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JP2020190428A - 標的物質の計数方法、計数装置 - Google Patents

標的物質の計数方法、計数装置 Download PDF

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JP2020190428A JP2019094432A JP2019094432A JP2020190428A JP 2020190428 A JP2020190428 A JP 2020190428A JP 2019094432 A JP2019094432 A JP 2019094432A JP 2019094432 A JP2019094432 A JP 2019094432A JP 2020190428 A JP2020190428 A JP 2020190428A
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河村 達朗
Tatsuro Kawamura
達朗 河村
博人 柳川
Hiroto Yanagawa
博人 柳川
村田 晶子
Akiko Murata
晶子 村田
雅人 安浦
Masato YASUURA
雅人 安浦
藤巻 真
Makoto Fujimaki
真 藤巻
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Abstract

【課題】標的物質をより正確に計数することができる標的物質の計数方法等を提供する。【解決手段】1以上の標的物質61と1以上の標識物質63と1以上の磁性体65とを結合させて結合体60を形成し、結合体60に励起光を照射し、結合体60に磁場を印加し、励起光が照射され、かつ、磁場が印加されている間に、結合体60に含まれる1以上の標識物質61による蛍光又は散乱光を撮像することにより、第1画像と第1画像より後の第2画像とを取得し、第1画像及び第2画像の間で移動する輝点の移動速度及びサイズの少なくとも一方に基づいて、結合体60に含まれる1以上の標的物質61の数を算出する。【選択図】図1

Description

本開示は、試料溶液中に存在する標的物質の計数方法、及び当該標的物質の計数装置に関する。
近年、溶液中に存在する微小物質、特にウイルス等の生体関連物質を検出、又は定量する方法が開発されている。例えば、特許文献1には、近接場(近接場光)を用いて検出板の表面上の標的物質を含む結合体による蛍光又は散乱光を輝点として検出する方法が開示されている。
国際公開第2017/187744号 特開2002−236258号公報 国際公開第2015/194663号
Sensors and Actuators B 121 (2007) 158-177
しかしながら、上記特許文献1に開示された方法では、標的物質を正確に計数することが難しい場合がある。
本開示は、上記の問題を解決しようとするものであり、標的物質をより正確に計数することができる標的物質の計数方法、及び当該計数方法を実施可能な標的物質の計数装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係る標的物質の計数方法の一態様においては、1以上の標的物質と1以上の標識物質と1以上の磁性体とを結合させて結合体を形成し、前記結合体に励起光を照射し、前記結合体に磁場を印加し、前記励起光が前記結合体に照射され、かつ、前記磁場が前記結合体に印加されている間に、前記結合体に含まれる前記1以上の標識物質による蛍光又は散乱光を撮像することにより、第1画像と前記第1画像より後の第2画像とを取得し、前記第1画像及び前記第2画像の間で移動する輝点の移動速度及びサイズの少なくとも一方に基づいて、前記結合体に含まれる前記1以上の標的物質の数を算出する。
また、本開示に係る計数装置の一態様においては、1以上の標的物質と1以上の標識物質と1以上の磁性体とを結合させた結合体に励起光が照射され、かつ、前記結合体に磁場が印加されている間に、前記結合体に含まれる前記1以上の標識物質による蛍光又は散乱光が撮像された、第1画像と前記第1画像より後の第2画像とを取得する取得部と、取得された前記第1画像及び前記第2画像の間で移動する輝点の移動速度及びサイズの少なくとも一方に基づいて、前記結合体に含まれる前記1以上の標的物質の数を算出する算出部と、を備える。
本開示によれば、標的物質をより正確に計数することが可能となる。
実施の形態に係る光学的検出システムの全体構成を示す図である。 実施の形態に係る光学的検出装置の全体構成を示す図である。 実施の形態に係る結合体の一例について説明する図である。 実施の形態に係る標的物質の計数方法について説明するフローチャートである。 実施の形態に係る標的物質の計数方法について詳細に説明するフローチャートである。 実施の形態に係る動画像データをある時点で静止した場合の図である。 実施例に係る標的物質の計数について説明する図である。 変形例に係る結合体の態様と標的物質の計数との関係について説明する図である。
(開示の基礎となった知見)
近年、溶液中に存在する微小物質、特にウイルス等の生体関連物質を検出、又は定量する方法が開発されている。例えば、表面プラズモン共鳴イムノアッセイ法、全反射照明蛍光顕微鏡、表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光法等が挙げられる。
表面プラズモン共鳴イムノアッセイ法は、抗原抗体反応の特異的選択性と高感度な屈折率計である表面プラズモン共鳴センサを組み合わせた方法である。当該方法によれば、入射した光が全反射される金薄膜表面に生じる増強電場内の抗原及び抗体の結合形成をリアルタイムかつ高精度で検出、又は定量することができる(非特許文献1参照)。
全反射照明蛍光顕微鏡は、試料とカバーガラス又はスライドガラスとの界面で入射光を全反射させ、これによって生じるエバネッセント場を励起光として利用する装置である。当該装置を用いれば、ノイズとなるバックグラウンド光が少ない蛍光観察を行うことができる(特許文献2参照)。また、当該装置は、超解像を実現可能であり、これにより単分子観察が可能となる。
表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光法は、クレッチマン配置と呼ばれる光学配置を適用して、蛍光観察を行う技術である。当該技術では、プリズムに接したガラス表面の金薄膜層に対して、プリズム側から入射光を照射する。ガラス表面と金薄膜層との界面で入射光が全反射され、金薄膜層上に表面プラズモン共鳴が励起される。これにより、金薄膜表面近傍において増強された光を励起光として、増強電場内に存在する蛍光分子を励起し、強い蛍光を生じさせ、バックグラウンド光が少ない蛍光観察を行うことが可能となる(特許文献3参照)。
また、近接場を用いて検出板の表面上の標的物質を含む結合体による蛍光又は散乱光を光信号として検出する方法もある。当該技術では、結合体は、標的物質と磁性体の結合によって形成される。結合体を検出板の表面に平行な方向に移動させる磁場を印加し、結合体の移動によって生じる光信号(輝点)の変化を計測して、標的物質を検出することを特徴とする光学的検出方法である。結合体は、標的物質と磁性体とによって形成される。また、結合体は、さらに、標的物質と磁性体と標識物質とによって形成される場合もある(特許文献1参照)。当該方法によれば、検出板の表面に非特異的に吸着してしまう夾雑物又は標識物質によるノイズ等を排除し、高感度かつ高速に標的物質の検出が可能となる。
中でも特に、近接場を用いて標的物質を含む結合体を、結合体の移動により光学的に検出する方法は、装置構成が簡単であり、かつ高感度であるため、近年注目されている。しかしながら、当該方法では、溶液中の標的物質の濃度が高くなると、結合体の移動によって移動する輝点(動光点)に基づく標的物質の計測数が実際の標的物質の濃度に比例しないという課題が生じる。
これは、1つの動光点を形成する結合体内に、複数の標的物質を介して結合した複数の磁性体及び標識物質が結合しているためである。これは、動光点の移動速度が全て一致せず、移動速度が速いもの及び遅いものが存在していることから予測し得る。例えば、動光点の移動速度が速いものは磁性体が複数結合していることを示している。また、例えば、動光点の移動速度が遅く、動光点の輝度が高い(発光強度が強い)もの、及び動光点のサイズの大きいものは、標識物質が複数結合していることを示している。
このような、多数の標的物質が結合した結合体の形成が起こると、動光点の数をカウントするのみの従来の方法では、標的物質を正確に計数することができない。より具体的には、標的物質を正確に計数できる標的物質の濃度範囲が制限され、センサとしての実用性が不十分になるという問題が発生する。
本開示は、上記の問題を解決しようとするものである。つまり、標的物質を含む結合体を、結合体の移動により光学的に検出する方法において、撮像した動画像データから、動光点の移動速度及びサイズの情報をもとに、1つの動光点を生じさせる結合体内に含まれる標的物質の個数を算出する。本開示では、以上により、試料溶液中の標的物質の個数をより正確に計数できる標的物質の計数方法、及び標的物質の個数を精度よく検出することが可能な光学的検出装置を提供することを目的とする。
したがって、本開示によれば、標的物質を含む結合体を、結合体の移動により光学的に検出する方法において、撮像した動画像データから、動光点の移動速度及びサイズの情報をもとに、1つの動光点を形成する結合体内に含まれる標的物質の個数を算出することにより、試料溶液中の標的物質の個数をより精度よく検出することが可能となる。よって、カビ、バクテリア、又はウイルス等、及びこれらの生体物質が産生する物質をより正確に検出できる。ひいては、これらの物質が感染性物質である場合に生じ得る感染リスク等をより精度よく予測することができる。
(開示の概要)
上記の目的を達成するための、本開示に係る標的物質の計数方法及び計数装置の一態様の概要は、以下のとおりである。
本開示に係る標的物質の計数方法の一態様は、1以上の標的物質と1以上の標識物質と1以上の磁性体とを結合させて結合体を形成し、結合体に励起光を照射し、結合体に磁場を印加し、励起光が結合体に照射され、かつ、磁場が結合体に印加されている間に、結合体に含まれる1以上の標識物質による蛍光又は散乱光を撮像することにより、第1画像と第1画像より後の第2画像とを取得し、第1画像及び第2画像の間で移動する輝点(動光点)の移動速度及びサイズの少なくとも一方に基づいて、結合体に含まれる1以上の標的物質の数を算出する。
これによれば、第1画像及び第2画像の間で移動する輝点(動光点)の移動速度及びサイズのうち少なくとも一方に基づいて、結合体に含まれる標的物質の数を算出することで、動光点の数をそのまま標的物質の数と算出する場合よりも、より正確に標的物質を計数することができる。例えば、結合体に含まれる磁性体の数と標的物質及び標識物質の数との比が変化すれば、結合体の移動速度も変化する。したがって、結合体に対応する動光点の移動速度に基づいて、結合体に含まれる標的物質の数を算出することで、標的物質をより正確に計数することができる。また例えば、結合体に含まれる標的物質が増加すれば、標的物質の数が増加するとともに、結合体に対応する動光点のサイズが増加する。したがって、動光点のサイズに基づいて結合体に含まれる標的物質の数を算出することで、標的物質をより正確に計数することができる。
また、例えば、動光点の移動速度が、所定速度範囲に含まれない場合に、結合体に含まれる1以上の標的物質の数を2以上と算出してもよい。
結合体に2以上の標的物質が含まれ、その2以上の標的物質に2以上の磁性体が結合されている場合には、結合体の移動速度は増加する。また、結合体に2以上の標的物質が含まれ、その2以上の標的物質に2以上の標識物質が結合されているが、1つの磁性体しか含まれない場合には、結合体の移動速度は減少する。したがって、動光点の移動速度が、1つの標的物質と1つの標識物質と1つの磁性体とからなる結合体の移動速度に対応する速度範囲である所定速度範囲に含まれない場合に、結合体に含まれる標的物質の数を2つ以上と算出することで、標的物質をより正確に計数できる。
また、例えば、動光点のサイズが、閾値サイズよりも大きい場合に、結合体に含まれる1以上の標的物質の数を2以上と算出してもよい。
結合体に2以上の標的物質が含まれ、その2以上の標的物質に2以上の標識物質が結合されている場合には、動光点のサイズは増大する。したがって、動光点のサイズが、1つの標的物質と1つの標識物質と1つの磁性体とからなる結合体のサイズに対応するサイズである閾値サイズよりも大きい場合に、結合体に含まれる標的物質の数を2つ以上と算出することで、標的物質をより正確に計数できる。
また、例えば、結合体の形成では、複数の結合体を形成し、閾値サイズは、複数の移動する輝点のサイズの分布に基づいて決定されてもよい。
これによれば、試料溶液中の標的物質の数を計数する実測条件において閾値サイズを決定できる。実測条件において閾値サイズを決定することで、試料溶液に含まれる標的物質の数をより正確に計数できる。
また、例えば、所定速度範囲は、複数の移動する輝点のうちの閾値サイズよりサイズが小さい輝点の中で、最も移動速度の遅い輝点の移動速度に基づいて決定されてもよい。
これによれば、試料溶液中の標的物質の数を計数する実測条件において所定速度範囲を決定できる。実測条件において所定速度範囲を決定することで、試料溶液に含まれる標的物質の数をより正確に計数できる。
また、例えば、1以上の標的物質の数を算出する際に、移動する輝点に対応する結合体に含まれる1以上の標的物質の数を1と算出し、移動する輝点の移動速度及びサイズの少なくとも一方に応じて、1以上の標的物質の数を補正してもよい。
これによれば、移動する輝点の移動速度及びサイズに基づき、必要な動光点のみについて、対応する結合体に含まれる標的物質の数を加算補正できる。つまり、その他の動光点については、対応する結合体に含まれる標的物質の数を1と算出できる。よって、試料溶液に含まれる標的物質の数の計数処理が簡易化され、高速に標的物質を計数できる。
また、例えば、励起光は、近接場光であってもよい。
これによれば、限られた領域にのみ伝搬する近接場光によって標識物質へ励起光の照射を行うことができる。近接場光を用いることにより、磁場の印加によって結合体を集合させた一部の領域のみに励起光を照射することができ、試料溶液中の夾雑物への励起光の照射を低減できる。よってバックグラウンドの上昇を抑制し、試料溶液に含まれる標的物質の数をより正確に計数できる。
また、例えば、標識物質は、蛍光体であってもよい。
これによれば、励起光が照射されることによって励起された蛍光体が発する蛍光を撮像することで第1画像及び第2画像を取得することができる。蛍光体の励起及び蛍光発光の波長には波長選択性があり、特定の波長範囲に含まれる励起光を選択し、かつ特定の波長範囲の発光を撮像することで、蛍光体選択的な撮像を行うことができる。よって、蛍光体を含む結合体を選択的に検出することができ、試料溶液中の結合体に含まれた標的物質の数をより正確に計数できる。
また、例えば、標識物質は、蛍光体を含むポリスチレンビーズ、シリカビーズ、ポリ乳酸ビーズ、又はアクリルビーズであってもよい。
これによれば、1つの標識物質に含まれる蛍光体の数を多くすることができ、標識物質が発する蛍光をより大きくすることができ、画像上における結合体の観察を容易にすることができる。
また、例えば、移動速度は、一定時間における平均値であってもよい。
これによれば、結合体の移動速度が、磁場のむら、ならびに、他の粒子及び表面構造などへの衝突等によって、各時点において変化する場合に、一過的な加減速に影響されず、より正確な動光点の移動速度を算出することができる。より正確な動光点の移動速度に基づいて、1つの結合体に含まれる標的物質の数をより正確に算出できる。よって、試料溶液に含まれる標的物質の数をより正確に計数できる。
また、本開示に係る計数装置の一態様は、1以上の標的物質と1以上の標識物質と1以上の磁性体とを結合させた結合体に励起光が照射され、かつ、前記結合体に磁場が印加されている間に、前記結合体に含まれる前記1以上の標識物質による蛍光又は散乱光が撮像された、第1画像と前記第1画像より後の第2画像とを取得する取得部と、取得された前記第1画像及び前記第2画像の間で移動する輝点の移動速度及びサイズの少なくとも一方に基づいて、前記結合体に含まれる前記1以上の標的物質の数を算出する算出部と、を備える。
これによれば、第1画像及び第2画像の間で移動する輝点(動光点)の移動速度及びサイズのうち少なくとも一方に基づいて結合体に含まれる標的物質の数を算出することで、動光点の数をそのまま標的物質の数と算出する場合よりも、より正確に標的物質を計数することができる。例えば、結合体に含まれる磁性体の数と標的物質及び標識物質の数との比が変化すれば、結合体の移動速度も変化する。したがって、結合体に対応する動光点の移動速度に基づいて、結合体に含まれる標的物質の数を算出することで、標的物質をより正確に計数することができる。また例えば、結合体に含まれる標的物質が増加すれば、標識物質の数が増加するとともに、結合体に対応する動光点のサイズが増加する。したがって、動光点のサイズに基づいて結合体に含まれる標的物質の数を算出することで、標的物質をより正確に計数することができる。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
(実施の形態)
以下では、本開示の実施の形態について図面とともに説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の誤差等の差異も含むことを意味する表現である。
[光学的検出システム]
はじめに、本実施の形態に係る光学的検出システムの概要について図1を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る光学的検出システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る光学的検出システム100は、光学的検出装置101、コントローラ102、データ解析装置103、及びモニタ104で構成される。
光学的検出装置101は、標的物質を含み得る試料溶液から、標的物質を検出するための装置である。光学的検出装置101は、試料溶液と、磁性体及び標識物質とを混合した混合溶液に対して励起光を照射し、発生する蛍光又は散乱光を、撮像装置30によって撮像することで、標的物質を検出する。光学的検出装置101のより詳細な説明については、図2Aを用いて後述する。
コントローラ102は、プロセッサ等の演算装置を用いて、メモリ等に格納されたプログラムに従い、光学的検出装置101に備えられた撮像装置30を制御する制御装置である。したがって、コントローラ102は撮像装置30と通信可能に接続されている。コントローラ102は、撮像装置30を制御することにより、撮像装置30が第1時点において撮像した第1画像、及び第1時点よりも後の第2時点において撮像した第2画像を取得する。
なお、コントローラ102は、さらに、光学的検出装置101の各種動作を制御する制御装置であってもよい。また、コントローラ102は、光学的検出装置101、又は後述するデータ解析装置103と一体化されていてもよい。また、コントローラ102の一部の機能を光学的検出装置101、又は後述するデータ解析装置103が備えていてもよい。
データ解析装置103は、コントローラ102が取得した第1画像及び第2画像を含む複数の画像を処理するための処理装置である。データ解析装置103は、第1画像及び第2画像を含む複数の画像を取得する取得部103aと、第1画像及び第2画像を含む複数の画像を用いて結合体に含まれる標的物質の数を算出する算出部103bとを備える計数装置の一例である。
取得部103aは、例えば、コントローラ102から複数の画像を取得するための通信インタフェースである。したがって、取得部103aは、コントローラ102と通信可能に接続され、コントローラ102から送信された複数の画像を受信する。取得部103aは、コントローラ102から受信することにより取得した第1画像及び第2画像を含む複数の画像を算出部へと送信する。
算出部103bは、第1画像及び第2画像を含む複数の画像を処理することにより、動光点に対応する結合体に含まれる標的物質の数を算出する。したがって、算出部103bは、データ解析装置103による画像処理を担う処理装置である。算出部103bは、一例としてプロセッサとメモリとを備え、当該メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行することによって実現される。
算出部103bは、第1画像及び第2画像を含む複数の画像を時系列に沿って並べた動画像データを生成する。算出部103bは、生成された動画像データを用いて、混合溶液に含まれる結合体の検出処理を実施する。算出部103bは、さらに、検出した結合体を基に試料溶液に含まれた標的物質の計数処理を実施する。算出部103bによる検出処理及び計数処理については後述する。
モニタ104は、算出部103bの処理内容を可視化するための表示装置である。光学的検出システム100のユーザは、モニタ104に表示された情報を視認することで、算出部103bによる処理内容を把握することができる。また、モニタ104は、算出部103bの処理条件等を入力するためのGUIを表示してもよい。ユーザは、当該GUIを視認しながら、入力装置(不図示)を用いて算出部103bに対して処理条件等の入力を行ってもよい。
[光学的検出装置]
次に、本実施の形態に係る標的物質の検出について図2A及び図2Bを用いて説明する。まず、本実施の形態に係る光学的検出装置101の概要について図2Aを用いて説明する。図2Aは、実施の形態に係る光学的検出装置の全体構成を示す図である。
図2Aに示すように、本実施の形態に係る光学的検出装置101は、光照射部10と溶液保持部20と撮像装置30と磁場印加部40とを備える。
光照射部10は、溶液保持部20に光を照射する、発光装置である。光照射部10の構成としては、溶液保持部20に光を照射することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の透過型顕微鏡、落射型顕微鏡、及び全反射照明蛍光顕微鏡等に用いられる公知の光照射部と同様に構成することができる。図2Aに示す例では、全反射照明蛍光顕微鏡に用いられる公知の光照射部を採用している。
光学的検出装置101では、光照射部10から照射された照射光15により溶液保持部20内に近接場光を形成し、溶液保持部20内に保持された混合溶液に含まれる結合体が近接場光により照射されることで発生する蛍光又は散乱光を撮像装置30によって受光することで結合体を検出する。ここで、磁場印加部40により、溶液保持部20内における結合体の位置を制御することで、結合体を近接場光に照射される位置に誘導する。また、磁場印加部40は、さらに、結合体を移動させることにより、結合体が発生する蛍光又は散乱光を、撮像装置30の検出領域内で移動させる。撮像装置30では、撮像された画像内に、結合体が発する蛍光又は散乱光に基づく輝点が形成される。このような輝点は、磁場の印加により移動する結合体に対応しており、取得された画像ごとに位置が変化する。つまり、第1画像及び第2画像を含む動画像データ上において移動する輝点(動光点)が形成される。
[光照射部]
光照射部10は、光源11と光導入部13とを備える。光源11としては、一例としてレーザ光源を用いることができる。なお、光源11は、LEDが用いられてもよく、フィラメント電球又は放電現象を利用したランプ等が用いられても良い。光源11は、所定の波長の光を含む照射光15を発する構成であればどのような形態で実現されてもよい。また、光源11は、さらに、所定の波長の光を含む照射光15を分光により取り出す分光装置を備えてもよい。
光導入部13は、光源11が発した照射光15が入射される光学部材である。光導入部13は、屈折及び/又は反射により入射された照射光15の光路を規定する導光機能を有する。また、光導入部13は、照射光15が入射される入射面とは異なる面において、後述する検出板21の裏面と接合されている。裏面から入射した照射光15が検出板21の表面で全反射されるように設計されている。光導入部13は、例えば、公知のプリズム等により実現される。
[溶液保持部]
溶液保持部20は、検出板21と溶液保持槽23とカバーガラス25とを備える。検出板21は、前述したように裏面において光導入部13に接合されている。また、検出板21は、光透過性を有する板状部材である。検出板21の裏面と光導入部13とは、これらが接合される接合層において照射光15の損失が極力生じないように密着されていることが望ましい。接合層は、一例として、接着剤を用いて実現され、当該接着材により、光導入部13と検出板21とが接着される。なお、接合層は、屈折率マッチングオイル等で実現されてもよく、当該屈折率マッチングオイル等により、光導入部13と検出板21とが単に光学的に接触されてもよい。
検出板21の表面及び裏面は、互いに背向し、かつ平行である。光導入部13から接合層を介して裏面に入射された照射光15は、検出板21の内部を通り、前述したように検出板21の表面で全反射される。この際に、検出板21の表面における、照射光15が反射される側と反対側にエバネッセント場又は増強電場等の近接場光が形成される。近接場光は、検出板21の表面から遠ざかるにつれて急激に減衰する性質を有する。つまり、近接場光は、検出板21の表面近傍にのみ形成される。なお、検出板21の構成としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択されてもよい。したがって、検出板21は、単層で構成されてもよく、電場増強を目的とした積層体で構成されてもよい。
溶液保持槽23は、検出板21に積層されるシート状の部材であり、例えばシリコン樹脂等によって構成される。溶液保持槽23は、シートの内部(面内方向における内部)において、シートの両主面を貫通してくりぬかれたくりぬき部を有する。溶液保持槽23は、検出板21に積層されることで、検出板21の表面と、くりぬき部の外周(つまり溶液保持槽23の内側面)とに囲まれた容器形状を形成する。本実施の形態において溶液保持槽23のくりぬき部は、溶液保持槽23を平面視した場合に円形である。したがって検出板21と、溶液保持槽23とによって形成される容器形状は、円柱状の空間27である。なお、くりぬき部の形状は、円形に限定されず多角形状等のいかなる形状であってもかまわない。
カバーガラス25は、溶液保持槽23にさらに積層される板状の部材である。カバーガラス25は、透光性の材料によって形成されていれば形状に限定はない。カバーガラス25は、検出板21と溶液保持槽23とによって形成された空間27の蓋の役割を担うため、平面視において前述したくりぬき部を覆うことができる形状、及び大きさである。なお、カバーガラス25の材質は、ガラスに加え、樹脂等でもあってもかまわない。カバーガラス25は、光透過性を有すれば、どのような構成であってもよい。
このようにして、検出板21、溶液保持槽23、及びカバーガラス25によって空間27は、略密閉可能となる。ここで、空間27には光学的検出システム100によって検出される対象の混合溶液が充填される。つまり、混合溶液が溶液保持部20に充填された状態で、混合溶液に含まれ得る結合体の検出が行われる。混合溶液は、カバーガラス25を開くことで空間27に導入される。つまり、カバーガラス25は、空間27にアクセス可能な開口を覆う。当該開口は、結合体を含み得る混合溶液が導入される導入部の一例である。なお、空間27と外部とを連通する細孔を設けてもよく、この場合には、当該細孔が導入部となる。
[撮像装置]
空間27内で発生した光は、カバーガラス25を介して外部に透過し、溶液保持部20に対向して配置された撮像装置30において受光される。撮像装置30は、集光性を有する集光部材31とイメージセンサ35とが筐体37に内蔵された受光装置である。また、撮像装置30は必要に応じて、一部の波長の光を選択的に透過させるフィルタ33を備えてもよい。つまり、フィルタ33を備えなくても本開示を実施可能であるが、本実施の形態においては、フィルタ33により一部の波長の光のみがイメージセンサ35に入射される例を説明する。集光部材31は、例えば屈折式のレンズであり、撮像装置30が受光した光をイメージセンサ35に集光する。集光部材31は単一のレンズによって構成されてもよく、複数のレンズを用いて構成されてもよい。
フィルタ33は、例えば、結合体が発生する蛍光の主要な波長成分のみを透過させ、その他を吸収又は反射する光学特性を有する。これにより、結合体が発生した蛍光又は散乱光のみを高精度に検出することができる。イメージセンサ35は、フォトダイオードを用いるもの、及び光増倍管を組み合わせたもの等の、公知の光検出手段であってもかまわない。撮像装置30を用いて撮像される対象は、検出板21に沿う2次元面であるため、イメージセンサ35としてCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ等の2次元センサを用いてもよい。これにより、多くの情報を含む第1画像、及び第2画像等を得ることが可能となる。
また、筐体37は、金属又は樹脂等で構成される。筐体37は、カバーガラス25に対向する面に窓を有する。当該窓から受光された光がイメージセンサ35に入射する。筐体37には、上記の窓から受光された光の光路に沿って、集光部材31、フィルタ33、イメージセンサ35がこの順に配置され、それぞれの位置関係が一定に保たれるように保持部が形成されている。また、上記の窓は、集光部材31によって構成されてもよい。つまり、筐体37の光を受光する面に形成された開口に、集光部材31がはめ込まれることで上記の窓が構成されてもよい。なお、筐体37は、集光部材31に入射する光を除き、その他の外光が筐体37の内部に入り込まないよう、遮光性を有する材料によって構成されている。
[磁場印加部]
磁場印加部40は、第1磁場印加部41と第2磁場印加部43とを備える。
第1磁場印加部41は、第1磁場を発生し、空間27に対して当該第1磁場を印加する。第1磁場印加部41は、例えばネオジム磁石等の永久磁石によって構成されるが、第1磁場印加部41の材料に特に限定はない。第1磁場印加部41は、酸化鉄等を主成分とするフェライト磁石、又はアルミニウム、ニッケル、及びコバルト等を主成分とするアルニコ磁石等で構成されてもよい。
第2磁場印加部43は、第1磁場の方向と交差する方向の第2磁場を発生し、溶液保持槽23を介して空間27に対して当該第2磁場を印加する。第2磁場印加部43は、例えばネオジム磁石等の永久磁石によって構成されるが、第2磁場印加部43の材料に特に限定はない。第2磁場印加部43は、酸化鉄等を主成分とするフェライト磁石、又はアルミニウム、ニッケル、及びコバルト等を主成分とするアルニコ磁石等で構成されてもよい。
第1磁場は、空間27に印加されると、空間27内に存在する強磁性体、常磁性体又は超常磁性体等の磁性体を検出板21の表面に引き寄せる。つまり、第1磁場印加部41は、空間27とともに検出板21を挟む配置である。第1磁場は、検出板21の表面と交差する方向に印加される。したがって第2磁場は、第1磁場と交差する検出板21の表面に沿う方向に印加される。よって、第2磁場は、空間27に印加されると、空間27内に存在する強磁性体、常磁性体又は超常磁性体等の磁性体を検出板21の表面に沿って移動させる。つまり、第2磁場印加部43は、空間27とともに溶液保持槽23を挟む配置である。
ここで、磁性体の移動とは、印加される磁場の方向に沿って磁性体の位置が変化することをいう。また、磁性体を含む結合体も同様に印加される磁場の方向に沿って位置が変化し、このような位置の変化を結合体の移動として説明する。
[結合体]
次に、本実施の形態に係る結合体の形成について図2Bを用いて説明する。図2Bは、実施の形態に係る結合体の一例について説明する図である。
図2Bに示すように、本実施の形態において、結合体60は、標的物質61、磁性体65、標識物質63からなる。標的物質61は、例えば、ウイルス粒子、微生物、細菌等である、又は、これらの産生する、若しくはこれらを構成するタンパク質、脂質、糖、核酸等の生体関連物質である。磁性体65は、強磁性、常磁性又は超常磁性等の磁性を有する粒子である。磁性体65は磁性を有するため、第1磁場及び第2磁場によって引き寄せられる。
また、磁性体65は、前述した標的物質61と結合する性質を有する。これは例えば、磁性体65の表面に配置された抗体67によって実現される。なお、標的物質61と磁性体65との結合形態は、これに限らず、磁性体65を第1磁場及び第2磁場により引き寄せる際に解離しない結合強度を有する結合形態であればどのような形態であってもよい。結合形態は、標的物質61に合わせて適宜選択されればよい。
標識物質63は、結合体60を標識し、検出可能にする物質であり、例えば光の照射により励起されて蛍光を発生する蛍光体により実現される。つまり、標識物質63によって結合体60が蛍光を発生する。なお、結合体60を構成する標的物質61が蛍光を発生する場合もあり、その際、結合体60は、標識物質63を備えなくてもよい。本実施の形態において、具体的には、標識物質63は、蛍光体が分散されたポリスチレンを粒子状に形成した蛍光ビーズとして実現される。
ここで、蛍光ビーズの直径は、100nm以上であることが好ましい。蛍光ビーズの直径が100nmよりも小さい場合には、発する蛍光の強度が弱くなり、検出しにくくなることが想定される。また蛍光ビーズの直径は、1μm以下であることが好ましい。蛍光ビーズの直径が1μmよりも大きい場合には、近接場光が形成される(伝搬する)領域内に当該蛍光ビーズが入りにくくなることが想定される。また、蛍光ビーズの直径が1μmよりも大きい場合には、磁性体65による移動が生じにくくなることが想定される。よって、本実施の形態に用いられる蛍光ビーズは、直径が100nm以上、かつ1μm以下の範囲内で設計される。なお、蛍光ビーズは、ポリスチレンを用いて構成されるポリスチレンビーズ以外にも、シリカガラスを用いて構成されるシリカビーズ、ポリ乳酸を用いて構成されるポリ乳酸ビーズ、アクリルを用いて構成されるアクリルビーズなど、公知のビーズを適宜選択可能である。したがって、蛍光ビーズの材料は、特に限定はなく、標的物質61及び溶液条件等に適したビーズを選択して用いてもよい。
また、標識物質63は、磁性体65と同様に抗体67によって標的物質61に結合する。なお、標的物質61と磁性体65とを結合する抗体67、及び標的物質61と標識物質63とを結合する抗体67は、同一の抗体であってもよく、異なる抗体であってもよい。また、標的物質61と標識物質63との結合形態は、これに限らず、磁性体65を第1磁場及び第2磁場により引き寄せる際に解離しない結合強度を有する結合形態であればどのような形態であってもよい。結合形態は、標的物質61に合わせて適宜選択されればよい。
なお、以上は、1つの標的物質61に対して、1つの標識物質63及び1つの磁性体65が結合した理想的な結合体60の一態様の例示である。以降において、結合体60は、全ての態様の結合体を含むものとして説明する。なお、実際に形成されることが想定される結合体のいくつかの態様についても図6を用いて後述する。
[結合体の検出]
次に、本実施の形態における結合体60の検出について、図3A及び図3Bを用いて説明する。図3Aは、実施の形態に係る標的物質の計数方法について説明するフローチャートである。また、図3Bは、実施の形態に係る標的物質の計数方法について詳細に説明するフローチャートである。
まず、光学的検出装置101の溶液保持部20の空間27には、混合溶液が導入される。混合溶液内においては、標的物質61が標識物質63及び磁性体65の有する抗体67によって捕捉され、結合体60が形成される。
コントローラ102は、磁場印加部40を制御することにより、空間27に対して磁場を印加する。より具体的には、第1磁場印加部41を制御することにより、混合溶液に第1磁場を印加する。これにより、混合溶液内で形成された結合体60は、第1磁場印加部41に向かって(図2Aの紙面下向きに)引き寄せられ、検出板21の表面に略接する状態となる。さらに、コントローラ102は、第2磁場印加部43を制御することにより、混合溶液に第2磁場を印加する。これにより、混合溶液内で形成された結合体60は、第2磁場印加部43に向かって(図2Aの紙面左向きに)引き寄せられる。
コントローラ102は、さらに、光照射部10を制御することにより、照射光15を光源11から出射させる。照射光15は、検出板21の表面に近接場光を形成する。近接場光は、検出板21の表面近傍において、混合溶液に照射される。ここで、近接場光が照射される混合溶液の一部の領域には、第1磁場によって引き寄せられた結合体60が存在している。したがって、結合体60には、近接場光が照射さる。近接場光の照射により、結合体60に含まれる標識物質63の蛍光体が励起される。つまり、近接場光は、励起光の一例である。
ここで、コントローラ102は、撮像装置30を制御して混合溶液を撮像することで、第1画像及び第2画像を取得する。より詳しくは、コントローラ102は、混合溶液に対して、第2磁場が印加され、かつ、近接場光が照射されている間の第1時点において撮像装置30を制御して混合溶液を撮像する。
混合溶液に含まれる結合体60は、近接場光の照射により蛍光を発しており、当該蛍光が撮像された第1画像が取得される。また、コントローラ102は、混合溶液に対して、第2磁場が印加され、かつ、近接場光が照射されている間の第2時点において撮像装置30を制御して混合溶液を撮像する。第2時点は、第1時点よりも後である。混合溶液に含まれる結合体60は、第2磁場の印加により移動しており、第1時点及び第2時点の間で移動した結合体60が発する蛍光が撮像された第2画像が取得される。撮像装置30は、この動作を繰り返し、第1画像及び第2画像を含む複数の画像を取得する。なお、標識物質が散乱光を発する場合は、蛍光に代えて散乱光が撮像される。
取得された第1画像及び第2画像を含む複数の画像は、データ解析装置103へと送信される。データ解析装置103は、取得部103aを用いて第1画像及び第2画像含む複数の画像を取得し(S10)、算出部103bを用いてこれらの画像の解析を行う。より具体的には、データ解析装置103は、第1画像及び第2画像を含む複数の画像のそれぞれについて、結合体60に対応する蛍光の輝度の高い輝点ではないと判断できる背景箇所において取得された輝度を画像全体から差引くことで、背景光分の輝度補正を行う(S11)。
さらに、データ解析装置103は、第1画像及び第2画像を含む複数の画像のそれぞれについて、所定の閾値を用いて、画像の二値化を行う(S12)。所定の閾値とは、例えば、画像上における最も高い輝度と最も低い輝度の中間値である。なお、所定の閾値は、これに限られず、任意に設定された値であってもよい。二値化された各画像は、結合体60の発する蛍光の輝点と背景箇所とのコントラストが上昇し、画像処理における判別処理が容易になる。
なお、データ解析装置103は、背景光を用いた輝度補正(S11)及び各画像の二値化処理(S12)を実施しなくてもよい。データ解析装置103は、取得された第1画像及び第2画像を含む複数の画像が、そのまま以降の処理に使用可能な鮮明な画像であれば上記の処理を省略してもよい。
続いて、データ解析装置103は、以上の処理が完了した第1画像及び第2画像を含む複数の画像を時系列に沿って並べた動画像データを生成する。データ解析装置103は、生成した動画像データを用いて、複数の輝点から、第1画像及び第2画像の間で移動する輝点である動光点を抽出する。
より具体的には、データ解析装置103は、二値化された第1画像上において輝点を抽出する。同様に、データ解析装置103は、二値化された第2画像上において輝点を抽出する。そして、データ解析装置103は、第1画像及び第2画像の各々において抽出された輝点の位置に基づいて、第1画像及び第2画像の間で輝点の対応付けを行う。
ここで、データ解析装置103は、対応付けられた輝点のペアのうち、第1画像から第2画像までの間で所定の距離以上移動した輝点のペアを抽出する。所定の距離として、混合溶液中の夾雑物等を含む各粒子がブラウン運動等により移動する距離を排除できる距離を設定することで、第2磁場の印加により移動した結合体60に対応する移動した輝点が抽出される。以上の処理により、データ解析装置103は、移動する輝点である動光点の抽出を行う。データ解析装置103は、抽出された動光点の数iをカウントする(S13)。
データ解析装置103は、混合溶液中に含まれる標的物質61の数jを、カウントされた動光点の数iにより初期化する(S14)。これにより、1つの動光点に対応する1つの結合体60には、少なくとも1つの標的物質61が含まれることが標的物質61の数jに反映される。
続いて、データ解析装置103は、対応付けられた輝点のペアについて移動速度を算出する。また、データ解析装置103は、輝点のペアについて輝点のサイズを算出する。
輝点のサイズは、結合体60に含まれる標識物質63の数に応じて大きくなる。つまり、データ解析装置103は、輝点のサイズの分布に基づき、1つの標識物質63を含む結合体60に対応する輝点サイズと、2つの標識物質63を含む結合体60に対応する輝点サイズとの境界に閾値サイズを設定できる。
さらに、データ解析装置103は、当該閾値サイズよりも輝点のサイズが小さい動光点の中から、最も移動速度の遅い輝点を特定し、特定された輝点の移動速度に基づいて所定速度範囲を設定する。
所定速度範囲は、1つの標的物質61と1つの標識物質63と1つの磁性体65とからなる結合体60の移動速度に対応する速度であり、このような結合体60がとり得る速度分の範囲を有する基準速度である。つまり、基準速度は、例えば、動画像データ内の動光点のうち、特定された輝点の移動速度を中心とし、第1閾値から第2閾値までの所定の範囲を有して決定される。
例えば、1つの標的物質61と1つの標識物質63と1つの磁性体65とからなる結合体60の移動速度と、2つの標的物質61と2つの標識物質63と1つの磁性体65とからなる結合体60の移動速度との中間値を第1閾値としてもよい。また、1つの標的物質61と1つの標識物質63と1つの磁性体65とからなる結合体60の移動速度と、2つの標的物質61と1つの標識物質63と2つの磁性体65とからなる結合体60の移動速度との中間値を第2閾値としてもよい。
また、前述した閾値サイズは、1つの標的物質61と1つの標識物質63と1つの磁性体65とからなる結合体60の輝点のサイズに対応する基準サイズである。つまり、基準サイズは、例えば、動画像データ内の動光点のうち、最小の輝点のサイズを起点とし、当該起点から第3閾値までの所定の範囲を有して決定される。
例えば、1つの標的物質61と1つの標識物質63と1つの磁性体65とからなる結合体60の輝点のサイズと、2つの標的物質61と2つの標識物質63と1つの磁性体65とからなる結合体60の輝点のサイズとの中間値を第3閾値としてもよい。
以上のようにして、データ解析装置103は、基準速度及び基準サイズを決定する(S15)。
なお、基準速度及び基準サイズは、人為的に1つの標的物質61と1つの標識物質63と1つの磁性体65とからなる結合体60を形成させることにより、あらかじめ決定していてもよい。また、第1画像及び第2画像の間と、第2画像及び第2画像の次の画像の間とで、移動速度及び輝度サイズが変化する場合があるため、単位時間ごとの移動速度及び輝度サイズの平均値を用いてもよい。
続いて、データ解析装置103は、動画像データ内の各動光点について、各々の移動速度及び輝度サイズに基づき、それぞれの動光点に対応する結合体60に含まれる標的物質61の数jを補正する(S16)。
図3Bに示すように、ステップS16では、まず、画像中に存在する複数の動光点のうちの1つを選択する(S21)。データ解析装置103は、選択された動光点について、移動速度及び輝度サイズに基づき、標的物質61の数jを加算して補正するか否かの判定を行う。
より具体的には、まず、動光点の移動速度が基準速度より速いか否かを判定する(S22)。つまり、データ解析装置103は、動光点の移動速度が第2閾値より速いか否かの判定を行う。
ここで、図4は、実施の形態に係る動画像データをある時点で静止した場合の図である。図4は、モニタ104に表示される情報の一例であり、動画像データを表示するソフトウェア104aを用いて、動画像データをある時点で静止させた状態を示している。図4に示すソフトウェア104aには、動画像データのある時点に対応する画像が表示されている。当該画像上には、ある時点における輝点P1〜P4が円形で示されている。ここで、破線円で示す輝点P2は、移動しない輝点であり、結合体60に対応しない。輝点P1は、移動する輝点であり、結合体60に対応する動光点である。輝点P1は、比較的小さく、標識物質63を1つ含む結合体60に対応すると考えられる。よって、基準速度及び基準サイズは、輝点P1のうちのいずれかを基に決定される。
一方で、輝点P3は、ある時点に対応する画像内で線形に延びた楕円形である。輝点P3は、画像を取得するために撮像装置30が露光を行った時間内に画像上の1ピクセルよりも大きく移動した結合体60に対応している。つまり、輝点P3は、移動速度が速いことを示している。輝点P3は、輝点P1に対応する結合体60よりも移動速度が速い結合体60に対応している。
図3Bに戻り、図4の輝点P3のように、動光点の移動速度が基準速度よりも速いと判定された場合(S22でYes)、当該動光点に対応する結合体60に含まれる標的物質61の数が1よりも多いと判断し、標的物質61の数jを+L個加算する(S25)(Lは1以上の整数)。
一方で、図4の輝点P1のように、動光点の移動速度が基準速度よりも速いと判定されなかった場合(S22でNo)、動光点の移動速度が基準速度より遅いか否かを判定する(S23)。より具体的には、データ解析装置103は、動光点の移動速度が第1閾値より遅いか否かの判定を行う。動光点の移動速度が基準速度よりも遅いと判定された場合(S23でYes)、当該動光点に対応する結合体60に含まれる標的物質61の数が1よりも多いと判断し、標的物質61の数jを+M個加算する(S26)(Mは1以上の整数)。
続いて、動光点の移動速度が基準速度よりも遅いと判定されなかった場合(S23でNo)、動光点の輝度サイズが基準サイズよりも大きいか否かを判定する(S24)。より具体的には、データ解析装置103は、動光点の輝度サイズが第3閾値より大きいか否かの判定を行う。
ここで、再び図4を参照し、輝点P4は、比較的大きな輝点であり、輝点P1に対応する結合体60よりも輝度サイズが大きい結合体60に対応している。このように輝点サイズが大きくなるためには、結合体60内において蛍光を発する標識物質63が空間的に広がっている場合と、標識物質63が発する蛍光の空間的な広がりが大きい(蛍光強度が大きい)場合とが考えられる。標識物質63は、略均一な大きさに形成された粒子状であり、粒子内には略均一に分散された蛍光体が内包される。つまり、結合している標識物質63の数が変わらない場合、蛍光強度は略同様であるといえる。すなわち、輝度サイズが大きい動光点に対応する結合体60は、標識物質63を複数含んでいる。
図3Bに戻り、図4の輝点P4のように、動光点の輝度サイズが基準サイズよりも大きいと判定された場合(S24でYes)、当該動光点に対応する結合体60に含まれる標的物質61の数が1よりも多いと判断し、標的物質61の数jを+N個加算する(S27)(Nは1以上の整数)。
一方で、図4の輝点P1のように、動光点の輝度サイズが基準サイズよりも大きいと判定されなかった場合(S24でNo)、画像中に存在する動光点のうち、全ての動光点について、補正するか否かの判定を行うために選択されたか否かを判定する(S28)。少なくとも一部の動光点について、補正するか否かの判定を行うために選択されていないと判定された場合(S28でNo)、ステップS21に戻り、異なる動光点について再度、補正するか否かの判定を行う。一方、全ての動光点について、補正するか否かの判定を行うために選択されたと判定された場合(S28でYes)、処理を終了する。
以上のように、動光点の移動速度及び輝点サイズは独立に判定される。言い換えると、動光点の移動速度が第1閾値から第2閾値までの所定の範囲に含まれない場合に、標的物質61の数を2以上と判定することができる。また、動光点の輝度サイズが第3閾値よりも大きい場合に、標的物質61の数を2以上と判定することができる。
以上で説明した、標的物質61の数に加算されるL、M、及びNは、移動速度及び輝点サイズに比例して変化する。つまり、結合体60に含まれる磁性体65の数が2個の場合よりも3個の場合の方が移動速度は速くなる。また、結合体60に含まれる標識物質63の数が2個の場合よりも3個の場合の方が輝度サイズは大きくなる。したがって、磁性体65及び標識物質63の数に応じて、さらに、複数の閾値を設定してもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、各々の結合体60に含まれる、より正確な標的物質61の数を算出し、それぞれを合計することにより、試料溶液に含まれている標的物質61の数をより正確に計数することができる。
(実施例)
以下、実施例に基づき、本開示の標的物質61の計数方法を具体的に説明するが、本開示は以下の実施例のみに何ら限定されるものではない。
本実施例では、上記の実施の形態において説明した光学的検出装置101を標的物質61の計数に用いた。したがって、以下では、図2Aに示した光学的検出装置101を適宜参照して標的物質61の計数方法を説明する。また、標的物質61が含まれる試料溶液として、以下の条件を用いた。なお、本実施例に示す条件等も一例であり、目的とする標的物質61に応じて適宜変更して実施してもよい。
まず、磁性体65として、直径200nmの、強磁性を示す磁性粒子を用いた。磁性粒子の表面には、抗アルブミン抗体として作用するIgG(Immunoglobulin G)抗体を、抗体67として付加修飾した。
また、標識物質63として、直径400nmの、蛍光を発するマーカ粒子を用いた。マーカ粒子は、ポリスチレンにより蛍光体が分散されたビーズ状である。マーカ粒子の表面には、抗アルブミン抗体として作用するIgG抗体を、抗体67として付加修飾した。
また、標的物質61として、モデルタンパク質のヒト血清由来のアルブミン(HSA:Human Serum Albumin)を用いた。
なお、磁性粒子に付加修飾したIgG抗体と、マーカ粒子に付加修飾したIgG抗体とは、互いに異なるIgG抗体であり、標的物質61の異なるエピトープに結合する。標的物質61として用いたアルブミンの表面に露出するアミノ酸残基は、繰り返し構造(複数の同一構造のエピトープ)を有しない。つまり、同一のエピトープに結合するIgG抗体を用いた場合、磁性粒子及びマーカ粒子の表面に修飾された2つの抗体を同時に結合することが困難である。よって、磁性粒子及びマーカ粒子の表面に修飾するIgG抗体として異なるエピトープに結合するIgG抗体の組み合わせを用いた。
また、実施例においては、IgG抗体の組み合わせとしては、アルブミンの表面のうち、互いに比較的遠位なエピトープに結合するIgG抗体の組み合わせを用いた。IgG抗体の組み合わせは、これに限らず、磁性粒子及びマーカ粒子の表面に修飾された2つの抗体を同時に結合することが可能であれば、どのような組み合わせでもよい。
以上に示した、磁性粒子、マーカ粒子、及びアルブミンを混合した混合溶液を調製した。調製した混合溶液中では、磁性粒子、マーカ粒子、及びアルブミンが、IgG抗体を介して結合した結合体60が形成される。続いて、調製した混合溶液を光学的検出装置101の空間27に導入した。
第1磁場印加部41により、空間27に第1磁場を印加し、混合溶液中で結合体が移動するために十分な所定時間だけ、第1磁場印加部41による磁場の印加を継続した。その後、第2磁場印加部43を用いて第2磁場を印加し、混合溶液中の磁性粒子を第2磁場印加部43の方向へと引き寄せた。ここで、第2磁場に沿って磁性粒子が引き寄せられている間に、光源11から照射光15を照射した。照射光15は、光導入部13、マッチングオイル、及び検出板21内を導光され、検出板21の表面で反射される。検出板21における照射光15が反射された側と反対側の近傍には励起光である近接場光が形成される。
マーカ粒子のうち、IgG抗体及びアルブミンを介して磁性粒子と結合した結合体60は、第1磁場によって近接場光が形成される領域に引き寄せられている。したがって、結合体60を形成するマーカ粒子は、近接場光によって励起されて蛍光を発する。また、結合体60は、第2磁場印加部43によって引き寄せられているため、第2磁場に沿って移動しながら蛍光を発している。
このように、励起光が照射され、かつ、磁場が印加されている間に、撮像装置30を用いて結合体60を撮像した。取得された第1画像及び第2画像を含む複数の画像を用いて、データ解析装置103により、動画像データを生成した。動画像データ上で、移動する輝点(動光点)として観察されるのは、磁性粒子とマーカ粒子とが、IgG抗体及びアルブミンを介して結合した結合体60の発する蛍光に対応する輝点のみである。
動画像上において移動する輝点(動光点)の個数、移動速度及び輝度サイズを計測した。計測結果に基づき、試料溶液中に存在するアルブミンの数を計数した。以上の処理を、試料溶液中アルブミン濃度4点(つまり、4種のアルブミン数)について行った。
なお、第1磁場及び第2磁場を印加して磁性粒子を引き寄せる印加時間、ならびに動画像データの長さに対応する複数の画像の撮像を継続する撮像時間は、試料溶液に応じて適宜決定した。
以上の結果を図5に示す。図5は、実施例に係る標的物質の計数について説明する図である。
図5には、各動光点に対応する結合体60に含まれるアルブミンの数を1個としてカウントした場合の試料溶液中アルブミン数に対する、標的物質61として計数されたアルブミン数のプロットを破線で示している。つまり、上記の場合は、動光点の移動速度及び輝度サイズを考慮しない、従来の計数方法を示している。上記の場合は、図3Bに示したフローチャートのステップS21のみを実施することでアルブミンの数を計数する。
また、図5には、各動光点のうち、移動速度の速い動光点に対応する結合体60に含まれるアルブミンの数を2個としてカウントした場合の試料溶液中アルブミン数に対する、標的物質61として計数されたアルブミン数のプロットを2点鎖線で示している。つまり、上記の場合は、動光点の移動速度を考慮した、実施の形態に基づく計数方法を示している。上記の場合は、図3Bに示したフローチャートのステップS21、ステップS22、及びステップS25を実施することで標的物質61の数を計数する。なお、ステップS25において、標的物質61の数に加算されるLは1である。
また、図5には、各動光点のうち、輝度サイズの大きい動光点に対応する結合体60に含まれるアルブミンの数を2個としてカウントした場合の試料溶液中アルブミン数に対する、標的物質61として計数されたアルブミン数のプロットを1点鎖線で示している。つまり、上記の場合は、動光点の輝度サイズを考慮した、実施の形態に基づく計数方法を示している。上記の場合は、図3Bに示したフローチャートのステップS21、ステップS24、及びステップS27を実施することで標的物質61の数を計数する。なお、ステップS27において、標的物質61の数に加算されるNは1である。
また、図5には、各動光点のうち、輝度サイズの大きい動光点に対応する結合体60に含まれるアルブミンの数を2個としてカウントし、移動速度の速い動光点に対応する結合体60に含まれるアルブミンの数を3個としてカウントした場合の試料溶液中アルブミン数に対する、標的物質61として計数されたアルブミン数のプロットを実線で示している。つまり、上記の場合は、動光点の移動速度及び輝度サイズを考慮した、実施の形態に基づく計数方法を示している。上記の場合は、図3Bに示したフローチャートのステップS21、ステップS22、ステップS24、ステップS25、及びステップS27を実施することで標的物質61の数を計数する。なお、ステップS25において、標的物質61の数に加算されるLは2であり、ステップS27において、標的物質61の数に加算されるNは1である。
図5に示すように、動光点の移動速度及び輝度サイズを考慮しない、従来の計数方法(破線)では、試料溶液中アルブミン数に対して、標的物質61として計数されたアルブミン数のプロットが直線性を示さず、正確な計数が行われていないことがわかる。
一方で、動光点の移動速度を考慮する、実施の形態に基づく計数方法(2点鎖線)では、試料溶液中アルブミン数に対して、標的物質61として計数されたアルブミン数のプロットが直線に近づくことが示され、従来の計数方法に比べてより正確にアルブミンの計数が行われていることがわかる。
また、動光点の輝度サイズを考慮する、実施の形態に基づく計数方法(1点鎖線)では、試料溶液中アルブミン数に対して、標的物質61として計数されたアルブミン数のプロットが直線に近づくことが示され、従来の計数方法に比べてより正確にアルブミンの計数が行われていることがわかる。
また、動光点の移動速度及び輝度サイズを考慮する、実施の形態に基づく計数方法(実線)では、試料溶液中アルブミン数に対して、標的物質61として計数されたアルブミン数のプロットが大幅に直線に近づくことが示され、従来の計数方法に比べてより正確にアルブミンの計数が行われていることがわかる。
ここで、図5に実線で示した動光点の移動速度及び輝度サイズを考慮する、実施の形態に基づく計数方法では、各動光点のうち、輝度サイズの大きい動光点に対応する結合体60に含まれるアルブミンの数を2個としてカウントした。また、移動速度の速い動光点に対応する結合体60に含まれるアルブミンの数を3個としてカウントした。
つまり、本実施例の条件においては、結合体60に含まれるアルブミンの数は3個以上である場合も考えられ得る。つまり、標的物質61の数が、3個以上である結合体60も形成され得る。
(変形例)
以下では、実施の形態の変形例として結合体60の態様に基づく標的物質61の計数方法について、図6を用いて説明する。
図6は、変形例に係る結合体の態様と標的物質の計数との関係について説明する図である。図6には、想定され得る結合体60の態様と各態様の結合体60の特性とを一覧表として示している。なお、以降、本変形例において結合体60とは、1つの標的物質61と1つの標識物質63と1つの磁性体65とが結合した態様の結合体である。その他の態様の結合体については、別の符合を付して説明する。
本変形例に係る標的物質61の計数方法では、動光点の移動速度と輝度サイズを独立ではなく、複合的に考慮する点で上記の実施の形態とは異なる。
図6の第1行には、例示的な5つの結合体60〜60eのそれぞれに対応する列を示す記号(a)〜(e)が示されている。また、図6の第2行には、結合体60〜60eのそれぞれの態様を示す図が示されている。また、図6の第3行には、結合体60〜60eのそれぞれに対応する動画像データ上の動光点における輝点サイズが示されている。また、図6の第4行には、結合体60〜60eのそれぞれに対応する動画像データ上の動光点における移動速度が示されている。また、図6の第5行には、結合体60〜60eのそれぞれについて、含まれる標的物質61を計数する際に算出された1個に対して加算される標的物質61の個数が示されている。
図6に示すように、(a)列の結合体60は、1つの標的物質61と1つの標識物質63と1つの磁性体65とが結合した態様の結合体である。したがって、対応する動光点の輝度サイズは、1つの標識物質63に対応して比較的小さいサイズ(基準サイズ)である。また、結合体60に対応する動光点の移動速度は、1つの磁性体65が1つの標識物質63を結合して移動する中程度の速度(基準速度)である。したがって、結合体60に含まれる標的物質61は、加算が行われず、算出された1個のままである。
(b)列の結合体60bは、2つの標的物質61と1つの標識物質63と2つの磁性体65とが結合した態様の結合体である。したがって、対応する動光点の輝度サイズは、1つの標識物質63に対応して比較的小さいサイズである。また、結合体60bに対応する動光点の移動速度は、2つの磁性体65が1つの標識物質63を結合して移動する速い速度である。結合体60bに含まれる標的物質61は、仮定された1個に対して加算が行われる。
より具体的には、動光点の輝点サイズが小さいため標識物質63が1つであり、かつ動光点の移動速度が速いため磁性体65が標識物質63に対して1:1である1つよりも多い2つであると予測する。したがって、標的物質61の数として仮定された1個に対して、さらに1つの磁性体65との結合を仲介する標的物質61の分として1個の加算が行われる。
(c)列の結合体60cは、2つの標的物質61と2つの標識物質63と1つの磁性体65とが結合した態様の結合体である。したがって、対応する動光点の輝度サイズは、2つの標識物質63に対応して比較的大きいサイズ(2倍程度)である。また、結合体60cに対応する動光点の移動速度は、1つの磁性体65が2つの標識物質63を結合して移動する遅い速度である。結合体60cに含まれる標的物質61は、仮定された1個に対して加算が行われる。
より具体的には、動光点の輝点サイズが大きいため標識物質63が1つよりも多い2つであり、かつ動光点の移動速度が遅いため磁性体65が標識物質63に対して1:1である2つよりも少ない1つであると予測する。したがって、標的物質61の数として仮定された1個に対して、さらに1つの標識物質63との結合を仲介する標的物質61の分として1個の加算が行われる。
(d)列の結合体60dは、4つの標的物質61と2つの標識物質63と3つの磁性体65とが結合した態様の結合体である。したがって、対応する動光点の輝度サイズは、2つの標識物質63に対応して比較的大きいサイズ(2倍程度)である。また、結合体60dに対応する動光点の移動速度は、3つの磁性体65が2つの標識物質63を結合して移動する速い速度である。結合体60dに含まれる標的物質61は、仮定された1個に対して加算が行われる。
より具体的には、動光点の輝点サイズが大きいため標識物質63が1つよりも多い2つであり、かつ動光点の移動速度が速いため磁性体65が標識物質63に対して1:1である2つよりも多い3つであると予測する。したがって、標的物質61の数として仮定された1個に対して、さらに1つの標識物質63及び2つの磁性体65との結合を仲介する標的物質61の分として3個の加算が行われる。
(e)列の結合体60eは、3つの標的物質61と2つの標識物質63と2つの磁性体65とが結合した態様の結合体である。したがって、対応する動光点の輝度サイズは、2つの標識物質63に対応して比較的大きいサイズ(2倍程度)である。また、結合体60eに対応する動光点の移動速度は、2つの磁性体65が2つの標識物質63を結合して移動する中程度の速度である。結合体60eに含まれる標的物質61は、仮定された1個に対して加算が行われる。
より具体的には、動光点の輝点サイズが大きいため標識物質63が1つよりも多い2つであり、かつ動光点の移動速度が中程度であるため磁性体65が標識物質63に対して1:1である2つであると予測する。したがって、標的物質61の数として仮定された1個に対して、さらに1つの標識物質63及び1つの磁性体65との結合を仲介する標的物質61の分として2個の加算が行われる。
以上のように、本変形例に係る標的物質61の計数方法では、動光点の移動速度と輝度サイズを独立ではなく、複合的に考慮して、より複雑な態様の結合体に対応できる。したがって、標的物質61の計数を、より詳細な結合体の態様に基づいて行うことができるので、より正確に標的物質61を計数することができる。
なお、結合体の態様は、図6に例示した5種以外にも存在し得る。さらに標識物質63及び磁性体65の表面に修飾された抗体67の構成、ならびに標的物質61、標識物質63、磁性体65の粒径等により各態様の結合体の存在比等も異なる。よってシミュレーション等の方法を用いて、事前に形成され得る結合体の態様を把握しておくことが必要である。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態等について説明したが、本開示は、上記実施の形態等に限定されるものではない。
また、上記実施の形態等において計数装置を構成する構成要素について例示したが、計数装置が備える構成要素の各機能は、計数装置を構成する複数の部分にどのように振り分けられてもよい。
その他、実施の形態等に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態等における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
上記実施の形態においては、動光点の移動速度について、基準速度に対して同程度か、基準速度より遅いか、又は基準速度より速いかのいずれか3種に分類して、標的物質61の計数に用いた。例えば、どの程度遅いか、又はどの程度速いかを含め、多段階に分類して、標的物質61の計数に用いてもよい。
また、例えば、上記の動光点の移動速度と同様に、動光点の輝点サイズを多段階に分類して、標的物質61の計数に用いてもよい。
本開示は、簡単、高速、高精度な標的物質の検出、観察、及び計数等を目的とする装置等に用いられる。
10 光照射部
11 光源
13 光導入部
15 照射光
20 溶液保持部
21 検出板
23 溶液保持槽
25 カバーガラス
27 空間
30 撮像装置
31 集光部材
33 フィルタ
35 イメージセンサ
37 筐体
40 磁場印加部
41 第1磁場印加部
43 第2磁場印加部
60、60b、60c、60d、60e 結合体
61 標的物質
63 標識物質
65 磁性体
67 抗体
P1、P2、P3、P4 輝点
100 光学的検出システム
101 光学的検出装置
102 コントローラ
103 データ解析装置
103a 取得部
103b 算出部
104 モニタ
104a ソフトウェア

Claims (11)

  1. 1以上の標的物質と1以上の標識物質と1以上の磁性体とを結合させて結合体を形成し、
    前記結合体に励起光を照射し、
    前記結合体に磁場を印加し、
    前記励起光が前記結合体に照射され、かつ、前記磁場が前記結合体に印加されている間に、前記結合体に含まれる前記1以上の標識物質による蛍光又は散乱光を撮像することにより、第1画像と前記第1画像より後の第2画像とを取得し、
    前記第1画像及び前記第2画像の間で移動する輝点の移動速度及びサイズの少なくとも一方に基づいて、前記結合体に含まれる前記1以上の標的物質の数を算出する、
    標的物質の計数方法。
  2. 前記移動する輝点の移動速度が、所定速度範囲に含まれない場合に、前記結合体に含まれる前記1以上の標的物質の数を2以上と算出する、
    請求項1に記載の標的物質の計数方法。
  3. 前記移動する輝点のサイズが、閾値サイズよりも大きい場合に、前記結合体に含まれる前記1以上の標的物質の数を2以上と算出する、
    請求項2に記載の標的物質の計数方法。
  4. 前記結合体の形成では、複数の前記結合体を形成し、
    前記閾値サイズは、複数の前記移動する輝点のサイズの分布に基づいて決定される、
    請求項3に記載の標的物質の計数方法。
  5. 前記所定速度範囲は、複数の前記移動する輝点のうちの前記閾値サイズよりサイズが小さい輝点の中で、最も移動速度の遅い輝点の移動速度に基づいて決定される、
    請求項4に記載の標的物質の計数方法。
  6. 前記1以上の標的物質の数を算出する際に、
    前記移動する輝点に対応する前記結合体に含まれる前記1以上の標的物質の数を1と算出し、
    前記移動する輝点の移動速度及びサイズの少なくとも一方に応じて、前記1以上の標的物質の数を補正する、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の標的物質の計数方法。
  7. 前記励起光は、近接場光である、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の標的物質の計数方法。
  8. 前記標識物質は、蛍光体である、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の標的物質の計数方法。
  9. 前記標識物質は、蛍光体を含むポリスチレンビーズ、シリカビーズ、ポリ乳酸ビーズ、又はアクリルビーズである、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の標的物質の計数方法。
  10. 前記移動速度は、一定時間における平均値である、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の標的物質の計数方法。
  11. 1以上の標的物質と1以上の標識物質と1以上の磁性体とを結合させた結合体に励起光が照射され、かつ、前記結合体に磁場が印加されている間に、前記結合体に含まれる前記1以上の標識物質による蛍光又は散乱光が撮像された、第1画像と前記第1画像より後の第2画像とを取得する取得部と、
    取得された前記第1画像及び前記第2画像の間で移動する輝点の移動速度及びサイズの少なくとも一方に基づいて、前記結合体に含まれる前記1以上の標的物質の数を算出する算出部と、を備える、
    計数装置。
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