[go: up one dir, main page]

JP2016509014A - 新規の多特異的構成物 - Google Patents

新規の多特異的構成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2016509014A
JP2016509014A JP2015557143A JP2015557143A JP2016509014A JP 2016509014 A JP2016509014 A JP 2016509014A JP 2015557143 A JP2015557143 A JP 2015557143A JP 2015557143 A JP2015557143 A JP 2015557143A JP 2016509014 A JP2016509014 A JP 2016509014A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
domain
antibodies
multispecific antibody
cancer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015557143A
Other languages
English (en)
Inventor
デイビッド リウ,
デイビッド リウ,
Original Assignee
ステムセントリックス, インコーポレイテッド
ステムセントリックス, インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ステムセントリックス, インコーポレイテッド, ステムセントリックス, インコーポレイテッド filed Critical ステムセントリックス, インコーポレイテッド
Publication of JP2016509014A publication Critical patent/JP2016509014A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2896Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against molecules with a "CD"-designation, not provided for elsewhere
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2803Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against the immunoglobulin superfamily
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/46Hybrid immunoglobulins
    • C07K16/468Immunoglobulins having two or more different antigen binding sites, e.g. multifunctional antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/30Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency
    • C07K2317/31Immunoglobulins specific features characterized by aspects of specificity or valency multispecific
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/52Constant or Fc region; Isotype
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/52Constant or Fc region; Isotype
    • C07K2317/522CH1 domain
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/55Fab or Fab'
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/70Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
    • C07K2317/77Internalization into the cell
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/90Immunoglobulins specific features characterized by (pharmaco)kinetic aspects or by stability of the immunoglobulin
    • C07K2317/92Affinity (KD), association rate (Ka), dissociation rate (Kd) or EC50 value

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

新規な多特異的抗体構築物および多特異的抗体薬物コンジュゲート(ADC)、ならびにこのような抗体およびADCを使用してがんを処置する方法を提供する。IgG様の二特異的抗体は、異なる結合特異性をこの抗体の各アーム上に有する。これらはVH、CH1、CH2、およびCH3領域を有する2本の重鎖、ならびにVLおよびCL領域を有する2本の軽鎖を含有する点で、単一特異的IgGに構造的に類似する。本発明のある特定の好ましい実施形態は、IgG1の供給源抗体のCLドメインまたはCH1ドメインにおける静電電荷の分布を変更することを含む。

Description

相互参照される出願
本出願は、その全体が参照によって本明細書中に援用される2013年2月8日に出願された米国仮出願第61/762,755号に対して優先権を主張する。
発明の分野
本出願は、一般に、2つもしくはそれより多くの抗原に結合することができる多特異的抗体を産生する改善された方法、結果として生じる化合物および組成物、ならびに臨床および非臨床の適用におけるこれらの使用に関する。
IgG様の二特異的抗体は、異なる結合特異性を抗体の各アーム上に有する。二特異的抗体は、VH、CH1、CH2およびCH3領域を有する2本の重鎖、ならびにVLおよびCL領域を有する2本の軽鎖を含有するという点で、単一特異的IgGに構造的に類似する。しかし、異なる特異性を各アーム上に作り出すために、IgG様の二特異的抗体は、ホモ二量体的と反対に、ヘテロマーの様式、または非対称の様式で対形成する、2本の異なる重鎖(少なくともVH領域において)を有するのが好ましい。さらに、機能的な二特異的分子のアセンブリは、2本の異なる軽鎖(少なくともVL領域が異なる)の、それぞれの重鎖に対する相補的な対形成を必要とする。
非対称性の重鎖の対形成の問題を解決するために様々な戦略が提唱されている。一方法は、これらのヘテロ二量体化(すなわち、重鎖Aの重鎖Bとの対形成)を促進するため、およびこれらのホモ二量体化を防ぐために、抗体のCH3ドメインを変異させることである。この方法論の周知の一実施形態は、「ノブイントゥホール(knob into holes)」アプローチを伴う(Ridgewayら、1996年、Protein Eng.、9巻(7)、617〜621頁)。小型のアミノ酸を大型のアミノ酸によって置き換えることからなる「ノブ」変異を、抗体Aの重鎖のCH3二量体の界面に導入するとホモ二量体化を防止する立体障害をもたらす。同時に、ヘテロ二量体化を促進するために、大型のアミノ酸を小型のアミノ酸によって置き換えることからなる、相補的な「ホール」変異を、抗体BのCH3ドメインに導入する。
別の一方法は静電気の使用であり、静電気的に適合したFc鎖の同時発現が、好都合な引力相互作用を支援し、それにより所望のFcヘテロ二量体の形成を促進し、不都合な反発性の電荷相互作用が望まないFcホモ二量体形成を抑制するように、抗体のFc領域のCH3ドメインの界面を選択された変異で修飾して、Fc二量体の界面を横切る変更された電荷極性を作り出す(例えば、各々が参照により本明細書に援用される、Gunasekaranら、2010年、J Biol Chem. 285巻(25)、19637〜19646頁、WO/2006/106905、米国特許出願第2011/0123532号を参照されたい)。非対称性の重鎖対形成のためのさらに他の方法も公開されている(各々が参照により本明細書に遂行される、Merchantら、1998年、Nat Biotechnol、16巻、677〜681頁;Mooreら、2011年、MAbs、3巻、546〜567頁;およびDavis JHら、2010年、Protein Eng Des Sel、23巻、195〜202頁、および米国特許出願第2012/0149876号を参照されたい)。
二特異的抗体を作り出すのにクアドローマ技術も使用されている。クアドローマ技術(MilsteinおよびCuello、1983年、Nature、305巻(5934)、537〜40頁)は、所望の特異性の二特異的抗体を有するマウスモノクローナル抗体を発現する2つの異なるハイブリドーマ細胞株の体細胞融合に基づく。しかし、結果として生じるハイブリッド−ハイブリドーマ(またはクアドローマ)の細胞株内の2つの異なるIgの重鎖および軽鎖のランダムな対形成があるため、最高10種類の異なる免疫グロブリン種が産生され、そのうち1個だけが機能的な二特異的抗体である。重鎖/軽鎖が誤対合した副生成物が存在し、生成収率が大幅に減少することは、機能的な二特異的抗体を十分量得るために、洗練された精製手順が必要であることを意味する。
重鎖/軽鎖の誤対合を減少させようと、scFvファージライブラリーから以前に同定された、特異性が異なるが共通の軽鎖を共有する抗体を使用する方法が用いられた(例えば、Merchantら、1998年、Nat Biotechnol、16巻、677〜681頁;米国特許第7,183,076号を参照されたい)。このアプローチの欠点は、共通の軽鎖を有する抗体を同定するのが困難なことである。すなわち、抗体を、無視できる軽鎖のエネルギー寄与で抗原に結合させるように操作し、したがって二特異的IgGを操作する場合に共通の軽鎖を使用することができるようにすることが可能であるが、抗体は、抗原に高親和性で結合するのに、重鎖および軽鎖両方のエネルギー寄与を必要とするのがより一般的である。2つの単一特異的抗体を、単一の二特異的抗体として再構成する場合、各重鎖を、それらの対応する軽鎖と正しく対形成させることが、オリジナルの単一特異的IgG抗体の結合特性を保持するのに重要となる。これは、既存の抗体を二特異的として再構成する場合、共通の軽鎖の使用を著しく制限する。正しい重鎖/軽鎖の対形成を確実にするためのさらなる分子メカニズムなしで、2本の重鎖と2本の軽鎖とを同時発現させると、誤対合した重鎖および軽鎖の混合の生成物がもたらされる。
このような試みにかかわらず、重鎖および軽鎖の対形成において比較的高い正確さを示す、両方の抗原に高親和性を有するアセンブルした構築物を提供する、二特異的抗体を含めた多特異的抗体を生成する改善された方法が、当技術分野において必要とされている。
国際公開第2006/106905号 米国特許出願公開第2011/0123532号明細書 米国特許出願公開第2012/0149876号明細書 米国特許第7,183,076号明細書
Ridgewayら、1996年、Protein Eng.、9巻(7)、617〜621頁 Gunasekaranら、2010年、J Biol Chem. 285巻(25)、19637〜19646頁 Merchantら、1998年、Nat Biotechnol、16巻、677〜681頁 Mooreら、2011年、MAbs、3巻、546〜567頁 Davis JHら、2010年、Protein Eng Des Sel、23巻、195〜202頁 MilsteinおよびCuello、1983年、Nature、305巻(5934)、537〜40頁
この目的で、本発明は、多特異的な構築物における抗体の重鎖および軽鎖の改善された対形成を提供する、新規な方法、化合物、および組成物を提供する。本明細書で使用し、以下により詳しく記載する「多特異的な構築物」という用語は、少なくとも2種類の抗原決定基に同時に結合する能力を有する任意の抗体または抗体成分を意味するものとする。より具体的に述べると、好ましい実施形態において、本発明は、対応する重鎖および軽鎖の正しい対形成が支援され、非対応の重鎖および軽鎖の正しくない対形成が嫌われるように静電力を利用するための、CH1(抗体重鎖定常領域1)およびCL(軽鎖定常領域)ドメインにおけるある種のアミノ酸残基の、荷電したアミノ酸残基での選択的な置換を提供する。このような修飾されたCH1およびCLドメインは優先的に、多特異的な構築物のアセンブリを提供することが理解されよう。ある特定の好ましい実施形態において、選択された重鎖および軽鎖の優先的なアセンブリを支援する、開示する対形成のメカニズムを使用して、IgG−Fab融合物などを含む、二価、三価、または四価の構築物を提供し得る。
本発明のより特に好ましい実施形態は、CH1および/またはCL(すなわち、カッパもしくはラムダ軽鎖定常領域)中の選択されたアミノ酸が変異されて、鎖の電荷分布が変更され、多特異的抗体のアセンブリおよび安定性が改善されている多特異的構築物を提供する。各鎖のそれぞれの定常領域に対する変異は、以下のいずれかの目的で導入される:(i)ホモマーの様式よりもむしろヘテロマーの様式における、特異性の異なる重鎖の優先的な対形成(非対称性の重鎖の対形成)、または(ii)少なくとも2種類の決定基に対する免疫特異性を有する構築物を提供するための、各重鎖の、予め選択された対応する軽鎖との優先的な対形成(重鎖/軽鎖対形成)。下記の実施例に見られるように、これらの構築物は、細胞の死滅の媒介において特に有効である。
図1は、標準的な二価の単一特異的抗体、および本発明の二特異的抗体構築物の模式図を示す(XおよびZは異なる免疫原性の決定基を表す)。例示的な二特異的抗体は、ヘテロ二量体の様式で対形成する2本の重鎖と、CH1およびCLドメインでの荷電した残基への置換のため、正しい重鎖と優先的に対形成する対応する軽鎖とを含む。
図2は、置換のための候補の残基を強調した、リボン構造図を示す。CH1を暗灰色で示し、CLを明灰色で示す。CLドメインから残基164〜172を、ならびにCH1ドメインから残基174〜176および残基130〜137を、分かりやすいように省略した。番号付けは、Kabatの番号付けスキームに基づく。
図3A〜3Cは、完全なIgGアセンブリのための候補の変異を有する候補の重鎖および軽鎖をスクリーニングするのに使用した、代表的なELISAアッセイの結果を示す。 図3A〜3Cは、完全なIgGアセンブリのための候補の変異を有する候補の重鎖および軽鎖をスクリーニングするのに使用した、代表的なELISAアッセイの結果を示す。 図3A〜3Cは、完全なIgGアセンブリのための候補の変異を有する候補の重鎖および軽鎖をスクリーニングするのに使用した、代表的なELISAアッセイの結果を示す。
図4は、二特異的IgG、および対応する二価の単一特異的IgGについてのBiacore曲線を示す。二特異的曲線を破線で表し、対照の抗体を実線で表す。 図4は、二特異的IgG、および対応する二価の単一特異的IgGについてのBiacore曲線を示す。二特異的曲線を破線で表し、対照の抗体を実線で表す。
図5Aおよび5Bは、RP−LC/MSによって得た、二特異的抗体であるKiH−KK(図5A)およびKiH−KR(図5B)の、再構築した、インタクトな質量スペクトルを示す。
図6は、2つの標準的な二価の単一特異的抗体、および本発明の2つの例示的な四価の二特異的抗体構築物(すなわち、IgG−Fab構築物)の模式図を示す(XおよびZは異なる免疫原性の決定基を表す)。例示的な構築物はホモ二量体の全長の重鎖(黒色楕円)を含み、これは本明細書の教示にしたがい、課された静電電荷のため軽鎖(白色楕円)と優先的に対形成しており、この軽鎖は第2の軽鎖(構築物A、明灰色楕円)またはCH1/VH(構築物B、暗灰色楕円)抗体断片と共有結合で連結している。
発明の詳細な説明
I.序文
本発明は、多くの異なる形態で具体化され得る。本明細書に開示するのは、本発明の原理を例示する、具体的で非限定的で例示的なその実施形態である。本明細書で使用する全ての節の表題は系統化の目的にすぎず、記載する主題を限定するものと理解してはならない。本開示の目的では、識別配列受託番号は全て、別段の記述がなければ、NCBI Reference Sequence(RefSeq)データベースおよび/またはNCBI GenBank(登録商標)アーカイブ配列データベースに見出すことができる。
本発明は、一般に、少なくとも2種類の抗原決定基に高親和性で結合することができる、二特異的抗体を含めた多特異的抗体を産生する新規な方法に関する。これに関して、別個の決定基は同じ抗原(例えば、タンパク質)上もしくは細胞上に存在してもよく、または異なる抗原もしくは細胞上に存在してもよいことに留意することが重要である。より具体的には、驚くべきことに、多特異的抗体は、抗体成分の選択された成分またはドメインに沿った静電電荷の付与(imposition)および適切な分散により優先的にアセンブルし得ることが見出されている。すなわち、ある静電電荷を特定の抗体ドメイン、特にCH1およびCLドメインに授けることにより、規定する多特異的抗体の構築物が優先的にアセンブルし得ることを、本発明者らは発見した。特に好ましい実施形態において、静電電荷の付与は、供給源抗体成分の適切な位置の選択されたアミノ酸残基を排除、置換、または変異(例えば、荷電したアミノ酸残基を非荷電のアミノ酸残基に)することによってもたらされる。選択された静電電荷を付与しなければ、分泌供給源抗体成分および可溶性の供給源抗体成分は方向性なくアセンブルし、動作不能の(すなわち非結合性の)構築物、単一特異的な構築物および多特異的な構築物を含む、所望の抗体と非所望の抗体との実質的に均一な混合物を生成する。このような非駆動性のアセンブリは実質的により低収率の所望の多特異的な構築物を提供し、それにより費用は上昇し、精製のプロトコルは複雑になる。反対に、開示する方法を使用すると所望の多特異的な構築物の収率は劇的に上昇し、誤ってアセンブルした、動作不能で、分離するのが困難な構築物の生成は大幅に減少する。
II.多特異的抗体
以下および添付の実施例において詳しく論じる通り、本発明の多特異的構築物を製作するのに使用する単一特異的抗体は様々な供給源から得ることができる。一例として、このような「供給源」抗体は、慣用的な免疫化およびハイブリドーマの技術を使用して産生してもよく、または完全ヒト抗体を提供するように操作した動物から得てもよい。他の実施形態において、供給源抗体は、現在診療所または臨床試験で使用されている治療用および診断用の抗体を含めた、公知の、または市販の抗体から得ても、これに由来しても、またはこれから産生してもよい。本質的に、重鎖および/または軽鎖の可変領域の核酸またはアミノ酸の配列が由来するものであるかまたは既知である任意の単一特異的抗体が、本開示の目的のための供給源抗体として役立ち得、本発明の多特異的抗体を製作するのに使用し得る。
本開示の多特異的な構築物は、広範囲の供給源抗体(またはその断片)を組み入れることができるが、本発明は、大部分において、所望の生成物の優先的なアセンブリを前提とすることが理解されよう。指摘する通り、構築物の優先的なアセンブリは、特定のアミノ酸残基の欠失、置換、変異、または排除によって、1つまたは複数の供給源抗体またはその断片の結合領域に静電電荷を選択的に付与することにより駆動され得る。特に好ましい実施形態において、変更するアミノ酸残基の位置は、1つまたは複数の供給源抗体またはその断片のCH1またはCLドメイン中に位置する。他の好ましい実施形態において、反対の電荷(すなわち、+および−)が、アセンブリが望ましいそれぞれ重鎖および軽鎖の結合領域中で産生され、そして/またはそこに付与される。反対の電荷の引力によって駆動されることで、変更された重鎖および軽鎖は、非共有結合の様式で優先的に会合する。特定の重鎖および軽鎖の結合領域の会合を駆動するために適切な電荷を分配することにより、予め選択された多特異的な構築物が優先的にアセンブルし得る。
例えば、図1に示す通り、選択された重鎖および軽鎖の結合領域に正および負の電荷を特異的に付与し、分配することにより、本発明の多特異的抗体は産生される。より具体的に述べると、2つの単一特異的な供給源抗体中のアミノ酸配列を変更して、選択した抗体のCH1またはCLドメインのそれぞれに正または負の電荷を授けた。これに関して、単一特異的抗体1のCH1ドメイン(黒色楕円)を負の電荷を授けるように変更し、同じ抗体のCLドメイン(白色楕円)を正の電荷を授けるように変更する。逆に、単一特異的抗体2では、CH1ドメイン(明灰色楕円)を正の電荷を帯びるように変更し、CLドメイン(暗灰色楕円)を負の電荷を帯びるように変更する。さらに、両方の重鎖のFc領域を、「ノブイントゥホール」の構造を示すように操作して(例えば、米国特許第8,216,805号を参照されたい)、重鎖のヘテロ二量体化を促進する。分泌に際して、2本の重鎖を、それぞれのFc領域のノブイントゥホール構造によって非対称にアセンブルするように駆動させる。重大なのは、付与された電荷のため、変更された2本の軽鎖が、適切な(反対に授けられた電荷を有するという意味で)重鎖と優先的に会合して、抗原特異性の異なる2つの結合部位(XおよびZ)を提供することである。本明細書の教示に従うと、CH1/CLドメインに同じ電荷を有する軽鎖/重鎖対のアセンブリは、強烈に嫌われ、稀にしか生じない。
当業者であれば、選択する重鎖の非対称性の会合を促進するための様々な方法が存在することが理解されよう。例えば、重鎖の優先的なヘテロ二量体化は、Fc領域の相補的な位置に反対の電荷を授けることにより実現され得る。選択された実施形態において、静電電荷を付与するとヘテロ二量体対の形成が促進され、ホモ二量体対の形成が妨害される。さらに、Fc領域の表面構造および付随する力の分布のため、このような電荷を付与しても、重鎖および軽鎖の結合領域の優先的なアセンブリを著しく妨害しないはずである。さらに、「ノブイントゥホール」以外の当技術分野で認められている技術(例えば、化学的連結、共有結合を形成するための分子操作、ジスルフィド連結など)を使用して、本明細書の以下に論じる通り、重鎖のヘテロ二量体化を促進してもよい。
本発明の好ましい実施形態は、適切な位置の特定のアミノ酸残基の欠失、置換、または変異により所望の部位特異的な静電電荷を授け、または産生する。適切な重鎖および/または軽鎖の配列を提示すれば、当業者であれば、本教示を鑑みて、変更して所望の電荷の分布を提供することができる適切な位置または残基を識別することができる。この点に関して、そして添付の実施例により詳しく示す通り、本発明に従う変更および電荷の付与を受け入れられる残基の位置は、当技術分野で認められている結晶学の技術およびコンピュータモデリングを使用して決定することができる。より詳しくは、ある特定の実施形態において、選択される抗体の結合領域の結晶構造を、タンパク質データバンク(Protein Data Bank)(PDB;Research Collaboratory for Structural Bioinformaticsにより維持されている)を使用して分析して、相互に比較的近位にある重鎖および軽鎖の残基の位置を提供してもよい。図2は、本明細書の教示にしたがって行った例示的な分析の結果を示す。この実施例では、分析により、相互に比較的近位にあり、置き換えのための良好な候補を提供する7個の残基(3個はCH1上、および4個はCL上)を有するCH1ドメインおよびCLカッパドメインの三次元構造が提供された。このような残基を同定するほかに、隣接する残基、潜在的な立体障害、ならびに重鎖および軽鎖の界面の構造に関するさらなる情報も得てもよい。まとめると、このような情報を使用して、どの残基を次に変更して重鎖または軽鎖の選択された位置に効果的な正または負の電荷を授けることができるかを決定することができる。
より詳しく述べると、本発明のある特定の好ましい実施形態は、IgG1の供給源抗体のCLドメインまたはCH1ドメインにおける静電電荷の分布を変更することを含む。選択された実施形態において、そして添付の実施例に示す通り、CLドメインはカッパCLドメインを含む。他の実施形態において、供給源抗体はラムダCLドメインを含むことができる。全てのヒトIgGのCLドメインの配列は周知であるので、当業者であれば、本開示にしたがってラムダおよびカッパ配列の両方を容易に分析することができ、これを用いて適合性の多特異的抗体の構築物を提供することができる。同様に、説明および実証の目的で、以下の議論および添付の実施例はIgG1のCH1ドメインを主に特集する。軽鎖定常領域と同様に、異なるアイソタイプ(IgM、IgD、IgE、IgA)およびサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)に由来する全てのヒトCH1ドメインの配列は周知であり、特徴付けられている。したがって、当業者であれば、任意のアイソタイプまたはサブクラスを含む供給源抗体を容易に活用し、本開示が教示する通りに別個の各ドメインにおける静電電荷の分布を変更または修飾して本発明の多特異的抗体を提供することができる。
所望の構築物がカッパCLドメインを用いる場合、好ましい実施形態はアミノ酸置換N137X、N138X、S176X、およびS174Xを含み、Xは、アルギニン、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸を含めた任意の荷電したアミノ酸から選択することができる。同様に、所望の構築物がIgG1のCH1ドメインを用いる場合、好ましい実施形態はアミノ酸置換H172X、S188X、およびT192Xを含み、Xは、アルギニン、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸を含めた任意の荷電したアミノ酸から選択することができる。本教示にしたがうと、正確な置換は、反対の静電電荷の分布を最適化し、所望の重鎖および軽鎖の効果的なアセンブリを促進するために行われることが理解されよう。
より一般的には、本明細書で論じる通り、同定された残基または重鎖もしくは軽鎖の位置は、当技術分野において標準的な分子生物学または生化学的な技術を使用するいくつかの方法で変更され得る。これに関して、選択されるアミノ酸残基を欠失しても、他の残基で置換しても、またはランダムに変異させ、スクリーニングして電荷の分布に対するその後の影響を決定してもよい。同定された残基を置き換え、または置換しようとする場合、置換アミノ酸は正または負に荷電した天然のアミノ酸または非天然のアミノ酸(すなわち、ヒトにおいて天然に見出されないもの)を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態において、アミノ酸は、アルギニン、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群から選択される天然の荷電アミノ酸を含む。当業者であれば、授けようとする電荷が正であれば、選択される置換アミノ酸は、リジン、アルギニン、またはヒスチジンを含み、所望の電荷が負であれば、置換アミノ酸はアスパラギン酸またはグルタミン酸を含むことが理解されよう。選択される実施形態において、1本の鎖に配置されるアミノ酸はリジン、アルギニン、またはヒスチジンを含み、対応する反対の鎖に組み入れられるアミノ酸はアスパラギン酸またはグルタミン酸を含む。どの置換アミノ酸を挿入するかの正確な選択は、電荷の所望の強度、その位置におけるアミノ酸の適合、および周囲の静電環境(相補的な鎖上に配置される全ての電荷を含む)に依存し、これらは各々過度の実験なしに容易に決定することができる。さらに、任意の置換アミノ酸は、重鎖および軽鎖の界面の野生型の残基の組成および構造を可能な限り維持したまま電荷の分布を最適化するために非近接の位置に配置または挿入してもよい。
図1に示す例示的な構築物の他に、本発明の方法および原理を使用して、本開示に従う様々な多特異的な構築物を提供することができることが理解されよう。すなわち、付与される電荷の分布を、多特異的な構築物の優先的なアセンブリのために使用すると、複数の構造の適合性の抗体が提供される。これに関して、図6は、IgG−Fab構築物を含む推定上の例示的な四価の二特異的抗体を示す。選択するドメインに正および負の電荷を配置することにより、この構築物の優先的なアセンブリが実現され得る。より詳しく述べると、負の電荷を単一特異的な供給源抗体1のCHIドメイン(黒色楕円)に授け、正の電荷を同じ抗体のCLドメイン(白色楕円)に授ける。反対に、単一特異的な供給源抗体2では、正の電荷を重鎖のCH1ドメイン(暗灰色楕円)に授け、負の電荷を軽鎖のCLドメイン(明灰色楕円)に授ける。次いで、標準的な分子生物学の技術を使用して、i)抗体2の軽鎖結合領域(構築物A)、またはii)抗体2の重鎖結合領域(構築物B)のいずれかに共有結合で連結している抗体1の軽鎖結合領域を含む単鎖の構築物を操作する。3種類の構築物の鎖(抗体1の重鎖、抗体2の軽鎖または重鎖結合領域、および軽鎖−Fab)の分泌に際して、二特異的な四価の構築物AおよびBが優先的にアセンブルし、決定基XおよびZと反応する。図1に示す例示的な実施形態と異なり、図6の多特異的な構築物は、ホモ二量体の重鎖を含む。さらに、重鎖および軽鎖の天然の立体構造および結果として生じる界面は、反対の電荷の付与にもかかわらず、2種類の軽鎖の結合領域の対形成または2種類の重鎖の結合領域の対形成を実質的に阻害する。
上記に言及した通り、本発明にしたがって静電電荷を付与することにより、所望の構築物の形成が駆り立てられ、望まない(例えば、単一特異的な)構築物および動作不能の(例えば、部分的または全体的に非結合性の)構築物の形成は阻害される。すなわち、本発明の方法は、所望の多特異的抗体の優先的なアセンブリを提供する。本明細書で使用するとき、「優先的なアセンブリ」という用語は、静電電荷が本明細書に記載する通りに授けられない場合に得られる所望の多特異的な構築物よりも高率で、所望の多特異的な構築物が生成またはアセンブルされることを意味するものとする。この優先的なアセンブリの比率は、荷電した抗体成分を発現する操作された細胞の上清に存在する、適切にアセンブルした作動可能な多特異的な構築物のパーセント値として測定および定量され得る。これに関して、本発明は、作動可能な多特異的な構築物が、全構築物(例えば、誤ってアセンブルした/作動不能な構築物を含めて)のパーセントとして、細胞上清中に約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、またはさらに約55%の純度を超えて存在することをもたらす。下記の実施例に示す通り、「作動可能な多特異的な構築物」の特徴付けは、結合アッセイ(ForteBio、Biacore、ELISAなど)と分子構造分析(質量分析法、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動など)との組合せによって遂行することができる。このような分析技術は当技術分野において周知であり、当業者であれば容易に用いて作動可能な多特異的な純度の度合いを決定することができる。好ましい実施形態において、細胞上清は、約60%、約62%、約64%、約66%、約68%、約70%、約72%、約74%、約76%、約78%、またはさらに約80%を超える純度の、作動可能な多特異的な構築物を含む。特に好ましい実施形態において、細胞上清は、約82%、約84%、約86%、約88%、約90%、約92%、またはさらに約95%を超える純度の、作動可能な多特異的な構築物を含む。
本発明(または優先的なアセンブリ)の有効性は、開示する構築物の最終濃度を、静電電荷を付与しなかった同等の構築物と比べることによって、経験的に定量することができることがさらに理解されよう。すなわち、当業者であれば、静電電荷を付与して、および付与せずに、多特異的な構築物を発現する別個の細胞株を調製することができ、各細胞株からの作動可能な多特異的な構築物の収率を比較することができる。上記に論じた通り、作動可能な多特異的な構築物の特徴付けは、結合アッセイ(ForteBio、Biacore、ELISAなど)と分子構造分析(質量分析法、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動など)とを組み合わせることにより遂行してもよい。これらの別個の細胞株の発現レベルが同等であるか、または説明されると想定すると、本発明の荷電した作動可能な多特異的な構築物の上清濃度は、同等の荷電していない構築物よりも少なくとも5%高い。好ましい実施形態において、この荷電した構築物の濃度は、この同等の荷電していない構築物より少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、または少なくとも30%高い。特に好ましい実施形態において、この荷電した構築物の濃度は、この同等の荷電していない構築物よりも少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも90%高い。さらに他の実施形態において、この荷電した構築物の濃度は、この同等の荷電していない構築物よりも、少なくとも100%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも175%、少なくとも180%、少なくとも190%、または少なくとも200%高い。なお他の実施形態において、この荷電した構築物の濃度は、この同等の荷電していない構築物よりも、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、または少なくとも500%高い。
純度におけるこの上昇および本発明の利点は、静電電荷の付与を選択的に適用して適切な構築物のアセンブリを奨励することができるので、多くの異なる多特異的な構築物に適用できることが理解されよう。これに関して、本明細書に開示する方法は、様々な多価の構築物(例えば、二価、三価、四価など)、および多特異的な構築物に適用できる。定義上、多特異的な構築物は、二価の構築物を少なくとも含む。本明細書で使用する「価(valency)」という用語、または「価(valent)」という接尾語は、抗体に付随する潜在的な抗原結合部位の数を指す。抗体結合領域内の各抗原結合部位は、1つの決定基(例えば、細胞表面タンパク質上のエピトープ)に免疫特異的に結合する。四価の二特異的抗体を図示する図6によって示す通り、1つより多くの結合部位が同じ決定基に結合することができる。より一般的には、抗体が1つより多くの抗原結合部位を含む場合(多価)、各抗原結合部位は、構築物が最終的に少なくとも2つの別個の決定基と反応するのであれば、同じまたは異なる決定基に免疫特異的に結合してよい(例えば、異なるリガンドもしくは異なる抗原、または同じ抗原上の異なるエピトープもしくは位置に結合してよい)。これに関して、決定基は同じ抗原上(例えば、別個のエピトープもしくはドメイン)にあってもよく、または別々の抗原上にあってもよいことに留意することが重要である。同様に、決定基は、同じ細胞上に存在してもよく、または異なる細胞もしくは異なるクラスの細胞上に存在してもよい。
再度述べると、「多特異的抗体」という用語は最も広い意味で使用されて、多重決定基(polydeterminant)の特異性を有する(すなわち、1つの生物学的分子上の2つもしくはそれより多くの異なる決定基に特異的に結合することが可能であるか、または2つもしくはそれより多くの異なる生物学的分子上の別個の決定基と特異的に結合することが可能である)抗原結合部位を含む抗体を具体的に網羅することを繰り返さなければならない。このような多特異的抗体には、それだけには限定されないが、全長の抗体、2つもしくはそれより多くのVLおよびVHドメインを有する抗体、CLまたはCH1領域を含む抗体断片、例えば、Fab、scFab 二特異的なダイアボディおよびトリアボディ、ならびに共有結合または非共有結合で連結している他の適合性の抗体断片が含まれる。各場合とも、静電電荷は、選択された抗体ドメインまたは領域に適切に分布して、所望の構築物の優先的なアセンブリを提供し得る。本開示の目的のために、「二特異的抗体」は、1分子上の2つの異なるエピトープを特異的に認識し、もしくは結合することができる、または2つの異なる分子上のエピトープを特異的に認識し、もしくは結合することができる、抗原結合ドメインを含む多特異的抗体である。二特異的抗体はまた、本明細書で「二重特異性」を有する、または「二重特異的」であると言及する。例えば、米国特許第2009/0130105号、第2012/0121596号、第2009/0155255号、および第2011/0301331号を参照されたい。他の適合性の構築物は、その各々が参照によって本明細書に援用される、米国特許第2013/0017200号、第2013/0004416号、および第2012/0316324号、ならびに米国特許第8,349,332号および第7,521,056号、ならびにWO2012/162583、WO2013/005194、WO94/04690、およびWO96/27011;Sureshら、1986年、Methods in Enzymology、121巻、210頁;Coloma, M. J.ら、Nature Biotech、15巻(1997年)159〜163頁;WO2001/077342;およびMorrison, S. L.、Nature Biotech、25巻(2007年)1233〜1234頁)に見出すことができる。
本発明の文脈において、好ましくは、CH1およびCLドメインを含み、第1の決定基(例えば、エピトープ)を認識する結合部位、および第1の決定基と異なる第2の決定基を認識する少なくとも1つの第2の結合部位を含む、任意の当技術分野で認識されている二特異的または多特異的な構築物は、適合性であり、本明細書の教示と組み合わせてアセンブルし得る。好ましい実施形態において、本発明は、2つの異なる抗原結合部位が単一の分子中に組み込まれている二特異的抗体を提供する。二特異的抗体は、化学的架橋(Brennanら、Science、229巻、81頁(1985年);Rasoら、J. Biol. Chem.、272巻、27623頁(1997年))、ジスルフィド交換、ハイブリッド−ハイブリドーマ(クアドローマ)の生成によって、二特異的抗体を具現化させる単一のポリペプチド鎖を生成するための転写および翻訳によって、または共有結合で会合して二特異的抗体を生成することができる1つより多くのポリペプチド鎖を生成するための転写および翻訳によって調製してもよい。企図される二特異的抗体は、完全に化学的合成によって作製することもできる。二特異的抗体は、2つの異なる可変領域、2つの異なる定常領域、可変領域および定常領域、または他の変形を含むことができる。各場合において、静電電荷の選択的な付与により、所望の構築物の優先的なアセンブリ、およびその改善された収率を提供することができる。
III.抗体の構造および特徴
下記および添付の実施例において詳しく論じる通り、本発明の多特異的な構築物を製作するために使用する単一特異的抗体は、様々な供給源から得ることができる。一例として、このような「供給源」抗体は、慣例的な免疫化およびハイブリドーマ技術を使用して産生してもよく、または完全に提供するように操作した動物から得てもよい。
以下の議論は、開示する多特異的抗体の構築物を提供するために、本明細書の教示と組み合わせて使用することができる抗体の一般的構造、特徴、および供給源に対するものである。これらの「供給源抗体」の構造および特性は、多かれ少なかれ開示する多特異的抗体に組み入れられることが理解されよう。一例として、供給源抗体をヒト化して免疫原性を比較的低くする場合、ヒト化供給源抗体の全てまたは一部を含む多特異的抗体は、比較的免疫原性が低いことが判明する可能性がある。同様に、供給源抗体が内部移行抗体であることが決定される場合、このような抗体の全てまたは一部含む本発明の多特異的な構築物は、投与すると内部移行することが見出される可能性がある。したがって、抗体の構造および特徴の以下の議論は、供給源抗体および本発明の多特異的抗体の両方に適用できる。
1.抗体の構造
抗体ならびにそのバリアントおよび由来物は、承認された命名法および番号付けシステムを含め、例えば、Abbasら(2010年)Cellular and Molecular Immunology(第6版)、W.B. Saunders Company;またはMurpheyら(2011年)Janeway’s Immunobiology(第8版)、Garland Scienceに広範囲に記載されている。
「抗体」または「インタクトな抗体」は、典型的には、共有結合性のジスルフィド結合および非共有結合性の相互作用によって束ねられている2本の重鎖(H)ポリペプチド鎖および2本の軽鎖(L)ポリペプチド鎖を含むY形状の四量体タンパク質を指す。ヒト軽鎖は、可変ドメイン(VL)および定常ドメイン(CL)を含み、定常ドメインは、アミノ酸配列に基づいてカッパまたはラムダに容易に分類することができる。各重鎖は、1つの可変ドメイン(VH)および定常領域を含み、定常領域は、IgG、IgA、およびIgDの場合、CH1、CH2、およびCH3と呼ばれる3つのドメインを含む(IgMおよびIgEは第4のドメインであるCH4を有する)。IgG、IgA、およびIgDクラスでは、CH1およびCH2ドメインは、柔軟なヒンジ領域によって分けられており、このヒンジ領域は、プロリンおよびシステインに富む可変の長さのセグメントである(一般的に、IgGではアミノ酸約10個から約60個である)。軽鎖および重鎖両方における可変ドメインは、アミノ酸約12個もしくはそれより多くの「J」領域により定常ドメインに接続されており、重鎖はさらなるアミノ酸約10個の「D」領域も有する。各クラスの抗体は、対形成したシステイン残基によって形成される、鎖間および鎖内のジスルフィド結合をさらに含む。
本明細書で用いるとき、「抗体」という用語は、広範囲に解釈することができ、ポリクローナル抗体、マルチクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および霊長動物化抗体、CDRグラフト化抗体、ヒト抗体、組換え生成された抗体、イントラボディ、多特異的抗体、二特異的抗体、一価抗体、多価抗体、抗イディオタイプ抗体、ムテインおよびそのバリアントを含めた合成抗体、免疫特異的抗体断片、例えば、Fd、Fab、F(ab’)、F(ab’)断片、一本鎖断片(例えば、ScFvおよびScFvFc);およびFc融合物および他の修飾を含むこれらの由来物、ならびに任意の他の免疫反応性分子(決定基との優先的な会合または結合を示す限り)を含む。
抗体の可変ドメインは、アミノ酸組成におけるかなりの変動を抗体間で示し、抗原の認識および結合を主に担っている。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、インタクトなIgG抗体が2つの結合部位を有する(すなわち、二価である)ように、抗体結合部位を形成する。VHおよびVLドメインは、可変性が極端である3つの領域を含み、これらは超可変領域と呼ばれる、またはより一般的には相補性決定領域(CDR)と呼ばれ、フレームワーク領域(FR)として知られている可変性のより低い4つの領域によって組み立てられ、分けられる。VH領域とVL領域との間の非共有性の会合は、抗体の2つの抗原結合部位の1つを含有するFv断片(「可変断片(fragment variable)」を表す)を形成する。ScFv断片(単鎖可変断片(single chain fragment variable)を表す)は遺伝子操作によって得ることができ、単一のポリペプチド鎖である、抗体のVHおよびVL領域において会合し、ペプチドリンカーによって分けられている。
本明細書で使用するとき、各ドメイン、フレームワーク領域、およびCDRへのアミノ酸の割り当ては、別段の記載がなければ、Kabatら(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest (第5版)、US Dept. of Health and Human Services、PHS、NIH、NIH Publication番号91−3242;Chothiaら、1987年、PMID:3681981;Chothiaら、1989年、PMID:2687698巻、;MacCallumら、1996年、PMID:8876650;またはDubel編集(2007年)Handbook of Therapeutic Antibodies、第3版、Wily−VCH Verlag GmbH and Co.によって提供される番号付けスキームの1つに従うものであってよい。Abysisウェブサイトのデータベース(下記)から得た通りであり、Kabat、Chothia、およびMacCallumによって規定される通りのCDRを含むアミノ酸残基を、以下の表1に記載する。
Figure 2016509014
抗体配列における可変領域およびCDRは、当技術分野において開発された一般的なルールにしたがって(例えば、Kabat番号付けシステムなど、上記に記載した通り)、または配列を既知の可変領域のデータベースに対して割り当てることによって同定することができる。これらの領域を同定するための方法は、KontermannおよびDubel編集、Antibody Engineering、Springer、New York、NY、2001年、ならびにDinarelloら、Current Protocols in Immunology、John Wiley and Sons Inc.、Hoboken、NJ、2000年に記載されている。Retterら、Nucl. Acids Res.、33巻(データベース特集号)、D671〜D674頁(2005年)に記載されているように、抗体配列の例示的なデータベースは、www.bioinf.org.uk/absの「Abysis」ウェブサイト(A.C. Martin、in the Department of Biochemistry & Molecular Biology University College London, London、英国によって維持されている)およびwww.vbase2.orgのVBASE2ウェブサイトに記載されており、これにより入手することができる。Kabat、IMGT、およびProtein Data Bank(PDB)からの配列データをPDBからの構造データと統合した、Abysisデータベースを使用して配列を分析するのが好ましい。Antibody Engineering Lab Manual(編集:Duebel, S.およびKontermann, R.、Springer−Verlag、Heidelberg、ISBN−13:978−3540413547の中のDr. Andrew C. R. Martin’s book chapter Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains、ウェブサイトbioinforg.uk/abs上でも入手できる)を参照されたい。Abysisデータベースのウェブサイトは、本明細書の教示にしたがって使用することができ、CDRを同定するために開発された一般的なルールをさらに含む。別段の指摘がなければ、本明細書に記載するCDRは全て、KabatによるAbysisデータベースウェブサイトに由来するものである。
本発明において論じる重鎖定常領域のアミノ酸の位置について、番号付けは、ミエローマタンパク質であるEuのアミノ酸配列を記載する、Edelmanら、1969年、Proc, Natl. Acad. Sci. USA、63巻(1)、78〜85頁(配列決定された最初のヒトIgG1を報告した)において最初に記載されたEuインデックスにしたがうものである。EdelmanのEuインデックスは、Kabatら、1991年(上述)にも記載されている。よって、重鎖の文脈における、「Kabatに記載されているEUインデックス」または「KabatのEUインデックス」という用語は、Kabatら、1991年(上述)に記載されている通りであるEdelmanらのヒトIgG1のEu抗体に基づく残基の番号付けシステムを指す。軽鎖定常領域のアミノ酸配列に用いる番号付けシステムは、同様にKabatら、1991年に記載されている。
本発明の多特異的抗体または免疫グロブリンは、任意の関連の決定基に特異的に結合し、それを認識し、またはそれと会合する抗体から製作されてもよい。本明細書で使用されるとき、「決定基」は、特定の細胞、細胞集団、組織、またはタンパク質において、またはその上で、識別可能に会合し、または特異的に見出される、任意の免疫特異的に検出できる形質、特質、マーカー、または因子を意味する。決定基は、性質において形態学的、機能的、または生化学的なものであってよく、好ましくは表現型によるものである。ある特定の好ましい実施形態において、決定基は、特定の細胞型によって、または特定条件下の細胞によって(例えば、細胞周期の特定の時点の間の、もしくは特定のニッチにおける細胞)差次的に発現される(過剰発現もしくは過小発現される)ペプチドまたはタンパク質を含む。このような場合、決定基は、細胞、タンパク質、またはペプチドによって提示されるエピトープを含むことができる。本発明の目的のために、決定基は、好ましくは異常ながん細胞上に差次的に発現され、CD324もしくはネクチン−4タンパク質上、またはこれらのスプライスバリアント、アイソフォーム、もしくはファミリーメンバーのいずれか、あるいはその特定のドメイン、領域、もしくはエピトープの上に見出すことができる。「免疫原性の決定基」、「抗原決定基」は、免疫応答性の動物に導入した場合に免疫応答を刺激することができ、この免疫応答から生成される抗体によって認識される、任意のタンパク質、または任意のその断片、領域、ドメイン、もしくはエピトープを意味する。
本発明の選択された実施形態は、CD324またはネクチン−4のいずれかに免疫特異的に結合する、単一特異的な「供給源」抗体またはその断片を組み入れている構築物を含む。先に論じた通り、「供給源」抗体は、標準の分子生物学または生化学の技術を使用して、所望の結合の特徴を保持しながら、本発明の多特異的抗体に組み入れることができる任意の単一特異的抗体またはその断片を含む。ある特定の実施形態において、本発明が企図する多特異的抗体は、供給源抗体の定常領域またはエピトープ結合性のアミノ酸配列を任意選択で修飾することにより、このような「供給源」抗体に由来し得る。一実施形態において、多特異的抗体は、このような供給源抗体(例えば、二特異的であり、CD324およびネクチン−4に同時に結合することができる抗体)に由来し得る。他の実施形態において、多特異的抗体は、変異、置換、統合、除去、またはこれらの組合せによって、供給源抗体中の選択されたアミノ酸を変更し、欠失させ、または置き換えることにより、供給源抗体に「由来」する。さらに他の実施形態において、「由来」抗体は、供給源抗体の断片(例えば、1つまたは複数のCDR)がアクセプタ抗体の配列と組み合わされ、またはこの配列中に組み入れられて、派生的な抗体(例えば、キメラもしくはヒト化多特異的抗体)を提供するものである。これらの「由来」(例えば、ヒト化またはCDRグラフト化)多特異的抗体は、様々な理由、例えば、決定基に対する親和性を改善するため、細胞培養物における生成および収率を改善するため、in vivoの免疫原性を低下させるため、毒性を低下させるため、または活性部分もしくは細胞毒素のコンジュゲーションを促進するためにで標準的な分子生物学の技術を使用して産生することができる。このような抗体は、化学的手段または翻訳後修飾による成熟分子の修飾によって(例えば、グリコシル化パターンもしくはペグ化)、供給源抗体または多特異的な構築物に由来し得る。
2.抗体の産生および生成
本発明に適合性の供給源抗体は、当技術分野において公知である様々な方法を使用して生成することができる。
A.宿主動物におけるポリクローナル抗体の生成
様々な宿主動物におけるポリクローナル抗体の生成は、当技術分野において周知である(例えば、HarlowおよびLane(編集)(1988年)Antibodies: A Laboratory Manual、CSH Press;ならびにHarlowら(1989年)Antibodies、NY、Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)。ポリクローナル抗体を産生するために、免疫応答性の動物を、抗原決定基(例えば、ペプチドもしくはタンパク質)、または抗原決定基を含む細胞もしくは調製物で免疫化する。ある期間の後、動物を採血する、または屠殺することにより、ポリクローナル抗体を含有する血清が得られる。動物から得た形態の血清を使用してもよく、または抗体を部分的もしくは完全に精製して均一な供給源抗体調製物を提供してもよい。
任意の形態の抗原、または抗原を含有する細胞もしくは調製物を使用して、決定基に特異的である抗体を産生することができる。「抗原」という用語は広い意味で使用され、単一のエピトープ、複数のエピトープ、単一もしくは複数のドメイン、または細胞外ドメイン(ECD)を含む、選択された標的の任意の免疫原性の断片または決定基を含むことができる。抗原は、単離された全長のタンパク質、細胞表面タンパク質(例えば、抗原の少なくとも部分をその表面上に発現する細胞で免疫化する)、または可溶性タンパク質(例えば、タンパク質のECD部分だけで免疫化する)であってよい。抗原は、遺伝子修飾された細胞中で生成され得る。任意の上述の抗原を、単独で、または当技術分野において公知である1つもしくは複数の免疫原性増強性のアジュバントと組み合わせて使用してもよい。抗原をコードするDNAは、ゲノムでも、または非ゲノム(例えば、cDNA)でもよく、好ましくは免疫原性の応答を誘発するのに十分な少なくとも一部のECDをコードしていてもよい。それだけには限定されないが、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、プラスミド、および陽イオン性脂質などの非ウイルスベクターを含めた、任意の遺伝子ベクターを用いて、その抗原が発現される細胞を形質転換してもよい。
B.モノクローナル抗体
一実施形態において、本発明は、モノクローナル抗体の使用を企図するものである。当技術分野において公知である通り、「モノクローナル抗体」または「mAb」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得た抗体を指し、すなわち、この集団構成する個々の抗体は、微量存在し得る可能な変異(例えば、自然に発生する変異)以外は同一である。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え操作、ファージディスプレイ技術、トランスジェニック動物(例えば、XenoMouse(登録商標))、またはこれらのいくつかの組合せを含めた、当技術分野において公知の広範囲の技術を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、An, Zhigiang(編集)Therapeutic Monoclonal Antibodies: From Bench to Clinic、John Wiley and Sons、第1版、2009年;Shireら(編集)Current Trends in Monoclonal Antibody Development and Manufacturing、Springer Science + Business Media LLC、第1版、2010年;Harlowら、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988年;Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas、563〜681頁(Elsevier、N.Y.、1981年)により詳しく記載されているものなどの、ハイブリドーマならびに生化学的および遺伝子操作の技術を使用して生成することができる。このような技術では、適切な遺伝子材料を、所望の供給源抗体を生成する細胞(例えば、スクリーニングしたハイブリドーマ細胞)から単離し、当技術分野において公知の技術を使用して操作する。選択された決定基に免疫特異的に結合する複数のモノクローナル抗体を生成させた後、特に有効な抗体を、決定基に対する親和性などに基づく様々なスクリーニングプロセスによって選択してもよい。
C.キメラ抗体およびヒト化抗体
他の実施形態において、本発明の多特異的抗体は、少なくとも2つの異なる種(例えば、マウスおよびヒト)またはクラスの抗体に由来し、共有結合で接続されたタンパク質セグメントに由来するキメラ抗体を含むことができる。「キメラの」という用語は、重鎖および/または軽鎖の部分が、特定の種に由来する、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一である、または相同である一方、鎖(複数可)の残りの部分は、別の種に由来する、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一である、または相同である構築物、ならびにこのような抗体の断片に対するものである(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、1984年、PMID:6436822)。
一実施形態において、キメラの多特異的抗体は、マウスのVHおよびVLのアミノ酸配列、ならびにヒトの供給源に由来する定常領域、例えば、以下に記載するヒト化抗体を含むことができる。一部の実施形態において、抗体は、「CDRグラフト化」されていてもよく、この抗体は、特定の種に由来する、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する1つまたは複数のCDRを含み、残りの抗体鎖(複数可)は、別の種に由来する、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一である、または相同である。ヒトにおいて使用するために、選択した齧歯動物CDR、例えばマウスCDRを、ヒト抗体中にグラフト化、ヒト抗体の天然に存在するCDRの1つまたは複数を置き換えてもよい。これらの構築物は一般的に、被検体による抗体に対する望まない免疫応答を低減しながら、完全な強度の抗体機能、例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を提供するという利点がある。
CDRグラフト化抗体と同様であるものは「ヒト化」抗体である。本明細書で使用するとき、非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、1つまたは複数の非ヒトの免疫グロブリンに由来するアミノ酸配列を含むキメラ抗体である。一実施形態において、ヒト化抗体は、レシピエントのCDRに由来する残基が、非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒトの霊長動物の1つまたは複数のCDRに由来する残基によって置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエントもしくはアクセプタ抗体)である。ヒト受容体の抗体を用いる場合、CDRグラフト化抗体はヒト化抗体であってよい。ある特定の好ましい実施形態において、ヒト免疫グロブリンの重鎖または軽鎖可変ドメインにおける1つまたは複数のFR中の残基は、グラフト化CDR(複数可)の適切な3次元構造の維持を助け、それにより親和性を改善するために、ドナー抗体に由来する対応する非ヒト残基によって置き換えられている。これは、「復帰突然変異」の導入と言うことができる。さらに、ヒト化抗体は、抗体の性能をさらに洗練するなどのために、レシピエントの抗体中またはドナー抗体中に見出されない残基を含むことができる。
ヒト化抗体においてどのヒト配列を使用するかを決定するために様々な供給源を使用することができる。このような供給源には、例えば、Tomlinson, I. A.ら(1992年)J. Mol. Biol.、227巻、776〜798頁;Cook, G. P.ら(1995年)Immunol. Today、16巻、237〜242頁;Chothia, D.ら(1992年)J. Mol. Biol.、227巻、799〜817頁;およびTomlinsonら(1995年)EMBO J、14巻、4628〜4638頁に開示されているヒト生殖系列配列;ヒト免疫グロブリン可変領域配列の包括的な総覧を提供するV−BASE総覧(VBASE2−Retterら、Nucleic Acid Res.、33巻、671〜674頁、2005年)(Tomlinson, I. A.ら、MRC Centre for Protein Engineering、Cambridge、UKにより編纂);または例えば、米国特許第6,300,064号に記載されているコンセンサスヒトFRが含まれる。
CDRグラフト化供給源抗体およびヒト化供給源抗体は、例えば、米国特許第6,180,370号および第5,693,762号に記載されている。さらに詳しくは、例えば、Jonesら、1986年、PMID:3713831)、ならびに米国特許第6,982,321号および第7,087,409号を参照されたい。
別の一方法は、「ヒューマニア化(humaneering)」と呼ばれ、これは、米国特許第2005/0008625号などに記載されている。別の一実施形態において、非ヒト抗体は、WO98/52976およびWO00/34317に開示されている方法によって、ヒトT細胞エピトープの特異的な欠失、または「脱免疫化」によって修飾してもよい。
選択される実施形態において、ヒト化またはCDRグラフト化供給源抗体の重鎖または軽鎖の可変領域のアミノ酸残基の少なくとも60%、65%、70%、75%、または80%は、レシピエントのヒト配列のものに対応する。他の実施形態において、ヒト化供給源抗体の可変領域の残基の少なくとも83%、85%、87%、または90%は、レシピエントのヒト配列のものに対応する。さらなる好ましい一実施形態において、ヒト化供給源抗体の可変領域の残基の各々の95%より多くが、レシピエントのヒト配列のものに対応する。
D.ヒト抗体
別の一実施形態において、供給源抗体は、完全ヒト抗体を含むことができる。「ヒト抗体」という用語は、ヒトによって天然に生成された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を所有する抗体、および/または以下に記載するヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製された抗体を指す。
ヒト供給源抗体は、当技術分野において公知である様々な技術を使用して生成することができる。一実施形態において、組換えヒト抗体を、ファージディスプレイを使用して調製した組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーをスクリーニングすることにより単離してもよい。一実施形態において、ライブラリーは、B細胞から単離したmRNAから調製した、ヒトVLおよびVHのcDNAを使用して産生した、scFvファージまたは酵母菌のディスプレイライブラリーである。
ヒト供給源抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内在性の免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化され、ヒト免疫グロブリン遺伝子が導入された、マウスなどのトランスジェニック動物中に導入することにより作製することもできる。抗体誘発すると、ヒト抗体の生成が観察されるが、これは、遺伝子再編成、アセンブリ、および抗体レパートリーを含めて全ての点でヒトに見られるものに非常に類似している。このアプローチは、米国特許第5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,016号、ならびにXenoMouse(登録商標)技術に関する米国特許第6,075,181号および第6,150,584号、ならびにLonbergおよびHuszar、1995年、PMID:7494109)などに記載されている。あるいは、ヒト抗体は、標的の抗原に対する抗体を生成するヒトBリンパ球を不死化することによって調製してもよい(このようなBリンパ球は、新生物障害に罹患している個体から回収してもよく、またはin vitroで免疫誘導してもよい)。例えば、Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、77頁(1985年);Boernerら、1991年、PMID:2051030;および米国特許第5,750,373号を参照されたい。
E.抗体の組換え生成
供給源抗体およびその断片、ならびに本発明の構築物は、抗体生成細胞および組換え操作から得られる遺伝子材料を使用して生成または修飾してもよい(例えば、BergerおよびKimmel、Guide to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology、152巻、Academic Press, Inc.、San Diego、CA;SambrookおよびRussell(編集)(2000年)Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第3版)、NY、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubelら(2002年)Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Wiley, John & Sons, Inc.;ならびに米国特許第7,709,611号を参照されたい)。本発明は、荷電した多特異的抗体およびその断片、ならびに該抗体をコードする核酸を含む。本明細書で使用するとき、「核酸」という用語は、一本鎖でも、または二本鎖でも、ゲノムDNA、cDNA、RNA、およびこれらの人工的なバリアントを含む。より具体的に述べると、本発明は単離された核酸を含み、これは所望の静電気的な特性を有するポリペプチドを提供するように修飾されていてもよく、組換えの多特異的抗体を製造するために定常領域および可変領域の配列をクローニングするのに使用されてもよい、。本発明は、プロモーターに作動可能に連結し得るこのような核酸(例えば、WO86/05807、WO89/01036、および米国特許第5,122,464号を参照されたい)、ならびに真核生物の分泌経路の他の転写制御エレメントおよびプロセシング制御エレメントを含むベクターをさらに提供する。さらに、本発明は、このようなベクターおよび宿主発現系を含む、原核生物および真核生物の宿主細胞も提供する。
本明細書で使用する「宿主発現系」という用語は、本発明の多特異的抗体および核酸またはポリペプチドのいずれかを産生するように操作することができる任意の種類の細胞系を含む。このような宿主発現系には、それだけには限定されないが、組換えのバクテリオファージDNAもしくはプラスミドDNAで形質転換またはトランスフェクトした微生物(例えば、E.coliもしくはB.subtilis);組換えの酵母菌発現ベクターでトランスフェクトした酵母菌(例えば、Saccharomyces);または哺乳動物細胞またはウイルスのゲノムに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター)を含有する組換え発現構築物を持つ哺乳動物細胞(例えば、COS、CHO−S、HEK−293T、3T3細胞)が含まれる。宿主細胞は、2つの発現ベクター、例えば、重鎖由来のポリペプチドをコードする第1のベクター、および軽鎖由来のポリペプチドをコードする第2のベクターで共トランスフェクトしてもよい。
哺乳動物細胞を形質転換する方法は、当技術分野において周知である。例えば、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号、および第4,959,455号を参照されたい。宿主細胞をまた、様々な特徴を有する抗原結合分子を生成させるように操作してもよい(例えば、修飾された糖型またはGnTIII活性を有する多特異的抗体)。
組換えタンパク質を長期に高収率で生成するには、安定した発現が好ましい。したがって、選択された多特異的抗体の成分を安定に発現する細胞株を、標準的な当技術分野で認められている技術を使用して操作し、本発明の一部を形成してもよい。ウイルスの複製開始点を含有する発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞を、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーターまたはエンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択マーカーによって制御されるDNAで形質転換することができる。ある条件下の発現を増強するための効果的なアプローチを提供するグルタミンシンテターゼ遺伝子発現系(GS系)を含めた、当技術分野において周知である任意の選択系を使用することができる。GS系は、全体的にまたは部分的に、EP第0 216 846号、EP第0 256 055号、EP第0 323 997号、およびEP第0 338 841号、ならびに米国特許第5,591,639号および第5,879,936号に関連して論じられている。安定な細胞株を開発するのに好ましい別の発現系は、Freedom(商標)CHO−S Kit(Life Technologies)である。
本発明の抗体を、組換え発現または任意の他の開示されている技術により生成し、分泌させ、アセンブルさせた後、これを当技術分野において公知の方法により精製または単離することができ、これは、この抗体を同定し、天然の環境から分離および/または回収し、抗体の診断的もしくは治療的使用を妨害する汚染物質から分離することを意味する。単離された抗体には、組換え細胞内のin situの抗体が含まれる。
これらの単離された調製物は、例えば、イオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィー、透析、ダイアフィルトレーション、およびアフィニティークロマトグラフィー、特にプロテインAまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィーなどの様々な当技術分野で認められている技術を使用して精製することができる。
F.生成後選択
どのようにして得たものかによらず、抗体生成細胞(例えば、ハイブリドーマ、酵母菌コロニーなど)は、例えば、強固な増殖、抗体の高生成を含めた所望の特徴、および対象の抗原に対する高親和性などの所望の抗体の特徴について、選択し、クローニングし、さらにスクリーニングすることができる。ハイブリドーマは、細胞培養物中in vitroで、または同系間の免疫不全の動物中in vivoで拡大させることができる。ハイブリドーマおよび/またはコロニーを選択し、クローニングし、拡大させる方法は当業者には周知である。所望の供給源抗体を同定した後は、通常の、当技術分野で認められている分子生物学および生化学の技術を使用して関連の遺伝子材料を単離し、操作し、発現させて、本発明の多特異的抗体を提供することができる。
例えば、ナイーブのライブラリー(天然または合成のいずれか)によって生成される供給源抗体は、中等度の親和性であってよい(約10〜10−1のK)。親和性を増強するために、抗体ライブラリーを構築し(例えば、エラープローンポリメラーゼを用いることによってin vitroでランダム変異を導入することにより)、これら2次ライブラリーから抗原に高親和性を有する抗体を再び選ぶことにより(例えば、ファージまたは酵母菌ディスプレイを使用することにより)、親和性成熟をin vitroで擬してもよい。WO9607754は、免疫グロブリン軽鎖のCDR中の突然変異を誘発して軽鎖遺伝子のライブラリーを作り出すための方法を記載している。
供給源抗体または多特異的抗体を選択するために、それだけには限定されないが、ファージまたは酵母菌ディスプレイを含めた様々な技術を用いることができ、これらの技術では、ヒトコンビナトリアル抗体またはscFv断片のライブラリーをファージまたは酵母菌上で合成し、ライブラリーを対象の抗原またはその抗体結合部分でスクリーニングし、抗原に結合するファージまたは酵母菌を単離し、それから抗体または免疫反応性の断片を得ることができる(Vaughanら、1996年、PMID:9630891;Sheetsら、1998年、PMID:9600934;Boderら、1997年、PMID:9181578;Pepperら、2008年、PMID:18336206)。ファージまたは酵母菌ディスプレイライブラリーを産生するためのキットは市販されている。抗体ディスプレイライブラリーを産生およびスクリーニングする上で使用することができる他の方法および試薬も存在する(米国特許第5,223,409号;WO92/18619、WO91/17271、WO92/20791、WO92/15679、WO93/01288、WO92/01047、WO92/09690;およびBarbasら、1991年、PMID:1896445を参照されたい)。このような技術により、多数の候補の抗体をスクリーニングできるようになり、比較的容易な配列の操作(例えば、組換えシャフリング)がもたらされることは有益である。
3.抗体の特徴
抗体。開示する多特異的抗体は、ある特徴を表し得、これらは、親和性、薬物動態学、安全性プロファイルなどのある所望の特徴を増強または洗練するように、スクリーニングされ、特定の抗原で抗体生成動物を免疫化することにより授けられ、または上記に記載した組換え遺伝子技術によって操作され得る。
A.内部移行、アンタゴニスト、および枯渇性の抗体
特に好ましい実施形態において、本発明の多特異的抗体は、決定基に結合し、腫瘍細胞を含めた異常細胞中に内部移行(コンジュゲートしている薬学的に活性な任意の部分と一緒に)するような内部移行抗体を含むことができる。内部移行はin vitroでもまたはin vivoでも生じ得る。治療適用のために、内部移行は、それを必要とする対象中in vivoで生じることが好ましい。内部移行した抗体分子の数は、抗原発現細胞を死滅させるのに十分であり得る。抗体、または場合により抗体薬物コンジュゲートの作用強度に応じて、単一の抗体分子の細胞中への取込みが、抗体が結合する標的細胞を死滅させるのに十分であり得る。抗体が哺乳動物細胞に結合すると内部移行するか否かは、米国特許第7,619,068号に記載されているものを含めた様々なアッセイによって決定することができる。
他の選択された実施形態において、本発明の抗体は「アンタゴニスト」または「中和性の」抗体であってもよく、これはこの抗体が決定基と会合し、前記決定基の活性を、直接的にか、またはリガンドもしくは受容体などの結合パートナーと決定基の会合を防ぐことによってかのいずれかで、遮断または阻害し、それによりこれらがなかったときにこれら分子の相互作用からもたらされる生物学的応答を妨害し得ることを意味する。過剰の抗体が決定基に結合した結合パートナーの量を、測定したとき(例えば、標的分子の活性またはin vitroの競合結合アッセイによって)、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、またはそれより多くだけ減少させる場合、中和抗体またはアンタゴニスト抗体は、そのリガンドまたは基質に対する決定基の結合を実質的に阻害している。修飾された活性は、当技術分野で認められた技術を使用して直接測定してもよく、または変更された活性が下流に及ぼす影響(例えば、発がんもしくは細胞生存)によって測定してもよいことが理解されよう。
さらなる一実施形態において、本明細書に開示する抗体または抗体薬物コンジュゲートは「枯渇性の」抗体であり、これはこの抗体が、細胞表面上または表面付近の決定基と会合し、その細胞の死または排除(例えば、CDC、ADCC、もしくは細胞毒性剤の導入によって)を誘発することを意味する。枯渇性の抗体は、CD324および/またはネクチン−4発現腫瘍細胞などの規定された細胞集団中における決定基を発現する細胞の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、もしくは99%を活動不能にする、または排除することができることが好ましい。一部の実施形態において、細胞集団は単離された腫瘍細胞を含むことができる。他の実施形態において、細胞集団は全腫瘍試料または不均一な腫瘍抽出物を含むことができる。標準的な生化学的技術を使用して、腫瘍細胞の枯渇をモニタリングおよび定量してもよい。
B.結合親和性
本明細書に開示するのは、CD324またはネクチン−4など、特定の決定基(複数可)に高い結合親和性を有する多特異的抗体である。「K」という用語は、特定の抗体−抗原相互作用の解離定数または見かけの親和性を指す。本発明の抗体は、解離定数K(koff/kon)が≦10−7Mである場合に、その標的の抗原に免疫特異的に結合することができる。抗体は、Kが≦5×10−9Mである場合に高親和性で、Kが≦5×10−10Mである場合に非常に高い親和性で抗原に特異的に結合する。本発明の一実施形態において、抗体のKは≦10−9Mであり、オフ速度(off−rate)は約1×10−4/秒である。本発明の一実施形態において、オフ速度は<1×10−5/秒である。本発明の他の実施形態において、抗体は、約10−7Mから10−10Mの間のKで決定基に結合し、さらに別の一実施形態において、K≦2×10−10Mで結合する。本発明のなお他の選択された実施形態は、10−6M未満、5×10−6M未満、10−7M未満、5×10−7M未満、10−8M未満、5×10−8M未満、10−9M未満、5×10−9M未満、10−10M未満、5×10−10M未満、10−11M未満、5×10−11M未満、10−12M未満、5×10−12M未満、10−13M未満、5×10−13M未満、10−14M未満、5×10−14M未満、10−15M未満、または5×10−15M未満のK(koff/kon)を有する抗体を含む。
ある特定の実施形態において、決定基に免疫特異的に結合する本発明の抗体は、少なくとも10−1−1、少なくとも2×10−1−1、少なくとも5×10−1−1、少なくとも10−1−1、少なくとも5×10−1−1、少なくとも10−1−1、少なくとも5×10−1−1、または少なくとも10−1−1の会合速度定数すなわちkon(またはka)速度(抗体+抗原(Ag) on←抗体−Ag)を有することができる。
別の一実施形態において、決定基(複数可)に免疫特異的に結合する本発明の抗体は、l0−1−1未満、5×l0−1−1未満、l0−2−1未満、5×l0−2−1未満、l0−3−1未満、5×l0−3−1未満、l0−4−1未満、5×l0−1未満、l0−5−1未満、5×l0−5−1未満、l0−6−1未満、5×l0−6−1未満、l0−7−1未満、5×l0−7−1未満、l0−8−1未満、5×l0−8−1未満、l0−9−1未満、5×l0−9−1未満、またはl0−10−1未満の解離速度定数すなわちkoff(またはkd)速度(抗体+抗原(Ag) off←抗体−Ag)を有することができる。
結合親和性は、当技術分野において公知である様々な技術、例えば、表面プラズモン共鳴、例えば、Biacore(以下の実施例を参照されたい)、バイオレイヤー干渉分光法、二重偏波干渉法、静的光散乱、動的光散乱、等温滴定型熱量計、ELISA、超遠心分析法、およびフローサイトメトリーを使用して決定することができる。
IV.例示的な供給源抗体
多特異的な構築物を製作するためにどのような多特異的なフレームワークまたは構造が最終的に選択されても(そしてどのような定常領域変異が導入されても)、選択される抗原結合部位は、多数の標的抗原のいずれか1つに結合または会合するように選ぶことができ、入手可能な(市販または別の方法で)抗体に由来し得ることが理解されよう。すなわち、標準的な分子操作技術を使用して、構築物を製作して、核酸またはアミノ酸配列が公知である任意の抗体または反応性断片に由来する抗原結合領域またはCDRを組み入れてもよい。これに関して、抗原結合部位は、好ましい実施形態において、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シクスツムマブ、クリバツズマブ、コナツムマブ、ダラツムマブ、ドロジツマブ、ズリゴツマブ(duligotumab)、ズシギツマブ(dusigitumab)、デツモマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、エクロメキシマブ、エロツズマブ、エンシツキシマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フツキシマブ(futuximab)、ガニツマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ、イブリツモマブ、イゴボマブ、イムガツズマブ、インダツキシマブ(indatuximab)、イノツズマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、ラベツズマブ、レキサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ、ルカツムマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モキセツモマブ、ナルナツマブ、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブ(nofetumomabn)、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ(parsatuzumab)、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ピンツモマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ(radretumab)、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サツモマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、ソリトマブ(solitomab)、タカツズマブ、タプリツモマブ、テナツモマブ、テプロツムマブ、チガツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ、ウブリツキシマブ、ベルツズマブ、ボルセツズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、CC49、および3F8からなる群から選択される抗体から得ても、またはこれに由来してもよい。構成成分のアミノ酸配列がこれらの各抗体について公知であることを考慮すると、1つまたは複数のこれらの抗体、またはその免疫特異的な断片を選択し、この選択された構造を、本明細書に記載する適合性の多特異的構築物に組み入れることは十分に当技術分野の範囲内である。
既知の抗体結合ドメインを組み入れることに加えて、公知の抗原に対する抗体を産生し、結果として生じる抗原結合部位またはその由来物を適合性の多特異的配列中に操作することは十分に当技術分野の範囲内である。本発明の特に好ましい実施形態は、OCT4、Nanog、STAT3、EPCAM、CD24、CD34、NB84、TrkA、GD2、CD133、CD20、CD56、CD29、B7H3、CD46、トランスフェリン受容体、JAM3、カルボキシペプチダーゼM、オンコスタチンM、Lgr5、Lgr6、CD325、ネクチン−4、ネスチン、Sox1、Bmi−1、eed、easyh1、easyh2、mf2、yy1、smarcA3、smarckA5、smarcD3、smarcE1、mllt3、DLL1、DLL4、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、FZD10、WNT2、WNT2B、WNT3、WNT5A、WNT10B、WNT16、AXIN1、BCL9、MYC、(TCF4)SLC7A8、SLC44A4、IL1RAP、TEM8、TMPRSS4、MUC16、GPRC5B、SLC6A14、SLC4A11、PPAP2C、CAV1、CAV2、PTPN3、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、EPHB6、EFNA1、EFNA2、EFNA3、EFNA5、EFNA6、EFNB1、EFNB2、EFNB3、SLC1A1、CX3CL1、ADORA2A、MPZL1、FLJ10052、C4.4A、EDG3、RARRES1、TMEPAI、PTS、CEACAM5、CEACAM6、NID2、STEAP、ABCA3、CRIM1、IL1R1、OPN3、DAF、MUC1、CPD、NMA、ADAM9、GJA1、SLC19A2、ABCA1、PCDH7、ADCY9、SLC39A1、NPC1、ENPP1、N33、GPNMB、LY6E、CELSR1、LRP3、C20orf52、TMEPAI、FLVCR、PCDHA10、GPR54、TGFBR3、SEMA4B、PCDHB2、ABCG2、CD166、AFP、BMP−4、β−カテニン、CD2、CD3、CD9、CD14、CD31、CD38、CD44、CD45、CD74、CD90、CXCR4、デコリン、APCDD1、PTK7、EGFR、CD105、CD64、CD16、CD16a、CD16b、GLI1、GLI2、CD49b、CD49eおよびCD49fからなる群から選択される抗原を認識する(例えば、抗原と結合または会合する)抗原結合部位(複数可)を含む。本発明の抗体は、前述の抗原の任意の組合せと、またはこれらの抗原の1つおよび他の公知の抗原のいずれかと反応するように製作することができることが理解されよう。ある特定の好ましい実施形態において、多特異的構築物は、これらの抗原のいずれかの上の2つもしくはそれより多くの別個の決定基に結合することができる。添付の実施例に示す通り、ネクチン−4、CD234、またはこれらの組合せに結合する、特に好ましい抗体を製作することができる。
V.多特異的抗体の使用
1.治療
本発明は、多特異的抗体およびその抗体薬物コンジュゲートの、様々な障害の診断、セラグノシス(theragnosis)、処置、および/または予防のための製作および使用に対するものである。好ましい実施形態において、本発明の二特異的抗体を使用して、それを必要とする被検体対象における、固形腫瘍および血液悪性疾患の両方を含めた様々な増殖性または新生物性の障害を処置することができる。これに関して、開示する抗体は、単独で、または化学療法もしくは放射線療法などの補助的治療と組み合わせて投与することができることが理解されよう。処置しようとする「被検体」または「患者」はヒトであるのが好ましいが、本明細書で使用するとき、この用語は、任意の哺乳動物種を含むものと明白に考えられている。
本発明による処置に供される例示的な新生物性または増殖性の状態は、良性でも、または悪性でもよく;固形腫瘍でも、または他の血液の新生物でもよく;それだけには限定されないが、副腎腫瘍、AIDS関連のがん、胞巣状軟部肉腫、星細胞系腫瘍、膀胱がん(扁平上皮がんおよび移行上皮がん)、胞胚腔の障害、骨がん(エナメル上皮腫、動脈瘤様骨嚢腫、骨軟骨腫、骨肉腫)、脳および脊髄のがん、転移性の脳腫瘍、乳がん、頚動脈小体腫瘍、子宮頚がん、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素性腎細胞がん、明細胞がん、結腸がん、結腸直腸がん、皮膚の良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣腫、上皮性障害、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨線維形成不全症、線維性骨形成異常症、胆嚢および胆管のがん、胃がん(gastric cancer)、胃腸、妊娠性絨毛疾患、胚細胞性腫瘍、腺性障害、頭頚部がん、視床下部、腸がん、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん(腎芽細胞腫、乳頭状腎細胞がん)、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫様腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫様腫瘍、肝臓がん(肝芽腫、肝細胞がん)、リンパ腫、肺がん(小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど)、マクロファージの障害、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣がん、膵臓がん、甲状腺乳頭癌、副甲状腺腫瘍、小児がん、末梢神経鞘腫瘍、クロム親和細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺がん、後部ブドウ膜黒色腫(posterious unveal melanoma)、稀な血液障害、腎臓転移がん、横紋筋様腫瘍、横紋筋肉腫(rhabdomysarcoma)、肉腫、皮膚がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、胃がん(stomach cancer)、間質性障害、滑膜肉腫、精巣がん、胸腺がん、胸腺腫、甲状腺転移がんおよび子宮がん(頚部の癌、子宮内膜がんおよび平滑筋腫)を含む群から選択されてもよい。
特に好ましい実施形態において、本発明の抗体は新生物障害を処置するために使用され、新生物障害またはがんは、副腎がん、膀胱がん、子宮頚がん、子宮体がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん(小細胞および非小細胞)、卵巣がん、結腸直腸がん、膵臓がん、前立腺がんならびに乳がんからなる群から選択される。
2.診断
治療的使用に加えて、本発明は、増殖性障害の進行を検出し、診断し、またはその進行をモニタリングするin vitroまたはin vivoの方法、および腫瘍原性細胞を同定するために患者における、または患者からの細胞をスクリーニングする方法を提供する。このような方法は、患者または患者から得た試料(すなわち、in vivoまたはin vitroのいずれか)を、本明細書に記載する通りの多特異的抗体と接触させ、試料中の細胞に結合した抗体または遊離の抗原分子の存在もしくは非存在、または会合のレベルを検出することを含む、処置するためのがんを有する個体を同定するステップ、またはがんの進行をモニタリングするステップを含む。特に好ましい実施形態において、抗体は検出可能な標識またはレポーター分子を含む。
3.抗体薬物コンジュゲート
本明細書の教示にしたがって、開示する二特異的および多特異的な構築物は、コンジュゲート(例えば、細胞毒性剤との)または非コンジュゲートの状態において使用することができることがさらに理解されよう。
示す通り、本発明の抗体は、薬学上活性な分子(例えば、細胞毒素)、診断用部分、または生体適合性の修飾因子(例えば、ポリエチレングリコールポリマー)とコンジュゲートしていてよい。「コンジュゲート」という用語は広範囲に使用され、いわゆる「抗体−薬物コンジュゲート」(ADC)の生成をもたらす、会合の方法にかかわらない任意の生物学的に活性または検出可能な分子または薬物の、開示する抗体との共有結合性または非共有結合性の会合を意味する。結果として生じる本発明のADCは、治療目的および診断目的の両方に使用することができる。
ADCは典型的には、式:Ab−[L−D]によって表すことができ、式中、「Ab」は多特異的抗体であり、「D」は好ましくは治療用または診断用部分であり、「L」はリンカーである。「Ab」および「D」部分は両方ともADCの必要な成分であるが、「L」部分の存在は任意選択である。本発明のADCは、ペプチド、in vivoで有効薬剤に代謝されるプロドラッグ、ポリマー、核酸分子、小分子、結合剤、模倣剤、合成薬物、無機分子、有機分子、および放射性同位元素を含むことができる。好ましい一実施形態において、「Ab」は本発明の二特異的抗体である。
いくつかの変種またはタイプのリンカーを使用して、「Ab」部分を「D」部分と会合させてもよい。一部の実施形態において、リンカーは切断可能であるが、他の実施形態において、リンカーは非切断性である。選択された抗体はまた、放射性同位元素に直接コンジュゲートしていてもよく、または放射金属イオン(radiometal ion)をコンジュゲートさせるのに有用な大環状キレーターを含んでいてもよい。
本発明の多特異的抗体は、例えば、生物学的分子(例えば、ペプチドもしくはヌクレオチド)、小分子、フルオロフォア、または放射性同位元素であり得る様々なタイプの診断薬または検出薬、マーカー、またはレポーターにコンジュゲートしていてよい。標識された抗体は、増殖性障害の診断のためおよびその発生もしくは進行をモニタリングするために有用であり得、または開示する抗体(すなわち、セラグノスティクス)を含む特定の治療の有効性を決定するためのまたは処置の未来の経過を決定するための臨床試験手順の一部として、有用であり得る。このようなマーカーまたはレポーターはまた、選択された修飾因子を精製する上で、抗体分析学(例えば、エピトープ結合もしくは抗体結合)において、がん細胞を分離もしくは単離する上で、あるいは前臨床の手順またはは毒性学研究においても有用であり得る。
同様に、本発明の多特異的抗体は、それだけには限定されないが、細胞毒性剤、細胞増殖抑制剤、血管新生阻害剤、減量剤(debulking agent)、化学療法剤、放射線療法および放射線療法剤、標的化抗がん剤、生物学的応答調節物質、がんワクチン、サイトカイン、ホルモン療法剤、放射線療法剤および転移抑制剤、ならびに免疫療法薬を含めた抗がん剤などの「治療的部分」または「薬物」にコンジュゲートしていてもよい。
VI.医薬調製物および臨床使用
1.製剤および投与経路
本発明の組成物は、当技術分野で認められた技術を使用して、望みどおりに製剤化することができる。一部の実施形態において、本発明の二特異的抗体は、不純物なしで、または最小のさらなる成分と一緒に投与してもよく、その他は、必要に応じて、当技術分野で周知の賦形剤および補助剤を含む適切な薬学的に許容される担体を含有するように製剤化することができる(例えば、Gennaro、Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons: Drugfacts Plus、第20版(2003年);Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版、 Lippencott Williams and Wilkins(2004年);Kibbeら、Handbook of Pharmaceutical Excipients、第3版、Pharmaceutical Press(2000年)を参照されたい)。全身投与用の開示する抗体は、腸内、非経口または局所投与を含めた任意の投与のタイプに製剤化することができる。
本発明の化合物および組成物は、それを必要とする被検体に、それだけには限定されないが、経口、静脈内、動脈内、皮下、非経口、経鼻、筋肉内、心臓内、脳室内(intraventricular)、気管内、頬側、直腸、腹腔内、皮内、局所、経皮、および髄腔内を含めた様々な経路により、または別の方法では埋め込みもしくは吸入によって、in vivoに投与することができる。適切な製剤および投与経路は、意図する適用および治療レジメンにしたがって選択することができる。
2.併用療法
併用療法は、本発明の抗体、および治療用部分(例えば、抗がん剤)を含む1つまたは複数の活性部分の投与を指す。
併用療法は、新生細胞増殖、がん、がんの再発、またはがんの転移を防止または処置する上で特に有用であり得る。本発明の抗体は、それがなければ腫瘍集団を支援し、不死化させる腫瘍原性細胞を低減させることにより、感作剤または化学感作剤として機能し得、それにより現在の標準であるケア減量剤または抗がん剤をより有効に使用することができるようにする。
組み合わせた結果が、各処置(例えば、抗体または抗がん剤)を別々に行う場合に観察される効果の相加となる必要はない。相加効果が一般に望ましいが、単一治療法の効果を上回る任意の増大した抗腫瘍効果が有益である。さらに、本発明は、併用処置が相乗効果を示すことを必要としない。しかし、当業者であれば、好ましい実施形態を含むある選択された組合せで、相乗作用が観察され得ることを理解されたい。
併用療法を実践する上で、抗体(ADCの形態であるのが好ましい)および治療的部分を、単一組成物において、または2つもしくはそれより多くの異なる組成物としてのいずれかで、同じまたは異なる投与経路を使用して、被検体に同時に投与してもよい。あるいは、抗体での処置は、例えば、分から週までの範囲の間隔での治療的部分処置の前であっても、または後であってもよい。一実施形態において、治療的部分および抗体の両方は、互いに約5分〜約2週間以内で投与する。さらに他の実施形態において、抗体の投与と治療的部分の投与との間に、数日(2、3、4、5、6、もしくは7)、数週(1、2、3、4、5、6、7、もしくは8)、または数か月(1、2、3、4、5、6、7、もしくは8)が経過してもよい。
併用療法では、1日に1回、1日に2回、または1日に3回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、週に1回、2週ごとに1回、月に1回、2月ごとに1回、3月ごとに1回、6月ごとに1回など様々なスケジュールで、状態が処置され、緩和され、または治癒されるまで投与してもよく、または継続的に投与してもよい。併用療法では任意の経路によって投与することができる。
一実施形態において、抗体は、1つまたは複数の治療的部分と併用して、短期または長期の処置サイクルでそれを必要とする対象に投与する。本発明は、非連続的な投与または数回の部分的な投与に分割した一日量を企図するものである。抗体および治療用部分は、互換的に隔日または隔週で投与してもよいし、あるいは一連の抗体処置を施し、その後、治療的部分での1つまたは複数の処置を施してもよい。
別の一実施形態において、本発明の抗体は、疾患が最初に現れた後の腫瘍の再発の可能性を低下させ、または排除するための維持療法において使用してもよい。障害は、本発明の抗体によって、または他の治療剤によって処置し、最初の腫瘍集団は除去、低減、または別の方法で軽減し、その結果患者が無症候性または寛解状態になるのが好ましい。標準的な診断手順を使用して疾患の示差が殆どまたは全く存在しなくても、このようなときには、被検体に、薬学的に有効な量の開示する抗体を1回または複数回投与してもよい。一部の実施形態において、このエフェクターは、毎週、2週間ごと、毎月、6週間ごと、2か月ごと、3か月ごと、6か月ごと、または毎年など、ある期間にわたる規則的なスケジュールで投与する。当業者であれば、好ましい投与量および投薬レジメンを容易に決定して、疾患の再発の可能性を低減させることができる。このような処置は、患者の応答、ならびに臨床上および診断上のパラメータに応じて、数週、数か月、数年の期間、またはさらに無期限に継続し得る。
別の一実施形態において、本発明の抗体を予防的に使用して、減量手順後の腫瘍の転移を防止またはその可能性を低減させてもよい。本開示で用いるとき、「減量手順」は、広範囲に規定され、腫瘍または腫瘍の増殖を排除し、低減させ、処置し、または軽減する任意の手順、技術、または方法を意味する。例示的な減量手順には、それだけには限定されないが、外科手術、照射処置(すなわち、ビーム照射)、化学療法、免疫療法、または切除が含まれる。抗体を1回または複数回、標準的な技術を使用して決定した通りの薬学的に有効な投与量を投与してもよい。投薬レジメンは、このレジメンを修飾することができる、適切な診断またはモニタリングの技術を伴うのが好ましい。
VII.製造品
1つまたは複数の用量の本発明の組成物を含む1つまたは複数の容器を含む医薬品のパックおよびキットもまた提供される。本発明の組成物の用量は、それだけには限定されないが、単回使用の予め充填された注射用シリンジ、または適切な液体を加えると再構成することができる凍結乾燥粉末を含めた任意の形態で供給することができる。組成物は任意の関連の添加剤を含むことができる。
VIII.その他
本明細書に別段の規定がなければ、本発明に関連して使用する科学および技術用語は、当業者が通常理解している意味を有するものとする。さらに、文脈によって別段の要求がなされなければ、単数形の語は複数を含み、複数形の語は単数を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で用いるとき、単数形の語である「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別段に明らかに記載しなければ、複数の指示対象を含む。さらに、本明細書および添付の特許請求の範囲に提供される範囲は、両方の終点、およびこの終点の間の全ての点を含む。
一般的に、本明細書に記載する、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸の化学、ならびにハイブリダイゼーションの技術およびこれらに関連して用いる命名法は周知のものであり、当技術分野において一般的に使用されるものである。本発明の方法および技術は、一般的に、当技術分野で周知である慣例的な方法にしたがって、そして別段の示唆がなければ本明細書を通して引用され、論じられる様々な参考文献に記載されている通りに行われる。
本発明についてこのように全般的に上記に記載したが、これは、例示により提供するものであり、本発明を限定しようとするものではない以下の実施例を参照することによってより容易に理解されよう。以下の実験が全ての、または唯一の行った実験であることを、本実施例は表そうとするものではない。別段の示唆がなければ、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧であるかまたは大気圧付近である。
(実施例1)
重鎖/軽鎖の対形成のための構築物のデザイン
IgGおよびFab断片の結晶構造を研究して、2つの異なる重鎖と2つの異なる軽鎖との間の対形成における特異性を作り出すために、残基置換のための候補部位を同定した。最初の分析はProtein Data Bank(PDB)モデルID 2XRA上で行い、候補部位の対の確認はPDBモデルID 3DVN上で行った。候補の残基セットを、CH1ドメイン上およびCLのドメイン上で選択した。これを表2に概要し、図2に示す。残基の番号付けはKabatの番号付けスキームにしたがい、アミノ酸1文字表記を使用する。CH1上のH172が、CLドメイン上の2つの残基であるS174およびN138の近傍であることを見出し、そのため両部位を残基置換のために選んだ。さらに、CH1上のH172もCL上のN137と潜在的に相互作用することができた。
この分析および後続の多特異的な構築物には、本発明の概念を実証する目的でカッパ軽鎖を使用することに留意されたい。本開示に鑑みて、同じ分析手順をラムダ軽鎖に容易に適用することができ、次いでラムダ軽鎖を過度の実験なしで開示する構築物に組み入れることができた。同様に、例示の目的で、IgG1重鎖定常領域を後続の分析のために使用し、結果として生じた構築物に組み入れた。繰り返すと、当業者であれば、他の公知の重鎖定常領域(例えば、IgG3)を容易に組み入れ、開示する技術および原理を使用して本発明にしたがう多特異的な構築物を産生することができる。
Figure 2016509014
所望の静電気力を授け、それにより重鎖/軽鎖の対形成に対する選択性を作り出す(ゆえに優先的なアセンブリをもたらす)ために、荷電した残基を提供するための残基置換を行った。アルギニンまたはリジンへの置換を使用して正の電荷を作り出し(他の場合にはヒスチジンを置換することが可能であり得るが)、アスパラギン酸またはグルタミン酸への置換を使用して負の電荷を作り出した。候補の変異を評価する目的で(実施例2に詳しく記載する)、残基置換は、抗CD324抗体であるhSC10.17(「抗CD324抗体」と呼ぶ;米国特許第2013/0058947号を参照されたい)に対するQuikchange突然変異誘発キット(Agilent)を使用して行った。置換を、単独および組み合わせの両方で表2に記載する部位に、行った。電荷適合性の置換が対応する軽鎖上(例えば、対応するCL上のS176D N137K)に組み入れられ、電荷不適合性の置換が非対応の軽鎖上(例えば、非対応のCL上のS176K、N138D)に組み入れられる限り、それぞれの相互作用する残基セットは潜在的に相互に排他的であるため、重鎖の異なる部位上に電荷の異なる残基が存在することができた(例えば、CH1上のS188K T192D)。したがって、重鎖構築物は以下のCH1残基置換:S188X H172X T192Xおよびその組合せ全てを含有し、ここにおいて、X、XまたはXは各々、K、R、D、E、または野生型の残基であってよかった。同様に、軽鎖構築物は以下のCL残基置換:S174X S174X N137X N138Xおよびその組合せ全てを含有し、ここにおいて、X、X、X、またはXは各々、K、R、D、E、または野生型の残基であってよかった。1本の鎖について選択した置換は、対応する鎖上の置換を規定することが理解されよう。すなわち、正の電荷を重鎖に授ける場合、負の電荷が所望の軽鎖のパートナーに(または、正の電荷が所望ではない軽鎖に)授けられる。
(実施例2)
候補のCH1/CL変異の評価
例示的な二特異的抗体は、2本の異なる軽鎖と、非対称性の重鎖の対形成のためにFc領域中に修飾を有する2本の異なる重鎖とを含有していた。しかし、候補のCH1およびCL変異のスクリーニングを単純化するために、1本の重鎖および1本の軽鎖のみを、一度、非対称性の重鎖の対形成のない完全IgGへのアセンブリについて試験した。候補の重鎖および軽鎖の構築物を、非修飾のFc領域を有する、pEE6.4HuIgG1およびpEE12.4Hu−カッパ発現ベクター(両方ともLonza AGから)にクローニングした。候補のCH1変異およびCL変異を有する重鎖および軽鎖を含有するプラスミドを、トランスフェクション試薬として293Fectin(Novagen)を使用してHEK−293T細胞に共トランスフェクションした。各CH1の候補の変異について、共トランスフェクションを、別々の反応において、対応するCL部位に反対の電荷および同じ電荷の両方の変異を含有する軽鎖を使用して行った。例えば、T192K重鎖構築物を、N137K、N137R、N137DまたはN137E変異のいずれかを有する、軽鎖構築物とともに共トランスフェクションをした。
2日から3日後、ELISA分析を使用して完全IgGアセンブリを測定した。ヤギ抗ヒトFcポリクローナル抗体(Jackson Immunoresearch)を、炭酸水素ナトリウムバッファーpH8.0中、高タンパク質結合性ELISAプレート上に終夜コーティングした。次いで、プレートを3回洗浄し、PBS+3%BSA+0.1%Tweenでブロックした。次いで、プレートを3回洗浄し、ブロッキングバッファーで希釈した未精製の細胞培養物上清とともにインキュベートし、引き続きさらに3回洗浄し、セイヨウワサビのペルオキシダーゼをコンジュゲートさせたヤギ抗ヒトカッパ軽鎖(Southern Biotech)とともにインキュベートした。次いで、プレートを3回洗浄し、1−Step Turbo TMB試薬(Pierce)を使用して展開し、2M硫酸でクエンチした。抗Fc捕獲および抗カッパ軽鎖検出の使用により、完全にアセンブルしたIgGの特異的な検出が可能になる。
反対に荷電した残基の対の完全IgGアセンブリを、同等に荷電した残基の対と比較することにより、重鎖/軽鎖の誤対合の可能性を評価することが可能になる。図3Aは、反対に荷電した対であるCH1 S188D/CL S176KのIgGアセンブリの、同等に荷電した対であるCH1 S188D/CL S176Dとの比較を示す。CH1 S188D/CL S176K構築物は、CH1 S188D/CL S176D構築物に比べてIgGアセンブリの増強を示した。これは、この部位が重鎖/軽鎖の対形成にとってエネルギー的に重要であることを示唆する。さらに、CH1 S188Dを有する重鎖はCL S176Dを有する軽鎖との対形成を嫌うことができ、したがって、CL S176DはCH1 S188Dを有する重鎖に対応しない軽鎖についての候補の変異である。
図3Bおよび3Cは、CH1ドメインおよびCLドメイン上の残基置換の組合せを有するIgGアセンブリの例を示す。(図3Bでは線が2本重なっている)。全ての場合において、反対に荷電した対は、同等に荷電した対よりもはるかに良好なIgGアセンブリを有する。さらに、図3Aにおける単一の変異と比べた場合、IgGアセンブリにおける相違、したがって重鎖/軽鎖の対形成における選択性が顕著に改善される。
実験からの結果は、IgG二特異的抗体の2本のアーム上でどのように重鎖変異および軽鎖変異を組み合わせるかについての効果的な一例を提供する。1本のアームについて選択した軽鎖構築物は、同じアームについての重鎖構築物と効果的にアセンブルしなければならず、同時に他方のアームの重鎖構築物と非効果的にアセンブルしなければならない。例えば、図3Cに示す結果に基づいて、CH1 S188D T192D/CL S176K N137Kは二特異的の1本のアーム上で使用することができ、CH1 S188K T192K/CL S176D N137Dは別のアーム上で使用することができる。両方のアーム上で同等に荷電した残基のIgGアセンブリがないということは、CL S176D N137Dを有する軽鎖がCH1 S188D T192Dを有する重鎖と効果的に対形成しないことを示し、逆もまた同じである。
(実施例3)
二特異的抗体の産生
実施例2で同定した部位の有用性を、図1に示すものなどのIgG様の二特異的フォーマットにおいて評価した。二特異的抗体を、抗CD324抗体であるhSC10.17(米国特許第2013/0058947号を参照されたい)、およびネクチン−4に結合するHa22−2(2,4)6.1(「抗ネクチン−4抗体」とも呼ばれる;米国特許第2012/0078028号を参照されたい)からの可変領域を使用して構築した。最終的な二特異的抗体を、抗CD324/N4抗体と呼んだ。安定化性のジスルフィドを有するノブイントゥホール(「KiH」)を、非対称性の重鎖対形成のために使用した(Merchantら、上述)。ノブイントゥホールの残基変異の番号付けは、EU番号付けスキームにしたがう。選択した実施例2からのCH1変異およびCL変異を、CH1ドメインおよびCLドメインにおいて使用した。全ての変異を、Quikchange Mutagenesisキットを使用して製造業者(Agilent)の説明書にしたがって組み入れた。これらの変異を表3に概要する。第1の構築物は、HC1の定常領域にノブイントゥホール変異を有し、上記の実施例1に記載した重鎖および軽鎖の可変領域に様々な変異を有する抗CD324/N4二特異的構築物である。重鎖/軽鎖の対形成のための変異は、一般的な戦略と、ノブイントゥホールの非対称性の重鎖対形成に選択される特異的な変異とで相互に排他的である。例えば、両構築物の重鎖番号1において、S188D S192Dは、T366W S354Cとの対形成に必要とされない。
Figure 2016509014
二特異的抗体を、当技術分野で認められている、HEK−293T細胞の懸濁液もしくは粘着性培養物または懸濁液CHO−S細胞の技術を使用して一過性トランスフェクションにおいて産生した。ポリエチレンイミンポリマーをトランスフェクト試薬として用い、2本の重鎖および2本の軽鎖の各々に対する等質量比の4つの発現ベクターを共トランスフェクションに使用した。トランスフェクションの7日から10日後、清澄にした細胞上清物からMabSelect SuRe(商標)プロテインA(GE Healthcare Life Sciences)を使用して、二特異的抗体を精製した。
識別の目的で、本明細書および図面では、CD324のLC1変異S176K、N137Rを有する多特異的抗体を「KR」(すなわち、KiH−KR)と表記し、CD324のLC1変異S176K、N137Kを有する多特異的抗体を「KK」(すなわちKiH−KK)と表記する。
次いで、二特異的抗体を、(i)抗体がCD324およびネクチン−4の両方に特異的に結合することができることを確認するための架橋ELISAアッセイ、ならびに(ii)二特異的抗体が内部移行し、細胞毒素の生存細胞への送達を媒介する能力を実証するためのin vitroの死滅アッセイを使用して特徴付けた。
ネクチン−4タンパク質(R&D Systems)をELISAプレート上にコーティングし、次いでこのプレートをPBS+0.1%Tweenおよび3%BSAでブロックすることにより、架橋ELISAアッセイを行った。プレートを、抗CD324/N4二特異的抗体、単一特異的抗ネクチン−4抗体または単一特異的抗CD324抗体のいずれかとともにインキュベートした。PBS+0.1%Tweenで3回洗浄した後、プレートを、2位にトリプトファンからアラニンへの置換を有するビオチン化CD324タンパク質とともにインキュベートした。この置換により可溶性が改善されるが、抗CD324抗体の結合性には影響はない。さらに3回洗浄した後、プレートを、セイヨウワサビペルオキシダーゼをコンジュゲートしたストレプトアビジンとともにインキュベートした。3回洗浄した後、プレートを、1ステップのTurbo TMB試薬(Pierce)を使用して展開し、2M硫酸でクエンチした。ELISA分析により、上記の表3に示す4つの二特異的構築物は全て、ネクチン−4とCD324とを架橋させることが可能であるが、各単一特異的抗体は個々には可能でないことが示された(データは示さず)。これらの結果により、これら二特異的構築物は正しくアセンブルし、ネクチン−4およびCD324の両方に特異性を示すことが確認される。
(実施例4)
二特異的抗体のin vitroの特徴付け
in vitro死滅アッセイを使用して、実施例3で産生した二特異的抗体の、標的抗原に結合し、内部移行し、細胞毒素の生細胞への送達を媒介する能力を決定した。アッセイには、サポリンに、および二次抗体であるFAB断片に連結している抗体を用いる。サポリンは、リボソームを不活性化し、それによりタンパク質合成を阻害し、細胞の死滅をもたらす植物毒素である。サポリンは、細胞内でのみ細胞毒性であり、細胞内でリボソームに接近するが、自力で内部移行することができない。したがって、これらのアッセイにおけるサポリン媒介性の細胞の細胞毒性は、FAB−サポリン抗体コンジュゲートが、抗体の結合および内部移行の際のみ標的細胞中に内部移行する能力を示すものである。
表4は、3つの細胞株、ネクチン−4およびCD324の両方を発現するMCF−7、ネクチン−4だけを発現するSKBR3、ならびにCD324を過剰発現しネクチン−4を発現しない操作されたHEK−293T細胞株であるHEK−293T−hCD324、を使用して行ったin vitro死滅アッセイの結果を示す。HEK−293T−hCD324細胞株は、ヒトCD324およびGFPの両方を発現するバイシストロン性のレンチウイルスベクターを用いたHEK−293T細胞の形質導入、ならびにCD324でFACSソートしたサブセットの拡大によって作製した。10%ウシ胎児血清を補ったDMEM中、500個の細胞/ウエルのMCF−7、SKBR3またはHEK−293T−hCD324を、96ウエルの組織培養物処理プレート中にプレーティングした。24時間インキュベートした後、2nMのサポリンに共有結合で連結させた抗ヒトIgGFab断片(Advanced Targeting Systems)を、0.01pM〜1000pMの間の可変濃度の、非標識の抗CD324/N4二特異的抗体または抗CD324もしくは抗ネクチン−4単一特異的抗体と合わせた。Fab−サポリン抗体複合体を細胞に加えた。複合体の内部移行し、細胞を死滅させる能力を、Cell Titer Glo(登録商標)(Promega)を製造業者の説明書にしたがって使用して、72、96または144時間後に、それぞれMCF−7、HEK−293T−hCD324またはSKBR3細胞の細胞生存性を測定することにより測定した。Fab−サポリン断片に曝露した細胞を含有する培養物を用いた、生の発光の計数を、100%参照値として設定し、他の計数値全てをそれにしたがい算出した(「標準化したRLU」と呼ぶ)。
直下の表4に示す結果は、CD324ネクチン−4細胞株であるMCF−7において、抗CD324/N4二特異的抗体(上記の表3に記載する通り)は、単一特異的抗CD324または抗ネクチン−4抗体として毒素を送達するのと等しく有効であったか、またはそれより有効であったことを実証するものである。結果はまた、抗CD324/ネクチン−4二特異的抗体は、SKBR3 CD324ネクチン−4細胞株およびHEK−293T−hCD324 CD324ネクチン−4細胞株の両方において毒素を送達することができるが、それぞれ単一特異的抗ネクチン−4または抗CD324抗体のいずれかほど毒素を送達するのに有効ではないことも実証した。これらのデータは、実施例3で産生した二特異的抗体はin vitroで内部移行し、細胞を死滅させることができ、これは、両方の抗原を発現する細胞株に対する特異性の増大を伴うが、単一特異的抗体と比べたときの単一ポジティブ細胞に対するオフターゲット毒性の低減を伴ったという知見を支持するものである。
Figure 2016509014
(実施例5)
二特異的抗体の特徴付け
選択した抗体のヒスチジンタグを付したCD324およびネクチン−4(RnD systems)タンパク質に対する親和性を、BIAcore 2000(GE Healthcare)を使用した表面プラズモン共鳴を使用して決定した。抗ヒト抗体捕獲キットを使用してCM5バイオセンサーチップ上にこれらの抗体を固定化した。各抗体注入サイクルの前に、抗CD324/N4二特異的抗体または単一特異的抗CD324もしくは抗ネクチン−4抗体各々2μg/mLを、接触時間40秒および流速5μL/分で表面上に捕獲させた。捕獲した抗体のベースラインからのローディングは130〜140応答単位で一定であった。抗体捕獲および1分間のベースラインの後、モノマーのCD324またはネクチン−4抗原を2分の会合段階の間、表面上に流し、その後、4分間流速10μL/分の解離段階を行った。抗ヒト抗体捕獲チップは、各サイクルの後、10μL/分での3M塩化マグネシウムとの接触時間30秒で再生させた。
特異的抗体の表面応答から対照ヒトIgG1の表面応答を差し引くことによってデータを処理し、BiaEvaluationソフトウエア3.1(GE Healthcare)において会合および解離段階へとデータを切り出し、次いでPrismで可視化した。抗原注入開始の115〜120秒後からの解離段階の終点での応答単位を平均することにより、平衡結合応答(Req)を決定し、これを使用して、抗CD324または抗ネクチン−4単一特異的抗体の対照と比較した二特異的抗体によるCD324またはネクチン−4のパーセント結合を算出した。単一特異的な親抗体からのReqで二特異的のReqを除し、ローディングにおける差を考慮してローディングRUの比率をかけることによって、パーセント結合を決定した(図4)。図4Aおよび4Bは、抗CD324/N4 KiH−KR構築物(表3を参照されたい)および抗CD324/N4 KiH−KK構築物(表3を参照されたい)は、親の単一特異的な二価抗体の結合動力学は保持するが、およそ半分の抗原しか結合しないことを示す。抗CD324/N4 KiH−KKは、対照の抗CD324単一特異的IgGに比べて38%のCD324に対する結合を示し、対照の抗ネクチン−4抗体に比べて56%のネクチン−4タンパク質に対する結合を示した(図4A)。抗CD324/N4 KiH−KRは、対照の抗CD324単一特異的IgGに比べて40%のCD324に対する結合を示し、対照の抗ネクチン−4抗体に比べて54%のネクチン−4タンパク質に対する結合を示した(図4B)。これらのデータは、作動可能な多特異的抗体がアセンブルしたこと、およびこれらの抗体がこれらの成分供給源抗体の免疫特異的結合特性を保持することを示す。
(実施例6)
二特異的抗体の質量分析法特徴付け
二特異的抗CD324/N4 KiH−KRおよび抗CD324/N4 KiH−KK構築物の純度(表3)を、そのインタクト質量から決定した。インタクト質量は、意図する二特異的抗体が、4つの異なるポリペプチド鎖(LCHCHCLC)から正しくアセンブルしたことを確証するものである。インタクト質量は、逆相液体クロマトグラフィー質量分析法(RP−LC/MS)によって測定した。
二特異的抗体の試料を、25mM Tris、pH7.5で2mg/mLに希釈し、次いで、37℃で終夜、2μLのPNGaseFで脱グリコシル化した。RP−LC/MS分析を、AB Sciex 5600+にカップリングさせた、Acquity UPLC BEH300 C4(2.1×50、1.7um)カラムを装着したWaters Acquity UPLC上で行った。移動相Aは水中0.1%ギ酸であり、移動相Bはアセトニトリル中0.1%ギ酸であった。20μgのタンパク質ロードをカラムに注入し、9分間でB相30%から80%に移行する勾配で溶出した。カラム温度を80℃に維持し、流速は0.2mL/分であった。質量分析計をポジティブモードで操作し、800〜4000のm/z範囲にわたってデータを収集した。2.8〜5.3分からの質量スペクトルを平均し、次いでAB SciexからのAnalystソフトウエアを使用して再構成を行った。
図5Aおよび5Bに示すデコンボリューション質量スペクトルは、正しい二特異的抗CD324/N4 KiH−KRおよび抗CD324/N4 KiH−KK構築物が69%〜72%の純度で生成したことを実証する。単一の不純物が、両方の構築物中に26%〜31%存在した。抗CD324/N4 KiH−KK構築物の不純物について観察された質量差は940Daであった。これは、正しくない軽鎖の対形成であるLCHCHCLCについて予想される質量差に適合する(図5A)。抗CD324/N4 KiH−KR構築物の不純物についての質量差は966Daであった。これは、正しくない対形成であるLCHCHCLCについて予想されるものである(図5B)。
(実施例7)
IgG−Fab融合二特異的抗体
多くの多特異的抗体のフォーマットが、様々な異なる戦略に対して開発されている(Kontermann (2012年)Mabs、1;4巻(2)、182〜197頁)。一般的に、二特異的なフォーマットは以下の2つの広範なカテゴリーの1つに当てはまる傾向がある:標準的な単一特異的IgGと同様の構造を有するが、1つより多くの決定基と反応する結合領域を有する非対称性のIgG、および様々な特異性/結合価構造を含み得るIgG融合タンパク質を含めた融合タンパク質。
融合タンパク質には、一般的に、単鎖Fv(scFv)またはFab断片などの、融合パートナーのための抗体断片を用いる。scFv断片は、複数の鎖の正しい対形成が問題となり得るFab断片とは反対に、単鎖として働く単純さのために一般的に使用される。しかし、親のIgGクローンを抗体断片に変換する場合、scFvフォーマットへの再フォーマット化は必ずしも簡単ではなく、最適化のために広範囲な操作上の努力を必要とし得る。一方、Fab断片は、親のIgGクローンからの再フォーマット化をより受けやすい。
CL/CH1界面における残基置換を用いた重鎖および軽鎖の正しい対形成は、Fabフォーマットにおける異なる鎖の正しい対形成も可能にし得る。これにより、共通の軽鎖またはscFv断片を使用せずに新規の二特異的なフォーマットを開発できるようになる。例えば、図6は、表2および表3に記載する残基置換の使用を用いる、推定上のIgG−Fab融合フォーマットを示す。図6の概説は、別個の決定基であるXおよびZに結合する四価の二特異的抗体を含む2つの多特異的な構築物(AおよびB)を示す。本明細書で論じる他の構築物同様、静電電荷の選択的な付与により、操作した多特異的抗体の優先的なアセンブリがもたらされる。重鎖または軽鎖いずれかのNまたはC末端に対するFab融合など、異なる付与電荷分布を示すこのIgG−Fab融合のさらなる形態も可能である。このような構築物は、本開示を鑑みて十分に当業者の理解の範囲内にあり、過度の実験なしに製作することができる。例示する新規なIgG−Fab融合物などの構築物は、現在はscFvを使用する他のフォーマットのために有用であり得るが、これはFab断片のときより効果的である。scFvを使用する代わりに、その場所のFab断片、およびFabにおける正しい鎖の対形成を確実にするためのCL/CH1界面の修飾を用いることが現在可能である。
本明細書に列挙する、全ての特許、特許出願、および刊行物の完全な開示、ならびに電子的に入手できる材料(例えば、GenBankおよびRefSeqなどにおける提出されたヌクレオチド配列の、ならびにSwissProt、PIR、PRF、PBDなどにおける提出されたアミノ酸配列、ならびにGenBankおよびRefSeqにおけるアノテーションされたコード領域からの翻訳物)は参照により援用するものである。前述の詳細な記載および実施例は、理解を明確にするためだけに示すものである。不必要な限定をそれから理解してはならない。当業者には明らかである変形は特許請求の範囲によって規定される本発明内に含まれるため、本発明は、示し、記載する厳密な詳細に限定されない。

Claims (18)

  1. 第1のCLドメインおよび第1のCH1ドメインを有する第1の結合領域と、第2のCLドメインおよび第2のCH1ドメインを有する第2の結合領域とを含む多特異的抗体であって、該多特異的抗体は、該第1のCLドメイン、該第1のCH1ドメイン、該第2のCLドメイン、および該第2のCH1ドメインからなる群から選択されるドメインにおける静電電荷の分布を変更する少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、該変更された電荷の分布が、単一特異的抗体に比べて多特異的抗体の優先的なアセンブリを促進する、多特異的抗体。
  2. 1つより多くのドメインがアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の多特異的抗体。
  3. 前記第1のCLドメインおよび第1のCH1ドメインの両方がアミノ酸置換を有する、請求項1に記載の多特異的抗体。
  4. 前記アミノ酸置換が、CLドメインにおいてS176、S174、N138、N137、およびこれらの組合せからなる群から選択される位置に生じる、請求項1に記載の多特異的抗体。
  5. 前記アミノ酸置換が、CH1ドメインにおいてS188、H172、T192、およびこれらの組合せからなる群から選択される位置に生じる、請求項1に記載の多特異的抗体。
  6. 前記CLがカッパ鎖を含む、請求項1に記載の多特異的抗体。
  7. アミノ酸置換が、前記第1のCLドメインおよび前記第2のCH1ドメインに正の電荷を授け、前記第2のCLドメインおよび前記第1のCH1ドメインに負の電荷を授ける、請求項1に記載の多特異的抗体。
  8. アミノ酸置換が、前記第1のCLドメインおよび前記第2のCH1ドメインに負の電荷を授け、前記第2のCLドメインおよび前記第1のCH1ドメインに正の電荷を授ける、請求項1に記載の多特異的抗体。
  9. 前記第1の結合領域が第1の決定基を認識する第1の結合部位を含み、前記第2の結合領域が第2の決定基を認識する第2の結合部位を含み、前記第1の決定基および第2の決定基は同等ではない、請求項1に記載の多特異的抗体。
  10. 前記第1の決定基および第2の決定基が単一の抗原上に存在する、請求項9に記載の多特異的抗体。
  11. 前記第1の決定基および第2の決定基が異なる抗原上に存在する、請求項9に記載の多特異的抗体。
  12. 前記第1の決定基または前記第2の決定基が、OCT4、Nanog、STAT3、EPCAM、CD24、CD34、NB84、TrkA、GD2、CD133、CD20、CD56、CD29、B7H3、CD46、トランスフェリン受容体、JAM3、カルボキシペプチダーゼM、オンコスタチンM、Lgr5、Lgr6、CD325、ネクチン−4、ネスチン、Sox1、Bmi−1、eed、easyh1、easyh2、mf2、yy1、smarcA3、smarckA5、smarcD3、smarcE1、mllt3、DLL1、DLL4、FZD1、FZD2、FZD3、FZD4、FZD6、FZD7、FZD8、FZD9、FZD10、WNT2、WNT2B、WNT3、WNT5A、WNT10B、WNT16、AXIN1、BCL9、MYC、(TCF4)SLC7A8、SLC44A4、IL1RAP、TEM8、TMPRSS4、MUC16、GPRC5B、SLC6A14、SLC4A11、PPAP2C、CAV1、CAV2、PTPN3、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、EPHB6、EFNA1、EFNA2、EFNA3、EFNA5、EFNA6、EFNB1、EFNB2、EFNB3、SLC1A1、CX3CL1、ADORA2A、MPZL1、FLJ10052、C4.4A、EDG3、RARRES1、TMEPAI、PTS、CEACAM5、CEACAM6、NID2、STEAP、ABCA3、CRIM1、IL1R1、OPN3、DAF、MUC1、CPD、NMA、ADAM9、GJA1、SLC19A2、ABCA1、PCDH7、ADCY9、SLC39A1、NPC1、ENPP1、N33、GPNMB、LY6E、CELSR1、LRP3、C20orf52、TMEPAI、FLVCR、PCDHA10、GPR54、TGFBR3、SEMA4B、PCDHB2、ABCG2、CD166、AFP、BMP−4、β−カテニン、CD2、CD3、CD9、CD14、CD31、CD38、CD44、CD45、CD74、CD90、CXCR4、デコリン、APCDD1、PTK7、EGFR、CD105、CD64、CD16、CD16a、CD16b、GLI1、GLI2、CD49b、CD49eおよびCD49fからなる群から選択される抗原上に存在する、請求項10または11のいずれかに記載の多特異的抗体。
  13. 二特異的抗体を含む、請求項1から12のいずれかに記載の多特異的抗体。
  14. 細胞毒性剤をさらに含む、請求項1から13のいずれかに記載の多特異的抗体。
  15. 第1の結合部位および第2の結合部位を含み、該第1の結合部位または第2の結合部位が、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シクスツムマブ、クリバツズマブ、コナツムマブ、ダラツムマブ、ドロジツマブ、ズリゴツマブ、ズシギツマブ、デツモマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、エクロメキシマブ、エロツズマブ、エンシツキシマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フツキシマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ、イブリツモマブ、イゴボマブ、イムガツズマブ、インダツキシマブ、イノツズマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、ラベツズマブ、レキサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ、ルカツムマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モキセツモマブ、ナルナツマブ、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ピンツモマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サツモマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、ソリトマブ、タカツズマブ、タプリツモマブ、テナツモマブ、テプロツムマブ、チガツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ、ウブリツキシマブ、ベルツズマブ、ボルセツズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、CC49、および3F8からなる群から選択される抗体に由来する、請求項1から14のいずれかに記載の多特異的抗体。
  16. 医療において使用するための、請求項1から15のいずれかに記載の多特異的抗体。
  17. 副腎がん、膀胱がん、子宮頚がん、子宮体がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸直腸がん、膵臓がん、前立腺がん、および乳がんからなる群から選択される、患者におけるがんを処置するための請求項1から16のいずれかに記載の多特異的抗体。
  18. 多特異的抗体を製作するための方法であって、該抗体が第1のCLドメインおよび第1のCH1ドメインを有する第1の結合領域と、第2のCLドメインおよび第2のCH1ドメインを有する第2の結合領域とを含み、該方法が、該第1のCLドメイン、該第1のCH1ドメイン、該第2のCLドメインおよび該第2のCH1ドメインからなる群から選択されるドメイン中の静電電荷分布を変更する少なくとも1つのアミノ酸置換を施す工程を含む、方法。
JP2015557143A 2013-02-08 2014-02-07 新規の多特異的構成物 Pending JP2016509014A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201361762755P 2013-02-08 2013-02-08
US61/762,755 2013-02-08
PCT/US2014/015409 WO2014124326A1 (en) 2013-02-08 2014-02-07 Novel multispecific constructs

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016509014A true JP2016509014A (ja) 2016-03-24

Family

ID=51300173

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015557143A Pending JP2016509014A (ja) 2013-02-08 2014-02-07 新規の多特異的構成物

Country Status (6)

Country Link
US (1) US10047163B2 (ja)
EP (1) EP2954056A4 (ja)
JP (1) JP2016509014A (ja)
CA (1) CA2900764A1 (ja)
HK (1) HK1218930A1 (ja)
WO (1) WO2014124326A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190016942A (ko) * 2016-03-25 2019-02-19 바이오뮤넥스 파마슈티컬스 Cd38 및 pd-l1에 대한 결합 분자
JP2020515253A (ja) * 2017-03-27 2020-05-28 ビオミューネクス・ファルマシューティカルBiomunex Pharmaceuticals 安定な多重特異性抗体
JP2023515807A (ja) * 2020-02-20 2023-04-14 ウィン セラピューティクス, インコーポレイテッド 二重特異性のgd2およびb7h2結合分子ならびに使用方法
US12054550B2 (en) 2016-04-28 2024-08-06 Biomunex Pharmaceuticals Bispecific antibodies targeting EGFR and HER2

Families Citing this family (66)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102411491B1 (ko) 2012-11-28 2022-06-22 자임워크스 인코포레이티드 가공된 면역글로불린 중쇄-경쇄 쌍 및 이들의 용도
US9914785B2 (en) 2012-11-28 2018-03-13 Zymeworks Inc. Engineered immunoglobulin heavy chain-light chain pairs and uses thereof
US11306156B2 (en) 2014-05-28 2022-04-19 Zymeworks Inc. Modified antigen binding polypeptide constructs and uses thereof
GB201414823D0 (en) * 2014-08-20 2014-10-01 Argen X Bv Multispecific antibodies
US11142577B2 (en) 2014-09-12 2021-10-12 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University WNT signaling agonist molecules
US11566082B2 (en) 2014-11-17 2023-01-31 Cytiva Bioprocess R&D Ab Mutated immunoglobulin-binding polypeptides
EP3023437A1 (en) 2014-11-20 2016-05-25 EngMab AG Bispecific antibodies against CD3epsilon and BCMA
HUE043060T2 (hu) 2014-12-23 2019-07-29 Novartis Ag Triazolopirimidin-vegyületek és alkalmazásaik
EP3359576B1 (en) 2015-10-08 2024-12-25 Zymeworks BC Inc. Antigen-binding polypeptide constructs comprising kappa and lambda light chains and uses thereof
JP2019503172A (ja) * 2015-12-28 2019-02-07 マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー 定常領域の変異を有する二重特異性抗体およびその使用
JP7082604B2 (ja) 2016-03-21 2022-06-08 マレンゴ・セラピューティクス,インコーポレーテッド 多重特異性および多機能性分子ならびにその使用
JP7106187B2 (ja) 2016-05-11 2022-07-26 サイティバ・バイオプロセス・アールアンドディ・アクチボラグ 分離マトリックスを保存する方法
US10513537B2 (en) 2016-05-11 2019-12-24 Ge Healthcare Bioprocess R&D Ab Separation matrix
WO2017194593A1 (en) 2016-05-11 2017-11-16 Ge Healthcare Bioprocess R&D Ab Method of cleaning and/or sanitizing a separation matrix
US10654887B2 (en) 2016-05-11 2020-05-19 Ge Healthcare Bio-Process R&D Ab Separation matrix
JP7031934B2 (ja) 2016-05-11 2022-03-08 サイティバ・バイオプロセス・アールアンドディ・アクチボラグ 分離マトリックス
US10889615B2 (en) 2016-05-11 2021-01-12 Cytiva Bioprocess R&D Ab Mutated immunoglobulin-binding polypeptides
US10730908B2 (en) 2016-05-11 2020-08-04 Ge Healthcare Bioprocess R&D Ab Separation method
JP2019522049A (ja) 2016-06-20 2019-08-08 ノバルティス アーゲー トリアゾロピリジン化合物及びその使用
WO2017221100A1 (en) 2016-06-20 2017-12-28 Novartis Ag Imidazopyrimidine compounds useful for the treatment of cancer
MX388824B (es) 2016-06-20 2025-03-20 Novartis Ag Formas cristalinas de compuesto de triazolopirimidina.
WO2018089829A1 (en) 2016-11-10 2018-05-17 Fortis Therapeutics, Inc. Cd46-specific effector cells and uses thereof
ES2912266T3 (es) 2016-12-23 2022-05-25 Immunogen Inc Inmunoconjugados dirigidos a ADAM9 y procedimientos de uso de los mismos
IL267589B2 (en) 2016-12-23 2024-11-01 Macrogenics Inc Adam9-binding molecules, and methods of use thereof
RS66445B1 (sr) 2017-02-08 2025-02-28 Dragonfly Therapeutics Inc Multispecifični vezujući proteini za aktivaciju prirodnih ćelija ubica i njihova terapijska upotreba za lečenje raka
WO2018151820A1 (en) 2017-02-16 2018-08-23 Elstar Therapeutics, Inc. Multifunctional molecules comprising a trimeric ligand and uses thereof
WO2018222901A1 (en) 2017-05-31 2018-12-06 Elstar Therapeutics, Inc. Multispecific molecules that bind to myeloproliferative leukemia (mpl) protein and uses thereof
KR20240167101A (ko) * 2017-09-07 2024-11-26 드래곤플라이 쎄라퓨틱스, 인크. Nkg2d, cd16 및 넥틴4에 결합하는 단백질
WO2019126399A1 (en) 2017-12-19 2019-06-27 Surrozen, Inc. Anti-frizzled antibodies and methods of use
EP3731867A4 (en) 2017-12-19 2022-04-06 Surrozen Operating, Inc. Anti-lrp5/6 antibodies and methods of use
JP7330977B2 (ja) 2017-12-19 2023-08-22 スロゼン オペレーティング, インコーポレイテッド Wntサロゲート分子及びその使用
EP4495142A3 (en) * 2017-12-22 2025-05-07 Argenx BVBA Bispecific antigen binding construct
US12247060B2 (en) 2018-01-09 2025-03-11 Marengo Therapeutics, Inc. Calreticulin binding constructs and engineered T cells for the treatment of diseases
WO2019148412A1 (en) 2018-02-01 2019-08-08 Merck Sharp & Dohme Corp. Anti-pd-1/lag3 bispecific antibodies
WO2019148410A1 (en) 2018-02-01 2019-08-08 Merck Sharp & Dohme Corp. Anti-pd-1 antibodies
BR112020015994A2 (pt) 2018-02-08 2020-12-15 Dragonfly Therapeutics, Inc. Terapia de combinação do câncer que envolve proteínas de ligação multiespecíficas que ativam células natural killer
JP7690286B2 (ja) 2018-02-08 2025-06-10 ドラゴンフライ セラピューティクス, インコーポレイテッド Nkg2d受容体を標的とする抗体可変ドメイン
GB201802487D0 (en) 2018-02-15 2018-04-04 Argenx Bvba Cytokine combination therapy
CA3091424A1 (en) 2018-02-20 2019-08-29 Dragonfly Therapeutics, Inc. Multi-specific binding proteins that bind cd33, nkg2d, and cd16, and methods of use
EP3765516A2 (en) 2018-03-14 2021-01-20 Elstar Therapeutics, Inc. Multifunctional molecules and uses thereof
EP3765517A1 (en) 2018-03-14 2021-01-20 Elstar Therapeutics, Inc. Multifunctional molecules that bind to calreticulin and uses thereof
SG11202012257VA (en) 2018-06-26 2021-01-28 Immunogen Inc Immunoconjugates targeting adam9 and methods of use thereof
WO2020010250A2 (en) 2018-07-03 2020-01-09 Elstar Therapeutics, Inc. Anti-tcr antibody molecules and uses thereof
EA202091888A1 (ru) 2018-08-08 2020-10-23 Драгонфлай Терапьютикс, Инк. Вариабельные домены антител, нацеленные на рецептор nkg2d
CA3108646A1 (en) 2018-08-08 2020-02-13 Dragonfly Therapeutics, Inc. Proteins binding nkg2d, cd16 and a tumor-associated antigen
BR112021002072A2 (pt) 2018-08-08 2021-06-01 Dragonfly Therapeutics, Inc. proteínas de ligação multiespecíficas que se ligam a bcma, nkg2d e cd16, e métodos de uso
CN108997493B (zh) * 2018-08-15 2019-07-09 中国农业科学院兰州兽医研究所 一种全牛源o型口蹄疫病毒广谱中和抗体的制备方法
GB201820556D0 (en) * 2018-12-17 2019-01-30 Alligator Bioscience Ab Novel polypeptides
SG11202106525TA (en) 2018-12-24 2021-07-29 Sanofi Sa Multispecific binding proteins with mutant fab domains
JP7695698B2 (ja) * 2019-01-14 2025-06-19 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 細胞内部移行をモジュレートするための組成物および方法
AU2020224680B2 (en) 2019-02-21 2025-06-19 Marengo Therapeutics, Inc. Multifunctional molecules that bind to T cells and uses thereof to treat autoimmune disorders
SG11202109061YA (en) 2019-02-21 2021-09-29 Marengo Therapeutics Inc Multifunctional molecules that bind to t cell related cancer cells and uses thereof
AU2020224681A1 (en) 2019-02-21 2021-09-16 Marengo Therapeutics, Inc. Antibody molecules that bind to NKp30 and uses thereof
AU2020224154B2 (en) 2019-02-21 2025-05-08 Marengo Therapeutics, Inc. Multifunctional molecules that bind to calreticulin and uses thereof
CN114126714A (zh) 2019-02-21 2022-03-01 马伦戈治疗公司 抗tcr抗体分子及其用途
EP4084821A4 (en) 2020-01-03 2024-04-24 Marengo Therapeutics, Inc. Multifunctional molecules that bind to cd33 and uses thereof
WO2021217085A1 (en) 2020-04-24 2021-10-28 Marengo Therapeutics, Inc. Multifunctional molecules that bind to t cell related cancer cells and uses thereof
EP4146271A4 (en) 2020-05-06 2024-09-04 Dragonfly Therapeutics, Inc. PROTEINS THAT BIND NKG2D, CD16 AND CLEC12A
IL300528A (en) 2020-08-07 2023-04-01 Fortis Therapeutics Inc Immune conjugates targeting cd46 and methods of using them
GB2616354A (en) 2020-08-26 2023-09-06 Marengo Therapeutics Inc Methods of detecting TRBC1 or TRBC2
CN116249718A (zh) 2020-08-26 2023-06-09 马伦戈治疗公司 结合至钙网蛋白的多功能性分子及其用途
KR20230074144A (ko) 2020-08-26 2023-05-26 마렝고 테라퓨틱스, 인크. NKp30에 결합하는 항체 분자 및 이의 용도
JP2024508894A (ja) 2021-03-03 2024-02-28 ドラゴンフライ セラピューティクス, インコーポレイテッド Nkg2d、cd16、及び腫瘍関連抗原に結合する多特異性結合タンパク質を使用して癌を治療する方法
CN117729942A (zh) 2021-03-08 2024-03-19 伊缪诺金公司 用于增加靶向adam9的免疫缀合物治疗癌症的功效的方法
CA3214757A1 (en) 2021-04-08 2022-10-13 Andreas Loew Multifuntional molecules binding to tcr and uses thereof
WO2024229043A2 (en) * 2023-05-01 2024-11-07 The Regents Of The University Of California Ectonucleotide pyrophosphatase phosphodiesterase 1 (enpp1)-binding variable heavy (vh) domains

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011508604A (ja) * 2008-01-07 2011-03-17 アムジェン インコーポレイテッド 静電的ステアリング(electrostaticsteering)効果を用いた抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための方法
WO2013005194A2 (en) * 2011-07-07 2013-01-10 Centre National De La Recherche Scientifique Multispecific antibodies

Family Cites Families (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1994004690A1 (en) 1992-08-17 1994-03-03 Genentech, Inc. Bispecific immunoadhesins
US5731168A (en) 1995-03-01 1998-03-24 Genentech, Inc. Method for making heteromultimeric polypeptides
US20020062010A1 (en) 1997-05-02 2002-05-23 Genentech, Inc. Method for making multispecific antibodies having heteromultimeric and common components
ES2528794T3 (es) 2000-04-11 2015-02-12 Genentech, Inc. Anticuerpos multivalentes y usos de los mismos
WO2006106905A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-12 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha 会合制御によるポリペプチド製造方法
JP5011277B2 (ja) 2005-04-06 2012-08-29 アイビーシー・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド ホモダイマー、ホモテトラマーまたはダイマーのダイマーのからなる安定に連結された複合体を発生させるための方法および使用
US8349332B2 (en) 2005-04-06 2013-01-08 Ibc Pharmaceuticals, Inc. Multiple signaling pathways induced by hexavalent, monospecific and bispecific antibodies for enhanced toxicity to B-cell lymphomas and other diseases
US7612181B2 (en) 2005-08-19 2009-11-03 Abbott Laboratories Dual variable domain immunoglobulin and uses thereof
CN103073639A (zh) 2006-03-17 2013-05-01 比奥根艾迪克Ma公司 稳定的多肽组合物
AU2008296386A1 (en) 2007-08-28 2009-03-12 Biogen Idec Ma Inc. Compositions that bind multiple epitopes of IGF-1R
WO2009043051A2 (en) 2007-09-27 2009-04-02 Biogen Idec Ma Inc. Cd23 binding molecules and methods of use thereof
ES2572728T3 (es) 2009-03-20 2016-06-02 F. Hoffmann-La Roche Ag Anticuerpos anti-HER biespecíficos
ES2708124T3 (es) * 2009-04-27 2019-04-08 Oncomed Pharm Inc Procedimiento para preparar moléculas heteromultiméricas
GB201005063D0 (en) 2010-03-25 2010-05-12 Ucb Pharma Sa Biological products
CN102770456B (zh) 2009-12-04 2018-04-06 弗·哈夫曼-拉罗切有限公司 多特异性抗体、抗体类似物、组合物和方法
ES2592385T3 (es) * 2009-12-29 2016-11-29 Aptevo Research And Development Llc Proteínas de unión a heterodímeros y usos de los mismos
US20130061342A1 (en) 2011-09-02 2013-03-07 Stem Centrx, Inc. Identification and Enrichment of Cell Subpopulations
WO2013119964A2 (en) 2012-02-08 2013-08-15 Stem Centrx, Inc. Identification and enrichment of cell subpopulations
SG10201506767QA (en) 2010-09-03 2015-10-29 Stemcentrx Inc Identification and enrichment of cell subpopulations
US20130061340A1 (en) 2011-09-02 2013-03-07 Stem Centrx, Inc. Identification and Enrichment of Cell Subpopulations
US9778264B2 (en) 2010-09-03 2017-10-03 Abbvie Stemcentrx Llc Identification and enrichment of cell subpopulations
DK2621526T3 (en) 2010-09-29 2018-08-06 Agensys Inc ANTIBODY-PHARMACEUTICAL CONJUGATES (ADC) BINDING TO 191P4D12 PROTEINS
CN108341868B (zh) 2010-11-05 2022-06-07 酵活有限公司 在Fc结构域中具有突变的稳定异源二聚的抗体设计
AR084208A1 (es) 2010-12-08 2013-05-02 Stem Centrx Inc Moduladores del ligando de efrina a (efna) y metodos para su uso
WO2012162583A1 (en) 2011-05-26 2012-11-29 Ibc Pharmaceuticals, Inc. Design and construction of novel multivalent antibodies
US20130058947A1 (en) 2011-09-02 2013-03-07 Stem Centrx, Inc Novel Modulators and Methods of Use
CA2853230C (en) * 2011-10-31 2021-11-23 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha Antigen-binding molecule having regulated conjugation between heavy-chain and light-chain
UY35148A (es) * 2012-11-21 2014-05-30 Amgen Inc Immunoglobulinas heterodiméricas
SG11201601424PA (en) 2013-08-28 2016-03-30 Stemcentrx Inc Site-specific antibody conjugation methods and compositions
EP3209334A2 (en) 2014-10-20 2017-08-30 Igenica Biotherapeutics, Inc. Novel antibody-drug conjugates and related compounds, compositions, and methods of use

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011508604A (ja) * 2008-01-07 2011-03-17 アムジェン インコーポレイテッド 静電的ステアリング(electrostaticsteering)効果を用いた抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための方法
WO2013005194A2 (en) * 2011-07-07 2013-01-10 Centre National De La Recherche Scientifique Multispecific antibodies

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190016942A (ko) * 2016-03-25 2019-02-19 바이오뮤넥스 파마슈티컬스 Cd38 및 pd-l1에 대한 결합 분자
JP2019516396A (ja) * 2016-03-25 2019-06-20 ビオミューネクス・ファルマシューティカルBiomunex Pharmaceuticals Cd38及びpd−l1に対する結合分子
KR102361412B1 (ko) 2016-03-25 2022-02-09 바이오뮤넥스 파마슈티컬스 Cd38 및 pd-l1에 대한 결합 분자
JP2022116166A (ja) * 2016-03-25 2022-08-09 ビオミューネクス・ファルマシューティカル Cd38及びpd-l1に対する結合分子
US11505616B2 (en) 2016-03-25 2022-11-22 Biomunex Pharmaceuticals Binding molecules to CD38 and PD-L1
JP7529401B2 (ja) 2016-03-25 2024-08-06 ビオミューネクス・ファルマシューティカル Cd38及びpd-l1に対する結合分子
US12054550B2 (en) 2016-04-28 2024-08-06 Biomunex Pharmaceuticals Bispecific antibodies targeting EGFR and HER2
JP2020515253A (ja) * 2017-03-27 2020-05-28 ビオミューネクス・ファルマシューティカルBiomunex Pharmaceuticals 安定な多重特異性抗体
US11560437B2 (en) 2017-03-27 2023-01-24 Biomunex Pharmaceuticals Stable multispecific antibodies
JP2023175760A (ja) * 2017-03-27 2023-12-12 ビオミューネクス・ファルマシューティカル 安定な多重特異性抗体
JP7432365B2 (ja) 2017-03-27 2024-02-16 ビオミューネクス・ファルマシューティカル 安定な多重特異性抗体
JP2023515807A (ja) * 2020-02-20 2023-04-14 ウィン セラピューティクス, インコーポレイテッド 二重特異性のgd2およびb7h2結合分子ならびに使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP2954056A1 (en) 2015-12-16
HK1218930A1 (zh) 2017-03-17
US10047163B2 (en) 2018-08-14
CA2900764A1 (en) 2014-08-14
WO2014124326A1 (en) 2014-08-14
US20150368352A1 (en) 2015-12-24
EP2954056A4 (en) 2016-09-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10047163B2 (en) Multispecific constructs
JP7530299B2 (ja) 抗cd3抗体及びその使用
CN111601825B (zh) 全人源的抗b细胞成熟抗原(bcma)单链抗体及其应用
TWI830151B (zh) 抗GPRC5DxBCMAxCD3三特異性抗體及其用途
CN108350084B (zh) 新的间皮素抗体和包含其的组合物
US9884921B2 (en) Bispecific heterodimeric diabodies and uses thereof
JP2021524250A (ja) Psma結合剤及びその使用
WO2017148424A1 (zh) 一种pdl-1抗体、其药物组合物及其用途
JP7257971B6 (ja) 抗cd40抗体、その抗原結合フラグメント、およびその医学的使用
JP2017514458A (ja) Lg4−5に対して特異的な抗−ラミニン4抗体
JP2021501569A (ja) Pdl1を標的とする抗体及びそれを用いる方法
CN115698072A (zh) 抗gpc3抗体,抗gpc3嵌合抗原受体和gpc3/cd3双特异性抗体
WO2015095766A2 (en) Novel anti-lingo1 antibodies and methods of use
EP4301784A1 (en) Antibodies against claudin-6 and uses thereof
JP2023544140A (ja) 新規の抗クローディン18抗体
WO2024234019A2 (en) Trop2 antibodies
TW202323285A (zh) 抗cldn18.2抗體及其用途
CN118019763A (zh) 靶向cldn18.2的抗体、双特异性抗体及其应用
CN107250162A (zh) 新的人源化adam17抗体
KR20250143344A (ko) 항-cdh6 항체 및 이의 용도
HK40054516A (en) Novel mesothelin antibody and composition comprising the same
WO2025126102A1 (en) Enpp3 × cd3 bispecific antibodies and use thereof
WO2025146128A1 (zh) 抗liv-1的抗体及其用途
CN120659810A (zh) 抗cdh6的抗体及其用途
HK40052977A (en) Anti-cd3 antibodies and uses thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20161020

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20161027

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180508

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20181204