(5.詳細な説明)
本明細書に記載されるのは、インフルエンザウイルスに対する免疫応答(例えば、抗体応答)を誘導するための免疫付与/ワクチン接種レジメンである。具体的な態様において、該免疫付与レジメンは、対象へのキメラ血球凝集素(HA)、ヘッドレスHA、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト(例えば、HAステムドメインもしくはその断片)の投与を含む。ある態様において、該免疫付与レジメンは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ免疫原の投与も含む。
一態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスに対する対象(例えば、ヒト又は他の動物、例えば、ブタ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、及び鳥)の免疫付与/ワクチン接種のレジメンである。これらの免疫付与/ワクチン接種レジメンは、インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)ポリペプチドのステムドメインに対する極めて強力でかつ広域中和性の抗体を誘発するように設計される。具体的な実施態様において、これらの免疫付与/ワクチン接種レジメンは、インフルエンザウイルスHAポリペプチドのステムドメインに対する極めて強力でかつ広域中和性の抗体を誘発し、かつインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドに対する極めて強力な抗体を誘発するように設計される。具体的な実施態様において、該免疫付与/ワクチン接種レジメンは、ヘッドレスHA、キメラHA、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)の使用を含む。そのようなコンストラクトの例については、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、特許第8,673,314号、第9,175,069号、及び第9,051,359号、米国特許出願公開第20110027270号、第20130129761号、第20150297712号、第20130209499号、第20140328875号、第20150335729号、及び第20150132330号、並びに国際特許公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2011/103453号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号を参照されたい。ある実施態様において、該免疫付与/ワクチン接種レジメンは、NA免疫原の使用も含む。ヘッドレスHA、キメラHA、別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)、及び/又はNA免疫原は、対象(例えば、ヒト又は他の動物、例えば、ブタ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、及び鳥)に、例えば、生インフルエンザウイルス、不活化インフルエンザウイルス、ウイルス/ウイルス様粒子(「VLP」)、サブユニットワクチン、スプリットワクチン、DNAウイルス、ポリペプチドなどの様々な形態で投与することができる。任意の理論に束縛されるものではないが、キメラHA、ヘッドレスHA、又は他のHAステムドメインベースのコンストラクトの使用は、インフルエンザウイルスHAの球状ヘッドドメインの免疫優性を破壊し、かつインフルエンザウイルスの保存されたHAステムドメイン(本明細書で「ストークドメイン」と称されることもある)、及びある実施態様において、インフルエンザウイルスNAポリペプチドに対するより強い抗体応答を誘導すると考えられる。
ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含む。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含む。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)をコードする核酸配列(例えば、cDNA)を含む。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)をコードする核酸配列(例えば、cDNA)及びNA免疫原をコードする核酸配列(例えば、cDNA)を含む。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を発現するように改変された弱毒化生インフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を発現するように改変された弱毒化生インフルエンザウイルスである。ある実施態様において、キメラHAポリペプチドは、HA球状ヘッドドメイン及び/又はHAステムドメインと異種であるインフルエンザウイルスによって発現される。例えば、B型インフルエンザウイルスが、あるA型インフルエンザウイルスHA由来のHA球状ヘッドドメイン及び異種A型インフルエンザウイルス由来のHAステムドメインを含むキメラHAを発現してもよい。例えば、図9及び下記の実施例2を参照されたい。
ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又はインフルエンザウイルスHAステムドメインもしくは別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含む不活化インフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又はインフルエンザウイルスHAステムドメインもしくは別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含む不活化インフルエンザウイルスである。
ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を発現するように改変された非インフルエンザウイルスベクターである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を発現するように改変された非インフルエンザウイルスベクターである。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含む不活化非インフルエンザウイルスベクターである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含む不活化非インフルエンザウイルスベクターである。非インフルエンザウイルスベクターについては、例えば、下記の第5.9節を参照されたい。
ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含むサブユニットワクチンである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含むサブユニットワクチンである。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含むスプリットワクチンである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含むスプリットワクチンである。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含むVLPである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含むVLPである。ある実施態様において、本明細書に記載されるワクチン製剤は、アジュバントをさらに含む。
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるワクチン製剤による第1の免疫付与(例えば、一次免疫)と、それに続く、ワクチン製剤による1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与(例えば、追加免疫)を含む免疫付与レジメンである。具体的な実施態様において、該第1の免疫付与で使用されるワクチン製剤は、1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与で使用される同じ種類のワクチン製剤である。例えば、該第1の免疫付与で使用されるワクチン製剤が不活化インフルエンザウイルスワクチン製剤である場合、該1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与に使用されるワクチン製剤は、同じ種類のワクチン製剤、すなわち、不活化インフルエンザウイルスワクチン製剤であってもよい。他の具体的な実施態様において、該第1の免疫付与で使用されるワクチン製剤は、1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与で使用されるワクチン製剤の種類と異なる。例えば、該第1の免疫付与で使用されるワクチン製剤が生インフルエンザウイルスワクチン製剤である場合、該1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与に使用されるワクチン製剤は、不活化インフルエンザウイルスなどの、別の種類のワクチン製剤である。ある実施態様において、該追加の免疫付与で使用されるワクチン製剤は変化する。例えば、弱毒化生インフルエンザウイルスワクチン製剤が1回の追加の免疫付与に使用される場合、1回以上の追加の免疫付与は、不活化ワクチン製剤などの、異なるワクチン製剤を使用してもよい。例えば、下記の実施例2で論じられている、図9の免疫付与スキームを参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫付与レジメンで使用されるワクチン製剤がキメラHAを含む場合、該キメラHAのHA球状ヘッドドメインは、各々の免疫付与で変化するが、該キメラHAのHAステムドメインは同じままである。ある実施態様において、NA免疫原は、本明細書に記載されるワクチン製剤を補完するために使用される。キメラHA、ヘッドレスHA、又は別のHAステムドメインベースのコンストラクトを含むワクチン製剤を補完することの例については、例えば、図8C及び下記の実施例2を参照されたい。当業者に公知の任意の投与経路を用いて、本明細書に記載されるワクチン製剤を対象に投与することができる。例えば、鼻腔内投与の利益を記載している、下記の実施例1を参照されたい。具体的な実施態様において、弱毒化生インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に鼻腔内投与される。ある実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に筋肉内又は皮下投与される。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルスに対して免疫する方法であって:(a)該対象に、ヘッドレスHA又はキメラHAを発現するように改変された弱毒化生インフルエンザウイルスを投与すること;及び(b)一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後、該対象に、ヘッドレスHA又はキメラHAを発現するように改変された不活化インフルエンザウイルスを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、キメラHAが工程(a)及び(b)で投与される場合、工程(a)で使用されるキメラHAは、工程(b)で使用されるキメラHAと異なるHA球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、該方法は、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加のワクチン製剤を投与することを含む。具体的な実施態様において、該方法は、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加の不活化インフルエンザウイルスワクチン製剤を投与することを含む。ある実施態様において、該方法は、工程(a)及び/もしくは工程(b)の投与の前に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、もしくは1時間前に)、それと同時に、又はその後に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、もしくは1時間後に)、NA免疫原を投与することを含む。具体的な実施態様において、弱毒化生インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に鼻腔内投与される。例えば、鼻腔内投与の利益を記載している、以下の実施例1を参照されたい。ある実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に筋肉内又は皮下投与される。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルスに対して免疫する方法であって:(a)該対象に、ヘッドレスHA又はキメラHAを発現するように改変された弱毒化生インフルエンザウイルスを投与すること;及び(b)一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後、該対象に、ヘッドレスHA又はキメラHAを発現するように改変された弱毒化生インフルエンザウイルスを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、キメラHAが工程(a)及び(b)で投与される場合、工程(a)で使用されるキメラHAは、工程(b)で使用されるキメラHAと異なるHA球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、該方法は、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加のワクチン製剤を投与することを含む。具体的な実施態様において、該方法は、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加の不活化インフルエンザウイルスワクチン製剤を投与することを含む。ある実施態様において、該方法は、工程(a)及び/もしくは工程(b)の投与の前に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、もしくは1時間前に)、それと同時に、又はその後に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、もしくは1時間後に)、NA免疫原を投与することを含む。具体的な実施態様において、弱毒化生インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に鼻腔内投与される。例えば、鼻腔内投与の利益を記載している、以下の実施例1を参照されたい。ある実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に筋肉内又は皮下投与される。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルスに対して免疫する方法であって、該対象に、本明細書に記載されるワクチン製剤(例えば、ヘッドレスHA、キメラHA、又は別のHAステムドメインベースのコンストラクト(例えば、長いαヘリックス)を含むワクチン製剤)を、NA免疫原と組み合わせて投与することを含む、方法である。対象への2以上の療法の投与との関連における「組み合わせて」という用語は、複数の療法(例えば、複数の予防剤及び/又は治療剤)の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、療法が対象に投与される順序を制限しない。例えば、第1の療法(例えば、第1の予防剤又は治療剤)は、対象への第2の療法の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前に)、それと同時に、又はその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後に)投与することができる。いくつかの実施態様において、2以上の療法は、同時に又は互いの1時間以内に対象に投与される。
具体的な実施態様において、NA免疫原は、グループ1(例えば、N1、N4、N5、もしくはN8)由来のインフルエンザウイルスNA又はその断片である。別の実施態様において、NA免疫原は、グループ2(例えば、N2、N3、N6、N7、もしくはN9)由来のインフルエンザウイルスNA又はその断片である。具体的な実施態様において、NA免疫原は、B型インフルエンザウイルスNA又はその断片である。ある実施態様において、NA免疫原は、インフルエンザウイルスNA又はその断片を含む融合タンパク質である。具体的な実施態様において、NA免疫原は、可溶性インフルエンザウイルスNAタンパク質である。別の具体的な実施態様において、NA免疫原は、N末端の四量体化ドメイン及び任意に、ヘキサヒスチジンタグを有する可溶性インフルエンザウイルスNAタンパク質である。ある実施態様において、NA免疫原は、インフルエンザウイルスなどのウイルスベクターの一部である。NA免疫原は、ウイルスベクター上にもともと存在していてもよいし、又はウイルスベクターは、NA免疫原を発現するように改変されてもよい。いくつかの実施態様において、NA免疫原は、ウイルスベクターの一部ではない。
ヘッドレスHA及びキメラHAは、インフルエンザウイルスHAの共通のステムドメインに対する強い交差中和抗体を誘導するように設計される。具体的な態様において、ヘッドレスHAは、インフルエンザHAの球状ヘッドドメインの全て又は断片を欠き、かつインフルエンザウイルスHAの融合前の立体構造の安定性を維持しているポリペプチドである。具体的な実施態様において、ヘッドレスHAは:(a)HA1のN末端ステムセグメントが一定数の異種残基(例えば、1〜50の異種残基)のリンカーに共有結合し、それがさらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合したものを含む、インフルエンザウイルス血球凝集素HA1ドメインを含み;該HA1ドメインは、(b)インフルエンザウイルス血球凝集素HA2ドメインと三次又は四次結合している。ヘッドレスHAコンストラクトは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、米国特許出願公開第20130129761号、国際公開WO 2011/123495号、米国特許第9,051,359号として発行された米国特許出願公開第20100297174号、及び米国特許出願公開第20150297712号に開示されている。具体的な実施態様において、本明細書で使用されるヘッドレスHAは、米国特許出願公開第20130129761号及び国際公開WO 2011/123495号、国際公開WO 2010/117786号、及び米国特許第9,051,359号として発行された米国特許出願公開第20100297174号、及び米国特許出願公開第20150297712号に記載されているヘッドレスHAである。具体的な実施態様において、ヘッドレスHAコンストラクトは、下記の第5.3.1節に記載されるステムドメインポリペプチドである。
システイン52と277(H3付番)の間のジスルフィド結合は、HAのステムドメインと球状ヘッドドメインの間の境界線を形成する。これら2つのシステインの間のアミノ酸が膜遠位球状ヘッドドメインに属するのに対し、C52のN末端及びC277のC末端であるHAエクトドメインのアミノ酸は、ステムドメインに属する。
具体的な態様において、キメラHAポリペプチドは、インフルエンザウイルスHAステムドメイン及びインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインを含み、ここで、該インフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、インフルエンザウイルスHAステムドメインと異種である(すなわち、キメラHAポリペプチドの球状ヘッドドメインは、キメラHAポリペプチドのステムドメインと異なる株又は亜型のインフルエンザウイルスに由来するものである)。具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法に従って使用されるキメラHAは、完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号及び/もしくは米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号に記載されているキメラHAポリペプチド(例えば、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号の第3節、第5.1節、及び/もしくは第6節に記載されているキメラHA)並びに/又は完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2014/099931号及び米国特許出願公開第20140328875号に記載されているキメラHAポリペプチド(例えば、国際公開WO 2014/099931号及び米国特許出願公開第20140328875号の第3節、第5.1節、及び/又は第6節に記載されているキメラHA)である。
ヘッドレスHAコンストラクト又はキメラHAコンストラクトを設計する場合、得られるタンパク質の安定性を維持するように注意を払うべきである。これに関して、図14でAp及びAqとして特定されているシステイン残基はHAストークドメインの安定性に寄与するので、これらを維持することが推奨される。具体的な実施態様において、得られるキメラHAの安定性を維持するために、あるインフルエンザウイルスHAのHA球状ヘッドドメインを、全体として(図14に示すようにApシステイン残基とAqシステイン残基の間で)異種インフルエンザウイルスHAのHA球状ヘッドドメインと交換するが、それは、立体構造的に、それがネイティブの構造に最も近いからである。
キメラHAのインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のインフルエンザウイルスHAのヘッドドメインに基づくことができる(すなわち、それとの配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、A型インフルエンザウイルスHAの球状ヘッドドメインに基づく。いくつかの実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザウイルスHAの球状ヘッドドメインに基づく(A型インフルエンザウイルス血球凝集素H18の例については、例えば、Tongらの文献、2013. PLoS Path. 9(10): e1003657. Doi:10.1371./journal.ppat.1003657を参照されたい)。ある実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、B型インフルエンザウイルスHAの球状ヘッドドメインに基づく。いくつかの実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、B/アザラシ/ネーデルラント/1/99の球状ヘッドドメインに基づく。具体的な実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、H5、H6、H7、又はH9グループから選択されるA型インフルエンザ血球凝集素の球状ヘッドドメインに基づく。別の具体的な実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号に記載されている球状ヘッドドメイン(例えば、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号の第3節、第5.2節、及び/もしくは第6節に記載されている球状ヘッドドメイン)並びに/又は完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2014/099931号及び米国特許出願公開第20140328875号に記載されている球状ヘッドドメイン(例えば、国際公開WO 2014/099931号及び米国特許出願第20140328875号の第3節、第5.1節、及び/もしくは第6節に記載されている球状ヘッドドメイン)である。
ある実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、インフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインと関連する抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの領域)(例えば、抗原性部位A、B、C、及びD(ここで、該球状ヘッドドメインは亜型H3由来のものである)又は抗原性部位Sa、Sb、Ca、及びCb(ここで、該球状ヘッドドメインは亜型H1由来のものである))のうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの欠失を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つ、2つ、又はそれより多くの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られている球状ヘッドドメインの領域)の欠失を含むキメラHAのインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインである。当業者は、当技術分野で公知であるか又は当業者に公知かつ本明細書に記載の技術を用いて後に同定されるインフルエンザヘッドドメインの抗原性領域(例えば、エピトープ)を容易に決定することができる。
ある実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの異種抗原性領域を含む。一実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、異なるインフルエンザウイルス株又は亜型(例えば、集団の全体又は一部が感作されていないインフルエンザウイルス株又は亜型)のHA由来の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの抗原性領域を含む。具体的な実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、キメラHAの球状ヘッドドメイン又はステムドメインと同じ又は異なる亜型のインフルエンザウイルスNA由来の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの抗原性領域を含む。この実施態様によれば、該1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのNA抗原性領域は、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのHA抗原性領域に取って代わることができる。別の具体的な実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、NAの酵素活性部位中の残基222と残基230(N2付番)の間にある、アミノ酸配列
を含む。ある実施態様において、このアミノ酸配列は、キメラHAのHA球状ヘッドドメインの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの抗原性領域に取って代わる。例えば、該アミノ酸配列は、抗原性部位A、B、C、及びD(ここで、該球状ヘッドドメインは亜型H3由来のものである)のうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くに取って代わることができる。別の例において、該アミノ酸配列は、抗原性部位Sa、Sb、Ca、及びCb(ここで、該球状ヘッドドメインは亜型H1由来のものである)のうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くに取って代わることができる。
いくつかの実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、インフルエンザウイルス球状ヘッドドメインと関連する抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの領域)のうちの1つ又は複数の代わりに、非抗原性ポリペプチド配列(例えば、免疫応答を誘導しないことが知られているか又はインフルエンザに特異的でない免疫応答を生じさせることが知られているポリペプチド配列)を含む。ある実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、例えば、完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号に記載されているような、追加の又は修飾されたグリコシル化部位を含む。
キメラHAのインフルエンザウイルスHAステムドメインは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のインフルエンザウイルスHAのヘッドドメインに基づくことができる(すなわち、それに対する配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、キメラHAのインフルエンザHAステムドメインは、A型インフルエンザウイルスHAのステムドメインに基づく。いくつかの実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHAステムドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザウイルスHAのステムドメインに基づく。具体的な実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHAステムドメインは、国際公開WO 2013/043729号に記載されているステムドメイン(例えば、国際公開WO 2013/043729号の第3節、第5.3節、及び/もしくは第6節に記載されているステムドメイン)又は国際公開WO 2014/099931号に記載されているステムドメイン(例えば、国際公開WO 2014/099931号の第3節、第5.1節、及び/又は第6節に記載されているステムドメイン)である。具体的な実施態様において、キメラHAのHAステムドメインは、A型インフルエンザウイルスH1もしくはH3のステムドメイン、又はB型インフルエンザウイルスのステムドメインである。ある実施態様において、キメラHAのインフルエンザウイルスHAステムドメインは、例えば、完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号に記載されているように、並びに/又は当技術分野で公知の脱グリコシル化技術(例えば、脱グリコシル化剤)を用いて、脱グリコシル化される。
核酸、並びにキメラHA、ヘッドレスHA、及び他のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト(例えば、HAステムドメイン又はその断片)を産生し、発現させる方法は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開第20100297174号、米国特許出願公開第20130129761号、米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号、国際公開WO 2013/043729号、国際公開WO 2013/043729号、米国特許出願公開第20140328875号、米国特許第8,673,314号、米国特許出願公開第20130209499号、及び国際公開WO 2014/099931号に記載されている。本明細書に開示される免疫付与レジメンとの関連で使用し得るワクチン製剤/免疫原性組成物及びそれらを産生する方法の例は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開第20100297174号、米国特許出願公開第20130129761号、米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号、国際公開WO 2013/043729号、米国特許出願公開第20140328875号、米国特許第8,673,314号、米国特許出願公開第20130209499号、及び国際公開WO 2014/099931号に記載されている。さらに、本明細書に開示される免疫付与レジメンとの関連で使用し得る様々なワクチン製剤/免疫原性組成物の投与の様式及びその投与ための投薬量の例は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開第20100297174号、米国特許出願公開第20130129761号、米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号、国際公開WO 2013/043729号、米国特許出願公開第20140328875号、米国特許第8,673,314号、米国特許出願公開第20130209499号、及び国際公開WO 2014/099931号に記載されている。さらに、ワクチン製剤/免疫原性組成物を投与し得る対象の例は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開第20100297174号、米国特許出願公開第20130129761号、米国特許公開第20150132330号として公開された米国特許出願第14/345,816号、国際公開WO 2013/043729号、米国特許出願公開第20140328875号、米国特許第8,673,314号、米国特許出願公開第20130209499号、及び国際公開WO 2014/099931号に記載されている。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、季節性インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原と組み合わせて投与することを含む免疫付与レジメンである。例えば、季節性ワクチンをNA免疫原で補完することの例については、図8E及び下記の実施例2を参照されたい。別の態様において、本明細書に提供されるのは、NA免疫原を投与することを含む免疫付与レジメンである。NA免疫原による免疫付与の例については、図8D及び下記の実施例2を参照されたい。ある実施態様において、NA免疫原は、1以上の天然のグリコシル化部位を欠き、並びに/又は(例えば、グリコシル化部位を除去することにより及び/もしくは脱グリコシル化剤を用いて)脱グリコシル化されている。
ある実施態様において、NA免疫原又はNA免疫原を含む本明細書に記載されるワクチン製剤は、同じ亜型内の異種ウイルスに対して交差防御性である免疫応答(例えば、抗体応答)を誘導する。例えば、そのような交差防御抗体を記載している、下記の実施例1を参照されたい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるワクチン製剤は、亜型及び/又は同じグループ内の1つ、2つ、又はそれより多くのインフルエンザウイルスに対して交差防御性である免疫応答(例えば、抗体応答)を誘導する。
(5.1 キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)
本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド及びインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である(例えば、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド及び該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドが異なるインフルエンザウイルス血球凝集素亜型に由来する)、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、下記の第5.2節、並びに引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されている。安定なヘッドレスステムドメインを形成することができるインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、下記の第5.3節、並びに引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されている。
全長インフルエンザ血球凝集素は、通常、HA1ドメイン及びHA2ドメインを含む。ステムドメインは、HA1ドメインの2つのセグメント及びHA2ドメインの大部分又は全てによって形成される。HA1ドメインの2つのセグメントは、一次配列において、球状ヘッドドメインによって分離されている(例えば、図14のApと表記されている残基とAqと表記されている残基の間のアミノ酸残基を参照されたい)。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、そのような構造を維持する。すなわち、ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、HA1ドメイン及びHA2ドメイン、並びにHA1ドメインの2つのセグメントを(一次配列において)分離する球状ヘッドドメインから構成される安定なステム構造を含み、ここで、該球状ヘッドドメインは、HA1ドメイン及びHA2ドメインの他のセグメントによって形成されるステムドメインと異種である。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、(i)本明細書に(例えば、下記の第5.3節を参照)、もしくは引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されているインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド、又は任意の既知の種もしくは亜型のインフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド(例えば、任意の野生型インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド、例えば、下記の第5.8節に記載されているインフルエンザウイルスの血球凝集素のステムドメイン)並びに(ii)本明細書に(例えば、下記の第5.2節及び第5.4.2節を参照)、もしくは引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されているインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド、又は任意の既知の種もしくは亜型のインフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド(例えば、任意の野生型インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド)を含むか、或いはそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、A型インフルエンザウイルス亜型H1のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドでも、A型インフルエンザウイルスH3のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドでもない。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、A型インフルエンザウイルス亜型H2のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドではない。ある実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、A型インフルエンザウイルス亜型H5のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドではない。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)本明細書に(例えば、下記の第5.3節及び第5.4.1節を参照)、もしくは引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されているインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド、又は任意の既知の種もしくは亜型のインフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド(例えば、任意の野生型インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド)並びに(ii)A型インフルエンザウイルス亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、或いはそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)本明細書に(例えば、下記の第5.3節及び第5.4.1節を参照)、もしくは引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されているインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド、又は任意の既知の種もしくは亜型のインフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド(例えば、任意の野生型インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド)並びに(ii)A型インフルエンザウイルス亜型H4、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、或いはそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルス亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド;並びに(ii)本明細書に(例えば、下記の第5.2節及び第5.4.2節を参照)、もしくは引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されているインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド、又は任意の既知の種もしくは亜型のインフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド(例えば、任意の野生型インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド)を含むか、或いはそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルス亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド;及び(ii)A型インフルエンザウイルス亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)本明細書に(例えば、下記の第5.3節及び第5.4.1節を参照)、もしくは引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されているインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド、又は任意の既知の種もしくは亜型のインフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド(例えば、任意の野生型インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド)並びに(ii)鳥インフルエンザウイルス亜型H1、H2、又はH3由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、或いはそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)本明細書に(例えば、下記の第5.3節及び第5.4.1節を参照)、もしくは引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されているインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド、又は任意の既知の種もしくは亜型のインフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド(例えば、任意の野生型インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド)並びに(ii)ウマインフルエンザウイルス亜型H3由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、或いはそれられからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、H16、H17、又はH18のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものでも、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものでも、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものでもない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H4、H7、H10、H14、又はH15のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものでも、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものでも、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものでもない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものでも、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものでも、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものでもない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)B型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)B型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものでも、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものでも、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものでもない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)B型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)B型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/カリフォルニア/7/2009(H1)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、又はH16のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/カリフォルニア/7/2009(H1)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H4のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H6のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H7のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H8のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H9のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H10のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H11のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H12のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H13のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H14のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H15のA型インフルエンザウイルス由来のものである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H16のA型インフルエンザウイルス由来のものである。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/ブリスベン/59/2007様(H1)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、又はH16のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/サウスカロライナ/1918(H1)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、又はH16のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/USSR/92/1977(H1)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、又はH16のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/カリフォルニア/04/2009(H1)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、又はH16のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/パース/16/2009(H3)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H4、H7、H10、H14、又はH15のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、A/ベトナム/1203/04(H5)由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H7のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、A/アルバータ24/01(H7)由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/ブリスベン/10/2007様(H3)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H4、H7、H10、H14、又はH15のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/香港/1/1968(H3)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H4、H7、H10、H14、又はH15のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/カリフォルニア/1/1988(H3)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H4、H7、H10、H14、又はH15のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/アンアーバー/6/60(H2)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H4、H7、H10、H14、又はH15のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)A型インフルエンザウイルスA/プエルトリコ/8/1934(H1)由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及び(ii)亜型H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18のA型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含むか、又はそれらからなり、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドが該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1、H2、H4、H5、H6、H7、H9、H10、H14、又はH15のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1、H2、H5、H6、又はH9のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H1のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H2のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H3のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものではない。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H5のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、A/ベトナム/1203/04(H5)由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H6のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、A/マガモ/スウェーデン/81/02(H6)由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、亜型H9のA型インフルエンザウイルス由来のものである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、A/ホロホロチョウ/香港/WF10/99(H9)由来のものである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、(i)H1亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素のステムドメイン及び(ii)H5亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素の球状ヘッドドメインを含む(本明細書で「cH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド」とも称される)。具体的な実施態様において、cH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/カリフォルニア/4/2009(H1N1)HAのステムドメイン(又はA/カリフォルニア/4/2009様インフルエンザウイルスHAのステムドメイン)である。別の具体的な実施態様において、cH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/カリフォルニア/4/2009(H1N1)HAのステムドメイン(又はA/カリフォルニア/4/2009様インフルエンザウイルスHAのステムドメイン)であり、かつcH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/カリフォルニア/4/2009(H1N1)HAのステムドメイン(又はA/カリフォルニア/4/2009様インフルエンザウイルスHAのステムドメイン)であり、かつcH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドネシア/5/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/カリフォルニア/4/2009(H1N1)HAのステムドメイン(又はA/カリフォルニア/4/2009様インフルエンザウイルスHAのステムドメイン)であり、かつcH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/安徽/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/カリフォルニア/4/2009(H1N1)HAのステムドメイン(又はA/カリフォルニア/4/2009様インフルエンザウイルスHAのステムドメイン)であり、かつcH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドガン/青海/1A/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/カリフォルニア/4/2009(H1N1)HAのステムドメイン(又はA/カリフォルニア/4/2009様インフルエンザウイルスHAのステムドメイン)であり、かつcH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/シチメンチョウ/トルコ/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/カリフォルニア/4/2009(H1N1)HAのステムドメイン(又はA/カリフォルニア/4/2009様インフルエンザウイルスHAのステムドメイン)であり、かつcH5/1キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/オオハクチョウ/モンゴル/244/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、(i)H3亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素のステムドメイン及び(ii)H5亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素の球状ヘッドドメインを含む(本明細書で「cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド」と称されることもある)。具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドネシア/5/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/安徽/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドガン/青海/1A/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/シチメンチョウ/トルコ/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/オオハクチョウ/モンゴル/244/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドネシア/5/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/安徽/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドガン/青海/1A/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/シチメンチョウ/トルコ/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/オオハクチョウ/モンゴル/244/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドネシア/5/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/安徽/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドガン/青海/1A/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/シチメンチョウ/トルコ/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/オオハクチョウ/モンゴル/244/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるcH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインを含まない。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドは、A/パース/16/2009(H3)HAのステムドメインを含まない。
別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドネシア/5/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/安徽/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドガン/青海/1A/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/シチメンチョウ/トルコ/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH5/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/オオハクチョウ/モンゴル/244/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、(i)H3亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素のステムドメイン及び(ii)H7亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素の球状ヘッドドメインを含む(本明細書で「cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド」と称されることもある)。具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ネーデルラント/219/03(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/504/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/444/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ニワトリ/ハリスコ/CPA1/2012(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/アルバータ24/2001(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/レア/NC/39482/93(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ビクトリア/361/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/ネーデルラント/12/2000(H7)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ネーデルラント/219/03(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/504/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/444/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ニワトリ/ハリスコ/CPA1/2012(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/アルバータ24/2001(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/レア/NC/39482/93(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/ゼニガタアザラシ/マサチューセッツ/1/2011(H3N8)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/ネーデルラント/12/2000(H7)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ネーデルラント/219/03(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/504/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/444/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ニワトリ/ハリスコ/CPA1/2012(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/アルバータ24/2001(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/レア/NC/39482/93(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/インディアナ/10/2011(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/ネーデルラント/12/2000(H7)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ネーデルラント/219/03(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/504/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/444/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ニワトリ/ハリスコ/CPA1/2012(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/アルバータ24/2001(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/レア/NC/39482/93(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/2009(H3N2)HAのステムドメインであり、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/ネーデルラント/12/2000(H7)HAの球状ヘッドドメインである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるcH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドは、A/マガモ/アルバータ24/2001(H7)HAの球状ヘッドドメインを含まない。別の具体的な実施態様において、cH7/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドは、A/パース/16/2009(H3)HAのステムドメインを含まない。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、(i)B型インフルエンザウイルス由来の血球凝集素のステムドメイン及び(ii)H5亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素の球状ヘッドドメインを含む(本明細書で「cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド」と称されることもある)。具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドネシア/5/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/安徽/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドガン/青海/1A/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/シチメンチョウ/トルコ/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/オオハクチョウ/モンゴル/244/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドネシア/5/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/安徽/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドガン/青海/1A/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/シチメンチョウ/トルコ/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006のステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/オオハクチョウ/モンゴル/244/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドネシア/5/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/安徽/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドガン/青海/1A/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/シチメンチョウ/トルコ/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/オオハクチョウ/モンゴル/244/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ベトナム/1203/2004(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドネシア/5/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/安徽/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/インドガン/青海/1A/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/シチメンチョウ/トルコ/1/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH5/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/オオハクチョウ/モンゴル/244/2005(H5)HAの球状ヘッドドメインである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、(i)B型インフルエンザウイルス由来の血球凝集素のステムドメイン及び(ii)H7亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素の球状ヘッドドメインを含む(本明細書で「cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド」と称されることもある)。具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ネーデルラント/219/03(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/504/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/444/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ニワトリ/ハリスコ/CPA1/2012(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/アルバータ24/2001(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/レア/NC/39482/93(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/ネーデルラント/12/2000(H7)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ネーデルラント/219/03(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/504/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/444/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ニワトリ/ハリスコ/CPA1/2012(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/アルバータ24/2001(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/レア/NC/39482/93(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/ネーデルラント/12/2000(H7)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ネーデルラント/219/03(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/504/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/444/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ニワトリ/ハリスコ/CPA1/2012(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/アルバータ24/2001(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/レア/NC/39482/93(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/ネーデルラント/12/2000(H7)HAの球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ネーデルラント/219/03(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/504/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/カナダ/444/04(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/ニワトリ/ハリスコ/CPA1/2012(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/アルバータ24/2001(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/レア/NC/39482/93(H7)HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cH7/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/マガモ/ネーデルラント/12/2000(H7)HAの球状ヘッドドメインである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、(i)B型インフルエンザウイルス由来の血球凝集素のステムドメイン及び(ii)異なるB型インフルエンザウイルス株由来の血球凝集素の球状ヘッドドメインを含む(本明細書で「cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド」と称されることもある)。具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、B/リー/1940 HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/マレーシア/2506/2004 HAのステムドメインであり、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、B/アザラシ/ネーデルラント/1/99 HA(又はB/アザラシ/ネーデルラント/1/99様インフルエンザウイルス)の球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、B/リー/1940 HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/フロリダ/4/2006 HAのステムドメインであり、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、B/アザラシ/ネーデルラント/1/99 HA(又はB/アザラシ/ネーデルラント/1/99様インフルエンザウイルス)の球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、B/リー/1940 HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ウィスコンシン/1/2010 HAのステムドメインであり、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、B/アザラシ/ネーデルラント/1/99 HA(又はB/アザラシ/ネーデルラント/1/99様インフルエンザウイルス)の球状ヘッドドメインである。
別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインである。別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、B/リー/1940 HAの球状ヘッドドメインである。別の具体的な実施態様において、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、B/ブリスベン/60/2008 HAのステムドメインであり、cB/Bキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、B/アザラシ/ネーデルラント/1/99 HA(又はB/アザラシ/ネーデルラント/1/99様インフルエンザウイルス)の球状ヘッドドメインである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、(i)H3亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素のステムドメイン及び(ii)H4亜型のインフルエンザウイルス由来の血球凝集素の球状ヘッドドメイン含む(本明細書で「cH4/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド」と称されることもある)。具体的な実施態様において、cH4/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/09 HAのステムドメイン(又はA/パース/16/09様インフルエンザウイルスHAのステムドメイン)である。別の具体的な実施態様において、cH4/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、A/パース/16/09 HAのステムドメイン(又はA/パース/16/09様インフルエンザウイルスHAのステムドメイン)であり、cH4/3キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインは、A/アヒル/チェコ/56の球状ヘッドドメイン(又はA/アヒル/チェコ/56様インフルエンザウイルスHAの球状ヘッドドメイン)である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチド及びインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含み、ここで、該インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、該インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種であり、かつ該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、以下の順序で:HA1のN末端ステムセグメント、インフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド、HA1のC末端ステムセグメント、及びHA2という一次構造を有する。本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの一次配列は、単一のポリペプチドによって形成され得るし、又はそれは、複数のポリペプチドによって形成され得る。通常、単一のポリペプチドは、当業者によって好適であると考えられる任意の技術によって発現される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは単量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは多量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは三量体である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。通常、シグナルペプチドは、ポリペプチドの発現及び翻訳時又はその後に切断され、成熟キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドを生じさせる。ある実施態様において、また本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドを欠く成熟キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドがシグナルペプチドを含む実施態様において、シグナルペプチドは、当業者に公知の任意のインフルエンザウイルスシグナルペプチドに基づくことができる。ある実施態様において、シグナルペプチドは、A型インフルエンザシグナルペプチドに基づく。ある実施態様において、シグナルペプチドは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素のシグナルペプチドに基づく。ある実施態様において、シグナルペプチドは、当業者に有用であると考えられる任意のシグナルペプチドであることができる。ある実施態様において、シグナルペプチドは、配列番号18〜33から選択される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、内腔ドメインを含む。本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドが内腔ドメインを含む実施態様において、内腔ドメインは、当業者に公知の任意のインフルエンザ内腔ドメインに基づくことができる。ある実施態様において、内腔ドメインは、A型インフルエンザ内腔ドメインに基づく。ある実施態様において、内腔ドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素の内腔ドメインに基づく。ある実施態様において、内腔ドメインは、当業者に有用であると考えられる任意の内腔ドメインであることができる。ある実施態様において、内腔ドメインは、配列番号51〜66から選択される。ある実施態様において、内腔ドメインは、ステムドメインと同じ血球凝集素由来のものである。ある実施態様において、内腔ドメインは、ステムドメインHA2サブユニットと同様のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、膜貫通ドメインを含む。本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドが膜貫通ドメインを含む実施態様において、膜貫通ドメインは、当業者に公知の任意のインフルエンザ膜貫通ドメインに基づくことができる。ある実施態様において、該膜貫通ドメインは、A型インフルエンザ膜貫通ドメインに基づく。ある実施態様において、該膜貫通ドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素の膜貫通ドメインに基づく。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、当業者に有用であると考えられる任意の膜貫通ドメインであることができる。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、配列番号67〜82から選択される。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、ステムドメインと同じ血球凝集素由来のものである。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、ステムドメインHA2サブユニットと同様のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、細胞質ドメインを含む。本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドが細胞質ドメインを含む実施態様において、細胞質ドメインは、当業者に公知の任意のインフルエンザ細胞質ドメインに基づくことができる。ある実施態様において、細胞質ドメインは、A型インフルエンザ細胞質ドメインに基づく。ある実施態様において、細胞質ドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素の細胞質ドメインに基づく。ある実施態様において、細胞質ドメインは、当業者に有用であると考えられる任意の細胞質ドメインであることができる。ある実施態様において、細胞質ドメインは、配列番号83〜98から選択される。ある実施態様において、細胞質ドメインは、ステムドメインと同じ血球凝集素由来のものである。ある実施態様において、細胞質ドメインは、ステムドメインHA2サブユニットと同様のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、1以上のポリペプチドドメインをさらに含む。有用なポリペプチドドメインとしては、ポリペプチドの部分の精製、フォールディング、及び切断を容易にするドメインが挙げられる。例えば、Hisタグ
FLAGエピトープ、又は他の精製タグは、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの精製を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、Hisタグは、配列(His)
nを有し、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、バクテリオファージT4フィブリチン由来のフォルドンドメイン、又は三量体化ドメインを含む。バクテリオファージT4フィブリチン由来のフォルドンドメイン、又は三量体化ドメインは、本明細書に提供されるポリペプチドの三量体化を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。フォルドンドメインは、当業者に公知の任意のフォルドン配列を有することができる(例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Papanikolopoulouらの文献、2004, J. Biol. Chem. 279(10):8991-8998を参照されたい)。例としては、
が挙げられる。フォルドンドメインは、本明細書に提供される可溶性ポリペプチドの三量体化を容易にするのに有用であり得る。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、切断部位を含む。切断部位を用いて、ポリペプチドの一部の切断、例えば、精製タグもしくはフォルドンドメイン又はその両方の切断を容易にすることができる。有用な切断部位としては、トロンビン切断部位、例えば、配列
を有するものが挙げられる。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。
ある実施態様において、キメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドは、可溶性ポリペプチド、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の実施例6及び9に記載されているものである。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、図14のAp及びAqとしてインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド中で特定されているシステイン残基を維持している、すなわち、図14のAp及びAqとしてインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド中で特定されているシステイン残基は、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド中で維持されている。したがって、ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの一次配列において:(i)インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドのN末端セグメントは、図14のApとして特定されているシステイン残基で終わり、(ii)インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドのC末端セグメントは、図14のAqとして特定されているシステイン残基から始まり;かつ(iii)インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド(これは、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である)は、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドのN末端セグメントとC末端セグメントの間にある。インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、下記の第5.3節に詳細に記載されている。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメントは、Ap(例えば、H3血球凝集素由来の(すなわち、H3付番による)HA1サブユニットのCys52)で正確に終わるのではなく、配列上及び構造上Apに近い残基で終わる。例えば、ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメントは、Ap-1、Ap-2、Ap-3、Ap-4、Ap-5、Ap-6、Ap-7、Ap-8、Ap-9、Ap-10、Ap-11、Ap-12、Ap-13、Ap-14、Ap-15、Ap-16、Ap-17、Ap-18、Ap-19、Ap-20、Ap-21、Ap-22、Ap-23、Ap-23、Ap-24、Ap-25、Ap-26、Ap-27、Ap-28、Ap-29、Ap-30で終わる。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメントは、Ap-1〜Ap-3、Ap-3〜Ap-5、Ap-5〜Ap-8、Ap-8〜Ap-10、Ap-10〜Ap-15、Ap-15〜Ap-20、Ap-20〜Ap-30、Ap-30〜Ap-40の範囲で終わる。例えば、Ap-10で終わるHA1のN末端ステムセグメントは、H3血球凝集素のLeu42で終わることになる。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメントは、Ap+1、Ap+2、Ap+3、Ap+4、Ap+5、Ap+6、Ap+7、Ap+8、Ap+9、Ap+10、Ap+11、Ap+12、Ap+13、Ap+14、Ap+15、Ap+16、Ap+17、Ap+18、Ap+19、Ap+20、Ap+21、Ap+22、Ap+23、Ap+24、Ap+25、Ap+26、Ap+27、Ap+28、Ap+29、Ap+30、Ap+31、Ap+32、Ap+33、Ap+34、Ap+35、Ap+36、Ap+37、Ap+38、Ap+39、Ap+40で終わる。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメントは、Ap+1〜Ap+5、Ap+5〜Ap+10、Ap+10〜Ap+15、Ap+15〜Ap+20、Ap+20〜Ap+25、Ap+25〜Ap+30、Ap+30〜Ap+35、Ap+35〜Ap+40、又はAp+40〜Ap+50の範囲で終わる。例えば、Ap+38で終わるHA1のN末端ステムセグメントは、H3血球凝集素のArg90で終わることになる。HA1のN末端ステムセグメントの終点は、得られるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドが、野生型インフルエンザ血球凝集素と類似した三次元構造を形成することができるように、HA1のC末端ステムセグメント及びインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドの終点との関連で選択されるべきである。そのような実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド(これは、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である)は、一次配列中、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドのN末端セグメントとC末端セグメントの間に位置する。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のC末端ステムセグメントは、Aq(例えば、H3血球凝集素由来の(すなわち、H3付番による)HA1サブユニットのCys277)から始まるのではなく、配列上及び構造上Aqに近い残基から始まる。例えば、ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のC末端ステムセグメントは、Aq-1、Aq-2、Aq-3、Aq-4、Aq-5、Aq-6、Aq-7、Aq-8、Aq-9、Aq-10、Aq-11、Aq-12、Aq-13、Aq-14、Aq-15、Aq-20、Aq-25、Aq-30、Aq-35、Aq-40、Aq-45、Aq-50、Aq-55、Aq-60、Aq-65、Aq-70、Aq-75、又はAq-80周辺から始まる。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のC末端ステムセグメントは、Aq-1〜Aq-5、Aq-5〜Aq-10、Aq-10〜Aq-15、Aq-15〜Aq-20、Aq-20〜Aq-25、Aq-25〜Aq-30、Aq-30〜Aq-35、Aq-35〜Aq-40、Aq-40〜Aq-45、Aq-45〜Aq-50、Aq-50〜Aq-55、Aq-55〜Aq-60、Aq-60〜Aq-65、Aq-65〜Aq-70、Aq-75〜Aq-80の範囲から始まる。例えば、Aq-77で終わるHA1のC末端ステムセグメントは、H3血球凝集素のGly200から始まることになり;かつAq-10で終わるHA1のC末端ステムセグメントは、H3血球凝集素のイソロイシン267から始まることになる。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のC末端ステムセグメントは、Aq+1、Aq+2、Aq+3、Aq+4、Aq+5、Aq+6、Aq+7、Aq+8、Aq+9、Aq+10、Aq+11、Aq+12、Aq+13、Aq+14、Aq+15、Aq+16、Aq+17、Aq+18、Aq+19、Aq+20、Aq+21、Aq+22、Aq+23、Aq+24、Aq+25、Aq+26、Aq+27、Aq+28、Aq+29、Aq+30から始まる。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のC末端ステムセグメントは、Aq+1〜Aq+3、Aq+3〜Aq+5、Aq+5〜Aq+8、Aq+8〜Aq+10、Aq+10〜Aq+15、又はAq+15〜Aq+20の範囲から始まる。HA1のN末端ステムセグメントの終点は、得られるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドが、野生型インフルエンザ血球凝集素と類似した三次元構造を形成することができるように、HA1のC末端ステムセグメント及びインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドの始点との関連で選択されるべきである。そのような実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド(これは、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である)は、一次配列中、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドのN末端セグメントとC末端セグメントの間に位置する。
1つの例において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメントは、血球凝集素アミノ酸位置45〜48(H3付番を使用)のうちのいずれか1つで終わることができ、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のC末端ステムセグメントは、血球凝集素アミノ酸位置285〜290(H3付番を使用)のうちのいずれか1つから始まることができ;かつ異種ヘッドドメインは、アミノ酸位置46〜49のうちのいずれか1つから始まり、かつアミノ酸位置284〜289(H3付番を使用)のうちのいずれか1つで終わることができる。別の例において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメントは、血球凝集素アミノ酸位置90(H3付番を使用)で終わり、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1のC末端ステムセグメントは、血球凝集素アミノ酸位置200(H3付番を使用)から始まり;かつ異種ヘッドドメインはアミノ酸位置91から始まり、かつアミノ酸位置199(H3付番を使用)で終わる。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-1であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-1である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-2であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-2である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-3であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-3である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-4であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-4である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-5であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-5である。そのような実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド(これは、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である)は、一次配列中、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドのN末端セグメントとC末端セグメントの間に位置する。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+1であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq+1である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+2であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq+2である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+3であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq+3である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+4であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq+4である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+5であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq+5である。そのような実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド(これは、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である)は、一次配列中、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドのN末端セグメントとC末端セグメントの間に位置する。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-1であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq+1である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-2であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq+2である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-3であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点Aq+3である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-4であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq+4である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp-5であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq+5である。そのような実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド(これは、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である)は、一次配列中、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドのN末端セグメントとC末端セグメントの間に位置する。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+1であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-1である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+2であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-2である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+3であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-3である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+4であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-4である。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのN末端ステムセグメントの終点はAp+5であり、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのC末端ステムセグメントの始点はAq-5である。そのような実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド(これは、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドと異種である)は、一次配列中、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドのN末端セグメントとC末端セグメントの間に位置する。
また本明細書に提供されるのは、HA2サブユニット及びキメラHA1サブユニットを含むキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドである。ある実施態様において、キメラHA1サブユニットは、第1のインフルエンザウイルス株又は亜型のHA1サブユニットの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、60、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、75、76、77、78、79、又は80個のアミノ酸を含み、かつ該キメラHA1サブユニットのアミノ酸の残りの部分は、第2のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。ある実施態様において、キメラHA1サブユニットは、第1のインフルエンザウイルス株又は亜型のHA1サブユニットの1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含み、かつ該キメラHA1サブユニットのアミノ酸の残りの部分は、第2のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。ある実施態様において、第1のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のアミノ酸は連続的であることができ、又はキメラHA1ドメインのN末端及び/もしくはC末端の部分を表すことができる。具体的な実施態様において、キメラHA1サブユニットは、インフルエンザウイルスの2以上の異なる亜型又は株のアミノ酸を含むインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドを含む。具体的な実施態様において、キメラHA1サブユニットは、インフルエンザウイルスの2以上の異なる亜型又は株のアミノ酸を有する球状ヘッドを含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド中のグリコシル化部位のうちの1つ又は複数は、(例えば、アミノ酸の付加、欠失、又は置換によって)修飾される。具体的な実施態様において、該1以上のグリコシル化部位は、これらの部位でのグリコシル化が該ポリペプチドのプロセシング及び成熟の間に生じないように修飾される。当業者は、インフルエンザHAが、通常、1以上のグリコシル化部位(例えば、Asn-Xaa-Ser/Thr/Cys、ここで、Xaaは、任意のアミノ酸もしくはAsn-Xaa-Ser/Thr/Cysであり、又はある実施態様において、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である)を含むことを認識するであろう。ある実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのステムドメイン中に位置する。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊するアミノ酸残基と保存的に置換される。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊する任意のアミノ酸残基と置換される。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアスパラギン残基は、アラニンと置換される。特定の実施態様において、H3血球凝集素の位置38のアスパラギンは、アラニンに改変される。ある実施態様において、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、その球状ヘッドドメイン中に1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。ある実施態様において、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、下記の第5.4節で、又は引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、第2014/0328875号、及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号で論じられている、1以上の修飾されたグリコシル化部位及び/又は非天然のグリコシル化部位を含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、天然のインフルエンザ血球凝集素の三次元構造と類似している三次元構造を形成することができる。構造類似性は、当業者によって好適であると考えられる任意の技術に基づいて評価することができる。例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドと、天然のインフルエンザ血球凝集素を認識する中和抗体又は抗血清との、例えば、非変性条件下での反応は、構造類似性を示すことができる。有用な中和抗体又は抗血清は、例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Suiらの文献、2009, Nat. Struct. Mol. Biol. 16(3):265-273、Ekiertらの文献、2009年2月26日、Science[DOI: 10.1126/science.1171491]、及びKashyapらの文献、2008, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105(16):5986-5991に記載されている。ある実施態様において、抗体又は抗血清は、血球凝集素の三次構造又は四次構造によって形成される非隣接(すなわち、一次配列で隣接していない)エピトープと反応する抗体又は抗血清である。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、熱ショックタンパク質(例えば、Hsp10、Hsp20、Hsp30、Hsp40、Hsp60、Hsp70、Hsp90、もしくはHsp100)とともに又はそれなしで、異種タンパク質、例えば、主要組織適合性複合体(MHC)とコンジュゲートさせることができる。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、免疫調節分子、例えば、免疫細胞、例えば、B細胞(例えば、Cd3)又はT細胞にキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドをターゲッティングするタンパク質とコンジュゲートさせることができる。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザ血球凝集素(HA)ポリペプチドは、自然免疫系を刺激するタンパク質、例えば、インターフェロン1型、アルファ、ベータ、もしくはガンマインターフェロン、コロニー刺激因子、例えば、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン(IL)-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、腫瘍壊死因子(TNF)-β、TNFα、B7.1、B7.2、4-1BB、CD40リガンド(CD40L)、及び薬剤誘導性CD40(iCD40)とコンジュゲートさせることができる。
本明細書に提供されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、本明細書に記載される技術を含む、当業者に公知であり、かつ当業者に好適であると考えられる任意の技術に従って調製することができることが当業者によって理解されるであろう。ある実施態様において、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは単離される。
(5.2 インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドを含む、flu HAポリペプチドの作製において使用するためのインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。
一般に、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、インフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインを含むか又はそれから本質的になるポリペプチドである。インフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのヘッドドメインは、当業者によって一般に認識されるヘッドドメインである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、98%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有するインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインを含む。
また本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスの2以上の株又は亜型由来のアミノ酸を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。ある実施態様において、キメラHA1サブユニットは、第1のインフルエンザウイルス株又は亜型のHA1サブユニットの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、60、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、75、76、77、78、79、又は80個のアミノ酸を含み、かつ該キメラHA1サブユニットのアミノ酸の残りの部分は、第2のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。ある実施態様において、キメラHA1サブユニットは、第1のインフルエンザウイルス株又は亜型のHA1サブユニットの1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含み、かつ該キメラHA1サブユニットのアミノ酸の残りの部分は、第2のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。ある実施態様において、第1のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のアミノ酸は連続的であることができ、並びに/又はキメラHA1ドメインのN末端及び/もしくはC末端の部分を表すことができる。
また本明細書に提供されるのは、欠失型の既知のインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドであり、ここで、最大約150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が、該ヘッドドメインから欠失している。また本明細書に提供されるのは、欠失型の既知のインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドであり、ここで、約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100、100〜110、110〜120、120〜130、130〜140、又は140〜150個のアミノ酸残基が、該ヘッドドメインから欠失している。
ある実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの異種抗原性領域を含む。一実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、異なるインフルエンザウイルス株又は亜型(例えば、集団の全体又は一部が感作されていないインフルエンザウイルス株又は亜型)のHAに由来する1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの抗原性領域を含む。具体的な実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、キメラHAの球状ヘッドドメイン又はステムドメインと同じ又は異なる亜型のインフルエンザウイルスNA由来の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの抗原性領域を含む。この実施態様によれば、該1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのNA抗原性領域は、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのHA抗原性領域に取って代わることができる。別の具体的な実施態様において、キメラHAのインフルエンザHA球状ヘッドドメインは、NAの酵素活性部位中の残基222と残基230(N2付番)の間にある、アミノ酸配列
を含む。ある実施態様において、このアミノ酸配列は、キメラHAのHA球状ヘッドドメインの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの抗原性領域に取って代わる。例えば、該アミノ酸配列は、抗原性部位A、B、C、及びD(この場合、該球状ヘッドドメインは亜型H3由来のものである)のうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くに取って代わることができる。別の例において、該アミノ酸配列は、抗原性部位Sa、Sb、Ca、及びCb(この場合、該球状ヘッドドメインは亜型H1由来のものである)のうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くに取って代わることができる。
本明細書に提供されるのは、改変型の既知のインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドであり、ここで、該ヘッドドメインの最大約80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が、他のアミノ酸と置換されている(例えば、保存的に置換されている)。また本明細書に提供されるのは、改変型の既知のインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドであり、ここで、該ヘッドドメインの最大約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸残基が、他のアミノ酸と置換されている(例えば、保存的に置換されている)。さらに本明細書に提供されるのは、改変型の既知のインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドであり、ここで、該ヘッドドメインの最大約80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が、既知のインフルエンザノイラミニダーゼの最大約80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基と置換されている。また本明細書に提供されるのは、改変型の既知のインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドであり、ここで、該ヘッドドメインの最大約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸残基が、既知のインフルエンザノイラミニダーゼの最大約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸残基と置換されている。さらに本明細書に提供されるのは、改変型の既知のインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドであり、ここで、既知のインフルエンザノイラミニダーゼの最大約80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が、該インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドに挿入されている。また本明細書に提供されるのは、改変型の既知のインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドであり、ここで、既知のインフルエンザノイラミニダーゼの最大約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸残基が、該インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドに挿入されている。ある実施態様において、既知のインフルエンザノイラミニダーゼの最大約80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基は、アミノ酸配列
を含む。ある実施態様において、既知のインフルエンザノイラミニダーゼの最大約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸残基は、アミノ酸配列
を含む。ある実施態様において、最大50、60、又はそれより多くのアミノ酸がインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインのN末端(一次アミノ酸配列から見た場合)から欠失し、かつ最大70、80、又はそれより多くのアミノ酸がインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインのC末端(一次アミノ酸配列から見た場合)から欠失している。ある実施態様において、インフルエンザウイルスHA球状ヘッドドメインは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチド/インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性領域を含む。インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドの例については、下記の第5.5節を参照されたい。
また本明細書に提供されるのは、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメイン(例えば、抗原性部位A、B、C、及びD(この場合、該ヘッドドメインは亜型H3由来のものである)又は抗原性部位Sa、Sb、Ca、及びCb(この場合、該ヘッドドメインは亜型H1由来のものである)と関連する抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの領域)のうちの1つ又は複数の欠失を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの領域)の欠失を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの2つの領域)の欠失を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、3つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの3つの領域)の欠失を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、4つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの4つの領域)の欠失を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、5つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの5つの領域)の欠失を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。当業者は、当技術分野で公知であるか又は当業者に公知かつ本明細書に記載の技術を用いて後に同定されるインフルエンザヘッドドメインの抗原性領域(例えば、エピトープ)を容易に決定することができる。
ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、(i)ステムドメインと同種である(すなわち、同じインフルエンザウイルス株又は亜型に由来する)インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド由来の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの抗原性領域、及び(ii)ステムドメインと異種である(すなわち、異なるインフルエンザウイルス株又は亜型に由来する)インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチド由来の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの抗原性領域を含む。具体的な実施態様において、該ヘッドドメインのC抗原性部位/領域は、ステムドメインと同種である(すなわち、同じインフルエンザウイルス株又は亜型に由来する)。別の具体的な実施態様において、該ヘッドドメインのD抗原性部位/領域は、ステムドメインと同種である(すなわち、同じインフルエンザウイルス株又は亜型に由来する)。別の具体的な実施態様において、該ヘッドドメインのC及びD抗原性部位/領域は、ステムドメインと同種である(すなわち、同じインフルエンザウイルス株又は亜型に由来する)。また別の具体的な実施態様において、該ヘッドドメインのCa及び/又はCb抗原性部位/領域は、ステムドメインと同種である(すなわち、同じインフルエンザウイルス株又は亜型に由来する)。
また本明細書に提供されるのは、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインと関連する抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの領域)のうちの1つ又は複数と非抗原性ポリペプチド配列(例えば、免疫応答を誘導しないことが知られているか又はインフルエンザに特異的でない免疫応答を生じさせることが知られているポリペプチド配列)との置換を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの領域)と非抗原性ポリペプチド配列(例えば、免疫応答を誘導しないことが知られているか又はインフルエンザに特異的でない免疫応答を生じさせることが知られているポリペプチド配列)との置換を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの2つの領域と非抗原性ポリペプチド配列(例えば、免疫応答を誘導しないことが知られているか又はインフルエンザに特異的でない免疫応答を生じさせることが知られているポリペプチド配列)との置換を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、3つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの3つの領域)と非抗原性ポリペプチド配列(例えば、免疫応答を誘導しないことが知られているか又はインフルエンザに特異的でない免疫応答を生じさせることが知られているポリペプチド配列)との置換を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、4つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの4つの領域)と非抗原性ポリペプチド配列(例えば、免疫応答を誘導しないことが知られているか又はインフルエンザに特異的でない免疫応答を生じさせることが知られているポリペプチド配列)との置換を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、5つの抗原性領域(例えば、エピトープを含むか又はエピトープからなることが知られているヘッドドメインの5つの領域)と非抗原性ポリペプチド配列(例えば、免疫応答を誘導しないことが知られているか又はインフルエンザに特異的でない免疫応答を生じさせることが知られているポリペプチド配列)との置換を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。当業者は、当技術分野で公知であるか又は当業者に公知かつ本明細書に記載の技術を用いて後に同定される、インフルエンザヘッドドメインの抗原性領域(例えば、エピトープ)を容易に決定することができる。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの異種抗原性領域、すなわち、異なるインフルエンザウイルス株又は亜型(例えば、集団の全体又は一部が感作されていないインフルエンザウイルス株又は亜型)の血球凝集素由来の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの抗原性領域を含むインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドの異種抗原性領域は、下記の第5.4.2節に論じられているような1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。任意の特定の操作理論に束縛されるものではないが、ステムドメイン内の保存された亜免疫優性抗原性領域の免疫原性は、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメイン中のこれらの免疫優性領域への1以上の非天然のグリコシル化部位の付加によって増大させることができると考えられる。具体的な実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの異種抗原性領域を含み、ここで、該異種抗原性領域は、1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。
本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のインフルエンザ血球凝集素のヘッドドメインに基づくことができる(すなわち、該ヘッドドメインとの配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、該インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、A型インフルエンザ血球凝集素のヘッドドメイン(例えば、下記の第5.4節に記載されているA型インフルエンザウイルスの血球凝集素のヘッドドメイン)に基づく。ある実施態様において、該インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素のヘッドドメインに基づく。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、B型インフルエンザ血球凝集素のヘッドドメイン(例えば、下記の第5.4節に記載されているB型インフルエンザウイルスの血球凝集素のヘッドドメイン)に基づく。いくつかの実施態様において、該インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、B/アザラシ/ネーデルラント/1/99のヘッドドメインに基づく。具体的な実施態様において、該インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、H5、H6、及び/又はH9グループから選択されるA型インフルエンザ血球凝集素のヘッドドメインに基づく。別の具体的な実施態様において、該インフルエンザ血球凝集素ヘッドドメインポリペプチドは、H5、H7、及び/又はH9グループから選択されるA型インフルエンザ血球凝集素のヘッドドメインに基づく。
(5.3 インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチド及びコアポリペプチド)
(5.3.1 インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチド)
本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)の作製において使用するためのインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。任意の特定の操作理論に束縛されることを意図するものではないが、本明細書に提供されるflu血球凝集素ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)との関連において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、複数のインフルエンザ株と交差反応することができる免疫応答を生じさせるために、宿主免疫系に1以上の比較的保存された抗原性領域を提示するのに有用であると考えられる。該1以上の抗原性領域はインフルエンザ血球凝集素亜型にわたってよく保存されているので、そのような免疫応答は、全長インフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのいくつかの亜型と交差反応することができる。
一般に、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、インフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインを含むか又はそれから本質的になるポリペプチドである。インフルエンザ血球凝集素ポリペプチドのステムドメインは、当業者によって一般に認識されるステムドメインである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、インフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメインをほとんど又は全く含まない。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、当業者によって好適であると考えられる任意の技術によってその球状ヘッドドメインが欠失させられているインフルエンザ血球凝集素である。
ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、図14のAp及びAqとしてインフルエンザ血球凝集素ポリペプチド中で特定されているシステイン残基を維持している。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、野生型インフルエンザウイルスの血球凝集素よりも低いpH(例えば、5.2未満、5.1未満、5.0未満、又は4.9未満、例えば、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4.、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8などのpH)でより高い安定性を有する。特定の実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、野生型インフルエンザウイルスの血球凝集素よりも低いpHで、融合前立体構造から融合立体構造への立体構造変化を経る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、低いpH(例えば、4.9〜5.2、4.5〜3.5、3.5〜2.5、2.5〜1.5、1.5〜0.5のpH)でポリペプチドの安定性を増大させる1以上のアミノ酸置換、例えば、HA1 H17Y(H3付番)を含む。インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドの安定性は、例えば、Thoennesらの文献、2008, Virology 370: 403-414に記載されているような、トリプシン消化に対する血球凝集素分子の感受性などの、当技術分野で公知の技術を用いて評価することができる。
インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、下記の技術を含む、当業者に好適であると考えられる任意の技術に従って調製することができる。ある実施態様において、ステムドメインポリペプチドは単離される。
いくつかの実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドの一次構造は、以下の順序で:HA1のN末端ステムセグメント、リンカー、HA1のC末端ステムセグメント、及びHA2を含む。いくつかの実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドの一次構造は、以下の順序で:HA1のN末端ステムセグメント、リンカー、HA1のC末端の短いステムセグメント、及びHA2を含む。いくつかの実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドの一次構造は、以下の順序で:HA1のN末端の長いステムセグメント、リンカー、HA1のC末端の長いステムセグメント、及びHA2を含む。いくつかの実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、以下の順序で:HA1のN末端ステムセグメント、リンカー、HA1の中間ステムセグメント、第2のリンカー、HA1のC末端ステムセグメント、及びHA2を含む。
一次配列は、単一のポリペプチドによって形成されることができるか、又はそれは、複数のポリペプチドによって形成されることができる。通常、単一のポリペプチドは、当業者によって好適であると考えられる任意の技術によって発現される。単一のポリペプチドの実施態様において、HA1セグメントとHA2は三次結合している。当業者に公知であるように、単一のHAポリペプチドは、例えば、プロテアーゼによって、適当な発現条件下で切断され、四次結合した2つのポリペプチドを生じさせることができる。切断は、通常、HA1のC末端ステムセグメントとHA2の間である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、複数のポリペプチド、例えば、2つのポリペプチドのインフルエンザ血球凝集素ステムドメインである。複数のポリペプチドの実施態様において、HA1セグメントとHA2は四次結合している。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは単量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは多量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは三量体である。当業者は、天然のインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドがインビボで三量体化することができること、及び本明細書に提供される特定のインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドが三量体化することができることを認識するであろう。下記の特定の実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、三量体化を容易にする三量体化ドメインを含む。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。通常、シグナルペプチドは、ポリペプチドの発現及び翻訳時又はその後に切断され、成熟したインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドを生じさせる。シグナルペプチドは、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドの発現に有利であることができる。ある実施態様において、また本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドを欠く成熟したインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。
インフルエンザ血球凝集素HA2は、通常、ステムドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメイン、HA2内腔ドメイン、HA2膜貫通ドメイン、及びHA2細胞質ドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。そのようなインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、膜結合型抗原として発現されることができる。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメイン、HA2内腔ドメイン、及びHA2膜貫通ドメインを含むが、典型的な細胞質ドメインの一部又は全てを欠くインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。そのようなインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、膜結合型抗原として発現されることができる。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメイン及びHA2内腔ドメインを含むが、HA2膜貫通ドメインとHA2細胞質ドメインの両方を欠くインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。そのようなインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、可溶性ポリペプチドとして有利に発現されることができる。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメインを含むが、HA2内腔ドメイン、HA2膜貫通ドメイン、及びHA2細胞質ドメインを欠くインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。そのようなインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、可溶性ポリペプチドとして有利に発現されることができる。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザHA2ステムドメインとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、又は98%のアミノ酸配列同一性を有するHA2ステムドメインを含む。既知のA型インフルエンザ及びB型インフルエンザ血球凝集素由来の例示的な既知のHA2ステムドメインは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、及びWO 2013/043729号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に開示されている表に提供されている。
また本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基がHA2ステムドメインの一方又は両方の末端から欠失している欠失型のHA2ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。さらに本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と保存的に置換されている改変型のHA2ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。さらに提供されるのは、欠失した及び改変されたHA2ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、該インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、1以上の修飾されたグリコシル化部位を含むHA2ステムドメインを含み、ここで、該修飾されたグリコシル化部位は、下記の第5.4.1節に記載されているような、修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊する天然のグリコシル化部位の修飾を含む。任意の特定の操作理論に束縛されるものではないが、ステムドメイン内の免疫原性及び接近可能性抗原性領域は、ステムドメイン内の1以上のグリコシル化部位を該部位でのグリコシル化(すなわち、グリカンの結合)を破壊する形で修飾することによって増加させることができると考えられる。
ある実施態様において、ステムドメインポリペプチドは、薬剤を用いて脱グリコシル化される。例えば、具体的な実施態様において、ステムドメインポリペプチドは、トリフルオロメタンスルホン酸(Sigma)、酵素、例えば、PNGアーゼF、エンドグリコシダーゼH、エキソグリコシダーゼ、又はタンパク質脱グリコシル化混合物(例えば、New England Biolabs社により販売されているタンパク質脱グリコシル化混合物)を用いて脱グリコシル化される。
いくつかの実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドの一次構造は、以下の順序で:HA1のN末端ステムセグメント、リンカー、HA1のC末端ステムセグメント、及びHA2を含む。HA1のN末端ステムセグメントは、本明細書に提供される定義に基づいて当業者によって認識される任意のHA1のN末端ステムセグメントであることができる。通常、HA1のN末端ステムセグメントは、成熟したHA1(すなわち、シグナルペプチドを欠くHA1)のN末端アミノ酸からHA1の約52番目の残基の配列に位置するシステイン残基までからなるポリペプチドに対応する。本明細書でApと称される、このシステイン残基は、通常、HA1のC末端ステムセグメント中のシステイン残基とジスルフィド架橋を形成することができる。16個の代表的なA型インフルエンザ血球凝集素の配列が図14に示されており、残基Apが各々で特定されている。
ある実施態様において、HA1のN末端ステムセグメントは、Ap(例えば、H3血球凝集素由来の(すなわち、H3付番による)HA1サブユニットのCys52)で正確に終わるのではなく、配列上及び構造上Apに近い残基で終わる。例えば、ある実施態様において、HA1のN末端ステムセグメントは、Ap-1、Ap-2、Ap-3、Ap-4、Ap-5、Ap-6、Ap-7、Ap-8、Ap-9、Ap-10、Ap-11、Ap-12、Ap-13、Ap-14、Ap-15、Ap-16、Ap-17、Ap-18、Ap-19、Ap-20、Ap-21、Ap-22、Ap-23、Ap-23、Ap-24、Ap-25、Ap-26、Ap-27、Ap-28、Ap-29、Ap-30で終わる。ある実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメントは、Ap-1〜Ap-3、Ap-3〜Ap-5、Ap-5〜Ap-8、Ap-8〜Ap-10、Ap-10〜Ap-15、Ap-15〜Ap-20、Ap-20〜Ap-30、Ap-30〜Ap-40の範囲で終わる。他の実施態様において、該HA1のN末端ステムセグメントは、Ap+1、Ap+2、Ap+3、Ap+4、Ap+5、Ap+6、Ap+7、Ap+8、Ap+9、Ap+10、Ap+11、Ap+12、Ap+13、Ap+14、Ap+15、Ap+16、Ap+17、Ap+18、Ap+19、Ap+20、Ap+21、Ap+22、Ap+23、Ap+24、Ap+25、Ap+26、Ap+27、Ap+28、Ap+29、Ap+30、Ap+31、Ap+32、Ap+33、Ap+34、Ap+35、Ap+36、Ap+37、Ap+38、Ap+39、Ap+40で終わる。ある実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメントは、Ap+1〜Ap+5、Ap+5〜Ap+10、Ap+10〜Ap+15、Ap+15〜Ap+20、Ap+20〜Ap+25、Ap+25〜Ap+30、Ap+30〜Ap+35、Ap+35〜Ap+40、又はAp+40〜Ap+50の範囲で終わる。HA1のN末端ステムセグメントの終点は、得られる連結されたHA1ステムドメインが、下記のように、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインと類似した三次元構造を形成することができるように、HA1のC末端ステムセグメント及びリンカーの終点との関連で選択されるべきである。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザHA1のN末端ステムセグメントとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、又は98%のアミノ酸配列同一性を有するHA1のN末端ステムセグメントを含む。例示的な既知のHA1のN末端ステムセグメントは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、及びWO 2013/043729号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に開示されている表に提供されている。
また本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基がHA1のN末端ステムセグメントの一方又は両方の末端から欠失している欠失型のHA1のN末端ステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。また本明細書に提供されるのは、約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜100個のアミノ酸残基が該ステムドメインから欠失している欠失型の既知のインフルエンザ血球凝集素ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、ある実施態様において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くの残基が、HA1のN末端ステムセグメントのC末端に付加されており;これらの付加された残基が、HA1のN末端ステムセグメントに隣接する球状ヘッドドメインのアミノ酸配列に由来し得る、伸張型のHA1のN末端ステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。さらに本明細書に提供されるのは、最大80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と保存的に置換されている改変型のHA1のN末端ステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。また本明細書に提供されるのは、ステムドメインの最大約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と置換されている(例えば、保存的に置換されている)改変型の既知のインフルエンザ血球凝集素ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。さらに提供されるのは、欠失した及び改変されたHA1のN末端ステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、最大50個、60個、又はそれより多くのアミノ酸が、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインのN末端(一次アミノ酸配列から見た場合)から欠失しており、最大70個、80個、又はそれより多くのアミノ酸が、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインのC末端(一次アミノ酸配列から見た場合)から欠失している。
HA1のC末端ステムセグメントは、本明細書に提供される定義に基づいて当業者によって認識される任意のHA1のC末端ステムセグメントであることができる。通常、HA1のC末端ステムセグメントは、HA1の約277番目の残基(H3付番を使用)の配列に位置するシステイン残基からHA1のC末端アミノ酸までからなるポリペプチドに対応する。本明細書でAqと称される、このシステイン残基は、通常、HA1のN末端ステムセグメント中のシステイン残基Apとジスルフィド架橋を形成することができる。17個の代表的なA型インフルエンザ血球凝集素の配列が図14に示されており、残基Aqが各々で特定されている。
ある実施態様において、HA1のC末端ステムセグメントは、Aq(例えば、H3血球凝集素由来の(すなわち、H3付番による)HA1サブユニットのCys277)から始まるのではなく、配列上及び構造上Aqに近い残基から始まる。例えば、ある実施態様において、HA1のC末端ステムセグメントは、Aq-1、Aq-2、Aq-3、Aq-4、Aq-5、Aq-6、Aq-7、Aq-8、Aq-9、Aq-10、Aq-11、Aq-12、Aq-13、Aq-14、Aq-15、Aq-20、Aq-25、Aq-30、Aq-35、Aq-40、Aq-45、Aq-50、Aq-55、Aq-60、Aq-65、Aq-70、Aq-75、又はAq-80周辺から始まる。ある実施態様において、HA1のC末端ステムセグメントは、Aq-1〜Aq-5、Aq-5〜Aq-10、Aq-10〜Aq-15、Aq-15〜Aq-20、Aq-20〜Aq-25、Aq-25〜Aq-30、Aq-30〜Aq-35、Aq-35〜Aq-40、Aq-40〜Aq-45、Aq-45〜Aq-50、Aq-50〜Aq-55、Aq-55〜Aq-60、Aq-60〜Aq-65、Aq-65〜Aq-70、Aq-75〜Aq-80から始まる。他の実施態様において、HA1のC末端ステムセグメントは、Aq+1、Aq+2、Aq+3、Aq+4、Aq+5、Aq+6、Aq+7、Aq+8、Aq+9、又はAq+10から始まる。ある実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素ポリペプチドのHA1のC末端ステムセグメントは、Aq+1〜Aq+3、Aq+3〜Aq+5、Aq+5〜Aq+8、Aq+8〜Aq+10、Aq+10〜Aq+15、又はAq+15〜Aq+20の範囲から始まる。HA1のN末端ステムセグメントの終点は、得られるHA1ステムドメインが、下記のように、インフルエンザ血球凝集素と類似した三次元構造を形成することができるように、HA1のC末端ステムセグメント及びリンカーの始点との関連で選択されるべきである。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザHA1のC末端ステムセグメントとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、又は98%のアミノ酸配列同一性を有するHA1のC末端ステムセグメントを含む。例示的な既知のHA1のC末端ステムセグメントは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、及びWO 2013/043729号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に開示されている表に提供されている。
ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-1であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-1である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-2であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-2である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-3であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-3である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-4であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-4である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-5であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-5である。
ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+1であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+1である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+2であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+2である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+3であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+3である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+4であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+4である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+5であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+5である。
ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-1であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+1である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-2であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+2である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-3であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+3である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-4であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+4である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-5であり、C末端ステムセグメントの始点はAq+5である。
ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+1であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-1である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+2であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-2である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+3であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-3である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+4であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-4である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+5であり、C末端ステムセグメントの始点はAq-5である。
また本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基がHA1のC末端ステムセグメントの一方又は両方の末端から欠失している欠失型のHA1のC末端ステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。また本明細書に提供されるのは、約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸残基がステムドメインから欠失している欠失型の既知のインフルエンザ血球凝集素ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くの残基が、HA1のC末端ステムセグメントのN末端に付加されており;これらの付加された残基が、HA1のC末端ステムセグメントに隣接する球状ヘッドドメインのアミノ酸配列に由来し得る、伸張型のHA1のC末端ステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。特定の実施態様において、1つの残基がC末端ステムセグメントに付加される場合、1つの残基がN末端ステムセグメントに付加され;2つの残基がC末端ステムセグメントに付加される場合、2つの残基がN末端ステムセグメントに付加され;3つの残基がC末端ステムセグメントに付加される場合、3つの残基がN末端ステムセグメントに付加される。さらに本明細書に提供されるのは、最大約80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と保存的に置換されている改変型のHA1のC末端ステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。また本明細書に提供されるのは、HA1のC末端ステムセグメントの最大約1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と置換されている(例えば、保存的に置換されている)改変型のHA1のC末端ステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。さらに提供されるのは、欠失した及び改変されたHA1のC末端ステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、該C末端ステムセグメントは、1以上の修飾されたグリコシル化部位を含む。ある実施態様において、該N末端ステムセグメントは、1以上の修飾されたグリコシル化部位を含む。他の実施態様において、該C末端ステムセグメント及びN末端ステムセグメントは、1以上の修飾されたグリコシル化部位を含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、HA1サブユニットのステムドメインのキメラ/ハイブリッドを含む。HA1サブユニットのステムドメインのキメラは、第1のインフルエンザウイルス株又は亜型のHA1サブユニットのステムドメインの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、60、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、75、76、77、78、79、又は80個のアミノ酸を含むことができ、HA1サブユニットのステムドメインのキメラのアミノ酸の残りの部分は、第2のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものであることができる。ある実施態様において、HA1サブユニットのステムドメインのキメラは、第1のインフルエンザウイルス株又は亜型のHA1サブユニットのステムドメイン1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含み、HA1サブユニットのステムドメインのキメラのアミノ酸の残りの部分は、第2のインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、HA2サブユニットとHA1サブユニットのステムドメインのキメラとを含む。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、HA1サブユニットのステムドメインのキメラ/ハイブリッドを含み、ここで、1以上の天然のグリコシル化部位は、修飾が、下記の第5.4.1節に記載されているように、修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊するように修飾されている。任意の特定の操作理論に束縛されるものではないが、ステムドメイン内の免疫原性及び接近可能性抗原性領域は、ステムドメイン内の1以上のグリコシル化部位を該部位でのグリコシル化(すなわち、グリカンの結合)を破壊する形で修飾することによって増加させることができると考えられる。
インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のインフルエンザ血球凝集素に基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、A型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、以下で詳細に記載されるように、B型インフルエンザ血球凝集素に基づく。
HA1のN末端ステムセグメントは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のHA1のN末端ステムセグメントに基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、HA1のN末端ステムセグメントは、A型インフルエンザHA1のN末端ステムセグメントに基づく。ある実施態様において、HA1のN末端ステムセグメントは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、HA1のN末端ステムセグメントは、アンアーバー/6/60、A/プエルトリコ/8/34、もしくはA/パース/16/2009インフルエンザウイルスのHA-1のN末端ステムセグメントであるか、又はそれらに基づく。
HA1のC末端ステムセグメントは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のHA1のC末端ステムセグメントに基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、HA1のC末端ステムセグメントは、A型インフルエンザHA1のC末端ステムセグメントに基づく。ある実施態様において、HA1のC末端ステムセグメントは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、HA1のC末端ステムセグメントは、アンアーバー/6/60、A/プエルトリコ/8/34、もしくはA/パース/16/2009インフルエンザウイルスのHA-1のN末端ステムセグメントであるか、又はそれらに基づく。
HA2ステムドメインは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のHA2ステムドメインに基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、A型インフルエンザHA2ステムドメインに基づく。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、配列番号34〜49から選択される。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、A/アンアーバー/6/60様、A/プエルトリコ/8/1934様、A/パース/16/2009様、A/カリフォルニア/07/2009様、A/ブリスベン/59/07様、A/ニューカレドニア/20/1999様、もしくはA/ビクトリア/361/201様インフルエンザウイルスのHA2ステムドメインであるか、又はそれらに基づく。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、後に発見されるHA2ステムドメインであるか、又はそれに基づく。
ある実施態様において、HA2ステムドメインは、HA1サブユニットのステムドメインと同じインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。
シグナルペプチドを含む実施態様において、シグナルペプチドは、当業者に公知の任意のインフルエンザウイルスシグナルペプチドに基づくことができる。ある実施態様において、シグナルペプチドは、A型インフルエンザシグナルペプチドに基づく。ある実施態様において、シグナルペプチドは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、及びH16からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、シグナルペプチドは、当業者に有用であると考えられる任意のシグナルペプチドであることができる。
内腔ドメインを含む実施態様において、内腔ドメインは当業者に公知の任意のインフルエンザ内腔ドメインに基づくことができる。ある実施態様において、内腔ドメインは、A型インフルエンザ内腔ドメインに基づく。ある実施態様において、HA2内腔ドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、内腔ドメインは、当業者に有用であると考えられる任意の内腔ドメインであることができる。ある実施態様において、内腔ドメインは、HA1サブユニットのステムドメインと同じインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。
ある実施態様において、細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、及び内腔ドメインは、HA2サブユニットのステムドメインと同じインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。他の実施態様において、細胞質ドメイン及び膜貫通ドメインは、HA2サブユニットのステムドメインと同じインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。ある実施態様において、細胞質ドメイン及び内腔ドメインは、HA2サブユニットのステムドメインと同じインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。
膜貫通ドメインを含む実施態様において、膜貫通ドメインは当業者に公知の任意のインフルエンザ膜貫通ドメインに基づくことができる。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、A型インフルエンザ膜貫通ドメインに基づく。ある実施態様において、HA2膜貫通ドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、当業者に有用であると考えられる任意の膜貫通ドメインであることができる。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、配列番号67〜82から選択される。ある実施態様において、膜貫通ドメインは、HA2サブユニットのステムドメインと同じインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。
細胞質ドメインを含む実施態様において、細胞質ドメインは当業者に公知の任意のインフルエンザ細胞質ドメインに基づくことができる。ある実施態様において、細胞質ドメインは、A型インフルエンザ細胞質ドメインに基づく。ある実施態様において、HA2細胞質ドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、細胞質ドメインは、当業者に有用であると考えられる任意の細胞質ドメインであることができる。ある実施態様において、細胞質ドメインは、配列番号83〜98から選択される。ある実施態様において、細胞質ドメインは、HA2サブユニットのステムドメインと同じインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものである。
ある実施態様において、血球凝集素ステムドメイン中のグリコシル化部位のうちの1つ又は複数は、これらの部位でのグリコシル化がポリペプチドのプロセシング及び成熟の間に生じないように(例えば、アミノ酸の付加、欠失、又は置換によって)修飾される。当業者は、インフルエンザHAが、通常、1以上のグリコシル化部位(例えば、Asn-Xaa-Ser/Thr/Cys、ここで、Xaaは任意のアミノ酸であるか、又はある実施態様において、XaaはPro以外の任意のアミノ酸である)を含むことを認識するであろう。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊するアミノ酸残基と保存的に置換される。ある実施態様において、グリコシル化配列中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊する任意のアミノ酸残基と置換される。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアスパラギン残基は、アラニンと置換される。特定の実施態様において、H3血球凝集素の位置38のアスパラギンは、アラニンに改変される。ある実施態様において、血球凝集素ステムドメイン中のグリコシル化部位のうちの1つ又は複数は、これらの部位でのグリコシル化がポリペプチドのプロセシング及び成熟の間に生じないように、化学物質(例えば、脱グリコシル化剤)を使用することによって修飾される。ある実施態様において、血球凝集素ステムドメインは、下記の第5.4.1節で論じられているような1以上の修飾されたグリコシル化部位を含む。
ある実施態様において、HAステムドメインは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2013/0129761号、第2014/0328875号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に開示されている通りである。ある実施態様において、HAステムドメインは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2011/123495及びWO 2013/043729号、米国公開第2013/0129761号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号の表6、6A、7、及び7A、並びに引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号及び米国公開第2010/0297174号の表1、1A、及び2に記載されているアミノ酸配列を含む。
ある実施態様において、HA2ステムドメインは、B型インフルエンザ血球凝集素に基づく。B型インフルエンザ血球凝集素のN末端ステムセグメントの終点及びC末端ステムセグメントの終点の例示的な残基は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図2に示されている。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号に開示されている表3及び4に提示されている、配列番号99によるものである。
特定の実施態様において、B型インフルエンザウイルスHA1のN末端ステムセグメントとB型インフルエンザウイルスHA1のC末端セグメントの境界は、6対のアミノ酸残基: Arg50及びSer277; Ala66及びTrp271; Lys80及びSer277; Cys94及びCys143; Cys178及びCys272、並びにCys54及びCys272に関して定義される。これら6対の残基の位置は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図3でも強調されている。残基番号は、タンパク質データバンクアクセッション番号3BT6に記載されているB型インフルエンザウイルス由来のB-HAの付番に基づく。タンパク質データバンクアクセッション番号3BT6のB-HAタンパク質のX線結晶構造に対応するアミノ酸配列は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図2で代表的なH1及びH3アミノ酸配列と整列させられ、示されている。
ある実施態様において、B型インフルエンザウイルスHA1のN末端ステムセグメントは、残基1(PDBファイル3BT6と同様に、B型インフルエンザウイルスHA1サブユニットの付番に基づく)から始まり、Arg50で終わる。ある実施態様において、B型インフルエンザウイルスHA1のN末端ステムセグメントは、残基1から始まり、Ala66で終わる。いくつかの実施態様において、B型インフルエンザウイルスHA1のN末端ステムセグメントは、残基1から始まり、Lys80で終わる。いくつかの実施態様において、B型インフルエンザウイルスN末端ステムセグメントは、残基1から始まり、Arg80で終わる。いくつかの実施態様において、B型インフルエンザウイルスN末端ステムセグメントは、残基1から始まり、Cys54で終わる。いくつかの実施態様において、B型インフルエンザウイルスN末端ステムセグメントは、残基1から始まり、Cys94で終わる。いくつかの実施態様において、B型インフルエンザウイルスN末端ステムセグメントは、残基1から始まり、Cys178で終わる。
ある実施態様において、B型インフルエンザウイルスHA2ドメインは、B型インフルエンザウイルスHA1のN末端セグメント、B型インフルエンザウイルスHA1のC末端セグメント、又はその両方を通して、B型インフルエンザウイルスHA1ドメインと三次結合又は四次結合している。
いくつかの実施態様において、B型インフルエンザウイルスHA1のC末端セグメントとB型インフルエンザウイルスHA2サブユニットは、共有結合している。例えば、そのC末端で(例えば、第2の配列の末端残基で)、B型インフルエンザウイルスHA1のC末端セグメントは、そのような実施態様のB型インフルエンザウイルスHA2ドメインに共有結合している。いくつかの実施態様において、B型インフルエンザウイルスHA1のC末端セグメントとB型インフルエンザウイルスHA2ドメインは、連続したポリペプチド鎖を形成する。
図14及び引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図2に示されているように、HA1のN末端ステムセグメントは、A型インフルエンザとB型インフルエンザの間で、さらにA型インフルエンザ亜型にわたって配列同一性を共有している。同様に、HA1のC末端ステムセグメントも、A型インフルエンザとB型インフルエンザの間で、さらにA型インフルエンザ亜型にわたって配列同一性を共有している。さらに、HA2ドメインも、A型インフルエンザとB型インフルエンザの間で、さらにA型インフルエンザ亜型にわたって配列同一性を共有している。
いくつかの実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、複数のインフルエンザ株もしくは亜型由来のセグメント及び/もしくはドメインを含むか又はそれらから本質的になるハイブリッドポリペプチドである。例えば、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、異なるA型インフルエンザウイルスHA亜型由来のHA1のN末端ステムセグメント及びHA1のC末端ステムセグメントを含むことができる。いくつかの実施態様において、HA1のN末端ステムセグメントは、A型インフルエンザウイルス由来のものであるが、HA1のC末端ステムセグメントは、B型インフルエンザウイルス由来のものである。同様に、HA2は、A型インフルエンザウイルス由来のものでもあり得るが、HA1のN末端ステムセグメント及び/又はC末端ステムセグメントは、B型インフルエンザウイルス由来のものである。
完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の表1〜4に掲載されている配列エレメント又はその変異体の任意の組合せを用いて、本発明の血球凝集素HAステムドメインポリペプチドを形成させることができることが理解されるであろう。
本明細書に提供されるインフルエンザステムドメインポリペプチドにおいて、リンカーは、HA1のN末端ステムセグメントをHA1のC末端ステムセグメントに共有結合で連結させる。ある実施態様において、リンカーは直接結合である。ある実施態様において、リンカーは、インフルエンザステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。ある実施態様において、リンカーは、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素のHA2サブユニットのステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。ある実施態様において、リンカーは、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素のHA1及び/又はHA2サブユニットのステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。ある実施態様において、リンカーは、抗体Fab領域又はその断片である。他の実施態様において、リンカーは、非インフルエンザウイルス糖タンパク質又はその断片である。ある実施態様において、リンカーは、1つのアミノ酸残基、2以下のアミノ酸残基、3以下のアミノ酸残基、4以下のアミノ酸残基、5以下のアミノ酸残基、10以下のアミノ酸残基、15以下のアミノ酸残基、20以下のアミノ酸残基、30以下のアミノ酸残基、40以下のアミノ酸残基、又は50以下のアミノ酸残基を含むペプチドである。ある実施態様において、リンカーペプチドは、50以上のアミノ酸残基を含む。ある実施態様において、リンカーは、球状ヘッドドメインを実質的に欠く。言い換えると、リンカーは、インフルエンザ球状ヘッドドメインのアミノ酸配列由来の、10、9、8、7、6、5、又は4以下の隣接する連続したアミノ酸残基を含む。ある実施態様において、リンカーは、
以外のものである。ある実施態様において、リンカーは、
以外のものである。ある実施態様において、リンカーは、
以外のものである。
ある実施態様において、リンカーは、一方の末端で、HA1のN末端ステムセグメントのC末端に共有結合で連結されている。リンカーペプチドはまた、もう一方の末端で、HA1のC末端ステムセグメントのN末端に共有結合で連結されている。ある実施態様において、共有結合のうちの1つはアミド結合である。ある実施態様において、両方の共有結合がアミド結合である。
リンカーは、当業者によって好適であると考えられる任意のリンカーであることができる。ある実施態様において、リンカーは、HA1のN末端ステムセグメント及びHA1のC末端ステムセグメントに基づいて選択される。これらの実施態様において、リンカーは、両方ともAccelrys製のInsightII及びQuantaなどの分子モデリングプログラムを用いて選択され得る。ある実施態様において、リンカーは、当業者によって認識される血球凝集素ステムドメインの構造と一致する、HA1のN末端ステムセグメント及びHA1のC末端ステムセグメントの構造アラインメントを可能にする構造モチーフである。ある実施態様において、リンカーは、候補リンカーのライブラリーから選択される。ある実施態様において、ライブラリーは、欧州分子生物学研究所(European Molecular Biology Laboratory)(EMBL)又は欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute)(EBI)のタンパク質データバンク(PDB)又は巨大分子構造データベースなどの公開データベース中の三次元ポリペプチド構造を含む。ある実施態様において、ライブラリーは、両方ともAccelrys製のInsightII及びQuantaなどの市販プログラムに付随する独占所有権のある三次元ポリペプチド構造を含む。さらに、タンパク質構造又は構造エレメントの任意のデータベース又はコレクションを用いて、リンカーを選択することができる。タンパク質構造エレメントの例示的なデータベース又はコレクションとしては、タンパク質の構造分類(Structural Classification of Proteins)(SCOP、Cambridge Universityによって維持され、提供される);タンパク質ファミリーのデータベース(database of protein families)(Pfam、Wellcome Trust Sanger Instituteによって維持され、提供される);汎用タンパク質資源(Universal Protein Resource)(UniProt、UniProt Consortiumによって維持され、提供される);タンパク質ファミリーの総合資源(Integrated resource for protein families)(InterPro; EMBL-EBIによって維持され、提供される);クラス構造トポロジー相同スーパーファミリー(Class Architecture Topology Homologous superfamily)(CATH、University College LondonのInstitute of Structural and Molecular Biologyによって維持され、提供される);及び構造的に類似したタンパク質のファミリー(families of structurally similar proteins)(FSSP、EBIによって維持され、提供される)が挙げられるが、これらに限定されない。限定するものではないが、SCOP、CATH、及びFSSPによって使用されるものを含む、当業者によって好適であると考えられる任意のアルゴリズムを用いて、リンカーを選択することができる。有用な例としては、Pymol(Delano Scientific LLC)、InsightII及びQuanta(両方ともAccelrys製)、MIDAS(University of California, San Francisco)、SwissPDB viewer(Swiss Institute of Bioinformatics)、TOPOFIT(Northeastern University)、CBSU LOOPP(Cornell University)、並びにSuperPose(University of Alberta, Edmonton)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、リンカーは直接結合である。ある実施態様において、リンカーは、Gly、Gly-Gly、Gly-Gly-Gly、Gly-Gly-Gly-Gly、及びGly-Gly-Gly-Gly-Glyからなる群から選択される。ある実施態様において、リンカーは、Gly-Pro及びPro-Glyからなる群から選択される。ある実施態様において、リンカーは、例えば、配列
を有する281ターンループである。
ある実施態様において、リンカーは、グリコシル化配列を含む。ある実施態様において、リンカーは、Asn-Xaa-Ser/Thr/Cysによるアミノ酸配列を含み、ここで、Xaaは任意のアミノ酸であり、又はある実施態様において、Xaaはプロリン以外の任意のアミノ酸であり、Ser/Thr/Cysはセリン、トレオニン、又はシステインである。ある実施態様において、リンカーは、アミノ酸配列Asn-Ala-Serを含む。ある実施態様において、リンカーは、グリコシル化配列である。ある実施態様において、リンカーは、Asn-Xaa-Ser/Thr/Cysによるアミノ酸配列であり、ここで、Xaaは任意のアミノ酸であり、又はある実施態様において、Xaaはプロリン以外の任意のアミノ酸であり、Ser/Thr/Cysはセリン、トレオニン、又はシステインである。ある実施態様において、リンカーは、アミノ酸配列Asn-Ala-Serである。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、天然のインフルエンザ血球凝集素のステムドメインの三次元構造と類似している三次元構造を形成することができる。構造類似性は、当業者によって好適であると考えられる任意の技術に基づいて評価することができる。例えば、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドと、天然のインフルエンザ血球凝集素を認識する中和抗体又は抗血清との、例えば、非変性条件下での反応は、構造類似性を示すことができる。有用な中和抗体又は抗血清は、例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Suiらの文献、2009, Nat. Struct. Mol. Biol. 16(3):265-273、Ekiertらの文献、2009年2月26日、Science[DOI: 10.1126/science.1171491]、及びKashyapらの文献、2008, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105(16):5986-5991に記載されている。ある実施態様において、抗体又は抗血清は、血球凝集素の三次構造又は四次構造によって形成される非隣接(すなわち、一次配列で隣接していない)エピトープと反応する抗体又は抗血清である。
ある実施態様において、構造類似性は、分光技術、例えば、円二色性、ラマン分光法、NMR、3D NMR、及びX線結晶学によって評価することができる。X線結晶学によって決定された既知のインフルエンザ血球凝集素構造は、限定されないが、1HGJ(HA H3N2株)及び1RUZ(HA H1N1株)を含む、タンパク質データバンクファイルの構造座標に記載されている。
ある実施態様において、構造類似性は、2つの構造の対応する重畳部分間のRMS偏差によって評価される。意味のある重畳を生じさせるために、ある実施態様において、少なくとも20個の対応する原子、25個の対応する原子、30個の対応する原子、40個の対応する原子、50個の対応する原子、60個の対応する原子、70個の対応する原子、80個の対応する原子、90個の対応する原子、100個の対応する原子、120個の対応する原子、150個の対応する原子、200個の対応する原子、又は250個の対応する原子の座標を用いて、RMS偏差を計算する。
ある実施態様において、アミノ酸骨格中の全ての対応する原子の座標を用いて、RMS偏差を計算する。ある実施態様において、アミノ酸骨格中の全ての対応するアルファ炭素原子の座標を用いて、RMS偏差を計算する。ある実施態様において、側鎖を含む全ての対応する同一残基の座標を用いて、RMS偏差を計算する。
ある実施態様において、HA1のN末端セグメント中の対応する原子の全て又は一部の座標を用いて、RMS偏差を計算する。ある実施態様において、HA1のC末端セグメント中の対応する原子の全て又は一部の座標を用いて、RMS偏差を計算する。ある実施態様において、HA1のN末端セグメントとC末端セグメントの両方における対応する原子の全て又は一部の座標を用いて、RMS偏差を計算する。ある実施態様において、HA2ドメイン中の対応する原子の全て又は一部の座標を用いて、RMS偏差を計算する。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドと既知のA型インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメイン(例えば、1HGJ又は1RUZ由来)の対応する部分の構造間のRMS偏差は、5Å以下、4Å以下、3Å以下、2.5Å以下、2Å以下、1.5Å以下、1Å以下、0.75Å以下、0.5Å以下、0.3Å以下、0.2Å以下、又は0.1Å以下である。市販又はオープンソースのソフトウェアを用いて、構造的重畳及び/又はRMS偏差の計算を実施してもよい。有用な例としては、Pymol(Delano Scientific LLC)、InsightII及びQuanta(両方ともAccelrys製)、MIDAS(University of California, San Francisco)、SwissPDB viewer(Swiss Institute of Bioinformatics)、TOPOFIT(Northeastern University)、CBSU LOOPP(Cornell University)、及びSuperPose(University of Alberta, Edmonton)が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、本明細書に提供される任意のインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、当業者に好適であると考えられる1以上のポリペプチドドメインをさらに含むことができる。有用なポリペプチドドメインとしては、ポリペプチドの部分の精製、フォールディング、及び切断を容易にするドメインが挙げられる。例えば、Hisタグ
FLAGエピトープ、又は他の精製タグは、本明細書に提供されるポリペプチドの精製を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、Hisタグは、配列(His)nを有し、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。バクテリオファージT4フィブリチン由来のフォルドンドメイン、又は三量体化ドメインは、本明細書に提供されるポリペプチドの三量体化を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。フォルドンドメインは、当業者に公知の任意のフォルドン配列を有することができる(例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Papanikolopoulouらの文献、2004, J. Biol. Chem. 279(10):8991-8998を参照されたい)。例としては、
が挙げられる。フォルドンドメインは、本明細書に提供される可溶性ポリペプチドの三量体化を容易にするのに有用であり得る。切断部位を用いて、ポリペプチドの一部の切断、例えば、精製タグもしくはフォルドンドメイン又はその両方の切断を容易にすることができる。有用な切断部位としては、トロンビン切断部位、例えば、配列
を有するものが挙げられる。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。
ある実施態様において、提供されるのは、エラスターゼ切断部位を含むインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。当業者は、血球凝集素配列中のHA1-HA2切断部位のアルギニン又はリジンの代わりにバリンを使用することによって、HA1とHA2の連結部のトリプシン切断部位をエラスターゼ切断部位に突然変異させることができることを理解するであろう(例えば、Stechらの文献、2005, Nature Med. 11(6):683-689を参照されたい)。したがって、本明細書に提供されるのは、C末端ステムセグメントのC末端(すなわち、HA1ドメインのC末端)にバリン置換を有するインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、修飾された多塩基性切断部位を含むインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスステムドメインポリペプチドは、多塩基性切断部位を含有しない。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1とHA2の接合部でのプロテアーゼ切断に対して抵抗性があると予測されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。当業者は、HA1とHA2にまたがるArg-Gly配列がトリプシンの認識部位であり、かつ通常、血球凝集素活性化のために切断されることを認識すべきである。本明細書に記載されるステムドメインポリペプチドは活性化される必要がないので、本明細書に提供されるのは、プロテアーゼ切断に対して抵抗性があると予測されるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1とHA2にまたがるプロテアーゼ部位をプロテアーゼ切断に対して抵抗性がある配列に突然変異させている、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA1のC末端ステムセグメントのC末端残基がLys又はArg以外の任意の残基である、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA2ドメインのN末端残基がプロリンである、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA1のC末端ステムセグメントのC末端残基がAlaであり、HA2ドメインのN末端残基もAlaである、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端ステムセグメントに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、それがプロテアーゼ切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがプロテアーゼ切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、プロテアーゼ切断部位は、トロンビン切断部位である。ある実施態様において、切断部位は、アミノ酸配列
を有する。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。ある実施態様において、三量体化ドメインは、フォルドンドメインである。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。いくつかの実施態様において、精製タグは、配列(His)nを有するHisタグであり、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、プロテアーゼ切断部位は、トロンビン切断部位である。ある実施態様において、切断部位は、アミノ酸配列
を有する。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。ある実施態様において、三量体化ドメインは、フォルドンドメインである。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。いくつかの実施態様において、精製タグは、配列(His)nを有するHisタグであり、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、
シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合し、それがさらにHA2細胞質ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合し、それがさらにHA2細胞質ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端ステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合し、それがさらにHA2細胞質ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドは、抗体CR6261、CR6325、CR6329、CR6307、CR6323、2A、D7、D8、F10、G17、H40、A66、D80、E88、E90、H98、C179(ハイブリドーマFERM BP-4517により産生される; Takara Bio社(Otsu, Shiga, Japan)により販売されているクローン)、AI3C(FERM BP-4516)、Ekiert DCらの文献(2009)、高度に保存されたインフルエンザウイルスエピトープの抗体認識(Antibody Recognition of a Highly Conserved Influenza Virus Epitope.) Science(2009年2月26日のScience Expressで発表された); Kashyapらの文献(2008)に記載されている任意の他の抗体、又は任意の他の同様の抗体によって認識されない。
(5.3.1.1 インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチド)
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2013/0129761号、第2014/0328875号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されているインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドの典型的な一次構造は、以下の順序で:HA1のN末端ステムセグメント、リンカー、HA1のC末端の短いステムセグメント、及びHA2を含む。一次配列は、単一のポリペプチドによって形成されることができるか、又はそれは、複数のポリペプチドによって形成されることができる。通常、単一のポリペプチドは、当業者に好適であると考えられる任意の技術によって発現される。単一のポリペプチドの実施態様において、HA1セグメントとHA2は三次結合している。当業者に公知であるように、単一のHAポリペプチドは、例えば、プロテアーゼによって、適当な発現条件下で切断され、四次結合した2つのポリペプチドを生じさせることができる。切断は、通常、HA1のC末端の短いステムセグメントとHA2の間である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、複数のポリペプチドである。複数のポリペプチドの実施態様において、HA1セグメントとHA2は四次結合している。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは単量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは多量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは三量体である。当業者は、天然のインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドがインビボで三量体化することができること、及び本明細書に提供される特定のインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドが三量体化することができることを理解するであろう。下記の特定の実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、三量体化を容易にする三量体化ドメインを含む。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。通常、シグナルペプチドは、ポリペプチドの発現及び翻訳時又はその後に切断され、成熟したインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドを生じさせる。シグナルペプチドは、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドの発現に有利であることができる。ある実施態様において、また本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドを欠く成熟したインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。
インフルエンザ血球凝集素HA2は、通常、ステムドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメイン、HA2内腔ドメイン、HA2膜貫通ドメイン、及びHA2細胞質ドメインを含むインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメイン、HA2内腔ドメイン、及びHA2膜貫通ドメインを含むが、典型的な細胞質ドメインの一部又は全てを欠くインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメイン及びHA2内腔ドメインを含むが、HA2膜貫通ドメインとHA2細胞質ドメインの両方を欠くインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメインを含むが、HA2内腔ドメイン、HA2膜貫通ドメイン、及びHA2細胞質ドメインを欠くインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザHA2ステムドメインとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、又は98%のアミノ酸配列同一性を有するHA2ステムドメインを含む。既知のA型インフルエンザ及びB型インフルエンザ血球凝集素由来の例示的な既知のHA2ステムドメインは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、及びWO 2013/043729号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に開示されている表に提供されている。
また本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基がHA2ステムドメインの一方又は両方の末端から欠失している欠失型のHA2ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。さらに本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と保存的に置換されている改変型のHA2ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。さらに提供されるのは、欠失した及び改変されたHA2ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。
HA1のN末端ステムセグメントは、本明細書に提供される任意のHA1のN末端ステムであることができる。例示的な既知のHA1のN末端ステムセグメントは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、及びWO 2013/043729号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に開示されている表に提供されている。
HA1のC末端の短いステムセグメントは、本明細書に提供される定義に基づいて当業者によって認識される任意のHA1のC末端の短いステムセグメントであることができる。通常、HA1のC末端の短いステムセグメントは、HA1の約305番目の残基(H3付番を使用)の配列に位置するシステイン残基からHA1のC末端アミノ酸までからなるポリペプチドに対応する。本明細書でBqと称される、このシステイン残基は、HA1のN末端ステムセグメント中のシステイン残基Apに連結されることができる。17個の代表的なA型インフルエンザ血球凝集素の配列が図14に示されており、残基Bqが各々で特定されている。
ある実施態様において、HA1のC末端の短いステムセグメントは、Bq(例えば、H3血球凝集素由来の(すなわち、H3付番による)HA1サブユニットのCys305)から始まるのではなく、配列上及び構造上Bqに近い残基から始まる。例えば、ある実施態様において、HA1のC末端の短いステムセグメントは、Bq-1、Bq-2、Bq-3、Bq-4、Bq-5、Bq-6、Bq-7、Bq-8、Bq-9、Bq-10、Bq-11、Bq-12、Bq-13、Bq-14、Bq-15、Bq-20、Bq-25、Bq-30、Bq-35、Bq-40、Bq-45、Bq-50、Bq-55、Bq-60、Bq-65、Bq-70、Bq-75、又はBq-80から始まる。他の実施態様において、HA1のC末端の短いステムセグメントは、Bq+1、Bq+2、Bq+3、Bq+4、Bq+5、Bq+6、Bq+7、Bq+8、Bq+9、又はBq+10から始まる。HA1のN末端ステムセグメントの終点は、得られるHA1ステムドメインが、下記のように、インフルエンザ血球凝集素と類似した三次元構造を形成することができるように、HA1のC末端の短いステムセグメント及びリンカーの始点との関連で選択されるべきである。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザHA1のC末端の短いステムセグメントとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、又は98%のアミノ酸配列同一性を有するHA1のC末端の短いステムセグメントを含む。例示的な既知のHA1のC末端の短いステムセグメントは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、及びWO 2013/043729号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に開示されている表に提供されている。
ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-1であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-1である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-2であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-2である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-3であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-3である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-4であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-4である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-5であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-5である。
ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+1であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+1である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+2であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+2である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+3であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+3である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+4であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+4である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+5であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+5である。
ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-1であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+1である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-2であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+2である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-3であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+3である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-4であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+4である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp-5であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq+5である。
ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はApであり(すなわち、N末端ステムセグメントの終点はシステインであり)、C末端ステムセグメントの始点はAqである(すなわち、C末端ステムセグメントの始点はシステインである)。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+1であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-1である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+2であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-2である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+3であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-3である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+4であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-4である。ある実施態様において、N末端ステムセグメントの終点はAp+5であり、C末端の短いステムセグメントの始点はBq-5である。
また本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基がHA1のC末端の短いステムセグメントの一方又は両方の末端から欠失している欠失型のHA1のC末端の短いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くの残基が、HA1のC末端の短いステムセグメントのN末端に付加されている伸張型のHA1のC末端の短いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。特定の実施態様において、1つの残基がC末端の短いステムセグメントに付加される場合、1つの残基がN末端ステムセグメントに付加され; 2つの残基がC末端の短いステムセグメントに付加される場合、2つの残基がN末端ステムセグメントに付加され; 3つの残基がC末端の短いステムセグメントに付加される場合、3つの残基がN末端ステムセグメントに付加される。さらに本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と保存的に置換されている改変型のHA1のC末端の短いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。さらに提供されるのは、欠失した及び改変されたHA1のC末端の短いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。
インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のインフルエンザ血球凝集素に基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、A型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、以下で詳細に記載するように、B型インフルエンザ血球凝集素に基づく。
HA1のN末端ステムセグメントは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のHA1のN末端ステムセグメントに基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、HA1のN末端ステムセグメントは、A型インフルエンザHA1のN末端ステムセグメントに基づく。ある実施態様において、HA1のN末端ステムセグメントは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。
HA1のC末端の短いステムセグメントは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のHA1のC末端の短いステムセグメントに基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、HA1のC末端の短いステムセグメントは、A型インフルエンザHA1のC末端の短いステムセグメントに基づく。ある実施態様において、HA1のC末端の短いステムセグメントは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。
HA2ステムドメインは、当業者に公知であるか、後に発見されるか、又は本明細書に記載されている任意のHA2ステムドメインに基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、A型インフルエンザHA2ステムドメインに基づく。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。
シグナルペプチドを含む実施態様において、シグナルペプチドは、当業者に公知又は本明細書に記載の任意のインフルエンザシグナルペプチドに基づくことができる。ある実施態様において、シグナルペプチドは、A型インフルエンザシグナルペプチドに基づく。
内腔ドメインを含む実施態様において、内腔ドメインは、当業者に公知又は本明細書に記載の任意のインフルエンザ内腔ドメインに基づくことができる。
膜貫通ドメインを含む実施態様において、膜貫通ドメインは、当業者に公知又は本明細書に記載の任意のインフルエンザ膜貫通ドメインに基づくことができる。
細胞質ドメインを含む実施態様において、細胞質ドメインは、当業者に公知又は本明細書に記載の任意のインフルエンザ細胞質ドメインに基づくことができる。
ある実施態様において、血球凝集素の短いステムドメイン中のグリコシル化部位のうちの1つ又は複数は、これらの部位でのグリコシル化がポリペプチドのプロセシング及び成熟の間に生じないように(例えば、アミノ酸の付加、欠失、又は置換によって)修飾される。当業者は、インフルエンザHAが、通常、1以上のグリコシル化部位(例えば、Ser/Thr/Cys、ここで、Xaaは任意のアミノ酸であり、又はある実施態様において、XaaはProではない)を含むことを理解するであろう。ある実施態様において、グリコシル化配列中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊するアミノ酸残基と保存的に置換される。ある実施態様において、グリコシル化配列中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊する任意のアミノ酸残基と置換される。ある実施態様において、グリコシル化配列中の1以上のアスパラギン残基は、アラニンと置換される。特定の実施態様において、H3血球凝集素の位置38のアスパラギンは、アラニンに改変される。ある実施態様において、血球凝集素の短いステムドメインは、下記の第5.4.1節で論じられているような1以上の修飾されたグリコシル化部位を含む。
ある実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号の表6に記載されている1以上の配列を含む。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、インフルエンザ血球凝集素ポリペプチドの三次構造又は四次構造中に1以上の免疫原性エピトープを含む。
図14及び引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図2に示されているように、HA1のN末端ステムセグメントは、A型インフルエンザとB型インフルエンザの間で、さらにA型インフルエンザ亜型にわたって配列同一性を共有している。同様に、HA1のC末端の短いステムセグメントも、A型インフルエンザとB型インフルエンザの間で、さらにA型インフルエンザ亜型にわたって配列同一性を共有している。さらに、HA2ドメインも、A型インフルエンザとB型インフルエンザの間で、さらにA型インフルエンザ亜型にわたって配列同一性を共有している。
いくつかの実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、複数のインフルエンザ株又は亜型由来のセグメント及び/もしくはドメインを含むか又はそれらから本質的になるハイブリッドポリペプチドである。例えば、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、異なるA型インフルエンザウイルスHA亜型由来のHA1のN末端ステムセグメント及びHA1のC末端の短いステムセグメントを含むことができる。いくつかの実施態様において、HA1のN末端ステムセグメントは、B型インフルエンザウイルス由来のものであるが、HA1のC末端の短いステムセグメントは、A型インフルエンザウイルス由来のものである。同様に、HA2及びHA1のC末端の短いステムセグメントは、A型インフルエンザウイルス由来のものでもあり得るが、HA1のN末端は、B型インフルエンザウイルス由来のものである。
引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号の表2、4、5に掲載されている配列エレメント、並びに引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号の表3の「シグナルペプチド」、「HA1のN末端ステムセグメント」、及び「HA2ドメイン」の欄に掲載されている配列、又はこれらの変異体の任意の組合せを用いて、本発明の血球凝集素HAステムドメインポリペプチドを形成させることができることが理解されるであろう。
本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドにおいて、リンカーは、HA1のN末端ステムセグメントをHA1のC末端の短いステムセグメントと共有結合で連結させる。リンカーは、本明細書に記載されるリンカーを含むが、これに限定されない、当業者によって好適であると考えられる任意のリンカーであることができる。ある実施態様において、リンカーは、インフルエンザステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、天然のインフルエンザ血球凝集素のステムドメインの三次元構造と類似している三次元構造を形成することができる。構造類似性は、本明細書に記載される技術を含むが、これに限定されない、当業者によって好適であると考えられる任意の技術に基づいて評価することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供される任意のインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドは、当業者に好適であると考えられる1以上のポリペプチドドメインをさらに含むことができる。有用なポリペプチドドメインとしては、ポリペプチドの部分の精製、フォールディング、及び切断を容易にするドメインが挙げられる。例えば、Hisタグ
FLAGエピトープ、又は他の精製タグは、本明細書に提供されるポリペプチドの精製を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、精製タグは、配列(His)nを有するHisタグであり、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。
バクテリオファージT4フィブリチン由来のフォルドンを含む、任意の三量体化ドメインは、本明細書に提供されるポリペプチドの三量体化を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。フォルドンドメインは、当業者に公知の任意のフォルドン配列を有することができる(例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Papanikolopoulouらの文献、2004, J. Biol. Chem. 279(10):8991-8998を参照されたい)。例としては、
が挙げられる。フォルドンドメインは、本明細書に提供される可溶性ポリペプチドの三量体化を容易にするのに有用であり得る。切断部位を用いて、ポリペプチドの一部の切断、例えば、精製タグもしくはフォルドンドメイン又はその両方の切断を容易にすることができる。有用な切断部位としては、トロンビン切断部位、例えば、配列
を有するものが挙げられる。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1とHA2の接合部でのプロテアーゼ切断に対して抵抗性があると予測されるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA1とHA2にまたがるプロテアーゼ部位が、プロテアーゼ切断に対して抵抗性がある配列に突然変異させられている、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA1のC末端の短いステムセグメントのC末端残基がLys又はArg以外の任意の残基である、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA2ドメインのN末端残基がプロリンである、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA1のC末端の短いステムセグメントのC末端残基がAlaであり、かつHA2ドメインのN末端残基もAlaである、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、プロテアーゼ切断部位は、トロンビン切断部位である。ある実施態様において、切断部位は、アミノ酸配列
を有する。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。ある実施態様において、三量体化ドメインは、フォルドンドメインである。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。いくつかの実施態様において、精製タグは、配列(His)nを有するHisタグであり、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、プロテアーゼ切断部位は、トロンビン切断部位である。ある実施態様において、切断部位は、アミノ酸配列
を有する。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。ある実施態様において、三量体化ドメインは、フォルドンドメインである。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。いくつかの実施態様において、精製タグは、配列(His)nを有するHisタグであり、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合し、それがさらにHA2細胞質ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端ステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合し、それがさらにHA2細胞質ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端ステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の短いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合し、それがさらにHA2細胞質ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の短いステムドメインポリペプチドである。
(5.3.1.2 インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチド)
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2013/0129761号、第2014/0328875号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に記載されているインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドの典型的な一次構造は、以下の順序で:HA1のN末端の長いステムセグメント、リンカー、HA1のC末端の長いステムセグメント、及びHA2を含む。一次配列は、単一のポリペプチドによって形成されることができるか、又はそれは、複数のポリペプチドによって形成されることができる。通常、単一のポリペプチドは、当業者に好適であると考えられる任意の技術によって発現される。単一のポリペプチドの実施態様において、HA1セグメントとHA2は三次結合している。当業者に公知であるように、単一のHAポリペプチドは、例えば、プロテアーゼによって、適当な発現条件下で切断され、四次結合した2つのポリペプチドを生じさせることができる。切断は、通常、HA1のC末端の短いステムセグメントとHA2の間である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、複数のポリペプチドである。複数のポリペプチドの実施態様において、HA1セグメントとHA2は四次結合している。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは単量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは多量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは三量体である。当業者は、天然のインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドがインビボで三量体化することができること、及び本明細書に提供される特定のインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドが三量体化することができることを認識しているであろう。下記の特定の実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、三量体化を容易にする三量体化ドメインを含む。
ある実施態様において、また本明細書に提供されるのは、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。ある実施態様において、シグナルペプチドを欠く成熟したインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメイン、HA2内腔ドメイン、HA2膜貫通ドメイン、及びHA2細胞質ドメインを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメイン、HA2内腔ドメイン、及びHA2膜貫通ドメインを含むが、典型的な細胞質ドメインの一部又は全てを欠くインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメイン及びHA2内腔ドメインを含むが、HA2膜貫通ドメインとHA2細胞質ドメインの両方を欠くインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA2ステムドメインを含むが、HA2内腔ドメイン、HA2膜貫通ドメイン、及びHA2細胞質ドメインを欠くインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザHA2ステムドメインとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、又は98%のアミノ酸配列同一性を有するHA2ステムドメインを含む。既知のA型インフルエンザ血球凝集素由来の例示的な既知のHA2ステムドメインは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2011/123495号、WO 2013/043729号、及びWO 2014/099931号、米国公開第2013/0129761号、第2014/0328875号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に提供されている。
また本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基がHA2ステムドメインの一方又は両方の末端から欠失している欠失型のHA2ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。さらに本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と保存的に置換されている改変型のHA2ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。さらに提供されるのは、欠失した及び改変されたHA2ステムドメインを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。
HA1のN末端の長いステムセグメントは、本明細書に提供される定義に基づいて当業者によって認識される任意のHA1のN末端の長いステムセグメントであることができる。通常、HA1のN末端の長いステムセグメントは、成熟したHA1のN末端アミノ酸(すなわち、シグナルペプチドを欠くHA1)からHA1の約97番目の残基(H3付番を使用)の配列に位置するシステイン残基までからなるポリペプチドに対応する。本明細書でCpと称される、このシステイン残基は、通常、HA1のC末端の長いステムセグメント中のシステイン残基Cqに連結されることができる。17個の代表的なA型インフルエンザ血球凝集素の配列が図14に示されており、残基Cpが各々で特定されている。
ある実施態様において、HA1のN末端の長いステムセグメントは、Cp(例えば、H3血球凝集素由来の(すなわち、H3付番による)HA1サブユニットのCys97)で正確に終わるのではなく、配列上及び構造上Cpに近い残基で終わる。例えば、ある実施態様において、HA1のN末端の長いステムセグメントは、Cp-1、Cp-2、Cp-3、又はCp-4で終わる。他の実施態様において、HA1のN末端の長いステムセグメントは、Cp+1、Cp+2、Cp+3、Cp+4、又はCp+5で終わる。HA1のN末端の長いステムセグメントの終点は、得られる連結されたHA1ステムドメインが、下記のように、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインと類似した三次元構造を形成することができるように、HA1のC末端の長いステムセグメント及びリンカーの終点との関連で選択されるべきである。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザHA1のN末端の長いステムセグメントとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、又は98%のアミノ酸配列同一性を有するHA1のN末端の長いステムセグメントを含む。例示的な既知のHA1のN末端の長いステムセグメントは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、及びWO 2013/043729号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に開示されている表に提供されている。
また本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基がHA1のN末端の長いステムセグメントの一方又は両方の末端から欠失している欠失型のHA1のN末端の長いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つ、2つ、又は3つの残基が、HA1のN末端の長いステムセグメントのC末端に付加されており;これらの付加された残基が、HA1のN末端の長いステムセグメントに隣接する球状ヘッドドメインのアミノ酸配列に由来することができる、伸張型のHA1のN末端の長いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。さらに本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と保存的に置換されている改変型のHA1のN末端の長いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。さらに提供されるのは、欠失した及び改変されたHA1のN末端の長いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。
HA1のC末端の長いステムセグメントは、本明細書に提供される定義に基づいて当業者によって認識される任意のHA1のC末端の長いステムセグメントであることができる。通常、HA1のC末端の長いステムセグメントは、HA1の約253番目の残基(H3付番を使用)の配列に位置するアラニン残基からHA1のC末端アミノ酸までからなるポリペプチドに対応する。本明細書でCqと称される、このアラニン残基は、通常、HA1のN末端の長いステムセグメント中のシステイン残基Cpに連結されることができる。16個の代表的なA型インフルエンザ血球凝集素の配列が図14に示されており、残基Cqが各々で特定されている。
ある実施態様において、HA1のC末端の長いステムセグメントは、Cq(例えば、H3血球凝集素由来の(すなわち、H3付番による)HA1サブユニットのAla253)から始まるのではなく、配列上及び構造上Cqに近い残基から始まる。例えば、ある実施態様において、HA1のC末端の長いステムセグメントは、Cq-1、Cq-2、Cq-3、又はCq-4から始まる。他の実施態様において、HA1のC末端の長いステムセグメントは、Cq+1、Cq+2、Cq+3、Cq+4、又はCq+5から始まる。HA1のN末端の長いステムセグメントの終点は、得られるHA1ステムドメインが、下記のように、インフルエンザ血球凝集素と類似した三次元構造を形成することができるように、HA1のC末端の長いステムセグメント及びリンカーの始点との関連で選択されるべきである。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザHA1のC末端の長いステムセグメントとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、又は98%のアミノ酸配列同一性を有するHA1のC末端の長いステムセグメントを含む。例示的な既知のHA1のC末端の長いステムセグメントは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2010/117786号、WO 2011/123495号、及びWO 2013/043729号、米国公開第2010/0297174号、第2013/0129761号、並びに米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号に開示されている表に提供されている。
ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp-1であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-1である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はAp-2であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-2である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp-3であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-3である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp-4であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-4である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp-5であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-5である。
ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+1であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+1である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+2であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+2である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+3であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+3である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+4であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+4である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+5であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+5である。
ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp-1であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+1である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp-2であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+2である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp-3であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+3である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp-4であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+4である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp-5であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq+5である。
ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+1であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-1である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+2であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-2である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+3であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-3である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+4であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-4である。ある実施態様において、N末端の長いステムセグメントの終点はCp+5であり、C末端の長いステムセグメントの始点はCq-5である。
また本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基がHA1のC末端の長いステムセグメントの一方又は両方の末端から欠失している欠失型のHA1のC末端の長いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれより多くの残基が、HA1のC末端の長いステムセグメントのN末端に付加されており;これらの付加された残基が、HA1のC末端の長いステムセグメントに隣接する球状ヘッドドメインのアミノ酸配列に由来することができる、伸張型のHA1のC末端の長いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。特定の実施態様において、1つの残基がC末端の長いステムセグメントに付加される場合、1つの残基がN末端の長いステムセグメントに付加され; 2つの残基がC末端の長いステムセグメントに付加される場合、2つの残基がN末端の長いステムセグメントに付加され; 3つの残基がC末端の長いステムセグメントに付加される場合、3つの残基がN末端の長いステムセグメントに付加される。さらに本明細書に提供されるのは、最大100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基が他のアミノ酸と保存的に置換されている改変型のHA1のC末端の長いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。さらに提供されるのは、欠失した及び改変されたHA1のC末端の長いステムセグメントを含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。
インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のインフルエンザ血球凝集素に基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、A型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、及びH17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、以下で詳細に記載するように、B型インフルエンザ血球凝集素に基づく。
HA1のN末端の長いステムセグメントは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のHA1のN末端の長いステムセグメントに基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、HA1のN末端の長いステムセグメントは、A型インフルエンザHA1のN末端の長いステムセグメントに基づく。ある実施態様において、HA1のN末端の長いステムセグメントは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、及びH17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。
HA1のC末端の長いステムセグメントは、当業者に公知であるか又は後に発見される任意のHA1のC末端の長いステムセグメントに基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、HA1のC末端の長いステムセグメントは、A型インフルエンザHA1のC末端の長いステムセグメントに基づく。ある実施態様において、HA1のC末端の長いステムセグメントは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、及びH17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。
HA2ステムドメインは、当業者に公知であるか、後に発見されるか、又は本明細書に記載されている任意のHA2ステムドメインに基づくことができる(すなわち、上記のように、配列同一性を有することができる)。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、A型インフルエンザHA2ステムドメインに基づく。ある実施態様において、HA2ステムドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、及び及びH17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素に基づく。
シグナルペプチドを含む実施態様において、シグナルペプチドは、当業者に公知又は本明細書に記載の任意のインフルエンザシグナルペプチドに基づくことができる。
内腔ドメインを含む実施態様において、内腔ドメインは、当業者に公知又は本明細書に記載の任意のインフルエンザ内腔ドメインに基づくことができる。
膜貫通ドメインを含む実施態様において、膜貫通ドメインは、当業者に公知又は本明細書に記載の任意のインフルエンザ膜貫通ドメインに基づくことができる。
細胞質ドメインを含む実施態様において、細胞質ドメインは、当業者に公知又は本明細書に記載の任意のインフルエンザ細胞質ドメインに基づくことができる。
ある実施態様において、血球凝集素ステムドメイン中のグリコシル化部位のうちの1つ又は複数は、これらの部位でのグリコシル化がポリペプチドのプロセシング及び成熟の間に生じないように(例えば、アミノ酸の付加、欠失、又は置換によって)修飾される。当業者は、インフルエンザHAが、通常、1以上のグリコシル化部位(例えば、Asn-Xaa-Ser/Thr/Cys、ここで、Xaaは任意の他のアミノ酸であり、又はある実施態様において、XaaはPro以外の任意のアミノ酸である)を含むことを理解するであろう。ある実施態様において、グリコシル化配列中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊するアミノ酸残基と保存的に置換される。ある実施態様において、グリコシル化配列中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊する任意のアミノ酸残基と置換される。ある実施態様において、グリコシル化配列中の1以上のアスパラギン残基は、アラニンと置換される。特定の実施態様において、H3血球凝集素の位置38のアスパラギンは、アラニンに改変される。ある実施態様において、血球凝集素ステムドメインは、下記の第5.4.1節で論じられているような1以上の修飾されたグリコシル化部位を含む。
ある実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号の表7に開示されている1以上の配列を含む。
図14及び引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図2に示されているように 、HA1のN末端の長いステムセグメントは、A型インフルエンザとB型インフルエンザの間で、さらにA型インフルエンザ亜型にわたって配列同一性を共有している。同様に、HA1のC末端の長いステムセグメントも、A型インフルエンザとB型インフルエンザの間で、さらにA型インフルエンザ亜型にわたって配列同一性を共有している。さらに、HA2ドメインも、A型インフルエンザとB型インフルエンザの間で、さらにA型インフルエンザ亜型にわたって配列同一性を共有している。
いくつかの実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、複数のインフルエンザ株又は亜型由来のセグメント及び/もしくはドメインを含むか又はそれらから本質的になるハイブリッドポリペプチドである。例えば、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、異なるA型インフルエンザウイルスHA亜型由来のHA1のN末端の長いステムセグメント及びHA1のC末端の長いステムセグメントを含むことができる。いくつかの実施態様において、HA1のN末端の長いステムセグメントは、A型インフルエンザウイルス由来のものであるが、HA1のC末端の長いステムセグメントは、B型インフルエンザウイルス由来のものである。同様に、HA2は、A型インフルエンザウイルス由来のものでもあり得るが、HA1のN末端の長いステムセグメント及び/又はC末端の長いステムセグメントは、B型インフルエンザウイルス由来のものである。
引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号の表2〜4、6、6aに掲載されている配列エレメント、又はその変異体の任意の組合せを用いて、本発明の血球凝集素HAの長いステムドメインポリペプチドを形成させることができることが理解されるであろう。
本明細書に提供されるインフルエンザステムドメインポリペプチドにおいて、リンカーは、HA1のN末端の長いステムセグメントをHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合で連結させる。リンカーは、本明細書に記載されるリンカーを含むが、これに限定されない、当業者によって好適であると考えられる任意のリンカーであることができる。
ある実施態様において、インフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、天然のインフルエンザ血球凝集素のステムドメインの三次元構造と類似している三次元構造を形成することができる。構造類似性は、本明細書に記載される技術を含むが、これに限定されない、当業者によって好適であると考えられる任意の技術に基づいて評価することができる。
ある実施態様において、本明細書に提供される任意のインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドは、当業者に好適であると考えられる1以上のポリペプチドドメインをさらに含むことができる。有用なポリペプチドドメインとしては、ポリペプチドの部分の精製、フォールディング、及び切断を容易にするドメインが挙げられる。例えば、Hisタグ
FLAGエピトープ、又は他の精製タグは、本明細書に提供されるポリペプチドの精製を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、精製タグは、配列(His)nを有するHisタグであり、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。
バクテリオファージT4フィブリチン由来のフォルドンを含む、任意の三量体化ドメインは、本明細書に提供されるポリペプチドの三量体化を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。フォルドンドメインは、当業者に公知の任意のフォルドン配列を有することができる(例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Papanikolopoulouらの文献、2004, J. Biol. Chem. 279(10):8991-8998を参照されたい)。例としては、
が挙げられる。フォルドンドメインは、本明細書に提供される可溶性ポリペプチドの三量体化を容易にするのに有用であり得る。切断部位を用いて、ポリペプチドの一部の切断、例えば、精製タグもしくはフォルドンドメイン又はその両方の切断を容易にすることができる。有用な切断部位としては、トロンビン切断部位、例えば、配列
を有するものが挙げられる。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。
ある実施態様において、提供されるのは、本明細書に記載されるエラスターゼ切断部位を含むインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1とHA2の接合部でのプロテアーゼ切断に対して抵抗性があると予測されるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。当業者は、HA1とHA2にまたがるArg-Gly配列がトリプシンの認識部位であり、通常、血球凝集素活性化のために切断されることを認識すべきである。本明細書に記載されるステムドメインポリペプチドは活性化される必要がないので、本明細書に提供されるのは、プロテアーゼ切断に抵抗性があると予測されるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA1とHA2にまたがるプロテアーゼ部位を、プロテアーゼ切断に対して抵抗性がある配列に突然変異させている、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、HA1のC末端の長いステムセグメントのC末端残基が、Lys又はArg以外の任意の残基である、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドが提供される。ある実施態様において、提供されるのは、HA2ドメインのN末端残基がプロリンである、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA1のC末端の長いステムセグメントのC末端残基がAlaであり、かつHA2ドメインのN末端残基もAlaである、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、提供されるのは、HA2ドメインのN末端残基がグリシン以外の任意の残基である、本明細書に記載される任意のインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端の長いステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、リンカーは、インフルエンザステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。ある実施態様において、リンカーは、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA2サブユニットのステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。ある実施態様において、リンカーは、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素のHA1及び/又はHA2サブユニットのステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端の長いステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、リンカーは、インフルエンザステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。ある実施態様において、リンカーは、血球凝集素のHA2サブユニットのステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。ある実施態様において、リンカーは、血球凝集素のHA1及び/又はHA2サブユニットのステムドメインと異種のインフルエンザウイルス由来の球状ヘッド、又はその断片である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端の長いステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、プロテアーゼ切断部位は、トロンビン切断部位である。ある実施態様において、切断部位は、アミノ酸配列
を有する。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。ある実施態様において、三量体化ドメインは、フォルドンドメインである。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。いくつかの実施態様において、精製タグは、配列(His)nを有するHisタグであり、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端の長いステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それが切断部位、三量体化ドメイン、及び精製タグに順に共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、プロテアーゼ切断部位は、トロンビン切断部位である。ある実施態様において、切断部位は、アミノ酸配列
を有する。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。ある実施態様において、三量体化ドメインは、フォルドンドメインである。いくつかの実施態様において、三量体化ドメインは、三量体又は四量体コイルドコイルの形成を可能にする野生型GCN4pII三量体化ヘプタッド反復又は修飾されたGCN4pII三量体化ヘプタッド反復を含む。例えば、Weldonらの文献、2010, PLoSONE 5(9): e12466を参照されたい。いくつかの実施態様において、精製タグは、配列(His)nを有するHisタグであり、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端の長いステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA2ステムドメインと結合関係にあるHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合し、それがさらにHA2細胞質ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HA1のN末端の長いステムセグメントがリンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合し、それがさらにHA2細胞質ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドがHA1のN末端の長いステムセグメントに共有結合し、リンカーに共有結合し、さらにHA1のC末端の長いステムセグメントに共有結合し、さらにHA2ステムドメインに共有結合し、それがHA2内腔ドメインに共有結合し、それがさらにHA2膜貫通ドメインに共有結合し、それがさらにHA2細胞質ドメインに共有結合したものからなるインフルエンザ血球凝集素の長いステムドメインポリペプチドである。
(5.3.2 コアポリペプチド)
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルス血球凝集素コアポリペプチドである。ある実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素コアポリペプチドは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2011/103453号及び米国公開第2013/0209499号に記載されている通りである。ある実施態様において、該コアポリペプチドは、HA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックスの1以上の比較的保存された抗原性領域を含む。具体的な実施態様において、該コアポリペプチドは、単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株と交差反応し、好ましくは、これらに対して防御することができる、対象の免疫応答を生じさせることができる。単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株と交差反応し、好ましくは、これらに対して防御することができる対象の免疫応答を生じさせるコアポリペプチドの能力は、当業者に公知かつ本明細書に記載の方法を用いて評価することができる(引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2011/103453号及び米国公開第2013/0209499号の第5.13節及び第6節を参照されたい)。別の具体的な実施態様において、該コアポリペプチドは、単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株を中和することができる対象の免疫応答を生じさせることができる。単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株を中和することができる免疫応答を生じさせるコアポリペプチドの能力は、当業者に公知かつ本明細書に記載の方法を用いて評価することができる(引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2011/103453号及び米国公開第2013/0209499号の第5.13節及び第6節を参照されたい)。別の具体的な実施態様において、該コアポリペプチドは、単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株の複製を阻害し又は低下させることができる対象の免疫応答を生じさせることができる。単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株の複製を阻害し又は低下させることができる免疫応答を生じさせるコアポリペプチドの能力は、当業者に公知かつ本明細書に記載の方法を用いて評価することができる(引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2011/103453号及び米国公開第2013/0209499号の第5.13節及び第6節を参照されたい)。
具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、インフルエンザウイルスのHA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックスを含む。具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、インフルエンザウイルスのHA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックスの部分を含む。具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、HA2の長いα-ヘリックスの部分を含み、ここで、該部分の天然の立体構造は維持されている。具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、HA2の長いα-ヘリックスの部分を含み、ここで、該部分は、天然のα-ヘリックス立体構造を維持している。当業者は、例えば、NMR、X線結晶学的方法、又は二次構造予測法、例えば、円二色性などの当技術分野で公知の任意の方法を用いて、α-ヘリックス立体構造が維持されているかどうかを決定することができる。
具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルス血球凝集素のアミノ酸配列を含まない。ある実施態様において、コアポリペプチドは、25〜50、50〜55、50〜60、50〜65、50〜70、50〜75、50〜80、50〜85、50〜90、50〜95、50〜100、100〜150、100〜200、もしくは100〜250個のアミノ酸を含むか、又は該アミノ酸からなる。他の実施態様において、コアポリペプチドは、50〜55、50〜60、50〜65、50〜75、50〜80、50〜85、50〜90、50〜95、50〜100、75〜80、75〜85、75〜90、75〜95、もしくは75〜100個のアミノ酸を含むか、又は該アミノ酸からなる。
具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1(±5)〜184(±5)、16(±5)〜184(±5)、30(±5)〜184(±5)、31(±5)〜184(±5)、46(±5)〜184(±5)、61(±5)〜184(±5)、70(±5)〜110(±5)、76(±5)〜106(±5)、76(±5)〜130(±5)、もしくは76(±5)〜184(±5)を含むか、又は該アミノ酸からなる。いくつかの実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1(±5)〜184(±5)、16(±5)〜184(±5)、30(±5)〜184(±5)、31(±5)〜184(±5)、46(±5)〜184(±5)、61(±5)〜184(±5)、70(±5)〜184(±5)、(70(±5)〜110(±5)、76(±5)〜106(±5)、76(±5)〜130(±5)、もしくは76(±5)〜184(±5)を含むか、又は該アミノ酸からなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、又は180アミノ酸未満である。具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76〜106を含むか、又は該アミノ酸からなる。
別の具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76〜130を含む。ある実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76〜130を含むか、又は該アミノ酸からなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。別の具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76〜130からなる。
具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜125(±5)、80(±5)〜115(±5)、90(±5)〜105(±5)、もしくは76(±5)〜95(±5)を含むか、又は該アミノ酸からなる。ある実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜125(±5)、80(±5)〜115(±5)、90(±5)〜105(±5)、もしくは76(±5)〜95(±5)を含むか、又は該アミノ酸からなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。
具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)、70(±5)〜120(±5)、70(±5)〜110(±5)、70(±5)〜100(±5)、もしくは70(±5)〜95(±5)を含むか、又は該アミノ酸からなる。ある実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)、70(±5)〜120(±5)、70(±5)〜110(±5)、70(±5)〜100(±5)、もしくは70(±5)〜95(±5)を含むか、又は該アミノ酸からなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。
具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)、80(±5)〜130(±5)、90(±5)〜130(±5)、100(±5)〜130(±5)、もしくは110(±5)〜130(±5)を含むか、又は該アミノ酸からなる。ある実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)、80(±5)〜130(±5)、90(±5)〜130(±5)、100(±5)〜130(±5)、もしくは110(±5)〜130(±5)を含むか、又は該アミノ酸からなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。
具体的な実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1〜184、10(±5)〜184、20(±5)〜184、30(±5)〜184、40(±5)〜184、50(±5)〜184、60(±5)〜184、70(±5)〜184、もしくは80(±5)〜184を含むか、又は該アミノ酸からなる。ある実施態様において、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1〜184、10(±5)〜184、20(±5)〜184、30(±5)〜184、40(±5)〜184、50(±5)〜184、60(±5)〜184、70(±5)〜184、もしくは80(±5)〜184を含むか、又は該アミノ酸からなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。
(5.4 グリコシル化変異体)
別の態様において、本明細書に提供されるのは、1以上の修飾されたグリコシル化部位及び/又は1以上の非天然のグリコシル化部位を含むflu血球凝集素(HA)ポリペプチドである。具体的な実施態様において、flu HAポリペプチドは、1以上の修飾されたグリコシル化部位及び/又は1以上の非天然のグリコシル化部位を含むキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図19C及びBに示されているように、野生型血球凝集素のグリコシル化は、球状ヘッドとステムドメインの両方で生じる。これらのドメイン内でのグリコシル化は、抗原性領域をマスクし、それにより、インフルエンザウイルスが宿主免疫系応答を回避するのを可能にすることができると考えられる。例えば、季節性インフルエンザウイルス株(例えば、H1N1及びH3N2)は、時間とともに球状ヘッドドメインの免疫優性抗原性領域中にさらなるグリコシル化部位を獲得することが知られている。しかしながら、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスHAポリペプチドとの関連において、該ポリペプチドのステムドメイン内でのグリコシル化は、このドメインに見出される保存された抗原性領域に対する所望の免疫応答を妨害又は防止することができる。
任意の特定の操作理論に束縛されるものではないが、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスHAポリペプチドのステムドメイン内の保存された抗原性領域に対する免疫応答は、該部位でのグリコシル化(すなわち、グリカンの結合)を破壊する形でステムドメイン内での1以上のグリコシル化部位を修飾することにより増大させることができると考えられる。さらに、これらの免疫優性領域における1以上の非天然のグリコシル化部位の付加によるHA球状ヘッドドメインの免疫優性抗原性領域のマスキングも、ステムドメイン内の保存された亜免疫優性抗原性領域の免疫原性を増大させることができると考えられる。引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図19Cを参照されたい。
1以上の修飾されたグリコシル化部位及び/又は1以上の非天然のグリコシル化部位を含むflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、本明細書に記載されるワクチン接種の方法に従って使用することができ、すなわち、そのような突然変異体HAポリペプチドは、対象においてインフルエンザウイルスストーク/ステムドメイン特異的抗体を誘発するように、対象に投与することができる。そのようなストークに対する抗体を誘発する突然変異体HAポリペプチドの能力を評価するために、対象(例えば、マウス)を、本明細書に記載される突然変異体HAポリペプチド、又は本明細書に記載される突然変異体HAポリペプチドを発現するウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)で免疫し、ステム/ストークドメイン特異的抗体の産生を誘発するそのような突然変異体HAポリペプチド又はそのような突然変異体HAポリペプチドを発現するウイルスの能力を評価し、対象においてステム/ストークドメイン特異的抗体の産生を誘発する対応物の野生型HA又は野生型ウイルスの能力と比較することができる。例えば、ストークに対する抗体を誘発する突然変異体HAポリペプチドの能力を評価するために、マウスを、野生型インフルエンザウイルスの株又は亜型、グリコシル化部位がヘッドドメインに付加されているHA突然変異体を発現するインフルエンザウイルス、及びグリコシル化部位がストークドメインから除去されているHA突然変異体を発現するインフルエンザウイルス、並びにこれらの組合せで免疫することができる。その後、そのようなマウスを、インフルエンザウイルスDNAで一次免疫するか、又はウイルスタンパク質を接種することができる。3週間後、そのようなマウスをウイルスタンパク質で追加免疫することができる。ウイルスタンパク質で追加免疫してから3週間後、マウスを様々なインフルエンザウイルス株に感染させて、体重減少及び生存についてモニタリングすることができる。感染マウスの抗ヘッド抗体及び抗ストーク抗体の血清力価を下記のようにELISAにより評価することができる。
(5.4.1 ステムドメイン中の修飾されたグリコシル化部位)
一実施態様において、本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、少なくとも1つの修飾されたグリコシル化部位を含むHAステムドメインを含み、ここで、該修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊する天然のグリコシル化部位の修飾を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号の第5.4.1節に提供されているような少なくとも1つの修飾されたグリコシル化部位を含むHAステムドメインを含む。任意の特定の操作理論に束縛されるものではないが、flu HAポリペプチドのステムドメイン内の保存された抗原性領域は、これらの抗原性領域に結合するグリカンにより、対象の免疫系(例えば、抗体応答)から遮断されると考えられる。したがって、ステムドメイン内の免疫原性及び接近可能性抗原性領域は、該部位でのグリコシル化(すなわち、グリカンの結合)を破壊する形でステムドメイン内の1以上のグリコシル化部位を修飾することによって増大させることができると考えられる。
天然のグリコシル化部位が修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊する形で修飾される修飾されたグリコシル化部位は、当業者に明らかな任意の技術によって作製されることができ、該技術には、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の実施例5に論じられている部位特異的突然変異生成技術を含む、本明細書に記載される方法が含まれる。
修飾されたグリコシル化部位としては、N結合型及びO結合型グリコシル化部位が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、N結合型グリコシル化部位である。他の実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、O結合型グリコシル化部位である。いくつかの実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、アミノ酸モチーフAsn-Xaa-Ser/Thr/Cysを有する修飾されたN結合型グリコシル化部位であり、ここで、Xaaは任意のアミノ酸であり、又はある実施態様において、XaaはPro以外の任意のアミノ酸である。
修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊することができる任意の修飾を含むことができる。好ましい実施態様において、該修飾は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドの適切なフォールディング及び/又は対象の免疫応答を誘発するflu血球凝集素(HA)ポリペプチドの能力を妨害しない。ある実施態様において、該修飾は、天然のグリコシル化部位における1以上のアミノ酸残基の欠失を含む。他の実施態様において、該修飾は、天然のグリコシル化部位に1以上のアミノ酸置換を含む。
ある実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、アミノ酸配列Asn-Xaa-Ser/Thr/Cysを含む天然のグリコシル化部位に1以上のアミノ酸置換を含み、ここで、Xaaは任意のアミノ酸であり、又はある実施態様において、XaaはPro以外の任意のアミノ酸であり、及びここで、該修飾は、該修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊する。該修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊することができる当業者に公知の任意のアミノ酸置換を含むことができる。好ましい実施態様において、該1以上のアミノ酸置換は、適切にフォールディングするか、又は対象の免疫応答を誘発するflu血球凝集素(HA)ポリペプチドの能力を妨害しない。ある実施態様において、天然のグリコシル化部位の1以上のアミノ酸は、Asn(N)、Ser(s)、Thr(T)、又はAsp(D)アミノ酸残基について置換される。例示的なアミノ酸置換としては、Asn(N)のLys(K)アミノ酸残基への置換; Ser(s)のAsn(N)残基への置換;及びThr(T)のAsp(D)残基への置換が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、天然のグリコシル化部位のAsn(N)残基のLys(K)残基への置換を含む。他の実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、天然のグリコシル化部位のSer(s)残基のAsn(N)アミノ酸残基への置換を含む。また他の実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、天然のグリコシル化部位のThr(T)残基のAsp(D)アミノ酸残基への置換を含む。
HAステムドメイン中の保存された天然のグリコシル化部位としては、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図20に示されているものが挙げられる。グループ1血球凝集素(H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、及びH16)中の例示的な天然のN-グリコシル化部位は、限定されないが、アミノ酸位置20〜22(H9中で欠落)、21〜23、33〜35(H8、H9、H12、H13、H16中で欠落)、46〜48(H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12中で欠落)、289〜291(H6、H11、H13、H16中で欠落)、290〜292(H1、H2、H5、H8、H9、H12中で欠落)、296〜298(H1、H2、H5、H11、H13、H16中で欠落)、及び481〜483に見出すことができ、ここで、該アミノ酸位置はH3付番によるものである。ある実施態様において、これらのグリコシル化部位のアミノ酸のうちの1つ又は複数は修飾されていてもよい。
グループ2血球凝集素(H3、H4、H7、H10、H14、H15)中の例示的な保存されたN〜グリコシル化部位は、限定されないが、アミノ酸位置8〜10、22〜24、38〜40(H4、H14中で欠落)、46〜48(H3、H4、H7、H10、H14中で欠落)、285〜287(H4、H7、H10、H14、H15中で欠落)、296〜298(H3、H7、H15中で欠落)、410〜412(H3、H4、H14中で欠落)、及び481〜483に見出すことができ、ここで、該アミノ酸位置は、H3付番によるものである。ある実施態様において、これらのグリコシル化部位のアミノ酸のうちの1つ又は複数は修飾されていてもよい。
少なくとも1つの修飾されたグリコシル化部位を含むHAステムドメインを含むflu血球凝集素ポリペプチドは、限定されないが、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド、非キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド(すなわち、同じ亜型又は株由来のHAステムドメイン及びHAヘッドドメインを含むインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)、及びインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドを含む、本明細書に記載されるHAステムドメインを含む任意のflu血球凝集素(HA)ポリペプチドであることができる。
ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素(HA)ポリペプチドは、HAステムドメイン及びHA球状ヘッドドメインを含み、ここで、該HA球状ヘッドドメインは、該HAステムドメインと異種であり、及びここで、該HAステムドメインは、少なくとも1つの修飾されたグリコシル化部位を含み、ここで、該修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊する天然のグリコシル化部位の修飾を含む。具体的な実施態様において、該修飾は、アミノ酸配列Asn-Xaa-Ser/Thr/Cysを有する天然のグリコシル化部位に1以上のアミノ酸置換を含み、ここで、Xaaは任意のアミノ酸であり、又はある実施態様において、XaaはPro以外の任意のアミノ酸である。
ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、非キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。具体的な実施態様において、非キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、HAステムドメイン及びHA球状ヘッドドメインを含み、ここで、該HA球状ヘッドドメインは、該HAステムドメインと相同であり(すなわち、該球状ヘッドドメイン及びステムドメインは、同じインフルエンザウイルス株又は亜型由来のものであり)、及びここで、該HAステムドメインは、少なくとも1つの修飾されたグリコシル化部位を含み、ここで、該修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊する天然のグリコシル化部位の修飾を含む。具体的な実施態様において、該修飾は、アミノ酸配列Asn-Xaa-Ser/Thr/Cysを有する天然のグリコシル化部位に1以上のアミノ酸置換を含み、ここで、Xaaは任意のアミノ酸であり、又はある実施態様において、XaaはPro以外の任意のアミノ酸である。ある実施態様において、非キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、同じインフルエンザウイルス亜型由来のHAステムドメイン及びHA球状ヘッドドメインを含む。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス亜型は、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18亜型である。具体的な実施態様において、非キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、同じインフルエンザウイルス株由来のHAステムドメイン及びHA球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、インフルエンザウイルス株は、A/ネーデルラント/602/2009である。
ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、インフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドである。例示的なインフルエンザウイルス血球凝集素ステムドメインポリペプチドは、上記の第5.3節に開示されている。
(5.4.2 球状ヘッドドメイン中の非天然のグリコシル化部位)
別の実施態様において、本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、少なくとも1つの非天然のグリコシル化部位を含むHA球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号の第5.4.2節に提供されているような少なくとも1つの非天然のグリコシル化部位を含むHAステムドメインを含む。任意の特定の操作理論に束縛されるものではないが、これらの免疫優性領域における1以上の非天然のグリコシル化部位の付加による該HA球状ヘッドドメインの免疫優性抗原性領域のマスキングは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドのステムドメイン中の保存された亜免疫優性抗原性領域に対する免疫原性を増大させることもできると考えられる。
非天然のグリコシル化部位は、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の実施例5に記載されている部位特異的突然変異生成技術を含む、当業者に知られている任意の既知の技術を用いて、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドのHA球状ヘッドドメインに付加することができる。好ましい/具体的な実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドの適切なフォールディングを妨害せず、及び/又は対象の免疫応答(例えば、抗体応答)を誘発するflu血球凝集素(HA)ポリペプチドのステムドメインの能力を妨害しない。
ある実施態様において、非天然のグリコシル化部位を、A型インフルエンザ血球凝集素のヘッドドメインに基づくHA球状ヘッドドメインに付加することができる。ある実施態様において、HA球状ヘッドドメインは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、及びH17、及びH18からなる群から選択されるA型インフルエンザ血球凝集素のヘッドドメインに基づく。ある実施態様において、非天然のグリコシル化部位を、B型インフルエンザ血球凝集素のヘッドドメインに基づくHA球状ヘッドドメインに付加することができる。いくつかの実施態様において、HA球状ヘッドドメインは、B/アザラシ/ネーデルラント/1/99のヘッドドメインに基づく。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20、又はそれより多くの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含むことができる。いくつかの実施態様において、flu HAポリペプチドは、2〜5、4〜6、5〜10、又は10〜15の非天然のグリコシル化部位を含む。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、1つの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、2つの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、3つの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、4つの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、5つの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、6つの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、7つの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、8つの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、9つの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、10の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、11の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、12の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、13の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、14の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、15の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、16の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、17の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、18の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、19の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、20又はそれより多くの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含む。
1以上の非天然のグリコシル化部位は、天然のグリコシル化部位が特定のインフルエンザウイルス亜型又は株に関して見られない球状ヘッドドメイン内の任意のアミノ酸位置に位置することができる。非天然のグリコシル化部位を球状ヘッドドメインに導入する例示的な突然変異は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図21Bに示されている。ある実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番体系に従って、アミノ酸位置59〜61、128〜130、130〜132、158〜160、及び/又は163〜165にある。ある実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番体系に従って、アミノ酸位置59〜61、81〜83、129〜131、143〜145、158〜160、165〜167、170〜172、187〜189、193〜195、197〜199、及び/又は208〜210にある。いくつかの実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置59〜61にある。他の実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置129〜131にある。他の実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置129〜131及び158〜160にある。いくつかの実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置59〜61、129〜131及び165〜167にある。いくつかの実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置59〜61、129〜131、158〜160、及び165〜167にある。いくつかの実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置81〜83、129〜131、158〜160、165〜167、170〜172、187〜189、及び208〜210にある。他の実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置81〜83、129〜131、158〜160、170〜172、187〜189、及び208〜210にある。さらに他の実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置129〜131、158〜160、165〜167、170〜172、187〜189、及び208〜210にある。
好ましい実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、球状ヘッドドメイン中の抗原性領域に位置し、それにより、抗原性領域が免疫応答を誘発するのを遮断する。球状ドメイン中の例示的な抗原性領域としては、H1亜型のSa、Sb、Ca、及びCb抗原性部位(引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の図21A)、並びにH3亜型のA、B、C、D抗原性領域が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSa抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSb抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのCa抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。また他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのCb抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSa及びSb抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSa及びCa抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSa及びCb抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSb及びCa抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSb及びCb抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのCa及びCb抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSa、Sb、及びCa抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSb、Ca、及びCb抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1亜型球状ヘッドドメインのSa、Sb、Ca、及びCb抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。
いくつかの実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3亜型球状ヘッドドメインのA抗原性領域中にある。いくつかの実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3亜型球状ヘッドドメインのB抗原性領域中にある。いくつかの実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3亜型球状ヘッドドメインのC抗原性領域中にある。いくつかの実施態様において、非天然のグリコシル化部位は、H3亜型球状ヘッドドメインのD抗原性領域中にある。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3亜型球状ヘッドドメインのA及びB抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3亜型球状ヘッドドメインのA及びC抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3亜型球状ヘッドドメインのA及びD抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3亜型球状ヘッドドメインのB及びC抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3亜型球状ヘッドドメインのB及びD抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3亜型球状ヘッドドメインのC及びD抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3亜型球状ヘッドドメインのA、B、及びC抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3亜型球状ヘッドドメインのB、C、及びD抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。別の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3亜型球状ヘッドドメインのA、B、C、及びD抗原性領域中に位置する非天然のグリコシル化部位を含む。
他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、又はH17球状ヘッドドメインの1以上の抗原性領域に1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。
ある実施態様において、1以上の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含むflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。ある実施態様において、1以上の非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドドメインを含むflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、非キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
(5.4.3 球状ヘッドドメイン中の非天然のグリコシル化部位及びステムドメイン中の修飾されたグリコシル化部位)
別の実施態様において、本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、1つ、2つ、又はそれより多くの修飾されたグリコシル化部位を有するHAステムドメイン、及び1つ、2つ、又はそれより多くの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドを含み、ここで、該修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊する天然のグリコシル化部位の修飾を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、1つ、2つ、又はそれより多くの修飾されたグリコシル化部位を有するHAステムドメイン及び1つ、2つ、又はそれより多くの非天然のグリコシル化部位を有するHA球状ヘッドを含み、ここで、該修飾されたグリコシル化部位は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 2013/043729号及び米国特許公開第20150132330号として公開された米国出願第14/345,816号の第5.4.3節に提供されているような、該修飾されたグリコシル化部位に結合するグリカンの能力を破壊する天然のグリコシル化部位の修飾を含む。修飾されたグリコシル化部位及び非天然のグリコシル化部位は、当技術分野で公知かつ/又は本明細書に記載の技術を用いて生じさせることができる。具体的な実施態様において、修飾されたグリコシル化部位及び非天然のグリコシル化部位は、flu HAポリペプチドの適切なフォールディングを妨害せず、及び/又は対象の免疫応答(例えば、抗体応答)を誘発するflu HAポリペプチドのステムドメインの能力を妨害しない。修飾されたグリコシル化部位及び非天然のグリコシル化部位の説明については、上記の第5.4.1節及び第5.4.2節を参照されたい。上記の第5.4.1節及び第5.4.2節に記載されている修飾されたグリコシル化部位と非天然のグリコシル化部位は両方とも、flu HAポリペプチドに組み込むことができる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、H3付番に従って、位置33〜35及び289〜291に修飾されたグリコシル化部位を有するHAステムドメイン;及びH3付番に従って、以下の位置:129〜131、158〜160、165〜167、170〜172、187〜189、及び208〜210のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つに非天然のグリコシル化部位を含むHA球状ヘッドドメインを含む。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、球状ヘッドドメイン中の1以上の非天然のグリコシル化部位及びステムドメイン中の1以上の修飾されたグリコシル化部位を含むキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドであり、ここで、該ステムドメイン中の修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位でのグリコシル化を破壊する修飾を含む。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、球状ヘッドドメイン中の1以上の非天然のグリコシル化部位及びステムドメイン中の1以上の修飾されたグリコシル化部位を含むキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドであり、ここで、該ステムドメイン中の修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位でのグリコシル化を破壊する修飾を含み、及びここで、(i)該非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置81〜83、129〜131、158〜160、165〜167、170〜172、187〜189、及び208〜210のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又はそれより多くにあり、並びに(ii)該修飾されたグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置20〜23、33〜35、271〜273、289〜291、及び/又は483〜485のうちの1つ、2つ、3つ、又はそれより多くにある。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、球状ヘッドドメイン中の1以上の非天然のグリコシル化部位を含み、かつステムドメイン中の1以上の修飾されたグリコシル化部位を含むキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドであり、ここで、該ステムドメイン中の修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位でのグリコシル化を破壊する修飾を含み、及びここで、(i)該非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置81〜83、129〜131、158〜160、170〜172、187〜189、及び208〜210にあり、及び(ii)該修飾されたグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置33〜35及び289〜291にある。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ステムドメイン中の1以上の修飾されたグリコシル化部位を含む球状ヘッドドメイン中の1以上の非天然のグリコシル化部位を含むキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドを含み、ここで、該ステムドメイン中の修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位でのグリコシル化を破壊する修飾を含み、及びここで、(i)該非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置81〜83、129〜131、158〜160、165〜167、170〜172、187〜189、及び208〜210にあり、及び(ii)該修飾されたグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置33〜35及び289〜291にある。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ステムドメイン中の1以上の修飾されたグリコシル化部位を含む球状ヘッドドメイン中の1以上の非天然のグリコシル化部位を含むキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドを含み、ここで、該ステムドメイン中の修飾されたグリコシル化部位は、該修飾されたグリコシル化部位でのグリコシル化を破壊する修飾を含み、及びここで、(i)該非天然のグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置129〜131、158〜160、165〜167、170〜172、187〜189、及び208〜210にあり、及び(ii)該修飾されたグリコシル化部位は、H3付番に従って、アミノ酸位置33〜35及び289〜291にある。修飾されたグリコシル化部位を含む例示的なキメラインフルエンザ血球凝集素ポリペプチドは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の第6.11節(実施例11)に記載されている。
(5.5 インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ免疫原)
本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)免疫原(例えば、ノイラミニダーゼポリペプチド)である。全長インフルエンザノイラミニダーゼは、通常、細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、ストークドメイン、及び球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、そのような構造を維持している。すなわち、ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、安定な細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、ストークドメイン、及び球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスノイラミニダーゼを含み、例えば、細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、ストークドメイン、及び球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの1つ、2つ、3つ、又は4つのドメインを含み、例えば、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ細胞質ドメイン、膜貫通ドメイン、ストークドメイン、及び/又は球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ細胞質ドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ細胞質ドメインの断片を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメインの断片を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメインの断片を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメインの断片を含む。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、野生型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、C型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9インフルエンザウイルスノイラミニダーゼである。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、当業者に公知のインフルエンザノイラミニダーゼヘッドドメインとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、98%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有するインフルエンザノイラミニダーゼヘッドドメインを含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、グループ1のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、例えば、N1、N4、N5、及びN8インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN1亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN4亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN5亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN8亜型である。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、グループ2のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、例えば、N2、N3、N6、N7、及びN9インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN2亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN3亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN6亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN7亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN9亜型である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、コウモリインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、例えば、N10及びN11インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN10亜型である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドはN11亜型である。
GenBank(商標)アクセッション番号AAA43397.1は、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号ABG23658.1(GI: 108946273)、GenBank(商標)アクセッション番号NP_040981.1(GI: 8486128)、GenBank(商標)アクセッション番号AAA43412.1(GI: 324508)、GenBank(商標)アクセッション番号ABE97720.1(GI: 93008579)、GenBank(商標)アクセッション番号ABE97719.1(GI: 93008577)、及びGenBank(商標)アクセッション番号ABE97718.1(GI: 93008575)は、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号CRI06477.1は、ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号AAQ90293.1は、ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号AEX30531.1(GI: 371449652)、GenBank(商標)アクセッション番号AEX30532.1(GI: 371449654)、GenBank(商標)アクセッション番号AIA62041.1(GI: 641454926)、GenBank(商標)アクセッション番号AII30325.1(GI: 670605039)、GenBank(商標)アクセッション番号AGO18161.1(GI: 513130855)、及びGenBank(商標)アクセッション番号AAS89005.1(GI: 46360357)は、鳥インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの例示的なアミノ酸配列を提供する。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドである。ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドである。ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドである。ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは当技術分野で公知である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼは、鳥インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドである。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスポリペプチドは、下記の第5.8節に記載されているような株由来のものである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは単量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは多量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは四量体である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド中のグリコシル化部位のうちの1つ又は複数は、(例えば、アミノ酸の付加、欠失、又は置換によって)修飾される。具体的な実施態様において、該1以上のグリコシル化部位は、これらの部位でのグリコシル化がポリペプチドのプロセシング及び成熟の間に生じないように修飾される。当業者は、インフルエンザNAが、通常、1以上のグリコシル化部位(例えば、Asn-Xaa-Ser/Thr(ここで、Xaaは、任意のアミノ酸である)又はAsn-Xaa-Ser/Thr(ここで、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である))を含むことを認識するであろう。ある実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドのストークドメイン中に位置する。ある実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの球状ヘッドドメイン中に位置する。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊するアミノ酸残基と保存的に置換される。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊する任意のアミノ酸残基と置換される。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアスパラギン残基は、アラニンと置換される。特定の実施態様において、位置にあるアスパラギンは、アラニンに改変される。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、そのストークドメインに1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、その球状ヘッドドメインに1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、1以上の天然のグリコシル化部位を欠き、並びに/又は(例えば、グリコシル化部位を除去することにより及び/もしくは脱グリコシル化剤を用いて)脱グリコシル化されている。脱グリコシル化剤の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(Sigma)、酵素、例えば、PNGアーゼF、エンドグリコシダーゼH、エキソグリコシダーゼ、及びタンパク質脱グリコシル化混合物(例えば、New England Biolabs社により販売されているタンパク質脱グリコシル化混合物)が挙げられる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、天然のインフルエンザノイラミニダーゼの三次元構造と類似している三次元構造を形成することができる。構造類似性は、当業者によって好適であると考えられる任意の技術に基づいて評価することができる。例えば、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドと、天然のインフルエンザノイラミニダーゼを認識する中和抗体又は抗血清との、例えば、非変性条件下での反応は、構造類似性を示すことができる。有用な中和抗体又は抗血清は、例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Shojiらの文献、Hum. Vaccines, 2011, 7:199-204、Wanらの文献、J. Virol. 2013, 87: 9290-9300、Doyleらの文献、Antivir. Res. 2013, 100: 567-574、及びDoyleらの文献、Biochem. Biophys. Res. Commun. 2013, 441:226-229に記載されている。ある実施態様において、抗体又は抗血清は、ノイラミニダーゼの三次構造又は四次構造によって形成される非隣接(すなわち、一次配列で隣接していない)エピトープと反応する抗体又は抗血清である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、1以上のポリペプチドドメインをさらに含む。有用なポリペプチドドメインとしては、ポリペプチドの部分の精製、フォールディング、及び切断を容易にするドメインが挙げられる。例えば、Hisタグ
FLAGエピトープ、又は他の精製タグは、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの精製を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、Hisタグは、配列(His)nを有し、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。シェーカー型電位依存性カリウムチャネル由来の四量体化ドメインは、本明細書に提供されるノイラミニダーゼポリペプチドの四量体化を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、四量体化ドメインは、四量体コイルドコイルの形成を可能にするGCN4-LIドメイン又は修飾されたGCN4-LI四量体化ドメインを含む。例えば、Zerangueらの文献、2000, PNAS, 97(7): 3591-3595を参照されたい。四量体化ドメインは、当業者に公知の任意の四量体化配列を有することができる(例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Papanikolopoulouらの文献、2004, J. Biol. Chem. 279(10):8991-8998を参照されたい)。例としては、
が挙げられる。四量体化ドメインは、本明細書に提供される可溶性ポリペプチドの四量体化を容易にするのに有用であり得る。切断部位を用いて、ポリペプチドの一部の切断、例えば、精製タグもしくは四量体化ドメイン又はその両方の切断を容易にすることができる。有用な切断部位としては、トロンビン切断部位、例えば、配列
を有するものが挙げられる。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。
ある実施態様において、インフルエンザノイラミニダーゼポリペプチドは、可溶性ポリペプチドである。例えば、第6節を参照されたい。
インフルエンザノイラミニダーゼポリペプチドを設計する場合、得られるタンパク質の安定性を維持するように注意を払うべきである。これに関して、ジスルフィド結合を形成することができるシステイン残基はノイラミニダーゼタンパク質の安定性に寄与するので、これらを維持することが推奨される。ジスルフィド結合を形成することができるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼシステイン残基の非限定的な例については、例えば、Baslerらの文献、1999, Journal of Virology, 73(10):8095-8103を参照されたい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザノイラミニダーゼポリペプチドは、低いpH(例えば、4.9〜5.2、4.5〜3.5、3.5〜2.5、2.5〜1.5、1.5〜0.5のpH)で該ポリペプチドの安定性を増大させる1以上のアミノ酸置換を含む。インフルエンザノイラミニダーゼポリペプチドの安定性は、例えば、Baker及びGandhiの文献、1976, Archives of Virology, 52:7-18に記載されているような、Ca2+に対するノイラミニダーゼ分子の感受性などの、当技術分野で公知の技術を用いて評価することができる。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、例えば、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドなどの、ノイラミニダーゼポリペプチドの断片である。通常、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド由来の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、60、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100個のアミノ酸を含むか、又は該アミノ酸からなる。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、もしくは90〜100個のアミノ酸を含むか、又は該アミノ酸からなる。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来のアミノ酸は、連続するアミノ酸である。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来のアミノ酸は、不連続のアミノ酸である。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ細胞質ドメイン由来のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ膜貫通ドメイン由来のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼストークドメイン由来のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ球状ヘッドドメイン由来のアミノ酸を含む。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、C型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、又はN9インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、当業者に公知のインフルエンザノイラミニダーゼポリペプチドとの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、98%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有する3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、グループ1のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、例えば、N1、N4、N5、及びN8インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N1亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N4亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N5亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N8亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、グループ2のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、例えば、N2、N3、N6、N7、及びN9インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N2亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N3亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N6亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N7亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N9亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、コウモリインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、例えば、N10及びN11インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N10亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、N11亜型由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、ヒトインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、ブタインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、ウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。ヒト、ブタ、及びウマインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは当技術分野で公知である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルス抗原性ペプチドは、第5.8節に記載されているような株由来の3〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、又は90〜100個のアミノ酸を含む。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、保存されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエピトープ、例えば、同じ又は異なるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ株及び/又は亜型間で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の配列同一性を有するエピトープを含む。ある実施態様において、保存されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエピトープは、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、及び/又はC型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ間で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の配列同一性を有する。ある実施態様において、保存されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエピトープは、A型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼとB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの間で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の配列同一性を有する。
ある実施態様において、保存されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエピトープは、第5.8節に記載されているか又は当技術分野で公知であるようなB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ株間で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の配列同一性を有する。具体的な実施態様において、保存されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエピトープは、アミノ酸配列
を含むか、又は該アミノ酸配列からなる。
ある実施態様において、保存されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエピトープは、グループ1、例えば、N1、N4、N5、及びN8インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型とグループ2、例えば、N2、N3、N6、N7、及びN9インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型の間で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の配列同一性を有する。ある実施態様において、保存されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエピトープは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多くのインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ亜型、例えば、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11間で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の配列同一性を有する。ある実施態様において、保存されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエピトープは、第5.8節に記載されているか又は当技術分野で公知であるような同じ又は異なる亜型、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多くのインフルエンザウイルス株の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多くのインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ株間で少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の配列同一性を有する。具体的な実施態様において、保存されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼエピトープは、アミノ酸配列
を含むか、又は該アミノ酸配列からなる。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼのアミノ酸残基222〜230もしくは226〜230を含むか、又は該アミノ酸残基からなる。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの以下のアミノ酸残基150、198、199、220、221、253、284、329、344、346、367、368、369、370、372、400、403、及び/又は432(N2付番による)のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くを含む。ある実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Huangらの文献、2013、J. Transl. Med. 11:47に記載されているエピトープを含むか、又は該エピトープからなる(例えば、Huangらの文献の表2を参照されたい)。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは単量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは多量体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは四量体である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチド中のグリコシル化部位のうちの1つ又は複数は、(例えば、アミノ酸の付加、欠失、又は置換によって)修飾される。具体的な実施態様において、該1以上のグリコシル化部位は、これらの部位でのグリコシル化がポリペプチドのプロセシング及び成熟の間に生じないように修飾される。当業者は、インフルエンザNAが、通常、1以上のグリコシル化部位(例えば、Asn-Xaa-Ser/Thr(ここで、Xaaは、任意のアミノ酸である)又はAsn-Xaa-Ser/Thr(ここで、Xaaは、Pro以外の任意のアミノ酸である))を含むことを認識するであろう。ある実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドのストークドメイン中に位置する。ある実施態様において、修飾されたグリコシル化部位は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドの球状ヘッドドメイン中に位置する。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊するアミノ酸残基と保存的に置換される。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化部位を破壊する任意のアミノ酸残基と置換される。ある実施態様において、グリコシル化部位中の1以上のアスパラギン残基は、アラニンと置換される。特定の実施態様において、位置にあるアスパラギンは、アラニンに改変される。ある実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、そのストークドメイン中に1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。ある実施態様において、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、天然のインフルエンザノイラミニダーゼの三次元構造と類似している三次元構造を形成することができる。構造類似性は、当業者によって好適であると考えられる任意の技術に基づいて評価することができる。例えば、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドと、天然のインフルエンザノイラミニダーゼを認識する中和抗体又は抗血清との、例えば、非変性条件下での反応は、構造類似性を示すことができる。有用な中和抗体又は抗血清は、例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Shojiらの文献、Hum. Vaccines, 2011, 7:199〜204、Wanらの文献、J. Virol. 2013, 87: 9290-9300、Doyleらの文献、Antivir. Res. 2013, 100: 567-574、及びDoyleらの文献、Biochem. Biophys. Res. Commun. 2013, 441:226-229に記載されている。ある実施態様において、抗体又は抗血清は、ノイラミニダーゼの三次構造又は四次構造によって形成される非隣接(すなわち、一次配列で隣接していない)エピトープと反応する抗体又は抗血清である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、1以上のポリペプチドドメインをさらに含む。有用なポリペプチドドメインとしては、ポリペプチドの部分の精製、フォールディング、及び切断を容易にするドメインが挙げられる。例えば、Hisタグ
FLAGエピトープ、又は他の精製タグは、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ抗原性ペプチドの精製を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、Hisタグは、配列(His)nを有し、ここで、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより大きい。シェーカー型電位依存性カリウムチャネル由来の四量体化ドメインは、本明細書に提供されるノイラミニダーゼ抗原性ペプチドの四量体化を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、四量体化ドメインは、四量体コイルドコイルの形成を可能にするGCN4-LIドメイン又は修飾されたGCN4-LI四量体化ドメインを含む。例えば、Zerangueらの文献、2000, PNAS, 97(7): 3591-3595を参照されたい。四量体化ドメインは、当業者に公知の任意の四量体化配列を有することができる(例えば、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Papanikolopoulouらの文献、2004, J. Biol. Chem. 279(10):8991-8998を参照されたい)。例としては、
が挙げられる。四量体化ドメインは、本明細書に提供される可溶性ポリペプチドの四量体化を容易にするのに有用であり得る。切断部位を用いて、ポリペプチドの一部の切断、例えば、精製タグもしくは四量体化ドメイン又はその両方の切断を容易にすることができる。有用な切断部位としては、トロンビン切断部位、例えば、配列
を有するものが挙げられる。ある実施態様において、切断部位は、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼによって認識される切断部位(例えば、アミノ酸配列
である。
ある実施態様において、インフルエンザノイラミニダーゼ抗原性ペプチドは、可溶性ポリペプチドである。
(5.6 flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸である。遺伝暗号の縮重のために、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする任意の核酸が本明細書に包含される。ある実施態様において、HA1のN末端ステムセグメント、HA1のC末端ステムセグメント、HA2ドメイン、HA内腔ドメイン、HA膜貫通ドメイン、及び/又はHA細胞質ドメインをコードする天然のインフルエンザウイルス核酸に対応する核酸を用いて、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を産生する。ある実施態様において、NA細胞質ドメイン、NA膜貫通ドメイン、NAストークドメイン、及び/又はNA球状ヘッドドメインをコードする天然のインフルエンザウイルス核酸に対応する核酸を用いて、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを産生する。
また本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズすることができる核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸の断片にハイブリダイズすることができる核酸である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)をコードする核酸の全長に又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸の全長にハイブリダイズすることができる核酸である。核酸のハイブリダイゼーション条件の一般的なパラメータは、Sambrookらの文献、分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)(第2版)、第1巻〜第3巻、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York(1989)、及びAusubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第2巻、Current Protocols Publishing, New York(1994)に記載されている。ハイブリダイゼーションは、高いストリンジェンシー条件、中間のストリンジェンシー条件、又は低いストリンジェンシー条件の下で実施することができる。当業者は、低いストリンジェンシー条件、中間のストリンジェンシー条件、及び高いストリンジェンシー条件は、その全てが相互作用する複数の因子に左右され、また、当該核酸によっても決まることを理解するであろう。例えば、高いストリンジェンシー条件は、核酸の融点の5℃以内の温度、低い塩濃度(例えば、250mM未満)、及び高い共溶媒濃度(例えば、1〜20%の共溶媒、例えば、DMSO)を含むことができる。他方、低いストリンジェンシー条件は、核酸の融点より10℃を超えて低い温度、高い塩濃度(例えば、1000mM超)、及び共溶媒の欠如を含むことができる。
いくつかの実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸は、単離される。ある実施態様において、「単離された」核酸は、核酸の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離されている核酸分子を指す。つまり、単離された核酸は、天然ではそれに関連していない異種核酸を含むことができる。他の実施態様において、「単離された」核酸、例えば、cDNA分子は、組換え技術によって産生されたとき、他の細胞物質もしくは培養培地を実質的に含まないものであるか、又は化学合成されたとき、化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであることができる。「細胞物質を実質的に含まない」という用語には、それが単離されるか又は組換えで産生される細胞の細胞成分から核酸が分離されている核酸調製物が含まれる。したがって、細胞物質を実質的に含まない核酸には、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、又は5%未満の他の核酸を有する核酸調製物が含まれる。「培養培地を実質的に含まない」という用語には、培養培地が調製物の容量の約50%、20%、10%、又は5%未満である核酸調製物が含まれる。「化学物質前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない」という用語には、核酸の合成に関与する化学物質前駆体又は他の化学物質から核酸が分離されている調製物が含まれる。具体的な実施態様において、そのような核酸調製物は、(乾燥重量で)約50%、30%、20%、10%、5%未満の化学物質前駆体又は対象となる核酸以外の化合物を有する。
さらに、本明細書に提供されるのは、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの個々の成分をコードする核酸である。具体的な実施態様において、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドドメイン及び/又はステムドメインをコードする核酸が提供される。キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの成分をコードする核酸は、当業者に公知の標準的な分子生物学の技術を用いてアセンブルすることができる。具体的な実施態様において、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのの個々の成分は、同じ又は異なるベクターによって発現されることができる。
さらに、本明細書に提供されるのは、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドの個々の成分をコードする核酸である。具体的な実施態様において、HA1のN末端ステムセグメント、HA1のC末端ステムセグメント、及び/又はHA2ドメインをコードする核酸が提供される。インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドの成分をコードする核酸は、当業者に公知の標準的な分子生物学の技術を用いてアセンブルすることができる。具体的な実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ステムドメインポリペプチドの個々の成分は、同じ又は異なるベクターによって発現されることができる。
さらに、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの個々のドメインをコードする核酸である。具体的な実施態様において、NA細胞質ドメイン、NA膜貫通ドメイン、NAストークドメイン、及び/又はNA球状ヘッドドメインをコードする核酸が提供される。インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの成分をコードする核酸は、当業者に公知の標準的な分子生物学の技術を用いてアセンブルすることができる。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの個々のドメインは、同じ又は異なるベクターによって発現されることができる。
さらに、本明細書に記載されるflu血球凝集素ポリペプチド又はその断片をコードする核酸及び本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド又はその断片をコードする核酸は、同じ又は異なるベクターによって発現されることができる。第5.8節〜第5.12節を参照されたい。
(5.7 flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの発現)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸を含有する、発現ベクターを含む、ベクターである。具体的な実施態様において、ベクターは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)をコードする核酸及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸の発現を導くことができる発現ベクターである。発現ベクターの非限定的な例としては、プラスミド及びウイルスベクター、例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びバキュロウイルスが挙げられるが、これら限定されない。発現ベクターとしては、限定されないが、トランスジェニック動物及び非哺乳動物細胞/生物体、例えば、哺乳動物のN結合型グリコシル化を行うように改変されている哺乳動物細胞/生物体を挙げることもできる。
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドの成分(例えば、ステムドメイン及びヘッドドメイン、又はどちらかのドメインの部分)をコードする発現ベクターである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの成分をコードする発現ベクターである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドの成分(例えば、ステムドメイン及びヘッドドメイン、もしくはどちらかのドメインの部分)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの成分をコードする発現ベクターである。そのようなベクターを用いて、1以上の宿主細胞で該成分を発現させることができ、該成分を、当業者に公知の技術を用いて、単離し、リンカーとコンジュゲートさせることができる。
発現ベクターは、宿主細胞内での核酸の発現に好適な形態の本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする核酸及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸を含む。具体的な実施態様において、発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択される、発現させる核酸に機能的に連結された1以上の調節配列を含む。発現ベクターにおいて、「機能的に連結された」とは、対象となる核酸が、(例えば、インビトロ転写/翻訳系での、又はベクターが宿主細胞に導入される場合は宿主細胞での)核酸の発現を可能にする様式で調節配列に連結されていることを意味するものとする。調節配列には、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞で核酸の構成的発現を導くもの、特定の宿主細胞でのみ核酸の発現を導くもの(例えば、組織特異的調節配列)、及び特定の薬剤による刺激によって核酸の発現を導くもの(例えば、誘導可能な調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、タンパク質の所望の発現レベルのような因子によって決まり得ることが当業者には理解されるであろう。「宿主細胞」という用語は、核酸で形質転換又はトランスフェクトされる特定の対象細胞、及びそのような細胞の子孫又は可能性のある子孫を含むものとする。そのような細胞の子孫は、後続の世代で起こり得る突然変異もしくは環境の影響又は宿主細胞ゲノムへの核酸の組込みのために、核酸で形質転換又はトランスフェクトされる親細胞と同一でなくてもよい。具体的な実施態様において、宿主細胞は、細胞株である。
発現ベクターは、原核生物細胞(例えば、大腸菌(E. coli))又は真核生物細胞(例えば、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Treanorらの文献、2007, JAMA, 297(14):1577-1582)を参照)、酵母細胞、植物細胞、藻類、鳥類、もしくは哺乳動物細胞)を用いて、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの発現のために設計することができる。酵母宿主細胞の例としては、分裂酵母(S. pombe)及び出芽酵母(S. cerevisiae)並びに下記の実施例が挙げられるが、これらに限定されない。鳥類細胞の例としては、EB66細胞が挙げられるが、これに限定されない。哺乳動物宿主細胞の例としては、Crucell Per.C6細胞、Vero細胞、CHO細胞、VERO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞、MDCK細胞、293細胞、3T3細胞、又はWI38細胞が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、宿主細胞は、骨髄腫細胞、例えば、NS0細胞、45.6 TG1.7細胞、AF-2クローン9B5細胞、AF-2クローン9B5細胞、J558L細胞、MOPC 315細胞、MPC-11細胞、NCI-H929細胞、NP細胞、NS0/1細胞、P3 NS1 Ag4細胞、P3/NS1/1-Ag4-1細胞、P3U1細胞、P3X63Ag8細胞、P3X63Ag8.653細胞、P3X63Ag8U.1細胞、RPMI 8226細胞、Sp20-Ag14細胞、U266B1細胞、X63AG8.653細胞、Y3.Ag.1.2.3細胞、及びYO細胞である。昆虫細胞の非限定的な例としては、Sf9、Sf21、キンウワバ(Trichoplusia ni)、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)、及びカイコガ(Bombyx mori)が挙げられる。特定の実施態様において、哺乳動物細胞培養系(例えば、チャイニーズハムスター卵巣又はベビーハムスター腎臓細胞)が、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの発現に使用される。別の実施態様において、植物細胞培養系が、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの発現に使用される。植物細胞培養系を利用するタンパク質の産生のための植物細胞及び方法については、例えば、米国特許第7,504,560号;第6,770,799号;第6,551,820号;第6,136,320号;第6,034,298号;第5,914,935号;第5,612,487号;及び第5,484,719号、並びに米国特許出願公開第2009/0208477号、第2009/0082548号、第2009/0053762号、第2008/0038232号、第2007/0275014号、及び第2006/0204487号を参照されたい。具体的な実施態様において、植物細胞培養系は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの発現に使用されない。本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)をコードする核酸及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞は、単離されることができる、すなわち、細胞は、対象の体外にある。ある実施態様において、該細胞は、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸を発現するように改変される。具体的な実施態様において、宿主細胞は、細胞株由来の細胞である。
発現ベクターは、従来の形質転換又はトランスフェクション技術によって宿主細胞に導入することができる。そのような技術としては、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストランによるトランスフェクション、リポフェクション、及びエレクトロポレーションが挙げられるが、これらに限定されない。宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトするための好適な方法は、Sambrookらの文献、1989、分子クローニング−実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Press, New York、及び他の実験マニュアルに見出すことができる。ある実施態様において、宿主細胞は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする核酸及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターで一過性にトランスフェクトされる。他の実施態様において、宿主細胞は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする核酸及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターで安定にトランスフェクトされる。
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについて、使用される発現ベクター及びトランスフェクション技術によっては、細胞のごく一部だけが外来性DNAをそのゲノムに組み込むことができることが知られている。これらの組込み体を同定及び選択するために、(例えば、抗生物質耐性のための)選択マーカーをコードする核酸が、通常、対象となる核酸と一緒に宿主細胞に導入される。選択マーカーの例としては、薬剤、例えば、G418、ハイグロマイシン、及びメトトレキセートに対する耐性を付与するものが挙げられる。導入された核酸で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬剤選択によって同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
宿主細胞を用いたflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの組換え発現の代替法として、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする核酸及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターを、例えば、T7プロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写及び翻訳することができる。具体的な実施態様において、共役転写/翻訳系、例えば、Promega TNT(登録商標)、又は転写及び翻訳に必要な成分を含む細胞溶解物もしくは細胞抽出物を用いて、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを産生することができる。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドが産生されると、それは、タンパク質の単離又は精製のための当技術分野で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、特定の抗原に対する親和性、プロテインAによるもの、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解性、又はタンパク質の単離もしくは精製のための任意の他の標準的な技術によって単離又は精製することができる。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、熱ショックタンパク質(例えば、Hsp10、Hsp20、Hsp30、Hsp40、Hsp60、Hsp70、Hsp90、もしくはHsp100)とともに又はそれなしで、異種タンパク質、例えば、主要組織適合性複合体(MHC)とコンジュゲートさせることができる。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、免疫調節分子、例えば、免疫細胞、例えば、B細胞(例えば、C3d)又はT細胞にflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをターゲッティングするタンパク質とコンジュゲートさせることができる。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、自然免疫系を刺激するタンパク質、例えば、インターフェロン1型、アルファ、ベータ、もしくはガンマインターフェロン、コロニー刺激因子、例えば、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン(IL)-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、腫瘍壊死因子(TNF)-β、TNFα、B7.1、B7.2、4-1BB、CD40リガンド(CD40L)、及び薬剤誘導性CD40(iCD40)とコンジュゲートさせることができる。
したがって、本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素(HA)ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを産生する方法である。一実施態様において、本方法は、ポリペプチドが産生されるように、ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を好適な培地中で培養することを含む。いくつかの実施態様において、本方法は、ポリペプチドを培地又は宿主細胞から単離することをさらに含む。
(5.8 インフルエンザウイルスベクター)
一態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むインフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをインフルエンザウイルスのビリオンに組み込む。インフルエンザウイルスを、免疫細胞などの特定の細胞型にウイルスをターゲッティングする部分にコンジュゲートさせてもよい。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスのビリオンは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに加えて、異種ポリペプチドをそれらに組み込んでいるか、又はそれを発現する。異種ポリペプチドは、免疫増強活性を有するか、又は特定の細胞型にインフルエンザウイルスをターゲッティングするポリペプチド、例えば、特定の細胞型の表面の抗原に結合する抗体、又は特定の細胞型の表面の特異的受容体に結合するリガンドであってもよい。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むインフルエンザウイルスは、当業者に公知の技術、例えば、リバースジェネティクス及びヘルパーフリープラスミドレスキューを用いて、ビリオンの産生時に、それぞれ、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをトランスで供給することによって産生することができる。或いは、血球凝集素及び/又はノイラミニダーゼ機能がトランスで提供されているウイルスに感染しやすい細胞でflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含む親インフルエンザウイルスの複製は、それぞれ、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む子孫インフルエンザウイルスを産生する。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含むインフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、親インフルエンザウイルスのゲノムは、子孫インフルエンザウイルスによって発現されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードするように改変される。別の具体的な実施態様において、親インフルエンザウイルスのゲノムは、発現されて、子孫インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードするように改変される。したがって、親インフルエンザウイルスの複製によって生じる子孫インフルエンザウイルスは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む。親インフルエンザウイルスのビリオンは、同じ又は異なる型、亜型、又は株のインフルエンザウイルスに由来するステム又はヘッドドメインを含むflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをそれらに組み込んでいてもよい。或いは、親インフルエンザウイルスのビリオンは、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの活性(例えば、インフルエンザウイルス血球凝集素の受容体結合及び/もしくは融合活性)並びに/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの活性のうちの1つ又は複数を機能的に代替することができる部分をそれらに組み込んでいてもよい。ある実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの活性のうちの1つ又は複数は、(i)インフルエンザウイルスと異種のポリペプチドの細胞外ドメインが(ii)インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの膜貫通ドメイン、又は膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインに融合したものを含む融合タンパク質によって提供される。具体的な実施態様において、親インフルエンザウイルスのビリオンは、(i)インフルエンザウイルス以外の感染性病原体の受容体結合性/融合原性ポリペプチドの細胞外ドメインが(ii)インフルエンザウイルス血球凝集素の膜貫通ドメイン、又は膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインに融合したものを含む融合タンパク質をそれらに組み込んでいてもよい。インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの1以上の活性を提供する融合タンパク質、及びそのような融合タンパク質を発現するように改変されたインフルエンザウイルスの産生方法の説明については、例えば、2007年6月7日に公開された国際特許出願公開WO 2007/064802号及び米国特許出願第2012/0122185号として公開された2006年12月1日に出願された米国特許出願第11/633,130号を参照されたく;これらは各々、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
ある実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドのうちの1つ又複数を発現するように改変されたインフルエンザウイルスは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドの球状ヘッドが由来する源と同じ源(例えば、インフルエンザウイルス株又は亜型)に由来するものである、ノイラミニダーゼ(NA)、又はその断片を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのうちの1つ又複数を発現するように改変されたインフルエンザウイルスは、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドが由来する源と同じ源(例えば、インフルエンザウイルス株又は亜型)に由来するものである、ノイラミニダーゼ(NA)、又はその断片を含み、ここで、該球状ヘッドは、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1及び/又はHA2サブユニットのステムドメインと異種である。ある実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドのうちの1つ又複数を発現するように改変されたインフルエンザウイルスは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドの球状ヘッドと異種である(例えば、異なるインフルエンザウイルス株又は亜型に由来する)ノイラミニダーゼ(NA)、又はその断片を含む。
いくつかの実施態様において、親インフルエンザウイルスのビリオンは、異種ポリペプチドをそれらに組み込んでいる。ある実施態様において、親インフルエンザウイルスのゲノムは、子孫インフルエンザウイルスによって発現される異種ポリペプチド及びflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードするように改変される。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド、異種ポリペプチド、又はその両方が、子孫インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれる。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、異種ポリペプチド、又はその両方が、子孫インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれる。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、異種ポリペプチド、又は3つ全てが、子孫インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれる。
異種ポリペプチドは、特定の細胞型にインフルエンザウイルスをターゲッティングするポリペプチド、例えば、特定の細胞型の表面の抗原を認識する抗体、又は特定の細胞型の表面の特異的受容体に結合するリガンドであってもよい。いくつかの実施態様において、ターゲッティングポリペプチドは、ウイルスの標的細胞認識機能を代替する。具体的な実施態様において、異種ポリペプチドは、インフルエンザウイルスが天然で感染するのと同じ細胞型にインフルエンザウイルスをターゲッティングする。他の具体的な実施態様において、異種ポリペプチドは、免疫細胞、例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、又は樹状細胞に子孫インフルエンザウイルスをターゲッティングする。いくつかの実施態様において、異種ポリペプチドは、抗原提示細胞、例えば、樹状細胞の細胞特異的マーカー(例えば、CD44など)を認識して、それに結合する。一実施態様において、異種ポリペプチドは、樹状細胞にウイルスをターゲッティングするDC-SIGNである。別の実施態様において、異種ポリペプチドは、免疫細胞にウイルスをターゲッティングする抗体(例えば、単鎖抗体)であり、この抗体は、それがインフルエンザウイルスビリオンに組み込まれるように、別のポリペプチド由来の膜貫通ドメインと融合されていてもよい。いくつかの実施態様において、抗体は、CD20抗体、CD34抗体、又はDEC-205に対する抗体である。ターゲッティング機能のあるポリペプチドを発現するようにウイルスを改変する技術は当技術分野で公知である。例えば、その各々の内容が完全に本明細書中に組み込まれる、Yangらの文献、2006, PNAS 103:11479-11484及び2008年1月24日に公開された米国特許出願公開第20080019998号及び2007年1月25日に公開された第20070020238号を参照されたい。
別の実施態様において、異種ポリペプチドは、ウイルス付着タンパク質である。その付着タンパク質をこの態様で使用することができるウイルスの非限定的な例は、以下の群から選択されるウイルスである:ラッサ熱ウイルス、B型肝炎ウイルス、狂犬病ウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レトロウイルス、例えば、ヒト免疫不全ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、アルファウイルス、例えば、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、及びアウラウイルス(E1、E2、及びE3などの表面糖タンパク質を含む)、ボルナ病ウイルス、ハンターンウイルス、フォーミーウイルス、並びにSARS-CoVウイルス。
一実施態様において、フラビウイルス表面糖タンパク質、例えば、デングウイルス(DV)Eタンパク質を使用することができる。いくつかの実施態様において、アルファウイルスファミリー由来のシンドビスウイルス糖タンパク質が使用される(K. S. Wang、R. J. Kuhn、E. G. Strauss、S. Ou、J. H. Straussの文献、J. Virol. 66, 4992(1992))。ある実施態様において、異種ポリペプチドは、NDV HNもしくはFタンパク質;ヒト免疫不全ウイルス(HIV)gp160(又はその産物、例えば、gp41もしくはgp120); B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg);ヘルペスウイルスの糖タンパク質(例えば、gD、gE);或いはポリオウイルスのVP1に由来する。
別の実施態様において、異種ポリペプチドは、当技術分野で公知の任意の非ウイルスターゲッティング系に由来する。ある実施態様において、非ウイルス病原体、例えば、細胞内細菌又は細胞内原虫のタンパク質が使用される。いくつかの実施態様において、細菌ポリペプチドは、例えば、クラミジア(Chlamydia)、リケッチア(Rikettsia)、コクセリア(Coxelia)、リステリア(Listeria)、ブルセラ(Brucella)、又はレジオネラ(Legionella)によって提供される。いくつかの実施態様において、原虫のポリペプチドは、例えば、マラリア原虫(Plasmodia)種、リューシマニア属(Leishmania)種、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、又はクルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)によって提供される。他の例示的なターゲッティング系は、その全体が本明細書中に組み込まれる、Waehlerらの文献、2007、「遺伝子治療のための標的ウイルスベクターの改変(Engineering targeted viral vectors for gene therapy)」、Nature Reviews Genetics 8:573-587に記載されている。
ある実施態様において、インフルエンザウイルスによって発現される異種ポリペプチドは、免疫増強(免疫賦活)活性を有する。免疫増強ポリペプチドの非限定的な例としては、刺激分子、サイトカイン、ケモカイン、抗体、及び他の作用物質、例えば、Flt-3リガンドが挙げられるが、これらに限定されない。免疫増強活性のあるポリペプチドの具体的な例としては、以下が挙げられる:インターフェロン1型、アルファ、ベータ、もしくはガンマインターフェロン、コロニー刺激因子、例えば、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン(IL)-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、腫瘍壊死因子(TNF)-β、TNFα、B7.1、B7.2、4-1BB、CD40リガンド(CD40L)及び薬剤誘導性CD40(iCD40)(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Hanks, B. A.らの文献、2005. Nat Med 11:130-137を参照されたい)。
A型及びB型インフルエンザウイルスのゲノムは8本(8)の1本鎖のマイナスセンスセグメントからなる(C型インフルエンザウイルスは7本(7)の1本鎖のマイナスセンスセグメントからなる)ので、親インフルエンザウイルスのゲノムは、組換えセグメント、並びに当業者に公知の技術、例えば、リバースジェネティクス及びヘルパーフリープラスミドレスキューを用いて、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(及び任意の他のポリペプチド、例えば、異種ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変することができる。一実施態様において、組換えセグメントは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド、並びにvRNAの適切な複製、転写、及びパッケージングに必要とされる3'及び5'組込みシグナルをコードする核酸を含む(どちらも引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Fujiiらの文献、2003, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:2002-2007; Zhengらの文献、1996, Virology 217:242-251)。別の実施態様において、組換えセグメントは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼペプチド、並びにvRNAの適切な複製、転写、及びパッケージングに必要とされる3'及び5'組込みシグナルをコードする核酸を含む(どちらも引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Fujiiらの文献、2003, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:2002-2007; Zhengらの文献、1996, Virology 217:242-251)。具体的な実施態様において、組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスと異なる又は同じ型、亜型、又は株に由来するインフルエンザウイルスのセグメントの3'及び5'非コード及び/又は非翻訳配列を使用する。いくつかの実施態様において、組換えセグメントは、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの3'非コード領域、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの非翻訳領域、及びインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの5'非コード領域を含む。いくつかの実施態様において、組換えセグメントは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの3'非コード領域、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの非翻訳領域、及びインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの5'非コード領域を含む。具体的な実施態様において、組換えセグメントは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメント、HA1のC末端ステムセグメント、球状ヘッドドメイン、及び/又はHA2として、インフルエンザウイルス型、亜型、又は株と同じ型、亜型、又は株であるインフルエンザウイルスのHAセグメントの3'及び5'非コード及び/又は非翻訳配列を含む。具体的な実施態様において、組換えセグメントは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドのHA1のN末端ステムセグメント、HA1のC末端ステムセグメント、球状ヘッドドメイン、及び/又はHA2として、インフルエンザウイルス型、亜型、又は株と同じ型、亜型、又は株であるインフルエンザウイルスのNAセグメントの3'及び5'非コード及び/又は非翻訳配列を含む。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのHAセグメントに取って代わることができる。ある実施態様において、インフルエンザNAポリペプチドをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのNAセグメントに取って代わることができる。いくつかの実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのNS1遺伝子に取って代わることができる。いくつかの実施態様において、インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのNS1遺伝子に取って代わることができる。いくつかの実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのNA遺伝子に取って代わることができる。いくつかの実施態様において、インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのNA遺伝子に取って代わることができる。flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現させるために使用することができる例示的なインフルエンザウイルス株としては、アンアーバー/1/50、A/アンアーバー/6/60、A/プエルトリコ/8/34、A/サウスダコタ/6/2007、A/ウルグアイ/716/2007、A/カリフォルニア/07/2009、A/パース/16/2009、A/ブリスベン/59/2007、A/ブリスベン/10/2007、及びB/ブリスベン/60/2008が挙げられる。
いくつかの実施態様において、flu血球凝集素遺伝子セグメントは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの他のインフルエンザウイルス遺伝子セグメントは、該flu血球凝集素(HA)遺伝子セグメント及び該少なくとも1つの他の遺伝子セグメントを組換えインフルエンザウイルスの複製時に一緒に分離することを可能にするパッケージングシグナルを含む(Gao及びPaleseの文献、2009, PNAS 106:15891-15896;及び国際出願公開WO11/014645号を参照されたい)。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ遺伝子セグメントは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ遺伝子セグメント及び少なくとも1つの他のインフルエンザウイルス遺伝子セグメントは、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ遺伝子セグメント及び少なくとも1つの他の遺伝子セグメントが組換えインフルエンザウイルスの複製時に一緒に分離するのを可能にするパッケージングシグナルを含む(Gao及びPalese 2009の文献、PNAS 106:15891-15896;及び国際出願公開第WO11/014645号を参照されたい)。
いくつかの実施態様において、親インフルエンザウイルスのゲノムは、二シストロン性である組換えセグメントを用いて、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変することができる。二シストロン性技術は、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列の使用により、複数のタンパク質のコード配列の単一mRNAへの改変を可能にする。IRES配列は、RNA分子へのリボソームの内部動員を導き、キャップ非依存的に下流の翻訳を可能にする。簡潔に述べると、1つのタンパク質のコード領域が、第2のタンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)に挿入される。挿入は、IRES並びに適切な発現及び/又は機能に必要な任意の非翻訳シグナル配列に連なる。挿入は、第2のタンパク質のORF、ポリアデニル化、又は転写プロモーターを妨害してはならない(例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Garcia-Sastreらの文献、1994, J. Virol. 68:6254-6261及びGarcia-Sastreらの文献、1994 Dev. Biol. Stand. 82:237-246を参照されたい)。例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第6,887,699号、米国特許第6,001,634号、米国特許第5,854,037号、及び米国特許第5,820,871号も参照されたい。当技術分野で公知又は本明細書に記載の任意のIRESを本発明に従って使用することができる(例えば、BiP遺伝子のIRES、GenBankデータベースエントリーHUMGRP78のヌクレオチド372〜592;又は脳心筋炎ウイルス(EMCV)のIRES、GenBankデータベースエントリーCQ867238のヌクレオチド1430-2115)。したがって、ある実施態様において、親インフルエンザウイルスは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドと、別のポリペプチド、例えば、親インフルエンザウイルスによって発現される遺伝子とを発現する二シストロン性RNAセグメントを含むように改変される。いくつかの実施態様において、親インフルエンザウイルス遺伝子は、HA遺伝子である。いくつかの実施態様において、親インフルエンザウイルス遺伝子は、NA遺伝子である。いくつかの実施態様において、親インフルエンザウイルス遺伝子は、NS1遺伝子である。
当業者に公知の技術を用いて、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むインフルエンザウイルス並びにflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含むインフルエンザウイルスを産生することができる。例えば、リバースジェネティクス技術を用いて、そのようなインフルエンザウイルスを産生することができる。簡潔に述べると、リバースジェネティクス技術は、一般に、ウイルスポリメラーゼによる認識及び成熟ビリオンの生成に必要なパッケージングシグナルに必須である、マイナス鎖ウイルスRNAの非コード領域を含む合成組換えウイルスRNAの調製を含む。組換えRNAは、組換えDNA鋳型から合成され、精製されたウイルスポリメラーゼ複合体によってインビトロで再構成されて、細胞をトランスフェクトするために使用することができる組換えリボ核タンパク質(RNP)を形成する。インビトロ又はインビボでの合成RNAの転写の間にウイルスポリメラーゼタンパク質が存在する場合、より効率的なトランスフェクションが達成される。合成組換えRNPは、感染性ウイルス粒子中にレスキューすることができる。前述の技術は、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、1992年11月24日に出願された米国特許第5,166,057号; 1998年12月29日に出願された米国特許第5,854,037号; 1996年2月20日に公開された欧州特許公開EP 0702085A1号;米国特許出願第09/152,845号; 1997年4月3日に公開された国際特許公開PCT WO 97/12032号; 1996年11月7日に公開されたWO 96/34625号;欧州特許公開EP A780475号; 1999年1月21日に公開されたWO 99/02657号; 1998年11月26日に公開されたWO 98/53078号; 1998年1月22日に公開されたWO 98/02530号; 1999年4月1日に公開されたWO 99/15672号; 1998年4月2日に公開されたWO 98/13501号; 1997年2月20日に公開されたWO 97/06270号;及び1997年6月25日に公開されたEPO 780 475A1号に記載されている。
或いは、ヘルパーフリープラスミド技術を用いて、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザノイラミニダーゼポリペプチドを含むインフルエンザウイルス並びにflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含むインフルエンザウイルスを産生することができる。簡潔に述べると、プラスミドベクターへのPCR産物の挿入を可能にする独特の制限部位を含むプライマーによるPCRを用いて、ウイルスセグメントの全長cDNAを増幅させる(Flandorferらの文献、2003, J. Virol. 77:9116-9123; Nakayaらの文献、2001, J. Virol. 75:11868-11873;これらは両方とも、引用により完全に本明細書中に組み込まれている)。プラスミドベクターは、正確なマイナスの(vRNAセンス)転写物が発現されるように設計される。例えば、正確なマイナスの(vRNAセンス)転写物がポリメラーゼIプロモーターから産生されるように、プラスミドベクターは、切断されたヒトRNAポリメラーゼIプロモーターとデルタ型肝炎ウイルスリボザイム配列の間にPCR産物を配置するように設計することができる。各ウイルスセグメントを含む別個のプラスミドベクター並びに必要なウイルスタンパク質を含む発現ベクターを細胞にトランスフェクトして、組換えウイルス粒子の産生をもたらすことができる。別の実施例では、必要なウイルスタンパク質をコードするウイルスのゲノムRNAとmRNAの両方が発現されるプラスミドベクターを使用することができる。ヘルパーフリープラスミド技術の詳細な説明については、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 01/04333号;米国特許第6,951,754号、第7,384,774号、第6,649,372号、及び第7,312,064号; Fodorらの文献、1999, J. Virol. 73:9679-9682; Quinlivanらの文献、2005, J. Virol. 79:8431-8439; Hoffmannらの文献、2000, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:6108-6113;並びにNeumannらの文献、1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:9345-9350を参照されたい。
本明細書に記載されるインフルエンザウイルスは、本明細書に記載される方法に従うその使用を可能にする力価までウイルスを成長させる任意の基体中で増殖させることができる。一実施態様において、基体は、対応する野生株ウイルスについて測定される力価と同等の力価までウイルスを成長させる。ある実施態様において、基体は、インフルエンザウイルスにとって、又はHA機能が由来するウイルスにとって生物学的に適するものである。具体的な実施態様において、例えば、NS1遺伝子中の突然変異による弱毒化インフルエンザウイルスは、IFN欠損基体中で増殖させることができる。例えば、好適なIFN欠損基体は、インターフェロンを産生するかもしくはそれに応答するその能力に欠陥がある基体であってもよく、又はIFN欠損基体をインターフェロン欠損成長環境を必要とし得る任意の数のウイルスの成長のために使用することができる基体である。例えば、その各々の内容全体が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2003年6月3日に出願された米国特許第6,573,079号、2005年2月8日に出願された第6,852,522号、及び2009年2月24日に出願された第7,494,808号を参照されたい。具体的な実施態様において、ウイルスを発育卵(例えば、鶏卵)中で増殖させる。具体的な実施態様において、ウイルスを8日齢、9日齢、8〜10日齢、10日齢、11日齢、10〜12日齢、又は12日齢の発育卵(例えば、鶏卵)中で増殖させる。ある実施態様において、ウイルスをMDCK細胞、Vero細胞、293T細胞、又は当技術分野で公知の他の細胞株で増殖させる。ある実施態様において、ウイルスを発育卵に由来する細胞で増殖させる。
本明細書に記載されるインフルエンザウイルスは、当業者に公知の任意の方法によって単離及び精製することができる。一実施態様において、ウイルスは、一般に、周知の清澄化手順、例えば、密度勾配遠心分離及びカラムクロマトグラフィーによって細胞培養物から取り出され、細胞成分から分離され、望ましい場合、当業者に周知の手順、例えば、プラークアッセイを用いて、さらに精製することができる。
ある実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、A型インフルエンザウイルスから得られるか、又はそれに由来する。ある実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、単一のA型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、2以上のA型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。ある実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルスは、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及びノイラミニダーゼ(NA)、又はそれらの断片を含み、ここで、該NAは、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドが由来する源と同じ源(例えば、インフルエンザウイルス株又は亜型)由来のものである。ある実施態様において、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのうちの1つ又は複数を発現するように改変されたインフルエンザウイルスは、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの球状ヘッドが由来する源と同じ源(例えば、インフルエンザウイルス株又は亜型)由来のものである、ノイラミニダーゼ(NA)、又はその断片を含み、ここで、該球状ヘッドは、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのHA1及び/又はHA2サブユニットのステムドメインと異種である。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、B型インフルエンザウイルスから得られるか、又はそれに由来する。ある実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、単一のB型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、2以上のB型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様において、本明細書に記載されているように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、A型インフルエンザウイルスの亜型又は株とB型インフルエンザウイルスの亜型又は株の組合せから得られるか、又はそれに由来する。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスのポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、C型インフルエンザウイルスから得られるか、又はそれに由来する。ある実施態様において、本明細書に記載されるように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスのポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、単一のC型インフルエンザウイルス亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様において、本明細書に記載されるように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスのポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、2以上のC型インフルエンザウイルス亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様において、本明細書に記載されるように使用されるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスのポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、C型インフルエンザウイルスとA型インフルエンザウイルス及び/もしくはB型インフルエンザウイルス亜型又は株の組合せから得られるか、又はそれに由来する。
A型インフルエンザウイルスの非限定的な例としては、亜型H10N4、亜型H10N5、亜型H10N7、亜型H10N8、亜型H10N9、亜型H11N1、亜型H11N13、亜型H11N2、亜型H11N4、亜型H11N6、亜型H11N8、亜型H11N9、亜型H12N1、亜型H12N4、亜型H12N5、亜型H12N8、亜型H13N2、亜型H13N3、亜型H13N6、亜型H13N7、亜型H14N5、亜型H14N6、亜型H15N8、亜型H15N9、亜型H16N3、亜型H1N1、亜型H1N2、亜型H1N3、亜型H1N6、亜型H1N9、亜型H2N1、亜型H2N2、亜型H2N3、亜型H2N5、亜型H2N7、亜型H2N8、亜型H2N9、亜型H3N1、亜型H3N2、亜型H3N3、亜型H3N4、亜型H3N5、亜型H3N6、亜型H3N8、亜型H3N9、亜型H4N1、亜型H4N2、亜型H4N3、亜型H4N4、亜型H4N5、亜型H4N6、亜型H4N8、亜型H4N9、亜型H5N1、亜型H5N2、亜型H5N3、亜型H5N4、亜型H5N6、亜型H5N7、亜型H5N8、亜型H5N9、亜型H6N1、亜型H6N2、亜型H6N3、亜型H6N4、亜型H6N5、亜型H6N6、亜型H6N7、亜型H6N8、亜型H6N9、亜型H7N1、亜型H7N2、亜型H7N3、亜型H7N4、亜型H7N5、亜型H7N7、亜型H7N8、亜型H7N9、亜型H8N4、亜型H8N5、亜型H9N1、亜型H9N2、亜型H9N3、亜型H9N5、亜型H9N6、亜型H9N7、亜型H9N8、及び亜型H9N9が挙げられる。
A型インフルエンザウイルスの株の具体的な例としては、A/ビクトリア/361/2011(H3N2); A/カリフォルニア/4/2009(H1N1); A/カリフォルニア/7/2009(H1N1); A/パース/16/2009(H3N2); A/ブリスベン/59/2007(H1N1); A/ブリスベン/10/2007((H3N2); A/sw/アイオワ/15/30(H1N1); A/WSN/33(H1N1); A/eq/プラハ/1/56(H7N7); A/PR/8/34; A/マガモ/ポツダム/178-4/83(H2N2); A/セグロカモメ/DE/712/88(H16N3); A/sw/香港/168/1993(H1N1); A/マガモ/アルバータ/211/98(H1N1); A/水鳥/デラウェア/168/06(H16N3); A/sw/ネーデルラント/25/80(H1N1); A/sw/ドイツ/2/81(H1N1); A/sw/ハノーバー/1/81(H1N1); A/sw/ポツダム/1/81(H1N1); A/sw/ポツダム/15/81(H1N1); A/sw/ポツダム/268/81(H1N1); A/sw/フィニステール/2899/82(H1N1); A/sw/ポツダム/35/82(H3N2); A/sw/コートダルモール/3633/84(H3N2); A/sw/ヘント/1/84(H3N2); A/sw/ネーデルラント/12/85(H1N1); A/sw/カレンツァイン(Karrenzien)/2/87(H3N2); A/sw/シュウェリン/103/89(H1N1); A/七面鳥/ドイツ/3/91(H1N1); A/sw/ドイツ/8533/91(H1N1); A/sw/ベルギー/220/92(H3N2); A/sw/ヘント/V230/92(H1N1); A/sw/ライプチヒ/145/92(H3N2); A/sw/Re220/92hp(H3N2); A/sw/バークム/909/93(H3N2); A/sw/シュレースヴィヒ−ホルシュタイン/1/93(H1N1); A/sw/スコットランド/419440/94(H1N2); A/sw/バークム/5/95(H1N1); A/sw/ベスト(Best)/5C/96(H1N1); A/sw/イングランド/17394/96(H1N2); A/sw/イエナ/5/96(H3N2); A/sw/ウーデンローデ/7C/96(H3N2); A/sw/ローネ/1/97(H3N2); A/sw/コートダルモール/790/97(H1N2); A/sw/バークム/1362/98(H3N2); A/sw/イタリア/1521/98(H1N2); A/sw/イタリア/1553-2/98(H3N2); A/sw/イタリア/1566/98(H1N1); A/sw/イタリア/1589/98(H1N1); A/sw/バークム/8602/99(H3N2); A/sw/コートダルモール/604/99(H1N2); A/sw/コートダルモール/1482/99(H1N1); A/sw/ヘント/7625/99(H1N2); A/香港/1774/99(H3N2); A/sw/香港/5190/99(H3N2); A/sw/香港/5200/99(H3N2); A/sw/香港/5212/99(H3N2); A/sw/イル・エ・ヴィレーヌ/1455/99(H1N1); A/sw/イタリア/1654-1/99(H1N2); A/sw/イタリア/2034/99(H1N1); A/sw/イタリア/2064/99(H1N2); A/sw/ベルリン/1578/00(H3N2); A/sw/バークム/1832/00(H1N2); A/sw/バークム/1833/00(H1N2); A/sw/コートダルモール/800/00(H1N2); A/sw/香港/7982/00(H3N2); A/sw/イタリア/1081/00(H1N2); A/sw/ベルチヒ/2/01(H1N1); A/sw/ベルチヒ/54/01(H3N2); A/sw/香港/9296/01(H3N2); A/sw/香港/9745/01(H3N2); A/sw/スペイン/33601/01(H3N2); A/sw/香港/1144/02(H3N2); A/sw/香港/1197/02(H3N2); A/sw/スペイン/39139/02(H3N2); A/sw/スペイン/42386/02(H3N2); A/スイス/8808/2002(H1N1); A/sw/バークム/1769/03(H3N2); A/sw/ビッセンドルフ/IDT1864/03(H3N2); A/sw/エーレン(Ehren)/IDT2570/03(H1N2); A/sw/ゲッシャー/IDT2702/03(H1N2); A/sw/ハーゼリュンネ/2617/03hp(H1N1); A/sw/レーニンゲン/IDT2530/03(H1N2); A/sw/IVD/IDT2674/03(H1N2); A/sw/ノルドキルヒェン/IDT1993/03(H3N2); A/sw/ノルドヴァルデ/IDT2197/03(H1N2); A/sw/ノルデン/IDT2308/03(H1N2); A/sw/スペイン/50047/03(H1N1); A/sw/スペイン/51915/03(H1N1); A/sw/フェヒタ/2623/03(H1N1); A/sw/ヴィズベク/IDT2869/03(H1N2); A/sw/ヴァルタースドルフ/IDT2527/03(H1N2); A/sw/ダム(Damme)/IDT2890/04(H3N2); A/sw/ゲルダーン/IDT2888/04(H1N1); A/sw/グランステット(Granstedt)/IDT3475/04(H1N2); A/sw/グレーフェン/IDT2889/04(H1N1); A/sw/グーテンスベルク/IDT2930/04(H1N2); A/sw/グーテンスベルク/IDT2931/04(H1N2); A/sw/ローネ/IDT3357/04(H3N2); A/sw/ノルトルップ/IDT3685/04(H1N2); A/sw/ゼーセン/IDT3055/04(H3N2); A/sw/スペイン/53207/04(H1N1); A/sw/スペイン/54008/04(H3N2); A/sw/シュトルツェナウ/IDT3296/04(H1N2); A/sw/ヴェーデル/IDT2965/04(H1N1); A/sw/バートグリースバッハ/IDT4191/05(H3N2); A/sw/クロッペンブルク/IDT4777/05(H1N2); A/sw/デートリンゲン/IDT3780/05(H1N2); A/sw/デートリンゲン/IDT4735/05(H1N2); A/sw/エックルハム/IDT5250/05(H3N2); A/sw/ハーケンブレック(Harkenblek)/IDT4097/05(H3N2); A/sw/ヘルツェン(Hertzen)/IDT4317/05(H3N2); A/sw/クローゲル(Krogel)/IDT4192/05(H1N1); A/sw/ラエル/IDT3893/05(H1N1); A/sw/ラエル/IDT4126/05(H3N2); A/sw/メルツェン/IDT4114/05(H3N2); A/sw/ミュスラリンゲン(Muesleringen)-S./IDT4263/05(H3N2); A/sw/オスターホーフェン/IDT4004/05(H3N2); A/sw/シュプレンゲ(Sprenge)/IDT3805/05(H1N2); A/sw/シュタットローン/IDT3853/05(H1N2); A/sw/フォーグラルン(Voglarn)/IDT4096/05(H1N1); A/sw/ヴォーラーシュト(Wohlerst)/IDT4093/05(H1N1); A/sw/バートグリースバッハ/IDT5604/06(H1N1); A/sw/ヘルツラケ/IDT5335/06(H3N2); A/sw/ヘルツラケ/IDT5336/06(H3N2); A/sw/ヘルツラケ/IDT5337/06(H3N2);及びA/イノシシ/ドイツ/R169/2006(H3N2)が挙げられるが、これらに限定されない。
A型インフルエンザウイルスの株の他の具体的な例としては、A/トロント/3141/2009(H1N1); A/レーゲンスブルク/D6/2009(H1N1); A/バイエルン/62/2009(H1N1); A/バイエルン/62/2009(H1N1); A/ブランデンブルク/19/2009(H1N1); A/ブランデンブルク/20/2009(H1N1); A/連邦直轄区(Distrito Federal)/2611/2009(H1N1); A/マトグロッソ/2329/2009(H1N1); A/サンパウロ/1454/2009(H1N1); A/サンパウロ/2233/2009(H1N1); A/ストックホルム/37/2009(H1N1); A/ストックホルム/41/2009(H1N1); A/ストックホルム/45/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-1/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-14/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-2/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-21/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-22/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-23/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-24/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-25/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-3/2009(H1N1); A/ブタ/アルバータ/OTH-33-7/2009(H1N1); A/北京/502/2009(H1N1); A/フィレンツェ/10/2009(H1N1); A/香港/2369/2009(H1N1); A/イタリア/85/2009(H1N1); A/サントドミンゴ/572N/2009(H1N1); A/カタロニア/385/2009(H1N1); A/カタロニア/386/2009(H1N1); A/カタロニア/387/2009(H1N1); A/カタロニア/390/2009(H1N1); A/カタロニア/394/2009(H1N1); A/カタロニア/397/2009(H1N1); A/カタロニア/398/2009(H1N1); A/カタロニア/399/2009(H1N1); A/サンパウロ/2303/2009(H1N1); A/秋田/1/2009(H1N1); A/カストロ/JXP/2009(H1N1); A/福島/1/2009(H1N1); A/イスラエル/276/2009(H1N1); A/イスラエル/277/2009(H1N1); A/イスラエル/70/2009(H1N1); A/岩手/1/2009(H1N1); A/岩手/2/2009(H1N1); A/鹿児島/1/2009(H1N1); A/大阪/180/2009(H1N1); A/プエルトモント/Bio87/2009(H1N1); A/サンパウロ/2303/2009(H1N1); A/札幌/1/2009(H1N1); A/ストックホルム/30/2009(H1N1); A/ストックホルム/31/2009(H1N1); A/ストックホルム/32/2009(H1N1); A/ストックホルム/33/2009(H1N1); A/ストックホルム/34/2009(H1N1); A/ストックホルム/35/2009(H1N1); A/ストックホルム/36/2009(H1N1); A/ストックホルム/38/2009(H1N1); A/ストックホルム/39/2009(H1N1); A/ストックホルム/40/2009(H1N1;)A/ストックホルム/42/2009(H1N1); A/ストックホルム/43/2009(H1N1); A/ストックホルム/44/2009(H1N1); A/宇都宮/2/2009(H1N1); A/WRAIR/0573N/2009(H1N1);及びA/浙江/DTID-ZJU01/2009(H1N1)が挙げられるが、これらに限定されない。
B型インフルエンザウイルスの非限定的な例としては、愛知/5/88株、B/ブリスベン/60/2008株;秋田/27/2001、秋田/5/2001株、アラスカ/16/2000株、アラスカ/1777/2005株、アルゼンチン/69/2001株、アリゾナ/146/2005株、アリゾナ/148/2005株、バンコク/163/90株、バンコク/34/99株、バンコク/460/03株、バンコク/54/99株、バルセロナ/215/03株、北京/15/84株、北京/184/93株、北京/243/97株、北京/43/75株、北京/5/76株、北京/76/98株、ベルギー/WV106/2002株、ベルギー/WV107/2002株、ベルギー/WV109/2002株、ベルギー/WV114/2002株、ベルギー/WV122/2002株、ボン/43株、ブラジル/952/2001株、ブカレスト/795/03株、ブエノスアイレス/161/00株)、ブエノスアイレス/9/95株、ブエノスアイレス/SW16/97株、ブエノスアイレス/VL518/99株、カナダ/464/2001株、カナダ/464/2002株、チャコ/366/00株、チャコ/R113/00株、済州/303/03株、千葉/447/98株、重慶/3/2000株、SA1タイ/2002臨床分離株、SA10タイ/2002臨床分離株、SA100フィリピン/2002臨床分離株、SA101フィリピン/2002臨床分離株、SA110フィリピン/2002臨床分離株)、SA112フィリピン/2002臨床分離株、SA113フィリピン/2002臨床分離株、SA114フィリピン/2002臨床分離株、SA2タイ/2002臨床分離株、SA20タイ/2002臨床分離株、SA38フィリピン/2002臨床分離株、SA39タイ/2002臨床分離株、SA99フィリピン/2002臨床分離株、CNIC/27/2001株、コロラド/2597/2004株、コルドバ/VA418/99株、チェコスロバキア/16/89株、チェコスロバキア/69/90株、ダエク/10/97株、ダエク/45/97株、ダエク/47/97株、ダエク/9/97株、B/Du/4/78株、B/ダーバン/39/98株、ダーバン/43/98株、ダーバン/44/98株、B/ダーバン/52/98株、ダーバン/55/98株、ダーバン/56/98株、イングランド/1716/2005株、イングランド/2054/2005株)、イングランド/23/04株、フィンランド/154/2002株、フィンランド/159/2002株、フィンランド/160/2002株、フィンランド/161/2002株、フィンランド/162/03株、フィンランド/162/2002株、フィンランド/162/91株、フィンランド/164/2003株、フィンランド/172/91株、フィンランド/173/2003株、フィンランド/176/2003株、フィンランド/184/91株、フィンランド/188/2003株、フィンランド/190/2003株、フィンランド/220/2003株、フィンランド/WV5/2002株、福建/36/82株、ジュネーブ/5079/03株、ジェノバ/11/02株、ジェノバ/2/02株、ジェノバ/21/02株、ジェノバ/54/02株、ジェノバ/55/02株、広東/05/94株、広東/08/93株、広東/5/94株、広東/55/89株、広東/8/93株、広州/7/97株、広州/86/92株、広州/87/92株、京幾/592/2005株、ハノーバー/2/90株、ハルビン/07/94株、ハワイ/10/2001株、ハワイ/1990/2004株、ハワイ/38/2001株、ハワイ/9/2001株、河北/19/94株、河北/3/94株)、河南/22/97株、広島/23/2001株、香港/110/99株、香港/1115/2002株、香港/112/2001株、香港/123/2001株、香港/1351/2002株、香港/1434/2002株、香港/147/99株、香港/156/99株、香港/157/99株、香港/22/2001株、香港/22/89株、香港/336/2001株、香港/666/2001株、香港/9/89株、ヒューストン/1/91株、ヒューストン/1/96株、ヒューストン/2/96株、湖南/4/72株、茨城/2/85株、仁川(ncheon)/297/2005株、インド/3/89株、インド/77276/2001株、イスラエル/95/03株、イスラエル/WV187/2002株、日本/1224/2005株、江蘇/10/03株、ヨハネスブルク/1/99株、ヨハネスブルク/96/01株、門真/1076/99株、門真/122/99株、鹿児島/15/94株、カンザス/22992/99株、ハズコフ(Khazkov)/224/91株、神戸/1/2002株、高知/193/99株、ラツィオ/1/02株、リー/40株、レニングラード/129/91株、リスボン/2/90株)、ロサンゼルス/1/02株、ルサカ/270/99株、リヨン/1271/96株、マレーシア/83077/2001株、マプト/1/99株、マルデルプラタ/595/99株、メリーランド/1/01株、メンフィス/1/01株、メンフィス/12/97-MA株、ミシガン/22572/99株、三重/1/93株、ミラノ/1/01株、ミンスク/318/90株、モスクワ/3/03株、名古屋/20/99株、南昌/1/00株、ナッシュビル/107/93株、ナッシュビル/45/91株、ネブラスカ/2/01株、ネーデルラント/801/90株、ネーデルラント/429/98株、ニューヨーク/1/2002株、NIB/48/90株、寧夏/45/83株、ノルウェー/1/84株、オマーン/16299/2001株、大阪/1059/97株、大阪/983/97-V2株、オスロ/1329/2002株、オスロ/1846/2002株、パナマ/45/90株、パリ/329/90株、パルマ/23/02株、パース/211/2001株、ペルー/1364/2004株、フィリピン/5072/2001株、釜山/270/99株、ケベック/173/98株、ケベック/465/98株、ケベック/7/01株、ローマ/1/03株、佐賀/S172/99株、ソウル/13/95株、ソウル/37/91株、山東/7/97株、上海/361/2002株)、滋賀/T30/98株、四川/379/99株、シンガポール/222/79株、スペイン/WV27/2002株、ストックホルム/10/90株、スイス/5441/90株、台湾/0409/00株、台湾/0722/02株、台湾/97271/2001株、テヘラン/80/02株、東京/6/98株、トリエステ/28/02株、ウランウデ/4/02株、イギリス/34304/99株、USSR/100/83株、ビクトリア/103/89株、ウィーン/1/99株、武漢/356/2000株、WV194/2002株、玄武/23/82株、山形/1311/2003株、山形/K500/2001株、アラスカ/12/96株、GA/86株、長崎/1/87株、東京/942/96株、B/ウィスコンシン/1/2010株;及びロチェスター/02/2001株が挙げられる。
C型インフルエンザウイルスの非限定的な例としては、愛知/1/81株、アンアーバー/1/50株、青森/74株、カリフォルニア/78株、イングランド/83株、ギリシア/79株、広島/246/2000株、広島/252/2000株、兵庫/1/83株、ヨハネスブルク/66株、神奈川/1/76株、京都/1/79株、ミシシッピー/80株、宮城/1/97株、宮城/5/2000株、宮城/9/96株、奈良/2/85株、ニュージャージー/76株、ブタ/北京/115/81株、埼玉/3/2000株)、静岡/79株、山形/2/98株、山形/6/2000株、山形/9/96株、ベルリン/1/85株、イングランド/892/8株、五大湖/1167/54株、JJ/50株、ブタ/北京/10/81株、ブタ/北京/439/82)株、テイラー/1233/47株、及びC/山形/10/81株が挙げられる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるインフルエンザウイルスは、弱毒化表現型を有する。具体的な実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、A型インフルエンザウイルスに基づく。他の実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、B型インフルエンザウイルスに基づく。さらに他の実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、C型インフルエンザウイルスに基づく。他の実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ及び/又はC型インフルエンザウイルスの1以上の株又は亜型由来の遺伝子又はゲノムセグメントを含むことができる。いくつかの実施態様において、弱毒化骨格ウイルスは、A型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルス由来の遺伝子を含む。
具体的な実施態様において、ウイルスが少なくとも部分的に感染性を保持し、インビボで複製することができるが、非病原性である不顕性レベルの感染をもたらす低い力価を生じさせることしかできないような、インフルエンザウイルスの弱毒化が望ましい。そのような弱毒化ウイルスは、ウイルス又はその免疫原性組成物が免疫応答を誘発するために対象に投与される、本明細書に記載される実施態様に特に好適である。インフルエンザウイルスの弱毒化は、例えば、化学的突然変異誘発によって作製されるウイルス突然変異体を選択すること、遺伝子操作によるゲノムの突然変異、弱毒化された機能を有するセグメントを含む再集合体ウイルスを選択すること、又は条件的ウイルス突然変異体(例えば、低温適応ウイルス)の選択などの、当技術分野で公知の任意の方法によって達成することができる。或いは、天然に存在する弱毒化インフルエンザウイルスを、インフルエンザウイルスベクターのためのインフルエンザウイルス骨格として使用することができる。
一実施態様において、インフルエンザウイルスは、親インフルエンザウイルスのHA遺伝子を本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドと置換することによって、少なくとも部分的に弱毒化することができる。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスは、細胞のインターフェロン(IFN)応答に拮抗するウイルスの能力を損なわせる突然変異したNS1遺伝子を発現するようにインフルエンザウイルスを改変することによって、少なくとも部分的に弱毒化することができる。インフルエンザウイルスNS1遺伝子に導入することができる突然変異の種類の例としては、欠失、置換、挿入、及びそれらの組合せが挙げられる。NS1遺伝子全体のどこにでも(例えば、N末端、C末端、もしくはその間のどこか)、及び/又はNS1遺伝子の調節エレメントに、1以上の突然変異を導入することができる。一実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、NS1のC末端から5個、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、75、80、85、90、95、99、100、105、110、115、120、125、126、130、135、140、145、150、155、160、165、170、もしくは175個のアミノ酸残基からなる欠失、又はC末端から5〜170、25〜170、50〜170、100〜170、100〜160、もしくは105〜160個のアミノ酸残基の欠失をもたらすインフルエンザウイルスNS1遺伝子の突然変異を有するゲノムを含む。別の実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルスは、それがアミノ酸残基1〜130、アミノ酸残基1〜126、アミノ酸残基1〜120、アミノ酸残基1〜115、アミノ酸残基1〜110、アミノ酸残基1〜100、アミノ酸残基1〜99、アミノ酸残基1〜95、アミノ酸残基1〜85、アミノ酸残基1〜83、アミノ酸残基1〜80、アミノ酸残基1〜75、アミノ酸残基1〜73、アミノ酸残基1〜70、アミノ酸残基1〜65、又はアミノ酸残基1〜60のNS1タンパク質をコードするように、インフルエンザウイルスNS1遺伝子の突然変異を有するゲノムを含み、ここで、N末端アミノ酸は、1番である。NS1突然変異及び突然変異したNS1を含むインフルエンザウイルスの例については、例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第6,468,544号及び第6,669,943号;並びにLiらの文献、1999, J. Infect. Dis. 179:1132-1138を参照されたい。
(5.9 非インフルエンザウイルスベクター)
一態様において、本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素(HA)ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む非インフルエンザウイルスである。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、非インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれる。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、精製された(例えば、プラーク精製された)又は単離されたウイルスに含まれる/該ウイルスによって発現される。非インフルエンザウイルスを、特定の細胞型、例えば、免疫細胞にウイルスをターゲッティングする部分に結合させてもよい。いくつかの実施態様において、非インフルエンザウイルスのビリオンは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに加えて、異種ポリペプチドをそれらに組み込んでいるか、又はそれを発現する。異種ポリペプチドは、免疫増強活性を有するか、又は特定の細胞型に非インフルエンザウイルスをターゲッティングするポリペプチド、例えば、特定の細胞型の表面の抗原に結合する抗体、もしくは特定の細胞型の表面の特異的受容体に結合するリガンドであってもよい。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む/発現する非インフルエンザウイルスは、当業者に公知の技術を用いて産生することができる。flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む非インフルエンザウイルスは、当業者に公知の技術を用いてビリオンの産生時に、それぞれ、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをトランスで供給することによって産生することができる。或いは、血球凝集素機能がトランスで提供されているウイルスに感染しやすい細胞でflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含む親の非インフルエンザウイルスの複製は、それぞれ、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む子孫ウイルスを産生する。
限定するものではないが、天然に存在する株、変異体、もしくは突然変異体、突然変異させたウイルス、再集合体、及び/又は遺伝子改変ウイルスを含む、任意のウイルス型、亜型、又は株を、非インフルエンザウイルスベクターとして使用することができる。具体的な実施態様において、親の非インフルエンザウイルスは、天然に存在するウイルスではない。別の具体的な実施態様において、親の非インフルエンザウイルスは、遺伝子改変ウイルスである。ある実施態様において、エンベロープ型ウイルスが、本明細書に記載される膜結合型flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は膜結合型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの発現に好ましい。
例示的な実施態様において、非インフルエンザウイルスベクターは、ニューカッスル病ウイルス(NDV)である。別の実施態様において、非インフルエンザウイルスベクターは、ワクシニアウイルスである。他の例示的で、非限定的な実施態様において、非インフルエンザウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、B型肝炎ウイルス、レトロウイルス(例えば、ガンマレトロウイルス、例えば、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)ゲノムもしくはマウス白血病ウイルス(MLV)、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス、腫瘍レトロウイルス、もしくはレンチウイルス)、アルファウイルス(例えば、ベネズエラウマ脳炎ウイルス)、ラブドウイルス、例えば、水疱性口内炎ウイルスもしくはパピローマウイルス、ポックスウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、MVA-T7ベクター、もしくは鶏痘)、メタニューモウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス、又はフォーミーウイルスである。例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Lawrie及びTuminの文献、1993, Cur. Opin. Genet. Develop. 3, 102-109(レトロウイルスベクター); Bettらの文献、1993, J. Virol. 67, 5911(アデノウイルスベクター); Zhouらの文献、1994, J. Exp. Med. 179, 1867(アデノ随伴ウイルスベクター); Dubenskyらの文献、1996, J. Virol. 70, 508-519(ワクシニアウイルス及び鶏痘ウイルスを含むポックスファミリー由来のウイルスベクター並びにアルファウイルス属由来のウイルスベクター、例えば、シンドビスウイルス及びセムリキ森林ウイルスに由来するもの);米国特許第5,643,576号(ベネズエラウマ脳炎ウイルス); WO 96/34625号(VSV); Oheらの文献、1995, Human Gene Therapy 6, 325-333; Wooらの文献、WO 94/12629号; Xiao及びBrandsmaの文献、1996, Nucleic Acids. Res. 24、2630-2622(パピローマウイルス);並びにBukreyev及びCollinsの文献、2008, Curr Opin Mol Ther. 10:46-55(NDV)を参照されたい。
具体的な実施態様において、非インフルエンザウイルスベクターは、NDVである。任意のNDV型、亜型、又は株は、限定されないが、天然に存在する株、変異体、もしくは突然変異体、突然変異させたウイルス、再集合体及び/又は遺伝子改変ウイルスを含む、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変される骨格の役割を果たすことができる。具体的な実施態様において、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、天然に存在する株である。ある実施態様において、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、溶解性株である。他の実施態様において、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、非溶解性株である。ある実施態様において、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、長潜伏期性株である。いくつかの実施態様において、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、亜病原性株である。他の実施態様において、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、短潜伏期性株である。NDV株の具体的な例としては、73-T株、アルスター株、MTH-68株、イタリアン(Italien)株、ヒックマン(Hickman)株、PV701株、ヒッチナー(Hitchner)B1株、ラソータ(La Sota)株、YG97株、MET95株、及びF48E9株が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施態様において、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、ヒッチナーB1株である。別の具体的な実施態様において、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、ラソータ株である。
一実施態様において、非インフルエンザウイルスベクターのための骨格として使用されるNDVは、修飾Fタンパク質を発現するように改変されており、この修飾Fタンパク質中では、該Fタンパク質の切断部位が1つ又は2つの追加のアルギニン残基を含む部位に置き換えられ、この突然変異切断部位がフリンファミリーのユビキタスに発現されるプロテアーゼによって活性化されるようになる。そのような修飾Fタンパク質を発現するNDVの具体的な例としては、rNDV/F2aa及びrNDV/F3aaが挙げられるが、これらに限定されない。突然変異した切断部位を有する修飾Fタンパク質を産生するためにNDVのFタンパク質に導入される突然変異の説明については、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Parkらの文献、2006、「二重特異性を有する改変されたウイルスワクチンコンストラクト:鳥インフルエンザ及びニューカッスル病(Engineered viral vaccine constructs with dual specificity: Avian influenza and Newcastle disease)」PNAS USA 103:8203-2808)を参照されたい。
一実施態様において、非インフルエンザウイルスベクターは、ポックスウイルスである。ポックスウイルスベクターは、ワクチンベクターに好適な配列を提供するポックスウイルス科の任意のメンバー、特に、ワクシニアウイルス又はアビポックスウイルス(例えば、カナリア痘ウイルス、鶏痘など)に基づくことができる。具体的な実施態様において、ポックスウイルスベクターは、ワクシニアウイルスベクターである。好適なワクシニアウイルスとしては、コペンハーゲン(VC-2)株(Goebelらの文献、Virol 179:247-266, 1990; Johnsonらの文献、Virol. 196:381-401、1993)、改変コペンハーゲン株(NYVAC)(米国特許第6,265,189号)、WYETH株、及び改変アンカラ(MVA)株(Antoineらの文献、Virol. 244:365-396、1998)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なポックスウイルスとしては、望ましい特性を提供し、高度に弱毒化されているALVAC及びTROVACベクターなどの鶏痘株が挙げられる(例えば、米国特許第6,265,189号; AIDS研究レビュー(AIDS Research Reviews)中のTartagliaらの文献、Koffら編、第3巻、Marcel Dekker, N. Y., 1993;及びTartagliaらの文献、1990, Reviews in Immunology 10:13-30、1990を参照されたい)。
インフルエンザポリペプチドを発現させるために非インフルエンザウイルスを改変する方法は、そのようなウイルスを弱毒化させ、増殖させ、かつ単離及び精製する方法と同様に当技術分野で周知である。NDVベクターに関するそのような技術については、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 01/04333号;米国特許第7,442,379号、第6,146,642号、第6,649,372号、第6,544,785号、及び第7,384,774号; Swayneらの文献(2003)、Avian Dis. 47:1047-1050;及びSwayne文献(2001)、J. Virol. 11868-11873を参照されたい。ポックスウイルスに関するそのような技術については、例えば、Picciniらの文献、Methods of Enzymology 153:545-563, 1987;国際公開WO 96/11279号;米国特許第4,769,330号;米国特許第4,722,848号;米国特許第4,769,330号;米国特許第4,603,112号;米国特許第5,110,587号;米国特許第5,174,993号; EP 83 286号; EP 206 920号; Mayrらの文献、Infection 3:6-14, 1975;並びにSutter及びMossの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10847-10851, 1992を参照されたい。ある実施態様において、非インフルエンザウイルスは弱毒化されている。
特に、対象への投与のための組成物中で使用するための、非インフルエンザウイルスベクターの選択のための例示的な検討事項は、安全性、低毒性、安定性、細胞型特異性、及び免疫原性、特に、非インフルエンザウイルスベクターによって発現されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの抗原性である。
(5.10 ウイルス様粒子及びビロソーム)
本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、ウイルス様粒子(VLP)ベクター、例えば、精製された/単離されたVLPに組み込むことができる。VLPは、通常、ウイルスの構造タンパク質に一般的に由来するウイルスポリペプチドを含む。いくつかの実施態様において、VLPは複製することができない。ある実施態様において、VLPはウイルスの完全なゲノムを欠いていてもよく、又はウイルスのゲノムの一部を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、VLPは細胞に感染することができない。いくつかの実施態様において、VLPは、当業者に公知又は本明細書に記載の1以上のウイルス性標的部分(例えば、ウイルス表面糖タンパク質)又は非ウイルス性標的部分(例えば、抗体もしくはタンパク質)をその表面に発現する。いくつかの実施態様において、VLPは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド及びウイルス構造タンパク質、例えば、HIV gagを含む。具体的な実施態様において、VLPは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド及びHIV gagポリペプチドを含む。
組換えで産生されるVLPを産生して特徴付けるための方法は、インフルエンザウイルス(Brightらの文献、2007, Vaccine. 25:3871)、ヒトパピローマウイルス1型(Hagneseeらの文献、1991, J. Virol. 67:315)、ヒトパピローマウイルス16型(Kirnbauerらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci.(1992)89:12180)、HIV-1(Hafferらの文献、1990, J. Virol. 64:2653)、及びA型肝炎(Winokurの文献、1991, 65:5029)を含む、いくつかのウイルスに基づいて記載されており、その各々は、完全に本明細書中に組み込まれている。NDVタンパク質を含むVLPを発現させる方法は、その各々が完全に本明細書中に組み込まれる、Pantuaらの文献、2006, J. Virol. 80:11062-11073、及び2009年3月12日に公開された米国特許出願公開第20090068221号に提供されている。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むVLPは、下の実施例の節に記載されているように、バキュロウイルスを用いて生成させる。他の実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むVLPは、293T細胞を用いて生成させる。
具体的な実施態様において、VLP、例えば、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むVLPを、細胞(例えば、哺乳動物細胞(例えば、293T細胞)並びに昆虫細胞(例えば、High Five細胞及びSf9細胞)など)で発現させる。ある実施態様において、VLPを、シアル酸を含む表面糖タンパク質を発現する細胞で発現させる。そのような実施態様に従って、細胞をノイラミニダーゼ(例えば、ウイルス又は細菌のノイラミニダーゼ)の存在下で培養する。ある実施態様において、VLP、例えば、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むVLPを、シアル酸を含む表面糖タンパク質を発現しない細胞で発現させる。
具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、ビロソームに組み込むことができる。flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むビロソームは、当業者に公知の技術を用いて産生することができる。例えば、ビロソームは、精製されたウイルスを破壊し、ゲノムを抽出し、ウイルスタンパク質(例えば、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド)並びに脂質で粒子を再び組み立てて、ウイルスタンパク質を含む脂質粒子を形成させることによって産生することができる。
(5.11 細菌ベクター)
具体的な実施態様において、細菌は、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変することができる。flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの発現のために好適な細菌としては、リステリア、サルモネラ(Salmonella)、赤痢菌(Shigella)種、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、大腸菌、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、乳酸菌(Lactobacillus)、カンピロバクター(Campylobacter)、ラクトコッカス(Lactococcus)、ビフィズス菌(Bifidobacterium)、及び野兎病菌(Francisella tularensis)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変された細菌は、弱毒化されている。異種ポリペプチドを発現するように改変された細菌の産生技術は当技術分野で公知であり、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの発現に適用することができる。例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2008年10月9日に公開された米国特許出願公開第20080248066号及び2007年9月6日に公開された米国特許出願公開第20070207171号を参照されたい。ある実施態様において、本明細書で使用される細菌ベクターは、N結合型グリコシル化を行う能力を保有し、例えば、そのような細菌は、N-グリコシル化機構を天然に保有するか(例えば、カンピロバクター)、又はN-グリコシル化機構を保有するように遺伝子改変されている。
(5.12 植物及び藻類ベクター)
ある実施態様において、植物(例えば、タバコ属の植物)を、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変することができる。具体的な実施態様において、当技術分野で公知の方法を用いたアグロインフィルトレーションによって、植物を本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変することができる。例えば、対象となる遺伝子、例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする遺伝子をコードする核酸を、アグロバクテリウムの株に導入する。その後、この株を液体培地中で成長させ、得られる細菌を洗浄し、緩衝溶液に懸濁させる。その後、アグロバクテリウムが対象となる遺伝子を植物細胞の一部に形質転換するように、植物を(例えば、注射又は浸漬によって)本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする核酸を含むアグロバクテリウムに曝露させる。その後、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを該植物によって一過性に発現させ、当技術分野で公知かつ本明細書に記載の方法を用いて単離することができる(具体的な例については、Shojiらの文献、2008, Vaccine, 26(23):2930-2934;及びD’Aoustらの文献、2008, J. Plant Biotechnology, 6(9):930-940)を参照されたい。具体的な実施態様において、植物は、タバコ植物(すなわち、タバコ(Nicotiana tabacum))である。別の具体的な実施態様において、植物は、タバコ植物の近縁種(例えば、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana))である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを大豆種で発現させる。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをトウモロコシ種で発現させる。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコメ種で発現させる。
他の実施態様において、藻類(例えば、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii))を改変して、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現させることができる(例えば、Rasalaらの文献、2010, Plant Biotechnology Journal(2010年3月7日にオンラインで発表されたもの)を参照されたい)。
ある実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現させるために使用される植物は、N-グリコシル化系(例えば、細菌又は哺乳動物N-グリコシル化系)の成分を発現するように改変されている、すなわち、該植物は、N-グリコシル化を行うことができる。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現させるために使用することができる植物細胞、及び植物細胞培養系を利用するタンパク質の産生方法は、例えば、米国特許第5,929,304号;第7,504,560号;第6,770,799号;第6,551,820号;第6,136,320号;第6,034,298号;第5,914,935号;第5,612,487号;及び第5,484,719号、米国特許出願公開第2009/0208477号、第2009/0082548号、第2009/0053762号、第2008/0038232号、第2007/0275014号、及び第2006/0204487号、並びにShojiらの文献、2008, Vaccine, 26(23):2930-2934、及びD’Aoustらの文献、2008, J. Plant Biotechnology, 6(9):930-940(これらは、引用により完全に本明細書中に組み込まれている)に記載されている。
(5.13 flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する抗体の作製)
flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて、インフルエンザに対する、例えば、それぞれ、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドのストーク領域に対する及び/又はノイラミニダーゼに対する中和抗体を誘発することができる。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを非ヒト対象(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)に投与して、抗体の産生を含む免疫応答を誘導することができ、この抗体は、当業者に公知の技術(例えば、免疫親和性クロマトグラフィー、遠心分離、沈殿など)を用いて単離することができる。
或いは、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを用いて、抗体ライブラリーから抗体をスクリーニングすることができる。例えば、単離されたflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は単離されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを固体支持体(例えば、シリカゲル、樹脂、誘導体化プラスチックフィルム、ガラスビーズ、綿、プラスチックビーズ、ポリスチレンビーズ、アルミナゲル、又は多糖、磁気ビーズ)に固定し、抗体への結合についてスクリーニングすることができる。代替法として、抗体を固体支持体に固定し、単離されたflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドへの結合についてスクリーニングすることができる。任意のスクリーニングアッセイ、例えば、パニングアッセイ、ELISA、表面プラズモン共鳴、又は当技術分野で公知の他の抗体スクリーニングアッセイを用いて、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに結合する抗体についてスクリーニングすることができる。スクリーニングされる抗体ライブラリーは、市販の抗体ライブラリー、インビトロで作製されたライブラリー、又はインフルエンザに感染した個体から抗体を同定及びクローニング又は単離することによって得られたライブラリーであることができる。特定の実施態様において、抗体ライブラリーは、インフルエンザウイルス大発生の生存者から作製される。抗体ライブラリーは、当技術分野で公知の方法に従って作製することができる。特定の実施態様において、抗体ライブラリーは、抗体をクローニングし、それをファージディスプレイライブラリー又はファージミドディスプレイライブラリーで用いることによって作製される。
本明細書に記載される方法で同定される抗体は、当技術分野で公知又は本明細書に記載の生物学的アッセイを用いて、中和活性及び自己反応性の欠如について試験することができる。一実施態様において、非ヒト動物又は抗体ライブラリーから単離された抗体は、複数のインフルエンザ亜型由来の血球凝集素ポリペプチドを中和する。いくつかの実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドをコードするベクターを用いて誘発又は同定される抗体は、インフルエンザH3ウイルスを中和する。いくつかの実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて誘発又は同定される抗体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16種、又はそれより多くのインフルエンザウイルスの亜型又は株を中和する。一実施態様において、中和抗体は1以上のA型インフルエンザウイルス及び1以上のB型インフルエンザウイルスを中和する。特定の実施態様において、中和抗体は、CR6261、CR6325、CR6329、CR6307、CR6323、2A、D7、D8、F10、G17、H40、A66、D80、E88、E90、H98、C179(ハイブリドーマFERM BP-4517により産生される; Takara Bio社により販売されているクローン(Otsu, Shiga, Japan))、及び/又はAI3C(FERM BP-4516);又はEkiert DCらの文献(2009)、高度に保存されたインフルエンザウイルスエピトープの抗体認識(Antibody Recognition of a Highly Conserved Influenza Virus Epitope)(Science(2009年2月26日にScience Expressで発表された)); Kashyapらの文献(2008)、トルコH5N1鳥インフルエンザ大発生の生存者由来のコンビナトリアル抗体ライブラリーは、ウイルス中和戦略を明らかにする(Combinatorial antibody libraries from survivors of the Turkish H5N1 avian influenza outbreak revealウイルス neutralization strategies.)(Proc Natl Acad Sci U S A 105: 5986-5991); Suiらの文献(2009)、鳥及びヒトA型インフルエンザウイルスの広域スペクトル中和のための構造及び機能的基礎(Structural and functional bases for broad-spectrum neutralization of avian and human influenza A virus.)、Nat Struct Mol Biol 16: 265-273;米国特許第5,589,174号、第5,631,350号、第6,337,070号、及び第6,720,409号;国際公開WO 2007/134237として公開された国際出願PCT/US2007/068983号;国際公開WO 2009/036157号として公開された国際出願PCT/US2008/075998号;国際公開WO 2008/028946号として公開された国際出願PCT/EP2007/059356号;及び国際公開WO 2009/079259号として公開された国際出願PCT/US2008/085876号に記載されている任意の他の抗体でも、それらと同じエピトープに結合するものでもない。他の実施態様において、中和抗体は、Wangらの文献(2010)、「異なる血球凝集素による連続免疫後のH3インフルエンザウイルスに対する広域防御性モノクローナル抗体(Broadly Protective Monoclonal Antibodies against H3 Influenza Viruses following Sequential Immunization with Different Hemagglutinins)」(PLOS Pathogens 6(2):1-9)に記載されている抗体ではない。特定の実施態様において、中和抗体は、Ig VH1-69セグメントを使用していない。いくつかの実施態様において、中和抗体と抗原との相互作用は、重鎖によってのみ媒介されるものではない。ある実施態様において、中和抗体は、2B9でも、Shojiらの文献、Hum. Vaccines, 2011, 7:199-204に記載されている任意の他の抗体でもない。ある実施態様において、中和抗体は、3A2でも、4G2でも、1H5でも、2D9でも、Wanらの文献、J. Virol. 2013, 87: 9290-9300に記載されている任意の他の抗体でもない。ある実施態様において、中和抗体は、HCA-2でも、Doyleらの文献、Antivir. Res. 2013, 100:567-574又はDoyleらの文献、Biochem. Biophys. Res. Commun. 2013, 441:226-229に記載されている任意の他の抗体でもない。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて同定又は誘発される抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫活性部分、すなわち、血球凝集素ポリペプチド及び/又はノイラミニダーゼポリペプチドに特異的に結合する抗原結合部位を含む分子が含まれる。免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスであることができる。抗体には、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本明細書に記載される方法を用いて誘発又は同定される抗体に対する抗Id抗体を含む)、並びに上記のいずれかのエピトープ結合性断片が含まれるが、これらに限定されない。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて誘発又は同定される抗体は、診断的イムノアッセイ、受動免疫療法、及び抗イディオタイプ抗体の作製で使用することができる。受動免疫療法で使用される前の抗体を修飾することができ、例えば、抗体をキメラ化又はヒト化することができる。キメラ抗体及びヒト化抗体の作製に関する概説については、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、例えば、米国特許第4,444,887号及び第4,716,111号;並びに国際公開WO 98/46645号、WO 98/50433号、WO 98/24893号、WO 98/16654号、WO 96/34096号、WO 96/33735号、及びWO 91/10741号を参照されたい。さらに、血球凝集素ポリペプチド及び/又はノイラミニダーゼポリペプチドを中和する抗体の能力及び該ポリペプチドに対する抗体の特異性を、受動免疫療法で抗体を使用する前に試験することができる。インフルエンザウイルス感染に起因する疾患の予防又は治療のための中和抗体の使用に関する議論については、下記の第5.13節を参照されたい。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて誘発又は同定される抗体を用いて、療法の効果及び/又は疾患の進行をモニタリングすることができる。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを用いて誘発又は同定される抗体のレベルは、インフルエンザウイルス疾患に対する防御の程度を示すものであり得:例えば、低レベルのインフルエンザ特異的抗体は、再ワクチン接種、又は追加免疫ワクチン接種が必要とされることを示し得る。この目的のために、限定されないが、少し例を挙げれば、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、及び免疫電気泳動アッセイなどの技術を用いた、競合的及び非競合的アッセイ系を含む、当技術分野で公知の任意のイムノアッセイ系を使用することができる。さらに、任意の特定の理論に束縛されるものではないが、誘発又は同定されたものは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターによるワクチン接種によってもたらされる防御のレベルを示すものであり得る、抗体の抗インフルエンザ特性を決定するアッセイで利用することができる。この目的のために、限定されないが、少し例を挙げれば、血球凝集素阻害アッセイ、インフルエンザウイルス成長曲線、及びプラーク減少アッセイを含む、抗インフルエンザ特性を評価するための当技術分野で公知の任意のアッセイを使用することができる。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて誘発又は同定される抗体は、抗イディオタイプ抗体の作製で使用することができる。その後、今度は、この抗イディオタイプ抗体を、インフルエンザの特定の抗原、例えば、血球凝集素ポリペプチドの中和エピトープに結合する抗体の亜集団を産生するために、免疫付与に使用することができる(引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Jerneの文献、1974, Ann. Immunol.(Paris) 125c:373; Jerneらの文献、1982, EMBO J. 1:234)。
(5.14 flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドによる細胞の刺激)
別の態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドによってエクスビボで細胞を刺激する方法が本明細書中に提供される。そのような細胞、例えば、樹状細胞を、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する抗体を作製するためにインビトロで使用することができるか、又はそれ自体を、例えば、当技術分野で公知の養子移入技術によって対象に投与することができる。養子移入技術の説明については、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2008年1月24日に公開された米国特許出願公開第20080019998号を参照されたい。ある実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドによってエクスビボで刺激された細胞を対象に投与する場合、該細胞は、哺乳動物細胞(例えば、CB-1細胞)ではない。
1つの非限定的な例では、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変されたベクター、例えば、インフルエンザウイルスベクターを用いて、それぞれ、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現し、かつインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドに対する免疫刺激特性を提示する樹状細胞(DC)を作製することができる。そのようなDCは、メモリーT細胞を増殖させるために使用されることができ、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドに特異的な細胞傷害性Tリンパ球クローン及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに特異的な細胞傷害性Tリンパ球クローンを含む、T細胞の強力なスティミュレーターである。引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Strobelらの文献、2000, Human Gene Therapy 11:2207-2218を参照されたい。
本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、該ポリペプチドを標的細胞、例えば、DCと接触させ、該ポリペプチドを標的細胞に送達する任意の方法で標的細胞に送達することができる。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを、本明細書に記載されているように対象に送達する。いくつかのそのような実施態様において、ポリペプチドと接触させた細胞を単離し、増殖させることができる。
ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをインビトロで標的細胞に送達する。当業者に公知の技術を用いて、標的細胞にポリペプチドを送達することができる。例えば、標的細胞を、組織培養プレート、チューブ、又は他の容器中のポリペプチドと接触させることができる。ポリペプチドを培地に懸濁し、培養プレートのウェル、チューブ、又は他の容器に添加することができる。ポリペプチドを含む培地を、細胞のプレーティングの前に、又は細胞をプレーティングした後に添加することができる。標的細胞は、ポリペプチドを細胞と接触させるのに十分な量の時間、ポリペプチドとともにインキュベートすることが好ましい。ある実施態様において、細胞を、ポリペプチドとともに、約1時間以上、約5時間以上、約10時間以上、約12時間以上、約16時間以上、約24時間以上、約48時間以上、約1時間〜約12時間、約3時間〜約6時間、約6時間〜約12時間、約12時間〜約24時間、又は約24時間〜約48時間インキュベートする。flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドがウイルス中にある、ある実施態様において、標的細胞を接触させることは、細胞をウイルスに感染させることを含む。
標的細胞は、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、及びモルモットを含む、任意の種由来のものであることができる。いくつかの実施態様において、標的細胞は、健康な対象又は治療を必要とする対象から得られるDCである。ある実施態様において、標的細胞は、ポリペプチドに対する免疫応答を刺激することが望ましい対象から得られるDCである。対象から細胞を得る方法は、当技術分野で周知である。
(5.15 組成物)
本明細書に記載される核酸、ベクター、ポリペプチド、細菌、抗体、又は細胞(本明細書で「活性化合物」と称されることもある)を組成物に組み込むことができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される活性化合物は、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むか又は発現するベクター(例えば、ウイルスベクター、又は細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞である。具体的な実施態様において、組成物は、医薬組成物、例えば、免疫原性組成物(例えば、ワクチン製剤)である。本明細書に提供される医薬組成物は、該組成物を対象に投与することができる任意の形態であることができる。具体的な実施態様において、医薬組成物は、獣医学的投与及び/又はヒトへの投与に好適である。組成物は、インフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法で使用することができる。
一実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む。別の実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする核酸及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸を含む。別の実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする核酸及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターを含む。別の実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドを含むインフルエンザウイルスもしくは非インフルエンザウイルス及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むインフルエンザウイルスもしくは非インフルエンザウイルスを含む。別の実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを有するインフルエンザウイルスもしくは非インフルエンザウイルス及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを有するインフルエンザウイルスもしくは非インフルエンザウイルスを含む。別の実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドを含むウイルス様粒子もしくはビロソーム及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むウイルス様粒子もしくはビロソームを含む。別の実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドを発現するかもしくはそれを発現するように改変された細菌及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するかもしくはそれを発現するように改変された細菌を含む。別の実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドで刺激された細胞及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドで刺激された細胞を含む。別の実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、インフルエンザノイラミニダーゼポリペプチドで補完された季節性インフルエンザウイルスワクチンを含む。季節性インフルエンザウイルスワクチンの非限定的な例としては、Afluria(CSL Limited)、Fluarix Quadrivalent(GlaxoSmithKline Biologicals SA)、Flublock(Protein Sciences Corporation)、Flucelvax(Novartis Vaccines and Diagnostics社)、Flulaval(ID Biomedical Corporation of Quebec)、FluMist Quadrivalent(MedImmune, LLC)、Fluzone(Sanofi Pasteur社)、Fluzone High-Dose(Sanofi Pasteur社)、Fluzone Intradermal(Sanofi Pasteur社)、及びFluzone Quadrivalent(Sanofi Pasteur社)が挙げられる。別の実施態様において、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、(i)本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド又は本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドを発現する発現ベクター又は本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする核酸、及び(ii)インフルエンザノイラミニダーゼポリペプチドを含む。
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを利用する療法に加えて1以上の他の療法を含むことができる。
本明細書で使用されるように、「医薬として許容し得る」という用語は、動物、より具体的にはヒトでの使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているか、又は米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。「担体」という用語は、医薬組成物がそれとともに投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、又は媒体を指す。食塩水溶液及び水性デキストロース溶液及びグリセロール溶液を、特に注射用溶液のための液体担体として利用することもできる。好適な賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。好適な医薬担体の例は、E. W. Martin著「レミントンの医薬化学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。製剤は、投与様式に適するべきである。
具体的な実施態様において、医薬組成物は、対象への意図された投与経路に好適であるように製剤化される。例えば、医薬組成物は、非経口、経口、皮内、経皮、結腸直腸、腹腔内、及び直腸投与に適するように製剤化することができる。具体的な実施態様において、医薬組成物は、静脈内、経口、腹腔内、鼻腔内、気管内、皮下、筋肉内、局所、皮内、経皮、又は肺投与用に製剤化することができる。
ある実施態様において、生体分解性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリエチレングリコール(PEG化)、ポリメタクリル酸メチルポリマー、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸を担体として使用することができる。いくつかの実施態様において、活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤のように、身体からの速やかな消失からの化合物の保護を増大させる担体を用いて調製される。そのような製剤の調製方法は当業者には明らかであろう。リポソーム又はミセルを医薬として許容し得る担体として使用することもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているような、当業者に公知の方法によって調製することができる。ある実施態様において、医薬組成物は、1以上のアジュバントを含む。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、一価製剤である。他の実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、多価製剤である。1つの例において、多価製剤は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現する複数のベクターを含む。ある実施態様において、多価製剤は、単一のベクターを用いて発現される1以上の異なるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むことができる。
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、防腐剤、例えば、水銀誘導体のチメロサールをさらに含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、0.001%〜0.01%のチメロサールを含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、防腐剤を含まない。具体的な実施態様において、チメロサールは、本明細書に記載される医薬組成物の製造時に使用され、チメロサールは、医薬組成物の生産後の精製工程を通して除去される、すなわち、医薬組成物は、微量のチメロサールを含む(精製後に、1用量当たり<0.3μgの水銀;そのような医薬組成物は、チメロサール不含製品とみなされる)。
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、卵タンパク質(例えば、オボアルブミン又は他の卵タンパク質)をさらに含む。本明細書に記載される医薬組成物中の卵タンパク質の量は、1mlの医薬組成物に対して、約0.0005〜約1.2μgの卵タンパク質であることができる。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、卵タンパク質を含まない。
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、限定されないが、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン(例えば、ポリミキシンB)及びカナマイシン、ストレプトマイシンを含む、1以上の抗微生物剤(例えば、抗生物質)をさらに含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、いかなる抗生物質も含まない。
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、ウイルスを不活化するために使用される1以上の成分、例えば、ホルマリンもしくはホルムアルデヒド、又は界面活性剤、例えば、デオキシコール酸ナトリウム、オクトキシノール9(TritonX-100)、及びオクトキシノール10をさらに含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、ウイルスを不活化するために使用されるいかなる成分も含まない。
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、ゼラチンをさらに含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、ゼラチンを含まない。
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤及びスクロースホスフェートグルタメート緩衝剤をさらに含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、緩衝剤を含まない。
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、1以上の塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、グルタミン酸一ナトリウム、及びアルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)、又はそのようなアルミニウム塩の混合物)をさらに含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、塩を含まない。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、低添加剤インフルエンザウイルスワクチンである、すなわち、該医薬組成物は、インフルエンザウイルスワクチン中に一般に見られる1以上の添加剤を含まない。低添加剤インフルエンザワクチンは記載されている(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 09/001217号として公開された国際出願PCT/IB2008/002238号を参照されたい)。
本明細書に記載される医薬組成物は、投与のための説明書と一緒に、容器、パック、又はディスペンサーに含めることができる。
本明細書に記載される医薬組成物は、使用前に保存することができ、例えば、該医薬組成物は、冷凍して(例えば、約-20℃もしくは約-70℃で)保存するか;冷蔵条件で(例えば、約4℃で)保存するか;又は室温で保存することができる(インフルエンザワクチンを含む組成物を冷蔵しないで保存する方法については、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 07/110776号として公開された国際出願PCT/IB2007/001149号を参照されたい)。
ある実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物中の活性化合物が、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドを発現するように改変された細胞及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するように改変された細胞である場合、該医薬組成物中の細胞は、哺乳動物細胞(例えば、CB-1細胞)ではない。
ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含む。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含む。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)をコードする核酸配列(例えば、cDNA)を含む。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)をコードする核酸配列(例えば、cDNA)及びNA免疫原をコードする核酸配列(例えば、cDNA)を含む。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を発現するように改変された弱毒化生インフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を発現するように改変された弱毒化生インフルエンザウイルスである。ある実施態様において、キメラHAポリペプチドは、HA球状ヘッドドメイン及び/又はHAステムドメインと異種であるインフルエンザウイルスによって発現される。例えば、B型インフルエンザウイルスが、あるA型インフルエンザウイルスHA由来のHA球状ヘッドドメイン及び異種A型インフルエンザウイルス由来のHAステムドメインを含むキメラHAを発現してもよい。例えば、図9及び下記の実施例2を参照されたい。
ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又はインフルエンザウイルスHAステムドメインもしくは別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含む不活化インフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又はインフルエンザウイルスHAステムドメインもしくは別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含む不活化インフルエンザウイルスである。
ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を発現するように改変された非インフルエンザウイルスベクターである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を発現するように改変された非インフルエンザウイルスベクターである。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含む不活化非インフルエンザウイルスベクターである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含む不活化非インフルエンザウイルスベクターである。
ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含むサブユニットワクチンである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含むサブユニットワクチンである。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含むスプリットワクチンである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含むスプリットワクチンである。ある実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)を含むVLPである。いくつかの実施態様において、ワクチン製剤は、キメラHAポリペプチド、ヘッドレスHAポリペプチド、又は別のインフルエンザウイルスステムドメインベースのコンストラクト、例えば、インフルエンザウイルスHAステムドメインもしくはインフルエンザウイルスHAのステムドメインの断片(例えば、長いαヘリックス、例えば、古典的なH3亜型付番体系に従って付番される、A/香港/1/1968のアミノ酸76〜130)及びNA免疫原を含むVLPである。ある実施態様において、本明細書に記載されるワクチン製剤は、アジュバントをさらに含む。
ある実施態様において、ワクチン製剤は多価である。一実施態様において、ワクチン製剤は、第1のキメラHAがH1インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドと第1のHA球状ヘッドドメインとを含み、第2のキメラHAがH3インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドと第2のHA球状ヘッドドメインとを含み、かつ第3のキメラHAがB型インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドと第3のHA球状ヘッドドメインとを含み、ここで、該第1、第2、及び第3のHA球状ヘッドドメインが各々異なる亜型又は株のインフルエンザウイルス血球凝集素に由来するものであり、かつ各々のキメラHAのHA球状ヘッドドメインが各々のキメラHAのステムドメインポリペプチドと異種である、3つのキメラHAを含む。いくつかの実施態様において、このワクチン製剤は、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのNA免疫原をさらに含む。例えば、具体的な実施態様において、ワクチン製剤は、N1由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、N2由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、及びB型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをさらに含む。
一実施態様において、ワクチン製剤は、各々のベクターがキメラHAを含み、ここで、第1のベクターがH1インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドと第1のHA球状ヘッドドメインとを含む第1のキメラHAを含み、第2のベクターがH3インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドと第2のHA球状ヘッドドメインとを含む第2のキメラHAを含み、かつ第3のベクターがB型インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドと第3のHA球状ヘッドドメインとを含む第3のキメラHAを含み、ここで、該第1、第2、及び第3のHA球状ヘッドドメインが各々異なる亜型又は株のインフルエンザウイルス血球凝集素に由来するものであり、かつ各々のキメラHAのHA球状ヘッドドメインが各々のキメラHAのステムドメインポリペプチドと異種である、3つのベクターを含む。ある実施態様において、ベクターは、ウイルスベクター又はVLPである。インフルエンザウイルスベクター及び非インフルエンザウイルスベクターの例については、例えば、上記の第5.8節及び第5.9節を参照されたい。いくつかの実施態様において、ウイルスベクターは、弱毒化生ウイルスベクターであっても、不活化されたものであってもよい。いくつかの実施態様において、このワクチン製剤は、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのNA免疫原をさらに含む。例えば、具体的な実施態様において、ワクチン製剤は、N1由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、N2由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、及びB型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをさらに含む。
一実施態様において、ワクチン製剤は、第1のヘッドレスHAがH1インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドを含み、第2のヘッドレスHAがH3インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドを含み、かつ第3のヘッドレスHAがB型インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドを含む、3つのヘッドレスHAを含む。いくつかの実施態様において、このワクチン製剤は、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのNA免疫原をさらに含む。例えば、具体的な実施態様において、ワクチン製剤は、N1由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、N2由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、及びB型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをさらに含む。
一実施態様において、ワクチン製剤は、各々のベクターがヘッドレスHAを含み、ここで、第1のウイルスベクターがH1インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドを含む第1のヘッドレスHAを含み、第2のベクターがH3インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドを含む第2のヘッドレスHAを含み、かつ第3のベクターがB型インフルエンザウイルス由来のステムドメインポリペプチドを含む第3のヘッドレスHAを含む、3つのベクターを含む。ある実施態様において、ベクターは、ウイルスベクター又はVLPである。インフルエンザウイルスベクター及び非インフルエンザウイルスベクターの例については、例えば、上記の第5.8節及び第5.9節を参照されたい。いくつかの実施態様において、ウイルスベクターは、弱毒化生ウイルスベクターであっても、不活化されたものであってもよい。いくつかの実施態様において、このワクチン製剤は、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのNA免疫原をさらに含む。例えば、具体的な実施態様において、ワクチン製剤は、N1由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、N2由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、及びB型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む。
具体的な実施態様において、ワクチン製剤は、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのNA免疫原を含む。ある実施態様において、ワクチン製剤は、N1由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、N2由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、及びB型インフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む。
(5.15.1 サブユニットワクチン)
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むサブユニットワクチンである。いくつかの実施態様において、サブユニットワクチンは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、並びに1以上の表面糖タンパク質(例えば、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ)、他のターゲッティング部分、又はアジュバントを含む。具体的な実施態様において、サブユニットワクチンは、単一のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は単一のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む。他の実施態様において、サブユニットワクチンは、2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くのflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くのインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む。具体的な実施態様において、サブユニットワクチンで使用されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、膜結合型でない、すなわち、可溶性である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1用量当たり、約10μg〜約60μgの本明細書に記載される1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、約0.001%〜0.01%のチメロサール、約0.1μg〜約1.0μgの鶏卵タンパク質、約1.0μg〜約5.0μgのポリミキシン、約1.0μg〜約5.0μgのネオマイシン、約0.1μg〜約0.5μgのベータプロピオラクトン、並びに約0.001〜約0.05w/v%のノニルフェノールエトキシレートを含むサブユニットワクチンである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるサブユニットワクチンは、45μgの本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は45μgの本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、1.0μg以下の水銀(チメロサール由来)、1.0μg以下の鶏卵タンパク質(すなわち、オボアルブミン)、3.75μg以下のポリミキシン、並びに2.5μg以下のネオマイシンを含む0.5ml用量を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるサブユニットワクチンは、1用量当たり、0.5μg以下のベータプロピオラクトン及び0.015w/v%以下のノニルフェノールエトキシレートをさらに含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施態様において、0.5ml用量のサブユニットワクチンは、充填済み注射器にパックされる。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるサブユニットワクチンは、45μgの本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は45μgの本明細書に提供されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、25.0μgの水銀(チメロサール由来)、1.0μg以下の鶏卵タンパク質(すなわち、オボアルブミン)、3.75μg以下のポリミキシン、並びに2.5μg以下のネオマイシンを含む5.0mlの多用量バイアル(1用量当たり、0.5ml)からなる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるサブユニットワクチンは、1用量当たり、0.5μg以下のベータプロピオラクトン及び0.015w/v%以下のノニルフェノールエトキシレートをさらに含むか、又はそれらからなる。
具体的な実施態様において、サブユニットワクチンは、発育鶏卵で増殖させたインフルエンザウイルスを用いて調製される(すなわち、サブユニットワクチンの成分(例えば、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド)は、発育鶏卵で増殖させたウイルスから単離される)。別の具体的な実施態様において、サブユニットワクチンは、発育鶏卵で増殖させなかったインフルエンザウイルスを用いて調製される(すなわち、サブユニットワクチンの成分(例えば、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド)は、発育鶏卵で増殖させなかったウイルスから単離される)。別の具体的な実施態様において、サブユニットワクチンは、哺乳動物細胞、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照)、又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照)で増殖させたインフルエンザウイルスを用いて調製される(すなわち、サブユニットワクチンの成分(例えば、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド)は、哺乳動物細胞で増殖させたウイルスから単離される)。別の具体的な実施態様において、サブユニットワクチン中のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、発現ベクター、例えば、ウイルスベクター、植物ベクター、又は細菌ベクターを用いて調製される(すなわち、サブユニットワクチン中のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、発現ベクターから得られる/単離される)。
(5.15.2 生ウイルスワクチン)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む生ウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、組成物を投与される対象で産生される子孫ウイルスによって発現されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードするように改変されている生ウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、膜結合型である。他の具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは膜結合型ではない、すなわち、可溶性である。特定の実施態様において、生ウイルスは、上の第5.8節に記載されているような、インフルエンザウイルスである。他の実施態様において、生ウイルスは、上の第5.9節に記載されているような、非インフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様において、生ウイルスは弱毒化されている。いくつかの実施態様において、免疫原性組成物は、2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの異なるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くのインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むか或いはそれらを発現するように改変されている、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの生ウイルスを含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1用量当たり、本明細書に記載される1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む約105〜約1010蛍光焦点単位(FFU)の弱毒化生インフルエンザウイルス、約0.1〜約0.5mgのグルタミン酸一ナトリウム、約1.0〜約5.0mgの加水分解ブタゼラチン、約1.0〜約5.0mgのアルギニン、約10〜約15mgのスクロース、約1.0〜約5.0mgの二塩基性リン酸カリウム、約0.5〜約2.0mgのリン酸二水素カリウム、及び約0.001〜約0.05μg/mlの硫酸ゲンタマイシンを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。いくつかの実施態様において、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.2ml用量を含む充填済み噴霧器としてパックされる。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、1用量当たり、本明細書に記載される1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む106.5〜107.5FFUの弱毒化生インフルエンザウイルス、0.188mgのグルタミン酸一ナトリウム、2.0mgの加水分解ブタゼラチン、2.42mgのアルギニン、13.68mgのスクロース、2.26mgの二塩基性リン酸カリウム、0.96mgのリン酸二水素カリウム、及び0.015μg/ml未満の硫酸ゲンタマイシンを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。いくつかの実施態様において、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.2ml用量を含む充填済み噴霧器としてパックされる。
具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む生ウイルスを、本明細書に記載される免疫原性組成物中でのその使用の前に、発育鶏卵で増殖させる。別の具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む生ウイルスを、本明細書に記載される免疫原性組成物中でのその使用の前に、発育鶏卵で増殖させない。別の具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む生ウイルスを、本明細書に記載される免疫原性組成物中でのその使用の前に、哺乳動物細胞、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照)、又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照)で増殖させる。
対象でのウイルスの増殖は、自然感染で起こるものと同様の種類及び程度の長期刺激をもたらし、そのため、かなりの長期持続性免疫を付与することができるので、対象への投与用の生ウイルスを含む免疫原性組成物が好ましい場合がある。
(5.15.3 不活化ウイルスワクチン)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む不活化ウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは膜結合型である。特定の実施態様において、不活化ウイルスは、上の第5.8節に記載されているような、インフルエンザウイルスである。他の実施態様において、不活化ウイルスは、上の第5.9節に記載されているような、非インフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様において、免疫原性組成物は、2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの異なるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの異なるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの不活化ウイルスを含む。ある実施態様において、不活化ウイルス免疫原性組成物は、1以上のアジュバントを含む。
当業者に公知の技術を用いて、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むウイルスを不活化することができる。一般的な方法は、不活化のためにホルマリン、熱、又は界面活性剤を使用する。例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第6,635,246号を参照されたい。他の方法としては、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第5,891,705号;第5,106,619号及び第4,693,981号に記載されているものが挙げられる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、免疫原性組成物の各用量が、約15〜約60μgの本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、約1.0〜約5.0mgの塩化ナトリウム、約20〜約100μgの一塩基リン酸ナトリウム、約100〜約500μgのリン酸水素ナトリウム、約5〜約30μgのリン酸二水素カリウム、約5〜約30μgの塩化カリウム、並びに約0.5〜約3.0μgの塩化カルシウムを含むような、不活化インフルエンザウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。いくつかの実施態様において、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.25ml又は単一の0.5mlの用量としてパックされる。他の実施態様において、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、多用量製剤としてパックされる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、免疫原性組成物の各用量が、1用量当たり、約15〜約60μgの本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、約0.001%〜0.01%のチメロサール、約1.0〜約5.0mgの塩化ナトリウム、約20〜約100μgの一塩基リン酸ナトリウム、約100〜約500μgのリン酸水素ナトリウム、約5〜約30μgのリン酸二水素カリウム、約5〜約30μgの塩化カリウム、並びに約0.5〜約3.0μgの塩化カルシウムを含むような、不活化インフルエンザウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。いくつかの実施態様において、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.25ml又は単一の0.5mlの用量としてパックされる。他の実施態様において、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、多用量製剤としてパックされる。
具体的な実施態様において、本明細書に提供される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.25ml用量としてパックされ、1用量当たり、22.5μgの本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、2.05mgの塩化ナトリウム、40μgの一塩基リン酸ナトリウム、150μgのリン酸水素ナトリウム、10μgのリン酸二水素カリウム、10μgの塩化カリウム、並びに0.75μgの塩化カルシウムを含む。
具体的な実施態様において、本明細書に提供される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.5ml用量としてパックされ、1用量当たり、45μgの本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、4.1mgの塩化ナトリウム、80μgの一塩基リン酸ナトリウム、300μgのリン酸水素ナトリウム、20μgのリン酸二水素カリウム、20μgの塩化カリウム、並びに1.5μgの塩化カルシウムを含む。
具体的な実施態様において、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、5.0mlのワクチン(1用量当たり、0.5ml)を含むか又はそれからなる多用量製剤としてパックされ、1用量当たり、24.5μgの水銀(チメロサール由来)、45μgの本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、4.1mgの塩化ナトリウム、80μgの一塩基リン酸ナトリウム、300μgのリン酸水素ナトリウム、20μgのリン酸二水素カリウム、20μgの塩化カリウム、並びに1.5μgの塩化カルシウムを含む。
具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む不活化ウイルスを、その不活化及びその後の本明細書に記載される免疫原性組成物中での使用の前に、発育鶏卵で増殖させた。別の具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む不活化ウイルスを、その不活化及びその後の本明細書に記載される免疫原性組成物中での使用の前に、発育鶏卵で増殖させなかった。別の具体的な実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む不活化ウイルスを、その不活化及びその後の本明細書に記載される免疫原性組成物中での使用の前に、哺乳動物細胞、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照)、又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照)で増殖させた。
(5.15.4 スプリットウイルスワクチン)
一実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む免疫原性組成物は、スプリットウイルスワクチンである。いくつかの実施態様において、スプリットウイルスワクチンは、2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの異なるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの異なるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、膜結合型である/あった。ある実施態様において、スプリットウイルスワクチンは、1以上のアジュバントを含む。
スプリットウイルスワクチンの産生技術は当業者に公知である。非限定的な例として、インフルエンザウイルススプリットワクチンは、界面活性剤で破壊された不活化粒子を用いて調製することができる。本明細書に記載される方法による使用に適合させることができるスプリットウイルスワクチンの一例は、筋肉内使用のためのfluzone(登録商標)インフルエンザウイルスワクチン(ゾーン精製、サブビリオン)であり、それを、発育鶏卵で増殖させたインフルエンザウイルスから調製される滅菌懸濁剤として製剤化する。ウイルス含有液を回収し、ホルムアルデヒドで不活化する。インフルエンザウイルスを、連続フロー遠心分離機を用いて、線形ショ糖密度勾配溶液中で濃縮し、精製する。次に、ウイルスを、非イオン性界面活性剤、オクトキシノール-9(Triton(登録商標) X-100-Union Carbide社の登録商標)を用いて化学的に破壊し、「スプリットウイルス」を生じさせる。次に、このスプリットウイルスを、化学手段によってさらに精製し、リン酸ナトリウム緩衝生理食塩液に懸濁させる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、約10μg〜約60μgの本明細書に記載される1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、約0.01〜約1.0mgのオクトキシノール-10(TRITON X-100(登録商標))、約0.5〜0.5mgのα-トコフェリルハイドロジェンスクシネート、約0.1〜1.0mgのポリソルベート80(Tween 80)、約0.001〜約0.003μgのヒドロコルチゾン、約0.05〜約0.3μgの硫酸ゲンタマイシン、約0.5〜約2.0μgの鶏卵タンパク質(オボアルブミン)、約25〜75μgのホルムアルデヒド、並びに約25〜75μgのデオキシコール酸ナトリウムを含むスプリットウイルスワクチンである。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるスプリットウイルスワクチンは、45μgの本明細書に提供されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、0.085mg以下のオクトキシノール-10(TRITON X-100(登録商標))、0.1mg以下のα-トコフェリルハイドロジェンスクシネート、0.415mg以下のポリソルベート80(Tween 80)、0.0016μg以下のヒドロコルチゾン、0.15μg以下の硫酸ゲンタマイシン、1.0以下の鶏卵タンパク質(オボアルブミン)、50μg以下のホルムアルデヒド、並びに50μg以下のデオキシコール酸ナトリウムを含む0.5ml用量を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様において、0.5ml用量のサブユニットワクチンは、充填済み注射器にパックされる。
具体的な実施態様において、スプリットウイルスワクチンは、発育鶏卵で増殖させたインフルエンザウイルスを用いて調製される。別の具体的な実施態様において、スプリットウイルスワクチンは、発育鶏卵で増殖させなかったインフルエンザウイルスを用いて調製される。別の具体的な実施態様において、スプリットウイルスワクチンは、哺乳動物細胞、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照)、又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照)で増殖させたインフルエンザウイルスを用いて調製される。
(5.15.5 アジュバント)
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物は、アジュバントを含むか、又はアジュバントと組み合わせて投与される。本明細書に記載される組成物と組み合わせた投与のためのアジュバントは、該組成物の投与前、それと同時、又はその後に投与されてもよい。いくつかの実施態様において、「アジュバント」という用語は、本明細書に記載される組成物とともに又はその一部として投与した場合、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を強化し、増強し、及び/又は増進させるが、その化合物を単独で投与した場合、ポリペプチドに対する免疫応答を生じさせない化合物を指す。いくつかの実施態様において、アジュバントは、ポリペプチドに対する免疫応答を生じさせ、アレルギー又は他の有害反応を生じさせない。アジュバントは、例えば、リンパ球動員、B及び/又はT細胞の刺激、並びにマクロファージの刺激を含むいくつかの機構によって、免疫応答を増強することができる。
ある実施態様において、アジュバントは、応答の定性的形態に影響を及ぼすポリペプチドの立体構造変化を引き起こすことなく、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する固有の応答を強化する。アジュバントの具体的な例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3脱-O-アシル化モノホスホリル脂質A(MPL)(GB 2220211号を参照)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80; ICL Americas社)、イミダゾピリジン化合物(国際公開WO 2007/109812号として公開された国際出願PCT/US2007/064857号を参照)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開WO 2007/109813号として公開された国際出願PCT/US2007/064858号を参照)、及びサポニン、例えば、QS21(Kensilらの文献、ワクチンの設計:サブユニット及びアジュバント手法(Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach)(Powell及びNewman編、Plenum Press, NY, 1995);米国特許第5,057,540号を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、アジュバントは、フロイントアジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、任意に免疫賦活剤、例えば、モノホスホリル脂質Aと組み合わせた、水中油エマルジョン(例えば、スクアレン又は落花生油)である(Stouteらの文献、N. Engl. J. Med. 336, 86-91(1997)を参照)。別のアジュバントは、CpGである(Bioworld Today、1998年11月15日)。そのようなアジュバントは、他の特異的免疫刺激剤、例えば、MPLもしくは3-DMP、QS21、重合体もしくは単量体のアミノ酸、例えば、ポリグルタミン酸もしくはポリリジン、又は他の免疫増強剤とともに、又はそれらなしで使用することができる。flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの異なる製剤が、異なるアジュバントを含み得るか、又は同じアジュバントを含み得ることを理解すべきである。
(5.16 予防的及び治療的使用)
一態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物を利用して、対象の免疫応答を誘導する方法である。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、それぞれ、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、それぞれ、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸、又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、それぞれ、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むかもしくは発現するウイルスベクター、又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。また別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、それぞれ、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドで刺激された細胞、又はその医薬組成物の有効量を投与することを含む。ある実施態様において、本方法で使用される本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、それぞれ、哺乳動物、植物細胞、又は昆虫細胞に由来する、本明細書に記載される精製されたflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドである。
具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるサブユニットワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される生ウイルスワクチンを投与することを含む。特定の実施態様において、生ウイルスワクチンは、弱毒化ウイルスを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される不活化ウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるスプリットウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるウイルス様粒子ワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるビロソームを投与することを含む。別の実施態様において、インフルエンザ血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを発現するか又はそれらを発現するように改変された細菌、或いはその組成物を投与することを含む。ある実施態様において、本方法で使用される本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、それぞれ、哺乳動物細胞、植物細胞、又は昆虫細胞に由来する、本明細書に記載される精製されたflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は精製されたインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドである。
具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、(a)キメラHAを含む生インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)不活化された季節性インフルエンザウイルスワクチンを投与することを含む。ある実施態様において、該生インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原で補完する。ある実施態様において、該不活化インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原で補完する。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、(a)ヘッドレスHAを含む生インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)不活化された季節性インフルエンザウイルスワクチンを投与することを含む。ある実施態様において、該生インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原で補完する。ある実施態様において、該不活化インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原で補完する。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、(a)flu HAポリペプチドを含む生インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)不活化された季節性インフルエンザウイルスワクチンを投与することを含む。ある実施態様において、該生インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原で補完する。ある実施態様において、該不活化インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原で補完する。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、(a)flu HAポリペプチドを含む生インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)季節性NA免疫原を投与することを含む。ある実施態様において、該生インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原で補完する。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要としている対象に、(a)季節性インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)NA免疫原を投与することを含む。ある実施態様において、該季節性インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原で補完する。ある実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ免疫原に対する免疫応答を誘導する方法は、該対象に、例えば、本明細書に記載されるHAコンストラクトもしくはそのベクター、及び/又は本明細書に記載されるNA免疫原の1以上のさらなる追加免疫を投与することをさらに含む。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの任意の亜型又は株によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、一方のHAグループ(例えば、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、及びH16を含むグループ1)に属し、もう一方のHAグループ(例えば、H3、H4、H7、H10、H14、及びH15を含むグループ2)に属さないインフルエンザウイルスの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。例えば、誘導される免疫応答は、H11、H13、H16、H9、H8、H12、H6、H1、H5、及びH2からなるHAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。或いは、誘導される免疫応答は、H3、H4、H14、H10、H15、及びH7からなるHAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、一方のNAグループ(例えば、N1、N4、N5、及びN8を含むグループ1)に属し、もう一方のNAグループ(例えば、N2、N3、N6、N7、及びN9を含むグループ2)に属さないインフルエンザウイルスの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。例えば、誘導される免疫応答は、N1、N4、N5、及びN8からなるNAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。或いは、誘導される免疫応答は、N2、N3、N6、N7、及びN9からなるNAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、又は15の亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの同じ亜型内の1以上の変異体によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物によって誘導される免疫応答は、H1N1とH2N2の両方の亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。他の実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、H1N1とH2N2の両方の亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効でない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、H1N1、H2N2、及びH3N2の亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、H3N2亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。他の実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、H3N2亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効でない。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの任意の亜型又は株によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、一方のHAグループに属し、もう一方のHAグループに属さないインフルエンザウイルスの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。例えば、誘導される免疫応答は、H11、H13、H16、H9、H8、H12、H6、H1、H5、及びH2からなるHAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。或いは、誘導される免疫応答は、H3、H4、H14、H10、H15、及びH7からなるHAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、一方のNAグループに属し、もう一方のNAグループに属さないインフルエンザウイルスの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。例えば、誘導される免疫応答は、N1、N4、N5、及びN8からなるNAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。或いは、誘導される免疫応答は、N2、N3、N6、N7、及びN9からなるNAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの亜型のいずれかによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、又は15の亜型のいずれかによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの同じ亜型内の1以上の変異体によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に起因する症状を軽減するのに有効である。インフルエンザウイルス疾患/感染の症状としては、体の痛み(特に、関節及び咽喉)、発熱、吐き気、頭痛、ひりひり痛む目、疲労、咽喉炎、赤くなった目又は皮膚、並びに腹痛が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に罹患している対象の入院を減少させるのに有効である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に罹患している対象の入院期間を短縮するのに有効である。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物を利用して、対象のインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療する方法である。一実施態様において、対象のインフルエンザウイルス感染を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター、又は上記のいずれか1つの組成物を投与することを含む。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス感染を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、サブユニットワクチン、生ウイルスワクチン、不活化ウイルスワクチン、スプリットウイルスワクチン、又はウイルス様粒子ワクチンを投与することを含む。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター、又はそのようなポリペプチドで刺激された細胞を利用して、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法である。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド又はそれらの免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードする核酸及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸又はそれらの免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドを含むかもしくは発現するウイルスベクター及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むかもしくは発現するウイルスベクター或いはそれらの免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。また別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドで刺激された細胞及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドで刺激された細胞又はそれらの医薬組成物の有効量を投与することを含む。
具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法は、それを必要としている対象に、(a)キメラHAを含む生インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)季節性NAポリペプチドを含む不活化インフルエンザウイルスワクチンを投与することを含む。ある実施態様において、該生インフルエンザウイルスワクチンをNAポリペプチドで補完する。ある実施態様において、該不活化インフルエンザウイルスワクチンをNAポリペプチドで補完する。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法は、それを必要としている対象に、(a)ヘッドレスHAを含む生インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)季節性NAポリペプチドを含む不活化インフルエンザウイルスワクチンを投与することを含む。ある実施態様において、該生インフルエンザウイルスワクチンをNAポリペプチドで補完する。ある実施態様において、該不活化インフルエンザウイルスワクチンをNAポリペプチドで補完する。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法は、それを必要としている対象に、(a)flu HAポリペプチドを含む生インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)季節性NAポリペプチドを含む不活化インフルエンザウイルスワクチンを投与することを含む。ある実施態様において、該生インフルエンザウイルスワクチンをNAポリペプチドで補完する。ある実施態様において、該不活化インフルエンザウイルスワクチンをNAポリペプチドで補完する。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法は、それを必要としている対象に、(a)flu HAポリペプチドを含む生インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)季節性NAポリペプチドを投与することを含む。ある実施態様において、該生インフルエンザウイルスワクチンをNAポリペプチドで補完する。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法は、それを必要としている対象に、(a)季節性インフルエンザウイルスワクチン;及び(b)NAポリペプチドを投与することを含む。ある実施態様において、該季節性インフルエンザウイルスワクチンをNAポリペプチドで補完する。ある実施態様において、インフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法は、対象に、1以上のさらなる追加免疫を投与することをさらに含む。
具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるサブユニットワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される生ウイルスワクチンを投与することを含む。特定の実施態様において、生ウイルスワクチンは、弱毒化ウイルスを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される不活化ウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるスプリットウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、インフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるウイルス様粒子ワクチンを投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載されるビロソームを投与することを含む。別の実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドを発現するかもしくは発現するように改変された細菌及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼを発現するかもしくは発現するように改変された細菌或いはそれらの組成物を投与することを含む。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルス疾患又は感染に対して免疫する方法であって、該対象を、該対象が感作されていないインフルエンザウイルスの血球凝集素及び/又はノイラミニダーゼに曝露させることを含む、方法であり、すなわち、該対象は、過去にインフルエンザウイルス並びに/又はそれぞれ、インフルエンザウイルスの血球凝集素及び/もしくはノイラミニダーゼに曝露されたことがない。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルス疾患又は感染に対して免疫する方法であって、該対象に1以上のインフルエンザウイルスを投与することを含む、方法であり、ここで、該1以上のインフルエンザウイルスの各々は、該対象が感作されていない血球凝集素ポリペプチド及び/又はノイラミニダーゼポリペプチドを含み、すなわち、該対象は、過去に該1以上のインフルエンザウイルスに曝露されたことがない。具体的な実施態様において、該1以上のインフルエンザウイルスは、亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、及び/又はH17のインフルエンザウイルスである。別の具体的な実施態様において、該方法は、(i)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルスの第1の投与、及び(ii)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルスの第2の投与を含み、ここで、第1の投与のインフルエンザウイルスは、第2の投与のインフルエンザウイルスとは異なる亜型のものである。該第1及び第2の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。別の具体的な実施態様において、該方法は、(i)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルスの第1の投与;(ii)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルスの第2の投与;及び(iii)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルスの第3の投与を含み、ここで、該第1、第2、及び第3の投与のインフルエンザウイルスは、異なる亜型のものである。該第1、第2、及び第3の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。具体的な実施態様において、該1以上のインフルエンザウイルスは、亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、及び/又はH11のインフルエンザウイルスである。別の具体的な実施態様において、該方法は、(i)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11のインフルエンザウイルスの第1の投与、及び(ii)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11のインフルエンザウイルスの第2の投与を含み、ここで、第1の投与のインフルエンザウイルスは、第2の投与のインフルエンザウイルスとは異なる亜型のものである。該第1及び第2の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。別の具体的な実施態様において、該方法は、(i)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11のインフルエンザウイルスの第1の投与;(ii)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11のインフルエンザウイルスの第2の投与;及び(iii)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、又はN11のインフルエンザウイルスの第3の投与を含み、ここで、該第1、第2、及び第3の投与のインフルエンザウイルスは、異なる亜型のものである。該第1、第2、及び第3の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルス疾患又は感染に対して免疫する方法であって、該対象に該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドを投与することを含む、方法であり、すなわち、該対象は、過去に該1以上のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドに曝露されたことがない。ある実施態様において、該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、組成物(例えば、ワクチンを含む組成物)中にある。ある実施態様において、該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、ベクター、例えば、インフルエンザウイルスベクター中にある。ある実施態様において、該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、VLP中にある。ある実施態様において、該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、ビロソーム中にある。具体的な実施態様において、該1以上のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、及び/又はH17のインフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、該方法は、(i)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの第1の投与及び(ii)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの第2の投与を含み、ここで、第1の投与のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、第2の投与のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドとは異なる亜型のものである。該第1及び第2の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。別の具体的な実施態様において、該方法は、(i)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの第1の投与;(ii)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの第2の投与;及び(iii)亜型H2、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、又はH18のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの第3の投与を含み、ここで、該第1、第2、及び第3の投与のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、異なるインフルエンザウイルス亜型由来のものである。該第1、第2、及び第3の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルス疾患又は感染に対して免疫する方法であって、該対象に該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを投与することを含む、方法であり、すなわち、該対象は、過去に該1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに曝露されたことがない。ある実施態様において、該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、組成物(例えば、ワクチンを含む組成物)中にある。ある実施態様において、該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、ベクター、例えば、インフルエンザウイルスベクター中にある。ある実施態様において、該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、VLP中にある。ある実施態様において、該対象が感作されていない1以上のインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは、ビロソーム中にある。具体的な実施態様において、該1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、及び/もしくはN11のインフルエンザウイルス由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、並びに/又はB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドである。別の具体的な実施態様において、該方法は、(i)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、もしくはN11のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、又はB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの第1の投与及び(ii)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、もしくはN11のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、又はB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの第2の投与を含み、ここで、該第1の投与のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、該第2の投与のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドとは異なる亜型のものである。該第1及び第2の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。別の具体的な実施態様において、該方法は、(i)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、もしくはN11のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、又はB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの第1の投与;(ii)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、もしくはN11のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、又はB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの第2の投与;及び(iii)亜型N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、もしくはN11のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、又はB型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの第3の投与を含み、ここで、該第1、第2、及び第3の投与のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、異なるインフルエンザウイルス亜型由来のものである。該第1、第2、及び第3の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。ある実施態様において、該第1及び第2の投与のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、異なるインフルエンザウイルス亜型由来のものである。
別の実施態様において、対象をインフルエンザウイルス疾患又は感染に対して免疫する方法は、(i)本明細書に記載される第1のflu HAポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は第1のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むか又は発現するベクターの第1の投与;並びに(ii)本明細書に記載される第2のflu HAポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は第2のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの第2の投与を含み、ここで、該第1及び第2のflu HAポリペプチドは、同じステムドメインを有する。ある実施態様において、該第1及び第2のflu HAポリペプチドの球状ヘッドドメインは異なる。ある実施態様において、該第1及び第2のflu HAポリペプチドの球状ヘッドドメインは同じ株由来のものである。ある実施態様において、該第1のflu HAポリペプチド及び/又は該第1のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、第1の非インフルエンザウイルスベクターによって発現される。ある実施態様において、該第2のflu HAポリペプチド及び/又は該第2のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、第2の非インフルエンザウイルスベクターによって発現される。ある実施態様において、該第1及び第2の非インフルエンザウイルスベクターは同じである。ある実施態様において、該第1及び第2の非インフルエンザウイルスベクターは異なる。該第1及び第2の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。ある実施態様において、追加免疫接種を対象に6〜12カ月の間隔で投与し、次いで、2回目の接種を行うことができる。
別の実施態様において、対象をインフルエンザウイルス疾患又は感染に対して免疫する方法は、(i)第1のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクターの第1の投与;及び(ii)第2のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの第2の投与を含む。ある実施態様において、第1及び第2のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは同じである。ある実施態様において、第1及び第2のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは異なる。ある実施態様において、該第1のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、第1の非インフルエンザウイルスベクターによって発現される。ある実施態様において、該第2のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、第2の非インフルエンザウイルスベクターによって発現される。ある実施態様において、該第1及び第2の非インフルエンザウイルスベクターは同じである。ある実施態様において、該第1及び第2の非インフルエンザウイルスベクターは異なる。該第1及び第2の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。ある実施態様において、追加免疫接種を対象に6〜12カ月の間隔で投与し、次いで、2回目の接種を行うことができる。
別の実施態様において、対象をインフルエンザウイルス疾患又は感染に対して免疫する方法は、(i)第1のflu HAポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸をコードするベクターの第1の投与;並びに(ii)(a)インフルエンザノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸をコードするベクター、及び(b)第2のflu HAポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸をコードするベクターの第2の投与を含む。ある実施態様において、該第1及び第2のflu HAポリペプチドは同じである。ある実施態様において、該第1及び第2のflu HAポリペプチドは異なる。
別の実施態様において、対象をインフルエンザウイルス疾患又は感染に対して免疫する方法は、(i)該対象へのインフルエンザウイルスの第1の投与;並びに(ii)該対象への本明細書に記載されるflu HAポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの第2の投与を含み、ここで、該インフルエンザウイルス及び該flu HAポリペプチドは、同じステムドメインを有する。ある実施態様において、該インフルエンザウイルス及び該flu HAポリペプチドの球状ヘッドドメインは異なる。該第1及び第2の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。ある実施態様において、追加免疫接種を対象に6〜12カ月の間隔で投与し、次いで、2回目の接種を行うことができる。
別の実施態様において、対象をインフルエンザウイルス疾患又は感染に対して免疫する方法は:該対象への(i)本明細書に記載されるflu HAポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド又はヘッドレスHA)の第1の投与;及び(ii)インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの第2の投与を含む。ある実施態様において、該第1及び第2の投与は、1〜3カ月、3〜6カ月、又は6〜12カ月離れている。他の実施態様において、該第1及び第2の投与は、約2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、又は9カ月離れている。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるワクチン製剤による第1の免疫付与(例えば、一次免疫)と、それに続く、ワクチン製剤による1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与(例えば、追加免疫)を含む免疫付与レジメンである。具体的な実施態様において、該第1の免疫付与で使用されるワクチン製剤は、1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与で使用される同じ種類のワクチン製剤である。例えば、該第1の免疫付与で使用されるワクチン製剤が不活化インフルエンザウイルスワクチン製剤である場合、該1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与に使用されるワクチン製剤は、同じ種類のワクチン製剤、すなわち、不活化インフルエンザウイルスワクチン製剤であってもよい。他の具体的な実施態様において、該第1の免疫付与で使用されるワクチン製剤は、1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与で使用されるワクチン製剤の種類と異なる。例えば、該第1の免疫付与で使用されるワクチン製剤が生インフルエンザウイルスワクチン製剤である場合、該1回、2回、又はそれより多くの追加の免疫付与に使用されるワクチン製剤は、不活化インフルエンザウイルスなどの、別の種類のワクチン製剤である。ある実施態様において、該追加の免疫付与で使用されるワクチン製剤は変化する。例えば、弱毒化生インフルエンザウイルスワクチン製剤が1回の追加の免疫付与に使用される場合、1回以上の追加の免疫付与は、不活化ワクチン製剤などの、異なるワクチン製剤を使用してもよい。例えば、下記の実施例2で論じられている、図9の免疫付与スキームを参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫付与レジメンで使用されるワクチン製剤がキメラHAを含む場合、該キメラHAのHA球状ヘッドドメインは、各々の免疫付与で変化するが、該キメラHAのHAステムドメインは同じままである。ある実施態様において、NA免疫原を用いて、本明細書に記載されるワクチン製剤を補完する。キメラHA、ヘッドレスHA、又は別のHAステムドメインベースのコンストラクトを含むワクチン製剤を補完することの例については、例えば、図8C及び下記の実施例2を参照されたい。当業者に公知の任意の投与経路を用いて、本明細書に記載されるワクチン製剤を対象に投与することができる。例えば、鼻腔内投与の利益を記載している、下記の実施例1を参照されたい。具体的な実施態様において、弱毒化生インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に鼻腔内投与される。ある実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に筋肉内又は皮下投与される。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルスに対して免疫する方法であって:(a)該対象に、弱毒化生インフルエンザウイルスを投与すること;及び(b)一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に、該対象に、ヘッドレスHAもしくはキメラHA又はそれらを含むベクターを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、工程(a)で投与される弱毒化生インフルエンザウイルスの血球凝集素のステムドメインは、工程(b)で投与されるヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドと同じ亜型又は株であり、キメラHAが工程(b)で利用される場合、工程(a)で投与される弱毒化生インフルエンザウイルスの血球凝集素の球状ヘッドドメインは、工程(b)で使用されるキメラHAの球状ヘッドドメインと異種である。ある実施態様において、該方法は、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加のワクチン製剤を、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に投与することを含む工程(c)を含む。ある実施態様において、該1以上の追加のワクチン製剤は、キメラHAもしくはヘッドレスHA、又はそれらを含むベクターを含む。具体的な実施態様において、工程(a)で投与される弱毒化生インフルエンザウイルスの血球凝集素のステムドメイン及び工程(b)のヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドは、工程(c)で投与されるヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドと同じ亜型又は株であり、キメラHAが工程(c)で利用される場合、工程(a)で投与される弱毒化生インフルエンザウイルスの血球凝集素の球状ヘッドドメイン及び工程(b)で投与されるキメラHAの球状ヘッドドメインは、工程(c)で使用されるキメラHAの球状ヘッドドメインと異種である。具体的な実施態様において、該1以上の追加のワクチン製剤は、それを含む不活化インフルエンザウイルスベクターを含む。ある実施態様において、該方法は、工程(a)及び/又は工程(b)及び/又は工程(c)の投与の前に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、5日、7日、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、もしくは9カ月前に)、それと同時に、又はその後に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、5日、7日、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、もしくは9カ月後に)、NA免疫原を投与することを含む。具体的な実施態様において、弱毒化生インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に鼻腔内投与される。例えば、鼻腔内投与の利益を記載している、以下の実施例1を参照されたい。ある実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に筋肉内又は皮下投与される。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルスに対して免疫する方法であって:(a)該対象に、不活化インフルエンザウイルスを投与すること;及び(b)一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後、該対象に、ヘッドレスHAもしくはキメラHA又はそれらを含むベクターを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、工程(a)で投与される不活化インフルエンザウイルスの血球凝集素のステムドメインは、工程(b)で投与されるヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドと同じ亜型又は株であり、キメラHAが工程(b)で利用される場合、工程(a)で投与される不活化インフルエンザウイルスの血球凝集素の球状ヘッドドメインは、工程(b)で使用されるキメラHAの球状ヘッドドメインと異種である。ある実施態様において、該方法は、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加のワクチン製剤を、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に投与することを含む工程(c)を含む。ある実施態様において、該1以上の追加のワクチン製剤は、キメラHAもしくはヘッドレスHA、又はそれらを含むベクターを含む。具体的な実施態様において、工程(a)で投与される不活化インフルエンザウイルスの血球凝集素のステムドメイン及び工程(b)で投与されるヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドは、工程(c)で投与されるヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドと同じ亜型又は株であり、キメラHAが工程(c)で利用される場合、工程(a)で投与される不活化インフルエンザウイルスの血球凝集素の球状ヘッドドメイン及び工程(b)で投与されるキメラHAの球状ヘッドドメインは、工程(c)で使用されるキメラHAの球状ヘッドドメインと異種である。具体的な実施態様において、該1以上の追加のワクチン製剤は、不活化インフルエンザウイルス又は弱毒化生インフルエンザウイルスを含む。ある実施態様において、該方法は、工程(a)及び/又は工程(b)及び/又は工程(c)の投与の前に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、5日、7日、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、もしくは9カ月前に)、それと同時に、又はその後に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、5日、7日、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、もしくは9カ月後に)、NA免疫原を投与することを含む。具体的な実施態様において、不活化インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に鼻腔内投与される。例えば、鼻腔内投与の利益を記載している、以下の実施例1を参照されたい。ある実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に筋肉内又は皮下投与される。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルスに対して免疫する方法であって:(a)該対象に、ヘッドレスHA又はキメラHAを発現するように改変された弱毒化生インフルエンザウイルスを投与すること;及び(b)一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に、該対象に、ヘッドレスHA又はキメラHAを発現するように改変された不活化インフルエンザウイルスを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、キメラHAが工程(a)及び(b)で投与される場合、工程(a)で使用されるキメラHAは、工程(b)で使用されるキメラHAと異なるHA球状ヘッドドメインを含む。具体的な実施態様において、工程(a)のヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドは、工程(b)で投与されるヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドと同じ亜型又は株である。ある実施態様において、該方法は、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加のワクチン製剤を、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に投与することを含む。具体的な実施態様において、該方法は、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加の不活化インフルエンザウイルスワクチン製剤を投与することを含む。ある実施態様において、該方法は、工程(a)及び/又は工程(b)の投与の前に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、5日、7日、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、もしくは9カ月前に)、それと同時に、又はその後に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、5日、7日、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、もしくは9カ月後に)、NA免疫原を投与することを含む。具体的な実施態様において、弱毒化生インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に鼻腔内投与される。例えば、鼻腔内投与の利益を記載している、以下の実施例1を参照されたい。ある実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に筋肉内又は皮下投与される。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルスに対して免疫する方法であって:(a)該対象に、ヘッドレスHAもしくはキメラHAを発現するように改変された及び/又はヘッドレスHAもしくはキメラHAを含む弱毒化生インフルエンザウイルスを投与すること;及び(b)一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後、該対象に、ヘッドレスHA又はキメラHAを発現するように改変された弱毒化生インフルエンザウイルスを投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、キメラHAが工程(a)及び(b)で投与される場合、工程(a)で使用されるキメラHAは、工程(b)で使用されるキメラHAと異なるHA球状ヘッドドメインを含む。具体的な実施態様において、工程(a)のヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドは、工程(b)で投与されるヘッドレスHA又はキメラHAのステムドメインポリペプチドと同じ亜型又は株である。ある実施態様において、該方法は、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加のワクチン製剤を投与することを含む。具体的な実施態様において、該方法は、工程(b)から一定期間(例えば、1〜6カ月、3〜6カ月、6〜9カ月、6〜9カ月、9〜12カ月など)の後に、該対象に、本明細書に記載される1以上の追加の不活化インフルエンザウイルスワクチン製剤を投与することを含む。ある実施態様において、該方法は、工程(a)及び/又は工程(b)の投与の前に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、5日、7日、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、もしくは9カ月前に)、それと同時に、又はその後に(例えば、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、5日、7日、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、もしくは9カ月後に)、NA免疫原を投与することを含む。具体的な実施態様において、弱毒化生インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に鼻腔内投与される。例えば、鼻腔内投与の利益を記載している、以下の実施例1を参照されたい。ある実施態様において、弱毒化インフルエンザウイルス及び/又は不活化インフルエンザウイルスは、対象に筋肉内又は皮下投与される。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象をインフルエンザウイルスに対して免疫する方法であって、該対象に、本明細書に記載されるワクチン製剤(例えば、ヘッドレスHA、キメラHA、又は別のHAステムドメインベースのコンストラクト(例えば、長いαヘリックス)を含むワクチン製剤)を、NA免疫原と組み合わせて投与することを含む、方法である。ある実施態様において、NA免疫原は、上の第5.5節に記載されているようなポリペプチドである。対象への2以上の療法の投与との関連における「組み合わせて」という用語は、複数の療法(例えば、複数の予防剤及び/又は治療剤)の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、療法が対象に投与される順序を制限しない。例えば、第1の療法(例えば、第1の予防剤又は治療剤)は、対象への第2の療法の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前に)、それと同時に、又はその後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後に)投与することができる。いくつかの実施態様において、2以上の療法は、同時に又は互いの1時間以内に対象に投与される。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、季節性インフルエンザウイルスワクチンをNA免疫原と組み合わせて投与することを含む免疫付与レジメンである。例えば、季節性ワクチンをNA免疫原で補完することの例については、図8E及び下記の実施例2を参照されたい。別の態様において、本明細書に提供されるのは、NA免疫原を投与することを含む免疫付与レジメンである。NA免疫原による免疫付与の例については、図8D及び下記の実施例2を参照されたい。ある実施態様において、NA免疫原は、1以上の天然のグリコシル化部位を欠き、かつ/又は(例えば、グリコシル化部位を除去することにより及び/もしくは脱グリコシル化剤を用いて)脱グリコシル化されている。
ある実施態様において、NA免疫原又はNA免疫原を含む本明細書に記載されるワクチン製剤は、同じ亜型内の異種ウイルスに対して交差防御性である免疫応答(例えば、抗体応答)を誘導する。例えば、そのような交差防御抗体を記載している、下記の実施例1を参照されたい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるワクチン製剤は、亜型及び/又は同じグループ内の1つ、2つ、又はそれより多くのインフルエンザウイルスに対して交差防御性である免疫応答(例えば、抗体応答)を誘導する。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される中和抗体を投与することによって、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法である。具体的な実施態様において、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に記載される中和抗体、又はその医薬組成物の有効量を投与することを含む。特定の実施態様において、中和抗体は、モノクローナル抗体である。ある実施態様において、中和抗体は、CR6261でも、CR6325でも、CR6329でも、CR6307でも、CR6323でも、2Aでも、D7でも、D8でも、F10でも、G17でも、H40でも、A66でも、D80でも、E88でも、E90でも、H98でも、C179(FERM BP-4517)でも、AI3C(FERM BP-4516)でも、Ekiert DCらの文献(2009)、高度に保存されたインフルエンザウイルスエピトープの抗体認識(Antibody Recognition of a Highly Conserved Influenza Virus Epitope)、Science(2009年2月26日にScience Expressで発表された); Kashyapらの文献(2008)、トルコH5N1鳥インフルエンザ大発生の生存者由来のコンビナトリアル抗体ライブラリーは、ウイルス中和戦略を明らかにする(Combinatorial antibody libraries from survivors of the Turkish H5N1 avian influenza outbreak reveal virus neutralization strategies.)、Proc Natl Acad Sci U S A 105: 5986-5991; Suiらの文献(2009)、鳥及びヒトA型インフルエンザウイルスの広域中和のための構造的及び機能的基礎(Structural and functional bases for broad-spectrum neutralization of avian and human influenza A viruses)、Nat Struct Mol Biol 16: 265-273;米国特許第5,589,174号、第5,631,350号、第6,337,070号、及び第6,720,409号;国際公開WO 2007/134237として公開された国際出願PCT/US2007/068983号;国際公開WO 2009/036157号として公開された国際出願PCT/US2008/075998号;国際公開WO 2008/028946号として公開された国際出願PCT/EP2007/059356号;及び国際公開WO 2009/079259号として公開された国際出願PCT/US2008/085876号に記載されている任意の他の抗体でもない。他の実施態様において、中和抗体は、Wangらの文献(2010)「異なる血球凝集素による連続免疫後のH3インフルエンザウイルスに対する広域防御性モノクローナル抗体(Broadly Protective Monoclonal Antibodies against H3 Influenza Viruses following Sequential Immunization with Different Hemagglutinins)」、PLOS Pathogens 6(2):1-9に記載されている抗体ではない。ある実施態様において、中和抗体は、2B9でも、Shojiらの文献、Hum. Vaccines, 2011, 7:199-204に記載されている任意の他の抗体でもない。ある実施態様において、中和抗体は、3A2でも、4G2でも、1H5でも、2D9でも、Wanらの文献、J. Virol. 2013, 87: 9290-9300に記載されている任意の他の抗体でもない。ある実施態様において、中和抗体は、HCA-2でも、Doyleらの文献、Antivir. Res. 2013, 100:567-574又はDoyleらの文献、Biochem. Biophys. Res. Commun. 2013, 441:226-229に記載されている任意の他の抗体でもない。
ある実施態様において、本明細書に提供される、対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)のインフルエンザウイルス疾患又は感染を予防又は治療する方法は、当業者に公知及び本明細書に記載されるインビボ及びインビトロアッセイにより測定したとき、対象でのインフルエンザウイルスの複製の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルスの複製は、約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2log〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9log低下する。
引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の実施例9は、キメラインフルエンザウイルスHAポリペプチドを用いて、どのようにして対象にインフルエンザウイルス感染に対するワクチンを接種することができるかということを示している。
(5.16.1 組合せ療法)
様々な態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞、又は中和抗体は、1以上の他の療法(例えば、抗ウイルス療法、抗細菌療法、もしくは免疫調節療法)と組み合わせて対象に投与することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、1以上の療法と組み合わせて対象に投与することができる。1以上の他の療法は、インフルエンザウイルス疾患の治療もしくは予防に有益であることができるか、又はインフルエンザウイルス疾患と関連する症状もしくは状態を改善することができる。いくつかの実施態様において、1以上の他の療法は、鎮痛剤、解熱薬、又は呼吸を楽にするかもしくは助ける療法である。ある実施態様において、療法は、5分未満の間隔、30分未満の間隔、1時間の間隔、約1時間の間隔、約1〜約2時間の間隔、約2時間〜約3時間の間隔、約3時間〜約4時間の間隔、約4時間〜約5時間の間隔、約5時間〜約6時間の間隔、約6時間〜約7時間の間隔、約7時間〜約8時間の間隔、約8時間〜約9時間の間隔、約9時間〜約10時間の間隔、約10時間〜約11時間の間隔、約11時間〜約12時間の間隔、約12時間〜18時間の間隔、18時間〜24時間の間隔、24時間〜36時間の間隔、36時間〜48時間の間隔、48時間〜52時間の間隔、52時間〜60時間の間隔、60時間〜72時間の間隔、72時間〜84時間の間隔、84時間〜96時間の間隔、又は96時間〜120時間の間隔で投与される。具体的な実施態様において、2種以上の療法が、同じ患者診察時に投与される。
当業者に周知の任意の抗ウイルス剤を、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は医薬組成物と組み合わせて使用することができる。抗ウイルス剤の非限定的な例としては、その受容体へのウイルスの付着、細胞内へのウイルスの内在化、ウイルスの複製、又は細胞からのウイルスの放出を阻害し及び/又は低下させる、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、及び小分子が挙げられる。特に、抗ウイルス剤としては、ヌクレオシド類似体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、及びリバビリン)、フォスカーネット、アマンタジン、ペラミビル、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、α-インターフェロン及び他のインターフェロン、AZT、ザナミビル(Relenza(登録商標))、並びにオセルタミビル(Tamiflu(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗ウイルス剤としては、インフルエンザウイルスワクチン、例えば、Fluarix(登録商標)(GlaxoSmithKline)、FluMist(登録商標)(MedImmune Vaccines)、Fluvirin(登録商標)(Chiron社)、Flulaval(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Afluria(登録商標)(CSL Biotherapies社)、Agriflu(登録商標)(Novartis)、又はFluzone(登録商標)(Aventis Pasteur)が挙げられる。
具体的な実施態様において、抗ウイルス剤は、ウイルス抗原に特異的である免疫調節剤である。特定の実施態様において、ウイルス抗原は、血球凝集素ポリペプチド以外のインフルエンザウイルスポリペプチドである。他の実施態様において、ウイルス抗原は、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドである。
当業者に公知の任意の抗細菌剤を、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は医薬組成物と組み合わせて使用することができる。抗細菌剤の非限定的な例としては、アミカシン、アモキシシリン、アモキシシリン-クラブラン酸、アンホテリシンB、アンピシリン、アンピクルリン(Ampicllin)-スルバクタム、アプラマイシン、アジスロマイシン、アズトレオナム、バシトラシン、ベンジルペニシリン、カスポファンギン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファロチン、セファゾリン、セフジニル、セフェピム、セフィキシム、セフメノキシム、セフォペラゾン、セフォペラゾン-スルバクタム、セフォタキシム、セフォキシチン、セフピロム、セフポドキシム、セフポドキシム-クラブラン酸、セフポドキシム-スルバクタム、セフプロジル、セフキノム、セフタジジム、セフチブチン(Ceftibutin)、セフチオフル、セフトビプロール、セフトリアキソン、セフロキシム、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリナフロキサシン、クリンダマイシン、クロキサシリン、コリスチン、コトリモキサゾール(トリムトプリム/スルファメトキサゾール)、ダルババンシン、ダルフォプリスチン/キノプリスチン、ダプトマイシン、ジベカシン、ジクロキサシリン、ドリペネム、ドキシサイクリン、エンロフロキサシン、エルタペネム、エリスロマイシン、フルクロキサシリン、フルコナゾール、フルシトシン、ホスホマイシン、フシジン酸、ガレノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、ゲンタマイシン、イミペネム、イトラコナゾール、カナマイシン、ケトコナゾール、レボフロキサシン、リンコマイシン、リネゾリド、ロラカルベフ、メシルナム(アムジノシリン)、メロペネム、メトロニダゾール、メジオシリン、メズロシリン-スルバクタム、ミノサイクリン、モキシフロキサシン、ムピロシン、ナリジキシン酸、ネオマイシン、ネチルマイシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキサシリン、ペフロキサシン、ペニシリンV、ピペラシリン、ピペラシリン-スルバクタム、ピペラシリン-タゾバクタム、リファンピシン、ロキシスロマイシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ストレプトマイシン、スルバクタム、スルファメトキサゾール、テイコプラニン、テラバンシン、テリスロマイシン、テモシリン、テトラサイクリン、チカルシリン、チカルシリン-クラブラン酸、チゲサイクリン、トブラマイシン、トリメトプリム、トロバフロキサシン、タイロシン、バンコマイシン、バージニアマイシン及びボリコナゾールが挙げられる。
いくつかの実施態様において、組合せ療法は、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、又は第5.8〜5.12節に記載されている1以上のベクターによる能動的免疫付与、及び第5.13節に記載されている1以上の中和抗体による受動的免疫付与を含む。いくつかの実施態様において、組合せ療法は、第5.8〜5.12節に記載されている1以上のベクターによる免疫付与、及び第5.13節に記載されている細胞の投与(例えば、養子移入による)を含む。
いくつかの実施態様において、組合せ療法は、第5.8〜5.12節に記載されている2以上の異なるベクターの投与を含む。
いくつかの実施態様において、組合せ療法は、一方のHAグループ(例えば、グループ1)の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのHA亜型に対する免疫応答を誘導する活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)と、もう一方のHAグループ(例えば、グループ2)の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのHA亜型に対する免疫応答を誘導する活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)との組合せによる能動的免疫付与を含む。
いくつかの実施態様において、組合せ療法は、一方のNAグループ(例えば、グループ1)の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのNA亜型に対する免疫応答を誘導する活性化合物(例えば、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)と、もう一方のNAグループ(例えば、グループ2)の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのNA亜型に対する免疫応答を誘導する活性化合物(例えば、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)との組合せによる能動的免疫付与を含む。
いくつかの実施態様において、組合せ療法は、2以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又は2以上の本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドによる能動的免疫付与を含む。
(5.16.2 患者集団)
ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物は、未感作の対象、すなわち、インフルエンザウイルス感染に起因する疾患を有していないか、又はインフルエンザウイルス感染症に感染したことがなく、かつ現在それに感染していない対象に投与することができる。一実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物は、インフルエンザウイルス感染を獲得する危険のある未感作の対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドが免疫応答を誘導する特定のインフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患を有していないか、又は該特定のインフルエンザウイルスに感染したことがなく、かつそれに感染していない対象に投与される。本明細書に記載される活性化合物又は組成物は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドが免疫応答を誘導するインフルエンザウイルス、又は該インフルエンザウイルスの別の型、亜型、もしくは株に感染している及び/又は感染したことがある対象に投与することができる。
ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物は、インフルエンザウイルス感染と診断された患者に投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物は、症状が現われるか又は症状が重くなる前に(例えば、患者が入院を必要とする前に)、インフルエンザウイルス感染患者に投与される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物は、その活性化合物又は組成物のflu血球凝集素(HA)ポリペプチドもしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドのヘッドドメインが由来したインフルエンザウイルスの型と異なる型のインフルエンザウイルスに感染しているか、又はそう診断された患者に投与される。
ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドのヘッドドメインのHAグループと同じHAグループ及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドのNAグループと同じNAグループに属するインフルエンザウイルスに感染している可能性があるか、又はそれに感染している患者に投与される。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドのヘッドドメインの亜型と同じ亜型及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの亜型と同じ亜型のインフルエンザウイルスに感染している可能性があるか、又はそれに感染している患者に投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物が投与されるべき対象は、動物である。ある実施態様において、動物は鳥である。ある実施態様において、動物はイヌである。ある実施態様において、動物はネコである。ある実施態様において、動物はウマである。ある実施態様において、動物はウシである。ある実施態様において、動物は、哺乳動物、例えば、ウマ、ブタ、マウス、又は霊長類、好ましくは、ヒトである。
ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物が投与されるべき対象は、ヒト成人である。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、50歳を超えるヒト成人である。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、高齢のヒト対象である。
ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物が投与されるべき対象は、ヒト小児である。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、ヒト乳児である。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与される対象は、月齢6カ月未満の乳児ではない。具体的な実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、2歳以下である。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(すなわち、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドもしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物が投与されるべき対象は、月齢6カ月を超える任意の乳児又は小児、及び50歳を超える任意の成人である。他の実施態様において、対象は妊娠個体である。別の実施態様において、対象は、インフルエンザシーズン(例えば、11月から4月)中に妊娠の可能性又はその予定がある個体である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、1、2、3、4、5、6、7、又は8週間前に出産した女性である。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物が投与されるべきヒト対象は、インフルエンザウイルス感染又はインフルエンザウイルス感染に起因する疾患の危険が高い任意の個体(例えば、免疫障害又は免疫不全個体)である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、インフルエンザウイルス感染又はインフルエンザウイルス感染に起因する疾患の危険が高い個体(例えば、免疫障害又は免疫抑制個体)と密接に接触する任意の個体である。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物が投与されるべきヒト対象は、インフルエンザウイルス感染又はインフルエンザウイルス感染に起因する合併症もしくは疾患に対する感受性を高める任意の病気に罹患した個体である。他の実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物は、インフルエンザウイルス感染によって、個体が罹患するか又は個体が危険に曝される別の病気の合併症が増加する可能性を有する対象に投与される。特定の実施態様において、インフルエンザウイルス合併症に対する感受性を高める病気、又はインフルエンザウイルスによってその病気と関連する合併症が増加する病気は、例えば、肺を侵す病気、例えば、嚢胞性線維症、気腫、喘息、又は細菌感染症(例えば、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、及びトラコーマ病原体(Chlamydia trachomatus)によって引き起こされる感染症);心血管疾患(例えば、先天性心臓疾患、鬱血性心不全、及び冠動脈疾患);内分泌障害(例えば、糖尿病)、神経学的障害及びニューロン発達障害(例えば、脳、脊髄、末梢神経、及び筋肉の障害(例えば、脳性麻痺、癲癇(発作性疾患)、脳卒中、知的障害(例えば、精神遅滞)、筋ジストロフィー、及び脊髄損傷))である。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物が投与されるべきヒト対象は、グループホーム、例えば、老人ホームに在住する個体である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、グループホーム、例えば、老人ホームで勤務するか、又はそこでかなりの時間を過ごす。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、医療従事者(例えば、医師又は看護士)である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、喫煙者である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、免疫障害又は免疫抑制を起こしている。
さらに、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物を投与することができる、インフルエンザの合併症を発症する危険が高い対象には、以下の者が含まれる:合併症の危険が高い者にインフルエンザウイルスを伝染させることができる個体、例えば、6カ月未満の乳児を含むことになる家族を含む、高リスク個体がいる家族の構成員、6カ月未満の乳児と接触する個体、又は老人ホームもしくは他の長期介護施設に住む個体と接触する個体;長期にわたる肺、心臓、又は循環障害を有する個体;代謝性疾患(例えば、糖尿病)を有する個体;腎臓障害を有する個体;血液障害(貧血又は鎌状赤血球症を含む)を有する個体;弱くなった免疫系(医薬品、悪性腫瘍、例えば、癌、臓器移植、又はHIV感染に起因する免疫抑制を含む)を有する個体;長期アスピリン療法を受けている(そのため、インフルエンザに感染した場合、ライ症候群を起こす可能性が高い)小児。
他の実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物の投与の対象には、以下の、生後6カ月以上の健康な個体が含まれる:4月から9月にかけて、例えば、熱帯地方及び南半球などの、インフルエンザの大発生が起こり得る外国及び地域に旅行する予定のある者;インフルエンザウイルスが循環している世界の地域から来た者を含む可能性がある大きな組織的観光団の一員として旅行する者;学校もしくは大学に通い、寄宿舎に住むか、もしくは施設環境に住む者;又は自分がインフルエンザで病気になる危険を減らしたい者。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物の投与が禁忌である対象には、インフルエンザワクチン接種が禁忌である以下の任意の個体が含まれる:生後6カ月未満の乳児;及び免疫原性製剤の生産で使用される卵、卵製品、又は他の成分に対してアナフィラキシー反応(ショックが続発することが多い呼吸困難を引き起こすアレルギー反応)を経験したことがある個体。ある実施態様において、本明細書に記載される活性化合物又は組成物の投与が、免疫原性製剤の生産で使用される1以上の成分のために(例えば、卵又は卵製品の存在のために)禁忌である場合、該活性化合物又は組成物を、活性化合物又は組成物の投与を禁忌にする成分を含まない方法で生産することができる(例えば、該活性化合物又は組成物を、卵又は卵製品を使用しないで生産することができる)。
いくつかの実施態様において、以下の患者集団の1つ又は複数に生ウイルスワクチンを投与しないことが望ましい場合がある:高齢者;生後6カ月未満の乳児;妊娠個体;1歳未満の乳児;2歳未満の小児;3歳未満の小児;4歳未満の小児;5歳未満の小児;20歳未満の成人;25歳未満の成人;30歳未満の成人;35歳未満の成人;40歳未満の成人;45歳未満の成人;50歳未満の成人;70歳を超える高齢者;75歳を超える高齢者;80歳を超える高齢者;85歳を超える高齢者;90歳を超える高齢者;95歳を超える高齢者;その年齢層でのアスピリン及び野生型インフルエンザウイルス感染と関連する合併症が理由で、アスピリンもしくはアスピリン含有医薬品を服用している小児及び若者(2〜17歳);喘息又は他の反応性気道疾患の病歴がある個体;重度のインフルエンザ感染の素因となり得る慢性の医学的基礎疾患を有する個体;ギランバレー症候群の病歴がある個体;発熱を伴う急性の重篤な疾患を有する個体;又は中程度もしくは重度の病気である個体。そのような個体については、本明細書に記載される不活化ウイルスワクチン、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、ビロソーム、ウイルス様粒子、又は非ウイルスベクターの投与が好ましい場合がある。ある実施態様において、生ウイルスワクチンを投与することが好ましい対象には、2〜17歳の健康な小児及び若者、並びに18〜49歳の健康な成人が含まれ得る。
ある実施態様において、生ウイルスベクターを含む免疫原性製剤は、他の生ウイルスワクチンと同時に付与されない。
(5.17 投与様式)
(5.17.1 送達経路)
本明細書に記載される活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物は、種々の経路によって対象に送達することができる。これらには、鼻腔内、気管内、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、経皮、静脈内、結膜内、及び皮下経路が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、組成物は、局所投与用に、例えば、皮膚への塗布用に製剤化される。具体的な実施態様において、投与経路は、例えば、鼻スプレーの一部として、鼻腔内へのものである。ある実施態様において、組成物は、筋肉内投与用に製剤化される。いくつかの実施態様において、組成物は、皮下投与用に製剤化される。ある実施態様において、組成物は、注射による投与用には製剤化されない。生ウイルスワクチンのための具体的な実施態様において、ワクチンは、注射以外の経路による投与用に製剤化される。
例えば、抗原がウイルスベクター、ウイルス様粒子ベクター、又は細菌ベクターである場合、ベクターが由来する骨格ウイルス又は細菌の天然の感染経路から免疫原性組成物を導入することが好ましいと考えられる。或いは、ポリペプチドが由来するインフルエンザウイルスの天然の感染経路からflu血球凝集素(HA)ポリペプチド又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを導入することが好ましい場合がある。激しい分泌性及び細胞性免疫応答を誘導する抗原、特に、ウイルスベクターの能力を有利に使用することができる。例えば、ウイルスベクターによる気道の感染は、インフルエンザウイルスからの防御を同時に伴って、例えば、泌尿器系での強い分泌性免疫応答を誘導することができる。さらに、好ましい実施態様において、任意の好適な経路によって医薬組成物を肺に導入することが望ましい場合がある。肺投与は、例えば、吸入器又はネブライザー、及び噴霧剤として使用するためのエアロゾル化剤を含む製剤の使用によって利用することもできる。
具体的な実施態様において、サブユニットワクチンは、筋肉内投与される。別の実施態様において、生インフルエンザウイルスワクチンは、鼻腔内投与される。別の実施態様において、不活化インフルエンザウイルスワクチン、又はスプリットインフルエンザウイルスワクチンは、筋肉内投与される。別の実施態様において、ウイルス様粒子又はその組成物は、筋肉内投与される。
いくつかの実施態様において、インビトロで本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドで刺激された細胞は、当業者に公知の技術を用いて対象に導入(又は再導入)することができる。いくつかの実施態様において、該細胞は、真皮内に、真皮下に、又は末梢血流中に導入することができる。いくつかの実施態様において、対象に導入される細胞は、有害な免疫応答を回避するために、その対象に由来する細胞であることが好ましい。他の実施態様において、同様の免疫バックグラウンドを有するドナー宿主に由来する細胞を使用することもできる。有害な免疫原性応答を回避するように設計されたものを含む、他の細胞を使用することもできる。
(5.17.2 投薬量及び投与頻度)
インフルエンザウイルス感染又はインフルエンザウイルス疾患の治療及び/又は予防において有効である活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物の量は疾患の性質によって決まり、標準的な臨床技術で決定することができる。
製剤で使用すべき正確な用量は、投与経路、及び感染又はそれに起因する疾患の重篤度によっても決まり、臨床医の判断及び各対象の状況に従って決定されるべきである。例えば、有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理的状態(年齢、体重、健康を含む)、患者がヒトであるか動物であるかということ、投与される他の医薬品、及び治療が予防的であるか治療的であるかということによって異なってもよい。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物を治療することもできる。治療投薬量は、安全性及び有効性を最適化するために最適に調節される。
ある実施態様において、最適な投薬量範囲の特定を助けるために、インビトロアッセイが使用される。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から得られる、用量応答曲線から推定することができる。
本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドをコードする核酸の例示的な用量の範囲は、患者1人当たり、約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、又は30〜300μgの核酸、例えば、DNAである。
ある実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、スプリットウイルスワクチン及びサブユニットワクチン中に提供されるもの)の例示的な用量の範囲は、患者1キログラム当たり、約5μg〜約100mg、15μg〜50mg、15μg〜25mg、15μg〜10mg、15μg〜5mg、15μg〜1mg、15μg〜100μg、15μg〜75μg、5μg〜50μg、10μg〜50μg、15μg〜45μg、20μg〜40μg、又は25〜35μgである。ある実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザノイラミニダーゼポリペプチド(例えば、スプリットウイルスワクチン及びサブユニットワクチン中に提供されるもの)の例示的な用量の範囲は、患者1キログラム当たり、約0.1μg〜20μg、1μg〜15μg、5μg〜10μg、0.5μg〜20μg、0.5μg〜15μg、又は0.5μg〜10μgである。他の実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドの例示的な用量の範囲は、患者1キログラム当たり、約1μg〜約50mg、約5μg〜約50mg、約1μg〜約100mg、約5μg〜約100mg、約15μg〜約50mg、約15μg〜約25mg、約15μg〜約10mg、約15μg〜約5mg、約15μg〜約1mg、約15μg〜約100μg、約15μg〜約75μg、約5μg〜約50μg、約10μg〜約50μg、約15μg〜約45μg、約20μg〜約40μg、約又は25〜約35μgのflu血球凝集素(HA)ポリペプチドであり、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの例示的な用量の範囲は、患者1キログラム当たり、約0.1μg〜約20μg、約1μg〜約15μg、約5μg〜約10μg、約0.5μg〜約20μg、約0.5μg〜約15μg、又は約0.5μg〜約10μgのインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドであり、必要なだけ間隔を空けて、1回、2回、3回、又はそれより多くの回数、対象に投与することができる。
感染性ウイルスベクターの用量は、1用量当たり、ビリオン数が10〜100個、又はそれより多くまで様々であることができる。いくつかの実施態様において、ウイルスベクターの好適な投薬量は、102、5×102、103、5×103、104、5×104、105、5×105、106、5×106、107、5×107、108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011、5×1011、又は1012pfuであり、必要とされるだけの間隔で、1回、2回、3回、又はそれより多くの回数、対象に投与することができる。
ある実施態様において、VLPの例示的な用量の範囲は、患者1kg当たり、約0.01μg〜約100mg、約0.1μg〜約100mg、約5μg〜約100mg、約15μg〜約50mg、約15μg〜約25mg、約15μg〜約10mg、約15μg〜約5mg、約15μg〜約1mg、約15μg〜約100μg、約15μg〜約75μg、約5μg〜約50μg、約10μg〜約50μg、約15μg〜約45μg、約20μg〜約40μg、又は約25〜約35μgである。
一実施態様において、不活化ワクチンは、それが約5μg〜約50μg、約10μg〜約50μg、約15μg〜約100μg、約15μg〜約75μg、約15μg〜約50μg、約15μg〜約30μg、約20μg〜約50μg、約25μg〜約40μg、約25μg〜約35μgのflu血球凝集素(HA)ポリペプチド又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むように製剤化される。
ある実施態様において、活性化合物、例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドもしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞、又は組成物は、単一用量として1回、対象に投与される。
ある実施態様において、活性化合物又は組成物は、単一用量として、次いで、3〜6週間後に第2の用量として、対象に投与される。ある実施態様において、活性化合物又は組成物は、単一用量として、次いで、3〜6週間後に第2の用量として、対象に投与され、次いで、3〜6週間後に、第3の用量が投与される。ある実施態様において、第2及び/又は第3の投与は、異なる活性化合物又は組成物を利用することができる。これらの実施態様に従って、2回目の接種の後に3〜6週間間隔で、追加免疫接種を対象に投与することができる。ある実施態様において、活性化合物又は組成物は、単一用量として、次いで、3〜6カ月後に第2の用量として、対象に投与される。ある実施態様において、活性化合物又は組成物は、単一用量として、次いで、3〜6カ月後に第2の用量として、対象に投与され、次いで、3〜6カ月後に、第3の用量が投与される。ある実施態様において、第2及び/又は第3の投与は、異なる活性化合物又は組成物を利用することができる。これらの実施態様に従って、2回目の接種の後に3〜6カ月間隔で、追加免疫接種を対象に投与することができる。
ある実施態様において、追加免疫接種は、異なる活性化合物又は組成物を利用することができる。ある実施態様において、第1の(一次免疫)投与は、全長血球凝集素もしくはその断片(又はそれらをコードする核酸)及び/或いはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含み、第2の(追加免疫)投与は、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド(又はそれらをコードする核酸、それらを含むVLP、もしくはそれらを発現するウイルスもしくは細菌)の投与を含む。いくつかの実施態様において、同じ活性化合物又は組成物の投与を繰り返すことができ、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月の間隔を空けることができる。ある実施態様において、活性化合物又は組成物は、単一用量として1年に1回、対象に投与される。
小児への投与のための具体的な実施態様において、少なくとも1カ月間隔で与えられる、活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物の2用量が小児に投与される。成人への投与のための具体的な実施態様において、単一用量が与えられる。別の実施態様において、少なくとも1カ月間隔で与えられる、活性化合物又は組成物の2用量が成人に投与される。別の実施態様において、若年小児(6カ月〜9歳)には、1カ月間隔で与えられる2用量の活性化合物又は組成物を初めて投与することができる。特定の実施態様において、その最初のワクチン接種の年に1用量だけ投与された小児には、その翌年に2用量が投与されるべきである。いくつかの実施態様において、インフルエンザワクチン、例えば、本明細書に記載される免疫原性製剤を初めて投与される2〜8歳の小児には、4週間の間隔で投与される2用量が好ましい。ある実施態様において、3歳を超える対象に好ましい可能性がある0.5mlとは対照的に、生後6〜35カ月の小児には、半用量(0.25ml)が好ましい場合がある。
具体的な実施態様において、ヒト乳児への投与のために、2用量の本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(下記の第5.1節を参照)もしくはその組成物、及び/又は本明細書に記載される核酸、ベクター、VLP、もしくはビロソームのうちの1つもしくは複数を乳児に投与し、ここで、第1の用量で使用されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドのインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインは、第2の用量で使用されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドのインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインとは異なる株又は亜型由来のものである。第1及び第2の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。
具体的な実施態様において、ヒト乳児への投与のために、第3の用量の本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(下記の第5.1節を参照)もしくはその組成物、及び/又は本明細書に記載される核酸、ベクター、VLP、もしくはビロソームのうちの1つもしくは複数を乳児に投与し、ここで、第1、第2、及び第3の用量で使用されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドのインフルエンザウイルス血球凝集素ヘッドドメインは、異なるインフルエンザウイルスの株又は亜型由来のものである。第1、第2、及び第3の投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月隔てることができる。
特定の実施態様において、活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞)又は組成物は、秋又は冬に、すなわち、各半球のインフルエンザシーズンの前又はその期間中に、対象に投与される。一実施態様において、第2の用量をインフルエンザシーズンのピークの前に与えることができるように、小児には、該シーズンの初め、例えば、北半球で9月下旬又は10月初旬に第1の用量が投与される。
抗体による受動的免疫付与について、投薬量の範囲は、患者の体重1kg当たり、約0.0001〜100mg、より一般的には0.01〜5mgである。例えば、投薬量は、体重1kg当たり、1mgもしくは10mg、又は1〜10mgの範囲、つまり、70kgの患者の場合、それぞれ、70mgもしくは700mg、又は70〜700mgの範囲であることができる。例示的な治療レジメンは、1年もしくは数年の間、又は数年間隔で、2週間毎に1回、又は月に1回、又は3〜6カ月毎に1回の投与を必要とする。いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2種以上のモノクローナル抗体が同時に投与され、その場合、投与される各抗体の投薬量は示された範囲に含まれる。抗体は、通常、複数の機会に投与される。単一の投薬の間隔は、毎週、毎月、又は毎年であることができる。間隔は、患者におけるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する抗体の血液レベルを測定することにより示されるように、不規則であることもできる。
(5.18 生物学的アッセイ)
(5.18.1 キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの活性を試験するためのアッセイ)
本明細書に開示されるベクターでflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの発現を試験するためのアッセイは、当技術分野で公知の任意のアッセイを用いて実施することができる。例えば、ウイルスベクターへの組込みについてのアッセイは、この節又は第5.8節もしくは第5.9節に記載されているように、ウイルスを成長させること、ショ糖クッションに通す遠心分離によってウイルス粒子を精製すること、及び当技術分野で周知の方法を用いたイムノアッセイ、例えば、ウェスタンブロットによるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド発現についてのその後の解析を含む。血球凝集素ポリペプチドがキメラであるかどうかを判定する方法は、当業者に公知である(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の実施例3及び4を参照されたい)。
一実施態様において、本明細書に開示されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、当技術分野で公知の抗体抗原相互作用についての任意のアッセイを用いて、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド、例えば、該ポリペプチドのストーク領域、及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する中和抗体に特異的に結合するその能力を試験することにより、適切なフォールディング及び機能性についてアッセイされる。そのようなアッセイで使用される中和抗体には、例えば、Ekiertらの文献、2009, Science Express, 2009年2月26日; Kashyapらの文献、2008, Proc Natl Acad Sci USA 105: 5986-5991; Suiらの文献、2009, Nature Structural and Molecular Biology, 16:265-273; Wangらの文献、2010, PLOS Pathogens 6(2): 1-9;米国特許第5,589,174号、第5,631,350号、第6,337,070号、及び第6,720,409号;国際公開WO 2007/134237号として公開された国際出願PCT/US2007/068983号;国際公開WO 2009/036157号として公開された国際出願PCT/US2008/075998号;国際公開WO 2008/028946号として公開された国際出願PCT/EP2007/059356号;及び国際公開WO 2009/079259号として公開された国際出願PCT/US2008/085876号に記載されている中和抗体が含まれる。これらの抗体には、とりわけ、CR6261、CR6325、CR6329、CR6307、CR6323、2A、D7、D8、F10、G17、H40、A66、D80、E88、E90、H98、C179(FERM BP-4517)、AI3C(FERM BP-4516)が含まれる。
別の実施態様において、本明細書に開示されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは、例えば、NMR、X線結晶学的方法、又は二次構造予測法、例えば、円二色性などの、当技術分野で公知の任意の方法を用いた、それぞれ、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの構造又は立体構造の決定によって、適切なフォールディングについてアッセイされる。
(5.18.2 キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを用いて作製された抗体の活性を試験するためのアッセイ)
本明細書に記載される抗体は、当業者に公知の種々の方法(例えば、ELISA、表面プラズモン共鳴ディスプレイ(BIAcore)、ウェスタンブロット、免疫蛍光、免疫染色、及び/又は微量中和アッセイ)で特徴付けることができる。いくつかの実施態様において、抗体は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含むベクター、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド、及び/又は該flu血球凝集素(HA)ポリペプチドを含むベクターに特異的に結合する能力についてアッセイされる。いくつかの実施態様において、抗体は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、又は該ポリペプチドを含むベクターに特異的に結合する能力についてアッセイされる。いくつかの実施態様において、抗体は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド、又は該ポリペプチドを含むベクターに特異的に結合する能力についてアッセイされる。そのようなアッセイは、溶液中で(例えば、Houghtenの文献、1992, Bio/Techniques 13:412 421)、ビーズ表面で(Lamの文献、1991, Nature 354:82 84)、チップ表面で(Fodorの文献、1993, Nature 364:555 556)、細菌を用いて(米国特許第5,223,409号)、胞子を用いて(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;及び第5,223,409号)、プラスミドを用いて(Cullらの文献、1992, Proc Natl. Acad. Sci. USA 89:1865 1869)、又はファージを用いて(Scott及びSmithの文献、1990, Science 249:386 390; Cwirlaらの文献、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378 6382;及びFeliciの文献、1991, J. Mol. Biol. 222:301 310)実施することができる(これらの参考文献の各々は、引用により完全に本明細書中に組み込まれている)。
インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する及び/又はflu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する抗体の特異的結合並びに他の抗原との交差反応性は、当技術分野で公知の任意の方法により評価することができる。インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する抗体の特異的結合及び他の抗原との交差反応性は、当技術分野で公知の任意の方法により評価することができる。flu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する抗体の特異的結合及び他の抗原との交差反応性は、当技術分野で公知の任意の方法により評価することができる。特異的結合及び交差反応性を解析するために使用することができるイムノアッセイには、少し例を挙げれば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイなどの技術を用いた、競合的及び非競合的アッセイ系が含まれるが、これらに限定されない。そのようなアッセイはルーチンであり、かつ当技術分野で周知である(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Ausubelら編の文献、1994,分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第1巻、John Wiley & Sons社, New Yorkを参照されたい)。
flu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する抗体の結合親和性及び抗体抗原相互作用の解離速度は、競合的結合アッセイによって測定することができる。競合的結合アッセイの一例は、漸増する量の非標識抗原の存在下での標識抗原(例えば、3H又は125I)と対象となる抗体とのインキュベーション、及び標識抗原に結合した抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。flu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する抗体の親和性及び結合解離速度は、スキャッチャードプロット解析によるデータから測定することができる。二次抗体との競合もラジオイムノアッセイを用いて測定することができる。この場合、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、漸増する量の非標識二次抗体の存在下で、標識化合物(例えば、3H又は125I)と結合させた試験抗体とともにインキュベートされる。
ある実施態様において、抗体結合親和性及び速度定数は、KinExA 3000システム(Sapidyne Instruments、Boise、ID)を用いて測定される。いくつかの実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドに対する抗体の結合及び解離速度を測定するために、表面プラズモン共鳴(例えば、BIAcore動態)解析を使用する。BIAcore動態解析は、その表面に、それぞれ、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する抗体が固定されたチップからのflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドの結合及び解離を解析することを含む。典型的なBIAcore動態試験は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドが固定されているセンサーチップ表面への、0.005%のTween20を含むHBS緩衝液中の様々な濃度の250μLの抗体試薬(mAb、Fab)の注入を含む。流速は、75μL/分で一定に保たれる。解離データは、必要に応じて15分間又はそれより長く回収される。各注入/解離サイクルの後、結合抗体は、希酸、通常、10〜100mM HClの短い1分間の投入を用いて、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド表面から除去されるが、状況が許せば、他の再生剤を使用する。より具体的には、結合速度kon及び解離速度koffの測定のために、ポリペプチドを、標準的なアミンカップリング化学、すなわち、EDC/NHS法(EDC=N-ジエチルアミノプロピル)-カルボジイミド)を用いて、センサーチップ表面に直接固定する。簡潔に述べると、pH4又はpH5の10mM NaOAc中のポリペプチドの5〜100nM溶液を調製し、約30〜50RU相当のポリペプチドが固定されるまで、EDC/NHS活性化表面に流す。この後、1MのEt-NH2を注入して、未反応の活性エステルの「キャップ」を外す。参照目的のために、同一の固定条件下で、ポリペプチドを含まないブランク表面を調製する。適当な表面が調製されたら、抗体試薬のそれぞれの好適な希釈系列をHBS/Tween-20中に調製し、直列につながれたポリペプチドセル表面と参照セル表面の両方に流す。調製される抗体濃度の範囲は、平衡結合定数KDの推定値によって異なる。上記のように、結合した抗体は、適当な再生剤を用いて、各注入/解離サイクル後に除去される。
抗体の中和活性は、当業者に公知の任意のアッセイを用いて決定することができる。本明細書に記載される抗体は、当業者に公知の技術を用いて、その宿主細胞受容体(すなわち、シアル酸)へのインフルエンザウイルス、又はflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む任意の他の組成物(例えば、VLP、リポソーム、もしくは洗剤抽出物)の結合を阻害するその能力についてアッセイすることができる。例えば、インフルエンザウイルス受容体を発現する細胞は、抗体の存在下又は非存在下でflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む組成物と接触させることができ、抗原の結合を阻害する抗体の能力は、例えば、フローサイトメトリー又はシンチレーションアッセイにより測定することができる。flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくはインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む組成物、又は抗体は、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む組成物と細胞受容体との間の相互作用の検出を可能にするために、検出可能な化合物、例えば、放射性標識(例えば、32P、35S、及び125I)又は蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒド、及びフルオレサミン)で標識することができる。或いは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドがその受容体に結合するのを阻害する抗体の能力は、無細胞アッセイで決定することができる。例えば、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む組成物を抗体と接触させることができ、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む組成物が細胞受容体に結合するのを阻害する抗体の能力を決定することができる。具体的な実施態様において、抗体を固体支持体上に固定し、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む組成物を検出可能な化合物で標識する。或いは、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを含む組成物を固体支持体上に固定し、抗体を検出可能な化合物で標識する。ある実施態様において、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドが細胞受容体に結合するのを阻害する抗体の能力は、対照(例えば、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドが細胞受容体に結合するのを阻害することが知られている抗体)と比べた、抗体の結合阻害率を評価することによって決定される。
他の実施態様において、本明細書に記載される方法で使用するのに好適な抗体は、インフルエンザウイルスの受容体結合を阻害しないが、それでもなお本明細書に記載されるアッセイで中和することが分かっている。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法に従って使用するのに好適な抗体は、当技術分野で公知又は本明細書に記載のアッセイでウイルスと宿主膜との融合を低減又は阻害する。
一実施態様において、ウイルスと宿主膜との融合は、レポーターを含むインフルエンザウイルスと、ウイルスに感染することができる宿主細胞とを用いたインビトロアッセイでアッセイされる。レポーター活性が、陰性対照(例えば、対照抗体の存在下又は抗体の非存在下でのレポーター活性)と比較して阻害されるか又は低下する場合、抗体は融合を阻害する。
一実施態様において、ウイルスと宿主膜との融合は、細胞融合のモデル系を用いて検出される。例示的な細胞融合アッセイでは、細胞(例えば、HeLa細胞)を、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードするプラスミドでトランスフェクトし、抗体の存在下でflu血球凝集素(HA)ポリペプチド融合機能を可能にする緩衝液(例えば、pH5.0緩衝液)に接触及び曝露させる。抗体は、それが陰性対照(例えば、対照抗体の存在下又は抗体の非存在下でのシンシチウム形成)と比較してシンシチウム形成を低減又は阻害する場合、中和性である。
他の実施態様において、ウイルスと宿主膜との融合は、インビトロでのリポソームに基づくアッセイを用いてアッセイされる。例示的なアッセイでは、宿主細胞受容体は、レポーターの半分を含むリポソームへと再構築される。flu血球凝集素(HA)ポリペプチドは、レポーターのもう半分を含む別の組のリポソームへと再構築される。2つのリポソーム集団を一緒に混合すると、融合は、レポーターの再構築、例えば、比色定量的に検出することができる酵素反応によって検出される。レポーター活性が、抗体の非存在下又は対照抗体の存在下で行われるアッセイでのレポーター活性と比較して低下するか又は阻害される場合、抗体は融合を阻害する。ある実施態様において、融合を阻害する抗体の能力は、対照の存在下での融合率と比べた、抗体の存在下での融合率を評価することによって決定される。
(5.18.3 刺激された細胞の活性を試験するためのアッセイ)
本明細書に記載される方法に従って刺激された細胞は、例えば、対象となるポリヌクレオチド又は遺伝子の組込み、転写、及び/又は発現、組み込まれた遺伝子のコピー数、並びに組込みの位置について解析することができる。そのような解析は、いつでも実施することができ、かつ当技術分野で公知の任意の方法によって実施することができる。他の実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドによる標的細胞の良好な刺激は、当技術分野で公知又は本明細書に記載の方法を用いて、それぞれ、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド及び/又はflu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する中和抗体の産生を検出することにより決定される。他の実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドによる標的細胞の良好な刺激は、当技術分野で公知又は本明細書に記載の方法を用いて、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドに対する中和抗体の産生を検出することにより決定される。他の実施態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドによる標的細胞の良好な刺激は、当技術分野で公知又は本明細書に記載の方法を用いて、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する中和抗体の産生を検出することにより決定される。
ある実施態様において、刺激された細胞、例えば、DCが投与される対象を、細胞の位置、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードするベクター送達型ポリヌクレオチドもしくは遺伝子の発現、免疫応答の刺激(例えば、それぞれ、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する中和抗体の産生)について解析し、並びに/又は当技術分野で公知もしくは本明細書に記載の任意の方法によって、インフルエンザウイルス感染もしくはそれと関連する疾患と関連する症状についてモニタリングすることができる。ある実施態様において、刺激された細胞、例えば、DCが投与される対象を、細胞の位置、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドをコードするベクター送達型ポリヌクレオチドもしくは遺伝子の発現、免疫応答の刺激(例えば、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドに対する中和抗体の産生)について解析し、及び/又は当技術分野で公知もしくは本明細書に記載の任意の方法によって、インフルエンザウイルス感染もしくはそれと関連する疾患と関連する症状についてモニタリングすることができる。ある実施態様において、刺激された細胞、例えば、DCが投与される対象を、細胞の位置、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドをコードするベクター送達型ポリヌクレオチドもしくは遺伝子の発現、免疫応答の刺激(例えば、flu血球凝集素(HA)ポリペプチドに対する中和抗体の産生)について解析し、及び/又は当技術分野で公知もしくは本明細書に記載の任意の方法によって、インフルエンザウイルス感染もしくはそれと関連する疾患と関連する症状についてモニタリングすることができる。
レポーターアッセイを用いて、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド及び/又はflu血球凝集素(HA)ポリペプチドのターゲッティングの特異性を決定することができる。例えば、骨髄細胞の混合集団を対象から取得し、インビトロで培養することができる。インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド及び/又はflu血球凝集素(HA)ポリペプチドを骨髄細胞の混合集団に投与することができ、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド及び/又はflu血球凝集素(HA)ポリペプチドと関連するレポーター遺伝子の発現を培養細胞でアッセイすることができる。いくつかの実施態様において、混合細胞集団中の刺激された細胞の少なくとも約50%、より好ましくは、少なくとも約60%、70%、80%、又は90%、さらにより好ましくは、少なくとも約95%は、樹状細胞である。
(5.18.4 抗ウイルス活性アッセイ)
本明細書に記載される抗体又はその組成物は、抗ウイルス活性についてインビトロで評価することができる。一実施態様において、抗体又はその組成物は、インフルエンザウイルスの成長に対するその効果についてインビトロで試験される。インフルエンザウイルスの成長は、当技術分野で公知又は本明細書に記載の任意の方法により(例えば、細胞培養で)評価することができる。具体的な実施態様において、細胞は、0.0005及び0.001、0.001及び0.01、0.01及び0.1、0.1及び1、もしくは1及び10のMOI、又は0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、もしくは10のMOIで感染させられ、補充された無血清培地とともにインキュベートされる。ウイルス力価は、血球凝集素プラーク又は本明細書に記載される任意の他のウイルスアッセイにより上清中で測定される。ウイルス力価を評価することができる細胞としては、EFK-2細胞、Vero細胞、MDCK細胞、初代ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)、H292ヒト上皮細胞株、及びHeLa細胞が挙げられるが、これらに限定されない。インビトロアッセイには、当技術分野で周知又は本明細書に記載される方法を用いて、インビトロで、培養細胞におけるウイルス複製の変化(例えば、プラーク形成により測定される)、或いはウイルスタンパク質の産生(例えば、ウェスタンブロット解析により測定される)又はウイルスRNAの産生(例えば、RT-PCRもしくはノーザンブロット解析により測定される)を測定するものが含まれる。
非限定的な例では、標的哺乳動物細胞株の単層を様々な量(例えば、3プラーク形成単位(pfu)又は5pfuの多重度)のウイルス(例えば、インフルエンザ)に感染させ、その後、様々な希釈の抗体(例えば、0.1μg/ml、1μg/ml、5μg/ml、又は10μg/ml)の存在下又は非存在下で培養する。感染した培養物を感染から48時間後又は72時間後に回収し、適当な標的細胞株(例えば、Vero細胞)に対する当技術分野で公知の標準的なプラークアッセイにより力価を測定する。
血球凝集アッセイの非限定的な例では、細胞を抗体と接触させ、同時に又はその後(例えば、1のMOIで)ウイルスに感染させ、ウイルス複製を可能にする条件下で(例えば、20〜24時間)ウイルスをインキュベートする。抗体は、感染の全過程で存在することが好ましい。次に、ウイルスの複製及びウイルス粒子の放出を、0.5%のニワトリ赤血球を用いた血球凝集アッセイにより決定する。例えば、Kashyapらの文献、PNAS USA 105:5986-5991を参照されたい。いくつかの実施態様において、化合物は、それが、ウイルス力価の約75%低下に相当する少なくとも2ウェルのHAだけウイルスの複製を低下させる場合、ウイルス複製の阻害剤とみなされる。具体的な実施態様において、阻害剤は、このアッセイで、ウイルス力価を50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上低下させる。他の具体的な実施態様において、阻害剤は、対象において、インフルエンザウイルス力価の約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2log〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9logの低下をもたらす。インフルエンザウイルス力価のlog低下は、陰性対照と比較したもの、別の治療と比較したもの、又は抗体投与前の患者における力価と比較したものであることができる。
血球凝集アッセイの非限定的な例では、細胞を抗体と接触させ、同時に又はその後(例えば、1のMOIで)ウイルスに感染させ、ウイルス複製を可能にする条件下で(例えば、20〜24時間)ウイルスをインキュベートする。抗体は、感染の全過程で存在することが好ましい。次に、ウイルスの複製及びウイルス粒子の放出を、0.5%のニワトリ赤血球を用いた血球凝集アッセイにより決定する。例えば、Kashyapらの文献(PNAS USA 105:5986-5991)を参照されたい。いくつかの実施態様において、化合物は、それが、ウイルス力価の約75%低下に相当する少なくとも2ウェルのHAだけウイルスの複製を低下させる場合、ウイルス複製の阻害剤とみなされる。具体的な実施態様において、阻害剤は、このアッセイで、ウイルス力価を50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上低下させる。他の具体的な実施態様において、阻害剤は、対象において、インフルエンザウイルス力価の約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2log〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9logの低下をもたらす。インフルエンザウイルス力価のlog低下は、陰性対照と比較したもの、別の治療と比較したもの、又は抗体投与前の患者における力価と比較したものであることができる。
ノイラミニダーゼ阻害アッセイ(NIアッセイ)の非限定的な例では、平底の非滅菌Immulon 4 HBX 96ウェルプレート(Thermo Scientific)を50μg/μlの濃度の150μlのフェツイン(Sigma)でコーティングし(pH 9.4の炭酸塩-重炭酸塩コーティングバッファー)、4℃で一晩冷蔵する。コーティングバッファーを廃棄し、ウェルを、200μlのブロッキング溶液(5%BSAを含むPBS)で、室温で1時間ブロッキングする。プレートをブロッキングしている間に、1%BSAを含むPBSを用いて、ウイルスストックを別々の滅菌平底96ウェル組織培養プレート(Sigma)に1:2で連続希釈する。1時間ブロッキングした後、TPBS(225μl/ウェル)を用いて、プレートを6回洗浄する。最後の洗浄の後、プレートをきれいなペーパータオルの上で力強く叩いて、残留洗浄バッファーが残らないようにする(この技法を後続の全ての洗浄工程について繰り返した)。100μlのウイルス希釈液をフェツインコートプレートに同時に移し、その後、プレートを37℃で2時間インキュベートする。プレートを、TPBS(225μl/ウェル)を用いて再び6回洗浄し、HRPにコンジュゲートされた5μg/mlの濃度のピーナツ凝集素(PNA)(PNA-HRP; Sigma)の第2のPBS溶液をプレートに添加した(100μl/ウェル)。暗所での1.75時間のインキュベーションの後、プレートを、TBPS(225μl/ウェル)を用いて再び6回洗浄し、100μlのSigmaFast OPDで発色させる。7分後、3M HClで発色プロセスを停止させ、反応液を、シナジーH1ハイブリッド多重モードマイクロプレートリーダー(BioTek)を用いて、490nmの吸光度で読み取った。後続のNIアッセイに使用するウイルスの最適濃度を決定するために、各々のウイルスについてのNAアッセイのELISAデータをGraphPad Prism 6ソフトウェアでプロットし、非線形曲線にフィットさせる。このようにして、EC50のような値を得ることができる。この濃度の2倍(2EC50)を後続のNIアッセイに使用する。NIアッセイを実施するために、ELISAプレートをコーティングし、NAアッセイと同一の様式でブロッキングする。プレートをブロッキングしている間に、PBSを用いて、1:50希釈から始めて、全てのウェルの最終容量が75μlとなるように、マウス血清試料を別々の滅菌平底96ウェル組織培養プレートに1:2で連続希釈する。ウイルスストックを決められた最適な2EC50濃度にまで1%BSAを含むPBS中で希釈する。ウイルスを抗体プレートに添加した後(75μl/ウェル)、プレートを(混合するために)再び短時間叩き、室温で1時間40分間インキュベートした。インキュベーション時間が終了する直前に、ブロッキングしたプレートを、TPBS(225μl/ウェル)を用いて6回洗浄する。100μlのウイルス/血清混合物をフェツインコートプレートに同時に移し、その後、プレートを37℃で2時間インキュベートする。プレートを、TPBS(225μl/ウェル)を用いて再び6回洗浄し、HRPにコンジュゲートされた5μg/mlの濃度のピーナツ凝集素(PNA)(PNA-HRP; Sigma)の第2のPBS溶液をプレートに添加した(100μl/ウェル)。プレートリーダーから得られた値をウイルスのみの対照ウェルの平均で再び割り、その後、100という係数を掛けて、NA活性を得る。NA活性を100から引くことにより、パーセント阻害を計算する。
(5.18.5 細胞傷害性アッセイ)
当技術分野で周知の多くのアッセイを用いて、活性化合物又はその組成物への曝露後の細胞(感染もしくは未感染)又は細胞株の生存率を評価し、それにより、該化合物又は組成物の細胞傷害性を決定することができる。例えば、細胞増殖は、ブロモデオキシウリジン(BrdU)の取込み(例えば、Hoshinoらの文献、1986, Int. J. Cancer 38, 369; Campanaらの文献、1988, J. Immunol. Meth. 107:79を参照)、(3H)チミジンの取込み(例えば、Chen, J.の文献、1996, Oncogene 13:1395-403; Jeoung, J.の文献、1995, J. Biol. Chem. 270:18367 73を参照されたい)を測定することによるか、直接的な細胞カウントによるか、又は既知の遺伝子、例えば、癌原遺伝子(例えば、fos、myc)もしくは細胞周期マーカー(Rb、cdc2、サイクリンA、D1、D2、D3、Eなど)の転写、翻訳、もしくは活性の変化を検出することによりアッセイすることができる。そのようなタンパク質及びmRNA及び活性のレベルは、当技術分野で公知の任意の方法で測定することができる。例えば、市販の抗体を含む抗体を用いた公知の免疫診断方法、例えば、ELISA、ウェスタンブロッティング、又は免疫沈降により、タンパク質を定量することができる。当技術分野で周知かつルーチンの方法を用いて、例えば、ノーザン解析、RNアーゼ保護、又は逆転写と関連したポリメラーゼ連鎖反応を用いて、mRNAを定量することができる。細胞生存率は、トリパンブルー染色又は当技術分野で公知の他の細胞生死マーカーを用いて評価することができる。具体的な実施態様において、細胞のATPレベルを測定して、細胞生存率を決定する。
具体的な実施態様において、細胞生存率は、細胞内ATPレベルを測定する、当技術分野で標準的なアッセイ、例えば、CellTiter-Gloアッセイキット(Promega)を用いて、3日及び7日の期間で測定される。細胞ATPの低下は細胞傷害効果を示す。別の具体的な実施態様において、細胞生存率は、ニュートラルレッド取込みアッセイで測定することができる。他の実施態様において、形態変化の目視観察には、肥大、粒状度、ギザギザの縁を有する細胞、薄膜状の外観、円形化、ウェル表面からの剥離、又は他の変化が含まれ得る。こうした変化には、観察された細胞傷害性の程度に従って、T(100%毒性)、PVH(部分的毒性-非常に強い-80%)、PH(部分的毒性-強い-60%)、P(部分的毒性-40%)、Ps(部分的毒性-わずか-20%)、又は0(毒性なし-0%)という呼称が与えられる。50%細胞阻害(細胞傷害)濃度(IC50)は、これらのデータの回帰分析により決定される。
具体的な実施態様において、細胞傷害性アッセイで使用される細胞は、初代細胞及び細胞株を含む動物細胞である。いくつかの実施態様において、細胞はヒト細胞である。ある実施態様において、細胞傷害性は、以下の細胞株のうちの1つ又は複数で評価される: U937、ヒト単球細胞株;初代末梢血単核細胞(PBMC); Huh7、ヒト肝芽細胞腫細胞株; 293T、ヒト胚性腎細胞株;及びTHP-1、単球細胞。ある実施態様において、細胞傷害性は、以下の細胞株のうちの1つ又は複数で評価される: MDCK、MEF、Huh 7.5、Detroit、又はヒト気管気管支上皮(HTBE)細胞。
活性化合物又はその組成物は、動物モデルでインビボ毒性について試験することができる。例えば、活性化合物の活性を試験するために使用される、本明細書に記載される動物モデル及び/又は当技術分野で公知の他のものを用いて、これらの化合物のインビボ毒性を測定することもできる。例えば、動物に様々な濃度の活性化合物を投与する。その後、この動物を、致死率、体重減少もしくは体重増加失敗、及び/又は組織損傷を示し得る血清マーカーのレベル(例えば、全般的な組織障害の指標としてのクレアチンホスホキナーゼレベル、肝障害の可能性の指標としてのグルタミン酸シュウ酸トランスアミナーゼ又はピルビン酸トランスアミナーゼのレベル)について経時的にモニタリングする。これらのインビボアッセイは、投薬量の他に、様々な投与様式及び/又はレジメンの毒性を試験するように適合させることができる。
活性化合物の毒性及び/又は効力は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%で治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手順により決定することができる。毒性効果と治療効果の間の用量比が治療指数であり、それは、比LD50/ED50と表すことができる。大きい治療指数を示す活性化合物が好ましい。毒性のある副作用を示す活性化合物を使用してもよいが、感染していない細胞に対する潜在的な障害を最小限に抑え、それにより、副作用を低下させるために、そのような薬剤を罹患組織の部位にターゲッティングする送達系を設計するよう、注意を払うべきである。
細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、ヒトで使用するための活性化合物の投薬量の範囲を定める際に使用することができる。そのような薬剤の投薬量は、循環濃度の範囲内にあることが好ましく、この範囲には、ほとんど又は全く毒性のないED50が含まれる。投薬量は、利用される剤形及び利用される投与経路によって、この範囲内で異なり得る。本明細書に記載される方法で使用されるどの活性化合物についても、有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。用量を動物モデルで定めて、循環血漿濃度範囲を得ることができ、この循環血漿濃度範囲には、細胞培養で測定されるIC50(すなわち、症状の半最大阻害を達成する試験化合物の濃度)が含まれる。そのような情報を用いて、ヒトでの有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。投薬量の決定に関するさらなる情報が本明細書に提供される。
さらに、当業者に公知の任意のアッセイを用いて、例えば、ウイルス感染又はそれと関連する状態もしくは症状を測定することにより、本明細書に記載される活性化合物及び組成物の予防的及び/又は治療的有用性を評価することができる。
(5.18.6 インビボでの抗ウイルス活性)
活性化合物及びその組成物は、ヒトで使用する前に所望の治療的又は予防的活性についてインビボでアッセイすることが好ましい。例えば、インビボアッセイを用いて、活性化合物又はその組成物及び/又は別の療法を投与することが好ましいかどうかを決定することができる。例えば、インフルエンザウイルス疾患を予防するための活性化合物又はその組成物の使用を評価するために、動物をインフルエンザウイルスに感染させる前に組成物を投与することができる。或いは、又はさらに、動物をインフルエンザウイルスに感染させるのと同時に、活性化合物又はその組成物を動物に投与することができる。インフルエンザウイルス感染又はそれと関連する疾患を治療するための活性化合物又はその組成物の使用を評価するために、動物をインフルエンザウイルスに感染させた後に化合物又は組成物を投与することができる。具体的な実施態様において、活性化合物又はその組成物は、動物に2回以上投与される。
活性化合物及びその組成物は、限定されないが、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ブタ、フェレット、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ウサギ、モルモットなどを含む動物モデル系で、抗ウイルス活性について試験することができる。具体的な実施態様において、活性化合物及びその組成物は、マウスモデル系で試験される。そのようなモデル系は広く使用されており、かつ当業者に周知である。具体的な実施態様において、活性化合物及びその組成物は、マウスモデル系で試験される。インフルエンザウイルスのための動物モデルの非限定的な例がこの節で提供される。
一般に、動物をインフルエンザウイルスに感染させ、同時に又はその後に、活性化合物もしくはその組成物、又はプラセボで処置する。或いは、動物を、活性化合物もしくはその組成物、又はプラセボで処置し、その後、インフルエンザウイルスに感染させる。これらの動物から得られる試料(例えば、血清、尿、痰、精液、唾液、血漿、又は組織試料)は、当技術分野で周知の方法、例えば、ウイルス力価の変化(例えば、プラーク形成により測定される)、ウイルスタンパク質の産生(例えば、ウェスタンブロット、ELISA、もしくはフローサイトメトリー解析により測定される)、又はウイルス核酸の産生(例えば、RT-PCRもしくはノーザンブロット解析により測定される)を測定する方法により、ウイルス複製について試験することができる。組織試料中のウイルスの定量のために、組織試料を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中でホモジナイズし、透明になったホモジネートの希釈物を、細胞(例えば、Vero、CEF、又はMDCK細胞)の単層上へ37℃で1時間吸着させる。他のアッセイでは、組織病理学的評価、好ましくは、ウイルスが感染の標的にすることが知られている器官の評価を感染後に実施する。ウイルス特異的モノクローナル抗体を用いて、ウイルス免疫組織化学検査を実施することができる。
活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象におけるウイルスの力価、活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象の生存期間、活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象における免疫応答、活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象における症状の数、持続時間、及び/もしくは重症度、並びに/又は活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象における1以上の症状の開始までの時間が評価されるインビボアッセイを用いて、ウイルスの病原性に対する活性化合物又はその組成物の効果を決定することもできる。当業者に公知の技術を用いて、そのような効果を測定することができる。ある実施態様において、活性化合物又はその組成物は、未処置の対象と比べて、0.5倍、1倍、2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍、もしくは1,000倍、又はそれより大きいインフルエンザウイルスの力価の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、活性化合物又はその組成物は、未処置の対象と比べて、約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2log〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9logのインフルエンザウイルスの力価の低下をもたらす。
インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の試験用に開発された、インフルエンザウイルス動物モデル、例えば、フェレット、マウス、モルモット、リスザル、マカク、及びニワトリが記載されている。例えば、Sidwellらの文献、Antiviral Res., 2000, 48:1-16; Lowen A.C.らの文献、PNAS., 2006, 103:9988-92;及びMcCauleyらの文献、Antiviral Res., 1995, 27:179-186及びRimmelzwannらの文献、Avian Diseases, 2003, 47:931-933を参照されたい。インフルエンザのマウスモデルについて、インフルエンザ感染マウスに投与される活性化合物の抗ウイルス活性をアッセイするために使用することができるパラメータの非限定的な例としては、肺炎関連死、血清α1酸糖タンパク増加、動物体重、血球凝集素によりアッセイされる肺ウイルス、プラークアッセイによりアッセイされる肺ウイルス、及び肺の組織病理学的変化が挙げられる。統計解析を実施して、有意性(例えば、0.05以下のP値)を計算する。
他のアッセイでは、動物モデル対象の感染後に、組織病理学的評価を行う。鼻甲介及び気管を、上皮変化及び上皮下炎症について調べることができる。肺を、細気管支上皮の変化、及び大、中、小、又は末端細気管支における細気管支周囲炎症について調べることができる。肺胞を、炎症性変化についても評価する。中細気管支は、以下のように、0〜3+のスコアで等級付けられる: 0(正常:繊毛性頂端境界及び基底偽重層核を有する中位から高い円柱状の上皮細胞により裏打ちされている;最小限の炎症); 1+(輪郭が円柱状かつ均一で増殖がわずかに増加した上皮層;繊毛がなおも多くの細胞に見られる); 2+(減弱から顕著な増殖までの範囲の上皮層における顕著な変化;破壊された細胞及び管腔境界での不規則な層輪郭); 3+(著しく破壊され、無秩序になった上皮層、内腔には壊死細胞が見られる;減弱した細気管支もあれば、反応性増殖が顕著な細気管支もある)。
気管は、以下のように、0〜2.5+のスコアで等級付けられる: 0(正常:繊毛性頂端境界、基底偽重層核を有する中位から高い円柱状の上皮細胞により裏打ちされている。頂端境界と核との間に明らかな細胞質。時折見られる扁平上皮細胞の小さな増殖巣); 1+(上皮層の限局的扁平上皮化生); 2+(上皮層の大部分の広範囲の扁平上皮化生、繊毛は限局的に明白な場合がある); 2.5+(明白な繊毛が極めて少ない広範囲の扁平上皮化生)。
ウイルス免疫組織化学は、ウイルス特異的モノクローナル抗体(例えば、NP-、N-、又はHN-特異的モノクローナル抗体)を用いて行われる。染色は、以下のように、0〜3+に等級付けられる: 0(感染細胞なし); 0.5+(ほとんど感染細胞なし); 1+(ほとんど感染細胞なし、広く離れた個々の細胞として); 1.5+(ほとんど感染細胞なし、広く離れた単体として、及び小クラスターで); 2+(通常、上皮層が裏打ちする細気管支の一部の、又は肺胞内の小さな小葉下病巣(sublobular foci)の、隣接細胞のクラスターを侵す、適度な数の感染細胞); 3+(細気管支の上皮層の大部分を侵すか、又は肺胞内の大きな小葉下病巣に広がる、多数の感染細胞)。
1つの例では、ウイルス感染の動物モデルで肺病変を誘導し、感染を引き起こす能力を、野生株ウイルス及び模擬ウイルスを用いて比較する。肺病変は、目視検査で健康である肺葉の割合として評価することができる。ペントバルビタールの静脈内投与により感染5日後に動物を安楽死させ、その肺全体を取り出す。肉眼的病変に侵された各肺葉の表面の割合を目視で見積もる。割合を平均化して、各動物の7つの肺葉についての平均値を得る。他のアッセイでは、鼻スワブを検査して、ウイルス負荷量又は力価を測定することができる。検死時に鼻スワブを採取して、感染後のウイルス負荷量を測定することができる。
一実施態様において、ウイルスを組織試料中で定量する。例えば、組織試料をリン酸緩衝食塩水(PBS)中でホモジナイズし、透明になったホモジネートの希釈物を、細胞(例えば、MDCK細胞)の単層上へ37℃で1時間吸着させる。次に、感染させた単層に、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.01%DEAE-デキストラン、0.1%NaHCO3、及び1%寒天を含む最小必須培地の溶液を重層する。プラークを可視化することができるまで、プレートを2〜3日インキュベートする。PR8感染試料由来のウイルスの力価を測定するための組織培養感染量(TCID)アッセイを以下のように実施する。96ウェルプレート中の細胞(例えば、MDCK細胞)のコンフルエントな単層を、培地中の透明になった組織ホモジネートの対数希釈物とともにインキュベートする。接種の2〜3日後に、血球凝集アッセイ(HAアッセイ)で、各ウェルからの0.05mlのアリコートをウイルスの成長について評価する。
(5.18.6.1.1 ヒトでのアッセイ)
一実施態様において、インフルエンザウイルスの複製を調節する活性化合物又はその組成物を感染ヒト対象で評価する。この実施態様に従って、活性化合物又はその組成物をヒト対象に投与し、ウイルスの複製に対する活性化合物又は組成物の効果を、例えば、生物学的試料(例えば、血清又は血漿)中のウイルス又はウイルス核酸のレベルを解析することにより決定する。ウイルス複製を変化させる活性化合物又はその組成物は、対照で処置した対象又は対象の群におけるウイルス複製のレベルを、活性化合物又はその組成物で処置した対象又は対象の群におけるウイルス複製のレベルと比較することにより同定することができる。或いは、ウイルスの複製の変化は、活性化合物又はその組成物の投与の前後で対象又は対象の群におけるウイルス複製のレベルを比較することにより同定することができる。当業者に公知の技術を用いて、生物学的試料を得て、mRNA又はタンパク質の発現を解析することができる。
別の実施態様において、インフルエンザウイルス感染/疾患と関連する1以上の症状の重症度に対する活性化合物又はその組成物の効果を感染対象で評価する。この実施態様に従って、活性化合物もしくはその組成物又は対照をインフルエンザウイルス感染に罹患しているヒト対象に投与し、ウイルス感染の1以上の症状に対する活性化合物又は組成物の効果を決定する。1以上の症状を軽減する活性化合物又はその組成物は、対照で処置した対象を活性化合物又は組成物で処置した対象と比較することにより同定することができる。具体的な実施態様において、活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド)又はその組成物の投与は、インフルエンザウイルス疾患又は感染に起因するヒト又はヒト集団の入院期間の短縮をもたらす。別の具体的な実施態様において、活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド)又はその組成物の投与は、インフルエンザウイルス疾患又は感染を有するヒト又はヒト集団における呼吸(respiratory)/呼吸(breathing)補助の必要性を低下させる。別の具体的な実施態様において、活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド)又はその組成物の投与は、インフルエンザウイルス疾患又は感染を有するヒト又はヒト集団の罹患期間の低下をもたらす。別の具体的な実施態様において、活性化合物(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド及び/もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド)又はその組成物の投与は、例えば、全身又は肺プレチスモグラフィーにより評価される肺容量の改善(例えば、増加)をもたらす。別の実施態様において、活性化合物又はその組成物を健康なヒト対象に投与し、ワクチンとしての効力についてモニタリングする(例えば、対象を、インフルエンザウイルス感染の症状の開始;対象に感染するインフルエンザウイルスの能力;並びに/又はインフルエンザウイルス感染と関連する1以上の症状の軽減/不在についてモニタリングする)。感染性疾患を熟知している医師に公知の技術を用いて、活性化合物又はその組成物がインフルエンザウイルス疾患と関連する1以上の症状を軽減するかどうか決定することができる。
(5.19 対象における抗体の評価)
別の態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド、又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを発現するウイルスを用いて、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する対象(例えば、未感作の対象もしくは免疫付与/ワクチン接種された対象)又は対象の集団の抗体応答を評価することができる(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の第6節の実施例を参照されたい)。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを発現するウイルスを用いて、対象又は対象の集団における保存されたエピトープに特異的な抗体の存在を評価することができる。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスNAポリペプチドは、NAステムドメイン中の1以上の修飾されたグリコシル化部位及び/又は球状ヘッドドメイン中の1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。
具体的な実施態様において、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド、又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを発現するウイルスで免疫付与/ワクチン接種されたことがある対象又は対象の集団の抗体応答を評価して、対象又は対象の集団におけるNA特異的抗体の種類を特定する。そのような評価は、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスNAポリペプチド、又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスNAポリペプチドを発現するウイルスの投与に対する臨床応答を決定する際に重要な代用マーカー/エンドポイントの特定を可能にすることができる。そのような手法において、対象又は対象の集団由来の生体試料、例えば、血液を単離し、抗体の存在について直接試験することができるか、又は(例えば、血清を得るために)処理し、その後、抗体の存在について試験することができる。
別の具体的な実施態様において、未感作の対象(すなわち、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスNAポリペプチド、もしくはインフルエンザウイルスNAポリペプチドを発現するウイルスで免疫付与/ワクチン接種されたことがない対象)、又は未感作の対象の集団の抗体プロファイルを評価して、該対象又は対象の集団が、様々なインフルエンザウイルス株又は亜型に対するNA球状ヘッド特異的及び/又はNAステム特異的抗体を保有するかどうかを決定する。そのような評価は、該対象又は対象の集団への投与に好適である、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを発現するウイルス、例えば、該対象又は対象の集団が感作されていない(それに対する抗体を有しない)球状ヘッド又はストークドメインを含むインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドの作製を可能にすることができる。そのような評価は、患者のための免疫付与戦略を決定することができる。
別の態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)、又は本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を発現するウイルスを用いて、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)に対する対象(例えば、未感作の対象もしくは免疫付与/ワクチン接種された対象)又は対象の集団の抗体応答を評価することができる(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の実施例8を参照されたい)。具体的な実施態様において、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド又はキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドを発現するウイルスを用いて、対象又は対象の集団におけるステム特異的抗体の存在を評価することができる。具体的な実施態様において、キメラインフルエンザウイルスHAポリペプチドは、HAステムドメイン中の1以上の修飾されたグリコシル化部位及び/又は球状ヘッドドメイン中の1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。
具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド、又は本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドを発現するウイルス)で免疫付与/ワクチン接種されたことがある対象又は対象の集団の抗体応答を評価して、対象又は対象の集団におけるストーク特異的抗体の種類を特定する。そのような評価は、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスHAポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)、又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスHAポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を発現するウイルスの投与に対する臨床応答を決定する際に重要な代用マーカー/エンドポイントの特定を可能にすることができる。そのような手法において、対象又は対象の集団由来の生体試料、例えば、血液を単離し、抗体の存在について直接試験することができるか、又は(例えば、血清を得るために)処理し、その後、抗体の存在について試験することができる。
別の具体的な実施態様において、未感作の対象(すなわち、インフルエンザウイルスHAポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)、もしくはインフルエンザウイルスHAポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を発現するウイルスで免疫付与/ワクチン接種されたことがない対象)、又は未感作の対象の集団の抗体プロファイルを評価して、該対象又は対象の集団が、様々なインフルエンザウイルス株又は亜型に対する球状ヘッド特異的及び/又はステム特異的抗体を保有するかどうかを決定する。そのような評価は、該対象又は対象の集団への投与に好適である、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)又はflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を発現するウイルス、例えば、該対象又は対象の集団が感作されていない(それに対する抗体を有しない)ヘッドドメインを含む、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドの作製を可能にすることができる。そのような評価は、患者のための免疫付与戦略を決定することができる。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、特定のインフルエンザウイルス株又は亜型のステムドメインに特異的である対象における抗体の存在を評価/検出する方法であって、該対象由来の生体試料(例えば、血液、血清)を、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドとインビトロで接触させることを含み、ここで、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドが対象となる株又は亜型由来のステムドメインを含む、方法である。特定のインフルエンザウイルス株又は亜型のステムドメインに特異的な抗体の存在を評価/検出する方法については、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の実施例6〜8を参照されたい。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、特定のインフルエンザウイルス株又は亜型のステムドメインに特異的である対象における抗体の存在を評価/検出する方法であって、該対象由来の生体試料(例えば、血液、血清)を、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドを発現する/含むウイルスとインビトロで接触させることを含み、ここで、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドが対象となる株又は亜型由来のステムドメインを含む、方法である。
別の態様において、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を発現するウイルス、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを発現するウイルス、又は本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを発現するウイルスを用いて、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)(例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の実施例8を参照)に対する及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドに対する対象(例えば、未感作の対象もしくは免疫付与/ワクチン接種された対象)又は対象の集団の抗体応答を評価することができる。具体的な実施態様において、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド又はキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドを発現するウイルスを用いて、対象又は対象の集団におけるステム特異的抗体の存在を評価することができる。具体的な実施態様において、キメラインフルエンザウイルスHAポリペプチドは、HAステムドメイン中の1以上の修飾されたグリコシル化部位及び/又は球状ヘッドドメイン中の1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを発現するウイルスを用いて、対象又は対象の集団における保存されたエピトープに特異的な抗体の存在を評価することができる。具体的な実施態様において、インフルエンザウイルスNAポリペプチドは、NAステムドメイン中の1以上の修飾されたグリコシル化部位及び/又は球状ヘッドドメイン中の1以上の非天然のグリコシル化部位を含む。
具体的な実施態様において、インフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド、もしくは本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドを発現するウイルス)及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドで免疫付与/ワクチン接種されたことがある対象又は対象の集団の抗体応答を評価して、該対象又は対象の集団におけるHAストーク特異的抗体の種類を特定し、及び/又は該対象又は対象の集団におけるNA特異的抗体の種類を特定する。そのような評価は、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスHAポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスHAポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を発現するウイルス、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスNAポリペプチド、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスNAポリペプチドを発現するウイルス、又はインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるflu血球凝集素(HA)ポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び本明細書に記載されるインフルエンザウイルスNAポリペプチドを発現するウイルスの投与に対する臨床応答を決定する際に重要な代用マーカー/エンドポイントの特定を可能にすることができる。そのような手法において、対象又は対象の集団由来の生体試料、例えば、血液を単離し、抗体の存在について直接試験することができるか、又は(例えば、血清を得るために)処理し、その後、抗体の存在について試験することができる。
別の具体的な実施態様において、未感作の対象(すなわち、インフルエンザウイルスHAポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)、もしくはインフルエンザウイルスHAポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を発現するウイルスで、並びに/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスNAポリペプチド、もしくは本明細書に記載されるインフルエンザウイルスNAポリペプチドを発現するウイルス、並びに/又はインフルエンザウイルスHAポリペプチド(例えば、flu HAポリペプチド、例えば、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び本明細書に記載されるインフルエンザウイルスNAポリペプチドを発現するウイルスで免疫付与/ワクチン接種されたことがない対象)、或いは未感作の対象の集団の抗体プロファイルを評価して、該対象又は対象の集団が、様々なインフルエンザウイルス株又は亜型に対するHA球状ヘッド特異的抗体、HAステム特異的抗体、NA球状ヘッド特異的抗体、及び/又はNAステム特異的抗体を保有するかどうかを決定する。そのような評価は、該対象又は対象の集団への投与に好適である、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を発現するウイルス、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチド、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを発現するウイルス、並びに/又はflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及びインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを発現するウイルス、例えば、該対象又は対象の集団が感作されていない(それに対する抗体を有しない)ヘッドドメインを含む、flu血球凝集素(HA)ポリペプチド、例えば、キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又は該対象又は対象の集団が感作されていない(それに対する抗体を有しない)インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドの作製を可能にすることができる。そのような評価は、患者のための免疫付与戦略を決定することができる。
別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、特定のインフルエンザウイルス株もしくは亜型のHAステムドメイン及び/又は特定のインフルエンザウイルス株もしくは亜型のNAドメインに特異的である対象における抗体の存在を評価/検出する方法であって、該対象由来の生体試料(例えば、血液、血清)を本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド(ここで、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは対象となる株もしくは亜型由来のHAステムドメインを含む)とインビトロで接触させること及び/又は該対象由来の生体試料(例えば、血液、血清)を本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド(ここで、該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは対象となる株もしくは亜型由来のNAステムドメインを含む)とインビトロで接触させることを含む、方法である。特定のインフルエンザウイルス株又は亜型の血球凝集素ステムドメインに特異的な抗体の存在を評価/検出する方法については、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際公開WO 2013/043729号の実施例6〜8を参照されたい。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、特定のインフルエンザウイルス株もしくは亜型のHAステムドメインに及び/又は特定のインフルエンザウイルス株もしくは亜型のNAドメインに特異的である対象における抗体の存在を評価/検出する方法であって、該対象由来の生体試料(例えば、血液、血清)を本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド(ここで、該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドは対象となる株又は亜型由来のステムドメインを含み、かつ該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドは対象となる株又は亜型由来のドメインを含む)を発現する/含むウイルスとインビトロで接触させることを含む、方法である。
(5.20 キット)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される医薬/免疫原性組成物の1以上の成分、例えば、本明細書に提供される1以上の活性化合物を充填した1以上の容器を含む医薬パック又はキットである。医薬又は生物学的製品の製造、使用、又は販売を規制する行政機関により規定された形式での通知を、そのような容器に任意で関連付けることができ、その通知は、この機関による、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の承認を示している。
本明細書に包含されるキットを本明細書に記載される方法に従って使用することができる。一実施態様において、キットは、本明細書に記載される活性化合物、好ましくは、1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、1以上のキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを1以上の容器中に含む。一実施態様において、キットは、本明細書に記載される活性化合物、好ましくは、1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを1以上の容器中に含む。一実施態様において、キットは、本明細書に記載される活性化合物、好ましくは、1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、1以上のキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を1以上の容器中に含む。ある実施態様において、キットは、本明細書に記載されるワクチン、例えば、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、不活化インフルエンザウイルスワクチン、又は生インフルエンザウイルスワクチンを含み、ここで、該ワクチンは、本明細書に記載される1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、1以上のキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含む。ある実施態様において、キットは、本明細書に記載されるワクチン、例えば、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、不活化インフルエンザウイルスワクチン、又は生インフルエンザウイルスワクチンを含み、ここで、該ワクチンは、本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含む。ある実施態様において、キットは、本明細書に記載されるワクチン、例えば、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、不活化インフルエンザウイルスワクチン、又は生インフルエンザウイルスワクチンを含み、ここで、該ワクチンは、本明細書に記載される1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、1以上のキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を含む。ある実施態様において、キットは、本明細書に記載されるワクチン、例えば、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、不活化インフルエンザウイルスワクチン、又は生インフルエンザウイルスワクチン、及び本明細書に記載される1以上のfluノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含む。ある実施態様において、キットは、本明細書に記載されるワクチン、例えば、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、不活化インフルエンザウイルスワクチン、又は生インフルエンザウイルスワクチン、及び本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含み、ここで、該ワクチンは、本明細書に記載される1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、1以上のキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)及び/又は本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含む。ある実施態様において、キットは、本明細書に記載されるワクチン、例えば、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、不活化インフルエンザウイルスワクチン、又は生インフルエンザウイルスワクチン、及び本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含み、ここで、該ワクチンは、本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含む。ある実施態様において、キットは、本明細書に記載されるワクチン、例えば、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、不活化インフルエンザウイルスワクチン、又は生インフルエンザウイルスワクチン、及び本明細書に記載される1以上のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含み、ここで、該ワクチンは、本明細書に記載される1以上のflu血球凝集素(HA)ポリペプチド(例えば、1以上のキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド)を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又は本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド並びに本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び/又はインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを用いて対象中に存在する抗体を評価するための指示書を含むキットである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチド及び該インフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドを用いて対象中に存在する抗体を評価するための指示書を含むキットである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるキメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチド及び該キメラインフルエンザウイルス血球凝集素ポリペプチドを用いて対象中に存在する抗体を評価するための指示書を含むキットである。
(6.実施例)
(6.1 実施例1:アジュバントを添加した組換えノイラミニダーゼによるワクチン接種は、マウスにおいてインフルエンザウイルス感染に対する広範な異種の−しかし、異種亜型ではない−交差防御を誘導する)
(6.1.1 序論)
ワクチン予防法及び抗ウイルス療法の存在にもかかわらず、インフルエンザウイルスは、ヒト集団の罹病及び死亡に悪影響を及ぼし続けており、この分野における研究が引き続き必要であることを強調している。インフルエンザワクチン戦略の大多数が血球凝集素−インフルエンザビリオンの表面の免疫優性抗原−を標的としている一方で、ウイルスノイラミニダーゼに対する抗体は、ヒトにおける重症度の低い疾患及び減少したウイルス排出と関連付けられている。とはいえ、NAの量は、現在の季節性ワクチンで規格化されておらず、NAベースの防御の正確な幅は未知である。ワクチン抗原としてのインフルエンザウイルスNAの交差防御潜在力に関するより大きい洞察は、幅及び効力のより大きいインフルエンザワクチンの開発への道を開き得る。
季節性インフルエンザウイルス感染は、全世界で重大な罹病及び死亡を引き起こす(1)。現在循環している株とよく一致すれば、インフルエンザウイルスワクチンは、ヒト集団をインフルエンザウイルス感染から防御するのに有効なツールとなる。有効ではあるが、これらのワクチンは、よく一致した株について、健常な成人で準最適な効力(74パーセント)を有し(2)、この値は、ワクチンが一致しないとき、急落し得る(3)。さらに、季節性ワクチンは、パンデミックインフルエンザウイルスに対して防御的ではない。不活化インフルエンザウイルスによるワクチン接種後の免疫応答は、主に、インフルエンザビリオンの表面の主要な糖タンパク質であるウイルス血球凝集素(HA)に対して惹起される。大多数の抗体は、この分子の免疫優性球状ヘッドドメインに対するものである(4〜7)。これらの抗体は、ウイルス複製の阻害に極めて強力であり、株特異的であることが多い。したがって、インフルエンザウイルスワクチンの開発、生産、及び有効性試験の主な重点はHAにある。不活化インフルエンザウイルスワクチン(IIV)は、そのHA含有量に基づいて規格化され、ワクチンの有効性は、血球凝集阻害抗体の誘導に基づいて測定される(8)。第2のインフルエンザ表面糖タンパク質であるノイラミニダーゼ(NA)は、ウイルスにとって重要である酵素活性を有しており、小分子NA阻害剤の標的である(9)。多くの研究により、ワクチン抗原としてのNAの有用性が提唱されているが(10〜19)、ウイルスノイラミニダーゼは、インフルエンザワクチン開発との関連において、ほとんど無視されており、IIVのNA含有量は、測定すらされていない。
(6.1.2 材料及び方法)
(6.1.2.1 ウイルス及び細胞)
メイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞を抗生物質(100ユニット/mlのペニシリン−100μg/mlのストレプトマイシン; Pen-Strep, Gibco)及び10%胎仔ウシ血清(FBS, Hyclone)が補充された完全ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM, Life Technologies)中で増殖させた。Sf9昆虫細胞を抗生物質(Pen-Strep)及び10%FBSが補充されたTNM-FH昆虫培地(Gemini Bioproducts)中で増殖させ、High Five(BTI-TN-5B1-4, Vienna Institute of BioTechnologyサブクローン(23))細胞を抗生物質(Pen-Strep)が補充された無血清SFX-昆虫培地(Hyclone)中で増殖させた。インフルエンザウイルス(A/プエルトリコ/8/34(PR8; H1N1)、X-31(HK68/X-31; H3N2; PR8内部遺伝子並びにA/香港/1/68由来のHA及びNA)、A/ネーデルラント/602/09(NL09; パンデミックH1N1)、X-79(Phil82/X-79; H3N2; PR8内部遺伝子並びにA/フィリピン/2/82由来のHA及びNA)、低病原性A/ベトナム/1203/04(VN04; H5N1; PR8内部遺伝子並びにA/ベトナム/1203/04由来のHA及びNA、HAの多塩基性切断部位が欠失している)、B/ビクトリア/2/87(Vic87)、B/山形/16/88(Yam88)、並びにB/マレーシア/2506/04(Mal04))を8〜10日齢の発育鶏卵で増殖させ、トシルフェニルアラニルクロロメチルケトン(TPCK)処理したトリプシンの存在下でMDCK細胞に対する力価を決定した。ELISAのために、インフルエンザウイルスを、30%緩衝ショ糖クッションに通して、超遠心分離(Beckmann L7-65超遠心機、SW-28ローター、25,000rpm)により濃縮した。ノイラミニダーゼを発現する組換えバキュロウイルスを以前に記載されている通りに作製し、Sf9細胞で増殖させた(24)。
(6.1.2.2 組換えタンパク質)
組換えノイラミニダーゼタンパク質(PR8 N1、HK68 N2、A/テキサス/91 N1、A/ニューカレドニア/20/99 N1、A/カリフォルニア/4/09(Cal09) N1、A/パナマ/2007/99 N2、Yam88 B NA、A/ブタ/ミズーリ/4296424/06 N3、A/マガモ/スウェーデン/24/02 N4、A/マガモ/スウェーデン/86/03 N5、A/マガモ/ネーデルラント/1/99 N6、A/マガモ/内部アラスカ/10BM01929/10 N7、A/マガモ/スウェーデン/50/02 N8、及びA/安徽/1/13(N9)をHigh Five細胞で発現させ、以前に記載されている通りに細胞培養上清から精製した(24、25)。簡潔に説明すると、培養物に組換えバキュロウイルスを10の感染多重度(MOI)で感染させた。その後、上清を、低速遠心分離により、感染から72時間後に回収し、公表されているプロトコル(24)を用いて、Ni-NTA樹脂(Qiagen)により精製した。
(6.1.2.3 ワクチン接種及び攻撃試験)
6〜8週齢の雌BALB/cマウスを全てのワクチン接種及び攻撃試験に使用した。標準的な攻撃のために、実験マウス(n=5〜10)に麻酔をかけ(腹腔内への0.15mg/kgのケタミン及び0.03mg/kgのキシラジン)、ポリI:Cアジュバントが添加された組換えNA(鼻腔内への(IN)、50μlのPBS中の5μgのrNA及び5μgのポリI:C+筋肉内への(IM)、50μlのPBS中の5μgのrNA及び5μgのポリI:C)、ポリI:Cアジュバントが添加されたウシ血清アルブミン(BSA)(陰性対照; 50μlのPBS中の5μgのBSA及び5μgのポリI:C(IN)+50μlのPBS中の5ugのBSA及び5ugのポリI:C(IM))、一致した不活化全ウイルスワクチン又はスプリットウイルスワクチン(陽性対照;筋肉内への、50μlのPBS中、1μg)、及びほとんどの場合、さらなる陰性対照としての異なる亜型由来の一致していないrNA(50μlのPBS中の5μgのrNA及び5μgのポリI:C(IN)+50μlのPBS中の5μgのrNA及び5μgのポリI:C(IM))を投与した。同じ製剤及び経路を用いた追加免疫を一次免疫から3週間後に与えた。INとIMの比較実験に特化させた動物に、上記と同じ間隔及び容量で、IN又はIMのいずれかで5μgのrNA+5μgのポリI:Cを2回ワクチン接種した。追加免疫から4週間後、動物に麻酔をかけ、50μlのPBS中の10(同種)又は5(異種)マウス致死用量50(mLD50)のウイルスで鼻腔内から攻撃した。例外は、分離株の低病原性のために、マウスを亜致死用量(1.1×106プラーク形成単位(PFU))のウイルスで攻撃したYam88実験であった。体重を14日間モニタリングした。
肺力価実験用の動物に、上記のようにIN及びIM経路でワクチン接種し、攻撃から3及び6日後に、肺を回収した。その後、BeadBlaster 24(Benchmark)ホモジナイザーを用いて、肺をホモジナイズし、MDCK細胞でのプラークアッセイを用いて、ウイルス肺力価を測定した。
受動移入実験のために、動物(組換えHK68 N2、BSA、及び陽性対照群)に麻酔をかけ、終末時採血した。血清を回収し、未感作のマウスに移入した(マウス1匹当たり200μl、腹腔内、1群当たりn=5)。移入して2時間後、マウスを上記のように5 mLD50のX-31ウイルスで攻撃した。体重を14日間モニタリングした。
動物の処置は全て、マウント・シナイ・アイカーン医科大学(Icahn School of Medicine at Mount Sinai)の施設動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)に従って行われた。
(6.1.2.4 ヒト血清)
ヒト血清は、ノルウェーのベルゲン大学(University of Bergen, Norway)で2004〜2005年の3価インフルエンザワクチンFluarix(登録商標)ワクチン(Glaxo-SmithKline)(A/カレドニア/20/99(H1N1)、A/ワイオミング/3/03(H3N2)、及びB/江蘇省/10/03)を用いて実施された臨床試験から得た(26)。血清試料をワクチン接種から14日後に採取した。この試験は、地域の倫理委員会(REK Vest、認可#170-04)及びノルウェー医薬品庁による認可を受けた。
(6.1.2.5 マウス血清の調製)
全てのワクチン接種試験で回収された血清を使用するまで-20℃で長期保存した。全ての血清学的アッセイにおいて、実験群内の個々のマウス由来の血清試料をプールし、56℃のウォーターバス中で1時間加熱することにより、不活化した。
(6.1.2.6 酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA))
マウスELISAのために、プレート(Immulon 4 HBX, Thermo Scientific)をコーティングバッファー(pH 9.4の炭酸塩−重炭酸塩バッファー)中の5μg/ml(1ウェル当たり50μl)の濃縮インフルエンザウイルスで4℃で一晩コーティングした。その後、プレートを、0.1%Tween 20を含むPBS(TPBS)中の3%ミルクを用いて、室温で1時間ブロッキングした。血清試料を1:100希釈から始めて1:3ずつ1%TPBSに希釈した。その後、プレートを血清試料とともに室温で1時間インキュベートした。TPBSで3回洗浄した後(3×100μl/ウェル)、プレートを抗マウスHRP標識抗体(1:3000、GE Healthcare)とともにRTでもう1時間インキュベートし、もう1回徹底洗浄した後、SigmaFast OPD(o-フェニレンジアミン二塩酸塩、1ウェル当たり100μl、Sigma)を用いて発色させた。プレートを10分間発色させ、3M塩酸(HCL)(50μl/ウェル)で停止させ、Synergy 4(BioTek)プレートリーダーでOD490で読み取った。
ヒトELISAの手順も同様であるが、以下の改変を行った。プレートを組換えHA又はNA(2μg/ml、1ウェル当たり50μl)でコーティングし、3%ヤギ血清及び0.5%ミルクを含むTPBS(GM-TPBS)中でブロッキングを行った。GM-TPBSは、血清希釈液(1:100から始めて、1:2ずつ)を作製するために及び二次抗ヒトIgG西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識二次抗体(1:3000、Sigma)を希釈するためにも使用した。ブランク値+カットオフとしてのその標準偏差の3倍を用いて、終点力価を計算した。結果を誘導倍率として示す。これは、以前に記載されている通りに、ワクチン接種後の終点力価をワクチン接種前の終点力価で割ることにより計算された(27)。
終点力価ELISAは、mAb 4A5を用いて実施した。A/ブリスベン/10/10(NIBSC#11/134)及びA/クライストチャーチ/16/10(NIBSC#10/258)抗原調製物を英国立生物製品基準規制機構(National Institute for Biological Standards and Control)(NIBSC, Potters Bar, UK)から購入した。FluLavalワクチン調製物をA/カリフォルニア/07/09基体として使用した。他の全ての基体は、自家増殖させた精製及び濃縮ウイルスであった。終点力価のカットオフとして、本発明者らは、二次抗体のみの対照の列の平均値+これらのウェルの標準偏差の3倍を使用した。カットオフを超える値を生じる最後の4A5希釈液が終点力価であることが明らかになった。
(6.1.2.7 NA*Starアッセイ)
NA*Starアッセイ(Applied Biosystems)を製造元の指示書に記載されている通りに実施した。簡潔に説明すると、組換えNAをNA*Starアッセイバッファーと1μg/mlの濃度で混合した。その後、混合物を37℃で15分間インキュベートした。その後、NA*バッファーに希釈した10μlのNA*Star基質を添加し、混合物を室温暗所で30分間インキュベートした。マイクロプレートリーダー(BioTek)で生体発光を読み出す少し前に、60μlのNA*Starアクセレーターを各ウェルに添加した。
(6.1.2.8 ノイラミニダーゼ阻害を決定するための酵素結合レクチンアッセイ(ELLA))
NIアッセイで使用されるべき理想のウイルス濃度を決定するために、NAアッセイを全てのウイルスストックについてまず実施した。簡潔に述べると、平底の非滅菌Immulon 4 HBX 96ウェルプレート(Thermo Scientific)を50μg/μlの濃度の150μlのフェツイン(Sigma)でコーティングし(pH 9.4の炭酸塩−重炭酸塩コーティングバッファー)、4℃で一晩冷蔵した。コーティングバッファーを廃棄し、ウェルを、200μlのブロッキング溶液(5%BSAを含むPBS)で、室温で1時間ブロッキングした。プレートをブロッキングしている間に、ウイルスストックを、1%BSAを含むPBSを用いて、別々の滅菌平底96ウェル組織培養プレート(Sigma)に1:2で連続希釈した。未希釈ストックから始めて、全てのウェル中の最終容量が150μlとなるように、プレートの横方向に希釈液を作製した。1時間ブロッキングした後、プレートを、TPBS(225μl/ウェル)を用いて6回洗浄した。最後の洗浄の後、プレートをきれいなペーパータオルの上で力強く叩いて、残留洗浄バッファーが残らないようにする(この技法を後続の全ての洗浄工程について繰り返した)。100μlのウイルス希釈液をフェツインコートプレートに同時に移し、その後、プレートを37℃で2時間インキュベートした。プレートを、TPBS(225μl/ウェル)を用いて再び6回洗浄し、HRPにコンジュゲートされた5μg/mlの濃度のピーナツ凝集素(PNA)(PNA-HRP; Sigma)の第2のPBS溶液をプレートに添加した(100μl/ウェル)。暗所での1時間45分間のインキュベーションの後、プレートを、TBPS(225μl/ウェル)を用いて再び6回洗浄し、100μlのSigmaFast OPDで発色させた。7分後、3M HClで発色プロセスを停止させ、反応液を、シナジーH1ハイブリッド多重モードマイクロプレートリーダー(BioTek)を用いて、490nmの吸光度で読み取った。後続のNIアッセイに使用するウイルスの最適濃度を決定するために、各々のウイルスについてのNAアッセイのELISAデータをGraphPad Prism 6ソフトウェアでプロットし、非線形曲線にフィットさせた。このようにして、EC50のような値(ここでは、最大OD読取値の半分が得られるウイルスの濃度)を得ることができた。この濃度の2倍(2EC50)を後続のNIアッセイに使用した。
NIアッセイを実施するために、ELISAプレートをコーティングし、NAアッセイと同一の様式でブロッキングした。プレートをブロッキングしている間に、PBSを用いて、1:50希釈から始めて、全てのウェルの最終容量が75μlとなるように、マウス血清試料を別々の滅菌平底96ウェル組織培養プレートに1:2で連続希釈した。ウイルスストックを決められた最適な2EC50濃度にまで1%BSAを含むPBS中で希釈した。ウイルスを抗体プレートに添加した後(75μl/ウェル)、プレートを(混合するために)短時間叩き、室温で1時間40分間インキュベートした。インキュベーション時間が終了する直前に、ブロッキングしたプレートを、TPBS(225μl/ウェル)を用いて6回洗浄した。100μlのウイルス/血清混合物をフェツインコートプレートに同時に移し、その後、プレートを37℃で2時間インキュベートした。プレートを、TPBS(225μl/ウェル)を用いて再び6回洗浄し、HRPにコンジュゲートされた5μg/mlの濃度のピーナツ凝集素(PNA)(PNA-HRP; Sigma)の第2のPBS溶液をプレートに添加した(100μl/ウェル)。NIアッセイプロトコルの残りの部分は、NAアッセイのものと同じである。
プレートリーダーから得られた値をウイルスのみの対照ウェルの平均で割り、その後、100という係数を掛けて、NA活性を得た。NA活性を100から引くことにより、パーセント阻害を計算した。
(ウェスタンブロット及び定量的ELISA解析)
2013〜2014年のfluシーズンに使用することが意図された4つの異なる銘柄のFDA認可インフルエンザワクチンを、マウント・シナイ(Mount Sinai)病院の薬局、地元の薬局から、又は直接製造元から入手した。ワクチンの商標名(並びにそのそれぞれの製造元、ロット番号、及び含まれるH1N1株の名前)は、次の通りであった: Fluvirin(Novartis Vaccines and Manufacturers、13472P、A/クライストチャーチ/16/2010)、Flucelvax(Novartis Vaccines and Manufacturers、161281、A/ブリスベン/10/2010)、Fluzone(Sanofi Pasteur、UH953AA、A/カリフォルニア/07/2009 X-179A)、及びFluLaval(GlaxoSmithKlineの子会社であるID Biomedical Corporation of Quebec、597FZ、A/カリフォルニア/07/2009)。懸濁MDCK細胞株で産生されるFlucelvaxを除いて、入手された銘柄は全て3価の卵由来ワクチンであった。各々のワクチンのわずかな初期容量を用いて、5倍連続希釈液をPBS中に調製し、2%β-メルカプトエタノール(BME)を含む等容量の2×Laemmliバッファーと混合し、100℃で30分間加熱した。12μLの各々の希釈液をポリアクリルアミドゲル(5-20%勾配、Bio-Rad)上に充填した。標準対照として、0.672mg/mLの既知の出発濃度(Bradford Protein Assay, Bio-Radで測定したもの)のバキュロウイルスで発現された組換え精製Cal09 N1の等容量の希釈液を同じゲル上にワクチン希釈液と隣接させて充填した(しかし、各々の独特のワクチンは、別々のゲル上で泳動させた)。セミドライ転写装置(Bio-Rad, Owl)を用いて、0.11Aで40分間転写させた後、ブロットを、PBS中で3分間、3回洗浄し(後続の全ての洗浄工程をこの方法で行った)、TBPS中の3%ミルクで、室温で1時間ブロッキングした。ブロッキング溶液を除去し、mAb 4A5の一次抗体溶液(1%ミルクTBPS中、1:3000)を、ブロットが完全に浸漬するのに十分な容量でブロットに添加し、ブロットを室温で1時間インキュベートした。mAb 4A5は、2009年のパンデミックH1N1ウイルスのNAに特異的に結合する抗体である。一次抗体溶液を除去し、洗浄した後、ブロットを抗マウスHRP標識抗体(1:6000、GE Healthcare)とともに室温で1時間インキュベートした。二次溶液を除去し、ブロットを洗浄し、現像溶液(1mLのEnhanced Luminol Reagent+1mLの酸化剤; Western Lightning - ECL, PerkinElmer)を添加した。現像溶液中で30秒間の後、1分間の露光時間(Konika Minolta SRX-101A)を用いて、ブロットを標準的なオートラジオグラフィーフィルム(HyBlot Cl, Denville Scientific)上で現像した。
ワクチン製剤に含まれるCal09 NAの量を近似的に定量するために、平底の非滅菌Immulon 4 HBX 96ウェルプレート(Thermo Scientific)を、1:2希釈から始めて、プレートの横方向に希釈した、コーティングバッファー(上記を参照)中の各々のワクチン試料の3連の連続1:2希釈液でコーティングした。標準として、バキュロウイルスで発現された組換え精製Cal09 N1を、16μg/mlの既知の濃度から始めて、同一の様式でコーティングした。プレートを4℃で一晩インキュベートした。使用した一次抗体がmAb 4A5であり、3μg/mlの一定濃度(3%ミルクTPBS中、100μl/ウェル)で添加されたことを除いて、一般的なマウスELISAプロトコル(上で詳述されている)を実施した。ELISAデータをMicrosoft Excelに移し、各々の3連の読取値の平均を計算し、最も線形である各々の試料曲線の部分を(R-2乗回帰分析を用いて)決定するために、点をプロットした(希釈対OD読取値)。組換えCal09曲線については、この最良適合線形方程式を用いて、4つのワクチン製剤の未知のN1濃度を計算した。これらの値を平均化した。これは、図7Bに報告されている。
(6.1.3 結果)
(6.1.3.1 組換えNAタンパク質の発現)
インフルエンザウイルスNAは、動物モデルでインフルエンザウイルスHAと関連させて投与したとき、免疫優性であることが分かっている(28〜30)。したがって、バキュロウイルス発現NA抗原を用いて、異なるNAの防御の効力及び幅を調べた。組換えNA(rNA)は、精製を容易にするN末端ヘキサヒスチジンタグ、最適なフォールディングを保証する四量体化ドメインを含み、細胞上清中に分泌されて、翻訳後修飾が小胞体及びゴルジネットワークで起こるのを可能にする(24、25)。全てのNAが高純度で得られ、酵素活性を示した(図15及び図16)。発現レベルは、培養物1リットル当たり約0.1〜5mgと様々であった。
(6.1.3.2 組換えインフルエンザウイルスNA免疫原はマウスを同種ウイルス攻撃から防御する)
N1、N2、及びB NAの防御効力を評価するために、マウスに、3週間間隔で、PR8由来のN1 NA又はHK68由来のN2 NA又はYam88由来のB NAを2回ワクチン接種した。NAベースの防御に対する粘膜免疫と全身免疫の寄与が不明であったので、ワクチンをIM及びIN投与した(5μg、各々5μgのポリI:Cアジュバントが添加された)。追加免疫から4週間後、動物を10 mLD50の同種ウイルス又はYam88については1.1×106 PFUで攻撃した。PR8 N1を投与された動物は体重減少及び死亡から完全に防御され、一致した不活化全ウイルスワクチンを投与された陽性対照動物に匹敵したが(図1A及び図1D)、BSA又はrN2をワクチン接種された対照動物は急速に体重を減らし、それぞれ、感染後8及び9日目までに感染のために死亡した。同様に、HK68 N2をワクチン接種された動物は、同種致死HK68/X-31攻撃から完全に防御されたが、対照動物(BSA及びrN1をワクチン接種したもの)は、体重を減らし、7日目までに感染のために死亡した(図2A及び図2C)。N2ワクチン接種は、感染後3日目に、これらのマウスの肺におけるウイルス感染を有意に低下させ、5匹のマウスのうちの1匹しか、感染後6日目に、肺に検出可能な量のウイルスを有しなかった(図3B)。N2ワクチン接種は−不活化同種ウイルスによる2回のワクチン接種が誘導するようには−殺菌免疫を誘導しなかったが、BSA対照群と比較したとき、3日目に1,000倍及び6日目に100,000倍、肺力価を低下させた。最後に、組換えYam88 B型インフルエンザNAによるワクチン接種は、Yam88による非致死的攻撃を完全に防御したが、対照動物(BSA及びrN2をワクチン接種したもの)は、その初期体重の約20%を減らし、わずか80%の生存率しか有さず(図4A及び図4D)、B型インフルエンザNAがA型インフルエンザNAと同じぐらい防御的であることを示した。
(6.1.3.3 防御はNA反応性抗体によって媒介される)
防御機構を調べるために、精製した全ウイルスを基質とするELISAを用いて抗NA力価を測定した。3つ全ての例において、同種ウイルスに対する高レベルの反応性が検出された(図1G、図2E、及び図4G)。この抗体応答の機能性を評価するために、それぞれの同種ウイルスに対するNI力価がELLAを用いて決定され、3つ全ての例で高い活性を示した(図1J、図2G、及び図4J)。寄与する防御機構としての抗体の役割を確認するために、受動移入攻撃実験を実施した。HK68/X-31不活化全ワクチンを2回ワクチン接種した陽性対照群、rN2を投与された群、及びBSAを投与された群由来の血清を、それぞれ、3組の未感作マウスに移入した。移入して2時間後、動物を5 mLD50のHK68/X-31ウイルスで攻撃した。N2マウスと陽性対照マウスの間で体重減少の違いは観察されず;両群ともその初期体重の約10パーセントの体重減少を示し、両群のマウスは全て感染から生き残ったが、対照マウスは急速に体重を減らし、感染後8日目に感染のために死亡した(図3A)。
(6.1.3.4 粘膜NAワクチン接種は筋肉内NAワクチン接種よりも良好な防御を付与する)
任意の理論に束縛されるものではないが、NA抗体は、インフルエンザウイルスの生活環の少なくとも2つの重要な段階:感染した細胞からのウイルス放出(9)及び入ってくるウイルス粒子の粘膜上のムチンを通した輸送(9、31)に影響を及ぼし得る。したがって、鼻腔内ワクチン接種も粘膜抗体を誘導するので、筋肉内ワクチン接種の有効性と鼻腔内ワクチン接種の有効性を比較した。マウスの鼻腔内又は筋肉内にrN2を3週間間隔で2回ワクチン接種した(投与1回当たり5μgのrN2+5μgのポリI:C)。対照動物は、IN又はIM投与により、BSA(IN及びIM)又はrN1を投与された。ワクチン接種から4週間後、マウスを10 mLD50のHK68/X-31で攻撃した。ワクチン接種後4〜7日目に、体重減少のわずかな違いを観察することができたものの、IN経路とIM経路の間の統計的に有意な違いを立証することはできなかった(図3C)。rN2ワクチン接種動物(INワクチン接種動物とIMワクチン接種動物の両方)は全て、感染から生き残ったが、対照動物は全て、ワクチン接種経路にかかわらず、感染のために6〜7日目に死亡した。25 mLD50のより高い攻撃用量で実験を繰り返し、INワクチン接種がIMワクチン接種よりも有意に良好な体重減少に対する防御をもたらした(図3D)。しかしながら、全身の抗N2抗体レベルは3つの実験群で類似しており、NAベースの防御における粘膜免疫、おそらくは、粘膜IgAの重要な役割を示唆している(図3E)。
(6.1.3.5 NA免疫原は、異種A型インフルエンザウイルス攻撃に対して部分的に防御するが、異種亜型A型インフルエンザウイルス攻撃に対して防御しない)
NAベースの免疫がもたらすことができる幅を評価するために、動物にPR8 N1をワクチン接種し、その後、5 mLD50のNL09 H1N1(2009年のパンデミック株)又はVN04 H5N1のいずれかで攻撃した。どちらのウイルスも、ヒトN1クレードに分類されるPR8 N1とは異なるN1クレードに属するN1 NAを保有している(9)。PR8 N1は、体重減少に対する部分的防御(BSA及びN2対照動物と比較した場合)並びに死亡に対する部分的防御(どちらも場合も80%生存)を提供することができた(図1B、図1C、図1E、及び図1F)。しかしながら、より高い用量(10 mLD50)のNL09ウイルスで攻撃したとき、PR8 N1ワクチン接種マウスは全て感染のために死亡し、交差防御の限界を示した。精製したNL09及びVN04ウイルス粒子に対する比反応性を、観察された交差防御を説明する可能性があるELISAにより検出した(図1H及び図1I)。しかしながら、低い比NI活性しかNL09に対して検出することができず、VN04については、バックグラウンドを上回る活性が検出されなかった(図1K及び図1L)。N2の交差反応性を、14年間の抗原連続変異によってHK68から離れている異種Phil82 H3N2株を用いて試験した。5 mLD50用量のウイルスで攻撃された動物は、死亡から完全に防御されたが、約80%の体重減少を示した(図2B及び図2D)。10 mLD50のより高い攻撃用量では、生存が20%にまで急落した。HK68 N2血清は、ELISAでのPhil82ウイルスに対する低い比交差反応性と、検出可能ではあるが、低いNI活性とを示した(図2F及び図2H)。
上記の実験において、rN2ワクチン接種マウスを、N1 NAを発現するウイルスによる攻撃の対照として使用し、その逆も行ったが、これらの対照で防御は観察されなかった。これにより、N1とN2の間に異種亜型免疫が存在しないことが示された。しかしながら、現在、既知の真のA型インフルエンザNA亜型(証明されたNA酵素活性を有するもの)の9つの亜型が存在し、これらのうちのいずれかがN1 NA又はN2 NAのどちらかと防御的エピトープを共有するかどうかは不明確であった。これらのNA亜型のうちのいずれかが防御的エピトープを共有するかどうかを調べるために、マウスに、rN3、rN4、rN5、rN6、rN7、rN8、又はrN9 NAを2回ワクチン接種し、それらを5 mLD50のPR8(H1N1)又はHK68(H3N2)のいずれかで攻撃した。全ての動物がそれぞれのNAに血清転換したが(図17)、PR8(図5A)又はHK68(図5B)による感染の後、急速に体重を減らした。生存は、ほとんどの場合、0%であったが、rN5及びrN7 PR8攻撃群並びにrN6 HK68攻撃群では、生存が20%(動物1匹)であった。しかしながら、動物の低いパーセンテージの生存は、5 mLD50の攻撃用量で予想される。任意の理論に束縛されるものではないが、これらのデータは、A型インフルエンザウイルスNAによるワクチン接種が異種亜型免疫を誘導しないことを示している。
(6.1.3.6 B型インフルエンザNAによるワクチン接種は異種ウイルス攻撃に対する幅広い防御を誘導する)
B型インフルエンザウイルスHA及びNAの遺伝的多様性は、A型インフルエンザウイルスと比較して限定されている(9、32)。B型インフルエンザウイルスに対するNAベースの免疫の幅を評価するために、動物に、山形系統の系統規定株であるYam88由来のNAをワクチン接種した。その後、これらの動物をVic87及びMal04で攻撃した−どちらのウイルスも(HAに基づくと)抗原性が異なるビクトリア系統に属する。興味深いことに、これら2つの異種株による攻撃の後、Yam88 NAによるワクチン接種は体重減少及び死亡に対して防御した(図4B、図4C、図4E、及び図4F)。両方のウイルスに対するNA交差反応性を検出することができたが、Vic87に対する反応性がMal04に対する反応性よりも大きかった(図4H及び図4I)。Yam88 NAワクチン接種は、Vic87に対する強力なNI力価を誘導した(図4K)。Mal04に対するNI活性は低かったが、依然として検出可能であった(図4L)。
(6.1.3.7 IIVはヒトで効率的にはN1及びN2反応性抗体応答を誘導しない)
以前の研究により、ヒトでのIIVに対する抗NA応答は低いことが示されている。ヒトでのIIVに対する抗NA応答を評価するために、組換えHA及びNAタンパク質に基づく定量的ELISA法を利用した。ワクチンのH1N1ワクチン成分はNC99であった。同種HA及びNA試薬を用いて、免疫を評価した。NC99 H1 HAに対する既存の免疫はベースラインで比較的高いことが分かり、ワクチン接種後に大きく増大した(24倍)(図6A及び図6E)。NC99 N1に対する既存の抗体レベルは低いことが分かり、ワクチン接種後に顕著には増大しなかった(1.1倍)(図6B及び図6E)。ワクチン株のH3N2成分は、A/ワイオミング/3/03であった。しかしながら、同種試薬がなかったために、密接に関連するH3N2株であるA/パナマ/2007/99のHA及びNAタンパク質を利用した。H3ベースライン力価は、H1のベースライン力価よりも低く、ワクチン接種は、6.4倍の誘導をもたらした(図6C及び図6E)。N2ベースライン力価は、N1のベースライン力価よりも高く、ワクチン接種により2倍増加した(図6D及び図6E)。IIVは、ワクチンの両方のA型インフルエンザ成分について、NAに対するよりも有意に強いHAに対する免疫応答を誘導し、H1N1についてはp=0.0003、H3N2についてはp=0.0240であった(図6E)。
(6.1.3.8 不活化インフルエンザウイルスワクチンのN1 NA含有量には大きなばらつきがある)
HA抗体と比較したときの抗NA抗体の誘導におけるIIV中に存在するNAの量の役割を評価するために、N1 NA含有量を現在のIIVで定量した。N1に広範に反応するモノクローナル抗体4A5(図18)を用いて、4つの2013〜2014年の季節性ワクチンの半定量的ウェスタンブロット解析を定量して、それらのN1含有量を測定した。4つのワクチンのうちの3つが強いNAレベルを示した一方で、1つのワクチンFlucelvax(Novartis)だけは非常に弱いバンドを示した(図7A)。興味深いことに、主要なバンドは50〜80kDaの間を泳動しているが、多数のかつ多様な高分子量の種が3つの卵由来ワクチンで検出された(図7A)。試験した4つのワクチンのN1 NA含有量を、ELISAベースのアッセイ及び線形回帰を用いて定量した。最も大きいN1 NA含有量は、Fluzone(10.5μg/ワクチン用量)で測定され、Fluvirin(5.0μg/ワクチン用量)及びFluLaval(4.4μg/ワクチン用量)が続いた。細胞培養物由来のFlucelvaxは、最小限の量のNA(0.02μg/ワクチン用量)しか有しないように思われた。1つの細胞培養物由来ワクチン(2014年/2015年の時点で市販されている唯一のもの)しか試験しなかったので、このワクチンの低いN1含有量がウイルスの産生方法に起因するのか、又は産生プロセスの下流の工程に起因するのかは不明確である。
(6.1.4 考察)
ワクチン抗原としてのインフルエンザウイルスNAの交差防御潜在力を評価しようとして、組換えNAの様々な亜型をバキュロウイルス系で発現させ、これを用いて、同種、異種、又は異種亜型ウイルス攻撃による致死攻撃の前にマウスにワクチン接種した。N2で免疫したマウスは、同種攻撃で罹病及び死亡から完全に防御され、ウイルス肺力価の顕著な低下を示した。連続変異株による異種攻撃は罹病をもたらしたが、死亡はもたらさなかった。同様の結果は、N1 NAによる攻撃実験についても得られた。B型インフルエンザNA(B/山形/16/88由来)で免疫したマウスは、同種株を亜致死感染させたとき、罹病を示さず、かつ重要なことに、ビクトリア系統株及びつい最近の山形系統株で致死攻撃したとき、罹病及び死亡から完全に防御された。ウェスタンブロット及びELISA定量による2013〜2014年シーズンの4つの異なる不活化ワクチン製剤におけるNA含有量の解析は、ワクチン銘柄にわたるNAの量が実際には様々であることを示した。2004〜2005年の3価の不活化された季節性インフルエンザワクチンを投与された個体由来のワクチン接種前後のヒト血清試料におけるHA及びNA終点力価を測定した:NA力価の誘導は、HA力価の誘導よりも統計的にあまり顕著ではなかった。任意の理論に束縛されるものではないが、組換えNAの同種及び異種防御能力の証明により、ワクチン製剤を標準量のNAで補完することが、インフルエンザウイルス感染に対する防御の増大を提供し得ることが示唆される。
季節性とパンデミックの両方の不活化インフルエンザウイルスワクチンは、その含まれる主要な表面糖タンパク質HAの量に基づいて規格化される(8)。したがって、インフルエンザウイルスワクチンの効力を評価するために、HAベースの防御の代替的測定値であるHI活性のみが使用される(33)。重要なことに、IIVは、比較的狭い免疫応答を誘導するに過ぎず、防御は、ワクチン株と密接に関連するウイルス株にほぼ限定される(4〜6)。NAに対するヒトでのIIV誘導性免疫応答は、HAに対する応答よりも顕著に弱い(9、22、27〜29、34)。本実施例は、対応するHAに対する高い抗体誘導にもかかわらず、場合によっては、NAに対する応答を全く検出することができないことを示している。HAの免疫原性と比較してNAの免疫原性が低い一因となり得るいくつかの要因がある。第1に、両方の抗原を同時に投与したとき、NAは、HAに対して本質的に免疫亜優性であるように思われる(22、28、29)。第2に、HAは、NAよりもウイルス表面に豊富に存在し(35)、第3に、NAは、ワクチンの製造中に、ある程度失われる可能性がある。第3の要因を調べるために、2013/14年シーズンから3つの製造元により生産されている4つの認可されたIIVのN1 NA含有量を評価した。興味深いことに、卵由来ワクチンは全て、安定した量のNAを有していたが、細胞培養物由来調製物は、最小限の量のN1しか含有していなかった。任意の理論に束縛されるものではないが、ほとんどの認可されたIIVは(上の図6でヒトHA及びNA力価を測定するために使用されたものを含め)卵由来であるので、ワクチンの低いNA含有量は、低い免疫原性の説明としては可能性が低い。
NAに対する強力な免疫応答が同種ウイルス株と異種ウイルス株の両方に対する防御に寄与し得るという仮説が立てられている。マウスにおける組換えNAベースの免疫原を用いて、NAの防御能を調べた。興味深いことに、不活化全ウイルスによるワクチン接種に匹敵する、同種攻撃に対する強力な防御が見られた。ワクチンを鼻腔内投与したとき、罹病及び死亡に対する完全な防御が高い攻撃用量でさえも観察された。筋肉内ワクチン接種もやはり、高い攻撃用量で死亡に対する十分な防御をもたらしたが、顕著な体重減少が観察され、粘膜免疫がNAベースの防御において重要な役割を果たし得ることを示唆した。全ウイルス不活化ワクチンとは対照的に、NA抗原によるワクチン接種は、殺菌免疫を生じさせるのではなく、肺力価を大幅に低下させたが、これは、ヒト及び動物モデルでの歴史的な研究と一致している(10、20)。しかしながら、全ウイルスワクチンによる2回のワクチン接種は、殺菌免疫を誘導するのに必要であった。任意の理論に束縛されるものではないが、NAベースの防御に対する細胞性免疫の寄与を排除することはできないものの、ワクチン接種マウス由来の血清の受動移入が未感作マウスを攻撃から防御したので、液性免疫は防御に十分である。
以前の研究により、A型インフルエンザウイルスNAの間で高度に保存されているエピトープが同定されている(36)。このエピトープを認識する抗体は、B型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの阻害にも有効であった(36、37)。しかしながら、この抗体は、特異的な抗NA抗体と比較して比較的低い有効濃度を有しており(15、36、37)、同じエピトープに対する類似の抗体を自然感染又はインフルエンザウイルスワクチンによるワクチン接種によって誘導することができるかどうかは不明である。N3〜N9 NAによるワクチン接種は、H1N1攻撃に対する防御免疫もH3N2攻撃に対する防御免疫も誘導しなかった。また、N1抗原は、N2発現ウイルスによる攻撃に対して防御しなかった(逆も同じであった)。しかしながら、A型インフルエンザウイルスについての限られた異種(亜型内)交差防御が観察された。初期のヒト分離株由来のN1抗原は、パンデミックH1N1株及びH5N1株による攻撃に対して部分的に防御した。これらの株はどちらも、ヒトN1系統とは系統発生学的に異なる鳥型N1 NAを保有する(9)。この発見は、N1交差反応性モノクローナル抗体(15)及びH1N1曝露によって誘導されるH5N1に対する交差防御(13、14、16、17、38)に関する報告によって支持される。N2免疫原についての、死亡に関する、十分な交差防御は、14年間連続変異してきたH3N2株でマウスを攻撃したときに観察された。この交差防御は、より低い攻撃用量に限られ;高い攻撃用量では、N1についてもN2についても、交差防御が観察されなかった。交差防御は、B型インフルエンザウイルスについて観察され; Yam88(山形系統)由来のNA免疫原は、2つのビクトリア系統株に対して十分に防御することができた。重要なことに、B型インフルエンザNAは、B型インフルエンザHAが2つの系統に分岐したように、2つの系統に分岐していない。
結論として、NAベースの免疫は、マウスにおける同種インフルエンザウイルス感染に対して強力な防御をもたらすことができる。交差防御は同じ亜型内に限定され、HAストーク反応性抗体で見られるような亜型間防御は示されない(27、39)。しかしながら、2014〜2015年シーズンと同様、ワクチンが一致しない場合、亜型特異的交差反応性抗体は、連続変異した季節性ウイルスに対する防御に寄与する可能性を有する(40)。任意の理論に束縛されるものではないが、強力なN1及びN2ベースの免疫は、H2N2又はH5N1などの、N1 NAの異種N2を保有し得る新しいパンデミックウイルスの場合に有益であり得る。現在の季節性IIVは、NAに対する強力な免疫を誘導する際に準最適である。任意の理論に束縛されるものではないが、ヒトが感作されていない新規のHA球状ヘッドドメイン又はキメラHAとの関連でNAを提示することにより、それをより免疫原性にすることができる(7、22)。或いは、IIVを精製NAで補完することができ、又は精製NAを、IIVに加えた、追加のワクチンとして投与することができる。
(6.1.5 実施例1で引用された参考文献)
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(6.2 実施例2:インフルエンザウイルスワクチン中のNAに対する免疫応答の増強)
インフルエンザウイルス感染は、世界的に大きな公衆衛生問題であり続けている。現在のインフルエンザウイルスワクチンは、主に、主要なウイルス表面糖タンパク質である血球凝集素(HA)の免疫優性球状ヘッドドメインに対する中和抗体を誘発することによって防御すると考えられる。これらの抗体は株特異的であり、受容体結合部位の近く又は受容体結合部位に付着し、細胞受容体へのウイルス粒子の付着を阻止し、それにより、感染を予防する。血球凝集素のヘッドに対する抗体は、「抗原連続変異」(Palese及びShawの文献、2006、フィールズのウイルス学(Fields Virology)、Philadelphia, Lippincott Williams & Wilkins, 1648-1689)として知られるプロセスである、規定の抗原性部位での固定された突然変異の選択を生じさせる免疫原性の圧力を提供する。新しいインフルエンザウイルスがヒト集団で生じるのはこのプロセスを通じてであり、これこそが、次のインフルエンザシーズンに循環すると考えらえる株に対する防御を提供するために、ワクチンを毎年更新しなければならない理由である。さらに、複数の亜型のインフルエンザウイルス株がヒト集団で同時に循環している。1つの株に対する従来のワクチンによって誘発される抗体は、他の異なる株、連続変異株、又は他の亜型に対して十分に交差防御性ではない。したがって、通常の季節性インフルエンザウイルスワクチンは、H1及びH3という2つのA型インフルエンザ株、さらに、B型インフルエンザ株に対して防御する抗原を含有しなければならない。
インフルエンザHAに対する優性な免疫応答は、糖タンパク質の「ヘッド」に対する、特に、規定の抗原性領域(抗原性部位)に対するものである。これらの部位に対する抗体は、極めて強力であることが知られており、宿主基体に対するウイルスの結合を中和することができる。免疫応答は、糖タンパク質の膜近傍部分である、インフルエンザウイルスHAの免疫亜優性な「ステム」又は「ストーク」に対するものでもあり得る。ストークに対する抗体は、通常、ヘッドドメインに対する抗体よりも強力でないが、これらは、ストークドメインの保存された性質のために、広域防御性である。
ノイラミニダーゼ(NA)という第2のウイルス表面糖タンパク質に対する抗体は、インフルエンザウイルス攻撃に対して非常に防御的であることができる(実施例1、第6.1節を参照)。抗NA抗体は、NA亜型内での大幅かつ広域な交差反応性をもたらす(実施例1、第6.1節を参照)。マウスモデルにおいて、分離株A/PR/8/34(H1N1)由来の組換えN1 NAは、同種ウイルス株による攻撃に対して防御することができ、パンデミックH1N1及びH5N1攻撃に対しても防御的であった(実施例1、第6.1節を参照)。同様に、A/香港/1/68(H3N2)由来のN2 NAは、連続変異した変異体A/フィリピン/2/82(H3N2)による攻撃に対して防御することができた。最も強い効果は、B/山形/16/88由来の組換えB型インフルエンザNAで見られ、これは、異なるB型インフルエンザウイルス分離株による攻撃に対して交差防御した(実施例1、第6.1節を参照)。
したがって、NAは、広域防御性抗原としていくつかの異なる方法で使用することができる(図8)。HAとの関連において、ウイルスNAは免疫学的に亜優性であり、大部分の免疫応答は、HA球状ヘッドドメインに対するものである。任意の理論に束縛されるものではないが、NAに対する免疫応答は、NAをキメラHAワクチンとの関連で提示して、HA球状ヘッドドメインの免疫優性を破壊することにより増強され、それにより、HAストークドメイン及びNAに対する免疫応答を増強する(図8B及び図9)。これとの関連において、NAは、キメラHAワクチンを調製するために使用される不活化ウイルスに由来するか、又はさらなるNAを付加することができる(図8B)。
例えば、cH9/1を発現するB型インフルエンザウイルス(図9のワクチン接種スキームでは「B-cH9/1」とも称される)で免疫し、cH8/1を発現する弱毒化生A型インフルエンザウイルス(N1亜型)(図9のワクチン接種スキームでは「cH8/1-LAIV」とも称される)で追加免疫し、cH5/1を発現する不活化A型インフルエンザウイルス(N1亜型)(cH5/1-IIV)(図9のワクチン接種スキームで「cH8/1 LAIV-cH5/1 IIV」とも称される)で追加免疫したフェレットは、3価インフルエンザウイルスワクチン(図9のワクチン接種スキームで「TIV」とも称される)で免疫したフェレット又はB-cH9/1で免疫し、cH8/1を発現する不活化A型インフルエンザウイルス(N1亜型)(図9のワクチン接種スキームで「cH8/1-IIV」とも称される)で追加免疫し、cH5/1-IIV(図9のワクチン接種スキームで「cH8/1 IIV-cH5/1 IIV」とも称される)で追加免疫したフェレット、又はB-cH9/1のみで免疫したフェレットと比較して増強したインフルエンザウイルス抗NA(N1亜型)力価を示した。図9及び図10を参照されたい。特に、H8/1 LAIV-cH5/1 IIVワクチン接種スキームにおける抗NA力価は、第1及び第2の追加免疫の後、cH8/1 IIV-cH5/1 IIVワクチン接種スキームにおける抗NA力価と比較して増大した(図10の「cH8/1 IIV後」と「cH8/1 LAIV後」、及び「cH5/1 IIV後」と「cH5/1 IIV後」を比較されたい)。B-cH9/1で免疫し、cH8/1 IIVで追加免疫したフェレット、及びB-cH9/1で免疫し、cH8/1-LAIVで追加免疫したフェレットは、TIVと比較して増大した抗N1力価を有していた。通常の不活化インフルエンザウイルスワクチンを投与されたフェレットは、増大した抗NA力価を有していなかった(図10B)。
任意の理論に束縛されるものではないが、NAに対する免疫応答は、NAをHAストーク抗原(例えば、ヘッドレスHA)と併用して、防御の幅及び効力を増強することにより増強される(図8C)。任意の理論に束縛されるものではないが、NAに対する免疫応答は、NAを単独ワクチン(アジュバント添加又はアジュバント無添加、図8D)として使用することにより増強される。任意の理論に束縛されるものではないが、NAに対する免疫応答は、NAを通常の不活化インフルエンザウイルスワクチンに添加することにより増強される(図8E)。
NAは、例えば、組換えウイルスベクターにより、N末端四量体化ドメイン及びヘキサヒスチジンタグを有する可溶性NAタンパク質として、全長組換えタンパク質として、ウイルス様粒子として、又はキメラHAベースのワクチンと一緒に、直接インフルエンザウイルスによって発現させることができる。NAベースの免疫を増強するためのワクチン接種戦略(図8)を用いて、ワクチン調製物に含まれるNA亜型を有するウイルスを幅広く防御するヒト及び動物用の万能インフルエンザウイルスワクチンを調製することができる。NAに基づくワクチンは、高力価の抗NA抗体を誘導するキメラHAベースの万能ワクチン、NAで補完した万能インフルエンザウイルスワクチンコンストラクト(例えば、キメラHAもしくはヘッドレスHAベースのもの)、「単独」ワクチン、又はNAで補完した通常の季節性不活化ワクチンであることができる。さらに、NAは、通常のTIV(FluNhance - Protein Sciences)に対する添加物として利用することができる。さらに、ワクチンの効力を向上させるために、LAIV又はDNAワクチン一次免疫と、それに続く、IIV追加免疫のワクチン接種戦略を利用することができる。任意の理論に束縛されるものではないが、LAIV又はDNAワクチンは、非常に多くの場合、測定可能な血清転換を伴うことなく、対象を免疫学的に一次免疫し、その後、この免疫応答を、IIV追加免疫を投与することにより、後に再現することができる。
従来のインフルエンザウイルスワクチンは、ウイルスHAの球状ヘッドドメインに対する株特異的抗体を誘発する。これらの抗体は、それに対して惹起されるインフルエンザウイルス株を強力に中和するものの、同じインフルエンザウイルス亜型のわずかに連続変異した変異体を認識することができない。したがって、従来のインフルエンザウイルスワクチンは、循環している株に対して毎年更新/調整されなければならない。本明細書に記載されるワクチン接種戦略は、亜型特異的な(例えば、N1、N2、B NAなど)幅広い防御の基盤を形成することができるウイルスNAに対する抗体を誘導することを目的としている。NAは、最も重要なことに、キメラHAベースのワクチン、HAストークベースのコンストラクトと一緒に、「単独」ワクチンとして、又は既存の季節性インフルエンザウイルスワクチンの補完物として使用することができる。任意の理論に束縛されるものではないが、そのようなワクチンであれば、1回もしくは2回のワクチンの投与によって、多くのインフルエンザウイルス株に対して防御し、より長いワクチン接種間の間隔を可能にするであろうし、又は毎年改めてワクチン接種する必要性をなくしすらするであろう。
(6.3 実施例3:ストーク免疫は自然獲得感染後のインフルエンザウイルス複製を低下させる)
現在認可されている不活化及び弱毒化生インフルエンザウイルスワクチンは、インフルエンザウイルス感染の負荷を軽減することが証明されている。しかしながら、季節性インフルエンザの流行は今も全世界的に起こり、 重大な罹病(13)及び死亡(2)をもたらしている。これらの認可されたワクチンによって誘導される液性応答は、通常、血球凝集素(HA)の免疫優性球状ヘッドドメインに重点を置いており、それぞれのワクチン株に特異的であるが、抗原が連続変異したインフルエンザウイルス株に対しては準最適である。したがって、毎年のインフルエンザウイルスワクチン接種は、抗原性が「動く標的」とペースを合わせる必要がある(18)。現在認可されているワクチンのこうした制限は、予想するのが難しいパンデミックインフルエンザウイルス株の出現によってさらに複雑になる。2009年のH1N1インフルエンザパンデミックの時がそうであったように(3、4)、パンデミックの出現時には、商業的なワクチン製造の方針転換がウイルスの拡散を制限するのに十分に時宜に適う形で行われる可能性は低い。HA特異的な万能インフルエンザウイルスワクチンは、液性免疫応答の重点を、抗原性は保存されているが、免疫亜優性なストーク領域に置いており、それにより、これらの制限を克服している。ストーク特異的抗体応答を刺激する万能ワクチンであれば、同種及び連続変異インフルエンザウイルス株に対する防御を付与し、毎年のインフルエンザワクチンの再製剤化の必要性をなくし、かつパンデミックの可能性を有するインフルエンザウイルスに対する増大した防御を付与するであろう(8、17、19)。フェレットモデルでのエアロゾル伝染によるインフルエンザウイルス感染に対する血球凝集素ストークベースの免疫により付与される防御のレベルを評価した。これは、自然な感染経路に相当する。
5カ月齢の雄のフィッチフェレット(Triple F Farms; Sayre PA)を、以前に記載されているようなキメラ血球凝集素(cHA)を発現するウイルスベクターで免疫した(6)。フェレット(n=4)を、鼻腔内感染により、2×107PFUのcH9/1 HAを発現するB型インフルエンザウイルスベクター(B-cH9/1)で一次免疫した。その後、フェレットを、1×107PFUのcH5/1 HAを発現する組換えVSVベクター(VSV-cH5/1、0.5ml、筋肉内)の筋肉内投与によって追加免疫し、その後、1×109PFUのcH6/1 HAを発現する複製欠損組換えアデノウイルス5ベクター(Adv-cH6/1、鼻腔内投与及び筋肉内、それぞれ0.5ml)で第2の追加免疫を行った(6)。任意の理論に束縛されるものではないが、同じ保存されたストークドメインを有するが、異なるヘッドドメインを有する免疫原による連続的なワクチン接種によって、高レベルのストーク反応性抗体を特異的に誘導することが可能である。対照フェレット(n=4)に、同じ空のウイルスベクターを、同じ免疫付与経路により、同じ順序で投与した。表示されたウイルスベクターによって発現された血球凝集素球状ヘッドに対する免疫フェレットの血清転換を血球凝集阻害(HI)アッセイにより評価した(1、16)。cH9/1を発現するB型インフルエンザウイルスによるフェレットの一次免疫は、検出可能な血清応答を生じさせたが(表1)、血清転換は、VSV-cH5/1 HAで追加免疫した後にも、Adv-cH6/1で追加免疫した後にも、HIによって検出されなかった。重要なことに、ワクチンレジメンの過程において、ストーク免疫フェレット及び対照免疫フェレットは、パンデミックH1球状ヘッドドメインに対するHI力価を生じなかった(表1)。
表1
*HI力価は幾何平均力価(±S.D.)として報告されている
一次免疫/追加免疫ワクチン接種の後、ストーク免疫フェレット及び対照免疫フェレットを、エアロゾル伝染のみが起こるのを可能にする条件下で106PFUのパンデミックH1N1インフルエンザウイルスA/カリフォルニア/4/2009に直接感染させたフェレットと一緒に共同飼育した(図11)。しかしながら、ストーク免疫フェレット及び対照免疫フェレットは同じチャンバーで維持され、これら2匹の動物の間での接触伝染が可能であった(図11)。その後、感染から2、4、6、8、及び10日目に、プラークアッセイによるウイルス力価の決定のために、直接感染及びエアロゾル接触由来の鼻洗浄液を採取した。パンデミックH1N1インフルエンザウイルスによる未感作フェレットの直接的な鼻腔内感染は、感染後2日目に高いウイルス力価(5.7 log10 PFU/mLの平均値)を生じさせ、これは、感染後6日目までに検出限界未満に下落した(図12)。対照免疫フェレットは全て感染するようになり、最大の鼻洗浄液力価(感染後6日目に、6.0 log10 PFU/mLの最大平均値)を伴って、感染から2〜8日後に(エアロゾル接触から1〜7日後に)、ウイルスを均一に放出した。ストーク免疫フェレットは全て感染するようになったが、あまり均一にはウイルスを放出しなかった。重要なことに、ストーク免疫フェレット由来の鼻洗浄液試料中で検出されたウイルス力価は、対照免疫フェレットの場合よりも大幅に低かった(感染後8日目に、3.8 log10 PFU/mLの最大平均値)。さらに、ストーク免疫フェレットがインフルエンザウイルスを放出する時間枠(感染後6〜10日)は、対照ワクチン接種フェレットと比較して遅延していた。ウイルスが、エアロゾル感染させた対照ワクチン接種動物からそのストークワクチン接種メイトへの直接的な接触によって伝染することもできたので、実験設計(図11)は、純粋なエアロゾル伝染の評価を可能にするものではなかった。ストークワクチン接種フェレットにおけるウイルス複製の開始の遅延に基づくと、この群は、実際には、直接感染させた動物からのエアロゾルによってではなく、そのケージメイトからの接触によって感染した可能性がある。この結果は、ストークワクチン接種が、実際に、エアロゾル経路による感染から防御し得ることを示唆している。ストーク免疫フェレット及び対照免疫フェレットは、エアロゾル伝染実験時に、最小限の体重減少を示した(データは示さない)。
cHAベースの万能インフルエンザウイルスワクチン戦略は、容易に検出可能なレベルのH1ストーク反応性抗体応答を刺激した(cHAワクチン接種、攻撃前;図13)。エアロゾル伝染後のH1N1感染は、これらのH1ストーク反応性抗体応答に対する追加免疫効果を有していた(cHAワクチン接種、攻撃後;図13)。ストーク反応性抗体におけるこの追加免疫(約3倍)は、将来の感染に対する幅広い防御をさらに増強し得る。重要なことに、未感作フェレット又は対照免疫フェレット由来の血清は、検出可能なレベルのH1ストーク反応性抗体を欠いていた。
本研究では、インフルエンザウイルス伝染のフェレットモデルを用いて、エアロゾル伝染経路によるパンデミックH1N1の自然感染に対するグループ1のHAストーク特異的抗体によって付与される防御のレベルを評価した。ストーク反応性抗体を誘導するキメラHAを発現するウイルスベクターで動物にワクチン接種する万能インフルエンザウイルスワクチン戦略を用いて、フェレットを免疫した。このエアロゾル伝染研究により、グループ1ストーク特異的抗体が、インフルエンザウイルスのエアロゾル伝染経路による感染の後に、HAストーク免疫フェレットの鼻腔から出てくるインフルエンザウイルスの規模及び持続期間を減らすことができることが明らかになった。任意の理論に束縛されるものではないが、実験の設定及び伝染の遅延を考慮すると、ストークワクチン接種フェレットは、エアロゾル伝染から防御される可能性があったが、その同じケージメイトとの直接的な接触によって感染するようになった。これらのデータは、フェレットが、以前に観察されたように(6)、キメラHAによるワクチン接種の後、HAストーク反応性抗体を産生するというさらなる証拠、及びストーク反応性抗体が自然伝染経路によるインフルエンザウイルス感染からの防御をもたらすというさらなる証拠を提供するものである。重要なことに、血球凝集素ストーク免疫フェレットは、ブタモデルについて報告されているような抗体によって強化される疾患の臨床的兆候を示さなかった(5)。まとめると、これらの研究結果は、以前の観察結果(6、9〜11)と併せて、強力なHAストーク重点免疫を刺激する万能インフルエンザウイルスワクチン戦略がインフルエンザウイルス複製の重症度及び自然伝染経路のウイルス感染後の疾患負荷を軽減するという説得力のある証拠を提供している。本実施例に記載された最新の研究結果の新規性及び重要性は、ストーク特異的抗体応答を刺激するワクチンの開発及び研究所での万能インフルエンザワクチンに関する研究から臨床現場への移行を支持するものである(14)。
(6.3.1 実施例3で引用された参考文献)
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10. Krammer, F., N. Pica, R. Hai, G. S. Tan, and P. Palese. 2012. Hemagglutinin Stalk-Reactive Antibodies Are Boosted following Sequential Infection with Seasonal and Pandemic H1N1 Influenza Virus in Mice. Journal of virology 86:10302-10307.
11. Mallajosyula, V. V., M. Citron, F. Ferrara, X. Lu, C. Callahan, G. J. Heidecker, S. P. Sarma, J. A. Flynn, N. J. Temperton, X. Liang, and R. Varadarajan. 2014. Influenza hemagglutinin stem-fragment immunogen elicits broadly neutralizing antibodies and confers heterologous protection. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America.
12. Martinez-Romero, C., E. de Vries, A. Belicha-Villanueva, I. Mena, D. M. Tscherne, V. L. Gillespie, R. A. Albrecht, C. A. de Haan, and A. Garcia-Sastre. 2013. Substitutions T200A and E227A in the hemagglutinin of pandemic 2009 influenza A virus increase lethality but decrease transmission. Journal of virology 87:6507-6511.
13. Molinari, N. A., I. R. Ortega-Sanchez, M. L. Messonnier, W. W. Thompson, P. M. Wortley, E. Weintraub, and C. B. Bridges. 2007. The annual impact of seasonal influenza in the US: measuring disease burden and costs. Vaccine 25:5086-5096.
14. Oxford, J. S. 2013. Towards a universal influenza vaccine: volunteer virus challenge studies in quarantine to speed the development and subsequent licensing. British journal of clinical pharmacology 76:210-216.
15. Seibert, C. W., M. Kaminski, J. Philipp, D. Rubbenstroth, R. A. Albrecht, F. Schwalm, S. Stertz, R. A. Medina, G. Kochs, A. Garcia-Sastre, P. Staeheli, and P. Palese. 2010. Oseltamivir-resistant variants of the 2009 pandemic H1N1 influenza A virus are not attenuated in the guinea pig and ferret transmission models. Journal of virology 84:11219-11226.
16. Seibert, C. W., S. Rahmat, J. C. Krause, D. Eggink, R. A. Albrecht, P. H. Goff, F. Krammer, J. A. Duty, N. M. Bouvier, A. Garcia-Sastre, and P. Palese. 2013. Recombinant IgA is sufficient to prevent influenza virus transmission in guinea pigs. Journal of virology 87:7793-7804.
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19. Yewdell, J. W. 2013. To dream the impossible dream: universal influenza vaccination. Current opinion in virology 3:316-321.
(6.4 実施例4:季節性ワクチンと他のワクチンとの比較)
(実験1:)
第1群のフェレットに、H5インフルエンザウイルス(例えば、A/ベトナム/1203/04)のHA球状ヘッドドメイン及びH1(例えば、A/カリフォルニア/4/2009)のステムドメインポリペプチド及びA/カリフォルニア/4/2009(H1N1インフルエンザウイルス)由来の可溶型インフルエンザウイルスノイラミニダーゼを含むキメラHAタンパク質を含むワクチン製剤を鼻腔内投与する。第2群のフェレットに、インフルエンザウイルスH1のHA及びインフルエンザウイルスN1のNAを含む季節性インフルエンザウイルスワクチン(例えば、不活化インフルエンザウイルスワクチン又は弱毒化生インフルエンザウイルスワクチン)を含むワクチン製剤を鼻腔内投与する。これら2つの群のフェレットにワクチン製剤を投与してから一定期間の後、両群のフェレット由来の血清を取得し、H1N1インフルエンザウイルス(例えば、A/カリフォルニア/4/2009もしくは1918パンデミックH1N1インフルエンザウイルス)又はH6N1インフルエンザウイルスに対する抗体力価について評価する。両群からの抗体力価を比較して、どちらの群がより高い抗体力価を有するかを評価する。フェレットの代わりとして、マウスを使用してもよい。さらに、代わりの投与経路として、鼻腔内ではなく、筋肉内を使用してもよい。さらに、アジュバントを、第1群の動物に投与されるワクチン製剤に添加してもよい。
動物にワクチン製剤を投与してから一定期間の後、これら2つの群の動物をH1N1インフルエンザウイルス(例えば、A/カリフォルニア/4/2009及び/もしくは1918パンデミックH1N1インフルエンザウイルス)又はH6N1インフルエンザウイルスで攻撃し、動物の健康を評価して、これら2つのワクチン製剤のうちのどちらがより優れた防御を動物に提供するかを理解することもできる。
(実験2:)
第1群のフェレットに、キメラHAとA/カリフォルニア/4/2009(H1N1インフルエンザウイルス)由来のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼポリペプチドとを含む非インフルエンザウイルスベクター(例えば、アデノウイルス又はVSV)(ここで、該キメラHAは、H5インフルエンザウイルス(例えば、A/ベトナム/1203/04)のHA球状ヘッドドメイン及びH1(例えば、A/カリフォルニア/4/2009)のステムドメインポリペプチドを含む)を含むワクチン製剤を鼻腔内投与する。第2群のフェレットに、インフルエンザウイルスH1のHA及びインフルエンザウイルスN1のNAを含む季節性インフルエンザウイルスワクチン(例えば、不活化インフルエンザウイルスワクチン又は弱毒化生インフルエンザウイルスワクチン)を含むワクチン製剤を鼻腔内投与する。これら2つの群のフェレットにワクチン製剤を投与してから一定期間の後、両群のフェレット由来の血清を取得し、H1N1インフルエンザウイルス(例えば、A/カリフォルニア/4/2009もしくは1918パンデミックH1N1インフルエンザウイルス)又はH6N1インフルエンザウイルスに対する抗体力価について評価する。両群からの抗体力価を比較して、どちらの群がより高い抗体力価を有するかを評価する。フェレットの代わりとして、マウスを使用してもよい。さらに、代わりの投与経路として、鼻腔内ではなく、筋肉内を使用してもよい。
ワクチン製剤を動物に投与してから一定期間の後、これら2つの群の動物をH1N1インフルエンザウイルス(例えば、A/カリフォルニア/4/2009及び/もしくは1918パンデミックH1N1インフルエンザウイルス)又はH6N1インフルエンザウイルスで攻撃し、動物の健康を評価して、これら2つのワクチン製剤のうちのどちらがより優れた防御を動物に提供するかを理解することもできる。
(8.等価物)
本明細書で引用されている全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各々の個々の刊行物又は特許出願が引用により組み込まれることが具体的にかつ個別に示されているかのように、引用により本明細書中に組み込まれている。
上述の発明は理解を明快にするために例説及び実施例によって少し詳細に記載されているが、本発明の教示に照らして、付随する特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、一定の変更及び改変をそれに加えることができることが、当業者には容易に明らかであろう。
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施態様によって範囲が限定されるべきない。実際、記載されているものに加え、本発明の様々な改変が、上述の説明及び添付された図面から当業者に明らかとなるであろう。そのような改変は、付随する特許請求の範囲の範囲内のものであることが意図される。