特定の実施形態の詳細な説明
1.本発明のある特定の実施形態の概要:
専用のファージディスプレイおよび環状ペプチド技術(Bicycle(登録商標)技術)を利用して、膜型マトリックスメタロプロテアーゼ1(MT1-MMP/MMP14)に対する高親和性結合ペプチドを同定した。MT1-MMP(MT1)は、多くの固形腫瘍において過剰発現されることが見出されている、組織リモデリングに通常は関与する細胞表面膜プロテアーゼである。MT1の過剰発現は、がん侵襲性および予後不良に関係するとされてきた。がんにおけるMT1および他のMMPのタンパク質分解活性を標的とする試みは、不十分な選択性によって引き起こされる毒性により、治験において大部分が失敗であったが、MT1-MMPは、依然として標的細胞毒性送達アプローチのための魅力的ながん標的のままである。
チオール反応性足場で翻訳後環化されている1011から1013の独自のペプチド配列を含有する多様な選択ファージライブラリを使用して、MT1のヘモペキシンドメインとの小型(1.5~2kDa)拘束二環式ペプチド結合剤(二環)を同定した。初期結合剤を、指令スクリーニングによる親和性成熟および化学的最適化による安定化に供した。
二環式拘束ペプチド結合剤(二環)は、およそ2nMの見かけのKdでMT1のヘモペキシンドメインと結合することが同定された。二環ペプチド(N241)は、プロテアーゼの外部ドメイン全体と同様の親和性で結合するが、触媒ドメインとの結合は示さない。N241は、試験された密接に関連するMMPファミリーメンバー(MMP15、MMP16、MMP24、MMP1、Pro-MMP1、MMP2)のいずれに対する結合も示さない。in vitroでのMT1に対するN241の薬理効果の特徴付けは、ペプチドが、プロテアーゼの触媒活性に対しても、関連MMP触媒活性(MMP1、MMP2およびMMP9)に対しても、細胞遊走または侵襲に対しても、直接的な影響を有さないことを示す。しかしながら、HT1080線維肉腫細胞における蛍光タグ付きN241のMT1との結合は、化合物の迅速な内在化およびその後のリソソーム局在化をもたらす。加えて、177LuロードN241は、MT1陽性腫瘍異種移植片を担持するマウスに静脈内注射された場合、60分未満で腫瘍1グラム当たり15~20%が注射される用量のような高いレベルで、迅速な腫瘍局在化を実証する。対照的に、非結合二環ペプチドは、腫瘍局在化を示さない。これらの特性は、N241が、MT1陽性腫瘍細胞を標的とする検出可能部分のための良好な送達ビヒクルとなり得ることを示唆している。MT1との結合を保持した、様々なリンカーおよび検出可能部分を持つ、二環検出可能部分コンジュゲート(BDMC)が調製された。選択BDMCのイメージング活性は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2016/067035で記述されている通り、マウスのMT1陽性ヒト腫瘍細胞異種移植片において実証された。
放射性核種と結合することができるキレートリガンドである1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)と、リンカーを介して共有結合により連結している膜型マトリックスメタロプロテアーゼ1(MT1-MMP、MMP14)に対して高い親和性および特異性で結合する拘束二環式ペプチドを含む、一連の二環検出可能部分コンジュゲート(BDMC)が調製された。MT1-MMPは、組織リモデリングに必然的に関与するが、細胞表面プロテアーゼの過剰発現は、腫瘍の攻撃性および侵襲性、ならびに多くのがんの兆候について患者の予後不良と結びついているとされてきた。MT1-MMP(N241)のための二環結合剤は、中央化学的足場によって2つのループ内に拘束される線状アミノ酸配列の高度に多様なファージライブラリからなる専用のファージディスプレイペプチド技術を使用して同定された。モノクローナル抗体で観察されたものと同様の親和性および特異性で結合しながら、小型サイズの二環ペプチド(1.5~2kDa)は、これを、がんをイメージングおよび治療するための検出可能部分の標的送達の理想的なフォーマットにするために、その迅速な血管外遊出および腫瘍浸透を支援する。
二環の提示を調整するために可変スペーサーフォーマットを持つ一連の二環-リンカー-検出可能部分BDMCを調製し、MT1陽性腫瘍異種移植片モデルにおいて腫瘍を標的とするおよびイメージングするそれらの能力について評価した。
本発明の二環検出可能部分コンジュゲート(BDMC)は、線維肉腫のヒト腫瘍異種移植片モデルにおける腫瘍細胞の選択的標的化を示す。いかなる特定の理論によっても拘束されることは望まないが、小型サイズのBDMCは、迅速な血管外遊出および腫瘍浸透の改善により、抗体-検出可能部分コンジュゲート等の他の標的イメージングアプローチに有意な利点を供与し得ると考えられる。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんを治療する方法であって、対象に、MT1-MMP、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんをイメージングする方法であって、対象に、MT1-MMP、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
同様の様式で、専用のファージディスプレイおよび環状ペプチド技術(Bicycle(登録商標)技術)を利用して、炭酸アンヒドラーゼIX(CAIX)、PSMA、CD38、EphA2およびインテグリンαvβ3に対する高親和性結合ペプチドを同定した。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんを治療する方法であって、対象に、CAIX、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんをイメージングする方法であって、対象に、CAIX、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんを治療する方法であって、対象に、PSMA、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんをイメージングする方法であって、対象に、PSMA、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんを治療する方法であって、対象に、CD38、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんをイメージングする方法であって、対象に、CD38、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんを治療する方法であって、対象に、EphA2、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんをイメージングする方法であって、対象に、EphA2、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんを治療する方法であって、対象に、αvβ3、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
ある特定の態様では、本発明は、対象においてある特定のがんをイメージングする方法であって、対象に、αvβ3、または薬学的に許容され得るその塩もしくは組成物の高親和性結合剤を含む有効量の検出可能部分コンジュゲートを投与することを含む、方法を提供する。
一部の実施形態では、ペプチド配列を分子足場試薬で処理して、本発明の化合物を形成する。
本発明の化合物およびその組成物は、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2またはαvβ3の阻害剤として有用である。一部の実施形態では、提供化合物は、CAIXを阻害する。一部の実施形態では、提供化合物は、MT1-MMPを阻害する。一部の実施形態では、提供化合物は、PSMAを阻害する。一部の実施形態では、提供化合物は、CD38を阻害する。一部の実施形態では、提供化合物は、EphA2を阻害する。一部の実施形態では、提供化合物は、αvβ3を阻害する。
特定の実施形態では、本発明は、式Iの化合物:
または薬学的に許容され得るその塩であって、式中、
L
1、L
2およびL
3のそれぞれは、独立して、共有結合またはC
1~8二価炭化水素鎖であり、ここで、前記鎖の1、2または3つのメチレン単位は、-S-、-N(R)-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)-、-S(O)
2-または-N(R)CH
2C(O)-によって必要に応じて、かつ独立して置き換えられており、
Rのそれぞれは、独立して、水素またはC
1~4アルキルであり、
m、n、oおよびpのそれぞれは、独立して、0または1であり、
qおよびrのそれぞれは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15であり、
R
1は、Rまたは-C(O)Rであり、
R
4およびR
6のそれぞれは、独立して、水素、あるいは、C
1~6脂肪族、3~8員飽和もしくは部分不飽和単環式炭素環式環、フェニル、8~10員二環式芳香族炭素環式環、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、4~8員飽和もしくは部分不飽和単環式ヘテロ環式環、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する、5~6員単環式ヘテロ芳香族環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する、8~10員二環式ヘテロ芳香族環から選択される、必要に応じて置換されている基であり、
R
4’およびR
6’のそれぞれは、独立して、水素またはメチルであり、
R
2、R
3、R
5およびR
7のそれぞれは、独立して、水素またはC
1~4脂肪族であるか、あるいは
R
5基およびその隣接するR
4基は、それらの介在原子と必要に応じて一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、4~8員飽和または部分不飽和単環式ヘテロ環式環を形成するか、あるいは
R
7基およびその隣接するR
6基は、それらの介在原子と必要に応じて一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、4~8員飽和または部分不飽和単環式ヘテロ環式環を形成し、
足場は、環状ペプチドと接続し、配向付ける、三価の基であり、
ループAは、L
2に連結したアミノ酸残基およびL
1に連結したアミノ酸残基と結合している二価の天然もしくは非天然のアミノ酸残基またはペプチドであり、ここで、ループAは、
を含み、
ループBは、L
1に連結したアミノ酸残基およびL
3に連結したアミノ酸残基と結合している二価の天然もしくは非天然のアミノ酸残基またはペプチドであり、ここで、ループBは、
を含み、
は、二環のN末端との結合部位を指し示し、
は、二環のC末端との結合部位を指し示し、
検出可能部分
1は、検出されることができる任意の部分であり、
検出可能部分
2は、検出されることができる任意の部分であり、
リンカー
1は、水素、-C(O)R、
、または前記二環のN末端を検出可能部分
1と接続する二価部分であり、ここで、nが0である場合、リンカー
1は、水素、-C(O)R、または
であり、
リンカー
2は、-NH
2、または前記二環のC末端を検出可能部分
2と接続する二価部分であり、ここで、pが0である場合、リンカー
2は、-NH
2であり、
環Aは、18-クラウン-6、1,7,13-トリアザ-18-クラウン-6、および、0~3個のオキソ、メチル、エチルまたはスピロエチレン基により必要に応じて置換された、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~6個のヘテロ原子を有する、3~12員飽和、部分不飽和、架橋二環式、架橋三環式、プロペランまたは芳香族環からなる群から選択される、化合物または薬学的に許容され得るその塩を提供する。
2.化合物および定義:
ペプチドリガンド
本発明の化合物は、本明細書において概して記述されるものを含み、本明細書において開示されるクラス、サブクラスおよび種によってさらに例証される。本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、下記の定義が当てはまるものとする。本発明の目的のために、化学元素は、the Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edに従って同定される。加えて、有機化学の一般原理は、"Organic Chemistry", Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999および"March's Advanced Organic Chemistry", 5th Ed., Ed.: Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001において記述されており、それらの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
環状ペプチドは、タンパク質標的と高い親和性および標的特異性で結合することができ、それ故、治療薬の開発のための魅力的な分子クラスである。実際に、いくつかの環状ペプチドは、診療所において、例えば、抗細菌ペプチドバンコマイシン、免疫抑制薬シクロスポリンまたは抗がん薬オクトレオチドとして、既に成功裏に使用されている(Driggers et al. (2008), Nat Rev Drug Discov 7 (7), 608-24)。良好な結合特性は、ペプチドと標的との間に形成される比較的大きい相互作用表面および環状構造の配座柔軟性の低減によって生じる。典型的には、大環状は、例えば、環状ペプチドCXCR4アンタゴニストCVX15(400Å2;Wu et al. (2007), Science 330, 1066-71)、インテグリンαVβ3に結合しているArg-Gly-Aspモチーフを持つ環状ペプチド(355Å2)(Xiong et al. (2002), Science 296 (5565), 151-5)またはウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子に結合している環状ペプチド阻害剤ウパイン-1(603Å2;Zhao et al. (2007), J Struct Biol 160 (1), 1-10)のように、数百平方オングストロームの表面に結合する。
それらの環状配置により、ペプチド大環状は、線状ペプチドよりも柔軟性が低く、標的との結合時におけるより小さいエントロピーの損失につながり、より高い結合親和性をもたらす。柔軟性の低減は、標的特異的配座をロックすることにもつながり、線状ペプチドと比べて結合特異性を増大させる。この効果は、その環が開かれた際に他のMMPよりもその選択性を損失し、マトリックスメタロプロテイナーゼ8、MMP-8)の強力かつ選択的な阻害剤によって例示されてきた(Cherney et al. (1998), J Med Chem 41 (11), 1749-51)。大環状化を介して達成された好都合な結合特性は、例えば、バンコマイシン、ナイシンおよびアクチノマイシンにおいてのように、1つより多くのペプチド環を有する多環式ペプチドにおいて、より一層顕著である。
異なる研究チームが、以前に、システイン残基を持つポリペプチドを、合成分子構造とつないでいた(Kemp and McNamara (1985), J. Org. Chem; Timmerman et al. (2005), ChemBioChem)。Meloenおよび同僚らは、タンパク質表面の構造擬態のために、合成足場への複数のペプチドループの迅速かつ定量的な環化にトリス(ブロモメチル)ベンゼンおよび関連分子を使用した(Timmerman et al. (2005), ChemBioChem)。候補薬化合物の生成のための方法であって、前記化合物が、システイン含有ポリペプチドを、例えばトリス(ブロモメチル)ベンゼンのような分子足場と連結させることによって生成される方法は、WO2004/077062およびWO2006/078161において開示されている。
ファージディスプレイベースのコンビナトリアルアプローチは、目的の標的に対する二環式ペプチドの大型ライブラリを生成するおよびスクリーニングするために開発されてきた(Heinis et al. (2009), Nat Chem Biol 5 (7), 502-7およびWO2009/098450)。簡潔に述べると、3つのシステイン残基および6つのランダムアミノ酸(Cys-(Xaa)6-Cys-(Xaa)6-Cys)の2つの領域を含有する線状ペプチドのコンビナトリアルライブラリを、ファージ上に表示し、システイン側鎖を小分子(トリス-(ブロモメチル)ベンゼン)と共有結合により連結させることによって環化した。
ペプチドリガンドは、本明細書において言及される場合、分子足場と共有結合しているペプチドを指す。典型的には、そのようなペプチドは、足場と共有結合を形成することができる2つまたはそれよりも多い反応性基(例えば、システイン残基)、および、ペプチドが足場と結合している場合にループを形成することからループ配列と称される前記反応性基間に挟まれた配列を含む。本発明の事例では、ペプチドは、少なくとも3個のシステイン残基を含み、足場上で少なくとも2つのループを形成する。当業者ならば、足場と共有結合を形成することができる他のアミノ酸残基を使用して(例えば、リシン、Dapまたはセリン)、本発明の二環式ペプチドを形成できることを認識するであろう。
ペプチドリガンドの利点
本発明のある特定の二環式ペプチドは、それらを注射、吸入、経鼻、眼内、経口または局所投与のための好適な薬物様分子とみなすことができるいくつかの有利な特性を有する。いかなる特定の理論によっても拘束されないが、そのような有利な特性は、次のものを含み得る:
種の交差反応性。これは、前臨床薬力学および薬物動態評価のための典型的な要件である;
プロテアーゼ安定性。二環式ペプチドリガンドは、血漿プロテアーゼ、上皮(「膜アンカー」)プロテアーゼ、胃および腸のプロテアーゼ、肺表面プロテアーゼ、細胞内プロテアーゼ等に対する安定性を理想的には実証するべきである。二環リード候補が動物モデルにおいて開発され得、かつ自信を持ってヒトに投与され得るようなプロテアーゼ安定性が、異なる種間で維持されるべきである;
望ましい溶解度プロファイル。これは、製剤化および吸収目的に重要な、荷電および親水性対疎水性残基および分子内/分子間H結合の割合の関数である;
循環中における最適な血漿半減期。臨床的適応および治療レジメンに応じて、急性疾病管理設定における短期曝露のための二環式ペプチドを開発するまたは循環中における保持が強化された二環式ペプチドを開発することが要求され得、したがって、より慢性的な病状の管理のために最適である。望ましい血漿半減期を推進する他の要因は、最大治療効率のための持続曝露対作用物質の持続曝露により付随する毒物学の要件である;ならびに
選択性。本発明のある特定のペプチドリガンドは、他の炭酸アンヒドラーゼ、メタロプロテアーゼおよびインテグリンを上回る良好な選択性を実証する。
用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、本明細書において使用される場合、完全に飽和であるか、または1つもしくは複数の不飽和の単位を含有する、直鎖(すなわち、非分枝状)または分枝状、置換または非置換炭化水素、あるいは、完全に飽和であるか、または1つもしくは複数の不飽和の単位を含有するが、芳香族ではない(本明細書において、「炭素環」、「脂環式」、または「シクロアルキル」とも称される)、分子の残りとの単一の結合点を有する、単環式炭化水素または二環式炭化水素を意味する。別段の定めがない限り、脂肪族基は、1~6個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~5個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態では、脂肪族基は、1~4個の脂肪族炭素原子を含有する。また他の実施形態では、脂肪族基は、1~3個の脂肪族炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~2個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態では、「脂環式」(または「炭素環」もしくは「シクロアルキル」)は、完全に飽和であるか、または1つもしくは複数の不飽和の単位を含有するが、芳香族ではない、分子の残りとの単一の結合点を有する、単環式C3~C6炭化水素を指す。好適な脂肪族基は、線状または分枝状、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル基、および(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル等のそれらのハイブリッドを含むがこれらに限定されない。
本明細書において使用される場合、用語「架橋二環式」は、任意の二環式環系、すなわち、少なくとも1つの架橋を有する、炭素環式またはヘテロ環式、飽和または部分不飽和を指す。IUPACによって定義される通り、「架橋」は、2つの橋頭を接続している原子の非分岐状鎖または原子または原子価結合であり、ここで、「橋頭」は、3個またはそれよりも多い骨格原子(水素を除く)と結合している環系の任意の骨格原子である。一部の実施形態では、架橋二環式基は、7~12環員および窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する。そのような架橋二環式基は、当該技術分野において周知であり、以下に明記されている基を含み、ここで、各基は、任意の置換可能な炭素または窒素原子において分子の残りと結合している。別段の定めがない限り、架橋二環式基は、脂肪族基について明記されている通りの1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されている。付加的にまたは代替的に、架橋二環式基の任意の置換可能な窒素は、必要に応じて置換されている。例示的な架橋二環式は、
を含む。
用語「低級アルキル」は、C1~4直鎖状または分枝状アルキル基を指す。例示的な低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルである。
用語「低級ハロアルキル」は、1個または複数のハロゲン原子により置換されているC1~4直鎖状または分枝状アルキル基を指す。
用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素(窒素、硫黄、リンまたはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態、あるいは;ヘテロ環式環の置換可能な窒素、例えばN(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルのような)、NH(ピロリジニルのような)またはNR+(N-置換ピロリジニルのような)を含む)の1つまたは複数を意味する。
用語「不飽和」は、本明細書において使用される場合、ある部分が、1つまたは複数の不飽和の単位を有することを意味する。
本明細書において使用される場合、用語「二価C1~8(またはC1~6)飽和または不飽和、直鎖状または分枝状、炭化水素鎖」は、本明細書において定義される通りの直鎖状または分枝状である、二価アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン鎖を指す。
用語「アルキレン」は、二価アルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち、-(CH2)n-であり、ここで、nは、好ましくは、1から6まで、1から4まで、1から3まで、1から2まで、または2から3までの正の整数である。置換アルキレン鎖は、1個または複数のメチレン水素原子が置換基により置き換えられている、ポリメチレン基である。好適な置換基は、置換脂肪族基について以下に記述するものを含む。
用語「アルケニレン」は、二価アルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、1個または複数の水素原子が置換基により置き換えられている少なくとも1つの二重結合を含有する、ポリメチレン基である。好適な置換基は、置換脂肪族基について以下に記述するものを含む。
本明細書において使用される場合、用語「シクロプロピレニル」は、下記の構造:
の二価シクロプロピル基を指す。
用語「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」のようなより大きい部分の一部として使用される用語「アリール」は、合計5から14環員を有する単環式または二環式環系を指し、ここで、系中の少なくとも1つの環は芳香族であり、系中の各環は、3から7環員を含有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用されてよい。本発明のある特定の実施形態では、「アリール」は、1つまたは複数の置換基を担持し得る、フェニル、ビフェニル、ナフチル、芳香族等を含むがこれらに限定されない、芳香族環系を指す。本明細書において使用される場合、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル(naphthimidyl)、フェナントリジニルまたはテトラヒドロナフチル等、芳香族環が1つまたは複数の非芳香族環と縮合している基も、用語「アリール」の範囲内に含まれる。
用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ-」は、単独でまたはより大きい部分の一部として使用され、例えば、「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアラルコキシ」は、5から10個の環原子、好ましくは5、6または9個の環原子を有する;環状アレイで共有される6、10または14個のπ電子を有する;および、炭素原子に加えて、1から5個までのヘテロ原子を有する、基を指す。用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素または硫黄を指し、窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリール基は、限定されないが、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニルおよびプテリジニルを含む。用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ-」は、本明細書において使用される場合、ヘテロ芳香族環が1つまたは複数のアリール、脂環式またはヘテロシクリル環と縮合している基も含み、ここで、ラジカルまたは結合点は、ヘテロ芳香族環上にある。非限定的な例は、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル(benzthiazolyl)、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルおよびピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンを含む。ヘテロアリール基は、単または二環式であってよい。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」または「ヘテロ芳香族」と互換的に使用されてよく、これらの用語のいずれかは、必要に応じて置換されている環を含む。用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールによって置換されているアルキル基を指し、ここで、アルキルおよびヘテロアリール部は、独立して、必要に応じて置換されている。
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環式ラジカル」および「ヘテロ環式環」は、互換的に使用され、飽和または部分不飽和のいずれかであり、炭素原子に加えて、1個または複数の、好ましくは1から4個の、上記で定義される通りのヘテロ原子を有する、安定な5から7員単環式または7~10員二環式ヘテロ環式部分を指す。ヘテロ環の環原子に言及して使用される場合、用語「窒素」は、置換窒素を含む。例として、酸素、硫黄または窒素から選択される0~3個のヘテロ原子を有する、飽和または部分不飽和環において、窒素は、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルのような)、NH(ピロリジニルのような)または+NR(N-置換ピロリジニルのような)であってよい。
ヘテロ環式環は、任意のヘテロ原子または炭素原子においてそのペンダント基と結合することができ、これにより安定構造をもたらし、環原子のいずれかは必要に応じて置換されていてよい。そのような飽和または部分不飽和ヘテロ環式ラジカルの例は、限定されないが、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニルおよびキヌクリジニルを含む。用語「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「ヘテロ環式基」、「ヘテロ環式部分」および「ヘテロ環式ラジカル」は、本明細書において互換的に使用され、インドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニルまたはテトラヒドロキノリニル等の、ヘテロシクリル環が1つまたは複数のアリール、ヘテロアリールまたは脂環式環と縮合している基も含む。ヘテロシクリル基は、単または二環式であってよい。用語「ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロシクリルによって置換されているアルキル基を指し、ここで、アルキルおよびヘテロシクリル部は、独立して、必要に応じて置換されている。
本明細書において使用される場合、用語「部分不飽和」は、少なくとも1つの二重または三重結合を含む環部分を指す。用語「部分不飽和」は、複数の不飽和部位を有する環を包括するように意図されているが、本明細書において定義される通りのアリールまたはヘテロアリール部分を含むようには意図されていない。
本明細書において記述される通り、本発明の化合物は、「必要に応じて置換されている」部分を含有し得る。概して、用語「置換されている」は、用語「必要に応じて」が前に付くか否かにかかわらず、指定部分の1個または複数の水素が好適な置換基で置き換えられていることを意味する。別段の指示がない限り、「必要に応じて置換されている」基は、基の各置換可能な位置に好適な置換基を有してよく、任意の所与の構造中における1つより多くの位置が、定められた基から選択される1つより多くの置換基により置換され得る場合、置換基は、すべての位置で同じであっても異なっていてもよい。本発明によって想定される置換基の組合せは、好ましくは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。用語「安定な」は、本明細書において使用される場合、それらの産生、検出、ならびに、ある特定の実施形態では、本明細書において開示される目的の1つまたは複数のための、それらの回収、精製および使用を可能にするための条件に供された場合に、実質的に改変されない化合物を指す。
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な炭素原子上の好適な一価置換基は、独立して、ハロゲン;-(CH2)0~4R〇;-(CH2)0~4OR〇;-O(CH2)0~4Ro、-O-(CH2)0~4C(O)OR〇;-(CH2)0~4CH(OR〇)2;-(CH2)0~4SR〇;R〇により置換されていてよい-(CH2)0~4Ph;R〇により置換されていてよい-(CH2)0~4O(CH2)0~1Ph;R〇により置換されていてよい-CH=CHPh;R〇により置換されていてよい-(CH2)0~4O(CH2)0~1-ピリジル;-NO2;-CN;-N3;-(CH2)0~4N(R〇)2;-(CH2)0~4N(R〇)C(O)R〇;-N(R〇)C(S)R〇;-N(R〇)C(NR〇)N(R〇)2;-(CH2)0~4N(R〇)C(O)NR〇
2;-N(R〇)C(S)NR〇
2;-(CH2)0~4N(R〇)C(O)OR〇;-N(R〇)N(R〇)C(O)R〇;-N(R〇)N(R〇)C(O)NR〇
2;-N(R〇)N(R〇)C(O)OR〇;-(CH2)0~4C(O)R〇;-C(S)R〇;-(CH2)0~4C(O)OR〇;-(CH2)0~4C(O)SR〇;-(CH2)0~4C(O)OSiR〇
3;-(CH2)0~4OC(O)R〇;-OC(O)(CH2)0~4SR-、-SC(S)SR〇;-(CH2)0~4SC(O)R〇;-(CH2)0~4C(O)NR〇
2;-C(S)NR〇
2;-C(S)SR°;-(CH2)0~4OC(O)NR〇
2;-C(O)N(OR〇)R〇;-C(O)C(O)R〇;-C(O)CH2C(O)R〇;-C(NOR〇)R〇;-(CH2)0~4SSR〇;-(CH2)0~4S(O)2R〇;-(CH2)0~4S(O)2OR〇;-(CH2)0~4OS(O)2R〇;-S(O)2NR〇
2;-(CH2)0~4S(O)R〇;-N(R〇)S(O)2NR〇
2;-N(R〇)S(O)2R〇;-N(OR〇)R〇;-C(NH)NR〇
2;-P(O)2R〇;-P(O)R〇
2;-OP(O)R〇
2;-OP(O)(OR〇)2;-SiR〇
3;-(C1~4直鎖状または分枝状アルキレン)O-N(R〇)2;または-(C1~4直鎖状または分枝状アルキレン)C(O)O-N(R〇)2であり、ここで、各R〇は、以下で定義する通りに置換されていてよく、独立して、水素、C1~6脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、-CH2-(5~6員ヘテロアリール環)、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、5~6員飽和、部分不飽和もしくはアリール環であるか、あるいは、上記の定義にもかかわらず、R〇の2回の独立した出現は、それらの介在原子と一緒になって、以下で定義する通りに置換されていてよい、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、3~12員飽和、部分不飽和またはアリール単もしくは二環式環を形成する。
R〇(またはR〇の2回の独立した出現がそれらの介在原子と一緒になって形成された環)上の好適な一価置換基は、独立して、ハロゲン、-(CH2)0~2R●、-(ハロR●)、-(CH2)0~2OH、-(CH2)0~2OR●、-(CH2)0~2CH(OR●)2;-O(ハロR●)、-CN、-N3、-(CH2)0~2C(O)R●、-(CH2)0~2C(O)OH、-(CH2)0~2C(O)OR●、-(CH2)0~2SR●、-(CH2)0~2SH、-(CH2)0~2NH2、-(CH2)0~2NHR●、-(CH2)0~2NR●
2、-NO2、-SiR●
3、-OSiR●
3、-C(O)SR●、-(C1~4直鎖状または分枝状アルキレン)C(O)OR●または-SSR●であり、ここで、各R●は、非置換であるか、あるいは、「ハロ」が前に付く場合、1個または複数のハロゲンによってのみ置換されており、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、5~6員飽和、部分不飽和またはアリール環から独立して選択される。R〇の飽和炭素原子上の好適な二価の置換基は、=Oおよび=Sを含む。
「必要に応じて置換されている」基の飽和炭素原子上の好適な二価の置換基は、下記:=O、=S、=NNR*
2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、-O(C(R*
2))2~3O-または-S(C(R*
2))2~3S-を含み、ここで、R*の各独立した出現は、水素、以下で定義する通りに置換されていてよいC1~6脂肪族、あるいは、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、非置換5~6員飽和、部分不飽和またはアリール環から選択される。「必要に応じて置換されている」基の近接の置換可能な炭素と結合している好適な二価の置換基は、-O(CR*
2)2~3O-を含み、ここで、R*の各独立した出現は、水素、以下で定義する通りに置換されていてよいC1~6脂肪族、あるいは、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、非置換5~6員飽和、部分不飽和またはアリール環から選択される。
R*の脂肪族基上の好適な置換基は、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR●
2または-NO2を含み、ここで、各R●は、非置換であるか、あるいは、「ハロ」が前に付く場合、1個または複数のハロゲンによってのみ置換されており、独立して、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、あるいは、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、5~6員飽和、部分不飽和またはアリール環である。
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な窒素上の好適な置換基は、-R†、-NR†
2、-C(O)R†、-C(O)OR†、-C(O)C(O)R†、-C(O)CH2C(O)R†、-S(O)2R†、-S(O)2NR†
2、-C(S)NR†
2、-C(NH)NR†
2または-N(R†)S(O)2R†を含み、ここで、各R†は、独立して、水素、以下で定義する通りに置換されていてよいC1~6脂肪族、非置換-OPh、あるいは、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、非置換5~6員飽和、部分不飽和またはアリール環であるか、あるいは、上記の定義にもかかわらず、R†の2回の独立した出現は、それらの介在原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、非置換3~12員飽和、部分不飽和またはアリール単もしくは二環式環を形成する。
R†の脂肪族基上の好適な置換基は、独立して、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR●
2または-NO2であり、ここで、各R●は、非置換であるか、あるいは、「ハロ」が前に付く場合、1個または複数のハロゲンによってのみ置換されており、独立して、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、あるいは、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、5~6員飽和、部分不飽和またはアリール環である。
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容され得る塩」は、妥当な医学的判断の範囲内で、必要以上の毒性、刺激、アレルギー応答等なしに、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比に見合った、塩を指す。薬学的に許容され得る塩は、当該技術分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれる、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19において、薬学的に許容され得る塩について詳細に記述している。本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩は、好適な無機および有機酸および塩基に由来するものを含む。薬学的に許容され得る非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸等の無機酸と、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸等の有機酸と、あるいはイオン交換等の当該技術分野において使用される他の方法を使用することによって形成された、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容され得る塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を含む。
適切な塩基に由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN+(C1~4アルキル)4塩を含む。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含む。さらなる薬学的に許容され得る塩は、適切な場合、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、ならびにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩等の対イオンを使用して形成されたアミンカチオンを含む。
別段の記載がない限り、本明細書において示されている構造は、構造のすべての異性(例えば、鏡像異性、ジアステレオマーおよび幾何学的(または配座))形態;例えば、各不斉中心についてのRおよびS配置、ZおよびE二重結合異性体、ならびにZおよびE配座異性体を含むようにもなっている。したがって、本発明の単一の立体化学異性体ならびに鏡像異性、ジアステレオマーおよび幾何学的(または配座)混合物は、本発明の範囲内である。別段の記載がない限り、本発明の化合物のすべての互変異性形態は、本発明の範囲内である。加えて、別段の記載がない限り、本明細書において示されている構造は、1個または複数の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含むようにもなっている。例えば、重水素もしくは三重水素による水素の置き換えまたは13C-もしくは14C濃縮炭素による炭素の置き換えを含む本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は、例えば、本発明に従い、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または治療剤として、有用である。ある特定の実施形態では、提供化合物は、1個または複数の重水素原子を含む。
本明細書において使用される場合、用語「阻害剤」は、測定可能な親和性で、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2またはαvβ3と結合するおよび/またはそれらを阻害する化合物として定義される。ある特定の実施形態では、阻害剤は、約50μM未満、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、約10nMまたは約1nM未満のIC50および/または結合定数を有する。
本発明の化合物は、検出可能部分とつながれてよい。そのような化合物は、イメージング剤として有用であることが分かるであろう。当業者ならば、検出可能部分が、好適な置換基を介して提供化合物と結合し得ることを認識するであろう。本明細書において使用される場合、用語「好適な置換基」は、検出可能部分と共有結合できる部分を指す。そのような部分は、当業者に周知であり、例えば、ほんの数例を挙げれば、カルボキシレート部分、アミノ部分、チオール部分またはヒドロキシル部分を含有する基を含む。そのような部分は、直接的に、または二価飽和もしくは不飽和炭化水素鎖等のテザリング基(tethering group)を介して、提供化合物と結合し得ることが分かるであろう。一部の実施形態では、そのような部分は、クリックケミストリーを介して結合され得る。一部の実施形態では、そのような部分は、アジドの1,3-付加環化を介して、アルキンと、必要に応じて銅触媒の存在下で、結合され得る。クリックケミストリーを使用する方法は、当該技術分野において公知であり、Rostovtsev et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, 2596-99およびSun et al., Bioconjugate Chem., 2006, 17, 52-57によって記述されているものを含む。
本明細書において使用される場合、用語「検出可能部分」は、用語「標識」と互換的に使用され、検出されることができる任意の部分、例えば、一次標識および二次標識を指す。放射性同位元素(例えば、三重水素、225Ac、227Ac、241Am、72As、74As、211At、198Au、11B、7Be、212Bi、213Bi、75Br、77Br、11C、14C、48Ca、109Cd、139Ce、141Ce、252Cf、55Co、57Co、60Co、51Cr、130Cs、131Cs、137Cs、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、165Dy、152Eu、155Eu、18F、55Fe、59Fe、64Ga、67Ga、68Ga、153Gd、68Ge、122I、123I、124I、125I、131I、132I、111In、115mIn、191mIr、192Ir、81mKr、177Lu、51Mn、52Mn、99Mo、13N、95Nb、15O、191Os、194Os、32P、33P、203Pb、212Pb、103Pd、109Pd、238Pu、223Ra、226Ra、82Rb、186Re、188Re、105Rh、97Ru、103Ru、35S、46Sc、47Sc、72Se、75Se、28Si、145Sm、153Sm、117mSn、85Sr、89Sr、90Sr、178Ta、179Ta、182Ta、149Tb、96Tc、99mTc、228Th、229Th、201Tl、170Tm、171Tm、188W、127Xe、133Xe、88Y、90Y 91Y、169Yb、62Zn、65Zn、89Zrまたは95Zr、ここで、上付きのmは、メタ状態を表示する)、質量タグおよび蛍光標識等の一次標識は、さらに修飾することなく検出され得るシグナル生成レポーター基である。検出可能部分は、発光およびリン光基も含む。
用語「二次標識」は、本明細書において使用される場合、検出可能シグナルの産生のために第2の中間体の存在を要求する、ビオチンおよび種々のタンパク質抗原等の部分を指す。ビオチンについて、二次中間体は、ストレプトアビジン-酵素コンジュゲートを含み得る。抗原標識について、二次中間体は、抗体-酵素コンジュゲートを含み得る。一部の蛍光基は、それらが非放射性蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のプロセスにおいて別の基にエネルギーを移動させ、第2の基が検出シグナルを産生することから、二次標識として作用する。
用語「蛍光標識」、「蛍光色素」および「フルオロフォア」は、本明細書において使用される場合、定義された励起波長で光エネルギーを吸収し、異なる波長で光エネルギーを放出する部分を指す。蛍光標識の例は、Alexa Fluor色素(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660およびAlexa Fluor 680)、AMCA、AMCA-S、BODIPY色素(BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665)、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、Cascade Blue、Cascade Yellow、Coumarin 343、シアニン色素(Cy3、Cy5、Cy3.5、Cy5.5、Cy7、Cy7.5)、ダンシル、ダポキシル、ジアルキルアミノクマリン、4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシ-フルオレセイン、DM-NERF、エオシン、エリスロシン、フルオレセイン、FAM、ヒドロキシクマリン、IR色素(IRD40、IRD700、IRD800)、JOE、リサミンローダミンB、Marina Blue、メトキシクマリン、ナフトフルオレセイン、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514、Pacific Blue、PyMPO、ピレン、ローダミンB、ローダミン6G、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Rhodol Green、2’,4’,5’,7’-テトラ-ブロモスルホン-フルオレセイン、テトラメチル-ローダミン(TMR)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、Texas Red、Texas Red-Xを含むがこれらに限定されない。
用語「質量タグ」は、本明細書において使用される場合、質量分析(MS)検出技術を使用し、その質量に基づいて独自に検出されることができる任意の部分を指す。質量タグの例は、N-[3-[4’-[(p-メトキシテトラフルオロベンジル)オキシ]フェニル]-3-メチルグリセロニル]イソニペコチン酸、4’-[2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(ペンタフルオロフェノキシル)]メチルアセトフェノン、およびそれらの誘導体等の電気泳動放出タグを含む。これらの質量タグの合成および有用性は、米国特許第4,650,750号、同第4,709,016号、同第5,360,8191号、同第5,516,931号、同第5,602,273号、同第5,604,104号、同第5,610,020号および同第5,650,270号において記述されている。質量タグの他の例は、ヌクレオチド、ジデオキシヌクレオチド、可変長および塩基組成のオリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、オリゴ糖、ならびに可変長およびモノマー組成の他の合成ポリマーを含むがこれらに限定されない。適切な質量範囲(100~2000ダルトン)の中性および荷電(生体分子または合成化合物)両方の多種多様な有機分子を、質量タグとして使用してもよい。
用語「量子ドット」は、本明細書において使用される場合、高発光性半導体ナノクリスタル(例えば、硫化亜鉛でキャップされたセレン化カドミウム)である任意の部分を指す。これらの量子ドットの合成および有用性は、米国特許第6,326,144号、同第6,468,808号、同第7,192,785号、同第7,151,047号において、および科学文献(Chan and Nie (1998) Science 281(5385) 2016-2018を参照)において記述されている。
用語「測定可能な親和性」および「測定可能に阻害する」は、本明細書において使用される場合、本発明の化合物またはその組成物およびCAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2またはαvβ3を含む試料と、前記化合物もその組成物も非存在下、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2またはαvβ3を含む同等の試料との間での、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2またはαvβ3活性における測定可能な変化を意味する。
3.例示的な実施形態の記述:
上記のとおり、特定の実施形態において、本発明は、式Iの化合物:
または薬学的に許容され得るその塩であって、式中、
L
1、L
2およびL
3のそれぞれは、独立して、共有結合またはC
1~8二価炭化水素鎖であり、ここで、前記鎖の1、2または3つのメチレン単位は、-S-、-N(R)-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)-、-S(O)
2-または-N(R)CH
2C(O)-によって必要に応じて、かつ独立して置き換えられており、
Rのそれぞれは、独立して、水素またはC
1~4アルキルであり、
m、n、oおよびpのそれぞれは、独立して、0または1であり、
qおよびrのそれぞれは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15であり、
R
1は、Rまたは-C(O)Rであり、
R
4およびR
6のそれぞれは、独立して、水素、あるいは、C
1~6脂肪族、3~8員飽和もしくは部分不飽和単環式炭素環式環、フェニル、8~10員二環式芳香族炭素環式環、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、4~8員飽和もしくは部分不飽和単環式ヘテロ環式環、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する、5~6員単環式ヘテロ芳香族環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する、8~10員二環式ヘテロ芳香族環から選択される、必要に応じて置換されている基であり、
R
4’およびR
6’のそれぞれは、独立して、水素またはメチルであり、
R
2、R
3、R
5およびR
7のそれぞれは、独立して、水素またはC
1~4脂肪族であるか、あるいは
R
5基およびその隣接するR
4基は、それらの介在原子と必要に応じて一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、4~8員飽和または部分不飽和単環式ヘテロ環式環を形成するか、あるいは
R
7基およびその隣接するR
6基は、それらの介在原子と必要に応じて一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、4~8員飽和または部分不飽和単環式ヘテロ環式環を形成し、
足場は、環状ペプチドと接続し、配向付ける、三価の基であり、
ループAは、L
2に連結したアミノ酸残基およびL
1に連結したアミノ酸残基と結合している二価の天然もしくは非天然のアミノ酸残基またはペプチドであり、ここで、ループAは、
を含み、
ループBは、L
1に連結したアミノ酸残基およびL
3に連結したアミノ酸残基と結合している二価の天然もしくは非天然のアミノ酸残基またはペプチドであり、ここで、ループBは、
を含み、
は、二環のN末端との結合部位を指し示し、
は、二環のC末端との結合部位を指し示し、
検出可能部分
1は、検出されることができる任意の部分であり、
検出可能部分
2は、検出されることができる任意の部分であり、
リンカー
1は、水素、-C(O)R、
、または前記二環のN末端を検出可能部分
1と接続する二価部分であり、ここで、nが0である場合、リンカー
1は、水素、-C(O)R、または
であり、
リンカー
2は、-NH
2、または前記二環のC末端を検出可能部分
2と接続する二価部分であり、ここで、pが0である場合、リンカー
2は、-NH
2であり、
環Aは、18-クラウン-6、1,7,13-トリアザ-18-クラウン-6、および、0~3個のオキソ、メチル、エチルまたはスピロエチレン基により必要に応じて置換された、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~6個のヘテロ原子を有する、3~12員飽和、部分不飽和、架橋二環式、架橋三環式、プロペランまたは芳香族環からなる群から選択される、化合物または薬学的に許容され得るその塩を提供する。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、L1、L2およびL3のそれぞれは、共有結合またはC1~8二価炭化水素鎖であり、ここで、鎖の1、2または3つのメチレン単位は、-S-、-N(R)-、-O-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)N(R)-、-N(R)C(O)-、-S(O)-、-S(O)2-または-N(R)CH2C(O)-によって必要に応じて独立して置き換えられている。
一部の実施形態では、L1、L2およびL3のそれぞれは、共有結合である。一部の実施形態では、L1、L2およびL3のそれぞれは、-CH2S-である。一部の実施形態では、L1、L2およびL3のそれぞれは、-CH2NH-である。一部の実施形態では、L1、L2およびL3のそれぞれは、-CH2O-である。一部の実施形態では、L1、L2およびL3のそれぞれは、-CH2CH2O-である。一部の実施形態では、L1、L2およびL3のそれぞれは、-CH2CH2CH2CH2NH-である。一部の実施形態では、L1、L2およびL3のそれぞれは、-CH2N(CH3)-である。一部の実施形態では、L1、L2およびL3のそれぞれは、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)-である。
一部の実施形態では、L1は、共有結合である。一部の実施形態では、L1は、-CH2S-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2O-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2O-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2N(CH3)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2SCH2-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2OCH2-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2OCH2-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2NHCH2-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2N(CH3)CH2-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2SCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2OCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2OCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2NHCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2N(CH3)CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2SCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2OCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2OCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2NHCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2N(CH3)CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2SCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2OCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2OCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2NHCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2N(CH3)CH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2SCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2OCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2OCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2NHCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2N(CH3)CH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L1は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、L1は、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、L2は、共有結合である。一部の実施形態では、L2は、-CH2S-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2O-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2O-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2N(CH3)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2SCH2-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2OCH2-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2OCH2-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2NHCH2-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2N(CH3)CH2-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2SCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2OCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2OCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2NHCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2N(CH3)CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2SCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2OCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2OCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2NHCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2N(CH3)CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2SCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2OCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2OCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2NHCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2N(CH3)CH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2SCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2OCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2OCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2NHCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2N(CH3)CH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L2は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、L2は、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、L3は、共有結合である。一部の実施形態では、L3は、-CH2S-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2O-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2O-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2N(CH3)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2SCH2-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2OCH2-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2OCH2-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2NHCH2-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2N(CH3)CH2-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2SCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2OCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2OCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2NHCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2N(CH3)CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2SCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2OCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2OCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2NHCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2N(CH3)CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2SCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2OCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2OCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2NHCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2N(CH3)CH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2CH2C(O)NH-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2SCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2OCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2OCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2NHCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2N(CH3)CH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2NHCH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、-CH2CH2CH2CH2N(CH3)CH2CH2C(O)-である。一部の実施形態では、L3は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、L3は、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、Rのそれぞれは、独立して、水素またはC1~4アルキルである。
一部の実施形態では、Rは、水素である。一部の実施形態では、Rは、C1~4アルキルである。
一部の実施形態では、Rは、メチルである。一部の実施形態では、Rは、エチルである。一部の実施形態では、Rは、n-プロピルである。一部の実施形態では、Rは、イソプロピルである。一部の実施形態では、Rは、n-ブチルである。一部の実施形態では、Rは、イソブチルである。一部の実施形態では、Rは、tert-ブチルである。
一部の実施形態では、Rは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、Rは、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、m、n、oおよびpのそれぞれは、独立して、0または1である。
一部の実施形態では、mは、0である。一部の実施形態では、mは、1である。一部の実施形態では、mは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、mは、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、nは、0である。一部の実施形態では、nは、1である。一部の実施形態では、nは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、nは、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、oは、0である。一部の実施形態では、oは、1である。一部の実施形態では、oは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、oは、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、pは、0である。一部の実施形態では、pは、1である。一部の実施形態では、pは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、pは、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、qおよびrのそれぞれは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15である。
一部の実施形態では、qは、1である。一部の実施形態では、qは、2である。一部の実施形態では、qは、3である。一部の実施形態では、qは、4である。一部の実施形態では、qは、5である。一部の実施形態では、qは、6である。一部の実施形態では、qは、7である。一部の実施形態では、qは、8である。一部の実施形態では、qは、9である。一部の実施形態では、qは、10である。一部の実施形態では、qは、11である。一部の実施形態では、qは、12である。一部の実施形態では、qは、13である。一部の実施形態では、qは、14である。一部の実施形態では、qは、15である。一部の実施形態では、qは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、qは、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、rは、1である。一部の実施形態では、rは、2である。一部の実施形態では、rは、3である。一部の実施形態では、rは、4である。一部の実施形態では、rは、5である。一部の実施形態では、rは、6である。一部の実施形態では、rは、7である。一部の実施形態では、rは、8である。一部の実施形態では、rは、9である。一部の実施形態では、rは、10である。一部の実施形態では、rは、11である。一部の実施形態では、rは、12である。一部の実施形態では、rは、13である。一部の実施形態では、rは、14である。一部の実施形態では、rは、15である。一部の実施形態では、rは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、rは、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、R1は、Rまたは-C(O)Rである。
一部の実施形態では、R1は、Rである。一部の実施形態では、R1は、-C(O)Rである。
一部の実施形態では、R1は、水素である。一部の実施形態では、R1は、メチルである。一部の実施形態では、R1は、エチルである。一部の実施形態では、R1は、n-プロピルである。一部の実施形態では、R1は、イソプロピルである。一部の実施形態では、R1は、n-ブチルである。一部の実施形態では、R1は、イソブチルである。一部の実施形態では、R1は、tert-ブチルである。
一部の実施形態では、R1は、-C(O)CH3である。一部の実施形態では、R1は、-C(O)CH2CH3である。一部の実施形態では、R1は、-C(O)CH2CH2CH3である。一部の実施形態では、R1は、-C(O)CH(CH3)2である。一部の実施形態では、R1は、-C(O)CH2CH2CH2CH3である。一部の実施形態では、R1は、-C(O)CH2CH(CH3)2である。一部の実施形態では、R1は、-C(O)C(CH3)3である。一部の実施形態では、R1は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、R1は、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、R4およびR6のそれぞれは、独立して、水素、あるいは、C1~6脂肪族、3~8員飽和もしくは部分不飽和単環式炭素環式環、フェニル、8~10員二環式芳香族炭素環式環、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、4~8員飽和もしくは部分不飽和単環式ヘテロ環式環、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する、5~6員単環式ヘテロ芳香族環、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する、8~10員二環式ヘテロ芳香族環から選択される、必要に応じて置換されている基である。
一部の実施形態では、R4は、水素である。一部の実施形態では、R4は、必要に応じて置換されているC1~6脂肪族である。一部の実施形態では、R4は、必要に応じて置換されている3~8員飽和または部分不飽和単環式炭素環式環である。一部の実施形態では、R4は、必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、R4は、必要に応じて置換されている8~10員二環式芳香族炭素環式環である。一部の実施形態では、R4は、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている4~8員飽和または部分不飽和単環式ヘテロ環式環である。一部の実施形態では、R4は、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている5~6員単環式ヘテロ芳香族環である。一部の実施形態では、R4は、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている8~10員二環式ヘテロ芳香族環である。
一部の実施形態では、R
4は、メチルである。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
[式中、結合部位は、(S)立体化学を有する]である。一部の実施形態では、R
4は、
[式中、結合部位は、(R)立体化学を有する]である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。
一部の実施形態では、R
4は、
[式中、結合部位は、(S)立体化学を有する]である。一部の実施形態では、R
4は、
[式中、結合部位は、(R)立体化学を有する]である。
一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。
一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。
一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。一部の実施形態では、R
4は、
である。
一部の実施形態では、R4は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、R4は、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、R6は、水素である。一部の実施形態では、R6は、必要に応じて置換されているC1~6脂肪族である。一部の実施形態では、R6は、必要に応じて置換されている3~8員飽和または部分不飽和単環式炭素環式環である。一部の実施形態では、R6は、必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、R6は、必要に応じて置換されている8~10員二環式芳香族炭素環式環である。一部の実施形態では、R6は、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている4~8員飽和または部分不飽和単環式ヘテロ環式環である。一部の実施形態では、R6は、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている5~6員単環式ヘテロ芳香族環である。一部の実施形態では、R6は、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている8~10員二環式ヘテロ芳香族環である。
一部の実施形態では、R
6は、メチルである。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
[式中、結合部位は、(S)立体化学を有する]である。一部の実施形態では、R
6は、
[式中、結合部位は、(R)立体化学を有する]である。一部の実施形態では、R
6は、
[式中、結合部位は、(S)立体化学を有する]である。一部の実施形態では、R
6は、
[式中、結合部位は、(R)立体化学を有する]である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。
一部の実施形態では、R
6は、
[式中、結合部位は、(S)立体化学を有する]である。一部の実施形態では、R
6は、
[式中、結合部位は、(R)立体化学を有する]である。
一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。
一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。
一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。一部の実施形態では、R
6は、
である。
一部の実施形態では、R6は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、R6は、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、R4’およびR6’のそれぞれは、独立して、水素またはメチルである。
一部の実施形態では、R4’は、水素である。一部の実施形態では、R4’は、メチルである。
一部の実施形態では、R4’は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、R4’は、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、R6’は、水素である。一部の実施形態では、R6’は、メチルである。
一部の実施形態では、R6’は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、R6’は、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、R2、R3、R5およびR7のそれぞれは、独立して、水素またはC1~4脂肪族であるか;あるいは、R5基およびその隣接するR4基は、それらの介在原子と必要に応じて一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、4~8員飽和または部分不飽和単環式ヘテロ環式環を形成するか;あるいは、R7基およびその隣接するR6基は、それらの介在原子と必要に応じて一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、4~8員飽和または部分不飽和単環式ヘテロ環式環を形成する。
一部の実施形態では、R2は、水素である。一部の実施形態では、R2は、C1~4脂肪族である。一部の実施形態では、R2は、メチルである。一部の実施形態では、R2は、エチルである。一部の実施形態では、R2は、n-プロピルである。一部の実施形態では、R2は、イソプロピルである。一部の実施形態では、R2は、n-ブチルである。一部の実施形態では、R2は、イソブチルである。一部の実施形態では、R2は、tert-ブチルである。
一部の実施形態では、R2は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、R2は、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、R3は、水素である。一部の実施形態では、R3は、C1~4脂肪族である。一部の実施形態では、R3は、メチルである。一部の実施形態では、R3は、エチルである。一部の実施形態では、R3は、n-プロピルである。一部の実施形態では、R3は、イソプロピルである。一部の実施形態では、R3は、n-ブチルである。一部の実施形態では、R3は、イソブチルである。一部の実施形態では、R3は、tert-ブチルである。
一部の実施形態では、R3は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、R3は、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、R5は、水素である。一部の実施形態では、R5は、C1~4脂肪族である。一部の実施形態では、R5は、メチルである。一部の実施形態では、R5は、エチルである。一部の実施形態では、R5は、n-プロピルである。一部の実施形態では、R5は、イソプロピルである。一部の実施形態では、R5は、n-ブチルである。一部の実施形態では、R5は、イソブチルである。一部の実施形態では、R5は、tert-ブチルである。
一部の実施形態では、R
5基およびその隣接するR
4基は、それらの介在原子と一緒に
なって、
を形成する。一部の実施形態では、R
5基およびその隣接するR
4基は、それらの介在原子と一緒になって、
を形成する。
一部の実施形態では、R5は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、R5は、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、R7は、水素である。一部の実施形態では、R7は、C1~4脂肪族である。一部の実施形態では、R7は、メチルである。一部の実施形態では、R7は、エチルである。一部の実施形態では、R7は、n-プロピルである。一部の実施形態では、R7は、イソプロピルである。一部の実施形態では、R7は、n-ブチルである。一部の実施形態では、R7は、イソブチルである。一部の実施形態では、R7は、tert-ブチルである。
一部の実施形態では、R
7基およびその隣接するR
6基は、それらの介在原子と一緒になって、
を形成する。一部の実施形態では、R
7基およびその隣接するR
6基は、それらの介在原子と一緒になって、
を形成する。
一部の実施形態では、R7は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、R7は、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、足場は、環状ペプチドと接続し、配向付ける、三価の基である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。
一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、
である。一部の実施形態では、足場は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、足場は、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、ループAは、L
2に連結したアミノ酸残基およびL
1に連結したアミノ酸残基と結合している二価天然もしくは非天然アミノ酸残基またはペプチドであり、ここで、ループAは、
を含む。一部の実施形態では、ループAは、L
2に連結したアミノ酸残基およびL
1に連結したアミノ酸残基と結合している二価天然アミノ酸残基であり、ここで、ループAは、
を含む。一部の実施形態では、ループAは、L
2に連結したアミノ酸残基およびL
1に連結したアミノ酸残基と結合している二価非天然アミノ酸残基であり、ここで、ループAは、
を含む。一部の実施形態では、ループAは、L
2に連結したアミノ酸残基およびL
1に連結したアミノ酸残基と結合している二価ペプチドであり、ここで、ループAは、
を含む。
一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。
一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。
一部の実施形態では、ループAは、
である。一部の実施形態では、ループAは、
である。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、ループBは、L
1に連結したアミノ酸残基およびL
3に連結したアミノ酸残基と結合している二価天然もしくは非天然アミノ酸残基またはペプチドであり、ここで、ループBは、
を含む。一部の実施形態では、ループBは、L
1に連結したアミノ酸残基およびL
3に連結したアミノ酸残基と結合している二価天然アミノ酸残基であり、ここで、ループBは、
を含む。一部の実施形態では、ループBは、L
1に連結したアミノ酸残基およびL
3に連結したアミノ酸残基と結合している二価非天然アミノ酸残基であり、ここで、ループBは、
を含む。一部の実施形態では、ループBは、L
1に連結したアミノ酸残基およびL
3に連結したアミノ酸残基と結合している二価ペプチドであり、ここで、ループBは、
を含む。
一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。
一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。
一部の実施形態では、ループBは、
である。一部の実施形態では、ループBは、
である。
一部の実施形態では、ループAは、1~15個のアミノ酸残基を含み、ループBは、1~15個のアミノ酸残基を含む。
一部の実施形態では、ループAは、5個のアミノ酸残基を含み、ループBは、5個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、ループAは、6個のアミノ酸残基を含み、ループBは、5個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、ループAは、2個のアミノ酸残基を含み、ループBは、7個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、ループAは、3個のアミノ酸残基を含み、ループBは、7個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、ループAは、3個のアミノ酸残基を含み、ループBは、9個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、ループAは、3個のアミノ酸残基を含み、ループBは、6個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、ループAは、2個のアミノ酸残基を含み、ループBは、6個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、ループAは、6個のアミノ酸残基を含み、ループBは、5個のアミノ酸残基を含む。
一部の実施形態では、ループAは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、ループAは、以下の表3において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、ループBは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、ループBは、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、
は、二環のN末端との結合部位を指し示す。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、
は、二環のC末端との結合部位を指し示す。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、検出可能部分1は、検出されることができる任意の部分である。
一部の実施形態では、検出可能部分1は、検出されることができる任意の部分である。
当業者ならば、様々な検出可能部分が、本発明のイメージング効果を達成するために適していることが分かるであろう。
本明細書において使用される場合、「M」は、金属である。
一部の実施形態では、検出可能部分1は、任意の利用可能な位置で接続され得る。一部の実施形態では、検出可能部分1は、任意の利用可能な-OH、-C(O)OH、-SH、-NH2または-NHCH3で接続され得る。
一部の実施形態では、検出可能部分
1は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA、DotAまたはテトラキセタンとしても公知である):
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、Bn-DOTA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、Bn-オキソ-DOTA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、Bn-PCTA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、TETA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、Bn-NOTA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、CHX-A”-DTPA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、Bn-DTPA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、2B3M-DTPA:
である。
一部の実施形態では、検出可能部分
1は、デスフェリオキサミン(DFO):
である。
一部の実施形態では、検出可能部分
1は、ヘプタメチン色素:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、フルオレセイン:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、Alexafluor 488:
である。
一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属とのDOTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属とのBn-DOTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属とのBn-oxo-DOTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属とのBn-PCTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属とのTETA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属とのBn-NOTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属とのCHX-A”-DTPA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属とのBn-DTPA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属との2B3M-DTPA複合体:
である。
一部の実施形態では、検出可能部分
1は、金属とのデスフェリオキサミン(DFO)複合体:
である。
一部の実施形態では、検出可能部分1は、金属と複合体を形成する。
一部の実施形態では、検出可能部分
1は、スコルピオネート(scorpionate)である。
一部の実施形態では、検出可能部分
1は、
である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、ナノ材料である。一部の実施形態では、検出可能部分
1は、量子ドットである。
一部の実施形態では、検出可能部分1は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、検出可能部分1は、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、検出可能部分2は、検出されることができる任意の部分である。
一部の実施形態では、検出可能部分2は、検出されることができる任意の部分である。
一部の実施形態では、検出可能部分2は、任意の利用可能な位置で接続され得る。一部の実施形態では、検出可能部分2は、任意の利用可能な-OH、-C(O)OH、-SH、-NH2または-NHCH3で接続され得る。
一部の実施形態では、検出可能部分
2は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA、DotAまたはテトラキセタンとしても公知である):
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、Bn-DOTA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、Bn-オキソ-DOTA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、Bn-PCTA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、TETA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、Bn-NOTA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、CHX-A”-DTPA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、Bn-DTPA:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、2B3M-DTPA:
である。
一部の実施形態では、検出可能部分
2は、デスフェリオキサミン(DFO):
である。
一部の実施形態では、検出可能部分
2は、ヘプタメチン色素:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、フルオレセイン:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、Alexafluor 488:
である。
一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属とのDOTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属とのBn-DOTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属とのBn-オキソ-DOTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属とのBn-PCTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属とのTETA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属とのBn-NOTA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属とのCHX-A”-DTPA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属とのBn-DTPA複合体:
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属との2B3M-DTPA複合体:
である。
一部の実施形態では、検出可能部分
2は、金属とのデスフェリオキサミン(DFO)複合体:
である。
一部の実施形態では、検出可能部分2は、金属と複合体を形成する。
一部の実施形態では、検出可能部分
2は、スコルピオネートである。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、
である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、ナノ材料である。一部の実施形態では、検出可能部分
2は、量子ドットである。
一部の実施形態では、検出可能部分2は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、検出可能部分2は、以下の表1において示されるものから選択される。
一部の実施形態では、金属は、放射性金属である。一部の実施形態では、金属は、111Inである。一部の実施形態では、金属は、67Gaである。一部の実施形態では、金属は、68Gaである。一部の実施形態では、金属は、86Yである。一部の実施形態では、金属は、90Yである。一部の実施形態では、金属は、177Luである。
一部の実施形態では、金属は、89Zrである。一部の実施形態では、金属は、95Zrである。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、リンカー
1は、水素、-C(O)R、
または二環のN末端を検出可能部分
1と接続する二価部分であり、ここで、nが0である場合、リンカー
1は、水素、-C(O)R、または
である。
一部の実施形態では、リンカー
1は、水素であり、ここで、nは、0である。一部の実施形態では、リンカー
1は、水素であり、ここで、nは、0である。一部の実施形態では、リンカー
1は、-C(O)Rであり、ここで、nは、0である。一部の実施形態では、リンカー
1は、-C(O)CH
3であり、ここで、nは、0である。一部の実施形態では、リンカー
1は、
であり、ここで、nは、0である。一部の実施形態では、リンカー
1は、二環のN末端を検出可能部分
1と接続する二価部分である。
一部の実施形態では、リンカー
1は、共有結合である。一部の実施形態では、リンカー
1は、
である。一部の実施形態では、リンカー
1は、
である。一部の実施形態では、リンカー
1は、
である。一部の実施形態では、リンカー
1は、
である。一部の実施形態では、リンカー
1は、
である。
一部の実施形態では、リンカー
1は、
である。一部の実施形態では、リンカー
1は、
である。一部の実施形態では、リンカー
1は、
である。
一部の実施形態では、リンカー1は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、リンカー1は、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、リンカー2は、-NH2、または二環のC末端を検出可能部分2と接続する二価部分であり、ここで、pが0である場合、リンカー2は、-NH2である。
一部の実施形態では、リンカー2は、-NH2であり、ここで、pは、0である。一部の実施形態では、リンカー2は、二環のC末端を検出可能部分2と接続する二価部分である。
一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。
一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。
一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。一部の実施形態では、リンカー
2は、
である。
一部の実施形態では、リンカー2は、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、リンカー2は、以下の表3において示されるものから選択される。
上記で定義され、本明細書において記述される通り、環Aは、18-クラウン-6、1,7,13-トリアザ-18-クラウン-6、および、0~3個のオキソ、メチル、エチルまたはスピロエチレン基により必要に応じて置換されており、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~6個のヘテロ原子を有する、3~12員飽和、部分不飽和、架橋二環式、架橋三環式、プロペランまたは芳香族環からなる群から選択される。
一部の実施形態では、環Aは、18-クラウン-6である。一部の実施形態では、環Aは、1,7,13-トリアザ-18-クラウン-6である。一部の実施形態では、環Aは、0~3個のオキソ、メチル、エチルまたはスピロエチレン基により必要に応じて置換されており、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~6個のヘテロ原子を有する、3~12員飽和、部分不飽和、架橋二環式、架橋三環式、プロペランまたは芳香族環である。
一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。
一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。
一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。
一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。
一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。
一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、
である。一部の実施形態では、環Aは、以下の表1において示されるものから選択される。一部の実施形態では、環Aは、以下の表3において示されるものから選択される。
ある特定の実施形態では、本発明は、足場が、環Aであり、それにより、式I-aの化合物:
または薬学的に許容され得るその塩[式中、ループA、ループB、環A、L
1、L
2、L
3、リンカー
1、リンカー
2、検出可能部分
1、検出可能部分
2、R
1、R
2、R
3、m、n、oおよびpのそれぞれは、単独でおよび組み合わせての両方で、上記で定義され、本明細書における実施形態で記述される通りである]を形成する、式Iの二環を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、ループAが、
であり、ループBが、
であり、それにより、式IIの二環:
または薬学的に許容され得るその塩[式中、L
1、L
2、L
3、足場、R
1、R
2、R
3、R
4、R
4’、R
5、R
6、R
6’、R
7、リンカー
1、リンカー
2、検出可能部分
1、検出可能部分
2、m、n、o、p、qおよびrのそれぞれは、単独でおよび組み合わせての両方で、上記で定義され、本明細書における実施形態で記述される通りである]を形成する、式Iの二環を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、pが、0であり、それにより、式II-aの二環:
または薬学的に許容され得るその塩[式中、L
1、L
2、L
3、足場、R
1、R
2、R
3、R
4、R
4’、R
5、R
6、R
6’、R
7、リンカー
1、検出可能部分
1、m、n、qおよびrのそれぞれは、単独でおよび組み合わせての両方で、上記で定義され、本明細書における実施形態で記述される通りである]を形成する、式IIの二環を提供する。
ある特定の実施形態では、本発明は、nが、0であり、それにより、式II-bの二環:
または薬学的に許容され得るその塩[式中、L
1、L
2、L
3、足場、R
1、R
2、R
3、R
4、R
4’、R
5、R
6、R
6’、R
7、リンカー
2、検出可能部分
2、o、p、qおよびrのそれぞれは、単独でおよび組み合わせての両方で、上記で定義され、本明細書における実施形態で記述される通りである]を形成する、式IIの二環を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、上記の表1に明記されている化合物、または薬学的に許容され得るその塩を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、以下の表2に記述される化合物のいずれでもない、式Iの化合物を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、以下の表2に記述されるWO2013/050617からの化合物のいずれでもない、式Iの化合物を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、以下の表2に記述されるWO2016/067035からの化合物のいずれでもない、式Iの化合物を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、上記の表2に明記されている化合物ではない。
一部の実施形態では、本発明は、上記の表3に明記されている化合物、または薬学的に許容され得るその塩を提供する。
表3の化合物は、表1の化合物の陰性対照として有用である。例えば、I-26(5,000nMを上回るMT1-MMPに対するKd)は、I-26が、中央システイン残基の側面にあるアラニン残基を有するI-23類似体であり、それにより、MT1-MMPにおいて非活性となるため、I-23(0.52±0.24nMのMT1-MMPに対するKd)の陰性対照として役立つ。I-27(5,000nMを上回るMT1-MMPに対するKd)は、I-27が、中央システイン残基の側面にあるアラニン残基を有するI-24類似体であり、それにより、MT1-MMPにおいて非活性となるため、I-24(1.37±0.53nMのMT1-MMPに対するKd)の陰性対照として役立つ。そのような対照化合物は、例えば、活性MT1-MMP結合剤の生体内分布研究において有用となり得る。
4.本発明の化合物を提供する一般的方法
本発明の化合物は、概して、類似化合物のための当業者に公知である合成および/または半合成方法によって、ならびに本明細書の実施例において詳細に記述される方法によって、調製または単離され得る。
本発明の化合物は、ペプチドを分子足場試薬で処理することによって調製され得る。分子足場試薬は、足場、ならびに、脱離基の取り換えまたはマイケルアクセプター基への付加、続いて、付加複合体のその後のプロトン化を介して、ペプチドに分子足場との共有結合を形成させる、脱離基(「LG」)またはマイケルアクセプター(「MA」)等の反応性官能基を含む。
本発明の化合物は、ペプチドを種々の分子足場試薬で処理して二環中間体を形成し、次いで、標準的なアミド形成方法論を使用して、これを検出可能部分とカップリングすることによって形成される。
1つのそのようなペプチドは、下記のアミノ酸配列:
βAla-Sar10-A-C(D-Ala)NE(1Nal)(D-Ala)CEDFYD(tBuGLy)C(配列番号1)
を有する、ペプチド1(17-69-07-N241)である。
WO2016/067035において記述される通りの、17-69-07-N241を分子足場試薬1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン(「TBMB」)で処理することによって形成される二環式ペプチドは、1.2nMのKdを持つMT1-MMP結合剤を生じさせる。
別のそのようなペプチドは、ペプチド1の二環式部に対応するアミノ酸残基のみを含有し、下記のアミノ酸配列:
C(D-Ala)NE(1Nal)(D-Ala)CEDFYD(tBuGLy)C(配列番号2)
を有する、ペプチド2である。
別のそのようなペプチドは、下記のアミノ酸配列:
βAla-Sar10-A-CTECWVDGWVPC(配列番号3)
を有する、ペプチド3である。
英国仮出願第P2120号において記述される通りの、3を分子足場試薬1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン(「TBMB」)で処理することによって形成される二環式ペプチドは、10nMのKdを持つCAIX結合剤を生じさせる。
別のそのようなペプチドは、ペプチド3の二環式部に対応するアミノ酸残基のみを含有し、下記のアミノ酸配列:
CTECWVDGWVPC(配列番号4)
を有する、ペプチド4である。
別のそのようなペプチドは、下記のアミノ酸配列:
Ac-CIL(HArg)PNCDLDGRCA-Sar6-(D-K)(配列番号5)を有する、ペプチド5である。
英国仮出願第P2122号において記述される通りの、5を分子足場試薬1,3,5-トリス(ブロモメチル)ベンゼン(「TBMB」)で処理することによって形成される二環式ペプチドは、15nMのKiを持つαvβ3結合剤を生じさせる。
別のそのようなペプチドは、二環式部、N末端におけるアセチル残基およびアラニンC末端延長を含むペプチド5に対応するアミノ酸残基のサブセットを含有し、下記のアミノ酸配列:
Ac-CIL(HArg)PNCDLDGRCA(配列番号6)
を有する、ペプチド6である。
以下のスキームにおいて、特定のマイケルアクセプター(「MA」)、脱離基(「LG」)または転換条件が示される場合、当業者ならば、他のマイケルアクセプター、脱離基および転換条件も好適であり、企図されることを理解するであろう。そのようなアクセプター、基および転換は、March's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, M. B. Smith and J. March, 5th Edition, John Wiley & Sons, 2001, Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, 2nd Edition, John Wiley & Sons, 1999、およびProtecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999において詳細に記述されており、それらのそれぞれの全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書において使用される場合、語句「脱離基」(LG)は、ハロゲン(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、スルホネート(例えば、メシレート、トシレート、ベンゼンスルホネート、ブロシレート、ノシレート、トリフレート)、ジアゾニウム等を含むがこれらに限定されない。
本明細書において使用される場合、語句「活性化エステル」(AE)は、ハロゲン化アシル(例えば、フッ化アシル、塩化アシル、臭化アシル、ヨウ化アシル)、N-スクシンイミジルエステル、ウロニウムエステル(例えば、1-ヒドロキシ-7アザベンゾトリアゾール、-OAt)等を含むがこれらに限定されない。
ある特定の実施形態では、式Iの本発明の化合物は、概して、以下に明記されているスキームIに従って調製される:
上記のスキームIにおいて、LG、L1、L2、L3、足場、リンカー1、リンカー2、R1、R2、R3、ループA、ループB、検出可能部分1、検出可能部分2、AE、m、n、oおよびpのそれぞれは、上記および以下で定義される通りであり、本明細書において記述される通りのクラスおよびサブクラス内である。
一態様では、本発明は、上記のスキームIにおいて示されるステップに従って、式Iの化合物を調製するための方法を提供する。一部の実施形態では、ステップS-1は、足場試薬R-1をペプチドP-1と接触させて、脱離基LGを取り換え、それにより、中間体を形成し、これを検出可能部分の活性化エステルでさらに処理して、式Iの化合物を生じさせることを含む。一部の実施形態では、LGは、ハロゲンである。一部の実施形態では、LGは、塩素である。一部の実施形態では、LGは、スルホネートである。一部の実施形態では、AEは、N-スクシンイミジルエステルである。一部の実施形態では、塩基を添加して、取り換えを促進する。一部の実施形態では、塩基は、炭酸アンモニウムである。一部の実施形態では、塩基は、アミンである。一部の実施形態では、塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
ある特定の実施形態では、ステップS-1は、式P-1の化合物を、式
[式中、
LGおよび環Aは、上記および以下で定義される通りであり、本明細書において記述される通りのクラスおよびサブクラス内である]
の化合物と接触させることを含む。
一部の実施形態では、反応は、溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、溶媒は、アセトニトリルである。一部の実施形態では、反応は、溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、溶媒は、DMSOである。一部の実施形態では、溶媒は、水およびアセトニトリルの混合物である。
一部の実施形態では、LGは、ハロゲンである。一部の実施形態では、LGは、塩素である。一部の実施形態では、LGは、スルホネートである。一部の実施形態では、触媒を添加して、取り換えを促進する。一部の実施形態では、触媒は、第3世代XPhosプレ触媒から生成される。一部の実施形態では、溶媒は、tert-ブタノールである。一部の実施形態では、溶媒は、水およびtert-ブタノールの混合物である。
ある特定の実施形態では、式Iの本発明の化合物は、概して、以下に明記されているスキームIIに従って調製される:
上記のスキームIIにおいて、MA、L1、L2、L3、足場、リンカー1、リンカー2、R1、R2、R3、ループA、ループB、検出可能部分1、検出可能部分2、AE、m、n、oおよびpのそれぞれは、上記および以下で定義される通りであり、本明細書において記述される通りのクラスおよびサブクラス内である。
一態様では、本発明は、上記のスキームIIにおいて示されるステップに従って、式Iの化合物を調製するための方法を提供する。一部の実施形態では、ステップA-1は、足場試薬R-2をペプチドP-1と接触させて、MAへのマイケル付加に影響を及ぼし、それにより、中間体を形成し、これを検出可能部分の活性化エステルでさらに処理して、式Iの化合物を生じさせることを含む。一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和アミドである。一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和ケトンである。一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和エステルである。一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和スルホンである。一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和ニトリルである。一部の実施形態では、塩基を添加して、マイケル付加を促進する。一部の実施形態では、AEは、N-スクシンイミジルエステルである。一部の実施形態では、塩基は、炭酸アンモニウムである。一部の実施形態では、塩基は、アミンである。一部の実施形態では、塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
ある特定の実施形態では、ステップA-1は、式P-1の化合物を、式
[式中、
MAおよび環Aは、上記および以下で定義される通りであり、本明細書において記述される通りのクラスおよびサブクラス内である]の化合物と接触させることを含む。
一部の実施形態では、反応は、溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、溶媒は、アセトニトリルである。一部の実施形態では、反応は、溶媒をさらに含む。一部の実施形態では、溶媒は、DMSOである。一部の実施形態では、溶媒は、水およびアセトニトリルの混合物である。
一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和アミドである。一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和ケトンである。一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和エステルである。一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和スルホンである。一部の実施形態では、MAは、α,β-不飽和ニトリルである。一部の実施形態では、塩基を添加して、マイケル付加を促進する。一部の実施形態では、塩基は、炭酸アンモニウムである。一部の実施形態では、塩基は、アミンである。一部の実施形態では、塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
当業者ならば、式Iの化合物が、1つまたは複数の立体中心を含有し得、ラセミまたはジアステレオマー混合物として存在し得ることを理解するであろう。当業者ならば、HPLC、キラルHPLC、ジアステレオマー塩の分別結晶、速度論的酵素分割(例えば、真菌、細菌または動物由来のリパーゼまたはエステラーゼによる)、ならびに鏡像異性濃縮試薬を使用する共有結合性ジアステレオマー誘導体の形成を含むがこれらに限定されない、それらの化合物の立体濃縮(stereoenriched)または立体純粋(stereopure)異性体を取得するための異性体の分離のための、当該技術分野において公知である多くの方法があることも理解するであろう。
当業者ならば、脂肪族基、アルコール、カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ハロゲンおよびニトリル等の、本発明の化合物中に存在する種々の官能基が、還元、酸化、エステル化、加水分解、部分酸化、部分還元、ハロゲン化、脱水、部分水和および水和を含むがこれらに限定されない当該技術分野において周知の技術によって、相互変換され得ることを理解するであろう。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、"March's Advanced Organic Chemistry", 5th Ed., Ed.: Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001。そのような相互変換は、前述の技術の1つまたは複数を要求し得、本発明の化合物を合成するためのある特定の方法を、例示において以下に記述する。
5.使用、製剤化および投与
薬学的に許容され得る組成物
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物または薬学的に許容され得るその誘導体と、薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルとを含む、組成物を提供する。本発明の組成物中における化合物の量は、生物学的試料においてまたは患者において、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体を測定可能に阻害するために有効であるようなものである。ある特定の実施形態では、本発明の組成物中における化合物の量は、生物学的試料においてまたは患者において、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体を測定可能に阻害するために有効であるようなものである。ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、そのような組成物を必要とする患者への投与のために製剤化される。一部の実施形態では、本発明の組成物は、患者への経口投与のために製剤化される。
用語「患者」は、本明細書において使用される場合、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
用語「薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクル」は、それを用いて製剤化される化合物の薬理活性を破壊しない、非毒性担体、アジュバントまたはビヒクルを指す。本発明の組成物において使用され得る薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むがこれらに限定されない。
「薬学的に許容され得る誘導体」は、レシピエントへの投与時に、本発明の化合物または阻害的に活性なその代謝産物もしくは残留物を直接的にまたは間接的にのいずれかで提供することができる、本発明の化合物の任意の非毒性塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体を意味する。
本明細書において使用される場合、用語「阻害的に活性なその代謝産物または残留物」は、その代謝産物または残留物が、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体の阻害剤でもあることを意味する。
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、経直腸的に、鼻腔内に、口腔内に、経膣的にまたは埋込みレザバーを介して投与され得る。用語「非経口的」は、本明細書において使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、肝内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。好ましくは、組成物は、経口的に、腹腔内にまたは静脈内に投与される。本発明の組成物の滅菌注射用形態は、水性または油脂性懸濁液であってよい。これらの懸濁液は、当該技術分野において公知の技術に従い、好適な分散化剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化され得る。滅菌注射用調製物は、非毒性の経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール中溶液としてのものであってもよい。許容され得るビヒクルおよび溶媒の中でも、用いられ得るのは、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌固定油が、溶媒または懸濁媒として慣例的に用いられ得る。
この目的のために、合成モノ-またはジ-グリセリドを含む任意の無刺激性固定油が用いられてよい。オレイン酸等の脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、オリーブ油またはヒマシ油等の天然の薬学的に許容され得る油と同様に、注射液の調製において、とりわけそれらのポリオキシエチル化バージョンで、有用である。これらの油溶液または懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースまたは乳剤および懸濁剤を含む薬学的に許容され得る剤形の製剤において一般的に使用される同様の分散化剤等の長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有してもよい。Tween、スパン等の他の一般的に使用される界面活性剤、および、薬学的に許容され得る固体、液体または他の剤形の製造において一般的に使用される他の乳化剤またはバイオアベイラビリティエンハンサーを、製剤の目的のために使用してもよい。
本発明の薬学的に許容され得る組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含むがこれらに限定されない、任意の経口的に許容され得る剤形で経口的に投与され得る。経口使用のための錠剤の事例において、一般的に使用される担体は、ラクトースおよびコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤も典型的には添加される。カプセル剤形態での経口投与では、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁剤が経口使用のために要求される場合、活性原料を、乳化および懸濁化剤と組み合わせる。所望ならば、ある特定の甘味、香味または着色剤も添加してよい。
代替的に、本発明の薬学的に許容され得る組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらは、作用物質を、室温では固体であるが直腸温では液体であり、したがって直腸内で溶融して薬物を放出する、好適な非刺激性賦形剤と混合することによって、調製することができる。そのような材料は、ココアバター、ミツロウおよびポリエチレングリコールを含む。
本発明の薬学的に許容され得る組成物は、とりわけ、治療の標的が、目、皮膚または下部腸管の疾患を含む局所適用によって容易にアクセス可能なエリアまたは臓器を含む場合、局所的に投与されてもよい。好適な局所製剤は、これらのエリアまたは臓器のそれぞれのために容易に調製される。
下部腸管のための局所適用は、直腸坐剤製剤(上記を参照)においてまたは好適な浣腸製剤において実現され得る。局所経皮パッチを使用してもよい。
局所適用では、提供される薬学的に許容され得る組成物は、1つまたは複数の担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する好適な軟膏剤で製剤化され得る。本発明の化合物の局所投与のための担体は、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスまたは水を含むがこれらに限定されない。代替的に、提供される薬学的に許容され得る組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容され得る担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する好適なローション剤またはクリーム剤で製剤化され得る。好適な担体は、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含むがこれらに限定されない。
眼への使用のために、提供される薬学的に許容され得る組成物は、塩化ベンジルアルコニウム等の保存剤を加えてまたは加えずにのいずれかで、等張のpH調整した滅菌生理食塩水中の微粒化懸濁液として、または、好ましくは、等張のpH調整した滅菌生理食塩水中の溶液として、製剤化され得る。代替的に、眼への使用のために、薬学的に許容され得る組成物は、ワセリン等の軟膏剤で製剤化され得る。
本発明の薬学的に許容され得る組成物は、鼻エアゾールまたは吸入によって投与されてもよい。そのような組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを強化するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化もしくは分散化剤を用いて、生理食塩水中溶液として調製され得る。
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容され得る組成物は、経口投与のために製剤化される。そのような製剤は、食物とともにまたはなしで投与されてよい。一部の実施形態では、本発明の薬学的に許容され得る組成物は、食物なしで投与される。他の実施形態では、本発明の薬学的に許容され得る組成物は、食物とともに投与される。
単一剤形の組成物を産生するために担体材料と組み合わせられてよい本発明の化合物の量は、治療される宿主、特定の投与方式に応じて変動することになる。好ましくは、提供組成物は、0.01~100mg/体重kg/日の間の投薬量の阻害剤が、これらの組成物を受けている患者に投与され得るように製剤化されるべきである。
任意の特定の患者のための具体的な投薬量および治療レジメンは、用いられる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的健康、性別、食習慣、投与時間、排泄率、薬物組合せ、ならびに治療医師の判断および治療されている特定の疾患の重症度を含む様々な要因によって決まることになることも理解すべきである。組成物中における本発明の化合物の量は、組成物中の特定の化合物によっても決まることになる。
化合物および薬学的に許容され得る組成物の使用
本発明のある特定の二環式ペプチドは、CAIX結合剤としての特異的な有用性を有する。
種々の形態の酵素炭酸アンヒドラーゼ(CA)は、重炭酸アニオン(HCO3
-)およびプロトンを生成するための二酸化炭素の水和を触媒する。CAによって触媒される反応の基質は、CO2、プロトンおよび重炭酸アニオンの形成および輸送を含むいくつかの生理的プロセス、例えば、呼吸、pHレベルの維持、骨の発達および他のプロセスを調節する。人体では、細胞局在化および種々の組織における発現が異なる、12の触媒活性CAアイソザイムが同定された。
小分子阻害剤によるヒト炭酸アンヒドラーゼ(hCA)の活性の臨床規制は、いくつかのヒト疾患のための信頼できる治療方法であることが証明され、既に数十年間にわたって、依然として、高血圧、緑内障、甲状腺機能亢進症(hyperthyrosis)および低血糖症のための療法の主成分である(Supuran (2008) Nat. Rev. Drug Discov. 7, 168)。CAの活性部位内に結合する炭酸アンヒドラーゼの伝統的な阻害剤は、芳香族またはヘテロ芳香族スルホンアミドである。
ヒト炭酸アンヒドラーゼIX(hCAIX)は、外細胞膜(その触媒ドメインは、細胞外空間に位置付けられている)に結合しているアイソフォームである。生理的条件では、hCAIXは、消化管の特異的な組織においてのみ発現される。その過剰発現は、がん細胞における低酸素中に、in vitroおよびin vivoの両方で示された。hCAIXの発現は、頸部、卵巣、腎臓、食道、肺、乳房および脳の癌腫において検出された。腫瘍において、hCAIXは、細胞内pHの正常レベルでの維持のために重大な分子であり、その発現は、酸性条件において低酸素腫瘍細胞を有利に増殖させる(Chiche et al. (2009) Cancer Res 69, 358)。故に、hCAIX酵素は、新たな作用機序を持つ抗がん治療薬として使用される特異的阻害剤の開発のための好都合な標的である(Neri and Supuran (2011) Nature Reviews 10, 767)。
本発明のさらなる態様によれば、CAIXによって媒介される疾患または障害を、予防する、抑制するまたは治療する際に使用するための、本明細書において定義される通りの化合物または組成物が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、CAIXによって媒介される疾患または障害を、予防する、抑制するまたは治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書において定義される通りの化合物または組成物を投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、CAIXは、哺乳類のCAIXである。さらなる実施形態では、哺乳類のCAIXは、ヒトCAIX(hCAIX)である。
一実施形態では、CAIXによって媒介される疾患または障害は、がんから選択される。
別の態様では、本発明のある特定の二環式ペプチドは、膜型メタロプロテアーゼ1(MMP14としても公知であるMT1-MMP)の高親和性結合剤としての特異的な有用性を有する。MT1-MMPは、直接的にはその成分のいくつかを分解することによっておよび間接的にはpro-MMP2を活性化することによって、細胞外マトリックスリモデリングにおいて主要な役割を果たす膜貫通メタロプロテアーゼである。MT1-MMPは、腫瘍血管新生のために重大であり(Sounni et al (2002) FASEB J. 16(6), 555-564)、様々な固形腫瘍において過剰発現され、したがって、MT1-MMP-本発明の結合二環ペプチドは、がん、特に非小細胞肺癌等の固形腫瘍の標的治療において、特に有用性を有する。一実施形態では、本発明の二環式ペプチドは、ヒトMT1-MMPに特異的である。さらなる実施形態では、本発明の二環式ペプチドは、マウスMT1-MMPに特異的である。さらにさらなる実施形態では、本発明の二環式ペプチドは、ヒトおよびマウスMT1-MMPに特異的である。さらにさらなる実施形態では、本発明の二環式ペプチドは、ヒト、マウスおよびイヌMT1-MMPに特異的である。
別の態様では、本発明のある特定の二環式ペプチドは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)の高親和性結合剤としての特異的な有用性を有する。
PSMAは、特に、アンドロゲン非依存性、進行性および転移性疾患において、前立腺がんの表面上に豊富で制限された発現を有する、II型内在性膜タンパク質である(Schulke, N.; et al. Proc Natl Acad Sci USA 2003, 100, 12590-12595)。後者は、ほぼすべてのPCaがアンドロゲン非依存性になることから、重要である。これは、前立腺以外のほとんどの固形腫瘍の内皮内でも発現される(Chang, S. S.; et al. Cancer Res 1999, 59, 3192-3198)。PSMAは、療法のための有望な標的の基準、すなわち、疾患のすべての段階において(前立腺に)豊富で制限された発現、細胞表面における、しかし循環中に流されない提示、および酵素またはシグナリング活性との関連を保有する(Schulke, N.; et al. Proc Natl Acad Sci USA 2003, 100, 12590-12595)。PSMA遺伝子は、第11染色体の短腕に位置し、葉酸ヒドロラーゼおよびニューロペプチダーゼの両方として機能する。これは、「脳PSMA」と称されるグルタミン酸カルボキシペプチダーゼII(GCPII)と同等のニューロペプチダーゼ機能であり、N-アセチルアスパルチルグルタメート(NAAG)をN-アセチルアスパルテート(NAA)およびグルタメートに開裂することによって、グルタミン酸作動性伝達をモジュレートし得る(Nan, F.; et al. J Med Chem 2000, 43, 772-774)。がん細胞1個当たり最大106個のPSMA分子があり、それを放射性核種ベースの技術によるイメージングおよび療法のための理想的な標的としてさらに示唆している(Tasch, J.; et al. Crit Rev Immunol 2001, 21, 249-261)。
別の態様では、本発明のある特定の二環式ペプチドは、CD38結合剤としての特異的な有用性を有する。
CD38は、長いC末端細胞外ドメインおよび短いN末端細胞質ドメインを持つ、45kD II型膜貫通糖タンパク質である。CD38タンパク質は、NAD+の環状ADP-リボース(cADPR)への変換を触媒し、cADPRをADP-リボースに加水分解することもできる、二機能性外酵素である。個体発生中に、CD38は、リンパ、赤血球および骨髄性細胞のCD34+単分化能幹細胞および分化系列決定前駆細胞上に現れる。CD38発現は、TおよびB細胞の発達の異なる段階において可変発現レベルを持つリンパ球系中で主に持続する。
CD38は、多くの造血器悪性腫瘍において、ならびに、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫(BL)、多発性骨髄腫(MM)、B慢性リンパ球性白血病(B-CLL)、BおよびT急性リンパ性白血病(ALL)、T細胞リンパ腫(TCL)、急性骨髄性白血病(AML)、有毛細胞白血病(HCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、ならびに慢性骨髄性白血病(CML)を含む種々の造血器悪性腫瘍に由来する細胞株において、上方調節される。他方では、造血系の最も原始的な多能性幹細胞は、CD38-である。造血器悪性腫瘍におけるCD38発現およびその疾患進行との相関は、CD38を抗体療法のための魅力的な標的にする。
CD38は、Ca2+動員(Morra et al. (1998) FASEB J. 12; 581-592;Zilber et al. (2000) Proc Natl Acad Sci USA 97, 2840-2845)、ならびに、リンパおよび骨髄性細胞または細胞株における、ホスホリパーゼC-γ、ZAP-70、sykおよびc-cblを含む多数のシグナリング分子のチロシンリン酸化を介するシグナル伝達(Funaro et al. (1993) Eur J Immunol 23, 2407-2411;Morra et al. (1998), 上記;Funaro et al. (1990) J Immunol 145, 2390-2396;Zubiaur et al. (1997) J Immunol 159, 193-205;Deaglio et al. (2003) Blood 102, 2146-2155;Todisco et al. (2000) Blood 95, 535-542;Konopleva et al. (1998) J Immunol 161, 4702-4708;Zilber et al. (2000) Proc Natl Acad Sci USA 97, 2840-2845;Kitanaka et al. (1997) J Immunol 159, 184-192;Kitanaka et al. (1999) J Immunol 162, 1952-1958;Mallone et al. (2001) Int Immunol 13, 397-409)に関与することが報告されている。これらの観察に基づいて、CD38は、リンパおよび骨髄性細胞の成熟および活性化における、それらの正常な発達中の重要なシグナリング分子であることが提案された。
シグナル伝達および造血におけるCD38の正確な役割は未だ明確ではなく、何故なら、とりわけ、これらのシグナル伝達研究のほとんどが、非生理的リガンドであるCD38を異所性に過剰発現している細胞株および抗CD38モノクローナル抗体を使用してきたからである。CD38タンパク質は、Ca2+動員を誘発することができる分子であるcADPRを産生する酵素活性を有する(Lee et al. (1989) J Biol Chem 264, 1608-1615;Lee and Aarhus (1991) Cell Regul 2, 203-209)ため、モノクローナル抗体によるCD38ライゲーションは、cADPRの産生を増大させることにより、リンパ球におけるCa2+動員およびシグナル伝達をトリガーすることが提案されている(Lee et al. (1997) Adv Exp Med Biol 419, 411-419)。この仮説に反して、CD38タンパク質の切断および点突然変異分析は、その細胞質尾部もその酵素活性も、抗CD38抗体によって媒介されるシグナリングには必要ないことを示した(Kitanaka et al. (1999) J Immunol 162, 1952-1958;Lund et al. (1999) J Immunol 162, 2693-2702;Hoshino et al. (1997) J Immunol 158, 741-747)。
CD38の機能の最も有力な証拠は、樹状細胞の遊走の欠損により、それらの先天性免疫の欠損およびT細胞依存性液性応答の低減を有する、CD38-/-ノックアウトマウスによってもたらされる(Partida-Sanchez et al. (2004) Immunity 20, 279-291;Partida-Sanchez et al. (2001) Nat Med 7, 1209-1216)。それにもかかわらず、造血中のCD38発現パターンはヒトとマウスとの間で大いに異なることから、マウスにおけるCD38機能がヒトにおけるものと同一であるか否かは明確ではない:a)ヒトにおける未熟な前駆幹細胞とは異なり、マウスにおける同様の前駆幹細胞は、高レベルのCD38を発現し(Randall et al. (1996) Blood 87, 4057-4067;Dagher et al. (1998) Biol Blood Marrow Transplant 4, 69-74)、b)ヒトB細胞の発達中に、高レベルのCD38発現が、胚中心B細胞および形質細胞において見られる(Uckun (1990) Blood 76, 1908-1923;Kumagai et al. (1995) J Exp Med 181, 1101-1110)が、マウスでは、対応する細胞におけるCD38発現レベルは低い(Oliver et al. (1997) J Immunol 158, 1108-1115;Ridderstad and Tarlinton (1998) J Immunol 160, 4688-4695)。
種々の腫瘍細胞および細胞株における、異なる増殖特性を持ついくつかの抗ヒトCD38抗体について、文献において記述されてきた。例えば、マウスFabおよびヒトIgG1 Fcを持つキメラOKT10抗体は、MM患者または正常な個体のいずれか由来の末梢血単核エフェクター細胞の存在下、リンパ腫細胞に対して、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)を非常に効率的に媒介する(Stevenson et al. (1991) Blood 77, 1071-1079)。抗CD38抗体AT13/5のCDR移植ヒト化バージョンは、CD38陽性細胞株に対する強力なADCC活性を有することが示されている(米国特許出願第09/797,941号)。ヒトモノクローナル抗CD38抗体は、ADCCおよび/または補体依存性細胞毒性(CDC)によるCD38陽性細胞株のin vitro死滅を媒介すること、ならびに、MM細胞株RPMI-8226を担持するSCIDマウスにおける腫瘍増殖を遅延させることが示されている(WO2005/103083)。他方では、IB6もAT1もAT2も除く、いくつかの抗CD38抗体、IB4、SUN-4B7およびOKT10は、正常な個体由来の末梢血単核細胞(PBMC)の増殖を誘発した(Ausiello et al. (2000) Tissue Antigens 56, 539-547)。
先行技術の抗体の一部は、CD38+B細胞においてアポトーシスをトリガーすることができると示されている。しかしながら、それらは間質細胞または間質由来サイトカインの存在下でのみ、そうすることができる。アゴニスト性抗CD38抗体(IB4)は、ヒト胚中心(GC)B細胞のアポトーシスを予防すること(Zupo et al. (1994) Eur J Immunol 24, 1218-1222)ならびにKG-1およびHL-60 AML細胞の増殖を誘発すること(Konopleva et al. (1998) J Immunol 161, 4702-4708)が報告されているが、ジャーカットTリンパ芽球細胞においてはアポトーシスを誘発する(Morra et al. (1998) FASEB J 12, 581-592)。別の抗CD38抗体T16は、ALL患者由来の未熟なリンパ細胞および白血病リンパ芽球細胞(Kumagai et al. (1995) J Exp Med 181, 1101-1110)ならびにAML患者由来の白血病骨髄芽球細胞(Todisco et al. (2000) Blood 95, 535-542)のアポトーシスを誘発したが、T16は、間質細胞または間質由来サイトカイン(IL-7、IL-3、幹細胞因子)の存在下でのみアポトーシスを誘発した。
別の態様では、本発明のある特定の二環式ペプチドは、EphA2結合剤としての特異的な有用性を有する。
Eph受容体チロシンキナーゼ(Eph)は、チロシン残基上のタンパク質をリン酸化するキナーゼである、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の大きな群に属する。Ephおよびそれらの膜は、エフリンリガンド(エフリン)対照細胞位置決めおよび組織機構と結合する(Poliakov et al. (2004) Dev Cell 7, 465-80)。機能的および生化学的Eph応答は、より高いリガンドオリゴマー化状態において出現する(Stein et al. (1998) Genes Dev 12, 667-678)。
数あるパターン化機能の中でも、種々のEphおよびエフリンが、血管の発達において役割を果たすことが示されている。EphB4およびエフリン-B2のノックアウトは、血管中に毛細血管床をリモデリングする能力(Poliakov et al., 上記)および胎児致死の欠如をもたらす。一部のEph受容体およびエフリンの持続的発現は、新たに形成された成人微小血管においても観察されている(Brantley-Sieders et al. (2004) Curr Pharm Des 10, 3431-42;Adams (2003) J Anat 202, 105-12)。
成人における一部のエフリンおよびそれらの受容体の調節解除された再発は、腫瘍侵襲、転移および新血管新生に寄与することも観察されている(Nakamoto et al. (2002) Microsc Res Tech 59, 58-67;Brantley-Sieders et al., 上記)。さらに、一部のEphファミリーメンバーは、様々なヒト腫瘍由来の腫瘍細胞上で過剰発現されることが見出されている(Brantley-Sieders et al., 上記);Marme (2002) Ann Hematol 81 Suppl 2, S66;Booth et al. (2002) Nat Med 8, 1360-1)。
EPH受容体A2(エフリンA型受容体2)は、ヒトにおいて、EPHA2遺伝子によってコードされるタンパク質である。
EphA2は、多くの場合、疾患進行、転移および予後不良と相関している、人間における複数のがん、例えば、乳房(Zelinski et al (2001) Cancer Res. 61, 2301-2306;Zhuang et al (2010) Cancer Res. 70, 299-308;Brantley-Sieders et al (2011) PLoS One 6, e24426)、肺(Brannan et al (2009) Cancer Prev Res (Phila) 2, 1039-1049;Kinch et al (2003) Clin Cancer Res. 9, 613-618;Guo et al (2013) J Thorac Oncol. 8, 301-308)、胃(Nakamura et al (2005) Cancer Sci. 96, 42-47;Yuan et al (2009) Dig Dis Sci 54, 2410-2417)、膵臓(Mudali et al (2006) Clin Exp Metastasis 23, 357-365)、前立腺(Walker-Daniels et al (1999) Prostate 41, 275-280)、肝臓(Yang et al (2009) Hepatol Res. 39, 1169-1177)および膠芽細胞腫(Wykosky et al (2005) Mol Cancer Res. 3, 541-551;Li et al (2010) Tumour Biol. 31, 477-488)において、上方調節される。
がん進行におけるEphA2の全面的な役割は未だ定義されていないが、腫瘍細胞増殖、生存、侵襲および血管新生を含むがん進行の多数の段階において相互作用の証拠がある。EphA2発現の下方調節は、腫瘍がん細胞繁殖(Binda et al (2012) Cancer Cell 22, 765-780)を抑制するのに対し、EphA2遮断は、VEGF誘発性細胞遊走(Hess et al (2001) Cancer Res. 61, 3250-3255)、発芽および血管新生(Cheng et al (2002) Mol Cancer Res. 1, 2-11;Lin et al (2007) Cancer 109, 332-40)ならびに転移の進行(Brantley-Sieders et al (2005) FASEB J. 19, 1884-1886)を阻害する。
EphA2との抗体薬物コンジュゲートは、ラットおよびマウス異種移植片モデルにおいて腫瘍増殖を有意に減退させることが示されており(Jackson et al (2008) Cancer Research 68, 9367-9374)、人間において同様のアプローチが試行されているが、治療に関連する有害事象のために治療を中断しなくてはならなかった(Annunziata et al (2013) Invest New drugs 31, 77-84)。
別の態様では、本発明のある特定の二環式ペプチドは、インテグリンαvβ3結合剤としての特異的な有用性を有する。
インテグリンは、細胞を基質に固定し、外部で派生したシグナルを、原形質膜を越えて送信する、ヘテロ二量体マトリックス受容体である。インテグリンαvβ3は、in vivoおよびin vitroの両方で、破骨細胞によって媒介される骨再吸収に関与する。このヘテロ二量体分子は、オステオポンチンおよび骨シアロタンパク質等の骨マトリックスタンパク質に含有されるアミノ酸モチーフArg-Gly-Asp(RGD)を認識する。インテグリンαvβ3は、破骨細胞において発現され、その発現は、吸収性ステロイドおよびサイトカインによってモジュレートされる。ブロッキング実験に基づき、αvβ3インテグリンは、破骨細胞における主要な機能接着受容体として同定されてきた。インテグリンαvβ3の阻害剤は、破骨細胞の、骨と結合するおよびそれを再吸収する容量を低減させる。インテグリンαvβ3は、破骨細胞の機能において主要な役割を果たし、このインテグリンの阻害剤は、骨粗鬆症、溶骨性転移および悪性腫瘍誘発性高カルシウム血症を治療するまたは予防するとみなされている。
破骨細胞によって媒介される骨溶解に関連する多くの骨疾患がある。骨粗鬆症は、骨の再吸収および形成が協調せず、骨破壊が骨構築を無効にする場合に誘発される、最も一般的なものである。骨粗鬆症は、ホルモンの不均衡、疾患または薬剤(例えば、コルチコステロイドまたは抗てんかん剤)等の他の条件によっても引き起こされる。骨は、ヒト乳房、前立腺、肺および甲状腺がんならびに他のがんによる転移の最も一般的な部位の1つである。骨粗鬆症は、閉経後のエストロゲン欠乏症によって生じる場合もある。続発性骨粗鬆症は、関節リウマチに関連し得る。骨転移は、他の臓器の転移においては見られない、破骨細胞の骨再吸収の非常に独自のステップを示す。がんに関連する骨溶解は、破骨細胞によって本質的に媒介されることが広く受け入れられており、これは、活性化されていると思われ、骨芽細胞を介して間接的にまたは腫瘍生成物によって直接的に活性化され得る。加えて、高カルシウム血症(血中カルシウム濃度の増大)は、溶骨性骨疾患の重要な合併症である。これは、広範囲の骨破壊を持つ患者において比較的頻繁に出現し、乳房、肺、腎、卵巣および膵臓癌においてならびに骨髄腫において特に一般的である。
ディスインテグリンは、血小板ならびに血管内皮細胞および一部の腫瘍細胞を含む他の細胞上で発現されるインテグリンαIIbβ3、α5β1およびαvβ3と特異的に結合する、低分子量RGD含有ペプチドのファミリーである。それらの強力な抗血小板活性に加えて、ディスインテグリンの研究は、心血管疾患の診断、ならびに動脈血栓症、骨粗鬆症および血管新生関連腫瘍増殖および転移における治療剤の設計における新たな使用を明らかにした。Colloselasma rhodostomaの毒液に由来するディスインテグリンであるロドストミン(Rho)は、血小板糖タンパク質αIIbβ3の遮断を介して、血小板凝集をin vivoおよびin vitroで阻害することが見出された。
骨疾患におけるαvβ3インテグリンの役割は、十分に文書化されてきた(Ross et al (2006) Journal of Clinical Investigation 116(5);Rodan et al (1997) Journal of Endocrinology 154, S47-S56;Teitelbaum (2005) Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 90(4), 2466-2468;Teitelbaum (2000) Journal of Bone and Mineral Metabolism 18, 344-349;Nakamura et al (2007) Journal of Bone and Mineral Metabolism 25, 337-344;Duong et al (1999) Journal of Bone and Mineral Metabolism 17, 1-6;and Teti et al (2002) Calcified Tissue International 71, 293-299)。骨疾患に加えて、αvβ3インテグリンは、骨疾患に関連しない条件で、血管新生および腫瘍増殖において重要な役割を果たす。
本発明のさらなる態様によれば、インテグリンαvβ3によって媒介される疾患または障害を、予防する、抑制するまたは治療する際に使用するための、本明細書において定義される通りのペプチドリガンドが提供される。
本発明のさらなる態様によれば、インテグリンαvβ3によって媒介される疾患または障害を、予防する、抑制するまたは治療する方法であって、それを必要とする患者に、本明細書において定義される通りのペプチドリガンドを投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、インテグリンαvβ3は、哺乳類のインテグリンαvβ3である。さらなる実施形態では、哺乳類のインテグリンαvβ3は、ヒトインテグリンαvβ3である。
一実施形態では、インテグリンαvβ3によって媒介される疾患または障害は、骨疾患(骨粗鬆症等)、がんおよび血管新生を伴う疾患から選択される。
さらなる実施形態では、インテグリンαvβ3によって媒介される疾患または障害は、がんから選択される。
本明細書において記述される化合物および組成物は、概して、1つまたは複数の酵素の、炭酸アンヒドラーゼ、メタロプロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、ヒドロラーゼ、キナーゼまたはインテグリン活性の阻害に有用である。
本発明の方法に従って選択されるポリペプチドリガンドは、in vivo治療および予防的用途、in vitroおよびin vivo診断用途、in vitroアッセイおよび試薬用途等において用いられ得る。選択されたレベルの特異性を有するリガンドは、交差反応性が望ましい非ヒト動物における試験を伴う用途において、または、ホモログもしくはパラログとの交差反応性を慎重に制御する必要がある診断用途において、有用である。ワクチン用途等の一部の用途では、所定の範囲の抗原に対して免疫応答を導出する能力が、ワクチンを特異的な疾患および病原体に合わせるために活用され得る。
少なくとも90から95%の均質性の実質的に純粋なペプチドリガンドは、哺乳動物への投与に好ましく、98から99%またはそれよりも大きい均質性は、とりわけ、哺乳動物がヒトである場合、薬学への使用に最も好ましい。部分的にまたは所望される均質性まで精製したら、選択されたポリペプチドを、診断的にもしくは治療的に(体外でを含む)、またはアッセイ手順、免疫蛍光染色等を開発するおよび実施する際に使用してよい(Lefkovite and Pernis, (1979 and 1981) Immunological Methods, Volumes I and II, Academic Press, NY)。
CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体の阻害剤として本発明において利用される化合物の活性は、in vitro、in vivoまたは細胞株においてアッセイされ得る。代替的なin vitroアッセイは、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2またはαvβ3と結合する阻害剤の能力を定量化する。阻害剤結合は、結合の前に阻害剤を放射性標識すること、阻害剤/CAIX、阻害剤/MT1-MMP、阻害剤/PSMA、阻害剤/CD38、阻害剤/EphA2、または阻害剤/αvβ3複合体を単離すること、および結合した放射性標識の量を決定することによって測定され得る。代替的に、阻害剤結合は、新たな阻害剤が、公知の放射性リガンドに結合しているCAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2またはαvβ3とともにインキュベートされる、競合実験を実行することによって決定され得る。MT1-MMP阻害剤をアッセイする際に有用な、代表的なin vitroおよびin vivoアッセイは、Pietraszek et al., (2014) FEBS Letters 588(23), 4319-4324;Cheltsov et al., (2012) Cancer Res. 72(9), 2339-49;およびWO2009/098450において記述および開示されているものを含み、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。CAIX阻害剤をアッセイする際に有用な、代表的なin vitroおよびin vivoアッセイは、Wind et al., (2011) Ann Clin Biochem. 48(2), 112-120;Gandhi et al., (2015) J. Urology 193(4), e870-e871;およびWO2004/005348において記述および開示されているものを含み、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。αvβ3阻害剤をアッセイする際に有用な、代表的なin vitroおよびin vivoアッセイは、Wang et al (2005) Bioconjug Chem 16(3), 729-34において記述および開示されているものを含む。CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体の阻害剤として本発明において利用される化合物をアッセイするための詳細な条件は、以下の実施例において明記する。
本明細書において使用される場合、用語「治療(treatment)」、「治療する(treat)」および「治療する(treating)」は、本明細書において記述される通りの疾患もしくは障害、またはその1つもしくは複数の症状を、回復させること、軽減すること、その発症を遅延させること、またはその進行を阻害することを指す。一部の実施形態では、治療は、1つまたは複数の症状が発生した後に施され得る。他の実施形態では、治療は、症状の非存在下で施され得る。例えば、治療は、症状の発症前に、感受性の個体に施され得る(例えば、症状歴の観点からおよび/または遺伝的もしくは他の感受性因子の観点から)。治療は、例えば、それらの再発を予防するまたは遅延させるために、症状が解消された後に継続されてもよい。
提供化合物は、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2またはαvβ3の阻害剤であり、したがって、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2またはαvβ3の活性に関連する1つまたは複数の障害を治療するために有用である。故に、ある特定の実施形態では、本発明は、CAIX媒介性、MT1-MMP媒介性、PSMA媒介性、CD38媒介性、EphA2媒介性またはαvβ3媒介性障害を治療するための方法であって、それを必要とする患者に、本発明の化合物または薬学的に許容され得るその組成物を投与することを含む、方法を提供する。
本明細書において使用される場合、用語「CAIX媒介性」、「MT1-MMP媒介性」、「PSMA媒介性」、「CD38媒介性」、「EphA2媒介性」または「αvβ3媒介性」障害、疾患および/または状態は、本明細書において使用される場合、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体が役割を果たすことが公知である、任意の疾患または他の有害な状態を意味する。したがって、本発明の別の実施形態は、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体が役割を果たすことが公知である、1つまたは複数の疾患を治療することまたはその重症度を低下させることに関する。
処置(または阻害)され得るがんの例としては、上皮起源の腫瘍(腺癌、扁平上皮癌、移行上皮癌および他の癌腫を含む種々の種類の腺腫および癌腫)、例えば、膀胱および尿路の癌腫、乳房の癌腫、消化管(食道、胃(stomach、gastric)、小腸、結腸、直腸および肛門を含む)の癌腫、肝臓の癌腫(肝細胞癌)、胆嚢および胆道系の癌腫、膵臓外分泌腺の癌腫、腎臓の癌腫、肺の癌腫(例えば、腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、細気管支肺胞癌および中皮腫)、頭頸部の癌腫(例えば、舌、口腔、喉頭、咽頭、鼻咽頭、扁桃腺、唾液腺、鼻腔および副鼻腔のがん)、卵巣の癌腫、卵管の癌腫、腹膜の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、陰茎の癌腫、頸部の癌腫、子宮筋層の癌腫、子宮内膜の癌腫、甲状腺の癌腫(例えば、甲状腺濾胞癌)、副腎の癌腫、前立腺の癌腫、皮膚の癌腫および付属器の癌腫(例えば、黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、角化棘細胞腫、異形成母斑);リンパ球系の血液悪性腫瘍および関連状態(例えば、急性リンパ性白血病[ALL]、慢性リンパ球性白血病[CLL]、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫[DLBCL]等のB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫および白血病、ナチュラルキラー[NK]細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、有毛細胞白血病、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症、形質細胞腫、多発性骨髄腫および移植後リンパ増殖性障害)ならびに骨髄球系の血液悪性腫瘍および関連状態(例えば、急性骨髄性白血病[AML]、慢性骨髄性白血病[CML]、慢性骨髄単球性白血病[CMML]、好酸球増多症候群、骨髄増殖性障害、例えば真性多血症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症、骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群および前骨髄球性白血病)を含む、血液悪性腫瘍(すなわち、白血病、リンパ腫)ならびに前悪性血液障害および境界悪性腫瘍の障害;間葉起源の腫瘍、例えば、骨肉腫、線維肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、滑膜肉腫、類上皮肉腫、消化管間質腫瘍、良性および悪性組織球腫ならびに隆起性皮膚線維肉腫等の、軟組織、骨または軟骨の肉腫;中枢神経系または末梢神経系の腫瘍(例えば、星状細胞腫、神経膠腫および神経膠芽細胞腫、髄膜腫、上衣腫、松果体腫瘍およびシュワン細胞腫);内分泌腫瘍(例えば、下垂体腫瘍、副腎腫瘍、島細胞腫瘍、副甲状腺腫瘍、カルチノイド腫瘍および甲状腺の髄様癌);眼および付属器腫瘍(例えば、網膜芽細胞腫);胚細胞腫瘍および絨毛性腫瘍(例えば、奇形腫、精上皮腫、未分化胚細胞腫、胞状奇胎および絨毛癌);ならびに小児腫瘍および胎児性腫瘍(例えば、髄芽腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍および原始神経外胚葉性腫瘍);あるいは、患者を悪性腫瘍に対して感受性のままにしておく、先天性または別様の症候群(例えば、色素性乾皮症)
が挙げられるがこれらに限定されない。
さらなる実施形態では、がんは、頸部、卵巣、腎臓、食道、肺、乳房および脳のがんから選択される。
本明細書における用語「予防」への言及は、疾患の誘発前の保護組成物の投与を伴う。「抑制」は、誘発的事象後であるが疾患の臨床的所見前の、組成物の投与を指す。「治療」は、疾患の症状が明白になった後の、保護組成物の投与を伴う。
疾患から保護するまたは疾患を治療する際にペプチドリガンドの有効性をスクリーニングするために使用され得る、動物モデルシステムが利用可能である。動物モデルシステムの使用は、ヒトおよび動物標的と交差反応して動物モデルの使用を可能にすることができる、ポリペプチドリガンドの開発を可能にする、本発明によって容易になる。
さらに、本発明は、増殖性疾患の治療用医薬の調製のための、本明細書における定義に従う化合物、または薬学的に許容され得るその塩もしくは水和物もしくは溶媒和物の使用を提供する。
組合せ療法
治療される特定の状態または疾患に応じて、当該状態を治療するために通常投与される追加の治療剤は、本発明の化合物および組成物と組み合わせて投与され得る。本明細書において使用される場合、特定の疾患または状態を治療するために通常投与される追加の治療剤は、「治療されている疾患または状態に適切である」として公知である。
ある特定の実施形態では、提供される組合せまたはその組成物は、別の治療剤と組み合わせて投与される。
ある特定の実施形態では、本発明の組合せ療法または薬学的に許容され得るその組成物は、モノクローナル抗体またはsiRNA治療薬と組み合わせて投与される。
それらの追加の作用物質は、複数回投薬量レジメンの一部として、提供される組合せ療法とは別個に投与されてよい。代替的に、それらの作用物質は、単一組成物中に本発明の化合物と一緒に混合された、単一剤形の一部であってよい。複数回投薬量レジメンの一部として投与される場合、2つの活性剤は、同時に、順次に、または互いに一定期間内に、通常は互いに5時間以内に、供されてよい。
本明細書において使用される場合、用語「組合せ」、「組み合わせられた」および関連用語は、本発明に従う治療剤の同時または順次投与を指す。例えば、本発明の組合せは、別の治療剤と、別個の単位剤形で同時にもしくは順次にまたは単一の単位剤形で一緒に、投与されてよい。
本発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、唯一の活性剤として当該治療剤を含む組成物で通常投与されるであろう量を上回らないであろう。好ましくは、現在開示されている組成物中における追加の治療剤の量は、唯一の治療活性剤として当該作用物質を含む組成物中に通常存在する量の、約50%から100%までの範囲となる。
一実施形態では、本発明は、式Iの化合物と、1つまたは複数の追加の治療剤とを含む、組成物を提供する。治療剤は、式Iの化合物と一緒に投与されてもよく、または式Iの化合物の投与の前もしくは後に投与されてもよい。好適な治療剤については、以下でさらに詳細に記述する。ある特定の実施形態では、式Iの化合物は、治療剤の、最大5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間または18時間前に投与されてよい。他の実施形態では、式Iの化合物は、治療剤の、最大5分、10分、15分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間または18時間後に投与されてよい。
別の実施形態では、本発明は、血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式Iの化合物、ならびに、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、シクロフォスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、プレドニゾン、ヘッジホッグシグナリング阻害剤、BTK阻害剤、JAK/pan-JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、SYK阻害剤およびそれらの組合せから選択される1つまたは複数の追加の治療剤を投与することを含む、方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、固形腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式Iの化合物、ならびに、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、シクロフォスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、プレドニゾン、ヘッジホッグシグナリング阻害剤、BTK阻害剤、JAK/pan-JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、SYK阻害剤およびそれらの組合せから選択される1つまたは複数の追加の治療剤を投与することを含む、方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、血液悪性腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式Iの化合物およびヘッジホッグ(Hh)シグナリング経路阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、血液悪性腫瘍は、DLBCLである(7月17日にオンラインで公開され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ramirez et al "Defining causative factors contributing in the activation of hedgehog signaling in diffuse large B-cell lymphoma" Leuk. Res. (2012))。
別の実施形態では、本発明は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式Iの化合物、ならびに、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、シクロフォスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(Hydrodaunorubicin(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、プレドニゾン、ヘッジホッグシグナリング阻害剤およびそれらの組合せから選択される1つまたは複数の追加の治療剤を投与することを含む、方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、多発性骨髄腫を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式Iの化合物、ならびに、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ヘッジホッグシグナリング阻害剤、BTK阻害剤、JAK/pan-JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤、SYK阻害剤をレナリドマイド(Revlimid(登録商標))と組み合わせたものから選択される1つまたは複数の追加の治療剤を投与することを含む、方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式Iの化合物、ならびに、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シクロフォスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、ヘッジホッグシグナリング阻害剤、BTK阻害剤、JAK/pan-JAK阻害剤、TYK2阻害剤、PI3K阻害剤およびSYK阻害剤から選択される1つまたは複数の追加の治療剤を投与することを含む、方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、疾患を治療するまたはその重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者に、式Iの化合物およびBTK阻害剤を投与することを含み、疾患が、炎症性腸疾患、関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変形性関節症、スティル病、若年性関節炎、糖尿病、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、オード甲状腺炎(Ord's thyroiditis)、グレーブス病、自己免疫性甲状腺炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、全身性硬化症、ライム神経ボレリア症、ギラン・バレー症候群、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、強直性脊椎症、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性胃炎、悪性貧血、セリアック病、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、視神経炎、強皮症、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、乾癬、全身性脱毛症、ベーチェット病、慢性疲労、自律神経失調症、膜性糸球体腎症、子宮内膜症、間質性膀胱炎、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、神経性筋緊張病、強皮症、外陰部痛、過剰増殖性疾患、移植された臓器または組織の拒絶、後天性免疫不全症候群(AIDS、HIVとしても公知である)、1型糖尿病、移植片対宿主病、移植、輸血、アナフィラキシー、アレルギー(例えば、植物花粉、ラテックス、薬物、食物、昆虫毒、動物の毛、動物の鱗屑、イエダニまたはゴキブリの杯状器官に対するアレルギー)、I型過敏症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、およびアトピー性皮膚炎、喘息、虫垂炎、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、慢性移植片拒絶、結腸炎、結膜炎、クローン病、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、小腸結腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、肝炎、化膿性汗腺炎、免疫グロブリンA腎症、間質性肺疾患、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、骨髄炎心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、睾丸炎、骨炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、肺炎、多発性筋炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、潰瘍性結腸炎、ブドウ膜炎、膣炎、血管炎、または外陰炎、B細胞増殖性障害、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、脾辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫(形質細胞性骨髄腫としても公知である)、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、形質細胞腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、またはリンパ腫様肉芽腫、乳がん、前立腺がん、または肥満細胞のがん(例えば、肥満細胞腫、肥満細胞性白血病、肥満細胞肉腫、全身性肥満細胞症)、骨がん、結腸直腸がん、膵臓がん、限定されないが、関節リウマチ、血清反応陰性脊椎関節症(強直性脊椎炎、乾癬性関節炎およびライター症候群を含む)を含む骨および関節の疾患、ベーチェット病、シェーグレン症候群、全身性硬化症、骨粗鬆症、骨がん、骨転移、血栓塞栓性障害、(例えば、心筋梗塞、狭心症、血管形成術後の再閉塞、血管形成術後の再狭窄、大動脈冠動脈バイパス後の再閉塞、大動脈冠動脈バイパス後の再狭窄、脳卒中、一過性虚血、末梢動脈閉塞性障害、肺塞栓症、深部静脈血栓症)、炎症性骨盤疾患、尿道炎、皮膚日焼け、副鼻腔炎、肺臓炎、脳炎、髄膜炎、心筋炎、腎炎、骨髄炎、筋炎、肝炎、胃炎、腸炎、皮膚炎、歯肉炎、虫垂炎、膵炎、胆嚢炎(cholocystitus)、無ガンマグロブリン血症、乾癬、アレルギー、クローン病、過敏性腸症候群、潰瘍性結腸炎、シェーグレン病、組織移植片拒絶、移植臓器の超急性拒絶、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、自己免疫性多腺性疾患(自己免疫性多腺性症候群としても公知である)、自己免疫性脱毛症、悪性貧血、糸球体腎炎、皮膚筋炎、多発性硬化症、強皮症、血管炎、自己免疫性溶血性および血小板減少性状態、グッドパスチャー症候群、アテローム性動脈硬化症、アジソン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病、敗血性ショック、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性関節炎、変形性関節症、慢性特発性血小板減少性紫斑病、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、アトピー性皮膚炎、変性関節疾患、白斑、自己免疫性下垂体機能低下症、ギラン・バレー症候群、ベーチェット病、強皮症、菌状息肉腫、急性炎症応答(急性呼吸窮迫症候群および虚血/再灌流傷害等)、ならびにグレーブス病から選択される、方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、疾患を治療するまたはその重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者に、式Iの化合物およびPI3K阻害剤を投与することを含み、疾患が、がん、神経変性障害、血管新生障害、ウイルス性疾患、自己免疫性疾患、炎症性障害、ホルモン関連疾患、臓器移植に関連する状態、免疫不全障害、破壊的骨障害、増殖性障害、感染性疾患、細胞死に関連する状態、トロンビン誘発性血小板凝集、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、肝疾患、T細胞活性化を伴う病的免疫状態、心血管障害およびCNS障害から選択される、方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、疾患を治療するまたはその重症度を低下させる方法であって、それを必要とする患者に、式Iの化合物およびPI3K阻害剤を投与することを含み、疾患が、良性または悪性腫瘍、脳、腎臓(例えば、腎細胞癌(RCC))、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣、子宮内膜、頸部、睾丸、尿生殖路、食道、喉頭、皮膚、骨または甲状腺の癌腫または固形腫瘍、肉腫、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、多発性骨髄腫または胃腸がん、とりわけ、結腸癌または結腸腺腫または頭頸部の腫瘍、表皮の過剰増殖、乾癬、前立腺肥大、新生物、上皮性の新生物、腺腫、腺癌、角化棘細胞腫、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキンリンパ腫(ホジキンまたはホジキン病とも称される)を含む)、乳癌、濾胞癌、未分化癌、乳頭癌、精上皮腫、黒色腫または白血病から選択され、疾患が、カウデン症候群、レルミット・ダクロス病およびバナヤン・ゾナナ症候群、またはPI3K/PKB経路が異常に活性化されている疾患、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度の喘息、中等度の喘息、重度の喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息ならびに細菌感染症後に誘発される喘息を含むあらゆる種類または起源の喘息、急性肺損傷(ALI)、成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎またはそれに関連する呼吸困難を含む気道または肺疾患(COPD、COADまたはCOLD)、肺気腫、ならびに、他の薬物療法、特に他の吸入薬物療法の結果として起こる気道過敏症の増悪、急性、アラキジン酸性、カタル性、クループ性、慢性または結核性気管支炎を含むがこれらに限定されないあらゆる種類または起源の気管支炎、例えば、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石粉症、睫毛脱落症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ中毒症および綿肺症を含む、あらゆる種類または起源の塵肺症(慢性または急性のいずれかにかかわらず、気道閉塞が高頻度で付随し、塵埃の繰り返し吸入によって引き起こされる、肺の炎症性、一般的には職業性の、疾患)、レフラー(Loffler's)症候群、好酸球性、肺炎、寄生虫の(特に後生動物の)侵入(熱帯性好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発動脈炎(チャーグ・ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫および薬物反応によって引き起こされる気道に影響を及ぼす好酸球関連障害、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑(erythema multiforma)、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス、天疱瘡、後天性表皮水疱症、結膜炎、乾性角結膜炎、および春季結膜炎、アレルギー性鼻炎を含む鼻に影響を及ぼす疾患、および、自己免疫反応が関係する、または自己免疫性血液疾患(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球ろうおよび特発性血小板減少症)を含む自己免疫成分または病因を有する炎症性疾患、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症(granulamatosis)、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーヴンス(Steven)・ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性結腸炎およびクローン病)、内分泌眼症(opthalmopathy)、グレーブス病、サルコイドーシス、肺胞炎、慢性過敏性肺臓炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部および後部)、乾性角結膜炎および春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎および糸球体腎炎(例えば、特発性ネフローゼ症候群または微小(minal)変化腎症を含む、ネフローゼ症候群有りおよびなし)、再狭窄、心肥大、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、虚血性脳卒中およびうっ血性心不全、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、および脳虚血、ならびに、外傷、グルタミン酸神経毒性および低酸素によって引き起こされる神経変性疾患を含む、方法を提供する。
本発明の方法に従う化合物および組成物は、がん、自己免疫障害、増殖性障害、炎症性障害、神経変性もしくは神経障害、統合失調症、骨関連障害、肝疾患または心障害を治療するまたはその重症度を低下させるために有効な、任意の量および任意の投与経路を使用して投与されてよい。要求される正確な量は、対象の種、年齢および全身状態、感染症の重症度、特定の作用物質、その投与方式等に応じて、対象によって変動することになる。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬量単位形態で製剤化される。表現「投薬量単位形態」は、本明細書において使用される場合、治療される患者に適切な、作用物質の物理的に不連続な単位を指す。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日の総使用量は、担当医によって、妥当な医学的判断の範囲内で決められることが理解されるであろう。任意の特定の患者または生物のための具体的な有効用量レベルは、治療されている障害および障害の重症度;用いられる具体的な化合物の活性;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、全般的健康、性別および食習慣;投与時間、投与経路、および用いられる具体的な化合物の排泄率;治療の持続期間;用いられる具体的な化合物と組み合わせてまたは同時発生的に使用される薬物、ならびに医療技術分野において周知である類似要因を含む、様々な要因によって決まることになる。用語「患者」は、本明細書において使用される場合、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
本発明の薬学的に許容され得る組成物は、ヒトおよび他の動物に、治療されている感染症の重症度に応じて、経口的に、経直腸的に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤または液滴のように)、口腔内に、経口または鼻腔用スプレーとして等で投与され得る。ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、所望の治療効果を取得するために、1日当たり対象の体重の、約0.01mg/kgから約50mg/kgおよび好ましくは約1mg/kgから約25mg/kgまでの投薬量レベルで、1日1回または複数回、経口的にまたは非経口的に投与されてよい。
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容され得る乳剤、マイクロ乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含むがこれらに限定されない。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、ラッカセイ、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物等の他の溶媒、可溶化剤および乳化剤等を含有してよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味、香味および着香剤等のアジュバントを含むこともできる。
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水溶液または油脂性懸濁液は、公知の技術に従い、好適な分散化または湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化され得る。滅菌注射用調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール中溶液のような、非毒性の経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液またはエマルションであってもよい。許容され得るビヒクルおよび溶媒の中でも、用いられ得るのは、水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌固定油が、溶媒または懸濁媒として慣例的に用いられる。この目的のために、合成モノ-またはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を用いることができる。加えて、オレイン酸等の脂肪酸が注射液の調製において使用される。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、または、使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒質に溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。
本発明の化合物の効果を持続させるために、多くの場合、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を減速させることが望ましい。これは、難水溶性を持つ結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって遂行され得る。次いで、化合物の吸収速度は、その溶解速度によって決まり、これは、今度は、結晶サイズおよび結晶形態によって決まり得る。代替的に、非経口的に投与される化合物形態の遅延吸収は、化合物を油ビヒクル中に溶解または懸濁することによって遂行される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリド等の生分解性ポリマー中、化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作製される。化合物のポリマーに対する比および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)を含む。デポー注射用製剤は、化合物を、生体組織に適合するリポソームまたはマイクロ乳剤に封入することによっても調製される。
直腸または膣内投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔内で溶融して活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックス等の好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製され得る、坐剤である。
経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。そのような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウム等の少なくとも1つの不活性な薬学的に許容され得る賦形剤または担体、ならびに/あるいは、a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸等の充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシア等の結合剤、c)グリセロール等の保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケートおよび炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶液遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物等の吸収加速剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート等の湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物等の滑沢剤と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤も含んでよい。
同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として用いられてもよい。錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤分野において周知である他のコーティング等のコーティングおよび外殻を用いて調製することができる。これらは乳白剤を必要に応じて含有してよく、活性原料のみを、または優先的に、腸管のある特定の部分において、必要に応じて、遅延様式で放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例は、ポリマー性物質およびワックスを含む。同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレン(polethylene)グリコール等の賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として用いられてもよい。
活性化合物は、上記で注記した通りの1つまたは複数の賦形剤を加えた、マイクロカプセル化形態であってもよい。錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび医薬製剤分野において周知である他のコーティング等のコーティングおよび外殻を用いて調製することができる。そのような固体剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプン等の少なくとも1つの不活性希釈剤と混和されてよい。そのような剤形は、通常の実務と同様に、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化滑沢剤ならびにステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース等の他の錠剤化助剤も含んでよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤も含んでよい。これらは乳白剤を必要に応じて含有してよく、活性原料のみを、または優先的に、腸管のある特定の部分において、必要に応じて、遅延様式で放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例は、ポリマー性物質およびワックスを含む。
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形は、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤またはパッチ剤を含む。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容され得る担体および任意の必要とされる保存剤または緩衝液と要求され得るように混和される。眼科用製剤、点耳剤および点眼剤も、本発明の範囲内であるとして企図される。加えて、本発明は、体内への化合物の制御送達を提供するという付加的な利点を有する、経皮パッチ剤の使用を企図する。そのような剤形は、化合物を、適正な媒質中に溶解または分散させることによって作製することができる。吸収エンハンサーを使用して、皮膚の全体にわたる化合物のフラックスを増大させることもできる。速度は、速度制御膜を設けること、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル中に分散させることのいずれかによって制御することができる。
一実施形態によれば、本発明は、生物学的試料において炭酸アンヒドラーゼ活性を阻害する方法であって、前記生物学的試料を、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。
別の実施形態によれば、本発明は、生物学的試料においてメタロプロテアーゼ活性を阻害する方法であって、前記生物学的試料を、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。
別の実施形態によれば、本発明は、生物学的試料においてインテグリン活性を阻害する方法であって、前記生物学的試料を、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。
別の実施形態によれば、本発明は、生物学的試料において、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体活性を阻害する方法であって、前記生物学的試料を、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む、方法に関する。
用語「生物学的試料」は、本明細書において使用される場合、限定されないが、細胞培養物またはその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物、および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙もしくは他の体液またはその抽出物を含む。
生物学的試料における、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体活性の阻害は、当業者に公知である様々な目的に有用である。そのような目的の例は、生物学的アッセイを含むがこれに限定されない。
本発明の別の実施形態は、患者において、炭酸アンヒドラーゼ、メタロプロテアーゼまたはインテグリン活性を阻害する方法であって、前記患者に、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を投与するステップを含む、方法に関する。
別の実施形態によれば、本発明は、患者において、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体活性を阻害する方法であって、前記患者に、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を投与するステップを含む、方法に関する。他の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者において、CAIX、MT1-MMP、PSMA、CD38、EphA2もしくはαvβ3またはその突然変異体によって媒介される障害を治療するための方法であって、前記患者に、本発明に従う化合物または薬学的に許容され得るその組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。そのような障害について、本明細書において詳細に記述する。
治療される特定の状態または疾患に応じて、当該状態を治療するために通常投与される追加の治療剤が、本発明の組成物中に存在してもよい。本明細書において使用される場合、特定の疾患または状態を治療するために通常投与される追加の治療剤は、「治療されている疾患または状態に適切である」として公知である。
本発明の化合物を、他の抗増殖性化合物と組み合わせて有利に使用してもよい。そのような抗増殖性化合物は、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン薬;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化合物;アルキル化化合物;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化プロセスを誘発する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗腫瘍性代謝拮抗物質;プラチン化合物;タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的とする/減少させる化合物およびさらなる抗血管新生化合物;タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン薬;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;ビスフォスフォネート類;生物学的応答修飾子;抗増殖性抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発癌性アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液悪性腫瘍の治療において使用される化合物;Flt-3の活性を標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;Conforma Therapeutics製の17-AAG(17-アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシ-ゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI-504、CNF1010、CNF2024、CNF1010等のHsp90阻害剤;テモゾロマイド(Temodal(登録商標));GlaxoSmithKline製のSB715992もしくはSB743921またはCombinatoRx製のペンタミジン/クロルプロマジン等のキネシン紡錘タンパク質阻害剤;Array BioPharma製のARRY142886、AstraZeneca製のAZD6244、Pfizer製のPD181461、およびロイコボリン等のMEK阻害剤を含むがこれらに限定されない。用語「アロマターゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合、エストロゲン産生、例えば、基質アンドロステンジオンおよびテストステロンの、それぞれエストロンおよびエストラジオールへの変換を阻害する化合物を指す。用語は、ステロイド、とりわけアタメスタン、エキセメスタンおよびフォルメスタン、ならびに、特に、非ステロイド、とりわけアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールを含むがこれらに限定されない。エキセメスタンは、商標名Aromasin(商標)で市販されている。フォルメスタンは、商標名Lentaron(商標)で市販されている。ファドロゾールは、商標名Afema(商標)で市販されている。アナストロゾールは、商標名Arimidex(商標)で市販されている。レトロゾールは、商標名Femara(商標)またはFemar(商標)で市販されている。アミノグルテチミドは、商標名Orimeten(商標)で市販されている。アロマターゼ阻害剤である化学療法剤を含む本発明の組合せは、乳房腫瘍等のホルモン受容体陽性腫瘍の治療に特に有用である。
用語「抗エストロゲン薬」は、本明細書において使用される場合、エストロゲンの効果をエストロゲン受容体レベルでアンタゴナイズする化合物を指す。用語は、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよびラロキシフェン塩酸塩を含むがこれらに限定されない。タモキシフェンは、商標名Nolvadex(商標)で市販されている。ラロキシフェン塩酸塩は、商標名Evista(商標)で市販されている。フルベストラントは、商標名Faslodex(商標)で投与され得る。抗エストロゲン薬である化学療法剤を含む本発明の組合せは、乳房腫瘍等のエストロゲン受容体陽性腫瘍の治療に特に有用である。
用語「抗アンドロゲン薬」は、本明細書において使用される場合、雄性ホルモンの生物学的効果を阻害することができる任意の物質に関し、ビカルタミド(Casodex(商標))を含むがこれに限定されない。用語「ゴナドレリンアゴニスト」は、本明細書において使用される場合、アバレリクス、ゴセレリンおよびゴセレリン酢酸塩を含むがこれらに限定されない。ゴセレリンは、商標名Zoladex(商標)で投与され得る。
用語「トポイソメラーゼI阻害剤」は、本明細書において使用される場合、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシンおよびその類似体、9-ニトロカンプトテシンならびに巨大分子カンプトテシンコンジュゲートPNU-166148を含むがこれらに限定されない。イリノテカンは、例えばそれが市販されているような形態で、例えば商標Camptosar(商標)で投与され得る。トポテカンは、商標名Hycamptin(商標)で市販されている。
用語「トポイソメラーゼII阻害剤」は、本明細書において使用される場合、ドキソルビシン(Caelyx(商標)等のリポソーム製剤を含む)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン等のアントラサイクリン系、アントラキノン系ミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシン系エトポシドおよびテニポシドを含むがこれらに限定されない。エトポシドは、商標名Etopophos(商標)で市販されている。テニポシドは、商標名VM26-Bristolで市販されている。ドキソルビシンは、商標名Acriblastin(商標)またはAdriamycin(商標)で市販されている。エピルビシンは、商標名Farmorubicin(商標)で市販されている。イダルビシンは、商標名Zavedos(商標)で市販されている。ミトキサントロンは、商標名Novantronで市販されている。
用語「微小管活性剤」は、パクリタキセルおよびドセタキセル等のタキサン;ビンブラスチンまたはビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチンまたはビンクリスチン硫酸塩、およびビノレルビン等のビンカアルカロイド;ジスコデルモリド;コルヒチンおよびエポチロンならびにそれらの誘導体等を含むがこれらに限定されない、微小管安定化、微小管不安定化化合物および微小管重合阻害剤に関する。パクリタキセルは、商標名Taxol(商標)で市販されている。ドセタキセルは、商標名Taxotere(商標)で市販されている。ビンブラスチン硫酸塩は、商標名Vinblastin R.P(商標)で市販されている。ビンクリスチン硫酸塩は、商標名Farmistin(商標)で市販されている。
用語「アルキル化剤」は、本明細書において使用される場合、シクロフォスファミド、イホスファミド、メルファランまたはニトロソ尿素(BCNUまたはギリアデル)を含むがこれらに限定されない。シクロフォスファミドは、商標名Cyclostin(商標)で市販されている。イホスファミドは、商標名Holoxan(商標)で市販されている。
用語「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」または「HDAC阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、抗増殖活性を保有する、化合物に関する。これは、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)を含むがこれに限定されない。
用語「抗腫瘍性代謝拮抗物質」は、5-フルオロウラシルまたは5-FU、カペシタビン、ゲムシタビン、5-アザシチジンおよびデシタビン等のDNA脱メチル化化合物、メトトレキサートおよびエダトレキサート、ならびにペメトレキセド等の葉酸アンタゴニストを含むがこれらに限定されない。カペシタビンは、商標名Xeloda(商標)で市販されている。ゲムシタビンは、商標名Gemzar(商標)で市販されている。
用語「プラチン化合物」は、本明細書において使用される場合、カルボプラチン、シス-プラチン、シスプラチナムおよびオキサリプラチンを含むがこれらに限定されない。カルボプラチンは、例えばそれが市販されているような形態で、例えば商標Carboplat(商標)で投与され得る。オキサリプラチンは、例えばそれが市販されているような形態で、例えば商標Eloxatin(商標)で投与され得る。
用語「タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性;またはタンパク質もしくは脂質ホスファターゼ活性を標的とする/減少させる化合物;あるいはさらなる抗血管新生化合物」は、本明細書において使用される場合、タンパク質チロシンキナーゼならびに/またはセリンおよび/もしくはトレオニンキナーゼ阻害剤または脂質キナーゼ阻害剤、例えば、a)血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えば、PDGFRの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、とりわけ、イマチニブ、SU101、SU6668およびGFB-111等、N-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体等のPDGF受容体を阻害する化合物;b)線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;c)インスリン様増殖因子受容体I(IGF-IR)の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えば、IGF-IRの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、とりわけ、IGF-I受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物またはIGF-I受容体もしくはその増殖因子の細胞外ドメインを標的とする抗体;d)Trk受容体チロシンキナーゼファミリーまたはエフリンB4阻害剤の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;e)Axl受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;f)Ret受容体チロシンキナーゼの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;g)イマチニブ等、Kit/SCFR受容体チロシンキナーゼの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;h)PDGFRファミリーの一部であるC-kit受容体チロシンキナーゼの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えば、c-Kit受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、とりわけ、イマチニブ等、c-Kit受容体を阻害する化合物;i)c-Ablファミリーのメンバー、それらの遺伝子融合産物(例えば、BCR-Ablキナーゼ)および突然変異体の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えば、c-Ablファミリーメンバー、ならびにイマチニブもしくはニロチニブ(AMN107);PD180970;AG957;NSC680410;ParkeDavis製のPD173955;またはダサチニブ(BMS-354825)等、N-フェニル-2-ピリミジン-アミン誘導体等のそれらの遺伝子融合産物の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;j)タンパク質キナーゼC(PKC)およびセリン/トレオニンキナーゼのRafファミリーのメンバー、MEK、SRC、JAK/pan-JAK、FAK、PDK1、PKB/Akt、Ras/MAPK、PI3K、SYK、TYK2、BTKおよびTECファミリーのメンバー、ならびに/またはミドスタウリン等のスタウロスポリン誘導体を含むサイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;さらなる化合物の例は、UCN-01、サフィンゴール、BAY43-9006、ブリオスタチン1、ペリホシン;イルモホシン;RO318220およびRO320432;GO6976;アイシス3521;LY333531/LY379196;イソチノリン(isochinoline)化合物;FTI;PD184352もしくはQAN697(P13K阻害剤)またはAT7519(CDK阻害剤)を含む;k)タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えば、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、メシル酸イマチニブ(Gleevec(商標))、またはチロホスチンA23/RG-50810;AG99;チロホスチンAG213;チロホスチンAG1748;チロホスチンAG490;チロホスチンB44;チロホスチンB44(+)鏡像異性体;チロホスチンAG555;AG494;チロホスチンAG556、AG957等のチロホスチン、およびアダホスチン(4-{[(2,5-ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}-安息香酸アダマンチルエステル;NSC680410、アダホスチン)を含む;l)受容体チロシンキナーゼの表皮増殖因子ファミリー(ホモ-またはヘテロ二量体としてのEGFR1 ErbB2、ErbB3、ErbB4)およびそれらの突然変異体の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えば、表皮増殖因子受容体ファミリーの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、とりわけ、EGF受容体、ErbB2、ErbB3およびErbB4等のEGF受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーを阻害する、またはEGFもしくはEGF関連リガンド、CP358774、ZD1839、ZM105180;トラスツズマブ(Herceptin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、イレッサ、タルセバ、OSI-774、Cl-1033、EKB-569、GW-2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3またはE7.6.3および7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン誘導体と結合する、化合物、タンパク質または抗体である;m)c-Met受容体の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えば、c-Metの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、とりわけ、c-Met受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはc-Metの細胞外ドメインを標的とするもしくはHGFと結合する抗体、n)PRT-062070、SB-1578、バリシチニブ、パクリチニブ、モメロチニブ、VX-509、AZD-1480、TG-101348、トファシチニブおよびルキソリチニブを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数のJAKファミリーメンバー(JAK1/JAK2/JAK3/TYK2および/またはpan-JAK)のキナーゼ活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;o)ATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパリシブ、ピクトレリシブ、PF-4691502、BYL-719、ダクトリシブ、XL-147、XL-765およびイデラリシブを含むがこれらに限定されない、PI3キナーゼ(PI3K)のキナーゼ活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物;ならびに、q)シクロパミン、ビスモデギブ、イトラコナゾール、エリスモデギブおよびIPI-926(サリデギブ)を含むがこれらに限定されない、ヘッジホッグタンパク質(Hh)またはスムーズンド受容体(SMO)経路のシグナリング効果を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を含むがこれらに限定されない。
用語「PI3K阻害剤」は、本明細書において使用される場合、PI3Kα、PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3K-C2α、PI3K-C2β、PI3K-C2γ、Vps34、p110-α、p110-β、p110-γ、p110-δ、p85-α、p85-β、p55-γ、p150、p101およびp87を含むがこれらに限定されないホスファチジルイノシトール-3-キナーゼファミリー内の1つまたは複数の酵素に対して阻害活性を有する化合物を含むがこれらに限定されない。本発明において有用なPI3K阻害剤の例は、ATU-027、SF-1126、DS-7423、PBI-05204、GSK-2126458、ZSTK-474、ブパリシブ、ピクトレリシブ、PF-4691502、BYL-719、ダクトリシブ、XL-147、XL-765およびイデラリシブを含むがこれらに限定されない。
用語「BTK阻害剤」は、本明細書において使用される場合、AVL-292およびイブルチニブを含むがこれらに限定されないブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対して阻害活性を有する化合物を含むがこれらに限定されない。
用語「SYK阻害剤」は、本明細書において使用される場合、PRT-062070、R-343、R-333、エキセライア(Excellair)、PRT-062607およびフォスタマチニブを含むがこれらに限定されない脾臓チロシンキナーゼ(SYK)に対して阻害活性を有する化合物を含むがこれらに限定されない。
BTK阻害化合物および本発明の化合物と組み合わせたそのような化合物によって治療可能な状態のさらなる例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2008039218およびWO2011090760において見ることができる。
SYK阻害化合物および本発明の化合物と組み合わせたそのような化合物によって治療可能な状態のさらなる例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2003063794、WO2005007623およびWO2006078846において見ることができる。
PI3K阻害化合物および本発明の化合物と組み合わせたそのような化合物によって治療可能な状態のさらなる例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2004019973、WO2004089925、WO2007016176、US8138347、WO2002088112、WO2007084786、WO2007129161、WO2006122806、WO2005113554およびWO2007044729において見ることができる。
JAK阻害化合物および本発明の化合物と組み合わせたそのような化合物によって治療可能な状態のさらなる例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2009114512、WO2008109943、WO2007053452、WO2000142246およびWO2007070514において見ることができる。
さらなる抗血管新生化合物は、それらの活性のための別の機序を有する、例えば、タンパク質阻害とも脂質キナーゼ阻害とも無関係な化合物、例えば、サリドマイド(Thalomid(商標))およびTNP-470を含む。
本発明の化合物と組み合わせて使用するために有用なプロテアソーム阻害剤の例は、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)、サリノスポラミドA、カーフィルゾミブ、ONX-0912、CEP-18770およびMLN9708を含むがこれらに限定されない。
タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、例えば、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2A、またはオカダ酸もしくはその誘導体等のCDC25の阻害剤である。
細胞分化プロセスを誘発する化合物は、レチノイン酸、α-γ-もしくはδ-トコフェロールまたはα-γ-もしくはδ-トコトリエノールを含むがこれらに限定されない。
シクロオキシゲナーゼ阻害剤という用語は、本明細書において使用される場合、コックス-2阻害剤、5-アルキル置換2-アリールアミノフェニル酢酸および誘導体、例えばセレコキシブ(Celebrex(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標))、エトリコキシブ、バルデコキシブまたは5-アルキル-2-アリールアミノフェニル酢酸、例えば5-メチル-2-(2’-クロロ-6’-フルオロアニリノ)フェニル酢酸、ルミラコキシブを含むがこれらに限定されない。
用語「ビスフォスフォネート類」は、本明細書において使用される場合、エチドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸を含むがこれらに限定されない。エチドロン酸は、商標名Didronel(商標)で市販されている。クロドロン酸は、商標名Bonefos(商標)で市販されている。チルドロン酸は、商標名Skelid(商標)で市販されている。パミドロン酸は、商標名Aredia(商標)で市販されている。アレンドロン酸は、商標名Fosamax(商標)で市販されている。イバンドロン酸は、商標名Bondranat(商標)で市販されている。リセドロン酸は、商標名Actonel(商標)で市販されている。ゾレドロン酸は、商標名Zometa(商標)で市販されている。用語「mTOR阻害剤」は、シロリムス(Rapamune(登録商標))、エベロリムス(Certican(商標))、CCI-779およびABT578等、ラパマイシン(mTOR)の哺乳類の標的を阻害し、抗増殖活性を保有する化合物に関する。
用語「ヘパラナーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合、ヘパリン硫酸分解を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を指す。用語は、PI-88を含むがこれに限定されない。用語「生物学的応答修飾子」は、本明細書において使用される場合、リンフォカインまたはインターフェロンを指す。
H-Ras、K-RasまたはN-Ras等の用語「Ras発癌性アイソフォームの阻害剤」は、本明細書において使用される場合、Rasの発癌活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物、例えば、L-744832、DK8G557またはR115777(Zarnestra(商標))等の「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」を指す。用語「テロメラーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合、テロメラーゼの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を指す。テロメラーゼの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、とりわけ、テロメスタチン等のテロメラーゼ受容体を阻害する化合物である。
用語「メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤」は、本明細書において使用される場合、メチオニンアミノペプチダーゼの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を指す。メチオニンアミノペプチダーゼの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、ベンガミドまたはその誘導体を含むがこれらに限定されない。
用語「プロテアソーム阻害剤」は、本明細書において使用される場合、プロテアソームの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物を指す。プロテアソームの活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、ボルテゾミブ(Velcade(商標))およびMLN341を含むがこれらに限定されない。
用語「マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤」または(「MMP」阻害剤)は、本明細書において使用される場合、コラーゲンペプチド模倣および非ペプチド模倣阻害剤、テトラサイクリン誘導体、例えば、ヒドロキサメートペプチド模倣阻害剤バチマスタットならびにその経口バイオアベイラブル類似体マリマスタット(BB-2516)、プリノマスタット(AG3340)、メタスタット(NSC683551)BMS-279251、BAY12-9566、TAA211、MMI270BまたはAAJ996を含むがこれらに限定されない。
用語「血液悪性腫瘍の治療において使用される化合物」は、本明細書において使用される場合、FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物である、FMS様チロシンキナーゼ阻害剤;インターフェロン、1-β-D-アラビノフラノシルシトシン(arabinofuransylcytosine)(ara-c)およびブスルファン(bisulfan);ならびに、未分化リンパ腫キナーゼを、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物である、ALK阻害剤を含むがこれらに限定されない。
FMS様チロシンキナーゼ受容体(Flt-3R)の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、とりわけ、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248およびMLN518等のFlt-3R受容体キナーゼファミリーのメンバーを阻害する、化合物、タンパク質または抗体である。
用語「HSP90阻害剤」は、本明細書において使用される場合、HSP90の内因性ATPアーゼ活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する;ユビキチンプロテアソーム(proteosome)経路を介してHSP90クライアントタンパク質を、分解する、標的とする、減少させるまたは阻害する、化合物を含むがこれらに限定されない。HSP90の内因性ATPアーゼ活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、とりわけ、17-アリルアミノ,17-デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体;他のゲルダナマイシン関連化合物;ラディシコールおよびHDAC阻害剤等のHSP90のATPアーゼ活性を阻害する、化合物、タンパク質または抗体である。
用語「抗増殖性抗体」は、本明細書において使用される場合、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、トラスツズマブ-DM1、アービタックス、ベバシズマブ(Avastin(商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PRO64553(抗CD40)および2C4抗体を含むがこれらに限定されない。抗体が意味するのは、それらが所望の生物活性を呈する限り、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体、および抗体断片である。
急性骨髄性白血病(AML)の治療のために、本発明の化合物は、標準的な白血病療法と組み合わせて、とりわけ、AMLの治療に使用される療法と組み合わせて使用され得る。特に、本発明の化合物は、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ならびに/またはダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara-C、VP-16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボプラチナムおよびPKC412等のAMLの治療に有用な他の薬物と組み合わせて投与され得る。
他の抗白血病化合物は、例えば、Ara-C、デオキシシチジンの2’-アルファ-ヒドロキシリボース(アラビノシド)誘導体であるピリミジン類似体を含む。ヒポキサンチンのプリン類似体、6-メルカプトプリン(6-MP)およびリン酸フルダラビンも含まれる。酪酸ナトリウムおよびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)等のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の活性を、標的とする、減少させるまたは阻害する化合物は、ヒストンデアセチラーゼとして公知である酵素の活性を阻害する。特異的HDAC阻害剤は、MS275、SAHA、FK228(以前はFR901228)、トリコスタチンA、ならびに、N-ヒドロキシ-3-[4-[[[2-(2-メチル-1H-インドール-3-イル)-エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロペンアミドまたは薬学的に許容され得るその塩およびN-ヒドロキシ-3-[4-[(2-ヒドロキシエチル){2-(1H-インドール-3-イル)エチル]-アミノ]メチル]フェニル]-2E-2-プロペンアミドまたは薬学的に許容され得るその塩、とりわけ乳酸塩を含むがこれらに限定されない、US6,552,065において開示されている化合物を含む。ソマトスタチン受容体アンタゴニストは、本明細書において使用される場合、オクトレオチドおよびSOM230等のソマトスタチン受容体を、標的とする、処理するまたは阻害する化合物を指す。腫瘍細胞損傷アプローチは、電離放射線等のアプローチを指す。上記および以後で言及される用語「電離放射線」は、電磁線(X線およびガンマ線等)または粒子(アルファおよびベータ粒子等)のいずれかとして出現する電離放射線を意味する。電離放射線は、放射線療法において提供されるがこれに限定されず、当該技術分野において公知である。Hellman, Principles of Radiation Therapy, Cancer, in Principles and Practice of Oncology, Devita et al., Eds., 4th Edition, Vol. 1, pp. 248-275 (1993)を参照されたい。
EDG結合剤およびリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤も含まれる。用語「EDG結合剤」は、本明細書において使用される場合、FTY720等のリンパ球再循環をモジュレートする免疫抑制剤のクラスを指す。用語「リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤」は、フルダラビンおよび/もしくはシトシンアラビノシド(ara-C)、6-チオグアニン、5-フルオロウラシル、クラドリビン、6-メルカプトプリン(とりわけ、ALLに対するara-Cと組み合わせたもの)ならびに/またはペントスタチンを含むがこれらに限定されない、ピリミジンまたはプリンヌクレオシド類似体を指す。リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤は、とりわけ、ヒドロキシ尿素または2-ヒドロキシ-1H-イソインドール-1,3-ジオン誘導体である。
特に、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)フタラジンもしくは薬学的に許容され得るその塩、1-(4-クロロアニリノ)-4-(4-ピリジルメチル)コハク酸フタラジン;Angiostatin(商標);Endostatin(商標);アントラニル酸アミド;ZD4190;ZD6474;SU5416;SU6668;ベバシズマブ;または、rhuMAbおよびRHUFab等の抗VEGF抗体もしくは抗VEGF受容体抗体、マクジェン(Macugon)等のVEGFアプタマー;FLT-4阻害剤、FLT-3阻害剤、VEGFR-2 IgGI抗体、アンギオザイム(RPI4610)およびベバシズマブ(Avastin(商標))等の、化合物、タンパク質またはVEGFのモノクローナル抗体も、含まれる。
光線力学療法は、本明細書において使用される場合、光増感化合物として公知のある特定の化学物質を使用して、がんを治療するまたは予防する療法を指す。光線力学療法の例は、Visudyne(商標)およびポルフィマーナトリウム等の化合物による治療を含む。
血管新生抑制性ステロイドは、本明細書において使用される場合、例えば、アネコルタブ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11-α-エピヒドロコルチゾール、コルテキソロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロンおよびデキサメタゾン等の血管新生をブロックするまたは阻害する化合物を指す。
コルチコステロイドを含有するインプラントは、フルオシノロンおよびデキサメタゾン等の化合物を指す。
他の化学療法化合物は、植物アルカロイド、ホルモン化合物およびアンタゴニスト;生物学的応答修飾子、好ましくはリンフォカインまたはインターフェロン;アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;shRNAまたはsiRNA;あるいは種々雑多な化合物または他のもしくは未知の作用機序を持つ化合物を含むがこれらに限定されない。
コード番号、一般名または商標名によって同定される活性化合物の構造は、標準大要"The Merck Index"の現行版から、またはデータベース、例えば国際特許(例えばIMS World Publications)から取り出され得る。
本発明の化合物は、公知の治療プロセス、例えば、ホルモンまたは放射線の投与と組み合わせて使用されてもよい。ある特定の実施形態では、提供化合物は、放射線増感剤として、とりわけ、放射線療法に対して乏しい感度を呈する腫瘍の治療に使用され得る。
本発明の化合物は、単独で、または1つもしくは複数の他の治療化合物と組み合わせて投与することができ、可能な組合せ療法は、固定の組合せの形態をとるか、あるいは、本発明の化合物および1つもしくは複数の他の治療化合物の投与は、交互であるか、または互いに独立して与えられるか、または、固定の組合せおよび1つもしくは複数の他の治療化合物の組合せ投与である。本発明の化合物は、他にまたは加えて、とりわけ、腫瘍療法のために、化学療法、放射線療法、免疫療法、光線療法、外科的介入またはこれらの組合せと組み合わせて投与され得る。長期療法は、上述した通り、他の治療戦略の文脈において、アジュバント療法と同様に可能である。他の可能な治療は、腫瘍退縮後の患者の状況を維持するための療法、またはさらには、例えばリスクのある患者における化学予防療法である。
それらの追加の作用物質は、複数回投薬量レジメンの一部として、本発明の化合物含有組成物とは別個に投与されてよい。代替的に、それらの作用物質は、単一組成物中に本発明の化合物と一緒に混合された、単一剤形の一部であってよい。複数回投薬量レジメンの一部として投与される場合、2つの活性剤は、同時に、順次に、または互いに一定期間内に、通常は互いに5時間以内に、供されてよい。
本明細書において使用される場合、用語「組合せ」、「組み合わせられた」および関連用語は、本発明に従う治療剤の同時または順次投与を指す。例えば、本発明の化合物は、別の治療剤と、別個の単位剤形で同時にもしくは順次にまたは単一の単位剤形で一緒に、投与されてよい。したがって、本発明は、本発明の化合物と、追加の治療剤と、薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルとを含む、単一の単位剤形を提供する。
単一剤形を産生するために担体材料と組み合わせられ得る(上述した通りの追加の治療剤を含む組成物中の)本発明の化合物および追加の治療剤両方の量は、治療される宿主および特定の投与方式に応じて変動するであろう。好ましくは、本発明の組成物は、0.01~100mg/体重kg/日の間の投薬量の本発明の化合物が投与され得るように製剤化されるべきである。
追加の治療剤を含む組成物において、当該追加の治療剤および本発明の化合物は、相乗的に作用し得る。したがって、そのような組成物中における追加の治療剤の量は、当該治療剤のみを利用する単剤療法において要求される量未満となる。そのような組成物では、0.01~1,000μg/体重kg/日の間の投薬量の追加の治療剤が投与され得る。
本発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、唯一の活性剤として当該治療剤を含む組成物中において通常投与されるであろう量を上回らないであろう。好ましくは、現在開示されている組成物中における追加の治療剤の量は、唯一の治療活性剤として当該作用物質を含む組成物中において通常存在する量の、約50%から100%までの範囲となる。
例示
以下の実施例において示される通り、ある特定の例示的な実施形態では、化合物は、下記の一般的手順に従って調製される。一般的方法は本発明のある特定の化合物の合成を示すが、下記の一般的方法および当業者に公知である他の方法を、本明細書において記述される通り、すべての化合物ならびにこれらの化合物のそれぞれのサブクラスおよび種に適用することができることが分かるであろう。
材料および方法
(実施例1)
ペプチド合成-脱離基を持つ分子足場試薬
ペプチド合成は、Peptide Instrumentsによって製造されたシンフォニーペプチド合成装置およびMultiSynTechによるSyro II合成装置を使用する、Fmoc化学に基づくものであった。適切な側鎖保護基とともに標準的なFmocアミノ酸を用い(Sigma、Merck)、ここで、各場合において適用可能な標準的なカップリング条件を使用し、続いて、標準的な方法論を使用する脱保護を行った。HPLCを使用してペプチドを精製し、単離後、脱離基を持つ分子足場試薬でそれらを修飾した。このために、線状ペプチドを、H2Oで最大約35mLに希釈し、約500μLのアセトニトリル中100mM分子足場試薬を添加し、5mLのH2O中1M NH4HCO3で反応を開始した。反応を室温で約30~60分間にわたって進めさせ、反応が完了したら(MALDIによって判断)凍結乾燥した。凍結乾燥後、反応混合物をGemini C18カラム(Phenomenex)にロードした。溶媒(H2O、アセトニトリル)を0.1%トリフルオロ酢酸で酸性化した。勾配は、Gilson分取HPLCシステムを使用し、15~20mL/分の流速で、15分間で30~70%までのアセトニトリルの範囲であった。所望生成物を含有する純粋な画分をプールし、凍結乾燥し、保管のために-20℃に保った。
(実施例2)
ペプチド合成-マイケルアクセプターを含有する分子足場試薬
代替的に、HPLCを使用してペプチドを精製し、単離後、マイケルアクセプターを含有する分子足場試薬でそれらを修飾した。このために、線状ペプチドを、50:50 MeCN:H2Oで最大約35mLに希釈し、約500μLのアセトニトリル中100mMのマイケルアクセプターを含有する分子足場試薬を添加し、5mLのH2O中1M NH4HCO3で反応を開始した。反応を室温で約30~60分間にわたって進めさせ、反応が完了したら(MALDIによって判断)凍結乾燥した。完了したら、1mLのH2O中1M L-システイン塩酸塩一水和物(Sigma)を室温で約60分間にわたって反応物に添加して、マイケルアクセプターを含有するあらゆる過剰な分子足場試薬をクエンチした。
凍結乾燥後、修飾されたペプチドを上記の通りに精製しながら、ルナC8をGemini C18カラム(Phenomenex)で置き換え、酸を0.1%トリフルオロ酢酸に変更した。正しい所望生成物を含有する純粋な画分をプールし、凍結乾燥し、保管のために-20℃に保った。
すべてのアミノ酸は、別段の注記がない限り、L-配置で使用した。
(実施例3)
二環ペプチドのDOTA(1,4,7,10テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)とのコンジュゲーション
1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)は、錯化剤であり、これは、放射性同位体(すなわち、Lu
3+)またはMRIコントラスト剤(すなわち、Gd
3+)で標識された後に動物モデルにおいて生体内分布研究に使用される構築物を取得するために、二環とコンジュゲートすることができる。DOTAの市販のN-スクシンイミジルエステルを、二環ペプチドのアミノ基、概してN末端アミノ基とカップリングさせる。
材料および方法
機器
LCMS
MALDI質量分析計
溶媒および化合物および消耗品
乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)
DOTA N-スクシンイミジルエステル
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)
100mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)pH9
完全な手順
乾燥DMSO中の二環ペプチドの20mM溶液を調製する。
乾燥DMSO中のDOTA N-スクシンイミジルエステルの100mM溶液を調製する。N-スクシンイミジルエステルは、水分感受性であるため、-20℃の冷凍庫内、デシケーター中、窒素下に保つ。
DOTA N-スクシンイミジルエステル溶液をペプチド溶液に、ペプチドよりも5倍過剰の前者を有するように添加する。得られた反応混合物をよく混合し、壁のいかなる水滴も沈降させる。
未希釈のDIPEAを混合物に、ペプチドよりも20倍過剰のDIPEAを有するように添加する。得られた溶液をよく混合し、壁のいかなる水滴も沈降させる。故に、反応物質のおよその初期濃度は、
二環ペプチド 15mM
DOTA N-スクシンイミジルエステル 19mM
DIPEA 300mM
である。
反応混合物を室温で撹拌または振とうし、LC/MSまたはMALDI-TOFを使用して反応の進行を追跡する。
反応が完了したら、混合物を100mM TRIS pH9でクエンチし、6Mグアニジン塩酸塩で10mLに希釈し、混合物をRP-HPLCによって精製する。
(実施例4)
二環ペプチドの5(6)-カルボキシフルオレセインとのコンジュゲーション
5(6)-カルボキシフルオレセインの市販のN-スクシンイミジルエステル(CAS番号:92557-80-7)を、二環ペプチドのアミノ基、概してN末端アミノ基とカップリングさせる。
材料および方法
機器
MALDI質量分析計。
手順
エッペンドルフチューブ内、乾燥DMSO中の二環ペプチドの20mM溶液を調製する。エッペンドルフチューブ内、乾燥DMSO中の5(6)-カルボキシフルオレセインN-スクシンイミジルエステルの100mM溶液を調製する。N-スクシンイミジルエステルは、水分感受性であるため、-20℃の冷凍庫内、デシケーター中、窒素下に保つ。5(6)-カルボキシフルオレセインは、光感受性であるため、それおよびそれで標識されたペプチドを琥珀色ガラス製品/プラスチック製品内で取り扱い、光照射を可能な限り低く保つ。蛍光色素溶液をペプチド溶液に、ペプチドよりも5倍過剰の色素を有するように添加する。得られた反応混合物をよく混合し、壁のいかなる水滴も沈降させる。未希釈のDIPEAを混合物に、ペプチドよりも20倍過剰のDIPEAを有するように添加する。得られた溶液をよく混合し、壁のいかなる水滴も沈降させる。故に、反応物質のおよその初期濃度は、二環ペプチド(10mM)、蛍光色素N-スクシンイミジルエステル(50mM)およびDIPEA(200mM)である。反応混合物を室温で撹拌または振とうし、MALDI-TOFを使用して反応の進行を追跡する。反応が完了したら、混合物を100mM TRIS pH9でクエンチし、混合物を50mLファルコンチューブに移し、6Mグアニジン塩酸塩で10mLに希釈し、混合物をRP-HPLCによって精製する。
(実施例5)
二環ペプチドのAlexa Fluor(登録商標)蛍光色素とのコンジュゲーション Alexa Fluor(登録商標)色素は、Molecular Probes,Inc.によって産生される蛍光色素のファミリーである。これらは、N-スクシンイミジルエステルとして市販されており、二環ペプチドのアミノ基、概してN末端アミノ基とカップリングさせることができる。
使用したAlexa Fluor(登録商標)N-スクシンイミジルエステルは、次の通りである:Alexa Fluor 488N-スクシンイミジルエステルおよびAlexa Fluor 680N-スクシンイミジルエステル。
材料および方法
機器
MALDI質量分析計。
手順
エッペンドルフチューブ内、乾燥DMSO中の二環ペプチドの20mM溶液を調製する。エッペンドルフチューブ内、乾燥DMSO中のAlexa Fluor(登録商標)N-スクシンイミジルエステルの15mM溶液を調製する。N-スクシンイミジルエステルは、水分感受性であるため、-20℃の冷凍庫内、デシケーター中、窒素下に保つ。Alexa Fluor(登録商標)色素は、光感受性であるため、それらおよびそれらで標識されたペプチドを琥珀色ガラス製品/プラスチック製品内で取り扱い、光照射を可能な限り低く保つ。蛍光色素溶液をペプチド溶液に、ペプチドよりも2.5倍過剰の色素を有するように添加する。得られた反応混合物をよく混合し、壁のいかなる水滴も沈降させる。未希釈のDIPEAを混合物に、ペプチドよりも20倍過剰のDIPEAを有するように添加する。得られた溶液をよく混合し、壁のいかなる水滴も沈降させる。故に、反応物質のおよその初期濃度は、二環ペプチド(5mM)、蛍光色素N-スクシンイミジルエステル(12.5mM)およびDIPEA(100mM)である。反応混合物を室温で撹拌または振とうし、MALDI-TOFを使用して反応の進行を追跡する。反応が完了したら、混合物を100mM TRIS pH9でクエンチし、混合物を50mLファルコンチューブに移し、6Mグアニジン塩酸塩で10mLに希釈し、混合物をRP-HPLCによって精製する。
(実施例6)
CAIXアッセイ
ヒトCAIXに対する本発明のペプチドのCAIX競合結合アッセイ親和性(Ki)を、Dubois et al. (2011) Radiotherapy and Oncology 99(3), 424-43において記述されているものに類似する競合蛍光偏光アッセイを使用し、A-(CAECWIDGWVPC)-A-Sar6-K(Fl)(配列番号7)を蛍光リガンドとして使用して、決定した。
(実施例7)
MT1-MMPとの二環式結合剤の解離速度定数の決定
直接結合蛍光偏光(異方性)アッセイ
直接結合蛍光偏光または異方性アッセイは、一定濃度の蛍光トレーサー(ここでは、研究される蛍光化した二環式ペプチド)を、その結合パートナー(ここでは、MT1-MMPヘモペキシンドメイン)で滴定することによって実施される。結合パートナーの濃度が滴定中に増大するにつれて、偏光シグナルは、結合および未結合の材料の比率に比例して変化する。これは、解離速度(Kd)の決定を定量的に可能にする。アッセイデータは、標準的なリガンド結合方程式を使用して当てはめることができる。
典型的には、トレーサーの濃度は、理想としてはトレーサー:滴定液対のKdをはるかに下回り、選択される濃度は、通常、約1nMまたはそれ未満である。滴定液(結合パートナー)濃度は、0.1nMから最大典型的には5μΜまでで変動する。範囲は、蛍光偏光における最大の変化が観察され得るようなものが選択される。用いられる緩衝液は、0.01%Tweenの存在下、リン酸緩衝生理食塩水である。実験は、黒色384ウェル低結合/低容量プレート(Corning3820)中で実行し、蛍光偏光シグナルは、BMGフェラスターFSプレートリーダーを使用して測定した。テキストにおいて言及される蛍光トレーサーは、5,6-カルボキシフルオレセインを使用して蛍光化された二環式ペプチドである。蛍光化(Fluoresceination)は、ペプチドのN末端アミノ基上で実施されてよく、これは、サルコシンスペーサー(通常Sar10)によって二環コア配列から分離される。これは、N末端アミノ基がペプチドに特有のものであれば、Fmoc固相合成中または合成後に(分子足場試薬による環化および精製後に)為され得る。蛍光化は、C末端上で、通常、第1のC末端残基として導入されたリシン上で実施されてもよく、次いで、これは、サルコシンスペーサー(通常Sar6)によって二環コア配列から分離される。故に、N末端トレーサーは、C末端が蛍光化された構築物のための、Fluo-Ala-Sar10-A(二環コア配列)および(二環コア配列)-A-Sar6-K(Fluo)として記述される分子フォーマットを有することができる。
実施例において使用した蛍光トレーサーは、A-(17-69)-A-Sar6-K(Fluo)、A-(17-69-07)-A-Sar6-K(Fluo)およびA-(17-69-12)-A-Sar6-K(Fluo)である。17-69蛍光ペプチドの酸性の性質により、それらは、典型的には、濃縮DMSOストックとして調製され、ここから、100mMトリスpH8緩衝液中で希釈物を調製した。
(実施例8)
蛍光偏光(異方性)を使用する競合アッセイ
MT1-MMPヘモペキシンドメイン(PEX)に対するそれらの高親和性により、17-69-07および17-69-12の蛍光化した誘導体(それぞれ17-69-07-N040および17-69-12-N005として表示される)は、競合実験に使用され得る(検出にFPを使用して)。ここでは、PEXの蛍光PEX結合トレーサーとの事前に形成された複合体を、遊離した非蛍光化二環式ペプチドで滴定する。すべての17-69ベースのペプチドは、同じ部位で結合することが期待されるため、滴定液は、PEXから蛍光トレーサーを外すであろう。複合体の解離は、定量的に測定することができ、競合相手(滴定液)の標的タンパク質に対するKdを決定することができる。競合方法の利点は、非蛍光化二環式ペプチドの親和性が正確にかつ迅速に決定され得ることである。
トレーサーの濃度は、通常、Kdまたはそれ未満(ここでは、1nM)であり、結合タンパク質(ここでは、MT1-MMPのヘモペキシン)は、トレーサーの90%より多くが結合するような15倍過剰である。その後、非蛍光の競合相手二環式ペプチド(通常、単なる二環コア配列)は、標的タンパク質から蛍光トレーサーを外すように、滴定される。トレーサーの取り換えが測定され、蛍光偏光の低下と関連付けられる。蛍光偏光の低下は、非蛍光の滴定液と結合している標的タンパク質の比率に比例し、故に、滴定液の標的タンパク質に対する親和性の尺度である。
蛍光トレーサー、滴定液および結合タンパク質の間の均衡を記述する三次方程式の分析的解法に、生データを当てはめる。当てはめは、蛍光トレーサーの標的タンパク質に対する親和性の値を必要とし、これは、直接結合FP実験(前項を参照)によって別個に決定され得る。曲線当てはめは、シグマプロット12.0を使用して実施し、Zhi-Xin Wang (FEBS Letters 360 (1995) 1 11-1 14)によって記述されている方程式の適応バージョンを使用した。
(実施例9)
インテグリンαvβ3競合結合アッセイ
インテグリンαvβ3に対する本発明のペプチドの親和性(Ki)は、Wang et al (2005) Bioconjug Chem 16(3), 729-34において記述されているものに類似する競合蛍光偏光アッセイを使用し、配列:FITC-LC-GRGDSP(配列番号8)を持つ5nMペプチドをリガンドとして使用して、決定した。
(実施例10)
I-25(パルミトイル化MT1-MMP特異的二環式ペプチド)臓器分布および用量研究
Lu-177による放射性標識のための一般的手順
標識反応反応物質:
50μLの0.25M酢酸Na緩衝液pH5.2+0.1%Tween20;
10μLの0.05M HCl中[Lu-177]LuCl3;および
2μLの希釈ペプチド(2ナノモル)。
反応混合物を、98℃で、2、10、30、45分間および5時間にわたってインキュベートした。各時点で加熱を停止し、5μLの標識反応物を100μLの注射緩衝液(0.25M酢酸Na pH7+0.05%Tween20)中で希釈し、その後、放射性HPLCにおいて分析した。TLCを並行して行い、放射性HPLCの結果を確認した。
臓器分布研究、一般的方法:臓器分布については、それぞれの用量を、標識反応混合物の注射緩衝液(0.25M酢酸Na pH7+0.05%Tween20)中における希釈によって調製する。177Lu放射性標識ペプチドを、それぞれの細胞株が移植されたnu/nuマウス(マウス1匹当たり50kBq)の尾静脈を介して注射した。注射後の指示された時点で、動物を屠殺した。血液、心臓、肺、脾臓、肝臓、腎臓、筋肉、脳、大腿骨および腫瘍を切除し、ボトル乾燥し、秤量した。放射能を、注射溶液の試料とともにγカウンター(コブラII;Canberra Packard)により測定して、組織1グラム当たりの注射用量パーセンテージ(%ID/g)を算出した。
Lu-177による放射性標識のための例示的な手順
6.7日のt1/2を持つγ-およびβ-エミッター177LuCl3(NEZ307D、Perkin Elmer、0.04M HCl中)を、in vivo生体内分布および内在化研究の両方に使用した。標識反応は、10μLの50mM HCl中177LuCl3(約10MBq)、2μLの希釈ペプチド(10mM DMSOストックから希釈された50mM HEPES緩衝液pH7+0.1%Tween20中1mM溶液)を、0.1%Tween20を補充した50μLの50mM HEPES緩衝液pH7に添加することによって実施した。反応混合物を98℃で10分間にわたってインキュベートした。放射化学収率(RCY)は、Latek P402(Latek、Eppelheim、Germany)、HITACHI可変UV検出器(吸光度は、214および254nmで測定した)およびガンマ検出器(Bioscan、WA、USA)を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを使用し、クロモリスRP-18カラム(100×4.6mm;Merck)を使用して決定した。分析的HPLC実行は、4mL/分で、線形A(水中0.1%トリフルオロ酢酸(TFA))からB(アセトニトリル中0.1%TFA)勾配(6分間で0%Bから100%B)を使用して実施した。薄層クロマトグラフィーを並行して実施して、放射性HPLCの結果を確認した。RCYは、概して95%を上回っており、故に、標識反応の生産物を適切な緩衝液および要求される場合さらなる未標識ペプチドで直接的に希釈して、その後の実験において使用した。
臓器分布研究のための例示的な手順
HT1080の5×106細胞を、雄6週齢BALB/c nu/nuマウス(Charles River Laboratories)の右胴体に皮下接種した。腫瘍を、約200mm3の最大サイズまで、およそ1週間にわたって増殖させた。それぞれの用量は、固定分量の5ピコモル177Lu標識ペプチド(およそ50kBq)を、異なる分量の非標識ペプチド(0.25M酢酸ナトリウムpH7+0.05%Tween20中1mMストック溶液に由来するもの)と、100μLの注射緩衝液(0.25M酢酸ナトリウムpH7+0.05%Tween20)中で混合することによって調製した。用量および時点当たり3匹の動物を使用した。放射性標識されたペプチド溶液を、尾静脈を介して注射し、続いて、種々の時点で屠殺した。目的の臓器(血液、心臓、肺、脾臓、肝臓、腎臓、筋肉、小腸、脳、HT1080腫瘍)を切除し、ボトル乾燥し、秤量した。放射能は、ガンマカウンターを使用して測定し、%ID/gとして算出した。
結果:生体分子の脂質化は、循環中における血清アルブミン結合を介して血清半減期を増大させることが公知であり(Di, L. (2015) Strategic approaches to optimizing peptide ADME properties. AAPS J 17, 134-43.)、MT1二環式ペプチドI-23に潜在的な修飾を供与して、長時間曝露を通して腫瘍特異的シグナルをin vivoでさらに増大させることができた。パルミトイル化二環式ペプチド誘導体I-25を、安定化させたI-23に基づいて生成し、ここで、そのN末端を、パルミチン(palmitoic)酸で終端した伸長したサルコシンオリゴマースペーサーで修飾し、DOTAで修飾したリシンをサルコシンスペーサー内に置いた。オリゴサルコシンは、その伸長した非球状構造、高い水溶解度および合成の容易さにより、スペーサーとして選択された(Teufel, D. P., Johnson, C. M., Lum, J. K., and Neuweiler, H. (2011) Backbone-driven collapse in unfolded protein chains. J Mol Biol 409, 250-62)。二環式ペプチドおよびそのMT1-MMP結合活性が、アルブミン結合パルミチン酸から空間的に十分に分離されていることを確実にするために、スペーサー全長を15サルコシンに設定した。分子設計は、原理上、アルブミン、脂肪酸修飾放射性標識二環式ペプチドおよびMT1-MMPの間における三元複合体の形成を可能にするはずである。実際に、ペプチドのN末端上の伸長した修飾にかかわらず、I-25は、MT1-MMPに対するその親和性を保持した(Kd=2.25±0.5nM)。
ある範囲の用量レベル(10、100、750、1000、5000ピコモル/マウス;図1)を投与することにより、高い腫瘍対臓器のコントラストのための最適用量を評定するために、注射後48時間時点を選択して、177Lu標識I-25を使用する生体内分布研究を行った。約26%ID/gの顕著な腫瘍シグナルが750~1000ピコモル/マウスにおいて観察される。4.5%未満のさらなるシグナルが、脾臓、肝臓および小腸において観察される。
750pmolのI-25の用量が最適であることが見出された。図1に示される通り、750ピコモルを注射用量として使用すると、腎臓を除きすべての臓器においてバックグラウンド活性は非常に低く、一方、HT1080異種移植片における腫瘍蓄積は、注射後48時間であっても極めて高い(24.1±2.5%ID/g)。
(実施例11)
I-23(MT1-MMP特異的なタンパク質分解的に安定化させた二環式ペプチド) 臓器分布および用量研究
非PAおよび安定化させた誘導体I-23を産生して、タンパク質分解に対する抵抗性をin vivoで増大させた。I-23配列は、I-23配列が4つの修飾:D-Ala1、1NAl4、D-Ala5およびtBuGly11を含むという点で、17-69-07-N144配列とは異なる。可変分量のI-23および一定分量の177Lu(およそ50kBq/マウス)を使用して、様々な用量を、HT1080異種移植片マウスを使用する生体内分布研究において評定した。生体内分布は、注射後1時間で実施した。
図2に示される通り、50から150pmol/マウスの用量が最適であることが見出された。分子17-69-07-N144と比較すると、安定化されたI-23のすべての用量は、図3Aおよび3Bに示される通り、有意に高い腫瘍取り込みを示した。腫瘍取り込みは、500ピコモルの用量でわずかにブロックされ、5ナノモルのI-23を使用してほぼ完全にブロックされた。
結果は、分子のタンパク質安定化が、17-69-07-N144と比較したI-23についての腫瘍シグナルにおける改善につながり、分子を分子イメージングに好適なプローブにする(I-23についての1時間時点における12.4%ID/g、図3)ことを実証するものである。
(実施例12)
I-24臓器分布および用量研究
I-24は、I-23およびSar10スペーサーを含む。可変分量のI-24および一定分量の177Lu(およそ50kBq/マウス)を使用して、様々な用量を、HT1080異種移植片マウスを使用する生体内分布研究において評定した。生体内分布は、注射後1時間で実施した。
150pmolの用量が最適であることが見出された。腫瘍におけるシグナルは、I-23よりもわずかに低いが、非安定化17-69-07-N144よりも有意に大きい(図4)。腫瘍取り込みは、500ピコモルの用量でわずかにブロックされ、5ナノモルのI-24を使用してほぼ完全にブロックされた。
これらの研究の結果を、図5および6に示す。
(実施例13)
安定化された非PAバリアントの腫瘍取り込みの特異性
I-27は、I-24のMT1-MMP不活性バリアントを表す。I-27の臓器分布は、図7に示される通り、腫瘍取り込みが、7.04±2.83%ID/g腫瘍から0.28±0.05%ID/g腫瘍へ、25分の1に明らかに低減されたことを示した。
加えて、スペーサーのないI-23、I-26および17-69-07-N246の2つの異なる不活性バリアントを、臓器分布において特徴付けた。ここでも、両方の場合において、腫瘍取り込みは、図8に示される通り、結合バリアントI-23と比較して、本質的に存在しないことが示された。
(実施例14)
注射後異なる時点におけるI-23の臓器分布
異なる時点におけるI-23分子の分布を実施した。腫瘍局在化は、注射後1時間で有意に減少することが示された。図9に示される通り、注射後24時間で、腫瘍取り込みは、12.02±2.37%ID/g(注射後1時間)から1.54±0.06%ID/gへ低減される。
(実施例15)
I-23のPETイメージング研究
μPETイメージングのための一般的方法:マウスに麻酔をかけ(2%セボフルラン、Abbott)、小型動物PETスキャナー(Inveon PET、Siemens)に入れ、68Ga標識二環ペプチドを注射した。20分間の透過スキャン、50分間の動的スキャンおよび注射後100から120分間の静的スキャンを実施した。中央根の事前補正を適用する空間交互一般化(space alternating generalized)期待値最大化法(SAGE、16サブセット、4反復)を使用して画像を反復して再構築し、標準化取り込み値(SUV)画像に変換した。ROI(関心領域)技術を使用して定量化を行い、SUV平均として表現した。
Ga-68による放射性標識のための一般的方法:68Ga(半減期68分;β+89%;Eβ+最大1.9MeV)を、ピロガロール樹脂支持体に基づき、自社68Ge/68Gaジェネレーターから取得した。1GBqの68Gaを、5.5M HClを使用して溶離した。活性を、小型アニオン交換体カートリッジ(AG1X8、Biorad、Richmond、CA、USA)上で[68Ga]GaCl4-として捕捉した。放射性ガリウムが、最終体積300μLの超純水(Merck、Darmstadt、Germany)中のカートリッジから[68Ga]GaCl3として溶離した。
1μLのDMSO中1nmol二環ペプチドを、50μLの0.05M HEPES、0.1%Tween-20および80μLの[68Ga]Ga3+溶離液(約200MBq)の混合物に添加した。30%NaOHを使用して、標識溶液のpHを4.2に調整した。反応混合物を98℃で10分間にわたってインキュベートした。放射化学収率(RCY)は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC;クロモリスRP-18e、100×4.6mm;Merck、Darmstadt、Germany)を使用して決定した。分析的HPLC実行は、線形A-B勾配(6分間で0%Bから100%B)を使用して4mL/分の流速で実施した。溶媒Aは、0.1%TFA水溶液からなり、溶媒Bは、CH3CN中0.1%TFAであった。
μPETイメージングのために、標識反応混合物を注射緩衝液(0.25M酢酸Na 0.05%Tween-20 pH7)中で6倍に希釈して、100μLの注射緩衝液中150ピコモルを取得した。麻酔をかけたマウス(2%セボフルラン、Abbott)に、100μLの68Ga標識I-23(約25MBq)を注射し、小型動物PETスキャナー(Inveon PET、Siemens)に入れた。イメージングは、注射後60分で実施し、注射前に15分間の透過スキャンおよび注射後に60分間の放射スキャンを含んでいた。中央根の事前補正を適用する空間交互一般化期待値最大化法(SAGE、16サブセット、4反復)を使用してμPETイメージングからのスキャンを反復して再構築し、標準化取り込み値(SUV)画像に変換した。ROI(関心領域)技術を使用して定量化を遂行し、SUV平均として表現した。この研究からの結果を、図10に示す。
μPET画像は、注射後20分で早くも高いイメージングコントラストをもたらす、異種移植片モデルにおけるMMP-14選択的腫瘍取り込みおよび非標的重大臓器からの急速クリアランスを明らかにした。化合物は、未来の臨床PETイメージングのための高度に有望な放射性医薬品候補を代表する。
(実施例16)
I-24のPETイメージング研究
Ga-68による放射性標識を、先に記述した通りに行った。標識反応混合物を注射緩衝液(0.25M酢酸Na 0.05%Tween-20 pH7)中で6倍に希釈して、100μLの注射緩衝液中150ピコモルを取得した。麻酔をかけたマウス(2%セボフルラン、Abbott)に、100μLの68Ga標識I-24(約19MBq)を注射し、小型動物PETスキャナー(Inveon PET、Siemens)に入れた。イメージングは、注射後60分で実施し、注射前に15分間の透過スキャンおよび注射後に60分間の放射スキャンを含んでいた。中央根の事前補正を適用する空間交互一般化期待値最大化法(SAGE、16サブセット、4反復)を使用してμPETイメージングからのスキャンを反復して再構築し、標準化取り込み値(SUV)画像に変換した。ROI(関心領域)技術を使用して定量化を遂行し、SUV平均として表現した。この研究からの結果を、図11に示す。
(実施例17)
不活性バリアント17-69-07-N246と比較した17-69-07-N144のPETイメージング
Ga-68による放射性標識を、先に記述した通りに行った。標識反応混合物を注射緩衝液(0.25M酢酸Na 0.05%Tween-20 pH7)中で6倍に希釈して、100μLの注射緩衝液中150ピコモルを取得した。麻酔をかけたマウス(2%セボフルラン、Abbott)に、100μLの68Ga標識17-69-07-N144および17-69-07-N246を注射し、小型動物PETスキャナー(Inveon PET、Siemens)に入れた。イメージングは、注射後60分で実施し、注射前に15分間の透過スキャンおよび注射後に60分間の放射スキャンを含んでいた。中央根の事前補正を適用する空間交互一般化期待値最大化法(SAGE、16サブセット、4反復)を使用してμPETイメージングからのスキャンを反復して再構築し、標準化取り込み値(SUV)画像に変換した。ROI(関心領域)技術を使用して定量化を遂行し、SUV平均として表現した。この研究からの結果を、図12に示す。
(実施例18)
異種移植片モデルにおけるEphA2との結合および二環式ペプチド-DOTAコンジュゲートの薬物動態を決定する:I-17臓器分布および用量研究
可変分量のI-17および一定分量の177Lu(およそ50kBq/マウス)を使用して、様々な用量を、HT1080異種移植片マウスを使用する生体内分布研究において評定した。生体内分布は、注射後1時間で実施した。この研究の結果を、図13および14に示す。
50から150pmolの用量が最適であることが見出された。腫瘍取り込みは、500ピコモルの用量でわずかにブロックされ、5ナノモルのI-17を使用してほぼ完全にブロックされた。
(実施例19)
異なるEphA2バリアント(安定化されたものおよびより高い親和性)の臓器分布
I-13からI-15は、EphA2を標的とするより高い親和性およびより高い安定性のDOTA標識二環を代表する。I-17は、EphA2のための安定化された候補様分子を代表する。I-18は、ループ1において追加の安定化を、わずかに低い親和性に相当する代償を払って含有する。I-28は、I-17の不活性バリアントである。
この研究の結果を、図15~17に示す。
(実施例20)
I-13およびI-15のμPETイメージング
Ga-68による放射性標識を、先に記述した通りに行った。標識反応混合物を注射緩衝液(0.25M酢酸Na 0.05%Tween-20 pH7)中で6倍に希釈して、100μLの注射緩衝液中150ピコモルを取得した。麻酔をかけたマウス(2%セボフルラン、Abbott)に、100μLの68Ga標識I-13およびI-15を注射し、小型動物PETスキャナー(Inveon PET、Siemens)に入れた。イメージングは、注射後60分で実施し、注射前に15分間の透過スキャンおよび注射後に60分間の放射スキャンを含んでいた。中央根の事前補正を適用する空間交互一般化期待値最大化法(SAGE、16サブセット、4反復)を使用してμPETイメージングからのスキャンを反復して再構築し、標準化取り込み値(SUV)画像に変換した。ROI(関心領域)技術を使用して定量化を遂行し、SUV平均として表現した。
この研究の結果を、図18に示す。
臓器分布(図15)において既に示されたI-13の高い肝臓取り込みは、PETイメージングにおいても確認することができた。I-15は、明らかに低減された肝臓取り込みを提示した。腫瘍シグナルは、両方の化合物について極めて高かった。
(実施例21)
I-19の特異的な細胞取り込みおよび内在化
I-19の特異的な細胞取り込みおよび内在化を決定するために、105細胞を、インキュベーションの24時間前に、ポリ-L-リシンでコーティングした24ウェル細胞培養プレート中に播種した。洗浄した後、細胞を、30nMの放射性標識化合物とともに、37℃および4℃でそれぞれ45分間にわたってインキュベートした。特異的な細胞の取り込みは、100μMのそれぞれの冷化合物(非DOTA)による競合ブロッキングによって決定した。細胞の取り込みは、1mLの氷冷PBSで4回洗浄することによって終了した。その後、細胞を、0.5mLのPBS中グリシン-HCl(50mM、pH=2.8)とともに5分間にわたって2回インキュベートして、表面結合画分を除去した。細胞を、1mLの氷冷PBSで洗浄し、0.3N NaOH(0.5mL)を使用して溶解させた。表面結合および内在化した画分をガンマカウンターで測定した。細胞取り込みを、106細胞に結合している最初に添加された放射能のパーセント[%ID/106細胞]として算出した。特異的な細胞表面結合が観察され、内在化は観察されなかった。
これらの結果を、図19に示す。
(実施例22)
異種移植片モデルにおけるCD38との結合および二環式ペプチド-DOTAコンジュゲートの薬物動態を決定する:単量体二環I-21を用いる内在化実験
化合物I-21をGa-68で標識し、アッセイにおいて30nMの濃度で使用した。曝露時間は、37℃で45分間であった。ブロッキングは、同じ化合物であるが非標識のものを使用して行った(濃度は110μMであった)。
これらの結果を、図20および21に示す。
本発明者らは、本発明のいくつかの実施形態について記述してきたが、本発明者らの基本的な例を改変して、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供し得ることが明らかである。したがって、本発明の範囲は、例として表してきた具体的な実施形態ではなく添付の請求項によって定義されることが分かるであろう。
(実施例23)
I-25(パルミトイル化MT1-MMP特異的二環式ペプチド)臓器分布および用量研究
実施例10において記述した通りの例示的な手順を適用して、パルミトイル化二環式ペプチド誘導体I-25を、安定化させたI-23に基づいて生成し、ここで、そのN末端を、パルミチン酸で終端した伸長したサルコシンオリゴマースペーサーで修飾し、DOTAで修飾したリシンをサルコシンスペーサー内に置いた。750ピコモル/マウスの最適用量で追加の時点(2、6および24時間)を調査する臓器分布研究(図22A)は、注射後2時間で早くも25.03±1.61%ID/gの高い腫瘍蓄積を示す。注射後6時間で、177Lu標識BCY-C5の腫瘍取り込みは35.88±1.11%ID/gの最大に到達したのに対し、バックグラウンド臓器における活性のほとんどは取り除かれた。後の時点で、177Lu標識BCY-C5は、循環からさらに取り除かれ、したがって、極めて高い腫瘍対臓器比(腫瘍の血液に対するシグナル比は、6時間において19であり、48時間において97である)を提示し、この分子を、分子診断イメージングのための魅力的な選択肢にする。
D-Ala5がL-Ala5で置き換えられ、Glu6がL-Ala5で置き換えられている、I-25の非MT1-MMP結合「突然変異体」である177Lu標識I-29を使用する、生体内分布研究を実施した。この突然変異体は、本質的に、MT1-MMPとの相互作用の鍵である側鎖を改変/除去し、不活性対照ペプチドとして役立つ。分子は、本質的に、本明細書において記述されるI-27のパルミトイル化不活性バージョンである。この不活性なパルミトイル化対照ペプチドを、マウス異種移植片腫瘍モデルにおいて評定し、活性I-25コンパレーターと、腫瘍取り込みが最大(マウス1匹当たり750ピコモル)である6時間時点において比較した。I-29について測定された腫瘍取り込みは4.8%であり、これは、活性I-25の約8分の1であり(図22B)、有意な標的選択的取り込みはパルミトイル化I-25において出現しており、I-25をin vivoでのMT1-MMP発現腫瘍のための強力なイメージング試薬にしていることを指し示している。