肺疾患と局所疾患
間質性肺疾患(ILD;およびその中のサブクラスの疾患)、がん(肺がん;およびその中のサブクラスの疾患)、肺、腎臓、心臓、並びに目の繊維症の兆候、ウイルス感染、および中枢神経系の疾患のような多くの望ましくない肺疾患は、満たされていない臨床的必要性の現在の領域である。
繊維症において、瘢痕は、損傷後の有益な治癒の役割を果たす。しかし、組織は、機能異常の結果として生じる、より多くの慢性および/または繰り返しの損傷後に、次第に傷跡を残すこともある。特発性肺線維症(IPF;およびILDの他のサブクラス)の場合、かなりの割合の肺に傷跡が残ると、呼吸不全が生じ得る。いかなる場合も、進行性の瘢痕は、異なる領域の臓器への一連の傷害の再発、または、損傷が治癒した後に修復プロセスを止めることができない場合の結果として生じ得る。そのような場合、瘢痕形成プロセスは、制御されず、無秩序になる。繊維症疾患の幾つかの形成において、瘢痕は限定された領域に局在化されたまま残るが、他の形成において、瘢痕は、より拡散したおよび広範囲の領域に影響を及ぼし得、その結果直接または関連する臓器不全を生じる。
上皮の損傷において、上皮細胞は、強力な線維芽細胞増殖因子、形質転換増殖因子−ベータ(TGF−beta)、腫瘍壊死因子(TNF)、血小板由来の増殖因子(PDGF)、エンドセリン、他のサイトカイン、メタロプロテイナーゼ、および凝固媒介物質の組織因子を含む、様々な繊維症促進性(pro−fibrotic)の媒介物質を放出するように誘発される。重要なことは、誘発された上皮細胞は 細胞死に弱くなり、線維症において最も根本的な異常は、上皮細胞層を明らかに修復することができないことである。
疾患などの状態で、ニンテダニブなどのインドリノン誘導体による繊維症促進性の因子の制御によって特徴付けられる生理反応は、繊維症を軽減および/または好転させ、がん、感染症、または中枢神経系疾患を治療するのに有益である。これらおよび他の兆候において前記インドリノン誘導体および/またはニンテダニブの効果を活用する治療方針について、本明細書で熟考する。
ニンテダニブおよびインドリノン誘導体化合物−治療効果
本明細書に記載のインドリノン誘導体製剤で使用するためのインドリノン誘導体は、ニンテダニブ(メチル(3Z)−3−[[4−[メチル−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)アセチル]アミノ]アニリノ]−フェニルメチルリデン]−2−オキソ−1H−インドール−6−カルボキシレート)またはその塩からなる。
ニンテダニブの代わりに、他のインドリノン誘導体化合物またはその塩を使用し得る。インドリノン誘導体化合物としては、ニンテダニブと構造的に類似する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。インドリノン誘導体化合物としては、ニンテダニブと構造的に類似し、かつ同じ種類の生物学的活性を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。インドリノン誘導体化合物は、ニンテダニブの相互作用に基づいてニンテダニブの構造活性相関(SAR)を保持する化学部位の置換に基づいて予測されるニンテダニブ分子への修飾、または以下に記載される特定のチロシンキナーゼの特異的かつ選択的阻害剤としての対象の誘導体を含む。インドリノン誘導体化合物には、米国特許第6,762,180号および第7,119,093号に記載されている化合物が含まれるが、これらに限定されない。
ニンテダニブは、薬理学的に関連する濃度で幅広くキナーゼを阻害する。標的キナーゼの例としては、3つのVEGFRサブタイプのすべて(VEGFR−1、IC50 34nM;VEGFR−2、IC50 21nM;VEGFR−3、IC50 13nM)、FGFR型(FGFR−1、IC50 69nM。FGFR−2、IC50 37nM;FGFR−3、IC50 108nM;FGFR−4、IC50 610nM)、PDGFR−α(IC50、59nM)、PDGFR−β(IC50、65nM)などが挙げられる。これら3つの異なる血管新生促進性受容体クラスを同時に標的とするニンテダニブの能力は、抗腫瘍効果を増進し、VEGFおよびVEGFR−2を標的とした薬剤に対する抵抗性経路に打ち勝つ可能性がある。ニンテダニブはまた、Flt−3やSrcファミリーのメンバー(Src、Lyn、Lck)を阻害するため、血液疾患などの疾患に対して治療可能性があると考えられる。
また、ニンテダニブの経口投与によるVEGFR、PDGFR、FGFR阻害の抗線維症の可能性も一連の前臨床試験で評価されている。ニンテダニブは、in vitroで、正常なヒト肺線維芽細胞のPDGFR−αおよびPDGFR−βの活性化と増殖を阻害し、IPF患者および対照ドナーのヒト肺線維芽細胞のPDGF−BB−、FGF−2−、およびVEGF誘導増殖を阻害することが示された。ニンテダニブは、IPF9患者由来の肺線維芽細胞のPDGFまたはFGF−2刺激による遊走を減衰させ、IPF患者由来の初代ヒト肺線維芽細胞のトランスフォーミング増殖因子(TGF)−β−誘導線維芽細胞から筋線維芽細胞への形質転換を阻害した。マウスの肺組織にニンテダニブをin vivoで経口投与すると、PDGFRの活性化および下流シグナル伝達が用量依存的に阻害された。IPFの2つの異なるマウスモデルにおいて、気管支肺胞液中のリンパ球数と好中球数の有意な減少、炎症性サイトカインの減少、肺組織の組織学的分析における炎症と肉芽腫形成の減少に示されるように、ニンテダニブは抗炎症作用を発揮した。IPFマウスモデルはまた、全肺コラーゲン含有量の有意な減少と組織学的解析で同定された線維症の減少によって示されるように、ニンテダニブ関連の抗線維症効果を明らかにした。
IPFは慢性かつ進行性の線維性肺疾患で、有効な治療法がないため、診断後の生存期間の中央値が2年から3年と短いのが特徴である。IPFは、コントロール不良の線維芽細胞/筋線維芽細胞の増殖と分化、および肺間質および肺胞腔内の過剰なコラーゲン沈着を特徴とし、咳および呼吸困難の症状を引き起こし、最終的には呼吸不全に至る。
いくつかの実施形態では、吸入によるニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の投与は、経口投与と比較して胃腸および肝臓の副作用を軽減させる。これらの副作用を軽減することで、患者の安全性が向上し、患者のコンプライアンスが最大化され、投与量の削減や中止のプロトコルを回避し、経口剤では不可能な更なる効果を得るために、局所的な肺投与量の増加が可能になる。
本発明のエアロゾル投与用に特別に製剤化されたニンテダニブまたはインドリノン水溶液は、ヒトの肺疾患を治療する方法に使用される。肺疾患は、肺線維症、特発性肺線維症、放射線により誘導される繊維症、珪肺症、アスベストにより誘導される肺繊維症または胸膜線維症、急性肺障害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サルコイドーシス、通常型間質性肺炎(UIP)、嚢胞性繊維症、慢性リンパ性白血病(CLL)に関連する繊維症、ハンマン−リッチ症候群、カプラン症候群、炭坑夫塵肺症、特発性間質性肺炎、閉塞性細気管支炎、慢性気管支炎、気腫、肺炎、ウェーグナー肉芽腫症、強皮症に関連する肺線維症、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc−ILD)、珪肺症、間質性肺疾患、アスベストにより誘導される肺繊維症および/または胸膜線維症を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、主要な肺疾患は肺線維症(即ち、肺線維症(pulmonary fibrosis))である。別の実施形態では、線維症は、がんのような別個の疾患の併存であったり、特に慢性移植肺機能不全(CLAD)や拘束性同種移植症候群(RAS)を含む以前の感染や手術の結果であったりする。
肺線維症
肺疾患の進行を治療または防止する方法は、肺疾患を有する患者またはその疑いのある患者の中気道から下気道に、ニンテダニブ、インドリノンまたはその塩、またはピルフェニドンまたはピリドンアナログとの併用で、エアロゾルの経口吸入により投与する。間質性肺線維症を治療または予防する方法には、人工呼吸器を装着する患者を対象に含める。
特発性肺線維症(IPF)の治療または進行防止のための方法で、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を、あるいはピルフェニドンまたはピリドンアナログを併用したものを、IPFを有するかまたはその疑いのある被験者の中気道/下気道に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなるエアロゾルとして経口吸入投与する。
全身性硬化症に伴う間質性肺疾患(SSc−ILD)を治療または予防する方法で、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を、あるいはピルフェニドンまたはピリドンアナログを併用したものを、SSc−ILDを患う、またはその疑いのある被験者の中気道/下気道に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなるエアロゾルとして経口吸入投与する。
閉塞性細気管支炎の治療または進行を予防する方法で、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を、またはピルフェニドンまたはピリドンアナログを併用したものを、閉塞性細気管支炎を有する患者またはその疑いのある患者の中気道/下気道に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなるエアロゾルとして経口吸入投与する。
慢性移植肺機能不全の治療または進行を予防する方法で、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を、またはピルフェニドンまたはピリドンアナログを併用したものを、拘束性同種移植症候群を有する患者またはその疑いのある患者の中気道/下気道に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなるエアロゾルとして経口吸入投与する。
拘束性同種移植症候群の治療または進行を予防する方法で、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を、またはピルフェニドンまたはピリドンアナログを併用したものを、拘束性同種移植症候群を有する患者またはその疑いのある患者の中気道/下気道に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなるエアロゾルとして経口吸入投与する。
本明細書に記載されるIPFは、「特発性肺線維症」を指し、いくつかの実施形態では、数年にわたって発現する慢性疾患であり、既知の誘発がない場合、肺内の瘢痕組織によって特徴付けられる。運動による息切れや慢性的な乾いた咳が顕著な症状となり得る。IPFは、間質性肺疾患(ILD)、より正確にはびまん性実質性肺疾患として知られる。この広範なびまん性肺疾患のカテゴリーの中で、IPFは特発性間質性肺炎(IIP)として知られる亜群に属する。7つの特異なIIPがあり、特定の臨床的特徴と病理学的パターンによって区別される。IPFはIIPの最も一般的な形態である。通常の間質性肺炎(UIP)として知られる病理学的パターンと関連している;そのため、IPFはしばしばIPF/UIPと呼ばれる。通常致命的で、診断時からのIPFの平均生存期間は約3年である。肺線維症を診断する検査は一つも存在せず、胸部X線検査、肺機能検査、運動検査、気管支鏡検査および肺生検を含むいくつかの異なる検査が、本明細書に記載された方法と組み合わせて使用される。
特発性肺線維症(特発性線維症性肺胞炎としても知られている)は、間質性肺疾患の最も一般的な形態であり、慢性的に進行する肺実質線維症を特徴とする場合がある。病因不明の進行性臨床症候群であり、効果的な治療法が存在しないため、予後はしばしば致命的である。いくつかの実施形態では、ニンテダニブは、コラーゲン合成に関連する線維芽細胞の増殖および分化を阻害、TGF−βの産生および活性を阻害、線維組織および結合組織増殖因子の産生を抑制、TNF−αとI−CAMを阻害し、IL−10の産生を増加、および/または、ブレオマイシン誘発肺線維症における血小板由来増殖因子(PDGF)AおよびBの値を低下させる。本明細書に記載の方法および組成物は、進行した特発性肺線維症やその他の肺疾患を有する患者において、忍容性と有用性を提供し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたニンテダニブの方法および組成物は、軽度から中等度の特発性肺線維症を有する患者において忍容性と有用性を提供し得る。本発明の組成物を用いた治療に続いて、患者の生存期間の延長、肺活量の強化、急性増悪の発現の減少(プラセボと比較して)、および/または疾患進行の鈍化が観察される。
本明細書に記載の方法を用いた治療または予防のための典型的な線維性肺疾患には、特発性肺線維症、全身性硬化症関連間質性肺疾患、閉塞性細気管支炎のような移植拒絶反応に続発する肺線維症、および拘束性同種移植症候群、関節リウマチなどの全身性炎症性疾患、強皮症、ループス、特発性線維症性肺胞炎、放射線誘発性線維症、サルコイドーシス、強皮症、慢性喘息、珪肺症、アスベスト誘発性肺線維症または胸膜線維症、急性肺損傷および急性呼吸窮迫(細菌性肺炎誘発性、外傷誘発性、ウイルス性肺炎誘発性、人工呼吸器誘発性、非肺敗血症誘発性および誤嚥誘発性を含むがこれらに限定されない。
本発明の方法が肺がんの治療または進行防止に適用される場合、疾患は、肺カルチノイド腫瘍または気管支カルチノイド、非小細胞肺がん、気管支肺胞がん、肉腫、およびリンパ腫を含む転移性疾患に起因する原発性または続発性肺がんを含む。
本発明の方法は、消化管間質腫瘍、再発あるいは難治性の Ph−陽性急性リンパ性白血病(ALL)、血小板由来増殖因子受容体遺伝子の再構成に関連する骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、侵襲的全身性肥満細胞症(ASM)(D816Vc−KIT 変異が存在しないまたは未知)、好酸球増加症候群(HES)および/または慢性好酸球性白血病(CEL)で、FIP1L1−PDGFRα融合キナーゼ(CHIC2対立遺伝子の欠失)またはFIP1L1−PDGFRα融合キナーゼ陰性または不明、あるいは切除不能、再発性および/または転移性の隆起性皮膚線維肉腫、およびそれらの組み合わせを有すると同定された患者の治療または予防を含む。
一形態において、本明細書に記載される神経疾患を治療する方法は、神経疾患を有すると診断されたまたは疑われた患者に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を投与する工程からなり、肺または鼻血管吸収および中枢神経系への送達のためのエアロゾルの経口または鼻腔内吸入によって治療され、神経線維腫症、神経線維腫症I型、アルツハイマー病、レビー小体(タンパク質)またはその前駆体の存在、およびそれらの組み合わせを治療または軽減する工程を含む。ここで患者はオピオイド耐性を示し得る。
肺移植拒絶反応
肺移植拒絶反応は、最初は慢性移植肺機能不全(CLAD)として現れ、主な死亡率の原因となる。主な特徴は、閉塞性細気管支炎である。重症時の肺機能低下速度は、特発性肺線維症(IPF)の患者に比べて平均で約7倍になる。CLAD患者の中には(約30%)、予後が悪化する拘束性同種移植症候群(RAS)を発症する患者もいる。これらの患者では、ともに努力性肺活量(FVC)が喪失し、拘束性の肺機能を作り出している。病態生理学的には、進行性の間質性線維症を伴うIPFと類似する。
肺疾患の進行を治療または防止する方法は、肺疾患を有する患者またはその疑いのある患者の中気道から下気道に、ニンテダニブ、インドリノンまたはその塩を、エアロゾルの経口吸入により投与する。その方法は、肺移植拒絶の症状としての慢性移植肺機能不全(CLAD)の進行を治療または予防する工程を含む。その方法は、人工呼吸器を装着する患者への送達を含む。その方法はまた、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩と、ピルフェニドンまたはピリドンアナログを併用投与する工程を含む。
肺疾患の進行を治療または防止する方法は、肺疾患を有する患者またはその疑いのある患者の中気道から下気道に、ニンテダニブ、インドリノンまたはその塩を、エアロゾルの経口吸入により投与する。その方法は、肺移植拒絶の症状としての閉塞性細気管支炎の進行を治療または予防する工程を含む。その方法は、人工呼吸器を装着する患者への送達を含む。その方法はまた、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩と、ピルフェニドンまたはピリドンアナログを併用投与する工程を含む。
その方法は、肺疾患の進行を治療または防止するために、肺疾患を有する患者またはその疑いのある患者の中気道から下気道に、ニンテダニブ、インドリノンまたはその塩を、エアロゾルの経口吸入により投与する。その方法は、肺移植拒絶の症状としての拘束性同種移植症候群(RAS)の治療または進行の防止を含む。その方法は、人工呼吸器を装着する患者への送達を含む。その方法はまた、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩と、ピルフェニドンまたはピリドンアナログを併用投与する工程を含む。
腎線維症
その方法は肺外疾患を治療または予防するために、肺外疾患が腎線維症であり、併存疾患性の慢性感染症、結石による尿管閉塞、悪性高血圧、放射線療法、移植拒絶反応、重度の糖尿病状態、または重金属への慢性曝露、およびそれらの組み合わせの結果であるか、またはそれらの組み合わせであり得る場合に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を投与する。
限定されない例による用語「腎線維症」は、慢性感染、結石による尿管閉塞、悪性高血圧、放射線療法、移植拒絶、重度の糖尿病状態、または重金属への慢性曝露に関連した、またはその結果として生じるリモデリングに関連し、一般に、全体的な腎機能の喪失と相関する。
心毒性および腎毒性
肺外疾患を治療または進行を予防する方法はまた、治療中に複数の臓器に毒性効果を有する化学療法剤を含む、他の有効な医薬組成物による治療の結果生じる心臓および腎臓の損傷も対象に含める。限定されない例では、ドキソルビシンは、様々な腫瘍に対する幅広い治療有効性を有する。しかし、その臨床的使用は、特に心臓および腎臓における望ましくない全身毒性によって制限されている。いくつかの実施形態では、心臓および腎臓の血管系が肺のすぐ下流にあるため、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の吸入送達は、経口投与に関連する毒性のある薬物レベルに全身コンパートメントをさらすことなく、化学療法誘発性の心臓および/または腎臓の炎症を予防または軽減する。
心筋繊維症
肺外疾患の進行を治療または予防する方法には、慢性高血圧症で観察される心臓組織のリモデリングを含む心筋線維症も挙げられ、心筋肥大ならび線維症、細胞外マトリックスタンパク質の増加と不均一な沈着に関与し得る。細胞外マトリックスは、筋細胞を結合させ、収縮要素を調整し、筋細胞の過剰拡張および破壊を妨ぎ、力を伝達し、断裂を妨ぐことができる引張強さを提供する。線維症は高血圧の多くのモデルで発生し、心拡張期硬直の増加、心機能の低下、および不整脈のリスクの増加をもたらす。心臓血管の機能障害において、心筋肥大ではなく線維症が重要な因子であるならば、心筋線維症の好転は正常な心機能の回復を促進する。
限定されない例による「心筋線維症」という用語は、ウイルスまたは細菌感染、手術、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、放射線療法、化学療法、移植拒絶、および慢性高血圧に関連する、またはそれに起因するリモデリングに関する。ここでは、線維症と同様に心筋肥大が関与し、細胞外マトリックスタンパク質の増加と不均一な沈着が生じる。線維症は高血圧の多くのモデルで発生し、心拡張期硬直の増加、心機能の低下、不整脈のリスクの増加、および心臓血管の機能障害をもたらす。
肝線維症
肺外疾患の治療または進行を予防する方法には、限定されない例として持続性ウイルス性肝炎、アルコール過剰摂取、自己免疫疾患、およびそれらの組み合わせによって引き起こされる疾患を含む慢性肝疾患によって引き起こされる肝線維症を対象に含める。肝線維症は、細胞外マトリックス成分、特にコラーゲンの異常な蓄積を伴う。肝星細胞は、類洞周囲腔に存在する肝臓非実質細胞である。これらの細胞は、肝線維症における細胞外マトリックスの主要な細胞供給源であることが示されている。
限定されない例による「肝線維症」という用語は、限定されない例による持続性ウイルス性肝炎、アルコール過剰摂取、および自己免疫疾患によって引き起こされる慢性肝疾患の患者における重度の肝障害と関連しているか、またはそれによって引き起こされ得る。肝線維症は、細胞外マトリックス成分、特にコラーゲンの異常な蓄積を伴う。肝星細胞は、類洞周囲腔に存在する肝臓非実質細胞である。
緑内障手術後の線維症
肺外疾患の進行を治療または予防するための方法は、手術の成功が術後の創傷治癒の程度および瘢痕組織形成の量に依存する、緑内障ろ過手術後の術後線維症が対象に含まれる。出血不全は、線維芽細胞が増殖して創部に向かって移動し、最終的に瘢痕化と瘻道の閉鎖を引き起こすことで生じる。これにより、術後の眼内圧コントロールが不良になり、続いて、進行性の視神経障害を伴うことが多い。5−フルオロウラシルやマイトマイシンCなどの補助的な抗線維症剤の使用により、ろ過手術の成功率が有意に向上する。しかし、その非特異的な作用機序のため、これらの薬剤は広範囲に細胞死およびアポトーシスを引き起こし、その結果、重度の術後低眼圧、房水漏出、および眼内炎などの視力を脅かす可能性のある合併症を引き起こす可能性がある。
がん
肺がんの死亡率は高く、肺がんの年間死亡率は前立腺がん、乳がん、大腸がん、直腸がんを合計した割合と同等である。分子メカニズムに関する知識が進歩し、複数の新しい肺がん治療薬が登場しているにもかかわらず、5年生存率(11から15%)の悲観的な結果は相対的に不変のままである。これは、悪性細胞への発がん性形質転換および増殖を促進する因子に関する限られた知識を反映している。
がん細胞と間質コンパートメントとの相互作用ががん増殖と進行に大きな影響を与えるため、がん増殖は悪性細胞だけで決まるものではないことが分かってきた。侵襲性悪性細胞は、腫瘍内微小環境を巧みに利用している:腫瘍細胞は、(1)間質に常駐して間質を一変させ、(2)周囲の結合組織を変化させ、(3)常駐細胞の代謝を変更して、防御的よりもむしろ許容的な間質を生成することができる。
宿主による微環境制御を克服した上で、がん細胞の重要な特徴は、組織に侵入して遠隔転移する能力にある。浸潤と転移には、線維芽細胞、免疫細胞、血管新生細胞と、因子との一致した相互作用が不可欠である。
腫瘍間質は、基本的には、(1)CAFなどの腫瘍の非悪性細胞、各組織環境に特徴的な特殊な間葉系細胞、自然免疫細胞や適応免疫細胞、内皮細胞や周皮細胞などの血管系、および(2)構造タンパク質(コラーゲンやエラスチン)、特殊タンパク質(フィブリリン、フィブロネクチン、エラスチン)、プロテオグリカン類などからなる細胞外マトリックス(ECM)からなる。血管新生は、がん細胞の増殖と生存に極めて重要であり、これまで、血管新生は抗がん治療における間質の標的の中で最も成功している。血管新生の開始には、基底膜の分解、内皮細胞の発芽、および周皮細胞の付着制御につながるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の誘導が必要である。しかし、CAFは、トランスフォーミング増殖因子(TGF)−β、血管内皮増殖因子(VEGF)、および線維芽細胞増殖因子(FGF2)を含む多数のECM分子および増殖因子の発現を介して、これらのイベントを同期させるために重要な役割を果たしている。
正常組織の間質は、上皮組織の維持と完全性に不可欠であり、正常組織の恒常性を維持するために協働する多数の細胞を含む。正常上皮細胞と間質コンパートメントの細胞との間には、細胞間の直接の接触を介して、あるいは分泌された分子を介して、連続的かつ両側に分子クロストークが存在する。このように、1つのコンパートメントの小さな変化が、システム全体に劇的な変化を引き起こし得る。
傷の間質と腫瘍の間質には類似性が存在する。なぜなら、両者とも活発な血管新生と複雑なECMを分泌する線維芽細胞が多数存在し、すべてがフィブリンの沈着を背景にしているからである。その結果、腫瘍間質は一般的に活性化間質または反応性間質と呼ばれてきた。
がん増殖中に遺伝子が変化して悪性細胞になると、結果的に間質宿主のコンパートメントが変化し、がん細胞にとって寛容で支持的な環境が確立されることになる。腫瘍の増殖と浸潤の初期段階では、基底膜が分解され、線維芽細胞、炎症性浸潤、および新たに形成された毛細血管を含む活性化された間質が腫瘍細胞と直接接触する。基底膜マトリックスはまた、がん細胞と線維芽細胞の間のサイトカイン相互作用を修飾する。これらのがん誘発性の変化は、がん浸潤に寄与すると考えられている。動物実験では、創傷と活性化された間質の両方が腫瘍形成を促進する発がんシグナルを提供することが示されている。ほとんどの臓器の正常な間質は、生理的ECMと関連して最小数の線維芽細胞を含むが、活性化された間質は、より多くのECM産生線維芽細胞、血管分布状態の強化、ECM産生の増加と関連している。腫瘍活性細胞の浸潤部位における特定の腫瘍間質タイプの形成は、腫瘍の浸潤に不可欠な部分と考えられており、腫瘍ストロマトジェネシスと呼ばれている。
線維芽細胞の増殖とECMの密沈着を伴う腫瘍間質の拡大は、繊維形成反応と呼ばれる。これは悪性腫瘍に続発するもので、活性線維芽細胞も密コラーゲン/ECMも示さない肺胞虚脱から切り離すことができる。形態学的には線維形成と呼ばれ、当初は腫瘍の増殖を防ぐ防御機構として考えられていたが、確立された腫瘍では、このプロセスは全く逆に、血管新生、遊走、浸潤、移動など、腫瘍の進行のいくつかの側面に関与していることがデータで示されている。後の研究では、線維芽細胞や腫瘍細胞が、ECMを分泌し、腫瘍間質内のECMの成分を分解することで、局所組織の増殖やがんの進行を促進することを示している。これは、VEGFなどのECM内に隔離された物質の放出や、がんに関連したMMPの分泌に反応してECMタンパク質からの生成物が切断されることにも関係している。
TGF−β、血小板由来増殖因子(PDGF)、FGF2などのがん細胞によって放出される線維症形成に関与する増殖因子は、線維芽細胞の活性化および組織線維症のすべての主要なメディエーターであるため、腫瘍間質の体積と組成を支配する。PDGFやFGF2は血管新生にも重要な役割を果たしている。
腫瘍では、活性化線維芽細胞は、腫瘍周囲の線維芽細胞またはがん関連の線維芽細胞(CAF)と呼ばれている。CAFは、活性化線維芽細胞と同様に、高度に異質的であり、活性化線維芽細胞と同じ供給源に由来すると考えられている。主な前駆体は局所に存在する線維芽細胞であると思われるが、血管系からの周皮細胞や平滑筋細胞から、骨髄由来の間葉系細胞に由来、あるいは上皮系や内皮間葉移行に由来し得る。活性化線維芽細胞とCAFの違いのように、これらの細胞が由来する様々な起源があるため、CAFという用語はかなり曖昧である。CAFと正常線維芽細胞との間には、エピジェネティックかつおそらく遺伝的な区別の証拠が増えてきている。CAFはα平滑筋アクチンの発現によって認識できるが、異質性のためα平滑筋アクチンの発現だけでは全てのCAFを認識することはできない。それゆえ、他に使用されるCAFマーカーは、線維芽細胞特異的タンパク質1、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、およびPDGF受容体(PDGFR)α/βである。
腫瘍増殖に反応して、線維芽細胞は主にTGF−β、単球走化性タンパク質1などのケモカイン、MMPなどのECM分解剤によって活性化される。いくつかのin vitro研究で、正常線維芽細胞ががん進行に対する阻害作用があることを示してきたが、今日では、CAFの発がんの役割について確固たる証拠が存在する。乳がんでは、80%もの間質性線維芽細胞がこの活性化した表現型(CAF)を持つと考えられている。
CAFは悪性腫瘍、血管新生、浸潤、転移を促進する。CAFの役割とがん治療の標的としての可能性は異種移植モデルで研究されており、トランスレーショナル研究の結果、いくつかのがん種におけるCAFの予後的意義が明らかにされているきた。
腫瘍増殖の設定では、CAFは活性化され、高度に合成され、例えば、コラーゲンI型およびIV型、細胞外領域A−フィブロネクチン、ヘパリン硫酸プロテオグルカン、酸性かつシステイン豊富な分泌タンパク質、テナシン−C、結合組織成長因子、MMP、およびプラスミノーゲン活性化剤を分泌する。細胞の運動性に影響を与える増殖因子やサイトカインの分泌に加えて、CAFは、腫瘍形成に重要な役割を果たすMMPなどのECM分解性プロテアーゼの重要な供給源である。MMPは、ECMの分解を介して、基質に応じて、腫瘍増殖、浸潤、血管新生、炎症細胞の採用、および転移を促進することができる。また、多くの炎症性サイトカインがMMPによって活性化されていると思われる。
マウスにB16Mメラノーマ細胞を注射した後の肝転移の形成は、転移ニッチの形成と血管新生の促進に重要であると思われ、肝星細胞(線維芽細胞様)の早期活性化と関連していた。MMPはまた、様々なin vivoモデルにおいて腫瘍の血管新生と関連している。CAFは、マウスに混注すると、そうでなければ侵襲性がないがん細胞の侵襲性を促進した。さらに、CAFを含む異種移植片は、正常線維芽細胞を注入した異種移植片よりも明らかに迅速に成長する。
腫瘍間質におけるCAFの漸増と蓄積で、これらの細胞は、いくつかの増殖因子、サイトカインおよびケモカインの分泌を介して、がん細胞、上皮細胞、内皮細胞、周皮細胞および炎症性細胞と積極的に伝達し合う。CAFはTGF−βや肝細胞増殖因子(HGF)などの強力な発がん性分子を提供する。
TGF−βは、がん細胞と間質細胞の両方で発現する多能性増殖因子である。TGF−βは、正常細胞や前がん状態の細胞では腫瘍形成を抑制する働きがあるが、がん細胞が進行すると抗増殖効果が失われ、代わりにTGF−βが浸潤性の表現型への分化を誘導することで腫瘍形成を促進する。TGF−βはまた、免疫監視から逃れることで、がんの進行を誘発し得る場合があり、TGF−βの発現の増加は、繊維形成組織の蓄積とがんの進行と強く相関している。最近、低分子のTGF−β受容体I型阻害剤が肝細胞がん(HCC)の細胞による結合組織増殖因子の産生を阻害し、HCCの間質成分を減少させることが報告されている。TGF−β受容体を阻害することで、HCCとCAFの間のクロストークを食い止め、その結果、腫瘍増殖、浸潤、転移を回避した。HGFはプラスミノーゲンファミリーに属し、前駆体の形でECMに拘束されている。高親和性受容体であるc−Metに結合し、過剰発現または一定の腫瘍形成c−Metシグナル伝達により、増殖、浸潤、転移につながる。
PDGFは線維芽細胞や周皮細胞のレギュレーターであり、腫瘍の進行に重要な役割を果たす。PDGFは走化性で、間葉系細胞や内皮細胞のための増殖因子である。PDGFは、腫瘍細胞複製において限定された自己分泌の役割を果たすが、パラクリン様式、および腫瘍間質の発達において、潜在的なプレーヤーである。活性化繊維芽細胞の増殖を誘発し、おそらく、間接的にマクロファージからのTGF−β放出の刺激によってCAFを動員する。
腫瘍は、腫瘍間質が平行して拡張しないと増殖しない。まだ、繊維芽細胞活性化およびがんにおけるそれらの蓄積を調節する正確な機構を把握していないが、利用可能な証拠は、腫瘍間質またはCAFががん治療の候補標的であり得る可能性を指摘する。
CAFとMMPは、統合治療に潜在的な新しい標的を表し、腫瘍環境の形質転換したコンポーネントと形質転換しないコンポーネントの両方に影響を及ぼす、上皮由来の腫瘍における2つの主要調節因子であると考えられている。先に述べたように、MMP阻害剤での研究は今のところ成功していない。CAFがエピジェネティックに、そしておそらく遺伝的に正常な線維芽細胞とは異なるという証拠は、これらの細胞を、抗がん剤治療の潜在的な標的として定義し始めていることである。上皮がんの90%以上に発現するFAPは、CAFを標的とする有望な候補として早くから浮上しており、その阻害による治療効果の可能性が最近検討された。前臨床試験では、FAPを阻害することで腫瘍の増殖が抑制され、抗がん剤の腫瘍組織への取り込みが有意に促進されるとされている。FAP陽性の進行がん患者(大腸がんおよびNSCLC)にFAP抗体を投与した第I相試験では、抗体は腫瘍部位に特異的に結合したが、客観的な反応は観察されなかった。
TGF−βに反応して容易に浸潤・転移を起こすがん細胞が一貫して繰り返し発見されていることから、TGF−βの発がん活性を標的とした新規抗がん剤の必要性が指摘されている。過去10年間に、多数の抗TGF−β抗体およびTGF−β受容体Iキナーゼが前臨床的に試験されてきた。成功していないため、TGF−βシグナル伝達系を標的とした研究はいまだに捉えどころのないものとなっている。TGF−βには、腫瘍促進作用と抗腫瘍作用の両方があることに留意すべきであり、TGF−βの多機能性は、このリガンド、その受容体、または下流エフェクターを効果的に標的とするための最大の障壁となっていることが明らかである。
限定されない例として、本明細書で提供されるインドリノン誘導体化合物(例えば、ニンテダニブ)は、例えば、肺線維症を有する患者を予防、管理、または治療するために、所望の抗炎症、抗線維症または組織リモデリングの利益をもたらす効果的な濃度または量を提供するために、ミストまたは液体のネブライザー投与、または乾燥粉末の吸入エアロゾル投与を可能にするために特別に調剤化される。
別の医薬品は、用量、形態、濃度および送達プロファイルによって有効性が異なることが知られているため、現在開示されている実施形態は、限定されない例として、感染症、放射線療法、化学療法、環境汚染物質(例えば、粉塵、蒸気、ヒューム、無機および有機繊維)の吸い込み、過敏症、珪肺症、綿肺症、遺伝的因子、および移植拒絶反応に関連する肺線維症に対する保護および治療をもたらす特定の製剤および送達パラメータを提供する。
本明細書に記載された用途では、液体ネブライザーまたは乾燥粉末エアロゾルのルニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩)を、同時投与、順次投与、または抗菌剤(例えば、トブラマイシン、および/またはアミカシンなどの他のアミノグリコシド、アズトレオナムおよび/または他のベータあるいはモノ−バクタム、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、および/または他のフルオロキノロン、アジスロマイシン、および/または他のマクロライドあるいはケトライド、テトラサイクリン、および/または他のテトラサイクリン、キヌプリスチン、および/または他のストレプトグラミン、リネゾリド、および/または他のオキサゾリジノン、バンコマイシン、および/または他のグリコペプチド、およびクロラムフェニコール、および/または他のフェニコール、およびコリスチン、および/または他のポリミキシン)、気管支拡張薬(例えばベータ−2アゴニストおよびムスカリンアンタゴニスト)、コルチコステロイド(例えばサルメテロール、フルチカゾン、およびブデソニド)、グルココルチコイド(例えばプレドニゾン)、クロモリン、ネドクロミル、ロイコトリエン修飾因子(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、およびジレウトン)、高張液、DNAseまたは他の粘液の減粘性付与剤、インターフェロン・ガンマ、シクロホスファミド、コルヒチン、N−アセチルシステイン、アザチオプリン、ブロムヘキシン、エンドセリン受容体アンタゴニスト(例えばボセンタンおよびアンブリセンタン)、PDE5阻害剤(例えばシルデナフィル、バルデナフィル、およびタダラフィル)、PDE4阻害剤(例えばロフルミラスト、シロミラスト、オグレミラスト、テトミラスト、およびSB256066)、プロスタノイド(例えばエポプロステノール、イロプロスト、およびトレプロスチニル)、窒素酸化物または窒素酸化物供与化合物、IL−13遮断薬、IL−10遮断薬、CTGF特異抗体、CCN2阻害剤、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体アンタゴニスト、PDGF阻害剤、PPARアンタゴニスト、経口ニンテダニブ、CCL2特異抗体、CXCR2アンタゴニスト、三重の増殖因子キナーゼ阻害剤、抗凝血薬、TNF遮断薬、テトラサイクリンまたはテトラサイクリン誘導体、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、下垂体ホルモン阻害剤、TGFベータ中和抗体、銅キレート化剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、ケモカイン阻害剤、NF−カッパB阻害剤、NF−カッパBアンチセンス・オリゴヌクレオチド、IKK−1および−2の阻害剤(例えばイミダゾキノキサリンまたは誘導体、およびキナゾリンまたは誘導体)、JNK2および/またはp38 MAPK阻害剤(例えばピリジルイミダゾールブチン−I−オル、SB856553、SB681323、ジアリール尿素または誘導体、およびインドール−5−カルボキサミド)、PI3K阻害剤、LTB4阻害剤、抗酸化剤(例えばMn−ペンタアザテトラシクロヘキサコサトリエン、M40419、N−アセチル−L−システイン、ムコミスト、フルイムシル、ナシステリン、エルドスタイン、エベセレン、チオレドキシン、グルタチオン・ペルオキシダーゼ模倣物、クルクミンC3複合体、レスベラトロルおよびアナログ、テンポル、触媒の抗酸化剤、およびOxSODrol)、TNFスカベンジャー(例えばインフリキシマブ、エーテルセプト、アダリムマブ、PEG−sTNFR 1、アフェリモマブ、およびアンチセンスTNFアルファ・オリゴヌクレオチド)、インターフェロン・ベータ−1a(アボネックス、ベータセロン、またはRebif)、酢酸グラチラマー(コパキソン)、ミトキサントロン(ノバントロン)、ナタリズマブ(タイサブリ)、メトトレキサート、アザチオプリン(イムラン)、静脈内免疫グロブリン(IVIg)、シクロホスファミド(サイトキサン)、リオレサール(バクロフェン)、チザニジン(ナフレックス)、ベンゾジアゼピン、コリン作動性薬、抗鬱薬、およびアマンタジンとの固定した組み合わせで、同時投与され、連続投与されあるいは調製され得る。
がんおよび肺動脈高血圧症を治療するための有望な方法として示されるように、線維症、より具体的には間質性肺線維症および他の肺線維症において、「カクテル療法」または「カクテル予防法」を可能にするために、吸入用ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を、がんを標的とする薬剤と共に(処方医師が、同じ疾患を治療するための併用療法として幾つかの順序で摂取される薬を要求するように)同時投与、連続投与、または同時に処方され投与する方法が提供される。限定されない例では、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させるために、結合組織の生体形成に関連するLOXL2タンパク質を標的とするモノクローナルGS−6624(以前はAB0024として知られていた)、アナログまたは別の抗体との固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続投与されるか、あるいはそれらと同時に処方される。別の限定されない例では、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させるために、免疫寛容を標的とするIW001(V型コラーゲン)、アナログまたは別のコラーゲンとの固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続投与されるか、あるいはそれらと同時に処方される。別の限定されない例では、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減らすために、固定した投与をされるか、同時投与されるか、連続投与されるか、あるいはそれらと同時に処方される。以下はそれらの例とその組み合わせである:PRM−151(組み換えペントラキシン−2)、CC−930(Junキナーゼ阻害剤)、アナログ、または他のJunキナーゼ阻害剤が、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。経口イマチニブ(別名、グリーブまたはグリベック(チロシンキナーゼ阻害剤))、アナログまたは他のチロシンは、PDFGおよびトランスフォーミング増殖因子(TGF)−βシグナル伝達の阻害を介して、肺線維芽細胞−筋線維芽細胞の形質転換および増殖、ならびに細胞外マトリックスの産生および腫瘍間質の形成/維持を阻害する。STX−100(インテグリンα−vβ−6を標的とするモノクローナル抗体)、アナログまたは他のインテグリンα−vβ−6または他のインテグリンを標的とする他の抗体は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。QAX576(インターロイキン13を標的とするモノクローナル抗体[IL−13])、アナログまたはIL−13を標的とする他の抗体は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。FG−3019(結合組織増殖因子[CTGF]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログまたは、CTGFを標的とする他の抗体は、腫瘍間質および/または繊維症を減らす。QAX576(インターロイキン13を標的とするモノクローナル抗体[IL−13])、アナログまたはIL−13を標的とする他の抗体は、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。FG−3019(結合組織増殖因子(CTGF)を標的としたモノクローナル抗体)、アナログ、またはCTGFを標的としたその他の抗体は、炎症、腫瘍の狭窄、線維症を抑制する。CNTO−888(ケモカイン[C−Cモチーフ]リガンド2[CCL2]を標的としたモノクローナル抗体)、アナログまたはCCL2を標的とする他の抗体は、炎症、腫瘍の狭窄、線維症を抑制する。エスブリエット(登録商標)、ピレスパ(登録商標)またはピルフェニックス(登録商標)(ピルフェニドンの商品名)、または炎症、腫瘍間質および/または線維症を標的としたアナログ。SM−04646(吸入型WNT/MET阻害剤)、アナログまたはWNT/METを標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。N−アセチルシステイン(NAC;抗酸化剤)、アナログ、または酸化を標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍のストロマおよび/または線維症を減少させる。PRM−151(組換えヒトペントラキシン−3静注;マクロファージシグナルモジュレーター)、アナログまたはマクロファージを標的とした他の化学物質は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。MK−2(吸入型MK−2阻害剤)、アナログまたはMK−2を標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。CC−90001(経口JNK1阻害剤)、アナログまたはJNK1を標的とした他の化学物質は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。GLPG−1690(経口オートタキシン阻害剤)、アナログまたはオートタキシンを標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍のストロマおよび/または線維症を減少させる。BI1015550は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。ゲファピキサント(経口咳止め剤)、アナログまたは咳を標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。クロマリン(吸入咳止め剤)、アナログまたは咳を標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。PBI−4050(経口小胞体ストレス(ERストレス)阻害剤)、アナログまたはERストレスを標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。Td−139(吸入ガレクチン−3阻害剤)、アナログまたはガレクチン−3を標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。ティペルカスト(経口ロイコトリエンおよびPDE阻害剤)、アナログまたは、ロイコトリエンおよび/またはPDEを標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。あるいは PAT−1251(経口LoxL2阻害剤)、アナログ、またはLoxL2を標的とする他の化学物質は、炎症、腫瘍のストロマおよび/または線維症を減少させる。
ニンテダニブまたはインドリノンおよびその塩の投与のように、炎症、腫瘍間質および/または線維症の減少を標的とする他の化合物、分子および抗体の経口的および非経口的な投与経路(限定されない例では、静脈内および皮下投与)は、限定されない例では、胃腸の副作用、肝臓、腎臓、皮膚、心臓血管または他の毒性のような副作用としばしば関連する。本明細書に記載されているように、鼻および/または肺コンパートメントのすぐ下流の肺または組織への経口または経鼻吸入の利点はまた、胃腸管への直接送達を回避し、および/または全身暴露を減少させることで、それによって中枢神経系で発生する胃腸症状を減少させることで、これらの化合物に利点をもたらすであろう。したがって、限定されない例によって、炎症、腫瘍間質および/または線維症を減少させるために、結合組織の生合成に関連するLOXL2タンパク質を標的とするモノクローナルGS−6624(以前はAB0024として知られている)、アナログまたは別の抗体を、鼻腔または肺コンパートメントのすぐ下流の肺または組織に直接送達するために経口または鼻腔内吸入で投与し得る。別の限定されない例では、 PRM−151(組換え型ペントラキシン−2)、アナログまたは、炎症および/または線維症を減少させるための傷害応答の調節を標的とする他の分子は、鼻腔または肺コンパートメントの直下流の肺または組織に直接送達するために、経口または経鼻吸入によって投与し得る。CC−930(ジュンキナーゼ阻害剤)、アナログまたは他のジュンキナーゼ阻害剤は、腫瘍間質および/または炎症反応を減少させるために、鼻腔または肺コンパートメントのすぐ下流の肺または組織に直接送達するために経口または経鼻吸入、経口イマチニブ(別名:グリーブまたはグリベック(チロシンキナーゼ阻害剤))によって投与し得る。トランスフォーミング増殖因子(TGF)−βシグナル伝達は、鼻腔または肺コンパートメントのすぐ下流の肺または組織に直接送達するために、経口または鼻腔内吸入によって投与し得る。STX−100(インテグリンα−vβ−6を標的とするモノクローナル抗体)、アナログまたはインテグリンα−vβ−6または他のインテグリンを標的とする他の抗体は、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。QAX576(インターロイキン13[IL−13]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログまたはIL−13を標的とする他の抗体は、腫瘍間質および/または炎症を減少させるために、鼻腔または肺コンパートメントのすぐ下流の肺または組織に直接送達するために経口または鼻腔内吸入により投与し得る。FG−3019(結合組織増殖因子[CTGF]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログまたはCTGFを標的とする他の抗体は、腫瘍間質および/または線維症を減少させるために、鼻腔または肺区画の直下流の肺または組織に直接送達するために経口または経鼻吸入により投与し得る。CNTO−888(ケモカイン[C−Cモチーフ]リガンド2[CCL2]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログアナログまたはCCL2を標的とする他の抗体は、腫瘍間質および/または線維症を減少させる。SM−04646(吸入型WNT/MET阻害剤)、アナログまたはWNT/METを標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。N−アセチルシステイン(NAC;抗酸化剤)、アナログまたは酸化を標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。PRM−151(静脈内組換え型ヒトペントラキシン−3;マクロファージシグナルモジュレーター)、アナログまたはマクロファージを標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。MK−2(吸入MK−2阻害剤)、アナログまたはMK−2を標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。CC−90001(経口JNK1阻害剤)、アナログまたはJNK1を標的とした他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。GLPG−1690(経口オートタキシンインヒビター)、アナログまたはオートタキシンを標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。BI101550は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。ゲファピキサント(経口咳止め剤)、アナログまたは咳を標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。PBI−4050(経口小胞体ストレス(ERストレス)阻害剤)、アナログまたはERストレスを標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。TD−139(吸入ガレクチン−3阻害剤)、アナログまたはガレクチン−3を標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。タイペルカスト(経口ロイコトリエンおよびPDE阻害剤)、アナログまたはロイコトリエンおよび/またはPDEを標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。PAT−1251(経口LoxL2阻害剤)、アナログまたはLoxL2を標的とする他の化学物質は、腫瘍間質および/または線維症および/または炎症を減少させる。およびそれらの組み合わせ。がんおよび肺動脈性高血圧症を治療するための有望なアプローチは、「カクテル療法」または「カクテル予防」の投与であり、この方法は、がんを標的とする薬剤と吸入ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を同時投与または順次投与することで構成される。以下は薬剤の例であるが、これらに限定されない: ゲフィチニブ イレッサ、ZD1839としても知られる)、エルロチニブ(タルセバとしても知られる)、ボルテゾミブ(元々のコードネームはPS−341;Velcade(登録商標)、Bortecad(登録商標)として販売されている)、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ALK阻害剤。PARP阻害剤(イニパリブ;BSI201);PI3K阻害剤、アパチニブ(YN968D1)、セルメチニブ,セルメチニブ、アビトレキサート(メトトレキサート)、アブラキサン(パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、アファチニブジマレイン酸塩、アバスチン(ベバシズマブ)、カルボプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、クリゾチニブ、エルロチニブ塩酸塩、フォレックス(メトトレキサート)、フォレックスPFS(メトトレキサート)、ゲフィチニブジロトリフ(アファチニブジマレイン酸塩)、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムザール(ゲムシタビン塩酸塩)、イレッサ(ゲフィチニブ)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、メキサート(メトトレキサート)、メキサートAQ(メトトレキサート)、パクリタキセル。パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、パラプラット(カルボプラチン)、パラプラチン(カルボプラチン)、ペメトレキセド二ナトリウム、プラチノール(シスプラチン)、プラチノール−AQ(シスプラチン)、タルセバ(エルロチニブ塩酸塩)、タキソール(パクリタキセル)、およびザルコリ(クリゾチニブ)。
非小細胞肺がんに承認されている組み合わせは、以下を含見得る:カルボプラチン−タキソールとジェムシタブリン−シスプラチン。
小細胞肺がんに承認されている薬剤は、以下を含み得る:アビトレキサート(メトトレキサート)、エトポス(エトポシドリン酸塩)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、フォレックス(メトトレキサート)、フォレックスPFS(メトトレキサート)、ヒカンチン(塩酸トポテカン)。メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、メキサート(メトトレキサート)、メキサートAQ(メトトレキサート)、トポサール(エトポシド)、塩酸トポテカン、ヴェペシド(エトポシド)。
医薬品の製剤化と包装
特定のニンテダニブ組成物またはインドリノンまたはその塩の選択は、特定の組成物の治療上の有用性が最大に発揮されるように特別に設計された製品包装および構造の選択を伴う。包装を選択する際に考慮すべき要素には、例えば、本質的な製品の安定性、製剤が凍結乾燥の対象となり得るかどうか、装置の選択(例えば、液体ネブライザー、乾式粉体吸入器、定量吸入器)、および/または包装形態(例えば、単純な液体製剤または複雑な液体製剤であっても、装置への注入前または注入時に溶解するための凍結乾燥剤としてバイアル中に注入されるかどうか、複雑な懸濁液製剤であってもよい)が含まれ得る。単純な液体または複雑な液体製剤であって、液体としてバイアル中に注入されるか、または装置への注入前または注入時に溶解させるための凍結乾燥剤としてバイアル中に提供されるか、複雑な懸濁液製剤であって、液体としてバイアル中に注入されるか、凍結乾燥剤としてバイアル中に提供されるか、および装置への挿入前または挿入時に溶解させるための可溶性塩/賦形剤成分の有無にかかわらず、または液体成分と固体成分の別々の包装。バイアル、カプセルまたはブリスターパックに入った乾燥粉末製剤;および、単独で、または容易に可溶性または低溶解性の固形剤と一緒に別々の容器に入った、容易に可溶性または低溶解性の固形剤として包装された他の製剤などが挙げられ得る。
一つの好ましい実施形態では、組成物は、液体、懸濁されるべき固体、乾燥粉末、凍結乾燥物(lyophilisate)、または他の組成物を含むバイアルなどの単位投与形態をとり、したがって、組成物は、有効成分とともに、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなどの希釈剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;およびデンプン、アカシアガム、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体などの結合剤を含み得る。
液状医薬組成物は、例えば、活性化合物および任意の医薬アジュバントを担体(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノール等)に溶解、分散等することにより調製することができる。エアロゾル化される溶液は、液状溶液または懸濁液のいずれかの従来の形態で調製することができるが、エアロゾルの製造および吸入に先立って、液体中に溶解または懸濁するのに適した固体形態で調製することができる。このようなエアゾール組成物中に含まれる活性化合物の割合は、その特定の性質、化合物の活性および対象者のニーズに大きく依存する。一般的には、水溶液中の活性剤は、0.25%―50.0%エアロゾル化してもよい。
ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物製剤は、単純な製剤または複雑な製剤の2つの群に分けることができる:これらは、忍容性を改善するための味覚マスキング、安定性および忍容性のために最適化されたpH、即放性または徐放性、および/または曲線下面積(AUC)の形状を向上させる。単純な製剤は、さらに3つの群に分けることができる。1)単純な製剤は、ネブライザー用の水性液体製剤を含み得る。水性液体製剤は、非カプセル化水溶性賦形剤を有するニンテダニブまたはインドリノン有効成分を含む、2)ニンテダニブまたはインドリノンの非カプセル化有機可溶性賦形剤を有するネブライザーまたは定量吸入器用の追加の有機性液体製剤;3)乾燥粉末吸入器ニンテダニブまたはインドリノン単独または水溶性賦形剤または有機可溶性非カプセル化賦形剤のいずれかをラクトースのようなキャリア剤の有無にかかわらず投与するための乾燥粉末製剤。
有効成分を含む複合製剤は、さらに5つの群に分けることができる:1)有効成分が脂質、リポソーム、シクロデキストリン、マイクロカプセル化剤、エマルジョンなどの水溶性賦形剤でカプセル化または複合化された、ニンテダニブまたはインドリノン製剤;2)有効成分ニンテダニブまたはインドリノンを脂質、マイクロカプセル剤、および逆相の水性乳剤などの有機可溶性賦形剤でカプセル化または複合化したネブライザーまたは定量吸入器用の有機ベースの液状製剤;3)ニンテダニブまたはインドリノン、安定なナノ懸濁液の単独または共結晶/共沈殿賦形剤複合体、または脂質ナノ懸濁液などの低溶解性脂質との混合物からなる低溶解性の水性液体製剤を含む製剤、4)低有機可溶性で安定なナノ懸濁液の単独または共結晶/共沈殿賦形剤複合体、または脂質ナノ懸濁液のような低溶解性脂質との混合物として、ネブライザーまたは定量用量吸入器ニンテダニブまたはインドリノンのための低溶解性、有機ベースの液体製剤、そして5)ラクトースのような担体剤の有無にかかわらず、乾燥粉末の形態で低水溶性賦形剤/塩との共結晶/共沈殿/噴霧乾燥複合体または混合物としてのニンテダニブまたはインドリノンの乾燥粉末吸入器を使用して投与するための乾燥粉末製剤。単純な製剤および複雑な製剤を調製するための具体的な方法が本明細書に記載されている。
エアロゾルがヒトの肺に送達するためには、10から100%の微粒子画分を1%の増分単位で含有する。例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、および約100%である。微粒子量は、約0.0001mg〜約100mgのニンテダニブまたはその塩である。例えば、約0.0001mg、約0.001mg、約0.005mg、約0.01mg、および約0.05mgを0.01mg刻みである。さらなる例により、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約120mg、約140mg、約160mg、約180mg、約200mgを0.1mg刻みである。例えば、約0.001mg、約0.005mg、約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約100mg、約200mgを0.01mg刻みである。
いくつかの実施形態では、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩は、肺送達に適したオスモル濃度調整剤を有する。オスモル濃度調整剤は、プロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール400、マンニトール、グリセリンから選ばれる共溶媒を含む。組成物はさらに、肺送達に適した第2の抗線維化剤または抗がん剤または抗感染症薬を含む。組成物はさらに、肺送達に適した第2の抗炎症剤を含む。組成物は、肺送達に適した第2の抗線維化剤または抗がん剤または抗感染症薬と同時投与し得る。組成物は、肺送達に適した第2の抗炎症剤を同時投与された。
別の実施形態では、約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgまでの浸透圧を有する上記のような非カプセル化水溶性賦形剤を有する単純または複雑な液体のニンテダニブまたはそのインドリノン塩を含む医薬組成物が提供される。もう一つの実施形態では、浸透圧は、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500mOsmol/kg〜約1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000mOsmol/kgで、好ましくは約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgの間である。
単純製剤または複合製剤は、好ましくは、ニンテダニブまたはインドリノンの透過性イオン濃度が約30mM〜約150mMの間である。組成物中の透過性イオンは、好ましくは、塩化物、臭化物およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
ニンテダニブまたはインドリノン。別の実施形態では、ニンテダニブまたはインドリノン は、低水溶性安定ナノ懸濁液として、単純または共結晶/共沈殿複合体中の単純または複雑な液体ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物製剤を含む医薬組成物が、または、前記記載の方法により、約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgまでの溶液浸透圧を有する脂質ナノ懸濁液などの低溶解性脂質との混合物)が提供される。一つの実施形態では、浸透圧は、約100mOsmol/kg〜約500mOsmol/kgである。
別の実施形態では、約30mM〜約150mMまでの浸透性イオン濃度を有するニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の複合懸濁液を含む医薬組成物が提供される。そのような1つの実施形態では、組成物中の1つ以上の透過性イオンは、塩化物および臭化物からなる群から選択される。
別の実施形態では、約30mM〜約150mMまでの透過性イオン濃度を有するニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の複合懸濁液を含む医薬組成物が提供される。そのような1つの実施形態では、組成物中の1つ以上の透過性イオンは、塩化物および臭化物からなる群から選択される。
他の実施形態では、ニンテダニブまたはインドリノンは、糖、サッカリン(例えば、サッカリンナトリウム)、甘味料、または味覚、後味、知覚される不快な塩味、酸味または苦味に有益に影響を与える他の化合物または剤を含む味覚マスキング剤を含むか、または経口または吸入された製剤がレシピエントを刺激する傾向を減少させる(例えば、咳または喉の痛みまたは他の望ましくない副作用を引き起こすことにより、送達される用量が減少するか、または患者の所定の治療レジメンへのコンプライアンスに悪影響を及ぼし得る)。特定の味覚マスキング剤は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩と錯体を形成し得る。
別の実施形態では、ニンテダニブまたはインドリノンの塩の形態の対イオンは、 酢酸塩、アセトニド、アラニン、アルミニウム、アルギニン、アスコルビン酸塩、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンザチン、安息香酸塩、ベシル酸塩、重硫酸塩、重亜硫酸塩、ビタルトレート、臭化物(臭化物、臭化水素酸塩を含む)、カルシウム、炭酸塩、樟脳塩、セチルプリジニウム、塩化物(塩化物、塩酸塩を含む)、クロルテオリン酸塩、コリナート、システイン、デオキシコラート。ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジホスフェート、ジプロピオン酸塩、ジサリチル酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エチルアミン、エチレンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、エシル酸塩、水酸化エシル酸塩。グルセプテート、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒプル酸、ヒスチジン、臭化水素酸、塩酸塩、水酸化物、ヨウ化物、イセチオネート、イソロイシン、乳酸。ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、ロイシン、リジン、マグネシウム、マンデラート、メグルミン、メシル酸塩、メタ重硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、メチオニン、臭化メチル、メチル硫酸塩、メチルp−ヒドロキシ安息香酸塩。ムカテート、ナフトエート、ナプシルエート、硝酸塩、亜硝酸塩、オクタデカノエート、オレイン酸塩、オルニチン、シュウ酸塩、パモエート、ペンテート、フェニルアラニン、リン酸塩、ピペラジン、ポリガラクツロン酸塩 カリウム、プロカイン、プロリン、プロピオン酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、サッカリン、サリチル酸塩、セレノシステイン、セリン、銀、ナトリウム、ソルビタン、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩 スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、スレオニン、トシル酸塩、トリエチルアミン、トリチオジド、トリフルオロ酢酸塩、トリオレイン酸塩、トロメタミン、トリプトファン、チロシン、バレレート、バリン、キシナホエート、または亜鉛などが挙げられる。前記医薬組成物に含まれるのは、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHで、本明細書に記載の緩衝剤を維持することであり、50mOsmo/kgおよび600mOsmo/kgの浸透圧を提供するレベルの追加の塩形態を含み得る。300mOsmo/kgは、これをネブライザー溶液で吸入した際の急性忍容性に重要であるとして文献で議論されているが、600mOsmo/kgは、他の薬液との忍容性が良好であることが未発表の研究で示されている。
インドリノン誘導体であるニンテダニブの塩形態の対イオンが透過性イオンとして機能する。限定されない例では、ニンテダニブまたはインドリノン誘導体の塩化物塩は、医薬組成物の透過性イオンに役立つか、または貢献し得る。限定されない例では、ニンテダニブまたはインドリノン誘導体の臭化物塩は、医薬組成物の透過性イオンに役立つか、または貢献し得る。ニンテダニブまたはインドリノン誘導体の対イオンが透過性イオンに寄与し得るが、追加の透過性イオンを添加しし得る。限定されない例によって、ニンテダニブまたはインドリノン誘導体の対イオン透過性イオンは、約30mM〜約150mMの間の透過性イオンを達成するために、追加の塩化ナトリウムまたは追加の臭化ナトリウム、または塩化物と臭化物の組み合わせで補充し得る。忍容性に対して、追加の溶質を医薬組成物に添加し得る。限定されない例では、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムまたは塩化カルシウムの添加により、浸透圧が約50mOsmo/kg〜約20000mOsmo/kgの範囲内に調整される。限定されない例では、臭化ナトリウム、臭化マグネシウムまたは臭化カルシウムの添加によって、浸透圧を約50mOsmo/kg〜約1000mOsmo/kgの範囲内に調整される。限定されない例では、オスモル濃度調整剤の添加により、浸透圧を約50mOsmo/kg〜約1000mOsmo/kgの範囲内に調整する。限定されない例として、オスモル濃度調整剤は、エタノール、塩化セチルプリジニウム、マンニトールグリセリン、レシチン、プロピレングリコール、ポリソルベート(ポリソルベート20、40、60、80および85を含む)およびソルビタントリオレートから選択される共溶媒を含む。
ニンテダニブ塩の形態またはインドリノン塩の形態は、塩化物または臭化物塩の形態として調製される。
いくつかの実施形態では、ニンテダニブ製剤は、水に約0.01mg/mL〜約10mg/mLの濃度のニンテダニブを含む。随意で、緩衝液(限定されない例としてリジン酸塩、アセチルシステイン、グリシン、グルタミン酸塩、ホウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リン酸塩またはトリスによる)、随意で無機塩(限定されない例として塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化ナトリウム、臭化マグネシウム、および/または臭化カルシウムによる)、および随意で、共溶媒(限定されない例としてエタノール、プロピレングリコール、マンニトールおよびグリセリン)、随意で界面活性剤(限定されない例としてTween80、Tween60、レシチン、セチルピリジニウムおよびTween20)を含むオスモル濃度調整剤がある。これらのpHは、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0である。製剤にはまた、味覚マスキング剤(限定されない例としてサッカリンナトリウム)も含む。医薬組成物は、少なくとも約0.0001mg〜約100mgで含み、0.0001、0.00025、0.0005、0.001、0.005、0.01、005、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、7.0、8.5、9.0、9.5、10.0、15、20、30、40、50、100ミリグラムのような、そこに存在するすべての整数値を含む。本明細書に記載の医薬組成物の浸透圧は、約50mOsmo/kg〜約600mOsmo/kgである。
一形態において、本明細書で提供されるキットは、次のものからなる:ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなる医薬組成物が、密封された無菌容器に形成され、その溶液は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩が約0.0001mg/mLより高い濃度、約100mOsmol/kgより高い浸透圧、および約3.0よりも大きいpHを有している。ニンテダニブまたはその塩、またはそのインドリノン塩の濃度は、約0.01mg/mLより高い。ニンテダニブまたはその塩、またはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.025mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.05mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたは濃度が約0.1mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたは濃度が約0.25mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたは濃度が約0.5mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたは濃度が約0.75mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたは濃度が約1.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたは濃度が約1.5mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩は、約2.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約2.5mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約5.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン塩溶液は、約30mM〜約150mMの透過性イオン濃度を有する。透過性イオンは塩化物または臭化物である。ニンテダニブまたはインドリノン。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを有する。ニンテダニブまたはインドリノン。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgまでの浸透圧を有する。ニンテダニブまたはインドリノン。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、ラクトース、スクロース、デキストロース、サッカリン、アスパルテーム、スクルロース、アスコルビン酸塩およびクエン酸塩およびそれらの組み合わせからなる群から選択される味覚マスキング剤を含有する。いくつかの実施形態では、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩では、溶液が肺送達に適したオスモル濃度調整剤を有する。オスモル濃度調整剤は、プロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール400、グリセリンから選ばれる共溶媒を含む。本キットはさらに、肺送達に適した第2の抗線維化剤または抗がん剤または抗感染剤からなる。キットはさらに、肺送達に適した第2の抗炎症剤で構成される。組成物は、肺送達に適した第2の抗線維化剤または抗がん剤または抗感染剤と同時投与し得る。組成物は、肺送達に適した第2の抗炎症剤を同時投与された。
一形態において、本明細書で提供されるキットの構成:混和時に溶液が約50mOsmol/kg以上の浸透圧を有し、約0.0001mg/mL以上の濃度を有し、約3.0以上のpHを有する、無菌容器内のニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液からなる医薬組成物を作成する2つの容器からなる。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.01mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.025mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.05mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.1mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.25mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.5mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.75mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約1.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約1.5mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約2.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約2.5mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約5.0mg/mLより高い。
一形態において、本明細書で提供されるキットの構成:単位用量からなり、無菌容器に入れられたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩とピルフェニドンまたはピリドンアナログ溶液からなる医薬組成物であり、溶液は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度が約0.0001mg/mLより高く、ピルフェニドンまたはピリドンアナログの濃度が約5mg/mLより高く、約50mOsmol/kgより高い浸透圧を有し、pHは約3.0より大きい。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.01mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.025mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.05mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.1mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.25mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.5mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約0.75mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約1.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約1.5mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約2.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約2.5mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約5.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約10.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約15.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約20.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約25.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約30.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約35.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約40.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約45.0mg/mLより高い。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の濃度は、約50.0mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドンアナログの濃度は、約5mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約6mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約7mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約8mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約9mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約10mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約11mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約12mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約13mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約14mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約15mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約16mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約17mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約18mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約19mg/mLより高い。ピルフェニドンまたはピリドン類似物の濃度は、約20mg/mLより高い。
ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、約30mM〜約150mMの透過性イオン濃度を有する。透過性イオンは塩化物または臭化物である。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを有する。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgまでの浸透圧を有する。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、味覚マスキング剤を含む。味覚マスキング剤は、ラクトース、スクロース、ブドウ糖、サッカリン、アスパルテーム、スクルロースおよびアスコルビン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩では、溶液が肺送達に適したオスモル濃度調整剤を有する。それにはプロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール400、グリセリンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される共溶媒が含まれる。溶液はさらに、肺送達に適した第2の抗線維化剤または抗がん剤または抗感染剤からなる。キットはさらに、肺送達に適した第2の抗炎症剤で構成される。組成物は、肺送達に適した第2の抗線維化剤または抗がん剤または抗感染剤と同時投与し得る。組成物は、肺送達に適した第2の抗炎症剤を同時投与された。
ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩とピルフェニドンまたはピリドンアナログの溶液は、約30mM〜約500mMの透過性イオン濃度を有する。透過性イオンは塩化物または臭化物である。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを有する。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、約50mOsmol/kg〜約1000mOsmol/kgまでの浸透圧を有する。ニンタニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液は、味覚マスキング剤を含む。味覚マスキング剤は、ラクトース、スクロース、ブドウ糖、サッカリン、アスパルテーム、スクルロースおよびアスコルビン酸塩からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩では、溶液が肺送達に適したオスモル濃度調整剤を有する。それにはプロピレングリコール、エタノール、ポリエチレングリコール400、グリセリンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される共溶媒が含まれる。溶液はさらに、肺送達に適した第2の抗線維化剤または抗がん剤または抗感染剤からなる。組成物は、肺送達に適した第2の抗線維化剤または抗がん剤または抗感染剤と同時投与し得る。組成物は、肺送達に適した第2の抗炎症剤を同時投与された。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、キットは、液体ネブライザーでの使用に適合する容器に入った、本明細書に記載されるようなニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の水溶液の単位用量で構成される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、キットは、液体ネブライザーでの使用に適合する容器に入った、本明細書に記載されるようなニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、およびピルフェニドンまたはピリドンアナログの水溶液の単位用量で構成される。
ニンテダニブの水性ネブライザー製剤は、良好な忍容性を得るために少なくとも30mMの透過性イオンが必要である。しかし、水性ニンテダニブは、これらの透過性イオン濃度では不安定である。この問題を回避するために、水性ニンテダニブは、使用直前に混和剤用のマルチ容器システムとして処方され得る。一つの構成において、キットは混和用の2つの容器からなり、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の水溶液が第1の容器の水溶液に溶解され、緩衝剤および浸透剤およびイオンを含むオスモル濃度調整剤が、保管中に第1の容器と第2の容器の間で流体連結がない別々の容器に封じ込められている。使用直前に、第1の容器と第2の容器の内容物が混合される。第1と第2の容器は、混和用に特別に設計された同一の包装の一部として形成され得る。また、液体ネブライザーのリザーバ内で混合された第1と第2の内容物を混和し伝達するために特別に設計されたものであり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている単位用量は、約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩の水溶液からなる液体ネブライザーでの使用に適合したものであり、水溶液中のニンテダニブまたはその塩の濃度は約0.0001mg/mL〜約10mg/mLであり、投与前に混和を必要とする。安定性の目的のために、単位投与形態は2つの容器混和システムとして調製され、第1の容器にはニンテダニブまたはその塩が約0.01mL〜約10mLまでの水性容積で調製される;随意で、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1000mMの緩衝液;随意で、約0.1%〜約99%までのオスモル濃度調整剤濃度;随意で、約0.01mM〜約100mMまでの味覚マスキング剤。第2の容器は、約0.01mL〜約10mLの水溶液で構成される:随意で、約30mM〜約1500mMまでの透過性イオン濃度を含み、透過性イオンは、塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され得る;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1,000mMの緩衝液;随意で、約0.1%〜約99%までのオスモル濃度調整剤;約0.01mM〜約100mMの味覚マスキング剤。投与前に、容器2による混和物を混和することで約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩の水溶液で構成される単位用量が得られる。水溶液中のニンテダニブまたはその塩の濃度は、約0.0001mg/mL〜約10mg/mLとなる;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する、0.01〜約100mMの緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのオスモル濃度調整剤;随意で、約0.01mM〜約10mMの味覚マスキング剤;随意で、濃度が約30mM〜約150mMの透過性イオン。透過性イオンが塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され、最終的な混和溶液の浸透圧が約50mOsmol/kg〜約600mOsmo/kgまでである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている単位用量は、約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩の水溶液からなる液体ネブライザーでの使用に適合したものであり、水溶液中のニンテダニブまたはその塩の濃度は約0.0001mg/mL〜約10mg/mLであり、投与前に混和を必要とする。安定性の目的のために、単位投与形態は2つの容器混和システムとして調製され、第1の容器にはニンテダニブまたはその塩が約0.01mL〜約10mLまでの水性容積で調製される;随意で、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1000mMのグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約99%までのプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約100mMまでの味覚マスキング剤。第2の容器は、約0.01mL〜約10mLの水溶液で構成される:随意で、約30mM〜約1500mMまでの透過性イオン濃度を含み、ここで透過性イオンは、塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され得る;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1,000mMグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約99%までのプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約100mMの味覚マスキング剤。投与前に、第2の容器による混和物を混和することで約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩の水溶液で構成される単位用量が得られる。ここで、水溶液中のニンテダニブまたはその塩の濃度は、約0.0001mg/mL〜約10mg/mLとなる;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する、0.01〜約100mMのグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約10mMの味覚マスキング剤;随意で、濃度が約30mM〜約150mMの透過性イオン。ここでは、透過性イオンが塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され得る。最終的な混和溶液の浸透圧は約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgまでである。
本明細書に記載されている単位用量は、約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩の水溶液からなる液体ネブライザーでの使用に適合したものであり、水溶液中のニンテダニブ臭化水素酸塩の濃度は約0.0001mg/mL〜約5mg/mLであり、投与前に混和を必要とする。安定性の目的のために、単位投与形態は2つの容器混和システムとして調製され、第1の容器にはニンテダニブ臭化水素酸塩が約0.01mL〜約10mLまでの水性容積で調製される;随意で、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1000mMのグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約99%までのTプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約100mMまでの味覚マスキング剤。第2の容器は、約0.01mL〜約10mLの水溶液で構成される:随意で、約30mM〜約1500mMまでの透過性イオン濃度を含み、ここで透過性イオンは、塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され得る;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1,000mMグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約99%までのプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約100mMの味覚マスキング剤。投与前に、容器2による混和物を混和することで約0.01mL〜約10mLのニンテダニブ臭化水素酸塩の水溶液で構成される単位用量が得られる。水溶液中のニンテダニブ臭化水素酸塩の濃度は、約0.0001mg/mL〜約5mg/mLとなる;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する、0.01〜約50mMのグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約10mMの味覚マスキング剤;随意で、濃度が約30mM〜約150mMの透過性イオン。ここでは、透過性イオンが塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され得る。最終的な混和溶液の浸透圧は約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている単位用量は、約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩臭化水素酸塩の水溶液からなる液体ネブライザーでの使用に適合したものであり、水溶液中のニンテダニブまたはその塩の濃度は約0.0001mg/mL〜約5mg/mLであり、投与前に混和を必要とする。安定性の目的のために、単位投与形態は2つの容器混和システムとして調製され、第1の容器にはニンテダニブ臭化水素酸塩が約0.01mL〜約10mLまでの水性容積で調製される;随意で、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1000mMのグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約99%までのTプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約100mMまでの味覚マスキング剤。第2の容器は、約0.01mL〜約10mLの水溶液で構成される:随意で、約30mM〜約1500mMまでの透過性イオン濃度を含み、ここで透過性イオンは、塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され得る;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1,000mMグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約99%までのプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約100mMの味覚マスキング剤。投与前に、容器2による混和物を混和することで約0.01mL〜約10mLのニンテダニブ臭化水素酸塩の水溶液で構成される単位用量が得られる。水溶液中のニンテダニブ臭化水素酸塩の濃度は、約0.0001mg/mL〜約5mg/mLとなる;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する、0.01〜約50mMのグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約10mMの味覚マスキング剤;随意で、濃度が約30mM〜約150mMの透過性イオン。ここでは、透過性イオンが塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され得る。最終的な混和溶液の浸透圧が約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgまでである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている単位用量は、約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩臭化水素酸塩の水溶液からなる液体ネブライザーでの使用に適合したものであり、水溶液中のニンテダニブエタンスルホン酸塩の濃度は約0.0001mg/mL〜約5mg/mLであり、投与前に混和を必要とする。安定性の目的のために、単位投与形態は2つの容器混和システムとして調製され、第1の容器にはニンテダニブエタンスルホン酸塩が約0.01mL〜約10mLまでの水性容積で調製される;随意で、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1000mMのグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約99%までのTプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約100mMまでの味覚マスキング剤。第2の容器は、約0.01mL〜約10mLの水溶液で構成される:随意で、約30mM〜約1500mMまでの透過性イオン濃度を含み、ここで透過性イオンは、塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され得る;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1,000mMグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約99%までのプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約10mMの味覚マスキング剤。投与前に、2つの容器の混和物を混和することで約0.01mL〜約10mLのニンテダニブエタンスルホン酸塩の水溶液で構成される単位用量が得られる。水溶液中のニンテダニブエタンスルホン酸塩の濃度は、約0.0001mg/mL〜約5mg/mLとなる;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する、0.01〜約50mMのグリシンまたはグルタミン酸緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのプロピレングリコール;随意で、約0.01mM〜約10mMの味覚マスキング剤;随意で、濃度が約30mM〜約150mMの透過性イオン。ここでは、透過性イオンが塩化物イオンおよび臭化物イオンから選択され得る。最終的な混和溶液の浸透圧が約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgまでである。
本発明は、ニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体が、pH、およびイオン濃度、緩衝剤含量、浸透性、または他のパラメータの存在下で、ニンテダニブまたはインドリノン組成物を有効な医薬成分として安定化させる、スタンドアロン型の単一容器システムを含む。有効成分であるピルフェニドンまたはピリドンアナログの添加は、さらに、ニンテダニブまたはインドリノン組成物の安定性と水溶解性を高め、約10mg/mLから約50mg/mLを超える高濃度のニンテダニブまたはインドリノン組成物において、そうでなければ存在する粘度を低下させる。これらの濃度およびそれ以下の濃度のニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体では、有効成分のピルフェニドンまたはピリドンアナログを添加することで、イオン濃度、緩衝剤の含有量、浸透圧、pHまたは、それ以外の方法では単一溶液製剤としては不適合となる他のパラメータを含め、安定した単一容器溶液中でのニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体の製剤化を可能にできる。このことから、投与される製剤は、液体ネブライザーでの使用に適した単位投与量として調製し得る。液体ネブライザーは、約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩の水溶液、濃度が約0.0001mg/mL〜約50mg/mLのインドリノン誘導体またはその塩、および濃度が約5mg/mL〜約20mg/mLのピルフェニドンまたはピリドンアナログからなる。随意で、浸透圧を調整するために濃度が約0.1%〜約20%の1つ以上のオスモル濃度調整剤、浸透圧を調整するために濃度が約15mM〜約500mMの無機塩により、最終濃度が約30mM〜約500mMの浸透圧イオンを提供する;および随意で、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0のpHを維持するために、1つ以上の緩衝剤。最終浸透圧は50mOsmo/kg〜1000mOsmo/kgである。その水溶液には、濃度が約0.1%〜約20%のプロピレングリコール、エタノール、グリセリン、マンニトール、およびそれらの組み合わせから選択される共溶媒を含む、1つ以上のオスモル濃度調整剤を含有し得る。その水溶液は、塩化水素、臭化水素、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウムおよびそれらの組み合わせから選択される1種以上の無機塩を含む。その水溶液の無機塩の含有量は、約15mM〜約300mMである。その緩衝液はリシネート、アセチルシステイン、グリシン、グルタミン酸、ホウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リン酸塩またはトリス、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択され、水溶液のpHは約pH3.0〜約pH7.0、好ましくは約pH3.0〜約pH6.0である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているのは、以下からなる噴霧化された吸入投与用水溶液である:水;濃度が約0.005mg/mL〜約50mg/mLのニンテダニブまたはその塩;濃度が約5mg/mL〜約20mg/mLのピルフェニドンまたはピリドンアナログ;1つ以上の透過性イオン;1つ以上のオスモル濃度調整剤;ここで、水溶液の浸透圧は約50mOsmol/kg〜約10000mOsmol/kgである。
本発明は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の水性液滴集団を含み、ここで、水性液滴は、集合的にエアロゾルミストと呼ばれることがある約5.0μm未満の平均直径を有する。液滴集団は、ネブライザーのリザーバに注入されたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の水溶液を有する液体ネブライザーから生成される。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の水溶液は、ニンテダニブまたはその塩の濃度が約0.0001mg/mL〜約10mg/mL、透過性イオン濃度が約30mM〜約150mMで、約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgの浸透圧を有する。
本発明は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、およびピルフェニドンまたはピリドンアナログの水性液滴集団を含み、ここで、水性液滴は、集合的にエアロゾルミストと呼ばれることがある約5.0μm未満の平均直径を有する。その液滴集団は、ネブライザーのリザーバに注入されたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、およびピルフェニドンまたはピリドンアナログの水溶液を有する液体ネブライザーから生成される。その水溶液は、濃度が約0.0001mg/mL〜約50mg/mLのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩と、濃度が約5mg/mL〜約20mg/mLのピルフェニドンまたはピリドンアナログを含有し、透過性イオン濃度は約30mM〜約500mM、浸透圧は約50mOsmol/kg〜約1,000mOsmol/kgである。
複数の水滴からなる水性エアロゾルは、容積平均径(VMD)、空気動力学的中央粒子径(MMAD)、および/または質量中央径(MMD)が約5.0μm未満である。いくつかの実施形態では、エアロゾル中の水性液滴の少なくとも20%は、約5μm未満の直径を有する。
後述するように、エアロゾルミストの製造には「高効率」な液体ネブライザーが好ましいが、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、拍動膜ネブライザー、複数の穴を有する振動メッシュやプレートからなるネブライザー、振動発生器と水性チャンバを含むネブライザーなど、多くの異なるネブライザーの設計が存在する。好ましい高性能ネブライザーは、本明細書に記載された混和剤を含有するためのリザーバと流体連結している複数の開口部を有する振動メッシュまたはプレートで構成されている。好ましくは次のような液体ネブライザーである:(i)成人ヒトの肺へのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の少なくとも7%が肺沈着を達成する;(ii)約1.0μm〜約2.5μmの水溶液の放出液滴サイズ分布の幾何標準偏差(GSD)を提供する;(iii)a)約1μm〜約5μmの高性能液体ネブライザで放出される水溶液の液滴サイズの空気動力学的中央粒子径(MMAD);b)約1μm〜約5μmの容積平均径(VMD);および/またはc)約1μm〜約5μmの質量中央径(MMD);(iv)少なくとも約30%の液体ネブライザーから放出される液滴の微粒子画分(FPF=%5ミクロン)を提供;(v)少なくとも0.1mL/minの出力速度を提供;(vi)少なくとも約25%の水溶液を患者に提供する。
液体ネブライザーは、好ましくは上記のパラメータ(i)、(iii)、(iii)、(iiii)、(iv)、(v)、(vi)のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または全ての6つのパラメータを有しており、かつ、好ましくは、患者に投与されるニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、またはニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩と、ピルフェニドンまたはピリドンアナログの肺沈着が、(i)少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも16%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%を達成する。液体ネブライザー:(ii)約1.0μm〜約2.5μm、約1.2μm〜約2.3μm、約1.4μm〜約2.1μm、または約1.5μm〜約2.0μmの放出された水溶液の液滴サイズ分布の幾何標準偏差(GSD)を提供する。液体ネブライザー:(iii)a)約5μm未満または約1μm〜約5μmの高性能液体ネブライザーで放出された水溶液の液滴サイズの空気動力学的中央粒子径(MMAD);b)約5μm未満または約1μm〜約5μmの容積平均径(VMD);および/またはc)5μm未満、または約1μm〜約5μmの質量中央径(MMD)を提供する。液体ネブライザー:(iv)少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%の液体ネブライザーから放出された液滴の微粒子画分(FPF=%=≦5ミクロン)を提供する。液体ネブライザー:(v)少なくとも0.1mL/min、少なくとも0.2mL/min、少なくとも0.3mL/min、少なくとも0.4mL/min、少なくとも0.5mL/min、少なくとも0.6mL/min、少なくとも0.6mL/min、少なくとも0.7mL/min、少なくとも0.8mL/min、少なくとも0.9mL/min、少なくとも1.0mL/min、または約1.0mL/min未満の出力速度を提供する。液体ネブライザー:(vi)少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約95%の水溶液を哺乳動物に提供する。液体ネブライザーは、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも16%、少なくとも20%、少なくとも24%、少なくとも28%、少なくとも32%、少なくとも36%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%の吸入可能な送達量(RDD)を提供する。
本発明の医薬組成物および方法は、特定のレベルの有効成分の肺沈着を達成するエアロゾルを生成するために、濃度、浸透圧、および透過性イオン濃度の離散的範囲を有する特定の製剤を調製して投与する工程を含む。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなる組成物を水溶液で調製し、液体ネブライザーを用いて患者に投与する。水溶液は以下からなる:水;濃度が約0.001mg/mL〜約10mg/mLのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩;ここで、水溶液の浸透圧は約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgである。液体は、(i) 哺乳動物に投与されたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の少なくとも7%の肺沈着を達成する;(ii)約1.0μm〜約2.5μmの、放出された水溶液の液滴サイズ分布の幾何標準偏差(GSD)を提供する;(iii)提供内容:a)約1μm〜約5μmの高性能液体ネブライザーで放出される水溶液の液滴サイズの空気動力学的中央粒子径(MMAD);b)約1μm〜約5μmの容積平均径(VMD);および/またはc)約1μm〜約5μmの質量中央径(MMD);(iv)少なくとも約30%の液体ネブライザーから放出される液滴の微粒子画分(FPF=%5ミクロン)を提供;(v)少なくとも0.1mL/minの出力速度を提供;(vi)少なくとも約25%の水溶液を哺乳動物に提供する。液体ネブライザーは、約1〜約5ミクロンの空気動力学的中央粒子径(MMAD)粒子サイズで、約20分以内に約0.0001mg〜約100mgのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を患者の肺に送達する。
本発明の医薬組成物および方法は、特定のレベルの有効成分の肺沈着を達成するエアロゾルを生成するために、濃度、浸透圧、および透過性イオン濃度の離散的範囲を有する特定の製剤を調製して投与する工程を含む。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、およびピルフェニドンまたはピリドンアナログからなる組成物を水溶液で調製し、液体ネブライザーを用いて患者に投与する。水溶液は以下からなる:水;濃度が約0.0001mg/mL〜約50mg/mLのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩および濃度が約5mg/mL〜約20mg/mLのピルフェニドンまたはピリドンアナログ;ここで、水溶液の浸透圧は約50mOsmol/kg〜約1000mOsmol/kgである。液体は、(i)哺乳動物に投与されたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の少なくとも7%の肺沈着を達成する;(ii)約1.0μm〜約2.5μmの、放出された水溶液の液滴サイズ分布の幾何標準偏差(GSD)を提供する;(iii)提供内容:a)約1μm〜約5μmの高性能液体ネブライザーで放出される水溶液の液滴サイズの空気動力学的中央粒子径(MMAD);b)約1μm〜約5μmの容積平均径(VMD);および/またはc)約1μm〜約5μmの質量中央径(MMD);(iv)少なくとも約30%の液体ネブライザーから放出される液滴の微粒子画分(FPF=%5ミクロン)を提供;(v)少なくとも0.1mL/minの出力速度を提供;(vi)少なくとも約25%の水溶液を哺乳動物に提供する。その液体ネブライザーは、約0.0001mg〜約100mgのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、および約1mg〜約20mgのピルフェニドンまたはピリドンアナログを、約1〜約5ミクロンの空気動力学的中央粒子径(MMAD)粒子サイズで、約20分以内に患者の肺に送達する。
哺乳動物の肺疾患を治療する方法は次のように行う:投与を必要とする哺乳動物に、液体ネブライザーを用いて、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなる水溶液を投与する。本明細書に記載されているのは、以下からなる哺乳動物の肺疾患の治療方法である:必要とする哺乳動物にニンテダニブまたはその塩からなる水溶液を液体ネブライザーで投与する;水溶液は水、濃度が約0.0001mg/mL〜約10mg/mLのニンテダニブまたはその塩からなる;随意で、1つ以上の無機塩で、水溶液の浸透圧が約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgであり、随意で約30mM〜約150mMまでの透過性イオン;随意で、溶液のpHを約3.0〜約7.0の間に維持する1つ以上の緩衝剤;随意で、約0.1%〜約20%の間のオスモル濃度調整剤;随意で約0.01mM〜約10mMまでの味覚マスキング。ネブライザーは、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、拍動膜ネブライザー、複数の穴を持つ振動メッシュまたはプレートを含むネブライザー、または、振動発生器と水性チャンバを含むネブライザーを含む。いくつかの実施形態では、液体ネブライザーは:(i)哺乳動物に投与されたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の少なくとも7%の肺沈着を達成する;(ii)約1.0μm〜約2.5μmの、放出された水溶液の液滴サイズ分布の幾何標準偏差(GSD)を提供する;(iii)提供内容:a)約1μm〜約5μmの高性能液体ネブライザーで放出される水溶液の液滴サイズの空気動力学的中央粒子径(MMAD);b)約1μm〜約5μmの容積平均径(VMD);および/またはc)約1μm〜約5μmの質量中央径(MMD);(iv)少なくとも約30%の液体ネブライザーから放出される液滴の微粒子画分(FPF=%5ミクロン)を提供;(v)少なくとも0.1mL/minの出力速度を提供;(vi)少なくとも約25%の水溶液を哺乳動物に提供する。
哺乳動物の肺疾患を治療する方法は次のように行う:投与を必要とする哺乳動物に、液体ネブライザーを用いて、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、およびピルフェニドンまたはピリドンアナログからなる水溶液を投与する。本明細書に記載されているのは、以下からなる哺乳動物の肺疾患の治療方法である:必要とする哺乳動物にニンテダニブまたはその塩、およびピルフェニドンまたはピリドンアナログからなる水溶液を液体ネブライザーで投与する;水溶液は水、濃度が約0.0001mg/mL〜約50mg/mLのニンテダニブまたはその塩、および濃度が5mg/mLから20mg/mLのピルフェニドンまたはピリドンアナログからなる;随意で、1つ以上の無機塩で、水溶液の浸透圧が約50mOsmol/kg〜約1000mOsmol/kgであり、随意で約30mM〜約500mMまでの透過性イオン;随意で、溶液のpHを約3.0〜約7.0の間に維持する1つ以上の緩衝剤;随意で、約0.1%〜約10%の間のオスモル濃度調整剤;随意で約0.01mM〜約10mMまでの味覚マスキング。ネブライザーは、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、拍動膜ネブライザー、複数の穴を持つ振動メッシュまたはプレートを含むネブライザー、または、振動発生器と水性チャンバを含むネブライザーを含む。いくつかの実施形態では、液体ネブライザーは:(i)哺乳動物に投与されたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の少なくとも7%の肺沈着を達成する;(ii)約1.0μm〜約2.5μmの、放出された水溶液の液滴サイズ分布の幾何標準偏差(GSD)を提供する;(iii)提供内容:a)約1μm〜約5μmの高性能液体ネブライザで放出される水溶液の液滴サイズの空気動力学的中央粒子径(MMAD);b)約1μm〜約5μmの容積平均径(VMD);および/またはc)約1μm〜約5μmの質量中央径(MMD);(iv)少なくとも約30%の液体ネブライザーから放出される液滴の微粒子画分(FPF=%5ミクロン)を提供;(v)少なくとも0.1mL/minの出力速度を提供;(vi)少なくとも約25%の水溶液を哺乳動物に提供する。
液体ネブライザーは、約1〜約5ミクロンの空気動力学的中央粒子径(MMAD)粒子サイズで、約20分以内に約0.0001mg〜約100mgのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を送達する。
液体ネブライザーは、約0.0001mg〜約100mgのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、および約1mg〜約20mgのピルフェニドンまたはピリドンアナログを、約1〜約5ミクロンの空気動力学的中央粒子径(MMAD)粒子サイズで、約20分以内に肺に送達する。
水液滴群の直径の中央値は約5.0μm未満である。水液滴の直径は、約5.0μm未満、約4.5μm未満、約3.0μm未満、約3.5μm未満、約3.0μm未満、約2.5μm未満、約2.0μm未満、約1.5μm未満、約1.0μm未満、であり、さらにエタノール、プロピレングリコール、マンニトール、グリセリン、およびそれらの組み合わせから選択される共溶媒を含む1種以上のオスモル濃度調整剤を含む。また、水液滴は、リシネート、アセチルシステイン、グリシン、グルタミン酸、ホウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リン酸塩またはトリス、およびそれらの組み合わせから選択される緩衝剤をさらに含み得る。
水性液滴群は、例えば、5μmを超える個々の水液滴の割合に様々な幅があり得、少なくとも約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%の幅があり得る。
いくつかの実施形態では、液体ネブライザーによる投与は、初回用量漸増期間を含まない。
ある例では、約0.01mL〜約10mLの水溶液を、約0.0001mg/mL〜約10mg/mLの濃度で、ニンテダニブまたはその塩からなる水溶液を液体ネブライザーで哺乳動物に投与する;随意で、水溶液の浸透圧が約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgの1つ以上の無機塩;随意で、約30mM〜約150mMの透過性イオン;随意で、溶液のpHを約3.0から7.0に維持するための1つ以上の緩衝液;随意で、約0.1〜約20%のオスモル濃度調整剤;随意で、約0.01mM〜約10mMまでの味覚マスカー;さらに、液体ネブライザーは、複数の開口部を有する振動メッシュまたはプレートからなるネブライザーであり、液体ネブライザーは、約1〜約5ミクロンの質量中央径(MMAD)サイズを有する約0.0001mg〜約100mgのニンテダニブまたはその塩を、約20分未満で肺に送達する。
ある例では、約0.01mL〜約10mLの水溶液を、濃度が約0.0001mg/mL〜約50mg/mLのニンテダニブまたはその塩からなる水溶液、または濃度が約0.0001mg/mL〜約20mg/mLのピルフェニドンまたはピリドンアナログを液体ネブライザーで哺乳動物に投与する;随意で、水溶液の浸透圧が約50mOsmol/kg〜約1000mOsmol/kgの1つ以上の無機塩;随意で、約30mM〜約500mMの透過性イオン;随意で、溶液のpHを約3.0から7.0に維持するための1つ以上の緩衝液;随意で、約0.1〜約20%のオスモル濃度調整剤;随意で、約0.01mM〜約10mMまでの味覚マスカー;さらに、液体ネブライザーは、複数の開口部を有する振動メッシュまたはプレートからなるネブライザーであり、液体ネブライザーは、約1〜約5ミクロンの質量中央径(MMAD)サイズを有する約0.0001mg〜約100mgのニンテダニブまたはその塩および約1mg〜約20mgのピルフェニドンまたはピリドンアナログを、約20分未満で肺に送達する。
そのマルチ容器法では、第1の容器は、約0.01mL〜約10mLの水性容量に溶解したニンテダニブまたはその塩を含み、随意で、約3.0〜約7.0、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1000mMの緩衝液、随意で、約0.1%〜約99%までのオスモル濃度調整剤濃度、および随意で、約0.01mM〜約100mMまでの味覚マスキング剤を含む。ニンテダニブは、透過性イオンの存在下での長期安定性を欠くため、透過性イオンは、別個の第2の容器に調製される。第2の容器は、約0.01mL〜約10mLの水溶液を含む;随意で、約15mM〜約1500mMまでの濃度の無機塩;随意で、約3.0〜約7.0まで、好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約1000mMまでの緩衝液;随意で、約0.1%〜約99%までのオスモル濃度調整剤;随意で、約0.01mM〜約100mMまでの味覚マスキング剤を含む。投与直前に、第2の容器による混和物を混和することで約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩の水溶液で構成される単位用量が得られる。ここで、水溶液中のニンテダニブまたはその塩の濃度は、約0.01mg/mL〜約10mg/mLとなる;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する、0.01〜約100mMの緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのオスモル濃度調整剤;随意で、約0.01mM〜約10mMの味覚マスキング剤;随意で、約15mM〜約300mMの無機塩を添加してできた約30mM〜約150mMの透過性イオン濃度で、最終的に浸透圧が約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgの混和溶液を作成する。
単位用量アプローチでは、容器は、約0.01mL〜約10mLの水性容積に溶解したニンテダニブまたはその塩、およびピルフェニドンまたはピリドン類似体を含む;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約100mMの緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのオスモル濃度調整剤、約15mM〜約500mMまでの無機塩、約30mM〜約500mMまでの浸透圧イオン濃度;aおよび随意で、約0.01mM〜約100mMまでの味覚マスキング剤を含む。ピルフェニドンは透過性イオンの存在下でニンテダニブを安定化させるため、このアプローチは安定した単一容器の単位用量による構成を可能にする。この単一容器システムは、約0.01mL〜約10mLのニンテダニブまたはその塩およびピルフェニドンまたはピリドンアナログの水溶液からなる単位用量形態を提供する。ここで、水溶液中のニンテダニブまたはその塩の濃度は約0.01mg/mL〜約50mg/mLであり、ピルフェニドンまたはピリドンアナログの濃度は約5mg/mL〜約20mg/mLである;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する、0.01〜約100mMの緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのオスモル濃度調整剤;随意で、約0.01mM〜約10mMまでの味覚マスキング剤;随意で、約15mM〜約500mMの無機塩を用いて、濃度が約30mM〜約500mMの透過性イオンを作成する。最終的な混和溶液の浸透圧は約50mOsmol/kg〜約10000mOsmol/kgになる。
単位用量アプローチでは、容器は、約0.01mL〜約10mLの水性容積に溶解したニンテダニブ化水素酸塩、およびピルフェニドンを含む;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する0.01mM〜約100mMの緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのオスモル濃度調整剤、約15mM〜約500mMまでの無機塩、約30mM〜約500mMまでの浸透圧イオン濃度;および随意で、約0.01mM〜約100mMまでの味覚マスキング剤を含む。ピルフェニドンは透過性イオンの存在下でニンテダニブを安定化させるため、このアプローチは安定した単一容器の単位用量による構成を可能にする。この単一容器システムは、約0.01mL〜約10mLのニンテダニブ臭化水素酸塩、およびピルフェニドンの水溶液からなる単位用量形態を提供する。ここで、水溶液中のニンテダニブ臭化水素酸塩の濃度は約0.01mg/mL〜約50mg/mLであり、ピルフェニドンの濃度は約5mg/mL〜約20mg/mLである;随意で、好ましくは約3.0〜約7.0、より好ましくは約3.0〜約6.0までのpHを維持する、0.01〜約100mMの緩衝液;随意で、濃度が約0.1%〜約20%までのオスモル濃度調整剤;随意で、約0.01mM〜約10mMまでの味覚マスキング剤;随意で、約15mM〜約500mMの無機塩を用いて、濃度が約30mM〜約500mMの透過性イオンを作成する。最終的な混和溶液の浸透圧は約50mOsmol/kg〜約10000mOsmol/kgになる。
本発明は、ニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体またはその塩からなる経口乾燥粉末製剤であり、0.5マイクロメートルから10マイクロメートルの質量中央値を有する細分化された形態で、濃度0.1w/w%〜約100w/w%が含有されるものを含む。ニンテダニブまたはその塩、またはインドリノンまたはその塩、および随意で1種以上の担体賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、グルコース、トレハロース)を約10%〜約99.99%の割合で含有し、薬物の取り扱い、分注、計量および分散を改善する。製剤は、随意で、粒子間付着力を低減し、粉末流動性を改善し、水蒸気効果を低減するために、約0.1w/w%〜約10w/w%の濃度で、1つ以上の滑り剤(例えば、L−ロイシン、ステアリン酸マグネシウム)を含み得る。本発明の製剤は、前記賦形剤とニンテダニブまたはその塩を物理的に配合することにより調製し得る。別の方法として、乾燥粉末製剤は、噴霧乾燥、真空乾燥、溶媒抽出、制御された沈殿、乳化または凍結乾燥を含む沈殿技術によって形成され得る。これらの製剤については、上述の賦形剤に加えて、乾燥粉末製剤をブレンドする。これらは、乳化剤および増量剤として作用させるために、リン脂質(例えば、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジテロイルホスファチジルコリン、ジアラチドイルホスファチジルコリン、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール)を10w/w%〜約99.9w/w%含み得る。随意で、本発明の製剤はまた、生体適合性、好ましくは生分解性ポリマー、コポリマー、またはブレンド、またはそれらの他の組み合わせを約0.1w/w%〜99.9w/w%含み得る。ポリマーの例としては、ポリラクチド、ポリラクチド−グリコリド、シクロデキストリン、ポリアクリレート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、多価アルコール、多価無水物、ポリラクタム、ポリビニルピロリドン、多糖類(デキストラン、デンプン、キチン、キトサン等)、ヒアルロン酸、タンパク質、(アルブミン、コラーゲン、ゼラチン等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。乾燥粉末製剤は、1mgから100mgの充填重量でブリスターパックまたはカプセルに単位用量として包装することができる。あるいは、乾燥粉末製剤は、使用時に1mg〜100mgを計量する装置リザーバに包装することができる。
バイアルには、ニンテダニブまたはその塩、インドリノン誘導体またはその塩を濃度で含有する乾燥粉末、随意で透過性イオンを含有する無機塩、随意で緩衝剤、随意で、非イオン性浸透性調整剤および随意で、味覚マスキング剤、随意で、増量剤が含まれている。これらの成分は、機械的配合によって、または噴霧乾燥、真空乾燥、溶媒抽出、制御された沈殿、乳化または凍結乾燥を含む当技術で知られている沈殿技術によって調製し得る。乾燥粉末バイアル中の内容物の重量は、約0.05グラム〜1グラムである。第2のバイアルは、水、随意で1種以上の溶媒、随意で1種以上の透過性イオンを含む無機塩、随意で緩衝剤、随意で浸透性調整剤、および随意で味覚マスキング剤からなる希釈剤を含む。希釈剤バイアルの内容量は約0.5mL〜10mLである。凍結乾燥バイアルは、ニンテダニブまたはその誘導体を含み、随意で透過性イオン(例えば、NaCl、NaBr、MgCl2)を含む無機塩を含む。随意で、緩衝剤(例えば、グリシン酸塩、グルタミン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩)、随意で、非イオン性オスモル濃度調整剤(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース)、および随意で、味覚マスキング剤、および随意で、増量剤(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース)を含む。希釈剤バイアルは滅菌水を含む;随意で、透過性イオン(例えば、NaCl、NaBr、MgCl2、CaCl2、CaBr、MgBr2、塩酸、HBr)を含む無機塩;随意で、緩衝剤(例えば、グリシン酸塩、グルタミン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩)、随意で、オスモル濃度調整剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、スクロース)、および随意で味覚マスキング剤を含む。凍結乾燥された溶液は、使用時点で、希釈液で再構成される。
オスモル濃度調整剤は、糖類、アルコール類、無機塩類、アミノ酸類、酸/塩基類およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1種または2種以上の賦形剤から構成される。個々には、糖類は、グルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、マンノース、トレハロースおよびキシロースから選択することができるが、これらに限定されない。アルコール類としては、エリスリトール、グリセロール、イノシトール、マルチトール、マンニトール、メントール、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、トレイトール、プロピレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。無機塩としては、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。アミノ酸としては、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リジン、プロリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。最後に、酸および塩基としては、ホウ酸、酢酸、臭化水素、塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化カルシウムなどが下挙げられるが、これらに限定されない。
使用時には、希釈剤バイアルの内容物を乾燥粉末バイアルの内容物に添加し、ネブライザー用の再構成溶液を作成する。再構成溶液には、水;約0.005mg/mL〜約10mg/mLの濃度のニンテダニブまたはその塩、または約0.005mg/mL〜約10mg/mLの濃度のインドリノン誘導体またはその塩、および随意で浸透圧を調整するために濃度が約0.1%〜約20%のオスモル濃度調整剤、随意で、浸透圧を調整し最終濃度が約30mM〜約150mMの浸透圧イオンを提供するために濃度が約15mM〜約300mMの無機塩;随意で、約0.01mM〜約100mMの緩衝剤を用いて、約pH3.0〜約pH7.0、好ましくは約pH3.0〜約pH6.0の間のpHを維持する。最終的な浸透圧が50mOsmo/kg〜600mOsmo/kgの緩衝剤から構成される。希釈液に使用されるオスモル濃度調整剤は、再構成溶液中に約0.1%〜約20%までの最終濃度を生成するために、プロピレングリコール、エタノール、グリセリン、マンニトール、およびそれらの組み合わせから選択される1つまたは複数の共溶媒を含み得る。乾燥粉末バイアルまたは希釈剤バイアルのいずれかに使用される無機塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウムおよび臭化カルシウムおよびそれらの組み合わせから選択される。再構成された水溶液の無機塩の含有量は、約15mM〜約300mMである。緩衝液はリシネート、アセチルシステイン、グリシン、グルタミン酸、ホウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リン酸塩またはトリス、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上から選択され、再構成された水溶液のpHは約pH3.0〜約pH7.0、好ましくは約pH3.0〜約pH6.0である。本明細書に記載されているネブライザー吸入投与用水溶液は、水、濃度が約0.005mg/mL〜約10mg/mL、好ましくは5.0mg/mLを超えない濃度のニンテダニブまたはその塩、濃度が約30mMから150mMの1つまたは複数の透過性イオン;1つ以上のオスモル濃度を含み、水溶液の浸透圧は約50mOsmol/kg〜約600mOsmol/kgで構成される。本剤は、約0.01mL〜約10mLまでの投与量から作成された吸入エアロゾルとして投与し得る。本剤は、吸入エアロゾルを数回呼吸またはtidal breathig(一回呼吸)を最長20分間にわたって投与し得る。
疾患の治療法と予防法
本明細書に記載の方法の目的のため、インドリノン、その塩またはその誘導体化合物、最も好ましくはニンテダニブ塩を、肺コンパートメントへのエアロゾルの送達のために最適化された粒度分布を有するエアロゾルミストを生成する振動メッシュスクリーンを有する液体ネブライザーを用いて投与する。いくつかの実施形態において、ニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物またはその塩は、エアロゾル形成、適応用量、沈着部位、肺、鼻腔内/副鼻腔、または呼吸器外治療効果のための、肺または鼻内送達、良好な味、製造および保存安定性、ならびに患者の安全性と忍容性に適した医薬組成物として製剤化される。その方法は、エアロゾルを投与するネブライザーに注入する前または注入直後に、別の溶液と医薬品有効成分(API)を分ける、マルチ容器システムに含まれる溶液の混和を実行するステップを含む。
方法は、別の抗線維剤、抗がん剤、抗感染性抗炎症剤、または抗肺高血圧剤の投与を含む。本発明の治療対象となる肺疾患としては、特発性肺線維症などの間質性肺疾患や放射線治療誘発性肺線維症、慢性肺移植片機能不全、閉塞性気管支炎、制限的移植片症候群、全身性硬化症に伴う間質性肺疾患(SSC−ILD)などが挙げられる。また、肺疾患としては、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、がん、小細胞肺がん、大細胞がん、中皮腫、肺カルチノイド腫瘍または気管支カルチノイド腫瘍、転移性疾患に起因する二次性肺がん、非小細胞肺がん、気管支肺胞がん、肉腫、リンパ腫などが挙げられる。
吸入段階は、約10分未満、約7.5分未満、約5分未満、約2.5分未満、約1.5分未満、約30秒未満で行われる。吸入段階は、5呼吸未満、3呼吸未満、または約2呼吸未満で実施し得る。
その方法は、神経疾患の治療を含み、本明細書に記載のエアロゾルの鼻腔内吸入からなる。
鼻腔内送達には、抗脱髄剤を患者の鼻腔に投与する方法が含まれ、以下からなる:
別々の容器の混和を含む本明細書に記載の方法では、少なくとも2個の滅菌済み単回使用容器の内容物を開封、混和し、最終混和溶液の濃度が0.01mL〜約10mLになるニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の溶液を、患者に投与する直前にネブライザーに注入するという積極的な措置を講じる。
本明細書に記載の方法において、エアロゾルは、約1ミクロン〜約5ミクロンまでの空気動力学的直径の平均値を有する粒子からなる。そのエアロゾルは、約1ミクロン〜約20ミクロン、好ましくは約1〜5ミクロンの体積平均直径、および3ミクロン以下の幾何学標準偏差の粒子径を有する。その吸入段階では、少なくとも0.0001mgのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、少なくとも0.001mg、少なくとも0.01mg、少なくとも0.1mg、少なくとも1.0mg、少なくとも10mg、少なくとも50mg、少なくとも100mgのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の用量を送達する。
本書に記載の方法において、エアロゾルは、約1ミクロンから約5ミクロンまでの空気動力学平均径を有する粒子からなる。そのエアロゾルは、約1ミクロン〜約20ミクロン、好ましくは約1〜5ミクロンの体積平均直径、および3ミクロン以下の幾何学標準偏差の粒子径を有する。その吸入段階では、少なくとも0.0001mg、少なくとも0.001mg、少なくとも0.01mg、少なくとも0.1mg、少なくとも1.0mg、少なくとも10mg、少なくとも50mg、少なくとも100mgのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩、および少なくとも1mg、少なくとも2mg、少なくとも3mg、少なくとも4mg、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも50mg、少なくとも100mgのピルフェニドンまたはピリドンアナログの用量を送達する。
一形態において、本明細書に記載の治療方法は、患者を治療するために、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を投与する工程を含む方法であって、患者が、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の投与後、肝機能の一つ以上のバイオマーカーにおいて経口投与後にグレード2以上の異常によって示される肝機能の異常を回避する工程を含み、投与は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を1日あたり1056mg未満の用量で、前記患者に投与することからなる。「グレード2の肝機能異常」とは、アラニン・トランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、またはγ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の上昇が正常値の上限(ULN)の2.5倍以上5倍以下であることを指す。グレード2の肝機能異常には、ビリルビン値が1.5倍以上、ULNの3倍以下の上昇も含まれる。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩は、経口吸入または鼻腔内吸入により患者に送達される。1種または2種以上の肝機能のバイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、ビリルビンおよびアルカリホスファターゼからなる群から選択される。本方法はさらに、肝機能の1つ以上のバイオマーカーを測定するステップを含む。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の吸入投与後の血中Cmaxは100.0ng/mL未満である。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の投与後の血中Cmaxは、10.0ng/mL未満、1.0ng/mL未満、0.1ng/mL未満、0.01ng/mL未満である。
本発明のニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の投与方法には、経口投与後に観察される吐き気、下痢、頭痛、足の痛み/痙攣、体液貯留、視覚障害、かゆみを伴う発疹、感染症に対する抵抗力低下、打撲または出血、食欲不振、体重増加、血球数の減少(好中球減少症、血小板減少症、貧血)、頭痛、浮腫、うっ血性心不全の回避を含み、それは、1日あたり100mg未満の用量で、前記患者に吸入されたニンタニブまたはインドリノンまたはその塩を投与することからなる。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩は、経口吸入または鼻腔内吸入により患者に送達される。
本発明の方法は、ニンテダニブまたはその塩の一日最大投与量が1日あたり100mg未満の用量を吸入により患者に送達する工程を含む。いくつかの実施形態では、1日あたり50mg未満、25mg未満、10mg未満、5mg未満、2.5mg未満、1mg未満、0.1mg未満、0.05mg未満、または0.01mg未満、0.005mg未満、0.001mg未満のニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩が、1日あたり1回、1日あたり2回、1日あたり3回、1日あたり4回、1日あたり5回、1日あたり6回、または1日あたり6回、またはそれを上回って吸入することによって患者に送達される。また、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、または週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回、投与し得る。
本発明の方法は、一日最大投与量が1日あたり100mg未満のニンテダニブまたはその塩と、1日あたり100mg未満のピルフェニドンが、吸入により患者に送達されることを含む。いくつかの実施形態では、1日あたり100mg未満、50mg未満、25mg未満、10mg未満、5mg未満、2.5mg未満、1mg未満、0.1mg未満、0.05mg未満、または0.01mg未満、0.005mg未満、0.001mg未満のニンテダニブまたはその塩、および、100mg未満、50mg未満、25mg未満、10mg未満、5mg未満、2.5mg未満、1mg未満のピルフェニドンが、1日あたり1回、1日あたり2回、1日あたり3回、1日あたり4回、1日あたり5回、1日あたり6回、または1日あたり6回を上回って吸入することによって患者に送達される。また、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、または週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回、送達される。
治療方法には、間質性肺疾患を有するか、またはその疑いのある被験者にニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を投与することにより、間質性肺疾患(ILD)を予防する方法が含まれる。間質性肺疾患には、上記以外に、米国胸部学会/欧州呼吸器学会のInternational Multidisciplinary Consensus Classification of the Idiopathic Interstitial Pneumonias.で定義されている特発性間質性肺炎のすべての状態が含まれる。AM. J. Respir. Crit. Care Med. 165, 277−304 (2002) (参照により本文書に組み込まれる)。
治療方法はまた、ILDを有するかまたは有することが疑われる被験者を特定することなどの診断ステップを含み得る。方法はさらに、疾患の程度、疾患の進行度、進行速度、または既存の治療に対する反応に基づいて、特発性肺線維症に下位分類する。エアロゾルのニンタニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物(またはその塩)製剤の送達量は、急性、亜急性、または慢性の症状緩和、線維化の進行の遅延化、線維化進行の停止、線維化損傷の好転、および/またはその後の生存率の増加および/または生活の質の改善を提供するのに十分な量である。
治療方法はまた、心臓、肝臓、腎臓または皮膚において、限定されない例によって、他の組織において線維化を有するかまたはその疑いがある被験者を特定する診断ステップを含み得る。また液体ネブライザー、乾燥粉末または定量噴霧式エアロゾルのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物の治療量は、急性、亜急性、または慢性の症状緩和、線維化の進行の遅延化、線維化進行の停止、線維化損傷の好転、および/またはその後の生存率の増加および/または生活の質の改善を提供するのに十分な量である。
治療方法はまた、多発性硬化症を有するかまたは有する疑いのある被験者を特定する診断ステップを含み得る。液体ネブライザー、乾燥粉末、または定量噴霧式エアロゾルのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を投与する治療方法は、急性、亜急性、または慢性の症状の緩和、脱髄進行の遅延化、脱髄進行の停止、脱髄損傷の好転、および/またはその後の生存率の増加および/または生活の質の改善を提供するのに十分である。
治療処置方法は、治療的に有効なエアロゾル用量を患者に投与する工程を含む。ここで、投与量は、肺および/または標的とされた下流組織において治療効果のある閾値薬物濃度を確立または維持するために計算され、滴定され、または測定される。これは、上皮内膜液(ELF)、喀痰、肺組織、気管支肺胞洗浄液(BAL)中の薬物レベルとして測定され得るか、または薬物動態分析を介した血中濃度の解析によって測定され得る。一実施形態では、動物およびヒトにおける肺線維症およびILD(特発性肺線維症を含む)に関連する炎症の治療のために、高濃度または滴定濃度の薬物曝露を患部組織に直接送達するエアロゾル投与の使用を含む。肺へのエアロゾル投与後に達成される肺ELFのピークレベルは、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩では、0.01mg/mLと約100mg/mLの間、またはニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩では、肺組織に0.1ng/gramと肺組織に約500mcg/gramの間になる。
限定されない例として、好ましい実施形態では、本明細書で提供されるインドリノン誘導体化合物(例えば、ニンテダニブ)は、ミスト、気液懸濁液または液体ネブライザー、乾燥粉末および/または定量噴霧式エアロゾルによる投与を可能にするように処方され、血中および/または肺中に閾値薬物濃度を生成し、維持するための有効濃度または量を供給する。これは、上皮内膜液(ELF)、喀痰、肺組織、気管支肺胞洗浄液(BAL)中の薬物レベルとして測定され得るか、または薬物動態分析を介した血中濃度の解析によって測定され得る。そのインドリノン誘導体化合物は肺血管系に吸収されて、肺外治療法、維持または予防に十分な薬物レベルを産出する。治療処置方法は、心臓線維症、腎臓線維症、肝線維症、心臓または腎臓毒性、または多発性硬化症の治療、維持および/または予防のために、肺血管系およびそれに続く組織および関連する血管系に高濃度の薬物曝露を送達するエアロゾル投与の使用を含むが、これらに限定されない。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を、経口吸入後の肺へエアロゾル投与、または鼻腔内投与後の肺または鼻腔へエアロゾル投与した後に達成される、組織特異的な血漿中濃度(例えば、心臓、腎臓、肝臓)または脳脊髄液濃度(例えば、中枢神経系)のピークレベルは、0.0001mcg/mL〜約50mcg/mLになるであろう。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩が、肺へエアロゾル投与後に達成する肺の湿組織または肺上皮内膜液のピークレベルは、0.004mcg/gram(肺組織または肺上皮内膜液)〜約500mcg/gram(肺組織または肺上皮内膜液)になる。
治療方法は、患者の急性または予防的治療として、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩(またはその塩)の化合物製剤を、非経口または非鼻腔内投与で局所投与をすることで、熱傷部位において閾値の薬物濃度を生成し、維持する方法で、これには、皮膚の瘢痕化の治療または予防のために、高濃度の薬物曝露を患部組織に直接送達するエアロゾル投与の使用を含む。
治療方法は、眼内で閾値薬物濃度を産生し、維持するために、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物製剤を非経口または非鼻腔外用投与することにより、患者を急性または予防的に治療する工程を含む。一実施形態では、緑内障外科手術(例えば、水疱線維症)後の瘢痕化の治療または予防のために、高濃度の薬物曝露を患部組織に直接送達するエアロゾル投与または滴下製剤の使用を含む。例えば、これらおよび関連する実施形態によれば、エアロゾルという用語は、スプレー、ミスト、または他の核形成された液体または乾燥粉末の形態を含み得る。滴下物は、単純な液剤であってもよいし、懸濁液剤であってもよい。
限定されない例として、インドリノン誘導体化合物は、肺の病変部位、肺の病変が疑われる部位、および/または肺血管系への肺の吸収部位において、治療上有効な濃度を、少なくとも約10秒、少なくとも約1分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、または少なくとも約1週間、維持する。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の有効濃度は、治療効果を引き起こすのに十分であり、その効果は、肺の病変部位へのアクセスが局所的または広範であり得る。
肺の部位、鼻腔または副鼻腔などの送達部位に、本明細書で提供されるニンタニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物製剤を、少なくとも約0.0001mg〜約100mgのニンタニブまたはインドリノンまたはその塩の用量を吸入で送達可能にできるように、1回または複数回投与する。この用量には、0.0001、0.001、0.006、0.01、0.02、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、3、4、5、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100ミリグラムなど、ここにあるすべての整数値を含む。
肺部位、鼻腔または副鼻腔などの送達部位に、本明細書で提供されるニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物製剤を、1日あたりの送達用量として少なくとも約0.0001mg〜約100mgのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の用量を達成するように、0.0001、0.001、0.006、0.01、0.02、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、3、4、5、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100ミリグラムなどのすべての整数値を含め、1回または複数回投与を行う。また、本明細書で提供されるピルフェニドンまたはピリドンアナログは、少なくとも約0.0001mg〜約100mgのピルフェニドンまたはピリドンアナログの1日あたりの呼吸可能な送達量を達成するように、0.0001mg〜約100mgまで、0.0001、0.001、0.006、0.01、0.02、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、3、4、5、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200または300ミリグラムなどのすべての整数値を含め、1回または複数回の投与を行う。
ヒトが機械的に換気されている実施形態では、エアロゾル投与は、インライン装置(限定されない例では、Nektar Aeroneb ProまたはPARI eFlowインラインシステム)または液体ネブライザー用の装置を備えた同様のアダプターを使用して実行される。エアロゾル投与はまた、乾燥粉末または定量噴霧式エアロゾルの生成および送達のためのインラインアダプターを使用して実施することができた。
本発明の方法および組合せは、機械的な人工呼吸器を使用してニンタニブまたはインドリノン塩を投与する工程を含む。ここで、インラインネブライザーは、エアロゾルがネブライザーによって生成されるように人工呼吸器の強制空気循環に動作可能に接続され、人工呼吸器の呼吸支援機能が本明細書に記載の本発明の製剤もまた投与できるように、人工呼吸器に接続された患者に投与する工程を含む。本発明の使用に適したインラインネブライザーは、すべての人工呼吸器モデルと互換性があり、本明細書に記載されたネブライザーと実質的に類似した粒子径および粒子分布パラメータを有するエアロゾルミストを生成するために、本明細書に記載された性能パラメータと一致させることができる。インラインネブライザーは一般的に、携帯型ネブライザーについて記載されるように、同等の投与量が送達されるまで連続的に操作される。
あるいは、第1の溶液と第2の溶液との混和物、または好適に配合された乾燥粉末は、患者による吸引または人工呼吸器の経路内の空気の移動によって、混和物が患者の肺内に進む、人工呼吸器が空気循環する時点で注入される。好ましくは、ネブライザーは人工呼吸器の経路内で密閉されることで、追加の空気流が導入されるのを防ぎ、混和剤のエアロゾルミストが人工呼吸器のシステムによって生成された加湿空気と混じり合うのを可能にする。本明細書に記載のシステムにおいて、人工呼吸器の経路を通る空気の移動は、加湿空気と混和剤を含むエアロゾルミストとを組み合わせ、患者の吸気によって、または、混和剤の投与中にネブライザーが間欠的または連続的に動作するような連続的またはプログラムされた送達プロトコルの一部として、誘発され得る。それぞれの場合において、エアロゾルの形成は、混和剤併用の治療において有効な量を患者の肺に送達するのに適切な期間維持される。
製造
製造されたインドリノン誘導体化合物、最も好ましくはニンテダニブのアイソフォーム含有量は、製剤原料および薬物製品の安定性、鼻および/または肺への溶解性(乾燥粉末または懸濁製剤の場合)、忍容性、および作用部位(肺、鼻/鼻腔、または局所組織のいずれであってもよい)のために最適化し得る。
治療上有効な量の吸入剤からなる医薬組成物は、ここで、ニンテダニブまたはその塩であり、ここで、空気動力学的質量中央径が5ミクロン未満、または容積平均径が10ミクロン未満の粒子であり、組成物は、吸入時に、成人ヒト肺組織1グラムあたり約0.0001mgを超える用量のニンテダニブまたはその塩化合物、または成人ヒト肺組織1グラムあたり約0.0001mgのニンテダニブまたはその塩および0.001mgのピルフェニドンまたはピリドンアナログ化合物を肺に送達する。
本明細書に記載の組成物は、還元酸素の条件下で、またはその結果として生じるように製剤化される。いくつかの実施形態では、活性医薬成分の添加に先立って製剤希釈剤を散布することにより、酸素を減少させる。散布ガスは、二酸化炭素、アルゴンまたは窒素からなる群から選択し得る。酸素は、薬効成分添加後の製剤希釈液を散布することで減少する。散布ガスは、二酸化炭素、アルゴンまたは窒素からなる群から選択し得る。酸素への曝露は、製剤容器の周囲ガスのヘッドスペースを不活性ガスに置き換えることにより、酸素への曝露が低減される。不活性ガスは、アルゴンまたは窒素からなる群から選択し得る。
酸素曝露は、第一包装容器の周囲ガスのヘッドスペースを、例えばアルゴンまたは窒素およびそれらの組み合わせからなる群から選択される不活性ガスで置換し、ガス不透過性の第2の包装容器に第1の包装を挿入し、
第2の包装の周囲ガスのヘッドスペースを、例えばアルゴンまたは窒素およびそれらの組み合わせからなる群から選択される不活性ガスで置換することで、酸素曝露が低減する。
所望のニンテダニブ水溶液濃度を達成するために、製造工程を制御して、吸入用の水溶液中で使用するのに適した化合物を合成できるようにする。製造工程は、高温のニンテダニブ水溶液の溶解、続いてオスモル濃度調整剤および/または共溶媒および/または界面活性剤および/または塩の添加、ならびにその後の周囲温度への冷却を含む。この工程では、添加されたオスモル濃度調整剤および/または共溶媒および/または界面活性剤および/または食塩が、冷却工程中に高温で溶解したニンテダニブを、安定した高濃度の周囲温度の製剤を提供する。その工程の温度は、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃またはその他の加圧可能な上昇温度である。その工程は、界面活性剤および/またはオスモル濃度調整剤および/または共溶媒および/または塩を、溶液の冷却に伴って最高温度または徐々に下げた温度で添加する工程を含む。界面活性剤および/またはオスモル濃度調整剤および/または共溶媒および/または塩の添加は、温度を維持している間、または溶液が冷却されている間に、一度に、または徐々に行われる。溶液が最高温度に維持される時間は、0分から24時間である。溶液が最高温度から冷却される時間は、0分から24時間である。製造工程は、遮光され、反応容器のヘッドスペースは、窒素やアルゴンなどの不活性ガスまたはそれらの組み合わせでパージされ得る。別の実施形態では、キットは、それぞれがニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物からなる最終投与溶液に混和される製剤の一部からなる2つの容器と、製剤処方のエアロゾルを生成するための1つのネブライザーを含むものが提供される。
エアロゾル投与
本明細書に開示されるインドリノン誘導体化合物、最も好ましくは、ニンテダニブは治療上有効な用量、例えば、以前に記載された疾患状態の治療を提供するのに十分な用量で投与することができる。例えば、体重70kgのヒトに、ニンテダニブ化合物製剤のエアロゾルを毎日投与する。
本明細書に開示されるインドリノン誘導体化合物、最も好ましくは、ニンテダニブは治療上有効な用量、例えば、以前に記載された疾患状態の治療を提供するのに十分な用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、例えば、70kgのヒトに対するニンテダニブ化合物製剤のニンテダニブのエアロゾルの一日量は、1回の投与で体重1kgあたり約0.000001mg〜約4.5mgのニンテダニブであり得る。投与される活性化合物の量は、もちろん、治療を受ける被験者と病状、苦痛の重症度、投与方法と投与スケジュール、疾患の部位(例えば、鼻内送達または上気道送達、咽頭送達または喉頭送達、気管支送達、肺送達および/またはそれに続く全身または中枢神経系の吸収を伴う肺送達を行うことが望まれるかどうか)、および処方医の判断。例えば、好ましい実施形態において、またはインドリノン誘導体化合物の他の実施形態において、ニンテダニブのエアロゾル投与の可能性のある用量範囲は、1回あたり約0.0001mg〜約10mg、1日あたり約0.0001mg〜約100mgであろう。同様に、ピルフェニドンまたはピリドンアナログが製剤中に含まれる場合、体重70kgのヒトへの1日のエアロゾル投与量は、体重1kgあたり約0.01mg〜約4.5mgのニンテダニブを1回投与し得る。好ましい実施形態において、ニンテダニブと組み合わせたピルフェニドンのエアロゾル投与のために考えられる用量範囲は、1回あたり約2.5mg〜約50mgから、1日あたり約2.5mg〜約300mgであろう。
液体ネブライザー
これまでに、ジェットと超音波の2種類のネブライザーが、1から5ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を生成して送達することができることが示されている。これらの粒子径は、中気道への沈着に最適であることが示されている。しかし、特別に調合された溶液を使用しない限り、これらのネブライザーは、通常、治療効果を得るために十分な量の薬剤を投与するために、より大量の容量が必要になる。ジェットネブライザーは、空気圧で水溶液を分解してエアロゾルの液滴にする。超音波ネブライザーは、圧電性結晶による水溶液の剪断を利用する。しかし、一般的には、ジェットネブライザーは臨床条件下でわずか約10%程度の効率で、超音波ネブライザーはわずか約5%程度の効率である。肺に沈着して吸収される薬剤の量は、このようにネブライザーで注入された大量の薬剤にもかかわらず、10%のうちのほんの一部である。哺乳動物への投与前にネブライザーに入れられる薬物の量は、一般的に「名目上の投与量」または「負荷投与量」と呼ばれる。名目上の投与量を含む溶液の量は「充填量」と呼ばれる。粒子径が小さめ、または吸入速度が遅いと、肺の深部に沈着することができる。中肺および肺胞沈着の両方が、適応症に応じて本発明に要求され得る。例えば、肺線維症に対する中肺および/または肺胞への沈着と全身送達である。ネブライザーを用いた製剤送達のための組成物および方法の例示的な開示は、例えば、US2006/0276483に記載されており、振動メッシュネブライザーを用いたエアロゾル化ミスト送達の技術、プロトコル、および特性化の記述を含む。
従って、振動板と吸気・呼気バルブを流体接触させた液体貯留容器からなる振動式メッシュネブライザーが好んで利用される。一実施形態では、約0.01〜約10mLのニンテダニブ化合物製剤(または別の関連する実施形態では、インドリノン誘導体)をリザーバに入れ、エアロゾル発生器は約1〜約5ミクロンの粒子径の霧状エアロゾルを選択的に生成する。別の実施形態では、ピルフェニドンまたはピリドンアナログが含まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているようなニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物製剤を、液体ネブライザーに入れ、約0.0001mg〜約100mgのニンテダニブ、インドリノン誘導体化合物を約1〜約5ミクロンのMMAD粒子サイズで約0.01mL〜約10mLの投与溶液から送達するための投与量で調製される。別の実施形態では、ピルフェニドンまたはピリドンアナログが含まれ、約2.5mg〜約100mgのピルフェニドンまたはピリドンアナログを送達する。
第1の溶液と第2の溶液を合わせて混和剤を得る方法は、溶液が完全に混合されていることだけが必要である。同様に、水溶液への固体の溶解が提供される場合、溶液は固体と十分に結合し、固体の沈殿物が残らなくなるまで撹拌される。同様に、任意の2つの溶液の組み合わせは、固体の沈殿物が残らなくなるまで撹拌される。ニンタニブまたはインドリノン塩の個々の濃度は、吸入エアロゾルの忍容性を可能にするのに適している多くの透過性イオン種が有効成分と混合できないことが発見されているけれども、溶解性のために本明細書に記載されているように特別に配合されている。
第1の溶液と第2の溶液とを物理的に組み合わせる能力は、第1の溶液を保持する容器または第2の溶液を保持する容器のいずれか一方に、いずれか一方の溶液の容積が、他方の容器の利用可能な容積またはヘッドスペースにより収容してもらえるような追加スペースまたは容積を提供することによって成し得る。追加の容器を使用して、第1の溶液と第2の溶液の混和を可能にするか、または、2つの溶液を単にネブライザのリザーバに直接添加し、リザーバ内で混合することによって、生成された混和剤を使用することができる。ネブライザーのリザーバ内に混和剤を含有させることに関する言及は、ネブライザーのリザーバの内側または外側のいずれかの容器内に、第1の溶液および第2の溶液の混和剤を形成する工程を含む。
マルチコンパートメントの組み合わせの一実施形態では、ブリスターパックのような密封されたコンパートメントを有する容器は、ネブライザーのリザーバ内に個々に配置するために、またはネブライザーのリザーバ内に混和剤を含有するための組み合わせ溶液を有する直前に混和剤への組み合わせのために、第1および第2の溶液を別々の、無菌の、密封された構成で含有する分離されたコンパートメントまたはチャンバを有する容器が使用されている。個々の容器またはマルチユニット容器は、ネブライザーリザーバの注ぎ口その他の流出デザインなどの注入器具を備え、ネブライザーリザーバへの個々の溶液または混和剤をすぐに注入できるように便利な大きさになっている。したがって、容器は、個々の内容物や混和剤を容易に分注できるような形状になっている。例えば、容器の一方の側面がテーパー状であり得る。また、先端部またはテーパー状の端部で密閉された溶液容器を開封した際に、内容物が別の容器に分注可能なテーパー状の部分または領域を有し得る。容器の2つ以上のチャンバは流路によって接続されており、流路は、そこに含まれる第1の溶液を有する一方の容器から、第2の容器に流体を導くように構成されているか、またはその逆で、他方の溶液を有し、2つの溶液の完全な混合を可能にするのに十分な内部ヘッドスペース容積を有している。保管中、個々のコンパートメントは密閉され、閉じられているが、液体溶液の混合を可能にするために、文字通り取り外し可能なバリアを特徴とし得る。同様の構成は、一方の成分が固体粉末または結晶形態であり、水溶液から分離されたもの、特に溶解した透過性イオンを含むものを使用することができる。一般的には、チャネルは、ユーザが実施する前に、2つの溶液が混じり合わないようにシールで閉じられている。本明細書に記載されているように、これは、混和剤の個々の成分が混ぜ合わさったときに不安定であるが、ネブライザー内に入れる直前に混和剤内で混合され得るという理想的な設備である。
別の実施形態では、複数回投与の分離されたコンパートメントネブライザーのために、固体組成物および液体溶媒の両方が、複数の容器内または容器の複数のチャンバ内でマッチした単位用量として提供される。例えば、チャンバが2つある容器は、片方のチャンバに固体組成物の1単位を保持し、もう片方のチャンバに液体の1単位を保持するために使用することができる。本明細書で使用されるように、1単位は、固形組成物中に存在する薬物の量によって定義され、これは1単位用量である。しかし、このようなチャンバが2つある容器もまた、単一の薬物用量のみを含むネブライザーに有利に使用し得る。
分離されたコンパートメントネブライザーの一実施形態では、2つのブリスタータイプの容器を有するブリスターパックが使用され得る。また、ブリスターは、有効成分を含む水溶液を、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化学構造の不安定性を引き起こす他のオスモル濃度調整剤から分離するための容器を表す。ブリスターパックは、ネブライザーがリザーバに、容易に混和剤を分注できる形状であり得る。例えば、パックの片側は、先細りになっていてもよいし、先細りになった端部でブリスターパックを開封した際に、内容物が別の容器に分注できるような先細りの部分または領域を有していてもよい。テーパー状の端部は先端を表していてもよい。
一実施形態では、2つのコンパートメントを有するバイアルまたは容器が使用され、コンパートメントは、エアロゾル化のための最終的な液体組成物の単位用量を調製するために混和された有効成分を含む溶液およびオスモル濃度調整剤を含む溶液を含むためのチャンバを表す。第1の液体組成物および第2の液体組成物は、それぞれ、最終的な液体組成物の単一単位用量を調製するために、好ましくは一致した量で含有される(限定されない例により、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物と、所望の濃度の緩衝剤、透過アニオンまたは他のオスモル濃度調整剤の配合に必要なオスモル濃度調整剤の可溶性が、保存には不安定であるが、すべての成分が投与のために同じ混和剤中に所望される場合)。
2つのコンパートメントは物理的に分離されているが、バイアルまたは容器がチャネルまたは破断可能な障壁によって接続されている場合のように、流体連結の状態にあり、チャネルまたは破断可能な障壁は、投与前に混合を可能にするために、2つのコンパートメント間で流体を導くように構成されている。保管中は、チャネルは、シールまたは破断可能なバリアがそのままの状態で閉じられている。この意味で、シールとは、2つのコンパートメント内の内容物の混合を防止するための構造である。シールは、好ましくは、破断可能または取り外し可能である;ネブライザーが使用されるときにシールを破断または取り除くことで、液体溶媒が他のチャンバに入り、固体組成物の溶解を可能にするか、または2つの液体の場合には、2つの溶液の混合を可能にする。また、容器を振って溶解または混合することにより、溶解または混合の工程を向上させ得る。
高効率液体ネブライザー
高効率液体ネブライザーは、負荷投与量の大部分を患者に送達するのに適した吸入装置である。高効率液体ネブライザーの中には、微細穿孔膜を利用したものもある。高効率液体ネブライザーはまた、1つまたは複数の能動的または受動的に振動する微細穿孔膜を利用する。高効率液体ネブライザーは、1つ以上の揺動膜を含む。高効率液体ネブライザーは、複数の開口部を有する振動メッシュまたはプレート、および任意にエアロゾル混合チャンバを有する振動発生器を含む。混合チャンバは、エアロゾル発生器からのエアロゾルを回収(または分類)するために機能する。吸入バルブはまた、吸入段階中に周囲の空気を混合チャンバへ流入できるようにし、呼気段階中に混合チャンバからのエアロゾルの脱出を防ぐために閉じるように使用される。呼気バルブは、混合チャンバに取り外しできるように取り付けられたマウスピースに配置され、患者が連続的に作動してもよい混合チャンバからのエアロゾルを、吸入用のマウスピースを介して、患者がエアロゾルを吸入する。
高効率液体ネブライザーは、圧縮ガスを必要とせずに液滴のプルームを生成するバルク液体に対して先細りノズルの振動微細穿孔膜を含み得る。これらの設計では、微細穿孔膜ネブライザー内の溶液は、反対側が空気に開放された膜と接触している。膜は、噴霧ヘッドの多数のノズルオリフィスによって穿孔されている。エアロゾルは、膜付近で交番音圧が構築され、膜の液体側の液体がノズルを介して均一なサイズの液滴として放出されることで生成される。
高効率液体ネブライザーの中には、パッシブなノズル膜と、溶液と接触する別個の圧電変換器を使用するものがある。一方で、高効率液体ネブライザーの中には、アクティブなノズル膜を用いるものもある。これはネブライザーの音圧を使用して、ノズル膜の高周波振動を介して溶液の非常に微細な液滴を発生させる。
高効率液体ネブライザーの中には、共振システムを含むものがある。このような高効率液体ネブライザーの中には、膜は、膜の中心での振動運動の振幅が特に大きい周波数によって駆動されるものもあり、その結果、ノズル付近に集中した音圧が得られる;共振周波数は約100kHzであり得る。フレキシブルな取り付けが、噴霧ヘッドの機械的な周囲への振動エネルギーの不要な損失を最小限に抑えるために使用されている。穿孔膜を有する高効率液体ネブライザーのさらなる特徴は、以下の米国特許に開示されている:米国第6,962,151号、第5,152,456号、第5,261,601号、および第5,518,179号、米国第6,983,747号。これらの各号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。高効率液体ネブライザーの他の実施形態は、揺動可能な膜を含む。これらの高効率液体ネブライザーの特徴は、7,252,085;7,059,320;6,983,747に開示されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
市販の高効率液体ネブライザーは、以下から入手可能である:PARI(ドイツ)はeFlow(登録商標)の商品名。Nektar Therapeutics(カリフォルニア州サンカルロス)はAeroNeb(登録商標) GoおよびAeroNeb(登録商標) Pro、AeroNeb(登録商標) Soloの商品名。Philips(オランダ、アムステルダム)はI−Neb(登録商標)の商品名で、Omron(イリノイ州バノックバーン)はMicro−Air(登録商標)の商品名。Activaero(ドイツ)はAkita(登録商標)の商品名.それぞれ販売中である.市販の高効率ネブライザは、OnQ(登録商標)ネブライザ技術を利用したAerogen社(ギャラウェイ、アイルランド)からも入手可能であり、MicroVapor(登録商標)装置のポケットネブ(Pocket Neb)も入手可能。
乾燥粉末吸入器(DPI)
動物の有効性データおよびヒトモデルの相対成長率に基づいて、ヒトのニンテダニブまたはその塩の用量は、約0.04mg〜約2.4mgの間の範囲で低用量であり得ることが観察されている。臨床観察でこれらの低用量が支持される場合、乾燥粉末吸入製剤は、水性ネブライザー製剤に代わる選択された代替品であり得る。
乾燥粉末吸入器のデザインは大きく分けて2種類ある。一つは、薬剤のリザーバが装置内に配置され、患者が吸入チャンバ内に薬剤の用量を追加する計量装置である。もう一つは、個々の投与量が別々の容器に製造された工場で計量された装置である。どちらのシステムも、約1〜約5ミクロンの質量中央径の小さな粒子への薬物の製剤化に依存し、通常、より大きな賦形剤粒子(一般的には直径100ミクロンのラクトース粒子)との合剤を伴う。薬剤の粉末が吸入チャンバに入れられ(装置の計量によって、または工場で計量された投与量の破断によって)、患者の吸気流が装置から口腔内への粉末を加速させる。粉末経路の非層流特性により、賦形剤−薬物の凝集体が分散し、大きな賦形剤粒子の質量が喉の奥に衝突し、小さな薬物粒子は肺の奥に沈着する。
液体ネブライザーやMDIと同様に、ニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体またはその塩の粒子径は、エアロゾル投与のために最適化され得る。粒子径が約5μmMMADよりも大きい場合には、粒子は上部気道に沈着する。エアロゾルの空気力学的粒子径が約1ミクロンよりも小さい場合には、肺胞内に送達され、全身の血液循環に移行する可能性がある。
非限定的な例によって、乾燥粉末吸入器において、本明細書に開示されるニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体またはその塩は、乾燥粉末製剤〜約34mg〜約463mgまで分散して送達するための投与量で調製される。
限定されない例によって、乾燥粉末ニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体またはその塩を、10回以下の吸入呼吸で、または8回以下の吸入呼吸で、または6回以下の吸入呼吸で、または4回以下の吸入呼吸で、または2回以下の吸入呼吸で、記載された呼吸可能な送達量で投与し得る。
いくつかの実施形態では、乾燥粉末吸入器(DPI)を使用して、本明細書に記載のニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体またはその塩を分注する。DPIは、微細な乾燥粒子の形態で薬物を含有する。一般的には、患者による吸入により、乾燥粒子がエアロゾルクラウドを形成し、それが患者の肺に引き込まれる。細かい乾燥薬剤粒子は、当技術分野で公知の任意の方法によって作製され得る。よく知られている技術としては、ジェットミルやその他の粉砕装置の使用、飽和または過飽和溶液からの沈殿、スプレー乾燥、in situ 微粉化(Hovione)、粒子工学(PulmosphereTM,Technosphere(登録商標),PRINT(登録商標))、または超臨界流体法などがある。典型的な粉末製剤としては、球状ペレットまたは接着性混合物の製造などがある。接着性混合物において、薬剤粒子は、直径約50〜約100ミクロンの大きさのラクトース一水和物などの比較的大きい担体粒子に付着する。比較的大きい担体粒子は、担体/薬剤凝集体への付着力を減少させ、薬剤の分散性を向上させる。乱流および/または機械装置が、凝集体をその構成部分に破断する。比較的小さな薬剤粒子は、肺の中へ引き込まれ、一方比較的大きな担体粒子は口腔または咽喉に沈着する。接着性混合物の一部の例は、米国特許第5478578号および国際公開第95/11666号、国際公開第87/05213号、国際公開第96/23485号、および国際公開第97/03649号に記載され、それらは全て参照により全体的に本明細書に組み込まれる。追加的賦形剤が薬剤物質と一緒に含まれ得る。あるいは、比較的大きな担体粒子を必要とせずに薬剤を送達するために多孔質粒子を使用し得る。このような多孔質粒子は、PulmosphereTMまたはTechnosphere(登録商標)技術を用いて製造することができる。また、PRINT(登録商標)技術を用いて特定の形状とサイズの薬剤粒子を作製することで、分散力を低減し、担体賦形剤を使用せずに薬剤粒子を送達することが可能となる。
3つの一般的なタイプのDPIがあり、これらはすべて、本明細書に記載されたニンテダニブもしくはその塩、またはインドリノン誘導体もしくはその塩の化合物と一緒に使用され得る。単回投与DPIにおいて、乾燥薬剤物質/賦形剤の1回用量を含むカプセルが吸入器に装填される。作動すると、カプセルは破損し、乾燥粉末が分散し、乾燥粉末吸入器を使用して吸入されるようにする。追加の用量を分配するために、古いカプセルは除去され、追加のカプセルが装填されなければならない。単回投与DPIの例は、米国特許第3807400号;米国特許第3906950号;米国特許第3991761号;および米国特許第4013075号に記載され、それらは全て参照により全体的に本明細書に組み込まれる。複数回投与DPIにおいて、複数の単回投与コンパートメントを含む包装が提供される。例えば、この包装は、各ブリスターのコンパートメントが1回用量を含むブリスター包装から構成され得る。各用量は、ブリスターコンパートメントの破損の後で分配することができる。包装におけるコンパートメントのいくつかの配列のいずれも使用できる。例えば、回転式または帯状の配列が通常である。多回投与DPIの例は、欧州特許出願公開第0211595A2号、欧州特許出願公開第0455463A1号、および欧州特許出願公開第0467172A1号に記載され、それらは全て参照により全体的に本明細書に組み込まれる。多回投与DPIにおいて、乾燥粉末の単一リザーバが使用される。米国特許第5829434号;米国特許第5437270号;米国特許第2587215号;米国特許第5113855号;米国特許第5840279号;米国特許第4688218号;米国特許第4667668号;米国特許第5033463号;および米国特許第4805811号ならびにPCT公開国際公開第92/09322号に記載されるように、リザーバから単回用量を計量し、エアロゾル化し、吸入する機構が提供される。
一部の実施形態において、患者の吸入に加えて、または患者の吸入以外の補助エネルギーをDPIの操作を容易にするために供給し得る。例えば、全て参照により全体的に本明細書に組み込まれる、米国特許第3906950号;米国特許第5113855号;米国特許第5388572号;米国特許第6029662号ならびにPCT公開国際公開第93/12831号、国際公開第90/07351号および国際公開第99/62495号に記載されているように、加圧空気を粉末の脱凝集における補助のために供給し得る。全て参照により全体的に本明細書に組み込まれる、米国特許第3948264号;米国特許第3971377号;米国特許第4147166号;米国特許第6006747号およびPCT公開国際公開第98/03217号に記載されているように、電気駆動羽根車もまた提供し得る。もう1つの機構は、参照により全体的に本明細書に組み込まれる、PCT公開国際公開第90/13327号に記載されているように、電動タッピングピストンである。他のDPIは、双方が参照により全体的に本明細書に組み込まれる、米国特許第5694920号および米国特許第6026809号に記載されているように、振動器を使用する。。最後に、参照により全体的に本明細書に組み込まれる、PCT公開国際公開第93/24165号に記載されているように、スクレーパーシステムを使用し得る。
本明細書において使用のためのDPIのさらなる例は、米国特許第4811731号;米国特許第5113855号;米国特許第5840279号;米国特許第3507277号;米国特許第3669113号;米国特許第3635219号;米国特許第3991761号;米国特許第4353365号;米国特許第4889144号;米国特許第4907538号;米国特許第5829434号;米国特許第6681768号;米国特許第6561186号;米国特許第5918594号;米国特許第6003512号;米国特許第5775320号;米国特許第5740794号;および米国特許第6626173号に記載され、それらは全て参照により全体的に本明細書に組み込まれる。
一部の実施形態において、全て参照により全体的に本明細書に組み込まれる、米国特許第4470412号;米国特許第4790305号;米国特許第4926852号;米国特許第5012803号;米国特許第5040527号;米国特許第5024467号;米国特許第5816240号;米国特許第5027806号;および米国特許第6026807号に記載されるように、患者によって吸収される薬剤物質の量を増加させるために、スペーサーまたはチャンバを本明細書に記載される任意の吸入器と一緒に使用し得る。例えば、スペーサーは、エアロゾル発生の時間からエアロゾルが患者の口腔に入る時間を遅らせ得る。このような遅延は、患者の吸入とエアロゾル発生の間の同期を改善し得る。全て参照により全体的に本明細書に組み込まれる、米国特許第4809692号;米国特許第4832015号;米国特許第5012804号;米国特許第5427089号;米国特許第5645049号;および米国特許第5988160号に記載されるように、慣用的なマウスピースを使用するのが困難な幼児または他の患者のためにマスクを組み込み得る。
乾燥粉末の脱凝集およびエアロゾル化が関与する乾燥粉末吸入器(DPI)は、通常、薬剤用量を送達する装置を通して引き込まれる呼気の破裂に頼っている。例えば、吸引段階および注入段階を有する空気粉末排出器を対象とする米国特許第4807814号;軸方向空気流管を有する手持ち式の粉末ディスペンサについて記載するSU628930(要約);ベンチュリ制限の上流に軸方向空気入口管を有するベンチュリ排出装置について記載する、Fox et al., Powder and Bulk Engineering、33〜36(1988年3月);折り畳み霧箱を有する手持ち式粉末ディスペンサについて記載する欧州特許第347779号、および薬剤用の乾燥粉末送達装置を対象とする米国特許第5785049号に記載されている。
本明細書に記載されているニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体またはその塩の製剤で使用することができるカプセルベースまたはブリスターパックベースの乾燥粉末吸入器の商業的な例は、Aerohaler、Aerolizer、Aspirair、Breezehaler、Diskhaler Forspiro、Gyrohaler、Plastiaphe Monodose、Podhaler、Prohaler、Redihaler、Rotahaler、Turbohaler、Handihalerand Discusが含まれる。多回投与容器の装置としては、E Flex、Jethaler、NEXThaler、Novolizer、PADD、Pulmojet、Spiromax、Swinghaler、TurbuhalerおよびUltrahalerが挙げられる。
薬物動態
エアロゾル化されたニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物の吸入療法は、徐放性または有効な成分を気道(鼻腔内または肺)に直接沈着させ、沈着部位での治療的作用または血管吸収部位のすぐ下流領域への全身吸収を可能にする。中枢神経系(CNS)沈着の場合、鼻腔内吸入エアロゾルの送達は、CNSコンパートメントの直接上流にニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物を沈着させる。
上述の鼻内および肺内への適用と同様に、気道外の臓器の治療または予防には、これらの呼吸器外部位への輸送のために全身血管部門への吸収が必要である。心臓、肝臓および腎臓に関連する線維性または炎症性の疾患を治療または予防する場合には、気道、より具体的には肺深部の薬剤の沈着により、これらの臓器に直接アクセスできるようになり、左心房を通して頸動脈または冠動脈のいずれかに吸収される。同様に、中枢神経系(CNS)障害(例えば、多発性硬化症)を治療する場合、気道(上記で定義されたように)または鼻腔内への薬物の沈着、より具体的には、脳およびCNSへ直ちにアクセスするために、鼻腔から鼻毛細血管床への吸収が行われる。この直接送達により、高濃度のニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物の直接投与が可能となり、不必要な全身曝露が起こらない。同様に、この経路では、これらの適応症のためのレベルでの用量滴定が可能になる。
薬物動態学は、薬物の取り込み、分布、代謝、排泄に関するものである。薬物動態プロファイルは、薬物の吸収、分布、代謝および排泄を測定するように設計された、1つ以上の生物学的測定値からなる。薬物動態プロファイルを視覚化する一つの方法は、血漿中濃度曲線を用いたものであり、Y軸に平均有効成分血漿中濃度を、X軸に時間(通常は時単位)を表したグラフである。血漿中濃度曲線によって可視化され得るいくつかの薬物動態パラメータには、以下の項目が含まれる:
1)Cmax:患者の血漿中濃度の最大値:
2)AUC:曲線下面積
3)TOE:暴露時間
4)T1/2:患者の体内に入った薬剤量が半分に減るまでに要する時間
5)Tmax:患者の血漿中濃度が最大値になるまでに要する時間
薬物動態(PK)は、ニンテダニブやインドリノン誘導体化合物の体内における濃度の時間経過に関連している。薬力学(PD)は、in vivoにおける薬物動態と有効性の関係に関連している。PK/PDパラメータは、治療薬への曝露と有効作用の相関関係を示す。したがって、様々な作用機序の治療薬の有効性を予測するために、様々なPK/PDパラメータを使用し得る。
本明細書で使用されるように、薬剤のin vivo濃度の「ピーク時間」は、薬剤濃度がその血漿または疾患部位の最大濃度の50%以上である場合の薬剤投与間隔のその時間として定義される。「ピーク時間」は、ニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物の投与の間隔を表すために使用される。肺疾患の治療を考慮する場合、本明細書に記載の方法またはシステムは、肺疾患の治療のための薬物動態学的プロファイルを少なくとも2倍強化する。本明細書に記載の方法およびシステムは、経口投与と比較して、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物の肺組織の薬物動態プロファイルを少なくとも2倍強化する。
吸入によりヒトに投与されるニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物の量は、尿中に存在するニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物および関連代謝物の量を測定することにより算出し得る。投与されたニンタニブの約80%は尿中に排泄される。尿中の化合物および代謝物に基づく計算は、ヒトに投与されたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物の総量が、測定されたニンテダニブおよびその代謝物の合計となるように、(単回投与後)48時間尿を採取することによって行い得る。限定されない例として、ニンテダニブの80%が排泄されることを知っていれば、ニンテダニブとその代謝物の尿中測定値の合計が50mgの場合は、約63mg(50mgを80%で割った値)の送達量に換算される。吸入されたエアロゾル微粒子画分(FPF)が75%の場合、薬剤の約75%が肺に沈着した(そして約25%が飲み込まれ、その後腸から吸収され、80%が尿中に排泄された)と仮定し得る。これら2つの計算をまとめると、送達量63mg(尿中排泄物で測定)のうち、約47mgが肺に送達された吸入エアゾールニンテダニブの量となる(実際のRDD;63mgと75%のFPFの積として計算される)。そうすると、このRDDは、肺組織濃度を含む様々な計算に使用することができる。
哺乳動物に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の単回吸入投与後に得られる肺組織Cmaxおよび/またはAUCは、吸入投与量の約80%〜約120%で単回経口投与後に得られる、ニンテダニブまたはインドリノンたはその塩の肺組織Cmaxおよび/またはAUCとほぼ同じかまたはそれよりも大きく、および/または、哺乳動物にニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の単回吸入投与後に得られる血漿Cmaxおよび/またはAUCは、吸入投与量の約80%〜約120%の用量で単回経口投与後に得られるニンテダニブまたはインドリノンたはその塩の血漿Cmaxおよび/またはAUCよりも少ない。哺乳動物に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を単回吸入投与後に得られる肺組織Cmaxは、吸入投与量の約80%〜約120%の用量でニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の単回経口投与後に得られる肺組織Cmaxよりも大きい。哺乳動物に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を単回吸入投与後に得られる肺組織AUCは、吸入投与量の約80%〜約120%の用量で、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の単回経口投与後に得られる肺組織AUCよりも大きい。哺乳動物に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を単回吸入投与後に得られる血漿Cmaxは、吸入投与量の約80%〜約120%の用量でニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の単回経口投与後に得られる血漿Cmaxよりも小さい。哺乳動物に、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を単回吸入投与後に得られる血漿AUCは、吸入投与量の約80%〜約120%の用量でニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の単回経口投与後に得られる血漿AUCよりも小さい。
一形態において、本明細書に記載されている方法は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物の肺組織Cmaxを達成するもので、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の経口投与が肺組織Cmax200mg以下であるのに対して、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍である。その方法は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなる水溶液を噴霧化し、その噴霧化された水溶液をヒトに投与することからなる。本明細書に記載されている方法は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の経口投与量の最大200mgの肺組織Cmaxより大きいニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物の肺組織Cmaxを達成する方法で、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなる水溶液を噴霧化し、その噴霧化された水溶液をヒトに投与することからなる。
一形態において、本明細書に記載の方法は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を用いて肺組織AUC0−24を達成する方法で、最大200mgまでの経口投与量の肺組織AUC0−24の、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも1.5〜20倍、少なくとも1.5〜15倍、少なくとも1.5〜10倍、少なくとも1.5〜5倍、または少なくとも1.5〜3倍である。その方法は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなる水溶液を噴霧化し、その噴霧化水溶液をヒトに投与することからなる。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物の肺組織AUC0−24の達成は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の最大600mgの経口投与量の肺組織AUC0−24と同等またはそれ以上にする方法であって、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩からなる水溶液を噴霧化し、噴霧化水溶液をヒトに投与することからなる。
方法は、ヒトにニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を投与する方法を含み、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を含む噴霧化水溶液を投与することからなり、噴霧化水溶液で達成される肺組織Cmaxが少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、経口投与されたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩で達成される肺組織Cmaxが、ネブライザーで投与されるニンテダニブの投与量の80%から120%である用量で達成される。
この方法は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩をヒトに投与することであり、ここで、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を含む噴霧化された水溶液を投与することからなる。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の噴霧化溶液により達成される肺組織Cmaxは、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩をその投与量の80%から120%の用量で経口投与した場合に達成される肺組織Cmaxと少なくとも同等またはそれ以上である。
この方法は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩をヒトに投与することであり、ここで、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を含む噴霧化された水溶液を投与することからなる。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の噴霧化溶液により達成される血漿AUC0−24は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩をその投与量の80%から120%の用量で経口投与した場合に達成されるAUC0−24より小さい。
方法は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を投与する方法を含み、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を含む噴霧化水溶液を投与することからなり、噴霧化水溶液で達成される肺組織AUC0−24が少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、経口投与されたニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩で達成される肺組織AUC0−24が、ネブライザーで投与されるニンテダニブの投与量の80%から120%である用量で達成される。この方法は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩をヒトに投与することであり、ここで、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩を含む噴霧化された水溶液を投与することからなる。ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の噴霧化溶液により達成される肺組織AUC0−24は、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩をその投与量の80%から120%の用量で経口投与した場合に達成される肺組織AUC0−24の少なくとも1.5倍である。
方法には、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の単回経口投与後にヒトで得られる薬物動態プロファイルを改善する方法を含む。単回経口投与量は、最大約200mgのニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩で構成される。薬物動態プロファイルを改善する方法はさらに、吸入投与後の薬物動態パラメータを経口投与後に得られる同じパラメータと比較することからなり、投与量、投与経路、有効な医薬成分の形態、および本明細書に記載されているような他のパラメータによって変化する単一の患者の薬物動態パラメータを比較するために、時間をかけて複数回の測定を必要とする場合がある。薬物動態学的プロファイルの長期的な改善は、本明細書に記載されているようなニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の水溶液を吸入により反復かつ頻繁に投与することによって得られる。吸入によるニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の反復投与はより頻繁な肺の直接曝露を提供することになり、高いCmaxレベルを繰り返すことによってヒトに利益をもたらす。吸入によるニンタニブまたはインドリノンまたはその塩の用量は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日おき、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1週間に7回、またはそれらの任意の組み合わせで投与される。
気管内エアロゾルの少量投与は、高い肺Cmaxと低いAUCを急速に除去できる。ヒト、動物、およびin vitroでの研究はすべて、ニンテダニブの有効性が用量に反応すること(すなわち、より多くの用量が有効性の改善に相関すること)を示しており、Cmaxがニンテダニブの有効性の重要な要素であることを示唆している 肺Cmaxは有効性に重要であると思われるが、この効果を高めるには、より定期的なニンテダニブの曝露が重要である。ヒトにおける肺疾患の治療に照らして、ニンテダニブまたはインドリノンまたはその塩の化合物のより頻繁な直接肺投与は、高Cmaxで繰り返し投与することと有効治療薬のより規則的な曝露の両方を提供することによって利益を提供し得る。
治療方法は、哺乳動物の肺疾患を治療するための方法であって、必要としている哺乳動物の肺に直接ニンテダニブもしくはその塩、またはインドリノン誘導体化合物もしくはその塩を連続投与スケジュールで投与する方法を含む。ニンテダニブまたはインドリノン誘導体またはその塩の投与量の観察された肺組織のCmaxは、0.1、1.0、10、100、または1000ng/mLの肺上皮被覆液より大きい。ニンテダニブまたはその塩、またはインドリノン誘導体化合物またはその塩の投与による観察された肺組織のCmaxは、10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、750、または1000mcg/mLの肺上皮被覆液より大きい。
投与方法と治療計画
用語「連続投与スケジュール」とは、特定の治療薬を一定の間隔で投与することを意味する。連続投与スケジュールとは、特定の治療薬を一定の間隔で投与し、その特定の治療薬を休薬することなく投与することをいう。連続投与スケジュールとは、特定の治療薬を、特定の治療薬からのドラッグホリデー(例えば、ウォッシュアウト期間)を経て、交互に投与することをいう。例えば、いくつかの実施形態では、治療剤は、1日1回、1日2回、1日3回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1週間に7回、1日おき、3日おき、4日おきに投与、1週間毎日投与後、次の1週間は休薬、2週間毎日投与後、次の1、または2週間は休薬、3週間毎日投与後、次の1,2,または3週間は休薬、4週間毎日投与後、次の1、2、3、または4週間は休薬。1週間に1回投与後、次の1週間は休薬、または2週間に1回投与後、次の2週間は休薬する。[毎週休みがあっても「連続投与のスケジュール」になるのか?]
ニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物として1日1回投与する。いくつかの他の実施形態では、ニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物として1日2回投与する。いくつかの他の実施形態では、ニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物の量は、1日に3回投与される。
ヒトにおける疾患または状態の改善が観察されない場合には、ニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物の1日投与量を増加させ、例えば、1日1回の投与スケジュールを1日2回の投与スケジュールに変更する。ニンテダニブまたはインドリノン誘導体化合物の投与量を増やすために、1日3回の投与スケジュールが採用されている。より定期的に高いCmaxレベルを繰り返し提供するために、吸入による投与の回数を増やす。ニンテダニブの維持またはより定期的な曝露を提供するために、吸入による投与の頻度を増加させる。また、より定期的に高いCmaxレベルを繰り返し提供するために、かつニンテダニブの維持またはより定期的な曝露を提供するために、吸入による投与の頻度を増加させる。
ヒトに投与する有効な治療剤の、より定期的な曝露を提供するための、高いCmaxの反復投与の量は、疾患または病状および疾患の重症度、ならびにヒトの同一性(例えば、体重)、および投与される特定の追加の治療剤(該当する場合)などの要因に依存して変化するが、これらに限定されない。
実施例1.化合物スクリーニングのプラットフォーム。
本明細書に記載された有効成分の各々は、本明細書に記載された目的のための有用性に影響を及ぼさない軽度の化学構造的修飾または代替分子化合物の影響を受けやすい。以下の記載は、ニンテダニブの塩によって例示されるが、ニンテダニブまたは他のインドリノンの代替形態は、以下のようにして有効性をスクリーニングすることができる。
ラットおよびヒト由来の肺組織を断片的に切断し、抗生物質/抗真菌剤およびLG DMEM 10%FBS 1%P/S培地を含むポリスチレンシャーレの上に置いた。細胞を、適切な数の細胞が利用可能になるまで、LG DMEM 10%FBS 1%P/S培地中で拡大させる。すべての実験は、10代継代の前に行う。拡大したラットおよびヒト肺線維芽細胞をトリプシン化し、カバースリップ、接着因子、培地を含む6ウェルプレートにプレートし、一晩培養する。培養後、培地を1%FBS LG DMEMに変更する。線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化レビュー:小さな分化およびまたは増殖が、2.5〜10ng/mL活性腫瘍成長因子β1(TGF−β1)で誘導される。分化した筋線維芽細胞の出現の動態は、TGF−β1誘導後12時間、24時間、36時間、48時間、72時間培養で細胞を評価することによって測定される。各細胞の条件は3回に分けて実施する。各時点で、細胞に対してパラホルムアルデヒドを用いて固定し、F−アクチン、DAPI、およびα−SMA(筋線維芽細胞形成)を染色した。増殖は顕微鏡的に定量化される。この方法は、肺動脈平滑筋細胞などの差分細胞株を採用してもよく、および/または、血小板由来成長因子(PDGF)などの他のサイトカインによって誘導し得る。免疫組織化学で細胞を処理した後、細胞はオリンパス1X−81蛍光顕微鏡を用いて画像化され、Metamorph Premierソフトウェアを用いて分析される。
線維芽細胞の増殖、分化および/またはコラーゲン産生に対する標的化合物の効果を評価するために、TGFβ、PDGFまたは他の誘導サイトカインの添加の前または後に、潜在的な治療薬を同時に添加し得る。潜在的な治療剤の限定されない例には、本明細書に記載されたすべてのものが含まれる。さらに、薬物のin vivo薬物動態プロファイルを模倣するために、潜在的な治療薬の追加が行われることがある。例えば、肺適応の経口投与薬は、特徴的な血管吸収相および肺吸収相、Cmax、Tmax、AUCおよび排泄半減期を有するであろう。比較のために、吸入された薬剤は、経口経路とは異なる薬物動態特性を示し得る。例えば、吸入は、より高い肺Cmax、より迅速な肺Tmax、より高い肺AUCを提供し、肺から迅速に除去され、および/またはより少ない残留薬物にいたる場合がある。限定されない例によって、本明細書に記載のアッセイを採用するために、吸入エアロゾル送達のために検討されている経口薬物は、その薬物の実際のまたは推定の経口薬物動態プロファイルを使用して、TGF−β(または他のサイトカイン)の存在下で、線維芽細胞または他の細胞型に曝露され得る。別々に、または並行して、ウェルの別のセットで、その薬剤の実際のまたは推定の吸入薬物動態プロファイルを使用して、TGF−β(または他のサイトカイン)の存在下で同じ細胞型を露出させる。これは、時間経過に伴う希釈または潜在的な治療薬の添加によって達成され得る。さらに、このアッセイは、反復的なTGF−βまたは他のサイトカイン曝露および/または治療計画(例えば、1日1回、1日2回または1日3回)を模倣して、これが薬物の抗増殖性、抗分化性、抗コラーゲン産生および/または他の測定可能なエンドポイントに及ぼす影響を評価するために使用することができる。限定されない例により、線維芽細胞の活性化、増殖および/または筋線維芽細胞の分化およびコラーゲン産生のマーカーは、α−SMA、SMAD、GAPDH、HSP47、プロコラーゲン、小胞体非折り返しタンパク質応答(UPR、例えば、GRP78)のマーカー、および多くの他のものを含むことができる。これらの成分の検出は、ウェスタンおよびノーザンブロット分析、顕微鏡検査、リン酸化シグナル伝達、遺伝子およびタンパク質アレイ技術、およびメタゲノム解析によって行い得る。
線維芽細胞の増殖、分化および筋線維芽細胞のコラージュ産生を阻害する有効成分の個々の形態を特定することに加えて、このアッセイはまた、有効成分と異なる塩の形態の組み合わせの効果を評価するために使用し得る。さらに、いくつかの有効成分製剤を介して、異なる標的を有し、これおよびこのアッセイのバリエーションは、線維化形成および線維化性疾患、梗塞形成および/または梗塞関連転移プロセスにおける異なる標的の役割を詳細に分析するために使用され得る。
実施例2.PDGF−誘発性線維芽細胞増殖
PDGF誘発性線維芽細胞増殖の抑制に対するニンテダニブの影響をヒト初代線維芽細胞において決定した。簡潔に言うと、線維芽細胞は、1%Pen/Strepと10%FBS F12/DMEMメディア中の96ウェルフラットクリアボトムファルコンプレート中の2,500細胞/ウェルで播種した。これらの細胞を摂氏37度の培養器(5%CO2)中に24時間放置し、細胞をプレートに付着させた。次いで、メディアを除去し、PBSで洗浄し、0.5%FBS F12/DMEMメディアを1%Pen/Strepでさらに24時間放置した。増殖抑制に対する各薬剤の曝露時間の影響を特徴づけるために、細胞を薬剤(0.5〜50nM)の有無にかかわらず30分間前処理し、洗浄した後、0.5%FBS F12/DMEM培地に1%Pen/Strep +/−20ng/mL PDGF−BBを添加した(肺吸入薬物動態を模倣した短時間の薬物曝露)、または0.5%FBS F12/DMEM培地に1%Pen/Strep +/−20ng/mL PDGF−BBと初期薬物濃度を添加した(経口薬物動態を模倣した長時間の薬物曝露)のいずれかで置換した。72時間後の生存細胞に、MTSアッセイを用いて評価した。試験した薬物濃度は細胞毒性を示さなかった(データは示されていない)。
表1の結果から、ニンテダニブはPDGF誘導性線維芽細胞増殖抑制に用量反応性があることが明らかになった。また、このデータは、約3nM(約1.6ng/mL)の50%阻害濃度(IC50)で、この活性に必要なのは短期的なニンテダニブ曝露のみであることを示している。
実施例3.塩スクリーニングによるニンテダニブの判断
XRPD分析は、PANanalytical X’pert proを用いて、3〜35°2θの間で試料を走査して行った。材料を穏やかに圧縮し、サンプルを支持するためにカプトンまたはマイラーポリマーフィルムを用いてマルチウェルプレートに装填した。次いで、マルチウェルプレートを回折計に入れ、40kV/40mA発生器の設定を用いて、透過モード(ステップサイズ0.0130°2θ)で走行するCu K放射(α1λ=1.54060Å;α2=1.54443Å;β=1.39225Å;α1:α2比=0.5)を用いて分析した。
偏光顕微鏡法(PLM).結晶性(複屈折)の有無は、Moticカメラと画像取り込みソフト(Motic Images Plus 2.0)を装備したオリンパスBX50偏光顕微鏡を用いて判定した。特に記載がない限り、すべての画像は20倍対物レンズを使用して記録された。
熱重量分析(TGA).約5mgの材料をアルミ製のオープンパンに秤量し、熱重量/示差熱同時測定装置(TG/DTA)に装填し、室温で保持した。その後、サンプルを20℃から300℃まで10℃/分の速度で加熱し、その間にサンプル重量の変化を微分熱イベント(DTA)とともに記録した。パージガスとして窒素を使用し、流量300cm3/分で行った。
示差走査熱量測定(DSC).約5mgの材料をアルミ製のDSCパンに計量し、アルミ製の蓋に穴を開けて非密閉状態で密封した。次に、サンプルパンをセイコーDSC6200(冷却器付)に装填し、20℃に冷却して保持した。安定した熱流応答が得られた後、試料とリファレンスをスキャンレート10℃/分で275℃に加熱し、その結果の熱流応答をモニターした。パージガスとして窒素を使用し、流量50cm3/分で行った。
赤外分光法(IR)は、Bruker ALPHA P分光計で実施した。分光計のプレートの中央に十分な材料を置き、以下のパラメータを用いてスペクトルを得た。解像度:4cm−1;背景スキャン時間:16スキャン;サンプルスキャン時間。16スキャン;データ収集:4000〜400cm−1;結果スペクトル。トランスミッタンスソフトウェア:OPUSバージョン6
核磁気共鳴(NMR).NMR実験は、プロトンに対して500.12MHzで動作するDCH凍結探針を搭載したBruker AVIIIHD分光器を用いて行った。実験は重水素化DMSOで行い、各サンプルは約10mMの濃度に調製した。
動的蒸気吸収(DVS).約10mgの試料をメッシュ状の蒸気吸収の天秤パンに入れ、Surface Measurement Systems製の動的蒸気吸収の天秤DVS−1またはDVSアドバンテージに装填した。試料は、40〜90%の相対湿度(RH)から10%刻みで傾斜プロファイルにさらされ、25℃で安定した重量が達成されるまで各ステップで試料を維持した(dm/dt 0.004%、最小ステップ長30分、最大ステップ長500分)。収着サイクル終了後、サンプルを同様の手順で0%RHまで乾燥させ、その後40%RHに戻して2回目の吸収サイクルを行った。2サイクル行った。また、収着/脱着サイクル中の重量変化をプロットすることで、試料の吸湿性を知ることができる。その後、保持されている任意の固体についてXRPD分析を実施した。
高速液体クロマトグラフィー−紫外線検出(HPLC−UV):機器:Dionex Ultimate 3000;カラム:Acquity CSH C18 100mmx2.1mm 1.7μm;カラム温度:50°C;オートサンプラ温度:周囲;UV波長:210nm;注入量:4μL;流量:0.6mL/min;移動相A:0.1%水中のギ酸;移動相B:0.1%アセトニトリル中のギ酸。HPLC法では、表2の勾配を使用した。
質量分析:機器:Agilent 1100を使用したLCQイオントラップ質量分析計;カラム。ACE Excel 3 C18、3.0μm、75mm×4.6mm;移動相A。0.1%脱イオン水中のギ酸;移動相B:0.1%アセトニトリル中のギ酸;希釈剤:アセトニトリル:水50:50;流量:1.0mL/min;実行時間:20分;カラム温度:30°C;注入量:10μL;PDA範囲:190−400nm;スキャン:+ve 100.0−2000.0m/z,−ve 100.0−2000.0m/z.MS法では、表3の勾配を使用した。
初期特性評価:ニンテダニブは、XRPD、PLM、TG/DTA、DSC、DVS、NMR、UPLCおよびHPLC−MSによって特徴付けられた。
pkaの測定は、メタノールを共溶媒として用いた紫外線三重滴定法と、メタノールを共溶媒として用いた三重滴定法によるpH測定法を用いて行った。
溶媒溶解性:約10mgのニンテダニブを24本のバイアルに秤量し、溶解が観察されるか、または100体積の溶媒が添加されるまで、既知の量の適切な溶媒のアリコート(50μL)を添加した。各添加の間に、混合物の溶解を確認し、溶解が見られない場合には、混合物を約40℃に加熱し、再度確認した。物質が溶解した試料は、蒸発させるためにそのままにしておいた。蒸発試料から生成された固形物は、多形状を評価するためにXRPDで分析した。
溶媒溶解度スクリーニングで使用された溶媒系は、対応するICHクラスと共に、表4に詳述される。
第一次塩スクリーニング.表で示される17のカウンターイオンが、塩スクリーニングに選択され、ピルフェニドンもスクリーニングされ、ニンテダニブのみを用いた対照実験が行われた。表で示される溶媒系が、塩スクリーニングに選択された。スルホン酸については、任意の潜在的な遺伝毒性不純物を避けるために、メタノールの代わりにMEKを使用し、IPA:水の代わりにアセトン:水50:50(v/v)を使用した。ニンテダニブ約40mgを300μLの溶媒中にスラリー化し、1.05当量の酸と混合し、割り当てられた溶媒200〜300μLに溶解/スラリー化した。酸が選択された溶媒に不溶である場合には、スラリーを使用した。酸が液体の場合は、割り当てられた溶媒中の原液から原薬スラリーに添加した。API/カウンターイオン/溶媒の混合物を、周囲温度と40℃の間で、約3日間、4時間サイクルで温度サイクルを行った。存在するすべての固体は分離され、XRPDで分析する前に、約30分間、周囲の条件で乾燥させた。溶液が得られた場合には、それらを蒸発させて固形物を得た。十分な材料が得られたすべての潜在的な塩をXRPD、TG/DTA、NMRで分析し、40℃/75%RHで約72時間保存した後、XRPDで再分析した。
初期特性評価.受け取った物質(バッチ:FM341441402 5g)は、以下のような結果が得られ、特徴づけられた:XRPD分析では、ニンテダニブは結晶性であり、パターン1と呼ばれる;PLM分析では、様々なサイズの複屈折性の板状粒子を示した;TGAでは約25から120℃の間で1.41%の質量減少を示した。この質量の損失は、未結合の溶媒の損失の結果である可能性が高い。DTAのトレースでは、融解によるものと思われる約254℃程度の発熱を示す1回の吸熱を示した。DSC分析では、パターン1が1回の融解を伴う純粋な形態であることを示した;DVS分析では、ニンテダニブはわずかに吸湿性があり、90%RHで約1.7%の質量吸収率を示した。その動態では再結晶化は見られなかったが、2サイクル目ではバランスが悪くなっていることが指摘された。DVS後もパターン1のままで、約12.7°のピークの2θが観察された。また、ピークは一般的にシャープになることも観察された;1H−NMR分光法はニンテダニブの構造に対応しており、HPLCの平均純度は99.9%であった;LC−MS分析では、正イオン化モードを用いて540.3m/z([M+H]+)を測定し、期待される質量539.636Daと一致した。
溶媒溶解度のスクリーニング.溶媒溶解度スクリーニングの結果を表7に示す。溶媒系24種のうち2種については、17mg/mL以上の溶解度が観察された。実験の大部分は10mg/mL未満の溶解度を示し、ほとんどの単離された固体は遊離塩基のパターン1を生成した。また、遊離塩基の新パターンも2種類生成された。パターン2はDCMとTHFから、パターン3はDMAから観察された。
第一次塩スクリーニング.第一次塩スクリーニングの結果を表8に示す。17個の対イオンのうち15個について潜在的な塩が観察された。ニンテダニブのフリーベースパターンは、ピルフェニドンの実験で得られたものであり、塩や共結晶の形成は成功していないことが示された。
潜在的な塩を40℃/75%RHで約3日間保存し、XRPDで分析した結果を表9にまとめた。
第二次塩酸塩のスクリーニング:
XRPD分析では、塩酸塩のパターン1は、72時間の温度サイクルと24時間の追加の温度サイクルで、アセトン中で再スラリー化した後、うまくスケールアップされているように見えた。[ここで結論は可能なのか?]第一次スクリーンからの混合物中の他の形態は、塩酸塩を5gスケールで調製したときに生成した形態であるように見える。
スラリー後の最初の回折像では、遊離塩基の存在が確認された。サイクリング中に溶媒の蒸発が発生したため、72時間後に再スラリー化し、それにより塩形成が完了したことを確認した。PLMの分析では、複屈折を有する形態が明確に判明できない粒子が偏光下で観察された。TGAは、約25から60℃の間に4.41%の重量損失を示し(一水和物からの水分の損失に加え、表面結合水分の損失の可能性があるため)、約175から250℃の間にさらに4.03%の損失を示した(分解に関連する可能性がある)。DTAは、これらの質量および分解の損失に関連して、それぞれ約50℃,183℃および273℃の発症を伴う吸熱を示した。一水和物である可能性が高い。一次スクリーニングでは、初期の体重減少はわずか2.3%で、追加的な減少は0.7%であったが、一次スクリーニングでは約183℃程度の吸熱は観察されなかった。
DVS分析の結果、入力物質は約5.4%(水を含む可能性が高い)を含み、1サイクル目の90%RHで約2.2%の取り込みを示し、塩酸塩は吸湿性を有していることがわかった − 10%RH以下で約4%の水が失われたことから、材料は一水和物であると考えられる。試料は、第二の収着ステップで再水和し、さらに表面に結合したと思われる水分を取り込んだ。分析中に再結晶化の証拠は観察されなかった。DVS後のXRPD分析では、塩酸塩は変化していないことが示された。
NMR分析の結果、塩は一次スクリーニングと一致し、0.04eqのアセトンが観察され、遊離塩基と広水ピークと比較してピークシフトが観察され、塩の形成を示した。
対イオン含有量のCAD分析では、塩化物1.35eq.を測定した。これは、物質が単塩であることを示している。水和された形態は、検出された塩化物の回収率をわずかに増加させる。
FT−IRでは構造が一致しているように見えた。40°C/75%RH、80°Cおよび周囲光下での7日間の安定性試験では、塩はパターン1のままであることが示された。1週間保存したところ、温度や湿度の変化に対して物理的に安定していた。これらの物質の純度は、表10に示すように変化しなかった。
表11に不均化/水和実験の測定pH値を示す。アセトン:水の試料は24時間後に溶液になることが観察され、水中の不均化試料は、わずかに濁った溶液になる結果、大部分が溶解していることが観察された。水およびアセトン/水の混合物への溶解度が高いため、水和や不均化に関するXRPDデータは得られなかった。
二次リン酸塩スクリーニング
リン酸塩のスケールアップの試みは、24時間の熱サイクルの後、ほとんどが遊離塩基を生成するように思われた。72時間スラリー化すると、遊離塩基および未知のパターンを含むパターンが得られた。熱サイクル後の溶媒の蒸発が観察された。パターン2の再現性の欠如が溶解性の問題であり得るため、物質をさらに24時間、より多くの溶媒中で再スラリー化した。パターン2は生成されず、生成された回折像には遊離塩基のピークがいくつか見えた。完全な塩形成を確実になるように、またそれ故遊離塩基の存在を排除するために、さらに酸0.5equiv.を添加した。パターン2は再生成されなかった。追加のピークが4、5、6°2θで観察されたが、これは遊離塩基に起因するものではなかった。得られた物質をパターン3とした。
得られた物質をパターン3とし、偏光下で複屈折を観察した結果、微小な凝集粒子がPLMで見られた。
TGAでは、約25から60℃の間で1.26%の損失を示したが、これは溶媒が結合していない可能性が高く、約60から200℃の間で2.70%の損失を示したが、これは溶媒が結合している可能性が高い。パターン3はおそらく水和型である。観察された吸熱は約32℃で,(最初の体重減少に関連して)、分解時に複数の事象が観察された。
DVS分析の結果、投入物質には約4.1%の水分が含まれており、90%RHではさらに約10.6%の水分が投入物質から取り込まれていることがわかった。10.6%の水を90%RHで取り込み、リン酸塩は吸湿性があることを示している。分析中に再結晶化の証拠は観察されなかった。DVS XRPD分析後では、リン酸塩は同様のパターンを生成するが、結晶化度は低下することが示された。
1H NMR分析は、塩が一次スクリーニングと一致することを示し、0.7eq.のアセトンが観察され、塩形成は、遊離塩基と比較してピークの変化によって示された。31P NMR分析の結果、この塩はビスリン酸塩であることがわかった。
FT−IRでは構造が一致しているように見えた。
XRPD分析の結果、リン酸塩は80℃の環境下で保存した後もパターン3のままであることがわかった。40℃/75%RHで保存すると、新たに結晶性の悪いパターンが生成した−パターン4。これらの物質の純度分析(表は、40℃/75%RHおよび周囲温度ではわずかに低下し、80℃ではわずかに大きく低下したが、有意な純度低下は認められなかったことを示している)。
表に不均化/水和実験の測定pH値を示す。0.3と0.6awの試料はほとんどが溶解しており、24時間後にはわずかに濁った溶液となり、0.9と1awの試料は薄いスラリーとなっていた。
二次臭化水素塩スクリーニング
XRPD分析により、臭化水素塩のパターン1は72時間の温度サイクル後にスケールアップに成功したように見えた。
PLM分析では、偏光下で複屈折が観察され、形態が明確に定義されていない粒子を示した。
TGAは約25から180℃の間に0.1%の重量減少を示したが、これは非結合性のアセトンが失われたためであろう。DTAは融解に起因する約263℃の吸熱を示した。一次スクリーニングでは0.81%の初期重量減少が観察されたが、一次スクリーニングの試料は真空下で乾燥しなかった。
DSC分析では、融解に起因する約260℃の吸熱を示した。
DVS分析の結果、投入物質には約1.0%(の水らしきもの)が含まれており、90%RHでは約4.5%の水分が投入物質から取り込まれていることが、最初のサイクルで観察され、塩酸塩は吸湿性があることを示している。分析中に再結晶化の証拠は観察されなかった。DVS後のXRPD分析では、臭化水素塩は変化していないことが示された。
NMR分析により、この塩は一次スクリーニングと一致することが示された。試料中には約0.04eq.のアセトンが観察された。また、遊離塩基と比較して、水の幅広いピークとともにピークシフトが観察され、いずれも塩の形成を示唆するものであった。
対イオン含有量のCAD分析では、臭化物を測定した。
FT−IRでは構造が一致しているように見えた。
7日間の安定性試験では、80℃と周囲光でパターン1を維持し、40℃/75%RHでパターン1とパターン4の混合物であることが示された。
これらの物質の純度は、周囲光で保存された試料以外は変化しなかった(表に示すように)。観察された純度の低下は0.5%であった。
表に不均化/水和実験の測定pH値を示す。塩は0.3Awでパターン1だけ残った。新しいパターン6、7は、生成の高い水分活性条件のため、水和されている可能性が高い。
塩酸塩およびリン酸塩の水への溶解度評価.20mgの塩に1.8mLの脱イオン水を加えた後、塩酸塩の溶解度は約11mg/mLであった。表で見られるように、pH測定については、時間の経過とともにpH値がかなり一定に保たれていることが観察された。リン酸塩は2mLの水を加えても溶解せず、溶解度は10mg/mL未満であった。約6時間および18時間撹拌した後、pHを再測定した。HCl試料は溶液のままであり、リン酸塩はスラリーであった。
一次スクリーニング試料の水溶解度測定.水溶解度の測定結果を表17に示す。
水のpH調整.2mg/mLのニンテダニブのスラリー塩酸試料の冷却時のpHは4.76であり、ろ過した試料の濃度はHPLCで1.7mg/mLであった。
1.7mg/mLのニンテダニブで調製した塩酸塩溶液について、ろ過前のpHは4.75、ろ過後のpHは4.88であった。
pHを調整した結果を表に示す。1週間後、試料は透明なままであることが観察された。
表はHBr水滴定の場合、および5gバッチを用いたHCl水滴定の場合表0.5mg/mLの結果を示す。いずれの試料も、1週間後に溶液中に残っていることが観察された。
クエン酸塩緩衝液製剤.塩酸塩をpH4.75のクエン酸緩衝液中に1.7mg/mL以下の濃度で可溶化する試みは達成できなかった(ニンテダニブ)。緩衝液に塩のアリコートを(攪拌しながら)添加した場合、常温で30分間攪拌しても完全な溶解は観察されなかった。
HBrとHClの塩をpH4.8の緩衝液に約0.5mg/mLで可溶化する試みも達成できなかった(ニンテダニブ)。pHの測定値を表21に示す。
0.5mg/mL溶解度評価.表22は、ろ過した場合とろ過しない場合の実験の結果を示す。ろ過した試料の濃度が、ろ過しない試料に比べてHBr塩は94%、HCl塩は99%であった。その結果、不溶性成分は未反応の遊離塩基である可能性が高く、塩類に比べて水への溶解度が低いように見えた。
得られたニンテダニブの遊離塩基は結晶性であり、融点は約253℃であり、HPLCではわずかに吸湿性があり、純度は99.9%であった。ニンテダニブ遊離塩基の溶解度は、24の溶媒系のうち2つの溶媒系で17mg/mL以上であり、試験した溶媒系の大部分は溶解度が低かった。
塩の形成は、一次スクリーニングで試験した17個のカウンターイオンのうち15個で達成できた。一次スクリーニングで生成された、達成した塩から、パターン1の塩をアセトン中で500mgスケールでスケールアップした。しかし、追加のデータを収集していくうちに、パターン1は2つの形態の混合物である可能性があることが明らかになった。2つの形態のうちの最初のものは、HCl塩の初期スケールアップで生成され、一水和物であることが判明した。2つの形態のうち第2は、物質をスケールアップして5gのHCl塩を製造したときに生成された。この物質は、熱データに基づいて潜在的に無水状態であることが判明した。リン酸塩のパターン2は調製できなかったが、代わりにパターン3のビスリン酸塩を製造し、特徴付けを行った。HBr塩のパターン1を500mgスケールで再現することに成功した。HCl塩の一水和形態は、熱的特性がリン酸塩よりも良好であり、吸湿性がリン酸塩よりも有意に低く、安定性試験の下で変化しないことから、リン酸塩より発展させることができることがわかった。一般に、HBr塩のパターン1は、吸湿性が低いことを主因にリン酸塩に比べてり発展させることができることがわかったが、HCl塩の一水和形態は、安定性が高いことからHBr塩に比べてより発展させることができることがわかった。パターン1の塩を製造する試みも5gスケールで調製したが、これは潜在的に無水物をもたらした。HCl塩の多形性の研究に加えて、推奨される更なる作業は、所望の水溶解度とクエン酸緩衝液の安定性を持つ他の適切な塩を見つけるために、より多くの潜在的に適切な塩の完全な特性評価を含むだろう。さらなる分析のために考慮され得る潜在的な塩は、フマル酸塩パターン1、酒石酸塩パターン1およびクエン酸塩パターン1である。3つのニンテダニブ塩の形態の要約を以下の表23に記載する。
25C/60%RHおよび40C/75%RHにおけるニンテダニブHBrおよびニンテダニブHCl塩の固体状態及び化学的安定性を6か月間試験した。HCl塩のパターン1とHBr塩のパターン1を試験した。表24および表25に、HClおよびHBr塩の両方の形態について、不純物総量(HPLCによる)、多形(粉末X線回折による)、および適用可能な場合には重量損失(TGA/DSCによる)をまとめた。いずれの塩の形態も、いずれの保存条件においても、6か月間の全不純物の変化は無視できる程度であった。HCl塩の形態はいずれの保存条件でも6ヶ月間パターン1のままであったが、40C/75%RH条件で保存したHBr塩は徐々にパターン4に変化していった。25C/60%RH条件で保存した両塩型では、多形の変化は見られなかった。
ニンテダニブHBr塩のプロセス開発は、プロセスの再現性を評価し、プロセスの最適化を図るために、実験室スケール(25g以下)で様々な条件で実施された。表26に、得られたニンテダニブHBr多形と、それぞれの見かけ上の溶解度を示す。この過程で、新たな多形が同定された(パターンX)
表27は、ニンテダニブHBr塩のパターン1、3、4、XとニンテダニブHCl塩のパターン1の特徴的なピーク(2θとピーク相対強度)を示す。
パターン4とパターンXの様々なpH値での溶解度を紫外可視分光光度法で測定した。過剰のパターン4およびパターンXのHBr塩を蒸留水に添加し、高速でボルテックスし、1N HClまたは1N NaOHを添加してpHを目標値に調整した。試験溶液をマグネットかくはん機で48時間以上混合し、0.22μmナイロン膜シリンジフィルターでろ過し、390nmのUV/VIS分光光度計で分析した。表28は、パターン4およびパターンXの溶解度をpHの関数として示している。両方の多形相の溶解度は、pHの上昇とともに低下する。両方の多形相は、類似の溶解度プロファイルを有する。
蒸留水に過剰のニンテダニブHBrを添加し、高速でボルテックスし、5℃の冷蔵庫、22℃の周囲室温、40℃の安定性チャンバで48時間以上保持することにより、ニンテダニブHBrパターン4およびパターンXの温度−溶解性プロファイルを決定した。この間、定期的に試料を取り出し、ボルテックス処理を行い、保管状態に戻した。培養期間の終わりに、試験溶液を0.22μmナイロン膜シリンジフィルターでろ過し、UV/VIS分光光度計(390nm)で薬物濃度を分析した。表29に、両方の塩形態の溶解度を温度の関数としてまとめた。両方の多形相の溶解度は、温度の上昇とともに上昇する。両方の多形相は、類似の溶解度プロファイルを有する。
ニンテダニブ塩基をニンテダニブ臭化水素酸塩、XRPDパターン4に塩析する工程は、以下の通りである。リストされた容量は、比例して拡大縮小され得る。フラスコにメチル(Z)−3−(((4−(N−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)アセタミド)フェニル)アミノ)(フェニル)メチレン)−2−オキソインドリン−6−カルボキシレート(10g、18.53mmol)を充填する。20℃でアセトン(90ml、9vol)および水(40ml、4vol)をフラスコに充填し、混合物を撹拌する(200rpm)。混合物をグリコール槽中で50℃に加熱する。HBr(48%aq.、2.2ml、19.31mmol)を1つの部分に入れた。この溶液を第2のフラスコにろ過し、1℃/分の速度で約33℃まで冷却し、その間に約5%のXRPDパターン4シードをゆっくりと添加した。約33℃で、残りのシードを添加して、さらに1時間、温度を保つ。その後、混合物は、線形の冷却プロファイルで約33℃から3時間かけて0℃まで冷却される。次に、この混合物を0℃で1時間撹拌する。固形物は、焼結漏斗でろ過して分離する。単離された固体をアセトン(2×20ml、2×2vol)で洗浄してから、5分間真空乾燥する。この固体を真空オーブン中で一晩乾燥させると(40℃、16〜18時間)、ニンテダニブ臭化水素酸塩、XRPDパターン4を得る。
ニンテダニブ塩基をニンテダニブ臭化水素酸塩、XRPDパターンXに塩析する工程は、以下の通りである。リストされた量は、比例して拡大縮小され得る。フラスコにメチル(Z)−3−(((4−(N−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)アセタミド)フェニル)アミノ)(フェニル)メチレン)−2−オキソインドリン−6−カルボキシレート(10g、18.53mmol)を充填する。20℃でアセトン(90ml、9vol)および水(40ml、4vol)をフラスコに充填し、混合物を撹拌する(200rpm)。混合物をグリコール槽中で50℃に加熱する。HBr(48%aq.、2.2ml、19.31mmol)を1つの部分に入れた。この溶液を第2のフラスコにろ過し、1℃/分の速度で約33℃まで冷却し、その間に約5%のXRPDパターンXシードをゆっくりと添加した。約33℃で、残りのシードを添加して、さらに1時間、温度を保つ。その後、混合物は、線形の冷却プロファイルで約33℃から3時間かけて0℃まで冷却される。次に、この混合物を0℃で1時間撹拌する。固形物は、焼結漏斗でろ過して分離する。単離された固体をアセトン(2×20ml、2×2vol)で洗浄してから、5分間真空乾燥する。この固体を真空オーブン中で一晩乾燥させると(40℃、16〜18時間)、ニンテダニブ臭化水素酸塩、XRPDパターンXを得る。
実施例4:製剤
実施例5.ニンテダニブ液体製剤
これらの研究の目的は、以下の要件を有するネブライザー用のスタンドアロン型のニンテダニブエシレート製剤および固定した用量のニンテダニブエシレート/ピルフェニドン併用製剤の製剤化の実現可能性を決定することである。
−適正な長期の安定性および貯蔵寿命(室温で2年以上
−経口吸入のために適切:
−少なくとも30mMの透過性イオン(塩素または臭素イオン)からなる許容される味覚
−50mOsm/kg〜600mOsm/kgの範囲の浸透圧で製剤化される
−pH3〜7.0
スタンドアロン型のニンテダニブエシレートおよびピルフェニドンとの併用のスクリーニングが行われた。塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウムを含む一般的に使用されるイオン性オスモル濃度調整剤は、賦形剤として評価された。加えて、イオン性オスモル濃度調整剤であるマンニトールおよびプロピレングリコールも試験された。
ニンテダニブエシレートは1.5mg/mLまたは3.0mg/mLのいずれかの濃度で水中に溶解され、その中に他の賦形剤が添加された。得られた溶液は、直ちに沈殿しなかった場合、透明なタイプIガラスバイアルの中へと充填され、そしてテフロン(登録商標)で内張りされたゴムストッパーおよびアルミニウム製クリンプカップを用いて密封された。試験溶液は、周囲室内条件で暗所に保管された。外観を24時間以内に定期的に評価し、またその後は定期的に評価した。表31は、初期の製剤スクリーニング結果を要約する。
製剤スクリーニングからの主要な研究結果:ニンテダニブエシレートはクエン酸ナトリウムの添加後直ちに沈殿するため、ニンテダニブエシレートは、クエン酸ナトリウムと不適合である(製剤101−01−07−03)。ニンテダニブエシレートは、塩化ナトリウムの添加のすぐ後に沈殿するので、ニンテダニブエシレートは塩化ナトリウムとは60mM以上では不適合である(製剤10−01、10−02、および08−04)。NaClをこの濃度で含有する2つの製剤は、沈殿せず(4か月後でさえも)、またそれらの沈殿はNaClの添加の直後には生じないので、ニンテダニブエシレートは、塩化ナトリウムと30mMで適合であり得る。製剤101−01−12−01および101−01−14−01は、その両方が非イオン性賦形剤を含有するニンテダニブエシレート/ピルフェニドン併用製剤であり、これらは透明な黄色の溶液のままであり、沈殿しない(少なくとも4か月の間溶液のままである)。
スクリーニングされた16個の製剤のうち、2個の製剤(両方ともニンテダニブエシレートおよびピルフェニドンを含有している)のみが、物理的に安定している。この研究が実施された時、当初以下の理由が明らかではなかった:(1)スタンドアロン型ニンテダニブエシレート製剤(101−01−11−04および101−01−13−05)は沈殿し、一方でニンテダニブエシレート/ピルフェニドンの併用製剤101−01−12−01および101−01−14−01(これらはそれぞれのスタンドアロン型ニンテダニブエシレート製剤と同様の組成物を有する)は安定したままであり、また(2)なぜすべてのニンテダニブエシレート/ピルフェニドン併用製剤(例えば、101−01−08−03)が安定ではないのか。
したがって、ニンテダニブエシレートの様々な賦形剤との適合性への洞察を得るために、3階層薬剤賦形剤研究が実施された。階層1:ニンテダニブエシレートの1つの賦形剤との適合性(ニンテダニブエシレート+賦形剤)。階層2:ニンテダニブエシレートおよびピルフェニドンの1つの賦形剤との適合性(ニンテダニブエシレート+ピルフェニドン+賦形剤)。階層3:スタンドアロン型ニンテダニブエシレートまたは30mMのNaCl中のピルフェニドンとの併用の1つの他のオスモル濃度調整剤との適合性(ニンテダニブエシレート+30mM NaCl+賦形剤、またはニンテダニブエシレート+ピルフェニドン+30mM NaCl+賦形剤)。
階層1:ニンテダニブエシレート−賦形剤適合性研究。注記されているところを除いて、すべての試験溶液は、1.5mg/mLのニンテダニブエシレートを用いて製剤化された。賦形剤の濃度を表32に示す。試験溶液101−01−16−00は、0.22マイクロメートルのPVDFフィルターを通してろ過し、その他のすべての製剤はろ過しなかった。試験溶液は、10mLの透明なタイプIのガラスバイアルの中へと充填され、そしてテフロン(登録商標)で内張りされたゴムストッパーおよびアルミニウムクリンプカップを用いて密封された。
主要な研究結果:ニンテダニブエシレート対照溶液101−01−05−01は、透明なホウケイ酸ガラスバイアル内で沈殿した。沈殿は、ガラスバイアルの壁の上で最初に観察され、ニンテダニブエシレートが透明なホウケイ酸ガラスバイアルと適合しないことを表した。0.22μm pvdfフィルターを通してろ過したニンテダニブエシレート対照溶液101−01−05−01は、ろ過の直後に沈殿し、乳白色の黄色がかった緑色の懸濁液を形成した。これは、ニンテダニブエシレートがPVDF膜フィルターと適合しないことを示す。ピルフェニドンを含有するニンテダニブエシレート溶液は(101−01−15−08および−09)、4か月間室温にて溶液形態のままであり、ピルフェニドンがニンテダニブエシレートに対して安定化効果を有することを再確認する。マンニトールは、ニンテダニブエシレートに対する安定化効果を有し、またプロピレングリコールおよびエタノールもまたある程度有する。
階層2:ニンテダニブ−ピルフェニドン−賦形剤適合性研究注記されているところを除いて、すべての製剤は、1.5mg/mLのニンテダニブエシレートおよび12.5mg/mLのピルフェニドンを用いて製剤化された。使用された賦形剤の濃度を表33に示す。0.22マイクロメートルのPVDFフィルターを通してろ過された製剤101−01−16−02を除いて、その他のすべての製剤はろ過しなかった。すべての製剤は、テフロン(登録商標)で内張りされたゴムストッパーおよびアルミニウムクリンプカップを用いて密封された10mLの透明なタイプIのガラスバイアル内に保管された。
主要な研究結果:ニンテダニブエシレートプラスピルフェニドン対照溶液101−01−16−01は、4か月間を通して沈殿がなく、ピルフェニドンが溶液中のニンテダニブエシレートに対して安定化効果を有することを確認した。ニンテダニブエシレートは、ピルフェニドンの存在下であってさえも、PVDFフィルター(101−01−16−02)と不適合であり、階層1の試験でなされた観察を確認した。マンニトール、プロピレングリコール、およびエタノールは、ニンテダニブの安定性に悪影響を及ぼさなかった(101−01−16−06〜−08)。
階層3:ニンテダニブエシレートおよびニンテダニブエシレートプラスピルフェニドン対照の、塩化ナトリウムおよび第2の賦形剤との適合性が評価された。具体的には、ニンテダニブエシレートおよびニンテダニブエシレートプラスピルフェニドンの、30mMにおける塩化ナトリウムおよび別の賦形剤との適合性が、30mMの最低濃度において評価された(許容される忍容性を達成するために気道に適正な透過性イオン濃度を提供するために)。浸透圧を許容される範囲(200〜400mOsm/kg)に調整するために第2の賦形剤(マンニトール、プロピレングリコール、エタノール)が使用された。ニンテダニブエシレートは、1.5mg/mLで試験され、またピルフェニドンは、適用可能な場合、12.5mg/mLであった。試験溶液は、テフロン(登録商標)で内張りされたゴムストッパーおよびアルミニウムのクリンプカップがついた10mLの透明なタイプIのガラスバイアルの中へと充填され、そして周囲室内条件で光を避けて保管された。結果を表34に示す。
主要な研究結果:ニンテダニブエシレートは単独では、30mMのNaCl中で安定ではない(101−01−17−02〜−06)。ピルフェニドンの、プロピレングリコールまたはエタノールのいずれかとの併用では、ピルフェニドンは30mMの塩化ナトリウム溶液中に製剤化されたニンテダニブエシレートを安定化することができる(101−01−17−07および−08)。
ニンテダニブエシレートの、容器システムおよび膜フィルターのタイプとの適合性:この研究の目的は、低密度ポリエチレン(LDPE)バイアルおよびナイロンフィルターの、スタンドアロン型のニンテダニブエシレートおよびニンテダニブエシレートプラスピルフェニドンの併用製剤との使用に対する適性を判定することである。使用される試験溶液の組成物、ろ過プロセス、および容器のタイプを表35にリストする。試験試料は、周囲室内条件で保管されそして沈殿または結晶化について定期的にチェックした。
主要な研究結果:透明なホウケイ酸ガラスバイアルは、ニンテダニブエシレートとともに使用するのには、0.5mg/mLの低いニンテダニブエシレート濃度でさえも適していない(101−01−23−03 and −04)。LDPEバイアルは、ニンテダニブエシレートおよび1.5%のプロピレングリコール中のニンテダニブエシレート溶液とともに使用するのに適している。(101−01−24−−05および−05、101−01−27−02および−03).ピルフェニドンが不在ではニンテダニブエシレートは、使用される容器タイプおよび濾過材料に関わらず、NaCl(30mMにおける)と不適合である(101−01−21−01〜−04、101−21−05および−06、101−01−27−03)。ピルフェニドンはプロピレングリコールと組み合わせて、30mM NaCl溶液中のニンテダニブエシレートを安定化させた。この製剤は、ガラスバイアルおよびプラスチックバイアルの両方の中に充填することができる(101−01−22−01〜−04)。
HBrおよびHCl塩−フィルター適合性研究:この研究は、HBrおよびHCl塩の様々な膜フィルターとの適合性を評価するために行われた。ニンテダニブ塩は、3%PG溶液中に溶解され、次いでナイロン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のいずれかの0.22μmの膜フィルターを通して、透明なホウケイ酸ガラスバイアルの中へと濾過された。ガラスバイアルは、周囲室内条件で保管され、そして外観を定期的に検査した。表36は、試験試料の様々な時点における外観を示す。ナイロンフィルターを通して濾過されたHCl試料、ならびにナイロンフィルターおよびPTFEフィルターの両方を通して濾過されたニンテダニブHBrは、1か月を通して外見に変化を呈しなかった。PESを通して濾過されたHClおよびHBr試料は、周囲室内条件において2週間後に軽度の沈殿を示した。PVDFフィルターを通して濾過された両方の塩の試料は、濾過のすぐ後に沈殿し、HCl塩を有するものはより多く沈殿した。
製剤スクリーニングおよび適合性研究の概要:ニンテダニブエシレートは、スタンドアロン型のすぐに使用できる製剤としては、NaCl(またはMgCl2もしくはNaBr)とともに製剤化することはできない。使用時にニンテダニブエシレートを1.5%プロピレングリコール(浸透圧の調節のため)中に通常の生理食塩水(透過性イオンの必要とされる濃度を得るため)とともに混和することは、忍容性を達成する必要があり、一方でその貯蔵寿命を通してニンテダニブエシレート溶液の物理的な安定性を維持する。PVDFフィルターおよび透明なホウケイ酸ガラスバイアルは、スタンドアロン型のニンテダニブエシレート製剤(すなわち、ピルフェニドンを有しない)と不適合であり、一方でナイロンフィルターおよびLDPEバイアルは、スタンドアロン型のニンテダニブエシレート製剤およびニンテダニブエシレートプラスピルフェニドン併用製剤の両方と適合する。ピルフェニドンおよび、ある程度まではプロピレングリコールと、マンニトールと、エタノールとは、ニンテダニブエシレートに対する安定化効果を有し、許容される浸透圧および可能なpHを有するすぐに使用できる併用製剤のニンテダニブエシレートプラスピルフェニドンを可能にする。
ニンテダニブエシレートスタンドアロン型製剤:吸入用のスタンドアロン型ニンテダニブエシレート製剤については、1.875mg/mLのニンテダニブエシレートの溶液、1.875%のプロピレングリコール溶液が製剤化され、かつ長期保存のためにLDPEバイアル内にパッケージ化される。使用時に、この製剤は、通常の生理食塩水溶液と4:1の比率で混合され得る。他の用途では、この混合は、約1:10〜約10:1の範囲であってもよい。混和製剤は、1.5mg/mLのニンテダニブエシレート、1.5%のプロピレングリコール、および30mMのNaClを有する。この混和された製剤の浸透圧は200〜350mOsm/kgの範囲であり、pHは3〜7の範囲である。この製剤アプローチは、使用時に(1)ニンテダニブエシレート溶液が適正な保存貯蔵寿命を有し、かつ(2)通常の生理食塩水との混合に伴い、混和した製剤が適正な忍容性(許容されるpHおよび浸透圧の視点から)を確実に有するために取られ、1時間から2時間の時間枠内で使用することができる。
提案されたニンテダニブエシレートプレミックス溶液および混和溶液の組成は、表37にリストされる。
代替的に、ニンテダニブ塩は、すぐに使用できる製剤になるように製剤化されてもよく、追加的な透過性イオンの不在では、プロピレングリコールが十分な浸透圧を提供する。しかしながら、透過性イオンの添加が不在では忍容性は限定される。こうした製剤が、表38に記述され、かつ動物実験に使用される。
ニンテダニブ塩プラスピルフェニドン併用製剤:上記に要約された製剤スクリーニングおよびニンテダニブエシレート適合性研究の結果に基づき、許容される貯蔵寿命を有する、すぐに使用できるニンテダニブエシレートプラスピルフェニドン併用製剤を製剤化することができる。このすぐに使用できる併用製剤は、その製剤組成ならびに予想されるpHおよび浸透圧に基づいて吸入のために忍容可能である。ニンテダニブエシレートプラスピルフェニドンの提案されているすぐに使用できる併用製剤の組成および重要な属性を、表39に示す。
表39は、2つのすぐに使用できる製剤を記述する。併用製剤は、透過性イオン(この場合、NaClから提供される塩化物)を含有し、一方で単剤ニンテダニブ製剤は含有しない。透過性イオンは、忍容性のために必要とされる。したがって、単剤のニンテダニブ製剤は透過性イオンが不在でも安定であるが、十分に忍容ではない。
実施例6.ニンテダニブエシレート製剤の安定性
使用時に生理食塩水溶液と混和するニンテダニブエシレート製剤を製剤化することの実現可能性が評価された。プレミックスニンテダニブ製剤は、周囲室温条件および加速された保存条件(40℃/75%RH)で少なくとも3か月間安定である。生理食塩水を用いて混和されたニンテダニブエシレート製剤の溶液は、少なくとも4時間の間使用のために安定である。
すぐに使用できる併用製剤およびピルフェニドン(混和せず)は、周囲室温条件および加速された保存条件で、少なくとも3か月の間安定である。
上記の結果は、ニンテダニブエシレートが、すぐに使用できる形態または使用時に生理食塩水を用いて混和するためのいずれでも、吸入溶液として製剤化するために適していることを実証した。
実施例7. ニンテダニブ塩製剤の製剤開発と安定性
ニンテダニブHBrもニンテダニブHClも、NaClとは30mM以上の濃度では適合しない。ニンテダニブHCl自体は10mMのNaClと適合しないが、グリシンまたはリジン/N−アセチルシステイン緩衝剤とともに製剤化されたとき適合性になり、グリシンおよびリジン/N−アセチルシステインは、安定剤として作用して、NaClの存在下でニンテダニブHClを安定化する場合がある。白色の沈殿を当初は形成しなかった1.5mg/mLのニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClを含有するすべての製剤は、6か月以内に透明な結晶を形成し、ニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClが1.5mg/mLの濃度で飽和したことを表した。
上記の研究結果に基づいて、ニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClを長期の安定性の目的で最適化するためにさらなる研究が行われた。考慮された賦形剤は、オスモル濃度調整剤としてのPGと、pH緩衝剤としてのフマル酸、グリシン、トリス、マレイン酸、リンゴ酸、HCl、およびNaOHである。NaClは、ニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClの安定性に対するその効果に起因して含まれていない。これらの製剤は、最適な忍容性を達成するために、使用時に生理食塩水溶液と混和することができる。
上記のように、オスモル濃度調整剤は、糖類、アルコール類、無機塩類、アミノ酸類、酸/塩基類およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1種または2種以上の賦形剤から構成される。個々には、糖類は、グルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、マンノース、トレハロースおよびキシロースから選択することができるが、これらに限定されない。アルコール類としては、エリスリトール、グリセロール、イノシトール、マルチトール、マンニトール、メントール、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、トレイトール、プロピレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。無機塩としては、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。.アミノ酸としては、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リジン、プロリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。最後に、酸および塩基としては、ホウ酸、酢酸、臭化水素、塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
1.44mg/mL以上のニンテダニブHBrおよびHCl濃度は、経時的に針様の結晶を形成した。沈殿した試料の50℃での加熱は、結晶を再溶解し、沈殿がニンテダニブHBrまたはニンテダニブHClの過飽和および再結晶化に起因することを表した。1.38mg/mL以下の濃度のニンテダニブHBrまたはニンテダニブHClを用いて調製された製剤は、再結晶化を示さず、1.38mg/mLが濃度の上限であることを示唆する。
ニンテダニブエシレートのように、ニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClは、PG、グリシン、ピルフェニドン、および水と適合する。さらに、ニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClは、グリシン、リジン/N−アセチルシステイン、マレイン酸塩、およびトリスとも適合する。ニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClは、クエン酸、フマル酸と不適合であり、またリンゴ酸と限られた適合性(pH依存)を有する。一方で、単独で2週間以内に周囲室温において白色の凝集を形成するグリシンは、ニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClによって安定化される。およそ2か月を通して試験されたニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClを含有する製剤では、グリシンは凝集を形成しなかった。
上記にリストした製剤のほとんどが直接的なネブライゼーションに適しているが(pH 3〜8、浸透圧150〜500)、透過性イオン(Cl−またはBr−)が不在、または低濃度であることに起因して、ある特定の患者には過敏が見られる。ニンテダニブエシレートの場合と同様に、許容される使用時の安定性(混合後2時間以上)を依然として維持する一方で、最適な気道忍容性を達成するために、ニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClは、10mMの、より好ましくは30mMの、そして最も好ましくは40mMの塩化物濃度を生成するために生理食塩水溶液と混和することができる。表45および表46は、様々な生理食塩水溶液と混和されたニンテダニブHBr製剤およびニンテダニブHCl製剤の特徴および使用時の安定性を示す。
上記の生理食塩水溶液で混和したニンテダニブHBrおよびニンテダニブHClの製剤は、経口吸入用のエアロゾルとして送達されるものとして許容されるpH(3〜8)、浸透圧(150〜500mOsm/kg)を有する。これらの混和された製剤は、適正な使用時の安定性を有することを示した(少なくとも2時間、そして最長3〜4時間である可能性がある)。混和された製剤は、なおより長く保持することができ、50℃の状態に維持された場合少なくとも12時間保持することができる。
適正な制御で、適切な容器のタイプ、フィルターのタイプ、緩衝剤のタイプ、および透過性イオンの量を使用すると、ニンテダニブ塩は、許容される貯蔵寿命と使用時の安定性を有して、すぐに使用できるものとして、または生理食塩水溶液混和するために製剤化することができる。
ニンテダニブエシレートの塩化ナトリウムで混和された溶液、およびニンテダニブ臭化水素酸塩の異なる塩化ナトリウ濃度の塩化ナトリウムで混和された溶液が、混和した後の安定性について評価された。0.5mg/mL(遊離塩基として計算される)ニンテダニブエシレートおよびニンテダニブ臭化水素酸塩は、15mMのグリシン酸塩緩衝剤中で、pH4.0で、3%のプロピレングリコールを含有して製剤化される。これらの溶液は、異なる濃度の塩化ナトリウム溶液と1:1の比率で混和して、form 0.25mg/mLのニンテダニブ溶液(遊離塩基として表される)を形成し、それらは7.5mMのグリシン酸塩緩衝剤、1.5%プロピレングリコール、および0.2%、0.3%、または0.4%のいずれかのNaClである。混和された溶液は、外観および沈殿の存在、物理的な不安定性に対する指標について視覚的に検査される。安定性の結果を下記の表47にまとめる。
データは、ニンテダニブエシレート混和物とニンテダニブ臭化水素酸塩混和物との両方の溶液安定性が、NaCl濃度の増加に伴い減少することを示す。所与のNaClの濃度において、ニンテダニブ臭化水素酸塩混和物は、溶液中でニンテダニブエシレート混和物より安定である。1時間より長い混和物安定性は、患者のために所与の投与量の混和および投与を実施するために十分な時間を可能にするために、臨床的に重要である。少なくとも0.3%のNaClを含有するネブライゼーションされる溶液は、最も良好な耐容性を示す。ニンテダニブ臭化水素酸塩は、これらの要件を両方とも満たす。
実施例8:薬物動態および肺組織分布
経口および吸入投与後のニンテダニブ血漿および肺薬物動態を特性化し、かつ比較するために、6週齢のメスのC57BL/6マウス(18〜20グラム)にニンテダニブエシレートを経口(強制飼養;PO)または直接的な肺エアロゾル送達(気管内;Penn Century MicroSprayer(登録商標)ネブライジングカテーテル;IT)によって投与した。経口投与については、100mg/kgニンテダニブエシレート(120mg/kgエシレート塩形態)を、1%メチルセルロース中に溶解し、そして強制飼養によって送達した。血漿および肺組織試料は、投与後、2、5、10、20、40分、ならびに1、2、および4時間に取った。ニンテダニブが抽出され、そしてμg/mL血漿およびμg/g肺組織として定量された。ITエアロゾル投与については、2.5および10mg/kgニンテダニブエシレート(3.0および12mg/kgエシレート塩形態)が、0.050mL 2%プロピレングリコール中に製剤化され、そしてネブライジングカテーテルによって直接的に肺へと送達された。血漿および肺組織試料は、投与後、2、5、10、20、40分、ならびに1、2、および4時間に取った。ニンテダニブが抽出され、そしてμg/mL血漿およびμg/g肺組織として定量された。これらの研究からの結果を表48に示す。
結果は、直接的に肺投与された2.5および10mg/kgのニンテダニブ用量が、100mg/kgの経口送達より約5倍および約20倍大きいCmaxをもたらすことを表している。結果は、直接的に肺投与された2.5および10mg/kgのニンテダニブ用量が、100mg/kgの経口送達より約3倍および約7倍大きい肺AUCをもたらすことも示している。それゆえ、はるかに少ない吸入されたニンテダニブ用量が、はるかにより大きい経口投与と比較して、優れた重要な肺薬物動態パラメータを送達する。より具体的には、約200倍より少ないITニンテダニブが、経口送達に従って達成されたのと同じ肺Cmaxを達成することになることを計算することができる(12.1mcng/gの経口肺Cmaxを57.5mcg/gの2.5mg/kgのITのCmaxで割ると=0.21になる。0.21かける2.5mg/kgのIT用量は=0.5mg/kgのITとなる(100mg/kgの経口と比較して))。これらの肺送達されたCmaxレベルは、比較的寿命が短いので、吸入された生成物の成功のために重要なのは、実施例2の実証、すなわち、最大のニンテダニブ活性のためには、短期間のニンテダニブピークレベルのみが必要とされることである。経口の同等の吸入ニンテダニブ肺Cmaxは、経口の同等の有効性をもたらすことになり、これにより、同等の有効性のためにはるかに少ない吸入される薬剤しか必要とされないことになり、吸入されるニンテダニブ用量レベルが少ないことは、安全性および忍容性の改善を可能にする。吸入投与によってニンテダニブの安全性および忍容性を改善することは、ニンテダニブの治療指数(TI)を効果的に広げる。
全身的曝露については、結果は、2.5mg/kgおよび10mg/kgの吸入されたニンテダニブが、それぞれ100mg/kgの経口用量と同等およびそれの約5倍の血漿Cmaxレベルをもたらし、また血漿AUCは、それぞれ100mg/kgの経口用量の約9分の1および3分の1をもたらすことを表している。まとめると、これらの結果は、吸入が全体的曝露の低減とともに肺用量を改善することの裏付けを示している。ニンテダニブの副作用は大部分が胃腸の曝露および薬剤の血中濃度に起因しているので、高い血中濃度を有することなく高い肺レベルを達成することは、より少ない副作用での肺有効性改善の可能性を提示する。この研究では、10mg/kgのニンテダニブエシレート塩が、IT送達した動物において呼吸困難を引き起こした。
この悪影響は、2.5mg/kgでは観察されなかった。
固定した組み合わせで吸入投与されたときの吸入されたニンテダニブと吸入されたピルフェニドンとの血漿および肺薬物動態プロファイルを特性化し、かつ比較するために、6週齢のメスのC57BL/6マウス(18〜20グラム)に組み合わせたニンテダニブエシレートおよびピルフェニドンの製剤を直接的な肺エアロゾル送達(気管内;Penn Century MicroSprayer(登録商標)ネブライジングカテーテル;IT)によって投与した。ITエアロゾル投与については、10mg/kgニンテダニブエシレート(12mg/kgエシレート塩形態)が、0.050mL 2%プロピレングリコール中に10mg/kgピルフェニドンと共製剤化され、そしてネブライジングカテーテルによって直接的に肺へと送達された。血漿および肺組織試料は、投与後、2、5、10、20、40分、ならびに1、2、および4時間に取った。ニンテダニブが抽出され、そしてμg/mL血漿およびμg/g肺組織として定量された。これらの研究からの結果を表49に示す。
結果は、ニンテダニブおよびピルフェニドンの固定した組み合わせを、共製剤することおよび直接的に動物の肺に同時投与することができることを表している。結果は、ピルフェニドンがもたらす投与がニンテダニブより高い肺および血漿Cmaxを有し、ニンテダニブがより低い排出半減期を有し、結果としてはるかにより大きい肺AUCをもたらすことを表している。
様々な吸入されたニンテダニブの薬物動態プロファイルを特性化し、かつ比較するために、6週齢のメスのC57BL/6マウス(18〜20グラム)に、ニンテダニブエシレート、ニンテダニブ塩酸塩、またはニンテダニブ臭化水素酸塩のいずれかを直接的な肺エアロゾル送達(気管内;Penn Century MicroSprayer(登録商標)ネブライジングカテーテル;IT)によって投与した。ITエアロゾル投与および塩基等量による計算値については、1mg/kgの各塩が0.050mL 2%プロピレングリコール中に製剤化され、そしてネブライジングカテーテルによって直接的に肺へと送達された。血漿および肺組織試料は、投与後、2、5、10、20、40分、ならびに1、2、および4時間に取った。ニンテダニブが抽出され、そしてμg/mL血漿およびμg/g肺組織として定量された。これらの研究からの結果を表50に示す。
結果は、各塩が効果的に肺に送達されたこと、ならびに同様の肺および血漿Cmaxを達成したことを表している。血漿半減期およびAUCは、塩同士の間で同様であったが、肺半減期は異なった(ニンテダニブ塩酸塩および臭化水素酸塩に対しては半減期は約4分だったが、ニンテダニブエシレートに対しては約3分だった)。この相違は、肺AUCにも寄与し、塩酸塩形態および臭化水素酸塩形態は約50〜60mg・hr/kgであり、一方ではエシレート塩は約20mg・hr/kgであった。ニンテダニブの有効性は濃度依存であるように思われるが、塩酸塩および臭化水素酸塩に対するこうした長期にわたる肺半減期は、エシレート塩形態と比較して治療効果(より長肺曝露)にも寄与する。すべての塩は、これらの用量レベルにおいて良好な耐容性を示す。
表51の結果は、0.42mgのデバイス装填されたニンテダニブ用量が、150mgの経口用量と同じ血漿AUCを、150mgの経口用量より2600%(26倍)大きいニンテダニブ肺Cmax、および1047%(10.47倍)より大きいニンテダニブ肺AUCとともにもたらす、吸入された用量を送達することになることを表している。血漿AUCが経口ニンテダニブの副作用を駆動しているという仮定の下で、この0.42mgのデバイス装填ニンテダニブ用量は、150mgの経口用量と同じ副作用を送達する。このシナリオの下では、これは最高用量と仮定され得る。この予想される最高用量は、次いで用量をより良好な耐容性を示す用量レベルへと徐々に減少してもよく、一方で優れた肺レベルを維持する。例として、肺Cmaxを標的とすると、この経口と同等の血漿AUC用量は、26倍より多い肺Cmaxを送達する。次いで、これは、最高26倍まで用量を徐々に減少し、一方で同等または優れた肺Cmaxを維持し得る。同様に、肺AUCを標的とすると、この用量は、約10倍〜11倍用量を徐々に減少し、一方で同等または優れた肺AUCを維持し得る。臨床の用量漸増は、これらの用量および薬物動態の予想を確認または修正することになる。
実施例9: ネブライザー装置性能
エアロゾル性能を評価するために、いくつかのニンテダニブ塩製剤(表30、製剤380および381)が、eFlowデバイスで試験された。加えて、ピルフェニドンとニンテダニブHClとを組み合わせる製剤も試験された。これらの研究のために、標準的なeFlow 35Lヘッドが使用された。粒子サイズ分布は、Malvern Spraytecのレーザー粒子寸法測定器を使用して判定された。結果を表52に示す。各結果は、3つのデバイス各々の2回の実験の平均である。
表52の結果は、1.5mg/mLのニンテダニブ製剤のうちの1.0mLが約2.5分間に投与されることになり、そして0.46mgの微細粒子用量(吸入されたエアロゾル内に存在する直径が5マイクロメートル(μm)未満のmg用量、Fine Particle Dose、FPD)を生成し、ネブライゼーション効率は約31%となることを示す。ニンテダニブ濃度およびデバイス充填体積の操作は、用量送達時間および肺/血漿曝露比率の最適化を許容することになる。実施例として、高いニンテダニブ濃度の製剤は、短時間にわたるわずかな呼吸のみの中で投与される。結果は、より大きい体積でより多くの呼吸にわたり、かつより長い時間で送達された同じ量のニンテダニブと同じ血漿曝露で、より高い肺Cmaxとなることになる。同様に、結果として生じる血漿Cmaxが関心事であると判定される場合、これはニンテダニブの投与をより少なくする、またはより低い濃度のニンテダニブ製剤のいずれかによって対処される。両方とも肺Cmaxを低減するが、2つの重要なパラメータのバランスを取ることを許容する。
実施例10: 吸入されたニンテダニブ塩のin vivoでの薬理学 − 治療的ブレオマイシンモデル
吸入されたニンテダニブのin vivo活性を評価するために、治療的ブレオマイシン肺線維症モデルが実施された。簡潔に述べると、順応させたオスのSprague Dawleyラット(最初の投与時に約253グラム)にブレオマイシンを1、2、3、および6日目に口腔咽頭(OP)経路によって投与した。第8日目に、生理食塩水またはニンテダニブのいずれかを用いて処置を開始した。吸入されたニンテダニブ製剤は、OP投与によって送達された。予備実験は、この方法によって良好な肺送達および分布を示した。第8〜27日目に、OP動物にイソフルレンを用いて麻酔をかけ、そして1日に1回(QD)、0.05、0.25、または0.375mg/kgのいずれかの用量のニンテダニブHBr製剤を投与した(表53)。経口強制飼養処理された(PO)動物は、60mg/kgのニンテダニブエシレートを水中で1日に2回(BID)投与された。シャムおよびブレオマイシンの対照群は、生理食塩水をOPまたはPOのいずれかで.受容した。10匹の動物が各用量群に登録された。OPニンテダニブ投与については、用量は、POが、肺CmaxおよびAUCより劣るように、−同等となるに、および優るように、送達するように選択された(表54)。すべての動物は、28日目に安楽死させた。研究を通して体重が収集され、終了時に肺の重量も収集した(表55)。左肺を抽出し、そしてヒドロキシプロリン含有量を測定し、一方で左肺は、Ashcroft線維症スコアの判定のために組織学に供された(表56)。
口腔咽頭(OP)用量レベルは、OP投与後の肺薬物動態を、60mg/kgの経口強制飼養(PO)後に判定された肺薬物動態と比較することによって選択された。この比較によって、60mg/kgのPOによって送達されたものより低い肺CmaxおよびAUCに送達するために0.05が選択され、60mg/kgのPOと同等のCmaxに送達するために0.25mg/kgが選択され、そして60mg/kgのPOより大きい肺Cmaxに送達するために0.375mg/kgが選択された。予備評価は、0.5mg/kgのOPはブレオマイシンに曝露された動物によって良好な耐容性は示されておらず、それゆえ良好な耐容性を示している最も高いOP用量として0.375mg/kgが選択されたことを示していることに留意されたい。
動物体重の結果は、以下を表している:1.(OP)用量を吸入した群のブレオマイシンおよびイソフルレンの両方に曝露された動物は、ブレオマイシンなしでイソフルレンを受容したシャム動物より少ない体重増加を呈した;2.高用量のOPは、結果としてシャム動物と同等の体重増加を生じた;3.経口(PO)ニンテダニブ投与された動物は、対照動物の約半分体重が増加した;4.ブレオマイシン曝露(ビヒクル対照群動物)は、結果としてシャム動物に対して肺重量対体重比率の約20%の増加を生じた。両方のOPは、肺重量対体重比率の用量応答性の低減を示した。PO投与も、肺重量対体重比率を低減した。
肺線維症スコアの結果は、以下を表した:1.(OP)用量を吸入した群の動物は、線維症スコアの用量応答性の低減を示した;2.低用量の吸入(肺に送達されたニンテダニブCmaxおよびAUCが経口より少ない)は、結果として、経口より少ない抗繊維症活性を生じ、中用量の吸入(肺に送達されたニンテダニブCmaxが経口と同様で、かつAUCは経口より少ない)は、結果として、経口と同等の量の抗繊維症活性を生じ、そして高用量の吸入(肺に送達されたニンテダニブCmaxが経口より多く、かつAUCは経口より少ない)は、経口より多い抗繊維症活性を生じた;3.高用量のOPは、結果としてシャム動物と同等の体重増加を生じた;3.経口(PO)ニンテダニブ投与された動物は、対照動物の約半分体重が増加した;4.ブレオマイシン曝露(ビヒクル対照群動物)は、結果としてシャム動物に対して肺重量対体重比率の約20%の増加を生じた。両方のOPは、肺重量対体重比率の用量応答性の低減を示した。PO投与も、肺重量対体重比率を低減した。
経口と比較して吸入は、すべての主要な線維症測定値において優れているか同等であった。経口と同等の肺曝露において、吸入は主要な線維症の尺度のうえで同様の結果(用量の1/240において)を示した。より高い肺の曝露では、処置はより効果的であった(用量の1/160において)。
実施例11: 吸入されたニンテダニブ塩のin vivoでの薬理学 − 治療的シリカモデル
吸入されたニンテダニブのin vivo活性を評価するために、治療的シリカ肺線維症モデルが実施された。簡潔に述べると、順応させた20〜22gのメスのC57BL/6マウスにシリカを、第1日目に気管内経路によって投与した。第10日目に、生理食塩水またはニンテダニブのいずれかを用いて処置を開始した。吸入されたニンテダニブ製剤(1用量当たり35μL)は、鼻腔内投与(IN)によって送達された。予備実験は、この方法によって良好な肺送達および分布を示した。第10〜29日目に、IN動物にイソフルレンを用いて麻酔をかけ、そして1日に1回(QD)、0.021、0.21、または2.1mg/kgのいずれかの用量のニンテダニブHBr製剤を投与した(表57)。経口強制飼養処理された(PO)動物は、30mg/kgのニンテダニブHBrを水中で1日に2回(BID)投与された。シャムおよびシリカの対照群は、生理食塩水をINまたはPOのいずれかで.受容した。5匹の動物がシャム群に登録され、10匹の動物が各PO投与量群に登録され、また13匹の動物がIN投与量群に登録された。INニンテダニブ投与については、用量は、POが、肺CmaxおよびAUCより劣るように、同等となるように、および優るように、送達するように選択された(表58)。すべての動物は、30日目に安楽死させた。研究を通して体重が収集され、終了時に肺の重量も収集した。フレキシベントを実施してエラスタンス(肺機能;表59)を判定した。左肺を抽出して、実質コラーゲン(表60)およびα−平滑筋アクチン(αSMA;表61)を評価するために染色し、一方右肺では、インターロイキン−1β(IL−1β;表62)が評価された。
経鼻(IN)用量レベルは、IN投与後の肺薬物動態を、30mg/kgの経口強制飼養(PO)後に判定された肺薬物動態と比較することによって選択された。この比較によって、30mg/kgのPOによって送達されたものより低い肺CmaxおよびAUCに送達するために0.021が選択され、30mg/kgのPOと同等のCmaxに送達するために0.21mg/kgが選択され、そして30mg/kgのPOより大きい肺Cmaxに送達するために2.1mg/kgが選択された。
予想されたように、シリカを投与されたすべてのマウスは、0日目〜4日目に体重が減った。シリカ投与されたマウスはすべて、6日目の周辺から体重減少から回復しはじめ、10日目(最初の治療的介入)までに自身の初期の体重に達するまで回復が継続した。30日目の研究の終了点まで体重は安定したままであった。経口もしくは吸入(IN)処置、またはビヒクルのいずれもこれらの特徴を変化させなかった。吸入経路を経由したニンテダニブの送達は、食餌習性に影響を及ぼさなかった。シリカの投与は、ナイーブマウスと比較して、右肺の重量を有意に増加させた。ニンテダニブの経口も、吸入(IN)も、対照のマウスと比較して、肺の重量には有意に影響を及ぼさなかった。
この研究では、各マウスの肺機能は、齧歯類用人工呼吸器を使用したシリカ曝露後30日目に評価された。人工呼吸器は、肺を膨らませて、流量および圧力の変化を評価することによって、肺の硬直/線維症の尺度として各肺のエラスタンスを判定した。表59は、吸入した用量の肺機能(弾性の低下)の改善に対する応答を結果として示し、高用量は有意性を達成する。経口も肺機能の改善において有意であった。
実質コラーゲンは、ピクロシリウスレッド(PSR)病理組織学的分析によって測定された。結果は、シリカ曝露によって実質コラーゲンが増加しているが、吸入ニンテダニブ処置または経口ニンテダニブ処置のいずれによっても逆転してはいないことを示した(表60)。他の主要な線維症モジュレーターに対する良い影響(αSMA、IL−1β;表61および表62)、およびシリカ誘発性線維症が投与開始前に十分に確立したことに起因して、処置時間を延ばすことが最終的に実質コラーゲンに影響を及ぼすことになる可能性がある。
アルファ−平滑筋アクチン(αSMA)は、筋線維芽細胞のマーカーであり、IPFを含む繊維症疾患において存在する主要な細胞タイプであり、コラーゲンの沈着および生成のために必要とされる。シリカ誘発性肺αSMAは、結果として経口経路と吸入経路との両方がαSM肺レベルの低減に相当な影響を及ぼすことに加えて、吸入された低い投与量および経口投与が有意性を示すことを表す(表61)。インターロイキン1β(IL−1β)は、IPFを含む繊維症疾患の開始および進行のためには重要なサイトカインである。シリカ誘発性肺IL−1βは、結果として吸入された(IN)用量群の動物が用量応答性の減少を示すことに加えて、高い用量が有意性を達成することを表す(表62)。経口投与はIL−1βレベルを低減しなかった。
シリカ線維症モデルは、結果として、吸入したニンテダニブが、筋線維芽細胞形成の抑制(αSMAの低減)に有効であり、かつIL−1β(線維症の開始および進行において主要なサイトカイン)の抑制および肺機能の改善(エラスタンスの抑制)において用量応答性であることを表す。ともに、吸入は線維症の転帰のために働く。経口と比較して吸入は、すべての主要な線維症測定値(αSMA、IL−1βおよび肺機能)において優れているか同等である。実質コラーゲンは、経口または吸入のいずれであるかによって影響を受けなかった。他の主要な線維症モジュレーターに対する良い影響および線維症が投与開始前に十分に確立したことに起因して、処置時間を延ばすことが最終的に実質コラーゲンに影響を及ぼすことになる可能性がある。経口と同等の肺曝露において、吸入は主要な線維症の尺度のうえで同様の結果(経口用量の1/143において)を示した。より高い肺の曝露では、処置はより効果的であった(経口用量の1/14において)。
まとめると、吸入された用量は、ブレオマイシンおよびシリカ処置モデルの両方で良好な耐容性を示している。ブレオマイシン研究では、経口は吸入より良好ではない耐容性を示し、また高用量の吸入は、対照および経口投与後のものと比較して成長と肺の重量の改善を示した。ブレオマイシンの病理は、線維症を抑制する吸入された用量応答性を示した。データは、吸入および経口の同等の肺用量が同様の応答を呈したという観察によって裏付けられた。さらに、より高い肺用量では、吸入が優れ、またより低い肺曝露では、吸入は劣った。両方の研究では、経口より実質的に低い吸入用量レベルにより、抗繊維症応答が達成された。
マウスからヒト(マウスのmg/kg用量を12.3で除算する)、およびラットからヒト(ラットのmg/kg用量を6.2で除算する)への相対成長率用量を表63に示す。
マウスシリカモデルでは、2.1および0.21mg/kgの吸入(IN)は、30mg/kgの経口より効果的だった。表63によると、マウスに対する2.1mg/kgは、10.2mgの吸入デバイス装填のヒト用量である。同様に、0.21mg/kgおよび0.021mg/kgは、ヒトでは1.0mgおよび0.1mgになる。ラットのブレオマイシンモデルでは、0.25mg/kgの吸入(OP)用量は、60mg/kgの経口用量と同様の効果を呈する。表63によると、ラットに対する0.25mg/kgは、2.4mgの吸入デバイス装填のヒト用量である。同様に、0.375mg/kg(60mg/kgの経口用量より高い有効性を呈した)および0.05mg/kg(60mg/kgの経口用量より低い有効性を呈した)は、ヒトではそれぞれ3.6mgおよび0.5mgである。0.21mg/kgのマウスの吸入用量が30mg/kgの経口用量と同等の有効性を有すると仮定し、30mg/kgのマウスの経口用量をおよそ承認されているニンテダニブ経口用量(Ofev、150mg)へとスケーリングすることを考慮すると、1.0mgの吸入デバイス装填されたヒトの用量は、150mgの経口用量と同じぐらい肺線維症疾患の治療において効果的である。ラットのデータに対して同様の議論を行うと、0.25mg/kgの吸入用量は60mg/kgの経口用量と同様の有効性を有し、そして60mg/kgのラットの経口用量を承認されているOfev用量の3.9倍へとスケーリングすること(約581mg対150mg)を考慮すると、2.4mgを3.9で除算して0.64mgの吸入デバイス装填ヒト用量は、150mgの経口用量と同じぐらい肺線維症疾患の治療において効果的である。まとめると、相対成長率を用いた動物経口用量をそれらの同様の有効性と比較して、吸入される用量レベルは、0.64mg〜1.0mgの吸入デバイス装填ニンテダニブ用量が、150mgのニンテダニブの経口用量と同じぐらい肺線維症疾患の治療において効果的であることを示唆する。これらの、および以下の用量レベルは、70kgまたは75kgのヒトに対しては、それぞれ70/60または75/60を乗算することによってスケーリングされる。比較的に、それらのそれぞれの経口投与と同様の有効性を呈する相対成長率を用いてスケーリングした動物の吸入用量を取るとき、マウスのデータは、1.0mgの吸入デバイス装填ヒト用量が、150mgの経口投与と同じぐらい、肺線維症疾患の治療において効果的であるを示唆する。同様に、ラットのデータは、2.4mgの吸入デバイス装填ヒト用量が、150mgの経口用量と同じぐらい、肺線維症疾患の治療において効果的であることを示唆する。
表51に提示されたヒトのモデル化した結果(これは、上述の動物において考えられるものより長い肺排出半減期含む)と比較すると、結果は、0.42mgのデバイス充填ニンテダニブ用量が、150mgの経口用量と同じ血漿AUC、150mgの経口用量より26倍大きいニンテダニブ肺Cmax、および10.5倍大きいニンテダニブ肺AUCをもたらす、ヒト吸入用量を送達することを表す。したがって、より長い肺排出半減期は、より高い肺AUCおよびCmaxを生成するために、はるかにより低いデバイス装填用量を可能にする。さらに、0.04mgのデバイス装填ニンテダニブ用量は、実質的により低い血中濃度で、150mgの経口用量と同じ肺AUCをもたらす吸入用量を送達することが予想される。非限定的な実施例によると、1つの可能性のある治療範囲は、0.04mgのニンテダニブ(150mgの経口ニンテダニブと同等の有効性を送達する)から0.42mg(またはそれ以上)のニンテダニブ(150mgの経口ニンテダニブと同等の血中濃度を送達する)とすることが可能である。上記の動物の結果から、より高い肺Cmaxおよび/またはAUCを達成することは有益であるように思われ、これにはより大きい標的曝露が続き、より高い有効性をもたらすことになる。したがって、この観察をヒトへと投影すると、これらの優れた肺レベルを使用するこのより小さいデバイス装填用量は、150mgの承認されている経口ニンテダニブ用量と同等かまたはそれ以上のヒトでの有効性をもたらすことが予想される。臨床の用量漸増は、これらの用量および薬物動態の予想を確認または修正することになる。
まとめると、動物の吸入用量は、1.0〜2.4mgの吸入デバイス装填ヒト用量が、150mgの経口用量と同じぐらい肺線維症疾患の治療において効果的であることを示唆する。予想されるより長い肺排出半減期を使用するヒトモデリングは、ヒトに同じまたは追加的な有効性の利点を提供するために、0.04mg〜0.42mgのはるかに小さい吸入デバイス装填用量を可能にする。これらの動物およびヒトのアプローチを一緒にすると、動物のデータは、0.64〜2.4mgの吸入デバイス装填ヒト用量が、150mgの経口用量と同じぐらい、肺線維症疾患の治療において効果的であることを示唆する。しかしながら、予想されるより長いヒト肺半減期を含むことは、この用量を低減することになり(0.42mg以下へ)、一方で、優れた薬物動態肺有効性パラメータを維持する。
上記のデータのモデリングは、この可能な経口用量と同等な吸入デバイス装填用量が、150mgの承認されている経口用量と同じ血中濃度だが、実質的により高い肺レベルを送達しうることを示唆する。これは、3つの興味深いシナリオを作り出す:1.これらのOfevと同等の吸入デバイス装填用量の吸入が、経口のような副作用をもたらす場合、吸入された薬剤は、副作用を抑制または除去し、一方で優れた肺レベルを維持するために用量を徐々に減少する場合がある。2.これらのOfevと同等な吸入デバイス装填用量の吸入が、経口のような副作用をもたらさない場合、吸入された薬剤はこれらの用量レベルに維持される場合があり、これによって優れた肺用量、Ofevと同等な血中濃度によってさらに有益になる。または、3.さらなる用量漸増は、さらなる追加的な有効性を達成し、一方で経口副作用の制限より低いままである。ブレオマイシン研究が、結果として、吸入用量(0.375mg/kg OP)がより効果的であり、60mg/kg経口用量より良好な耐容性を示し、一方でより高い肺レベルおよび血漿レベルを送達することを示していることを考慮すると、それが可能であると思われる。
血中濃度は、経口では副作用を駆動しない場合があり、これはむしろ胃腸であり、またこれらの問題に対して150mgのニンテダニブの肝臓の曝露が経口で行われる。この可能性の追加的なサポートとして、経口ニンテダニブは、5%のみが生物学的に利用可能であり(ほとんどが急速かつ広範な初回通過代謝に起因する)、また主な副作用は、下痢および肝臓である。したがって、血中濃度/CNSの関与よりむしろ、胃腸および肝臓の曝露が経口副作用の駆動要因と思われる。何らかの小さい吸入用量送達の、Ofevのような血中濃度の存在または欠如における高い肺レベルは、ほとんど、または完全に会費され得る。