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JP2016046417A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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JP2016046417A
JP2016046417A JP2014170409A JP2014170409A JP2016046417A JP 2016046417 A JP2016046417 A JP 2016046417A JP 2014170409 A JP2014170409 A JP 2014170409A JP 2014170409 A JP2014170409 A JP 2014170409A JP 2016046417 A JP2016046417 A JP 2016046417A
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長岡 誠
Makoto Nagaoka
誠 長岡
幸喜 加瀬
Koki Kase
幸喜 加瀬
結 市川
Yu Ichikawa
結 市川
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Hodogaya Chemical Co Ltd
Shinshu University NUC
Original Assignee
Hodogaya Chemical Co Ltd
Shinshu University NUC
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Abstract

【課題】
高効率の有機エレクトロルミネッセンス素子用の材料として、高い励起三重項レベルを有し、燐光発光体の三重項励起子を完全に閉じ込めることができ、かつ薄膜安定性の高い、すなわちガラス転移点(Tg)の高い、発光層のホスト化合物を提供し、さらにこの化合物を用いて、高効率、高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること。
【解決手段】
一対の電極とその間に挟まれた少なくとも一層の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機層が発光層であって、下記一般式(1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物を、該発光層の構成材料として用いていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】
Figure 2016046417

【選択図】なし

Description

本発明は、各種の表示装置に好適な自己発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子に適した化合物と該素子に関するものであり、詳しくはトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物と、該化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略称する)に関するものである。
有機EL素子は自己発光性素子であるので、液晶素子にくらべて明るく視認性に優れ、鮮明な表示が可能であるため、活発な研究がなされてきた。
近年、素子の発光効率を上げる試みとして、燐光発光体を用いて燐光を発生させる、すなわち三重項励起状態からの発光を利用する素子が開発されている。励起状態の理論によれば、燐光発光を用いた場合には、従来の蛍光発光の約4倍の発光効率が可能になるという、顕著な発光効率の向上が期待される。
1993年にプリンストン大学のM.A.Baldoらは、イリジウム錯体を用いた燐光発光素子によって8%の外部量子効率を実現させた。
燐光発光体は濃度消光を起こすため、一般的にホスト化合物と称される、電荷輸送性の化合物にドープさせることによって担持される。担持される燐光発光体はゲスト化合物と称される。このホスト化合物としては、下記式で表される4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(以後、CBPと略称する)が一般に用いられてきた(例えば、非特許文献1参照)。
Figure 2016046417
しかし、CBPはガラス転移点(Tg)が62℃と低く、結晶性が強いため、薄膜状態における安定性に乏しいことが指摘されていた。そのため高輝度発光など、耐熱性が必要とされる場面において、満足できる素子特性が得られていなかった。
燐光発光素子の研究が進むとともに、燐光発光体とホスト化合物の間のエネルギー移動過程の解明が進み、発光効率を高めるためにはホスト化合物の励起三重項レベルが燐光発光体の励起三重項レベルよりも高くなくてはならないことが明らかとなった。
下記式で表される青色燐光発光材であるFIrpicを前記CBPにドープして発光層のホスト化合物とした場合、燐光発光素子の外部量子効率は6%程度に留まっている。これはFIrpicの励起三重項レベルが2.67eVであるのに対し、CBPの励起三重項レベルが2.57eVと低いことから、FIrpicによる三重項励起子の閉じ込めが、CBPでは不十分であるからと考えられた。このことは、FIrpicをCBPにドープした薄膜のフォトルミネッセンス強度が温度依存性を示すことによって実証されている。(例えば、非特許文献2参照)
Figure 2016046417
CBPよりも励起三重項レベルの高いホスト化合物としては、下記で示される1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(以後、mCPと略称する)が知られているが、mCPもガラス転移点(Tg)が55℃と低く、結晶性が強いため、薄膜状態における安定性に乏しい。そのため高輝度発光など、耐熱性が必要とされる場面において、満足できる素子特性が得られていなかった。(例えば、非特許文献2参照)
Figure 2016046417
また、より高い励起三重項レベルを有するホスト化合物を検討する中から、電子輸送性もしくはバイポーラー輸送性のホスト化合物にイリジウム錯体をドープした場合、高い発光効率が得られることが分かってきている。(例えば、非特許文献3参照)
このように、実用的な場面での燐光発光素子の発光効率を高めるため、励起三重項レベルが高く、薄膜安定性の高い、発光層のホスト化合物が必要とされてきている。
励起三重項レベルの高い材料としてトリフェニルシリルピリジル基を用いた材料も報告されている。(例えば、特許文献1参照)しかしながら、さらに発光効率の向上や安定な薄膜を形成する材料が求められている。
WO2010−126234号公報 特開2009−067779号公報 特開2007−022986号公報
Appl.Phys.Let.,75,4(1999) 有機EL照明用材料の開発と評価技術 p102−106 サイエンス&テクノロジー株式会社、(2010) 有機ELディスプレイ p90、株式会社オーム社(2005) Synth.Commun.,11,513(1981) 第4版実験化学講座7 p384−398、日本化学会編、丸善(1992) 有機EL討論会第1回例会予稿集、19(2005)
本発明の目的は、高効率の有機EL素子用の材料として、高い励起三重項レベルを有し、燐光発光体の三重項励起子を完全に閉じ込めることができ、かつ薄膜安定性の高い、すなわちガラス転移点(Tg)の高い、発光層のホスト化合物を提供し、さらにこの化合物を用いて、高効率、高輝度の有機EL素子を提供することにある。本発明の素子に好ましく用いられる有機化合物が具備すべき物理的な特性としては、(1)励起三重項レベルが高いこと、(2)バイポーラ輸送性を有すること、(3)薄膜状態が安定であること、をあげることができる。また、本発明が提供しようとする有機エレクトロルミネッセンス素子が具備すべき物理的な特性としては、(1)発光効率が高いこと、(2)発光輝度が高いこと、(3)実用駆動電圧が低いことをあげることができる。
そこで本発明者らは上記の目的を達成するために、トリフェニルシリル基およびピリジン環構造が電子輸送性能力を有していることと、カルバゾール環構造が良好な耐熱性と正孔輸送性能力を有しているということ、などに着目して、励起三重項レベルを指標に化合物を設計して化学合成し、実際に励起三重項レベルを測定することによって燐光発光素子に適した特性を有するトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物を見出した。そして、該化合物を用いて種々の有機EL素子を試作し、素子の特性評価を鋭意行なった結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、以下の有機EL素子が提供される。
1)一対の電極とその間に挟まれた少なくとも一層の有機層を有する有機EL素子において、該有機層が発光層であって、下記一般式(1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物を、該発光層の構成材料として用いていることを特徴とする有機EL素子。
Figure 2016046417
(式中、R〜Rは、同一でも異なってもよく水素原子、重水素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、Aは置換基を有していてもよいトリフェニルシリルピリジル基、または置換基を有していてもよいカルバゾール−9−イル基を表す。Lは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基、置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基を表す。)
2)前記一般式(1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物が、下記一般式(1−1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物である、上記1)に記載の有機EL素子。
Figure 2016046417
(式中、R〜Rは、同一でも異なってもよく水素原子、重水素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、Aは置換基を有していてもよいトリフェニルシリルピリジル基、または置換基を有していてもよいカルバゾール−9−イル基を表す。Lは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基、置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基を表す。)
3)前記一般式(1)または一般式(1−1)において、Lがベンゼンから水素原子を2個取り除いてできる2価基である、上記1)または2)に記載の有機EL素子。
4)前記一般式(1)または一般式(1−1)において、Aが置換基を有していてもよいトリフェニルシリルピリジル基である、上記1)または2)に記載の有機EL素子。
5)前記一般式(1)または一般式(1−1)において、Aが置換基を有していてもよいカルバゾール−9−イル基である、上記1)または2)に記載の有機EL素子。
6)前記発光層に、燐光性の発光材料をさらに含有することを特徴とする上記1)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
7)前記した燐光性の発光材料がイリジウムまたは白金を含む金属錯体である上記6)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
一般式(1)中のR〜Rで表される、「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、i−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、i−ヘキシルオキシ基、t−ヘキシルオキシ基のような基をあげることができる。これらの基は置換基を有していてもよく、これらの基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
これらの基が有していてもよい置換基としては、具体的に、重水素原子、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基;アリル基などのアルケニル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基で置換されたジ置換アミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基などの芳香族複素環基で置換されたジ置換アミノ基;芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基または芳香族複素環基から選択される置換基で置換されたジ置換アミノ基のような基をあげることができ、これらの置換基はさらに、前記例示した置換基が置換していても良い。また、これらの置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)中のR〜Rで表される、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリドピリミジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ナフトピリミジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、およびカルボリニル基などをあげることができる。
一般式(1)中のR〜Rで表される、「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基;アリル基などのアルケニル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基のような基をあげることができ、これらの置換基は、さらに前記例示した置換基が置換していても良い。また、これらの置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)中のAで表される、「置換基を有するトリフェニルシリルピリジル基」における「置換基」としては、前記一般式(1)中のR〜Rで表される、「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、および「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様、有していてよい置換基も、同様のものをあげることができる。
一般式(1)中のAで表される、「置換基を有するトリフェニルシリルピリジル基」としては、下記構造式(A−1)で表される1価基であることが好ましく、下記構造式(A−1a)、または(A−1b)で表される1価基であることがより好ましい。
Figure 2016046417
(式中、R〜Rは、同一でも異なってもよく水素原子、重水素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表す。)
前記構造式(A−1)、(A−1a)、または(A−1b)中のR〜Rとしては、前記一般式(1)中のR〜Rで表される、「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」、および「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様、有していてよい置換基も、同様のものをあげることができる。
一般式(1)中のAで表される、「置換基を有するカルバゾール−9−イル基」としては、下記構造式(A−2)で表される1価基であることが好ましい。
Figure 2016046417
(式中、R〜R14は、同一でも異なってもよく水素原子、重水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、アルケニル基、アリールオキシ基、アリールアルキルオキシ基、芳香族炭化水素基、縮合多環芳香族基、芳香族複素環基、アリールビニル基、アシル基を表す。)
前記構造式(A−2)中のR〜R14としては、具体的に、水素原子、重水素原子、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基;アリル基などのアルケニル基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルキルオキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基のような基をあげることができ、これらの基は、さらに前記例示した基が置換基として置換していても良い。また、これらの基同士が直接、もしくは結合している置換基を介しつつ、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)中のLで表される、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基」における「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族」の「芳香族炭化水素」、「芳香族複素環」または「縮合多環芳香族」としては、具体的に、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、テトラキスフェニル、スチレン、ナフタレン、アントラセン、アセナフタレン、フルオレン、フェナントレン、インダン、ピレン、トリフェニレン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピロール、フラン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドリン、カルバゾール、カルボリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノキサリン、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ナフチリジン、フェナントロリン、アクリジンなどをあげることができる。
そして、一般式(1)中のLで表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基」は、上記「芳香族炭化水素」、「芳香族複素環」または「縮合多環芳香族」から水素原子を2個取り除いてできる2価基を表す。
また、これらの2価基は置換基を有していてよく、置換基として、前記一般式(1)中のR〜Rで表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」に関して示したものと同様のものをあげることができ、とりうる態様も、同様のものをあげることができる。
一般式(1)中のLとしては、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基」、または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基」が好ましく、特にベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、フルオレン、フェナントレンから誘導される2価基が好ましい。
一般式(1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物の中で、下記一般式(1−1)、もしくは(1−2)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物が好ましく用いられる。
Figure 2016046417
(式中、R〜R、A、Lは、前記一般式(1)で示した通りの意味を表す。)
本発明に好ましく用いられる一般式(1)で表される、トリフェニルシリルピリジル基を有する化合物は、従来の材料より励起三重項レベルが高く、優れた三重項励起子を閉じ込める能力を有し、かつ薄膜状態が安定である。
本発明に好ましく用いられる一般式(1)で表される、トリフェニルシリルピリジル基を有する化合物は、有機EL素子の発光層の構成材料として使用することができる。従来の材料に比べてバイポーラ輸送性に優れている一般式(1)で表される化合物を用いることにより、発光効率が向上し、実用駆動電圧が低下するという作用を有する。
本発明に好ましく用いられる一般式(1)で表される、トリフェニルシリルピリジル基を有する化合物は、有機EL素子の発光層のホスト化合物として有用であり、該化合物を用いて有機EL素子を作製することにより、本発明の高効率な有機EL素子を得ることができる。
本発明実施例1の化合物(化合物8)のH−NMRチャート図である。 本発明実施例2の化合物(化合物5)のH−NMRチャート図である。 実施例6のEL素子構成を示した図である。 比較例1のEL素子構成を示した図である。
本発明に好ましく用いられるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物は、例えば、以下のように合成できる。まず、ジブロモピリジンとトリフェニルシリルクロリドを反応させてトリフェニルシリルピリジルブロミドとした後、ホモカップリング反応(例えば、特許文献2参照)を行うことによって、トリフェニルシリルピリジル基を有する化合物を合成することができる。また、トリフェニルシリルピリジルブロミドとビスアリールボロン酸とのSuzukiカップリングなどのクロスカップリング反応(例えば、非特許文献4参照)を行うことによって、トリフェニルシリルピリジル基を有する化合物を合成することができる。一方、トリフェニルシリルピリジルブロミドとカルバゾリルアリールホウ酸エステル化体とのSuzukiカップリングなどのクロスカップリング反応を行うことによって、トリフェニルシリルピリジル基を有する化合物を合成することができる。
一般式(1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物の中で、好ましい化合物の具体例を以下に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
Figure 2016046417
Figure 2016046417
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これらの化合物の精製はカラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土などによる吸着精製、溶媒による再結晶や晶析法、昇華精製法などによって行った。化合物の同定は、NMR分析によって行なった。物性値として、ガラス転移点(Tg)と仕事関数の測定を行った。ガラス転移点(Tg)は薄膜状態の安定性の指標となるものであり、仕事関数は発光ホスト材料としてのエネルギー準位の指標となるものである。
ガラス転移点(Tg)は、粉体を用いて高感度示差走査熱量計(セイコー・インスツルメント製、DSC6200)によって測定した。
また仕事関数は、ITO基板の上に100nmの薄膜を作製して、大気中光電子分光装置(理研計器製、AC−3型)を用いて測定した。
本発明の化合物の励起三重項レベルは、測定した燐光スペクトルより算出できる。燐光スペクトルは市販の分光光度計を用いて測定できる。一般的な燐光スペクトルの測定方法としては溶媒に溶解し、低温下励起光を照射して測定する方法(例えば、非特許文献5参照)、あるいは、シリコン基板上に蒸着して薄膜とし、低温下励起光を照射して燐光スペクトルを測定する方法などがある(例えば、特許文献3参照)。励起三重項レベルは、燐光スペクトルの短波長側の第1ピークの波長あるいは短波長側の立ち上がり位置の波長を読み取り、下記の式に従って光のエネルギー値に換算することによって算出できる。励起三重項レベルは燐光発光体の三重項励起子の閉じ込めの指標となる。
Figure 2016046417
ここで、Eは光エネルギーの値を、hはプランク定数(6.63×10−34Js)を、cは光速(3.00×10m/s)を、λは燐光スペクトルの短波長側の立ち上がるところの波長(nm)を表す。そして、1eVは1.60×10−19Jとなる。
本発明の有機EL素子の構造としては、基板上に順次に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極からなるもの、また、電子輸送層と陰極の間にさらに電子注入層を有するものがあげられる。これらの多層構造においては有機層を何層か省略することが可能であり、例えば基板上に順次に、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極とすることや、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極とすることもできる。
前記発光層、前記正孔輸送層、前記電子輸送層においては、それぞれが2層以上積層された構造であっても良い。
本発明の有機EL素子の陽極としては、ITOや金のような仕事関数の大きな電極材料が用いられる。本発明の有機EL素子の正孔注入層として、銅フタロシアニンに代表されるポルフィリン化合物のほか、ナフタレンジアミン誘導体、スターバースト型のトリフェニルアミン誘導体、分子中にトリフェニルアミン構造を3個以上、単結合またはヘテロ原子を含まない2価基で連結した構造を有するアリールアミン化合物などのトリフェニルアミン3量体および4量体、ヘキサシアノアザトリフェニレンのようなアクセプター性の複素環化合物や塗布型の高分子材料を用いることができる。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
本発明の有機EL素子の正孔輸送層として、m−カルバゾリルフェニル基を含有する化合物のほか、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン(以後、TPDと略称する)やN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(α−ナフチル)−ベンジジン(以後、NPDと略称する)、N,N,N’,N’−テトラビフェニリルベンジジンなどのベンジジン誘導体、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(以後、TAPCと略称する)、種々のトリフェニルアミン3量体および4量体やカルバゾール誘導体などを用いることができる。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、単独で成膜した層同士、混合して成膜した層同士、または単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。また、正孔の注入・輸送層として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以後、PEDOTと略称する)/ポリ(スチレンスルフォネート)(以後、PSSと略称する)などの塗布型の高分子材料を用いることができる。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
また、正孔注入層あるいは正孔輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにトリスブロモフェニルアミンヘキサクロルアンチモンをPドーピングしたものや、TPDの構造をその部分構造に有する高分子化合物などを用いることができる。
本発明の有機EL素子の電子阻止層として、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(以後、TCTAと略称する)、9,9−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]フルオレン、2,2−ビス(4−カルバゾール−9−イルフェニル)アダマンタン(以後、Ad−Czと略称する)などのカルバゾール誘導体、9−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−9−[4−(トリフェニルシリル)フェニル]−9H−フルオレンに代表されるトリフェニルシリル基とトリアリールアミン構造を有する化合物などの電子阻止作用を有する化合物を用いることができる。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、単独で成膜した層同士、混合して成膜した層同士、または単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
本発明の有機EL素子の発光層として、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以後、Alqと略称する)をはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体などの各種金属錯体、アントラセン誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体などを用いることができる。また、発光層をホスト材料とドーパント材料とで構成してもよく、この場合、ホスト材料として本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物、チアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体などを用いることができる。またドーパント材料としては、キナクリドン、クマリン、ルブレン、アントラセン、ペリレンおよびそれらの誘導体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、アミノスチリル誘導体などを用いることができる。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、単独で成膜した層同士、混合して成膜した層同士、または単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。
また、発光材料として燐光性の発光材料を使用することも可能である。燐光性の発光体としては、イリジウムや白金などの金属錯体の燐光発光体を使用することができる。Ir(ppy)などの緑色の燐光発光体、FIrpic、FIr6などの青色の燐光発光体、BtpIr(acac)、Ir(piq)などの赤色の燐光発光体などが用いられ、このときのホスト材料としては本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物のほか、正孔注入・輸送性のホスト材料として、TCTAなどのカルバゾール誘導体などを用いることができる。電子輸送性のホスト材料として、p−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(以後、UGH2と略称する)や2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレン)−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(以後、TPBIと略称する)などを用いることができる。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、単独で成膜した層同士、混合して成膜した層同士、または単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。
燐光性の発光材料のホスト材料へのドープは濃度消光を避けるため、発光層全体に対して1〜30重量パーセントの範囲で、共蒸着によってドープすることが好ましい。
これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
また、本発明の化合物を用いて作製した発光層に、仕事関数の異なる化合物をホスト材料として用いて作製した発光層を隣接させて積層した構造の素子を作製することができる(例えば、非特許文献6参照)。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層として、バソクプロイン(以後、BCPと略称する)などのフェナントロリン誘導体や、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナート)−4−フェニルフェノレート(以後、BAlqと略称する)などのキノリノール誘導体の金属錯体のほか、各種の希土類錯体、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体など、正孔阻止作用を有する化合物を用いることができる。これらの材料は電子輸送層の材料を兼ねてもよい。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、単独で成膜した層同士、混合して成膜した層同士、または単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
本発明の有機EL素子の電子輸送層として、Alq、BAlqをはじめとするキノリノール誘導体の金属錯体のほか、各種金属錯体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、カルボジイミド誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体、TPBIなどのベンズイミダゾール誘導体などを用いることができる。これらは、単独で成膜しても良いが、他の材料とともに混合して成膜した単層として使用しても良く、単独で成膜した層同士、混合して成膜した層同士、または単独で成膜した層と混合して成膜した層の積層構造としても良い。これらの材料は蒸着法の他、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によって薄膜形成を行うことができる。
本発明の有機EL素子の電子注入層として、フッ化リチウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属塩、フッ化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、酸化アルミニウムなどの金属酸化物などを用いることができるが、電子輸送層と陰極の好ましい選択においては、これを省略することができる。
さらに、電子注入層あるいは電子輸送層において、該層に通常使用される材料に対し、さらにセシウムなどの金属をNドーピングしたものを用いることができる。
本発明の有機EL素子の陰極として、アルミニウムのような仕事関数の低い電極材料や、マグネシウム銀合金、マグネシウムインジウム合金、アルミニウムマグネシウム合金のような、より仕事関数の低い合金が電極材料として用いられる。
以下、本発明の実施の形態について、実施例により具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<5,5’−ビス(トリフェニルシリル)−2,2’−ビピリジン(化合物8)の合成>
窒素置換した反応容器に、2,5−ジブロモピリジン38.0g、ジエチルエーテル450mlを加えて撹拌し、−70℃まで冷却した。1.61Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液100mlを滴下した後、トリフェニルシリルクロリド51.9gのジエチルエーテル溶液を滴下した。1時間撹拌した後、反応液の温度を徐々に室温まで上げた。反応液に水を加え、クロロホルムを用いた抽出操作を2回繰り返した後、有機層を減圧下で濃縮することによって粗製物を得た。粗製物をカラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/トルエン)を用いて精製し、続いてトルエン−メタノールの混合溶媒を用いた晶析精製を行うことによって、2−ブロモ−5−(トリフェニルシリル)ピリジンの白色粉体22.2g(収率33%)を得た。
得られた2−ブロモ−5−(トリフェニルシリル)ピリジン8.0g、亜鉛2.78g、テトラエチルアンモニウムヨージド0.14g、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル1.43g、THF14mlを窒素置換した反応容器に加えて撹拌し、60℃まで加熱した。5時間撹拌した後、室温まで冷却し、アンモニア水200mlを加え、さらに30分間撹拌した。クロロホルムを用いた抽出操作を2回繰り返した後、減圧下で濃縮することによって粗製物を得た。粗製物をカラムクロマトグラフ(担体:シリカゲル、溶離液:トルエン)を用いて精製し、続いてメタノールで洗浄することによって、5,5’−ビス(トリフェニルシリル)−2,2’−ビピリジン(化合物8)の白色粉体1.84g(収率28%)を得た。
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。H−NMR測定結果を図1に示した。
H−NMR(CDCL)で以下の36個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=8.81(2H)、8.42(2H)、7.99(2H)、7.57−7.60(12H)、7.38−7.47(18H)。
<9−[2−{5−(トリフェニルシリル)ピリジン−2−イル}フェニル]−9H−カルバゾール(化合物5)の合成>
実施例1で合成した2−ブロモ−5−(トリフェニルシリル)ピリジン2.9g、2−ブロモフェニルボロン酸1.4g、2M炭酸カリウム水溶液11ml、トルエン88ml、エタノール22mlを窒素置換した反応容器に加え、窒素を通気した。テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.4gを加えて加熱し、6.5時間還流撹拌した。室温まで冷却し、分液操作によって有機層を採取した後、無水硫酸マグネシウムを用いて脱水し、減圧下で濃縮することによって濃縮物を得た。濃縮物をトルエン15mlに加熱しながら溶解し、冷却しながらn−ヘキサン60mlを加えることによって析出する粗製物をろ過によって採取した。カラムクロマトグラフ(担体:NHシリカゲル、溶離液:ヘキサン/クロロホルム)を用いて精製し、2−(2−ブロモフェニル)−5−(トリフェニルシリル)ピリジンの白色粉体3.2gを得た。(収率72%)
得られた2−(2−ブロモフェニル)−5−(トリフェニルシリル)ピリジン3g、カルバゾール1.5g、銅粉0.04g、炭酸カリウム1.6g、亜硫酸水素ナトリウム0.2g、ドデシルベンゼン6ml、キシレン12mlを窒素置換した反応容器に加えて加熱し、キシレンを留出させながら12時間撹拌した。室温まで冷却した後、トルエン50mlを加え、再び加熱して還流撹拌した。60℃でろ過を行い、ろ液を濃縮した。メタノール100mlを用いた結晶化、トルエンを用いた洗浄を2回繰り返した後、トルエンに溶解して、シリカゲルを用いた吸着精製を行った。続いて、メタノールを用いた結晶化によって、9−[2−{5−(トリフェニルシリル)ピリジン−2−イル}フェニル]−9H−カルバゾール(化合物5)の白色粉体1.5gを得た。(収率43%)
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。H−NMR測定結果を図2に示した。
H−NMR(THF−d)で以下の30個の水素のシグナルを検出した。δ(ppm)=8.54(1H)、8.11(1H)、8.06(2H)、7.64−7.67(2H)、7.61(1H)、7.29−7.39(15H)、7.24(2H)、7.19(2H)、7.13(1H)、7.09(2H)、6.45(1H)。
本発明の化合物について、高感度示差走査熱量計(セイコー・インツルメント製、DSC6200)によってガラス転移点を求めた。
ガラス転移点
本発明実施例1の化合物 129℃
本発明の化合物は100℃以上のガラス転移点を有している。このことは、本発明の化合物において薄膜状態が安定であることを示すものである。
本発明の化合物を用いて、ITO基板の上に膜厚100nmの蒸着膜を作製して、大気中光電子分光装置(理研計器製、AC−3型)で仕事関数を測定した。
仕事関数
本発明実施例1の化合物 6.30eV
本発明実施例2の化合物 5.90eV
CBP 6.00eV
このように本発明の化合物は、発光ホストとして一般的に用いられるCBPと比較し、好適なエネルギー準位を示している。
本発明の化合物について、50nmの薄膜を製膜し、77Kに冷却した後、蛍光リン光分光光度計(堀場製作所製、FluoroMax−4型)を用い、励起光を照射して燐光スペクトルを測定した。燐光スペクトルの短波長側の立ち上がり位置の波長を読み取り、該波長値を光のエネルギーに換算して励起三重項レベルを算出した。
励起三重項レベル
本発明実施例1の化合物 2.82eV
本発明実施例2の化合物 2.90eV
CBP 2.57eV
このように本発明の化合物は一般的に用いられているCBPがもつ三重項エネルギーより大きい値を有しており、発光層で励起された三重項エネルギーを充分閉じ込める能力を有している。
図3に示すように、ガラス基板1上に透明陽極2としてITO電極をあらかじめ形成したものの上に、正孔輸送層3、電子阻止層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7、陰極(アルミニウム電極)8の順に蒸着して作製した。
具体的には、膜厚150nmのITOを成膜したガラス基板1を有機溶媒で洗浄した後に、酸素プラズマ処理にて表面を洗浄した。その後、このITO電極付きガラス基板を真空蒸着機内に取り付け0.001Pa以下まで減圧した。
続いて、透明陽極2を覆うように正孔輸送層3として、TAPCを蒸着速度1.0Å/secで膜厚30nmとなるように形成した。この正孔輸送層3の上に、電子阻止層4としてmCPを蒸着速度1.0Å/secで膜厚10nmとなるように形成した。その上に発光層5として本発明実施例1の化合物(化合物8)と青色燐光発光体FIrpicを、蒸着速度比が本発明実施例1の化合物(化合物8):FIrpic=94:6となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚30nmとなるように形成した。この発光層5の上に、電子輸送層6として前記TPBIを蒸着速度1.0Å/secで膜厚45nmとなるように形成した。この電子輸送層6の上に、電子注入層7としてフッ化リチウムを蒸着速度0.1Å/secで膜厚0.5nmとなるように形成した。最後に、アルミニウムを膜厚150nmとなるように蒸着して陰極8を形成した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。
本発明の実施例1の化合物(化合物8)を使用して作製した有機EL素子に電流密度10mA/cmの電流を流したときの発光効率は17.0cd/Aであった。
[比較例1]
比較のために、実施例6において、発光層5の材料として実施例1の化合物(化合物8)をmCPに代え、mCPと青色燐光発光体FIrpicを、蒸着速度比がmCP:FIrpic=94:6となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚30nmとなるように形成し、電子阻止層4を省略した以外は、同様の条件で有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行なった。作製した有機EL素子に電流密度10mA/cmの電流を流したときの発光効率は13.7cd/Aであった。
以上のように、電流密度10mA/cmの電流を流したときの発光効率は、本発明実施例1の化合物(化合物8)を用いた有機EL素子では17.0cd/Aと、比較例1の有機EL素子の13.7cd/Aに対し高効率であった。
以上のように、本発明に好適に用いられる化合物は高い励起三重項レベルを有し、燐光発光体にエネルギーを良好に伝達し、燐光発光体の三重項励起子を完全に閉じ込めており、さらに薄膜安定性も良好であるので、発光層のホスト化合物として優れているといえる。
本発明のトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物は、高い励起三重項レベルを有し、燐光発光体の三重項励起子を完全に閉じ込めることができ、薄膜安定性も良好なため、発光層のホスト化合物として優れている。また、該化合物を用いて有機EL素子を作製することにより、従来の有機EL素子の輝度と発光効率を格段に改良することができ、そのため、移動型電子製品の性能を向上させることができる。
1 ガラス基板
2 透明陽極
3 正孔輸送層
4 電子阻止層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極

Claims (7)

  1. 一対の電極とその間に挟まれた少なくとも一層の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機層が発光層であって、下記一般式(1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物を、該発光層の構成材料として用いていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2016046417
    (式中、R〜Rは、同一でも異なってもよく水素原子、重水素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、Aは置換基を有していてもよいトリフェニルシリルピリジル基、または置換基を有していてもよいカルバゾール−9−イル基を表す。Lは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基、置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基を表す。)
  2. 前記一般式(1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物が、下記一般式(1−1)で表されるトリフェニルシリルピリジル基を有する化合物である、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2016046417
    (式中、R〜Rは、同一でも異なってもよく水素原子、重水素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、トリフルオロメチル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、Aは置換基を有していてもよいトリフェニルシリルピリジル基、または置換基を有していてもよいカルバゾール−9−イル基を表す。Lは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素の2価基、置換もしくは無置換の芳香族複素環の2価基、または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族の2価基を表す。)
  3. 前記一般式(1)または一般式(1−1)において、Lがベンゼンから水素原子を2個取り除いてできる2価基である、請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記一般式(1)または一般式(1−1)において、Aが置換基を有していてもよいトリフェニルシリルピリジル基である、請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記一般式(1)または一般式(1−1)において、Aが置換基を有していてもよいカルバゾール−9−イル基である、請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記発光層に、燐光性の発光材料をさらに含有することを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記した燐光性の発光材料がイリジウムまたは白金を含む金属錯体である請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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