の焼結部材は、基材が鉄アルミナイド合金である。同種同士の金属の摺動においては、トモガネ現象により焼き付きが起こりやすい。摺動部材としては、耐熱部材であるステンレス鋼が多く用いられているため、このステンレス鋼を相手材とした場合であっても鉄アルミナイド合金を基材とする焼結部材を用いることで焼き付きを抑制できる。
また、鉄アルミナイド合金は、その表面にアルミニウムリッチな酸化被膜(Alを多く含む酸化被膜)を形成する。この酸化皮膜は化学的に不活性で凝着抑制効果があるため、摩耗や焼き付きを抑制できる。
この基材である鉄アルミナイド合金は、Al含有量が12質量%以上、35質量%以下であることが好ましい。また、FeとAl以外にAlの含有量(質量%)未満であればCrが含まれていても構わない。その他、Ni、Mo、Cu、Si、C、N等の他成分が含まれていても構わない。Al量以上のCrが添加されると基材酸化皮膜中のCr濃度が上昇し、アルミニウム濃度が減少するため耐焼き付き性が低下する。
Al含有量が12質量%以上、35質量%以下とする場合には、基材である鉄アルミナイド合金の組成は、そのほとんどが、金属間化合物であるFeAl又はFeAlとなる。このような組成とすることで、基材の耐酸化及び耐焼き付き性が向上する。
また、このような、金属間化合物を基材とした表面では安定的な酸化アルミニウム皮膜(Al)が生成される。酸化アルミニウム皮膜は耐酸化性を向上させる。
基材のAl含有量を12質量%以上とすることで、基材の表面に形成される酸化被膜のうち、酸化アルミニウムの割合を一定以上とし、その他の酸化物(例えばFe酸化物)の割合を減らすことができる。これによって、基材の耐酸化性及び耐焼き付き性を向上できる。
また、基材のAl含有量が多くなると、相対的にFeが減少し、酸化被膜中のFeイオン濃度が減少する。焼結部材の表面では、摺動により次々に酸化被膜が剥離していくため、迅速に酸化被膜が形成される必要がある。Feイオンは酸化被膜の形成を促進するため、Feイオン濃度を高く保つことで、酸化被膜形成に要する時間を短くして、摺動時の耐酸化性、耐焼き付き性を向上させることができる。
<硬質粒子>
本実施形態の焼結部材は、基材である鉄アルミナイド合金中に、硬質粒子が分散されている。焼結部材に硬質粒子を分散させることで、焼結部材自身の摩耗を抑制することができる。
硬質粒子として、マイクロビッカース硬さ500以上、1800以下のものを用いることが好ましい。
マイクロビッカース硬さが500未満の硬質粒子を用いた場合には、焼結部材の耐摩耗性向上の効果を十分に奏することができない。
また、マイクロビッカース硬さが1800を超える硬質粒子を用いた場合、摺動時に相手材(図1に示す例において、シャフト9)に対する攻撃性が急激に増大し、相手材の摩耗が顕著になるばかりか、焼き付きが起こりやすくなる。
したがって、硬質粒子のマイクロビッカース硬さ500以上、1800以下とすることが好ましい。
基材中に分散する硬質粒子の含有量は、5体積%以上、45体積%以下とすることが好ましい。
硬質粒子の含有量が5体積%未満であると、焼結部材の耐摩耗性向上の効果を十分に奏することができない。
また、硬質粒子の含有量が45体積%を超えると、摺動時に基材の酸化被膜とともに脱落する硬質粒子の量が増えて相手材(図1に示す例において、シャフト9)への攻撃性が高まる。したがって、相手材の摩耗が顕著となる。加えて、成形性や加工性(切削性)が低下し、製造コストが高くなる。
したがって、基材中に分散する硬質粒子の含有量を、5体積%以上、45体積%以下とすることで、焼結部材の耐摩耗性を確保するとともに、相手材への攻撃性を抑制できる。
硬質粒子の粒径は、20μm以上、150μm以下とすることが好ましい。
硬質粒子として粒径の大きなものを使うことで耐摩耗性が向上し、その反面耐焼き付き性は低下する。硬質粒子として、20μm以上、150μm以下の粒径のものを用いることで、耐摩耗性と耐焼き付き性をバランスよく実現できる。
硬質粒子としては、複数の種類のものを組み合わせて使用することができる。具体的には、金属窒化物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物、及びこれらの複合化合物、Fe基合金、Ni基合金、Mo基合金、Co基合金の金属系硬質粒子うち何れか1つ又は2つ以上の組み合わせを硬質粒子として用いることができる。
このように構成された、焼結部材は、摺動部材として用いることで、表面のアルミニウムリッチな酸化被膜が剥離する。剥離した酸化皮膜は摺動により更に微細になり、基材中に分散し基材の表面から露出する硬質粒子の表面や、表面から脱落した硬質粒子の表面に付着する。
硬質粒子は、焼結部材自身の耐摩耗性を向上させる一方で、焼き付きを促進し、また相手材への攻撃性を高める。剥離した酸化被膜が、硬質粒子の表面に付着することで焼き付きを抑制し、硬質粒子の相手材攻撃性を低めることができる。
硬質粒子は、例えば水アトマイズ製法により形成されることがあるが、その場合の粒子形状は、不規則塊状となる。このような粒子形状の硬質粒子は、特に相手材への攻撃性が高い。このような粒子形状の硬質粒子であっても、その表面に剥離したアルミニウムリッチな酸化被膜が付着し覆うことで、相手材への攻撃性を抑制し、相手材の摩耗を減少させることができる。
<製造手順>
本実施形態の焼結部材は、基材粉末としてAl粉末とFe粉末とを混合しても用いてもよく、また鉄アルミナイド合金を粉末にしたもの、または鉄アルミナイド合金とFe粉末を混同して用いても良い。基材粉末として、100メッシュ以下の微粉を使用することが好ましい。
この基材粉末に上段において説明した硬質粒子を添加し混合する。混合に際しては、ボールミル、V型混合器等を用いて均一に分散させることが好ましい。
次に、このような混合粉体を金型に格納し、5000kg/cm〜9000kg/cmの圧力を加えて、1000℃〜1300℃で、水素窒素混合雰囲気等において焼結し、さらにサイジングを行うことで、所定の形状に形成することができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<焼結部材の作製>
粒度が100メッシュ以下の原料粉末に、硬質粒子を配合し、V型混合機にて30分間混合した後、所定の圧力でプレス成形して圧粉体を作製した。硬質粒子として、金属窒化物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物、及びこれらの複合化合物、Fe基合金、Ni基合金、Mo基合金、Co基合金の金属系硬質粒子のうちの、所望のマイクロビッカース硬さのものを用いた。この圧粉体を、水素窒素混合雰囲気で、1000〜1400℃範囲内の所定の温度で焼結し、続いてサイジングを行った。
以上の工程により、外径:18mm×内径:8mm×高さ:8mmの寸法を有する種々の組成の軸受の試料を作製した。
<耐摩耗性試験>
ロータリアクチュエータ(SMC製:CDRB2BW40−90DT79L、搖動角:70°)を用い往復摺動試験を行い、摩耗量の評価を行った。往復摺動試験は、JIS規格のSUS316製の軸を用いて、クリアランスを約0.1mmとし、軸に3MPaを負荷し、軸を毎分75往復の速度でラジアル方向に400000往復させることにより行った。また、温度を800℃に制御し、それぞれ試験を行った。
この往復摺動試験を別サンプルを用いて3回行い、それぞれの試験終了後の、軸受と軸の最大摩耗深さの平均値を摩耗量とした。軸受及び軸の摩耗評価の判定は以下の基準に従って行った。なお、焼き付きが起こった場合は、その時点で試験を中止した。
○:摩耗量が75μm以下。
△:摩耗量が75μmを超え150μm未満。
×:摩耗量が150μm以上。
−:3回の試験ですべて焼き付きが起こった。
この耐摩耗性試験において、軸受の摩耗は、焼結部材自身の耐摩耗性を評価する指標となる。また、軸の摩耗は、焼結部材の相手材への攻撃性を評価する指標となる。
<耐焼き付き性試験>
上記耐摩耗性試験と同様の試験を、別サンプルを用いて30回行い、焼き付きが発生したサンプルの個数を調べた。焼き付き評価の判定は以下の基準に従って行った。
○:焼き付きが起こったサンプルがない。
△:焼き付きが起こったサンプルがあり2個以下。
×:焼き付きが起こったサンプルが3個以上。
<耐酸化性試験>
試料を900℃に加熱して大気中で500時間保持した後に冷却し、加熱前後における重量の増加により耐酸化性を評価した。耐酸化性評価の判定は以下の基準に従って行った。
◎:加熱前後における重量の増加が50g/m以下。
○:加熱前後における重量の増加が50g/mを超え200g/m以下。
△:加熱前後における重量の増加が200g/mを超え400g/m以下。
×:加熱前後における重量の増加が400g/mを超える。
<結果>
また、基材中のAl含有量、硬質粒子の硬さ、粒径、添加量、形成した焼結部材の空孔率を様々に変えたサンプルに対して、耐摩耗性試験、耐焼き付き性試験、耐酸化性試験を行った結果を表1に示す。
なお、サンプルNo.1〜No.28の基材には、Al以外にFeと不可避不純物しか含まれていない。また、サンプルNo.29〜No.32は、表中に示されたステンレス鋼の粉末を用いており、Alを基材中に含んでいない。
空孔率は、アルキメデス法により焼結部材の実際の密度を測定し、この実際の密度と基材及び硬質粒子の密度及び配合量から導き出される理論密度から算出した。
硬さは、マイクロビッカース硬さ試験機により測定した。
Figure 2015187296
<考察>
サンプルNo.1〜No.5、並びにサンプルNo.19、No.20は、Al含有量を様々に変えたサンプルである。
サンプルNo.1〜No.5は、Al含有量を好ましい範囲(12質量%〜35質量%)の中で様々に変えたサンプルであり、耐酸化性、耐摩耗性(軸受の摩耗)、相手攻撃性(軸の摩耗)、耐焼き付き性、ともに好ましい結果となった。
これに対し、サンプルNo.19は、Al含有量が好ましい範囲を下回っており、耐酸化性、耐焼き付き性が低下していることがわかる。
また、サンプルNo.20は、Al含有量が好ましい範囲を上回っており、特に耐焼き付き性が低下していることがわかる。
このように、サンプルNo.1〜No.5、並びにサンプルNo.19、No.20の結果から、Al含有量を12質量%〜35質量%とすることで、耐酸化性、耐焼き付き性を向上できることが確認された。
サンプルNo.6〜No.8、並びにサンプルNo.21、No.22は、硬質粒子の添加量(即ち含有量)を様々に変えたサンプルである。
サンプルNo.6〜No.8は、硬質粒子の添加量を好ましい範囲(5体積%〜45体積%)の中で様々に変えたサンプルであり、耐酸化性、耐摩耗性(軸受の摩耗)、相手攻撃性(軸の摩耗)、耐焼き付き性、ともに好ましい結果となった。
これに対し、サンプルNo.21は、硬質粒子の添加量が好ましい範囲を下回っており、耐摩耗性(軸受の摩耗)が低下していることがわかる。これは、添加量が少ないために硬質粒子の添加による耐摩耗性向上の効果を十分に奏することができていないためであると思われる。
また、サンプルNo.22は、硬質粒子の添加量が好ましい範囲を上回っており、耐焼き付き性が低下していることがわかる。これは、硬質粒子の影響で、焼き付きが促進されているためであると思われる。
このように、サンプルNo.6〜No.8、並びにサンプルNo.21、No.22の結果から、硬質粒子の含有量を5体積%〜45体積%とすることで、耐摩耗性、耐焼き付き性を向上できることが確認された。
サンプルNo.9、No.10、並びにサンプルNo.23、No.24は、硬質粒子のマイクロビッカース硬さを様々に変えたサンプルである。
サンプルNo.9、No.10は、硬質粒子のマイクロビッカース硬さを好ましい範囲(500以上、1800以下)の中で様々に変えたサンプルであり、耐酸化性、耐摩耗性(軸受の摩耗)、相手攻撃性(軸の摩耗)、耐焼き付き性、ともに好ましい結果となった。
これに対し、サンプルNo.23は、硬質粒子のマイクロビッカース硬さが好ましい範囲を下回っており、耐摩耗性(軸受の摩耗)が低下していることがわかる。これは、硬質粒子の硬さが十分でないために硬質粒子の添加による耐摩耗性向上の効果を十分に奏することができていないためであると思われる。
また、サンプルNo.24は、硬質粒子のマイクロビッカース硬さが好ましい範囲を上回っており、相手攻撃性(軸の摩耗)が高くなってしまい、また耐焼き付き性が低下していることがわかる。硬質粒子は、摺動により基材の表面から剥離すると、相手材(この場合、軸)を攻撃して、相手材の摩耗を促進する。硬質粒子が硬いとこの攻撃性は増すため、相手材の摩耗が顕著となったと考えられる。また、硬質粒子は、焼き付きを促進し、硬質粒子が硬いとその効果が大きくなるため、焼き付きが起こったと考えられる。
このように、サンプルNo.9、No.10、並びにサンプルNo.23、No.24の結果から、硬質粒子のマイクロビッカース硬さを500以上、1800以下とすることで、耐摩耗性、相手攻撃性、耐焼き付き性を改善できることが確認された。
サンプルNo.11〜No.15、並びにサンプルNo.25、No.26は、硬質粒子の粒径を様々に変えたサンプルである。
サンプルNo.11〜No.15は、硬質粒子の粒径を好ましい範囲(20μm〜150μm)の中で様々に変えたサンプルであり、耐酸化性、耐摩耗性(軸受の摩耗)、相手攻撃性(軸の摩耗)、耐焼き付き性、ともに好ましい結果となった。
これに対し、サンプルNo.25は、硬質粒子の粒径が好ましい範囲を下回っており、耐摩耗性(軸受の摩耗)が低下していることがわかる。これは、硬質粒子の粒径が十分でないために硬質粒子の添加による耐摩耗性向上の効果を十分に奏することができていないためであると思われる。
また、サンプルNo.26は、硬質粒子の粒径が好ましい範囲を上回っており、耐焼き付き性が低下していることがわかる。硬質粒子は、焼き付きを促進し、粒径が大きいとその効果が多くなるため、焼き付きが起こったと考えられる。
このように、サンプルNo.11〜No.15、並びにサンプルNo.25、No.26の結果から、硬質粒子の粒径を20μm〜150μmとすることで、耐摩耗性耐焼き付き性を改善できることが確認された。
サンプルNo.16〜No.18、並びにサンプルNo.27、No.28は、焼結部材の空孔率を様々に変えたサンプルである。
サンプルNo.16〜No.18は、焼結部材の空孔率を好ましい範囲(0.04〜0.35)の中で様々に変えたサンプルであり、耐酸化性、耐摩耗性(軸受の摩耗)、相手攻撃性(軸の摩耗)、耐焼き付き性、ともに好ましい結果となった。
これに対し、サンプルNo.27は、焼結部材の空孔率が好ましい範囲を下回っており、耐焼き付き性が低下していることがわかる。これは、空孔率が低いため、摺動によって発生した摩耗粉が落下する空孔が表面に形成されておらず、摩耗粉の成長化し、焼き付きに進展したためであると考えられる。
また、サンプルNo.28は、焼結部材の空孔率が好ましい範囲を上回っており、耐酸化性が低下していることがわかる。これは、高い空孔率に起因し表面積が大きくなり、酸化被膜が十分に形成されていないためであると考えられる。
サンプルNo.29〜No.32は、基材としてステンレス鋼(SUS316又はSUS434)を用いたサンプルである。
これらのサンプルは、全て耐焼き付き性が低下している。これは、相手材である軸がステンレス鋼であり、同種同士の摺動により、トモガネ現象が発生したと考えられる。また、ステンレス鋼に含まれるCrは、焼き付きを促進する効果があるため、焼き付きが起こりやすくなる。
加えて、これらのステンレス鋼は、Alを含有していない。Alは、基材の表面に酸化被膜を形成する。また、この酸化被膜摺動により剥離して摩耗粉となり、硬質粒子の表面に付着する。硬質粒子は、焼き付きを促進する効果があるが、剥離した酸化被膜が、硬質粒子の表面に付着して焼き付きを抑制させることができる。サンプルNo.29〜No.32は、このようなAlの酸化被膜による、焼き付き抑制効果を得ることができない。したがって、焼き付きが抑制されなかったと考えられる。
また、これらのサンプルは、軸摩耗が顕著となっている(特にサンプルNo.30、No.31)。硬質粒子は、摺動時に相手材への攻撃性を高める。Al被膜が剥離して形成された摩耗粉は、硬質粒子の表面に付着し覆うことで、相手材への攻撃性を抑制し、相手材の摩耗を減少させることができるが、Alを有さない基材からなるこれらのサンプルは、このような効果を奏することができない。このことから相手材の摩耗が顕著になっていると考えられる。
以上に、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、実施形態及び実施例における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態及び実施例によって限定されることはない。
1…EGRバルブ、2…ハウジング、2A…嵌合面、2a…スプリング受け部、3…軸受(焼結部材)、3A…案内面、4…開口、6…スプリングホルダ、6a…鍔部、7…弁体、8…スプリング、9…シャフト、9a…段差、10…弁座部、12…流路

Claims (8)

  1. 鉄アルミナイド合金中にマイクロビッカース硬さ500以上、1800以下の硬質粒子が分散されている焼結部材。
  2. 請求項1に記載の焼結部材であって、
    前記硬質粒子の含有量が、5体積%以上、45体積%以下である焼結部材。
  3. 請求項1又は2に記載の焼結部材であって、
    前記硬質粒子の粒径が、20μm以上、150μm以下である焼結部材。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の焼結部材であって、
    前記硬質粒子が、金属窒化物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物、及びこれらの複合化合物、Fe基合金、Ni基合金、Mo基合金、Co基合金の金属系硬質粒子うち何れか1つ又は2つ以上の組み合わせである焼結部材。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の焼結部材であって、
    前記鉄アルミナイド合金中のAl含有量が12質量%以上、35質量%以下である焼結部材。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の焼結部材であって、
    空孔率が0.04以上0.35以下である焼結部材。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の焼結部材であって、
    ステンレス鋼を相手材として摺動する摺動部品として用いられる焼結部材。
  8. 請求項7に記載の焼結部材であって、
    エンジンのEGRの摺動部品、又はエンジンのターボチャージャーの摺動部品として用いられる焼結部材。
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