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JP2020082678A - 多層延伸フィルム及びその製造方法 - Google Patents

多層延伸フィルム及びその製造方法 Download PDF

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JP2020082678A
JP2020082678A JP2018225212A JP2018225212A JP2020082678A JP 2020082678 A JP2020082678 A JP 2020082678A JP 2018225212 A JP2018225212 A JP 2018225212A JP 2018225212 A JP2018225212 A JP 2018225212A JP 2020082678 A JP2020082678 A JP 2020082678A
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健治 小柳
Kenji Koyanagi
健治 小柳
祐司 土肥
Yuji Doi
祐司 土肥
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Abstract

【課題】カールが発生しにくく、透明性及び寸法安定性に優れた多層延伸フィルムの提供。【解決手段】ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミド樹脂を含有する最外層と、最外層の内側に配置されている、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド6/66からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミド樹脂を含有するポリアミド系中間層と、ポリアミド系中間層の内側に配置されている、接着性樹脂を含有する接着層と、接着層の内側に配置されている、ポリオレフィン系樹脂を含有する最内層とを備えている多層延伸フィルムであって、95℃の熱水に30秒間浸漬して測定した、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)の熱水収縮率がともに6%以下である多層延伸フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、多層延伸フィルム及びその製造方法に関し、より詳しくは、最外層としてポリアミド樹脂層及び最内層としてポリオレフィン系樹脂層を備えている多層延伸フィルム及びその製造方法に関する。
ポリアミド樹脂は、ガスバリア性、耐熱性、印刷適性に優れており、また、このようなポリアミド樹脂からなるフィルムを延伸することによって機械的強度に優れたフィルムを得ることができる。一方、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂はヒートシール性に優れている。このため、従来から、最外層として延伸したポリアミド樹脂フィルムと最内層としてポリオレフィン系樹脂フィルムとを使用し、これらを貼り合わせた多層フィルムが、食品、医薬品、日用品等の各種分野における、各種容器の蓋材、ピロー包装材、パウチ用包装材として広く利用されてきた。
また、特開2001−219510号公報(特許文献1)には、最外層用樹脂としてポリアミド樹脂及び最内層用樹脂としてポリエチレン系樹脂を環状ダイスを用いて共押出した後、急冷固化させ、得られたフィルム原反を適当な温度条件下で加熱延伸して配向性を付与することによって、突刺し強度に優れた多層フィルムが得られることが記載されている。
さらに、特開2003−39606号公報(特許文献2)には、最外層用樹脂としてポリアミド樹脂及び最内層用樹脂としてポリオレフィン系樹脂をTダイスを用いて共押出した後、二軸延伸し、得られた多層延伸フィルムに60〜130℃の温度でアニール処理を施すことが記載されているが、このアニール処理によって、多層延伸フィルムに熱収縮性が付与されることも記載されている。
特開2001−219510号公報 特開2003−39606号公報
しかしながら、特許文献1に記載の多層フィルムや特許文献2に記載の多層延伸フィルムは、熱水収縮率が大きく、寸法安定性に劣るという問題があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、最外層としてポリアミド樹脂層及び最内層としてポリオレフィン系樹脂層を備えており、カールが発生しにくく、透明性及び寸法安定性に優れた多層延伸フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド610等の低吸湿性ポリアミド樹脂と、ポリアミド6等の高吸湿性ポリアミド樹脂と、接着性樹脂と、ポリオレフィン系樹脂とを共押出して、前記低吸湿性ポリアミド樹脂を含有する最外層と、前記高吸湿性ポリアミド樹脂を含有するポリアミド系中間層と、前記接着性樹脂を含有する接着層と、前記ポリオレフィン系樹脂を含有する最内層とを備えている多層フィルムを形成し、この多層フィルムを延伸した後、得られた多層延伸フィルムにポリアミド樹脂の融点付近の温度で加熱処理を施すことによって、カールが発生しにくく、透明性及び寸法安定性に優れた多層延伸フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の多層延伸フィルムは、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミド樹脂を含有する最外層と、
前記最外層の内側に配置されている、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド6/66からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミド樹脂を含有するポリアミド系中間層と、
前記ポリアミド系中間層の内側に配置されている、接着性樹脂を含有する接着層と、
前記接着層の内側に配置されている、ポリオレフィン系樹脂を含有する最内層と、
を備えている多層延伸フィルムであって、
95℃の熱水に30秒間浸漬して測定した、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)の熱水収縮率がともに6%以下である、
ことを特徴とするものである。
このような本発明の多層延伸フィルムにおいては、前記接着層と前記最内層との間に、ポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系中間層が更に配置されていてもよい。また、前記ポリオレフィン系中間層及び前記最内層のうちの少なくとも1層が結晶核剤を更に含有するものであることが好ましい。
また、本発明の多層延伸フィルムを内容物に突起等がある用途で使用する場合、突き刺しによるピンホールを防ぐために、JIS Z1707:1997に準拠して測定される、前記最内層側からの突刺し強度が300N/mm以上であることが好ましい。
さらに、本発明の多層延伸フィルムを蓋材等に使用する場合、前記最内層を形成するポリオレフィン系樹脂としてイージーピール性樹脂を使用することもできる。
本発明の多層延伸フィルムの製造方法は、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種の最外層用ポリアミド樹脂と、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド6/66からなる群から選択される少なくとも1種の中間層用ポリアミド樹脂と、接着性樹脂と、最内層用ポリオレフィン系樹脂とを共押出して、前記最外層用ポリアミド樹脂を含有する最外層と、該最外層の内側に配置されている、前記中間層用ポリアミド樹脂を含有するポリアミド系中間層と、該ポリアミド系中間層の内側に配置されている、前記接着性樹脂を含有する接着層と、該接着層の内側に配置されている、前記最内層用ポリオレフィン系樹脂を含有する最内層とを備えている多層フィルムを形成する工程と、
前記多層フィルムを、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)に延伸する工程と、
前記延伸後の多層フィルムに、Tm−30℃以上Tm+30℃以下の温度(Tmは前記中間層用ポリアミド樹脂の融点を表す)で加熱処理を施す工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
このような本発明の多層延伸フィルムの製造方法においては、前記多層フィルムを、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)にそれぞれ2.0〜4.0倍の延伸倍率で延伸することが好ましい。また、前記共押出が共押出水冷インフレーション法による共押出であり、前記延伸がチューブラー延伸法による延伸であることが好ましい。
本発明によれば、最外層としてポリアミド樹脂層及び最内層としてポリオレフィン系樹脂層を備えており、カールが発生しにくく、透明性及び寸法安定性に優れた多層延伸フィルムを得ることが可能となる。
カールの曲率半径測定における多層延伸フィルムの状態を示す模式図であり、(a)は多層延伸フィルムに切り目(×印状)を入れた状態を示す上面図であり、(b)は多層延伸フィルムの切り目を入れた部分にカールが発生した状態を示す上面図であり、(c)は多層延伸フィルムの切り目を入れた部分にカールが発生した状態を示す側面図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の多層延伸フィルムについて説明する。本発明の多層延伸フィルムは、低吸湿性ポリアミド樹脂を含有する最外層と、前記最外層の内側に配置されている(好ましくは、隣接している)、高吸湿性ポリアミド樹脂を含有するポリアミド系中間層と、前記ポリアミド系中間層の内側に配置されている(好ましくは、隣接している)、接着性樹脂を含有する接着層と、前記接着層の内側に配置されている、ポリオレフィン系樹脂を含有する最内層と、を備えている多層延伸フィルムである。
本発明の多層延伸フィルムにおいて、最外層を形成する低吸湿性ポリアミド樹脂(最外層用ポリアミド樹脂)は、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミド樹脂である。これらの最外層用ポリアミド樹脂の中でも、ポリアミド610、ポリアミド12が好ましく、ポリアミド610がより好ましい。
前記最外層において、最外層用ポリアミド樹脂の含有量としては、多層延伸フィルムにおいて、カールが発生しにくく、透明性及び機械的強度が向上するという観点から、最外層全体に対して60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
前記最外層に含まれる他の成分としては、例えば、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐屈曲ピンホール改良剤(例えば、ポリアミドとの相溶性を向上させた変性ポリオレフィン樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー)等の各種添加剤が挙げられる。
本発明の多層延伸フィルムにおいて、ポリアミド系中間層を形成する高吸湿性ポリアミド樹脂(中間層用ポリアミド樹脂)は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミド樹脂である。これらの中間層用ポリアミド樹脂の中でも、ポリアミド6、ポリアミド6/66が好ましい。
このような中間層用ポリアミド樹脂の相対粘度(96質量%硫酸法)としては、多層延伸フィルムの機械的強度が向上するという観点から、3.0以上が好ましく、3.6以上がより好ましい。
前記ポリアミド系中間層において、中間層用ポリアミド樹脂の含有量としては、多層フィルム(原反フィルム)の延伸性及び多層延伸フィルムの機械的強度が向上するという観点から、ポリアミド系中間層全体に対して60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
前記ポリアミド系中間層に含まれる他の成分としては、例えば、ポリアミド6I/6T等の非晶性ポリアミド樹脂、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐屈曲ピンホール改良剤(例えば、ポリアミドとの相溶性を向上させた変性ポリオレフィン樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー)等の各種添加剤が挙げられる。特に、多層フィルムの延伸性が向上するという観点から、前記ポリアミド系中間層には非晶性ポリアミド樹脂が含まれていることが好ましく、その含有量としてはポリアミド系中間層全体に対して5〜20質量%が好ましい。
本発明の多層延伸フィルムにおいて、接着層を形成する接着性樹脂としては、ポリアミド樹脂層とポリオレフィン系樹脂層とを強固に接着できるものであれば特に制限はないが、例えば、不飽和カルボン酸(無水マレイン酸等)及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーをグラフト重合した変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。このような接着性樹脂を含有する接着層を前記ポリアミド系中間層と後述するポリオレフィン系中間層又は最内層との間に隣接して配置することによって、ポリアミド系中間層とポリオレフィン系中間層又は最内層との接着性が向上する。
本発明の多層延伸フィルムにおいて、最内層を形成するポリオレフィン系樹脂(最内層用ポリオレフィン系樹脂)としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、アイオノマー(ION)等のエチレン系共重合体が挙げられる。また、ポリエチレンとポリブテンのブレンド物、ポリエチレンとポリプロピレンのブレンド物等の公知のイージーピール性樹脂を用いることもできる。最内層用ポリオレフィン系樹脂としてイージーピール性樹脂を用いることによって、多層延伸フィルムにイージーピール性能を付与することができる。
前記最内層に含まれる他の成分としては、例えば、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料等の各種添加剤が挙げられる。
本発明の多層延伸フィルムにおいては、前記接着層と前記最内層との間に、ポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系中間層が更に配置されていてもよい。これにより、最内層としてイージーピール性樹脂層を配置したり、最内層へのその他の性能付与の自由度を向上させることができる。このようなポリオレフィン系中間層を形成するポリオレフィン系樹脂(中間層用ポリオレフィン系樹脂)としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、アイオノマー(ION)等のエチレン系共重合体が挙げられる。
前記ポリオレフィン系中間層に含まれる他の成分としては、例えば、スリップ剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料等の各種添加剤が挙げられる。
また、本発明の多層延伸フィルムにおいては、前記ポリオレフィン系中間層及び前記最内層のうちの少なくとも1層が結晶核剤を含有するものであることが好ましい。このような結晶核剤としては、リン酸エステル系化合物、ソルビトール化合物、カルボン酸の金属塩等が挙げられる。本発明の多層延伸フィルムにおいては、例えば、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた場合には、このような結晶核剤として、新日本理化株式会社製「ゲルオールD」シリーズ、株式会社ADEKA製「アデカスタブ」シリーズ、ミリケンケミカル社製「Millad」シリーズ及び「Hyperform」シリーズ、BASF社製「IRGACLEAR」シリーズ等の市販の結晶核剤を使用することができる。また、理研ビタミン株式会社製「リケマスターCN」シリーズ等の市販の結晶核剤のマスターバッチを添加してもよい。このような結晶核剤を含有するポリオレフィン系中間層及び最内層においては、延伸後の加熱処理により溶融したポリオレフィン系樹脂層が固化する際に結晶核剤の作用により粗大な結晶の生成が抑制され、ポリオレフィン系樹脂層の収縮や透明性の低下が防止されるため、カールが更に発生しにくく、透明性に更に優れた多層延伸フィルムを得ることができる。
このような結晶核剤の含有量としては、延伸後の加熱処理により溶融したポリオレフィン系樹脂層が固化する際にポリオレフィン系樹脂の粗大な結晶の生成が更に抑制され、カールが更に発生しにくく、透明性が更に向上するという観点から、結晶核剤を含有するポリオレフィン系中間層全体又は最内層全体に対して0.005〜5.0質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましい。また、結晶核剤として前記マスターバッチを添加する場合、前記マスターバッチの添加量は、結晶核剤の含有量が前記範囲内となるように適宜設定することができ、例えば、0.5〜5質量%であることが好ましく、1〜4質量%であることがより好ましい。
また、本発明の多層延伸フィルムにおいては、前記最外層と前記ポリアミド系中間層との間又は前記ポリアミド系中間層と前記接着層との間に、必要に応じてガスバリア性樹脂を含有する層が配置されていてもよい。このようなガスバリア性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(EVOH)、ポリメタキシリレンジアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
本発明の多層延伸フィルムは、少なくとも、前記低吸湿性ポリアミド樹脂を含有する最外層と、前記高吸湿性ポリアミド樹脂を含有するポリアミド系中間層と、前記接着性樹脂を含有する接着層と、前記ポリオレフィン系樹脂を含有する最内層とを備えており、最外層/ポリアミド系中間層/接着層/最内層の順で配置されたもの(好ましくは前記各層が互いに隣接したもの)である。また、本発明の多層延伸フィルムにおいては、95℃の熱水に30秒間浸漬して測定した熱水収縮率が、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)のいずれについても6%以下である。このように、本発明の多層延伸フィルムは熱水収縮率が小さいため、寸法安定性に優れている。また、本発明の多層延伸フィルムにおいては、前記接着層と前記最内層との間に前記ポリオレフィン系中間層を備えていてもよい。さらに、前記ポリオレフィン系中間層及び前記最内層のうちの少なくとも1層に結晶核剤が含まれていることが好ましい。これにより、本発明の多層延伸フィルムはカールが更に発生しにくくなり、透明性が更に向上する。
このような本発明の多層延伸フィルムの膜厚としては特に制限はないが、機械的強度、コスト、環境負荷の観点から、20〜100μmが好ましい。また、最外層の割合としては、カールが発生しにくく、コスト面で有利であるという観点から、多層延伸フィルム全体に対して0.5〜10体積%が好ましく、1〜5体積%がより好ましい。また、ポリアミド系中間層の割合としては、多層フィルムの延伸性及び多層延伸フィルムの機械的強度が向上するという観点から、多層延伸フィルム全体に対して5〜70体積%が好ましく、10〜50体積%がより好ましい。さらに、接着層の割合としては、ポリアミド系中間層とポリオレフィン系中間層又は最内層との接着性が向上するという観点から、多層延伸フィルム全体に対して3〜20体積%が好ましく、5〜15体積%がより好ましい。また、最内層の割合としては、1〜80体積%が好ましく、5〜50体積%がより好ましい。さらに、本発明の多層延伸フィルムが前記ポリオレフィン系中間層を備えている場合、前記ポリオレフィン系中間層の割合としては、1〜80体積%が好ましく、5〜60体積%がより好ましい。
また、本発明の多層延伸フィルムは、カールが発生しにくいものであり、後述する方法により測定される、温度23℃、相対湿度50%RHの雰囲気下で発生するカールの曲率半径が3.0mm以上であることが好ましく、4.0mm以上であることがより好ましい。
さらに、本発明の多層延伸フィルムは、透明性に優れたものであり、例えば、JIS K7361(又は旧JIS K7105)に準拠して測定されるヘイズが8.0%以下であることが好ましく、7.0%以下であることがより好ましい。
また、本発明の多層延伸フィルムは、機械的強度に優れたものであり、例えば、JIS Z1707:1997に準拠して測定される、最内層側からの突刺し強度が300N/mm以上であることが好ましい。
次に、本発明の多層延伸フィルムの製造方法について説明する。本発明の多層延伸フィルムの製造方法は、少なくとも、最外層用ポリアミド樹脂である前記低吸湿性ポリアミド樹脂と、中間層用ポリアミド樹脂である前記高吸湿性ポリアミド樹脂と、前記接着性樹脂と、前記最内層用ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて前記中間層用ポリオレフィン系樹脂とを共押出して、前記最外層用ポリアミド樹脂を含有する最外層と、この最外層の内側に配置されている、前記中間層用ポリアミド樹脂を含有するポリアミド系中間層と、このポリアミド系中間層の内側に配置されている、前記接着性樹脂を含有する接着層と、この接着層の内側に配置されている、前記最内層用ポリオレフィン系樹脂を含有する最内層と、必要に応じて前記接着層と前記最内層との間に前記中間層用ポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系中間層とを備えている多層フィルムを形成する工程〔共押出工程〕と、
前記多層フィルムを、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)に延伸する工程〔延伸工程〕と、
前記延伸後の多層フィルムに前記中間層用ポリアミド樹脂の融点付近の温度で加熱処理を施す工程〔熱処理工程〕と、
を含む方法である。
このような多層延伸フィルムの製造方法においては、最外層用ポリアミド樹脂、中間層用ポリアミド樹脂、中間層用ポリオレフィン系樹脂、最内層用ポリオレフィン系樹脂にそれぞれ、必要に応じて前記各種添加剤等を配合してもよい。また、前記中間層用ポリオレフィン系樹脂及び前記最内層用ポリオレフィン系樹脂のうちの少なくとも一方には、カールが更に発生しにくく、透明性に更に優れた多層延伸フィルムが得られるという観点から、前記結晶核剤を配合することが好ましい。
前記共押出工程における共押出方法としては特に制限はないが、複数の押出機と環状ダイを用いて各層の樹脂(又はその組成物)を共押出して積層した後、水冷インフレーション法によりチューブ状に成形して多層フィルムを得る方法(共押出水冷インフレーション法)が好ましい。
前記延伸工程における延伸方法としては特に制限はないが、前記チューブ状の多層フィルムにチューブラー延伸法により縦横同時二軸延伸を施すことが好ましい。前記延伸工程における延伸倍率は、MD及びTDともに、2.0〜4.0倍であることが好ましく、2.5〜3.5倍であることがより好ましい。このような延伸倍率で延伸することによって、多層フィルムの延伸性の低下を防止しながら、多層延伸フィルムの機械的強度を向上させることができる。
本発明の多層延伸フィルムの製造方法においては、このようにして延伸した多層フィルムに前記中間層用ポリアミド樹脂の融点付近の温度で加熱処理を施す。これにより、延伸による残留応力が緩和され、熱水収縮率が小さく、寸法安定性に優れた本発明の多層延伸フィルムを得ることができる。また、このような加熱処理は、前記延伸した多層フィルムをMD及び/又はTDに弛緩させた状態で実施してもよい。これにより、多層延伸フィルムの熱水収縮率をより小さくすることができる。
前記加熱処理の温度はTm−30℃以上Tm+30℃以下(Tmは前記中間層用ポリアミド樹脂の融点を表す)である。延伸後の加熱処理の温度が前記下限未満になると、熱水収縮率が十分に低下せず、寸法安定性に優れた多層延伸フィルムが得られない。他方、延伸後の加熱処理の温度が前記上限を超えると、延伸による残留応力の緩和効果が低下し、多層延伸フィルムの機械的強度が低下する。また、多層延伸フィルムの熱水収縮率が更に小さくなり、寸法安定性が向上するとともに、機械的強度の低下が抑制されるという観点から、前記加熱処理の温度としては、Tm−25℃以上Tm+25℃以下が好ましく、Tm−20℃以上Tm+20℃以下がより好ましい。
また、本発明の多層延伸フィルムの製造方法において、前記中間層用ポリオレフィン系樹脂及び/又は前記最内層用ポリオレフィン系樹脂に前記結晶核剤を配合した場合には、前記範囲の温度で延伸後の加熱処理を実施しても、溶融したポリオレフィン系樹脂層が固化する際に前記結晶核剤の作用によりポリオレフィン系樹脂の粗大な結晶の生成が十分に抑制されるため、ポリオレフィン系樹脂層の収縮や透明性の低下がより抑制され、カールの発生や透明性の低下が更に起こりにくくなる。
さらに、本発明の多層延伸フィルムの製造方法において、前記中間層用ポリオレフィン系樹脂を共押出する場合には、前記中間層用ポリアミド樹脂の融点Tmと前記中間層用ポリオレフィン系樹脂の融点Tmとの差(Tm−Tm)が40℃以上(より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上)となるように、前記中間層用ポリアミド樹脂と前記中間層用ポリオレフィン系樹脂とを選択して使用することが好ましい。Tm−Tmが前記範囲内となる前記中間層用ポリアミド樹脂と前記中間層用ポリオレフィン系樹脂とを使用すると、前記延伸後の加熱処理により前記中間層用ポリオレフィン系樹脂が十分に溶融するため、前記中間層用ポリオレフィン系樹脂の粗大な結晶が残存しにくく、特に、前記中間層用ポリオレフィン系樹脂に前記結晶核剤を配合した場合には、溶融したポリオレフィン系樹脂層が固化する際に前記結晶核剤が均一に作用してポリオレフィン系樹脂の粗大な結晶の生成も十分に抑制されるため、ポリオレフィン系樹脂層の収縮や透明性の低下が更に抑制され、カールの発生や透明性の低下が更に起こりにくくなる。一方、Tm−Tmが前記下限未満となる前記中間層用ポリアミド樹脂と前記中間層用ポリオレフィン系樹脂とを使用すると、前記延伸後の加熱処理において前記中間層用ポリオレフィン系樹脂が十分に溶融せずに粗大な結晶が残存する場合があり、ポリオレフィン系樹脂層は収縮してカールが発生したり、透明性が低下したりする場合がある。
このような延伸後の加熱処理の方法としては特に制限はないが、例えば、テンターを用いて加熱処理を行うことができる。このとき、最内層同士の融着を防ぐために、チューブ状の多層フィルムの内部に空気を供給して最内層同士の接触を防止しながら加熱処理を施したり、チューブ状の多層フィルムの両端部にスリットを入れ、フィルム間に隙間を設けた状態で加熱処理を施したりすることが好ましい。また、最終的に最内層となるポリオレフィン系樹脂層が外側となる状態で、共押出や延伸、加熱処理を行い、得られたチューブ状の多層延伸フィルムの両端部にスリットを入れて本発明の多層延伸フィルムを製造してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、使用した樹脂の融点は示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。
(実施例1)
最外層用ポリアミド樹脂としてナイロン610(以下「NY610」と略す)、中間層用ポリアミド樹脂としてナイロン6(融点:220℃、相対粘度:4.0、以下「NY6−1」と略す)、接着性樹脂として変性ポリエチレン樹脂(三菱化学株式会社製「モディック」、以下「変性PE」と略す)、中間層用ポリオレフィン系樹脂組成物として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度:0.919g/cm、MFR(190℃、2.16kgf荷重):2g/10min、融点:121℃、以下「PE−1」と略す)100質量部に対して結晶核剤のマスターバッチ(理研ビタミン株式会社製「リケマスターCN−001」)を2.5質量部の割合で配合したポリエチレン樹脂組成物(以下、「PE−1組成物」と略す)、最内層用ポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度:0.924g/cm、MFR(190℃、2.16kgf荷重):0.9g/10min、融点:123℃、以下「PE−2」と略す)を使用し、共押出水冷インフレーション法により押出温度250℃(ナイロン610及びナイロン6の場合)、200℃(変性PEの場合)、220℃(LLDPE及びその組成物の場合)の条件で5種5層の共押出を行い、NY610層(3)/NY6−1層(53)/変性PE層(10)/PE−1組成物層(24)/PE−2層(10)からなる多層フィルムを作製した。なお、各層の括弧内の数値はフィルム全体に対する厚みの割合(単位:%)を表す(以下、同様)。この多層フィルムにチューブラー延伸法によりフィルムの流れ方向(MD)に3.0倍、これに垂直な方向(TD)に3.3倍の延伸倍率で縦横同時二軸延伸を施した後、テンターを用いて225℃で加熱処理を行い、NY610層(3)/NY6−1層(53)/変性PE層(10)/PE−1組成物層(24)/PE−2層(10)からなる多層延伸フィルム(膜厚:50μm)を得た。
(実施例2)
多層延伸フィルムの膜厚が40μmとなるように共押出時の各樹脂の押出量を変更し、延伸後の多層フィルムの加熱処理温度を220℃に変更した以外は実施例1と同様にして、NY610層(3)/NY6−1層(53)/変性PE層(10)/PE−1組成物層(24)/PE−2層(10)からなる多層延伸フィルム(膜厚:40μm)を作製した。
(実施例3)
中間層用ポリアミド樹脂としてナイロン6/66(融点:192℃、相対粘度:4.1、以下「NY6/66」と略す)を使用し、多層フィルム全体に対する各層の厚みの割合を変更し、多層延伸フィルム全体の厚みが60μmとなるように共押出時の各樹脂の押出量を変更し、延伸後の多層フィルムの加熱処理温度を210℃に変更した以外は実施例1と同様にして、NY610層(8)/NY6/66層(42)/変性PE層(10)/PE−1組成物層(32)/PE−2層(8)からなる多層延伸フィルム(膜厚:60μm)を作製した。
(実施例4)
中間層用ポリオレフィン系樹脂組成物(PE−1組成物)の代わりに中間層用ポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.919g/cm、MFR(190℃、2.16kgf荷重):2g/10min、融点:121℃、以下「PE−1」と略す)を結晶核剤を添加せずに使用し、最内層用ポリオレフィン系樹脂(PE−2樹脂)の代わりに最内層用ポリオレフィン系樹脂組成物として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度:0.924g/cm、MFR(190℃、2.16kgf荷重):0.9g/10min、融点:123℃、以下「PE−2」と略す)100質量部に対して結晶核剤のマスターバッチ(理研ビタミン株式会社製「リケマスターCN−001」)を2.5質量部の割合で配合したポリエチレン樹脂組成物(以下、「PE−2組成物」と略す)を使用し、多層フィルム全体に対する各層の厚みの割合を変更した以外は実施例3と同様にして、NY610層(8)/NY6/66層(42)/変性PE層(10)/PE−1層(30)/PE−2組成物層(10)からなる多層延伸フィルム(膜厚:60μm)を作製した。
(実施例5)
最内層用ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレンとポリブテンのブレンド物(ポリエチレン/ポリブテン(質量比):70/30、密度:0.93g/cm、融点:113℃、以下「PE+PB」と略す)を使用し、多層フィルム全体に対する各層の厚みの割合を変更し、多層延伸フィルム全体の厚みが40μmとなるように共押出時の各樹脂の押出量を変更し、延伸後の多層フィルムの加熱処理温度を230℃に変更した以外は実施例1と同様にして、NY610層(3)/NY6−1層(30)/変性PE層(15)/PE−1組成物層(42)/PE+PB層(10)からなる多層延伸フィルム(膜厚:40μm)を作製した。
(実施例6)
中間層用ポリオレフィン系樹脂組成物(PE−1組成物)の代わりに中間層用ポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.919g/cm、MFR(190℃、2.16kgf荷重):2g/10min、融点:121℃、以下「PE−1」と略す)を結晶核剤を添加せずに使用し、延伸後の多層フィルムの加熱処理温度を240℃に変更した以外は実施例1と同様にして、NY610層(3)/NY6−1層(53)/変性PE層(10)/PE−1層(24)/PE−2層(10)からなる多層延伸フィルム(膜厚:50μm)を作製した。
(比較例1)
ナイロン610(NY610)及びナイロン6(NY6−1)の代わりにナイロン6(融点:220℃、相対粘度:3.4、以下「NY6−2」と略す)を使用し、ポリエチレン樹脂組成物(PE−1組成物)の代わりに直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.919g/cm、MFR(190℃、2.16kgf荷重):2g/10min、融点:121℃、以下「PE−1」と略す)を結晶核剤を添加せずに使用し、多層フィルム全体に対する各層の厚みの割合を変更し、延伸後の多層フィルムの加熱処理温度を220℃に変更した以外は実施例1と同様にして、NY6−2層(17)/NY6−2層(33)/変性PE層(10)/PE−1層(32)/PE−2層(8)からなる多層延伸フィルム(膜厚:50μm)を作製した。
(比較例2)
多層延伸フィルム全体の厚みが60μmとなるように共押出時の各樹脂の押出量を変更し、延伸後の多層フィルムの加熱処理温度を180℃に変更した以外は実施例1と同様にして、NY610層(3)/NY6−1層(53)/変性PE層(10)/PE−1組成物層(24)/PE−2層(10)からなる多層延伸フィルム(膜厚:60μm)を作製した。
<熱水収縮率>
得られた多層延伸フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)にそれぞれ10cmの距離で印を付けた後、この多層延伸フィルムを95℃の熱水に30秒間浸漬した。その後、熱水から多層延伸フィルムを取り出し、直ちに室温で放冷し、MD及びTDにそれぞれ付けた印の距離を測定し、原長(10cm)に対する原長(10cm)からの減少値の割合(単位:%)を求めた。その結果を表1に示す。
<カールの曲率半径>
温度23℃、相対湿度50%RHの雰囲気下において、図1(a)に示すように、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)を2辺とする正方形(一辺5cm)を得られた多層延伸フィルム1上に描き、その両対角線上に切り目(×印状)を入れ、4つの領域11〜14に区分した。その結果、4つの領域11〜14は、図1(b)及び(c)に示すように、湾曲して花弁状片(カール)を形成した。これらのカールのうち、フィルムの流れ方向(MD)に沿って湾曲している2つのカール11及び13の曲率半径(r)を測定し、相加平均値を求めた。その結果を表1に示す。なお、曲率半径が小さいほど強くカールしており、曲率半径が大きいほどカールが弱いことを示している。
<ヘイズ>
得られたフィルムのヘイズをヘイズメーターを用い、JIS K7361(又は旧JIS K7105)に準拠して測定した。その結果を表1に示す。
<突刺し強度>
JIS Z1707:1997に準拠して、得られた多層延伸フィルムをフィルム突刺し強度試験用治具に固定し、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を毎分50±5mmの速度で突刺し、針が貫通するまでの最大応力を測定した。その結果を表1に示す。
<イージーピール性>
JIS Z0238:1998に準拠して、得られた多層延伸フィルムのヒートシール強度を引張試験機を用いて測定した。その結果を表1に示す。
表1に示したように、本発明にかかる低吸湿性ポリアミド樹脂を含有する最外層を備えている多層延伸フィルム(実施例1〜6)は、本発明にかかる低吸湿性ポリアミド樹脂を含有していないポリアミド系最外層を備えている多層延伸フィルム(比較例1)に比べて、カールしにくく(カールの曲率半径が大きく)、透明性に優れており(ヘイズが小さく)、高い突刺し強度を有するものであることがわかった。
さらに、延伸後の加熱処理の温度が中間層用ポリアミド樹脂の融点(Tm)より40℃低い(Tm−40℃)場合(比較例2)には、延伸後の加熱処理の温度がTm−30℃以上Tm+30℃以下の場合(実施例1〜6)と同等のカールの曲率半径、ヘイズ、突刺し強度を有する多層延伸フィルムが得られるものの、この多層延伸フィルムは、実施例1〜6で得られた多層延伸フィルムに比べて、熱水収縮率が大きく、寸法安定性の劣るものであることがわかった。
また、本発明にかかる低吸湿性ポリアミド樹脂を含有する最外層を備えている多層延伸フィルム(実施例1〜6)のうち、ポリオレフィン系中間層及び最内層のうちの少なくとも一方に結晶核剤を含んでいる多層延伸フィルム(実施例1〜5)は、ポリオレフィン系中間層及び最内層のいずれにも結晶核剤を含んでいない多層延伸フィルム(実施例6)に比べて、カールしにくく(カールの曲率半径が大きく)、透明性に優れた(ヘイズが小さい)ものであることがわかった。
さらに、本発明にかかる低吸湿性ポリアミド樹脂を含有する最外層を備えており、ポリオレフィン系中間層及び最内層のうちの少なくとも一方に結晶核剤を含んでいる多層延伸フィルム(実施例1〜5)のうち、イージーピール樹脂(ヒートシール強度が低い樹脂)を含有する最内層を備えている多層延伸フィルム(実施例5)は、ヒートシール強度が比較的高いポリエチレン樹脂を含有する最内層を備えている多層延伸フィルム(実施例1〜4)に比べて、イージーピール性を示すだけでなく、極めてカールしにくい(カールの曲率半径が極めて大きい)ものであることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、最外層としてポリアミド樹脂層及び最内層としてポリオレフィン系樹脂層を備えており、カールが発生しにくく、透明性及び寸法安定性に優れた多層延伸フィルムを得ることが可能となる。したがって、本発明の多層延伸フィルムは、食品、医薬品、日用品等の各種分野における、各種容器の蓋材、ピロー包装材、パウチ用包装材等として有用である。
1:多層延伸フィルム
11〜14:多層延伸フィルムに入れた切り目によって区分された領域

Claims (8)

  1. ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミド樹脂を含有する最外層と、
    前記最外層の内側に配置されている、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド6/66からなる群から選択される少なくとも1種のポリアミド樹脂を含有するポリアミド系中間層と、
    前記ポリアミド系中間層の内側に配置されている、接着性樹脂を含有する接着層と、
    前記接着層の内側に配置されている、ポリオレフィン系樹脂を含有する最内層と、
    を備えている多層延伸フィルムであって、
    95℃の熱水に30秒間浸漬して測定した、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)の熱水収縮率がともに6%以下である、
    ことを特徴とする多層延伸フィルム。
  2. 前記接着層と前記最内層との間に、ポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系中間層が更に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の多層延伸フィルム。
  3. 前記ポリオレフィン系中間層及び前記最内層のうちの少なくとも1層が結晶核剤を更に含有するものであることを特徴とする請求項2に記載の多層延伸フィルム。
  4. JIS Z1707:1997に準拠して測定される、前記最内層側からの突刺し強度が300N/mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の多層延伸フィルム。
  5. 前記最内層を形成するポリオレフィン系樹脂がイージーピール性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の多層延伸フィルム。
  6. ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11及びポリアミド12からなる群から選択される少なくとも1種の最外層用ポリアミド樹脂と、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド6/66からなる群から選択される少なくとも1種の中間層用ポリアミド樹脂と、接着性樹脂と、最内層用ポリオレフィン系樹脂とを共押出して、前記最外層用ポリアミド樹脂を含有する最外層と、該最外層の内側に配置されている、前記中間層用ポリアミド樹脂を含有するポリアミド系中間層と、該ポリアミド系中間層の内側に配置されている、前記接着性樹脂を含有する接着層と、該接着層の内側に配置されている、前記最内層用ポリオレフィン系樹脂を含有する最内層とを備えている多層フィルムを形成する工程と、
    前記多層フィルムを、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)に延伸する工程と、
    前記延伸後の多層フィルムに、Tm−30℃以上Tm+30℃以下の温度(Tmは前記中間層用ポリアミド樹脂の融点を表す)で加熱処理を施す工程と、
    を含むことを特徴とする多層延伸フィルムの製造方法。
  7. 前記多層フィルムを、フィルムの流れ方向(MD)及びこれに垂直な方向(TD)にそれぞれ2.0〜4.0倍の延伸倍率で延伸することを特徴とする請求項6に記載の多層延伸フィルムの製造方法。
  8. 前記共押出が共押出水冷インフレーション法による共押出であり、前記延伸がチューブラー延伸法による延伸であることを特徴とする請求項6又は7に記載の多層延伸フィルムの製造方法。
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