JP2022520997A - イミプリドンを使用する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2019年9月30日付で出願された米国特許仮出願第62/908,105号、および2019年2月22日付で出願された米国特許仮出願第62/809,140号の優先権の恩典を主張するものであり、その各々の内容全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。2020年1月29日に作成された前記のASCIIコピーは、UTFC1440WO_ST25.txtという名称であり、サイズが2.8キロバイトである。
本発明は広くは、医学および腫瘍学の分野に関する。より具体的には、本発明は、イミプリドンによる処置のための患者を選択するための方法、およびそのように選択された患者を処置するための方法に関する。
新たに開発された標的薬剤にもかかわらず、血液悪性腫瘍および固形腫瘍の大部分は不治である。これには、TP53変異を有する本質的に全ての患者が含まれる。証拠の蓄積から、ミトコンドリア機能が白血病(Cole et al., 2015; Farge et al., 2017; Kuntz et al., 2017; Moschoi et al., 2016; Samudio et al., 2010; Skrtic et al., 2011)および特定の固形腫瘍(Birsoy et al., 2014; Kotschy et al., 2016; Viale et al., 2014)の維持および治療抵抗性に重要であることが実証されており、ミトコンドリアの完全性を効果的に破壊するための治療戦略が調べられている(Birsoy et al., 2014; Cole et al., 2015; Konopleva et al., 2006; Konopleva et al., 2016; Kotschy et al., 2016; Kuntz et al., 2017; Pan et al., 2014; Pan et al., 2017; Skrtic et al., 2011; Viale et al., 2014)。とは言え、ミトコンドリアの構造および機能を破壊しうる抗腫瘍剤がある。
したがって、ミトコンドリアの構造および機能を破壊することによりがん患者を処置する方法が本明細書において提供される。そのような方法は、がんを有する患者にイミプリドンを投与する段階を含む。また、ミトコンドリアプロテアーゼClpPのレベルに基づいて、患者がイミプリドンの抗がん活性に感受性であるかどうかを予測する方法も、本明細書において提供される。
ミトコンドリアのカゼイン分解プロテアーゼP (ClpP)は、誤って折り畳まれたタンパク質を分解することにより、ミトコンドリアのタンパク質品質管理において中心的な役割を果たす。遺伝的および化学的アプローチを使用して、プロテアーゼの過剰活性化は、p53の状態とは無関係に、その呼吸鎖タンパク質基質の選択的分解によってがん細胞を選択的に死滅させ、ミトコンドリアの構造および機能を破壊する一方で、非悪性細胞には影響を与えないことが示された。ClpPの強力な過剰活性化因子(hyperactivator)として抗新生物化合物イミプリドンが同定された。生化学的研究および結晶学を通じて、イミプリドンがClpPに非共有結合し、多様な構造変化によってタンパク質分解を誘導することが示された。これらの知見は、ミトコンドリアタンパク質分解の活性化を通じてがん細胞の致死性を誘導するという一般的な概念を示唆している。さらに、ClpPのレベルが最も低い患者は、ClpP過剰活性化に対する感受性が低い。したがって、ClpPレベルおよび/またはClpP変異状態を用いて、イミプリドンによる処置に応答する可能性が高い患者を選択することができる。
真核細胞は2つの別個のゲノム; 核DNAおよびミトコンドリアDNAを有する。ミトコンドリアDNAは、2種のrRNA、22種のt-RNA、およびミトコンドリア呼吸鎖における90種のタンパク質のうちの13種をコードする。残りのミトコンドリアタンパク質は核遺伝子によりコードされ、細胞質において翻訳され、ミトコンドリアに輸送される。ミトコンドリアは、ミトコンドリアリボソーム、開始因子、伸長因子を含めて、その独自のタンパク質合成装置を保有している。さらに、ミトコンドリアは、過剰なおよび/または損傷したタンパク質を排除することによってタンパク質レベルを調節するタンパク質分解複合体を有する。現在までに、ミトコンドリアマトリックスに位置する、カゼイン分解プロテアーゼP (ClpP)を含めて、少なくとも15種のプロテアーゼが異なるミトコンドリア区画において同定されている。ClpPは、細胞質/核プロテアソームに類似したオリゴマーセリンプロテアーゼである(Corydon et al., 1998)。
本明細書で、ClpPの過剰活性化は、ミトコンドリアの呼吸および酸化的リン酸化に関与するミトコンドリアのプロテオームのサブセットでの選択的タンパク質分解により、白血病およびリンパ腫において致死性を誘導することが分かった。対照的に、正常な造血細胞はClpPの過剰活性化に耐性を示し、これはAML細胞と比較して酸化的リン酸化への依存度が低いことおよび呼吸鎖の予備能が大きいことを反映している可能性が高い(Sriskanthadevan et al., 2015)。
A. がん
本発明は、イミプリドン(例えば、ONC201、ONC212、またはONC206; 例えば、それぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第9,845,324号および同第10,172,862号を参照のこと)などの、ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤でがん患者を処置する方法を提供する。そのような処置はまた、化学療法または免疫療法などの別の治療レジメンと組み合わせてもよい。本発明の特定の局面を用いて、患者の腫瘍におけるClpP発現のレベルおよび/または患者の腫瘍におけるClpPの不活性化変異(例えば、D190A)の存在に基づいて、処置のためのがん患者を選択することができる。さまざまな局面において、がんを含む約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の細胞は、患者が処置の候補であることを示すClpP発現レベルまたは変異状態を担持しうる。他の局面において、がんを含むさまざまな割合の細胞は、患者が処置の候補であることを示すマーカーを担持しうる。本発明の他の局面は、患者が以前は抗がん療法の投与に応答することができなかったことに基づいて、処置のためのがん患者を選択することを提供する。
併用療法を含む、方法および組成物は、治療効果もしくは保護効果を増強し、かつ/または別の抗がん療法もしくは抗過剰増殖療法の治療効果を増大する。治療的および予防的方法および組成物は、がん細胞の死滅化および/または細胞の過剰増殖の阻害などの、所望の効果を達成するのに有効な組み合わせた量で提供することができる。組織、腫瘍、または細胞は、組織、腫瘍、および/または細胞を2つまたはそれ以上の異なる組成物または製剤と接触させることにより、1つまたは複数の薬剤を含む1つまたは複数の組成物または薬理学的製剤と接触させることができる。また、そのような併用療法は、放射線療法、外科的療法、または免疫療法と組み合わせて使用することができると考えられる。
本発明に従って、多種多様な化学療法剤を使用することができる。用語「化学療法」は、がんを処置するための薬物の使用をいう。「化学療法剤」は、がんの処置において投与される化合物または組成物を意味するために使用される。これらの薬剤または薬物は、細胞内でのそれらの活性の様式、例えばそれらが細胞周期に影響を与えるかどうか、またどの段階で影響を与えるか、によって分類される。あるいは、薬剤は、DNAを直接架橋する能力、DNAにインターカレートする能力、または核酸合成に影響を及ぼすことによって染色体および有糸分裂の異常を誘発する能力に基づいて、特徴付けることができる。
DNA損傷を引き起こしかつ広く使用されてきた他の要因には、γ線、X線、および/または腫瘍細胞への放射性同位体の定方向送達として一般に知られているものが含まれる。DNA損傷因子の他の形態も考えられ、例えば、マイクロ波、陽子線照射(米国特許第5,760,395号および同第4,870,287号)、およびUV照射などである。これらの要因の全ては、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製と修復、および染色体の組み立てと維持に広範囲の損傷を与える可能性がきわめて高い。X線の線量範囲は、長期間(3~4週間)にわたる50~200レントゲンの1日線量から2000~6000レントゲンの単回線量までの範囲である。放射性同位体の線量範囲は大きく異なり、同位体の半減期、放出される放射線の強度と種類、および腫瘍性細胞による取り込みに依存する。
当業者であれば、追加の免疫療法を前記態様の方法と組み合わせてまたは併せて使用できることを理解するであろう。がん処置との関連において、免疫療法は一般に、がん細胞を標的として破壊するための免疫エフェクター細胞と分子の使用に依存している。リツキシマブ(Rituxan(登録商標))がそのような例である。免疫エフェクタは、例えば、腫瘍細胞の表面上の何らかのマーカーに特異的な抗体でありうる。抗体は、単独で治療のエフェクタとしての役割を果たすか、または他の細胞を動員して実際に細胞殺傷に影響を及ぼすことができる。また、抗体を薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)にコンジュゲートして、ターゲティング剤として使用することもできる。あるいは、該エフェクタは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的に相互作用する表面分子を担持するリンパ球でありうる。さまざまなエフェクター細胞には細胞傷害性T細胞およびNK細胞が含まれる。
がん患者のおよそ60%は、予防的、診断的または病期分類的、根治的、および緩和的手術を含む何らかのタイプの手術を受けている。根治目的の手術は、がん性組織の全部または一部を物理的に除去、切除、および/または破壊する切除術を含み、本発明の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子治療、免疫療法、および/または代替療法などの他の療法と併用することができる。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去をいう。腫瘍切除に加えて、外科手術による処置には、レーザー手術、凍結手術、電気外科療法、および顕微鏡下外科手術(モース術)が含まれる。
処置の治療効果を改善するために、本発明の特定の局面と組み合わせて他の薬剤を使用できると考えられる。こうした追加の薬剤には、細胞表面受容体およびギャップ結合の上方制御に影響を与える薬剤、細胞増殖抑制剤および分化剤、細胞接着阻害剤、アポトーシス誘導剤に対する過剰増殖性細胞の感受性を高める薬剤、または他の生物学的薬剤が含まれる。ギャップ結合の数を増やすことによる細胞間シグナル伝達の増加は、隣接する過剰増殖性細胞集団に対する抗過剰増殖効果を増大させるであろう。他の態様において、細胞増殖抑制剤または分化剤を本発明の特定の局面と組み合わせて使用して、処置の抗過剰増殖効果を改善することができる。細胞接着阻害剤は本発明の有効性を改善すると考えられる。細胞接着阻害剤の例は、フォーカルアドヒージョンキナーゼ(focal adhesion kinase: FAK)阻害剤およびロバスタチンである。さらに、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を高める他の薬剤、例えば抗体c225を、本発明の特定の局面と組み合わせて使用して、処置の有効性を向上させることができると考えられる。
1つの態様において、細菌を死滅させる方法が提供される。本方法は、安全かつ有効な量のイミプリドンを細菌細胞に適用する段階を含む。最小発育阻止濃度(MIC)を決定することは、当技術分野において周知である。薬物の抗菌効果は、通常、関心対象の個々の細菌種に対する薬物のMICをインビトロで決定することによって測定される。したがって、治療的有効量のイミプリドンは、処置されている感染症のMICを上回る量を含む。二種以上の病原体が存在する場合、有効量のイミプリドンは、感染性生物の最高MIC以上であろう。一般に、細菌感染症の治療レジメンは、投薬間隔の少なくとも一部でMICを少なくとも満たし、好ましくはMICを超える薬物濃度(例えば、血液中)を達成する1つまたは複数の薬物用量を患者に投与することを前提としている。場合によっては、投与量は、治療の全過程を通じて同じレベルに維持され、または投与される量を増やすもしくは減らすように調整されうる。いくつかの局面において、イミプリドンの投与量は、耐性を生じるために増加されない(しかし、治療中に適切な用量を投与する目的で増加されうる)。
ペロー症候群は、男性と女性の両方での両側性感音難聴(SNHL)および女性での卵巣形成不全によって特徴付けられる、伴性障害である。罹患した男性の生殖能力は正常と報告されている。一部の患者は、学習障害や発達遅延、小脳性運動失調、ならびに運動および感覚末梢神経障害を含めて、神経学的兆候も有する。I型ペロー症候群は静的であり、神経疾患を有しない。II型ペロー症候群は神経疾患を伴って進行する。
本発明のさまざまな局面において、診断剤、治療剤および/または送達剤を含むキットが想定される。いくつかの態様において、キットは患者サンプルにおける、ClpP発現レベルまたは変異状態などの、患者選択マーカーを評価するための試薬を含みうる。いくつかの態様において、本発明は、本発明の治療を調製および/または投与するためのキットを企図する。キットは、本発明の活性なまたは有効な薬剤の投与に使用できる試薬を含みうる。キットの試薬は、併用療法の1つもしくは複数の抗がん成分、ならびに本発明の成分を調製、処方、および/もしくは投与するための試薬または本発明の方法の1つもしくは複数の段階を実施するための試薬を含みうる。
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために提供される。当業者には理解されるように、以下の実施例に開示される技術は、本発明の実践において十分に機能することが本発明者らによって発見された技術を表しており、したがってその実施のための好ましい形態を構成しているとみなすことができる。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示された具体的な態様に多くの変更を加えることができ、それでもなお本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく同様のまたは類似の結果が得られることを理解するであろう。
マウス
本研究における全ての動物研究について、研究プロトコルは、プリンセスマーガレットがんセンターおよびMDアンダーソンがんセンターの施設内動物管理使用委員会(IACUC)によって承認された。野生型またはD190A変異型ClpP過剰発現ベクターでトランスフェクトされ、ルシフェラーゼで標識された200万個のZ138細胞を、個々のNSGマウスに注射した(処置群あたりn=7、すべて雌性)。移植後9日目にインビボ生物発光イメージングにより測定された生着を確認した後、マウスが瀕死になるまで、ONC212 (50 mg/kg/d)または媒体(水)を1日おきに強制経口投与する。発光によって測定される腫瘍量を、31日目まで毎週追跡した。独立して、テトラサイクリン誘導性Y118A変異型ClpPでトランスフェクトされた200万個のZ138細胞をルシフェラーゼで標識し、個々のNSGマウスに注射した(処置群あたりn=10、全て雄性)。移植後5日目にインビボ生物発光イメージングにより測定された生着を確認した後、瀕死になるまで、マウスを飲料水中のテトラサイクリン(2 mg/mL)有りまたは無しで処置した。100万個のOCI-AML2細胞を個々のSCIDマウスに注射した(処置群あたりn=10、全て雄性)。注射5日後、マウスをONC201で1日2回、経口強制経口投与(100 mg/kg)により13日間ONC201で処置した。患者由来の異種移植AML細胞を使用した生着実験は、既報(Ishizawa et al., 2016)のように実施された。初代AML細胞を6週齢の雌性NSGマウスに移植し、白血病細胞を二次移植マウスから採取した。白血病細胞を250 nMのONC212有りまたは無しで36時間処理した後、70万個のトリパンブルー陰性細胞を処置群ごとに7匹のNSGマウスの各々に尾静脈から注射した。各群のマウスの生存をモニタリングした。
ヒトミトコンドリアClpPタンパク質の発現および精製のため、50μg/mLのカナマイシンを補充したLuria-Bertrani Broth (LB; 10 g/Lトリプトン, 5 g/L酵母エキス, 10 g/L NaCl)中180 rpmで振とうしながら37℃でpETSUMO2-CLPP(-MTS)を保有する大腸菌(E. coli) SG1146を、好気的に増殖させた。
ヒトClpPは、既述(Kang et al., 2004) (Kimber et al., 2010; Wong et al., 2018)のように発現および精製された。野生型および変異体(Y118A and D190A)ヒトClpP (ミトコンドリアターゲティング配列なし)を、pETSUMO2発現ベクターにクローニングし、大腸菌SG1146において発現させた(Kimber et al., 2010)。タンパク質発現を誘導するために、OD600およそ0.6に達した後、細菌を1 mMイソプロピル-1-チオ-B-D-ガラクトピラノシド(IPTG)により37℃で4時間処理し、遠心分離によって収集し、溶解緩衝液(25 mM Tris-HCl (pH 7.5), 0.5 M NaCl, 10 mMイミダゾール, 10%グリセロール)中でEmulsiflex C5 (4回通過; Avestin, Ottawa, Canada)により破壊した。細胞溶解後、不溶性物質を遠心分離(26,892×g (SorvallローターSS-34)で30分間)により除去し、上清を、溶解緩衝液で事前に平衡化した5 mL Niセファロース高性能(GE)カラムに通した。タンパク質を40 mMイミダゾールで溶出し、透析緩衝液(25 mM Tris-HCl (pH 7.5), 0.1 M NaCl, 10%グリセロール) 2 mLで希釈し、SUMOプロテアーゼ(1:100; Lee et al., 2008)と混合し、SnakeSkin 10K透析膜(ThermoScientific, Waltham, MA)を使用して透析緩衝液4 L中で軽く撹拌しながら4℃で終夜透析した。次に、透析した物質を2番目の5 mL Niカラム(ThermoScientific, Waltham, MA)に通し、タグなしのClpPを含有する素通り画分溶液を収集した。収集した全ての画分をSDS-PAGEによって分析した。
回折データを、カナディアン光源(Canadian Light Source) (Saskatoon, Canada)のビームライン08ID-1で100 Kにて取得し、Pilatus3 S 6M検出器(Dectris, Switzerland)の助けを借りて記録した。波長は0.97949Åで、2500枚の画像を0.1°の振動幅および0.2秒の露光で収集した。結晶から検出器までの距離は392.6 mmであった。XDS (Kabsch, 2010)およびCCP4 (Winn et al., 2011)ソフトウェアパッケージを使用して、データのインデックス作成、統合、およびスケーリングを行った。タンパク質複合体は、ヒトミトコンドリアClpP (PDB-ID:1TG6)の閉構造で以前に見られたように、非対称ユニット(ASU)に1つのClpPヘプタマー環を有する空間群C2で結晶化した(Kang et al., 2004)。
PHENIXソフトウェアパッケージ(Adams et al., 2010; McCoy et al., 2007)を使用した分子置換により、ClpP-ONC201複合体の結晶構造を解明した。精密化および検証のために同じソフトウェアを適用し、モデル構築のためにパッケージCOOT (Emsley and Cowtan, 2004; Emsley et al., 2010)を適用した。構造決定の開始段階は、検索モデルとして水を除去した活性化ClpP七量体構造を使用して計算された(PDB: 6BBA; Wong et al., 2018)。ライディング水素は、ジオメトリを最適化するために最後の数ラウンドの精密化(Afonine and Adams, 2012)の間に使用されたが、最終的に配置された座標ファイルには含まれていなかった。データ整理および精密化の統計値については表2を参照されたい。PyMol v1.3ソフトウェアを使用して、構造図を作出した(DeLano, 2002)。ClpP-ONC201複合構造の座標および構造因子は、RCSB - Protein Data Bankにアクセッション番号6DL7で寄託されている。
アッセイ緩衝液は、25 mM HEPES, pH 7.4、5 mM MgCl2、5 mM KCl、0.03% Tween 20、10%グリセロール、16 mMクレアチンリン酸、13 U/mlクレアチンキナーゼ、および3 mM ATPからなっていた。1.0μMのヒトClpP (Cole et al., 2015)を、Biomek FXロボット液体ハンドラ(Beckman Coulter Life Sciences, Indianapolis, IN)を用いてアッセイ緩衝液に溶解し、Beckman Multimek 96/384液体ハンドリングシステム(Beckman Coulter Life Sciences, Indianapolis, IN)を用いて384ウェルプレート中0.625 mMおよび1.25 mM濃度の各化合物とともに1ウェルあたり0.2μLで混合し(終濃度それぞれ4.15および8.3μM)、37℃で10分間インキュベートした。次に、蛍光タグ付き基質であるFITC-カゼイン(4.0μM)を各ウェルに添加し、PHERAstarマイクロプレートリーダー(BMG LABTECH, Ortenberg, Germany)を用いて37℃で70分間5分ごとに485/535 nmで蛍光を測定した。
アッセイ緩衝液は、FITC-カゼインアッセイの場合には25 mM HEPES, pH 7.5、5 mM MgCl2、5 mM KCl、0.03% Tween 20、10%グリセロール、16 mMクレアチンリン酸、13 U/mlクレアチンキナーゼ、および3 mM ATP、AC-WLA-AMCアッセイの場合には100 mM KCl、5%グリセロール、10 mM MgCl2、20 mM Triton X-100、および50 mM TRIS pH 8、Ac-Phe-hArg-Leu-ACCアッセイの場合には50 mM Tris, pH 8、300 mM KCl、および15%グリセロール、FAPHMALVPV (Clptide)アッセイの場合には5 mM ATPを有する50 mM Hepes, pH 7.5、0.03% Tween 20、15 mM MgCl2、100 mM KClおよび5%グリセロール、ならびにMCA-Pro-Leu-Gly-Pro-D-Lysアッセイの場合には150 mM NaClを有する25 mM Tris, pH 7.5からなった(Gersch et al., 2016)。
MicroCal VP-ITCシステム(Malvern, Malvern, UK)を用いてITC結合測定を実施した。精製された野生型およびD190A ClpPのアリコートを、SnakeSkin 10K透析膜(ThermoFisher, Waltham, MA)を用いて20 mM Tris-HCl, 5% DMSO, pH 7.65 (室温の)中へ軽く攪拌しながら4℃で終夜別々に透析した。VP-ITC細胞に20μM ClpP (WTまたはD190A; ClpP単量体濃度)を満たし、100μM ONC201をシリンジで使用した。次の設定を使用した: 注入容量: 281.55μL、細胞容量: 1.4551 mL、注入間の間隔時間: 240秒、注入27回: 各20秒かけて10μL; 4秒かけて最初2μL、フィルタ期間- 2秒、ステアリング速度- 307、温度- 25℃、基準電力- 15μCal/秒。逆実験では、シリンジ内の500μM WT ClpPを50μM ONC201溶液に滴定した; 同じ機器設定をこれらの実験に用いた。リガンドのタンパク質へのおよびタンパク質のリガンドへの滴定に対する希釈効果を説明するために、対照実験を行った。Origin7 MicroCal Analysisソフトウェアでデータを分析した。
400μL中0.4 mgのWTまたはD190A ClpP (1:1のモル比 - ClpP単量体とONC201との比率でのONC201有りまたは無し; ランニング緩衝液中)を、分析用サイズ排除カラムSuperdex 200 10/300 GL (Amersham Biosciences, Little Chalfont, UK)に負荷し、ランニング緩衝液(20 mM TrisHCl, 100 mM NaCl, pH 7.5)中0.5 mL/分にて室温で流した。
OCI-AML2細胞は、10% FBSを有するイスコブの改変ダルベッコ培地(IMDM)中で増殖された。OCI-AML3、HCT116、OC316、およびSUM159細胞は、10% FBSを有するRPMI培地中で培養された。TEX細胞(Warner et al., 2005)は、John Dick博士(Ontario Cancer Institute, Toronto, Canada)から提供されたものであり、15% FCS、2 mM L-グルタミン、20 ng/mL幹細胞因子(SCF)、および2 ng/mL IL-3 (R&D Systems, Minneapolis, MN)を補充したIMDM中で増殖された。Z138細胞は、20% FBSを有するRPMI中で培養された。T-REx HEK293細胞は、10% FBSを有するDMEM中で増殖された。
AML患者からのバルクAML細胞および健常G-CSF処理幹細胞ドナーからの末梢血幹細胞は、それぞれフィコール密度遠心分離およびアフェレーシスによって単離された。単離された細胞は、10% FBSを補充したIMDMまたは100 ng/mL SCF、10 ng/mL FLT3-L、20 ng/mL IL-7、10 ng/mL IL-3、20 ng/mL IL-6、20 ng/mL G-CSF、20 ng/mL GM-CSFを補充したMyelocult H5100 (Stemcell Technologies, Vancouver, BC)中で維持された。加湿雰囲気中37℃および5% CO2で、細胞に100μg/mlペニシリンおよび100 U/mlストレプトマイシンを補充した。University Health Network (Toronto, ON)およびMD Anderson Cancer Center (Houston, Texas)の機関審査委員会は、この研究のためのヒト組織の収集および使用を承認した。全てのサンプルは、同意した患者から入手した。
Alamar-Blueアッセイの場合、細胞(1×104個/ウェル)を96ウェルプレート(終容量100μL/ウェル)にプレーティングし、漸増濃度のONC201およびONC212 (0~100μM)で処理した。37℃で72時間のインキュベーション後、Alamar Blue 10μLを培地に添加し、混合物を37℃でさらに2時間インキュベートした。励起560 nmおよび発光590 nmでの蛍光の分光光度法(SpectraMax M3, Molecular Devices, San Jose, CA)を用いて細胞毒性を測定した。アポトーシス分析のため、アネキシンVおよびPI結合アッセイを実施して、既述(Ishizawa et al., 2016)のようにアポトーシスを評価した。細胞(24ウェルプレート中のAML細胞の場合には1.5×105個/ウェルおよび12ウェルプレート中のHCT116細胞の場合には0.8×105個)をプレーティングし、ONC201およびONC212で処理した。アネキシンVおよびPIを72時間のインキュベーション後に染色した。アネキシンV陰性およびPI陰性の細胞を生細胞としてカウントした。
CETSAを既述(Jafari et al., 2014)のように行った。OCI-AML2細胞を37℃で30分間、漸増濃度のONC201またはONC212で処理した。次いで、細胞を洗浄し、プロテイナーゼ阻害剤を含むPBS中に再懸濁し、サーマルサイクラー(SimpliAmp, Applied Biosystems)を用いて67℃で3分間加熱した。この温度は、タンパク質の最適な熱シフトを決定するために、薬物で前処理された細胞をさまざまな温度で1時間加熱することによって実験的に導き出された。この段階に続いて、ボルテックスを用いた4回の凍結融解サイクルにより細胞を溶解し、16,000g、4℃で30分間での遠心分離後に純粋な細胞溶解物を回収した。
TruSeq Stranded Total RNA Sample Preparation Kit (Illumina, San Diego, CA)を用いて、バーコード化されたイルミナ互換の鎖特異的全RNAライブラリを調製した。簡単に説明すると、DNase I 1μgで処理した全RNAから、Ribo-Zero Gold (Illumina)を用いて細胞質およびミトコンドリアのリボソームRNA (rRNA)を枯渇させた。精製後、二価カチオンを用いてRNAを断片化し、ランダムプライマーを用いて二本鎖cDNAを合成した。得られた二本鎖cDNA断片の末端を修復し、5'-リン酸化、3'-A尾部化およびイルミナ固有のインデックス付きアダプターをライゲーションした。最終的なcDNAライブラリを作出するために、11サイクルのPCRによって産物を精製および濃縮した。ライブラリは、Qubit dsDNA HS Assay Kit (ThermoFisher)を用いて定量化し、Fragment Analyzer (Advanced Analytical, Ankeny, IA)を用いてサイズ分布を評価し、次いでプールごとに4つのライブラリを多重化した。ライブラリプールをqPCRによって定量化し、75 bpペアエンドフォーマットを用いてIllumina HiSeq4000配列決定装置で、レーンごとに1つのプールで、配列決定した。各サンプルについて、TopHatを用いて、FASTQファイルからの読み取りを参照ゲノム(hg19)にアラインし、BAMファイルを作出した。次に、これらをrnaseqmutへの入力として使用し、これにより、読み取りの最小数および割合がバリアント配列、つまり挿入欠失または単一ヌクレオチドバリアント(SNV)を有するゲノムヌクレオチド位置が特定される。既知の単一ヌクレオチド多型(SNPs)を除外するためのフィルタリングはなかった。Z138細胞の親サンプルまたはONC201耐性サンプルのいずれかまたは両方で同定された各SNVについて、rnaseqmutにより、サンプルごとに、WTヌクレオチドがその位置にある読み取りの数(順方向および逆方向)と、SNVがその位置にある読み取りの数が提供された。その位置での読み取りの合計数が合計読み取りの最小数(20)を超えた場合、フィッシャーの直接確率検定を用いて、親細胞 vs. 耐性細胞における変異対立遺伝子頻度(MAF)の差異を比較した。最小読み取り数およびいずれかの方向でのフィッシャー検定有意なMAF差異(すなわち、薬物未処理または耐性の細胞のいずれかで高い)の基準を満たすSNVは、それらが遺伝子間、イントロン、5'もしくは3' UTR内、またはエクソン内にあるかどうかに関して、および後者の場合、それらが同義(サイレント)、非同義(NSV)であるか、または終止コドンの獲得もしくは喪失を伴うかどうかに関して、ANNOVAR (Wang et al., 2010)によってさらに特徴付けられた。全ての生データはSequence Read Archive (SRA), アクセッションID番号SUB4176298に寄託されている。
全ての点変異は、Phusion High Fidelity DNAポリメラーゼまたはQuikChange II部位特異的変異誘発キット(Agilent Technologies, Santa Clara, CA)を使い製造元のプロトコル(New England Biolabs, Ipswich, MA)を用いて誘導された。使用したプライマーは、次の通りであった:
細胞をタンパク質溶解緩衝液(0.25 M Tris-HCl, 2%ドデシル硫酸ナトリウム, 4% β-メルカプトエタノール, 10%グリセロール, 0.02%ブロモフェノールブルー)中1×106個/50μL (AML細胞の場合)または1×106個/100μL (HCT116細胞の場合)の密度で溶解させた。Oxphosカクテル抗体のタンパク質溶解物を室温で30分間、それ以外の場合、変性のために95℃で5分間インキュベートした(使用した抗体は以下に記載されている)。既報(Ishizawa et al., 2016)のようにイムノブロット分析を実施した。簡単に説明すると、等量のタンパク質溶解物を10~12% SDS-PAGEゲル(Bio-Rad)に負荷し、Odysseyイメージングシステム(LI-COR Biotechnology, Lincoln, NE)を用いて定量化した。使用した抗体: 総OXPHOSげっ歯類WB抗体カクテル、抗SDHA、抗SDHB、抗NDUFA12、抗ClpP、抗ATF4、抗eIF2α、抗ホスホeIF2α(S51)、抗ClpP、抗CQCRC2、抗CS、抗NDUFB8、抗β-アクチン、および抗GAPDH。
野生型およびY118A変異型ClpP配列をPCR増幅し、テトラサイクリンによって正に調節されるCMVプロモーター下でpcDNA5 FRT/TOプラスミド中に、変異体大腸菌ビオチン結合酵素BirA R118G (またはBirA*)とインフレームで融合させた。各コンストラクトについて、インフレームでの融合をサンガー配列決定によって確認した。次に、PolyJet (3μL) (SignaGen, Rockville, MD)を用いてプラスミドをT-REx 293細胞にトランスフェクトした。ハイグロマイシンB (200μg/mL)を用いて、テトラサイクリンにより調製されるBirA*タグ付きWTまたは構成的に活性な変異型ClpPタンパク質を発現する安定した細胞を選択した。BirA*エピトープタグのみ、または無関係のミトコンドリア酵素であるオルニチントランスカルバモイラーゼ(OTC)に融合されたBirA*を発現する細胞プールを陰性対照として用いた。
2 cmのプレカラム(Acclaim PepMap(商標) 100; 75μm ID; 3μm, 100 Å C18; ThermoFisher Scientific, Waltham, MA)および50 cmの分析用カラム(Acclaim(登録商標) PepMap RSLC, 75μm ID; 2μm, 100 Å C18; ThermoFisher Scientific, Waltham, MA)を使用し、Q-Exactive HF質量分析計(ThermoFisher Scientific, Waltham, MA)とインラインのEASY-nLC1000ポンプ(ThermoFisher Scientific, Waltham, MA)にて120分の逆相勾配(225 nL/分, 0.1% HCOOH中5~40%のCH3CN)を適用し、高性能液体クロマトグラフィーを行った。親イオンMSスキャンを60,000の分解能(200 m/zでFWHM)で実施し、続いてさらに高エネルギーの衝突誘起解離(HCD)断片化を用い最も強力なMSスキャンイオンの最大20のMS/MSスキャン(15,000 FWHM分解能、活性化のための最小イオン数1000)を実施した。
ClpP相互作用データをCytoscape 3.6.0にインポートし、以前に報告された物理的相互作用および機能データにしたがってタンパク質をグループ化した。
レンチウイルス野生型またはD190A変異型ClpP過剰発現ベクターは、Z138細胞からプライマーCLPP cDNA fwdおよびCLPP cDNA rev (下記)を用いることでcDNAを増幅し、それをInFusionクローニング(TaKaRa Bio USA, Mountain View, CA)によりプライマーInFusion CLPP fwdおよびInFusion CLPP rev (下記)を用いることでpCDH-EF1a-MCS-BGH-PGK-GFP-T2A-Puro (Systems Biosciences, Palo Alto, CA)のEcoR1部位とBamH1部位との間に挿入することによって作出された。次に、ペアプライマー(CLPP mut D190A fwdおよびCLPP mut D190A rev) (下記)を用いQuikChange II部位特異的変異誘発キット(Agilent Technologies, Santa Clara, CA)で野生型ベクターからCLPP D190Aを導出した。XL10-Goldの代わりに使用済みのStbl3細胞(ThermoFisher, Waltham, MA)を用いたことを除いて、製造元の方法に従った。的確なクローンをサンガー配列分析によって同定した。プラスミドを構築するために使用した全てのプライマーの配列を以下に示す:
Seahorse XF96分析装置(Seahorse Bioscience, North Billerica, MA)を用いて酸素消費量を測定した。細胞をその増殖培地中において漸増濃度のONC201または媒体対照(DMSO)により37℃で72時間処理し、2.0 g/Lグルコースおよび100 mMピルビン酸を補充したXFアッセイ培地中に再懸濁し、XF96プレート中に1×105個の細胞/ウェルで播種した。次に、細胞を無CO2インキュベーター内にて37℃で60分間、非緩衝培地に対して平衡化し、XF96分析装置に移し入れた。ミトコンドリア呼吸鎖の予備能を測定するために、細胞を2μMオリゴマイシンおよび0.25μMカルボニルシアニドp-トリフルオロメトキシフェニルヒドラゾン(FCCP)で連続して処理した。
呼吸鎖複合体の酵素活性を既述(Sriskanthadevan et al., 2015)のように測定した。複合体IのNADH依存性活性は、NADHをNAD +に酸化し、同時に提供された色素を還元した後に、全細胞溶解物において複合体I酵素活性マイクロプレートアッセイキット(Complex I Enzyme Activity Microplate Assay Kit)を用いて決定された。複合体II (コハク酸デヒドロゲナーゼ)活性は、複合体IIが触媒する50μMデシルユビキノン還元と組み合わせて、170μM 2,6-ジクロロインドフェノールのマロン酸感受性還元をモニタリングすることにより1 mg/mLウシ血清アルブミン、20μMロテノン、および2 mM KCNを含有する20 mMコハク酸ナトリウム補充100 mM HEPES, pH 7.4中2μgの単離ミトコンドリアにおいて測定された(Skrtic et al., 2011)。複合体IV活性は、125 mM KClを補充した25 mM Tris緩衝液, pH 7.0中1 mg/mLのドデシル-D-マルトシドで処理した単離ミトコンドリア3μgにおける2 mg/mLのフェロチトクロームcのKCN感受性酸化によって測定された。フェロチトクロームcは、0.5 M L-アスコルビン酸による40 mg/mLフェリチトクロームcの還元によって得られた(Skrtic et al., 2011)。
ミトコンドリアにおける活性酸素種レベルを測定するために、細胞をONC201 (0~2.5μM)により37℃で72時間処理し、MitoSox (Molecular Probes/Life Technologies, Eugene, OR)で染色し、加湿雰囲気中37℃および5% CO2で30分間暗所においてインキュベートした。次に、細胞を遠心分離して色素を除去し、アネキシンV-FITC (BioVision, Milpitas, CA)を含有する結合緩衝液中に再懸濁した。この段階に続いて、アネキシンV陰性細胞を同定し、Canto II 96ウェルサイトメーター(Fortessa system, Becton Dickinson, San Jose, CA)においてフローサイトメトリーにより分析した。陽性対照サンプルは、MitoSoxで染色する前に、50μMアンチマイシンA (Sigma-Aldrich)により37℃で5時間処理した。
統計分析は、両側スチューデントのt検定、一元配置分散分析、またはPrism (バージョン7.0; GraphPad Software)統計ソフトウェアプログラムによるマンホイットニー検定を用いて実施された。カプランマイヤー法を用いて生存曲線を作成し、ログランク検定を2群の比較のために用いた。0.05未満のP値は統計的に有意であると見なされた(*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001, ****P<0.0001)。別段の指示がない限り、値は、3回の独立した実験を実施することによって計算された平均±SDとして表されている。
ONC201と複合体を形成したヒトミトコンドリアClpPの構造は、アクセッション番号6DL7でRCSB - Protein Data Bank (PDB)に寄託された。
ClpPの活性化は細菌に対して細胞毒性があるため(Brotz-Oesterhelt et al., 2005; Conlon et al., 2013)、ヒトClpPにおいて点変異(Y118A)の改変によって構成的に活性なClpP変異体を作出することにより、ClpP活性化の抗がん効果を試験した。この部位は、黄色ブドウ球菌ClpPのY63A変異と相同であるために選択された(図8A)。黄色ブドウ球菌のY63A ClpP変異は、細菌酵素の入口孔を拡大し、プロテアーゼの過剰活性化を引き起こす(Ni et al., 2016)。組み換えY118A ClpPを精製し、その酵素活性を試験した。野生型(WT) ClpPと比較して、Y118A ClpPは、無細胞酵素アッセイでその蛍光タンパク質基質FITC-カゼインの切断の増加を示した(Leung et al., 2011) (図8B)。
ヒトClpPを活性化するためのより強力な薬理学的方法を見つけるために、新しい小分子ClpP活性化因子が同定された。したがって、臨床使用でまたは悪性および非悪性の適応症の臨床試験で承認された特許期間中(on-patent)および特許期限切れ(off-patent)の薬物に焦点を当てた747分子の社内ライブラリの化学スクリーニングを行った。このライブラリは、無細胞酵素アッセイを用いて、その蛍光タンパク質基質FITC-カゼインのClpPを介した切断を増加させる分子を特定するためにスクリーニングされた(Leung et al., 2011)。基本的な条件下では、ClpPはそのシャペロンClpXなしでは完全長タンパク質を切断することができなかった。しかしながら、イミプリドンONC201はプロテアーゼを活性化し、ClpXの非存在下でClpPを介したFITC-カゼインの切断を促進した(図2A)。ONC201 (図2B)は、インビトロおよびインビボで固形腫瘍および血液悪性腫瘍において前臨床効果を有する薬物である(Allen et al., 2016; Allen et al., 2013; Ishizawa et al., 2016; Kline et al., 2016; Tu et al., 2017)。この薬物は現在、さまざまな種類のがんの臨床試験において評価されている(Arrillaga-Romany et al., 2017; Kline et al., 2016; Stein et al., 2017)。そのより強力な誘導体であるONC212 (図2B)は、前臨床評価段階にある(Lev et al., 2017)。注目すべきことに、薬物に物理的に結合し、その細胞毒性にとって機能的に重要なイミプリドンの分子標的は同定されていない。
ONC201とClpPタンパク質との間の正確な分子相互作用を特定するために、ヒトClpPプロテアーゼをこの薬物と共結晶化し、タンパク質-薬物複合体の構造を2Åの分解能で決定した(PDB-ID: 6DL7)。電子密度マップにおいて7つのONC201分子を明確に視認できる。それらは、7つのサブユニットのそれぞれの間の疎水性ポケットを占有する(図3B、10D、およびS10E)。タンパク質残基とONC201活性化因子との間の直接相互作用は、広範な疎水性接触およびTyr-118のヒドロキシル基への水素結合(2.8Å)を伴う(図10D)。さらに、ONC201のオキソ基は、Gln-107の側鎖窒素およびLeu-104のカルボニル酸素と、水を介した水素結合を形成する(図10D)。この薬物のフェニル環はTyr-138とTyr-118の間に位置し、π-スタッキング相互作用に関与している。
上記の無細胞アッセイにおいてClpPを活性化するONC201およびONC212の能力を考慮して、それらが細胞内のClpPに結合できるかどうかを細胞サーマルシフトアッセイ(Cellular Thermal Shift Assay; CETSA)を用いて試験した。CETSAは、細胞内の標的タンパク質の融解温度(Tm)のリガンド誘導性変化を評価して、それらの標的に対するリガンドの結合親和性を決定する(Jafari et al., 2014)。ONC201およびONC212の両方とも、酵素アッセイにおけるプロテアーゼの活性化に関連する濃度で、OCI-AML2内の内因性ClpPに結合した(図3F (IおよびII)ならびに11A)。次に、OCI-AML2細胞において、ONC201で処理した細胞をPBSで洗浄し、CETSAの前に新鮮な培地中でそれらを再インキュベートすることにより、ONC201のClpPへの結合の可逆性を試験した(図3E (III))。ClpPの熱安定性は、媒体から薬物を除去した後に急速に低下し、これは結晶構造において観察された非共有結合と一致していた。
過剰活性化ClpPが白血病細胞およびリンパ腫細胞の増殖および生存性に及ぼす効果をさらに評価した。OCI-AML2、OCI-AML3、TEX白血病細胞、Z138リンパ腫細胞、ならびにHCT-116 (結腸)、HeLa (子宮頸部)、OC316 (卵巣)、およびSUM159 (乳房)細胞を、漸増濃度のONC201およびONC212で処理した。ONC201およびONC212の両方が、低マイクロモル範囲(ONC201)またはナノモル範囲(ONC212)のIC50値で試験細胞の増殖および生存性を低減した(図3Gおよび11B)。これらの化合物による細胞死およびアポトーシス誘導を、アネキシンV/PIアッセイを用いて確認した(図3Gおよび11C)。イミプリドンによる増殖および生存性の低減は、CETSAによるClpPに結合する能力、および酵素アッセイにおいて酵素を活性化する能力と一致していた。ClpP活性化の効果を、原発性AMLおよび正常な造血細胞でさらに評価した。ONC201およびONC212は、高リスクの細胞遺伝的および分子的変異を有するものを含めて、原発性AML患者サンプルにおいてアポトーシスを誘導した(図3Hおよび表3)。特に、TP53変異腫瘍におけるONC201の強い効力が最近になって報告されており(Ishizawa et al., 2016; Kline et al., 2016)、つまり臨床的な意義の可能性がある所見である。
原発性AMLサンプルにおけるClpP発現レベルがClpP活性化因子に対する応答を予測するかどうかを特定するために、11例の原発性AMLサンプルにおいて処置前ClpPレベルを測定し、ONC201処置に対するその応答を評価した。ONC201に対する感受性は、これらのサンプルにおける処置前ClpP発現と相関していた(r=-0.82, p=0.003) (図4Bおよび12C; 表4)。より高いClpP発現を有する原発性AML患者サンプルは、平均を1 SD下回っていた処置前ClpP値を有するサンプルと比較して、ClpP活性化因子に対する感受性が有意に高かった(p=0.0003)。したがって、ClpP活性化因子は、正常細胞よりも原発性AMLにおいて選択的に細胞死およびアポトーシスを誘導し、ClpP発現は、ONC201およびONC212を含むClpP活性化因子に応答する患者のバイオマーカーとして機能する。
ONC201およびONC212を介した細胞死に対するClpPの重要性をさらに評価し、ClpP活性化因子に対する耐性の潜在的な機構を同定するために、Z138細胞を漸増濃度のONC201で処理し、薬物に耐性のある細胞集団(ONC-R Z138)を選択した。ONC-R Z138細胞は、ONC212に対して交差耐性でもあったが(図13A)、アドリアマイシンおよびビンクリスチンに対して同様の感受性を保持していた(図13B)。これらの細胞のONC201およびONC212に対する耐性の機構を同定するために、RNA配列決定(RNA-seq)を実施し、偏りのない分析により、ONC-R Z138細胞集団において47%の対立遺伝子頻度を有するClpPにおけるD190A変異が同定された(図13C)。変異のヘテロ接合性を確認するために、耐性クローンを単離し、分析用に7つのクローンをランダムに選択した。7つのクローン全てがONC201およびONC212に対する耐性を保持し(図13D、13E)、全てのクローンでのゲノムDNAのサンガー配列決定によってCLPPにおけるヘテロ接合性変異(D190A)が検出された(図14A)。
次に、BioID (Roux et al., 2012)を用いて、化学的または遺伝的活性化後のClpPの相互作用パートナーを同定した。プロテアーゼを化学的に過剰活性化するために、FlagBirA-ClpP (WT)を発現するT-REx HEK293細胞を0.6μM ONC201で48時間処理した。遺伝的アプローチとして、FlagBirA-ClpP (Y118A)を発現させた。活性化されたClpPのインタラクトームを非刺激WT ClpPと比較した。BioIDアッセイにおいて非刺激WT ClpPと相互作用したが、ClpPが活性化されるとスペクトル数が減少したタンパク質は、過剰活性化されたClpPの潜在的な基質に当たると仮定された。
ONC212によるClpP活性化がインビボで抗腫瘍効果を誘導するかどうかを試験するために、WTまたはD190A ClpP過剰発現を有するZ138細胞を用いて異種移植マウスモデルを確立し、マウスをONC212の強制経口投与で処置した。Z138細胞をルシフェラーゼ標識し、全身腫瘍負荷の後にIVISイメージングでルシフェラーゼ活性を測定した。インビトロでの知見と一致して、腫瘍量は、WT ClpP群においてONC212処置により有意に低減されたが、D190A ClpP群においては識別可能な抗腫瘍活性がなかった(図7A、7B)。結果として得られた生存は、ONC212処置WT ClpP群において有意に延長されたが、D190A変異体群では延長されなかった(生存期間中央値: WT; 49 vs 55日, p=0.008、D190A変異体; 53 vs 54日, p=0.40) (図7C)。結果から、ONC212のインビボ効力がClpP依存性であることが示された。ONC201のインビボ抗腫瘍効果は、OCI-AML2細胞の異種移植モデルにおいても検証された。経口ONC201は、対照群と比較して、マウスの白血病負荷を有意に低減した(図7D)。まとめると、イミプリドンはリンパ腫およびAMLマウスモデルにおいてインビボで効果的である。白血病を引き起こす細胞(LIC)に及ぼすONC212の効果をさらに評価するために、二次移植(すなわち、LIC濃縮)マウスからの患者由来の異種移植AML細胞をONC212で処理し、次に細胞をレシピエントNSGマウスに注射した。マウスの生存は有意に延長され(生存期間中央値: 36 vs 82日, p<0.0001) (図7E)、ClpP活性化がLICの生着能力を阻害することを示唆している。再発性/難治性AMLを有する患者での進行中の臨床試験において、循環芽球の減少およびその後の血小板数の増加が、ONC201 (250 mg経口)の単回投与後に観察された(図17)。
テトラサイクリン誘導性システムを備えた構成的に活性なClpP変異体(Y118A)を、レンチウイルスによってOCI-AML3細胞およびZ138細胞にトランスフェクトした。細胞をテトラサイクリンで処理し、これによって72時間までにテトラサイクリン用量依存的にY118A ClpP変異体を誘導し、その後、表示された濃度のベネトクラクス(ABT-199)に曝露した(図18)。ClpPの遺伝的活性化は、ベネトクラクスに対する細胞の感受性を増強したが、これはONC201とベネトクラクスの併用処置における相乗効果と一致しており、併用療法における相乗的ながん細胞死滅化の誘導におけるClpP活性の重要性を示している。
登録された患者30名のうち患者11名から処置前の骨髄生検サンプルを採取し、ClpPを染色した。代表的な顕微鏡写真を図19に示す。患者番号21および番号22における芽球はClpP陽性であった; 核周囲染色はミトコンドリアの局在と一致していた。この知見は、ONC201処置中にこれらの患者で観察された臨床反応と一致している。その一方で、臨床応答を達成しなかった患者番号25からの芽球は、ClpP陰性であった。
Claims (59)
- ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤による処置のための、がんを有する患者を選択する方法であって、(a) 該がんにおけるClpPレベルを決定する段階、および(b) 該がんにおけるClpPレベルが参照レベルよりも高い場合に、該処置のための患者を選択する段階を含む、方法。
- 前記参照レベルが、健常な集団における平均ClpPレベルより1標準偏差低いレベルである、請求項1記載の方法。
- 有効量の、ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤を投与する段階をさらに含む、請求項1~2のいずれか一項記載の方法。
- 前記ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤が、ClpP活性化剤である、請求項3記載の方法。
- 前記ClpP活性化剤がイミプリドンである、請求項4記載の方法。
- 前記イミプリドンが、ONC201、ONC206、ONC212、またはONC213である、請求項5記載の方法。
- がんを有する患者を処置する方法であって、治療的有効量の、ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤を該患者に投与する段階を含み、該患者のがんが、参照レベルよりも高いClpPレベルを有する、方法。
- がんを有する患者を処置する方法であって、
(a) (i) 該がんから生物学的サンプルを取得するかまたは取得が完了していること; および
(ii) ClpPレベルを決定するために、該生物学的サンプルについてアッセイを実施するかまたは実施が完了していること
によって、該患者のがんが参照レベルよりも高いClpPレベルを有するかどうかを検出する段階;
(b) 該がんが参照レベルよりも高いClpPレベルを有する場合に、該処置のための患者を選択するかまたは選択が完了している段階; ならびに
(c) 該選択された患者に、治療的有効量の、ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤を投与するかまたは投与が完了している段階
を含む、方法。 - 前記参照レベルが、健常な集団における平均ClpPレベルより1標準偏差低いレベルである、請求項7または8記載の方法。
- 前記がんにおけるClpPレベルが、ウエスタンブロット、ELISA、イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、または質量分析によって決定される、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
- 前記患者に少なくとも第2の抗がん療法を施す段階をさらに含む、請求項3~10のいずれか一項記載の方法。
- 前記第2の抗がん療法が、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、毒素療法、免疫療法、またはサイトカイン療法である、請求項11記載の方法。
- 前記化学療法がベネトクラクスである、請求項12記載の方法。
- 前記免疫療法が、免疫チェックポイント阻害剤である、請求項12記載の方法。
- 前記ClpPレベルを報告する段階をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
- 前記報告する段階が、書面によるまたは電子的な報告書を作成することを含む、請求項15記載の方法。
- 対象、医師、病院、または保険会社に前記報告書を提供する段階をさらに含む、請求項16記載の方法。
- ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤による処置のための、がんを有する患者を選択する方法であって、(a) 該がんにおけるClpPタンパク質変異状態を決定する段階、および(b) 該がんがClpPタンパク質におけるD190A変異を有する場合に、該処置のための患者を選択する段階を含む、方法。
- 有効量の、ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤を投与する段階をさらに含む、請求項18記載の方法。
- 前記ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤が、ClpP活性化剤である、請求項19記載の方法。
- 前記ClpP活性化剤がイミプリドンである、請求項20記載の方法。
- 前記イミプリドンが、ONC201、ONC206、ONC212、またはONC213である、請求項21記載の方法。
- がんを有する患者を処置する方法であって、治療的有効量の、ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤を該患者に投与する段階を含み、該患者のがんが、ClpPタンパク質におけるD190A変異を有する、方法。
- がんを有する患者を処置する方法であって、
(a) (i) 該がんから生物学的サンプルを取得するかまたは取得が完了していること; および
(ii) 該患者のがんがClpPタンパク質におけるD190A変異を有するかどうかを検出するために、該生物学的サンプルについてアッセイを実施するかまたは実施が完了していること
によって、該患者のがんがClpPタンパク質におけるD190A変異を有するかどうかを検出する段階;
(b) 該がんがClpPタンパク質におけるD190A変異を有する場合に、該処置のための患者を選択するかまたは選択が完了している段階; ならびに
(c) 該選択された患者に、治療的有効量の、ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤を投与するかまたは投与が完了している段階
を含む、方法。 - 前記ClpPタンパク質におけるD190A変異が、ウエスタンブロット、ELISA、質量分析、または ClpPをコードする核酸の配列決定によって検出される、請求項18~24のいずれか一項記載の方法。
- 前記ウエスタンブロットまたはELISAが、D190A変異を有するClpPを特異的に検出する抗体を用いて実施される、請求項25記載の方法。
- 前記核酸が、ClpPをコードするmRNAである、請求項25記載の方法。
- 前記核酸が、ClpPをコードするゲノムDNAである、請求項25記載の方法。
- 前記ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤が、 ClpP活性化剤である、請求項19~28のいずれか一項記載の方法。
- 前記ClpP活性化剤がイミプリドンである、請求項29記載の方法。
- 前記イミプリドンが、ONC201、ONC206、ONC212、またはONC213である、請求項30記載の方法。
- 前記患者に少なくとも第2の抗がん療法を施す段階をさらに含む、請求項19~31のいずれか一項記載の方法。
- 前記第2の抗がん療法が、外科療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、毒素療法、免疫療法、またはサイトカイン療法である、請求項32記載の方法。
- 前記化学療法がベネトクラクスである、請求項33記載の方法。
- 前記免疫療法が、免疫チェックポイント阻害剤である、請求項33記載の方法。
- 前記ClpP D190A変異状態を報告する段階をさらに含む、請求項18~35のいずれか一項記載の方法。
- 前記報告する段階が、書面によるまたは電子的な報告書を作成することを含む、請求項36記載の方法。
- 対象、医師、病院、または保険会社に前記報告書を提供する段階をさらに含む、請求項37記載の方法。
- 前記患者が寛解状態にあり、前記方法が再発を予防する、請求項1~38のいずれか一項記載の方法。
- 化学療法抵抗性細胞を排除する、請求項1~39のいずれか一項記載の方法。
- 前記がんがAMLである、請求項1~40のいずれか一項記載の方法。
- 前記患者が、少なくとも1ラウンドの抗がん療法を以前に受けている、請求項1~41のいずれか一項記載の方法。
- 前記患者がヒトである、請求項1~42のいずれか一項記載の方法。
- 細菌細胞を死滅させる方法であって、該細菌細胞を致死量のイミプリドンと接触させる段階を含む、方法。
- 前記細菌がグラム陽性細菌である、請求項44記載の方法。
- 前記細菌が、ブドウ球菌(Staphylococcus)属、連鎖球菌(Streptococcus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、クロストリジウム(Clostridium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、およびペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)属からなる群より選択される、請求項44記載の方法。
- 前記細菌がブドウ球菌属である、請求項46記載の方法。
- それを必要とする対象における細菌感染症を処置する方法であって、治療的有効量のイミプリドンを該対象に投与する段階を含む、方法。
- 前記細菌が抗生物質耐性である、請求項48記載の方法。
- 前記細菌がグラム陽性細菌である、請求項48または49記載の方法。
- 前記細菌が、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、エンテロコッカス属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、およびペプトストレプトコッカス属からなる群より選択される、請求項48または49記載の方法。
- 前記細菌がブドウ球菌属である、請求項51記載の方法。
- ペロー(Perrault)症候群を有する患者を処置する方法であって、治療的有効量の、ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤を、選択された患者に投与するかまたは投与が完了している段階を含む、方法。
- 前記ミトコンドリアタンパク質分解を活性化する薬剤が、ClpP活性化剤である、請求項53記載の方法。
- 前記ClpP活性化剤がイミプリドンである、請求項54記載の方法。
- 前記イミプリドンが、ONC201、ONC206、ONC212、ONC213である、請求項55記載の方法。
- 前記患者が、CLPPまたはHSD17B4において変異を有する、請求項52~56のいずれか一項記載の方法。
- 前記患者の聴力を改善するか、該患者のさらなる難聴を予防するか、または該患者における難聴の発生を予防する、請求項52~57のいずれか一項記載の方法。
- 前記患者が女性であり、前記方法が、該患者における卵巣機能を改善するか、該患者におけるさらなる卵巣形成不全を予防するか、または該患者における卵巣形成不全の発生を予防する、請求項52~58のいずれか一項記載の方法。
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