本発明の発明者らは、抗原を埋め込んだナノ粒子が自己免疫疾患に対する寛容を誘導し得、免疫応答を減少し得ることを発見した。よって、これらの粒子は、スギ花粉に対するアレルギーなどの過剰な炎症性免疫応答を特徴とする任意の疾患または状態の治療において有用であり得る。
「粒子」は、本明細書で使用される場合、組織由来ではない任意の組成物を指し、それは、球体もしくは球状の実体、ビーズ、またはリポソームであり得る。用語「粒子」、用語「免疫修飾粒子」、用語「担体粒子」、及び用語「ビーズ」は、文脈に応じて互換的に使用され得る。さらに、「粒子」という用語は、ビーズ及び球体を包含するために使用され得る。
「負電荷を帯びた粒子」は、本明細書で使用される場合、ゼロ未満である正味表面電荷を保有するように修飾された粒子を指す。
「カルボキシル化粒子」または「カルボキシル化ビーズ」または「カルボキシル化球体」は、その表面上にカルボキシル基を含有するように修飾された任意の粒子を含む。いくつかの実施形態において、カルボキシル基の付加は、例えば、MARCOなどのスカベンジャー受容体との相互作用を通して、血流からの粒子の食細胞/単球取り込みを増強する。粒子のカルボキシル化は、ポリ(エチレン-alt-無水マレイン酸)(PEMA)を含むが、これらに限定されないカルボキシル基を付加または組み込む任意の化合物を使用して達成され得る。
「抗原部分」は、本明細書で使用される場合、任意の部分、例えば、宿主の免疫系により認識されるペプチドを指す。抗原部分の例には、自己抗原、酵素、及び/または細菌性もしくはウィルス性タンパク質、ペプチド、薬物もしくは成分が含まれるが、これらに限定されない。理論に束縛されるものではないが、カルボキシル化されたビーズはそれ自体が免疫系により認識され得る一方で、何にも付着されないカルボキシル化されたビーズは、本発明の目的に関して「抗原部分」と見なされない。
「裸のビーズ」または「裸の粒子」または「裸の球体」は、本明細書で使用される場合、カルボキシル化されていないビーズ、粒子、または球体を指す。
「炎症促進性伝達因子」または「炎症促進性ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、対象において炎症を誘導、維持、または長引かせるポリペプチドまたはその断片を指す。炎症促進性伝達因子の例には、サイトカイン及びケモカインが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「炎症性単球」という用語は、CD14/CD26及びCCR2の任意の組み合わせを発現させる任意の骨髄細胞を指す。
本明細書で使用される場合、「阻害性好中球」という用語は、好中球、及び/または単球由来の免疫抑制細胞を指す。
本明細書で使用される場合、「Th細胞」または「ヘルパーT細胞」という用語は、CD4+細胞を指す。CD4+T細胞は、B細胞から血漿細胞及びメモリーB細胞への成熟、ならびに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化を含む免疫学的プロセスにより他の白血球細胞を援助する。T細胞は、MHCクラスのII分子によりペプチド抗原とともに提示されるときに活性化し、それは、抗原提示細胞(APC)の表面上で発現される。
本明細書で使用される場合、「Th1細胞」という用語は、炎症促進性伝達因子を産生するTh細胞の部分集合を指す。Th1細胞は、サイトカインを分泌して、免疫応答を容易にし、感染組織への好中球及びマクロファージの動員を部分的に媒介することにより、病原体に対する宿主防御の役割を果たす。Th1細胞は、IFN-γ、IL-2、IL-10、及びTNF α/βを含むサイトカインを分泌して、ウィルス及びいくつかの細菌などの細胞内病原体に対する防御を機能させる。
本明細書で使用される場合、「Th2細胞」という用語は、細胞外寄生体、細菌、アレルゲン、及び毒素に対する抗体媒介性免疫応答の活性化及び維持を媒介するTh細胞の部分集合を指す。Th2細胞は、抗体産生、好酸球活性化、及び複数のマクロファージ機能の阻害を担うIL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-13、及びIL-17E(IL-25)などの多様なサイトカインを産生することにより、これらの機能を媒介し、よって、食細胞に依存しない保護的応答を提供する。
本明細書で使用される場合、「Th17細胞」という用語は、Th細胞の部分集合を指す。Th17細胞は、サイトカインを分泌して、免疫応答を容易にし、感染組織への好中球及びマクロファージの動員を媒介することにより、病原体に対する宿主防御の役割を果たす。TH17細胞は、IL-17、IL-21、IL-22、IL-24、IL-26、及びTNFαなどのサイトカインを分泌して、真菌及び細菌を含む細胞外病原体に対する防御を機能させる。
「結合されている」は、本明細書で使用される場合、粒子の外側に固定されているか、または粒子内に封入されている抗原を指す。よって、粒子に結合されている抗原は、粒子の表面結合、ならびに粒子内の封入の両方を含む。
「IMP」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に結合していない免疫修飾粒子を指す。「TIMP」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に結合している寛容化免疫修飾粒子を指す。いくつかの実施形態において、抗原は、TIMPの表面に付着されている。他の実施形態において、抗原は、TIMP内に封入されている。
粒子は、任意の粒子形状または立体構造を有し得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、インビボで凝集しにくい粒子を使用することが好ましい。これらの実施形態における粒子の例は、球形状を有するものである。
本発明の別の態様は、負のゼータ電位を有し、かつ抗原部分から遊離する免疫修飾粒子を含む組成物に関する。さらなる実施形態において、本発明は、抗原に結合している負のゼータ電位を有する免疫修飾粒子を含む組成物を提供する。さらなる実施形態において、抗原は、粒子の外側に結合されている。好ましい実施形態において、抗原は、粒子内に封入されている。
本発明のさらに別の態様は、負のゼータ電位を有し、かつ抗原部分から遊離する免疫修飾粒子の調製のための方法に関する。本方法は、負のゼータ電位を有する免疫修飾粒子を形成するのに有効な条件下で、免疫修飾粒子前駆体を緩衝溶液と接触させることを伴う。本発明のいくつかの実施形態において、免疫修飾粒子前駆体は、共重合を介して形成される。粒子の微細構造は、共重合の方法に依存し得る。
いくつかの実施形態において、抗原ペプチド分子は、コンジュゲート分子及び/またはリンカー基により担体粒子(例えば、免疫修飾粒子)に結合されている。いくつかの実施形態において、抗原ペプチド及び/またはアポトーシスシグナル伝達分子の担体(例えば、PLG粒子)への結合は、1つ以上の共有結合的及び/または非共有結合的な相互作用を含む。いくつかの実施形態において、抗原ペプチドは、負のゼータ電位を有する担体粒子の表面に付着している。いくつかの実施形態において、抗原ペプチドは、負のゼータ電位を有する担体粒子内に封入されている。
一実施形態において、免疫修飾粒子と接触する緩衝溶液は塩基性pHを有し得る。塩基性溶液に好適な塩基性pHは、7.1、7.5、8.0、8.5、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、及び13.5を含む。また緩衝溶液は、任意の好適な塩基及びそのコンジュゲートで作られてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、緩衝溶液には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、またはリン酸二水素リチウム、及びそれらのコンジュゲートが含まれ得るが、これらに限定されない。
本発明の一実施形態において、免疫修飾粒子はコポリマーを含有する。これらのコポリマーは、多様なモル比を有し得る。本発明の免疫修飾粒子の好適なコポリマー比は、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、81:19、82:18、83:17、84:16、85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、または100:0であり得る。別の実施形態において、コポリマーは、周期的、統計的、直線状、分岐状(星形、ブラシ型、または櫛形コポリマーを含む)のコポリマーであり得る。いくつかの実施形態において、コポリマー比は、ポリスチレン:ポリ(カルボン酸ビニル)/80:20、ポリスチレン:ポリ(カルボン酸ビニル)/90:10、ポリ(カルボン酸ビニル):ポリスチレン/80:20、ポリ(カルボン酸ビニル):ポリスチレン/90:10、ポリ乳酸:ポリグリコール酸/50:50、ポリ乳酸:ポリグリコール酸/80:20、またはポリ乳酸:ポリグリコール酸/90:10であり得るが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明の粒子は、ポリマー(例えば、PLGA)を含む組成物をポリ(エチレン-無水マレイン酸)(PEMA)の溶液に付加することにより作製される。溶液中のPEMAの濃度は、約0.1%~約10%であり得る。一実施形態において、溶液中のPEMAの濃度は、約0.2%~約5%である。別の実施形態において、溶液中のPEMAの濃度は、約0.1%~4%である。別の実施形態において、溶液中のPEMAの濃度は、約0.1%~2%である。別の実施形態において、溶液中のPEMAの濃度は、約0.5%~1%である。一実施形態において、溶液中のPEMAの割合は、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%である。一実施形態において、溶液中のPEMAの割合は、約0.5%である。別の実施形態において、溶液中のPEMAの割合は、約1.0%である。使用され得る他の化合物には、ポリ(エチレン-alt-無水マレイン酸)、ポリ(イソブチレン-コ-マレイン酸)、ポリ(メチルビニルエーテル-alt-マレイン酸)、ポリ(メチルビニルエーテル-alt-マレイン酸モノエチルエステル)、ポリ(メチルビニルエーテル-alt-無水マレイン酸)、1,9-デカジエン粉末で架橋されたポリ(メチルビニルエーテル-alt-無水マレイン酸)、ポリ(スチレン-alt-マレイン酸)ナトリウム塩、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、及び/またはデオキシコール酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態において、粒子はリポソームである。さらなる実施形態において、粒子は、以下のモル比の以下の脂質からなるリポソームである-30:30:40のホスファチジルコリン:ホスファチジルグリセロール:コレステロール。なおもさらなる実施形態において、粒子は、リポソーム内に封入されている。
各粒子は均一なサイズである必要はないが、粒子は概して、脾臓または肝臓内に封鎖され、内皮細胞を含む抗原提示細胞または他のMPS細胞により受容体または非受容体媒介性機構を通して食作用または取り込みを誘因するのに十分なサイズでなければならない。好ましくは、可溶性を増強し、インビボでの凝集により引き起こされる可能性のある合併症を回避し、飲作用を容易にするために、粒子は顕微鏡スケールまたはナノスケールのサイズである。粒径は、間質腔からリンパ球成熟の領域への取り込みの要因であり得る。約0.1μm~約10μmの直径を有する粒子は、食作用を誘因することができる。したがって、一実施形態において、粒子はこれらの限度内の直径を有する。別の実施形態において、粒子は、平均約0.3μm~約5μmの直径を有する。なおも別の実施形態において、粒子は、平均約0.5μm~約3μmの直径を有する。別の実施形態において、粒子は、平均約0.2μm~約2μmの直径を有する。さらなる実施形態において、粒子は、平均約0.1μm、または約0.2μm、または約0.3μm、または約0.4μm、または約0.5μm、または約1.0μm、または約1.5μm、または約2.0μm、または約2.5μm、または約3.0μm、または約3.5μm、または約4.0μm、または約4.5μm、または約5.0μmのサイズを有する。特定の実施形態において、粒子は、平均約0.5μmのサイズを有する。いくつかの実施形態において、粒子は、平均約0.5μm~約0.95μmの直径を有する。例えば、かかる実施形態において、粒子は、平均約0.5μm、0.55μm、0.6μm、0.65μm、0.7μm、0.75μm、0.8μm、0.85μm、0.9μm、または約0.95μmの直径を有する。特定の実施形態において、粒子は、平均約0.7μmの直径を有する。いくつかの実施形態において、粒子の全重量は、少なくとも約1000kDaである。いくつかの実施形態において、粒子の全重量は、約1000kDa、1100kDa、1200kDa、1300kDa、1400kDa、1500kDa、1600kDa、1700kDa、1800kDa、1900kDa、2000kDa、2500kDa、3000kDa、3500kDa、4000kDa、4500kDa、5000kDa、またはそれ以上である。
いくつかの実施形態において、粒子の全重量は、約10,000kDa未満、約5,000kDa未満、または約1,000kDa、500kDa、400kDa、300kDa、200kDa、100kDa、50kDa、20kDa、10kDa未満である。組成物中の粒子が均一の直径である必要はない。例として、薬学的製剤は、複数の粒子を含有し得、そのうちのいくつかは、約0.5μmの直径を有するが、その他の粒子は、約1.0μmの直径を有する。追加の例として、薬学的製剤は、複数の粒子を含有し得、そのうちのいくつかは、約0.7μmの直径を有するが、その他の粒子は約0.5μm~約0.95μmの直径を有する。これらの所与の範囲内の粒径のいずれの混合物も有用である。
本発明の粒子は、特定のゼータ電位を有し得る。ある特定の実施形態において、ゼータ電位は負である。一実施形態において、ゼータ電位は、約-100mV未満(例えば、これを超える負)である。一実施形態において、ゼータ電位は、約-50mV未満(例えば、これを超える負)である。ある特定の実施形態において、粒子は、-100mV~0mVのゼータ電位を保有する。さらなる実施形態において、粒子は、-75mV~0mVのゼータ電位を保有する。さらなる実施形態において、粒子は、-60mV~0mVのゼータ電位を保有する。さらなる実施形態において、粒子は、-50mV~0mVのゼータ電位を保有する。なおもさらなる実施形態において、粒子は、-40mV~0mVのゼータ電位を保有する。さらなる実施形態において、粒子は、-30mV~0mVのゼータ電位を保有する。さらなる実施形態において、粒子は、-20mV及び+0mVのゼータ電位を保保有する。さらなる実施形態において、粒子は、-10mV及び-0mVのゼータ電位を保有する。さらなる実施形態において、粒子は、-100mV及び-50mVのゼータ電位を保有する。別の特定の実施形態において、粒子は、-75mV及び-50mVのゼータ電位を保有する。特定の実施形態において、粒子は、-50mV及び-40mVのゼータ電位を保有する。別の特定の実施形態において、粒子は、約-40mV未満(例えば、これを超える負)のゼータ電位を保有する。別の特定の実施形態において、粒子は、少なくとも約-30mVのゼータ電位を保有する。別の特定の実施形態において、粒子は、約-30mV未満(例えば、これを超える負)のゼータ電位を保有する。
本発明の粒子は、ポリマーに対する抗原(例えば、抗原(μg)/1mgのポリマー)の比を保有し得る。いくつかの実施形態において、ポリマーに対する抗原の比は、約1μg/mg~少なくとも約5μg/mgである。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマーに対する抗原の比は、約1μg/mg、1.5μg/mg、2μg/mg、2.5μg/1mg、3.0μg/mg、3.5μg/mg、4μg/mg、4.5μg/mg、または約5μg/mgである。いくつかの実施形態において、ポリマーに対する抗原の比は、少なくとも約5μg/mgである。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマーに対する抗原の比は、少なくとも約5μg/mg、5.5μg/mg、6μg/mg、6.5μg/mg、7μg/mg、7.5μg/mg、8μg/mg、8.5μg/mg、9.0μg/mg、9.5μg/mg、10μg/mg、10.5μg/mg、11μg/mg、11.5μg/mg、12μg/mg、12.5μg/mg、13μg/mg、13.5μg/mg、14μg/mg、14.5μg/mg、または約15μg/mgである。
いくつかの実施形態において、担体の電荷(例えば、正、負、中性)は、用途に固有の利益(例えば、生理的適合性、有益な表面-ペプチド相互作用など)を付与するように選択される。いくつかの実施形態において、担体は、(例えば、概して正味の負電荷を帯びた細胞表面への非特異的結合を低減するために)正味の中性電荷または負電荷を有する。ある特定の実施形態において、担体は、寛容が所望される抗原(本明細書において、抗原特異的ペプチド、抗原ペプチド、自己抗原、誘導性抗原、または寛容化抗原とも称される)に、直接的または間接的のいずれかでコンジュゲートされ得る。いくつかの場合において、担体は、(例えば、寛容応答の可能性を高めるために)抗原特異的ペプチドの複数のコピーまたは複数の異なるペプチドを表面上で曝露するために、複数の結合部位(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10...、20...、50...、100、またはそれ以上)を有する。いくつかの実施形態において、担体は、単一の種類の抗原ペプチドを提示する。いくつかの実施形態において、担体は、表面上で複数の異なる抗原ペプチドを提示する。いくつかの実施形態において、担体表面は、選択された部分(例えば、抗原ペプチド)の共有結合的付着のための官能基を提示する。いくつかの実施形態において、担体表面の官能基は、選択された部分(例えば、抗原ペプチド)との非共有結合的な相互作用のための部位を提供する。いくつかの実施形態において、担体は、コンジュゲート部分が化学結合を形成することなく吸着され得る表面を有する。
粒径及び粒子の電荷は、寛容誘導において重要である。粒径及び粒子の電荷は、それらの中に封入されている抗原に基づいて異なるが、概して、本発明の粒子は、それらが約100ナノメートル~約1500ナノメートルであり、0~約-70mVの電荷を有するとき、寛容を誘導する上で有効であり、それらが400~800ナノメートルであり、約-25mV~-70mVの電荷を有するとき、寛容を誘導する上で最も有効である。さらに、凍結乾燥プロセスにおける粒子の濃度、ならびにスクロース及びD-マンニトールの存在に部分的に起因して、平均の粒径及び粒子の電荷は、凍結乾燥プロセスにおいてわずかに変化され得る。本明細書で使用される場合、「合成後サイズ」及び「合成後電荷」という用語は、凍結乾燥前の粒径及び粒子の電荷を指す。「凍結乾燥後サイズ」及び「凍結乾燥後電荷」という用語は、凍結乾燥後の粒径及び粒子の電荷を指す。
いくつかの実施形態において、粒子は非金属性である。それらの実施形態において、粒子は、ポリマーから形成され得る。好ましい実施形態において、粒子は、個体において生分解性である。本実施形態において、粒子は、個体内で粒子が蓄積することなく、複数回の投薬にわたって個体内に提供され得る。好適な粒子の例には、ポリスチレン粒子、PLGA粒子、PLURIONICS安定化ポリプロピレンスルフィド粒子、及びダイヤモンド粒子が含まれる。好ましくは、粒子表面は、非特異的または望ましくない生物学的相互作用を最小限に抑える材料からなる。粒子表面と間質との間の相互作用は、リンパ取り込みにおいて役割を果たす要因であり得る。粒子表面は、非特異的相互作用を防止するかまたは減少させるための材料でコーティングされ得る。皮下注射後に改善されるリンパの取り込みにより実証されるように、ポリ(エチレングリコール)(PEG)及びそのコポリマー、例えば、PLURONICS(登録商標)(ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)のコポリマーを含む)などの親水性層で粒子をコーティングすることによる立体安定化は、間質のタンパク質との非特異的相互作用を低減し得る。これらの事実の全てが、リンパの取り込みに関連して粒子の物理的特性の有意性を示している。生分解性ポリマーは、ポリマー及び/または粒子及び/または層の全てまたは一部を構成するように使用され得る。生分解性ポリマーは、例えば、官能基が溶液中で水と反応した結果により、分解を受け得る。「分解」という用語は、本明細書で使用される場合、分子量の低減により、または疎水性基から親水性基への変換により可溶性になることを指す。エステル基を有するポリマー、例えば、ポリラクチド及びポリグリコリドは概して、自発的加水分解に供される。
本発明の粒子は、追加の成分も含有し得る。例えば、担体は、担体に組み込まれるかまたはコンジュゲートされた造影剤を有し得る。現在市販されている、造影剤を有する担体ナノスフェアの例は、Kodak X-sightナノスフェアである。量子ドット(QD)として既知の無機量子閉じ込め発光ナノ結晶が、FRET用途における理想的なドナーとして浮上してきており、それらの高い量子収率及び調整可能なサイズ依存性ストークスシフトは、単一の紫外線波長で励起されたときに青色から赤外までの異なるサイズが放出することを可能にする。(Bruchez,et al.,Science,1998,281,2013、Niemeyer,C.M Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,5796、Waggoner,A.Methods Enzymol.1995,246,362、Brus,L.E.J.Chem.Phys.1993,79,5566)。デンドリマーとして既知のポリマーのクラスに基づく、ハイブリッド有機/無機量子ドットなどの量子ドットは、生物学的標識、撮像、及び光学的バイオセンシングシステムにおいて使用され得る。(Lemon,et al.,J.Am.Chem.Soc.2000,122,12886)。従来の無機量子ドットの合成とは異なり、これらのハイブリッド量子ドットナノ粒子の合成は、高温、または毒性の高い不安定な試薬を必要としない。(Etienne,et al.,Appl.Phys.Lett.87,181913,2005)。
粒子は、幅広い材料から形成され得る。粒子は好ましくは、生物学的使用に好適な材料からなる。例えば、粒子は、ガラス、シリカ、ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、ジカルボン酸のポリ無水物、またはヒドロキシカルボン酸及びジカルボン酸のコポリマーからなってもよい。より一般的に、担体粒子は、直鎖もしくは分岐状、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、線状もしくは架橋された、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、へテロアリール、もしくはアルコキシヒドロキシ酸のポリエステル、または直鎖もしくは分岐状、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、線状もしくは架橋された、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリール、もしくはアルコキシジカルボン酸のポリ無水物からなってもよい。加えて、担体粒子は、量子ドットであり得るか、または量子ドットポリスチレン粒子などの量子ドットからなり得る(Joumaa et al.(2006);Langmuir 22:1810-6)。エステルと無水物結合との混合物を含む担体粒子(例えば、グリコール酸及びセバシン酸のコポリマー)も用いられ得る。例えば、担体粒子は、ポリグリコール酸ポリマー(PGA)、ポリ乳酸ポリマー(PLA)、ポリセバシン酸ポリマー(PSA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸コポリマー(PLGAまたはPLG、これらの用語は互換可能である)、[rho]oly(乳酸-コ-セバシン)酸コポリマー(PLSA)、ポリ(グリコール-コ-セバシン)酸コポリマー(PGSA)、ポリプロピレンスルフィドポリマー、ポリ(カプロラクトン)、キトサンなどを含む材料を含み得る。本発明において有用な他の生体適合性、生分解性ポリマーは、カプロラクトン、カーボネート、アミド、アミノ酸、オルトエステル、アセタール、シアノアクリレート、及び分解性ウレタンのポリマーまたはコポリマー、ならびに直鎖または分岐状、置換または非置換の、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルケニル、または芳香族ヒドロキシカルボン酸もしくはジカルボン酸とのこれらのコポリマーを含む。さらに、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン及びシステイン、またはそれらの鏡像異性体などの反応性側鎖基を有する生物学的に重要なアミノ酸が、抗原ペプチド及びタンパク質またはコンジュゲート部分にコンジュゲートするための反応基を提供するように、前述の材料のうちのいずれかとのコポリマーに含まれ得る。本発明に好適な生分解性材料には、ダイヤモンド、PLA、PGA、ポリプロピレンスルフィド、及びPLGAポリマーが含まれる。生体適合性であるが非生分解性である材料も、本発明の担体粒子に使用され得る。例えば、アクリレート、エチレン-酢酸ビニル、アシル置換酢酸セルロース、非分解性ウレタン、スチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルイミダゾール、クロロスルホン化オレフィン、エチレンオキシド、ビニルアルコール、TEFLON(登録商標)(DuPont,Wilmington,Del.)、及びナイロンの非生分解性ポリマーが用いられ得る。
本発明の粒子は、当該技術分野で一般的に既知の任意の手段により製造され得る。粒子を製造する例示的な方法には、ミクロエマルション重合法、界面重合法、沈殿重合法、エマルション蒸発法、エマルション拡散法、溶媒置換法、及び塩析法(Astete and Sabliov,J.Biomater.Sci.Polymer Edn.,17:247-289(2006))が含まれるが、これらに限定されない。PLGA粒子のための製造プロセスの操作は、粒子特性(例えば、サイズ、サイズ分布、ゼータ電位、形態、疎水性/親水性、ポリペプチド閉じ込めなど)を制御し得る。粒径は、PLGAの濃度、粒子の製造において使用される溶媒、有機相の特質、製造において使用される界面活性剤、連続相及び不連続相の粘度、使用される溶媒の特質、使用される水温、超音波処理、蒸発速度、添加剤、せん断応力、滅菌、及び任意の封入抗原またはポリペプチドの特質を含むが、これらに限定されない複数の要因により影響を受ける。
粒径は、ポリマー濃度により影響を受け、より高度な粒子は、より高いポリマー濃度から形成される。例えば、溶媒炭酸プロピレンが使用されるとき、PLGA濃度が1%から4%(w/v)まで増加すると、平均粒径が約205nmから約290nmまで増加し得る。あるいは、酢酸エチル及び5%Pluronic F-127において、PLGA濃度が1%から5%(w/v)まで増加すると、平均粒径が120nmから230nmまで増加する。
連続相及び不連続相の粘度も、より小さな粒子を形成する上で重要なステップである拡散プロセスに影響を与える重要なパラメータである。粒径は分散相の粘度の増加とともに増加する一方で、粒径は、連続相がより粘着性があると減少する。概して、有機対水性溶媒の相比率が低いほど、粒径がより小さくなる。
ホモジナイザー速度及び撹拌も粒径に影響を与え、概して、より高速かつ撹拌により、粒径が減少するが、さらに速度及び撹拌が増加しても粒径がそれ以上減少しないポイントがある。エマルションが高圧ホモジナイザーで均質にされると、単に速く掻き混ぜる場合と比較してサイズの低減において有利な影響がある。例えば、5%PVA中の20%の相比率において、掻き混ぜた時の平均粒径は288nmであり、均質化(300バーの高圧)時の平均粒径は231nmである。
重要な粒径の低減は、付加する水温を変化させて、溶媒の拡散を改善することにより達成され得る。平均粒径は、水温の増加とともに減少する。
粒子中に封入されているポリペプチドの特質も粒径に影響を与える。概して、疎水性ポリペプチドの封入により、より親水性のポリペプチドの封入と比較してより小さな粒子の形成がもたらされる。二重エマルションプロセスにおいて、より親水性のポリペプチドの閉じ込めは、高分子質量のPLGA、及びより高い内部相粘度を引き起こす高分子質量の第1の界面活性剤を使用することにより改善される。溶媒と、ポリマーと、ポリペプチドとの間の相互作用は、ポリペプチドの粒子への組み込みの効率に影響を与える。
PLGA分子質量は、最終の平均粒径に影響を及ぼす。概して、分子質量が高いほど、平均粒径がより高くなる。例えば、PLGAの組成及び分子質量が変化する(例えば、50:50のPLGAに対して12から48kDaへ、75:25のPLGAに対して12から98kDaへ)と、平均粒径も変化する(それぞれ約102nm~154nm、約132nm~152nm)。粒子が同じ分子質量である場合でも、それらの組成は、平均粒径に影響を与え得、例えば、50:50の比を有する粒子は概して、75:25の比を有する粒子よりも小さな粒子を形成する。ポリマーの末端基も粒径に影響を与える。例えば、エステル末端基を用いて調製された粒子は、酸PLGA末端基の平均のサイズが240nm(PI=0.225)であるのと比較して740nm(PI=0.394)の平均のサイズを有する粒子を形成する。
使用される溶媒も粒径に影響を与え得、溶液の表面張力を低減する溶媒は、粒径も低減する。
有機溶媒は、真空中の蒸発により除去されて、ポリマー及びポリペプチドの損傷を回避し、最終の粒径の低減を促進する。真空下での有機溶媒の蒸発は、より小さな粒子を形成する上でより効率的である。例えば、真空中での蒸発は、通常の速度の蒸発下で産生された平均粒径よりもおよそ30%小さな平均粒径を産生する。
超音波処理の波長の振幅も粒子の特徴に影響を与える。さらなる液滴サイズの変化のない非常に黒いミニエマルションを形成するためには、波長の振幅は600~800sの超音波処理で20%超であるべきである。しかしながら、超音波処理の主な欠点は、形成されたエマルションの単分散の欠如である。
本発明の粒子の産生において使用され得る有機相には、酢酸エチル、メチルエチルケトン、炭酸プロピレン、及びベンジルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。使用され得る連続相には、界面活性剤ポロキサマー188が含まれるが、これらに限定されない。
様々な界面活性剤が本発明の粒子の製造において使用され得る。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、または非イオン性であり得る。ポロキサマー及びポロアキサミン(poloaxamine)族の界面活性剤が粒子合成において一般的に使用される。使用され得る界面活性剤には、PEG、Tween-80、ゼラチン、デキストラン、プルロニックL-63、PVA、メチルセルロース、レシチン、及びDMABが含まれるが、これらに限定されない。加えて、ビタミンE TPGS(D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩)が含まれるが、これらに限定されない生分解性かつ生体適合性である界面活性剤。ある特定の実施形態において、2つの界面活性剤が必要とされる(例えば、二重エマルション蒸発法において)。これらの2つの界面活性剤は、第1のエマルションのための疎水性界面活性剤と、第2のエマルションのための疎水性界面活性剤とを含み得る。
本発明の粒子の産生において使用され得る溶媒には、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、及びクロリネート(chlorinate)族のメンバーである塩化メチルが含まれるが、これらに限定されない。有機溶媒の選択には、ポリマーは本溶媒中で可溶性でなければならないということ、かつ溶媒は水相と完全に非混和性でなければならないということの2つの選択基準が求められる。
本発明の粒子の産生において使用され得る塩には、塩化マグネシウム六水和物、酢酸マグネシウム四水和物が含まれるが、これらに限定されない。
一般的な塩析剤には、電解質(例えば、塩化ナトリウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム)、または非電解質(例えば、スクロース)が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の粒子の安定性及び粒径は、脂肪酸または炭素の短鎖を含むがこれらに限定されない化合物の付加により改善され得る。ラウリン酸のより長い炭素鎖の付加は、粒子の特徴の改善と関連付けられる。さらに、疎水性添加剤の付加は、粒径、粒子へのポリペプチドの組み込み、及び放出プロファイルを改善し得る。粒子の調製は、凍結乾燥により安定化され得る。トレハロースなどの抗凍結剤の付加により、凍結乾燥時の粒子の凝集を減少し得る。
現在市販されている好適なビーズには、FluoSpheres(Molecular Probes、Eugene、Oreg.)などのポリスチレンビーズが含まれる。
いくつかの実施形態において、本発明は、(a)化学的薬剤及び/または生物学的薬剤の対象への送達のために構成される送達用足場と、(b)抗原特異的寛容の誘導のための抗原結合型ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)粒子とを含むシステムを提供する。いくつかの実施形態において、該送達用足場の少なくとも一部は微孔性である。いくつかの実施形態において、抗原結合型ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)粒子は、該足場内に封入される。いくつかの実施形態において、化学的薬剤及び/または生物学的薬剤は、タンパク質、ペプチド、小分子、核酸、細胞、及び粒子からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、化学的薬剤及び/または生物学的薬剤は細胞を含み、該細胞は膵臓の膵島細胞を含む。
物理的特性もまた、未成熟なリンパ球を有する領域における取り込み及び保留後のナノ粒子の有用性に関連する。これらは、剛性またはゴム性(rubberiness)などの機械的特性を含む。いくつかの実施形態は、最近、(標的または免疫ではなく)全身送達のために開発され、特徴付けられたPPS-PEG系におけるように、上層、例えば、PEGにおけるような親水性上層を有するゴム状コア、例えば、ポリ(プロピレンスルフィド)(PPS)コアに基づいている。ゴム状コアは、ポリスチレンまたは金属ナノ粒子系におけるような実質的に剛性のコアとは対照的である。ゴム状という用語は、天然または合成ゴム以外のある特定の弾性材料を指し、ゴム状とは、ポリマー技術分野の当業者によく知られた用語である。例えば、架橋されたPPSは、疎水性ゴム状コアを形成するために使用され得る。PPSは、酸化条件下でポリスルホキシド及び最終的にはポリスルホンに分解し、疎水性ゴムから親水性で水溶性のポリマーに推移するポリマーである。他の硫化物ポリマーを使用のために適合させてもよく、硫化物ポリマーという用語は、ポリマーの骨格に硫黄を有するポリマーを指す。使用され得る他のゴム状ポリマーは、水和条件下で約37℃未満のガラス転移温度を有するポリエステルである。コア及び上層は、混合する傾向がなく、そのため上層がコアから離れて立体的に拡大する傾向があるため、疎水性コアは、親水性上層とともに有利に使用され得る。コアは、その上に層を有する粒子を指す。層は、コアの少なくとも一部を覆う材料を指す。層は、吸着され得るか、または共有結合され得る。粒子またはコアは、中実または中空であり得る。ゴム状疎水性コアは、ゴム状疎水性コアを有する粒子によってより多くの疎水性薬物の充填を行うことができるという点において、結晶性またはガラス状(ポリスチレンの場合のように)コアなどの剛性疎水性コアよりも有利である。
別の物理的特性は、表面の親水性である。親水性材料は、架橋されていないとき、1リットル当たり少なくとも1グラムの水溶性を有し得る。親水性ポリマーによる粒子の立体安定化は、非特異的相互作用を低減することにより間質からの取り込みを改善し得るが、粒子の高いステルス性が、未成熟なリンパ球を有する領域で食細胞による内部移行を低減させる可能性もある。これらの競合する特徴の均衡を保つという課題は満たされたが、本出願は、リンパ節におけるDC及び他のAPCへの有効なリンパ送達のためのナノ粒子の創出を実証する。いくつかの実施形態は、親水性成分、例えば、親水性材料の層を含む。好適な親水性材料の例は、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリサッカライド、ポリアクリル酸、及びポリエーテルのうちの1つ以上である。層中のポリマーの分子量は、インビボで有用な程度の立体障害を提供するように、例えば、約1,000~約100,000、またはさらにそれ以上に調整され得、当業者は、明示的に記載される範囲内の全ての範囲及び値、例えば、10,000~50,000が企図されることを直ちに理解するであろう。
ナノ粒子は、さらなる反応のために官能基を組み込み得る。さらなる反応のための官能基は、求電子剤または求核剤を含み、これらは他の分子と反応させるのに好都合である。求核剤の例は、第一級アミン、チオール、及びヒドロキシルである。求電子剤の例は、スクシンイミジルエステル、アルデヒド、イソシアネート、及びマレイミドである。
当該技術分野で周知の様々な手段が、抗原ペプチド及びタンパク質を担体にコンジュゲートさせるために使用され得る。これらの方法は、抗原ペプチド及びタンパク質の生物学的活性を破壊しないかまたは大幅に限定せず、かつ、十分な数の抗原ペプチド及びタンパク質を、抗原ペプチドまたはタンパク質と同族のT細胞受容体との相互作用を可能にする配向で担体にコンジュゲートさせることができる、任意の標準的な化学作用を含む。概して、抗原ペプチドもしくはタンパク質のC末端領域、または抗原ペプチドもしくはタンパク質融合タンパク質のC末端領域を担体にコンジュゲートさせる方法が好ましい。正確な化学作用は、当然のことながら、担体材料の特質、抗原ペプチドもしくはタンパク質へのC末端融合の有無、及び/またはコンジュゲート部分の有無に依存する。
官能基は、利用可能性のために、必要に応じて粒子上に位置し得る。1つの位置は、コアポリマー、またはコア上の層であるポリマー、または別様に粒子に繋ぎ止められたポリマー上の、側基または終端であり得る。例えば、特定の細胞標的化、またはタンパク質及びペプチド薬物送達のために容易に官能化され得るナノ粒子を安定化するPEGを記載する例が本明細書に含まれる。
エチレンカルボジイミド(ECDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、2つのエポキシ残基を含有するプロピレングリコールジグリシリジルエーテル、及びエピクロロヒドリンなどのコンジュゲートが、ペプチドまたはタンパク質を担体表面に固定するために使用され得る。理論に束縛されるものではないが、ECDIは、寛容を誘導するための2つの主要な機能を果たすと考えられる:(a)遊離アミノ基と遊離カルボキシル基との間のペプチド結合形成の触媒作用を介してタンパク質/ペプチドを細胞表面に化学的に結合させ、かつ(b)アポトーシス細胞死を模倣するように担体を誘導し、そうすることでそれらが脾臓内の宿主抗原提示細胞(内皮細胞を含み得る)により選択され、寛容を誘導する。自己反応性細胞におけるアネルギーの直接的な誘導をもたらすのは、この非免疫原性の様式における宿主T細胞への提示である。さらに、ECDIは、特異的制御性T細胞を誘導するための強力な刺激としての役割を果たす。
一連の実施形態において、抗原ペプチド及びタンパク質は、共有化学結合を介して担体に結合する。例えば、抗原のC末端近くの反応基または部分(例えば、C末端カルボキシル基、またはアミノ酸側鎖のヒドロキシル基、チオール基、もしくはアミン基)は、直接的な化学反応により担体の表面上の反応基または部分(例えば、PLAもしくはPGAポリマーのヒドロキシル基もしくはカルボキシル基、デンドリマーの末端アミン基もしくはカルボキシル基、またはリン脂質のヒドロキシル基、カルボキシル基、もしくはリン酸基)に直接コンジュゲートされ得る。あるいは、抗原ペプチド及びタンパク質の両方を担体に共有結合的にコンジュゲートさせ、それにより、それらを一緒に結合させるコンジュゲート部分が存在し得る。
担体の表面上の反応性カルボキシル基は、例えば、1-エチル-3-[3,9-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)またはN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)とそれらを反応させることにより、抗原ペプチドまたはタンパク質上の(例えば、Lys残基からの)遊離アミンに結合され得る。同様に、担体の表面上の遊離アミンを、抗原ペプチドまたはタンパク質上の(例えば、C末端、またはAspもしくはGIu残基からの)遊離カルボキシルとコンジュゲートさせるために同じ化学作用が使用され得る。あるいは、担体の表面上の遊離アミン基は、Arano et al.(1991)Chem.2:71-6に本質的に記載されるようなsulfo-SIAB化学作用を使用して、抗原ペプチド及びタンパク質、または抗原ペプチドもしくはタンパク質融合タンパク質に共有結合され得る。
別の実施形態において、抗原ペプチドまたはタンパク質に結合したリガンドと、担体に付着した抗リガンドとの間の非共有結合により、抗原を担体にコンジュゲートさせてもよい。例えば、ビオチンリガーゼ認識配列タグが抗原ペプチドまたはタンパク質のC末端に結合され得、このタグは、ビオチンリガーゼによりビオチン化され得る。次いで、ビオチンは、抗原ペプチドまたはタンパク質を、抗リガンドとして担体の表面に吸着されるかまたは別様に結合したアビジンまたはストレプトアビジンに非共有結合的にコンジュゲートさせるためのリガンドとしての役割を果たし得る。あるいは、抗原ペプチド及びタンパク質が、Fc領域を担持する免疫グロブリンドメインと融合される場合、上述のように、Fcドメインはリガンドとして作用し得、担体の表面に共有結合または非共有結合したプロテインAは、抗原ペプチドまたはタンパク質を担体に非共有結合的にコンジュゲートさせるための抗リガンドとしての役割を果たし得る。金属イオンキレート化技法(例えば、抗原ペプチドもしくはタンパク質または抗原ペプチドもしくはタンパク質融合タンパク質のC末端のポリ-Hisタグ、及びNi+でコーティングした担体を使用)を含む、抗原ペプチド及びタンパク質を担体に非共有結合的にコンジュゲートさせるために用いられ得る他の手段が当該技術分野で周知であり、これらの方法は、本明細書に記載の方法と置き換えられ得る。
核酸部分のプラットホーム分子へのコンジュゲーションは、任意の数の方法で達成され得るが、典型的には、1つ以上の架橋剤、ならびに核酸部分及びプラットホーム分子上の官能基を伴う。結合基は、標準的な合成化学技法を使用してプラットホームに付加される。結合基は、標準的な合成化学技法を使用して核酸部分に付加され得る。実施者は、本発明の組み合わせにおいて使用される抗原に関していくつかの選択肢を有する。組み合わせに存在する誘導性抗原は、誘導される免疫寛容原性応答の特異性に寄与する。それは、標的抗原と同じでもまたは同じでなくでもよく、望ましくない免疫学的応答の標的であり、寛容が所望される治療を受ける対象に存在するかまたは与えられる抗原である。
本発明の誘導性抗原は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、糖脂質、もしくは生物学的源から単離された他の分子であってもよいか、または化学的に合成された小分子、ポリマー、もしくは生物学的材料の誘導体であってもよいが、但し、粘膜結合性成分と組み合わせたときに、本明細書による寛容を誘導する能力を有することを条件とする。
いくつかの実施形態において、本発明は、1つ以上のペプチド、ポリペプチド、及び/またはタンパク質に結合した担体(例えば、免疫修飾粒子)を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるものなどの担体(例えば、PLG担体)は、抗原特異的寛容を誘導し、かつ/または免疫関連疾患(マウスモデルにおけるEAEなど)の発症を予防し、かつ/または既存の免疫関連疾患の重篤性を低減するのに有効である。いくつかの実施形態において、本発明の組成物及び方法は、T細胞にT細胞活性化に関連する初期事象を開始させることができるが、T細胞にエフェクター機能を獲得させることはできない。例えば、本発明の組成物の投与は、CD69及び/またはCD44上方制御などの準活性化(quasi-activated)表現型を有するT細胞をもたらし得るが、IFN-γまたはIL-17合成の欠如により示されるように、エフェクター機能は提示しない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物の投与は、ナイーブな抗原特異的T細胞を、例えば、CD25+/Foxp3+表現型を有するものなどの制御性表現型に変換することなく、準活性化表現型を有するT細胞をもたらす。
いくつかの実施形態において、担体(例えば、粒子)の表面は、抗原ペプチド及び/または他の機能的要素の担体への付着(例えば、共有結合的、非共有結合的)を可能にする化学的部分及び/または官能基を含む。いくつかの実施形態において、担体(例えば、粒子)上の化学的部分及び/または官能基の数、配向、間隔などは、担体の化学作用、所望の用途などに従って変化する。
いくつかの実施形態において、担体は、担体に接着された、吸着された、封入された、及び/または担体全体に含有された、1つ以上の生物学的薬剤または化学的薬剤を含む。いくつかの実施形態において、化学的薬剤または生物学的薬剤は、粒子に封入され、かつ/または粒子全体に含有される。本発明は、化学的薬剤または生物学的薬剤の特質により限定されない。かかる薬剤にはタンパク質、核酸分子、小分子薬、脂質、炭水化物、細胞、細胞成分などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、2つ以上(例えば、3つ、4つ、5つなど)の異なる化学的薬剤または生物学的薬剤が、担体の上または中に含まれる。いくつかの実施形態において、薬剤は、特定の放出速度のために構成される。いくつかの実施形態において、複数の異なる薬剤が、異なる放出速度のために構成される。例えば、第1の薬剤は、数時間の期間にわたって放出され得、第2の薬剤は、より長い期間(例えば、数日、数週間、数ヶ月など)にわたって放出され得る。いくつかの実施形態において、担体またはその一部は、生物学的薬剤または化学的薬剤の徐放のために構成される。いくつかの実施形態において、徐放は、少なくとも30日(例えば、40日、50日、60日、70日、80日、90日、100日、180日など)の期間にわたって生物学的に活性な量の薬剤の放出を提供する。いくつかの実施形態において、担体またはその一部は、細胞の細孔内への内部成長を可能にするのに十分に多孔性であるように構成される。細孔のサイズは、対象とする特定の細胞型及び/または所望の内部成長の量のために選択され得る。いくつかの実施形態において、粒子は、薬物または免疫調節物質などの他の非ペプチド活性化剤無しに対象とする抗原を含む。さらに、いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、対象とする抗原に加えて免疫賦活性または免疫抑制性ペプチドを含有しない。さらに、いくつかの実施形態において、粒子は、粒子の表面上または粒子内に封入されている他のタンパク質またはペプチド(例えば、共刺激分子、MHC分子、免疫賦活性ペプチド、または免疫抑制性ペプチド)を含有しない。
驚くべきことに、本発明の粒子への抗原、生物学的薬剤、及び/または化学的薬剤の封入が、免疫寛容を誘導し、いくつかの利点を有することが分かった。第1に、封入された粒子は、より緩徐なサイトカイン応答を有する。第2に、複数の抗原、生物学的薬剤、及び/または化学的薬剤を使用する場合、粒子の表面に薬剤を付着した場合に起こり得るこれらの多様な分子間の競合が、封入によりなくなる。第3に、封入により、より多くの抗原、生物学的薬剤、及び/または化学的薬剤を粒子に組み込むことができる。第4に、封入により、複合タンパク質抗原または臓器ホモジネート(例えば、1型糖尿病の場合の膵臓ホモジネートまたはピーナッツアレルギーにおけるピーナッツ抽出物)の使用をより容易にできる。最後に、粒子の表面へのコンジュゲーションの代わりに、粒子内に抗原、生物学的薬剤、及び/または化学的薬剤を封入することにより、粒子の表面上の正味の負電荷を維持する。本発明の粒子への抗原、生物学的薬剤、及び/または化学的薬剤の封入は、当該技術分野で既知の任意の方法により行われ得る。一実施形態において、ポリペプチド抗原は、二重エマルションプロセスにより粒子内に封入されている。さらなる実施形態において、ポリペプチド抗原は、水溶性である。
別の実施形態において、ポリペプチド抗原は、単一のエマルションプロセスにより粒子内に封入されている。さらなる実施形態において、ポリペプチド抗原は、より疎水性である。場合によっては、二重エマルションプロセスは、親水性活性成分の漏出及び低い閉じ込め効率をもたらし得る大きい粒子の形成をもたらす。癒合及びオストワルド熟成は、二重エマルションの液滴サイズを不安定にし得る2つの機構であり、親水性活性成分の有機相を通る拡散は、閉じ込められる活性成分の低レベルの原因となる主な機構である。いくつかの実施形態において、ナノ粒径を低減することが有益であり得る。これを達成するための1つの方策は、第2の強度なせん断速度を適用することである。漏出効果は、内部水相の粘度を増加させ、界面活性剤の分子質量を増加させるとともに、高いポリマー濃度及び高いポリマー分子質量を使用することにより低減され得る。
ある特定の実施形態において、本発明は、中(または、上)に細胞、または他の生物学的薬剤もしくは化学的薬剤を有する担体を提供する。細胞が用いられる場合、担体は、特定の細胞型に限定されない。いくつかの実施形態において、担体は、上に膵臓の膵島細胞を有する。いくつかの実施形態において、微孔性担体は加えて、上にECMタンパク質及び/またはエキセンジン-4を有する。担体は、特定の型に限定されない。いくつかの実施形態において、担体は、多様な多孔性の領域(例えば、多様な細孔サイズ、細孔の深さ、及び/または細孔密度)を有する。いくつかの実施形態において、担体は、上(または中)に医薬品、DNA、RNA、細胞外マトリックスタンパク質、エキセンジン-4などを有する。ある特定の実施形態において、本発明は、かかる担体で膵臓の膵島細胞を移植するための方法を提供する。本発明のある特定の実施形態において、誘導性抗原は、単一の単離分子または組み換え産生された分子である。標的抗原が宿主の多様な位置に散在している状態を治療するためには、概して、誘導性抗原が、標的抗原と同一であるか、またはそれと免疫学的に関連していることが必要である。かかる抗原の例のほとんどは、ポリヌクレオチド抗原であり、炭水化物抗原(血液型抗原など)の場合もある。
任意の好適な抗原は、本発明の範囲内における使用が見出され得る。いくつかの実施形態において、誘導性抗原は、誘導される免疫寛容原性応答の特異性に寄与する。誘導性抗原は、標的抗原と同じでもまたは同じでなくてもよく、望ましくない免疫学的応答の標的であり、寛容が所望される治療を受ける対象に存在するかまたは与えられる抗原である。
本発明のある特定の実施形態において、誘導性抗原は、花粉内で見られるような形態、例えば、スギ花粉由来のポリペプチドと同じ形態ではないが、その断片または誘導体と同じ形態である。本発明の誘導性抗原は、適切な特異性の分子に基づいているが、断片化、残基置換、標識、コンジュゲーション、及び/または他の機能特性を有するペプチドとの融合により適合されるペプチドを含む。適合は、毒性もしくは免疫原性などの任意の望ましくない特性の排除;または粘膜結合、粘膜浸透、もしくは免疫応答の免疫寛容原性アームの刺激などの任意の望ましい特性を増強することを含むが、これらに限定されない、任意の望ましい目的のために行われ得る。CRYJ1またはCRYJ2などの用語は、本明細書で使用される場合、無傷なサブユニットのみでなく、アロタイプ及び合成の変異体、断片、融合ペプチド、コンジュゲート、ならびに類似体であるそれぞれの分子の少なくとも10個、また好ましくは20個の連続アミノ酸と相同(アミノ酸レベルで好ましくは、70%同一、より好ましくは80%同一、及びさらにより好ましくは90%同一)である領域を含有する他の誘導体も指し、ここで、誘導体の相同領域は、それぞれの親分子と、標的抗原に対する寛容を誘導する能力を共有する。
誘導性抗原の免疫寛容原性領域は、抗体応答の刺激のための免疫優勢エピトープとはしばしば異なることが認識される。免疫寛容原性領域は概して、T細胞に関与する特定の細胞相互作用において提示され得る領域である。免疫寛容原性領域は、存在してもよく、無傷な抗原が提示されると寛容を誘導することができる。天然抗原のプロセシング及び提示が通常、寛容を誘因しないという点において、いくつかの抗原は、潜在性の免疫寛容原性領域を含有する。潜在性抗原及びそれらの同定の詳細は、国際特許出願公開第WO94/27634号に見出される。
本発明のある特定の実施形態において、2つ、3つ、またはそれより多くの誘導性抗原が使用される。複数の標的抗原がある場合、これらの実施形態を実現するか、または標的のための複数のバイスタンダーを提供するのが望ましい場合がある。抗原のカクテルを提供して、複数の想定される代替的な標的を網羅することが望ましい場合もある。例えば、CRYJ1及びCRYJ2断片のカクテル、ならびにスギ花粉に由来する他のエピトープが対象を寛容化するために使用され得る。別の例において、アレルゲンの混合物は、アトピーの治療のために抗原を誘導する役割を果たす。
誘導性抗原は、分子の特質に応じて、当該技術分野で既知の複数の技法により調製され得る。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、及び炭水化物抗原は、それらが豊富に含まれた処置される種の細胞から単離され得る。短ペプチドは、アミノ酸合成により都合よく調製される。既知の配列のより長いタンパク質は、コード配列を合成するか、または天然の源もしくはベクターからコード配列をPCR増幅し、次いで、好適な細菌性または真核性宿主細胞中でコード配列を発現させることにより調製され得る。
本発明のある特定の実施形態において、組み合わせは、花粉粒から得られた抗原の複雑な混合物を含み、そのうちの1つ以上が誘導性抗原の役割を果たす。抗原は、無傷であるか、またはホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、もしくはアルコールなどの固定液で処理されているかのいずれかの、全細胞の形態であり得る。抗原は、細胞または組織の界面活性剤による可溶化または機械的破裂の後に清澄化することにより創出される可溶化物の形態であり得る。抗原はまた、細胞下分画、特に、分画遠心法などの技法により形質膜を濃縮した後、任意に界面活性剤による可溶化及び透析により得ることもできる。可溶化した膜タンパク質のアフィニティークロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーなどの他の分離技法もまた好適である。
アレルゲンは、それに対する免疫応答の寛容も望ましい他の抗原である。一実施形態において、抗原は、スギ花粉に関連するポリペプチドである。いくつかの実施形態において、抗原は、CRYJ1である。ある特定の実施形態において、抗原は、CRYJ2である。
一実施形態において、本発明の粒子は、アレルギー、自己免疫疾患、及び/または炎症性疾患もしくは炎症性障害に関連する1つ以上のエピトープを含む抗原に結合している。抗原は、エピトープの1つ以上のコピーを含み得る。一実施形態において、抗原は、1つの疾患または障害に関連する単一のエピトープを含む。さらなる実施形態において、抗原は、同じ疾患または障害に関連する1つを超えるエピトープを含む。なおもさらなる実施形態において、抗原は、異なる疾患または障害に関連する1つを超えるエピトープを含む。さらなる実施形態において、抗原は、1つ以上のアレルギーに関連する1つ以上のエピトープを含む。
スギ花粉に対するアレルギーに関連するエピトープのさらなる非限定的な例、表1。
アレルギーに関連する任意の好適な抗原は、本発明の範囲内における使用が見出され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される粒子は、アレルギーに関連する1つ以上の抗原またはエピトープとともに封入されている。特定の実施形態において、抗原またはエピトープは、粉塵、ペットアレルゲン、樹木花粉、牧草花粉、カビ、野菜アレルゲン、果物アレルゲン、ナッツアレルゲン、種子アレルゲン、香辛料アレルゲン、穀物アレルゲン、魚介アレルゲン、食肉アレルゲン、線虫アレルゲン、ラテックスアレルゲン、及び/または毒液アレルゲンに関連する。
いくつかの実施形態において、スギ花粉由来の抗原エピトープは、Cry j 1、Cry j 2、Cry j 3、Cry j 4、Cry j IFR、Cry j キチナーゼ、Cry j Asp、Cry j LTP、及び/もしくはCry j CPA9、またはそれらの断片もしくは変異体を含む。特定の実施形態において、スギ花粉由来の抗原エピトープは、CRYJ1ポリペプチド、またはそれらの断片もしくは変異体を含む。いくつかの実施形態において、CRYJ1ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、スギ花粉由来の抗原エピトープは、CRYJ1の断片である。いくつかの実施形態において、CRYJ1の断片は、配列番号1に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50個の連続アミノ酸を含む。ある特定の実施形態において、抗原エピトープは、CRYJ1の変異体である。特定の実施形態において、変異体は、配列番号1に対して少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、スギ花粉由来の抗原エピトープは、p16-30、p81-95、p106-120、p111-125、p211-225、及びp301-315からなる群から選択されるCRYJ1の断片であり、これらは、Sone et al.,J.Immunol,vol.161(1)448-457(1998)に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、スギ花粉由来の抗原エピトープは、CRYJ2ポリペプチド、またはそれらの断片もしくは変異体を含む。いくつかの実施形態において、CRYJ2ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、スギ花粉由来の抗原エピトープは、CRYJ2の断片である。いくつかの実施形態において、CRYJ2の断片は、配列番号2に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50個の連続アミノ酸を含む。ある特定の実施形態において、抗原エピトープは、CRYJ2の変異体である。特定の実施形態において、変異体は、配列番号2に対して少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、スギ花粉由来の抗原エピトープは、p66-80、p81-95、p141-155、p186-200、p236-250、p346-360、p351-365、及びp336-350からなる群から選択されるCRYJ2の断片であり、これらは、Sone et al(1998)に記載されている。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される粒子は、スギ花粉由来の2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、15個以上、または20個以上の抗原エピトープを封入する。特定の実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、融合タンパク質中に含有した。いくつかの実施形態において、融合タンパク質中に含有される抗原エピトープは、切断可能リンカーにより連接される。切断可能リンカーは、本明細書で使用される場合、特定の切断部位を含有するアミノ酸配列を指す。
いくつかの実施形態において、切断可能リンカーは、5個、6個、7個、8個、9個、10個、10個超、15個超、20個超、25個超のアミノ酸の長さである。いくつかの実施形態において、切断可能リンカーは、特定の部位でプロテアーゼにより切断される。特定の実施形態において、切断可能リンカーは、プロテアーゼにより切断される1つを超える特定の部位を含有する。いくつかの実施形態において、切断可能リンカーは、1つを超える特定の部位を含有し、ここで、特定の部位は、異なるプロテアーゼにより切断される。いくつかの実施形態において、切断可能リンカーは、1つを超える特定の部位を含有し、ここで、特定の部位は、同じプロテアーゼにより切断される。
いくつかの実施形態において、切断可能リンカーは、フューリン感受性リンカー及び/またはカテプシン感受性リンカーである。特定の実施形態において、切断可能リンカーは、フューリン、カテプシンA、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンD、カテプシンE、カテプシンF、カテプシンG、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL、カテプシンO、カテプシンW、及び/またはカテプシンZのうちの1つ以上によりリンカー上の特定の部位で切断される。いくつかの実施形態において、切断可能ライナーは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、同じタンパク質由来の2つ以上のエピトープを含有する。特定の実施形態において、融合タンパク質は、異なるタンパク質由来の2つ以上のエピトープを含有する。ある特定の実施形態において、融合タンパク質は、CRYJ1由来の2つ以上のエピトープを含む。特定の実施形態において、融合タンパク質は、CRYJ2由来の2つ以上のエピトープを含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、CRYJ1及びCRYJ2由来のエピトープを含む。
抗原及び/またはエピトープの組み合わせは、単離細胞を用いた実験か、または動物モデルにおける実験を実行することにより寛容を促進するそれらの能力に関して試験され得る。
いくつかの実施形態において、本発明の寛容誘導組成物は、(例えば、抗原ペプチドまたは他の抗原分子に加えて)アポトーシスシグナル伝達分子を含有する。いくつかの実施形態において、アポトーシスシグナル伝達分子は、担体の表面と結合及び/または会合される。いくつかの実施形態において、アポトーシスシグナル伝達分子は、担体が、宿主の抗原提示細胞、例えば、宿主細網内皮系の細胞により、アポトーシス小体として認識されることを可能にし、これにより、関連ペプチドエピトープを寛容を誘導する様式で提示することが可能となる。理論に束縛されるものではないが、これは、免疫細胞刺激に関与する分子、例えば、MHCクラスI/II、及び共刺激分子の上方制御を防止すると推定される。これらのアポトーシスシグナル伝達分子は、食作用マーカーとしての役割も果たし得る。例えば、本発明に好適なアポトーシスシグナル伝達分子は、米国特許出願第2005/0113297号に記載されており、参照によりその全体が組み込まれる。本発明に好適な分子には、食細胞を標的とする分子が含まれ、それらには、マクロファージ、樹状細胞、単球、顆粒球、及び好中球が含まれる。
いくつかの実施形態において、アポトーシスシグナル伝達分子として好適な分子は、関連ペプチドの寛容を増強するように作用する。加えて、アポトーシスシグナル伝達分子に結合された担体は、アポトーシス細胞認識においてClqにより結合され得る(Paidassi et al.,(2008)J.Immunol.180:2329-2338、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、アポトーシスシグナル伝達分子として有用であり得る分子には、ホスファチジルセリン、アネキシン-1、アネキシン-5、乳脂肪球-EGF-因子8(MFG-E8)、またはトロンボスポンジン族(例えば、トロンボスポンジン-(TSP-1))が含まれる。本発明とともにアポトーシスシグナル伝達分子として使用するのに好適な多様な分子は、例えば、米国特許出願公開第2012/0076831号に論じられており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
いくつかの実施形態において、アポトーシスシグナル伝達分子は、抗原特異的ペプチドにコンジュゲートされ得る。いくつかの例において、アポトーシスシグナル伝達分子及び抗原特異的ペプチドは、融合タンパク質の創出によりコンジュゲートされる。例えば、融合タンパク質は、アポトーシスシグナル伝達分子(または、その断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子に結合されている少なくとも1つの抗原特異的ペプチド(または、その断片もしくは変異体)を含み得る。融合タンパク質の創出に関して、「融合タンパク質」、「融合ペプチド」、「融合ポリペプチド」、及び「キメラペプチド」という用語は、互換的に使用される。抗原特異的ペプチドの好適な断片には、本発明の所望の抗原特異的寛容機能を生成する機能を保持する全長ペプチドの任意の断片が含まれる。融合タンパク質は、当該技術分野で理解される多様な手段(例えば、遺伝子融合、化学的結合など)により創出され得る。2つのタンパク質は、直接的に、またはアミノ酸リンカーを介してのいずれかで融合され得る。融合タンパク質を形成するポリペプチドは、典型的にはC末端とN末端で結合するが、それらはまた、C末端とC末端、N末端とN末端、またはN末端とC末端で結合され得る。融合タンパク質のポリペプチドは、任意の順序であり得る。ペプチドリンカー配列は、各ポリペプチドがその二次構造及び三次構造に折り畳むことを確実にするのに十分な距離だけ第1のポリペプチド成分と第2のポリペプチド成分とを分離するために用いられ得る。リンカーとして有用に用いられ得るアミノ酸配列には、Maratea et al.,Gene 40:39-46(1985)、Murphy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA83:8258-8262(1986)、米国特許第4,935,233号、及び米国特許第4,751,180号に開示されているものが含まれ、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。リンカー配列は概して、1~約50のアミノ酸の長さであり得る。いくつかの実施形態において、例えば、第1及び第2のポリペプチドが、機能ドメインを分離し、立体障害を防止するために使用され得る非必須N末端アミノ酸領域を有するとき、リンカー配列は必要ではなく、かつ/または用いられない。
免疫寛容原性活性の代わりとなるものは、無傷の抗原または断片が、標的部位で適切なサイトカインの産生を刺激する能力である。標的部位においてT免疫抑制細胞により放出される免疫制御性サイトカインは、TGF-βであると考えられる(Miller et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:421,1992)。寛容の間に産生され得る他の因子は、サイトカインIL4及びIL-10、ならびに伝達因子PGEである。対照的に、活性免疫破壊を生じている組織内のリンパ球は、IL-1、IL-2、IL-6、及びIFN-γなどのサイトカインを分泌する。故に、抗原を誘導する候補の効能は、適切な種類のサイトカインを刺激するその能力を測定することにより評価され得る。
これを考慮して、誘導性抗原の免疫寛容原性エピトープ、有効な粘膜結合性成分、有効な組み合わせ、または粘膜投与の有効なモード及びスケジュールに対する迅速なスクリーニング試験が、インビトロ細胞アッセイのためのドナーとして同一遺伝子動物を使用して実行され得る。動物は、粘膜表面を試験組成物で処置され、完全なフロイント補助剤中の標的抗原の非経口投与で抗原投与される場合がある。脾臓細胞は、単離され、約50μg/mLの濃度の標的抗原の存在下でインビトロで培養される。標的抗原は、候補タンパク質または細断片で置換され、免疫寛容原性エピトープの位置がマッピングされ得る。培地へのサイトカイン分泌は、標準的な免疫アッセイにより定量化され得る。
他の細胞の活性を抑制する細胞の能力は、標的抗原で免疫付与された動物から単離された細胞を使用するか、または標的抗原に応答する細胞株を創出することにより判定され得る(Ben-Nun et al.,Eur.J.Immunol.11:195,1981、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。この実験の1つの変形において、免疫抑制細胞群は、わずかに照射されて(約1000~1250ラド)増殖を防止し、免疫抑制細胞は、キラー細胞と共培養され、次いで、トリチウム標識されたチミジン組み込み(またはMTT)を使用して、キラー細胞の増殖性活性を定量化する。別の変形において、免疫抑制細胞群及びキラー細胞群は、より高い及びより低いレベルの二重チャンバトランスウエル培養システム(Costar,Cambridge Mass.)内で培養され、これにより、群を互いに、ポリカーボネート膜により分離された1mm内で共インキュベート(coincubate)するのを可能にする(WO93/16724)。この手法において、キラー細胞の増殖性活性が別々に測定され得るため、免疫抑制細胞群の照射は、不要である。
標的抗原が個体内に既に存在する本発明の実施形態において、抗原を単離するか、またはそれを粘膜結合性成分と事前に組み合わせる必要はない。例えば、抗原は、病理的条件(炎症性腸疾患またはセリアック病など)の結果として、または食品アレルゲンの消化により、ある特定の様式で個体内で発現され得る。試験は、1回分以上の用量または製剤中の粘膜結合性成分を与えること、及びインサイツで抗原に対する寛容化を促進するその能力を判定することにより行われる。
特定の疾患の治療のための組成物の有効性及び投与のモードも、対応する動物疾患モデルにおいて詳述され得る。疾患の総体症状を低減するかまたは遅延させる治療の能力は、用いられているモデルの疾患の循環生化学的及び免疫学的な特徴、影響を受けた組織の免疫組織学、ならびに必要に応じて全体的な臨床的特徴のレベルで監視される。試験に使用され得る動物モデルの非限定的な例は、以下の項に含まれる。本発明は、TH1応答、TH2応答、TH17応答、またはこれらの応答の組み合わせを調節することによる寛容の調節を企図する。TH1応答を調節することは、例えば、インターフェロン-ガンマの発現を変化させることを包含する。TH2応答を調節することは、例えば、IL-4、IL-5、IL-10、及びIL-13の任意の組み合わせの発現を変化させることを包含する。典型的には、TH2応答の増加(減少)は、IL-4、IL-5、IL-10、またはIL-13のうちの少なくとも1つの発現の増加(減少)を含み、より典型的には、TH2応答の増加(減少)は、IL-4、IL-5、IL-10、またはEL-13のうちの少なくとも2つの発現の増加を含み、最も典型的には、TH2応答の増加(減少)は、IL-4、IL-5、IL-10、またはIL-13のうちの少なくとも3つの増加を含むが、理想的には、TH2応答の増加(減少)は、IL-4、IL-5、IL-10、及びIL-13の全ての発現の増加(減少)を含む。TH17を調節することは、例えば、TGF-ベータ、IL-6、IL-21、及びIL23の発現、ならびにIL-17、IL-21、及びIL-22の効果レベルを変化させることを包含する。いくつかの実施形態において、本発明は、別の種類の免疫応答を上回る1つの種類の免疫応答を促進することによる寛容の調節を企図する(例えば、免疫切換または免疫偏向)。かかる実施形態において、1つの表現型の確立された免疫応答は、抑制または低減され、異なる表現型の免疫応答は、増加または増強される。例えば、アレルギー性免疫反応におけるTh2からTh1応答への免疫切換は、IgG2a抗体応答の生成、ならびにIFNγ及び/またはIL-12の産生を促進し、これにより、アレルゲン特異的IgE応答の減少及びTh2細胞へのT細胞の極性化の減少がもたらされる。例えば、米国特許出願公開第2012/0076831号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に論じられているような、本発明の組成物及び方法の有効性を評定するための他の好適な方法が当該技術分野で理解される。
本発明のある特定の実施形態は、療法的介入により以前に寛容化されていない個体における免疫寛容の予備刺激に関する。これらの実施形態は概して、抗原と粘膜結合成分との組み合わせの複数回の投与を伴う。典型的には、長期にわたる結果を達成するために、予備刺激中は、少なくとも3回の投与、頻繁には少なくとも4回の投与、また時には少なくとも6回の投与が行われるが、対象は、治療過程の早い段階で寛容の徴候を示す場合がある。ほとんどの場合、各用量はボーラス投与として行われるが、粘膜放出が可能な持続性製剤もまた好適である。複数回投与が行われる場合、投与間の時間は概して、1日~3週間、及び典型的には約3日~2週間である。概して、同じ抗原及び粘膜結合成分は同じ濃度で存在し、投与は同じ粘膜表面に対して行われるが、治療過程の間は、これらの変数のいずれかの変形が適応され得る。本発明の他の実施形態は、ブーストするか、または以前に確立された免疫寛容の存続性を延長させることに関する。これらの実施形態は概して、確立された寛容が減退するか、または減退するリスクがあるとき、1回の投与または短期期間の治療を伴う。ブーストすることは概して、予備刺激または以前のブーストの1ヶ月~1年、及び典型的には、2~6ヶ月後に行われる。本発明は、週2回、週1回、隔週、または任意の他の定期的なスケジュールで生じる投与のスケジュールにおける寛容の定期的な維持を伴う実施形態も含む。
本発明の粒子は、投薬を必要とする対象における炎症性免疫応答を衰えさせるか、または投薬を必要とする対象における細菌感染もしくはウィルス感染を治療するのに有効な任意の用量で与えられ得る。ある特定の実施形態において、約102~約1020個の粒子が個体に提供される。さらなる実施形態において、約103~約1015個の粒子が提供される。なおもさらなる実施形態において、約106~約1012個の粒子が提供される。なおもさらなる実施形態において、約108~約1010個の粒子が提供される。好ましい実施形態において、好ましい用量は、0.1%固体/mlである。よって、0.5μmのビーズに関して、好ましい用量は、およそ4×109個のビーズであり、0.05μmのビーズに関して、好ましい用量は、およそ4×1012個のビーズであり、3μmのビーズに関して、好ましい用量は、2×107ビーズである。しかしながら、治療されるべき特定の状態を治療するのに有効である任意の用量が本発明により包含される。
本発明は、自己免疫疾患、移植片拒絶、酵素欠損症、及びアレルギー反応などの免疫関連障害の治療に有用である。免疫寛容を誘導するための合成生体適合性粒子系の代用により、製造の容易性、療法剤の広い利用可能性、試料間の均一性の増加、可能な治療部位の数の増加、担体細胞に対するアレルギー性応答の可能性の劇的な低減がもたらされる可能性がある。
本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、T細胞媒介性及び/またはB細胞媒介性免疫応答を含む。例示的な免疫応答は、T細胞応答、例えば、サイトカイン産生、及び細胞傷害性を含む。さらに、免疫応答という用語は、T細胞活性化、例えば、抗体産生(体液性応答)、及びサイトカイン応答性細胞、例えば、マクロファージの活性化により間接的に影響を受ける免疫応答を含む。免疫応答に関与する免疫細胞には、リンパ球、例えば、B細胞及びT細胞(CD4+、CD8+、Th1細胞、及びTh2細胞);抗原提示細胞(例えば、プロフェッショナル抗原提示細胞、例えば、樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、ランゲルハンス細胞、及び非プロフェッショナル抗原提示細胞、例えば、ケラチノサイト、内皮細胞、星状膠細胞、線維芽細胞、乏突起膠細胞);ナチュラルキラー細胞;骨髄細胞、例えば、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球が含まれる。いくつかの実施形態において、本発明の修飾粒子は、炎症性細胞の炎症部位への輸送を低減するのに有効である。
本明細書で使用される場合、「アネルギー」、「寛容」、または「抗原特異的寛容」という用語は、T細胞受容体媒介性刺激に対するT細胞の非感受性を指す。かかる非感受性は概して、抗原特異的であり、抗原ペプチドへの曝露が終了した後も存続する。例えば、T細胞内のアネルギーは、サイトカイン産生、例えば、IL-2の欠如を特徴とする。T-細胞アネルギーは、T細胞が抗原に曝露され、第2のシグナル(共刺激シグナル)の不在下で第1のシグナル(T細胞受容体またはCD-3媒介性シグナル)を受け取るときに生じる。これらの条件下では、同じ抗原への細胞の再曝露により、(共刺激分子の存在下で再曝露が行われる場合であっても)サイトカインを産生することができなくなり、その後、増殖することができなくなる。したがって、サイトカインを産生できないことにより増殖が防止される。しかしながら、アネルギーT細胞は、サイトカイン(例えば、IL-2)とともに培養されると増殖することができる。例えば、T細胞アネルギーはまた、ELISAにより、または指標細胞株を使用する増殖アッセイにより測定されるように、Tリンパ球によるIL-2産生の欠如によっても観察され得る。あるいは、レポーター遺伝子構築物が使用され得る。例えば、アネルギーT細胞は、5’IL-2遺伝子エンハンサーの制御下で異種プロモーターにより、またはエンハンサー内に見出すことができるAPI配列のマルチマーにより誘導されるDL-2遺伝子の転写を開始することができない(Kang et al.1992 Science.257:1134)。
本明細書で使用される場合、a)特異的免疫学的応答のレベル減少(抗原特異的エフェクターTリンパ球、Bリンパ球、抗体、またはそれらの同等物により少なくとも部分的に媒介されると考えられる)、b)特異的免疫学的応答の開始もしくは進行の遅延、またはc)特異的免疫学的応答の開始もしくは進行のリスク低減の場合の「免疫学的寛容」という用語は、治療していない対象と比較した治療対象の割合に基づいて行われる方法を指す。「特異的な」免疫学的寛容は、免疫学的寛容が、他と比較してある特定の抗原に対して優先的に惹起されたときに生じる。「非特異的な」免疫学的寛容は、免疫学的寛容が、炎症性免疫応答をもたらす抗原に対して無差別に惹起されたときに生じる。「準特異的な」免疫学的寛容は、免疫学的寛容が、保護免疫応答をもたらす他の抗原ではなく、病原性免疫応答をもたらす抗原に対して半差別的に惹起されたときに生じる。
自己抗原及び自己免疫疾患に対する寛容は、胸腺の自己反応性T細胞の負の選択、及び胸腺欠失を回避し、末梢で見られる自己反応性T細胞に対する末梢性寛容の機構を含む、様々な機構により達成される。末梢性T細胞寛容を提供する機構の例には、自己抗原の「無視」、自己抗原に対するアネルギーまたは非応答性、サイトカイン免疫偏向、及び自己反応性T細胞の活性化誘導性細胞死が含まれる。さらに、制御性T細胞は、末梢性寛容の媒介に関与すると示されている。例えば、Walker et al.(2002)Nat.Rev.Immunol.2:11-19、Shevach et al.(2001)Immunol.Rev.182:58-67を参照されたい。ある状況において、自己抗原に対する末梢性寛容が失われ(または破壊され)、結果として自己免疫応答が生じる。例えば、EAEの動物モデルにおいて、TLR先天性免疫受容体による抗原提示細胞(APC)の活性化は、自己寛容を破壊し、EAEの誘導をもたらすことが示された(Waldner et al.(2004)J.Clin.Invest.113:990-997)。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、TLR7/8、TLR9、及び/またはTLR7/8/9依存性細胞刺激を抑制または低減しながらも、抗原提示を増加させるための方法を提供する。本明細書に記載されるように、特定の修飾粒子の投与により、免疫賦活性ポリヌクレオチドに関連するTLR7/8、TLR9、及び/またはTLR7/8/9依存性細胞応答を抑制しながらも、DCまたはAPCによる抗原提示がもたらされる。かかる抑制は、1つ以上のTLR関連サイトカインのレベル減少を含み得る。
上記で論じられるように、本発明は、Mac-1及びLFA-1媒介性障害の治療に有用な生物学的特性を有する新規の化合物を提供する。
したがって、本発明の別の態様において、免疫修飾粒子を含み、任意に、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が提供される。ある特定の実施形態において、これらの組成物は任意に、1つ以上の追加の療法剤をさらに含む。あるいは、本発明の修飾粒子は、1つ以上の他の療法剤の投与と組み合わせて修飾粒子を必要とする患者に投与され得る。例えば、本発明の化合物との共同投与のため、または本発明の化合物を有する薬学的組成物中に包含するための追加の療法剤は、承認された抗炎症剤であり得るか、あるいは未制御炎症性免疫応答、または細菌感染もしくはウィルス感染を特徴とする任意の障害の治療のために最終的に承認を得る、食品医薬品局で承認段階にあるいくつかの薬剤のうちのいずれか1つであり得る。また、本発明のある特定の修飾粒子が、治療のために遊離形態で存在し得るか、または必要に応じて、その薬学的に許容される誘導体として存在し得ることも理解されるであろう。
加えて、本発明の薬学的組成物は、本明細書で使用される場合、所望される特定の投薬形態に適するような、任意及び全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散助剤もしくは懸濁助剤、表面活性化剤、等張剤、増ちょう剤もしくは乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤などを含む薬学的に許容される担体を含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的組成物を製剤化するのに使用される多様な担体及びこれらを調製するための既知の技法を開示している。任意の従来の担体培地が任意の望ましくない生物学的効果を産生すること、あるいは有害な様式で薬学的組成物の任意の他の成分(複数可)と相互作用することなどにより本発明の化合物と適合しない場合を除いて、その使用は本発明の範囲内であると企図される。薬学的に許容される担体としての役割を果たし得る材料のいくつかの例には、糖類、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、カカオバター及び座薬ワックス;油類、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張性生理食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール、及びリン酸緩衝液、ならびに他の非毒性適合性潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムが含まれるが、これらに限定されず、かつ製剤者の判断に従って、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、防腐剤、ならびに抗酸化剤も本組成物中に存在させてもよい。
経口投与のための液体投薬形態には、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤が含まれるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体投薬形態は、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤及びエマルション剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含有し得る。不活性希釈剤の他にも、経口組成物は、アジュバント、例えば、湿潤剤、エマルション剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、ならびに芳香剤を含み得る。
本発明の粒子は、経口的、経鼻的、静脈内、筋肉内、眼内、経皮的、腹腔内、または皮下投与され得る。一実施形態において、本発明の粒子は、静脈内投与される。
免疫応答を調節する上で本発明の有効量及び投与の方法は、個体、治療されるべき状態がどのような状態か、及び当業者にとって明らかな他の要因に基づいて変化し得る。考慮すべき要因には、投与経路及び投与される投薬回数が含まれる。かかる要因は、当該技術分野で既知であり、当業者において、過度に実験を行うことなくかかる判断が可能である。好適な用量範囲は、所望される免疫制御を提供する範囲である。送達される担体の量で示される担体の有用な用量範囲は、例えば、以下の約0.5~10mg/kg、1~9mg/kg、2~8mg/kg、3~7mg/kg、4~6mg/kg、5mg/kg、1~10mg/kg、5~10mg/kgのいずれかであり得る。あるいは、用量は、粒子の数に基づいて投与され得る。例えば、送達される担体で示される担体の有用な用量は、例えば、約106、107、108、109、1010、またはそれよりも多い用量当たりの粒子の数であり得る。各患者に与えられる絶対量は、バイオアベイラビリティ、クリアランス速度、及び投与経路などの薬理学的特性に依存する。薬学的に許容される担体、希釈剤、及び賦形剤の詳細、ならびに薬学的組成物及び製剤の調製方法は、Remmingtons Pharmaceutical Sciences 18thEdition,1990,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,USAに提供されており、参照によりその全体が組み込まれる。
特定の担体製剤の有効量及び投与方法は、個別の患者、所望される結果及び/または障害の種類、疾患の段階、ならびに当業者にとって明らかな他の要因に基づいて変化し得る。特定の用途における有用な投与の経路(複数可)は、当業者にとって明白である。投与の経路には、局所的、皮膚的、経皮的、経粘膜的、表皮的、非経口的、胃腸的、ならびに鼻咽頭内及び肺内、例えば、経気管支的及び経歯槽骨的投与が含まれるが、これらに限定されない。好適な用量範囲は、血中レベルにより測定されると、約1~50μΜの組織濃度を達成するのに十分なIRP含有組成物を提供する用量である。各患者に与えられる絶対量は、バイオアベイラビリティ、クリアランス速度、及び投与経路などの薬理学的特性に依存する。
本発明は、生理学的に許容されるインプラント、軟膏、クリーム、リンス、及びゲルを含むが、これらに限定されない局所適用に好適な担体製剤を提供する。皮膚投与の例示的な経路は、経皮透過、表皮投与、及び皮下注射などの最も低侵襲性である経路である。
経皮投与は、担体が皮膚に浸透し、血流に入ることができるクリーム、リンス、ゲルなどの適用により達成される。経皮投与に好適な組成物には、皮膚に直接適用されるか、または経皮デバイス(いわゆる「パッチ」)などの保護的担体中に組み込まれる薬学的に許容される懸濁剤、油類、クリーム、及び軟膏が含まれるが、これらに限定されない。好適なクリーム、軟膏などの例は、例えば、医師用添付文書集内に見ることができる。経皮透過は、例えば、数日間以上の期間にわたって、無傷の皮膚を通してそれらの生成物を継続的に送達する市販されているパッチを使用するイオン泳動によっても達成され得る。この方法の使用は、比較的高濃度で薬学的組成物の制御透過を可能にし、組み合わせた薬物の点滴を可能にし、吸収促進剤の同時使用を可能にする。
投与の非経口経路には、電気注射(イオン泳動)、または中心静脈線カテーテルへの直接注射、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮内、もしくは皮下注射などの直接注射が含まれるが、これらに限定されない。非経口投与に好適な担体の製剤は概して、USP水または注射用の水中で製剤化され、pH緩衝剤、塩増容剤、防腐剤、及び他の薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。非経口注射のための免疫調節性ポリヌクレオチドは、注射用の生理食塩水及びリン酸緩衝生理食塩水などの薬学的に許容される滅菌等張性溶液中で製剤化され得る。
投与の胃腸経路には、経口摂取及び直腸経路が含まれるが、これらに限定されず、例えば、経口摂取用の薬学的に許容される粉末、ピル、または液体、及び直腸投与用の坐薬の使用が含まれ得る。
鼻咽頭内及び肺内投与は含み、吸入により達成され、鼻腔、経気管支、及び経歯槽骨経路などの送達経路を含む。本発明は、エアロゾルを形成するための液体懸濁剤、ならびに乾燥粉末吸入送達系のための粉末形態を含むが、これらに限定されない吸入による投与に好適な担体の製剤を含む。担体製剤の吸入による投与に好適なデバイスには、アトマイザー、気化器、ネブライザー、及び乾燥粉末吸入送達デバイスが含まれるが、これらに限定されない。
注射可能調製物、例えば、滅菌注射可能水性または油性懸濁剤は、好適な分散剤または湿潤剤、及び懸濁化剤を使用する既知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射可能調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液としての、非毒性の非経口に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能溶液、懸濁剤、またはエマルションでもあり得る。とりわけこの許容可能なビヒクル及び溶媒の中でも用いられ得るのは、水、リンガー溶液、U.S.P.及び等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌の固定油は従来、溶媒または懸濁化培地として用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激の固定油が用いられ得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能な調製物中で使用される。
注射可能製剤は、例えば、使用前に、細菌保持フィルターに通すろ過により、または滅菌水もしくは他の滅菌注射可能培地中に溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより滅菌され得る。
薬物の効果を長引かせるために、皮下注射または筋肉注射からの薬物の吸収を減速させることが望ましい場合がある。これは、乏しい水可溶性を有する液体懸濁剤、または結晶質もしくはアモルファス材料の使用により達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、これは、結晶サイズ及び結晶質の形態に依存し得る。あるいは、非経口で投与される薬物形態の遅延吸収は、油ビヒクル中に薬物を溶解または懸濁化することにより達成される。注射可能デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の薬物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する薬物の比率及び用いられる特定のポリマーの特質に応じて、薬物放出速度は、制御され得る。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。デポー注射可能製剤は、体内組織と適合性があるリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を閉じ込めることによっても調製され得る。
いくつかの実施形態において、本発明の合成生分解性粒子は、製造の容易性、療法剤の広い利用可能性、及び治療部位の増加を提供する。特定の実施形態において、界面活性剤ポリ(エチレン-alt-無水マレイン酸)を使用して合成した高密度の表面カルボキシレート基を有する表面官能化生分解性ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)粒子は、他の担体粒子及び/または表面を上回る数多くの利点をもたらす担体を提供する。本発明の実施形態の開発中に実行された実験により、これらの粒子へのペプチド(例えば、PLP139-151ペプチド)のコンジュゲーションが実証された。かかるペプチド結合型粒子は、それらが疾患発症の予防及び免疫学的寛容の誘導に有効であることを示した(例えば、多発性硬化症のSJL/J PLP139-151/CFAで誘導したR-EAEマウスモデル)。本発明のペプチド結合担体は、他の寛容誘導構造を上回る数多くの利点を提供する。いくつかの実施形態において、粒子は生分解性であり、したがって体内では長期間存続しない。完全分解のための時間は、制御することができる。いくつかの実施形態において、粒子は、細胞を活性化することなく内部移行を容易にするように官能化される(例えば、PLG微粒子に充填されたホスファチジルセリン)。いくつかの実施形態において、粒子には、特定の細胞集団に対する標的リガンドが組み込まれる。いくつかの実施形態において、粒子を内部移行させる細胞型の活性化を限定し、かつ、エネルギーならびに/または制御性T細胞の欠失及び活性化を介して寛容の誘導を容易にするように、IL-10及びTGF-βなどの抗炎症性サイトカインが粒子の上または中に含まれる。粒子の組成物は、粒子が体内で存続し、寛容が迅速な粒子の取り込み及びクリアランス/分解に必要とする時間の長さに影響を与えることが見出されている。50:50のラクチド:グリコリドの比率が分解速度を減速させるため、本発明の粒子は、約50:50以下のラクチド:グリコリド比を有する。一実施形態において、本発明の粒子は、約50:50のD,L-ラクチド:グリコリド比を有する。
経口投与用の固体投薬形態には、カプセル、錠剤、ピル、粉末、及び顆粒が含まれる。かかる固体投薬形態において、修飾粒子は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウム及びリン酸二カルシウム、さらに/またはa)充填剤もしくは伸展剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシア、c)保湿剤、例えば、グリセロール、d)崩壊剤、例えば、寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、f)吸収加速剤、例えば、四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール、h)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土、ならびにi)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、さらにそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤、及びピルの場合、投薬形態は、緩衝剤も含み得る。
同様の種類の固体組成物も、ラクトースまたは乳糖としてのかかる賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する、柔充填及び硬充填ゼラチンカプセル中で充填剤として用いられ得る。腸溶コーティング及び薬学的製剤化の技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及び殻を有する錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、及び顆粒の固体投薬形態が調製され得る。それらは任意に、不透明剤を含有し得、それらが、任意に遅延様式で、活性成分(複数可)のみをまたは活性成分(複数可)を優先的に、腸管のある特定の部分において放出する組成物を有するものでもあり得る。使用され得る埋め込み組成物の例には、ポリマー物質及びワックスが含まれる。同様の種類の固体組成物も、ラクトースまたは乳糖としてのかかる賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する、柔充填及び硬充填ゼラチンカプセル中で充填剤として用いられ得る。
修飾粒子は、上述されるような1つ以上の賦形剤を有するマイクロカプセル化形態にもされ得る。腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び薬学的製剤化の技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティング及び殻を有する錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、及び顆粒の固体投薬形態が調製され得る。かかる固体投薬形態において、活性化合物は、スクロース、ラクトース、及びデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混和され得る。かかる投薬形態は、通常の実践において、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤潤滑剤、ならびに他の錠剤助剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶質セルロースも含み得る。カプセル、錠剤、及びピルの場合、投薬形態は、緩衝剤も含み得る。それらは任意に、不透明剤を含有し得、それらが、任意に遅延様式で、修飾粒子のみをまたは修飾粒子を優先的に、腸管のある特定の部分において放出する組成物を有するものでもあり得る。使用され得る埋め込み組成物の例には、ポリマー物質及びワックスが含まれる。
本発明は、本発明の修飾粒子の薬学的に許容される局所製剤を包含する。「薬学的に許容される局所製剤」という用語は、本明細書で使用される場合、製剤の表皮への適用による、本発明の修飾微粒子の皮内投与に関して薬学的に許容される任意の製剤を意味する。本発明のある特定の実施形態において、局所製剤は、担体系を含む。薬学的に有効な担体には、溶媒(例えば、アルコール、ポリアルコール、水)、クリーム、ローション、軟膏、油類、硬膏剤、リポソーム、粉末、エマルション、マイクロエマルション、及び緩衝溶液(例えば、低浸透圧性生理食塩水または緩衝生理食塩水)、または局所投与用の医薬品のための当該技術分野で既知の任意の他の担体が含まれるが、これらに限定されない。当該技術分野で既知の担体のより完全なリストは、当該技術分野で標準的である参照テキスト、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Edition,1980及び17th Edition,1985により提供されており、これらの両方は、Mack Publishing Company,Easton,Pa.により出版されており、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。ある特定の他の実施形態において、本発明の局所製剤は、賦形剤を含み得る。当該技術分野で既知の任意の薬学的に許容される賦形剤は、本発明の薬学的に許容される局所製剤を調製するために使用され得る。本発明の局所製剤中に含まれ得る賦形剤の例には、防腐剤、抗酸化剤、保湿剤、軟化剤、緩衝剤、可溶化剤、他の浸透剤、皮膚保護剤、界面活性剤、及び噴霧剤、ならびに/または修飾粒子と組み合わせて使用される追加の療法剤が含まれ得るが、これらに限定されない。好適な防腐剤には、アルコール、四級アミン、または有機酸、パラベン、及びフェノールが含まれるが、これらに限定されない。好適な抗酸化剤には、アスコルビン酸及びそのエステル、亜硫酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、ならびにEDTA及びクエン酸のようなキレート剤が含まれるが、これらに限定されない。好適な保湿剤には、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素、及びプロピレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。本発明とともに使用するのに好適な緩衝剤には、クエン酸、塩酸、及び乳酸緩衝剤が含まれるが、これらに限定されない。好適な可溶化剤には、塩化四級アンモニウム、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチン、及びポリソルベートが含まれるが、これらに限定されない。本発明の局所製剤中で使用され得る好適な皮膚保護剤には、ビタミンE油、アラトイン(allatoin)、ジメチコン、グリセリン、ワセリン、及び酸化亜鉛が含まれるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、本発明の薬学的に許容される局所製剤は、少なくとも本発明の修飾粒子と、浸透増強剤とを含む。局所製剤の選択は、依存するか、または治療される状態、本発明の化合物及び他の賦形剤が提示する物理化学的特徴、製剤中のそれらの安定性、利用可能な製造機器、ならびに費用制約条件を含む複数の要因である。本明細書で使用される場合、「浸透増強剤」という用語は、薬理的活性化合物を角質層を通して、好ましくは、全身吸収がほとんど無いか、まったくない状態で表皮または真皮中に搬送することができる薬剤を意味する。幅広い様々な化合物が、皮膚を通る薬物の浸透速度を高めるそれらの有効性に関して評価されている。例えば、多様な皮膚浸透エンハンサーの使用を調査し、試験しているPercutaneous Penetration Enhancers,Maibach H.I.and Smith H.E.(eds.),CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.(1995)、及びBuyuktimkin et al.,Chemical Means of Transdermal Drug Permeation Enhancement in Transdermal and Topical Drug Delivery Systems,Gosh T.K.,Pfister W.R.,Yum S.I.(Eds.),Interpharm Press Inc.,Buffalo Grove,Ill.(1997)を参照されたい。ある特定の例示的な実施形態において、本発明とともに使用するための浸透剤には、トリグリセリド(例えば、大豆油)、アロエ組成物(例えば、アロエベラゲル)、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクトリーフェニルポリエチレン(octolyphenylpolyethylene)グリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N-デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、モノオレイン酸グリセロール、及びモノオレイン酸プロピレングリコール)、及びN-メチルピロリドンが含まれるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、本組成物は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、噴霧剤、吸入剤、またはパッチの形態であり得る。ある特定の例示的な実施形態において、本発明による組成物の製剤は、クリームであり、これは、飽和または不飽和脂肪酸、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、パルミト-オレイン酸、セチルアルコール、またはオレイルアルコールをさらに含有し得、ステアリン酸が特に好ましい。本発明のクリームは、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシ-40-ステアレートも含有し得る。ある特定の実施形態において、活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体、及び必要とされる場合、任意の必要とされる防腐剤または緩衝剤と混和される。眼用製剤、点耳薬、及び点眼薬も本発明の範囲内にあると企図される。加えて、本発明は、体内への化合物の制御送達を提供するという追加の利点を有する経皮パッチの使用を企図する。かかる投薬形態は、適切な培地中に化合物を溶解または分注することにより作製される。上記で論じられるように、皮膚にわたる化合物の流動を増加するために浸透増強剤も使用され得る。その速度は、速度制御膜を提供するか、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に化合物を分散することのいずれかにより制御され得る。
修飾粒子は、エアロゾルにより投与され得る。これは、修飾粒子を含有する水性エアロゾル、リポソーム調製物、または固体粒子を調製することにより達成される。非水性(例えば、フルオロカーボン噴霧剤)懸濁剤が使用され得る。
通常、水性エアロゾルは、従来の薬学的に許容される担体及び安定剤と一緒に薬剤の水溶液または懸濁剤を製剤化することにより作製される。担体及び安定剤は、特定の化合物の要件で異なるが、典型的には、非イオン性界面活性剤(Tweens、Pluronics(登録商標)、またはポリエチレングリコール)、血清アルブミンの様な無害なタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝剤、塩、糖、または糖アルコールを含む。エアロゾルは概して、等張性溶液から調製される。
また、本発明の修飾粒子及び薬学的組成物は、併用療法において製剤化されて用いられ得ること、すなわち、化合物及び薬学的組成物は、1つ以上の他の所望される療法薬もしくは医学的手技を用いて製剤化され得るか、またはそれと同時に、その前に、もしくはその後に投与され得ることも理解されるであろう。併用レジメンに用いるための特定の療法の組み合わせ(例えば、療法または手技)は、所望される療法薬及び/または手技、ならびに達成される所望の療法効果の適合性を考慮に入れる。また、用いられる治療が、同じ障害に対して所望される効果を達し得る(例えば、本発明の化合物は、別の抗炎症剤と同時に投与されてもよい)か、またはそれらが、異なる効果を達成し得る(例えば、任意の有害作用の制御)ことも理解されるであろう。
ある特定の実施形態において、本発明の修飾粒子を含有する薬学的組成物は、1つ以上の追加の療法的活性成分(例えば、抗炎症薬及び/または緩和薬)をさらに含む。本発明の目的のために、「緩和」という用語は、疾患の症状及び/または治療レジメンの副作用の軽減に焦点を当てているが、治癒的ではない治療を指す。例えば、緩和治療は、鎮痛剤、制吐薬、及び鎮吐薬を包含する。
本発明は、個体、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおける免疫応答を制御する方法を提供し、本方法は、個体に本明細書に記載される修飾粒子を投与することを含む。本発明により提供される免疫制御の方法は、免疫賦活性ポリペプチド、またはウィルス成分もしくは細菌成分により刺激される免疫応答を含むが、これらに限定されない先天性免疫応答または適応性免疫応答を抑制及び/または阻害する方法を含む。
修飾粒子は、免疫応答を制御するのに十分な量で投与される。本明細書に記載される場合、免疫応答の制御は、体液性及び/または細胞性であり得、当該技術分野における標準的な技法を使用して、本明細書に記載されるように測定される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、インプラント(例えば、デバイス)及び/または移植片(例えば、組織、細胞、臓器)とともに(例えば、同時に、前に、または後に)投与されて、それらに関連する免疫応答を媒介し、無効にし、制御し、かつ/または低減する。
ある特定の実施形態において、個体は、アレルギー性疾患またはその状態、アレルギー、及び喘息などの望ましくない免疫活性化に関連する障害に罹患している。アレルギー性疾患または喘息を有する個体は、既存のアレルギー性疾患または喘息の認識可能な症状を有する個体である。寛容は、かかる個体において、例えば、アレルギー反応を誘発する粒子複合吸入物質(例えば、スギ花粉タンパク質)により誘導され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、アレルギー、例えば、スギ花粉に対するアレルギーが始まる前に本発明の組成物を使用することに関する。特定の実施形態において、本発明は、進行中または既存のアレルギーを阻害するために本発明の組成物を使用することに関する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象におけるアレルギーまたはアレルギー性応答を緩和することに関する。それを緩和することは、対象におけるアレルギーまたはアレルギー性応答を治療、予防、または抑制することを含むことを意味する。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物(例えば、スギ花粉アレルギーに関連する抗原分子に結合されるPLG担体)は、1つ以上の足場、マトリックス、及び/または送達系との使用を見出す(例えば、米国特許出願公開第2009/0238879号、米国特許第7,846,466号、同第7,427,602号、同第7,029,697号、同第6,890,556号、同第6,797,738号、及び同第6,281,256号を参照されたく、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、粒子(例えば、抗原結合型PLG粒子)は、足場、マトリックス、及び/または送達系(例えば、化学的/生物学的材料、細胞、組織、及び/または臓器の対象への送達のため)に会合し、吸着され、埋め込まれ、コンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、足場、マトリックス、及び/または送達系(例えば、化学的/生物学的材料、細胞、組織、及び/または臓器の対象への送達のため)は、本明細書に記載される材料を含み、かつ/またはそれらから作製される(例えば、1つ以上の抗原ペプチドにコンジュゲートされるPLG)。
いくつかの実施形態において、(例えば、生物学的材料(例えば、細胞、組織など)を対象に移植するための)微孔性の足場が提供される。いくつかの実施形態において、上に薬剤(例えば、細胞外マトリックスタンパク質、エキセンジン-4)及び生物学的材料(例えば、膵臓の膵島細胞)を有する微孔性の足場が提供される。いくつかの実施形態において、足場は、疾患(例えば、1型糖尿病)の治療、及び関連方法(例えば、診断方法、研究方法、薬物スクリーニング)において使用される。いくつかの実施形態において、足場の上及び/またはその中に、本明細書に記載される抗原にコンジュゲートされた担体を有する足場が提供される。いくつかの実施形態において、足場は、抗原にコンジュゲートされた材料(例えば、抗原にコンジュゲートされたPLG)から生成される。
いくつかの実施形態において、足場及び/または送達系は、1つ以上の層を含み、かつ/または1つ以上の化学的及び/もしくは生物学的実体/薬剤(例えば、タンパク質、ペプチドにコンジュゲートされた粒子、小分子、細胞、組織など)を有し、例えば、米国特許出願公開第2009/0238879号を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、抗原結合型粒子は、足場及び会合した材料に対する免疫学的寛容の誘導を誘発するために足場送達系と同時投与される。いくつかの実施形態において、微孔性の足場は、足場の上または中の本明細書に記載の粒子とともに対象に投与される。いくつかの実施形態において、抗原結合型粒子は、足場送達系に結合されている。いくつかの実施形態において、足場送達系は、抗原結合型粒子を含む。
当業者には、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、記載される特徴及び実施形態の多様な修正、再構成、及び変形が明白であろう。特定の実施形態について記載してきたが、特許請求される本発明は、かかる特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、関連分野の当業者には明らかな記載される様式及び実施形態の多様な修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。例えば、米国出願第62/221,504号、PCT出願第PCT/US2016/068423号、及び同第PCT/US2017/012173号(それらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、米国特許出願公開第2012/0076831号、同第2002/0045672号、同第2005/0090008号、同第2006/0002978号、同第2009/0238879号、同第2012/0076831号、同第2015/0209293号、同第2015/0283218号(それらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、ならびに米国特許第7,846,466号、同第7,427,602号、同第7,029,697号、同第6,890,556号、同第6,797,738号、及び同第6,281,256号(それらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)は、本明細書に記載される多様な実施形態において使用を見出す詳細、修正、及び変形を提供する。
本出願に記載され、かつ/または以下に列挙される全ての刊行物及び特許は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
以下の実施例は、本発明の利点及び特徴をさらに例示するために提供されるのであって、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1:組み換えスギ花粉タンパク質のTIMPへの封入
上述されるように、低濃度においても溶液の粘着性が高いままであるJCPを封入するという課題のために、スギ花粉症の治療においてスギ花粉(JCP)エキスを封入する粒子の使用には限界がある。二重エマルション-溶媒蒸発法を使用してJCPを封入するTIMP粒子(TIMP-JCPP)を調製する実験を行った(図2C)。要約すると、試験されるJCPエキスのバッチに応じて、200μLの5mg/mLのJCP溶液を、DCM中の0.5mLの20%w/vのPLGAに付加するか、または400μLの5mg/mLのJCP溶液を、DCM中の1.0mLの20%w/vのPLGAに付加した。超音波処理により各溶液を乳化して、一次エマルションを生成した。次いで、PEMA溶液(10mLの1%w/vの水性PEMA)を、そのエマルションに付加し、超音波処理により再乳化して、二次エマルションを生成した。掻き混ぜながら、エマルションを200mLの0.5%w/vの水性PEMAに注ぎ入れた。粒子を精製し、凍結乾燥させ、後で使用するために-20度で保存した。DMSO中で粒子を溶解することにより、前述されるように粒子の抗原用量を判定した後にCBQCA分析を行った。Zetasizer Nano ZSP(Malvern Instruments,Westborough,MA)で、動的光散乱法を使用して、水中のナノ粒径及びゼータ電位を測定した。ロット放出基準は、700nm±250nmのTIMP-JCPPの直径を必要とし、少なくとも-30mVで荷電し、少なくとも5μgの抗原/1mgのPLGAを含有する。粒子製作のための条件及びJCP封入の結果を図4に示す。
全てのJCPエキスをTIMPに封入する最初の試みは、達成した最大の抗原充填が、およそ1μg/1mgのTIMP以下のタンパク質であったために、部分的にのみ成功した(図4)。これは、低濃度においてもJCPが高粘度であることに起因する可能性があった(図2A)。よって、組み換えJCPタンパク質(CRY1及びCRY2、Lifeome)をTIMPに封入するのに最適な条件を判定するための実験を行った(TIMP-JCP(登録商標)、図2Bに示されている図表)。
低分子量PLGA(0.17dL/g)、スギ塩基性タンパク質(CRYJ1、55,180Da)、及びポリガラクツロナーゼ(CRYJ2、59,070Da)を使用して、TIMP-JCP(登録商標)粒子を生成した。SDS-PAGEにより、組み換えタンパク質の純度を評定し(図3C)、先に判定した結果と比較した(Y.Mitobe et al.,Regulatory toxicology and pharmacology:RTP 2015 71)。TIMP-JCP(登録商標)粒子製作の条件を表2に示す。
粒子製剤化のための、及び上述される二重エマルションプロトコル(図2Cに示されている図表)を使用して、CRYJ1またはCRYJ2を封入した。各試料に関して、CBQCAによりタンパク質濃度及びバースト放出を判定した。これらの分析の結果を以下の表3に示す。Malvern Zetasizer Nano ZSまたはZSPを使用して、動的光散乱法(DLS)により粒径及び粒子電荷を判定し、結果を以下の表4に示す。
実施例2:JCPアレルギーのマウスモデル
吸入アレルゲンに対する急性アレルギー性応答を有するマウスモデルは、喘息における免疫学的及び炎症応答の根本的な原因となる機構を解明するため、かつアレルギー性炎症を制御するための新規の標的の同定及び調査のために広く使用されている。
急性炎症モデルの特質は、マウス株、アレルゲン、ならびに感作及び抗原投与プロトコルの選択により影響を受け得る(図5A)。要約すると、スギ花粉エキス(スギ花粉エキス-Cj、LSL-LG5280、Lo#153101、Cosmo Bio USA)を1mg/mLでMilliQの水中で再懸濁化した。ミョウバンの最終濃度が20mg/mLになるように、JCP溶液をImject Alum(Thermo Scientific,Cat.#77161)中で1:1に希釈した。0日目に、Balb/cマウスに、100μLのJCP+ミョウバン溶液を腹腔注射した(すなわち、2mg/mLのミョウバンに吸着した50μgのJCP、n=10)。対照マウスに、PBS中で希釈したミョウバンを注射した(n=10)。14日目に、第2の同等用量をマウスに投与した。21日目に、抗体分析のために、マウスの後眼窩を出血させて、血清を収集した(図5B~5D)。22日目に、各郡の一部のマウスを、TIMP-OVA(n=5)またはTIMP-JCP(n=4)のいずれかの単回分の2.5mgの用量を尾静脈を介して静脈内投与して寛容化した。加えて、マウスをTIMP-OVAまたはTIMP-JCPで寛容化した後にJCPで感作させた。
28日目及び29日目に、マウスを20μLのMilliQの水中の100μgのJCPエキスで鼻腔内抗原投与した。29日目に、抗原投与後1時間、引掻き(図7)及び体温変化(図6)に関してマウスを監視した。1時間後、血液を収集して、MCPT-1(図10B)及びヒスタミン(図10A)の血清レベルを評定した。
30日目に、血清中の抗体の分析のためにマウスを再度出血させた(図9A~9C)。次いで、マウスを屠殺し、各マウスから脾臓を収集し、エクスビボサイトカイン分析及び増殖のために均一にした(図8)。脾臓、及び収集し、赤血球不含の単一の細胞懸濁液に処理し、37℃で48時間、1、25、または50μg/mLのJCP完全RPMI培養培地でインキュベートした。サイトカイン分析のために50μLの上清を除去し、次いで、培養の後半24時間、細胞に1μCi/ウェルの[3H]TdRを瞬間適用した。Topcount Microplate Scintillation Counter(PerkinElmer,Waltham,MA)により検出して、増殖を[3H]TdRの組み込みにより判定した。
これらのデータは、JCP感作後のJCP-TIMPを用いた処置がエクスビボ分析において、IFNγ、IL-17、及びIL-5の産生を十分に低減することを示す。脾細胞をより高用量のJCPで刺激したとき、IL-4、IL-10、及びIL-13レベルに関して同様の結果が観察された。TIMP処置後、抗体レベルは変化しなかった。
実施例3:JCPアレルギーのマウスモデル、ならびにCRYJ1及びCRYJ2TIMPを用いた処置
アレルギー性気道炎症モデル
マウスを、ミョウバン(3mg)中の大量のスギ花粉アレルゲンである、2回分の用量の10μgのCRYJ1及びCRYJ2、またはミョウバン及びPBSのみを用いて腹腔内(i.p.)免疫付与する。次いで、マウスを3日間連続で20分間エアロゾル化CRYJ1及びCRYJ2(10mg/ml)で抗原投与した後に組織を収集した。
気管支肺胞洗浄液中好酸球の分析
肺を1mLの気管支肺胞洗浄流体(BALF、1mMのEDTA及びPBS中10%のFBS)で流す。細胞の総数を判定し、試料をスライド上にサイトスパンし、分別細胞数に関して、DiffQuik(Siemens,Newark,DE)で染色する。
気道組織学的検査
肺を収集し、ホルマリン固定し、パラフィンに加工する。パラフィン切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)または過ヨウ素酸シッフ(PAS)で染色する。
JCP特異的IgE
屠殺後、血清をマウスから収集し、CRYJ1/2特異的IgEをサンドイッチELISAにより定量化する。捕捉抗体として抗マウスIgE(BD Biosciences)を使用し、二次試薬としてビオチン化CRYJ1/2(Pierce[Rockford,IL]のEZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotinキットを使用して調製する)を使用する。精製されたマウスCRYJ1/2-IgEを使用して生成される標準的な曲線によりCRYJ1/2-IgEの量を判定する。
サイトカインの定量化
IL-4、IL-5、IL-13、IL-10、IL-17、及びIFNγに関して、磁気Milliplex MAPマルチプレックスアッセイ(Millipore,Billerica,MA)により、BAL流体及び再応答培養物からの上清(48時間の時点で収集)をアッセイする。
スギ花粉抗原の産生及び/または供給源
精製されたスギ花粉エキスは、日本気象庁(Japanese Aerology Society)を供給源とする。さらに、前述されるように組み換えスギ花粉抗原を製造する(Fujimura T,Int.Arch.Allergy Immunol.2015;168(1):32-43)。JCP中の免疫優勢エピトープのアミノ酸配列は、CRYJ1(受託番号AB081309、配列番号1)及びCRYJ2(受託番号AB211810、配列番号2)である。
TIMP-JCPの研究用バッチの産生
上述されるように、組み換えJCP抗原をTIMP中に封入する。JCPアレルギーのマウスモデルにおける効能試験のために、200mgのTIMP-CRYJ1及び/またはCRYJ2(TIMP-JCP(登録商標))、ならびに200mgのTIMP-OVA対照を使用する。5~10匹のマウスの6つの群を、1回分の用量(群1~3)または2回分の用量(群3~6)のレジメンのいずれかを与えて、TIMP-OVAまたはTIMP-JCP(登録商標)で処置する。動物をJCP抗原に感作させる(TIMP処置の前または後のいずれか)。28及び29日目に、気道抗原投与を行い、以下に記載される一次読み出し及び成功測定尺度を使用して処置の効能を判定する。群7のマウスをJCPの代わりにOVAで抗原投与して、これらのマウスをOVAに感作させ、陽性アレルギー対照として使用することを留意されたい。
動物POC:感作前のTIMP-JCP処置
表5に示されるように、5~10匹のマウスの6つの群を、1回分の用量(群1~3)または2回分の用量(群4~6)のレジメンのいずれかを与えて、TIMP-OVAまたはTIMP-JCP(登録商標)で処置する。次いで、動物をJCP抗原に感作させる。28及び29日目に、気道抗原投与を行い、以下に記載される一次読み出し及び成功測定尺度を使用して処置の効能を判定する。群7のマウスをJCPの代わりにOVAで抗原投与して、これらのマウスをOVAに感作させ、陽性アレルギー対照として使用することを留意されたい。
感作後の動物POC-TIMP-JCP処置
以下の表6に示されるように、JCPに感作させた後に6つの群のマウスをTIMP-JCP(登録商標)またはTIMP-OVAで処置する。2回分の用量レジメンを試験する。これは、1回分のTIMP用量レジメン(群1~3)及び2回分の用量レジメン(群4~6)を含み、7日間の間分ける。28及び29日目に、空気抗原投与を行い、以下に記載される一次読み出し及び成功測定尺度を使用して処置の効能を判定する。
動物モデルにおける一次読み出し及び成功測定尺度
感作前にTIMP-JCP(登録商標)処置を受けたマウスにおける一次読み出し及び成功測定尺度を測定する。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスは、空気抗原投与後に、ベースライン温度と比較して温度変化を有さない。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスにおいて、ベースライン測定尺度と比較して血液好酸球及びマスト細胞の数に変化がない。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスは、JCPに感作させてTIMP-OVAで処置したマウスと比較してJCP特異的IgEを著しく低減した。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスは、JCPに感作させたTIMP-OVAで処置したマウスと比較して全身性IL-4、IL-5、及びIL-13も著しく低減した。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスをTIMP-OVAで処置したマウスと比較する。
感作後にTIMP-JCP(登録商標)処置を受けたマウスにおける一次読み出し及び成功測定尺度を測定する。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスは、空気抗原投与後に、ベースライン温度と比較して温度変化を有さない。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスにおいて、ベースライン測定尺度と比較して血液好酸球及びマスト細胞の数に変化がない。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスは、JCPに感作させてTIMP-OVAで処置したマウスと比較してJCP特異的IgEを著しく低減した。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスは、JCPに感作させたTIMP-OVAで処置したマウスと比較してJCP特異的全身性IL-4、IL-5、及びIL-13も著しく低減した。TIMP-JCP(登録商標)で処置したマウスは、TIMP-OVAで処置したマウスと比較して特異的抗原産生も低減した。
実施例4:TIMP-JCPに関する臨床研究
定量的高密度スギ花粉に曝露された日本人季節アレルギー鼻炎(SAR)患者の単一施設の非盲検のプラセボ対照研究においてTIMP-JCPの効能及び安全性を評価するための臨床研究を行う。
臨床研究の第1の目的は、スギ花粉への高密度曝露の間、経口TIMP-JCPで治療した日本人SAR患者における鼻症状合計スコア(TNSS)の変化を分析及び評価することである。
第2の目的は、アレルギー性鼻炎を有する特許における、症状合計スコア(TSS)、症状スコア、鼻汁の量、くしゃみの数、及び患者の印象の変化を分析及び評価すること、ならびに純粋なスギ花粉への高密度曝露を受けた患者の静脈経路に投与されたTIMP-JCPの安全性を評価することである。
一般的な研究計画
環境性曝露ユニットを使用して、スギ花粉にアレルギーを持つ患者におけるTIMP-JCPの安全性及び効能を判定する。多くの環境性曝露ユニット(EEU)が存在するが、この研究は、和歌山県にある日本健康支援ネットワークユニットと協同で行われる。従来の手法の多くの制限にとらわれず、EEUにより、精密な対照研究が計画され、実行することができる(同様の研究計画は、Enomoto,et al.,2009により記載されている)。以下のダイヤグラムは、投薬及び事象スケジュールを概説する。
対象
臨床研究において合計25人の対象が存在する。5人の対象をプラセボで治療する。20人の対象をTIMP-JCPで治療する。
診断及び組入れ基準
組入れ基準:
・SARを有する日本人患者。
・少なくとも2年のスギ花粉症の症状の既往歴を有する患者。
・陽性IgE(スギ花粉抗原に対して):スクリーニング曝露試験当日より1.5年前以内に蛍光酵素免疫アッセイ(FEIA)または化学発光性酵素免疫アッセイ(CLEIA)により判定される。
・スクリーニング曝露の開始90~150分後の少なくとも1つの評定ポイントで、8以上のTNSS及び2(中程度)以上の鼻詰まりスコアを有する患者。(TNSS)及び鼻詰まりスコアは、基準を満たす場合)、任意の他の評定ポイントの時点のものであってもよい。・年齢≧20かつ≦65歳(性別不問)。
・告知に基づく同意書にサインした患者。
除外基準
・通年性アレルギー性鼻炎の症状を有する患者。
・重篤な喘息、気管支拡張症、重篤な肝機能不全、腎機能不全、または心機能不全、血液病、内分泌疾患、及び他の重症な合併症を有する患者。
・TIMP-JCPの効能の判断を妨害し得る鼻疾患(肥厚性鼻炎、副鼻腔炎、鼻ポリープ、鼻中隔湾曲症など)または眼疾患を有する患者。
・治療曝露の当日、上気道炎及び/または下気道炎(風邪などの存在下の急性鼻炎、慢性鼻炎、欝血性鼻炎、萎縮性鼻炎、化膿性鼻汁、副鼻腔炎)のエビデンスを有する患者。
・TIMP-JCPの評価に影響を与え得る以下の薬剤(抗競合物質剤(anti-contestant)及び免疫修飾剤を含む)のいずれかを摂取している患者。
追加の除外基準:
第1の用量の当日より2週間前以内:
・抗アレルギー性薬物、抗ヒスタミン剤(H1及びH2遮断薬:経口投与、点鼻薬、点眼薬、注射、及び局所使用)、抗コリン作用薬、血管収縮点鼻薬、抗ヒスタミン含有風邪薬、抗アレルギー性効果/抗ヒスタミン性効果を有することが期待され得る薬剤(漢方薬及びグリチルリチンを含む)、及びアレルギー性症状(くしゃみ、鼻漏、鼻詰まり、及び眼の痒みなど)に適応される他の薬剤。
・ステロイド(経口用、吸入用、点鼻薬、点眼薬、または局所使用)、免疫抑制剤(経口用、局所使用、または注射用)、アゾール殺菌剤、及びヒスタミン含有ガンマグロブリン調製物。
・アゾール殺菌剤、マクロライド系抗生物質、及び水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウムを含有する調製物。
スクリーニング曝露試験当日より4週間前以内:
・デポーステロイド調製物。
スクリーニング曝露試験当日より6ヶ月前以内:ステロイド注射。
・ステロイド注射
スクリーニング曝露試験当日より1年前以内:
・特定の減感作に対する維持療法を受けた患者または非特定の代替的な療法を受けた患者。
・別の研究に参加している患者または告知に基づく同意より6ヶ月前以内に別の研究に以前参加したことがある患者。
・調査員/副調査員により、いずれの他の基準に関してもこの研究への参加が不適当であると見なされる患者。
・抗ヒスタミン剤または抗ヒスタミン薬剤(フェキソフェナジンHCIが含まれる)、及び塩酸プソイドエフェドリンに対する過敏症の既往歴を有する患者。
・別の研究に参加している患者またはスクリーニング曝露試験当日より6ヶ月前以内に別の研究に以前参加したことがある患者。
・妊娠しているか、妊娠の可能性があるか、または現在授乳中の女性。
安全性及び停止基準
以下のパラメータのいずれかが合致する場合、本研究はデータ安全性モニタリング委員会の裁量で保留にされ得る:
a)1つ以上の予想外の薬物に関連する重症有害事象(SAE)がデータ安全性モニタリング委員会に報告された場合。
b)研究薬物に明白に関係していない過剰及び/または予想外の有害事象。
c)予想外の患者の死亡(複数可)。
用量、期間、及び投与モード:
薬物:TIMP-JCP、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)免疫寛容原性免疫修飾
用量及び形態:バイアル中の滅菌凍結乾燥白色粉末としてTIMP-JCPを提供する。各バイアルは、500mgのTIMP-JCPを含む。[相1の結果につき調整する-最初の仮定は10mg/kg]の用量でTIMP-JCPを与える。
治療/研究の期間:患者のスクリーニング及び告知に基づく同意の後に患者の参加がなされる。投薬は、募集後、研究に入ってから開始する。0日目及び14日目に、投薬がなされる。第1の高密度スギ花粉曝露は、18~21日目に行われる(患者は、環境性曝露ユニット内で8,000粒/m3のJCPに5時間曝露される)。第2の高密度スギ花粉曝露は、32~35日目に行われる(患者は、環境性曝露ユニット内で8,000粒/m3のJCPに5時間曝露される)。42、49、及び56日目に患者を訪問しフォローアップする。第2の曝露の4週間後である63日目に訪問し最終のフォローアップをする。
投与モード:戻したTIMP-JCPを緩徐なIV点滴により、30分間にわたって、通常生理食塩水(NS、0.9%の塩化ナトリウム、NaCl)中で希釈する。調査員が代替的な療法薬が投与されるべきであると判断すると、TIMP-JCPはいつでも停止することができる。
評価基準
安全性:
・AE及び特別な目的のAEの発症及び重篤性(過敏症及び免疫媒介性反応の標準的な報告基準を含む)。
・バイタルサイン(腋窩温、座った状態での血圧、及び座った状態での脈拍数)
・標準的な研究室評価
・12誘導ECG研究室試験(血液学、生化学作用、及び尿分析)
・スギ花粉に関するプリック試験
・抗体及びヒスタミン放出試験により生じたパラメータ。
主要エンドポイント:
TNSS:くしゃみ、鼻漏、鼻詰まり、及び鼻の痒みの合計スコア各症状を以下の5つカテゴリーにおいて患者により評定する:1=無し(症状無し)、2=軽度(症状はあるが、容易に耐えられる)、3=中程度(症状の認識、煩わしいが耐えられる)、4=重篤(はっきりとした症状の認識、耐えがたいが日常活動に支障無し)、及び5=非常に重篤(耐えがたく、日常活動に支障有り)
二次効能エンドポイント:
免疫監視:
・抗体:IgG抗体、特異的IgG抗体(抗JCP、抗CRYJ1、及び抗CRYJ2)、特異的IgG4抗体(抗JCP)、IgE抗体、特異的IgE抗体(抗JCP)
・サイトカイン(IFN-ガンマ、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、及びIL-13)
・免疫細胞表現型(Tレグ、エフェクターT細胞、及び単球)
・スギ花粉に対する末梢性B及びT細胞応答。
・TSSの変化、各症状スコアの変化、鼻汁の量、くしゃみの数、及び患者の印象。
・鼻汁の量:患者が鼻をかんだ後のティッシュペーパーの重量を1時間毎に測定する。鼻をかむ前の重量との差を鼻汁の量として計算する。
・くしゃみの数:患者自身で1時間毎のくしゃみの数を記録する。
薬物動態(PK):
・研究薬物投与の間、少数採取計画において毎日測定されるTIMP-JCPの血清濃度。
結果:
TIMP-JCPで治療した対象は、スギ花粉曝露に対するアレルギー反応の発症及び重篤性の低減を示す。これは、プラセボで治療した対象と比較して、TIMP-JCPで治療した対象におけるTNSSの低減により明示される。JCPで治療した対象はまた、プラセボ群と比較して、低減したレベルの特異的IgG抗体(抗JCP、抗CRYJ1、及び抗CRYJ2)、特異的IgG4抗体(抗JCP)、IgE抗体、特異的IgE抗体(抗JCP)、スギ花粉に対する低減した末梢性B及びT細胞応答、ならびにより低いTSSスコア、症状スコア、鼻汁の量、及びくしゃみの数を有した。
本発明の特定の実施形態が、記載及び例証されているが、かかる実施形態は、添付の特許請求の範囲に従って解釈されるように、単に本発明の例示と見なされるべきであり、本発明を限定するものとして見なされるべきではない。
本明細書に引用される全ての特許、出願、及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。