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JP2023051786A - 表示装置用積層体および表示装置 - Google Patents

表示装置用積層体および表示装置 Download PDF

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JP2023051786A
JP2023051786A JP2022146208A JP2022146208A JP2023051786A JP 2023051786 A JP2023051786 A JP 2023051786A JP 2022146208 A JP2022146208 A JP 2022146208A JP 2022146208 A JP2022146208 A JP 2022146208A JP 2023051786 A JP2023051786 A JP 2023051786A
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JP
Japan
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layer
inorganic compound
laminate
display device
fluorine
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Application number
JP2022146208A
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English (en)
Inventor
純 佐藤
Jun Sato
研一 小野寺
Kenichi Onodera
和也 本田
Kazuya Honda
紗緒里 川口
Saori Kawaguchi
佳奈 堀井
Kana Horii
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Priority to CN202280064705.2A priority patent/CN117980785A/zh
Priority to TW111137042A priority patent/TW202331485A/zh
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Abstract

Figure 2023051786000001
【課題】
本開示は、低反射性を有し、かつ、優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有する表示装置用積層体を提供することを主目的とする。
【解決手段】
本開示は、フッ素含有層と、第1の無機化合物層と、第2の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、上記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下であり、上記第2の無機化合物層は、高屈折率材料である第2の無機化合物を有し、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満であり、上記表示装置用積層体の上記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体を提供する。
【選択図】図1

Description

本開示は、表示装置用積層体および表示装置に関する。
一般に、表示を目的とするディスプレイ等の表示装置は、太陽光及び蛍光灯等の外光の表示画面への写り込みを防止したり、文字や画像の視認性改善のため、表面の低反射率化が求められている。また、表示装置には、傷が付きにくいように耐摩耗性が求められる。
特許文献1には、樹脂フィルムと、ハードコート層と、無機酸化物層とを少なくとも有する反射防止積層体であって、積層体の鉛筆硬度が4H以上で剛性が8.0N・mm以上でヌープ硬度が150~300mN/mmである反射防止積層体が開示されており、ディスプレイ表面に貼合することで、ディスプレイ表面の映り込みを効果的に抑えながら充分な耐擦傷性を付与することができることが記載されている。
最近では、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブル表示装置が注目されており、フレキシブル表示装置の表面に配置される積層体の開発が盛んに進められている。
WO2018-179757号公報
上述したように、表示装置の表面に配置される積層体には、高い耐摩耗性が求められる。しかし、積層体の硬度を高くすると傷は付きにくくなるが、曲げに対して脆くなり、積層体の製造時や搬送時に、割れ(クラック)が生じる場合がある。特に、フレキシブル表示装置には、繰り返し屈曲させても表示不良が発生しないことが求められ、フレキシブル表示装置の表面に配置される積層体には、繰り返し屈曲させたときにクラックや剥がれが生じない屈曲耐性が求められる。一方、表示装置用の積層体を低硬度化すると、耐摩耗性が悪化する場合がある。
このように、表示装置用の積層体には、低反射性を維持した状態で、屈曲耐性と耐摩耗性を両立することができないという問題がある。
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、低反射性を有し、かつ、優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有する表示装置用積層体を提供することを主目的とする。
本開示の一実施形態は、フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、第2の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、上記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下であり、上記第2の無機化合物層は、高屈折率材料である第2の無機化合物を有し、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満であり、上記表示装置用積層体の上記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体を提供する。
本開示の一実施形態は、フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、第2の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、上記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、フッ素原子の含有比率が6.5原子%以下であり、上記第2の無機化合物層は、高屈折率材料である第2の無機化合物を有し、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満であり、上記表示装置用積層体の上記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体を提供する。
本開示の一実施形態は、フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、上記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下であり、上記第1の無機化合物層と上記基材層との間に、高屈折率を有する無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された高屈折率分散層を有し、上記高屈折率分散層の相対膜密度D4が0.10以上0.70以下であり、上記表示装置用積層体の上記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体を提供する。
本開示の他の実施形態は、表示パネルと、上記表示パネルの観察者側に配置された、上述の表示装置用積層体と、を備える、表示装置を提供する。
本開示は、低反射性を有し、かつ、優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有する表示装置用積層体を提供することができる。
本開示における第1実施形態および第2実施形態の表示装置用積層体の一例を示す概略断面図である。 本開示における第1実施形態および第2実施形態の表示装置用積層体の他の一例を示す概略断面図である。 本開示における第1実施形態および第2実施形態の表示装置用積層体の他の一例を示す概略断面図である。 第1の無機化合物層のフッ素原子の含有比率の違いを説明する第1の無機化合物層およびフッ素含有層の断面模式図である。 本開示における第3実施形態の表示装置用積層体の一例を示す概略断面図である。 本開示の表示装置の一例を示す概略断面図である。 動的屈曲試験の方法を説明するための図である。
下記に、図面等を参照しながら本開示の実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」、あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の面に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」または「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上、あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方、あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
本発明者らは、表示装置の表面に配置される積層体において、低反射性を発現する無機化合物層の屈曲耐性が低い場合があることを知見した。そこで、無機化合物層の応力変化に対する耐性について検討を重ねたところ、無機化合物層の相対膜密度をパラメータとして用いることで、材料毎に、応力変化に対する耐性をどの程度有するかを判断することが可能であることを知見した。具体的には、無機化合物層の膜密度の実測値が文献値に近い(すなわち、相対膜密度が約1である)場合には、材料の違いによる屈曲耐性の差はほぼ無いことを知見した。さらに、膜密度の文献値が高い材料であっても、膜密度が文献値に対して低い場合(すなわち、相対膜密度が低い)には、無機化合物層の屈曲耐性が向上することを知見した。
このように相対膜密度が低い場合に、無機化合物層の屈曲耐性が向上するのは、相対膜密度が低い場合は、各元素の周囲にある程度の空隙が存在し、屈曲された際に各元素の移動の自由度が上がることが原因であることが推定される。
そこで、本発明者らは、表示装置の表面に配置される積層体について、低反射性を維持しながら、屈曲耐性と耐摩耗性を向上させるために検討を重ねたところ、以下の第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態の表示装置用積層体の構成であれば、屈曲耐性と耐摩耗性を向上させることができることを見出した。
A.表示装置用積層体
I.第1実施形態
本発明者らは、表示装置の表面に配置される積層体について、低反射性を維持しながら、屈曲耐性と耐摩耗性を向上させるために検討を重ねたところ、積層体の低反射率化を実現する低屈折率層と高屈折率層に、それぞれ所定の相対膜密度を有する無機化合物層を用い、さらに、表示装置用積層体の一方の面にフッ素原子を含有するフッ素含有層を配置することにより、屈曲耐性と耐摩耗性を向上させることができることを見出した。
具体的には、表示装置用積層体の一方の面に上記フッ素含有層を配置し、かつ、上記フッ素含有層側の無機化合物層である第1の無機化合物層(低屈折率層)の相対膜密度を所定の範囲とすることで、耐摩耗性が得られることを見出した。さらに、第2の無機化合物層(高屈折率層)の相対膜密度を所定の低い範囲とすることで、応力変化に対する耐性が強く、屈曲耐性が良好な表示装置用積層体となることを見出し、本発明を完成させた。以下、本実施形態の表示装置用積層体について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態における表示装置用積層体の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の表示装置用積層体1aは、フッ素含有層2と、第1の無機化合物層3と、第2の無機化合物層4と、基材層5と、をこの順に有する。本実施形態において、第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を含み、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下である。さらに、第2の無機化合物層は、第1の無機化合物よりも屈折率が高い第2の無機化合物を含み、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満である。さらに、本実施形態における表示装置用積層体1aは、フッ素含有層2側の面1Aに入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である。
本実施形態における表示装置用積層体は、一方の表面にフッ素含有層を有し、さらに、第1の無機化合物層の相対膜密度D1が所定の範囲であることにより、優れた耐摩耗性を有するものとなる。さらに、第2の無機化合物層の相対膜密度D2が所定の低い範囲であることにより、優れた屈曲耐性を有するものとなる。また、本実施形態における表示装置用積層体は、低屈折率層である第1の無機化合物層と高屈折率層である第2の無機化合物層を含むことにより、所定の視感反射率を有するものとなる。
従って、低反射性を有し、かつ、優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有する表示装置用積層体となる。以下、本実施形態の表示装置用積層体における各構成について、詳細に説明する。
1.第1の無機化合物層
(1)第1の無機化合物
第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物から構成される。本明細書において、無機化合物層とは、無機化合物を主体とする層であり、バインダー樹脂に無機化合物粒子が分散された層等とは区別される。第1の無機化合物層を構成する第1の無機化合物としては、第2の無機化合物層を構成する第2の無機化合物よりも屈折率が低い無機化合物であれば特に限定されないが、好ましくは、ケイ素酸化物、ガリウム酸化物等の無機酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等が挙げられる。本実施形態においては、中でも、ケイ素酸化物が屈折率や汎用性の観点から好ましい。
なお、無機酸化物の平均組成は、例えば、MOx(ただし、式中、Mは金属元素を表し、xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。例えばケイ素酸化物の平均組成はSiOxで表され、式中、xは、0<x≦2をとることができ、1≦x≦2が好ましく、より好ましくは、SiOとなる。本実施形態においては、無機酸化物の平均組成は、上述したように化学量論的に最適なものに限定されるものではない。
本実施形態において、第1の無機化合物層は、蒸着膜であることが好ましい。特に、ケイ素酸化物(シリカ)蒸着膜であることが好ましい。
また、第1の無機化合物層中に含まれる無機化合物は1種類が好ましいが、複数種類の無機化合物が含まれていてもよい。
なお、このように複数種類の無機化合物が含まれる場合においては、後述する膜密度(文献値)としては、複数種類の無機化合物の含有比率に応じて計算された膜密度が採用される。
(2)屈折率
第1の無機化合物層の屈折率は、1.60以下であることが好ましく、1.50以下であることがより好ましい。一方、例えば、1.30以上であり、1.40以上であってもよい。
なお、本明細書において、各層の屈折率とは、波長550nmの光に対する屈折率をいう。屈折率の測定方法は、エリプソメーターを用いて測定する方法を挙げることができる。エリプソメーターとしては、例えばジョバンーイーボン社製「UVSEL」やテクノ・シナジー社製「DF1030R」等が挙げられる。
(3)相対膜密度D1
本実施形態においては、低屈折率層である第1の無機化合物層の相対膜密度D1は、0.70以上1.20以下である。第1の無機化合物層の相対膜密度D1は、好ましくは0.75以上であり、更に好ましくは0.80以上である。一方、好ましくは1.17以下であり、更に好ましくは1.15以下である。相対膜密度D1が高すぎると、屈曲耐性に劣り、第1の無機化合物層にクラックが発生する場合がある。相対膜密度D1が低すぎると、耐摩耗性に劣る場合がある。
本明細書において、無機化合物層の相対膜密度は、以下の式により算出される。
相対膜密度=膜密度(実測値)/膜密度(文献値)
膜密度の実測値は、下記測定装置および下記測定条件にてラザフォード後方散乱分析(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)により測定した面密度、および透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した膜厚から求めることができる。ラザフォード後方散乱分析は、ヘリウム(He)等の軽元素イオンを高いエネルギーで試料に照射した際、後方に散乱される軽元素イオンのエネルギー値を検出することで、試料中に含まれる元素の種類や存在量を測定する方法である。
RBS分析から得られた面密度(atoms/cm)と透過型電子顕微鏡(TEM)等により測定した膜厚(cm)から、原子数密度(atoms/cm)を算出し、RBSで決定した組成情報に基づいて換算することで、無機化合物層の密度(g/cm)を算出する。
・測定装置:高分解能RBS分析装置(Pelletron 3SDH(National Electrostatics Corporation製))
・測定条件
入射エネルギー: 2300keV
入射イオン: He++
入射角: 測定面の法線から75°
検出イオン: 散乱He
散乱角: 160°
無機化合物層の膜密度(文献値)は、理論膜密度であり、代表的な無機化合物層の膜密度の値としては、以下の通りである。
・SiO(2.2g/cm
・ZrO(5.9g/cm
・Nb(4.6g/cm
・Al(4.0g/cm
・TiO(4.3g/cm
・ZnO(5.5g/cm
・SnO(6.9g/cm
その他の無機化合物層の膜密度(文献値)は、フィラーデータ活用ブック(著者:相馬勲)等の文献やChemicalBook等のリソースプラットフォームに記載の値を採用することができる。
なお、実際の無機化合物層の組成が、例えばSiOx(0<x<2)の場合であっても、文献値としては、xが2の化学量論組成であるSiOの膜密度(文献値)を採用する。
第1の無機化合物層の相対膜密度を上述の範囲に調整する方法としては、例えば、第1の無機化合物層の成膜速度を調整する方法が挙げられる。成膜速度を上げることにより、相対膜密度を下げることができる。また、第1の無機化合物層の組成を変更する方法も挙げられる。
第1の無機化合物層は、フッ素含有層に由来するフッ素原子を含有していてもよい。一方、第1の無機化合物層のフッ素原子の含有比率は低い方が好ましい。フッ素原子の含有比率が低いことで、第2実施形態で詳述する理由により、第1の無機化合物層の軟化を抑制することができ、耐摩耗性が向上するためである。第1の無機化合物層におけるフッ素原子の含有比率は、後述する第2実施形態に記載の値と同様の値とすることができる。
(4)厚み
第1の無機化合物層の厚みとしては、特に限定されないが、30nm以上、200nm以下であることが好ましく、50nm以上、150nm以下であることがより好ましい。
ここで、本明細書において、各層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察される表示装置用積層体の厚さ方向の断面から測定して得られた任意の10箇所の厚さの平均値とすることができる。
(5)形成方法
第1の無機化合物層は、例えば、低屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)等により形成することができる。これらの中でも、生産性(蒸着速度)の観点から真空蒸着法が好ましい。
第1の無機化合物層は、フッ素含有層と直接接していることが好ましい。また、第1の無機化合物層は、第2の無機化合物層と直接接していることが好ましい。
2.第2の無機化合物層
(1)第2の無機化合物
第2の無機化合物層は、第1の無機化合物よりも高屈折率材料である第2の無機化合物から構成される。第2の無機化合物層を構成する第2の無機化合物としては、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、セリウム酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、マグネシウム酸化物、イットリウム酸化物、ニオブ酸化物等の無機酸化物、フッ化ランタン、フッ化セリウム等が挙げられる。
アルミニウム酸化物の平均組成はAlOxで表され、式中、xは、0<x≦1.5をとることができ、好ましくは、Alである。ジルコニウム酸化物の平均組成はZrOxで表され、式中、xは、0<x≦2をとることができ、好ましくは、ZrOである。ニオブ酸化物の平均組成はNbOxで表され、式中、xは、0<x≦2.5をとることができ、好ましくは、Nbである。
第2の無機化合物層は、蒸着膜であることが好ましい。特に、アルミニウム酸化物(アルミナ)蒸着膜、ジルコニウム酸化物蒸着膜、チタン酸化物蒸着膜、亜鉛酸化物蒸着膜、スズ酸化物蒸着膜、およびニオブ酸化物蒸着膜のいずれかであることが好ましい。
また、第2の無機化合物層中に含まれる無機化合物は1種類が好ましいが、複数種類の無機化合物が含まれていてもよい。
(2)屈折率
第2の無機化合物層の屈折率は、1.60以上であることが好ましく、1.80以上であることがより好ましい。一方、例えば3.00以下であり、2.50以下であってもよい。
(3)相対膜密度D2
高屈折率層である第2の無機化合物層の相対膜密度D2は、0.50以上1.00未満である。本実施形態における相対膜密度D2は、好ましくは、0.60以上であり、更に好ましくは0.70以上である。一方、好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下である。
相対膜密度D2が高すぎると、屈曲耐性に劣り、第2の無機化合物層にクラックが発生する場合がある。相対膜密度D2が低すぎると、屈曲後に第2の無機化合物層に剥がれが発生する場合があり、視認性が悪化する場合がある。これは、第2の無機化合物層の密着性が不充分で屈曲時にかかる応力に耐えられなくなるためである。
第2の無機化合物層の相対膜密度を上述の範囲に調整する方法としては、例えば、第2の無機化合物層の成膜速度を調整する方法が挙げられる。成膜速度を上げることにより、相対膜密度を下げることができる。また、第2の無機化合物層の組成を変更する方法も挙げられる。この場合、無機化合物層中の無機化合物の元素比(無機化合物層中の無機酸化物の元素比)を、化学量論的に最適な比率からずらすことにより、相対膜密度を下げることができる。
(4)厚み
第2の無機化合物層の厚みとしては、特に限定されないが、10nm以上、200nm以下であることが好ましく、20nm以上、170nm以下であることがより好ましい。
(5)形成方法
第2の無機化合物層は、例えば、高屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)等により形成することができる。これらの中でも、生産性(蒸着速度)の観点から真空蒸着法が好ましい。
第2の無機化合物層は、第1の無機化合物層と直接接していることが好ましい。また、第2の無機化合物層は、後述する基材層、ハードコート層および、介在層、第3の無機化合物層のいずれかと直接接していることが好ましい。
3.フッ素含有層
本実施形態におけるフッ素含有層は、第1の無機化合物層の第2の無機化合物層側の面とは反対の面側に配置され、中でも、表示装置用積層体において、フッ素含有層が最表面に配置されていることが好ましい。フッ素含有層は、フッ素原子を含有するものであればよく、フッ素原子を含有することにより、表示装置用積層体に耐摩耗性を付与することができる。具体的には、表示装置用積層体のフッ素含有層側の表面の動摩擦係数を所定の範囲とすることができる。本実施形態における表示装置用積層体のフッ素含有層側の表面の動摩擦係数は、0.01以上0.30以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.03以上0.20以下である。動摩擦係数が上記値以下であれば、表面の滑り性が向上し、耐摩耗性がより優れるものとなる。
動摩擦係数はJIS K7125:1999(摩擦係数試験方法)に準拠した方法により測定することができる。動摩擦係数の測定方法は、例えば、荷重変動型摩擦摩耗試験システム(新東科学(株)社製 HEIDON Type HHS2000)を用いて、2cm×2cmのカシミアフェルトを用い、荷重200g、速度5mm/secの条件で測定することができる。動摩擦係数の値は、表示装置用積層体のフッ素含有層側の表面において、異なる位置で5点測定し、当該測定値の平均値とする。
なお、本実施形態において、フッ素含有層の厚さは、比較的薄いことから、薄膜干渉には影響しないものと推量される。フッ素含有層の厚さは、例えば、1nm以上30nm以下であることが好ましく、2nm以上20nm以下であることがより好ましく、3nm以上10nm以下であることがさらに好ましい。
フッ素含有層としては、フッ素原子を含有するものであれば特に限定されない。フッ素含有層は、例えば、フッ素化合物を含有していてもよく、フッ素化合物および樹脂を含有していてもよく、フッ素樹脂を含有していてもよい。フッ素化合物としては、例えば、フッ素系防汚剤、フッ素系レベリング剤、フッ素系界面活性剤等として知られているものを用いることができる。フッ素化合物としては、例えば、有機フッ素化合物を挙げることができ、具体的には、パーフルオロ化合物が挙げられる。パーフルオロ化合物としては、例えば、パーフルオロポリエーテル基、パーフルオロアルキレン基、パーフルオロアルキル基等を有するパーフルオロ化合物が挙げられる。パーフルオロアルキレン基およびパーフルオロアルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。フッ素化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、フッ素化合物は、樹脂成分と結合していることが好ましい。フッ素化合物が樹脂成分と結合していることにより、フッ素化合物のブリードアウトを抑制することができ、耐摩耗性や防汚性を長期に渡って持続することができる。
フッ素化合物としては、樹脂成分と結合していることが好ましいことから、反応性官能基を有するフッ素化合物が好ましく用いられる。すなわち、フッ素含有層は、反応性官能基を有するフッ素化合物と後述の重合性化合物とを含む樹脂組成物の硬化物を含有することが好ましい。反応性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基や、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
フッ素化合物が有する反応性官能基の数は、1以上であればよく、好ましくは2以上である。2以上の反応性官能基を有するフッ素化合物を用いることにより、耐摩耗性を高めることができる。
また、フッ素化合物は、ケイ素を含んでいてもよい。すなわち、フッ素含有層は、フッ素およびケイ素を含有していてもよい。ケイ素を含むフッ素化合物としては、例えば、分子内にシロキサン結合を有するフッ素化合物を挙げることができる。シロキサン結合を有するフッ素化合物を用いることにより、滑り性を向上させることができ、耐摩耗性を高めることができる。
フッ素化合物は、例えば、反応性官能基を有するフッ素化合物や、反応性官能基およびケイ素を含むフッ素化合物であることが好ましい。
反応性官能基を有するフッ素化合物としては、例えば、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマー、主鎖にフルオロアルキレン基を有するフッ素含有ポリマーもしくはオリゴマー、主鎖および側鎖にフルオロアルキレン基もしくはフルオロアルキル基を有するフッ素含有ポリマーもしくはオリゴマー等が挙げられる。反応性官能基を有するフッ素化合物については、例えば、特開2017-19247号公報を参照することができる。
反応性官能基およびケイ素を含むフッ素化合物としては、例えば、上記の反応性官能基を有するフッ素化合物に、反応性官能基を分子中に有する有機シリコーンを反応させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。
また、反応性官能基およびケイ素を含むフッ素化合物としては、例えば、反応官能基およびパーフルオロポリエーテル基を有するフッ素化合物、中でも反応性官能基を有するシラン単位、およびパーフルオロポリエーテル基を有するシラン単位を含むフッ素化合物も好ましく用いられる。このようなフッ素化合物については、例えば、国際公開第2012/157682号を参照することができる。
本実施形態においては、上記フッ素含有層は、フッ素化合物および樹脂を含有する層であってもよい。フッ素含有層がフッ素化合物および樹脂を含有する場合、樹脂としては、例えば、重合性化合物の硬化物が挙げられる。重合性化合物の硬化物は、重合性化合物を、必要に応じて重合開始剤を用い、公知の方法で重合反応させることにより得ることができる。重合性化合物は、分子内に重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の少なくとも1種を用いることができる。
また、フッ素含有層がフッ素樹脂を含有する場合、フッ素樹脂としては、例えば、フッ素を含有する重合性化合物の硬化物が挙げられる。フッ素を含有する重合性化合物の硬化物は、フッ素を含有する重合性化合物を、必要に応じて重合開始剤を用い、公知の方法で重合反応させることにより得ることができる。
フッ素を含有する重合性化合物は、分子内に重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。フッ素を含有する重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の少なくとも1種を用いることができる。また、フッ素を含有する重合性化合物としては、例えば、フッ素含有モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれも用いることができる。
フッ素含有層は、必要に応じて、例えば無機粒子、有機粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、防眩剤、レベリング剤、界面活性剤、易滑剤、各種増感剤、難燃剤、接着付与剤、重合禁止剤、表面改質剤等の添加剤を含有することができる。
本実施形態において、フッ素含有層は、単層であってもよく、多層であってもよい。
また、フッ素含有層の形成方法としては、材料に応じ適宜選択され、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、上記第1の無機化合物層上にフッ素含有層用組成物を塗布し、硬化させる方法等が挙げられる。
フッ素含有層は、第1の無機化合物層と直接接していることが好ましい。
4.基材層
本実施形態における基材層は、第2の無機化合物層、第1の無機化合物層およびフッ素含有層を支持する部材である。基材層としては、透明性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、樹脂基材、ガラス基材等が挙げられる。
(1)樹脂基材
樹脂基材を構成する樹脂としては、透明性を有する樹脂基材を得ることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。ポリイミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
(2)ガラス基材
ガラス基材を構成するガラスとしては、透明性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ケイ酸塩ガラス、シリカガラス等が挙げられる。中でも、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスが好ましく、無アルカリガラスがより好ましい。ガラス基材の市販品としては、例えば、日本電気硝子社の超薄板ガラスG-Leafや、松浪硝子工業社の極薄膜ガラス等が挙げられる。
また、ガラス基材を構成するガラスは、化学強化ガラスであることも好ましい。化学強化ガラスは機械的強度に優れており、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代える等、イオン種を一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスであり、表面に圧縮応力層を有する。
化学強化ガラス基材を構成するガラスとしては、例えば、アルミノケイ酸塩ガラス、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
化学強化ガラス基材の市販品としては、例えば、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)、AGC社のDragontrail(ドラゴントレイル)、ショット社の化学強化ガラス等が挙げられる。
(3)基材層の構成
基材層の厚さとしては、柔軟性を有することが可能な厚さであれば特に限定されるものではなく、基材層の種類等に応じて適宜選択される。
樹脂基材の厚さは、例えば、10μm以上、100μm以下であることが好ましく、25μm以上、80μm以下であることがより好ましい。樹脂基材の厚さが上記範囲内であることにより、良好な柔軟性を得ることができるともに、十分な硬度を得ることができる。また、表示装置用積層体のカールを抑制することもできる。さらに、表示装置用積層体の軽量化の面で好ましい。
ガラス基材の厚さは、例えば、200μm以下であることが好ましく、15μm以上、100μm以下であることがより好ましく、20μm以上、90μm以下であることがさらに好ましく、25μm以上、80μm以下であることが特に好ましい。ガラス基材の厚さが上記範囲内であることにより、良好な柔軟性を得ることができるともに、十分な硬度
を得ることができる。また、表示装置用積層体のカールを抑制することもできる。さらに、表示装置用積層体の軽量化の面で好ましい。
5.表示装置用積層体
(1)視感反射率
本実施形態における表示装置用積層体は、フッ素含有層側から、フッ素含有層の表面に対して垂直に入射する光の入射角を0°として、入射角5°で光を入射させた際に、この入射光の正反射光の視感反射率が2.0%以下である。好ましくは1.7%以下であり、更に好ましくは1.5%以下である。視感反射率が高すぎると、表示領域に観察者自身が映り込むのを抑制することができない。
ここで、視感反射率は、JIS Z8722:2009に準拠して求めることができる。視感反射率は、表示装置用積層体のフッ素含有層側の面に、380nm以上780nm以下の波長範囲の光を入射させて得られた反射スペクトルから、標準の光Cでの2度視野において、XYZ表色系における三刺激値X、Y、Zを求め、そのYの値が視感反射率となる。すなわち、視感反射率は、CIE1931標準表色系のY値のことをいう。視感反射率の測定においては、下記の条件とすることができる。
(測定条件)
・視野:2°
・イルミナント:C
・光源:タングステンハロゲンランプ
・測定波長:380nm以上780nm以下の範囲を0.5nm間隔
・スキャン速度:高速
・スリット幅:5.0nm
・S/R切替:標準
・オートゼロ:ベースラインのスキャン後550nmにて実施
なお、表示装置用積層体の視感反射率の測定に際しては、裏面反射を防止するために、測定スポット面積よりも大きな幅の黒色ビニールテープ(例えば、製品名「ヤマトビニールテープNO200-19-21」、ヤマト社製、19mm幅)を表示装置用積層体の基材層側の面に貼り付けてから測定するものとする。視感反射率の測定装置としては、例えば分光光度計を用いることができ、具体的には島津製作所社製の分光光度計「UV-2600」を用いることができる。
(2)動的屈曲耐性
本実施形態における表示装置用積層体は、屈曲耐性を有する。具体的には、表示装置用積層体に対して、下記に説明する動的屈曲試験を行った場合に、表示装置用積層体に割れ、または破断が生じないことが好ましい。
動的屈曲試験は、以下のようにして行われる。まず、20mm×100mmの大きさの表示装置用積層体を準備する。そして、動的屈曲試験においては、図7(a)に示すように、表示装置用積層体1の短辺部1Cと、短辺部1Cと対向する短辺部1Dとを、平行に配置された固定部51でそれぞれ固定する。また、図7(a)に示すように、固定部51は水平方向にスライド移動可能になっている。次に、図7(b)に示すように、固定部51を互いに近接するように移動させることで、表示装置用積層体1を折りたたむように変形させ、更に、図7(c)に示すように、表示装置用積層体1の固定部51で固定された対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dが所定の値となる位置まで固定部51を移動させた後、固定部51を逆方向に移動させて表示装置用積層体1の変形を解消させる。図7(a)~(c)に示すように固定部51を移動させることで、表示装置用積層体1を180°折りたたむことができる。また、表示装置用積層体1の屈曲部1Eが固定部51の下端からはみ出さないように動的屈曲試験を行い、かつ固定部51が最接近したときの間隔を制御することで、表示装置用積層体1の対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dを所定の値にできる。例えば、短辺部1C、1Dの間隔dが10mmである場合、屈曲部1Eの外径を10mmとみなす。
本実施形態における表示装置用積層体においては、表示装置用積層体1の対向する短辺部1C、1Dの間隔dが10mmとなるように180°折りたたむ動的屈曲試験を、20万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましく、50万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことがより好ましい。中でも、表示装置用積層体の対向する短辺部1C、1Dの間隔dが6mmとなるように180°折りたたむ動的屈曲試験を20万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましい。動的屈曲試験では、フッ素含有層が外側となるように表示装置用積層体を折りたたんでもよく、あるいは、フッ素含有層が内側となるように表示装置用積層体を折りたたんでもよいが、いずれの場合であっても、表示装置用積層体に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
(3)全光線透過率およびヘイズ
本実施形態における表示装置用積層体は、全光線透過率が、例えば85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。このように全光線透過率が高いことにより、透明性が良好な表示装置用積層体とすることができる。
ここで、表示装置用積層体の全光線透過率は、JIS K7361-1:1999に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
本実施形態における表示装置用積層体のヘイズは、例えば5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。このようにヘイズが低いことにより、透明性が良好な表示装置用積層体とすることができる。
ここで、表示装置用積層体のヘイズは、JIS K-7136:2000に準拠して測定することができ、例えば村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM150により測定することができる。
6.その他構成
図2は、本実施形態における表示装置用積層体の別の一例を示す概略断面図である。図2に示すように、本実施形態の表示装置用積層体1aは、フッ素含有層2と、第1の無機化合物層3と、第2の無機化合物層4と、基材層5に加え、さらに、他の無機化合物層6(例えば第3の無機化合物層)と、ハードコート層7とを有することが好ましい。
図3は、本実施形態における表示装置用積層体の好ましい態様の一例を示す概略断面図である。図3に示すように、本実施形態の表示装置用積層体1aは、フッ素含有層2と、第1の無機化合物層3と、第2の無機化合物層4と、基材層5に加え、第2の無機化合物層4と基材層5との間に、相対膜密度D3が0.10以上0.70以下の介在層9を有することが好ましい。また、図3に示すように、基材層5と介在層9との間に、ハードコート層7を有することが好ましい。
(1)他の無機化合物層
本実施形態における表示装置用積層体は、第2の無機化合物層と基材層との間に、1つまたは複数の他の無機化合物層を有することができる。他の無機化合物層を配置することにより、より低い反射率が得られる。他の無機化合物層は、本実施形態における表示装置用積層体がハードコート層を有する場合には、第2の無機化合物層とハードコート層との間に配置される。本明細書においては、他の無機化合物層を、第2の無機化合物層側から、第3の無機化合物層、第4の無機化合物層、等と称する。
他の無機化合物層を配置することにより、本実施形態における表示装置用積層体は、屈折率の異なる多層膜を有するものとなり、この多層膜の層構成としては、基材層側からフッ素含有層側に向かって、高屈折率層(第4の無機化合物層)/中屈折率層(第3の無機化合物層)/高屈折率層(第2の無機化合物層)/低屈折率層(第1の無機化合物層)の構造を採ることができる。
この場合において、第3の無機化合物層の屈折率は、例えば、1.40以上2.50以下であり、第4の無機化合物層の屈折率は、例えば、1.60以上3.00以下である。
また、多層膜の他の層構成としては、基材層側からフッ素含有層側に向かって、中屈折率層(第3の無機化合物層)/高屈折率層(第2の無機化合物層)/低屈折率層(第1の無機化合物層)等の構造を採ることができる。この場合において、第3の無機化合物層の屈折率は、例えば、1.40以上2.50以下である。
他の無機化合物層に含まれる無機化合物としては、ケイ素酸化物、ガリウム酸化物、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、セリウム酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、マグネシウム酸化物、イットリウム酸化物、ニオブ酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ランタンおよびフッ化セリウム等が挙げられる。
1つの他の無機化合物層の厚みとしては、特に限定されないが、10nm以上200nm以下であることが好ましく、20nm以上170nm以下であることがより好ましい。
また、本実施形態においては、本実施形態における表示装置用積層体に含まれる全ての無機化合物層の合計厚みが、500nm以下であることが好ましく、400nm以下であることが更に好ましい。一方、例えば、50nm以上であってもよく、80nm以上であってもよい。合計厚みが厚すぎると、表示装置用積層体の屈曲耐性が悪化する場合がある。
(2)ハードコート層
本実施形態における表示装置用積層体は、第2の無機化合物層と、基材層との間にハードコート層を有していてもよい。ハードコート層が配置されていることにより、無機化合物層の密着性を向上させることができる。また、ハードコート層が配置されていることにより、耐摩耗性を向上させることができる。特に、上記基材層が樹脂基材である場合には、ハードコート層が配置されていることにより、耐摩耗性を効果的に向上させることができる。
ハードコート層の材料としては、例えば、有機材料、無機材料、有機無機複合材料等を用いることができる。中でも、ハードコート層の材料は有機材料であることが好ましい。具体的には、ハードコート層は、重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。重合性化合物を含む樹脂組成物の硬化物は、重合性化合物を、必要に応じて重合開始剤を用い、公知の方法で重合反応させることにより得ることができる。
なお、重合性化合物は、分子内に重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物の少なくとも1種を用いることができる。
ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合性基を有する化合物である。ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、炭素-炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、ラジカル重合性化合物が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ラジカル重合性化合物が1分子中に有するラジカル重合性基の数は、ハードコート層の表面硬度が高くなり耐擦傷性が向上する点から、2つ以上であることが好ましく、さらに3つ以上であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、中でも(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等と称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千の多官能(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーを好ましく使用でき、またアクリレートポリマーの側鎖に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートポリマーも好ましく使用できる。中でも、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを好ましく使用できる。ハードコート層が、多官能(メタ)アクリレートモノマーの硬化物を含むことにより、ハードコート層の表面硬度を高めることができ、耐擦傷性を向上させることができる。さらに密着性を向上させることもできる。また、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートオリゴマー又はポリマーも好ましく使用できる。ハードコート層が、多官能(メタ)アクリレートオリゴマー又はポリマーの硬化物を含むことにより、ハードコート層の表面硬度を高めることができ、耐擦傷性を向上させることができる。さらに屈曲耐性および密着性を向上させることもできる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。中でも、反応性が高く、ハードコート層の表面硬度が高くなり耐擦傷性が向上する点から、1分子中に3個以上6個以下の(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。このような多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等を好ましく用いることができる。特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、ラジカル重合性化合物を用いる場合、分子構造内の柔軟性基によって耐擦傷性が低下することがある。そのため、柔軟性成分(ソフトセグメント)による耐擦傷性の低下を抑制するために、ラジカル重合性化合物は、分子構造に柔軟性基が導入されていないものを用いることが好ましい。具体的には、EOまたはPO変性されていないラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。このようなラジカル重合性化合物を用いることにより、架橋点を増やし、耐擦傷性を向上させることができる。
ハードコート層は、硬度や粘度調整、密着性の向上等のために、ラジカル重合性化合物として、単官能(メタ)アクリレートモノマーを含んでいてもよい。単官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例については、例えば特開2019-132930号公報に記載のものを挙げることができる。
カチオン重合性化合物とは、カチオン重合性基を有する化合物である。カチオン重合性化合物が有するカチオン重合性基としては、カチオン重合反応を生じ得る官能基であればよく、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基などが挙げられる。なお、カチオン重合性化合物が2個以上のカチオン重合性基を有する場合、これらのカチオン重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
カチオン重合性化合物が1分子中に有するカチオン重合性基の数は、ハードコート層の表面硬度が高くなり耐擦傷性が向上する点から、2つ以上であることが好ましく、さらに3つ以上であることが好ましい。
また、カチオン重合性化合物としては、中でも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましく、エポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を1分子中に2個以上有する化合物がより好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高い、低毒性であり、得られたハードコート層を、エポキシ基を有する化合物と組み合わせた際に塗膜中でのカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。また、脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。また、ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、および、オキセタニル基を有するカチオン重合性化合物の具体例については、例えば特開2018-104682号公報に記載のものを挙げることができる。
ハードコート層は、必要に応じて重合開始剤を含有していてもよい。
また、ハードコート層は、帯電防止剤を含有していてもよい。表示装置用積層体に帯電防止性を付与することができる。ハードコート層は、必要に応じて、添加剤をさらに含有することができる。添加剤としては、ハードコート層に付与する機能に応じて適宜選択され、特に限定されないが、例えば、無機粒子、有機粒子、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、防汚剤、防眩剤、レベリング剤、界面活性剤、易滑剤、各種増感剤、難燃剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定化剤、表面改質剤等が挙げられる。
また、本実施形態においては、ハードコート層の材料としては、より優れた屈曲耐性を得るため、ウレタン(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートモノマーのうち少なくとも1つを有するラジカル重合性化合物と、ラジカル重合性化合物と共有結合が形成可能な反応性官能基を有する反応性無機粒子とを併用した有機無機材料が好ましく、添加剤として接着付与剤を併用することが更に好ましい。反応性無機粒子としては、反応性官能基を有するシリカ等が挙げられる。また、反応性官能基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、エポキシ基、およびシラノール基等が挙げられる。
ハードコート層の厚さは、ハードコート層が有する機能及び表示装置用積層体の用途により適宜選択されればよい。ハードコート層の厚さは、例えば、0.5μm以上50μm以下であることが好ましく、1.0μm以上40μm以下であることがより好ましく、1.5μm以上30μm以下であることがさらに好ましく、2.0μm以上20μm以下であることが特に好ましい。ハードコート層の厚さが上記範囲内であれば、ハードコート層として十分な硬度を得ることができる。
ハードコート層の形成方法としては、例えば、上記基材層上に上記重合性化合物等を含むハードコート層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
(3)貼付用接着層
本実施形態における表示装置用積層体は、基材層の第2の無機化合物層とは反対側の面に貼付用接着層を有することができる。貼付用接着層を介して、表示装置用積層体を例えば表示パネル等に貼り合わせることができる。
貼付用接着層に用いられる接着剤としては、透明性を有し、表示装置用積層体を表示パネル等に接着することが可能な接着剤であれば特に限定されるものではなく、例えば、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、2液硬化型接着剤、熱溶融型接着剤、感圧接着剤(いわゆる粘着剤)等を挙げることができる。
貼付用接着層の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以上80μm以下、さらに好ましくは40μm以上60μm以下とすることができる。貼付用接着層の厚さが薄すぎると、表示装置用積層体と表示パネル等とを十分に接着することができないおそれがある。一方、貼付用接着層の厚さが厚すぎると、フレキシブル性が損なわれる場合がある。
貼付用接着層としては、例えば接着フィルムを用いてもよい。また、例えば支持体または基材層等の上に接着剤組成物を塗布して、貼付用接着層を形成してもよい。
貼付用接着層は、表示装置の表示パネルと貼り合わせた後に剥離が可能な程度の密着性を有する層であってもよいし、剥離を目的とせずに高い密着性を有する層であってもよい。
(4)層間接着層
本実施形態における表示装置用積層体においては、各層の間に層間接着層が配置されていてもよい。層間接着層に用いられる接着剤としては、上記貼付用接着層に用いられる接着剤と同様とすることができる。
(5)介在層
本実施形態における表示装置用積層体は、第2の無機化合物層4と基材層5との間に、相対膜密度D3が0.10以上0.70以下の介在層9を有することが好ましい。このような介在層を配置することにより、屈曲耐性が更に向上する。
本実施形態において、介在層を配置した表示装置用積層体は、表示装置用積層体1の対向する短辺部1C、1Dの間隔dが5mmとなるように180°折りたたむ動的屈曲試験を、20万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましく、50万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことがより好ましい。中でも、表示装置用積層体の対向する短辺部1C、1Dの間隔dが4mmとなるように180°折りたたむ動的屈曲試験を20万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましい。動的屈曲試験では、フッ素含有層が外側となるように表示装置用積層体を折りたたんでもよく、あるいは、フッ素含有層が内側となるように表示装置用積層体を折りたたんでもよいが、いずれの場合であっても、表示装置用積層体に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
(i)相対膜密度
本実施形態における介在層は、相対膜密度D3が0.10以上0.70以下であり、好ましくは0.20以上0.60以下である。
介在層は、無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された分散層であることが好ましい。相対膜密度を上記範囲としやすいためである。また、介在層は、第1の無機化合物層および第2の無機化合物層以外の、他の無機化合物層であってもよい。
なお、介在層が分散層である場合、相対膜密度は、以下の式により算出される。
分散層の相対膜密度=分散層の膜密度(実測値)/膜密度(文献値)
介在層の相対膜密度を算出するための上記膜密度(文献値)としては、無機化合物粒子に含まれる無機化合物を主体とする無機化合物層の膜密度(文献値)を採用する。
本態様においては、第1の無機化合物層の相対膜密度D1、第2の無機化合物層の相対膜密度D2および介在層の相対膜密度D3が、D3<D2<D1の関係を満たすことが好ましい。上記関係を満たすことにより、隣接する各層の相対膜密度の差を小さくすることができ、応力集中を抑制することができる。そのため、屈曲耐性がより向上し、クラックや剥がれを抑制することができる。
また、本態様においては、第2の無機化合物層の相対膜密度D2および介在層の相対膜密度D3が、1.0≦D2/D3≦7.0を満たすことが好ましい。D2/D3が1.0以上であると、屈曲試験において第1の無機化合物層および第2の無機化合物層の界面での剥がれを効果的に抑制することができる。一方、D2/D3が7.0以下であると、屈曲試験において、介在層および第2の無機化合物層の界面での剥がれを効果的に抑制することができる。
また、本態様においては、第1の無機化合物層の相対膜密度D1および介在層の相対膜密度D3が、1.0≦D1/D3≦12.0を満たすことが好ましい。D1/D3が1.0以上であると、耐摩耗性がより向上する傾向にある。一方、D1/D3が12.0以下であると、屈曲耐性がより向上し、分散層へのクラックの発生を抑制することができる。
(ii)構成
(ii-1)分散層
上述したように、介在層は、無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された分散層であることが好ましい。分散層は、無機化合物粒子およびバインダー樹脂を含有する。
(a)無機化合物粒子
無機化合物粒子としては、特に限定されないが、ケイ素酸化物、ガリウム酸化物、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、セリウム酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、マグネシウム酸化物、イットリウム酸化物、ニオブ酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ランタンおよびフッ化セリウム等が挙げられる。中でも、第1の無機化合物よりも高屈折率を有する無機化合物粒子が好ましい。このような無機化合物粒子としては、具体的には、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ニオブ酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。分散層における無機化合物粒子の含有量としては、介在層の相対膜密度D3が上記値となる量であれば特に限定されない。
(b)バインダー樹脂
バインダー樹脂としては、重合性化合物の硬化物であることが好ましい。重合性化合物については、第1実施形態の表示装置用積層体のハードコート層の項に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
(c)屈折率
分散層の屈折率は、1.60以上が好ましく、1.65以上がより好ましい。一方、例えば2.00以下であり、1.80以下であってもよい。
(d)厚み
分散層の厚みとしては、特に限定されないが、10nm以上、500nm以下が好ましく、30nm以上、300nm以下がより好ましい。
(e)形成方法
分散層の形成方法としては、例えば、基材層または後述するハードコート層上に、無機化合物粒子および重合性化合物を含む分散層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
(ii-2)無機化合物層
上述したように、介在層は、他の無機化合物層であってもよい。
(a)無機化合物
介在層としての無機化合物層に含まれる無機化合物としては、ケイ素酸化物、ガリウム酸化物、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、セリウム酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、マグネシウム酸化物、イットリウム酸化物、ニオブ酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ランタンおよびフッ化セリウム等が挙げられる。中でも、第1の無機化合物よりも高屈折率材料であることが好ましい。このような無機化合物としては、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、セリウム酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、マグネシウム酸化物、イットリウム酸化物、ニオブ酸化物等の無機酸化物、フッ化ランタン、フッ化セリウム等が挙げられる。
(b)屈折率
介在層としての無機化合物層の屈折率は、1.60以上が好ましく、1.65以上がより好ましい。一方、例えば2.00以下であり、1.80以下であってもよい。
(c)厚み
介在層としての無機化合物層の厚みとしては、特に限定されないが、10nm以上、500nm以下が好ましく、30nm以上、300nm以下がより好ましい。
(d)形成方法
介在層としての無機化合物層の形成方法としては、上述の第1の無機化合物層および第2の無機化合物層の形成方法と同様の方法を用いることができる。
7.用途
本実施形態における表示装置用積層体は、表示装置において、表示パネルよりも観察者側に配置される前面板として用いることができる。本実施形態における表示装置用積層体は、優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有するため、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブル表示装置における前面板に好適に用いることができる。特に、本実施形態における表示装置用積層体は、屈曲耐性を向上させることができることから、フォルダブルディスプレイにおける前面板に好適に用いることができる。
本実施形態における表示装置用積層体の厚さは、例えば、10μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上400μm以下であることがより好ましく、30μm以上300μm以下であることがさらに好ましい。表示装置用積層体の厚さが上記範囲であれば、フレキシブル性を高めることができる。
また、本実施形態における表示装置用積層体は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ等の表示装置における前面板に用いることができる。
II.第2実施形態
本発明者らは、表示装置の表面に配置される積層体について、低反射性を維持しながら、屈曲耐性と耐摩耗性を向上させるために検討を重ねたところ、表示装置用積層体の一方の面にフッ素原子を含有するフッ素含有層を配置し、積層体の低反射率化を実現する低屈折率層には所定のフッ素含有比率を有する無機化合物層を用い、積層体の低反射率化を実現する高屈折率層には所定の相対膜密度を有する無機化合物層を用いることにより、屈曲耐性と耐摩耗性を向上させることができることを見出した。
具体的には、表示装置用積層体の一方の面に上記フッ素含有層を配置し、かつ、上記フッ素含有層側の無機化合物層である第1の無機化合物層(低屈折率層)のフッ素含有比率を所定の範囲とすることで、耐摩耗性が得られることを見出した。さらに、第2の無機化合物層(高屈折率層)の相対膜密度を所定の低い範囲とすることで、応力変化に対する耐性が強く、屈曲耐性が良好な表示装置用積層体となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本実施形態は、フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、第2の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、上記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、フッ素原子の含有比率が6.5原子%以下であり、上記第2の無機化合物層は、高屈折率材料である第2の無機化合物を有し、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満であり、上記表示装置用積層体の上記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体を提供する。
以下、本実施形態の表示装置用積層体について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態における表示装置用積層体の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の表示装置用積層体1bは、フッ素原子を含有するフッ素含有層2と、第1の無機化合物層3と、第2の無機化合物層4と、基材層5と、をこの順に有する。本実施形態において、第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を含み、フッ素原子の含有比率が6.5原子%以下である。さらに、第2の無機化合物層は、第1の無機化合物よりも屈折率が高い第2の無機化合物を含み、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満である。さらに、本実施形態における表示装置用積層体1bは、フッ素含有層2側の面1Aに入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である。
本実施形態における表示装置用積層体は、一方の表面にフッ素含有層を有し、さらに、第1の無機化合物層のフッ素原子の含有比率が所定の範囲であることにより、優れた耐摩耗性を有するものとなる。これは、以下の理由によるものと推察される。図4(a)に、第1の無機化合物層3のフッ素原子の含有比率が低い場合、図4(b)に、第1の無機化合物層3のフッ素原子の含有比率が高い場合の第1の無機化合物層3およびフッ素含有層2の断面模式図を示す。図4(b)に示すように、第1の無機化合物層3のフッ素原子の含有比率が高い場合、第1の無機化合物層3上にフッ素含有層2を形成する際に、フッ素原子(フッ素化合物)が第1の無機化合物層3中に混入したものと推測される。そのため、第1の無機化合物層3が軟化し、耐摩耗性が悪化する。一方、図4(a)に示すように、第1の無機化合物層3のフッ素原子の含有比率が低い場合、第1の無機化合物層3上にフッ素含有層2を形成する際、フッ素原子(フッ素化合物)の第1の無機化合物層3中への混入が抑制されたものと推測される。そのため、第1の無機化合物層の軟化が抑制され、耐摩耗性に優れたものとなる。
さらに、本実施形態における表示装置用積層体は、第2の無機化合物層の相対膜密度D2が所定の低い範囲であることにより、優れた屈曲耐性を有するものとなる。また、本実施形態における表示装置用積層体は、低屈折率層である第1の無機化合物層と高屈折率層である第2の無機化合物層を含むことにより、所定の視感反射率を有するものとなる。
従って、低反射性を有し、かつ、優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有する表示装置用積層体となる。以下、本実施形態の表示装置用積層体における各構成について、詳細に説明する。
1.第1の無機化合物層
(1)第1の無機化合物
本実施形態における第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物から構成される。本実施形態における第1の無機化合物層を構成する第1の無機化合物としては、第1実施形態における第1の無機化合物と同様のものが挙げられる。本実施形態においては、中でも、ケイ素酸化物が屈折率や汎用性の観点から好ましい。また、第1の無機化合物層中に含まれる無機化合物は1種類が好ましいが、複数種類の無機化合物が含まれていてもよい。
本実施形態において、第1の無機化合物層は、蒸着膜であることが好ましい。特に、ケイ素酸化物(シリカ)蒸着膜であることが好ましい。
(2)フッ素原子の含有比率
本実施形態における第1の無機化合物層は、フッ素原子の含有比率が6.5原子%以下である。フッ素原子の含有比率は、6.3原子%以下が好ましく、5.0原子%以下がより好ましい。フッ素原子の含有比率が上記範囲であれば、優れた耐摩耗性を有するものとなる。本実施形態における第1の無機化合物層は、フッ素原子比率が低い方が好ましい。すなわち、第1の無機化合物層は、フッ素原子を含まなくてもよく、フッ素原子の含有比率の下限は0%である。
第1の無機化合物層におけるフッ素原子の含有比率は、上述した測定装置および測定条件にてラザフォード後方散乱分析(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)により、第1の無機化合物層を測定して得られる全元素(例えば、珪素等の無機元素、酸素、フッ素等)の合計量を100原子%とした際のフッ素原子の比率である。
第1の無機化合物層のフッ素原子の含有比率を上述の範囲に調整する方法としては、第1の無機化合物層の相対膜密度D1を、後述する範囲に調整する方法が挙げられる。
(3)屈折率
本実施形態における第1の無機化合物層の屈折率は、第1実施形態における第1の無機化合物層の屈折率と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(4)相対膜密度D1
本実施形態においては、低屈折率層である第1の無機化合物層の相対膜密度D1は、0.70以上1.20以下であることが好ましい。第1の無機化合物層の相対膜密度D1は、より好ましくは0.75以上であり、特に好ましくは0.80以上である。相対膜密度D1が低すぎると、フッ素含有比率が高くなり、耐摩耗性に劣る場合がある。一方、より好ましくは1.17以下であり、特に好ましくは1.15以下である。相対膜密度D1が高すぎると、屈曲耐性に劣り、第1の無機化合物層にクラックが発生する場合がある。
無機化合物層の相対膜密度の算出方法は、第1実施形態で記載した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本実施形態における第1の無機化合物層がフッ素原子を含有する場合でも、後述する膜密度(文献値)としては、第1の無機化合物から構成される無機化合物層の理論膜密度を採用する。
第1の無機化合物層の相対膜密度を上述の範囲に調整する方法としては、第1実施形態で記載した方法と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(5)厚み
本実施形態における第1の無機化合物層の厚みとしては、第1実施形態における第1の無機化合物層の厚みと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(6)形成方法
本実施形態における第1の無機化合物層の形成方法としては、第1実施形態における第1の無機化合物層の形成方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.第2の無機化合物層
本実施形態における第2の無機化合物層としては、第1実施形態における第2の無機化合物層の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.フッ素含有層
本実施形態におけるフッ素含有層としては、第1実施形態におけるフッ素含有層の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.基材層
本実施形態における基材層としては、第1実施形態における基材層の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
5.表示装置用積層体
本実施形態における表示装置用積層体の視感反射率、動的屈曲耐性、全光線透過率およびヘイズについては、第1実施形態の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
6.その他構成
本実施形態における表示装置用積層体は、上述した、フッ素含有層2と、第1の無機化合物層3と、第2の無機化合物層4と、基材層5に加え、他の層を有していてもよい。
他の層としては、他の無機化合物層、介在層、ハードコート層、貼付用接着層および層間接着層が挙げられる。
図2は、本実施形態における表示装置用積層体の別の一例を示す概略断面図である。図2に示すように、本実施形態の表示装置用積層体1bは、フッ素含有層2と、第1の無機化合物層3と、第2の無機化合物層4と、基材層5に加え、さらに、他の無機化合物層6(例えば第3の無機化合物層)と、ハードコート層7とを有することが好ましい。
図3は、本実施形態における表示装置用積層体の好ましい態様の一例を示す概略断面図である。図3に示すように、本実施形態の表示装置用積層体1bは、フッ素含有層2と、第1の無機化合物層3と、第2の無機化合物層4と、基材層5に加え、第2の無機化合物層4と基材層5との間に、相対膜密度D3が0.10以上0.70以下の介在層9を有することが好ましい。また、図3に示すように、基材層5と介在層9との間に、ハードコート層7を有することが好ましい。
他の無機化合物層、介在層、ハードコート層、貼付用接着層および層間接着層としては、第1実施形態に記載したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
7.用途
本実施形態における表示装置用積層体の用途としては、第1実施形態に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
III.第3実施形態
本発明者らは、表示装置の表面に配置される積層体について、低反射性を維持しながら、屈曲耐性と耐摩耗性を向上させるために検討を重ねたところ、表示装置用積層体の一方の面にフッ素原子を含有するフッ素含有層を配置し、積層体の低反射率化を実現する低屈折率層には、所定の相対膜密度を有する無機化合物層を用い、積層体の低反射率化を実現する高屈折率層には、所定の相対膜密度を有し、高屈折率を有する無機化合物粒子の分散層(高屈折率分散層)を用いることにより、屈曲耐性と耐摩耗性を向上させることができることを見出した。
具体的には、表示装置用積層体の一方の面に上記フッ素含有層を配置し、かつ、第1の無機化合物層(低屈折率層)の相対膜密度を所定の範囲とすることで、耐摩耗性が得られることを見出した。さらに、基材層と第1の無機化合物層との間に、相対膜密度が所定の低い範囲である、高屈折率を有する無機化合物粒子の分散層(高屈折率分散層)を配置することで、応力変化に対する耐性が強く、屈曲耐性が良好な表示装置用積層体となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本実施形態は、フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、上記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下であり、上記第1の無機化合物層と上記基材層との間に、高屈折率を有する無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された高屈折率分散層を有し、上記高屈折率分散層の相対膜密度D4が0.10以上0.70以下であり、上記表示装置用積層体の上記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体を提供する。
以下、本実施形態の表示装置用積層体について、詳細に説明する。
図5は、本実施形態における表示装置用積層体の一例を示す概略断面図である。図5に示すように、本実施形態の表示装置用積層体1cは、フッ素原子を含有するフッ素含有層2と、第1の無機化合物層3と、高屈折率分散層10と、基材層5と、をこの順に有する。本実施形態において、第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を含み、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下である。さらに、本実施形態における表示装置用積層体は、基材層と第1の無機化合物層との間に、高屈折率を有する無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された高屈折率分散層が配置されており、この高屈折率分散層の相対膜密度D4が0.10以上0.70以下である。さらに、本実施形態における表示装置用積層体1cは、フッ素含有層2側の面1Aに入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である。
本実施形態における表示装置用積層体は、一方の表面にフッ素含有層を有し、さらに、第1の無機化合物層の相対膜密度D1が所定の範囲であることにより、優れた耐摩耗性を有するものとなる。さらに、基材層と第1の無機化合物層との間に、高屈折率を有する無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された高屈折率分散層が配置されており、この高屈折率分散層の相対膜密度D4が所定の低い範囲であることにより、優れた屈曲耐性を有するものとなる。なお、高屈折率分散層は、無機化合物層とは異なり、バインダー樹脂を含むため柔軟性が高い。そのため、第1実施形態や第2実施形態における第2無機化合物層よりも低い相対膜密度の範囲においても、優れた屈曲耐性を有すると推察される。
さらに、本実施形態における表示装置用積層体は、低屈折率層である第1の無機化合物層と高屈折率粒子である無機化合物粒子が分散された高屈折率分散層を含むことにより、所定の視感反射率を有するものとなる。
従って、低反射性を有し、かつ、優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有する表示装置用積層体となる。以下、本実施形態の表示装置用積層体における各構成について、詳細に説明する。
1.第1の無機化合物層
本実施形態における第1の無機化合物層としては、第1実施形態における第1の無機化合物層の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.高屈折率分散層
本実施形態において、高屈折率分散層は、第1の無機化合物層と基材層との間に配置され、高屈折率を有する無機化合物粒子およびバインダー樹脂を含有する。
(1)無機化合物粒子およびバインダー樹脂
上記無機化合物粒子およびバインダー樹脂については、第1実施形態における「介在層」の項の「(a)無機化合物粒子」および「(b)バインダー樹脂」で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(2)相対膜密度
高屈折率分散層の相対膜密度D4は、0.10以上0.70以下であり、好ましくは0.20以上0.60以下である。
高屈折率分散層の相対膜密度の算出方法としては、上述した第1実施形態における分散層の相対膜密度と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本実施形態においては、第1の無機化合物層の相対膜密度D1および高屈折率分散層の相対膜密度D4が、1.0≦D1/D4≦12.0を満たすことが好ましい。D1/D4が1.0以上であると、耐摩耗性が向上する傾向にある。一方、D1/D4が12.0以下であれば、屈曲耐性がより向上し、高屈折率分散層へのクラックの発生を抑制することができる。
(3)屈折率
本実施形態における高屈折率分散層の屈折率は、1.60以上が好ましく、1.65以上がより好ましい。一方、例えば2.00以下であり、1.80以下であってもよい。
(4)厚み
高屈折率分散層の厚みとしては、特に限定されないが、10nm以上、500nm以下が好ましく、30nm以上、300nm以下がより好ましい。
(5)形成方法
本実施形態における高屈折率分散層の形成方法としては、例えば、基材層または後述するハードコート層上に、高屈折率を有する無機化合物粒子および重合性化合物を含む高屈折率分散層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
3.フッ素含有層
本実施形態におけるフッ素含有層としては、第1実施形態におけるフッ素含有層の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.基材層
本実施形態における基材層としては、第1実施形態における基材層の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
5.表示装置用積層体
(1)視感反射率
本実施形態における表示装置用積層体は、フッ素含有層側から、フッ素含有層の表面に対して垂直に入射する光の入射角を0°として、入射角5°で光を入射させた際に、この入射光の正反射光の視感反射率が2.0%以下である。好ましくは1.7%以下であり、更に好ましくは1.5%以下である。視感反射率が高すぎると、表示領域に観察者自身が映り込むのを抑制することができない。
ここで、上記視感反射率は、第1実施形態に記載した測定方法により測定された値である。
(2)動的屈曲耐性
本実施形態における表示装置用積層体は、屈曲耐性を有する。具体的には、表示装置用積層体に対して、第1実施形態で説明した動的屈曲試験を行った場合に、表示装置用積層体に割れ、または破断が生じないことが好ましい。
本実施形態における表示装置用積層体においては、表示装置用積層体1の対向する短辺部1C、1Dの間隔dが5mmとなるように180°折りたたむ動的屈曲試験を、20万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましく、50万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことがより好ましい。中でも、表示装置用積層体の対向する短辺部1C、1Dの間隔dが4mmとなるように180°折りたたむ動的屈曲試験を20万回繰り返し行った場合に割れまたは破断が生じないことが好ましい。動的屈曲試験では、フッ素含有層が外側となるように表示装置用積層体を折りたたんでもよく、あるいは、フッ素含有層が内側となるように表示装置用積層体を折りたたんでもよいが、いずれの場合であっても、表示装置用積層体に割れまたは破断が生じないことが好ましい。
(3)全光線透過率およびヘイズ
本実施形態における表示装置用積層体は、全光線透過率が、例えば85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。このように全光線透過率が高いことにより、透明性が良好な表示装置用積層体とすることができる。本実施形態における表示装置用積層体のヘイズは、例えば5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。このようにヘイズが低いことにより、透明性が良好な表示装置用積層体とすることができる。
ここで、表示装置用積層体の全光線透過率およびヘイズは、第1実施形態で説明した測定方法により測定された値である。
6.その他構成
本実施形態における表示装置用積層体は、上述した、フッ素含有層2と、第1の無機化合物層3と、高屈折率分散層10と、基材層5に加え、他の層を有していてもよい。
他の層としては、ハードコート層、貼付用接着層および層間接着層が挙げられる。具体的には、本実施形態における表示装置用積層体は、高屈折率分散層と基材層との間にハードコート層を有することが好ましい。また、基材層の高屈折率分散層側の面とは反対の面側に、貼付用接着層を有することが好ましい。
ハードコート層、貼付用接着層および層間接着層としては、第1実施形態に記載したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
7.用途
本実施形態における表示装置用積層体の用途としては、第1実施形態に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
B.表示装置
本開示における表示装置は、表示パネルと、上記表示パネルの観察者側に配置された、上述の第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態のうちのいずれかの表示装置用積層体と、を備える。
図6は、本開示における表示装置の一例を示す概略断面図である。図6(a)および図6(b)に示すように、表示装置20a~20cは、表示パネル21と、表示パネル21の観察者側に配置された第1実施形態の表示装置用積層体1a、第2実施形態の表示装置用積層体1b、または第3実施形態の表示装置用積層体1cと、を備える。表示装置20a~20cにおいては、表示装置用積層体1a、1b、1cと表示パネル21とは、例えば表示装置用積層体1の貼付用接着層8を介して貼り合わせることができる。
本開示におけるフレキシブル表示装置は、低反射性を有する表示装置用積層体を備えるため、視認性が向上したものとなる。さらに、表示装置用積層体が優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有するため、傷がつきにくく、繰り返し屈曲させても表示不良が抑制されたものとなる。
本開示における表示装置用積層体を表示装置の表面に配置する場合には、フッ素含有層が外側、基材層が内側になるように配置される。
本開示における表示装置用積層体を表示装置の表面に配置する方法としては、特に限定されないが、例えば接着層を介する方法等が挙げられる。
本開示における表示パネルとしては、例えば、有機EL表示装置、液晶表示装置等の表示装置に用いられる表示パネルを挙げることができる。
本開示における表示装置は、表示パネルと表示装置用積層体との間にタッチパネル部材を有することができる。
本開示における表示装置は、中でも、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ベンダブルディスプレイ等のフレキシブル表示装置であることが好ましい。
また、本開示における表示装置は、折りたたみ可能であることが好ましい。すなわち、本開示における表示装置は、フォルダブルディスプレイであることが好ましい。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
<第1実施形態>
(実施例1-1~1-11、比較例1-3~1-10)
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用樹脂組成物を得た。
(ハードコート層用樹脂組成物の組成)
・ペンタエリスリトールアクリレート(製品名「A-9550」、新中村化学社製):87質量部
・ペンタエリスリトールアクリレート(製品名「A-TMM-3L」、新中村化学社製):13質量部
・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Omnirad184」、IGM Resins B.V.社製):4質量部
・シリカ粒子(平均一次粒子径12nm、日産化学工業社製):40質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン:210質量部
(ハードコート層の形成)
次に、基材層として、厚さ50μmのポリアミドイミドフィルム(製品名「CPI」、コーロン社製)を用い、基材層上にバーコーターで上記ハードコート層用樹脂組成物を塗布して、塗膜を形成した。そして、この塗膜に対して、80℃、1分間加熱することにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズジャパン社製、光源Hバルブ)を用いて、紫外線を酸素濃度が100ppm以下にて積算光量が300mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させ、厚さ3.5μmのハードコート層を形成した。
(無機化合物層の形成)
次いで、ハードコート層上に、第2の無機化合物層、第1の無機化合物層、をこの順に形成した。なお、第1の無機化合物層および第2の無機化合物層は、表1に示す構成材料を用い、表1に示す成膜速度で真空蒸着法により形成した。第1の無機化合物層および第2の無機化合物層の構成材料、厚み、成膜速度および屈折率を表1、表2に示す。
(フッ素含有層の形成)
次に、第1の無機化合物層上に出力100Wで40秒間プラズマ処理をし、フッ素化合物(ダイキン工業社製、製品名「オプツールUD120」)を成膜速度0.1nm/秒で真空蒸着することにより、厚さ7nmのフッ素含有層を形成した。このようにして基材層、ハードコート層、第2の無機化合物層、第1の無機化合物層、フッ素含有層をこの順に有する積層体を得た。
(実施例1-12~1-16、比較例1-11~1-14)
基材層上に、ハードコート層、第3の無機化合物層、第2の無機化合物層、第1の無機化合物層、およびフッ素含有層(厚み7nm)をこの順に形成した。第1の無機化合物層~第3の無機化合物層の構成材料、厚み、成膜速度および屈折率を表1、表2に示す。なお、用いた基材層、ハードコート層およびフッ素含有層の形成方法は、上記実施例1-1と同様である。
(実施例1-17~1-19、比較例1-15~1-16)
基材層上に、ハードコート層、第4の無機化合物層、第3の無機化合物層、第2の無機化合物層、第1の無機化合物層、およびフッ素含有層(厚み7nm)をこの順に形成した。第1の無機化合物層~第4の無機化合物層の構成材料、厚み、成膜速度および屈折率を表1、表2に示す。なお、用いた基材層、ハードコート層およびフッ素含有層の形成方法は、実施例1-1と同様である。
(比較例1-1)
基材層上に、ハードコート層、第1の無機化合物層、およびフッ素含有層(厚み7nm)をこの順に形成した。第1の無機化合物層の構成材料、厚み、成膜速度および屈折率を表2に示す。なお、用いた基材層、ハードコート層およびフッ素含有層の形成方法は、実施例1-1と同様である。
(比較例1-2)
基材層上に、ハードコート層、第2の無機化合物層、およびフッ素含有層(厚み7nm)をこの順に形成した。第2の無機化合物層の構成材料、厚み、成膜速度および屈折率を表2に示す。なお、用いた基材層、ハードコート層およびフッ素含有層の形成方法は、実施例1-1と同様である。
Figure 2023051786000002
Figure 2023051786000003
[相対膜密度]
実施例1-1~1-19および比較例1-1~1-16で得られた表示装置用積層体の第1の無機化合物層と第2の無機化合物層の相対膜密度を、「A.表示装置用積層体 I.第1実施形態 1.第1の無機化合物層 (3)相対膜密度D1」に記載の方法により測定した。結果を表3および表4に示す。
[評価]
(動摩擦係数)
実施例1-1~1-19および比較例1-1~1-16で得られた表示装置用積層体のフッ素含有層側の表面の動摩擦係数を、「A.表示装置用積層体 I.第1実施形態 3.フッ素含有層」に記載の方法により測定した。結果を表3および表4に示す。
(耐摩耗性評価)
実施例1-1~1-19および比較例1-1~1-16で得られた表示装置用積層体の耐摩耗性を、以下の評価方法および評価基準により評価した。
・評価方法
テスター産業社製の学振型摩擦堅牢度試験機AB-301を用い、5cm×10cmの大きさの積層体を、ガラス板上に折れやシワがないようセロハンテープ(登録商標)で固定した。次いで、#0000のスチールウール(日本スチールウール社製のボンスター#0000)を用い、スチールウールを1cm×1cmの治具に固定して、荷重750g/cm、移動速度100mm/秒、移動距離50mmの条件で、表示装置用積層体の防汚層(フッ素含有層)側の面を100往復擦った。そして、耐摩耗試験を行った積層体において、移動速度が不安定な両端10mmの範囲を除く中心30mmの範囲における表面を蛍光灯下で透過観察し、傷の有無と状態を評価した。
・評価基準
A:合格(傷が生じていない)
B:合格(長さ5mm以下の傷が5本未満)
C:不合格(上記A、B以外)
(動的屈曲性評価)
実施例1-1~1-19および比較例1-1~1-16で得られた表示装置用積層体の屈曲性について、動的屈曲試験を行い、下記評価基準により評価した。
以下、動的屈曲試験の方法について、図7を参照して説明する。
積層体に対して、下記の動的屈曲試験を行い、屈曲耐性を評価した。まず、20mm×100mmの大きさの積層体を準備し、耐久試験機(製品名「DLDMLH-FS」、ユアサシステム機器社製)に対し、図7(a)に示すように、表示装置用積層体1の短辺部1Cと、短辺部1Cと対向する短辺部1Dとを、平行に配置された固定部51でそれぞれ固定した。次に、図7(b)に示すように、固定部51を互いに近接するように移動させることで、表示装置用積層体1を折りたたむように変形させ、更に、図7(c)に示すように、表示装置用積層体1の固定部51で固定された対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dが所定の値となる位置まで固定部51を移動させた後、固定部51を逆方向に移動させて表示装置用積層体1の変形を解消させた。図7(a)~(c)に示すように固定部51を移動させることで、表示装置用積層体1を180°折りたたむ動作を繰り返し行った。この際、表示装置用積層体1の対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dは6mm(φ6mm動的屈曲試験)、または、10mm(φ10mm動的屈曲試験)とした。また、積層体は、フッ素含有層が外側になるように屈曲させた。動的屈曲試験の結果は、下記の基準で評価した。
・評価基準
A:合格(積層体のフッ素含有層側を外側にしたφ6mmの動的屈曲試験において、20万回屈曲を繰り返しても破断せず、且つクラックが生じていない)
B:合格(積層体のフッ素含有層側を外側にしたφ10mmの動的屈曲試験において、20万回屈曲を繰り返しても破断せず、且つクラックが生じていない)
C:不合格(積層体のフッ素含有層側を外側にしたφ10mmの動的屈曲試験において、20万回屈曲を繰り返す間に、破断する、又はクラックが生じている)
(屈曲試験後の屈曲部の視認性)
上記動的屈曲試験実施後の表示装置用積層体を、画面表示させたタブレットディスプレイに貼り合わせて、蛍光灯下で屈曲部の視認性を確認し、以下の評価基準により評価した。
・評価基準
A:合格(10人中10人が問題なく視認できた)
B:合格(10人中7~9人が問題なく視認できた)
C:不合格(10人中4~6人が問題なく視認できた)
D:不合格(10人中、問題なく視認できたのは4人未満であった)
(視感反射率)
実施例1-1~1-19および比較例1-1~1-16で得られた表示装置用積層体の視感反射率を、「A.表示装置用積層体 I.第1実施形態 5.表示装置用積層体 (1)視感反射率」に記載の方法により測定した。結果を表3および表4に示す。
Figure 2023051786000004
Figure 2023051786000005
表3および表4から、実施例1-1~1-19の表示装置用積層体は、低反射性を維持しつつ、優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有することが確認された。一方、第1の無機化合物層の相対膜密度が0.70未満である場合には(比較例1-3および比較例1-7)、耐摩耗性に劣ることが確認された。また、第1の無機化合物層の相対膜密度が1.20より大きい場合には(比較例1-4および比較例1-8)、屈曲耐性に劣ることが確認された。第2の無機化合物層の相対膜密度が0.50未満である場合(比較例1-5、比較例1-9、比較例1-11~比較例1-12および比較例1-15)、および第2の無機化合物層の相対膜密度が1.0以上である場合(比較例1-6、1-10、1-13、1-14および比較例1-16)には、屈曲耐性に劣ることが確認された。また、比較例1-1および比較例1-2は、無機化合物層が一層のみであり、視感反射率が高いことが確認された。
(実施例2-1~2-24、比較例2-1~2-8)
実施例1-1と同様の方法で、基材層上にハードコート層を形成した。
次に、下記の組成で、無機化合物粒子および重合性化合物(脂肪族ウレタンアクリレート)を含む分散層用樹脂組成物を得た。この際、表5および表6に示す種類の無機化合物粒子を用い、無機化合物粒子の配合量を変えた。
(分散層用樹脂組成物の組成)
・脂肪族ウレタンアクリレート(製品名「EBECRYL225」、ダイセルオルネクス社製):74質量部
・ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート(製品名「PETIA」、ダイセルオルネクス社製):26質量部
・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Omnirad184」、IGM Resins B.V.社製):4質量部
・無機化合物粒子(平均一次粒子径10nm、レジノカラー社製):無機化合物粒子の種類と配合量(質量部(固形分100%換算値))は表5および表6に示す
・メチルイソブチルケトン:300質量部
ハードコート層上に上記分散層用樹脂組成物を塗布して、塗膜を形成した。そして、この塗膜を乾燥、硬化させ、表5および表6に示す厚さおよび屈折率の分散層を形成した。
次に、分散層上に、第2の無機化合物層、第1の無機化合物層、をこの順に形成した。
第2の無機化合物層は、表5および表6に示す構成材料を用い、表5および表6に示す成膜速度で真空蒸着法により形成した。第2の無機化合物層の厚さおよび屈折率を表5および表6に示す。第1の無機化合物層は、表5および表6に示す構成材料を用い、表5および表6に示す成膜速度で真空蒸着法により形成した。第1の無機化合物層の厚さおよび屈折率を表5および表6に示す。
次に、実施例1-1と同様の方法で、第1の無機化合物層上に厚さ7nmのフッ素含有層を形成した。このようにして基材層、ハードコート層、分散層、第2の無機化合物層、第1の無機化合物層、フッ素含有層をこの順に有する積層体を得た。
[相対膜密度]
得られた表示装置用積層体の第1の無機化合物層D1、第2の無機化合物層D2および分散層の相対膜密度D3を、「A.表示装置用積層体 I.第1実施形態 1.第1の無機化合物層 (3)相対膜密度D1」および「A.表示装置用積層体 I.第1実施形態 6.その他構成 (5)介在層 (i)相対膜密度」に記載の方法により測定した。
(動摩擦係数および視感反射率)
動摩擦係数および視感反射率を実施例1-1と同様に測定した。
(耐摩耗性評価)
表示装置用積層体の耐摩耗性を、上述した評価方法および評価基準により評価した。
(動的屈曲性評価)
上記動的屈曲試験において、表示装置用積層体1の対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dを3mm(φ3mm動的屈曲試験)、または、4mm(φ4mm動的屈曲試験)とし、積層体のフッ素含有層側を内側として試験を行い、下記評価基準により動的屈曲性を評価した。また、表示装置用積層体1の対向する2つの短辺部1C、1Dの間隔dを4mm(φ4mm動的屈曲試験)、または、5mm(φ5mm動的屈曲試験)とし、積層体のフッ素含有層側を外側として試験を行い、下記評価基準により動的屈曲性を評価した。
・評価基準(積層体のフッ素含有層側を内側にした試験)
A:合格(積層体のフッ素含有層側を内側にしたφ3mmの動的屈曲試験において、20万回屈曲を繰り返しても破断せず、且つクラックが生じていない)
B:合格(積層体のフッ素含有層側を内側にしたφ4mmの動的屈曲試験において、20万回屈曲を繰り返しても破断せず、且つクラックが生じていない)
C:不合格(積層体のフッ素含有層側を内側にしたφ4mmの動的屈曲試験において、20万回屈曲を繰り返す間に、破断する、又はクラックが生じている)
・評価基準(積層体のフッ素含有層側を外側にした試験)
A:合格(積層体のフッ素含有層側を外側にしたφ4mmの動的屈曲試験において、20万回屈曲を繰り返しても破断せず、且つクラックが生じていない)
B:合格(積層体のフッ素含有層側を外側にしたφ5mmの動的屈曲試験において、20万回屈曲を繰り返しても破断せず、且つクラックが生じていない)
C:不合格(積層体のフッ素含有層側を外側にしたφ5mmの動的屈曲試験において、20万回屈曲を繰り返す間に、破断する、又はクラックが生じている)
(屈曲試験後の屈曲部の視認性)
上記のフッ素含有層側を外側にした動的屈曲試験実施後の表示装置用積層体を、画面表示させたタブレットディスプレイに貼り合わせて、蛍光灯下で屈曲部の視認性を確認し、以下の評価基準により評価した。
・評価基準
A:合格(10人中10人が問題なく視認できた)
B:合格(10人中7~9人が問題なく視認できた)
C:不合格(10人中4~6人が問題なく視認できた)
D:不合格(10人中、問題なく視認できたのは4人未満であった)
Figure 2023051786000006
Figure 2023051786000007
Figure 2023051786000008
Figure 2023051786000009
表7および表8から、実施例2-1~2-24の表示装置用積層体は、比較例2-1~比較例2-8と比較し、低反射性を維持しつつ、優れた屈曲耐性と耐摩耗性を有することが確認された。また、実施例2-1~2-24の表示装置用積層体は、実施例1-12~1-19および後述する実施例3-1~3-7よりも厳しい評価基準でも、優れた屈曲性を有することが確認された。
<第2実施形態>
(実施例3-1~3-6、比較例3-1)
実施例1-1と同様の方法で、基材層上にハードコート層を形成した。次に、ハードコート層上に、第3の無機化合物層、第2の無機化合物層、第1の無機化合物層、をこの順に形成した。
第3の無機化合物層は、構成材料としてZrOを用い、成膜速度0.26nm/秒で真空蒸着法により形成した。第3の無機化合物層の厚さは45nm、屈折率は2.00であった。第2の無機化合物層は、構成材料としてNbを用い、成膜速度0.26nm/秒で真空蒸着法により形成した。第2の無機化合物層の厚さは75nm、屈折率は2.30であった。第1の無機化合物層は、構成材料としてSiOを用い、表9に示す成膜速度で真空蒸着法により形成した。第1の無機化合物層の厚さは80nm、屈折率は1.47であった。
次に、実施例1と同様の方法で、第1の無機化合物層上に厚さ7nmのフッ素含有層を形成した。このようにして基材層、ハードコート層、第3の無機化合物層、第2の無機化合物層、第1の無機化合物層、フッ素含有層をこの順に有する積層体を得た。
(実施例3-7、比較例3-2)
ハードコート層の形成に、下記帯電防止剤含有ハードコート層用樹脂組成物を用いた以外は、実施例3-1と同様の方法で、積層体を得た。
(帯電防止剤含有ハードコート層用樹脂組成物の組成)
・ペンタエリスリトールアクリレート(製品名「A-9550」、新中村化学社製):87質量部
・ペンタエリスリトールアクリレート(製品名「A-TMM-3L」、新中村化学社製):13質量部
・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、製品名「Omnirad184」、IGM Resins B.V.社製):4質量部
・シリカ粒子(平均一次粒子径12nm、日産化学工業社製):40質量部(固形分100%換算値)
・メチルイソブチルケトン:190質量部
・帯電防止剤(製品名「MT-2」、荒川化学工業社製):3質量部(固形分100%換算値)
[相対膜密度およびフッ素原子含有比率]
得られた表示装置用積層体の第1の無機化合物層と第2の無機化合物層の相対膜密度を、「A.表示装置用積層体 I.第1実施形態 1.第1の無機化合物層 (3)相対膜密度D1」に記載の方法により測定した。また、第1の無機化合物層のフッ素原子の含有比率を、「A.表示装置用積層体 II.第2実施形態 1.第1の無機化合物層 (2)フッ素原子の含有比率」に記載の方法により測定した。第1の無機化合物層の相対膜密度D1およびフッ素原子の含有比率の測定結果を表9に示す。第2の無機化合物層の相対膜密度D2は0.58であった。
[評価]
(クラック伸度)
まず、積層体を3mm×100mmの大きさに切り出し、試験片を作製した。次に、テンシロン万能試験機オリエンテック社製「STA-1150」)を用い、クランプ間距離(つかみ具間距離)を50mmとして上記試験片をたわみが無いように設置し、温度23±5℃、湿度30%RH以上70%RH以下にて、10mm/minの引張速度で積層体にクラックが生じるまで引っ張り続け、積層体にクラックが生じた時点での引張長さを測定した。クラックの有無は、試験片にLEDを照射して目視で判断した。続いて、以下の式によりクラック伸度を算出した。
クラック伸度(%)=100×引張長さ(mm)/つかみ具間距離(mm)
(耐摩耗性評価および動的屈曲性評価)
積層体の耐摩耗性および動的屈曲性を、上述した実施例1-1~1-19および比較例1-1~1-16における評価方法および評価基準により評価した。なお、積層体のフッ素含有層側を外側にしたφ6mmの動的屈曲試験において、50万回屈曲を繰り返しても破断せず、且つクラックが生じなかった場合は、評価基準をA’:合格とした。
(表面抵抗値測定)
まず、積層体を100mm×100mmの大きさに切り出し、試験片を作製した。次に、抵抗率計(製品名「ハイレスタUX MCP-HT型」、株式会社三菱ケミカルアナリテック製)を用いて、JIS K6911:1995に従って、印加電圧を1000Vにするとともに、レジテーブルに積層体のフッ素含有層側とは反対側の面を接触させて折れやシワがないようセロハンテープ(登録商標)で固定し、抵抗率計のURSプローブを積層体のフッ素含有層側の面に接触させることにより表面抵抗値を測定した。表面抵抗値は、積層体のフッ素含有層側の面の表面抵抗値をランダムにそれぞれ10箇所測定し、測定した10箇所の表面抵抗値の算術平均値とした。
Figure 2023051786000010
なお、表中の表面抵抗値の「-」は、装置限界(上限)を超えたことを意味する。
表9に示されるように、第1の無機化合物層のフッ素原子の含有比率が6.5原子%以下の場合(実施例3-1~実施例3-6)、耐摩耗性および屈曲耐性に優れることが確認された。なお、帯電防止剤を含むハードコート層材料を用いた場合にも、耐摩耗性および屈曲耐性に優れることが確認された(実施例3-7)。一方、比較例3-1および比較例3-2は、動的屈曲性およびクラック伸度が良好であるものの、第1の無機化合物層のフッ素原子の含有比率が高いため、耐摩耗性に劣ることが確認された。
<第3実施形態>
(実施例4-1~4-3、比較例4-1)
実施例1-1と同様の方法で、基材層上にハードコート層を形成した。
次に、無機化合物粒子および上記重合性化合物を含む分散層用樹脂組成物を得た。この際、表10に示す種類の無機化合物粒子を用い、無機化合物粒子の配合量を変えた。
ハードコート層上に上記分散層用樹脂組成物を塗布して、塗膜を形成した。そして、この塗膜を乾燥、硬化させ、厚さ100nmの分散層を形成した。
次に、分散層上に第1の無機化合物層を形成した。第1の無機化合物層は、表10に示す構成材料を用い、表10に示す成膜速度で真空蒸着法により形成した。第1の無機化合物層の厚さおよび屈折率を表10に示す。
次に、実施例1-1と同様の方法で、第1の無機化合物層上に厚さ7nmのフッ素含有層を形成した。このようにして基材層、ハードコート層、高屈折率分散層、第1の無機化合物層、フッ素含有層をこの順に有する積層体を得た。
[相対膜密度]
得られた表示装置用積層体の第1の無機化合物層D1および高屈折率分散層の相対膜密度D4を、「A.表示装置用積層体 I.第1実施形態 1.第1の無機化合物層 (3)相対膜密度D1」および「A.表示装置用積層体 I.第1実施形態 6.その他構成 (5)介在層 (i)相対膜密度」に記載の方法により測定した。
(動摩擦係数および視感反射率)
動摩擦係数および視感反射率を実施例1-1と同様に測定した。
(耐摩耗性評価、動的屈曲性評価、屈曲試験後の屈曲部の視認性)
表示装置用積層体の耐摩耗性、動的屈曲性および屈曲試験後の屈曲部の視認性を、上述した実施例2-1~2-24および比較例2-1~2-8における評価方法および評価基準により評価した。
Figure 2023051786000011
Figure 2023051786000012
表11から、高屈折率分散層の相対膜密度D4が0.10以上0.70以下である実施例4-1~4-3は、比較例4-1に対して、耐摩耗性および屈曲耐性に優れることが確認された。
すなわち、本開示においては、以下の発明を提供できる。
[1]
フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、第2の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、
前記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下であり、
前記第2の無機化合物層は、高屈折率材料である第2の無機化合物を有し、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満であり、
前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体。
[2]
前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の表面の動摩擦係数が、0.01以上0.30以下である、[1]に記載の表示装置用積層体。
[3]
前記第1の無機化合物が、ケイ素酸化物である、[1]または[2]に記載の表示装置用積層体。
[4]
前記第2の無機化合物が、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物およびニオブ酸化物のいずれかである、[1]から[3]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[5]
前記第1の無機化合物層の厚みが、30nm以上200nm以下である、[1]から[4]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[6]
前記第2の無機化合物層の厚みが、10nm以上200nm以下である、[1]から[5]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[7]
前記第2の無機化合物層と前記基材層との間に、1つまたは複数の他の無機化合物層を有する、[1]から[6]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[8]
前記表示装置用積層体に含まれる全ての無機化合物層の合計厚みが、500nm以下である、[1]から[7]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[9]
前記第2の無機化合物層と前記基材層との間に、介在層を有し、
前記介在層の相対膜密度D3が0.10以上0.70以下である、[1]から[8]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[10]
前記介在層が、無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された分散層である、[9]に記載の表示装置用積層体。
[11]
前記介在層が、他の無機化合物層である、[9]または[10]に記載の表示装置用積層体。
[12]
前記第1の無機化合物層の相対膜密度D1、前記第2の無機化合物層の相対膜密度D2および前記介在層の相対膜密度D3が、D3<D2<D1の関係を満たす、[9]から[11]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[13]
前記第2の無機化合物層の相対膜密度D2および前記介在層の相対膜密度D3が、1.0≦D2/D3≦7.0を満たす、[9]から[12]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[14]
前記第1の無機化合物層の相対膜密度D1および前記介在層の相対膜密度D3が、1.0≦D1/D3≦12.0を満たす、[9]から[13]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[15]
前記第2の無機化合物層と前記基材層との間にハードコート層を有する、[1]から[14]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[16]
前記基材層の前記第2の無機化合物層側の面とは反対の面側に、貼付用接着層を有する、[1]から[15]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[17]
フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、第2の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、
前記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、フッ素原子の含有比率が6.5原子%以下であり、
前記第2の無機化合物層は、高屈折率材料である第2の無機化合物を有し、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満であり、
前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体。
[18]
前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の表面の動摩擦係数が、0.01以上0.30以下である、[17]に記載の表示装置用積層体。
[19]
前記第1の無機化合物が、ケイ素酸化物である、[17]または[18]に記載の表示装置用積層体。
[20]
前記第2の無機化合物が、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物およびニオブ酸化物のいずれかである、[17]から[19]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[21]
前記第1の無機化合物層の厚みが、30nm以上200nm以下である、[17]から[20]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[22]
前記第2の無機化合物層の厚みが、10nm以上、200nm以下である、[17]から[21]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[23]
前記第2の無機化合物層と前記基材層との間に、1つまたは複数の他の無機化合物層を有する、[17]から[22]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[24]
前記表示装置用積層体に含まれる全ての無機化合物層の合計厚みが、500nm以下である、[17]から[23]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[25]
前記第2の無機化合物層と前記基材層との間にハードコート層を有する、[17]から[24]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[26]
前記基材層の前記第2の無機化合物層側の面とは反対の面側に、貼付用接着層を有する、[17]から[25]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[27]
フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、
前記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下であり、
前記第1の無機化合物層と前記基材層との間に、高屈折率を有する無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された高屈折率分散層を有し、
前記高屈折率分散層の相対膜密度D4が0.10以上0.70以下であり、
前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体。
[28]
前記第1の無機化合物層の相対膜密度D1および前記高屈折率分散層の相対膜密度D4が、1.0≦D1/D4≦12.0を満たす、[27]に記載の表示装置用積層体。
[29]
前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の表面の動摩擦係数が、0.01以上0.30以下である、[27]または[28]に記載の表示装置用積層体。
[30]
前記第1の無機化合物が、ケイ素酸化物である、[27]から[29]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[31]
前記無機化合物粒子が、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ニオブ酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物およびチタン酸化物のいずれかである、[27]から[30]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[32]
前記高屈折率分散層と前記基材層との間にハードコート層を有する、[27]から[31]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[33]
前記基材層の前記高屈折率分散層側の面とは反対の面側に、貼付用接着層を有する、[27]から[32]までのいずれかに記載の表示装置用積層体。
[34]
表示パネルと、
前記表示パネルの観察者側に配置された、[1]から[33]までのいずれかに記載の表示装置用積層体と、を備える、表示装置。
1a,1b,1c … 表示装置用積層体
2 … フッ素含有層
3 … 第1の無機化合物層
4 … 第2の無機化合物層
5 … 基材層
6 … 第3の無機化合物層
7 … ハードコート層
8 … 貼付用接着層
9 … 介在層
10 … 高屈折率分散層
20a,20b,20c … フレキシブル表示装置
21 … 表示パネル

Claims (34)

  1. フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、第2の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、
    前記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下であり、
    前記第2の無機化合物層は、高屈折率材料である第2の無機化合物を有し、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満であり、
    前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体。
  2. 前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の表面の動摩擦係数が、0.01以上0.30以下である、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  3. 前記第1の無機化合物が、ケイ素酸化物である、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  4. 前記第2の無機化合物が、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物およびニオブ酸化物のいずれかである、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  5. 前記第1の無機化合物層の厚みが、30nm以上200nm以下である、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  6. 前記第2の無機化合物層の厚みが、10nm以上200nm以下である、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  7. 前記第2の無機化合物層と前記基材層との間に、1つまたは複数の他の無機化合物層を有する、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  8. 前記表示装置用積層体に含まれる全ての無機化合物層の合計厚みが、500nm以下である、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  9. 前記第2の無機化合物層と前記基材層との間に、介在層を有し、
    前記介在層の相対膜密度D3が0.10以上0.70以下である、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  10. 前記介在層が、無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された分散層である、請求項9に記載の表示装置用積層体。
  11. 前記介在層が、他の無機化合物層である、請求項9に記載の表示装置用積層体。
  12. 前記第1の無機化合物層の相対膜密度D1、前記第2の無機化合物層の相対膜密度D2および前記介在層の相対膜密度D3が、D3<D2<D1の関係を満たす、請求項9に記載の表示装置用積層体。
  13. 前記第2の無機化合物層の相対膜密度D2および前記介在層の相対膜密度D3が、1.0≦D2/D3≦7.0を満たす、請求項9に記載の表示装置用積層体。
  14. 前記第1の無機化合物層の相対膜密度D1および前記介在層の相対膜密度D3が、1.0≦D1/D3≦12.0を満たす、請求項9に記載の表示装置用積層体。
  15. 前記第2の無機化合物層と前記基材層との間にハードコート層を有する、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  16. 前記基材層の前記第2の無機化合物層側の面とは反対の面側に、貼付用接着層を有する、請求項1に記載の表示装置用積層体。
  17. フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、第2の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、
    前記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、フッ素原子の含有比率が6.5原子%以下であり、
    前記第2の無機化合物層は、高屈折率材料である第2の無機化合物を有し、相対膜密度D2が0.50以上1.00未満であり、
    前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体。
  18. 前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の表面の動摩擦係数が、0.01以上0.30以下である、請求項17に記載の表示装置用積層体。
  19. 前記第1の無機化合物が、ケイ素酸化物である、請求項17に記載の表示装置用積層体。
  20. 前記第2の無機化合物が、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物およびニオブ酸化物のいずれかである、請求項17に記載の表示装置用積層体。
  21. 前記第1の無機化合物層の厚みが、30nm以上200nm以下である、請求項17に記載の表示装置用積層体。
  22. 前記第2の無機化合物層の厚みが、10nm以上、200nm以下である、請求項17に記載の表示装置用積層体。
  23. 前記第2の無機化合物層と前記基材層との間に、1つまたは複数の他の無機化合物層を有する、請求項17に記載の表示装置用積層体。
  24. 前記表示装置用積層体に含まれる全ての無機化合物層の合計厚みが、500nm以下である、請求項17に記載の表示装置用積層体。
  25. 前記第2の無機化合物層と前記基材層との間にハードコート層を有する、請求項17に記載の表示装置用積層体。
  26. 前記基材層の前記第2の無機化合物層側の面とは反対の面側に、貼付用接着層を有する、請求項17に記載の表示装置用積層体。
  27. フッ素原子を含有するフッ素含有層と、第1の無機化合物層と、基材層と、をこの順に有する表示装置用積層体であって、
    前記第1の無機化合物層は、低屈折率材料である第1の無機化合物を有し、相対膜密度D1が0.70以上1.20以下であり、
    前記第1の無機化合物層と前記基材層との間に、高屈折率を有する無機化合物粒子がバインダー樹脂に分散された高屈折率分散層を有し、
    前記高屈折率分散層の相対膜密度D4が0.10以上0.70以下であり、
    前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の面に入射角5°で光を入射させた際の正反射光の視感反射率が2.0%以下である、表示装置用積層体。
  28. 前記第1の無機化合物層の相対膜密度D1および前記高屈折率分散層の相対膜密度D4が、1.0≦D1/D4≦12.0を満たす、請求項27に記載の表示装置用積層体。
  29. 前記表示装置用積層体の前記フッ素含有層側の表面の動摩擦係数が、0.01以上0.30以下である、請求項27に記載の表示装置用積層体。
  30. 前記第1の無機化合物が、ケイ素酸化物である、請求項27に記載の表示装置用積層体。
  31. 前記無機化合物粒子が、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ニオブ酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物およびチタン酸化物のいずれかである、請求項27に記載の表示装置用積層体。
  32. 前記高屈折率分散層と前記基材層との間にハードコート層を有する、請求項27に記載の表示装置用積層体。
  33. 前記基材層の前記高屈折率分散層側の面とは反対の面側に、貼付用接着層を有する、請求項27に記載の表示装置用積層体。
  34. 表示パネルと、
    前記表示パネルの観察者側に配置された、請求項1から請求項33までのいずれかの請求項に記載の表示装置用積層体と、を備える、表示装置。
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