JP2023120691A - 紫外光照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性を確保しつつ、菌やウイルス等をより効率的に不活化できる紫外光照射装置を提供する。
【解決手段】波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源と、光源を収容する筐体と、光源より発せられた紫外光を筐体の外へと取り出す光取出し部と、紫外光を拡散透過させる、厚さが1.5mm未満である拡散透過部材とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源と、光源を収容する筐体と、光源より発せられた紫外光を筐体の外へと取り出す光取出し部と、紫外光を拡散透過させる、厚さが1.5mm未満である拡散透過部材とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、紫外光照射装置に関する。
従来、紫外光を照射して菌やウイルスを不活化する技術が知られており、DNAが波長260nm付近に最も高い吸収特性を示すことから、多くの場合、低圧水銀ランプ等を光源とする波長が254nm付近の紫外光が利用されている。紫外光によって菌やウイルスを不活化する方法は、薬剤等を散布することなく、対象空間や対象物に紫外光を照射するだけで殺菌処理が行うことができるという特徴がある。
例えば、下記特許文献1には、調理場等に設置される、殺菌処理を行うための波長が254nmの紫外光を出射する、低圧水銀ランプからなる殺菌ランプが組み込まれた照明器具が記載されている。また、下記特許文献2には、室内に浮遊する細菌やウイルスに紫外光を照射して殺菌処理を行うための殺菌装置が記載されている。
なお、下記特許文献1や下記特許文献2に記載の紫外光照射装置は、人体に対して有害な波長帯域の紫外光を使用している。このため、これらの紫外光照射装置は、紫外光が人体に照射されないように、紫外光を出射する方向を制御する等の対策が講じられている。
しかしながら、細菌、真菌及びウイルス等は、特に、人体の表面(例えば、皮膚や髪の毛)や、人が頻繁に接触する物体表面(例えば、家具や事務機器)に比較的多く存在する。また、人が往来する空間には、多くの場合、人や動物の呼気、唾、咳又はくしゃみとして飛散する飛沫、又はエアロゾルに付着した菌やウイルス等(以下、省略して「菌等」と称することがある。)が存在している。
上記特許文献1や上記特許文献2に記載されているような従来の紫外光照射装置は、紫外光の照射による人体への影響が懸念されるため、人体の表面や人が頻繁に出入りする空間等、比較的菌やウイルス等が多く存在すると思われる領域や空間に対して紫外光を照射することができない。このため、空間内に人が存在する場合は、常に人を回避しての照射が実行されることになるため、効率的に不活化処理を行うことができなかった。また、人が動きまわる空間内においては、確実に人に照射しないように制御することは困難であるため、人を回避するように制御される装置であっても、安全性に関するリスクが少なからず存在する。
本発明は、上記課題に鑑み、安全性を確保しつつ、菌やウイルス等をより効率的に不活化できる紫外光照射装置を提供することを目的とする。
本発明の紫外光照射装置は、
波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源と、
前記光源を収容する筐体と、
前記光源より発せられた前記紫外光を前記筐体の外へと取り出す光取出し部と、
前記紫外光を拡散透過させる、厚さが1.5mm未満である拡散透過部材とを備えることを特徴とする。
波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源と、
前記光源を収容する筐体と、
前記光源より発せられた前記紫外光を前記筐体の外へと取り出す光取出し部と、
前記紫外光を拡散透過させる、厚さが1.5mm未満である拡散透過部材とを備えることを特徴とする。
また、本明細書において、紫外光を「拡散透過」させる部材とは、当該部材に対して紫外光を入射させた際に、当該部材から出射する紫外光の出射角を、入射した紫外光の入射角よりも大きくなるように変換するとともに、入射した紫外光の光強度に対する出射される紫外光の光強度の積分値の割合(以下、「平均透過率」という。)が1%以上を示す部材をいう。また、本明細書では、このように、紫外光を「拡散透過」させる性質を示す部材を「拡散透過部材」と呼ぶ。この、透過拡散部材には、物体表面に積層された薄膜状の部材や、シート状の部材等も含まれる。
近年、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光に関し、人体への影響が極めて小さく、かつ、菌等の不活化処理に有効であることについて、多くの報告がなされている。そして、最近の新型コロナウイルス(Covid-19)感染症の流行により、当該波長範囲の紫外光による不活化処理は、特に注目を集めている。例えば、波長240nm以上の紫外光は、人の皮膚を透過しやすく、皮膚内部まで浸透しやすい。そのため、人の皮膚内部の細胞がダメージを受けやすい。これに対して、波長240nm未満の紫外光は、人の皮膚表面(例えば角質層)で吸収されやすく、波長が短くなるほど皮膚内部にまで浸透し難いため、紫外光による人体への影響が小さい。これは、皮膚を構成するたんぱく質の紫外光吸収スペクトルにおいて、波長240nm未満で吸収率が高くなることからもいえることである。特に、より短い波長帯域において人体への安全性がより高められる。例えば、波長237nm以下の波長帯域に属する紫外光であることが望ましく、更には、波長235nm以下の波長帯域に属する紫外光であることが望ましい。また、短波長の光は空間中にオゾンを発生させやすいため、波長200nm以上の波長帯域に属する紫外光がより適している。この観点から、波長200nm以上235nm以下の波長帯域に属する紫外光を積極的に利用することが望ましい。
しかしながら、波長が190nm以上240nm未満の紫外光は、低圧水銀ランプから発せられる紫外光に比べると人体に対する影響が極めて小さいとはいえ、安全性を考慮して人体に対する積算照射量についての規制値が設けられている。本願出願時において、人体に照射される紫外光の積算照射量は、ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists:アメリカ合衆国産業衛生専門官会議)で定められている規制値(許容限界値)以内にすることが推奨されている。例えば、波長が222nmの紫外光は、一日(8時間)あたりの積算照射量の許容限界値が22mJ/cm2と定められている。なお、本明細書における許容限界値の数値は、現行の数値であって、今後変更される可能性がある数値である。
上記の事情に鑑みると、人が存在する空間での使用が想定される紫外光照射装置は、局所的に高い照度で紫外光を照射するのではなく、広範囲にわたって当該許容限界値を遵守するように紫外光を照射することが好ましい。詳述すると、上述した許容限界値を超えないように紫外光の照射量を設定する場合、局所的に強い光を受ける領域に合わせて照射量の上限を設定することが紫外光の照射量を管理する上で望ましい。しかし、この場合は、照度が高い領域に対して、相対的に照度が小さい領域において、必要以上に紫外光の照射量を制限しなければならない。そこで、本発明者らは、光源から発せられる紫外光が広範囲にわたって照射されるように、紫外光を拡散透過させる部材(拡散透過部材)を備えた紫外光照射装置について検討した。
拡散透過部材は、厚さが増していくと内部で紫外光が屈折(散乱)しやすくなる。そして、ある厚さを超えると、拡散透過部材に入射する紫外光は、完全拡散するようになる。完全拡散とは、出射面において出射方向によらず輝度が一定となり、拡散透過部材の出射面における出射束がcosθ(θは、当該出射面における出射角である。)に比例する状態をいう。また、入射される紫外光の波長が長いほど、完全拡散となる拡散透過部材の厚さの閾値は大きい。なお、拡散透過部材は、紫外光を完全拡散しない状態であっても、紫外光を拡散することができるため、必ずしも完全拡散する厚さで構成する必要はないが、より広い範囲に紫外光を照射することが望まれる場合は、入射する紫外光が完全拡散する厚さとすることが好ましい。
拡散透過部材は、厚く構成するほど紫外光が屈折(散乱)を繰り返す頻度が多くなり、内部で紫外光のエネルギーが消費されやすくなる。このため、紫外光が取り出されにくくなり、紫外光に対する平均透過率が低下する。また、同じ厚さの拡散透過部材で比較すると、入射される紫外光の波長が短いほど、平均透過率はより低くなる。このため、拡散透過部材は、必要以上に厚くすると、人体に対して有害な紫外光のみならず、菌等の不活化処理に利用される波長帯域の紫外光が透過しにくくなり、不活化効果を低下させる懸念がある。
ここで、本発明者は、拡散透過部材の厚さとして好適な範囲を見い出すべく、拡散透過部材の厚さと、紫外光に対する平均透過率の関係を確認する検証実験を行った。当該検証実験によれば、拡散透過部材の厚さが1.5mm未満であれば、不活化処理に利用する波長帯域の紫外光に対し、十分高い平均透過率となることが確認される。なお、当該検証実験の詳細については、「発明を実施するための形態」の項目において、図7を参照しながら詳述される。
したがって、紫外光照射装置は、人体への影響が極めて小さい波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の平均透過率の低下を抑制しつつ、安全性を確保するとともに、より広い範囲に当該波長帯域の紫外光を照射することができる。
上記紫外光照射装置は、更に、
波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の少なくとも一部を透過し、波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光の透過を抑制する光学フィルタを備えていても構わない。
波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の少なくとも一部を透過し、波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光の透過を抑制する光学フィルタを備えていても構わない。
本明細書において、「紫外光の透過を抑制する」とは、紫外光源が発する紫外光のうち、波長190nm以上240nm未満の波長範囲内におけるピーク波長の光強度に対して、光学フィルタを通過した紫外光のうち、波長240nm以上300nm未満の紫外光の比率を低下させることを指す。本発明では、光学フィルタを用いることで、装置外に照射される波長240nm以上300nm未満の紫外線の放射強度が大幅に抑制される。
上記構成とすることで、紫外光照射装置から出射される紫外光は、人体に対して有害である波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光の強度が大幅に抑制される。つまり、より安全性が向上された紫外光照射装置が実現される。例えば、紫外光照射装置は、波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光を実質的に透過しない構成としてもよい。ここで「紫外光を実質的に透過しない」とは、入射角が0°で入射し、出射角が0°で出射される紫外光に関し、ピーク波長の強度に対して、5%以下の強度にまで抑制されていることを意味する。なお、光学フィルタによって抑制させる波長帯域の紫外光の強度は、ピーク波長の強度に対して2%以下にまで抑制されることが好ましく、1%以下にまで抑制されることがより好ましい。
上記紫外光照射装置において、
前記拡散透過部材は、前記光学フィルタを透過した紫外光が入射するように構成されていても構わない。
前記拡散透過部材は、前記光学フィルタを透過した紫外光が入射するように構成されていても構わない。
拡散透過部材から出射される紫外光の出射角は、拡散透過部材に入射する紫外光の入射角より大きくなる。すなわち、拡散透過部材から出射される紫外光は、拡散透過部材に入射する前の紫外光と比べると、より広がっているために特定の領域に入射させることが難しい。つまり、紫外光をより確実に光学フィルタに入射させるため、光学フィルタの入射面に入射させる紫外光は、拡散透過部材に入射される前の状態の紫外光であることが好ましい。
また、光学フィルタは、図7を参照しながら後述されるように、光学フィルタの入射面に対する入射角に応じて透過スペクトルが変化し、入射角が大きいほど透過させる波長帯域の紫外光に対する透過率が低くなる。このため、光学フィルタに入射させる紫外光は、光学フィルタの入射面に対して小さい入射角(低角度)で入射する光線成分の割合が大きいことが望ましい。
さらに、拡散透過部材を透過した紫外光を光学フィルタに入射させる場合、拡散透過部材を透過させずに紫外光を光学フィルタに直接入射させる場合と比較して、光学フィルタに入射する紫外光は、光学フィルタの入射面に対する入射角が大きい光線成分の割合が大きくなる。光学フィルタは、上述したように、入射角が大きいほど透過させる波長帯域の紫外光に対する透過率が低くなる特徴がある。このため、光学フィルタの入射面に対する入射角が大きい光線成分の割合の増加は、光学フィルタを透過する光線成分の割合の低下に繋がる。
つまり、拡散透過部材を透過した紫外光を光学フィルタに入射させる場合、光学フィルタを透過しない光線成分を増加させてしまうことに繋がるため、上記紫外光照射装置は、光学フィルタを透過した紫外光を拡散透過部材に入射させる構成であることが好ましい。
さらに言えば、拡散透過部材は、光学フィルタの出射面側に配置されることで、拡散透過部材で屈折、又は反射されて光学フィルタ側に戻る光線(戻り光)を、光学フィルタで再反射させ、再び拡散透過部材に入射させることができる。これは、光源から発せられる紫外光の利用効率を高めることに繋がる。特に、拡散透過部材は、入射される紫外光の一部しか透過できず、紫外光の光強度を低下させやすいが、光学フィルタの出射面側に対向して配置させることで、戻り光を再利用でき、紫外光照射装置から出射する紫外光の光強度を高めることができる。
上記紫外光照射装置において、
前記拡散透過部材は、前記筐体に対して着脱可能であっても構わない。
前記拡散透過部材は、前記筐体に対して着脱可能であっても構わない。
上記構成とすることで、拡散透過部材の劣化が確認された場合や、所定の時間点灯動作が実行された場合に、拡散透過部材のみを簡単に交換することができる。つまり、紫外光照射装置のメンテナンスがより簡便となる。特に、光学フィルタを備える構成においては、拡散透過部材を光学フィルタよりも光路上の後段に配置した場合、拡散透過部材に入射される前の状態の紫外光を光学フィルタに導くことができるとともに、拡散透過部材の交換作業が容易化できる。
上記紫外光照射装置は、
前記拡散透過部材の主たる成分が、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂又はポリエステル系樹脂であっても構わない。
前記拡散透過部材の主たる成分が、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂又はポリエステル系樹脂であっても構わない。
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4-フッ化エチレン-パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4-フッ化エチレン-6-フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2-エチレン-4-フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3-フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。これらの中では、紫外線耐性、入手時の経済性等の事情に鑑みると、特にPTFEが特に好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリシクロヘキサンジメタノール-テレフタレート(PCT)等が挙げられる。これらの中では、紫外線耐性、入手時の経済性等の事情に鑑みると、特にPETが特に好ましい。
上記紫外光照射装置は、
前記拡散透過部材の主たる成分が、シリカ又はアルミナであっても構わない。
前記拡散透過部材の主たる成分が、シリカ又はアルミナであっても構わない。
さらに、上記紫外光照射装置において、
前記拡散透過部材は、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光に関し、平均透過率が10%以上であることが好ましい。
前記拡散透過部材は、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光に関し、平均透過率が10%以上であることが好ましい。
本明細書において、「主たる成分」とは、部材を構成する材料のうちの、最も含有率が高い材料を指す。
なお、本発明の対象製品は、人や動物の皮膚や目に紅斑や角膜炎を起こすことはなく、紫外光本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を提供することができる。特に、従来の紫外光源とは異なり、有人環境で使用できるという特徴を生かし、屋内外の有人環境に設置することで、環境全体を照射することができ、空気と環境内設置部材表面のウイルス抑制・除菌を提供することができる。
このことは、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢の全ての人々が健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に対応し、また、ターゲット3.3「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する」に大きく貢献するものである。
本発明によれば、安全性を確保しつつ、菌やウイルス等をより効率的に不活化できる紫外光照射装置が実現される。
以下、本発明の紫外光照射装置について、図面を参照して説明する。なお、紫外光照射装置に関する以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
[第一実施形態]
図1及び図2は、紫外光照射装置1の第一実施形態の外観を模式的に示す図面であり、図3は、光源3の構成を示す図面である。図2に示すように、第一実施形態の紫外光照射装置1は、筐体2と、筐体2の内側に収容された光源3とを備える。
図1及び図2は、紫外光照射装置1の第一実施形態の外観を模式的に示す図面であり、図3は、光源3の構成を示す図面である。図2に示すように、第一実施形態の紫外光照射装置1は、筐体2と、筐体2の内側に収容された光源3とを備える。
以下の説明においては、図3に示すように、光源3が備える後述される複数の発光管30が配列されている方向をZ方向、当該発光管30が延伸する方向をY方向とし、Y方向とZ方向とに直交する方向をX方向として説明する。
また、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載され、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。図1及び図2に示す紫外光照射装置1においては、紫外光が取り出される方向が「+X方向」に対応する。
第一実施形態の紫外光照射装置1は、図1及び図2に示すように、筐体2と、光源3と、一対の給電線(7a,7b)とを備える。
図2に示すように、筐体2は、カバー部材2aと本体2bとを備える。カバー部材2aは、内側に収容される光源3で発生する紫外光を、外側に取り出すための光取出し部4が設けられている。本体2bは、一対の給電端子(8a,8b)が設けられており、それぞれ対応する給電線(7a,7b)を介して外部電源(不図示)に接続される。
筐体2は、カバー部材2aと本体2bとが組み合わせられて、光源3を内側に収容するように構成されているが、例えば、カバー部材2aと本体2bとが回動部材によって連結されて、一体的に構成されていても構わない。
なお、KrClエキシマランプにおけるピーク波長について「222nm近傍」と記載したのはエキシマランプの製品上の個体差を含む意図であり、絶対的な意味における222.0nmは勿論のこと、222.0nmを基準として±3.0nm以内での範囲内における波長のずれを許容する意図である。KrBrエキシマランプについても同様である。
第一実施形態における光取出し部4は、石英ガラスによって形成された光出射窓であって、図3に示すように、後述される光学フィルタ6と拡散透過部材5とを重ね合わせて形成されている。光源3から発せられた紫外光は、光取出し部4に形成された光学フィルタ6と、拡散透過部材5とを通過し、紫外光L1として筐体2の外側に出射される。
第一実施形態における光源3は、図3に示すように、一対の電極(31a,31b)と、発光管30とを備えるエキシマランプである。第一実施形態の紫外光照射装置1に搭載されているエキシマランプは、発光管30内にクリプトン(Kr)ガスと塩素(塩素)ガスとが封入されており、電極(31a,31b)間に電圧を印加することで、発光管30内で主たる発光波長が222nmである紫外光が発生する。
ここで、「主たる発光波長」とは、ある波長λに対して±10nmの波長域Z(λ)を発光スペクトル上で規定した場合において、発光スペクトル内における全積分強度に対して40%以上の積分強度を示す波長域Z(λi)における、波長λiを指す。
なお、光源3は、主たる発光波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源であれば、上述した構成以外のエキシマランプであってもよい。また、ピーク波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源であってもよい。例えば、発光管30内にクリプトン(Kr)ガスと臭素(Br)ガスとが封入されて、主たる発光波長が207nmである紫外光を発するエキシマランプを採用し得る。また、光源3は、エキシマランプに限られず、LED等を採用しても構わない。例えば、240nm未満に主たる発光波長を有するAlGaN系LEDやMgZnO系LEDが採用できる。
また、光源3として、コヒーレント光源を用いる場合は、ガスレーザや固体レーザ素子からコヒーレントな紫外光を放射するものであってもよく、又は、ガスレーザや固体レーザ素子から放射される光を利用して波長の異なるコヒーレント光を新たに発生させる波長変換素子を用いるものであってもよい。波長変換素子としては、例えば、レーザ素子から放射される光の周波数を逓倍化させて、第二次高調波発生(SHG)や第三次高周波発生(THG)等の高次高周波を発生させる非線形光学結晶を用いることができる。
一対の電極(31a,31b)は、本体2bに固定されて、それぞれ対応する接続端子(8a,8b)と電気的に接続されている。当該構成により、各接続端子(8a,8b)が給電線(7a,7b)を介して外部電源(不図示)と電気的に接続される。
図4は、図3から発光管30を取り除いた状態を示す図面である。電極(31a,31b)は、図3及び図4に示すように、それぞれがY方向に離間して配置された、発光管30が載置されるように凹部が形成された導電性の材料からなるブロック状の部材である。また、電極(31a,31b)には、発光管30で発生した紫外光を、効率よく光取出し部4へと導くためのテーパ31dが形成されている。
電極(31a,31b)の具体的な材料としては、例えば、Al、Al合金、ステンレス等を採用し得る。なお、第一実施形態における電極(31a,31b)の材料は、Alであって、+X側の面全体が、発光管30内で発生し、光取出し部4とは反対側(-X側)に向かって進行する光を、光取出し部4側(+X側)に向かうように反射する第一反射面31cを構成している。
また、第一実施形態においては、図4に示すように、電極(31a,31b)間に、-X側に向かって進行する光を、+X側に向かうように反射する第二反射面32aを構成するための反射部材32が設けられている。
以下、筐体2に備えられた光取出し部4の構成の詳細について説明する。図5は、紫外光照射装置1の第一実施形態をY方向に見たときの断面図であり、図6は、図5における領域P1の拡大図である。図5に示すように、光取出し部4は、光学フィルタ6と、光学フィルタ6の主面上に形成された拡散透過部材5とを備える。
光学フィルタ6は、屈折率の異なる層が積層されてなる誘電体多層膜を用いることができる。例えば、屈折率が異なるシリカ(SiO2)とハフニア(HfO2)とが積層された誘電体多層膜である。第一実施形態における誘電体多層膜は、各層の膜厚及び積層数とを調整することによって、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を透過し、波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光を実質的に透過しないように構成されている。この点は、図7を参照して後述する。なお、光学フィルタ6を構成する材料としては、シリカやハフニア以外に、アルミナ(Al2O3)やジルコニア(ZrO2)等を採用しても構わない。
また、光源3が、強度スペクトル幅が狭小で、240nm以上300nm未満の範囲内に含まれる波長成分の紫外光をほとんど発しないような光源である場合は、紫外光照射装置1は、光学フィルタ6を搭載しなくても構わない。
第一実施形態における拡散透過部材5は、光学フィルタ6から出射された紫外光入射するように配置された、主たる成分がPTFEである厚さが1.0mmの板状の部材である。拡散透過部材5は、図5に示すように、入射した紫外光を、入射角θ1よりも出射角θ2が大きくなるように拡散透過する。なお、図5では、紫外光の主光線の進行の様子が、模式的に二点鎖線で図示されている。
拡散透過部材5に入射した紫外光は、拡散透過部材5内において屈折、反射を繰り返しながら進行し、拡散透過部材5の主面5aに到達したところで外側に向かって出射される。このようにして紫外光は、拡散透過部材5を拡散透過する。なお、図5では、煩雑さを回避する観点から、拡散透過部材5内における紫外光の反射や屈折の態様に関する図示は省略されている。
拡散透過部材5は、光源3で発生した波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を、十分に筐体2の外側に取り出せるように、平均透過率が10%以上となるように構成されていることが好ましい。なお、光源3で発生する上記波長範囲の紫外光の強度が十分高いような場合は、拡散透過部材5の平均透過率が10%を下回っていても構わない。
拡散透過部材5は、紫外光が拡散透過する部材であれば、例えば、主たる成分がシリカ又はアルミナである微粒子の焼結体からなる部材であってもよく、主たる成分がPFAやPVDFのようなフッ素系樹脂、又はポリエチレン系樹脂や、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる膜状の部材であっても構わない。これらの各樹脂は、紫外光に対して拡散性を示すため、拡散透過部材5の材料として好適である。
第一実施形態における拡散透過部材5の厚さは、0.3mmである。なお、拡散透過部材5の厚さは、1.5mm未満であることが好ましく、1.0mm未満であることがより好ましく、0.5mm未満であることが特に好ましい。
ここで、図6を参照して、第一実施形態における拡散透過部材5と光学フィルタ6との境界面5bにおける反射特性について説明する。拡散透過部材5内の点P2において紫外光が等方的に拡散すると仮定すると、光学フィルタ6を透過して拡散透過部材5に入射し、点P2に到達した紫外光L2は、図6において一点鎖線で示すように様々な方向に拡散される。
点P2で拡散された紫外光には、点P2で拡散されて+X側に向かって進行する紫外光FL、光学フィルタ6側、すなわち、-X側に進行し、再び光学フィルタ6に入射する紫外光B0、及び拡散透過部材5と光学フィルタ6との境界面5bで反射される紫外光B1が含まれる。
図7は、光学フィルタ6の入射角ごとの透過スペクトルの一例を示すグラフである。光学フィルタ6の多くは、紫外光の入射角に応じて、透過率が不可避的に変化し、入射角が大きい紫外光をより反射しやすいという特徴がある。当該特徴は、特に屈折率の異なる複数の誘電体多層膜で構成された光学フィルタ6において確認される。このような特徴により、図6に示すような、紫外光B0と紫外光B1とが発生する。
図6に示すように、拡散透過部材5は、光学フィルタ6の出射面側に配置されることで、拡散透過部材5で屈折、又は反射されて光学フィルタ側(-X側)に戻る紫外光B1(戻り光)を、+X側に進行するように光学フィルタ6で反射させ、再び拡散透過部材5へ戻すことができる。これにより、拡散透過部材5の出射面側(+X側)に向かって進行する紫外光FLを増加させることができる。これにより、光源3から発せられる紫外光の利用効率を高めることができる。また、拡散透過部材5は、入射される紫外光の一部しか透過できず、紫外光の光強度を低下させやすいが、光学フィルタ6の出射面側に配置させることで、戻り光を再利用でき、紫外光照射装置1から出射される紫外光の光強度を高めることができる。
また、第一実施形態において、拡散透過部材5は、光学フィルタ6の出射面側(+X側)に配置されていれば、光学フィルタ6とは離間して配置されていても構わない。しかしながら、拡散透過部材5から反射される戻り光を、より多く光学フィルタ6で再反射させる観点から、光学フィルタ6と拡散透過部材5とは、できる限り近いことが好ましく、具体的には、光学フィルタ6と拡散透過部材5との離間距離は、10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましく、1cm以下であることが特に好ましい。また、図6に示すように、光学フィルタ6と拡散透過部材5とを接触するように配置されることが望ましい。
(検証実験)
次に、拡散透過部材5の厚さを変化させたときに、不活化に利用される波長帯域の紫外光(以下、「目的光」、又は「安全光」と称する。)に対する平均透過率と、人体に有害な波長帯域の紫外光(以下、「有害光」と称する。)に対する平均透過率との比(以下、「目的光比率」という。)がどのように変化するかについて確認する検証実験を行ったので、その詳細について説明する。なお、検証に用いる拡散透過部材5は、第一実施形態において拡散透過部材5として採用されているPTFEシートとした。
次に、拡散透過部材5の厚さを変化させたときに、不活化に利用される波長帯域の紫外光(以下、「目的光」、又は「安全光」と称する。)に対する平均透過率と、人体に有害な波長帯域の紫外光(以下、「有害光」と称する。)に対する平均透過率との比(以下、「目的光比率」という。)がどのように変化するかについて確認する検証実験を行ったので、その詳細について説明する。なお、検証に用いる拡散透過部材5は、第一実施形態において拡散透過部材5として採用されているPTFEシートとした。
光学フィルタ6による光強度の減衰効果、及び目的光と有害光とを明確に切り分けることを考慮して、目的光は、波長が200nm~235nmの範囲内に属する紫外光、有害光は、波長が240nm~300nmの範囲内に属する紫外光とした。
検証対象とする拡散透過部材5の厚さは、0.05mm、0.1mm、0.25mm、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mmとした。
紫外光の強度の測定は、分光光度計と積分球を使用して、拡散透過部材5を透過した紫外光(第一光)と、拡散透過部材5を透過していない紫外光(第二光)とで行った。具体的には、日本分光株式会社製の分光光度計(V-7200)と、付属品である積分球ユニット(60mmΦ積分球ユニット)を組み合わせて、各状態における光源から発せられて分光光度計に入射される紫外光の強度積分値を測定した。第一光の強度の測定は、光源から発せられた紫外光を拡散透過部材5に入射させ、拡散透過部材5を透過した紫外光を積分球ユニットに入射させて行った。第二光の強度の測定は、第一光の測定系から、拡散透過部材5を取り除いて、光源から発せられた紫外光を積分球ユニットに直接入射させて行った。
平均透過率は、上記測定方法によって測定された、第二光の強度積分値を、第一光の強度積分値で割ることで算出した。
(結果)
図8は、拡散透過部材5の厚さと平均透過率との関係を示すグラフである。そして、図9は、拡散透過部材5の厚さと、有害光の平均透過率に対する目的光の平均透過率の比率(目的光比率)との関係を示すグラフであり、図8に示す、各拡散透過部材5の厚さにおいて、目的光の各平均透過率を有害光の平均透過率で割ることで得られたグラフである。
図8は、拡散透過部材5の厚さと平均透過率との関係を示すグラフである。そして、図9は、拡散透過部材5の厚さと、有害光の平均透過率に対する目的光の平均透過率の比率(目的光比率)との関係を示すグラフであり、図8に示す、各拡散透過部材5の厚さにおいて、目的光の各平均透過率を有害光の平均透過率で割ることで得られたグラフである。
図8に示すグラフは、縦軸が平均透過率、横軸が拡散透過部材5の厚さを示す。そして、図9に示すグラフは、縦軸が目的光比率、横軸が拡散透過部材5の厚さを示す。
図8に示すように、拡散透過部材5が厚くなるほど、紫外光の平均透過率は低下しているが、有害光に比べて目的光の方が、平均透過率がより低下する傾向が確認される。また、拡散透過部材5の厚さが1.5mm未満において、平均透過率が大幅に向上することが確認される。
また、図9に示すように、拡散透過部材5が厚くなるほど目的光比率が小さくなることが確認できる。これは、拡散透過部材5が厚くなるほど、拡散透過部材5から出射される紫外光のうち、相対的に有害光が出射され易く、目的光が出射され難いことを示す。
図9に示すように、拡散透過部材5の厚みが1mm以下の範囲で、目的光比率を50%以上にまで向上させることができる。更に、拡散透過部材5の厚みが0.5mm以下で目的光比率は70%程度にまで向上し、拡散透過部材5の厚みが0.25mm以下で目的光比率は80%程度にまで向上できる。
特に、拡散透過部材5の厚さが0.5mm、及び1.5mmにおいて、傾向が変化していることが確認される。このような変化が生じる理由としては、目的光が拡散透過部材5の厚さ0.5mm付近で完全拡散となり、有害光が拡散透過部材5の厚さ1.5mm付近で完全拡散となったためと推察される。
これは、上述するように、拡散透過部材5は、厚さが増してゆくと内部で紫外光が屈折(散乱)しやすくなり、入射される紫外光の波長帯域が短いほど屈折(散乱)しやすくなるためである。詳述すると、完全拡散となる拡散透過部材5の厚みの閾値は、入射される紫外光の波長が短いほど小さい。そして、拡散透過部材5の厚さが当該閾値以上である場合、拡散性に変化はなく、厚みが増すにつれて拡散透過部材5の内部で紫外光のエネルギーが消費されやすくなる。一方、入射される紫外光の波長が長いほど、完全拡散となる拡散透過部材5の厚さの閾値は大きい。そして、紫外光に対する拡散透過部材5において完全拡散となる閾値の差は、目的光比率の変化に影響するものと考察できる。
そして、拡散透過部材5の厚さが1.5mmを超えると、少なくとも3.5mm以下の範囲においては、目的光及び有害光いずれも、拡散透過部材5の厚さが増すにつれて、平均透過率が低下していく。このとき、平均透過率の低下は、有害光に比べて目的光の方がより大きい。このことは、図9において、拡散透過部材5の厚さが増すにつれて、単調減少していることから確認できる。
紫外光照射装置1において、有害光は、光学フィルタ6により十分に減衰される。しかし、拡散透過部材5の厚みが大きい場合は、目的光が減衰し易く、相対的に有害光の割合を僅かでも高めてしまい、紫外光を長時間使用する際に、所望の安全性を低下させてしまう。このため、目的光を拡散しつつ、十分な透過性を示す領域を採用することが好ましい。このため、上述したように、拡散透過部材5の厚さは、1.5mm未満とすることが好ましく、1.0mm未満とすることがより好ましく、0.5mm未満であることが特に好ましい。なお、紫外光を拡散させる効果を得るため、拡散透過部材5の厚さは、0.01mm以上であることが好ましい。
上記構成とすることで、紫外光照射装置1は、人体への影響が極めて小さい波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の平均透過率の低下を抑制しつつ、安全性を確保するとともに、より広い範囲に当該波長帯域の紫外光を照射することができる。
[第二実施形態]
本発明の紫外光照射装置1の第二実施形態の構成につき、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
本発明の紫外光照射装置1の第二実施形態の構成につき、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
図10は、紫外光照射装置1の第二実施形態の外観を模式的に示す図面であり、図11は、紫外光照射装置1の第二実施形態をY方向に見たときの断面図である。紫外光照射装置1の第二実施形態は、図10及び図11に示すように、筐体2を構成するカバー部材2aの所定の位置に嵌め込まれた拡散透過部材5及び光学フィルタ6が、固定部材13によって固定されることで、光取出し部4を構成している。固定部材13は、拡散透過部材5の外縁部に配置させることで、光取出し部4から出射される紫外光の光路を阻害することなく、拡散透過部材5と光学フィルタ6の位置関係を固定できる。
上記構成とすることで、拡散透過部材5の厚みが小さい場合であっても、適切に光学フィルタ6の出射面側に固定させることができる。また、拡散透過部材5がシート状であって、単体では固定が難しい場合であっても、固定部材13によって支持し、安定するように固定することができる。なお、拡散透過部材5及び光学フィルタ6が、カバー部材2aに対して着脱可能としてもよく、これによって拡散透過部材5及び光学フィルタ6を、個別に交換することができる。
図12は、図10とは別の紫外光照射装置1の第二実施形態の外観を模式的に示す図面であり、図13は、図12に示す紫外光照射装置1の第二実施形態をY方向に見たときの断面図である。紫外光照射装置1の第二実施形態は、図12及び図13に示すように、一部が光取出し部4を跨ぐように構成された固定部材13を備えていても構わない。
上記構成によれば、拡散透過部材5及び光学フィルタ6をより安定的に固定することができる。また、上記構成の紫外光照射装置1は、使用用途や光源3の種類等に応じて、拡散透過部材5及び光学フィルタ6を交換することができる。
なお、上記構成はいずれも、拡散透過部材5と光学フィルタ6とが一緒に取り換えられる構成で説明したが、拡散透過部材5と光学フィルタ6とが分離可能に構成されて、それぞれ別々に取り換えられるように構成されていても構わない。また、拡散透過部材5と光学フィルタ6とは、接触していなくても構わない。
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
以下、別実施形態につき説明する。
〈1〉 図14は、紫外光照射装置1の別実施形態をY方向に見たときの断面図である。紫外光照射装置1は、図14に示すように、光取出し部4がカバー部材2aに形成された光学フィルタ6に対して、拡散透過部材5と、紫外光に対して高い透過性を示す、例えば、石英ガラスを主たる成分とする透光板15とが重ね合わせられることで構成されていても構わない。当該構成によれば、透光板15は、固定部材として機能し、シート状、フィルム状、又は薄膜状等の拡散透過部材5を、より適切に光学フィルタ6の出射面側に固定させることができる。なお、第三実施形態において、光学フィルタ6と拡散透過部材5は、離間していても構わない。なお、拡散透過部材5と透光板15は、例えば、接着剤を用いて固定してもよいが、光学フィルタ6と拡散透過部材5を通過する紫外光が接着剤に吸収され、出射される紫外光が減衰しやすく、また、接着剤自体が紫外線で劣化する可能性がある。そのため、光学フィルタ6と拡散透過部材5の間には、接着剤を介さずに紫外光が通過できる光路が形成されるよう、接着剤が一部にのみ形成されることが望ましく、さらには、紫外光が強く照射されない領域(例えば、出射光のピーク強度に対して半値以下、更には10%以下の領域)のみ形成されることが望ましく、更には、接着剤を用いずに固定具等で機械的に固定することが望ましい。
図15は、図14とは別の紫外光照射装置1の別実施形態をY方向に見たときの断面図である。図15に示すように、紫外光照射装置1は、ネジ52が拡散透過部材5に形成された貫通孔53に差し込まれ、カバー部材2aに形成されたネジ穴51にネジ止めされることで、拡散透過部材5がカバー部材2aに固定されるように構成されていても構わない。
上記構成によれば、拡散透過部材5及び光学フィルタ6をより安定的に固定することができる。また、上記構成の紫外光照射装置1は、使用用途や光源3の種類等に応じて、拡散透過部材5及び光学フィルタ6を交換することができる。
〈2〉 紫外光照射装置1の更に別の実施形態として、光源から発せられる紫外光の指向性を高め、光学フィルタ6に対して入射角が小さい光線成分を増加させる光学要素を備える構成としても構わない。これにより、光学フィルタ6に対して入射角の大きい光線成分を減少させ、入射角の小さい光線成分を増加させることで、光学フィルタ6からの光の透過効率を高めることができる。これは上述した光学フィルタ6の特性に基づく。
光学要素としては、光源から放射される紫外光の指向性を高め、光学フィルタ6に対して入射角を小さく制御できる、光学レンズ、光学フィルム、反射部材等を用いることができる。例えば、光源から発せられる紫外光の配光角を考えた場合、光源から発せられて光学フィルタ6に入射する紫外光のピーク強度に対して半値となる入射角度の範囲が、50度以下、45度以下、更には、40度以下となるように、光学フィルタ6の入射面側において光学要素を設けることが望ましい。更には、35度以下、30度以下となるように、光学要素を設けてもよい。
上記構成とすることで、光源3で発生した紫外光が、光取出し部4からより多く取り出されるため、消費電力の抑制や、筐体内部と電源の温度上昇を抑えることができ、紫外光照射装置1、又は紫外光照射装置1が搭載されたシステム全体の小型化や軽量化が実現される。
〈3〉 上述の各実施形態では、拡散透過部材5及び光学フィルタ6が、筐体2を構成するカバー部材2aに設けられているが、これらは、筐体2とは別の部材に搭載されていてもよく、例えば、光源3が備える発光管30の壁面に搭載されていても構わない。
また、紫外光照射装置1は、拡散透過部材5の厚みを小さく形成するのではなく、大きく形成するものであってもよい。具体的には、拡散透過部材5の厚みを0.5mm以上とするか、0.5mmよりも大きな厚みとすることでもよい。これは、光源から発せられる紫外光の光強度を、より減衰させた状態で利用したい場合において適合できる構成である。紫外光の積算照射量は、上述のとおり規制値(許容限界値)以内にすることが推奨されているが、環境中の不活化を持続させるためには、より長時間にわたって紫外光の照射を継続させたい場合もある。例えば、環境中のウイルスを不活化させた後であっても、外界から人やエアロゾルを介して、新たにウイルスが持ち込まれる場合も考えられる。
そのため、上記構成の紫外光照射装置1は、拡散透過部材5によって紫外光の強度ムラを抑制しつつ、出射される紫外光の光強度を減衰させることで、設置された環境中に紫外光をより長時間にわたって照射することができる。当該構成は、光源自体が発する紫外光の強度をより微弱に制御することが困難な場合において好適である。拡散透過部材5の厚みは、上述の観点より、0.5mmよりも大きくてもよい。
なお、紫外光の利用効率や、目的光比率をより改善させる観点からすれば、拡散透過部材5の厚みは1.5mm未満であることが望ましい。そのため、拡散透過部材5の厚みは、0.5mmより大きく、1.5mm未満としてもよい。
〈4〉 上述のとおり、本発明は、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の利用について検討されたものであり、拡散透過部材5による減衰や比率変化が大きい波長帯域であることを突き止め、考察したものである。これは、従来から積極的に検討された比較的長波長帯域の紫外光や可視光を扱うものとは一線を画し、当該波長帯域におけるより有効かつ安全な利用/活用に資するものである。
また、上述した紫外光照射装置1が備える構成は、あくまで一例であり、本発明は、図示された各構成に限定されない。
1 : 紫外光照射装置
2 : 筐体
2a : カバー部材
2b : 本体
3 : 光源
4 : 光取出し部
5 : 拡散透過部材
5a : 主面
5b : 境界面
6 : 光学フィルタ
7a,7b : 給電線
8a,8b : 給電端子
13 : 固定部材
15 : 透光板
30 : 発光管
31a,31b : 電極
31c : 第一反射面
31d : テーパ
32 : 反射部材
32a : 第二反射面
51 : ネジ穴
52 : ネジ
53 : 貫通孔
70 : 光度計
L1 : 紫外光
θ : 入射角
θ1 : 入射角
θ2 : 出射角
2 : 筐体
2a : カバー部材
2b : 本体
3 : 光源
4 : 光取出し部
5 : 拡散透過部材
5a : 主面
5b : 境界面
6 : 光学フィルタ
7a,7b : 給電線
8a,8b : 給電端子
13 : 固定部材
15 : 透光板
30 : 発光管
31a,31b : 電極
31c : 第一反射面
31d : テーパ
32 : 反射部材
32a : 第二反射面
51 : ネジ穴
52 : ネジ
53 : 貫通孔
70 : 光度計
L1 : 紫外光
θ : 入射角
θ1 : 入射角
θ2 : 出射角
Claims (7)
- 波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光を発する光源と、
前記光源を収容する筐体と、
前記光源より発せられた前記紫外光を前記筐体の外へと取り出す光取出し部と、
前記紫外光を拡散透過させる、厚さが1.5mm未満である拡散透過部材とを備えることを特徴とする紫外光照射装置。 - 波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光の少なくとも一部を透過し、波長が240nm以上300nm未満の範囲内に属する紫外光の透過を抑制する光学フィルタを備えることを特徴とする請求項1に記載の紫外光照射装置。
- 前記拡散透過部材は、前記光学フィルタを透過した紫外光が入射することを特徴とする請求項2に記載の紫外光照射装置。
- 前記拡散透過部材は、前記筐体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の紫外光照射装置。
- 前記拡散透過部材の主たる成分が、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂又はポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の紫外光照射装置。
- 前記拡散透過部材の主たる成分が、シリカ又はアルミナであることを特徴とする請求項1に記載の紫外光照射装置。
- 前記拡散透過部材は、波長が190nm以上240nm未満の範囲内に属する紫外光に関し、平均透過率が10%以上であることを特徴とする請求項5又は6に記載の紫外光照射装置。
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