本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成は、ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(B)と、少なくとも3つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(C)と、光重合開始剤(D)とを含有するものであることを特徴とする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、多価イソシアネート化合物(a1)と、少なくとも1つの水酸基及び少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a2)とを必須原料とするものを用いる。
前記多価イソシアネート化合物(a1)としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(1)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。これらの中でも、高い屈折率性能を有し、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、キシレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシレンジイソシアネートが好ましい。また、これらの多価イソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
[式(1)中、R
1はそれぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~6の炭化水素基の何れかである。R
2はそれぞれ独立して、炭素原子数1~4のアルキル基であり、lは0または1~3の整数であり、mは1~15の整数である。]
前記化合物(a2)としては、一分子中に少なくとも1つの水酸基及び少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いる。例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、前記各種の水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等も用いることができる。これらの中でも、高い屈折率性能を有し、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。また、これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記化合物(a2)の水酸基価は、高い屈折率性能を有し、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、90~170mgKOH/gが好ましく、90~120mgKOH/gがより好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。例えば、前記多価イソシアネート化合物(a1)と前記化合物(a2)とを、前記多価イソシアネート化合物(a1)が有するイソシアネート基と、前記化合物(a2)が有する水酸基とのモル比[(NCO)/(OH)]が、1/1.01~1/1.1の範囲となる割合で用い、60~100℃の温度範囲内で、必要に応じて、ウレタン化触媒を用いて行う方法等が挙げられる。また、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造は、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
前記ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン化合物;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のリン化合物;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫等の有機錫化合物、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物などが挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤;メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記塩基性触媒としては、N-メチルモルフォリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ-n-ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、1,4-ジエチルイミダゾール、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物類;トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩類;トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラプロピルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリメチル(2-ヒドロキシルプロピル)ホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;オクタン酸錫等の無機錫化合物;無機金属化合物などが挙げられる。また、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等を用いることもできる。これらの塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の原料としては、前記多価イソシアネート化合物(a1)、前記化合物(a2)以外にアルキレンオキサイド変性ビスフェノール化合物を用いることもできる。
前記アルキレンオキサイド変性ビスフェノール化合物としては、例えば、下記構造式(2)で表される分子構造を有する化合物等が挙げられる。
[式中R
3はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン化脂肪族炭化水素基、アリール基、ハロゲン化アリール基の何れかである。R
4はハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン化脂肪族炭化水素基、アリール基、ハロゲン化アリール基の何れかであり、pはそれぞれ0又は1~4の整数である。R
5は炭素原子数1~6の脂肪族炭化水素基であり、qはそれぞれ1以上の整数である。]
前記構造式(2)中のR3はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン化脂肪族炭化水素基、アリール基、ハロゲン化アリール基の何れかである。前記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。前記脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基等が挙げられる。前記ハロゲン化脂肪族炭化水素基は、前記脂肪族炭化水素基中の水素原子の一つ乃至全部が前記ハロゲン原子で置換されたもの等が挙げられる。前記アリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基が置換した構造部位等が挙げられる。前記ハロゲン化アリール基は、前記アリール基中の水素原子の一つ乃至全部が前記ハロゲン原子で置換されたもの等が挙げられる。
前記構造式(2)中のR4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、ハロゲン化脂肪族炭化水素基、アリール基、ハロゲン化アリール基の何れかである。それぞれの具体例は前記R3と同様のものが挙げられる。
前記構造式(2)中のR5は炭素原子数1~6の脂肪族炭化水素基である。中でも、硬化物における伸度と耐薬品性とのバランスに一層優れるウレタン(メタ)アクリレート樹脂となることから、R5はエチレン基又はプロピレン基であることが好ましい。前記構造式(2)中のqは1以上の整数である。前記アルキレンオキサイド変性ビスフェノール化合物(B)はq値の異なる複数の成分を含有していてもよい。
また、前記アルキレンオキサイド変性ビスフェノール化合物の市販品としては、例えば、三洋化成工業株式会社製「ニューポールBPE-20」等が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)のアクリロイル基濃度は、高い屈折率性能を有し、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから6~12mmol/gが好ましく、7~10mmol/gがより好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量は、高い屈折率性能を有し、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分中に40~80質量%の範囲が好ましく、45~70質量%の範囲がより好ましい。
前記ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(B)としては、特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂が有するグリシジル基と、前記(メタ)アクリル酸が有するカルボキシル基とのモル比[(グリシジル基)/(COOH)]が、1/1.01~1/1.03の範囲となる割合で用い、80~120℃の温度範囲内で、必要に応じて、エポキシ化触媒を用い反応させて得られたもの等を用いることができる。
前記エポキシ化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルブチルアミン、トリ-n-ブチルアミン等のアミン類、テトラメチルアンムニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩、又は第四級ホスホニウム塩、その他トリフェニルホスフィン等のホスフィン類や、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類などが挙げられる。また、前記エポキシ化触媒の使用量としては、反応原料混合物100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましい。
前記ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(B)の市販品としては、例えば、DIC株式会社製「LUXYDIR V-5500」等が挙げられる。
これらのビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(B)の一分子当たりの(メタ)アクリロイル基の数は、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、2以上が好ましく、2~4がより好ましい。また、前記ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(B)の液屈折率は1.51~1.56の範囲が好ましい。
前記ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート(B)の含有量は、高い屈折率性能を有し、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分中に5~50質量%の範囲が好ましく、10~40質量%の範囲がより好ましい。
前記化合物(C)としては、一分子中に少なくとも3つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いる。例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、前記各種の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等も用いることができる。これらの中でも、高い屈折率性能を有し、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。また、これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。前記化合物(C)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記化合物(C)のアクリロイル基濃度は、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから6~12mmol/gの範囲が好ましく、7~12mmol/gの範囲がより好ましい。
前記化合物(C)の含有量は、高い屈折率性能を有し、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性に優れた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分中に5~50質量%の範囲が好ましく、10~40質量%の範囲がより好ましい。
前記光重合開始剤(D)としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等の光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
前記光重合開始剤(D)の市販品としては、例えば、「Omnirad 1173」、「Omnirad 184」、「Omnirad 127」、「Omnirad 2959」、「Omnirad 369」、「Omnirad 379」、「Omnirad 907」、「Omnirad 4265」、「Omnirad 1000」、「Omnirad 651」、「Omnirad TPO」、「Omnirad 819」、「Omnirad 2022」、「Omnirad 2100」、「Omnirad 754」、「Omnirad 784」、「Omnirad 500」、「Omnirad 81」(IGM Resins社製);「KAYACURE DETX」、「KAYACURE MBP」、「KAYACURE DMBI」、「KAYACURE EPA」、「KAYACURE OA」(日本化薬株式会社製);「Vicure 10」、「Vicure 55」(Stoffa Chemical社製);「Trigonal P1」(Akzo Nobel社製)、「SANDORAY 1000」(SANDOZ社製);「DEAP」(Upjohn Chemical社製)、「Quantacure PDO」、「Quantacure ITX」、「Quantacure EPD」(Ward Blenkinsop社製);「Runtecure 1104」(Runtec社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記光重合開始剤(D)の添加量は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分中に0.05~15質量%の範囲であることが好ましく、0.1~10質量%の範囲であることがより好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、有機溶剤、無機質充填材やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、p-メトキシクレゾール、4-メトキシ-1-ナフトール、4,4’-ジアルコキシ-2,2’-ビ-1-ナフトール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、N’1,N’12-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジヒドラジド、スチレン化フェノール、N-イソプロピル-N’-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のフェノール化合物、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントラキノン、ジフェノキノン等のキノン化合物、メラミン、p-フェニレンジアミン、4-アミノジフェニルアミン、N.N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-i-プロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1.3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、4,4’-ジクミル-ジフェニルアミン、4,4’-ジオクチル-ジフェニルアミン、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、スチレン化ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物等のアミン化合物、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル=ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオナート]、ジトリデカン-1-イル=3,3’-スルファンジイルジプロパノアート等のチオエーテル化合物、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルナフチルアミン、p-ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p-ニトロソジフェニルアミン、α-ニトロソ-β-ナフトール等、N、N-ジメチルp-ニトロソアニリン、p-ニトロソジフェニルアミン、p-ニトロンジメチルアミン、p-ニトロン-N、N-ジエチルアミン、N-ニトロソエタノールアミン、N-ニトロソジ-n-ブチルアミン、N-ニトロソ-N-n-ブチル-4-ブタノールアミン、N-ニトロソ-ジイソプロパノールアミン、N-ニトロソ-N-エチル-4-ブタノールアミン、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、N-ニトロソモルホリン、N-二トロソーN-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、二トロソベンゼン、N-ニトロソ-N-メチル-p-トルエンスルホンアミド、N-ニトロソ-N-エチルウレタン、N-ニトロソ-N-n-プロピルウレタン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、1-ニトロソ-2-ナフトール-3,6-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩等のニトロソ化合物、リン酸とオクタデカン-1-オールのエステル、トリフェニルホスファイト、3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリスノニルフェニルホスフィト、亜リン酸-(1-メチルエチリデン)-ジ-4,1-フェニレンテトラ-C12-15-アルキルエステル、2-エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフィット、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリイソデシル=ホスフィット、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物、ビス(ジメチルジチオカルバマト-κ(2)S,S’)亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ビス(N,N-ジブチルカルバモジチオアト-S,S’)ニッケル等のニッケル化合物、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-チオン、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-メチル-4,6-ビス[(オクタン-1-イルスルファニル)メチル]フェノール、ジラウリルチオジプロピオン酸エステル、3,3’-チオジプロピオン酸ジステアリル等の硫黄化合物などが挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸化防止剤としては、前記重合禁止剤で例示した化合物と同様のものを用いることができ、前記酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、前記重合禁止剤、及び前記酸化防止剤の市販品としては、例えば、和光純薬工業株式会社製「Q-1300」、「Q-1301」、住友化学株式会社製「スミライザーBBM-S」、「スミライザーGA-80が」等が挙げられる。
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。これらの無機質充填材は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
前記無機顔料としては、例えば、白色顔料、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。これらの無機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン,酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの白色顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤等が挙げられる。これらの消泡剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記粘度調整剤としては、例えば、アルカリ性に調整することによって増粘可能なアクリル重合体や合成ゴムラテックス、分子が会合することによって増粘可能なウレタン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、水添加ヒマシ油、アマイドワックス、酸化ポリエチレン、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。これらの粘度調整剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記レベリング剤としては、例えば、シリコーン系化合物、アセチレンジオール系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。これらのレベリング剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記難燃剤としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸アミド等の無機リン化合物;リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5―ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等の有機リン化合物;トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等の窒素系難燃剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤;金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等の無機難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独でも用いることも2種以上を併用することもできる。
本発明の硬化物は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、0.1~50kJ/m2であることが好ましく、0.5~10kJ/m2であることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止又は抑制ができることから好ましい。
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
本発明の積層体は、基材の片面または両面に前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜を有するものであり、前記基材上に前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより得ることができる。
前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート基材、環状オレフィン系基材、線状オレフィン系基材、アクリル系基材等が挙げられる。また、前記基材はフィルム状であってもよい。
前記ポリエチレンテレフタレート基材としては、例えば、超複屈折フィルム(SRF)なども用いることができる。
前記硬化塗膜の形成方法としては、例えば、塗装法、転写法、シート接着法等が挙げられる。
前記塗装法とは、前記塗料をスプレーコートするか、もしくはカーテンコーター、ロールコーター、グラビアコーター等の印刷機器を用いて成形品にトップコートとして塗装した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法である。
前記転写法とは、離型性を有する基体シート上に前記した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布して得られる転写材を成形品表面に接着させた後、基体シートを剥離して成型品表面にトップコートを転写し、次いで活性エネルギー線を照射し硬化させる方法、又は、該転写材を成形品表面に接着させた後、活性エネルギー線を照射して硬化させ、次いで基体シートを剥離する事により成型品表面にトップコートを転写する方法である。
前記シート接着法とは、基体シート上に前記の硬化性組成物からなる塗膜を有する保護シート、又は、基体シート上に硬化性組成物からなる塗膜と加飾層とを有する保護シートをプラスチック成形品に接着することにより、成形品表面に保護層を形成する方法である。
前記シート接着法は、具体的には、予め作製しておいた保護層形成用シートの基体シートと成形品とを接着させた後、加熱により熱硬化せしめてB-ステージ化してなる樹脂層の架橋硬化を行う方法(後接着法)や、前記保護層形成用シートを成形金型内に挟み込み、キャビテイ内に樹脂を射出充満させ、樹脂成形品を得るのと同時にその表面と保護層形成用シートを接着させ後、加熱により熱硬化させて樹脂層の架橋硬化を行う方法(成形同時接着法)等が挙げられる。
ここで、前記基材として、フィルム状のポリエチレンテレフタレート基材を用いる場合、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を前記フィルム状のポリエチレンテレフタレート基材上に塗布する際の塗布量は、硬化後の膜厚が1~100μmの範囲となるように調整することが好ましい。また、この際の塗工方法としては、例えば、バーコーター塗工、ダイコート塗工、スプレーコート塗工、カーテンコート塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合には、塗布後に80~150℃の条件下で数十秒~数分間加温して有機溶剤を揮発させたのち、活性エネルギー線を照射して前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させることが好ましい。
本発明の積層体は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる硬化塗膜以外に、その他の層構成を有していてもよい。これら各種の層構成の形成方法は特に限定されず、例えば、樹脂原料を直接塗布して形成しても良いし、予めシート状になっているものを接着剤にて貼り合せても良い。
本発明の物品としては、前記積層体を表面に有するものである。前記物品としては、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品などが挙げられる。
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に挙げた実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
測定装置 ; 東ソー株式会社製「HLC-8220」
カラム ; 東ソー株式会社製「ガードカラムHXL-H」
+東ソー株式会社製「TSKgel G5000HXL」
+東ソー株式会社製「TSKgel G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSKgel G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSKgel G2000HXL」
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「SC-8010」
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
(合成例1:ウレタンアクリレート(A1)の合成)
撹拌棒、温度センサー、水冷コンデンサーが備え付けられたフラスコに、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-305」、水酸基価110.0mgKOH/g)1040.4質量部、メトキノン0.10質量部、ジブチル錫ジラウレート0.10質量部を仕込み、撹拌翼で混合し、乾燥空気を吹き込みながら60℃に昇温した。次いで、キシレンジイソシアネート188質量部を発熱に注意しながら滴下してウレタン化反応を行い、滴下終了後、80℃に昇温して反応を継続した。イソシアネート質量%が0.05質量%以下になったことを確認して冷却し、メチルイソブチルケトンを滴下することにより、樹脂固形分80質量%、アクリロイル基濃度8.97mmol/gのウレタンアクリレート(A1)を得た。
(合成例2:ウレタンアクリレート(A2)の合成)
前記合成例1で用いたキシレンジイソシアネート188質量部をm-テトラメチルキシレンジイソシアネート244質量部に変更した以外は合成例1と同様に実施し、樹脂固形分80質量%、アクリロイル基濃度8.57mmol/gのウレタンアクリレート(A2)を得た。
(合成例3:ウレタンアクリレート(A3)の合成)
前記合成例1で用いたペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-305」、水酸基価110.0mgKOH/g)1040.4質量部をペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックス M-306」、水酸基価160.0mgKOH/g)715.3質量部に変更した以外は合成例1と同様に実施し、樹脂固形分80質量%、アクリロイル基濃度8.18mmol/gのウレタンアクリレート(A3)を得た。
(合成例4:ウレタンアクリレート(A4)の合成)
前記合成例1で用いたキシレンジイソシアネート188質量部をイソホロンジイソシアネート222質量部に変更した以外は合成例1と同様に実施し、樹脂固形分80質量%、アクリロイル基濃度8.72mmol/gのウレタンアクリレート(A4)を得た。
(合成例5:多官能ウレタンアクリレート(A5)の合成)
前記合成例1で用いたキシレンジイソシアネート188質量部をジフェニルメタンジイソシアネート(BASF INOACポリウレタン株式会社製「ルプラネートMI」)250質量部に変更した以外は合成例1と同様に実施し、樹脂固形分80質量部%、アクリロイル基濃度8.53mmol/gのウレタンアクリレート(A5)を得た。
(合成例6:ビスフェノールA型エポキシアクリレート(B1)の合成)
撹拌棒、温度センサー、水冷コンデンサーが備え付けられたフラスコに、エピクロン850CRP(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量172.0、DIC株式会社製)344.0質量部、メトキノン0.10質量部、トリフェニルホスフィン0.50質量部を仕込み、撹拌翼で混合し、乾燥空気を吹き込みながら60℃に昇温した。次いで、アクリル酸146.9質量部を滴下して全量仕込んだ後、発熱に注意して105℃に昇温し、6時間反応を継続した。エポキシ当量が20,000を超えたことを確認して冷却し、メチルイソブチルケトンを滴下することにより、樹脂固形分60質量%、アクリロイル基濃度4.10mmol/gのビスフェノールA型エポキシアクリレート(B1)を得た。
(実施例1:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)の調製)
固形分換算で、以下の質量部となるように各成分を配合した。合成例1で得たウレタンアクリレート(A1)50質量部、合成例6で得たビスフェノールA型エポキシアクリレート(B1)30質量部、化合物(C)としてペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-305」、水酸基価110.0mgKOH/g)20質量部、光重合開始剤(D)(IGM RESINS B.V.社製「Omnirad TPO H)2.0質量部を配合し、メトキシプロピルアセテートで調製して不揮発分40質量%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物溶液(1)を得た。
(実施例2~7:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(7)の調製)
表1に示す配合比率で実施例1と同様の方法にて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(7)を得た。
(比較例1及び2:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)及び(R2)の調製)
表1に示す配合比率で実施例1と同様の方法にて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)及び(R2)を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)~(7)、(R1)及び(R2)を用いて、下記の評価を行った。
[積層体の作製]
実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を超複屈折フィルム(SRF)(東洋紡株式会社製「コスモシャインSRF」、膜厚80μm)にバーコーターで塗工し、80℃で40秒間乾燥させた。次いで、窒素雰囲気下において高圧水銀灯ランプ(ランプ出力120W/cm)で紫外線を積算照射量1.5kJ/m2となるように照射し、SRF基材上に膜厚7μmの硬化塗膜を有する積層体を得た。
[硬化膜屈折率の評価方法]
前記積層体について、アッベ屈折率計によって屈折率を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:屈折率が、1.53以上であった。
B:屈折率が、1.53未満であった。
[鉛筆硬度の評価方法]
前記積層体について、JIS K5600-5-4(1999)に準拠し、塗膜表面の鉛筆硬度を750g荷重条件下で測定した。1つの硬度につき5回測定を行い、傷が付かなかった測定が4回以上あった硬度を硬化塗膜の硬度とし、以下の基準に従い評価した。
A:鉛筆硬度が、2H以上であった。
B:鉛筆硬度が、H以上2H未満であった。
C:鉛筆硬度が、H未満であった。
[耐擦傷性の評価方法]
スチールウール(日本スチールウール株式会社製「ボンスター#0000」)0.5gで直径2.4センチメートルの円盤状の圧子を包み、該圧子に1kg重の荷重をかけて、前記積層体の塗装表面を10往復させる磨耗試験を行った。磨耗試験前後の積層体のヘーズ値をスガ試験機株式会社製「ヘーズコンピュータHZ-2」を用いて測定し、それらの差の値(dH)を用いて、以下の基準に従い評価した。なお、差の値(dH)が小さいほど、擦傷に対する耐性が高い。
A:dHが、1.0以下であった
B:dHが、1.0超~3.0以下であった。
C:dHが、3.0超であった。
耐湿熱性の評価は、基材密着性(初期)及び基材密着性(耐湿熱試験後)の評価により行った。
[基材密着性(初期)の評価方法]
前記積層体の硬化塗膜表面にカッターナイフで切れ目を入れて、1mm×1mmの碁盤目を100個作成し、その上からセロハン粘着テープを貼着した後、急速に剥がす操作を行い、剥離せずに残存した碁盤目の数を数え、以下の基準に従い評価した。
A:碁盤目の残存数が80個以上であった。
B:碁盤目の残存数が80個未満であった。
[基材密着性(耐湿熱試験後)の評価方法]
前記積層体を、恒温恒湿環境試験機(80℃、95%RH)で500時間試験した。その後、上述の基材密着性(初期)と同様の方法にて行い、以下の基準に従い評価した。
A:碁盤目の残存数が80個以上であった。
B:碁盤目の残存数が80個未満であった。
実施例1~7で調製した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)~(7)、及び比較例1及び2で調製した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)及び(R2)の組成及び評価結果を表1に示す。
なお、表1における質量部の記載は、固形分値である。
表1中の「アロニックス M-305」は、東亞合成株式会社製「アロニックス M-305;ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)アクリレート(アクリロイル基濃度:10.59mmol/g)を示す。
表1中の「アロニックス M-920」は、東亞合成株式会社製「アロニックス M-920」;グリシジル(ジ/トリ)アクリレート(アクリロイル基濃度:8.88mmol/g)を示す。
表1中の「Miramer M-240」は、MIWON社製「Miramer M-240」;ビスフェノールAEO変性ジアクリレート(アクリロイル基濃度:3.91mmol/g)を示す。
表1中の「ビスコート#230」は、大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート#230」;1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(アクリロイル基濃度:8.85mmol/g)を示す。
表1に示した実施例1~7は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、高い屈折率性能を有し、優れた硬度、耐擦傷性、耐湿熱性を有し、各性能をバランスよく兼備していることが確認できた。
一方、比較例1及び2は、少なくとも3つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(C)を用いない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の例である。この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、高屈折率性能、硬度、耐擦傷性、耐湿熱性を兼備していないことが確認できた。