JP2018075257A - 止血器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】止血器具とは別体の専用の器具を使用することなく、止血すべき部位に付与する押圧力を経時的かつ自動的に減少させることが可能な止血器具を提供する。【解決手段】止血器具10は、手首の穿刺部位に巻きつけるための帯体20と、帯体を手首に巻きつけた状態で固定する面ファスナー30と、帯体に連結され、かつ、穿刺部位を押圧する押圧部40と、押圧部の穿刺部位に対する押圧力を制御できるように、押圧部の穿刺部位に対する移動を制御する制御機構50と、を備え、制御機構は、押圧部に力を伝達し、かつ、渦巻き状のバネ部材を有するゼンマイ機構60と、回転操作に伴いバネ部材に力を付与する操作部70と、を有している。【選択図】図2
Description
本発明は、穿刺した部位を圧迫して止血するための止血器具に関する。
近年、腕や脚等の血管を穿刺し、穿刺部位にイントロデューサーシースを導入し、イントロデューサーシースの内腔を介してカテーテル等の医療器具を病変部に送達する、経皮的な治療・検査等が行われている。このような治療・検査等を行った場合、術者は、イントロデューサーシースを抜去した後の穿刺部位を止血する必要がある。この止血を行うために、腕や脚等の肢体に巻き付けるための帯体と、帯体を肢体に巻き付けた状態で固定する固定手段と、帯体に連結されており、流体を注入することにより拡張して、穿刺部位を圧迫する拡張部と、を備えた止血器具が知られている。
特許文献1に記載されているように、止血器具を用いる際は、一般的に、医師や看護師が、止血器具の拡張部に連通するポートに、止血器具とは別体のシリンジ等の専用の器具を接続し、当該専用の器具を用いて拡張部に流体を注入することによって、止血器具の拡張部を拡張している。また、拡張部を減圧する際にも、シリンジ等の専用の器具をポートに接続し、当該専用の器具を用いて拡張部から流体を排出している。
上記のように、止血器具とは別体の専用の器具を使用して拡張部の減圧を行う場合、医師や看護師は、専用の器具を持ち運ぶ手間や、専用の器具を止血器具に接続する手間が掛かる。また、専用の器具を紛失してしまうと、医師や看護師は、流体を排出できなくなってしまう事態が発生する可能性もある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、止血器具とは別体の専用の器具を使用することなく、止血すべき部位に付与する押圧力を経時的かつ自動的に減少させることが可能な止血器具を提供することを目的とする。
上記目的を達成する止血器具は、肢体の止血すべき部位に巻きつけるための帯体と、前記帯体を前記肢体に巻きつけた状態で固定する固定手段と、前記帯体に連結され、かつ、前記止血すべき部位を押圧する押圧部と、前記押圧部の前記止血すべき部位に対する押圧力を制御できるように、前記押圧部の前記止血すべき部位に対する移動を制御する制御機構と、を備え、前記制御機構は、前記押圧部に力を伝達し、かつ、渦巻き状のバネ部材を有するゼンマイ機構と、回転操作に伴い前記バネ部材に力を付与する操作部と、を有する。
また、上記目的を達成する止血器具は、肢体の止血すべき部位に巻きつけるための帯体と、前記帯体に連結され、かつ、前記止血すべき部位を押圧する押圧部と、前記帯体を前記肢体に巻き付けた状態で、前記帯体の長さを制御する制御機構と、を備え、前記制御機構は、前記帯体を把持する把持部と、前記把持部と連結し、かつ、渦巻き状のバネ部材を有するゼンマイ機構と、を有し、前記把持部は、前記バネ部材の動きに連動して前記帯体を把持する把持位置を可変可能に構成されている。
上記各止血器具は、制御機構が備えるゼンマイ機構のバネ部材の変形に応じて押圧部が止血すべき部位に付与する押圧力を経時的かつ自動的に減少させる。このため、医師や看護師等は、止血器具とは別体の専用の器具を使用して押圧部の押圧力を調整する必要がなくなるため、止血器具を使用した処置を容易かつ円滑に実施することができる。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態およびその変形例を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
図1〜図9を参照して、第1実施形態に係る止血器具10を説明する。図1〜図6は、止血器具10の各部の説明に供する図である。図7〜図9は、止血器具10の使用例の説明に供する図である。
図1〜図9を参照して、第1実施形態に係る止血器具10を説明する。図1〜図6は、止血器具10の各部の説明に供する図である。図7〜図9は、止血器具10の使用例の説明に供する図である。
本実施形態に係る止血器具10は、図1および図8に示すように、治療・検査等を行うカテーテル等を血管内に挿入する目的で、手首W(「肢体」に相当)の橈骨動脈Rに形成された穿刺部位P(「止血すべき部位」に相当)に留置していたイントロデューサーシースを抜去した後、その穿刺部位Pを止血するために使用するものである。
止血器具10は、図1〜図3に示すように、手首Wの穿刺部位Pに巻きつけるための帯体20と、帯体20を手首Wに巻きつけた状態で固定する面ファスナー30(「固定手段」に相当)と、穿刺部位Pを押圧する押圧部40と、押圧部40の穿刺部位Pに対する押圧力を制御できるように、押圧部40の穿刺部位Pに対する移動を制御する制御機構50と、を有している。
なお、本明細書中では、帯体20を手首Wに巻き付けた状態のとき、手首Wの体表面に向かい合う側の面(装着面)を「内面」と称し、その反対側の面を「外面」と称する。
帯体20は、可撓性を備える帯状の部材によって構成しているベルト21と、ベルト21よりも硬度の高い支持板22と、を備えている。
ベルト21は、図8に示すように、手首Wの外周を略一周するように巻き付けられる。図2に示すように、ベルト21の中央部には、支持板22を保持する支持板保持部21aが形成されている。支持板保持部21aは、外面側(または内面側)に別個の帯状の部材が融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着(接着剤や溶媒による接着)等の方法によって接合されることにより、二重になっており、これらの隙間に挿入された支持板22を保持する。
ベルト21の図1中の左端付近の部分の外面側には、一般にマジックテープ(登録商標)などと呼ばれる面ファスナー30の雄側(または雌側)31が配置されており、ベルト21の図1中の右端付近の部分の内面側には、面ファスナー30の雌側(または雄側)32が配置されている。図8に示すようにベルト21を手首Wに巻き付け、雄側31および雌側32が接合することにより、帯体20が手首Wに装着される。なお、帯体20を手首Wに巻き付けた状態で固定する手段は、面ファスナー30に限らず、例えば、スナップ、ボタン、クリップ、またはベルト21の端部を通す枠部材であってもよい。
ベルト21の構成材料は、可撓性を備える材料であれば特に限定されない。そのような材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。
また、ベルト21において少なくとも押圧部40と重なっている部分は、実質的に透明であることが好ましいが、透明に限定されず、半透明または有色透明であってもよい。
支持板22は、図2に示すように、ベルト21の二重に形成された支持板保持部21aの間に挿入されることによりベルト21に保持されている。支持板22は、その少なくとも一部が内面側(装着面側)に向かって湾曲した板形状をなしている。支持板22は、ベルト21よりも硬質な材料で構成されており、ほぼ一定の形状を保つようになっている。
支持板22は、ベルト21の長手方向に長い形状をなしている。この支持板22の長手方向における中央部22aは、ほとんど湾曲せずに平板状になっており、この中央部22aの両側には、それぞれ、内周側に向かって、かつ、ベルト21の長手方向(手首Wの周方向)に沿って湾曲した第1湾曲部22b(図2の左側)および第2湾曲部22c(図2の右側)が形成されている。
支持板22の構成材料は、例えば、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(特に硬質ポリ塩化ビニル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
支持板22は、ベルト21と同様に、押圧部40と重なる部分が実質的に透明であることが好ましいが、透明に限定されず、半透明または有色透明であってもよい。なお、支持板22は、中央部22aのような湾曲していない部分を有さないもの、すなわち、その全長にわたり湾曲しているものであってもよい。
次に、押圧部40および制御機構50について説明する。
押圧部40は、図8に示すように、手首Wの穿刺部位Pを押圧することにより、穿刺部位Pを圧迫して止血する。制御機構50は、押圧部40が穿刺部位Pを圧迫する圧迫力が経時的に減少するように、穿刺部位Pに対する押圧部40の移動を制御する。
押圧部40は、図2に示すように、後述するラック−ピニオン機構を構成するラック部47と一体的に構成されている。
押圧部40は、手首Wに向かい合う側の面に穿刺部位Pを押圧する押圧面40aが形成された略直方体の形状を有している。なお、押圧部40の形状は、穿刺部位Pを押圧可能であれば特に限定されず、例えば、球形、湾曲した部分を一部に有する形状、立方体等の形状であってもよい。
押圧部40は、例えば、手首Wの体表面に押圧部40が触れても痛みが生じることのないような可撓性を備える材料で形成されていることが好ましい。このような材料として、例えば、軟質の樹脂材料、スポンジ状の物質、弾性材料、各種のゴム、前述した帯体20の構成材料と同様のもの等を用いることができる。また、例えば、袋状の部材内に流体やゲル等を封入したものを押圧部40として用いることも可能である。
本実施形態のように押圧部40がラック部47と一体的に構成される場合、例えば、押圧部40は、ラック部47の手首W側に位置する端部に接着、融着、溶着等の方法で取り付けることができる。
図3および図4に示すように、制御機構50は、押圧部40との間で機械的な動力を伝達するゼンマイ機構60、歯車群80、およびラック−ピニオン機構(ラック部47およびピニオン部87)と、ゼンマイ機構60を操作するための操作部70と、所定の調整機構90と、を有している。
押圧部40は、歯車群80およびラック−ピニオン機構を介して、ゼンマイ機構60と機械的に連結されている。後述するように、制御機構50は、ゼンマイ機構60が備えるバネ部材61の変形に伴って発生する動力を利用して押圧部40を移動させる。
図2および図3に示すように、帯体20の外面には、制御機構50の各構成部材を収容するケース55を配置している。ケース55内には、ゼンマイ機構60、歯車群80、ピニオン部87、ラック部47の一部、および調整機構90が配置されている。
ケース55は、内部に制御機構50の各部材を収容可能な空間を有する箱型の部材で構成している。図3に示すように、ケース55の上面(帯体20の外面と向かい合わない側の面)には、操作部70をケース55内に挿入するための開口部56が形成されている。なお、ケース55の材質、大きさ、形状、帯体20への取り付け方法等について特に制限はない。
図2に示すように、ラック部47の押圧部40が配置された側の一端部付近は、ケース55の底面(ケース55において帯体20の外面に向かい合う側の面)から突出している。また、このラック部47の一端部付近は、帯体20に形成された孔部20aを介して帯体20を貫通している。
制御機構50の備えるゼンマイ機構60について説明する。
ゼンマイ機構60は、図4、図5(A)、図5(B)に示すように、渦巻き状のバネ部材61と、バネ部材61が巻き締められる支持軸62と、バネ部材61を収容する回転体63と、を有している。
図5(A)および図6(A)に示すように、バネ部材61は、支持軸62の軸心を中心にして渦巻き状に延在している。バネ部材61の一端部61aは、固定部64aを介して支持軸62に固定されている。また、バネ部材61の巻き締め方向において、バネ部材61の一端部61aと反対側に位置するバネ部材61の他端部61bは、回転体63の内部に配置された規制壁63cと固定部64bを介して固定されている。バネ部材61の他端部61bは、巻き締め方向(図6(A)に示す時計周りの方向)と反対側に折り返すように折り曲げ形状が付与されている。なお、バネ部材61の長さ、材質、形状等について特に制限はない。
図5(A)および図5(B)に示すように、支持軸62は、回転体63および回転体63に取り付けた第1伝達歯車81を高さ方向に貫通している。支持軸62は、回転体63の平面視において、回転体63の略中心位置に配置されている。
回転体63は、操作部70が備える凸部72bが挿入される溝部63aと、バネ部材61を収容可能な空間部63bと、バネ部材61の他端部61bが固定される規制壁63c(図6(A)を参照)と、を有している。
回転体63の空間部63bの底部側(図5(A)に示す下方側)には、バネ部材61を収容している。回転体63は、底部側および溝部63aが形成された上部側(図5(A)に示す上方側)の各々が略円柱形状に形成されている。回転体63の底部側は、回転体63の上部側に比べて外径および内径が大きく形成されている。
回転体63の溝部63aは、上部側の幅が小さく形成されており、下部側の幅が上部側の幅よりも大きく形成されている。溝部63aは、当該溝部63aに対して上部側から略鉛直方向に沿って操作部70が近づけるように移動されると、当該溝部63a内に操作部70の凸部72bを挿入させる。回転体63は、溝部63aの下部側まで操作部70の凸部72bが挿入された状態で操作部70が回転されると、操作部70の凸部72bと溝部63a周囲の壁部との突き当たりにより、操作部70の回転に連動して回転する。
なお、溝部63aの形状、大きさ、個数等は特に制限されない。また、図示省略するが、本実施形態においては、溝部63aは、回転体63の周方向に沿って3つ形成している。このように複数の溝部63aを回転体63に形成することにより、操作部70から回転体63へ回転力を円滑に伝達することが可能になるとともに、回転体63から操作部70が不用意に脱落等するのを防止することが可能になる。
本実施形態において、支持軸62は、帯体20に取り付けた(連結した)ケース55に対して固定している。図5(A)に示すように、回転体63は、回転体63を貫通した支持軸62との間に隙間g1を隔てて配置されている。また、回転体63に取り付けた第1伝達歯車81は、回転体63と同様に、第1伝達歯車81を貫通した支持軸62との間に隙間g2を隔てて配置されている。これにより、回転体63および第1伝達歯車81は、支持軸62を回転中心として支持軸62の周囲を回転可能である。
なお、回転体63は、ケース55内において回転可能となるように、例えば、ケース55内に配置される台座等の保持部材(図示省略)やケース55に形成される溝等(図示省略)に配置することができる。また、例えば、回転体63の回転および第1伝達歯車81の回転に連動して支持軸62が回転するのを防止するための機構として、所定の軸受け(例えば、ボールベアリングや流体軸受け)を使用することが可能である。上記軸受けを使用して、支持軸62と回転体63との間に所定の隙間g1を保ちつつ、支持軸62と第1伝達歯車81との間に所定の隙間g2を保つことにより、支持軸62が回転体63の回転および第1伝達歯車81の回転に連動して回転するのを好適に防止することが可能になる。
バネ部材61は、後述する操作部70を使用した回転体63の回転操作(巻き締め操作)により、支持軸62に巻き締めることができる。第1伝達歯車81は、回転体63と連結されているため、回転体63の回転操作に連動して回転する。
図6を参照して、バネ部材61の巻き締めおよび巻き締めの解除(展開)動作について説明する。
図6(A)に示すように、バネ部材61を巻き締める前は、バネ部材61は支持軸62の周囲に渦状に緩く巻き回すように配置されている。この状態から、操作部70を使用して回転体63を回転(例えば、時計周りt1方向に回転)させると、図6(B)に示すように、バネ部材61は回転体63の回転操作に伴って矢印t1’の方向に沿って支持軸62に巻き締められる。前述したように、バネ部材61は、バネ部材61の一端部61aが固定部64aを介して支持軸62に固定されており、バネ部材61の他端部61bが固定部64bを介して回転体63の規制壁63cに固定されているため、回転体63が回転すると、支持軸62に対して容易に巻き締められる。
また、上記のように操作部70を使用して回転体63を回転させると、回転体63に連結された第1伝達歯車81も回転する。第1伝達歯車81の回転は、図4に示す歯車群80を介して押圧部40の移動(穿刺部位Pへの接近移動)に変換される。
図6(C)に示すように、バネ部材61は、支持軸62に巻き締められた状態において、外部から力が付与されなくなると(操作部70による操作が解除されると)、巻き締めを解くように、つまり巻き締められる前の状態に戻るように展開する。この際、バネ部材61は、巻き締め方向と反対側に向けて折り曲げられたバネ部材61の他端部61bを図中の矢印fで示すように規制壁63cに押し付ける(バネ部材61が展開する際に生じる力の作用方向を図中の矢印t2’で示す)。回転体63は、バネ部材61の他端部61bを介してバネ部材61が生じさせた力を受けることにより、バネ部材61を巻き締める際に回転した方向と逆方向(例えば、反時計周りt2方向)に回転する。
そして、上記のようにバネ部材61の展開に連動して回転体63が回転すると、回転体63に連結された第1伝達歯車81も回転する。第1伝達歯車81の回転は、図4に示す歯車群80を介して押圧部40の移動(穿刺部位Pからの離反移動)に変換される。
図4および図5(A)に示すように、操作部70は、ゼンマイ機構60の回転体63および第1伝達歯車81を回転させる際に用いられる。操作部70は、手指等により把持がなされるつまみ部71と、つまみ部71から略鉛直に延在する本体部72と、を有している。
図5(A)に示すように、操作部70の本体部72は、支持軸62および回転体63の上部(溝部63aが形成された部分)を収容できるように中空状に形成されている。また、本体部72の下端部には、支持軸62および回転体63の上部を挿入可能な開口部72aと、開口部72aの内側に向けて突出した凸部72bが形成されている。前述したように、操作部70の凸部72bは、回転体63の溝部63a内に挿入可能である。
なお、凸部72bの形状、大きさ、個数等は特に制限されない。図示省略するが、本実施形態においては、溝部63aの個数と同数である3つの凸部72bが操作部70の本体部72に形成されている。
操作部70は、本実施形態のように回転体63に対して着脱可能に構成してもよいし、回転体63から着脱不可な構造(回転体63と一体構造)としてもよい。また、着脱構造としては、例えば、操作部70と回転体63をねじ込みで機械的に着脱させる構造等を採用することも可能である。
図4に示すように、歯車群80は、第1伝達歯車81、第2伝達歯車82、第3伝達歯車83、および第4伝達歯車84の4つの歯車を有している。
第1伝達歯車81は、回転体63に一体的に連結されており、回転体63の回転動作を第2伝達歯車82へ伝達する。
第2伝達歯車82は、第1伝達歯車81と噛み合う位置に配置されている。第3伝達歯車83は、第2伝達歯車82と一体的に構成されており、第2伝達歯車82が第1伝達歯車81から受けた回転動作を第4伝達歯車84へ伝達する。なお、第2伝達歯車82および第3伝達歯車83が形成された部材(「中間歯車」とする)は、第2伝達歯車82をなす歯部が外周面に形成された円環部と、第3伝達歯車83をなす歯部が形成された軸部と、円環部と軸部とを接続するハブ部と、を有している。
第4伝達歯車84は、ピニオン部87に形成されている。第4伝達歯車84は、ピニオン部87において第3伝達歯車83側に位置する端部に配置されている。
第3伝達歯車83および第4伝達歯車84は、はすば歯車で構成している。また、第3伝達歯車83と第4伝達歯車84は、両者の回転軸が互いに直交するように配置されている。このため、ケース55内における歯車群80のレイアウトの設計の自由度が増して、ケース55内に歯車群80を密に配置できるため、ケース55を小型することができる。
ラック−ピニオン機構を構成するラック部47とピニオン部87は、ラック部47の歯部47aおよびピニオン部87の歯部87aを介して、互いに機械的に連結されている。
図4を参照して、ゼンマイ機構60および歯車群80の動作を説明する。
医師や看護師が操作部70を使用して、ゼンマイ機構60の回転体63を矢印T方向(時計周り)に回転させると、回転体63は、矢印t1方向に回転する。前述したように、ゼンマイ機構60のバネ部材61は、回転体63の回転に伴って支持軸62に巻き締められる(図6(A)および図6(B)を参照)。
回転体63に連結された第1伝達歯車81は、回転体63が回転すると、回転体63とともに矢印t1方向に回転する。第1伝達歯車81が回転すると、第1伝達歯車81の回転は、第2伝達歯車82、第3伝達歯車83、第4伝達歯車84を介して、ピニオン部87に伝達される(各伝達歯車82、83、84の回転方向は、図中の矢印t1で示す方向)。
ピニオン部87は、歯車群80から回転が伝達されると、ピニオン部87自身が回転することにより、ラック部47を矢印dで示すように図中の下方へ移動させる。ラック部47が移動すると、ラック部47に取り付けられた押圧部40は、穿刺部位Pへ向けて接近移動する(図8を参照)。押圧部40は、押圧面40aを穿刺部位Pおよびその周辺部に押し付けることにより、穿刺部位Pに押圧力(圧迫力)を付与する。
ゼンマイ機構60のバネ部材61は、支持軸62に巻き締められた状態において、外部から力が付与されなくなると、回転体63の空間部63b内で展開する(図6(C)を参照)。回転体63および回転体63に連結された第1伝達歯車81は、バネ部材61が展開すると、矢印t2方向に回転する。また、第1伝達歯車81が回転すると、第1伝達歯車81の回転は、第2伝達歯車82、第3伝達歯車83、第4伝達歯車84を介して、ピニオン部87に伝達される(各伝達歯車82、83、84の回転方向は、図中の矢印t2で示す方向)。
ピニオン部87は、歯車群80から回転が伝達されると、ピニオン部87自身が回転することにより、ラック部47を矢印uで示すように図中の上方へ移動させる。ラック部47が移動すると、ラック部47に取り付けられた押圧部40は、穿刺部位Pから遠ざかるように離反移動する(図9を参照)。これにより、押圧部40は、押圧面40aを介した穿刺部位Pおよびその周辺部への押圧を解除する。
次に、制御機構50が備える調整機構90について説明する。
調整機構90は、ゼンマイ機構60が備えるバネ部材61の動きを制御する機能を持つ。
図4に示すように、調整機構90は、回転体63の回転を調整する調整歯車部91と、調整歯車部91の回転を制御する回転制御機構95と、を有している。なお、調整歯車部91は、一般的なゼンマイ式時計等で使用される、いわゆるガンギ車に相当する部材であり、回転制御機構95は、いわゆるテンプに相当する部材である。
調整歯車部91は、回転体63の第1伝達歯車81に噛み合う第1調整歯車92と、回転制御機構95によって回転が制御される第2調整歯車93と、を有している。
第1調整歯車92および第2調整歯車93は、一体的に構成されている。このため、第1調整歯車92の回転と第2調整歯車93の回転は連動する。
回転制御機構95は、第2調整歯車93の回転を制御することによって、第1調整歯車92の回転を制御する。また、回転制御機構95は、第1調整歯車92の回転と第2調整歯車93の回転を制御することにより、回転体63の回転を制御する。
回転制御機構95は、バネ部材61が展開して回転体63が回転する際、回転体63が一定の速度で回転するように、回転体63の回転動作を規制する。押圧部40は、回転体63の回転速度が規制されることにより、穿刺部位Pから離反移動する速度が一定の速度となるように動作する。
回転制御機構95は、第2調整歯車93の歯部に噛み合う第1調整歯96aおよび第2調整歯96bを備えた振り子体96と、振り子体96を一の方向と、一の方向とは異なる他の方向に交互に回転させる振り子バネ98と、を有している。
振り子体96において第1調整歯96aおよび第2調整歯96bが設けられる端部とは異なる側の端部には、振り子バネ98が接続されている。振り子体96は、振り子バネ98によって一の方向と、一の方向とは異なる他の方向とに交互に揺動する。振り子体96の第1調整歯96aと第2調整歯96bは、振り子体96の揺動に連動して、交互に第2調整歯車93に噛み合う。この動作によって、回転制御機構95は、第2調整歯車93の回転を制御できる。
次に、本実施形態に係る止血器具10の使用例について説明する。
図7に示すように、右手の手首Wの橈骨動脈Rに穿刺を行う場合、穿刺部位Pは、親指側へ片寄った位置にある。通常、穿刺部位Pにはイントロデューサーシースが留置されている。このイントロデューサーシースが留置されたままの状態の手首Wに帯体20を巻き付ける。この際、穿刺部位Pから離れた位置に押圧部40が配置されるように、押圧部40および帯体20を位置合わせしたうえで、面ファスナー30の雄側31および雌側32を接触させて接合し、帯体20を手首Wに装着する。止血器具10を手首Wに装着した時点では、押圧部40は、穿刺部位Pから退避した非押圧位置に配置する。
図8を参照して、医師や看護師は、帯体20を手首Wに装着した状態において押圧操作を行う。医師や看護師は、図4に示すように操作部70を使用して回転体63を回転させることによって、バネ部材61を支持軸62に巻き締める。また、回転体63を回転させると、回転体63の回転動作に連動して、押圧部40が穿刺部位Pに向かって移動する(図8中の矢印d)。医師や看護師は、押圧部40によって穿刺部位Pに所定の押圧力が付与される状態になった後、操作部70の回転を停止する。
医師や看護師は、バネ部材61の巻き締め量を調整することにより、止血開始初期において穿刺部位Pに対して付与する押圧力を所望の大きさに調整することが可能である。また、医師や看護師は、穿刺部位Pに対して過度な押圧力が付与されるような場合、操作部70を使用してバネ部材61の巻き締めを緩めることにより、押圧力を調整することも可能である。
なお、医師や看護師は、止血を開始するにあたり、操作部70を使用して回転体63を回転させる簡単な操作により押圧部40の移動とバネ部材61の巻き締めを行うことができるため、止血を開始するための準備作業を円滑かつ迅速に行うことができる。
医師や看護師は、穿刺部位Pに押圧部40を押し付けた後、穿刺部位Pからイントロデューサーシースを抜去する。
医師や看護師は、イントロデューサーシースを抜去後、操作部70を回転体63から取り外す。操作部70を回転体63から取り外すと、止血器具10は、減圧動作を開始する。
図9に示すように、減圧動作が開始すると、バネ部材61が展開して、押圧部40は穿刺部位Pから離反移動する。バネ部材61が展開する際に生じる機械的な力は、ゼンマイ機構60を介して押圧部40に伝達されるため、押圧部40の移動の制御を正確に行うことができる。したがって、止血器具10は、押圧部40が穿刺部位Pに対して付与する押圧力の減少をより精密に調整することができる。
特に、止血器具10は、流体を利用した拡張により圧迫力を付与する押圧部を備える止血器具と比較すると、押圧力の定量的な減少を容易に制御することができるうえに、動力の伝達機構が機械的な部材(例えば、成形品)を組み合わせて構成されているため、器具ごとの製品性能のばらつきに起因した減圧プロトコルの相違が生じ難い。このため、医師や看護師は、止血器具10を使用した手技に掛かる負担を大幅に低減できる。
また、バネ部材61が展開する際に生じる機械的な力は、歯車群80を介して、押圧部40の移動に変換されるため、押圧部40の移動の制御をより一層正確に行うことができる。
穿刺部位Pの止血が完了した後、止血器具10を取り外す。止血器具10は、面ファスナー30の雄側31および雌側32を剥がすことによって手首Wから取り外される。
以上のように、本実施形態に係る止血器具10は、手首Wの穿刺部位Pに巻きつけるための帯体20と、帯体20を手首Wに巻きつけた状態で固定する面ファスナー30と、帯体20に連結され、かつ、穿刺部位Pを押圧する押圧部40と、押圧部40の穿刺部位Pに対する押圧力を制御できるように、押圧部40の穿刺部位Pに対する移動を制御する制御機構50と、を備えている。そして、制御機構50は、押圧部40に力を伝達し、かつ、渦巻き状のバネ部材61を有するゼンマイ機構60と、回転操作に伴いバネ部材61に力を付与する操作部70と、を有している。
上記の止血器具10は、制御機構50が備えるゼンマイ機構60のバネ部材61の変形に応じて押圧部40が穿刺部位Pに対して付与する押圧力を経時的かつ自動的に減少させる。このため、医師や看護師は、止血器具10とは別体の専用の器具を使用して押圧部40の押圧力を調整する必要がなくなるため、止血器具10を使用した処置を容易かつ円滑に実施することができる。
また、制御機構50は、バネ部材61の動きを制御する調整機構90を有する。これにより、止血器具10は、バネ部材61が展開する際に生じる力を利用した押圧部40の移動を所定の速度に制御することが可能になるため、所望の減圧プロトコルを容易に実現することができる。
また、制御機構50は、バネ部材61の動きを、押圧部40の穿刺部位Pに対する移動に変換する歯車群80を有する。このため、制御機構50は、歯車群80を介して押圧部40の穿刺部位Pに対する移動をより正確に制御できる。したがって、止血器具10は、穿刺部位Pに対する押圧力の経時的な制御をより一層正確に行うことが可能になる。
(変形例)
図10(A)および図10(B)は、上述した実施形態の変形例に係る止血器具を示す図である。変形例の説明において前述した実施形態と実質的に同様の構成を有する部材には同一の符号を付し、説明を一部省略する。
図10(A)および図10(B)は、上述した実施形態の変形例に係る止血器具を示す図である。変形例の説明において前述した実施形態と実質的に同様の構成を有する部材には同一の符号を付し、説明を一部省略する。
変形例に係る止血器具は、制御機構50に、ゼンマイ機構60から押圧部40への力の伝達を抑制するロック機構110が備えられている。なお、図10(A)および図10(B)においては、説明の簡略化のために、制御機構50の一部の構成のみを図示している。
ロック機構110は、止血器具が減圧動作を開始するタイミングを制御する機能を持つ。具体的には、ロック機構110は、ゼンマイ機構60から押圧部40への力の伝達を抑制することにより、止血開始直後から一定期間の間に亘って押圧部40が穿刺部位Pから離反移動するのを規制する。
本変形例に係るロック機構110は、上述した制御機構50が備える各部材(ゼンマイ機構60、歯車群80、ラック部47、ピニオン部87、操作部70)と実質的に同様の構成を有する各部材(ゼンマイ機構160、歯車群180、ラック部147、ピニオン部187、操作部170)を備えている。
ただし、ロック機構110のラック部147には、歯車群80の第2伝達歯車82および第3伝達歯車83の回転を規制するための規制部148が設けられている。この規制部148以外の構成や動作については、制御機構50において説明した内容と同様であるため、説明を省略する。
図10(A)に示すように、ラック部147の規制部148は、ロック機構110側のゼンマイ機構160の回転に連動してラック部147が図中下方に移動するのに伴って第2伝達歯車82および第3伝達歯車83が設けられた中間歯車に対して引っ掛けられる。ラック部147の規制部148は、例えば、中間歯車のハブ部に対して引っ掛けられる。第2伝達歯車82および第3伝達歯車83が設けられた中間歯車は、ラック部147の規制部148が引っ掛けられている間は回転動作が規制される。これにより、押圧部40は移動が規制される。
なお、規制部148は、中間歯車の上方側から中間歯車に対して引っ掛け可能(係止可能)な屈曲したフック状の部材で構成しているが、具体的な形状や大きさ等は特に限定されない。
図10(B)に示すように、第2伝達歯車82および第3伝達歯車83が設けられた中間歯車は、ロック機構110側のゼンマイ機構160が動作して中間歯車とラック部147の規制部148との引っ掛かりが解除されると、回転動作を開始する。押圧部40は、中間歯車の回転に連動して、穿刺部位Pからの離反移動を開始する。これにより、押圧部40は、穿刺部位Pに対して付与する圧迫力を経時的に減少させる。
上記のように、制御機構50は、ゼンマイ機構60から押圧部40への力の伝達を抑制するロック機構110を有する。このため、制御機構50は、止血開始から所定時間経過後に減圧を開始するように制御を行うことが可能になる。したがって、止血器具10は、止血開始から所定時間の間は、穿刺部位Pに対する押圧力を一定に維持することができる。
なお、止血開始から一定期間の間、穿刺部位Pに対して圧迫力を維持する使用例を説明したが、例えば、止血を実施している任意のタイミングにおいてロック機構110を作動させることにより、押圧部40が穿刺部位Pに対して付与する押圧力を一定に維持するように調整してもよい。
また、変形例の説明においては、制御機構50およびロック機構110の主要部のみを示したが、その他の詳細な構造(例えば、制御機構50を収容するケース55の形状や配置)は、ロック機構110の動作を許容し得る限りにおいて特に制限されることはない。
また、ロック機構110は、ゼンマイ機構60から押圧部40への力の伝達を抑制し得る限りにおいて具体的な構造は特に限定されない。例えば、ロック機構110のラック部147の移動方向を上下方向以外の方向に移動可能とし、ラック部147が制御機構50から退避する移動に連動させてロックを解除するようにしてもよいし、ロック機構110のラック部147(またはロック機構110の他の部材)を、歯車群80の中間歯車以外の部材に引っ掛ける(機械的な連結や接続を含む)ことにより、押圧部40の移動を規制するようにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、図11〜図13を参照して、本発明の第2実施形態に係る止血器具200を説明する。第2実施形態の説明において前述した第1実施形態と実質的に同様の構成を有する部材には同一の符号を付し、説明を一部省略する。
次に、図11〜図13を参照して、本発明の第2実施形態に係る止血器具200を説明する。第2実施形態の説明において前述した第1実施形態と実質的に同様の構成を有する部材には同一の符号を付し、説明を一部省略する。
前述した第1実施形態に係る止血器具10は、制御機構50が押圧部40の移動を制御することにより、穿刺部位Pに対して押圧部40が付与する押圧力を経時的に減少するように構成している。一方、第2実施形態に係る止血器具200は、制御機構250が帯体220を手首Wに巻き付けた状態における帯体220の長さを制御することにより、穿刺部位Pに対して押圧部40が付与する押圧力を経時的に減少するように構成している。
図11〜図13に示すように、止血器具200は、手首Wの穿刺部位Pに巻きつけるための帯体220と、帯体220に連結され、かつ、穿刺部位Pを押圧する押圧部240と、帯体220を手首Wに巻き付けた状態で、帯体220の長さを制御する制御機構250と、を有している。また、制御機構250は、図12に示すように、帯体220を把持する把持部270と、把持部270と連結し、かつ、渦巻き状のバネ部材61を有するゼンマイ機構260と、バネ部材61の動きを制御する調整機構290と、を有している。
図11および図13に示すように、帯体220には、支持板225が連結されている。支持板225には、押圧部240および制御機構250を配置している。帯体220は、可撓性を備える材料で構成することができ、例えば、前述したベルト21と同様の材料で構成することができる。支持板225は、押圧部240および制御機構250を保持可能な比較的硬質な材料で構成することができ、例えば、前述した支持板22と同様の材料で構成することができる。
帯体220と支持板225は、例えば、接着や融着等の方法で連結することができる。また、支持板225は、図13(A)に示すように長手方向に直線状に延在した形状に形成することが可能であるが、例えば、前述した支持板22と同様に一部または全体が手首Wの周方向に沿って湾曲した形状であってもよい。
押圧部240は、手首Wの穿刺部位Pおよびその周辺部に対して接触可能な押圧面240aを有している。押圧部240は、例えば、前述した押圧部40と同様の材料および形状等で構成することが可能である。
次に、制御機構250について説明する。
図12に示すように、制御機構250は、ゼンマイ機構260と、歯車群280と、調整機構290と、を有している。制御機構250の基本的な構造は、前述した制御機構50と実質的に同様である。ただし、制御機構250は、バネ部材61が展開する際に生じる力を押圧部240の移動に変換するラック−ピニオン機構(ラック部47およびピニオン部187)を有していない。制御機構250は、ラック−ピニオン機構の代わりに、バネ部材61が展開する際に生じる力を帯体20の移動に変換する把持部270を有している。
図12に示すように、把持部270は、帯体220を挟み込むことによって帯体220を把持する第1ローラー271および第2ローラー272を有している。各ローラー271、272は、当該各ローラー271、272の間で帯体20が移動する動作に連動して回転することにより、帯体220を把持する把持位置を可変可能である。
第1ローラー271には、歯車群280を構成する第4伝達歯車284が形成されている。第4伝達歯車284は、第3伝達歯車83側に配置された第1ローラー271の端部に設けられている。
医師や看護師は、止血器具200を使用して止血を行うに際し、図12および図13(A)の矢印Tで示すように、帯体220を各ローラー271、272の間から引き出すように手指等により引っ張る操作を行う。第1ローラー271は、帯体220が引っ張られると、図中の矢印t1で示すように回転する。第1ローラー271が回転すると、第1ローラー271に配置された第4伝達歯車284が第1ローラー271とともに回転する。第4伝達歯車284の回転は、第3伝達歯車83、第2伝達歯車82、第1伝達歯車81を介して、ゼンマイ機構60の回転体63に伝達される(各伝達歯車81、82、83の回転方向は、図中の矢印t1で示す方向)。
ゼンマイ機構60の回転体63は、各伝達歯車81、82、83、284を介して回転が伝達されると、支持軸62を回転中心にして回転する。ゼンマイ機構60のバネ部材61は、回転体63の回転に伴い図中矢印t1’で示す方向に沿って支持軸62に巻き締められる。なお、バネ部材61が巻き締められる方向は、前述した実施形態において説明した方向と同様である(図6(A)および図6(B)を参照)。
医師や看護師は、図13(A)に示すように、帯体220において各ローラー271、272間から引き出された引き出し部221の長さを調整することにより、押圧部240が穿刺部位Pに対して付与する圧迫力を調整することができる。医師や看護師は、帯体220の引き出し部221の長さをより大きくすることにより、押圧部240を穿刺部位Pに対してより強く押し付けることが可能になる。
把持部270(第1ローラー271および第2ローラー272)は、止血器具200による止血が行われている間、帯体220を把持することにより、帯体220が手首Wに巻き付けられた状態を好適に維持する固定手段として機能する。帯体220は、把持部270により移動が制御されるため、外部から引っ張り力等が別途付与されない限り、不用意な移動が生じ難いものとなる。
医師や看護師は、止血器具200を使用した止血を開始した後、手指等による帯体220の把持を解除する。ゼンマイ機構60のバネ部材61は、手指等による帯体220の把持が解除されると、前述した実施形態において説明したのと同様に、回転体63の内部で巻き締めを解くように展開する(図6(C)を参照)。バネ部材61が展開すると、回転体63および第1伝達歯車81が回転する。第1伝達歯車81の回転は、第2伝達歯車82、第3伝達歯車83、第4伝達歯車284を介して、第1ローラー271に伝達される(各伝達歯車81、82、83、284の回転方向は、図中の矢印t1で示す方向と逆方向)。
第1ローラー271は、各伝達歯車81、82、83、284を介してバネ部材61から回転が伝達されると、図13(B)の矢印t2で示すように、帯体20を各ローラー271、272の間に引き込むように回転する。これにより、帯体20において手首Wに巻き付けられた部分の長さが長くなるため、押圧部240が穿刺部位Pに対して付与する圧迫力が減少する。帯体20において手首Wに巻き付けられた部分の長さは、バネ部材61の展開に連動して経時的に長くなるため、押圧部240が穿刺部位Pに対して付与する圧迫力は経時的に減少する。
制御機構250が備える調整機構290は、前述した実施形態の調整機構90と同様に、回転体63が所望の速度で回転するようにバネ部材61の動きを制御する。
なお、制御機構250が備える各部材は、図11および図12に示すような所定のケース255内に収容した状態で帯体220に配置することができる。
以上のように、本実施形態に係る止血器具200は、手首Wの穿刺部位Pに巻きつけるための帯体220と、帯体220に連結され、かつ、穿刺部位Pを押圧する押圧部240と、帯体220を手首Wに巻き付けた状態で、帯体220の長さを制御する制御機構250と、を備えている。制御機構250は、帯体220を把持する把持部270と、把持部270と連結し、かつ、渦巻き状のバネ部材61を有するゼンマイ機構260と、を有している。そして、把持部270は、バネ部材61の動きに連動して帯体220を把持する把持位置を可変可能に構成されている。
上記の止血器具200は、制御機構250が備えるゼンマイ機構260のバネ部材61の変形に応じて押圧部240が穿刺部位Pに対して付与する押圧力を経時的かつ自動的に減少させる。このため、医師や看護師は、止血器具200とは別体の専用の器具を使用して押圧部240の押圧力を調整する必要がなくなるため、止血器具200を使用した処置を容易かつ円滑に実施することができる。
また、制御機構250は、バネ部材61の動きを制御する調整機構290を有する。これにより、止血器具200は、バネ部材61が展開する際に生じる力を利用した押圧部240の移動を所定の速度に制御することが可能になるため、所望の減圧プロトコルを容易に実現することができる。
また、制御機構250は、バネ部材61の動きを、把持部270が帯体220を送り出す動きに変換する歯車群280を有する。このため、制御機構50は、歯車群280を介して帯体220の移動をより正確に制御できる。したがって、止血器具200は、穿刺部位Pに対する押圧力の経時的な制御をより一層正確に行うことが可能になる。
なお、第2実施形態に係る止血器具200は、第1実施形態に係る止血器具10と同様に、制御機構250にロック機構110(図10(A)および図10(B)を参照)を備えるように構成することが可能である。制御機構250にロック機構110を備えさせることにより、制御機構50は、止血開始から所定時間経過後に減圧を開始する制御を行ったり、任意のタイミングで所定時間に亘って圧迫力を一定に維持するように制御を行ったりすることが可能になる。
また、第2実施形態に係る止血器具200は、帯体20を引っ張る作業に連動させて止血開始時における回転体63の回転が行われるように構成されていた。ただし、止血器具200は、第1実施形態に係る止血器具10と同様に、操作部70等を利用して回転体63の回転がなされるように構成することも可能である。
以上、複数の実施形態および変形例を通じて本発明に係る止血器具を説明したが、本発明は説明した各構成のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、止血器具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、各実施形態において説明した調整機構は、バネ部材の動きを制御可能な構成を有するものであればよく、図示により説明した機械的な制御構造を有するものに限定されない。例えば、調整機構は、電気的な制御方法により、バネ部材の動作を制御するものであってもよい。
また、制御機構は、ゼンマイ機構に備えられるバネ部材が発生させる動力を利用して押圧部が止血すべき部位(穿刺部位)に対して付与する押圧力を経時的に減少させ得るように構成されている限りにおいて、その具体的な構成が限定されることなない。例えば、ゼンマイ機構の配置、歯車群の有無やその具体的な配置、構造等は、適宜変更することが可能である。
また、本発明は、手首に装着して使用する止血器具に限らず、脚等に装着して使用する止血器具にも適用することができる。
10 止血器具、
20 帯体、
22 支持板、
30 面ファスナー(固定手段)、
40 押圧部、
40a 押圧面、
47 ラック部、
47a ラック部の歯部、
50 制御機構、
60 ゼンマイ機構、
61 バネ部材、
62 支持軸、
63 回転体、
70 操作部、
80 歯車群、
81 第1伝達歯車、
82 第2伝達歯車、
83 第3伝達歯車、
84 第4伝達歯車、
87 ピニオン部、
87a ピニオン部の歯部、
90 調整機構、
110 ロック機構、
147 ラック部、
148 ラックのフック部、
200 止血器具、
220 帯体、
221 帯体の引き出し部、
225 支持板、
240 押圧部、
240a 押圧面、
250 制御機構、
260 ゼンマイ機構、
270 把持部、
271 第1ローラー、
272 第2ローラー、
280 歯車群、
290 調整機構、
P 穿刺部位(止血すべき部位)、
W 手首(肢体)、
R 橈骨動脈。
20 帯体、
22 支持板、
30 面ファスナー(固定手段)、
40 押圧部、
40a 押圧面、
47 ラック部、
47a ラック部の歯部、
50 制御機構、
60 ゼンマイ機構、
61 バネ部材、
62 支持軸、
63 回転体、
70 操作部、
80 歯車群、
81 第1伝達歯車、
82 第2伝達歯車、
83 第3伝達歯車、
84 第4伝達歯車、
87 ピニオン部、
87a ピニオン部の歯部、
90 調整機構、
110 ロック機構、
147 ラック部、
148 ラックのフック部、
200 止血器具、
220 帯体、
221 帯体の引き出し部、
225 支持板、
240 押圧部、
240a 押圧面、
250 制御機構、
260 ゼンマイ機構、
270 把持部、
271 第1ローラー、
272 第2ローラー、
280 歯車群、
290 調整機構、
P 穿刺部位(止血すべき部位)、
W 手首(肢体)、
R 橈骨動脈。
Claims (8)
- 肢体の止血すべき部位に巻きつけるための帯体と、
前記帯体を前記肢体に巻きつけた状態で固定する固定手段と、
前記帯体に連結され、かつ、前記止血すべき部位を押圧する押圧部と、
前記押圧部の前記止血すべき部位に対する押圧力を制御できるように、前記押圧部の前記止血すべき部位に対する移動を制御する制御機構と、を備え、
前記制御機構は、前記押圧部に力を伝達し、かつ、渦巻き状のバネ部材を有するゼンマイ機構と、回転操作に伴い前記バネ部材に力を付与する操作部と、を有する、止血器具。 - 前記制御機構は、前記バネ部材の動きを制御する調整機構を有する、請求項1に記載の止血器具。
- 前記制御機構は、前記ゼンマイ機構から前記押圧部への力の伝達を抑制するロック機構を有する、請求項1または請求項2に記載の止血器具。
- 前記制御機構は、前記バネ部材の動きを、前記押圧部の前記止血すべき部位に対する移動に変換する歯車群を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の止血器具。
- 肢体の止血すべき部位に巻きつけるための帯体と、
前記帯体に連結され、かつ、前記止血すべき部位を押圧する押圧部と、
前記帯体を前記肢体に巻き付けた状態で、前記帯体の長さを制御する制御機構と、を備え、
前記制御機構は、前記帯体を把持する把持部と、前記把持部と連結し、かつ、渦巻き状のバネ部材を有するゼンマイ機構と、を有し、
前記把持部は、前記バネ部材の動きに連動して前記帯体を把持する把持位置を可変可能に構成されている、止血器具。 - 前記制御機構は、前記バネ部材の動きを制御する調整機構を有する、請求項5に記載の止血器具。
- 前記制御機構は、前記ゼンマイ機構から前記把持部への力の伝達を抑制するロック機構を有する、請求項5または請求項6に記載の止血器具。
- 前記制御機構は、前記バネ部材の動きを、前記把持部が前記帯体を送り出す動きに変換する歯車群を有する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の止血器具。
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Cited By (10)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2016-11-10 JP JP2016220031A patent/JP2018075257A/ja active Pending
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