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JP2019169336A - 微細パタンを有する多孔質フィルム - Google Patents

微細パタンを有する多孔質フィルム Download PDF

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JP2019169336A JP2018055923A JP2018055923A JP2019169336A JP 2019169336 A JP2019169336 A JP 2019169336A JP 2018055923 A JP2018055923 A JP 2018055923A JP 2018055923 A JP2018055923 A JP 2018055923A JP 2019169336 A JP2019169336 A JP 2019169336A
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Abstract

【課題】本発明は、リチウムイオン二次電池内に配置されたとしてもLiデンドライトが発生し難い構造を有する多孔質フィルムを提供すること、および寿命特性を向上させるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】多孔質フィルムの少なくとも一面に凹部(11b)または凸部(11a)を有するパタン領域(11)があり、かつ該凹部(11b)または凸部(11a)を有するパタン領域(11)の長軸の長さ(L)が0.5μm以上100μm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質フィルム等に関する。
近年の電子技術の発展又は環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。特に、省エネルギー化への要請が多くあり、それに貢献できる電気化学デバイスへの期待はますます高くなっている。
蓄電デバイスの代表例であり、かつ非水電解質電池の代表例でもあるリチウムイオン二次電池は、従来、主として小型機器用電源として使用されていたが、近年ではハイブリッド自動車及び電気自動車用電源としても着目されている。
リチウムイオン二次電池では、デバイスの高性能化に伴い、高エネルギー密度化が進展しており、信頼性の確保が重要となっている。また、車載用電源などの中型又は大型のリチウムイオン二次電池では、小型機器と比較して、特に信頼性が確保される必要がある。更に、車載用電源としては、製品サイクルに合わせて、長い期間に亘って充放電容量を維持可能なリチウムイオン二次電池が必要になる。
リチウムイオン二次電池では、リチウム(Li)イオンが正極−負極間を移動することで、充放電が為される。この時、負極でのLiイオンの受け入れ性が悪いと、負極表面にLiデンドライトが発生し、電池は急激に劣化する。また、Liデンドライトがセパレータを突き破って短絡することもあり、最悪の場合、発火してしまう。Liイオンの受け入れ性が悪いということは、負極にインターカレートしようとするLiイオン数に対して、拡散してくるLiイオン数が多いことであると端的に言える。例えば、高レートでの充電を行う場合において、又は正極の容量に対して負極の容量が不足している場合において、Liデンドライトが発生し易くなる。こうした状況下、リチウムイオン二次電池においては、高レートでの充放電に対する制約を設けること、及び正極の容量に対して負極の容量を多く設計することが一般的である。
負極のLiイオンの受け入れ性を向上させるためには、負極活物質と電解液の接触を十分に取る試み又はLiイオンの濃度分布を減らす試みが為されている(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1では、負極合材密度に着目しており、黒鉛粒子と有機系結着剤の混合物の密度が、1.9g/cmを超えると、急速充電特性が低下し、1.5g/m未満においては得られるリチウムイオン二次電池の体積当たりのエネルギー密度が小さくなることが述べられている。特許文献1に記載の適切な範囲内に負極合材密度を調整することで急速充電特性が得られる。すなわち、Liイオンの受け入れ性を向上できる。
また、特許文献2では、セパレータ中のLiイオンの濃度分布に着目しており、局所的なLiデンドライトの成長は、電流分布による不均一なリチウム反応層に対して、ランダムな空孔を持つセパレータによる不均一なリチウムイオンの電流分布が反応することで生じると考えられると述べられており、三次元規則配列した空孔を有する多孔質樹脂膜から成るセパレータが提案されている。
しかし、負極−セパレータ界面の電解液は狭い凹形状の空孔内に束縛され、面内方向の濃度拡散は十分に行われない構造である。すなわち、負極に最近接の各空孔内部のLiイオン濃度のばらつきの解消はされ難く、特許文献1に記載の負極又は特許文献2に記載のセパレータは、負極表面のLiイオンの濃度分布を均一化することに対しては必ずしも十分とは言い難い。
特開平10−188959号公報 特開2011−60539号公報
上記の事情を鑑みると、既知のセパレータの構造は、Liデンドライトを防ぐための構造として十分ではなかった。したがって、本発明は、Liデンドライトが発生し難い構造を有する多孔質フィルムを提供すること、および寿命特性を向上させるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、多孔質フィルムの表面構造を適切に制御することによって、Liデンドライトを抑制できる効率的な構造を見出し、かつ本発明の構造を有する多孔質フィルムをセパレータとして用いることで、寿命特性の大幅な向上と、安全性の向上が可能なリチウムイオン二次電池を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]
凹または凸形状のパタンを少なくとも一面に有し、かつ該凹または凸形状のパタンの長軸の長さ(L)が0.5μm以上100μm以下である多孔質フィルム。
[2]
前記凹または凸形状のパタンは、前記多孔質フィルム内部の空孔のパタンとは異なる、[1]に記載の多孔質フィルム。
[3]
前記凹または凸形状のパタンのパタンピッチ(P)が、1μm以上110μm以下である、[1]または[2]に記載の多孔質フィルム。
[4]
前記凹または凸形状のパタンの高さが、25μm以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[5]
前記凹または凸形状のパタンの高さも含めた前記多孔質フィルムの総膜厚が、25μm以下である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[6]
前記凹または凸形状のパタンの長軸の長さ(L)と該パタンのパタンピッチ(P)の比であるL/Pが、0.01以上0.9以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[7]
凹または凸形状のパタンを少なくとも一面に有し、かつ該凹または凸形状のパタンの長軸の長さ(L)が100μmを超え、前記凹または凸形状のパタンの幅(L)が0.5μm以上100μm以下である多孔質フィルム。
[8]
前記凹または凸形状のパタンは、前記多孔質フィルム内部の空孔のパタンとは異なる、[7]に記載の多孔質フィルム。
[9]
前記凹または凸形状のパタンのパタンピッチ(P)が、110μmを超える、[7]または[8]に記載の多孔質フィルム。
[10]
前記凹または凸形状のパタンの高さが、25μm以下である、[7]〜[9]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[11]
前記凹または凸形状のパタンの高さも含めた前記多孔質フィルムの総膜厚が、25μm以下である、[7]〜[10]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[12]
前記凹または凸形状のパタンの長軸の長さ(L)と該パタンのパタンピッチ(P)の比であるL/Pが、0.01以上0.9以下である、[7]〜[11]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[13]
前記凹または凸形状のパタンの幅(L)と、凹または凸形状のパタンピッチ(L)に垂直な方向のパタンピッチ(P)の比であるL/Pが、0.01以上1.0以下である、[7]〜[12]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[14]
前記多孔質フィルムが、ポリオレフィンを主成分として含む多孔質層と無機粒子及び/又は有機粒子を主成分として含む多孔質層とからなり、かつ該ポリオレフィンを主成分として含む多孔質層の少なくとも一面に前記凹または凸形状のパタンがある、[1]〜[13]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[15]
前記多孔質フィルムが、ポリオレフィンを主成分として含む多孔質層と無機粒子及び/又は有機粒子を主成分として含む多孔質層とから成り、かつ該無機粒子及び/又は有機粒子を主成分として含む多孔質層の少なくとも一面に前記凹または凸形状のパタンがある、[1]〜[13]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[16]
前記凹または凸形状のパタンの長軸の長さが、前記凹または凸形状のパタンを内側に含む最小面積の円の直径である、[1]〜[13]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
[17]
前記円は、前記凹または凸形状のパタンと少なくとも2点で接する、[16]に記載の多孔質フィルム。
[18]
正極、[1]〜[17]のいずれか1項に記載の多孔質フィルム及び負極が積層されている積層体又は該積層体の捲回体と、非水電解質とを含有するリチウムイオン二次電池。
[19]
前記多孔質フィルムの前記凹または凸形状のパタンを有する面が、前記負極側に向く、[18]に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、寿命特性、安全性、共に優れるリチウムイオン二次電池などの非水電解質電池を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る多孔質フィルムの第1面におけるパタン領域を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る多孔質フィルムのパタン領域を示す主面より垂直な方向より投影した模式図である。 本発明の一実施形態に係る多孔質フィルムの第1面におけるパタン領域の一例であるコーン形状を示す模式図である。 パタンの長軸の長さ(L)を説明した図である。 パタンの幅(L)を説明した図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本発明の一態様は、多孔質フィルムであり、多孔質フィルムの少なくとも一面には凹または凸形状のパタンがあり、該凹または凸形状のパタンの長軸の長さが0.5μm以上100μm以下である。凹または凸形状のパタンは、マイクロメートル単位の長軸の長さを有するため、微細パタンとも呼ばれる。
[微細パタン]
本実施形態において、多孔質フィルムの少なくとも第1面には、図1に示すように、複数の凸部11a及び凹部11b、すなわちパタン(凹凸構造)を有するパタン領域11が形成されている。パタンは主面の全面に形成されていてもよく、主面の一部であってもよい。本明細書では、「主面」とは、多孔質フィルムの表面のうちで、少なくとも3辺を有し、かつ最大面積を有する面、又は非水電解質電池に組み込まれたときに電極若しくは負極と対向する面を意味する。Liイオンの拡散均一化の観点から全面にパタンがあることが好ましい。必要に応じて異なるパタンを面内を分割して施してもよい。また、必要に応じて、第2面にパタンを施してよく、第1面と第2面のパタンは同一であってもよく、異なっていてもよい。
パタン領域11のパタンは、多孔質フィルム基材10を直接加工して形成されても、多孔質フィルム基材10に任意の材料を付加して形成されてもよい。特に、例えばパタンが付加されたロールによるカレンダー処理若しくはインプリントのような平板形状転写による直接的な凹凸の付与、又はスクリーン印刷若しくはインクジェット印刷のような別材料を表面に形成するような印刷方法でもよい。
パタン領域11におけるパタンの長軸の長さ(L)は0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。その下限は1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。この下限によって、正極と負極間で掛かる圧力に対して、抗力を発揮することができ、多孔質フィルムを平行に保つことができるようになり、負極と正極の距離を均一にし、反応分布を減らすことができる。その上限は、80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、30μm以下であることがより更に好ましい。この上限をパタンの長軸の長さに設けることによって、より多孔質フィルムと負極の接触面積を減らし、多孔質フィルムが接触することによる抵抗の上昇を抑え、Liデンドライトの発生を抑制することができる。パタンの短軸の長さは、パタンの長軸の長さより短ければ特に限定されない。
凹又は凸形状のパタンの長軸の長さ(L)は、多孔質フィルムの被パタン化面と垂直な方向(概ねフィルムの厚み方向)からパタンを観察したときに、パタンを内側に含む最小面積の円の直径である。好ましくは、パタンと円が少なくとも2点で接する。例えば、パタンの輪郭が五角形の場合は、パタンを内側に含む最小面積の円の直径は図4のようになる。図4中の点線で描かれた円が、パタンを内側に含む最小面積の円となる。この円の直径がパタンの長軸の長さ(L)となる。
パタンの高さはすべて揃っていてもよく、数種類の高さを混合していてもよい。すなわち、高さのヒストグラムは多段的でもよく、連続的であってもよい。負極と正極の距離を均一にし、反応分布を減らす観点から、高さは三種類以下になっていることが好ましく、より好ましくは二種類以下が好ましく、より好ましくは全て高さが揃っていることが好ましい。ただし、製造上の観点から、そのばらつきは許容される。ここでいうパタンの高さとは、多孔質フィルムの厚み方向において最も低い部分で構成される仮想平面から、パタンの最先端部までの距離を指す。
パタンの高さは、多孔質フィルムをセパレータとして含む非水電解質電池の電池特性又は安全性の観点から、好ましくは、25μm以下、20μm以下、15μm以下又は10μm以下であり、より好ましくは、8μm以下、7μm以下、6μm以下又は5μm以下である。
凹または凸形状のパタンピッチ(P)は1μm以上110μm以下であることが好ましい。パタンピッチは2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。パタンピッチが、この下限以上であることによって、より多孔質フィルムと負極の接触面積を減らし、多孔質フィルムが接触することによる抵抗の上昇を抑え、Liデンドライトの発生を抑制することができる。また、その上限は、110μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることが更に好ましい。パタンピッチが、この上限以下にあることによって、正極と負極間で掛かる圧力に対して、抗力を発揮することができ、多孔質フィルムを平行に保つことができるようになり、負極と正極の距離を均一にし、反応分布を減らすことができる。ここでいうパタンピッチとは、あるパタンを内側に含む最小面積の円の中心と、別のパタンを内側に含む最小面積の円の中心との距離で規定される。
パタンの長軸の長さをL、パタンピッチをPとしたときに、その比であるL/Pは0.01以上0.9以下であることが好ましい。その下限は、0.05以上であることがより好ましく、0.10以上であることが更に好ましい。この下限をL/Pに設けることで、正極と負極間で掛かる圧力に対して、抗力を発揮することができ、多孔質フィルムを平行に保つことができるようになり、負極と正極の距離を均一にし、反応分布を減らすことができる。また、その上限は、0.85以下であることがより好ましく、0.80以下であることが更に好ましい。この上限以下であることによって、より多孔質フィルムと負極の接触面積を減らし、多孔質フィルムが接触することによる抵抗の上昇を抑え、Liデンドライトの発生を抑制することができる。
パタン領域11におけるパタンの長軸の長さ(L)が100μmを超える場合、前記凹または凸形状のパタンの幅(L)は0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。その下限は1μm以上であることがより好ましく、2μm以上であることがさらに好ましい。この下限によって、正極と負極間で掛かる圧力に対して、抗力を発揮することができ、多孔質フィルムを平行に保つことができるようになり、負極と正極の距離を均一にし、反応分布を減らすことができる。その上限は、80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、30μm以下であることがより更に好ましい。この上限をパタンの長軸の長さに設けることによって、より多孔質フィルムと負極の接触面積を減らし、多孔質フィルムが接触することによる抵抗の上昇を抑え、Liデンドライトの発生を抑制することができる。ここでいうパタンの幅(L)は、多孔質フィルムの被パタン化面と垂直な方向(概ねフィルムの厚み方向)からパタンを観察したときに、パタンを内側に含む最小面積の矩形の短辺の長さである。
例えば、パタンの輪郭が楕円で且つ、パタンの長軸の長さ(L)、即ち、パタンを内側に含む最小面積の円の直径が100μmを超える場合、パタンの幅(L)は図5のようになる。図5中の点線で描かれた矩形が、パタンを内側に含む最小面積の矩形となる。子の矩形の短辺がパタンの幅(L)となる。
パタン領域11におけるパタンの長軸の長さ(L)が100μmを超える場合、凹または凸形状のパタンピッチ(P)は110μmを超えることが好ましい。その下限は、120μmを超えることが好ましく、150μmを超えることが好ましい。
パタン領域11におけるパタンの長軸の長さ(L)が100μmを超える場合、パタンの長軸の長さをL、パタンピッチをPとしたときに、その比であるL/Pは0.01以上1.0以下であることが好ましい。その下限は、0.05以上であることがより好ましく、0.10以上であることが更に好ましい。この下限をL/Pに設けることで、正極と負極間で掛かる圧力に対して、抗力を発揮することができ、多孔質フィルムを平行に保つことができるようになり、負極と正極の距離を均一にし、反応分布を減らすことができる。また、その上限は、0.95以下であることがより好ましく、0.90以下であることが更に好ましい。この上限以下であることによって、より多孔質フィルムと負極の接触面積を減らし、多孔質フィルムが接触することによる抵抗の上昇を抑え、Liデンドライトの発生を抑制することができる。
パタン領域11におけるパタンの長軸の長さ(L)が100μmを超える場合、パタンの幅L、パタンピッチに垂直な方向のパタンピッチをPとしたときに、その比であるL/Pは0.01以上0.9以下であることが好ましい。その下限は、0.05以上であることがより好ましく、0.10以上であることが更に好ましい。この下限をL/Pに設けることで、正極と負極間で掛かる圧力に対して、抗力を発揮することができ、多孔質フィルムを平行に保つことができるようになり、負極と正極の距離を均一にし、反応分布を減らすことができる。また、その上限は、0.85以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましい。この上限以下であることによって、より多孔質フィルムと負極の接触面積を減らし、多孔質フィルムが接触することによる抵抗の上昇を抑え、Liデンドライトの発生を抑制することができる。
パタン領域11の表面は、図2に示す通り、格子状(例えば四方配列、六方配列)、ライン・アンド・スペース構造等が好ましく、これらの構造が複数含まれていてもよい。また、これらの断面凹凸形状が、長方形、正方形、台形、菱形、六角形、三角形、円形、曲率(例えば図3に示すようなコーン形状)を有する形状等であってもよい。また、パタンの一部が欠けていても、製造ライン規模では長い周期で見たときに製造時の欠けによるものと判断できる場合には、パタンを含むと見なすことができる。また、周期的な抜けに関しても、パタン種の組み合わせとして認識できる場合には、パタンを含むと見なすことができる。
凹又は凸形状のパタンは、多孔質フィルム内部の空孔のパタンとは異なることが好ましい。本明細書では、多孔質フィルム内部の空孔のパタンとは、多孔質フィルムの被パタン化面と垂直な方向から空孔を被パタン化面に投影することにより得られる投影パタンを意味する。凹又は凸形状のパタンを、多孔質フィルム内部の空孔のパタンとは異なるものにすることで、多孔質フィルムを非水電解質電池内に配置したときに電解液の流れが乱れ、攪拌が起き、それによりLi濃度の均一化を起こすことができ、局所反応を抑制し、Liデンドライトの発生を抑制することができる。
[多孔質フィルム]
本実施形態では、多孔質フィルムは、イオンの透過性が高く、かつ正極と負極とを電気的に隔離する機能を有するものであればよい。非水電解質電池に用いられる従来公知の多孔質フィルムを用いることができ、特に制限されない。
具体的には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、及びポリウレタンなどのように、電池中の非水電解質に対して安定であり、かつ電気化学的に安定な材料で構成された微多孔膜又は不織布などを多孔質フィルムとして用いることができる。
なお、多孔質フィルムは、好ましくは80℃以上(より好ましくは100℃以上)で、かつ好ましくは180℃以下(より好ましくは150℃以下)の温度において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましい。したがって、多孔質フィルムには、融解温度、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度範囲が、好ましくは80℃以上(より好ましくは100℃以上)、好ましくは180℃以下(より好ましくは150℃以下)であるポリオレフィンを含む微多孔膜又は不織布を用いることがより好ましい。この場合、多孔質フィルムとなる微多孔膜又は不織布は、例えば、PEのみで形成されていても、PPのみで形成されていてもよく、更には2種類以上の材料を含んでいてもよい。また、多孔質フィルムは、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体(例えば、PP/PE/PP三層積層体など)などでもよい。
上記の多孔質フィルムを構成するポリマー樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、所望する多孔質フィルムのシャットダウン性能を発現させるという観点で10,000〜1,000,000であることが好ましい。
なお、上記の微多孔膜としては、例えば、従来から知られている溶剤抽出法、乾式又は湿式延伸法などにより形成された孔を多数有するイオン透過性の多孔質膜(非水電解質電池のセパレータとして汎用されている微多孔膜)を用いることができる。
多孔質フィルムに無機粒子又は樹脂微粒子等の有機粒子を含有させる場合には、上記の微多孔膜又は不織布中に無機粒子及び/又は樹脂微粒子を含有させて、単層構造のセパレータを形成することができるだけでなく、上記の微多孔膜又は不織布を基材として使用し、その片面又は両面に電池用無機粒子及び/又は樹脂微粒子を主成分として含有する多孔質層を配置して、多層構造のセパレータを形成することもできる。本明細書では、特に明示しない限り、層又はフィルム中に特定の成分を主成分として含むことは、層又はフィルムの質量に対して、その成分を50質量%以上含むことを意味する。
無機粒子は、好ましくは、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、SiO−MgO(ケイ酸マグネシウム)、SiO−CaO(ケイ酸カルシウム)、ハイドロタルサイト、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、塩基性チタン酸塩、塩基性ケイチタン酸塩、塩基性酢酸銅、塩基性硫酸鉛、層状複水酸化物(Mg−Alタイプ、Mg−Feタイプ、Ni−Feタイプ、Li−Alタイプ)、層状複水酸化物−アルミナシリカゲル複合体、ベーマイト、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、ヘマタイト、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの陰イオン吸着材、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム、アパタイト、非塩基性チタン酸塩、ニオブ酸塩、ニオブ・チタン酸塩などの陽イオン吸着材、ゼオライト、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、石膏、硫酸バリウムなどの炭酸塩および硫酸塩、アルミナ三水和物(ATH)、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、ジルコニア、及びイットリアなどの酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、及び窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、タルク、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、アメサイト、ベントナイトなどの層状シリケート、アスベスト、ケイ藻土、ガラス繊維、合成層状シリケート、例えば、雲母またはフルオロ雲母、およびホウ酸亜鉛から成る群から選択される少なくとも一つの無機粒子であってよい。
また、樹脂微粒子は、耐熱性及び電気絶縁性を有し、電池中の非水電解質に対して安定であり、かつ電池の作動電圧範囲において酸化還元され難い、電気化学的に安定な樹脂で構成されることが好ましい。このような樹脂微粒子を形成するための樹脂としては、スチレン樹脂(ポリスチレンなど)、スチレンブタジエンゴム、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートなど)、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシドなど)、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデンなど)及びこれらの誘導体から成る群から選ばれる少なくとも1種の樹脂の架橋体、尿素樹脂、並びにポリウレタンなどが例示できる。樹脂微粒子には、上記で例示された樹脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、樹脂微粒子は、必要に応じて、樹脂に添加されることができる公知の添加剤、例えば、酸化防止剤などを含有してもよい。
無機粒子又は樹脂微粒子の形態は、板状、鱗片状、針状、柱状、球状、多面体状、及び塊状などのいずれの形態であってもよい。上記形態を有する無機粒子又は樹脂微粒子は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。透過性向上の観点からは複数の面から成る多面体状が好ましい。
また、無機粒子又は樹脂微粒子の粒子径としては、その平均粒子径(D50)が、0.1μm〜4.0μmであることが好ましく、0.2μm〜3.5μmであることがより好ましく、0.4μm〜3.0μmであることが更に好ましい。このような範囲内に平均粒子径を調整することで高温での熱収縮がより抑制される傾向にある。
また、上記の多層構造を有する多孔質フィルムについては、セパレータとしての使用においてシャットダウン機能を確保するために、上記の基材が、上記の融解温度を有するポリオレフィンを主成分として含む微多孔膜又は不織布であることが好ましく、上記の融解温度を有するポリオレフィンを主成分として含む微多孔膜であることがより好ましい。すなわち、多層構造のセパレータは、無機粒子及び/又は樹脂微粒子等の有機粒子を主成分として含有する多孔質層と、上記の融解温度を有するポリオレフィンを主成分として含む多孔質層とを有していることが特に好ましい。
なお、上記の多層構造を有する多孔質フィルムにおいては、基材となる微多孔膜又は不織布と、無機粒子及び/又は樹脂微粒子等の有機粒子を含有する多孔質層とは一体であってもよく、それぞれが独立の膜であり、電池内で重ね合わせられてセパレータを構成してよい。
無機粒子及び/又は樹脂微粒子等の有機粒子を主成分として含有する多孔質層と、上記の融解温度を有するポリオレフィンを主成分として含む多孔質層とを有する多層構造のセパレータにおいては、ポリオレフィンを主成分として含む多孔質層は、その構成成分の全体積(空孔部分を除く全体積)中におけるポリオレフィンの含有量が、30体積%以上であることが好ましく、50体積%以上であることがより好ましく、100体積%以下であることが特に好ましい。
なお、無機粒子及び/又は樹脂微粒子等の有機粒子を主成分として含有する多孔質層と、上記の融解温度を有するポリオレフィンを主成分として含む多孔質層とを有する多層構造のセパレータについては、ポリオレフィンを主成分として含む多孔質層(特に微多孔膜)は、電池内が高温となることによって熱収縮を起こし易い。しかし、上記の多層構造のセパレータにおいては、熱収縮し難い非水電解質電池用無機粒子及び/又は有機粒子を含有する多孔質層が、耐熱層として作用し、セパレータ全体の熱収縮が抑制されるため、より高温下での安全性に優れた非水電解質電池を達成することができる。
上記の多層構造を有する多孔質フィルムをセパレータとして使用する場合、無機粒子及び/又は樹脂微粒子等の有機粒子を含有する層には、粒子同士を結着させるために、又は無機粒子及び/又は樹脂微粒子を含有する層と基材(上記の不織布又は微多孔膜)とを結着するために、バインダーを含有させることが好ましい。
上記バインダーとしては、特に限定はされないが、例えば、非導電性重合体及びコアシェル構造を有する重合体の粒子から成る群から選択される少なくとも1つである。
非導電性重合体又はコアシェル構造を有する重合体の粒子は、下記(b1)〜(b4)に大別される樹脂を含む:
(b1)ニトリル系樹脂
(b2)アクリル系樹脂
(b3)脂肪族共役ジエン系樹脂
(b4)上記(b1)〜(b3)とは異なる樹脂
(b1)ニトリル系樹脂
ニトリル系樹脂は、ニトリル基を有する重合単位を主成分として含む樹脂である。本明細書では、重合単位を主成分として含むことは、重合時に仕込まれる全単量体の合計モルに対して50モル%以上であることを意味する。ニトリル系樹脂は、所望により、ニトリル基を有する重合単位に加えて、エチレン性不飽和化合物、炭素数4以上の直鎖アルキレン重合単位、親水性基を有する重合単位、反応性基を有する重合単位、芳香族ビニル重合単位、熱架橋性基を有する重合単位から成る群から選択される少なくとも1つを含んでよい。熱架橋性基としては、例えば、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキサゾリン基、アリル基などが挙げられる。熱架橋性基を有する場合、ニトリル系樹脂における熱架橋性基を有する単量体単位の存在量は、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量100質量部に対して、0.01質量部以上4質量部以下が好ましい。
ニトリル系樹脂のヨウ素価は、3〜60mg/100mgが好ましく、3〜30mg/100mgがより好ましく、3〜10mg/100mgであることがさらに好ましい。
ニトリル系樹脂は、ニトリル基を有する単量体の重合、又はニトリル基を有する単量体と他の単量体との共重合により得られることができる。ニトリル基を有する単量体は、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどである。(メタ)アクリロニトリルは、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを意味する。
他の単量体としては、エチレン性不飽和化合物、例えば、アクリル酸、2−メタクリル酸、2−ペンテン酸、2,3−ジメチルアクリル酸、3,3−ジメチルアクリル酸、イタコン酸、及びそれらのアルカリ金属塩などの(メタ)アクリル酸などが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味し、(メタ)アクリル酸エステル単量体において、アルキル基の水素の一部または全部は、フッ素などのハロゲンに置換されたハロアルキル基であってもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜14であり、より好ましくは1〜5である。
非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が1〜5である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、及びトリメチロールプロパントリアクリレートなどの2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類が挙げられる。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、およびアクリル酸イソボルニルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、およびメタクリル酸シクロヘキシルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロノニル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロドデシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロテトラデシル)エチル、及びアクリル酸2−(パーフルオロヘキサデシル)エチルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるアクリル酸2−(パーフルオロアルキル)エチル;メタクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロノニル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロドデシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロテトラデシル)エチル、及びメタクリル酸2−(パーフルオロヘキサデシル)エチルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるメタクリル酸2−(パーフルオロアルキル)エチル;が挙げられる。
炭素数4以上の直鎖アルキレン重合単位は、例えば、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどである。
親水性基とは、水性溶媒中でプロトンを遊離する官能基、及びプロトンがカチオンに置換された塩のことをいい、具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基及びこれらの塩などが挙げられる。上記親水性基の含有割合は、好ましくは0.05〜10質量%の範囲内にある。
ニトリル系樹脂中への親水性基の導入は、カルボン酸基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基及びこれらの金属塩又はアンモニウム塩などを含むモノマーを重合して行われる。
カルボン酸基を有するモノマーとしては、モノカルボン酸及びその誘導体又はジカルボン酸、並びにこれらの誘導体などが挙げられる。モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、3−ブテン酸、及びクロトン酸などが挙げられる。モノカルボン酸誘導体としては、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α―アセトキシアクリル酸、β−trans−アリールオキシアクリル酸、α−クロロ−β−E−メトキシアクリル酸、β−ジアミノアクリル酸、トランス−ブテンジオン酸、及びシス−ブテンジオン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、及びイタコン酸などが挙げられる。ジカルボン酸誘導体としては、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、及びフルオロマレイン酸などが挙げられ、さらに、マレイン酸メチルアリル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、及びマレイン酸フルオロアルキルなどのマレイン酸エステル;が挙げられる。また、加水分解によりカルボキシル基を生成する酸無水物も使用できる。ジカルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、及びジメチル無水マレイン酸などが挙げられる。
スルホン酸基を有するモノマーとしては、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及び3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
水酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、及び5−ヘキセン−1−オールなどのエチレン性不飽和アルコール;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、マレイン酸ジ−2−ヒドロキシエチル、マレイン酸ジ−4−ヒドロキシブチル、及びイタコン酸ジ−2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアルカノールエステル類;一般式CH=CR−COO−((CHO)−H{式中、mは2〜9の整数、nは2〜4の整数、Rは水素またはメチル基を表す}で表されるポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシフタレート、2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシサクシネートなどのジカルボン酸のジヒドロキシエステルのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−4−ヒドロキシブチルエーテル、及び(メタ)アリル−6−ヒドロキシヘキシルエーテルなどのアルキレングリコールのモノ(メタ)アリルエーテル類;ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレングリコール(メタ)モノアリルエーテル類又はグリセリンモノ(メタ)アリルエーテル;(メタ)アリル−2−クロロ−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールのハロゲン及びヒドロキシ置換体のモノ(メタ)アリルエーテル;オイゲノール、イソオイゲノールなどの多価フェノールのモノ(メタ)アリルエーテル及びそのハロゲン置換体;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルチオエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルチオエーテルなどのアルキレングリコールの(メタ)アリルチオエーテル類;などが挙げられる。
リン酸基を有するモノマーとしては、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、及びリン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。
反応性基を有する重合単位は、無機粒子及び/又は有機粒子の表面官能基との反応性、又はスラリーを製造する際の無機粒子及び/又は有機粒子の分散性の向上のために重合体に組み込んでよい。反応性基を有する重合単位としては、無機粒子及び/又は有機粒子の表面官能基がアミノ基の場合、ニトリル系樹脂の反応性基としてはエポキシ基、カルボニル基、及びカルボキシル基が好ましく、エポキシ基がより好ましい。
また、上述した無機粒子及び/又は有機粒子の表面官能基がエポキシ基の場合、ニトリル樹脂の反応性基としてはスルホン酸基、アミノ基、リン酸基、水酸基、メルカプト基、及びイソシアネート基が好ましく、スルホン酸基、アミノ基がより好ましい。
また、上述した無機粒子及び/又は有機粒子の表面官能基がメルカプト基の場合、ニトリル系樹脂の反応性基としてはエポキシ基及びメルカプト基が好ましい。
また、上述した無機粒子及び/又は有機粒子の表面官能基がイソシアネート基の場合、ニトリル系樹脂の反応性基としてはエポキシ基及び水酸基が好ましい。
また、上述した無機粒子及び/又は有機粒子の表面官能基が水酸基またはカルボキシル基の場合、反応性基としてはカルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基、ヒドラジド基、及びイソシアナト基が好ましい。
更に、ニトリル系樹脂は、上述した繰り返し単位(すなわち、(メタ)アクリロニトリル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位および熱架橋性基を有する単量体単位)以外にも、その他の任意の繰り返し単位を含んでいてもよい。上記任意の繰り返し単位に対応する単量体の例を挙げると、スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、及びジビニルベンゼン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及び酪酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びブチルビエルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、及びイソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、及びビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;アクリルアミドなどのアミド系単量体、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸エステル;イミノ化合物、マレイミド、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体、エチレン官能性ケイ素含有単量体、キレート化合物、イソチアゾリン類、シロキサン類、スルホコハク酸エステル及びその塩などが挙げられる。なお、ニトリル系樹脂は、上記任意繰り返し単位を、1種類だけ含んでいてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。ただし、上述したような(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含むことによる利点を顕著に発揮する観点からは、上記任意の繰り返し単位の量は少ないことが好ましく、上記任意の繰り返し単位を含まないことが特に好ましい。
ニトリル系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上であり、好ましくは2,000,000以下、より好ましくは500,000以下である。ニトリル系樹脂の重量平均分子量が上記範囲にあると、本発明の多孔質フィルムの強度及び/又は有機粒子の分散性を良好にし易い。
ニトリル系樹脂の体積平均粒子径D50は、0.01μm以上が好ましく、かつ0.5μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。ニトリル系樹脂の体積平均粒子径D50を上記範囲の下限値以上にすることで、本発明の多孔質フィルムの多孔性を高く維持して多孔質フィルムの抵抗を抑制し、電池物性を良好に保つことができ、また、上記範囲の上限値以下にすることで、非導電性粒子と非水溶性粒子状重合体との接着点を多くして結着性を高くすることができる。
ニトリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、20℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることが特に好ましい。上記ガラス転移温度(Tg)が上記範囲であることにより、本発明の多孔質フィルムの柔軟性が上がり、電極及びセパレータの耐屈曲性が向上し、本発明の無機粒子及び/又は樹脂微粒子を含有する層が割れることによる不良率を下げることができる。また、本発明の無機粒子及び/又は樹脂微粒子を含有する層を有する多孔質フィルム及び電極をロールに巻き取る時又は捲回時に、ヒビ、欠け等を抑制することもできる。なお、非導電性重合体のガラス転移温度は、様々な単量体を組み合わせることによって調整可能である。ニトリル系樹脂のガラス転移温度の下限は特に限定されないが、−50℃以上とすることができる。
ニトリル系樹脂の製造工程において、重合法に用いられる分散剤は、通常の合成で使用されるものでよく、具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩などのエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテルリン酸エステルナトリウム塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル、及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などの非イオン性乳化剤;ゼラチン、無水マレイン酸−スチレン共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、及び重合度700以上かつケン化度75%以上のポリビニルアルコールなどの水溶性高分子などが例示され、これらは単独でも2種類以上を併用して用いてもよい。これらの中でも好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩であり、更に好ましくは、耐酸化性に優れるという点から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのベンゼンスルホン酸塩である。分散剤の添加量は任意に設定でき、モノマー総量100質量部に対して通常0.01〜10質量部程度である。
ニトリル系樹脂が分散媒に分散している時のpHは、5〜13が好ましく、更には5〜12、最も好ましくは10〜12である。ニトリル系樹脂のpHが上記範囲にあることにより、ニトリル系樹脂の保存安定性が向上し、さらには、機械的安定性が向上する。
ニトリル系樹脂のpHを調整するpH調整剤は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、第2族元素酸化物である水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属酸化物、水酸化アルミニウムなどの長周期律表でIIIA属に属する金属の水酸化物などの水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸マグネシウムなどの2族元素炭酸塩などの炭酸塩;などが例示され、有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、及びプロピルアミンなどのアルキルアミン類;モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、及びモノプロパノールアミンなどのアルコールアミン類;アンモニア水などのアンモニア類;などが挙げられる。これらのなかでも、結着性又は操作性の観点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムが好ましい。
ニトリル系樹脂は架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤の例としては、カルボジイミド化合物、多官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、多官能ヒドラジド化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
ニトリル系樹脂は、具体的には、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体、又はそれらの水素添加物などである。
(b2)アクリル系樹脂
アクリル系樹脂は、アクリル化合物を主な単量体として使用して得られる樹脂である。主な単量体として使用することは、重合時に仕込まれる全単量体の合計モルに対して50モル%以上であることを意味する。アクリル化合物は、アクリロイル基又はメタクリロイル基である(メタ)アクリロイル基を有する単量体である。
アクリル系樹脂は、所望により、アクリロイル基を有する重合単位に加えて、(メタ)アクリロニトリルを含むエチレン性不飽和化合物、炭素数4以上の直鎖アルキレン重合単位、親水性基を有する重合単位、反応性基を有する重合単位、芳香族ビニル重合単位、熱架橋性基を有する重合単位から成る群から選択される少なくとも1つを含んでよい。熱架橋性基としては、例えば、エポキシ基、N−メチロールアミド基、オキサゾリン基、及びアリル基などが挙げられる。熱架橋性基を有する場合、アクリル系樹脂における熱架橋性基を有する単量体単位の存在量は、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量100質量部に対して、0.01質量部以上4質量部以下が好ましい。
アクリル系樹脂は、アクリル化合物の重合、又はアクリル化合物と他の単量体との共重合により得られることができる。
アクリル化合物としては、以下の単量体を使用してよい:
(メタ)アクリル酸の例を挙げると、例えば、アクリル酸、2−メタクリル酸、2−ペンテン酸、2,3−ジメチルアクリル酸、3,3−ジメチルアクリル酸、イタコン酸、及びそれらのアルカリ金属塩;などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルの例を挙げると、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、及び(メタ)アクリル酸−2エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、及びトリメチロールプロパントリアクリレートなどの2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するジアクリレート化合物;トリアクリレート化合物、テトラアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物、及びトリメタクリレート化合物;などが挙げられる。また、含フッ素アクリル酸エステル、アミド基含有(メタ)アクリル酸又はアミド基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル官能性ケイ素含有単量体等も挙げられる。
他の単量体は、エチレン性不飽和化合物、例えば、(メタ)アクリロニトリルをはじめ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、及び(メタ)アクリル酸−2エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、及びトリメチロールプロパントリアクリレートなどの2つ以上の炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル類が挙げられる。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、およびアクリル酸イソボルニルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、およびメタクリル酸シクロヘキシルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロノニル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロドデシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロテトラデシル)エチル、及びアクリル酸2−(パーフルオロヘキサデシル)エチルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるアクリル酸2−(パーフルオロアルキル)エチル;メタクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロノニル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロドデシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロテトラデシル)エチル、及びメタクリル酸2−(パーフルオロヘキサデシル)エチルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるメタクリル酸2−(パーフルオロアルキル)エチル;が挙げられる。
さらに、アクリル系樹脂は、上述した繰り返し単位(すなわち、(メタ)アクリル単量体単位、(メタ)アクリロニトリル単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位および熱架橋性基を有する単量体単位)以外にも、その他の任意の繰り返し単位を含んでいてもよい。上記任意の繰り返し単位に対応する単量体の例を挙げると、炭素数4以上の直鎖アルキレン重合単位、カルボン酸基を有するモノマー、スルホン酸基を有するモノマー、水酸基を有するモノマー、リン酸基を有するモノマー、反応性重合単位、スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、及びジビニルベンゼン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及び酪酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びブチルビエルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、及びイソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、及びビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;アクリルアミドなどのアミド系単量体、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸エステル;イミノ化合物、マレイミド、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体、エチレン官能性ケイ素含有単量体、キレート化合物、イソチアゾリン類、シロキサン類、スルホコハク酸エステル及びその塩などが挙げられる。なお、アクリル系樹脂は、上記任意繰り返し単位を、1種類だけ含んでいてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。ただし、上述したような(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含むことによる利点を顕著に発揮する観点からは、上記任意の繰り返し単位の量は少ないことが好ましく、上記任意の繰り返し単位を含まないことが特に好ましい。
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上であり、好ましくは2,000,000以下、より好ましくは500,000以下である。アクリル系樹脂の重量平均分子量が上記範囲にあると、本発明の多孔膜の強度及び非導電性重合体の分散性を良好にし易い。
アクリル系樹脂の体積平均粒子径D50は、0.01μm以上が好ましく、また、0.5μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。アクリル系樹脂の体積平均粒子径D50を上記範囲の下限値以上にすることで、本発明の多孔質フィルムの多孔性を高く維持して多孔質フィルムの抵抗を抑制し、電池物性を良好に保つことができ、また、上記範囲の上限値以下にすることで、無機粒子及び/又は有機粒子と非水溶性粒子状重合体との接着点を多くして結着性を高くすることができる。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、20℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることが特に好ましい。上記ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることにより、本発明の多孔質フィルムの柔軟性が上がり、電極及び多孔質フィルムの耐屈曲性が向上し、本発明の多孔質フィルムが割れることによる不良率を下げることができる。また、本発明の多孔質フィルム及び電極をロールに巻き取る時又は捲回時に、ヒビ、欠け等を抑制することもできる。なお、非導電性重合体のガラス転移温度は、様々な単量体を組み合わせることによって調整可能である。アクリル系樹脂のガラス転移温度の下限は特に限定されないが、−50℃以上とすることができる。
アクリル系樹脂の製造工程において、重合法に用いられる分散剤は、通常の合成で使用されるものでよい。
アクリル系樹脂が分散媒に分散している時のpHは、5〜13が好ましく、より好ましくは5〜12、さらに好ましくは10〜12である。アクリル系樹脂のpHが上記範囲内にあることにより、アクリル系樹脂の保存安定性が向上し、さらには、機械的安定性が向上する。
アクリル系樹脂のpHはpH調整剤で調節してよい。
アクリル系樹脂は架橋剤を含んでいてもよい。
アクリル系樹脂は、具体的には、アクリル軟質重合体、アクリル硬質重合体、アクリル−スチレン共重合体、スルホン化アクリル重合体、又はそれらのシード重合体、水素添加物若しくはグラフト体などである。
アクリル系樹脂は、非導電性重合体の形態でよい。アクリル系樹脂は、アクリル化合物とケイ素含有単量体から形成されるときに、水溶性でよい。アクリル系樹脂は、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを含んでよい。
(b3)脂肪族共役ジエン系樹脂
脂肪族共役ジエン系樹脂は、共役ジエンを有する脂肪族単量体を主成分として使用して得られる樹脂である。本明細書では、主成分として使用することは、重合時に仕込まれる全単量体の合計モルに対して50モル%以上であることを意味する。
共役ジエンを有する脂肪族単量体は、置換又は非置換の鎖状ジエンであり、かつ直鎖又は分岐鎖でよい。共役ジエンを有する脂肪族単量体は、具体的には、1,3−ブタジエン、1,3−イソプレン、1,4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2,3−トリメチル−1,3−ブタジエン、1,3,5−ヘキサトリエン、及びアロオシメンなどである。
脂肪族共役ジエン系樹脂は、共役ジエンを有する脂肪族単量体の重合、又は共役ジエンを有する脂肪族単量体と他の単量体との共重合により得られることができる。
他の単量体としては、エチレン系不飽和カルボン酸、スルホン酸基含有単量体、ニトリル基含有単量体、芳香族ビニル単量体、熱架橋性基を有する単量体、及び芳香族ビニル化合物などを使用してよい。
脂肪族共役ジエン系樹脂は、具体的には、1,3−ブタジエン重合体、ジエン系ゴム、熱可塑性エラストマー、又はそれらのランダム共重合体、ブロック共重合体、水素化物若しくは酸変性物でよい。脂肪族共役ジエン系樹脂は、所望により、フェノール系とチオエーテル系との組み合わせ、又はフェノール系化合物と亜リン酸エステル系化合物との組み合わせなどの老化防止剤を含んでよい。
(b4)樹脂(b1)〜(b3)とは異なる樹脂
樹脂(b1)〜(b3)とは異なる樹脂(b4)は、例えば、オレフィン系樹脂、フッ素樹脂、スルホン酸基含有樹脂、及びセルロース系樹脂等である。樹脂(b4)は、有機重合体の粒子、グラフトポリマー、ポリマーラテックス、及びケイ素含有重合体等の形態でよい。
オレフィン系樹脂は、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、及びエチレン・プロピレン・スチレン共重合体などの、オレフィン化合物の単独重合体又はそれと共重合可能な単量体との共重合体などが挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン系ゴム、及びテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。
スルホン酸基含有樹脂としては、スルホン化ポリマー、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリサルフォンなどが挙げられる。
セルロース系樹脂としては、例えば、セルロース系半合成高分子、及びそのナトリウム塩又はアンモニウム塩などが挙げられる。セルロース系樹脂は、硫黄原子、カチオン性基、酸基、及びプロパルギル基等を有してよい。
ケイ素含有重合体としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、及びジヒドロキシポリシロキサン等が挙げられる。
[コアシェル構造を有する重合体の粒子]
コアシェル構造を有する重合体の粒子は、重合体を含むコア部と、重合体を含むシェル部とを有する。また、コアシェル構造を有する樹脂は、非水電解質に対する相溶性を示すセグメントと示さないセグメントを有することが好ましい。コア部又はシェル部の重合体としては、上記で説明された樹脂(b1)〜(b4)を使用することができる。
コアシェル構造を有する重合体の粒子は、例えば、コア部を形成する重合体のモノマーとシェル部を形成する重合体のモノマーとを用い、経時的にそれらのモノマーの比率を変えて段階的に重合することにより、製造することができる。具体的には、先ず、コア部を形成する重合体のモノマーを重合してシードポリマー粒子を製造する。このシードポリマー粒子は、粒子のコア部となる。その後、シードポリマー粒子を含む重合系において、シェル部を形成する重合体のモノマーを重合する。これにより、コア部の表面にシェル部が形成されるので、コアシェル構造を有する重合体の粒子が得られる。この際、必要に応じて、例えば反応媒、重合開始剤、界面活性剤などを用いてもよい。
(コア部)
粒子のコア部は、一般に175℃以上、好ましくは220℃以上、より好ましくは225℃以上に、軟化開始点又は分解点を有する。175℃以上の温度範囲に軟化開始点又は分解点を有するコア部は、二次電池の使用環境及びヒートプレス時に変形し難く、微多孔性フィルムの孔の閉塞を抑制できる。また、微多孔性フィルムの剛性が低下することを抑制できるので、セパレータの収縮も抑制することができる。したがって、高温環境における短絡を安定して防止することが可能である。また、コア部の軟化開始点又は分解点の上限に制限は無いが、通常450℃以下である。
軟化開始点の測定法を以下に説明する。
先ず、測定試料10mgをアルミパンに計量し、示差熱分析測定装置にて、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲−100℃〜500℃の間で、昇温速度10℃/分で、常温常湿下で、DSC曲線を測定する。この昇温過程で、微分信号(DDSC)が0.05mW/分/mg以上となるDSC曲線の吸熱ピークが出る直前のベースラインと、吸熱ピーク後に最初に現れる変曲点でのDSC曲線の接線との交点を、ガラス転移点(Tg)とする。さらに、そのガラス転移点より25℃高い温度を、軟化開始点とする。
なお、非導電性重合体のコア部の軟化開始点より分解点の方が低いときには、分解により軟化開始点が観測されないことがある。
分解点の測定法を以下に説明する。
窒素雰囲気下において、測定試料を、示差熱熱重量同時測定装置により30℃から昇温速度10℃/分で加熱する。この際、減量割合が10質量%に達する温度を、分解点とする。
なお、粒子のコア部の軟化開始点及び分解点の両方が観測されるときには、より低い温度の方をコア部の軟化開始点と見なす。
コア部を形成する重合体としては、例えば、樹脂(b1)〜(b4)の高度に架橋された重合体が挙げられる。高度な架橋により、重合体のガラス転移点以上の温度においても重合体の分子運動が抑制されるので、コア部は形状を維持することができる。
コア部を形成する重合体は、好ましくは、架橋性ビニルモノマーを重合することにより得られる。架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、通常2個以上、好ましくは2個の共重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。また、架橋性ビニルモノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
好適な架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、非共役ジビニル化合物、多価アクリレート化合物などが挙げられる。
非共役ジビニル化合物の例としては、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
多価アクリレートの例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、及び2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、及びテトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、及び2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;などが挙げられる。
架橋性ビニルモノマーの割合は、コア部を形成する重合体の全モノマーに対して、20質量%以上が好ましく、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。架橋性ビニルモノマーの割合を20質量%以上に調整することにより、コア部の硬度、耐熱性及び耐溶剤性を向上させることができる。また、架橋性ビニルモノマーの割合の上限は、通常100質量%以下、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。ここで、架橋性ビニルモノマーの量は、例えば希釈剤及び不純物などを除いた純品換算による。
(シェル部)
粒子のシェル部の軟化開始点は、85℃以上が好ましく、より好ましくは87℃以上、さらに好ましくは89℃以上であり、他方、145℃以下が好ましく、より好ましくは125℃以下、さらに好ましくは115℃以下である。軟化開始点が85℃以上であることにより、多孔質フィルムの耐ブロッキング性を向上させることができる。また、二次電池の使用温度においてシェル部が融解し難くなるので、多孔質フィルムの孔の閉塞を抑制でき、それにより、二次電池のレート特性を向上させることができる。また、軟化開始点が145℃以下であることにより、ヒートプレスの際にシェル部を容易に融解させることができるので、多孔質フィルムの接着性を向上させ、それにより、二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
シェル部を形成する重合体としては、(メタ)アクリレート単位を含む重合体を用いることが好ましい。(メタ)アクリレート単位を含む重合体によってシェル部を形成することにより、多孔膜の電気的安定性を向上させることができる。アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルエチルアクリレート等が挙げられる。メタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
シェル部を形成する重合体における(メタ)アクリレート単位の比率は、電気的安定性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、100質量%以下でよい。
(コアシェル構造を有する重合体の粒子の大きさ)
コアシェル構造を有する重合体の粒子の個数平均粒子径は、30nm以上が好ましく、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは100nm以上であり、他方、1,500nm以下が好ましく、より好ましくは1,200nm以下、さらに好ましくは1,000nm以下である。粒子の個数平均粒径をこのような範囲内に調整することにより、粒子同士が接触部を有しつつ、イオンの移動が阻害されない程度に、粒子同士の隙間を形成できる。したがって、微多孔性フィルムの強度が向上し、且つ電池の短絡を防止することができ、かつ二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
粒子の個数平均粒子径は、以下のようにして測定し得る。電界放出形走査電子顕微鏡にて25,000倍の倍率で撮影した写真から、200個の粒子を任意に選択する。その粒子像の最長辺をLa、最短辺をLbとしたとき、(La+Lb)/2を粒径とする。200個の粒子の粒径の平均を、平均粒径として求める。
シェル部の厚みは、粒子の個数平均粒子径に対して、3%以上が好ましく、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは7%以上であり、また、18%以下が好ましく、より好ましくは16%以下、さらに好ましくは14%以下である。シェル部の厚みが、個数平均粒子径に対して3%以上であると、セパレータの接着性を高めて二次電池のサイクル特性を向上させることができる。また、シェル部の厚みが個数平均粒子径に対して18%以下であると、セパレータの孔径を、イオンの移動を妨げない程度に大きくでき、それにより二次電池のレート特性を向上させることができる。また、シェル部を薄くすることで相対的にコア部を大きくできるので、粒子の剛性を高めることができるため、微多孔性フィルムの剛性を高めて、セパレータの収縮を抑制することができる。
シェル部の厚み(S)は、例えば、シェル部を形成する前のシードポリマー粒子の個数平均粒子径(D1)およびシェル部を形成した後の非導電性重合体の個数平均粒子径(D2)から、以下の式:
(D2−D1)/2=S
により算出し得る。
(コアシェル構造を有する重合体の粒子の量)
無機粒子及び/又は有機粒子を有する多孔質層におけるコアシェル構造を有する重合体の粒子の含有割合は、70質量%以上が好ましく、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、かつ98質量%以下が好ましく、より好ましくは96質量%以下、さらに好ましくは94質量%以下である。粒子の含有割合が上記範囲内であると、粒子同士が接触部を有しつつ、イオンの移動が阻害されない程度に、粒子同士の隙間を形成でき、それにより、多孔質フィルムの強度を向上させ、電池の短絡を安定して防止することができる。
多孔質フィルムが無機粒子及び/又は有機粒子を含有する場合、多孔質フィルムにおける無機粒子及び/又は有機粒子の含有量は、その使用による効果を良好に確保する観点から、例えば、多孔質フィルムの面積当たりの量で、0.1g/m以上であることが好ましく、0.5g/m以上であることがより好ましい。ただし、多孔質フィルムにおける無機粒子及び/又は有機粒子の含有量が多すぎると、セパレータが厚くなって、電池のエネルギー密度の低下又は内部抵抗上昇の要因となり易い。したがって、多孔質フィルムにおける無機粒子及び/又は有機粒子の含有量は、例えば、多孔質フィルムの面積当たりの量で、15g/m以下であることが好ましく、10g/m以下であることがより好ましい。
また、多孔質フィルムが、無機粒子及び/又は有機粒子を含有する多孔質層を有する場合、多孔質層における無機粒子及び/又は有機粒子の、多孔質層の構成成分の全体積(空孔部分を除く全体積)中における含有量は、その使用による効果を良好に確保する観点から、1体積%以上であることが好ましく、5体積%以上かつ100体積%以下であることがより好ましい。
本実施形態の非水電解質電池に係る多孔質フィルムの空孔率は、非水電解質の保持量を確保してイオン透過性を良好にするために、多孔質フィルムの乾燥した状態で、30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。一方、多孔質フィルムの強度の確保と内部短絡の防止の観点から、多孔質フィルムの空孔率は、多孔質フィルムの乾燥した状態で、80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。なお、多孔質フィルムの空孔率Po(%)は、上記で説明された凹又は凸形状のパタンの高さを含む多孔質フィルムの厚み、面積当たりの質量、及び構成成分の密度から、下記式:
Po={1−(m/t)/(Σa・ρ)}×100
{式中、aは、全体の質量を1としたときの成分iの比率であり、ρは、成分iの密度(g/cm)であり、mは、多孔質フィルムの単位面積当たりの質量(g/cm)であり、かつtは、多孔質フィルムの厚み(cm)である。}
を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
本実施形態における多孔質フィルムの厚みは、単層構造と多層構造のいずれにおいても、上記で説明された凹又は凸形状のパタンの高さも含めて、2μm以上200μm以下が好ましく、3μm以上100μm以下がより好ましく、4μm以上30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。多孔質フィルムの厚みが2μm以上であることにより、多孔質フィルムの機械強度がより向上する傾向にある。また、多孔質フィルムの厚みが200μm以下であることにより、電池内における多孔質フィルムの占有体積が減るため、非水電解質電池がより高容量化し、イオン透過性がより向上する傾向にある。
本実施形態における多孔質フィルムの透気度は、10秒/100cc以上500秒/100cc以下であることが好ましく、より好ましくは20秒/100cc以上450秒/100cc以下であり、更に好ましくは30秒/100cc以上450秒/100cc以下である。透気度が10秒/100cc以上であることにより、多孔質フィルムを非水電解質電池に用いた際の自己放電がより少なくなる傾向にある。また、透気度が500秒/100cc以下であることにより、より良好な充放電特性が得られる傾向にある。
また、多孔質フィルムが、無機粒子及び/又は有機粒子を含有する多孔質層と、基材となる不織布又は微多孔膜とを有する場合、無機粒子及び/又は有機粒子を含有する多孔質層の厚みは、1μm〜10μmであることが好ましい。
更に、多孔質フィルムが、無機粒子及び/又は有機粒子を含有する多孔質層と、基材となる不織布又は微多孔膜とを有する場合、又はこれらの層に加えて、別の層(その他の無機粒子又は樹脂微粒子を主成分として含む多孔質層)を有する場合、基材となる不織布又は多孔質膜の厚みは、5μm〜40μmであることが好ましい。
また、多孔質フィルムが、別の層を有する場合、かかる多孔質層の厚みは、1μm〜10μmであることが好ましい。
無機粒子及び/又は有機粒子を含有する多孔質層は、無機粒子及び/又は有機粒子、バインダーなどを水又は有機溶媒に分散又は溶解させて調製した組成物(例えば、ペースト、スラリーなど)を、かかる多孔質層の形成が予定される箇所に塗布し、乾燥する工程を経て形成したり、上記組成物を樹脂フィルムなどの基材に塗布し、乾燥した後に剥離して独立膜として形成したりすることができる。
また、別の層についても、上記の粒子、バインダーなどを水又は有機溶媒に分散又は溶解させて調製した組成物(例えば、ペースト、スラリーなど)を、かかる多孔質層の形成が予定される箇所に塗布し、乾燥する工程を経て形成したり、上記組成物を樹脂フィルムなどの基材に塗布し、乾燥した後に剥離して独立膜として形成したりすることができる。
無機粒子及び/又は樹脂微粒子を主成分として含有する多孔質層には更に水溶性ポリマーを含むことが好ましい。水溶性ポリマーとしては、一般に水系分散剤又は水系増粘剤として知られる公知のポリマーを用いることができる。
水系分散剤としては、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、メタクリル酸系又はアクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(いずれも共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株))等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、及びソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、及びW017(いずれも裕商(株))等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100、SNディスパーサント5040、5033、5034、5468、5020(いずれもサンプノコ(株)製)、及びソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000、及び41000などの各種ソルスパース分散剤(いずれもLubrizol社製)等の高分子分散剤;アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、及びP−123(いずれもADEKA(株)製)、イオネットS−20(三洋化成工業(株)製)、並びにDISPERBYK 101、103、106、108、109、110、111、112、116、118、130、140、142、162、163、164、166、167、170、171、174、176、180、182、184、190、191、194N、2000、2001、2010、2015、2050、2055、2150、2152、2155、及び2164(いずれもビックケミー社製)などの分散剤;デモールEP、ポイズ520、ポイズ521、ポイズ530、ポイズ535、及びデモールP(いずれも花王社製)などの分散剤;アロンT−50、−6012、A−6017、AT−40H、A−6001、A−30SL、A−6114、A−210、SD−10、A−6712、A−6330、CMA−101、及びジュリマー(登録商標)AC−10NPD(いずれも東亞合成(株)製)、並びにNuosperse FX−605、FX−609、FX−600、及びFX−504(いずれもElementis社製)などの各種ポリカルボン酸系分散剤が挙げられる。また、分散剤としては、上記以外にもアクリル系共重合体などの分子末端又は側鎖に極性基を有するオリゴマー若しくはポリマーが挙げられる。分散剤は、1種単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
水系増粘剤としては、例えば、SEPIGEL 305、NS、EG、FL、SEPIPLUS 265、S、400、SEPINOV EMT10、P88、及びSEPIMAX ZEN(いずれも成和化成社製);アロンA−10H、A−20P−X、A−20L、A−30、A−7075、A−7100、A−7185、A−7195、A−7255、B−300K、B−500K、ジュリマー(登録商標)AC−10LHPK、AC−10SHP、レオジック260H、845H、及びジュンロンPW−120(いずれも東亞合成社製);DISPERBYK 410、411、415、420、425、428、430、431、7410ET、7411ES、7420ES、及びOPTIFLO−L1400(いずれもビックケミー社製)、コスカットGA468(大阪有機化学工業社製)、繊維素誘導体系材料(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及びヒドロキシセルロース等)、タンパク質系材料(カゼイン、カゼイン酸ソーダ、及びカゼイン酸アンモニウム等)、アルギン酸系材料(アルギン酸ソーダ等)、ポリビニル系材料(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びポリビニルベンジルエーテル共重合物等)、ポリアクリル酸系材料(ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸−ポリメタクリル酸共重合物等)、ポリエーテル系材料(プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルウレタン変性物、及びポリエーテルエポキシ変性物等)、並びに無水マレイン酸共重合体系材料(ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合物の部分エステル、乾性油脂肪酸アリルアルコールエステル−無水マレイン酸のハーフエステル等)が挙げられる。増粘剤としては、上記以外にも、ポリアマイドワックス塩、アセチレングリコール、ゼンタンガム、分子末端若しくは側鎖に極性基を有するオリゴマー又はポリマーが挙げられる。
増粘剤は、1種単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
製膜された無機粒子及び/又は有機粒子を含有する多孔質層の水溶性ポリマーの含有量は、無機粒子及び/又は有機粒子の全固形分に対して、0.1質量%〜100質量%の範囲が好ましく、0.2質量%〜10質量%の範囲がより好ましい。
凹又は凸形状のパタンを施した基材の両面に、基材とは異なる組成を持つ層を設けてよい。また、凹又は凸形状のパタンを施した基材の主面の片面に、基材とは異なる組成を持つ層を設ける場合には、パタンを施した主面に形成してもよく、またパタンを施した主面とは反対の主面に形成してもよい。基材にパタンがある場合、パタンの効果を効果的に発揮するためには、基材とは異なる組成を持つ層とは反対の主面にパタンを設ける方が好ましい。
基材にはパタンを施さず、基材とは異なる組成を持つ層にパタンを施すことも本発明の一様態である。また、パタンを施した基材とは異なる組成を持つ層と基材の間に、上層とは異なる平滑な基材、又は基材とは異なる組成を持つ層とは更に異なる組成を持つ層を設けることも、本発明の一様態である。さらに、基材の両面に基材とは異なる組成を持つ層を形成し、その片方または両方にパタンを施してもよい。
本発明の別の態様は、正極、上記で説明された多孔質フィルム及び負極が積層された積層体又はその捲回体と、非水電解質とを含有する非水電解質電池である。非水電解質電池の代表例は、リチウムイオン二次電池である。電池内のリチウムイオンの移動、及び電池の寿命特性の観点から、多孔質フィルムのパタン化面は、負極側を向くことが好ましい。
[正極]
正極は、正極活物質と、導電材と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。
正極に含まれ得る正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な公知のものを用いることができる。その中でも、正極活物質としては、リチウムを含む材料が好ましい。正極活物質としては、例えば、
下記一般式(1):
Figure 2019169336
{式中、Mは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.2<y<0.8、かつ3.5<z<4.5である。}
で表される酸化物;
下記一般式(2):
Figure 2019169336
{式中、Mは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0<x≦1.3、0.8<y<1.2、かつ1.8<z<2.2である。}
で表される層状酸化物;
下記一般式(3):
Figure 2019169336
{式中、Maは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、かつ0.2≦x≦0.7である。}
で表されるスピネル型酸化物;
下記一般式(4):
Figure 2019169336
{式中、Mcは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。}で表される酸化物と下記一般式(5):
Figure 2019169336
{式中、Mdは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。}で表される酸化物との複合酸化物であって、下記一般式(6):
Figure 2019169336
{式中、Mc及びMdは、それぞれ上記式(4)及び(5)におけるMc及びMdと同義であり、かつ0.1≦z≦0.9である。}
で表される、Liが過剰な層状の酸化物正極活物質;
下記一般式(7):
Figure 2019169336
{式中、Mbは、Mn及びCoから成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、かつ0≦y≦1.0である。}
で表されるオリビン型正極活物質;及び
下記一般式(8):
Figure 2019169336
{式中、Meは、遷移金属元素から成る群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。}で表される化合物が挙げられる。これらの正極活物質は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、本実施形態で使用される正極を形成するために、本技術分野で既知の導電材、結着材及び集電体を使用してよい。
また、正極に係る正極合剤層において、正極活物質の含有量を87質量%〜99質量%に調整し、導電助剤の含有量を0.5質量%〜10質量%に調整し、かつ/又はバインダーの含有量を0.5質量%〜10質量%に調整することが好ましい。
[負極]
本実施形態に用いられる負極は、負極活物質と、結着材と、集電体とを含むことが好ましい。
負極に含まれ得る負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出可能な公知の物質を用いることができる。このような負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛粉末、メソフェーズ炭素繊維、及びメソフェーズ小球体などの炭素材料;並びに金属、合金、酸化物及び窒化物が好ましい。これらは1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
負極に含まれ得る結着材としては、負極活物質、負極に含まれ得る導電材、及び負極に含まれ得る集電体のうち少なくとも2つを結着できる公知の材料を用いることができる。このような結着材としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンの架橋ゴムラテックス、アクリル系ラテックス及びポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらは1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
負極に含まれ得る集電体としては、特に限定されないが、例えば、銅、ニッケル及びステンレスなどの金属箔;エキスパンドメタル;パンチメタル;発泡メタル;カーボンクロス;並びにカーボンペーパーが挙げられる。これらは1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
また、負極に係る負極合剤層においては、負極活物質の含有量を88質量%〜99質量%に調整し、かつ/又はバインダーの含有量を0.5質量%〜12質量%に調整することが好ましく、導電助剤を使用する場合には、導電助剤の含有量を0.5質量%〜12質量%に調整することが好ましい。
[非水電解質]
本実施形態で用いる非水電解質としては、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液(非水電解液)が使用される。リチウム塩としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。このようなリチウム塩としては、特に限定されないが、例えば、LiPF(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO、LiBF、LiAsF、LiSiF、LiOSO2k+1〔式中、kは1〜8の整数である〕、LiN(SO2k+1〔式中、kは1〜8の整数である〕、LiPF(C2k+16−n〔式中、nは1〜5の整数であり、かつkは1〜8の整数である〕、LiPF(C)、及びLiPF(Cが挙げられる。これらの中でも、LiPFが好ましい。LiPFを用いることにより、高温時においても電池特性及び安全性により優れる傾向にある。これらのリチウム塩は、1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
本実施形態における非水電解質に用いられる非水溶媒としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。このような非水溶媒としては、例えば、非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート;γープチロラクトン及びγーバレロラクトンなどのラクトン;スルホランなどの環状スルホン;テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルエーテルなどの鎖状エーテル;プロピオン酸メチルなどの鎖状カルボン酸エステル;並びにジメトキシエタンなどの鎖状エーテルカーボネート化合物が挙げられる。これらの1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
非水電解質は、必要に応じて、その他の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、上記に例示した以外のリチウム塩、不飽和結合含有カーボネート、ハロゲン原子含有カーボネート、カルボン酸無水物、硫黄原子含有化合物(例えば、スルフィド、ジスルフィド、スルホン酸エステル、スルフィト、スルフェート、スルホン酸無水物等)、ニトリル基含有化合物等が挙げられる。
その他の添加剤の具体例は、以下のとおりである:
リチウム塩:例えば、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート等;
不飽和結合含有カーボネート:例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等;
ハロゲン原子含有カーボネート:例えば、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等;
カルボン酸無水物:例えば、無水酢酸、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等;
硫黄原子含有化合物:例えば、エチレンスルフィト、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブタンスルトン、エチレンスルフェート、ビニレンスルフェート等;
ニトリル基含有化合物:例えば、スクシノニトリル等。
非水電解質が、上記で説明された他の添加剤を含むことにより、電池のサイクル特性がより向上する傾向にある。
中でも、電池のサイクル特性を更に向上させるという観点から、ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群から選択される少なくとも1種が好ましい。ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムから成る群から選択される少なくとも1種の添加剤の含有量は、非水電解質100質量%に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上がさらに好ましい。この含有量が0.001質量%以上であると、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命がより向上する傾向にある。また、この含有量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。この含有量が3質量%以下であると、リチウムイオン二次電池のイオン伝導性がより向上する傾向にある。
非水電解質中のその他の添加剤の含有量は、例えば、31P−NMR、19F−NMR等のNMR測定により確認することができる。
非水電解質中のリチウム塩の濃度は、0.5mol/L〜6.0mol/Lであることが好ましい。非水電解液の低粘度化の観点から、非水電解質中のリチウム塩の濃度は、0.9mol/L〜1.25mol/Lであることがより好ましい。リチウム塩の非水電解質中の濃度は目的に応じて選択することができる。
なお、本実施形態では、非水電解質は、液体電解質であってもよく、固体電解質であってもよい。
[非水電解質電池の構成、形態及び用途]
本実施形態に係る非水電解質電池において、正極及び負極は、多孔質フィルムを介して積層した積層体の形態で、又は積層体を更に巻回した電極巻回体の形態で、使用されることができる。
本実施形態に係る非水電解質電池の形態としては、スチール缶、アルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(例えば、角筒形、円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体として使用して、本実施形態に係る非水電解質電池を形成することもできる。
本実施形態に係る非水電解質電池がリチウムイオン二次電池である場合には、正極、多孔質フィルム、凹凸領域、及び負極が、この順に積層されている積層体又はその捲回体と、非水電解質とが、リチウムイオン二次電池に含有されることが好ましい。このような順序でリチウムイオン二次電池の複数の構成要素を配列することによって、電池内でのリチウムイオンの移動を確保し、かつ電池の寿命特性又は安全性に影響する物質の吸着が顕著になる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、特に記載のない限り、各種測定および評価は、室温23℃、1気圧、及び相対湿度50%の条件下で行った。
<非水電解質二次電池の寿命特性の評価>
(初期充放電)
得られた非水電解質二次電池(以下、単に「電池」ともいう。)を、60℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を0.05Cの定電流で充電し、4.35Vに到達した後、4.35Vの定電圧で2時間充電し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。なお、1Cとは電池が1時間で放電される電流値である。
(サイクル試験)
上記初期充放電後の電池を、60℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、恒温槽PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子(株)製、充放電装置ACD−01)に接続した。次いで、その電池を2Cの定電流で4.35Vまで充電し、4.35Vに到達した後、4.35Vの定電圧で30分間充電し、2Cの定電流で3.0Vまで放電した。この一連の充放電を1サイクルとし、更に99サイクルの充放電を行った。この時、放電容量維持率について評価した。同様の試験を0℃でも行った。
なお、放電容量維持率(単位:%)は、1サイクル目の放電容量と100サイクル目の放電容量から、以下の式:
放電容量維持率=(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
に従って算出した。
<電池膨れの評価>
また、電池の膨れについては、サイクル試験後の電池の体積が、初期充放電前の体積に対し、10%以上増加した場合、電池の膨れ:「有」とし、10%未満の場合、電池の膨れ:「無」とした。
[実施例1]
<セパレータの作製>
Mv(粘度平均分子量)が700,000のポリエチレンホモポリマー47.5質量部と、Mvが250,000のポリエチレンホモポリマー47.5質量部と、Mvが400,000のポリプロピレンホモポリマー5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドして、ポリオレフィン樹脂混合物を得た。得られたポリオレフィン樹脂混合物99質量%に対して、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量%添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリオレフィン樹脂組成物を得た。
得られたポリオレフィン樹脂組成物は、窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度:7.59×10−5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。二軸押出機で溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が66質量%(樹脂組成物濃度が34%)となるように、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度200℃、スクリュー回転数100rpm、及び吐出量12kg/hであった。
続いて、溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度25℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、厚み2,200μmのゲルシートを得た。次に、得られたゲルシートを同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行った。設定延伸条件は、MD倍率7.3倍、TD倍率6.3倍、及び設定温度125℃であった。次に、二軸延伸後のゲルシートをメチルエチルケトン槽に導き、メチルエチルケトン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後、メチルエチルケトンを乾燥除去した。最後に、乾燥後のゲルシートをTDテンターに導き、延伸及び熱緩和を行って、ポリオレフィン微多孔膜を得た。延伸温度は122℃であり、熱緩和温度は133℃であり、TD最大倍率は1.65倍であり、かつ緩和率は0.9であった。得られたポリオレフィン微多孔膜は、厚みが16μmであり、かつ空孔率が50%であった。
<微細パタンの作製>
(a)円筒状マスターモールドの作製
半導体レーザを用いた直接描画リソグラフィ法により円筒状石英ガラスの表面に、凹凸構造を形成した。まず石英ガラス表面を十二分に洗浄し、パーティクルを除去した。続いて、円筒状石英ガラス表面上に、スパッタリング法によりレジスト層を成膜した。スパッタリング法は、ターゲット(レジスト層)として、CuOを用いて、20nmのレジスト層を成膜した。続いて、円筒状石英ガラスを回転させながら、半導体レーザを用い、レジスト層表面を露光した。この時、露光パタンにより、ナノ構造の配列を制御した。次に、露光後のレジスト層を現像した。レジスト層の現像は、0.03質量%のグリシン水溶液を用いて処理した。次に、現像したレジスト層をマスクとし、ドライエッチングによるエッチング層(石英ガラス)のエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSFを用いて実施した。処理時間を変化させることで凹凸構造の開口部の大きさ及び凹凸構造の深さを調整した。最後に、表面に凹凸構造が付与された円筒状石英ガラスから、レジスト層残渣のみを、pHが1の塩酸を用いて剥離した。
得られた円筒状石英ガラスの凹凸構造に対し、フッ素系表面処理剤(デュラサーフ(登録商標)HD−1101Z、ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置して固定化した。その後、円筒状石英ガラスの凹凸構造を洗浄剤(デュラサーフHD−ZV、ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、円筒状マスターモールドを得た。
(b)凹凸構造を有する多孔質フィルムの作製
作製した円筒状マスターモールドを鋳型とし、ポリオレフィン微多孔膜に対して熱インプリント法を適用し、連続的に微細パタンを有する多孔質フィルムを作製した。円筒状マスターモールドの温度は80℃に設定した。マスターモールドのパタンおよび熱インプリントによって作製したポリオレフィン微多孔膜上の微細パタンのパタン形状は、表1に示すとおりである。
<正極の作製>
正極活物質としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3と、導電助剤としてアセチレンブラックの粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン溶液とを固形分比で93.9:3.3:2.8の質量比で混合した。得られた混合物に、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分35質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmのアルミニウム箔の両面に塗布した。この時、アルミニウム箔の一部が露出するようにした。その後、溶剤を乾燥除去し、ロールプレスで圧延した。圧延後の試料を塗布部の大きさが30mm×50mmであり、かつアルミニウム箔の露出部を含むように裁断し、更に、電流を取り出すためのアルミニウム製リード片をアルミニウム箔の露出部に溶接して正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質としてグラファイト粉末と、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロース水溶液とを、97.5:1.5:1.0の固形分質量比で混合した。得られた混合物を、固形分濃度が45質量%となるように、分散溶媒としての水に添加して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmの銅箔の片面及び両面に塗布した。この時、銅箔の一部が露出するようにした。その後、溶剤を乾燥除去し、ロールプレスで圧延した。圧延後の試料を、塗布部の大きさが32mm×52mmであり、かつ銅箔の露出部を含むように裁断し、更に、電流を取り出すためのニッケル製リード片を銅箔の露出部に溶接して負極を得た。
<非水電解質の作製>
アルゴンガス雰囲気下で、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比1:2で混合した混合溶媒に、LiPFを1mol/Lとなるように溶解して、非水電解質(非水電解液)を得た。
<非水電解質電池の作製>
上記正極と上記負極とを、上記セパレータを介在させつつ重ね合わせて積層電極体を形成した。なお、微細パタンを有する多孔質フィルムは、微細パタン側を負極に対向するように配置した。この積層電極体を80×60mmのアルミニウムラミネート外装体内に挿入した。次に、上記非水電解質(非水電解液)を外装体内に注入し、その後、外装体の開口部を封止して、積層電極体を内部に有する非水電解質電池(リチウムイオン二次電池)(以下、単に「電池」ともいう。)を作製した。得られた非水電解質電池の定格容量は90mAhであった。上記記載の寿命特性の評価の結果、電池の60℃サイクル試験による放電容量維持率は92%で、電池の膨れは「無」であった。また、電池の0℃サイクル試験による放電容量維持率は32%で、電池の膨れは「無」であった。
[実施例2〜6]
実施例1と同様にポリオレフィン微多孔膜を得て、実施例1とは異なる微細パタンを熱インプリントにより作製した。電池評価は実施例1と同様に行い、評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
(a)凹凸構造を有する樹脂層の作製
作製した円筒状マスターモールドを鋳型とし、光ナノインプリント法を適用し、連続的にモールドG1を作製した。続いて、モールドG1をテンプレートとして、光ナノインプリント法により、連続的にモールドG2を得た。モールドG2を、凹凸構造を有する樹脂層及び支持基材とした。
PETフィルムA−4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚2μmになるように以下に示す材料1を塗布した。次いで、円筒状マスターモールドに対し、材料1が塗布されたPETフィルムをニップロールで押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が1500mJ/cmとなるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に凹凸構造が転写されたリール状樹脂モールドG1(長さ200m、幅300mm)を得た。
次に、モールドG1をテンプレートとして見立て、光ナノインプリント法を適用し連続的に、モールドG2を作製した。
PETフィルムA−4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、材料1を塗布膜厚2μmになるように塗布した。次いで、モールドG1の凹凸構造面に対し、材料1が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が1200mJ/cmとなるように、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に光硬化を実施し、表面に凹凸構造が転写されたリール状樹脂モールドG2(長さ200m、幅300mm)を複数得た。
材料1・・・フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート(OPTOOL(登録商標) DAC HP(ダイキン工業社製)):トリメチロールプロパン(EO変性)トリアクリレート(M350(東亞合成社製)):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure(登録商標) 184(BASF社製)):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure 369(BASF社製))=17.5g:100g:5.5g:2.0gにて混合した材料
(b)凹凸構造を有する二層構造の多孔質フィルムの作製
イオン交換水100質量部中に、アルミナを29質量部と、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製SNディスパーサント5468)0.29質量部を混合後、ビーズミル処理を行い、平均粒径(D50)を450nmになるように調整し、分散液を得た。更に、得られた分散液100質量部に対して、バインダーとしてアクリルラテックス懸濁液(固形分濃度40%、平均粒子径150nm)2.2質量部と、フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル社製サーフロンS211)0.1質量部と、を混合して均一な多孔質層形成用組成物を調製した。なお、上記の分散液におけるアルミナの平均粒子径は、レーザ式粒度分布測定装置(日機装(株)製マイクロトラックMT3300EX)を用いて粒径分布を測定し、体積累積頻度が50%となる粒径を平均粒子径(μm)とした。また、樹脂製ラテックスバインダーの平均粒径は、光散乱法による粒径測定装置(LEED&NORTHRUP社製MICROTRACTMUPA150)を用い、体積平均粒子径(nm)を測定し、平均粒子径として求めた。
次に、上記モールドG2表面にマイクログラビアコーターを用いて上記多孔質層形成用組成物を塗布し、60℃で乾燥してイオン交換水を除去し、モールドG2上に厚さ4μmの多孔質層を配置した。次に、モールドG2上の多孔質層を、実施例1で行われた延伸・熱緩和後のポリオレフィン微多孔膜上へ熱転写し、モールドを取り外して、凹凸構造を有するアルミナ含有多孔質層を備えた二層構造の多孔質フィルムを得た。
[実施例8〜12]
実施例7と同様に多層構造の多孔質フィルムを得て、実施例7とは異なる微細パタンを用いてパタンを作製した。電池評価は実施例1と同様に行い、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
上記延伸・熱緩和後のセパレータを用いて、電池評価は実施例1と同様に行い、評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
円筒状マスターモールドの代わりにエンボスロースを使用した。エンボスロールのエンボス形状の柄は斜格子、メッシュは100個/インチ、深さは0.010mmであり、表面温度は80℃に制御した。
[比較例3]
450μm×450μmの目(溝で囲まれた塗膜のサイズ)と50μmのギャップ(溝の開口部の溝幅)から成る格子状のパタンが形成されているスクリーン印刷器を用いて、実施例10と同等の多孔質層形成用組成物から多孔質膜を形成した。
実施例1〜12及び比較例1〜3の測定及び評価結果を下記表1に示す。
Figure 2019169336
本実施形態に係る多孔質フィルムは、非水電解質二次電池用セパレータ等に、かつ本実施形態に係る非水電解質二次電池は、各種民生用機器用電源、自動車用電源等に、それぞれ利用されることができる。
10 多孔質フィルム基材
11 パタン領域
11a 凸部
11b 凹部

Claims (19)

  1. 凹または凸形状のパタンを少なくとも一面に有し、かつ該凹または凸形状のパタンの長軸の長さ(L)が0.5μm以上100μm以下である多孔質フィルム。
  2. 前記凹または凸形状のパタンは、前記多孔質フィルム内部の空孔のパタンとは異なる、請求項1に記載の多孔質フィルム。
  3. 前記凹または凸形状のパタンのパタンピッチ(P)が、1μm以上110μm以下である、請求項1または2に記載の多孔質フィルム。
  4. 前記凹または凸形状のパタンの高さが、25μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  5. 前記凹または凸形状のパタンの高さも含めた前記多孔質フィルムの総膜厚が、25μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  6. 前記凹または凸形状のパタンの長軸の長さ(L)と該パタンのパタンピッチ(P)の比であるL/Pが、0.01以上0.9以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  7. 凹または凸形状のパタンを少なくとも一面に有し、かつ該凹または凸形状のパタンの長軸の長さ(L)が100μmを超え、前記凹または凸形状のパタンの幅(L)が0.5μm以上100μm以下である多孔質フィルム。
  8. 前記凹または凸形状のパタンは、前記多孔質フィルム内部の空孔のパタンとは異なる、請求項7に記載の多孔質フィルム。
  9. 前記凹または凸形状のパタンのパタンピッチ(P)が、110μmを超える、請求項7または8に記載の多孔質フィルム。
  10. 前記凹または凸形状のパタンの高さが、25μm以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  11. 前記凹または凸形状のパタンの高さも含めた前記多孔質フィルムの総膜厚が、25μm以下である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  12. 前記凹または凸形状のパタンの長軸の長さ(L)と該パタンのパタンピッチ(P)の比であるL/Pが、0.01以上0.9以下である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  13. 前記凹または凸形状のパタンの幅(L)と、凹または凸形状のパタンピッチ(L)に垂直な方向のパタンピッチ(P)の比であるL/Pが、0.01以上1.0以下である、請求項7〜12のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  14. 前記多孔質フィルムが、ポリオレフィンを主成分として含む多孔質層と無機粒子及び/又は有機粒子を主成分として含む多孔質層とからなり、かつ該ポリオレフィンを主成分として含む多孔質層の少なくとも一面に前記凹または凸形状のパタンがある、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  15. 前記多孔質フィルムが、ポリオレフィンを主成分として含む多孔質層と無機粒子及び/又は有機粒子を主成分として含む多孔質層とから成り、かつ該無機粒子及び/又は有機粒子を主成分として含む多孔質層の少なくとも一面に前記凹または凸形状のパタンがある、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  16. 前記凹または凸形状のパタンの長軸の長さが、前記凹または凸形状のパタンを内側に含む最小面積の円の直径である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  17. 前記円は、前記凹または凸形状のパタンと少なくとも2点で接する、請求項16に記載の多孔質フィルム。
  18. 正極、請求項1〜17のいずれか1項に記載の多孔質フィルム及び負極が積層されている積層体又は該積層体の捲回体と、非水電解質とを含有するリチウムイオン二次電池。
  19. 前記多孔質フィルムの前記凹または凸形状のパタンを有する面が、前記負極側に向く、請求項18に記載のリチウムイオン二次電池。
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