発明の詳細な説明
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別段のことを明らかに示さない限り、単数の指示対象および複数の指示対象の両方を含む。
用語「を含んでなる(“comprising”, “comprises” and “comprised of”)」は、本明細書で使用する場合、「含む(“including”, “includes”)」または「含有する(“containing”, “contains”)」と同義であり、包含またはオープンエンドを示し、列挙されていない付加的なメンバー、要素または方法工程を排除しない。これらの用語はまた、特許技術用語において十分に確立された意味を有する「からなる」および「から本質的になる」も包含する。
端点による数の範囲の列挙は、各範囲内に包含される総ての数および分数、ならびに列挙される端点を含む。
用語「約」または「およそ」は、パラメーター、量、時間などの測定可能な値に関して本明細書で使用する場合、指定の値の、また、指定の値からの変動、例えば、指定の値の、また、指定の値からの±10%以下、好ましくは±5%以下、より好ましくは±1%以下、さらにより好ましくは±0.1%以下の変動を包含することを意味する。修飾語「約」が指す値それ自体も具体的かつ好ましく開示されていることが理解されるべきである。
用語「1以上の」または「少なくとも1つの」、例えば、メンバーの群の1以上のメンバーまたは少なくとも1つのメンバーはそれ自体、さらなる例示により明らかになるが、この用語は、とりわけ、前記メンバーのいずれか1つ、または前記メンバーのいずれか2つ以上、例えば、前記メンバーのいずれか≧3、≧4、≧5、≧6または≧7など、および前記メンバーの最大総ての言及を包含する。別の例において、「1以上の」または「少なくとも1つの」は、1、2、3、4、5、6、7またはそれを超えるものを指し得る。
本明細書において本発明の背景の記述は、本発明の内容を説明するために含まれる。これは、言及される材料のいずれかが特許請求の範囲のいずれの優先日を基点としていずれかの国で公開されていた、公知であった、または共通の一般知識の一部であったことを認めるものではない。
本開示中に、種々の刊行物、特許および公開特許明細書が特定可能な引用により参照される。本明細書に引用される総ての文献はそれらの全内容が本明細書の一部として援用される。特に、本明細書において具体的に参照されるこのような文献の教示または節は本明細書の一部として援用される。
別段の定義がない限り、本発明の開示に使用される総ての用語は、技術用語および科学用語を含め、本発明が属する技術分野の熟練者により共通に理解されているものと同様の意味を有する。さらなる指針によって、用語の定義は本発明の教示をより良く理解するために含まれる。特定の用語が本発明の特定の側面または本発明の特定の実施形態に関して定義される場合、このような内包は、別段の定義がない限り、本明細書全体、すなわち、本発明の他の側面または実施形態に関しても当てはまるものとする。
後段で、本発明の異なる側面または実施形態をさらに詳しく定義する。このように定義される各側面または実施形態は、別段のことが明らかに示されない限り、他のいずれの側面または実施形態と組み合わせてもよい。特に、好ましいまたは有利であるとして示されるいずれの特徴も、好ましいまたは有利であるとして示されるいずれの他の1または複数の特徴と組み合わせてもよい。
本明細書において「1つの実施形態」、「ある実施形態」という場合には、実施形態に関して記載される特定の特徴、構造または特性は本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書の様々な場所で「1つの実施形態において」または「ある実施形態において」という句が見られる場合、必ずしも総てが同じ実施形態に関するとは限らないが、その場合もある。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1以上の実施形態において、本開示から当業者には自明であるような好適ないずれの様式で組み合わせてもよい。さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが他の特徴は含まないが、当業者により理解されるように、異なる実施形態の特徴の組合せは本発明の範囲内にあることが意味され、異なる実施形態を形成する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態はいずれも、いずれの組合せで使用してもよい。
本発明者らは、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するために有用な特定の細胞表面マーカーを具現化した。より詳しくは、本発明者らは、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上、好ましくは、CD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現するin vitro分化細胞の量、およびin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上、好ましくは、CD73、CD105およびCD44の総ての量がin vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのマーカーとして使用可能であることを見出した。
本明細書で使用する場合、「CD73」、「CD105、「CD44」または「CD10」という場合には、文脈から明らかであるように、当技術分野で前記表記の下で一般に知られているように、個々のペプチド、ポリペプチド、タンパク質または核酸を表す。これらの用語には、見出される場合、任意の生物、特に、動物、好ましくは、温血動物、より好ましくは、脊椎動物、さらにより好ましくは、ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む哺乳動物、さらにより好ましくは、ヒトのこのようなペプチド、ポリペプチド、タンパク質または核酸を包含する。
用語「タンパク質」は、本明細書で使用する場合、一般に、ペプチド結合により連結されたアミノ酸残基の1以上のポリペプチド鎖、すなわち、ポリマー鎖を含んでなる高分子を包含する。この用語は、天然の、組換えにより、半合成的にまたは合成的に生産されたタンパク質を包含し得る。この用語はまた、限定されるものではないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、スルホン化、メチル化、ユビキチン化、シグナルペプチド除去、N末端Met除去、プロ酵素前駆体またはプロホルモンの活性型への変換などの、ポリペプチド鎖の1以上の共発現型または発現後型修飾を有するタンパク質も包含する。この用語はさらにまた、対応する天然タンパク質に対するアミノ酸配列の変化、例えば、アミノ酸欠失、付加および/もしくは置換を有するタンパク質変異体または突然変異体も含む。この用語は、全長タンパク質とタンパク質部分または断片、例えば、このような全長タンパク質のプロセシングから生じる天然タンパク質部分の両方を企図する。
用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用する場合、一般に、ペプチド結合により連結されたアミノ酸残基のポリマー鎖を包含する。ゆえに、タンパク質が単一のポリペプチド鎖からのみ構成される限り、用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本明細書では、このようなタンパク質を表して互換的に使用され得る。この用語は、ポリペプチド鎖のいずれかの最小長に限定されない。この用語は、天然の、組換えにより、半合成的にまたは合成的に生産されたポリペプチドを包含し得る。この用語はまた、限定されるものではないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、スルホン化、メチル化、ユビキチン化、シグナルペプチド除去、N末端Met除去、プロ酵素前駆体またはプロホルモンの活性型への変換などの、ポリペプチド鎖の1以上の共発現型または発現後型修飾を有するポリペプチドも包含する。この用語はさらにまた、対応する天然ポリペプチドに対するアミノ酸配列の変化、例えば、アミノ酸欠失、付加および/もしくは置換を有するポリペプチド変異体または突然変異体も含む。この用語は、全長ポリペプチドとポリペプチド部分または断片、例えば、このような全長ポリペプチドのプロセシングから生じる天然ポリペプチド部分の両方を企図する。
用語「ペプチド」は、本明細書で使用する場合、好ましくは、本明細書で使用する場合、アミノ酸50個以下、例えば、アミノ酸45個以下、好ましくは、アミノ酸40個以下、例えば、アミノ酸35個以下、より好ましくは、アミノ酸30個以下、例えば、アミノ酸25個以下、20個以下、15個以下、10個以下または5個以下から本質的になるポリペプチドを指す。
用語「核酸」は、本明細書で使用する場合、一般に、ヌクレオシド単位から本質的に構成されるいずれの長さのポリマー(好ましくは、直鎖ポリマー)も指す。ヌクレオシド単位は、一般に複素環式塩基および糖基を含む。複素環式塩基は、とりわけ、プリン塩基およびピリミジン塩基、例えば、天然核酸に広まっているアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)、その他の天然塩基(例えば、キサンチン、イノシン、ヒポキサンチン)ならびに化学的または生化学的に修飾された(例えば、メチル化された)、非天然の、または誘導体化された塩基を含み得る。例示的修飾核酸塩基としては、限定されるものではないが、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含む、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンおよびN−2、N−6およびO−6置換プリンが含まれる。特に、5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖の安定性を高めることが示されており、例えば、アンチセンス剤における、さらにより詳しくは、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合に、好ましい塩基置換であり得る。糖基としては、とりわけ、ペントース(ペントフラノース)基、例えば、好ましくは、天然核酸に一般的なリボースおよび/もしくは2−デオキシリボース、またはアラビノース、2−デオキシアラビノース、トレオースもしくはヘキソース糖基、ならびに修飾または置換糖基(例えば、限定されるものではないが、2’−O−アルキル化、例えば、2’−O−メチル化または2’−O−エチル化糖、例えば、リボース;2’−O−アルキルオキシアルキル化、例えば、2’−O−メトキシエチル化糖、例えば、リボース;または2’−O,4’−C−アルキレン結合、例えば、2’−O,4’−C−メチレン結合または2’−O,4’−C−エチレン結合糖、例えば、リボース;2’−フルオロ−アラビノースなど)を含み得る。ヌクレオシド単位は、とりわけ、天然核酸に一般的なホスホジエステル結合、およびさらなる修飾リン酸またはホスホン酸に基づく結合、例えば、ホスホロチオエート、アルキルホスホロチオエート、例えば、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、例えば、メチルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、例えば、アルキルホスホトリエステル、ホスホルアミダート、ホスホロピペラジデート、ホスホロモルホリデート、架橋ホスホルアミダート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート;およびさらなるシロキサン、カーボネート、スルファメート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、例えば、3’−N−カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、3’−チオアセタール、およびスルホンヌクレオシド間結合を含む、多くの既知のヌクレオシド間結合のうちいずれか1つによって互いに連結されてよい。好ましくは、ヌクレオシド間結合は、修飾されたリン酸に基づく結合、例えば、より好ましくは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート結合またはそれらの組合せを含むリン酸に基づく結合であり得る。用語「核酸」はまた、限定されるものではないが、ペプチド核酸(PNA)、リン酸基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノホスホロジアミデート骨格核酸(PMO)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、トリシクロ−DNA(tcDNA)、およびアルキルリンカーまたはアミノリンカーを伴う骨格セクションを有する核酸(例えば、Kurreck 2003(Eur J Biochem 270:1628-1644) 参照)を含む核酸模倣剤などのポリマーを含有する他の任意の核酸塩基も包含する。「アルキル」は、本明細書で使用する場合、特に、低級炭化水素部分、例えば、C1−C4直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和炭化水素、例えば、メチル、エチル、エテニル、プロピル、1−プロペニル、2−プロペニル、およびイソプロピルを包含する。核酸は、本明細書で意図する場合、天然ヌクレオシド、修飾ヌクレオシドまたはそれらの混合物を含み得る。修飾ヌクレオシドは、修飾複素環式塩基、修飾糖部分、修飾ヌクレオシド間結合またはそれらの組合せを含み得る。用語「核酸」は、さらに好ましくは、DNA、RNAおよびDNA/RNAハイブリッド分子、具体的には、例えば、hnRNA、プレmRNA、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、増幅産物、オリゴヌクレオチド、および合成(例えば、化学的に合成された)DNA、RNAまたはDNA/RNAハイブリッドを包含する。核酸は、天然の、例えば、天然に存在するまたは天然から単離されたものであり得、組換え型であり得る、すなわち、組換えDNA技術により生産することができ、および/または部分的もしくは完全に、化学的にもしくは生化学的に合成することができる。「核酸」は、二本鎖、部分的二本鎖、または一本鎖であり得る。一本鎖である場合、核酸は、センス鎖またはアンチセンス鎖であり得る。加えて、核酸は、環状または直鎖であり得る。
さらなる指針として、CD73はまた当技術分野でエクト−5’−ヌクレオチダーゼ、NT、eN、NT5、NTE、eNT、E5NTおよびCALJAとしても知られる。CD73は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合細胞表面酵素である。例として、ヒトCD73遺伝子は、NCBI Genbank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)遺伝子ID 4907として注釈され、ヒトCD73タンパク質はUniprot(www.uniprot.org)に受託番号P21589.1として注釈されている。ヒトCD73のmRNAおよびタンパク質配列は、以下のNCBI Genbank受託番号:CD73 mRNA(NM_002526.3;NM_001204813.1)、CD73タンパク質(NP_002517.1;NP_001191742.1)として注釈されている。
さらなる指針として、CD105はまた当技術分野でエンドグリン(ENG)、END、FLJ41744、HHT1、ORWおよびORW1としても知られる。CD105は、細胞表面に存在するI型膜糖タンパク質である。例として、ヒトCD105遺伝子は、NCBI Genbank遺伝子ID 2022として注釈され、ヒトCD105タンパク質は、Uniprotに受託番号P17813.2として注釈されている。ヒトCD105のmRNA配列およびタンパク質配列は、以下のNCBI Genbank受託番号:CD105(NM_001114753.2;NM_000118.3;NM_001278138.1)、CD105タンパク質(NP_001108225.1;NP_000109.1;NP_001265067.1)として注釈されている。さらなる指針として、CD44はまた当技術分野でホーミング細胞接着分子(HCAM)、Pgp−1(食作用糖タンパク質−1)、Hermes抗原、リンパ球ホーミング受容体(LHR)、ECM−III、HUTCH−1、IN、MC56、MDU2、MDU3、MIC4、Pgp1、CDW44、CSPG8、HCELL、HUTCH−IおよびECMR−IIIとしても知られる。CD44は、細胞−細胞相互作用、細胞間接着および遊走に関与する細胞表面糖タンパク質である。例として、ヒトCD44遺伝子は、NCBI Genbank遺伝子ID 960として注釈され、ヒトCD44タンパク質は、Uniprotで受託番号P16070.3として注釈されている。ヒトCD44のmRNA配列およびタンパク質配列は、以下のNCBI Genbank受託番号:CD44 mRNA(NM_000610.3、NM_001001389.1、NM_001001390.1、NM_001001391.1、NM_001001392.1、NM_001202555.1、NM_001202556.1、NM_001202557.1)、CD44タンパク質(NP_000601.3、NP_001001389.1、NP_001001390.1、NP_001001391.1、NP_001189484.1、NP_001189484.1、NP_001189485.1、NP_001189486.1)として注釈されている。
さらなる指針として、CD10はまた当技術分野で膜メタロエンドペプチダーゼ(MME)、NEP、SFE、CALLA、CMT2TおよびSCA43としても知られる。CD10は、II型膜貫通糖タンパク質である。例として、ヒトCD10遺伝子は、NCBI Genbank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)遺伝子ID 4311として注釈され、ヒトCD10タンパク質はUniprotで受託番号P08473.2として注釈されている。ヒトCD10のmRNA配列およびタンパク質配列は、以下のNCBI Genbank受託番号:CD10 mRNA(NM_000902.3、NM_007287.2、NM_007288.3、NM_007289.3、NM_001354642.1、NM_001354643.1、NM_001354644.1)、CD10タンパク質(NP_000893.2、NP_009218.2、NP_009219.2、NP_009220.2、NP_001341571.1、NP_001341572.1、NP_001341573.1)として注釈されている。読者は、GenbankまたはUniprotエントリーが前駆体ポリペプチドまたはタンパク質の配列を提供する場合、対応する成熟型(例えば、シグナルペプチドを欠く)は、細胞の細胞表面に存在すると考えられることに想到するであろう。
用語「CD73」、「CD105」、「CD44」および「CD10」は、特に、天然配列、すなわち、一次配列が天然に見られるまたは天然に由来するペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸と同じである配列を有するペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸を包含する。当業者は、天然配列が、このような種の遺伝的発散のために別の種とは異なる場合があることを理解する。さらに、天然配列は、所与の種内での通常の遺伝的多様性(バリエーション)のために、同じ種の異なる個体間または個体内で異なる場合がある。また、天然配列は、体細胞突然変異、または転写後もしくは翻訳後修飾のために、同じ種の異なる個体間または個体内で異なる場合がある。ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸のこのような変異体またはアイソフォームはいずれも本明細書で意図される。よって、天然に見られるまたは天然に由来するペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸の総ての配列は、「天然」と見なされる。これらの用語は、生細胞の一部を形成する場合のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸を包含する。
第1の側面は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための、CD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の使用を提供する。従って、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための、CD73、CD105またはCD44のうち1つの使用;in vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD73、CD105またはCD44のうち2つの使用;およびin vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD73、CD105およびCD44の3つ総ての使用も提供される。
特定の実施形態は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための、CD73、CD105、CD44またはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)の使用を提供する。
特定の実施形態は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD44の使用を提供する。特定の実施形態は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD44と、CD73およびCD105のいずれか一方または両方の使用を提供する。特定の実施形態は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD44と、CD73、CD105またはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の使用を提供する。
特定の実施形態は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD10の使用を提供する。特定の実施形態は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD10と、CD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の使用を提供する。
用語「骨形成能」は、本明細書で使用する場合、in vivo、および場合によりin vitroにおいて、細胞の骨基質分泌細胞へ(転換)分化する能力、または細胞の骨基質を分泌する(すなわち、(転換)分化工程の必要がない)能力を指す。この用語は、細胞の膜内骨化または軟骨内骨化により骨組織を形成する能力を包含する。細胞の膜内骨化により骨組織を形成する能力は一般に、細胞の、鋳型としての石灰化した軟骨基質の必要なく骨組織を形成する能力を表す。細胞の軟骨内骨化により骨組織を形成する能力は一般に、細胞の、まず石灰化した軟骨基質を形成し、次に前記の石灰化した軟骨基質を骨組織形成のための鋳型として使用することにより骨組織を形成する能力を表す。この用語は、細胞の、他の骨基質分泌細胞を誘引する能力および/または他の細胞の骨基質分泌細胞への(転換)分化を誘導する能力を表す細胞の骨誘導能を包含しない。当業者には、本目的はin vitro分化細胞の骨形成能を決定することであるが、細胞は骨形成能に加えて骨誘導能も有してよいが、その必要はないことが理解されるであろう。
特定の実施形態において、骨形成能は、細胞の軟骨内骨化により骨基質を形成する能力である。
用語「軟骨内骨化」は、本出願で使用する場合、最初の軟骨細胞が軟骨細胞外基質を形成し、これが次に沈着中の骨基質の鋳型として骨芽細胞により使用される骨組織形成のプロセスを指す。軟骨内骨化中、軟骨細胞の一部は骨芽細胞に分化転換し得る。
好ましい実施形態において、CD73、CD105およびCD44の総てがin vitro分化細胞の骨形成能を決定するために使用される。
特定の実施形態において、CD10は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するために、CD73、CD105およびCD44のうちいずれか1以上に加えて、好ましくは、CD73、CD105およびCD44の総てに加えて使用される。従って、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD73、CD105、CD44およびCD10の使用も提供される。
さらなる側面は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、(a1)CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つもしくは4つ総て)を発現するin vitro分化細胞の量を測定すること、および/または(a2)in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105もしくはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つもしくは3つ総て)の量を測定することを含んでなる方法を提供する。従って、本明細書ではまた、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、(a1)CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうち1つを発現するin vitro分化細胞の量を測定すること、好ましくは、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうち2つを発現するin vitro分化細胞の量を測定すること、より好ましくは、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうち3つを発現するin vitro分化細胞の量を測定すること、最も好ましくは、CD73、CD105、CD10およびCD44の4つ総てを発現するin vitro分化細胞の量を測定すること;および/または(a2)in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105もしくはCD44のうち1つの量を測定すること、好ましくは、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105もしくはCD44のうち2つの量を測定すること、最も好ましくは、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105もしくはCD44のうち3つ総ての量を測定することを含んでなる方法も提供される。従って、本明細書ではまた、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、(a1)CD73、CD105、CD10およびCD44の4つ総てを発現するin vitro分化細胞の量を測定すること、および/または(a2)in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105もしくはCD44の3つ総ての量を測定することを含んでなる方法も提供される。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、CD73、CD105、CD10およびCD44に加え他のマーカーを測定することは含まない。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)を発現するin vitro分化細胞の量を測定することを含んでなる。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、CD44を発現するin vitro分化細胞の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、CD44と、CD73およびCD105のいずれか一方または両方を発現するin vitro分化細胞の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、CD44と、CD73、CD105またはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)を発現するin vitro分化細胞の量を測定することを含んでなる。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、CD10を発現するin vitro分化細胞の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、CD10と、CD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)を発現するin vitro分化細胞の量を測定することを含んでなる。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105およびCD44の量を測定することを含んでなる。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD73の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD73と、CD105およびCD44のいずれか一方または両方の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD73と、CD105、CD44またはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量を測定することを含んでなる。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD105の量を測定することを含んでなる、特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD105と、CD73およびCD44のいずれか一方または両方の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD105と、CD73、CD44またはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量を測定することを含んでなる。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD44の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD44と、CD73およびCD105のいずれか一方または両方の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD44と、CD73、CD105またはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量を測定することを含んでなる。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞の細胞表面の、またはin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105、CD44またはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞の細胞表面の、またはin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105、CD44およびCD10の量を測定することを含んでなる。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD10の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞により発現されるCD10と、CD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量を測定することを含んでなる。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(a1)CD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の量を測定すること、ならびに/または(a2)in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105もしくはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量を測定することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(a1)CD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の量を測定すること、ならびに/または(a2)in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105、CD44もしくはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)の量を測定することを含んでなる。
用語「を発現する」または「発現」は、本明細書で使用する場合、一般に、細胞表面のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の提示と同様に、細胞によるRNA、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質などの任意の転写産物または翻訳産物の生成も包含する。
さらなる指針として、細胞が所与の遺伝子、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質、例えば、CD73、CD105、CD10またはCD44に関して陽性である、またはそれを発現する、またはその発現を含んでなると言われる場合、当業者は、その細胞内または細胞上でその遺伝子、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を検出または定量することができる測定を行う場合に、その遺伝子、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の明瞭なシグナルの存在または証拠を結論付ける。好適には、その遺伝子、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の明瞭なシグナルの存在または証拠は、その細胞に関して得られた測定結果と陰性対照(例えば、そのマーカーを発現しないことが知られる細胞)および/または陽性対照(例えば、そのマーカーを発現することが知られる細胞)に対して行った同じ測定の結果との比較に基づいて結論付けられる。
ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、もしくは核酸などの分子もしくは分析物、または2以上の分子もしくは分析物、例えば、2以上のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、もしくは核酸の群は、サンプルにおいて前記分子もしくは分析物または前記分子もしくは分析物の群の有無および/または量が、好ましくは、実質的に他の分子および分析物を除外して検出または決定される場合に、サンプルにおいて「測定される」。用語「量(quantity)」、「量(amount)」および「レベル」は同義であり、一般に当技術分野で十分に理解されている。この用語は、本明細書で使用する場合、特に、サンプル中の細胞数、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、もしくは核酸の絶対的定量、またはサンプル中の細胞数、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、もしくは核酸の相対的、すなわち、別の値に対して相対的、例えば、本明細書に教示されるような参照値に対して相対的な定量を指し得る。ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の量はまた、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の活性によって表してもよい。サンプル中のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の活性はまた、絶対項で、例えば、容量当たりの酵素単位で、または相対項で表してもよい。
サンプル中のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸の絶対量は、有利には、重量としてもしくはモル量として、またはより一般には濃度として、例えば、容量当たりの重量もしくは容量当たりのモルとして表され得る。
サンプル中のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸の相対量は、有利には、前記の別の値に対する、例えば、本明細書の他所に記載されているような参照値に対する増加もしくは減少としてまたは増加倍率もしくは減少倍率として表され得る。第1のパラメーターと第2のパラメーター(例えば、第1の量と第2の量)の間の相対比較の実施は、前記第1および第2のパラメーターの絶対値をまず決定してもよいが、必ずしもその必要はない。例えば、測定方法は、前記第1および第2のパラメーターの定量可能な読み取り値(例えば、シグナル強度)を生成し得るものであり、前記読み取り値は前記パラメーターの値の関数であり、読み取り値をまず各パラメーターの絶対値に変換する実際の必要なく、前記読み取り値が直接比較されて、第1のパラメーターと第2のパラメーターの相対値が得られる。
細胞の相対量は、分析された細胞の総数、より詳しくは、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の発現が決定される細胞の総数に対する細胞のパーセンテージ(割合)として表し得る。よって、本明細書に教示されるようなCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)を発現するin vitro分化細胞の量を測定することは一般に、(i)in vitro分化細胞によるCD73、CD105、CD10および/またはCD44の発現(すなわち、存在)を決定すること、(ii)工程(i)においてCD73、CD105、CD10および/またはCD44を発現することが決定されたin vitro分化細胞の数を計数すること;および(iii)工程(i)において検討されたin vitro分化細胞の総数に対する、工程(i)においてCD73、CD105、CD10および/またはCD44を発現すると決定されたin vitro分化細胞の割合を計算することを含み得る。CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の量は、当技術分野で公知の任意の手段により、例えば、フローサイトメトリーにより測定され得る。
よって、特定の実施形態において、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)を発現するin vitro分化細胞の量は、全分析in vitro分化細胞に対する、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現すると決定されたin vitro分化細胞の割合である。
in vitro分化細胞によるCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の存在の決定および/またはその量の測定は、細胞または細胞集団の内部または表面のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸の有無(例えば、有り、無しという読み取り;もしくは検出可能な量、検出不能な量)および/または量(例えば、絶対量もしくは相対量としての読み取り)を測定するために使用される既存の、利用可能なまたは従来のいずれの検出および/または定量方法によって行ってもよい。例えば、このような方法としては、生化学的アッセイ法、イムノアッセイ法、質量分析法、もしくはクロマトグラフィー法、またはそれらの組合せを含み得る。
特定の実施形態において、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の存在および/または量の測定は、CD73、CD105、CD10もしくはCD44ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質、またはCD73、CD105、CD10もしくはCD44 mRNAまたはその両方の測定を含んでなる。
好ましい実施形態において、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の存在および/または量の測定は、CD73、CD105、CD10またはCD44ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の測定を含んでなる。
CD73、CD105、CD10およびCD44ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のそれぞれは一般に細胞の表面に発現されるので、当業者は、細胞表面のCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上と言う場合には、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質が意図され、いずれか1以上のCD73、CD105、CD10またはCD44ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質という場合には、細胞表面上のCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上が意図されることを理解するであろう。
特定の実施形態において、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の存在および/または量の測定が、細胞表面のCD73、CD105、CD10またはCD44ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の測定を含んでなる。
より詳しい実施形態において、生細胞の細胞表面の非変性形態のCD73、CD105、CD10またはCD44ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のうちいずれか1以上の存在および/または量が測定される。
より詳しい実施形態において、CD73、CD105、CD10またはCD44ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のうちいずれか1以上の存在および/または量の測定は、CD73、CD105、CD10またはCD44とそれぞれ特異的に結合し得る1以上の薬剤を使用する技術の使用を含んでなり、好ましくは、1以上の薬剤はそれぞれ独立に、1以上の抗体、抗体断片、抗体様タンパク質足場、またはアプタマーである。
このような方法は、親和性に基づくアッセイ方法を含み得、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸を検出および/または定量するためのアッセイ能力は、検出可能なおよび/または定量可能な結合剤とi)ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または核酸の間の特異的結合により付与される。結合剤は免疫学的結合剤(抗体)または非免疫学的結合剤であり得る。ヒトCD73と結合し得る抗体の例としては、限定されるものではないが、以下の販売者から入手可能なもの(「#」はカタログ番号を表す):BD Biosciences(アロフィコシアニン(APC)コンジュゲートマウスモノクローナル抗体、#560847;フルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲートマウスモノクローナル抗体、#561254;R−フィコエリトリン(PE)コンジュゲートマウスモノクローナル抗体、#55027)、Abcam(マウスモノクローナル抗体、#ab54217;ウサギモノクローナル、#ab79423;マウスモノクローナル、#ab34199)、R&D systems(ビオチン化ポリクローナルヤギ抗体、#BAF1182;モノクローナルマウス、#MAB1182;PEコンジュゲートポリクローナルヤギ抗体、#FAB8160P)が含まれる。ヒトCD105と結合し得る抗体の例としては、限定されるものではないが、以下の販売者から入手可能なもの(「#」はカタログ番号を表す):BD Biosciences(APCコンジュゲートマウスモノクローナル抗体、#562408;PE標識マウスモノクローナル抗体、#560839)、Abcam(マウスモノクローナル、#ab156756;マウスモノクローナル、#ab2529;ウサギモノクローナル、#ab221675)、R&D systems(Alexa Fluor(登録商標)488コンジュゲートモノクローナルマウス、#FAB10971G;Alexa Fluor(登録商標)647コンジュゲートモノクローナルマウス、#FAB10971R;ヤギポリクローナル、#AF1097)が含まれる。ヒトCD44と結合し得る抗体の例としては、限定されるものではないが、以下の販売者から入手可能なもの(「#」はカタログ番号を表す):BD Biosciences(PE−コンジュゲートマウスモノクローナル抗体、#550989;FITCコンジュゲートマウスモノクローナル抗体、#555478)、Abcam(ウサギポリクローナル、#ab157107、PEコンジュゲートマウスモノクローナル、#ab46793;PEコンジュゲートマウスモノクローナル、#ab58754)、R&D systems(Alexa Fluor(登録商標)コンジュゲートラットモノクローナル、#FAB6127S;PEコンジュゲートマウスモノクローナル、#FAB3660P)が含まれる。ヒトCD10と結合し得る抗体の例としては、限定されるものではないが、以下の販売者から入手可能なもの(「#」はカタログ番号を表す):BD Biosciences(PEコンジュゲートマウスモノクローナル抗体、#555375)、Abcam(ウサギモノクローナル、#ab79423;ウサギポリクローナル、#ab82073;PEコンジュゲートマウスモノクローナル、#ab210380)、R&D systems(Alexa Fluor(登録商標)コンジュゲートマウスモノクローナル、#FAB1182N;ビオチン化ヤギポリクローナル、#BAF1182)が含まれる。親和性に基づくアッセイ方法、このような免疫学的アッセイ法としては、限定されるものではないが、免疫組織化学、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、マスサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別(FACS)、蛍光顕微鏡、マイクロ流体システムを用いた蛍光に基づく細胞選別、アフィニティークロマトグラフィーなどの(免疫)アフィニティー吸着に基づく技術、マイクロ流体システムを用いた磁気活性化細胞選別またはマイクロ流体システムを用いたビーズに基づく細胞選別、免疫沈降、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびELISPOTに基づく技術、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ウエスタンブロットなどが含まれる。
ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を検出および/または定量するためのさらなる技術は、場合により、上記の分析方法のいずれと組み合わせて使用してもよい。このような方法としては、限定されるものではないが、質量分析(MS)技術、化学抽出分配、等電点電気泳動(IEF)(キャピラリー等電点電気泳動(CIEF)、キャピラリー等速電気泳動(CITP)、キャピラリーエレクトロクロマトグラフィー(CEC)などを含む)、一次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D−PAGE)、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)、ミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)、フリーフロー電気泳動(FFE)などが含まれる。
RNAレベル(例えば、hnRNA、プレmRNA、mRNA、またはcDNAのレベル)などでの核酸の有無および/または量は、当技術分野で公知の標準的な定量的RNAまたはcDNA測定ツールを用いて検出され得る。限定されない例としては、ハイブリダイゼーションに基づく分析、マイクロアレイ発現分析、デジタル遺伝子発現(DGE)、RNA−in−situハイブリダイゼーション(RISH)、ノーザンブロット分析など;PCR、RT−PCR、RT−qPCR、エンドポイントPCR、デジタルPCRなど;補助オリゴヌクレオチド検出、パイロシーケンシグ、合成によるポロニーサイクリックシーケンシング、同時二方向シーケンシング、一分子シーケンシング、一分子リアルタイムシーケンシング、トゥルー一分子シーケンシング、ハイブリダイゼーション補助ナノポアシーケンシング、合成によるシーケンシングなどが含まれる。
さらなる例において、本明細書に述べられているものなどの方法のいずれの組合せも使用可能である。
特定の実施形態において、CD73、CD105、CD10またはCD44はペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質を表し、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の発現は、それぞれCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の細胞表面発現を表す。ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の細胞表面発現は、好ましくは、フローサイトメトリーにより決定される。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(a1)in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;および/または(a2)in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105もしくはCD44のうちいずれか1以上の量を測定することを含んでなる。従って、また、(a1)in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうち1つを発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること、好ましくは、in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうち2つを発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること、より好ましくは、in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうち3つを発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること、最も好ましくは、in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;および/または(a2)in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105もしくはCD44のうち1つの量を測定すること、好ましくは、in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105もしくはCD44のうち2つの量を測定すること、より好ましくは、in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105およびCD44の総ての量を測定することを含んでなる、本明細書に教示されるような方法が提供される。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、
(a1)in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
(a2)in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105またはCD44のいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量を測定すること;
(b1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること;
(b2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す1以上の個々のカットオフ値と比較すること;
(c1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;
(c2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105またはCD44のいずれか1つ(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;ならびに
(d)前記偏差の有無をin vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰すること
を含んでなり得る。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、
(a1)in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
(a2)in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105、CD44またはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)の量を測定すること;
(b1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること;
(b2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105、CD44またはCD10のいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す1以上の個々のカットオフ値と比較すること;
(c1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;
(c2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105、CD44またはCD10のうちいずれか1つ(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)の量の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;ならびに
(d)前記偏差の有無をin vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰すること
を含んでなり得る。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合の測定;および/またはin vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105もしくはCD44のうちいずれか1以上の量の測定は、フローサイトメトリー、マスサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別、蛍光顕微鏡、アフィニティー分離、磁気細胞分離、マイクロ流体分離、およびそれらの組合せからなる群から選択される技術を用いて行われる。
フローサイトメトリーは、細胞集団の個々の細胞が、それらがレーザー光の中、一列縦隊で狭い流路を通過する際に、それらの光学特性(例えば、吸光度、光散乱および蛍光特性など)により分析される方法を包含する。フローサイトメトリー法としては、特定の光学特性を有する細胞集団が他の細胞から分離される蛍光活性化細胞選別(FACS)法が含まれる。
元素質量分析に基づくフローサイトメトリー、またはマスサイトメトリーは、蛍光色素標識結合試薬を、質量タグを有する、すなわち、規定の質量を有する元素または同位体でタグ付けされた結合試薬で置換することにより細胞を分析するためのアプローチを提供する。これらの方法において、標識粒子がマスサイトメーターに導入され、そこで、それらは個々に霧化およびイオン化される。次に、個々の粒子に対して元素分析を行い、使用した質量タグを同定し、その存在量を測定する。各粒子に関連する同位元素が何であるか、およびその量を蓄積し、分析する。元素分析の分解能および使用可能な元素同位体の数により、単一の粒子に対して最大100以上のパラメーターを同時に測定することができる。
蛍光顕微鏡は、細胞集団の個々の細胞がそれらの蛍光特性により顕微鏡的に分析される方法を広く包含する。蛍光顕微鏡アプローチは、手動または好ましくは半手動または自動であり得る。
アフィニティー分離は、アフィニティークロマトグラフィーとも呼ばれ、好適な液相などの移動相中に存在する細胞(例えば、水性懸濁液中の細胞集団)の、それによる好適な固相などの固定相への細胞の吸着との特異的相互作用;その後の残りの移動相からの固定相の分離および固定相からの吸着細胞の回収(例えば、溶出)を含む技術を広く包含する。アフィニティー分離は、カラム式であってもよいし、あるいはまた、バッチ処理を伴ってもよく、固定相は遠心分離または磁場の適用(例えば、この場合、固定相は磁気粒子またはビーズなどの磁気基質を含んでなる)などの好適な技術により液相から回収/分離される。よって、本明細書では、磁気細胞分離も想定される。
マイクロ流体システムは、多様な物理原理を採用する正確なハイスループット細胞検出、定量および/または選別を可能とる。マイクチップ上での細胞選別は、必要な装置の縮小、生物学的に危険である可能性のあるエアロゾルの排除、および一般に細胞選別に関連する複雑なプロトコールの簡略化により多くの利点を提供する。用語「マイクロ流体システム」は、本明細書で使用する場合、1以上の流体マイクロチャネルを備えたシステムを広く指す。マイクロチャネルは、その最大が一般に1mm未満、好ましくは500μm未満、より好ましくは400μm未満、より好ましくは300μm未満、より好ましくは200μm未満、例えば100μm以下である横断面寸法を有する流体チャネルを表す。このようなマイクロ流体システムは、液滴、気泡、カプセル、粒子、細胞などの流体および/または物体を操作するために使用可能である。マイクロ流体システムは、例えば、蛍光標識に基づく(例えば、蛍光団コンジュゲート結合剤、例えば、蛍光団コンジュゲート抗体を使用する)、ビーズに基づく(例えば、ビーズコンジュゲート結合剤、例えば、ビーズコンジュゲート抗体)、または標識不含の細胞選別を可能とし得る(Shields et al., Lab Chip. 2015, vol. 15: 1230-1249に総説)。特定の実施形態において、in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合の測定;およびin vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量の測定は、フローサイトメトリーを用いて行われる。
in vitro分化細胞は、蛍光色素(例えば、PE、PE−Cy7、PE−Cy5、APC、APC−Cy7、Alexa Fluor 647(登録商標)、Alexa Fluor 700(登録商標)、FITC、パシフィックブルー、Alexa Fluor 488(登録商標))にコンジュゲートされた抗体を用いて、CD73、CD105、CD10またはCD44のいずれか1以上に関して標識され、次に、レーザーにより特定の波長(蛍光色素の励起波長)で励起されて異なる波長(蛍光色素の発光波長)で発光し得る。例えば、in vitro分化細胞は、アロフィコシアニン(APC)コンジュゲートCD105抗体(BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:562408)、APCコンジュゲートCD73抗体(BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:560847)、フィコエリトリン(PE)コンジュゲートCD10抗体(BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:555375)および/またはPEコンジュゲートCD44抗体(BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:550989)を用いて標識され得る。当業者には、レーザーの波長と抗体を標識するために使用される蛍光色素の励起波長は適合しなければならないことが理解されるであろう。例えば、FITCの励起波長は488nmであって、発光波長は500〜560nmであり;PEの励起波長は488〜561nmであって、発光波長は560〜595nmである。CD73、CD105、CD10またはCD44のうち2つ以上の存在または量は、異なる波長で異なる光を発する異なる蛍光色素にそれぞれコンジュゲートされた抗体を使用することによって同時に測定可能である。
ほとんどの細胞は、本来、蛍光を発さない。よって、蛍光色素コンジュゲート抗体をin vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上と結合させれば、細胞がフローサイトメーターのレーザー光を通過する際に蛍光シグナルが取得される。フローサイトメトリー分析に使用される蛍光色素コンジュゲート抗体のそれぞれに関して、陽性カットオフを設定することができる。例えば、陽性カットオフは、対照アイソタイプ抗体の陽性の1%に設定することができる。
in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の量は、in vitro分化細胞により発せられた蛍光シグナルの平均強度または強度中央値として表され得る。蛍光シグナルの平均強度または強度中央値は、全分析細胞集団(すなわち、蛍光シグナルを発さなかった細胞を含む)の各細胞に関して検出された蛍光シグナルから決定される。より詳しくは、in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の量は、正規化蛍光強度中央値(nMFI)により表すことができる。正規化nMFIは一般に、1以上の蛍光色素コンジュゲート抗体で標識された全分析細胞集団のMFIを陰性対照(例えば、1以上の蛍光色素コンジュゲートアイソタイプ対照抗体、例えば、FITC、APCおよびPEコンジュゲート免疫グロブリンG(IgG)対照で標識された細胞)で割ることにより決定される。
「蛍光強度の正規化中央値」または「nMFI」は、本明細書で使用する場合、FITC、APCまたはPEなどの蛍光色素がコンジュゲートされた免疫グロブリンG(IgG)対照などの1以上の蛍光色素コンジュゲートアイソタイプ対照抗体で標識されたその細胞集団のMFI(MFIisotype_channel)に対する、1以上の蛍光色素コンジュゲート抗体で標識された全分析細胞集団のMFI(MFImarker_channel)の比を指す。nMFI結果は、対象とする集団の細胞表面に存在するマーカーの量に比例する。(n)MFIは一般に、蛍光シグナルの放出が測定される波長に関連する。例えば、励起波長は、FITCでは488nm、PEでは488nm、およびAPCでは633nmであり得る。例えば、発光波長は、FITCでは530nm、PEでは580nm、およびAPCでは660nmであり得る。
フローサイトメーターは、レーザーを通過する標識in vitro分化細胞の総数ならびに特定の波長で光を発する標識in vitro分化細胞の数を計数し得る。この情報は、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の量、好ましくは、陽性蛍光細胞パーセンテージ(PPFC)としても知られる割合を決定するために使用することができる。
当業者には、in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上の存在または量を測定する前に、例えば、ゲート設定計画により、それらの前方および側方散乱特性に基づいて対象とする細胞集団が他の細胞または残渣から識別され得ることが理解されるであろう。
フローサイトメトリーデータ分析は、固定数の検出イベント(例えば、フローサイトメーターのレーザーを通過する細胞の数)に対して行うことができる。例えば、フローサイトメトリーデータ分析は、10000イベントのゲート設定細胞集団に対して行うことができる。
フローサイトメトリーは、当技術分野で公知のいずれのサイトメーターを用いて行ってもよい。例えば、FACS CantoII(BD Biosciences(登録商標))を使用。
フローサイトメトリーデータ分析は、当技術分野で公知のフローサイトメトリーソフトウエアを用いて行うことができる。例えば、FACS Diva(登録商標)8.0ソフトウエア(BD Biosciences(登録商標))。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(b1)本明細書の他所に記載のように測定されるCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ総て)を発現するin vitro分化細胞の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値またはカットオフ値と比較すること、および(b2)本明細書の他所に記載のように測定されるin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つまたは3つ総て)の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値またはカットオフ値と比較することを含んでなる。従って、また、本明細書では、(b1)本明細書の他所に記載のように測定されるCD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現するin vitro分化細胞の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値またはカットオフ値と比較すること、ならびに(b2)本明細書の他所に記載のように測定されるin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105およびCD44の総ての量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値またはカットオフ値と比較することを含んでなる、本明細書に教示されるような方法も提供される。
より詳しい実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(b1)本明細書の他所に記載のように測定されるCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つもしくは4つ総て)を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること、および/または(b2)本明細書の他所に記載のように測定されるin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105もしくはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つもしくは3つ総て)の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較することを含んでなる。従って、また、本明細書では、(b1)本明細書の他所に記載のように測定されるCD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること;ならびに/または(b2)本明細書の他所に記載のように測定されるin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105およびCD44の総ての量を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較することを含んでなる、本明細書に教示されるような方法も提供される。
より詳しい実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(b1)本明細書の他所に記載のように測定されるCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること;および/または(b2)本明細書の他所に記載のように測定されるin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105もしくはCD44のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つもしくは3つ総て)の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較することを含んでなる。特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(b1)本明細書の他所に記載のように測定されるCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること;および/または(b2)本明細書の他所に記載のように測定されるin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105、CD44もしくはCD10のうちいずれか1以上(例えば、1つ、2つ、3つもしくは4つ総て)の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較することを含んでなる。
既知の骨形成能を有する細胞は、特定の程度の骨形成能(例えば、無骨形成能、低骨形成能、高骨形成能または所望の程度の骨形成能)を有することが知られる細胞であり得る。
骨形成能の程度は、形成される骨基質の量として、および/またはin vitroもしくはin vivoにおける骨基質形成の速度として表すことができる。骨基質の量および/または骨基質形成の速度は、骨組織形態計測、組織学(例えばコラーゲンI、マッソントリクロームゴールドナー)および免疫蛍光(例えばコラーゲンI、テトラサイクリン骨標識)などの当技術分野で公知の任意の方法により測定され得る。例えば、新たに石灰化した骨の厚さ、新たに形成した骨の表面積、または少なくとも1つの石灰化した結節の存在は、in vivoにおいて、皮下注射によりマウスに細胞を投与した後に評価され得る。
例えば、細胞の骨形成能の程度は、このような細胞の骨形成活性を測定することにより決定することができる。ヒトin vitro分化細胞の骨形成活性は、in vivoにおいて、例えば、頭蓋冠への皮下注射によりマウスに細胞を投与した後に少なくとも1つの石灰化した結節(例えば、ヒト起源のまたはヒト−マウス混合起源の)の存在を決定することにより測定することができる。ヒトin vitro分化細胞の骨形成活性は、in vivoにおいて、例えば、頭蓋冠への皮下注射によりマウスに細胞を投与した後に新たに石灰化した結節(例えば、ヒト起源のまたはヒト−マウス混合起源の)の厚さを評価することによるか、またはマウス大腿分節未臨界サイズ欠損(sub−CSD)モデルにおいて骨修復の程度を評価することにより測定することができる。
例えば、100μlの賦形剤に調剤された2.5×106細胞などの量のヒト細胞を、頭蓋冠骨への単回皮下投与によりヌードマウスに投与することができる。経時的に骨新形成を標識するために、アリザリンレッド(赤)、カルセイン(緑)、カルセイン(青)およびテトラサイクリン(黄)などのカルシウム結合蛍光色素を、細胞投与のそれぞれ3日前、ならびに4、8、および12日後に腹腔内注射によりマウスに順次投与することができる。細胞投与の2週間後にマウスを安楽死させ、各マウスの頭蓋冠を、組織形態計測(例えば、骨形成の定量)により骨形成特性を評価するために採取することができる。頭蓋冠の初期厚および最終厚を用いて細胞の投与後の新骨形成のパーセンテージを計算することができる。さらに、骨形成特性はまた、免疫蛍光(例えば、マウス起源またはヒト起源の骨形成)によっても評価することができる。骨芽細胞活性は、頭蓋冠切片でALP酵素活性検出法を用いて評価することができる。破骨細胞活性は、頭蓋冠切片でTRAP酵素活性検出法を用いて評価することができる。新たに形成した骨の石灰化の状態は、例えば、市販のキット(例えば、Bio−Optica(登録商標))を用いてALPで染色した頭蓋冠切片で、マッソントリクロームゴールドナー染色を用いて評価することができる。軟骨形成は、頭蓋冠矢状パラフィン切片でサフラニンオレンジ染色を用いて評価することができる。
さらなる例において、50μlの賦形剤に調剤された1.25×106細胞などのヒトin vitro分化細胞をマウスに、それらが大腿分節未臨界サイズ欠損を受けた1日後に経皮注射により骨欠損部位に局所的に投与することができる。骨修復はX線撮像により定量することができる。骨欠損サイズは、骨欠損の2端間の距離を測定することにより定量することができる。
特定の実施形態において、既知の骨形成能を有する細胞は、鋳型としての石灰化軟骨基質の必要なく骨基質を形成することが知られる細胞(例えば、膜内骨化により骨を形成することが知られる細胞)またはまず石灰化軟骨基質を形成し、次に、前記石灰化軟骨基質を骨組織形成の鋳型として用いることにより骨基質を形成することが知られる細胞(例えば、軟骨内骨化により骨を形成することが知られる細胞)であり得る。骨形成のタイプ(例えば、軟骨内骨化または膜内骨化)は、骨組織形態計測、組織学(例えば、コラーゲンI、マッソントリクロームゴールドナー、サフラニンオレンジ、SOX9、II型コラーゲン)および免疫蛍光(例えば、コラーゲンI、テトラサイクリン骨標識、II型コラーゲン)などの当技術分野で公知の任意の方法により決定され得る。例えば、本明細書の他所に記載したような皮下注射によりマウスに細胞を投与した後の少なくとも1つの石灰化結節の存在は、骨基質が軟骨内骨化により形成されることを示し得る。
特定の実施形態において、既知の骨形成能を有する細胞は、軟骨内骨化により骨を形成することが知られる細胞である。例えば、既知の骨形成能を有する細胞は、皮下注射によりマウスに細胞を投与した後にin vivoでヒト起源の少なくとも1つの石灰化結節を形成するヒト細胞であり得、好ましくは、この皮下注射は頭蓋冠骨に行われる。
特定の実施形態において、既知の骨形成能を有する細胞は、例えばマウスへの皮下注射による細胞の投与後に、例えばマウスに皮下注射により対照細胞(例えば、骨形成能が無い細胞もしくは低骨形成能の細胞)またはビヒクルが投与された場合に見られる骨形成に比べて、少なくとも約20%(約1.2倍以上)、または少なくとも約30%(約1.3倍以上)、または少なくとも約40%(約1.4倍以上)、または少なくとも約50%(約1.5倍以上)、または少なくとも約60%(約1.6倍以上)、または少なくとも約70%(約1.7倍以上)、または少なくとも約80%(約1.8倍以上)、または少なくとも約90%(約1.9倍以上)、または少なくとも約100%(約2倍以上)のin vivo骨形成(例えば、ヒト起源の)の増加を示す細胞(例えば、ヒト細胞)を示し、好ましくは、この皮下注射は頭蓋冠骨に行われる。例えば、既知の骨形成能を有する細胞と同じドナーから得られた未分化MSCが対照細胞として使用可能である。
低骨形成能を有することが知られる細胞の限定されない例は、以下のようにして得られるin vitro分化MSC由来細胞(本明細書では「細胞製品A」または「骨形成細胞A」と呼称)が含まれる:骨髄白血球を培養培地に50,000細胞/cm2の密度で播種し、5%CO2を含有する加湿インキュベーターにて37℃でインキュベートする。細胞播種の4日後に、非接着細胞を除去し、培地を、5%Octaserum(50:50自己血清およびOctaPlasLG(登録商標)(Octapharma))、FGF−b(CellGenix)、TGFβ−1(Humanzyme)を添加した従来の培養培地に更新する。播種7日および11日後に、培養培地の半分を除去し、新鮮培地に置き換える。細胞を一次培養として14日間培養する。14日目に、細胞を、例えばTrypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取する(第1継代:P1)。中間細胞を、培養培地、10%Octaserum(50:50自己血清およびOctaPlasLG(登録商標)(Octapharma))、10%DMSO)を含んでなる凍結培地中で凍結保存し、液体窒素中で保存する。二次培養として、細胞を解凍し、1144細胞/cm2の密度で再播種する。細胞を二次培養として14日間培養する。28日目に、細胞を、例えばTrypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取する(第2継代:P2)。最終細胞製品を得るために、細胞を例えばOctaPlasLG(登録商標)に終濃度25×106細胞/mlで再懸濁させる。この細胞製品を本明細書では「細胞製品A」または「骨形成細胞A」と呼称する。
高骨形成能を有することが知られる細胞の限定されない例としては、以下のようにして得られるin vitro分化MSC由来細胞(本明細書では「細胞製品B」または「骨形成細胞B」と呼称)が含まれる:骨髄白血球を、5%OctaPlasLG(登録商標)(Octapharma)、0.1UI/mlヘパリン(LEO Pharma)、FGF−b(CellGenix)、TGFβ−1(Humanzyme)を含んでなる従来の培養培地に50,000細胞/cm2の密度で播種し、5%CO2を含有する加湿インキュベーターにて37℃でインキュベートする。細胞播種4日後に、非接着細胞を除去し、培地を培養培地に更新する。播種7日後および11日後に、培養培地の半分を除去し、増殖因子を更新するために新鮮培地と置き換える。細胞を一次培養として14日間培養する。14日目に、細胞を、例えばTrypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取する(第1継代:P1)。中間細胞を凍結保存し(例えば、CryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions))、液体窒素中で保存する。次に、中間細胞を解凍し、二次培養のために286細胞/cm2の密度で再播種する。細胞を二次培養として14日間培養する。28日目に、細胞を、例えばTrypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取する(第2継代:P2)。最終細胞製品を得るために、細胞を例えばOctaPlasLG(登録商標)に終濃度25×106細胞/mlで再懸濁させる。この細胞製品を本明細書では「細胞製品B」または「骨形成細胞B」と呼称する。
特定の実施形態において、既知の骨形成能を有する細胞は、臨床上有用な骨形成能を有する細胞である。
特定の実施形態において、(b1)のカットオフ値および/または(b2)の前記各カットオフ値は、臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値である。
用語「臨床上有用な」とは、細胞の骨形成能に関して使用される場合、対象骨基質に細胞を移植する際に、筋骨格疾患または骨関連障害に罹患している対象などの対象に臨床関連利益を提供するなど、対象にとって治療上意味のある量で、および/または機序(例えば、軟骨内骨化または膜内骨化)により細胞を形成することを可能とする程度の細胞の骨形成能を指す。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞は、頭蓋冠への皮下注射により動物(例えば、マウス)に細胞を投与した後に動物(例えば、マウス)の少なくとも50%が石灰化結節(例えば、ヒト起源またはヒト−マウス混合起源の)を形成すれば、臨床上有用な骨形成能を有し得る。特定の実施形態において、in vitro分化細胞は、頭蓋冠への皮下注射により動物(例えば、マウス)に細胞を投与した後に動物(例えば、マウス)の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90、または少なくとも95%が石灰化結節(例えば、ヒト起源またはヒト−マウス混合起源の)を形成すれば、臨床上有用な骨形成能を有し得る。
筋骨格疾患の限定されない例としては、例えば原発性、閉経後、老年性、コルチコイド誘発性、ビスホスホネート誘発性、および放射線療法誘発性などの任意のタイプの骨粗鬆症またはオステオペニア;任意の続発性、一部位または多部位骨壊死;例えば、癒合不能、変形癒合、癒合遅延骨折または圧迫、顎顔面骨折などの任意のタイプの骨折;骨固定(例えば、脊椎固定および再建)を必要とする病態;先天性骨欠損;例えば外傷性損傷または癌手術後の骨再建、および頭蓋顔面骨再建;外傷性関節炎、限局性軟骨および/または関節欠陥、限局性変形性関節炎;変形性関節症、変形性関節炎、変形性膝関節症、および変形性股関節症;骨形成不全症;溶骨性骨癌;パジェット病;内分泌障害;低リン酸血症;低カルシウム血症;腎性骨異栄養症;骨軟化症;無形成骨症、副甲状腺機能亢進症、原発性副甲状腺機能亢進症、続発性副甲状腺機能亢進症;歯周病;ゴーハム病(Gorham-Stout disease)およびマッキューン・オルブライト症候群;関節リウマチ;強直性脊椎炎を含む脊椎関節症、乾癬性関節炎、腸疾患性関節症、および未分化脊椎関節炎および反応性関節炎;全身性紅斑性狼瘡および関連症候群;硬皮症および関連障害;シェーグレン症候群;巨細胞性動脈炎(ホートン病)、高安動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、ANCA関連血管炎(例えば、ウェゲナー肉芽腫、顕微鏡的多発性血管炎、およびチャーグ−ストラウス症候群)、ベーチェット症候群、およびその他の多発性動脈炎および関連障害(例えば、結節性多発性動脈炎、コーガン症候群、およびバージャー病)を含む全身性血管炎;アミロイドーシスおよびサルコイドーシスを含む他の全身性炎症性疾患を伴う関節炎;通風、ピロリン酸カルシウム二水和物病、リン酸カルシウムまたはシュウ酸カルシウム結晶の関節沈着に関連する障害または症候群を含む結晶性関節症;軟骨石灰沈着症および神経因性関節症;フェルティー症候群およびライター症候群;ライム病およびリウマチ熱といった局部性または全身性障害を含み得る。
例として、限定されるものではないが、臨床上有用な骨形成能を有する細胞の移植から利益を受け得る骨関連障害としては、例えば原発性、閉経後、老年性、コルチコイド誘発性などの任意のタイプの骨粗鬆症またはオステオペニア;任意の続発性、一部位または多部位骨壊死;任意のタイプの骨折、例えば、癒合不能、変形癒合、癒合遅延骨折または圧迫などの任意のタイプの骨折;骨固定(例えば、脊椎固定および再建)を必要とする病態;顎顔面骨折、例えば外傷性損傷または癌手術後の骨再建、および頭蓋顔面骨再建、骨形成不全症、溶骨性骨癌、パジェット病、内分泌障害、低リン酸血症、低カルシウム血症、腎性骨異栄養症、骨軟化症、無形成骨症、関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症、原発性副甲状腺機能亢進症、続発性副甲状腺機能亢進症、歯周病、ゴーハム病およびマッキューン・オルブライト症候群といった局部性または全身性障害を含み得る。
既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞の限定されない例としては、本明細書の他所に記載したように得られる「細胞製品B」または「骨形成細胞B」が含まれる。既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞のさらなる限定されない例には、本明細書の他所に記載したように得られる「細胞製品C」または「骨形成細胞C」が含まれる。
特定の実施形態において、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞は、本明細書の他所に記載したように得られる「細胞製品B」または「骨形成細胞B」である。特定の実施形態において、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞は、「細胞製品C−凍結」または「骨形成細胞C凍結(保存)」を含む、本明細書の他所に記載したように得られる「細胞製品C」または「骨形成細胞C」である。
特定の実施形態において、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の量の参照値は、参照細胞(例えば、臨床上有用な骨形成能を有することが知られる細胞)においてCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の量をそれぞれ決定し、それにより参照値を得ることにより決定され得る。同様に、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量の参照値は、参照細胞(例えば、臨床上有用な骨形成能を有することが知られる細胞)において、CD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量をそれぞれ決定し、それにより参照値を得ることにより決定され得る。
1以上の参照細胞種から得られる1以上の参照値は、細胞の特定の程度の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を提供することが当技術分野で一般に知られるように閾値またはカットオフ値を決定するために使用可能である。
特定の実施形態において、(b1)本明細書の他所に記載のように測定される、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上、好ましくは、CD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現するin vitro分化細胞の量(もしくは割合)を、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値もしくはカットオフ値と比較すること;および/または(b2)本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上、好ましくは、CD73、CD105およびCD44の総ての量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値またはカットオフ値と比較することにおける参照値またはカットオフ値は、臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表す参照値もしくはカットオフ値である。
広範な研究により、本発明者らは、骨形成能を有するin vitro分化細胞の細胞集団、特に、高骨形成能を有し、かつ、in vivoにおいて軟骨内骨化により骨基質を形成するin vitro分化細胞の細胞集団の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上、好ましくは、CD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現することを見出した。さらに、これらのin vitro分化細胞はまた、MSCにおけるそれぞれCD73、CD44およびCD105の量に比べて、高い量のCD73および/またはCD44、ならびに低い量のCD105を発現する。
よって、特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(c1)本明細書の他所に記載のように測定される、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上、好ましくは、CD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現するin vitro分化細胞の量(もしくは割合)の、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値もしくはカットオフ値からの偏差の有無を見出すこと、および/または(c2)本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現される、CD73、CD105もしくはCD44のうちいずれか1つ、好ましくは、CD73、CD105およびCD44の総ての量の、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値もしくはカットオフ値からの偏差の有無を見出すこと、ならびに(d)(c1)および/もしくは(c2)で見出された偏差の有無をin vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰することを含んでなる。従って、また、本明細書では、(c1)本明細書の他所に記載のように測定される、CD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現するin vitro分化細胞の量(もしくは割合)の、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値またはカットオフ値からの偏差の有無を見出すこと、および/または(c2)本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105およびCD44の総ての量の、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値またはカットオフ値からの偏差の有無を見出すこと、ならびに(d)(c1)および/または(c2)で見出された偏差の有無をin vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰することを含んでなる本明細書に教示されるような方法が提供される。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(c1)本明細書の他所に記載のように測定される、CD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の量(もしくは割合)の、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値またはカットオフ値からの偏差の有無を見出すこと、および/または(c2)本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105もしくはCD44のうちいずれか1つ(例えば、1つ、2つもしくは3つ総て);好ましくは、CD73、CD105およびCD44の総ての量の、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値もしくはカットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;ならびに(d)(c1)および/または(c2)で見出された偏差の有無を、in vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰することを含んでなり得る。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、(c1)本明細書の他所に記載のように測定される、CD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の量(もしくは割合)の、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値またはカットオフ値からの偏差の有無を見出すこと、および/または(c2)本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105、CD44またはCD10のうちいずれか1つ(例えば、1つ、2つ、3つもしくは4つ総て)、好ましくは、CD73、CD105、CD44およびCD10の総ての量の、既知の骨形成能を有する細胞を表す参照値もしくはカットオフ値からの偏差の有無を見出すこと、ならびに(d)(c1)および/または(c2)で見出された偏差の有無をin vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰することを含んでなり得る。
第1の値と第2の値の「偏差」は一般に、いずれの方向(例えば、増加:第1の値>第2の値;または減少:第1の値<第2の値)およびいずれの程度の変化も包含し得る。
例えば、偏差は、比較がなされる第2の値に比べての第1の値の、限定されるものではないが、少なくとも約10%(約0.9倍以下)、または少なくとも約20%(約0.8倍以下)、または少なくとも約30%(約0.7倍以下)、または少なくとも約40%(約0.6倍以下)、または少なくとも約50%(約0.5倍以下)、または少なくとも約60%(約0.4倍以下)、または少なくとも約70%(約0.3倍以下)、または少なくとも約80%(約0.2倍以下)、または少なくとも約90%(約0.1倍以下)の減少を包含し得る。
例えば、偏差は、比較がなされる第2の値に比べての第1の値の、限定されるものではないが、少なくとも約10%(約1.1倍以上)、または少なくとも約20%(約1.2倍以上)、または少なくとも約30%(約1.3倍以上)、または少なくとも約40%(約1.4倍以上)、または少なくとも約50%(約1.5倍以上)、または少なくとも約60%(約1.6倍以上)、または少なくとも約70%(約1.7倍以上)、または少なくとも約80%(約1.8倍以上)、または少なくとも約90%(約1.9倍以上)、または少なくとも約100%(約2倍以上)、または少なくとも約150%(約2.5倍以上)、または少なくとも約200%(約3倍以上)、または少なくとも約500%(約6倍以上)、または少なくとも約700%(約8倍以上)などの増加を包含し得る。
好ましくは、偏差は、統計的に有意な観測された変化を指し得る。例えば、偏差は、所与の参照細胞において参照値の許容誤差の範囲外にある、観測された変化(例えば、標準偏差もしくは標準誤差により、またはその所定の倍率、例えば、±1×SDまたは±2×SDまたは±3×SD、または±1×SEまたは±2×SEまたは±3×SEにより表される)を指し得る。偏差はまた、所与の参照細胞の値により定義される参照範囲の外側(例えば、所与の参照細胞における値の≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧75%または≧80%または≧85%または≧90%または≧95%またはさらには≧100%を含んでなる範囲の外側)にある値も指し得る。
さらなる実施形態において、偏差は、観測された変化が所与の閾値またはカットオフを超えるかどうかを結論とし得る。例えば、偏差は、観測された変化が所与の閾値またはカットオフ未満であるか、同じであるか、またはそれを超えるかどうかを結論とし得る。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、
(a1)in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
(a2)in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を測定すること;
(b1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること;
(b2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す1以上の各カットオフ値と比較すること;
(c1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;
(c2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1つの量の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;および
(d)前記偏差の有無をin vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰すること
を含んでなる、から本質的になる、またはからなる。
従って、本発明ではまた、
(a1)in vitro分化細胞の細胞表面でCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
(a2)in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105およびCD44の量を測定すること;
(b1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること;
(b2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105およびCD44の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す1以上の各カットオフ値と比較すること;
(c1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合の、前記カットオフ値の偏差の有無を見出すこと;
(c2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105およびCD44の量の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;ならびに
(d)前記偏差の有無をin vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰すること
を含んでなる、から本質的になる、またはからなる本明細書に教示されるような方法も提供される。
参照細胞が臨床上有用な骨形成能を有さないと知られる細胞である特定の実施形態において、
・本明細書の他所に記載のように測定される、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の量もしくは割合が、本明細書の他所に記載したような臨床上有用な骨形成能を有さないことが知られるカットオフ値細胞に比べて同等以下であることが、それらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有さないことを示し;または
・本明細書の他所に記載のように測定される、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の量もしくは割合が、本明細書の他所に記載したような臨床上有用な骨形成能を有さないことが知られる細胞を表すカットオフ値に比べて増加していることが、in vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有することを示し、および/または
・本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD44および/もしくはCD10の量が、本明細書の他所に記載したような臨床上有用な骨形成能を有さないことが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて同等以下であり、かつ、本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD105の量が、本明細書の他所に記載したような臨床上有用な骨形成能を有さないことが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて同等以上であることが、それらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有さないことを示し;または
・本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD44および/もしくはCD10のうちいずれか1つの量が、本明細書の他所に記載したような臨床上有用な骨形成能を有さないことが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて増加しており、かつ/もしくは本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD105の量が、本明細書の他所に記載したような臨床上有用な骨形成能を有さないことが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて減少していることが、それらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有することを示し、
好ましくは、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上の発現は、細胞表面でのそれぞれCD73、CD105、CD10もしくはCD44の発現を表す。
参照細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することが知られる細胞である特定の実施形態において、
・本明細書の他所に記載のように測定されるCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の量もしくは割合が、本明細書の他所に記載したような所望の骨形成能を有することが知られる細胞を表すカットオフ値に比べて減少していることが、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能を有さないことを示し、または
・本明細書の他所に記載のように測定される、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の量または割合が、本明細書の他所に記載したような所望の骨形成能を有することが知られるカットオフ値細胞に比べて同等以上であることが、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することを示し;および/または
・本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD44および/もしくはCD10のうちいずれか1つの量が、本明細書の他所に記載したような所望の骨形成能を有することが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて減少しており、かつ/もしくは本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD105の量が、本明細書の他所に記載したような所望の骨形成能を有することが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて増加していることが、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能を有さないことを示し、または
・本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD44および/もしくはCD10の量が、本明細書の他所に記載したような所望の骨形成能を有することが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて同等以上であり、かつ、本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD105の量が、本明細書の他所に記載したような所望の骨形成能を有することが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて同等以下であることが、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することを示し、
好ましくは、CD73、CD105、CD10またはCD44のいずれか1以上の発現は、細胞表面でのCD73、CD105、CD10またはCD44の発現を表す。
参照細胞が臨床上有用な骨形成能を有さないことが知られる細胞である特定の実施形態において、
・本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD10の量が、本明細書の他所に記載したような臨床上有用な骨形成能を有さないことが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて同等以下であることが、それらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有さないことを示し;または
・本明細書の他所に記載のように測定されるin vitro分化細胞により発現されるCD10の量が、本明細書の他所に記載したような臨床上有用な骨形成能を有さないことが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて増加していることが、それらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有することを示し、
好ましくは、CD10の発現は、細胞表面でのCD10の発現を表す。
参照細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することが知られる細胞である特定の実施形態において、
・本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD10の量が、本明細書の他所に記載したような所望の骨形成能を有することが知られる細胞を表す各カットオフ値と比較して減少していることが、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能を有さないことを示し、または
・本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現されるCD10の量が本明細書の他所に記載したような所望の骨形成能を有することが知られる細胞を表す各カットオフ値に比べて同等以上であることが、これらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することを示し、
好ましくは、CD10の発現は、細胞表面でのCD10の発現を表す。
特定の実施形態は、
・(a1)で測定されるようなin vitro分化細胞の割合が(b1)のカットオフ値に比べて同等以上であることが、これらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有することを示し;かつ
・(a2)で測定されるようなCD73、CD44および/またはCD10の量が(b2)の各カットオフ値に比べて同等以上であり、かつ、(a2)で測定されるようなCD105の量が(b2)の各カットオフ値に比べて同等以下であることが、これらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有することを示す、
本明細書に教示されるような方法が提供される。
特定の実施形態において、前記(b1)のカットオフ値は、細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の90%であり;かつ、前記(b2)のカットオフ値は、CD73の正規化蛍光強度中央値(nMFI)が500、CD44のnMFIが100、CD105のnMFIが150および/またはCD10のnMFIが40である。特定の実施形態において、前記(b1)のカットオフ値は、細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の90%であり;かつ、前記(b2)のカットオフ値は、CD73のnMFIが500、CD44のnMFIが100、CD105のnMFIが150および/またはCD10のnMFIが50である。
特定の実施形態において、前記(b1)のカットオフ値は、細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の90%であり;かつ、前記(b2)のカットオフ値は、CD73の正規化nMFIが500、CD44のnMFIが150、CD105のnMFIが150および/またはCD10のnMFIが40である。特定の実施形態において、前記(b1)のカットオフ値は、細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の90%であり;かつ、前記(b2)のカットオフ値は、CD73の正規化nMFIが500、CD44のnMFIが150、CD105のnMFIが150および/またはCD10のnMFIが50である。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105およびCD44の量が測定される。特定の実施形態において、前記(b2)のカットオフ値は、CD73のnMFIが500、CD44のnMFIが100およびCD105のnMFIが150である。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105、CD44およびCD10の量が測定される。特定の実施形態において、前記(b2)のカットオフ値は、CD73のnMFIが500、CD44のnMFIが100、CD105のnMFIが150、およびCD10のnMFIが40である。特定の実施形態において、前記(b2)のカットオフ値は、CD73のnMFIが500、CD44のnMFIが150、CD105のnMFIが150、およびCD10のnMFIが40である。特定の実施形態において、前記(b2)のカットオフ値は、CD73のnMFIが500、CD44のnMFIが100、CD105のnMFIが150、およびCD10のnMFIが40である。特定の実施形態において、前記(b2)のカットオフ値は、CD73のnMFIが500、CD44のnMFIが150、CD105のnMFIが150、およびCD10のnMFIが50である。
特定の実施形態において、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能、好ましくは、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b1)のカットオフ値は、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の90%、91%、92%、93%、94%、95%;96%;97%、98%または99%、好ましくは、90%であり、好ましくは、CD73、CD105、CD10またはCD44のいずれか1以上の発現は、細胞表面でのそれぞれCD73、CD105、CD10またはCD44の発現を表す。従って、本明細書では、CD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現するin vitro分化細胞の割合を既知の骨形成能、好ましくは、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b1)のカットオフ値が提供され、それはCD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現するin vitro分化細胞の90%、91%、92%、93%、94%、95%;96%;97%、98%または99%、好ましくは、90%であり、好ましくは、CD73、CD105、CD10およびCD44の総ての発現は、細胞表面でのそれぞれCD73、CD105、CD10およびCD44の発現を表す。特定の実施形態において、in vitro分化細胞の約90%、91%、92%、93%、94%、95%;96%;97%、98%または99%、好ましくは、90%以上がCD73、CD105、CD10またはCD44のいずれか1以上、好ましくは、CD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現する場合に、in vitro分化細胞は、所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有する。従ってまた、本明細書では、in vitro分化細胞の約90%以上がCD73、CD105、CD10およびCD44の総てを発現する場合に、それらのin vitro分化細胞は所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することが示される。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞により細胞表面に発現されるCD73、CD105、CD44および/またはCD10のうちいずれか1以上の量を既知の骨形成能、好ましくは、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b2)のカットオフ値は、nMFICD73が500、550、600、650、700、750、800、850または900、好ましくは、nMFICD73が500、nMFICD44が100、110、120、130、140、150、200、250、300または350、好ましくは、nMFICD44が100、nMFICD105が180、170、160、150、140、130、120、110または100、好ましくは、nMFICD105が150および/またはnMFICD10が10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60、好ましくは、nMFICD10が50であり;好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、ならびに/またはnMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定される。
従って、また、本明細書では、in vitro分化細胞により細胞表面に発現されるCD73、CD105およびCD44の量を既知の骨形成能、好ましくは、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b2)のカットオフ値も提供され、それはnMFICD73が500、550、600、650、700、750、800、850または900、好ましくは、nMFICD73が500、nMFICD44が100、110、120、130、140、150、200、250、300または350、好ましくは、nMFICD44が100、およびnMFICD105が180、170、160、150、140、130、120、110または100、好ましくは、nMFICD105が150であり、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定される。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞により細胞表面に発現されるCD73、CD105、CD44およびCD10のうちいずれか1以上の量を既知の骨形成能、好ましくは、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b2)のカットオフ値は、nMFICD73が500、550、600、650、700、750、800、850または900、好ましくは、nMFICD73が500、nMFICD44が100、110、120、130、140、150、200、250、300または350、好ましくは、nMFICD44が100、nMFICD105が180、170、160、150、140、130、120、110または100、好ましくは、nMFICD105が150、nMFICD10が10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60、好ましくは、nMFICD10が50であり;好ましくは、nMFICD73は、ACに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmであり、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定される。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞により細胞表面に発現されるCD10の量を既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b2)のカットオフ値は、nMFICD10 10、15、20、25、または30、好ましくは、nMFICD10 20である。特定の実施形態において、in vitro分化細胞により細胞表面に発現されるCD10の量を、臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b2)のカットオフ値は、nMFICD10 40、45、50、55、または60、好ましくは、nMFICD10 40;より好ましくは、nMFICD10 50;いっそうより好ましくは、nMFICD10 60である。好ましくは、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定される。
記載「CD73のnMFI」または「nMFICD73」は、本明細書で使用する場合、APCコンジュゲートIgG対照(例えば、BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:555751)で標識された細胞集団のMFIに対するAPCコンジュゲートCD73抗体(例えば、BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:560847)で標識された全分析細胞集団のMFIの比を指す。好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定される。
記載「CD44のnMFI」または「nMFICD44」は、本明細書で使用する場合、PEコンジュゲートIgG対照(例えば、BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:556650)で標識された細胞集団のMFIに対するPEコンジュゲートCD44抗体(例えば、BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:550989)で標識された全分析細胞集団のMFIの比を指す。好ましくは、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定される。
記載「CD105のnMFI」または「nMFICD105」は、本明細書で使用する場合、APCとコンジュゲートされたIgG対照(例えば、BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:555751)で標識された細胞集団のMFIに対するAPCコンジュゲートCD105抗体(例えば、BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:562408)で標識された全分析細胞集団のMFIの比を指す。好ましくは、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定される。
記載「CD10のnMFI」または「nMFICD10」は、本明細書で使用する場合、PEコンジュゲートIgG対照(例えば、BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:556650)で標識された細胞集団のMFIに対するPEコンジュゲートCD10抗体(例えば、BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:555375)で標識された全分析細胞集団のMFIの比を指す。好ましくは、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定される。
特定の実施形態において、本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現される500、550、600、650、700、750、800、850または900、好ましくは、500以上のnMFICD73は、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することを示す。
特定の実施形態において、本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現される100、110、120、130、140、150、200、250、300または350、好ましくは、100以上のnMFICD44は、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することを示す。
特定の実施形態において、本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現される180、170、160、150、140、130、120、110または100、好ましくは、150以下のnMFICD105は、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有する。
特定の実施形態において、本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現される少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、または少なくとも60、好ましくは、少なくとも50のnMFICD10は、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することを示す。
好ましい実施形態において、本明細書の他所に記載のように測定される、in vitro分化細胞により発現される500以上のnMFICD73、100以上のnMFICD44、および150以下のnMFICD105は、それらのin vitro分化細胞が所望の骨形成能、好ましくは、臨床上有用な骨形成能を有することを示し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、かつ/またはnMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定される。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞により細胞表面に発現されるCD73、CD105、CD44および/またはCD10のうちいずれか1以上の量を、既知の骨形成能、好ましくは、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b2)のカットオフ値は、nMFICD73が500、nMFICD44が100、nMFICD105が150および/またはnMFICD10が40であり、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、かつ/またはnMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定される。
特定の実施形態において、細胞表面にCD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能、好ましくは、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b1)のカットオフ値は、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の90%であり;かつ/またはin vitro分化細胞により細胞表面に発現されるCD73、CD105、CD44および/もしくはCD10の量を、既知の骨形成能、好ましくは、既知の臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較する(b2)のカットオフ値は、nMFICD73が500、nMFICD44が100、nMFICD105が150および/もしくはnMFICD10が40であり、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、かつ/またはnMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定される。
特定の実施形態において、それらのin vitro分化細胞は、多能性幹細胞(PS)、例えば、哺乳動物PSおよびヒトPS、好ましくは、ヒトPSから取得または誘導される。
用語「in vitro分化細胞」は、本明細書で使用する場合、in vitroにおいて、細胞がある細胞種から別の細胞種へ遷移することを可能とする適当な条件下で培養されたいずれの細胞も指す。細胞の分化は、所望の細胞種へ向かう細胞の分化を誘導し得る条件下でMSCを培養すること、より一般には、所望の細胞種へ向かう細胞の分化を誘導し得る1以上の薬剤(例えば、増殖因子)を含んでなる培地で細胞を培養することを含み得る。用語「幹細胞」は、一般に、自己再生し得る、すなわち、分化することなく増殖し得る、かつそれまたはその後代が少なくとも1つの比較的さらに専門化した細胞種を生じ得る、専門化していないまたは比較的専門化していない、かつ増殖能のある細胞を指す。この用語は、幹細胞の後代または少なくともその一部が、母幹細胞の専門化していないまたは比較的専門化していない表現型、分化能、および増殖能を実質的に保持する、実質的に無制限の自己再生をし得る幹細胞、ならびに限定された自己再生を示す幹細胞、すなわち、後代またはその一部のさらに増殖および/または分化する能力が、母細胞と比較して著しく低下している幹細胞を包含する。例として、限定されるものではないが、幹細胞は、1以上の系譜に分化してますます比較的さらに専門化した細胞を生産し得る子孫(このような子孫および/もしくはますます比較的さらに専門化した細胞はそれ自体、本明細書において定義されるような幹細胞であり得る)を生じ得るか、または有糸分裂後であり得る最終分化細胞、すなわち完全に専門化した細胞さえも生じ得る。
mPS細胞の定義には、限定されるものではないが、例えば、Evans & Kaufman 1981 (Nature 292: 154-6)およびMartin 1981 (PNAS 78: 7634-8)により記載されているようなマウス胚性幹細胞;例えば、Iannaccone et al. 1994 (Dev Biol 163:288-292)により記載されているようなラット多能性幹細胞;例えば、Doetschman et al. 1988 (Dev Biol 127:224-227)により記載されているようなハムスター胚性幹細胞;例えば、Graves et al. 1993 (Mol Reprod Dev 36:424-433)により記載されているようなウサギ胚性幹細胞;例えば、Notarianni et al. 1991 (J Reprod Fertil Suppl 43:255-60)およびWheeler 1994 (Reprod Fertil Dev 6:563-8) により記載されているようなブタ多能性幹細胞;例えば、Notarianni et al. 1991(前掲)により記載されているようなヒツジ胚性幹細胞;例えば、Roach et al. 2006 (Methods Enzymol 418:21-37)により記載されているようなウシ胚性幹細胞;例えば、Thomson et al. 1998 (Science 282:1145-1147)により記載されているようなヒト胚性幹(hES)細胞;例えば、Shamblott et al. 1998 (PNAS 95:13726)により記載されているようなヒト胚性生殖(hEG)細胞;例えば、Thomson et al. 1995 (PNAS 92:7844-7848)により記載されているようなアカゲザル幹細胞、または例えば、Thomson et al. 1996 (Biol Reprod 55:254-259)により記載されているようなマーモセット幹細胞などのその他の霊長類由来の胚性幹細胞により例示される、様々なタイプの胚性幹細胞が含まれる。
この用語にはまた、胚組織から誘導されたか、胎児組織から誘導されたかまたはその他の供給源から誘導されたかに関わらず、三胚葉の総ての誘導物を含む後代を誘導し得る哺乳動物起源のいずれの細胞でもあるような他のタイプのmPS細胞も含まれる。mPS細胞は、好ましくは、悪性供給源から誘導されたものではない。細胞または細胞株は、癌性ではなく、既知の癌遺伝子で変更されてもいない初代組織から樹立されていれば「非悪性供給源」に由来する。mPSが適当な条件下で長期培養中、正常な核型を維持することは、望ましいものであり得る。また、常に必要なわけではないが、mPSが適当なin vitro条件下で自己再生能を実質的に無期限に維持することは、望ましいものであり得る。
本明細書で使用する場合、修飾語句「多能性」は、生物の三胚葉、すなわち、中胚葉、内胚葉、および外胚葉の総てに起源する細胞種を生じる、およびおそらくは、完全な生物体に成長する能力はないものの生物のありとあらゆる細胞種を生じる細胞の能力を表す。
より詳しい実施形態において、それらのin vitro分化細胞は、間葉系幹細胞(MSC)、胚性幹細胞(ESC)、または誘導多能性幹細胞(iPS)から取得または誘導される。本明細書に教示されるような使用または方法のより詳しい実施形態において、それらのin vitro分化細胞は、MSCから取得または誘導される。
用語「間葉系幹細胞」または「MSC」は、本明細書で使用する場合、間葉系、一般に2つ以上の間葉系、より一般には3つ以上の間葉系、例えば、軟骨骨芽細胞系譜(骨および軟骨)、骨芽細胞系譜(骨)、軟骨芽細胞系譜(軟骨)、筋細胞系譜(筋肉)、腱細胞系譜(腱)、線維芽細胞系譜(結合組織)、脂肪細胞系譜(脂肪)および間質形成系譜(骨髄間質)の細胞を生成し得る成体中胚葉由来幹細胞を指す。MSCは、生体サンプル、好ましくは、ヒト対象の生体サンプル、例えば、骨髄、骨梁、血液、臍帯、胎盤、胎児卵黄嚢、皮膚(真皮)、具体的には、胎児期および青年期皮膚、骨膜、歯髄、腱および脂肪組織から単離され得る。
用語「生体サンプル」または「サンプル」は、本明細書で使用する場合、生物供給源、例えば、生物、例えば、動物またはヒト対象、細胞培養、組織サンプルなどから得られるサンプルを指す。動物またはヒト対象の生体サンプルは、動物またはヒト対象から取り出され、それらの細胞を含んでなるサンプルを指す。動物またはヒト対象の生体サンプルは、1以上の組織種を含んでなり、1以上の組織種の細胞を含んでなり得る。動物またはヒト対象の生体サンプルを得る方法は、例えば、組織生検または採血など、当技術分野で周知である。ヒトMSC、それらの単離、in vitro拡大培養、および分化は、例えば、米国特許第5,486,359号;同第5,811,094号;同第5,736,396号;同第5,837,539号;または同第5,827,740号に記載されている。当技術分野に記載され、当技術分野で記載されているいずれの方法により単離されたMSCも本方法において好適であり得る。特に、MSCは、in vitroで骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨芽細胞へと三系譜間葉分化能を示すとして定義され得る(Dominici et al., 2006, vol. 8, 315)。
用語「胚性幹細胞」または「ESC」は、本明細書で使用する場合、胚盤胞の内部細胞塊などの胚に由来し、とりわけ、SCIDマウスにおいて奇形腫を形成する能力、または組織培養において三胚葉総ての同定可能な細胞を形成する能力など、技術分野で認知されている標準的試験に従って、適当な条件下で、三胚葉、すなわち、内胚葉、中胚葉、および外胚葉の総ての誘導物である異なる細胞種の後代を産生し得る多能性幹細胞を指す。
用語「hES細胞」の範囲は、胚盤胞期において、または細胞の三胚葉への実質的分化の前にヒト胚から誘導される多能性幹細胞を包含する。ES細胞、特に、hES細胞は一般に、胚盤胞の内部細胞塊または全胚盤胞に由来する。桑実期からのhES細胞株の誘導は文献に記載されており、このようにして得られたES細胞もまた、本発明で使用可能である(Strelchenko et al. 2004. Reproductive BioMedicine Online 9: 623-629)。用語「誘導多能性幹細胞」または「iPS細胞」は、本明細書で使用する場合、成体細胞から初期化により生成される多能性幹細胞を指す。iPS細胞は、自己再生可能であり、生物三胚葉の、すなわち、中胚葉、内胚葉、および外胚葉の総てに起源する細胞種を生じることができ、およびおそらくは、完全な生物体に成長する能力はないものの生物のありとあらゆる細胞種を生じることができる。iPS細胞の例は、とりわけ、Yamanaka et al. 2006 (Cell 126: 663-676)およびYamanaka et al. 2007 (Cell 131: 861-872)により教示されているようなものである。
用語「MSC」、「ESC」、または「iPS」はまた、それぞれMSC、ESCまたはiPSの後代、例えば、動物またはヒト対象の生体サンプルから得られる、それぞれMSC、ESCまたはiPSのin vitroまたはex vivo増殖(proliferation)(増殖(propagation)/拡大培養)により得られる後代を包含する。
用語「成体幹細胞」は、本明細書で使用する場合、胎児期または好ましくは、生後(例えば、特に、限定されるものではないが、ヒト生物では、生後少なくとも1か月齢、例えば、生後少なくとも2か月齢、少なくとも3か月齢、例えば、少なくとも4か月齢、少なくとも5か月齢、例えば、少なくとも6か月齢、例えば、生後1歳以上、5歳以上、少なくとも10歳以上、15歳以上、20歳以上、または25歳以上)、例えば、成年に達した後に生物体に存在するまたは生物体から得られる(例えば、単離された)幹細胞を指す。例として、成体幹細胞は、そうでなければ従来の用語「乳児」、「小児」、「若年」、「青年」、または「成人」で記載されるヒト対象から得ることができる。
記載されている場合を除き、「対象」、「ドナー」、または「患者」は互換的に使用され、動物、好ましくは、脊椎動物、より好ましくは、哺乳動物を指し、具体的には、ヒト患者および非ヒト哺乳動物を含む。好ましい患者は、ヒト対象である。動物対象は、例えば胎仔などの動物の出生前形態を含む。
本明細書に教示されるような使用または方法の特定の実施形態において、in vitro分化細胞はヒト細胞である。
本方法およびプロトコールは好ましくは、「未分化」である多能性幹細胞集団(例えば、mPSまたはhPS細胞集団)から逸脱してもよく、すなわち、幹細胞集団中の実質的割合(例えば、少なくとも約60%、好ましくは、少なくとも約70%、いっそうより好ましくは、少なくとも約80%、なおより好ましくは、少なくとも約90%および100%まで)の細胞が、分化を受けている細胞からそれらを明瞭に識別する未分化mPS細胞の特性(例えば、形態学的特徴および/またはマーカー)を示す。
未分化mPS細胞は一般に、当業者により容易に認識され、高い核/細胞質比および明瞭な核小体を有する二次元の顕微鏡像で見られ、鮮明な境界を有するコンパクトなコロニーとして増殖し得る。集団内の未分化細胞のコロニーは、より分化した隣接細胞により取り囲まれている場合が多いと理解される。しかしながら、集団がそれ自体既知の適当な条件下で培養または継代培養され、個々の未分化細胞が細胞集団の実質的な割合を構成する場合には、未分化コロニーが存続する。未分化mPS細胞は、ステージ特異的胎児抗原(SSEA)3および4、ならびにTra−1−60およびTra−1−81と呼称される抗体(Thomson et al. 1998、前掲)を用いて検出可能なマーカーを発現し得る。未分化mPS細胞はまた、一般に、Nanog、Oct−4およびTERTも発現し得る。未分化mPS細胞はまた、アルカリ性ホスファターゼ(AP)の発現(例えば、好適なAP活性アッセイで決定される)も含んでなり得る。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞は、軟骨骨芽細胞系(骨および軟骨)、骨芽細胞系譜(骨)、例えば、骨軟骨前駆細胞および/または骨前駆細胞および/または前骨芽細胞および/または骨芽細胞および/または骨細胞など;軟骨芽細胞(軟骨)系譜、例えば、骨軟骨前駆細胞および/または軟骨前駆細胞および/または前軟骨芽細胞および/または軟骨芽細胞および/または軟骨細胞;脂肪生成系譜(脂肪);筋形成系譜(筋肉);腱系譜(腱細胞);線維芽細胞(結合組織)系譜、例えば、線維芽細胞、線維細胞;または滑膜系譜(滑液)のものである。
用語「軟骨骨芽細胞系」は、それらのin vitro分化細胞に関して本明細書で使用する場合、骨芽細胞系譜の細胞、例えば、骨軟骨前駆細胞、骨前駆細胞および/もしくは前骨芽細胞および/もしくは骨芽細胞および/もしくは骨細胞などに、または軟骨芽細胞系譜の細胞、例えば、骨軟骨前駆細胞、軟骨前駆細胞および/もしくは前軟骨芽細胞および/または軟骨芽細胞および/もしくは軟骨細胞に分化する能力を有する細胞を指し得る。当業者には、物理的因子に曝されるか、および/または増殖因子などの化学的もしくは生物学的成分に曝されるかという条件によって、骨芽細胞系譜の細胞(例えば、前骨芽細胞もしくは骨芽細胞)に分化するか、または軟骨芽細胞系譜の細胞(例えば、前軟骨芽細胞または軟骨芽細胞)に分化するかのいずれかであることが理解されるであろう。
特定の実施形態において、それらのin vitro分化細胞は、骨芽細胞系譜の細胞(例えば、骨前駆細胞、前骨芽細胞、骨芽細胞、もしくは骨細胞)または軟骨芽細胞系譜の細胞(軟骨前駆細胞および/もしくは前軟骨芽細胞および/もしくは軟骨芽細胞および/もしくは軟骨細胞)のものである。
軟骨骨芽細胞系譜、骨芽細胞系譜または軟骨芽細胞系譜の細胞のMSCの分化は、MSCの、軟骨骨芽細胞系譜、骨芽細胞系譜または軟骨芽細胞系譜の細胞への分化を誘導し得る条件下でMSCを培養すること、より一般には、MSCの、軟骨骨芽細胞系譜、骨芽細胞系譜または軟骨芽細胞系譜の細胞への分化を誘導し得る1以上の薬剤(例えば、増殖因子)を含んでなる培地でMSCを培養することを含み得る。MSCの、軟骨骨芽細胞系譜、骨芽細胞系譜または軟骨芽細胞系譜の細胞への分化のプロトコールは、MSCを本明細書の他所に記載したような「骨形成細胞B」に分化させるための工程およびMSCを「細胞製品C」または「骨形成細胞C」に分化させるための工程を含み、これは次の通りである:骨髄白血球を、5%OctaPlasLG(登録商標)(Octapharma)、0.1UI/mlヘパリン(LEO Pharma)、FGF−b(CellGenix)およびTGFβ−1(Humanzyme))を含んでなる従来の培養培地に50,000細胞/cm2の密度で播種し、5%CO2を含有する加湿インキュベーターにて37℃でインキュベートする。細胞播種の4日後に、非接着細胞を除去し、培地を培養培地に更新する。播種の7日後および11日後に、培養培地の半分を除去し、増殖因子を更新するために新鮮な培地に置き換える。細胞を一次培養として14日間培養する。14日目に、細胞を、例えば、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取する(第1継代:P1)。中間細胞を凍結保存し(CryoStor(登録商標)CS10中)、液体窒素中で保存する。次に、中間細胞を解凍し、二次培養として572細胞/cm2の密度で再播種する。細胞を二次培養として10日間培養する。24日目に、細胞を、例えば、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取する(第2継代:P2)。中間細胞を凍結保存し(CryoStor(登録商標)CS10中)、液体窒素中で保存する。次に、中間細胞を解凍し、三次培養として572細胞/cm2の密度で再播種する。細胞を三次培養として10日間培養する。34日目に、細胞を、例えば、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取する(第3継代:P3)。最終細胞製品を得るために、細胞を例えば、OctaPlasLG(登録商標)に、終濃度25×106細胞/mlで再懸濁させる。この細胞製品を本明細書では「細胞製品C−新鮮」と呼称する。三次培養の終了時に、細胞をまた長期保存用に凍結保存する。そのために、細胞を所望の濃度(25×106細胞/ml)となるように凍結保存培地に再懸濁させる。次に、この細胞懸濁液をクライオチューブに移し、液体窒素中で保存する。この細胞製品を本明細書では「細胞製品C−凍結」と呼称する。凍結保存培地は:CryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions)、または50%(v/v)CryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions Inc)および50%(v/v)ヒト血清アルブミン(Octapharma)、または95%(v/v)CryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions Inc)および5%(v/v)ヒト血清アルブミン(Octapharma)、または80%(v/v)Hypothermosol(登録商標)(BioLife Solutions Inc)10%(v/v)DMSO、および10%(v/v)ヒト血清アルブミン(Octapharma)であり得る。
MSCの、骨芽細胞系譜または軟骨芽細胞系譜の細胞への分化のためのさらなるプロトコールとしては、とりわけ、WO2009/087213;WO2007/093431;およびさらにREGER, R.L. et al. ‘Differentiation and Characterization of Human MSCs’. In: Mesenchymal Stem Cells: Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology), D.J. Prockop et al.編 Humana Press, 2008, Vol. 449, p. 93-107; VERMURI, M.C. et al. (編). Mesenchymal Stem Cell Assays and Applications (Methods in Molecular Biology). Humana Press, 2011, Vol. 698, 特に201〜352頁)が含まれる。
用語「増殖因子」は、本明細書で使用する場合、単独でまたは他の物質により媒介される場合に、様々な細胞種の増殖、成長、分化、生存および/または遊走に影響を及ぼし、生物の発生的、形態的および機能的変化に影響を及ぼし得る生物学的に活性な物質を指す。増殖因子は一般に、当該増殖因子に応答する細胞内に存在する受容体(例えば、表面または細胞内受容体)に、リガンドとして結合することにより作用する。本明細書において増殖因子は、特に、1以上のポリペプチド鎖を含んでなるタンパク質性の実体であり得る。例として、限定されるものではないが、用語「増殖因子」は、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリー、骨形成因子(BMP)ファミリー、血小板由来増殖因子(PDGF)ファミリー、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)ファミリー、神経成長因子(NGF)ファミリー、上皮細胞増殖因子(EGF)ファミリー、インスリン様増殖因子(IGF)ファミリー、成長分化因子(GDF)ファミリー、肝細胞増殖因子(HGF)ファミリー、造血増殖因子(HeGF)、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD−ECGF)、アンギオポエチン、血管内皮増殖因子(VEGF)ファミリー、グルココルチコイドなどのメンバーを包含する。当業者には、増殖因子または増殖因子の組合せは、MSCの所望の細胞種への分化を誘導し得ることが知られるいずれの増殖因子または増殖因子の組合せであってもよいことが理解されるであろう。当業者は、MSCの所望の細胞種への(例えば、骨軟骨芽細胞系譜、骨芽細胞系譜、または軟骨芽細胞系譜の細胞への)分化を誘導するためのin vitro法は、所望の細胞種の実質的に純粋な(すなわち、主としてそれからなる)細胞集団を生じ得ることを認識するであろう。限定されるものではないが、このようにして誘導された細胞集団は、少なくとも90%(数で)の所望の細胞種、例えば、≧91%、≧92%、≧93%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、または100%の所望の細胞種を含有し得る。
当業者には、本明細書に教示されるような方法がin vitro分化細胞の骨形成能の評価に関し、それらのin vitro分化細胞は、本明細書で意図する場合、一般に、MSCなどの多能性細胞の、軟骨骨芽細胞系譜、骨芽細胞系譜または軟骨芽細胞系譜の細胞への分化を誘導し得る条件下で培養されることが理解されるであろう。これに沿って、in vitro分化細胞は、本明細書で意図する場合、一般に、MSCなどの多能性細胞の、筋細胞系譜(筋肉)、腱細胞系譜(腱)、線維芽細胞系譜(結合組織)、脂肪細胞系譜(脂肪)または間質形成系譜(骨髄間質)の細胞への分化を誘導し得る条件下で培養されない。
さらなる側面は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、
in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を測定すること;ならびに
in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現する場合、およびin vitro分化細胞がCD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも100またはCD105のnMFIとして多くても150のうちいずれか1以上を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、および/または nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定されること
を含んでなる、から本質的になる、またはからなる方法を提供する。
好ましくは、さらなる側面は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、
in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を測定すること;ならびに
in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する場合、およびin vitro分化細胞がCD73のnMFIがして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも100またはCD105のnMFIとして多くても150のうちいずれか1以上を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、および/またはnMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定されること
を含んでなる、から本質的になる、またはからなる方法を提供する。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する場合、およびin vitro分化細胞がCD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも150またはCD105のnMFIとして多くても150のうちいずれか1以上を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、および/またはnMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定されることを含んでなり得る。
特定の実施形態において、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法は、
in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105、CD44またはCD10のうちいずれか1以上の量を測定すること;ならびに
in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する場合、およびin vitro分化細胞がCD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも100、CD105のnMFIとして多くても150またはCD10のnMFIとして少なくとも40、例えば、少なくとも50、少なくとも55または少なくとも60のうちいずれか1以上を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44 は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、および/またはnMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されることを含んでなり得る、から本質的になり得る、またはからなり得る。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する場合、およびそれらのin vitro分化細胞がCD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも100、CD105のnMFIとして多くても150またはCD10のnMFIとして少なくとも50のうちいずれか1以上を示す場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、および/またはnMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されることを含んでなり得る。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する場合、およびin vitro分化細胞がCD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも150、CD105のnMFIとして多くても150またはCD10のnMFIとして少なくとも40、例えば、少なくとも50、少なくとも55または少なくとも60のうちいずれか1以上を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、および/またはnMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されることを含んでなり得る。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する場合、およびin vitro分化細胞がCD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも150、CD105のnMFIとして多くても150またはCD10のnMFIとして少なくとも50のうちいずれか1以上を示す場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、nMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、および/またはnMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されることを含んでなり得る。
1つの側面において、本発明は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、
in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
in vitro分化細胞の細胞表面のCD10の量を測定すること;ならびに
in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現する場合、およびin vitro分化細胞がCD10のnMFIとして少なくとも40、例えば、少なくとも50、少なくとも55または少なくとも60を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を示すことを決定し、好ましくは、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されること
を含んでなる、から本質的になる、またはからなる方法を提供する。
特定の好ましい実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現する場合、in vitro分化細胞がCD10のnMFIとして少なくとも50を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されることを含んでなり得る。
1つの側面において、本発明は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、
in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
in vitro分化細胞の細胞表面のCD10の量を測定すること;ならびに
in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する場合、およびin vitro分化細胞がCD10のnMFIとして少なくとも40、例えば、少なくとも50、少なくとも55または少なくとも60を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されること
を含んでなる、から本質的になる、またはからなる方法を提供する。
特定の好ましい実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する、およびin vitro分化細胞がCD10のnMFIとして少なくとも50を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有することを決定し、好ましくは、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されることを含んでなり得る。
さらなる側面において、本発明は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、
in vitro分化細胞の細胞表面のCD10の量を測定すること;
in vitro分化細胞がCD10のnMFIとして少なくとも40、例えば、少なくとも50、少なくとも55または少なくとも60を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されること
を含んでなる、から本質的になる、またはからなる方法を提供する。
特定の好ましい実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、それらのin vitro分化細胞がin vitro分化細胞がCD10のnMFIとして少なくとも50を有する場合に、骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されることを含んでなり得る。
好ましくは、さらなる側面は、in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、
in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105およびCD44の量を測定すること;ならびに
in vitro分化細胞の少なくとも90%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する場合、およびin vitro分化細胞がCD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも100およびCD105のnMFIとして多くても150を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、および/またはnMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定されること
を含んでなる、から本質的になる、またはからなる方法を提供する。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、
in vitro分化細胞の少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%がCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現する場合、およびin vitro分化細胞が、
CD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも100またはCD105のnMFIとして多くても150のうちいずれか1以上;
CD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも100およびCD105のnMFIとして多くても150;
nMFICD73として少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850または少なくとも900;nMFICD44として少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300または少なくとも350;またはnMFICD105として多くても180、多くても170、多くても160、多くても150、多くても140、多くても130、多くても120、多くても110または多くても100のうちいずれか1以上;
nMFICD73として少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850または少なくとも900;nMFICD44として少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300または少なくとも350;およびnMFICD105として多くても180、多くても170、多くても160、多くても150、多くても140、多くても130、多くても120、多くても110または多くても100;
CD73のnMFIとして少なくとも700、CD44のnMFIとして少なくとも200またはCD105のnMFIとして多くても150のうちいずれか1以上;および/または
CD73のnMFIとして少なくとも700、CD44のnMFIとして少なくとも200およびCD105のnMFIとして多くても150
を有する場合に、
それらのin vitro分化細胞は骨形成能、特に、臨床上有用な骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、および/またはnMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定されること
を含んでなり得る。
特定の実施形態において、本明細書に教示されるような方法は、
in vitro分化細胞の少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%がCD73、CD105、CD10およびCD44を発現する場合、およびin vitro分化細胞が、
CD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも100またはCD105のnMFIとして多くても150のうちいずれか1以上;
CD73のnMFIとして少なくとも500、CD44のnMFIとして少なくとも100およびCD105のnMFIとして多くても150;
nMFICD73として少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850または少なくとも900;nMFICD44として少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300または少なくとも350;またはnMFICD105として多くても180、多くても170、多くても160、多くても150、多くても140、多くても130、多くても120、多くても110または多くても100のうちいずれか1以上;
nMFICD73として少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、少なくとも750、少なくとも800、少なくとも850または少なくとも900;nMFICD44として少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300または少なくとも350;およびnMFICD105として多くても180、多くても170、多くても160、多くても150、多くても140、多くても130、多くても120、多くても110または多くても100;
CD73のnMFIとして少なくとも700、CD44のnMFIとして少なくとも200またはCD105のnMFIとして多くても150のうちいずれか1以上;および/または
CD73のnMFIとして少なくとも700、CD44のnMFIとして少なくとも200およびCD105のnMFIとして多くても150
を有する場合に、それらのin vitro分化細胞は骨形成能、特に、臨床上有用な骨形成能を有すると決定し、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、および/またはnMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定される。
本発明者らは、本明細書に教示されるようなin vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法は、臨床上有用な骨形成能を有する細胞にin vitroで分化可能なMSCを含んでなるMSCドナーを選択するために使用可能であることを見出した。
よって、さらなる側面は、軟骨骨形成系譜のin vitro分化細胞を調製するための対象を選択するための方法であって、
対象の生体サンプルからMSCを回収すること;
前記MSCからin vitro分化細胞を得ること;
本明細書に教示されるような方法によりin vitro分化細胞の骨形成能を決定すること;および
それらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有する場合にその対象をin vitro分化軟骨骨芽細胞系譜細胞を調製するために選択すること
を含んでなる方法を提供する。
特定の実施形態において、対象の生体サンプルからのMSCの回収は、本発明の他所に記載したように実施することができる。特定の実施形態において、MSCからのin vitro分化細胞の取得は、本発明の他所に記載したように実施することができる。
特定の実施形態において、対象はヒト対象である。
当業者には、本明細書に記載されるような定義および特定の実施形態は、本明細書に開示されるような総ての方法および使用に当てはまることが理解されるであろう。
本願はまた、以下の記載に示されるような側面および実施形態を提供する。
記載1 in vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の使用。
記載2 in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、CD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の量を測定すること、およびin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を測定することを含んでなる、方法。
記載3
(a1)in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
(a2)in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を測定すること;
(b1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること;
(b2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す1以上の各カットオフ値と比較すること;
(c1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の割合の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;
(c2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1つの量の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;ならびに
(d)前記偏差の有無をin vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰すること
を含んでなる、記載2に記載の方法。
記載4 前記(b1)のカットオフ値および前記(b2)の各カットオフ値が臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値である、記載3に記載の方法。
記載5
(a1)で測定されるようなin vitro分化細胞の割合が(b1)のカットオフ値に比べて減少していることが、前記in vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有さないことを示すか、または
(a1)で測定されるようなin vitro分化細胞の割合が(b1)のカットオフ値に比べて同等以上であることが、前記in vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有することを示し;および
(a2)で測定されるようなCD73およびCD44のうちいずれか1つの量が(b2)の各カットオフ値に比べて減少しており、かつ/または(a2)で測定されるようなCD105の量が(b2)の各カットオフ値に比べて増加していることが、前記in vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有さないことを示すか、または
(a2)で測定されるようなCD73およびCD44の量が(b2)の各カットオフ値に比べて同等以上であり、かつ(a2)で測定されるようなCD105の量が(b2)の各カットオフ値に比べて同等以下であることが、前記in vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有することを示す、
記載4に記載の方法。
記載6 前記(b1)のカットオフ値が、細胞表面にCD73、CD105、CD10またはCD44のうちいずれか1以上を発現するin vitro分化細胞の90%であり;かつ前記(b2)のカットオフ値が、CD73の正規化蛍光強度中央値(nMFI)として500、CD44のnMFIとして100および/またはCD105のnMFIとして150であり、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、および/またはnMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定される、記載3〜5のいずれか1つに記載の方法。
記載7 CD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の量が測定され、かつ、in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105およびCD44の量が測定される、記載1〜6のいずれか1つに記載の方法。
記載8 前記(b1)のカットオフ値が細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の90%であり;かつ前記(b2)のカットオフ値がCD73のnMFIとして500、CD44のnMFIとして100およびCD105のnMFIとして150であり、好ましくは、nMFICD73は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定され、nMFICD44は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定され、およびnMFI105は、APCに関して励起波長633nmおよび発光波長660nmで測定される、記載7に記載の方法。
記載9 in vitro分化細胞が間葉系幹細胞(MSC)から得られる、記載1〜8のいずれか1つに記載の方法。
記載10 in vitro分化細胞がヒト細胞である、記載1〜9のいずれか1つに記載の方法。
記載11 軟骨骨芽細胞系譜のin vitro分化細胞を調製するための対象を選択するための方法であって、
対象の生体サンプルからMSCを回収すること;
前記MSCからin vitro分化細胞を得ること;
記載1〜10のいずれか1つに定義される方法によりin vitro分化細胞の骨形成能を決定すること;および
それらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有する場合にその対象をin vitro分化軟骨骨芽細胞系譜細胞を調製するために選択すること
を含んでなる、方法。
記載12 前記対象がヒト対象である、記載11に記載の方法。
記載13 in vitro分化細胞の骨形成能を決定するためのCD73、CD105、CD44、およびCD10の使用。
記載14 in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、CD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の量を測定すること、およびin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を測定することを含んでなる、方法。
記載15
(a1)in vitro分化細胞の細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を測定すること;
(a2)in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を測定すること;
(b1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合を、既知の骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値と比較すること;
(b2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1以上の量を、既知の骨形成能を有する細胞を表す1以上の各カットオフ値と比較すること;
(c1)(a1)で測定されるようなCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の割合の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;
(c2)(a2)で測定されるようなCD73、CD105またはCD44のうちいずれか1つの量の、前記カットオフ値からの偏差の有無を見出すこと;および
(d)前記偏差の有無をin vitro分化細胞の骨形成能の特定の決定に帰すること
を含んでなる、記載14に記載の方法。
記載16 前記(b1)のカットオフ値および前記(b2)の各カットオフ値が臨床上有用な骨形成能を有する細胞を表すカットオフ値である、記載15に記載の方法。
記載17 in vitro分化細胞の細胞表面のCD73、CD105、CD44またはCD10のうちいずれか1以上の量が測定される、記載14〜16のいずれか1つに記載の方法。
記載18
(a1)で測定されるようなin vitro分化細胞の割合が(b1)のカットオフ値に比べて同等以上であることが、前記in vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有することを示し;かつ
(a2)で測定されるようなCD73、CD44および/またはCD10の量が(b2)の各カットオフ値に比べて同等以上であり、かつ、(a2)で測定されるようなCD105の量が(b2)の各カットオフ値に比べて同等以下であることが、前記in vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有することを示す、
記載16または17に記載の方法。
記載19 前記(b1)のカットオフ値が細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の90%であり;かつ前記(b2)のカットオフ値がCD73の正規化蛍光強度中央値(nMFI)として500、CD44のnMFIとして100、CD105のnMFIとして150および/またはCD10のnMFIとして40である、記載15〜18に記載の方法。
記載20 前記(b1)のカットオフ値が細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の90%であり;かつ前記(b2)のカットオフ値がCD73の正規化蛍光強度中央値(nMFI)として500、CD44のnMFIとして150、CD105のnMFIとして150および/またはCD10のnMFIとして40である、記載15〜18に記載の方法。
記載21 in vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105およびCD44の量が測定される、記載14〜20のいずれか1つに記載の方法。
記載22 前記(b2)のカットオフ値がCD73のnMFIとして500、CD44のnMFIとして100およびCD105のnMFIとして150である、記載21に記載の方法。
記載23 in vitro分化細胞が間葉系幹細胞(MSC)から得られる、記載13に記載の使用または記載14〜22のいずれか1つに記載の方法。
記載24 in vitro分化細胞がヒト細胞である、記載13に記載の使用または記載14〜23のいずれか1つに記載の方法。
記載25 軟骨骨芽細胞系譜のin vitro分化細胞を調製するための対象を選択するための方法であって、
対象の生体サンプルからMSCを回収すること;
前記MSCからin vitro分化細胞を得ること;
記載14〜24のいずれか1つに定義される方法によりin vitro分化細胞の骨形成能を決定すること;および
それらのin vitro分化細胞が臨床上有用な骨形成能を有する場合にその対象をin vitro分化軟骨骨芽細胞系譜細胞を調製するために選択すること
を含んでなる、方法。
記載26 対象がヒト対象である、記載25に記載の方法。
記載27 in vitro分化細胞の骨形成能を決定するための方法であって、
in vitro分化細胞の細胞表面のCD10の量を測定すること;および
in vitro分化細胞がCD10のnMFIとして少なくとも40を有する場合に、前記in vitro分化細胞は骨形成能を有する決定し、好ましくは、nMFICD10は、PEに関して励起波長488nmおよび発光波長580nmで測定されること
を含んでなる、から本質的になる、またはからなる、方法。
本発明をその特定の実施形態に関して説明してきたが、以上の説明に照らせば当業者には多くの代替、改変、および変形が明らかであることは明白である。よって、以下のようなこのような代替、改変、および変形は総て、添付の特許請求の範囲の趣旨および広義の範囲に包含することが意図される。
本明細書に開示される本発明の側面および実施形態は、以下の限定されない例によりさらに裏づけられる。
実施例1:間葉系幹細胞(MSC)およびMSC由来細胞を得るための方法
間葉系幹細胞
未分化MSCは、健康なボランティアドナーの腸骨稜からヒト骨髄(BM)穿刺液を得ることにより調製した。採取後、骨髄白血球を計数し、培養培地に50,000細胞/cm2の密度で播種し、5%CO2を含有する加湿インキュベーターにて37℃でインキュベートした。24時間後、培養培地を除去し、細胞新鮮培養培地を加えた。培養培地は2〜3日毎に置き換えた。半分を超えるコロニーが集密度80%に達した際または数コロニーが集密度100%に達した際に、細胞を採取した(第1継代1:P1)。この第1継代時に、細胞をそのままCryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions Inc.)中で凍結保存した。培養プロセスを終了させるために、MSCを解凍し、二次培養として572細胞/cm2で播種し、培養した。半分を超えるコロニーが集密度80%に達した際または数コロニーが集密度100%に達した際に、第2継代(P2)のMSCを得るために細胞を採取した。この細胞製品を本明細書では「MSC」と呼称する。
細胞製品A(本明細書では骨形成細胞Aとも呼称)
5%Octaserum(50:50自己血清およびOctaPlasLG(登録商標)(Octapharma))、FGF−b(CellGenix)、TGFβ−1(Humanzyme)を含んでなる従来の培養培地。
10%Octaserum(50:50自己血清およびOctaPlasLG(登録商標)(Octapharma))、10%DMSOを含んでなる凍結培地
健康なボランティアドナーの腸骨稜からヒトBM穿刺液を得ることにより、本明細書において「細胞製品A」と呼称されるin vitroで分化したMSC由来細胞を作製した。採取後、骨髄白血球を計数し、50,000細胞/cm2の密度で培養培地に播種し、5%CO2を含有する加湿インキュベーターにて37℃でインキュベートした。細胞播種の4日後に、非接着細胞を除去し、培地を培養培地に更新した。播種の7日後および11日後に、培養培地の半分を除去し、新鮮培地に置き換えた。細胞は一次培養として14日間培養した。14日目に、細胞を、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取した(第1継代:P1)。中間細胞を、CryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions Inc.)または凍結培地中で凍結保存し、液体窒素中で保存した。
二次培養のために、細胞を解凍し、1144細胞/cm2の密度で再播種した。細胞を二次培養として14日間培養した。28日目に、細胞を、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取した(第2継代:P2)。最終細胞製品を得るために、細胞をOctaPlasLG(登録商標)に終濃度25×106細胞/mlで再懸濁させた。この細胞製品を本明細書では「細胞製品A」と呼称する。
細胞製品B(本明細書では骨形成細胞Bとも呼称)
5%OctaPlasLG(登録商標)(Octapharma)、0.1UI/mlヘパリン(LEO Pharma)、FGF−b(CellGenix)、TGFβ−1(Humanzyme)を含んでなる従来の培養培地。
健康なボランティアドナーの腸骨稜からヒトBM穿刺液を得ることにより、in vitroで分化したMSC由来細胞を作製した。採取後、骨髄白血球を計数し、培養培地中に50,000細胞/cm2の密度で播種し、5%CO2を含有する加湿インキュベーターにて37℃でインキュベートした。細胞播種4日後に、非接着細胞を除去し、培地を培養培地に更新した。播種7日後および11日後に、培養培地の半分を除去し、増殖因子を更新するために新鮮培地と置き換えた。細胞を一次培養として14日間培養した。14日目に、細胞を、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取した(第1継代:P1)。中間細胞をCryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions Inc.)中で凍結保存し、液体窒素中で保存した。
次に、中間細胞を解凍し、二次培養として286細胞/cm2の密度で再播種した。細胞を二次培養として14日間培養した。28日目に、細胞を、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取した(第2継代:P2)。最終細胞製品を得るために、細胞をOctaPlasLG(登録商標)に終濃度25×106細胞/mlで再懸濁させた。この細胞製品を本明細書では「細胞製品B」と呼称する。
細胞製品C(すなわち、細胞製品C新鮮および細胞製品C凍結;本明細書では骨形成細胞Cとも呼称)
5%OctaPlasLG(登録商標)(Octapharma)、0.1UI/mlヘパリン(LEO Pharma)、FGF−b(CellGenix)およびTGFβ−1(Humanzyme)を含んでなる従来の培養培地。
健康なボランティアドナーの腸骨稜から20〜60mlのヒト骨髄(BM)穿刺液を得た。採取後、骨髄白血球を計数し、50,000細胞/cm2の密度で培養培地に播種し、5%CO2を含有する加湿インキュベーターにて37℃でインキュベートした。細胞播種の4日後に、非接着細胞を除去し、培地を培養培地に更新した。播種の7日後および11日後に、培養培地の半分を除去し、増殖因子を更新するために新鮮な培地に置き換えた。細胞を一次培養として14日間培養した。14日目に、細胞を、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取した(第1継代:P1)。中間細胞を凍結保存し(CryoStor(登録商標)CS10中)、液体窒素中で保存した。各細胞保存株は1名のドナーから供給し、ドナー間でプールは行わなかった。
次に、中間細胞を解凍し、二次培養として572細胞/cm2の密度で再播種した。細胞を二次培養として10日間培養した。24日目に、細胞を、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取した(第2継代:P2)。中間細胞を凍結保存し(CryoStor(登録商標)CS10中)、液体窒素中で保存した。
次に、中間細胞を解凍し、三次培養として572細胞/cm2の密度で再播種した。細胞を三次培養として10日間培養した。34日目に、細胞を、Trypzean(Lonza)を用いて剥離し、旋回撹拌し、ピペットで上下させることにより採取した(第3継代:P3)。最終細胞製品を得るために、細胞をOctaPlasLG(登録商標)に終濃度25×106細胞/mlで再懸濁させた。この細胞製品を本明細書では「細胞製品C−新鮮」と呼称する。
三次培養の終了時に、細胞をまた長期保存用に凍結保存した。そのために、細胞を所望の濃度(25×106細胞/ml)となるように凍結保存培地に再懸濁させた。次に、この細胞懸濁液をクライオチューブに移し、液体窒素中で保存した。この細胞製品を本明細書では「細胞製品C−凍結」または「骨形成細胞C凍結(保存)」と呼称し、「B−F細胞 C」とも略す。凍結保存培地は、次の通りであった。
CryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions)、または
50%(v/v)CryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions)および50%(v/v)ヒト血清アルブミン(Octapharma)、または
95%(v/v)CryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions)および5%(v/v)ヒト血清アルブミン(Octapharma)または
80%(v/v)Hypothermosol(登録商標)(BioLife Solutions)、10%(v/v)DMSO、および10%(v/v)ヒト血清アルブミン(Octapharma)。
実施例2:MSC由来軟骨骨芽細胞系譜細胞のin vivo骨形成特性
材料および方法
細胞培養
MSC、骨形成細胞A、BおよびCは、実施例1に記載の通りに調製した。
マウス
9〜10週齢の雌NMRI−Nude(nu/nu)マウスをJanvier S.A.S.(Le Genest−St−Isle、フランス)から購入し、食物および水を自由に摂らせる標準的条件で飼育した。本試験には合計196個体のマウスを使用した。
頭蓋冠骨形成マウスモデル
12週齢の雌NMRI−Nude(nu/nu)マウス(n=137)をイソフルラン(IsoFlo(登録商標))で麻酔し、頭蓋冠骨にMSC、骨形成細胞A(FGF−2およびTGFβ1を用いて形成)、または骨形成細胞B(FGF−2、TGFβ1およびヘパリンを用いて形成)(マウス当たり100μl中2.5×106細胞)または賦形剤(100μl)の単回の皮下投与を施した。経時的に骨新形成を標識するために、カルシウム結合蛍光色素をマウスに順次投与した。アリザリンレッド(赤)、カルセイン(緑および青)およびテトラサイクリン(黄)(総てSigma−Aldrich(登録商標)から)をそれぞれ細胞投与の3日前および4日、8日、および12日後に腹腔内投与した。試験動物の、投与後2週間の体重、全身の臨床徴候、および投与部位の臨床徴候を経過観察した。細胞投与の2週間後に頚椎脱臼によりマウスを安楽死させ、各マウスの頭蓋冠を採取して、骨形成細胞の骨形成特性をX線撮像、組織形態計測(骨形成の定量)および免疫蛍光により評価した。
頭蓋冠骨形成マウスモデル−細胞製品C凍結
12週齢の雌NMRI−Nude(nu/nu)マウスをイソフルラン(IsoFlo(登録商標))で麻酔し、細胞製品C凍結(マウス1個体当たり100μl中2.5×106細胞)または賦形剤(100μl)を頭蓋冠骨に単回の皮下投与を施した。経時的に骨新形成を標識するために、カルシウム結合蛍光色素をマウスに順次投与した。アリザリンレッド(赤)、カルセイン(緑および青)およびテトラサイクリン(黄)(総てSigma−Aldrich(登録商標)から)をそれぞれ細胞投与の2日または3日前および5日、12日、および19日後に腹腔内投与した。試験動物の、投与後4週間の体重、全身の臨床徴候、および投与部位の臨床徴候を経過観察した。細胞投与の4週間後に頚椎脱臼によりマウスを安楽死させ、各マウスの頭蓋冠を採取して、骨形成細胞の骨形成特性をX線撮像、組織形態計測(骨形成の定量)および免疫蛍光により評価した。
サンプル包理および組織切片化
組織形態計測、ALP、TRAP(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ)、マッソントリクロームゴールドナー染色および免疫蛍光のために、頭蓋冠を固定し、4℃で穏やかに振盪しながら、各12時間の70%、80%および90%エタノール浴での連続インキュベーションで脱水し、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)プラスチック樹脂(HistoResin、Leica(登録商標))に包埋した。4μm厚および8μm厚の冠状切片を、ミクロトーム(Leica(登録商標)、RM2255)を用いて切片化した。サフラニンオレンジ染色およびイムノペルオキシダーゼについては、頭蓋冠を3.7%ホルムアルデヒドで24時間固定し10%エチレンジアミン四酢酸(EDTA)pH7.4中で3日間、脱石灰化し、パラフィンに包埋した。7μm厚の冠状および矢状パラフィン切片を、ミクロトーム(Leica(登録商標)、RM2255)を用いて切片化した。
免疫蛍光染色
頭蓋冠の4μm厚冠状プラスチック組織切片に対してヒトおよびマウスコラーゲンIの免疫蛍光による評価を行った。簡単に述べれば、室温で30分間、PBS 1X/Triton0.3%の溶液を用いた透過化工程の後、組織切片を、室温で1時間、ブロッキング溶液(すなわち、PBS/BSA/ウマ血清/Triton(商標))中でインキュベートして非特異的結合部位を飽和させた。次に、これらの組織スライドをマウス抗ヒトおよびウサギ抗マウスコラーゲンI一次抗体(それぞれAbcam;#ab138492およびAbcam;#ab21286)とともに4℃で一晩インキュベートした。RTで5分のPBS中での3回の洗浄の後、室温で1時間、ブロッキング溶液でブロッキングを行った。次に、ブロッキング溶液で希釈した二次抗体を室温で2時間加え、遮光した。二次抗体Alexa Fluor(登録商標)488ロバ抗ウサギIgG H&L(ThermoFisher、#A21206)およびAlexa Fluor(登録商標)Cy3(登録商標)ヤギ抗マウスIgG H&L(Abcam;#ab97035)を、それぞれマウスコラーゲンIを緑でおよびヒトコラーゲンIを赤で可視化するために使用した。次に、これらのスライドをPBS 1×中、室温で5分、3回すすぎ、室温で1分、NucBlue(登録商標)溶液とともにインキュベートすることによって核を染色した。最後に、これらのスライドをPBS中で1回、軽くすすいだ後、GlycerGel(登録商標)試薬にマウントした。免疫蛍光の陰性対照として、隣接する組織スライドでは一次抗体を除いた。
組織染色
骨芽細胞および破骨細胞活性をそれぞれ頭蓋冠切片で、それぞれALPおよびTRAP酵素活性検出法を用いて評価した。ALP染色では、4μm厚の頭蓋冠冠状プラスチック切片を、Fast Blue RR Salt(Sigma−Aldrich(登録商標))およびNaphtol AS−MXアルカリ性リン酸塩(Sigma−Aldrich(登録商標))の溶液とともに1時間インキュベートした。8μm厚の頭蓋冠冠状プラスチック切片に対し、Acid Phosphatase, Leukocyte(TRAP)キット(Sigma−Aldrich(登録商標))を製造者の説明書に従って用い、TRAP染色を行った。新たに形成された骨の石灰化の状態を評価するために、ALPで染色した頭蓋冠切片に対し、キット(Bio−Optica(登録商標))を製造者の説明書に従って用い、マッソントリクロームゴールドナー染色を行った。軟骨形成を明らかにするために、7μm厚頭蓋冠矢状パラフィン切片に対してサフラニンオレンジ染色を行った。簡単に述べれば、脱パラフィン後、組織切片をワイゲルトヘマトキシリン(Klinipath(登録商標))で10分間、0.1%Fast Green(Klinipath(登録商標))で5分間、1%酢酸(VWR Chemicals)で15秒間および0.1%サフラニンオレンジ(Fluka(登録商標)参照:84120)で5分間、順次インキュベートした。脱水後、Pertex(登録商標)(HistoLab(登録商標))を用い、スライドにカバーガラスを載せた。デジタル画像を、光学顕微鏡(Leica(登録商標))およびLeica(登録商標)LAS EZソフトウエアを用いて取得した。
イムノペルオキシダーゼ
脱パラフィン後、7μm厚の頭蓋冠冠状または矢状パラフィン切片を、2.5%ヒアルロニダーゼ(Sigma−Aldrich(登録商標))とともに37℃で30分間、3%H2O2(Sigma−Aldrich(登録商標))中、室温で30分間、0.3%Triton X−100(Sigma−Aldrich(登録商標))を含有するPBS中、室温で30分間、およびブロッキング溶液(すなわち、PBS/BSA/ウマ血清/Triton)中、室温で1時間、順次インキュベートした。切片をマウス抗ヒトI型コラーゲン一次抗体(Abcam、ab90395)、ウサギ抗マウスI型コラーゲン一次抗体(Abcam、ab21286)またはウサギ抗Ku80一次抗体(Abcam、ab80592)とともに4℃で一晩インキュベートした。Vectastainキット(Vector Laboratories、PK6200)および3,3’ジアミノベンジジン(Vector Laboratories)を、製造者の説明書に従って用いて染色を可視化した。切片を、マイヤーヘマトキシリン(Klinipath(登録商標))を用いて対比染色した。Pertex(登録商標)を用い、スライドにカバーガラスを載せた。
X線分析による骨形成の定量(骨形成細胞C)
安楽死時に、横に並べた各マウスの頭蓋冠のex vivo X線撮像をFaxitron(登録商標)MX−20装置を用いて行った。デジタル画像は、手動モードにて、35kVに設定した電圧、曝露時間4.8秒、明度/対比 8300/6000として、倍率1.5倍で撮影した。作成されたX線像は、0(ブラック領域)〜255(ホワイト領域)の範囲のグレー強度値を用いたグレーレベル画像であり、放射線不透性および従って骨不透明度または骨厚に正比例する。頭頂骨の骨形成の骨誘導部分(選択から除外された石灰化結節)(手による選択)のグレーレベル強度値を、AdobePhotoshop(登録商標)ソフトウエアのヒストグラムツールを用いて解析した。
X線撮像およびAdobePhotoshop(登録商標)ソフトウエアは、石灰化結節(手による選択)の表面積を定量するためにも使用した。
頭蓋冠の組織形態計測的解析:骨形成の定量
骨形成(すなわち、絶対的骨形成)の定量をプラスチック包埋組織で行った。石灰化結節有りおよび無しの絶対的新形成骨の厚さ(アリザリンレッドにより蛍光標識された基底石灰化前線からカルセインおよびテトラサイクリンにより蛍光標識された骨新形成まで)を、4μm厚の冠状切片でZEN(登録商標)画像解析ソフトウエア(Zeiss)により測定した(μm)。各動物について、5つの独立したレベルで、各レベル間の距離を200μmとして絶対的厚さの4回の測定を行った、第一段階として、各動物について、厚さの平均(結節有りまたは無し)±SD(すなわち、5つのレベルの各レベル当たり4回の測定の平均)を計算した。
組織画像上での新たに形成した骨の表面積の定量(ImageJ(登録商標)ソフトウエア)
骨誘導および骨形成結節の表面積分析のために、頭蓋冠のプラスチック樹脂組織切片(4μm)から冠状縫合糸を取った後に、蛍光顕微鏡(Zeiss Axioscope A1、Zeiss、ドイツ)の多重蛍光および明視野フィルターの組合せを用いて6つの独立したレベルのデジタル画像を2レベル毎に取得した。各測定レベルで、骨誘導性の骨新形成の選択はImageJ(登録商標)ソフトウエアを用い、明視野ステッチ画像において手により画定した。この選択領域の石灰化表面積および総表面積を測定した(mm2)。骨形成結節の石灰化表面積および総表面積にも同じ手順を行った。
骨誘導および骨形成結節については、その後、実験動物当たりおよび群当たりの総表面積の平均および石灰化表面積の平均を計算した。最後に、骨新形成の総表面積を骨誘導および骨形成結節表面積の合計として計算した。
統計分析
結果を平均±標準偏差(SD)として表した。統計分析は、JMP(登録商標)(SAS Institute Inc.)またはGaphPad Prism(登録商標)ソフトウエアを用いて行った。群間の差異は、p<0.05の場合に統計的に有意と見なした。
結果
骨形成細胞A(FGF−2およびTGFβ1を用いて形成)および骨形成細胞B(FGF−2、TGFβ1およびヘパリンを用いて形成)は両方とも、投与2週間後に対照(賦形剤)よりも有意に高い骨形成を示した(図1〜2、表1)。より詳しくは、図3は、骨形成細胞Bは骨誘導特性(頭蓋冠にマウス起源の均質な骨形成)、および骨形成特性(ヒトおよびマウス起源の石灰化結節)を呈したことを示す。
骨誘導特性(すなわち、移植後に新たに形成されたマウス骨の量)は、骨形成細胞AとBで同等であった(図1〜2)。
極めて興味深いことに、本発明の骨形成細胞Bは、移植後に新たに形成されたヒトおよびマウス骨の高い量で示されるように(ヒトおよびマウスColI IF染色、図3)、強い骨形成特性および骨誘導特性を示した。
結節の存在は、骨形成細胞Bでは7/8ドナーおよびマウスの80%に、また、骨形成細胞Aでは4/11ドナーおよびマウスの20%に見られた。MSCまたは賦形剤の投与後には、結節は見られなかった。従って、骨形成細胞Bは、骨誘導活性に加え、処置マウスの80%に見られる大きな石灰化結節の存在により強調される高い骨形成活性を促進するが、骨形成細胞Aは処置マウスのわずか20%に弱い骨形成活性、すなわち、小さな結節を示す(表2)。
略語: MSC: 間葉系幹細胞; NA: 適用不可
投与(賦形剤単独、MSC、骨形成細胞A(FGF−2およびTGFβ1を用いて形成;b−f細胞A)または骨形成細胞B(FGF−2、TGFβ1およびヘパリンを用いて形成;b−f細胞B))2週間後のマウス骨頭蓋冠冠状切片の組織染色は、総ての処置条件(MSC、b−f細胞Aおよびb−f細胞B)が骨誘導により形成された骨において中等度のリモデリング活性(ALPおよびTRAP染色)で高い骨誘導能を有することを明らかにした。
興味深いことに、骨形成細胞Bで処置したマウスに見られる石灰化結節は、マウス(宿主)およびヒト(ドナー)両方の骨組織から構成され(ヒトおよびマウスI型コラーゲン染色を証拠とする)、骨形成プロセス:骨形成(ドナー骨形成)と骨誘導プロセス(宿主骨形成)の両方によって形成されていたことを示す。高い骨芽細胞および破骨細胞活性(ALP+TRAP染色)に加え、これらの結節は類骨組織(非石灰化組織)を示し、骨形成が投与2週間後になお進行しているたが、総ての条件で見られた骨誘導プロセスはすでに完了していたことを示唆する(図4)。
図4は、ヒト骨形成(すなわち、骨形成)(抗ヒトI型コラーゲン染色として観察される)、ならびに高い骨芽細胞および破骨細胞活性(それぞれALP+ゴールドナー染色およびTRAP染色として観察される)はほとんどが骨形成細胞Bを投与したマウスの結節で検出されたことを示し、それにより、完了していると見られたMSCおよび骨形成細胞Aの骨誘導プロセスとは異なり、結節の骨形成プロセスは2週間の時点では進行中であって完了していなかたったことを示す。総ての処置条件(MSC、b−f細胞A、b−f細胞B)が、骨誘導性骨形成において中等度のリモデリング活性(ALPおよびTRAP染色)で高い骨誘導能を有していた(図4)。
骨新形成を、賦形剤単独、MSC、b−f細胞Aまたはb−f細胞Bで処置した2週間後の蛍光により評価した(図5)。この目的で、特定の時点で、骨カルシウム結合蛍光色素(すなわち、アリザリンレッド、カルセイングリーンおよびブルー、テトラサイクリンイエロー)を、新たに形成した骨を標識するためにマウスに投与した。投与した最後の蛍光色素はテトラサイクリンであり、細胞投与の12日後に投与した。
図5に示されるように、骨形成細胞Bを投与したマウスの結節は、テトラサイクリン蛍光色素(図5で黄色の染色が点線に囲まれている)によりほとんど染色され、骨誘導性の骨形成(アリザリンレッド(赤)、カルセイン(緑)およびカルセインブルー(calecin blue)(青):これらの染色は薄いグレーとして見え、二重矢印は骨形成厚を示す)に見られる骨誘導に比べて形成の後期であることが確認される。
処置マウスの骨新形成は、組織画像における新たに形成した骨の表面積の定量により評価した(ImageJ(登録商標)ソフトウエア)。新たに形成した骨の総表面積は、各分析レベルおよび各マウスについての骨誘導表面積と骨結節表面積の合計で求めた。
結果は、骨形成細胞B(n=7マウス、図6に薄いグレーで示される)は細胞投与の2週間後に、MSC(n=6マウス、図6に濃いグレーで示される;表3)の約2倍に、骨新形成を有意に増進したことを示す。この差は骨形成細胞Bによって示される高い骨形成特性によるものであり、MSCにはこのような特性は無かった。
略語: MSC: 間葉系幹細胞; SD: 標準偏差
さらに、組織染色を用いた経時的な骨新形成の評価は、骨形成細胞Bを投与したマウスの頭蓋冠に見られた結節が軟骨内骨化機序によって骨化していたことを明らかにした。図7で、サフラニンオレンジ染色は、プロテオグリカン(軟骨に特異的)基質(破線で囲まれている);核;骨組織;および細胞質を示す。膜内骨化により産生された骨誘導性の骨に対して、骨結節は軟骨内骨化を経て産生され、軟骨基質は投与1週間後〜3週間後に見られる(図7)。
ヒトI型コラーゲン、マウスI型コラーゲンおよびヒト核(すなわち、Ku80)を標的とする免疫組織化学染色を、結節においてヒト骨の存在が確認された骨形成細胞Bの投与4週間後に行った。さらに、Ku80染色は、骨形成細胞Bがin vivo投与後に骨基質(結節)内に生着し、骨細胞となったことを明らかにした。細胞製品C凍結を投与したマウスは、投与4週間後に対照よりも高い骨形成を示した(図11A〜C)。骨不透明度は、賦形剤に比べて骨形成細胞C凍結で有意に高かった(図11B)。骨形成の表面積は、石灰化結節が見られなかった賦形剤に比べて有意に高かった(図11C)。骨形成を伴うまたは伴わない骨誘導(絶対的骨形成により表される)の組織形態計測的尺度は、賦形剤に比べて骨形成細胞C凍結で有意に高かった(図11Dおよび11E)。また、骨誘導活性に加え、骨形成細胞C凍結は、石灰化結節の存在により強調される高い骨形成活性を促進した。この骨形成活性は4/5の骨髄ドナー(またはバッチ生成物)および65%のマウスに見られた(図11F)。1ドナー/バッチは、各群1個体のマウスで少なくとも1つの石灰化結節が見られた場合に骨形成性(陽性)であると見なした。賦形剤の投与後には結節は見られなかった。
より詳しくは、細胞製品C凍結は、骨誘導特性(頭蓋冠でのマウス起源の均質な骨形成)および骨形成特性(ヒトおよびマウス起源の石灰化結節)の両方を示した(図12)。
頭蓋冠表面に膜内宿主骨化が誘導された(図12および13)。より詳しくは、骨形成細胞C凍結は、骨誘導特性および骨形成特性を示した(図13「fluo」)。マウス/ヒトI型コラーゲン二重免疫標識(図13「ヒトI型コラーゲン」)は、宿主およびドナー起源の骨の存在(骨形成)を明らかにした。骨芽細胞活性(図13「ALP+」)および破骨細胞(図13「TRAP」)活性はほとんど石灰化結節に検出され、結節内の骨リモデリングプロセスが投与後4週間目になお進行していたことを示した。この所見は結節の大きさに依存し、結節が大きいほど高いALP活性およびTRAP活性が投与後4週間目になお存在していた。弱い類骨(図13「ゴールドナーのマッソントリクローム染色」)が強調され、骨形成が完了していることを示す。
よって、骨形成細胞C凍結保存は骨新形成を高めた。
このことは、扁平骨ならびに長骨における骨欠損の治療のための、本明細書および実施形態に記載されるような細胞製品および細胞組成物の有用性を実証する。
実施例3:骨形成細胞A、骨形成細胞Bおよび骨形成細胞C凍結保存により修復されたin vivoマウス大腿分節未臨界サイズ欠損(sub−CSD)
試験手順
細胞培養
骨形成細胞A、骨形成細胞Bおよび骨形成細胞C凍結保存は、実施例1に記載されているように調製した。
大腿分節sub−CSDモデル
文献(Manassero et al., 2013, Tissue Engineering, Part C Methods, 19(4):271-80; Manassero et al., 2016, Journal of Visualized Experiments; (116): 52940)に従い、無菌条件下で外科手術を行った。簡単に述べれば、13週齢の雌NMRI−Nude(nu/nu)マウス(n=73)をデクスメデトミジン塩酸塩(Dexdomitor(登録商標)、Orion Pharma、1mg/体重kg)とケタミン(Nimatek(登録商標)、Euronet、150mg/体重kg)の混合物の腹腔内注射で麻酔し、加温プレート上に腹臥位に置いた。左大腿の前側に4個または5個のねじで固定した6穴チタンマイクロロッキングプレート(RISystem AG(登録商標))を適用した後、ギグリのこぎりおよびジグ(RISystem AG(登録商標))を用い、2mm長の大腿骨幹中部骨切り術を行った。予防的投薬として、抗生物質(Baytril(登録商標)、10mg/体重kg)を手術前日に投与し(飲用水中)および鎮痛剤(ブプレノルフィン塩酸塩、Temgesic(登録商標)、Schering−Plough、0.1mg/体重kg)を手術前日と手術後少なくとも3日間12時間毎に投与した。MSC由来細胞(マウス当たり30μl容量中2.25×106細胞)または賦形剤(対照群)を手術当日(外科縫合糸で創傷を閉じた直後)に、骨欠損部位に局所的に、50μlハミルトンシリンジを用いた経皮注射により投与した。細胞または賦形剤投与の6週間後または10週間後に頚椎脱臼によりマウスを安楽死させた。各マウスの左大腿を切開し、採取し、X線撮像まで0.9%NaCl中、室温で維持した。
X線分析による骨修復の定量
各マウスの左大腿のin vivoX線撮像は、手術直後に、プレートの固定、分節大腿骨欠損サイズを制御するために、また、ベースラインを得るために、Faxitron(登録商標)MX−20装置を用いて2週毎に行った。デジタル画像は、手動モードにて、35kVに設定した電圧、曝露時間4.8秒、明度4,300および対比7,100として、倍率5倍で内外像および前後像を撮影した。ex vivoX線撮像は、細胞投与6週間後の安楽死の際に採取した左大腿に対して行った。骨形成細胞Aおよび骨形成細胞Bの実験については、欠損サイズは、各マウスについて、ImageJ(登録商標)ソフトウエアを用い、内外および前後X線像で、骨欠損の両端間の距離(μm)を3か所(欠損の右、中央、および左)で測定すること(合計6回の測定)により経時的に定量した。各マウスの各時点で、6回の測定値の平均を計算した。
骨形成細胞C凍結保存の実験については、欠損サイズは、各マウスについて、ImageJ(登録商標)ソフトウエアを用い、内外および前後X線像で、骨欠損の両端間の距離(μm)を2か所(両皮質)で測定すること(合計4回の測定)により経時的に定量した。各マウスの各時点で、4回の測定値の平均を計算した。
SFCSDモデルに関して適合されたRUS(ラジオグラフィックユニオンスコア)は、骨新形成、接合および骨折線(前後画像および内外ラジオグラフィック画像から)の有無に基づく半定量的測定値である。スコアリングは、両像で2つの皮質欠損部位において決定した4スコアの合計(各1〜4の範囲の4スコアの合計)に相当する。従って、スコアリングは、4(治癒の徴候無し)〜16(完全な癒合)の範囲である。
癒合スコアは、大腿欠損の両端間の癒合率を評価するバイナリスコアである。癒合を定義するために使用される放射線学的基準は、少なくとも3つの皮質における欠損の接合の可視化である(Cekich E et al., Acta Orthop Traumatol Turc. 2014, 48(5), 533-40)。スコアは0(癒合無し)または1(癒合)である。このパラメーターについては、最後の時点のみ分析した(ここでは、W10)。
マイクロコンピューター断層撮影法(micro−CT)解析
安楽死の際に採取した後、左大腿を3.7%ホルムアルデヒドで固定し、マイクロCT解析のためにCenter For Microscopy and Molecular Imaging(CMMI、ULB、Gosselies、Belgium)に移した。マルチモーダルマイクロPET/CTナノスキャン(登録商標)PET/CTカメラ(Mediso)およびNucline(商標)v2.01ソフトウエア(Mediso)を用い、サンプルをスキャンした。スキャンは半円スキャン、最大ズーム、チューブテンション35kVp、ガントリ1回転当たり720投影、1投影当たり曝露時間300ms、デテクターピクセルビニング1:1を用いて行った。XおよびY方向のスキャン長は取得毎に適合させた。マイクロCTスキャニングの総時間は3分42秒であった。各マイクロCTスキャンは、Shepp−Loganフィルターおよび8規格サンプルのマルチサンプリングモードを用い、40μm辺の立方体ボクセルで後に再構成した。XおよびY画像の寸法は再構成毎に適合させた。Z画像のサイズは、取得のために定義されたスキャン長に相当した。骨修復の質的評価はマイクロCT画像に対して、骨をZ軸(スキャナー軸)と一致するように再配向させ、Z軸上の大腿骨内の1本の近位ねじから他の近位ねじまでの、横断(X−Y)面ができるだけ狭い画像をクロッピングした後に行った。次に、3D最大値投影法(MIP)レンダリングを作成した。骨修復を定量的に評価するために、マイクロCTスキャン上の欠損スペースに直径2mmおよび軸長2mmの仮想円柱を置き、この円柱内の平均骨体積を、1500HU以上の放射線強度でボクセルを二値化することにより評価した。
結果
骨形成細胞Bおよび骨形成細胞C凍結はマウス大腿未臨界分節欠損の修復を改善した
NMRI−ヌードマウスの未臨界サイズ分節欠損(CSD)モデルにおいて、骨形成細胞B(n=12マウス、2バッチ)は、投与2〜6週間後に、賦形剤(n=11マウス)、および骨形成細胞A(n=4マウス)に比べて骨欠損サイズの有意な縮小により示されるように、骨折修復を改善した(図8A)。
賦形剤、骨形成細胞A(示されていない)または骨形成細胞Bの投与後D0および6W時点における分節大腿骨欠損のX線像は、本発明の実施形態に従って骨形成細胞Bを投与したマウスでは、賦形剤(図8B)または骨形成細胞A(示されていない)を投与したマウスに比べて骨欠損サイズの縮小を示した。
分節大腿骨欠損の骨修復体積は、賦形剤および骨形成細胞Bの投与後6W時点でのマイクロコンピューター断層撮影法(マイクロCT)解析により定量した。これらの結果から、骨形成細胞Bが賦形剤に比べて高い骨修復を誘導したことが確認された(図8C)。
分節大腿骨sub−CSDモデルにおいて、骨形成細胞C凍結保存は、投与2〜10週間後に賦形剤に比べて骨折修復のパーセンテージを有意に改善および加速化した(図14および15)(n=38マウス(処置19および賦形剤対照19、2バッチ;p<0.001)。さらに、RUSスコアは、賦形剤群に比べて骨形成細胞C凍結保存群で有意に増大していた(図16)。そして最後に、癒合率も、賦形剤投与後の癒合無しに比べて、骨形成細胞C凍結保存の投与10週後のマウスでは、9/19(47%)の癒合と改善されていた。
実施例4:実施例2および3で骨形成能を示すMSC由来細胞のin vitro細胞特性評価
材料および方法
細胞培養
MSC、細胞製品Aおよび細胞製品B、細胞製品C新鮮および細胞製品C凍結は、実施例1に記載されているように得られる。
フローサイトメトリー分析
細胞表面マーカーの特性決定はフローサイトメトリーにより行った。50,000細胞をPBS−1%BSA中、1×106細胞/mlの濃度で、5μlの抗体とともに暗所で10分間インキュベートした。このインキュベーション時間の後、細胞をPBSで1回洗浄した。細胞外染色に使用した種々の抗体は以下である:CD105に対するアロフィコシアニン(APC)コンジュゲート抗体(BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:562408)、CD73に対するAPCコンジュゲート抗体(BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:560847)、CD10に対するフィコエリトリン(PE)コンジュゲート抗体(BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:555375)、CD44に対するPEコンジュゲート抗体(BD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:550989)。非特異的染色は、細胞を、FITC、APCおよびPEとコンジュゲートされた免疫グロブリンG(IgG)対照(総てBD Biosciences(登録商標)、カタログ番号:それぞれ556649;555751;556650)とともにインキュベートすることにより決定した。分析前に、図9に記載されるように、対象とするシングレットおよび集団のゲーティングを行った。フローサイトメトリー分析は、10000イベントのゲーティング集団に対してFACSCanto(商標)II(BD Biosciences(登録商標))およびFACSDiva(商標)8.0ソフトウエア(BD Biosciences(登録商標))を用いて行った。分析に使用した設定パラメーターを、ビーズ(BD CompBeads Plus(登録商標)、カタログ番号560497)を用いて自動実行した。各コンジュゲートに関して、陽性カットオフを対照アイソタイプ抗体陽性1%に固定し、各マーカーの陽性を決定した。全分析集団の蛍光の中央値(MFI)も求め、対応するアイソタイプ対照抗体のMFIにより割って正規化MFI(nMFI)を得た。
結果
フローサイトメトリー分析は、細胞製品A、細胞製品B(従来技術による比較方法を用いて形成)、および最終の凍結保存有りまたは無しの細胞製品C(本発明を示す方法を用いて形成)の細胞表面マーカー発現プロフィールに基づく一般的な細胞識別は匹敵していたことを明らかにした。
それらは総て、間葉マーカーCD73、CD90およびCD105を発現し、造血マーカーCD45、CD34およびCD3を発現していなかった(細胞集団の5%未満はこれらのマーカーを発現していた)(表4)。細胞製品A、細胞製品Bおよび細胞製品C(最終の凍結保存有りまたは無し)は、低レベルのMHCクラスII細胞表面受容体、例えば、HLA−DRを発現した。HLA−DRの弱い発現により呈される弱い免疫原性は有利には、例えば同種異系対象への細胞移植を可能とする(表4)。加えて、細胞製品A、細胞製品B、および細胞製品C(最終の凍結保存有りまたは無し)は、未分化MSCに比べてそれらの表面に酵素ALPの発現が高かった(表4および5)。高いALP発現は、細胞製品A、細胞製品B、および細胞製品C(最終の凍結保存有りまたは無し)の骨芽細胞系譜への運命決定を強調する。細胞製品A、細胞製品B、および細胞製品C(最終の凍結保存有りまたは無し)はまた、未分化MSCに比べて細胞マーカーCD10の発現も高かった(表4)。
略語:ALP:アルカリ性ホスファターゼ;APC:アロフィコシアニン;FITC:フルオレセインイソチオシアネート;HLA−DR:ヒト白血球抗原−DRアイソタイプ;HLA−DR/DP/DQ:ヒト白血球抗原−DR/DP/DQアイソタイプ;MSC:間葉系幹細胞;ND:決定されず;PE:フィコエリトリン;SD:標準偏差
略語:ALP:アルカリ性ホスファターゼ;ND:決定されず;PE:フィコエリトリン
細胞表面マーカー発現プロフィールは、細胞表面のマーカーの存在(集団陽性パーセンテージ)によるだけでなく、種々のマーカーの細胞表面に発現されるマーカーの量(集団正規化蛍光中央値)を分析することによっても特徴付けた。これらの分析により、異なるMSC由来細胞間のいくつかの差異が強調された。
ヘパリンの存在下で培養された細胞製品Bおよび細胞製品C(最終の凍結保存有りまたは無し)は、ヘパリンの不在下で培養されたMSCおよび細胞製品Aよりも高いレベルのALPを発現し(ALP−PE nMFI結果)、それらの骨形成細胞の骨芽細胞系譜への運命決定を強めた。
細胞表面での間葉マーカーCD73およびCD105の発現は、細胞種にも依存していた。ヘパリンの存在下で作製された細胞製品(最終の凍結保存有りまたは無しの細胞製品Bおよび細胞製品C)は、細胞製品Aよりも高いレベルのCD73およびCD105を発現した。加えて、細胞製品Cは、特に、細胞製品Cが最終の凍結保存を受けなかった場合に、それらの表面に細胞製品Bよりも多いCD73およびCD105を有していると思われた(表6)。分化細胞製品A、BおよびCは、未分化MSCよりも高い量の細胞マーカーCD10を発現する。加えて、細胞製品Cは、それらの表面に細胞製品AおよびBよりも多いCD10を有する(表6)。
上記を考慮すると、細胞製品Bおよび細胞製品C(最終の凍結保存有りまたは無し)、(その製品BおよびCは実施例2および3で骨誘導および高い骨形成能を示した)は、CD73、CD105、CD10もしくはCD44のうちいずれか1以上を発現する量;および/または細胞表面に発現されたCD73、CD105もしくはCD44のうちいずれか1以上の量に基づき、細胞製品A(その製品Aは実施例2および3で骨誘導および低い骨形成能を示した)から区別することができると思われる。
より詳しくは、表4および6に基づくと、細胞製品Bおよび細胞製品Cの細胞の少なくとも90%が細胞表面にCD73、CD105、CD10およびCD44を発現し(表4)、細胞製品Bおよび細胞製品Cの細胞は、少なくとも500のnMFICD73、少なくとも100(または少なくとも150)のnMFICD44、および多くても150のnMFICD105を有する(表6)と思われる。他方、細胞製品Aの細胞は、500未満のnMFICD73および100未満(または150未満)のnMFICD44を有し;MSCは500未満のnMFICD73および150を超えるnMFICD105を有する(表6)。
従って、CD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の量をin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105およびCD44の量と組み合わせることが、細胞製品Bおよび細胞製品Cの細胞をMSCまたは細胞製品Aの細胞から区別するために適切かつ十分である。これに沿って、CD73、CD105、CD10およびCD44を発現するin vitro分化細胞の量をin vitro分化細胞により発現されるCD73、CD105およびCD44の量と組み合わせることが、in vitro分化細胞が骨形成能を有するかどうかを決定するため、特に、in vitro分化細胞が高い骨形成能を有するかどうかを決定するために適切かつ十分である。
略語:ALP:アルカリ性ホスファターゼ;APC:アロフィコシアニン;FITC:フルオレセインイソチオシアネート;HLA−ABC:ヒト白血球抗原ABC;HLA−DR:ヒト白血球抗原−DRアイソタイプ;MSC:間葉系幹細胞;NA:利用不可;ND:決定されず;PE:フィコエリトリン;SD:標準偏差
さらに、nMFIフローサイトメトリー分析により、CD73およびCD44タンパク質発現が骨形成細胞Bを含む他の細胞種よりも骨形成細胞Cでより上昇していた(図10)ことが明らかになった。