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JP2025014527A - コーヒーチェリー果皮抽出物を用いたエネルギー代謝促進組成物、エネルギー代謝促進剤および脂肪組織の活性化方法 - Google Patents

コーヒーチェリー果皮抽出物を用いたエネルギー代謝促進組成物、エネルギー代謝促進剤および脂肪組織の活性化方法 Download PDF

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JP2025014527A JP2023117156A JP2023117156A JP2025014527A JP 2025014527 A JP2025014527 A JP 2025014527A JP 2023117156 A JP2023117156 A JP 2023117156A JP 2023117156 A JP2023117156 A JP 2023117156A JP 2025014527 A JP2025014527 A JP 2025014527A
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fat
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procyanidin
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栞 森本
Shiori Morimoto
恵美 植田
Emi Ueda
和也 岩井
Kazuya Iwai
貴紀 今西
Takanori Imanishi
真吾 有木
Shingo Ariki
利貴人 光實
Rikito Mitsuzane
夏帆 浦川
Kaho Urakawa
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UCC Ueshima Coffee Co Ltd
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Abstract

【課題】肥満状態の改善や肥満の防止に効果のあるエネルギー代謝促進組成物およびエネルギー代謝促進剤とこれらを用いた脂肪組織の活性化方法を提供する。
【解決手段】コーヒーチェリー抽出物を有効成分に含む。有効成分は、コーヒーチェリー果皮抽出物に含まれるプロシアニジン類であることが好ましい。プロシアニジン類は、プロシアニジンB1とプロシアニジンB3の少なくとも何れかでもよいし、プロシアニジンB1とプロシアニジンB3を共に含んでなることでもよい。エネルギー代謝促進剤は、上記の何れかのエネルギー代謝促進組成物を含んでなり、飲料、食品、サプリメント又は医薬品の形態であることが好ましい。白色脂肪組織のベージュ化促進剤や褐色脂肪組織活性剤は、上記の何れかのエネルギー代謝促進組成物を含んでなる。脂肪組織の活性化方法は、上記の何れかのエネルギー代謝促進組成物を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、肥満状態の改善や肥満の防止に効果のあるコーヒーチェリー果皮抽出物を用いたエネルギー代謝促進組成物およびエネルギー代謝促進剤とこれらを用いた脂肪組織の活性化方法に関する。
赤ワインやココア豆、黒豆などに含まれるプロシアニジンが健康状態の維持に効果的であることが従来から知られている。プロシアニジン(プロアントシアニジン)は様々な植物に含まれるポリフェノールの一種で、カテキンやエピカテキンの分子同士が様々な組み合わせで結合した2量体~オリゴマーの総称を指す。これには、プロシアニジンB1((-)エピカテキンと(+)カテキンの2量体、以下「PB1」と言う。)、プロシアニジンB2((-)エピカテキンと(-)エピカテキンの2量体、以下「PB2」と言う。)、およびプロシアニジンB3((+)カテキンと(+)カテキンの2量体、以下「PB3」と言う。)等とともに、3量体のプロシアニジンC類(以下「PC」と言う。)や、結合様式の違いからプロシアニジンA類(以下「PA」と言う。)に属する2量体など様々なタイプのポリフェノールが含まれる。
プロシアニジンは様々な植物に含まれており、カカオ豆や黒豆などにはPB2とともにPCとPAが多く含まれ、ブドウ種子中にはPB1とPB2が多く含まれるなど、植物の種類により含まれるプロシアニジンの種類は大きく異なることが知られている。プロシアニジンの優れた抗酸化作用を利用し、これを含む機能性食品としての利用も盛んである。それらの効能としては抗アレルギー作用、抗がん作用、コレステロール/中性脂肪低下作用、虫歯予防作用、消臭効果、メラニン生成抑制作用、育毛作用、白内障予防効果、美白効果など様々な効能を期待するサプリメントなどが市場にて販売されている。
特許文献1には、松樹皮由来のPB1とPB3を共に含む血管内皮機能改善用組成物が開示されている。松樹皮由来のプロシアニジンとしてはこれら以外に3量体やそれ以上のオリゴマー成分が含まれており、特許文献2には、3量体以上のプロシアニジンを含む動脈硬化予防医薬品が開示されている。
また、特許文献3には、タマリンド種子から抽出されるプロシアニジンを有効成分とする抗肥満剤が開示されている。この場合、有効成分として3量体のプロシアニジンを含み、抗肥満剤として糖質分解消化酵素阻害剤、血糖上昇抑制剤、単糖吸収抑制剤、コール酸吸着排泄作用剤、コレステロール低下剤、血中トリグリセリド低下剤及びリパーゼ阻害剤としての効果を示している。
また、特許文献4には、フォスオコリンとリンゴ由来ポリフェノールまたはホップ由来ポリフェノールを有効成分とする脂肪蓄積抑制用組成物が開示される。この場合、リンゴ由来ポリフェノールとしてPB1とPB2の両方が含まれる。
ホップ由来ポリフェノールとしては分子量が1000以上のオリゴマーが含まれており、リパーゼ等の消化酵素に対する阻害効果を有することから脂肪蓄積を抑制する作用が含まれる。これらの先行技術では、肝臓などに含まれる脂肪組織に蓄積される脂肪の量を抑制することが主たる作用であって、これらのプロシアニジンが脂肪代謝に及ぼす影響については調べられていない。
脂肪細胞やマウスなどの動物実験のレベルであるが、最近になってプロシアニジンの脂肪代謝に関する好ましい作用が知られるようになってきた。体内の脂肪組織は、脂肪を蓄積し肥満の原因となる白色脂肪細胞から成る組織と、脂肪を燃焼することで肥満を防止する作用を有する褐色脂肪細胞から成る組織の2種類に分類され、成人においては褐色脂肪細胞から成る組織が年齢とともに大幅に縮小もしくは消失することで肥満が進行しやすいことが問題視されてきた。然しながら比較的最近になって、外部からの様々な刺激により、内在性の褐色脂肪組織の活性化とともに白色脂肪組織内に褐色脂肪細胞と同様の機能を有するベージュ脂肪細胞が白色脂肪細胞から分化して生じることが判明した。ベージュ脂肪細胞は内在性の(古典的)褐色細胞組織と共に脂肪代謝(熱変換)を活発化させることで肥満の防止や改善に効果があることから、白色脂肪細胞のベージュ化が肥満対策の一つの方略として注目されている。
これまでの研究で、寒冷刺激や運動で交感神経末端からノルアドレナリンが放出され、これに対するβ3-アドレナリン受容体刺激を介して白色脂肪細胞のベージュ化や褐色脂肪細胞の活性化が促進されることが明らかになっている。さらにこうした物理的刺激以外に、様々な食品由来成分の経口投与によっても交感神経の活性化を惹起し、白色脂肪細胞のベージュ化や褐色脂肪細胞を活性化することが明らかにされている。これまで明らかになっている脂肪組織の活性化作用を有する食品由来成分の例として、カプサイシン、EPAやDHAなどの魚油中に含まれるω―3系多価不飽和脂肪酸、或いはメントールやアリシン、カテキンなど様々な食品成分も交感神経活性化を経由した褐色脂肪細胞活性化作用を有することが判明している。
こうした様々な食品由来成分の肥満抑制作用に期待が高まっているのが現状である。例えば、非特許文献1には、黒豆に含まれるプロシアニジンを含む成分(PB2、PAおよびPCを含む)をマウスに経口投与で与えた場合に、血清中のノルアドレナリンレベルを上昇させ、褐色脂肪組織において脂肪燃焼を促進させるUCP-1(Uncoupling Protein-1)の発現を促進させることが報告されている。
また、非特許文献2には、同様なプロシアニジン(PB2,PAおよびPCを含む)の経口投与で白色脂肪組織のUCP-1発現亢進とベージュ化が進行することが示され、交感神経刺激効果と同様の作用が確認されている。
さらに非特許文献3には、コーヒーチェリー果皮やココア豆皮からの抽出物(PB1およびPB2を含む混合物)の脂肪細胞への影響を調べ、様々な遺伝子発現と抽出物中に含まれる各成分との関係を調査している。抽出物の白色脂肪細胞への添加によりベージュ化と脂肪代謝の促進が認められたが、これらの効果は公知のカフェインやクロロゲン酸等の作用の寄与が大きく、プロシアニジンの効果は示されず、これらのプロシアニジンが脂肪代謝に及ぼす影響については調べられていない。
医薬品として、選択的β3-アドレナリン受容体アゴニストとして例えばミラベグロン、CL316243、BRL37344その他が知られており、これらは白色脂肪細胞のベージュ化や褐色脂肪細胞の活性化に効果が認められ、肥満状態の改善等に有効であることが知られているが、一方で、これらの薬剤はアドレナリンやノルアドレナリンなどの内在性の交感神経伝達物質と化学構造が類似しており、高血圧や心拍数の増加が懸念されるため、不整脈があるような心血管系の合併症を有する場合には避けるべきで、既に抗不整脈剤を投与されている場合には禁忌である。従ってこうした薬剤を肥満防止や改善に向けて日常的に摂取することは好ましくない。
肥満防止や改善に向けて日常的に摂取する飲料やサプリメントの形でこうした効果を有するエネルギー代謝促進組成物やこれを用いた脂肪組織の活性化方法が求められているが、現状では明確にそうした効果が実証されている食品由来成分などは知られておらず、上記のプロシアニジンとしてPB2を有効成分に含むブドウ種子やココア豆、黒豆からの抽出物も脂肪細胞に対するベージュ化などの好ましい作用は報告されているものの交感神経の刺激作用を含むことから、心血管系に疾患があり治療を受けている場合には適用が問題になることがある。更には実際のヒトに対する肥満の改善や予防に関して効果は期待されるものの実際の有効性が示されておらず、また脂肪代謝促進効果についても十分ではないと考えられることから、PB2以外の有効成分で、更に脂肪燃焼を促進する効果のある成分と、これを含有する新たな脂肪代謝促進作用を有する組成物が望まれているのが現状である。
特開2022-33803号公報 特開2011-6326号公報 特開平9-291039号公報 特開2009-298769号公報
かかる状況に鑑みて、本発明は、肥満状態の改善や肥満の防止に効果のあるエネルギー代謝促進組成物およびエネルギー代謝促進剤とこれらを用いた脂肪組織の活性化方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明のエネルギー代謝促進組成物は、コーヒーチェリー果皮抽出物を有効成分として含む。また、本発明のエネルギー代謝促進組成物において、有効成分はコーヒーチェリー果皮抽出物に含まれるプロシアニジン類であることが好ましい。本発明のエネルギー代謝促進組成物において、有効成分がコーヒーチェリー果皮抽出物に含まれるプロシアニジン類である場合に、プロシアニジン類は、プロシアニジンB1とプロシアニジンB3の少なくとも何れかでもよいし、プロシアニジンB1とプロシアニジンB3を共に含んでなることでもよい。各種コーヒーノキから収穫されるコーヒーチェリーの果皮からPB1とPB3が高濃度で抽出されるため、これにより脂肪代謝を促進させ、肥満の予防や改善の効果が得られる。
本発明のエネルギー代謝促進剤は、上記の何れかのエネルギー代謝促進組成物を含んでなる。また、本発明のエネルギー代謝促進剤は、飲料、食品、サプリメント又は医薬品の形態であることが好ましい。
本発明の白色脂肪組織のベージュ化促進剤や褐色脂肪組織活性剤は、上記の何れかのエネルギー代謝促進組成物を含んでなる。
本発明の脂肪組織の活性化方法は、上記の何れかのエネルギー代謝促進組成物を用いる。
本発明のエネルギー代謝促進組成物、エネルギー代謝促進剤又は脂肪組織の活性化方法によれば、肥満状態を改善でき又は肥満を防止できるといった効果がある。
動物試験に関する体重推移グラフ 動物試験に関する臓器重量測定結果(1) 動物試験に関する臓器重量測定結果(2) 動物試験に関する呼気測定結果 動物試験に関する遺伝子解析結果 動物試験に関する白色脂肪の脂肪滴サイズ測定結果 鼠径部皮下白色脂肪の脂肪滴イメージ 精巣周囲白色脂肪の脂肪滴イメージ 動物試験に関するタンパク質解析結果
本発明の課題は、コーヒーチェリー果皮抽出物を有効成分に含むエネルギー代謝促進組成物を用いることで本質的に達成される。かかる有効成分がコーヒーチェリー果皮抽出物のプロシアニジン類であり、該プロシアニジン類が、プロシアニジンB1(PB1)とプロシアニジンB3(PB3)であることが本発明の特徴である。
ここで、コーヒーチェリー果皮抽出物とは、コーヒーノキから収穫される果実(コーヒーチェリー)の果皮に含まれる成分から公知の方法を用いて抽出される成分を含む組成物を意味する。コーヒーノキはアカネ科コーヒーノキ属に属する植物で、特にその中でアラビカ種コーヒーノキとカネフォラ種コーヒーノキが好ましく利用される。これらは産地や品種により含まれる各種成分の構成と割合が大きく異なり、例えば、参考文献1(W. Mullen et al., “Polyphenolic
and hydroxycinnamate contents of whole coffee fruits from China, India, and
Mexico”, Journal of Agricultural and Food Chemistry, 61(22), pp.5298-5309 (2013))には、アラビカ種とカネフォラ種のコーヒーノキのコーヒーチェリー果皮から抽出される様々なプロシアニジン類の構成と比率を示しているが、PB2以外の2量体の存在については不明である。
本発明では、これらの各種コーヒーノキから収穫されるコーヒーチェリー果皮を用いて、これからPB1とPB3が高濃度で抽出されることを見出したものであり、さらにそれらが脂肪代謝を促進させることで肥満の予防や改善に効果があることを見出したものである。
本発明のコーヒーチェリー果皮からのPB1やPB3の抽出方法は特に限定されず、通常のコーヒー生豆を製造する工程において、生豆以外の成分としてこれから分離される果皮を用いて、後述する抽出工程により本発明のコーヒーチェリー果皮抽出物が得られる。コーヒーチェリーから分離された果皮は、そのまま後述する抽出工程に用いても良いが、抽出工程に先立って水洗処理や凍結乾燥、粉砕、その他の処理を行うことも好ましく行われる。
コーヒーチェリー果皮から本発明の抽出物を得るための抽出方法としては、水もしくはアルコールなどの各種有機溶媒を用いてこれに好ましくは前記の処理を経て得られたコーヒーチェリー果皮を浸漬することで基本的には得られる。
アルコールなどの有機溶媒の具体的な例として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン等の水混和性アルコール単独或いはこれらと水の混合物、或いは複数のアルコールの組み合わせで得られる混合物やその水希釈物なども好ましく用いることができる。或いは、水と混和しない有機溶媒としてオクタノール等の炭素数が8以上の脂肪族アルコールや、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトンその他の揮発性有機溶媒も好ましく用いることができる。さらに、抽出に用いる水その他の溶媒中に、各種界面活性剤を添加することも好ましく行うことができる。抽出工程に際して、水その他の溶媒は攪拌されることが好ましく、その温度については10℃から100℃の範囲にあることが好ましい。
抽出時間に関しては、室温付近の常温で数時間から数日間の範囲で水その他の溶媒中に果皮を浸漬することで抽出を行う場合が好ましい。抽出により得られる抽出液はそのままの状態で本発明のコーヒーチェリー果皮抽出物として用いることができるが、これを濃縮することで含まれる有効成分である本発明に関わるPB1とPB3の濃度を高めて利用することも好ましく行われ、或いは抽出物からPB1やPB3を粉末や結晶、その他混合物の固体として取り出して用いることも好ましく行うことができる。
本発明においては、後述する実施例において示すように、コーヒーチェリー果皮抽出物にはプロシアニジンとして特にPB1とPB3が多く含まれ、PB2は含まれている場合であってもPB1やPB3と比較して微量であり、本発明で得られる効果はPB1および/またはPB3によるものである。また、該抽出物にはプロシアニジン成分以外にカテキンやエピカテキンが含まれていても良い。これらの成分は、本発明の脂肪細胞に対する脂肪代謝促進作用とは別に、体内において肝細胞における脂肪代謝を活発にすることで体脂肪率を低減する作用を示すことから、本発明の該抽出物中にPB1やPB3とともに併せて含まれていても良い。
本発明において、コーヒーチェリー果皮抽出物中にPB1とPB3を共に含むことが特徴である。PB1とPB2を共に含むブドウ種子抽出物や、主にPB2を含むリンゴやカカオ豆等からの抽出物の作用は従来から知られているが、PB1とPB3を共に含む組成物についての脂肪組織における脂肪代謝に関する好ましい作用についてはこれまで知られていなかった。
PB3は化学合成で得ることもできるが、植物由来としては大麦などの麦類に多く含まれていることが知られている。PB3は様々なタンパク質と相互作用し、それらの活性を抑制する作用を有することが知られている。例えば、PB3は消化酵素であるトリプシンやペプシンと結合しその作用を抑制することが知られている(参考文献2:R. Goncalves et al., “Influence of
carbohydrates on the interaction of procyanidin B3 with trypsin”, Journal of agricultural and food
chemistry, 59(21), 11794-11802. (2011))。或いは血中のアルブミンと相互作用することで安定化し、体内において様々な組織に輸送されることでその効果を発揮できることが示されている(参考文献3:X. Li et al., “Interaction of procyanidin B3 with
bovine serum albumin”, Rsc Advances,
4(14), pp.7301-7312. (2014))。さらに、PB3は様々な脂質膜と結合することで脂質膜表面の性質を変化させることから、リポタンパクなどの脂肪細胞内への取り込みなどに影響を及ぼすことも考えられる。
PB1に関しては、松樹皮抽出物に高濃度に含まれ体内において肝細胞に取り込まれ、肝細胞内での脂肪酸の酸化酵素の働きを促進し、脂肪の蓄積を抑制する作用を示すことが知られている(参考文献4:T. Shimada et al., “Flavangenol (pine bark extract) and its
major component procyanidin B1 enhance fatty acid oxidation in fat-loaded
models”, European journal of
pharmacology, 677(1-3), pp.147-153. (2012))。本発明では、肝細胞以外の体内の脂肪組織においてPB3とともに脂肪代謝を促進し、脂肪細胞内の脂肪を燃焼させることで肥満の予防や改善に効果があることを見出したものである。
PB1とPB3の糖尿病による脂質代謝異常の改善に関する報告がある。即ち、脂肪細胞モデル細胞に対してデキサメタゾンを添加してミトコンドリア機能を低下させた場合に、PB1やPB3をそれぞれ単独で添加するとミトコンドリア機能が改善され脂肪生成が抑制されることが報告されている(参考文献5:F. Tie et al., “Proanthocyanidins ameliorated deficits
of lipid metabolism in type 2 diabetes mellitus via inhibiting adipogenesis and
improving mitochondrial function”,
International Journal of Molecular Sciences, 21(6), p.2029 (2020))。しかしながら、PB1およびPB3を同時に利用して、正常機能を保った脂肪細胞に対する作用については調べられていない。本発明において、マウスモデルを用いて、これにPB1およびPB3を共に含むコーヒーチェリー果皮抽出物を添加した場合、白色脂肪細胞のベージュ化が誘起されるとともに脂肪組織の活性化が認められたことが本発明の特徴である。
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
インドネシア産カネフォラ種のコーヒーチェリーの表面を水で洗浄し、果皮と種子に分離し、その後、直ぐに果皮を凍結乾燥し、乾燥物をミキサーで粉砕した。コーヒーチェリー果皮凍結乾燥粉砕物50gを、50%エタノール水溶液500mLを含む1リットルフラスコ内に投入し、3時間スターラーで攪拌抽出した。得られた抽出液を遠心分離した後、上澄み液を7μmの平均細孔径を有するペーパーフィルターで濾過し、濾液を減圧濃縮して液状のコーヒーチェリー果皮抽出物を得た。
得られたコーヒーチェリー果皮抽出物をHPLC定量分析に供したところ、インドネシア産(カネフォラ種)のコーヒーチェリー果皮抽出物の分析結果として、PB1及びPB2、PB3が含まれていた。
上記のコーヒーチェリー果皮抽出物を8週齢の食事誘発性肥満モデルマウス(C57BL/6J)雄性に対して高脂肪食と共に16週間反復経口投与し、体重増加の推移を計測した(実施例C)。試験に用いた動物数は各群n=8である。実施例Cの試料の具体的な組成については、下記表1に示す通りである。なお、下記以外に、カテキン類、クロロゲン酸類、カフェイン、脂質、繊維質等を含む。
ここで、コーヒーチェリー果皮抽出物由来プロシアニジン類素材中のプロシアニジンB1、プロシアニジンB2、プロシアニジンB3はHPLC―FL(蛍光検出器)を用いて定量分析を行った。クロロゲン酸類は3種CQAs(3-CQA、5-CQA,4-CQA)、3種FQAs(3-FQA,5-FQA,4-FQA)、及び3種di―CQAs(3,5-di―CQA、3,4-di―CQA、4,5-di―CQA)の計9種クロロゲン酸類の総称であり、カフェイン、トリゴネリンと共にHPLC-PDA(フォトダイオードアレイ検出器)を用いて定量分析を行った。それぞれの定量分析方法については下記表2,3に示す。
比較として通常食のみを経口投与した系(比較例A)と、高脂肪食のみを投与した系(比較例B)それぞれについて同様に試験を行った。16週間後に試験マウスを安楽死させ、肝臓の重量および白色脂肪組織を含む腎周囲脂肪組織、精巣周囲脂肪組織および鼠径部皮下脂肪組織を摘出し重量を測定した。
(体重変化について)
図1は、動物試験に関する体重推移グラフを示している。図1に示すように、通常食を摂取させた比較例Aに比べて、高脂肪食を摂取させた比較例Bでは体重が増加しているが、高脂肪食とコーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させた実施例Cでは、50日経過後辺りから体重増加が抑制された。
(臓器重量について)
図2及び3は、動物試験に関する臓器重量測定結果であり、図2(1)は肝臓重量、図2(2)は腎周囲白色脂肪重量、図3(1)は精巣周囲白色脂肪重量、また図3(2)は鼠径部皮下白色脂肪重量を示している。図2又は図3に示すように、通常食を摂取させた比較例Aに比べて高脂肪食を摂取させた比較例Bでは、肝臓重量、腎周囲白色脂肪重量、精巣周囲白色脂肪重量、また鼠径部皮下白色脂肪重量の何れについても重量が増加しているが、高脂肪食とコーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させた実施例Cでは何れについても重量増加が抑制された。
以上のことから、コーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させることによる肥満抑制効果が示唆された。
(エネルギー消費量について)
動物試験において、呼気測定を行うことで安静時エネルギー消費量を算出した。具体的には、動物用エネルギー代謝測定システム(ARCO-2000N、アルコシステム社製)
を用いて、約22時間(12:00~翌10:00)の酸素消費量(VO)および二酸化炭素排出量(VCO)を測定した。同時に自発運動センサー(NS-AS01、ニューロサイエンス社製)にて自発運動量を測定した。これらの結果から、呼吸商、消費カロリー量(kcal/min)および総エネルギー消費量を次式1~4により算出した。
(数1)
呼吸商(RQ) = 二酸化炭素排出量(VCO)/酸素消費量(VO) ・・・(式1)
(数2)
消費カロリー量 = CV×VO ・・・(式2)
CV値(発熱量) = 3.815+1.232×RQ ・・・(式3)
(数3)
総エネルギー消費量(kcal/day) = 消費カロリー量 × 時間 ・・・(式4)
図4は、動物試験に関する呼気測定結果を示している。縦軸は、体重100g当たりのエネルギー消費量(kcal/day)を表し、試験開始後、4週、12週における比較例A、比較例B、実施例Cに関する測定結果をそれぞれ示している。
図4に示すように、4週と12週を比較すると、通常食を摂取している比較例Aよりも、高脂肪食を摂取している比較例Bの方が時間経過に伴いエネルギー消費量が大きく低下している。このことから肥満が進行するに連れてエネルギー消費量が低下することが分かる。これに対して、高脂肪食とコーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させた実施例Cでは、高脂肪食を摂取させた比較例Bよりも安静時エネルギー消費量の低下が抑制され、改善されていることが分かる。
以上のことから、コーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させることで、肥満によるエネルギー代謝低下を抑制できることが分かった。
(遺伝子解析について)
鼠径部白色脂肪組織から細胞試料を採取し、全RNAをRNeasy Lipid Tissue Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて抽出し、RNA濃度を調整後、QuantiTect Reverse Transcription Kitを用いてcDNAを合成した。次いでリアルタイムPCRにより各遺伝子のGAPDH(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)に対する相対発現量を定量した。それぞれの遺伝子解析について、UCP-1、PGC-1α、PRDM16の3つのマーカー遺伝子(mRNA発現量)を測定した。これら3つのマーカー遺伝子がアップレギュレーションした場合には、白色脂肪がベージュ脂肪となったことが示唆される。図5は、動物試験に関する遺伝子解析結果であり、(1)はUCP-1mRNA相対値、(2)はPGC-1αmRNA相対値、また(3)はPRDM16mRNA相対値を示している。図5(1)~(3)に示すように、鼠径部白色脂肪の遺伝子解析において、高脂肪食とコーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させた実施例Cでは、高脂肪食を摂取させた比較例BよりもUCP-1、PGC-1α、PRDM16の何れについてもアップレギュレーションした。
一般に白色脂肪は脂肪滴サイズが大きく、ベージュ脂肪は白色脂肪よりも脂肪滴サイズが小さいため、脂肪滴サイズが小さくなった場合には、白色脂肪細胞がベージュ脂肪細胞に変換されたことが示唆される。
図6は、動物試験に関する白色脂肪の脂肪滴サイズ測定結果であり、(1)は鼠径部皮下白色脂肪の脂肪滴サイズ、(2)は精巣周囲白色脂肪の脂肪滴サイズを示している。図7は鼠径部皮下白色脂肪の脂肪滴イメージ、図8は精巣周囲白色脂肪の脂肪滴イメージであり、それぞれ(1)は比較例A、(2)は比較例B、(3)は実施例Cを示している。
図6(1)及び(2)に示すように、高脂肪食とコーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させた実施例Cでは、高脂肪食を摂取させた比較例Bよりも、鼠径部白色脂肪または精巣周囲白色脂肪の脂肪滴サイズが低下した。
鼠径部白色脂肪の脂肪滴イメージについては、図7(1)に示される比較例Aの脂肪滴サイズよりも、図7(2)に示される比較例Bの脂肪滴サイズの方が大きくなっているのに対して、図7(3)に示される実施例Cの脂肪滴サイズは、比較例Bの脂肪滴サイズよりも小さくなっていることが分かる。また、精巣周囲白色脂肪の脂肪滴イメージについても同様に、図8(1)に示される比較例Aの脂肪滴サイズよりも、図8(2)に示される比較例Bの脂肪滴サイズの方が大きくなっているのに対して、図8(3)に示される実施例Cの脂肪滴サイズは、比較例Bの脂肪滴サイズよりも小さくなっていることが分かる。
以上のことから、コーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させることによる白色脂肪細胞のベージュ化が示唆された。
(タンパク質解析について)
背部褐色脂肪細胞のタンパク質解析について、UCP-1をウェスタンブロッティングにより測定した。凍結済みの背部褐色脂肪組織細胞からタンパク質を溶出させ組織溶解液を取得し、BCA Protein Assay Kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に付属のBSA Standardを標準品とした溶液と共に、マイクロプレートリーダー(波長562nm)にて総タンパク質の定量を行った。組織溶解液はXCell SureLock Mini-Cell(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて電気泳動を行い、平板型転写装置セミドライタイプを用いてPVDF膜にブロッティングを行った。PVDF膜はHyperfilm ECL(サイティバ社製)に現像させ、同画像データをCS analyzer(アトー社製)にて数値化して、対象とするタンパク質量を求めた。実施例Dは、高脂肪食とコーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させたものであるが、実施例Cよりも低用量のコーヒーチェリー果皮抽出物を摂取させている。UCP-1は熱産生でアップレギュレーションするものである。図9は、動物試験に関するタンパク質解析結果であり、縦軸はUCP-1相対値を示している。図9に示すように、背部褐色脂肪細胞のタンパク質解析において、高脂肪食と低用量のコーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させた実施例Dでは、高脂肪食を摂取させた比較例BよりもUCP-1がアップレギュレーションした。
以上のことから、コーヒーチェリー果皮抽出物を同時に摂取させることによる褐色脂肪細胞の活性化が示唆された。
本発明のエネルギー代謝促進組成物は、ダイエット食品やサプリメントに利用可能である。さらに血管内皮機能の改善効果が期待されることから、動脈硬化を予防し血管年齢を改善することでアンチエイジングに効果のある健康食品等への利用が可能である。

Claims (9)

  1. コーヒーチェリー果皮抽出物を有効成分として含むエネルギー代謝促進組成物。
  2. 前記有効成分がコーヒーチェリー果皮抽出物に含まれるプロシアニジン類である請求項1に記載のエネルギー代謝促進組成物。
  3. 前記プロシアニジン類が、プロシアニジンB1とプロシアニジンB3の少なくとも何れかである請求項2に記載のエネルギー代謝促進組成物。
  4. 前記プロシアニジン類が、プロシアニジンB1とプロシアニジンB3を共に含んでなる請求項2に記載のエネルギー代謝促進組成物。
  5. 請求項1~4の何れかのエネルギー代謝促進組成物を含んでなるエネルギー代謝促進剤。
  6. 飲料、食品、サプリメント又は医薬品の形態である、請求項5に記載のエネルギー代謝促進剤。
  7. 請求項1~4の何れかのエネルギー代謝促進組成物を含んでなる白色脂肪組織のベージュ化促進剤。
  8. 請求項1~4の何れかのエネルギー代謝促進組成物を含んでなる褐色脂肪組織活性剤。
  9. 請求項1~4の何れかのエネルギー代謝促進組成物を用いる脂肪組織の活性化方法。
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