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JP2024507808A - 逆ペプチド - Google Patents

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JP2024507808A
JP2024507808A JP2023549664A JP2023549664A JP2024507808A JP 2024507808 A JP2024507808 A JP 2024507808A JP 2023549664 A JP2023549664 A JP 2023549664A JP 2023549664 A JP2023549664 A JP 2023549664A JP 2024507808 A JP2024507808 A JP 2024507808A
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Abstract

Figure 2024507808000001
本発明は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされる免疫原性ペプチドに関する。本発明はまた、このようなペプチドをコードするポリヌクレオチド、ウイルス感染を処置および予防するためのこのようなペプチドおよびポリヌクレオチドの使用、ならびに本発明のペプチドを含む複合体に関する。

Description

優先権
本出願は、2021年2月16日に出願されたGR20210100099および2021年6月2日に出願されたUS63/196,128の優先権を主張し、その内容および要素は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされる免疫原性ペプチドに関する。本発明はまた、このようなペプチドをコードするポリヌクレオチド、ウイルス感染を処置および予防するためのこのようなペプチドおよびポリヌクレオチドの使用、ならびに本発明のペプチドを含む複合体に関する。
コロナウイルスは、哺乳動物および鳥類において疾患を引き起こす関連ウイルスの群である。コロナウイルス感染症の症状は種によって異なる。例えば、ニワトリにおけるコロナウイルス感染症は上気道疾患を引き起こすのに対して、ウシおよびブタにおけるコロナウイルス感染症は下痢を引き起こす傾向がある。
ヒトでは、コロナウイルスは気道感染症を引き起こす。風邪などの一部のコロナウイルスによる感染によって引き起こされる疾患は軽度であり得る。他のコロナウイルスは、SARS(SARS-CoV-1)、MERS(MERS-CoV)およびCOVID-19(SARS-CoV-2)などのより重篤で潜在的に致死的な疾患を引き起こす。コロナウイルス感染症の大流行の制御は、正確な検査および/または有効なワクチン接種を伴う戦略に依存するので、ワクチンおよび検査の提供が非常に望ましい。
本発明は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされる免疫原性ペプチドに関する。換言すれば、免疫原性ペプチドは、コロナウイルスのゲノムの逆相補配列の少なくとも一部によってコードされるオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされる。免疫原性ペプチドは、CD8+T細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープまたはB細胞エピトープなどのエピトープを含む。本発明はまた、免疫原性ペプチドをコードするポリヌクレオチド、ウイルス感染を処置および予防するためのこのような免疫原性ペプチドおよびポリヌクレオチドの使用、ならびに免疫原性ペプチドを含む複合体に関する。
本発明者らは、驚くべきことに、コロナウイルスSARS-CoV-2に感染した細胞上のMHCクラスI分子によって提示され、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでORFによって(すなわち、ORF1abポリタンパク質遺伝子の逆相補配列の一部によって)コードされる、いくつかの免疫原性ペプチドを特定した。ORFはSARS-CoV-2株の間で広く保存されており、したがって、SARS-CoV-2に対する選択的利点を与えると考えられる。保存されたORFによってコードされる1つまたは複数の免疫原性ペプチドを医薬組成物に含めることにより、SARS-CoV-2に対する防御能力および/または治療能力を付与することができる。保存されたORFによってコードされる1つまたは複数の免疫原性ペプチドを医薬組成物に含めることにより、SARS-CoV-2以外の1種または複数のコロナウイルス(またはコロナウイルス株)に対する防御能力および/または治療能力を付与することもできる。複数のこのような免疫原性ペプチド(例えば、それぞれ異なるHLAスーパータイプに結合することができる)を医薬組成物に含めることにより、異なるHLA型を有する個体において予防的および/または治療的に有効な広域スペクトル組成物を提供することができる。同様に、SARS-CoV-2に対する防御能力は、本発明者らによって特定された免疫原性ペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド(例えば、RNAまたはmRNA)を含むポリヌクレオチド(例えば、RNAまたはmRNA)ベースの組成物によって付与され得る。
本発明者らによって特定された免疫原性ペプチドはまた、SARS-CoV-2特異的免疫応答および/または他のコロナウイルスに特異的な免疫応答の調査において有用性を有し得る。この目的のために、本発明の免疫原性ペプチドは、MHC分子に結合した免疫原性ペプチドを含む複合体として提供され得る。
本発明者らはまた、驚くべきことに、エンデミック風邪コロナウイルス229Eに感染した細胞上のMHCクラスI分子によって提示され、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでゲノムの一部によって(すなわち、ゲノムの逆相補配列の一部によって)コードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチドを特定した。
したがって、本発明は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含む免疫原性ペプチドを提供する。
本発明はさらに、
-本発明の免疫原性ペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、mRNA);
-本発明の免疫原性ペプチドまたは本発明のポリヌクレオチド(例えば、RNA、mRNA)を含む医薬組成物;
-コロナウイルス感染症を予防および/または処置する方法であって、本発明の医薬組成物を個体に投与するステップを含む方法;
-個体のコロナウイルス感染症を予防および/または処置する方法における使用のための本発明の医薬組成物;ならびに
-MHC分子に結合した本発明の免疫原性ペプチドを含む複合体
を提供する。
本明細書に記載される発明は、そのような組み合わせが明らかに許容されないまたは明示的に回避される場合を除いて、態様および/または好ましい特徴の全ての組み合わせを含む。
翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFの位置を示す概略図である。 翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のゲノムの一部によってコードされるORF内の配列番号2~12のペプチドの位置を示す概略図である。 ペプチドALLTCQTIGLCN(配列番号2)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドLHSRTSFCMVGFS(配列番号3)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドLSIPCASSDFST(配列番号4)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドLTCQTIGLCNNLAPF(配列番号5)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドLYVALLVALLTCQ(配列番号6)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドQTIGLCNNLAP(配列番号7)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドRLSIPCASSDF(配列番号8)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドTCQTIGLCNNLAPFL(配列番号9)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドTLHSRTSFCMV(配列番号10)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドVALLTCQTIGLCN(配列番号11)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 ペプチドVFTLHSRTSF(配列番号12)のフラグメント質量スペクトルを示す図である。 英国SARS-CoV-2株におけるORF100変異性(実施例3)を示す図である。グラフは、ORF100の各位置についての正規化シャノンエントロピーを示す。0の値は高度に保存された位置に対応し、1は20個のアミノ酸のいずれかが見出される確率が等しい位置を表すことに留意されたい。 クレード、サンプリング日、地理的位置に関係ないSARS-CoV-2株のORF100変異性(実施例4)を示す図である。グラフは、ORF100の各位置についての正規化シャノンエントロピーを示す。0の値は高度に保存された位置に対応し、1は20個のアミノ酸のいずれかが見出される確率が等しい位置を表すことに留意されたい。 図15の拡大図である。 コンセンサス配列と初期SARS-CoV-2配列およびコウモリトコロナウイルスORF100配列のアラインメントを示す図である。 ネガティブセンスSARS-CoV-2ペプチドによるPBMC(ドナーEVB00028、EVB00031およびEVB00033由来)の刺激からのELISPOTデータを示す図である。 ネガティブセンスSARS-CoV-2ペプチドによるPBMC(ドナーEVB00028、EVB00031およびEVB00033由来)の刺激からのELISPOTデータを示す図である。 ネガティブセンスSARS-CoV-2ペプチドによるPBMC(ドナーEVB00028、EVB00031およびEVB00033由来)の刺激からのELISPOTデータを示す図である。 ネガティブセンスSARS-CoV-2ペプチドによるPBMC(ドナーEVB00028、EVB00031およびEVB00033由来)の刺激からのELISPOTデータを示す図である。 ネガティブセンスSARS-CoV-2ペプチドによるPBMC(ドナーEVB00028、EVB00031およびEVB00033由来)の刺激からのELISPOTデータを示す図である。 EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す図である。 2402/VFTLHSRTSF-APC MHCデキストラマー染色分析を示す図である。 2402/VFTLHSRTSF-APC MHCデキストラマー染色分析を示す図である。 2402/VFTLHSRTSF-APC MHCデキストラマー染色分析を示す図である。 2402/VFTLHSRTSF-APC MHCデキストラマー染色分析を示す図である。 2402/VFTLHSRTSF-APC MHCデキストラマー染色分析を示す図である。 2402/VFTLHSRTSF-APC MHCデキストラマー染色分析を示す図である。 ORF100をコードするポリヌクレオチドについての予想されるサイズのポリヌクレオチドに関連するバンドを示す図である。 ペプチドRLSIPCASSDF(確認済)についての質量スペクトルの検証を示す図である。A.細胞溶解物からのフラグメント質量スペクトル;B.合成ペプチドからのフラグメント質量スペクトル。矢印は、各群における同一性を示す一部の典型的なイオンピークを指す。 ペプチドRLSIPCASSDF(確認済)についての質量スペクトルの検証を示す図である。A.細胞溶解物からのフラグメント質量スペクトル;B.合成ペプチドからのフラグメント質量スペクトル。矢印は、各群における同一性を示す一部の典型的なイオンピークを指す。 ペプチドTLHSRTSFCMV(確認済)についての質量スペクトルの検証を示す図である。A.細胞溶解物からのフラグメント質量スペクトル;B.合成ペプチドからのフラグメント質量スペクトル。矢印は、各群における同一性を示す一部の典型的なイオンピークを指す。両群は同じ前駆イオンピーク:A(641.43)およびB(641.45)を有する。別の一致するイオンピークはY6:パネルA(344.24)およびパネルB(335.21)である。この差は、水分子の損失および電荷+2に起因し、よって、パネルBは、8質量/電荷の減少を示す。 ペプチドTLHSRTSFCMV(確認済)についての質量スペクトルの検証を示す図である。A.細胞溶解物からのフラグメント質量スペクトル;B.合成ペプチドからのフラグメント質量スペクトル。矢印は、各群における同一性を示す一部の典型的なイオンピークを指す。両群は同じ前駆イオンピーク:A(641.43)およびB(641.45)を有する。別の一致するイオンピークはY6:パネルA(344.24)およびパネルB(335.21)である。この差は、水分子の損失および電荷+2に起因し、よって、パネルBは、8質量/電荷の減少を示す。 ペプチドVALLTCQTIGLCN(確認済)についての質量スペクトルの検証を示す図である。A.細胞溶解物からのフラグメント質量スペクトル;B.合成ペプチドからのフラグメント質量スペクトル。矢印は、各群における同一性を示す一部の典型的なイオンピークを指す。合成ペプチド(パネルB)と比較して、細胞溶解物中のペプチド(パネルA)は低い存在量を示し、800~1200(m/z)の領域のフラグメントイオンピークが少なくなる。しかしながら、両パネルにはまだY4、B8などのシグネチャフラグメントイオンピークが存在する(矢印参照)。 ペプチドVALLTCQTIGLCN(確認済)についての質量スペクトルの検証を示す図である。A.細胞溶解物からのフラグメント質量スペクトル;B.合成ペプチドからのフラグメント質量スペクトル。矢印は、各群における同一性を示す一部の典型的なイオンピークを指す。合成ペプチド(パネルB)と比較して、細胞溶解物中のペプチド(パネルA)は低い存在量を示し、800~1200(m/z)の領域のフラグメントイオンピークが少なくなる。しかしながら、両パネルにはまだY4、B8などのシグネチャフラグメントイオンピークが存在する(矢印参照)。 ペプチドVFTLHSRTSF(確認済)についての質量スペクトルの検証を示す図である。A.細胞溶解物からのフラグメント質量スペクトル;B.合成ペプチドからのフラグメント質量スペクトル。矢印は、各群における同一性を示す一部の典型的なイオンピークを指す。 ペプチドVFTLHSRTSF(確認済)についての質量スペクトルの検証を示す図である。A.細胞溶解物からのフラグメント質量スペクトル;B.合成ペプチドからのフラグメント質量スペクトル。矢印は、各群における同一性を示す一部の典型的なイオンピークを指す。 対照群および感染群におけるHcoV229E由来ペプチドの概要を示す図である。 対照群および感染群における自己由来ペプチドの概要を示す図である。
配列表の説明
配列番号1-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFのポリヌクレオチド配列。各nは、tおよびuから独立して選択される。一態様では、各nが、例えば、tであり得る。すなわち、nの全てがtであってもよい。別の態様では、各nが、例えば、uであり得る。すなわち、nの全てがuであってもよい。さらなる態様では、nの一部がtであり得、nの一部がuであり得る。すなわち、配列は、tとuの組み合わせを含み得る。
配列番号2-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号3-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号4-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号5-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号6-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号7-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号8-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号9-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号10-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号11-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号12-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされる免疫原性ペプチド。
配列番号13-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2株のorf1ab遺伝子の一部によってコードされるORFによってコードされるコンセンサスアミノ酸配列。
配列番号14-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2分離株WIV04(MN996528.1)のゲノムによってコードされるORFによってコードされるアミノ酸配列。
配列番号15-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで武漢海鮮市場肺炎ウイルス分離株Wuhan-Hu-1(NC045512.2)のゲノムによってコードされるORFによってコードされるアミノ酸配列。
配列番号16-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコウモリコロナウイルス分離株RaTG13(MN996532.1)のゲノムによってコードされるORFによってコードされるアミノ酸配列。
配列番号17-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコウモリSARS様コロナウイルス分離株bat-SL-CoVZXC21(MG772934.1)のゲノムによってコードされるORFによってコードされるアミノ酸配列。
配列番号18-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコウモリSARS様コロナウイルス分離株bat-SL-CoVZC45(MG772933.1)のゲノムによってコードされるORFによってコードされるアミノ酸配列。
配列番号19-実施例で使用したオリゴ。
配列番号20-実施例で使用したオリゴ。
配列番号21-実施例で使用したオリゴ。
配列番号22-実施例で使用したオリゴ。
配列番号23-実施例で使用した増幅プライマー。
配列番号24-実施例で使用した増幅プライマー。
配列番号25:実施例で使用したT7 RNAポリメラーゼ鋳型プライマー。
キー:LNSORF100についてのT7プロモーターコザックプライマー
配列番号26:実施例で使用したT7 RNAポリメラーゼ鋳型プライマー。
キー:ポリ(A)プライマー
配列番号27~45-翻訳可能なポジティブセンスRNAと同じセンスでエンデミック風邪コロナウイルス229E(NP_073549.1)のゲノムによってコードされるアミノ酸配列。
配列番号46-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでエンデミック風邪コロナウイルス(NP_073549.1)のゲノムによってコードされるORFによってコードされるアミノ酸配列。
配列番号57~52-翻訳可能なポジティブセンスRNAと同じセンスでエンデミック風邪コロナウイルス229Eのゲノムによってコードされるアミノ酸配列。
配列番号53-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでエンデミック風邪コロナウイルス229E(NP_073549.1)のゲノムによってコードされるORFによってコードされるアミノ酸配列。
配列番号54~62-翻訳可能なポジティブセンスRNAと同じセンスでエンデミック風邪コロナウイルス229E(NP_073549.1)のゲノムによってコードされるアミノ酸配列。
ここで、本発明の態様および実施形態を、添付の図面を参照して説明する。さらなる態様および実施形態は、当業者には明らかであろう。本文で言及される全ての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
一本鎖RNA(ssRNA)ウイルスは、それらのゲノムRNAのセンスまたは極性に応じてポジティブセンスまたはネガティブセンスとして分類される。ネガティブセンスssRNAウイルスでは、ネガティブセンス(3’→5’)ゲノムRNAはmRNAに相補的であり、一般に翻訳前にRNAポリメラーゼによってポジティブセンスRNAに変換されなければならない。コロナウイルスなどのポジティブセンスssRNAウイルスでは、ポジティブセンス(5’→3’)ゲノムRNAはmRNAとしても機能することができ、宿主細胞内でタンパク質に翻訳され得る。すなわち、ネガティブセンスssRNAウイルスの複製は、一般に、ゲノムに相補的なmRNAを形成するゲノムの転写、およびmRNAの翻訳後に起こる。ポジティブセンスssRNAウイルスの複製は、一般に、mRNAとして二倍になるゲノムRNAの翻訳後に起こる。
伝統的に、ssRNAウイルスのネガティブセンスRNAはノンコーディングであると考えられてきた。しかしながら、非標準翻訳が可能であり得る。インフルエンザウイルスなどのある特定のネガティブセンスssRNAウイルスのネガティブセンスゲノムRNAは、実際には5’→3’方向に翻訳可能であり、標準翻訳(すなわち、相補的mRNAを形成する3’→5’への転写、およびmRNAの5’→3’への翻訳)を介して得られるものとは異なる遺伝子産物をもたらし得るようである。同様に、ポジティブセンスssRNAウイルスのゲノムに相補的なRNAも、実際には翻訳可能であり得る。
コロナウイルスはポジティブセンスssRNAウイルスである。本発明者らは、コロナウイルスにおける非標準翻訳から得られるポリペプチドが、コロナウイルスに感染した個体の免疫系によって認識されるペプチドを含み得ることを実証するデータを得た。例えば、コロナウイルスにおける非標準翻訳から得られるポリペプチドは、MHCクラスI分子による提示およびCD8+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能なペプチドを含み得る。換言すれば、コロナウイルスにおける非標準翻訳から得られるポリペプチドは、CD8+T細胞エピトープであるペプチドを含み得る。コロナウイルスにおける非標準翻訳から得られるポリペプチドは、例えば、MHCクラスII分子による提示およびCD4+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能なペプチドを含み得る。換言すれば、コロナウイルスにおける非標準翻訳から得られるポリペプチドは、CD4+T細胞エピトープであるペプチドを含み得る。コロナウイルスにおける非標準翻訳から得られるポリペプチドは、例えば、抗体への特異的結合および/またはB細胞上に存在するB細胞受容体(BCR)による認識が可能なペプチドを含み得る。換言すれば、コロナウイルスにおける非標準翻訳から得られるポリペプチドは、B細胞エピトープであるペプチドを含み得る。いずれのこのような免疫原性ペプチドも、コロナウイルスに対する免疫応答を誘導するために、例えば医薬組成物で個体に投与され得る。このようにして、予防および/または治療を達成することができる。
一般的定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ポリヌクレオチド(a polynucleotide)」への言及は「ポリヌクレオチド(polynucleotides)」を含み、「免疫原性ペプチド(an immunogenic peptide)」への言及は2つ以上のこのような免疫原性ペプチドを含むなどである。
一般に、「含む(comprising)」という用語は、それだけに限らないが、~を含む、を意味することを意図している。例えば、「エピトープを含む免疫原性ペプチド」という句は、免疫原性ペプチドがエピトープを含むが、免疫原性ペプチドが追加のアミノ酸も含み得ることを意味すると解釈されるべきである。
本開示の一部の態様では、「含む(comprising)」という単語は、「からなる(consisting of)」という句で置き換えられる。「からなる(consisting of)」という用語は限定的であることを意図している。例えば、「エピトープからなる免疫原性ペプチド」という句は、免疫原性ペプチドがエピトープを含み、追加のアミノ酸を含まないことを意味すると理解されるべきである。
本開示の目的のために、2つの配列(例えば、2つのポリヌクレオチドまたは2つのアミノ酸配列)のパーセント同一性を決定するために、最適な比較目的のために配列を整列させる(例えば、第2の配列との最適なアラインメントのために第1の配列にギャップを導入することができる)。次いで、ヌクレオチド/アミノ酸位置のヌクレオチド/アミノ酸残基を比較する。第1の配列中の位置が第2の配列中の対応する位置と同じヌクレオチドまたはアミノ酸残基によって占められる場合、ヌクレオチドまたはアミノ酸はその位置で同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一の位置の数/参照配列中の位置の総数×100)。
典型的には、配列比較は、参照配列の長さにわたって行われる。例えば、使用者が、所与の(「試験」)配列が配列番号Xとある特定のパーセンテージ同一性を有するかどうかを決定したい場合、配列番号Xが参照配列となるだろう。例えば、配列が配列番号X(参照配列の一例)と少なくとも80%同一であるかどうかを評価するために、当業者は、配列番号Xの長さにわたってアラインメントを行い、試験配列中のいくつの位置が配列番号Xの位置と同一であるかを特定するであろう。位置の少なくとも80%が同一である場合、試験配列は配列番号Xと少なくとも80%同一である。配列が配列番号Xよりも短い場合、ギャップまたは欠落している位置は非同一位置であると見なされるべきである。
当業者であれば、2つの配列間の相同性または同一性を決定するために利用可能な様々なコンピュータプログラムを知っている。例えば、2つの配列間の配列の比較およびパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。標準的な分子生物学技術については、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook,J.、Russel,D.W.Molecular Cloning、A Laboratory Manual.第3版2001、Cold Spring Harbor、ニューヨーク:Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
本発明の免疫原性ペプチド
本発明は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含む免疫原性ペプチドを提供する。この免疫原性ペプチドは、以下の考察から明らかになるいくつかの利点を有する。重要な利点をここに要約する。
第1に、免疫原性ペプチドはエピトープを含む。エピトープは、例えば、配列番号2~12、46および53のうちの1つに示されるペプチド、および本発明者らによって新たに特定されたペプチドなどのCD8+T細胞エピトープであり得る。したがって、免疫原性ペプチドは、コロナウイルスまたは複数のコロナウイルスに対する免疫応答を刺激することができる。免疫応答は、例えば、エピトープがCD8+T細胞エピトープである場合、細胞性免疫応答(例えば、CD8+T細胞応答)であり得る。CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、感染細胞に対するそれらの細胞傷害活性を介してウイルス排除を媒介する。したがって、細胞性免疫の刺激は、コロナウイルス感染に対する有益な防御を提供し得る。免疫応答は、例えば、エピトープがB細胞エピトープである場合、体液性免疫応答(例えば、B細胞応答または抗体応答)であり得る。体液性免疫応答は、抗体結合を介してウイルスの中和および/または排除を媒介する。したがって、体液性免疫の刺激は、コロナウイルス感染に対する有益な防御を提供し得る。免疫応答は、例えば、エピトープがCD4+T細胞エピトープである場合、ヘルパーT細胞応答(例えば、CD4+T細胞応答)であり得る。Tヘルパーリンパ球は、サイトカインなどの免疫メディエーターを分泌することによって他の免疫細胞の活性を「助ける」。したがって、ヘルパーT細胞応答の刺激は、コロナウイルスに対する細胞性および/または体液性免疫応答を促進または増強し、ウイルスに対する有益な防御を提供し得る。
第2に、免疫原性ペプチドに含まれるエピトープが由来するポリペプチドをコードするORFは、複数のコロナウイルスまたはコロナウイルス株間で保存され得る。したがって、ポリペプチドは、複数のコロナウイルスまたはコロナウイルス株間で保存され得る。したがって、エピトープ自体は、複数のコロナウイルスまたはコロナウイルス株間で保存され得る。例えば、ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、SARS-CoV-2の異なる株間で保存され得る。したがって、免疫原性ペプチドを含む医薬組成物は、SARS-CoV-2の複数の異なる株に対する交差防御(cross-protection)および/または治療上の利益を提供し得る。このようにして、免疫原性ペプチドを含む医薬組成物は、当技術分野で最近報告された変異などの変異によって引き起こされる問題に対抗して、SARS-CoV-2に対する広域予防または処置を提供するのに適している。換言すれば、免疫原性ペプチドを含む単一医薬組成物が、多種多様な既存および新興のSARS-CoV-2株に対する防御免疫および/または治療免疫を誘導し得る。これにより、SARS-CoV-2が変異した場合に新たなワクチンまたは処置を開発する必要性が低減または排除され得る。ORFおよび/またはエピトープは、異なるヒトコロナウイルス間で保存され得る。したがって、免疫原性ペプチドを含む医薬組成物は、複数の異なるヒトコロナウイルスに対する交差防御および/または治療上の利益を提供し得る。このようにして、免疫原性ペプチド(または免疫原性ペプチドをコードするポリヌクレオチド)を含む医薬組成物は、既存および新興のヒトコロナウイルスを含む様々なヒトコロナウイルスに対する広域予防および/または処置を提供するのに適している。
ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、ヒトコロナウイルスと他の動物のコロナウイルスとの間で保存され得る。このようにして、本発明の免疫原性ペプチドを含む医薬組成物は、動物コロナウイルスがヒト集団において確立されるのを防ぐことができる。換言すれば、本発明の免疫原性ペプチドを含む医薬組成物は、既存のヒトコロナウイルスから防御するのと同様に、種の境界線を横断する動物コロナウイルスを防ぐことができる。これは、さらなるパンデミックヒトコロナウイルスの出現を防止し得る。
第3に、免疫原性ペプチドは、異なるHLAスーパータイプに結合することが可能であり得る。それぞれ異なるHLAスーパータイプに結合すること可能なエピトープを含む本発明の複数の免疫原性ペプチドを医薬組成物に含めることにより、異なるHLA型を有する個体において有効な医薬組成物が得られる。このようにして、単一医薬組成物を使用して、ヒト集団の大部分においてコロナウイルスに対する防御を付与することができる。これは、ウイルス感染の発生および拡散を制御する費用対効果の高い手段を提供する。同様に、単一治療用組成物を使用して、ヒト集団の大部分においてコロナウイルスを処置することができる。これは、コロナウイルス感染症を処置する費用対効果の高い手段を提供する。
第4に、免疫原性ペプチドをコードするORFによってコードされるポリペプチドは、ヒトにおけるコロナウイルスの適合度を高め得る。換言すれば、ポリペプチドは、それがコードされるコロナウイルスに対する選択的利点を付与し得る。したがって、本発明の免疫原性ペプチドを含む医薬組成物は、選択的利点を付与されたコロナウイルスに関連するエピトープを標的化し得る。したがって、本発明の医薬組成物は、コロナウイルスの新興および/または潜在的パンデミック株に対する有効な予防または処置を提供するようにうまく設計され得る。したがって、本発明の医薬組成物は、コロナウイルスのエンデミック株またはコロナウイルスの季節性株に対する有効な予防または処置を提供するようにうまく設計され得る。
第5に、免疫原性ペプチドは、ナノ粒子、例えば金ナノ粒子に付着され得る。以下により詳細に記載されるように、ナノ粒子への付着により、免疫原性ペプチドを含む医薬(例えば、ワクチン)組成物中にアジュバントを含める必要性が低減または排除される。したがって、本発明の免疫原性ペプチドを含む医薬組成物は、個体への投与時に有害な臨床効果を引き起こす可能性が低い。
免疫原性ペプチド
免疫原性ペプチドは、免疫応答を誘発することができるペプチドである。本発明の免疫原性ペプチドは、翻訳可能なそのポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含む。
エピトープは、例えば、CD8+T細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープまたはB細胞エピトープであり得る。エピトープは、例えば、CD4+T細胞エピトープを含むCD8+T細胞エピトープなどの入れ子状エピトープ(nested epitope)であり得る。好ましくは、エピトープはCD8+T細胞エピトープである。
CD8+T細胞エピトープは、(i)クラスI MHC分子による提示、および(ii)CD8+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能なペプチドである。好ましくは、TCRによる認識は、CD8+T細胞の活性化をもたらす。CD8+T細胞活性化は、増殖、サイトカイン産生および/または細胞傷害性効果の増加をもたらし得る。典型的には、CD8+T細胞エピトープは約9アミノ酸長である。しかしながら、CD8+T細胞エピトープはより短くても長くてもよい。例えば、CD8+T細胞エピトープは、約8、9、10、11、12、13、14または15アミノ酸長であり得る。CD8+T細胞エピトープは、約8~15、9~14、10~13または11~12アミノ酸長であり得る。
CD4+T細胞エピトープは、(i)クラスII MHC分子による提示、および(ii)CD4+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能なペプチドである。好ましくは、TCRによる認識は、CD4+T細胞の活性化をもたらす。CD4+T細胞活性化は、増殖および/またはサイトカイン産生の増加をもたらし得る。典型的には、CD4+T細胞エピトープは約12~15アミノ酸長である。しかしながら、CD4+T細胞エピトープはより短くても長くてもよい。例えば、CD4+T細胞エピトープは、約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19アミノ酸長であり得る。CD8+T細胞エピトープは、約8~19、9~18、10~17、11~16、12~14または13~15アミノ酸長であり得る。
B細胞エピトープは、B細胞上に存在するB細胞受容体(BCR)または抗体による認識が可能なペプチドである。したがって、B細胞エピトープは抗体結合エピトープであり得る。BCRによる認識は、例えば、B細胞の活性化および/または成熟をもたらし得る。B細胞活性化は、増殖および/または抗体産生の増加をもたらし得る。B細胞エピトープは、線状エピトープ、すなわちORFによってコードされる一次アミノ酸配列によって定義されるエピトープであり得る。あるいは、エピトープは、立体構造エピトープ、すなわちORFによってコードされる天然タンパク質の立体構造によって定義されるエピトープであり得る。この場合、エピトープは連続的(すなわち、抗体と相互作用する成分が、タンパク質上で連続的に互いに隣接して位置する)または不連続的(すなわち、抗体と相互作用する成分が、折り畳まれた天然タンパク質構造において互いに近づけられる、タンパク質の分離した部分に位置する)であり得る。典型的には、B細胞エピトープまたは抗体結合エピトープは約5~20アミノ酸長である。例えば、B細胞エピトープは、約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20アミノ酸長であり得る。B細胞エピトープは、約6~19、7~18、8~17、9~16、10~15、11~14または12~13アミノ酸長であり得る。
免疫原性ペプチドに含まれるエピトープは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドに由来する。換言すれば、エピトープは、本質的に、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドに含まれ得る、またはその一部を形成し得る。すなわち、エピトープは、コロナウイルスのゲノムの逆相補配列の少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドに含まれ得る、またはその一部を形成し得る。ポリペプチドは、コロナウイルスの表面上またはコロナウイルスビリオン内で発現され得る。ウイルスによるポリペプチドの発現は一過性であり得る、すなわち、ポリペプチドが、そのライフサイクルのある特定の時点および/またはある特定の環境条件下でのみコロナウイルスによって発現され得る。あるいは、コロナウイルスは、ポリペプチドの持続的発現を有し得る。ポリペプチドは、コロナウイルスの代謝または複製に関与するペプチドなどの構造ペプチドまたは機能ペプチドであり得る。しかしながら、場合によっては、ポリペプチドの目的および/または機能は未知であり得る。
エピトープを生じさせるポリペプチドは、ヒトにおけるコロナウイルスの適合度を高め得る。例えば、ポリペプチドは、ヒト宿主細胞におけるウイルスの生存および/または複製を改善し得る。したがって、ポリペプチドは、コロナウイルスに対する選択的利点を付与し得る。換言すれば、ポリペプチドの発現は、ポリペプチドを発現しないコロナウイルスよりも良好にコロナウイルスが生存および/または増殖することを可能にし得る。この場合、進化的選択プロセスは、ゲノムの少なくとも一部が、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで、ポリペプチドをコードするORFをコードするウイルスを選択し得る。したがって、ORF(その結果、ポリペプチドおよび/またはエピトープ)は、異なるコロナウイルス間または所与のコロナウイルスの異なる株間で保存され得る。
ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、例えば、2種以上(例えば、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、20種以上、50種以上、100種以上、250種以上、500種以上、750種以上または1000種以上)のヒトコロナウイルス間で保存され得る。例えば、ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、SARS-CoV-2の2種以上の異なる株間で保存され得る。ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、例えば、SARS-CoV-2と1種または複数の他のヒトコロナウイルスとの間で保存され得る。例えば、ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、SARS-CoV-2と、(a)SARS-CoV-1、(b)229E、(c)NL63、(d)OC43、(e)HKU1および(f)MERS-CoVの1つまたは複数との間で保存され得る。ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、例えば、SARS-CoV-2と(a);(b);(c);(d);(e);(f);(a)および(b);(a)および(c);(a)および(d);(a)および(e);(a)および(f);(b)および(c);(b)および(d);(b)および(e);(b)および(f);(c)および(d);(c)および(e);(c)および(f);(d)および(e);(d)および(f);(e)および(f);(a)、(b)および(c);(a)、(b)および(d);(a)、(b)および(e);(a)、(b)および(f);(a)、(c)および(d);(a)、(c)および(e);(a)、(c)および(f);(a)、(d)および(e);(a)、(d)および(f);(a)、(e)および(f);(b)、(c)および(d);(b)、(c)および(e);(b)、(c)および(f);(b)、(d)および(e);(b)、(d)および(f);(b)、(e)および(f);(c)、(d)および(e);(c)、(d)および(f);(c)、(e)および(f);(d)、(e)および(f);(a)、(b)、(c)および(d);(a)、(b)、(c)および(e);(a)、(b)、(c)および(f);(a)、(b)、(d)および(e);(a)、(b)、(d)および(f);(a)、(b)、(e)および(f);(a)、(c)、(d)および(e);(a)、(c)、(d)および(f);(a)、(c)、(e)および(f);(a)、(d)、(e)および(f);(b)、(c)、(d)および(e);(b)、(c)、(d)および(f);(b)、(c)、(e)および(f);(b)、(d)、(e)および(f);(c)、(d)、(e)および(f);(a)、(b)、(c)、(d)および(e);(a)、(b)、(c)、(d)および(f);(a)、(b)、(c)、(e)および(f);(a)、(b)、(d)、(e)および(f);(a)、(c)、(d)、(e)および(f);(b)、(c)、(d)、(e)および(f);または(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)との間で保存され得る。ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、SARS-CoV-2と1種または複数のエンデミック風邪コロナウイルスとの間で保存され得る。例えば、ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、SARS-CoV-2と、(i)229E、(ii)NL63、(iii)OC43および(iv)HKU1の1つまたは複数との間で保存され得る。ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、例えば、SARS-CoV-2と(i);(ii);(iii);(iv);(i)および(ii);(i)および(iii);(i)および(iv);(ii)および(iii);(ii)および(iv);(iii)および(iv);(i)、(ii)および(iii);(i)、(ii)および(iv);(i)、(iii)および(iv);(ii)、(iii)および(iv);または(i)、(ii)、(iii)および(iv)との間で保存され得る。ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、229Eと1種または複数の他のヒトコロナウイルスとの間で保存され得る。
ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、例えば、1種または複数(例えば、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、20種以上、50種以上、100種以上、250種以上、500種以上、750種以上または1000種以上)のヒトコロナウイルスと1種または複数(例えば、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、20種以上、50種以上、100種以上、250種以上、500種以上、750種以上または1000種以上)の動物コロナウイルス間で保存され得る。例えば、ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、例えば、1種または複数のSARS-CoV-2ウイルスと1種または複数の動物コロナウイルスとの間で保存され得る。1種または複数の動物コロナウイルスは、コウモリに感染することができるコロナウイルスを含み得る。
ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、例えば、2種以上の動物コロナウイルス間で保存され得る。例えば、ORF、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、20種以上、50種以上、100種以上、250種以上、500種以上、750種以上または1000種以上の動物コロナウイルス間で保存され得る。2種以上の動物コロナウイルスは、同じ種の動物に感染することができるコロナウイルスを含み得る。2種以上の動物コロナウイルスは、異なる種の動物に感染することができるコロナウイルスを含み得る。2種以上の動物コロナウイルスは、コウモリに感染することができるコロナウイルスを含み得る。
翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで各ウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORF間に少なくとも20%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)の同一性がある場合、ORF(その結果、ポリペプチドおよび/またはエピトープ)は2種以上の異なるコロナウイルス間で保存されている。
免疫原性ペプチドに含まれるエピトープは、(a)SARS-CoV-1、(b)229E、(c)NL63、(d)OC43、(e)HKU1および(f)MERS-CoVの1つまたは複数において約100コドン長の予測ORFによってコードされるポリペプチド中に存在し得る。この場合、(a)~(f)の1つまたは複数における約100コドン長の予測ORF中のCD8+T細胞エピトープの存在は、免疫原性ペプチドを含む医薬組成物が(a)~(f)の1つまたは複数による感染に対する防御および/または処置を提供することを示し得る。免疫原性ペプチドに含まれるエピトープは、SARS-CoV-2において約100コドン長のORFによってコードされるポリペプチド、ならびに(a)SARS-CoV-1、(b)229E、(c)NL63、(d)OC43、(e)HKU1および(f)MERS-CoVの1つまたは複数において約100コドン長の予測ORFによってコードされるポリペプチド中に存在し得る。この場合、(a)~(f)の1つまたは複数における約100コドン長の予測ORF中のエピトープの存在は、免疫原性ペプチドを含む医薬組成物が SARS-CoV-2および(a)~(f)の1つまたは複数に対する交差防御および/または治療上の利益を提供することを示し得る。
免疫原性ペプチドは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のただ1つのエピトープを含み得る。あるいは、免疫原性ペプチドは、2つ以上、例えば3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、15以上または20以上のこのようなエピトープを含み得る。免疫原性ペプチドが、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の2つ以上のエピトープを含む場合、エピトープの各々は、CD8+T細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープおよびB細胞エピトープから独立して選択され得る。例えば、免疫原性ペプチドは、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の2つ以上のCD8+T細胞エピトープを含み得る。免疫原性ペプチドは、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の2つ以上のCD4+T細胞エピトープを含み得る。免疫原性ペプチドは、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の2つ以上のB細胞エピトープを含み得る。免疫原性ペプチドは、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の1つまたは複数(例えば、2つ以上)のCD8+T細胞エピトープと、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の1つまたは複数(例えば、2つ以上)のCD4+T細胞エピトープとを含み得る。免疫原性ペプチドは、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の1つまたは複数(例えば、2つ以上)のCD8+T細胞エピトープと、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の1つまたは複数(例えば、2つ以上)のB細胞エピトープとを含み得る。免疫原性ペプチドは、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の1つまたは複数(例えば、2つ以上)のCD4+T細胞エピトープと、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の1つまたは複数(例えば、2つ以上)のB細胞エピトープとを含み得る。
翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来の1つまたは複数のエピトープと同様に、免疫原性ペプチドは、1つもしくは複数の他のCD8+T細胞エピトープ、1つもしくは複数の他のCD4+T細胞エピトープおよび/または1つもしくは複数の他のB細胞エピトープを含み得る。例えば、免疫原性ペプチドは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のCD8+T細胞エピトープではない1つまたは複数、例えば2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上または20以上のCD8+T細胞エピトープを含み得る。免疫原性ペプチドは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のCD4+T細胞エピトープではない1つまたは複数、例えば2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上または20以上のCD4+T細胞エピトープを含み得る。免疫原性ペプチドは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のB細胞エピトープではない1つまたは複数、例えば2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上または20以上のB細胞エピトープを含み得る。
多くのコロナウイルスB細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープおよびCD8+T細胞エピトープが当技術分野で公知である。B細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープおよびCD8+T細胞エピトープを特定する方法が当技術分野で公知である。エピトープマッピング法には、X線共結晶学、アレイベースのオリゴペプチドスキャン(重複ペプチドスキャンまたはペプスキャン分析と呼ばれることもある)、部位特異的突然変異誘発、ハイスループット突然変異誘発マッピング、水素-重水素交換、架橋結合質量分析、ファージディスプレイおよび限定分解(limited proteolysis)が含まれる。MHCモチーフ予測方法論も使用され得る。以下に記載されるように、CD8+T細胞エピトープを直接特定するために、コロナウイルス感染細胞によって提示されるCD8+T細胞エピトープを特定することができる。
好ましくは、免疫原性ペプチドは、配列番号2~12、46および53に示される配列、または配列番号2~12、46および53から選択される関連配列との少なくとも50%の配列同一性を有するそのバリアントの1つまたは複数を含むか、またはそれからなる。バリアントは、例えば、配列番号2~12、46および53から選択される関連配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有し得る。配列番号2~12の各々は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-Cov-2のゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のCD8+T細胞エピトープを表す。配列番号46および53の各々は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで229Eのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のCD8+T細胞エピトープを表す。配列番号2~12を表1に示す。表1はまた、配列番号2~12の各々が結合するHLAスーパータイプを示す。表1に示されるHLA結合は、(i)伝統的なモチーフパターンの分析および(ii)2つの結合予測プログラム(MHCflurryおよびPSSMHCpan、KD<=1μMについて選択)のアウトプットからの統合した結果を表す。
<表1>
配列番号46および53を表15に示す。
免疫原性ペプチドは、配列番号2~12に示される配列の全てを含み得る、またはからなり得る。免疫原性ペプチドは、配列番号2~12の各々のバリアントを含み得る、またはからなり得、バリアントは、配列番号2~12から選択される関連配列との少なくとも50%の配列同一性を有する。バリアントは、例えば、配列番号2~12から選択される関連配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。免疫原性ペプチドは、配列番号46および53に示される配列の両方を含み得る、またはからなり得る。免疫原性ペプチドは、配列番号46および53の各々のバリアントを含み得る、またはからなり得、バリアントは、配列番号46および53から選択される関連配列との少なくとも50%の配列同一性を有する。バリアントは、例えば、配列番号46および53から選択される関連配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
免疫原性ペプチドは、配列:MSPTTSVVFTLHSRTSFCMVGFSTTSSETGFRSSQARLSIPCASSDFSTSNEFDVSTGFVLQRQRIHQVFGLYVALLVALLTCQTIGLCNNLAPFLKEGV(配列番号13)またはこれとの少なくとも50%の配列同一性を有するバリアントを含むポリペプチドを含み得る。バリアントは、例えば、配列番号13との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
免疫原性ペプチドは、配列番号14~18のいずれかの配列、またはこれとの少なくとも50%の配列同一性を有するバリアントを含むポリペプチドを含み得る。バリアントは、例えば、配列番号14~18から選択されるそれぞれの配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
本明細書に記載される免疫原性ペプチドのいずれも、任意の数のアミノ酸を含み得る、すなわち任意の長さであり得る。例えば、免疫原性ペプチドは、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95または約100アミノ酸長であり得る。例えば、免疫原性ペプチドは、約8~約100、約9~約95、約10~約90、約15~約85、約20~約80、約25~約75、約30~約70、約35~約65、約40~約60、約45~約55または約50アミノ酸長であり得る。典型的には、免疫原性ペプチドは、約8~約30、35または40アミノ酸長、例えば約9~約29、約10~約28、約11~約27、約12~約26、約13~約25、約13~約24、約14~約23、約15~約22、約16~約21、約17~約20または約18~約29アミノ酸長である。
本明細書に記載される免疫原性ペプチドのいずれも、ポリペプチド抗原から、例えばタンパク質分解的切断によって化学的に誘導され得る。より典型的には、免疫原性ペプチドは、当技術分野で周知の方法を使用して合成され得る。
「ペプチド」という用語は、アミノ酸残基がペプチド(-CO-NH-)結合によって連結されている分子だけでなく、ペプチド結合が逆転している分子も含む。このようなレトロインベルソペプチド模倣物は、当技術分野で公知の方法、例えば全体が参照により本明細書に組み込まれる、Meziereら(1997)J.Immunol.159、3230~3237に記載される方法を使用して作製され得る。このアプローチは、側鎖の配向ではなく、骨格を伴う変化を含む擬似ペプチドの作製を伴う。Meziereら(1997)は、少なくともMHCクラスIIおよびTヘルパー細胞応答について、これらの擬似ペプチドが有用であることを示している。CO-NHペプチド結合の代わりにNH-CO結合を含有するレトロインベルソペプチドは、タンパク質分解に対してはるかに耐性である。
同様に、アミノ酸残基の炭素原子間の間隔を保持する適切なリンカー部分が使用される限り、ペプチド結合は完全に省略されてもよい;リンカー部分が、ペプチド結合と実質的に同じ電荷分布および実質的に同じ平面性を有する場合が特に好ましい。ペプチドが、エキソ型タンパク質分解消化(exoproteolytic digestion)に対する感受性を低下させるのを助けるために、そのN末端またはC末端で都合よくブロックされ得ることも理解されよう。例えば、ペプチドのN末端アミノ基は、カルボン酸と反応することによって保護され得、ペプチドのC末端カルボキシル基は、アミンと反応することによって保護され得る。修飾の他の例としては、グリコシル化およびリン酸化が挙げられる。別の可能な修飾は、RまたはKの側鎖アミン上の水素がメチレン基で置き換えられ得るものである(-NH2が-NH(Me)または-N(Me)に修飾され得る)。
「ペプチド」という用語はまた、インビボでペプチドの半減期を増加または減少させるペプチドバリアントを含む。本発明に従って使用されるペプチドの半減期を増加させることができる類似体の例としては、ペプチドのペプトイド類似体、ペプチドのD-アミノ酸誘導体およびペプチド-ペプトイドハイブリッドが挙げられる。本発明に従って使用されるバリアントポリペプチドのさらなる実施形態は、ポリペプチドのD-アミノ酸形態を含む。L-アミノ酸ではなくD-アミノ酸を使用するポリペプチドの調製は、正常な代謝プロセスによるこのような薬剤の望ましくない分解を大幅に減少させ、その投与頻度と共に、投与する必要がある薬剤の量を減少させる。
免疫原性ペプチドは、例えば、少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプと相互作用し得る。これにより、免疫原性ペプチドが、より高い割合の個体または個体由来の細胞試料においてCD8+T細胞応答を誘発することが可能になる。免疫原性ペプチドは、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つまたは少なくとも10の異なるHLAスーパータイプと相互作用し得る。各免疫原性ペプチドは、例えば、任意の組み合わせのA1、A10、A11、A19、A2、A203、A210、A23、A24、A2403、A25、A26、A28、A29、A3、A30、A31、A32、A33、A34、A36、A43、A66、A68、A69、A74、A80、A9、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B21、B22、B27、B35、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B44、B45、B46、B47、B48、B49、B5、B50、B51、B5102、B5103、B52、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B63、B64、B65、B67、B7、B70、B703、B71、B72、B73、B75、B76、B77、B78、B8、B81、B82、C1、C10、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8およびC9、または当技術分野で公知の任意の他のHLAスーパータイプの2つ以上と相互作用し得る。
CD8+T細胞エピトープ
本発明の免疫原性ペプチドは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含む。換言すれば、本発明の免疫原性ペプチドは、コロナウイルスのゲノムの逆相補配列の少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含む。エピトープは、好ましくはCD8+T細胞エピトープである。したがって、本発明の免疫原性ペプチドは、コロナウイルスのゲノムの逆相補配列の少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のCD8+T細胞エピトープを含み得る。
免疫原性ポリペプチドに含めるためのCD8+T細胞エピトープを直接特定するために、コロナウイルス感染細胞によって提示されるCD8+T細胞エピトープを特定することができる。これは、単独で、またはMHCモチーフ予測方法論によって特定された潜在的なCD8+T細胞エピトープの有用性を確認するために使用することができる効率的かつ論理的な方法である。
この方法を実施するために、細胞をコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)に感染させ、約37℃の温度で約72時間培養で維持する。培養後、細胞を収穫し、洗浄する。次に、細胞を、例えば、ホモジナイゼーションおよび緩衝液中での凍結/解凍によって溶解する。溶解緩衝液は、例えば、約1%のNP40を含有し得る。溶解物から、例えば約3000rpmで約10分間の遠心分離によって、細胞片を除去することができる。次いで、MHC/ペプチド複合体を溶解物から単離することができる。このようにする多数の方法が当技術分野で公知である。例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/186199号パンフレットに記載されるように、イムノアフィニティークロマトグラフィーを使用してMHC/ペプチド複合体を単離することができる。あるいは、免疫プロテオミクスプロトコルを使用してもよい。いずれの場合でも、その後、ペプチド含有画分を、例えば高速液体クロマトグラフィーを使用して洗浄することができる。ペプチド含有画分を質量分析によって分析して、画分の配列を特定する。次いで、取得したスペクトルデータを、コロナウイルスについてデータベース化された全てのタンパク質に対して検索して、コロナウイルスに関連するペプチド配列を特定することができる。場合により、合成ペプチドを特定された配列に従って作製し、質量分析に供して、ペプチド含有画分中のペプチドとのそれらの同一性を確認することができる。
この方法および当技術分野で公知の同様の方法では、任意の型の細胞を任意の型のコロナウイルスに感染させることができる。コロナウイルスを以下に詳細に記載する。細胞は抗原提示細胞(APC)であり得る。細胞は、HepG2細胞などのヘパトーマ細胞、JY細胞などのEBV形質転換リンパ芽球様B細胞、またはT2細胞などのリンパ芽球であり得る。
ssRNAウイルス感染細胞によって提示されるCD8+T細胞エピトープの直接特定は、MHCモチーフ予測方法論と比較して有利である。免疫エピトープデータベース(IEDB;http://www.iedb.org)は、機能的方法ではなくモチーフ予測方法によって生成され、高いMHC結合スコアおよび制限されたCTL特性評価を有する一部の共有エピトープを含む、多数の予測HLA特異的ssRNAウイルスT細胞エピトープを含む。ドミナントエピトープとサブドミナントエピトープの両方がウイルス感染細胞によって提示され得るので、データベースを使用して自然に提示されたエピトープの順位制を分類することは困難である。したがって、免疫エピトープデータベースのみからでは、列挙されたエピトープのいずれが、医薬組成物に含めると、CD8+T細胞応答を効率的に誘導すると予想され得るかは明らかではない。上に示される直接特定方法は、エピトープの有用性を確認するための機序を提供する。
コロナウイルス感染細胞によって提示されるエピトープに基づく医薬組成物は、ウイルスタンパク質サブユニットまたはモチーフ予測エピトープに基づくワクチンよりも優れ得る。免疫系によるタンパク質プロセシングは、天然ウイルスエピトープを変化させる可能性がある。ペプチドが既にタンパク質プロセシングを受けているので、医薬組成物を感染細胞によって提示されることが実証されたペプチドに基づくことにより、この不確実性の原因が取り除かれる。
ポリペプチド
本発明の免疫原性ペプチドは、ポリペプチド由来のエピトープを含む。ポリペプチドは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされる。すなわち、ポリペプチドは、コロナウイルスのゲノムの逆相補配列の少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされる。
ポリペプチドは、任意の数のアミノ酸を含み得る、すなわち任意の長さであり得る。典型的には、ポリペプチドは、約100アミノ酸長、例えば約90~約110、約91~約109、約92~約108、約93~約107、約94~約106、約95~約105、約96~約104、約97~約103、約98~約102または約99~約101アミノ酸長である。
ポリペプチドは、本発明の免疫原性ペプチドに含まれるエピトープからなり得る。あるいは、ポリペプチドは、本発明の免疫原性ペプチドに含まれるエピトープを含み得る。ポリペプチドは、例えば、それぞれ本発明の異なる免疫原性ペプチドに含まれる2つ以上の異なるエピトープを含み得る。例えば、ポリペプチドは、それぞれ本発明の異なる免疫原性ペプチドに含まれる2つ以上の異なるCD8+T細胞エピトープを含み得る。例えば、ポリペプチドは、それぞれ配列番号2;配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号6;配列番号7;配列番号8;配列番号9;配列番号10;配列番号11;および配列番号12から選択される2つ以上の異なるCD8+T細胞エピトープを含み得る。ポリペプチドは、例えば、それぞれ配列番号2;配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号6;配列番号7;配列番号8;配列番号9;配列番号10;配列番号11;および配列番号12から選択される3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上または11以上の異なるCD8+T細胞エピトープを含み得る。
ポリペプチドは、例えば、それぞれ配列番号2;配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号6;配列番号7;配列番号8;配列番号9;配列番号10;配列番号11;配列番号12;配列番号46;および配列番号53から選択される2つ以上の異なるCD8+T細胞エピトープを含み得る。ポリペプチドは、例えば、それぞれ配列番号2;配列番号3;配列番号4;配列番号5;配列番号6;配列番号7;配列番号8;配列番号9;配列番号10;配列番号11;配列番号12;配列番号46;および配列番号53から選択される3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上または11以上の異なるCD8+T細胞エピトープを含み得る。ポリペプチドは、例えば、それぞれ配列番号46および配列番号53から選択される2つの異なるCD8+T細胞エピトープを含み得る。
ポリペプチドは、配列番号2~12に示される配列の全てを含み得る、またはからなり得る。ポリペプチドは、配列番号2~12、46および53に示される配列の全てを含み得る、またはからなり得る。ポリペプチドは、配列番号2~12の1つもしくは複数、または全部のバリアントを含み得る、またはからなり得、バリアントは、配列番号2~12から選択される関連配列との少なくとも50%の配列同一性を有する。バリアントは、例えば、配列番号2~12から選択される関連配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。ポリペプチドは、配列番号46および53の1つもしくは複数、または全部のバリアントを含み得る、またはからなり得、バリアントは、配列番号46および53から選択される関連配列との少なくとも50%の配列同一性を有する。バリアントは、例えば、配列番号46および53から選択される関連配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
ポリペプチドは、例えば、配列MSPTTSVVFTLHSRTSFCMVGFSTTSSETGFRSSQARLSIPCASSDFSTSNEFDVSTGFVLQRQRIHQVFGLYVALLVALLTCQTIGLCNNLAPFLKEGV(配列番号13)またはこれとの少なくとも50%の配列同一性を有するバリアントを含み得る。バリアントは、例えば、配列番号13との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
ポリペプチドは、配列番号14~18のいずれかの配列またはこれとの少なくとも50%の配列同一性を有するバリアントを含むポリペプチドを含み得る。バリアントは、例えば、配列番号14~18から選択されるそれぞれの配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
ポリペプチドは、配列番号46および52に示される配列の両方を含み得る、またはからなり得る。ポリペプチドは、配列番号46および53の1つもしくは複数、または両方のバリアントを含み得る、またはからなり得、バリアントは、配列番号46および53から選択される関連配列との少なくとも50%の配列同一性を有する。バリアントは、例えば、配列番号46および53から選択される関連配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
オープンリーディングフレーム(ORF)
免疫原性ペプチドに含まれるエピトープは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドに由来する。換言すれば、免疫原性ペプチドに含まれるエピトープは、コロナウイルスのゲノムの逆相補配列の少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドに由来する。
リーディングフレームは、核酸配列によってコードされるアミノ酸のコドンを構成する、RNA配列などの核酸配列中の3つの連続するヌクレオチドのグループである。ORF(オープンリーディングフレーム)は、翻訳可能なリーディングフレームの一部である。ORFは、開始コドンおよび終止コドンを含むコドンの連続伸長である。ORF内で、開始コドン(例えば、ATG)は、RNAのタンパク質への翻訳のための開始部位として機能し得る。
本発明において、ORFは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされる。コロナウイルスはポジティブセンスssRNAウイルスである。ポジティブセンスssRNAウイルスでは、ウイルスゲノムRNAはmRNAと同じセンスであり、介在する転写なしに翻訳可能である、すなわちゲノムRNAがmRNAとして二倍になる。ここで、ORFは、ウイルスゲノムRNA、したがってmRNAとは反対のセンスでコードされる。したがって、ORFはネガティブセンスであり得る。すなわち、ORFは、翻訳可能になる前にゲノムRNAが転写されることを必要とし得る。
ORFは、例えば、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノム全体によってコードされ得る。あるいは、ORFは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの一部のみによってコードされ得る。例えば、ORFは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの約1%~約99%、例えば約2%~約98%、約3%~約97%、約5%~約95%、約10%~約90%、約15%~約85%、約20%~約80%、約25%~約75%、約30%~約70%、約40%~約60%または約50%によってコードされ得る。
ORFは任意の長さであり得る。好ましくは、ORFは、約100コドン長、例えば約90~約110、約91~約109、約92~約108、約93~約107、約94~約106、約95~約105、約96~約104、約97~約103、約98~約102または約99~約101コドン長である。ORFは、例えば、少なくとも90、例えば、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、少なくとも100、少なくとも101、少なくとも102、少なくとも103、少なくとも104、少なくとも105、少なくとも106、少なくとも107、少なくとも108、または少なくとも109、少なくとも110コドン長であり得る。ORFは、約300ヌクレオチド長、例えば約270~約330、約273~約327、約276~約324、約279~約321、約282~約318、約285~約315、約288~約312、約291~約309、約294~約306または約297~約303ヌクレオチド長であり得る。ORFは、例えば、少なくとも270、例えば少なくとも273、少なくとも275、少なくとも278、少なくとも291、少なくとも294、少なくとも297、少なくとも300、少なくとも303、少なくとも306、少なくとも309、少なくとも312、少なくとも315、少なくとも318、少なくとも321、少なくとも324、または少なくとも327、少なくとも330ヌクレオチド長であり得る。
ORFは、例えば、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2ウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされ得る。ORFに対応するポジティブセンスゲノムの部分は、例えば、pp1a/pp1ab/nsp3をコードし得る。ORFに対応するポジティブセンスゲノムの部分は、例えば、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2分離株Wuhan-Hu-1(GenBankアクセッション番号NC_045512)の完全なゲノム配列の残基6189~6489を含み得る、またはからなり得る。
ORFは、例えば、配列:angncnccnacaacnncggnagnnnncacannacacncaagaacgncnnncngnanggnaggannnnccacnacnncnncagagacnggnnnnagancnncgcaggcaagannanccanncccngcgcgnccncngacnncagnacancaaacgaannngangnnncaacnggnnnngngcnccaaagacaacgnanacaccaggnannnggnnnanacgnggcnnnannagnngcanngnnaacangccaaacaanaggnnnangnaacaannnagcnccnnncnnaaaagagggngngnag(配列番号1)またはこれとの少なくとも50%の配列同一性を有するバリアントを含み得る。配列番号1中、各nは、tおよびuから独立して選択される。一態様では、各nが、例えば、tであり得る。すなわち、nの全てがtであってもよい。別の態様では、各nが、例えば、uであり得る。すなわち、nの全てがuであってもよい。さらなる態様では、nの一部がtであり得、nの一部がuであり得る。すなわち、配列は、tとuの組み合わせを含み得る。バリアントは、例えば、配列番号1との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
ORFは、例えば、配列:MSPTTSVVFTLHSRTSFCMVGFSTTSSETGFRSSQARLSIPCASSDFSTSNEFDVSTGFVLQRQRIHQVFGLYVALLVALLTCQTIGLCNNLAPFLKEGV(配列番号13)またはこれとの少なくとも50%の配列同一性を有するバリアントを含むポリペプチドをコードし得る。バリアントは、例えば、配列番号13との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
ORFは、例えば、配列番号14~18のいずれかの配列またはこれとの少なくとも50%の配列同一性を有するバリアントを含むポリペプチドを含み得る。バリアントは、例えば、配列番号14~18から選択されるそれぞれの配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
上述のように、免疫原性ペプチドに含まれるエピトープを生じさせるポリペプチドをコードするORFは、異なるコロナウイルスまたはコロナウイルス株間で保存され得る。例えば、ORFは、SARS-CoV-2の異なる株間で、またはSARS-CoV-2と1種または複数の他のヒトコロナウイルス、例えば(a)SARS-CoV-1、(b)229E、(c)NL63、(d)OC43、(e)HKU1および/または(f)MERS-CoVとの間で保存され得る。ORFは、ヒトコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)と1種または複数の動物コロナウイルスとの間で保存され得る。ORFは、229Eの異なる株間で、または229Eと1種または複数の他のヒトコロナウイルス、例えば(a)SARS-CoV-1、(b)SARS-CoV-2、(c)NL63、(d)OC43、(e)HKU1および/または(f)MERS-CoVとの間で保存され得る。翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで各ウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORF間に少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%)の同一性がある場合、ORFは2種以上の異なるコロナウイルスまたはコロナウイルス株間で保存され得る。例えば、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで各ウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORF間に約75%(例えば、約70%~約80%、例えば約71%、約72%、約73%、約74%、約76%、約77%、約78%または約79%)の同一性がある場合、ORFは2種以上の異なるコロナウイルスまたはコロナウイルス株間で保存され得る。ORFによってコードされるポリペプチドは、ヒトにおけるコロナウイルスの適合度を高め得る、すなわち、コロナウイルスに対する選択的利点を付与し得る。
ORFは、2種以上(例えば、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、20種以上、50種以上、100種以上、250種以上、500種以上、750種以上または1000種以上)のコロナウイルスまたはコロナウイルス株間で保存され得る。例えば、ORFは、2種以上のSARS-CoV-2株間で保存され得る。ORFは、(a)1種または複数のSARS-CoV-2ウイルス;(b)1種または複数のSARS-CoV-1ウイルス;(c)1種または複数の229Eウイルス;(d)1種または複数のNL63ウイルス;(e)1種または複数のOC43ウイルス;(f)1種または複数のHKU1ウイルス;および(g)1種または複数のMERS-CoVウイルスのうちの2つ以上の間で保存され得る。
ORFによってコードされるポリペプチドおよび/またはこれが含むエピトープも、2種以上のコロナウイルスまたはコロナウイルス株間で同様に保存され得る。したがって、本発明の免疫原性ペプチドを含む医薬組成物(例えば、ワクチン)は、複数のコロナウイルスまたはコロナウイルス株に対する交差防御を提供することが可能であり得る。したがって、本発明の免疫原性ペプチドを含む単一医薬組成物は、様々な既存および新興のコロナウイルスに対する防御免疫を誘導することが可能であり得る。本発明の免疫原性ペプチドを含む単一医薬組成物は、様々なエンデミックおよび季節性コロナウイルスに対する防御免疫を誘導することが可能であり得る。例えば、一態様では、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、2種以上のSARS-CoV-2ウイルス間で保存され得る。この場合、本発明の免疫原性ペプチドを含む医薬組成物(例えば、ワクチン)は、2種以上のSARS-CoV-2株に対する防御を提供することが可能であり得る。別の態様では、ポリペプチドおよび/またはエピトープは、SARS-CoV-2ウイルスと、(a)SARS-CoV-1、(b)229E、(c)NL63、(d)OC43、(e)HKU1および(f)MERS-CoVの1つまたは複数との間で保存され得る。ポリペプチドおよび/またはエピトープは、例えば、SARS-CoV-2と(a);(b);(c);(d);(e);(f);(a)および(b);(a)および(c);(a)および(d);(a)および(e);(a)および(f);(b)および(c);(b)および(d);(b)および(e);(b)および(f);(c)および(d);(c)および(e);(c)および(f);(d)および(e);(d)および(f);(e)および(f);(a)、(b)および(c);(a)、(b)および(d);(a)、(b)および(e);(a)、(b)および(f);(a)、(c)および(d);(a)、(c)および(e);(a)、(c)および(f);(a)、(d)および(e);(a)、(d)および(f);(a)、(e)および(f);(b)、(c)および(d);(b)、(c)および(e);(b)、(c)および(f);(b)、(d)および(e);(b)、(d)および(f);(b)、(e)および(f);(c)、(d)および(e);(c)、(d)および(f);(c)、(e)および(f);(d)、(e)および(f);(a)、(b)、(c)および(d);(a)、(b)、(c)および(e);(a)、(b)、(c)および(f);(a)、(b)、(d)および(e);(a)、(b)、(d)および(f);(a)、(b)、(e)および(f);(a)、(c)、(d)および(e);(a)、(c)、(d)および(f);(a)、(c)、(e)および(f);(a)、(d)、(e)および(f);(b)、(c)、(d)および(e);(b)、(c)、(d)および(f);(b)、(c)、(e)および(f);(b)、(d)、(e)および(f);(c)、(d)、(e)および(f);(a)、(b)、(c)、(d)および(e);(a)、(b)、(c)、(d)および(f);(a)、(b)、(c)、(e)および(f);(a)、(b)、(d)、(e)および(f);(a)、(c)、(d)、(e)および(f);(b)、(c)、(d)、(e)および(f);または(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)との間で保存され得る。この場合、本発明の免疫原性ペプチドを含む医薬組成物(例えば、ワクチン)は、複数の異なるヒトコロナウイルスによる感染からヒト対象を防御することが可能であり得る。ポリペプチドおよび/またはエピトープは、ヒトコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-2)と1種または複数の動物コロナウイルスとの間で保存され得る。この場合、本発明の免疫原性ペプチドを含む医薬組成物(例えば、ワクチン)は、動物コロナウイルスが種の境界線を横断するのを防ぐことが可能であり得る。
コロナウイルス
ORFは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされる。上に示されるように、コロナウイルスはポジティブセンスssRNAウイルスである。
ORFは、例えば、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの全てによってコードされ得る。好ましくは、ORFは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの一部によってコードされる。例えば、ORFは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの約1%~約99%、例えば約2%~約98%、約3%~約97%、約5%~約95%、約10%~約90%、約15%~約85%、約20%~約80%、約25%~約75%、約30%~約70%、約40%~約60%または約50%によってコードされ得る。ORFは、上記のように、任意の長さであり得る。
コロナウイルスは、例えば、ヒトコロナウイルスであり得る。コロナウイルスは、例えば、コウモリコロナウイルスなどの動物コロナウイルスであり得る。コロナウイルスは、例えば、人畜共通コロナウイルスであり得る。例示的なヒト、動物および人畜共通コロナウイルスは当技術分野で周知である。
コロナウイルスは、例えば、ベータコロナウイルス(Betacoronavirus)属のメンバーであり得る。コロナウイルスは、例えば、サルベコロナウイルス(Sarbecoronavirus)亜属のメンバーであり得る。
コロナウイルスは、例えば、SARS-CoV-2ウイルスであり得る。コロナウイルスは、例えば、SARS-CoV-1ウイルスであり得る。コロナウイルスは、例えば、MERS-CoVウイルスであり得る。コロナウイルスは、例えば、エンデミック風邪コロナウイルスであり得る。エンデミック風邪コロナウイルスには、229E、NL63、OC43およびHKU1が含まれる。コロナウイルスは、例えば、エンデミック風邪コロナウイルス229Eであり得る。
コロナウイルスは、例えば、パンデミックコロナウイルスであり得る。パンデミックコロナウイルスは、パンデミックを引き起こした、または引き起こす可能性があるコロナウイルスとして定義され得る。コロナウイルスは、例えば、エンデミックコロナウイルスであり得る。エンデミックコロナウイルスは、感染が外部インプットなしに所与の地理的地域においてベースラインレベルで常に維持されるコロナウイルスとして定義され得る。エンデミックコロナウイルスは当技術分野で周知であり、風邪コロナウイルスを含む。コロナウイルスは、例えば、季節性コロナウイルスであり得る。季節性コロナウイルスは、1つまたは複数の規則的な年間ピークである季節性を示す感染パターンを有するコロナウイルスである。
ある特定のコロナウイルス、例えばSARS-CoV-2および229Eのポジティブセンスゲノムは、遺伝子「orf1ab」を含む。SARS-CoV-2では、orf1ab遺伝子はNCBI遺伝子ID 43740578に対応する。通常の方法で翻訳されると(すなわち、転写なしで相補的mRNAを形成する)、orf1ab遺伝子は、ポリタンパク質PP1abおよびPP1aをコードする重複したオープンリーディングフレームを含む。ポリタンパク質が切断されて、16個の非構造タンパク質、NSP1~16が得られる。本発明者らは、orf1ab遺伝子が、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで、本発明の免疫原性ペプチドに含まれるCD8+T細胞エピトープを生じさせるポリペプチドをコードするORFもコードすることを発見した。換言すれば、本発明者らは、orf1ab遺伝子のネガティブセンス(すなわち、逆相補配列)も、本発明の免疫原性ペプチドに含まれるCD8+T細胞エピトープを生じさせるポリペプチドをコードするORFをコードすることを発見した。換言すれば、orf1ab遺伝子の少なくとも一部は転写されて、本発明の免疫原性ペプチドに含まれるエピトープを生じさせるポリペプチドをコードするORFを含む相補的mRNAを生じることができる。したがって、本発明の免疫原性ペプチドに含まれるエピトープを生じさせるポリペプチドをコードするORFは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでorf1ab遺伝子の少なくとも一部によってコードされ得る。
ORFは、例えば、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのorf1ab遺伝子の全てによってコードされ得る。好ましくは、ORFは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのorf1ab遺伝子の一部によってコードされる。例えば、ORFは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのorf1ab遺伝子の約1%~約99%、例えば約2%~約98%、約3%~約97%、約5%~約95%、約10%~約90%、約15%~約85%、約20%~約80%、約25%~約75%、約30%~約70%、約40%~約60%または約50%によってコードされ得る。ORFは、上記のように、任意の長さであり得る。orf1ab遺伝子は、例えば、配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含み得る。ORFは、例えば、配列番号1のヌクレオチド1~303によってコードされ得る。
本発明のポリヌクレオチド
本発明は、本発明の免疫原性ペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明の免疫原性ペプチドは、上に詳細に記載されている。本発明の免疫原性ペプチドに関連して上に記載される態様のいずれも、本発明のポリヌクレオチドに適用され得る。
ポリヌクレオチドはRNAを含み得る。ポリヌクレオチドはDNAを含み得る。ポリヌクレオチドはRNAとDNAの両方を含み得る。好ましくは、ポリヌクレオチドはRNAを含むか、またはそれからなる。より好ましくは、ポリヌクレオチドはmRNAを含むか、またはそれからなる。
ポリヌクレオチドは、配列:angncnccnacaacnncggnagnnnncacannacacncaagaacgncnnncngnanggnaggannnnccacnacnncnncagagacnggnnnnagancnncgcaggcaagannanccanncccngcgcgnccncngacnncagnacancaaacgaannngangnnncaacnggnnnngngcnccaaagacaacgnanacaccaggnannnggnnnanacgnggcnnnannagnngcanngnnaacangccaaacaanaggnnnangnaacaannnagcnccnnncnnaaaagagggngngnag(配列番号1)またはこれとの少なくとも50%の配列同一性を有するバリアントを含み得る。配列番号1中、各nは、tおよびuから独立して選択される。一態様では、各nが、例えば、tであり得る。すなわち、nの全てがtであってもよい。別の態様では、各nが、例えば、uであり得る。すなわち、nの全てがuであってもよい。さらなる態様では、nの一部がtであり得、nの一部がuであり得る。すなわち、配列は、tとuの組み合わせを含み得る。バリアントは、例えば、配列番号1との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
ポリヌクレオチドは、配列:angncnccnacaacnncggnagnnnncacannacacncaagaacgncnnncngnanggnaggannnnccacnacnncnncagagacnggnnnnagancnncgcaggcaagannanccanncccngcgcgnccncngacnncagnacancaaacgaannngangnnncaacnggnnnngngcnccaaagacaacgnanacaccaggnannnggnnnanacgnggcnnnannagnngcanngnnaacangccaaacaanaggnnnangnaacaannnagcnccnnncnnaaaagagggngngnag(配列番号1)の一部またはこれとの少なくとも50%の配列同一性を有するバリアントを含み得る。配列番号1中、各nは、tおよびuから独立して選択される。一態様では、各nが、例えば、tであり得る。すなわち、nの全てがtであってもよい。別の態様では、各nが、例えば、uであり得る。すなわち、nの全てがuであってもよい。さらなる態様では、nの一部がtであり得、nの一部がuであり得る。すなわち、配列は、tとuの組み合わせを含み得る。バリアントは、例えば、配列番号1の一部との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。配列番号1の一部は、例えば、開始コドン(ATG)が除外されていることを除いて、配列番号1と同一であり得る。配列番号1の一部は、例えば、終止コドン(TAG)が除外されていることを除いて、配列番号1と同一であり得る。配列番号1の一部は、例えば、開始コドン(ATG)および終止コドン(TAG)が除外されていることを除いて、配列番号1と同一であり得る。配列番号1の一部は、例えば、任意の組み合わせの、配列番号2~12または配列番号2~12から選択される関連配列との少なくとも50%の配列同一性を有するそのバリアントの1つまたは複数(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上または11)をコードし得る。
医薬組成物
本発明は、本発明の免疫原性ペプチドまたは本発明のポリヌクレオチドを含む医薬組成物を提供する。本発明の免疫原性ペプチドおよび本発明のポリヌクレオチドは、上に詳細に記載されている。本発明の免疫原性ペプチドまたは本発明のポリヌクレオチドに関連して上に記載される態様のいずれも、本発明のポリヌクレオチドに適用され得る。
医薬組成物は、例えば、ワクチンなどの予防用組成物であり得る。医薬組成物は、例えば、治療用組成物であり得る。医薬組成物は、予防効果、治療効果、または予防効果と治療効果の両方を有し得る。換言すれば、医薬組成物は、コロナウイルス感染症の予防、コロナウイルス感染症の処置、またはコロナウイルス感染症の予防と処置の両方における有用性を有し得る。
ペプチド組成物
医薬組成物は、1つまたは複数の免疫原性ペプチド、例えば約1~約50、約2~約40、約3~約30、約4~約25、約5~約20、約6~約15、約7、約8、約9または約10の免疫原性ペプチドを含み得る。1つまたは複数の免疫原性ペプチドの各々が、例えば、本発明の免疫原性ペプチドであり得る。あるいは、医薬組成物は、(i)本発明の免疫原性ペプチドと(ii)他の免疫原性ペプチドの混合物を含有し得る。
一態様では、医薬組成物は、2つ以上の免疫原性ペプチドを含む。2つ以上の免疫原性ペプチドの各々が本発明の免疫原性ペプチドであり得る。医薬組成物は、例えば、それぞれ本発明の異なる免疫原性ペプチドを含む2つ以上の免疫原性ペプチドを含み得る。換言すれば、医薬組成物は、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドの異なるフラグメントを含む、2つ以上の免疫原性ペプチドを含み得る。医薬組成物は、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドとは異なるエピトープ(例えば、CD8+T細胞エピトープ)を含む、約1~約50、約2~約40、約3~約30、約4~約25、約5~約20、約6~約15、約7、約8、約9または約10の免疫原性ペプチドを含み得る。一部の態様では、免疫原性ペプチドの各々は、異なるHLAサブタイプと相互作用し得る。
医薬組成物は、(i)それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含む、1つまたは複数(例えば、約2~約40、約3~約30、約4~約25、約5~約20、約6~約15、約7、約8、約9または約10)の免疫原性ペプチドと、(ii)1つまたは複数の他の免疫原性ペプチド(すなわち、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含まない免疫原性ペプチド)とを含み得る。他の免疫原性ペプチドは、1つまたは複数のエピトープ、例えば約2~40、約3~約30、約4~約25、約5~約20、約6~約15、約7、約8、約9または約10のエピトープを含み得る。1つまたは複数のエピトープの各々は、例えば、B細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープおよび/またはCD8+T細胞エピトープであり得る。CD4+T細胞エピトープは、例えば、1種または複数のコロナウイルスによって発現され、(i)クラスII MHC分子による提示および(ii)CD4+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能なペプチドであり得る。あるいは、CD4+T細胞エピトープは、1種または複数のコロナウイルスによって発現されないCD4+T細胞エピトープであり得る。CD8+T細胞エピトープは、例えば、1種または複数のコロナウイルスによって発現され、(i)クラスI MHC分子による提示および(ii)CD8+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能なペプチドであり得る。好ましくは、CD8+T細胞エピトープは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のCD8+T細胞エピトープではないCD8+T細胞エピトープである。CD8+T細胞エピトープは、1種または複数のコロナウイルスによって発現されないCD8+T細胞エピトープであり得る。B細胞エピトープは、例えば、1種または複数のコロナウイルスによって発現され、B細胞上に存在するB細胞受容体(BCR)による認識が可能であるペプチドであり得る。好ましくは、B細胞エピトープは、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のB細胞エピトープではないB細胞エピトープである。B細胞エピトープは、1種または複数のコロナウイルスによって発現されないB細胞エピトープであり得る。
多くのB細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープおよびCD8+T細胞エピトープ(例えば、コロナウイルス由来のB細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープおよびCD8+T細胞エピトープ)が当技術分野で公知である。B細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープおよびCD8+T細胞エピトープを特定する方法が当技術分野で公知である。エピトープマッピング法には、X線共結晶学、アレイベースのオリゴペプチドスキャン(重複ペプチドスキャンまたはペプスキャン分析と呼ばれることもある)、部位特異的突然変異誘発、ハイスループット突然変異誘発マッピング、水素-重水素交換、架橋結合質量分析、ファージディスプレイおよび限定分解(limited proteolysis)が含まれる。MHCモチーフ予測方法論も使用され得る。上記のように、医薬組成物に含めるためのCD8+T細胞エピトープを直接特定するために、コロナウイルス感染細胞によって提示されるCD8+T細胞エピトープを特定することができる。B細胞エピトープは、エピトープマッピング法を使用して特定され得る。これらの方法には、タンパク質の既知のまたはモデル化された構造が、表面エピトープを予測するためのアルゴリズムベースのアプローチにおいて使用される構造的アプローチ、および抗体への全タンパク質、タンパク質フラグメントまたはペプチドの結合が、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して定量化され得る機能的アプローチが含まれる。競合マッピング、抗原修飾またはタンパク質断片化法も使用され得る。
医薬組成物は、少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプと相互作用する少なくとも1つの免疫原性ペプチドを含み得る。これにより、医薬組成物が、より高い割合の医薬組成物が投与される個体で免疫応答を誘発することが可能になり得る。これは、医薬組成物が、免疫原性ペプチドと相互作用するHLAスーパータイプの全ての個体において免疫応答(例えば、T細胞応答、例えば、CD8+T細胞応答など)を誘発することができるはずであるからである。医薬組成物は、例えば、それぞれ翻訳および少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプとの相互作用が可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のCD8+T細胞エピトープを含む、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも15または少なくとも20の免疫原性ペプチドを含み得る。各免疫原性ペプチドは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つまたは少なくとも10の異なるHLAスーパータイプと相互作用し得る。各免疫原性ペプチドは、任意の組み合わせのA1、A10、A11、A19、A2、A203、A210、A23、A24、A2403、A25、A26、A28、A29、A3、A30、A31、A32、A33、A34、A36、A43、A66、A68、A69、A74、A80、A9、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B21、B22、B27、B35、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B44、B45、B46、B47、B48、B49、B5、B50、B51、B5102、B5103、B52、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B63、B64、B65、B67、B7、B70、B703、B71、B72、B73、B75、B76、B77、B78、B8、B81、B82、C1、C10、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8およびC9、または当技術分野で公知の任意の他のHLAスーパータイプの2つ以上と相互作用し得る。
医薬組成物は、それぞれ異なるHLAスーパータイプと相互作用する少なくとも2つの免疫原性ペプチドを含み得る。例えば、医薬組成物は、(i)それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドとは異なるエピトープを含み、(ii)それぞれ異なるHLAスーパータイプと相互作用する、2つ以上の免疫原性ペプチドを含み得る。2つ以上のこのような免疫原性ペプチドを医薬組成物に含めることにより、医薬組成物が、より高い割合の医薬組成物が投与される個体で免疫応答を誘発することが可能になる。これは、医薬組成物が、2つ以上の免疫原性ペプチドに含まれるエピトープの1つと相互作用するHLAスーパータイプの全ての個体において免疫応答(例えば、T細胞応答)を誘発することができるはずであるからである。各エピトープは、A1、A10、A11、A19、A2、A203、A210、A23、A24、A2403、A25、A26、A28、A29、A3、A30、A31、A32、A33、A34、A36、A43、A66、A68、A69、A74、A80、A9、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B21、B22、B27、B35、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B44、B45、B46、B47、B48、B49、B5、B50、B51、B5102、B5103、B52、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B63、B64、B65、B67、B7、B70、B703、B71、B72、B73、B75、B76、B77、B78、B8、B81、B82、C1、C10、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8もしくはC9、または当技術分野で公知の任意の他のHLAスーパータイプと相互作用し得る。このようなエピトープを含む免疫原性ペプチドの任意の組み合わせが可能である。
ポリヌクレオチド組成物
医薬組成物は、1つまたは複数のポリヌクレオチド、例えば約1~約50、約2~約40、約3~約30、約4~約25、約5~約20、約6~約15、約7、約8、約9または約10のポリヌクレオチドを含み得る。1つまたは複数のポリヌクレオチドの各々が、例えば、本発明のポリヌクレオチドであり得る。あるいは、医薬組成物は、(i)本発明のポリヌクレオチドと(ii)他のポリヌクレオチドの混合物を含有し得る。
各ポリヌクレオチドは、mRNAなどのRNAを含み得る。各ポリヌクレオチドはDNAを含み得る。各ポリヌクレオチドはRNAおよびDNAを含み得る。好ましくは、各ポリヌクレオチドはRNAを含むか、またはそれからなる。より好ましくは、各ポリヌクレオチドはmRNAを含むか、またはそれからなる。
一態様では、医薬組成物は、2つ以上のポリヌクレオチドを含む。2つ以上のポリヌクレオチドの各々が本発明のポリヌクレオチドであり得る。医薬組成物は、例えば、それぞれ本発明の異なる免疫原性ペプチドをコードする2つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。換言すれば、医薬組成物は、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドの異なるフラグメントをコードする、2つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。医薬組成物は、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドとは異なるエピトープをコードする、約1~約50、約2~約40、約3~約30、約4~約25、約5~約20、約6~約15、約7、約8、約9または約10のポリヌクレオチドを含み得る。一部の態様では、異なるエピトープの各々は、異なるHLAサブタイプと相互作用し得る。
医薬組成物は、それぞれ翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含む免疫原性ペプチドをコードする、1つまたは複数(例えば、約2~約40、約3~約30、約4~約25、約5~約20、約6~約15、約7、約8、約9または約10)のポリヌクレオチドと、(ii)1つまたは複数の他のポリヌクレオチド(すなわち、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含む免疫原性ペプチドをコードしないポリヌクレオチド)とを含み得る。他のポリヌクレオチドは、1つまたは複数のエピトープ、例えば約2~40、約3~約30、約4~約25、約5~約20、約6~約15、約7、約8、約9または約10個のエピトープをコードし得る。エピトープは、例えば、ペプチドワクチンに関連して上に記載されるように、B細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープおよび/またはCD8+T細胞エピトープであり得る。
医薬組成物は、少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプと相互作用する免疫原性ペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含み得る。これにより、医薬組成物が、より高い割合の医薬組成物が投与される個体で免疫応答(例えば、T細胞応答、例えばCD8+T細胞応答)を誘発することが可能になる。これは、医薬組成物が、エピトープと相互作用するHLAスーパータイプの全ての個体において免疫応答(例えば、T細胞応答、例えば、CD8+T細胞応答など)を誘発することができるはずであるからである。医薬組成物は、例えば、それぞれ翻訳および少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプとの相互作用が可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチド由来のCD8+T細胞エピトープを含む免疫原性ペプチドをコードする、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも10、少なくとも15または少なくとも20のポリヌクレオチドを含み得る。各免疫原性ペプチドは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つまたは少なくとも10の異なるHLAスーパータイプと相互作用し得る。各免疫原性ペプチドは、任意の組み合わせのA1、A10、A11、A19、A2、A203、A210、A23、A24、A2403、A25、A26、A28、A29、A3、A30、A31、A32、A33、A34、A36、A43、A66、A68、A69、A74、A80、A9、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B21、B22、B27、B35、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B44、B45、B46、B47、B48、B49、B5、B50、B51、B5102、B5103、B52、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B63、B64、B65、B67、B7、B70、B703、B71、B72、B73、B75、B76、B77、B78、B8、B81、B82、C1、C10、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8およびC9、または当技術分野で公知の任意の他のHLAスーパータイプの2つ以上と相互作用し得る。
医薬組成物は、それぞれ異なるHLAスーパータイプと相互作用する免疫原性ペプチドをコードする少なくとも2つのポリヌクレオチドを含み得る。例えば、医薬組成物は、それぞれ、(i)翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるORFによってコードされるポリペプチドとは異なるエピトープを含み、(ii)異なるHLAスーパータイプと相互作用する、免疫原性ペプチドをコードする、2つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。2つ以上のこのようなポリヌクレオチドを医薬組成物に含めることにより、医薬組成物が、より高い割合の組成物が投与される個体で免疫応答(例えば、T細胞応答、例えば、CD8+T細胞応答)を誘発することが可能になる。これは、医薬組成物が、2つ以上のポリヌクレオチドによってコードされるエピトープの1つと相互作用するHLAスーパータイプの全ての個体において免疫応答(例えば、T細胞応答、例えば、CD8+T細胞応答)を誘発することができるはずであるからである。各エピトープは、A1、A10、A11、A19、A2、A203、A210、A23、A24、A2403、A25、A26、A28、A29、A3、A30、A31、A32、A33、A34、A36、A43、A66、A68、A69、A74、A80、A9、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B21、B22、B27、B35、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B44、B45、B46、B47、B48、B49、B5、B50、B51、B5102、B5103、B52、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B63、B64、B65、B67、B7、B70、B703、B71、B72、B73、B75、B76、B77、B78、B8、B81、B82、C1、C10、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8もしくはC9、または当技術分野で公知の任意の他のHLAスーパータイプと相互作用し得る。このようなエピトープを含む免疫原性ペプチドの任意の組み合わせが可能である。
ナノ粒子
本発明の医薬組成物に含まれるいずれの免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドもナノ粒子に付着され得る。ナノ粒子、例えば金ナノ粒子への付着は、本明細書に記載されるように有益である。
ペプチドまたはポリヌクレオチドのナノ粒子(例えば、金ナノ粒子)への付着により、ウイルスまたはアジュバントを医薬組成物に含める必要性が低減または排除される。ナノ粒子は、ペプチドまたはポリヌクレオチドに対する免疫応答を有効に誘導するのに役立つ免疫「デンジャーシグナル」を含み得る。ナノ粒子は、堅牢な免疫応答に必要な樹状細胞(DC)の活性化および成熟を誘導し得る。ナノ粒子は、抗原提示細胞などの細胞によるナノ粒子、したがってペプチドまたはポリヌクレオチドの取り込みを改善する非自己成分を含有し得る。したがって、ペプチドまたはポリヌクレオチドのナノ粒子への付着により、抗原提示細胞がウイルス特異的T細胞および/またはB細胞を刺激する能力が高まり得る。ナノ粒子への付着はまた、皮下、皮内、経皮および経口/頬側経路を介した医薬組成物の送達を促進し、投与における柔軟性を提供する。
ナノ粒子は、リガンドを固定するための基質として使用することができる1~100ナノメートル(nm)の間のサイズの粒子である。本発明の医薬組成物において、ナノ粒子は、1~100、20~90、30~80、40~70または50~60nmの平均直径を有し得る。好ましくは、ナノ粒子は、20~40nmの平均直径を有する。20~40nmの平均直径は、ナノ粒子のサイトゾルへの取り込みを促進する。平均直径は、透過型電子顕微鏡法などの当技術分野で周知の技術を使用して測定することができる。
免疫原性ペプチドなどの抗原の送達に適したナノ粒子は、当技術分野で公知である。このようなナノ粒子を作製する方法も公知である。ポリヌクレオチドの送達に適したナノ粒子、およびそれらの作製方法も当技術分野で公知である。
ナノ粒子は、例えば、ポリマーナノ粒子、無機ナノ粒子、リポソーム、免疫刺激複合体(ISCOM)、ウイルス様粒子(VLP)、または自己集合性タンパク質であり得る。ナノ粒子は、好ましくはリン酸カルシウムナノ粒子、シリコンナノ粒子または金ナノ粒子である。
ナノ粒子はポリマーナノ粒子であり得る。ポリマーナノ粒子は、ポリ(d,l-ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)、ポリ(d,l-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)、ポリ(g-グルタミン酸)(g-PGA)m ポリ(エチレングリコール)(PEG)、またはポリスチレンなどの1つまたは複数の合成ポリマーを含み得る。ポリマーナノ粒子は、多糖類、例えばプルラン、アルギネート、イヌリンおよびキトサンなどの1つまたは複数の天然ポリマーを含み得る。ポリマーナノ粒子の使用は、ナノ粒子に含まれ得るポリマーの特性のために有利であり得る。例えば、上に列挙される天然および合成ポリマーは、良好な生体適合性および生分解性、非毒性の性質ならびに/または所望の形状およびサイズに操作される能力を有し得る。ポリマーナノ粒子はヒドロゲルナノ粒子を形成し得る。ヒドロゲルナノ粒子は、ナノサイズの親水性三次元ポリマーネットワークの一種である。ヒドロゲルナノ粒子は、柔軟なメッシュサイズ、多価コンジュゲーションのための大きな表面積、高い含水量、および抗原の高い負荷容量を含む好ましい特性を有する。ポリ(L-乳酸)(PLA)、PLGA、PEGおよび多糖類などのポリマーは、ヒドロゲルナノ粒子を形成するのに特に適している。
ナノ粒子は無機ナノ粒子であり得る。典型的には、無機ナノ粒子は剛性構造を有し、非生分解性である。しかしながら、無機ナノ粒子は生分解性であり得る。無機ナノ粒子は、抗原が封入され得るシェルを含み得る。無機ナノ粒子は、抗原が共有結合的に付着し得るコアを含み得る。コアは金属を含み得る。例えば、コアは、金(Au)、銀(Ag)または銅(Cu)原子を含み得る。コアは、2種類以上の原子から形成され得る。例えば、コアは、Au/Ag、Au/Cu、Au/Ag/Cu、Au/Pt、Au/PdまたはAu/Ag/Cu/Pdの合金などの合金を含み得る。コアはリン酸カルシウム(CaP)を含み得る。コアは、半導体材料、例えばセレン化カドミウムを含み得る。ナノ粒子は、金グリコールナノ粒子などの金ナノ粒子であり得る。
他の例示的な無機ナノ粒子には、カーボンナノ粒子およびシリカベースのナノ粒子が含まれる。カーボンナノ粒子は良好な生体適合性を有し、ナノチューブおよびメソポーラス球に合成することができる。シリカベースのナノ粒子(SiNP)は生体適合性であり、それらの治療用途に適合するように調整可能な構造パラメータを用いて調製することができる。
ナノ粒子は、元素ケイ素ナノ粒子などのシリコンナノ粒子であり得る。ナノ粒子はメソポーラスであり得る、またはハニカム細孔構造を有し得る。好ましくは、ナノ粒子は、ハニカム細孔構造を有する元素ケイ素粒子である。このようなナノ粒子は当技術分野で公知であり、ほぼあらゆる負荷物、投与経路、標的または放出プロファイルに合わせることができる調整可能かつ制御された薬物負荷、標的化および放出を提供する。例えば、このようなナノ粒子は、その負荷物のバイオアベイラビリティを増加させ得る、ならびに/または経口投与された活性物質の腸透過性および吸収を改善し得る。ナノ粒子は、その多孔質構造および大きな表面積のために、非常に高い負荷容量を有し得る。ナノ粒子は、それらの物理的特性に応じて、数日間、数週間または数か月間にわたってそれらの負荷物を放出し得る。ケイ素は人体の天然に存在する元素であるため、ナノ粒子は免疫系からの応答を誘発し得ない。これは、ナノ粒子のインビボ安全性に有利である。
上記のSiNPのいずれも、生分解性または非生分解性であり得る。生分解性SiNPは、ケイ素の生物学的に利用可能な形態であるオルトケイ酸に溶解し得る。オルトケイ酸は、骨、結合組織、毛髪および皮膚の健康に有益であることが示されている。
ナノ粒子はリポソームであり得る。リポソームは、典型的には、生分解性の非毒性リン脂質から形成され、水性コアを有する自己集合性リン脂質二重層シェルを含む。リポソームは、単一リン脂質二重層を含む単層小胞、または水の層によって分離されたいくつかの同心リン脂質シェルを含む多層小胞であり得る。結果として、親水性分子をリン脂質二重層内の水性コアまたは疎水性分子に組み込むようにリポソームを調整することができる。リポソームは、送達のために抗原をコア内に封入し得る。リポソームは、ウイルスエンベロープ糖タンパク質をシェルに組み込んで、ビロソームを形成し得る。いくつかのリポソーム系製品が当技術分野で確立されており、ヒトでの使用が承認されている。
ナノ粒子は免疫刺激複合体(ISCOM)であり得る。ISCOMは、典型的にはコロイド状サポニン含有ミセルから形成されるケージ様粒子である。ISCOMは、コレステロール、リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリン)およびサポニン(例えば、シャボンノキ(Quillaia saponaria)の木由来Quil A)を含み得る。ISCOMは、伝統的には、単純ヘルペスウイルス1型、B型肝炎ウイルスまたはインフルエンザウイルス由来のエンベロープタンパク質などのウイルスエンベロープタンパク質を捕捉するために使用されてきた。
ナノ粒子はウイルス様粒子(VLP)であり得る。VLPは、生体適合性カプシドタンパク質の自己集合によって形成される、感染性核酸を欠く自己集合性ナノ粒子である。VLPは、典型的には、直径が約20~約150nm、例えば約20~約40nm、約30~約140nm、約40~約130nm、約50~約120nm、約60~約110nm、約70~約100nmまたは約80~約90nmである。VLPは、免疫系との相互作用のために自然に最適化された、進化したウイルス構造の力を有利に利用する。自然に最適化されたナノ粒子サイズおよび反復的構造秩序は、VLPがアジュバントの非存在下でさえ強力な免疫応答を誘導することを意味する。
ナノ粒子は自己集合性タンパク質であり得る。例えば、ナノ粒子はフェリチンを含み得る。フェリチンは、ほぼ球形の10nm構造に自己集合し得るタンパク質である。ナノ粒子は、主要ヴォールトタンパク質(major vault protein)(MVP)を含み得る。96単位のMVPは、およそ幅40nmおよび長さ70nmのサイズを有する樽形ヴォールトナノ粒子に自己集合することができる。
ナノ粒子はリン酸カルシウム(CaP)ナノ粒子であり得る。CaPナノ粒子は、1個または複数(例えば、2個以上、10個以上、20個以上、50個以上、100個以上、200個以上または500個以上)のCaP分子を含むコアを含み得る。CaPナノ粒子およびその作製方法は当技術分野で公知である。例えば、CAPナノ粒子の安定なナノ懸濁液は、一定の混合下でカルシウムおよびリン酸塩の無機塩溶液を所定の比で混合することによって作製され得る。
CaPナノ粒子は、約80~約100nm、例えば約82~約98nm、約84~約96nm、約86~約94nmまたは約88~約92nmの平均粒径を有し得る。この粒径は、他のより大きな粒径よりも、免疫細胞取り込みおよび免疫応答に関して優れた性能をもたらし得る。例えば、1か月、2か月、3か月、6か月、12か月、18か月、24か月、36か月または48か月の期間にわたって測定した場合、粒径は安定であり得る(すなわち、有意な変化を示さない)。
CaPナノ粒子は、ナノ粒子の表面に吸着された、または粒子合成中にCaPと共沈殿した1つまたは複数の抗原と共製剤化することができる。例えば、免疫原性ペプチドなどのペプチドは、ペプチドをDMSOに溶解し(例えば、約10 mg/mlの濃度で)、N-アセチル-グルコサミン(GlcNAc)(例えば、0.093 mol/Lで)および超純水と一緒にCaPナノ粒子の懸濁液に添加し、室温で約4時間(例えば、1時間、2時間、3時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間または10時間)混合することによって、CaPナノ粒子に付着させることができる。
医薬組成物は、約0.15~約0.8%、例えば0.2~約0.75%、0.25~約0.7%、0.3~約0.6%、0.35~約0.65%、0.4~約0.6%または0.45~約0.55%のCaPナノ粒子を含み得る。好ましくは、医薬組成物は約0.3%のCaPナノ粒子を含む。
CaPナノ粒子は、骨および歯などのヒト硬組織との化学的類似性のために高度の生体適合性を有する。したがって、有利なことに、CaPナノ粒子は、治療用途に使用される場合、非毒性である。CaPナノ粒子は、筋肉内、皮下、経口または吸入経路を介した投与に安全である。CaPナノ粒子は商業的に合成するのも簡単である。さらに、CaPナノ粒子は、抗原の徐放に関連し得、ナノ粒子に付着したペプチドに対する免疫応答の誘導を増強し得る。CaPナノ粒子は、アジュバントとしても薬物送達ビヒクルとしても使用され得る。
ナノ粒子は、金グリコナノ粒子(glyconanoparticle)などの金ナノ粒子であり得る。金ナノ粒子は当技術分野で公知であり、特にその各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2002/32404号パンフレット、国際公開第2006/037979号パンフレット、国際公開第2007/122388号パンフレット、国際公開第2007/015105号パンフレットおよび国際公開第2013/034726号パンフレットに記載されている。各ペプチドに付着した金ナノ粒子は、その各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2002/32404号パンフレット、国際公開第2006/037979号パンフレット、国際公開第2007/122388号パンフレット、国際公開第2007/015105号パンフレットおよび国際公開第2013/034726号パンフレットのいずれかに記載される金ナノ粒子であり得る。
金ナノ粒子は、金(Au)原子を含むコアを含む。コアは、1個または複数のFe、CuまたはGd原子をさらに含み得る。コアは、Au/Fe、Au/Cu、Au/Gd、Au/Fe/Cu、Au/Fe/GdまたはAu/Fe/Cu/Gdなどの金合金から形成され得る。コア中の原子の総数は、100~500個の原子、例えば150~450個、200~400個または250~350個の原子であり得る。金ナノ粒子は、1~100、20~90、30~80、40~70または50~60nmの平均直径を有し得る。好ましくは、金ナノ粒子は、20~40nmの平均直径を有する。
ナノ粒子は、α-ガラクトースおよび/またはβ-GlcNHAcでコーティングされた表面を含み得る。例えば、ナノ粒子は、α-ガラクトースおよび/またはβ-GlcNHAcで不動態化された表面を含み得る。この場合、ナノ粒子は、例えば、金属および/または半導体原子を含むコアを含むナノ粒子であり得る。例えば、ナノ粒子は金ナノ粒子であり得る。β-GlcNHAcは、抗原提示細胞を活性化することができる細菌病原体関連分子パターン(PAMP)である。このようにして、β-GlcNHAcでコーティングまたは不動態化された表面を含むナノ粒子は、免疫応答を非特異的に刺激し得る。したがって、このようなナノ粒子への免疫原性ペプチドの付着により、本発明の医薬組成物の個体への投与によって誘発される免疫応答が改善され得る。
ペプチドまたはポリヌクレオチド以外の1つまたは複数のリガンドを、上記のいずれかの種類のナノ粒子であり得るナノ粒子に連結してもよい。リガンドは、コアの表面を部分的または完全に覆うことができる「コロナ」、層またはコーティングを形成し得る。コロナは、ナノ粒子コアを取り囲むまたは部分的に取り囲む有機層であると考えられ得る。コロナは、ナノ粒子のコアの不動態化をもたらす、またはこれに関与し得る。したがって、場合によっては、コロナがコアを安定化させるのに十分に完全なコーティング層であり得る。コロナは、本発明のナノ粒子の水溶性などの溶解性を促進し得る。
ナノ粒子は、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個または少なくとも50個のリガンドを含み得る。リガンドは、1つまたは複数のペプチド、タンパク質ドメイン、核酸分子、脂質基、炭水化物基、アニオン性基、またはカチオン性基、糖脂質および/または糖タンパク質を含み得る。炭水化物基は、多糖、オリゴ糖または単糖基(例えば、グルコース)であり得る。リガンドの1つまたは複数は非自己成分であってもよく、これにより、ナノ粒子が病原性成分との類似性のために抗原提示細胞によって取り込まれる可能性が高くなる。例えば、1つまたは複数のリガンドは、炭水化物部分(例えば、細菌炭水化物部分)、界面活性剤部分および/またはグルタチオン部分を含み得る。例示的なリガンドには、グルコース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、グルタチオン、2’-チオエチル-β-D-グルコピラノシドおよび2’-チオエチル-D-グルコピラノシドが含まれる。好ましいリガンドには、糖ナノ粒子を形成する複合糖質が含まれる。
コアへのリガンドの連結は、リンカーによって促進され得る。リンカーは、チオール基、アルキル基、グリコール基またはペプチド基を含み得る。例えば、リンカーは、C2~C15アルキルおよび/またはC2~C15グリコールを含み得る。リンカーは、コアに共有結合付着することができる硫黄含有基、アミノ含有基、リン酸含有基または酸素含有基を含み得る。あるいは、リガンドは、例えば、リガンドに含まれる硫黄含有基、アミノ含有基、リン酸含有基または酸素含有基を介してコアに直接連結され得る。
ナノ粒子への付着
典型的には、免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドは、ナノ粒子のコアに付着され得るが、コロナまたはリガンドへの付着も可能であり得る。免疫原性ペプチドは、そのN末端でナノ粒子に付着され得る。
ペプチドまたはポリヌクレオチドは、例えば、ペプチドまたはポリヌクレオチド中の硫黄含有基、アミノ含有基、リン酸含有基または酸素含有基中の原子とナノ粒子またはそのコア中の原子の共有結合によって、ナノ粒子に直接付着され得る。
リンカーは、ペプチドまたはポリヌクレオチドをナノ粒子に連結するために使用され得る。リンカーは、コア中の原子に共有結合付着することができる硫黄含有基、アミノ含有基、リン酸含有基または酸素含有基を含み得る。例えば、リンカーは、チオール基、アルキル基、グリコール基またはペプチド基を含み得る。
リンカーは、ペプチド部分および非ペプチド部分を含み得る。ペプチド部分は、配列X(式中、XはAおよびGから選択されるアミノ酸であり;XはAおよびGから選択されるアミノ酸であり;ZはYおよびFから選択されるアミノ酸である)を含み得る。ペプチド部分は、配列AAYまたはFLAAYを含み得る。リンカーのペプチド部分は、ペプチドのN末端に連結され得る。リンカーの非ペプチド部分は、C2~C15アルキルおよび/またはC2~C15グリコール、例えばチオエチル基またはチオプロピル基を含み得る。
リンカーは、(i)HS-(CH-CONH-AAY;(ii)HS-(CH-CONH-LAAY;(iii)HS-(CH-CONH-AAY;(iv)HS-(CH-CONH-FLAAY;(v)HS-(CH10-(CHOCH-CONH-AAY;および(vi)HS-(CH10-(CHOCH-CONH-FLAAYであり得る。この場合、リンカーの非ペプチド部分のチオール基がリンカーをコアに連結する。
ペプチドまたはポリヌクレオチドをナノ粒子に付着させるための他の適切なリンカーは当技術分野で公知であり、当業者によって容易に特定および実施され得る。
上で説明されるように、医薬組成物は、複数の免疫原性ペプチドまたは複数のポリヌクレオチドを含み得る。医薬組成物が2つ以上の免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドを含む場合、2つ以上(例えば、3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上または20以上)の免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドを同じナノ粒子に付着させてもよい。2つ以上(例えば、3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上または20以上)の免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドをそれぞれ異なるナノ粒子に付着させてもよい。しかしながら、免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドが付着しているナノ粒子が同じ種類のナノ粒子であってもよい。例えば、各免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドを金ナノ粒子または金グリコールナノ粒子に付着させてもよい。各免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドをCaPナノ粒子に付着させてもよい。免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドが付着しているナノ粒子が異なる種類のナノ粒子であってもよい。例えば、1つの免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドを金ナノ粒子に付着させ、別の免疫原性ペプチドまたはポリヌクレオチドをCaPナノ粒子に付着させてもよい。
組成物は、生理学的に許容される担体または希釈剤と共に調製され得る。典型的には、このような組成物は、ペプチドおよび/またはペプチド連結ナノ粒子の液体懸濁液として調製される。
医薬品、方法および治療的使用
本発明は、コロナウイルス感染症を予防および/または処置する方法であって、本発明の医薬組成物を個体に投与するステップを含む方法を提供する。本発明はまた、個体のコロナウイルス感染症を予防および/または処置する方法における使用のための、本発明の医薬組成物を提供する。本発明はさらに、個体のコロナウイルス感染症を処置および/または予防するための医薬品の製造における、免疫原性ペプチド、およびこのようなペプチドをコードするヌクレオチドの使用を提供する。
典型的には、個体はヒトである。しかしながら、個体は、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、鳥類、コウモリなどの動物であってもよい。
コロナウイルス感染症は、人畜共通ウイルスによって引き起こされ得る。コロナウイルス感染症はパンデミックウイルス感染症または潜在的パンデミックウイルス感染症であり得る。コロナウイルス感染症は、エンデミックコロナウイルスによって引き起こされる感染症であり得る。コロナウイルス発明は季節性コロナウイルス感染症であり得る。コロナウイルス感染症は、ヒトコロナウイルスによって引き起こされ得る。コロナウイルス感染症は、コウモリコロナウイルスなどの動物コロナウイルスによって引き起こされ得る。コロナウイルス感染症は、人畜共通コロナウイルスによって引き起こされ得る。例示的なヒト、動物および人畜共通コロナウイルスは当技術分野で周知である。
ヒトコロナウイルスは、例えば、SARS-CoV-2ウイルスであり得る。ヒトコロナウイルスは、例えば、SARS-CoV-1ウイルスであり得る。ヒトコロナウイルスは、例えば、MERS-CoVウイルスであり得る。ヒトコロナウイルスは、例えば、エンデミック風邪コロナウイルスであり得る。上に示されるように、エンデミック風邪コロナウイルスには、229E、NL63、OC43およびHKU1が含まれる。
医薬組成物は、好ましくは薬学的に許容される担体または希釈剤を含む。医薬組成物は、任意の適切な方法を使用して製剤化され得る。標準的な薬学的に許容される担体および/または賦形剤を用いた細胞の製剤化は、薬学分野における日常的な方法を使用して行われ得る。製剤の正確な性質は、投与される細胞および所望の投与経路を含むいくつかの因子に依存する。製剤の適切な種類は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Company、Eastern Pennsylvania、米国に完全に記載されている。
医薬組成物は、任意の経路によって投与され得る。適切な経路には、それだけに限らないが、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、皮内、経皮および経口/頬側経路が含まれる。
ナノ粒子は、薬学的に許容され、有効成分と適合性である賦形剤と混合され得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールなどおよびこれらの組み合わせである。
さらに、所望であれば、医薬組成物は、湿潤剤もしくは乳化剤、および/またはpH緩衝剤などの少量の補助物質を含有し得る。
ペプチド、ペプチド連結ナノ粒子、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド連結ナノ粒子は、投与製剤と適合する方法で投与され、このような量で治療上有効である。投与される量は、処置される対象、処置される疾患および対象の免疫系の能力に依存する。投与が必要とされるペプチド、ポリヌクレオチドまたはナノ粒子の正確な量は、実務家の判断に依存し得、各対象に特有であり得る。
任意の適切な数のペプチド、ペプチド連結ナノ粒子、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド連結ナノ粒子が対象に投与され得る。例えば、患者1kg当たり少なくともまたは約0.2×10、0.25×10、0.5×10、1.5×10、4.0×10または5.0×10個のペプチド、ペプチド連結ナノ粒子、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド連結ナノ粒子が投与され得る。例えば、少なくともまたは約10、10、10、10、10個のペプチド、ペプチド連結ナノ粒子、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド連結ナノ粒子が投与され得る。目安として、投与されるペプチド、ペプチド連結ナノ粒子、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド連結ナノ粒子の数は、10~10個、好ましくは10~10個であり得る。
複合体
本発明は、MHC分子に結合した本発明の免疫原性ペプチドを含む複合体を提供する。したがって、複合体は、例えば、MHC分子に結合した配列番号2~12、46および63のいずれか1つを含むか、またはそれからなる免疫原性ペプチドを含み得る。したがって、複合体は、例えば、配列番号2~12、46および63から選択される関連配列との少なくとも50%の配列同一性を有する免疫原性ペプチドを含み得る。バリアントは、例えば、配列番号2~12、46および63から選択される関連配列との少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%または99%の配列同一性を有し得る。
ペプチド:MHC結合は当技術分野で周知である。好ましくは、複合体に含まれるペプチドとMHC分子との間の結合は非共有結合性である。結合は、例えば、静電相互作用、水素結合、ファンデルワールス力および/または疎水性相互作用によって媒介され得る。
MHC分子はMHCクラスI分子またはMHCクラスII分子であり得る。好ましくは、MHC分子はMHCクラスI分子である。MHC分子は、任意のHLAスーパータイプのものであり得る。例えば、MHCクラスI分子は、スーパータイプA1、A10、A11、A19、A2、A203、A210、A23、A24、A2403、A25、A26、A28、A29、A3、A30、A31、A32、A33、A34、A36、A43、A66、A68、A69、A74、A80、A9、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B21、B22、B27、B35、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B44、B45、B46、B47、B48、B49、B5、B50、B51、B5102、B5103、B52、B53、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B63、B64、B65、B67、B7、B70、B703、B71、B72、B73、B75、B76、B77、B78、B8、B81、B82、C1、C10、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8またはC9のものであり得る。
複合体は、本発明の2つ以上の免疫原性ペプチドと、2個以上のMHC分子とを含み得る。例えば、複合体は、3つ以上、例えば4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上または20以上の本発明の免疫原性ペプチドを含み得る。複合体は、3個以上、例えば4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上または20個以上のMHC分子を含み得る。複合体は、例えば、それぞれ、3つ以上、例えば4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上または20以上の本発明の免疫原性ペプチドと、3個以上、例えば4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上または20個以上のMHC分子とを含み得る。複合体は、MHC分子と同じ数の本発明の免疫原性ペプチドを含み得る。複合体は、MHC分子の数とは異なる数の本発明の免疫原性ペプチドを含み得る。複合体は、例えば、4個のMHC分子を含み得る。複合体は、MHC四量体を含み得る、またはからなり得る。複合体は、例えば、12個のMHC分子を含み得る。複合体は、MHC十二量体を含み得る、またはからなり得る。
複合体が2つ以上の本発明の免疫原性ペプチドを含む場合、2つ以上の免疫原性ペプチドの各々が同じであってもよい。あるいは、2つ以上の免疫原性ペプチドの各々が異なっていてもよい。複合体が3つ以上の本発明の免疫原性ペプチドを含む場合、3つ以上の免疫原性ペプチドの各々が同じであってもよい。複合体が3つ以上の本発明の免疫原性ペプチドを含む場合、3つ以上のペプチドの各々が異なっていてもよい。複合体が3つ以上の本発明の免疫原性ペプチドを含む場合、3つ以上の免疫原性ペプチドの一部が同じであってもよく、3つ以上の免疫原性ペプチドの一部が異なっていてもよい。
複合体が2個以上のMHC分子を含む場合、2個以上のMHC分子の各々が同じであってもよい。あるいは、2個以上のMHCの各々が異なっていてもよい。複合体が3個以上のMHC分子を含む場合、3個以上のMHC分子の各々が同じであってもよい。複合体が3個以上のMHC分子を含む場合、3個以上のMHC分子の各々が異なっていてもよい。複合体が3個以上のMHC分子を含む場合、3個以上のMHC分子の一部が同じであってもよく、3個以上のMHC分子の一部が異なっていてもよい。
複合体が2つ以上の本発明の免疫原性ペプチドおよび2個以上のMHC分子を含む場合、各免疫原性ペプチドを2個以上のMHC分子のうちの1個に結合してもよい。すなわち、複合体に含まれる各免疫原性ペプチドを複合体に含まれるあるMHC分子に結合してもよい。好ましくは、複合体に含まれる各免疫原性ペプチドが複合体に含まれる異なるMHC分子に結合している。すなわち、複合体に含まれる各MHC分子が、好ましくは複合体に含まれる1つ以下の免疫原性ペプチドに結合している。しかしながら、複合体は、MHC分子に結合していない1つまたは複数の本発明の免疫原性ペプチドを含んでいてもよい。複合体は、本発明のペプチドに結合していない1個または複数のMHC分子を含んでいてもよい。
複合体に含まれる1個または複数のMHC分子は互いに連結していてもよい。例えば、複合体中の1個または複数のMHC分子の各々を骨格分子またはナノ粒子に付着させてもよい。複合体に含まれる1個または複数のMHC分子をデキストラン骨格に付着させてもよい。すなわち、複合体は、MHCデキストラマーを含み得る、またはからなり得る。1個または複数のMHC分子をデキストラン骨格に付着させる機序は当技術分野で公知である。任意の数のMHC分子をデキストラン骨格に付着させてもよい。例えば、1つまたは複数、2つ以上、3つ以上、例えば4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上または20以上の本発明のペプチドおよび3個以上、例えば4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上または20個以上のMHC分子をデキストラン骨格に付着させてもよい。
複合体はフルオロフォアを含み得る。フルオロフォアは当技術分野で周知であり、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、PE(フィコエリトリン)およびAPC(アロフィコシアニン)を含む。複合体は、任意の数のフルオロフォアを含み得る。例えば、複合体は、2つ以上、3つ以上、例えば4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上または20以上の本発明のペプチドと、3個以上、例えば4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上または20個以上のフルオロフォアとを含み得る。複合体が複数のフルオロフォアを含む場合、複合体に含まれるフルオロフォアは同じであっても異なっていてもよい。複合体がデキストラン骨格などの骨格を含む場合、フルオロフォアは好ましくはデキストラン骨格に付着している。フルオロフォアをデキストラン骨格に付着させる機序は当技術分野で公知である。
それらの特定の形態で、または開示される機能を実施するための手段、または開示される結果を取得するための方法もしくはプロセスに関して表現される、前記説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面に開示される特徴は、必要に応じて、別個に、またはこのような特徴の任意の組み合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用され得る。
本発明を上記の例示的な実施形態と併せて説明してきたが、本開示が与えられると、多くの等価な修正および変形が当業者には明らかであろう。したがって、上に示される本発明の例示的な実施形態は例示的であり、限定的ではないと見なされる。記載される実施形態に対する様々な変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得る。
疑義を避けるために、本明細書で提供されるいずれの理論的説明も、読者の理解を改善する目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望まない。
本明細書で使用されるいずれの節の見出しも、構成上の目的のためのものにすぎず、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1-試料調製
3段階プロトコルを使用して試料を調製した:
1.ウイルスストックの作製
2.感染細胞上清および溶解物試料の作製
3.回収された試料の不活性化検証
ステップ1:ウイルスストックの作製
SARS CoV-2株(ワシントンおよびイタリア)をAmerican Type Culture Collectionから入手した。Vero細胞をT-75フラスコに播種した(410^6細胞/フラスコ)。ウイルスを2mLの培養培地に希釈して、0.02~0.05のMOIを達成した。細胞を15分ごとに揺動させながら37℃で1時間感染させ、接種材料を広げた。1時間後、8mLの培養培地をフラスコに添加し、フラスコを37℃および5% COで3日間インキュベーターに戻した。感染後3日で、5mLの培養培地をフラスコから捨て、5mLの新鮮な培地を添加した。感染後5日で、上清を回収し(約10mL)、シリンジ濾過して(0.2ミクロンPESフィルタシリンジ)、50mL三角フラスコに入れた。濾過した上清を等分し、-80℃で凍結した。Vero細胞を用いた標準的なプラークアッセイを使用して、ウイルスを力価測定した。
ステップ2:感染細胞上清および溶解物試料の作製
MHC関連ペプチドを単離するために、以下のように試料を回収した。試料回収のために十分な数の細胞に感染させるために、新たなウイルスストックを各実験のために作製した。HepG2細胞をT-175フラスコまたはT-150皿(110^7細胞/フラスコ)で増殖させ、SARS CoV-2に感染させた。ウイルスを5mlの培養培地に希釈して、0.01のMOIを達成した。細胞を15分ごとに揺動させながら37℃で1時間感染させ、接種材料を広げた。1時間後、15mLの培養培地をフラスコに添加し(合計20mLの培地)、フラスコを37℃および5% COで3日間インキュベーターに戻した。
72時間で、上清を新鮮な培養培地(総体積20mL)に1:1希釈し、これを使用してT-150皿で増殖させたHepG2細胞(110^7細胞/皿)を感染させた。感染後24時間で、感染細胞を、細胞スクレーパーを使用して、2mM EDTAを補充したPBS中で収穫した。細胞を1500rpmでスピンダウンし、上清を除去し、細胞ペレットを0.1%トリフルオロ酢酸溶液(試料当たり3mL)に再懸濁した。試料を室温で10分間ロッカー上でインキュベートし、1500rpmで5分間スピンダウンした。TFA上清を回収し、-80℃で保存した。
細胞ペレットを再懸濁し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(試料当たり3mL)を補充したPBSで2回洗浄した。細胞を1500rpmで5分間ペレット化した。細胞ペレットを溶解緩衝液(150mM NaCl、10mM NaHPO、1mM EDTA、1% NP-40およびプロテアーゼ阻害剤カクテル、試料当たり3mL)に再懸濁した。再懸濁した細胞を-80℃で凍結し、その後、37℃の水浴中で2回解凍して細胞を溶解した。試料を3000rpmで10分間スピンダウンして破片を捨て、細胞溶解物を-80℃で凍結した。
ステップ3:回収された試料の不活性化検証
BSL-3実験室から回収した試料を除去する前に、各試料を個別に試験して、検出可能なウイルスが存在しないことを確認した。Vero細胞を用いた標準的なプラークアッセイ(検出限界約50 PFU/mL)を使用して検証を実施した。不活性化を確認したら、試料をBSL-3から取り出し、出荷した。
実施例2-SARS-CoV-2ウイルス感染細胞からのMHCクラスIペプチドの発見
方法
1.SCV2感染HepG2細胞の調製
HepG2細胞(全細胞1.4×10個)を2つの別々のバッチで増殖させ、両バッチを独立して感染させた。バッチ1では、細胞をSCV2(MOI=0.01)で72時間感染させ、上清を回収した。バッチ2では、細胞をラウンド1感染からの上清(培地で1:1希釈)で48時間感染させた。フローサイトメトリー法を使用して、SCV2感染後の各バッチについて感染効率を試験した。上清および細胞溶解物をVero細胞培地に10倍連続希釈し(プラークアッセイプロトコルによる)、これを使用してVero細胞に感染させてウイルス粒子の存在を測定した。プラーク数を、不活化尺度として感染後48時間で計数した。
2.質量分析試料分析を使用したSCV2 MHCクラスIペプチドの発見
a)試料調製-SARS-CoV-2_USA_WA1株に感染したHepG2細胞を収穫し、PBSで1回洗浄した。細胞ペレットを0.1% TFAで処理し、上清を回収した。細胞ペレットを溶解緩衝液で処理し、免疫プロテオミクスプロトコルを使用して処理してMHCクラスIペプチドを単離および精製した。2つの試料(ステップ1および2からの試料)をプールし、洗浄し、オフラインHPLCシステムで分画した。各画分をUPLC-Nano-MS/MSシステムで分析した。
b)DDAモード-試料を、Dionex Ultimate 3000 RLSCnano System(Thermo Scientific)に連結されたEclipse triploid質量分析計を使用して分析した。試料を、溶融シリカトラップカラムAcclaim PepMap 100、75μm×2cm(ThermoFisher)に充填した。0.1% TFAで洗浄した後、トラップカラムをLC-MS/MS用の分析カラム(Nanoease MZペプチドBEH C18、130A、1.7μm、75μm×250mm、Waters)とインラインにした。4~90%B(A:0.2%ギ酸、B:0.08%ギ酸、80% ACN):5分で4~15%B、50分で15~50%Bおよび15分で50~90%Bのセグメント化された線形勾配を使用してペプチドを溶出した。分解能:240000、正規化(AGC)標的:正常(1E6)の250%、最大注入時間:50msで、375~1500の周期的な一連のフルスキャンを用いたデータ依存型取得手順を使用して、質量分析データ(CIDまたはHCDモード)を取得した。トップS(1秒)および30秒の動的排除を使用して、5E3の強度閾値を用いてMSMSについて電荷ステージ2~7の親イオンを選択した。選択されたイオンは、アイソレーションウインドウ:1.2m/z、正規化AGC標的200%でイオントラップに伝送され、相対衝突エネルギー35%で断片化され、高速走査速度でイオントラップ内で走査された。
3.データベース検索
全ての生スペクトルファイルのデータベース検索を、Proteome Discoverer 1.4(Thermo Fisher Scientific)を使用して実施した。SEQUESTを、ポジティブセンス配列とネガティブセンス配列の両方を含むSCV2タンパク質配列データベースに対するデータベース検索に使用した。対応する逆データベースに対するデータベース検索も実施して、ペプチド/タンパク質特定の偽発見率(FDR)を評価した。データベース検索パラメータには、酵素消化がない場合の最大2回の切断ミス、前駆体質量許容差10 ppm、プロダクトイオン質量許容差0.4Da、および可変修飾としてのメチオニン酸化が含まれた。各実行からの結果を、高としてのペプチド信頼度値でフィルタリングして、ペプチドレベルで5%未満のFDRを得た。タンパク質レベルでは、検索パラメータは、各タンパク質について最小数のペプチド1、ランク1のペプチドのみの計数、およびスコアが最も高いタンパク質のみのペプチドの計数を含み、全てのデータフィルタリングに適用した。さらに、タンパク質グループ化が可能になり、厳密な最大最節約原理を適用した。その後、手動評価を各質量スペクトルに適用した。
結果
結果を図2~図13および以下の表2に示す。
<表2>
実施例3-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2英国株のorf1ab遺伝子によってコードされるORFのコンセンサス配列の決定
数千の英国SARS-CoV-2配列をダウンロードした。orf1ab遺伝子によってコードされる最長ネガティブセンスORF(すなわち、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子によってコードされる最長ORF)を各配列について決定した。LNSORF100の位置の各々についての正規化シャノンエントロピーを計算した。1の値は、関連する位置が20個のアミノ酸のいずれかによって占められ得ることを意味する。0の値は、1つのアミノ酸のみが関連する位置を占めることを意味する。換言すれば、正規化シャノンエントロピーにおいて、より小さい数は、所与の位置のアミノ酸がより高度に保存されていることを示す。
アミノ酸出現頻度を以下の表3に示す。アミノ酸分率を以下の表4に示す。対応する正規化シャノンエントロピーおよび誘導されたコンセンサス配列(配列番号13)を以下の表5に示す。図14に示されるように、ORFは英国SARS-CoV-2株間で十分に保存されている。
<表3>
<表4>
<表5>
実施例4-翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子によってコードされるORFのコンセンサス配列の決定
238,754個のSARS-CoV2高品質ゲノム(すなわち、登録者によって検証された任意の変異、挿入または欠失を含む完全な高カバレッジ)をGISAIDからダウンロードした。クレード、サンプリング日および地理的位置に関係なく、ゲノムをダウンロードした。orf1ab遺伝子によってコードされる最長ネガティブセンスORF(すなわち、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでSARS-CoV-2のorf1ab遺伝子によってコードされる最長ORF)を各配列について決定した。これらの配列の全てのうち、235,354個は100残基のネガティブセンスORFを有していた。これらのORF配列を分析して、コンセンサス配列および配列中の各位置についてのシャノンエントロピーを決定した。
アミノ酸出現頻度および誘導されたコンセンサス配列(配列番号13)を以下の表6に示す。図15および図16に示されるように、ORFはSARS-CoV-2株間で十分に保存されている。
<表6>
誘導されたコンセンサス配列(MSPTTSVVFTLHSRTSFCMVGFSTTSSETGFRSSQARLSIPCASSDFSTSNEFDVSTGFVLQRQRIHQVFGLYVALLVALLTCQTIGLCNNLAPFLKEGV;配列番号13)は、実施例3のSARS-CoV-2英国株に由来するコンセンサス配列と同一である。
配列番号13と同一の100アミノ酸ORF(配列番号14)はまた、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2分離株WIV04(GenBank:MN996528.1)のゲノムによってもコードされる。配列番号13と同一の100アミノ酸ORF(配列番号15)はまた、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで「武漢海鮮市場肺炎ウイルス」(SARS-CoV-2)分離株Wuhan-Hu-1(GenBank:NC045512.2)のゲノムによってもコードされる。さらに、配列番号13との96%の配列同一性を有する100アミノ酸ORF(配列番号16)は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコウモリコロナウイルス分離株RaTG13(GenBank:MN996532.1)のゲノムによってコードされる。配列番号13との91%の配列同一性を有する100アミノ酸ORF(配列番号17)は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコウモリSARS様コロナウイルス分離株bat-SL-CoVZXC21(GenBank:MG772934.1)のゲノムによってコードされる。配列番号13との29%の配列同一性を有する100アミノ酸ORF(配列番号18)は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコウモリSARS様コロナウイルス分離株bat-SL-CoVZC45(GenBank:MG772933.1)のゲノムによってコードされる。図17は、コンセンサス配列(配列番号13)とこれらの初期SARS-CoV-2配列およびコウモリトコロナウイルスORF100配列のアラインメントを示す。
「外れ値」配列
外れ値配列の数が非常に多いため(238,754個中3,400個、ダウンロードした全配列の1.4%が、100残基長の最長ネガティブセンスORFを生成しなかった)、各配列を手動で分析することは実現不可能であろう。重複する最長ネガティブセンスORF配列を除外し、同じ長さの類似の配列も除外した。これらの244個の配列から24個を無作為に選び、Exonerateを使用してORF100コンセンサス配列をゲノムデータとアラインメントした。ゲノムデータを大まかに見ると、調べた配列のいくつかにおいて割り当てられていない塩基のいくつかの伸長が示されたので、LNSORFスクリプトを、ミスリードおよび曖昧な塩基に対処するために調整する必要があり得る。
<表7>
分析された外れ値配列の全てがORF100配列を含み、誤認の原因は分析された配列中の配列決定ギャップの存在および曖昧な塩基の存在に起因する。
実施例5-ネガティブセンスSARS-CoV-2ペプチドのパネルによる初代ヒト末梢血単核細胞の刺激およびSARS-CoV-2ネガティブセンスペプチドMHCデキストラマーによる染色
概要
7つのネガティブセンスSARS-CoV-2ペプチドのパネルを使用して、内部血液ドナー(EVB00028、EVB00031、EVB00033)からのヒトPBMCを刺激した。その後、細胞をIFN-γおよび様々なT細胞マーカーの産生について分析した。
方法
A)PBMC調製
静脈穿刺前に血液ドナーからインフォームドコンセントを得た。ドナーに内部番号を割り当てた。60mLの血液を、同意したボランティアからEDTAチューブに採取した。全血を以下のように緩衝液(PBS+1%ウシ血清アルブミン)に希釈した:血液30mL+緩衝液20mL。
25mLの希釈血液を、50mLファルコンチューブ中18mLのFicoll-paque溶液上に慎重に重層した。血液試料を室温で、300×g、減速度設定0で20分間遠心分離した。
血漿を慎重に取り出し、清潔な50mLファルコンチューブに分注し、ドナーの番号で標識し、さらなる分析まで-800℃で保存した。
バフィーコート(PBMC)層を慎重に取り出し、清潔な50mLファルコンチューブに分注した。細胞試料を緩衝液を用いて50mLまで満たし、10分間、40℃、300×gで遠心分離した。上清を捨て、細胞ペレットを50mLの緩衝液に再懸濁し、上記のように遠心分離した。これをもう一度繰り返した。次いで、細胞を計数し、AB培地(L-グルタミン、50mLの熱不活性化AB血清、5mLのペニシリン/ストレプトマイシン、5mL(200 g/L)グルコースを補充した500mLのRPMI 1640)中2.5×10^6/mLで再懸濁した。
B)ペプチド刺激
次いで、細胞を24ウェルプレートのウェルに1mL体積で等分した。
50 IUのIL-2を含むAB培地を調製した。以下のペプチドの各々を、50 IUのIL-2を含むAB培地に20μM濃度に希釈した:
LSIPCASSDFST(配列番号4)
LYVALLVALLTCQ(配列番号6)
RLSIPCASSDF(配列番号8)
TCQTIGLCNNLAPFL(配列番号9)
TLHSRTSFCMV(配列番号10)
VALLTCQTIGLCN(配列番号11)
VFTLHSRTSF(配列番号12)
希釈したペプチドをPBMCに添加し、プレートを37℃、5% CO2のインキュベーターに入れた。2日目、4日目および6日目に、細胞に半枯渇によって供給した。手短に言えば、1mLの培地を各ウェルから取り出し、50 IU IL-2を含む1mLの新鮮なAB培地を補充した。
C)ELISPOT調製
無血清ELISPOT培地を調製した(500mL RPMI 1640+1% v/vペニシリン/ストレプトマイシン)。ヒトIFN-γELISPOTプレート(Mabtech)をPBSで4回洗浄し、室温で少なくとも30分間、AB培地でブロッキングした。PBMCを収穫し、10分間、300×g、40℃で遠心分離し、無血清培地に再懸濁し、計数した。細胞を5×10^6細胞/mLで再懸濁した。PBMCを50μL/ウェルでELISPOTウェルのウェルに添加した。
ペプチドを、400μMの濃度でPBMCを再刺激するために調製し、50μLの体積でELISPOTウェルに添加し、ウェル中の最終濃度を200μMとした。
プレートを、蓋をして37℃、5% CO2で24時間インキュベートし、箔に包んだ。
24時間後、Mabtechプロトコルに従ってELISPOTプレートを発色させた。
乾燥後、プレートをCTL Immunospotアナライザーを使用してスキャンし、スポットを計数し、品質管理し、データを棒グラフとしてプロットした。
D)T細胞マーカーのフローサイトメトリー分析
刺激後7日で、残りのPBMCを1 x10^6細胞/mLの濃度でフローサイトメトリー緩衝液(PBS+1% BSA+2mM EDTA)に再懸濁し、少なくとも10分間ブロッキングした。次いで、細胞を96ウェルプレートに等分し、遠心分離し(5分/40℃/300×g)、45μL緩衝液に再懸濁した。Live/Dead染色液を1000μL中1μLで添加し(Fixable Near IR)、細胞を暗所中、40℃で10分間インキュベートした。120μLの緩衝液を添加し、試料を5分間遠心分離し、上清を捨て、200μLの緩衝液で洗浄を繰り返した。次いで、細胞を、T細胞マーカーに対する抗体を適切な濃度で含有する緩衝液(最終染色体積50μL)に再懸濁し、暗所中40℃で少なくとも30分間インキュベートした。
<表8>
<表9>
120μLの緩衝液を細胞試料に添加し、5分間遠心分離し、上清を捨てた。次いで、この洗浄ステップを繰り返した。コンペンセーションビーズを個々の抗体と共に同じ濃度でインキュベートした。抗体染色コンペンセーションビーズならびに未染色およびNIR染色細胞を使用して、Attuneフローサイトメーターの電圧を調整した。
CD3ゲーティング細胞で少なくとも150000のイベントを取得するように取得を設定した。
E)デキストラマー染色試料のフローサイトメトリー分析
PBMCを、前の節に記載されるように調製した。細胞を計数し、10~50×10^6/mlを調製した。細胞を、5%ウシ胎児血清を含有するPBSに再懸濁し、U底96ウェルプレートの1ウェル当たり100μLの細胞懸濁液を添加した。細胞を、Immudex染色プロトコルに従う前に、前記のように、Live/Dead染色Fixable Near IRで染色した。10μLのMHCデキストラマーを試料に添加し、完全に混合し、暗所中、室温で10分間インキュベートした。試料を、200μLの緩衝液を添加し、40℃で5分間遠心分離することによって5回洗浄した。次いで、試料を、前記のようにCD4、CD8およびCD3細胞表面マーカーについて染色した。試料を200μLのフローサイトメトリー緩衝液に再懸濁することによって2回洗浄し、Attuneフローサイトメーターで分析した。
使用したMHCデキストラマー:A2402/VFTLHSRTSF-APC
F)HLAタイピング(Proimmune)
PBMC試料からの細胞ペレットを、HLAタイピングのためにProImmune Ltdに凍結して送った。
G)結合親和性予測
個々のドナーのHLAプロファイルに基づいて、MHC分子に対する個々のペプチドの結合親和性を予測するために、アルゴリズムPSS MHC Panを使用してKD値を得た。
結果
図18は、ネガティブセンスSARS-CoV-2ペプチドによるPBMC(ドナーEVB00028、EVB00031およびEVB00033由来)の刺激からのELISPOTデータを示す。PBMCを、方法の節に記載されるように7日間、個々のペプチドと共にインキュベートした。次いで、細胞をIFN-γELISPOTアッセイで使用し、そこでこれらを同じペプチドで24時間再刺激した。プレートを発色させ、CTL Immunospot Analyserを使用してスポットを計数し、3連値の平均-/+標準偏差としてプロットした。(A)および(B)は、陽性対照として使用した、(A)抗CD3抗体ありおよび(B)抗CD3抗体なしのEVB00028からの結果を示す。(C)はEVB00031からの結果を示す。(D)および(E)は、陽性対照として使用した(D)抗CD3抗体ありおよび(E)抗CD3抗体なしのEVB00033からの結果を示す。
全3人の対象ドナーからの結果は、ペプチドLYVALLVALLTCQに対する強い反応性を示した。EVB00028およびEVB00031はペプチドVFTLHSRTSFに対しても強く反応し、EVB00033はVALLTCQTIGLCNに対しても強く反応した。
図19は、EVB00028由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す。PBMCを細胞表面マーカーに対する抗体のパネル(前の節に列挙される)で染色して、ナイーブT細胞(A)、セントラルメモリーT細胞(B)、エフェクターメモリーT細胞(C)および(D)、ならびに常在性メモリーT細胞(E)などの異なるT細胞集団を特徴づけた。さらに、活性化マーカーも分析した(F)~(I)。CD3+T細胞集団でゲーティングされた陽性細胞のパーセンテージをプロットした。
IFN-γELISPOTアッセイで得られた結果と同様に、ペプチドLYVALLVALLTCQおよびVALLTCQTIGLCNは、CD69、CD38、OX40/CD25、PDL1/CD25の上方制御に示されるように、EVB00028由来のCD3+細胞において活性化を誘導した。
図20は、EVB00033由来のPBMCの刺激後のT細胞表面マーカーのフローサイトメトリー分析を示す。PBMCを細胞表面マーカーに対する抗体のパネル(前の節に列挙される)で染色して、ナイーブT細胞(A)、セントラルメモリーT細胞(B)、エフェクターメモリーT細胞(C)および(D)、ならびに常在性メモリーT細胞(E)などの異なるT細胞集団を特徴づけた。さらに、活性化マーカーも分析した(F)~(I)。CD3+T細胞集団でゲーティングされた陽性細胞のパーセンテージをプロットした。
EVB00033由来のCD3+細胞は、ペプチドLYVALLVALLTCQおよびVALLTCQTIGLCNによって同様に活性化されたが、CD69、CD38、OX40/CD25、PDL1/CD25の上方制御に示されるように、後者の方がはるかに程度は低かった。
図21は、A2402/VFTLHSRTSF-APC MHCデキストラマー染色分析を示す。EVB00028、EVB00031およびEVB00033由来の非刺激PBMCを、前記のプロトコルに従って調製した。次いで、PBMCをVFTLHSRTSF-APCまたは陰性対照デキストラマーのいずれかと共にインキュベートし、引き続いてCD3、CD4およびCD8に対する抗体と共にインキュベートした。細胞をCD3+細胞のみまたはCD3+とCD8+細胞のいずれかでゲーティングし、VFTLHSRTSF-APCについて陽性の細胞のパーセンテージを棒グラフとしてプロットした。全3人の対象由来のPBMCは、VFTLHSRTSF-APCデキストラマーに結合することができるCD8+T細胞の存在を示した。
しかしながら、完全なHLAタイピング結果(表10)は、HLA-A24:02を有するEVB00033のみを示したので、MHC-デキストラマーへのT細胞受容体の何らかの非特異的結合が生じているかどうかという疑問が生じる。
<表10>
<表11>
実施例6-ORF100をコードするポリヌクレオチドの調製
ORF100コンセンサスアミノ酸配列(配列番号13)をコードするポリヌクレオチド配列を、21bpの重複および100bpの配列長に適合させたBioTechniques 69、211(全体が参照により本明細書に組み込まれる)に概説される方法を使用して、重複オリゴヌクレオチドを使用して合成した。図22は、ORF100をコードするポリヌクレオチドについての予想されるサイズのポリヌクレオチドに関連するバンドを示す。
以下のオリゴをこの方法で使用した:
CVNS100_FO1
順方向オリゴ1(配列番号19):
atgtctcctacaacttcggtagttttcacattacactcaagaacgtctttctgtatggtaggattttccactacttcttcagagactggttt
CVNS100_RO1
逆方向1(配列番号20):
atcaaattcgtttgatgtactgaagtcagaggacgcgcagggaatggataatcttgcctgcgaagatctaaaaccagtctctgaagaagta
CVNS100_RO2
逆方向2(配列番号21):
ctaataaagccacgtataaaccaaatacctggtgtatacgttgtctttggagcacaaaaccagttgaaacatcaaattcgtttgatgtact
CVNS100_RO3
逆方向3(配列番号22):
ctacacaccctcttttaagaaaggagctaaattgttacataaacctattgtttggcatgttaacaatgcaactaataaagccacgtataaac
以下の増幅プライマーをこの方法で使用した:
CVNS100_Fwd
順方向(配列番号23):ATGTCTCCTACAACTTCG Tm=56℃
CVNS100_Rev
逆方向(配列番号24):CTACACACCCTCTTTTAAGA Tm=57℃
合成されたポリヌクレオチドは、配列番号1(atgtctcctacaacttcggtagttttcacattacactcaagaacgtctttctgtatggtaggattttccactacttcttcagagactggttttagatcttcgcaggcaagattatccattccctgcgcgtcctctgacttcagtacatcaaacgaatttgatgtttcaactggttttgtgctccaaagacaacgtatacaccaggtatttggtttatacgtggctttattagttgcattgttaacatgccaaacaataggtttatgtaacaatttagctcctttcttaaaagagggtgtgtag)の配列を有する。
T7プロモーターを、第2のPCRによって付着させ、引き続いて、合成されたポリヌクレオチドを精製し、次いで、これをInvitrogen Transcription Kit(https://www.fishersci.co.uk/shop/products/product/10219104)のための鋳型として使用する。GFPが並行反応において陽性対照として使用されるであろう。第2のPCRのためのプライマーは以下である:
CVNS100_Fwd_T7
順方向(配列番号25):gaaatTAATACGACTCACTATAGGGccgccaccATGTCTCCTACAACTTCG
キー:LNSORF100についてのT7プロモーターコザックプライマー
CVNS100_Rev_AAA
逆方向(配列番号26):tttttttttttttttttttttttttttttttttCTACACACCCTCTTTTAAGA
キー:ポリ(A)プライマー
ORF11コンセンサスアミノ酸配列(配列番号13)をコードするポリヌクレオチド配列を使用して、細胞をORF100 mRNAでトランスフェクトすることができる。このようなトランスフェクションは、有益な研究ツールを提供し得る。例えば、トランスフェクト細胞の表面上のMHC上に提示されたペプチドを精製することができ、その結果、これらのペプチドがORF100由来であるかどうか、およびそれらがSAR-CoV-2リガンドーム(ligandome)に見られるORF100配列と一致するかどうかを決定することができる。この場合、GFPは、細胞を蛍光させ、GFP由来ペプチドをそれらのMHCクラスI分子上に表示する追加の読み出しを提供するはずであるので、陽性対照として使用され得る。
実施例7-SARS-CoV-2ウイルス由来のT細胞エピトープ(ペプチド)の確認
目的
合成ペプチド質量分析を使用して、SARS-CoV-2感染細胞における4つのネガティブセンスペプチドの特定を確認すること。
方法
4つのペプチド(表12)を合成し、比較目的のためにマススペクトルデータを生成した。標的ペプチドを合成し、質量分析を実行して、実験によって生成されたスペクトル(SARS-CoV-2感染細胞分析から単離されたペプチド)を合成ペプチドと比較して、ペプチドの配列を確認した。
質量分析
試料を、Dionex Ultimate 3000 RLSCnano System(Thermo Scientific)に連結されたEclipse triploid質量分析計を使用して分析した。試料を、溶融シリカトラップカラムAcclaim PepMap 100、75μm×2cm(ThermoFisher)に充填した。0.1% TFAで洗浄した後、トラップカラムをLC-MS/MS用の分析カラム(Nanoease MZペプチドBEH C18、130A、1.7μm、75μm×250mm、Waters)とインラインにした。4~90%B(A:0.2%ギ酸、B:0.08%ギ酸、80% ACN):5分で4~15%B、50分で15~50%Bおよび15分で50~90%Bのセグメント化された線形勾配を使用してペプチドを溶出した。分解能:240000、正規化(AGC)標的:正常(1E6)の250%、最大注入時間:50msで、375~1500の周期的な一連のフルスキャンを用いたデータ依存型取得手順を使用して、質量分析データ(CIDまたはHCDモード)を取得した。トップS(1秒)および30秒の動的排除を使用して、5E3の強度閾値を用いてMSMSについて電荷ステージ2~7の親イオンを選択した。選択されたイオンは、アイソレーションウインドウ:1.2m/z、正規化AGC標的200%でイオントラップに伝送され、相対衝突エネルギー35%で断片化され、高速走査速度でイオントラップ内で走査された。
合成ペプチドによるペプチド検証
前の試験で特定されたペプチドを検証するための合成ペプチドをChina peptides Co.,Ltd(Suzhou、中国)から入手した。次いで、合成ペプチドを上記と同一の実験条件下でLC-MS/MS分析に供し、それらのMS/MSデータに基づいてそれらの配列を確認した。候補ペプチド配列を、それらのMS/MSスペクトルとそれらの合成類似体のMS/MSスペクトルの比較によって確認した。
結果
この実施例に提示されるデータは、合成ペプチドを使用した確認試験によって生成された。その理由は、一部のペプチド(天然または合成)は、質量分析では不十分な断片化特性を有し、低品質のスペクトルを生成する可能性があり、これにより、ペプチドが検索ソフトウェアにより中程度から低いヒットであると分類されるからである。しかしながら、合成ペプチドを使用して確認試験を実行し、実験スペクトルと合成ペプチドスペクトルが一致する場合、ソフトウェアが中~低信頼度スペクトルとして特定したとしても、ペプチド配列を確認することができる。
結果を表12および13ならびに図23~図26に示す。
<表12>
<表13>
実施例8
序論
ヒトコロナウイルス229E(HcoV-229E)は、MERS-CoV、SARS-CoV-1およびSARS-CoV-2を含む7種のヒトコロナウイルスのうちの1つに属する。これはヒトおよびコウモリに感染し得る。本プロジェクトは、感染後に、HcoV-229E感染後細胞ペレットおよび全細胞溶解物中のMHCクラスIペプチドを特定するように設計された。HepG2細胞に感染させ、収穫し、溶解し、MHCクラスIペプチドを抽出して、質量分析のためのペプチド試料混合物を生成した。さらに、対照試料(モック感染)を回収し、同じ手順または感染試料に従って処理した。Eclipse triploid質量分析計と連結された超高圧液体クロマトグラフィー(UPLC)システムをペプチドの分離および特定に使用した。1つの衝突モード(CID)を感染試料の質量分析に適用した。リアルタイム試料取得のためにデータ依存型取得(DDA)法を実施した。生成されたデータセットを、データベース検索および比較のためにSEQUEST HTソフトウェアを使用して処理した。
方法
1.HcoV-229E感染HepG2細胞の調製(GMUによって実施)
HepG2細胞(2x10^7個の全細胞)を増殖させ、HcoV-229E(MOI=0.1)に24時間感染させた。
2.質量分析試料分析を使用したHcoV-229E MHCクラスIペプチドの発見
a)試料調製:HcoV-229E株に感染したHepG2細胞を収穫し、PBSで1回洗浄した。細胞ペレットを0.1% TFAで処理し、上清を回収した(GMUによって提供)。細胞ペレットを溶解緩衝液で処理し、免疫プロテオミクスプロトコルを使用して処理して(GMUによって提供)MHCクラスIペプチドを単離および精製した。2つの試料(ステップ1および2からの試料)をプールし、洗浄し、オフラインHPLCシステムで分画した。各画分をUPLC-Nano-MS/MSシステムで分析した。
b)DDAモード:試料を、Dionex Ultimate 3000 RLSCnano System(Thermo Scientific)に連結されたEclipse triploid質量分析計を使用して分析した。試料を、溶融シリカトラップカラムAcclaim PepMap 100、75μm×2cm(ThermoFisher)に充填した。0.1% TFAで洗浄した後、トラップカラムをLC-MS/MS用の分析カラム(Nanoease MZペプチドBEH C18、130A、1.7μm、75μm×250mm、Waters)とインラインにした。30分で4~15%B(ここでは、A:0.2%ギ酸、およびB:0.16%ギ酸、80%アセトニトリル)、40分で15~25%B、44分で25~50%B、および11分で50~90%Bの勾配からセグメント化された線形勾配を使用してペプチドを溶出した。次いで、溶液Bは、次の実行のために5分間4%で戻る。分解能:240000、正規化(AGC)標的:正常(1E6)の250%、最大注入時間:50msで、375~1500の周期的な一連のフルスキャンを用いたデータ依存型取得手順を使用して、質量分析データ(CIDモード)を取得した。トップS(1秒)および30秒の動的排除を使用して、5E3の強度閾値を用いてMSMSについて電荷ステージ2~7の親イオンを選択した。選択されたイオンは、アイソレーションウインドウ:1.2m/z、正規化AGC標的200%でイオントラップに伝送され、相対衝突エネルギー35%で断片化され、高速走査速度でイオントラップ内で走査された。分解能:120000、対照(AGC)標的:1E6、最大注入時間:100msで、350~1500の周期的な一連のフルスキャンを用いたデータ依存型取得手順を使用して、質量分析データを取得した。
3.データベース検索
全ての生スペクトルファイルのデータベース検索を、Proteome Discoverer 1.4(Thermo Fisher Scientific)を使用して実施した。SEQUESTを、HcoV 229Eタンパク質配列データベース1)ポジティブセンス翻訳2)ネガティブセンス翻訳および3)IPIヒトデータベースに対するデータベース検索に使用した。対応する逆データベースに対するデータベース検索も実施して、ペプチド/タンパク質特定の偽発見率(FDR)を評価した。データベース検索パラメータには、酵素消化がない場合の最大2回の切断ミス、前駆体質量許容差10 ppm、プロダクトイオン質量許容差0.4Da、および可変修飾としてのメチオニン酸化が含まれた。各実行からの結果を、高としてのペプチド信頼度値でフィルタリングして、ペプチドレベルで1%未満のFDRを得た。タンパク質レベルでは、検索パラメータは、各タンパク質について最小数のペプチド1、ランク1のペプチドのみの計数、およびスコアが最も高いタンパク質のみのペプチドの計数を含み、全てのデータフィルタリングに適用した。さらに、タンパク質グループ化が可能になり、厳密な最大最節約原理を適用した。その後、手動評価を各質量スペクトルに適用した。
結果
<表14>
注:a.事前スクリーニング基準(信頼度高、アミノ酸長8~15aa、ランク:1、チャージ2についてはXCorr>1.5、チャージ3についてはXCorr>2)によって生成された完全なリスト。
<表15>
配列番号46(LIAGKLLPPV)および53(PSLVMPPSPSPLV)は、風邪コロナウイルス229E由来の逆ペプチドである。すなわち、配列番号46(LIAGKLLPPV)および53(PSLVMPPSPSPLV)は、翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスで229E風邪コロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされるポリペプチド由来のエピトープである。
SYFPEITHIエピトープ結合予測プログラムを実行することにより、配列番号46(LAIGKLLPPV)が以下のHLA結合:A2:29を有すると予測された。
<配列表>
SEQ ID NO: 1
angncnccnacaacnncggnagnnnncacannacacncaagaacgncnnncngnanggnaggannnnccacnacnncnncagagacnggnnnnagancnncgcaggcaagannanccanncccngcgcgnccncngacnncagnacancaaacgaannngangnnncaacnggnnnngngcnccaaagacaacgnanacaccaggnannnggnnnanacgnggcnnnannagnngcanngnnaacangccaaacaanaggnnnangnaacaannnagcnccnnncnnaaaagagggngngnag

SEQ ID NO: 2
ALLTCQTIGLCN

SEQ ID NO: 3
LHSRTSFCMVGFS

SEQ ID NO: 4
LSIPCASSDFST

SEQ ID NO: 5
LTCQTIGLCNNLAPF

SEQ ID NO: 6
LYVALLVALLTCQ

SEQ ID NO: 7
QTIGLCNNLAP

SEQ ID NO: 8
RLSIPCASSDF

SEQ ID NO: 9
TCQTIGLCNNLAPFL

SEQ ID NO: 10
TLHSRTSFCMV

SEQ ID NO: 11
VALLTCQTIGLCN

SEQ ID NO: 12
VFTLHSRTSF

SEQ ID NO: 13
MSPTTSVVFTLHSRTSFCMVGFSTTSSETGFRSSQARLSIPCASSDFSTSNEFDVSTGFVLQRQRIHQVFGLYVALLVALLTCQTIGLCNNLAPFLKEGV

SEQ ID NO: 14
MSPTTSVVFTLHSRTSFCMVGFSTTSSETGFRSSQARLSIPCASSDFSTSNEFDVSTGFVLQRQRIHQVFGLYVALLVALLTCQTIGLCNNLAPFLKEGV

SEQ ID NO: 15
MSPTTSVVFTLHSRTSFCMVGFSTTSSETGFRSSQARLSIPCASSDFSTSNEFDVSTGFVLQRQRIHQVFGLYVALLVALLTCQTIGLCNNLAPFLKEGV

SEQ ID NO: 16
MSPTTSVVFTLHSRMSFCMVGFSTTSSETGFRSSQARLSIPCVSSDFSTSKEFDVSTGFVFQRQRIHQVFGLYVALLVALLTCQTIGLCNNLAPFLKEGV

SEQ ID NO: 17
MSPTTSVVFTLHSRMSFCMVGFSTTSSETGFRTSQARLSIPCVSPNFSASKEFDVSTGFVLQRQRMHQIFGLYVALLVALLTCQTIGLCNNLAPFLKEGV

SEQ ID NO: 18
MSPTTSVVFTLHSRMSFCMVGFSTTSSETGFRTSQARLSIPCVSPNSSASKEFDVSTGFVLQRQRMHQIFGLYVALLVALLTCQTIGLCSNLAPFLKEGV

SEQ ID NO: 19
atgtctcctacaacttcggtagttttcacattacactcaagaacgtctttctgtatggtaggattttccactacttcttcagagactggttt

SEQ ID NO: 20
atcaaattcgtttgatgtactgaagtcagaggacgcgcagggaatggataatcttgcctgcgaagatctaaaaccagtctctgaagaagta

SEQ ID NO: 21
ctaataaagccacgtataaaccaaatacctggtgtatacgttgtctttggagcacaaaaccagttgaaacatcaaattcgtttgatgtact

SEQ ID NO: 22
ctacacaccctcttttaagaaaggagctaaattgttacataaacctattgtttggcatgttaacaatgcaactaataaagccacgtataaac

SEQ ID NO: 23
ATGTCTCCTACAACTTCG

SEQ ID NO: 24
CTACACACCCTCTTTTAAGA

SEQ ID NO: 25
gaaatTAATACGACTCACTATAGGGccgccaccATGTCTCCTACAACTTCG

SEQ ID NO: 26
tttttttttttttttttttttttttttttttttCTACACACCCTCTTTTAAGA

SEQ ID NO: 27
AMLKCVAFCDE

SEQ ID NO: 28
ANGCSTIAQAV

SEQ ID NO: 29
AQGVFGVNM

SEQ ID NO: 30
ARLEPCNGTDID

SEQ ID NO: 31
AVTTGDVKIM

SEQ ID NO: 32
DIVVVDEVSMCTNYD

SEQ ID NO: 33
DSLCAKAVTAY

SEQ ID NO: 34
EDFLNMDIGVFIQ

SEQ ID NO: 35
EVNADIVVVDEVSMC

SEQ ID NO: 36
FVGADGELPV

SEQ ID NO: 37
FVKSICNSAVAV

SEQ ID NO: 38
FYCTNNTLVSGDAHI

SEQ ID NO: 39
GAKVVNANVLTK

SEQ ID NO: 40
GYIADISAF

SEQ ID NO: 41
IACSKSARLKRFPVN

SEQ ID NO: 42
IADFLAGSSDV

SEQ ID NO: 43
IFAQTSDTA

SEQ ID NO: 44
IVQMIADFLA

SEQ ID NO: 45
KFLNAFDVFVTAIQ

SEQ ID NO: 46
LIAGKLLPPV

SEQ ID NO: 47
LNCALGAFAIFCC

SEQ ID NO: 48
MHGVTLKI

SEQ ID NO: 49
MKVKATKGEGDGGI

SEQ ID NO: 50
NAMLKCVAF

SEQ ID NO: 51
NEADYRCACYA

SEQ ID NO: 52
PNLNLGILQVT

SEQ ID NO: 53
PSLVMPPSPSPLV

SEQ ID NO: 54
QAAAAMYKEARAVN

SEQ ID NO: 55
QTSQALQTVATALNK

SEQ ID NO: 56
SEISANGCSTIAQA

SEQ ID NO: 57
SNFNTLFATTIPN

SEQ ID NO: 58
TIQGPPGSGKS

SEQ ID NO: 59
TNVPLQVGFSNG

SEQ ID NO: 60
VGGTIQIL

SEQ ID NO: 61
VLFSATAVKTGGK

SEQ ID NO: 62
VLNNGFGGKQI

SEQ ID NO: 63
VTSGLGTVDAD

Claims (26)

  1. 翻訳可能なポジティブセンスRNAとは反対のセンスでコロナウイルスのゲノムの少なくとも一部によってコードされるオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされるポリペプチド由来のエピトープを含む免疫原性ペプチド。
  2. 前記ポリペプチドが、ヒトにおける前記コロナウイルスの適合度を高める、請求項1に記載の免疫原性ペプチド。
  3. 前記ORFがネガティブセンスである、請求項1または2に記載の免疫原性ペプチド。
  4. 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2、または風邪ウイルス、場合により299Eである、請求項1から3のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチド。
  5. 前記ORFが、orf1ab遺伝子の少なくとも一部によってコードされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチド。
  6. 前記ORFが約100コドン長である、請求項5に記載の免疫原性ペプチド。
  7. 前記ORFが、配列番号1の配列もしくはそのバリアントを含むか、または配列番号13の配列もしくはそのバリアントを含むポリペプチドをコードする、請求項1から6のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチド。
  8. 前記エピトープが、CD8+T細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープまたはB細胞エピトープである、請求項1から7のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチド。
  9. 前記エピトープが2種以上のコロナウイルス間で保存されており、場合により、前記エピトープが、(i)2種以上のヒトコロナウイルス間、(ii)2種以上の動物コロナウイルス間、または(iii)1種もしくは複数のヒトコロナウイルスと1種もしくは複数の動物コロナウイルスとの間で保存されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチド。
  10. 前記エピトープが、SARS-CoV-2と、(a)SARS-CoV-1、(b)229E、(c)NL63、(d)OC43、(e)HKU1および(f)MERS-CoVの1つまたは複数との間で保存されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチド。
  11. 前記エピトープが、(a)SARS-CoV-1、(b)229E、(c)NL63、(d)OC43、(e)HKU1および(f)MERS-CoVの1つまたは複数において約100コドン長の予測ORFによってコードされるポリペプチド中に存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチド。
  12. 配列番号2~12に示されるペプチドの1つまたは複数を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチド。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  14. 請求項1から12のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチドまたは請求項13に記載のポリヌクレオチドを含む医薬組成物。
  15. (a)場合により、請求項1から12のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチドである、2つ以上の免疫原性ペプチド;または
    (b)場合により、請求項13に記載のポリヌクレオチドである、2つ以上のポリヌクレオチド
    を含む、請求項14に記載の医薬組成物。
  16. (a)少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプと相互作用する少なくとも1つの免疫原性ペプチド、もしくはそれぞれ異なるHLAスーパータイプと相互作用する少なくとも2つの免疫原性ペプチド;または
    (b)少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプと相互作用する免疫原性ペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド、もしくは各免疫原性ペプチドが異なるHLAスーパータイプと相互作用する、異なる免疫原性ペプチドをそれぞれコードする少なくとも2つのヌクレオチド
    を含む、請求項14または15に記載の医薬組成物。
  17. コロナウイルス感染症を予防および/または処置する方法であって、請求項14から16のいずれか一項に記載の医薬組成物を個体に投与するステップを含む、方法。
  18. 個体のコロナウイルス感染症を予防および/または処置する方法における使用のための、請求項14から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. 個体のコロナウイルス感染症を予防および/または処置するための医薬品の製造における、請求項1から12のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチド、請求項13に記載のポリヌクレオチド、または請求項14から16のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
  20. 前記コロナウイルス感染症が人畜共通ウイルスによって引き起こされる、請求項17に記載の方法、請求項18に記載の使用のための医薬組成物、または請求項19に記載の使用。
  21. 前記個体がヒトである、請求項17もしくは20に記載の方法、請求項18もしくは20に記載の使用のための医薬組成物、または請求項19もしくは20に記載の使用。
  22. 前記コロナウイルス感染症が、エンデミックウイルス感染症、季節性ウイルス感染症、またはパンデミックウイルス感染症である、請求項17、20および21のいずれか一項に記載の方法;請求項18、20もしくは21のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物;または請求項19、20もしくは21のいずれか一項に記載の使用。
  23. MHC分子に結合した請求項1から12のいずれか一項に記載の免疫原性ペプチドを含む複合体。
  24. 2つ以上の請求項1から12のいずれか一項に記載のペプチドと2個以上のMHC分子とを含み、場合により、各ペプチドが前記2個以上のMHC分子の異なる分子に結合している、請求項23に記載の複合体。
  25. 前記2個以上のMHC分子の各々がデキストラン骨格に付着している、請求項24に記載の複合体。
  26. フルオロフォアをさらに含み、場合により、前記フルオロフォアが前記デキストラン骨格に付着している、請求項25に記載の複合体。
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