JP2023085796A - ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]ポリスチレン系樹脂を主成分とする基材樹脂、難燃剤及び物理発泡剤を混練してなる発泡性樹脂組成物を押出して成形具により板状に成形する工程を含み、100cm2以上の断面積を有し、見掛け密度20~50kg/m3のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法であって、
前記物理発泡剤が、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンと、炭素数3~5の飽和炭化水素とを含有し、
前記物理発泡剤の総配合量が1~1.5molであり、
前記1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量が前記基材樹脂1kgに対して0.1~0.6molであり、
前記炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量が前記基材樹脂1kgに対して0.2~0.7molであり、
前記1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量と前記炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量との合計が0.6~1.3molであり、
前記炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量(mol/kg)に対する前記1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量(mol/kg)の比(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量/炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量)が2以下であることを特徴とする。
[2]前記[1]の発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法において、前記炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量(mol/kg)に対する前記1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量(mol/kg)の比(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量/炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量)が1.5以下であることを特徴とする。
[3]前記[1]又は[2]の発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法において、前記物理発泡剤が、水、二酸化炭素、アルキル鎖の炭素数が1~3のジアルキルエーテル及び炭素数1~5の脂肪族アルコールから選択される1種以上の早期逸散発泡剤を含み、該早期逸散性発泡剤の配合量が、基材樹脂1kgあたり0.2mol以上であることを特徴とする。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法は、ポリスチレン系樹脂を主成分とする基材樹脂、難燃剤及び物理発泡剤を混練してなる発泡性樹脂組成物を押出して成形具により板状に成形する工程を含むポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法である。
(ポリスチレン系樹脂)
本発明の製造方法で用いられるポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレンや、スチレン単位成分を50mol%以上含むスチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ポリフェニレンエーテル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-メチルスチレン共重合体、スチレン-ジメチルスチレン共重合体、スチレン-エチルスチレン共重合体、スチレン-ジエチルスチレン共重合体等から選択される1種又は2種以上を例示することができ、これらの中でもポリスチレンを好適に用いることができる。なお、ポリスチレンには、スチレン単位成分以外に、多官能性単量体や多官能性マクロモノマー等の分岐化剤による単位成分が含まれていてもよい。前記共重合体中のスチレン成分単位の含有量は、好ましくは60mol%以上、より好ましくは80mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上である。
前記基材樹脂は、本発明の目的、効果が達成される範囲内において、前記ポリスチレン系樹脂、前記非晶性ポリエチレンテレフタレート系共重合体以外の重合体を含むことができる。その他の重合体としては、ポリエチレン系樹脂(エチレン単独重合体及びエチレン単位成分含有量が50mol%以上のエチレン系共重合体の群から選択される1種又は2種以上の混合物)、ポリプロピレン系樹脂(プロピレン単独重合体及びプロピレン単位成分含有量が50mol%以上のプロピレン系共重合体の群から選択される1種又は2種以上の混合物)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等の熱可塑性樹脂や、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体水添物、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体水添物、スチレン-エチレン共重合体等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの他の重合体は、基材樹脂中で50質量%未満となるように、好ましくは30質量%以下となるように、より好ましくは10質量%以下となるように、さらに好ましくは5質量%以下となるように、目的に応じて配合することができる。
本発明で用いる物理発泡剤は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)からなる発泡剤Aと、炭素数3~5の飽和炭化水素の発泡剤Bとを必須の成分とするものである。
発泡剤Aの1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)は、ハイドロフルオロオレフィンの中では、ポリスチレン系樹脂に対して適度な溶解性と優れた発泡体内残存性を有しており、優れた長期低熱伝導率性を有する発泡板を製造することができる。また、不燃性であるため、発泡板製造時の静電気による着火等の危険性を低減させることができる。さらに、オゾン破壊係数が低く、地球温暖化係数も非常に小さく、環境に与える負担が小さい発泡剤である。しかしながら、発泡剤Aを過度に添加すると、平滑性が阻害され、外観が悪化する場合がある。
発泡剤Bの炭素数3~5の飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中でもイソブタンを好適に用いることができる。
本発明では、前記発泡剤A及び発泡剤Bを必須の発泡剤として用いるが、他の発泡剤として、水、二酸化炭素、アルキル鎖の炭素数が1~3のジアルキルエーテル及び炭素数1~5の脂肪族アルコールから選択される1種以上の早期逸散発泡剤を配合することが好ましい。
本発明において、物理発泡剤の総配合量は、基材樹脂1kgに対して1~1.5molである。外観性に優れ、低見掛け密度で長期間経過後の発泡板の熱伝導率を低く維持することが可能な発泡板を得るという観点から、物理発泡剤の総配合量は基材樹脂1kgに対して1.1~1.4molであることが好ましく、1.2~1.4mol以上であることがより好ましい。
(難燃剤)
本発明の製造方法により得られる発泡板は、主として建材用の断熱材として使用されるものであり、難燃剤を前記基材樹脂に配合することにより難燃性が付与される。本発明で用いる難燃剤は特に限定されるものではないが、臭素系難燃剤を用いることが好ましい。該臭素系難燃剤としては、例えば、臭素化ブタジエン-スチレン系共重合体等の臭素化ブタジエン系重合体、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)に代表される臭素化ビスフェノール化合物、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、モノ(2,3,4-トリブロモブチル)イソシアヌレート、ジ(2,3,4-トリブロモブチル)イソシアヌレート、トリス(2,3,4-トリブロモブチル)イソシアヌレートに代表される臭素化イソシアヌレート等を例示することができる。また、これら臭素系難燃剤の1種又は2種以上を混合して使用することができる。
また、本発明の方法においては、発泡板の難燃性をさらに向上させることを目的として、難燃助剤を前記難燃剤と併用することができる。難燃助剤としては、例えば2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、2,3-ジエチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサン、3,4-ジエチル-3,4-ジフェニルヘキサン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-エチル-1-ペンテン等のジフェニルアルカンやジフェニルアルケン、ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン等のポリアルキル化芳香族化合物等から選択される1種又は2種以上を例示することができる。難燃助剤の配合量は、基材樹脂100質量部に対して概ね0.01~1質量部であり、より好ましくは0.05~0.5質量部である。
本発明の製造方法においては、断熱性を向上させるために、発泡性樹脂組成物に輻射抑制剤としてグラファイトを配合することができる。グラファイトは赤外線を反射することにより、発泡板の断熱性を向上させることができる。
本発明の製造方法においては、基材樹脂に気泡調整剤を配合して、発泡性樹脂組成物を形成することが好ましい。気泡調整剤としてはタルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、クレー、酸化アルミニウム、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末を用いることができる。なかでも気泡径の調整が容易であるとともに、難燃性を阻害することなく気泡径を小さくし易いタルクが好適であり、特に50%粒径(光透過遠心沈降法)が0.1~20μmの細かいタルクが好ましく、0.5~15μmの細かいタルクが好ましい。気泡調整剤の添加量は、調整剤の種類、目的とする気泡径等によっても異なるが、気泡調整剤としてタルクを使用する場合、基材樹脂100質量部当たり0.1~7質量部が好ましく、0.2~5質量部がより好ましく、0.3~3質量部が更に好ましい。
熱安定剤は、発泡板を製造する際や発泡板の端材等をリサイクルしてリペレット化する際などに、原料や端材等に配合することにより前記臭素系難燃剤の熱安定性を向上させることができる。該熱安定剤としては、例えば、DIC社製EPICLONシリーズ等のビスフェノール型エポキシ系化合物やノボラック型エポキシ系化合物、(ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート])等のヒンダードフェノール系化合物、(ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジホスファイト)等のホスファイト系化合物から選択される1又は2以上の熱安定剤が挙げられる。なお、熱安定剤の配合量は、難燃剤の総量100質量部に対して、0.1~40質量部であることが好ましい。
次に、本発明の製造方法により得られるポリスチレン系樹脂押出発泡板について説明する。
(断面積、寸法等)
本発明の発泡板は板状であり、その押出方向垂直断面積が100cm2以上であり、200cm2以上であることが好ましい。その断面積の上限は概ね1500cm2である。なお、本明細書において押出方向垂直断面積とは、発泡板の押出方向と直交する断面の面積をいう。
本発明の発泡板の見掛け密度は20~50kg/m3であり、好ましくは30~40kg/m3である。見掛け密度が前記範囲であると、十分な機械的強度を有するとともに、軽量性に優れた断熱材として好適に使用することができる。
該発泡板の独立気泡率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。独立気泡率がこの範囲内であれば、発泡剤が気泡中に留まりやすくなり、発泡板の高い断熱性能を長期に亘って維持することができる。また、圧縮強度等の機械的強度にも優れた発泡板とすることができる。
Vx:前記方法で測定されたカットサンプルの真の体積(cm3)(押出発泡板のカットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
VA:測定に使用されたカットサンプルの外寸から計算されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:押出発泡板を構成する樹脂の密度(g/cm3)
発泡板の厚み方向の平均気泡径は、好ましくは50~200μmであり、より好ましくは70~170μmであり、さらに好ましくは80~150μmである。平均気泡径が前記範囲内にあることにより、より一層高い断熱性を有するとともに、より優れた機械的強度を有する熱可塑性樹脂発泡板となる。
更に熱可塑性樹脂発泡板においては、気泡変形率が0.7~1.5であることが好ましい。気泡変形率とは、前記測定方法により求められた厚み方向の平均気泡径を、厚み方向の平均気泡径と同様に、気泡の拡大写真について、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K-prоを用いて個々の気泡の幅方向の最大径を計測し、それらの値を各々算術平均することにより幅方向の平均気泡径を求め、厚み方向の平均気泡径を幅方向の平均気泡径で除すことにより算出される値であり、該気泡変形率が1よりも小さいほど気泡は扁平であり、1よりも大きいほど縦長である。気泡変形率が前記範囲内にあることにより、機械的強度に優れ、かつ、より高い断熱性を有する熱可塑性樹脂発泡板となる。該気泡変形率の下限は、発泡板の圧縮強度及び寸法安定性の観点から、0.8であることがより好ましい。また、該気泡変形率の上限は、断熱性向上効果の観点から、1.1であることがより好ましく、1.05であることがさらに好ましい。
本発明の発泡板においては、製造7日後における熱伝導率は0.026W/m・K以下が好ましく、より好ましくは0.025W/m・K以下である。
また、製造100日後における熱伝導率は0.028W/m・K以下が好ましく、より好ましくは0.027W/m・K以下である。
(1-1)ポリスチレン系樹脂:DIC(株)製ポリスチレン「HP780AN」、溶融粘度(200℃、100sec-1)1900Pa・s
(1-2)ポリエステル樹脂:三菱ガス化学(株)製スピログリコール変性ポリエチレンテレフタレート「ALTESTER3012」、テレフタル酸100質量%、スピログリコール/エチレングリコール=30質量%/70質量%、溶融粘度(200℃、100sec-1)2000Pa・s
前記溶融粘度は、キャピログラフ1D((株)東洋精機製作所製)の流動特性測定機を用いて、温度200℃、せん断速度100sec-1の条件で測定した値である。
(2-1)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル):第一工業製薬「SR-130」/テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル):第一工業製薬「SR-720」=60質量%/40質量%の混合難燃剤を含有する難燃剤マスターバッチ(第一工業製薬(株)製GR-134BG)を用い、該マスターバッチを表中の難燃剤量となるように添加した。
(2-2)臭素化ブタジエン-スチレン系共重合体:ランクセス社製、Emerald Innovation3000(E3000)の難燃剤を含有する難燃剤マスターバッチを用い、該マスターバッチを表中の難燃剤量となるように添加した。
タルク(松村産業(株)製、製品名「ハイフィラー#12」、粒子径(d50)7.5μm)
(4-1)グラファイト(黒鉛:レジノカラー工業株式会社社製、商品名:SBF-T-1683、鱗片状黒鉛粉末、平均粒径17μm 40%マスターバッチ)
(4-2)酸化チタン(日弘ビックス株式会社製)
(A)1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz):三井・ケマーズフロロプロダクツ社製
(B)イソブタン
(C-1)1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze):ハネウェルジャパン社製
(C-2)水
(C-3)エタノール:山一化学工業社製
下記表1(実施例1~6、比較例1~5)に示す種類、量の基材樹脂、難燃剤マスターバッチ、気泡調整剤を第1押出機に供給し、200℃まで加熱して混練し、第1押出機に設けられた物理発泡剤注入口から、表1に示す種類、量の物理発泡剤を表1に示す各発泡剤注入圧力で供給し、更に混練して発泡性樹脂溶融物を形成した。次に、得られた発泡性樹脂溶融物を第2押出機に移送して樹脂温度を調整した後、吐出量400kg/hrでガイダー内に押出し、発泡させながらガイダー内を通過させて板状に成形(賦形)して発泡板の厚み30mmの原板を作製し、さらに、切削加工により原板の幅及び長さを調整すると共に、両面の成形スキンを均等に切削して、成形スキンを有しない直方体状のポリスチレン系樹脂発泡板(幅:910mm、長さ:1820mm、厚み:25mm、押出方向に直交する断面の面積:227.5cm2)を製造した。
厚み方向平均気泡径を次の方法で求めた。得られた発泡板を長さ方向に2等分する位置であり、かつ発泡板の幅方向垂直断面の中央部及び両端部付近の計3箇所において、拡大倍率を100倍に調整した拡大写真を得て、各々の写真上において、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K-proを用いて個々の気泡の厚み方向の最大径を計測し、それらの値を各々算術平均することにより求めた。
気泡変形率は、前記厚み方向気泡径の測定方法と同様に、気泡の拡大写真について、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K-prоを用いて個々の気泡の幅方向の最大径を計測し、それらの値を各々算術平均することにより幅方向平均気泡径を求め、厚み方向平均気泡径を幅方向平均気泡径で除することにより求めた。
ただし、式中のVx、Va、W、ρは以下の通りである。
Vx:前記空気比較式比重計による測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm3)(発泡板のカットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
Va:測定に使用されたカットサンプルの外寸法から算出されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)
W:測定に使用されたカットサンプル全質量(g)
ρ:発泡板を構成する樹脂組成物の密度(g/cm3)
発泡板の見掛け密度を次の方法で求めた。得られた発泡板を長さ方向に2等分する位置であり、かつ得られた発泡板の幅方向の中央部及び両端部付近から縦50mm×横50mm×厚み20mmの直方体の試料を各々切り出して質量を測定し、該質量を体積で割算することにより夫々の試料の見掛け密度を求め、それらの算術平均値を見掛け密度とした。
発泡板の独立気泡率は、ASTM-D2856-70の手順Cに従って、空気比較式比重計(東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計、型式:930型)を使用して測定される発泡板の真の体積Vxを用いて、下記式(1)から求めた。
製造直後の発泡板の幅方向の中央部から縦200mm×横200mm×厚み20mmの試験片を切り出し、該試験片を温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に保管し、製造7日後に、JIS A1412-2(1999年)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて各々の熱伝導率を測定した。
製造100日後の熱伝導率は、JIS A1486:2014に準拠し、熱抵抗の長期変化促進試験の試験方法Aを行った押出発泡板に対して熱伝導率の測定を行って得られた値である。具体的には、製造直後の押出発泡板の幅方向の中央部から、縦200mm×横200mm×厚み25mmの直方体を切り出し、さらに両面側から均等に削ることにより縦200mm×横200mm×厚み10mmの試験片を切り出し、温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に保管し、製造16日後(25mm厚みの押出発泡板の製造100日後に相当)の試験片を用いてJIS A1412-2(1999年)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて熱伝導率を測定した。
製造直後の発泡板を気温23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に保管し、製造4週間後に、発泡板から試験片を無作為に5個切り出して(N=5)、JIS A9521:2017の燃焼性試験方法に規定される「試験方法A」に基づいて燃焼性を測定し、下記基準により、発泡板の難燃性を評価した。
評価基準
◎:5個全ての試験片において2秒未満で消える
○:1個以上の試験片において2秒以上3秒以内で消え、5個全ての試験片において3秒以内で消える
×:5個の試験片の平均燃焼時間が3秒を超える(該当なし)
原板と押出発泡板の表面及び端部の表面平滑性について目視にて以下の基準により評価した。
◎:原板と押出発泡板の表面及び端部が極めて良好
○:原板の表面又は端部にざらつきが稀に発生、押出発泡板の表面及び端部は極めて良好
△:押出発泡板の表面又は端部にざらつきが稀に発生
×:押出発泡板の表面又は端部にざらつきが多数発生
ガススポット(押出発泡時に生じた発泡剤の分離による発泡板表面及び発泡板の断面に見られる過度に大きな気泡)を以下の基準により評価した。
◎:原板と押出発泡板にスポット孔が全く見られず
○:原板に概ねスポット孔が見られず、押出発泡板にはスポット孔が全く見られない
△:押出発泡板の一部にスポット孔が見られた
×:押出発泡板にスポット孔が複数見られ、良好な発泡板が得られなかった
製造安定性は、以下の基準により評価した。
◎:原板の幅変動が見られない、安定した製造性
〇:原板の幅変動が稀に見られるが、製造には問題ない
△:原板の幅変動が頻繁に見られ、製造が安定していない
×:原板を成形することが困難で、製造が困難
Claims (3)
- ポリスチレン系樹脂を主成分とする基材樹脂、難燃剤及び物理発泡剤を混練してなる発泡性樹脂組成物を押出して成形具により板状に成形する工程を含み、100cm2以上の断面積を有し、見掛け密度20~50kg/m3のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法であって、
前記物理発泡剤が、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンと、炭素数3~5の飽和炭化水素とを含有し、
前記物理発泡剤の総配合量が1~1.5molであり、
前記1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量が前記基材樹脂1kgに対して0.1~0.6molであり、
前記炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量が前記基材樹脂1kgに対して0.2~0.7molであり、
前記1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量と前記炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量との合計が0.6~1.3molであり、
前記炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量(mol/kg)に対する前記1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量(mol/kg)の比(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量/炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量)が2以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。 - 前記炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量(mol/kg)に対する前記1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量(mol/kg)の比(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの配合量/炭素数3~5の飽和炭化水素の配合量)が1.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
- 前記物理発泡剤が、水、二酸化炭素、アルキル鎖の炭素数が1~3のジアルキルエーテル及び炭素数1~5の脂肪族アルコールから選択される1種以上の早期逸散発泡剤を含み、該早期逸散性発泡剤の配合量が、基材樹脂1kgあたり0.2mol以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
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| WO2016136769A1 (ja) * | 2015-02-24 | 2016-09-01 | アキレス株式会社 | 硬質ポリウレタンフォーム |
| JP2017125121A (ja) * | 2016-01-14 | 2017-07-20 | 株式会社ジェイエスピー | ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法、及びポリスチレン系樹脂押出発泡板 |
| WO2018159430A1 (ja) * | 2017-03-01 | 2018-09-07 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 断熱体、断熱箱体、断熱扉及び冷凍冷蔵庫 |
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2021
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