JP2024504869A - Pten阻害剤による脊髄損傷の治療 - Google Patents
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Abstract
【選択図】なし
Description
本願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2020年12月4日出願の米国仮特許出願第63/121,336号に対する優先権の利益を主張するものである。
1.発明の分野:
本願は、神経を再生すること又は損傷神経の変性を減弱させることによって脊髄損傷又は脊髄損傷と関連付けられる状態を治療する方法に関し、方法は、神経を再生する量の又は神経変性を減弱させる量のホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)脂質ホスファターゼ阻害ペプチドを、脊髄の損傷された神経にて若しくはその近傍の領域にて投与することを含む。
成体哺乳動物神経系において、ダメージを受けたニューロンの再生は、神経損傷に対する治癒応答ではほとんど起こらない。成人のCNSニューロンが損傷後に再生しない主な理由は2つあり、軸索は、損傷時に分泌される細胞外阻害因子によるその阻害だけでなく、加齢により急速に低下する内因性軸索成長能力の喪失のため、成人の中枢神経系で再生しない[Schwabら;1996,Goldbergら 2002;Filbinら 2006;Fitchら 2008]。しかし、神経損傷時に分泌される細胞外抑制分子の排除は、インビボでの非常に限られた軸索再生を引き起こすだけである[Yiuら 2006;Hellalら 2011]。そのため、内因性神経伸長の調節による軸索再生プロセスの促進は現在、神経損傷治療の治療標的の焦点である。
本願において、「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、単一の対象物と複数の対象物の両方を指すために使用される。
PTENのアミノ酸配列は、以下の通りである:
本明細書で「TGNペプチド」とも称される、本発明のペプチドを、PTEN阻害剤として、PTENのC末端領域(アミノ酸残基352~403)を鋳型として用いて設計した。
ポリペプチド治療には、短い循環半減期、及びタンパク質分解及び低い可溶性の問題がある。本発明のバイオ医薬品の薬物動態及び薬力学の特性を改善するために、アミノ酸配列の操作などの方法が、免疫原性を減少させる又は増加させる、タンパク質分解切断を減少させるために行われてよい。免疫グロブリン及びアルブミンなどの血清タンパク質へのペプチドの融合又はコンジュゲーションが、なされてよい。保護及び徐放のための本発明のペプチド及び抗体などのバイオ医薬品用の薬物送達ビヒクル中への組み込みも行われてよい。かつ天然の又は合成のポリマーへの結合も企図される。特に、合成ポリマーコンジュゲーションについて、ペグ化又はN-アシル化、S-アシル化などのアシル化、アミド化なども企図される。
神経組織は、脊索の影響下で胚性外胚葉から派生する。外胚葉は、肥厚した神経板を形成するように誘導され、その後分化し、最終的に末端が融合して、そこから全ての中枢神経系が派生する神経管を形成する。中枢神経系は、脳、脳神経及び脊髄からなる。末梢神経系は、神経堤と呼ばれる神経溝の隣の細胞に由来する。
中枢神経系(CNS)は、脳及び脊髄からなる。髄膜(硬膜、クモ膜及び軟膜)は、骨の頭蓋骨と椎骨によって与えられる保護に加えて、CNSを保護し、栄養を与える。脳脊髄液は、クモ膜下腔、脊柱の中心管及び脳室に見出される。軟膜は、最内層であり、神経組織に付着される。軟膜と硬膜の間にはクモ膜層がある。丈夫な繊維状硬膜は、頭蓋骨のすぐ下にある。
末梢神経系は、脳及び脊髄の外側に位置する神経、神経節、脊髄及び脳神経を含む。12の脳神経は、脳幹にある核から発生し、嗅覚、視覚、唾液分泌、心拍数及び皮膚感覚のような様々な自律神経機能を制御するためのインパルスを運んで特定の場所に移動する。脳神経はしばしば、それらが感覚と運動の構成要素を有するとないまぜにされるが、それらは運動線維又は感覚線維のみを有する場合がある。以下の表は、脳神経とその機能を列挙する。
本研究は、SCI後の機能的及び分子的障害に対するPTEN阻害剤の効果を示した。PTEN阻害剤治療は、SCI後の歩行能力と調整機能を改善した。さらに、SCIによって誘発される正常な排尿行動の消失は、PTEN治療後に顕著に回復された。しかし、機能回復の改善は、偽グループで観察される正常な機能には至らなかった。損傷した脊髄の組織学的回復が、PTEN治療後に観察された。加えて、NGFとBDNFの顕著な減少が認められ、これらの所見は、PTEN阻害剤による神経回復を示唆した。
一実施形態では、本発明は、神経変性によって特徴付けられる様々な疾患の治療に関する。このようにして、本発明の治療化合物は、ニューロン変性を阻害する化合物を提供することにより、疾患に罹患しているか、又は罹患しやすいヒト患者に投与され得る。特に、疾患は、脳の神経変性障害、特に海馬及び大脳皮質における神経細胞の喪失、神経伝達物質の減少、脳血管変性、脊椎の神経の圧迫、及び/又は認知能力の喪失と関連付けられる。
様々な送達システム、例えば、リポソームへの封入、微粒子、マイクロカプセル、化合物を発現できる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス、レトロウイルス又は他のベクターの一部としての核酸の構築などが、公知であり、本発明の化合物を投与するために使用できる。導入の方法は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路を含むが、これらに限定されない。化合物又は組成物は、任意の好都合な経路により、例えば注入又はボーラス注射により、上皮若しくは皮膚粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を介する吸収により投与され、かつ他の生物学的に活性のある薬剤と共に投与され得る。投与は、全身的又は局所的であり得る。加えて、脳室内及び髄腔内注射を含む任意の適切な経路により、中枢神経系に本発明の医薬化合物又は組成物を導入することが望ましい場合がある。脳室内注入は、例えば、オンマヤリザーバーなどのリザーバに取り付けられた脳室内カテーテルにより促進され得る。肺投与もまた採用されてよく、例えば、吸入器又はネブライザー、及びエアロゾル化剤との製剤化の使用による。
実施例1-材料及び実験方法
実施例1.1
ラット副腎髄質PC12褐色細胞腫神経細胞を、ATCC(Manassas,VA)から購入した。ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ウシ胎児血清(FBS)及びウマ血清を含む細胞培養材料を、Mediatech社(Manassas,VA)から購入した。2.5S神経成長因子を、BD Biosciences社(Bedford,MA 01730)から購入した。ニューロンクラスIII β-チューブリンに対するTUJ-1モノクローナルウサギ抗体を、Covance社(Gaithersburg,MD)から購入した。アセチル化α-チューブリンに対するモノクローナルマウス抗体を、Santa Cruz Biotech社(Santa Cruz,CA)から購入した。ヤギ血清、テキサスレッド(登録商標)ヤギ抗ウサギIgG抗体、Alexa Fluor(登録商標)488ヤギ抗マウスIgG抗体、4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、ジラクテート(DAPI)及びアラマーブルー(登録商標)を、Molecular Probes-Invitrogen(Eugene,OR)から購入した。ノコダゾールを、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。神経突起伸長アッセイキットを、Millipore(Billerica,MA)から購入した。全ての脂質を、Avanti Polar Lipids社(Alabaster,AL 35007)から購入した。組換えヒトPTENタンパク質及びマラカイトグリーンリン酸検出キットを、R&D Systems社(Minneapolis,MN 55413)から購入した。ヒトPTEN c-DNAを、OriGene社(Rockville,MD 20850)から購入した。リポフェクタミン(商標)2000トランスフェクション試薬を、Invitrogen(商標)から購入した。トリス-グリシン勾配ミニゲル(10~20%)を、Novex(商標)から購入した。全ての抗体を、Santa Cruz Biotechology社(Santa Cruz,CA 95060)から購入した。他の全ての材料を、Fisher Scientific社から購入した。
潜在的なPTEN阻害剤としてのTGNペプチドを、鋳型としてPTENのC末端領域(AA352~403)を使用して設計した。全てのTGNペプチドは、膜透過性を高めるために、N末端にPTD(ペプチド伝達ドメイン)配列(RRRRRRRR)を含む。TGN-1ペプチドは、3つのリン酸化されたセリン残基を有する32個のアミノ酸を有する(MW=4244.18Da,配列:RRRRRRRR-VTPDVpSDNEPDHYRYpSDTTDpSDPE-アミド(配列番号4)、pS=リン酸化されたセリン)。TGN-2ペプチドは、2つのリン酸化されたセリン残基を有する36個のアミノ酸を有する(MW=4776.28Da、配列:HYRYpSDTTDpSDPENEPFDEDQHTQITKV-アミド(配列番号6)、pS=リン酸化されたセリン)。TGN-3ペプチドは、TGN-2ペプチドと同じアミノ酸配列を有するが、残基は修飾されず、2つのセリン残基がバリンに置換された(MW=4640.99Da、配列:RRRRRRRR-HYRYVDTTDVDPENEPFDEDQHTQITKV-アミド(配列番号8))。TGN-4ペプチドを、TGN-1ペプチドのスクランブルペプチドとして設計し(MW=4004.19Da、配列=RRRRRRRR-SDDEYTDNPDSRYVSDTPVDTEH-アミド(配列番号10))、TGN-5ペプチドを、TGN-2/TGN-3スクランブルペプチド用に設計した(MW=4616.88Da、配列=RRRRRRRR-DEHDTEYTPDYRQETHFNSQPTDKSDVI-アミド(配列番号12))。全ペプチドは、21st Century Biochemicals社(Marlboro,MA 01752)により合成された。純度は、95%超であり、HPLCにより確認された。
インビトロPTEN活性アッセイを設計して、ホスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)をホスファチジルイノシトール二リン酸(PIP2)に変換する、およびリン酸イオン(Pi)を生成するPTEN脂質ホスファターゼ活性を調べた。脂質ホスファターゼとしてPTENは界面の酵素であるため、1,2-ジオクタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1'-ミオイノシトール-3,4,5-三リン酸)(C8-PIP3)を、PTEN基質として使用し、他のリン脂質を有する脂質小胞(リポソーム)として調製した。リポソーム調製のために、C8-PIP3、DOPS(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロホスホセリン)及びDOPC(1,2-ジオレオイルsn-グリセロホスホコリン)を、0.1mMのC8-PIP3、0.25mMのDOPS及び0.25mMのDOPCの最終濃度へと800μLのリポソーム緩衝液(50mMのTris、100mMのNaCl、10mMのMgCl2、5mMのDTT、pH=8.0)を用いて共に混合した。脂質混合物を次いで、4℃で30分間超音波処理して、リポソームを生成した。超音波処理後に、リポソーム溶液を、短時間遠心分離して、残りの脂質を除去した。
IC50値を、異なる濃度のTGN-1及びTGN-2ペプチドを用いてインビトロPTEN活性アッセイを行うことにより測定した。IC50アッセイ用のTGN-1又はTGN-2ペプチドの濃度範囲は、それぞれ、0.1、1、10、30、60、及び100μM及び0.05、0.1、0.5、1、5、10、及び100μMであった。全てのデータは、3回の実験によるものであり、IC50値を、Prism5ソフトウェア(GraphPad Software)により計算した。
PC12ラット褐色細胞腫細胞を、6ウェルプレートに播種し(0.6×106細胞/ウェル)、7.5%FBS及び7.5%ヤギ血清を含むDMEM培地で培養した。細胞コンフルエントが約60~70%に達した後、NGF(神経成長因子、50ng/mL)を、分化のためにPC12細胞に添加し、さらに5日間インキュベートした。次いで、DMSO溶液中に異なる量のTGNペプチドを含む新鮮な培地を、各ウェルに添加し、さらに24時間インキュベートした。PTEN過剰発現のために、PC12細胞を、上記のように6ウェルプレート(0.6×106細胞/ウェル)に播種し、NGF(50ng/mL)で分化させた。DNA-リポフェクタミン2000混合液を、500μlのOpti-MEM中に2~2.5μgのヒトPTEN c-DNAを最初に添加することにより、トランスフェクトされる細胞の各ウェルについて調製した。3.75~8.75μlのリポフェクタミン2000(商標)試薬を、上記の希釈DNA溶液の次に加え、穏やかに混合し、室温で25分間インキュベートした。6ウェルプレート中のPC12細胞の増殖培地を、新鮮な培地と交換し、500μlのDNA-リポフェクタミン2000複合体を、トランスフェクションのために各ウェルに添加した。トランスフェクトされた細胞を、トランスフェクション後24~48時間、37℃、5.0%CO2中でインキュベートし、その後導入遺伝子発現についてアッセイした。
ラット副腎髄質PC12ラット褐色細胞腫神経細胞に、T-75cm2フラスコ中で7.5%ウシ胎児血清(FBS)、7.5%ウマ血清(ES)及び0.5%ペニシリンストレプトマイシンを補充し、フラスコを5%CO2インキュベーター中で37℃にて維持した。細胞を、フラスコからそれらを穏やかに機械的に脱離させることにより50%コンフルエントで分割し、分割比1:7で増殖させた。
培養後、PC12細胞を、6ウェルプレートから収集し、ベンチトップ遠心分離機で遠心分離して細胞ペレットにした(13,000rpm、RTで5分間)。上清を廃棄し、細胞ペレットを、3~500μLの1×PIPA緩衝液(Invitrogen)で再懸濁した。再懸濁細胞を、液体窒素と37℃の水槽(3~4回)を用いる凍結融解サイクルにより溶解した後、27G針付きシリンジを使用して再懸濁された細胞を繰り返し噴霧した。溶解した細胞を、4℃で20分間10,000gにて遠心分離し、上清を、収集し、BCAタンパク質濃縮キット(Thermo Scientific)を用いて総タンパク質濃度について測定した。
全神経突起の定量化のために、発明者らは、分光光度計と共に神経突起伸長アッセイキット(Millipore)を使用した。Millicellインサート(EMD Millipore,Billerica,Massachusetts,USA)の下側を新鮮な細胞外マトリックス(ECM)タンパク質(10μg/mLコラーゲン)で37℃で2時間コートした後、PC12細胞を、インサートごとに播種し、それらを24ウェルプレートの各ウェルに配置した。細胞を、接着のために室温で15分間保持し、次いで合計700μlの分化培地を、ウェルあたり添加した(膜の下及び上で、それぞれ、600μl及び100μl)。神経突起を、3日間伸長させ、その後インサートを、-200℃のメタノールで室温にて20分間固定し、その後新鮮なPBSですすいだ。次に、インサートを、室温で30分間、400μL神経突起染色液中に置き、細胞体を湿らせた綿棒により除去した後、各インサートを、100μlの神経突起染色抽出緩衝液(Millipore)上に置いた。最後に、溶液を、96ウェルプレートに移し、562nmの吸光度を読み取ることにより分光光度計で定量化した。
細胞培養後に、増殖培地を取り除き、細胞を、室温で15分間、10%ホルマリンで固定した。その後、細胞を、PBS中の0.5Mのグリシン溶液で洗浄し、PBS中の5%ヤギ血清及び0.2%Triton-X溶液で、40℃で一晩ブロックした。一次抗体による免疫染色では、細胞を、全神経突起染色についてニューロンクラスIII β-チューブリンに対するTUJ-1モノクローナルウサギ抗体(1:200希釈)と、及び安定した神経突起染色についてアセチル化されたα-チューブリンに対するモノクローナルマウス抗体(1:100希釈)と40℃で一晩インキュベートした。細胞を1×PBS緩衝液で3回洗浄した後(10分/洗浄)、二次抗体-TUJ-1抗体についてテキサスレッド(登録商標)ヤギ抗ウサギIgG(1:200希釈)及びアセチル化されたα-チューブリン抗体についてAlexa Fluor(登録商標)488ヤギ抗マウスIgG(1:200希釈)を、添加し、40℃で一晩インキュベートした。その後、細胞を、1×PBS緩衝液(10分/洗浄)及び1μg/mlの4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドールで3回洗浄した。ジラクテート(DAPI)を、細胞核を染色するために第2洗浄工程の後に添加した。最終洗浄後に、細胞を調製して、蛍光顕微鏡を用いて調べた。励起波長と発光波長は、Alexa Fluor(登録商標)488-IgG(緑)について488nm/519nm、及びテキサスレッド(登録商標)ヤギ抗ウサギIgG(赤色)について595/615nm、及びDAPIについて405/461nmである。細胞の蛍光画像を、異なる倍率で取得し、「Image J」画像処理及び解析プログラム(Wayne RasbandによるPublic Domain,NIH,Bethesda,Maryland,USA)によって分析した。
実施例2.1-TGNペプチドはPTENリン酸化部位を鋳型として用いて設計された。
インビボでの脂質ホスファターゼとしてのPTEN活性のブロッキングは、神経損傷後の軸索再生に有効であることが知られている[Parkら 2008,Christieら 2012]。発明者らは、細胞膜表面上のPTEN局在を阻止する潜在的なPTEN阻害剤を設計するためにPTEN膜会合機構を検討した。先行研究[Leeら 1999;Leslieら 2008]によると、PTENタンパク質は、ホスファターゼドメインとC2ドメインの2つの機能ドメインを有し、かつC末端領域に「リン酸化部位」も有し、これは、リン酸化-脱リン酸化プロセスを介してPTENタンパク質の構造変化を制御する「スイッチ」として機能する[Dasら 2003;Leslieら 2008]。PTENの完全な脂質ホスファターゼ活性のために、PTEN膜会合の前にPTEN立体構造を変化させるためにリン酸化部位でのリン酸化されたセリン/チロシン残基の脱リン酸化が起こらなければならない。N末端PIP2結合モチーフ及びC末端PDZドメイン結合モチーフを介する追加の結合は、完全なPTEN活性に必要とされる適切な位置で細胞膜上にPTENタンパク質を局在させる[Walkerら 2004;Molinaら 2010]。そのため、発明者らは、PTEN膜会合を破壊することによる潜在的なPTEN阻害剤としてTGNペプチドを設計するための鋳型として、PTEN「リン酸化部位」とPDZドメイン結合モチーフを使用することを決定した(図1A)。
合成したTGNペプチドを、インビトロPTEN活性アッセイを用いてそれらのPTEN阻害効果について試験した。ジオクタノイルホスファチジルイノシトール3,4,5三リン酸(diC8-PIP3)を、PTENの基質として選択し、2つの異なるリン脂質-ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)とジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)を用いて脂質小胞(リポソーム)として調製した。脂質を、リポソーム緩衝液と混合し、超音波処理によりリポソームにした(総脂質濃度=6.0mM)。調製したリポソーム(0.1mMのdiC8-PIP3)を、20ngの組換えヒトPTENタンパク質と室温で30分間インキュベートして、C8-PIP3をC8-PIP2に変換すること及び、リン酸イオンを生成することによりPTEN活性についてアッセイした。PTENにより生成したリン酸イオンを、マラカイトグリーン試薬キットを使用して測定した(図2A)。10μMの各TGNペプチドを、PTEN活性に対するその阻害効果について調べた。図2Bに見られるように、TGN-1とTGN-2ペプチドの両方は、PTEN活性を顕著にブロックした(PTEN活性は、陽性対照と比較してTGN-1で54%及びTGN-2で31%に減少した)。一方、TGN-2ペプチドは、TGN-1又はTGN-2と比較して限定的な阻害を示した(86%)。また、TGN-4とTGN-5ペプチドの両方は、PTEN活性の顕著な阻害を示さず、TGN-1及びTGN-2ペプチドによるPTEN阻害が配列特異的であることを示す。組換えPTENタンパク質及びdiC8-PIP3脂質分子を用いるインビトロPTEN活性アッセイのみが、PTEN活性を示すことができなかった(データ示さず)。
神経細胞におけるPI3Kシグナル伝達経路に対するTGN-1ペプチドの効果を、PC12ラット褐色細胞腫の細胞株を用いて決定した。PTEN過剰発現のためのPTEN c-DNAでトランスフェクトされた又は天然状態で分化されたPC12細胞を、37℃で24時間TGN-1ペプチド(10μM及び100μM)又はTGN-4ペプチド(10μM)とインキュベートした。図3Aの図に見られるように、TGN-1ペプチドが実際にPTEN活性をブロックしかつPI3K活性に対するPTENの拮抗効果を抑制するならば、PI3Kシグナル伝達経路におけるAktタンパク質の活性化(リン酸化)レベルは増加されるはずである。抗リン酸化Aktタンパク質抗体を用いるウェスタンブロットデータは、TGN-1ペプチドで処理したPC12細胞における内因性Aktタンパク質の活性化(リン酸化)レベルが、TGN-1ペプチド用量依存的に増加したことを示した(図3B及び3C)。TGN-4ペプチド又はDMSOのいずれかで処理したPC12細胞は、AKTタンパク質の活性化レベルを増加させず、Aktタンパク質のリン酸化レベルの促進はTGN-1ペプチドにより特異的に誘発されることを示唆した。内因性PTEN(図3B)又は過剰発現されたPTEN(図3C)の発現レベルはTGNペプチド又はDMSOでの処理の際の活性において差を示さなかったため、TGN-1ペプチドが、PTEN活性を特異的に阻害して、PI3Kシグナル伝達経路に対するPTENの下方制御効果を抑制し、かつPI3K-Aktシグナル伝達経路を促進することが明らかである。
本発明者らは、分化された神経細胞での神経突起変性に対するTGNペプチドの効果を検討した。神経突起変性を、ノコダゾールと細胞を接触させることにより、細胞の神経突起微小管動態を妨害することにより、PC12細胞において誘発した。分化されたラットPC12細胞を、最初にノコダゾール(0.5μM)で処理し、72時間NGF(50ng/mL)及びTGNペプチド(100μM)を含む新鮮な培地とインキュベートした。2つの異なるチューブリン抗体(安定神経突起に対するアセチル化α-チューブリン抗体及び全神経突起に対するTUJ-1 β-チューブリン抗体)を用いる免疫蛍光分析は、TGN-1及びTGN-2ペプチドが微小管安定化を介してノコダゾール誘発性神経突起変性を明らかに遅延させたことを実証した(図4A)。さらに、PC12細胞の神経突起伸長に対するTGNペプチドの効果を調べた。分化しているPC12細胞へのTGNペプチドの添加は実際に、神経突起の発達を促進した(TGN-1により2.4倍の増加及びTGN-2により1.6倍の増加、図4B)。まとめると、TGN-1及びTGN-2ペプチドは、神経栄養効果と成熟神経突起を変性から保護する活性を示す。
実施例3.1-動物及びグループ化
体重250±10gの成体雄Sprague-Dawleyラット(12週齢、n=30)を、商業的ブリーダー(Orient Co.,Seoul,Korea)から取得した。ラットを無作為に、以下の3グループ(各グループn=10):偽手術グループ、脊髄損傷(SCI)誘発グループ、SCI誘発されTGN-2(PTEN阻害剤)治療されたグループ、に分けた。実験手順は、米国立衛生研究所(NIH)の動物飼育ガイドラインに従い行われ、Kyung Hee大学の施設動物管理及び使用委員会(IACUC)により承認された[KHUASP[SE]-17-093]。
SCIモデルを、前述の方法[Kimら,(2019)]に従い誘発した。ラットに、手術中のイソフルラン(30%O2及び70%N2中の2%イソフルラン、JW pharmaceutical,Seoul,Korea)の吸入により麻酔をかけた。椎弓切除術を、硬膜を破壊することなく胸部レベルT9-10で脊髄を露出させるために、行った。挫傷を、露出された硬膜上に2.5cmの高さから10gのインパクターを落とすことにより、ニューヨーク大学インパクターシステム(NYU impactor,New York,NY,USA)を使用して作成した。手術中の低体温症を防ぐために、体温と直腸の温度を、体と頭を包む恒温ブランケット制御ユニット(Homeothermic Blanket Control Unit (Harvard Apparatus,Massachusetts,MA,USA))を用いて手術中に36±0.5℃で維持した。加えて、それを、手術後さらに2時間モニターした。偽手術グループの動物を、脊髄が皮膚切開後に損傷されなかったことを除いて、同じように扱った。
機能分析を最初に、以前に確立された行動試験[Bassoら,(1995)]に従い、Basso、Beattie及びBresnahan(BBB)自発運動スケールを用いて評価した。分析を、SCI誘発後7、11及び15日に行った。実験のグループ化を知らされていない4人の研究者が、騒音のないオープンフィールドアリーナで5分間、各対象の歩行、歩調、四肢の動きの調整、足の位置とスペース、尾の活動及び体の安定性を観察した。
運動機能及び協調の変化を評価するために、水平ラダー歩行試験を、以前の研究方法[Schiraら,(2012)]に従い実施した。試験を、SCIの誘発の15日目(6回目のTGN治療後)に測定した。簡単に説明すると、各実験動物を、丸い金属棒の間に2cm間隔で設計した長さ1.5mのラダー棒を横切らせた。ラダーを歩きながら、動物の後足が正しく配置されるかどうか、及び前足と後足が有機的(organically)に調整されかどうかを評価した。ポイントの数を移動できない場合、ミスの最高数は20である。ミスの数に依存して、0~1は10点、2~5は7点、6~9は4点、及び10~20は1点が与えられた。
排尿機能を、以前に記載された[Koら,2018]ように、手術後18日目に膀胱内圧測定により評価した。ラットを、Zoletil 50(登録商標)(10mg/kg、腹腔内;Vibac Laboratories,Carros,France)で麻酔した。カフ付きの滅菌ポリエチレンカテーテル(PE50)を、ドーム中へと腹部正中線切開を介して膀胱に埋め込み、巾着縫合糸により所定の位置で保持した。カテーテルを、3方向コックを介して圧力トランスデューサー(Harvard Apparatus,Holliston,MA,USA)及びシリンジポンプ(Harvard Apparatus)に接続して、膀胱内圧を記録し、膀胱中に生理食塩水を注入した。膀胱を空にした後、膀胱内圧測定を、0.5mLの生理食塩水を注入して行った。膀胱及び排尿機能を、Labscribeソフトウェア(iWorx/CB Science Inc.,Dover,DE,USA)を用いてモニタした。
膀胱内圧測定の直後に、実験動物を、組織採取のために屠殺した。組織調製を、以前に記載された[Koら,2018;Kimら,2018]ように行った。ラットを、Zoletil 50(登録商標)(10mg/kg、腹腔内;Vibac Laboratories)で麻酔した。ラットを、50mMのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、続いてpH7.4で100mMのリン酸ナトリウム緩衝液中4%パラホルムアルデヒドで経心灌流した。脊髄を、取り外し、同じ固定液で一晩固定し、凍結保護のために30%スクロース溶液に移した。40μmの厚さの連続水平切片を、凍結ミクロトーム(Leica,Wetzlar,Germany)を用いて作製した。脊髄を、損傷部位にまたがる領域から選択した。各領域で平均4つの切片を、各ラットから収集した。
H&E染色を、以前に記載された[Limら,(2018)]ように実施した。スライドを、メイヤーヘマトキシリン(DAKO,Glostrup,Denmark)に1分間浸漬し、透明になるまで水道水ですすぎ、エオジン(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO,USA)に20秒間浸し、再び水ですすいだ。スライドを、以下の溶液:95%エタノール、100%エタノール、50%エタノール、50%キシレン溶液、及び100%キシレンに2回浸漬した。最後に、カバーガラスを、パーマウント(登録商標)(Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を使用して取り付けた。
ウェスタンブロッティングを、以前に記載された方法[Leeら.,2020]に従い行った。膀胱組織を、1mMのPMSF(Sigma Aldrich, ST Louis,MO,USA)により冷却したRIPA緩衝液(Cell Signaling Technology,Inc.,Danvers,USA)でホモジナイズし、次いで4℃にて30分間14,000rpmで遠心分離した。タンパク質含量を、μドロップリーダー(Thermo Fisher Scientific,Vantaa,Finland)を用いて測定した。次に、30μgのタンパク質を、SDS-PAGEゲル上で分離し、ニトロセルロース膜上に移した。一次抗体は以下のもの:抗マウスNGF抗体、抗マウスVEGF抗体、抗ウサギBDNF抗体(1:1000;Santa Cruz Biotechnology,CA,USA)を含んだ。
データを、平均±平均の標準誤差として表す。グループ間の比較のために、一元配置分散分析とダンカン事後検定を行い、p値<0.05を、グループ間の統計的有意差を示すとみなした。
実施例4.1-機能回復の変化(BBBスケール及びラダー試験)
BBB試験からの機能回復を、図7Aに示す。SCIの誘発は、偽手術グループと比較してBBB試験でBBBオープンフィールド自発運動スコアを低下させた(p<0.05)。しかし、TGN-2治療は、BBBオープンフィールド自発運動スコアを増加させSCI誘発機能的不均衡を改善した。TGN-2治療による改善効果は、注射回数と共に増加した。
膀胱内圧測定からの排尿機能を、図8に示す。SCIの誘発は、膀胱収縮圧(CP)、収縮時間(CT)、及び収縮間間隔(ICI)を増加させた。SCI損傷後に、CP及びCTは、偽グループと比較して有意に減少された(p<0.05)。SCIグループのICIは、偽グループと比較して有意に増加された(p<0.05)。TGN-2投与後に、CP及びCTは、SCIグループと比較して有意に増加された(p<0.05)。SCIグループのICIは、SCIグループと比較して有意に増加された(P<0.05)。偽グループと比較して、CP、CT、及びICIの有意差が、TGN-2投与後に観察された(p<0.05)。
SCIの誘発後18日目における脊髄組織における組織学的変化の出現を、図9に示す。正常な形状の脊髄組織が、偽手術グループで観察された。SCIグループでは、組織学的画像は、背部において完全に破壊された病変を示した。しかし、TGN-2治療は、SCI誘発性破壊病変を減少させ、新しい組織が、損傷組織の周囲に現れ増加した。
本発明者らは、VEGF、NGF、及びBDNF発現に対するその効果を調べることによりTGN治療がSCIを改善するかどうかを決定するためにウェスタンブロッティングを行った(図10A~10C)。SCIの誘発は、脊髄損傷部位組織におけるVEGF、NGF、及びBDNF発現を増加させた(P<0.05)。しかし、TGN治療は、SCI誘発で過剰発現されるVEGF、NGF、及びBDNFの発現を抑制した(P<0.05)。これらの結果は、TGN治療がSCI誘発により増大される過剰な代償応答を抑制することを示している。
Claims (13)
- 神経を再生する又は神経変性を減弱させる量のホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)脂質ホスファターゼ阻害ペプチドを、損傷された神経にて又はその近傍の領域にて投与することを含む神経損傷の部位で神経を再生すること又は神経の変性を減弱することを含む脊髄損傷を治療する方法。
- 前記PTEN阻害剤ペプチドが、リン酸化部位のセリン又はスレオニンがリン酸化されるようにリン酸化部位が修飾された修飾されたPTENペプチド又はその断片である、請求項1に記載の方法。
- 前記リン酸化されるセリン又はスレオニンが、位置Thr-366、Ser-370、Ser-380、Thr-382、Thr-383又はSer-385に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記リン酸化されるセリン又はスレオニンが、位置Ser-370、Ser-380及び/又はSer-385に位置する、請求項1に記載の方法。
- 前記リン酸化されるセリン又はスレオニンが、位置Ser-370、Ser-380及びSer-385に位置する、請求項3に記載の方法。
- 前記リン酸化されるセリン又はスレオニンが、位置Ser-380及びSer-385に位置する、請求項3に記載の方法。
- 前記ペプチドが、リン酸化部位及び/又はPDZドメイン結合モチーフのペプチドの断片である、請求項1に記載の方法。
- 前記ペプチドが、ペプチド伝達ドメイン(PTD)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記神経損傷が、中枢神経系にある、請求項1に記載の方法。
- 神経を再生する又は神経変性を減弱させる量のホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)脂質ホスファターゼ阻害ペプチドを、損傷された神経にて又はその近傍の領域にて投与することを含む神経損傷の部位で神経を再生すること又は神経の変性を減弱することを含む脊髄損傷と関連付けられるか又は脊髄損傷により引き起こされる状態を治療する方法。
- 前記状態が、神経因性膀胱である、請求項10に記載の方法。
- 前記状態が、運動機能の損失である、請求項11に記載の方法。
- 前記状態が、運動協調の喪失である、請求項11に記載の方法。
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