JP2025148753A - がん抑制剤およびがん抑制用医薬 - Google Patents
がん抑制剤およびがん抑制用医薬Info
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Abstract
【課題】がん抑制効果を有し、親水性であることで高い薬理学的活性を有し、水溶性であることから投与方法に制限の少ないスクアレン誘導体を含むがん抑制剤、およびそれを含むがん抑制用医薬を提供する。
【解決手段】スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加したスクアレン誘導体を有効成分とする、がん抑制剤およびそれを含むがん抑制用医薬である。
【選択図】なし
【解決手段】スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加したスクアレン誘導体を有効成分とする、がん抑制剤およびそれを含むがん抑制用医薬である。
【選択図】なし
Description
本発明は、主にがんの増殖や転移を抑制しがんの治療等の処置に用いるがん抑制剤およびがん抑制用医薬に関する。
スクアレンは、サメの肝油や藻類などから得られるトリテルペン化合物の一種であり、抗酸化作用、ガンマ線照射による保護作用、抗腫瘍効果など様々な生理活性が知られている。
スクアレンは食品ではオリーブオイルなどの油に多く含有し、ヒトでは皮膚や皮下脂肪に多く存在する。生体内においてメバロン酸経路によって生成される中間生成体であり、スクアレンエポキシダーゼによって代謝され、その後コレステロール、ステロイドホルモンなどに代謝される。
スクアレンは食品ではオリーブオイルなどの油に多く含有し、ヒトでは皮膚や皮下脂肪に多く存在する。生体内においてメバロン酸経路によって生成される中間生成体であり、スクアレンエポキシダーゼによって代謝され、その後コレステロール、ステロイドホルモンなどに代謝される。
スクアレンは化学的にフリーラジカルを吸収することで安定化し活性酸素種レベルを低下させ、抗酸化、抗炎症活性を示すと考えられている。スクアレンは抗酸化作用や皮膚保護作用を持ち、長期間の使用でも安全性が高いことから美容や健康食品などのサプリメントとして広く利用される。
特許文献1には、ビタミンAおよびその誘導体の制がん剤としての効果と、スクアレンおよびその誘導体のがん転移防止剤としての効果の両方を有する、スクアレン-ω-アルコールとビタミンAアシドのエステルの制がんおよびがんの転移抑制作用について記載されている。
本発明者らによる特許文献2は、スクアレンを出発原料とした新規スクアレン誘導体、また、このスクアレン誘導体を用いた抗炎症剤を開示している。この技術は、スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加することにより新規スクアレン誘導体を合成し、優れた抗炎症作用をこの新規スクアレン誘導体を得ようとするものである。
特許文献1に記載されているように、スクアレンには抗腫瘍効果、制がんおよびがんの転移抑制作用がすでに知られている。しかしながら、有機化合物のスクアレンは体内に取り込まれにくく、その薬理的な効果を顕著に得られるか検証することも困難である。スクアレンは有機化合物であるため、投与方法にも制限があり、がん治療薬としては検証されておらず、また実用化は行われていない。
スクアレンはin vitroでの細胞への効果としては、正常乳腺細胞株において酸化的DNA損傷から保護するが、乳がん細胞株ではその効果がなくなるなど細胞レベルでのがん抑制効果に関しては多くの報告がある。動物実験においては大腸発がんラットや肺発がんマウスにおいてスクアレンを摂取することで発がん抑制効果を認めたという報告がある。しかしながら、前記した体内に取り込まれにくい性質のためもあり、臨床応用に至っていない。
スクアレンは、上述のように含有される肝油や藻類として、またはそれらを原料とする食品等として摂取されるという形態にとどまっている。これらの食品、特定保健用食品や機能性表示食品は、医薬品と比較して効果が出るために必要な摂取量がさらに多いか、あるいは長期的な摂取が必要であるという課題がある。
スクアレンはin vitroでの細胞への効果としては、正常乳腺細胞株において酸化的DNA損傷から保護するが、乳がん細胞株ではその効果がなくなるなど細胞レベルでのがん抑制効果に関しては多くの報告がある。動物実験においては大腸発がんラットや肺発がんマウスにおいてスクアレンを摂取することで発がん抑制効果を認めたという報告がある。しかしながら、前記した体内に取り込まれにくい性質のためもあり、臨床応用に至っていない。
スクアレンは、上述のように含有される肝油や藻類として、またはそれらを原料とする食品等として摂取されるという形態にとどまっている。これらの食品、特定保健用食品や機能性表示食品は、医薬品と比較して効果が出るために必要な摂取量がさらに多いか、あるいは長期的な摂取が必要であるという課題がある。
本発明者らは特許文献2において、スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加することにより合成したスクアレン誘導体を開発している。このスクアレン誘導体は、スクアレンの有する抗炎症についてはより低濃度で発揮することが見出されている。本発明者らは、従来のスクアレンは疎水性であり、組織移行性が低いことが、投与による効果が限定的である要因であると予測した。そのため、特許文献2などでは、スクアレンにエチレングリコールを付与することで親水性を高め、組織移行性を高めることで、抗炎症の効果を低濃度で発揮できることを確認した。
しかしながら、このスクアレン誘導体については、がん抑制の作用および効果については明らかになっていない。
しかしながら、このスクアレン誘導体については、がん抑制の作用および効果については明らかになっていない。
本発明は上記のような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、がん抑制効果を有し、親水性であることで高い薬理学的活性を有し、水溶性であることから投与方法に制限の少ないスクアレン誘導体を含むがん抑制剤、およびそれを含むがん抑制用医薬を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は以下の態様を有する。
[1] スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加したスクアレン誘導体を有効成分とする、がん抑制剤。
[2] 前記スクアレン誘導体はスクアレンにエチレングリコールを付加した、[1]に記載のがん抑制剤。
[3] 膀胱がんの抑制剤である、[1]または[2]に記載のがん抑制剤。
[4] 膀胱がんの増殖抑制剤である、[3]に記載のがん抑制剤。
[5] 皮膚がんの抑制剤である、[1]または[2]に記載のがん抑制剤。
[6] 皮膚がんの転移抑制剤である、[5]に記載のがん抑制剤。
[7] FGFR3 pathwayの抑制剤である、[1]~[6]に記載のがん抑制剤。
[8] [1]~[7]に記載のがん抑制剤を含むがん抑制用医薬。
[1] スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加したスクアレン誘導体を有効成分とする、がん抑制剤。
[2] 前記スクアレン誘導体はスクアレンにエチレングリコールを付加した、[1]に記載のがん抑制剤。
[3] 膀胱がんの抑制剤である、[1]または[2]に記載のがん抑制剤。
[4] 膀胱がんの増殖抑制剤である、[3]に記載のがん抑制剤。
[5] 皮膚がんの抑制剤である、[1]または[2]に記載のがん抑制剤。
[6] 皮膚がんの転移抑制剤である、[5]に記載のがん抑制剤。
[7] FGFR3 pathwayの抑制剤である、[1]~[6]に記載のがん抑制剤。
[8] [1]~[7]に記載のがん抑制剤を含むがん抑制用医薬。
本発明によれば、がん抑制効果を有し、親水性であることで高い薬理学的活性を有し、水溶性であることから投与方法に制限の少ないスクアレン誘導体を含むがん抑制剤、およびそれを含むがん抑制用医薬を提供することができる。
以下、本発明に係るがん抑制剤およびがん抑制用医薬について、実施形態を示して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(がん抑制剤)
(スクアレン誘導体)
本実施形態のがん抑制剤は、スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加したスクアレン誘導体を有効成分とする。
(スクアレン誘導体)
本実施形態のがん抑制剤は、スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加したスクアレン誘導体を有効成分とする。
ここでスクアレンは、下記式(1)の構造を有するトリテルペン化合物である。
スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加する部位は限定されないが、いずれかの末端であることが好ましい。
さらに、本実施形態のスクアレン誘導体は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
なお、本明細書では以下、エチレングリコール付加スクアレン(SQ-EG)は、式(2)で表される化合物でn=1であるものを指す。
前記式(2)の化合物は、後述するようにスクアレン誘導体の製造において、スクアレンを出発原料として2、3-エポキシスクアレンを合成し、さらにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加することにより製造することができる。
本実施形態のスクアレン誘導体は、スクアレンにエチレングリコールを付加した化合物であることが好ましい。例えば、前記式(2)中でn=1である場合、エチレングリコールを付加した化合物にあたる。
また、スクアレンにジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールを付加した化合物であってもよい。例えば、前記式(2)中でn=2である場合ジエチレングリコール、n=3である場合トリエチレングリコールをそれぞれ付加した化合物にあたる。
また、スクアレンにジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールを付加した化合物であってもよい。例えば、前記式(2)中でn=2である場合ジエチレングリコール、n=3である場合トリエチレングリコールをそれぞれ付加した化合物にあたる。
本実施形態において、がん抑制剤は、がんに関する各種現象(症状)の抑制の効果を持つ。ここで、がん抑制剤の効果は、主にIn vitroのがん細胞を用いた試験研究においては、がん細胞や腫瘍組織の増殖、生存および浸潤を抑制する、または正常細胞のがん化(がんの発生)を抑える効果などを広く指すものとする。また、In vivo、生体内、臨床において、がんの増殖、転移を抑制する、個体の生存率を上げる、またはがんの発生を抑える効果を指すものとする。がん抑制剤の用途はがんに対する治療、予防、再発防止などを広く含むものとする。
本実施形態のがん抑制剤の摂取量は、抑制しようとする症状等によって適宜選択でき特に限定されないが、目安として、前記有効成分であるスクアレン誘導体を、0.01~500mg/kg程度摂取することが好ましい。
また、ヒトであれば、例えば成人一人あたり一日に0.001~10g程度であってもよい。
また、ヒトであれば、例えば成人一人あたり一日に0.001~10g程度であってもよい。
(膀胱がんの抑制剤)
本実施形態のがん抑制剤は、膀胱がんの抑制剤であることも好ましい。
本実施形態のがん抑制剤は、膀胱がんの増殖抑制剤であることが好ましい。本実施形態のがん抑制剤は、がん細胞に対して、細胞増殖能の低下、細胞浸潤能の低下、または発がん抑制を示すことが好ましい。
細胞増殖能の低下とは、具体的には、本実施形態のがん抑制剤を膀胱がん細胞株に投与した際、がん抑制剤をあわせて投与していない場合に比べて、がん細胞の細胞増殖能が好ましくは70%、さらに好ましくは50%以下であることが好ましい。
本実施形態のがん抑制剤は、膀胱がんの抑制剤であることも好ましい。
本実施形態のがん抑制剤は、膀胱がんの増殖抑制剤であることが好ましい。本実施形態のがん抑制剤は、がん細胞に対して、細胞増殖能の低下、細胞浸潤能の低下、または発がん抑制を示すことが好ましい。
細胞増殖能の低下とは、具体的には、本実施形態のがん抑制剤を膀胱がん細胞株に投与した際、がん抑制剤をあわせて投与していない場合に比べて、がん細胞の細胞増殖能が好ましくは70%、さらに好ましくは50%以下であることが好ましい。
(皮膚がんの抑制剤)
本実施形態のがん抑制剤は、皮膚がんの抑制剤であることも好ましい。
本実施形態のがん抑制剤は、皮膚がんの転移抑制剤であることも好ましい。転移抑制剤の効果としては、具体的には、動物の静脈に皮膚がんの細胞を注入した場合、注入後好ましくは1週間以上後、さらに好ましくは3週間以上後に、肺、肝臓、腎臓、尾骨等への皮膚がん転移が、がん抑制剤をあわせて投与していない場合に比べて、好ましくは70%、さらに好ましくは50%以下であることが好ましい。前記動物はマウスであってもよい。前記皮膚がんとしては、皮膚がんの細胞がメラノーマ細胞であるものを挙げることができる。前記メラノーマ細胞がB16F10細胞であってもよい。
本実施形態のがん抑制剤は、皮膚がんの抑制剤であることも好ましい。
本実施形態のがん抑制剤は、皮膚がんの転移抑制剤であることも好ましい。転移抑制剤の効果としては、具体的には、動物の静脈に皮膚がんの細胞を注入した場合、注入後好ましくは1週間以上後、さらに好ましくは3週間以上後に、肺、肝臓、腎臓、尾骨等への皮膚がん転移が、がん抑制剤をあわせて投与していない場合に比べて、好ましくは70%、さらに好ましくは50%以下であることが好ましい。前記動物はマウスであってもよい。前記皮膚がんとしては、皮膚がんの細胞がメラノーマ細胞であるものを挙げることができる。前記メラノーマ細胞がB16F10細胞であってもよい。
(FGFR3 pathwayの抑制剤)
本実施形態のがん抑制剤は、FGFR3 pathwayの抑制剤であることも好ましい。
FGFR3は、主に膀胱がんなどのがんに関連することが判明している遺伝子である。本実施形態のがん抑制剤は、FGFR3 pathwayを抑制することができるので、膀胱がんに限らず、FGFR3遺伝子のかかわる経路やFGFR3 pathwayの関連するがんについて効果を発揮することができる。
本実施形態のがん抑制剤は、FGFR3 pathwayの抑制剤であることも好ましい。
FGFR3は、主に膀胱がんなどのがんに関連することが判明している遺伝子である。本実施形態のがん抑制剤は、FGFR3 pathwayを抑制することができるので、膀胱がんに限らず、FGFR3遺伝子のかかわる経路やFGFR3 pathwayの関連するがんについて効果を発揮することができる。
(がん抑制剤の製造方法)
本実施形態のがん抑制剤の有効成分であるスクアレン誘導体は、同誘導体の合成について既知の手法を用いて合成することができる。
例えば、前記式(2)の化合物は、特許文献2に記載の合成法を用いて合成することができる。
本実施形態のがん抑制剤の有効成分であるスクアレン誘導体は、同誘導体の合成について既知の手法を用いて合成することができる。
例えば、前記式(2)の化合物は、特許文献2に記載の合成法を用いて合成することができる。
具体的には、スクアレンは、市販されているもの(例えば富士フィルム和光純薬製)を用いることができる。このスクアレンに対して2当量のN-ブロモコハク酸イミドを、エチレングリコールジメチルエーテル水溶液に溶かし、室温23℃で1時間攪拌する。反応溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー方法を用いて精製することで、80%以上の収率で2,3-ブロモヒドリンスクアレンを合成することができる。
この2,3-ブロモヒドリンスクアレンを塩基性エタノール溶液中で、室温下1時間攪拌する。反応溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー方法を用いて、5%の酢酸エチルを含むヘキサン留分で精製することで、2,3-エポキシスクアレンを合成することができる。
この2,3-ブロモヒドリンスクアレンを塩基性エタノール溶液中で、室温下1時間攪拌する。反応溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー方法を用いて、5%の酢酸エチルを含むヘキサン留分で精製することで、2,3-エポキシスクアレンを合成することができる。
次いで合成した2,3-エポキシスクアレンの2位を、以下の方法によりエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の求核試薬と反応させてエーテル化して、スクアレン誘導体を合成する。
具体的には、2,3-エポキシスクアレンを例えば、イソプロパノール等の溶媒に溶解させて、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、またはテトラエチレングリコールを加えて80℃程度で数時間加熱して反応させることで行う。放冷後、酢酸エチル等のエステル等で抽出してからカラムクロマトグラフィーで精製することにより、本実施形態のスクアレン誘導体を単離できる。
2,3-エポキシスクアレンを溶解させる前記の溶媒は、例えば、アセトン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、tert-ブチルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム等であり、また、添加するエチレングリコールの量は、2,3-エポキシスクアレンに対して、50~500当量である。反応温度は50℃~90℃の範囲、反応時間は4~9時間が好ましい。
2,3-エポキシスクアレンを溶解させる前記の溶媒は、例えば、アセトン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、tert-ブチルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム等であり、また、添加するエチレングリコールの量は、2,3-エポキシスクアレンに対して、50~500当量である。反応温度は50℃~90℃の範囲、反応時間は4~9時間が好ましい。
(がん抑制用医薬)
本実施形態のがん抑制用医薬は、前記のいずれかのがん抑制剤を含む。
本実施形態のがん抑制用医薬は、前記のいずれかのがん抑制剤を含む。
本実施形態のがん抑制用医薬において、有効成分であるスクアレン誘導体は、前記記載した各種の化合物のうち1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。
本実施形態のがん抑制用医薬は、有効成分であるスクアレン誘導体とそれ以外の成分を含むがん抑制用組成物の形態であってもよい。
一態様において、本実施形態のがん抑制用医薬は、スクアレン誘導体および薬学的に許容可能な担体を含んでもよい。前記薬学的に許容される担体としては、特に制限されず、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、注射剤用溶剤等が挙げられる。
また、本実施形態のがん抑制用医薬は添加剤を更に含んでいてもよい。前記添加剤としては、特に制限されず、例えば防腐剤、pH調整剤、安定剤紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、香料等が挙げられる。
前記薬学的に許容される担体および前記薬学的に許容される添加剤としては、例えば、第十八改正日本薬局方等に記載されている一般的な原料を使用することができる。
前記薬学的に許容される担体および前記薬学的に許容される添加剤としては、例えば、第十八改正日本薬局方等に記載されている一般的な原料を使用することができる。
本実施形態のがん抑制用医薬の剤型としては、例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口的に投与する剤型、あるいは、注射剤、坐剤、皮膚外用剤等の非経口的に投与する剤型等が挙げられる。
皮膚外用剤としては、例えば、クリーム、ローション、化粧水、乳液、ファンデーション、パック剤、フォーム剤、硬膏剤、軟膏剤、パップ剤、エアゾール剤等の剤型が挙げられる。皮膚外用剤は、主に体表近くのがん種に対する処置、例えば皮膚がんの処置に用いることができる。このほか、サプリメント等の食品であってもよい。
本実施形態のがん抑制用医薬に含まれるスクアレン誘導体の含有量は、例えば、0.01~50質量%、0.01~30質量%、0.01~10質量%、0.01~5質量%、0.01~1質量%の範囲が挙げられる。
本実施形態のスクアレン誘導体を有効成分とする抗がん剤は、前記医薬の他に、栄養補助食品として、錠剤やカプセルとして経口投与する態様のものや、特定保健用食品や機能性表示食品を含む飲食品としての態様のものに用いられてもよい。
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、がん抑制効果を有し、親水性であることで高い薬理学的活性を有し、水溶性であることから投与方法に制限の少ないスクアレン誘導体を含むがん抑制剤、およびそれを含むがん抑制用医薬を提供することができる。
本実施形態によれば、がん抑制効果を有し、親水性であることで高い薬理学的活性を有し、水溶性であることから投与方法に制限の少ないスクアレン誘導体を含むがん抑制剤、およびそれを含むがん抑制用医薬を提供することができる。
本実施形態のがん抑制剤に用いるスクアレン誘導体は、スクアレン(SQ)にエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付与した、主にエチレングリコール付加スクアレン(SQ-EG)である。SQ-EGにはがん抑制効果、例えば膀胱発がん抑制効果などがあり、今後の新規のがん治療薬としての活用が見込まれる。
従来知られたスクアレンは長期間の使用において安全性が高いことが示されており、スクアレンの薬理学的活性を高めたSQ-EGによるがん抑制効果を明らかにすることができれば、がんの再発予防を目的とした安全な新規治療薬となる可能性がある。その成果は、例えば本実施例で検証した膀胱がん、皮膚がんに限らず、あらゆるがん種への応用につながる可能性がある。
本実施形態のSQ-EGは、親水性を高めることでSQの薬理学的活性を向上させることに成功し、また、水溶性であることから、投与方法の制限がほとんどなく、応用範囲の広さが期待される。
SQ-EGは、従来のSQをはるかにしのぐ抗酸化、抗炎症作用を示し、それにより膀胱発がん抑制作用を認めた。抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤といった現在がん治療の主流となっている治療法とは異なる機序で抗腫瘍効果を示す薬剤であり、新たながん治療の選択肢となる可能性がある。がん領域に限らず、酸化ストレスはあらゆる疾患に寄与していることが知られており、SQ-EGはその疾患に対する新規治療薬となる可能性がある。
(本実施形態の別の態様)
本実施形態は、別の側面として、以下のような態様も含む。
本実施形態の別の態様は、前記スクアレン誘導体を用いた、がん治療用医薬の製造方法である。
本実施形態の別の態様は、がん治療用医薬を製造するための、前記スクアレン誘導体の使用である。
本実施形態の別の態様は、がん治療のための、前記スクアレン誘導体の使用である。
本実施形態の別の態様は、がんの治療における使用のための、前記スクアレン誘導体の使用である。
本実施形態の別の態様は、前記スクアレン誘導体を用いた、がんの治療方法である。
本実施形態は、別の側面として、以下のような態様も含む。
本実施形態の別の態様は、前記スクアレン誘導体を用いた、がん治療用医薬の製造方法である。
本実施形態の別の態様は、がん治療用医薬を製造するための、前記スクアレン誘導体の使用である。
本実施形態の別の態様は、がん治療のための、前記スクアレン誘導体の使用である。
本実施形態の別の態様は、がんの治療における使用のための、前記スクアレン誘導体の使用である。
本実施形態の別の態様は、前記スクアレン誘導体を用いた、がんの治療方法である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず種々の変更を行うことができる。
以下、実施例および比較例により、本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できるものである。
(試験例1:膀胱がん細胞を用いたin vitro試験)
(細胞および細胞培養)
in vitro実験では、ヒト膀胱がん由来樹立細胞株であるT24および253J細胞株は、開発生物医学研究所細胞資源センター(宮城、日本)から購入した。細胞株は、10%のウシ胎児血清(FBS)を添加したRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地で5%CO2、37℃条件下で培養した。
(細胞および細胞培養)
in vitro実験では、ヒト膀胱がん由来樹立細胞株であるT24および253J細胞株は、開発生物医学研究所細胞資源センター(宮城、日本)から購入した。細胞株は、10%のウシ胎児血清(FBS)を添加したRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地で5%CO2、37℃条件下で培養した。
(細胞増殖アッセイ)
各細胞株(100μlの培地に1×103細胞)を96ウェルプレートの各ウェルに播種し、24時間培養した。その後、10μlのPBS、または本実施形態のスクアレン誘導体であるエチレングリコール付加スクアレン(式(2)で表される化合物でn=1のもの、SQ-EG)(最終濃度1μg/mlまたは3μg/mlに相当)を培養液に添加し、72時間後にCCK-8キット(Dojindo Molecular Technologies, Mashiki, Japan)を用いて細胞生存率を測定した。細胞生存数はキット使用法にしたがって、水溶性テトラゾリウム塩WST-8の呈色(460nm付近)によって測定した。
各細胞株(100μlの培地に1×103細胞)を96ウェルプレートの各ウェルに播種し、24時間培養した。その後、10μlのPBS、または本実施形態のスクアレン誘導体であるエチレングリコール付加スクアレン(式(2)で表される化合物でn=1のもの、SQ-EG)(最終濃度1μg/mlまたは3μg/mlに相当)を培養液に添加し、72時間後にCCK-8キット(Dojindo Molecular Technologies, Mashiki, Japan)を用いて細胞生存率を測定した。細胞生存数はキット使用法にしたがって、水溶性テトラゾリウム塩WST-8の呈色(460nm付近)によって測定した。
図1は、SQ-EGによる細胞増殖能の評価を示すグラフ図である。
(a)はT24細胞、(b)は253J細胞に対して、SQ-EGを無添加(コントロール)、SQ-EGをそれぞれ1μg/ml、3μg/ml添加後72時間の細胞生存率を示す。縦軸はWST-8の呈色の吸光度であり、コントロールに対する細胞数(細胞生存率)を示す。図中、「**」はP<0.01、「*」はP<0.05である。
(a)はT24細胞、(b)は253J細胞に対して、SQ-EGを無添加(コントロール)、SQ-EGをそれぞれ1μg/ml、3μg/ml添加後72時間の細胞生存率を示す。縦軸はWST-8の呈色の吸光度であり、コントロールに対する細胞数(細胞生存率)を示す。図中、「**」はP<0.01、「*」はP<0.05である。
図に示すように、膀胱がん由来細胞株であるT24、253JにおいてSQ-EGの1μg/ml、3μg/mlの添加で細胞生存率の低下、すなわち細胞増殖能の低下が見られた。これらの結果から、SQ-EGは膀胱がんにおいて強いがん細胞増殖能の抑制効果が見られることが示された。
(細胞浸潤アッセイ)
細胞浸潤アッセイは、BioCoat Matrigel浸潤チャンバー(#354480、Corning社製)を用い、製造者の指示に従った。上部チャンバーの各ウェルに合計0.5×105個のT24細胞を播種し、22時間後に固定と染色の前にメンブレン上面の非浸潤細胞を除去した上で浸潤細胞数を光学顕微鏡(オリンパス)でカウントした。
細胞浸潤アッセイは、BioCoat Matrigel浸潤チャンバー(#354480、Corning社製)を用い、製造者の指示に従った。上部チャンバーの各ウェルに合計0.5×105個のT24細胞を播種し、22時間後に固定と染色の前にメンブレン上面の非浸潤細胞を除去した上で浸潤細胞数を光学顕微鏡(オリンパス)でカウントした。
図2に、細胞浸潤能の評価についての写真図およびグラフ図を示す。(a)は光学顕微鏡の観察図で、各濃度のSQ-EGの添加を示す。図中のスケールバーは50μmを示す。(b)は同観察図の浸潤細胞数をカウントしたグラフである。
図に示すように、SQ-EGの濃度に依存して浸潤細胞数が減少していることが示された。
図に示すように、SQ-EGの濃度に依存して浸潤細胞数が減少していることが示された。
(試験例2:膀胱発がんモデルマウスを用いた発がん抑制効果の実験)
8週齢の雌性野生型(WT)BL6マウスに0.025% N-ブチル-N-(4-ヒドロキシブチル)ニトロソアミン(BBN)(東京化成工業)を添加した飲料水を与えた。PBSまたはSQ-EG(0.2mg/kg(4μg/body)相当)を5回/週経口摂取した。組織学的検査のため、4・8・12・16週の膀胱を10%緩衝ホルマリンで固定し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で解析した。
8週齢の雌性野生型(WT)BL6マウスに0.025% N-ブチル-N-(4-ヒドロキシブチル)ニトロソアミン(BBN)(東京化成工業)を添加した飲料水を与えた。PBSまたはSQ-EG(0.2mg/kg(4μg/body)相当)を5回/週経口摂取した。組織学的検査のため、4・8・12・16週の膀胱を10%緩衝ホルマリンで固定し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で解析した。
図3は発がん抑制効果の実験の模式図および染色写真図である。(a)は行った試験の模式図である。(b)は、HE染色の写真図である。図中のスケールバーは50μmを表し、(b)の左右の図は同縮尺である。
(b)に示すように、このモデルマウスではBBNの投与により膀胱発がんが見られ、8週間時点ではがん細胞はCIS(上皮)にとどまっており、16Wの時点ではinvasion(粘膜下浸潤)が見られる。
(b)に示すように、このモデルマウスではBBNの投与により膀胱発がんが見られ、8週間時点ではがん細胞はCIS(上皮)にとどまっており、16Wの時点ではinvasion(粘膜下浸潤)が見られる。
図4はSQ-EG投与の各マウスについての膀胱がんの発生率を示すグラフ図である。コントロールのマウスは膀胱発がんが見られ、4週間から16週間まで発がんが増加する傾向にある。一方で、SQ-EGを投与したマウスはコントロールに比べて発がんを抑制する傾向にある。この結果から、SQ-EGの投与により膀胱がんの発がんが抑制されていることが示された。
(試験例3:RNAマイクロアレイ)
RNAマイクロアレイは、8週および16週のSQ-EG投与BBN投与マウスおよび非投与BBN投与マウスの摘出した全膀胱からNucleoSpin RNAキット(TaKaRa)を用いてRNAを単離し、GeneChip(R) Whole Transcript (WT) PLUSマイクロアレイ試薬およびキット(ThermoFisher Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて、メーカーの推奨プロトコールに従って行った。解析はTranscriptome Analysis Console(TAC)ソフトウェア(ThermoFisher Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて行った。
RNAマイクロアレイは、8週および16週のSQ-EG投与BBN投与マウスおよび非投与BBN投与マウスの摘出した全膀胱からNucleoSpin RNAキット(TaKaRa)を用いてRNAを単離し、GeneChip(R) Whole Transcript (WT) PLUSマイクロアレイ試薬およびキット(ThermoFisher Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて、メーカーの推奨プロトコールに従って行った。解析はTranscriptome Analysis Console(TAC)ソフトウェア(ThermoFisher Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて行った。
図5は、RNAマイクロアレイ解析にて得られた発現変動遺伝子をパスウェイ解析した結果を示すグラフ図である。SQ-EGにより、図中左側に伸びたバーが阻害されたパスウェイ、右側に伸びたバーが活性化されたパスウェイを示す。
図6は、Targeted whole-transcriptomics analysesを行った結果である。
図7は、図6の結果のネットワーク解析をした模式図である。
これらの結果から、SQ-EGは線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に関係することが示された。SQ-EGは膀胱がんと関連のある遺伝子のうち、FGFR3 pathwayを抑制していることが示唆された。
図6は、Targeted whole-transcriptomics analysesを行った結果である。
図7は、図6の結果のネットワーク解析をした模式図である。
これらの結果から、SQ-EGは線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)に関係することが示された。SQ-EGは膀胱がんと関連のある遺伝子のうち、FGFR3 pathwayを抑制していることが示唆された。
(試験例4:メラノーマ細胞を用いた細胞毒性試験)
(用いた試薬、機器)
3-(4,5-シメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、PBS中5mg/ml)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、PBS中に10%)、96ウェルプレート、マイクロプレートリーダーを用いた。
(用いた試薬、機器)
3-(4,5-シメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、PBS中5mg/ml)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、PBS中に10%)、96ウェルプレート、マイクロプレートリーダーを用いた。
細胞増殖は、3-(4,5-シメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、同仁堂、日本)アッセイを使用して評価した。
マウスメラノーマ細胞B16F10細胞(3×104細胞/ウェル)を96ウェルプレートに播種し、10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したRPMI1640(Gibco、Invitrogen GmbH、カールスルーエ、ドイツ)で培養し、5% CO2の加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。24時間のインキュベーション後、培地を、様々な濃度のSQ誘導体化合物を含まない、または含む培地(ウェル当たり100μl)と交換した。MTT(5mg/ml、1ウェル当たり10μl)を各ウェルに添加し、軽く振盪し、光を避けるためにプレートをアルミホイルで覆い、さらに48時間インキュベートした。
次いで、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS;10%)をウェル当たり100μl加え、37℃で少なくとも4-8時間インキュベートして、ホルマザン(MTT)を完全に溶解した。
マイクロプレートリーダー(Powerscan HT、Dainippon Pharmaceuticals USA Corp.、ニュージャージー州、米国)を使用して、570nmでの吸光度を取得した。培地のみを含むブランクを使用して吸光度を補正した。
マウスメラノーマ細胞B16F10細胞(3×104細胞/ウェル)を96ウェルプレートに播種し、10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したRPMI1640(Gibco、Invitrogen GmbH、カールスルーエ、ドイツ)で培養し、5% CO2の加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。24時間のインキュベーション後、培地を、様々な濃度のSQ誘導体化合物を含まない、または含む培地(ウェル当たり100μl)と交換した。MTT(5mg/ml、1ウェル当たり10μl)を各ウェルに添加し、軽く振盪し、光を避けるためにプレートをアルミホイルで覆い、さらに48時間インキュベートした。
次いで、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS;10%)をウェル当たり100μl加え、37℃で少なくとも4-8時間インキュベートして、ホルマザン(MTT)を完全に溶解した。
マイクロプレートリーダー(Powerscan HT、Dainippon Pharmaceuticals USA Corp.、ニュージャージー州、米国)を使用して、570nmでの吸光度を取得した。培地のみを含むブランクを使用して吸光度を補正した。
図8は、コントロールとしてEGを付加しないスクアレン(SQ)を投与した場合の結果を示すグラフ図である。以降の図において、「***」はP<0.001、「**」はP<0.01、「*」はP<0.05である。
図に示すように、48時間後と72時間後の両方について、B16F10細胞の増殖を全く抑制せず、むしろ増殖亢進が見られた。スクアレンは従来知られているように、細胞毒性はほとんど示さず、増殖を阻害しない。
図に示すように、48時間後と72時間後の両方について、B16F10細胞の増殖を全く抑制せず、むしろ増殖亢進が見られた。スクアレンは従来知られているように、細胞毒性はほとんど示さず、増殖を阻害しない。
図9は、モノエチレングリコールを付加したスクアレン(SQ-EG)を投与した場合の結果を示すグラフ図である。
図に示すように、40μMの48時間処置において、有意な細胞増殖阻害作用を示した。また、72時間処置においては、5μM以上の濃度で濃度に依存した細胞増殖阻害作用を示した。48時間後の増殖率は80~90%、72時間後の増殖率は60%前後となっていた。
図に示すように、40μMの48時間処置において、有意な細胞増殖阻害作用を示した。また、72時間処置においては、5μM以上の濃度で濃度に依存した細胞増殖阻害作用を示した。48時間後の増殖率は80~90%、72時間後の増殖率は60%前後となっていた。
図10は、ジエチレングリコールを付加したスクアレンを投与した場合の結果を示すグラフ図である。
図に示すように、10μM以上の濃度の48時間処置において、濃度に依存した細胞増殖阻害作用を示した。また、72時間処置においては、2.5μM以上の濃度で48時間処置よりも強力な細胞増殖阻害作用を示した。48時間後の増殖率は80~90%、72時間後の増殖率は50~60%前後となっていた。
図に示すように、10μM以上の濃度の48時間処置において、濃度に依存した細胞増殖阻害作用を示した。また、72時間処置においては、2.5μM以上の濃度で48時間処置よりも強力な細胞増殖阻害作用を示した。48時間後の増殖率は80~90%、72時間後の増殖率は50~60%前後となっていた。
図11は、トリエチレングリコールを付加したスクアレンを投与した場合の結果を示すグラフ図である。
図に示すように、48時間後においては、40μMの濃度のみで細胞増殖阻害作用を示した。また、72時間処置においては、2.5μM以上の濃度で48時間処置よりも強力な細胞増殖阻害作用を示した。48時間後の増殖率は90%前後、72時間後の増殖率は50~60%前後となっていた。
図に示すように、48時間後においては、40μMの濃度のみで細胞増殖阻害作用を示した。また、72時間処置においては、2.5μM以上の濃度で48時間処置よりも強力な細胞増殖阻害作用を示した。48時間後の増殖率は90%前後、72時間後の増殖率は50~60%前後となっていた。
(試験例5:メラノーマ細胞を用いたマウス組織におけるがん転移試験)
(用いた試薬、機器)
6週齢の雄 C57BL/6 J マウス、30G 皮下注射針 (0.3mm x 13mm) ライトイエロー (30G x 1/2 インチ) Rays MicroTip/Ultra、イソフルラン麻酔システム、サイズに応じた市販のマウス用拘束具、1mlシリンジ、70%エタノール、ダカルバジン (DTIC)を用いた。
(用いた試薬、機器)
6週齢の雄 C57BL/6 J マウス、30G 皮下注射針 (0.3mm x 13mm) ライトイエロー (30G x 1/2 インチ) Rays MicroTip/Ultra、イソフルラン麻酔システム、サイズに応じた市販のマウス用拘束具、1mlシリンジ、70%エタノール、ダカルバジン (DTIC)を用いた。
図12は、がん転移試験で行った試験の概略図である。
処置群当たり各8匹の6週齢の雄C57BL/6Jマウス(チャールズリバーラボラトリーズジャパン株式会社)を、紙製の寝具(パルソフトオリエンタル酵母株式会社、東京)で裏打ちされたポリカーボネートケージに個別に収容した。ステンレスワイヤーカバーを付け、餌と水を自由に摂取できる標準条件下で維持し、12時間の明暗サイクルルームに収容した。
処置群当たり各8匹の6週齢の雄C57BL/6Jマウス(チャールズリバーラボラトリーズジャパン株式会社)を、紙製の寝具(パルソフトオリエンタル酵母株式会社、東京)で裏打ちされたポリカーボネートケージに個別に収容した。ステンレスワイヤーカバーを付け、餌と水を自由に摂取できる標準条件下で維持し、12時間の明暗サイクルルームに収容した。
マウスを1週間順応させた後、ランダムに8匹ずつ4つのグループに分けた。
(-)B16F10群:PBSを尾静脈から注入し、水を経口投与した。
(+)B16F10群:B16F10細胞を尾静脈から注入し、水を経口投与した。
DTIC/(+)B16F10群:B16F10細胞を尾静脈から注入し、DTIC 70mg/kg/日を経口投与した。(ポジティブコントロール)
SQ誘導体/(+)B16F10群(5mg):B16F10細胞を尾静脈から注入し、SQ誘導体(5mg/kg/日)を経口投与した。
SQ誘導体/(+)B16F10群(25mg):B16F10細胞を尾静脈から注入し、SQ誘導体(25mg/kg/日)を経口投与した。
(-)B16F10群:PBSを尾静脈から注入し、水を経口投与した。
(+)B16F10群:B16F10細胞を尾静脈から注入し、水を経口投与した。
DTIC/(+)B16F10群:B16F10細胞を尾静脈から注入し、DTIC 70mg/kg/日を経口投与した。(ポジティブコントロール)
SQ誘導体/(+)B16F10群(5mg):B16F10細胞を尾静脈から注入し、SQ誘導体(5mg/kg/日)を経口投与した。
SQ誘導体/(+)B16F10群(25mg):B16F10細胞を尾静脈から注入し、SQ誘導体(25mg/kg/日)を経口投与した。
順応後、マウスの尾静脈を明瞭にするためにマウスの尾を70%エタノールまたは温水で拭き、静脈を明瞭にしてから側尾静脈にB16F10細胞(100μl PBS中2×105腫瘍細胞、0.2ml/マウス)を尾静脈から注入した。B16F10注入の翌日、各動物が確実に試験サンプルを摂取できるように、マウスにSQ誘導体あるいはDTICを経口投与した。実験期間中は上記の通り、合計20日間、各動物の体重に対応する正確な用量を投与し、餌および水を与えた。
最後の経口投与の翌日、頚椎脱臼法を用いてマウスを屠殺し、肺や他の臓器を収集し、洗浄し、肺腫瘍コロニーの数を数えた後、液体窒素で急速冷凍した。最終的にタンパク質とRNAの抽出のために-80℃で保存した。
最後の経口投与の翌日、頚椎脱臼法を用いてマウスを屠殺し、肺や他の臓器を収集し、洗浄し、肺腫瘍コロニーの数を数えた後、液体窒素で急速冷凍した。最終的にタンパク質とRNAの抽出のために-80℃で保存した。
図13は、B16F10を尾静脈から注入し肺に転移させたマウスおよびDITC,SQ誘導体を経口投与された同マウスの各臓器の写真図である。
特に肺(Lung)において顕著に確認できる点として、(+)B16F10注射マウスは腫瘍(黒点)が増加し、メラノーマ細胞が肺に転移していることを示している。ポジティブコントロールとしてメラノーマに対する抗がん剤として知られているDTICを投与したマウス((+)B16F10-DTIC)では、腫瘍が減少している。ここで、SQ誘導体の投与マウス((+)B16F10-5mgおよび25mg)は、投与量に応じて腫瘍が減少していた。
図14は、図13と同様の各マウスの肺組織について腫瘍数を目視でカウントしたグラフ図である。
SQ誘導体の投与マウスについては、SQ誘導体の投与量に応じて腫瘍数が減少していた。また、SQ誘導体(25mg/kg/日)であれば、特に顕著に腫瘍数が減少することが示された。以上の結果から、本実施形態のSQ誘導体はメラノーマについてもがんを抑制し、肺などの他組織への転移を抑制することが明らかとなった。
特に肺(Lung)において顕著に確認できる点として、(+)B16F10注射マウスは腫瘍(黒点)が増加し、メラノーマ細胞が肺に転移していることを示している。ポジティブコントロールとしてメラノーマに対する抗がん剤として知られているDTICを投与したマウス((+)B16F10-DTIC)では、腫瘍が減少している。ここで、SQ誘導体の投与マウス((+)B16F10-5mgおよび25mg)は、投与量に応じて腫瘍が減少していた。
図14は、図13と同様の各マウスの肺組織について腫瘍数を目視でカウントしたグラフ図である。
SQ誘導体の投与マウスについては、SQ誘導体の投与量に応じて腫瘍数が減少していた。また、SQ誘導体(25mg/kg/日)であれば、特に顕著に腫瘍数が減少することが示された。以上の結果から、本実施形態のSQ誘導体はメラノーマについてもがんを抑制し、肺などの他組織への転移を抑制することが明らかとなった。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明によれば、がん抑制効果を有し、親水性であることで高い薬理学的活性を有し、水溶性であることから投与方法に制限の少ないスクアレン誘導体を含むがん抑制剤、およびそれを含むがん抑制用医薬を提供することができる。
Claims (8)
- スクアレンにエチレングリコールまたはポリエチレングリコールを付加したスクアレン誘導体を有効成分とする、がん抑制剤。
- 前記スクアレン誘導体はスクアレンにエチレングリコールを付加した、請求項1に記載のがん抑制剤。
- 膀胱がんの抑制剤である、請求項1または2に記載のがん抑制剤。
- 膀胱がんの増殖抑制剤である、請求項3に記載のがん抑制剤。
- 皮膚がんの抑制剤である、請求項1または2に記載のがん抑制剤。
- 皮膚がんの転移抑制剤である、請求項5に記載のがん抑制剤。
- FGFR3 pathwayの抑制剤である、請求項1または2に記載のがん抑制剤。
- 請求項1または2に記載のがん抑制剤を含むがん抑制用医薬。
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2025148753A true JP2025148753A (ja) | 2025-10-08 |
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