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JP2015131481A - ナノインプリント用レプリカ金型の製造方法 - Google Patents

ナノインプリント用レプリカ金型の製造方法 Download PDF

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JP2015131481A JP2014241828A JP2014241828A JP2015131481A JP 2015131481 A JP2015131481 A JP 2015131481A JP 2014241828 A JP2014241828 A JP 2014241828A JP 2014241828 A JP2014241828 A JP 2014241828A JP 2015131481 A JP2015131481 A JP 2015131481A
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Abstract

【課題】 高精度のパターン形成能、金型からの離型性、繰り返し耐久性、基材層との密着性、生産性に優れた、基材層とパターン層とを含んでなる積層体からなるナノインプリント用レプリカ金型の製造方法を提供する。
【解決手段】 重合性単量体、珪素化合物および光重合開始剤を含有する光硬化性組成物を、塗膜材として使用し、基材層上に、直接又は間接的に形成した、金型にてパターンを転写した塗膜材の光硬化膜面を有する積層体を、波長183nm以下の光を含んでいる真空紫外光を照射した後、シランカップリング剤と反応させて離型処理する。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なナノインプリント用レプリカ金型(以下、単に「レプリカ金型」という)の製造方法に関する。
近年、半導体集積回路は、より微細化され、高精度なものが要求されているが、このような微細な高精度の半導体集積回路は、一般的に、インプリント技術によって製造されている。
インプリント技術とは、基板上に形成したいパターンに対応するパターンの凹凸を有する金型(以下、「モールド」ともいう)を、基板表面に形成された塗膜上に型押しすることにより、パターンを該基板表面に形成された塗膜に転写する技術であり、この技術を使用することによって、ナノオーダーの微細なパターンを塗膜に形成することができる。インプリント技術の中でも、特に、数百〜数ナノメートル(nm)の超微細なパターンを形成する技術はナノインプリント技術と呼ばれている。
このインプリント技術について、その方法は、基板表面に形成する塗膜の材料(以下、「塗膜材」という)の特性により2種類に大別される。その1つは、パターンが転写される塗膜材を加熱して塑性変形させた後、金型を押し付け、冷却して、塗膜材を硬化させることによって、パターンを塗膜に転写する方法である。また、他の1つは、金型又は基板の少なくとも一方が光透過性であるものを使用し、基板上に液状の光硬化性組成物からなる塗膜材を塗布して塗膜を形成し、金型を押し付けて塗膜と接触させ、ついで、金型又は基板を介して光を照射して該塗膜材を硬化させることによって、パターンを塗膜に転写する方法である。これらの中でも、光照射によりパターンを転写する光インプリント法は、高精度のパターンを形成できるため、ナノインプリント技術において広く利用されるようになっており、該方法において塗膜材として好適に用いられる光硬化性組成物の開発が進められている。
ナノインプリント技術による、例えば、半導体集積回路の製造においては、基板表面と塗膜材を硬化させて得られるパターンとの密着性、及び該パターンと金型との剥離性(以下、「金型からの離型性」という)が重要になる。金型からの離型性については、金型表面にフッ素系処理剤で表面処理を施して離型性を付与する技術、光硬化性組成物と金型との界面にペンタフルオロプロパンガス等のフッ素系ガスを介在させてインプリントする技術が一般的に知られている。一方、基板との密着性は、基板の表面処理、光硬化性組成物の組成によって改善が試みられている。
ナノインプリント技術で用いられる金型は、通常、電子線リソグラフィー、光リソグラフィーによって目的のパターンを形成することにより作製され、マスター金型として使用される。その材質としては、石英、シリコン、サファイア等が用いられ、該マスター金型は、作製に時間を要し、製造設備も高価なことから、1枚が非常に高価となる、また、塗膜材による汚染や、破損の恐れ等の問題がある。一般的に、マスター金型から樹脂製のレプリカ金型が作製され、レプリカ金型でインプリントが行われている。特に、大面積化になるほど、マスター金型についての上記の問題が深刻になる。
レプリカ金型についても、マスター金型と同様に、高精度のパターン形成能、形成されたパターンからの剥離性が要求され、加えて、繰り返しの使用に対する耐久性(以下、単に「繰り返し耐久性」という)等が要求される。レプリカ金型は、樹脂フィルム等の基材層及びその表面に形成された塗膜材からなる凹凸パターン層から構成される積層体であることが多く、凹凸パターン層と基材層との密着性、さらには、レプリカ金型のコストの点から、レプリカ金型の生産性についても、より一層の改善が望まれている。
本発明における用語「レプリカ金型」とは、マスター金型のパターン形成面に形成された凹凸パターンと補形をなす凹凸パターンのパターン形成面を有するレプリカ金型、及びマスター金型と全く同一の凹凸パターンのパターン形成面を有するレプリカ金型の両方を含む。
レプリカ金型の製造において、凹凸パターン層と基材層との密着性、及び塗膜材から形成された凹凸パターン層と、レプリカ金型製造用の凹凸パターンを有する金型との剥離性(レプリカ金型の製造におけるパターンと金型との剥離性も、ナノインプリント技術の場合と同様に、「金型からの離型性」という)は、ナノインプリント技術における基板表面と塗膜材を硬化させて得られるパターンとの密着性、及び該パターンと金型との剥離性の関係と同様に、相反する特性である。
インプリント技術に関連して、生産性を高めるため、塗膜材自体に、これらの相反する特性を持たせるように、塗膜材に、フッ素系界面活性剤、シリコーン系化合物を添加することが提案されている(特許文献1参照)。また、レプリカ金型の製造に関連して、凹凸パターン層を形成する塗膜材として、(メタ)アクリレート及び光重合開始剤とともに、フッ素化されたハイパーブランチポリマーを含有させた光重合性組成物を使用したレプリカ金型が提案されている(特許文献2参照)。しかし、基材によっては、塗膜材の濡れ性が悪く、基材との密着性及び金型からの離型性の両立という点では、改善の余地があった。
光硬化性組成物からなる塗膜材を塗布してなる光硬化性転写シートを用いた凹凸パターンの形成方法において、マスター金型から転写したパターン面にUVオゾン処理を施すことで、転写層の表面の低分子量物質を分解除去して、生産性および離型性の向上を図ることが提案されている(特許文献3参照)。また、樹脂層の凹凸パターン面の上に均一な厚さで形成された無機物層上に、さらに、均一な厚さの剥離剤層が形成されたインプリント用樹脂製モールドが提案されている(特許文献4参照)。しかし、レプリカ金型の生産性と、金型からの離型性との両立や、繰り返し耐久性という点では、改善の余地があった。
本発明者らは、(A)フッ素化有機シラン化合物および(メタ)アクリル基含有珪素化合物を含む混合物の加水分解物、(B)重合性単量体、(C)光重合開始剤を含んでなる光硬化性ナノインプリント用組成物を塗膜材として使用し、基板上にパターン転写後の硬化した塗膜(パターン層)を有する積層体からなるレプリカ金型を提案した(特許文献5参照)。当該提案では、上記の課題を解決できる。また、当該提案では、金型からの離型性を向上させるために、シランカップリング剤による表面処理を行うことも提案している。この表面処理は、シランカップリング剤と積層体とを、好ましくは加湿条件下で反応させるものであるが、このような加湿条件下では、反応の間に、レプリカ金型の表面に汚れが付着し、高精度のパターン形成能を損なう恐れがあり、また、加湿条件下での反応は時間を要するため、レプリカ金型の生産性について、未だ改善の余地があった。
特開2008−019292号公報 特開2012−116108号公報 特開2013−110135号公報 WO2011/016549号 特開2012−214022号公報
したがって、本発明の目的は、高精度のパターン形成能、金型からの離型性、繰り返し耐久性、樹脂フィルム等の基材層とパターン層との密着性、さらには、生産性に優れたレプリカ金型の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、重合性単量体光硬化性組成物を塗膜材として用いて、樹脂フィルム等の基材層とパターン層とを含んでなる積層体からなるレプリカ金型を製造するに当たり、基材層上に直接又は間接的に形成した、パターンを転写した塗膜材の光硬化膜面(パターン層)を有する積層体を、真空紫外光を照射した後に、離型処理することで、高精度のパターン形成能、金型からの離型性、繰り返し耐久性、基材層とパターン層との密着性、さらには、生産性に優れたレプリカ金型を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、重合性単量体、珪素化合物および光重合開始剤を含有する光硬化性組成物を塗膜材として使用して、基材層とパターン層とを含んでなる積層体からなるナノインプリント用レプリカ金型を製造する方法であって、基材層上に直接又は間接的に形成した、金型にてパターンを転写した塗膜材の光硬化膜面を有する積層体を、波長183nm以下の光を含む真空紫外光の照射に供した後、シランカップリング剤と反応させて離型処理することを特徴とするナノインプリント用レプリカ金型の製造方法を提供することにある。
本発明のレプリカ金型の製造方法によれば、重合性単量体、珪素化合物および光重合開始剤を含有する光硬化性組成物からなる塗膜材を使用して、金型にて樹脂フィルム等の基材上にパターンを転写した塗膜材の光硬化膜面を有する積層体を形成し、形成した積層体を、真空紫外光を照射した後、離型処理することにより、高精度のパターン形成能、金型からの離型性、繰り返し耐久性、樹脂フィルム等の基材層との密着性を有するレプリカ金型を優れた生産性で製造できる。
本発明は、重合性単量体、珪素化合物および光重合開始剤を含有する光硬化性組成物を塗膜材として使用して、基材層とパターン層とを含んでなる積層体からなるレプリカ金型を製造する方法であって、基材層上に直接又は間接的に形成した、金型にてパターンを転写した塗膜材の光硬化膜面を有する積層体を、波長183nm以下の光を含む真空紫外光の照射に供した後、シランカップリング剤と反応させて離型処理することを特徴とするレプリカ金型の製造方法に関する。
なお、本発明により製造されるレプリカ金型は、転写パターンの幅及び間隔が5nm〜100μmであるパターン、更には、5〜500nmである微細なパターンを有するものであるが、本発明の製法は、勿論、100μmを超えるパターンのレプリカ金型にも適用できる。
以下、順を追って説明する。先ず、塗膜材として使用される光硬化性組成物について説
(光硬化性組成物)
本発明において使用するナノインプリント用組成物(以下、「光硬化性組成物」と表示する)について説明する。
光硬化性組成物は、重合性単量体、珪素化合物および光重合開始剤を含んでなるものである。本発明では、公知の重合性単量体を何ら制限されず用いることができるが、高精度のパターン形成能、金型からの離型性、繰り返し耐久性、樹脂フィルム等の基材層とパターン層との密着性、さらには、生産性に優れていることが重要であり、樹脂フィルム等の基材層との密着性や、生産性の観点から見ると、光硬化性の単量体が好ましい。また、高精度のパターン形成を低圧力で行う場合を勘案すると、一般的に、パターンを形成する光硬化性組成物の粘度が低い方が有利であることから、重合性単量体としては、好ましくは、(メタ)アクリル基(メタクリル基又はアクリル基を意味する)を有する重合性単量体を含有するものが使用される。なお、本発明において使用する用語「(メタ)アクリル基を有する重合性単量体」は、後述する珪素化合物である一般式(3)で示される(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン及びその加水分解物を含まないものとする。
以下、(メタ)アクリル基を有する重合性単量体について説明する。
((メタ)アクリル基を有する重合性単量体(重合性単量体))
本発明において、(メタ)アクリル基を有する重合性単量体(以下、単に「重合性単量体」とも言う)は、特に制限されるものではなく、光重合に使用される公知の重合性単量体を使用することができる。この重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル基を有し、分子中に珪素原子を含まない重合性単量体が挙げられる。これら重合性単量体は、1分子中に1つの(メタ)アクリル基を有する単官能重合性単量体であってもよいし、1分子中に2つ以上の(メタ)アクリル基を有する多官能重合性単量体であってもよい。さらには、これら単官能重合性単量体及び多官能重合性単量体を組み合わせて使用することもできる。
重合性単量体の例を具体的に例示すれば、1分子中に1つの(メタ)アクリル基を有する単官能重合性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、長鎖アルキル(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール変性(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール変性(メタ)アクリレート、プロポキシエチレングリコール変性(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール変性(メタ)アクリレート、エトキシプロピレングリコール変性(メタ)アクリレート、プロポキシプロピレングリコール変性(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート誘導体、アクリロイルモルホリン等の脂肪族アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール変性(メタ)アクリレート、フェノキシプロピレングリコール変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロフェノキシキシエチレングリコール変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピレングリコール変性(メタ)アクリレート、アルキルフェノールエチレングリコール変性(メタ)アクリレート、アルキルフェノールプロピレングリコール変性(メタ)アクリレート、分子内にο−フェニルフェノール基を有する単量体等の芳香環を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
1分子中に2つの(メタ)アクリル基を有する多官能重合性単量体(2官能重合性単量体)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオレフィングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フルオレン構造を有するジ(メタ)アクリレート等の芳香環を有するジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
さらに、該多官能重合性単量体において、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリレート基を有する重合性単量体としては、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレートが挙げられる。
また、上記重合性単量体は、単独でも良いし、複数種類のものを組み合わせて使用しても良い。
次に、珪素化合物について説明する。
(珪素化合物)
本発明で使用される光硬化性組成物では、上記した重合性単量体に加えて、珪素化合物を含有する。珪素化合物の中でも、シロキサン結合を有する珪素化合物を含有することがより好ましい。このようなシロキサン結合を有する珪素化合物としては、公知の如何なる化合物をも使用することが可能であるが、アルコキシシラン類又はアルコキシシラン類の加水分解物を使用することができ、アルコキシシラン類又はアルコキシシラン類の加水分解物としては、例えば、下記のような化合物を使用できる。
アルコキシシラン類又はアルコキシシラン類の加水分解物
アルコキシシラン類としては、アルコキシ基が珪素原子に対して1つ以上結合している一般的なアルコキシシランの他に、アルコキシ基を除く基として、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等の芳香環を有するアルコキシシラン、(メタ)アクリル基、エポキシ基、チオール基、水酸基、カルボキシル基、ホスホニウム基、スルホニル基等の官能基を有するアルコキシシラン、フッ素、塩素等のハロゲン元素を有するアルコキシシランであってもよく、それらの混合物から構成されていても良い。
アルコキシシラン類の加水分解物は、上記アルコキシシラン類のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物、アルコキシシランの重縮合体、該重縮合体のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物及びこれらの種々の混合物を意味する。
アルコキシシラン類の加水分解物は、重合性単量体との分散性がより良いほど、パターン転写が容易になるため好ましい。その場合、重合性単量体が有する官能基に応じて、例えば、重合性単量体が(メタ)アクリル基を有する重合性単量体である場合には、アルコキシシラン類の加水分解物として、(メタ)アクリル基を有するアルコキシシランの加水分解物を使用することが好ましく、重合性単量体がエポキシ基を有するものである場合には、エポキシ基含有するアルコキシシランの加水分解物が好ましい。
アルコキシシラン類である一般的なアルコキシシラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン、ハロゲン元素を有するアルコキシシランについて説明する。
一般的なアルコキシシラン又はその加水分解物
アルコキシシラン類の内、一般的なアルコキシシランとしては、一般式(1)
Figure 2015131481
(式中、R1は、同種又は異種の炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1〜10の整数である)で示されるアルコキシシランを好ましく用いることができる。
上記アルコキシシランの加水分解物を用いることにより、基材への密着性が良くすることができる。また、上記アルコキシシランの中でも、nが1を超えるものを使用した場合、得られる光硬化性組成物は、より比較的低い圧力でのパターンの転写に有利となる。
一般式(1)において、炭素数1〜4のアルキル基であるR1は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、ter−ブチル基が挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基が好ましい。
これらアルコキシシランを具体的に例示すれば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、及びそれらの重縮合物が挙げられる。なかでも、塗膜を形成した後、容易に除去できるアルコールであること、反応性等の理由から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びそれらの重縮合物が好ましく、特に、nの値又はnの平均値が3〜7となるテトラメトキシシラン、又はテトラエトキシシランの重縮合物が好ましい。
(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン又はその加水分解物
(メタ)アクリル基含有アルコキシシランとしては、一般式(2)
Figure 2015131481

(式中、R2は、水素原子又はメチル基であり;R3は、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数3〜10のシクロアルキレン基又は炭素数3〜10のポリメチレン基であり;R4は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜4のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であり;R5は、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数3〜4のシクロアルキル基であり;lは1〜3の整数であり、mは0〜2の整数であり、kは1〜3の整数であり、l+m+kは4であり;R2、R3、R4及びR5がそれぞれ複数存在する場合には、その複数のR2、R3、R4及びR5は、同種又は異種の基であってよい)で示される(メタ)アクリル基含有アルコキシシランを好ましく用いることができる。
上記(メタ)アクリル基含有アルコキシシランの加水分解物を使用することにより、分散性のよい光硬化性組成物が得られ、濾過による精製が容易となり、生産性が良好となり好ましい。また、光硬化性組成物がこの(メタ)アクリル基含有アルコキシシランの加水分解物を含む場合、光硬化により得られる光硬化膜の微細な構造において、無機成分と有機成分とが比較的均質な状態で分散したものとなる(無機成分が極端に凝集したような分散状態とはならない)。その結果、均一な転写パターン、及び均一な残膜を形成することができるものと推定される。
前記一般式(2)において、R2は水素原子又はメチル基である。なかでも、水素原子の方が、光硬化性組成物を硬化させる際の光硬化速度が速いので好ましい。
3は、炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数3〜10のシクロアルキレン基である。具体的には、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、シクロプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、シクロブチレン基、シクロプロピルメチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−メチルブチレン基、2−メチル−2−ブチレン基、3−メチルブチレン基、3−メチル−2−ブチレン基、ペンチレン基、2−ペンチレン基、3−ペンチレン基、2,3−ジメチル−2−ブチレン基、3,3−ジメチルブチレン基、3,3−ジメチル−2−ブチレン基、2−エチルブチレン基、ヘキシレン基、2−ヘキシレン基、3−ヘキシレン基、2−メチルペンチレン基、2−メチル−2−ペンチレン基、2−メチル−3−ペンチレン基、3−メチルペンチレン基、3−メチル−2−ペンチレン基、3−メチル−3−ペンチレン基、4−メチルペンチレン基、4−メチル−2−ペンチレン基、2,2−ジメチル−3−ペンチレン基、2,3−ジメチル−3−ペンチレン基、2,4−ジメチル−3−ペンチレン基、4,4−ジメチル−2−ペンチレン基、3−エチル−3−ペンチレン基、ヘプチレン基、2−ヘプチレン基、3−ヘプチレン基、2−メチル−2−ヘキシレン基、2−メチル−3−ヘキシレン基、5−メチルヘキシレン基、5−メチル−2−ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、6−メチル−2−ヘプチレン基、4−メチル−3−ヘプチレン基、オクチレン基、2−オクチレン基、3−オクチレン基、2−プロピルペンチレン基、2,4,4−トリメチルペンチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が好ましい。炭素数3〜10のシクロアルキレン基としては、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基等が挙げられる。
4は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜4のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。具体的には、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基;炭素数3〜4のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基;炭素数6〜12のアリール基としてはフェニル基、ベンジル基等のベンゼン誘導体、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−メチルナフチル基等のナフタレン誘導体が挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基が好ましい。
5は、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数3〜4のシクロアルキル基である。具体的には、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基;炭素数3〜4のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基が挙げられる。具体的には、R5は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基であることが好ましい。
lは0〜2の整数であり、mは0〜2の整数であり、kは1〜3の整数であり、l+m+kは4である。
このような(メタ)アクリル基含有アルコキシシランを具体的に例示すれば、トリメトキシシリルメチレン(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルジメチレン(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルメチレン(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルジメチレン(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、トリプロポキシシリルメチレン(メタ)アクリレート、トリプロポキシシリルエチレ(メタ)アクリレート、トリプロポキシシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、トリブトキシシリルメチレン(メタ)アクリレート、トリブトキシシリルジメチレン(メタ)アクリレート、トリブトキシシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、トリイソプロポキシシリルメチレン(メタ)アクリレート、トリイソプロポキシシリルジメチレン(メタ)アクリレート、トリイソプロポキシシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、ジメトキシメチルシリルメチレン(メタ)アクリレート、ジメトキシメチルシリルジメチレン(メタ)アクリレート、ジメトキシメチルシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、ジエトキシメチルシリルメチレン(メタ)アクリレート、ジエトキシメチルシリルジメチレン(メタ)アクリレート、ジエトキシメチルシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、ジメトキシエチルシリルメチレン(メタ)アクリレート、ジメトキシエチルシリルジメチレン(メタ)アクリレート、ジメトキシエチルシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、ジエトキシエチルシリルメチレン(メタ)アクリレート、ジエトキシエチルシリルジメチレン(メタ)アクリレート、ジエトキシエチルシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、メトキシジメチルシリルメチレン(メタ)アクリレート、メトキシジメチルシリルジメチレン(メタ)アクリレート、メトキシジメチルシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、エトキシジメチルシリルメチレン(メタ)アクリレート、エトキシジメチルシリルジメチレン(メタ)アクリレート、エトキシジメチルシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、メトキシジエチルシリルメチレン(メタ)アクリレート、メトキシジエチルシリルジメチレン(メタ)アクリレート、メトキシジエチルシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、エトキシジエチルシリルメチレン(メタ)アクリレート、エトキシジエチルシリルジメチレン(メタ)アクリレート、エトキシジエチルシリルトリメチレン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、トリメトキシシリルトリメチレン(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルトリメチレン(メタ)アクリレートが好ましい。
ハロゲン元素を有するアルコキシシラン
ハロゲン元素を有するアルコキシシランとしては、一般式(3)
Figure 2015131481

(式中、R6及びR8は、それぞれ、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基であり;R7は、含フッ素アルキル基、含フッ素シクロアルキル基又は含フッ素アルコキシエーテル基であり;aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、ただし、a+b=1〜3であり;R6、R7及びR8がそれぞれ複数存在する場合には、その複数のR6、R7及びR8は、それぞれ同一であっても、異なる基であってもよい)で示されるフッ素化シラン化合物が挙げられる。このフッ素化シラン化合物の加水分解物を使用することにより、基材とパターンとの密着性、及び金型からの離型性を向上することができる。
上記一般式(3)において、R6及びR8は、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、ter−ブチル基が挙げられる。具体的には、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基であることがより好ましい。
7は、含フッ素アルキル基、含フッ素シクロアルキル基又は含フッ素アルコキシエーテル基である。ここで含フッ素アルキル基とは、アルキル基の1又は2以上の水素原子をフッ素原子に置換したものを意味し、その他の含フッ素シクロアルキル基又は含フッ素アルコキシエーテル基も同様にそれぞれシクロアルキル基、アルコキシエーテル基の1又は2以上の水素原子をフッ素原子に置換したものを意味する。含フッ素アルキル基、及び含フッ素アルコキシ基の炭素数は1〜10が好ましく、含フッ素シクロアルキル基の炭素数は3〜10が好ましい。また、本発明における含フッ素アルコキシエーテル基は、一般式(4)
Figure 2015131481

(式中、xは1以上の整数であり、yは2以上の整数である)で表されるアルコキシエーテル基において1又は2以上の水素原子をフッ素原子に置換したものが好ましい。一般式(4)において、xは1〜6、yは5〜50が好ましい。
これらフッ素化シラン化合物を具体的に例示すれば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)−トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)−トリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−トリメトキシシラン、ペンタフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロペンチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロペンチルトリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、パーフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロプロピルトリメトキシシラン、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−トリデカフルオロ−2−(トリデカフルオロヘキシル)デシルトリエトキシシラン、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−トリデカフルオロ−2−(トリデカフルオロヘキシル)デシルトリメトキシシラン、パーフルオロドデシル−1H,1H,2H,2H−トリエトキシシラン、パーフルオロドデシル−1H,1H,2H,2H−トリメトキシシラン、パーフルオロテトラデシル−1H,1H,2H,2H−トリエトキシシラン、パーフルオロテトラデシル−1H,1H,2H,2H−トリメトキシシラン、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、上記一般式(4)の含フッ素アルコキシエーテル基を有するフッ素化シラン化合物の例としては、商品名としては、例えば、ダイキン工業株式会社製オプツールHD−1100THが挙げられる。これらの中でも、分子同士の相互作用が比較的弱く分子配列構造の乱れから表面剥離性に有利と思われる点、前記一般式(3)の−OR6からなるアルコキシ基の加水分解のし易さを考慮すると、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランが好ましい。
本発明で使用される光硬化性組成物において、珪素化合物は、例えば、重合性単量体が(メタ)アクリル基を有する重合性単量体を含有する場合、前記一般式(2)で表される(メタ)アクリル基含有アルコキシシランを加水分解したものが好ましく、前記一般式(1)で表される一般的なアルコキシシラン、前記一般式(2)で表される(メタ)アクリル基含有アルコキシシラン及び前記一般式(3)で表されるハロゲン元素を有するアルコキシシランのフッ素化シラン化合物を加水分解したものがより好ましく、さらに、これらアルコキシシラン類の他に、後述する金属アルコキシドを含む混合物を加水分解したものが好ましい。
本発明において、上記のアルコキシシラン類の加水分解物の好ましい配合量は、例えば、光硬化性組成物が、重合性単量体として(メタ)アクリル基を有する重合性単量体を含有する場合、(メタ)アクリル基を有する重合性単量体100重量部に対して3質量部〜300質量部を加水分解した前記(メタ)アクリル基含有アルコキシシランの加水分解物を配合することが好ましく、さらに、(メタ)アクリル基含有アルコキシシランに加えて、前記一般的なアルコキシシランを含む場合、一般的なアルコキシシラン10質量部〜250質量部を加水分解した加水分解物を配合することが好ましく、前の組成物に加えて、前記フッ素化シラン化合物を含む場合、フッ素化シラン化合物0.001質量部〜4質量部、さらに、これらアルコキシシラン類の他に、後述する金属アルコキシドを含む場合、金属アルコキシド1質量部〜100重量部を加水分解した加水分解物を配合することが好ましい。
本発明において、光硬化性組成物には、さらに、アルコキシラン類を除く金属アルコキシドである一般式(5)
Figure 2015131481
(式中、Mは、ジルコニウム又はチタニウムであり;R9は、同種又は異種の炭素数1〜10のアルキル基である)で示される金属アルコキシドの加水分解物を含むことができる。
また、R9は、適度な加水分解速度という点から炭素数2〜4のアルキル基がより好ましい。具体的には、R9は、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、ter−ブチル基であることが好ましい。
好適な金属アルコキシドを例示すれば、テトラメチルチタニウムアルコキシド、テトラエチルチタニウムアルコキシド、テトライソプロピルチタニウムアルコキシド、テトラプロピルチタニウムアルコキシド、テトライソブチルチタニウムアルコキシド、テトラブチルチタニウムアルコキシド、テトラsec−ブチルチタニウムアルコキシド、テトラter−ブチルチタニウムアルコキシド、テトラペンチルジルコニウムアルコキシド、テトラヘプチルチタニウムアルコキシド、テトラヘキシルチタニウムアルコキシド、テトラヘプチルチタニウムアルコキシド、テトラオクチルチタニウムアルコキシド、テトラノニルチタニウムアルコキシド、テトラデシルチタニウムアルコキシド、テトラメチルジルコニウムアルコキシド、テトラエチルジルコニウムアルコキシド、テトライソプロピルジルコニウムアルコキシド、テトラプロピルジルコニウムアルコキシド、テトライソブチルジルコニウムアルコキシド、テトラブチルジルコニウムアルコキシド、テトラsec−ブチルジルコニウムアルコキシド、テトラter−ブチルジルコニウムアルコキシド、テトラペンチルジルコニウムアルコキシド、テトラヘキシルジルコニウムアルコキシド、テトラヘプチルジルコニウムアルコキシド、テトラオクチルジルコニウムアルコキシド、テトラノニルジルコニウムアルコキシド、テトラデシルジルコニウムアルコキシドが挙げられる。その中でも、テトラエチルジルコニウムアルコキシド、テトライソプロピルジルコニウムアルコキシド、テトラプロピルジルコニウムアルコキシド、テトライソブチルジルコニウムアルコキシド、テトラブチルジルコニウムアルコキシドが好ましい。
本発明で使用する光硬化性組成物が、アルコキシシラン類の加水分解物や、ジルコニウムアルコキシド又はチタニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシド又はチタニウムアルコキシドの重縮合体、該重縮合体のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解物、並びにジルコニウムアルコキシド又はチタニウムアルコキシドとアルコキシシラン類との反応生成物(ジルコニウムアルコキシド又はチタニウムアルコキシドとアルコキシシラン類との重縮合体、該重縮合体のアルコキシ基の一部又は全部の加水分解による生成物及びこれらの種々の混合物である)を含む場合、その調製のために、光硬化性組成物は、水や加水分解触媒等を含んでいてもよい。なお、光硬化性組成物を調製する際に使用される水や加水分解触媒等は、調製された光硬化性組成物の保存安定性を良くするため、調製の任意の工程において、真空乾燥、蒸留、加熱等により除去しても良い。その際、溶媒が同時に除去される場合には、水や加水分解触媒等を除去した後に、適宜、必要量の溶媒を加えても良い。
次に、光重合開始剤について説明する。
(光重合開始剤)
本発明において、光重合開始剤は特に制限されるものではなく、重合性単量体を光重合できるものであれば、いかなる光重合開始剤も使用できる。
光重合開始剤としては、具体的に、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モリホリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン等のアセトフェノン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等のo−アシルオキシム誘導体;ジアセチル、アセチルベンゾイル、ベンジル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル;2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体;ベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン誘導体が好適に使用される。
これら光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用される。
また、α−ジケトンを用いる場合には、第3級アミン化合物と組み合わせて用いることが好ましい。α−ジケトンと組み合わせて用いることのできる第3級アミン化合物としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチルベン、N,N−ジメチル-3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等が挙げられる。
ナノインプリント技術に使用する場合には、アセトフェノン誘導体、アシルホスフィンオキサイド誘導体、o−アシルオキシム誘導体、α−ジケトンを使用することが好ましい。
本発明において、上記光重合開始剤の使用量は、前記重合性単量体100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。
(その他の添加成分)
上記光硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分を配合することができる。
具体的には、界面活性剤、重合禁止剤、反応性希釈剤等を配合することができる。界面活性剤は塗膜の均一性の点から配合されるものであり、重合禁止剤は、保存中に重合反応が生じないよう安定化させるために配合されるものである。
界面活性剤を配合する場合には、重合性単量体100質量部に対して、0.0001〜0.1質量部、好ましくは、0.0005〜0.01質量部の割合で配合することができる。
界面活性剤としては、フッ素含有界面活性剤、シリコーン含有界面活性剤、脂肪族系界面活性剤を使用できる。中でも、光硬化性組成物が基材上に塗布される際、基材の素材とは無関係に、「はじき」を生じない点、及び均一に塗布され易い点から、脂肪族系界面活性剤を使用することがより好ましい。界面活性剤の例としては、デシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルコール硫酸エステルの金属塩類、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の脂肪族カルボン酸金属塩類、ラウリルアルコールとエチレンオキサイドとの付加物を硫酸化したラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム等の高級アルキルエーテル硫酸エステルの金属塩類、スルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸ジエステル類、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩類等のアニオン性活性剤;ドデシルアンモニウムクロリド等のアルキルアミン塩類及びトリメチルドデシルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤;ドデシルジメチルアミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド類、ドデシルカルボキシベタイン等のアルキルカルボキシベタイン類、ドデシルスルホベタイン等のアルキルスルホベタイン類、ラウラミドプロピルアミンオキシド等のアミドアミノ酸塩等の両性イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル類、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル類、脂肪酸ポリオキシエチレンラウリルエステル等の脂肪酸ポリオキシエチレンエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類等の非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
界面活性剤は、それぞれ単独で使用できるだけでなく、必要に応じて、複数の種類を組み合わせて併用することもできる。
重合禁止剤を配合する場合には、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜1.0質量部、好ましくは、0.1〜0.5質量部の割合で配合することができる。
重合禁止剤の例としては、公知のものを挙げることができ、例えば、最も代表的なものは、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノン、ブチルヒドロキシトルエン等を挙げることができる。
反応性希釈剤としては、N−ビニルピロリドン等の公知のものを挙げることができる。
反応性希釈剤の添加量は特に制限されず、金型からのパターンの形成に影響を及ぼさない範囲で適宜選択され、重合性単量体100質量部に対して、通常、1〜50質量部の範囲から適宜選択される。その中でも、光硬化性インプリント用組成物の低粘度化、パターンの機械的強度等を勘案すると、5〜30質量部であることが好ましい。
また、他の添加成分として、パイパーブランチポリマーのような球状微粒子を添加することもできる。この場合、直径は1〜10nm、分子量10,000〜100,000の球状ハイパーブランチポリマーを配合することが好ましい。配合量は、重合性単量体100質量部に対して0.1〜10質量部の量であることが好ましい。
(光硬化性組成物の調製方法)
本発明において塗膜材として用いられる光硬化性組成物は、1つの態様では、基材上に塗布して使用されるが、この場合、光硬化性組成物を溶媒で希釈して使用することもできる。また、光硬化性組成物を安定化させる目的、又はその他の目的で溶媒を配合することもできる。使用される溶媒としては、光硬化性組成物が溶解する溶媒であれば、何ら制限なく使用でき、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、酢酸エチルエステル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルラクテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、ブチルアセテート、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、ポリエチレングリコール、水、アルコール類を挙げることができる。
溶媒を使用する場合、使用量は特に制限されず、目的の塗膜の厚みに応じて、適宜選択される。
本発明で使用される光硬化性組成物は、重合性単量体、珪素化合物、及び光重合開始剤、必要に応じて配合するその他の添加成分を混合することによって調製される。これら成分の添加順序は特に制限されるものではない。
次に、この光硬化性組成物を用いてレプリカ金型を製造する方法について説明する。
(光硬化性組成物を用いたパターンの転写方法)
上述した光硬化性組成物を塗膜材として使用し、金型(マスター金型又はマスター金型から形成されたレプリカ金型)のパターンを転写する方法について説明する。
先ず、光硬化性組成物を、基材上に公知の方法に従って塗布することにより、塗膜を形成する。該基材としては、特に制限されるものではなく、プレート、シート、フィルム状のものが使用できる。具体的には、シリコンウエハ、石英、ガラス、サファイア、各種金属材料、アルミナ・窒化アルミニウム・炭化珪素・窒化珪素等のセラミックス、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、シクロオレフィン樹脂のような公知の熱可塑性樹脂からなるシートや、フィルムを使用することができる。なお、基材表面には、本発明で使用される塗膜材よりなる光硬化膜との密着性を、より改善するために、表面処理を施すこともできる。表面処理としては、例えば、火炎処理、大気中や窒素ガス中でのコロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、ブラスト処理、ホーニング処理、UVオゾン処理等、公知の方法を挙げることができる。
密着性をより高めるため、上記基材と、本発明で使用される塗膜材よりなる光硬化膜との間にアンカーコート層を設けても良い。上記アンカーコート層の形成に使用されるアンカーコート剤としては、公知のものが特に制限されず使用できる。例えば、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリオレフィン系、アルキルチタネート系等のアンカーコート剤が挙げられる。
本発明で使用される塗膜材を上記基材上に塗布する方法としては、スピンコート法、ディッピング法、ディスペンス法、インクジェット法、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、スプレーコート法、キスコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロッドコート法、バーコート法、チャンバードクター併用グラビアコート法、カーテンコート法、ロールtoロール法のような公知の方法がある。塗膜の厚みは、特に制限されるものではなく、通常0.1〜10μmであり、0.01〜0.1μmの厚みの塗膜も好適に形成できる。
薄く塗布するためは、本発明で使用される光硬化性組成物を有機溶媒にて希釈して塗布することも可能であり、その場合は、用いる有機溶媒の沸点、揮発性に応じて、乾燥工程を適宜組み込むことによって、パターンを形成することもできる。
次に、金型のパターン形成面を前記塗膜と接触させる。
パターンの転写方法について、他の態様によれば、金型のパターン形成面に塗膜材を上記の塗布方法で塗布して塗膜を形成し、該塗膜をレプリカ金型の基材と接触させ、金型のパターン形成面上に形成され、パターンが転写された塗膜を基材と一体化させるようにしてもよい。パターン形成面を有する金型は、光照射を介して、パターンが転写された塗膜材を硬化させ、硬化した塗膜を形成できるように、透明な材質、例えば、石英やサファイアや、熱可塑性樹脂で形成されていることが好ましい。パターン形成面を有する金型が、シリコンウエハ等の透明性に劣る材質の場合は、レプリカ金型の素材は光透過性でなければならず、光透過性を有する石英や、サファイアや、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明で使用される光硬化性組成物は、金型を押し付ける際に比較的低圧でパターンを転写することができる。この際の圧力は、特に制限されるものではないが、0.01MPa〜3MPaの範囲である。なお、当然のことながら、上記圧力の上限値以上の圧力でもパターンの転写は可能である。
その後、パターンが転写された塗膜を光硬化させる。パターンが基材上で形成されている場合には、金型のパターン形成面と、パターンが転写された塗膜面を含む基材層とを接触させた状態のままで、又は、金型のパターン面に塗膜材を塗布することによってパターンが形成される場合には、金型のパターン形成面上のパターンが転写された塗膜に対して、基材を接触させた状態で、光を照射して、塗膜を硬化させとともに、塗膜を基材に一体化させる。照射する光は、波長が500nm以下で、光の照射時間は、0.1〜300秒の範囲から選択される。塗膜の厚み等にもよるが、通常、1〜60秒である。
光重合時の雰囲気として、大気下でも重合可能であるが、光重合反応を促進する上で、酸素阻害の少ない雰囲気下での光重合が好ましい。例えば、窒素ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、フッ素系ガス雰囲気下、真空雰囲気下等が好ましい。
光硬化後、硬化した塗膜から金型を分離することにより、基材層と、基材層上に、光硬化した塗膜(光硬化膜)によりパターンが形成されたパターン層との積層体が得られる。
(レプリカ金型の製造)
レプリカ金型として使用するためには、上記方法により得られた積層体について、その表面に離型処理を施す。離型処理としては、フッ素を含有するシランカップリング剤等の離型処理剤を反応させることが好ましく行われる。該シランカップリング剤を反応させることにより、積層体表面と他物質との剥離性を向上させることができるが、単に積層体の表面に該シランカップリング剤を塗布したのみだと、表面に単に付着しているだけのため、繰り返しの使用により離型性が低下し、繰り返し耐久性が乏しい。そのため、該シランカップリング剤を表面に反応させる必要がある。光硬化性組成物を用いて作製したレプリカ金型となる積層体のパターン形成面には、該シランカップリング剤を表面に反応させる前処理として、表面加水分解による親水化処理を施すために、波長183nm以下の光を含んでいる真空紫外光を照射する。該真空紫外光を照射して親水化処理を施したことにより、該シランカップリング剤と反応させることができ、得られる積層体は、より一層、離型性および繰り返し耐久性の優れたものとなる。
離型性および繰り返し耐久性が向上する要因は明らかではないが、上述の光硬化性組成物から形成したパターン表面に真空紫外照射をすることで、該パターン表面にあるアルコキシ基等の官能基が水酸基等の親水基に変化し、親水化され、次工程で用いられる離型処理剤と容易に反応すると考えられる。
また、一般に親水化処理として用いられている蒸気処理等の加湿条件下や、水浸漬等のウェット処理での加水分解反応では、レプリカ金型の表面に汚れが付着し易く、その汚れが原因で、高精度のパターン形成能を損なう恐れがあった。また、水浸漬等のウェット処理では、例えば、アスペクト比2以上の比較的高アスペクト比の凹みパターン等、パターンによっては、水がパターンの奥深くまで浸透しない問題もあった。本発明の真空紫外光による処理では、レプリカ金型の表面に汚れが付着する恐れがなく、高精度のパターン形成が可能となる。また、例えば、アスペクト比2以上の比較的高アスペクト比の凹みパターンであっても、真空紫外光を照射することにより、上記ウェット処理での加水分解と比べ、短時間で処理が可能となることから、レプリカ金型の生産性を向上させることもでき、さらに次工程で実施する離型処理は、該凹みパターンの深部まで処理することができる。
真空紫外光は波長183nm以下の光を含んでいればよいが、波長180nm以下の光を含んでいることが好ましく、126nm、146nm及び172nmのいずれかの波長を中心とした分光分布を有する真空紫外光を有していることがさらに好ましく、該真空紫外光を照射することにより、次工程で実施する離型処理にて上記シランカップリング剤と上記積層体との反応がより進行し易くなり、基材層とパターン層との密着性、金型からの離型性、繰り返し耐久性が改善できる。波長183nm以下の光を含む真空紫外光は、183nm以下の波長の光が、積算相対強度で20%以上であることが好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。
真空紫外光を照射する雰囲気は、酸素濃度を容易にコントロールすることができることから、酸素濃度が調節可能な密閉空間であることが好ましい。真空紫外光を照射する空間での酸素濃度は、光硬化膜表面の親水化の効果を高める上で、酸素濃度を調整することが好ましく、通常は0.1〜100,000ppmの範囲から好ましく選択することができる。酸素濃度が低すぎると、光励起された酸素による表面改質効果が薄れ、真空紫外光処理で生成される表面官能基が十分に生成されず、次工程で実施される離型処理が十分に行われない可能性がある。高すぎると、真空紫外光が酸素に吸収され、真空紫外光と酸素との反応が優先し、多量のオゾンが発生し、積層体のパターン面側の表面官能基の生成が十分に行われない可能性がある。また、本発明の効果を得るために要する照射時間が長くなってしまい、生産性の観点から好ましくない。より好ましくは、1〜50,000ppmの範囲から選択することができ、さらに好ましくは、10〜30,000ppmの範囲から選択することができる。
真空紫外光を照射する空間での酸素濃度を0.1〜100,000ppmの範囲に制御するには、窒素ガス、アルゴンガス等でパージすることや、真空引きし、圧力を上記の好ましい酸素濃度範囲内にコントロールする方法が挙げられる。真空紫外光を照射する空間での酸素濃度は、真空紫外光を照射する光源と光硬化膜の表面との間の局所的な空間内での酸素濃度であり、上記したように密閉空間とし、該密閉空間内に、真空紫外光を照射する光源および基材層と光硬化膜層とを含んでなる積層体を設置し、該密閉空間内の酸素濃度を制御しても良い。或いは、真空紫外光の照射を、解放空間内で行うこともでき、この場合、単に、真空紫外光を照射する光源と光硬化膜の表面との空間に、窒素ガスを流すだけでも良く、必要であれば、局所的に酸素濃度を制御しても良い。
酸素濃度の制御に関係なく、常圧空気下でも、真空紫外光を照射する光源と光硬化膜層との距離を短くすることで、真空紫外光の照射強度(放射強度)にもよるが、真空紫外光が空気中の酸素に吸収される影響を克服することが可能である。その場合、真空紫外光を照射する光源と光硬化膜層との距離は、5mm以下に保つことが好ましい。距離が5mmを超える場合、照射強度を大きくする必要があるが、大きい照射強度を有する真空紫外光ランプは高価であるとともに、照射強度が大きくなると、雰囲気中の酸素と真空紫外光との反応が優先して、多量のオゾンが発生することになり、充分な効果が達成されない。光源と光硬化膜層との距離は、さらに好ましくは、1〜3mmである。
真空紫外光を照射するランプは、公知の物がなんら制限なく使用することができ、通常、誘電体バリア放電エキシマランプ、エキシマランプ、エキシマレーザー等を使用することができる。上記の積算相対強度では、172nmエキシマランプの場合、分光分布において、172nmをトップとした単一ピークパターンを示し、183nm以下の波長の積算相対強度は通常80%以上である。
本発明のレプリカ金型の製造方法では、光露光量が0.01J/cm2〜100J/cm2となるように、真空紫外光の照射強度、光源から照射される積層体までの距離、照射時間を適宜調整することが好ましい。光露光量が0.01J未満であると、次工程で実施する離型処理が十分に施されないことがある。また、光露光量が100J/cm2を超えると、次工程で実施する離型処理にて、積層体の表面が白化することがある。離型処理の効果や、積層体の外観を勘案すると、光露光量は、0.1J/cm2〜80J/cm2の範囲がより好ましく、0.5J/cm2〜50J/cm2の範囲がさらに好ましい。
光露光量を調整することで、凸パターンの金型高さよりも浅い凹パターンのレプリカ金型を作製することもできる。例えば、円錐形状、円柱形状、円錐台形状、モスアイ形状等の突起物として形成された凸パターンの金型を用いて転写される凹パターン(該凸パターンと補形をなす形状)のレプリカ金型を製造する場合、凸パターンの金型を用いて転写された凹パターンのレプリカ金型に前記真空紫外光を照射する際、光露光量を上記範囲の中で適宜調整することで、レプリカ金型のパターンがエッチングされ、凸パターンの金型高さよりも浅い凹パターンのレプリカ金型が作製できる。このことにより、凸パターンの金型高さよりも浅い凹パターンであれば、金型を新たに作らなくても、レプリカ金型が作製できる。
このような方法により真空紫外光を照射した積層体は、次工程の離型処理を施すことで離型性のよいレプリカ金型となる。離型処理で使用されるシランカップリング剤は、離型性を向上できるフッ素原子を含有するシランカップリング剤が好ましく、該シランカップリング剤を反応させることにより、積層体表面と他物質との離型性を向上させることができる。
光硬化膜には、アルコキシ基が残存していると考えられ、上記した親水化処理により、表面に水酸基を形成させた後、化学的に該シランカップリング剤と結合できるものと考えられる。そのため、該シランカップリング剤を反応させて得られる積層体は、より一層、離型性の優れたものとなる。該シランカップリング剤は、公知のものを使用でき、トリハロゲン化有機シラン分子や、トリアルコキシ有機シラン分子のアルキル鎖の水素の一部ないし全部をフッ素に置換したものが挙げられる。これらフッ素化シラン化合物を具体的に例示すれば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)−トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)−トリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−トリメトキシシラン、ペンタフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロペンチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロペンチルトリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、パーフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロプロピルトリメトキシシラン、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−トリデカフルオロ−2−(トリデカフルオロヘキシル)デシルトリエトキシシラン、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−トリデカフルオロ−2−(トリデカフルオロヘキシル)デシルトリメトキシシラン、パーフルオロドデシル−1H,1H,2H,2H−トリエトキシシラン、パーフルオロドデシル−1H,1H,2H,2H−トリメトキシシラン、パーフルオロテトラデシル−1H,1H,2H,2H−トリエトキシシラン、パーフルオロテトラデシル−1H,1H,2H,2H−トリメトキシシラン、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、商品名としては、例えば、ダイキン工業株式会社製オプツールHD−1100THが挙げられる。これらの中でも、分子同士の相互作用が比較的弱く分子配列構造の乱れから表面剥離性に有利と思われる点、アルコキシ基の加水分解のし易さを考慮すると、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランが好ましい。
該シランカップリング剤と該積層体との反応は、特に制限されるものではないが、シランカップリング剤と積層体とを接触させることにより、両者を反応させることができる。
反応させる際の温度は、特に制限されるものではないが、40〜80℃であることが好ましい。また、接触させる方法は、液状のシランカップリング剤においては、パターンが形成された面を液に浸漬したり、ディップコート、スピンコート、スプレーコート等、公知の方法にて表面に塗布すればよい。反応させる際の時間は、適宜選択することができる。
このような方法により該シランカップリング剤と反応させた積層体は、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系溶剤や、アルコール等により洗浄した後、乾燥すればよい。得られた積層体は、離型性能の優れたものとなり、レプリカ金型として使用できる。
以下、本発明を、実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(基材との密着性評価)
レプリカ金型の光硬化膜面(パターン面)に、15mm幅セロハンテープ405(ニチバン(株)製)を置き、セロハンテープ上に指を押し付けて3往復させることによって、指圧にて密着させたのち、セロハンテープを剥離して、下記の基準によって、光硬化膜と基材との密着性を目視で評価した。パターン部分のみが切断したが、基材との剥離が見られなかったものについては、パターン部分が切断しておらず、基材との剥離が見られなかったものとともに、「光硬化膜が全く剥れなかったもの」と評価した。
光硬化膜が全く剥がれなかったもの :5
剥離面積が10%未満のもの :4
剥離面積が10%以上50%未満のもの :3
剥離面積が50%以上100%未満のもの:2
剥離面積が100%(全面剥離)のもの :1
(離型処理後の外観)
レプリカ金型の離型処理した光硬化膜面(パターン面)を下記の基準によって、目視で評価した。
離型処理により外観不良が全くみられないもの:◎
離型処理によりムラが10%未満の範囲で発生したもの:○
離型処理によりムラが10%以上の範囲で発生したもの:△
離型処理により全面白化したもの:×
(接触角評価)
金型からの離型性の評価として、水との接触角を測定した。測定は、接触角測定装置 DM−700(協和界面科学(株)製)を用いて行い、レプリカ金型の離型処理した光硬化膜面(パターン面)と水の接触角を測定し、10点の測定値の平均値を接触角とした。
[実施例1]
(光硬化性組成物の調製)
(メタ)アクリル基含有アルコキシシランとしてトリメトキシシリルトリメチレンアクリレート(信越化学工業(株)製、KBM−5103)3.0g、一般的なアルコキシシランとしてエチルシリケート40(コルコート(株)製テトラエトキシシランの平均5量体物)6.8g、及びエタノール13.6gの混合物に、攪拌しながら、エタノール3.6g/水1.6g/2N−HCl 0.1gの2N−HCl/エタノール混合水溶液を徐々に滴下し、室温下、1時間攪拌して、(メタ)アクリル基含有アルコキシシランの加水分解物及び一般的なアルコキシシランの加水分解物の混合物又は反応生成物からなる珪素化合物の混合液を得た。
重合性単量体として、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−200)2.5g、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−BPE−10)7.5g、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル AMP−10G)5.0g、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−LEN−10)5.0g、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−DCP)5.0gを使用した。
光重合開始剤として、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(BASFジャパン(株)製、IRGACURE(登録商標)379 EG)1.0gを使用した。
重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.0375g、ブチルヒドロキシトルエン0.005gを使用した。
上記重合性単量体、光重合開始剤、重合禁止剤を均一に混合し、その混合物を2.0g分取した。該混合物2.0gに、上記で得られた珪素化合物7.0gを添加し、室温で15分間攪拌することにより光硬化性組成物を得た。
(レプリカ金型の作製)
フッ素を含有するシランカップリング剤(ダイキン工業(株)製、オプツールHD−1100TH)で離型処理を施し、リンス液(ダイキン工業(株)製、オプツールHD−TH)でリンス処理した径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのピラーパターンが形成されたφ2インチのシリコン製金型上に、上記で得られた光硬化性組成物を3000rpm、30秒間でスピンコートし、120℃において2分間乾燥して、光硬化性組成物の塗膜がコーティングされたシリコン製金型を得た。上記塗膜がコーティングされたシリコン製金型と、厚さ125μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)社製、両面易接着処理PETフィルム、コスモシャインA−4300:基材)とをナノインプリント装置(SCIVAX(株)製、X−300)にセットし、300Paまで真空引きした後、上記塗膜がコーティングされたシリコン製金型と、PETフィルムからなる基材とを接触させ、圧力2.0MPaをかけ、LED365nm光源から光を60秒間照射してUVナノインプリントを行った。その後、PETフィルムをシリコン製金型から剥離し、使用したシリコン製金型のパターンに対応するパターンが転写された積層体を得た。得られた積層体の光硬化膜(パターン面)とPETフィルム(基材)との密着性を上記方法にて評価し、その結果を表1に示した。
Figure 2015131481
(レプリカ金型の離型処理)
誘電体バリア放電エキシマランプ(中心波長172nm、半値幅14nm、放射照度10mW/cm2、183nm以下の積算相対強度90%)を備えたチャンバーに、上記で得られた積層体を、ランプとの距離3mmにて、光硬化膜側に真空紫外光照射されるようセットし、大気圧から真空引きし、真空度100Pa(酸素濃度200ppm)で、2分間、エキシマランプにより真空紫外光を照射した。
真空紫外光を照射した後、積層体をチャンバーから取り出し、ガラス容器に収容したフッ素を含有するシランカップリング剤(ダイキン工業(株)製、オプツールHD−1100TH)からなる離型処理剤に、積層体全体を浸漬した。その状態で5分間保持し、その後、積層体を引き上げ、大気中、室温で乾燥させ、積層体を70℃に保ったオーブンに1時間入れ、積層体の光硬化膜表面に離型処理剤を反応させた。
その後、ガラス容器に入れたリンス液(ダイキン工業(株)製、オプツールHD−TH)中に、光硬化膜表面に離型処理剤を反応させた積層体を浸し、45Hzで2分間の超音波処理を行い、光硬化膜表面で反応しなかった余分な離型処理剤をリンスした。
このようにして、離型処理してレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型の光硬化膜面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
Figure 2015131481
上記で得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテクノロジーズ社製、S−4300)により観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認
(レプリカ金型を使用したナノインプリント)
上記の光硬化性組成物をナノインプリント用組成物として使用し、厚さ125μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)社製、両面易接着処理PETフィルム、コスモシャインA−4300)上に数滴滴下し、薄く延ばした後、120℃において2分間乾燥して、ナノインプリント用組成物の塗膜がコーティングされたPETフィルムを得た。上記塗膜がコーティングされたPETフィルムと、上記で得られた離型処理したレプリカ金型とを、ナノインプリント装置(SCIVAX(株)製、X−300)にセットし、300Paまで真空引きした後、上記塗膜がコーティングされたPETフィルムにレプリカ金型を接触させ、圧力2.0MPaをかけ、LED365nm光源から光を60秒間照射してUVナノインプリントを行った。PETフィルムをレプリカ金型から剥離し、レプリカ金型のパターンに対応する(補形をなす)パターンが転写されたPETフィルムを得た。得られたPETフィルム上の転写されたパターンの形状を評価するため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を表3に示した。形成されたパターンは、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンと同じであった。
Figure 2015131481
得られたレプリカ金型を使用して、ナノインプリント操作を50回繰り返し実施した。
50回の繰り返しナノインプリント操作の後も、同じ形状のパターンを形成することが可能であった。
[実施例2]
実施例1の積層体の離型処理において、誘電体バリア放電エキシマランプ(中心波長172nm、半値幅14nm、放射照度10mW/cm2、183nm以下の積算相対強度90%)を備えたチャンバーに、実施例1で得られた積層体を、ランプとの距離3mmにて、積層体の光硬化膜側に真空紫外光照射されるようセットし、大気圧から真空引きし、真空度6Pa(酸素濃度12ppm)で2分間真空紫外光を照射した以外、実施例1と同様に操作を行い、離型処理したレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型の光硬化膜面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
このようにして得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を上記表3に示した。形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンと同じであった。
[実施例3]
実施例1の積層体の離型処理において、誘電体バリア放電エキシマランプ(中心波長172nm、半値幅14nm、放射照度10mW/cm2、183nm以下の積算相対強度90%)を備えたチャンバーに、実施例1で得られた積層体を、ランプとの距離3mmにて、積層体の光硬化膜側に真空紫外光照射されるようセットし、大気圧から真空引きし、真空度600Pa(酸素濃度1240ppm)で20分間真空紫外光を照射した以外、実施例1と同様に操作を行い、離型処理したレプリカ金型を得た。
得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ420nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型のパターン(光硬化膜)面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を上記表3に示した。形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンの高さ500nmに比べ、高さが80nm小さかった。
[実施例4]
実施例1の積層体の離型処理において、誘電体バリア放電エキシマランプ(中心波長172nm、半値幅14nm、放射照度10mW/cm2、183nmの積算相対強度90%)を備えたチャンバーに、実施例1で得られた積層体を、ランプとの距離3mmにて、積層体の光硬化膜側に真空紫外光照射されるようセットし、酸素ガス100ppmを含有する窒素ガスをチャンバー内に連続的に供給することによって、チャンバー内の空気と置換した。その後、酸素ガス100ppm含有窒素ガスを連続供給しながら、2分間、真空紫外光を照射した以外、実施例1と同様に操作を行い、離型処理したレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型のパターン面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を上記表3に示した。形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンと同じであった。
[実施例5]
実施例1の積層体の離型処理において、誘電体バリア放電エキシマランプ(中心波長172nm、半値幅14nm、放射照度10mW/cm2、183nm以下の積算相対強度90%)を備えたチャンバーに、実施例1で得られた積層体を、ランプとの距離3mmにて、積層体の光硬化膜側に真空紫外光照射されるようセットし、酸素ガス1200ppmを含有する窒素ガスをチャンバー内に連続的に供給しながら、20分間、真空紫外光を照射した以外、実施例1と同様に操作を行い、離型処理したレプリカ金型を得た。
得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ400nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型のパターン面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を上記表3に示した。形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンの高さ500nmに比べ、高さが100nm小さかった。
[実施例6]
(光硬化性組成物の製造方法)
フッ素化有機シランとして(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランを固形分1%となるようエタノールで希釈した溶液0.28g、(メタ)アクリル基含有アルコキシシランとしてトリメトキシシリルトリメチレンアクリレート(信越化学工業(株)製、KBM−5103)3.0g、およびエタノール13.6gの混合物に、攪拌しながら、エタノール1.6g/水0.3g/2N−HCl 0.1gの2N−HCl/エタノール混合水溶液を徐々に滴下し、室温下、1時間攪拌して、フッ素化有機シランおよび(メタ)アクリル基含有アルコキシシランの加水分解物の混合物又は反応生成物を得た。
得られた反応生成物に、さらに、一般的なアルコキシシランとしてエチルシリケート40(コルコート(株)製、テトラエトキシシランの平均5量体物)6.8gおよびジルコニウムアルコキシドとして85質量%ジルコニウムブトキシド(テトラブチルジルコニウムアルコキシド)の1−ブタノール溶液1.7gを混合し、この混合物に、攪拌しながら、エタノール2.6g/水0.7g/2N−HCl0.1gの2N−HCl/エタノール混合水溶液を、室温下、徐々に滴下した。さらに、エタノール1.0g/水0.4gのエタノール水溶液を徐々に滴下し、室温下、1時間攪拌した。このようにして、一般的なアルコキシシラン、フッ素化有機シラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシランおよびジルコニウムアルコキシドの加水分解物又は反応生成物からなる混合液を得た。
実施例1で得られた重合性単量体、光重合開始剤および重合禁止剤の混合物2.0gに、上記で得られた一般的なアルコキシシラン、フッ素化有機シラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシランおよびジルコニウムアルコキシドの加水分解物または反応生成物からなる混合液7.0gを添加し、室温で15分間攪拌することにより、光硬化性組成物を得た。
(レプリカ金型の作製)
得られた光硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして、積層体を得た。得られた積層体の光硬化膜とPETフィルムとの密着性を上記方法にて評価し、その結果を上記表1に示した。
(レプリカ金型の離型処理)
実施例1と同様にして、離型処理したレプリカ金型を得た。上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型の光硬化膜(パターン面)の水との接触角を測定した。
離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
上記で得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を上記表3に示した。形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンと同じであった。
[実施例7]
実施例6の積層体の離型処理において、誘電体バリア放電エキシマランプ(中心波長172nm、半値幅14nm、放射照度10mW/cm2、183nm以下の積算相対強度90%)を備えたチャンバーに、実施例6で得られた積層体を、ランプとの距離3mmにて、積層体の光硬化膜側に真空紫外光照射されるようセットし、大気圧から真空引きし、真空度13kPa(酸素濃度27,000ppm)で、2分間、真空紫外光を照射した以外、実施例1と同様に操作を行い、離型処理したレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型の光硬化膜面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
このようにして得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を上記表3に示した。形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンと同じであった。
[実施例8]
実施例6の積層体の離型処理において、誘電体バリア放電エキシマランプ(中心波長172nm、半値幅14nm、放射照度10mW/cm2、183nmの積算相対強度90%)を備えたチャンバーに、実施例1で得られた積層体を、ランプとの距離3mmにて、積層体の光硬化膜側に真空紫外光照射されるようセットし、解放空間で、酸素ガス100ppmを含有する窒素ガスを積層体とランプ間に連続供給しながら、2分間、真空紫外光を照射した以外、実施例1と同様に操作を行い、離型処理したレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型のパターン面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を上記表3に示した。形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンと同じであった。
[実施例9]
実施例6の積層体の離型処理において、誘電体バリア放電エキシマランプ(中心波長172nm、半値幅14nm、放射照度10mW/cm2、183nmの積算相対強度90%)を備えたチャンバーに、実施例1で得られた積層体を、ランプとの距離2mmにて、積層体の光硬化膜側に真空紫外光照射されるようセットし、空気中で2分間、真空紫外光を照射した以外、実施例1と同様に操作を行い、離型処理したレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型のパターン面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を上記表3に示した。形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンと同じであった。
[実施例10]
(光硬化性組成物の製造方法)
フッ素化有機シランとして(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランを固形分1%となるようエタノールで希釈した溶液0.28g、(メタ)アクリル基含有アルコキシシランとしてトリメトキシシリルトリメチレンアクリレート(信越化学工業(株)製、KBM−5103)3.0g、およびエタノール13.6gの混合物に、攪拌しながら、エタノール1.6g/水0.3g/2N−HCl 0.1gの2N−HCl/エタノール混合水溶液を徐々に滴下し、室温下、1時間攪拌して、フッ素化有機シランおよび(メタ)アクリル基含有アルコキシシランの加水分解物の混合物又は反応生成物を得た。
得られた反応生成物に、さらに、一般的なアルコキシシランとしてエチルシリケート40(コルコート(株)製、テトラエトキシシランの平均5量体物)6.8gおよびジルコニウムアルコキシドとして85質量%ジルコニウムブトキシド(テトラブチルジルコニウムアルコキシド)の1−ブタノール溶液3.4gを混合し、この混合物に、攪拌しながら、エタノール2.6g/水0.7g/2N−HCl0.1gの2N−HCl/エタノール混合水溶液を、室温下、徐々に滴下した。さらに、エタノール1.0g/水0.4gのエタノール水溶液を徐々に滴下し、室温下、1時間攪拌した。このようにして、一般的なアルコキシシラン、フッ素化有機シラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシランおよびジルコニウムアルコキシドの加水分解物又は反応生成物からなる混合液を得た。
実施例1で得られた、重合性単量体、光重合開始剤および重合禁止剤の混合物2.0gに、上記で得られた一般的なアルコキシシラン、フッ素化有機シラン、(メタ)アクリル基含有アルコキシシランおよびジルコニウムアルコキシドの加水分解物または反応生成物からなる混合液7.0gを添加し、室温で15分間攪拌することにより、光硬化性組成物を得た。
(レプリカ金型の作製)
得られた光硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして、積層体を得た。得られた積層体の光硬化膜とPETフィルムとの密着性を上記方法にて評価し、その結果を上記表1に示した。
(レプリカ金型の離型処理)
実施例1と同様にして、離型処理したレプリカ金型を得た。上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型の光硬化膜(パターン面)の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることが確認できた。
上記で得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状の測定結果を上記表3に示した。形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンと同じであった。
[比較例1]
実施例1のレプリカ金型となる積層体の離型処理において、誘電体バリア放電エキシマランプ(中心波長172nm、半値幅14nm、放射照度10mW/cm2、183nm以下の積算相対強度90%)の代わりに、185nm又は254nmの紫外光を発生する低圧水銀ランプ(放射照度10mW/cm2、183nm以下の積算相対強度0%)を使用し、実施例1で得られた積層体を、ランプとの距離3mmにて、積層体の光硬化膜側に真空紫外光照射されるようセットし、2分間照射した以外、実施例1と同様に操作を行い、離型処理したレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型のパターン面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面は、離型処理が十分に施されていなかった。
上記で得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリントにより形成されたパターンの形状は、レプリカ金型の作成に使用したシリコン製金型のパターンに比べ、径および高さともに小さかった(上記表3参照)。これは、レプリカ金型の離型処理が、表面だけでなく、レプリカ金型のパターン内部までも十分に達成されていなかったため、ナノインプリント用組成物がレプリカ金型のパターンに完全には充填されなかったためと考えられる。
[比較例2]
実施例6で得られたナノインプリント用組成物を塗膜材として使用し、実施例6と同様にして、積層体を得た。
得られた積層体を、水を収容したSUS容器内に入れ、その光硬化膜面が水中に完全に漬かるように浸漬し、蓋をして、70℃で、5時間、水浸漬処理に供した。水浸漬処理後、積層体を容器から取り出し、圧縮空気のスプレーにより、表面に付着した水を除去した。
ついで、水浸漬処理した積層体全体を、離型処理剤として、ガラス容器に収容されたフッ素を含有するシランカップリング剤(ダイキン工業(株)製、オプツールHD−1100TH)中に浸漬した。その状態に5分間保持し、その後、積層体を引き上げ、大気中、室温で乾燥させ、70℃に保ったオーブンに1時間入れることによって、積層体の光硬化膜面に離型処理剤を反応させた。その後、光硬化膜表面に離型処理剤を反応させた積層体を、ガラス容器に収容されたリンス液(ダイキン工業(株)製、オプツールHD−TH)中に浸し、45Hzで2分間の超音波処理を行い、光硬化膜表面と反応しなかった余分な離型処理剤をリンス除去し、離型処理したレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型の光硬化膜面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面が離型処理されていることを確認されたが、離型処理後の外観として、ウォーターマークによる汚れムラが一部に確認された。
上記で得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施した。得られたパターンが転写されたPETフィルムのパターン形状の評価のため、PETフィルムの上に形成されたパターンをSEMにて観察し、パターンの径および高さを計測した。レプリカ金型を使用したナノインプリント後のパターン形状の測定結果を上記表3に示した。レプリカ金型を使用したナノインプリント後のパターンの形状は、レプリカ金型の作製に使用したシリコン製金型のパターンに比べ、高さが270nm小さかった。これは、レプリカ金型の離型処理が、レプリカ金型のパターン内部までは十分に達成されていなかったため、ナノインプリント用組成物が、レプリカ金型のパターンに完全には充填されなかったためと考えられる。
[比較例3]
重合性単量体として、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−200)2.5g、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−BPE−10)7.5g、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル AMP−10G)5.0g、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−LEN−10)5.0g、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル A−DCP)5.0gを使用した。
光重合開始剤として、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(BASFジャパン(株)製、IRGACURE(登録商標)379 EG)1.0gを使用した。
重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.0375g、ブチルヒドロキシトルエン0.005gを使用した。
上記の重合性単量体、光重合開始剤、および重合禁止剤を均一に混合することにより、珪素化合物を含有しない光硬化性組成物を得た。
上記で得られた珪素化合物を含有しない光硬化性組成物を用いたこと以外、実施例1と同様に操作して、積層体を得た。得られた積層体の光硬化膜(パターン面)とPETフィルムとの密着性を上記方法にて評価し、その結果を上記表1に示した。
さらに、実施例1と同様にして、離型処理したレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型の光硬化膜面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面は、離型処理が十分に達成されていなかった。
上記で得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施したが、離型性が悪く、パターンが転写されたPETフィルムを得ることができなかった(上記表3参照)。
[比較例4]
実施例1のレプリカ金型となる積層体の離型処理において、積層体に対する真空紫外光の照射を行わなかったこと以外、実施例1と同様にして、離型処理したレプリカ金型を得た。
上記方法にて、離型処理後の外観および得られたレプリカ金型のパターン面の水との接触角を測定した。離型処理後の外観および接触角の測定結果を上記表2に示した。レプリカ金型の表面は、離型処理が十分には達成されていなかった。
上記で得られたレプリカ金型を切断し、パターン面の断面をSEMにより観察した結果、径230nm、高さ500nm、ピッチ460nmのホールパターンが形成されていることが確認できた。
実施例1と同様にして、レプリカ金型を使用したナノインプリントを実施したが、離型性が悪く、パターンが転写されたPETフィルムを得ることができなかった(上記表3参照)。

Claims (10)

  1. 重合性単量体、珪素化合物および光重合開始剤を含有する光硬化性組成物を塗膜材として使用して、基材層とパターン層とを含んでなる積層体からなるナノインプリント用レプリカ金型を製造する方法であって、基材層上に直接又は間接的に形成した、金型にてパターンを転写した塗膜材の光硬化膜面を有する積層体を、波長183nm以下の光を含む真空紫外光の照射に供した後、シランカップリング剤と反応させて離型処理することを特徴とするナノインプリント用レプリカ金型の製造方法。
  2. 珪素化合物が、シロキサン結合を有する珪素化合物であることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用レプリカ金型の製造方法。
  3. シロキサン結合を有する珪素化合物が、アルコキシシラン類又はアルコキシシラン類の加水分解物であることを特徴とする請求項2に記載のナノインプリント用レプリカ金型の製造方法。
  4. 光硬化性組成物が、さらに、ジルコニウムアルコキシド又はチタニウムアルコキシドの加水分解物又はジルコニウムアルコキシド又はチタニウムアルコキシドとアルコキシシラン類との反応生成物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のナノインプリント用レプリカ金型の製造方法。
  5. 波長183nm以下の光を含む真空紫外光は、183nm以下の波長の光が積算相対強度20%以上であることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用レプリカ金型の製造方法。
  6. 真空紫外光の照射を、密閉空間内において、酸素濃度0.1〜100,000ppmの雰囲気で行うことを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用レプリカ金型の製造方法。
  7. 真空紫外光の照射を、解放空間内において、真空紫外光を照射する光源と光硬化膜層との間に窒素を流動させた雰囲気で行うことを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用レプリカ金型の製造方法。
  8. 真空紫外光を照射する光源と光硬化膜層との距離が5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用レプリカ金型の製造方法。
  9. 真空紫外光の照射を、光露光量が0.01〜100J/cm2となるように行うことを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用レプリカ金型の製造方法。
  10. 真空紫外光を照射した積層体を、液状のシランカップリング剤中に浸漬することにより、積層体のパターン層にシランカップリング剤を塗布することによって、離型処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用レプリカ金型の製造法。
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