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JP2019084815A - 立体造形用粉末、樹脂粉末、及び立体造形物の製造方法 - Google Patents

立体造形用粉末、樹脂粉末、及び立体造形物の製造方法 Download PDF

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JP2019084815A JP2018119564A JP2018119564A JP2019084815A JP 2019084815 A JP2019084815 A JP 2019084815A JP 2018119564 A JP2018119564 A JP 2018119564A JP 2018119564 A JP2018119564 A JP 2018119564A JP 2019084815 A JP2019084815 A JP 2019084815A
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Abstract

【課題】粒子をより密に詰めることができ、得られる立体造形物の強度を向上することができる立体造形用粉末の提供。【解決手段】体積最頻粒径を構成する粒子(A)10と、前記粒子(A)の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する粒子(B)20と、を含み、前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかが、柱体形状であり、前記粒子(A)の体積平均粒径Mvと前記粒子(A)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)が、2.0以下であり、前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、110m2/kg以下である立体造形用粉末である。【選択図】図1

Description

本発明は、立体造形用粉末、樹脂粉末、及び立体造形物の製造方法に関する。
粉末床溶融(PBF:powder bed fusion)方式は、選択的にレーザーを照射して立体造形物を形成するSLS(selective laser sintering)方式や、マスクを使い平面状にレーザーを当てるSMS(selective mask sintering)方式などが知られている。
前記PBF方式は、レーザー光線を金属やセラミック又は樹脂の薄層に選択的にレーザーを選択的に照射することにより粉末を溶融接着させ、成膜した後、前記成膜した膜の上に別の層を形成して同様の操作を繰り返すことにより順次積層して立体造形物を得ることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
本発明は、粒子をより密に詰めることができ、得られる立体造形物の強度を向上することができる立体造形用粉末を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形用粉末は、体積最頻粒径を構成する粒子(A)と、前記粒子(A)の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する粒子(B)と、を含み、前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかが、柱体形状であり、前記粒子(A)の体積平均粒径Mvと前記粒子(A)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)が、2.0以下であり、前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、110m/kg以下である。
本発明によると、粒子をより密に詰めることができ、得られる立体造形物の強度を向上することができる立体造形用粉末を提供することができる。
図1は、本発明における立体造形用粉末の層形成状態の一例を示す概略図である。 図2Aは、略円柱体の粒子(A)の一例を示す概略斜視図である。 図2Bは、図2Aの略円柱体の粒子(A)の側面図である。 図2Cは、略円柱体の粒子(A)の頂点を持たない形状の一例を示す側面図である。 図2Dは、略円柱体の粒子(A)の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図2Eは、略円柱体の粒子(A)の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図2Fは、略円柱体の粒子(A)の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図2Gは、略円柱体の粒子(A)の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図2Hは、略円柱体の粒子(A)の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図2Iは、略円柱体の粒子(A)の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図3は、柱体の一例を示す写真である。 図4は、本発明の立体造形用粉末の粒子における粒径(μm)に対する頻度(個数)を表すグラフである。 図5は、本発明の立体造形用粉末の粒子における粒径(μm)に対する頻度(体積%)を表すグラフである。 図6は、従来の立体造形用粉末の層形成状態の一例を示す概略図である。 図7は、比較例3の市販の立体造形用粉末の粒子における粒径(μm)に対する頻度(個数)を表すグラフである。 図8は、比較例3の市販の立体造形用粉末の粒子における粒径(μm)に対する頻度(体積%)を表すグラフである。 図9は、立体造形物の製造装置の一例を示す概略説明図である。
(立体造形用粉末)
本発明の立体造形用粉末は、体積最頻粒径を構成する粒子(A)と、前記粒子(A)の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する粒子(B)と、を含み、前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかが、柱体形状であり、前記粒子(A)の体積平均粒径Mvと前記粒子(A)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)が、2.0以下であり、前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、110m/kg以下であり、必要に応じて、その他の成分を含有する。
なお、本発明において、体積最頻粒径とは、粒径ごとの粒度(頻度)分布が、最も高い粒径を意味する。
本発明の立体造形用粉末は、従来の立体造形用粉末では、体積平均粒径が比較的均一な粒子による粉末を用いると、図6に示すように、層を形成したときに粒子間の空隙が多くなり、得られる立体造形物に空隙を生じやすくなることから、立体造形物の強度を確保し難いという問題があるという知見に基づくものである。
前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、110m/kg以下であると、前記粒子の表面が滑らかになり、粒子自体の流動性(滑り性)が高くなることから、前記粒子(A)及び前記粒子(B)それぞれの凝集が生じにくく、2次粒子を形成しにくくなる。図1に示すように、前記粒子(A)及び前記粒子(B)を有する立体造形用粉末は、大径である前記粒子(A)間の空隙に小径の前記粒子(B)が入り込むことにより、体積平均粒径が均一の場合と比較して、得られる立体造形物の充填率がより向上するため、立体造形物の強度を向上することができる。
前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計としては、110m/kg以下であり、50m/kg以上100m/kg以下が好ましく、60m/kg以上80m/kg以下がより好ましい。前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、50m/kg以上であると、実質的に粒径が小さくなるため、立体造形用粉末として好ましい。前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、110m/kg以下であると、粒子(A)の流動性(滑り性)が高くなることから、粒子(A)同士が凝集しにくく、粒子(A)の空隙に粒子(B)が入り込みやすくなる。
前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計は、例えば、以下のようにして、求めることができる。
本発明において、粒子の比表面積とは、下記式(1)と定義する。
粒子の総表面積は、1粒子ごとに表面積を求め、粒子数の分の各粒子の表面積を合計することにより算出できる。
粒子の総体積、及び粒子の密度の求め方は、後に記載する。
1粒子の表面積Sは、粒子の形状を球形と仮定し、粒子の粒径をdとすると、下記式(2)のように表される。
S=πd ・・・式(2)
前記式(2)より、1粒子ごとに表面積を求め、粒子数の分の各粒子の表面積を合計することにより粒子の総表面積を算出できる。
粒子の粒径dは、例えば、フロー式粒度分布測定機(装置名:FPIA3000、マルバーン社製)を用いて、以下のようにして測定することができる。
まず、フィルターに通すことにより微細なごみを取り除いた水10mL中に、ノニオン系界面活性剤を数滴加えた後、粒径の範囲(例えば、円相当径:0.50μm以上200.00μm未満)を規定した測定対象の粒子数が、水1×10−3cm当たり20個以下となるように、立体造形用粉末を加える。なお、前記ノニオン系界面活性剤としては、商品名:コンタミノンN(和光純薬工業株式会社製)が好ましい。次に、前記立体造形用粉末を含む前記水に、超音波分散器(装置名:UH−50、STM社製)を用いて、20kHz、50W/10cmの条件で1分間分散処理を行った後、更に4分間分散処理を行う。前記立体造形用粉末の粒子濃度が3,000個/1×10−3cm以上7,000個/1×10−3cm以下の立体造形用粉末分散液を用いることにより、前記フロー式粒度分布測定機を使用して、規定した粒径の範囲の粒子の粒度分布を測定する。
前記フロー式粒度分布測定機において、前記立体造形用粉末分散液は、流れ方向に沿って広がるフラットで偏平な透明フローセル内の流路を通過する。ここで、ストロボとCCDカメラとが、前記透明フローセルを挟み込む位置に配置される。前記ストロボが前記透明フローセル内の流路の流れ方向に対して交差する方向に光を照射することにより、前記透明フローセルを前記光が通過し、前記透明フローセル内に光路が形成される。
前記立体造形用粉末分散液が前記透明フローセル内の流路を流れる間に、前記ストロボから1/60秒間間隔で光を照射し、前記ストロボが光を照射するタイミングと同期するタイミングで、前記CCDカメラが前記透明フローセルを撮影することにより、前記透明フローセル内を流れる前記立体造形用粉末のうち、前記規定した粒径の範囲にあり、且つ、前記透明フローセルが偏平である方向と平行する向きにある粒子が、2次元画像として撮影される。これにより、円相当径の分布に基づく粒子数、及び規定された円相当径を有する粒子数を測定することができる。また、得られた粒子数は、0.50μm〜200μmの粒径の範囲に応じて、1,024チャンネルに分割して得ることができる。
粒子の直径をdとし、各チャンネルの中間値を粒径と定義することにより、各チャンネルの粒径範囲にある粒子数をnとして算出することができる。
前記粒子の粒径としては、個数平均粒径Mn、及び体積平均粒径Mvを用いることができる。
前記個数平均粒径Mnは、測定により得られたd、及び粒子数nより、下記式(3)を用いて算出することができる。
前記体積平均粒径Mvは、前記個数平均粒径Mnと同様に、下記式(4)を用いて算出することができる。
前記個数平均粒径Mn、及び前記体積平均粒径Mvの算出方法は、基本的に、フロー式粒度分布測定機(装置名:FPIA3000、マルバーン社製)に付属する算出ソフトの計算内容に準じる。
粒子の直径をdとし、各チャンネルの中間値を粒子径と定義し、各チャンネルに対する粒子数をグラフにすることにより、粒子個数分布を得ることができる(図4)。
前記粒子体積分布は、例えば、フロー式粒度分布測定機(装置名:FPIA3000、マルバーン社製)を用いて測定することができる。
1粒子の体積Vは、下記式(5)より求めることができる。
V=1/6πd ・・・式(5)
ここで、粒子の総体積は、1粒子ごとに体積Vを求め、前述した各チャンネルの粒子径と、個数のデータを用いて、粒子数の分の各粒子の体積を合計することにより算出できる。
各チャンネルの体積比率(%)を算出し、各チャンネルに対する体積比率(%)をグラフにすることにより、粒子体積分布を得ることができる(図5)。
図4及び図5は、本発明の立体造形用粉末の測定結果の一例であるが、本発明の立体造形用粉末の粒子個数分布、及び粒子体積分布には、明確な2つの粒度分布ピークの存在が認められる。
これに対し、比較例3の市販の立体造形用粉末の粒子個数分布、及び粒子体積分布には、明確な2つの粒度分布ピークの存在が認められず、本発明の立体造形用粉末とは、全く異なる粉末であることがわかる(図7及び図8)。
前記粒子の密度、即ち、粉末を構成する物質の密度を求める方法としては、前記粒子の密度を測定して求める方法、化学便覧等を用いて調べる方法などが挙げられる。
前記粉末を構成する物質の密度を測定して求める方法としては、例えば、前記粉末を構成する物質を用いて、気泡を含まず、質量が数g程度の加熱成型物を作製し、アルキメデス法を用いることにより、測定することができる。
前記アルキメデス法は、液体中に固体を沈めた場合に、沈めた固体の体積と等しい体積分の液体の重量と同じ重量の分、固体が液体から浮力を受けるというアルキメデスの原理を用いることにより、沈めた固体の密度を求める方法である。
固体の質量をm、固体の体積をVとすると、固体の見かけ密度ρは、下記式(6)で表される。
ρ=m/V ・・・式(6)
液体中における固体の質量mは、液体の密度をDとすると、下記式(7)で表される。
=m−DV ・・・式(7)
したがって、前記式(6)及び前記式(7)より、固体の見かけ密度ρは、下記式(8)で表される。
バネ定数kであり重力方向に固定されたバネ及び重りを用いても、固体の見かけ密度ρを求めることができる。
まず、重りを吊るさない状態のバネの下端の位置をS、空気中で重力方向に重りを吊るしたときのバネの下端の位置をS、液体中で重力方向に重りを吊るしたときのバネの下端の位置をSとすると、固体の質量をm、及び液体中における固体の質量mは、下記式(9)及び式(10)のように表される。
m=k(S−S) ・・・式(9)
=k(S−S) ・・・式(10)
したがって、固体の見かけ密度ρは、S、S、S、及びDを用いて、下記式(11)のように表すことができる。
すなわち、固体の見かけ密度ρは、バネ定数kに依存しないため、バネ定数kに関係なく、固体の見かけ密度ρを求めることができる。
開気孔のある固体を用いる場合は、液体中に前記個体を浸して密度を測定した後、前記固体を空気中に戻し、前記固体の表面に付いた液体を拭き取り、空気中で測定した時のバネの位置をS’とすると、前記固体の密度ρは、下記式(12)により求めることができる。
<粒子(A)>
前記粒子(A)は、前記立体造形用粉末において、体積最頻粒径を構成し、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記粒子(A)の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上120μm以下が好ましく、20μm以上110μm以下がより好ましく、20μm以上100μm以下がさらに好ましく、寸法安定性の点から、50μm以上100μm以下が特に好ましい。前記粒子(A)の体積平均粒径は、例えば、前記立体造形用粉末において粒子(A)及び粒子(B)を分離し、分離した前記粒子(A)について、フロー式粒度分布測定機(装置名:FPIA3000、マルバーン社製)を用いて測定することができる。
前記立体造形用粉末における粒子(A)の分離手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、篩、分級機などが挙げられる。これらの中でも、粒子(A)の表面が影響を受けにくい篩が好ましい。
前記立体造形用粉末は、粒径分布において、前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくとも2つのピークを有する。前記粒径分布としては、例えば、フロー式粒度分布測定機(装置名:FPIA3000、マルバーン社製)を用いて求めることができる。
図4は、粒径(μm)に対する頻度(個数)を表すグラフである。図5は、粒径(μm)に対する頻度(体積%)を表すグラフである。図4及び図5から、本発明の立体造形用粉末が、粒径分布において、2つのピークを有することが分かる。
前記粒子(A)の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、柱体形状、球などが挙げられる。これらの中でも、粒子をより密に詰めることができる点から、柱体形状が好ましい。
前記立体造形用粉末は、個々の粒子(A)の形状が独立した柱体形状であることが好ましい。
前記柱体形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、略円柱体、直方体などが挙げられる。前記柱体形状であることにより、粒子(A)を隙間なく詰めることができ、得られる立体造形物の強度を向上することができる。
前記柱体形状としては、向かい合う面を有することが好ましい。前記向かい合う面は傾斜がついていてもよく、生産性とレーザー造形の安定性から、平行で互いに傾斜がついていないものがより好ましい。なお、前記粒子の形状は、例えば、走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(装置名:FPIA−3000、シスメックス株式会社製)などにより観察することができる。得られた粒子を球状化処理したり、外添加材で処理したりして、粉体流動性をさらに向上してもよい。
前記柱体形状の底面における直径又は長辺に対する高さの比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5倍以上5倍以下が好ましく、0.7倍以上2倍以下がより好ましく、0.8倍以上1.5倍以下が特に好ましい。
前記柱体形状の底面における直径及び長辺に対する高さは、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて、300倍の倍率における粒子(A)及び粒子(B)の画像を確認し、少なくとも20個の柱体について、基準長を元に柱体の底面における直径又は長辺と、高さとを実測し、その平均値より算出することができる。
前記走査型電子顕微鏡としては、例えば、装置名:S4200(株式会社日立製作所製)を用いることができる。
−略円柱体−
前記略円柱体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真円柱体、楕円柱体などが挙げられる。これらの中でも、真円柱体が好ましい。なお、前記略円柱体の円部分は、一部が欠けていてもよい。また、略円とは、長径と短径との比(長径/短径)が、1〜10であるものを意味する。
また、前記略円柱体は、略円の向かい合う面を有することが好ましい。
前記向かい合う面の円の大きさが多少ずれていてもよいが大きい面と小さい面との円の直径の比(大きい面/小さい面)としては、1.5倍以下が好ましく、形が統一されていた方が密度を詰めることができる点から、1.1倍以下がより好ましい。
前記略円柱体の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。なお、略円柱体の円形部分が楕円形である場合は、前記直径とは、長径を意味する。
前記略円柱体の高さ(両面間の距離)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。
−直方体−
前記直方体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方体、立方体などが挙げられる。これらの中でも、立方体が好ましい。なお、前記直方体は、一部が欠けていてもよいが、分散度が狭まりより密に詰まる点から、各辺の長さが近しい正方形が好ましい。
また、前記直方体は、長方形又は正方形の向かい合う面を有することが好ましい。
前記直方体の底面における各辺としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。なお、前記各辺における長辺は、直方体の1つの面を底面としたときの最も長い辺であり、前記直方体が立方体である場合は、底面の等しい長さの辺のうちの1辺である。
前記直方体の高さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。前記高さとは、直方体の底面に対する高さ方向を意味する。
前記柱体の面と面の間の高さを形成する辺は、切断時に樹脂が軟化し、つぶれた状態(円柱形ではたる型)も本発明の範囲に含まれるが、弧を描くもの同士で空間を空けてしまうことから、粉末を密に詰めることができる点から、辺が直線状になっているものが好ましい。前述したように、粉体側面に押し当てた面を持つ多角柱が、接する面での隙間がすくなる分、密につめることができるためより好ましい。
前記柱体形状の高さとしては、体積平均粒径が、20μm以上100μmとなる長さが好ましく、特に高さが均一で粉の形や大きさに偏りがなく、同一な集合体として形成された単分散に近いものの方がより好ましい。
前記略円柱体においては、直径と高さが近いものがより再現性の観点から好ましく、同様な理由で直方体についても辺と高さが等しい立方体がより好ましい。
図3は、柱体の一例を示す写真である。
なお、図3は、SEM(走査型電子顕微鏡)観察による写真である。
図3に示すように、柱体21は、第一の面22と、第二の面23と、側面24とを有する。第一の面22は、第一の対向面22aと、側面24に沿って延伸した形状である第一の面の外周領域22bと、を有する。第一の面の外周領域22bは、曲面を介して第一の対向面22aと連続する面であり、第一の対向面22aと略直交する。第二の面23は、第一の対向面22aと対向する第二の対向面23aと、側面24に沿って延伸した形状である第二の面の外周領域23bと、を有する。第二の面の外周領域23bは、曲面を介して第二の対向面23aと連続する面であり、第二の対向面23aと略直交する。側面24は、第一の面22、及び第二の面23に隣接する。また、側面24上に、第一の面の外周領域22b、及び第二の面の外周領域23bが延伸している。
なお、第一の面の外周領域22bおよび第二の面の外周領域23b(以降、「外周領域」とも称する)の形状は、側面24とSEM画像上で区別可能な形状であればよく、外周領域の一部が側面24と一体化している形状、外周領域が側面24と接している形状、及び外周領域と側面24との間に空間が存在する形状等を含む。また、第一の面の外周領域22bおよび第二の面の外周領域23bは、側面24の面方向と略同一の面方向となるように設けられていることが好ましい。
なお、図3に示すように、第一の面の外周領域22bおよび第二の面の外周領域23bは、側面24に沿って延伸してなり、側面24上に位置する。また、第一の面の外周領域22bおよび第二の面の外周領域23bと、側面24と、の接続領域近辺を覆う第一の面および第二の面の特徴的な構造は、ボトルキャップ形状とも称する。
前記柱体形状の粒子(A)は、底面と上面とを有するが、粒子(A)の端部が頂点を持たない形状であることがより好ましい。前記頂点とは、柱体形状の中に存在する角の部分をいう。例えば、図2Aに示す円柱体の側面図は図2Bで表される。この場合、長方形の形状を有しており、角の部分、即ち頂点が4箇所存在する。この頂点を持たない形状の一例を図2Cから図2Iに示す。実際に頂点の有無を確認するためには、前記柱体粒子の側面に対する投影像から判別することができる。例えば、柱体粒子の側面に対して走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)等を用いて観察し、二次元像として取得する。この場合、投影像は4辺形となり、各々隣り合う2辺によって構成される部位を端部とすると、隣り合う2つの直線のみで構成される場合は、角が形成され頂点を持つことになり、図2Cから図2Iのように端部が円弧によって構成される場合は頂点を持たないことになる。
このように、柱体形状の粒子(A)において頂点を持たないような形状にすることで、流動性が向上し、充填密度をより一層高めることができ、立体造形物の強度を高める上で非常に有効である。
前記立体造形用粉末の柱体形状の粒子(A)すべてにおいて、柱体形状の中に存在する角の部分である前記頂点を持たなくすることが最も好ましく、頂点を持たない柱体形状の粒子(A)の割合が高い方がより好ましい。具体的には、すべての柱体形状の粒子(A)に対する頂点を持たない柱体形状の粒子(A)の含有比率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。これにより、粉末の流動性が高まり、本発明の効果がより高まる。
前記頂点の有無を判別する方法としては、例えば、前述のように走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)等を用いて粉末を観察し、得られた二次元像からすべての柱体粒子に対する頂点を持たない柱体粒子の割合を求めることによって判別することができる。例えば、上記の方法により10視野の二次元像を撮影し、全柱体形状の粒子(A)に対する頂点を持たない柱体形状の粒子(A)の割合を求め、平均することにより求めることができる。
なお、前記頂点を持たない柱体形状の粒子(A)においては、整った略円柱体あるいは多角柱体である必要はなく、側面の投影像においてくびれを有する形状や、端部が引き伸ばされた形状、あるいは押しつぶされたり、曲がったりした形状のものを含んでいてもよい。
このように、粉末中の柱体形状の粒子(A)について頂点を持たない形状にする方法としては、柱体形状の粒子(A)の頂点を丸めることが可能な方法であれば、いずれの方法でも使用可能であり、例えば、高速回転式の機械粉砕や高速衝撃式の機械粉砕、あるいは機械摩擦により表面溶融など、従来公知の球形化処理装置を使用することができる。
前記粒子(A)の、ISO 3146に準拠して測定したときの融点としては、100℃以上であると、製品の外装等に使用されうる耐熱温度の範囲であるため好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが特に好ましい。なお、前記融点は、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができ、複数の融点が存在する場合は、高温側の融点を使用する。
前記粒子(A)の比重としては、0.8以上が好ましい。前記比重が、0.8以上であると、リコート時の粒子の2次凝集を抑止できるため好ましい。また、前記粒子(A)の比重としては、金属を代替する軽量化のニーズから、3.0以下が好ましい。前記比重は、真比重を測定することにより、求めることができる。
前記真比重の測定は、例えば、前記粒子(A)を入れたサンプルの体積を予め求めておき、気相置換法を用いた乾式自動密度計(装置名:アキュピック1330、株式会社島津製作所製)を用いて、一定温度で気体(Heガス)の体積と圧力とを変化させ、前記サンプルの体積から質量を計測し、サンプルの密度を測定することにより、求めることができる。
前記粒子(A)の平均円形度としては、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.7以上0.98以下が好ましく、0.83以上0.98以下がより好ましい。前記平均円形度としては、例えば、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(装置名:FPIA−3000、シスメックス株式会社製)を用いて測定することができ、前記立体造形用粉末について円形度を測定し、それらを算術平均した値が平均円形度として表される。前記円形度を簡易的に求める方法としては、例えば、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(装置名:FPIA−3000、マルバーン社製)を用いて測定することにより、数値化することができる。この装置は、ガラスセル中を流れる懸濁液中の粒子画像をCCDで高速撮像し、個々の粒子画像をリアルタイムに解析することができ、このような粒子を撮影し、画像解析を行う装置が、本発明の平均円形度を求める上で有効である。測定カウント数としては、特に制限はないが、3,000以上7,000以下が好ましい。
本発明においての前記粒子(A)は、熱可塑性樹脂を用いることができる。前記熱可塑性樹脂とは、熱をかけると可塑化し、溶融するものを意味する。前記熱可塑性樹脂の中でも、結晶性熱可塑性樹脂を用いてもよい。なお、前記結晶性樹脂とは、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)の測定をした場合に、融解ピークを有するものを意味する。
また、本発明における粒子(A)は、結晶性樹脂に限られるのもではなく、非結晶性樹脂であってもよい。
前記結晶性熱可塑性樹脂としては、熱処理、延伸、結晶核材、超音波処理等、外部刺激の方法により、結晶サイズや結晶配向が制御されている結晶性熱可塑性樹脂が高温リコート時のエラーが発生しにくいことから好ましい。
−結晶性熱可塑性樹脂−
前記結晶性熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POM、融点:175℃)、ポリイミド、フッ素樹脂等のポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP、融点:180℃)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド410(PA410)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66、融点:265℃)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12);半芳香族性のポリアミド4T(PA4T)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T、融点:300℃)、ポリアミド10T(PA10T)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、PA9Tは、ポリノナメチレンテレフタルアミドとも呼ばれ、炭素が9つのジアミンにテレフタル酸モノマーから構成され、一般的にカルボン酸側が芳香族であるため半芳香族と呼ばれる。さらには、ジアミン側も芳香族である全芳香族としてp−フェニレンジアミンとテレフタル酸モノマーとからできるアラミドと呼ばれるものも本発明のポリアミドに含まれる。
前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点:260℃)やポリブチレンテレフタレート(PBT、融点:218℃)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。耐熱性を付与するため一部テレフタル酸やイソフタル酸が入った芳香族を含むポリエステルも本発明に好適に用いることができる。
前記ポリアリールケトンとしては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、融点:343℃)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などが挙げられる。前記ポリアリールケトン以外にも、結晶性ポリマーであればよく、例えば、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルスルフォンなどが挙げられる。PA9Tのように融点ピークが2つあるものを用いてもよい(完全に溶融させるには2つ目の融点ピーク以上に樹脂温度を上げる必要がある)。
前記立体造形用粉末は、粒子のみで構成されることが好ましいが、一般的に粉砕したものと組み合わせてもよい。
前記結晶性熱可塑性樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末に対して各樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱し、結晶性を高めるアニーリング処理や、より結晶性を高めるために結晶核剤を添加し、その後アニーリング処理する方法などが挙げられる。また、超音波を当てることにより結晶性を高める方法や、溶媒に溶解しゆっくりと揮発させることにより結晶性を高める方法、外部電場印加処理による結晶性成長等の工程を経る方法、もしくは、延伸することにより高配向、高結晶にしたものを粉砕、裁断等の加工を施す方法などが挙げられる。
前記アニーリングとしては、樹脂をガラス転移温度から50℃高い温度にて3日間加熱し、その後、室温までゆっくりと冷却することにより行うことができる。
前記延伸としては、押し出し加工機を用いて、融点より30℃以上高い温度にて撹拌しながら、繊維状に立体造形用樹脂溶融物を押し出して伸ばすことにより行うことができる。この際、立体造形用樹脂溶融物は、1倍以上10倍以下程度に延伸し繊維にする。この時、押出し加工機のノズル口の形状により繊維断面の形状を決めることができるが、本発明では、柱体形状が略円柱体である場合には、ノズル口も円形形状がよく、柱体形状が直方体である場合は、ノズル口は長方形又は正方形形状がよい。ノズルの口の数は多ければ多いほど生産性に見合ったものとなる。延伸は、樹脂ごと溶融粘度ごとに最大の延伸倍率を変えることができる。
前記超音波としては、粉末に、グリセリン(東京化成工業株式会社製、試薬グレード)溶媒を樹脂に対して5倍ほど加えた後、融点より20℃高い温度まで加熱し、超音波発生装置(装置名:ultrasonicator UP200S、ヒールシャー社製)にて24kHz、振幅60%での超音波を2時間与えることにより行うことができる。その後、室温にてイソプロパノールの溶媒で洗浄後、真空乾燥することが好ましい。
前記外部電場印加処理としては、粉末をガラス転移温度以上にて過熱した後に600V/cmの交流電場(500ヘルツ)を1時間印加した後にゆっくりと冷却することにより行うことができる。
前記PBF方式では、結晶層変化についての温度幅(温度窓)が大きな方が、反り返りを抑制できるために好ましい。前記結晶層変化は、融解開始温度と冷却時の再結晶点間の差が大きな樹脂粉末の方が、造形性がよくなるため、より差がある方が好ましい。
前記粒子(A)の体積平均粒径Mvと前記粒子(A)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)は、造形精度向上の観点から、2.0以下であり、1.75以下が好ましく、1.5以下がより好ましい。
なお、前記(Mv/Mn)は、粒径分布の均一さを表す指標であり、前記(Mv/Mn)の値が1に近づくほど、均一な粒子を示す。前記(Mv/Mn)の値が1に近づき、粒度分布が均一であるほど、本発明の粒子(A)の空間に、粒子(B)が規則的に入り込むことができ、得られる立体造形物の物性を安定化することができる。
前記粒子(A)は、下記(1)〜(3)から選択される少なくとも1種を満たすことが好ましい。
(1)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf1(℃)とし、その後、10℃/minにて、−30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf2(℃)としたときに、(Tmf1−Tmf2)≧3℃であるため、(Tmf1−Tmf2)≧5℃が好ましく、(Tmf1−Tmf2)≧10℃がより好ましい。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から−15mW下がった時点での温度である。
(2)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd1(%)とし、その後、10℃/minにて、−30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd2(%)としたときに、(Cd1−Cd2)≧3%であるため、(Cd1−Cd2)≧5%が好ましく、(Cd1−Cd2)≧10%がより好ましい。
(3)X線回折測定により得られる結晶化度をCx1(%)とし、窒素雰囲気下10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温し、その後、10℃/minにて、−30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときのX線回折測定により得られる結晶化度をCx2(%)としたときに、(Cx1−Cx2)≧3%であるため、(Cx1−Cx2)≧5%が好ましく、(Cx1−Cx2)≧10%がより好ましい。
前記(1)〜(3)は、同一の粒子(A)について、異なる視点から特性を規定したものであり、前記(1)〜(3)は互いに関連しており、前記(1)〜(3)から選択される少なくとも1種により測定することができれば本発明の立体造形用粉末を同定することができる。
[条件(1)の示差走査熱量測定による溶解開始温度の測定方法]
前記条件(1)の示差走査熱量測定(DSC)による溶解開始温度の測定方法としては、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)の測定方法に準じて、示差走査熱量測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、DSC−60A等)を使用し、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度(Tmf1)を測定する。その後、10℃/minにて、−30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度(Tmf2)を測定する。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から−15mW下がった時点での温度である。
[条件(2)の示差走査熱量測定による結晶化度の測定方法]
前記条件(2)の示差走査熱量測定(DSC)による結晶化度の測定方法としては、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量(融解熱量)を測定し、完全結晶熱量に対する融解熱量から結晶化度(Cd1)を求めることができる。その後、10℃/minにて、−30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量を測定し、完全結晶熱量に対する融解熱量から結晶化度(Cd2)を求めることができる。
[条件(3)のX線解析装置による結晶化度の測定方法]
前記条件(3)のX線解析装置による結晶化度の測定方法としては、二次元検出器を有するX線解析装置(例えば、装置名:Discover8、Bruker社製等)を使用し、室温にて2θ範囲を10〜40に設定し、得られた粉末をガラスプレート上に置き、結晶化度を測定(Cx1)することができる。次に、DSC内において、窒素雰囲気化にて10℃/minで加熱し、融点より30℃高い温度まで昇温し、10分間保温した後、10℃/min、−30℃まで冷却後のサンプルを室温に戻し、Cx1と同様にして、結晶化度(Cx2)を測定することができる。
前記粒子(A)としては、前記熱可塑性樹脂以外に、難燃剤や可塑剤、熱安定性添加剤や結晶核剤等の添加剤、非結晶性樹脂等のポリマー粒子を含んでいてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマー粒子としては、前記ポリマー粒子を混合して使用しても、前記ポリマー粒子の表面にポリマー粒子を被覆したものを使用してもよい。
<<その他の成分>>
その他の成分としては、任意の流動化剤、粒度化剤、強化剤、酸化防止剤、難燃剤などを含有していてもよい。
<<<流動化剤>>>
前記流動化剤とは、前記立体造形用粉末の表面の一部又はすべてを被覆することにより、立体造形用粉末の流動性を高める効果を有するものをいう。
前記流動化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機材料からなる球状粒子が好ましい。
前記無機材料としては、金属酸化物が好ましく、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化鉄、酸化銅などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、二酸化ケイ素、酸化チタンが好ましい。
前記流動化剤としては、10μm未満の体積平均粒径を有する粒状無機材料を好適に用いることができる。
前記流動化剤が外添剤として添加される場合、前記外添剤の粒径は、0.1μm以下が好ましい。前記外添剤の粒径が0.1μm以下であると、粒子(A)及び粒子(B)の粒径よりも小さくなるため、粒径分布において、外添剤のピークと、粒子(A)及び粒子(B)のピークとを区別することができる。
前記流動化剤の含有量としては、粒子表面上に覆うのに十分な量であればよく、立体造形用粉末全量に対して、0.05質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下が特に好ましい。
前記含有量が、0.05質量%以上10質量%以下であると、立体造形用粉末の流動性を向上できると同時に、空隙の増加による充填密度低下の影響を最小限に留めることができる。
<<<粒度化剤>>>
前記粒度化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミナ、タルク、ガラス様シリカ、チタニア、水和シリカ、シリカ表面上にシランカップリング剤により変性させたもの、ケイ酸マグネシウムを1種類以上用いるものなどが挙げられる。
<<<強化剤>>>
前記強化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、強度向上の点から、例えば、ファイバーフィラーやビーズフィラー、国際公開第2008/057844号パンフレットに記載のガラスフィラーやガラスビーズ、カーボンファイバー、アルミボールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の立体造形用粉末としては、適度に乾燥しているものが好ましく、真空乾燥機やシリカゲルを入れることにより使用前に乾燥させてもよい。
前記ファイバーフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カーボンファイバー、無機ガラスファイバー、金属ファイバーが好ましい。
前記ビーズフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カーボンビーズ、無機ガラスビーズ、金属ビーズが好ましい。
一般に、前記シャープメルト性を有さない立体造形用粉末に対して、前記ファイバーフィラーやビーズフィラーを混合すると、造形物の精度が悪化する傾向にある。これは、添加する前記ファイバーフィラーやビーズフィラーの熱伝導率が、前記立体造形用粉末よりも高いため、SLS造形時に粉面にレーザー照射した際、照射部に与えられた熱が照射部外へ拡散してしまい、照射外の樹脂粉末の温度が融点以上となり過剰に造形されてしまうことが原因である。一方で、本発明の立体造形用粉末(前記シャープメルト性を有する結晶性熱可塑性樹脂組成物)と前記ファイバーフィラーやビーズフィラーとの混合粉末は、樹脂粉末がシャープメルト性を有するために、熱拡散によりレーザー照射部外の樹脂温度が上昇したとしても融解しにくいため、前記過剰な造形を抑止することができ、高い造形精度を維持することが可能である。
前記ファイバーフィラーとしては、平均繊維径が1μm以上30μm以下が好ましく、平均繊維長さが30μm以上500μmが好ましい。前記平均繊維径や前記平均繊維長さがこの範囲の形状のファイバーフィラーを用いることにより、造形物強度の向上を実現し、かつ造形物表面の粗さをファイバーフィラーが無添加な造形物の表面粗さと同程度に維持することが可能となる。
前記ビーズフィラーとしては、円形度が0.8以上1.0以下であり、体積平均粒径が、10μm以上200μm以下が好ましい。なお、前記円形度は、面積(画素数)をSとし、周囲長をLとしたときに、下式により求められる。
円形度=4πS/L ・・・(式)
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置(装置名:microtrac MT3300EXII、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記ファイバーフィラーの含有量としては、立体造形用粉末全量に対して、5質量%以上60質量%以下が好ましい。この範囲より少ないと、ファイバーフィラー添加の本来の目的である強度向上の効果が少なく、この範囲より多いと造形が困難になる。
前記ビーズフィラーの含有量としては、立体造形用粉末全量に対して、5質量%以上60質量%以下が好ましい。前記含有量が、5質量%以上であると、ビーズフィラー添加の本来の目的である強度向上をでき、60質量%以下であると、造形を容易にすることができる。
<<<酸化防止剤>>>
前記粒子(A)は、樹脂劣化を抑制する点から、酸化防止剤を含有することが好ましい。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属キレート材としてヒドラジド系や、紫外線吸収剤としてトリアジン系、ラジカル補足剤としてヒンダードフェノール系、酸化防止剤としてホスフェート系、硫黄系などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤の含有量としては、立体造形用粉末全量に対して、0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上2質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、上記範囲内であることにより、熱劣化を防止する効果が得られ、造形に使用した樹脂粉末を再利用することが可能になる。また、熱による変色を防止する効果を得ることができる。
<<<難燃剤>>>
前記難燃剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲン系、リン系、無機水和金属化合物系、窒素系、シリコーン系などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記難燃剤を2種以上併用する場合は、ハロゲン系と無機水和金属化合物系との組合せが、難燃性能を高くすることができる点で好ましい。
前記難燃剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の無機繊維状物質、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の無機層状珪酸塩などの無機強化剤を添加しても難燃性を向上することができる。この場合は、物性強化と難燃性強化との両立が可能となる。
前記難燃剤としては、例えば、建築材料、車両材料、船舶艤装材料等火災防止対応が必要な材料に好適に用いることができる。
前記粒子(A)の難燃性は、例えば、JIS K6911、JIS L1091(ISO 6925)、JIS C3005、発熱性試験(コーンカロリメータ)などにより評価することができる。
前記難燃剤の含有量としては、粒子(A)全量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、より難燃性を高めることができる点から、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上であると、十分な難燃性を実現できる。また、前記含有量が、50質量%以下であると、立体造形用粉末の溶融固化特性が変化することを抑制し、造形精度低下や造形物の物性劣化が発生することを防止できる。
前記粒子(A)の含有量としては、特に制限はなく、立体造形用粉末全量に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。前記含有量が、30質量%以上であると、粒子(A)を密に詰めることができる。
なお、粒子(A)の含有量は、例えば、立体造形用粉末を採取してSEM観察を行い、得られたSEM像のすべての粒子の数に対する、粒子(A)の数から求めることができる。
<粒子(B)>
前記粒子(B)は、前記粒子(A)の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する。
前記粒子(B)の体積平均粒径としては、前記粒子(A)の体積平均粒径に対して0.3倍以上0.5倍以下が好ましい。
前記粒子(B)の体積平均粒径が、前記粒子(A)の体積平均粒径に対して0.3倍以上0.5倍以下であると、大径である前記粒子(A)間の空隙に小径の前記粒子(B)が入り込むことにより、体積平均粒径が均一の場合と比較して、得られる立体造形物の充填率が向上する。
前記立体造形用粉末における粒子(B)の分離手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、篩、分級機などが挙げられる。これらの中でも、粒子(B)の表面が影響を受けにくい篩が好ましい。
前記粒子(B)の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、柱体形状、球などが挙げられる。これらの中でも、粒子をより密に詰めることができる点から、柱体形状が好ましい。
前記粒子(B)としては、前記粒子(A)の形状と同一の形状であってもよい。前記粒子(B)が、前記粒子(A)の形状と同一の形状の場合は、前記粒子(A)の形状と同様の形状を用いることができる。
また、前記粒子(B)としては、前記粒子(A)の形状と異なる形状であってもよい。
前記粒子(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性熱可塑性樹脂などが挙げられる。
前記結晶性熱可塑性樹脂としては、前記粒子(A)と同様のものを用いることができる。
前記粒子(B)としては、前記粒子(A)と同一組成であってもよいし、前記粒子(A)と異なる組成であってもよい。
前記粒子(B)の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15μm以上50μm以下が好ましい。
前記粒子(B)の体積平均粒径Mvと前記粒子(B)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)は、造形精度向上の観点から、2.0以下が好ましく、1.75以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。
なお、前記(Mv/Mn)は、粒径分布の均一さを表す指標であり、前記(Mv/Mn)の値が1に近づくほど、均一な粒子を示す。前記(Mv/Mn)の値が1に近づき、粒度分布が均一であるほど、本発明の粒子(A)の空間に、粒子(B)が規則的に入り込むことができ、得られる立体造形物の物性を安定化することができる。
粒子(B)の粒径分布は、均一であることが好ましい。
<<その他の成分>>
その他の成分としては、粒子(A)のその他の成分と同様のものを用いることができる。
前記立体造形用粉末としては、SLS法やSMS法について使用できるが、適切な粒度、粒度分布、熱移動特性、溶融粘度、嵩密度、流動性、溶融温度、及び再結晶温度のようなパラメーターについて適切なバランスを示す特性を呈している。
前記立体造形用粉末の嵩密度としては、PBF方式でのレーザー焼結度を促進する点から、樹脂自身の持っている密度に差異があるが嵩密度は大きい方が好ましく、タップ密度として0.35g/mL以上がより好ましく、0.40g/mL以上がさらに好ましく、0.5g/mL以上が特に好ましい。
[充填率]
前記立体造形用粉末を用いて得られる立体造形物の充填率としては、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上が特に好ましい。
なお、本発明において、充填率とは、下記式(13)と定義する。
充填率(%)=(材料の密度−実測の密度)/材料の密度×100 ・・・式(13)
前記密度は、前記アルキメデス法により測定することができ、例えば、メトラートレド社製、MS403S/02、密度測定用キット0.1mg、1mg天秤用を用いて、得られた立体造形物の空気中、及び水中での質量の相関関係から密度を算出することができる。
[強度]
前記立体造形用粉末を用いて得られる立体造形物の強度としては、曲げ強度が、素材の曲げ強度の80%以上が好ましい。例えば、長さ:80mm±2mm、幅:10mm±0.2mm、厚さ:4mm±0.2mmの立体造形物を作製した場合、素材ごとの曲げ強度として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、35MPa以上、ナイロン12(PA12)は、30MPa以上、ポリプロピレン(PP)は、20MPa以上、ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、50MPa以上であることが好ましい。
前記曲げ強度としては、例えば、引っ張り試験機(装置名:オートグラフ、島津株式会社製)を用いて測定することができる。
なお、曲げ強度は、JIS K7121 プラスチック−曲げ特性の求め方に従い、支点間距離:64mm、試験速度:2mm/分間の試験条件により測定することができる。
また、得られる立体造形物の造形槽内における造形方向は、区別するものとする。例えば、一般にSLS方式で造形した試験片は、XY方向(水平方向)に配置した試験片は、Z方向(積層方向)に造形した試験片と比較して、強度が高くなる傾向がある。本発明においては、上記立体造形物の長手方向がZ方向(積層方向)となるように造形したものを測定する。
[体積比率(粒子(B)/粒子(A))]
前記粒子(A)の体積(%)と、前記粒子(B)の体積(%)との体積比率(粒子(B)/粒子(A))としては、粒子をより密に詰めることができる点から、0.050以上0.090以下が好ましく、0.060以上0.080以下がより好ましい。
[個数比率(粒子(B)/粒子(A))]
前記粒子(A)の個数(個)と、前記粒子(B)の個数(個)との個数比率(粒子(B)/粒子(A))としては、粒子をより密に詰めることができる点から、1/1が好ましい。
前記立体造形用粉末の製造方法としては、立体造形用材料溶融物を繊維状に延伸し、裁断(切断)して粒子(A)を製造する粒子(A)製造工程と、前記粒子(A)及び粒子(B)を混合する混合工程と、を含むことが好ましく、必要に応じて、その他の工程を含む。
前記立体造形用粉末としては、本発明の立体造形用粉末と同様のものを用いることができる。
前記粒子(B)の粒子は、前記粒子(A)製造工程と同一の工程により製造されてもよいし、前記粒子(A)製造工程とは異なる工程により製造されてもよい。
<粒子(A)製造工程>
前記立体造形用粉末の製造方法としては、立体造形用材料溶融物を繊維状に延伸し、裁断して粒子(A)を製造する粒子(A)製造工程を有する。
前記粒子(A)の製造方法としては、柱状の繊維を作製し、その後裁断して直接的に略円柱体や直方体を得る方法や、フィルム形状から直方体や立方体を得る方法や得られた直方体の粒子(A)を作製後に後加工により略円柱体に作製してもよい。
前記繊維化としては、押し出し加工機を用いて、融点より30℃以上高い温度にて撹拌しながら、繊維状に立体造形用樹脂溶融物を押し出して伸ばす。この際、立体造形用樹脂溶融物は、1倍以上10倍以下程度に延伸し繊維にする。この時、押出し加工機のノズル口の形状により繊維断面の形状を決めることができるが、粒子(A)の形状を略円柱体とする場合には、ノズル口は円形形状がよく、直方体とする場合には、ノズル口は長方形又は正方形形状がよい。寸法精度は高ければ高いほどよく、面の部分の円形形状が半径において少なくとも10%以内が好ましい。ノズルの口の数は多ければ多いほど生産性に見合ったものとなる。延伸は、樹脂ごと溶融粘度ごとに最大の延伸倍率を変えることができる。
前記裁断しては、ギロチン方式といった上刃と下刃が共に刃物になっている切断装置や、押し切り方式と呼ばれる下側は刃物ではなく板にて、上刃で裁断していく装置などを用いることができる。前記装置を用いて、0.005mm以上0.2mm以下に直接カットすることやCOレーザー等を用いて裁断する方法がある。これらの方法により、前記粒子(A)を直接得ることができる。
前記粒子(A)としては、ペレット等の形態から数倍の延伸により数十μmから数百μmに調整後、繊維を数μm以上数百μm以下になるようにレーザーカットや刃を使ったカット等により得ることができる。
前記粒子(A)は、一般的な粉砕方法としては、ペレット等の形態から粉砕することにより得られ、室温にて粉砕装置を使用し、目的の粒径以外のものをフィルター濾過などの分級操作などにより得られる。好ましくは0℃以下の低温(各樹脂自身の脆弱温度以下)、より好ましくは−25℃以下、特に好ましくは−100℃以下の極低温下での樹脂脆弱性を使用する粉砕により得ることができる。
別の好適な条件で得られる粒子(A)としては、新たな粉末層をローラ等により引くごとに焼結処理を行うことが好ましい。前記焼結処理では、粉末層部分を選択的に溶融させる。新たな粉末層を先行して形成した層に施用し、再度選択的に溶融させ、これが繰り返され、所望の立体造形物が製造されるまで前記処理を継続する。
前記粒子(A)の溶融としては、典型的には、電磁照射により行われるが、溶融の選択性は、例えば、抑制剤、吸収剤、又は電磁照射(例えば、マスクした若しくは直接レーザービームによる)の選択的施用などが挙げられる。いずれの適切な電磁照射源でも使用でき、例えば、COレーザー、赤外照射源、マイクロウエーブ発生器、放射加熱器、LEDランプ等、又はこれらの組合せなどがある。
いくつかの実施態様においては、選択的マスク焼結(selective mask sintering:SMS)技術を使用して、本発明における立体造形物を製造することができる。前記SMSプロセスについては、例えば、米国特許第6,531,086号明細書に記載されているものを好適に用いることができる。
前記SMSプロセスとしては、遮蔽マスクを使用して選択的に赤外放射を遮断し、粉末層の一部の選択的照射する。本発明の立体造形用粉末から物品を製造するためにSMSプロセスを使用する場合、立体造形用粉末の赤外吸収特性を増強させる粉末組成物中の1種以上物質を含有させることが好ましく、立体造形用粉末には1種以上の熱吸収剤及び/又は暗色物質(カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、もしくはカーボンファイバー、セルロースナノファイバー等)を含有することができる。
<粒子(B)製造工程>
前記立体造形用粉末の製造方法としては、立体造形用材料溶融物を繊維状に延伸し、裁断して粒子(B)を製造する粒子(B)製造工程を含むことが好ましい。
前記粒子(B)製造工程としては、前記粒子(A)製造工程と同様の工程であってもよい。
また、前記粒子(B)製造工程としては、前記粒子(A)製造工程と異なる工程であり、前記粒子(B)の粒子が、前記粒子(A)製造工程とは異なる工程により製造されてもよい。
<混合工程>
前記立体造形用粉末の製造方法は、前記粒子(A)及び粒子(B)を混合する混合工程を含むことが好ましい。
前記混合工程を行う混合手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)、V型混合機(株式会社徳寿工作所製)などが挙げられる。
本発明の立体造形用粉末を用いてPBF方式により立体造形物を製造するために、好適な方法としては、ポリマーマトリックスを含有する複数の層を積層し、かつ接着した焼結層を含むことが好ましい。前記焼結層としては、造形プロセスに適した厚みを有することが好ましい。複数の焼結層の平均厚みとしては、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上が特に好ましい。また、前記焼結層の平均厚みとしては、200μm未満が好ましく、150μm未満がより好ましく、120μm未満が特に好ましい。
本発明の立体造形用粉末は、粒度、粒度分布、熱移動特性、溶融粘度、嵩密度、流動性、溶融温度、及び再結晶温度のようなパラメータについて適切なバランスを有する。そのため、SLS方式、SMS方式などのPBF方式、MJF(Multi Jet Fusion)方式、又はBJ(Binder Jetting)法などの立体造形用粉末を用いた各種立体造形方法において好適に利用される。
また、本発明の樹脂粉末は、立体造形用樹脂粉末として使用する他、例えば、表面収縮剤、スペーサー、滑剤、塗料、砥石、添加剤、二次電池セパレーター、食品、化粧品、衣服等において好適に利用される。さらに、本発明の樹脂粉末は、自動車、精密機器、半導体、航空宇宙、医療等の分野において用いられる材料や金属代替材料として用いることもできる。
本発明の立体造形用粉末としては、電子機器パーツや自動車部品のプロトタイプや強度試験用の試作品、エアロスペースや自動車産業のドレスアップツール等に使われる少量製品などの用途に使用するための物品を形成することに好適に用いることができる。前記PBF方式以外の他の方式については、FDMやインクジェット方式と比較し、強度が優れることが期待されるため、実用の製品としても使用に耐える。生産スピードは、射出成型のような大量に生産するのにはかなわないが、例えば、小さい部品を平面状に大量に作ることにより必要な生産量を得ることができる。また、本発明に用いられるPBF方式における立体造形物の製造方法は、射出成型のような金型を必要としないため、試作及びプロトタイプの作製においては、圧倒的なコスト削減と納期削減を達成することができる。
(立体造形物の製造方法、及び立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明の立体造形用粉末を含む層を形成する層形成工程と、前記形成された層に電磁照射して硬化する硬化工程と、を繰り返して立体造形物を製造し、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形用粉末を含む層を形成する層形成手段と、前記層の選択された領域内の粉末同士を接着させる粉末接着手段と、を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
前記立体造形物の製造方法は、前記立体造形物の製造装置により好適に実施することができる。
前記立体造形用粉末としては、本発明の立体造形用粉末と同様のものを用いることができる。
前記粉末接着手段としては、例えば、整地された粉体に電磁波もしくはレーザーを照射して、樹脂を溶融させ冷却により硬化させる硬化手段などが挙げられる。
前記電磁照射に用いられる電磁照射源としては、例えば、COレーザー、赤外照射源、マイクロウエーブ発生器、放射加熱器、LEDランプ等、又はこれらの組合せなどが挙げられる。
ここで、前記立体造形物の製造装置について、図9を用いて説明する。図9は、本発明の立体造形物の製造方法に用いられる立体造形物の製造装置の一例を示す概略説明図である。図9に示すように、粉末の供給槽5に粉末を貯蔵し、使用量に応じて、ローラ4を用いてレーザー走査スペース6に供給する。供給槽5は、ヒーター3により温度を調節されていることが好ましい。電磁照射源1から出力したレーザーを反射鏡2を用いて、レーザー走査スペース6に照射する。前記レーザーによる熱により、粉末を焼結して立体造形物を得ることができる。
前記供給槽5の温度としては、粉末の融点より10℃以上低いことが好ましい。
前記レーザー走査スペースにおける部品床温度としては、粉末の融点より5℃以上低温であることが好ましい。
前記レーザーの出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10ワット以上150ワット以下が好ましい。
(立体造形物)
前記立体造形物は、本発明の立体造形物の製造方法により好適に製造されることができる。
前記立体造形用樹脂粉末を用いて、レーザー焼結により形成される立体造形物は、滑らかであり、最小オレンジピール以下を呈する十分な解像度を示す表面を形成できる。ここで、前記オレンジピールとは、一般にPBF方式でのレーザー焼結により形成される立体造形物の表面上に不適切な粗面、又は空孔問題やゆがみ問題のような表面欠陥の存在を意味する。前記空孔は、例えば、美観を損なうだけでなく、機械強度にも著しく影響を及ぼすことがある。
さらに、前記立体造形用樹脂粉末を使用し、レーザー焼結により形成される立体造形物としては、焼結中から焼結後の冷却時の間に、発生する相変化による反りや歪み、発煙したりするような不適切なプロセス特性を示さないことが好ましい。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
得られた立体造形用粉末について、「体積平均粒径、及び体積平均粒径/個数平均粒径の比(Mv/Mn)」、「柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比」及び「比表面積」は、以下のようにして測定した。結果を下記表1〜表3に示す。
[体積平均粒径、及び体積平均粒径/個数平均粒径の比(Mv/Mn)]
まず、フィルターに通すことにより微細なごみを取り除いた水10mL中に、ノニオン系界面活性剤(商品名:コンタミノンN、和光純薬工業株式会社製)を数滴加えた後、粒径の範囲(円相当径:0.50μm以上200.00μm未満)を規定した測定対象の粒子数が、水1×10−3cm当たり20個以下となるように、立体造形用粉末を加えた。次に、前記立体造形用粉末を含む前記水に、超音波分散器(装置名:UH−50、STM社製)を用いて、20kHz、50W/10cmの条件で1分間分散処理を行った後、更に4分間分散処理を行った。また、前記立体造形用粉末の粒子濃度が3,000個/1×10−3cm以上7,000個/1×10−3cm以下の立体造形用粉末分散液を用いることにより、フロー式粒度分布測定機(装置名:FPIA3000、マルバーン社製)を使用して、規定した粒径の範囲の粒子の粒度分布を測定した。
前記フロー式粒度分布測定機において、前記立体造形用粉末分散液は、流れ方向に沿って広がるフラットで偏平な透明フローセル内の流路を通過させた。ここで、ストロボとCCDカメラとを、前記透明フローセルを挟み込む位置になるように配置した。前記ストロボが前記透明フローセル内の流路の流れ方向に対して交差する方向に光を照射させることにより、前記透明フローセルを前記光が通過し、前記透明フローセル内に光路が形成された。
前記立体造形用粉末分散液が前記透明フローセル内の流路を流れる間に、前記ストロボから1/60秒間間隔で光を照射させ、前記ストロボが光を照射するタイミングと同期するタイミングで、前記CCDカメラに前記透明フローセルを撮影させることにより、前記透明フローセル内を流れる前記立体造形用粉末のうち、前記規定した粒径の範囲にあり、且つ、前記透明フローセルが偏平である方向と平行する向きにある粒子を、2次元画像として撮影した。これにより、円相当径の分布に基づく粒子数、及び規定された円相当径を有する粒子数を測定した。また、得られた粒子数を、0.50μm〜200μmの粒径の範囲に応じて、1,024チャンネルに分割して得た。粒子の直径をdとし、各チャンネルの中間値を粒径と定義し、各チャンネルの粒径範囲にある粒子数をnとして算出した。
得られた粒子の直径d、及び粒子数nより、下記式(3)を用いて、個数平均粒径Mnを算出した。
また、前記個数平均粒径Mnと同様に、下記式(4)を用いて、体積平均粒径Mvを算出した。
更に、得られた前記体積平均粒径と前記個数平均粒径とから、体積平均粒径/個数平均粒径の比(Mv/Mn)を求めた。
前記個数平均粒径Mn、及び前記体積平均粒径Mvの算出方法は、前記フロー式粒度分布測定機(装置名:FPIA3000、マルバーン社製)に付属する算出ソフトの計算内容に準じたものである。
[前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計]
前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計は、得られた立体造形用粉末において、下記式(1)を用いることにより求めた。
なお、粒子の総体積は、前記フロー式粒度分布測定機を用いて得られた粒子の直径d、及び粒子数nと、下記式(5)とを用いて、1粒子の体積Vを算出し、前述した各チャンネルの粒子径と、個数のデータを用いて、粒子数の分の各粒子の体積を合計することにより算出した。
V=1/6πd ・・・式(5)
また、粒子の密度は、アルキメデス法により求めた。
[柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比]
得られた粒子(A)及び粒子(B)の柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比は、走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)を用いて、300倍の倍率における得られた粒子(A)及び粒子(B)の画像を確認し、基準長を元に柱体の底面における直径又は長辺と、高さとを実測した。少なくとも20個の柱体について、同様に直径又は長辺と高さとを実測し、その平均値を用いて、粒子(A)及び粒子(B)の柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比を算出した。
(実施例1)
<粒子(A)の作製>
結晶性熱可塑性樹脂であるポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(商品名:ノバデュラン5020、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、融点:218℃、ガラス転移温度:43℃)98.5質量%に、フェノール系酸化防止剤(商品名:AO−80、株式会社ADEKA製)を0.5質量%、及びホスフェート系酸化防止剤(商品名:PEP−36、株式会社ADEKA製)を1.0質量%添加し、押し出し加工機(株式会社日本製鋼所製)を用いて、融点より30℃高い温度にて撹拌後、ノズル口が円形形状のものを用い、繊維状に立体造形用溶融物を押し出して伸ばした。ノズルから出る糸の本数は100本にて実施した。4倍程度延伸し、繊維直径が60μmにて精度が±4μmの繊維にした後に0.08mm(80μm)で押し切り方式の裁断装置(株式会社荻野精機製作所製、NJシリーズ1200型)を用いて裁断し、略円柱体の粒子(A)を得た。
<粒子(B)の作製>
繊維直径が30μmにて精度が±5μmの繊維にした後に30μmで押し切り方式の裁断装置を用いて裁断した以外は、粒子(A)と同様にして、略円柱体の粒子(B)を得た。
<立体造形用粉末1の作製>
得られた粒子(A)及び粒子(B)をヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)により均一に混合し、立体造形用粉末1とした。裁断後の断面を走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)を用いて、300倍の倍率で確認したところ、断面はきれいに裁断されており、切断面は互いに平行であった。また、粒子(A)の略円柱体の高さを測定したところ、80μm±10μmの精度で切断できており、粒子(B)の略円柱体の高さを測定したところ、30μm±5μmの精度で切断できていた。裁断時につぶれた様子はほとんどなかったが、約100個に1個程度の割合で、切断時に押しつぶされ、円の面に対し高さ方向がたるのように膨らんだものやその反対側に凹んでしまった形状になってしまったものも含まれていた。
(実施例2〜13)
実施例1において、材料等を下記表1〜表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜13の立体造形用粉末を得た。
(比較例1)
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(商品名:ノバデュラン5020、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、融点:218℃、ガラス転移温度:43℃)98.5質量%に、フェノール系酸化防止剤(商品名:AO−80、株式会社ADEKA製)を0.5質量%、及びホスフェート系酸化防止剤(商品名:PEP−36、株式会社ADEKA製)を1.0質量%添加し、押し出し加工機(株式会社日本製鋼所製)を用いて、融点より30℃高い温度にて撹拌後、攪拌物を水冷したロールでプレスして厚さ2mmの板にした。その後これをブレードミルで粉砕し、数mmのチップ状に加工した後に、粉砕目標粒径65μmで凍結粉砕し、PBT樹脂粉末を得た。得られたPBT樹脂粉末を200メッシュ(目開き75μm)で粗大粉を除去し、比較例1の立体造形用粉末を得た。
なお、凍結粉砕は、大阪ガスリキッド株式会社(大阪府堺市)で実施し、凍結粉砕条件は、粉砕出口温度:−100℃〜−120℃、粉砕装置周速:80.0m/sに設定した。
(比較例2)
市販の立体造形用粉末として、商品名:DuraformPA(3D SYSTEMS社製)を用いた。前記商品名:DuraformPAは、主な材質がナイロン12(PA12)であることが示されている。
(比較例3)
市販の立体造形用粉末として、商品名:Asphea−PP(Aspect社製)を用いた。前記商品名:Asphea−PPは、主な材質がポリプロピレン(PP)であることが示されている。
(比較例4)
市販の立体造形用粉末として、商品名:AspexPPS(Aspect社製)を用いた。前記商品名:AspexPPSは、主な材質がポリフェニレンスルフィド(PPS)であることが示されている。
得られた立体造形用粉末を用いて、長さ:80mm±2mm、幅:10mm±0.2mm、厚さ:4mm±0.2mmの立体造形物を作製した。次に、以下のようにして、「充填率」、及び「曲げ強度」を評価した。結果を下記表1〜表3に示す。
(充填率)
アルキメデス法(メトラートレド社製、MS403S/02、密度測定用キット0.1mg、1mg天秤用)を用いて、得られた立体造形物の空気中、及び水中での質量の相関関係から密度を算出し、更に、下記式(13)を用いて、得られた立体造形物の充填率を求めた。なお、前記充填率は、90%以上が実施可能レベルである。
充填率(%)=(材料の密度−実測の密度)/材料の密度×100 ・・・式(13)
(曲げ強度)
引っ張り試験機(装置名:オートグラフ、島津株式会社製)を用いて、作製した立体造形物の曲げ強度を測定し、立体造形物の「曲げ強度」を求めた。曲げ強度の測定に関し、JIS K7121 プラスチック−曲げ特性の求め方に従った。試験条件は、支点間距離:64mm、試験速度:2mm/分間とした。曲げ強度は、素材の曲げ強度の80%以上が実施可能レベルである。具体的には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、35MPa以上、ナイロン12(PA12)は、30MPa以上、ポリプロピレン(PP)は、20MPa以上、ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、50MPa以上が実施可能レベルである。
なお、曲げ強度は、JIS K7121 プラスチック−曲げ特性の求め方に従い、支点間距離:64mm、試験速度:2mm/分間の試験条件により測定することができる。
また、得られる立体造形物の造形槽内における造形方向は、区別するものとする。例えば、一般にSLS方式で造形した試験片は、XY方向(水平方向)に配置した試験片は、Z方向(積層方向)に造形した試験片と比較して、強度が高くなる傾向がある。本発明においては、上記立体造形物の長手方向がZ方向(積層方向)となるように造形したものを測定した。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 体積最頻粒径を構成する粒子(A)と、
前記粒子(A)の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する粒子(B)と、を含み、
前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかが、柱体形状であり、
前記粒子(A)の体積平均粒径Mvと前記粒子(A)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)が、2.0以下であり、
前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、110m/kg以下であることを特徴とする立体造形用粉末である。
<2> 前記粒子(B)の体積平均粒径が、前記粒子(A)の体積平均粒径に対して0.3倍以上0.5倍以下である前記<1>に記載の立体造形用粉末である。
<3> 前記粒子(A)の体積(%)と、前記粒子(B)の体積(%)との体積比率(粒子(B)/粒子(A))が、0.050以上0.090以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<4> 前記粒子(B)の体積平均粒径Mvと前記粒子(B)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)が、2.0以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<5> 前記粒子(A)が、柱体形状である前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<6> 前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかが、略円柱体である前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<7> 前記柱体形状の前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかの底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.7倍以上2倍以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<8> 前記柱体形状の前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかの含有量が、30質量%以上である前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<9> 前記粒子(A)の体積平均粒径が、20μm以上100μm以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<10> ISO 3146に準拠して測定したときの融点が、100℃以上である前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<11> 下記(1)〜(3)から選択される少なくとも1種を満たす前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
(1)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf1(℃)とし、その後、10℃/minにて、−30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf2(℃)としたときに、(Tmf1−Tmf2)≧3℃である。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から−15mW下がった時点での温度である。
(2)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd1(%)とし、その後、10℃/minにて、−30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd2(%)としたときに、(Cd1−Cd2)≧3%である。
(3)X線回折測定により得られる結晶化度をCx1(%)とし、窒素雰囲気下10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温し、その後、10℃/minにて、−30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときのX線回折測定により得られる結晶化度をCx2(%)としたときに、(Cx1−Cx2)≧3%である。
<12> 結晶性熱可塑性樹脂を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<13> 前記結晶性熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリアセタール、ポリイミド、及びフッ素樹脂から選択される少なくとも1種である前記<12>に記載の立体造形用粉末である。
<14> 前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート、及びポリ乳酸から選択される少なくとも1種である前記<13>に記載の立体造形用粉末である。
<15> 外添剤をさらに含む前記<1>から<14>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<16> 前記粒子(B)が、前記粒子(A)と同一組成である前記<1>から<15>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<17> 前記粒子(B)が、前記粒子(A)と異なる組成である前記<1>から<15>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<18> 前記粒子(B)が、前記粒子(A)の形状と異なる形状である前記<1>から<17>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<19> 前記<1>から<18>のいずれかに記載の立体造形用粉末を含む層を形成する層形成工程と、
前記形成された層に電磁照射して硬化する硬化工程と、
を繰り返して立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<20> 体積最頻粒径を構成する粒子(A)と、
前記粒子(A)の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する粒子(B)と、を含み、
前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかが、柱体形状であり、
前記粒子(A)の体積平均粒径Mvと前記粒子(A)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)が、2.0以下であり、
前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、110m/kg以下であることを特徴とする樹脂粉末である。
前記<1>から<18>のいずれかに記載の立体造形用粉末、前記<19>に記載の立体造形物の製造方法、及び前記<20>に記載の樹脂粉末は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特表2014−522331号公報 特表2013−529599号公報 特表2015−515434号公報
10 粒子(A)
20 粒子(B)

Claims (13)

  1. 体積最頻粒径を構成する粒子(A)と、
    前記粒子(A)の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する粒子(B)と、を含み、
    前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかが、柱体形状であり、
    前記粒子(A)の体積平均粒径Mvと前記粒子(A)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)が、2.0以下であり、
    前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、110m/kg以下であることを特徴とする立体造形用粉末。
  2. 前記粒子(B)の体積平均粒径が、前記粒子(A)の体積平均粒径に対して0.3倍以上0.5倍以下である請求項1に記載の立体造形用粉末。
  3. 前記粒子(A)の体積(%)と、前記粒子(B)の体積(%)との体積比率(粒子(B)/粒子(A))が、0.050以上0.090以下である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  4. 前記粒子(B)の体積平均粒径Mvと前記粒子(B)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)が、2.0以下である請求項1から3のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  5. 前記粒子(A)が、柱体形状である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  6. 前記柱体形状の前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかの底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.7倍以上2倍以下である請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  7. 前記粒子(A)の体積平均粒径が、20μm以上100μm以下である請求項1から6のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  8. 結晶性熱可塑性樹脂を含む請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  9. 前記粒子(B)が、前記粒子(A)と同一組成である請求項1から8のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  10. 前記粒子(B)が、前記粒子(A)と異なる組成である請求項1から9のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  11. 前記粒子(B)が、前記粒子(A)の形状と異なる形状である請求項1から10のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の立体造形用粉末を含む層を形成する層形成工程と、
    前記形成された層に電磁照射して硬化する硬化工程と、
    を繰り返して立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法。
  13. 体積最頻粒径を構成する粒子(A)と、
    前記粒子(A)の体積平均粒径よりも小さい体積平均粒径を有する粒子(B)と、を含み、
    前記粒子(A)及び前記粒子(B)の少なくともいずれかが、柱体形状であり、
    前記粒子(A)の体積平均粒径Mvと前記粒子(A)の個数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径/個数平均粒径)(Mv/Mn)が、2.0以下であり、
    前記粒子(A)の比表面積及び前記粒子(B)の比表面積の合計が、110m/kg以下であることを特徴とする樹脂粉末。
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